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16回国会衆議院1953/10/27

水産委員会 第28号

発言数
83
登壇者
16
会派数
7
開催日
1953/10/27

会議録

田口長治郎自由党

○田口委員長 これより会議を開きます。  この際理事の補欠選任についてお諮りいたします。先般来理事川村善八郎君及び田渕光一君がそれぞれ委員を辞任されましたので、理事が欠員となつております。この際その補欠選任を行いたいと存じますが、その後両君が再び委員に選任されましたので、選挙の手続を省略し、委員長において従前通り両君を理事に指名いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか、     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]

田口長治郎自由党

○田口委員長 異議なしと認めさように決定いたします。     ―――――――――――――

田口長治郎自由党

○田口委員長 本日の政府出席者は保安庁長官木村篤太郎君、外務大臣岡崎勝男君、大蔵省主計局長森永貞一郎君、水産庁長官清井正君、海上保安庁次長島居辰次郎君、警備救難部長砂本周一君、同じく公安課長高見正夫君、農林大臣は今電話をかけておりますから、後刻おいでになると思います。それから岡崎外務大臣は三時から三時半、それから保安庁長官は四時までにということでございますから、この点御了承願いたいと思います。  ただいまより前会に引続き、朝鮮半島周辺の公海漁業に関する件について調査を進めます。     ―――――――――――――

田口長治郎自由党

○田口委員長 この際お諮りいたします。日韓漁業対策本部長小浜八弥君、山口県県議会水産常任委員長井川克己君を参考人に選定し、本問題について御意見を承ることにいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田口長治郎自由党

○田口委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。     ―――――――――――――

田口長治郎自由党

○田口委員長 本日の議事の進め方といたしましては、まず参考人各位より御意見を承つた後、政府並びに参考人に対する質疑に入りたいと存じます。  それではまず小浜八弥君より御発言を願います。小浜八弥君。

小浜八弥日韓漁業対策本部長

○小浜参考人 私参考人として呼ばれました、日韓漁業対策本部の委員長を勤めておりまする小浜八弥でございます。今韓国の周辺において漁業の問題が起つておりますが、それの端緒は、昨年一月李承晩が、韓国周辺の公海の中に、ここからここまでは韓国の海なんだ、ほかのものは入つてはいかぬ、ここの中でとれる魚はこれは韓国人がとるべきものだという、いわゆる李承晩ラインを設定いたしましたことに端を発しております。その後連合軍司令官によつて発せられました防衛水域が設定せられるに及んで、韓国はその防衛水域に便乗いたしまして李承晩ラインの主張を通して参つておつたのでありまするが、去る八月ごろと思いまするが、南北朝鮮が休戦の状態に入りますると同時に、戦時の必要に応じて設定された防衛水域が撤廃せられたのであります。ここにおいて韓国側は、自分たちの宣言いたしておりました李承晩ラインを裏づけするもの、便乗いたしておりました防衛水域がなくなりましたために、韓国側は実力をもつてこの海を自分の海として、そこに主権を行使するという手段に出たので、ございまして、九月六日に声明を発しまして、李承晩ラインの中で漁業をする一切の船については、実力をもつてこれを拿捕するということを声明いたしまして、その以後日本漁船であの水域において拿捕せられましたものの、今日まではつきりわかつておりますのが二十九隻、未確定のもの二隻合計四十一隻、乗組員が四百八十七人か八人と事憶いたしております。これらの海は韓国の海であつてその中の魚は韓国の魚なんだからとつてはいけない、こう申しております。公海の上にかくのごとく一方的でかつてに線を引いて自国の主権の及ぶ範囲を設定いたしますることは、国際法上かつて例がないのみならず、いやしくも常識を備えておりまする者は、何人といえども首肯する点ではないのでありまして、われわれ漁業者といたしましては、もちろんそういうふうな宣言に拘束せられる意思はごうもございませんので、そこに出漁いたしておつたのでございまするが、今や実力によつて、入つて来る船はこれをつかまえるのだというので、さような状況に相なつておるのでございます。  韓国が李承晩ラインを設定いたしました口実についてはいろいろございます。おもなものは、あの周辺の魚族は日本の漁業者によつてとり尽される危険があるがゆえに、これを保護するために線を引いたと申します。魚族の保護のための線ならばやり方がございます。われわれは公海の自由を主張いたしますけれども、公海において魚をとり尽してもよろしい、将来にわたつて長く漁業を持続することが困難なる状況にまで、魚をとり尽してもよろしいというふうな意味において、われわれは公海の自由を主張いたしておるのではないのでありまして、長きにわたつて漁業を継続するために必要なる、資源の保持をすべき義務を伴う公海の自由を主張いたしておるのでありまして魚をあまりとり過ぎて困るというならば、保護すべき魚族はいかなる魚族であつて、いかようにしてこれを保護すればよろしいかという話合いをすれば足りるのでございます。その意味において韓国との間に、お互いに向うの言い分を聞いて話合いをして行こうじやないかというので、日韓会談が開かれたのでございまするが、皆様御承知の通りに、日韓会談は漁業の問題について意見が対立したのではございません。そのほかの一般の原則論について意見が対立いたしまして韓国はこれを不満として出席を拒否して参りまして、事実上会談が決裂したという状態に相なつておるのでございます。しかしながら、ちようど今さばの最盛期にあたりまして、さばを追つてまき網があの周辺にたくさん出ております。あるいはまたはねずり漁船がたくさんあの周辺には出ておるのでございまして、それの数は、さばのはねずり漁業であの辺に出漁すると考えられるもの約漁船二百七十隻、まき網であの辺に出漁していると考えられますものが四百五十隻、こういうものが今さばの時期に出漁いたしておるのでありますが、韓国の不法なる実力行使によりまして、事実上この漁業が平穏に行われないという状態に相なつております。またやがて十一月に入りますと、あそこは底びきの好漁場でございます。従つて底びき漁業者が多数あの近辺に出漁いたすのでございます。あの近辺の漁場は暖流と寒流の交流するところでありますがゆえに、回遊魚について有望な漁場であるのみならず、底魚漁場についても、魚種によりましては非常に有望な漁場であるのでありまして、日本の漁業者としてはあそこに出漁しないというわけに参りません。  会談が決裂をするに至りましたので、対策本部といたしましては、さつそく声明書を出して戦後処理的な項目とは別個に、漁業交渉を単独にひとつ続行してもらいたい、公海における不法な武力行為はただちに中止してもらいたい、漁船の拿捕事件というものは、これらの漁業協約の締結の問題とは別個に、一つの事件であるから、事件として引離して、即時これを解決してもらいたいということの声明を、本部といたしましては出したような次第でございまして、われわれ漁業者の意思を代表いたしておりまする対策本部といたしましては第一に、韓国政府は不当なる李ラインの主張は即時撤廃してもらわなければ困る。第二に、韓国政府は公海における一切の暴力行為は即時停止してもらわなければ困る。第三に、韓国政府は人道を無視した日本人乗組員の不当抑留を即時解放すべきものである。第四に、韓国政府は拿捕漁船と、その没収した漁獲物等については即時返還すべきものである。第五に、日韓両国政府はすみやかに公正なる漁業協定の妥結に努力してもらいたい。この五つの点を、われわれ本部は日本政府に対して要望いたしますと同時に、韓国政府に対しても、これを要望するという立場をとつて参つております。  あの辺の漁場において漁獲されたかつての漁獲高等につきまして、私たちの調査いたしたところによりますと、二十七年の例によつてみますと、日本漁船はあの李ライン内で年間二十三、四万トン、ざつと百三十億円に近い漁獲物をあげておるのでございます。昨年のさばの漁業は平穏にあの辺で行われましたがゆえに、本年もまた平穏に行わるべしという予想のもとに、それぞれ漁業者は用意をいたしておるのでございまして、この辺の千葉、神奈川、静岡等から特に船をつくつて本年も出かけて行かれた漁業者もあります。それらの漁業者は、計画しておつた通りに向うで漁業を遂行することによつて、漁船の建造費も償却ができるし、また収支計算はこうなるという見込みのもとに出かけられたのでございますが、韓国の不法なる実力行使によりまして、漁業が平穏にできませんために、おそらくは計画の二、三割くらいの漁獲しかまだあげておられないのじやないか。従つて、それらの一切の計画に齟齬を来しまして、船の建造費の償却、また乗組員に対する賃金の支払い、また自分の家族の生活費等にも困つておるという現状が、今まざまざと展開されておるのが漁民の姿であるのであります。  それから、日韓会談が決裂いたしましたけれども、漁業者としてはあの漁場を捨てるわけには参りませんから、どうしても出なくちやなりません。しかしながら出ますれば拿捕される、また機銃掃射を受けるという危険にさらされるのでありますから、われわれ漁業者といたしましては、国家の現在持つている力の限りを尽して、あそこの漁場における漁業者の操業をひとつ保護してもらいたいということを、私たちは政府に強くお願いを申しておるのであります。また現在つかまつておる漁船の返還、また抑留されておる船員の解放、これについては即刻力強く交渉を始めて、それを実現していただきたい。われわれが聞きますところによりますと、向うに抑留せられております船員は、刑務所につながれている者もございますが、この間NHKの記者の方がその状態を、親しく会つて見て来られました。その話を聞きますと、食い物は米、麦まぜて一日四合五勺を供給いたしておるようでありますが、向うの刑務所においては予算がないために、一人当りの副食物の経費は、朝鮮の十二園、日本の金に換算いたしますと二十四円に当るそうでありまして、朝鮮において新聞紙一枚買う値に相当する、それだけしか副食の費用としては刑務所にないということを刑務所長は申しておつたそうであります。また夏でございましたがゆえに、夏の装いをして漁船は出動いたしておりまするから、船員は夏の装いのままで向うの監獄に入れられておる次第でありましてまた港に船がつながれておる。従つて寒さに向いまして、われわれ考えてもまことにお気の毒にたえない、何とかしなくちやならぬというので、差入れの問題をまた別個に韓国代表部に交渉をいたしておるのであります。これは大体差入れはよろしいと申しまするけれども、差入れをする方法等につきまして、具体的に話がまだ完結いたしません。また少しの小づかいもないために、郷里に対する通信もできないという状態のようであります。それらのことにつきましては、対策本部としてはもちろんいたしまするが、政府の方でも格段の御考慮をいただきたいとわれわれは考えておる次第であります。  いずれにいたしましても、この国家の体面をまるつぶしにしたような、日本の漁業者の出漁を、ここに来てはまかりならぬといつて、実力をもつてこれをおつぱらい、またこれをつかまえ、向うで不法にも李承晩ラインを侵犯したというかどをもつて裁判に付せられておるのであります。その裁判には弁護士も何も立ち会つておりません。ひとりぎめの、向うの思うなりの裁判が行われておる。かくのごとき状態は、われわれ何としても忍ぶことができません。だから今後漁業者があそこで漁業ができるように、国家の力で保護をしてもらいたいし、今までつかまつておる船は返してもらいたいし、抑留されておる船員は即時釈放してもらいたい。そうして話合いをするなら話合いをするで、妥当なる話合いができまするように、できるならば日韓会談を再開して、話をとりきめて、平穏に漁業ができるようにとりはからつてもらいたいということを、われわれは強く政府に要望いたしておるような次第でございます。

