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16回国会衆議院1953/06/29

厚生委員会 第9号

発言数
79
登壇者
10
会派数
4
開催日
1953/06/29

会議録

小島徹三改進党

○小島委員長 これより会議を開きます。  この際御了解を得ておきたいことがございます。前回の委員会において、中野委員より九州地区の災害について先言を求められ、同委員より災害状況の調査のために委員を派遣されたいとの要望があつたのでありますが、本件の視察につきましては、本院において議員を派遣することとなり、昨日すでに議員団が同地区に出発いたしました。よつて本委員会の委員派遣は、会期中でもありまするので差控えたいと存じますから、以上御了承を願います。     —————————————

小島徹三改進党

○小島委員長 次に戦傷病者戦沒者遺族等援護法の一部を改正する法律案及び未帰還者留守家族等援護法案、以上両案を一括議題として審査に入ります。まず山縣厚生大臣より趣旨の説明を聴取したいと存じます。山縣国務大臣。     —————————————

山縣勝見自由党厚生大臣

○山縣国務大臣 ただいま議題となりました戦傷病者戦沒者遺族等援護法の一部を改正する法律の提案理由について、御説明を申し上げたいと思います。  戦傷病者、戦沒者遺族等の援護につきましては、第十三国会において、戦傷病者戦沒者遺族等援護法が成立いたしまして、昨年四月一日から施行いたされたのでありますが、いまだ十全とは申せないにいたしましても、国家補償の精神に基く処遇が行われるに至つたことは、これらの方々の心情と生活の実情に顧みまして、まことに喜びにたえないところであります。今回、援護の措置をさらに強化いたしまするために、この法律の一部を改正することにいたしましたが、ここにその理由並びに内容の大要について御説明をいたします。  第一に、太平洋戦争中旧国家総動員法に基いて設立いたされました船舶運営会の運航いたしまする船舶の乗組船員は、戦時中軍人軍属と同様の戦争危険にさらされまして、兵員、軍需物資等の輸送に当り、また前線作戦に参加する等まつたく軍人軍属と同様の任務に服していたものであります。その危険の程度は、軍人のそれに比較いたしまして、あるいはそれ以上に及んでいたのであります。これらの事情にかんがみまして、右の船員を、この法律の援護の対象とすることがきわめて緊要と存ぜられまするので、新たにこれを軍属の範囲に加えた次第であります。  第二に、年金額を、本国会に提案されています恩給法の一部を改正する法律によります旧軍人の増加恩給、公務扶助料の額ともにらみ合せまして、現在の国家財政の許す範囲においてこれを引上げ、援護の強化をはからんといたしておるのであります。すなわち、障害年金につきましては、不具廃疾の程度に応じ、九万円から二万四千円でありましたのを、十八万一千円から二万四千円に、遺族年金につきましては、配偶者、子、父母、孫、祖父母の順序により先順位者とその他の遺族に区分いたし、一人につき三万五千二百円、五千円にいたそうとするものであります。  第三に、旧軍へ恩給の復活に伴いまして、従前この法律によつて援護いたしておりました旧軍へまたはその遺族につきましては、原則といたしまして恩給法に転移することに相なつておりまするが、これに伴いまして、戦傷病者戦沒者遺族等援護法によります援護と恩給法によりまする恩給との間に、支給対象の重複等が生じまするので、所要の調整を行い、その間齪齢間隙の生じないように措置いたしたことであります。  なお、この法律は、恩給法の一部を改正する法律の施行の日から施行するものでありまするが、新たに軍属の範囲に加えました船舶運営会の運航する船舶の乗組船員の遺族に支給する弔慰金の支給につきましては、昭和二十七年四月一日に、これらの遺族等に対する年金の支給並びに年金額の引上げ等につきましては、本年四月一日にさかのぼつて適用することといたしました。  次に、これらの措置を講じますのに必要な経費につきましては、障害年金及び遺族年金支給に要しまする経費約二十八億円、遺族出庫債券の元利金支払いに要する経費約百三十億円、更生医療等に要する経費約五億円、その他必要な事務費が昭和二十八年度予算に計上されているのであります。  以上提案理由につきまして御説明を申し上げた次第であります。   次に、ただ、いま議題となりました未帰還者留守家族等援護法の提案理由について御説明を申し上げたいと存じます。  従来未帰還者のうち、もとの陸海軍に属していた者でありまして、いまだ復員いたしていない者、すなわち未復員者に対しましては、未復員者給与法が適用いたされておつたのであります。なおまたソ連及び中共地域内の邦人でありまして、ソ連地域内の未復員者と同様の実情にありまする者、すなわち特別未帰還者に対しましては、特別未帰還者給与法が適用いたされておつたのであります。これによつて本人に対しまする俸給月額千円と扶養手当を一定の親族に支払うことによつて、留守家族の援護が従来行われておつたのであります。  なおまた未帰還政府職員に対しましても、留守家族援護の見地から、一般職の職員の給与に関する法律の規定に基きまする人事院規則が適用されておりまして、その扶養親族には、月額二千四百三十八円から一万八百八円までの俸給に加えて扶養手当が支払われておるのであります。しかしながら終戦後すでに相当の年月を経過いたしました今日におきましては、このような俸給支給の建前はきわめて不自然な姿と相なつておるのであります。これによつて種々不都合も生じておりまするので、むしろこの際、今日の段階におきましては、端的に留守家族というものを留守家族として援護するという見地から措置いたしますることが妥当である、こう思料いたすのであります。よつてこの際これらの法令を廃止いたしまして、留守家族そのものを対象といたしまして、より実情に即した援護を行いますことは当然必要と考えまするとともに、従来未復員者給与法等によつて行われておりました各種の給与と、同様の援護を行うことを目的といたしまする未帰還者留守家族等援護法を制定いたさんとするものであります。  次に、この法律案の大要について御説明を申し上げます。まずこの法律案で規定いたしまする未帰還者の範囲についてでありますが、第一は、もとの陸海軍に属しましていまだ復員いたしていない者、第二は、昭和二十年八月九日以降ソ連、中共地域において生存いたしておつたと認められる資料がある一般邦人でありまして、しかも自己の意思によつて帰還しないと認められる者以外の者、第三には、平和条約第十一条に掲げまする裁判によつて拘禁されている者を含むのであります。  次に、この法律案による援護を受けることができる留守家族の範囲未帰還者が本邦に残しておりまする妻、不具廃疾の夫、十八歳未満または不具廃疾の子、六十歳以上または不具廃疾の父母、配偶者がなく、かつ扶養する直系血族のない父または母、十八歳未満または不具廃疾の孫及び六十歳以上または不具廃疾の祖父母でありまして、未帰還者が帰還しているとすれば、主としてその者の収入によつて生計を維持していると認められるものであります。しかして、これらの留守家族のうち先順位の者に対しまして、留守家族手当といたしまして月額二千百円を支給し、なおまた、他に前述の留守家族があります場合には、これらの者に対して一人当り月額四百円を加給することといたしているのであります。  なおこの法律案に申します未帰還者のうちには状況不明となつている者をも含んでいるのでありますが、長年月にわたつてその状況が判明しない未帰還者につきましても無期限に留守家族手当を支給するということは、必ずしも当を得た措置とは申されませんので、この法律案におきましては、留守家族が留守家族手当を受けることができる期間を一定期間に限定いたしているのであります。しかしながらもとより政府といたしましては、未帰還者の状況の調査究明につき、今後とも努力いたさなければならないところでありますので、特にこの法律案におきましては、国は未帰還者の状況について調査究明に努めなければならない旨の規定を設けている次第であります。  次に、この法律案によります援護といたしまして、未帰還者が帰還いたしました際、帰郷旅費といたしまして一人につき千円から三千円までを、但し十八歳未満の者にはその半額を支給することといたしたのであります。未帰還者のうち未復員者及びソ連における未復員者と同様の実情にあつた者が、帰還した後必要がある場合には一定の条件を備える者につき、療養の給付を行い、身体に障害を残しております場合には、最高三万八千円から千六百円までの障害一時金を支給いたし、なおまた外地において右に述べた状態にあつた未帰還者が死亡いたしました場合には、その遺族に対し遺骨埋葬経費として三千円、遺骨引取り経費として二千七百円を支給するごとにいたしておるのであります。  なおまた未復員者給与法、特別未帰還者給与法の廃止及び未帰還政府職員に対します給与の支給をやめたのに伴いまして、従前これらの制度によつて俸給等の支払いを受けていた者が、この法律案によつて留守家族手当の支給が受けられない場合におきましては、あるいはまたその額がこの法律施行の際、従前受けていた額よりも少い場合におきましては、従前の実績を保障いたしまして、かつ恩給法の一部改正、戦傷病者戦沒者遺族等援護法の一部改正等に伴う調整、その他二、三の点について所要の措置をとつておるのであります。  これらの措置の施行に要しまする経費は、全額国庫負担でありまして、留守家族手当の所要経費六億六千万円、帰郷旅費の所要経費六百万円、遺骨埋葬経費及び遺骨引取り経費の所要経費五千八百万円、療養費、障害一時金等に要します経費三億一千万円、廃止した旧法令に基く未支給分の給与及び旧法令からこの法律への切りかえにあたつての実績保障に要します経費、その他二億六千万円、事務費三百万円、計約十二億九千七百万円を計上いたしておる次第でございます。  以上がこの法律案の大要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望する次第であります。

