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16回国会衆議院1953/05/26

昭和二十八年度一般会計暫定予算につき同意を求めるの件外六件特別委員会 第5号

発言数
348
登壇者
28
会派数
6
開催日
1953/05/26

会議録

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 これより会議を開きます。  昭和二十八年度一般会計暫定予算につき日本国憲法第五十四条第三項の規定に基く同意を求めるの件外六件を議題といたします。質疑を継続いたします。山口好一君。

山口好一自由党(分)

○山口(好)委員 吉田総理に三、四点御質問をいたしたいと思います。現在の日本の政局でありますが、これは、首相におかれましても、すこぶる不安定な状態にあるということはお認めになるところであろうと思います。この政局の不安定は、ひいて国民の経済その他万般の生活に影響を及ぼして、国民生活の安定はかくのごとくしてはしよせん期することができない現状にあります。さらに、今回の解散と本予算の不成立とによりまして、四月、五月あるいは今後二、三箇月、暫定予算をもつて国費もまかなわなければならないという、かような状況にありますために、国民生活の不安定、特に中小以下の経済状態にありまする国民の生活はすこぶる不安定となり、さらに、中小企業を主といたしますところの業者諸君の生活も、深刻なる影響をこうむつておるのであります。この予算不成立にしてかつ解散が行われて、政治の空白ができ、あるいは選挙の費用なども多分にかかるものがありまして、その間はどうしても暫定予算によつてまかなうということになりますれば、先ほども申しましたような万般の悪影響があるのでありますが、かようなことを考慮せられましたならば、過般の不信任案の可決によりましてのその後の処置というものについては、私ども考えまするところでは、国内の情勢、国際の情勢にかんがみましても、これは解散によらず、総辞職によつて事を処すべきではなかつたかと思うのでありますが、何ゆえに政府は総辞職によらずして、解散措置をおとりになりましたか、その点をお伺いいたしたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えいたします。わが党内閣は、この前、前々の総選挙において絶対多数を得たのであります。それに対して不信任が出た。その場合に、政府としては、これを解散によつて民意に問う。政府の処置がよかつたか、あるいは不信任案提出の処置がよかつたか、国民の意思を問うというのが民主政治の精神なりと考えて、解散を断行いたしたのであります。

山口好一自由党(分)

○山口(好)委員 さらにお尋ねいたします。吉田さんのお考えとしましては、すべからく民意に問うて事をきめようというお考えであつたと承つたのであります。われわれの見るところでは、吉田総理大臣あるいは吉田内閣というものが非常に長く続けられておりますために、よし施政に過誤がなかつたといたしましても、長きにわたりますれば、国民が次第にあきて来るというのが人情の常であります。国民があきて参りました場合には、どうしても政府に対する協力の度合いも薄れます。また、国民といたしましては、あきないようにせよと言つたところで、長年連れ添いましたところの妻を、いい妻ではありながら、やはり夫があきて、あきないようにせよと言つても、いかんともしがたいことくに、吉田さんの施政がいいとしても、あまり長きにわたれば、やはり国民の方としましてはあきが来るのであります。こういうふうになりましたる場合に、さらに実際の施政がよろしきを得ておるか。その点になりましても、実は自由党は税金を引下げると言うが、どうも一向引下げていない。あるいは法律上の税率その他は下つたといたしましても、実際の課税面において、年々三割、五割というものが上つておる。その絶対数は毎年上つておるというような状態にあります。さらに、中小企業者などの振興対策として根本をなすべき貿易関係などにつきましても、しばしば吉田内閣として言明せられましたところの、海外貿易の振興についての実現ができておらないのであります。これがために、吉田さん御自身に対する国民感情、及びそうした実行すると言いながら実現せられておらないところの政治の実際面から、国民は、吉田さんがむしろしりぞいて、だれか新しい内閣をつくつてもらいたい、そうして公約したことをほんとうに実現し得るところの強力な内閣をつくつてもらいたいというふうに考えておるのが、現状であると思うのでありますが、この点についての総理の御所見、及びさようなことを御認識になつておられるといたしますならば、機会を得て、適当な機会に御退陣になる御意思があられるかどうか、その辺もお伺いいたしたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 適当な機会があつたらば進んで退陣いたします。しかしながら、ただいまのところは、退陣いたしたくとも、第一党である以上は退陣することができない。これは国民の意思を尊重しての話で、私があきられたかどうかということは、夫婦の場合と違いまして、はつきりした意思表示は一に選挙の結果をまつよりしかたがない。それは別としまして、貿易関係については、いわゆる客観情勢といいますか、世界的に貿易は今縮小されておるのであります。貿易が縮小されて苦しんでおるのは、日本ばかりではないのでありますゆえに、日本政府とし、あるいは国民として、この際は貿易の逆調、あるいは貿易の楽観を許さざる点については、あくまでもこれに善処すると言う以外に申し上げることはありません。また減税につきましては、政府はあくまでも減税の方針をとつております。国民において事実減税にならなかつたと言われますが、減税になつた分は確かにあるのであります。しかし、政府としては、なおこの上にも減税をいたしたい。減税をすることによつて、物価を引下げ、物価を国際水準まで、あるいはそれ以下に引下げることができるように、よつてもつて貿易上の競争力を高めるようにいたしたいと考えて、あくまでも物価の引下げについては今後一層努力するつもりであります。

山口好一自由党(分)

○山口(好)委員 ただいま総理より、貿易関係につきまして、貿易の不振は世界的である、いろいろな国際情勢との関係もあつて、今うまく行かないのであるという御説明がありましたが、ずつと前の、第一次、第二次吉田内閣の当時におきましては、吉田さんとしては非常に勇敢に、たとい中共との貿易たりとも、あの国が赤であろうが白であろうが、貿易は別だ、赤であつても白であつても、わが国として必要なる貿易は断固これを行うのであるという本会議における答弁もあつたわけでございますが、その後次第に様子がかわつて参つたのであります。これも国際情勢の変化だと言われるかもしれませんが、私の考えでも、そうした思想の赤とか白とかいうことと貿易関係とは別個に考えまして、しかも日本に最も近い、よき顧客であるところの中共、朝鮮、その他東南アジアなどとの貿易に最近たいへん注意を払われるようになりましたが、やはり貿易というものは、水の低きにつくがごとくに、近接した最も適当な国との貿易が最初に開かるべきことは、理の当然であると思うのであります。わざわざ遠いところから同じ品物を入れ、あるいはそういうところに出すよりも、最も需要の多いところの近い国々から原料を仰ぐ、あるいは品物をこちらからも出すというようなことが、水の低きにつくところの自然原理であると思うのでありまして、これによつてこそ日本の貿易というものは初めて振興せられ、国民の生活もこれによつてこそ初めて成り立つと思うのであります。かような点から考えまして、吉田首相も最初はさようなお考えになられておつたのでありますが、そういう考え方を現在もお持ちになられるかどうか、またそう行かない原因があるとすれば、それはどういうところに存するか、その理由の御説明を賜わりたいと思うのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えしますが、共産主義国であるから貿易をしないとか、あるいはまたイデオロギーが違うから貿易ができないというようなことは全然考えておりません。その国の政治、思想がどうであろうが、貿易は別であるという持論は、いまなお堅持いたしております。また朝鮮、支那あるいは東南アジア等、隣国との間の貿易関係は努めて振興いたしたいと考えて、政府も極力これに対しては努力いたしております。お話の通り、隣国との関係は、貿易は別といたしましても、よくすべきであり、善隣の国交が最も大切であるということは私もよく承知いたしております。ゆえに、貿易のみならず、隣国との間の善隣関係は、あくまでも増進いたしたいと考えております。

山口好一自由党(分)

○山口(好)委員 私の郷里でありまする栃木県の特に足利、佐野その他の両毛機業地と言われる地方でありますが、このいわゆる機場におきましては、貿易の不振のために、今や倒産あるいは自殺一歩手前にあると言つても過言でない現状にあるのであります。毎日議会でもいろいろ陳情を受けておりますが、さらに現実の問題として、もう行き詰まりまして、機業でない何かほかの事業に転換をしたい、そうしなければ、もはや生きて行けない、こういう悲痛な叫びが叫ばれております。このときにあたりまして、今のお考えでありますが、これはもう火がついております。考えておる時期ではなしに、断固行うべき時期であると思うのであります。この意味において、吉田さんにおかれましても、過般の閣議において、東南アジアの貿易だけでもこの際積極的に振興いたさなければならないということをおきめになつたようでありますが、その後の東南アジア方面に対する貿易振興策の具体的な構想をお示し願いたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 東南アジアとの貿易関係を促進するために、現在外務省において、その地方の事情に詳しい人を集めて委員会を組織して、その意見も十分聴取して、適当な方策を講じたいと思つております。またこれは、この内閣に限つたことではありませんが、従来も東南アジア及び極東一帯の地方に視察員を出すとか、あるいはまた関係領事館その他において、地方との間に接触を十分に密にせしむるとかいうような処置は講じて来つたのであります。けれども、何分相手国のあることであり、またごく率直に申せば、戦争後の日本に対する国民感情は必ずしもよくはないのであります。戦争が行われた直後においてこれは当然のことでありますが、その日本に対する反感もしくは悪感情が、まだ戦後幾ばくも時を経ないために、相当に残つておることは事実であります。この日本に対する反感、もしくは日本は危険な国である、侵略する国である、侵略国であるというような感じが相当に残つておるので、この感情をぬぐい去るのには相当時をかけなければならぬと思いますが、この感情を一変せしむるだめにも、努力、注意を払つております。何分国民感情のごときは一朝一夕に直るものではなくて、よほどおのおの国民が相互の間に努力しなければ、感情の一変ということはむずかしいことであります。ゆえに、多少時がかかることはやむを得ないのでありますが、時をかけても、感情の融和には十分尽して、やがてこの東南アジアその他の国との間の貿易関係が進むようにいたしたいと思います。そのためには、その国の事業を助け、あるいはその国の利益になることも政府としては考えもし、またできるだけの援助もし、好意を示すということが肝要であると考えて、いかにしてその国の発達を助け、あるいは事業を興すかということは、すなわちその地方の事情に詳しい人の知識も借りるべきである、借りなければならぬと考えて、その地方に経験のある実業家その他に委員になつてもらつて、そうして政府としては適当な措置を講じたい、こう考えて進んでおります。

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 山口君、申合せの時間が大体……。

山口好一自由党(分)

○山口(好)委員 まだ私の方はたくさん申合せの時間があるはずであります。

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 それでは、もう一問。よろしゆうございますか。

山口好一自由党(分)

○山口(好)委員 あと二点、簡単に……。

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 時間の都合がありますから……。

山口好一自由党(分)

○山口(好)委員 それでは、もう一、二点ですが、巣鴨その他になおとらわれの身となつておりまする戦犯者の問題、特にいわゆるB、C級の戦犯者と称せられる戦争犠牲者の問題でありますが、この問題につきましては、刑期は、無期いわゆる終身懲役はもとより、五十年、三十年というような長きにわたりまする刑が科せられております。それで、これらの人々については、いわゆる赦免、減刑というような法条も適用せられないような状態であります。政府におきましても、いろいろとこの赦免方法については対策を講ぜられておるようでありますが、実情を見まするのに、一向進捗しておらないのであります。私も多年法務委員としてこの方の研究を続けておりますが、どうしてもこれは日本の使節が——特に現状におきましては、オランダとか、フランスとか、アメリカとか、それその本国に向いまして特使団を派遣するような方法によりまして、あるいはすわり込み戦術のような執拗な熱心な態度をもつてこれが赦免、減刑を要請いたさなければ、実現ができないのではないか。さらに、今やつております個人審査という方法によりましたなれば、これはまつたくあの刑余の身となつております人々を、いたずらに絶望のふちに陥れることになります。全般的な講和条約が成立したる以上は、すべてこの戦犯者と称せられる人々は釈放せらるべきであるという、国際的な正義人道の立場から主張いたしまして特使団の派遣というような方法によつてやるよりほかは、道がないのではないかというふうに考えられるのでありますが、この点についての総理大臣及び岡崎外相の御所見を伺いたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 戦犯者の釈放、赦免等については、条約成立後ただちに交渉を開始いたしております。これは、条約の規定もありますので、相手国の承諾を得る必要があるので、もつぱら交渉を続けております。全然実効がなかつたのではないので、すでに赦免された人もあります。また減刑された人もあります。詳細は外務大臣からお答えいたします。

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 川島金次君。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 時間がありませんので、総理に具体的に、できるだけ端的に御答弁を願いたいと思います。

山口好一自由党(分)

○山口(好)委員 岡崎外相のだけやつてください。

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 山口君、申合せの時間が相当オーバーしておりますから、あとで……。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 昨日総理の、成田委員から政局の安定構想について尋ねられました質問に対する答えは、きわめて漠然たる答弁でございましたが、私どもの承知するところによりますと、総理は記者団会見をせられまして、この政局安定の問題、すなわち国民がきわめて重大な関心を持つております焦点の一つでありますこの事柄について、昨日の委員会で総理が説明された以上に、もつと具体的な構想について述べられたと伝えられておるのでありますが、もしそのようでありましたならば、この機会にその点を具体的に御説明願いたいと思う。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 今日記者団会見の場合において述べたことも、昨日と少しもかわつておらないのであります。昨日答弁いたした趣意で述べたのでありまして、具体的にどうするというようなことは述べておりません。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 ただいま伝えられるところによりますと、総理はそういう答弁でありまするが、今後の政局安定の構想並びにその構想に基いて、他の党に——総理の言われる政策上最も接近した党、あるいは政府の政策に協同のできる党、こういう問題について具体的な話をされたというふうに伝えられておるのでありますが、その点はいかがですか。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 具体的な話をいたしたことはございません。しかしながら、国民は安定を希望するのであるから、各政党も安定に努力してくれるであろうと思う。またわれわれとしても安定のために各政党に援助を求めるとか、あるいは協力を求めるということはいたすつもりであるけれども、今日何らまとまつたことはないのであるという説明をしたのであります。

橋本清吉改進党

○橋本(清)委員 関連質問。——一問総理の所見をお伺いいたします。  政局安定の構想についていろいろお話がありましたが、私は、この際思い切つて自由党を解消せられまして、まつたく新しき性格と新しき信念に立脚した意味におきまして、吉田さんがおやりになる御意思がないか、簡単にお伺いいたします。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 自由党を解消することによつて安定ができるという方策が立てば、これは考えていいのでありますが、本日は、ただ無条件に回答をここでもつてごひろういたす考えはございません。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 この際総理に単刀直人にお伺いするのでありますが、国民が当面重要な問題として注目しておりまする事柄の一つには、いわゆるMSAの援助の問題があろうと思います。MSAの相互安全保障援助の問題につきましては、日本の経済に及ぼす影響はもちろんでございますが、日本の防衛力とからみ合いまして、きわめて重大な事柄であろうかと私どもは考えております。この問題について、総理は今後いかなる考えに基いて対処されて行くのか。具体的に申し上げますならば、MSAの援助の交渉がありました場合には、それを受入れるという決意を総理は持たれているのかどうか、この点を端的にお答え願いたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 端的にお答えいたしますが、政府は、私としては、新聞以外に何らの情報を承知いたしておりません。また公式の問題として、相手国、つまり米国政府から交渉を受けておりません。従つて、日本に対する要求とか、あるいは援助とかいうようなものの内容については、何ら承知いたしておりませんから、お答えはできません。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 それでは、MSAの問題に対し、政府として、あるいは総理としては、この問題に期待を持つておられるかどうか。できるならばこういうことを望んでおるかどうか。その問題についてお尋ねしたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 MSAの要求といいますか、日本援助の内容を承知いたしておりませんから、希望も期待もただいまのところでは持つておりません。期待も希望も持つておりません。また、米国政府の申出について十分研究いたすつもりであります。その研究が済まない間はお答えができません。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 それでは、さらにお尋ねしますが、本日の毎日新聞の紙上によりますると、「奥村次官言明」という見出しの中において、政府は結局においてMSA援助を受諾することは確実である、こういうことをきわめて具体的に言明をされておる旨が載つております。この政府の、かりそめにも奥村外務次官が言明されたということが事実だといたしますれば、今の総理のお答えとはたいへん大きな矛盾を来すのでございますが、その点はどういうことでございましようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 主管大臣として申し上げます。本日私もそれを見ましたから、さつそく奥村次官に確かめましたところが、昨日各社の記者と会見をしたことは事実であるが、さようなことは申しておらないという報告であります。そこで奥村次官は、毎日新聞に対して取消しを申し出ておるはずであります。従つて、その記事は正確でないとお考えを願いたい。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 これ以上は議論になりますから申し上げませんが、しからば、今の総理の説明によります通り、MSAのこの問題については、日本政府としては今日のところ何ら考えてもおらなければ、ごうまつの期待も持つておらないとわれわれは理解してよろしいのでありますか、重ねてお尋ねしておきたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 内容がわかりませんから、お答えができない。また考えられないのであります。いずれアメリカ政府から何らかの交渉があつた場合に考えます。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 それでは、アメリカ政府から何らか交渉がありました場合に、その交渉の内容によつては、MSAの援助を受けるという心構えもあるとわれわれは理解してよろしいのですか。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 解釈はごかつてでありますが、ただいまのところは何ら承知いたしておらないから、これに対して期待をかけるとか、希望を持つとかいうことは、お答えができない。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 これ以上議論しても何だと思いますが、政府はこの問題について、目下のところではむしろ消極的であるかのように粉飾をしておるようでありますことを、われわれは知つております。  そこで、次にお尋ねいたしますことは、総理も御承知の通り、日本の最近における経済の体制というものは、何と言いましても朝鮮ブームによる特需に半ばささえられているという事柄だけは、まことに残念ながらいなめない事実であると、私どもは信じておるわけであります。ところがこの問題について、最近朝鮮の平和的な曙光をめぐりまして、この特需がもし急激に減るようなことがありますれば、日本の経済にとつて重大な影響がもたらされることは、これまた言うまでもないのであります。そこで、一部の財界では、この問題について重大な関心を払つて参りました。ところが選挙中——四月の半ばごろと私どもは記憶いたしておるのでありますが、この特需の問題について、ワシントン筋から、将来三箇年間にわたる間においては、少くとも特需は現状維持の程度において持続するであろうというような声明が出され、また駐日大使館からも、その声明を裏づけられるような声明が出されたのであります。この問題は日本経済にとりましてきわめて重要な問題でありますので、ワシントン筋がそのような声明を出したからには、さだめし日本政府に対しても、事前において、あるいはその後において、何らかの連絡があつたものと常識的には判断をいたしたいのでありますが、その点について政府に、何らか、大使館を通じあるいはワシントンを通じて、内示等のごときものがあつたかどうか、その点はいかがですか。総理から御答弁願います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 主管大臣の方がもつと正確でありますから、詳細は主管大臣からお答えをいたします。  そこで、今の二箇年の間特需を継続するということは、これは米国政府が、今お話のように、日本の現状において、あるいは貿易の現状において、特需が非常な役割をしておる、このために、もし特需がなくなつた場合にはというようなことを国民が自然懸念するであろうと考えて、米国政府の好意によつてこういう声明をせられたものであろうと思います。ただ、私がここでもつてお話をいたしたいと思うのは、戦争がやむことはけつこうであります。できれば休戦が成立するように希望いたします。しかし、休戦が成立したからといつて、ただちに特需がなくなるとも考えられないのであります。たとえば、米国政府としては朝鮮の復興のために相当の力をいたすように見えるのでありますから、特需が違つた形において——今日までは主として弾薬その他の兵器の特需でありますが、この特需が朝鮮復興の特需になることもあり得ることでありますから、休戦が成立した、そうしてそのために特需がなくなり、日本は困りはしないかということは、これは杞憂にすぎないのではないか。形がかわつた特需が出て来ると私は期待いたします。しかし、交渉の経過等について——交渉といいますか、米国政府等の声明の経過等については、外務大臣からお答えいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは、休戦会談がだんだん進行して来まして、一方には、今総理の言われましたような、特需が減るであろうという心配も国内にいろいろありまして、われわれとしても、ただ特需にたよるという経済政策は好ましくないのは当然でありますが、今までのが急激に変化するということは、またこれ経済界に打撃を与えるものでありまするから、この点をアメリカ政府にもよく話をいたしまして、確かめたわけであります。その結果、御承知のような声明がアメリカ政府から出たというのが実情であります。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 時間がありませんから、最後に簡単に一言お尋ねしておきたいと思います。  昨日総理は、この委員会の席上で、前国会で政府が上程いたしました警察法改正の問題について、それが不成立に終りましたので、今国会にもあらためて警察法の改正案を出すという旨を言明されたのでありますが、この警察法の改正の問題と相伴いまして、われわれが重大な関心を持つておりまするのは、世に五大反動立法と言われておりますうちのスト禁止法、あるいは独占禁止法の改正、あるいは義務教育学校職員法の問題、こういつた法案を、政府といたしましてはさらにごの国会へ再提出をするという方針でありますかどうか、その点について特に総理から伺つておきたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 この前の国会に、政府が特に意を用いて、重要法案なりとして、提出の必要を認めて提出いたしたのであります、ゆえに、同じ改正の必要はいまなお存在いたしておりますから、私としては提出いたしたいと思つております。新内閣になつてから、閣僚の間でまだ十分話し合つておりませんが、私としては提出いたしたいと思います。但しその形は、新大臣の考え方もありましようから、内容において幾らか変更を加えられることがあつても、法案としては提出いたしたいという考えであります。

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 黒田寿男君。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 ただいま議題になつております案件は、国の緊急の必要がありますときに参議院の緊急集会を求めて、その集会においてとられた措置について衆議院の承諾を求めておる案件であります。そこで、諾否の基準は何かということを考えてみますと、第一には、緊急集会において一定の措置がとられたことが、憲法上の要件を具備していたかどうかという点にあると思います。第二は、緊急集会においてとられた措置の内容が、立法上及び財政上適切であつたかどうか、この点にあると思います。今日は時間が制限されておりますので、私はこの第一の点に関連いたしまして質問をいたしてみたいと思います。  緊急集会を求める要件は何かということを考えてみますと、衆議院が解散せられて、その存立が消滅に帰しておりますときに、新たに立法措置あるいは財政措置を講ずべき緊急の必要を生じ、しかもその必要に応ずるために総選挙後の衆議院の成立を待つことができない、こういう事情にあることであると私は考えます。さてそのように考えてみまして、今回衆議院に事後承諾を求めておいでになります案件の場合を考えてみますと、私は、この要件を満たしていないという重大な疑いがあると思うのであります。どこに問題があるかと申しますと、本案件の場合にとられました措置というものが、はたして緊急の必要があつたということに該当するかどうか、この点に私は非常に疑問を持ちます。私は、結論としては該当しないというように考えるのであります。  そこで、緊急の必要という場合の緊急とは何かということを考えてみたいと思うのでありますが、私どもは、緊急というためには、次の二つの条件が必要であると思います。第一は、衆議院解散の当時には全然予期せられなかつた事態が発生したために、何らかの立法上または財政上の措置をなす必要が生じたこと、第二は、その必要に応ずるためには、総選挙後の衆議院の成立を待つことができないという事情にあること。私は、これが緊急というものの内容であると考えます。  そこで、この第一の場合を問題にとてみたいと思うのであります。本件の場合に、緊急集会においてとられました措置であるところの四及び五月の暫定予算の措置その他四件の立法措置は、吉田内閣の不信任案が去る三月十四日に衆議院を通過しました当時、これをなさなければならぬ必要があることは、だれ人も予想しておつたのであります。しかも不信任案通過から解散ないし総辞職までの間には、憲法上十日間の余裕があつたのでありますから、その間に衆議院の審議に付するという方法で、必要な措置を講ずる余地がある。その余地がある限り、衆議院の審議に付さなければならぬ憲法上の義務があると私は考える。本件の場合はそのような場合であつたのであります。余裕があつたのでありますから、憲法の規定に従うた措置をとらなければならぬ。これは私は憲法上の義務であると思うのでありまして、参議院の緊急集会を求めるべきではなくて、衆議院に付議すべきものであつたのであります。付議すべき憲法上の義務であり、これをなさないのは憲法違反であると考えるのでありまして、私は、政治的理由によつて選択することは許されないと考える。これが、総理大臣の従来他の委員に対してお答えになつておりましたところと、私の考え方との違うところであります。総理は、従来の他の委員に対する御答弁におきまして、政治的考慮によつて即時解散の方法を選んだ、それが適切であつたと言われるのでありますけれども、私は、このような政治的理由で、緊急集会かそれとも衆議院の審議に付すかという選択を許される事案ではないと思う。審議の余地がある限りは、衆議院の審議に付すということが憲法上の義務である。私は、憲法上の重大な違反を内閣はやつたのではないか、こう考えますが、まず総理大臣にこのことをお尋ねしまして、さらにもう少し質問を続けたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 この問題は、昨日も大分論議を重ねられた問題でありまして、政府は緊急の性質のあるもののみを計上いたしたつもりであります。しこうしてこれが憲法違反なりやいなや、これは法制局長官がお答えいたします。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 それでは、なお私の質問を敷衍いたしまして、法制局長官の御見解を承りたいと思います。私は、衆議院の議に付すべき余裕があつたということと、参議院の緊急集会を求める緊急の必要があつたということとは、両立しないと思います。衆議院の審議た付すべき余裕がなかつた場合に、初めて緊急の必要があつたと言い得られるのであると私は考えます。それをなす余裕がある場合は、これをなすことが憲法第五十九条、すなわち立法は両院の議決を経なければならぬ、及び第六十条、すなわち予算は衆議院をして先議せしめなければならぬ、及び第八十三条、すなわち国の財政的措置のためには両院の決議を経なければならぬ、こういう条文によりまして衆議院の議に付すべき義務が課せられておると考えます。従つて、緊急の必要があつた場合ということは、本件の場合には言えない。本件の場合は憲法第五十四条違反になると考えるのであります。ただいま申しました憲法第五十九条、六十条及び八十三条等に反して、衆議院の可決をまたず、衆議院の先議を経ずしていきなり参議院の一院のみによつて、その決議で財政措置及び立法の措置をなし得るというのは、衆議院の審議に付すべきことが絶対的に不可能な場合、すなわち衆議院が解散によつて存在を失つておる場合のみに限ると私は考えます。付議すべき余地ある場合は、絶対的不可能の場合ではないのでありまして、私は、こういう場合に衆議院の議に付しないのは憲法違反であると思つております。参議院の緊急集会に付した予算案及び法律案は、衆議院の審議に付そうと思えば付し得られた事情があつたのでありますから、こういう場合には必ず衆議院の議に付さなければならぬ。付し得られないことが絶対的である場合においてのみ、憲法違反を免れると私は思う。従つて、本件の場合は、憲法第五十九条、第六十条及び第八十三条等の違反である、こう思う。これに対し、総理あるいは法制局長官の御答弁を求めたい。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 一応お答え申し上げます。黒田委員の最初に仰せられました一段は、まさにその通りであると御同感申し上げるわけであります。ただ問題は、この憲法五十四条で言つておる措置というものは、今のお話によりますと、あらかじめわかつておるような事柄は入らないので、思いがけない突発的な事故に対する措置のみを予想しているということを、すべて前提にお立てになつておるように考えます。私どもは、その点について違つた考えを持つておるのでありまして、この条文そのものから見ましても、予測すべからざる云々という文言は全然ございませんし、先例から申しましても、御承知のように昨年中央選挙管理会の委員の任命がないままで解散になつたので、その後の緊急集会においてこれが御選任になりまして、衆議院においても、何ら御異議なく可決されて、御承認になつておるわけであります。これは、実例から申しましても、りつぱな先例であると思うわけであります。そういう意味で、五十四条の第二項についての制約は別段ないので、あらかじめ予想せらるべきものであつても、この措置をとり得るというふうに考えざるを得ないと思います。  そこで、第二段の問題になりまして、お言葉の中に六十九条の十日以内云々というようなことがありましたけれども、これも、せんだつて御説明をしたのでありますが、私どもの憲法立案当時から考えておる六十九条の本旨というものは、不信任決議を受けながら、その不信任決議を受けた内閣が、解散をせず、総辞職もせず、ほおかむりでそのまま居すわるということは、議院内閣制、ひいては民主主義から言つて、たいへんなことでございますから、それを明文をもつて禁止した。そのことが六十九条の本旨である。ただその場合に、解散をとるか総辞職の道をとるかということについての態度をきめる、その猶予期間を十日という趣旨でここに設けられておるというわけでありまして、その間に解散後における措置を全部完了しなければ解散ができないのだというような趣旨は、毛頭ないと考えております。もしもまたそういう趣旨があるといたしますれば、解散権の大きな制約になつて、議院内閣制の根本問題に触れて来る事柄であろうというふうに考えております。従いまして、今回前内閣のとりました措置というものは、私どもは憲法上何ら問題はないというふうに考えておるわけであります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 関連して総理大臣にお尋ねいたします。それは、この問題は憲法上の重大な問題でありまするし、同時に初めてのケースで、これが先例になる問題でありますから、私は総理大臣からはつきりした御答弁を願つておきたいと思うのであります。  憲法第五十四條の英文の方を見ますと、この緊急集会を召集し得る場合を、イン・タイム・オブ・ナシヨナル・エマージエンシーと書いてある。私が申しげるまでもなく、この言葉が何を意味するかということは、総理大臣よく御存じだと思うのでありまして、そういう場合に当てはまるのかどうかということは、総理大臣からはつきり伺つておかなければならない問題だと思うのであります。今黒田君の言われたように、当然予見し得る問題であるのに、緊急集会においてでき得るから、予算をかけ得るからという前提のもとに、もし総理大臣が解散をあえてしたとするならば、これは明らかに憲法違反であると思わなければならない。解散をやつてみた結果、これはほかに処置がなかつたから緊急集会にかけたのだというならば、まだ恕すべき点があるのでありますが、当然緊急集会にかけ得る便法があると考えて国会を解散したというならば、私は、りつばな憲法違反であると思います。この点ひとつ明確なる御答弁を願いたいと思うのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 ただいまの法制局長官の解釈は、すなわち政府の解釈であります。ただ一言つけ加えますが、便法あるがゆえに解散したという考えは毛頭ないのであります。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 今英文のお言葉がありましたが、ちよつとその点御説明申し上げておきます。英語の方は、なるほどさようになつておりまして、若干日本語の方とニユアンスが違うという見方も私はできると思います。ただ。言うまでもありませんが、日本国憲法は、日本語によつて、この文章によつて当時の帝国議会に付議せられ、三分の二以上の多数をもつて可決されておるわけであります。この解釈にあたりましては、あくまでも、われわれ日本人といたしましては、日本語によつて解釈すべきであろうと思います。それから、この条文のできました経緯につきましても、いろいろと秘録めいたものがございますが、少くともこの五十四条に関する限りは、純然たる和製の条文でございます。われわれが書きまして、それを英語に翻訳したものであるということを御参考までにつけ加えておきます。

