水産委員会 第26号
- 発言数
- 43 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/09/14
会議録
○田口委員長 これより会議を開きます。 本日の政府出席者は、外務省アジア局長、保安庁前田政務次官、海上保安庁長官山口博君、高見公安課長、農林省水産庁長官清井正君。外務大臣及び農林大臣は午後出席になると考えるのでございます。 この際お諮りいたします。本日は先般来重大問題となつております、朝鮮半島周辺の公海、いわゆる李承晩ライン内における日本漁船の立入り禁止並びに漁船の拿捕問題について調査を進めたいと存じます。つきましては、本日長崎県県議会水産委員長早稻田要衝君、鹿児島県県議会水産委員長地福馨君、佐賀県県議会水産委員長加茂茂八郎、福岡県ハネ釣漁業協同組合長徳島岩吉君の四名がお見えになつておりますので、以上の方々を参考人に選定し、本問題について現地の実情並びに御意見等を承りたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田口委員長 異議なしと認め、さように決定いたします。 —————————————
○田口委員長 本日の議事の進め方といたしましては、まず政府当局より従来のいきさつについて説明を聴取し、しかる後参考人各位よりそれぞれ現地の実情なり意見を承つた後、政府並びに参考人に対する質疑に入りたいと存じます。 それではまず農林省より説明を求めます。水産庁長官清井正君。
○清井説明員 私より朝鮮水域におきます、現地に発生しております問題について、水産庁の立場としての重要事項についてお話申し上げたいと思うのであります。なお現海上におきます保護、取締り等につきましては、私の方は海上保安庁と密接なる連絡を保ち、海上保安庁の巡視船は、現地においてもつぱら漁船の保護、指導に当つておりますので、その間の事情の詳細は、海上保安庁長官より御説明を願うことにいたしまして、私は主として水産関係方面について一応御説明申し上げたいと思う次第であります。 事の起りは、すでに新聞紙上等において伝えられました通りでございますが、まず九月七日の一時ごろ、二隻の船が拿捕されたのであります。それは第一大福丸と申す約四十二トンのさばつり船であります。それから第二億島丸という六十四トンのさばつり船でありますが、韓國の艦艇により拿捕されまして、巨文島から釜山に向け連行されているという通報がありましたきり、その後の情報はございません。ついで同日の五時四十五分、二百四十三区、すなわち済州島の東方海上でございますが、において水産庁の監視船第一成洋丸が韓國艦艇より、七日の二十四時を期して李ライン内の日本漁船を、たとい武力によつても退去せしめることになつているから、この旨日本漁船に連絡されたいという警告を受けましたのが最初でございます。その際私どもの船に乗つております監督官から、かかることは韓國の一方的決定であつて、それには絶対承服できないという旨をはつきりと回答いたしておつたのであります。それが事の発端でございまして、爾来同海上におきましていろいろの事態が発生いたしたのであります。拿捕はございませんが、韓國艦艇あるいは警備船より、当方面に操業しております日本の漁船がたびたび臨検、警告を受けて、李承晩ライン外に退去を求められておるような次第であります。また海上保安庁の巡視船及び水産庁の監視船もたびたび韓國の艦艇と連絡をいたしまして、種々会談を遂げておるのであります。この詳細につきましては、保安庁より御説明があるものと思うのであります。 次いで、九月七日の二十四時を期しという当初の話が、十日の二十四時ということに延期を見たのでありまして、十日の二十四時、すなわち十一日の午前零時を期して日本漁船が全部李ライン外に退去せしめられざるを得ないというようなことに相なつたのであります。その後の状況といたしましては、同方面におきます漁船は、大部分のものは退去をいたしておりまして、ごくわずかな船が、いわゆる李ラインの線上、あるいはその付近において操業しておるのが認められるというような程度であるのであります。私の方に入りました最近の情報によりましても、去る九月十二日の午前四時でございますが、農林漁区の二百五十四区においてさばづり漁船が約三十隻、二百五十三区において数隻が認められ、またおおむね李ラインの付近において約百隻の漁船が認められた、こういう情報も入つておるのであります。また九月十二日分土曜日の夕方におきましても、約五十隻程度のまき網及びつり船が操業いたし、二百三十四区の李ライン付近において約百隻の漁船がおるという情報が入つておるのであります。その他はおおむね退避をしておるという状況であるように思います。昨日の九月十三日の昼ごろのニユースといたしましては、現地は非常にしけておりまして、天候が悪いため、大部分の漁船は長崎方面に避難をしておる模様であるが、ごく一部が散在をしておる、こういうような報告が現地で保護、指導に当つております船から入つておる、こういう状況であります。御承知の通り当海域は、さば及び底びきの最も重要な海域であり、特に最近はさばの一本づり及びまき網の重要な漁場であるのであります。しかも本年中期におきますさばは、一時非常に漁獲の成績が悪かつたのでありますが、最近特に成績が出始めまして、関係の漁業者が愁眉を開いて、これならやつて行けるといつて、大いに気が乗つたところに今回の措置にあつたわけであります。もしもこのままにおいて、当漁場において漁業ができないということになりますれば、当面の問題としては、さばつり船及びまき網漁業に及ぼす漁業上の損害は実にはかり知るべからざる点があるというふうに考えられるのであります。またやがては当海域においては底びき漁業が始まるのでありまして、またそういう方面まで影響を及ぼすというようなことがありましたならば、実に重大な問題であると私は考えるのであります。しかも特に最近さば船の出漁いたしております海域と申しますか、そこに出漁いたします漁船は数百隻と思いますが、おそらくその関係県は関東以西の太平洋沿岸すべてでありまして、千葉、東京、神奈川、静岡より逐次西に及びまして、九州及び山陰地方、おそらく関東以西の太平洋沿岸すべてが当方面に出漁いたしておるのであります。関係いたします県及び関係の漁業者及びそれによつて及ぼされる損害の金額等、実に莫大なるものがあると私は考えておる状況であります。また底びき等につきましても、今後重要なる問題を及ぼすことも予見せられるのであります。当海域におきます漁業の実態及び最近とられておりますところの韓國側の措置につきまして、私ども水産庁の立場といたしましても、きわめて重大なる関心を持つておるのであります。すでにお話申し上げた通り、当海域にはただいま第一成洋丸、第八あけぼの丸及び第三利丸と申します私どもの方の監視船を三隻派遣いたしておるのであります。済州島方面のさば漁場周辺に出ております海上保安庁の巡視船とともに、もつぱら現地におきます漁船の保護に任じて、遺憾なきを期しておるのであります。特に私どもの方から、李ライン内におきまして一隻たりとも漁船がある以上は、最後まで現海域に居残つて、わが国の漁船の保護、指導に当るようにということを、厳重に指令を発しておるのでありまして、現地におきましては、それぞれの任務の遂行に万全を期しておるものと私は考えておる次第でございます。 なお海上保安庁との連絡はむろんでございますが、さらに外務省方面との連絡につきましても、連日外務省当局と連絡をとりまして、その方面の措置につきましても、遺憾なきを期しておるのであります。御承知の通り、先般外務省より李ラインの問題及び拿捕船の即時返還あるいは損害賠償等の問題につきまして、韓國の方面に厳重なる抗議を提出いたしたことは御承知の通りであります。その他必要なる措置につきましては、何とかして具体的にすみやかな措置をとりまして、一刻も早く該海域におきまして、円滑に安全に操業ができるようにいたしたいものと、私は念願いたしておるのでありまして、目下及ばずながら全力を振つて努力している最中でございます。 簡単でありますが、一応御報告申し上げます。
○田口委員長 次に漁船の保護取締りにつきまして、海上保安庁長官の御説明を求ます。山口傳君。
