厚生委員会 第23号
- 発言数
- 50 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/07/22
会議録
○小島委員長 これより会議を開きます。 まず、戦傷病者戦扱者遺族等援護法の一部を改正する法律案及び未帰還者留守家族等援護法案の両法案を一括して議題とし、前会に引続き質疑を続行いたします。有田八郎君。
○有田(八)委員 援護法案の第十一条についての質問であります。ここに留守家族に対する手当は、未帰還者が帰還したと同時になくなるということになつておるのであります。しかしこれは未帰還者が帰ると同時に留守家族の手当もなくなり、また自分の就職も必ずしも確定していないというふうな場合には、非常に生活の困難を来すのでありますが、これは未帰還者が帰還した後ある期間、未帰還者留守家族に対する手当を継続して支給するというふうなことにはならないものでありましようか。
○田辺政府委員 お答えいたします。未帰還者の留守家族に手当を支給するという根本の精神からいたしましても、それから法律の建前が未帰還者の留守家族には手当を支給するという建前ですべてできておるのでございまして、従いまして未帰還者がお帰りになりました以上は、この手当を打切るというのが、この法律の建前からいつて一貫するのじやないかと思つております。お話の通り確かにお帰りになつたあとで、なおかつ就職あるいは病気等のために留守家族を援護する必要がある場合もあろうかと思いますが、原則的に申しますならば、かような事態はやはり生活保護法によつて処理すべきが筋ではなかろうか、お帰りになりました以上は、やはり一般国民と同じ立場において、生活保護法によつて保護を受けるのが筋ではなかろうか、かように考えられるわけであります。お帰りになつた方々の中には、相当の持ち帰り金を持つてお帰りになつた方もありますし、ただちに就職される方々もあります。しかし内地に留守家族を持つておられ、帰つたあとただちにその家族を扶養することができるということでもありませんので、そういう仕訳をするということになりますと、やはりお困りになる方は一般の原則に立ち返つて措置するのが筋ではなかろうか、一応こういうふうに考えております。
○有田(八)委員 未帰還者が帰つた場合に、帰還手当というのを、おとなについては一万円、子供については五千円ということになつておるようであります。これは法律の規定によるのでなくて、行政措置によつておるのでありますが、この一万円、五千円という帰還手当の中には、帰る早々職業もなくて困るだろうというふうな意味も含まれておりますか。
○田辺政府委員 帰還手当の性質、根拠についてのお尋ねかと思うのでありますが、実は帰還手当という制度を設けましたのは、長い間海外にあつて、抑留ないしは自己の意思によらずして帰ることができなかつたという事態に対する、国の一つの見舞金と申しますか、多少ながらも国としての気持を現わした制度であるわけであります。かたがたお帰りになつた方々は、帰つた当座は何かとお金がかかるでございましようから、そういつた意味合いも含めまして、帰還手当というのを差上げておるのでございまして、これは一律平等に支給されるという点から見ますれば、建前はやはり見舞金的な性質を多分に持つているものであろう。かたがたお帰りになつた当座のお小づかいないしその他いろいろの諸経費に当てていただく、こういう意味でございます。
○有田(八)委員 私のお尋ねしましたのは、いろいろな意味もある中に、帰る早々就職もできないでおる場合もあるし、困難であろうからというふうな意味が加わつておりますかどうかということでございます。
○田辺政府委員 それももちろんこの中には、その一部としてそういうことも考慮されておるわけであります。
○有田(八)委員 もしこの帰還者の手当には、そういう意味が幾分なりとも加わつておりますならば、その意味をもう少し拡張して、金額を一万円以上に増額するというふうな行政措置はとられないものでありましようか。実はこのことは、今回中共から引揚げて来ました方たちにおいて非常に強く叫ばれておることは、この前ちよつとお話申し上げたと思いますが、なるほど中共から引揚げた引傷者のうちには、ずいぶん常軌を逸した行動に出ておる者があるのであります。私どもといたしましても、それらの点については非常に遺憾に思つておるのでありますが、御承知の通り、あれは大部分の引揚者が心からああいうことをやつておるのではなくて、ごくわずかな者の扇動等によつてああいうふうなことをやらなければならぬ状況に追い詰められておるかちであることは、十分御承知の通りであると思うのであります。しかしそういうふうな引揚者の大部分というものは、帰つてすぐ職があるわけでもなし、また留守家族手当というものもなくなるとすると、どういうふうに生活してよろしいかという生活の不安に対して、恐れおののいておる者が非常に多いのであります。もちろん帰還者の話、あるいは舞鶴の引揚援護局の人たち場の話によりますと、今お話のように、百万も百五十万もの金を持つて来ておる方もあるようであります。しかしこれはきわめて例外的であると思うのであります。全部の人がまちまちで、相当多数の者はやはりあまり金などは持つて来ておらない。かりに金を持つて来たといたしましても、今日のような物価高の際におきましては、日本へ帰つて間もなくするとなくなつてしまうというような状況にあると思われるのであります。そういう点を考えることは必要でありますし、もう一つは、今日の社会状態、共産主義等が日本の社会へややともすれば根をおろそうとしておる今日の状況でありますが、中共のやり方と日本のやり方と比べてみますと、日本のやり方は非常にまずいとわれわれは感ずる。なぜかと申しますと、中共に抑留されておつた同胞は、向うにおります間はずいぶん搾取をされ、ほとんどこれというふうな報酬なしに、無理に働かされておつた者が非常に多いと思うのであります。ところがそれらの者が帰るに際しまして、あまり中共を恨んでいない。なぜそうかというと、いよいよ帰るときまつてからのわずかばかりの間に、相当なことをしておる。