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16回国会衆議院1953/07/03

厚生委員会 第12号

発言数
81
登壇者
11
会派数
4
開催日
1953/07/03

会議録

小島徹三改進党

○小島委員長 これより会議を開きます。  まず健康保険法の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案及び国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題とし質疑を続行したいと存じます。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 ただいま議題になつております国民健康保険再建整備資金貸付法の一部改正に関連して二、三の点について御質問いたしたいと思います。  現在市町村の財政において一番がんになつておるものは何だ、こういう質問をかつて私は市町村長にやつたことがあるのであります。ところが市町村長が異口同音にとなえたものは、現在市町村において一番のがんは国民健康保険である、こういうことでございます。なぜしからば国民健康保険というものが市町村財政の一番のがんになつておるのかという点でございますが、これはいろいろの問題があつて、見る人によつて違うと思うのでございますか、政府は大体市町村長ががんであると言うその市町村財政のがんが、どういうわけで国民健康保険になつておると思うのか、ひとつ御見解を承りたいと思います。

久下勝次厚生事務官(保険局長)

○久下政府委員 国民健康保険事業が市町村財政のがんになつておるということは、私どもも大体さように承知をいたしております。もつとも一般市町村行政のことを担当いたしておりませんので、全般的な立場からこれを批判する能力もございませんが、しかしながら私どももさように聞いておりますし、また毎年全国的に集計をいたしますと、十七億という一般会計からの繰入れが行われております実情にもかかわらず、なお各国民健康保険が赤字のために経営難にあえいでおります実情、こういう点を考えますと確かにおつしやる通りであろうと存じます。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 具体的にその原因を申し述べられなかつたのでありますが、この法律にも関係があります通り、現在政府の方では未収の保険料を基礎にし、あるいは未払い診療報酬の支払いにそれをもつて充てようとしておりますが、二十七年度末の未収保険料未払い診療費というものは大体どの程度ありますか。

久下勝次厚生事務官(保険局長)

○久下政府委員 この法律案で対象といたしております未収保険料は昭和二十七年度末にあります未収保険料であつて、将来収納が困難であるというものを対象にいたしておるのでありますが、なお従来からの健康保険法の関係もありまするので、二十六年度末の赤字につきましてもこれは別途の問題として二十八年度の特別貸付として対象にいたすことにしているのでございます。そういう意味で区別して申し上げますると、二十六年度末の未収保険料で収納が困難であると認められまするものは、この貸付の条件に該当する保険者のみの集計になつておりますが、四億二千七百万円であります。そのほかにこれらの保険者につきましては昭和二十七年度に新たに赤字が生じ、未収保険料が生じ、また将来収納困難と認められる額があるのであります。この額が六億六千二百万円でございまして、合せまして二十七年度末に存在する未収保険料で将来収納困難なものは十億九千万円になるのでございます。この貸付の対象にならない保険者、すなわち具体的に申しますと、保険料の徴収成績が七〇%未満の保険者は貸付の対象になつておりませんが、念のために申し上げますと、昭和二十七年度末に九億八千百万円あるものと予想しているのであります。  未払い診療報酬につきましては、私どもの考え方は、実は非常に正確に申しますると、未収保険料と未払い診療報酬とは違うと思つておるのでございますけれども、大体におきまして未収保険料はただちに未払い診療報酬に見合うものという考え方で処置をしております。従つて未払い診療報酬は大体今申し上げました金額であるというふうに御了承を願いたいと思います。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 私はそれから先を深く追究しませんが、実は市町村における国民健康保険の予算の組み方に非常な問題があるわけなのでございます。というのは、現在市町村における国民健康保険の特別会計の予算の組み方というものは、調定をしたところの保険料が即予算額になつております。従つてそれはそのまま、今度は年度末になつて保険料の集まらないものが未払い保険料になつております。こういう予算の組み方は日本のほかの会計には私はないと思う。たとえばわれわれが一般会計の予算を組む場合においても、調定額がそのまま税金においても予算額にはなつておりません。これは調定額のたとえば八〇%くらいを予算に組んで、そして今度はその組んだ予算の中から、未収の税金が幾らだ、こういうことになつている。ところが国民保険というものは特別会計であるがゆえに、保険料即それが予算額になつて来ておるのでございます。こういうところに国民保険のいわゆる赤字の根本的な原因が出て来ているわけです。もしこういう状態で、たとえば一千万円の予算をもつて保険料一千万円を予定しているとするならば、これは九〇%の保険料の収納率があつても、未収のために年々百万円程度の赤字が出て来ているわけです。そうするとこれは十年の後には一年分の赤字が出て来るということになるのでございます。こういう点、政府の方においては、かくやつている市町村に対して、いわゆる国民保険の予算の組み方について、一般の会計の組み方と同じような方向で調定額即予算額というような方向にならないように指導ずる意思があるかどうか、お尋ねいたします。

久下勝次厚生事務官(保険局長)

○久下政府委員 五千以上に上ります各市町村の国民保険特別会計予算の組み方につきまして、私案は精細に事実を申し上げる能力がございませんが、しかしながら大体において御趣旨の通りであると思います。結局問題点となりますのは、一方におきまして市町村住民の保険料負担能力が限界に来ているということと、他面におきまして、健康保険の主たる対象でありまする療養費の給付の受診率が年々増加をいたしており、従いまして必要な支出すべき経費は逆に増しているというような関係から、そのような町村はやむを得ずしてそういう予算の組み方をせざるを得ないということであろうと思います。これはお話の通り結果においては赤字予算になるということになりますが、そういう点は確かに予算の組み方を初め、その他運用の面におきましても是正をさせる必要があると思い、その意味で厳重な指導をいたしたいと思います。ただ従来はこうした貸付制度もまだ十分でありませんでしたし、特に療養給付費に対する国庫の負担がございませんでしたので、私どもといたしましてはさような点については結局赤字の生ずることをいかんともいたしがたく、なるべく健全に健全にということで品の先で指導せざるを得なかつたのでございますが、幸いにして昭和二十八年度からは、一方におきましてこの法案の改正に伴つて赤字解消のための貸付制度が改善をされまするし、また一方におきましては新たに療養給付費に対する今年度の補助も出るということになりましたので、私どもといたしましてはこの機会に、おつしやる通り予算の面におきましても、また運用の面におきましても、厳重に文字通り再建できるように指導いたしたいと思います。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 しからば今の御答弁で、二十八年度はできないでしようが、二十九年度から少くとも調定額即予算額というような予算の組み方はなるべくさせないように指導するというふうに了解してさしつかえありませんね。——しからばその次に移りますが、現在そういうような状態で、たとえば炭鉱地帯の例をとつて、つつ込んで尋ねてみたいことがあるのですが、現在普通の健康保険と国民保険とが併用されているところが非常に多いのでございます。ところがただいま申しましたような調定額即予算額のために、市町村の国民保険の財政には非常な赤字が生じておる。従つて市町村の一般会計の中からこの特別会計の中に相当の金を、多いところは一千万円もつぎ込んでいるのが現状です。ところが一般の市民からあるいは町村民から集めたお金を、特殊の一部のグループの国民保険の中に一般会計の中からつぎ込むということに反対の意見が出て来つつあるのでございます。もし一般会計からその赤字補填のために国民保険の中につぎ込むとするならば、当然健康保険にも——たとえばそこに大きな炭鉱があつて、健康保険の組合を持つているとします、そうしますと、その組合のそこに住んでおる組合員は当然そこの町村民及び市民であるので、国民保険につぎ込むと同様に、あるいはそれ以上のものを健康保険につぎ込むべきであるという意見が台頭して来ておるのであります。これは一般会計から国民保険特別会計に繰込んで赤字を補填して、国民保険を再建して行こうということの一つの大きな障害になつておると思うのでございますが、その点につきまして政府はどういう見解をもち、それに対して今後どういう対策の手を打とうとしておるか、その点をお聞きいたしたい。

久下勝次厚生事務官(保険局長)

○久下政府委員 お話の通り国民健康保険をやつております市町村の実情は千差万別でございます。私どもも炭鉱付近その他大都市の附近等におきまして、そのような事例を耳にいたしておるのであります。ただこれに対しまして、健康保険の被保険者、特に被保険者の被扶養者が問題でございます。被扶養者を国民健康保険の被保険者としていないところといるところとある。今お話のありましたのは、健康保険の被扶養者を国民健康保険の被保険者としていない場合の問題であろうかと思います。ところが逆に健康保険の被扶養者を被保険者としておりますところにもまた問題が出ておるわけでございます。それは結局健康保険の被保険者の被扶養者は、国民健康保険の被保険者になりまして、健康保険の方から半額の給付、また国民健康保険の方からも半額の給付、結局無料で医療が受けられる結果になるわけでございます。そうしますと、他の一般の住民は半額支弁をしなければなりませんが、同じ町村に住んでおります者でさような差が出て来る、これはそれ自身は大した問題はないといたしましても、実際問題として現われて参りますのは、被保険者によりまして受診率が非常に違つて来るのであります。このことはそのためにまたその市町村の国保の財政に大きなひびを入らしまして、一般会計から繰入れることを余儀なくされておるというような問題もあるのでございます。実はそういうことを申し上げましたのは、結局地方々々によりまして実情に差異があり、また現在やつておりますのも、健康保険の被扶養者を入れておるところと入れておらないところと、これは条例の決定にまかしておるわけでございまして、私どもとしてはこれを画一的にどうしろということを言うのは、なかなか理論的にも実際的にもむずかしい面がございますので、今の状況ではどうしろということまで指示する意思はございません。結局は各地方の実情に応じ、その地方の保険者それ自身の決定にまかせ、市町村条例の定めるところにまかせておるというのが現状でございます。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 ただいまの厚生当局の御説明にもある通り、何ら対策がないというような現状なんです。あなた方自身、監督の地位にある方たちでさえそういう状態でありまして、従つて地元においてその事務をとつておる者、あるいは診療を担当する医師、あるいは診療を受ける側に至つては、まつたく現在の保険というものはつぎはぎだらけでどうにも処置のしようがないというような現状なんです。現在診療を担当する医師はまつたく事務屋になつております。こういう状態では日本の医学の進歩に非常な障害を及ぼして参ります。さらに今度国民健康保険のしかれている地区に、一部日雇い労働者の保険が出て来るということになりますご、さらにこの手続というものが晦渋して来るのであります。こういうふうに現在の日本の社会保険というものはつぎはぎだらけでどうにもならないところの限界に来ておる。昨日厚生大臣もこれはぜひとも一本にしなければならないという意見を吐いておつたようでございますが、もう一本化していい時期が来ておると思います。政府はこういうめんどうくさい複雑怪奇な状態の中に民衆を放置することなく、ほんとうに社会保障制度をやろうとするならば、すみやかに一本化の努力をしなければならない時期が来ておると思いますが、大体いつころからやるのか御答弁願いたい。

久下勝次厚生事務官(保険局長)

