大蔵委員会 第23号
- 発言数
- 89 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/07/16
会議録
○千葉委員長 これより会議を開きます。 本日の日程に掲げました三十四法案中、積雪寒冷単作地帯における麦類又は菜種の収穫に因る農業所得に対する所得税の臨時特例に関する法律案を除いた三十三法案を一括議題として、質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。 なお本日の政府委員としての出席者は、愛知政務次官、主税局の税制課長の諸君であります。 黒金君。
○黒金委員 昨日の質問の続きでありまして、中小企業に対する税金について、いささか伺つてみたいと思います。 まず昨日主税局長もお話になりましたように、中小企業者の中の相当大きなものにおきましては、みずから株式会社をつくる、あるいは合資会社、有限会社をつくつて、税金に対する自己防衛とでも申しましようか、そういう方策をとつております。しかしながら資力なりあるいはまた実力のないものにおきましては、あるいは協同組合をつくり、あるいは企業組合をつくつて自己の防衛に努めておる。その中の企業組合についていささか伺つてみたいと思いますが、この企業組合の方々は、今回の所得税法の改正につきまして、非常に危惧の念を抱いておるのであります。 第一の点は、これは第三条の改正でありますが、実質的な所得の所在に課税する、この原則は当然のことでありますが、今新たにこれをなさるということの真意について非常な疑念を持つておる。 もう一点は、四十六条でありますが、この推定規定につきまして、この適用をどの程度まで峻烈に行われるかという点につきまして、相当に危惧を持つておる。もとよりこの組合の中には、一部企業協同組合の本質に反するような非常に不届きな組合のあることも認めざるを得ない。しかしながら、あらゆる制度全般がそうでありまするが、制度の運用は、結局その運用する人によりましていろいろ千差万別である。最も悪いものだけをつかまえまして、こういう悪いものがあるから、こういうような対抗策をとらなければいけないというのでは、善良なる人たちが非常に危惧を持つのも、これは当然だろうと思います。一部のうわさを仄聞いたしますと、企業組合というもの自体が、この日本の経済状態の上から申しましてふさわしくないものではないか、あらゆる自分の資産を一本に提供いたしまして、そうしてまたその収入支出も全部これに帰属させる、その利益も山わけするというようなことが、現在の経済状態の上からいつてどうもふに落ちない。これは税の負担を軽減するという目的以外にはとうていこういうような組合組織というものは成り立ち得ないのじやないかというような思想を持つていらつしやる方が、税務当局の中にもあるのじやないか、またこういうような思想のもとに、各第一線の税務署の職員の方々がこの企業組合について見ていられるのじやないか、こういうような本質的な懸念を持つておる向きが相当に多いと思うのでありますが、このことは、もしそういうような思想を持つていらつしやるといたしますならば、せつかく国がこういうような組合制度を認めまして、この零細な企業者の保護助成をして行こうというその根本方針に非常に乖離するものであつて、はなはだおもしろくないことではないか、われわれはそう考えるのでありますが、そういうような思想を持つている向きがあるかどうか、この点をまず第一に伺いたいと思います。
○渡辺政府委員 お答えいたします。最初の第三条の二のいわゆる実質課税と申しますか、ほんとうに所得の帰属する人に所得税は課税さるべきであるということでありますが、まあ一番典型的な例としてわれわれの現実にやつておりますのは、たとえば会社の株式を取締役の名義で持つている、従つて配当は一応会社からはその重役さんの方へ渡される、しかし重役さんのところはただほんとうの通り抜けといいますか、むしろ手には渡らないで、会社の方の収益になつている。こういうような場合におきましては、現在におきましても会社の方に課税しておりまして、重役さんには課税していない。これは典型的な課税規定でありまして、われわれとしては、これは事柄の性質上当然であるというふうに思い、それで扱つておりますが、納税者の方としましては、それによつて割合に負担の上から見ましてプラスになつている場合は問題ないのでありますが、逆にマイナスになつている場合におきましては、また別な異論が出ないものでもありませんからして、こうした原則というものは、一応所得税全体を貫く考え方であるという意味におきまして、あとの四十六条の三ですか、そういうものと見合う意味において、やはりこの規定を入れるのがこの際として適当じやないかというふうに思つております。 ただ、ついでに一言つけ加えさしていただきたいと思いますが、この規定がありますために、たとえばいわゆる同族会社が——よく個人の方が、親族とかいろいろな方と一緒に同族会社をつくつていらつしやいますが、そういう場合におきまして、その同族会社をむしろ否認して、直接その同族会社をつくつていらつしやる人の個人の事業所得として課税するということをこの規定でもつて考えているのじやないかとか、あるいは考えられるのじやないかという御疑念を持つている人があるように聞いておりますが、私はこの規定をすなおに読んで参りましても、そういうことは考えられないのじやないかと思います。確かに会社というものは、終局するところはそれの出資者である個人の収益の一つの手段でありますから、そういうふうに考えて行きますと、帰属するところは、これはもうひとり同族会社に限らず、一般の非同族の大きな株式カンパニーにしましても、結局は株主の収益になるわけでありまして、従つてそこまで追つて参りますと、それは株主の方へ収益は帰属するということになりますが、しかしそれは、一応まずもつて第一段階として会社の収益になり、それが配当とか、そういうかつこうをとつて初めてそれを構成する株主なり出資者の収益になるわけでありまして、従いまして、その会社自身を否認するような考え方が入つて来ない限りは、直接にそれを構成している株主、出資者の収益になるというふうな考え方が出て来ることはまず考えられないのじやないか。同時に、われわれはこの規定によりまして、会社そのものを否認するといつたような大それたことは夢にも考えておりませんので、従いまして、そういう意味におきまして、これが同族会社などの方の御心配になるような規定ではないというふうに私は考えております。 それからもう一つ、第二の企業組合の問題でございますが、われわれは、この前の国会のときも終始一貫して御答弁申し上げましたが、健全な企業組合の発達を阻害する気は毛頭ございません。まあ、今黒金委員の言われたような考え方を内部で持つている者があるかないかは別にしまして、同時にそれは、行政の上におきましては、そうあつてはならないというふうに私は考えております。そのような意味におきまして、前国会でも申し上げまし王が、大体中小企業庁ともよく話合いをしまして、執行の上につきましては、無理なことにならぬように、万遺憾なきを期するつもりでおります。
○黒金委員 ただいまの御答弁で、組合の方もある程度は安心するかとも思いますが、私は、今度の四十六条の三の規定を拝見いたしますと、こういうような制限規定と申しましようか、企業組合の範囲を限定するような規定は、企業組合の本質に反するものでありますから、むしろ企業組合の方を制限する法律に入れるべきであつて、こういつたような逸脱する組合というものは企業組合ではないのだというようにおきめになるのがしかるべきではないかと思う。そうしておいて、今おつしやるような健全なる企業組合については、これは税法の上で正直にそのままお受取りになる方がすなおではないか、法の体裁から申しましても、また企業組合の方々に安心感を与える意味からいいましても、その方が自然ではないかと思うのでありますが、この点について御意見を伺いたい。
○渡辺政府委員 企業組合の方の法律をかえたらいいじやないかという御意見は、前からわれわれも伺つておりますし、それに対してわれわれも意見は申し上げておるのですが、確かに、企業組合の現在の法律について改正すべき点は幾つかあるのではないかというふうに私たちは思つておりますが、これは中小企業庁の方の所管に属しまして、中小企業庁の方の関係からいいましても、いろいろ議論してみたのでありますけれども、すぐにどうこうという点については、なかなかいろいろな難点があるようでございます。御承知のように、現在の企業組合は、設立は届出制度になつておりまして、会社の設立と似たり寄つたりになつておりますが、これを許可制に持つて行くことがいいか悪いかというような点からまずもつて議論は出て来るわけであります。同時にわれわれとしましては、先ほど申し上げましたように、実質課税という建前をとつております。商法の方では、たとえば、株主であれば第三者に対抗できないというような規定がありますが、それにもかかわらず、われわれの方では、一応実質課税の建前をとつて行けば、商法のそういう規定をたてにとつて株主に課税して行くのは無理であろう、従いまして、企業組合の法律を直すということは当然一つの手だと思いますが、しかし課税の方の面から申しますと、それだけで問題が片づき得るものだというふうにはわれわれは考えておりません。税の面は税の面としてやはり必要な措置を講じさせていただく必要があろう、かように考えております。
○黒金委員 どうも今の御答弁で参りますと、企業組合の中でも、ある組合は税法上ある措置を受けるし、またそのうちの別な組合は違つた取扱いを受ける、はなはだおもしろくないのではないか、かように考えるのでありますが、そのことはおつてまた御研究を願うといたしまして、第四十六条の三の推定規定でありますが、推定規定というものはともすると濫用になりがちであつて、それをやればこそ、善良なる組合の方々が非常に心配しておられると思います。一、二の例をあげてみますれば、かりに二十軒の人をもつて組合をつくつておる。この組合の大半のものが隠しております。自分のところきりの収入があり、支出があるというような場合、あるいはまた組合の幹部もこれに関係しておつてそのようなことをさしておる、こういう場合に、組合全体が企業組合として否認されますことはやむを得ないところだと思いますが、いろいろ聞いてみますると、かりに二十軒あるうち、一、二のうちでもつてそういうものがたまたま見つかつた、こういう場合におきましては、そのたまたま見つかつたうちの一、二軒について、その所得を加算して、そうして所得税を御決定になるのが当然だと思うのでありますが、そういう場合におきましても、この組合全体が否認されておるという場合も間々あるかに聞いておるのであります。また一方におきましては、今度のこの法律の改正があるまでは、お前の組合の是、否認は留保しておく、この法律さえ通れば、もう当然にお前のところは簡単に否認できるのだから、こう言つておるところさえあると聞いておるのであります。この私どもの仄聞いたしましたことが真実でなければ非常に仕合せでありますけれども、そういうことを言つて、非常に心配しておる。今回の推定につきまして、どういうような方法かによつて、悪い組合に対してこの推定規定が適用されて、そのために非常に煩瑣ないろいろな手続が省けて、その労力を善良なる納税者の方への調査の充実に向けられる、この点までは非常にけつこうでありますけれども、今度のこの推定規定、特に例外として認められております点を、どの程度の立証を組合員がすればそれで税務署が御納得になるか。その他につきまして、どういう御適用をなさるおつもりか、これについて承りたいと思います。
○渡辺政府委員 私は先ほども申しましたように、健全な、まともな企業組合につきまして、この法律でどうこうするということは考えておりません。これは黒金委員もお認めになつておりますように、かなり極端な事例が幾つか目につきます。これは黒金委員も、それはやむを得ないという御意見でありまして、結局はその中間にどういうものがあるか、それに無理がかからないかという点だと思います。私は終始申し上げているのですが、企業組合である限りにおきましては一応協同組合法の上に乗つかつているのですから、やはり協同組合的なそこにつながりがなければならぬはずじやないか。従いましで、たとえば損益の問題につきましても、そこに相当の共通性を持たなければならぬはずである。ところが、われわれが好ましくない姿として見ておりますのは、いわば会費を出して、そしてその他の点は従来と全然同じ、月に何百円か会費を出して、その点において結局一つの事務所ができる、それだけでもつてこれが企業組合だ、こういう姿のものが、企業組合法にいうほんとうの意味の企業組合とも思えませんし、従いましてそういう場合におきまして、これに企業組合としての課税をすることはおかしいじやないか。結局は推定規定でございますから、われわれの方でもつて、一応外形的な関係におきまして、それを企業組合でないというふうなことを申しましても、要はそうであることを納税者の方に立証していただきたいということだけがわれわれの願うところでございまして、どうも自分のことは割合に立証しやすいのですけれども、人様のことを何とかそれを立証しよう、全部の責任を税務当局が持とうとします場合には非常に苦労であることは、これはもう御推察願えるものというふうに思つております。結局そういう意味におきまして、われわれの方としましては、ほんとうのいい企業組合は伸びて行くように、同時に企業組合の名前に隠れて従来と同じような商売をしておる、しかもそれが企業組合なりという点は、われわれの方としてはそのままいただきかねる、こういうふうに考えております。 それから具体的にどういう考え方をして行くかという点につきましては、一応中小企業庁とはこういう打合せをいたしております。将来企業組合の関係の通達を国税庁で出すときは、中小企業庁とよく相談をしましよう。それから中小企業庁で企業組合関係について、特に税と関係のあるような事柄について何か通達を出そうというときには、よくこちらにも相談をしましよう。それからもう一つ、従来税務署でもつて、一応企業組合として幾つか認めて来ておる事例がたくさんございます、こういうものにつきましては、よしその後の形態の変化によりまして、これはもう企業組合であるのがおかしくなつたとしましても、この推定規定はもう使うまい、それは従来の手続でもつて立証して行きたい、こういうふうな約束はしております。それから今お話の、全体の組合員の中の何人かが特におかしなことをやつた場合どうか。これは私は、やはり程度の問題になると思いますが、大部分がほんとうの企業組合であつて、その中の組合員の何人かが自分のところの商売をする。これは企業組合の仕事が片方にある、そのほかにその個人の営業なら営業が別途ある、こういうふうに考えて、その企業組合の本質そのものを否認するものと考えておりません。それで、一応そこがはつきりしますれば、そういう何人かの者には個人の課税をしますが、残つた者については企業組合の課税をして行く、これは当然そうあるべきものだと思つております。また現にいろいろな扱いを見ましても、その何人かはどうも企業組合員としての整備をしていない。従つてこの組合員は、企業組合として、今のままならむしろ脱退してもらつた方がいいんじやないか、そうすれば、残つた者については企業組合としてわれわれは課税して行く、こういうような話合いをしている事例が幾つかあります。
○黒金委員 ただいまお話がありました点で、ある程度はわかつて参りましたが、結局今主税局長の言われる健全な組合に対して、別にこういう推定規定でいじめる気持は当然なかつたことでありますし、また先ほど御指摘になつた一、二の非常に悪い組合に対して、これを推定して行く、これも当然のことだと思つております。結局、ではどの程度にこの健全なる組合をお認めになるかという実際の適用の問題にかかつて来ておるのでありまして、毎日私どものところにも五十通、百通の反対の陳情書が来ております。非常に皆さんが心配しておられますので、この息につきまして、どうか今後とも執行の上において、十分に御戒心と申しますか、十分に警戒されまして、その末端において行き過ぎのないようにおとりはからいを願いたいと思います。 次に、今度は個人の問題について申し上げたいと思います。この個人の妻や家族、専従家族の問題でありますが、今度の改正におきまして、十八歳以上というのを十五歳までに引下げた、また五万円を六万円に引上げられた。確かに今までよりも改善されたことは明らかでありますが、これはやはり、何と申しましようか、この限界をきめますものは、よそに行つて働いたならば幾らの収入を得られるか、またその人が働きますために、家事の使用人その他を雇うといたしますならばどの程度の金がいるかというようなことが、やはり一つの標準になるのではなかろうか、こういう点から考えてみますると、現在の零細なる企業者は、ほとんど妻なり、あるいは家族の者で仕事をいたしておるのであります。こういう点から見て、あまりにこの限度が低過ぎはしないか。せつかく御改正になる以上は、もう一歩進めて妻も加え、あるいはまたこの金額ももう少しおふやしになつたらどうか。よほど零細企業にとりましては、この点で税金の面から助かるのではないか、かように思うのでありますが、この点についての御見解を承りたい。