生活についてもまたせんべつのようなものをくれるにしても、これはちよつとしたことでありますが、日本人の感情に訴えて、中共は非常によくしてくれた、こういうふうな感じを持つておるのであります。ところがそれらの人が日本へ着くと、なるほど船中等の宣伝もありますけれども、日本に帰つて政府がどういう扱いをしてくれたかというと、今の一万円くらいではごくわずかしかもてないということで、もう少しやつてくれたらよかろうじやないかというふうな感じが非常に多いのであります。それがためにありがたく思わなければならぬ日本に対して、あるいは日本政府に対して、かえつて非常に気まずい思いをするということになるのであります。これは共産党対策等からいつても、決していいやり方でないと思うのであります。何とかこの点について、一万円を三万円にしてくれというふうな要求に対しましては、それらの点をもあわせ考え、ことに今の帰還者手当については、そのうちにはある程度、帰つて早早の生活の不安というものに対して、それを補うような意味も含まれておるというのでありますから、それをもう少し拡張して、増額してやるということが適切な措置ではないかと私は思うのでありますがどうですか。
○田辺政府委員 帰還手当の一万円、五千円という金額につきまして、今日われわれこれをもつて十分な額である、多額な金であるとは決して思つておりません。ただこういう制度を設けますにつきましては、われわれとしてもずいぶん財政当局とも折衝いたしまして、過去の引揚者援護にはなかつた新しいやり方をこの際とつたのでございます。金額をもつとふやすということは、私どもも同じような気持を持つておりますけれども、今日の国家財政の状態から考えまして、一万円、五千円という金額におちついたような状況であります。われわれは今まで、引揚者は無差別平等の援護の原則とは別に、特別な援護が必要であるという観点から、いろいろ努力して参つたのでありますが、それにつきましてもやはり限度がございまして、過去の引揚者との均衡であるとか、他の生活困窮者との均衡であるとか、さようなことをにらみ合せましてきめて行かなければならぬと思つております。さような点から、いろいろ折衝いたしました結果、今日の財政力とのにらみ合せから、今日の一万円、五千円というものがきまつたようなわけであります。お話の通りに、帰つた直後の生活の問題につきましては、いろいろ御苦労もあり、御心配もあろうと思うのでありますが、やはり一面生活保護法という大きな一般的な制度があるのでございますから、今日のところそれを漏れなく該当者に対して迅速に適用するということになつて規定されておるわけであります。もう一つは、できるだけ早く住宅または就職のごあつせんをして、その面での生活保障を考える、こういうことが適当なのではないか、一応かように考えておるわけであります。
○有田(八)委員 十分納得いたしませんけれども、これをもつて私の質問を終ります。
○小島委員長 青柳一郎君
○青柳委員 第十三条に「この法律の施行後三年を経過した日以後においては、過去七年以内に生存していたと認めるに足りる資料がない未帰還者の留守家族には、留守家族手当を支給しない。」こうなつております。そこでこの法律施行後三年を経過した場合に打切られてしまうおそれがあるというので、留守家族は非常に心配しておるようであります。三年のうちに政府においては十分調査、研究して、その結果によつて三年後の処分についてもお考えを願うことが必要だろうと存ずるのであります。この点についていかに考えておるか伺いたい。
○田辺政府委員 留守家族手当の支給について法第第十三条のような制限を設けましたのは、今回の立法におきましては、未帰還者の範囲は相当広汎に相なつております。終戦前後から今日までの間一度でも生存しておつたという資料があるものは、全部未帰還の範囲に入つております。中には開戦当時生存しておつたというだけでその後何らの消息がなくとも、未帰還者として三年間は手当をやろうという対象に取上げておるわけでございます。従いましてかような方々を含めて無期限に手当を支給することはいかがかと存じましてかような制限を設けたわけでございます。三年後にどうなるかという問題でございますが、われわれとしては三年間に十分調査、究明を行いたい、機構の整備その他いろいろな態勢を整えて、あらゆる手を講じて未帰還者の状況不明の方の状況を明らかにして行きたい、かように思つておるわけであります。今日ソ連、中共との間には通信の方法もあるわけでございまして、また今度帰還された方々から相当の資料も獲得できるのではないかと思つております。かような状況でございますので、われわれとしては三年間の調査発明の成果をまちますれば、相当の生存者の資料を獲得することができるであろうと考えておるわけであります。三年たつても消息不明であるというような、状態が続いておる方々については、われわれ目下の考えでは一応この制度を打切るという建前にする方が妥当ではないか、かように考えておるわけであります。これは調査究明の成果とも関連する問題でございますので、成果がどの程度あがるかということを見定めました上、さらにその後の措置を考えたいと思います。
○山下(春)委員 関連して。ただいま青柳委員の御質問に対する政府の御答弁を承りましたが、政府でも非常にこの調査究明ということに重点を置いていろいろお考えのようでございます。調査究明を、あるいは所期の目的を果し得ないかもしれませんが、政府と議会とが協力してやる意味において、この際政府と議会とが協同で何名かを派遣して、正式に調査究明をする機会をおつくりになる御意思がありますか、どうでしようか。
○田辺政府委員 御質問の御趣旨がよくわかりかねるのでありますが、今日の国際関係からいたしまして、政府の職員がソ連、中共等に行つて状況の調査をすることは相当困難ではないか、不可能に近いと想像されるのであります。国会の方はまた別の問題だと思いますので、できますならば国会の皆様方のお力によりまして未帰還者の状況が、一日も早く、一人でも多く明らかにされることが望ましいと思つております。