小島徹三改進党

○小島委員長 両案の質疑につき、法案が提出になつたばかりであります関係上、この質疑は次会に譲ることといたします。     —————————————

小島徹三改進党

○小島委員長 次に健康保険法の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び船員保険法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、前会に引続き質疑を続行したいと存じます。杉山元治郎君。

杉山元治郎日本社会党(右)

○杉山委員 先般の同僚議員の質問によつて大体積立金の運用の問題についてよくわかつたのでありますが、なお念を押してもう一度聞いてみたいと思います点は、こういう社会事業による積立金を、一般の国家の運用資金に繰入れることは、私どもは、はなはだ当を得ないものであり、どうしてみてもこうした資金はやはり還元して社会福祉のために用うべきものだ、こういうふうに考えるのでありますが、この点について、もう一応政府はそういう方面に今後なお努力をして行くかどうか。今資金運用部資金の中に入れられて、概してこれは大きな資本家の方に利用されている点が多いと思うのもありまして、むしろこういう金こそ、いわゆる気の毒な人のために、特に社会福祉のために使うべきものである、こういう考え方を私は持つておりますが、どこまでも政府は、これは従来通り国家にまかして、国家全体の運用にまかすべきものだ、こういうお考えでお進みになるのかどうか、その点をまずお聞きしたいのであります。

久下勝次厚生省保険局長

○久下政府委員 お答えを申し上げます。康生年金保険の積立金につきましては、先日も申し上げたのでございますが、私どもといたしましては、今お話のような意見が各方面にありますることも伺つております。ただいまの積立金の管理並びに運用のやり方につきまして、これを根本的に変更した別の方向で進むということにつきましては、ただいままだ私どもといたしましては検討中でございまして、その面につきましてはもうしばらくいろいろな面から検討させていただきたいと思つております。ただ実際の適用の面におきましては、ただいまの御趣旨が、ごく一部ではありまするが、実現をされているのでございまして、前回にも申し上げましたように、昭和二十七年度におきましては、勤労者住宅及び勤労者の医療施設のために十六億円の還元融資が行われております。昭和二十八年度の資金運用計画におきましても、数日前の審議会におきましても、やはり同様の施設に対しまして合計二十五億の還元融資をいたすことに、新計画がきまりました次第でございます。さように漸次この金額は許します限り増額をいたしまして、しかし全体から見れば、あるいは一部という考えがあるかもしれません。私どもの気持としては、漸次この還元の融資の額を増加をいたしまして、少しでもただいまの御趣旨に沿うようにいたしたいと思つております。

杉山元治郎日本社会党(右)

○杉山委員 今お話のように、われわれ一般庶民階級ばかりでなしに、いわゆる資本家側に立つ使用者側も、社会福祉方面のために利用すべきものである、こういうことを強く要望しておると思うのであります。そういうような意味合いにおいて、今お話のように、運用資金をもつと社会福祉のために利用するようにしてもらいたいと思うのでありますが、今お話のような金額では、積立金のいわゆる一割か一割五分、二割にも行つておらないと思うのでありまして、そういうような少額では、運用の妙味を発揮しておらないと思いまするので、今お話のように、この割合を少しでももつともつと多くしていただきたいということを要望いたしますとともに、それについて私伺つておきたいのでありますが、近く融資方面において医療金融公庫というものをつくる予定になつておるようであります。こういうことこそ、医療のためにいろいろやつて行ごうという医療関係の人たちのやはり援助のためになる公庫でありますので、こういう方面に政府は今申し上げたような積立金のある部分を出す心づもりがあるかどうか、あるいは大臣がおられれば聞きたいと思つたのでありますが、そういう点を一応伺つておきたいと思うのであります。

久下勝次厚生省保険局長

○久下政府委員 ただいまの御質問に対しまして私の立場からお答えをいたすのはいかがかと存じまするが、ただ若干他に似通つた事例もございまするので、私の所見を簡単に申し述べておきたいと思います。  厚生年金保険の積立金が資金運用部に預託されまして、資金運用部の資金としていろいろな面に融通されているわけでありますが、医療金融そのものにつきましては、ただいまきまつております方針は、一般会計から資金を貸し出すことにきまつているのであります。資金運用部の資金もまたその方面に出すことは不可能ではないと思います。と申しまするのは、先ほど申しました昨年度及び本年度の厚生年金保険の還元融資として、勤労者住宅のために直接私の方の手を通じて還元融資されるもの、そのほかに御案内だと思いまするが、産業労務者の住宅建設法が今度の国会に提出されているはずであります。その意味で、一般的に資金運用部の資金がその方面にも貸し出されております。これは見ようによりますると、同じ目的のために二つの方法がとられているようでありますが、資金運用部の資金を一般労務者住宅として住宅金融公庫を通じて貸し出します場合には、私ども申しております還元融資という問題とはやや性質が違つておりますので、私どもの方で昨年及び本年度還元融資をいたしまする住宅資金は、直接厚生年金被保険者の利益になるように、もつぱらその人たちに利用せられるために貸すという特別な性格を持たしているわけであります。一般の方で考えます場合には、還元融資ということはかりにありましても、一般労務者を対象とすることでありますから、必ずしも厚生年金被保険者に限定をすることは性質上できないわけではないかと考えまして、そういう意味合いにおきまして、これは重複しましても、私の方としては、ぜひともこの還元融資は別の手段で私の方の手を通じてやつて行きたいと考えているような次第でございます。医療金融につきましても同様のことが言えると思うのでございまして、その意味におきましては厚生年金被保険者の利益に直接役立つ医療施設のためには、昨年度六億円、本年度はまだ具体的金額は決定いたしておりませんが、二十五億のうちから相当の金額を医療機関のためにも融資する予定でございます。そういうふうに一般的な医療機関としての考え方でやる場合と、厚生年金被保険者の利益ということを第一義的に考えた還元融資と、制度的には現在重複して行われているわけであります。さように御了承願います。

杉山元治郎日本社会党(右)

○杉山委員 次に単価の問題でひとつ伺いたい。御承知のように用地、乙地で一円の価格が違つておりますが、これはどういう基準で一円の差ができるようになるのでありまするか。もし一円の差のできた基準がおわかりになるなら知らしていただきたいと思います。