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 ちよつと黒田君に御了解願いたいと思いますが、御質問が主として法制局長官に対してのようであります。先ほど理事会の申合せで、総理は四十五分ということになつておりますから、その点御了解を願います。     〔「総理が答えられないから法制局長官が答えておるのだ」と呼び、その他発言する者あり〕

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 今質問者に御了解願つておりますから、しばらくお待ち願います。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 私は、法制局長官に対して、ただいまの御答弁に対する私の考え方を簡単に申し上げまして、さらに最後に締めくくりとして、総理に簡単に御質問申し上げたいと考えております。  今、先例の点についてお話になりましたが、私は、その先例に実は疑問を持つておりますので、先例があるからということは、私どもの考え方の核心に影響を及ぼすものではないと思います。それから、突発事件に限られない、あらかじめ予想されておる場合も含むと申されましたが、たとえば天然災害が起つて来るような状態がある、しかしまだ大きな災害が現実には発生していない、けれども発生するかもしれない、そういう場合に解散が行われて、不幸にしてその後遂に大きな災害が発生し、予備金だけではまかなえないというような場合に、予想せられたことではあるけれども、これはあらかじめ衆議院の予算措置を求めるということは法律上不可能でありますから、かような場合は、予想されておつたことで、しかして緊急集会の議に付して予算措置を講じなければならぬという場合の例になり得ると思います。けれども、今回のような場合を合憲的であるとあえて強弁せられますならば、私は、それには承服することができない。これは意見の相違ということになると思いますけれども、さようなことになると、衆議院軽視の慣例をつくることになる。そうでなくても、はなはだ失礼でありますが、総理の過去の二回の解散のやり方において、はたしてそれが衆議院を尊重する方法であつたかどうか、これは国民に多大の疑惑を持たれておる。私は、吉田内閣が衆議院を軽視するやり方の一つの現われが、この緊急集会のやり方であつたと思います。具体的に今回のごとくあらかじめ予想される場合においてあえて憲法の規定を無視して、衆議院の議に付さないで参議院の緊急集会に付したことは、私は、何と申しましても憲法に対する重大な違反であると考えます。しかし、これも意見の相違ということになりましようし、きようは時間がございませんから、これ以上申しません。ただ、先ほど社会党の田中君からも御発言がありましたが、日米通商条約というような重大な条約に不信任案通過後政府は調印しておる。こういうことを片一方ではやりながら、不信任案通過後の政府の権限についてまた別な考えをお述べになるというようなことは、法制局長官のお話の中に自己矛盾があると私は考えます。私は法制局長官を尊敬しておりますけれども、どうも局長は時の政府に都合のいいような解釈をときどきなさいます。これは私非常に残念に思います。今日は時間もありませんから、これで私の質問をとめておきます。

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 それでは午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ————◇—————     午後二時開議

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村梅吉君。

中村梅吉自由党(分)

○中村(梅)委員 主として、私は外務大臣に聞きたいと思いますが、なるべく早く出席してもらうように委員長からおとりはからい願います。便宜上続行いたします。  私は、戦犯者釈放の問題について、政府の所見をただしたいと思います。これは非常に緊急な事柄で、暫定予算編成のにおいても大いに考慮すべき事項だと思うのです。現在巣鴨にも七百五、六十人の人がまだおられるわけでありますが、講和発効前には大体月に五、六十人程度の仮釈放、パロールがあつたわけでありまして、ことに講和発効直前には、一箇月に百十何人の仮釈放を見た月もあるわけであります。そしてこの戦犯者の諸君は、講和の発効を一日千秋の思いで待望しておつたわけであります。ところが、講和が発効してみますと、まつたく仮釈放すらも行われない現状になつてしまつて今日非常に失望しておりますことは、政府の御承知の通りであります。ことにまた、立太子の式典に際しては、一般犯罪人は減刑、赦免その他の恩典に浴しておるわけでありますが、この戦犯者の諸君には何らその恩典が及んでいないのであります。かような状態で、日本が独立して以来、戦犯者の諸君は全面釈放を政府にも強く要望いたしまして、なるほど政府でもその点について努力をせられたようでありますが、最近聞くところによりますと、全面釈放の見込みがないというような結論に達したということでありますが、その点どういうような諸外国との交渉経過になつておりますか、それを明らかにしていただきたいと思うのであります。  次に、続いてお尋ねをしますが、なお全面釈放の見込みがない、あるいは薄いということから、個人審査をすることになつて、法務省ではその個人審査を始めておるようであります。法務省のある局長から、これらの戦犯者の諸君に対して、本年六月一ぱいで個人審査を完了する見込みであるという話が伝達されておるそうでありますが、しかしながら、まだその個人審査の段階は事務官の下調べ程度であつて、三人の委員会ができておつて、その委員の人たちが個人審査を完了するのはいつになるかわからないというような点で、あの諸君は非常に心配をしておるわけであります。この問題の心理的に及ぼしておる大きな問題は、戦争中指導階級にあつた人たちが、今日はどしどし追放解除になつて、閣僚の地位にも列しておる。おそらく現在の閣僚のうちでも、戦争に積極的協力をしなかつたという人をあげるならば、吉田総理ぐらいなもので、あこの諸君は、閣僚の諸君といえども戦争には積極的に協力した、いわば指導階級の人である。それらの人たちが復活をして堂々とやつておられるにかかわらず、その指導階級の下に属して、命に服して、これ国家のためであるということで働いた者が、三十年、長くは五十年の刑あるいは無期の刑というような刑罰を受けて、それがまつたく見通しがつかない。占領が解かれて独立した今日といえども、見通しがつかないのみならず、まつたく失望の状態にある。政府の大臣諸公もしばしば巣鴨に来られまして、大いに努力しておる。しばらく待つておれ、こう言うのであるが、その努力をしてくれておるところの経過が少しも明らかにされていないという点を、非常に失望しておるのであります。なるほど、法務省では非常に直接の関係があるせいでありますか、熱心に御尽力をくださつておることを、戦犯者の諸君が感謝しておるようでありますが、どうも外務当局の方の外交交渉の段になりますと、それが運んだのか運ばないのか全然わからぬというわけであります。こういう点につきましても、この際私は事態を明らかにしていただきたい、かように思います。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 中村さんにお答え申し上げます。  外国との交渉の関係は後ほど外務大臣より御答弁があると思いますが、法務省に関する問題といたしまして、私より御答弁をいたしたいと思います。  お話の通りでありまして、ただいま法務省に対しておほめのお言葉をいただきましたが、それは当りません。努力が実を結んでおほめの言葉をいただくべき筋合いでありまして、問題の解決してない点は共同責任でございます。お話のございましたように、今でも諸外国に対して全面釈放を勧告いたし、立太子式の盛典に際しても、すでに御承知のように、諸外国に対して強くその解決を求めたのでありますが、一、二の国を除いては空気はさほど悪くないようでありますが、遺憾ながらはつきりした返答をまだもらえない次第でございます。ここで率直に私どもの悩んでいる点を申し上げたいのでありますが、全面釈放、海外の戦犯の方に帰国していただくよう実現させるということに努力いたしますと、海外では、日本に帰してもいいが、帰すと非常に優待するそうだから躊躇するというような、直接公の意思表示ではありませんが、そういうことが伝わつておる。さりとて海外の方々に早く帰つていただくために、今中村さんの御指摘のようないろいろの事情で、巣鴨に入つている人をこれ以上厳格にするということは、またこれは國民の情としても、事実問題としても、むずかしいことでありまして、ここが私どもの仕事として非常にやりにくい点でございます。せめて今巣鴨に入つている人たちの気持を何とかして明るくし、また家庭に対する深刻な心配も軽くしてあげようということになりますと、海外に残つている諸君に多少響かないでもない。この問題で実に私どもは悩んでおるわけであります。ただいまお話の個人審査の基礎になつておりますのは、御承知のように中央更生保護の委員会でありまして、これは三人の委員をもつてやつております。私最近感じましたのは、この三人の委員は非常にりつぱな方でありますが、巣鴨に入つている人及び海外に行つておる戦犯者の方からいうと、もつと身近かな境遇にある人を委員に加えてくれないかという話もありまして、これもごもつともなことであつて、このたび新しく就任いいたして以来いろいろ研究いたしたのでありますが、この委員会の人数というものは法令できまつておりまして、これを改正するのにはまた日がかかるし、若干ふやすということにも問題がありますので、巣鴨の人及び海外にまだ残つている人の家族等が身近に親身に考えてもらえる人のうちの適任者を、何かの形でこの委員会の会議に助言ができるような程度に、早急に実現いたしたいというふうに考えているのであります。外務大臣が見えましたから、そちらから詳しい御答弁がありますが、私の範囲でまた足らざるところは、つけ加えていつでも答弁を申し上げたいと思います。

中村梅吉自由党(分)

○中村(梅)委員 現在巣鴨におる者だけでも、パロールの有資格者は大体三百数十名、約半数に上つているそうであります。占領中においては、このパロールの有資格者になつた者は次々と釈放されていた。占領が解かれて独立して以来は、それが行き詰まつてしまつて、三百数十名が残つておるにかかわらず、これらの諸君は仮釈放を受けることができない、こういう現状にあるわけでありますが、これは、主として私は外交交渉の結果にあるんじやないかと思うのです。なるほど独立をしましてGHQがなくなりましたから、各個別の相手国に手続をする以外に方法はないわけでありますが、どうも察するのに、個別の各国に一応の書類上の手続は日本から発送いたしましても、各国とも、そういうものを一体その国のいかなる機関で取扱つてしかるべきかという取扱いの責任者すらもわからないで、そのまま書類が放置されておるという現状にあるのではないだろうかと言われておるのであります。確かにそういうことはあり得ると思うのでありますが、しかりとするならば、すでに日本からも外交使臣が各国に駐在しておるのでありますから、その各国に駐在している外交使臣が極力その相手国に折衝をいたしまして、相手国でしかるべき委員なり機関なりをつくつてもらつて、そうして早くその日本から手続された書類が処理されまして、パロールの有資格者になつておる人たちが順調に釈放されるような手を当然打つべきだと思うのであります。オランダに行かれました岡本大使などは、出発前にあそこの委員と会つたのでありますが、その際、行つたならば大いにひとつ努力をすると言われた。オランダ関係は非常に人数が多い関係もありますので、みんな非常に期待しておつた。岡本大使は、非常な熱意を表明して、大いに努力して何とか至急に解決するようにすると言われて行つたが、行つてしまつたら行つたきり、どういう交渉をされたのか、どういうことになつておるのか、ちつともわれわれにはその情報を得ることができない、こういつた状態にあるわけであります。これらについて外務大臣は、所管大臣としてそれらの交渉の経過をよく御存じだろうと思います。大いに今後外務当局として力を注いで努力をしてもらわなければならないと同時に、現在までのこうした問題についての外交上の関係がどうなつておるか、この際私はそれをまず承りたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私も、假釈放等がはかばかしく行かないのはまことに残念でありまして、言われるまでもなく、過去においても何回となく機会をつくつては、当地の代表者に話をいたしております。また在外の大使等は、訓令を待たずして、いろいろの機会に実情を訴えて話をいたしております。ただ、昨年独立後かなり長い間、今おつしやつたように各国に取扱いの機関ができていなかつたことは事実であります。これについてもいろいろ話をいたしました結果、御承知のようにアメリカが一番早くできて、アメリカだけは、十分とは言えないまでも、今日までたしか五十八件の假釈放を言つて来たと思います。その他につきましてもずつと話をいたしておりまして、たしか聞くところによりますと、オランダは当地の大使館の中に委員会をつくつて、その報告によつて本国できめるというような組織になつたようでありますが、その他の国々は、アメリカと同様に、本国の政府の中に委員会をつくることがすでに大分前にきまりまして、すでに日本側の書類は審査を行つておるのであります。できるだけ早くこういうことを実現したいと思つて、今後とももちろん努力はいたします。またフランス側などは、ずいぶん早くから非常に好意的な考慮を加えてもらえるようなふうに聞いておりましたが、実現が遅れております。遅れておりますが、聞くところによりますると、すでに国内的な手続は済んだようであります。おそらく相当早い期間に、相当程度の減刑が行われるのじやないかと思つております。まだ正式に何も申し込んで来でおりませんから、ここで申すのは差控えまするが、強く期待をいたしております。さらに在外、つまりフイリピンとかマヌス島におる人々につきましても、先般二十何名かマヌス島から帰ることになりまして、これは大阪商船の船を特別そちらにまわすことにいたして、たしか予備費をそれに充当することにしてもらつたわけであります。今後も毎月数名ずつマヌス島からは帰れるようになるのじやないかと思つております。ただ困難なことは、かりに一、二名とか二、三名のときに船をわざわざマヌス島にまわすということになると、非常に多額の経費がかかりますので、これに悩んでおるようなわけであります。もし三箇月に一ぺんくらいずつ固まつて大勢であればよいのですが、それでは、先に釈放され得た人が一箇月も二箇月も待つていなければならないということになつて、はなはだ気の毒でありますので、経費の点とにらみ合せてどういうふうにするか、いろいろ今濠州と話をいたしております。これは少数ではありますが、毎月かあるいは隔月くらいに少しずつ帰れるように、今後ずつとなるのではないかと思つております。またフィリピンの方の話もいろいろ従来からもいたしておりまして、このごろ大分事情もかわつて来ておりますから、いろいろ機会もありましようけれども、何か特にいい機会に、たとえばこういうことをここで私から申すとはなはだおもしろくないかもしれませんが、独立記念日とかいろいろな記念日もございますが、そういう機会に、何かさらに特段の措置が講ぜられたいと思いまして、いろいろとただいま努力をいたしております。効果の今まで上らないことについては、私どももまことに残念に思つておりますが、今後ともできるだけ努力をいたすつもりでいるような次第であります。

中村梅吉自由党(分)

○中村(梅)委員 それから、近くイギリスの戴冠式が行われることになつておりますが、彼らは講和の完成を大いに期待しておつたが、それがまつたく望みと相反したということになつてしまつた。さらに日本の立太子式典を期待しておつたが、これも戦犯者には何らの恩恵なくして終つてしまつた。今彼らが望みを託しておるのは、イギリスの戴冠式の式典を機会に、イギリス関係の戦犯だけでも何らかの恩典に浴する道があるのではなかろうかということを、非常に希望しておるようであります。これについて外務当局でしかるべき考慮が払われているかどうか、あるいはイギリス政府に向つて何らかの折衝が行われているかどうか、この点を次に伺いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 この折衝につきましては、非常に微妙な関係がありまして、相手側としては、日本側の要求によつてやつたということよりも、先方が自発的に考えてやつたのだということを常に強く主張しております。従いまして、どういう交渉をしたかということについては、ここで申し上げることをお許し願いたいのですが、在外の大使は、常に機会を見て、たといそういう大きな機会でなくても、かりに小さな問題の機会にでも、この戦犯の釈放もしくは仮出所については努力することに、一般的な訓令も出ておりまするし、事実やつております。こういうめでたい機会を決してのがすようなことはないと申し上げられるわけであります。ただ、お断りしておかなければなりませんことは、これは占領中でありましたけれども、フランス側で、七月十四日の独立記念日のときに、減刑を行つたことがあるのであります。ところが、その減刑が実際に行われたのは、たしかその年の十一月の終りだつたか、十二月の初めだつたかでありまして、七月十四日を記念してというのが、ずつと手続きその他の関係で遅れておるのでありまして、かりにこういう何かの機会において措置がとられるとしても、日本の考えのように、その日に発表になるというようなことはちよつとないのじやないかと思います。しかし努力はずつと続けておるはずであります。さよう御承知を願いたいと思います。

中村梅吉自由党(分)

○中村(梅)委員 どうもあの人たちの感じは、直接接しておる法務省では、いろいろな資料をつくつたり、努力してくれておるが、外務省の方まで行くと、ぼけてしまう、ないしはさらに外務省から出先の外交使臣の方へ行けば、さらにぼけてわからなくなつてしまう、こういうように考えておるようであります。ただいま外務大臣の説明を聞きましても、いろいろな角度から努力しておられることは私どももよく了解いたします。しかしながら、あそこにおる諸君は、最近も一人逃亡者ができて、その逃亡者がいまだ発見をされないというので、当面の責任者は非常に苦慮しておるようであります。そうした逃亡者が出て来るということも、終身刑あるいは三十年、五十年という刑を受けて、さてその戦犯なるものがどういう結果になるか見通しがつかないという、実に焦燥の気分にかられて起つた逃亡だろうと私は思うのです。そういうような事態が今後とも起らないとは保証できない。従いまして、その焦燥の気分にかられておるあの人たちに対して、もちろん外交上のことを一切説明するわけには参りますまいが、かような努力をしておる、かような順序で運んでおるというさしつかえない限度で——あそこの巣鴨の在監者については、ちやんと委員の組織もありまして、それぞれ有識階級の人たちでありますから、言つて悪いことはこれ以上は言えないということで、できるだけ機会を見て、しばしば御説明になつてしかるべきだと思うのです。その方が管理上管理の適切を得られると思うのです。もし現在のような焦燥にかられた気分でおれば、そういうような逃亡者が次々に現われたりして、ますます管理の責任者というものは事態に窮すると思うのです。そういう点について考慮を煩わしておきたいと思うのです。  私最後に一点伺いたいと思いますのは、戦争裁判というものは——戦犯者の諸君もその点を言つておられるようでありますし、われわれ考えましても、一体戦争犯罪というものはどこから出て来るのか。国際戦争法規という古い条約があつて、この国際戦争法規によつて処罰をすべきものとされておるのは、凶悪兵器を用いた、あるいは残虐行為を行つたという、非常に限定されたものだけになつておると私は思うのです。われわれも、古い時代に学んだことでありますから、国際戦争法規の逐一の内容は現在承知しておりませんが、こういう点から見て、なるほど日本は敗れて管理を受け、あるいは制裁を受けたわけでありますが、こういつた点についても外務当局はどういう見解を持つておられるか。その見解をそのままぶちまけて関係各国に当るという立場でも現在ないかもしれませんが、一通りのしつかりした理論を持つて、われわれはやはり人道に立脚して対外折衝をやつて行くべきものだと思うのです。常に弱腰で正しい主張もできないというような存在であつてはならないと思うのです。私は、この意味において、戦争犯罪に関する国際戦争法規の上から見た法律的の根拠、こういう点について外務大臣の所見を最後に承つておきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 まずお断りしておきますが、初めの御意見につきましては、私もまつたく同感でありまして、巣鴨の人たちが、あるいは外国にいる人たちが、非常に焦燥の気分にかられているというのは、これはよくわかることであります。従いまして、お話のような努力は今後とも継続して参ります。私も数回巣鴨に参りまして、自分でいろいろな人に会いまして、また外務省としては官房長がこの担任でありまして、常時行くことになつておりまして行つておりまするが、官房長はほかにもいろいろ忙しい仕事がありまして、これだけにかかり切つておられません。そこで最近の機会に、この問題だけを専任する相当高い地位の者を、任命というのは語弊がありますが、指定して、そうして巣鴨の方にも常時行くし、またその結果を各国の大公使等にも十分説明して、できるだけ双方の理解を深めるようにいたしたいと思つて、今人選を考えておる最中であります。お話のような趣旨で、できるだけいたすつもりであります。  なお、この戦争戦犯と申すものでも、今おつしやつたのは主としてA級戦犯の問題であつて、B、C級は、事実が間違つているとか、審理がいいかげんであつたとかいう議論は別としまして、形式的には少くとも戦時国際法なり、ジユネーヴの捕虜の待遇に関する条約等に違反したと考えられる人なのであります。A級のいわゆる戦争責任を追究されるということは、普通従来の国際法ではなかつたわけであります。それが、第一次欧州大戦の前後から、カイザーの処置問題等を契機として、だんだん起つて参りまして、今度の戦争中にはソ連の主張もありまして、戦争責任者の追究ということが非常に強く出て来たのであります。いわば新しい国際慣例にならんとしているような実情でありまするが、これに対する法理論はいろいろあるだろうと思います。また、もちろんわれわれもいろいろの意見を持つております。ただ日本の場合におきましては、ポツダム宣言の前文に書いてありまするし、また平和条約の十一条に規定がございまするから、法理論は別として、現在の状況としては平和条約の条項を遵守する立場にあるわけであります。但し事実問題としては、平和条約ができてまだ一年余りでありまするが、戦争が事実上終つてからはもう八年近いのであります。もういいかげんにこういう問題は解決する時期ではないかという感じは、もちろん私も持つております。従つて、各国にもその点を十分話をいたしまして、できるだけ早い機会にこの戦犯の問題は全面的に解決したいし、またすべきものだと考えて努力いたすつもりでおります。

中村梅吉自由党(分)

○中村(梅)委員 先ほど外務大臣がお見えになる前のお話では、全面釈放の要望というものに、政府としても、外務当局としても、世界各国に対して努力されたそうであります。その努力の結果が、見通しが不可能に陥つたといういふうに伝えられておりまするが、外務当局としては、この全面釈放の運動といいますか、関係諸国に対する要望が絶望と考えられておるか、あるいはさらに努力の余地がまだあるのだという意味で引続き努力をせれられますか、これを聞いておきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私は努力の余地は十分あると思つております。この方面に引続きやつてみるつもりでおります。ただ、この問題だけにかかつて、ほかのものをほうり出しておくような印象を与えますると、仮釈放の時期が来ている人も、全面釈放の問題がもう目の前にあるのだから、お前の方もそれを強く希望しておるのだから、この方はたな上げにしてこつちの問題をということになりますと、せつかく時期に来ている者がおそくなりますから、そこで仮釈放なり減刑なりできる者はどんどん進めて行く、それと並行して全面釈放の方をやろう、こういうつもりでやつております。

