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16回国会衆議院1953/07/24

水害地緊急対策特別委員会 第18号

発言数
113
登壇者
19
会派数
4
開催日
1953/07/24

会議録

平井義一自由党

○平井委員長代理 これより水害地緊急対策特別委員会を開会いたします。  和歌山県、奈良県を中心とする南近畿一帯を襲つた豪雨による被害状況につきまして、坊委員より説明を聴取いたします。坊秀男君。

坊秀男自由党

○坊委員 私は、和歌山県水害の報告を申し上げるに先だちまして、災害が勃発するや、国会におきましてはきわめて御同情ある御配慮を賜わりましたことを、和歌山県民にかわりまして厚く感謝の意を表するものでございます。  さて私は、十八日の午後、和歌山県の水害の情報を国会において続々と聞いたのでございます。初めは、私はそんなことはあり得ないと思つておつたのでございますが、続々として入つて来る情報で、これは容易ならざることであると思いまして、十八日の夜行でもつて現地にすつ飛んで参つたのでございます。そこで、ただちに私は十九日和歌山へ着きまして、県庁を訪れたのでございますが、すでに県庁では水害対策本部をつくりまして、まさにてんやわんやの大騒動でございました。私は、十九日から二十二日まで現地に踏みとどまりまして、自分が車を利用し、あるいは舟を利用し、わらじをはいて、まわり得る限りの罹災各地をまわつて参つたのでございます。また県対策本部におきまして、各地からもたらされまする情報については一々これに接しまして、大体被害の概要をキヤツチして参つたのでございまするが、この被害につきまして、ここで一応御報告申し上げまして、委員会において慎重なる御審議を煩わしまして、これに対する万全の対策をお立て願うとともに、将来再び日本の国のどこの地方にもこういう被害を起させないような、恒久的な対策をお立てになる御参考になるように、こいねがつておる次第でございます。  さて、和歌山の災害につきましては、ここで私が一々数字をもつて申し上げるべきでございまするが、今日なおこの災害が非常にはげしかつたために、和歌山県の罹災地方における交通網、通信網が、ほとんど大部分まだ杜絶しておるような状態でございまするので、数字をもつて申し上げますることは、おそらく一日々々とかわつて参ると思います。  そこで私は、七月二十二日十二時現在の一応の調べはお手元にもお配りしてあると思いますが、これの全部については申し上げません。ただ人命に関する事項についてのみ申し上げまするならば、死者は七月二十二日十二時現在で六百五人になつております。しかしこれも、それより前の二十日の情報によりますれば五百七人で、ちようど中一日置いて百人の死者がふえておるというような状態でございますが、おそらくこれは通信通連絡がだんだんとよくなつて参りまするならば、ますますふえて来るであろうと思うのでございます。行方不明は、同日現在千八十九名を数えております。重傷は四百七十名でございます。軽傷者は二千八百二十六名でございます。総計四千九百九十名という数字になつております。以下、この経済的な損害等につきましては一応の調べがございますが、これはこの際省略さしていただきます。  かようなわけでございまして、この災害は、九州の災害中に比較いたしまして、地域的には比較にならぬほど狭小でございます。従いまして、経済的の損害も、その絶対額におきましては、これは九州よりは、はるかに少いものであろうと思います。しかしながら、一定の単位当りの損害と申しますると、これは九州よりははるかに深刻なるものであつたということを断定できると思うのでございますが、これにつきましては、現地を視察してくれました戸塚建設大臣も、はつきりとそういうことを言明しておつたような次第でございます。  和歌山県の水害を申し上げますにあたりまして、大体和歌山県の河川、山岳の地形から申し上げるのが順序だと思うので、私はこの点から申し上げてみたいと思います。  御承知の通り、和歌山県は紀伊半島の西部に位する県でございますが、河川は大体東の紀和国境に発しまして、そうして西に向つて流れておるのが多いのでございますが、そのほかに、もつと南部には、北に源を発しまして南に流れておりまする熊野川がございます。東から西に流れる川といたしましては、紀ノ川及び紀ノ川の支流がございます。それから順次南へ、みかんで名高い有田川水系、それから安珍、清姫の故事で皆さん御承知の日高川水系、一番南には熊野川というふうに相なつておりますが、この四つの川及びこれの支流が氾濫したのが今日の水害でございます。  そこで、雨が、いつ、どのくらい降つたかということにつきましては、県で調べてみましたが、要するにこれらの川の水源地方というものが、きわめて交通の不便な山岳地帯でございまして、ここにはりつぱな測候所はもちろんありません。そういうようなわけで、各地において雨量がまちまちに報告されております。最もはなはだしいところになりますと、十七日の真夜中の十二時から十八日の正午の十二時まで、この十二時間の間に、約四百ミリの雨が降つたと報告されておりますが、その他の地方におきましては、あるいは二百五十ミリだとか三百ミリだとか申しまして、この雨量につきましては正確な数字は出て参らないのでございます。ただしかし、非常に豪雨が降つたところの場所から命からそれ和歌山県庁に脱出して参りました人の報告によりますと、この間の雨というものは、すでに雨という名前のものではない。四斗だるから水をぶちあけるというような状態が約十二時間続いた、かような報告をして参つておるのであります。  その被害地域の中で最も被害の大きかつたものは、この四つの川の中で、高野山に源を発しておりまする紀ノ川の支流が二、三ございますが、この紀ノ川の支流と、それから直接高野山に源を発しておりまする有田川水系と日高川水系が、最も大きな被害を受けた地方でございます、紀ノ川も、もちろん支流が氾濫いたしましたために、本流も出水し、付近の両岸の田地、田畑に浸水いたしまして、普通の災害の場合ならば、紀ノ川の水害は非常に大きな水害として伝えられるところでございまするが、ほかがあまりにも大きな被害を起したために、紀ノ川の被害は今や被害としては影が薄いというような状態でございます。  そこで私は、この被害の状況について申し上げまするならば、御承知の通り和歌山県は非常な山国でございまして、今申し上げましたこれらの川は、川というよりはむしろ渓谷に近いというような形をとつております。従いまして、これらの川の流域には、きわめてわずかな平野が川沿いにございまして、このわずかな平野を、幾十年、幾百年、これを農地として耕作して参つたのがこれらの流域の住民でございます。ところが、この川の氾濫によりまして、わずかにありましたこれらの農地は、完全に洗い去られてしまつたのでございます。また、洗い去られたというようなところは、きわめてこれはまだ軽微なる損害を受けたところでございまして、両岸から山くずれが一挙にして襲いまして、田も畑も人家も道路を橋梁も、すべてこれを埋没してしまつたというのが、これらの川の中流から上の方に起つた災害でございます。従いまして、これらの川沿いに、川口から奥に通じておりました道路は、軽微なところでは洗い去られてしまい、また大きな被害を受けたところでは、山くずれのために完全に影も形もなくなつて埋没してしまつたと、こういうような状況でございます。かつて、すでに各新聞が、有田川上流地方におけるある部落が、山くずれのために完全に地下に埋没してしまつた、人も人家もともに、一部落が全滅してしまつたということを伝えたのでございまするが、この現象は何も部落だけに起つたことではありません。人が住もうが住むまいが、あらゆるところにかかる山くずれが起つたということを、予解していただきたいと思うのでございます。  従いまして、これらの川の上流地方は、山くずれのために、今や河床が平素よりも数十メートルも上に上つてしまつたというような場所も随所に見られるそうでございます。こういうために、これらの川には、今日なお方々に天然のダムがつくられておるそうであります。これは、飛行機で食物を送るために山奥、川奥地方に参りました県職員その他の報告によりましても、随所に天然のダムができておる。しかもそのダムの水たるや、濁水満々として、一里も奥の方まで続いておるというような状態であります。もしもこの天然のダムが今後の降雨その他の原因のために決壊するというようなことが起りますならば、上のダムが決壊すれば、これはもう下のダムもそれに応じて決壊し、遂に将棋倒しに幾つかのダムが決壊して行く。このために河川はいわゆる鉄砲水を起しまして、下の方にわずかに残つておる農地も人家も、再びこの洪水のためにのまれてしまうというような結果が起るんじやないかということを非常に心配しておるの一が、今日の状態でございます。そこで、川口地方の新聞にも出ましたが、あるいは御坊町とか、あるいは箕島町だとかいうところは、これは私も現地に行つて視察をして参つたのでありまするが、これは川の氾濫のために軒下まで浸水いたしまして、そうして私の参つたのはちようど二十日でございましたが、多くの住居が、あるいは押し流され、あるいは倒壊したのでございます。それに残つておりました住居は、今や床上数尺の泥濘をかきのける作業に一生県命になつておりましたが、私は、これらの川口の地方は、金と時間をかけるならば、これは復旧可能であろうと思うのでございます。しかし、これらの川の中流から上の方の、いわゆる山くずれのために埋没してしまつた村落にいたしましても、農地にいたしましても、これは今や地底数メートルあるいはそれ以上の地底になつてしまつたというようなものを、どうしてこれを回復することができるかというようなことも、大きな問題であろうと思います。しかしながら、生き残つた住民が、何とかしてここへ住んで生活して行かなければならないということであるならば、どうしてもここを復旧するか、新たに開拓するかということが、残された手であろうと思うのでございます。  かようなわけで、これらの河川の流域はきわめて不便なところでございまして、百姓と言いましても、米、麦をつくるということは、きわめてわずかの量しか従前まではなかつたのでございます。従いまして、これらの村落の住民は、主として森林業をもつて生活して参つたのでございます。ところが、御承知の通り、山くずれによりまして森林の多くはくずれてしまつた。そうして流れた。ところが、全部が流れたというわけではない。あとにまだ相当、すぎ、ひのき等の森林が残つておる。しかしながら、残つておりましても、今や道路がほとんど決壊、埋没してしまつている。それから河川が山くずれのために河床が上に上つてしまい、ことに天然のダムが随所にできておるというような事柄を考えてみまして、この材木を搬出するということは、これはちよつとやそつとでは行かない。長い間、河川を改修して、川流しによつて林木を出しておつた川が、かかる状態になりましては、もはや材木を搬出することができない。そういうことになりますと、食糧をつくるには農地が埋まつてしまつた。材木を搬出しようとするには、水路がなくなつてしまつたということに相なりまして、将来この地方における村落の住民は一体どうして生活して行くかということが、非常に大きな問題であろうと思います。  かつて奈良県の十津川が——おそらく明治二十年代と思いますが、私どもはこれを十津川くずれという名前で子供のときに聞いておりますが、十津川はもはや人の住むところではないというような荒れ方をいたしまして、そのときに、十津川のある部落の方たちはあげて北海道に移住をした、そして北海道に新十津川村というようなものをつくつたという話を承つておるのでございます。この北海道の新十津川村へ、十津川村部落の人を率いて参つた人の中には、その指導者の一人として、わが衆議院の大先輩の東武先生がおられたのです。私は、東武先生にも、かつてこの話を承つたのでございまするが、おそらくこの和歌山県の有田、日高あるいは熊野川の上流地方の人々は、生活のために一大決意を持たなければならないというような状態になつておるのが、今日の状態でございます。  これに対しまして、政府も国会もまた県当局も、非常に熱意を持つて、当面の救援の作業及び将来の恒久的対策について考えられておるのでございますが、私が二十二日まで和歌山県におりましたときに、どういう対策をとつておつたかと申しますると、まず保安隊を動員してもらいまして、川の下流地方における泥よけの作業、また材木や家のこわれなどが所在に散乱しておりまするから、これの取片づけ等をやつておりました。最も大事な仕事は、道路が完全になくなつておりまするから、保安隊に——昔の工兵隊の仕事でございますが、あるいは仮橋をかけてもらう、あるいは仮の道路をつけてもらう、鉄舟による橋梁をつくつてもらうというようなことをやつておりました。さらにまた、奥地は食糧に非常に困つておりますために、この保安隊に、食糧をリユツクサツクに詰めて、そうして道なき道をよじ登つて、被害を受けた地方に食糧を配給してもらうといつたような作業をやつておりました。また海上警備隊にお願いをいたしまして、フリゲート艦などを動員いたしまして、和歌山市と南部の御坊町あるいは箕島町といつたところとの連絡だとか、あるいは保安隊を送るというような仕事をやつてもらつたのでございます。被害地方における保安隊及び海上警備隊の活動は、非常に人心をして安堵せしめるということ、及び実際食糧を運ぶとか、実際的の仕事に貢献してもらつたのでございます。さらに奥地の、全然足を踏み込むことができないというような地方に対しましては、極東軍のヘリコプターを借りまして、投下食糧を供給するとか、また普通の飛行機でもつて食糧を運ぶというような作業をやつておりましたが、しかしながら、食糧の空中輸送というものは、これは決して十分なものではなく、しかも河川が増水しておりますると、左岸に着いた食糧は右岸の住民には渡らない、右岸に着いた衣料は左岸の住民には渡らないということで、とうていこの空中からの輸送というものは満足には送り得ないということでございました。食糧の不安による人心の動揺に基く治安の悪化ということも、非常に心配されたところでございました。  政府は、さしあだつてのつなぎ融資として、前後二回にわたり億三八千万円を出してくれたのでございますが、和歌山県におきましては、三億八千万円のつなぎ資金ではとうていこれは足りない、もつと出してもらいたいということをお願いしたのでございますが、これに対する政府の回答は、実は九州にも相当の金をつなぎ資金として出したのだ。しかしながら、九州に出して、今日までその金がなかなか使われていない。実際には、あの騒動の中で、金の使いようもないのだろう。そういう使いようのないような金を一度にどつと出すということは、これは、いたずらに物価をつり上げることになるかもしれない。要するにつなぎ資金は、もし計画して、そうしてこれだけのものがいるということであるならば、この際政府は決して出し惜しみをしないのであるが、大州のごとくなかなか使い切れないというような状態では、これは金を出してもしかたがない。こういうようなお話でございました。私は、九州におかれても、このつなぎ資金を十分よく活用せられるようにお願い申したいのでございます。  以上私は、災害の実情と、今日とつております応急の対策とについて御報告申し上げたのでございますが私は、最後に、今日和歌山県がなぜあんな大きな水害に見舞われたかということについて、現地におきましても専門家といろいろ話し合い、私もまた見て参つたのでございますが、御承知の通り、和歌山県は日本有数の山林国でございます。今氾濫いたしました紀ノ川の支流、有田川水系、日高川水系、熊野川水系等は、いずれもその水源を高野山に発しております。この高野山は、戦争までは、非常に原始林とも思われる、すぎ、ひのき、その他の森林が欝蒼として茂つておつたのでございます。戦争中からこれが濫伐せられまして、今や見る影もない赤裸の山となつております。この高野山に水源を発する各河川が、数百年来、従前の川幅、従前の川のスケールを保つて参りましたのは、高野山一帯が非常なる森林地帯である、またこの河川の両岸は非常に山林が茂つておるというようなことで、いかに雨が降つても、その雨を吸収する能力があつた。こういう山林の間を流れておる川でありまするから、この山林と、川幅、川のスケールが従来バランスをとつておつた。従来あの大きさでもつてバランスがとれていた。こういうことが言えるだろうと思うのでございますが、今日突然あの大洪水が起るということは、高野山初めその他の山林地帯が、濫伐の結果裸の山になつてしまつておる。すでに山が裸になりましたならば、降雨を吸収する力が全然なくなつてしまう。そこで、一時に水がどつと河川に流れて洪水を起す。こういうことで、今まで森林とバランスのとれておつた河川が、裸山とバランスのとれた河川となつてしまつた、つまり朝鮮の川になつてしまつた、こういうことであろうと思うのでございます。自然は川幅を改訂してしまつたということであろうと思うのでございます。  この水害の根本的対策といたしましては、何としても、これらの山々を、再び欝蒼たる森林につくりかえなければいけない。今日和歌山に起りました水害を、これは五十年目の水害だ、あるいは百年目の水害だというふうに認識しておる人が多いようでございますが、私は、あのはげ山の状態をながめてみまして、これは決してそういう五十年とか百年に一度来る洪水ではない。山が裸である以上は、あるいは二年目に来るか、三年目に来るか、十年以内に再びこういうことが起るのじやないかということを、はつきりと認識しなければならない、かように思うのでございます。この意味におきましても、本委員会において、恒久的の対策として、川を治めるためにはまず山を治めなければならないということを、この際強く強調せられて対策を立てるべきことを、私は切に希望するものでございます。  以上、簡単に御報告申し上げましたが、わが和歌山県の災害に対しましては、特にこれが救援及び恒久の対策について御審議願うとともに、将来日本の国のどこにもかかる災害が起らないための対策を立てるべき審議資料となれば、私は仕合せに存ずる次第であります。以上をもつて終ります。

