厚生委員会 第20号
- 発言数
- 86 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1953/07/17
会議録
○松永(佛)委員長代理 これより会議を開きます。 都合により委員長が不在でありますので、私が委員長の職を勤めます。簡易水道の件について降旗委員より発言を求められておりますので、この際これを許可いたします。降旗委員。
○降旗委員 簡単でありますが、ちよつと伺いたいと思います。先般一般質問の中に簡易水道の件について御発言された委員の方がありまして、この簡易水道の国の補助率を工費の半額にしてもらいたいというような御発言であつたのであります。実は私も国元から簡易水道の陳情を受けておりますが、申し上げるまでもなく簡易水道は国民の保健あるいは公衆衛生という立場から申しまして非常に重要なものである。この簡易水道をますます普及徹底せしめることの必要を感じておるものは私一人のみでないと思います。そして私は、現在の簡易水道につきましては、国の補助が四分の一、府県の補助が四分の一、合せて二分の一になるのでありまして、もちろん国の補助率を二分の一にするということはけつこうなことでありますけれども、私から申しますると、補助率は現在のままにすえ置きましても、それを実現する件数を多々ますます弁ずるようにすることが、現在の立場から最も必要だ、こう思うのであります。幸い厚生省におきましてはこの問題に非常に熱意を示されておるようでありまするが、この一、二年の実績につきまして、簡易水道の敷設の補助の申込みの件数及びその工費の総額、これに対して補助を与えたる件数はどういうことになつておりますか、その実績を一応承つておきたいと思います。
○楠本政府委員 現在簡易水道の補助率はわずかに四分の一でありますが、それにもかかわらず全国の簡易水道に関する要望はきわめて熾烈なものがありまして、現在まで数府県を除いて目下申請をいたしております件数を見ますと、件数にいたしまして八百六十六箇所、事業費の総額は六十五億二千万円に達しております。なお数府県残つておりますので、若干増加する見込みでございます。ところがこれに対しまして補助費として計上されておりますものはわずかに四億円、従いまして、事業費は総額にいたしまして十六億でございますので、おそらく要望の五分の一程度を満すにとどまるものと考えております。
○降旗委員 ただいまの御説明によりまして、件数及び総工費の点がわかつたのでありまするが、これだけでは現在の情勢下において非常に不十分である。政府の施策はますますこの問題に熱意と力を入れていただきたいと私は思うのでありまするが、来年度におきまして、これらの未処理になつております件数につきまして、現在よりもさらに積極的に補助件数を増して、補助額を増加するお考えがあるかどうか、この点を御説明いただきたいと思います。
○楠本政府委員 目下来年度予算の編成中でありまするが、来年度予算におきましては、少くとも私ども事務当局の立場といたしましては、ただいま御指摘になりましたように、相当大幅な増額を要求いたしたい所存でございます。と申しますのは、現在私どもが全国的に水質のきわめて悪い地方、あるいはきわめて水に不便をしておる地方、あるいは水のために各種の伝染病が発生しつつあるような地方を調査いたしてみますと、全国で四千二百町村、対象人口にいたしまして約千五百万人の多きに上ります。従いまして私どもといたしましては、これら千五百万人の対象に対しましては、可及的すみやかに、しかも長期計画をもつて逐次水道の普及を実施して参りたい所存でございます。しかし本年度の予算のごときものをもつていたしましては、まことに百年河清を待つ感もあるのでありまして、来年度におきましては、小くもかような目標を五箇年せいぜい十箇年程度で達したい考えで長期計画を立てたい所存でございます。 —————————————
○松永(佛)委員長代理 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案及び未帰還者留守家族等援護法案の両案を一括して議題とし、前回に引続き質疑を続行いたします。中川源一郎君。
○中川(源)委員 戦傷病者戦没者遺族等援護法に関する問題につきましては、各委員から熱心な御質問がありまして、その答弁は私も拝聴いたしましたが、満足すべきものがなかつたということだけははつきりいたしておるのでございます。今回恩給法の一部改正法律案が出ておりまするが、これが通過いたしますると、大部分援護法というのは恩給法に持つて行かれるのではなかろうか、かように考えるのでございます。その場合にまたこの調査を行うことが非常に複雑でありまして、すでにこの援護法の調査でも、ずいぶん長い間かかつて一々戸籍謄本なんかを取寄せて、なかなかめんどうな手続、一字字が違つておつても、また突きもどす、それにつきましては相当遺族の方においても、傷痍者においても手数がかかつております。費用もかかつております。またこういうことを恩給局の方で繰返されるのではなかろうか。もしそういうことになりまするならば、二重の手数がかかるわけでございますので、この場合事務の移管をはつきりとなされまして、すでに入手しておられます戸籍謄本というようなものを恩給局の方に厚生省から引渡されるお考えはないかどうか。まだ未処理の分に対しましては、これは問題ではございまするけれども、すでに確定いたしました分に対しては、これを処理済みとして、恩給においてもすみやかに手続がとられまするように、二重にその手数を要せぬように、戸籍謄本だけでなしに、すべての書類を恩給局の方に手渡してすみやかに処理をしてもらいたい、こう考えるのでありますが、この点いかがでございますか。
○田辺政府委員 援護法による遺族の年金等の裁定にあたりまして、審査をしたり、または裁定をいたしましたいろいろの結果を活用いたしまして、恩給法による公務扶助料の裁定をできるだけ簡易化し、迅速にやりたいという点につきましては、まつたく同感であります。恩給局とよく相談いたしまして、もし書類等でお役に立ちますものがありますれば、われわれの方から引渡しすることは一向さしつかえございません。この点につきましては、私どももよく御相談申し上げまして善処したいと考えております。
○中川(源)委員 まことに適当な御答弁をいただきまして、ぜひそれは実現していただきますように要望いたしておきます。 またこの家庭争議なんかが起りまして、実は受入れる方で、これは未亡人が受入れるべきものである、また未亡人が事実結婚をしておるので、それは子供とかあるいは親が受入れるべきものであるという事柄につきまして、一一家庭裁判所の方へ届出いたしましたり、あるいはまたいろんな手続はいたしませんけれども、受給権者の方では、厚生省の方あるいは今後は恩給局の方に、同一の者に対して二重に申請が出るような場合が往々にしてあるわけでございます。そういう事柄につきましては、何と申しましても民生委員よりも遺族会長が事実をよく承知いたしておるのでございます。遺族会長は全国にありまして、どの村にも、またどの区にもあるわけでございます。全部の遺族が集まつた遺族会であり、それから選挙された遺族会長がいるわけでございます。これらの遺族会長に相談をする場合には、一番事務が正確に迅速に運ぶというふうに私は確信いたしておるのであります。民生委員などは遺族会長に尋ねないとわからないというようなことが多いのでございますので、会長に相談せずにいろいろな意見を述べて、往々にしてあやまちがある場合もございます。頼まれた方につくというようなことでなしに、公正な立場から判断する遺族会長にこの調査方なり手続を一任した方が一番正確である、こう考えるのでございますが、先般このことについてお尋ね申し上げましたら、できるだけひとつ御協力を願つて遺族会長に正確な回答をしてもらうようにしたいというような御答弁をいただいたのでございますが、私はそれには遺族会長に責任を持たしまして、何か民生委員のような資格を持たなくても、あるいは嘱託あるいはその事務について一つの資格を持たすということが必要である、こういうふうに考えるのでございますが、これはすぐに御回答をいただかなくても、ひとつお考えおきくださいまして、そうしてこの遺族会長にそういう事務を嘱託をするというようなことにでもした方がよいのではないか、こう思うのでございます。 それからたいへん問題になつておりました内地あるいは外地で死亡された方のことでございますが、内地では、東洋丸でございましたか、帰還されて、すでに軍務を終えて、そうして自宅に帰るときに船が沈んで死残された人が、たしか東洋丸であつたと思いますが、四国の沖でありました。これらに対しましては、弔慰金を支給されたことを私は記憶いたしておるのであります。これも内地死亡であり、軍務期間を満了された後において起つた事柄につきましても、さような弔慰金を支給された例もあることでございます。内地外地を問わず、いやしくも公務に服しておつた者に対しましては公務死亡として取扱うべきである、かように考えるのでございますが、あるいは脳溢血でなくなつた人は該当しないとか、あるいはまた胃がんでなくなつた人は該当しない、あるいはまた急性肺炎とか、急性気管支炎というようなものは該当しないとかいうことで、いろいろとオミツトされる場合が多うございますので、ただいま何万と事務が渋滞いたしておつて、その判定に苦しんでおられるものが多いと私は思うのです。こういう病気であるというけれども、実際にはこれは気の毒であるというので未処理のものが相当あると思います。それで病気の二十四種目というようなことに拘泥せずにやつてもらわなければならぬと思うのでございますが、恩給局の方では二十四種類の病気というようなことには拘泥いたしませんということを言明しておられるのであります。厚生省におきましても二十四種目というようなことでなしに、これはいやしくも公務で死亡された、自分の個人のことでないという場合においては、すべて該当するようにしてもらわなければならぬと思うのでございますが、これに対してもう少しはつきりした今後の方針をきめていただいて、どうしてもただいまの法律ではこの範囲にしか行けないということでございましたならば、お互いに相談をいたしまして、私は委員各位の御同意を得て、そうしてこれはあまりにも非常識である、気の毒であるというようなものに対しましては、すべて該当するように今回の援護法を改正すべきである、かように存じておるのでございます。先般来各委員が御質問になりました大部分の意見が、この病気に拘泥するというようなことによつて、いろいろな気の毒な人が起つて来るということを御発言になつたわけでございます。私は一日も早く内地、外地を問わず、また病気の種類いかんを問わず、いやしくも公務に倒れました場合には、公務死亡を拡張して、そうしてこれに当てはめるべきである、かように存ずるのでございます。医者によりましては、これは何という病名をつけようかと、いうことで思案をしながらつけられる場合もあるわけでございます。ですから伝染病に限るというようなことでなしに、私は公務死亡はすべて該当せしめなければならぬ、かように存ずるのでございます。この点不公平のないようにしたいと思うのでございますが、重ねてひとつ次長の御回答をいただけますればけつこうかと存じます。