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 中曽根康弘君。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 本質的な問題は本予算の際にお尋ねいたすことにいたしまして、きようは二点についてお伺いいたします。  まず岡崎外務大臣にお尋ねいたしたいと思います。ただいまの岡崎外務大臣の御答弁を承りますと、前会よりも非常に積極的な気魂を感じまして、その都度外交を払拭しようとする御努力は、われわれは非常に慶賀にたえないと思つております。こいねがわくば、躍進外交というところまで行つてもらつて、社会党左派あたりから不信任騒ぎなどを起されないように、ぜひ御努力をお願いいたしたいと思います。  そこでまずお尋ねいたしたいと思いますのは、きようの日本タイムスあるいは毎日新聞を読んでみますと、MSAの問題がかなり大きく出ております。日本タイムスを読んでみますと、すでに日本の官憲が非公式なタツチを開始しておる、こういうふうに書いてあります。新聞の記事でありますから、うそかほんとうかわかりませんが、おそらくそれは当然そうあるべきであつて、タツチしていないというのが変な話だと私は思います。そこで外務大臣としての所見をお伺いしたいと思うのでありますが、MSAの内容についてはいろいろまだ揣摩憶測が行われておつて、相手の申出を聞かなければわからないところがあります。しかし大体の見当はついておると思います。そこでまずお尋ねいたしたいと思いますことは、このMSAによる協定というものは、安保条約と別個のもので、全然切離されて行われるものかどうか、あるいはある部分においては安保条約が流用されるとか、つまり共同的に使われるようなところがあるのかどうか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは、実は政府としては、非公式にも交渉というような形のものはまだいたしておらないのであります。しかしもちろん、いろいろの資料を集めたり、各国の例を見たり、材料を収集しておることは間違いありません。ただいま研究中というべき段階であります。そこでまだ実際の話合いもいたしておりませんし、MSAの適用というものはかなり幅が広いようにわれわれの研究では見られるのでありまして、必ずしもこうであるとか、ああであるとかいう一本の筋ではないように思います。従つて、話をしてみなければどうなるかということはわかりませんけれども、今おつしやつたような安保条約の前文等に関連が出て来ることも、当然あり得ると想定されるのであります。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 当然関係して来るところはあると思います。MSAの内容には、軍事的な要素とか、あるいは経済的な要素があり、あるいは技術的な要素が含まれているようにわれわれは承知しております。従つて、安保条約というものには軍事的要素が大部分含まれておるのであつて、それとの関係なしには行われないと思います。つまり軍事援助という形が出て来れば、日本の自衛力漸増とひつからまつて来るのであります。そうなりますと、安保条約の施行細則であるところの行政協定、そういうものが、このMSAに流用されるとか、何かの関係を生ずる。こういう問題も行われるので、国民も大分それを心配しておる。この点については、岡崎国務大臣はいかなる見通しをお持ちでありますか、お尋ねをいたしたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 安保条約には自衛力の漸増を期待するという文句がありまするから、これに関連があり得るということを今申し上げたのでありますが、しかし、実際上に関連されるかどうかは、これは別問題、実際に話してみなければわからない話であります。また今のお話は、MSAの援助をとにかく受けるんだという前提のもとでお話のようでありますけれども、それもまだきまつておらないわけでありますから、この点はあらかじめ御承知を願いたいと思います。  そこで、行政協定につきましては、これは御承知のように日本に駐留する米軍の地位に関する協定でありまして、その他の問題は含んでおりません。従いまして、私のただいままで——まだ実際に話をしておりませんから正確には申し上げられませんが、ただいままでの気持では、行政協定には関連がないであろうと思つております。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 そうしますと、MSAの適用を受ける際には、当然別個の協定が必要とされるというふうに聞いております。また政府側もそういうお考えをお持ちのように聞いております。そうすると、安保条約のほかに別個の条約なり協定を結ぶということが前提であつて、そうしてそれの実施については、さらにまた別個の施行細則的な協定を結ぶということになると解釈してさしつかえございませんか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはアメリカ側から援助を受ける場合を想定してのことでありまするが、そういう場合には、おそらく援助を受けることについての協定ができ上るものと思つておりますが、これもまだ正確には申し上げる段階ではない。私の想像といいますか、感じといいますか、そういう種類のことでお答えしておきます。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 私が行政協定のことを持ち出しましたのは、行政協定の内容は国民の権利義務に関係するところが非常に多いわけです。たとえば財産権に関係することもあります。あるいはそのほか物的、人的な国民の権利義務に関係するところが非常に多いと思います。たとえば商行為についてもあります。そうすると、MSAの関係についても、ある発注を行うとか、それに対する商議を行うとか、そういうような問題は商法その他の商行為に関係するところが出て来るわけです。そういう部分が現在の行政協定から来ている実施準則によつて行われるのでは、国民としてもたまらぬということもあるわけであります。それらを心配して申し上げておるのです。言いかえれば、MSAが適用されるならば、今までの行政協定の水準とは異なつた、日本の地位をより有利ならしむるような立場において、別個の協定なりその他が行われなければならない、このようにわれわれは考えております。御存じのように現在の情勢を見て来ると、経済的には世界経済の見通しはマイナスの方向へ進んでおる。日本の前途は楽観を許しません。特に貿易の数字を見ても、日に日に悪化の道をたどつておる。しかも一方においてはシューマン・プランはもはや動き出して、ヨーロツパは一つのブロツク化しておる。英連邦もしばしば総理大臣会議をやつて、オツタワ協定の二の舞みたいなけはいも見える。アメリカはアメリカで、両大陸を制覇しておる。日本だけが何らほかと結びつきのない孤立経済をやつておる。それを救つておるのは太平洋を渡つて来るアメリカからのパイプです。この。パイプがMSAによつてもつと広まつて来る。そうすると日本の地位はさらに劣勢になる。現在ですらもあなたの一番お悩みになつておる内灘の問題がある。あるいはわれわれのところでは妙義山麓の演習場の問題がある。あるいはそのほかの一般の商行為の問題についても、裁判権の問題についても、日本の地位というものは非常に劣勢になるわけです。このパイプが太くなればもつと劣勢になるかもしれません。現在ですらもあるいはフアイナンス・コロニー、あるいはミリタリー・コロニーと言われておる。もつとひどいものになると、それを国民はおそれておる。従つて、もしかりにMSAというものが対象になる場合には、少くとも現在より日本の立場を落してはならない。われわれとしては現在の行政協定の改革を要求しておるのでありますから、それ以上のものでなければとうていこれは受入れらるべきでない、こういう信念から、あなたに行政協定との問題を持ち出しておるが、ただいま申し上げたような主題について、外務大臣はいかなる立場からこの問題を処理されようとなさいますか、お尋ねいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは、おつしやるように、もしMSAの援助を受けなくて行ければ一番簡単であります。われわれも、日本の経済その他において、そういうものを必要としない状況であることを最も希望するわけでありまして、ただ現状をいかんともしがたい場合はどうするかという問題になつて来るのであります。これらはしかし、ここでもつて抽象的にいろいろ述べても、実はあまり実益はないと思いますので、実際上先方がどういう考えでおるのか、またわれわれとしてどこまで歩み寄れるか——援助を受けるのに歩み寄るというのも変ですが、しかし受けるとすればどの程度のところまでは日本側として譲歩できるか。これは実際問題として検討した上で、あらためて国会の審議にまつということでないと、ただいまのところ、実は私も自信を持つて、こうである、ああであるということは申し上げられないのであります。ただ、お話の趣旨は、私も原則としてはまつたく同感でありますから、その趣旨でできるだけ努力をいたすつもりでおります。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 最初の気魂が大分にぶりまして、またその都度外交の現われみたいものが出て来たのはたいへん遺憾でありますが、やはり外務大臣のお立場もありますから、これ以上私は申し上げません。あなたが申されましたことを私は確信して、これ以上質問することを一応やめます。  もう一つこれに関連して伺いたいのは、そうしますと、かりにMSAというものが出て来る場合には、現在の安保条約、それから現在保安隊に貸与されておる武器については、また別個の協定が出て、それからさらにMSAの関係が出て来る、その三本建になるものである、こういうふうに一応論理的に解してさしつかえございませんか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 それも具体的にどうなるか、私も実はわからないのでありまするが、保安隊の方については、船に関しては、向うで法律ができて、その法律に基いて協定をつくつたわけであります。その点から言えば、武器その他の——武器についても同じような種類の法律ができて、それに基いて協定をやるというのが筋道かもしれないと思つておるのでありますが、これはまだ話合いもいたしておりませんから、今のところどうなるかわかりませんが、筋道としてはそういう点も考え得るわけであります。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 大蔵大臣に伺いますが、MSAと財政法との関係です。財政法によれば、国が借金したり債務を引受けるというときには、必ずこれは国会の承認を要することになつております。MSAについては、供与の形になるのか、あるいは日本の債務になる部分があるのか、かりに債務になる部分があるとすればどういう部分がなるか、いかなる形でそれが日本との間に問題が提起されて処理されて行くか、こういう点に対する大蔵大臣の所信と見通しをお尋ねいたしたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 MSAの内容は実はまだ私どもはよくわかつておりませんので、従つてこの問題は考究したことはございません。しかし内容がわかつて参りまして、その問題について私どもが考えをきめるときが来ますれば、はつきりきめたいど存じておるのであります。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 大蔵大臣の御答弁は、実は何も言つていないということであります。(笑声)大蔵大臣はお笑いになつておるけれども、しかし聞いておられる方は、大蔵大臣の答弁がいかに空虚なものであるかということは承知しておられると思う。そうかたくならないで、国会の委員会は話合いですから、あなたの大体の観測なり——今あのおずおずした外務大臣がこれまで言つた。大蔵大臣が言えないはずがない。そういうことは主計局長がうしろにおられますから、研究しておられると思いますので、主計局長をして答弁させてもらつてもけつこうであります。大蔵省はこれを研究してないことはない。財務官もおられろことだし、日本大使館とも連絡があるし、主計局長でもよろしいから答弁させていただきたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 MSAの問題が新聞等に出たときに、大蔵省でも一応話し合い、またここにおる主計局長とも話し合つたのでございますが、何分内容がわかりませんので、そのとき何もきまつた結論に達してないのでございますから、主計局長に答弁させても同様であると存じます。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 時間がありませんから、それではこの問題は追つて本予算の場合にお尋ねいたしたいと思います。  次に、大蔵大臣及び農林省の方にお尋ねいたしたいのでありますが、凍霜害の問題です。今般の凍霜害は全国的にきわめて大きな規模であります。しかも深刻な打撃を国民に与えておりますが、この対策に関して閣議の発動が非常におそいと私は思う。今までは、風水害があると、少くとも一週間以内に閣議決定をまつて応急的措置をやつておつた。ところが今度の凍霜害は、農家の個々の経済的災害であるために目につかない。最近になつて、できます穂ができなくなつて騒ぎ出した状態であります。そういう風水害による目につく災害と、それから農家の個々に及ぼす経済的災害等について、政府の緩急の度合いというか、認識の度が非常に違うと思います。しかし遅ればせながら、閣議で対策を講じておるのだと言われますが、どういうふうな対策を練つてどういう措置を下僚にお命じになりましたか、国会で御報告していただきたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 今度の凍霜害は六十年来まれに見るような非常な災害を流したことについて、私ども非常に心を痛めているのであります。この問題につきましては、実は農林省の方が実情を取調べるということになつておりますので、その報告に基いて今相談をいたしております。従いまして、過日来各党からいろいろ御要求も出ておりまして、事情もよく私どもわかつているのでございますが、まだ事務的に話し合つている段階でございます。しかしそれも、今中曽根さんが言われたように、あまり遅れては困りますので、急いでやりたい、かような考えのもとに、今せつかく両省で案を練つている次第でございますから、近いうちに御報告ができる段階に達すると存じております。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 この最終的な措置を私はお伺いしているのではありません。これについてはあとでこまかくお尋ねしたいと思いますが、少くとも閣議で話題に出るとか、あるいは了解事項をつくる。決定までに至らなくても、政府としてこういう方針でこの災害については臨む、その基本方針その他を当然閣議でしかるべく話し合わなければならぬと思います。今まで風水害については、たいてい一週間以内にそういうことをやつている。しかし、この大きな経済的災害については、非常に発動が遅れている。これをわれわれは野党として監視している。そこで閣議でどういう方針をきめて、どういうことを指示したか、ここで明らかにしていただきたと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 実は閣僚間で話し合つたことはございますが、まだ閣議の問題には相なつておりません。従いまして、事務的にいろいろ検討しまして、数字をまず固めて、そのもとに閣議を持ちたいと考えておりますので、まだ閣議としては取上げておりませんが、ただこういう非常に深刻な影響を農民に与えている問題につきましては、言葉は悪いかもしれませんが、できるだけ好意的にぜひこれを早くやりたい、こういう考えはいたしております。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 まだ閣議できめていない。方針すらきめていないことは、非常に遺憾な態度であると考えます。われわれが数回政府に陳情した際には、必ずやると約束されているのであります。まだ閣議で正式に方針すらきめないということは、農民に対する非常な背信行為であると私は思います。そこで、一体いつの閣議にかけてこの方針をきめるのか、二週間とか三週間とか遅れるはずはないと思う。農林省からその数字の統計は出たはずです。それを大蔵大臣が受取つたかどうか。またいつの閣議で大体きめるか、期限を付してお答え願いたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 農林省から大蔵省の方へ数字が出ておりますが、まだ私がその数字を受取つた次第ではありませんで、この数字を両者の間で今検討をいたしております。従つて、その数字が固まり次第やりたいと思つておりますが、何月幾日までと仰せになりますと、それはここでははつきり申し上げられませんが、私どもの心持は一日も早くやりたい、このことだけはつきり申し上げておきます。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、農林省の数字を大蔵省はお認めにならない御方針ですか、あるいは農林省の数字、それは政府の数字の一つでありますから、認める方針でありますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 大蔵省は、大蔵省自体では調査をいたしておりませんので、一応農林省の数字を前提として話を進めることと考えております。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 ただいまのお答えは、農林省の数字をお認めになつて話合いを進めるというふうに私は理解をいたします。  そこでお尋ねいたしたいと思いますが、一日も早くというお言葉でありましたが、大体農林省の数字が出て来たのですから、金が幾らいるかということもわかります。各事項別の緊急度もわかります。従つて一週間とはかかるものではない。大蔵省がそれほど御好意的にこれをお取扱いくださるならば、少くとも一日か二日でこんなものはきまります。すでに今まで主計局長にもずいぶん陳情をしておりますし、農林省にも陳情をしておるのであつて、その辺の手はずは万全に整えられておるはずである。そこで、一体見当として何日以内ぐらいにこれをおやりになるつもりですか。たいへんしつつこく聞くようですが、農民の一番心配しておるのはその問題です。速効性肥料はすぐやらなければききません。また共済掛金の問題で、地方の共済組合でもたいへん困つておる。そういう関係で伺うのです。大体二、三日のうちとか、四、五日のうちとか、そのくらいの見当はつけて御答弁あつてしかるべきだと思う。それを明確に御尋ねいたしたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 二、三日うちにやるようにいたします。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 今のはつきりした御答弁を、われわれは非常に了といたします。そのつもりでがんばつていただきます。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 関連して——今の凍霜害の問題は、おそらく農林大臣もよくわかつておるのではないかと思うが、地方によりましては致命的な打撃を与えておる深刻な問題であります。そこでわれわれは、その緊急の措置といたしまして、政府の予備金から当面六億——これは全体的の凍霜害をおそらく最低に見積つても、六十億は当面はあるであろうと言われております。そこで当面六億だけの予備金支出をいたしまして、そうして緊急当面の措置を講ずるということが伝えられておるのでありますが、その点は一体どういうことになつておりますか。農民の多くは今日はそれを期待しておるようでありますが、そのいきさつを説明していただきたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 今申しました通り、実はまだ話合いがついておりませんので、それがつき次第、閣議にも出して相談をいたしますが、出す場合は予備金がございますから、その中から出し得ると考えております。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 今の問題は、実は私も質問しようと思つていたのですが、あとでとりまとめて御質問いたします。  大蔵大臣の御方針として予備金を御支出になるということは、われわれも承りました。しかし予備金だけで済むものではない。この被害はもつと大きな額になります。そこで、そのほかに何かの手段を講ずる御意図であるか。つまり補正予算を出すとか、あるいは足りない分は本予算に入れるとか、少くとも予備金一本建ということはあり得ないと思う。たとえば、麦その他の被害は日を追うて顕著に出て来るのである。今日だけでもまだ数字に疎漏なところもあると思う。予備金におおわれないところは補正予算でやるのか。本予算を修正するのか。いかなろ方法でこの問題に対処するか。まず基本的な方針をお尋ねいたしたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 私どもが現在承知しておるところでは、予備金でもつて十分であると考えております。しかし、また恒久的な凍霜害に対する各種の対策等につきましてならば、これは補正予算その他の問題でお願いしなければならぬと考えております。現在私どもの承知しておる数字の範囲では、またただいまお示しのかりに六億という、そう大きなものであるかどうか知りませんが、その数字については、何もその必要はないと考えております。     〔委員長退席、小峯委員長代理着席〕

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 大蔵大臣は、予備金で当面やつて、そのほかの措置はやらない、但し恒久的な問題は別途に考慮する、こういうお話でありますが、そういう御決心であるならば、問題は予備金の額を幾ら使うかという問題であります。そこでまずお尋ねいたしたいと思いますが、先般自由党を含めた各党五大政党が正式に会議を持ちまして、一定の数字をきめて六億円の金を出すべしということをあなた方のところに陳情に行きました。これは各党の共同の行為であります。ここにおられる西村君も、あるいはそこにおられる川島君も、同じく参画して、国会全体の意思として大蔵省に陳情もし、内閣に訴えたことであります。従つて、当然議院内閣制のもとにあるあなた方は、国会の意思というものを尊重なさつてしかるべきだと思いますが、けさの新聞によると、この数字が大いに削減されているということを発見して愕然としました。ある新聞によると一億八千万円に減つたという。またあるラジオ放送によると、いや、三億何千万円だけになつているという。おそらく大蔵省は査定を加えたに違いない。農林省から私が個人的に聞いたところによつても、ある数字を私は知つている。そこで中間的、暫定的な斧鉞を加えたと思うのでありますが、大蔵省はその六億の要求に対して一体どういうなたを振われたのか、ここで明確にしていただきたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 まだ検討中であつて御答弁するに至つておりません。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 それではあとでこまかくお尋ねいたしますが、まずお尋ねしたいのは共済の保険金の問題であります。この共済の問題については、先般の国会においてこの保険法の改正が議せられておつた。ところが、吉田内閣の無謀な解散によつてこれがキヤンセルされたために、新しい法の適用ができない。そこで、大蔵大臣御存じのように、暫定措置として金融で概算払いをやつて、その利子は国家あるいは府県がめんどうを見るというようなまとめ方をしておられるはずです。問題はその利子をどこで見るかという問題なんです。私はこれは当然国家が見るべきであると思う。なぜかといえば、この法律が通つておればこんな問題は起きない。なぜ通つておらなかつたかといえば、吉田さんが無謀な解散をしたからであつて、これは国会に責任があることであつて、農民に責任のあることでもなければ、府県に責任があることでもない。当然これは国会議員あるいは政府が責任を負わなければならないところで、従つてこれは予備金で出すか、それがだめならば予算で正式に提出する。これが思いやりのある政府の態度であると思います。今までは府県にある程度これを補償させておりました。しかし今度は立場が違う。法律が通つておればこういうことは起きない。府県も当然払う必要がない問題であるから、当然しわ寄せをして国家が支払うべきであると思う。大蔵大臣はこの問題についていかなる御処置をなさるか、まずお尋ねいたします。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 御趣旨の点、よく承つて相談をいたしておきます。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 相談いたしますという御答弁を私は期待しているのではないのであつて、私の申していることは筋が通つているとお思いですか。通つてないとお思いですか。それからお伺いいたします。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 はつきり答弁をいたす時期にまだ考えが熟しておりません。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 私の質問は了解はされましたでしようか。おそらくおわかりになつていただけると思うのですが……。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 御質問の御趣旨はよく了解いたしました。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 私の質問の趣旨がおわかりになつていただいたならば、これがいいか悪いかくらい、あなたは国務大臣になつておるから当然御判断できる思う。われわれごとき陣がさ代議士とは違うのですから、判断力だけは卓越した方であると私は思う。しかし省内の事情でこれが制約されておるというなら別です。別個の問題です。なるほどお前の言うことは正しいと思うが、こういう理由でそれはできないのだという御答弁は筋のある答弁です。あるいはお前が言うことはここが間違つておる、そういうことはできない。これは筋の通つておる答弁です。そういう御答弁を大蔵大臣はしていただきたいとお願いいたします。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 むしろ政府委員の方から答弁させます。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 この問題につきましては、目下農林省当局といろいろ連絡をいたし、検討している段階でありまして、現在折衝の段階におきまして十分の意見を申し上げることは差控えたいと思います。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 委員長も今の御答弁をお聞きと思いますが、委員長も非常に被害を受けた県の方であります。あなたは率先してこの問題を大蔵省にねじ込まれた方であります。委員長もおそらく私と同じお考えを持つておられると思うし、今の御答弁に御不満であるだろうと思います。しかし、今の主計局長の答弁もはなはだ誠意のない答弁です。研究中ですというのは官僚の逃げ言葉なんです。こういう緊急の問題について——この問題は暫定予算よりもつと緊急です。暫定予算を四月、五月やるなんということは、解散しなければ行われない。先ほど河野君が質問したように、緊急の問題じやない。政府が解散しなければ、こんな問題は起きない。解散しなくつたつてできるじやないか。吉田内閣が解散しなければ自由党はつぶれるかもしらないが、国家はつぶれない。自由党を救わんがための解散だと一部に言われておる。その程度に緊急性のない問題なのです。ところがこつちはもつと緊急性がある。今肥料を加えなければ桑は伸びない。今早く病虫害の予防をやらなければ腐るということになる。それほど緊急性のある問題について、目下研究中でありますというのは不誠意きわまりないと思う。そういうことはわれわれは聞くことはできないと思う。緊急性のある問題なのです。もつと責任ある答弁を願いたいと思います。要するに共済保険の利子の問題、それを金融でやつた利子は国家が見るのかあるいはほかで見るのか、この点に対する大蔵省の方針をぜひお聞かせ願いたいと思います。これは主計局長からでも大蔵大臣からでもけつこうです。そんな答弁では全部納得しません。

小倉武一農林事務官(農林経済局長)

○小倉政府委員 ただいまお尋ねの問題についてでございますが、本日ちようど閣議決定がございまして、概算払いができるような法案が国会に提案されることに実は本日なりまして、本日なりあすなり提案される運びになると思いますので、もしその法案が通りますれば、御心配のような利子の問題はさほど生じないものと思います。もちろんこれは国会の審議の状況によるのでございまして、また若干の事務もございますので、若干の遅れということも当然予想されますけれども、ただいまのところは通常支払われる時期よりもきほど遅れるということはないのじやないか、これは金融ということではなしに、直接の概算払いで行きたい、かように考えて今方針を立てている次第であります。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 今の御答弁で私も了解いたしました。その法律はいつ国会に提出なさいますか。大体政府の御方針を承りたい。

小倉武一農林事務官(農林経済局長)

○小倉政府委員 本日の予定であります。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 それは閣議決定が終つて国会へ提出するのが本日という意味ですか。

小倉武一農林事務官(農林経済局長)

○小倉政府委員 そうです。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 われわれも、その法律の内容を見て、よければ一瀉千里に通して、そういう問題が起きないようにいたします。これは非常にありがとうございました。  そうすると、これは今度の災害にも適用されるというふうに了解してよろしいのですね。

小倉武一農林事務官(農林経済局長)

○小倉政府委員 もちろんさかのぼつて適用したい、かように存じております。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 その次に、税金の問題で国税庁長倉にお尋ねいたしますが、国税庁長官も状況はよく御認識になつて、各管下の税務署も一生懸命やつておるようです。そこで私は総括的に御方針を承りたいと思いますが、御存じのように六月の末までに予定申告をやることになつております。そこで農民の方の立場からすると、あれだけの大災害を桑に受け、あるいは最近ではほとんど麦が出穂しません。そこで非常なデイプレツシヨンの状態に心理的にあるわけです。そこへ持つて来て、もしことしの予定申告の基準が去年に準じてぐいぐいやられるということになると、政府は一体何をしておるかということになる。そこで親心を示して、予定申告の基準を災害の度に準じてぐつと下げてやれば、初めて政府の親心を感ずるようになる。これが一番大事な要諦だろうと思う。その点について、国税庁長官は、管下の税務署等に対して、予定申告に対し、いかなる対策なりあるいは措置を指令なさいましたか、お尋ねいたしたいと思います。

平田敬一郎大蔵事務官(国税庁長官)

○平田政府委員 今回の災害につきましては実情を各方面から承りまして、さつそく地方の管下、ことに関東、信越国税局の管内が一番激甚のようでございますから、そういう方面に対しましては、さしあたりよく実情を調べるようにということをまずやつております。そういたしまして、お話の通り予定申告をうまく処理することが一番大事でございますから、その点については実はこのようになつておるのでございます。災害によつて所得が二割以上減ずると見込まれる場合、これが事実である場合においては、これは申請によりまして本人が低く申告したところで当然認めなければなりません。それからもう一つは、二割まで減らなくても、ある程度減るという場合におきましては、これは、普通の場合でございますと、見解の相違というような問題がございますが、法律上では前年よりも減額した申請を認めることができるということになつております。この運用についても、災害のことでございますから、その規定を十分働かせまして、適切な処置を講ずるようにということもさらに指令いたしておいたわけでございます。そうして、お話の通り目下災害の実情を調べておると思いますので、だんだん調査の結果がまとまつた上におきましては、ある程度の基準をつくりまして、その基準に従つて、申請書などにつきましてもむしろこちらから積極的に働きかけて出していただきまして、それによつて予定申告を災害の実情に応じてスムーズに行くように努めさせる。このことにつきましては目下地方で調査中でございますので、それによつてさらに局にも指導を行いまして、適切を期したいと思う次第でございます。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 それはいわゆる事前承認という問題だろうと思います。それで私が、災害を受けた税務署に行きまして、責任者と会つたときにですが、こういう話があつた。これは麦の被害がこれほど顕著に見えなかつたころでありましたが、たとえば群馬県にしてみますと、大体群馬県の養蚕収入というものは、全農家の収入の一五%である。二〇%になつておらない。従つて、全滅となつた場合といえども、事前承認の適用を受けるのはむずかしい、こういう機械的な話をした者もある。しかし、実際桑の被害というものは、これは養蚕業というものがどの程度農家の比重を占めておるか、村によつてみな違う。各家庭によつてもみな違う。さらに最近においては麦の被害は実に莫大であつて、あの霜害にあつた結果、出穂しない麦が相当出た。われわれの県を見ても、少くとも四割くらいは減収になるだろうということになつておる。これは言葉だけではなしに、実際にそうだ。そうなると、ほとんど全部の農家が事前承認の適用を受けるべきなんだ。それで、そういう心組みでこの問題を処置するように、税務署に指示していただきたいということが一点。それから第二は、問題はどの部落が一番やられたか、これは部落によつて非常に違う。霜というのはちようど夕立のようなもので、一間先まではやられたが、その次はやられないという問題がある。従つてこの調査は非常にむずかしい。ですから、これを画一的にやられると、非常に得をする者も損をする者も出て来る。非常に不公平が出て来る。おそらくこれが今年の課税の上で一番大きな問題になるだろうと思う。こういう問題について、あなたは管下の税務署に対し、どういうふうに具体的にやるか。全部調べるわけには行かぬでしよう。しかしそうかといつて不公平になつては困る。どういうふうに親切心をもつてやるという、こまかい指令をなされたかということについて御答弁を願いたい。

平田敬一郎大蔵事務官(国税庁長官)

○平田政府委員 ただいまお話の一五%くらいしかないじやないかというお話も、私はほかの方からちよつと耳にいたしましたので、これはどうも常識上おかしいじやないかというので聞いてみたわけでございます。そうしてみましたところが、決してそういう数字を固めて申したわけではなくて、一応いろいろチユツクする材料としてそういうことも当つてみたという程度で、もちろんそういうものには全然とらわれるものではないということを皆さんに申し上げました、ということを責任者からはつきり聞きましたので、それはその通りだろうから、適切にやつていただきたいということを告げておきましたから、それはそれで御承知願いたいと思います。  それからもう一つは、被害の程度に応じまして公平にやる。これは非常に重要なことだと私どもは考えております。従いまして、さしあたり各税務署におきまして実情をよく調べるようにということを申しまして、目下調査しておるわけでございますが、その点につきましては関係の町村等の資料もできるだけ活用いたしまして、さらに比較権衡等におきましては、町村の意見も聞きまして善処するというようなことにいたしますれば、よほどバランスがとれやすいのではないか。その際におきまして、やはり甲の町村と乙の町村、この間のバランスは、税務署が責任をもつて見る、あるいは県庁等におきまして調査がありますれば、その調査も十分利用する、そういういろいろな方法をとりまして、最も公平な措置がとれるようにして参りたい。そういうことにつきまして、さらに具体的に必要がございますれば、私ども具体的に指令いたしまして、県庁からも人を派遣しまして善処してもさしつかえない。いろいろ状況によりまして、そういうふうにする必要があるのではないかと存じておりますが、御了承願いたいと思います。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 国税庁長官がおつしやつた方法が私も一番いいと思います。つまり税務署は人数も少いし、全部調べるわけに行かぬ。こういう問題については市町村、公共団体の意見を非常に重要視していただいて、そうしてバランスをとつていただく。あるいは関係町村との間は、地方事務所あるいは県があるわけですから、そこでバランスをとつていただく。それを全幅的に信頼する程度に勇断を振つていただきたい。これが不平をなくするゆえんだと思います。先般、昭和二十四年にドツジ・ラインが行われたときに、税金騒動が全国的に起つた。このときにこれを治めたのは、やはり町村長の意見を参考にして、非常にあのときは雑所得に考慮を加えたので、一ぺんに治まつたのであります。そのように町村長あるいは協同組合、そういうものの意見を十見尊重して不公平をなくし不満をなくするようにしていただきたいと思いますが、いかがでありますか。

平田敬一郎大蔵事務官(国税庁長官)