○渡辺政府委員 中小企業の個人につきましては、われわれも相当真剣に考えて行きたいと思つておるのであります。確かにいろいろ議論があるところでございまして、専従者に妻も入れたらいいじやないかというふうな意見も、われわれ盛んに聞かされております。われわれもいろいろ検討いたしておりますが、何と申しましても、奥さんは片方でもつて家事をなさるということは当然考えられるわけでございます。従いまして、それをそのまま専従者に入れるということになりますと、これは他の所得を持つている方との権衡関係がどうだろうかというようなことも当然考えられますので、従いまして、今回の改正におきましては、奥さんを専従者にするということは、ちよつとまだわれわれとしては行き過ぎではないだろうか。そのかわりといつては語弊があるかもしれませんが、それとの見合いにおきまして、扶養控除におきまして、最初の一人を従来の二万円から三万五千円に上げるということでもつて、そこの一応のバランスを得たいという考え方で、全体の構成をしているわけでございます。それからなお六万円がどうかという議論になりますと、これは大体前回の基礎控除と合せていたしますので、今夏基礎控除を六万円に上げたわけでありますが、基礎控除程度を控除するのがいいか、結局そういう場合において、その期間にちようど法人と同じように、いわば一種の俸給を払うというような制度を認めることがいいか、そういうような問題にまで発展して行くのではないかと思いますが、その点になりますと、われわれの方としましても相当愼重に研究しなければならぬというふうな、にわかに踏み切りをし得ない感じでおりますので、今回の改正におきましては、一応現在われわれがこの程度までは考え得るという限界以上にはちよつと出得ませんので、今のところその程度になつていますが、将来の問題としましては、さらにこの研究は続けて行きたいと思つております。
○黒金委員 中小企業、零細企業に対しまして、今後も行われます税制の調査会、その他税制の改正におきまして、十分にこの上とも御考慮を願いたい、かように考える次第ですが、最後に一点承つておきたいと思います。最近起りました九州その他の風水害の関係におきまして、直接税については減免の規定があるのでありますが、間接国税については、徴収の猶予の規定はあるが、減免の規定はないように記憶いたします。たとえば酒税におきまして、酒の工場から庫出になつて問屋にあるうちに、水害によつてこれが流出、破損した。こういう場合の損害につきまして、庫出税の徴収には猶予がありますけれども、減免は行われない。物品税についても同様の問題があると思います。こういう場合に、今回の災害におきまして、酒なりあるいは物品税について庫出後の損失、まだ終局の消費者まで行つてないというような場合の損失についての御報告があつたかどうか。相当の価格に上つておると思いますし、何とか措置を講じなければならない、かように考える次第でありますが、承つておきたいと思います。
○渡辺政府委員 前の御質問と関連しまして、もう一つけ加えさせていただきたいと思いますのは、中小企業の負担の問題は、やはり中央・地方を通じて総括的に考えて行くべき問題だと考えております。現在小さい業者でありますと、所得税の方におきましては、扶養控除とかいろいろな控除がありますので、むしろ負担の悩みは事業税にあるということも、私はひとつ大きく考えてみなければならぬと思つております。現在の事業税の税率一割二分は、小さな企業者にとつては、私はやはり相当な負担じやないかというふうに思つております。今度その点を考えまして、事業税の方におきましても、従来の基礎控除三万八千円を一応五万円に引上げるということを提案はしてありますが、今後の問題としましては、事業税、所得税というようなものをやはりあわせて考えてみなければ、なかなか中小企業の問題は解決しないのじやないか。所得税だけとつてみますと、把握の上から言つて、勤労者がかなり負担が大きくなつておるようですが、事業税というものを考えると、中小企業者の方に相当負担が行つておる。その辺が中小企業者が、把握の点においては相当不十分な点がありながら、しかも負担の面になると一番問題が多いといつたようなことなのじやないか。そういう意味におきまして、やはり中央・地方を通じまして、負担に権衡という点を考えて行きませんと、いつまでたつても問題は残つて来るのではないかと考えておりますことを申し上げておきたいと思います。 それから御質問になりました酒の税金、あるいは間接税の問題でありますが、庫内のときは、これはまだ課税が始まつておりませんから、庫内でもつて亡失したようなものは、将来の課税の一つのチエツクの意味において、一応検査をしておりますが、それ以上にはやつておらない。従つて、これは問題ないのですが、庫を出ましてからあとの亡失関係は、正直言いまして、実行の上から言つて非常に難点があるということが一つ、それからもう一つは、製道者から一応売られるわけですが、その場合の私法上の契約の問題とも結びつく。税を負けてやつた場合に、相手方からどのような金をとるかという問題とも結びつきますが、そういう問題は、考え方によつていろいろ解決の方法があると思いますが、一番むずかしい点は、亡失数量の確認という点で、実はほとんど自信がないと思つております。いろいろ議論はなし得ると思いますが、はたしてそこにどれだけの酒があつて、どれだけ亡失したかという点が、実行の上から見まして、全然自信が持てない姿にありますものですから、うちで何石流れたと言われましても、それがほんとうだろうかどうかというようなチエツクする資料がない。そういうことで、現在間接税におきまして徴収猶予の規定はありますが、免除の規定がない。将来も私は研究はしてみたいと思いますが、チエツクの関係におきましては、そこに非常に大きな困難があり、従つて実行ということになりますと、かなりむずかしい問題かある、かように考えております。
○千葉委員長 井上君。
○井上委員 現在の所得税法による年収二十四万円以下の納税人員は約九百三十万と推定されております。これは全納税人員の約八〇%に当つておると思いますが、これら階級層の負担します税額は総体でどのくらいになつておるか。これをまず資料として提出を願いたいということ。 それから所得税の課税対象になつております給与所得者の中で、特に低額所得者が非常に多い。しかもこれらの者につきましては、たとえば扶養控除であるとか、社会保険の控除でありますとかいうものを控除いたしまして、できるだけ減額することに努めておりますが、そういう複雑多岐きわまる控除の計算方法をとるために、どれだけ多くの人が使われており、またそのために時間がかかつておるかということを政府は考えたことがありますか。そういう扶養控除がどうであるとか、あるいはまたこれに社会保険なり生命保険等の控除がどうであるとかいうことを、各納税義務者がそれぞれ計算をするということに要する労力というものは非常に大きなものがあります。またこれを扱う税務署においてもたいへんな労力であろうと思う。そういう煩雑から離れて、単純に、かりにあなた方が、四人家族で十六万円なら十六万円年収所得というものには税がかからない、こういう推定が立ちますならば、かりに月収一万五千円以下の者は免税する、こういう措置に出られる方が、税務行政の上からも徴税事務の上からも、税制を簡素化し、その事務を簡素化する上からもその方がはるかにいいではないか、こう思いますが、そういうことはお考えになりませんか、こういう点を伺いたい。
○渡辺政府委員 先ほどの二十四万円以下の所得者にどれだけの税金がかかつているか、これは、われわれの方の一応の計算は、基礎控除をし、勤労控除をし、同時に扶養控除をした後に課税所得を出しまして、その階級別のいろいろな試算をしておりますので、同じ二十四万円の所得がありましても、独身者である場合と子供が何人もおる家族持ちである場合、こういうふうなので、相当負担の状態が違つて来ておりますので、その辺を一応そろえまして、そうして標準世帯でもつて二十四万円以下のものについてどれくらい課税ができておるかというふうな点で、お許し願えれば一応の数字を出したいと思つております。なおついでに一言蛇足かもしれませんが、申し上げておきたいと思います。現在の制度は、御承知のように免税点でありませんで、控除制度になつておりますので、たとえば基礎控除を現在の六万円を八万円に上げるとか、扶養控除をもつと上げるということにしますと、二十四万円以上の人の負担も当然それによつて軽減されるわけでございます。税収などをお考えくださる場合におきましては、これも制度を全然かえてしまいまして、免税点にして、そうして二十四万円以上の人は、たとえば現在と同じような控除しかやらないというふうなことでございますれば、二十四万円以下の人の負担している所得税だけの減収で済みますが、現在のような控除制度で、しかもそれを二十四万円以下というふうなことで計算して参ります場合におきましては、それ以上の所得者の方の軽減にもなるかわりに、反面減収にもなる、これを一応御考慮願う必要があるのじやないかというふうに考えおります。御参考に、われわれの方でも実はいろいろな試算をして参りまして、皆さん方からよくそういう声がございますので、一応これは、前国会に提案しましたときの予算の基礎数字でもつて実はやつてみたことがあります。そのときの数字は、今正確に覚えておりませんが、大体二十四万円、家族は子供さんが三人と奥さん、それで勤労控除は現在一割五分ですけれども、四万五千円で頭打ちをしておりますのを、六万円くらいまでに上げる。そうして基礎控除を八万円くらいに上げまして、そうして扶養控除を上げて参りまして、大体家族が子供三人くらいあればかからぬということで一応試算して行きますと、その分だけでもつてたしか九百五十億くらいの減収が計算されると思います。それからただその場合におきますと、いよいよもつて現在の税率の方が非常に急角度に上つて行くのが目につきますので、この辺も当然調整されるべきじやないかと考えまして、ただそちらについても、われわれのように歳入についての考慮が抜けない者といたしましては、非常にテイミツドのやり方でやつて参りまして、そちらの方の百六、七十億の減収が考えられて、一応千二百億くらいの財源がありますと、その辺の調整ができるのじやないかというふうな試算はできております。あとでよく伺いまして、適当な資料を提出したいと思つております。 それから、できるだけ取扱いを簡素にすべきじやないか、現在実際に源泉徴収の事務を扱つている人の手数は非常に多いんじやないか。私もその点は実は同じように考えております。われわれも常に悩んでいるわけですが、ただ税制を非常に簡単にいたしますと、負担の公平という面から見ましても、かなり荒つぽくなる。たとえば扶養控除などを全部やめてしまつて、基礎控除一本にすれば、これは非常に簡単なわけであります。そうしますと、独身者と家族持ちの負担がそれでいいだろうか。これは、やはり家族持ちの人は相当負担を軽減すべきじやないか、これが入つて来ますと、そこにまたすぐ一つの仕事が出て来るわけです。それからあるいは勤労控除についても、これをやめてしまえば非常に簡単なわけですが、しかしこれをやるべきじやないかということになれば、そこにまた一つの仕事が出て来る。あるいはさらに税制の持つている公平性のほかに、たとえば貯蓄奨励の意味におきまして、生命保険料の控除はしてやるべきじやないかといういろいろな要請が出て来るわけであります。そういうものを取入れてやればやるほど、税の扱いは複雑になつて行くわけであります。税源自体から考えてみますと、税の公平性はもちろん確保すべきでありますが、その限りにおきまして、できるだけ他の要請はお断りして、税だけ一本で行くということになれば、非常に話は簡単なわけなんです。現に租税措置法にあれほどごたごたしている規定がありますように、結局他の産業上、あるいは金融上の面からいろいろな要請が出て参りますために、税制がいろいろ複雑になつて来る点があるわけでありまして、この点におきましては、やはりその兼ね合いというか、妥協点をどこに求むべきかという点で解決すべきものと思つております。なお勤労所得の源泉課税等につきまして、いろいろ手数のかかる点につきましては、現在は御承知のように税額表というものをつくつておりまして、そうしてあれをつき合していただきますと、一々所得の計算をしていただきませんでも——まあ月給が二万円から百万円までの人で家族が何人、上下つき合していただきますと、一応税金の額がすぐ出るというようなことにしまして、できるだけお手数のかからぬような努力はしておりますが、まだまだ手数がかかるじやないか、これは要するにほかの方の要請とどういうふうに調和するかというのが一点、同時にそういう調和の上に立つてなおかつ簡略化すべき点につきましては、われわれとしてもさらに努力をして行くつもりでございます。
○井上委員 そういういろいろな控除額を計算するとか、ほかの減税について、いかにも親心を示しているような心構えを一応出しておるのでありますが、これはわれわれの立場から申しますと、結局お金持であろうと貧乏人であろうと、同じような状態に基礎控除がされるわけでありまして、そこで今おつしやるような生命保険なら生命保険というものに対して基礎控除をする、これは貯蓄奨励ということで、資本蓄積という見地からやる、その他いろいろ考えられておりますけれども、そういういろいろな控除をやられます場合において考えなければならぬのは、もしそういうことが控除の対象になるということなら、当然郵便貯金、それから普通銀行預金もやはり貯蓄に違いないのです。この利子も免税するということが考えられなければならぬ。あるいはまた一般社会保険の掛金に対して免税をするということならば、共済基金の掛金、退職積立金の掛金、あるいは労働組合の掛金、それぞれあるわけです。めんどうくさいついでに、それらも一緒にひとつ、計算かめんどうだけれどもやつてやるというなら話がわかる。特殊なものだけを取上げて他は取上げぬということでは、公平を欠くわけです。だからそういう煩雑なやり方はやめて、もういつそのこと、今おつしやるように扶養家族を四人なら四人と推定して、月収は、扶養家族四人の場合は、たとえば一万五千円なり二万円はどうしてもいるから、それたけは免税、こういうことにしたらどれだけ多くの徴税の煩雑さが省けるかわからぬ。大体扶養控除という問題につきましても、一方家族手当というものがどこの事業会社でも官庁でも出ておりますから、家族手当を出しておいて、また一方扶養控除をするということが、一体今日の段階でそこまでやらなければならぬかどうかという考え方で私はおります。扶養控除をするという精神は、家族を多く持つておれば、世帯が困難であろうというところからやつておるのです。世帯に困難なものは低額所得者であります。それならば、いつそのこと二万円以下はすぱつと免税にする、こういう措置を講ぜられた方が非常にいいじやないか。そうすれば、逆に上の方にかかつて行きますから、この点はひとつ一段と検討を願いたいと思うし、またこれは国税庁長官が来ておりませんからわかりませんが、一体こういう複雑多岐にわたる計算をして、こういうことのために要しておる税務署の人員というものは一体どのぐらい使つておるか。これを一応資料として出してもらいたい。ものすごく人がかかつておるだろうと思う。このことのために、各民間会社においても特に税務係という者が一人別におらなければならぬ。多いところは二、三人もこれにかかつておるという実情になつているのです。そのことを考えたときに、そういう煩雑なことはこの際やめてしまうというところへひとつ考えるべきであり、特にこれと対蹄的になります富裕税の問題でございますが、昨日もこの問題に対して大臣から明確な答弁を私ども承ることができませんでしたが、何かこの富裕税を廃止するに伴つて、従来所得税法における累進課税が五五%であつたものを六五%に引上げたから、こういうお話でございました。そうすると、その五五%でおいたのと六五%に一〇%引上げました場合の税収というものはどれだけ見込んでおりますか。それを一応明らかにしてもらいたい。それから富裕税廃止の理由として、負担の調整ということが言われておる。あるいはまた税制を簡素化する、こう言つておる。富裕税をやめる場合は税制を簡素化すると言う。勤労者に重たい税をかけるときには煩雑多岐でもかまわない、こういうむちやな話はあるもんじやない。だからこの富裕税の負担の調整というのは、一体何を言うておるのか、富裕税を設定するときは、負担の調整なんという言葉は使つてありません。できるだけ負担の公平ということから富裕税を設定しておるのです。今日になつて、負担の調整が困難だから、こいつをやめようというのですけれども、負担の調整ということは一体何を言うのですか。富裕税の廃止だけで税制を簡素化しよう、こう言うのですか、そんなあなたかつてなりくつは許しませんよ。この点に対してお答えを願いたい。