久下勝次厚生省保険局長

○久下政府委員 社会保険診療報酬に甲地、乙地の区別がございます。甲地となつておりまするのは、六大都市及びこれと隣接する都市に限定をされているのであります。もともとこの制度ができましたのは、そうした地域におきましては一般に生活の費用も高うございます。従つて医療費も当然他の地区に比較して高くあつてしかるべきであるという考え方のもとにできているものでございますが、今日しさいに物価指数等を検討いたしますると、この考え方は若干歴史的なものになつてしまつておりまして、私ども自身が、実は現在の甲地、乙地の区分が、そうした物価指数と本来あるべき理由から考えました場合には、幾分不合理の点ができて来ているということを認めているのでございます。さりとてこれを根本的に検討いたしましたときには、現在甲地域になつておりまするところでも、他との比較におきましては乙地域になつてしかるべきところがございます。また現在乙地域でありますところを甲地域にしなければならないような場所もございます。さような関係で、私どもといたしましては、たまたま社会保険診療報酬の問題が用地、乙地の区別以外の地域差の問題、例をあげて申し上げますると冬季暖房料等の問題、こういうこともございますし、またその他社会保険診療報酬全体の問題がただいまいろいろな方面から話題に上つておる際であります。これを専門に検討する審議会を設けられておるようないきさつもございますので、ただいま申し上げた不合理は認めておるのでございまするが、この不合理を是正いたしまするために、根本的に他の問題ともあわせて検討をいたしつつあるところでございます。

杉山元治郎日本社会党(右)

○杉山委員 根本的な改正は、お話のように審議会などの答申を経てぜひやつていただきたいと思うのでありますが、御承知のように、人事院の今日の一般官公労のいわゆる地域差の問題、そういうようなあれにおいてすでに最高の五級地になつておるところがやはり乙地になつている。私の大阪においてもあるわけであります。そういうようなところはさつそくに政府の方で、これは省令でできることでありますが、引上げるような用意があるでしようか。

久下勝次厚生省保険局長

○久下政府委員 実は杉山先生御案内だと思うのでありますが、大阪市の周辺都市の甲地編入の問題が二、三年前からやかましい問題になつております。そのために私どもといたしましては、いろいろ大阪市周辺都市の問題につきましては、しさいに検討してみたのであります。今お言葉の中にありましたように、公務員の地域差給与の五級地に該当いたしますところは、大阪府下にもたくさんあります。しかし、これをまた物価指数の面から見ますると、必ずしもそれが合理的であるとも考えられない面もございます。一方先ほどから申し上げておりますように、これはひとり大阪だけの問題でございませんで、他の公務員の給与の五級地になつておりますところが、私の方の関係では乙地になつて扱われておるところがたくさんございます。それらの問題に関連をいたして参りまするので、大阪市と直接境を接しておりますもの、言葉をかえて申しますると、大阪市と一体と考えられるような地域だけを先般甲地域に繰入れたのであります。爾余の問題につきましては、この問題を審議いたしました中央社会保険医療協議会におきましても、委員の方からも発言がありまして、今後の問題としては個々別々に各都市を取上げて検討をするということでなしに、先ほど私が申し上げたように、全体の問題として根本的な調整を加えてもらいたいというような発言がございまして、金委員が了承をされ、一種の決議のような形になつておるような事情もございます。私どもといたしましては、今すぐにそういう意味で、御引例の公務員給与の五級地は即こちらの甲地域であるというわけに参らない実信もありまするし、また取扱いの方針が、今のような医療協議会の決定もありますようなわけでありまして、ただいませつかく全般的な問題として検討を進めておる次第でございます。

杉山元治郎日本社会党(右)

○杉山委員 全般的な問題は、今お話のようにいろいろと御審査を願つてけつこうだと思うのでありますが、今もお話のように、大阪の川辺のごときは、生活指数から見ても、決して市内より低いということはない、むしろ逆に高いというようなCPSが出ておるような状態であります。そしてまた人事院の方もはつきりと五級地になつておるにかかわらず、歯科の部分だけが、あるいは医療の部分がそういうふうに乙地になつているということは、非常に不合理だと思うのであります。ある一部は御編入くださいましたけれども、まだまだそういう部分が多いと思います。また全国的にもそういうところが多いと思いますので、この点はやはり至急にお考えをいただいて訂正をしていただきたいと思うのであります。  なお今の十一円五十銭の単価では十分な医療ができない、こういうことは御承知のようにいろいろ先年来からもめて来ておりまするので、特に私の関係いたしておりまする歯科診療のごときも、これは御承知のように義手義足と同じように、やはり完全になおしてやらなければ十分な機能ができないので、今のような単価では、これは十分になおすことができない。もしなおすことができないとするなら、何か特別な方法を認めると申しますか、あるいは本人に一部負担でもさして、完全に健康保険でなおすようにさす、こういうような便法でも考える意図はないでしようか、どうでしようか。

久下勝次厚生省保険局長

○久下政府委員 地域差の問題につきましては、私が先ほど全般的と申し上げましたのは、ひとりこの問題は大阪市の周辺都市のみならず、他にもいろいろ似かよつた事例がございますので、そういう問題は一括してというふうな考えであります。この辺は御了承願いたいと思います。結果といたしまして十分御趣旨に沿うように努力いたしたいと考えております。  それから特に歯科診療報酬単価についてのお尋ねでございますが、単価問題につきましてはいろいろ各方面から同趣旨の御意見がございました。現在の単価が低きに失するのではないかという御意見もございます。また一面低いにいたしましても、それほどでないというような数字も出ておるのであります。これは私どもとしては、ひとり単価の問題としてだけ問題を解決していいのか、御案内のように、点数の問題にもからみ合うことでありますので、いろいろな事情とからみ合せをいたしまして、せつかく検討いたしておるわけであります。ただいまのところとしては、今急にこれを改訂をし、あるいは増額するというような結論は出しおりません。  繰返して同じようなことを申し上げて恐縮でございますけれども、点数の問題、単価の問題、双方からみ合う問題でございますので、それらの問題とも勘案をし、さらに先ほどお話の地域差の問題ともからみ合つて参りますので、そういう点で複雑な問題にはなるのでありますけれども、そうした観点から全体の問題として至急に結論を得なければならないと考えております。  時期的な問題としてはおそらくお尋ねがあると思いまするが、実は本年春所得税の課税に関連をいたしまして閣議了解が行われております。所得率を三〇%程度に見るというような閣議了解がございました。これにつきましてそのときの閣議了解の第二項に、昭和二十九年の所得税徴収に関連をいたしましては、至急二十八年中に診療報酬の問題について検討をしようというような閣議了解もある次第でございます。こういうような関係から、私どもとしては、いずれにいたしましても、単価の問題と申しますか、社会保険診療報酬の全般の問題につきまして、この秋ごろには真剣に話合いをしなければなるまいというふうに考えておる次第でございます。

杉山元治郎日本社会党(右)

○杉山委員 今、税金の問題が出ましたが、いわゆる社会保険の明瞭な報酬は、無税に地方でもしていただいているのでありますが、御承知のようになお一部負担から来る収入に対しては、従来通り税金がかかつて来ておると思うのであります。これに対し何か特別のそういう免税なり、減税なりする処置を、厚生省でお考えになつておるかという点を一応伺いたいと思います。

久下勝次厚生省保険局長

○久下政府委員 一部負担の問題につきましては、現在の税法の建前、税法の建前と申しますよりも、そこまで含めますると、府県社会保険外診療の問題と同じようなことになつて参りますので、そこまで減税あるいは免税の対象とするということは、現状では困難ではないかと思つております。

小島徹三改進党

○小島委員長 長谷川保君。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 今の杉山委員の質問にも関連するものでありますが、医師が都市に集中して僻陬地に参りません理由は、申すまでもなく収入の問題でございます。従つて今の田地、乙地の問題でありますが、僻陬地に医師を定住せしめるためには今の反対の考え方、僻陬地の方の診療報酬単価、一点単価の問題等につきまして、特別な考慮をしなければならぬじやないかというように思うのでありますが、これについて当局はどういうようにお考えになつておりますか。