田口長治郎自由党

○田口委員長 井川克己君。

井川克己山口県県議会水産委員長

○井川参考人 私は山口県議会の水産常任委員長をいたしております井川古己でございます。参考人として意見を開陳させていただきます。私が申し上げんとする前文、すなわち李ライン問題の経過その他一般的な問題につきましては、小浜参考人より御発言がございましたので、重複を避けて具体的に率直に現地の実情を訴えたいと思います。  まず第一番に申し上げたいことは、拿捕するときの状況は、実際には李承晩ラインの内外を問わず、その操業中たると航行中たるとを問わず拿捕をいたしておるということであります。われわれが期待いたしておりました日韓会談が決裂いたしましたが、私たちは会談決裂の責任がそのいずれの側にあるといたしましても、日本国の法律の保護を受ける日本国民に対しては、一応日本国政府の責任においてその生命財産の安全が保障せられ、その損害に対する補償の措置が講ぜられるべきものであるということを信じておるものであります。第一番目につきましては、拿捕抑留された漁船並びに乗組員の身上に関する状況がまつたく不明なために、家族の不安がこの上もないということでございます。ことに山口県の萩市におきましては、萩市の小さい漁民部落から、十八隻の船が一かたまり拿捕せられておりますが、八隻はまだ生きておるのか死んでおるのか、どうなつておるのかすらもわからないというようなことであります。どういう待遇を受けておるのか、ただいまもお話がありましたように、これらの情報が何とかして知りたい。この間対策本部の方から、近く差人れが行われるらしいからその準備をせよという通知が留守家族に参りまして、留守家族は喜んでその準備をいたしておりますけれども、生死不明の家族、送るけれども自分の家族にはたして届くのか届かないのか、生きておるのか死んでおるのかわからない家族がおるということに御注意を喚起願いたいのであります。この萩市から拿捕されておりますのは、そこだけで十八隻、百五十名の乗組員で、八百名の家族をかかえて一家の柱石となるものは、親子もろともに船に乗り込んで出漁いたしております。あとに残つた者は子供をかかえ、老人をかかえた御婦人が残つて、現地よりの仕送り金をもつて従来生計を営んで来た方でございまして、まつたく見るに忍びない家庭の状態にあるということに心を寄せていただきたいと思います。日本政府として正規な情報を調査することができなかつたら、韓国にある他の機関、他の国の力等を通じて、一日も早くこの情報を家族に伝えていただきたいということをお願いいたします。  さらにまた操業不能になりましたので、ことに中小企業家におきましては、まつたく壊滅一歩手前の状態にあるということでございます。下関方面の手繰船あたりは、大部分は漁船保険にも入つておりますし、給与保険にも入つております。しかしながら中小企業の経営状態は、これらの保険制度を――保険料が高くその負担ができないために、十分なる保険にすらも入ることのできないような業者が多いということであります。さらにまたせつかく入つた保険金をもらうようになりましても、そのほとんど全部は金融機関からの借金のひもつきであつて、質権設定が行われておりますので、休業期間の経営のつなぎとか、あるいは再生産手段に使うようなことにまわらない金であるというとに、思いをいたしていただきたいのであります。  さらに今日代船建造をいたすとなりますと、五十トン級の焼玉百五十馬力の船を一組つくつても二千五百万円程度の建造費がいるわけでございます。さらに給与保険にも入つておりますけれども、底びき漁業の特色として歩合制度をとつております関係上、固定給というものはまことにわずかでございまして、その他は共同経営的な歩合制度に依存しておりますので、この給与保険も家族の生活を満たすに至らない程度のものであるということであります、  さらに先ほど申しましたような萩市等の漁民のごときは、ほんとうに小さい不登簿船を乗り出しまして、船員八人から十人乗り込んで共同経営体で出漁いたしておる船の状態でございます。どうかこれらの経営者に対しましては、災害等に際してとられたと同様の、資金的な特別措置を講ぜられることをお願いいたしますとともに、代船建造等につきましては、農林金融公庫等を通じて、優先的にこの代船建造の資金の融資をお願いいたしたい。家族の援護に関しましては、ただいま申し上げましたような状態でございますので、何としても国の力によつてこの国の犠牲となつた、国際問題のしわ寄せの犠牲となつた漁民を、救済していただきたいのであります。今出ております千数百隻の乗組員は、自分たちに万一のことがあつたならば、家族がどうなるかということが一番不安でございまして、強行出漁は断固するという決意でございますが、万一の場合は国がめんどうを見るのだということになりますれば、喜んでこの戦線を確保するでありましようし、増産に身をもつて協力し、日本の国の権益の第一線に立つ決意を漁民は持つておることをお伝えいたしたいのであります。  さらに今後日々起るであろう事態に備えましての、緊急にして適切なる安全操業の確保の措置がとられることを要望するものであります。これは論議とか理論の問題ではなくして現実の姿において、漁民が安心をして操業できるという姿をわれわれは望んでおるわけであります。これらのことはいわゆる災害、風水害等においてとられると同様な、それ以上の重要問題でありますし、ことに世が世であるならば、かかる事態は国際間の戦争を巻き起す、宣戦布告の重要な原因ともなるべき重大事件であるということに想起をいたしていただきたいのであります。どうか現地の実情は毎日不安と恐慌に冒されておる状態でございますので、この漁民の現状を十分におくみとりいただきまして、国として早急なる措置を講じていただきますように、意見の開陳を申し上げます。