○渡辺政府委員 生命保険料控除、これにつきましてはいろいろ議論があると思います。結局生命保険というものは、御承知のように非常に長期な投資になるわけでありまして、長期資金を経済的な理由からぜひ大いに吸収したい、こういうふうな考え方からしまして、生命保険料控除というものはかなり古くから行われておりますし、他の国でも行われておるわけであります。その必要は現在においても増しこそすれ、減つてはいないというので、そういう点を考慮しまして、今回は四千円を八千円に引上げたわけであります。それならほかの預金だつて控除をしたらいいじやないかという御議論も出ましようが、しかし他の預金におきましては、生命保険の持つ長期性という性格が全然ございませんので、今日預金になつても、あすまた出て行くということもございますので、そこに生命保険について特殊な考え方が許され得るのじやないかというふうに考えております。なお郵便貯金の利子に課税をやめたらどうかと言われますが、現在これは課税しておりません。それから、どうせやるなら、いろいろなほかの控除もみんなしたらいいじやないかという点につきましては、現在社会保険的なものについては控除は認めております。労働組合費というところまではこれは及んでおりませんが、まあそれをやりますと、それではどういう会費はどうなるというようなことにもなりますので、いささかそこまでは行き過ぎじやないかと考えております。 家族手当が片方に出ておるから、扶養控除をやめてしまつたらどうかという御意見でございますが、私は、これはどうもいかがかというふうに思つております。勤労者だけを一応対象に考えるならば、確かに家族手当は出ておりますが、農家の方、あるいは営業者の方々については、別に家族手当というものはございませんから、やはりその点で税の負担というものを考えて行きます場合におきましては、家族手当が出ておるから、それも、自分たちのもらわない、勤労者に家族手当が出ておるから、もう扶養控除はやめてしまつていいのじやないか、まさかそういうおつもりではないと思いますが、ちよつとそれでは納得できないことにもなるのじやないかというふうに思つております。確かに家族手当が片方に出ておりますが、しかし必ずしも全部が全部家族手当が出ておるとは言えません。その点についてもいろいろな面がありますから、やはりこれは、他の国でやつているからというわけでもございませんが、基礎控除のほかに扶養控除を認めて行くという所得税の考え方は、負担の公平の面から行けば、やはり正しいものだというふうに私は思つております。全体としまして、できるだけなお簡素化に努める、これは私は正直に言つて非常に賛成でございます。産業政策、あるいは金融政策の面から、いろいろな措置法その他でもつて特例を設けておるわけでございますが、これによる減収というものはかなりあるのじやないか、従つてそういうこまかい手を使つて、一々の措置に対応して行くのがいいか、あるいはそこを非常に大ざつぱにしてしまいまして、そのかわり全体の、たとえば法人税にしましても負担を下げて行くのがいいかという問題につきましては、将来の問題として十分検討すべきではないかというように考えております。 次に、富裕税でございますが、富裕税の廃止に見合いまして、所得税の税率を上げますことによる増収は、六億五千七百万円を見込んでおります。富裕税の廃止による減というのは、昨日もちよつと申しましたが、本年度におきましては、前のずれのあるせいもありますが、十八億九千九百万円、これによつて相当な減収になるわけでございます。富裕税につきましては、富裕税をつくりました当時、所得税の最高税率はたしか八五くらいだと思つておりましたが、それを五五に下げる、そのかわり富裕税をつくつたという経緯のうらはらになりますので、一応富裕税廃止の機会におきまして、所得税の最高税率を当然上げるべきではないか。それではなぜ富裕税を廃止するかという点につきましては、財政学的な一応のりくつとしましては、とにかくある程度低率な財産税を課税することは、いわゆる無収益財産を持つている人たちに、収益財産に持つて行くように勧める効能があるというふうなりくつが言われております。これは一応のりくつだと思いますが、しかし実施してみますと、世の中のことはそう簡単に論理的に行きませんで、現在におきましても、財産価格としては相当大きくもつても、収益はなかなか上つて来ない。山主なんかのごとき、あるいは斜陽族的な関係で、昔の大きな家を持つている、しかし何とも経費がかかる、所得はありませんでも一応財産があるというかつこうになつている。こういう方の点につきましては、財政学的の一応の理論としてはそれでいいという理論はあります。しかし実際的に見て行きますと、ぐあいが悪いという点は、何とか考えなければならぬ問題だろうと思います。それから財産税で一番悩みになりますのは、たとえば現金を持つているという方のふところがなかなかわからない。さらに進んで預金、あるいは無記名債券をほんとうにどこまでもつかまえようということになりますと、税の面からは一応それでもつてやつたらいいじやないかという議論も出るのですが、しかしそれによつて貯蓄の問題とどう結びつくかということになつて参りますと、そこに一応限界が出て来ざるを得ないわけでありまして、結局表面に出ておりますところの不動産でありますとか、そういう所有者だけに重くかかつて行く傾向もいなみ得ないようでありまして、そういうような面からしまして、一応やつてみましたが、実効が上らない、あるいけ本来の目的がどうも達し得ない、やはり無収益財産というものに対して相当の課税をするような行き方については、無理があるのじやないだろうかというような点などを考慮しまして、今度の廃止案になつたわけであります。
○井上委員 まことに財産を持つておる人には御都合のいい御答弁でございまして、われわれとしては納得行きかねます。 次に、法人税の改正について、特別措置法と企業合理化促進法とによつて認められておる指定機械の特別償却の範囲を拡大する。この指定機械といいますのはどういうものを特別償却の範囲として拡大しようとするか、これを明らかにしてもらいたい。それから貸倒れ準備金、価格変動準備金制度を拡張する、それから海外支店の設置をされました場合、その二分の一を必要経費に算入する、こういう措置を談じておるのでありますが、事実上この改正によつて、総合的に見て大企業が全体的には税金は安くなる、こういう結論が出て来ることになりませんか。われわれはそうにらんでおります。しかも海外支店の設置なんというものは、必要経費をかりに認めるということになりました場合、一体これをどう把握するのですか。単に貿易業者からの申告に基いて、たとえばこれこれの地帯にこれこれの支店を設けた、よその店を借りておろうが、あるいは看板だけをかけておろうが、支店を設けたということだけの申告をし、その。パンフレットなり、その他その商店の営業内容に、どこどこに支店を置き、出張所を置いたというようなことが印刷をされ、それを参考資料としてあなたの方に提出する。それによつてあなたの方は、必要経費の二分の一を見る、こういうことに実際はなるだろうと思う。おそらくあなたの方が貿易業者の海外支店を見てまわつて、なるほどこれはこれだけの施設費がかかつておるという査定はできるものではありません。そういうことは、はなはだ不確定な徴税方法であつて、そういうことは、税をとる上から考えると非常におかしいと私は見ておりますが、これに対してどうお考えになつていますか、その点を伺いたい。
○渡辺政府委員 企業合理化促進法による範囲の拡張で、どういう業種、どういう機械をこれに指定するかという点につきましては、実は目下通産省その他の関係省と、具体的にその業種及び機械について検討を続けております。従いまして、今すぐどういうものという具体的な機械は、ちよつとまだお答え申し上げかねますが、考え方といたしましては、御承知のように、終戦後日本の経済、あるいは技術が非常に立ち遅れをしている。従つて、この際急速に海外の技術、機械を輸入などしまして、企業の能率を上げて行くということが必要であり、それが現在やかましくいわれている輸出貿易のコスト切下げとか、あるいは全面的にほかの産業においても同じことが言えるわけでございますが、能率化ということと結びつくわけでございます。そういうものについて特に指定しまして、短期の償却を認める。結局償却の問題でございますので、この点におきましては、税金がそのまま負けつばなしになつてしまうわけではございませんで、いずれ長い目で見れば、また収益として入つて来るわけでもございますので、それだから何でもいいわというつもりではございませんが、現在そういう必要を痛感されているということのゆえに、やはりこういう措置は考えていいのじやないか、かように考えております。それによる負担軽減は、大企業だけに限るのじやないかという御質問ですが、大企業というものは、どの程度のものを大企業というかということで、実はいろいろ議論があろうと思います。確かに大きな会社においてはかなりそういうことが行われ、中流の会社でもかなりそういつた問題はございます。といつて、小さな個人企業等にはあまり該当はないと思いますが、大企業だけの負担軽減になるのではないかということは、一見そういう結論にはなると思いますが、しかしそうしたことがまわりまわりまして、日本経済全体の上からいつて、やはり全体の利益になるということが考えられますので、われわれとしましては、直接の負担としてはそういうことになつたとしましても、これは大企業だけの負担軽減のためにだけなされているものだというふうに考えることは、必要ないのじやないかというふうに考えております。
○井上委員 税制全般につきましては、まだたくさん質問がありますけれども、時間が迫つておりますから、もう一つだけ質問をいたしまして、あとは次の機会に譲ろうと思いますが、この相続税の一部改正のうちで、三十万円を五十万円に引上げた、これはどういう理由に基くか、それから贈与税を一年間分ずつ合算をして、十万円を控除せんとしておるが、これは年々分割して贈与した場合は脱税になるのですか、それでいいとお考えになりますか、その点をひとつ明らかにしてもらいたい、それからこの有価証券の譲渡所得に対する所得税の課税を廃止した理由を明確にされたい。その次には、砂糖の消費税を平均二割値上げをして、金額にすると約六十億を新しく税収としようとしておるのでありますが、一体大蔵省では、今日砂糖をぜいたく品と考えておりますか、それとも米が御承知の通り十五日しか配給されない、あと十五日は粉食しなければならぬ現状から、砂糖というのは今日食糧化されておるということをお考えになつたときに、砂糖消費税を値上げするということによつて利益を受ける者はだれです。なるほど一部澱粉、水あめ等の価格にこれが影響することはわれわれも知つております。しかし現状の税金で、これが非常に水あめを引下げ、あるいは澱粉を引下げるとは考えておりません。二割値上げをしなければ澱粉、水あめの価格が維持できぬとは考えられません。逆に値上げをすることによつてもうかる者はだれかということをわれわれは考えなければならぬ、そういう点を考えたとき、これが零細な所得大衆に非常な大きな負担になる。一方あなた方は、酒は税金を下げて、甘い方を上げるというのは一体どういうわけです。そんなむちやくちやな税制のやり方がありますか。甘辛一緒じやないか、そういうめちやなことはない、声なき声は一向取上げずに、ぐずぐず言う酒飲みの方は、これを下げて、文句を言わぬ女子供の大事な砂糖は引上げている、それでいいという考え方はけしからぬです。この点明確に御答弁を願いたい。
○渡辺政府委員 先ほど御答弁申すのを忘れましたので、先ほどの答弁の追加をさせていただきたいと思います。海外支店の設置の場合における半額償却等について、一体君たちは直接調査に行けないじやないか、これは、確かにわれわれも海外支店について一々調査に行く、そうしましたら徴税費の方から行きまして、とてもそういうことを実行できないと思つております。従いまして、相当程度はやはり商社の出して来る資料を検討してみまして、それがはたして常識の範囲に納まつているかいないかというような点などから問題は詰めて行かざるを得ないわけでありまして、その点につきまして、税の点から申しますと、問題は全然ないとは思つておりませんが、しかし現在輸出振興ということも考えて参りますと、やはり市場開拓ということが非常に大事であります。従いまして、やはり海外に支店をつくるというようなことについては、今後促進策が必要でありう、こういつたような意味におきまして、われわれが規定をいたしているわけであります。従いまして、これが商社によつて妙に悪用されるというようなことは、われわれも全然本尊ありませんし、まれそれが極端な事例になりますれば、あるいは在外公館などに照会するといつた問題も全然起きないわけでもございませんので、そこにおのずから一応の限度はあるのじやないかというふうに思つております。 それから、その次に相続税の問題について幾つか御質問がありましたことについて、順次お答えして参りたいと思います。現在の相続税は、シヤウプの勧告によつてできたものでありまして、御承知のように、人の一生を通じて相続、または贈与によつて得たものを順次積み重ねて行つて、そうして基礎控除三十万円、その他ありますが、税率を適用して行く、このことは実は納税者ももちろんやり切れない問題だと思いますが、税務署でも実は弱つているわけです。と申しますのは、かつてあつた贈与なり相続の記録を全部保存しておかなければならぬ、これが納税者の方が一つ所にとまつていてくださいますと、同じ税務署ですからまだいいのですが、よそへ移るたびに税務署の管轄が違うということになりますと、その書類をまたよその税務署に送らなければならぬ、それがいつになつてその書類ができるかわからぬというわけで、書類がくるくるまわらなければならぬ。これは、やつてみましてどうも実際的でないから、やはり相続税、贈与税をその都度課税して行くのがいいのではないかというので、今度のような改正にしたわけでありますが、ただ、これはシヤウプの改正前の相続税に比べますと、幾つかの点で違つております。一つは、従来のものは、いわば資産税というかつこうをとつておりまして、百万円なら百万円の相続人の財産がありますと、相続人が二人でも三人でも百万円は百万円だ、こういつたような課税の仕方をして参つたのでありますが、今度の相続税の提案してございますのは、結局取得者の方を中心にした課税になつておりますので、たとえば二人の方が相続されれば、百万円の財産がありましても五十万円ずつであれば、その五十万円を中心にして控除税率を適用する。従いまして、資産税の場合に比しますと、大体分割相続が通常でありますが、そのことから考えて行きますと、従来の資産税の税率よりは、一見同じ税率で上つて来ましても、負担はずつと軽くなつて行くということに御注意願いたいと思います。それから五十万円という一応の見当でございますが、大体の考え方としましては、現在は農家などにおきまして、八反とか一町とかいう土地をお持ちになる、それからある程度の家もお持ちになつている方の財産というものを一応頭に置き、それを、もちろん分割相続されれば五十万円になりませんが、一人の方が相続されたという場合をもとにしまして、大体五十万円という数字を出したわけでありまして、近く多少値上り等がありますので、もし五十万円を一人で相続されれば多少の税金がかかるかも上れぬ、しかしその負担はそう大きくあるまいといつたようなことを実はもとにしております。 それから贈与税につきましては、確かに御指摘のように相続財産ですけれども、贈与することによりまして、相続税の負担を軽減しようというふうな考え方があるわけでありまして、従つてそれを極端にならぬという意味におきまして、年額を合算して十万円控除して——昔ありましたきは、われわれよく相続税の二十七条というのでやりましたが、これは贈与につきましても、贈与の都度一件ごとに課税して行くということをやつておりましたために、一週間とか十日とか置きまして二回、三回に贈与された場合に、それは一回の贈与なりや二回の贈与なりや、二回の贈与になればそれだけ負担が軽くなるわけでございまして、ずいぶん議論したことがありまして、トラブルもあつたわけでありますが、一応一年、年をまたがりました場合におきましては二回、これはやむを得ないところじやないかというふうに考えております。 それから次の有価証券の譲渡取得に対する所得税の課税を何でやめるか、これは考え方としましては、有価証券の譲渡取得に対する課税というのは、シヤウプ税制の一つの大きな支柱になつているものだとは思います。ただこの面につきましては、やはりいろいろ実態をつかむということについてずいぶん無理がありますし、これをさらに無理してつかんだらいいじやないかということになつて参りますと、かなり有価証券の取引といいますか、民主化といいますか、そういう方面にいろいろな支障が出て来るようでありまして、税の面だけから一応考えて参りますと、何もやめなくてもいいじやないか。むしろやつたらいいじやないかという御議論、これは私も考えられますが、しかし経済全般として考えて参りますと、やはりこれはやめて、有価証券の取引税くらいに直した方がいいのじやないか、こいう結論が出たわけであります。 なお最後に砂糖消費税を上げる、甘党ばかりに上げるのはけしからぬじやないか、酒はむしろ下げているじやないか。これは私の方にしますと、実は説明がしやすいわけでございまして、酒の税金は現在改正されて下げたのじやないかとおつしやいましたが、改正後におきましても、酒の税金は実はまだ非常に高いのでございまして、原価に比べましても、清酒二級におきまして十五割二分、しようちゆうにおいて十四割五分、ビールにおいて二十二割、こういうわけであります。砂糖は確かに必需品と考えるかどうか。私は米と同じようなものだとは思いません。と同時に、現在の生活においては、砂糖なしでやつて行けるとは思いません。今度上げましても五割程度でありまして、戦前のときにおきましても、この程度の税率にはなつておりましたので、こういう税金によらないで税収が上げられれば、それは非常にけつこうでございますが、直接税自身が、先ほど来御議論がありましたように、ずいぶん無理が行つているわけでございまして、やはりある程度間接税に依存せざるを得ない、大衆課税になるのじやないか、私も決して大衆課税にならぬとは思つておりませんが、どうも現状におきましてはやむを得ざるものと考えております。