○山下(春)委員 国交を回復しておらない今日、政府が言われることは無理もないと思いますけれども、特にソ連の場合などは、日本の政府と交渉するということを常に申しております。このことにどのくらいの確実性があるかは私はつまびらかではありませんけれども、しかし一応やや正式な機関を通して政府と交渉したいと申しております。そこで政府は、行くのがどうかと思わずに、援護庁あるいは復員局その他の職務はそういうことに当ることでございますから、この際勇気を出して援助する、行つても相手にしてくれないだろうというような引込み思案でいることはとる策でないと思いますので、ただちに御答弁を願おうとしてもそれはちよつと無理だろうと思いますが、政府におかれましても国会と協同で、このことをひとつ正しく勇敢に、向うの問いに答える意味において、あるいは成果があがらぬかもしれませんが、あがらなくても一応これを勇気を出してやつてみるべきだと私は考えます。われわれとしてもその性格を十分明らかにいたしたいと思いますが、政府としても協同してこれらの究明に当るというふうにお考え願いたいと思います。
○小島委員長 他に御質問はございませんか。——ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○小島委員長 速記を始めてください。 この際昨日の質疑に対する外務省の釈明を求めます。
○広瀬政府委員 昨日の御質問、よく援護庁の方とも相談いたしました結果——この戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案の修正の件でございますが、これを上司と相談をいたしまして、省議といたしまして、困窮しておられる被処刑者の遺族の援護は、社会保障的見地から見ましてももつともなことだと思いますし、国際関係上から見ましても支障ないものと認めまして、外務省としては何らこれに異議はございません。こういうことを省議決定いたしましたことを御報告申し上げます。
○山下(春)委員 まことにありがとうございました。ぜひひとつそうしていただきたいと思いますが、そうするとこれは政府の方で訂正してお出しいただけましようか。
○広瀬政府委員 それは私の方の関係ではないので、援護庁の方にお尋ね願います。
○田辺政府委員 ただいまのお話は、私は、国会の方で処刑者の遺族を援護したいという見地から、特別な立法をなさるということに関連して、外務省の立場についてのお尋ねに対してお答えがあつたものと思います。
○山下(春)委員 それでは委員会の方で処置することにいたしましてさしつかえございませんか。 〔「了承々々」と呼ぶ者あり〕
○広瀬政府委員 ちよつと御質問外のことでありますが、御報告申し上げておきます。 マヌスヘの引取りの船舶白竜丸は三時に門司を出帆いたしました。航行上支障なき限り来月八日に横浜帰着の予定であります。 それから今日マニラから帰つて来られて巣鴨へ行かれましたところの受刑者中椿孝雄、原田信平、小池周之の三氏に対しましては、ちようど私が横浜から帰りましてから間もなく、フイリピン代表部より、五名に対しては条件付において釈放するという書面がございました。その条件付と申しますのは、今後一切フイリピンには渡航せぬという誓約書を外務省より正式にとりまして、代表部へ公文をもつて取次ぎました場合には、代表部においてこれを承認しまして釈放の書類を渡す、こういうことであります。さつそく今巣鴨の方へ、その宣誓書を法務省を通じて取次ぎ方をやつております。これはまつたく時間の問題だと思います。それだけちよつと御報告申し上げておきます。
○山下(春)委員 この間援護庁次長にお願いいたしておきましたが、万般の御配慮を願つて事故がないという御報告で、その点安心でございますけれども、次長にお願いしたことく、船足がいかにものろいものでありますから、遠い所から帰りますので、もう少し足の早い船よりは全体の行き帰りの時間で少くとも四、五日ぐらい遅れると思います。そこで、できれば政府においてもう少し船足の早い、たとえば興安丸のごときものを配船することが可能ならば、ぜひそうするように御努力願いたいとお願い申し上げておきましたが、その点は御無理だつたのでしようか。
○田辺政府委員 その点白山丸はまだけさ帰つたばかりでございますし、その他のものもいろいろな事情から困難であつたのでございます。しかし、白竜丸も普通は十一ノツトでありますが、今回は勉強いたしまして十三ノツトぐらいまで出して早く走つて帰るつもりだそうでございますので、その点、御希望のできるだけ早くという点につきましては、船会社の方でもできるだけ努力をいたしておるものと考えております。
○小島委員長 他に両法案についての質疑もないようでありますから、本案に関しての質疑は終了したものと認めるに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小島委員長 御異議なしと認め、そのように決します。 —————————————
○小島委員長 次に、財団法人日本遺族会に対する国有財産の無償貸付に関する法律案を議題とし、質疑を続行いたしたいと存じます。中野四郎君。
○中野委員 まずもつて私は、誤解があるようですから一応申し上げておかなければならぬのですが、聞くところによると、この旧軍人会館をば財団法人日本遺族会に無償貸付をする件について、何か世間で誤解をしておられるようで、私が反対をしておるかのように感じておられる人があるそうでありまするが、これは根本的な誤りであつて、遺族会の方々にこれを無償で貸し付けて、そうして全国の戦争犠牲者でいらつしやるところの御遺族の方々の便に供するということには、私は衷心より賛意を表しておるのでありまして、私の今日まで質問を継続して参りました理由というものは、今日政府で出しましたこの法律案の内容を見ますると、これをもつて全国の戦争犠牲者であるところの御遺族の方々に御満足をいただくというには、その過程において将来ちよつと難儀な面が出て来るおそれがあるということが第一点であります。さらに、この軍人会館を利用した場合の事業計画というものが明らかにこの委員会に示されておりませんので、日本遺族会が今後これを運営するにあたつては、社会事業的な性格を多分に帯びたものでありまするから、もし万一欠損等が出た場合において、この万全を期する上において政府はいかなる補償をする用意があるかということをば今日まで尋ねておつたのでありまして、いたずらに遷延させたり反対せんとするものではないことだけは明らかにしておきたいと思うのであります。 