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16回国会衆議院1953/07/07

大蔵委員会 第16号

発言数
24
登壇者
6
会派数
3
開催日
1953/07/07

会議録

千葉三郎改進党

○千葉委員長 これより会議を開きます。  去る七月一日、本委員会に付託されました印刷局特別会計法等の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、また七月四日付託されました通行税法の一部を改正する法律案、さらに昨六日付託されました酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案の四法案を一括議題として、まず政府当局より提案趣旨の説明を聴取いたします。愛知政務次官。

愛知揆一自由党大蔵政務次官

○愛知政府委員 ただいま議題となりました、租税特別措置法の一部を改正する法律案外三法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。  政府は、昭和二十八年度予算に関連いたしまして、税制の一般的改正を行うこととし、すでに所得税法の一部を改正する法律案等を提出いたしまして御審議を願つておるのでありまするが、さらに今次税制改正の一環といたしまして、ここに三つの法律案を提出することといたした次第でございます。  まず租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。この改正案におきましては、資本蓄積の促進に資しまするため、預金利子等に対する所得税の源泉選択税率を五〇%から四〇%に引下げるとともに、同族会社の積立金に対する法人税の非課税限度額を現行の五十万円から百万円と払込み資本金の四分の一相当額とのうち、いずれか高い金額にまで引上げることとし、また、価格変動準備金の対象となる資産のうちに新たに国債を加えることとしているのでございます。さらに、近代的な機械設備に対する特別償却について、関係命令の改正によりまして、その適用範囲の拡張を行うことといたしておりまするほか、新たに、協同組合事業の合理化に資する機械について、三年間五割増しの特別償却を認めることといたしておるのでございます。  次に、貿易の振興に資する等のため、貿易業者につきまして、輸出損失準備金の制度を設け、一定限度内の積立てをしたときには、これを損金または必要な経費に算入することとするほか、貿易業者等が海外に支店等を設けた場合におきまする設備費等について特別償却を認めることといたしているのであります。  次に、食糧の増産に資しまするため、本年以後五年間に開墾、埋立てまたは干拓をいたしました場合には、その土地から生ずる米、麦等の農作物の所得に対しましては、その土地を耕作の用に供した年及びその後五年間所得税を免除することといたしております。  また、財産税調査時期後引続き有しておりまする山林について、山林所得の計算を簡素化いたしまするため、概算経費控除の制度を設け、納税義務者の選択によりまして山林の譲渡による収入金額の一定割合に相当する金額を、必要経費として控除し得ることとしているのでございます。  次に、国有林野整備臨時措置法に基く民有林野と国有林野との交換の場合、及び塩田の交換の場合における所得税、再評価税及び登録税につきまして、農地の交換の場合とおおむね同様な特例を設けまして、その負担を軽減することとし、また塩田を買いかえる場合、及び袋待網漁業またはまき網漁業の整理によつて船舶を沈船し、または売却する場合の所得税及び再評価税について、農地を買いかえる場合及び小型機船底びき網漁業の整理の場合と同様の特例を認めまして、その負担の軽減をはかることとしているのであります。なお、漁船損害補償法の改正によつて、漁船の満期保険制度が設けられることに伴いまして、満期保険に付された漁船につきましては、その積立保険料を減価償却費とみなして、特別償却をすることを認めることとしているのであります。  さらに、最近における国際海運の状況に顧み、新造される外航船舶について、今後五年間のうちに行われまする所有権の保存登記及びその建造資金貸付のための抵当権の取得の登記に対する登録税を軽減することとし、旧船舶公団との共有にかかる船舶の共有持分のうち、国に引継がれたものを他の共有者に移転する場合の登記に対する登録税を所有権の保存登記並に軽減することとしております。  右のほか、旧再評価を行つた者につきまして、減価償却資産の再評価差額のうちに、耐用年数が三十年以上の資産にかかる再評価差額が五割以上占める場合には、今後納付すべき旧再評価税は、今後五年間に均分して納付することができることとし、さらに、航空機用揮発油に対する揮発油税の免除期間を延長し、また新築家屋に対する特別償却の期間の延長を行う等、最近の情勢に応じて所要の改正を行うこととしているのであります。  第二に、通行税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  通行税につきましても、今国会に提案せられております所得税法、法人税法等の改正と同様に、三百円未満の利子税額等を徴収しないこととするとともに、重加算税額の計算の基礎となる通行税額には隠蔽または仮装されていない事実に基く税額を含まないことにしているのであります。  第三に、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律につきましては、前国会で御審議願つたのでありますが、その施行の状況にかんがみますと、酒類製造業及び酒類販売業についても、企業合理化等のための金融を容易にすることが必要であると考えられるのでありますが、このためには、業者団体を通じて資金の融通が行われるようにすることが効果的であると認められるのであります。そこで、酒類業組合等が資金の借入れのあつせんにかえてみずから資金を借り入れ、これをその組合員に貸し付けることができるようにいたしまするとともに、中小企業協同組合や調整組合と同様、中小企業金融公庫から借り入れることができるように改正することといたしているのでございます。  最後に印刷局特別会計法等の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。  造幣局、印刷局、国有林野事業、アルコール専売事業及び郵政事業の各特別会計に属する公共企業体労働関係の適用を受ける職員に支給されまする給与は、その総額が予算で定められているのでありますが、この給与総額につきまして弾力性を与え、能率の向上により、収入が予定より増加いたしました場合、または経費を節減いたしました場合におきましては、その増加額または節減額の一部を特別の給与として支給することができることとしようとするものでございます。  以上が四法律案の提案の理由でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。     —————————————