○春日委員 関連いたしまして、先般来管財局長と私どもとの間でいろいろ応酬のありました例の賠償機械であります。これを中小企業者が今回交換して入手いたします。そうした場合に、今まで中小企業法人なりその経営体においては、これがほとんど減価償却されてしまつて、ただになつており、あるいは安い評価になつておるだろうと思います。それを今回この賠償機械と新しくとりかえるわけでありますが、そうした場合に、財務局のその新品の機械に対する評価は、相当高い評価になつておる。そうしてそれと大体パーでとりかえて行こうという考え方から、古い機械をも相当の価格で評価されて、その差額をできるだけ圧縮するような措置が講じられております。そうした場合、その新しい機械が中小企業者の手に渡りました場合、今までただと考えられておつたところへ、この措置によつて新しく、ときには何十万という資産がふえた形になつて参るわけであります。そういうようなものに対して、やはりそれが課税の対象になつて参るということでありますと、何らかの記帳上における特別の措置が必要であろうと考えるのであります。なお今回この交換機械を愛する諸君、税務署によりましては、すでにこの問題が具体的な問題となつて、いろいろ折衝が進められておる由でありますが、主税局においてはこれをどういうふうにお扱いになろうとしておるのか、この点ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○渡辺政府委員 その問題は、実はこの間からここで議論になりまして、私も何か考えなければならぬ問題じやないかというふうに考えているわけですが、われわれが実は今回こちらへ提案する法案をつくつているときにおきましては、これは内部のことで非常に恐縮なんでございますが、連絡がまだございませんで、それに応ずる改正なり条文の提案はできておりません。考え方としましては、今度の提案にも出ておりますが、たとえば国有林野の交換の場合とか、あるいは塩田の交換のような場合におきましては、交換の機会において、そこに新しく評価が仕直されますと、当然そこに所得が出て来るわけでありますが、単純に交換した場合におきましては、従来の価格で記帳することを認めておる。それで金のやりとりがあれば、その場合におきましては、今の古い機械の交換の場合は、むしろ会社の方で国の方へ金を払う場合でありまして、そういう事例はないでしようが、国有林野などの交換の場合は、民有林を持つている人が国から金をもらう場合があります。そのもらつた金について課税をするとか、所得にすることができるとか、こういうふうに規定してあります。従いまして、その問題につきましては、もう少し研究してみたいと思いますが、あるいは何か措置を講じませんと、他の場合と比べまして、少し無理が行くのじやないかというふうに考えております。
○春日委員 満足いたしました。せつかく親切な配慮で中小企業者が喜んでおりますのに、それに対して資産がそれだけふえて、それが課税対象になるということでありますれば、中小企業者はペテンにかかつたようなことになります。どうかそういうような事態になりませんように、この分に対しましては、特別記帳の措置を講ぜられますように、厳重にひとつお願いをしておきます。 なおこれは現在まで事務が進んでおりますから、相願くばこの会期におきまして、そういう措置が講ぜられるようなぐあいに御配慮を願いたいと思います。 それからもう一つお願いをしたいのですが、日雇い大工、左官、こういう日雇い労働者の事業所得の問題が、全国的にまちまちに取扱われておると思うのであります。地方によりましては、これらの諸君が労働組合を結成いたしまして、その給与所得に対して源泉納税をいたしております場合にお更ましては、これに所得税を課せられることが免除されております。ところが地方によりましては、日雇い大工というものはある程度請負の仕事を行う面もある、こういうことで、これが所得税の対象になり、事業税の対象になつております。私はこういうように税務署税務署でその取扱いの違つておるような問題は、全国的な規模において、統一した見解の上に立つての処理が行われる必要が非常にあろうと思いますので、日雇い大工、左官、こういうような現実に給与所得によつて生きておるというような諸君を、給与所得の対象からはずすような何らかの税制上における考慮が必要であろうと思いますが、これに対してどうお考えになつておるか。 それからもう一つ、あんま、はり、きゆう、こういうような身体障害者、これらの諸君は、われわれが社会福祉国家を標榜いたしております立場において、こういう所得が一般所得と何らの区別がないということは、ヒユーマニテイーの立場から考えましても、やはり一考を要する問題であろうと思います。これらあんま、はり、きゆうの諸君は、その生活が一般より確かにコストがかかるのだし、のみならず非常に不自由なみじめな生活をしておるのでありますから、そういうような事業所得にいたしましても、給与所得にいたしましても、これはある程度のハンデイか、あるいは特別の基礎控除というものが当然講ぜられてしかるべきであろうと私は思うのでありまして、この二点についてどういうような考えをお持ちになつておるか、お伺いしたいと思います。
○渡辺政府委員 先ほどの問題について、ちよつと一言つけ加えさしていただきたいと思いますが、今の機械交換の場合に、従来の帳簿価格で記帳をすることを認めることは、行政処分だけでは実はできません。やはり何らか法案というものが必要になつて来るのではないかというように思つております。そのことだけを一応申し上げておきます。
○春日委員 だからそういう法案を出してください、頼みますよ。
○渡辺政府委員 それは、私の方で新しく出しますか、あるいは措置法の方で何かするか、これは別途あなた方の方でよくお話合いをしたらいいのじやないでしようか。 それから先ほどの大工へ左官のような方の課税問題ですが、これは、実態が同じなのに、扱いが全国区々であるということも私はある程度あろうと思いますが、これは直さるべきものだと思つております。同時に地域により、同じ大工、左官のあり方というものにもいろいろ姿があろうと思つおります。この辺は国税庁によく申しまして、あるいは必要があれば国税庁の方から答弁させたいと思つております。 それから今のあんま、はり、きゆうという点につきましては、われわれもこういう方々に普通の課税をすべきでないというので、現在不具者控除の制度、これは税額で四千円控除ということでやつております。これでもつて一応十分であるかないかという点につきましては、これは全体の問題もございますので、さらに検討さるべきものではないかと思つております。なおあんま、はり、きゆうにつきましては、今回の中央、地方を通じます一連の関係といたしましては、従来あんま、はり、きゆうに対しまして特別所得税が課税されておりまして、これが相当の負担になつていたと思います。今度この分につきましては、特別所得税を課税しないということにしまして、一応の政府提案が出ております。従いまして、本案が国会を通過し成立しますれば、その面からしますれば、従来の負担に比べますと相当の軽減になつて来るのではないかというふうに考えております。
○春日委員 やはり何らかの立法措置が、処分価格の記帳については必要だということでございますが、今国会においてその立法措置が講じられませんことには、いずれにいたしましても、その交換の実務が本年度内において行われておるという立場におきまして、これはぜひとも今国会において政府提案なり、あるいは議員提案なり、御協力を強く要望いたしておきます。 あんま、はり、きゆうに対する四千円の不具者控除でありますが、これはどう考えましても位が間違つておるのではないかと思われるくらいです。あの不自由な生活をしておる諸君に、月に三百円くらいの基礎控除をしたところで、それが実際に何がしのプラスになるかということを考えてみますと、あまりに過少であります。そういうような社会保障のまねごとみたいなことをしてないで、ほんとうに身体障害者に対して実質的に救済できるような、ある一定限度の基礎控除を御考慮いただきたいわけであります。そういう精神から、地方の事業税も今度は政府の方でもこれを撤廃廃止されようとしておるわけでありますから、その考え方を述べられまして、この不具者控除の額を四千円から四万円とか何とかいうことに——これは全国の税額では大したこともないのです。しかもそういうことは、まじめに働ける者の力をさいてそういう完全に働けない諸君をいたわつて行くということは、政治の要諦であり、本筋だと思う。あんま、はり、きゆうといつたつてからだの丈夫な諸君ではないのだから、ことにそういうごく少数の不具者の零細な所得を控除することは、非常にいい政治だと思いますから、ぜひとも本国会において、これは彼らの多年の悲願でありますから、ひとつ成立させていただくようにお願いいたしておきます。 なお委員長に申し上げておきますが、私はいつも十二時ぎりぎりの時間になつてしまつて、たくさんの質問ができないので、この次からひとつ最初にやらしていただきたいと思います。
○渡辺政府委員 ちよつと一言だけ申し上げます。今四千円と申しましたのは、税額が四千円でございます。従つて税率二〇なら二〇で逆算してみますと、所得にしてみれば二万円になります。そのことだけを、誤解があるといけませんから、一応申し上げておきます。
○淺香委員 動議を提出いたします。ただいま議題になつております三十三法案中、納税貯蓄組合法の一部を改正する法律案、登録税法の一部を改正する法律案、揮発油税法の一部を改正する法律案、国税徴収法の一部を改正する法律案、通行税法の一部を改正する法律案、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案及び外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案の七法律案につきましては、質疑も大体尽されたと思いますので、この際質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決に入られんことを望みます。
○千葉委員長 ただいまの淺香君の動議のごとく決定するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○千葉委員長 御異議ないものと認めまして、納税貯蓄組合法の一部を改正する法律案、登録税法の一部を改正する法律案、揮発油税法の一部を改正する法律案、国税徴収法の一部を改正する法律案、通行税法の一部を改正する法律案、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案及び外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案の七法案につきましては、以上をもつて質疑を打切り、討論を省略して、これよりただちに採決に入ります。右七法案は、いずれも原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。 〔総員起立〕
○千葉委員長 総員起立。よつて右七法案はいずれも原案の通り可決いたしました。 午後二時まで休憩いたします。 午後零時二十八分休憩 ————◇————— 午後二時二十八分開議
○千葉委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。 午後は主として主税局関係の十法案を一括議題として質疑を続行いたします、宇都宮君。
○宇都宮委員 所得税法の改正につきまして、主税局長に質問します。今度の三条の二の規定でございますが、あれは実質課税の原則を特に法文化したものでありまして、その限りにおいては当然と言えるのでございますが、しかしながら、現在の税務行政の実際を体験している納税者の方には非常な不安がある。それで、実質課税の原則を特に法文化する必要がどこにありますかということについて、明確な御答弁を伺いたいと思います。 もう一つは、三条二と四十六条三との間に思想的連関性があるやいなや。これについてもお伺いいたしたいと存じます。
○渡辺政府委員 三条二の実質課税の規定は、われわれは、所得税法といたしましては、当然の考え方だというふうに実は思つておりまして、その線に沿つて実施して来ておるのでございますが、それが納税者の負担の上からいいまして納税者の方からすれば、プラスになるという場合におきましては、実はあまり問題はないのでございますが、それが納税者の上から見まして、マイナスになるといいますか、たとえばほんとうにいい企業組合の場合でありますと問題はないのですが、仮装と思えるような、あまり好ましくない姿と思われますような企業組合の場合におきましては、やはりその実質課税の原則というものにつきましても、実はとかくの異論があるわけでございます。しかしこういうものは、実質課税なら実質課税のものだということを、所得税全体について貫かなければ実は意味ないと思いますので、その意味からしまして、六体今までのところでは、その点実質課税の原則を貫きましてもあまり問題がなかつたものでございますから、特に規定を置く必要を感じませんでしたけれども、最近の事態におきまして、やはりこれをはつきりと明文化しておいていただくということが必要じやないかというふうに感じているわけでございます。 それから今御指摘になりました六十七条の三項あるいは四十六条の三との関係でございますが、六十七条の三項は、御承知のように一項にあります同族会社の行為否認といつたものと似たような性格を持つております。従いまして、その場合におきましては、結局一番顕著な例を申しますと、同族会社とそれを構成している——実は同族会社の主たる株主、しかしその下が個人でもつて仕事をしている、この場合におきまして、不当に安い値段で株の売買をいたしますとか、あるいは無利子で金を貸しますとか、そういうような措置をとることによりまして会社の負担を、あるいは個人の方の負担を異常に軽減しようという場合におきまして、それは租税の全体の上から見まして好ましくないというので否認しよう、その行為自体につきましては、契約自由の原則がやはり働きますし、どうもそれ自体としては特別の規定がありませんと否認できない、やはりこういう場合には、その規定がなければだめだ、実質課税の面からいいましても、たとえば異常に安く売る、高く買う、あるいは高く売る、無利子で貸す、そういう行為につきましては、もし六十七条の規定がありませんと、よし三条の二の規定がありましても、これは働かないものじやないか、三条の二のその前の段階である、こういうふうに解釈しております。 それから四十六条の三の、今度挿入しようとわれわれが提案しております規定につきましては、これは問題の収益がはたして法人のものか個人のものか、こういう点で一応疑わしい場合にこれが働くわけでありまして、それの裏としては、やはり三条の二の思想がそのうらはらとしてあるのだということがありまして、初めて四十六条の三の規定がぴつたりと解釈できるのではないか、そういうような意味からしましても、三条の二の規定を置いていたたくことか——一応すでに一般的に御承認を願つている原則とは思いますが、法規の上ではつきりしていただくことが適当じやないか、かように考えております。
○宇都宮委員 そうすると、特に今度四十六条の三ですか、この規定をしつかりした体系にするために三条の二をおつけになつた、こういうわけでありますか。特に最近小法人が不安になつております。個人に対する課税と法人に対する課税と、御承知のように不均衡がある、二十万円程度の所得ですと、個人企業の所得は扶養家族が三人として三万円、法人にいたしまして利益を全部主人の収入、または妻の収入にいたしますと一万円前後、そういうふうに非常に不均衡があるわけです。それで現在一番苦しんでおるのは中小商工業者でありますが、この人たちが、きわめて合法的に税を減らそうという企てのために、法人化するということが盛んに行われている、こういうことに対してどうお考えですか。
○渡辺政府委員 今御指摘になりました、中小の企業におきまして法人になり、われわれ法人なりと呼んでいますが、これにつきましては、われわれの内部の議論としてはずいぶんいろいろな議論がございます。実体が法人であるかないかというようなことまで議論される場合もありまして——しかしその場合におきましても、もし法人になりまして、その場合に御主人であつた人が社長になり、それに、今の課税関係から見まして、負担を非常に安くしようという意味におきまして、一般常識的に考えて、不当に高い俸給を払つている、こういうようなことも考えられますが、こういうようなとき、実は先ほどの六十七条の三が働くわけでございまして、従いまして、やまり一応この程度の会社だつたら、このくらいの俸給が社会的に考えまして常識的な数字だということであれは、これはもちろん問題はないが、少し大会社並のような俸給でも払つておれば、これは六十七条の三が十分働き得る問題だと思います。御質問の点はそういうような点ではない、普通の世間並の法人としての俸給を払い負担をした。その場合、自然個人の場合に比べるとその方が安くなるじやないか、そういう事態をどう考えるか、これは確かに一つ問題があるのですが、しかし一応現在としましては、法人税は法人税、所得税は所得税、こういう建前をとつておりますので、問題としましては、そういうようなものは全部個人とみなしてしまうことがどうだろうというような、いささかわれわれが考えても過激な議論もないではございませんが、われわれとしましては、やはりそうした点は一応認めることによりまして、それじや個人の方の負担をどう考えるか、この点も別途考える、その両方をどういうふうに調整して行くか、なかなかこれはむずかしい問題でございまして、青色申告におきまして、専従者控除などの制度を認めましたのも、実はそういう点について何とか調整しようという努力の一つの現われなのでありますが、まだ現在としましては、それが十分に行つているとは思つておりません。ただ法人になることにつきましては、税負担の問題も一つございますが、しかし個人の場合といたしますと、店のそれと奥の経費が必ずしもわからない。法人になることによりまして、経理関係が非常に明確になる、経営もそれによつてはつきりするとか、いろいろな理由がございますので、あまりわれわれといたしましても、全部が税負担のゆえに法人になるのだというふうに考えるのも、少し税の方だけの片寄つた考え方じやないかと思つております。それはそれとして、一体業者負担の軽減をどう考えてくれるか、これは私ども大きな問題があるわけでございまして、われわれとしましても、ずいぶん古くからの問題でありますが、なかなか解決できないむずかしい問題でありまして、しかしこの上さらに検討してみたいと思います。