平井義一自由党

○平井委員長代理 坊秀男君の説明は終りましだが、これについて何か御質疑はございませんか。     —————————————

平井義一自由党

○平井委員長代理 次に、水害地対策について質疑を続行いたします。  本日は、通産省中小企業庁指導部長、通産省石炭局炭政課長、通産省公益事業局公益事業課長、文部省管理局教育施設部長、運輸省鉄道監督局民営鉄道部長、建設省官房長、建設省河川局長、厚生省環境衛生部長、自治庁財政部長、労働基準局監督課長、この方方が出席しておりますので、順次質疑を許します。松前重義君。

松前重義日本社会党(右)

○松前委員 私は、厚生省関係についてお尋ねをいたしたいと思います。  具体的な例を申し上げますれば、白川の水系におきまして、あの白川に面しておりまする村は、ほとんど全部土砂の埋没するところとなつております。その土砂の埋没いたしましたために、従来、これらの村は、地下水が出ないために、灌漑用水をもつて飲料水といたしておつたのであります。この灌漑用水をもつて飲料水といたしておりましたので、今回の災害によりまし一、土砂によつてその灌漑用水が全部埋まつてしまつて、飲料水は全然供給されなくなつた。こういうことで、水書のときには水のために破壊され、水が引いたら、今度は水のないために、州民は毎日の生活の不安におののいておるような状況であります。ただいまこれらの飲料水は、白川に、わざわざ州民全部が、毎日の仕事としてバケツでくみに行く。そのくんだ水は、濁水でございますので、ポンプをかけて、一応簡単な浄化装置をもつてやろうといたしました。ところが、そのポンプが、濁水の中に含まれておる土砂のために弁が動かなくなるという現象が起りまして、それがためほとんど飲料水に困つておるような状態であり、このままにして放置いたしまするならば、村民は、ほとんど全部の田畑を土砂に埋没されたために、その日々の生活さえも全然できなくなつた今日において、その上に飲料水さえも供給できないというようなさんたんたる状況にあるということを、先ほど来村の当局者から訴えて参つたのであります。これらに対しては、どうしても簡易水道の設置を早急にやらせなくてはならないと思うのでありまするが、しかし地元の負担力はほとんどなくなつてしまつておる。負担力のないところに、従来のような四分の一の補助による簡易水道のごときは夢想だにもできないのであります。これが半分になつても負担力はもちろんありません。これらに対しましては、国家が特別な補助、できるなら全額国庫負担をもつてこの簡易水道をすみやかに建設する方途を講じてやらない限り、ここ数年間は、おそらくこの水のために、塗炭に苦しみに陥るであろうことは明らかな事実であります。これにつきまして、厚生省は、この補助金の額を、四分の一から、できるなら全額に、あるいはまた四分の三くらいにまで補助金を増額して、これらの水飢饉を救済する意図があるかどうか、この問題をお伺いしたいのであります。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 お答え申し上げますただいま御指摘の点は、災害を原因といたしまして、従来飲料水に使つておつた水源が枯渇して、今後その水が従来通り使えなくなつた場合の問題と存じます。かような場合は他にも例がございまして、たとえますれば、地震のあと地盤が沈下しまして、従来使つておりました飲料水に支障が出て参つたような場合には、新たにそこに簡易水道を敷設することといたしておりまするが、かような場合には、一般には四分の一の補助率を、特に二分の一に引上げて、簡易水道の早急なる敷設をはかつておる次第であります。かような例から考えますると、国家財政の観点もございまするが、ただいま御指摘のような、つまり災害のために水がなくなつて、簡易水道の敷設を必要とするということが明らかな場合には、やはり特別な国庫補助を考えねばならぬものと考えております。なお、かような例に関しましては、厚生省といたしましても十分財源の確保に努力して参りたいと思います。

松前重義日本社会党(右)

○松前委員 ただいまのお話で大体了承はいたしましたけれども、問題は、地震の場合と違いまして、今回はほとんど農地の全部を土砂に埋められておるような状況であります。地震の場合は、家やその他の施設はやられても、農地は残つておるのでありますから、生活への希望は十分残つておる。従つて、地方における負担力は決して零ではないのでありますが、今回の場合に関しましては、その地方における負担力はほとんど零に近い状況にありまするので、地震の場合と違つて、今回のような特異な現象に対しましては、国家が全額の補助をして、すみやかに飲料水を供給してやるというような処置を講じなければならないと思うのであります。ただいまの御答弁もありましたけれども、もう一回、この点に対する厚生省の御所見を伺いたいと思います。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 補助率の問題でありまするが、かように災害を原因といたしまして簡易水道の敷設を必要とする場合に、特に特別な補助率を考えますことは当然であり、また私どもも努力をいたす次第であります。ただ、補助率をどの程度に持つて行くか。あるいは全額国庫補助というようなことに相なりますと、これは財務当局との折衝の関係もあり、あるいは財政上の関係もありますので、今確たる御返事を申し上げることはできませんが、厚生省といたしましては、ただいま申し上げました趣旨によりまして、できるだけ高率な補助率をもつて当りたい、今後努力して参りたいと存じております。具体的なことを申し上げられないで、はなはだ相すみませんが、その程度でひとつごかんべん願います。

松前重義日本社会党(右)

○松前委員 この要望は、罹災地としては非常に切なる要求でございます。毎日の水のことでありますから、大してありがたくないようなものであつて、しかも最も重要なる生活必需品であることは申すまでもありません。どうか、この点について、厚生省におかれては、御認識はもちろんありましようが、十分の熱意を持つて、補助率の引上げに対して後刻また御想談もいたしまするので、それに対して十分御努力あらんことをお願い申し上げまして、私の質問を一応終ります。

平井義一自由党

○平井委員長代理 では次に熊谷憲一君。

熊谷憲一自由党

○熊谷委員 私は、まず中小企業庁の指導部長に一つ質問をしたいのでありますが、私の質問する趣意は、今度の水害によつてつぶれました工場が相当あろうと思います。また鉱山等もあろうかと存ずるのでありますが、これが救済の一つの方策といたしまして、罹災した工場や鉱山の機械類を、何とかして都合ができないかということを考えてみたのであります。  そこでまず御質問いたしたい第一の点は、昔の陸海軍の工廠あるいは軍需省関係の所管に属しておつた工場の機械類で、あなたの中小企業庁の所管ではありませんけれども、国有財産として保管されておるものが相当あろうかと存じまするが、その点、どれくらいあるか、また中小工場等にまわし得るような機械があるかどうか、また国有財産として保管されておるが、その処分方針はどうなつておるか、もし御存じであればお聞かせ願いたいと思います。

小出栄一通商産業事務官(中小企業庁指導部長)

○小出説明員 お答えいたします。ただいまのお尋ねは、中小工場、鉱山の持つておりまする機械設備が、このたびの水害によりまして相当の被害を受けました。これらの設備をとりかえなくちやならぬというような事態に至つておるのでございますが、それに対しまして、これらの中小工場、鉱山の受けました機械設備のとりかえをいたしまするための一つの手段といたしまして、従来国が持つておりまする、戦争中の陸海軍工廠にありました機械でありまするとか、あるいは軍需会社が持つておりまする機械と交換したらどうだろうという御質問でございました。まことに適切有効なる措置だろうと考えられるのでございますが、現在、実は国有財産として、大蔵省管財局の所管のもとに、各出先におきましてそれぞれ保管しておりまする機械設備は相当ございまして、その中で中小工場に適当であろうと思われる機械は、おそらく相当の数に上るだろうと思うのでございます。とりあえず、昨年度は、昭和二十七年度の国会の御承認を得ました国有財産特別措置法という法律によりまして、実はその中で約四万数千台の機械を、中小工場向けとして別のわくを設けまして、そうして、それらの国有財用と中小工場が持つておりまする老朽機械、古い機械とを交換する。その交換いたしまする際に、国有財産として陸海軍工廠にありまする機械と、それから中小工場が持つておりまするスクラツプに近い機械との評価をいたしまして、その評価の差額を交換差金として国に払うことにいたしまして、それらの老朽機械と国の持つております比較的近代的な機械とを交換するという措置を、実は実行して参つたのでありまして、その昨年度から実施しておりまする国有財産の交換制度は現在進行中でございまして、大体、全国的に見まして、四万台のうちの約三割くらいは交換にまわるのではないかと考えておりますが、実は、これはとりあえずの措置でございまして、まだこのほかに、大蔵省の調査によりましても、中小工場向けとして適当な機械が相当残つておるように聞いております。これらの機械が、この際において、中小工場の被害工場に対して相当放出されるというような措置が考えられるといたしまするならば、幸いであると存じます。

熊谷憲一自由党

○熊谷委員 ただいま御説明中にありました国有財産特別措置法であります。それによつて払い下げられる機械の値段は、市場の現在の価値に比較してどういうものであるか、またその対価等の支払いについては、一時金で払うのか、あるいは年賦で払うようなことになつておるかということを御質問すると同時に、今度の水害で罹災いたしました工場、鉱山について、現在のこの措置法によつて、特別の処置が講ぜられるかどうか、たとえば値段を安く売り払うことができるか、あるいはその代金を五年とか十年とかいう年賦で支払うような方法も、この措置法のうちに認められておるかどうかということをお尋ねいたしたいと思います。     〔平井委員長代理退席、綱島委員長代理着席〕

小出栄一通商産業事務官(中小企業庁指導部長)

○小出説明員 従来から実施して参りました国有財産特別措置法の規定によりますと、国有財産としての機械の評価につきましては、一定の算出方式がございまして、大体適正なる時価でもつて払い下げる、それに対しまして、中小工場の側で持つておりまするスクラツプに近い機械は、大体スクラツプの値段で評価をいたしまして、その差額を中小工場の方から監理局の方に支払いをする、こういうことになつております。その評価につきましては、できるだけ地元の県知事の認定ということを優先的にお願いいたしまして、県知事の方におきまして、なるべく中小工場に優利な評価をいたしておりまするけれども、しかし、それにもやはり限度がございまして、国有財産特別措置法に基く一定の算出方式というものの特例を設けられておりません。従いまして、もし今後、災害地に対しまして、特別な安い価格で払下げをする、あるいは代金の支払いにつきましても、大体交換差金が三十万円以上になりませんというと、つまり言いかえますれば、三十万円まではどうしても一時払いをしなければならぬということになつておりまして、中小工場の負担能力から申しましても、かなり限度が高いわけでございまして、これらに対して交換差金の延納の措置をとる、あるいは評価を安くするということをいたしまする限りは、現在の国有財産特別措置法の法律の改正を必要とするわけでありまして、法律の改正がない場合は、やはり従来通りの方式でやるよりしようがないと思つております。