○久下政府委員 お言葉を返すようで恐縮でございますが、私が先ほどの御質問で申し上げました健康保険の被扶養者の取扱いをどうするかということにつきましては、これは技術上の問題もありますので、一律にどうこうということを申し上げられないということを申したのであります。しかしこのことはただちに健康保険を現状のまま放置しておくという意味でもありませんし、またそのほかの面から十分指導をし監督もする、その結果によつて十分改善する見込みもあると思つておるのでございます。全般的な問題といたしましては、現在の国民健康保険の置かれております実情というものは、私どもの見方からいたしましても、十分各方面において改善整理をする余地があると思つております。その面におきましては、行政的な立場におりまする私どもといたしましては、全力を尽して今後の努力をいたしてみたいと思つております。そこでただいまお尋ねの健康保険の統合の問題でございます。これも昨日も大臣から御答弁申し上げました通り、私どもといたしましても、もしもできることでありますならば、さようなふうに進むのが当然であり、また常にそういうことに頭を使い、考えておるつもりでございます。ただ御承知の、ごとく各省それぞれの所管に属しおります各種の社会保険は、それぞれ対象が違いますし、またそれに伴つていろいろと歴史的な経過も違つたものを持つております。事務を所管する出先機関にいたしましても、簡単にこれを統合するというわけにも参らない実情もございます。従いまして今すぐ時期をきめて統合するということは、私どもの立場から申し上げる段階には至つておらないのでございます。将来の問題といたしましては、その点につきましても、私ども事務当局としても十分考えて検討いたしておるということで御了承を得たいと思います。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 どうもはなはだ自信のない御答弁で、不満足でございます。次に現在市町村の一般会計の中から十七億、十六億八千九百万円ばかり繰入れております。現在この繰入れについてある連合会の会長は、われわれが一般会計から特別会計への繰入れを強く要請した場合に、こういうことを言つておるのでございます。国民健康保険という特殊の一つのグループのつくつておる保険に対して、一般市民から、村民から、町民から集めたところの税金をもつてそれに普遍的に出すということは、国民健康保険の加入者の中には貧乏人もおれば金持もおる、これが貧しい人ばかりであるならば、これは一般会計から特別会計に繰入れるということは理論的には成り立つけれども、その中には非常に富んだ人もおるのだ、従つてその富んだ人に対して一般から集めた税金である一般会計から特別会計に繰入れをすることは財政法上の違法である、こういうことを言つて頑として一般会計から特別会計に繰入れないところの市町村もあるわけなんです。私はその理論は間違つておると思いますが、厚生当局は財政法上間違いがあるとお考えであるかどうか御答弁を願いたい。

久下勝次厚生事務官(保険局長)

○久下政府委員 滝井さんと同じように私も結論としては間違つておるとは考えております。と申しますのは、第一に、保険だというと、貧しい者というお話がございましたが、国民健康保険の保険料につきましては、所得割というものがございまして、所得割によつて貧富の差に応じて保険料を徴収しております。そういう点からその問題は一つは解消すると思つております。もう一つの面は市町村住民の中には他の保険の方に関係しておる者が相当おるわけであります。それにいたしましても国民保険は相当特別なものを除きましては市町村住民全部が入る建前でございます。従いまして市町村住民の全員でなくても、その大多数の者に均霑をするものでありますれば、これは一般会計、一般の税金から出してさしつかえないと私は思つております。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 市町村長あるいは連合会の中にもそういう考えを持つている方が相当ありますので、厚生当局は今の御意見のようにぜひ御指導願いたいのであります。  それからさいぜんあなたの言葉の中にそれはどうも各省に所属をしておつて、なかなか一通りでは行かぬ。ぜひ一本に統合したいと思うけれども、そういうことはなかなかならぬというお話でございました。そういうように各省に所属しておるがために、非常な混乱が現在起つて来ておるのでございます。たとえば国民保険の直営診療所の設置の問題でございますが、現在公的医療機関の整備のためには、府県には知事の諮問機関があります。ところが現在府県に行つてみますと、国民保険を所管するところの民生部関係と、公的医療機関の整備をはかつて行く衛生部関係との間にまつたく連絡がないのであります。従つて国民保険の方の直営診療所をつくつても、その近所には衛生部関係の公的医療機関があつたりあるいは開業医があるということで、まつたく脈絡がないのであります。医療機関の整備がまつたくでたらめに行われておるというのが現状でございます。こういう点について、大体厚生省というものは中央において連絡をとつておるのかどうか、お尋ねいたしたいと思います。

久下勝次厚生事務官(保険局長)

○久下政府委員 国民健康保険の直営診療所の設置につきましては、過去におきましてさような事実のありましたことを私も認識いたしております。また現状においても絶無を期しがたいと思つております。確かに地方におきまして衛生部と民生部の間の連絡がなしに、この種の行政が行われますことは適当でないと思いまして、私どもは、昨年以来厳重に出先の者につきまして指示をいたしておるのでございます。同時にまた直接に私どもの方の府県の関係者のみならず、民生部長あるいは衛生部長の会議にも繰返しそのことの協力方を依頼をし、あるいは要請をしておるのであります。中央におきましてもその線に沿いまして、一般的な医療機関を担当いたしておりまする厚生省内の事務局とは常に緊密に連絡をとつておるつもりであります。なおまたその点につきまして現われました結果につきましては、十分徹底しておるとは考えませんが、そういう意図をもつて、それと同じような考え方でやつておる、こういうことだけを申し上げます。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 たとえば市町村あるいは連合会等におきましては、直営診療所をつくるということに急のあまり、そこにおけるところの医療の分布がきわめて適正に行われておる開業医をつぶす方向に持つて行くとか、あるいは結核療養所のごときは、すでに衛生部関係でうまく分布しておるのに、今度は健康保険の関係で民生部がまたそれと何ら話合いも行わずに建てて行くというようなことで、医療行政が一本になつていない。同じ厚生省の中にあり、それらの省の中においてさえもつぎはぎな状態が非常に出て来ておる。次官もおいででございますが、こういう点についてはひとつせつかくやつてもらわなければ、財政的に実にむだが行われておるのです。そういう点を今後ぜひ十分注意をしてやつていただきたいと思います。  それからさらに国民保険の行われている地区と行われていない地区との生活保護費、いわゆる医療補助の問題ですが、私の調査した具体的な数字をきようはちよつと持つて来ておりませんが、国民保険の行われているところに比べて、行われていないところでは、生活保護の方における医療費が半分で済んでおるのでございます。ところが半分で済んでいるにもかかわらず、現在全国の市町村というものは、昭和十九年には全国のほとんど九八%ぐらいに国民保険は普及しておつたのですが、現在なかなか普及しない。むしろあるものは倒れておる。おそらく私はこの二十九億六千万円くらいの助成金が出ても——この委員会でも多分勝俣さんであつたかと思いますが、急速に進展するであろうということを言われましたけれども、私はおそらく急速に進展しないだろうと思いますが、とにかくそういうぐあいに非常に生活保護費等も険悪になつている。これは政府なり県なりが国民保険の普及について力を入れなければならぬ。現在県の態度を調べてみると、県はどういうことを言つているかというと、国民保険というものは市町村における機関委任事務であります、運営の主体というものは市町村にあるのでありますから、従つてわれわれは機関委任事務でその取次をすればよいのであるというようなことを言つております。こういう状態です。戦時中は民政部が先頭に立つて村や町に出て行つて国民保険の普及をやつた。ところが現在は県は機関委任事務にとどまつて、ただ文書の取次をするだけで、もちろん保険課長に熱心な人が来ると熱心にやつておりますが、全体的に見て機関委任事務の形でやつておる。だから今度再建整備のために四億以上の金を出し、あるいは二十九億以上の診療のための給付費に対して補助金を出すという形が出れば、当然これは県にもつと筋金を入れて、国民保険の普及をやらせなければいけないと思うのです。その点についてはどうですか。

久下勝次厚生事務官(保険局長)

○久下政府委員 いろいろお話が出ましたが、まず第一に生活保護費の節約でございますが、私の方で一応計算をいたしましたところでは、現在の五千百ほどの市町村で国民健康保険を実施いたしております。その結果生活保護費が節約せられておると認められます。数字は十二億という数字が出ております。これは自信をもつて申し上げられるほど正確なものではないのでありまして、なお今検討いたしております。さように御了承を願います。  それから国民健康保険の普及でございますが、確かに貸付制度ができ、あるいは助成交付金が出ましても、放置しておきましては普及は十分に行かないと考えております。しかし一方面おきましては、ただ私が耳にいたしておりますのは、各都道府県から非常に再開の機運が動いて来ておるということは各地から聞いておるのでありまして、私どもとしてはさらにその機運を助長いたしますために、先般も各都道府県に通牒を発しまして、都道府県庁の立場におきまして年次計画を立て、また未開の——未開と申しますとまだ国民健康保険を開始しておらない市町村ですが、これに対しまして年次計画によつて再建をさせるように指示をいたしておるわけであります。これは仕事それ自身を始めますのみならず、すでにやつております保健所に対しましても、給付内容の改善、それは先ほどお話の財政の合理化等につきまして、具体的な計画を立てさせるように指示をいたしております。これは近く出そろうと思いますので、その計画に基いて督励をいたして参りたいと考えております。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 今年次計画のお話が出ましたが、まことにけつこうだと思います。あなたの方でそういう年次計画まで立てて国民健康保険を普及しようという意欲まであられるならば、国民保険をやつておる市町村はもちろんそれぞれの特殊性があります。しかし特殊性があるにしても、非常に保険料のあるいは保険税の差というものがあまりはげしいのでございます。三千五百円ぐらいのところもあれば、千二百円ぐらいのところもある。これは実に差がはげしいのでございます。従つて年次計画をやられるとするならば、この際ひとつ思い切つて国民健康保険のいわゆる危険分散を稀釈するように府県単位に国民健康保険をあらためて行く意思はないかどうか。

久下勝次厚生事務官(保険局長)

○久下政府委員 国民保険を実施する区域の単位と申しますか、これは現在の市町村から府県に上げるということは、社会保障制度審議会の勧告にもあることでございます。私どもとしても等閑に付しておるつもりはございません。ただそのお考え方に対しまして、今日まだ結論に到達いたしておりません。今日のように各市町村で細々ながらやるという点、これ自身が問題でございますけれども、しかしながらまたそれと同時に市町村の住民というものは、非常に親しみが深いわけでございまして、なかなか源泉徴収のできない——国民健康保険の徴収でございますので、実施上は非常に困難があり、これは結局言葉は悪いかもしれませんが、顔のつながりと申しますか、親しみと申しますか、そういうものをよりどころにおいて保険担当者の努力というものを期待する面が非常に多いと思うのであります。そういうことを考え合せますると、現在の一般の国民健康保険に対する認識の程度のままにおきまして、ただちに実施の単位を広げるということにつきましては、まだ検討を要する時期ではないか、こういうふうに考えております。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 どうもきわめて答弁が消極的で、少しも国民保険の進展について一曹の努力をしようという傾向が見えないことは遺憾でございます。ちよつとこまかい問題にもう少し触れてみたいと思いますが、現在事務費を全額負担するということになつているようでございますが、各市町村においては、たとえば千人の被保険者があるとして、大体事務費の全額負担の基準というものはどういうぐあいになつて負担をしているか、御説明願いたい。

久下勝次厚生事務官(保険局長)

○久下政府委員 事務費の補助は予算の基準は昭和二十七年度におきましては一波保険者当り五十五円、それが二十八年度予算におきましては六十三円に増額をいたしております。但しこれは実際の交付にあたりましては一律に被保険者数にかけてやるものではございませんで、市町村の申請をとりまして府県でまず検討をしてもらい、そうしてさらに厚生省におきましても、個々について内容を検討いたしまして差をつけて交付をいたしております。しかし査定をいたします関係上、申出通りに必ず出すというわけではございませんが、合理的なものと認められますものは、基準額を越えましても補助を出しておる次第でございます。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 わかりました。その次に助成交付金の問題ですが、現在この助成交付金は予算の説明書によります、と、療養給付費、財政力、保険料の収納成績等を考慮して算定交付することになつております。ところが現在助成交付金の配分の際において、これがたとえばさいぜんの政府の御説明では、現在の段階では市町村の特殊性があるから、それを無視するわけには行かないという御説明でありましたが、現在これが県の段階へ参りますと、どうも県においてはこの助成交付金を利用して国民保険に対する官僚統制強化の傾向が出て来つつあるのでございます。あなたの今言われたこととはまつたく逆な傾向が二十九億六千万円のこの金の配分を通じて出て来ようとしつつあるのであります。もしそういう傾向が出て来るとするならば、さいぜん申しましたように、思い切つて府県単位でやつて行くという腹をきめた方がはつきりしていいと私は思う。もしそうでなければこの助成交付令というようなものを県が自分で握つてしまつて、やつておる市町村に綱をつけるというようなことはやめてもらわなければならぬと思うのですが、この点どうお考えですか。