田口長治郎自由党

○田口委員長 これより政府並びに参考人に対する質疑に入ります。吉武惠市君。

吉武恵市自由党

○吉武委員 ただいま両参考人から現地における事情がるる述べられたのでありますが、今回の李ラインをめぐる問題はきわめて深刻であります。政府当局におかれましても、それぞれ御考慮になつておるようでございますが、あまりにも深刻でございますので、昨日両院水産委員の会合を開きまして国会の開かれるのが待てないということで、本日ここにあらためて水産委員会を開き、御出席願つたのでございまするので、この点時間がございませんからくどくは申しません。しかしきわめて深刻であるということをお聞きとりを願いたいのであります。  第一に、今回の李承晩ラインによつて捕われました数は、先ほど御報告がありましたが、九月以降だけでも四百七十四人、その数が四十二隻でございます。私の地元でございます萩の一小部落に越ケ浜、玉江という部落がございますが、わずか五、六百戸の中から百四十四名という中堅どころが捕われて今に帰つて来ない。その家族は悲痛でございます。私はこの一軒々々をまわりまして、あまりに数が多いのと悲惨なのに胸を打たれた。今、井川君からも話がございましたが、ただ抑留されたというだけでないのであります。その中の六十数名というものは行方不明、行方不明ということは深刻であります。私はこれらの事情を聞きまして、じつとしおれない。なかなかむずかしい問題ではございますが、ただむずかしいでは納まらないのでございます。そこでこれらの方の返還及び生活の援護につきましては、所管の大臣がお見えになりませんから、お見えになつてから私はただしたいと思いますが、木村保安庁長官にお願いしたいことは、この領域には、先ほど参考人から示されましたごとく、毎年二千隻近い漁船が出漁しておる。この一年の産額は約百三十億、これによつて漁民が生活をしておるのであります。これを突如李承晩がかつてにラインを引いて、これから入るな。入るなといつて、帰つては飯が食えない。飯が食えないから、今下関の沖にみな出漁をしておるのでありまして、出かけるときは水杯をして出ておる、あぶないからといつたつて聞けるはずはないのであります。日本がいまさら武力を失いましたときに、はなはだ残念ではございますが、木村長官の手元にはまだ海上の警備の船が若干ある。これがいかなるものであるかは存じませんけれども、漁民はその出動を願つている。何とかして来て助けてもらいたいというのが、地元の悲痛な叫びでございます。これにつきまして、保安庁長官はどういうお考えをおとりになろうとしまするか、その点をまず第一にお聞きしたのであります。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 この李承晩ラインの問題につきましては、われわれも実に心痛をきわめております。私はこれは単純な漁業問題だけとは考えておりません。日本の権益の問題でありまして、漁業者に対してはまことにお気の毒で、これは何としても救わなければならぬと思つておりますると同時に、日本国家のために、何とかしてこれを解決しなければならぬという気持を持つております。もとより李承晩ラインは韓国がかつてに設定したものであります。かようなラインによつて日本は拘束さるべきものではない。この点から申しましても、われわれは出漁者がこのラインを越えて出漁することは当然なことであろうと思います。そこで考えられますることは、御承知の通り保安庁法第六十五条をごらん願いたいのであります。これには明らかに、「長官は、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため緊急の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て、警備隊の部隊に海上において必要な行動をとることを命ずることができる。」としてあります。この李承晩ラインにおきまして出漁しておりまする船舶に対し、万一危害を加え、暴力行為をなすものがありますれば、これを防止するのが当然であります。従いまして、今後さような事態が発生いたしまする限りにおきましては、われわれといたしましては、慎重に考慮いたして適当な処置をとりたいと考えております。しかしながら事大きな問題でありまするから、この処置につきましては、各方面から資料を集め、いろいろな点から検討いたしまして十分な処置をわれわれは考えたい、こう考えております。

吉武恵市自由党

○吉武委員 大体木村長官の御決意のほどはわかりましたが、きわめて困難な問題でございましよう。またそう軽率に処置のとれない問題でもございましよう。しかしながらただいま申しましたように、現地の実情はもうせつぱ詰まつたところに来ているということをよくお考えの上に、政府としてすみやかなる御決意のあらんことを希望いたしまして、私は長官に対する御質問を終りたいと思います。  次に私は外務大臣と農林大臣にお尋ねしたいのでありますが、御出席がありませんでしようか。

田口長治郎自由党

○田口委員長 すぐ参りますから、そのままお待ちください。

志賀健次郎改進党

○志賀委員 それでは関連してきわめて簡単に木村保安庁長官にお尋ねいたします。ただいまの御決意の表明、しかあるべきものとわれわれは期待している。その決意の表明があまりにもおそ過ぎた。そこでただいまのお話によりますと、保安庁法第六十五条によつてきわめて慎重かつ適切な方途を講ずるという御決意であつた。われわれの最も知りたいのは、あなたが今決意を表明せられたが、わが国の持つている第六十五条によつて保護せんとする力と李承晩の持つている力とのバランスの問題がどうなつておるか、あなたはこの点十分御承知だと思うから、責任ある御答弁を伺いたい。ただ決意などを表明せられても、一発のもとに沈没されるような警備艇を持つて行つては何にもなりません。その点を知らなければ、決意だけでは漁民は安心して出漁できないと思いますので、この点簡単にお願いいたしたいと思います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 きわめてもつともな御意見であります。韓国の内情について詳細なことは承知いたしておりません。しかしわれわれの承知いたしおります範囲におきましては、駆逐艦を二隻持つているそうであります。フリゲートが約四、五隻、それと同時に、正確な数字はわかりませんが、相当強力な飛行機を持つている。ムスタングという式の飛行機で、これはロケット砲弾を積んでいるということであります。さような次第で、これがどういう動きをするかは、われわれの予測の限りではありませんが、実情はさようにわれわれは聞き及んでいるのであります。

田口長治郎自由党

○田口委員長 外務大臣の時間がきまつておるようでございますから、外務大臣に対する質問を五分ずつでもひとつやりたいと思います。どうぞ簡潔にお願いいたします。

吉武恵市自由党

○吉武委員 承知いたしました。簡潔にいたします。外務大臣が遅れて来られまして、現地の参考人の実情の訴えがございましたが、お聞き取り願えなかつたことは非常に残念でございます。御承知でありましようが、今度の李承晩ラインの問題で、九月以降今日までに四百七十四名がつかまつておるのであります。向うの生活の実情は、情報によると非常に気の毒な実情にある。しかも私のところは小さい部落でありますが、その部落の中の中堅どころが、ほとんど捕われている。その家族は悲惨であります。従つて早く何とかこれを帰してもらいたいというのが女子供の願いです。先日萩で大会を開きまして悲痛な叫びをやつているのであります。直接交渉の方法が決裂いたしました今日、非常にむずかしいでありましようが、直接に交渉して話がつかなければ、何とか間接にでもこれを早く帰す道はないものか、いろいろ御苦心になつていることとは思いまするが、地元としては、ただ著しい、むずかしいだけでは承知してはいないのでありまするから、この点をひとつお聞きかせ願いたい。特に先ほど申しました四百七十四名のうちに、私のところでは小さい部落で百四十四名が捕われているのですが、その中で八隻、六十何名というものが行方不明なんです。その家族の心配というものは、実際私ども会つて顔が合せられないのであります。この実情でもひとつ早くつかむことができないか、あるいは赤十字を通ずるという方法もありましよう、あるいはよそに頼むという方法もありましようが、この実情の調査と、そして何とかして早く帰る道を講じていただくこと、この点時間がございませんから簡潔にお尋ねをいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 ただいまの吉武君のお話は、まことに私もごもつともに伺いました。元来この公海の自由ということは、国際法の原則であるのみならず、初めの欧州のいくさが始まりましたときに、アメリカが提唱していち早く大西洋宣言というのを出しました。その中に公海自由の原則ということがうたつてあるのであります。これは非常に重要な原則でありますので、私といたしましては、この公海自由の原則をいささかなりとも曲げるわけにはいかないと考えております。しかしながらそれとただいま不法に向うに捕われておる人たち、あるいは船の問題は、これは同じ原則で、ただつつぱつているだけでは解決ができませんので、漁業をこれからやる、この方面ももちろん焦眉の急でありますけれども、元来捕われておる人たちを早く日本に連れもどすということは、それに劣らぬ、あるいはそれ以上の焦眉の急の問題であろうと考えております。これにつきましては、直接の交渉が今切れておりますけれども、先方も必ずしももう交渉をいたきぬというようにはつきりいたしておるのじやなくて、日本の態度が改まればというようなことを言つております。日本としては態度を改める理由は少しも認めませんけれども、ただそういうことを言つておることは、全然直接の交渉が今後ずつと不可能であるということにはならないのであります。同時に国際輿論というものもありまして、これも考えようによつては非常に重要であります。あるいは国際連合あるいは国際司法裁判所、いろいろの公的な機関もあるのであります。また朝鮮には国際連合軍が行つておりまして、その国際連合軍の日本における問題につきましても、昨日刑事裁判権については、円満な解決ができたような次第でありますので、この方面におきましてもいろいろ折衝の余地はあろうかと考えております。いずれにしましても、私のただいま考えておりますことは、同様に重要ではありまするが、まず四百数十名の人とその船を日本にとりもどすこと、それから続いて今後の操業ができるだけ支障なく行われるような努力をする、この二つに限られておると思つております。ただいままだここで、こういう具体的な措置でこうなるということは申し上げる段階になつていないのをはなはだ残念に思いますけれども、いろいろの手をただいま尽しておりまするし、不日さらに具体的に申し上げる機会が当然あろうと考えております。なお、ただいまお話の、八隻の船と六十数名の人の行方がはつきりわからない。これはまた非常に大きな問題でありますが、この調べにつきましては、私は友好国に依頼して、わかつておるかわからないか、少くともどうなつておるかということについては、調べてもらうだけのことはできると考えておりますから、帰りましたならば、さつそく関係の友好国にも依頼いたしましてこの方面の手は尽すつもりでおります。