千葉三郎改進党

○千葉委員長 次に、去る四日、本委員会に付託されました日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う国有の財産の管理に関する法律の一部を改正する法律案を議題として、提出者より提案趣旨の説明を聴取いたします。提出者岡良一君。

岡良一日本社会党(右)

○岡良一君 ただいま提出されましたる日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う国有の財産の管理に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由の御説明を申し上げたいと存じます。  国が日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う国有の財産の管理に関する法律の規定により国有の財産の使用を許そうとするときは、その処分が適正に行われるように、内閣総理大臣はあらかじめ関係行政機関の長、関係のある都道府県及び市町村の長並びに学識経験を有する者の意見を聞かなければならないことにする必要があると考えまして、この法律案を提出いたした次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同を賜わりまするように心からお願いを申し上げて、説明にかえる次第であります。     —————————————

千葉三郎改進党

○千葉委員長 次に、本日の日程に掲げました四十二法案中、ただいま説明を聴取いたしました五法案を除いた三十七法案を一括議題として質疑を行います。なお本日は、政府委員といたしまして愛知政務次官、渡辺主税局長、河野銀行局長、阪田管財局長、並びに説明員といたしまして日本輸出入銀行副総裁の山際正道君が出席されております。質疑は通告順によつてこれを許します。     〔「大臣はどうした」と呼ぶ者あり〕

千葉三郎改進党

○千葉委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕

千葉三郎改進党

○千葉委員長 速記を始めてください。春日一幸君。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 それでは、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案に関連をいたしまして、概略輸出入銀行にお伺いをいたしますが、この法律によつて融資をせんとする資金の限度額についてお知らせを願いたい。

山際正道日本輸出入銀行副総裁

○山際説明員 ただいまのお尋ねは、日本輸出入銀行が融資に当てます資金の限度についてのお尋ねだと了解いたします。その資金の量についてまずお答えいたします。  昭和二十八年度におきましては、総額二百四十億円の貸付を予定いたしておるのであります。その中で、ごく通常の形における。プラント輸出といたしましては百五十億、それから東南アジア開発その他投資に要する資金といたしましては七十億、なおこの銀行の法律上認められておりまする輸出品の原材料となるような重要品の輸入に関する金融業務に約二十億を想定いたしまして、総計二百四十億という計画を立てております。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 二十八年度がそうでありますと、これはそれぞれ長期にわたる融資でありますので、明年度、あるいは明後年度以降についての資金源についてのお見通しをお伺いいたします。