久下勝次厚生事務官(保険局長)

○久下政府委員 助成交付金が今お話のように県において使われるということは、私どもとしてはあり得ないと思つておるのであります。と申しますのは、この助成交付金は私どもの方から県を経由いたしますが、あて先は国民健康保険を実施しております各市町村に参るわけであります。従いまして途中において県がこの金を使うということは考えられないことでございます。ただあるいは非常に違法なことでありますけれども、補助金の吸い上げというような方法でやれば別でございます。さようなことは私どもとしては通常の場合としては考えられないわけでございます。ただ確かにこういうことをやらすことによつて、これを悪用していろいろ県の職員が適当と考えられないような行動に出ますことにつきましては、これは厳に戒めなければならないのであります。そういうことは私自身も考えてもおりませんし、もしさようなことがあり得るとすれば、十分また前もつて各地方庁に警告をしておきたいと思います。

柳田秀一日本社会党(左)

○柳田委員 ちよつと局長にお尋ねいたします。国保の予算案で一割五分の給付の国庫補助ですが、これは昨年の十二月の国会における決議案にも医療給付の少くとも二割、こういうことになつておるのであります。われわれは医療給付費の少くとも二割を国庫負担、こういうふうに了解いたしておりまするが、ただいまの同僚滝井委員からの質問のように、必ずしも現在のやり方が医療給付の国庫負担でなしに、この二十九億何がしかを使つて、今申されたような官僚統制をやられるというようなにおいが多分にわれわれは感知できるのであります。局長の方ではそういうことはないとおつしやいますけれども、地方に行きますと、やはり多年物を言わせた権利でそういうような点が見受けられぬとも限らぬ、現にそういうことを耳にしております。従つて厚生省がこの一割五分の国庫負担を市町村に流される。それに対して四段階にわけて、こうこうこういうものに対してこうというふうにやつておられると思いますが、それをひとつ詳細に御説明願いたいと思います。

久下勝次厚生事務官(保険局長)

○久下政府委員 二十九億六千万円の助成交付金の配分につきましては、四つの方式で配分をするつもりであります。第一方式というのは振興奨励交付方式と申しまして、昭和二十七年度にもございました奨励交付金の考え方を取入れたのでございます。これは具体的に申しますと、保険料の徴収成績が百分の七十以上のものに対しまして、百分の七十を越える程度に応じて三階級にわけて百分の十から百分の二十に相当する金額を交付する建前であります。この考え方は、保険料の徴収成績がいいということは、結局被保険者も十分保険に理解があり、また市町村の保険担当者も熱心にこの仕事をやつているという一つの証拠であり、現われであると思いますので、そうした努力なり理解の程度なりというものに応じて出す。将来これに該当しない他の各保険者が漸次こうした線にまで向上することを期待をする方式であります。  第二は財政力調整交付方式と申しております。これは結局いろいろ議論がありましようが、よりどころとしては、現在の地方財政平衡交付金の交付の基準がございます。この基準に基いて交付される金額が市町村の一般会計収入において占める地位、割合に応じまして六階級にわけて交付する方式であります。この基本的な考え方は、非常に関係者の努力もありあるいは住民の理解があるといたしましても、市町村それ自身の置かれております地位あるいは財政力と申しますものが非常に弱いために成績のあがつておらない所があると考えられるのであります。さような意味におきまして、努力にもかかわらず結局財政力それ自身が弱いためにできないものに対する補助として考えた制度であります。  第三は療養給付費調整交付方式というのであります。これは同じく六階級にわけてあります。各保険者ごとに被保険者一人当りの療養給付費を見まして、各段階に応じて六階級にわけて百分の六から百分の十に相当する額を交付するつもりであります。これは助成交付金本来の趣旨をそのまま療養給付費を払つた実情に応じて出す方式でございます。なおこれは後にも触れますけれども、前年度の実績を基礎にして今申し上げたような交付をするつもりであります。  第四の方式は保険料調整交付方式という言葉を使つております。これは国民健康保険をやつている市町村それぞれによつて非常に受診率に差異がありまして、受診率が非常に問いために療養給付費がたくさんかかつた、従つて保険料を高くとらなければならないというような結末に迫られて苦しんでいる市町村があるわけであります。そういう所に対しましては、昭和二十七年度保険料の全国平均を千九百円と押え、この千九百円を上まわります程度に応じまして三階級に応じて補助金を出す仕組みであります。これは今御説明申し上げました以上のような各方式によつても受診率が高いとか、衛生状態その他の関係で非常に療養給付費が高く、従つて保険料を高くとらなければならぬ苦しい立場にあります保険者に対する救済の方法であります。  以上のような四方式をそれぞれ、各市町村でやつている国民保険の実績に即応いたしまして補助金を出すのであります。お話の申にもございましたのにつけ加えて申し上げておきますけれども、もともとこの一割五分、二十九億六千万円というものをはじき出しました計算の基礎は、昭和二十七年度の実績ではありませんで、二十八年度の予想される療養給付費を基礎にして、その一割五分相当額を算出いたしたわけであります。従いましてこの考え方の中には、具体的に申しますと給付内容の改善ということも若干織り込んでおるのでございます。そういうことでありますが、実際に補助金を交付いたします場合には、将来の見込額によつて交付ができませんので、以上申し上げたような四方式は、いずれも前年度の実績を基礎にして出すわけであります。従つて私どもの想像では、以上のような四方式を併用して五千有余の市町村に補助金を出すわけでありますが、結果におきまして、今予想しておりますのは、昭和二十七年度の各保険者の療養給付費に対する補助金の比率を見ますと、非常に条件のいいと申しますか、最低の補助金をもらう市町村におきましても少くとも一割近い補助金、多いものは三割程度までもらつております。そういうようなことによりまして、その間にはそれぞれ今申し上げたような資料に基いて差等をつけております。なおお言葉の中にもありましたけれども、この方式はわれわれとしてはすでに公表もいたしておりますし、従つて府県なり私どもの方でかつてな修正をすることはできないことになつております。その意味におきまして、府県なり私どもがこれによつて適当な作業をする余地は、ほとんどというよりむしろ絶無といつてよいほどでありますので、御了解願います。

柳田秀一日本社会党(左)

○柳田委員 われわれは、とにかく国民保険の医療給付の少くとも二割という線で了承しておつたのです。ところが今おつしやられるような四段階の方式で地方に流しておられる。実際に行政省が当られるのですから、予算の範囲内でやれるとおつしやるかもしれませんが、厚生委員会にも、参考資料としても何らそういうような四方式をお諮りになつておらない。少くともこの法律を審議したわれわれに対しては、こういう四方式で地方に流しますということの御説明があつてしかるべきだが、一回もそういう御説明がない。なお聞くところによりますと、この医療給付の一割五分というのは、大蔵省としては涙をのんで承認した。大蔵省は一割であろうが、一割五分であろうが、二割であろうが、三割であろうが、あるいはまた〇・一五割であろうが、と。かく医療給付というものに対してはびた一文出さないというのが、大蔵省の従来から堅持していた態度である。それを昨年の暮れに大蔵省が屈服したのは、大蔵省の役人としてはよくよく腹の虫にさわつたのでしよう。今でも大蔵省の役人に聞くと、医療給付に対しては補助はしておらぬと言つておる。その一つの現われがこの四方式になつておる。四方式にしておるからこれは医療給付ではないというような逃げ口上で大蔵省はみずから慰めているらしい。厚生省に対してもそういう圧力がかかつて来たらしい。あくまでも大蔵省は医療給付に対しては補助しない。そういう段階制を設けて成績が上つていないところは補助するとか、助成するとか、育成するとか、そういう考え方をとつておる。それで厚生省に圧力が加わつておるらしい。そういうことが巷間伝わつておる。われわれはこれを医療給付一割五分というふうに解釈しておつたところ、今聞きますとはなはだしいところは三割、最低一割こういうふうになつておりますが、これはどういうようなことでありますか。

久下勝次厚生事務官(保険局長)

○久下政府委員 今お話いたしました助成交付金交付、要領につきましては、解散になりました国会のときに、当厚生委員会の健康保険に関する小委員会を開いて、その際にお配りもし、さらに御審議もいただいておりまして、実はそれで済んだと思つておりましたので、本委員会には申し上げなかつたわけであります。  それから療養給付金の補助ではないのではないかというお話でございますが、私どもといたしましては、先ほども申し上げたように、この一割五分相当額を積算いたしました基礎は、二十八年度に予想せられます合理的な療養給付費の総額を出してその三割五分を出したのであります。なお補助されました金は当然療養給付費に使つてもらうつもりであります。それ以外の使途に充てることは認めない方針であります。結局問題は、配分が療養給付費を対象にしないではないかということであろうと思いますが、私どもといたしましては、これは先ほど来のお話にも関連してるる述べましたように、各市町村それぞれ実情が違つております。非常に努力しておるところもあり、努力が十分でないと認められるところもあります。また財政力それ自身に致命的な弱体性のあるものもあります。その拙いろいろな条件があるわけでありまして、一律に二割というような配分をいたしますことは、これはむしろ公平を期するゆえんではないと思うのであります。各国民保険が努力しておるものは努力しておるなりにそれが認められ、また努力をしても成果が上らないような条件にあります場合には、それがまた補填をされるということによつて、公平に採点されるということこそ望ましいと思うのでありまして、くどいようでありますが、私どもとしては積算の基礎は療養給付費であり、補助される金は差等はつけられるにいたしましても、療養給付費にのみ使われるものであるという意味におきまして、この助成交付金は療養給付費に対する補助ということにおいては何ら疑いがないと思います。大蔵省当局におきましても、いろいろのいきさつはあつたかとも思いますが、最近は十分了解をしてもらつておると思つております。

堤ツルヨ日本社会党(右)

○堤(ツ)委員 関連して。ただいまの局長の御説明を承つておりますと、一割五分の貴重なお金の使用法ですが、今の御説明を私が聞き落したのかもしれませんが、あなたが先ほど滝井委員にもお答えになつたのと矛盾するところがある。それはなぜかといえば、たとえば戦前にはこの国保を実施しておつたけれども、どうも経済的に成り立たなくて、市町村財政の赤字を、国保を実施するがゆえにさらに増している。だからこれは一時中止もやむを得ないというものが相当あるはずだ。その場合に進歩的な市町村長などは何とかしてこれをもう一度樽実施したいという意欲がある、その再実施をしたいという意欲を持つているところに対して二十九億六千万円は、あなたは五箇年計画とかなんとかおつしやつているにもかかわらず、それに対する呼び水的な金をやるというような仕組みは今御説明なさつた小にないように私は聞いたのですが、どうなさるつもりですか。それがなければ一応枯渇して、国保が実施不可能な田村は再起できないはずです。そこに私たちが数の上から調べれば、前の国会でも申し上げました通り、いずれの保険制度の恩典にも浴しておらない三千四、五百万の国民の生死の問題があるわけです。一応倒れたけれどももう一度実施して行こうという市町村に対する保護政策がなければ立ち上れないわけなんです。それに対してはどういうお考えを持つておりますか。

久下勝次厚生事務官(保険局長)

○久下政府委員 まず一つはこの助成証交付金それ自身の交付につきまして、私どもとしては保険者に対して二十七年度の実績で交付をいたしますのが原則の建前でありますが、しかしながらこういうことに刺激をされまして、事業の再開をしようという保険者もあると予想せられますので、昭和二十八年度に入りましてから七月一日までに事業を開始いたしました保険者に対しましては、この二十八年度の予算に基いて助成金を交付する見込みであります。そういうふうに交付要綱にも明確にしてございます。これを七月に押えました理由は、補助というものは何分にも確かな実績を基礎にして出さなければなりませんので、あまりあとあとまでこれを見ることができない事情もありまして、またそれ以後に開始したものについては二十九年度におそらく同じようなことが予算化され、補助金ももらえるだろうというようなこともありますので、さような点に若干の考慮を払つております。なおこれは結局事業をした者に対するだけで、これから始めようとするものに対する呼び水がないではないかということはごもつともであります。この点につきましては本年度の予算には記載がございませんでしたけれども、昭和二十九年度の予算にはぜひさような点につきましても考慮をしたいと思いまして、今せつかく計画をいたしております。