久下勝次厚生省保険局長

○久下政府委員 医師を適正に僻陬地にも配置をされるように、特別な措置をするということにつきましては、むしろこれは一般医療行政の問題として検討すべき問題だと考えます。私の方といたしましては、社会保険の単価をそういうことで差等をつけるということは、ただいまのところ考えておりませんし、非常に困難性があるのじやないかと思います。ただ御案内のように、国民健康保険の制度の実施のために、無医地域に対して診療所を設置するというために、国から助成をいたしております。こういうことは医師そのものではございませんけれども、医師の働く場所を保険の制度によつてつくつて行くということもございます。目的はそれによつて相当達しておると私は思うのでございます。しかしながらこれは根本的の措置ではございませんために、まだ今日相当な無医村がある実情でございます。この点につきましては、私どもの方の関係の医務局とも相談をいたして、国民医療の一般の問題として、私ども当然考えて行くべき問題と思つております。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 医療行政全般の問題としまして、ただいまの問題を考えるということはよくわかりますが、同時に僻陬地に対しましては、国民健康保険組合をつくり、特にその直営の診療所をつくることは非常に大事だと思う。またできるだけその僻陬地の近いところの中心になりますような所に、総合病院のようなものをつくることも必要だと思うのでありますが、いずれにいたしましても僻陬地に医師が行かないという情勢について、一点単価の問題かあるいは点数の問題か、特別な考慮を払わなければならぬと私は思うのでありますけれども、これについてどうお考えになりますか、繰返すようでありますが……。

久下勝次厚生省保険局長

○久下政府委員 僻陬地に医者を置きまずために、社会保険で特別な手当なりを考えるために、報酬支払いの面で考慮ができないかという重ねてのお尋ねでございますが、そういう問題のために社会保険で特別な措置を講ずるということは、社会保険そのものとしては非常に困難があるのじやないかと思つております。ただ国民健康保険をやつておりまするような町村におきまして、医師に対して特別な報酬を出していただく、他よりも高い報酬を出していただくというようなことは考えられると思うのでありますけれども、これはそれぞれの医療機関を運営いたします責任者の立場の問題で、ございまして、それを社会保険制度としてカバーするということ、特に健康保険の面でそういう点を問題にするということは、少し違うと思うのであります。  国民健康保険の問題は、もう私が申すまでもなく各村々の問題、村々の責任のことであります。これは実際問題としては保険料なり何なりに転嫁されまして、個々の町村で考えておることと思います。しさいに検討いたしておりませんけれども、僻陬地で医者を得ようといたしますれば、当然手当に類するようなものを増額して出す必要があろうと思いますので、これは各村々で考えて行くであろうと思います。私どもの直接関係をしております健康保険の面におきましては、単価の問題についてそこまで考慮を払うことはまだ考えておりません。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 国民健康保険の診療報酬が、健康保険の診療報酬に準じていることは御承知の通りであります。そこで今の問題を伺つたわけでございますが、たとえば往診の点数、往診の距離その他の条件を勘案いたします点数等の改正をすべきだと私は思うのです。そういう問題を解決しないと、僻陬地の医療の問題がどうしてもスムーズに行かないのじやないかと思うのですが、いかがなものでこぎいましよう。

久下勝次厚生省保険局長

○久下政府委員 お話のように、往診料の問題は、診療担当者側から非常にやかましく言われているのであります。私どもとしても現在のようなやり方が絶対的に正しいと思つているのではないのでありまして、結局、そういう問題も含めました診療報酬全般の問題として検討をしておるということで、御了承願いたいと思います。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 それでは問題をもう少しかえまして、単価の引上げのうわさが最近ちまたにございますが、これについてどういうような考慮をなさつていらつしやいますか。ありのままにお伝えを願いたいと思います。

久下勝次厚生省保険局長

○久下政府委員 一、二さような風聞が雑誌等に出まして、私ども実は非常に迷惑をいたしておるのであります。まだ単価の問題につきまして、これを増額するというようなことについては、何ら具体的な結論を得ておりません。私どもとしては、先ほど来申し上げておりますように、現在のところは一体単価問題として、診療報酬を解決すべきであるか、もつと点数問題を含めて、あるいは支払いの方法までも考え直して行く、そういうような全体の問題として今、各方面から検討しているというのが実情でございます。そのほかに何ら結論は出ておりませんので、一部に伝わつておりますことは完全な誤報でございますことを、この際申し上げておきます。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 厚生年金保険の問題であります。この標準報酬を三万六千円まで引上げるとすると、どういうような影響が出て参りますか。

久下勝次厚生省保険局長

○久下政府委員 三万六千円に引上げます影響はいろいろな面に現われて来るのでありますが、もともと申し上げるまでもなく、厚生年金保険というのは、報酬に比例した給付が行われるのが原則的な建前でございます。従いまして報酬を引上げますれば、被保険者に対する給付もそれだけ増して来るわけでございます。現在のように八千円にとどめておきますれば、八千円を基準とした給付になりますが、給付の面において増額が出て参ります。それからもとより標準報酬を引上げますと、一定の比率で保険料の徴収をいたしますために、労働者、事業主双方に負担か増加して参ります。三万六千円にいたしましたために、どのくらいの金額か増加するかということは、ちよつと時間を置いていただきますればお答えができます。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 八千円に標準報酬の最高をとどめておくということで、今度の改正案が出ておるわけでありますけれども、しかし一般の賃金ベースはこれより上まわつて、上つて来ていると思います。でありますから、今日の一般の社会情勢から考えまして、ここにとどめておくということでは厚生年金の本来の目的が達せられないのじやないか、こう思うのでありますが、これについて八千円におとどめになりました理由を承りたい。

久下勝次厚生省保険局長

○久下政府委員 今回御審議をいただいております一部改正におきましては、八千円にしてございます。これは決して八千円でいいという結論を得ましたために出したわけではございません。前回申し上げました厚生年金保険法の全般的な、根本的な改正をいたすことを今審議を進めておるわけであります。そのうちにおきましては標準報酬の引上げも重要な問題の一つとして考慮いたしておる次第でございます。これはそれに至るまでの過渡的な措置でありますので、現状のままにいたしたのでございます。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 これは大きな問題ではありますけれども、一応一部改正をなさるならば、ここにとどめておくべきではなく、健康保険の方も三万六千円まで引上げて来ているようでありますが、なぜ引上げにならないのか。非常に大きな問題で、そこまで行けないからということであるのか、保険経済に非常に大きな影響を及ぼして来ることであるからという御配慮であるかとも思うのでありますけれども、八千円にとどめました理由が私にはどうもよくのみ込めない。