熊谷憲一自由党

○熊谷委員 そうしますると、国有財産特別措置法を改正しなければ、そういうことはできないというお話はよくわかりましたが、そういう点について大蔵省とすでに交渉したことがあるかどうか。これに対する大蔵省の意向がわかつておりますれば、教えていただきたいと思います。

小出栄一通商産業事務官(中小企業庁指導部長)

○小出説明員 この問題につきまして、実は大蔵省の管財局長とは、この災害が起ります以前におきまして、実は先ほど申し上げましたように、従来四万数千台の機械が、中小工場の老朽機械との交換用として割当てられましたにかかわらず、実際には三割未満くらいの交換率しかないということは、実際にこの機械を保管しておられまする財務局において、交換用として割当てられました機械は、現物について見ますというと、部品が大体欠品が多かつたり、中にはとうてい使いものにならないような機械があつたりいたしまして、意外に適当な機械があまりたくさんなかつたというような関係もございます。また、評価の点につきましても、先ほど申しましたように、なかなか三十万円まで一時払いをするということも困難な関係もございまして、従つて中小工場としてほしい機械は相当あるけれども、手が出ないというような実情でございますので、これをもう少し何とか改善いたしまして、ほんとうにこの交換制度の趣旨を達成し得るような措置はできないものかどうかという点について、今年度の初めから大蔵省と話合いを進めております。大蔵省の方の見解といたしましては、交換制度というものは非常に手続も煩雑でありまするので、まだ国有財産として中小工場に適当と思われる機械は相当残つておるから、新たに何か特別なわくを設けまして、中小工場に対して、随意契約か何かで、特別な評価で払い下げるという措置を考慮してもよろしい、しかし、何と申しましても、昭和二十七年度から実施しておりまする分が一応完了した上で、新たに考えよう、こういうふうな段階になつております。なお、この評価の点につきましては、やはり限度があるようでございまして、現在の規定によりますると、時価の七割というところまで特別な場合には減額できる規定がございまするが、この減額規定の対象になりまするのは、大体災害の場合において、地方公共団体に対して払い下げる場合に限られております。従つて、一般の企業に対しまして特別に七割というところまで減額するというようなことは、現行法において認められてないわけです。大蔵省としては、その点には相当難色を示しておられます。現在までの交渉の経過はそういうことでございます。

熊谷憲一自由党

○熊谷委員 中小企業庁に対する質問は終りまして、自治庁の武岡君が参つておりますから、ちよつとお教えいただきたいと思います。  七月十三日の調査によりますと、災害復旧等に要する負担増加見込額、これが八十億くらいであつたと思います。また、地方税の減収見込額が五十二億くらいに聞いておりますが、その後新しい調査ができましたかどうか。その数字をちよつと教えていただきたいと思います。

武岡憲一総理府事務官(自治庁財政部長)

○武岡政府委員 今回の災害に基きまする地方の特別な負担額の増加、それから税の減免等によりまする減収の見込額につきましては、ただいま数字のお示しがございましたが、実は自治庁といたしましても調査中でございまして、現地の方に係官が参つておりまして、ここ二両日中に資料を持つて帰ることになつております。その復命がございますれば、相当具体的な数字がわかるかと思いますが、ただいまのところ、お示しの数字以上の具体的な資料は持つておりません。もう一両日お待ちをいただきたいと思います。

熊谷憲一自由党

○熊谷委員 そうしますと、その数字がわかつた後に、起債のわくの増加、平衡交付金のわくの増加ということはお考えになる、そういうことになりますか。

武岡憲一総理府事務官(自治庁財政部長)

○武岡政府委員 起債のわくの問題でございますが、これは、ただいまのところ、現在立てておりまする地方財政計画におきましては、国の公共事業費を目標額といたしまして、それに伴つて地方に必要となるであろうところの額を予想して、それ一ぱいのものを見込んでおるわけでございます。今回の災害額が判明をいたしまして、これに伴つて国の公共事業費というものが相当増額になるというような場合には、当然それに伴つて地方負担額がふえて参りますので、起債のわくも増額をいたさなければならぬと考えておるわけでございます。なお、単独の災害復旧事業費につきましても、大体事情は同様でございますが、これも具体的に数字が判明いたしました上で、適当な処置をとりたいと考えております。  なお、特別平衡交付金についてのお尋ねでございますが、これは、ただいまの法律上は、御承知のように交付金の総額の八%ということに相なつておるのでございますが、ただ、今年のように異常な災害が相次いで起りまして、実際の各団体の財政事情の悪化、すなわち財政収入額の減収に伴いますところの財政負担の困難を緩和するための、あるいは調整するための交付金といたしましては、法律が当初予定をいたしておりますものの限度では、実際問題として非常に少きに失するのではないかということが憂えられるわけでございます。これにつきましては、なお特別な措置を考えたいということで、私どももいろいろ検討をいたしておるわけであります。事情によりまして、しかるべく措置をとりたいと考えております。

熊谷憲一自由党

○熊谷委員 次に、労働省にちよつとお伺いしたいのですが、今度の水害関係で、工場やあるいは炭鉱が相当水害にかかりまして、あるいは失業したり、あるいは休業の状態にあるものが相当あるかと存じますが、大体それがどれくらいあるか、何名くらいであるか、数字が判明しておりましたなら、ひとつ教えていただきたい。

和田勝美労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○和田説明員 ただいま手元に数字を持ち合せませんので、後刻申し上げたいと思います。

熊谷憲一自由党

○熊谷委員 そこで、炭鉱や工場がつぶれて、廃業になつて解雇された者については、当然失業保険法によつて救済を受ける、あるいは災害救助法によつて救済を受けるということはできると思います。たとえば、炭坑に水が入りまして、それをくみ出して復活するまで相当の日数を要するという場合で、休業状態にあるものが相当あるように聞いております。これにつきましては、労働基準法の二十何条ですか、事業主においては特別な賃金等を払う必要がないように規定してあるというのでありますが、さようでございましようか。

和田勝美労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○和田説明員 休業になりましても、労働基準法の二十六条によりまして、使用者の責めに帰すべき事由による以外は、休業手当を払わなくてもよいということになつております。今回の水害のような天災地変によつて、今例をおあげになりましたように、水没田の水を揚げる期間は休まざるを得ないというような場合には、休業手当を出さなくてもいいように私どもは解釈いたしております。

熊谷憲一自由党

○熊谷委員 まあ法律の解釈としてはそれでけつこうだと思うのですが、そうしますと、その間労働者はいかなる方法によつて生活を維持することができかる。その点につきまして、特別に労働省で何かお考えになつておりますか。

和田勝美労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○和田説明員 それにつきましては、私どもの方といたしましては、融資の問題が第一にあろうと思うのであります。融資しても賃金として出ないのでは困りますので、それが労働者の手に直接わたるような機関を通して融資をして、まあ労働者から見ますると借金の形になるわけでございますが、そういうことによつて当面の問題をば処理いたしたい、こういう考え方で、関係方面と折衝いたしております。

熊谷憲一自由党

○熊谷委員 もう少し今の方法を具体的にひとつ聞かしていただきたいと思います。もうすでに一箇月近くなつており、困つておる連中も非常に多いようでございますので、一刻を争う問題だと思いますから……。

和田勝美労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○和田説明員 お答えいたします。私どもといたしましては、具体的に通産省の中小企業庁、大蔵省と折衝いたしております。普通の商工業の方は、復旧に労働者を使いますから休業手当の問題は出ませんが、炭鉱だけが特殊な事情にあり、私ども現地を見まして一番問題のように考えましたので、炭鉱については別わくの問題としてやつております。具体的な数字は通産省の方で大体見込みがついたように伺つております。労働者につきましては、大分、福岡、佐賀等に労働金庫がございますので、そういう方面の金をば県を通しまして流す、そういうことをやりたいと思つて折衝いたしておりますが、従来こういうことはやつたことがございませんので、今回の場合、特例として目下研究中でございます。大体金額は二億円を若干上まわつておるように承知しております。

熊谷憲一自由党

○熊谷委員 まあ、そういうお答えだろうと予期しておつたのでありますが、御承知だろうと思いますけれども、一向その金庫から石炭業者の方に金がまわつていないようであります。従つて、事業主としては、労働者の賃金は払わぬでいいからというので、むろん払わぬだろうと思いますけれども、生活に対する手当がついていない。何とかして炭鉱業者の手にその金が渡るような方法を講じなくてはならぬ。そこで、それはそれで講ずるとして、あなたの方の所管からかわつて来ますけれども、失業保険法の解釈を、もう少しルーズといいますか、ゆるやかにして、救済をするとかいう考えをお持ちでしようか。

三治重信労働事務官(職業安定局失業保険課長)

○三治説明員 今度の水害に対しまして、失業保険の問題として対処したのは、交通、通信、金融機関が杜絶いたしましたために、われわれの方では、急遽福岡、熊本両県にはわれわれの方から現金を持参させまして、すぐ各安定所の第一線において金の支払いに支障を来さないように処置をするとともに、実際において本人が安定所へ出頭できない場合には、認定証明で代人の受領まで認めるとか、いろいろな方策をとりまして、現在やつております。ただ、その内容におきまして、休業中の失業保険の支給という問題になりますと、われわれの方の保険の現在の立場では、休業という理由では離職票を事業主が出せないのでありまして、従つて休業ということでは、保険金の支給ができないと私たちは思つております。しかし、現実の問題といたしましては、やはり労使双方でいろいろお話合いせられまして、離職票を持つて安定所に出られる方には、われわれの方としてはそう事情を深く考えることなく、現実においてその労働者が、離職と申しますか、働けなくて、安定所に失業保険金の請求に来られた場合として、失業保険金を支払つておる。そういうような関係で、ただ一時現地から、失業保険法の適用事業所において、失業保険金の受給資格のない者も一律にというような要望も、何か一部にあつたと思います。     〔綱島委員長代理退席、委員長着席〕  けれども、失業保険の資格者であつて、離職票を安定所に持つて来られた方には——われわれの方としては——その人が実際に働けない状態になつておるという場合には支給しておりますから、失業保険法では、相当弾力性ある解釈をやつて現実に処しておると思つております。

熊谷憲一自由党

○熊谷委員 監督課長の御説明によれば、何と言いますか、政府の出した資金がまわつて行くことによつて救済するということでありますが、私は、従来炭鉱の中には賃金の不払いや遅払いや何かが相当あつたと思う。炭鉱そのものがつぶれておるのですから、なかなか、金を借り得ても、労働者の方にはたしてまわつているかどうかということを一つは心配します。それからなお、現在そういう金がまわつておるかというと、ほとんどまわつてない。そうして、一月もすでに時日を経過している。しかして今度は、失業保険の関係からいえば、非常に解釈がきゆうくつである。私は、労働基準法二十六条そのものが、ああいう大きな災害の場合を予知しておつたかどうか、労働者をそのまま捨てておいていい問題であるかどうか、非常にその点疑いを起すのであります。その点について何か御所見があつたら伺つておきたいと思います。

和田勝美労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○和田説明員 お答えいたします。基準法の二十六条につきまして、こういう非常な場合を考えておるかということでございますが、基準法は御存じのように労使双方の法律でありますので、労使にわたらない分につきましては、基準法では一応規定をしてないわけであります。今度の場合、まさに労使双方の責任にわたらない分野に属するわけであります。そのわたらない分野につきましては、先ほど御質問に出ております災害救助法とか、その他の関係法令でやつて行かざるを得ないと思います。現在のところ、そういう点につきまして、使用者側から休業手当が出ない。それが失業でないので、失業保険からも金が出ないということで、そういう意味から来る労働者の無収入という問題が確かに生じておると私ども思つております。そこで、今御指摘になりましように、中小炭鉱がコマーシヤル・ベースに乗らないということで、金がなかなかまわらない実情のようでございますが、それを勘案いたしまして、私どもの方では、労働者に直接渡る金のために、労働金庫の活用というようなことも考えまして、今折衝を行つておる次第でございます。

熊谷憲一自由党

○熊谷委員 労働金庫ですか。それの活用もけつこうだと思いますが、その点は大蔵省との折衝はどういうふうになつておりますか。

和田勝美労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○和田説明員 まだ最終的な段階にまで来ておりませんですが、最初の企画としては、一応話が順調に進んでおるように考えております。一応県を通しまして、県へ金を渡しまして、県から労働金庫に渡す、こういうことになつております。

熊谷憲一自由党

○熊谷委員 労働金庫にどれくらいの金がまわる御予定でありますか。

和田勝美労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○和田説明員 ただいま交渉中でございまして、具体的には何でございますが、私どもの考えておりますのは、二億円程度のものを一応考えております。

池田禎治日本社会党(右)

○池田(禎)委員 ただいまの熊谷委員の質問に関連いたしまして、労働省と通産省にお尋ねいたします。大体今度の災害によりまする労働者の困窮の特にはなはだしいのは中小炭鉱であると、ただいま御説明にも申されたようでありますが、私もその通りだと思つております。そこで、今日までにとられた炭鉱業者に対するつなぎ資金とか、あるいは融資とかいうものについては、労銀について考慮すべきであるとか、なんとかいう注文をつけたものであるかどうか、その点をひとつ通産関係にお聞きしたいと思います。