吉武恵市自由党

○吉武委員 再開の余地もあるということでありますが、この間新聞で見ますと、李承晩ラインを認めれば帰すといつておりますが、そういうことはわれわれは断じて許すことはできません。政府もまたそれをお認めになることはないと思いますが、先ほど木村長官の申しましたように、地元としてはもう出漁して、そうして一刻も早くやりたい、こういつてその保護を求めておるような状況でございますので、その点はひとつあくまでがんばつていただきたい。なお調査その他につきましては、余地があるということでございますが、何分冬に向つておりますので、家族が非常に心配をしておるのであります。無理からぬところであります。従いまして、外交交渉というのはなかなか簡単ではないかとは思いますけれども、手取り早くやつていただかないと、長々とではもうとてもじつとしておられないという実情をひとつお考え願いたいと思います。これで終ります。

志賀健次郎改進党

○志賀委員 ただいま外務大臣と吉武君との質疑応答を承つたのでありますが、われわれは期待するところ何もない。岡崎外交によつて少くともこの日韓漁業問題打開の何ものもわれわれはくみとれないのであります。まことに失望を禁じ得ないのであります。岡崎外交は、世にその都度外交と言われておるのでありますが、常に外交上のストライク・ボールを投げたことはない。始終ボールだけであります。この問題とは直接関係がないけれども、東南アジア諸国を一まわりしても、至るところボールだけを投げていてわれわれの期待するだけのストライク・ボールは投げておらない。われわれは今日日韓問題、特にこの漁業問題打開の問題について、勇敢にストライクを投げてもらいたい今日再開せられるであろうというようなことを考えておられるが、われわれは外交にはしろうとであるけれども、そんな甘ちよろな考えで李承晩が再開に応ずるとは期待いたしません。残る問題は、アメリカと談判して、アメリカの調停あるいは仲介を求めて、岡崎外務大臣は韓国に飛んで行くなり、あるいは適当な場所において漁業問題についてだけ談判をして、急速にこれを解決するくらいの勇敢さを持たなければ打開の道がない。あるいはその情勢いかんによりましては、吉田内閣総理大臣みずからが李承晩と会見いたしてやらなければ、私はとうてい打開の道はあり得ないと信じておるのである。われわれは岡崎外交の軟弱なへつぴり腰の外交に期待いたしません。ただ私は、あなたが外務大臣として、少くとも私が進言しておる道について十分にお考え願いたいということでありますが、いかがでありましようか。ひとつ御所見を承りたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 へつぴり腰の外交にお聞きになつても意味がないと思います。私は私なりに考えております。その結果がいつ現われるかは別問題としてただ私が行くなり吉田総理大臣が行くなりすれば話がつくというような考えは、それが甘ちよろい考えだと思つております。先方も納得し、国際輿論もこれを聞くような具体的な案をもつてやるのが正当であつて、ただ行つたら何でも解決ずくとは私は考えておりません。しかしお話の点はわれわれも考えている点であつて、私が行つて役に立つ場合には、いつでも参るつもりでおります。

志賀健次郎改進党

○志賀委員 私は外務大臣、総理大臣が、ただから手で飛んで行つて会えというのではない。もとより十分な慎重な資料なり対策なりを、内閣が責任をもつてこれを携えて、しかもアメリカは韓国と日本と両方を助けなければならぬ責任と立場に置かれておるのであるから、アメリカとも十分いろいろ連絡の上でやつたらどうかというのが私の意見である。もとよりこの意見について、あれやこれや申し上げても問答を繰返すだけでありまして、われわれ改進党といたしましては、今救農国会の劈頭におきまして、外務大臣の外交方針演説を強く要求しておるのでありまして、この外交方針の演説の中において、道義、人道に反しているところの韓国の不法行為というものを、世界輿論に訴え、かつまた吉田内閣の断固たる一つの具体的な方策を期待いたすのであります。これで私の質問は終ります。

田口長治郎自由党

○田口委員長 穗積七郎君。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 外務大臣の御都合で時間がないようでありますから、保安庁長官または農林大臣に対する質問は後に留保いたしまして簡潔にお尋ねいたします。  まず第一にお尋ねしたいのは、今までの韓国との正式な交渉におきまして李承晩ラインの法的な根拠について、韓国側は、どういうふうなことを根拠としてそういうことを言われたのか、それをお尋ねしたい。言いかえますれば、占領中に、連合国司令官が防衛水域を設定したことに便乗して、こういうものをやつたのか、あるいはまたアメリカが、先般この太平洋地域におきまして声明いたしました例の大陸だなの声明にならつてこういうことを言い出したのか、あるいはまたその両者でもない、他の理由によつてやつておるのであるかどうか、その点をまず第一にお尋ねいたしたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 お答えする前に、先ほど言い残しましたが、吉武君のお話の中の、行方不明であるという船の名前がおわかりでしたならば、ひとつさつそくお届け願いたいと思います。