○田辺政府委員 ただいま御質問に相なりました件につきましては、先般お答え申しました通り、援護庁としては二十四種類の病名というものに限定しておることはございせん。たびたび申し上げます通り、従来の恩給裁定の内規のような基準にこだわることなく、今度の戦争の特殊性にかんがみて、その実情に即応するようにとりはからつておる次第でございます。 なお公務であるか公務でないかという問題につきましてはやはり法律上一定の限界があるわけでございます。公務でないものを、みなすというためには、法律をかえて行かなければならぬと思います。もちろん公務であると認定するにあたつては、疾病あるいは負傷にかかつた当時の状況というものが非常に大事でございます。また疾病にかかつた後の治療の機関がどうなつておつたか、これも重大なことであります。りつぱな病院にすぐさま収容して十分な治療を受けられるような環境に置かれていたのと、病院もなかつたような場所とではいろいろ違う思うのでありまして、一概に断定はできないと思いますが、先ほど申し上げましたような気持をもつて裁定促進にずつと努力して参りたいと思つておる次第でございます。
○中川(源)委員 以前に御答弁いただいたのでございますが、実は地方の世話課においては二十四種類の病気の中に該当していないから、厚生省に書類を送りましてもだめでありますからというので、最初から受け付けないような世話課もあるわけであります。これはけしからぬというので、ほかの病気の証明をとりまして、ようやく厚生省に送つてもらうというような事実もあるわけであります。ですから、二十四種類に限定していないということをひとつ地方の世話課にはつきりと通牒を出しておいてもらう必要がある。初めから二十四種類の中に入つていない病気が事実あるのです。それを地方で当初から取上げないというようなことのないようにしていただきたいと思うのでございます。この点十分徹底しておつたかどうかということをお伺いしたいのであります。 次に遺児の育英のことについてでございますが、育英の方は、昨年は六千八百万円でありましたが、今度は一億二千万円と承知いたしておるのであります。その内容は、日本育英会の育英資金と何ら金額において相違がない、一般の勉強したいという意欲を持つ子供、そうして学資がない、成績のいいという子供の育英資金を利用するというのと、戦歿者の遺児がこれをいろいろ利用するというのと何ら差別がない、ただ予算措置は六千八百万円、あるいは一億二千万円盛られておるだけであつて、その利用方法にはかわりがないというようなことでは、あまり恩典を感ずるものではないわけです。しかもその三十四億の日本育英会の育英資金があるわけでございます。いま少しこれは、戦没者の遺族、あるいはまた傷痍者の死亡いたしました者の遺児というものにつきましては、かんじんの働き手を国のためにささげたわけでございますので、もう少しこれは徹底した育英資金を出す、あるいは育英方法を講じなければならぬ。外国のいずれの敗戦国におきましても、遺児に対する待遇は、非常によくいたしておるのであります。満二十四才までは国費をもつて義務教育から大学を卒業するまで、西ドイツも東ドイツも育英資金を出しておるという状態でありますし、またイタリアにおいてもオーストリアにおいても、遺児の教育には非常に力をいたしておるのであります。これに対しましてもう少し徹底した対策を講じてもらう必要があると思うのでございますが、この点何かお考えをしていただいておるものであるかどうか、今まで通りでやつて行くというお考えであるかどうかということを伺いたいのです。 それからもう一つお尋ねしたいのですが、遺族あるいは傷痍者の住宅難というものが最近非常に深刻になつて参りまして、主人が戦争に出るまでは相当広い家でもそれで十分維持ができたのでございますけれども、未亡人とか子供、年寄りだけでは、その借りておる家も少し広いというので、間貸しをするというような者が最近大分出て参りました。間貸しした場合に、家主は、これは承諾を得てしたもので、十分徹底いたしておるものはどうか存じませんが、承諾を得てあるにもかかわりませず、承諾は得てないというので立ちのき、明渡しを要求するという裁判がもうどの地方におきましても至るところたくさんある。その対象は未亡人が入つておる、子供を持つ未亡人の借家が多いのでございます。裁判所でごらんになりましたならばよくわかる通り、一番件数の多いのは明渡し事件、その対象はほとんど未亡人の住まつている家でございます、あるいは年寄りの住まつておる家、その場合に、弁護士を雇うだけの資力もなし、またそういう知識を持つておらぬために泣寝入りで裁判に負けてしまつて、泣く泣く家を明け渡すというような場合が多いのです。まことに今日では気の毒な状態が至るところある。中には戦没者の未亡人や、子供や、年寄りだけの入つておる借家で、売るものはないか、安く売るものがあるならば買おうというような、それを商売にしておる朝鮮人、あるいは日本人にも弱い者の入つておる家を探して、それを安く家主から買いまして、そして明渡しを専門にやつて、またその家を明け渡してから高く売りつけようというような裁判が、どの地方に参りましてもたくさんあるわけであります。まことにこれは弱い者いじめで、みじめな問題でございます。ドイツやオーストリアのことを申しまして何ですが、優先的に家のない者、家の焼かれた者に対しましては、戦没者の遺族、あるいは傷痍者の遺族の家に対しましては、優先的に住宅を建てて住まわしておるわけです。今回住宅につきましては、労働者の住宅を建てようということで、まことにこれはけつこうなことでございます。これと同じような意味で、非常に住宅で困つておるような未亡人や子供あるいは年寄りに対しまして住宅を心配してやる、あるいは住宅組合に申込んで、抽籤なんかについても優先的に取扱うように格別の御心配が厚生省で願えないものであるかどうかということをお尋ねしたいのです。衣食住のうちで、食は近ごろ楽になつて参りましたが、住まいという問題については深刻な問題がございます。幾多その例を承知いたしておるので、この際住宅問題について厚生省の方から心配するようにお考えを願えぬものであるか伺います。
○田辺政府委員 戦没者遺児の育英の問題でございますが、これは文部省の所管でございますので、文部省当局からお答えを申し上げるのが適当かと存じますが、この際私からお尋ねの第二点の遺族、傷痍者に対する住宅の問題について、お答えを申し上げることにいたします。 住宅困窮者のうちで、お話しの通り傷痍者であるとか、あるいは未亡人であるとか、あるいは引揚者であるとか、あるいは戦災者等、厚生省に特に関係の深いものがたくさんおられるわけであります。実は引揚援護庁では、引揚者の住宅について今までいろいろお世話を申し上げておるのでありますが、終戦後長年たちました今日、引揚者の住宅だけについていろいろ特別に考えるということは実情に沿わない点がございますので、建設省とも折衝いたしまして、従来の一般公営住宅のほか、低額所得者のために——これはもちろんお話の方々も含めた、主として対象にしたものでございますが、いわゆる厚生住宅と申しますか、低家賃の公営住宅というものを特別につくつていただきまして、建設省当局においては二つにわけて現在家を建てているわけでございます。いわゆる厚生住宅というのは厚生省の社会局で主管をいたしております。建設大臣、厚生大臣共管ということになつておりまして、各定員の割当て、住宅管理等のことにつきましては、厚生大臣が建設大臣と協議いたしまして措置するということにだつております。この点はこういう線を一層促進いたしたい、こういうふうに考えております。