○平田政府委員 最後の責任を町村長にまで負つていただくわけには行かぬと思いまするが、意見を十分尊重いたしまして、責任は税務官庁の方においてとるという意味におきまして、よくこれを調べて善処したい、こういうふうに申し上げてしかるべきではないかと思います。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 私が今そういう御質問を申し上げたのは、非常に重要なことが内包されておるのであります。それは、統計調査事務所というものがある。その統計調査事務所というのは、農林省の出先機関でありまして、この査定は非常にシビヤーである。そのために農民の不満を非常に買つておる。正しいものもあるし、正しくないものもある。そこで、町村長の資料と統計調査事務所の資料が食い違うことがある。今の国税庁長官の言葉は町村長を主にしていただくということで、私はあなたの方法が一番いいと申し上げたのであります。その方法をとつていただきたいと思います。  その次にお尋ねいたしたいと思いますのは、昨年度の税金の収入がどの程度の実績が上つたか。国税局によつて私が調べたものもありますが、全体で、申告所得及び源泉課税について、予定の何パーセントくらい上つたか、御答弁願いたいと思います。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 私から御答弁を申し上げます。現在手元にございますのは、二十七年度の税収の二十八年四月末の現計でございます。五月に多少の収入がまだ入つて来ると思いますから、決算の数字はこれより二、三億くらいふえるのじやないかと思つておりますが、ほぼこの数字に近い数字で納まるものと思つております。総収入額が、予算の六千八百五十三億に対しまして、四月末の現計で七千八十八億、一〇三・四%でございます。源泉所得税が、予算の千七百六十一億に対しまして千八百六十七億、一〇六%です。申告所得税が、八百三十九億の予算に対しまして八百三十億、九八・九%です。所得税全体としましては、二千六百億に対して二千六百九十七億、一〇三・七%、法人税が予算の千八百七十九億に対しまして千八百五十六億、九八・八%です。よろしゆうございますか。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 今の数字を見ましても、申告課税、つまり農民や中小工業の税収入は非常によくない。著しく悪いというのではありませんが、苦しい状況がよく出ておる。こういう状況からしても、今年の災害地における申告課税の徴収にあたつては、よほど手心を加えていただきたい。このことを切に要望いたします。  その次に、塚田国務大臣にお尋ねいたしたいと思うのでございますが、特別平衡交付金の問題であります。特別平衡交付金というものは、アブノーマルな事態に対して、基準財政収入に達しない場合に出すことになつておる。ところが、おそらく今度の被害町村は、相当激甚な被害を受けたために、農家の個々経済がやられた。公共施設がやられたのではない。農家の個々経済がやられたために、相当な減収がある。従つて当然村民税その他に影響して来ると思うのです。そうすると、村の基準財政収入に達しないものが相当あると思う。そういう観点からすると、当然これを特別平衡交付金で調整しなければならぬ。そうすると、今までの特別平衡交付金の分配と違う、新たなる観点からした特別平衡交付金の交付というものを、年度末にやらなければならぬと思います。この点について所管大臣はいかなる御方針をお持ちでありますか。特に八%というわくがあるのであつて、あのわくに締められておると、恩典を受ける金額というものは非常に少い。あの八%をいかにくずすか、くずす御意思があるかないか、こういう異常な災害については、格段の御考慮を煩わしたいと思うのでありますが、大臣はいかにお考えになるか、お尋ねいたしたいのであります。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 御質問の通り、年度末におきまして相当特別平衡交付金で考慮しなければならないというように実は考えておるのであります。先般、これはできませんでしたけれども、あの予算で計算いたします八%で、約百億あるのでありますが、今この額で足らないかどうか、その辺の数字ははつきりわかりませんのですが、今八%をどうするかという問題よりも、全体の平衡交付金をどれくらいにきめて、従つて特別交付金としてどれくらいをとつておく必要があるかということとあわせて、そうしてまた今度の凍霜害の被害とにらみ合せて、八%をかえなければならぬならばかえる必要がある、そういうふうに考えております。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 そうすると、必ずしも八%という従来の数字にこだわらないで、被害の状況によつてそれは寛厳よろしきを得るという御方針であると解釈してさしつかえないですか。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 総額が十分とれて、八%で見通しがつくというならば、八%で行く。もしそれでうまく行かないで率を引上げなければ、要するに特別交付金で考慮しなければならない額が相当不足をするというようなことであれば、その率を若干かえるということもやむを得ないのじやないか。こういうわけであります。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 総額が問題になりますが、政府の暫定予算に出て来ておる方針から見るというと、義務教育の全額国庫負担ということは、今年度やらないようにわれわれは解釈し、そう拝察いたしております。そうなるというと平衡交付金の金額というものは、当然昨年との比較というものが行われるわけでありますが、一体所管大臣は、どの程度の増額を要求して、現に折衝しておるか、どれくらいになりそうか、そのうちでこの災害にまわせる余地があるのはどの程度になり得るか、見通しをお尋ねいたしたい。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 それらの点につきましては、まだ私個人といたしましても、数字を見る段階に至つておりませんし、従つて大蔵省と折衝するという段階に入つておりません。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 あなたも被害県の一つであるはずでありますから、特別平衡交付金の増額等については、格段の御考慮をお願いいたしたいと思います。  次に、大蔵大臣及び農林省の方にお尋ねいたしますが、今度の災害に対する基本的考え方を私は非常に重要視いたしております。と申しますのは、こういう農家の経済的災害というものは、全国で今度初めて起つたわけです。今までは風水害とかなんとかいう目につくものはあつたけれども、今度は個々経済がやられたということであつて、従つて、日本の農家に対する政府の政策をどうするかという基本的な問題があると思うのです。そこでお尋ねいたしたいと思いますのは、われわれの考えでは、日本の農家というものは普通の資本主義経営ではない。あれは一種の家計である。家族労働でやつておる家計であつて、純資本主義的な商品生産ではない。しかも、戦前と比へて戦前は地主が土地改良やその他の費用を持つておつたけれども、今はそういうこともしない。一方において供出制度によつて、反別からみんなわかつてしぼり上げられておる。そうすると、農家の経営というものは手にとるごとく見えておるのであつて、利潤の余地はないはずであります。そこで、米価である程度調節して来ているのが、今までの政策である。しかし、その米価といえども、今まで農民の満足を受けている米価ではありません。そうなると、こういうような災害に対しては、当然国家が負担すべき性格を持つている。従来は地主がある程度これを負担しておつた。地主のかわりに、国家が今や供出という制度によつて取上げているわけであるから、当然国家がこれを負担すべき性質を持つているのです。特に共済保険の制度については、国家補償の方向にこれを切りかえて行くべきであると思うのです。農民の非常な不満が現に共済についてはある。そこで今度のこういうような個人の経済災害に対して、大蔵大臣や農林省は、今までのような既成観念でした政策をとるのか。新たなる立場に立つた救済策をおとりになるのか。まず基本的問題を両者にお尋ねいたしたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 今度のごときものにつきましては、私どもは、やはり農民共済の制度というものが根本になる、そういう考えのもとにやつておるのであります。従いまして、今あなたが仰せになりましたような、全然今までと違つた政策をとるかどうかということにつきましては、これは私どもさらに非常な検討を要することと考えております。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 今の御答弁がちよつと聞えなかつたのですが……。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 ただいま私が答弁いたしましたのは、今度の災害のごとき個々のものにつきましては、農民共済の制度でやつて行くという考え方を私どもは持つておるのであります。これを、それでなくて、新しいものに全部切りかえるかどうかという御質問でございますれば、それはさらに検討をしてきめなければならぬ問題である、かように御答弁いたした次第であります。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 農民共済制度という意味が私よくわかりませんが、現在の農業の共済保険を中心にした考え方を維持して行く、そういうお考えでございますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 その通りであります。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 そこに重大な問題がある。なぜかというと、あの共済保険という制度は、大体今までの資本主義経営を前提にした農家というものを考えている。それにやや国家的性格が入つておる。それは補助金が入つておるからです。しかし、あのようなやり方で日本の農家経営というものがやれるものではない。しかるに農民の非常な不満を買つて、共済は発展しておらぬのです。農林省が強制して、恩典を与えて初めてやや発展するような形になるのであつて、全農家はこの共済をやめろという圧倒的な声である。なぜならば、掛金が高い。災害の来るところはよく来るけれども、来ないところは来ない。金の来るのがおそい。概算払いをやつても、出て来るものはほんのわずかである。そういう点から不満があるのであつて、根本は何かというと、日本の農家経営が資本主義経営でないからである。つまり家計である。しかも供出制度という国家管理のもとにあつて、しかも金の行き場ははつきりわかつておる。そういう中にあつて、ある程度自由経済的な独立経済、消費経済を前提にしたこの共済制度というものは、当てはまるはずがない。従つて、当然これは国家的補償の方向に切りかえて行く。しかし、これを全部国家が出すということになれば、これは官僚独善になつていけません。ある程度農民にも出させる。しかし、被害地に対しては、国家が相当めんどうを見るという形に切りかえるのが、新しいやり方だと思います。そういう方向に共済の制度をかえなくちやならぬと思う。そういう方向にやや進みつつある。これは基金ができたり、いろいろの掛金に国家負担の分が出たりして、そういう方向にかわりつつあるのは事実です。そういう方向に時代は進んでおる。吉田内閣の大蔵大臣が今の状態でストツプしておるのは、昔に逆行することになる。それでははなはだ遺憾である大蔵大臣は農政については権威者でありますから、私が申し上げるほどの問題ではないと思いますが、それでは吉田内閣の進歩性を疑われる次第であつて、社会党か反動吉田内閣打倒と書くのは当然の話だと思う。どうかそういう態度をこの際お改めくださいまして、この個人災害については新しい方向へ一歩前進なさるようにお願いをいたします。いかがでございますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 ただいまの御意見はよく伺つておきまして、農林当局とも打合せの上十分考えたいと存じております。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 よく伺つていただくというお話でありますから、それを根拠にして次にお尋ねいたしたいと思います。  まず、われわれ五大政党がこの間政府に要望いたしました中の第一として、病虫害の補助金の問題であります。病虫害の補助金については、政府側、農林省側は出すと言われておる。なぜ出すかというと、ほかに蔓延するおそれがあるから、予防という意味においてお出しになる。こういう話であります。これは当然出していただきたい。大体幾らぐらい出すかということをまず基本的にお尋ねいたします。われわれ各党代表があなた方にお願いしました数字は一億四千六百七十七万四千円、これをどの程度お認めになるつもりであるか、主計局長でもけつこうです。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 先ほど中曽根さんから個人農業についてのいろいろの御意見がありましたが、そういうラインからいたしますと、おつしやることはごもつともな点もあるかとも存じますが、そういつた点につきまして、個人の支出に対してそういつた補助金を出すかという問題につきまして、現在農林省といろいろ折衝をいたしております。ただいまのところ、その金額について幾らとか、あるいはこの金額をどうするといつたようなことにつきましては、まだ折衝の段階にございまして、申し上げる時期に達しておりません。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 しからば次にお尋ねいたしますが、病虫害の問題について補助金を出すか出さないかということをまずお尋ねいたします。大体出すことになつておると思いますが……。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 従来病虫害につきましては、法律の規定によつて補助金を出しております。従つてその法律に該当するものは出せるわけであります。

小峯柳多自由党

○小峯委員長代理 中曽根君に御相談ですが、大蔵大臣は予算委員会で提案理由の説明に呼ばれておりますから、集中してやつていただくために、時間を貸していただきたいと思います。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 しからば、病虫害については補助金は出せて速効性肥料の補助金がなぜ出せないか。先ほどの大蔵省のお話では、病虫害は予防の意味があるから出す、こういうお話でおります。速効性肥料だつて予防の意味がある。なぜかというと、木が強くなれば病虫害はつかない。弱ければつくのです。これは間接的かもしれないけれども、そういう意味もある。それだけではない。もつと根本的なことは、私が先ほど申し上げましたように、農家経営というものは、日本の場合は家計であつて、資本主義経営ではないということです。そういう観点からしても、速効性肥料の代金のごときは、当然国家が出すべきである。これについて一億三千七百七十六万七千円を各党共同して要求しておる。これに対していかなる数字をもつておこたえになるか、御答弁願いたいと思います。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 先ほど申し上げましたように、農林当局と計数その他につきまして折衝中でありますので、現在の段階におきましては申しあげる段階に至つておりません。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 しからば、病虫害に対しては補助金を出して、速効性肥料に対しては補助金を出さないのですか。その点はどうですか。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 そういう点につきましても、目下話合いをいたしております。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 農林省に伺いますが、農林省は私の意見に対してどう思いますか。出さなくてもよろしいのか。あるいは出した方がよろしいのか。農林省側の考えを承りたい。

小倉武一農林事務官(農林経済局長)

○小倉政府委員 先ほどからいろいろ御質問があり、お答えがありましたように、農作物の災害につきましては、農作物の共済制度で行くというのが従来からの建前でございまして、それ以外に作物に対する助成といいますのは、先ほどお話がありましたような病害虫の防除ということが大体の建前になつておつたのであります。今後もおそらく建前としてはそういうことであろうと信ずるのでありますけれども、今回のような特殊な凍霜害といつたようなものにつきまして、資本の追加的な投資がいる、そのために必要な生産ができる、それが望ましいということでありますれば、肥料につきましても、ある程度農林当局としては助成が望ましいというふうに考えます。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 大蔵大臣はたいへんお急ぎのようですから、あとでまとめて御質問いたしますが、農林省側の考えはわれわれ同感であります。当然こういう追加投資を必要とする場合については、国家としてやはりすべきであるとこう考えます。  そのほか野党及び与党共同して要望しましたのは、蔬菜の種子代金補助三百二十四万八千円、それから蚕種代金補助五千八百八十三万八千円、共同飼育施設費補助が四千六百八三万四千円、それから技術指導強化に要する補助九千六百六十六万一千円、こういう金額を現実的に要求しております。そのほか凍害に関する試験研究及び調査費として二千六百五十一万六千円、これを要求しておる。これらは先ほど申し上げました趣旨にかんがみて、当然国家が負担すべきであるとわれわれは考えます。この点について政府側の御答弁は、さつきの域を出ないとわれわれは思いますが、しかしこれは各党が共同で厳粛に申し込んだ事実であつて大蔵省主計局あるいは大蔵大臣としましても、単なる一片の事務的手続で片づけないように——と申しますことは、こういうような政府の政策というものが、すべて本予算や暫定予算の審議に響いて来ておる。そういう重大な結果を及ぼすということをよく御認識願いたいと思います。特にお願いいたしたいと思いますことは、農家がこのために現金収入がなくなつてしまつて、あるいは子供の学資にも困つておる。わが群馬県においては、夏秋蚕をやる資金がない。晩秋蚕をやる資金がない、こういうわけで資金の非常な欠乏に悩んでおる。特に麦なんかはほとんど四割減ぐらいになつておるのですから、現金収入というものは激減するわけです。農手を利用しておるというけれども、しかしそれほど恩恵にあずかつているわけではない。農手は利子が高いのです。そういう関係から、どうしても低金利で資金を融通してやる必要がある。営農資金を融通してやる必要がある。これは非常に重要な問題である。この点について大蔵省はいかなる措置をおとりになつているか。どれくらいの期間——農民側の要求は大体二箇年です。利子の金額にすれば年五分ぐらいです。これは群馬県だけでも十億円必要であると言つておる。全国では相当な額に上ると思います。この営農資金の融通ということは一番まつ先にやつていただかなければならぬ問題でありますが、政府はいかなる政策で臨まれるか、お尋ねいたしたい。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 営農資金の供給につきましては、これは農林中金等を通じましてその万全を期したいと思つております。それに対する利子補給あるいは損失補償というような御要請があるようでありますが、従来ルース台風とかあるいは十勝沖震災、カムチヤツカ、そういつた場合におきましては、いわゆる資産的な設備に対するものについてはそういうような措置を講じたわけであります。今回は運転資金と申しますか、営農資金、特殊な関係でございますので、そういう点につきまして、とくと現在検討いたしておる段階であります。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 御検討もけつこうですが、一番緊急を要するのはこの営農資金の融通であります。そこで、先ほどは二、三日のうちにという御回答がありましたが、これはどのくらいで見当をつけていただけますか。ほかの問題もありますけれども、今農民が一番要求しているのは、営農資金を貸してくれ——ということは協同組合がつぶれそうなんです。農家は災害を受ければ預金をどんどんひつぱり出す。そこで協同組合はつぶれそうになる。従つてつぶれかかつている協同組合を救うためにも——協同組合がつぶれるということは農家がつぶれるということになる。協同組合を救うためにも、農家経済を更生させるためにも緊急を要する問題だ。そこで何日ごろ、大体何分くらいで何年くらい貸してくれるか、大体の見当をつけて言つてもらいたい。われわれは議会に遊びに来ているわけではない。農民にとつては切実な問題です。だから正確な責任ある答弁をぜひお願いいたしたいと思います。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 御趣旨はよくわかつておりますが、二、三日中に結論を出すつもりであります。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 二、三日中に結論を出すということでありますから、これ以上あまり申し上げませんが、金額だけは事の重大性にかんがみて相当出していただきたい。大体今中金その他金融市場を見てどのくらい出せる余裕がありますか。ぎりぎりしぼつてどのくらいの余裕が中金その他の金融機関を通じてありますか。

小倉武一農林事務官(農林経済局長)

○小倉政府委員 これはたとえば農林中金だけ見ましても、今回の災害のための営農資金を供給するということは十分できると思います。但しこれは利子の問題、損失補償の問題もございますので、手放しではなかなか利用に応じかねると思いますので、その辺どうするかということも、大体主計局長からお話がありましたように、ただいま話合いを進めておる次第であります。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 それでは、大蔵大臣に最後に一つだけ——この営農資金の融通ということで問題になるのは、これが回収できなかつた場合にどうするか、そこである程度国家なり府県が補償してはどうか、こういうことで、過般共同に各党があなた方のところにお願いいたした資料にも載つておるわけですが、これも重要な問題である。今までの観念からすれば、府県が補償した例はありますが、国家が補償するということはあまり例がないかもしれない。本来なら府県は起債を要する。起債のわくを許してやらした。今度の場合は国家が起債を許すかどうか、これをお尋ねしたいと思いますが、今までの政府の答弁では許さないようなけはいにある。そうすれば、営農資金の面で格段の措置をやつて行かなければやつて行けない。大蔵大臣は起債を許すか許さないか、許さない場合はどういう補償措置をとられるか、お尋ねしたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 ただいまのお尋ねの点につきまして、農林中金の分についてはこれは農林中金の関係でありますから、別に起債その他の問題はありませんが、地方自治体の方でその自治体の財政の必要上起債するということは、これは実情に基いて考えたいと思つております。

中曽根康弘改進党

○中曽根委員 時間がありませんから、私これで質問をやめますが、ただいまいろいろ申し上げた内容については、よくこれをお考えくださいまして、農民の納得し安心するような答弁をいただきたい。特にこれは五大政党が正式に党議をもつて政府に要望したことであつて、まさか自由党は、自分の政府だからといつて、この要求を貫徹するために裏切るようなことはないだろうと思います。もしそういうことがあれば、われわれは暫定予算、本予算の審議の過程を通じて責任を持たぬことになります。おどかすわけではない。それだけ大事な問題をここに内蔵しておる。その内蔵しておるということをあなた方に申し上げまして、善処を要望いたします。

小峯柳多自由党

○小峯委員長代理 大蔵大臣は二十分ほど退場いたしますが、すぐ帰つて参りますので、この委員会は継続いたしますから、御了承願います。田中織之進君。

田中織之進日本社会党(左)

○田中(織)委員 これは大蔵大臣に関連のある問題でありますが、私が外務大臣に昨日の成田委員の質問に関連して質問を申し上げたのに対して、外務大臣から一応答弁がございましたが、今回衆議院の同意を求めて参つております四月、五月の暫定予算の中に、百五十億円の防衛費の支出があるわけであります。説明によりますと、昨日も質問に申し上げました通り、行政協定に基くとりきめに従つて日本側が負担する部分を計上した、こういうことになつておるのであります。行政協定につきましては、われわれかかる事態を予想したわけではありませんが、これは申し上げるまでもなく、同じ性格をもつて国民の権利義務の上に重大なる影響を持つものでありますから、当然国会の議決を経なければならないということを当時主張したのであります。第四次吉田内閣におきましては、このわれわれの主張を取入れずに、国会の承認の議決を経ないままに一方的にとりきめを行つた問題であります。従いまして、この暫定予算そのものを緊急集会へ出すことについての疑義は、午前中もいろいろ議論されたところでありますけれども、私は、特にこの行政協定に基くとりきめによる防衛分担金の支出ということは、その意味から見て、二重、三重に憲法に違反する疑いを持つておると思うのでございますが、昨日の私の関連質問に対する答弁におきましては、外務大臣は、これは前年度も出して来たものであるから、従つて四半期分を計上したのだ、こういうように御答弁になつたのでありまするが、われわれの承知するところは、本年度において幾ら負担するかということについては、いまだ国会の議決を経ておらない。本予算には六百億でありますか、二十八年度の不成立になつた予算には計上されておりましたが、ここで国会の承認を経た場合に、初めてそれが確定した金額になるのであります。従つて、その本予算が不成立に終つた緊急の処置として出す暫定予算の中には、これは計上すべき性質のものではないと私は考えるのでありまするが、これをあえて暫定予算の中に、憲法違反の疑いを持ちながら計上したということについての、外務大臣の明確なる御答弁を煩わしたいのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 行政協定が憲法違反であるか、ないかということは、第四次じやなく、第三次吉田内閣のときに、長い間国会の議論になつたわけでありまして、われわれの見解は、すでに安全保障条約の中に、両政府間においてとりきめると書いてありますから、当然とりきめられるものと考えております。そうして、それに基きまして防衛分担金も予算に計上したのであります。安全保障条約に基くアメリカの駐留軍の費用の分担でありまするから、これは四月、五月、依然として必要であります。従いまして、その分だけを組んだことは憲法違反とは考えておりません。

田中織之進日本社会党(左)

○田中(織)委員 前年度、なるほどわれわれの反対を押し切つて防衛分担金を予算に計上したことは承知いたしております。しかし、二十八年度においては、その負担額を幾ら認めるかということは、国会の議決を経なければ確定しないものだということは、外務大臣といえども認めざるを得ないと思う。従いまして、防衛分担金を二十八年度において幾ら負担するかということは、確定したものではないのであります。従つて、不確定なものを、前年度の予算に準拠して、その月割のものを計上するということは、私は明らかに不当であると思うのでありますが、重ねてこの点についての外務大臣の御答弁を伺います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私は、その議論を推し進めれば、あらゆる問題が、やはり国会の承認を得なければ、新しい予算というものは成立しないのでありまするから、ほかの部分についても同じような議論は言えると思うのであります。そこで、新しい計画、新しい政策に基くものは別といたしまして、公務員の俸給であるとか、その他経常的に必要なものは、これはやむを得ないわけであります。従つて、防衛分担金も、これをさらに大きくするとかいう場合は別問題でありまするが、昨年度も、また成立はしませんでしたが、本年度の予算におきましても、もはやこの点は十分説明いたしまして、この前と同じ生質の額で——もつとも多少少くはなつておりまするが、ある限りは、これは当然支出しなければならないものと考えております。

田中織之進日本社会党(左)

○田中(織)委員 ただいまの外務大臣の御答弁にもありましたように、さらに、参議院の緊急集会において、外務大臣は、防衛分担金の減額について努力するという旨の答弁をなされておるのであります。そういう点から考えまして、ただいまの外務大臣の御答弁の通りだといたしますならば、この防衛分担金を二十八年度において幾ら負担するかということは、新しい政策と同一の性格を持つておると私は思う。こういうことに外務大臣自身もお認めになると私は感ずるのでありますが、その点はいかがでありますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私としては、防衛分担金が将来減る場合もありましようけれども、しかし、その交渉が成り立たない限りにおきましては、昨年度と同じ分を計上することが必要であると考えております。

田中織之進日本社会党(左)

○田中(織)委員 その点は、旧憲法の場合における予算不成立のときに、前年度の予算を踏襲するという原則は、今の財政法においては認められておらないのです。従つて、前年度に防衛分担金を負担したからということで、二十八年度においても引続き、安保条約なりあるいは行政協定というものが存在する以上、負担しなければならないという事態は、われわれこれに対する賛成、反対の態度は別として、認めるにやぶさかではないのであります。しかし、そのものを参議院の緊急集会にかける案件の中に計上することは、これは避けられることは可能だとわれわれは考えるのであります。現に、分担金の問題についても、それは行政協定で四半期ごとに向うへ交付する、米軍に引渡すというようなとりきめもあるやに聞いておりますけれども、これはそういう不確定なものであるだけに、米軍において負担しておいてもらつたものを、国会の構成が完璧になつたときに、議会の承認を得てそれを返還するというようなことは、それこそ行政協定に基く合同委員会等で話合いの余地があるのです。そういう不確定なものを計上されるということは、私は不当だと思うのでありますが、その点の議論は水かけ論になると思いますから、私、この点について、それでは別の角度からもう一つ伺つてみたいのであります。  それは、この暫定予算の説明書の中に、「施設区域提供等に伴う経費については四、五月分の所要見込額を計上した。」というのでありますが、これは、防衛分担金という防衛支出費の百五十億の中に含まれておるものでありますか、別途に計上いたしておるものであるか。含まれておるといたしましても、別途に計上してあるといたしましても、その金額は幾らでありますか。ちよつと私、予算書を見たのでありますが、その施設提供に関する部分の費用が見当りませんので、お伺いする次第であります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは、ちよつと正確を期するために、大蔵省の政府委員がすぐ参りますから、そのときにお答えいたします。

田中織之進日本社会党(左)

○田中(織)委員 その数額をお伺いいたしたいのでありますが、特に今私が、前段に御質問を申し上げた問題は、施設区域提供の問題になりますと、これはまつたく新たなる施設提供ということになるのでありまして、ここに、防衛支出金の負担についての不確定なものを緊急集会に出し、暫定予算に計上することは、どうも適当ではないという議論が出て来ると思うのでありますが、その点について外務大臣の所見をお伺いいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 ちよつと私、今その資料を持つておりませんので、大蔵省の連中が来てからよく相談してお答えいたします。

田中織之進日本社会党(左)

○田中(織)委員 それではその点については大蔵大臣等の出席を待ちます。  外務大臣にさらにお伺いをいたしたいのは、昨日わが党の成田委員からも質問を申しあげたのでございますが、三月の十四日に衆議院において不信任案が通過いたしました内閣——事務管理内閣、昨日わが党の成田君が名づけましたように、これは個人に例をとつて申しますならば、準禁治産の宣告を受けたにもひとしい、一人前のものではないのであります。この点、先ほど佐藤法制局長官も、予算等を参議院の緊急集会に出すというような処置をとらずに、不信任案が通過した後十日間の政府が進退を考慮する期間が憲法上認められておるのであるから、この間に衆議院に、予見せられるところの四月、五月の、選挙が終了するまでの暫定予算等をなぜ出さないかと言うと、これは不信任案の通過した内閣であるから、そういうことをやらない方がいいと言う。結局内閣は完全なる性格のものでないということを佐藤法制局長官が認められた。午前中の委員会で、この法制局長官の答弁を総理大臣は確認せられたのであります。昨日わが党及び同僚諸君から質問申し上げました通り「そういう建前からいたしますと、日米通商航海条約の締結をいたし、調印をいたしたということは、これまた重大な憲法上の疑義を持つて参ると思うのであります。昨日までの御答弁によりますと、これはすでに二年越しに交渉が継続されておつたもので、自由党の内閣としては日本の国のためになるということで締結をしたということでありますが、ためになるかならないかということは、この国会の批准を経てみなければわからない問題であります。従つて、そういうようにかりに日本の国のためになると外務大臣なり総理大臣がお考えになつたといたしましても、それは主観的な問題でありまして、国民が必ずしも納得しない問題であります。従つて、こういう準禁治産内閣が、こうした当然国会の承認を経なければならないところの条約について調印をするということは、私は越権もはなはだしいものだと考えるのであります。不信任案の通過したところの内閣というものは、変態的なもので、完全なものでないということを、総理大臣以下確認せられた現在の段階において、この日米通商航海条約の締結というものは不当なものであると私は考えるのでありますが、この段階において、外務大臣のこの点に関する所見をあらためて承つておきたいと思うのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは、昨日吉田総理大臣からも詳しく申し上げた通りでありまして第一には、行政府としましては、従来ずつと交渉を続けて来たものが、たまたまあの当時交渉が完結して調印の運びになつたのでありまして、調印したということは、条約の効力に何ら影響を及ぼすものではないのであります。これは国会の批准を済まして初めて効力を発生するものであります。従いまして行政府として調印をすることは、いかに国会の不信任を受けた内閣といえども、従来から再三方針の説明もあり、政府はこういう方針でやつて来るのだということを国会でも申しております。そしてそれがたまたまあの時期に調印ということになつたのでありまして、これは、私としては、憲法その他にも一向関係のない問題だと考えております。実は、ちようど調印しようというときに解散がありましたので、しばらく調印を延期したのは事実であります。それは、今御質問のような点も考慮いたしまして、いろいろの角度から検討した結果、これはさしつかえないものであるという結論に到達しましたので、調印をいたしたような次第であります。

田中織之進日本社会党(左)

○田中(織)委員 その点については、たしか憲法の七十三条に、条約については事前に国会の承認を求められる規定があるのであります。従つて、今外務大臣が御答弁になるように、解散の直前に交渉の内容がほぼ妥結を見て、調印も間近いというような事態が到来しておつたならば、なぜ事前に国会の承認を求める手続をとられなかつたのか。われわれはその点についても疑義を持つものでございます。さらに、なるほど条約が正式に効力を発生するのは国会の批准をまつてからであるということは、これは憲法の明文の示すところでございますけれども、やはり調印という既成の事実をつくり上げるということは、私は大きな政治上の問題であると思うのであります。今外務大臣が御答弁せられたように、解散直後にも調印をするような運びにあつたのだが、今われわれが展開しておるような議論を予想して、実はある程度延ばしたのだということをお認めになつたのでありますが、そういう事態であるならば、選挙終予後、新しい正式の内閣が成立するまで、その調印を延ばしてもらうという交渉は、それこそ私は可能ではないかと考えるのであります。この点について、解散直後しばらく延ばしたということであるならば、新内閣が成立するまで延ばしてもらえないかという交渉をなされたかどうかということを、重ねてお伺いいたしたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 ただいま憲法七十三条を引用されましたが、憲法には、「条約を締結する」と書いてありまして、調印する事前にとは書いてないのであります。条約を締結するということは、条約が効力を発生することをわれわれは考えておりまして、つまり特別の場合、たとえば今度国会に上程しておりますが、四月二十八日までに、つまり一年間にわれわれの条約に加入するということが、平和条約の付属の宣言で書いてあります。ところが、その加入をする前に国会が解散になつた。ところが条約上の義務として、われわれは、これこれの条約であるとかその他の問題について、加入するという約束をいたしております。従つて、国会解散中で国会の承認を得られなかつたのでありますが、まず加入をいたしまして、そして今国会に事後の承諾を求めております。こういう特別の場合には、先に効力を発生して、事後に国会の承諾を求めておりますが、この日米通商航海条約のごときは、国会に承認を求めまして、それで締結という効力が発生するのでありまして、これは事前の承認を求めておるものとわれわれは解釈しております。

田中織之進日本社会党(左)

○田中(織)委員 それは、外務大臣もただいまの最後の答弁で申されたように、外務大臣の解釈であります。われわれは、やはり調印をするということは条約締結の重要な部分だと思う。外務大臣のような解釈も成り立たないことはないと思いますけれども、調印と条約の締結とは違うのだという解釈は、私は多少牽強附会の感じを抱くのであります。この点については、いずれ予算委員会等においてもさらに質疑が展開せられることと思いますので、その点はこの程度にとどめます。  私が外務大臣にさらにお伺いをいたしたいのは、選挙管理内閣当時において、日比間における賠償問題についての中間報告といいますか、一種の中間協定的なものがなされた事実があるのであります。この点については、賠償問題は国民の負担にかかる国家の債務の問題として、きわめて重大な問題でありますが、選挙管理内閣において、日比間の賠償の交渉について、具体的にはいかなる処置をとられたか。その処置をとられた部分は、私は、これまた今の条約の調印と同じように、きわめて重要な意義を持つておると思うのでありますが、この点について外務大臣にお伺いしたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは田中君の御記憶違いじやないかと思います。日比間の賠償の中間協定は三月十二日に調印をいたしまして、三月十四日、すなわち解散前の国会にすでに提出しております。