吉武恵市自由党

○吉武委員 わかつておりますから、至急にお届けいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 それから志賀君のお話の中の、国際輿論を起すという点は、私非常に同感でありますので、この点は十分努力いたします。  今の穗積君のお尋ねでありますが、韓国の言うことは、実は私の立場でこういう率直なことを言つては失礼かもしれませんが、相当支離滅裂と言つてもいいかもしれません。ある場合には大陸だなの主張を引用しておるようであり、ある場合には防衛水域なりマッカーサー・ラインなりというものに便乗しておるような筋も見えます。しかし最近は、これを平和ラインというふうに呼んでおつて一方においては魚族の保護ということを強く主張しておりますので、魚族の保護ならば、これは科学的の方法もあり、話しようによつていかようにもなるということを申しますと、いやそればかりではないのだ、密輸やその他いろいろの行為が後方で行われるのを防ぐために、韓国の平和を維持するための平和ラインである、こういうようなことを言う。そういうことは、たとえば戦争等を行つた場合の国際法上の海上の封鎖というようなことを行うなら、これはまたりくつに合うわけであります。ところがそうでなくして、普通の船は無害航行をやつておつて、ただ漁船についてのみ特別の措置をとろうとしておるので、いかなる根拠でやつておるか、実は捕捉に苦しんでおるわけであります。従いまして私が率直に申せば、はなはだ支離滅裂な主張であり、私にも的確なことはわからないのであります。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 今までの経過はよくわかりました。そこで事のついででありますから、お尋ねしておきたいと思いますのは、公海の線の問題については、これから予想されますことは、韓国との関係だけでなしに、たとえば濠州その他との問題におきましても起きて来る可能性があると思うのであります。そうしておそらくいずれの国も、場合によりましては強力なアメリカの宣言に便乗いたしまして、大陸だな宣言に右へならえということで出て来る可能性があると思います。吉田政府はこのアメリカの大陸だな宣言に対しまして、これを国際法上有効なものとお認めになつておるか、あるいはこれを認めない原則的な立場に立つておられるか、そのいずれであるかを明確にお答えをいただきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 この問題は、国際法の従来の慣習から言えば、認められない性質のものだと思いますが、国際法自体が常に変化といいますか、進展といいますか、いたしておりますから、国際法学者の多数の意見が結局通説になるわけでありまして、この点については、私はその時々の状況によつてあるいは違う場合があり得るかもしれないと思つておりますが、少くとも日本に関する限りは、魚族の保護等で相互に納得する措置を講ずる場合は別としまして、公海の自由ということについてこの原則は、どこの国も承認いたすべきものとかたく信じております。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 時間がありませんので、もう一点だけお尋ねして終りたいと思いますが、その前に、今の大陸だなの宣言は、アメリカの場合には地下資源を確保するというのが当面の目的であつたようですが、しかしそれは地下資源と限らないで、いわば領土権の拡張解釈の宣言であつたと思うのです。そうなると水中の魚族その他の資源に対しましても当然主権の行使を主張することに発展する可能性がありますので、その点につきましては、ひとつ今後の国際紛争の大きな問題になろうと思いますので、この次の外務委員会までにぜひ政府の解釈を明確にしておいていただきたいと希望を申し述べまして、最後の質問をいたします。  それは去る十九日の外務委員会におきまして、大臣は、平和的解決の希望が十分残されておる。従つてもうしばらく時期をかしてもらいたい、われわれを信頼しろというような御答弁をなさつて今日に至りましたが、事態はますます悪化しております。そして今伺いますと、同じような御答弁であつて、一体どういう対策をお考えになつておられるのか。先ほど来お話がありましたように、事実はもう深刻な既定事実ができている。従つてそれを解決するためにもうしばらく時期を貸してもらいたいというようなことで、しかもその対策の内容たるや、一歩も前進した答弁をいただかないようなことでは、われわれ委員会といたしましても、それで引下るわけにはいかぬのであります。従つてでき得べくんば、もう一歩進んで、一体どういう具体的な対策を今までとられたか、あるいはまたこれからとろうとするか。そうしてあらかじめお願いしたいことは、必ずしもそう行かなくても、政府側の見通しとしては、一体いつごろにこれを解決する見通しであるか、これをお尋ねいたします。  それから時間がありませんからついでにもう一問お尋ねしておきたいと思います。その具体的な方法につきまして、実は先ほどの木村保安庁長官の御答弁によりますと、同じ内閣でありますが、保安庁法六十五条を引用されまして、あたかも実力行使をもつてこの問題を解決するかのごとき御意見があつたのであります。岡崎大臣は今までそういうことは言つておられない。平和的解決の余地がある以上はあくまでそれで行くんだというのが今までの大体の御意見でありました。ところで今事態が深刻だというので、木村保安庁長官は、同じ内閣でありながら、この問題の解決は実力行使の問題も考える段階に至つたかのごとき御答弁があつたわけですが、その保安庁長官の御答弁に対しまして、今までお打合せがあつたのかどうか。あるいはまたそういう方法をとられることに対して、責任大臣であります岡崎外務大臣は、どういうふうにお考えになつているか。これを第二点としてお尋ねいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 政府としては、憲法の規定にもありますが、常に平和な解決方法を考えております。しかしながら平和の解決方法というのは、船が不法に捕われたときに、捕われつぱなしでいいという問題じやありませんので、自衛の措置ということも当然考慮されるべき問題であります。しかし平和でない解決方法を考えているという――私は平和的解決と言つているが、解決の見込ありと言つているが、ということは、つまり解決の見込みがなければほかの方法かとおつしやるのかもしれませんが、政府としては、あくまでも平和解決であります。ただ今申した通り自衛の措置ということは、平和の解決とちつとも矛盾しないものであり、また国として当然すべき場合があり得るのであります。やると今きめてはおりません。  なおいつ解決するかという見通しにつきましては、私は正直なところ、ただまいつということは申し上げられません。しかしながら政府があらゆる努力を払つていることだけははつきり申します。なお木村保安庁長官とは十分お打合せをいたしております。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 今の原則としては平和的方法によるが、場合によれば自衛権の行使としての実力行使をも考えられるような含みのある御答弁でございましたが、そうでありますならば、その段階に至つたと認識されるならば、今の日本の国際法上の立場から行けば、当然そういう不法な侵略または行為に対しましては、アメリカの駐留軍の実力行使を要望すべきだと思うのです。日本の保安庁法六十五条の非常な苦しい解釈をしないで、当然正面切つて、アメリカの駐留軍は一体何のためにいるのか、何のために安保条約を結んでいるのか、当然われわれは実力行使の場合におきましてはそういうふうに考えるわけですが、その問題に対して岡崎大臣の御答弁をもう一ぺん明確にしていただきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私は政府として、これは木村保安庁長官がここにおられますから僭越かもしれませんが、何も実力行使をしに行くという意味じやないのです。ただ不法に船が捕えられる場合には、これを保護するために適当な手段を講ずることがあり得るであろう。その場合どういう実際の手段になるか、それは別問題ですが、とにかく実力行使に出かけて行くという意味を言つておるのじやないのです。従いまして自衛の措置というのも、結局船がむやみに捕えられないような措置を考えるべきものである、こう考えております。

田口長治郎自由党

○田口委員長 今澄勇君。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 時間がないので岡崎さんに簡単にひとつお尋ねしたいと思いますが、第一番は、きようの閣議でこの李承晩ラインの問題について内閣の方針を定められたかどうか、いろいろ議論が出て、結論がもし出ておりましたならば、簡単にお答えを願いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 ただいま関係閣僚でいろいろ協議いたしております。まだ閣議に出て決定されるという段階まで参つておりません。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 私はかような重大な問題が、閣議でその根本的な立場がいまだきまらぬということは、まことに残念であると思います。各省にまたがつておる問題であるから、内閣は一日も早く閣議において根本方針をきめていただきたい。  第二点は、岡崎さんは会談をやる見込みがあると言われるが、それはこれまでのような全般的な日韓交渉をやられるか、漁業問題だけを切り離してお取扱いになりますか、方針をお伺いいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私は会談をやる見込みがあると言つたんじやないので、会談が全然見込みがないということではないというだけのことを申したのであります。積極的に会談をやるかどうかということを言つておるのではないのです。しかしほとんど見込みがあまりないようなところでもその道を十分検討してあらゆる方法を考えるべきであつて、その意味からいえば、会談はもう全然だめなんだといつて捨て去るべきものでもないという程度のことを申し上げたのであります。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 そういうお話はどうもまるきりはつきりしません。では具体的に聞きますが、これからの交渉なり日本のとる態度としては、きよう緒方副総理にも私聞きましたが、緒方副総理は、報復的な手段として朝鮮の日本にある公館の閉鎖、あるいは経済的な韓国に対する態度等も考えなければならぬという答えでありましたが、外務大臣として、さような韓国に対する公館閉鎖、経済的な問題も今考慮されておりますかどうか、お答えを願います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 韓国に対しては、その閉鎖の問題とは逆に、日本の公館を韓国に開くことを要請しております。この返事がいつ来ますか。これは昨年の四月に韓国の代表部をここに置くと同時に、日本の代表部を韓国に置くということに原則的には了解ができておるのですが、当時まだ戦闘中であり、かつ治安も十分でなし、避難民も非常に多い、家もないというような状況で、日本側の代表部はしばらく置くことを見合わせておいてくれというのを承諾して、今日に来たのであります。従いまして事新しい問題ではありませんが、ごく最近にさらに日本の代表部設置を先方に要請しておりますので、しばらく先方の出方を見たいと思つております。それからいろいろな報復措置とおつしやいますが、報復措置ばかりじやない。いろいろの問題については、私どもはもちろんあらゆる角度から検討いたしておりますが、まだ決定には至つておりません。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 そこで私は岡崎さんに、この委員会で、米国のあつせんで向うに拿捕された人々の調査もできないことはないというお答えでございましたが、外務省は、少くともこういう問題が起きたからには、外交手段で行くならば、日本の公館の開館を認めてくれないということになれば、こちらにある朝鮮の公館に対しては、日本政府はどうするか、経済的にはどうするか、在日朝鮮人の生活の援護を今日までいたしておるが、これらの問題をどうするか等々の問題を今検討中であるというお話でございますから、私は深くは追及しませんが、少くともそれらの問題が今日この委員会に報告できるくらいに政府が努力をいたしておらなければ、私は強力な現実の力の上においての解決ができない、外交交渉もできないと思う。そういうことになれば、ただいたずらに漁民が犠牲になつて、泣寝入りということに結論がなると思いますが、一体政府は米国に対してこの問題についてのあつせんを依頼されたのかどうか、なおまた米国に、今言つた向うに捕われている人間の安否並びにそれらのものをお尋ねになるならば、概略何日ぐらいたつたならば、それらの状況がわかるか、この二点についてお答えを願いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはただいま吉武君から船の名前等を伺いまして、先方に依頼するつもりでありますが、これははつきりわかるかどうか、とかくの返事は数日中にははつきりするだろう思います。今までわれわれは日韓間の交渉をいたしおつたのでありまして、それの決裂は見ましたけれども、それだからといつて、すぐアメリカなりその他の国に仲裁を求めるかどうか、その点はまだわれわれとしては決定いたしかねております。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 時間がないので、この一問でとどめます。抽象的な岡崎さんの答弁に、最後に具体的に一つだけ聞きますが、政府はどうしても解決ができなかつたときは、アメリカにたよるのか、それとも日本のみずからの力で解決をするのかというこの二点の方針のうち、政府はいずれをとるか、これは外務大臣としてお答えを願いたい。もう一つは朝鮮におけるわが国の公館を向うが許可しないでけとばした際は、外務省としては日本に駐在する朝鮮の公館については、何らかの処置をとるのかどうか、この二つの点については、抽象的でなくて具体的な御答弁を願いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私は原則的には、あくまでもほかの国にたよらないで、日本としてこの問題を解決すべく努力いたしたいと思つております。しかしながら、どうしてもこれが解決できないということが――時日をかければできるかもしれませんが、近き将来に見込みなしという場合には、他の方法も考えざるを得ないと思います。そうほおつておくわけにも参りません、なお、公館の問題は、先方の返事が来ましてから、はつきりした態度を示したいと思つております。ただいまそれについていろいろ議論をすることは、かえつておもしろくない結果になりはせぬかと思います。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 私はこれで質問をやめようと思いましたが、今の答弁を聞くと、現実に家族の者、それから中小漁業者等が、現在非常に不安と戦慄のうちに待つている事態について、私は政府として、責任ある外務大臣として、まことに不親切きわまるものであると思う。それならば聞きますが、外務省はそのように外交交渉を日本の自力でやるといつて続けておられるからには、その間のこれらの業者並びに家族の生活の援護等々の問題があるが、これらの問題は、他の経済閣僚とこれまで連携をとり、十分審議せられておりますかどうか。その点を具体的にお答えを願います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 その問題は農林省等で非常に憂慮しているようでありますが、ただいまのところまだ結論が出ていないと了解しております。