○中川(源)委員 最後に一言、これは労働省の関係かもしれませんが、遺児の就職、あるいは未亡人の就職についてでございますが、これをひとつ格別に厚生省と労働省とがお打合せをいただきまして、そして片親がない子供で、学校を卒業いたしましても就職ができないということではたいへん困るわけでございますので、同じ能力を持つ者でありましたならば優先的に採用するような勧誘をするとか、あるいはまた何とかそこにくふうを立ててもらえないかと思うのでございますが、私はたびたび自分でその問題にぶつかつておるのでございますが、子供はよく勉強できて採用試験にはりつぱであつた、非常によい子供であり、自分の百貨店に採用したい、自分の銀行、会社に採用したいのであるが、調べてみると母親だけしかない、私の銀行では、会社では、片親しかない者は採用しない内規になつております、たいへんお気の毒でありますがやむを得ませんというので、非常にしつかりしたよい子供でありましても、父が戦死しておるとかあるいはそういう関係で採用しないという百貨店がたくさんある、また銀行や会社がたくさんあるわけでございます。今日人間が余つておるときでありますから、銀行会社はすきほうだいを言うて人を採用するのでありますが、私どもは大学生がアルバイトをするのに、両親のある人は遠慮してもらいたい、片親しかないものを先に、優先的に採用されたいというふうにいたしまして片親の者を優先採用いたしております。そういうふうに各銀行でも会社でも国のために命をささげましたものに対しましては、勉強ができないとか能力がないという者ならば、これは採用にならなくてもよろしいのでありますが、他の者に負けないりつぱな能力があり、力があるというものでございましたならば、これを優先的に採用するように御勧誘を願うくふうがないか。ドイツの法律では傷痍軍人を何パーセント以上採用しなければならない、どの会社も工場も、戦没者の遺児あるいは未亡人を三%以下の採用の場合には、罰金幾ら幾らに処すというふうに法律をきめられておるのであります。いつかこの問題について前の厚生大臣にお尋ねしたこともございましたが、これは職業安定所の方になるべく優先的にこれらの気の毒な方々を採用するようにということを慫慂してみる、そうしてまだ成績が上らないということであつたならば考えてみるということの回答を得たこともございましたが、ただいまでは相かわらず一般社会が国のために命をささげた気の毒な家庭であるというような同情よりも、まず採用するものの方がかつてな考えをもちまして採用しておるというような場合が多ございますので、この問題について政府が何らかの手を打つ必要があると私は考えるのでございます。そうでなければ、片親しかない者はいつまでたつても採用されない、それこそ子供までが国家を恨むということになるので、ひとつ格別の御心配をいただきたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
○田辺政府委員 戦歿者の遺児の方々の就職の問題につきましていろいろお話を承つたのでございますが、片親しかないために就職上不利益を受けるということがあつては相ならぬと思いまして、そのことにつきましては、従来労働省ともいろいろ話をしておりまするが、重ねて厳重に申入れをいたしまして、さようなことのないように、さらには進んで遺児の方々につきまして、できるだけ就職の御便宜をいただけるように、なお一層できるだけ努力をいたしたいと考えております。 —————————————
○松永(佛)委員長代理 ただいま援護法関係二法案の審査中でありますが、食糧庁から新沢食糧庁総務部長、寺田食糧庁業務第二部長がお見えになつておりますので、この際食品衛生法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、質疑を続行いたしたいと存じます。杉山元治郎君。
○杉山委員 今食品衛生法の一部を改正する法律案が議題になりましたが、これは御承知のように輸入食糧のうちに、はなはだ不衛生的なものも入つて来て、これについて衛生的立場から十分な検査をし、これを防遏して行く、こういう立場から厚生省の方はこういう法案を出していただいておるのでありますが、その食糧品のうちでも、御承知のように黄変米のような非常な多額の不良のものが出ましたりいたしておりますので、私はこの際厚生省がただ結果だけを見て、これを除去するというのでなしに、その根源である輸入を取扱います農林省の方でも十分いろいろな御考慮を願わなければ、いわゆる河清を待つのに根源をきわめない、こういう結果になると思いましたので、特に食糧庁の方々をお願いして来ていただいたわけであります。特に黄変米についてお伺いいたしたいと思うのでありますが、黄変米はビルマ米だけの特有のものでありますか、あるいは他の輸入米にもございますか、一応その点を伺いたいと思います。
○寺田説明員 黄変米がビルマ米以外にあるかというお話でございますが、タイにもございます。
○杉山委員 この黄変米ができますのは、向うの土地にある間にできるのか、あるいはそれを日本が買い取つて航海中にできるのか、あるいはそうでなしに日本に来てから後にできておるのか、その原因はどこにあるのでありましようか。
○寺田説明員 一番根本的な原因は、産地におきまして黄変米菌が米につきまして、それが繁殖するということにあります。私どもの方といたしましては、買付に当つては、そういうものはないように十分注意しているわけであります。しかしながら黄変米菌が米についておりましても、産地にありますときは外見上は目立たない場合があるわけでありますが、今お話のように航海中または内地に来てそれが繁殖してふえるという事実もございます。
○杉山委員 現地でお買いになりますときに、いわゆる商社を使つているようでございますが、ただ商社だけにおまかせになつておるのか、あるいは農林省の出先の検査官の方が何人か出ておるのか、その点お伺いしたいと思います。
○寺田説明員 現在のところは、食糧庁から係員が駐在いたして、その検査をやるということはやつておりません。しかし領事館にも商社の督励、監督ということはお願いいたしておるわけであります。ただこの問題が大きくなりましたので、現在は食糧庁から検査官を派遣いたしまして、調査並びに今後の対策について研究をすべく現在参つております。
○杉山委員 いわゆる商社の方々は買い集めることにただ狂奔して、実質的にほんとうに品質のよいものを集めることに、それほど骨を折つておられるかどうか。特に買集めにむずかしい今日では、やはり集めるということの方に力を入れて、品質の方面に力を入れにくいというか、その方が少しおろそかになるのでないか、こういう点があろうかと思います。それで特に役所から参つた検査をやる方が厳重に検査をしていただかないと、厚生省がこれに対して法律をいよいよ出さなければならぬような問題が起つて来ると思いますので、十分な検査をやつていただきたいと思うのですが、今お話を伺うと、ごくわずかな方しか行つておらない、こういうふうに受取れるのであります。御承知のように今の予定でもビルマからあるいは六万トンあるいは三万トンというように、少くとも九万トンの米を入れなければならぬ。こういう場合にわずかの人で、はたして検査ができるかどうか、その検査はどういうような形式をとつておるのか、そういう点もひとつ伺いたいと思うのであります。
○寺田説明員 ただいまビルマの米の買付にあたりまして、商社がただ米を集めるために狂奔して、その品質の吟味にあたつてあまり注意を払つておらぬのじやないかというお話でございますが、これは御承知かと思いますが、ビルマの米は全部政府が統制をしております。この売渡しの方法といたしましては、GGと申しますか、政府間貿易になつておりまして、米が足りないものでありますから、ビルマ政府はどこどこに幾ら、どこどこに幾らという割当を実施しております。従いましてその割当を受けませんと、米の買入れ、はできないわけでありまして、ただいたずらに米の買いあさりをやるといつたところで、事実上米はたくさん買えるということではないのでございます。その割当を受けました米を、向うの政府機関SMBというものがございまして、その割当の数量を日本に渡すことになつておりますので、買いあさり狂奔のために品質を吟味できないということではなくて、政府間貿易のために、その吟味にあまりむずかしい注文がつけられぬという実情もございまして、極端なことを言えば、向うのあてがい扶持というふうになるのであります。しかしながら問題が問題でありますので、その後、ビルマ政府とも交渉いたしまして、できれば黄変米は日本としては配給不適当であるから、黄変米が入つたものはお断りできるようにという交渉をやつておるわけでございますが、ビルマ政府といたしましては、黄変米につきまして、他の国も出しております関係もありますし、日本だけにそういつた特定の条項を入れることを実は渋つておるようなわけでございます。従つて契約の面で現在のところはこれをはつきりさせるということに至つておりませんが、その点につきましては十分交渉を続けて行きたいと思います。しかしながら現在は今のような実情をビルマ政府に十分訴えまして、できるだけ引取る前に品物の検査をさしてくれということで、船に積みますときに、商社並びに私の方から参つております者が立会いの上検査を実施しております。その際に悪いものがありますと、船に積むことを実はお断りしておるようなわけでございます。相当これは強く実施しておりますので、ビルマ政府との間に多少のトラブルも引起すくらいに強硬にやつておるわけでございますが、何分根本的にこれを契約なり、とりきめの上ではつきり断るという段階に至つておらないわけでございます。なお船に積み込むときのみならず、現品が倉庫にありますときに、倉庫の下見検査をさしてくれということを申入れいたしまして、これはビルマ政府が許容してくれまして、倉庫の下見検査も実はやつておるようなわけでございますが、何分にも広い地域にわたつて幾らの人間もおらないわけでございますから、完全に全部の倉庫の下見ということは不可能かと思いますが、そういつたことで私どもの方の検査はもちろん、ビルマ政府といたしましても、私どもが検査する前に誠意をもつて品質なり品種の吟味をいたしまして、ビルマ政府自身としても日本の希望するものが渡るように、こういうふうな措置をとつてくれておるわけでございます。
○杉山委員 今お伺いしますと、政府の割当である。そういうことならば、今三社ですか四社ですか、買出しに行つておるようですが、別段そういうものがなくても、政府の出先の方が政府と政府と御交渉の上で、これを買い取れるのではないかという気がいたすのでありますが、やはり四社が出て行つているということは、それぞれ営業者でありますから、買わなければならぬ、こういう結果が当然出て来るのではないかという気がいたすのです。その結果先ほど申し上げたようないわゆる買いあさりのようなことになり、悪いものを買うという結果にならないか、こういうことを私は心配して申し上げたのであります。もし今お話のように政府の割当であるということならば、日本政府にこれこれ、今申し上げたように九万トン、こういうことなら、仲介業者がなくても、これは買い入れられたのではないか、その点についてもう一度伺いたいと思います。