さらに私はここで政府に伺いたいのですが、先日の局長の答弁によりますると、この法律案は、旧軍人軍属で公務によつて死亡した者の遺族の方々だけの福祉をはかるのではないと説明をしておられまするが、これは法律案の中にちやんと明記してあるのでありまして、もし万が一、公務で死亡した者の遺族のみの便に供するというのならば、戦争の犠牲者として、恩給法あるいは援護法に抵触せざるところの御遺族が全国に多数あることを忘れているのではなかろうか。もし万が一、将来この法律をたてにとつて、そういう人人はここに入れないのだということになつたら、——世の中がだんだんおちつくに従つて、そういう誤まつた感覚を持つような者があつてはならないので、立法計画をするにあたつては当然万全を期さなければならぬのであります。いわんや、このような、旧軍人軍属で公務によつて死亡した者の遺族だけだということを法律に明記することは、決して妥当な方法でないと私は思うのですが、政府側は先日ここでそうではないと言つて、説明に対しての訂正を明らかに速記録に載せられて、さらに法文の中に明記してあるのは、どうしたのだと言つたら、頭をかいて、うやむやのままに今日に至つておるのですが、その点について政府の明確な答弁をもう一ぺん求めたいと存ずるのであります。
○安田政府委員 前回遺族の範囲について御質問がありまして、私が間違つて答弁いたしまして、まことに申訳なく恐縮いたしておる次第であります。そのとき申し上げました趣旨も、遺族というものをどの範囲にするかということを、法律で間違いなく表現するということは、恩給法でも、あるいは軍人遺家族の援護法でも問題になつておりますように、たいへんむずかしいことでございます。この軍人会館の元の性質あるいはまた現在の遺族の方々の状況から考えまして、こういう表現にすることが一番当を得たものではないかという考え方でございます。しかしながら、現在すでに援護法等で問題になつておりまして、遺族の中に入るとか、あるいは入れた方がいいというような問題がございますから、そういう問題については、私は必ずしも字句にとらわれないで、そこのところはこの条文から常識的に解釈いたしまして、救われるものがあるのではないかという意味に考えておると、実は申し上げたいのでございます。
○中野委員 どういうふうに間違つておつたか知りませんけれども、どうもお役所の立法計画というものは、形は伊勢えびのようにしかつめらしいのですが、内容においてはまことにたよりない点が多々あるのです。従つて旧在郷軍人会から、われわれが出資したもので、われわれがつくつたものだから、われわれに返してくれるのがあたりまえではないかというような陳情を、人情として受けることはよろしい。しかし立法計画をするにあたつては、明らかにこれは接収されたものであつて、しかも解散団体として国有財産に帰しておるものであるから、これが処分にあたつては、当然ポツダム宣言受諾の条章と、その後における平和条約に連なる行政協定の範囲内においてやるのであつて、あなたらがこういうものを自分のものだと主張する権限はないのだということを明らかにして、この人々に対する納得を得させるような行動に出ればよかつたのですけれども、私はどうもこの点に釈然としないものがあつたのではないかということを心配しておるのです。しかしながら、それはそれといたしましても、この字句の中にこういうような言葉があつて、あえてこれを取上げて言うのではありませんけれども、もし今局長が説明をされたように、広い意味において御遺族の方々の便に供したいというならば、これを修正するとか、ないしはこれに対する附帯条件をつけるということは、当委員会の責任でありますからやりますけれども、これは当然考えなければいかぬと思うのです。今度の恩給法改正なんかを見ますと、私らがまことに残念だと思うことは、今後日本においても、MSAの援助を受けるとかなんとかいうことが、国会において問題になるでありましよう。かりにこれを受けたとすれば、当然起り得るものは、日本の自衛力の拡大強化でありましよう。こういう過程に入りましても、いくら鉄砲や軍艦、飛行機を借りても、これを操作する人間がなければだめです。人間は、なるほど世界で五番目というほど人口が豊富でありますけれども、この人々が、ほんとうに国に対する情熱を持つていなければだめなんです。この情熱を沸かせる、いわゆる救国の情熱とか、祖国再建の情熱というものは、どこにおいて沸くかといえば、少くとも国家民族のために大なる犠牲を払つた方々に対しては、その区別をつけずに、国家民族の責任において、万般にわたつてこの人人のめんどうを見て上げるというような態度に出るのがあたりまえだ。便法論かどうか知りませんけれども、ややもすると役人は、お前はマラリアで死んだから、お前のは公務死であると言つて、その方に対しては弔慰金を支払い、恩給の対象にもなる。しかしながら、胃がんで死んだ者は、残念ながらその対象にはならない。弔慰金も行かない。肺病で死んだ者しかり。精神病において非常に困苦しておる人々、あるいは死んだ人々に対しても、そういうような対象にならない。そこに田辺次長もおいでになるが、全国において、恩給法とか援護法という方面に実際にかからない御遺族も相当あることを考えなければならぬ。こういう人々の便に供してこそ、私は日本遺族会がこの軍人会館を無償で借り受けて、これを完全に運営し、その目的を達成することができると思うのであります。従つて、今の説明で大体わかつては参りましたけれども、いずれにしましても、法文の上にこういうことをはつきりとつけておくということは、将来において不便を感ずると思いますが、これを訂正する意思があるかどうか。これを承りたいと思います。