佐橋滋通商産業事務官(石炭局炭政課長)

○佐橋説明員 お答えいたします。現在までに通産省として手当をいたしましたのは、御承知のように国庫余裕金の預託十五億というのを現在までに実施しておりまして、一昨日さらに十億のつなぎ資金が決定したのであります。この前の十五億の点につきましては、中小企業全般で、当然中小炭鉱も入つておるはずであつたのでありますが、現在、実際の面におきましては、中小炭鉱へはほとんど金が流れていないという状況であります。今度十億預託をいたします金につきましては、主として炭鉱向けだということになつておりますので、今度の金は若干流れるのではないかというふうに考えております。ところで、この十億は大部分がつなぎ資金にまわりますので、この点につきましては労働省の方からも申入れがありまして、労務者の労賃が大部分であるということで現地へ流すようにという連絡がありましたので、われわれの方としてもさように指示したい、こういうふうに考えております。

池田禎治日本社会党(右)

○池田(禎)委員 今までにおきましては、特にそのつなぎ資金ないし融資において、労銀は必ず払うべきものであるというような指示、あるいはまたそういうふうな話合いをなさつたことがありますか、ないですか、その点を具体的に……。

佐橋滋通商産業事務官(石炭局炭政課長)

○佐橋説明員 労働省の方からそういつた連絡は常にあつたのでありますが、先ほど申し上げましたように、現実につなぎ融資が中小炭鉱へはちつとも流れていないで、炭鉱向けのひもつきの金をとるということに最近まで重点が置かれましたが、一昨日ようやくその金が十億とれましたので、今度そういう意味の通牒を出したい、こういうふうに考えております。

池田禎治日本社会党(右)

○池田(禎)委員 これは通産でありますか、労働でありますか、いずれでもけつこうですが、水害は先月以来のことでありまして、長い間作業が不能でありました。その間のことは、これは天災といたしまして、経営者が労銀を支払わぬでも何ら法律に抵触しない。しかし、御承知のように、中小炭鉱というものの中には、すでに賃金の遅払いあるいは欠配というようなものが多く現われております。そういう者に対しては、融資されたものの中から、優先的にといいますか、当然払わなければならぬとわれわれは思つております。そのあとの水害については、これは払う必要なしとの法律上の解釈で、それが責任がないとするならば、私は当然払わないだろうと思う。従いまして、労働省としては、この災害を受けた労働者に対して、どういう形にをける救済制度をとるか。あるいは通産省は、今度の特別な災害としての水害につきましては、特に賃金に対するところの考慮をして、これについても大蔵省とも折衝して、予算的措置を行つた上で払うべきような考慮ないし配慮があるかどうか。その点を承りたい。

和田勝美労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○和田説明員 労働省といたしましては、ただいま通産省の方から御説明がございましたように、災害対策本部が開かれましてから、ずつと、従来からの賃金の遅欠配の問題につきましても、ぜひ融資のわくをとつてほしいということを申しておりましたところ、今御説明のようなかつこうになりまして、十億につきましては、賃金がこの中に大分含まれておるということになつたようであります。休業手当を払わなくてもいいということについては、しからばどうするかという御質問でございますが、これは、先ほど熊谷委員にもお答え申し上げましたように、現在の法律上の制度といたしましては、これをば事業者に義務づけるということもできませんので、さしあたつては労働者が借金をするという形で処理をいたして参りたい、こういうふうに考えております。

佐橋滋通商産業事務官(石炭局炭政課長)

○佐橋説明員 通産省といたしましては、経営者の方に運転資金が流れますれば、当然労働者に対して金が支払われるものというふうに考えておるわけであります。しかし、今度の被害によりまして、炭鉱によりましては立ち上り得ないような炭鉱も数多く出て来るかと思いますが、そういう炭鉱に勤めておりまする労働者に対しましては、これはもう失業保険以外に手がないというふうに考えております。

池田禎治日本社会党(右)

○池田(禎)委員 そこで、実は私も正確なデータを持つておらぬのでありますが、労働省の方は、先ほどあなたの方も正確な数字がないとおつしやつたのでありますけれども、先ほど二億円程度のものを県を通じて労働金庫に預託するようにしたい、こういうようなお話でありましだ。その金は一つの県へ行きますか、水害地全体を当てにして、二億円でまかなおうとするものでありまするか、その点を承りたい。

和田勝美労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○和田説明員 ただいまのところ、私どもが交渉いたしておりますのは、今度の水害に関係のある各府県ということでございます。

池田禎治日本社会党(右)

○池田(禎)委員 そうすると、私もその詳しい資料を持つておらないだけに、どのくらいになるかということの概算が出て来ないのでありまするが、労働省の方では、大体あなた方の見積りとしては、その程度でもつて労働者の今日まで月余にわたる労銀にかわるべきものという大体の目鼻をおつけになつて、一億というものをはじき出したものであるかどうか、その点はどうでしよう。

和田勝美労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○和田説明員 まことに申訳ございませんが、私、昨日九州から帰つて参りましたもので、それをはじき出しだいろいろの数字全般については承知いたしておりませんので、後刻お答え申し上げたいと思います。

池田禎治日本社会党(右)

○池田(禎)委員 失業保険課長にもう一度お尋ねいたしますが、先ほどのあなたの御答弁は、きわめて含みあるがごとく、ないがごとき答弁でありました。大体完全な失業者にあらざるもの、たとえば失業ではないが、この水害によつて長い間就労しておらない、従つて経営者の方は、これに対して賃金を払うところの法的義務を持たない、また払えない現況にあるものは、事実上において失業者とは認定できないにしても、便宜的にそういう方法を労使双方においてもし行つたとする場合には、これをあなた方は承認——という言葉がいけなければ、黙認をするのか、あるいは、そういうことは何らかの方法をもつて便法を講ぜられるものかどうか、その点を明確にお答え願いたい。

三治重信労働事務官(職業安定局失業保険課長)

○三治説明員 私の方といたしましては、休業であるから失業保険金を出さぬとか、失業であるから失業保険金を出すということでなくて、現実に離職票を安定所へ持つて来られたことで判定するわけでございます。従いまして、離職票を出されるまでの労使双方の話合いについては、こういう災害の場合については、私の方ではあまり深く問わない、こういう意味でございます。従いまして、現実に離職票を持つて来られまして、その離職票が、われわれの方の法律に基いて失業保険を受給する資格者であると認定される場合においては、失業保険金を支給するようにということでございます。

池田禎治日本社会党(右)

○池田(禎)委員 これはちよつと飛躍した議論かもしれませんが、もしかりに本院において、失業にあらずといえども、すなわち廃鉱ないし閉鎖にあらずして、休鉱の状態にある、従つて失業者に正確にはなつたのではないが、事実上において労銀の支払いを受ける資格なき現状にある者に対して、こういう空前の災害については、臨時的特例をもつて失業保険を払うべきであるという立法措置を講じた場合におけるあなた方の見解といいますか、そういう方法についてはどういう御意見ですか。そういうことが好ましいとはだれも申しませんが、そういう措置は、はたして適切であるかないかについて、御意見を承つておきたいと思います。

三治重信労働事務官(職業安定局失業保険課長)

○三治説明員 特別に立法措置をされまして、失業保険をそういう人たちに支払う措置が講ぜられる場合においては、われわれは現在のところやむを得ないと思つております。しかし、われわれはまだ上司の方と、特にそういうことにつきまして最後的な打合せはしておりませんが、そういう空気は若干察しております。

池田禎治日本社会党(右)

○池田(禎)委員 そこで、労働省並びに通産省の方にお願い申し上げます。大体私も数字を持たないで申し上げておるのでありますから、はたして妥当かどうかわかりませんが、労働金庫を通じ、あるいはまたその他の方法を通じて、水害にあつた労働者を救済する。わけても資本の比較的脆弱な炭鉱におきまする労働者は、常に賃金の遅配、欠配を受け、かつまたこの水害によりまして最も被害を受けているので、こういう人々につきましては、どうかひとつ政府全体の責任において救済していただきたい。経営者に対してはあらゆる方法で救済方策、応急方策というものを講じておるのでありまするから、労働省は当然これらの労働者に対する保護あるいは救済といたしまして、これに必要な立法措置なり臨時的、急応的措置をぜひとも早急に樹立していただきたいということを、特にお願い申し上げます。なお、通産省につきましても、融資あるいはそれぞれの当該事業に対する金融的措置を講じまする場合におきましては、従来においても、業者が労働者を多数持つて、しかもそれの賃金を払えなかつたことに対する救済方策も、大きな項目として羅列されておつたのでありますから、十分こういう点につきまして考慮されたい。これは、法律上の措置として責任を免れるとか責任を免れないという問題でなく、そういう点におきましても、手厚くひとつ、融資あるいは金融的措置を講ずる場合におきましては、御意見のほどを差加えていただきたい、こういうことを申し上げまして終ります。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 今労働金庫、あるいは労使双方の責めに帰さない休業について、割合深くつつ込んだ質疑応答があつたのでございますが、実は労使双方の責めに帰さない休業について、先般来私は再三にわたつて、当委員会において、御質疑を申し上げたのでございます。厚生大臣もこれに対しては答弁ができません。大蔵省関係者も研究するということで具体的な答弁がなかつたのでございます。緒方副総理もまたこれに対しては明確な答弁ができませんでした。研究をいずれいたしますということで、すでに一週間以上経過いたしております。ところが今の池田委員の質疑に対する労働省の方の答弁も、あいまい模糊として要領を得ないようでございます。たとえば、そういうものについては災害救助法を適用したらいいという御答弁もありました。ところが、災害救助法というものは、これは家が流されたとか何かしておる者に適用するのであつて、現実に住んでおる炭住というものはどうにもなつておらない。ただ自分の働いておる職場の炭鉱というものが水浸しになつて、どうにもならないというのであつて、これは災害救助法の適用にはならない。しからばこれを生活保護法の対象に持つて行くかというと、現実に衣類やタンスを持つておる者は具体的には生活保護法の対象にはならない。そうしますと、これは現実には何ら救済の措置がないのでございます。  先ほど中小企業庁ですか、通産省の御説明では、いわゆる事業主の方に今度十億円の指定預金をした。あるいは開発銀行のわくとして、五億五千万円にさらに五億を追加したわけでありまするが、二、三日前大蔵大臣から説明がありましたところでは、これは炭鉱向けで、従つてその資金がまわつて行けば、勤労者に金が支払えるだろうということなのでございます。なるほど金が行けば支払えるだろうと思います。しかし、われわれが現実に労使双方の責めに帰さない問題として、ここに問題の焦点を持つて来ておるものは、銀行の窓口を開いて、そして信用のある業者ならばそういう融資は行きます。あるいは開発銀行のわくから行くと思うのです。ところが、現在われわれが一番心配しなければならないところの、労使双方の責めによらないで休業をしておつて、そうしてその困つておる勤労者を救うための金が、その業者には行かないような場合がある。いわゆる中小の中くらいの中小業者があるわけでありまするが、現在三百二十坑の浸水の中には、私は相当あると見ております。そういう勤労者は二万人だと言われておるのでございまするが、その二万人の中で、銀行で窓口を開いておる有力な業者には金が行くので、その二万人の中から幾分は行くが、二万人の中の少くとも一万人ぐらいのものは、これは生活保護法でも救われない、あるいはそのほかのいわゆる救助法でも救われない、事業主も金がまわつて行かないという者なのでございます。こういう者に対して、労働省がどうして救つて行くかということが、私は現在大切ではないかと思う。今も研究中だと言つたのですが、政府の責任あるこれに対する対策をもつて答弁していただきたい。当然これは労働省の所管になると思うのです。労働省は明確な答弁があればしていただきたいし、なければないとはつきり一応言つていただきたいと思います。そうすれば、われわれは、もう一ぺん緒方副総理を呼んで、これをひとつ確かめたいと思いますので、実は質問を保留しておつたのでございますが、具体的な問題が出て来ましたので、もう一回労働省の正式な見解を尋ねておきたいと思います。

和田勝美労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○和田説明員 私の方といたしましても、及ばずながら努力はいたしておりますが、ここで公式的に結論がこうなつたということを申し上げられるまでに至つていないということを申し上げたいと思います。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 労使双方の責めに帰さないものを、しからば具体的にどういうぐあいに救つて行くかということなのでございます。さいぜん労働金庫の問題が出ましたが、まず私はこれで救う以外にはないということ、これが第一。ところが、今あなた方の御説明では二億円ということなのです。もちろん地元から出て来ておる要望も一億一千万円程度の要望が出ております。ところが、現実に労働金庫への金の申込みというものは十六億あると聞いておるのでございます。ところが、現実にその労働金庫を通じて貸されるであろう二億というものは、回収可能のものを目当にしての二億なのでございます。いわゆる県が責任を持つて、そして労働金庫に国が貸した。その労働金庫に貸すものは県が責任を持つて労働金庫に貸す、労働金庫が勤労者に貸す、こういうことなのでございます。ところが、いわゆる労使双方の責めに帰さないところでも貧弱なところには、労働金庫が信用しないので、金が行かないというようなことが推定せられるのでございます。従つて、労働金庫というのは、救う一つの対策ではあるけれども、その対策から漏れるということが、まず杞憂されることなのです。  それから、今の金融対策でございますが、大きな炭鉱にはこれは行くのです。あるいは中小でも有力なところには行くが、小さいところにはその金は行かないので、金融の面からもこれは救われないということなのです。まつたく現実に考えて救う道はない。従つて、われわれの考えでは、労働金庫で救うということと、第二の問題は失業保険で行く以外にない、こういう結論に実は到達するわけなのでございます。ところが、今の御答弁では、国会が立法すればそれはやむを得ないだろうという御答弁がありました。しかしこれは、私は国会が、その失業保険のわくの中に、労使双方の責めに帰さないものを押しつけて行くということでなくして、これはやはり筋を通さなければならない、こう思うのでございます。従つて私は、筋を通すためには、いわゆろ失業保険の実施されておる事業場において、その事業場が休業しておる、そのときに限つてこれを適用するのでございます。従つて、その人は失業という——離職はしていないけれども、失業という形で、休業という形でこれを適用するのですが、現実に失業保険をもらう権利というものは、その人のからだの中には眠つておるわけなのです。これは具体的に炭鉱が休業から廃坑の段階に来れば、これは当然失業保険で行くわけです。現在眠つておるその権利を、この緊急の災害に対して起してやろうということが、われわれの考えている失業保険をこれに適用する理論になつておると私は考えるのでございますが、そういう理論ででも筋が通らないものかどうか。ひとつ課長さんに御答弁を願いたいと思います。