○宇都宮委員 企業組合の例の共栄企業の問題でありますが、これは現在も税の徴税技術上の穴と申しますか、脱税と言われてもしかたがないことをやつているわけでございますが、しかしながら、しつかりと法人を組織いたしまして正当に税を払つている、そういう場合でも、やはりその企業組合の組合性であるとか、あるいは小法人としての性格を税をとる上において規定するということはあるかないか。
○渡辺政府委員 現在企業組合の一応届出がしてあるものが一万弱となつております。九千何百でありますが、その中で大体もう問題のないと考えられますのが、七千ほどございます。一番問題のないと考えられます事例は、食糧営団がかつてありましたが、あれは御承知のように、一時ありましたお米屋さんが全部月給取りになつてしまつたわけでありまして、食糧営団が解散しました機会におきまして、やはりそう早急に昔の個々のお米屋さんの姿に返れないということがあつたのだろうと思いますが、結局何人かの方がお集まりになりまして、一つの配給所で商売をやつていらつしやる、これを企業組合の姿でやつていらつしやる。こういうことはわれわれの方としても、企業組合の規定から見ましてもすなおに受取れるものでありまして、かなり多くの数がございますが、これはほとんど問題がございません。それからさらに、従来からあつた、いろいろな姿において、共同の施設を持ち、共同の営業所を持つていたものが、それが企業組合の法律ができたときにそれになつた、こういつたのもほとんど問題なし。ただその後にできた組合におきましても、税務署の方で調べてみまして、問題がなかろうと思われるようなものが相当ございます。こういうふうに、一応すでに問題がなくなつておりますような企業組合につきまして、この規定ができたからといつて、急にまた税務署がもう一ぺん調べ直すということは、これはいたずらなるトラブルを起すもとだというふうにわれわれは思つております。前国会のときも申し上げたのでありますが、中小企業庁とわれわれの方で申合せをしたうちの一項にも、従来税務署として認めた企業組合があります。こういうものにつきまして、途中で税務署で一ぺん認められれば、今度はそのあとはどんな姿になつてもかまわぬだろうというふうに思われても困りますし、また新しくどんなものが入つて来たつていいじやないかと言われても困りますから、姿がかわらなければ問題がないのでありますが、かわつたような機会におきまして、なおかつ一ぺん認めればそれでおしまいだということもわれわれとしても自信がございませんので、そういう組合につきましては、少くとも四十六条の三の規定は使わない。やはり従来において調べて、これは企業組合の実体を備えていないじやないかという判断のもとになしたところのそれと同じことはしますが、四十六条の三の規定を御制定願つたということによつて、いかにも今まで手足を縛られていたのが、急に武器を与えられたというような気持で仕事をやるというようなことは絶対にしない。これは国税庁の方でもそのつもりでおりますし、私も中へ入りまして、国税庁長官と中小企業庁長官との間にはつきりした覚書をつくろうという申合せになつているわけであります。
○宇都宮委員 ただいまの局長の御答弁によつて安心もしたのでございますが、約一万ほど企業組合があり、そのうち七千はよかろう、三千はだめだというような御答弁でありましたが、この七千と三千とを区別する大体の基準をひとつお聞かせ願いたい。
○渡辺政府委員 今まで国税庁が施行して参りましたところの基準でございますが、今幾つかの事例をあげましたように、もう完全にその構成員が企業組合の中に没入していると見られるようなもの、たとえば食糧営団の法人としてのお米屋さん、こういうようなものにつきましては、基準とかなんとかいうことは抜きにして問題はないと思つております。 それからその次の問題としまして、従来の営業所をそのままにしておきながら企業組合になつた、そういうものについて、どういう場合においてこれを認め、どういう場合においてこれを認めないかということですか、これは本質的には私はこう思つております。企業組合である限りにおきましては、その組合員の中に、やはりある程度の収益、あるいは損失の共通性がなければおかしいじやないか。完全な普通の協同組合ならば——一部カルテル的な協同組合ならば別でありますが、企業組合は、本質的に全部的に一つの組合に没入してしまうのですから、甲の人の利益と乙の人の損というものが、いつまでたつても、どこまでもそこでばらばらでいるということはおかしいじやないか、少くともその間に共通性がなければおかしいじやないかというふうに存じておりますが、なかなかそこがすぐに表へ出て来ない面もありますので、大体国税庁として今まで判断しております幾つかの外見的な基準がございます。しかしそれは外見的な基準でございますから、これがよしんば達成せられていないでも、本質的にいいものであればもちろん問題はないのでありますが、外見的な基準として一応考えられておりますのは、一体取引が組合の名前でなされているか、あるいは従来のように個人の名前でなされているか、こういうようなことを一つのものさしにしております。それから資金を借り入れます場合におきまして、組合の名前で借り入れているか、個人の名前で借り入れているか、これがやはり一つの基準になつております。それからまた逆な場合ですが、預金をする場合におきまして、これも組合の名前でやつているか、個人の名前でやつているか、それが一つの基準になつております。なお商品等のたなおろし資産は、当然もうすでに組合の帰属になるのが普通だと思いますが、場合によりましては、商品が販売されたとき初めて組合の帰属になつて、販売されない前は、まだ個人の帰属だといつたふうに考えられるような事例もあるようでございます。これはいささか常識的に考えますとおかしいのですが、そういう事例があるようでありまして、そういうふうに販売されたときに初めて組合の経理に載り、それまでは個人のものだ、こういつたようなときには、やはり否定的な結論に出ざるを得ない。それから商品のたなおろし等におきまして、組合の承認とかなんとかいうことも全然受けないで自家消費をする、あるいはあらかじめ承認を受けた場合でも、自家消費してもそれを債務に入れない、組合と全然関係させない、こういうのも、これも普通の組合と考えますとおかしな話でございます。それから自家消費のような場合におきましても、あるいは販売代金を自己の家計のために使用するといつたような場合において、それを組合勘定の債務に普通なら当然入れなければならぬと思うのですが、そういうことをやつている場合、やつていない場合、これも一つの基準になります。それから従来その営業所を持つていました者が、それを組合に提供する、こういうことは考えられますが、その場合において、無償で提供するというようなことは普通の場合にはちよつと考えられないわけでありまして、個人が組合に出資すれば別ですが、やはり単純に使用させるとすれば、普通の場会合は、おのずから大きな営業所を使用させる場合もあれば、小さな営業所を使用させる場合もあります。ですから、その場合において、それ相当の使用料が組合から払われるのが普通だと思いますが、それがまま無償でもつてなされている、こういうような場合は、はたしてどういうわけでそうなつているのだろうか。それから、一つの店舗では資金が不足し、一つの店舗では非常に金が余つている。これもいろいろな場合が考えられますが、普通なら、両方の間に金の融通を考えるのが普通ですが、そういう融通を考えられるのが普通のような場合におきまして、なおかつ片一方の不足しているところでは借金して、余つているところでは預金して、その間融通性は全然ないといつたような場合とか、それから商号などにおきましても、組合で商号を持つていれば、組合でやつているなら当然組合の商号でやるのが普通ですが、個人の商号でやつている、そういう場合もあり得ると思いますが、しかしこれは普通の場合ではおかしいじやないか。こういうのをわれわれは九項目ほどあげておりまして、大体さようなことを幾つかのものさしに当てはめてみまして、結局企業組合の実体を備えているか備えていないかという判断で、最後の結論を出しているわけであります。はつきり結論を出したのも相当ございますが、同時に、現在におきましても、まだはつきり結論を出し得ないでいるという数もかなりあるわけであります。
○宇都宮委員 善意の過失と申しまするか、とにかくちよつとした間違いで六十七条の三項の除外規定に入らないというような場合、これは先ほど黒金委員からも質問がありましたが、こういう場合を厳重にいたしますと、非常に陰惨なる徴税になると思いますが、この点についてお伺いいたしたいと思います。
○渡辺政府委員 お話の点は実際ごもつともでございまして、われわれとしましても、十分注意して執行に当るべきものだと思つております。従いまして、納税者の方がほんとうに善意でありながら、たまたま四十六条の三に該当するような場合に、とにかくただつらく当ればいい、これはもちろん考えるべきことじやないと思つております。過去の事例におきましても、やはり大勢の中でありますので、何人かの組合員が、どうも組合とは離れた仕事をしている、残つた人だけならけつこう認めてもよろしいという場合には、組合とよく話しまして、そしてその何人かのへんなことをしている人が、そのやり方を全然改めていただくか、あるいはその方々は除外していただくか。そういうようにすれば、残つた組合については、企業組合としての扱いをして参つた事例がたくさんございます。今後におきましても、そういうことは同じように考えて行くべき問題じやないか、かように考えております。
○宇都宮委員 最後にもう一度原則的な点をはつきり御質問しますが、この三条の二の規定にいたしましても、四十六条の三の規定にいたしましても、法人が法人としての経理、これをはつきりしておく限りは、決して個人所得とはみなされないということでございましようね。それだけを一つお伺いいたします。
○渡辺政府委員 三条の二の規定がとかく心配の種になつていることは、私も実は直接ではありませんが、間接的に聞かされております。三条の二の規定は、先ほども申しましたように、結局問題はいわゆる同族会社の場合こ、会社自身として従来の個人、あるいはその親族関係でもつて会社ができておる。従つて昔からいろいろな問題があるものですから、この機会にその法人格を否認して、直接課税するようなことになりはせぬかという御心配だと思つておりますが、私どもはそういうことをする気は毛頭ございませんし、また三条の二の規定を読んで見ましても、結局法人が仕事をして行けば、法人の存在は、当然これを否認する意思はないのですから、その収益は法人に帰属し、そしてそれの出資者に対しては、法人の収益の分配とか、そういう形において出資者に間接的に収益が帰属する、こういうふうにものを考えて行くのに、三条の二はそう矛盾したものにならないで済むのじやないか。従いまして、今宇都宮委員のおつしやいました点につきましては、われわれこれによつてはつきり申し上げておきますが、同族会社のそうした存在を、これによつて否認するという解釈にはならぬ、そういうつもりでこれを立案したわけではございませんということを、はつきり申し上げておきます。
○宇都宮委員 これをもつて一応打切ります。
○千葉委員長 佐藤觀次郎君。
○佐藤(觀)委員 議事進行について委員長にお尋ねするのですが、先週同僚小川委員から、食管法につきまして農林大臣の出席を求めたのでございますが、今日まで杳としてその声がないのですが、農林大臣は生きているのか死んでいるのか、一体来る意思があるのかどうか。委員長から今までの経過をひとつ御説明願いたいと思います。
○千葉委員長 お答えいたします。実は本日も朝から農林大臣の出席を要求しておるのでありますが、参議院におりまして、いまだに出席がない。午後に至つても今また催促しております。ただいま井上委員が直接に出向いて出席を強要しているそうであります。間もなく返事が来るだろうと思います。
○佐藤(觀)委員 渡辺主税局長にいよいよ火ぶたを切ることになりますが、きようは、ちようど午前中に自由党の黒金委員から相当手きびしい質問がありました。われわれ大蔵委員は、今この中小企業の問題、中小法人の問題につきまして、毎日家に帰ると投書が山のように来るわけです。この事態は一体どういうことかと申しますと、現在一般の納税者が、今の大蔵省の方針は方針として、税金のえらいということと、もう一つは税務署の署員に対して楽観をしていない。もういじめられ通しでいる、こういう不安を感じていると思うのです。そういう点について、今度再びこの悪法が出て来たわけでありますけれども、こういうものについて、渡辺主税局長個人は、大蔵委員会に来られましても非常に紳士でございますけれども、末端におけるところの税務署の署員は、必ずしも主税局長の考えと同じでない。こういう点について、一体主税局長は、現在の税務官吏が、物事を推定するような正しい良識を持つている人ばかりかどうか、そういうことについて自信があるかどうか、この一点をまずお伺いいたします。
○渡辺政府委員 税務署員の執行面における監督につきましては、国税庁長官がやつておりまして、私は直接やつておりませんので、あまりえらそうな口をききますと、お前がやつているのではないじやないかといつて、逆にお叱りをこうむりはせぬかと思いますので、主税局長としての範囲としてお答えせざるを得ないわけでございますが、私も先日まで国税局長をしておりましての経験からしまして、正直に言いまして、終戦後の何年間というものは、実はやみの時代でありまして、経済自身もめちやくちやでしたし、それから税負担そのものもまた非常に重かつた。従いまして、納税者の方からすれば、ずいぶんめちやだと思われるようなこともありましたし、またそれに当ります税務署の方におきましても、組合運動とか、いろいろな問題がさらにそこに介在いたしまして、仕事の方の時間というものが相当その方にさかれたりしまして、ずいぶん無理な執行になつていたという点は率直に認め、同時に遺憾の意を表するわけでございます。最近におきましては、経済が全体としておちついて来たせいもありましようし、まだまだ重いのですが、一時に比べれば税負担も相当緩和されたということもあろうと思いますし、そうした摩擦はかなり少くなつて来たということは、言い得るのじやないかと思います。署員の訓練につきましては、国税庁としましても、ずいぶん熱心にやつているところでございますが、その意味からしまして、全体としてのレベルはだんだん上つて来ていると私は思いますが、ただ数多い中でございますので、その中におきまして、間々いかがわしい行為をする者もありまして、免職にしましたりしたような事例もまだまだ残つておるということは、遺憾であると思います。ただ今度の四十六条の三の規定、結局その規定の本来のねらいとしますところは、従来の規定でございますと、いわば企業組合、それの特に悪質の場合の事例でございますが、一から十まで税務署の方で立証をしなければならぬ、一応そういう建前になつておるのであります。これではとても税務署の手が広がりまして、他の納税者の方の調査も思うように行かない、そこで一種の挙証責任を納税者の方に持つていただこう、こういうわけでございまして、その程度の仕事をする上におきましては、一般的に申しまして、われわれが十分特に戒告してやりますれば、この規定のできたことによつて、納税者に特別な御迷惑をかけるということのないような措置はできるじやないか、かように考えております。
○小川(豊)委員 今の御答弁、いろいろな税務署員の志気の問題があげられたのですが、そのうちに、組合ができたらゆるんだというようなお話があつた、それはあなたの声が低いからよく聞きとれなかつたのですが、そういう意味で言われたのですか、その組合というのは、どこの組合を犬して言われたのですか。
○渡辺政府委員 ちよつとはつきりしませんので、あるいは誤解されるといけませんから申し上げますが、一時税務署におきますいわゆる財務労働組合とかいつたようなかなり行き過ぎな動きが、私は率直にいつてあつたと思います。そういうような関係で、たとえば、場合によつては税務署の事務管理のようなことが行われたこともありまして、そういうことによりまして、税務署の仕事がかなり能率が低下した時代があつたということを実は申し上げたかつたのであります。決して労働組合そのものがどうこうといつたような意味ではありませんで、ある時期における税務署の労働組合の行き方に相当の行き過ぎがあつたと私は思つております。
○佐藤(觀)委員 主税局長は、国税庁の長官でないことを私よく知つておりますから、一々そういうことを責める気はありませんけれども、少くとも最近税務署の署員の汚職事件というものが、毎日の新聞に出るくらいたくさん出ております。こういうような汚職事件を起すような税務官吏が、中小商工業者のようなデリケートな仕事についてのいろいろな推定をやられることについては、非常なあやまちが起きがちではないかというような考えを持つておりますけれども、主税局長はどういうふうにお考えになりますか。
○渡辺政府委員 現在におきましても、税務署における汚職事件が根を絶たないことにつきましては、私も非常に遺憾だと思つております。しかし国税庁としましては、できるだけ現在持つている陣容をよく教育し、同時に監督し、鞭撻することによりまして、公正な税務行政をやつて行くということに努力しているわけでございます。それで、税務署の仕事の実態を見て参りますと、いわゆる悪質だとわれわれも思つておりますが、悪質な企業組合の仕事のゆえに非常に手がとられて行く。そうしますと、結局非常にまじめな税務署員が一生懸命にやろうとしておりましても、そちらの方に手をとられておりますために、全体としての調査が非常に不十分になつて行く。ここに課税の不権衡なり、いろいろな問題の種があるわけでありまして、やはりそうした意味におきましては、納税者の方にもある程度の挙証責任を負つていただく意味においての御協力を願う。そこで初めて税務行政も順次改善されて行くのではないか、かように考えております。