○山口説明員 ただいま水産庁の方から御報告がございましたが、今回の問題について、当該海域における漁船の保護を担当しております海上保安庁といたしまして、事件発生以来の経過の概要を御説明いたしたいと思います。 まず、最初に本年八月までの事件の発生状況でございますが、朝鮮海域におきましては、本年に入りましてから、八月の末、すなわち今回の事件の発生前までに、韓國側によつて拿捕された隻数は四隻でございます。そのうち二隻は帰つて参りましたが、現在のところ二隻未帰還ということになつております。この拿捕のほかに臨検、追跡等に類する事件は、八月末までに計三十三件発生しておりました。四月から八月までの間の拿捕の事件はございませんで、臨検等の事件がわずかに四件発生しておつたのであります。すなわち本年の四月から八月までの間は、かなり小康を得ておつたと申し上げられるのでございます。 次に国連軍が八月の二十七日に防衛海域停止の宣言をされましたが、それ以後の状況につきまして御説明をいたします。八月二十七日に防衛水域の実施が停止されましたことが声明されまして、日本の水産業の発展のために非常に喜んでおりましたところ、韓國政府におきましては、この措置に対しまして国連軍事当局に抗議をいたしまするとともに、いわゆる李ライン水域の保護のために、実力によつて警備するなどの声明をしばしば行つたのであります。海上保安庁といたしましては、同方面に行動中の巡視船に対しまして、厳重なる警戒を指示し、あわせて操業中の日本漁船に対しましても、かような空気のあることを申し伝えて注意を喚起しておつたところでありまするが、九月に入りまして韓國側は、艦艇十数隻により濟州島周辺海域の厳重な警備を行いまして、操業中の日本漁船を、ただいま水産庁長官の方からお話がありましたように、李承晩ライン外へ一斉に退去せしめるという措置を講じたのであります。そのために現在、すなわち九月十四日午前八時までに海上保安庁に判明いたしておりますもののみ統計をとりますと、九月に入りましてからの拿捕三隻、うち一隻はちよつと不確実でありますが、多分三隻だろうと思います。二隻につきましてははつきりいたしておりまして、先ほどのお話のように、すでにこの件につきましての申入れはいたしてあるわけでありますが、なおそのほかに不確実なるもの一隻あるように思います。そのほかに臨検、退去の警告を受けましたものは五十九隻に達しておるわけであります。 かような状況に相なりまして、海上保安庁としてとりました措置につきまして以下御説明申し上げます。海上保安庁の従来の当該水域における警備の状況は、所有巡視船の弱勢のために、昨年九月から一隻ないし二隻程度配置しておるのが実情であつたわけであります。すなわち昨年の五月の閣議決定に基きまして、東支那海水域、朝鮮海峡、北方水域、これらに襲撃、拿捕の不詳事件が発生いたしますので、このために日本漁船の保護の意味をもちまして、海上保安庁の巡視船をこれらの水域にそれぞれ警備に出すということになりまして、その決定に基きまして、新鋭の巡視船を、東支那海には常時二隻、このたびの事件を起しました朝鮮海峡方面に一隻ないし二隻、北方に二隻、これらのものを常時該海域にパトロールに出す、いわゆる特別哨戒と申しておりますが、ずつとさような態勢をとつて参つたのであります。これらはもちろん現地においては、水産庁の監視船とも協力して、拿捕その他の事件の発生の未然の防止に努めていたのでありますが、今回の一斉取締りによりまして、拿捕、臨検等の事件が頻発いたしますので、ただちに巡視船を総動員いたしまして、ただいまのところ海上保安庁の巡視船は全部で五隻、水産庁関係は三隻、先ほどお話がありましたように、これらが相協力いたしまして、拿捕及び紛争の防止に努めますとともに、なおもよりの基地に巡視船三隻を即時対応の姿勢で待機させておりまして、今後の事態の推移に備えておるのであります。これらの巡視船は、現場におきまして操業中の日本漁船に対しましては、韓國艦艇の動向等を周知せしめて、拿捕等の危険防止に注意いたしますほか、これらの巡視船のうち、ながら、くさかき、へくら、あまくさ等は、韓國艦艇とも再三接触いたしまして、その都度相手の艦長に対し、いわゆる李承晩ラインは不法なものである、日本漁船に対する退去措置は不当な措置であること、及び正当に操業する日本漁船に対する生命財産を尊重するよう、厳重に申し入れておりますとともに、また臨検や連行途中にある日本漁船の釈放を要求し、これを釈放せしめる等、できる限り直接交渉に努めまして操業の維持に努めておるのであります。一方韓國側は、当初は期限付をもつて日本漁船を拿捕する等の強硬な方針をとつている模様でありましたが、最近の巡視船からの報告によりますと、韓國側は、あくまで日本漁船の李承晩ライン外への退去措置をとるが、漁船が抵抗しない限り、銃砲撃等はいたさない、また拿捕もしないが、但し一回退去命令を受けまして再侵入したものは、抵抗したものとみなして連行する方針の模様であります。その際の証拠にするためと思いますが、退去を警告した漁船からは誓約書をとつている模様であります。また韓國軍艦の艦長は、日本漁船を李承晩ライン外に退去せしめるのは、共産分子の侵入を防止するためであるとも申しております。 次に同方面における出漁の状況についてでありますが、韓國側が一斉に退去措置を講じ始めました九月七日ごろは、同海域内におきましては、三百隻以上の日本漁船が操業していたものと思われるのでありますが、これらの退去措置のために続々退避を始めた模様でありまして、巡視船からの情報によりますると、八日の夜は李承晩ライン内に約二百隻、九日の夜は百隻、十日の夜は三十隻、十一の夜はライン内にほとんどなく、ライン外側に約百隻、十二日夜はライン内に約三十隻、ライン外に約百五十隻、十三日から十四日未明にかけましては、ほとんど出漁船の姿を見かけないとの報告が入つておるのであります。これは、昨日来同方面海域の天候が相当悪化しておりまして、十二メーターないし十五メーターの風が吹いておりまして、漁船は五島列島方面に避難している模様であります。しかしながら韓國艦艇は、依然として十数隻が同方面海域を遊弋して、警備を続行いたしており、退去措置を講じておりますので、同海域内の操業は今後事実上不可能な状態に立至つている状況であります。当庁といたしましては、今後も状況の許す限り、引続き巡視船を行動せしめまして、でき得る限り操業の維持に努めまするとともに、拿捕及び紛争の防止に努力する考えでおります。 なおそのほか海上保安庁としてとりました措置について若干御説明いたします。巡視船に対しましては、韓國艦艇との紛争はでき得る限り避けるよう指示しておりますが、これら艦艇から不法に臨検または退去命令を受けるようなことが予想されますので、かかる場合にはその日時、位置及び理由等を記載し、相手側の艦長から署名をしてもらつた文書を要求するよう指示しております。また操業中の漁船に対しましても、最後までがんばるのでありまするが、最悪の事態に立ち至つた場合には、少くとも巡視船と同様、この点は水産庁とも協議をいたしまして、できる限り同様な措置で、文書によつて証拠書類をとつて来るよう指示をいたしておるのであります。 以上が九月七日以後本日の午前八時までの大体の経過でございます。
○中村(庸)委員 議事進行について……。本日のこの委員会というものは、天下注視のうちに開かれておると私は考える。また昨日の懇談会におきましても、何らきめ手がないのだ、しかるがゆえにいかんともすべからざる状態にあるのだという説明を伺つておるのであります。しかしてまたこの問題解決に対してアメリカの介入も希望するのだ。輿論の喚起も大いに努めるのだ。本委員会において外務大臣の出席もなければ、保安庁長官の出席もない。委員会軽視の問題は重大な問題だろうと思う。私はこの際外務大臣の出席を要求し、天下にこれを訴え、わが国の輿論の喚起に努めなければならぬと思う。この委員会を休憩しても私はさしつかえないと思う。外務大臣、保安庁長官がすべて出席されて、意義あるこの委員会の進行をされんことを、議事進行として緊急質問をいたしたい。
○田口委員長 委員長から、中村庸一郎君の質問に対してお答えいたします。委員長も、今日の会議には外務大臣の出席を強く要望し、実現させなければならぬと考えておつたのでございますが、外務大臣は今ちようど宮中に行つておられます。午後一時から外務大臣が出席されるので、説明はむしろ直接に仕事に当つておられる方に説明を願つて、真相をつかんで、しかる後に大臣と質疑応答をされたらどうか、こういう意味で、宮中に行つておられるから、やむを得ず午後一時から来ることにしていただきます。御了承を願いたい。