三治重信労働事務官(職業安定局失業保険課長)

○三治説明員 私の聞いている範囲は、休業の場合にということでございますけれども、そう字句にとらわれなくても、実質上われわれの方の失業保険の支給の条件を整えていただければ、われわれの方は支給するように現実に手配がしてあるし、金も配つておるわけでございますから、その字句にはひとつあまりこだわらなくて、現実にそういう困つていられる方で、失業保険の受給資格のある方は、安定所へその事業主等に離職票をもらつて来ていただければいいわけなのであります。その点はひとつ、そうわれわれとしては法をまげて——何かかしこまつて、わくにはまつているということではなくて、災害が起つたあと、すぐわれわれの方では飛行機で現金を持つて行かしておりますから、現実にはそういう方が一度に出て来られても、その支給対策を万全に、現金がないから支給できないということがないようにしておりますから、その点ひとつ現地の方にも協議、御連絡願えれば、失業保険の問題についてはそう問題が起らぬというふうにわれわれは確信を持つておるわけです。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 現実に離職票を持つて来ればいいということなのですが、その場合には解雇という問題が出て来るわけなのでございます。これは、一時的にしても、とにかく解雇をしなければならぬ。解雇をするということになりますと、必然的に退職手当の問題が出で来るわけなのでございます。これはおそらくそういうものについては労働協約でやればいい、こういうお答えだと思うのですが、これはあとにいろいろ問題を残すのです。水害のために一時的に解雇をされる。そうするとこれは必然的にその炭鉱が一時的に解雇したことによつて、それで休業で済めばよいのですが、現在の客観的な情勢は、政府の石炭政策その他を見れば、必ずしもわれわれが心配する中小以下のものに対して救いの手が延べられるとは考えられないので、中小炭鉱の廃坑に行くというものが相当出て来るのでございます。そうした場合には、これはあのときは一時解雇であつたのだけれども、それは違うと言つても追つつがない。必然的にああいろいろないわゆる退職手当の問題、その他の複雑な問題を残す可能性があるわけなんです。従つて、そういう複雑な問題を残すことを打切つて、ここに失業保険の——非常に苦しいかもしれませんけれども、そんなに何十万という人をやるわけではない。せいぜい一万そこそこの者なんですから、それも平均ベースで九千円くらいですから、一億か一億で済む程度のものなんです。従つて、こればずつとそういう形で通す方が、あとに問題を残さない、こうわれわれは実は考える。政府は現在対策がないのですから、政府に具体的な対策があれば、われわれはこういう窮余の策は考えないのですけれども、ないのですから、こういうことで筋が一番はつきり通るのではないか、こう考えておるわけなのですが、その点どうでしよう。

三治重信労働事務官(職業安定局失業保険課長)

○三治説明員 われわれの方といたしましては、休業しているから失業保険金を支給してほしいという申出は、これはどうしてもできませんから、ひとつ……。現実に退職金の問題とか、あとの休廃止に伴うときの整理の問題に尾を引くと言われますけれども、現実の問題として、やはり休業という形で失業保険金を出すといつても、その休廃止の問題は同じじやないか。また休業していて、現実の退職金の問題でも、やはり問題はある。失業保険を支給する条件としての離職票を出すか出さぬかによつて、そのために事業主がそれをたてに、そういう退職金の問題、あとの休廃止の問題へ引つかかるということは、われわれの方としてはないのじやないかというふうに思つております。その点ひとつ、あまりわれわれの方としては、そう四角四面に、言葉の上の問題だけでなしに、現実にやはり解雇——と言うと何か非常に強い響きを感ずるようですけれども、現実の上において、われわれとしては、被害のために向う三箇月間なら三箇月間操業ができないから、その間解雇する、こういうふうに具体的に申せば、それでもけつこうなわけです。あとに尾を引くような問題じやないような気がいたします。ひとつよろしくお願いいたします。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 一応これで質問を打ち川りたいと思いますが、なおひとつ労働省の方で御研究をお願いいたしたいと思います。

平井義一自由党

○平井委員 先般の西日本の水害、続いて南近畿の水害におきまして、電力会社の被害が相当な額に上つておると思いますが、これがどのくらいな額に上つておるか、またはどういう方法でこれの救済といいますか、金融と申しますか、どういう方法によつて電力会社を救済すべきか。このままに放置するならば、また電力料金が値上げになるのではないかといつて、九州あたりは非常に心配をしておるのでありますが、公益事業局といたしましては、どういうふうにお考えであるか。

東澄夫通商産業事務官(公益事業局公益事業課長)

○東説明員 お答え申し上げます。先般の西日本水害の場合におきまする九州電力会社の被害は、判明いたしております分でトータルをいたしますと、十三億七、八千万円になると思います。また、今回の和歌山県を中心といたしまする水害におきましては、現在までに判明をいたしておりますところは約四億弱の被害があつたと承知をいたしております。  そこで、その後の復旧状況でございますが、九州電力関係におきましては、その被害のうち約三億弱のものが、現在建設中の発電所の被害でございます。その他のものが送電線、あるいは配電線、その他現在既設の発電所の被害になつておるわけでございます。さしあたつて問題になりますのはこの送電線、配電線、既設発電所の復旧でございまして、この既設のものが約十億でございます。そのほかに、ちようど水害がございましたのは六月の末でございましたために、大口工場等の集金をしなければならない時期でございます。従つて現実の資金不足と金繰りとにわけて考えてみなければならないわけでございますが、さしあたりの金繰りといたしましては、そのような集金の遅延ということはございましたけれども、手元資金あるいはすでに借入予定の中に組んでおりました運転資金、あるいは本年度の計画をされております設備資金がすでに組まれておる次第なのでございますから、さしあたりといたしましては、そのような金を用いまして、復旧作業に邁進をいたしておりまする次第でございます。  なお、関西電力については約四億弱の被害がございますが、これについても同様、現在の金繰りとしては、まずさしあたつては何とかなし得るわけでございます。ただ問題は、これが後に参りますと、それだけの本年度の運転資金なり、あるいは開発計画に使おうといたしておりました予定が、穴が明いて参りますわけでございます。その対策といたしましては、ただいままでのところ、開発銀行等に話をいたしまして、何とか応急つなぎ資金的な考えでまずまわしていただき、さらにそのあとの穴が明いて来ます分につきましては、現実に相当大きな金が開発銀行等から今年度は出ろことになつておるわけでございます。さらに事態の推移を見て対処していただくことになつておりますが、まだ最終結論までは至つておらない次第でございます。

平井義一自由党

○平井委員 それでは、さしあたり、十数億の損害に対して、二十八年度の借入金、その他運転資金で一応復旧はできるのですか。

東澄夫通商産業事務官(公益事業局公益事業課長)

○東説明員 これを九州電力について申し上げますと、応急の復旧については、送電線、配電線、ともに終了いたしております。なお、これは応急修理でございますので、手を入れてやりますのには、本年の十月ごろまではまずかけなければ、送電線、配電線の完全な修理は無理ではないか。応急復旧についてはすでに完了をいたしております。ただ水力発電所の浸水をいたしましたもの、これはトータルいたしますと十六万五千キロワツト程度に達したわけでございますが、これは大体本月の末までに完了をいたす予定をもちまして、現在のところ予定通り順調に、半ば以上はすでに復旧をして発電を開始いたしております。なお、火力発電所も一箇所浸水をいたしましたわけでございますが、これもすでに本月の半ばにおいて復旧を見ました次第でございます。それから関西電力の管内におきましては、これは、最近の報告によりますと、まず一般の送電、配電については、四、五日以内に九〇%程度は回復を見るであろう。なお、あと一〇%程度のものは、すでに特別の修理工等も派遣をいたしまして、鋭意その復旧に努力をいたしておるわけでございます。

平井義一自由党

○平井委員 そこで、中小企業者あるいは中小炭鉱には、開発あるいは中金を通じて金が出ておるのでありますが、電気会社はあなたの方のあつせんで開銀などに申し込んでおるか。また申し込んでおるとすれば、どのくらい申し込んでおりますか。その点をお尋ねいたします。

東澄夫通商産業事務官(公益事業局公益事業課長)

○東説明員 もとより開発銀行にそれを申し込んでおります。特に開発銀行にお願いしますのは、開発用、建設用の資金が主でございます。これは本年度のこぶとしてお願いをしたいということで、開発用資金三億円、これは、こぶとしてお願いをいたしておるわけであります。そのほかのものについては、現地におきましても、市中銀行にお願いをする。私の方でも日本銀行へ融資あつせんをお願いするという形で、現在手配中であります。

平井義一自由党

○平井委員 電力は公共事業でありますので、特にぬかりのないように、また電力料金も将来上げないで、これの復興をさせるように御努力をお願いします。  なお先般、夜明ダムの問題を河川局長に聞いたのでありますが、建設省といたしましては、何とかその後研究をしたかどうか。まだ結論が出なければ、無理に聞こうとは思いませんが、夜明ダムというものは、いろいろ話題に上つておりますから、一箇月待てといえば待つし、半年待てといえば待ちますが、研究しておるのかどうか、お尋ねをいたします。

米田正文建設技官(河川局長)

○米田政府委員 お答え申し上げます。御承知のように六月二十五日、二十六日の降雨で、筑後川の大出水がございましたときに、現在九州電力で工事中の夜明ダムが、工事中でありましたために、ダム自身も被害を受けたのでありますが、同時にそのダムのために、河川に対する影響もあつたのでございます。そこで、その影響の程度を測定するために、いろいろ研究を進めておりますが、まだ十分資料は整いません。中間でありますが、あの夜明ダムは、計画としては、毎秒七千立方メートルという水が流れ得るように計画はできております。そして、その計画の水位は五十八メートル八十五センチであります。ところが、工事中でありましたのと、もう一つは洪水の量が七千を突破いたしましたために、水位が六十二メートル三十センチ。だから計画の水位から申しますと、水位がダムの地点で三メートル四十五センチ上つたのでございます。これは計画の七千立方メートルを越した水量によつて水位が上つた分と、それからダムが工事中であつたために水位が上つた分と、二つの理由から三メートル四十五センチ水位が上つたのであります。そこで、まだ十分な資料がないため、ごく概算でございますけれども、流量は八千六百程度ではなかつたかという想定をいたしております。これは今後なお十分調査をいたしまして修正をいたしますが、現在のところ概算八千六百、こういうふうに見ております。そういたしますと、三メートル四十五センチのうち、七千が千六百ふえた分による水位の上つたのが約二メートルと見てよい。そして工事中であつたために大体一メートル四十五センチが上つた。今のところの調査では、こういう結果になつております。そこで、この水量が多かつたために水位が上つたという点については、これは筑後川全体の計画が七千立方メートルでできておりましたために、この計画自身としては、いたし方がなかつたものであります。そこで二メートルというものはいたし方なく上つた。これは天災で上つたというような考えをいたしております。  なお、工事中であつたために、水門を一部とざしておつたために上つた水位一メートル四十五センチというものが問題でありますけれども、これが、こまで影響したかというのが問題でありまして、これもまだ詳細な調査を要するのでありますが、夜明のダムから下まで約十キロございます。地形の高低差が夜明のダムと下では三十メートル以上ございます。計画の水位七千という水が流れたときの差でも、二十一メートル五十五センチという高低差があるのでございます。そこでこのとびらが締まらなかつたために上つた一メートル四十五センチというものが、下まで著しい影響を与えたということは考えられないのであります。全然影響なかつたとも言い切れないと思いますけれども、著しい影響はなかつたと考えてよかろう。ただダムの地点付近、夜明の駅がありますが、駅の附近までは、この一メートル四十五センチという水位が相当影響しておつたというように考えられるのであります。大体、現在のところ、ダムの地点から上流についての影響については、その程度に調査ができております。なおこれは詳細な調査を今後続けて行きたいと思つております。下流に対する影響はまだ残つております。これは下の測量ができておりませんので、これができると、下の原鶴に対する影響は出て参ります。この測量の成果が東京に着くのを今待つておるのであります。

平井義一自由党

○平井委員 そこで、もう一点お尋ねいたしますが、今の説明で大体わかりましたが、しからば夜明ダムの影響は何ぼかあつたろうけれども、夜明ダムの影響が非常に大きくてああいう被害があつたということでなく、多少は関係があつただろうけれども、まず夜明ダムというものは、大きな意味からいえば、大した影響はしなかつた、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。