堤ツルヨ日本社会党(右)

○堤(ツ)委員 これは何も国保の場合だけでなく、私は今日の政治の非常に大きな弊害だと思うのであります。市町村では国が金をくれればやる、それから国では市町村が何がしの金を持つて出頭すればやらせてやろうといつたような態度で、中央と地方とが両方のふところぐあいをにらみ合口いまして、そうしてしなければならないという結論が出ているけれども、国が出してくれればやる、また地元が何がしかの自腹を切ればやらしてやるというような態度で、にらみ合いのまませつかくやらなければならない福利行政が非常になおざりにされているという例がたくさんあるのであります。あなたは七月一日までの情勢を見て再起したものに対しては予算をやるということをおつしやいますけれども、今田赤字の地方の市町村の財政から言うならば、国が何がしかの呼び水をくんで起してくれるならばそれについて行けるというのが実態であると思う。そういう親心を示さないで、立ち上つて行つたらひとつやつてやろうというのは、まことに冷淡きわまるやり方だと思う。しかも先ほどのあなたの四段階の発表を承つておりましても、この二十九億六千万円の医療給付一割五分の金をめぐつて猛烈な陳情運動が始まる、と私は烙印が押せると思う。今日私どもが中央におりまして、予算の陳情運動くらい不快なことはない。またこれは大きな問題でありますから、政党政派を越えて考えなければならない段階に来ておりますが、一厚生省の中において官僚がはぶりをきかせて陳情がはげしいところ、何かの手を用いて来るところには金を多くやる、そうでないところは薄くやるというようなものが端的に二十九億六千万円の中に現われると思う。さもなくば文書の上で筋の通つたものをこしらえるように、合法化してこの金をぶんどることに成功しようというようなところも現われて来る。非常に弊害は大きいと思う。せつかくとつたわれわれとしても憂慮にたえないのであります。私は今日国保の問題、健康保険制度の問題をめぐつて厚生省だけをとつちめたとしても、これは無理だということは重々承知しております。あなた方が大蔵省に三拝九拝されて五、六年の後やつと二十九億六千万円の金を国会の圧力によつてどうにかものにされたということは大きな飛躍であつて、吉田内閣のもとにおいては私どもは期待しても望み薄だつたのでありますが、どうやらわれわれの圧力によつてこれを実現され得た。そこで厚生大臣はしばしば堤代議士からおほめにあずかつたとおつしやるが、私は厚生大臣個人をほめたのではなくて、吉田内閣のもとにおいては、わが社会党が天下をとらない限り上々であつたから労苦を多とするということでほめたのであつて、山縣さんよくやつたと私が絶対的なほめ方をしたようにどこへ行つても広告されるので、堤ツルヨは山縣厚生大臣に選挙資金を出してもらつておるのじやないかと左派からひやかされておるような始末ですが、じようだんはともかくといたしまして、せつかくこうしてわれわれがとつた予算にいたしましても、われわれ国議員の立場からいえば、今日国会議員がどういう考えを持つておるかとおつしやれば、先ほどから左派の委員がおつしやつたように、私は前の国会で本会議でも討論をしたが、日雇い労働者の健康保険をつくる、船員は船員保険、官公吏は共済、職場にあるものは健康保険、市町村においては国民健康保険と、まるでてんでんばらばらで、片方は厚く、片方は薄く、一体どこに民生安定を求めるか。これは国保一本にして、予算のぶんどり、陳情をやらなくても二割の国庫補助は国の義務としてくれるという建前に立つて八千五百万の国民は市町村において必ず国民健康保険の恩典に浴して、生活の安定を保障してやらなければならぬという積極的な結論を超党派的に得なければならぬところに今来ているところでありますから、厚生省に行つて私たちがいろいろ申し上げますと、どうやら官庁の方々はそうやられると仕事のなくなる人がある、私はそう見受けたのであります。それからおのおのの城を守つて断じて譲らない。結核対策を見ておつてもそうであります。これはあなたに言つても無理かもしれませんけれども、公衆衛生の関係は山口局長の所管である、結核療養の関係からいえば施設課の関係とあらゆる面からわかれて、そして公共事業においては結核予算と並行してぶんどりがされている。少くも合理化されない、科学化されない、そして理性化されておらない。これは日本の政治の大きな欠陥でもありますけれども、その最たるものは保険行政であります。局長は、もうそういう結論が出ておりまして、国会の意思もわかつ薫るようおりますから、即刻手をつけまして、横の連絡をとつて、もう国保一本の線に改めるへく、次期国会くらいには提案するというような腹ができておらなければうそなんです。私は先ほどから聞いておつても、あなたの答弁はまことにけしからぬと思つて質問に立つたわけです。陳情だとかぶんどり合いだとか、片方は厚く、片方は薄く、また再び立ち上れないものにも水をやらないで立ち上れ、まるで生れたての赤ん坊におかゆを食えというような式に行きなさる今日の保険局のあり方というものは、がんであるところの大蔵省をむろんたたかなければものにならないかもしれないけれども、厚生省としての一つの信念なり行き方があるはずだ。大蔵省が今日横暴をきわめて、どうしてもわが行政上のがんとなるならば、大蔵省をつぶすにわれわれは決してやぶさかではない。火つけはいたしませんけれども、合法的に大蔵省なんというものはつぶさないとどうにもならぬようなことも今日あるのです。ですから、あなた方は大蔵省だとか国家財政に縛られるごとなく、真に国民大衆を守るという信念があるのならば、なぜ国保一本に固めて行かないか。それから私が今申しましたように、再起しようとする人たちにさえも、予算を組むつもりでおりますというような、なまつちよろい答えで、二十九年度とか二十八年度に組めるものか、はたして再起するところの市町村に対して幾らの金を予定してあるか、あなたは私にこれをつつ込まれたら困られると思う。二十八年度は七月一日に何ほどのものが再起する予定だから、何ほどの予定を組んである、二十九年度は、再起するもののためにどれだけの予算を考えておるというように数字的に発表ができるかといつたら、おそらくできないだろうと思う。でぎますか、できたらできたでまた……。

小島徹三改進党

○小島委員長 堤委員に申し上げますが、質問をどうぞやつてください。

堤ツルヨ日本社会党(右)

○堤(ツ)委員 これは末端的な質問をやつてみてもあかんのです。健康保険に関する限り徹底的につつ込んで行かないと……。

久下勝次厚生事務官(保険局長)

○久下政府委員 堤先生から大所高所に立ちましての御批判でございまして、私からお答えをいたしますにはあまり荷が重過ぎるような感じがいたします。私の関係以外のことについても御言及がございましたが、それらの点につきましては、関係の局長なりあるいは厚生大臣に御趣意のあるところは伝えておきたいと思います。  社会保険それ自身の統合の問題につきましては、今私の立場におきまして責任を持つてお答えをいたす段階に来ておりませんために、先ほどのようなお答えを申し上げざるを得ないのであります。私個人といたしましては、社会保険の統合については全面的に賛成をいたしておるものであります。ただ政府の代表としてここに立ちましてお答えを申し上げます場合に、時期を限つたり、あるいは具体的な方策についてお答えをするようなところまで検討も進んでおりませんから、先ほどのようなお答えをせざるを得なかつたのであります。御注意の点につきましては、重々ごもつともでありますので、今後ともそういうふうにいたしたいと思います。

堤ツルヨ日本社会党(右)

○堤(ツ)委員 私は局長をあまり追い込むことはお気の毒でございますから、この程度にしたいと思いますけれども、私は過去六年間国会におりますけれども、われわれが保険制度についてこの委員会で論じて来て、少くとも代々の局長は、そんなこと言つたつておれたちの手ではしかたがないんだといつて馬耳東風に聞きのがされて来たような感じがするのです。これは実際は大臣に詰め寄らなければしかたがないのでありましようけれども、社会保障制度を吉田内閣で実現し得ないならば、せめて医療問題だけでも確とした根城を立てて、そうして筋の通つたものを将来の社会保障制度の骨組みとしてつくるべき良心くらいあつてしかるべきなのです。それが六年かかつてもできないところに、私は吉田内閣の保守反動性といわれる原因があると思うのです。ですから、私は席を改めて一度理事に諮りまして、国保、健保、船員、共済、日雇いの保険行政につきまして、根本的な検討を加える時を持ちたいと思いますから、局長にはこれ以上申し上げませんが、どうか事務を預かられる局長は、二十九億六千万円がぶんどり合いになり、陳情運動の標本的なものになり、また最近再び立ち上つて行こうという市町村をも救えないようなものになるならば、われわれの目的を達しないのでございますから、その点を十分にお考え願いたいということを力説いたしまして次の質問者にお譲りしたいと思います。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 堤先生がいろいろ言われましたので、私は結論だけ申し上げますが、今までいろいろお聞きいたしたのでございますが、すべてどうも私の意に満たない答弁で、ございまして今堤先生が申されましたように、再起をしようとするような町村、あるいは現実に保険料を滞納し、診療費の未払いの山があるというようなところは、どうもこれだけでは救えないのが現状です。私は決してこういうものができても国民保険が全国に急速に普及して来るという見通しはまつたく立ちません。なぜならば、現在すでに町村においては、二十七年度までに五十億の赤手があります。市は百九十一億の赤字かあります。現在国民保険に三億四千万円の補助金を出しておる。府県においても二百五十六億、二十七年度において地方自治体も四百九十七億というような赤字をかかえておるのが現在の状態です。これを根本的に改革するための地方制度調査会の結論がまだ出ておりません。それが出たときに、おそらく現在のような、こういう防衛支出金を六百二十億も組み、保安庁費を七百十八億も組んでいるのに対して、こういう日本のいわゆる社会保障費というものが非常に軽い比重を占めている国家の財政の中においては、もはやこれは不可能だと思う。この際厚生省がほんとうに社会保障制度を推進するどころの一つの省であるという自負と自覚と信念を持つならば、継ぎはぎだらけの保険制度を急速に一本化するということは当然です。今の堤さんの御意見とまつたく同一で、もつと真剣に厚生当局もこの委員会も考えなければならぬ段階が来たと思います。ひとつ政府当局もここでふんどしを締め直して考えていただきたい。これで質問を打切りたいと思います。

小島徹三改進党

○小島委員長 長谷川君。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 昨日の委員会で私は厚生大臣に対しまして、健保の給付が三年に延長されるということについて、この延長されることによつてこれらの人々に給付される療養給付は、当然今まで生活保護によつて保護されておりました被保護者であつた人々の分がこつちに肩がわりして来る、そういう類のものが、今後そのように生活保護から健保に切りかえられて行くということでありますから、当然その生活保護に使うべきところのものを健保の方の医療給付に対しまする国庫の負担金にすべきだという筋のことを申し上げたのでありましたが、その額等が十分おわかりにならないというので、十分な御答弁をいただけなかつたのであります。これについて、私はこのままでは、この三年延長によりまする負担は結局労働者の保険料、事業主の保険料によつてまかなわれまする保険財政だけの負担になるということになりますから、これは当然この分を健康保険への国庫負担に切りかえるべきだ、こういうように思うのでありますが、その点ちようど次官が御出席でありますから、次官に承りたい。

中山マサ自由党厚生政務次官

○中山政府委員 いまだその数字の点が事務当局におきましても十分に、調査ができかねているそうでございまするから、いずれ調査の上詳しいことを御報告申し上げたいと思います。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 これは私のところには一昨年の統計しかありませんが、健保の療養給付の年額がわかつております。それに対して、大体先般の御答弁でも結核関係の方が四〇%となつておりますから、大づかみにすぐ出ると思うのでありますが、大体その額はどれくらいになりますか。