○寺田説明員 ただいま買いあさりをやつた結果、悪いものが入つて来ておるんじやないということを申し上げたのでありますが、これは政府でとりきめになつておるならば、しからば商社はいらないじやないかというお話でございます。御承知のようにただ数量なり価格のとりきめをしただけでは、米は持つて来れないわけでございまして、きまつたものを引取る船を持つて行つて、内地に輸送するような仕事もございますし、また代金の支払いも一応政府が直接やらないで、そういう商社を使つて代金の決済もやつておりますし、政府がとりきめしたから商社はいらないという結論にはならないのではないかと思います。また先ほども申し上げましたように、米の引取りにつきましては、商社も立会いをやつておりまして、悪いものは拒絶をしておるような仕事もやつておるわけでございます。
○杉山委員 それから検査でありますが、向うのビルマも検査をしているというお話ですが、私どもの聞き及んでいるのでは、ビルマの検査は、小米だとか、あるいはひえだとか、あるいは小石だとか、そういうものに対する除去はいろいろと御心配になつているけれども、黄変米のごときは今お話のようにわからない。こういうことの結果、そういうものについてはやつておらないとは思いますが、私は今のような目に見えぬような來雑物をとるということは、当然やつていただかなければならぬと思うけれども、われわれが今問題にしているのは、そういう病変的なものが入つて来ることは困る、こういうことであります。そういうような単なる肉眼的な検査じやなしに、細菌的と申しますか、そういう検査が出先においてなされているのでありましようか。政府の方でやつているにはやつているけれども、私の申し上げたような理学的な検査はやられておると思いますが、細菌的な精密の検査はやられておらないと思うのです。そういう点はいかがですか。
○寺田説明員 黄変米になりました米は、科学的ないろいろな検査方法もあるかと思いますが、外見上一見して黄変の現象を来しておりますので、体験によりましてある程度の検査は可能なわけであります。そういつた検査は現地においてやつておるわけであります。
○杉山委員 やつておいでになるなら、ぜひそれを厳重にやつていただいて、内地に来て、そういうことのないようにしていただきますならば、財政上非常に浮かびますばかりでなしに、この問題などもこの法律の部分が非常に助かると思うのであります。しかし私はそういうようにしていただいておつても、今おいでになつているような二人や三人の検査官でははなはだ足らないという感じがするのであります。今の検査官で十分に検査ができるという御自信でございましようかどうでしようか。
○寺田説明員 先ほども申し上げましたように、倉庫の検査をするというふうなことになりますと、これはもちろん現在の人員では十分とは申せないわけであります。これはやはりビルマ政府自身も、その点につきまして協力をしていただくという態勢がないと、日本から行つた者だけでは、完璧な検査ということも困難ではないかと思います。先ほど申しましたように、これにつきましては、ビルマ政府当局側としても、非常に良心的に、日本にはさようなものがないように注意をしてくれておりますし、それにあわせまして、私の方の検査を抽出的にやつて行く。またもちろん商社も検査官の指揮のもとに検査をしてくれておりますので、大体支障なく行くのじやないかというふうに考えております。また事実上そういつた措置をとりましてから、現在は比較的良好なものが入つて来ておりまして、そう問題になつたものもないわけでございます。しかしながら、できれば人員がたくさんいた方が、より完璧な検査ができるということは、これは当然のことでございます。しかし予算人員等のいろいろの問題もございますので、その点につきましては、今後関係方面とも十分折衝して、ますます完全な検査ができるというふうにしております。
○杉山委員 ぜひ完璧な検査ができるようにして、内地へ来て災いの起らないように、ぜひ十分の御手当を願いたいと思います。 御承知のように今度の予算で見ますと、行政費節約が百億円もされておる。その結果、いわゆる農林省関係においても調査、研究、検査、こういう費用が一四%減ぜられる、こういうことに相なつておるようでありますが、そうなつて参りますと、われわれは今申し上げたように、検査をぜひもつと厳重に、かつ多くの方々に行つていただきたいと思つておるのでありますが、事実今言うようなことになつて来ると、なお減らさなければならぬというふうな結果になつて来はしないか、こういう心配をいたしておりますが、こういう点について、今の現在員を減らされるという心配はないでしようか。
○新沢説明員 今度の予算の節減のために、将来の検査事務が、いかに影響を受けるかという御質問でございますが、実は現在のところもなかなか苦しい状態でございますが、今度の節減で、外国旅費等がたいへん節約を命ぜられました。大体買付の期間といたしましては、問題の期間は雨季中でございますので、一応今行つております人間につきましては、八月一ぱいくらい、あるいは九月中ごろまでの予定で行つておりますので、さしあたつて今直ちに行つておる人を引揚げるという問題は起らないと思つております。来年以降は、ことしと同じような率で予算がきまりますと、たいへん困難と思いますので、来年の予算編成につきましては、大蔵省にも十分話して、そういうことの起らないように努力いたしたいと考えております。
○杉山委員 現地の方はそれといたしまして、日本に入つて参りましたものの日本の港における検査は、これは厚生省の方もやつているように伺いますが、あるいは農林省の食糧庁の方でも、おやりになつておるのでしようか、その点をお伺いいたします。
○寺田説明員 これはもちろん厚生省の方としてもおやりになつておると思いますが、食糧庁といたしましても、各現地に検査官がおりますので、十分検査いたしております。
○杉山委員 厚生省の方はもちろん衛生的見地から見て、今言うような部分を検査しておるので、農林省の方は、いわゆる品質的な部分を検査しておるのでしようが、その場合にやはり厚生省と同じような部分も検査するのかどうか、こういうことはどうなつておるのでしようか。
○寺田説明員 もちろん品質の点のみならず、配給できるかできないかということは、非常に大きな問題でございますから、黄変米のごとき配給不適当というふうな事態が生じますものについては、配給適なりや不適なりや、十分検査を実施しております。
○杉山委員 輸入港に食糧庁のそういう検査官が何人ほどおりましようか。
○寺田説明員 はつきりした人数は覚えておりませんが、大体二、三十名は検査員がおります。
○杉山委員 これは全国でですか。
○寺田説明員 いや、輸入港だけであります。
○杉山委員 輸入港と申しましても、一つではないでしよう。あるいは四日市だとか、神戸だとか、いろいろあろうと思いますが、それは何箇所ほどでしようか。
○寺田説明員 これは御承知かと思いますが、食糧庁は、輸入食糧のみならず、内地の食糧につきましても全面的に検査を実施しておりまして、その総人員は二万七千名くらいです。実はこれは検査の仕事だけではありませんで、あらゆる食糧管理の仕事も兼ねてやつておりまして、それが主要なところには、出張所というようなものを設けまして、大体全国的な組織網を持つて実施しておりますので、輸入港についてそういう検査員がおらないというところはないわけでございます。
○杉山委員 私は食糧検査官の数はよく承知しておるのですが、特に米麦としての輸入食糧が港に入り、その港において検査をするお役人の方はどのくらいおるか、このことを伺つておるわけであります。
○寺田説明員 これは先ほど申し上げましたように、主要港には全部検査官はおりますが、その主要港の各港の詳しい人員は、実は今承知いたしておりませんので、御必要がございますれば、あとで書類にして差上げたいと存じます。
○杉山委員 この間新聞で拝見しますと、黄変米の払下げを一万数千トンおやりになつたようでありますが、それが何でも菓子あるいはみそ、そういうようなものに払下げをする、それで普通食べますと、有毒であるけれども、そういうように加工すると、これは有毒でないのか。その点について厚生省の方からお伺いいたしたいと思います。
○楠本政府委員 黄変米等が発見せられました場合には、農林省の方に申入れをいたしまして、それぞれの毒性に応じまして、使用の用途をかえるようにいたしております。たとえば極端なものは、工業用アルコールにまわしたり、あるいは軽度のものは、みそ、しようゆ用にまわす、さらに軽度のものは、おこし等の菓子原料にまわすとかいうような、それぞれその品質によりまして、振りわけをいたしまして、農林省に申入れをいたしております。
○杉山委員 大枚を払つたものでありますから、むだにしてしまうということは惜しいから、できるだけ有効に使つていただくことはけつこうでありますけれども、それが今言うように、加工上において、もし有毒でありますならば、せつかくおやりいただいても、それはたいへん困つた問題になると思いますが、そういうことのために配給を禁止しながら、今言うような、まつたく有毒でないアルコールならアルコールというように、何かそういう特別な処置がとられると思いますが、今申したような払下米の加工に対しては厚生省はこれなら大丈夫だ、こういう検査の上に農林省の方にそういう振りわけをいたしておるのでございますか。
○楠本政府委員 御指摘のように、私どもといたしましては、衛生上危害なしという確信のもとにその振わけを農林省に申入れしているわけであります。
○杉山委員 もうこれで終りますが、ただ農林省に伺います。今度のそういうような加工に払い下げました黄変米の価格が、トン当り一体どれくらいで払い下げておりましようか。
○新沢説明員 実は厚生省から御連絡をいただきまして、その御判定に従つて用途先をわけて計画を立てておりますが、実は、用途別の配分が最近きまりましたので、まだ実際の払い下げは実施いたしておりませんが、できるだけ高い価格でそれぞれ用途に当てたい、こう思つておりますので、それぞれの引受先から原価計算等提出していただきまして、交渉中という段階でございます。