山際正道日本輸出入銀行副総裁

○山際説明員 御承知のように、最近の情勢によりますと、プラント物の輸出に関しましては、世界における各国の競争が非常にはげしくなつて参つております。その結果は、自然融通する期間が長くなるということになります。すなわち返済の条件、言いかえますれば、輸出をいたしましたものに対する支払いの条件が、年賦その他の形においてだんそれ延びて参ります。資金の回転は自然のろくなる結果に相なりまするので、同じ量の仕事をいたしまするといたしましても、来年になりさ来年になりますと、より多くの資金量を必要とするのではないかと考えるのであります。ただそれが数字上どの程度になるかということにつきましては、今からにわかにそれを計数によつて表現することは困難かと思いますが、大体の見通しといたしましては、そういうような傾向にあると申し得ると考えます。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 そこで、予想される償還期間と、その資金計画とは重大な関連を持つものであろうと考えます。従いまして二十八年度において二百四十億ならば、少くとも現行の整理期間というものは五箇年間でありますから、向う二年間あるいは三年間、四箇年程度の資金計画というものが、当然なければならぬと思います。従いまして二十九年度、あるいは三十年度、これらの年度においてこの貸出し資金計画というものが、あらかじめ輸出入銀行において樹立されておるべきであろうと考えるのでありますが、資金年度間における貸出し計画についてひとつお示しを願いたいと思います。

山際正道日本輸出入銀行副総裁

○山際説明員 御承知のように、プラント輸出の契約につきましては、何分にも相手方の多いことでもございますし、またそれがいかなる条件で成立を見るかということも、情勢によりまして常時変化をいたしております。あらかじめこれをわが国の立場から考えまして、どの程度と予定することは非常にむずかしいことなのであります。大体の今までの経過、実績から申しますと、資金は十一箇月程度で一回転するくらいの契約条件になつております。これ延びまして、だんだん長いものがふえて来るということは申し得ると存じまするけれども、これの大体の契約を予定いたしまして計画を立てるということは、貿易の性質上はなはだ困難かと考えます。現在のところは、ただいま申し上げました以上には具体的に計画を立ててはおらない次第でございます。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 十一箇月間において一回転をするということは、貸付けたものが、十一箇月後においては回収されるということに了承してよろしゆうございますか。

山際正道日本輸出入銀行副総裁

○山際説明員 平均いたしますと、そういう実績になつております。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 さすれば、現在行われております輸出契約、すなわちこの。プラント輸出等におきましては、いろいろ国際競争がありといえども、大体十一箇月間において現在回収されつつある。従いまして、これに対する現行法律の制限期間というものは五箇年であります。従つて、そのことは現在行われておるところの償還、この条件を満たし得るに足るだけの期間が保証されておると思うのであります。実績が十一箇月であり、この五箇年と十一箇月との間においては、相当なお幅があるのでごだいまして、将来国際競争がさらに激甚の度を加えるといたしましても、なおかつその国際競争に対応し得るだけのスペースがあらかじめここに予定されておると思うのであります。しかるにこの五箇年を十箇年に、とつぴといつてもいいくらいの超長期にわたつてこの法律を改正せんとする理由について、お伺いをいたしたいと思います。