米田正文建設技官(河川局長)

○米田政府委員 ただいま申し上げましたように、下までは大した影響はなかつたと考えていいと思います。ただダムのごく近くの上流附近においては、水位が上つたために、ある程度影響があつたということは言えると思います。

木下郁日本社会党(右)

○木下委員 ちよつと関連して……。今、夜明ダムのことでお答えがありましたが、これは調査中という話なので、聞いた後でしなければなりませんが、地元で村民大会とかあるいは町民大会というものを開いておるくらいに、相当政治問題化しつつある様子もあります。またほんとうに困つておる連中もたくさんあるようであります。その点について、実はあの工事は、水利権の許可はあつたけれども、工事の施行の認可はなかつたんだというようなことが地元で伝えられております。私が先般調査に行きましたときにも、そういうことが言われておりまして、そういう事柄について、まつたくのしろうとの私は返答にも困つたんですが、水利権の許可があつて、工事をいよいよやるというときには、やはり工事施行の許可か認可があるものでありますかどうか。

米田正文建設技官(河川局長)

○米田政府委員 お尋ねのように、河川で発電ダム等を設置する場合には、発電事業であれば、まず水利権の許可申請を当該事業者が県知事あてに許可申請をします。そうすると、知事は建設大臣に認可申請をする。水利権の許可が済みますと、次には工事実施認可という許可を得ることになつております。そこで二段の許可を必要とするのであります。この場合には、工事実施認可は六月一日に許可になつております。

木下郁日本社会党(右)

○木下委員 その水利権の許可のときだと思いますが、さつきのお答えの中に出た日田市に対しては、一千三百万円かの金が出ることになつておる。それからダムの近くの夜明村、五和村というようなところは、まだその金額はきまつてないという話ですが、常識的に、その金は一体損害補償の意味で関係町村に出す性質のものか、それとも単純に、工事を施行するのは本県では九州電力だが、九州電力が、ひとつの国家的事業でもあるが、また九州電力の建前からいえば、営利事業でもある。それで利権をとるについて、関係町村がそれに同意するという、単純なるおつき合い、同意賃というような性質のものでありますか。それとも将来起る損害をあらかじめ見てやるという趣旨の金でありますか。それについて、わかつておりましたら伺いたいと思います。

米田正文建設技官(河川局長)

○米田政府委員 九電当局が日田市に千何百万円出すというような話を、実は話としては聞いたことがございますが、事務的には何も報告は参つておらないわけでございまして、事務的には承知いたしておりませんが、それを出した趣旨は、おそらく補償の一部として出したのだと思います。補償の中に感謝料というような性質のものがございますので、そういう費目として出したのではないかと思います。しかしそれもやはり補償料の一部としてでございます。

木下郁日本社会党(右)

○木下委員 それで、その工事をいよいよ施行すると、これに対しては注文主である九州電力が監督するのは、これはあたりまえのことですが、それは工事請負人と九州電力の間のことであつて、請負人がそこに手を抜いてピアが入れらたということであれば、話は九電と請負人との間の問題であります。しかし対一般国民、関係町村の利害関係を持つ人に関する政治的な問題としては、その工事については、認可をする監督官庁において、注文主の工事の監督と並行して監督が行われて来ておるものだろうと思いますが、それをやつて来ておりますか、またどういうふうにやつておりましたか、わかりましらお伺いしたい。

米田正文建設技官(河川局長)

○米田政府委員 工事の監督については、もちろんこれは請負工事でありますので、請負工事の監督は九電当局がやつておるのは当然でありますが、しかし、九電当局は工事の当時者であり、許可を受けた業者であります。それの取締りは関係県の知事が監督をすることになつております。また監督するように、建設省としては指示をしております。

木下郁日本社会党(右)

○木下委員 その夜明の工事の問題で、地元でたいへんやかましく言つておるのです。先ほどの御説明では、一メートルそこそこあのとびらがあかなかつたために、水位が高くなつたというようなお話ですが、私が現地に参りましたときに、日田の人がかれこれ言つておるが、これはしろうとの私の常識でも、十マイも川上なんだから、それが水勢に多少の影響はあるとしても、私の常識では、十マイルも離れている日田までこれが関係あつたというふうには、直ちに思われぬと言つておいたのです。あの五和村と夜明村、及び夜明村の向い岸の福岡県の一部分、あそこあたりを見ますと、問題は二つに限らなきやならぬと思う。ダムができたために、一体水位がダムのある一なしとによつてどれくらい違うか、今度の水害において何メートル違うかということを、第一段に御調査なされなければならぬと思う。それから第二段としては、あのダムのとびらがあかなかつた。とびらがあかなかつた責任は九配にある。またもつとさかのぼれば、その工事を監督しておつた今のお話の県の方にもある。この二段が考えられまするが、それは別問題としまして、ダムがなければ水位がどれくらい高くならぬで済んだかということと、あのダムのとびらがあいておつたならば——一つだけあいておつて、あとはしまつておりました。一つは半分こわれておりました。あの姿で、とびらが工事の設計通り、計画通りにあいておつたならば、どれだけの水位で済んだのか、ああいうふうにあかなかつたから、どれくらい違つたということをお調べになりましたかどうか、お調べになつておるならば伺いたいと思います。  なお、夜明村、五和村、それから日田もそうだと言つておりまするが、あのダムのピアの横に、今度のような非常なる雨量の多いことを予定して、十が流れるはけ口をつくつてもらいたい、五十メートルくらいつくつてもらいたいということが、関係町村が水利権認可の同意を与えたときの一つの条件であつたと聞いております。ところがそれをしなかつたので、非常に水位も高くなる。今度の水害で、あのピアの横がちようど五十メートルほど、その高さくらい上つたらしい。それで、その高さのコンクリートのへいが決壊した。その決壊は、一時に決壊したために、下流の筑後川の久留米方面の堤防を突き破る一つのきつかけにたつたのだろうということは、われわれも常識的に考えておるわけです。あのダムについて、さような水のはけるころをつくつておけという注文があつたかどうか。そうしてまた、それをしておれば、今度の水害で郵便局まで1夜明の駅の近所がずいぶん流れておりますし、それから向いの岸も流れておりますが、そういうものが助かつたであろうということは、これは当然考えられる。こういう人たちから直接九配に対し、あるいはそれの監督をすることを怠つたからということで、国に対して損害賠償を求めるとか求めないとかいうことは、これは別問題であります。私の常識的な判断では、証拠保全でもしてやれば、やはり損害賠償責任者は九配と国——国あるいは県になるかもしれませんが、そこにあると思います。そういう問題は別として、今申したように、ダムがなかつたならば水位は今度の水位の何ぼ下だつたろう。それからダムのとびらがあいておつたならば、何ぼ下だろうということと、横に五十メートルのはけ口がつくつてあつたならば、どれくらい低かつた所あろうというような・三段の仮定のもとにお調べになりましたかどうか。もしまだお調べになつていないとするならば、さような点をお調べになることが——将来貧乏日本が、水力電気を使つて、これを経済自立の方向に役立てねばならぬということは、常識的にわかり切つたことであります。かような問題をなおざりにして、そして、そこの損害の賠償とかいう問題をいいかげんにすると、妥当なるダムまでできぬようになります。関係町村が、よかれあしかれ、ダムをつくることは何でもかんでも反対をするという国民的な空気ができることは、これは国家的に見て非常に考えなければならぬことだ。こういう事件は望ましい事件でありません。まことに悲しむべき事件でありますが、今度の夜明ダムの痛い経験を生かして行く意味において、さような三段構えの調査というものは公正になさるべきものだと思いますが、なさつておりますならば伺いたいし、まだなさつていなければ、その点はひとつ十分御調査をしていただきたいと思います。

米田正文建設技官(河川局長)

○米田政府委員 このダムの高さは、川底から大体十四メートルの高さがあるのであります。下の方にコンクリートのダムがあつて、その上に鉄のとびらが十メートルありまして、総計で十四メートルほど高さがあるのであります。そこで、先ほど申しましたように、ここのダムを計画するときに、ここを流れる一番大きい水の量は、毎秒七千トンだということを基準にいたしまして、筑後川全体をそういう計画で一貫さしておる。そういたしますと、先ほども申し上げましたが、水位が五十八メートル八十五センチ——これは海面を基準にしているから、非常に数字が高く出て参りますが、五十八メートル八十五センチという水位が七千トンを流すときの計画の数字であります。そこで、九電としては、この五十八メートル八十五センチにさらに一メートル十五センチの余裕を見て、高さ六十メートルという標高まで買収をいたしております。後に上流の土地の買収をいたしております。そこでそこまでは水位が来ても、これは会社の用地内に水がたまることになるので他に損害を及ぼさないわけであります。ところが、今度の水は六十二メートル三十センチ出たのであります。だから、その買収したところよりもさらにニメートル三十センチだけ高かつたのであります。つまり計画の水位の高さよりも、三メートル四十五センチ高かつた。これは実測の結果出て参つておる数字であります。そこで、この三メートル四十五センチ計画よりも高く出たその水位は、一体何に原因しているのかということを調査した結果は、今のところ、そのうちのニメートルというものは、初めの七千トンという計画の水量を千六百トン超過したために上つたものであります。とびらが下に沈んでおつてあかなかつたために水位が上つたというのは、一メートル四十五センチという計算が今のところ出ておるのであります。今のお尋ねのダムがしまつておつたために上りました水位は、今のところ一メートル四十五センチと申し上げたいのであります。  さらに、溢流堤の問題、放水路の問題でありますが、これは九電当局と大分県当局との間において覚書を交換してありまして、このダムについては放水路を設置するということにとりきめができておるのでございます。おそらく現在、その設置については、いつ設置するかというような具体的な問題について、会社側と県とは折衝をいたしておるのではないかと思います。

木下郁日本社会党(右)

○木下委員 ダムはあの筑後川の本流をせき切るのですから、その工事はするが、放水路の方は追つて相談するというようなことは、われわれの常識は許さない。さようなことは、並行的にされるか、少くとも工事をやつたときには、やはり工事の中には多少の手違いがあるかもしれぬことも予想されるので、言いかえれば、ドアがあかないということも考えられるので、放水路の方こそ先につくつておくべきものだということが、少しく常識的に考えればすぐわかることなんです。それが、あのピアのところまでコンクリートの何尺幅とある土手をつくつてしまつて、そうして放水路は五十メートルぐらいつくつてもらえばよいと言つておつたが、その五十メートルぐらいが今度一ぺんに流れておるというような点については、私は手落ちがあつたと思います。その点をここでかれこれ承つてもしかたがありませんので、ただ御調査の結果だけを承つておいて、さような政治的な問題はいずれ大臣に伺いたいと思います。  ただ、今のお話で、調査がごく技術的になつて——海面から五十何メートルというようなことでないので、われわれは、あのダムがなかつたならば、この水は今度上つたよりこのくらい低く流れて済んだであろうということが、すぐ予見される、関係町村一般の国民的な判断は、そこにぶつかつて来る。ただ技術的にそこにとらわれると、ダムというものはあるべきものだと前提するから、そういう問題が起りますが、その点はやはり、あのダムがなかつたならば、この今度の水害は五馬村、夜明村の点はこの程度の水位で済んだであろうということが、やはり調査さるべきものだと思います。それで放水路があつたならばということと、ドアが全部あかつたならばということが、三段的に調査されなければ十分でないと思います。さような点をどうか十分お調べをいただきたいということを希望いたしまして、私の関連質問を終ります。

大久保武雄自由党

○大久保委員 ちよつと電力関係について一言伺いたいと思いますが、通産省でお答え願うかあるいは建設省でお答え願うか、その点が第一点。もう一つは金融の問題であります。熊本の黒川発電所の鉄管がどろでまつたく詰まつてしまつたという現象が起つておりますが、今後におきましても、あそこに関しましてはああいう事態が起るおそれがありますが、こういう鉄管に対するどろの災害に対する防除の方法について、何らか御研究の対策があるかどうかという点が一点。もう一点は、先ほどの御答弁によりますと、九電の被害十億円のうち三億円を開発銀行に仰ぐ、かような御説明でありましたが、電力というような公共事業のコストを安くするために、十億円自体を、開発銀行の融資のわくをプラスする方法はないか、この点について政府委員の御答弁をいただきたいと思います。

東澄夫通商産業事務官(公益事業局公益事業課長)

○東説明員 第一点の問題でありますが、これについては私実はよくそういう方面について承知いたしませんので、帰りまして調査の上別途御連絡を申し上げたいと存じます。  なお、第二点の金融の問題でございますが、先ほど私思い違いをいたしまして三億円と申し上げたのでありますが、実は訂正をいたしたいと考えておりました。開銀へ申し込んでおりますのは、設備に関する被害十三億余円全額について開銀へ申し込み、その申込みの方法としては開発銀行と興業銀行あるいはその他市中銀行と協調融資をお願いしたい、全額は申し込んでおりますが、全部開発銀行からということが無理な場合には、協調融資をお願いいたしたい、こういうふうにお願いしておるわけでありまして、訂正をいたしたいと思います。

大久保武雄自由党

○大久保委員 協調融資ということは、どの程度が開発銀行になり、どの程度がその他の銀行になる見込みでございますか。

東澄夫通商産業事務官(公益事業局公益事業課長)

○東説明員 これは開発銀行の資金の状況によつて違つて参るわけでございます。また設備の種類によつても違つて参ります。それから発電所の工事につきましても、新規のものと継続のものということで違つて参るわけであります。大体私の承知いたしましたところでは、開発銀行は五〇%ないし少くて配電線等で三五%程度と承知いたしております。大体その見当でありまして、正確ではございませんが、まず五〇%から三〇、三五%くらいであつたかと記憶いたしております。