○安田政府委員 先ほど申し上げましたように、一応はここに書いてありますように、「もとの軍人軍属で公務により死亡した者の遺族」というふうに私どもは解釈するわけであります。しかし軍人会館の利用にいたしましても、たとえば宿泊もありましようし、その他いろいろの利用方法がございますが、そういう点で一番問題になりますのは、これから出ました収益を、たとえば育英資金に使うというような場合に、それが遺族かどうかという点が問題になるのではないか。その他宿泊等につきましては、私はそう権利義務でやかましい問題が起るようなことはまずなかろうと思います。そういう意味もありまして、実は遺族会につきまして、そうやかましいことを申し上げなかつたのでありますけれども、大体この条文を基礎にいたしまして、それに適当な判断を加えて行くというようなやり方が、穏当なんじやないかと思うのであります。今のところ、これを改めまして、他に適当な表現を探すということは、少しむずかしいのではないかというふうな気がいたしております。
○中野委員 現段階においては、そういうことも言えるのです。しかしながら、こういうように急激に世の中がかわつて来るのです。終戦当時の国内情勢と、三年、五年、八年を経た今日とは、相当人の気持もかわつて参りました。これから先、三年、五年、十年たつて行く段階におきまして、この法文がいろいろな形において、将来相当弊害をなすおそれがあると思いますから、私は申し上げたのであります。これは小くとも御一考あつてしかるべきものであり、これに対しては広い意味の名前をつければいいのです。いわゆる御遺族なら御遺族という方々に対して、これを開放するのだということが明らかになればよいのですが、よけいなことに、ここに公務死というような文字が使つてあるところが、私は不適当であると思うのであります。 それからさらに伺いたいのですが、先日この事業計画をいただきまして、その内容を拝見いたしました。ところがこの事業計画の内容を見ますと、どうも宿泊行為が相当多いようです。私は先日申し上げたように、一体御遺族の方々に貸して上げるのは、営利を目的に貸して上げるのではない。ある意味においては、社会事業的な性格を多分に持つたものだと思う。これが運営にあたつて、もし損失等が起つた場合には、これをどういうふうに補填するか、あるいはこれが運営に対してはいかなる監督をするか、これはちよつと問題なんです。これはあなたを目のかたきにするのではありませんけれども、こういう漫然たる法律案を、漫然たるままに通して——名分はあくまでも御遺族の方々でありますから、われわれはおよそ一点も反対の余地はありませんので、むろん心から賛意を表するものではありますが、この御遺族の方々に貸して上げるという名目の中に、ややもすれば役人が食い込むおそれがあるのです。たとえて言えば、軍人会館の開放にあたつては、そのうちの三分の一、四分の一を厚生省で分室として使うとか、何かの名目で使うというおそれは、多々ある。厚生省にはないけれども、役所には、国有財産払下げに対して、たくさんそういう例があるのです。たとい名目はりつぱな遺族会の名目で、表看板は上つておつても、内容に至つては、この遺族会の方方が、最初は欣喜雀躍して大いに喜ばれるけれども、将来は非常にきゆうくつな思いをして、何か恩を売られて、実際上の実をとれないというような傾向が生れるおそれが多分にあると思う。私はこの事業計画を見ただけで、内容を全部そろばんを立てて検討しておりませんが、どうもこのままでは不安を覚えるのです。もしこれが赤字が出た場合には、遺族会においてはどういうふうにこれを経営して行こうとしておられるのか。たとえて言えば、全国の御遺族の方々にふれを出して、今度あなた方の会館ができたから、あなた方の中から一家族あるいは一人について、十円ずつの醸金をしてくださいと言つて、特別寄付によつてこれらのものを集める、そしてそういう赤字の場合の補填にするとか、あるいは何らかの方法が公にされておればよろしいが、そのようなことはここにうたつてありません。特別寄付を求めるとはいたしてありますが、その内容はよくわかつておりません。従つて、こういう社会事業的な性格を帯びた事業に対して、これは営利事業ではありませんから赤字の出るのは当然でありますが、その場合においては、せつかくの親心でこれを無償貸付をした、しかるにこの赤字を補填するために、ホールをばストリツプに使うとか、あるいは何かほかのものに使うというおそれが多分にあるのでありますが、これに対して厚生省はどういうような運営の監督あるいは指導をして行くか、この点について説明を願いたい。
○安田政府委員 旧軍人会館を遺族会に無償貸与したあかつきに、遺族会がこれを運営して行くということは、中野委員のおつしやつたようになかなかむずかしいことでございまして、先のことをここではつきり申し上げるのも私ども自信がございません。しかし一応ここに書いてありますところの収支の予算書というものは、大体このくらいのものならば、私どもはこれはやつて行けるのじやないかというような見積書でございまして、収入等も控え目に見てあるわけであります。そこで今のお話の中で、遺族以外の人に貸すのかという点も多少含まれているかと思います。たとえばホールや集会所に利用する場合、これは現在東京都内の便利のいいところで有名な講堂だとか集会所は、一年前あたりから申し込んでも、日にちによりましてもうないというような状況でございます。もちろんこれは遺族の方に優先的に貸すわけでございますけれども、遺族の方が三百六十五日お使いになるわけではございませんので、そういつたような場合に貸しホールということで収益を上げる。もちろんストリツプに貸すつもりはございませんけれども、音楽会でございますとかそういつたのがたくさんあるわけでございまして、そういう収入は相当確実なものだと私ども実は思つているわけであります。それから宿泊施設も、これはもちろん遺族の方に優先的にお貸しいたしますけれども、しかし遺族の方が御希望がない時期に、これはあけておくのもばからしいことでありますから、そういう場合に私は員外利用があつてもいいのじやないか。それは多少高くしてお貸しすることによつて、そういうものの収益をここに書いてある事業に充てて行く、るいは育英資金に充てて行くという考え方をこの予算書はとつているわけであります。もちろん先のことでございますし、なかなかそういうことはむずかしい仕事でございますから、先生の御心配のようなことも一理あると思いますけれども、大体私どもはそういうつもりです。それから厚生省が何か分室に使うのじやないかという話は、私ども実は全然考えてなかつたので、そういう使い方もあるのかということを知つた次第でありますが、そういうつもりはございません。