山際正道日本輸出入銀行副総裁

○山際説明員 ただいま回転の率について申し上げましたことは、先ほど申し上げました通り平均の数字でございます。現在まで扱いましたもののうちにおきましても、最も長期間を出しましたものは五十五箇月くらいのものでございます。最短のものは三箇月のものもございます。その平均について申し上げましたような次第でございます。しこうして大体最近の情勢を見ますと、少しまとまりましたプラントものの引合いにつきましては、あるいは工場の建設でありますとか、あるいは鉄道の建設でありますとか、そういつた種類のものにおきましては、各国の出しておりまする支払い条件が、だんだん長い年賦払いになる傾向があるのであります。昨年来の実績によりましても、たとえばインドで硝子の工場を建設する入札がございましたが、これは船積みのときに三〇%、残りの七〇%を船積み後五年間の年賦で支払うという条件で落札いたしております。またインドネシアの鉄道車両の一千二百万ドルに上る多額の入札がございましたが、これもやはり六年の年賦払いで成約ができております。またアルゼンチンにおいて発電機械の入札がございましたが、これもやはり船積み後五年間の年賦払いということで成約いたされております。その他アルゼンチンの人絹工場におきましても、あるいはチリーの鉄道関係の信号施設にいたしましても、イスラエル国における人絹工場にいたしましても、おおむね契約時に一割、引渡しのときに一割ないし二割、残りの七、八割を五年ないし七年の年賦支払いで払うという契約で成約ができておるのであります。五年以上融資できないという現行法の建前におきましては、残念ながら日本の業者はこれに応ずる力が出て参りませんために、いずれもこれには入札することができませんでした状況にあります。しかも御承知の通り、これらの国々におきましては、資本の蓄積が乏しい、自然長い条件の方が買いやすい、また世界の市場はいわば売手市場でございまして、だんだん各国の競爭がはげしくなります。そういたしますと、自然長い条件を提出となければ競争ができぬというようなことで、そう頻繁に起るケースではないと思いますけれども、相当まとまつたこれらのプラント輸出が、長期間において実行される傾向にあります。これに対応いたしますためには、少くともものによつては船積み後七年ぐらいの程度の条件で買い得るような道を残したい、製作期間に二年を要しますとすると、平均九年を越えます。そこで十年という制限期間をお与えくださいますならば、それらの需要に応じ得るかと考えておる次第であります。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 ただいま承りますと、平均においては十一箇月であるが、特に特殊の例においては五年を越えるものがあるので、従つて現在の法律ではそれらの商談に対して役に立たない、だから改正するということを伺つたのでありますが、少くとも立法をしようとする場合においては、不特定多数のものが、その法律を立法されることなくしては非常に困るというような現実の事態がそこになければならぬと思うのであります。  私はごく少数のものの必要、要請を満たすことのために、特殊の立法をしなければならぬという、このことは、私はそれらの特殊のものに、特別政府が寄与せんとするところの隠謀ではな、いかもしれぬが、いずれにしても、特殊のものに偏するというそしりは私は免れがたいと思います。私の指摘いたしたいことは、二百四十億円というこの金は、少くともこれは国家資金であり、その財源はしよせんは国民の税金であります。貿易のために、ここで二十八年度に二百四十億円を使おうとする、これが貸付期間の制限が五年である場合と十年である場合とにおきましては、これを十年に開放すれば、勢い長期の商談が促進されることは当然でありましようが、そのかわり、これは本年度において二百四十億、来年度において何百億、ずつとそれが十箇年間を一回転として資金計画が盛られて行く場合と、五箇年間を一定限度として資金計画が盛られて行く場合と、トータルにおいて相当の差が生じて来ることは当然であります。従つて、この法律によつて必要とするところの財源を満たすためには、国民がそれだけ税金を重く負担するか、あるいはまたそれだけ受ける福祉を少くすることによつてこの資金を確保して行かなければならぬと思うのであります。もとより私どもは、この輸出ということによつて、外貨の獲得、あるいはまたそれだけの経済力をそれぞれ拡充して行くということについては異議はございません。しかしながら、私どもはなお国内において住宅問題もあろうし、あるいは生活困窮者の問題もあろうし、自由労働者の問題もあろうし、あるいは戦災者の多くの問題が、なお未解決に残されておる立場におきまして、国家資金は同時的に、並行的に、やはりあらゆる角度をにらみ合せて、均衡した形においてこれが駆使されて行かなければならぬと思うのであります。そこで私が指摘したいことは、十年十年といえば十年昔というくらいでございます。これはなお国際情勢が安定の方向に向いつつあるといえども、スターリンの死を契機といたしまして、現実にソ連ブロックにおいては多くの動揺もございましようし、あるいはこのことが、今後における国際変動の大きな素因になる場合もあろうと思うのであります。こういうような国際変転が、なおかつ相当見通しが立ちがたいという現段階におきまして、十箇年間にわたるところの超長期にわたるその融資を行うということは、これは国民の納めた税金を善良に管理する立場において、私はなお慎重にこれが検討を要すべきものであろうと思います。  さらに指摘したいことは、商行為についてでありますが、先方は、五年払いにしてもらうのと十年払いにしてもらうのと、これは十年払いに越したことはありません。しかもこちらでこれを売ろうとするところの商事会社にしろ、貿易商社にしろ、そのことで商談が成立するためには非常に容易になるでありましようが、しかし十箇年というような超長期にわたらなければ商談が成立しないというようなことは、これは特殊の中の特殊の問題であるのでございまして、しかもその特殊の財源をまかなうために、国民が他の施設をそれだけ遅らして行かなければならぬ。こういう事情等を勘案いたしまするとき、私どもはその事情の上に立つて、これらの商社が、その困難な国際競争の中においても、なおかつこれが最短期間において回収できるだけの商談内容をもつて交渉をするだけの責任、と義務があると私は思うのであります。従いまして、国際情勢がなお安定し切つておるわけではないから、十箇年という超長期にわたるところのこの保障というものは、相当の危険を見込まなければならないということと、さらにはまた、商談というものはそんな一昔をかけて商談すべき性質のものではなくして、これは貸した金を、ちようど国税庁が税金を非常に苛烈に取立てられるが、あんなわけには参らぬでしようけれども、しかし貸した金をとにかく取立てることのためには、少くとも五箇年というような年限があるならば、この間に回収するだけの商談をするということは、これは商習慣においても、あるいは商売というその本来の立場から言うても当然であろうと思います。十年間も金をもらわなくてもよいなんという商売なら、だれでもやれます。こんなものは子供でもやれます。そんなようなルーズな形にこの貿易というものをさせるということについては、よつてもつてその弊害というものは、私は少からざるものがあろうと思います。商売の要諦は、資金の回収であろうと思うのであります。売ることは簡単だが、その金をとることは私は困難であろうと思うのであります。従いまして、金をとることに十年というような、まるでどういう見通しも立たないような先のことでは、権現様が長太郎といつたようなことで、全然世の中がかわつてしまいます。そういうような野放図な期間でなくして、これを少くとも現行五箇年の限度にして、しかもその資金わくをふやすとかなんとかいうような、別の方法によつて貿易を振興させる方途もあろうかと思いますが、これについて副総裁の御意見はどうでありましようか。