田口長治郎自由党

○田口委員長 北れい吉君。

北昤吉自由党(分)

○北委員 私は一点簡単に外務大臣に御質問いたします。岡崎外務大臣は大西洋憲章の公海の自由ということを申されましたが、大西洋憲章は十六年五月大西洋の洋上会談で行われたと思います。現に英米が発表しておりながら、われわれは二つのことについて蹂躪されております。たとえば戦勝国は領土を併合してはならぬ。それから領土の帰属の変更は住民の意思による――台湾の領土変更は人民の自由意思を問うておらない。沖繩やそれから小笠原島をとられたのも、戦勝国が領土的野心を持つたからである。ソ連が南樺太とそれから千島をとつたのも、大西洋憲章の蹂躪であります。しかるに日本の立場から、公海自由の原則を主張しているようでありますが、事実は、今日武器の発達やいろいろな関係で、公海の自由は各国とも蹂躪しておると私は考えます。すなわち三海里とか六海里以外、こう言うておるが、やはり隣接海域は自分の領土のごとく考えるような傾向があると思います。日米漁業条約しかり、大陸だなの線しかり、あるいは国民政府も何かやるといううわさがあつたようでありますが、公海自由の原則のみを一点ばりに主張することは、旧式の考えではなかろうかと思うのであります。ちよつとお答えを願います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 非常に学術的な御質問で、私に御満足行くような御答弁ができるかどうかわかりませんが、大西洋憲章、それから連合国宣言といいますか、あの趣旨に盛られておるのは、非常にへりくつではありますが、日本の場合につきましては盗取といいますか、掠奪とか、強奪とか、そういう名目をつけまして、領土の併合とかなんとかいうことではなくて、日本が無理やりに奪つたものをただ取返すのだというへりくつでやつておるように思います。  それから大陸だななどは、先ほどもお話がありましたように、地下の油の資源等を地上から掘つて行つて、だんだん中に入つて行くという問題に主としてなるのでありましてそれを今度は海の上にある真珠貝に援用したり、あるいは海の中を泳いでおる魚にまで援用するということは、私は国際法的にはまだどの学者も認めておらない議論だと考えております。従いまして、時がたてば、公海自由というような議論は旧式になる場合もあるかもしれません。これは学者の多数の意見によらざるを得ませんが、ただいまのところは、私はいまだ旧式な意見とは考えておりませんで、この主張は依然として続けるつもりでおります。

北昤吉自由党(分)

○北委員 公海の自由は、私は事実上、元の考え方と大分各国は違うように思つております。これは意見の相違であります。  それから、大西洋宣言を英米みずから蹂躪しておるということを私は申し上げましたが、岡崎外務大臣は、日本が盗み取つたなどということを言つております。カイロ宣言に、日本が貧欲によつて奪いとつた領土を返せということは、満州のことであります。また、戦争によつて奪い取つたものを返せというのは、十八年十一月であつたと思いますが、カイロ宣言にある言葉であります。大西洋宣言にはなかつたと思いますが、ちよつと御訂正を願いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 いや、私は大西洋宣言にあつたというのではありません。大西洋宣言の趣旨にあとでへりくつをつけて、日本の場合は領土の併合ではないので、そういう昔とつたものを取返すだけだといつて、領土の問題を主張して来た、こういうことを申し上げたのであります。

北昤吉自由党(分)

○北委員 よろしゆうございます。木村保安庁長官に対する質問は保留いたします。

田口長治郎自由党

○田口委員長 辻政信君。簡単にお願いいたします。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 岡崎外務大臣に簡単にお尋ねいたします。私はごく最近李承晩ラインを見て参りましたが、現地の実情は、先ほど参考人から申されたより、もつとはげしいものがあるという感じであります。それで、国際公法を無視しました無法者の相手に対していくら外交的な辞令でおやりになつても、ちよつと解決の見通しはないのではないか。それに対しまして、私が御参考までに申し上げておきたいことは、向う側の方に対して、こちらも吉田ラインを宣言されたならどうか。そしてそこを越える向うの漁船をこちらの監視船で連れて来る。そうして向うとある時期において交換する。これくらいのことはやらぬと、相手が相手でございますから、ほんとうにどうにもならぬ。向うが模範を示しておるのですから、こつちは悪くはありません。朝鮮がやつておる通り実行しても、これは少しも不法ではないと思います。それくらいの腹をきめてやらぬ限り、いつまでたつても解決できない。結局力のない漁民が、国家が決意を示さないために、泣寝入りをするという結果になりますから、なるべく早い時期に吉田ラインを宣言するよう、ぜひお願いしたい。

田口長治郎自由党

○田口委員長 外務大垣及び保安庁長官は、四時からどうしても行かなければならぬ事情があるようでございますから、大臣に対する質問はこの程度にとどめまして水産庁長官、大蔵省の柏木主計官、海上保安庁次長、救難部長、公安課長がお見えになつておりますから、その方面にひとつ質問をお願いしたいと思います。吉武惠市君。

吉武恵市自由党

○吉武委員 農林大臣がお見えになるものと思いましたが、いまだにお見えにならぬのは、はなはだ遺憾でございます。しかし時間がございませんし、そうも言つておられませんから、水産庁長官がお見えになつており、また大蔵当局も来ておられるようでありますから、一点お願いを申し上げ、お聞きしたいのは、今の拿捕された船員の生活保護の問題であります。すでに満州その他からまだ帰つておられない方の家族に対し、現在生活保護の道が開かれておる状況でございますし、今回の拿捕された船員及びその家族の生活というものは、御承知のようにこちらが不法行為をやつて捕われたのではない。正当なる権利を主張し、またそうしなければ食えない生活権の問題として出て、捕われたのであります。従つて政府としても、これを保護する責任が私はあると思う。その保護に欠くるところがあつて、その家族の生活が困るとするならば、これは政府においてその生活を見て行くという態度は、あつてしかるべきある。われわれとしてもまたその措置をとろうと思つておりますが、これらについてどういうお考えを持つておいでになるか、お尋ねをいたしたいのであります。