久下勝次厚生事務官(保険局長)

○久下政府委員 私からお答え申し上げます。現状におきましてお話の通りでありますので、昭和二十八年度の予算の療養の給付費は二百三十億ちよつとかける程度でございます。その四割相当額ということになりますと九十億余になります。しかしながらその費用というのは、現在の自宅療養者及び入院治療者、すべての結核患者を含んでいる費用でありまするので、もう一年延長することによつてさらにその金がどれだけふえるかということは、ある程度の予想はつきます。その点の予想はついておるのでありますが、さらにこれが生活保護費との関係でどうなるかということは、資料がなくてむずかしいのであります。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 大体九十億の額がつかめるということであります。これが大体二年間以内の方々の療養給付費でありますから、三年になれば大体どのくらいの額になるかということも推測がつくと思います。この療養給付には三月の人もあり、半年の人も二年の人もあるということでありますから、私には大体五、六十億という金が、あるいは少くなるかもしれませんが、第三年においては出はしないかということが考えられるのであります。そういうものがほとんど全部といつていいほど従来は生活保護に振りかえられておつた、こう見ていいと私は思う。でありますから、この五、六十億の金が生活保護の医療扶助から節約されて行くわけであります。でありますから、昨日申し上げましたように、全体として厚生省の予算が実質において十五億増しておるということでありますけれども、ここで生活保護の金が相当に節約されるということが見えますから、厚生省の社会保障関係の行政を後退させないように、進んで社会保険の、ことに健康保険の国庫負担にまわすべきだ。三年にすることに対しまして、事業主側、労働者側、両方から、これ以上のことについては国庫負担でなければおことわりだという意見が出ておる。その言い分は私はもつともだと思います。でありますから、私はこれをその方にまわすべきだと考えますけれども、厚生政務次官はどうお考えになりますか。

中山マサ自由党厚生政務次官

○中山政府委員 今のお話の通り片方からそういうふうに削減されるといたしますれば、当然それはこちらへまわして行くところの理由にはなると思いまするので、その点今後研究さしていただきたいと思います。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 先ほど同僚議員が主張いたしましたように——同僚議員の主張は国民健康保険の関係でありましたけれども、同様にこういう問題をつかまえないで、ただずるずるに生活保護の関係の金が減つたということで足りたというようなことであつては、これは実に問題でありまして、われわれはこういう問題について厚生当局に、今日労働者、事業主ともに要求しております健保に対しまする国庫負担の問題を解決せられるように、格段の努力をお願いしたいのでございます。  第二の質問といたしまして、現行の健康保険法施行令の中に、多分三十六条かと思いますが、組合の理事の選出のことがございますが、この組合の理事は、事業主側が選定する選定理事と、被保険者側、つまり労働者側が互選いたします理事とでもつて理事会を組織していることになつておりますが、その理事長の選挙は、選定理事、つまり事業主側が選定した理事の中から選ぶ、こういうことになつております。健保の連合会には当然理事長が出て参りますし、さらに保険制度審議会等の委員にはこの健保の連合会の方から出て参ります。従つてこの健保の改正等にあたりましては、これは事業者関係の側の意見がとかく強く出まして、被保険者である労働者側の利益がとかくうとんぜられるというようなことになり、さらにまた保険制度の民主化が阻害されるということになつておると思うのでありますが、この点について労働組合側からこれをすみやかに改正するようにという強い要望がございます。私は確かにこの保険の民主化と労働者の利益を擁護するという点においてこれは改正すべきものであると思いますが、このことについて改正するというような意向がございますかどうか、またそういう民主化が阻害されるというような懸念に対しましてどうお考えになりますか、次官の御答弁をお願いしたいと思います。

中山マサ自由党厚生政務次官

○中山政府委員 現行法においてはその通りの規定になつておりますので、現行法の改正を見ないことにはこれはいかんともなしがたいと考えております。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 ただいま申し上げましたように、これは当然改正すべきであると思いますが、近く政府において改正する、あるいは今国会に改正案を出すというような御意向はありませんか。

中山マサ自由党厚生政務次官

○中山政府委員 これは政令でございまするので、いずれ研究の上善処いたしたいと思います。

小島徹三改進党

○小島委員長 降旗徳弥君。

降旗徳弥自由党

○降旗委員 私はまだこの保険問題について十分なる研究をいたしておりませんから、ちよつと思いついたままに一言御質問を申し上げたいと思います。社会保障制度が拡充されるということはもとよりだれもが望むところであります。しかしながらこれが国家の産業経済の立場から、あるいは個々の国民の生活状態から申しまして、適正に行われておるかどうか、この問題こそはまさに重大な問題であるといわざるを得ないと思います。従つてただいま申し上げますように、民間におきましては、この社会保障制度をあくまでも充実する、こういう意見と、さらにこの社会保障制度というものについて、イギリス等においてはいろいろの行き詰つた問題を生じておるのであるが、これらの問題を前者のくつがえるものとしてみて行かなければならぬという立場から、深くわが国の産業経済の実態にまで掘り下げて考慮すべきである、こういう二つの意見があるのであります。従つて私どもがこの社会保障制度を推進する上から申しましても、やはり国の産業経済の基盤というものを尊重する必要があるのでありまして、従つて厚生省がただいま提案になりましたように、この保険制度を拡充強化するという立場から、欧米の先進国に比べて日本の保険制度の問題が、いかなる水準にあるものであるか、こういう懇篤なる説明あるいは解説の資料を提出されたいと同僚議員からも請求があつたのでありますが、これは今後の研究の資料としてぜひ御提出を願いたい、このことを申し上げておきます。さらに実は私の親友で歯医者をやつておるものがあるのでありますが、同君から私にあるときこういう話がありました。実はふしぎなことであるけれども、生活保護法によつて生活をしておるものが、歯が一本欠けたということによつて入れ歯をしてくれということを請求して来るのだ、しかるに国民の経済の基盤をなすところの農村のお百姓さんたちが、たまたま自分の家へ歯が痛くて困るというので来た、そこでこの人の口中を調べてみると抜け歯が四つも五つもある、はなはだしいのにはもつと多くの抜け歯があるのだ、こういうような事態を見たときに、今日の保険制度というものが、社会保障制度というものが、それぞれの国民の生活の建前から適正に行われておるかおらないか、もし適正に行われておらぬとするならば、まさに国政の前途寒心すべきものである。かような話を聞いたのであります。これは私どもが社会保障の制度あるいは保険事業の前途に対して多々ますますこの充実を期せんとする立場におきましても重大なる問題でありまして、これらの問題につきましては、施行の責任のあるところの政府当局において意を用いられんことを希望してやまないのであります。そういう意味から申しますると、私は先般国民健康保険の保険団体中央会という団体から、昭和二十八年六月付の国民健康保険医療給付費に対する二割母上国庫負担実施に関する懇請書、こういう書類を受取つているのでありましてこれを忙がしい中拾い読みをしてみたのでありまするが、この中に書いてあることは、私はまことに同感にたえないのであります。ということは、この書類によりますと、この国民健康保険の基盤になりますものは、全国民のうち五千五百万、この広大なる地域層を持つておる、しかも恵まれざるごと今日の国民健康保険の組合員の、ごときものはない、かように書いてあるのでありまして、これらの諸点ついては、すでにいろいろ委員諸君から質問があつたところであります。すなわちこの広大なる基盤を持つたところのこの層は、申し上げるまでもなく農村のへ々であろうと思うのであります。ただいま申し上げましたように都会地におきましては、生活保護法によつてその生活を保つておる人が、一本の歯が欠けたことすら、これを歯科医に要求して填補せんとする状態であるのに、しかも国の大なる基盤となるところの、縁の下の力持ちとなつておるところの農村のお百姓さんたちが、数本の抜け歯があつて、それが健康上にも支障を来すような状態におつても、これを填補することができない、こういう事実から考えてみますると国民健康保険の状態というものは片手落ちである。であるからこの片手落ちの国民健康保険をいかに助長するかということは、これは先ほど私が申しましたような大きな観点からも、重大なる問題であると思うのであります。この点につきましては、特に院内外においていろいろ要望場があるのでありまするから、深く御考慮にあずかりたいと思うのでありまして、この点を強く申し述べまして、御答弁があるならば局長から承りたいと思います。

久下勝次厚生事務官(保険局長)

○久下政府委員 いろいろな点につきましてのお話がございましたが、第一の社会保障制度を実施をし、あるいはその制度をつくりますために、わが国の産業経済の基盤を考えなければならないという御意見につきましては、全然同感でございます。具体的な方法といたしましては、私どもの方に法律に基いて社会保険審議会というものがございます。これは労使及び中立の各方面から代表の方に出ていただきまして、そういう方々からそれぞれの画から御批判をいただいておる次第であります。なお各種の社会保障立法につきましては、御案内の通り内閣に所属いたします社会保障制度審議会でも、さような見地から十分検討が行われておると承知いたしております。私ども自身といたしましても、未熟ではありますが、そういう点につきましては十分意を用いてあるつもりでございます。  それから各国の実情に関する資料をということでございます。これは私どもの方に資料がございますので、申し上げておりますと大分長くなりますから、後ほどお届け申し上げます。なおこれも御案内かと思いますが、先般岡先生の御質疑がございました、昨年社会保障の最低基準に関する国際労働機構の会議があつて、その条約が一応決定をいたしております。まだわが国は批准をしておりませんが、この最低基準の条約に書いてありますことと、わが国の現行制度というものの比較をとつてごらんをいただくことが、あるいは適当ではないかと存じますので、そういうようなものにつきまして、ごく簡単な資料をつくりましたものがございますから、後刻お届け申し上げますから、ごらんをいただきたいと思います。簡単に結論だけ申し上げますと、条約の内容は九部門にわかれて医療とか、疾病とか、失業とか、あるいは業務障害、家族給付、出産給付等々の部門にわかれております。わが国では大体三部ないし四部——見方の相違がありますので、そういう言い方をしておりますが、この最低基準に合致しているものが現に行われておるということは、申し上げ得ると思います。これらの資料は後ほどお届け申し上げることにいたします。  それから生活保護法の医療扶助の問題につきましてのお尋ねでございますが、これは私の直接の所管でございませんので、お許しがいただければ、後刻担当の局長からお答えを申し上げるごとにさせていただきたいと思います。御質問の趣旨は、それよりも国民健康保険の療養の給付の内容が、各保険者ごとに相違しておつて、今御趣旨のような歯科の補綴の給付の行われていないところがある、あるいは行われているところがあるということは、おつしやる通りであります。私どもといたしましては、これらの点につきまして、ちようどいつも申し上げるように、今度の助成交付金が実現をいたします機会に、少くとも健康保険の家族並の給付をいたしたいということで、尤ほど申し上げました一割五分の療養給付費の算定をいたします場合も、そのことを基礎にして計算をしてあるはずでございます。従いましてああいうような補助が出ますと同時に、私どもとしては、各保険者の療養給付の内容の向上ということにつきまして、十分意を用いて行きたいと思いますし、ことに歯科の補綴の給付につきましては、健康保険並にやりますれば、当然給付が行われる結果になると思います。その他の点につきましても、今申し上げたような考え方から指導をし、監督をして参りたいと思つております。

降旗徳弥自由党

○降旗委員 ただいま局長からお話があつたのでありますが、私どもの手元へ日経連から一応の意見書が参つております。それによりますと、先ほど局長の説明されましたこの審議会においては、一年延長のために必要とする経費は、国家が直接国費をもつて結核予防法及び生活保護法の面で負担すべきものであるという了解を得ておつたにもかかわらず、それを明確にしないことはけしからぬということがここに書いてあります。こういう点はひとつ御留意を願いたい、こう思うのであります。  さらにもう一点お伺いいたしたいことは、健保組合の法定準備積立金の目標は、従来過去三箇年間の平均保険給付年額を積み立てることを目標として、百分の五ずつを積み立てているよりであります。しかしながら実際の状態から申しますと、一年間でなくて、これは二箇月、三箇月ぐらいの目標でよろしいだろう、こういう意見があるようでございますが、この点につきましてどうお考えでありますか。