田中織之進日本社会党(左)

○田中(織)委員 その点は、私、選挙中——具体的には解散になつてからというふうに記憶しておつたのでありますが、その点は私の記憶違いかもしれませんから、さらに調べることにいたします。  そこで、大蔵大臣もお見えになつたのですが、先ほど私外務大臣に質問した点は、主計局長か事務当局がおられないと答弁できないと思いますので、私の質問はこの程度にとどめます。

小峯柳多自由党

○小峯委員長代理 川島金次君。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 大蔵大臣が見えましたので、若干質問をいたしたいと思います。  まず第一にお伺いをいたしたいことは、二十七年度における防衛費の不用額が、世間で伝えられるところによりますと、六十六億八千万円に及んでおる。しかもその上に、同じく防衛費で二十八年度に繰越されるであろうと大体決定された額が、一千百三十億に上つておる。合計いたしますと、実に驚くなかれ一千百九十有余億という厖大な額に上るというふうに言われておりますが、この点は事実でありますか、まず伺いたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 その数字の問題については、主計局長に答弁させたいと思います。今向うで補足的に説明をしておりますから、すぐ帰つて参ります。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 それでは、その数字はあとで聞くことにいたしまして、もしかりに、このように重要なる費目の中で不用額が六十六億、しかも繰越額が一千億を越える、こういう予算の編成の仕方と使用の方法というものは、予算上の本質から見て正しいものであるかどうかということについて、私は、大蔵大臣としての意見をこの機会に聞いておきたいと思うのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 その個々のことを実は私よく承知しません。はたしてその通りであるならば穏当を欠いておると思いますが、いろいろ事情があろうと思いますから、ただいま主計局長が参りまして、これも御答弁申し上げることにいたしたいと存じます。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 これは、私が的確な筋から調べました数字なのでありまして、これが事実であるように私は聞いておりますが、しかしながら、大蔵大臣は具体的に承知しておらないようでありますから、この問題については後ほど御意見を承りたいと思うのであります。  次にお伺い申し上げたいのは、昨日も、わが党におきまして、当面の公務員及び一般政府関係機関職員の給与、ことに夏期手当の問題につきまして、政府筋にそれぞれ申入れを強く行つたことは、大臣も御承知の通りであります。この公務員並びに政府関係機関職員を加え、さらに地方公務員を含めた当面の夏期手当については、政府はどのように今日考えられておりますか、それを伺わせていただきたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 きよう提出いたしました六月分の暫定予算におきましては、いわゆる〇・五という分は計上してございます。しかし、昨日川島さんの方からお申出になりました一箇月というのは計上いたしておりません。これは、はたして今の財政上でき得るかどうか検討中でございまして、〇・五に相当する分だけは計上いたしてございます。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 大蔵大臣は、すなおに、検討中ということを申されたのでありますが、六月分はすでに暫定予算として昨日上程済みでございますから、無理と思います。そこで大蔵大臣は、検討の結果、七月分の暫定予算の場合において、公務員の夏期手当を当面一箇月分に引上げるという用意があるかどうか、その点はいかがですか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 この問題は、本予算編成の場合に、——これも来月中旬にお出しできると思いますから、十分考えてみたい、こういうふうに考えております。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 大臣のお話によると、十分に考える。これは私は、単なる大臣の答弁としてのものだけではない、こういうふうに理解をいたしまして、大臣の今の言明通り、できるだけすみやかに再検討をされまして、その夏期手当は〇・五を一・〇に引上げるように最善の努力をされんことを、この機会に強く要望してやまないものであります。     〔小峯委員長代理退席、委員長着席〕

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 川島さんにちよつと申し上げておきます。ちようど一箇月分にいたしますと、百二十五億ほど金がいるのでございますが、それらの点から相当財源に困つておる際でもございまするので、十分考えては見まするが、この十分考えるということは、やるという前提だとおとりくださいますと、私の言葉は過ぎることになりますので、この点あらかじめひとつ御了承願つておきます。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 それでは裏返しに言うと、それはできない相談だというお話なんですか。たいへん事情が違つて参りますが……。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 考えてみます、こういうことをひとつ申し上げておきます。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 しつこいようですが、できないんだが、この場合の答弁として考えてみますというだけのことなんでしようかね。これはたいへん重要なことなので、私もまじめにお尋ねしておりますので、ひとつ他意のないところを率直にお答え願いたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 実は本予算の省議その他閣議等もまだ開いておりません。従つて、どういうふうになるかということを検討した上でないと、はつきりした御答弁を申し上げられないのでありますが、ただいまのところは、率直に申し上げますと、百二十五億の財源を求むることはよほどむずかしいのではないかと思つております。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 それではまた、たいへんしつこいようですが、繰返してお尋ね申し上げますが、一・〇に引上げることは容易ではない。その容易でないという事情も私はわからぬわけではございません。そこで重ねてお尋ねいたしますが、〇・五に対するところの夏期手当をさらに〇・七ないし七五くらいには引上げるという構想はありませんかどうか。この点を重ねてお尋ねしておきます。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 川島さんのせつかくのお言葉でありますが、やはり本予算のときに考えさしていただく、こういうことにさしていただきたいと思います。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 どうも最初の大臣の話は、質疑応答を重ねているうちにだんだんあやふやになつて、茫漠たることになつてまことに残念ですが、とにかくこの問題はきわめて重要な、公務員諸君の生活にとりましても問題であり、またこのことに対する政府の態度いかんは、さらにまた国鉄その他を中心とする組合等に及ぼす影響、また組合の立上り等についても大きな関係がございますので、その辺の事情を十分に勘案して、政府は誠意のあるところを積極的に打出されんことを、この機会に強く希望しておくのであります。  そこで先ほどの私の質問でありますが、主計局長も見えられましたのでお尋ねするのですが、二十七年度の防衛費の中で、歳出の不用額が六十六億八千万円になり、さらに防衛費の中で二十八年度へ繰越されるところの額が一千百三十億になるであろうと伝えられておりますが、この点はいかがでございますか。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 御承知のように、ただいまは出納整理期間でございまして、繰越しの額その他目下各省から持つて参りましたものを検討いたしておる段階でございます。従いまして、確定的な数字はまだ出ておりませんが、防衛費と申しますか、安全保障費あるいは保安庁費等につきまして、事業の進捗がずれました関係で、ある程度の繰越しが出ており、また不用額も出ておることは事実でございます。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 私が手に入れましたところによりますと、安全保障費、これは今申し上げましたように、もちろん二十七年度の額でありますが、安全保障費は五百六十億の予算でありますが、それが五百十七億繰越される。防衛支出金は六百五十億のところを八十六億繰越される。平和回復処理費は百十億のところ五十八億繰越される。保安庁費は五百九十一億のところ二百六十億も繰越される。これが合計一千百三十億程度になるわけでありますが、今主計局長は、目下調査中で計数の整理中であると言われております。このような厖大な額に繰越し未使用分が出て来るのであるが、大体こういう数字がまだ明確でないにいたしましても、この程度に近いようなものになつて来るのかどうか、その点はどういうふうになつておりますか。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 相当程度の繰越し——おそらく千億を越える繰越しが出ると思いますが、ただこの繰越しにもいろいろございまして、債務負担を引出しまして、現金の支出が繰越されるという面もございます。保安庁の方でも、御指摘のごとく二百億を越える繰越しが出ると思いますが、そのうち半分程度はすでに契約をいたしまして、現金の支出が残つて繰越されるものもあるわけであります。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 これと関連をしてお伺いしておきたいのでありますが、今私どもが審議いたしております暫定予算、いうところの暫定予算、私どもはこの問題については異議がございますが、政府のいうところの四、五両月にわたるところの暫定予算の総額におきましても、相当額の未使用額があり、しかもその上に相当額の繰越額が出るであろうとさえも伝えられておりますが、この問題について、主計局長はどのようなお見込みを立てられておりますか。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 御質問の趣旨がちよつとわかりかねたのでございますが、当初計画を立てましたところにつきまして、いろいろと事情の変更もあり、特に保安庁の経費等につきましては、特別の規格であります関係上、試作品をつくつて、その上で注文をするといつたようなものがたくさんあるのでございますが、そういつた試作品について、なかなか思うようなものが資材その他の関係でできなかつたというようなことで、金額自体繰越されたものもございます。また一応契約をいたしましたけれども、納入が遅れて現金の支払いに至らなかつたというものもございます。また安全保障費につきましても、当初計画いたしましたところにつきまして一応実施設計をいたしましたものも、土地がかわりましたり、あるいは実施設計をもう一回やり直すという点で遅れたのでございまして、むしろ支出を厳にして濫費を避けるといつたような面から、繰越しが出たものもあると考えます。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 今私が後段にお尋ねをいたしましたのは、前段にお尋ねいたしました二十七年度の防衛費の問題でなくして、今ここで審議されております四、五、二箇月にわたる暫定予算の総額の中において、いまだ使用せざる、あるいは不用になる、あるいは繰越される額が相当に出るであろうと言われているのでありますが、その点をお尋ねしているのであります。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 四、五月分の暫定予算は千四百億ばかりでございますが、これがどの程度使用になつているか、あるいは繰越されるかということでございますが、この使用実績につきましては、四月分の支出実績が五月末日までは各省から支出済みの報告が参るのでございます。しかし実際問題といたしまして、最近は二、三箇月遅れておりますし、ことに四月におきましては、前年度の予算も施行される関係で、その区わけが実は今までもなかなかつかないのであります。支出官の数にいたしましても五百、資金前渡官吏を入れますと六千からに上つておりますので、どの程度これを使用いたしておるか、その点につきましては、ちよつと現在のところ数字を持つておりません。また不用になるかというお話でございますが、これは暫定予算の予算総則にも書いてございますように、残額につきましては六月以降においても使用できる、こういう建前なのでございまして、不用になるという考え方はないと存じております。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 二十七年度の防衛費の問題を特に取り上げたのも、ただいま私がお尋ねいたしましたのも、一貫した観点でお尋ねしておるのですが、主計局長も説明されました通り、二十七年度の防衛費の中で、私がお尋ね申し上げ、懸念をしておりました通り、やはり相当額の繰越額が出るであろうということは、局長もほぼお認めになつておるようであります、その上に、この四、五の二箇月分の暫定予算におきましても、ある程度の繰越が出るであろう。これまた承認されておるようであります。暫定予算というものは、緊急にしてかつ必要なる措置ということになつておるのであります。参議院の集会にかけて承認を求めるのは、いうところの緊急必要なる措置であつて、繰越額が相当出るような予算を一体緊急とわれわれは認めることができるかどうか、という問題にもかかつて来るわけなのです。そういうことからいたしまして、これは大蔵大臣にお尋ねいたしますが、そういうことがあつても、なおかつこれは緊急かつ必要なものであると認めるお立場におられるかどうか、この点についてひとつ御見解を承りたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 たしかお手元に配付してあると存じますが、大体今仰せになりました防衛支出金、保安庁費その他につきましては、暫定予算額の、たとえば防衛支出金については九二・七が五月二十一日現在までにもう承認済額となつておるのでございまして、大体において、そういう現金支払いについての繰越しは若干起るかとも思いますけれども、支払い計画承認済みの額から申しますると、お手元に差上げました表に基きましても、一切を通じまして九六・四%というものが、五月二十日現在で承認済みになつておるようなことでございますので、私どもは、このときに、不用で繰越しされるものを見たとは、実は考えていなかつたのでございます。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 こういう配付された書類にありますいわば支払い計画承認済額、これはいかようとも幅のある方法で行われ得る性質のものであると私は思う。問題は、予算というものは言うまでもなく国民全体の血税の結晶であります。その血税の結晶を基礎といたしまして立てまする予算、その予算を実施いたしまする場合に、政府は、この予算は一厘一毛でも国民の血税の結晶である、こういう考え方が常に強くなければならない。しかるにかかわらず、今申し上げましたように、たとえば二十七年度の防衛費におきましても相当な不用額があり、いわんや繰越額も出ておると言われておる。なおかつこの暫定予算におきましても、緊急必要だと称されておりながら、これは単に支払い計画承認済額であつて、実際に緊急かつ必要にして支出しなければならぬ金というものは、これほどではなくて済むわけであります。実際問題としてこれはそうなるのであります。そういう予算の立て方をすることを、大蔵大臣といたしましては、はたして正常なあやまちのないものであると考えられておるかどうか。これは、今後の予算の問題につきまして重大な事柄でございますので、大臣にあえて重ねて御所見を承つておきたいと思うのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 川島さんが仰せの点まことにごもつともに存じます。私どもも、もし使わないで済むようなものでありまするならば、決して緊急かつ必要と認めて計上する意思は持つておりません。ただこの場合、必要であるという事情で計上をいたしまして二十七年度分はともかくとして、私どもは二十八年度で申しましたように、やはり国ですから、一定の支払い計画に基いたものが必要なので、こうしてあると存じますが、御趣意はよく体しまして、今後の予算編成に臨むことにいたします。

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 川島君にちよつと御相談があります。外務大臣が四時半に退席されますので、その前に二、三分、羽田武嗣郎君に外務大臣に質問する時間をいただけませんか。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 よろしゆうございます。

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 羽田武嗣郎君。

羽田武嗣郎自由党

○羽田委員 外務大臣の御都合でたいへん恐縮でありますが、ただいま河野さん並びに古屋両氏の御了解を得ましたので、簡単に御質問いたします。  実は軽井沢が米軍の山岳演習地になるということで、地元の者が非常に騒ぎまして、今日は長野市において労働組合、学校教育関係の団体、また婦人団体、青年団体、宗教団体、農業団体等が集合いたしまして、これに反対の県民大会を開くというような次第でありまして事が緊迫をいたしておりますために、はなはだ恐縮でありますが、ちよつと外務大臣に御質問をいたしたいと思います。  御承知のように軽井沢は、軽井沢国際親善文化観光都市建設法によりまして、特別都市として、国際的な平和な安息所になつておる次第であります。そのほか、ことにあの地は、明治二十何年かに外国の宣教師が避暑地として開拓して以来、ずつと風紀上の清浄の地として今日まで保たれておつたのであります。そういう見地に立ちまして、あそこに軍隊の演習地を置くことについては、地元として、また国際的な見地からいつても、平和な都市としておきたいということで、絶対反対を唱えておるのでありますが、ことにあの浅間山の頂上近くに火山観測所がございまして、この火山観測所は、世界でも学術的に幾多貴重な貢献をなしておるような次第であります。ここが演習地に指定されますれば、学問上の見地から火山観測に影響があるということで、先般東大の地震研究所の方々並びに日米合同委員会の方が現地を視察されまして、目下その調査したものを学術的に科学的に検討を加えておるということでありまして、そういう火山の観測の見地から申しましても、どうしてもこの地を演習地にするということに対して反対をいたしておる次第でありますが、ただこの演習内容や実施内容について揣摩臆測が行われておりまして、全貌がわかつておりません。その意味において、外務大臣にこの実施計画の具体的な全貌をこの際発表をいただき、また今後の火山観測についての御所見を承つておきたいと存じます。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 この演習は、軽井沢と一般に言われておるのでありまするが、実は主として妙義山麓で行われるものでありまして、山岳戦の訓練をいたすのであります。駐留軍が山岳戦の訓練学校を持つておりまして、その生徒を選抜して一クラス約二百人くらいにいたしまして、これを三週間ばかり妙義山麓で訓練をするのでありますが、その第四週間目に約三日間、浅間山のふもとでもつて最終的の訓練を行う、いわゆるこれはロツク・クライミングをやろうとするものであります。この演習期間は一年のうちで四月から十一月までといたしております。これにつきましてもいろいろアメリカ側とも話合いをいたしました結果、この地域を使用するにあたりましては、第一には実弾及び爆弾は使用しない。第二に事務用の車両以外のものは車両は一切使わないし、また車両等は道路以外の地域には入らない。第三には演習地域におきましては、公私の建物はもちろん、神社、仏閣、農地、耕地等にも立ち入らない。さらに農耕、木材の伐出作業、植林計画、採石作業、道路交通その他現地住民の地域内の立入りや、一般の生活に対しては一切の支障を与えない。さらに現地の日本側当局の承諾がなければ、木を伐採するということも一切いたさない、こういうことになつております。しかし、さらに地元からいろいろ要請がありまして、風紀の問題及び地元民の生活の問題など提起されておりますので、米軍側と話しましたところが、第一に風紀の問題につきましては、この学校に入学する学生は米軍の各部隊から選抜する優秀な者であつて、また指導将校も山岳戦の専門家で特にすぐれたものでありまするから、生徒に対する規律等の遵守は確約できるものであつて、地元側の心配されるような種類の問題は発生しないと想像しておるけれども、しいて希望されるのであるならば、軽井沢とか沓掛とかいうような町には立入りを禁止してさしつかえない。もつとも外出は一週間のうちに土曜、日曜だけでありまして、他のウイークデーは外出を許さないのでありますが、土曜、日曜に外出を許す場合にも、汽車を利用しまして東京方面に行くようにいたすのでさしつかえない。また妙義山麓に約三週間おるわけでありますが、この方面につきましては、その訓練に必要な諸施設には日本側の人間も雇われるわけでありますが、この雇用の場合には現地の人々を優先的に採用するし、その他できるだけの便宜を供与するようにいたします、こういうことになつております。  最後に例の地震の研究所の問題でありまするが、これはアメリカの軍隊の訓練が、右のような次第で、実弾や爆弾は使いませんし、道路以外には車両は通行いたしませんから、特に妨害になるようなことはないと思われますけれども、しかしわからないのでありますから、今おつしやつたように米国側の係官と研究所の代表者が懇談しましてただいま現地で実際のテストを行つております。そのテストの結果は大学の当局から提出されるわけでありまするが、その結果によりまして、もし何らか必要な点があれば、日米両代表間においてこの問題をさらに再検討しようということになつております。この山岳戦訓練の候補地につきましては、一昨年以来日本各地にわたりまして山岳戦の専門家がずつと実地調査をいたしまして、高度であるとか通路であるとか、あるいは水であるとか、その他積雪の模様であるとか、いろいろの条件を勘案しました結果、結局この妙義山麓、それから浅間山という点が一番適当である。こういうことになつておるのであります。もちろんまだきまつたわけでありませんが、もしこれを使用するということになりましても、使用される地域は一部分の地域に限られることになると考えております。

羽田武嗣郎自由党

○羽田委員 あと一つだけその問題の結論についてお尋ねをいたしますが、先般の科学的な研究調査の結果として、火山活動の研究に支障があるという学術的な結論が出ました場合には、ぜひこれをとりやめていただきたいということを切望いたす次第であります。ことに、学問の研究の自由ということを確保することに、特に外務大臣の御協力をお願いいたしたいと存ずる次第であります。その点についてちよつと……。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私ももちろん御同様に考えておりますが、その支障がどういう点で起るのか。従つてその原因がたとえば車両であるとか、その他の理由であれば、これをしなければ支障が起らないというような場合もありましようから、結局双方で協議をいたしまして、適当に——少くとも地震の研究に妨げにならないような措置を講ずるつもりでおります。

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 関連質問を一問許します。小峯柳多君。

小峯柳多自由党

○小峯委員 私は、審議を急ぎますこの委員会の性質上、遠慮申し上げておつたのでありますが、今羽田委員からお話がありました演習地の問題であります。ことに個人的なことを申し上げて恐縮でありますが、私は妙義山麓で生れておりますので、今羽田さんから御説明のありましたような事情は、そのまま私の町も適用いたしております。あすも県民大会を私の町で開くので、私も大分つるし上げになつておるような状態であります。そこで今御説明になりましたようなことがよく徹底いたしておりません。こういうふうな問題はよほど上手にといいますか、真実を話して、地元の了解を得るように十分努力なさるべきだと思いますが、どうもこの話は徹底していないのであります。すぐ富士山麓はこうだ、あるいは「日本の貞操」という本にはこう書いてあると、その悪い例だけを引用しまして、予想以上の大きな波紋を起しております。ことに私の方は、研究所の問題ではありませんが、鉄砲のたまを撃ち合うんだということで、この新緑の候に妙義山は登山する人が毎年相当多いのでありますが、今年はそれがないのであります。うつかり行くとたまに当るのだといううわさが飛んでおるのでございまして、地元はそれだけ非常に困つておるのであります。どうかそういう意味で、こういう問題も今後もありますから、十分徹底するように、外務省としての一段の努力をなさるようにお願いいたします。そうしてまた、事案はともかくといたしましてこれまで波紋を呼んでおるのでありますから、早急に結論をお出しなさらずに、慎重にこの時期の問題をおとりはからいいただきたいと思います。すぐに結論を出しますと無理押しをいたします。これは日米関係にも悪い禍根を残すと思いますから、担当なさる御当局の大臣としては御苦労でありますが、この扱いによほど慎重を期せられたい。早急な結論を出すことを考えないで、気長に考えていただかなければならないかと思います。向うは向うの都合がありましよう。しかし、地元の協力を得られないでやりますと、かえつて日米関係に悪い結果をもたらすというふうに考えますので、このことに関連して、ひとつ特にこの点お願い申し上げておく次第であります。これに関して御所見が承れますれば幸いであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 できるだけ今のお話のようにするつもりでありますが、外務省としては、実は正式といいますか、説明すべきところには、みなこういうふうにして説明しておるのでありますけれども、それがなかなか外へ出してもらえないで、むしろ富士山と同じように、演習で鉄砲でも撃ち合うようなふうに一般に伝えられておりまして、これは故意に伝えられておるのかどうかわかりませんけれども、非常に残念に思つております。ただいま私が申したことは間違いない事実でありますから、どうぞ小峯君のような特に地元に関係ある方、あるいは羽田君のような方から、これは正式な政府の意向としてお伝えを願いまして、どうぞひとつ御協力、御納得のできるようにお願いをしたいと考えております。

小峯柳多自由党

○小峯委員 あなたは政府の意向としてというふうなことを言つておりますが、私はそれをきめるのに慎重に考慮したらどうかということを申し上げておるのです。何か私どもが逆に使われて政府の意向を伝える。そんなことでは話がおかしいではないかと思う。もう少しそのきめるのに慎重を期さなければならぬということを私は申し上げておる。あなたのかわりに説明するというようなことは今考えておりません。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 たいへんくどいようですが、重ねてお伺いしますが、一体主計局長の説明によれば、この配付された資料によりましても、なるほど予算一千四百億ばかりの中で、支払い計画の承認済額というものはこれこれあると、いかにも当然緊急に必要だつたので出した予算が、しかもその通りに緊急必要性をこの計画承認済額の数字において裏書しているかのごとくに、端的に言えばわれわれに受けとらせようという数字にしか見えないのでありますが、元来が緊急かつ必要というのは、ノーマルなときの予算編成とは違うのでありまして計画と実施とをあわせて、真実において緊急必要性を持たなければならぬと私は理解をいたしたいのであります。ところが、そういうことでなくして、なるほど予算に対する支払い計画承認済額というものはそういうことになつているけれども、実施と計画とが非常に緊急性に欠けておるものも相当額あると言われております。また、ある見込みのように私も想像いたしております。しかも既定の人件費の額を除いたその他の額におきましては、おそらく専門筋の見るところによりますと、これが六月の方に繰越されて行く額が、最低三割くらいあるだろうというくらいにさえも言われておるのであります。もしそういうことにかりになつたといたしますれば、一体、この暫定予算というものがどこに、総体的においては、緊急かつ必要な予算額であつたかということに、われわれは重大な疑念をさしはさまなければならないことになるのであります。従つて、このことにつきまして、一体五月中に実際に支払う額、さらにまた言いかえれば、計画と実施の上において、相関の上に立つての緊急かつ必要ということが裏書されるという額は、一体総体のどのくらいになる見込みであるか。その点は、大臣にお尋ねすることは無理でありますから、主計局長でけつこうでありますけれども、その点の見込みをこの際ひとつ明らかにしていただきたいのであります。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 予算の使用とは、単に現金の支払いばかりではございませんで、その間における債務負担も含むのでございます。支払い計画として出ておりますのは、これだけの現金を支払うからということで、予算を各省につけておるのでございます。そのほかに、たとえば公共団体に対して、四、五月の間におきましてある補助をするといつた場合におきまして、予算がなければ補助指令が出ません。補助指令を出しまして、それによつてその請書が出て、そして現金が支払われるという関係になるのでありまして単に支払い計画の面だけ見て、予算が余つておるとかなんとかいうことにはならないのでございます。つまり支出負担行為とあわせて見ないと、予算の使用というものはどうであるか、どの程度実行しているかということはわからないのでございます。その上に、先ほど申し上げましたように、四、五月という期間は出納整理期間で、前年度の分もございますし、多数の支出官、資金前渡官吏を持つております関係上、また支出負担行為がどの程度になつているか、あるいは現実に現金をどの程度出しておるかということは、ただいまの状況では、私どもの手元におきましてもつかみ得ないような状況になつておるのでございます。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 今の前段の主計局長の説明は、われわれもよくわかつております。わかつておりますが、この暫定予算というものは通常の暫定予算ではございません。しかも、われわれの疑義のある参議院だけの緊急集会にかけてしかも緊急必要という事柄を基礎としての予算であります。そこで、ノーマルな予算と違つた、もつと厳格な、厳粛な意味のものを編成しあるいは提出すべきである。私は、こういう観点に立つて、いろいろとお尋ねをいたしておるわけであります。そこで、さらにお尋ねいたしますが、旧憲法におきましては、御承知の通り、予算が不成立に終つた場合には前年度の予算を踏襲してよろしいということになつて、要するに政府本位になつております。ところが、新憲法におきましては、どこの条文を見ましても、憲法はもちろんでありますが、財政法を見ましても、予算が不成立になつたときにはこれこれという条文はどこにもありません。それだけに、予算というものは。憲法及び財政法を通じての一貫した精神というものは、必ず国会の承認すなわち衆議院と参議院をもつて構成するいわゆる厳格な意味の国会の承認を求める。これが鉄則でなければならない。従つて、旧憲法と違つたものがここに新憲法とし財政法として生れておるわけである。ところが、政府のこの暫定予算、緊急集会にかけた暫定予算について、われわれ疑義があるのですが、かりに一歩退いて考えてみた場合に、この旧憲法のいわゆる前予算を踏襲することができるという観念を、安易にそのまま踏襲いたしまして、今度のこの暫定予算を緊急集会にかけたというきらいがあるのじやないか、こういうやり方というものは、はたして緊急集会にかけるという予算の性質上妥当なものであるかどうか。政府は非常に安易な道をとり過ぎたという感じが私には強くいたすのでございますが、こういう出し方で、しかも、さらに何のあやまちもないと政府の側では考えておられるかどうか、その点の見解を示してもらいたい。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 旧憲法の時代におきましては、予算が不成立の場合においては、前年度の予算を施行いたすということで、そのほかにこれでもつて間に合わない場合におきましては、旧憲法第八条あるいは七十条の処分が行われることになつておつたのでございますが、新憲法におきましては、このような前年度予算施行という制度がありませんので、最も民主的に暫定予算という制度でこの欠陥を補つておるものと私は考えるのでございます。従いまして、その暫定予算における必要ということは、国政を運営する必要ということであろうと私は考えるものでありまして、次の国会が集会になつてその間を待つことができない、しかし国務の運営をやつて行かねばならぬための必要な経費というふうに考えておるのでございます。従いまして、あるいは交際費がどうだとかいうような御議論もありましたが、少くともそういつたものでありましても、この期間内において支出しなければ国政の運営上困るというようなものは、すべて計上していい建前だと考えておる次第であります。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 私は別な観点に立ちまして、いろいろここに重大な疑義をさしはさんでおるものであります。しかし、この問題についてさらに論議を重ねることは、単なる論議に終るおそれがございますので、この問題は他の方にお譲りを申し上げたいと思います。  そこで、ついでに大蔵大臣に承つておきますが、地方財政の昨今の窮状は、大臣としてもよく御承知のことと思うのでございます。ことに去年度、本年度にわたりましては、およそ地方財政だけで見ましても、二百億を越えるところの大きな赤字がおそれられておるような実情であります。そこで、何回も議論になるのでございまするけれども、この際地方財政の自主的な確立をはかるために、中央、地方を通じての抜本的な税制改正というものが、絶対的に必要ではないかと私は考える一人でございます。国の財政は均衡を保つておつて、たまには黒字のような状態を出しておる。しかるに地方は、まるで赤字に次ぐに赤字をもつていたしまして、破綻の一歩手前にある。こういうようなことでありましては断じてならないと私は考えるのでございます。そこでこの際、政府といたしましては、中央、地方にわたる一貫した抜本的な税制の改革をはかりまして、中央はもちろん、地方におけるところの財政を自主的な立場において確立のできるような方途を立てることは、きわめて焦眉の急務ではないかと考えるのでありますが、その点につきまして大蔵大臣はどのような見解を持たれるか、さらにこの機会に、まだ大臣になられて早々で、私は無理であろうと思いますが、地方自治庁の長官をかねました塚田新国務大臣にも、この点についてあわせてお尋ねしておきたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 中央、地方を通ずる税制の根本的な改正につきましては、私どももその必要を非常に認めておるものでございます。しかし、これをどういうふうにどの程度やるかという問題は十分検討して、閣議その他に諮る必要もございますので、ただ私どももその必要は痛感をしておるということを、この際申し上げるにとどめたいと思います。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 この問題につきましては、私も川島委員とまつたく同感であります。かつこの問題は、もうこれ以上ほうつておけない段階に来ておるのではないかというように私どもも考えておるのであります。ただ、これをどういうぐあいに解決するか。財源が足りないから財源を補給するという形で解決するか。また財源を補給するにいたしましても、独自の財源を与えるという形で解決するか、あるいは平衡交付金を増額するという形で解決するか、これは非常に問題があると思います。そして、それを同時に、今の地方自治体のあり方そのものもあわせて検討しませんと、いろいろめんどうな問題が起きて来るのではないか、こういうふうに考えられますので、せつかく地方制度調査会におきましてただいま検討し、練つておるのでありますから、なるべく早くその結論を出していただいて、その結論を十分尊重いたしまして解決をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 ついでに塚田新国務大臣に伺つておきたいのですが、昨日かの新聞で見たのでございますが、あなたは、どうも入場税などは非常に高い、こういうことで地方税制の根本的な面に触れられて、きわめて適切な意見を盛られておる。しからばそういう問題について、新国務大臣としてどういうふうにこれを解決して行く腹か、あわせてお伺いしておきます。これまた税制問題として長い間論議をせられて来たのでありますが、たとえば地方財政の自主的な確立をはかる一つの方途といたしまして、酒税あるいはタバコの収益の一部を地方に還元する、こういつた問題もかなり長い間論議されて来たのでありますから、これについてやはり相当塚田新国務大臣は研究をされて来ておるわけであります。そういつた問題につきましても、どのような見解を持ち、そしてここでどういうような解決をはかつて行くべきだという、何らかの新しい構想がさだめしあるのではないか。大いに期待された新国務大臣ですから、率直にこの際明らかにしていただきたいと思います。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 どちらの新聞にお答えしたのでありましたか忘れましたけれども、御指摘のような考え方を申し述べたことは確かにあるのでございます。ただこの問題は、そのときは私個人の考え方を申し上げたのでありまして、庁内におきましてもまだ意見をまとめておるわけではありませんし、かつ、先ほど申し上げました地方制度調査会というもので、その点も御検討願つておりますので、その点の意見を十分参酌した上でなければ、最終的な構想というものは出て参らない、こういうふうに考えております。しかし個人の意見といたしましては、ただいま御指摘になりました入場税などにつきましては、私は、やはりまだ高いのじやないかという考え方を年来持つておりますことは御承知の通りであり、今日もなおそういう考え方を持ち続けているわけであります。ことに映画などにつきまして、ああいう程度の大衆の娯楽と申しますか、一週間骨折つてお働きになつた大衆の諸君が、日曜日もしくは土曜日に映画をごらんになる。それだけのことに対して、どういう理由で五割もの税をとらなければならぬのかという点については、かなり問題があるのじやないか、こういう考え方から実はそういうように考えておるわけであります。また、それでは財源が足りない、今後地方制度、地方税制全般の改革をいたします場合に、どういうような税源が考えられるかという場合におきまして、今御指摘になりましたような、酒、タバコの消費税を地方に一部還えして行くという考え方も考え方の一つとして十分考えられる考え方である、こういうように考えておりますが、なおもつとはつきりしたことは、先ほど申し上げましたように、各般の意見、庁内及び地方制度調査会の意見も総合いたしまして、自分の年来の考え方も十分それに織り込めるように結論を出したい、こういうように考えております。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 時間がありませんし、他の同僚諸君も質問を待つておられますので、できるだけ急いで質問をいたしたいと思います。  それでは次に移りまして、私は通産大臣にこの機会に一、二お伺いしておきたいと思います。私が午前中の質問の際に申し上げたように、日本の経済の実態は、実に残念ではあるけれども、ことに国際収支のごときは、厖大な額を辛うじて特需あるいは駐留軍の消費等によつてささえられており、一概にこれを申し上げれば、日本経済はまさに特需依存の経済であると言わなければならぬ。またそれによつて辛うじて国民経済、消費水準などが保たれており、一皮むけば実にさんたんたる有様である。しかも、最近における実情は、輸出の面においてまことに不振をきわめておる。それは世界的に平和的な曙光がきざされておる。あるいはまたポンド地域におけるところの輸入制限等が強行されておる。こういつた諸般の事情からいたしまして、日本の貿易実情というものはまことに寒心すべき事態に進んでおります。そこで大臣にお尋ねしたいのですが、この寒心すべき貿易の実態をいかに打開すべきであるかということは、国民生活の水準を維持確保いたしまする問題から申し上げましても、きわめて重大な事柄であることはいうまでもございません。また真の日本経済の自立達成という意味における問題から見ましても、きわめて重要な問題でございますので、通産大臣に新任されました岡野さんのこの問題に対する基本的な見解を、この際承つておきたいと思います。