○辻(文)委員 関連して……。委員長のお話はよくわかります。わかりますが、大体中村さんのお話のように、一昨日の協議会でも、業者が崔総領事、リチャード・H・ラム二等書記官など各方面へ面接した結果の実状は、十分その席に出席していた委員は心得ております。同時にけさの朝日新聞には三期にわけて、どういう理由でどんなことをしておるか、あるいは今保安庁の所管の方がおつしやつたようなことも大体これに載つております。で、調べておいでになる方は御存じだと思いますけれども、さらにそれを集約して、なるべく短期間で実際にその方々から御説明を受けるということはけつこうだと思います。けつこうだと思うけれども、今度は逆に、もうすでに参議院の方でも外務大臣自体が出席して説明しておる、そういう段階でありますので、衆議院の方は遅れて水産委員会を開いておるような現状でございますこれは御承知の通りです。ですからこういうのは時機でありますし、今後私の方がどんな方面にどう働いて、どんなに武力を使わずにやることが至難であるか、その至難であるのをどう切り開いて、委員会の権威において、各方面に働きかけるかが重大な場合でありますので、やはり中村委員の御要望の通りに、午後でも必ず外務大臣が出席する、あるいは保安庁長官が出席する、かようなことを確実にここで委員長はお約束できるように連絡をとつていただきたいことを要望いたします。
○田口委員長 承知いたしました。 次に、外務省の立場から本問題に対する御説明を求めます。倭島アジア局長。
○倭島説明員 ちよつと遅れて出席しましたので、今実情の御説明があつたのを全部聞かなかつたのですが、大体現在までの現場の実情は御説明があつたかと存じます。なお今外務大臣の出席のことにつきましては、委員長からも重ねて御要求がありましたので、今さらに大臣と連絡をしております。従つて私から説明をし得る範囲のことを説明申し上げたいと存じます。 九月七日以来李承晩ラインというものについての強硬措置といいますか、韓国側が日本船を拿捕してもその実績をあげるというかつこうに出て来たことは、すでに御存じの通りでありますが、この李承晩ラインというものにつきまして、外務省の従来とつて参りました立場を一応御説明申し上げたいと思います。これが昨年の一月の十八日に宣言をした。その宣言をした経緯にもう一回立ち返つて御説明をしたいと思いますが、御存じの通り、韓國が独立をするということが平和条約にあり、韓國とは独立国としての朝鮮であります。朝鮮とわが国との関係を平常下といいますか、普通の国交関係に置くということを目的といたしまして、日韓会談というものを一昨年の秋ごろから計画をいたしました。昨年春ごろには、大体どういう問題があるかということを、これは一般にはわかつておつたのでありますが、準備をしておつた。そのときに漁業問題というものももちろん一つの議題であつたわけであります。その漁業問題というものが昨年の春の日韓会談に上程されるということを見越した措置と、われわれ考えざるを得ないのでありますが、一月の十八日にいわゆる李承晩ラインというものを宣言したわけであります。この李承晩ラインについては、いろいろ内容はございますけれども、これは国際慣習あるいはほかの国の先例だとか慣習にのつとつたということを理由にして、これを宣言したのでありますが、実は国際慣習なり先例を故意にごちやまぜにして誤解した点もございますし、故意にこれを曲げて宣言した点もありますが、詳しい内容については今立ち入ることは略しますけれども、要するに李承晩ラインというものは、従来確立された国際法の慣習でもございません。従つて外務省といたしましては、特に漁業問題についても日韓間で話をつけようというやさきに、うちの方の管轄に入る水域はここだということを引いて、まず交渉を有利に導くためにそんなふうな出方をして来たという当時の状況であつた。もちろん政府といたしましては、そのとき以来その不当なることを指摘いたしておりますし、それから次いで始まりました日韓会談というものにおいては、李承晩ラインという字は一口も使つておりません。自分の国の管轄に入る水域だということで、管轄水域という言葉を使つております。管轄水域という言葉も国際法上、国際慣例上何ら確立したことではありません。従つてそんなことはとても話にならぬということで、その後日韓会談というものは、漁業問題を含めまして三回やつております。今年もやりましたが、結局話がつかない。向うは要するに漁業問題につきまして、申し上げるまでもなく、御承知の通りでありますが、世界各国どの国の漁業協定を見ましても、魚族の保存ということに必要ならば漁業協定をやる、これは話はわかるわけであります。わが国の建前も、日韓との間において何か保護措置を講じなければ漁業資源を枯渇させるという際には、これは何とかしなければならぬということは当然でありまして、そういうことならばお互いに話をしようじやないかという態度をとつておるのでございますが、韓國側の方では、一つの李承晩ラインというものを前提として、漁業資源の保存ということを言つてはおりますが、実際はどれだけ、どういう理由のもとに、どういう必要があつてそういうことをしなければならぬかということは、一切理由の説明もなければ、りくつも立たぬのでありまして、要するにあのラインを引いて、そこから先は来てほしくないというかつこうで、あるいは李承晩ラインといいましても管轄水域といいましても、そういうわけであります。そういうわけで日韓会談を通じて、始終この不当性なり不法なること、そんなことは認められないこと、しかしながら漁業界が相互に双方とも利益になること、あるいは漁業資源の保護ということについて協力するということは、それはけつこうだということを言い続けて来ておるわけであります。 その後昨年九月に、いわゆる国連軍の韓國における警察行動に関連をいたしまして、捕虜を置いておる島にいろいろな漁船その他が連絡して来て困るから、ぜひ北鮮その他との連絡を断たなければならぬというような名目で、実際そういう必要があつたかもしれませんが、皆さん御存じのいわゆる防衛水域というものが国連軍によつて宣言された。この防衛水域というものは、いわゆる李承晩ラインよりは内輪のことになつております。しかしながらこれは結局防衛水域というものが宣言されまして、その中にはなるべく入るなということになり、実質上においては李承晩ラインのある程度の裏書きをしたような、実際問題として李承晩ラインが実行されるような結果になつて来たのであります。政府といたしましては、この防衛水域についても種々交渉し、実際問題として軍事行動上さしつかえない範囲には漁船が出れるように努力しておつたわけであります。それが最近休戦会談の関係もありまして停止された。停止されたというのが建前でありますが、実際は廃止に近い効力を持つておるわけでありましようが、とにかく防衛水域の実施が停止されたというあとにおいて、今度は従来一時伏せておりました李承晩ラインを表に出して来たというのが最近の状況であります。それに関連して明らかに二隻の船がつかまつて、そうしてその理由も李承晩ラインの中に入つて行つては行かぬということ。それから先ほど御説明があつたと思いますが、その後の措置もこれに対して強硬措置をとつておる。これに対しまして外務省の方といたしましては、もちろんそういう不当なる理由のもとに国際法上認められておらぬ、わが国も認めておらぬ海域において、しかも公海で日本の漁船を拿捕して行つたということについても、もちろんその船を返せ、それに関連した損害賠償その他の問題も申し入れておりますが、さらにこういう李承晩ラインに関する考え方、やり方についても、政府の見解を明らかにして抗議をしたわけであります。ただしかしながら、この抗議をしたあと、まだ返事は来ておりません。その抗議は九月九日に出しておるわけでありますが、その抗議に対しては韓國側は何ら回答をよこしておりません。従来も抗議なり、韓國側に対する直接の説明というものは、今申し上げましたように機会あるごとにいたしております。韓國側も十分承知をしておるとわれわれ考えております。にもかかわらず、こういうことをやつておる。 そこでこの際、この現実を前にしてどうするか。ことに外務省の担当においてどういうことをやつたか、あるいは考えておるかという点を、私が申し上げられる点だけを申し上げたいと思いますが、実情は日韓関係だけでこの問題はなかなか片づかぬという点も、諸般の現在の情勢から申しましても当然のことでございますので、一方現在までにいろいろ緊迫しおる情勢は、関係国へ十分よくわかるように手配をしております。それが大きく申し上げて一つ。 それからこの問題は、日韓間で直接に交渉をして解決するのがやはり何といつても本筋だと存じます。従つて直接に交渉をするということについて、従来も日韓会談の一つの議題として、漁業問題というものをとり上げて交渉したことは今申し上げた通りでありますが、現在もこれを直接交渉によつてどういうふうに持つて行くかということを、いろいろ研究しております。これは遺憾ながらまだ結果に現われるところに至つておりませんが、この日韓会談との関係もございますし、そのほかの関係もございますが、とにかく直接交渉の方法を今鋭意研究しております。 なおこれは先般もあるいは今日午後も大臣が申し上げられるだろうかと思いますけれども、政府の方の努力は、政府としてあらゆる努力はいたします。のみならず、先般も業界の方で、政府の努力もけつこうだが、われわれもひとつ行つて話をしてみようじやないかというお考えもございまして、さらに多少立場の違つたところから、業界の方々が直接にまたお話になるというようなこともけつこうではないかということを、この前も大臣が申し上げましたが、その点等も当該の監督官庁で御考慮願つておるかと存じます。それから直接交渉あるいは関係国へよく事情は明らかにしておいて、結局できるだけのことはある程度のことをやつてもらうことになるだろうと思いますが、少くとも実情をはつきりさしておく。 さらに第三番目は、国際間の紛争でございますから、その紛争を持ち出すところは、国連もございますし、国際司法裁判所もございます。これについてはいろいろな手続もございます。それからまたそれをどうとり上げるかというような時期的な問題もございます。これも現在鋭意研究をしております。一応これが従来の経緯と現在までの関係であるというものを御説明申し上げます。