○中野委員 どうも朝から行政監察委員会で昼飯を食うひまもなくやつて来て、少しお尋ねの点が逸脱しているおそれがあつたかもしれませんが、局長の説明を聞いていると、経営の主体がだんだんわからなくなぞ来る。財団法人日本遺族会に貸すのでしよう。そうして遺族会は全国の御遺族の便に供しようというのでしよう。ただ私の心配しているのは、この経営上社会事業的な性格を帯びているから、赤字等が出る場合をおそれているのですが、それに対しては、一般のホテル等を経営してこれを埋めて行くというような今のお言葉でありましたが、そうなりますと、一体ホテル経営の主体はだれになるのですか。
○安田政府委員 これは遺族会が使用いたすのでございまして、遺族会以外のものに使用させるということは、厚生大臣の認可がいるわけでございます。そこでたとえば今のホールの問題でも、もちろんこの仕事は遺族会がおやりになるのでありますし、また遺族の便宜を考えるべきでありますけれども、先ほど申しましたように、遺族ばかり毎日会合しているわけにも参りませんから、そういう場合にやはり貸しホールとかあるいは貸し集会所というような使い方というものは当然考えられるわけであります。それから宿泊所も、別にホテルの経営ということはございませんけれども、遺族の方が御使用にならない場合にそれを貸すということは考えられる。しかしこれは私どもここに書いてありますように、安い料金で一応計算してございますけれども、将来の赤字の問題を御心配でございましたので、そういうこともあるということを申し上げたわけでございます。
○中野委員 おそらく日本遺族会においてはそういうことはないとは思いますけれども、万々が一赤字補填のために、あるいはその経営をゆたかならしめるために事業を計画して、ひとり貸しホテルばかりでなくいろいろなことをやるおそれが多分にあるのです。こういう国有財産を無償で貸し付けるというような場合においては、苦労してとつたものではありませんから、従つて楽な気持で処理する傾向があるのです。こういう場合の監督についてはむろん厚生省が当るのでしようが、その厚生省だつて、まるつきり信用せぬわけではありませんけれども、まるまる信用するわけには参らぬ面が多分にある。従つてそういう場合においては、何か別の監督機関たとえば違反というような不届きな場面があつたとき等においては、何か適当な処理をする、あるいは監督をする、処罰をする、言葉は悪いかもしれぬが、これに対して制裁を加えるというようなことをお考えになつていらつしやるかどうか、これを伺いたいのです。
○安田政府委員 ただいまのところでは、私どものところで監督いたしますし、同時にまた法務省とか大蔵省とも十分連絡の上で、そういう使用方法につきましては監督して参りたいと思つております。
○中野委員 この軍人会館の宿泊のできる部屋数は、この事業計画によつて見ますと、全国から今日宮城清掃においでになる方々とか、あるいは常時靖国神社に御参拝になる御遺族とか、あるいはこの人々の便宜に供するというのですから、商用で参る方でもとまれるわけであります。こういうような人人をもつて部屋にあてがつてもなお私は余りある人数になると思うのです。たとえば御遺族の来ぬときに一般の客をとめるとおつしやつた。高くしてとめるとおつしやるけれども、私らが数学的に見ますと、おそらくそういうような全国の御遺族が上京して宿泊されたりあるいは利用されるのをもつていつぱいだと思うのです。そこで心配が起るのです。この施設は遺族の便に供されるために無償で貸し付けられておるのでありますから、非常に低廉な価格によつておとまりを願うわけであります。あるいは御利用願うわけであります。そうするとどうしても赤字が出ざるを得ない。従つてどうも両々相またない。片一方の遺族の人を断つて、片一方の値のいい方を扱つて、赤字の方に埋めるということがないとは必ずしも言えない。ほんとうに遺族の方の便に供するというような親切な気持であなたの方でおやりになるなら、そういう社会事業的な性格を持つた事業なんですから、もし万一そういうことになつて赤字が出だときには、政府は十二分に補填して余りあるところの補填をするということをあなたの方で一言これにつけ加えられたらどうなんですか。そうすれば私は安心してあなたにおまかせ申し上げる。 それから立つたついでですから申し上げまするが先ほどの法律の中に公務死としてありますが、公務によつて死亡したと言わずに、戦歿者の御遺族の方々の福祉をはかるため、こういうふうにすればかまわないので、何ゆえにこういう公務というような気どつたものを一々つけたか。この気どることによつて全国の戦歿者の御遺族が相当狭められた片寄つた処置を受けなければならぬということを心配するのですが、この点についても私は納得が行かない。今申し上げた先の点について御答弁を願いたい。
○安田政府委員 私どものここへ出ております計画書というのは、安い料金でとめた場合にバランスがとれるような案が出ておるのでありますけれども、遺族の方が出られて何人くらいがあそこにおとまりになるかというような数字はもちろんつかめません。春秋二季の靖国神社の大祭とかいうときはもちろんあれは一ぱいになると思いますけれども、その他のときは非常にたくさんの遺族の方が出ておいでになりましようが、お仕事の都合とか、あるいは御親戚におとまりになるということもありましようから、そういうような方も全部ここへとまられるというわけでもなかろうと思うのであります。私の申し上げますのは、そういう一ぱいにならないときのことを心配して、あけておいたら赤字になると言われやしないかと思いまして、そういう場合には別な使い方があるじやないかということを申し上げたのであります。それから補償をしたらどうかということでございますけれども、これもたいへんけつこうな案と思いますけれども、今のところではそこまで私ども考えていない次第でございます。