岡野清豪自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○岡野国務大臣 お答え申し上げます。お説の通りに、日本の現状は、特需というものが非常な助けになりまして、それでどうやらこうやら収支のバランスもついて行つているわけでありますが、しかし、お説の通りに、特需というものが正常貿易ではなくて、われわれが今後自立経済をやつて行くにつきましては、そういうものを当てにしないでも、りつぱに国が立つて行くという方向に行かなければならないのでございます。しかしこれは、申し上げるまでもないことでございますが、なかなか困難なことでございます。しかし困難だからといつて、うつちやつておくわけには行きません。私どもといたしましては、やはり特需というものを目当にしないで、輸出入のバランスを合せ得るような経済を立てて行きたいと考えております。それには、もう川島さんも御承知の通りに、輸出貿易をうんとよくやつて行くということよりほかに方法はないのでございます。ところが、その輸出と申しましても、相手のあることでございまして相手方が輸入制限を最近非常に強化して来ておるという現実に直面しております。同時に、今までの経済の状況といたしまして、日本の物価がコスト高であるということで、二つの点がございます。そこでねらいは、この二つを目標にして輸出貿易の振興をはかつて行かなければならないというのが、どなたもお考えになつておることであろうと思います。そこで輸出貿易を振興して行くにつきましては、一面では外交的立場に立ちまして、まずわれわれが輸出をする上に阻害になつておるところの条件を、調整とか通商協約とか、いろいろな点におきましてならして行く。同時に日本のコストを引下げて行く。それにつきましてはいろいろわれわれ考えている点もございますし、ただいま研究中のものもございまして、方向といたしましてはそういう方面に向つて進んで行つて、できるだけ特需に依存しない自立経済を立てて行くような貿易に建て直して行きたいと私は考えております。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 その気持はよくわかるのでありますが、今大臣の言われました、輸出の問題としてはまず第一にコストの引下げがきわめて重要な問題である。コストの引下げということは、日本国内の経済面における物価の引下げの問題ともつながるわけでありましてそのことなくしては輸出の急激な増大は達成できないということも、これまた明らかであります。そこで今日のような日本の経済のいわゆる特需依存経済というものを脱却いたしまして、ほんとうの意味における日本経済の自立をはかりながら、今日の国民生活の水準を確保し、さらに進んで国民生活の向上をはかりまするためには、従来の吉田内閣のような自由主義的な経済ではとても問題にならぬ。ことに、こういう特需問題が、ことしか来年のうちにかりになくなるような、あるいは激減するような事態が起つた場合、また起ることも予想の中に入れて政府は考えて、政策を立てて行かなければならないと私は思うのであります。そういうような事柄を考えてみましただけでも、自由放任的な経済ではならぬと私は思う。たとえば、コストの引下げによりましても、ただこのままほうつておいたのでは、あるいは金融面の操作くらいでは、とてもコストの引下げの実現にはならないということになりますれば、どうしてもこうしても、社会主義経済とまでは行かなくても、経済の計画化ということは避くべからざる絶対の法則だと私は思うのです。今日のごとく人口が多い。そして国土が狭い、しかも重要な資源は乏しいというこの国情におきまして、人口はさらにまた年々百五十万もふえて行く、こういうような実情を考えたときに、経済の計画というものを抜きにいたしましては、そういうことが望めないのではないかという感じを私どもは強く抱いておるのでありますが、そういうことについて大臣はどのように考えられるか、このままやつておつても、コストの引下げもできる。輸出貿易も大いに盛んにできるのだというほんとうの見通しがあるのかないのか、その点について率直な見解をひとつ披瀝してもらいたいと思います。

岡野清豪自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○岡野国務大臣 お答え申し上げます。御説はしごくごもつともでございまして、この日本の経済自立をやつて行きますのには、どうしてもある程度の計画と申しますか、長期計画も立てなければなりませんし短期計画も立てなければなりません。そこで自由放任の手放しの自由主義ではむろんいかぬと思います。あなた方の仰せになるようないわゆる計画経済というものと一致するかどうか知りませんけれども、しかしこの輸出貿易を振興するという点においては、重点的にこうするとか、また基幹産業をこうするとか、いろいろのことをやつて、そうして一種の計画性を持たなければどうしても打開できぬと思います。これはただ程度の差において、私は計画性を持たなければならぬということは承認しております。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 時間がありませんから、まだちよつと論議があるのですけれども、その点はとどめておきます。  そこでもう一点通産大臣に伺つておきますが、最近、今の経済の計画化あるいはコストの引下げあるいは貿易の増大というような一連の問題をねらいまして、補給金制度の復活の問題が論議に上つております。そして、またおそらく自由党内部においてすらも、この問題は問題になつておるのではないかと思います。たとえば、当面におきまして肥料の補給金あるいは重要な鉄鋼の補給金の問題、こういつた問題が非常に重要課題となつて来ておることはいなめない事実であつて、大臣もこれはお認めのことであろうと思うのでありますが、こういう補給金制度のいわゆる復活の問題について、大臣はどのような見解を持たれておりますか、この際伺つておきたい。

岡野清豪自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○岡野国務大臣 お答え申し上げます。補給金をもつて計画経済を立ち行かせるということは、私は一番やりやすい方法だと思います。しかし、補給金を出すということにつきましては、いろいろの考えなければならぬことがありますので、私も就任早々でございまして、個人として持つておりました議論もございますけれども、しかしよく事実を探求いたしまして、これに対していずれかの断を下したいとこう考えておりますが、まだその点において、その利害得失を研究し、同時に総合的に日本全体の経済のことについても考えている段階でございますから、今日結論を申し上げることは控えさせていただきたいと思います。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 それでは次に移ります。文部大臣が見えておりますので、二点だけ伺いたいと思います。それは、先ほど午前中の私の質問で、総理大臣は、義務教育学校職員法案を今国会に上程するかしなかという問題についてお尋ねをいたしましたところ、必ず上程はすると言明をされました。しかし、この問題については、われわれは断固反対の立場を持つことは言うまでもありませんが、その中で、総理はきわめて注目すべき一言をつけ加えております。それは、その義務教育の学校職員法につきましても、主管大臣がかわつたのであるから、そのかわつた大臣の意見もあるであろうから、その意見に基いて相当研究した上で出すであろう、こういうことを言明されておるのでありますが、新文部大臣は、この問題について、十五国会に上程されました職員法と同じそのままのものを出すつもりであるか、それとも、あの法案を、何らかの形において修正して出そうという心構えでも持たれて、検討されておるのであるかどうか、この際これを聞かしてもらいたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 ただいまのお尋ねにつきましては、これは申し上げるまでもなく非常に論議のある問題であり、また重大な問題でありますので、私といたしましては、十分検討の上で態度をきめたい、かように考えております。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 新文部大臣は、無原則に前回の国会に上程されたこの法案をそのままうのみに出さぬ、というふうに受取れる今の御言明のようであります。従つて、この際重ねてお尋ねいたすのでありますが、われわれは、義務教育費の国庫負担については、年来の主張でありますから、別に異議はございません。問題といたしますのは、大臣も御承知の通り、いわゆる義務教育の学校職員の正常なる政治活動をこの法案の成立と相伴つて封圧をしよう、そこに大きな問題をわれわれは感じておりまして前回の国会におきましても、この法案の粉砕に実は野党連合をもつて当つたわけでございます。そこで、念のために大臣にお伺いしておきますが、大臣は、この学校職員の今日確保されておりますところの政治活動を禁止することがよろしいと思つておるのかどうか、それとも、教員の政治活動というものは、この程度ならばこのままでいいのではないかというふうな見解でも持たれておるかどうか。今十分に研究と言われましたが、その点が研究の問題ではないかと思います。その点はいかがですか。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 御指摘になりましたように、その点について十分研究をいたしております。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 十分に研究といいましても、これは文部省といたしましても、新大臣としてもきわめて重大なのです。大問題のうちの大問題で、一番の問題です。ですから、これは文部大臣に就任するときに、すでにこの問題についてどうするかぐらいの構想というものを持たれるべき問題だと私は思うのであります。従つてまことにしつこいようでありますが、そういうふうに研究中というのでありますれば、どういうふうに研究され、また文部大臣としては、どういうふうな方向にこれを直して行つたならば好ましいものかという、若干の構想ぐらいはお持合せではないかと私は思うのでありますが、その点、練達な新文部大臣のことでありますから、ひとつ率直に明らかにしていただきたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 ただいま申し上げましたように、十分再検討いたしたいと存ずるのでありますが、大体本年度の予算が提出されますまでには、検討を終りたいと思つております。その時分には申し上げることができると思つております。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 どうですか、私どもはこの法案は反対であります。そこで、最後にお伺いしますが、前国会におきましては、野党は、改進党を加えて、相当な議論があつた問題でありますので、ひとつこの際、こういつた問題になりそうな法案については、十六国会においてはとりあえずとりやめる、このくらいの政治的な決断が私はほしいと思うのですが、その点はどうですか。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 午前中の総理大臣の答弁もあつたのでありまして、その点、ただいま総理大臣の答弁と違うことを申し上げることは控えさせていただきます。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 この問題については、大分総理大臣とは食い違つた気持を新大臣は持つておられる様子を察するのであります。しかし、すでに総理大臣が言明したことでありますから、これ以上申し上げることはとりやめておきます。  そこで、その次に一点この機会にお尋ねをしておきたい。私は、この問題についてはまことにしろうとでございますから、あるいは事違いの御質問をするかもしれませんが、御了承願います。それは育英資金の問題であります。この暫定予算におきましても、二箇月にわたつて、しかも従来より多く見積つている。というのは、新年度でございますから、これに該当する、育英資金を必要とする学生生徒が増加するであろうということを見込んでの事柄でありますから、あえて私は異を立てようとするものではございませんが、この育英資金につきましても、これは何か機械的に貸与をいたし、そして機械的にある一定の年限を貸し付け、機械的に大体同一な形で返還を求める、こういつた、あまり味のない育英資金の運用をやつておるように私は聞いておるのであります。日本の民主国家の建設確立ということは、何といいましても、やはり文教の振興。そのためには、貧しい者も教育の機会の均等にあずかるというところに徹底しなければならないと思うのであります。学資に苦しみ、しかも有能な青年をしていたずらに埋もらして行くということは、人材経済の上から行きましても、まことに惜しいことでありますので、育英資金の運用を積極的にされるということは、われわれとしても積極的にこれには協力をいたしたいのであります。ところが、承るところによりますと、この大日本育英会の資金の使い方に問題があるように、世上の一部では伝えられておるのであります。たとえば、大臣はまだ新任早々でおわかりにはならぬと思いますが、ほんとうに貧しい家庭の子弟がおりまして、しかもそれが有能な青年である。そういう者に対して、かなりお百度を踏むけれども、なかなか資金が貸与されない。しかるにかかわらず、あまり貧しくもない、何とかなるような家庭の子弟がこの育英会の資金の恩典にあずかる。こういつた露骨な、まことに寒心にたえない現実の問題が相当あるように世間では伝えられておる。この国の貴重なる育英資金の運用については、十分なる監督のもとに、しかも使う当面の育英会当局におきましても慎重でなければならぬ。そして公正でなければならぬ。あくまでも公明でなければならないと私は考えておるのでありますが、そういうことが行われておるように世上伝えられ、私も若干その実情を見聞をしておる立場の者であります。そういうことにつきまして、今後育英会に対しまして、政府はどのような監督と指導とを与えまして、真実な育英制度の運用をはかつて行くという心構えでおられるのか、その点についての大臣の所見をこの際承つておきたいと思うのであります。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 育英資金の運用の実際につきましては、私はまだよく承知していないのでありますが、これは学生の優秀であること、それからその人の経済的な事情、この二点を勘案いたしまして、それぞれの学校できめる、こういうことになつておるのであります。ただ実際の運用におきまして、ただいまお話になりましたような事柄がありますれば、これは十分将来、育英会に対しても、また学校に対しても、監督をして参りたいと思います。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 かなりの育英会当局の手心といいますか、そういつた問題がないとは言えない実情があるようでありますから、十分に政府は監督をする必要があるのではないかと思います。ついでに聞いておきますが、育英会の資金によつて今日就学しております学生の数というのはどのくらいありますか。また学生に対して貸与いたしておりますところの月額の最低のものと最高のもの、貸与額にも差異があろうと思いますが、その差異などについて、そこに資料がございましたならば、ちよつと聞かしてもらいたいと思います。

稻田清助文部事務官(大学学術局長)

○稻田政府委員 育英会の資金を受けております者は、高等学校につきましては学生の三%でございます。それから大学につきましては学生の二〇%に当つております。その人員といたしましては、高等学校では五万六千人余り、大学につきましては八万六千人余り、そのほか特別研究生とか、あるいはインターンの学生とか、教育奨学生とか、非常に特殊なものがあるわけでございます。さらに、単価といたしましては、高等学校が月額五百円、大学は下の学年が千八百円、上へ進みまして二千百円、その他各学部あるいは特研生その他は特別な扱いをいたしておりますが、こまかい点になりますので、また別の機会にお尋ねがあればお答えいたします。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 この貸与いたします額というものは、あくまでも貸与であつて、返還をしなければならぬ。そこで、返還をするということは原則でよろしいと思いますが、この際、これは間違つたら恐縮でございますけれども、おそらく貸切りというのはないだろうと思うのです。たとえば、貸切りと私が申し上げます意味は、貸して、そのまま返還を求めないという特例を設けるということ。そういつた特例を設けるところの制度もあつてしかるべきではないか。と申しますのは、ほんとうに貧困で、しかも体格、学術優秀だ、そういつた将来を期待される真の意味の人材に対しましては、学資を貸し与えたほかに、その状況によりましては、その額は国家が給与する。このくらいな奨励制度はやはり積極的にあつてしかるべきではないか、こういうふうに思うのでありますが、その点、どのように大臣は考えられておりますか。

稻田清助文部事務官(大学学術局長)

○稻田政府委員 お許しを得まして、政府委員からお答えいたしたいと思います。その点につきましては、もちろん死亡であるとか、あるいは災害の場合に免除する方法は今までとつております。それから、さらに教育学部の卒業生で義務教育の先生になる人々、あるいは大学院の学生で、特別研究生と言われますが、将来研究機関に就職しようとする者等につきまして、猶予免除の方法を開きたいと考えております。先般の国会では、育英会法の改正案を上程いたしましたが、不成立に至つております。われわれといたしましては、そういう点を考慮いたしております。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 先ほど申し落したのですが、たとえば、育英資金を受けながら、その育英資金を実際は家庭の生活費の一部に充てるというような実情もないわけではない。この問題については、いろいろ弊害が起つておるようでありまして、こういう問題はあまり議会でも問題にならぬものですから、だんだん弊害が積み重なつて来ている実情ではないかと、私は非常に心配しておるのであります。どうぞ当局においては、この問題について一層の関心を払いまして、万全な運用をはかつてもらいたいと思うのであります。  そこで、最後に犬養さんが見えておりますので、一応お伺いいたしたい。これは義務教育の問題と同様なのでありますが、これまた総理大臣は、きのうの委員会で、警察法の改正案は断固提出する、こういう話であります。しかしながら、犬養さんは同じ大臣でありますから、別に意見が違つて来ようとは思いませんが、前回の国会にもかんがみまして、さらに今回の少数内閣という政治的な立場もありまして、この問題は相当慎重に取扱われて行くべき性質のものではないか。われわれは再提出は反対であります。反対でありますが、政府の方では、吉田総理の言うことでありまして、再提出をする意思が明確になつたようであります。そこで、大臣におかれては、過去のいろいろな実情、あるいは国会の現状、こういつたものをにらみ合せて、前回に上程した警察法の改正の問題について、何らか根本的な修正でもいたすという考えを持たれておるかどうか。それともまた、総理大臣はああいう言明をされましたが、この国会に出すことは当分見合せるというふうに考えられておるかどうか。その点について、簡単でよろしいですから、お伺いいたしたい。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 川島委員からお述べになりましたように、昨日の当委員会で、総理大臣が、今のところ警察法は再び提出するということを述べられたのであります。原則としてこれはその通りでございますが、今もお話がありましたように、目下の微妙な政局——議会勢力もあのときと変化を来しておりますから、現実の政治家としては、そういうことを勘定に当然入れなければならぬと思います。今これも、陳腐な言葉でありますが、慎重に審議しておる最中でございます。

川島金次日本社会党(右)

○川島(金)委員 慎重な検討をされておることはよくわかるのですが、そこで、この前は、何か十月から実施ということである。しかも、十月からなぜ実施するのかというと、大臣は繰返して述べておられる。非常に緊急必要だと。ところが、解散のおかげで今日まで延びて、昭和二十八年は六月を迎えようとしておる。緊急必要欠くべからざる法案だとして上程されたものが、今日まで延びておりまして、あの警察法の改正がなくても、別に大臣が心配そうに物語つたあの状態は少しも起つておりません。実にきわめて平穏である、とまでは行きませんけれども、何ら事故もない状態である。そういうことを考えてみた場合に、またしても警察法の改正を出すことになりますが、今度の警察法の改正は、緊急事態に処するという建前での再提出ではなくて、別にかわつた角度に立つて提出をするということであるかどうか。それから、もし出すとするならば、一体どのくらいな期間のうちに、この国会中に出すのか。それとも国会中は見合せて次の臨時国会なりその他になるようなことも考えられるかどうか。その点はいかがでございましようか。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 治安情勢から言つて、この前の国会で皆様に御説明いたしましたことが、鬼面人をおどかすということではないつもりであります。その後の情勢も心配な点はございます。けれども、この問題はとにかく論議のあつたことでもありますし、また国会勢力にも変動があつたという現実をやはり率直に見て行くことが必要でございますから、今いろいろな場合を考慮に入れて考えております。どう考えておるかということは、ちよつとまだ申し上げる時期が早いのでありますけれども、今お触れになつたあらゆる場合を考慮の中に入れて、慎重に考えておるということを申し上げておきたいと思います。