○杉山委員 交渉中というのならこれはもうそれ以上に聞くわけに行きませんから、お尋ねしませんが、いわゆる高い外貨を払つて得た米でありますので、先ほど申した払い下げのうちにも、食用になるべき分までも、うつかりするとこれは黄変米の軽い部分だと称して売り出すような危険性が今日までもあつたと思います。そういう点についても、ひとつ食糧庁も十分な検査をいたしますと同時に、価格の点につきましてもどうかあまりひどい損失の行かないような点についての御配慮を願つておきたい。これはあとでわかりますから、こういう問題はきまつた後に御返事が得たいと思います。たいへんありがとうございました。
○堤(ツ)委員 関連して。ただいまの黄変米の問題で厚生省と農林省との間に答弁の食い違いがあるように思うのであります。この間の楠本さんの御答弁では、今まではしようゆだとか菓子だとかいうものに払い下げて来たとおつしやつた。ところが今のお話では、払い下げる値段を目下交渉中であつて、今初めて払い下げるというようなことをおつしやつておる。払い下げたとおつしやるならば、すでにお払い下げになつた値段というものはそのときどきにあつたんだと思います。そこに少し答弁の食い違いがあるように思いますが、どつちがほんとうでございましようか。
○新沢説明員 言葉が足りないで、誤解を生じましたことをおわびいたしますが、実は二十六年度に輸入いたしましたものが八千トンばかりございます。それは昨年中に売りさばいてしまつたわけでございます。二十七年に入りましたものにつきましては、ただいま申し上げたような経過をたどるということでございます。これは間違いありません。
○堤(ツ)委員 そうすると二十六年度に払い下げになつた一千トンというものの値段ははつきりしておるわけでありますか。
○新沢説明員 一千トンでございませんので、約八千トンでございますが、これが三回ぐらいにわけて払い下げになつておりますが、一番高く払い下げになりました価格がトン当り約三万三千円でございます。安い方は二万八千六百円ぐらいで払い下げております。
○堤(ツ)委員 それで外国からお買いになつた米の値段と一トン当りどれだけ違うのでありましようか。ちよつと参考のために……。
○新沢説明員 買い入れた値段との比較はこれはなかなかむずかしいので、ちよつと資料がございませんので比較がいたしかねますが、これが正品であつた場合の、もし正品であつたならば売れたであろうという値段を申し上げますと、主食用として売つておりますのは配給用は五万二千九百九十円で売つております。それから原材料用といたしましてはむしろそれより高目に六万一千九百八十円で売つておつたわけであります。
○堤(ツ)委員 これは私どもの党では重要な問題でございます。政府が高い外米を買つて、それをしよう油にしたり、工業用のアルコールにしたり、またお棄てになつたものもあると思いますが、そういう面においてどのくらいの国費の損失と申しますか、そういうものがあつたかということは、今決算委員会の方で、確かな数字をつかもうとして手わけをしてやつておりますから、後ほどあらためて価格の問題なり他の問題はわが党から質問することといたします。日本の農民のつくつたところの米に対しては徹底的な安値でたたいておいて、土地改良も食糧増産のための肥料も、うたうばかりで、何ら現在生産農民を保護しない。そうして供出を非常に強制し、高い肥料を売りつけて農民を苦境のどん底に追い込んでおきながら、石当り千五百円ないし二千七百円も高い米をタイやビルマに行つて買い付けて、そうしてこれが年間米麦合せて二千万石、その予算たるや実に驚くべきもので、買入れたものが黄変米となり、これがしようゆになり、工業用アルコールになつて、今あなたが御報告になりました通り、トン当り二万円以上の損失をしながら業者に払い下げて菓子屋やしようゆ屋を喜ばしている。またこれを目がけてありのごとく特定の業者が寄つて来る。また資本家の立場になつて見ますれば、これを買い集めて一もうけするという手もあるわけでありまして、まつたくこれは国民を毒するもはなはだしいものであつて大きな問題であろうと思います。従つて私たち主婦の立場にあります者が、その虫のはつているところのとうもろこし粉や、占領中に腐つて食えない黄変米をたびたび強要されましたが、これは各全国の消費者の台所からは政府にその声は届いているはずで、非常に非難されておつたはずであります。今の杉山委員に対するところのお答えを承つておりますと、現地を出るときには何ともなかつたが、航海しているうちに赤くなつたり、虫がわいたりしている、そうしてこれはタイやビルマを出るときはわからなかつたけれども、こちらに着いたときは黄変しておつたということでどうも判断しかねるというのらりくらりの答弁をしておりますけれども、かくのごとき大きな問題として食糧自給が叫ばれ、今日食糧自給をなし得ないで外米に依存しておるところの日本国民の一番大切な自立の基盤をなすところのこのパンの問題を、政府は良心があるならば少くとも予算をかえてやるべきだと思う。海の向うから出されるとき出荷と同時に調べてみたけれども間違いはなかつた、しかし何日海を航行して何日経過したうちにどれだけのものが黄変して、しようゆや工業用アルコールにまわされたということは、十分科学的な根拠をもつてすでに御調査願つておらなければならぬ問題で、ここ二十六年や二十七年の問題ではない。政府が外国輸入米に対して誠意ある処置をなさつたかどうかということは、先ほどから杉山委員への答弁を聞いておるとはなはだ疑わしいのであります。今日はもちろん独立国として堂々と対政府の問題で、良心的なものを出さなければこちらは受取らないという交渉ができましようけれども、今日まではそれが泣寝入りをしてもらつて来た感もありましたが、しよせん今日以後も農民がつくつた二千八百万石の供出米だけではどうしてもパンを満たすことができないとするならば、外国輸入食糧にたよらなければならぬ。これを続けて行かなければならぬのでありますが、国際的に食糧不足が出て参りましたときは、また日本政府は、黄変米であろうと、虫がはつておろうと、とうもろこしの粉であろうと、これをかしこみつつしみてだまつておもらいになるということを繰返される危険が多分にあると私は思うのでありますが、こういう点について科学的な根拠をもつて国民に誠意ある御処置をなすつていただきたい。少くともこれを今日以後続けられますならば、おそらくこれは決算を通して私たちが政府のこの実態を暴露いたしますれば、年間何百億あるいは五百億に近いくらいな国民の税金を空費されているのではないかと思うのでありますが、科学的な検討を年年歳々続けて来られたかどうか。どうやらないように存じますが、いかがでありますか。
○安田政府委員 ただいま受取るときには黄変米でなくて、航海中あるいは内地に来てから黄変米が出たというふうにお聞きとりになつたようでございますが、産地においてももちろんさようなものが、大量の積込みの際でございますからあつたということは、私は認めざるを得ないと思います。しかし産地のみならず、航海中あるいは国内に貯蔵中も、そういうものが発生し、ふえるということはないかという御質問もあつたかと思いまして、そういつたこともあるというふうにお話をしたわけでございます。
○堤(ツ)委員 どうも政府はなかなかお苦しいらしいので、あまりこれ以上申し上げるのもお気の毒かと思いますが、非常に私は政府に誠意がないと思うのであります。何にもなくて困つているんだから、お前たちこれをもらわなかつたら食つて行くものがないんだからというので押しつけられる。たとえばことしなども、九州の災害で、非常にパンの問題を心配されておりますが、非常に九州の災害の人たちは泣寝入りをしている。また、ろくでもない米をもらわなければならぬというようなことが起つて来るんじやないかと思うのであります。今日まで、どうやら政府のやつておいでになつた形跡を伺いますと、あちらに二人くらいの係官を派遣しておいて、そうしてたとい一升でもよけい集めてもうけたらいいというところの業者にすべてをまかせておいて、そして黄色くなり、少々虫がいるというのも知つておつて、それを内地に送りさえしたら金になつて、政府が保証してくれるのだというような商社の根性につけ込まれて、好きなようにして来られなさつたような観があるのであります。ただもらうにしましても船代がいるのでございますから、国民にしてみれば大いに異議ありでございます。こういう無責任な外国輸入食糧を年間二千万石余もおやりなさろうとするならば、これは国内の農政行政に貧困などころか、かてて加えて、それに輪をかけたところの輸入外国食糧においても、大きな失敗をなさつておるということを指摘せざるを得ないのでありまして、もう一度わが党といたしましては国会対策にかけて、正式にこの問題につきましては、私の方からもつと責任ある農林大臣あたりからの説明を承つて、その後徐々に筋をたどつて皆様方にもう一度御質問申し上げるということを保留いたしまして、本日はこれで終ります。
○降旗委員 ただいま提案になつております食品衛生法の一部改正法律案の政府の説明を見ますと、「今回の改正は、輸入食品による危害を防止するため、衛生上有害のおそれある食品の輸入を禁止し、食肉については、相手国政府発行の証明書の添付されたものでなければ輸入してはならないこととし、これらに違反して輸入された食品につき必要な行政処分を行うことができるようにしようとするものであります。」かように書いてあります。もちろん衛生上有害のおそれあるところの食品の輸入は、これはいまさら必要ない問題でありまして、禁止することは当然のことである。その他の問題についても、これは常時なされねばならぬものであることは申すまでもありません。しからば何がゆえに今日この一部の改正法律案を出すかという問題につきましては、ただいま委員の中から御質問のありましたような黄変米の問題が起つたとか、あるいはそのほかにどういう問題が起つたとか、あるいは今後どういう問題が起るおそれがあるかということに対処するがためには、この食品衛生法の一部を改正しておかなければならぬ、こういう必要があつてのためであると思います。それで今までに、現行法で処理できないような問題が起つたといたしましたならば、それらの問題にどういう実例があるか。今後かくのごとく法を改正しなければ処理しあたわないようなどういう場合が起りますか。こういうことを一応承つて置きたい。