久下勝次厚生省保険局長

○久下政府委員 今度の一部改正は、主として健康保険法の改正に関連をする問題にとどめたのでございます。実は八千円の問題のみならず、年金給付額の問題にいたしましても、現行法のままにしてあるのでございます。ここで標準報酬の問題を改正の問題として取上げておりまするのは、健康保険法がかわりまして、第一級から八千円に至りますまでの間の中の刻みがかわつて参りました事務的な関係で、これを合しておきませんと、非常に混乱を生じまするので、これを合せるための改正だけなのであります。  なぜしなかつたかということは、結局、この問題は、実は非常に御意見が多いのでございまして、私どもが昨年一応試案をつくりまして、社会保険審議会に御相談いたしました案としては、三万六千円に引上げる案で出したのでございます。これに対しまして、主として事業主側の意見といたしまして、標準報酬は絶対上げては困る。これは上げますことによつて、おそらく二百億くらいの事業主負担が増加いたします。さようなことで上げることには絶対反対であるという意見が強かつたのであります。これらにつきまして検討して、まだ結論は出ておりませんけれども、ただ一般的に申し上げますると、健康保険の標準報酬と厚生年金保険の標準報酬とは、私どもとしては若干考え方をかえてもいいのではないかと思つておるわけでございます。と申しまするのは、健康保険の方は原則として療養費の給付というものであります。従つてこれは相互扶助の精神から、実際賃金に合わせたものを標準報酬にきめて、保険料を納める。もとより傷病手当金のような標準報酬に比例する部分もございますけれども、本質的な健康保険の給付は療養費の給付、これはつまり言葉を、かえて申しますれば、階級によつて、あるいは俸給によつて、差のない給付が行われるわけであります。ところが厚生年金保険の方は、先ほど申し上げたように、標準報酬を上げますことは、ただちに給付の内容にも影響いたします。給付の内容に影響いたしますことは、とりもなおさず保険財政の面からの影響もございます。保険料徴収の面の影響だけでなしに、給付の面からの影響があるわけであります。そういうわけで、厚生年金制度の標準報酬は健康保険の制度の標準報酬と一致させなければならないという必然的な関係も、必ずしもないのではないかと現在は考えております。そんなふうな考え方で、今どの程度にすべきかということを検討いたしている次第でございます。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 この前の柳田委員の質問に対して、過去の経営者の負担額の給付について特別の考慮を払つて、これを増加して給付しているというふうな御返事があつたと思うのであります。それは当然しなければならないことでありますが、そういうようにして参りますと、この厚生年金保険の財政が、今後そういうようにして参りますと赤字になりはしませんか。

久下勝次厚生省保険局長

○久下政府委員 まだ結論は得ておりませんので、的確に数字を基礎にして申し上げるわけには参りませんけれども、私どもの考え方といたしましては、過去に被保険者でありました方々の処置につきましては、方法としてはいろいろございまして、当初の案で考えておりましたのは、昭和二十三年現在の標準報酬の改訂がございました、それ以前の標準報酬はないものとして、それ以後の報酬を平均して見るというような案で、ございました。これは多少不合理な点がありますので、現在は考え直しつつあります。いずれにいたしましてもお話のようにそのままでは保険財政としては赤字になります。あるいは将来の被保険者の犠牲において過去の人たちを救う結果になります。そこで私どもといたしましては、このことを重要な理由の一つとして、この過去の被保険者に対する給付の引上げの部分につきましては、国庫負担でまかなつてもらう、少くとも現在の一割、二割の給付費の補助を増額してもらう重要な理由の一つというふうに考えております。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 そこでどうしても私も国庫負担の方へ行かなければ、将来の被保険者の犠牲においてということはいけないので、だからどうしても相当にここでもつてこれは考えなければならぬだろうと思うのであります。そこで恩給法等につきましては、大きく国庫が考えて行つているわけでありますけれども、厚生年金保険につきましても、私は原則として国庫がやはり相当大きく負担をすべきだと思うのでありますが、これについてどうお考えになつておりますか。

久下勝次厚生省保険局長

○久下政府委員 これは私ども実はその程度の一般的の意味としては全然同感でございます。問題はただ国庫負担をどの程度要求するか、保険料をどの程度の増額にとどめるかという、相互の関連のかみ合せの問題だと思つております。私どもといたしましては、これは何としても相互扶助の保険制度でございますので、その方面は原則的に保険料でまかない、しかも国庫の負担も現状のような一割、二割というようなことではなくて、相当額の増額をしてもらうというような考えでございます。その辺の比率につきましてまだ細部の検討はされておらないのでありますけれども、考え方としては以上申し上げたような次第であります。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 そこで国庫負担の問題が相当出て来れば、先ほどの事業主側の標準報酬引上げという問題に対する反対も解決の道はついて行くのだと思うのであります。そういう意味で、私はこれについては今日官吏諸君の恩給あるいは国家公務員の共済組合に対します国家の尽力と、一般の勤労大衆に対します国家の保護とが、非常に引離れて来る、だから単なる相互扶助というような考え方でなしに、社会保障という意味でそれを推進するという意味で、私はもつと徹底した施策をとらなければいけない、こういうように考えるわけでありまして、それをただ単に保険財政だけの面や、あるいはまた相互扶助というような考え方だけで行くべきでない、根本的に考え方をかえなければいけないのじやないか、こういうように思うのでございますか、当局はそこまでお考えになりませんか。

久下勝次厚生省保険局長

○久下政府委員 私どもは昨年の秋に試案をつくりまして、ある程度の給付をいたしますためには、私どもとしては一方において国庫の負担を増額し、一方において保険料の増徴をいたさなければならぬ、標準報酬の引上げもいたさなければならないと考えておつたのであります。当時大まかな計算ではありますけれども、今後四十年近くたちまして、厚生年金保険の給付がピークになりました時期におきましては、年間の年金給付額が二千四、五百億円に上る計算でございます。そうなりました場合に、今後の給付の増額分を一切国庫負担に持つて行くということは、年金制度の根本の考え方と私ども合わないと思つたのであります、現在の一割、二割というような低い負担でいいとも考えておりませんけれども、かといつて二千数百億円に上るものを六割も七割も国庫で負担しなければならないというようなことになりますことは、制度の建前からしていかがであろうかと思つているようなわけであります。結局比率をどうするかということは、当時の案では一律二割、今日は坑内夫二割、一般勤労者一割というような国庫負担で、これをおしなべて二割という程度のことは、私どもとして主張いたしたいという案をつくつたのであります。それにいたしましても先ほど申し上げた時期が参りますると、年金給付額の国庫負担は年間五百億ないし六百億程度になる計算になるのであります。

小島徹三改進党

○小島委員長 他に三法案についての質疑はございませんか。     —————————————

小島徹三改進党

○小島委員長 他に質疑もないようでありますから、次に中野委員から比島戦犯の釈放状況並びに留守家族の諸問題について発言を求められておりますので、これを許可いたします。中野委員。

中野四郎改進党

○中野委員 昨日来の新聞、ラジオ等によりますれば、七月四日のフイリピンの独立記念日に際しまして、キリノ大統領は、日本国民のひとしく希望をしておりましたモンテンルパにおけるところの死刑囚並びに一般戦犯に対して、これを釈放あるいは日本国に送還するということが発表されておるのでありますが、このことは新聞、ラジオ等に発表されておるだけでありまして、まだ国会における公式の席上において外務省よりの発表を得ておりません。従つて外務省より出張所から得られました公報をば明らかにせられると同時に、今後のオーストラリア関係に対するところの外務省の考え方あるいは対策、それから今の実情等について御報告を求めたいと存ずるのであります。それに従つて逐次伺つて行きたい点がありますので、詳細なる御報告をお願いしたい。