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 古屋貞雄君。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 私は、大蔵大臣に御質問したいのですが、大分中曽根君が詳しいところをやりましたから、要点だけを御質問いたします。  暫定予算の中の食糧増産対策費九十九億七千七百万円というのがございますが、これが緊急必要であることは私ども認めます。が、この内容はどういうものであるか、御説明をいただきたい。そうして後に質問を続けたいと思います。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 内容といたしましては、土地改良がおもでございます。それから開拓、耕種改善、これは品種の改良であります。それから病虫害防除、大体そういう経費がおもであります。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 大蔵大臣は、中曽根君の質問に対しまして大体農業災害補償を重点に農村問題対策をお考えになつておられるとおつしやいましたが、そうすると、現在のわが国において最も重要なことは、外国から二千万石以上の食糧を買い入れておることです。従いまして、それに支払つておる数百億の金を国民が負担しておる。さような場合に、食糧増産が必要であることは私ども十分認めます。そこで、農村における農民の不可抗力による損害についてただいま大蔵大臣は、農業災害補償制度によつてのみ救済するというお話でありますが、現在の農業災害補償法に基くわずかな補償制度で、一体日本の増産計画が行われるかどうか。一方においては、土地の改良に大きな金を使い、さらに開墾を奨励し、食糧増産を奨励しておりながら、最も良田であり、長年の間相当の生産をあげております土地が被害をこうむつて、農民がその日の生活にも窮しておる、さらに来年度の生産の準備にも事欠くというような場合に、それを災害補償ぐらいのはした金で、言いかえますならば、今回の凍霜害のような莫大な不可抗力による被害、これは農民自身の責任においての収穫不能あるいは減収ではございません。天災地変による不可抗力であります。さような場合の不可抗力のおかげで、農民はその日の生活にも困る、のみならず肥料代にも困る、翌年度の生産の準備金が出ないというような場合に、現在のような災害補償のわずかばかりのはした金で救済するということでは、目的は達せられない。これは焼け石に水であります。しかるに大蔵大臣は、ここに緊急必要費としてかような金を計算して審議を求めておられるのですが、一方においては災害補償法でごまかすというようなことは、これは政策に矛盾する、増産の目的に相反する結果になると思うのですが大臣の御所見を承りたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 私どもが今度の災害に対しまして決して冷淡でおるわけでないことは、先刻申し上げた通りであります。従いまして、目下いろいろ事務的にもまた政治的にも考慮をめぐらしまして、この二、三日中に確案を得て御協議申しげたいと考えておるのでありまして、ただ、そのうちに肥料代等の問題をどうするかということについて、あるいはまたその金額等の問題はまだ最後の決定を見ておりませんけれども、いずれにいたしましても、今度の凍霜害等に対する処置といたしましては、政府としてやり得る最善を尽したい、かように考えておる次第でございます。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 私は、ただいまの大蔵大臣の御答弁と、中曽根君に対する御答弁について、さらに重ねて承りたいのですが、大蔵大臣は、先刻、いまだ今回の凍霜害被害の金額がわからない、かような御答弁がございましたが、私ども五派の凍霜害対策の懇談会と申しましようか、協議会の席上で、農林省におかれましては、この被害が九十億円だという発表をしております。そうして、本年度の四月、五月の予備費をこれに振り向けるようにするということに五派の相談がなりまして、それに対して、各被害項目に対する割当をしてもらいたいということを農林省にお願いいたしましたところが、農林省では、その割当までいたしまして、われわれに報告をしたのでございますが、大蔵大臣の方ではやはり被害総額がまだ不明だとおつしやるのですか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 被害総額等につきましては、また農林省の要求につきましては、一応相談を受けておるのでございまするが、しかし、これらについてもよく両方で検討する必要があつて、目下両者の間に事務的に十分な折衝をいたしております。国としての予算を出し得るものと、しからざるものとございまするので、これらの点につきまして十分な検討をいたしました上に、少くともこの二、三日中に最後の結論を得て、皆様の方へ差出したいと考えておる次第であります。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 それでは、もう一つ承りますが、さような緩慢な態度をとられておりますと、災害をこうむりました桑園なとに対しては——これはある程度の金をかけますと挽回ができるのであります。それが、いわゆる速効肥料を無償配給してもらいたいという全農民の要求なのであります。また病虫害の問題についてもそうでありますが、大蔵省がさような緩慢なお考えでいらつしやいますと、この被害がさらに拡大するということになるのであります。その責任はよつてもつて政府にあるのだということで、農民から逆襲をされるおそれがあると思うのですが、すみやかにやる方法はございませんでしようか。なお、農林省、考えられた五億六千万円の緊急措置としての病虫害対策の問題、農薬の費用などにつきましては、大体割当をいたして参りまして、おそらく農林省といたしましては大蔵省にこの承認方を要求したという事実があると思いますが、そういう事案があつたかなかつたか、承りたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 その案に基いて目下両方で相談をいたしておる、協議をいたしておる次第でありまして、結論に達し次第——その結論を今急いで出した上で御相談を申し上げたい、かように考えておる次第であります。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 その点は至急にお願いいたしたいと思うのでございます。ただ私は、ここで増産に対する大蔵大臣の御所見を承りたいのであります。日本の食糧増産が至上命令であり、特に生糸の方は外貨獲得についての大きな役割を果しております。従いまして、農民生活の安定ということは、いずれの方面から考えましても非常に重要な問題でありまして、現在の政治の最も重点はここに置かれなければならぬというようなことを、われわれは考えておるのでございますが、大蔵大臣の方は、農林省並びに農民の要求によつて、天災地変に基く災害は全額国庫負担をするお考えがあるかどうか。私どもから申しますならば、また農民から申しまするならば、ただいま議論になつておりまする、いわゆる防衛費用あるいは保安庁経費というようなものが毎年ふえて参つております。さような方面に国家の予算を使いましていわゆる不生産的方面にそういう予算をたくさんおとりになりまして、生産に必要な、しかも日本で一番問題になつておりまする食糧の増産、自給生産の問題に対する農民の生産の段取りをする費用がない。言いかえまするならば、もしもかりに第三次戦争が起きて、外国から日本に食糧を輸入する輸送力がなくなるということになりますならば、——これは外国の船によつて輸送されておりまするから、それらの国々に戦争が起きますると、輸送力が絶無となるおそれがございまして、さような場合には、二千万石あるいは相当莫大な食糧が日本に輸入されないことになる。従いまして、食糧が輸入されない場合に、食糧不足から受けるところの国内不安は、まことにわれわれは憂慮にたえない重大な問題であると考える。かような場合に、共産党の暴力革命、いわゆる群衆心理利用の暴力革命が起きるおそれは多分にあると思う。この点は、犬養法務大臣もいらつしやるから、御了承になると思いますが、国民は、食糧がなかつた場合、終戦直後の二十一年のあのありさま、さらにあれ以上の食糧不足を現出した場合にはどうなるか、かような場合を考えますならば、まず防衛費を省き、あるいは保安庁経費を削減いたしましても、全額国庫負担とするのが当然であるようにわれわれは信ずるのでありますが、それに対する大蔵大臣の所見を伺つておきます。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 食糧増産のきわめて大切なことにつきましては、私どもまつたく御同感でありまして、これがために今日までも非常な巨額の金を出して来ております。今後もそれについての費用については、適切な限りは費用を収縮する考えは毛頭持つておりません。また、今お示しになりました生糸、つまり養蚕関係等の大切なこともお話の通りでありまして、私どもも、これがために諸般の予算を計上しておることは、これまた御承知の通りであろうと存じます。但し、今度の凍霜害等の場合について申しましても、政府としてでき得ることは、私ども全部いたしたいと考えておりまするが、しかし御承知のように、個々の農家の場合につきましては、あるいは病害虫とか、あるいは一般の災害等、共通的なもの、一般的なものと違うものがございます。こういうものは、今までの大蔵省のやり方では、予算の査定から申しますと、出しておりませんので、この点をいかにすべきかを今検討しておるところでございます。二、三日お待ちを願いたいと存じます。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 二三日を待ちますと、大蔵大臣は、全額国庫補償というような構想のもとに、今回の凍霜害対策を講ぜられるというように承つてよろしいのですか、その点を伺いたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 ただいままで農林省その他から受けておりまするものも、全額国庫負担というような案ではございません。二分の一を国庫で持ちたいという御相談を受けておる次第でございまして、今お示しのごとく、全額国庫負担というようなことでございますならば、私どもは、ただいまのところ、さようには考えておりません。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 私が全額国庫負担ということを申し上げたのは、開墾をする費用をたくさん計上されて開墾をいたしましても、日本の国内における実情は、今後開墾をするようなところの土地は、従来いろいろの支障がありまして、天災地変の関係上、気候の関係上におきまして、収入が生産に伴わないという土地が大体多いのであります。かようなことがおわかりになつても、なおそこに莫大な開墾費用を投資しておりながら、良田の収穫が不能になる、あるいは収入が天災地変で減額されたような場合に、翌年度の生産をすることに御努力を願わない。それに焼け石に水のような金をこちらに補助する。現在のような二分の一というような金ではとうてい農民は立ち上れません。ということは、従来吉田さんのやつて参りました第四次内閣までの農業政策は、農民には低米価、低賃金政策で、資本主義のつつかい棒なんかしておりまして、農民を収奪しておりました。農民を貧乏にしておけ、貧乏にしておけば農村に仕事がないから、農村の二、三男は東京へ出て来る。そうして東京へ出てその産業予備軍をさらに強化して、低賃金で資本家にもうけさせるというようなことばかり今日までやつて来た。大蔵大臣は、従来やつておらないから、それでやれないというようなお考えをもつと進めて、農業政策に明るい——農林大臣をお勤めになつて、十分農業政策には明るいはずであります。権威者であるとわれわれはあくまで考えておりまするが、そういう方が幸いに大蔵大臣になりましたから、今回の凍霜害対策などは、私は、完全に保安庁費用あるいは防衛費を持つて来てもやつてくれる勇気があると確信して、実は待つておつたのであります。しかし、先刻の中曽根君の質問に対する答弁のように、農業共済くらいの程度ということになれば、これではわれわれは失望するのですが、どうでしよう。今回限り、ことしの凍霜害対策に限つて、農業災害補償法に基き、あるいは緊急対策によつて、補助いたしました残りの損害を、ひとつ全額を払うというような緊急処置をおやりになつていただくような御意思があるかどうか。幸い議員立法で議員の方から全額補償のような立法をした場合には、大蔵大臣はこれに対して応ずる気構えがあるかどうか、お心構えがあるかどうか、これを承りたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 繰返し申し上げまするようですが、私どもは農村の繁栄と農村民の幸福は心から念願しておるものであります。しかしながら、やはり災害等の場合につきましても、一般的なもの、共通なものにつきましては、国がなし得ることが相当今まであつたのでありまするが、個々の場合のものになりますると、必ずしもさように行つておりません。また過去にはそういう例等もございませんので、今度の処置をいかにすべきかということにつきまして、目下非常に検討しておる次第でございまするので、その検討が終るまで、それも長いとは申しません。二、三日でございまするから、しばらくそれまで時をかしていただきたい、かように申し上げておる次第でございます。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 さような御親切なお考えがあれば待つておりまするけれども、ただ根本の対策に対する構想の問題が、相当私どもと考えが違つておるようでありますが、どうでしよう。二、三日たちますとそれがはつきり明瞭になりますでしようか。実は、今回の農林省の発表によりまする被害面積は二十四万余町歩になつております。それで、ほとんどこれは個々人の損害、被害であるということをおつしやいますけれども、ある地方におきましては、ほとんど一般的に、普遍的に損害を受けております。しかしながら、一般的な被害であるからこれを特別に援助し、個々の被害であるからこれに対する保護政策が完全に行われない、こういうようなことはどうもわれわれは納得が行かないのであります。一般の場合には相当大きな額に上りまするから、現在の日本の経済の建前からは相当困難かとは存じますけれども、今回のように、個々人であり、一部のようなものであつて、総額九十一億と推定されておりまするが、私どもは、かような小さい金であるから、何とかならないかというような要求を申し上げておるわけであります。そうして、農民はひたすら今日まで一本の産業復興のために黙々として働いて参つておる。しかしながら、御承知の通り、農民は土地と太陽とに取組んでおるのでありまするから、土地と太陽との、いわゆるおてんとうさんがへそを曲げるということになると、農民の責任にあらずして、丹精をいたしましたけれども収穫が上らなかつた。現在の農村の実情は、一たびことしのような霜害がありますならば、これは一生貧乏して、結局これがために娘を売らなければならぬというような実情でありまするのが、農村の姿であります。でありますから、農民諸君は、今回の凍霜害に対する対策については、非常に真剣であります。大蔵大臣は今二、三日待て、二、三日待てと申しますけれども、農民諸君の精神的に受けた打撃は非常に大きいのであります。従いまして、ほんとうに親切でいらつしやいますならば、もうとつくにこの対策は行われておらなければならぬという実情に置かれておるのであります。もう二週間以上、三週間になんなんとしており、私どもは毎日のように陳情を受けております。私どもはここに参りまして、かような議論をするひまもないほど陳情を受けておるのでございます。もしこれがあやふやで、完全な保護政策が行われないということになりますると、これは実に大きな問題が起きると思うのであります。どうかこの点を十分お含み願いまして、農民諸君の生活の安定はもちろんのことでありますが、来年度の生産に事欠かないような程度の対策をすみやかにお願いしたいのです。翌年度の生産ができないということになりまするならば、これは重大なゆゆしき問題になります。今にしてこれが対策を講じまするならば、その被害は相当すみやかに回復ができると思うのでありますが、この点について承ねて大蔵大臣のお考えを承りたいのです。来年度の生産に事欠かないような対策によつて保護政策を行う御構想でありますかどうか、承りたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 今お話の点はよく承りました。営農資金等、そういうことの必要な資金については、資金上の措置は十分講ずるつもりでおります。ただ、さつき申しました肥料の問題ですが、肥料を国が二分の一、県が二分の一やるかどうかという問題につきましては、少し研究しておりまするので、最後の結論に達するまでお待ちを願いたい、かように考えておる次第でございます。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 その点はやむを得ませんからお待ちをいたしまするが、できまするならば、すみやかに対策を講じていただきたい。  それからもう一つ承りたいのは、営農資金の貸出しの問題でございます。主計局長がいらつしやいますが、農林中央金庫から貸しておりまする金は相当利息が高いのであります。一割一分五厘でありますが、かような高い利息では、農村の現在のような低物価政策でありますと、一石一万円以上でなければ生産費が償わないのに、農民から七千五百円で一石の米を買い上げておるような実情でありますから、農民は非常に生活が急迫いたしております。従いまして、営農資金の問題を考えるときに、一割一分五厘というような高い利息では、とうていこれはやつて行けない、返済は不能であるというようなことに相なるのでありますが、これに対して、今回の営農資金を潤沢に貸し出すことができるような御処置を願いたい。利息をもう少し安くしていただきたいと思うのですが、国家資金運営の面から、相当の金をまわしておきまして、安い利息でこれが使えるような御処置ができるかどうか、それに対する御計画があるかどうか、これを承りたいと思つております。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 農中なり、今度できた農林漁業公庫なりを通じての問題は、資金上の問題は十分考えております。それから利子補給をどうするかという問題につきましても、これは目下検討中でございますから、この程度等につきましては、これもさつき申し上げた通り、数日お待ちを願いたいと存じます。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 みな数日を待てということばかりでありますが、それがわれわれの考えておるような、農民の要求するような対策を講じていただけるならばけつこうであります。お待ち申し上げておきます。  そこで、先刻私どもの方の田中委員から承りました防衛費のことですが、百五十億の中に施設提供費というものが入つておるのか入つておらないのか。入つておるとすればどういうようなものであるかという内容の御説明を主計局長にお願いしたいと思います。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 百五十億の中に、在日米軍に対する交付金が大体百三十九億ございまして、施設提供等に伴う金が大体十一億であります。これは現在提供いたしておりまする土地建物等の借り料等がおもでございます。

田中織之進日本社会党(左)

○田中(織)委員 それに関連してお伺いいたします。今主計局長の御答弁によりますと、現在提供しておる施設の借り料等であるということですが、そういうような関係は、先ほど川島委員の質問にありましたように、防衛費関係で本年度へ繰越されたものの中から、当然向けられてしかるべきだと思うのですけれども、それを暫定予算の中に組んだという根拠は一体どこにあるのですか。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 これは、不成立予算でありますと、六百二十億のうち五百五十八億が在日米軍の交付金、残りは六十二億ばかりでありますが、前年度からの繰越しのものもございますが、この施設提供等の経費には、いろいろ軍その他の補償金もあるのでございます。前年度から繰越しのものにつきましては、各地の補償関係におきまして、金がいろいろ折衝の上なかなか額の決定いたさないものがございまして、そういうものが相当額繰越しになつて参つておるのであります。従いまして、繰越しのものにつきまして、ある程度ひもがついておる。大体支払わなければならぬものが相当ございますので、もしその場合におきまして、その繰越額で不足するといつたような場合におきましては、施設提供等の今年度におけるその金が不足すると困りますので、そういつた金を一応十一億円程度と見込みまして計上いたしました。

田中織之進日本社会党(左)

○田中(織)委員 その点は、従来二十七年度から引続き提供している施設の関係のものには間違いがございませんか。これは新たに四、五月の間に駐留軍に提供する施設の関係の費用ではないかという疑いがあるわけなんですが、その点は主計局長の御答弁の通り間違いございませんか。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 新たに提供するものと予想いたして積算いたしたわけではございません。従来ありまする土地、建物につきまして借り料等を計算いたし、また漁区その他の補償費でなかなか具体的な金額がきまらないものもありますが、そういうものも見込みまして計上いたしました。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 最後に大蔵大臣に一言だけ伺いますが、前回の国会を通過いたしました第四次吉田内閣のときの保安庁費が二百億くらいふえておるようです。今回はどうか知りませんが、そういうような費用を今回の凍霜害の対策の方にまわすようなお考えが大蔵大臣にあるかどうか、お伺いいたします。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 保安庁費は前年度からある程度繰越しがあるのでございますが、これは先ほど申しげましたような事情で、調達が遅れている関係でございまして、一応の使用の計画を持つておるものでございますので、これを減らしてまわすというようなことには、ちよつとただいまのところ行きかねるのではないかと考えております。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 そうしますと、食糧増産のような重要な政策はそのままにしても、日本の防衛費あるいは保安庁費というようなものをどこまでも御主張にならなければならぬというような理由を承りたい。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 食糧増産も非常に大切なことでございまして、これも積極的に推し進めなければならぬと存じますが、現在おります保安隊の人員を維持し、また現在の装備を充実するということもまた一つの方向でございますので、いずれを重しとして、これの金があるからこちらへというわけではなしに、予算全体としていかに配分するかということを考えるべき筋合いのものであろうと考えております。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 吉田総理は、口を開けば、再軍備よりも国民生活の安定というようなことをおつしやられて、それが吉田内閣の御主張なんです。そうすると、主計局長が今お答えになつたのですが、私が承りたいのは、いずれを先にすべきかという問題について、どうお考えになつているかということであります。防衛費を先にやるべきものであるか、それとも食糧増産を先にすべきものであるかということの、その比重の点はいずれに置くかということに対するお考えを承りたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 私は、この予算を編成するのに、不成立予算を編成した当時も、また今も、これは同時に同様の重点を置いて考えている次第であります。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 そうすると、大蔵大臣は同様に考えておられる、こういう仰せなんです。その点はわれわれ承服いたしませんが、さようなお考えでございますれば、これは後ほどにまわします。  次に、法務大臣に承りたいのですが、この時限法は——期限付の法律は特殊な事情がございまして、いずれも時が定められている。それを今回特に緊急集会において決議されておりますが、これに対するその緊急必要だという理由を法務大臣から御説明願いたい。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 これは仰せのように、外国人登録の問題と少年院の問題でございます。外国人登録の方から申し上げます。御承知のように日本に在留いたします外国人を登録してもらう方法としまして、登録証書に指紋を押してもらうということをきめたのでありまして、それは昨年の四月二十八日に公布されたのであります。なぜそういうことをしたかと申しますと、その登録証書の偽造、変造が非常に多いのでありまして、まことに困つております。結局いろいろ知恵をしぼつたのでありますが、これはおもに治安上の関係もございます。それじやすぐやつたらいいかということになりますと、この登録を受ける外国人に、まだこの趣旨が徹底しておりません。ことに強制的に指紋を押してもらうというようなことは、わが国でも初めてでございますので、一年間の猶予期間を置いた方が妥当である、こういう考え方であります。その一年間というのがこの四月二十七日に切れまして、とりあえず先般の緊急集会で二月の延長をお願いしたわけでございます。もしこれをお認め願えませんと、結局一どきに指紋を実行するということになるのでありますが、それではいろいろさしさわりが起ります上に、ことに目下日韓会談によつて日韓両国の親善関係が促進されるという折から、外国人と申しましても、六十万の登録外国人の中の約九割が韓国の人でありますので、ことに無用の摩擦をこの際起すということは外交関係にもよろしくない。また一部の韓国の人は芳ばしくない行動がありますけれども、一面非常に日本に住むことを心から喜び、日本を愛しておる善良な韓国の人もおりますので、そういう人に対しても無用の摩擦を起すということは、急いではまずいんじやないか、こういう考え方で、緊急に延長をお認め願いたいという趣旨に出たわけなのでございます。  また少年院の関係は、事柄が少し専門的でこまかくなりますので、ここに政府委員かおりますから、政府委員から説明いたさせます。

中尾文索法務事務官(矯正局長)

○中尾政府委員 少年の年齢を引上げましたときに、少年監護所と少年院とに収容いたします者の人数が非常にふえました関係がありますので、一時拘置所の一部を使用することにいたしましたが、その期限が今年の三月三十一日ということになつておりました。それでこの四月からそれに切りかわる新しい方法を、やることにいたしまして、その改正法律を出しておつたのでございますが、それが衆議院だけを通過いたしまして、参議院で審議願つております間に解散になりまして不成立になりましたので、またあらためて今度の国会にその改正法を出さなければなりませんが、その間のつなぎといたしまして、従来の処置を延長していただくということになつたわけであります。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 その点は了承いたしましたが、ほかのたとえば第二の点、租税特別措置法の問題、これはこの法律によつて国家収入が減つて参ります。この関係は、単に緊急集会において期限を延期したということによつて、国家の収入が減るという関係になる。財政法の精神から考慮して、非常にこれは違法なように考えられますが、この点の説明を大蔵大臣からひとつお願いしたいと思います。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 この租税特別措置法は、今年の一月から実施いたしております減税法でありまして、航空機用揮発油につきましては、従来ガソリン税を免税いたしておるのであります。その期限が三月三十一日で切れましたので、これを別途延長するような法律を出しておりましたのが流れた関係もございまして、二箇月の間これを延長する必要があると考えたのであります。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 別に法律で出していらつしやるのに、どうして緊急に必要であるかという点の理由の御説明をお願いしたいと思います。かような国家の損をするような免税の特権を、政府は一部の者に与えておる。それをさらに延長せねばならぬ緊急な必要のある理由を、ひとつ御説明願いたいと思います。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 結局、この特別措置法で、航空機の燃料関係のものの免税をどうして規定されるかという事柄に帰すると私は思うのでございますが、これは一事業者を国家の犠牲において育成するという趣旨ではなくて、むしろわが国における航空事業の育成という大きな国家目的から設けられておる条文であろうと存ずるわけであります。その条項が、ただいま説明いたしましたように、三月三十一日ではからずも切れることになつたというわけで、これを航空事業の育成という観点から、やはりつなぐということが必要であろうし、こうしてその措置は三月三十一日までにとりませんと切れてしまいますから、そこで緊急の必要が出て来たというふうに考えておるわけであります。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 どうも今の説明を承ると、二月くらいの間これが切れてしまいましても、あらためてまた提出して、その法律の審議を受ければけつこうだと私は思います。それをそう思うとか、あるいは奨励したいとか、保護したいとかいうふうな、政府だけの一方的なお考えでこういう重要なものを決定するということは、緊急集会の性質に反するものである、かように思うのですが、いかがでしようか。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 御趣旨はよくわかりますが、われわれとしてはこれをもつと長く延長するという法案を提案申し上げておつたわけであります。それが不成立になりましたために、結局暫定措置をとらざるを得ない。暫定措置をとるといたしますと、今御指摘の緊急の必要性の問題がございます。というのは、総選挙が終りますれば必ず新しい国会が召集され、御審議の機会はそこに出るわけでありますから、その期間を越えての期間を暫定措置としてきめることは、これは非常な僭越な結果になるわけであります。その意味で必要の最小限度の二箇月を延ばしておきまして、その後正式な措置は国会においておきめを願うという立場からできておるのであります。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 私が伺つておるのは、一応期限がありますから、期限が切れて効力がなくなりましても、あらためて今回の国会でこれをきめればいいのでございまして、その二月を、しいてさような措置をとつて、国家の収入に重大な関連を及ぼすようなことをやられることは、政府の国会軽視ということになりはしないか、それから国会に対して非常に甘くお考えになつておるということになりはしないかという考えを私は持つておりますが、この点はいかがでありますか。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 これは課税のやり方が引取り課税ということになつておりますために、そのブランクができますと、その分をあとからさかのぼつて免税するということができませんので、どうしてもつなぎが必要である、かように考えたわけであります。

田中織之進日本社会党(左)

○田中(織)委員 ちよつと関連して法制局長官に伺いたいのですが、この期限等の定のある法律につき当該期限等を変更するための法律でありますが、これは今同僚古屋委員から質問申し上げたように、いろいろ雑多な関係のものがあると思います。たとえば歳入の減少を伴う関係のもの、それから法務大臣から御答弁になりました外国人登録令の関係等の問題、あるいは軍人恩給の復活を停止する措置を延長する法律等、ずいぶん性格の違うものが幾つか一本の法律できめられておるわけです。これは最近、ともすれば政府から提出して来る法案には、何々等の改正変更に関する件というので、よく大蔵省の方で出したがるくせがあるわけですが、私は、立法技術の点から見て、性格の違うものを一本の法律に入れるということは大きな問題を残すと思うのです。特に性格がまるつきり積極的な効果を持つもの、あるいは消極的な性質を持つものというふうに、少くとも二類型にわけるかして出してもらわなければいけないと思うのです。参議院の緊急集会の場合には、そういうものに対する修正権の問題等の議論も行われたようでありますけれども、こういうことは前例になると私はよくないと思う。平生からでもよく見受ける問題でありますが、この点については、将来の問題でありますが、改めなければいけないと思うのです。こういうことでは、実際立法技術の面に非常な混淆を生ずると思うのでありますが、その点についての法制局長官の御所見を伺つておきたいと思います。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 ただいまのお話は非常によくわかります。われわれといたしましては、今御指摘のように先例もありますし、それからこの案件は申すまでもなくいろいろ雑多な案件ではございますけれども、その目標はすべて三月三十一日現在における状況をさしあたり暫定的に延ばすという目的においては全部一貫しておるわけでございますから、かような編纂方法をとりましたけれども、しかし今のような御批評もあることは承知いたしております。従いまして、一つの貴重なる研究上の問題として考究するつもりでおるわけであります。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 私の質問は終りました。

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 河野密君。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 委員長、緒方副総理は見えますか。