○田口委員長 次に参考人の意見を承ります。早稻田要衝君。
○早稻田参考人 私は長崎県議会並びに業者代表といたしまして、今回の李・ライン問題につきまして、議会並びに政府御当局にいささか卑見と御要望を申し上げたい、かように存ずるものであります。 今回の韓國水域方面における日本漁船の締め出しによりまして、最も甚大なる被害を受けるのは長崎県の漁民でございます。すなわち同方面に長崎県の漁船が出漁いたしておりまするのは、揚繰網漁業が百五十統、以西底びきが三十三組、さばはねづりが六十隻、かじき、はえなわ、あるいは突きん棒漁業こういうものが合せて三十五隻、しいらづけ漁業その他一本づり、そういうものが約二百隻、合せて四百隻に及ぶ漁船で出漁いたしておるのであります。これに従事いたしまする人員が、家族を合せますと六万人、年間の水揚げは約七十億に達するのであります。実に長崎県漁業の根幹をなしておるといつてもさしつかえない、かように思うのであります。なお特に申し上げておきたいことは、この水域は、わが漁民が父祖代々の努力によつて開拓されたところの漁場であるということを特に申し上げておきたいと思うのであります。かくのごとくわれわれ漁民にとつて重大関係を持ちまするこの水域が、今回のごとく韓國の一方的暴挙によつて日本漁船を拿捕する、あるいは締め出すというようなことは、ただに公海自由の原則を無視したというばかりでなく、わが長崎県漁民の死活問題である、かように考えておるのであります。昨日、長崎県からの連絡によりますと、来る十六、十七日の両日にわたつて、県が県民大会を催しまして、反対の気勢をあおるというような連絡をしておるようなことは、まことにこれは無理からぬことだ、かように考えるのであります。従いまして私どもは、この李承晩ラインの早急解決の方途を講じていただきたい、かように考えまして、はるばる九州の果てから陳情に参つておるのであります。しかるに昨日までの私どもが関係各所を歴訪しまして得ました結論といたしましての感じは、この問題に対しましては、政府当局または議会方面におかれても、何らこれをとどめるところのきめ手はない、こう申されていることを私どもは承知いたしまして、はなはだ失望落胆いたしておるような状態であります。一昨日私どもは韓國代表部に行つて、韓國代表部の人の話を聞いたのでありますが、彼らは李ラインの設定は韓國の復興のために、韓國経済の進展のためにぜひとも必要であるというようなことを盛んに述べまして、この李ラインの設定が正当であるということを理論づけようと非常に努力を示しております。活発なる動きを示しておるのでありますが、これに比べまして、私どもは政府当局及び議会の活動があまりにも不活発である。極端に申しますと、熱意はないのじやないか、かような感じもいたしまして、まことにたよりないような感じがいたしておるのであります。今回の問題は、ただ単に水産業界の問題だけでなく、日本の威信にも関する重大問題である、かように考えるのであります。とかく敗戦以来わが国民は、朝野をあげて萎縮退嬰の気分におおわれておる、かように考えるのであります。よろしく政府及び議会におかれましては、ただ単に遅疑逡巡することなく、この退嬰萎縮の国民の気分を一新するという意味においても、本問題の打開に断固として勇往邁進していただきたいということを強く要望いたしたいと思うのであります。 なお私どもは、いわゆるこの問題を急速に解決するというさしあたりの方途といたしまして、二つの点に関する施策を急速に実施していただきたいと思うのであります。 その第一は、前申しました通り、この韓國水域はわれわれ漁業者にとつては絶対に放棄することのできないところの最後の生命線であります。従いましてわれわれ漁民といたしましては、公海自由の原則に従い、いかなる困難を冒してもこれを死守するために今後も操業を継続したい、かように考えるのであります。従いまして政府におかれては、この漁民の意思を了とせられて、できだけ操業が安全であるように、海上警備隊あるいは監視船、巡視船、あらゆるものを総動員して、これが保護に万全の方途を講ぜらたい、かように願うのであります。 その二といたしましては、この操業を継続いたしましたならば、必ずやいろいろの不祥事件が起り、その際に乗組員の生命あるいは漁船の損害について損害保険、そういうものを一応改正して、適切なるところの補償の措置を講じていただきたい、かように考えます。 この二つの施策をもしも政府御当局において実施していただくならば、これにより漁民は不法きわまる韓國の威赫に屈することなく、この漁場をわれわれ漁民の手において確保して行きたい、かように思うのであります。しかもこの処置は別に外交交渉を待つ必要もない、政府御当局の決意によつて私はできることとかように考えるのであります。どうかこの水域を死守せんとするわれわれ漁民の悲壮なる決意をおくみとりくださいまして、至急ひとつこの実施方をいたしていただくように厚くお願いする次第であります。
○田口委員長 鹿児島県県会水産委員長地福馨君。
○地福参考人 鹿児島県の代表といたしまして御意見を申し上げ、御要望申し上げたいと思います。 日韓漁業の紛争に対しましては、政府当局を初め、衆参両議員の方々、特に衆参常任委員の諸先生方の懸命なる御努力に対しましては、漁民といたしまして深く敬意を表するとともに、感謝いたすところであります。われら漁民の待望久しく念願いたしておりましたところの、防衛水域、いわゆるクラーク・ラインの廃止の声明によりまして、関係漁民は欣喜雀躍といたしまして、まつたく蘇生の思いをいたし、暗雲低迷せる朝鮮近海の漁場再開に一縷の曙光を見出して、勇躍シーズンの漁場に国民的感激の裡に希望の出漁をいたしましたところ、突然はからずも今回の韓國政府の一方的な声明は、まさに青天の霹靂、漁民は茫然自失まつたくなすところを知らず、業界をして混乱と失望の極にたたき込んだのであります。韓國の今回の処置は、明らかに国際正義を無視し、公海自由の原則を蹂躪したもので、生存の自由を剥奪せられたる漁民の憤激とその悲痛なる状態は、国民的なる義憤を禁じ得ないのであります。まことに断腸の思いにたえざるところでありまして、われわれはあくまでも国際正義に立脚し、われらの漁場と生存の自由を死守するでありましよう。かくのごとき無謀なる死の宣言にひとしき韓國の一方的声明には、断じて承服できざることをまず冒頭に申し上げます。 由来本漁場は帆船時代より幾多のとうとき人命と財産の犠牲により開拓され来つたものでありまして、今日本漁場に依存する鹿児島県の漁船は、約二百隻、年間総漁獲高の七〇%を占める最も重要な漁場であるのであります。本漁場を喪失しますことは、漁民の死命を制せられるということを意味することでありますので、いかようなる事態が招来されようとも、生存の自由を放棄することのでき得ないところであります。われらはあくまで本漁場を死守しなければならないのであります。漁場の転換並びに漁業の転業の困難性は申し上げるまでもなく、操業の方法、船型、設備等、これに要する資金もまた莫大なる経費を要する幾多の困難が伴いますので、今日の漁家経済の実情に照しまして、とうていこれが転換は不可能であります。われらはここにおきまして、ぜひとも今期のシーズンを逸せざるよう、いわゆる巧遅よりも拙速をとつて本問題の解決を希望してやまないのであります。今日この時に、無念の思いに切歯扼腕し、家族とともに釜中に坤吟せる悲惨なる状態にむせぶ漁民の上に深く思いをいたされまして、すみやかに解決の方途を講ぜられることが、国政燮理の重責にあられる政府並びに関係機関の重大なる使命かと痛感するのであります。 