大江晃外務大臣官房長

○大江政府委員 ただいまフイリピンのモンテンルパにおりまする日本人戦犯の釈放に関しまして、フイリピンから参りました政府の公報というものについて内容を話せということでございますが、一応経緯を申し上げたいと思います。  新聞にもございますように、七月四日のフイリピンの独立記念日に際して、キリノ大統領が日本人戦犯に特別の考慮を払つて何らかの措置に出るだろうということは、実は前々から中川在外事務所長から一応の内報としては参つておつたのでございます。但しこれは限られた数字でございまして、今回のような広範囲なものには考えておらなかつたのでございます。またそういう問題は非常にデリケートな問題でございまして、新聞に発表されますとおもしろくない影響もございますので、実は内々に伏せて参つたのでございますが、土曜日、二十七日の午前中に電報が入りまして、実はキリノ大統領が二十七日の午後に病気療養のためにアメリカに参ることになつておりまして、その前に日本人戦犯に対する恩赦令に署名をするというような情報が参つたのであります。そうして相当多数の日本人戦犯が釈放される、あるいは減刑されるだろうという情報は参つておつたのであります。但しこれは七月四日の独立記念日にその特赦令の署名を実際発表するまでは、絶対極秘でほしいということでありましたので、そのつもりでおりましたところ、外国電報、UPあるいはAPが現地からこの問題を相当大きく打つて参りました。これは日本の新聞にも必ず出るだろうということを考えましたので、外務省といたしましては、折返して中川在外事務所長に対して、発表その他の点をどうするか、先方と打合してやるようにというふうに尋ねてやつたわけでございますが、これと行き違いにその後の新聞に出ておりまするような、多数の日本人戦犯が釈放されあるいは死刑囚が無期に減刑されるというような情報が参つております。但しこれはいずれも新聞にありますのと同様の内容のフイリピン政府がとろうとする措置につきましての情報でございまして、フイリピン政府からの正式の在外事務所長に対する通報、あるいはフイリピン政府の発表というものは、実は二十七日一ぱいはなかつたわけでございます。昨日の午前中に公電が入りまして、フイリピン政府も七月四日の公表をまたずに繰上げて発表すると申しまして、大体次のような発表をいたしております。私は電報を実は用意して参りませんので、記憶によりまして申し上げますが、それともう一つは、フイリピン政府の正式の発表文というものは、まだ入手しておりませんので、発表それ自体のものではないのでありますが、大体の内容といたしましては、キリノ大統領はキリスト教精神に基いて、人道的見地より七月四日の独立記念日に際して、モンテンルパにおるフイリピンの対日協力者約三百人及び日本への戦犯に対して特赦令に署名をする。日本人の戦犯者に関しては、無期刑以下の有期刑者に対してはこれを全部釈放する。それから死刑囚はこれを無期に減刑して、年内に国内に送還する。こういう内容でございます。さらにつけ加えまして、フイリピン政府は今回の措置は、今後の日比国交の改善に資するためにもこれをやるのである、特に懸案事項の解決、賠償問題の急速なる解決を希望するという旨を付言して発表をいたしておるような内容と考えております。先ほども申しました通り、発表文そのものの原文がまだ参つておりません。中川所長からの要旨をお伝えいたしますと、ただいまのようなことになつております。そこで数字を私は今持つて参つておりませんので、正確を期しがたいのでありますが、新聞に出ておりますのが大体間違いございません。死刑囚五十九名のうち二名が特別のはからいで釈放の中に入るということになりますので、死刑囚五十九名のうち二名を除いた五十七名というものが無期となつて年内に送還される。あとの者、すなわち四十八名でございますか、これが七月四日に釈放されて内地へ送還される。但しこれは人名その他はフイリピン政府としては七月四日までは発表しない。また送還方法その他については何分とつさのことでございまして、目下在外事務所長とフイリピン政府との間で話をいたしていると思うのでありますが、これに関しましてはまだ電報に接していないわけでございます。外務省といたしましては、この受入れ態勢あるいはこれに伴いますいろいろな法律関係もございますので、目下担当の局で鋭意研究中でございまして、なるべく大勢の人々を早く国内に引取るという措置をとりたいと考えております。これに伴いまして、昨二十八日の午後六時に外務大臣の談話で、政府は公式の電報に接したということを前提といたしまして、ただいま申し上げたような趣旨の外務大臣の談話を発表いたしまして、フイリピン政府に対する感謝の意も表しました。あるいは今後の戦犯に対する努力をするということも意思表示をいたした次第であります。  海外におります戦犯の関係は、ただいまも御指摘がございました濠州のマヌス島の戦犯の方々でありまして、これをわれわれとしては何とか早く内地送還を実現したいと思うのでございます。この点につきましては、従来からもいろいろ努力をして参りましたし、また現在向うに行つております西大使が内々いろいろな手を打つておるわけであります。表向きに正式に交渉というようなことはまだいたしてはいないのでございますけれども、非公式にいろいろやつております。何分最も対日感情がデリケートな濠州のことでございまして、思うように参らない漁業問題の交渉、そういうものとの関連もございまして、早くそういう交渉を成立させますれば、全般的の対日空気の好転ということとも伴いまして、マヌス島の国内送還ということもそれによつて促進せられるのではないか。もちろん今回のフイリピンの戦犯が帰るということが、濠州方面に対する一つの考えさせる要素になるとは思うのでございますが、濠州はまた濠州で、いろいろな立場をとつておるようでございまして、ただちにこれが響くということがはたしてあり得るかどうか、多少疑問を持つておるわけであります。マヌス島からは、御承知のように最近満期になりました者が約二十三名でありますか、帰つて参りました。さらに引続いて年内に三十数名の満期者が帰つて参りますが、いわゆる釈放なりあるいは減刑、こういうような措置による帰還ということは、まだ目鼻がついていないような次第でございます。  以上が大体フイリピンの戦犯に関します先方の公式の発表あるいは内容でございまして、また御質問の濠州関係の戦犯に関する現状でございます。

中野四郎改進党

○中野委員 再々非常に心配をしておりましたフイリピン関係の戦犯が、正式に釈放あるいは減刑をされるということは、国家国民をあげてフイリピン政府の態度に対して感謝のほかはないのでありますが、重ねて大江官房長に伺いたいのは、このフイリピン関係の中に韓国に籍のある人がたしかあると思いまするが、この人々はどのくらいの数がありまして、そうして釈放後の取扱い処置についてはどういうような考え方を持つておられるか、この際伺つておきたいと思うのです。

大江晃外務大臣官房長

○大江政府委員 実は突然でございまして資料を持つて参りませんので、正確な数字は後刻提出いたします。  韓国人に対しましては、釈放になりまする人々はまず一応内地に参りまして、その後本人の意思によりまして韓国に行く、あるいは内地に引続いておるということがきまる問題ではないか、こう考えております。もし死刑囚の中にございますとすれば、それが減刑になつて巣鴨にしばらくの間入ることになるのでございまして、これは他の関係から考えましても、やはり当分の間巣鴨に服役するということになるのではないか、こう考えております。

中野四郎改進党

○中野委員 さらに一点念のため伺つておきたいのです。新聞発表等によりますれば、七月四日のフイリピン独立記念日を期して全戦犯を特赦あるいは釈放するといわれておるのですが、ただいまの官房長の御報告を伺いますると、まだ公報を受取つておらないから明らかではないけれども、本年中に釈放されるであろうとかいうお言葉があつたようです。これはどの点が大体確実なんですか。七月四日に実質上釈放するのですか、あるいは今年中に事実釈放するのですか、この点を明確にしておいていただきたいと思います。

大江晃外務大臣官房長

○大江政府委員 無期あるいはそれ以下の有期刑については七月四日に釈放される、それから死刑囚が減刑になりました者は、年内に巣鴨で服役するために送還するということがフイリピン政府の発表でございます。ただ伝えられる情報と申しまするか、先方の意向といたしましては、減刑になりました死刑囚についても、なるべく早い機会にフイリピン政府は釈放するだろうというようなことは情報として入つておりますが、政府として確認はいたしておりません。

中野四郎改進党

○中野委員 続いて援護庁に伺いたいのですが、今の外務省の発表によりますれば、七月四日にいよいよ死刑囚を除いて他の方々は釈放するというのですが、これに対する援護庁の対策はどういうような方法をとつておられるか。たとえて言えば、配船の用意とか、引揚げ後の留守家族に対する援護方法とか、あるいはそれぞれの引揚者に対する援護処置とかいうような点については、おそらく万全の処置をとつておられるごとと思いまするが、これについての御意見を伺いたいと思う。