大久保武雄自由党

○大久保委員 なるべく、事業の性質にかんがみ、低利の融資を特にあつせんされることを希望いたします。  次に、私は運輸省関係にお尋ねいたしたいと考えておりますが、今度の災害害で地方鉄道軌道の受けておる損害も相当大きなものがありまして、現に物資の輸送あるいは通勤等に多大の支障を来しておるように聞いておりますが、一体今回の災害でいかなる損害を受けておるか、その概要を御発表願いたいと思います。

山内公猷運輸事務官(鉄道監督局民営鉄道部長)

○山内(公)政府委員 お答えいたします。今度の災害によります電鉄関係の受けました被害は、非常に大きなものがあるのであります。その内容といたしましては、水書特有の線路の埋沒あるいは土砂くずれあるいは線路の流失という点が大部分でございまして、冬電鉄会社のこまかい内容については略させていただきまして、総体の数字を申し上げますと、金額で、西日本の水害におきます電鉄関係の直接被害が六億二千六百九十万円、和歌山県下の今次の水害におきましては三億五千二百九十万円という一応の数字が出ております。御存じのように電鉄の水害における復旧費というものは、たとえば熊本のような場合におきましては、土砂がまだ相当累々と線路上を埋めております。その算定は精細に調べなければなりませんので、現在係官を派遣いたしまして精細に調べておりますので、若干この数字が上下することはあると思いますが、大体十億程度の被害を和歌山、西日本で受けたわけでございます。戦後受けました被害では最も大きな被害ではないか、かように考えております。

大久保武雄自由党

○大久保委員 ただいまの御説明によりまして、今回の災害における地方鉄道、軌道の被害は戦後最大であるという御説明を受けたのでありますが、この被害に対する復旧がきわめて困難であり、また政府のとつた対策もきわめて遅々として進んでいないということを聞いておる次第でございますが、私が調べたところによりますと、過去の災害すなわちアイオン台風、カザリン台風あるいは福井の震災、こういう災害につきましては、地方の鉄道に関しましても政府は進んで補助をしたということを聞いております。今回の災害は、ただいまの政府委員の御説明でも最大の災害である、また一般の報告その他によりましても、最大の深刻なる災害である、かように聞いております。鉄道の受けておる被害は、とうてい一社の経常的に立ち上る余力はないのでありますが、すでにこれらの過去の災害に対して補助政策がとられておつて、今回の災害に対してなぜ政府はその政策をいまだ決定されておらないのか、この点につきまして政府委員の明確なる御答弁を承りたいと思います。

山内公猷運輸事務官(鉄道監督局民営鉄道部長)

○山内(公)政府委員 ただいま御指摘のありましたように、今回の災害におきまして、目下政府といたしましては、融資のあつせんによりまして、一日も早く電鉄の全通を期待しておるわけであります。一例をとつて御説明いたしますと、熊本周辺におきましては二十一・六キロという延長キロを持つておりますが、約三億の被害を受けております。それから和歌山鉄道におきましては、五・八キロという延長を持つておるのでありますが、約一億五千万円、御坊臨港鉄道におきましては、三・四キロという延長を持つておりまして、約一億、そのほか、会社の資本金を上まわるような被害を受けておる電鉄が非常に多いわけであります。金融措置だけでは遅々としてなかなか進まないのは御指摘の通りでございまして、またこの全通が遅れますれば、災害地の経済復興にも影響があると考えまして、われわれ心配をいたしておるのでございますが、ただいま御指摘になりました補助金の問題につきましては、二十二年、二十三年のアイオン台風、カザリン台風及び福井震災の場合におきましては、直接災害額の半額の国庫補助の負担があつたわけでございます。これは公共事業費から出たわけてございますが、その後は私営であるということによりますのと、御存じのように二十三年以降はそう大きな電鉄被害というものもありませんために、災害補助というものは一応公共事業費の対象にならないというふうに解釈されて参つたような次第でございます。ところが、今回の水害におきましては、とうてい会社の自力におきまして復旧することができないとわれわれも考えますし、経営者自身におきましても、省に電報を打つて参りまして、自力回復は不可能であるというふうに言つておりますので、運輸省といたしましては何とかして、従前の例もあることでありますので、少くとも直接損害額の半分程度の補助を政府から仰ぎたいということで、目下関係方面に連絡をいたしておるような次第でございます。御指摘のようにまだ明確にきまらないことは遺憾でございますが、今後とも努力いたしたいと考えております。

大久保武雄自由党

○大久保委員 市町村の経営しておる鉄道、軌道等の損害に対して、自治庁としては、平衡交付金等でカバーして適正なる援助をされるおつもりがあるかどうか、この点をちよつと自治庁にお尋ねいたしたい。

武岡憲一総理府事務官(自治庁財政部長)

○武岡政府委員 お答え申し上げます。今回の水害によつて公営企業に相当な損害が与えられておることは、確かにお話の通りであります。これに対する対策でございますが、ただいまお尋ねの、公営企業が損失をこうむつた場合に、それを経営しておる市町村に対して平衡交付金等による財源補填の点を考えるかどうかということは、公営企業の建前上一応独立採算になつておつて、一般会計の関係でございませんために、平衡交付金をもつてその財源補填に充てることは、ただいまの法律の建前上からしても困難であろうと存ずるのであります。そこで、公営企業の受けた損失をいかにして補填し、その復旧に役立たしめるかという対策というものは、結局その団体の地方債によつて措置をするより以外には、ただいまのところないのではないかと考えております。自治庁といたしましては、今回の水害によつて各公営企業が受けたところの被害の実情、またその公営企業体の復旧計画等について調査いたしました上、それらの結果をまちまして、適正な措置を考えて行きたい、かように考えておる次第であります。

大久保武雄自由党

○大久保委員 ただいま地方債の問題が出て参りましたが、今回公共団体が受けておる被害はきわめて深刻であります。地方債にいたしましても、元利償還についてもなかなか事を欠く状態ではないかと実は考える。非常なる困窮に陥つておる地方団体の経営しておる公営企業を何とか助けるために、これに対して補助をされる意思があろか、この点を御答弁願いたい。

武岡憲一総理府事務官(自治庁財政部長)

○武岡政府委員 これは私の方からお答えする筋ではないと存ずるのでございますが、公営企業の損失について国が補助をする意思があるかというお尋ねでございますが、公営企業は、ただいま申し上げましたように、建前として独立採算になつておりますので、これに対して直接国が補助をすることは相当困難であろうと思います。これは、企業の内容によりまして、交通事業あるいは水道等の関係もございますが、それぞれの主務官庁の方にさらにお確かめを願いたいと存ずるのであります。そういう企業体の災害の復旧等につきましては、一応の措置としては地方債を認めてその資金をもつて復旧に充て、相当困難なことかもしれませんが、長期にわたつて漸次これを償還して行くということが、公営企業の独立採算としての建前からいえば考えられる筋ではないか、かように考えます。国の財政その他の関係、あるいはまた地方産業あるいは民生の関係等、多くの立場から補助ということも考えられないこともないと思いますが、それはいずれそれぞれの主務官庁の方にお確かめ願いたいと思います。

大久保武雄自由党

○大久保委員 それでは、運輸当局にお尋ねいたしますが、アイオン台風、カザリン台風、福井震災のときに補助をした例がありますが、これは地方鉄道、軌道を含んでおつたかと思いますが、この点はいかがでしようか。

東澄夫通商産業事務官(公益事業局公益事業課長)

○東説明員 前の場合におきましては、市営軌道というようなところに被害の実例がなかつたのでありまして、すべて民営の地方鉄道、軌道であつたように考えるのであります。

大久保武雄自由党

○大久保委員 アイオン台風、カザリン台風、福井震災のときに、市営の軌道は被害の実例がないということでございましたが、今自治庁の方から承ると、市営に対しては起債以外に道はたかろうということでした。ところが、この前の例で申しますと、地方鉄道に対しては災害の補助をした例がある。そこで今回の被害を見てみますと、地方鉄道が被害を受けておると同時に、公営企業である市町村の企業が同様に被害を受けておるのです。先ほどの運輸省の御説明によりますと、地方鉄道に対しては半額の補助をしてやるように努力しておるというお話でありましたが、公営企業に対しては補助をしない。同じ物を運び、同じ人を運び、しかも同じ災害を受けた企業体が、一方は国家の補助を受け、一方は公営なるがゆえに国家の補助を受けないということは不合理だと思う。ただいまの御説明によると、それは独立採算の一種の事業体であるということですが、事業であることは公営であろうと私営であろうとかわりはない。両方とも独立採算であり、事業経営体であります。そこで、今回の災害において、私営の地方鉄道は補助の対象になり、公共企業体がやつておる公営企業は補助の対象にならないというような扱い方は、きわめて私ははんぱであろと考えるのであります。この点政府におきましては、思想を統一して、同じ地域で同じ災害を受けた公衆の交通機関である鉄道、軌道に対しては、歩調を一にして補助の対象にする、こういうお取扱いを、従来の災害よりももつとひどい今回の災害に対しておやりになる意思があるかどうか。これをおやりにならないならば、きわめて不公平な政府の措置であるように考えますが、この点に対して明確なる御答弁を願いたいと思います。

山内公猷運輸事務官(鉄道監督局民営鉄道部長)

○山内(公)政府委員 はなはだごもつともなお話でありまして、熊本の三億円の損害と申しますのは、約一箇年の収入に相当する莫大な損害でありまして、われわれといたしましても、当初法律上救済の方法がないので、起債のわくを広めるということで、熊本の市電当局と相談しておつたわけでありますが、熊本の市電当局では、とてもこれでは不可能であるというお話で、一般の軌道と同じく特別の災害を受けておりますので、補助金の出る道を講じたいというふうに考えておりますし、今後とも関係方面ともよく連絡いたしまして、善処いたしたい、かように考えております。

武岡憲一総理府事務官(自治庁財政部長)

○武岡政府委員 公営企業に対します国庫の補助の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、それぞれ主務官庁にお確かめ願いたいと思います。ただ自治庁の立場について重ねてお尋ねでありますので、申し上げますと、もちろんこれらの公営企業の復旧につきましては、いろいろ困難な事情の伴うものでございますので、われわれといたしましては、なるべく、そのような公営企業につきましても、国としてはその財政の許します限りできるだけの補助の措置を講ずるのが適当であろう、このように考えておる次第であります。

大久保武雄自由党

○大久保委員 最後に、念を押しておきたいと思うのですが、共営企業でも水道は補助の対象になつておる。水道が補助の対象になつておつて、同じ公営企業である軌道は補助の対象にならない。これは実にはんぱである。一つの公営企業であり、同じ公共団体が経営しておつて、片方は水道だから補助の対象になり、片方は軌道であるから補助の対象にならない、こういうことはよく市民にはわからぬのであります。こういうことは統一した方針で御善処を願いたいと思います。それから先ほども申しましたように、同一災害の同一地帯における軌道に対しては、同様な取扱いをしてもらう。こういうことに対して今後とも統一した御尽力を希望いたしまして、近い機会にこの答弁を明確に政府から承り、あらためていろいろ申し上げたいと考えまして、きようはこれで打切ります。

首藤新八自由党(分)

○首藤委員 去る十八日和歌山県に発生いたしました水害は、まつたく言語に絶する惨状でありまして、先般の九州における被害と何ら相違なきのみならず、むしろ部分的には和歌山県の被害の方が深刻でありますことは、政府も十二分に御認識になつておることと存ずるのであります。これに対しまして、政府が今日いろいろの面に救援の手を延ばして来ておりますことは、和歌山県下全部の感謝しておるところでありますが、何分にも被害がきわめて尨大でありますので、なお今後大幅の救援を渇望いたしておるのであります。そこで、これに対して政府は、現在及び将来の救援対策としてどういう予定をしておるか、これを具体的に御説明願いたいと思うのであります。

武岡憲一総理府事務官(自治庁財政部長)

○武岡政府委員 自治庁といたしましては、まず取上げる問題は、各地方団体からこの災害復旧のために当面必要な資金措置の御要望を受けておるのでありまして、これに対しまして、主管は大蔵省でありますが、とりあえず政府資金をもちまして短期融資、一時のつなぎ融資を行つておるわけでございます。  なお、このたびの災害の復旧に伴いまして、団体の必要な起債あるいは平衡交付金等の措置につきましては、さきの西日本水害の場合等に準じまして、今回の和歌山の水害によりまする災害の額等が判明をいたしまして、それの復日に要しまする資金額等の確定をまちまして、起債わくの増額なり、あるいは必要な平衡交付金の増額なり、さような措置を具体的にとつて参りたいというような考えでございます。

首藤新八自由党(分)

○首藤委員 平衡交付金の増額並びに起債の増額もまことに緊急を要するのでありますが、そこで、おそくも八月にはこれを実施してもらいたいという強い要望があるわけでありますが、これに対して政府は準備ができておるかどうか。さらにまた平衡交付金をどのくらい今後増加していただけるものか。それらの点を明確にしていただきたい。

武岡憲一総理府事務官(自治庁財政部長)