清井正水産庁長官

○清井説明員 ただいま御質問のありました点でございますが、この点は私もたびたび従前においても事情を伺つております。また先ほどもお話を十分お伺いしたわけであります。実情はまことにごもつともでありまして私どもといたしましては、韓国側に拿捕されました船舶及びその乗組員に対する措置といたしましては、水産庁といたしましてできるだけの措置をいたしたいと考えておるのであります。その他いろいろの問題もあろうかと思いますが、まず私どもといたしましては、できることから先にどんどんやつて行くということでやつて参りたいと思います。この点は大蔵省ともすでに話を開始いたしておるのであります。具体的なことにつきましては、今ただちに御返事申し上げる用意はございませんが、この問題についても真剣に考えておるということを、お答え申し上げたいと思います。

吉武恵市自由党

○吉武委員 私も時間もございませんから、くどいお尋ねはやめます。御考慮になつておるということですから、けつこうでございますが、当委員会といたしましても、よりより各派超越をいたしましてこの問題はひとつ超党派的にやろうという決意を固めておる次第でございますので、大蔵当局におきましても、十分御考慮いただきたい点を申し上げまして、私の質問を打切ります。

田口長治郎自由党

○田口委員長 辻原弘市君。

辻原弘市日本社会党(左)

○辻原委員 私も保安庁長官にお伺いしたがつたのでありますが、時間がなかつたので、簡単に質問したいと思います。  まず水産庁長官に対しましてお尋ねいたしますが、先ほどから質疑の間に出ておりますように、この問題につきましては、一つは、ただいま抑留されておる漁民の人々に対する保護、補償の問題と、いま一つは、今後の漁業問題に最も重要な済州島周辺における漁権の確保という二つになつておると思うのであります。全般的な外交問題なり、これを解決する手段方法等につきましては、先ほどの二人の大臣の話で政府の考え方の外貌が一応わかつたわけですが、現在拿捕せられている人々に対する補償の具体策について、あまり詳細は時間がないようでありまするが、最も基本であるこれら漁業者の人人の当面の生活保障について、同時に今後これら漁船の代船建設についての見返りの補償等について、現在どのように具体的に考えておるか、この点をまずお伺いいたしたい。

清井正水産庁長官

○清井説明員 この点はただいまも御質問を受けたのでございますが、具体的に今ただちにこうしたいということを申し上げられないのははなはだ残念でありますけれども、当該の捕獲されたる漁船、並びに乗組員に対する措置につきましては、できるだけのことをいたしたいと思つておるのであります。事務的に目下大蔵省とも話を開始いたしておるような状況でございますので、他日また具体的なお話を申し上げる機会もあろうかと思うのでございますが、とにかく私どもといたしましては、事務的に何とかこの被害者に対して措置をいたしたいと考えておる次第であります。  また代船建造の問題につきましても同様でありまして、これは一定の金融わくをつける等の措置を講ずるとか、あるいはその他いろいろの措置があろうかと思うのであります。いずれにしろ乗組員の残つておる家族に対する措置、並びに代船建造に対する措置につきましては、関係当局とも相談いたしまして、できるだけ早く具体的な措置を講じたいと思つておりまして、目下相談をいたしておる最中であります。

辻原弘市日本社会党(左)

○辻原委員 具体策は聞けなかつたのでありまするが、ただ私は考えの基本といたしまして、この済州島周辺における漁業権は、これはただいま復活をしているわが国の沿岸漁業にとつてはきわめて重要な位置を占めておることは、私が申し上げるまでもないと思いますが、さような見地に立つて現在私たちのいる周辺の漁民の人たちの声をもつてしますならば、たとい向うがどのような暴挙に出ても、少くとも明年の漁期には多少の危険を冒してでもこの周辺に対する出漁を強行しなければならぬということを言つておる。私はこの言葉をもつてしても、いかにこの周辺における漁業権の確保という問題が、漁民の人々にとつて重要な問題であるか、身に切実に感じている問題であるかとうことがうかがえるのでありますが、かような悲壮な決意をもつてしてまでも操業をしたいというこの漁民の人々に報いるには、もちろん根本的な解決は、これは当然やらなくてはなりませんけれども、当面少くとも現在拿捕されている、あるいは残された人々の補償を万全にして、しかも将来かような不測な事態が解決いたしまして、その折再びこのような問題が起るといたしましても、必ずそれらに対する補償は全面的に政府がやるのだということをはつきりいたしておかなければ、将来どのような方向から再びこのような領海問題、漁業権の問題が起つて来るかも私ははかり知れないと思う。日本は今日そのような国際的な立場に置かれておる。従つて簡単に事務的に、従来いろいろな方法がありますが、そういうふうな観点でもつてこれを処理することにおいては、せつかく沿海から遠洋へというふうにだんだん出て行こうという意欲に燃えている漁民の方々の、操業意欲というものを減退するおそれがある。さような立場からも、これは若干角度は違いますけれども、何とか早急にその具体策を示して、せめても外交問題――先ほど志賀さんの方からもお話がありましたが、やはり政府の失態であるというふうに考えるのでありますが、それをこの補償の面だけでもすみやかに樹立して、そして漁民に一つの安堵感を与えるということは、きわめて政治的にも重要な問題であると思います。また今後の漁業全般の問題についても、かえてはならぬ点であると思いますので、今述べられたようなこれから具体策を考えるというふうなことではなくして、先手を打つて、かくかくのことを政府はやるのだからせめても安堵をしてくれという、そうした態度を、この際私は示していただきたいことを特にお願い申し上げまして、時間が、ざいませんので私は質問を終ります。

田口長治郎自由党

○田口委員長 今澄勇君。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 私は清井長官がここに見えるけれども、水産庁がこれらの家族なり漁業会社を守りたいということは、所管官庁として私よくお気持がわかるのでございます。だから私は水産庁の長官が努力を払つておるであろうということを認めますが、いくら水産庁でがんばつても、大蔵省が出してくれなければこれはどうにもならぬので、大蔵省の方が見えておられましたならばお伺いしますが、大蔵省は今度の補正予算の中に、これらの李承晩ラインに関する遭難漁船並びに乗組員の救済に関する費目を計上せられておるかどうか、さらに計上するとすれば、どういうものを基準として計上しておるか、ここでお答えを願いたいと思います。

柏木雄介大蔵事務官(主計官)

○柏木説明員 お答えいたします。昨日来水産庁から話がございまして、私の方でよく御相談申し上げたのでございますが、そういう状況でありますので、このたび提出いたします補正予算には目下のところ計上しておらないのでありますが、必要な経費につきましては追つて予備費等に上りまして善処いたしたいと思います。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 これらの予算については予算委員会で私担当大臣にお伺いをしますが、一言あなたに伺いたいのは、こういう重大な漁業問題を、――大臣も来てすぐ帰る、しかも大蔵省は担当の局長も来ないというようなことで、私はまことに政府はこれらの漁業会社、乗組員の救済については冷淡そのものであると思う。漠然と、必要経費がいれば何とか考えます、補正予算には上せておりませんというような答弁では、私は当水産委員会としてはおそらく了承することができない。そこで私ども、もとより予算委員会においてはわれわれ議員において予算を修正いたしますが、大体適当な処置といえば緊急融資ということになるが、当面の拿捕せられた四十一隻、向うに抑留せられておる四百八十数名の人、その損害は漁船、漁網、機具その他を含めて百三十億といわれておるのでありますが、これらは保険その他の問題もあるので、大体の目安としては、緊急融資を一体やられる見通しがあるかどうか。もし緊急融資をするとすれば、どの程度の金額をお考えになつておられるか、あなた事務当局の担当官として、ひとつ率直にここで意見を述べておいていただきたいと思います。

柏木雄介大蔵事務官(主計官)

○相木説明員 実は水産庁の方から数字の話は伺つておりませんが、そういういろいろな問題があるということだけ伺つておりますので、追つて水産庁の方ともよく御相談して善処いたしたいと思います。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 私はそれでは水産庁長官に聞かなければならぬのですが、水産庁は歴然として数字も上つておるし、その損害額もわかつておるのに、漠然と交渉なさつたつて、それはとても金額は出ないのであるが、具体的な数字をあげて、なぜ清井長官は大蔵省に御交渉なさらなかつたか、ちよつとその間の事情を御説明願います。