この際、従来通り操業のでき得るよう政府の態度、方針を、国民の前に大胆率直に声明せられ、しかもその声明はあくまでも漁民の犠牲のみによつて解決されるのでなく、政府の責任において強力なる自主外交の基本方針に立脚されて解決されなければならないことを強く主張いたすものであります。 思うに、政府は、李ラインの声明は絶対に承認せざることを強く主張され来つたことは当然なることでありまして、この際政府は李承晩声明を撤回せしめ、抜本塞源の措置をとるにあらざれば、国威の尊厳を失墜せしめることはもとより、隴を得て蜀を望む韓國一連の主張は、日本の将来に一大禍根を残し、日韓両国の平和を招来せしめることはとうてい望むべくもなく、いたずらに荏苒日をむなしゆうして本問題の解決が遷延せられるならば、今後幾多の不祥事件が惹起されることは察するにかたからざるところであります。政府は公海自由の原則をたてに、あくまでも不承認の態度をとつておられるにもかかわらず、漁期を逸し、生活の糧道を絶たれ、悲惨にあえぐ漁民は、政府の積極果断の措置を一日千秋の思いで待望いたしているのであります。政府の基本方針に従い、漁民は漁場を死守し、生存の自由を護持するのはけだし当然でありまするが、この間における韓國側の不法なる処置により生じたる生命、財産の損害に対しては、政府において当然補償さるべきことは論をまたざるところかと信じます。 政府の基本方針を堅持し、国家の尊厳を死守せんとする悲愴きわまる漁民の態度を傍観し、漁民の犠牲において公海自由の原則を固守されんとすることは、国民的感情の上からも絶対に許さるべきところでないと存じます。すみやかに政府は特別措置法を講ぜられ、漁民の生命、財産の保護並びに損害補償の方途を開かれたい。なお本漁場を喪失することは、ひとり漁家経済を危殆に瀕せしむるにとどまらず、消費経済の国民生活の上にも重大なる悪影響をもたらす結果は、国家の経済政策上からも看過さるべきものではない。本問題解決の遷延は国民感情を激発せしめる誘因ともなり、国民思想の統一上からも、政府は万難を排し早期解決をはかられたい。本問題を国際外交の上から勘案せられ、一国の生命をかけられたる解決をはかるべく、強力なる外交交渉を期せられたい。 以上要約いたしまして、一、李承晩声明には絶対反対であり、正当なる生業を阻害しているがゆえに、これが損害は全額国家が補償することを要求いたします。一、本問題解決のため、早急に日韓会談を開催せられたい。なお民間業者による直接交渉の方途も講ぜられたい。一、漁民の窮乏は明日の問題とせず、今日ただちにこれが解決のため万全の処置を講ぜられんことを期してやまないのであります。よろしくお願い申し上げます。
○田口委員長 佐賀県県議会水産委員長加茂茂八郎君。
○加茂参考人 私は佐賀県水産委員長の加茂であります。まず佐賀県の実情を申し述べ、それから意見と要望をいたしたいと思います。 今回の事件は一応下火になつたような感じがいたしますが、新聞の報道にもある通り、韓國は相当強硬であり、われわれの生活圏であるライン内は相かわらず極度の不安な状態で、操業することはできません。佐賀県におきましては、一本づりが約百隻、さばのはねづりが十隻、底びきが二十二隻、揚繰網が十五隻、約百五十隻ぐらいの船がただいま周辺で操業をしておるのであります。本県は南鮮の漁場に至近の距離にある関係上、他県船の大部分が佐賀県を根拠にしておる次第であります。御承知の通り、本県は沿岸沖合いに漁場を持たないので、この漁場に特に現在また将来において非常な期待をかけておる次第でございます。本県は六月末より七月にかけ、未曽有の水害の打撃を受けまして、薄い漁況をがまんして赤字を乗り越え、ようやく九月に入りまして好漁になつたので、この調子ならば何とかなろうと喜んでおる最中に今度の不当な追い出しを食つて、谷底にけ落されたような感じがいたしておるのであります。このままに推移いたしますならば、本県の一万の関係漁民は今漁期中だけでも約一億の減収を来すだろうと思います。中には沿岸の小漁業を整理して、この沖合い漁業に活路を開くために、全財産と多額の借財である融資を受けて、いわゆる背水の陣をしいてやつておる生産組合もあるのであります。今日の韓國のこの処置が今後なお続くならば、これらの漁民はただちに路頭に迷うことになるのであります。そこでわれわれが望むところは、政府がたびたび声明されているように、李ラインは認めない、公海自由の原則に立つということを、掛声ばかりでなく、かかるわれわれの非常時に際して、具体的にかつ強硬な行動によつてわれわれ漁民を保護してもらいたい。韓國との直接交渉あるいは米國のあつせん、またほかにもあらゆる有効な方法を尽して、実効を上げてもらいたいのであります。まず漁業協定を早急に結ぶことの必要のあることはもちろんでありますが、われわれはあすの生活の問題に迫られておるのであります。それでまず漁業協定のできるまでは李ラインを撤廃してもらう、そうして一応漁場を白紙に返し、平和円満裡に協定ができて、しかる後に協定による協定線を引くべきが紳士的のやり方であると思います。特に佐賀県は明治二十年から昭和十七年ごろまで、百数十隻の船が毎年季節的にバッシャ網、流し網等を南鮮でやつていた歴史があるのであります。漁業協定が一日も早くできて、再びかの地で韓國と仲よく操業したい強い希望を持つておるのであります。かくてわれわれ漁民の権利が侵されておるから、ぜひともこの盛漁期をのがすことなく、政府の保障のもとにでも操業のできるような措置を考慮してもらいたい。そのためには相手方が承知するならば、前のクラーク・ラインの時代に行われた確認制度も一つの方法ではなかろうかと思います。 それから特に気の毒に思いますのは、拿捕された漁船であります。これは即時無条件釈放されるように至急に手を打つてもらいたい。本県でも去る二月、伊万里根拠の底びき船第二太平丸が拿捕されていまだに帰されておりません。幸いに給与保険は受けているものの、乗組員の家族の心配は見るに忍びないありさまであります。以上、いろいろ申し述べましたが、今までよく世間で非難されている、日本の漁業は略奪的漁業であるというような話がありますが、われわれはそういう意思は毛頭ありません。秩序ある、資源的に、合理的に無理のない協定による操業を希望しておることをつけ加えて申し述べておきます。以上で終ります。
○田口委員長 福岡県ハネ釣漁業協同組合組合長、徳島岩吉君。
○徳島参考人 私福岡県、徳島県の被害を受けた業者を代表して国会なり、政府に強く、要望いたします。 去る七日不幸にして福岡の第一大福丸並びに徳島県の第二億島丸が韓國艦船に拿捕されたのであります。この拿捕せられるや家族はどういう境遇にあるか、徳島県は県庁に家族が押しかけ、また福岡は船主の家へ多くの家族が押しかけておるのであります。これは沿岸漁業者として初めてのできごとであります。そういう関係上、このさばのはねつりは、福岡県にしても、徳島県にしても、一沿岸漁業の転換業として県も奨励したのであります。また私も福岡県の海区調整委員をやつておる関係で、沿岸漁業が、わずか一海里、二海里でも、これは自分の区域であるということをいつまでも繰返しておつてもいけぬのじやないか、しかもまた福岡は玄海の中央にある関係上、今さばのはねつりとして、千葉、神奈川、静岡、こういう方面から百数十隻の船が操業しておるのであります。また底びき漁船としても百八十隻ばかり操業しておるのであります。そういうことを見ても、何であなた方はこれを沖合い漁業に切りかえないか、ああやつて転業整理資金もいただいておるし、足らぬところは農林中金から借り入れて、大いにやらすべきものであるということを、私は海区調整委員として強く要望して、県もこれを取入れて数千万の金を借りて、十一隻のさばのはねつりをこしらえたのであります。また徳島県にしても、この転業をどうしたらいいか、私郷里が徳島でありますが、徳島県は御承知の通り、三海里以上は太平洋に面して深海で、沿岸漁業の漁区がないのであります。東は神奈川県の三崎、西は九州、この二つに、遠洋漁業がわかれておる。まぐろは一番確実であるけれども、これはなかなか資金が多くかかる。一番手取り早いのは、先輩諸氏も九州に多く来ているし、わずか一千二、三百万の金があれば、優秀なさばのはねつりができるから、これを大いにやつてよかろうというので、船の設計、機械等においても、及ばずながら私が指導したのであります。こういうような関係で、沿岸漁業を沖合い漁業に漸次切りかえて行つてこそ、日本水産の発展ができるもの、また食糧増産に寄与できるものと強く信じておる一人であります。