○楠本政府委員 ただいま御指摘のように、当然かようなものは輸入しては相ならぬわけでありますが、ところが従来現行法におきましては、たとい、いかに衛生上不良な食品でありましても、あるいは極端な黄変米でありましても、輸入そのものはできるという建前になつていたのであります。そこで今回は法を一部改正しまして、かようなものはもう輸入できないのだという建前にいたしたいというのが一つの理由でございます。現在は輸入ができる。輸入されてから騒いで、これを処分するというようなことは、はなはだうかつなやり方でありまして、そこで今回かような方法を講じたわけでございます。こういたしますと、当然買付の際に、勢い注意されることになります。現在いろいろなものが入つて参りますのは、結局買付の際に注意が足らぬのでありますが、日本は輸入検査があつて、悪い食糧はもう入れられないんだということになると、勢い買付の際に注意をいたすことになります。そこで大きな効果を私どもは期待をいたしているわけであります。それからもう一点は、現在は港に揚りました場合に、たとい検査をして悪いと知つても、その場で厚生大臣に処分権がないのであります。従つて時間的に申しましても、それがすでに各地の配給所にまわされたということで、あとになつて初めて都道府県知事の力を借りてこれを処分するというような、まわりくどい道をとらなければなりません。そこで今回輸入はもう絶対にできないのだ。なお港で発見した場合には、即座に厚生大臣の権限においてこれを適当に処分する、という二つの点を法律改正の要旨にしたわけでございます。今までいろいろな関係がありまして、かような措置が講ぜられなかつたのは、むしろ御指摘の通りまことにおそきに失するうらみもある、その点は深く申訳ないと思いますが、いろいろな事情でかように相なつていたわけであります。
○降旗委員 ただいまの説明によりまして、非常に意義を明確にすることができました。そこで御説明によりますと、今までは不良な食品でも輸入ができたのだ、こういうことでありまして、おそらく私の察するところによりますと、その不良なる食品が輸入されて害毒を流した、そういうものを処分しなければならぬという実例があつて、このままではいけない、従つて法を改正する必要があるということが起つたものと思うのであります。しからば今までに不良食品が輸入されて、そういう処置を必要としたような実例がどういうものについてあつたか。この点をひとつ承つておきたい。
○楠本政府委員 従来まで処分せられましたものは、ずいぶん多くの種類にわたつておりますが、昭和二十七年中に検査の結果不適当となりましたものは米にいたしまして七件、五千トン、麦にいたしまして十八件、十七万七千トン、乳製品十四件、三千トン、その他五件、二万三千トンというような数字が出ております。なお二十八年中におきましては、麦は著しく品質が改良されまして、現在までいまだ麦で不適当として処分の対象になつたものはございません。これは昨年カナダの使節団が参りましたときに、私ども使節団に強力にこの麦の点を申し入れまして、その後非常に品質がよくなつて参りました。しかし米につきましては、現在までやはり五件、二千二百トンが処分せられております。なお二十七年以前におきましても、かなりの数量が処分されておりますが、ただ私どもが輸入検査を始めましたのは、二十六年九月以降でございまして、それ以前は、いろいろな関係もございまして、検査がしたくてもできなかつたのでございます。従つてそれ以前は、ずいぶんたくさんのものが入つて、それによつて多くの事故を惹起いたしたのであります。今後私どもはこの措置によりまして、単に港におきまして悪い品物を摘発するだけでなく、このような措置がやがて現地の買付等を注意せしめまして、先ほど来御指摘のように、未然に防止する措置ができるのではなかろうかと存じております。なお世界各国におきまして、大量の食糧を輸入いたしております国、あるいはその他の国におきましても、いずれも本法と同様な輸入禁止の規定がございます。 —————————————
○松永(佛)委員長代理 残余の質疑は次回に譲ることといたしまして、それでは再び、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案及び未帰還者留守家族等援護法案の両案についての質疑を続けることといたします。山下春江君。
○山下(春)委員 きのうも質問した問題について、どうも釈然としないので、なおあらためて御質問をいたしたいと思います。 今回の引揚船なんかに関しましても、第四次船団などは非常に困難な海運の事務を非常に熱心にやり、帰つた方々から聞けば、忍びがたきを忍んでやつてくれているようなことから考えましても、援護法の今度の一部改正は、そのしよつぱなに船員の問題が取上げてあるのですが、せつかくここまでお取上げ願つたのならば、——私はきのう質問をいたしましたが、どうもこれを公務と扱わないということが、私にはどうしても釈然としないので、なお重ねてお尋ねをいたしておきたいと思います。きのう申し上げましたように、その仕事に携わつておりました者が、たとえば昭和二十年九月二日以降でありましても、旧日本軍の弾薬を捨てる仕事だとかなんとかいう、まつたく軍の跡始末の仕事でありまして、しかもその死にましたり、あるいはけがをいたしました原因が、あるいは機雷に触れたり、その他の事故で、自己の責任によらないことによつて起つた問題でございます。なお船舶運営会に所属しないで、南方に派遣され、しかしそれは直接現地の軍に指揮されておつた、いわゆる南洋海運所属の船舶、こういつたものがどうして公務と扱われないか、これがどうも私にははつきりいたさないのであります。これを公務と扱わないというのは、故意に除かれたような気がいたしまして、こんなものをほじくる理由は別にないのでございますけれども、私どもは、不敏にして発見しないものはやむを得ないとしても、こういうものを何とかしてあげたい、浮かばせたいと思う。発見したものはこの際落さないよう拾い上げて行きたいと思うから、私は非常にしつこく伺つておるのであります。船舶運営会の設立されるまでに事故を受けました船は、日吉丸、対州丸、帝安丸、福生丸、栄山丸、トルナトール号、豊津丸、ふぢしま丸、香椎丸、これだけであります。それから九月二日に、終戦になりまして以後に災害を受けました船が、興東丸、那須丸、山菱丸、室戸丸、南砧丸、梅丸、東海丸、千光丸、華城丸、珠丸、遼河丸、三弘丸、蓬莱丸、金山丸、真岡丸、これだけであります。それから南洋海運に所属いたしておりました船が、華宏丸、南進丸、光丸、金山丸、鳶丸、橘丸、百合丸、桜丸、北興丸、大洋丸、この計三十四隻の船でございますが、これらの事故が起りましたその原因は、大体機雷に触れてけがをいたしたり、あるいは死没いたしたりしております。その中で真岡丸だけは撃沈でございますから、これだけの中では死没者が比較的多いのでありますが、以上三十四隻の船が、この援護法から漏れておるものでございますが、これを公務と扱わないという点がどうしても私は釈然としないのであります。これには何か根拠がおありでございましようか。
○田辺政府委員 重ねてのお尋ねでございますが、実はこれは公務として扱わないというのではありません。船員で、いやしくも徴用によつて戦争中に戦時災害でなくなられました場合は、学徒であろうと、一般の徴用工と同じように弔慰金は差上げておるわけであります。年金の対象となりまする者は、恩給法の対象である軍人またはこれに準ずべき軍属を対象とする、こういう建前に相なつております。船舶運営会に所属しておるC船員というのは、船舶運営会というものの性格から見まして、これは国家機関と考えるべきである、従つて船舶運営会の船員というものは国家機関にいわば使用従属関係にあつた方々である、こういう解釈から、これは一般の軍人軍属と同じように扱うのが妥当であろうと考えております。従いまして船舶運営会に所属せられなかつた一般の船員の方々は、これは形式から申しますと、内地における民間の軍需工場に所属しておる方と同じ範疇に属すると考えまして、この範疇から落した次第でございます。 それから終戦後の船員の方の事故でございますが、御承知の通り終戦後は船員の方が一番多かつたと思います。船員の方以外の方も、終戦後の跡始末ということで不慮の事故にあわれた方が相当あるわけでありますが、やはり立法の建前といたしまして、戦争による被害ということを建前といたしておるものでございますので、かような方方はまことにお気の毒でございますが、この法律とは別個の系統において、たとえば船員保険であるとか、あるいはその他の法律で処置するのが適当ではないかと存じております。ただいまお述べになりましたような船員の方々は、おそらく船員保険の方で適当な処置がとられておるのではないか、こういうふうに考えます。
○山下(春)委員 次長の御答弁は、確かにそれは法の根拠がないものを、あなたの方でこうみなすというような程度では扱えないと思いますけれども、どうもその法の根拠がないというのが、軍需工場で働いた者と同じだということですが、私はどう考えても同じでないと思うのです。そこでこれは政府の方でやりづらければ、われわれ委員の方で修正案でも出しまして、やはりこれはお救いになつていただいておいた方が、あとで寝ざめがいいと、私はどう考えても思うのでございますので、この点は政府の方でやりづらければ、議員の方から修正案を提出して、思い残りのないように扱つていただこうと存じます。もうこれ以上はお尋ねいたしません。 それから期間の問題でございます。この在職期間について、引続き海外にあつて帰還するまでの期間ということでございますが、この引続きというのがちよつと困るのでありまして、御承知のように、これらの船舶運営会に所属いたしておらなかつた船も、その後に、あるいは昭和二十五年になりましてからは、全部乙船員の方々も船舶運営会の中へ一元化されたようなことになつておりますので、こういつたような問題から見ましても、どうも引続き海外にあつてというこの期間がちよつと私は無理のように考えますので、この点はその都度というふうにお考えを願うことは非常に困難でございましようか。引続きと考えなければいけない何か根拠がございましようか。