田辺繁雄引揚援護庁次長

○田辺政府委員 七月四日に釈放になりまする人たちの内地への送還方法の問題でございますが、これは先ほどの外務省からの御答弁にありましたように、目下フイリピンの関係当局と中川在外事務所長との間において打合せをいたしておるという話であります。向うの船で送つていただければ一番いいわけでありまするが、もし内地から船を迎えにやらなければならぬということになりますなれば、早急に運輸省とも打合せをいたしまして手配をいたしたいと思います。  それから内地に帰つたあとの援護でございます。これは従来ともできるだけ手厚くいたしておるのでございますが、今後ともあたたかく受入れるようにいたしたいと思つております。  なお今度中共から帰つて来た方に対しまして一人一万円ずつの帰還手当を支給いたしておりまするが、戦犯で外地から帰つて来られた方々に対しましても、一万円の帰還手当を支給するように手配をいたしておるのでございます。なお今後とも十分検討いたしまして、こういう気の毒な方々のお帰りを手厚く、あたたかく迎えるように手配いたしております。

中野四郎改進党

○中野委員 どうも今の援護庁のお話を伺つて、いささか意外な感に打たれるのです。しかも発表されたのが土曜日ですから、外務大臣はこれに基いて外相談をば発表しておるのであります。しかも日にちは、きようはもう二十九日ですから、余すところわずか五日間です。現地において釈放される者に対して、短時日の間においてその処置が講ぜられなければならぬ。先ほど外務省の大江官房長のお話を承れば、前もつて内々その話があつた。ただそのことを公表することは、あるいは新聞等に発表することは、はなはだいろいろな支障があるおそれがありとして考えておられたようであります。しかしながら外電等によつて、もはや内地においてもこれを隠蔽しておくことが不可能な状態にあるから、公報を待つてただちに発表したというのです。してみれば援護庁においては、一つの政府の中にあつて緊密な連絡の上に立つて、援護庁のその使命の本質からいつても、当然そういうような場合に対する万全の対策がなければならぬ。あと余すところ五日間です。そのわずかな日にちの中で、今日まだ配船の方法すらとつていない。この月曜日になれば、国会においてこのことが質問され、これに対する責任ある報告をするのが当然だと私は思うのです。今のあなたのお話を聞いていると、まことにたよりない。このことはひとり国会の反応だけではない。全国民が関心を払つている問題でありますから、それだけにこの国会を通じて、国民に安堵の意を持たせなければならない。こういう観点からいつても、フイリピンに甘えて、向うの船で送つてくれというようなことを言つても送るわけがありません。今までの例からいつても、日本でそれぞれのしたくをして、その人人をお迎えに行くのが当然であります。このことに対するあなたの方の処置がないように聞きますが、一体ほんとうなのですか。それからもしかりにその用意を急速にするとすれば、現在華僑の引揚げ等について配船等が非常に難儀な面に直面していると思うのですが、そういう場合の配船はどういう方法をとつてやられるつもりか、これをまず伺いたいと思うのです。

田辺繁雄引揚援護庁次長

○田辺政府委員 実は私ども、戦犯の釈放を承知いたしましたのは新聞によつて初めて承知したような状態でありまして、事前にそういう通報は何ら受けておらなかつたのであります。しかも土曜日も相当おそくなつてから承知したような次第でございまして、事前に何ら通告を受けておらなかつた。従来の例から申しますれば、確かにこちら側から船を出すのが例でありますが、りくつを申しますれば、向うから船で送るということも、あながち交渉をして不可能ではないと考えられますので、できますればそれが一番いいのではないかと思つて御返事申し上げたわけであります。その辺がはつきりいたしますれば、至急にこちらとして運輸省と相談をいたしまして、配船の手配をしなければならぬ。確かにできるだけ早くすることが望ましいのでありますから、速急に関係当局と相談いたしまして対策を講じたいと思つております。

中野四郎改進党

○中野委員 これはあくまで怠慢のそしりは免れないのです。しかし今ここでりくつを言つているときではありませんから、援護庁の方で急速に事を運ぶと言われれば、しばしそれにゆだねるほかに方法がないと思いまするが、このモンテンルパにおけるところの日本関係の釈放される人々は、数の上からいえば大した人数ではないと思うのです。従つて、あえて船を向けなくても、飛行機等によつてこれを内地に帰還せしめるという方法もあると思うのです。こういうようなことについて考えられる余地があるかどうか、援護庁の意見を伺いたいと思います。

田辺繁雄引揚援護庁次長

○田辺政府委員 ただいま飛行機というお話でございますが、輸送の関係でございますので、私の方からは今ただちにどういうふうにするということは申し上げかねるのであります。できるだけ早く内地に帰還できるように関係省とも連絡いたしまして、手配をいたしたいと存じます。

中野四郎改進党

○中野委員 重ねて申し上げますが、もし万が一こちらの手配の悪い結果、この人々をば七月四日より一日でも二日でも向うでとまどわせるというような結果が起つた場合においては、援護庁が絶対責任を負つておやりになるかどうか。もしそういうことのないようにするというなら、七月四日釈放と同時にこちらに引揚げさせるだけの用意を十二分にするというのか。考えておきますとか、あるいはそういうような処置をとりたいといううろんな問題じやないのです。もうあと今日を入れて五日間です。このわずかな日にちの間にその処置を講じておかぬということは、まことに悪いと思うのです。どうなさるつもりですか。

田辺繁雄引揚援護庁次長

○田辺政府委員 これから手配をいたしまして、七月四日に向うに船が行くようにということは、時間の関係上あるいは間に合わないということも考えられると思いますが、できるだけ早く船の手配ができるいうに努力したいと思います。

中野四郎改進党

○中野委員 その場合、七月四日に釈放になつても、日本政府の怠慢から、この人々が本国に帰ることができぬことになれば、たいへんな問題です。そうなると政府を非常に非難しまして、日本国民の考え方にまで及んで来ると思うのです。だから、万全を期さなければいけない。今あなたは新聞を見て初めて知つたとおつしやるけれども、外務省の方ではとつくに知つておつたというのです。しかしながらその時期は、そういうことを想像しておつても、そのことを発表することによつて非常に支障が起つて来るおそれがあつたとおつしやる。これは無理からぬことだと思うのだけれども、同じ政府の中においてそのくらいの緊密な連絡がとれぬわけはない。外務省の方に怠慢なところがあつたのか、あるいは援護庁が全然無関心でおつたのか。現在フイリツピンあるいは濠州の戦犯に対しては、何としても第一番に本国に送還してもらわなければならぬ。御承知のように、巣鴨の刑務所に収容されておる八百有余人の人々も、独立講和会議の後においては、当然に釈放されると大きな期待を持つておつたのです。ところが平和条約の十一条によつてそのことも水泡に帰してしまつた。その後におけるところの巣鴨の刑務所の悪化したことは御承知の通りです。しかし彼らもやにり日本人として、第一番に何としても死刑の執行を停止しなければならぬ、第二番には、この人々が全部本国へ引揚げていただくような方法をとる、第三番目に初めて全員の釈放をこいねがうというような三段階において、巣鴨の戦犯諸君も今日までこらえて来たのです。この人たちは一日千秋の思いでいわゆる幽閉の身を過しておられるのです。こういうことを真剣に考えたならば、こういう場合にすぐ即行のできるような対策がなくてはならぬと私は考えるのです。このことが援護庁にないに至つては、言語道断だと言つても、私は過言でないと思うのです。しかしこのことはもはやここで議論をしているよりも、実行に移るときですから、万全の用意をしていただいて主そして効さようなことのないように努力をしていただかなければならぬ。  さらに伺つておきたいのは、先ほど外務省の方に伺つたのですが、フイリピン関係の韓国人は釈放後、相当問題を起しておるのです。現在においても、相模原国立病院の傷病者の中に四、五人おるようですが、なかなかデリケートな関係があるのです。これに対する援護方法はどういう処置をとられるか、援護庁に伺つておきたいと思うのです。

大江晃外務大臣官房長

○大江政府委員 韓国人の問題につきましての中野委員からの御質問に対して、私のところに資料がないので後刻調べた上で申し上げると述べたのでありますが、担当の広瀬事務官が参つておりますので、手持ちの資料によりますと、今回のフイリピンの戦犯者の中には韓国人は入つておりません。