また徳島県の第二億島丸は、紀伊水道の少型の底びきで、やいやい問題になつて、諸先生方にもいろいろごやつかいをかけたと思います。その関係上、もうそういうわずか発動機で一時間か、二時間も走れば、東に走れば和歌山県が控えておる。西に走れば徳島県が控えておる、こういう近江の湖水のような所で仕事をしたつて何もならぬ。特にああしろ、こうしろということでやつた関係上、県としてもこれに相当の補助をしておるのであります。これが不幸にして去る七日に二隻の船が抑留せられた。この船は船として一般保険の保険には入つているのであります。これは船乗りの気構えとして当然のことであります。この李承晩ラインというものは、日本政府も認めておらぬのであります。もちろんわれわれ業者も認めておりません。この安全なる区域において操業をするのに、特殊保険なんか必要場ないじやないか、また沿岸漁業者は財政的にもやり切れない。この特殊保険というのは、御承知の通り一般保険に入らなければ特殊保険を引受けてくれぬのであります。こういう二重の料率はとても沿岸漁業では財政上やつていけぬということから、一般保険だけしか入つておらぬような次第であります。それがこういうように拿捕せられ、また特に沿岸漁業は協同事業であるから、乗組員としても第二億島丸には三十名、第一大福丸には二十七名という大人数が乗つているのであります。労働基準法によつて乗組員の生活保障を毎月出して行かなければならぬ。またそれが一月や二月で帰るというのであるならば、これはどうやらやれますが、第二太平丸なんか二月五日に拿捕せられて八箇月になりますのに、いまだに帰つて来ないのであります。もしそうならば、この船主はどうなりますか、いわんや金を借りて、借りた金は一々利子をつけて行かなければならぬ。これがためになかなか立ち上ることができぬのであります。そういう特殊保険の制度がありますが、安全なる区域で操漁をするのなら、そういうものは必要ないとして、特殊保険には入つておらぬのであります。どうか国会並びに政府に強くお願いをするのでありますが、二月の大邦丸、これは船員がやられて、船はすぐ返してくれましたが、太平丸はいまだに返つて来ない。その時分にはクラーク・ラインがあつたのでありますが、今回のできことは、もうクラーク・ラインというものは一時停止した状態にあるのであります。クラーク・ラインではこれが初めてのできごとでありますから、これは太平丸というような問題ではなく、韓國だけの問題だと思うので、一日も早く船、乗組員とも返還をわれわれはお願いをいたします。もしこれが太平丸のように八箇月も、十箇月もかかるということであれば、せつかくやつた事業がもうどうすることもできぬのであります。この水域は安全水域としてわれわれやつおつたのでありますから、国家が補償をしてくれることを強くお願いをする次第であります。どうか国会の委員の方も、この点はよく御同情をせられまして、私の意のあるところをよろしくお願いをいたします。終り。
○田口委員長 午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時より外務大臣出席できると思いますから、一時から委員会を再会いたしまして、政府並びに参考人に対する質疑に入りたいと存じます。 それまで休憩をいたします。 午後零時二十分休憩 ————◇————— 午後三時二十五分開議
○田口委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 朝鮮半島周辺の公海漁業に関する問題について、外務大臣に対する質疑を許します。夏堀源三郎君。
○夏堀委員 午前の委員会におきまして、政府側よりこれまでの経過を承りましたが、李承晩ライン、朝鮮水域の問題は、これのみによつて云々ということではなく、日本の将来にとつて、いわゆる公海の自由という原則に基いて、これからわれわれは、大きく日本経済の自立のためにかくしなければならぬということも考えておるやさきでありますので、この問題の解決の価値は、日本経済にとつて非常に大きな影響を及ぼすものであると存ずるのであります。そこで、この問題の解決に外務大臣はいかなる対策を持つておられるか、そうしてこれに対する見通しはどのようなことを考えておられるか、これに対する御説明を伺いたいと考えます。
○岡崎国務大臣 公海の自由ということは、お説のごとく、われわれもこれは強く主張しております。問題を早く解決するがために、この原則を曲げるわけには行かないと考えております。しかしながらもし韓国の言うがごとく、その李承晩ラインというものを引いた本来の目的が、漁族の保護ということであるならば、これは調査しなければわかりませんけれども、実際に継続して漁獲ができない程度に魚が減るということであるならば、これは適当な方法をお互いに講ずるということはさしつかえないと思います。しかしそれにしても海洋の自由、公海の自由ということの原則は、早く解決するがために曲げるというわけには、私は行かないと思う。そこでこの解決の方法としては、少くともこういう問題を平和的に処理しようとしますれば、まず第一には、韓國と直接に大いに交渉しなければいかぬ。韓國と交渉しても、らちがあかぬとお考えになる方も大分多いようでありますけれども、しかしわれわれの主張は、あくまでも強く韓國に何度も根気よく言つて、そして最上層部まで十分われわれの意思が伝わるように努力しなければいかぬ。それでただいまやつておりますが、ほかのいろいろの方法も考えられましようけれども、これは韓國との問題がどうしても直接に話をしたのではだめだというときまでは、ほかのことを考えるべきでない。あくまでも日本と韓國との間の問題でありますから、日本と韓國との間で十分なる交渉をいたすよりいたしかたないと思つております。
○夏堀委員 ただいまの御答弁によりますると、韓國との折衝をなさること、これは当然でありましようが、いつそれは解決がつくものか。現情勢においての私どもの考えとして、これは容易ではない。容易ではないということを前提として、この解決策をはからなければならぬ、こう考えなければならぬと思います。ただいまの外務大臣の御答弁は、まあ当然なることを当然として御答弁なさつた。これに対する新しい何かの解決策を見出す方法はないだろうかということで、期待を持つておつたのでありまするが、気長くひとつかかろうというので、気長くかかつておるうちに、日本漁業者の生活問題はひしひしと迫つて参りまするので、これに対して何らかの対策を考えておるか、こういう意味でお伺いたしたのであります。 日本は敗戦によつて四三%の土地を失い、ただ一つ残されておる公海の自由、この漁業、これは日本にとつてただ一つ残されておるいわゆる一つの権利と私どもは考えておつたのであります。このただ一つ残されておる権利的なそれさえも自由にできないということになれば、これはその対象となるその国との折衡のみによつて解決することができなければ、何かまたこれに対して解決策を考えなければならぬじやないかどうか。今の御答弁によりますると、韓國との折衝のみに気長くかかつて何とかしようという御答弁でありまするけれども、非常に期待薄のような気分がいたします。もう一ぺん明確に、何かしら適当な方法があるかないかの御答弁を願いたい。
○岡崎国務大臣 ほかの方法もいろいろ考えていますけれども、まずあらゆる手を尽して韓國との交渉を直接にやつてみる、これが私の趣旨であります。どうしてもだめなときは、ほかの方法によるべきであろうと思いますが、しかし実はおつしやるように、早く解決する方法があるかないか、私も実は疑わしいと思つております。しかしそんな長くかかるということは、いやしくも私どもは口にしたくないのであつて、韓國側にも日本は長くかかるつもりでやつているのだと考えられては困るのであります、しかし私どもがいろいろ考えておりますほかに、こうやればいいじやないかというような名案が——名案でなくても一つの考案がありますれば、これはぜひ伺つて、衆知を集めて、ひとついい方法をやりたいと思つております。
○夏堀委員 何か外務大臣の方から名案があつたら、こういうような意味にも解されましたが、あとで申し上げることにいたします。 この李承晩ラインということを考えた動機そのねらいはどこにあつたか。これまでの李承晩大統領のやり方を検討してみまして、どことなく日韓会談を有利に展開させるような方法を考えた結果、ここに何か取引的なことを意味するじやないか、このようにも考える次第であります。これまでしばしば日韓会談のうちに盛られてありました内容は、きようは時間もありませんので、詳しくお伺いすることもできないのでありまするが、これは魚族の保護とか、そういうことがその目的であつたのか。もしそうであれば、これは平和条約の第四条に規定してありまする通り、やはり漁業協定の線で平和のうちに進めなければならないことは常識であろうと考えます。これまでの折衝にどのような含みがあつて、そうして結果として現われた李承晩ラインの紛争は、一体その動機はどこにあつたのか。一体魚を欲しいというのか、漁族の保護にあるのか、あるいは日本の漁船を何の理由もなく公海から締め出そうとするのか、一体どこにその根拠があるのか。おさしつかえのない程度においての御答弁を願いたい。