久下勝次厚生事務官(保険局長)

○久下政府委員 まずもつて、これはお尋ねはございませんでしたが、日経連から出ました意見書の中にありますことをあげての御意見でございましたが、これは実は非常に誤りがございましてあえて申し上げておきたいと思いますが、社会保険審議会におきまして、療養給付金の延長に要する費用は国庫の負担をもつてやるべきであるという意見は、経営者側から出たことは事実でございます。これは相当議論が行われたのでありますが、結局審議会におきましては、採決をいたしまして、多数をもつて原案が可決されておるのでございます。もちろんそれに賛成投票いたしませんでしたのは経営者の方であろうとは思いますけれども、それにいたしましても、多数をもつて原案が可決されているのでございます。その表現は非常に誤りでございますので、御了承を願いたいと思います。  また健康保険組本日の準備積立金の問題でございますが、この点は、御意見に対しまして、私どもとしても今検計いたしております。一年分積み立てる必要があるかどうか、むしろある程度これは減額してもよろしいのではないかというふうな考え方になりつつありまして、ただいま検討いたしております。それまでに至る間におきましても、積立金の運用におきましては、これを死に金にしないように、十分活用できるように、予算認可等の際に注意をいたしておるつもりであります。

小島徹三改進党

○小島委員長 以上四法案について、他に御質疑の方はありませんか——他に御質疑もないようでありますから、お諮りいたします。以上四法案についての質疑は終了したものと認めるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島徹三改進党

○小島委員長 御異議ないようでありますから、四法案の質疑はいずれも終了したものと認めます。討論採炭は次回に譲ります。     —————————————

小島徹三改進党

○小島委員長 次にらい予防法案を議題として審議に入ります。  お諮りいたします。本法案の審議につきましては、秘密会にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島徹三改進党

○小島委員長 御異議なしと認め、本法案の審議については秘密会といたします。傍聴人の方は御退席を願います。      ————◇—————     〔午後零時八分秘密会に入る〕

小島徹三改進党

○小島委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。長谷川保君。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 このらい予防法の改正につきましては、昭和三十二年以来全国の療養所に収容しております一万の患者諸君の非常な要望があつて、これにこたえまして、政府が予防法の改正を企図せられ、大きな努力をもつて、本法案を提出されましたことに対しましては、私は敬意を表するものでございますが、その後御承知のように、全国の癩患者諸者は、前国会に提案せられました法案に対しまして、非常な反対の意思を表明せられ、今日全国におきまして、作業放棄、あるいはハンスト等をせられまして、大きな騒ぎとなつておりますことはきわめて遺憾に思う次第であります。しかしながら今回本国会に提案せられました法案を再三再四私は繰返上読みかえしまして、やはり感じますることは、患者の主張の中に二、三の誤解もあると思うのでありますが、しかし患者の主張でありまするこの予防法案の根本的な考え方が、依然として取締り立法的なものであつて、患者の福祉を十分に考えておらぬという考え方に対しましては、法案を熟読いたしまして、私はやはりそうだと言わざるを得ないのであります。この点患者の言い分はもつともであるということを率直に私は認めざるを得ないのであります。昨日私は尾久光明園の職員一同からの陳情書及び声明書を受取りました。これを読みまして、実に問題の急所をついておる、実によく書かれておると思うのであります。その中に重要な点をここに拾い読みしてみます。まず声明書の方を読めば、大体その意図するところがわかると思いますので、それを少し重要な点だけを払い読みしてみたいと思います。「吾々癩療養所に勤務する職員は家故郷と別れ入園し来つた癩患者に対して、日々完全なる治療を施し、その生活を保護保障し、側ら迫害を逃れ来つた病者を心身共に安んぜしめ且つ更に力強き希望を抱かせて将来に備へさせるにある。この為には癩療養所の存在規定と意義があく迄人道的見地に立つた社会保障制度であることを前提とする。」とまず言うております。  さらにまた現行の癩予防法を批判し、この根本的な改正を要望いたしまして「該予防法は云はば他の社会一般の集団価値と秩序を維持させる為に癩療養所入所者集団を没価値たらしめる在方に陥つてみる。」一般社会の集団の価値と秩序を維持させるために、療養所に入所しておりまする方々のその集団、その社会というものを、何でもかんでも療養所に収容、隔離しておけばいいということで、この療養所に入所している患者諸君の十分なる人間といたしましての生活保障、その福祉等につきまして考えられないというのが確かに現行の癩予防法の非常な欠陥である。しかしこういうことが文章の上ではあちこちに福祉という言葉が今回の改正法案の中にもございますけれども、今回の改正法案を見まして受けまする感じというものは、やはりこういう感じである。そして予防と取締りということが中心であつて、福祉ということはこの法案全体から見ましてつけ足しという感じを受けるのでございます。この点をさらに少し解明しておりまして、「こはが強権の根拠は一般社会へに癩疾伝染の危険を避けさせる為の所謂防上の見地に立つ社会政策である。」と断じております。さらに「即ち癩患者は一般社会人を安全に生活させる為、己が一身を犠牲にして入所せしめられた、といえるのであつて社会政策上の立場よりすれば患者を隔離収容することにより目的は達成せられたのである。従つて一旦入所せしめられた患者はそれ自身社会的に抹殺されたに等しい。従つて入所した患者は只隔離された人々として寧ろ物件的取扱ひを受けることになる。茲においてか入園以後の患者の社会的、人格的生活に対しては何等の配慮をも望み得ない。斯かるに弊に陥つたのは即ち現行癩予防法があまりにも隔離収容政策のみに偏しているからであり現在においてこの改正を看ずには更に大いなる破綻が生じるものと思考する。患者をして真に自覚せしめ善びと感謝をもつて療養生活をなさしめる為には、彼等の人格的尊厳を事実をもつて知らしめ、且つ患者より信頼せらる、に価する職員である」——これはちよつと字が違つているのじやないかと思うのでありますが、「職員である為その向上と充実を計らねばならない。吾々は現行癩予防法の欠陥を是正し職員の定員過少より患者を働かせざるを得ぬ如き療養所の官制定員を早急に是正し更に危険と不当なる軽蔑誤解を冒しつ、勤務する職員の待遇改善をするやう訴へ続けてきた。」云々という言葉がございますが、私はここに確かに中心をついたものがあると思うのであります。一般社会より強制隔離される以上は、その大きな精神的あるいは物資的損言に対しましては、度を過ぎると思われるほど十分なる福祉的対策を患者諸君にするということなくいたしましては、この基本的人権でおりますところの一般社会に住む自由、職業の自由あるいはその他の社会的政治的自由を侵害することを正当づけることはできないのであります。そういう意味において、この癩予防法の今回の改正案の根本の精神というものがやはり患者諸君の言うがごとく、依然として取締り予防法的なものに重点が置かれております。昨日療養所を訪問いたしましたが、患者諸君の訴えでは、この法律の字数からいつて半分以上はそれだと強く言われておりましたけれども、その点私は本法案の立法の根本精神というものが、もつと福祉的なものにならなければならぬ、もつと徹底的なものになつて、福祉的なものにプラスするに取締り予防ということになつて参りますれば、患者諸君の誤解を解き、そうして患者諸君の賛成をも得るのじやないかと思うのでありますが、この立法の根本の精神について当局の御意見を承りたいのであります。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○山口(正)政府委員 お答え申し上げます。ただいま長谷川先生から今回のらい予防法の案が取締り立法に偏しておつて、患者の福祉を考慮しないという点がありはしないかというお尋ねでございます。御承知のように現行癩予防法は、明治四十年に制定されまして、その後数次の改正はございましたが、現行癩予防法は非常に表現が簡単でございます。また患者の福祉という面につきましても法文上の規定があまり盛られておりませんので、私どもは患者の福祉ということを考え、かつ癩が伝染性疾患であるという観点に立ちまして今回の法律原案を作成いたしたのでございまして、その表現を現行法よりもさらに詳細にし、また患者の福祉という面につきまして、国立療養所の中におきます患者の福祉あるいは残されました家族の福祉という面も考えまして、それぞれの規定を原案に盛り込んだわけでございます。御説明申し上げるまでもないことと存ずるのでございますが、癩は伝染性疾患であるということは、現在各国の学者が認めているところでございまして、細菌学的な検査、あるいは統計学的な調査によりまして、癩が伝染性疾患であるということにつきましては、疑いの入れないところなのでございます。ただその伝染力というものにつきましては、強弱いろいろ議論があるところでございます。ただ一旦これに感染いたしますと、現在の医学をもつていたしましては、これを根絶せしむることがなかなか困難な状況なのでございまして、その治療に長時日を要するのでございます。また疾病の性質上、予防方法が患者を隔離するという以外に、現在のところまだ発見されておりませんので、私どもはこの癩という疾病を予防いたしまして、公共の福祉をはかるというためには)やはり患者を隔離するということが、たた一つの方法であるというふうに考えるのでございます。ただしかしながら、これをただいま仰せのように、伝染性の患者を隔離いたしまして長期間療養所に入つていてもらいますので、その間患者が、言葉の表現はどうかと思いますが、ほんとうに人間らしい生活ができるというのはぜひとも必要なことなのでございまして、私どもはこの法律原案をつくりますにつきましても、その患者が人間らしい、できるだけ仕合せな生活を療養所の中において送り得る、また家庭に残して参りました家族たちに心配のないようにできるだけの配慮を払わなければならない。また現在まだ癩という疾患に対して一般の人たちに偏見が残つておりますので、患者並びに家族品の秘密保持という点につきましては、十分考慮を払わなければならない点があります。従来もその線で進んで参つたのでございますが、今回の法の立案につきましても、特にその点に力を入れたつもりでございまして、決して患者を癩療養所に入所させて、それだけで世間から遠ざけてしまえば事足れりというような考えで今回の法律を立案したのではございません。療養所に入所いたしまして、そこで十分なる医学的な療養を受けられ、また患者の福祉増進、教養を高めるというような点につきましても処置をとり得るように法文に規定いたしまして、また現在治療法が非常に進歩して参りましたので、早期に治療を受けますれば無菌の状態になります。そうして将来社会に復帰し得る状態になつて参りまして、社会に復帰しました場合、職業につき得るように所内において更生指導のいろいろの施設を講ずるように規定いたしました。また従来から要望されておりました入所患者の児童、年少者に対しまして、義務教育あるいは高等普通教育が受けられるように措置するという規定も設けたのでございまして、その他くどいようでございますが、親族の福祉あるいは未感染児童の福祉につきましても、今度の法文の中に規定を盛り込みまして、もし御可決いただきますれば、この法に基きまして私どもば患者の福祉という点に十分意を注いで、また秘密保持という点を十分考えて、この癩予防行政をやつて行きたいという気持でありまして、法の立案の精神は決して患者を療養所にとじ込めてしまえばいいというような考えは毛頭ございません。その点立案に当りました者といたしましてはつきり申し上げておきたいと思います。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 ただいま局長から福祉の問題は十分考えてあるというお話でありますが、しかも今も局長が言われましたように、この法案に福祉の問題を取上げておりますのは、第四章福祉という制度でありますが、この中にありますのは、患者を一時救護することができる。あるいはまた残した親族に対しましては、療養所の所長が必要に応じて所員をやつて生活保変法にかけられるように努力してやる。あるいはまた未感染児童を収容してやるというようなわずか四条に関することであり、そのほかに厚生施設等のことがございますけれども、たとえば第十五条、十六条、二十八条等にその患者が療養所から一歩も外に出ることができない。もちろんわずかの例外が書かれてありますが、そして無断で外出をし、あるいは帰つて来ることになれば、場合によつては二十八条で拘留その他罰則がある。こういうことであれば、患者諸君にしてみればこれはわれわれにとつては取締法であると感ずるのは私は当然だと思うのであります。人間生活にとつて一番大事なものは自由であり、また希望でありましよう。この法律を見ましてどこにそういう希望や自由を感じ得るようなものがありましようか。こんな程度の福祉の考え方では、患者諸君がこれに対して反抗するのはむしろ当然であると私は考えられるのであります。もちろん感染のおそれある患者に対しましては、本法案に規定しておりますように、国立療養所から原則として一歩も外へ出られないという方針をとるのは当然であると思います。けれども今日国立療養所の中には、薬剤等の進歩のために相当軽快をし、感染のおそれない患者もおるわけであります。本法案の十五条、十六条、二十八条を見ますと、そういう患者もひとまとめにして療養所から出られないというようなふうに読まれるのである。そういう点が大きな問題だと思う。一体今日療養所の中には感染をするおそれのないという患者はどのくらいの数あるのか、そのパーセンテージをお示し願いたい。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○山口(正)政府委員 ただいま長谷川先生から、第四章の福祉という面ではわずかに一時救護あるいは親族の福祉、児童の福祉しか盛られてないじやないかというお話でございますが、第四章に盛られておりますものは患者の家族、あるいは同じことでございますが未感染児童というようなものに対する福祉の面を規定しているのでありまして、入所しています患者につきましては、第三章の十二条、十三条、十四条等におきまして、福祉増進、更生指導あるいは入所患者の教育ということも規定しておりまして、その内容を充実いたす点につきましては、国立療養所において今後もできるだけ努力をして行くというふうに政府部内では考えているのでありまして、私どもとしましては、この法案に盛られました条項に従いまして患者の福祉という点にできるだけの努力をして参りたいと考えております。