○中野委員 この計画書を見ますといろいろな附属物が一ぱいなんです。床屋さんありあるいは本の販売店あり、食堂あり、洗濯室あり、それから職員宿舎ありというようなわけで、めちやくちやにその方が多くて、実際上とまる部屋はきわめて数が少いのです。あなたの方は現実に中へ入つて見たことがないとおつしやるが、このリストを見ますと、実際上利用するというのはきわめて少いものなんです4このくらいのものでは一体春秋二季の御上京になつた遺族の方々にとつてはとても問題になりません。現在かつての国防館を御遺族の方の宿泊に当てておりますけれども、しかしながら、少くとも全国の御遺族の方々のために無償でこのような厖大な国有財産を貸し付けるとあるからには、その方に主眠を置かなければならぬにもかかわらず、この出された事業計画を見ますと、とまる部屋はきわめて少いのです。一体これでやつて行けるのですかどうですか。こればかりの宿泊所では、よほどたくさんの費用をもらわなければ経営困難なりと思うのですが、宿泊を主としておられるのか、あるいは貸室を主としておられるのか、この点が知つておきたいと思うのです。
○安田政府委員 宿泊所の方は、青写真の坪数によりまして、大体宿泊施設になるところを宿泊所に当てておるわけでありますが、一階が二十九室の百二十八人、二階が二十九室の百七十七人、三階が三十七室の百四十五人、これだけのものを考えておるわけであります。私中に入りませんけれども、先般申しましたように、中の事情を知つている人の青写真を元にいたしました資料でございます。それからどつちを主たる財源にするかとおつしやるわけでありますが、貸ホールや、貸集会所の方はまるまるそつちから残るわけでございます。そつちの方も相当大きな収入源になるのじやないかというふうに考えております。
○中野委員 ちよつとこの際委員長に伺いますが、この法律案はきよう中にあけなければいけない理由があるのですか。もし支障がなければ、さらに半日なり一日事業計画の内容について検討したいと私は思うのです。聞くところによれば、きよう中にあげないと何かこれが廃案になつてしまう、そういうことを聞いたのですが、そういうようなことは常識をもつてはちよつと考えられないのです。必ずしもきようこれを討論してあげなければならぬ理由はないように思いますが、委員長はどういうふうに感じておられますか。
○小島委員長 中野委員に御返事申し上げます。本日これをあげなければならぬという理由は毛頭ありません。また本日あげないがゆえに廃案になるということはだれかのデマにすぎないと思います。ただ委員長としては、本日質疑だけは終了したいと思つておりますけれども、どうしても質疑の都合があるとおつしやいますならば、必ずしも本日に限つたわけではございません。
○中野委員 ほんとうに御遺族の便に供するというのならば、安んじてあの人々がこれを利用して、そしてこの大きな国有財産を思う存分に有効に使つてもらいたいという念にほかならないのですから、遺族会に貸すことには大賛成なんですが、なお万全を期する必要があると思う。これは経営面においても非常に薄弱で、あなたの方に自身がない。ただ端的なるあなたのペーパー・プランにすぎないように思いますし、このままお貸しすれば、将来日本遺族会というようなものが必ず何らかの形によつて全国民から批判をされるおそれがあるように思いますので、このことは遺族会のとらざるところだと思う。私も実は遺族の一人でありまして、八十四歳の老婆をかかえておりまして、これは自分の大事な子供を失つておりますけれども、このような一つの設備ができるとすれば、私どものような貧乏人の家に来てとまるよりも、こういういいところにとまることができれば、感激もするでありましようし、いい気持にもなると思いますので、これは非常に早い機会に通してあげたい気持はあるのですけれども、まだ事業計画において納得のできぬ面があるのであります。 それからこの法律案の中で先ほどから特にこだわるようでありますけれども、公務死の遺族の人々というような限界点をつくつたことについて納得が行かない。これは戦歿御遺族の福祉をはかる、あるいは便に供する、こういうような広い意味で、全国の国家のために犠牲になられた御遺族の方々を遇するというような立場に立つて法律案が出されたならば、私ども審議、通過せしめるにやぶさかではありませんけれども、このままではどうも納得ができませんので、でき得ますれば、さらにもう一日日にちをかしていただきましてこれを検討したい。これは委員諸君の御都合もありましようから、自分一人の都合だけは言えませんけれども、私としてはもう一日の日にちをかしていただいて、次の厚生委員会において討論決定をしていただきたいと思いますが、これは私一人の考えでありますから、どうぞひとつ委員諸君の御意見をお聞きくださいまして、幸いに私の言うことをお聞きくださいますならば、もう一日延期されんことを希望いたします。
○堤(ツ)委員 ただいま中野委員から御発言がございましたが、前回の委員会において私が政府に特に申し上げましたように、これは遺族に無償貸与ということはたれも異議がない。しかし他の国有財産との均衡ということで筋が通らなければいけない。従つて今日の政治の腐敗堕落のもとも国有財産に原因があるものが半ばに達するものと思うのであります。あるいは大きな国有財産や国有物件をめぐつて東京のまん中で何億何百億の金をやみからやみにもうけておるような例が監察委員会に今日あげられておる、決算委員会にあげられておる。そういう立場から考えましても、やはりこれは一応の筋が通らなければなりませんから、私はこの法律を審議するにあたつては、私がこの間御質問申し上げました通り、国有財産に対して政府の一貫した方針、広く国有財産と申しましてもなかなか困難ならば、少くとも社会福祉事業をやつておるとか、公共的な有意義なものであるとか、国がやるべき義務教育を代行しておるような国有財産に対しては、今後どうするか、また軍人会館のごとき接収の対象となり、解散団体の命令を受けたようなものに対しては、今後どういう方針で行くという一貫した政府の方針が前提となつて、やはり遺族への軍人会館払下げも、いかに遺族への無償貸与を願つても、それは筋を通してもらわなくてはならないと思います。