○岡崎国務大臣 私は表面聞いているところでは、魚族の保護であるということと思つております。ただこれは疑つて悪いんですが、いろいろ話の模様のうちから見ますと、韓國の漁業はまだ発達していない。そこで日本の方の漁船が大いにどつかへ行つてでもとつてしまうということになると、韓国の漁業の発達はチャンスがちつとも来ないので、なるべく日本の船を来させないようにして、その間に韓國の漁業を発達させよう、そういう気持があるのじやないかと思つております。
○夏堀委員 善意に解釈して、そう考えておきましよう。私どもの考えは、もつと他に目的があるじやないかのように推測しておりますけれども、しかしきようの委員会においては、外務大臣の御答弁になつたことを善意に解釈することにいたします。 そこで日韓会談によつて解決をつけるということ、これはなかなか現段階においては容易ではないという前提のもとにおいて、先ほど大臣から何か名案はないかという意味にも考えられましたので、ここに私は四点について、質問というよりもむしろ意見としてひとつ申し述べたい。私与党でありますので、活発に政府を攻撃するということもちよつと遠慮せんければならぬ。幸か不幸か与党の悲しみはつらいのであります。あとで野党の諸君は十分この点に対して質問していただきたい。 そこで私申し上げることは、政府に協力するという意味でそのようなことを申し上げて、もう一ぺん御答弁を願いたいのであります。日韓会談は、その通りお進めになると同時に、この問題がいわゆる国内の輿論化するということも、大きな問題でありますが、これは世界の輿論に訴える。敗戦国の日本は、武力あるわけでもなし、徳川時代の切捨てごめんのように、強い者には屈服するということは、これは何とも耐えられない悩みであります。よつてわれわれ民主国家として、正義の意見によつてこれを国際的に取上げるということは、一つの正義の声を聞かしむる宣伝にもなるであろう。結果はどうなるかわかりませんけれども、また時期はいつどういうことでそういうことの解決がつくかわかりませんけれども、正義の声によつて、民主国の日本の言うことは正しい、これによつて公海の原則を確保するという大きな観点から、私はこの問題は国際司法裁判所あるいは国連に提訴すべきである。しかしこの問題についてはいろいろ意見もありますが、私アメリカに参りましたときに、アメリカの漁船が、南米の何とか申しました小さな国に、百マイル沖で拿捕された。これはアメリカのような大国が、南米の小さな国を相手どつてうるさい問題とすることは、これはちよつと遠慮せよということで、やはり国際司法裁判所に提訴したということを聞いております。そういうようなことはあの大国でもやつておりますので、ましてや敗戦国の日本にとつて、一つの権利であるというようにも考えておりまするこの公海の自由ということに対しては、そのような一つの処置をとることは当然であろうと思います。この間私この公海漁業等の小委員長をしております関係上、これも十項目にわたる決議のうちに盛つて決議しております。これは七月三十日であります。先ほども理事会でこのことをちよつと意見として申し述べましたが、何か相手国がこれに対して承諾しなければできないかのような意見の人もあるそうでありますが、そのようなことはないだろうと私は考えております。この点に対してどのようなことでありまするか、御答弁を願いたい。
○岡崎国務大臣 われわれも同じような考えは持つておりまして、これも一つの方法だと思つて研究しております。ただお考え願いたいのは、かりにこういうところへ持ち出して決定を求めると、これはある程度時間がかかるのはやむを得ません。その間は懸案事項だからというので、韓國側で、その決定が来るまでは、日本の方との直接の交渉にはもちろん応じないようなことになりますと、今現に漁をしようという者に多少でも有利な解決が遅れるということになるかもしれません。つまり長い間、もし向うでもつて研究したりして議論をしておる間、こちらはその決定を待つまではどうすることもできぬということになると、ちよつとどうかということがありますが、その点が私は心配なのであります。しかし万策尽きて、もうほかに方法がないというのなら、長くかかろうがしようがない。そこに持つて行くよりしかたがないでしようが、しかし多少でもよさそうな空気が起りそうであるということであれば、まずそちらの方をうん醸させて、漁業が曲りなりにもできるような努力をいたすべきではないかと思つて、これももちろん研究の題目にはいたしております。
○夏堀委員 わかりました。結局この問題は結果をよくすることである。しかし日韓会談が、私が先ほど申し上げたように好転して、この問題の解決が見出されるということであれば、これは一番よいことである。これは見通しの問題でありますが、大体会談中にその方向がおわかりになりましようから、その場合はやはり最後の手段としておとりになることはいいだろう、そうしてただいま申し上げたように、このねらいは世界に民主国家としての日本の立場を訴えるということであつて、いわゆる宣伝価値としてはこれは十分な問題であろうと思いますので、ここに政府に対する私の意見としてお伺いした次第であります。 それからもう一つ、こういうことも考えなければならぬと思います。たとえばこういう問題に対して、国民は非常に刺激的にいろいろなことを考えておる面もあるようであります。また韓國は、こちらの出方によつてどういう方法をとるかしれません。けれどもこの問題に対しては、韓國側においての不法なる攻撃、あるいは漁船の拿捕等がかりにあつても、日本側はこれを武力に訴えてはならない。憲法第九条に示す国際紛争の解決に武力に訴えてはならないという解決は、やはりこれを堅持して、どこまでも民主国家としての毅然たる態度をもつて臨むべきものである。これを一歩誤つて、向うの方でも暴力をもつて来たからこちらの方でもひとつやつてやろうということになつたならば、それは最後であつて、この問題の解決が恐るべき段階に立ち至るであろう、こういうことに私は考えておるわけであります。この点に対して保安庁の方でどの程度の——これまでは大分穏健な方法をとつておるようでありますけれども、御意見を伺いたいと思います。
○田口委員長 夏堀君。外務大臣がお急ぎのようでありますから……。
○夏堀委員 それではそれはあとにお伺いすることにいたします。 もう一点、平和条約の第四条に基いて、韓國側との漁業協定締結ということはやはりやらなければならぬ。これは当然魚族の保護の面に対してそうしなければならなぬと思いますが、この点に対して、政府が何か日韓会談中にお話になつたことがありましようか。
○岡崎国務大臣 この問題は日韓会談でも言つております。われわれの方の立場としては、まず魚族の保護をやるためには、専門家の調査にまたなければならないわけであります。しかし実は日本側には非常に専門家が多いのでありますが、韓國側には今そうたくさんの人もおらないであろうと思うので、とかくその点が韓國側としては心配のようにも思われますので、もし韓國側でも希望するなら、公平なる第三国の専門家を入れて一緒になつて討議してもいい。何も日本側だけがこつちの資料でもつて結果を押しつけようというつもりはないのだからという点も話しております。またそれについては、日韓会談のような政府間の機関で話合うということも一つの方法ですが、実際この仕事をしておる漁業家の間では、韓國側でも日本の漁業家の援助もいろいろの点で必要な場合もありますから、漁業家同士で話し合うということも一つの方法だろうと思う。その点われわれに異議はないので、こういう趣旨は先方も了解しておるはずであります。また先般参議院の水産委員会でも質問がありましたから、あらためてそういう趣旨を発表いたしておきました。