○武岡政府委員 今回の水害によつて起債のわくをどれくらい、またいつまでにこれを増額するかというお尋ねのようでございますが、この災害復旧によりまして地方団体にどの程度の起債が必要となるかという問題は、結局災害の被害額の査定、復旧事業の査定が確定をいたしまして、大体の復旧の見込額がきまりませんと、見当がつけられないわけでございます。ただいまのところ、地方財政計画といたしましては、国は、公共事業費におきまして、いわゆる予備費として百億程度を予定しておるわけでございますが、この程度をもつてかりに足りるとするような程度の災害でございますれば、それに伴つて地方が必要となるところの負担を満たすに十分な起債額というものは、地方財政計画上現に予定をいたしておるわけでございます。ただ、災害の額が相当に多くして、政府がただいまの予算で予定をいたしておりますような額では足りないということになりまして、その復旧費の増額が行われます場合には、それに伴いまして地方の負担額がふえて参りますので、おのずからそれに伴つて起債額の増加ということを考えて参らなければならぬのでございまして、要するに災害復旧の査定額の確定をまちまして、またとりあえず本年度においてどの程度の施行をするかという数字が整い次第、これに伴つて必要な地方の負担に応ずるだけの起債の増額計画を立てて参りたい、かようなつもりでおるわけでございます。  それから、平衡交付金の問題でございますが、御承知のように、これは、ただいまの法律の建前といたしましては、予算に計上せられました交付金の総額の八%ということになつておるのでございまして、そこで政府が原案で提出をいたしました交付金の額は千二百五十億、過般本院において御修正になりました額によりますれば、千三百億ということになるわけでございますが、この予算案が成立をいたしますと、法律上は平衡交付金の額は百四億円ということになるわけでございます。もちろんこの特別平衡交付金が、法律で予想いたしております通常の事態と申しますか、災害等につきましても、大体例年想像されます程度の災害を前提として考えられておる八%という額でございますので、本年のような異常な災害を喫するということになりますれば、これはどうしてもその程度の特別交付金では足りないという問題が起つて参るだろうと存ずるわけでございます。従いまして、さような事態に対処して、地方の需要を満たすに足るような平衡交付金の増額をいたしますためには、あるいは法律の改正というような措置も考えなければならないかと存じますが、それらの点につきましては、ただいま検討をいたしておる次第でございます。

首藤新八自由党(分)

○首藤委員 平衡交付金並びに起債は、先ほど申し上げたごとく、きわめて緊急な事態に直面いたしておりますので、政府は、万難を排して、一日も早く調査を完了いたし、そしてこれに適切な融資をいたしてもらいたいということを強く要望いたしますとともに、中小企業あるいは一般の被害に対するところの融資の問題、いわゆる金融機関に対しましてはどういう処置をされるおつもりであるか、この点もあわせて御答弁願いたいと思います。

武岡憲一総理府事務官(自治庁財政部長)

○武岡政府委員 中小企業等に対しまする融資の問題につきましては、実際は所管外でございますので、担当の政府委員から御答弁いたしたいと思います。

首藤新八自由党(分)

○首藤委員 この点はあらためて所管庁から聞くことにいたしますが、現在和歌山県の緊急な融資の要求額は二十億円を主張しているのでありまして、しかも繰返して申しますように、事態は急迫しておりますし、また被害の程度もきわめて深刻でありますがゆえに、これらに対するところの対策は一日も早く樹立されることを重ねてお願い申し上げまして、私の質問を終りたいと思います。

坊秀男自由党

○坊委員 ただいまの首藤委員の質問に関連いたしまして、二、三お尋ね申し上げたいと思います。今次和歌山県及び奈良県を襲いました災害というものは、首藤委員も言われました通り、まことに、絶後かどうか知りませんが、空前のもの、かように私は思うのでありますが、これが復旧につきましては、国家としても一大決意を持つてやつていただかなければならない。かような観点からいたしまして、復旧事業に対する政府の補助と申しますか、そういうような点を従来通りに考えて行くようなことでは、これはとうてい復旧できない。つまり、県にいたしましても、市町村にいたしましても、それぞれ十の財産の中で二とか三とかを失つたということ、私は従来の災害であつたと思う。今度の災害は、十の財産の中で、はなはだしきは十全部失つてしまつた、少くとも七とか八とかの財産を失つてしまつた、こういうような状態でございますが十の財産の中で三くらい失つたなら、あとに七という財産が残つておりますから、この七の財産が果実を生むということによりまして、相当自己負担をもつても復旧ができる。ところが、十の財産中七も八も失つてしまつた、あと残つた二か三の財産でもつて生活して行かなればならぬということになつて参りますと、これはもう生活だけが一ぱいであり、かつ生活ができない。こういうような場合に、国庫が復旧費を補助するといつたようなときに、従来通り地元が三割を負担して国家が七割を出すのだというような考え方では、これはとても問題にならぬ、かように思うのでございますが、これについての政府の御所見を承りたいと思います。

武岡憲一総理府事務官(自治庁財政部長)

○武岡政府委員 今回の災害が非常に大きなものであつて、各地方公共団体に与えました打撃が非常に大きなものであるということは、御指摘の通りだと存じます。そこで、これらの団体が今後復旧して参るにつきまして、相当国が積極的な、普通とは異なつたような多くの補助と申しましようか、財政的な援助を与えなければならぬということも、まつたく私も同感でございます。ただ地方自治庁といたしましては、各地方団体が今後の復旧を完全にやり遂げて、自治の運営に支障なくやつて参りますために、相当国としても力をいたさなければならぬ、かように考えておる次第でございますが、具体的に、それぞれの事業について補助の程度をいかようにするかということは、私の所管外でございますので、その点は所管庁の方からお聞きを願いたいと思います。

坊秀男自由党

○坊委員 首藤委員から平衡交付金についての質問がございまして、被害の程度が判明するにつれまして具体案を立てる、かようなお話でございましたが、なるほど、被害の状況につきましては、まだ数字的にははつきり確定したものはございません。おそらく、この数字が確定するのは、今日の和歌山及び奈良の状態から見まして、交通も通信もとだえておるというようなことから考えてみまして、あと一箇月や二箇月では、はつきりとした数字が出て来ないのじやないかと私は思います。その数字が出て来るまで待つておつて、そして対策を立てられるということは、私は非常に時宜に適したものでないと思う。そこで、こういうことだけははつきり言えると思う。今度災害のあつた県といたしましては、その税源になる事業税など、そういつた税源は、これは非常に滅失してしまつた。それからまた、市町村といたしましては、固定資産税とかあるいは住民税とかいつたようなものの税源でございますが、これも、場所によりましては、固定資産税のごときものは全然ない。従つて、住民税というものも同様でございまして、これだけははつきり言えると私は思うのでございますが、これだけの税源を失つて、しかもこの災害のあつた地方の財政需要というものは非常に増額している。上と下との開きから、この地方の県市町村が、これによつて非常に困つて、とても立つて行けないということだけは、よく御了解がつくだろうと思うのでございます。こういうような観点から、できるだけすみやかに、この八月平衡交付金を交付する際に、大幅にひとつ増額されるという決意を政府はしていただきたい。これに対して政府の御所見を承りたい。

武岡憲一総理府事務官(自治庁財政部長)

○武岡政府委員 平衡交付金の額をどの程度にきめるべきかということになるわけでございますが、もちろんさきの西日本水害といい、あるいは今次の和歌山を中心とした災害といい、いずれも相当大きな災害でございまして、それに伴いまして各地方団体が収入を失い、また反面、御指摘のように、特別な財政需要がふえて来たという額は相当なものであろうと存ずるのであります。具体的にどれくらいの数字になるかというのを、ただいま調査中でございますが、たとえば、税をきめるにいたしましても、県並びに市町村を通じまして、それぞれ被害団体でいろいろ事情も違うわけでございまして、一律ではございませんが、大体害災を受けた各地方団体で本年度どの程度の減収があるかという数字を、至急にわれわれのところで調べたいと思つて、ただいま鋭意調査をいたしております。それからまた、一方これに基きます歳出の問題でございますが、これも、災害救助法の発動等に伴いまして、それに関連したいろいろな支出ががざいますし、またそのほかどうしてもさしあたつて行わなければならない復旧事業等につきまして、非常に大きな歳出の増があるわけでございますが、これらも鋭意急速にその歳出の所要額というものを調査いたしたいということで、ただいまその調査にかかつておるような次第でございます。  これらの事情にかんがみまして、平衡交付金の、これらの災害県に対する増額についてのお尋ねでございますが、平衡交付金は、ただいま御審議になつておられます予算案が成立いたしますと、この次はこの九月が概算交付の月に法律上はなつておるわけであります。ただ、これにつきましては、各地方団体からの御要望もございまして、八月に繰上げ支給をせよというような御要望も承つておりますので、これはいずれ予算の成立をまちまして適当な措置を考えたい、かように考えております。  なお、増額というお話でございましたが、交付金の額そのものの増額の問題は、先ほど来私が申し上げておりますように、今回の災害によつて実際どれだけのものが必要だという数字がきまりませんことには、今さしあたつての措置はより得ないわけでございます。いずれそれらの調査の確定をまちまして、補正予算あるいはそういつたような適当な措置を政府が講ずることにならう、かように存ずるのでございます。当面の問題といたしまして、前の西日本の水害につきまして、七月に概算交付をいたします際に、その水害地に対して特別な増額交付をいたした例があるわけでございます。これらの例につきましては、水害の被害団体の事情等を十分勘案いたしまして、しかるべく善処するようにいたしたいと考えております。

坊秀男自由党

○坊委員 政府は、西日本に起りました水害の前例もあるから、これに準ずるような措置をおとりになるという御答弁である、さように了解してよろしゆうございましようか。

武岡憲一総理府事務官(自治庁財政部長)

○武岡政府委員 はい。

坊秀男自由党

○坊委員 そこで、私はお伺いしたいのでございますが、もちろんこの被害の数字も何も出て来ないのに、政府として、補助金をどれだけ出すとか、あるいは平衡交付金をどれだけ増額するとか、はつきりしたことはおつしやれないのは当然だと思います。しかしながら、今日の水害が非常に大きな水害であり、かつ、どうしても従来のような補助だとか交付金だとかいうことではいけないということだけは、はつきり御了解のことと思いますが、そういうような立場から、これはぜひとも——もう少しはつきりした数字を出せば二箇月も先になるというような、あるいは数字を見てからでなければ政府の措置がとれないというようなことでは、これはとうてい復旧ができない。そこで、でき得る限り概算でもつていろいろな措置をとつていただくということをお願い申したいのでございます。  もう一つ、これは大蔵省にお尋ねした方がいいのかとも思いますが、和歌山県の水害に対しまして、すでに二回にわたりまして、三億八千万円でありますか、これのつなぎ資金を出してもらつておりますが、これにつきまして、和歌山県といたしましては、もつと非常な増額を要求しておるのでございますけれども、当局におかれましては九州の災害に対するつなぎ資金が九州においては使われていないという理由で、このつなぎ資金が和歌山の水害にとりましては非常に少くしか出ておりません。もしも、現地におきまして、つなぎ資金がこれこれの理由は、こういう項目でこれだけいるんだという具体的な計画を出すならば、十分見てもらえるというふうに理解していいのでありますか、そこの点をお尋ねいたします。

武岡憲一総理府事務官(自治庁財政部長)

○武岡政府委員 つなぎ融資の問題は大蔵省の所管でございまして、どのような出し方をするかということは、ちよつと私としてはお答えいたしかねます。ただ、自治庁の立場といたしましては、地方団体の御要望に応じて、できるだけ実態に即した融資が行われるように、実は大蔵省と折衡はいたしておりますので、御趣旨に基きましてさらに大蔵省の方と折衝を重ねたいと存じております。  それからさらに、お話がありましたので申し上げますが、今度の災害に関連して、特別交付金を災害を受けた各地方団体に対して交付するということでございますが、特別交付金は、御承知の通り、現在の法律の建前からいたしますと、普通交付金の配分をまず決定いたしまして、そのあとで諸般の事情——災害等が非常に大きな事情になるわけでございますが、そういつた事情を考慮して配分するということになつております。法律の規定てよりますれば、これは毎年その年度の二月——来年の二月までに交付しなければならぬという規定に相なつておるわけであります。従つて、特別交付金自身の算定は、まず普通交付金の配分が終りましたあとで、それらの事情を勘案いたしまして決定するという段取りに、今の法律の建前から行けば行くことになるわけであります。ただ、問題は、さしむき被害を受けた各市町村なり県等で、地方公共団体で、災害のために復旧の資金が必要である。そのためにつなぎ融資が必要なことはもちろんでございますが、せつかく予算できめていただいた交付金であるから、幾らかでも早くそういつた金が概算で地方団体の手に渡るように、というような御配慮であろうと存ずるのでございまして、これは私どももまつたく同様で、できるだけさような措置をとりたいと考えているわけでございます。法律の規定によりますれば、さつき申し上げましたように、ただちに概算交付することになつておりますが、繰上げ方給、それからまた水害を受けた地方公共団体に対する増額概算交付ということに、前例もございますので、なるべくそういつたような前例にかんがみまして、適当な措置を講ずるようにいかしたい、かような意味で申し上げておるのでございます。重ねて申し上げておきます。

坊秀男自由党

○坊委員 私はまだ多少の質問があるのでございますが、大蔵省が出ておりませんから、本日はこの程度で質問を終ります。

村上勇自由党

○村上委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十五日午後一時より開会することといたします。  なお、この際御報告いたしておきますが、去る二十二日、通商産業委員会より、水害による石炭鉱業の被害復旧対策に関して、当委員会に申出がありましたので、その内容は印刷して諸君のお手元に配付いたしておきましたから、御報告いたします。  本日はこれで散会いたします。     午後五時二十七分散会

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