清井正水産庁長官

○清井説明員 私どもとしましては、水産庁の立場といたしまして被害を受けた乗組員並びにその船舶に対しまして、できるだけの措置をいたしたいというふうに考えておるのであります。ただ問題はこの数字の算出でございますが、これは被害額は百三十億に及び、その他の要素もわかつておりますけれども、実際予算を組む場合におきましては、いろいろな考慮を払わなければならぬ等の事情がありましたので、まだ残念ながら具体的な数字を大蔵省に交渉する段階に至らなかつたことは、はなはだ私どもとしまして遺憾に考えておるのであります。しかしながら従前におきましては、日韓会談の再開がございましたので、何とかその会談において適当な結論を見出したいというところに考えを進めておつたのでりましたが、たまたま階段が決裂になりましたので、急遽この問題につきましても、具体的に措置を進めて行かなければならぬということになりましたので、実は数字の積算が遅れておつたような事情でありますことを、御了承願いたいと思います。私どもとしましては、事情きわめて緊切なものがございますので、すみやかに積算をいたしまして、大蔵省当局とも話をいたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 私は、当委員会で質疑応答をして、水産庁がこれまで数字を出していなかつたということがわかつただけでも、当水産委員会としては一つの収穫というような情ない状態では、どうにもならぬと思います。私どもも具体的な数字の基礎を持つて、実はきよう大蔵大臣にお伺いをして、いろいろその計算の根拠も話しておきましたが、どうか水産庁もこれらの家族の現状に思いをいたして、ひとつ具体的な数字をあげて、誠意ある態度をもつて本問題を処理いたされんことを水産庁長官に希望して、本日はこの程度でやめます。     ―――――――――――――

鈴木善幸自由党

○鈴木(善)委員 私は、日韓漁業問題の急迫せる事態に対処いたしましてわが漁業権益を確保するとともに、関係漁民に対するところの救済の措置をすみやかに講じまするために、ここに委員会において決議をいたし、政府に対しこれが実施を強く要求いたしたいと存ずるものでありまして、ここに動議を提出いたしたいと存じます。まず決議の案文を朗読いたします。  一、拿捕抑留中の乗組員及び漁船の即時釈放返還に関し必要なる措置を講ずること。  二、今後における漁場の安全を確保し事故を未然に防止すること。  三、留守家族及び遺族の生活援護に必要な措置を講ずること。  四、特殊漁船損害補償制度並びに乗組員給与保険制度の改善を図ること。  五、漁船建造借入金の償還並びに金利等につき特別の措置を講ずると共に特殊漁船損害補償法並びに乗組員給与保険法に未加入の者についても所要の救済措置を講ずること。  以上でありますが、私は本問題の重大性にかんがみまして、党派を越えて満場一致をもつて委員各位の御賛同を希望する次第であります。

田口長治郎自由党

○田口委員長 ただいまの鈴木君の動議に対し、何か御意見があればこれを許します。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 私は社会党を代表いたしまして、一言この決議に対して希望意見を申し述べたいと存じます。問題は二点ございます。全体としては御趣旨賛成でありますが、特に申し上げたいのは記載中の第二でございまして、「今後における漁場の安全を確保し事故を未然に防止すること。」とありますが、その未然に防止する方法が問題になろうと存じます。先ほど来政府の両大臣のお話を伺いましてもはなはだ漠然といたしまして、特に木村保安庁長官の御意見によりますと、場合によれば実力行使をも辞せないというふうな示唆を含んだ御答弁がございまして、われわれははなはだ憂慮するものでございます。特に今までアメリカが日本に対しまして、内政干渉に及ぶようないろいろなさしずまでしておきながら、この韓国問題に対しましてまるで傍観の態度をとつておるのであります。こういうようないろいろ国際外交的にデリケートな段階にありますときに、この漁業問題を解決するのに、今まで外務大臣自身も平和的解決の余地が残されておると言い、そしてまた国際的にも日本の国際法上の立場を受けますならば、国際平和的な解決の交渉の余地が残されておる。それがなくなつた場合におきましても、日本政府の活動として実力をもつてこれを除外するということではなくて、やはり最後のやむを得ざる段階におきましては、今の国際法上合法な手段でありますアメリカ駐留軍がその任に当るべきが当然であると思う。従つて現在の段階におきましては「今後における……」の文章の中にその、誤解を避けるために「今後あらゆる平和的手段をもつて漁場の安全を確保し事故を未然に防止すること。」というふうに明確に書きかえていただきたいという点が第一点であります。  もう一点は、先ほど漁業家または漁民に対する対策の中で、代船建造に対する特別措置のお話がありましたが、見受けますと、一項目から五項目の間でこれが一体どこに入るのか、ちよつとはずれておるようにも思いますので、その点をもう少し明確化していただきたい。どの項目の中に入れるにいたしましても、あるいはまた一項目別にしていただいてもけつこうでありますが、代船建造に対する政府の特別融資の問題なり、あるいは措置の問題を要望事項の中に加えていただくことをお願いいたしたいと思います。

中村庸一郎改進党

○中村(庸)委員 第二項の問題でありますが、事故を未然に防止しますのは当然のことでありますので、決議といたしましてはこの程度でさしつかえないと私は考えます。  それから代船建造の問題は、これはまたいろいろな場合も起り得ると思いますが、大体この李ラインの日韓紛争問題について政府を鞭励しまする決議としましては、本案しごく適当と考えますので、賛意を表するものであります。

田口長治郎自由党

○田口委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕

田口長治郎自由党

○田口委員長 速記を始めて。

鈴木善幸自由党

○鈴木(善)委員 決議案文の第二項につきまして、社会党左派の委員の諸君からいろいろ御質問、御意見がございましたが、私がここに提案いたしました趣旨は、もとより憲法のわく内におきましてあらゆる手段を尽して、そして今後における漁場の安全を確保し、事故を未然に防止したい、こういう趣旨でございますから御了承を願いたいと存じます。

辻原弘市日本社会党(左)

○辻原委員 修正意見を出したいと思います。ただいま提案せられました決議案文の第二項、「今後における漁場の安全を確保し」云々を、「今後あらゆる平和的手段をもつて漁場の安全を確保し」というように修正をしたいと思います。  修正の趣旨を簡単に申し上げたいと思います。ただいま提案者の説明がありまして、一応この第二項の問題についての手段方法としては、憲法のわく内であるというそういう御説明があつたのでありますけれども、先般来からのこの問題に対するいろいろな論議なり、また本日木村保安庁長官の答弁等から考えますに、この第二項における手段方法はあくまでも平和的手段を通じて行うという趣旨からはみ出て、最後には実力行使をも考えている向きの発言あるいはそうした御意見がありましたことは事実であります。従つて私たちも、漁場の安全を確保し、事故を未然に防止するということにはまつたく賛成でありますけれども、その手段方法が少くとも現在の憲法のわく内においては、あくまで武力行使、実力行使というものを背景にしない平和的手段で貫かれておる、そういう考えでおりますので、この点、先ほどから再三再四にわたりましてこの問題につきましていろいろ意見を交換した際に、明確に平和的手段をもつてやるということをこの決議案文の中に盛つていただきたいということを申し上げましたけれども、しかし最後まで平和的手段という問題につきましては反対をされました。ここにわれわれとしては、ただいまの憲法の建前からいたしましても、また実際問題としてこの紛争を解決いたすにつきましても、いかなる立場に立ち至りましようとも、実力行使をもつて事の解決に臨むということは、これは将来にわたり漁業権の確保にもならなければ、そのことがひいてはあるいは不測の事態に立ち至らぬとも予測しがたい問題でありますので、そういう考え方によつてうたわれたところの第二項につきましては、これは原案をそのまま承認賛成することはできがたいのでありまして、従つて、ここに本文の中に平和的手段というものを明記いたしたいと考えるためにただいま修正意見を提出した次第でございます。

田口長治郎自由党

○田口委員長 お諮りいたします。討論を省略しただちに採決することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田口長治郎自由党

○田口委員長 御異議ないようでありますからただちに採決いたします。  まず辻原委員の修正動議につきまして賛成の方の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

田口長治郎自由党

○田口委員長 起立少数。よつて辻原委員の動議は否決されました。  次に、鈴木君の動議につきまして採決いたします。賛成の方の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

田口長治郎自由党

○田口委員長 賛成多数。よつて鈴木君の動議は可決せられました。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後六時十三分散会

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