○田辺政府委員 軍属の在職期間の問題でございますが、軍属をこの法律の対象に取入れました理由は、先般も申し上げたと思いますが、内地の軍属、たとえば軍の工廠に勤務いたしておりました徴用工、これが内地の軍属ということになりますが、こういつた方々が空襲等で戦死された場合におきましては、それぞれ陸軍共済組合、海軍共済組合から年金または年金に相当する一時金が差上げてあるわけであります。これは終戦間近になりまして、空襲が非常にはげしくなつたために業務の能率が落ちる、どうしても労務を確保するという見地から、災害に対して万全の施策をしようということで、共済組合という形をかりてやりました関係上、戦地におります徴用工その他の雇用人に対しては、どうしても救済の手が及ばなかつたわけであります。これを救済するために、特別の立法措置が講ぜられなければならぬということで、陸海軍当局では、空襲のさ中に準備を進めておつたのでございますが、その途中で終戦になつてしまつた、こういういきさつがございます。従つてこの援護法をつくる場合におきましては、こういつた戦地の雇用人の方々に対しましては、もし援護法の対象としないならば、共済組合の中でぜひ取上げてもらいたいということを大蔵省当局に強く要望したのでありますが、これはどうしてもいれられなかつたのであります。そこでこの援護法の中に取入れたわけであります。従つてこの法律は、一般軍人恩給を復活するまでの間の暫定措置としての性格と、共済組合の方に入れてもらいたいといつて入れてもらえなかつた分、この両方を取上げておるわけであります。従つて戦地か内地かという場合は、共済組合の対象として取上げられる方であるか、あるいは取上げられない方であるかということによつて区分ができておるわけであります。そういつた戦地勤務の方々は、終戦後は戦地というものがございませんから、終戦後戦地から内地へお帰りになるまでの間に生じた事故につきましては、終戦後といえども、在職期間の中に入れる、こういう考え方でこの規定ができておるわけであります。
○山下(春)委員 次長もその点の扱い方ではたいへん御苦心をなさつておられたようでございますから、もし私ども委員の方からこの修正案を出しまして、それが成立するならば、やはり乙船員を含めた全船員の在職期間とその終期とを具体的に明確に統一するということは矛盾ではないとお思いになりますか、どうですか。仮定ですからちよつと御返事がしにくいかもしれませんが……。
○田辺政府委員 よく考えさせていただきます。
○山下(春)委員 考えておられるひまはもうないので、大体今までにたくさんお考えになりましてわかつておると思います。簡単なことでございますから、明確に御回答を願つておきたいと思います。
○田辺政府委員 たいへん申し上げにくいのでございますが、やはりさつき申し上げました事情によつてできておる建前でございますので、在職期間をお話のように立てるということは困難ではないかと思います。もつともお話の点が内地の徴用工まで入れまして、つまり現在三十四条の対象になつておる方まで入れて年金の対象にするという立法の建前であるならば、またこれは大きくかわつて来ると思います。しかしそれは除いておいて、一部の船員だけそうするということは、他との均衡上困難ではないかと存じます。 —————————————
○松永(佛)委員長代理 なお本案に対する質疑は次会に譲ることといたしまして、この際安田社会局長より発言を求められておりますから、これを許可いたします。安田社会局長。
○安田政府委員 この前、遺族年金を受けたために、生活保護法を受けておりました方がどのくらい保護の廃止をしたかという御質問があつたのでございますが、二十六年七月の引揚援護庁の調べによりますと、軍人遺家族世帯中の被保護世帯というものは十万五千八百三十五世帯でございます。それに対しまして四分の一が廃止に該当するという調べになるわけでございます。しかしこれは実は非常に疑問のある数字でございまして、私どもここに出すのに若干の疑問を持つております。と申しますのは、この数字を出しましたのは、毎月社会福祉統計と申しまして、各府県から統計をとつておるわけであります。それによりますと、年金とか社会保険の給付の増加によりまして、保護の廃止をされた世帯というものが出て来るのであります。二十七年七月、八月、九月に、一箇月平均大体二百九十四世帯——大体二十七年の七、八、九はまだ援護法の適用が始まりまして年金が給付されないと見なければならぬのでありますから、二百九十四世帯というものは、遺族年金の給付によつてそれだけが減つたというふうには見られない。それから十月以降は十一、十二、二十八年の一、二、三を通計いたしますと、二万六千七十五世帯になる。そこで今の軍人の遺家族の援護の年金がまだ始まらない場合の一箇月二百九十四世帯というものを、六箇月に引延ばしまして引いたものが今の二万六千世帯になりまして大体四分の一に当る。ところがこの廃止と申しますのは、たとえば二十七年の十月に廃止した件数が七百六十七、十一月が千二百二十九、十二月が四千六百四十四件、二十八年一月が八千四百五十九件、二月が六千七百十九件、三月が四千二百五十七件、というようになつておりますが、これはまた復活するのがあります。そこで私どもは今のはただそういつた毎月の統計を平面的に出して計算をいたして申し上げたのでありますけれども、また復活しておる数字はこの中からは出て参らないのであります。その辺が先ほど私が多少不正確で疑問があるということを申し上げたのでありますが、ただこれを平面的に計算をいたしまして、四分の一ぐらい、こういうふうに御了承願いたいと存じます。 それからなおやかましい通牒を出したんじやないかというお話でございますが、これは二十七年の十月六日、各都道府県の民政部長あてに、保護課長が内翰で出しております。これはいろいろ取扱いが疑問がございますので、内翰で出したのでございますけれども、それを読んでみますと、 一、年金の収入認定の取扱は、交付を受けた額をその月の収入として認定するものであつて、交付を受けた額の平均月割額をもつて毎月の収入として認定するものでないことは既に通知したところであるが、交付を受けた年金の額がその月の生活費を超過する場合、その残余は、生活保護制度の建前上当然翌月以降の生活費に当てらるべきものであること。 二、年金収入に伴う保護の停廃止の取扱については、その者が近い将来(概ね三カ月以内)に再び保護を開始することが略確実に予見される場合、又は通常ならば保護の廃止の取扱が行われて然るべきであるが特にその世帯に生活の指導が必要であると認められる場合若くは法第二十七条に規定する保護の実施機関の指示に従わない等生活指導が通常の方法では効果のない場合は、原則としてこれを停止とする取扱いが適当であること。 三、前項により停止中の被保護者については年金収入と最低生活費との対比によつて生じた残余金が計算上、例えば三カ月間最低生活の維持が出来る場合においても、戦傷病者戦没者遺族等援護法による年金給付の趣旨をも考慮し、その間機械的に停止することなく、調査の結果必要と認め年金収入を次のような費用に使用する場合は、これを収入から除外して取り扱い、前項の停止期間であつても保護を開始して差支えないこと。 (一) 生活保護法による特別基準の内容となつている衣類寝具、家屋補修等を必要とする場合において、そのために必要な最少限度の費用 (ニ) 生活保護法による生業扶助を必要とする場合に、これにかわるべきものについてその必要な最少限度の費用これは実は私がここで前々御説明申し上げております通りでございまして、そういう方針でやつておるわけであります。
○堤(ツ)委員 私が御質問いたしました問題でございますが、なるほどあなたの今の報告を聞いて、各都道府県において年金下付によるところの生活保護打切りないしは中止の声が高かつた原因がわかつたように思います。それからあなたのその内翰につきましても、お願いしておきたいことは、その写しをいただきたいのでございますが、御存知の通り厚生省で御解釈になつてお出しになつたものはやはり上官の命令でございますから、府県庁なり市町村へ行きますと、もう上官にしかられる危険がありますから、下へ行くほどわくを狭めて考える。これは税金の徴収などの場合も同じことでございまして、大蔵大臣などの御答弁と末端税務官吏の行うこととが、まつたく相反するような処置がとられておるというようなこととも符合すると存ずるのであります。今簡単にお読みになりましたので、あんまり早くて、しかとその文句を一々かみ砕くことはできませんでしたけれども、なるほど末端官吏がそれをごらんになりました場合、こういう内翰が来たのであるから、生活保護適用者については、一応この条項に従つて一々可否について検討して、できるだけしぼらなければならぬという印象をもつて、地方の福祉事務所あたりがますますおやりになることはむりからぬことであります。あなたがここでお答えになつておるお心持が地方ではうんと強化されて実施されておるということになりますから、私はやはり私が予想しておつたくらいの数が中止あるいは廃止されておるということが納得行きました。