曽田長宗厚生技官(医務局長)

○曽田政府委員 ただいま提案してございます法案の第六条によりましても「都道府県知事は、らいを伝染させるおそれがある患者について、らい予防上必要があると認めるときは、当該患者又はその保護者に対し、国が設置するらい療養所に入所し、又は入所させるように勧奨することができる。」、以下各項続いておりますが、これは癩を伝染させるおそれがあるものについて癩予防法上必要があると認めると、きに限つてこの積極的な勧奨をいたすということになつておりますので、少くとも今後この癩療養所に意に反して多少とも他の意見をもつて入所させるというような場合には、このような事態に限られることとなりますので、本人が所内における不自由ということを感じますれば、この必要以外の者で人助を希望しない者は、入所の義務がないということになるわけでございます。ただ考えられますことは、本人に義務はないけれども、やはり全治に至つておらないというような意味で、在所を希望するという者が療養所内に残るということは考えられます。また治療方法が進んで参りましたため、初め伝染の危険があつた者も危険がなくなる、あるいはほとんど実質的には治癒と考えられてよろしいような状況になつたものという者が出て参りまして、昨年もたしか三十名足らずの者がさような認定を受けて退所いたしているような次第でございます。それにもかかわらず本人が希望して在所いたしますという場合には、将来他にそういういわば回復者の収容施設というもの、これは予防上の見地というよりも、むしろ純粋に社会福祉的な施設というようなものが設けられるようになれば、そういう施設に収容さるべき人たちであると思うのでありますが、また私どももそういう施設が将来においては必要になつて来るものと予想いたしておりますが、今日においてはまだそういう人たちは数がきわめて少うございますので、非常にお気の毒ではありますが、もしも御本人が希望されるならば、一般の患者と同じ規律に従つていただきたいということになつております。その規律に従うことが意に反するならば、さような方々は自由に退所できるということになつております。  なお所内のいろいろ福祉の面につきましては、先ほど公衆衛生局長から一通り御答弁いたしましたので、重ねて御要求がございませんければ省略させていただきたいと思います。職員の点等について先ほど質問がございましたが、今日非常に職員が手薄でございまして、そのために職員も苦労いたしておりますし、また思考にも十分療養の手が伸び切らないという実情は私ども率直に認めているわけでございまして、こういう事態は一時も早く改善して参りたいというふうに考えまして、本年度予算には人員の増は見込んでございませんけれども、昭和二十九年の予算の中にはかなりの人数を増員いたしたいと考えている次第であります。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 先ほどお伺いした感染のおそれのない患者の、全思考に対するパーセンテージはどのくらいになるか。

曽田長宗厚生技官(医務局長)

○曽田政府委員 この御質問に対しては、私どもも療養所内において感染の危険度がどの程度でどうかというようなことで程度をきめまして、部類わけをすることを試みなければならぬというので、いろいろ各療養所長及び職員の人たちにはかつているのでございますが、なかなかこの問題は実際的にむずかしい問題でございまして、先ほど申し上げたように、まず事実上入所の必要がない程度にまで治癒をしたものというふうに判定された者が、昨年は大ざつぱに申しまして約一万人の収容患者があるわけでございますが、そのうち三十名退所いたしているようなぐあいであります。それ以外のものにつきましては、感染の危険は相当減じつ  つあるというふうには認められますけれども、退所してもよろしいという段階にまではまだ至つておらないと考えます。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 これは実際の癩行政の点では私は非常に重要な問題だと思うのでありますが、昨日多摩の療養所に参りましても、すでに本年になつて相当数の退院者があるようであります。これは退院者の数だけで、そういう人たちの数を勘定することはできなかろうと私は思うのです。というのはやはり一度癩と烙印されたため家郷に帰ることができない、帰りたくないという人も相当にあろうと思いますから、そこにも本法がただ単なる取締、予防ではなくして、相当大きく福祉的な面を取入れなければならない。なおつたらすぐ帰れということではなしに、やはり残つてやつて行かあければならぬ事情が多分にあろうと思うのであります。昨日療養所に参りまして、職員の方々の秘密会で伺つてみますと、この軽快者の方々を作業に使うために、一緒に置くことは大きな問題だ。つまり彼ら自身は軽快しているけれども、重症者のところに自由に出入りする。それがまた自由に療養所を出入りすることになつてこれではわれわれ職員自身もたまつたものではないということを申しております。一方また療養所の所長に伺いますと、それらの人々に去られてしまうと療養所の運営ができない、作業の助手として働いてくれなければ、療養所の運営ができないという苦衷を訴えております。ともかくも今日各療養所におきまして、癩感染のおそれがないというところから、一時帰省をさせる人の数は相当にあるらしいわけでありまして、これらの人々に対しまして、もし今曽田局長の言われましたように、別個の施設をつくりまして、そしていわば後保護施設と申しますか、あるいはコロニー施設と申しますか、そういうものをつくつて、それらの諸君は別個に収容して保護する。これはむしろ更正施設に近いものでありましようが、別途に分離して収容保護いたしまして、それらの諸君は自由に一般社会との交通ができる、あるいはまたそこで特別に社会復帰のための職業教育をするとか、あるいは家族が自由に出入りするために、そこに宿屋の設備をしてやるとか、あるいはまた特別な教育を十分にできるような施設をしてやるとか、さらに本人の願いによつては終身そこに住んでもよろしいというような十分な社会保障をしてやる、こういうようなことができて、今日進みました癩の治療によつて、軽快者は間もなく病院を出て、そうしてあそこに行けば自由になるのだ、本人の意思によつては十分な保護がされるのだというようなことが、今日この法案の中に盛り込まれておれば、私がさつき申し上げました自由と希望という点において、癩患者自身に大きな光を与えるだろうと思うのであります。そういう面は、たとえば第五章につくつたらいいだろうと思うのであります。第五章にそういうものが具体的に、そして十二分に入れられておりますならば、たとい重症の人にとりましても、もし自分がなおればあそこに行ける、後顧の憂いなく療養できるという感じを十分に与えるだろう。こういう点がここに盛られていないということが、実に残念な点であると思います。ただいま、将来においてというお話がありましたが、そういう点を思い切つてそこまで修正なさつてはどうかと思いますが、厚生省の御意見を承りたいのであります。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○山口(正)政府委員 ただいま医務局長からも答弁申し上げましたように、現在におきましては、長谷川先生のお尋ねに対してパーセンテージのはつきりした数字は申し上げておりませんが、非常に数が少いというように私どもは考えておりますが、将来医学の進歩に伴いまして、またそういうふうなことは当然考えて行かなければならないというふうに私どもも考えているわけでございます。現在のところ数が非常に少い、また感染の危険性というものは相対的なものであるというふうに私ども考えますので、現在入つております患者につきまして、所長が必要と認めます場合には、十分の措置を講じて外出できるというふうにいたしております。また数はわずかずつではございますが、軽快して社会に復帰し得る者もできて来ておりますので、そういう面について、先ほど申し上げましたように、更生指導のための措置を講ずるというふうにして現段階を進んで行きたいと考えておるわけであります。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 これは今申しましたように、癩患者諸君の非常な反撃を受けておるわけでありまして、私はこれをこのまま通すということはずいぶん問題だと思う。というのは、彼らは今日プロミンで治療するという大体の見通しがついておりますので、以前と違いまして、非常に紳士的になつておりまするけれども、しかしもし希望を失いますならば、彼らは非常な絶望のあまり、自暴自棄の行動に出るということは当然予想されるのであります。われわれと違いまして、非常に気の毒な運命を負いました彼らに、そういうようなことをさせてはならない。私は万全を尽して彼らを慰め、彼らを励まし、彼らを希望の門に連れて行くということのために努力しなければならないと思うのでありますが、今申しましたように、この法案がそういう福祉の面が足りなくて、一途に取締り予防法となつておりますから、ある点におきましては、さらに進んで誤解までいたしまして、そして今日彼らは涙を流して改正を願つておる。昨日参りましても、私ども、委員長の鈴木君が涙を流して声に詰まつてこの改正を要望している事実を目の前に見て来たのでありますけれども、そういう点、今のような将来考慮するということでなくて、思い切つてそういう更生施設その他の福祉施設を十二分に盛るべきだと思うのであります。重ねてその点についての厚生省の御意見を承りたいのであります。

曽田長宗厚生技官(医務局長)

○曽田政府委員 ただいまの御意見まことにごもつともと思うのでありまして、先ほども御答弁申し上げましたように、省内におきましても、この面についていろいろと検討をいたしたのでございますが、私これは全生園に集まつております患者の前でも申したことなのであります。この癩対策が、最近の医学の進歩によりまして見方をかえ得る、希望を認め得る段階になつたということは、非常に喜ばしいことではあるのでございますけれども、今日この治療方法におきましても非常な進歩をしたとはいいながら、まだ十分満足な状況にまで立至つておらない。また感染の危険性の有無というようなことにつきましても、決定的な問題は、癩菌の培養が今日においてまだ不可能であります。そのほかいろいろのことがございますが、私が患者の前で申したことは、私どもも医学の片端を教えられ、またその分野で仕事をさせられておるのでありますけれども、このように医学が進歩して参つたとはいいながらも、今日まだそういう重要な問題を実際的に解決するというような段階に至つておらないことを、私ども目非常に申訳なく感じておるということを申したのであります。今日の状況におきましては、きわめて将来に対して明るい希望は持てるという段階に来ておりますけれども、それに基いて、感染の危険性がある者、ない者というふうに、はつきりとわけるわけにも行かない。もちろん幾多の提案はございますし、研究も進んでおります。ですから将来遠からぬ間に、この問題が実際的にある程度の解決を得ることを私は希望し、期待を持つておりますけれども、今日の段階におきましては、それをただちに採用し得る基準が求められないのであります。また治療の面につきましても、先ほど申し上げた通りの事情がございます。先ほど公衆衛生局長が申しましたように、感染の危険のない患者の数はふえつつはありますけれども、まだそれほど多くはなつておらないので、このことはもう少しいろいろな学問的な基礎の進んで参るのをまち、また治療の成績が上つて来るのをまちまして、そうしてその時期に遅れぬように、その際に措置を講じて行くということでなければ、今日はつきりとした案をここでもつて立てることが、まだ私どもの力として不可能な段階にあるということで、遺憾ながら今日のような形で、この当面の策といたしましてはこの程度のものにまとめざるを得ないのではないかという結論に到達いたしたのであります。