山際正道日本輸出入銀行副総裁

○山際説明員 お話の通り、自立経済の基礎は貿易によつてつちかわれなければならぬ、しかもその貿易は、世界戦争以後は、日本としては繊維工業や雑貨類の貿易に重点を置くというところから、むしろ重工業ないし化学工業方面へ重点を移行させなければならぬ、これが、私は日本が世界情勢に即応する日本の置かれておる地位であろうと思うのであります。しかも、この日本の持つ生産力によつて売り込んで行きます地方は、いわば世界の経済後進国とも申すべき地域であるのでございます。東南アジア、あるいはいわゆる中近東諸国、ないしは中南米諸国のごとき、いずれも経済建設の意図は十分ございますが、残念ながら資本の蓄積それに及ばずという地域が多いのでございます。わが国といたしましては、今後重工業ないし化学工業方面の輸出を増進いたしますためには、それらの地域を目標としなければならぬといたしますると、勢い彼らの支払い得る能力に応じてこれを売りさばいて行かなければならぬということになるのでございます。ただいまも申し上げました通り、年賦払い等によつてものを売り込みますことは、ひとりわが国のみが考えておるのではございません。むしろ世界の各国がその方式によつて競争いたしておるのでございます。お話のように、長い間の契約でございますから、この取扱いについては、もちろん慎重を期せねばならぬことは当然でございます。ただ銀行が金を貸したから、それで輸出ができるというのではございませんで、御承知の通り、通産省の輸出の許可、または大蔵省の支払い条件に対する承認、これらが重なりましてプラント輸出が実行されるものでございます。その点については、従来といえども十分慎重に各方面から考慮いたしまして、日本の重工業方面の輸出増進のために、やむを得ずという限度において認められておりまするので、今後やはりその方針において進められまするならば、弊害を予防しつ、十分にこの貿易伸長の道を進め得るかと考えておる次第でございます。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 ただいま副総裁の御意見によりますと、支払い期間というものが輸出振興の最終的な大きなキーポイントのように言われておりますが、私はそうは考えないのであります。たとえて申しますと、先般、昨年の暮れでありましたか、インドで硫安の国際入札がございました。あるいは本年台湾においてもあつたと思うのでありますが、特にこの硫安の国際入札においては、日本はドロツプをいたしました。これはいろいろその理由を調べてみましたところ、ドイツ等においては、やはり硫安だとか、あるいは鉄鋼だとか、そういうような国際商品の生産工場に対しては、金利の国家負担だとか、いろいろな面において、やはり政策価格という形になりましようか、いずれにいたしましても、国家による特別の援助が行われて、コストが下げられたことによつて、日本がそういう競争にかなわない。結局コストが安い、コストを安くするということ自体が、これは支払い期間の長い短かいに先行して商談成立、不成立を決定するキーポイントになるであろうと思いまするし、現実に幾多のケースが、すなわち日本が国際競争において負けたということは、支払い期間ではなくて、コストの高いということにあることは、幾多の前例がこれを実証しておるところでございます。従いまして私どもは、ただ単に輸出を振興するという場合においては、当然その支払い期間に対する国家的の配慮ということも必要でありましようが、同時にやはりそれに先がけて、コストを下げることのための配慮も同時に行われて行かなければならぬ。この期間が長ければ国際競争に必ず勝つて行けるというようなことになれば、外国もこれにならつて十箇年にする。日本がこれに負けないために十五箇年にすれば、外国も負けないで十五箇年にするということになつて、それではもうしまいにはもらわないでおくということになつて、商売というものはめちやくちやになります。だから日本が今ここに十箇年というような長い——私はおそらく世界に例がないと思いますが、大体イギリス、西ドイツ等においても、たしか七年ではないかと思うのでありますが、いずれにしても、その十年というような長い期間の猶予を見るというような貸出契約は、私はないと思いまするし、かりにあつたといたしましても、それはそれらの国々の経済内容が日本よりもはるかにいいのであつて、そういうような資金の余裕を持つ国の政策として必ずしも日本がそれを踏襲し得る資格条件を備えておるとは私は断定しがたいと思うのであります。いずれにいたしましても、現在五年からとにかく一躍倍の十年に飛躍するということは、これは資金計画の面からいつても、将来輸出をコントロール、管理して行くという立場においても、幾多の危険を包蔵すると考えますので、この十箇年については、最悪の場合といえどもこれを六箇年にするとか、あるいは七箇年にするとか、こういうような厖大なる、超飛躍的な改正は行うべきではないと考えておるのでございます。しかしながら、このことはあなた方の原案と対立する案でありますので、いずれ本委員会において、各党の意見の調整も行われるやに聞いておりますので、これは私どもの見解として申し述べておるのでございます。いずれにいたしましても私どもは、この金が国民の税金であるということを考えたならば、人に金を貸すのに、十箇年先に返してもらへばいいというような気楽な形でこの貸出しをするというのでは、やはりこの金は使いたい人が貿易側のほかにもずいぶんある。本日この外に陳情者が一千人参つております。自由労働者の諸君は夏季手当がもらえない、賃金が上げてもらえないで食つて行けない、一箇月働いても五千八百円しかもらえない、これでは食つて行けないので、一割上げてくれという陳情があるが、国に財源がないから上らない、これでは困るというので陳情しておるのであります。この輸出業者のほかに、こういうような人々が国民の中にあるということをお考えになつて、国の金をお使いになる場合には、もう少し堅実で、しかも他の面を比べ合せ考えつつ、ひとつ施策を願いたいものだと思うのでございます。いずれにいたしましても、私は十箇年に延ばすということについては断じて反対であり、しかも非常に危険な施策と考えますので、いずれこの問題については、それぞれの党の御意見の御調整があるでありましようが、その機会にさらに申し述べることにいたしまして、質問を終ります。