○佐藤(觀)委員 この法案を出されるときに、国税庁の長官と中小企業庁の長官と渡辺主税局長の三者の覚書というものがたびたび引用されるのでありますが、覚書は覚書でございまして、これが一体一般の下級の税務官吏に伝わるだけの自信があるかどうか。なるほど、こういう人々は御承知のように官吏としては優秀な人でございまして、おそらく一般の中小企業者をいじめるような、そういう考えは毛頭ないとは思つておりますけれども、しかし末端に行く場合において、それが必ずしもそうは行かない例が今までいろいろあるわけです。こういう点について、主税局長はどんなふうにお考えになるか、その一点をお伺いいたします。
○渡辺政府委員 今われわれが、覚書としてとりかわそうとしている事項につきましては、正直にいいますと、私は実は心配していないのです。といいますのは、結局、こういうものはこういうように使つてはいかぬというふうに形式的にはつきりいたしますから、そういうことを覚書の趣旨によつて国税庁が国税局に通達し、そこから税務署に通達すれば、そうした通達が無視してなされるほど税務行政はごちやごちやになつておるとは思つておりません。そういう形式的な、こういう種類のものは、この規定を使うとか使わないとか、こういう場合は安心してできるのでありまして、むしろ問題は、具体的に相当材料のまかされている場合におきましては、はたしてよくこの趣旨が徹底できるかどうか、これに実は心配があるわけでございます。そんな意味におきまして、私は同時にこの覚書と合せまして、この法文の趣旨、あるいは本日なり過日来ここでいろいろな議論がありました点につきましては、十分考慮して、この法律が成立しました上は、その規定に従つて執行する場合におきまして、そうした配慮を十分にするようにということについては、厳重に国税庁から通達するようにしたいと思つております。
○佐藤(觀)委員 渡辺局長が自分の方でありますから、自分の方に都合のいいように解釈しておられますが、この法律が出て参ると、おそらく気違いに刃物を持たせるような危険なことがあると思う。こういうことを憂えておりますので、私たちはこの法案に対して、非常に審議を慎重にするのです。御承知のように、今まで企業組合ができました当時におきましても、きよう黒金委員、あるいは宇都宮委員から指摘されましたように、すでに税務署の下級官吏が各中小企業者に対して、こういうような法律ができたならば、君らはもうだめなんだ、おそらく君らのやつておるようなことは、どうせ大蔵省では認めないのだからというような、こういう脅迫的なことを言いふらした場合が間々あるわけであります。いわんやこういうような法律がもしできました場合においては、おそらくこの被害は全国に響きまして、おそらくその弊害は、現在あなた方が、わずか一部の悪い企業組合と称するもののそれを痛めるために、いわゆる角をためて牛を殺すようなそういう結果になりはしないか、こういうふうにわれわれは考えるわけでありますが、そういう心配を何も持つておられないかどうか、この点主税局長にお尋ねしたい。
○渡辺政府委員 私はいろいろ御心配の点を伺つておりますので、その点につきまして、決して変な結果にならぬようにということについて、国税庁長官にも厳重な責任を持つてもらい、国税局、あるいは税務署を通じて厳重にそれを通達し、その線に沿つて仕事をやつて行くならば、気違いに刃物——正直に申しまして、税務署員はずいぶん大きな仕事をしているわけでございまして、間々そこにいろいろな問題があることを遺憾としているのですが、この場合だけにおいて、特に気違いに刃物といつたような事態にはならないで済むのじやないか、かように考えております。
○春日委員 今の佐藤君の質問に関連をするわけでありますが、私も同様の心配を深く持つわけであります。と申しますのは、たとえば四十六条の二でありますが、「営業所における資金の預入及び借入、商品の仕入及び販売その他の取引のすべてが当該法人の名においてなされている場合を除き、」と書いてある。これが一つの尺度となつておる。この場合、たとえば企業協同組合にいたしましても、あるいはまたここに指定されておる五以上の営業所がある場合、今まで幾多の事例を見ますと、年間を通じてその中に五枚や十枚、その伝票のあて名に企業組合の名前を使うということを——しよつちゆう呼びなれておるから、従つて渡辺さんとか、平田さんとかいうふうに、個人の名前を使う間違いが私は当然あると思う。そうした場合において、これを類推する場合におきまして、渡辺さんや平田さんがこれを類推されるならば、そういうばかげたものは、当然これは心配はない、こういうことで企業組合としての性格を認めて行かれると思う。ところが現場におるところの若い人たちは、あなたも御承知の通り二十一、二でみな前線に出て参ります。こういう若い人たちが、この法律を基準にして税の査定を行おうとする場合、伝票をずつと調べて行つて、そこの中に、たとえば五枚でも七枚でもそういうものが何千枚とある伝票の中から出て来ると、この法律には「すべて」と書いてあるのだから、一枚でもあつたらだめだ、こういうようなことで、たとえば、これは法人ではないといつて法人格を認めないような場合が生じて来る、その場合に、法律で定められているから、その人が異議を申し立てたところで、すべてとある以上は、一枚でも五枚でもやはりみずからの権利を喪失することになつて参ります。だから相当の年輩に達して、しかも税法というものの精神を十二分に咀噛含味しておる徴税官が執行する場合は、私どもは心配はございませんけれども、何万人という人たちが、しかも人生の経験も浅い若い人たちが、ときには感情に走る場合もある。そうした場合、ちよつと受答えが悪いというだけで癇をたててしまつて、一枚の間違いでも指摘して法人格を否認するということが現実に行われておるわけなんです。全国におきまして、こういう規定がないときだつてずいぶん被害を受けておるからこそ、彼らが猛烈な陳情をしておるわけであります。あなたが自分の部下を信頼されておることは、非常にけつこうだと思いますけれども、そういうふうにあなた方が盲目的に信用されるということは、国民の被害を受ける側においては、そのままちようだいいたしかねる。少くとも法律をつくつて行く立場におきましては、判断をしたり、類推をしたり、解釈をしたり、そういうような法律であつてはならぬ、かたかなで書いたみたいに、読めばさつとわかるような、そのものずばりとか、どんぴしやりとか、こういうようなわかりやすい法律でなければならぬと思います。この所得税法なんというのは非常に複雑なんです。われわれが相当の経験をもつてこれを読んでも、十二分に理解し把握することは困難です。いわんや中小企業者、零細業者たちは、税務署がこの法律を持つて来て、こういうふうに書いてあるからこうだと言われれば、それに返す言葉もない。そういうような意味合いにおきまして、佐藤君が指摘されたところの心配は現実に存在するわけなんです。あなたが、われわれの部下はそういうような行き過ぎた判断はしないであろうということは、ただ単にあなたのひとりよがりの早合点だ。現実は、そういうようなしんしやくゆたかな形で行われてはおりません。きわめて苛酷、懲罰的な、天くだり的、水増し課税である。そういうような税制のもとにおきまして、こういう危険なるところの刃物を持たせるということこそが、納税者を恐怖せしめておる。彼らが全国各地から、この暑いのに夜行に乗つて陸続と陳情にかけつけて来るというゆえんもまたそこにある。あなたは先般、四十六条の三を特に前国会よりは飛躍して、譲歩できるだけ譲歩しておると言つておるけれども、この条文によつては、何らの譲歩が行われていない、何らの救済も行われてはいない。従つて彼らの不安恐怖は何らここにいやされておりません。だから、これはあくまでも危険な条文であります。類推せしめるとか、税務署の税務吏員をして、しかも二十二、三の若い諸君が、その業態は何であるかということを解剖し、批判し、結論を下すというようなめんどうな法律はつくるべきではない。それとも、あなたのような国税庁長官とか国税局長級の人が前線で査定をしてくださるならば、私はこれでも異存はありません。だからだれがやつても間違いなく、被害が国民に及ばないという条文によつて立法されて行かなければ、われわれとしてはこれを承認することはできません。一つ例を申し上げます。この一月の末日、沼津の税務署の管下で起つたことでありますが、たしか稲木鉄工所というのがありまして、その人が十数万円の滞納をしておりました。そうすると、たしか一月の十七日だつたと私は記憶しておりますが、そこへ競売処分の通知が行きました。ところが御本人は不在であつて、それを受取ることができなかつた。そうすると、今度は十八日を一日おいて十九日に、それが競売に付されてしまつた。それでびつくりして税務署へかけつけて、滞納税金の一部の現金を持つて行つたが、税務署はもうそれを受取らない。すでに一昨日競売に付されまして、税務署の手を離れましたから、その金を受取ることができないというので、あれよくと驚いているうちに、翌日は、今度は競売を受け男がトラツクを持つてその機械をとりはずしに来た。それで社会党に対して陳情が行われて、私どもは中小企業の窮境を救うということで現地に参つていろいろ事情を聞いてみると、まつたく十数万円の滞納のために、七十万円にわたるところのその機械がわずか二十数万円で競売に付されてしまつて、差額を受取りに来い、こういうような状況である。そこで払下げをした人にその稲本さんなる被害者が、何とか買いもとしてもらいたいと言つたら、私は二十何万円で買い取つたのだから、この機械の価値は今や五十万円以上でなければならぬ。従つてあんたがどうしても買いもどしたいということであつたら、耳をそろえて持つていらつしやい。そうしたらこの機械は返してあげましよう。こういう事態が起きて、当時沼津の新聞は、これを非常に糾弾的に載せておりました。世人の輿論は、税務署員に対する怨嗟の声となつて巻き起つた。こういうように、中小企業者が滞納をして困つておる。そうすると、ただちにこれを競売して換価処分をする。それに対して一掬の涙すら注がない。あなたの手下には、そういうような残忍酷薄なる人たちもいるということをよくお考えにならなければならない。そういうような下僚をも含めてこの執行をあやまちなからしめるためには、この法律たるや、そういう非常に残酷な処分を行うことのできないような形において立法されなければならぬということを、私は主張いたしておるのであります。従いまして、この四十六条の三のごときは、すべての伝票がそうでなければならぬと言つておるが、年間を通じて何千枚という伝票の中で——これは五つ以上その事業所がある場合におきましては、当然その責任者が対外的にもいろいろ応待をしておりましようから、従つて、ときに誤つてその責任者なり事業所の主任者なりの名前が伝票に表示される、こういうことはあり得ることだ。そういうようなあり得る危険がとの法律によつて否定されて来る。そういうことがただちに法人たるの資格を喪失する形になるというような立法は行うべきではない。このことを私どもは強く主張するわけであります。この点について、あなたの御答弁を伺いたい。
○渡辺政府委員 今いろいろお話がございましたが、沼津の滞納処分の件につきましては、話がいささか具体的に過ぎますので、これは必要あらば国税庁長官の方からお話を願いたいと思います。 今の私の説明がまだ不十分でございますので、御心配をかけているように思います。われわれとしましては、確かにこれは、すべてが法人の名前においてなされている場合は無条件であります。何枚かあつた場合におきましては、一応この規定からは類推できるのであります。推定して更正決定ができるのでございますが、実際は、すぐそれを行うか行わないかにつきましては、慎重を期すべきものだと思つております。私が国税庁と今話しておりますのは、この四十六条の規定によつて、ある企業組合品について、企業組合としての実体を備えているかどうかという判断、これは今御指摘になりましたような二十、二十一という若い署員にまかせて、すぐにそれでもつて実行さしてしまう、こういう軽率なことをやるつもりは毛頭ございません。一応調査は、あるいはそういう者に担当させますが、結局最終の判断になれば、少くとも税務署長がそれを受けて、あるいは国税局長まで話を持つて行かせて、最終の判断はさせる、こういうことに考えていただきたい。私は実はこんなことも考えておるのでございます。東京国税局時代でありましたが、東京都には商工指導所というのがございます。これは中小企業庁の一応の出店になつております。従つて税務署の方でいろいろ調査した議論を国税局でまとめまして、商工指導所の方に、実はわれわれの方としてはこういう結論になるのだということを見せます。そうすると商工指導所の方では、税務署の方でどうもぐあいが悪いといつたものにつきましても、これでいいじやないか、こういうような話がある。そうすれば、税務署の方では、もう一ぺんさらに調べ直しまして、また商工指導所の方に話を持つて行く。場合によつては、商工指導所の意見によつて、税務署が思い直す場合もありますし、それから商工指導所の意見にもかかわらず、税務署としてはこれは相かわらずおかしいという場合においては、商工指導所の方で考え直して、これはあなたの方のおつしやる通りです、こういうような場合もあるわけでありまして、それによつてかなり不要の摩擦は私は避け得たと思つておりますか、各府県には、中小企業庁の一応下部機関としての商工課もございますから、そういうところともある程度よく打合せをして仕事をして行く。そういうことになれば、当然二十や二十一くらいの署員が、独断でもつてこの大事な仕事をして行くということにはならぬわけでありますので、相当の責任のある者がこの仕事については措置できるという意味において、私は御心配の点はかなりなくなつて来るのじやないか、かように考えております。
○春日委員 それは、渡辺さんが局長としての個人的な裁量によるものであつて、それは法律に基く裁量、あるいは措置ではありません。従つてこの場合そういう国民の不安を除去するための立法措置、こういうこともやつぱりあわせて考えなければならないので、類推を行う場合においては、県の商工課長なら課長、あるいは知事の承認を得てこれを類推することができるとかなんとか、とにもかくにもこのままの法律がなまで公布されれば、いずれにいたしましても、国家権力をやはり執行するところの税務官吏、これがこの法律に基いたそのままの執行ができる形になる。あなたの方の内部機構でそういう類推をする場合においては、署長とか、あるいは局長の決裁を必要とするということがよしんはなされたとしましても、それはなされるかなされないかわからないことでありますし、またそれが形式的に行われた場合においては、実際的の効果というものは及ぼしません。従つてやはりそういう不安を除去する方法といたしましては、法律の中に明文化しておくということが、決定的に必要であろうと思います。従つて四十六条の三というものによつては、実際的にその不安は救済されるものではないし、さらにまたその不安をここに増大しておるものであると、かくのごとく私は考えるものでありますから、この点については、何らかの最終的な処理が行われなければならないと考えて、重ねて御質問するわけであります。
○渡辺政府委員 今私が申し上げましたのは、結局非常に若い署員に判断がまかせられることについて、相当の御不安がおありのようでございましたから、その点については、われわれはこういうふうに考えておりますということを申し上げた次第でございまして、確かに法律的にいえば、それはわれわれの方の内部的な仕事だ、これはその通りでございます。ただわれわれとしましては、これを執行するにつきましては、それだけの慎重を期したい。それからもう一つ法律自体について言えば、これはそれ自体でもつて——あまり春日先生に法律の解釈を申し上げるのは失礼でございますけれども、ちよつとお許しを願えば、結局推定して更正決定をすることができるというだけでございまして、これで処分はおしまいになつてしまうわけのものでは決してございませんで、ただ挙証責任がどちらに移るかという程度で、しかしそれが相当大きな問題であればこそ、われわれはそういう慎重を期しているわけでございますが、結局これが最終的なものではもちろんございませんで、そこに結局執行の面におけるいろいろな要請と、それから納税者の立場からしての要請との一つの調和をこの辺のところに求めるのが、一番適当ではないかと私は考えております。
○佐藤(觀)委員 午前中の春日委員の質問に対して、主税局長から名目上だけの企業組合をやるというようなお話がございましたが、これは非常に素朴な考え方でございまして、今日の企業組合は、非常に内容もよくなりまして、名目だけの企業組合というようなものは、われわれは企業組合と思つていない。少くとも法人として現在共同の事業活動をやつている企業組合だけを、われわれは企業組合と言つておるのでありまして、曖昧模糊としているものを、われわれは企業組合と思つておりません。こういう観点から考えるならば、少くともこんな無理な法律をつくつて、ごくわずか一部の不正なもののために、こういう非常に危険な法律をつくられるということは、われわれは非常に心配しているわけであります。特に最近、先ほど春日委員からも話がありましたが、非常に中小法人、あるいは企業組合の人が動揺いたしまして、毎日陳情に来ているわけであります。そこでわれわれは、少くとも現在の事情のもとにおいて、なぜこういうことを強行しなければならぬか。中小企業者が、現在の事情のもとにおいては大企業に圧迫されて、どうにか組合を結成して立ち上ろうとしている今日、何のためにこういうことをしなければならないか。彼らがどういうようにして生きて行けるかということを、一体お考えになつておるかということについて、私は疑問を持つのであります。こういう点について、一体渡辺主税局長はどんなお考えを持つておられるか、御答弁願います。