でありますから、このまま行かれますならば、これはやはり年金が、今度は援護法が改正になり、恩給権を持つ人は恩給法の適用者となつてややかわつて行くわけでございますけれども、しかしこの生活保護法の適用者の方々が、非常に今度かわつたといたしましても、またその額においてさ少でございまして、生活保護法の方がありがたかつたというようなことが出て来ると思うのでありますが、ひとつここで局長にお願いをして、御確約を得たいのは、この二十七年十月六日に出されたところの内翰は、都道府県によつては非常に厳密な解釈をして、苛酷な処置をする結果となつておるようなところがあるから、少し再検討しろというような御内示なり再内翰がやつていただけないものか、そうでないと非常に目に余るような実例が多ございまして、あなたの今御報告になりました二十七年の七、八、九は少くても、あとの十、十一、十二、二十八年の一、二、三を通じて二万六千余りの世帯の中には非常にお気の毒な方々が多ございますから、ひとつその内翰に対して涙あるところの御処置を願えないものであるか、できたらここでいたしますということを言つていただいて、未亡人母子世帯や遺児を救つてやつていただきたい。さもなくばここで私たちは生活保護法というものの基準額について、またこれが運営について、また生活保護法の根本理念について、現在の国民の実態に照し合せてひとつ考え直さなければならない階段に来ておる、かように考えるのでございまして、何とかやわらかい手心をもう一度ここで示していただくような親心は御確約願えないものでしようか。あなたがおつしやいました二万六千何十という母子世帯は非常に気の毒な世帯でございまして、局長の内翰を福祉事務所がつつしみかしこんで拝しておりますと、まことに血も涙もない政治が末端において行われて行く。もし私が申し上げることがうそだと思われますならば、局長は国会が済みましたら私と同道されまして、最もひどいといわれておる滋賀県の一々のケースについて、ひとつ御見聞願いたいと思うのであります。私はこの間大臣からこれについては、堤さんの国会議員としての認識不足であるということを言われましたけれども、認識不足どころか、二万六千数件のこの事実を、大臣が知らずして私を御非難あそばしたのでありますから、大臣とはまたときを違えて対決させていただきます。局長としては何とかここで親心を示せないものでありましようか。こういう処置をこうむるものができる。たとえばお母さんが結核で寝込んでおる。生活保護法の適用を受けておつた。子供が三人おつて、頭が十三である。そしてその三人の子供は上の子供が辛うじて御飯ぐらいはたけるけれども、やはり三人を母が育てなければならないというので、兄弟相助け合つて暮しておる。遺族年金援護法ができた、お前のところには年金が来るからというので生活保護の援助を打切られて、お母さんは肺病で医療給付さえももらえない実情がある。そういたしますと、暗いところでお母さんは血を吐きかけておる。三人の子供は御飯もなくてその日の生活に困つておる。援護法の年金はお役所仕事であるから、待てど暮せどお金が来ないというので、見るに見かねて近所の人も一緒に泣いておつたという実例がある。これは何も私が点数かせぎにスタンド・プレイに発言しておる問題じやないのですから、局長は真剣に考えていただきたい。少くとも戦争未亡人、遺児、老人は生き物でありますから、一刻もこれを捨てておくことはできないという精神で私は申し上げておるのであります。この二万六千何件というものは、まことに苛酷な結果として現われた数字であつて、私たちが見聞した以上のものがあると私は推察する。この報告を聞いてますますけしからぬと思うのでありますが、ここで何とかひとつ再検討をしていただきたいと思います。
○中川(源)委員 関連して……。今の四分の一は廃止になつて打切りになつておるということでございますが、あと四分の三は打切りになつていない。これは地方によつてそういう方針が違つておるのではないかと思うのです。先日も私が申しましたように東京都はその家庭のいかんというようなことを調べずに、一率に一箇月分だけ引いて、あとは全部もらえるわけです。そして——私は京都ですが、この間も申し上げましたように、京都でも左京区だけは全部打切りで、ほかの区は打切つていないのです。そういうふうに解釈の仕方でまちまちになつている。府県によつてたいへん迷惑をしておるところがある。中には、ほんとうに苦しい、どうしてもやりきれない、年金、恩給というのをもらうことになつたので、非常に迷惑だと言つて、これを恨んでいる者がある。確かにマイナスになつてしまう。打切りになつたために、ほんとうに路頭に迷つておる者がある。中には、早く復活の手続をしなさいというところまで教えてやらなければ、あなたの方はもらえないんですよと引導を渡されて、打切られてしまつている者がある。保護法の適用というものには甲乙があつて、助かつておる者もあるし、非常にかわいそうな気の毒な者もあると思います。中には、おやじはどろぼうをして懲役に行つておる、細君は病気であるかどうか知りませんが、寝ころがつて、夜になるとおしろいを塗つて出て行く、それが保護法の適用を受けており、子供に夕刊売りをさせて、非常に苦労をしてかつかつに暮していても、保護法の適用を受けていない者もあります。また先日も申したように、朝鮮人で酒を飲んでよつぱらつてすわり込んで、適用を受けるまで動かないのがいる。ケース・ワーカーは、実際にそういうところに調査に行つても、わからないというのがたくさんあるのです。町の中とか村とかいうものでは、どうしているかということはちやんとわかりますけれども、都会の周囲、部の方においては、どうも調査がしにくい。十ケース・ワーカーは十分調査できないし、一旦出したものは打切るということを、ようせぬというのがたくさんあるのです。あんなものはいいかげん整理した方がよいと思うのに整理しない。また気の毒な者に対して打切つて非常に恨まれている。年金をもらうために恨んでおる者があるわけです。これらを地域別にいたしました場合に、どの地域が一率に打切つておるか、どの地域が一箇月分だけしか引いていないかということも、一応教えていただきたい。
○安田政府委員 今お二方からお話のありました、具体的な事例につきまして適正を欠いているじやないかという、ことは、私ども多くの中にはたくさんそういうのがあると思うのでありまして、そういう点は十分気をつけるようにいたしたいと思います。先ほどの二万四千世帯で四分の一というのは、私が補足して申し上げたように、ただ毎月廃止になつた数字を足しただけでございますから、従いましてまたあとで保護を受けて来たというのは、この中から引かなければならぬ。そういうところがはつきりわからないということを申し上げたのであります。そこで二万四千世帯と言いましても、相当部分がそういう点で引かれはしないかということを、私どもは研究させておるわけであります。 それから非常に冷酷な取扱いをいたしておるようなお言葉でありますけれども、保護を受けておりました者が年金をもらつた場合に、それはやはり差引くべきだという建前に立つか、差引かないでもつてそれだけ上に来るのだという考え方に立つべきかということで、そういう考え方がわかれて来ると思います。私どもはあくまでそれは差引くべきたという考えに立つて、その上で、いろいろ今申し上げましたような特別の事情があるからというので措置をとりたいという通牒を出したわけでありますが、私が早く読み上げましたために御理解になつていない点もあるかと思いますので、これは写しを差出します。たとえば二万四千円なら二万四千円を一ぺんにもらいましても、それを月割に計算するようなことにしないで、その月に二万四千円収入があつたというふうに見ることは、実は私どもの親心なのです。そのほかでも、今申し上げましたように、家屋の補修費とか、医療費というようなものにつきましては、これを特別基準で使つてもいいというようなことを申し上げておりますのは、年金を差引くべきものだという建前からいたしますならば、何と申しますか、非常に特別な取扱いになる、こういうふうに考えておるわけであります。いずれそういう点はよくごらんいただきまして、また詳しく申し上げたいと思います。
○堤(ツ)委員 局長さんはお偉い方ですからなんですけれども、そういう親心をきかしてやれというようなことは末端では考えないので、しぼれという方だけがきくのです。その結果がそうなつておるのです。気をつけるという言葉はけつこうですけれども、局長さんが気をつけるとおつしやつただけでは信用できませんから、年金によつて生活保護を打切られたケースの中には再考慮を要するものがあると見られる向きがある、国会の意思もそうであるから、もう一度再検討し直して、あまり冷酷にならないように、やり直しをしてやれというような指令が一本行かぬことには、県庁や福祉事務所の頭はかんかんですから絶対だめなんです。ところが二十七年の十一月六日に出されたものが、最後の切札になつて遺族は参つているから、そういう指令を出すということを約束できませんか。局長の腹さえくくつたら潜むんでしよう。
○安田政府委員 もう一ぺんごらんになつていただきまして、その上でお話をいたしまして、——この通牒のようにやればもちろんそういう点は考慮されるわけでございますから、なおその上で出すならば出すことにいたしたいと思います。 それから中川委員のお話で、非常に不均衡があるということでございますが、京都市なら京都市の中で、区によつて違うというようなことはないと思うのでございます。
○中川(源)委員 実際違うんですよ。
○安田政府委員 ひとつ京都の方に注意しておきます。
○堤(ツ)委員 局長と私が打合せをするということになりますと、速記録に残りません。相当気の毒な方があるのですから、ひとつ出先の福祉事務所の役人の方々に対して啓蒙を願う意味で、あまり大した額でもないんですから、ここのところは局長が折れて、内翰を出すということをお約束をなさつたらどうですか、ずいぶん泣いておりますよ。
○安田政府委員 どうですか、引くなというわけにも行かぬのですがね。
○堤(ツ)委員 その精神はわかつていますけれども、末端に行つたとき、家の補修とか、屋根の雨漏りを直す、そういうようなものは大目に見てやれというのを、実際は見ておらぬのです。あの人たちはしぼるばつかりですから、結果がそうなつたのです。
○安田政府委員 それじや帰りましてなおよく調べまして、この通牒の趣旨が徹底するような措置をとりたいと思います。
○松永(佛)委員長代理 本日はこれをもつて散会いたします。次会は明十八日午後一時より開会いたします。 午後三時四十九分散会