千葉三郎改進党

○千葉委員長 他に御質疑の方はありませんか。

苫米地英俊自由党

○苫米地委員 開銀の副総裁に関連してお尋ねいたしたいのであります。  私は、プラント輸出というものはきわめて必要であり、これはできるだけ助長して行かなければ国際競争に負ける、かように考えておるのであります。でありますから、国際競争に勝つためには、現在の日本として考えるのは、こういうような法案によるほかに道がないと信じております。しかしプラント輸出の場合には、あとから次々と部分品、補修品等を送り出す必要があるのであります。そこにまた大きな意味があると思うのであります。そこでプラント輸出のために資金の回転率が非常に長くなつて、あとに続くべき、プラント自身でなくて、技術なり部分品なりを輸出する場合に、その方の資金が足りなくなるというようなことではたいへんでありますが、そこのところの均衡は十分に考えておられるかどうか、この一点だけをお伺いしたいと思います。

山際正道日本輸出入銀行副総裁

○山際説明員 御指摘の点は、私どもまつたく同感でございます。でプラントの輸出を先がけといたしまして、爾後部品であるとか、原材料であるとか、ないしは技術であるとかいうものが続いて出ますことによつて、日本の経済が発展して参ることを庶幾いたしておるわけなのでありまして、それらの点につきましては、十分それらの後続の点を配慮しつつ従来もやつておりまするが、今後も重点を置いて考えたいと存じております。

千葉三郎改進党

○千葉委員長 他にありませんか。それでは暫時休憩いたします。     午前十一時三十三分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕

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