○夏堀委員 わかりました。これは平和条約の第四条に規定してありまするので、この漁業協定さえ円満に結ばれれば、このような紛争は根絶することができるのであります。これはすみやかに推進していただきたいと思います。 なお、委員長に私ちよつと意見を申し上げたいと思います。このような問題に対し、政府としてとるべき方法については今お伺いして御答弁にあずかつたのであります。しかし国会としてもこの問題を取上げて、何か政府に協力して、この促進の方法を考うべきではないだろうか、こう考えるものであります。公海の自由を確保するための——これはあとで御相談になつて決議もありましようが、いずれこの問題は国会として、アメリカ大使館にアリソン大使を訪問して、事件の解決方についてのあつせんを依頼して、なおその解決点を見出すことが遅々として進まない場合には、国会としてアメリカの本国あるいは国連にこの事情を訴えて、この促進方を請願することも一つの方法ではないだろうか、なぜ私がこのようなことを申し上げるかといいますと、こういうことがあつた。ちようど私大蔵委員会におりましたとき、外務大臣も御出席になつておつたと存じますが、関税問題がうるさい問題になつたときに、アメリカがいわゆるまぐろの冷凍品に対して税金をかけようとしておる問題を国会として取上げたことがあつたのであります。今でもちよいちよいそういう案が出ますそうですが、そのときに政府としてあの大国に対して、しかも国会でこの問題を取上げてあるから、どうこうというようなことは非常に困難であるし、見通しもつかない、こう御答弁になつたことは御記憶にあるだろうと存じます。そのときに決議をして、林衆議院議長の名によつて、アメリカの国会の上院、下院の議長と政府の大統領、副大統領、こういう方々に決議の内容の電報を打つたことがあります。その後アメリカはこの問題を大きく取上げて、結局委員会において可決したものが、上院本会議において否決になつたということを、私がアメリカに行つたときに聞いて参つたのであります。そうしたようなことをあちらで批判するに、敗戦国の国会がここまで考えたということが、非常に民主化された、こうりつぱな言葉を使つてむしろほめたそうであります。そういうこともあつたことを考えて、私この問題を国会でも、アメリカの政府、あるいは国連へ日本の現在の立場を説明して、これを好転させるような方法もよろしいではないだろうか。政府は政府としてやるべき点はおやりになつてくださつて、国会としてもこういう方法に協力の意味でやはりやるべきものではないだろうか、こう考えておりまするが、これに対して委員長はどのようなお考えを持つておりますか、お伺いしたい。
○田口委員長 実は先週の土曜日に、参議院の水産委員長及び衆議院の私、その他の有志が集まりまして、本問題に対する国会議員としての協力という点について御相談いたしました。大体夏堀先生の御意見の線に沿うて皆さん方と御相談の上善処する、さような申合せを参議院の水産委員会とやつております。御了承願います。
○夏堀委員 もうすでにそのようなことは御考慮になつておるような御答弁であります。けつこうなことであります。これは衆参両議員の何名かを委員長が御指名なさつて、ただちにその方法をとるべきである、これをこの機会に申し上げておきます。そうしてなおこれが遅々として進まない場合、米本国政府またはアメリカの国連本部にも、このような説明を国会として申し入れておくこともよろしいのではないか、こういうこともあわせて申し上げておきます。 それからもう一点、よく業者の方から補償の問題でいろいろ陳情が参つております。これはなるほどさようなことも考えなければならないかもしれませんけれども、こうした公海の自由を確保するための行動は、日本国家全体の責任として行わなければなりませんので、一部業者の犠牲によつてのみでは妥当ではない。そこで漁船の保険及び業者間の共済機関のようなことも考えてよろしいのではないだろうか、そういうことで自主的に進めて、なお国民全体が公海の自由を守る犠牲者に対しての適当な方法を講じて、これに対して援助しなければならぬのじやないか、こうした場合に国民的運動を展開することに対して、政府が何らかの方法をお考えにならなければならない、いわゆる李承晩ラインというこれだけの問題ではないのであつて、これが悪化いたしますると、日本で今考えておる公海全体の今後のあり方に対して、一大支障を来すということも考えられましようから、これは国民全体の運動でなければならぬし、あわせて政府がこれに対する犠牲者に対しては、適当な措置を講じなければならぬ、こう考えておる次第であります。これも意見として申し述べておきます。野党の方方大分きつい御質問があるかもしれませんが、私はごく穏健な、いわゆる建設的な意見を二、三申し上げまして、私の質問を打切ることにいたします。
○中村(庸)委員 私は外務大臣に対しましてお尋ねをするものであります。ただいま外務大臣は四時までという時間でありますが、与党の質問によりまして時間一ぱいとなつてしまつた、まつたく遺憾至極に存ずるものであります。この重大問題が審議せられますにおきましては、大臣は四時過ぎましてもこの審議に御答弁あらんことを願つてやまぬのであります。 ただいま重大問題となつておりまする日韓漁場紛争問題は、その源は昭和二十七年一月十九日の韓國李承晩大統領が宣言いたしたいわゆる李承晩ラインと称する韓國の領海区域の拡張を主張したことに始まるのでありますが、その当時政府に対しまして韓國側から、単なる領海宣言でなしに、あるいは文書あるいは口頭なりをもつて直接に連絡がありましたか。またあるとするならば、それがいついかなる人にいかなる方法で日本政府に、たれにありましたか、お尋ねいたしたいのであります。
○岡崎国務大臣 私はきよう国際物理学会の代表全部を文部大臣と共同で総理官邸に招いておるのであります。主人であるのですから、どうしてもそちらへ出て各国の代表と一緒にならなければならない、はなはだ残念でありますが、そういう事情なのです。 そこでただいまのお話でありますが李承晩ラインの申入れというものは、正式にはその当時は参つておりませんが、その後いろいろ実際上の不都合が起つてから、こちらから抗議を二、三いたしたことがございます。そのときには先方の回答の中には、李承晩ラインのことを常にあげております。公文書の中にそういうものはずつと出て来ております。
○赤路委員 議事進行について。ただいま岡崎外務大臣から用務があることを聞かされたわけでありますが、外務大臣の方でお呼びになつているので、外務大臣出席しなければならないということはよくわかります。しかしながらこの問題は重大な問題であることは十分御承知のはずです。関係各県の代表者が十分陳情をされて、その状態等はお聞きになつているはずであります。この問題に対する関係している国民の数は、おそらく数十万人になるわけであります。これらの人の生活の問題、死活の問題である。しかもこれは日本国の国権が侵されておるというような実態にある。こういうような重大な問題を控えておるのに、それより以上いそちらの方が重大であるというならば、これは別問題です。私は当然この問題に対して、われわれは一応納得の行くような御説明を願うということが、外務大臣としての私は責務であると思う。あえてこの委員会を時間であるからというので退席されるというようなことであれば、私は本問題に対して、外務大臣はほんとうにこれを解決つけるの誠意がないものである、かように解釈いたしますから、もしもあえてこの席を退席されるならば、私は委員長に吉田首相の出席を要求いたします。
○岡崎国務大臣 国際物理学会の日程は、この委員会の決定するずつと前につくつてあるのであります。ちようどこの日が都合がよかつたためにできておる。この重要性を私は論じておるのではない。先に国際物理学会を呼んでおりますから、その点は御了承願います。
○日野委員 ただいま岡崎外相の弁明を聞きますと、国際物理学会がこの委員会開会以前に決定しているということで、きようはどうしてもこれに出席しなければならぬ、このことも一応考えられますので、本委員会の重大性はとくと承知のはずであります。きようこの問題をここで決定して解決をするということに行きませんので、事の次第を徹底的に追究し、そして新しい外交転換の必要があろうと思いますので、外務大臣は当面の重大なる責任者でありますので、もし外相がきよう退席されるならば、委員会は明日に継続して、もう一度本問題の究明に当らるべきであると、こう考えますので、続開を動議として提出します。
○田口委員長 お諮りいたします。今日野委員から明日委員会を続行する、かような動議が出ておりますが、いかが取扱いますか。 〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
○田口委員長 全員賛成のようでございますが、よろしゆうございますか。——それでは本委員会は明日続行することといたしまして、あすは三時半から、まだ外務大臣に対する質問が済んでおりませんから、外務大臣に対して質問をやることにいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二分散会