堤ツルヨ日本社会党(右)

○堤(ツ)委員 ただいまの医務局長の御発言によれば、今日の日本の医学におい毒、医学的にとにかく癩患者であつて伝染の危険の全然ない者を証明するまだ根拠がないという御答弁でございましたが、ただいま承るところによりますると、議会の方へ全生園の患者の方が面会に来ておられるようでございます。医務局長がただいまお答えになるまでもなく、癩患者の方々で伝染しない人というものが医学的に判然としておりましたならば、いくら全生園からこちらへ陳情においでになつても私たち何とも申し上げません。しかし三日前の陳情と申し、本日の陳情と市上、はたして園長が医学的根拠をもつて許可したものであるかどうか。非常に宿命的な病気に見舞われたこの方方に対しましては、国会は超党派的に同情いたしております。従つてただいままで長谷川委員が御発言の通り、できるだけあの方々の人権を尊重して、憲法に認められたところの国民としての人権を侵害しないように、大衆の利益も考え、あの方々の利益を無視してはならないということを考えて、目下法案を審議中でございまして、政府に至らぬところがあるならば議会で何とかその点を矯正したいものと、本日も秘密会でわれわれは誠意を尽しておるはずでございます。政府みずからが国民に対して伝染のおそれなきものと確たる判こを押せない限り、患者が園から前回のごとく園長に無断で、集団でここに来られた場合に、政府はなぜこれに対して善処をしないのか、私ははなはだ疑問を持つものでございます。法にいかなる盲点があるか知りませんけれども、医学的、科学的に伝染しないものであるということが確認できないならば、私は大衆のために、政府は確たる善処をしなければならないと存ずるのでございます、面会をお求めになるならば私たちも面会もいたし、また来いとおつしやるならば、たくさんの患者ときのうも懇談をして帰つたのでございますから、いくらでもおつしやるままにいたします。しかし無断で医学を無視して、政府が何ら善処しないゆえをもつて、数回にわたつてこの法案審議中にもこうした行為がなされるとするならば、われわれは政府に何とかしてこれは善処を要求しなければならない段階に来ておると存ずるのでございます。幸い委員会に御出席の医務局長におかれましては、即刻この陳情団に対して善処されたいということを緊急動議として提出するものでございます。ことに私は何もいたずらに陳情団の方々を追い返してほしいというような意図で申しているのではございません。われわれがせつかく議会においてあの方々に善意を持つておりましても、世間一般の方々の観念は癩というものに対して非常に誤つておりますから、むしろ私は出て来られるということによつて、われわれの誠意が国会に生かし得ないようなときが来るのではないかと非常に恐れるのでありまして、むしろ癩患者の方々にマイナスにならないように私はこれを言うものでございます。どうかひとつ医務局長、公衆衛生局長におかせられましては、法案審議中であり、国会議員も国会対策にかけてこの委員会を通して法案審議中であるから、自重されてそうして大きな皆さんの利益のために善処されたいというところの申出をなさるか、政府の権限において何とかなさるように私は提案をするものでございましけて、これをひとつ各党にお諮りを願いたい。長谷川委員の御質問中でございますけれども、これは緊急にひとつお取上げを願つて、この委員会の意向をおきめ願いたいと思います。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 ただいま外から秘書を通して連絡がございまして、全生園の患者が園長引率のもとにバス一台で来ている、厚生関係の方々、政府の責任者等に面会したいとのことでございます。きようはこういうわけでありますから、多分自粛いたしまして、バスの中から出ないで、園長の監督のもとにわれわれに陳情したい、こういうことで、あろうと思います。関連して申し上げます。

小島徹三改進党

○小島委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕

小島徹三改進党

○小島委員長 速記を始めて。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 なお政府に対しまして、本法案について幾多お尋ねしなければならぬ点がございますけれども、本日は時間の関係上あとの質問を留保いたしまして、これをもつて私の質問を打切ります。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 この法案の審議につきましては、われわれも非常に気の毒な患者のことでありますし、また私も自分の近くに全生園がありまするので、たびたびもう患者の協議会からも出て来てくれろという再々の連絡がありまするので、私もたびたび行つて直接患者の諸君とも面会もいたしているのでありまするが、要するにこの諸君の言うことは、自分たちは確かに世間からいやがられる病人ではあるけれど、何となしに自分たちに加えられて来るこの療養生活というものが、何か暗い感じを与えられる、何か処罰をされるような、どこかに収容されるような、何ともいえない感じがする、決して自分たちは罪人や何かではない、いやがられることは確かに自分たちの病気の上からわかるけれども、そういうことのために暗い感じを持たせるというような法案はぜひ改正してもらいたいということが趣旨のようでありまして、この点が一番強い要望のようであります。たとえてみますれば、収容をせられます場合に、どうしても勧奨とか命令とかいうようなものを聞かなければ強制をする。この強制ということに非常に力を入れて、最後には無理々々にひつぱつて来られるのだというような感じ、それから所内において罰則に触れます場合には処罰を受ける。自分たちは病院に入つて、患者として治療を受けているんだ、これが世間と違つた特殊な処罰を受けるというようなこと、一般の国民として、自分たちばかりがそういう特殊な刑罰を受けるというようなことは一種の差別待遇であり、人権の蹂躪ではないかというような点が非常に強い反対の意思であるようでありまして、これは外部におりますわれわれの容易に想像のできない点だと思うのでありまして、この深刻な要請、法案に対します修正意見というようなものは、私は聞いてやらなければならない点がたくさんあると思う。そこで私がこれにつきましてお尋ねをいたしたいと思いますところの一つは、まず癩という言葉を聞いただけで世間の人はこわがるのであります。恐怖感を持つのでありまして、先日も療養所で働いております職員が、自分の子供が就職するということで、とんとん拍子でいよいよ採用するというときになつて、帰りがけにお父さんはどこに勤めておりますかと言つたので、子供は正直だから、癩の療養所に勤めていると言つたら、もうその一言だけで明日から来なくてもいいと言われたと言つておりましたが、まつたく癩という言葉は非常に恐怖的な言葉のように感ぜられるのでありますが、何とかしてこの療養所の名前を癩療養所というような名称でなく、何か違つた名称を考える方法はないものでありましようか、伺いたいと思います。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○山口(正)政府委員 癩という名称に対して社会が偏見を持つているから、癩という名称でなしに、ほかの名称が考えられないかという中村先生のお尋ねでございますが、この問題につきましては、名称を何とか考えたらどうだという御意見もしばしば出ておりましたので、私どもの方でもいろいろ検討してみたのでございます。しかし癩というのは学名でございまして、また世界中同じ名称を使つております。これが今先生のお話では癩という声を聞いただけで人々がいやがるというお話でございますが、癩という名称のかわりに以前に使つておりました天刑病、こういう字句そのものに非常に悪い意味のある場合は、これはかえなければならないと思うのでございますが、癩という字そのものについてはそういう意味はないのでございまして、私どもはむしろこの癩という名前に対して社会が持つております偏見というものを、極力努力いたしまして、癩というものについての正しい思想を普及して行かなければならない、社会の偏見を正して行かなければならない、そちらの方が重点ではないかというふうに考えておるのでございまして、かりにほかの名称を使つて、たとえば癩菌を発見いたしましたノールウエーのハンゼン氏の名前をとりましてハンゼン氏病といつてはどうかというふうな御意見もあつたのでございますが、ハンゼン氏病とは何だとめずらしい名前ですから必ずそういう御質問があると思いますが、それは癩のことだというと結局同じことになるのでございまして、むしろ根本は癩というものに対する社会の偏見を正して行くのが根底である、私どもはそういうふうに考えているわけでございます。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 次は強制入所の問題でありますけれども、今のところでは規定によりますと、勧奨をして命令を聞かなかつた場合には第三段として強制をするということになつておるようでありますが、強制をしないで、勧奨をして最後まで納得をさせて入所させるということがどうしても不可能であるかどうか、この点をお尋ねをいたしたいと思うのであります。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○山口(正)政府委員 もちろん私どもは、入所させますときには勧奨して納得させてやるということを本筋としてやつて参りたいと存ずるのでございますが、勧奨だけでどうしても入らない者があるかどうかというお尋ねでございます。これはその衝に当ります者の努力いかんにもかかると思うのでございますが、最近では割合に少いのでございますが、そういう実例もございましたので、公衆に伝染をさせる危険のある患者を公衆の中に放置しておくということは、公衆衛生上好ましくない、どうしても最後は強制的にでも療養所に入所させて治療をするという筋道を残しておかなければならない、そういうふうに考えているわけでございます。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 この問題はいずれ委員諸君で修正せられるなりあるいは決定をせられるなりなさると思いますから、委員諸君におまかせをいたします。  もう一つは、いろいろの寮の規則に違反した場合の処罰の規定でありますけれども、これはもしも一般の法規に触れるようなものでありますならば、当然これは一般の人と区別せずに、一般の刑法なりあるいはその他の警察規定なりで処罰をすべきものでありまして、特にこの所内におきまして処罰しなければならないかどうか、この点については非常に患者が反対をいたしておるところでありますが、われわれが聞きましても、それならばもし君らが一般の法規に触れるような場合には処罰を受けることは当然だと思うがどうかということを聞きますと、その点についてはみな反対はしない。しかし所内で裁判によらないで処罰されるということはどうしても承服できないというようなことであります。これは人権尊重の趣旨からいつて一般の人と同じように違反があるならば処罰をすることはやむを得ないことだと思うのでありまするが、その点は政府としてどうしても削除することができないかどうか、御意見を承つておきたいと思うのであります。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○山口(正)政府委員 御承知のように癩の治療に関しては非常に長期間を要するものである。また療養所の大小はございますが、大きい療養所は手数百人の患者が共同生活を営んでおります。多数の人たちが長期間にわたつて共同生活を営む以上、その中の秩序維持ということは、これは患者お互いの幸福のために私どもは必要であると考えているのでございます。もちろん刑法に触れるような場合には、一般の人と同じようにそれぞれの法に従つて処置されるわけでございますが、ここで秩序の維持として考えておることは、たとえば所長、所員の職務上の指示に従わぬというようなとき、あるいはゆえなくして立入り禁止区域に出入りするというようなこと、あるいは所内の建物や樹木や設備などの場所を移したり、あるいはそれを傷つけたりよごしたりする、あるいはほかの人の療養にさしつかえのあるような行動をするというようなことを考えているのでありまして、大勢の人たちが一箇所において療養を営む場合、どうしてもその秩序を維持いたしますためにこれは必要なことと考えております。むしろ刑罰的にいろいろ事を行うというよりも、その中で療養を営んでおる多くの患者たちが、安心してゆつくりおちついた気持で療養できるように、患者の幸福をはかるために、そういう秩序を乱すよりな人たちに対して戒告とか謹慎を命ずることができるというふうに考えておりますので、私どもとしては所内の秩序維持のためにはこの程度の規定は必要であると考えておるわけでございます、

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 いろいろまだお尋ねをいたしたい点もあるのでありますけれども、お約束の時間が参りましたので別の機会に譲るといたしまして、本日は私はこれで打切りにいたします。

小島徹三改進党

○小島委員長 これにて秘密会をとじることにいたします。     〔午後一瞬十三分秘密会を終る〕      ————◇—————

小島徹三改進党

○小島委員長 なお秘密会において記録いたしました速記録中、特に秘密と認められる部分につきましては、理事の諸君と協議の上、印刷配付いたさないことにいたしますから、さよう御了承を願います。  本案に対する爾余の質疑は後日に譲り、本日はこれにて散会いたします。次会は明日午前十時より開会いたします。     午後一時十五分散会

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