でありますから、これは少くとも大蔵当局、厚生大臣との話合いによつて、あるいは文部関係も必要でありましようし、少くとも閣議においてきめられなければ、一社会局長がこれをおきめになることはできないと思うのであります。でありますから局長は今日お帰りになりましたならば、政府の最高方針をこの委員会において提示される機会をつくられまして、われわれの法案審議に対する筋を通させていただきたい。これには委員長の御協力を願いたいと私は存ずるのでございます。 それから中野委員から御発言がございましたように、いただきました軍人会館を利用した場合の事業計画というものを拝見いたしましましても、非常に不安であり、何だか五里霧中のような案である。将来赤字が出て運営困難になつたときには、遺族から金をつのつたりして赤字を埋めるというようなことでなく国が補償するというような大前提を置くというような御意見もありますけれども、しかし何分にも地の利を得た東京のまん中でありますから、むしろ経営の仕方によつては、あのようなりつぱな建物でありますから、赤字よりは、うんと利を生んで行くことは頭の働かしようでいくらでもできると思いますが、そうした場合に、われわれが願うように、遺児や戦争遺族が真に使われるようにしてもらいたい。小学校の生徒が遺族だと言つて来た、それでとめようかとめまいかというときになりまして、こんな鼻たれ小僧はいくら遺族でもこんなきれいな軍人会館にとめることはできないと言つて、特定の幹部が紹介したお客をでんとすわらせてしまつて、遺児を入れてもらえないというような場合も想像しなければならぬ。それから八百万遺家族といわれておりますが、この八百万遺家族が、せめて一度靖国神社に参りたいというので御上京になる状態を、私たち地方におきまして拝見しますが、これは一年間を通じて相当な数であります。八百万遺家族のうち、半分が老齢や病人または旅費の関係などで上京できないとしても、四百万とふんで、この四百万の四分の一の百万の一の百万が、一年に靖国神社を国の保護を得て参拝されると仮定しますときに、これを月に直しますと八方五千ないし九万。この九万が風も吹かず雨も降らず、一年中旅行ができると考えてみまして一日に三千人を数えるのであります。そうすると三千人の遺族の方々がこの旧車人会館に安くとめてもらつて、そして国の費用でせめてもの靖国参拝ができるということを考えますと、五年に一ぺんの靖国参拝を期する遺家族がここにあつたとしましても、私は三千人という数はとうてい吸収し切れないと思う。そういうことになつて参りますと、やはり優先順位というものがおのずからできまして、多分に顔をきかすところの特定幹部や、それから特定の方法を用いて遺族と称してここにとまり込んで動かない者が出て来たりしたときに、われわれが望むところの遺族への恩典が行き渡らないわけです。そういう問題をも勘案したときにどうする。従つてこれは中野委員だけでなしに、各党そうであろうと存じますけれども、われわれにひとつ見せていただいて、宿泊に使うとしてもどれくらいなものであるか、たびたび申すようでありますけれども、木賃宿程度か大臣のホテル程度か、これも見なければなりませんししますから、政府はこの法案をどうしても早く通さなければならない、そうして今から計画しなければならないというのならば、ひとつ連合軍といいますか、極東軍の許可を得て、この法案を審議する国会の委員だけでも中を視察をさせて、そうしてわれわれの頭の整理のできるようにおとりはからいになつて、正面から、これの促進をはかられなければ、何だか蜃気楼のようなものを頭の中に描かせておいて、ただこれを通せ通せと言われるので、疑義を持つてまじめな質問をする委員が出て来ると、これは遺族会に反対してこの法案の通過をじやまするものであつて、反遺族的行動をするものであるというデマを飛ばし、あげくの果てには、きよう中に通らなければ流れてしまうのだというような圧力が外から国会議員にかかるということは、私はまことにふに落ちぬことと思います。どうかまじめに法案が審議できるような順序を立てて政府は法案を出されたい、と思うのでございまして、事業計画並びにいろいろな参考資料をまとめてみましたところで、なおかつ私たちは頭がまとまりませんから、ひとつ政府におかれましてはその点をよく御相談の上、筋の通るように持つて行つていただきたいということを申し上げておきます。
○安田政府委員 国有財産の払下げだとか貸付の方針ということでございましたのですが、私が御答弁申し上げては十分じやないかと思いますけれども、国有財産法というものがございますし、また国有財産の特別措置法というものがございまして、それに方針がきまつておるわけであります。もちろんこれは国会の御意思によつてきまつたわけでございまして、そこでこの法案はそういうような国有財産法及びその特別法である特別措置法のまた特別なものだ、遺族というものは特別なものだということで、閣議でそういう方針をきめまして、大蔵大臣も厚生大臣もそういうものだということでこの法案を出したわけでございますので、私その点につきましては一応そういうことを申し上げて間違いないのではないかと考えております。 それから二番目のどういうふうな施設になつておるか、中を一ぺん見ないとわからないというお話、これもごもつともでございますけれども、現在これはおそらくたいへんぜいたくなものになつておるだろうと思います。これは無償貸与になりましたならば改造をいたさなければならぬ、その改造をしたときはこういうふうになるということを申し上げておるのでありますから、今極東軍が使つておるような実情もございますので、できればひとつ先般申しましたように、中のものその他につきましては御了承を得たいと考えております。
○堤(ツ)委員 そうするとこの改造費というようなものもこの中に見積つてあるのでございましようか。それは了承いたすといたしまして、あなたは私の質問の解釈をし間違つていらつしやいますが、先般の国有財産については範囲が広いから何だけれども、占領中に解散団体に指定されたもので国有財産となつておるものについての方針という意味でありますから、お間違いのないように…。
○小島委員長 では本案に関する質疑は次会に続行することといたします。 本日はこれにて散会いたします。次会は明日午前十時より開会いたします。 午後四時二十七分散会