○渡辺政府委員 今佐藤委員のおつしやつた、そういう企業組合は、われわれは企業組合と思つておらぬということでありますが、それも現在の中小企業協同組合法によりますと、一応企業組合としてけつこう存在しているわけであります。従つて税法の上から行きますと、そういう組合自身がやはり企業組合であるかないかということが、実は盛んに今議論され、そこにトラブルも起きているわけであります。佐藤委員がおつしやいます正しい意味の企業組合というものを、どうこうするということは、われわれ毛頭考えていないということは、前国会以来るる申し上げておるところでありまして、佐藤委員は簡単に、われわれはそういうものは企業組合と考えていないとおつしやいますが、しかし現在の企業組合関係の法律によりますと、一応届出てちやんとできるのでありますから、それが企業組合としての存在を主張すれば、少くともわれわれとしては、その主張をそのまま無視するわけに行きません。従つてそういう場合における保税についていろいろトラブルがあることは、佐藤委員もよく御承知の通りでございます。そういう意味におきまして、佐藤委員は、ある意味において頭から否定されているような企業組合を中心として起るトラブルについては、やはりこういう規定がなければぐあいが悪いということを、私どもの方では考えているのであります。
○佐藤(觀)委員 今私の言葉を非常にうまくつかまえて、いかにも得意そうに言つておられますが、私たちは、そういうような考え方ではありません。少くとも現在あなた方がお考えになつている考え方の中には、先ほど春日委員も言われましたように、十のうち一つ間違つておつても、非常にこまかいことでも、これはいけぬというような強いやり方をしている。これは、今までわれわれが経験した税務署の末端におけることを説明すれば、三日も四日も言えるような材料があるのですけれども、私たちの考えているのは、わざわざこういうような法律をつくらなくても、少数のそういう不正なものを取締るためには、別な意味の法律でけつこうじやないか、こういうような大げさな、生々しい法律をつくらなくてもいいじやないか、こういうような考え方を持つて私は質問したわけであります。特に現在のもとにおきましては、企業組合がようやく軌道に乗つて来たという場合において、何のためにこういうような法律をでかでかしくやらなければならぬか。この点について今の主税局、あるいは大蔵省は、要するに中小商工業者を何とかかんとかしていじめて、大きくならぬようにするのじやないか。せつかく中小企業庁ができて、この育成をやつておるのに、何かある方面において、その芽をつまむのじやないかという疑問が起きて来るわけであります。こういう点について、どういうお考えを持つておられるのか、お尋ねしたいと思う。
○渡辺政府委員 お答えいたします。われわれは決して中小企業者を圧迫するとかなんとかいう考え方を毛頭持つているものではございません。ただ先ほど来いろいろお話申し上げましたように、企業組合としての実体を備えていれば、問題は全然ないのでございますが、ただ単に会費をとつているとかいつたようなかつこうにおいて、企業組合の形体をとつている極端な事例がございます。地域からいいましても、九州一円から四国、中国、東京まで伸びておりましたり、人数からいつて、三千人以上の組合員を擁していたり、業種からいつても、床屋さんもあり、洗濯屋さんも、歯医者さんもある。これはいささか極端な事例でございますが、そういうのをはたして企業組合法による企業組合として認めて行つていいだろうか。これが現在一つの問題として取扱われておることは御承知の通りでございますが、それほどでない型のものが幾つか目につきますので、どうしても適正な課税をやつて行く上におきましては、やはりこういう規定があつて、納税者の方にもある程度の責任は持つていただくということが、ぜひ必要じやないか。ただ執行の上におきましては、御指摘のような心配もわれわれとして決して御無理ないと思いますので、もとより遺憾なきを期するつもりでおります。その点につきましては、御批判を受けることのないように、国税庁におきましても、十分注意してやつて行くように申すつもりであります。
○井上委員 関連して……。ただいま企業組合の課税問題についての質疑を伺つておりますと、当局のいう名目的企業組合というのは、具体的にだれがこれを断定しますか。あなたの方がそう見ておるだけでしよう。そうなりますと、これは一方的な見方です。あなたの方は税をとろうという立場でかかつておるのだから、一文でもよけいとらぬとぐあい悪いので、そこで相手がいかに体裁を整えたことを言うても、あなた方の方では、そうじやないと言うでしよう。しかしその組合がほんとうつ協同化、近代化を目的にした組合であるかないかということについて、どうしてもあなた方だけが認定するということではなしに、何ゆえそれをもつと民主的な機関なり、他の公正な人の判断にまかしておやりになることを法制化しないかということです。この問題に関連をしますけれども、たとえば申告所得を盛んにあなた方は奨励されるが、申告をいたしたからといつて、申告通りにあなた方は一ぺんも採択したことがありはせぬじやないか。いつも更正決定、更正決定といつて脅かしておる。それなら初めからそんなめんどうくさいことをやめてしもうて、税務署の見込みでとつた方がいい。めんどうくさい手続をしてから、申告所得などといつて申告などさせぬでもいい、あなたがたの見込みでとられたらいい。それではやはり税を納めることについて、納得と得心がうまくいかないということで、そういう所得税の申告制度というものをあなた方は採用しておる。しかるに、申告をあくまで信用するようにどう指導して行くかということに力を入れずに、持つて来たやつを片つぱしから更正をする。それじやまじめに申告をするやつはおらぬようになつちやいますよ。紙だけ損や。そういうことになりますから、名目的な企業組合という問題についても、あなた方の資料では、一体全国に具体的にどれくらいの資料が出ておりますか。もし地域別、企業別にありますならば、その資料をお出し願いたい。 それからこの企業組合をつくることによつて、個人の場合の税と、企業組合による法人税の場合との課税率が非常に違うというところから、何とか企業組合をつくつて、税金を安うしてもらおうという考え方は当然起つて来るのです。だからその点から考えれば、個人に対する課税が非常に重いということを、一応一方においては認めておるわけです。今も宇都宮さんの方の資料を見せてもらつたのですが、法人の場合の課税と個人の場合の課税とでは、個人の場合が法人の三分の二多いことになつておる。法人になりますと、三分の一の税に下つちやうのです。そういうことにしてあるから、せめて名目だけでもこの企業組合をつくつて、税を安うしてもらおうという考え方が、自然発生的に起つて来る。だから個人に対する課税を、もつと減額するということについて検討を加えるか、法人の税をもつと上げるかする必要がある。今のような不均衡な状態に置くから、こういう問題が起つて来る。そこをあなた方はどうお考えになりますか。この問題が具体的に解決しない限り、いろいろの手続をもつて、正規な企業組合形体を備えようとするのは人情であります。だから問題の本質は、法人に対する場合と個人を対象にする場合との税が非常に違うというところに問題があるのです。これをあなた方が解決してやるごとなしに、単に大きな象を盲がなでておるようなことをしておつたのでは、話にならぬ。せつかくこの法を改正しました目的も、なかなか実際上は達せられぬことになつてしまう。そこであえてあなた方が名目のものと、ほんとうの企業組合とをわけようとする場合には、どうもこれは正規な企業組合の形をとつてないということがおわかりになつたならば、それぞれの届出を受付ましたところの地方庁なり、あるいは当該商工団体なり、それぞれに頼んで、こういう形ではどうも税を法人税として認めるわけにいかぬと考えるがどうや、こういうやり方でおやりになるような方法をひとつとられる意思があるかどうか。こういうことが民主的な方法として採用されるときに、初めてあなた方が、そういう不心得な脱税を目的にする企業組合を整理して行くことになり得るのです。そうしないと、あなた方が直接第一線に出て行つてやるわけじやたいのですし、実際は二十二、三から二十五、六そこらの、まだ世間のよくわからぬ人がいばつて出て行つて、たいへんなことをやるのですから、そういう者には、下手つかまれたらえらいことになると思うので、できるだけごちそう政策をやるか、ごちそう政策ができなければ逃げて隠れるか、どちらかの手を講じて、あなた方の検査をのがれようとするのです。だから、そういう点をできるだけ直すためには、あなた方が一応そういう点を発見しました場合は、もつと他の機関をして公正な立場の判断をまつて処置をするというような方法を、法的なりまた実際の業務措置として指導して行く、そういうふうにひとつお考えができませんか、この二点です。一つは名目のものと正規のものを処理する場合、それからそのもとになつている個人の税と法人の税との開きがあまりにも多いということからこういうことになりますから、個人に対する減税について、もう少し中小企業に対して検討を加えてみるという御意思があるかないか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
○渡辺政府委員 名目的なものと実質的なもの——ほんとうの意味の企業組合とを区別するという点につきましては、これは最終的にはやはり裁判所の問題だと存じております。現在の機構ですと、最終的には最高裁判所まで行つてきまるものだと思つております。ただわれわれが、幾つか名目的な企業組合があるということを自信ありげに申しますのは、結局税務署と話し合つて、これはだめだということにわれわれの方で態度がはつきりしましたとき、それではもう組合は解散してしまおうといつてあつさりやめてしまつた組合が実は幾つかあるものですから、それで名目的な組合がやはりあり得るのじやないかというふうにわれわれが申している次第でございます。 それから今お話になりました、個人の課税と法人の課税とに問題があるがゆえに、こういうふうな問題が出て来るのじやないかという点は、われわれも、確かにあり得る、その点に問題があるとは思つております。現在われわれが考えておりますのは、その点に問題はありましても、企業組合としての実体を備えていれば、それでもう企業組合としての課税をして行く。それによつて個人の場合と違つた負担になる。しかし企業組合の実体は備えていないで——繰返して申すようで恐縮でございますが、従来と同じようなことをしていながら、単純に名前を出しているということだけで、企業組合の課税をするということは困る。ただしかし、さらに一歩掘り下げて行けば、法人と個人との負担権衡という問題にまで当然行かなければなりませんので、それはまたさらに、単に所得税と法人税だけの問題ではありませんで、事業税をも含めまして、地方の税の全体として一体どういうふうに考えて行くべきか、これはわれわれも今後の問題としてさらに真剣に考えて行きたい、かように考えております。
○井上委員 私はこの問題をさらに追究して質問をしたいのですけれども、他の人のお株を奪うことになりますのでやめますが、ちよつとこれに関連をした所得税の問題で、あなたの方から資料をいただきたいのです。それは昭和二十六年に医師会の要請に応じて、医師診療報酬についての所得を減額しております。この減額をいたしました場合の必要経費として一体何を見ておるか。たとえば、今まで五〇%をかりに所得対象といたしましたときに、それではとても医師の経営ができないということから、これをかりに三五%に下げた、そうすると、ここに一五%必要経費を控除しておることになります。その一五%を控除するについて、実は前の大蔵大臣である池田さんが、自分の選挙区の広島の医師会に頼まれた。池田氏がかりにそういうことを言明しても、実際ははつきりできないから、当面の責任者である広島の国税局長の高橋をこの席へ呼んでくれということで、医師会と池田氏との宴会場へ高橋が現われて、そこで池田氏の言うことならば引受けましよう、こういうことになつて、一五%まで引下げられたことになつておる。私ども必要経費として正常に見積りますものについて、文句を言うことはありません。ところがいやしくも宴会の席で、しかも医師会招待の席においてそういうことが行われたという裏は、見のがすわけには行きません。そういう事実があるかないか。それに伴つて、昭和二十六年以前の診療報酬に対する必要経費は、報酬の何パーセントを控除しておつたか、それ以後何パーセント下つたか、その具体的な資料を出してもらいたい。その資料が出て来たらまたやります。
○佐藤(觀)委員 私ばかり質問しておつてはいけませんから、もう一、二点お尋ねしましてあととわかります。 終戦後から今日までの間に、いろいろ税務署の整備されたことはわれわれも認めます。ただわれわれが、今度の所得税法の改正でどうしても渡辺さんと意見を異にいたしますのは、実は大体税務署の問題は、片方だけのことでありまして、第三者が仲裁に入ることか少い。納税のことにつきましても、間違いがあつたり、あるいはどちらかに不正があつたといたしましても、大体の場合は、一方的に税務署の方の関係でこれが処理されておるわけであります。こういう点について裁判に訴えることもできますけれども、なかなか税金の問題は訴えるひまがないし、中小企業者や一般の人々は、さような財力がありませんから泣寝入りになつて、今までつらい税金を納めておる例が非常に多いのであります。ほかのことは別といたしまして、この企業組合の問題、中小企業についての対立意見は、いくらやつてもきりはないと思いますけれども、少くもわれわれが考えておりますのは、企業組合というものは、わずか三年か四年しかたつておりませんから、指導方針も間違つておる点もあるし、それらについて欠陥のあることも私は認めます。けれども、それを認めることによつてこの法律をつくらなければならぬというような根拠は、どう考えましても納得の行かない点があるのであります。そういう点について、主税局長は、これを何とかもう少し考え直す意思があるかどうか、この点をもう一点お尋ねしたいと思うのであります。
○渡辺政府委員 企業組合の問題につきましては、前国会におきましてもずいぶん御議論があつたところでございまして、われわれとしましては、やはりこういう規定を、現在の状況からすればぜひ置いていただきたい。執行の面につきましていろいろ御疑念、あるいは御心配のある点につきましては、国税庁長官において十分責任を持つということを申しておりますので、その意味からしまして、ぜひこの規定が必要じやないかと思つております。なお現在提案してございます規定は、前国会のときの規定とは多少修正がしてありまして、前国会に比べますと、適用につきまして相当幅が狭くなつていると申しますか、この前の国会におけるいろいろな御議論を十分参酌しまして、修正して提案したつもりでございますので、この程度の規定はぜひ規定していただきたい、かように考えております。
○黒金委員 今朝来企業組合を中心にいたしまして、中小企業の税金についいろいろ質疑が行われたのでありますが、実際今までの議論をずつと承つておりますと、その法理論についての問題よりは、実際にこの税法が第一線で適用されました場合の、実際の適用についての御懸念が非常に多いように聞いているわけであります。従いまして、この問題につきましては、渡辺主税局長からるるお話がありましたけれども、その執行の当の責任者はむしろ平田国税庁長官でありまして、実は国税庁長官からはつきりしたお話を承つておかないと、いやあれはおれの方でなくして、執行機関の国税庁長官の方だというようなことになりましても困りますので、一言承つておきます。 ただ私どもが考えております点は、たとえば中小企業の中にも株式会社もありますし、あるいはまた企業組合もありますし、あるいは個人の名義で仕事をやつている者もある。法制の建前がみな区々でありますために、軒並みにある店であつて、しかも同じ営業をやつておりましても、たとえば同じくだもの屋さんであつて、隣合せに株式会社があり、隣りに個人がある。明かに株式会社の方が売れておりましても、税法の建前上から実際の負担の相違が来ているということは、当然あり得ることと思うのであります。しかるに、これは実際問題として、税をおとりになる方の御説明はなかなか容易でないかと思いますが、どうも税務署の方々の実際を見ておりますと、どうもその二つの間の店の権衡が思わしくないというために、株式会社の方についつらく当り、個人並に考えがちである。あまりに税金が苦しいものでありますから、いろいろと苦心さんたんしまして、せつかく今年から株式会社にしてみたら、去年と非常に税金が違うものだから、去年通り、あるいは見積りやすいところで何とか認めなさい、ついそういうふうな考えになりがちなようでありますけれども、こういうようなことは、今まで主税局で立法に携わつておられて、制度からおのずから来る結論は十分御承知である。平田国税庁長官は、そういうことに対して、今申しましたような傾向を矯正なさる方には御努力なさつているとは思いますけれども、よもやそういう御指導はなさつていらつしやるまい、かように考えますが、そういう傾向に対して、長官の御所見をまず承りたい。