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 まだ連絡がとれていないそうであります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 私は、もうすでにいろいろな人から質問されましたから、ごく簡単に、この法案を審議するについて、われわれどうしても納得の行かない一つ二つの点だけをお尋ねいたします。  その第一は、大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、今この委員会にかけてある暫定予算と、それから予算委員会にかけてある暫定予算とは同じものですか。違うものですか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 この委員会に出してありますのは四、五月分であります。それから予算委員会の方へ出してあるのは六月分を入れた補正であります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 明答弁ですが、私の伺うのは、同じ趣旨によつて編成された暫定予算か、こういうことであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 国会のあるときとないときと多少違いますが、大体骨格予算を出しておるという点については同じでございます。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 それでは政府にお尋ねするのでありますが、憲法第五十四条の二項に言うところのいわゆる緊急集会に出し得るところのもの、これは今申し上げた国会が平常の形において行われておる予算も、それから緊急集会に出し得る予算も同じものが出し得る、こういうふうに政府は解釈しておるのですか。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 ただいまのお話は、むしろ形式と申しますか、そういう面に重点を置いてのお話しではないかと思うのでありますが、たとえば、立法事項については法律という形式がきまつておりますし、お金の関係では予算という形式がある。またその予算の中に、本予算不成立の場合に備えての暫定予算という形式があるということは、ほかの法制できまつておるわけであります。そういうものはいずれも、平常であるならば、国会の議決を要する事柄であるということにきまつているわけでございますが、それが衆議院の解散になつた場合に、それらの措置をどうしても必要とするという場合に緊急集会にかけられる。従つて、緊急集会にかけられるものは、法律でありまた暫定予算であり、その他の国会の権限に属する事項であるというように考えておるわけであります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 今法制局長官の説明を聞きますと、ほかの立法事項に関すること、それから予算措置に関すること、それらのものはすべてこれは緊急集会にかけてさしつかえない。政府の見解によれば、いかなるものであつても、ほかの立法によるもの、あるいはほかのかくかくの予算措置によるときめてあるものなら、何を緊急集会にかけてもさしつかえない、こういう御見解ですか。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 何をとおつしやいますのは、内容と申しますか、実体を取上げておつしやつていらつしやるのか、あるいは形式の問題として、法律あるいは予算という御趣旨であるのか、ちよつとはつきりいたしませんけれども、先ほどはまず形式の問題から一応申しげたわけであります。ふだんならば国会の両院を煩わすべき事柄を、この際は参議院のみの議決によつて成立するのだということがその一つであります。そこで今度は内容の問題となりますと、今の必要性の問題ということで、おのずから制約が出て来る、そういうことであろうと存じます。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 むろん内容によるところの制約ということが問題になると思うのであります。そこに私が緒方さんを呼んだ理由があるのでありますが、はつきりしていただきたいと思うのは、この憲法全体を通読してみて、憲法は大体予算が通らない場合に解散するということを前提にしておらないという考え方は、どうでしようか。政府はそういう考え方をお持ちになるかどうか、これが一つ。それから、少くともこの憲法の条項を克明に読んで、そして財政法第三十条にいう暫定予算というものをそのままかけるということは、これは憲法の予想しておらないことであるというふうにお考えになるかどうかというのが第二の意。それから、この憲法全体を通読してみて、今われわれが当面している問題の場合においては、規定の不十分な点があることを率直に認められるかどうか。こういう点をひとつ明確に御答弁願いたい。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 三つお尋ねがございましたが、順序から申しますと第二の方を先に御説明した方がよかろうかと存じますので、それから申し上げますが、三十条にいう暫定予算がかけられるかということは、もう一つ元へ深くさかのぼりますと、そもそも予算というものはかけられるかという問題になると私は思います。それにつきましては、この間来申し上げます通り、また先ほども触れました通りに、この緊急集会にかけ得る事柄は、およそ国会の両院を煩わすべき事項ということであると考えておりますから、それに該当します以上、予算はもとよりのこと、暫定予算も入つて参ります、但し緊急ということになりますから、まさか本予算がかかることはあり得ないわけでありますから、暫定予算というお言葉がありましたのはごもつともと存じます。しかしながら暫定予算といえども、もちろんこの緊急集会の議決になり得るということは私どもは確信しております。  それから、そこで今度は解散にひつからめてのお尋ねになつて参るわけであります。予算が通らないのに解散ができるかというお言葉でございましたけれども、これはたしか午前中にも黒田委員にお答えしたことになりますが、要するに、この憲法の解散権というものは、第一に不信任決議というものに対応しておることは申すまでもないことであります。不信任決議に対応するものとして、不信任決議についての別段の制限がないという以上は、それに対応する解散権についても別段の制限がないと見るべきじやないかと思うわけであります。しこうして、この六十九条でございますが、ここに条文があつて、十日以内に云々ということがあるわけであります。この間も河野委員でありましたか、十日以内ということは、結局この間に善後措置を全部とるべきじやないか、そういう趣旨で十日の期間があるのじやないかというお言葉がございましたけれども、私どもはさようには考えません。これは内閣の進退を決すべき猶予期間というふうに考えておりますから、そこに解散権を制限する意味の趣旨は出て参りません。もしもそういう趣旨でありますならば、ここにさらに、善後措置をとつた上でなければ解散することができないという条文が入る。またその場合でありますならば、私は十日以内にまず進退をきめてそれからさらに十日以内に善後措置をとるということで、あるいはこれは二十日にしておかなければ趣旨が通らないのじやないかというような考えを——これはよけいなことでございますけれども、持つようなわけでございまして、あらゆる面から見まして、今のような、予算を通した上でなければ解散ができないという趣旨は、私はうかがわれないと考えておるわけでございます。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 それではごく簡単にお尋ねします。その憲法によつて、善後措置がどうなるか、こうなるかということはしばらく別として、憲法をそのままありのままにお読みになつて、そうして解散及びそれに伴う予算の問題についての憲法に規定されている措置では、これはいろいろ不都合が生ずるということは、お認めになるのですか、ならぬのですか。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 私は、憲法の本質というものを、いわゆる骨格予算という意味の骨格でございますが、骨格であると考えておりますから、非常にこまかい、微に入り細をうがつたところまでは書いてないと思います。従つて私は、これを平たく読みまして、先ほど来申しあげておりますように、五十四条第二項の緊急集会にかけ得べき事項というものは何も書いてありません。ただ措置と広く書いてあるだけであります。また六十九条につきましても、善後措置を尽した上でなければ解散はできないということも出ておりません。従いまして、これを表から読みますれば、いずれも非常に幅広い運用の問題に私はまかされていると思います。そこで、その運用の一つの慣習と申しますか、憲法上の習律というものがそこに期待されていると思うのでありますが、これについての批判というものは、たとえば予算の場合で考えますれば、予算を整えずしてかりに解散したということについて批判があるとすれば、それは解散後における総選挙で、主権者たる国民の直接の批判にそれがさらされるというのが憲法の建前でありますから、そこにおのずから、りつぱな慣習が出て来るのではないかというように見るべきものだと、私は実は考えておる次第であります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 どうもことさらに問題をまわりくねつて御答弁になるようですけれども、私は率直に答えていただきたい。それは、政府は、この憲法の条章に、暫定予算の形で緊急集会にかける以外に方法がないからということで、これはお考えになつてあつたのか、あるいは無理だとは知りながらもそれをやることをあえてされたのか、ここが私は問題の要点だと思います。これは私はその点をあなたに答弁しろというのは、あるいは無理かもしれないと思いますけれども、これは初めてのケースなんだから、これは前例になるのだから、われわれははつきりしておきたいのです。あなたの言われるように、どんなものでも緊急集会にかけられるという、そういう観点をとるならば、私は憲法がこれ以上に緊急集会の——けさも私はあえて英文のことを言つたけれども、「ザ・キヤビネツト・メイ・イン・タイム・オブ・ナシヨナル・エマージエンシー」という、そういう言葉をしいて使うはずはないと私は思う。そういう場合を考えておるのに、これはそういうものであつても何でもかけられるのだ、法律でも予算でも何でもかけられるのだというならば、これは国会を解散しておいて、そうして緊急集会で、参議院を操縦することによつて、何でもできるということになる、おそるべき思想だと私は思うのですが、その点を聞いているのです。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 私はきわめてすなおな態度で実は考えておるつもりでございます。第一には、五十四条、六十九条を見ても、何ら明文上の制限はない。さらに憲法の精神をたどつてみましても、この間触れましたように、議院内閣制の本質から来ますならば、不信任決議に対応する解散権の方に制約があるはずがないということから行つて精神上も私の考えは間違いないと思いますし、なおかつその暫定予算措置については、参議院というものの御審議を経て、そうして民主的に可決されたものであるということと、さらにはそれらの措置は、総選挙によつて、直接国民の批判にさらされるということを全部総合してみますと、私の考えはあながち間違つておるとは私思わないのであります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 それではそれはそれとしておきます。  今度は大蔵大臣にお尋ねしますが、大蔵大臣は、これは暫定予算の形においてお出しになつたのですから、先ほど来いろいろな同僚諸君から質問がありましたように、この暫定予算の中には使つていないものもあるし、現に残つて使わなくてもいいものも含まれているわけです。そういうことでありますから、これをわれわれが修正してもさしつかえない。国政の運用に何ら支障を来さないと私は思う。修正してもさしつかえないし、あるいはこれを場合によれば否決してもちつともさしつかえない、こう思うのですが、大蔵大臣はどうお考えですか。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 一応私から、この間お答えした経緯もございますから、述べさせていただきます。衆議院の審議権に属することでございますから、われわれが横合いから意見を申し上げることではないということを、この間お断りしたわけであります。しかし、しいてわれわれの見解をお尋ねになりますならば、今回のこの審議についての実体は、すでに暫定予算として一応参議院の議決を経て成立したものでございますから、これは同意を与えられるという段階であつて、これから案を成立させようという段階ではございませんから、そこに修正権の問題はどうも消極的の結論になるのじやないかということを先回申し上げたわけであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 佐藤法制局長官の答弁と同様に考えております。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 小笠原さん、そうじやないのです。将来に向つて効力を失うのだから、かりにここで修正しても、あるいはここで否決して、今までたとえばここに盛られたものの九割幾らのものはもうすでに使つてしまつたのだから、その残りのものをただこれは否決するだけなんだから、ちつとも支障を来さないと思うが、大蔵省の当局としてどうですかというのです。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 私は支障を来すと思いますので、今法制局長官が答えた通りに考えております。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 私はそこでもう一点大蔵大臣にお尋ねしますが、この暫定予算も、普通の暫定予算と同じ性質のものだというので、最小限度の骨格を持つたものだ、こういうことでありますが、まずその通りに間違いないでしようね、どうなんでしよう。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 私は国務運営上必要な最小限度のものと考えております。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 そこでお尋ねしたいのですが、国務運用上最小限度のものを持つておるということは、法律その他のものによつて許されておるもので、しかもその最小限度のものということであると思うのです。先ほど来行政協定の問題が同僚からいろいろ質問せられて、田中君からも質問されたのですが、私はその点で、政府が今度のこの予算案に百五十億を計上された。その百五十億の内容を見ると、行政費の内容の百三十九億というのは、これは昭和二十八年度につぶれた予算に基いたアメリカに支払うべき金額の四分の一を計上する、こういうことになつておる。私は、もしこれを最小限度のものであるとするならば、昭和二十七年度の予算に基いて五百七億の金の四分の一を計上すべきものであると思うのでありますが、昭和二十八年度のつぶれた予算によつてこれを算定しておる。第一これが私は間違つておると思います。  さらに見返り資金が生きておる。法律がつぶれましたので見返り資金は生きておりますから、その見返り資金の中から開発銀行に五十億出す、それから電源開発会社に二十五億出す、これを暫定予算でおきめになつた。これは一体どういう権限によつてこういうことをおきめになるのか。私は、その法律が生きておるから、これをただ支出してもよろしいということではないと思うのであります。何らの根拠なしに五十億、二十五億というものを決定しておる。開発銀行に五十億、電源開発会社に二十五億出しておる。私はこれはきわめて暫定予算の趣旨に反すると思うのであります。大蔵大臣の所見を伺います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 政府委員より答弁いたさせます。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 駐留軍に対する負担金は、行政協定の二十五条によりまして一億五千五百万ドルということに相なつております。二十七年度におきましては、これは五百七億と申されましたのは、平和の発効が四月の二十九日でございましたので、日割でその分が入つたわけでございます。年額といたしましては一億五千五百万ドル、五百五十八億円でありまして、これがこの現状を維持するという建前で必要な経費と認めたわけでございます。  それから見返り資金につきましては、それは産業投資特別会計法で四月一日から廃止する予定になつておつたのでありますが、法案不成立のためにこの特別会計及び法律が生きることになつております。この特別会計法におきましては、この見返り資金は日本経済の再建、復興、安定のために必要な経費に支出するということになつておりまして、従来から開発銀行にも出資いたしておりますし、輸出入銀行にも出資いたしておりますし、鉄道、通信にも出しておりますし、公共事業にも出したことがあるのであります。従いまして、従来やつておりました措置をそのまま続けて行きまして、開発銀行における財政資金における融資を、従来通り現在継続のものを施行いたしますに必要量小限度の金と考えまして、交付いたした次第であります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 その防衛費の問題ですが、私も今お話になつたことは承知しておりますが、私はそれが先ほど田中委員その他から問題になつたことと思います。一億五千五百万ドルときめてあるから、その一億五千五百万ドルの四分の一を出すのだ、そういうことでは私はないと思う。いやしくも国会で一億五千五百万ドルときめても、国会の議決があつて初めて五百五十八億円というものが出し得るのだと私は思う。一億五千五百万ドルであるからと行政協定にあつても、国会で五百七億ときめたならば、五百七億以外に私は出し得ないと思う。そういうことまでも緊急集会においてなし得るというならば、何でもなし得るということになる。これは国会の議決を無視したものであると私は思う。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 五百七億は、年額におきまして五百五十八億円であるということで、二十七年度予算は御決定を願つておるわけであります。そしてまた、これを四分の一ずつ交付するということも、両者間における経理手続によつてきまつておることであります。そういつた意味合いにおきまして、五百五十八億円の四分の一に相当するものを暫定予算に計上いたしまして、参議院の御議決を願つた次第であります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 それではもう一つ伺いますが、今お出しになつたこの暫定予算を見ますと、二百七十二億支出の一方が多くなつております。これは大蔵省証券と、いわゆる財政余裕金をもつてまかなうことになつておりますが、この財政余裕金の性質はどういうものでしようか。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 大蔵省証券はただいま発行いたしておりませんが、実際問題といたしまして、これは会計技術上のことに相なりますが、昭和二十七年度の剰余金の姿で、前年度剰余金でございますが、二十六年度の剰余金が国庫の中にございます。これは昭和二十八年度の財源に充てる予定でありますが、会計法上入つて参りますのは七月三十一日でございます。しかしながら現金としては国庫にあるわけでございます。それから専売の益金につきましても、これは前年度のしまいにおいて納付されるのでございますが、タバコが売れました利益は専売の流用現金として、国庫に入つておりましてこの現金がございますので経理できるわけであります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 今のお話のように、財政余裕金というのは予算の面には計上されておらないけれども、現在国庫にあるものでありまして、こういうものがあるからこれをもつてまかなつて行くんだ。そこで私は政府にお尋ねをしたいのですが、政府は実際において暫定予算というような形で、いかにも民主的のように考えられておりますけれども、実質においては国庫の余裕金をもつてまかなつて行きつつある。そうすれば、実際において緊急集会に暫定予算をかけなければならないという理由がどこにあるかということが、非常に不明確になつて来る。その点を私は追究したいと思うのです。財政余裕金で、つかみ勘定でもつて実際はまかなつておる。つかみ勘定と言うと非常に語弊があるかもしれませんけれども、専売益金の納付金というようなものが入つておる。予算には計上しておらない。だから実際において歳入と歳出の数字は違つておるけれども、金はたくさん国庫にある。その金でまかなつて実際において、支出してしまつてから、あとで予算をつくつて組むのとちつともかわりがない。もしそれならば、何も緊急集会を開いて、特に暫定予算でやるというような形をとること自身に、私は非常な疑問があるのじやないかと思うのです。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 国の歳出は、歳出予算がありませんと一文も支出できないのでございます。つまり暫定予算四、五月分に使用いたしまする予算款項目の姿によつて、御議決をいただくことが必要であります。この財源の方につきましては、これは四、五月間において、現在の法令上、予算の上において収入となるものを計上いたしたのでございます。その年度の途中におきましては、国庫内でいろいろ足りなくなれば大蔵省証券でございますが、そういつた財源が歳出についてどういうふうになるかということは、予算全体、つまり一年度の予算を通じて見らるべきものであつてその途中の期間におきましての経理はまた別になるわけであります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 私は、今のお話の一年度の経理を通じて歳出歳入を見なくちやいかぬという点と、憲法の第五十四条第三項にありまする措置はあくまでも臨時的のものである、この臨時的のものであるということと矛盾しておると私は思うのであります。そこで、私はどう考えてみても、この憲法をすなおに解釈して、ほかに救済手段があるとかないとかいうことを離れて、この憲法の条章そのものが——国会が解散の場合予算が不成立になるということについては、憲法の規定というものが不十分であるか、あるいは憲法の規定の及ばないものがあるか、何らかの形においてわれわれとしては考えなければならない問題が残つておる。これだけのことは法制局長官もお認めになつてよろしいと私は思うのですが、どうですか。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 結局河野委員との見解の相違ということになると存じますけれども、私の考えておりますところは、先ほど申しましたことで尽きると存じます。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 もう一ぺん言つてください。私が申しましたように、憲法の規定をすなおに解釈すれば、とにかく予算の関係については、この解散の場合において、憲法の規定にいまだ思い及ばざるところが、あるいはその規定の解釈上不備と思われる点か、そういうものがある。その救済手段は、この憲法あるいは現在の法令の間において、どういう手段をとるのが一番いいかということは別に考えるとして、この憲法だけを読んだ場合においては、不備な点と言うことが言い過ぎるならば、何か規定して及ばざるものがある、考え及ばなかつたものがあるということについては、十分認められてもいいじやないか、こういうのです。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 それでは違つた角度から申し上げてみたいと思いますが、かりに明治憲法をひもといてみますと、今論議になつておりますような場面については、憲法の第八条があり、緊急勅令の条文があり、第七十条で緊急財政処分の条文があり、第七十一条には前年度予算施行の条文があるということで、一応整つておる。しかもその精神においては、きわめて非民主的ではございますけれども、形の上では整つておるではないか、これは言えると思います。そこでその整つておるという明治憲法から今度は今の憲法に眼を移して、今おつしやるような欠陥というようなものがあるかどうかということになると思いますが、私どもが結局立案当初から考えておりましたのは、今明治憲法で触れましたようなさような非民主的な手段というものを、全部総合いたしまして参議院という国会の一院にお願いをして、そこで緊急措置をとつていただくというつもりで、この第五十四条を考えておつたわけでございますが、そういう立場から見ますと、少しも欠点はないというようなことを申し上げざるを得ないと思うのでございます。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 私は、なるほど明治憲法のそういう行き方が、非民主的なという一言で言うならばその通りと思いますが、しかし、もしこの第五十四条をそのまま利用して、参議院の緊急集会において何事もなし得るのだというふうになつたら一体どうなりますか。そうして衆議院の選挙の結果、国会で何でも多数を得るならば、それによつてすべては合理化されるのだ、こういつた行き方をしたとするならば、私はこの憲法において、志してなし得ざるものはないという結果になると思います。私は解散前の国会でも言つたのでありますが、憲法第七条によつて解散し、総理大臣がこれだけ国務大臣を自由自在にかえる権能を持つて——広大無辺なる権能を持つておる総理大臣が、憲法第七条によつて解散をし、憲法第五十四条の緊急集会によつて何でもやることができる、こういうことになるならば、これは明治憲法とは違つた意味の独裁政治がこの間に行われると私は思う。その点についてわれわれはそういうことが行われないようにするにはいかにしたらよろしいか。私はその一念において、くどいようでありますが、あらゆる角度から質問をしておるのであります。私はあなたが政府に忠勤をぬきんずるとは申しませんが、ひとつ学者的良心において私は答えていただきたい、こういうふうに考えますので、もう一ぺん伺います。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 私は、この速記録はすべて私のお友だちである学者によつて批判されていることを常に考えつつ、良心に従つて申し上げておるつもりでございますが、今の御指摘の問題は、結局この国会というものの信頼性といいますか、日本国憲法は国会を最高機関としておるというところに、どうしても信念を置かなければならないことであろうと私は存じます。そこで明治憲法におけるがごとき政府の独裁というものは全部抹殺いたしまして、すべての立法なり財政を国会にお預けしておる。しかしながら、その国会の一院であるところの衆議院が解散せられた場合におきましては、いかにいたしましても、この両院が相まつて作用していただくという場面は出て来ないわけでございますから、そこでその場合に、参議院に国会の役目をかわつてやつていただく。しかもその参議院は、何も昔の貴族院のようなものではございません。やはり国民が直接お選びになつた国民代表の機関であることは、私は間違いないと存ずるわけでございます。その意味において、この憲法の建前は一応筋が通つているというふうに考えるわけでございます。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 この憲法の建前を私くどくも申しませんが、あなたがおつしやるように、この緊急集会というものは、何でもかけ得るのだ、解散したあとの一切の国政の運営に必要なことは何でもかけ得るのだ、こういうことならば、私はそれはあなたのおつしやる通りだと思います。しかし、そういうことであるならば、私はこれほど衆議院を軽視した議論はないと思う。そこで衆議院を軽視しないために、衆議院をして国会の主たる中心的な姿であると考えるがゆえに、私はここに国の緊急の必要ある場合という非常に重大な制限を加えておると思うのであります。でありますから、さらにくどいようでありますが、英語で言えば、ナシヨナル・エマージエンシーという言葉を使つておる。このナシヨナル・エマージエンシーという言葉は、むろん貧弱でありますけれども、われわれの知識から言つても、これが普通の場合というふうには考え得られないと思うのであります。そういうことを前提にして、初めて衆議院の優先性と申しますか、それから衆議院に対する尊重、これは緊急集会というものは例外の例外をさす場合を言うのだということを前提としてのみ、私は理解できると思うのであります。この点はくどいようでありますが、私はあなたの議論にとうてい承服できないのですが、議論になりますから、私はこれ以上申し上げません。ただ、憲法の問題は重大でありますから、私はここで率直にあなたにひとつお尋ねしたいと思うのです。憲法が条章に合つているか、いわゆる合憲性と申しますか、憲法違反であるかどうかというものを、私はこれを段階的に見ることができると思う。これはだれが見ても憲法にがつちり合つておる、論議の余地のないというものがあると思う。それからもう一つ、その反対に、だれが見てもこれは憲法違反であるということが論議の余地がないというものと、両極端があると思う。しかしその間には、これはある場合に解釈のしようによつては、これは憲法の精神から見て、いわゆる憲法に違反すると考えられる場合が私はあり得ると思う。同時にこれは、規定の上からは多少の疑問はあつても、憲法の精神から見て、憲法に合つておる、合憲性があると認められる場合、こういうふうに私は段階があると思います。われわれは初めから今度の処置を違憲だと断定的には申しませんけれども、少くともこの憲法が制定された精神から見て、これはこの憲法の精神に反しておると解釈される。この点をあなたはお認めになるかどうかということを、私は先ほどから聞いておるわけなのであります。しかしながら、あなたは、これを認めないとするために、憲法の精神を新しく解釈して、これは合憲性のものだというふうにしようと、牽強附会と言うと語弊があるかもしれませんが、そういうふうにしようと無理に努力していらつしやるように私は思うのであります。私は率直に、これを憲法の制定されたる精神から見て、これは非常に疑問があるというふうに認めるか、認めないか、こういうことを尋ねておるのであります。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 憲法解釈の段階についてのお言葉はまつたくその通りだろうと思います。はつきりしておるものもありますし、限界線に近いものもいろいろあります。しかしそれらについては、結局人々の心持によつて違うことであり、いろいろな批判がまたそこに出て来る事柄でありますから、あるいは最終的には最高裁判所の問題となつて判決を下される。あるいは最高裁判所の判決自身に対しても、例の裁判官の国民審査というような形において、国民がそれを直接批判する機会が与えられておる。そういう場面もございましようし、ただいまの問題の、解散前の前内閣のとつた処置であるということでありますれば、その後における総選挙において、これまた直接に国民が批判するという場面がみな保障されているわけでございますから、その意味において、政治の運営というものは、おのずから常道に乗つて行くのじやないかというように、漠然たる考え方でございますけれども、さように考えております。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 それでは、緒方国務大臣がお見えになりましたから、緒方さんにお尋ねします。今案は憲法の問題をお尋ねしておるのですが、緒方さんに率直にひとつお答え願いたいのです。これは立ち入るようではなはだ恐縮ですが、実は政府が三月解散されたときの心理状態を私はお尋ねしたいのです。解散して予算が不成立になつたから、そのやむを得ざる処置として、緊急集会をお開きになつて、暫定予算というような形で予算をお出しになつたのか。それとも、初めから緊急集会という処置をとり得るのだから、参議院の緊急集会に予算をかければいいのだから、予算が不成立になつても解散してかまわないのだ、こういう考え方で解散をなさつたのか。その当時の政府の解散に対する心境、心理状態を私は承つておきたいと思います。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 不信任案が衆議院を通過いたしまして、その情勢に対するやむを得ざる政府の措置といたしまして、衆議院の解散をいたしたのでありまして、その衆議院の解散の結果、やむを得ざる措置として緊急集会を要求いたしまして暫定予算の審議を要求したような次第でございます。心理状態と言われると……。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 心理状態というと何ですが、政府は、あらかじめ緊急集会という処置がとり得るから、解散をやつてもかまわないのだ、こういうつもりであの場合臨んでおられたのか。それとも、解散という事態にまで当面してしまつて、それから緊急集会ということを考えておやりになつたのか。これはどちらなんですか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 緊急集会という処置があるから解散をしたのではないのでございまして、不信任案が通過したという事実がありまして、それに即して衆議院を解散せざるを得ないと考えたのでございます。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 その意味はこういう意味なんです。そうすれば政府は、憲法第五十四条に言つておるところの参議院の緊急集会というものは、非常なる事態に処するためのものであつて、軽々しく開くべきものではない、またそこにおいてとられた処置というものは、これはまつたく臨時的な処置なのであつて、通常の国会に提出される暫定予算というような形のものとはおのずから線を異にするものである、こういう考え方のもとに立つて政府はあの緊急集会をお開きになつた、こう理解してよろしゆうございますか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 衆議院が解散になりまして、予算が不成立になりましたので、政府といたしましては、その間の行政作用を進めて行く上に、あの程度の暫定予算は必要である、これは衆議院が解散した事態に即しまして、緊急やむを得ざるものと判断いたした次第であります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 そうしますと、政府はこの間の処置は例外——というと語弊がありますが、特殊になる事例に属するものとは考えないで、これから先にもしばしばああいうことが起り得るのだ、あれによつて日本の憲法の運営をやつてもさしつかえないのだ、こういう考え方の上に立つていると了解してよろしいでしようか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 憲法第五十四条の緊急やむを得ざるということの中には、古い憲法の八条の場合、七十条の場合、どちらも私は入つていると判断いたしております。先般の衆議院の解散の場合には、予算が不成立になつて財政上緊急処置を要するものがありましたので、それを暫定予算として参議院の緊急集会に審議を要求いたした次第であります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 意見の違いになりますから、これ以上質問してもむだかとも思いますけれども、憲法第八十五条に、予算の支出は必ず国会の議決を経なければならぬ、こういうことを書いてある。それらの点をすべてにらんで、また財政法第三十条にいう暫定予算の規定というものをにらみ合せてあの五十四条にいうところの、いわゆる緊急集会における緊急的な措置というものの中には、たとい予算がかけられるにしても、いわゆる通常の議会にかけられる暫定予算というものとはおのずから区別さるべきものだと、私たちはかように考えているわけであります。そうでなく、普通の暫定予算と同じ暫定予算をかけられる。内容的にも何ら区別のないものをかけられるということは、私は憲法の精神に反する、こういうふうに考えるのでありますが、国務大臣はどうお考えですか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 予算が不成立になりまして、総選挙に対する選挙管理というようなことが主たる政府の仕事にはなりましたけれども、その間の行政作用を進めて行きまする上に、事務予算と申しますか、政策の入らぬ必要最小限の予算は必要なのでありまして、それはあの場合において緊急やむを得ざる措置と考えていたしたのであります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 私はこれ以上は押し問答になるからやめますが、もしああいう場合を予想して予算の問題を緊急集会にかけるとするならば、現在の暫定予算に関する財政法を規定のほかに、別に緊急集会にはこういうものをかけるべしというような一条を財政法に設けなければならぬと私は思う。この点はどういうふうにお考えになりますか。もう時間があまり長くなりますから私はやめますが、なお憲法第九十九条で、天皇、摂政、国務大臣、国会議員、みな憲法を尊重し、これを遵守すべき義務を負うておるのでありますが、もしこの義務に違反した場合は、一体どういうことに政府は考えておるのでありますか、この点を伺つておきたいと思います。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 これは憲法の制定権者でありますところの国民から非難されるということになると思います。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 私はその通りだと思うのです。非難されるということはどういうことかと言えば、国会においても弾劾されることもあるでありましようし、民衆からつるし上げられることもあるでありましようし、ちまたに憲法を守らないというその思想が横行することにもなるでありましようし、同時にちまたにおける一切の合法的なる運動というものが、非合法的なものにかえられるということもあり得ると思うのであります。それをわれわれはむしろ真剣に考えなければならない、こう思うのでありまして、私は先ほどから憲法論議をいたしまするけれども、私も未熟な議論をするようで非常に恐縮ですけれども、私はこの問題は重大だと思うのであります。私が先ほど申し上げましたように、この憲法の制定されたる精神から見て、私はこの処置というものは憲法違反だと思うのであります。同時に、それをどう救済するかというのは、これはお互いこれから検討しなければならない問題だ。これは別個の問題だと考えて、現在の与えられたる憲法上の条章の中においての処置としては、われわれが納得し得ざるものであるということだけは、これは私は率直に認めざるを得ない、こう言うのであります。私はそれ以上申し上げません。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 一点だけ関連して、佐藤長官でも、あるいは緒方国務大臣、大蔵大臣でも、どなたでもよろしゆうございますが、財政法三十条の暫定予算の規定について何らか改正の措置をとる必要があると思うのですが、その点についての所見はいかがですか。といいまするのは、先日来憲法違反論あるいは国会軽視論等がだんだんと論議されておりますのは、これは経過的に見ますと、政府が不信任案を可決せられた。そこでその後例の六十九条によりまして十日間の間に何らかのそれぞれの善後措置を講ずべき時間がともかくあつたわけであります。ところがそれをなすことなくして、即日解散の措置に出られて解散になつてしまつたので、国会機能は停止になつた。衆議院はなくなつてしまつた。ところで予算については、すでに三月二日参議院に回付せられて、審議が続行されつつあつた。けれども、これもその通過について努力することなくして解散になつてしまつた。こういうことになつたのですが、さて例のしばしば政府のおつしやる国務運行上の最小限度の予算的措置をとらねばならぬ。予算的措置をとらねばならぬ場合に、佐藤長官はあるいはいろいろとこの間からの御意見に多少変化がありましたけれども、きようの緒方国務大臣の御説は、解散になつてしまつたので、国務運用上必要なる最小限度の予算を暫定予算によつて組んで緊急措置を求めた、こういうふうになつております。そこでその際に、予算的措置の方面につきましては、財政法による暫定予算以外に道はない、こういうことになつたわけであります。ところが、財政法による暫定予算なるものは、その明文が明らかに示しておりまするごとく、内閣は、その必要を認めるときには、会計年度の一定期間の暫定予算を作成して国会に提出することができる、こういう規定になつております。ところが、振りかえつて憲法五十四条の第二項を見てみますると、またその沿革に徴してみますると、今緒方国務大臣がおつしやつたごとくに、沿革的には旧憲法の八条の緊急勅令の緊急の条件がある、あるいは七十条の緊急財政処分の緊急の条件がある。そういつた緊急の条件なるものが沿革的に継承せられまして、五十四条第二項の「国に緊急の必要があるときは、」となつております。緊急ということは厳として存続しておるわけなのです。財政法には緊急はない。憲法には緊急が厳存しておる。従つて、財政法上における暫定予算は緊急たらずとも、単に国が、いな内閣が必要を認めたるときは暫定予算を組めばいい。これはこの六月の暫定予算もその通りであります。ところが、国会の機能が停止されておるときには、緊急の場合でないと、これは緊急措置を求むる要件を満たされない。というのは、厳格に憲法を解釈したならば、当然さように結論されなければならぬ。しかるに、すでに国会の機能は停止されておる。予算は一日もなくては国が暮すことはできないというので、緊急措置を求めるという方針に出られたものとわれわれは考える。またそれよりほかにあの当時はすでにもう道はない。やむを得ずそれに行かれたわけであります。そこでこれを翻つて考えてみますと、憲法運用上十分にかくのごとき場合に処すべき救済規定が立法措置として講ぜられておらなかつたという、いわば憲法運用、財政運営の上において一つの法律的な盲点がここに生じておるわけであります。でありますので、これを沿革的に考えてみますと、政府は憲法違反でないということを答弁せられることは、これはお立場上あるいはもつともかもしれぬ。しかし冷静にまた憲法の趣旨を厳格に解釈して行く上から見ましたならば、これは単なる必要のものが大部分で、緊急の必要の要件の伴わない予算で緊急措置の対象として織り込まれておるものが相当あるということは、もう隠すことはできないと思う。そこで国会におきましてその点を明確にしようというのが、従つてそれは今後の悪例を残したくないというのが、われわれの努力せんとする一つの動機であつたわけであります。そこで、今これらを将来に向つて救済せんとするならば、財政法三十条の暫定予算の規定にこの立法措置をとりまして、これらの憲法運用上の盲点をなくするということが一つの方法じやないか、かように考えるのであります。でありますから、これらにつきまして何らかの措置をとる必要があろうと思いまするが、御所見いかん。これだけをお尋ねしておきます。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 この緊急集会の条文につきましては一ぺん触れたと存じますが、憲法制定の際に当時の帝国議会で質問がありまして、どういうものがかけられるかということに対して、もちろん法律はかけられます、予算もかけられますということをはつきり金森国務大臣が答弁しておるわけであります。その場合に予算と言つておられますのは、おそらく通常の観念における、普通の財政法に言つておるような、ああいう予算を頭に置いて答えられたものと私は考えるわけであります。しかし、緊急集会というその事柄の性質からいつて本予算がかかるはずがございませんから、これは暫定予算ということにおのずからなろうと存じます。そこで問題は、私どもの頭から申しますと、今の財政法の暫定予算の条文をもつて実は足るのであつて、あとその実態につきまして、いろいろ立法的にもつとこまかく制限したらどうかというお考えも、これはもちろんわかるところではございますけれども、また時と場合によつていろいろ事情がかわつて来ることを念頭に置きますと、一律にどうも制約的のことを列挙できないのではないかという気持を持つわけであります。従いまして、これは先ほど来申し上げましたように、国民の批判のもとにおける国政運営の適正にまつほかないのじやないかという頭でおりますために、さしあたつて財政法の暫定予算につきまして、緊急集会用の暫定予算をかくあるべしというような改正をするというところまでは考えておりませんわけでございます。

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 これにて質疑は終局いたしました。  次会は明日午前十時より開会し、討論採決を行うことといたします。  これにて散会いたします。     午後七時七分散会

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