○平田政府委員 企業組合の問題はつきましては、実は私も前国会におきまして、当委員会で渡辺主税局長と同じ趣旨のことを申し上げている次第でございます。かりに同じことを申し上げる機会がなくても、立案の責任者であります主税局長がこの委員会において言明しましたことは、私どもも同じ考えで行くつもりでございます。また過去においても、大体そういうことで行つておりますので、その点御了承願いたいと思います。さらに当委員会におきまして主税局長から説明がありましたから、私どももああいう趣旨で行くということを、この機会に申し上げておきたいと思います。 それからなお、ただいま法人になつた企業につきましての課税について、お話がございました。確かに経営形態い違いますれば、課税の負担が違つて来るということは、私は当然のことだと思います。立法政策といたしましては、できる限りその差を少くするようにという配慮でいろいろな立法をしているわけでありますけれども、しかし人により、あるいは営業の形態によりまして、いろいろな場合が出て来ることはあり得ることでありまして、そのこと自体は、私どもとしまして云々する筋合いではないかと思います。ただ今黒金委員からお話になりました、法人になるとかえつて重くなるといつたような声は……。
○黒金委員 軽くなるのです。
○平田政府委員 軽くなるという御趣旨でございますれば、私どももそういうことを実は大分聞いておりまして、むしろ調査にあたりましては、個人を外形的に簡単に調べるというよりも、法人につきましては、実体をつかまえまして、適正な所得を測定するということに大いに努力すべき余地が多々あるんじやないか。その際におきましては、同族会社でございますれば、経理につきまして、ある程度の伸縮性のある経理ができますことは御承知の通りでございますが、そういう場合におきましては、負担の公平をはかる上におきまして、税法におきまして、所得計算上是正ができるような規定もございますので、そういう規定もできるだけ有効に適用いたしまして、負担の不均衡が、運用の面におきましてもできるだけ少くなるように努めたい。法律を越えてやることは、もちろんできません。法律に認められた範囲内におきまして、極力公正な結果になるように努めたいと考えている次第であります。
○黒金委員 ただいまお話になりましたように、その負担の公平を期するために——まず小さい会社になりました場合には、大体同族会社とみなされるのが普通だと思います。その場合に、いろいろと負担の権衡をお考えになります結果、せつかく会社になり、いろいろ帳簿をつけましても、大体個人の標準率的な結果が生れて来る。その点を私は指摘したつもりであります。なお今の点に関連いたしまして、先ほど来企業組合の問題をいろいろ論議されたのてありますが、結局のところは、今回の推定規定というものがどの程度に行われるか。例にあげられますような非常に悪い組合は、むしろ企業組合のうち外のものじやないか、むしろ企業組合として否認するのがいいんじやないか、かように考えているような次第でありますけれども、この四十六条の三、その規定をどういうような御方針をもつて第一線を指導なさつて適用されるか、非常に厳格な御適用になりましたならば、もう軒並に総倒れになつてしまう。それからまた、そういう点を非常に懸念いたしまして、毎日非常に多くの陳情が来ておりますが、平田長官なりあるいは渡辺局長なりのお考えは、この第一線の者にどういう方針でなされるか、具体的にお教えいただきますならば、企業組合のみなが安心する結果になると思います。その点を具体的にどういう適用をなさるか、御方針を承りたい。
○平田政府委員 今の問題は、実は前国会におきまして、当委員会で大分議論されまして私も幾つかの重要な点を申し上げている次第でありますが、その点、さらにここで基本的な問題を申し上げますと、根本的には、私ども健全な企業組合と申しますか、経済的に本来の意味があつて企業組合になつているもの、企業組合としての実態を備えているもの、こう主税局長がさつき申されましたが、そういう言葉で表現できると思いますが、そういうものに対しましては、決して税が軽いからという理由で否認したり、あるいは特別な扱いをするということはございません。経済的にちやんと企業組合になつておる組合に対しては、これは結果が安くなりましても認める、認めるのが正しいという行き方です。そういう組合に対しては、少し負担の不公平があるといたしますれば、それは法律の改正によつて是正するほかはないと考えます。それを基本的にまず第一に考えなければならぬ。たださつきもお話がありましたように、お話の趣旨では、それは企業組合ではないとおつしやつておられますが、実際上は、今の企業組合は、中小企業等協同組合法によつて、届出主義になつております。お話のような組合が企業組合として現存しておる事実がございます。こういうものに対しては、実態をよく調べまして、やはり今回設けられようとしております法の運用よろしきを得まして、実態に即した課税をするようにして行きたい。そういう際におきましては、企業組合の内容をよく調べまして、さつき申し上げました根本趣旨に背反しない限度において、運用よろしきをはかつて行きたいという考えであります。その点につきまして、先ほどから第一線の税務官吏が常識がないというお話でございますが、このごろ大分勉強しておりまして、前よりよくなつて来ておると思いますが、なおそういう御心配があることは事実でございますので一企業組合に対しまして、これを適用する場合におきましては、国税局に稟議させまして、局長の承認を得た上で処理せしむる、こういう少し丁重な手続をとりました上で、この運用をはかつて行きたい。そういたしますれば、国会で問題になつております行き過ぎというようなことも、まずこれは少くて済むのではなかろうか。今お話の問題につきましては、細目についても、私が申し上げましたような趣旨で、できるだけ第一線の税務官吏が運用上間違いのないように指令いたしまして、万全を期する考えでございます。
○春日委員 ちよつとお伺いします。この四十六条の三と、企業協同組合法の七十九条の三とは、これは相当関連して考えなければならぬと思うのであります。組合の事業と組合員との関係の規定がここに明確にされております。それは七十九条の三で「組合員は、総会の承認を得なければ、自己又は第三者のために組合の事業の部類に属する取引をしてはならない。」こういうぐあいになります。従いまして、四十六条の三の類推規定の場合においては、こういうことをやる取引事業者は、これは企業協同組合の営業者ではない形になるし、そういうことをしてはいけない形になる。このことは、別にこういう四十六条の三を設けなくとも、これは企業協同組合法七十九条三の規定で禁止してある。禁止してある事項を行う場合は、これは企業協同組合法の保護を受けない。従つて四十六条の三にこういう規定をする必要は全然ないと私は思います。これが一点。 それから他の一点は、よしんばこういうような取引をした場合があつて、あなた方の方がこれを類推して、個人所得と更正決定をしようとなさつた場合、今度は第四項で、そういうような更正決定をされることは非常に困るということで、組合が総会の議決によつて、これは組合のためにしたものだとみなした、こうした場合には、——いろいろな伝票なり名前がかわつておつたり、多少違つた取引か行われておつた場合でも、組合員が総会を開いて、あの個人取引は組合取引であつた、こういうふうに直せば、この四十六条の三にこういう規定があつたとしても、企業協同組合法の方では、これは企業協同組合法の事業とみなされて来る形になる。そうすれば、四十六条の三は、この七十九条の四を否定する形になつて来るので、勢いこの法律も関連して改正して行かなければ、そういう結果が現われて来ないと思う。従いまして、この四十六条の三と企業協同組合法の七十九条の三並びに四、これの関連をどういうふうな解明をしておられますか、これをひとつお伺いいたします。
○渡辺政府委員 ただいま御指摘になりました七十九条の三項、四項、これはいずれも企業組合が本来の企業組合の実体を備えておる場合におきまして、働く規定だと思つております。従いまして、たとえば三項では、こうしてはならない、これは一種の競合禁止の規定だと思います。四項において、それを追認する。結局こういう場合におきましては、企業組合の取引になるわけでございます。われわれが企業組合の実体を備えていないじやないかと言つておりますのは、もうこういうことと全然関係のないといいますか、むしろよし追認というかつこうをとつても、実体は企業組合の方の組合の計算にも入れないとか、あるいは形式だけ整えていて、実際は相かわらず前と同じようにしておる、そういつたような問題が間々あるものでございますから、そこに四十六条の三という問題が別途出て来るものだ、かように思つております。
○春日委員 問題は、大体企業協同組合法というものの法律の精神は、零細業者がやはり合理的な経営をするにはどうしたらいいか、企業協同組合の法人体のもとに集まれ、こういうことになるわけです。だからあくまで零細業者を保護し、これを助長して行く立場においては、正常な形における企業協同組合の運営に障害を与えるような立法措置は、これは厳に慎まなければならぬと思う。ところが今度の税法の面において、現実にはなお発展過程にあり、非常に幼稚で、企業協同組合の歴史もまだ浅いので、そういうようないろいろな事務上の欠陥、欠点、未熟性、こういうようなものは、結局この所得税法のいろいろな適用を厳密に受けて行くと、結局つぶれ去るほか道がない、こういう結果に到達する。このことは歴然であります。従いまして、私どもは現在アメリカに対してもまだ二百億円のお貸しがあるそうで、そういうような金を厳粛に取立てて行けば、零細業者からこんな法律をつくつて手きびしく取立てなくてもいいじやないか。彼らの企業協同組合が生まれてから、まだよちよち歩いておるような状態であります。こういうものからひどい税金を取上げなくとも、もう少しこういう諸君が歩けるようになつて、数年後、この企業協同組合の運営にもなれ、しかもこの思想も普及徹底して、脱税者もおのずから世間の批判を受けて、だんだんと整理されて行く、こういうときにこういうものを立法すべきであつて、今日私は時期尚早だと思う。そういう意味におきまして、この七十九条の三の規定の中にも、これは法律で現に禁止してあるのだから、あなた方の方が税法で再びそういうものに制裁を加えて行くような立法措置は、こうも必要とはしない。かりにまたあなた方がそういうことをおやりになつたとしても、彼らが再び総会を開いて、あれは組合のためにやつた伝票なんだ、取引なんだ、こういうことを議決すれば、この四十六条の三は、合法的な企業組合においては、この適用を受けないことになる、無効になる。そういうものだとすれば、四十六条の三は、どうも立法をする必要はないと私は思うわけなんです。これについてどうお考えになりますか。
○渡辺政府委員 われわれは、ほんとうの意味において健全に発達して行こうとする企業組合を、その発展を阻止するつもりは毛頭ないということは、前から申し上げておる通りでございます。われわれが実際当面して問題にしておりますのは、先ほどもちよつとお話が出ましたが、企業組合という実体を全然備えていないというような意味のものでございまして、そういう組合におきましては、いろいろ形式的にはかつこうを整えてはおりますが、しかし実際のところ、一皮むいてみますと、会費くらい納めているが、それ以上は出ていないというものが、企業組合であるかのごとく扱われることは、むしろほんとうの意味の企業組合が発展して行くことを阻止するゆえんではないかとさえ実は私は思つております。正しい意味の企業組合として伸びて行く場合におきましては、そのわずかな瑕瑾をつかまえて、それを何とかしようという意思は毛頭持つておりません。従いまして、われわれが考えている対象というものは、むしろ七十九条とかいろいろな規定はございますが、こういつた規定にかかわらず仕事をしているというようなものを中心にものを考えているわけでございまして、同時に、これは一つの推定を許していただく、従つてさらに問題があれば、その事項については、そこから議論が出発するわけでございます。そのような意味からしまして、現状におきましては、どうしてもこういう規定が必要であろうと考えております。
○久保田(鶴)委員 この前の国会におきまして、いろいろこの問題について私も話し、また渡辺さんもお述べになりまして、この問題は、もうこの十六国会においてはお出しにならないと思つておつたら、また出て来ました。それで、先ほどからいろいろ論議されておりまして、企業組合、企業組合とおつしやいますが、大体出されております六十七条、あるいは四十六条の三、これらの問題は、日本には約二十五万位株式会社があり、そのうちの九〇%までが同族会社であるが、この株式会社、有限会社、あるいは協同組合、企業組合、これらのものを個人課税をしていじめようとする方針であるか。私が今申したような、これらの法人団体をいじめようとするこの考え方はけしからぬ、こういうことから前の国会におきましても、いろいろ論議して来たのであります。そこで私たちは、再びこういうような問題をお出しになつたそのことがどうしても了解できない。前には、これはもうお出しにならぬようなあなた方の間においての話があつたと承つておりましたが、それはどうなのでしよう。それをひとつお答え願いたい。
○渡辺政府委員 私は、前の国会におきましてずいぶん御議論のあつたことはよく存じております。しかし今度の国会にこの規定は出さぬだろうということは、どういうところをもとにして久保田委員が推定をなさつたか、実は私は了解に苦しむのでありまして、前の国会におきましても、いろいろ議論はありましたが、このままで通すのは——前の原案のことですが、これではどうもぐあいが悪かろう、ある程度修正して通すのはやむを得ないのじやないかというのが、かなり多数の方の御意見ではなかつたか、これは私の推定でございますから、何とも申し上げられません。それでわれわれの方としては、そのときの御議論をもとにして、同時に、そのときに委員のある方方がお書きになつた一応の修正案というものを見せていただいておりましたから、それで検討してみまして、そして、そのときの空気としては、この程度の修正をしたら通してもよかろうという空気になつたその案を今度出したわけでございまして、前のときにおいて、こんな案が出て来るはずはないと考えておつたとおつしやいますが、私の言動がそれの原因であつたか、自分としましてもよくわかりませんが、それはそれとしまして、先ほど来申し上げておりますような理由によりまして、この規定はぜひ置いていただきたい、かように私は考えております。
○久保田(鶴)委員 企業組合の実体を備えていないで、会費だけかけて企業組合だと称しておるものがあるということをよくおつしやるのでありますが、あなた方の説明をもつて大蔵委員の皆さんを、ごまかそうとしておられる。そこで私は、協同組合法の問題をお考え願いたいということを、前の国会でも申しておいたのであります。協同組合法を直しまして、そうして会費だけかけて、これが企業組合だと称するような組合があるならば、この協同組合法によつてこれを解散させればよい。この協同組合法の矛盾を税の面で補おうとするところに大きな間違いがあるのであります。これを直せば、こういうような法案をお出しにならなくともよいのであるということを、前の国会においても申しておいたのであります。そういう点を一度お考え願つて、中小企業庁とも御相談なすつて、この協同組合法を直してもらつて、これを削除してもらうというようなお考えを願いたいのでありますが、その点はどうでしようか。
○渡辺政府委員 そういう御議論は、確かに前から私も伺つておりました。中小企業庁ともいろいろ意見の交換をしてみたのですが、結局現在の企業組合の法律の建前が、御承知のように届出主義になつておりまして、いわば会社と同じような考え方になつておるわけでありまして、これを今久保田委員のおつしやつたように、解散まで命ずるとかいうふうになりますと、企業組合の性質、あるいは中小企業組合法全体の法理的構成が相当かわつて来るわけでありまして、将来の問題としては、中小企業庁としてもずいぶん研究してみることになろうと思いますが、さしあたつてこれをどうこうということにつきましては、なかなか自信がないようでございます。従つて、先ほどこの規定を置くのはまだ早いのじやないかというような御議論もございましたが、しかし企業組合が発足しましてもう三年ほど経ておりまして、この規定なしに税務の執行をやりたいということでずいぶんやつて参つたのですが、むしろある程度この辺ではつきりした規定を置いていただきまして、税務の執行につきましても適正な処置ができるようにしていただきませんと、今まで過去三年の経緯から見まして、いよいよ紛糾が多くなるだけじやないか、かように考えられますので、どうしてもやはりよい組合はよい組合、悪い組合は悪い組合というふうに区別せざるを得ないのじやないか、かように考えております。
○久保田(鶴)委員 この問題については、渡辺さんにもつと多く聞いてもらいたい点があるのであります。また先ほど申しましたように、これは単なる企業組合だけではない。株式会社、合名会社、有限会社、協同組合、これらの団体に対しても大きな影響を及ぼすところの法案でありますので、大蔵委員各位とともに、これを慎重に審議いたしましてきめなければならぬと思います。私は本日はこの程度にして、質問を保留いたします。
○渡辺政府委員 一言申し上げておきたいと思います。この規定は、企業組合だけに限定してはおりませんが、しかし普通の同族会社なり協同組合がこの規定に直接連関を持つということは考えておらぬのでありまして、いずれ久保田委員の御質問に応じて、その辺はるる御答弁を申し上げたいと思います。
○千葉委員長 次会は明十七日午前十時より開会いたすこととし、本日はこの程度で散会いたします。 午後四時二十分散会 ————◇—————