中野四郎改進党

○中野委員 もう二点伺つておきたいのですが、この釈放を受けられた人々に対する援護方法は、先ほど一万円ずつの旅費云々というお話がありましたが、しかしながら従来の舞鶴等の例を見ましても、さような少額の費用をもつてそれぞれの自宅に引取らせるということは事実上なかなか難儀であります。特に今回の場合には、事情がまつたく違うのでありますから、これに対して特別の措置を講ずるお考えがあるかないか、これについて援護庁のお答えを求めたいと思う。  それからついでにもう一点伺つておきたいのは、この人たちが引揚げられた後におけるそれぞれの生活というものは困難だと思いますが、これに対する援護の方法はどういうことをされるつもりであるか、伺いたいと思います。

田辺繁雄引揚援護庁次長

○田辺政府委員 戦犯の方々に対しましては、特別未帰還者とみなされまして、現在特別未帰還者の給与法が適用になり、その援護を受けておられます。その内容は、帰つて来られたときに、帰郷雑費と申しますか、お宅へ帰られるまでの距離に応じて千円ないし三千円の給与が出ております。そのほかにこのたび当座のいろいろな経費といたしまして一万円の帰還手当というものを差上げるようにいたしたのでございます。もちろんその他帰られましてからの生活援護につきましては、一般の援護のほかに、更生就職であるとかあるいは生業資金であるとか、その池いろいろの面があろうと思いますが、それらにつきましては、現在厚生省でやつております引揚者援護のいろいろの仕組みもございますので、それに準じてお世話をするようにいたしたいと思います。

中野四郎改進党

○中野委員 大江さんに特にお願いしておきたいと思いますが、死刑囚が減刑されて無期囚になつて七月四日に釈放されるかどうか、本国に送還されるかどうか危ぶまれておるのでありますが、外務省におかれましてはむろんのことでありますが、この人々をば同時に本国に送還のでき得るように、今年中などというような考えを持たずに、こいねがわくは同時期に本国に送還のできるように、さらに一段とフイリピン政府に対して懇願をし、十二分に遺憾のないように御努力をお願いしたいと存ずるのであります。私はこれ以上のとこは申しませんが、援護庁においては七月四日というさつきゆうな場合でありますから、万全を期して、遺憾のないようにしていただきたいということを心からお願いしておきます。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 今中野委員が言われましたように、死の恐怖に襲われつつ一日千秋の思いでこの日の来るのを待つておりましたモンテンルパのこれらの同胞に対しまして、政府の対策というものはまさしく失態だと思います。どうか中野委員の希望せられましたように、すみやかに万全の策をとつていただきたいということを切望するものであります。  同時にもう一つ伺つておきたいことは、マヌス島の戦犯は、あと死刑、無期、有期についてどういうような数字で残つておりますか。

広瀬節男外務省参事官(大臣官房審議室付)

○広瀬政府委員 お答えいたしますが、私今この問題で参つたものではありませんから、資料が不確実でございますが、死刑はございません。無期はございます。あとは無期刑……。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 何人おりますかわかりませんか。

広瀬節男外務省参事官(大臣官房審議室付)

○広瀬政府委員 今百七十三名おります。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 どうかこれらの諸君に対しましても、先ほど大江政府委員からお話のように十分な手を打たれるように切望いたします。

中川源一郎自由党

○中川(源)委員 ただいまの中野委員の御発言に対して関連して申し上げたいと思います。今回のフイリピンの減刑並びに釈放につきましては、われわれ同胞のひとしく感謝と喜びにたえぬ次第であります。この機会におきましてキリノ大統領に対しまして、われわれ委員会の名をもちまして、あるいはまた国会の決議ならさらにけつこうと存じますが、感謝の意を表することが適当であろうと私は思うのでございますが、そういうようなことを先輩各位の御同意が得られますならば、そういう手続をとつていただいたらどうか、こう思うのであります。それをさらにまた多数の者がまだ釈放になつていない、これらに対しましても一日も早く減刑をされるよう御とりはからいを願いたいというような、感謝と同時に、ひとつ依頼のとりはからいについて中川所長に対しましてそういう交渉をしてもらつたらどうか、こう思うのであります。今回ことに巣鴨の刑務所では喊声に沸いておるのでありまして、非常に期待しておるところが多いのです。それを一層力づけるために、ただフイリピンだけでなしに、濠州あるいはまたオランダとか、各方面にまだ抑留されておる方々に対しましても、一日も早く釈放の手続ができますように、あらゆる手配を願いたいと思うのでございます。  それと同時に私が非常に気にかかつている問題は、フイリピンにおきましては何万という、あるいは何十万かもしれません。多数の戦死者を出しましたので、それらの方々の遺骨につきましては、引揚援護庁から世話課に対して遺骨の受渡しをする場合に、ほとんどその遺骨の中には位牌ぐらいしか入つておらないのです。本物の遺骨を入れていないという向きが多いのです。あちらの方で一体どうなつておるかということにつきまして、レイテ島とかあるいはその他の島におきまして全滅をしたような場合が多うございますので、その消息すらも私どもは不明でございます。はたして墓地なんかを設けて適当な埋葬をされておるものであるかどうか、あるいはまただれそれの遺骨がどこにあるというようなことが判明しておりますならば、将来その遺骨をいただきに参り、あるいはまた向うでお弔いをするというようなことなどをしなければならぬと私は思うのでございますが、これらについてひとつ中川所長に対しまして、今までお問合せなり、適当な調査をなされましたことがありますならば、この機会にお教えを願いたいと思うのでございます。もしも適当な対策ができておらぬということでございますならば、この機会にあらゆる方法を講じて、戦沒者の遺骨の処理に対してのお問合せを額いたいと思うのでございますが、いかがでございましようか。

小島徹三改進党

○小島委員長 中川委員に申し上げます。感謝決議につきましては、先ほど外務委員会の方で全会一致で感謝決議を出そうということになつておるようであります。  また引揚援護につきましての事務は、実は厚生委員会でなくて引揚特別委員会の方に移しておりますので、その方面でしかるべく手配がなされると思います。  その他質問の点については政府委員からお答えいたします。

大江晃外務大臣官房長

○大江政府委員 この機会に関係各国、ことに濠州その他の方面に対してさらに釈放方の努力をせようという仰せで、ございましたが、われわれもまつたく同感でございまして、昨日ただちにフイリピン政府のとりました措置を、日本の戦犯の関係を持つておりまする在外の大公使に通報いたしますとともに、今後とも戦犯問題の釈放に、あるいは減刑に努力するように訓令を出したわけでございます。また今後もいろいろな方法によりましてこれを推し進めたいと思います。  次にフイリピンにおきまする遺骨の問題は、私は正確なことを承知しておりませんのですが、フイリピンにおきましてはまだ今日までのところ対日感情、あるいは国内の治安関係、その他から見まして、そういう奥地なりあるいは旧戦場に日本人が調査その他に行くような状況ではなかろうと考えられるのでございます。この問題はまだ正式に中川所長が先方と話合いをいたしておらないと考えております。今後対日感情が好転いたしますか、あるいは日比の関係がますますよくなることに伴いまして、当然この問題を解決しなければならないと考えておりますが、いずれも中川所長と十分打合せた上善処いたしたいと考えております。

中野四郎改進党

○中野委員 大体本国に帰る数というのは、かりに死刑囚が無期刑になつて二名が釈放されるであろうといえば五十七名ですから、この人々は一応落しましても、あとの七月四日に釈放されるであろうと予想される人々の員数は何名でありますか。

大江晃外務大臣官房長

○大江政府委員 その死刑囚の二名が釈放されて一緒に帰るといたしまして五十一名でございます。

中野四郎改進党

○中野委員 そこで田辺さんにもう一ぺん伺つておきたいのです。これは大事な問題ですから、しつこいようですがしんぼうしていただきたい。五十一名であると、これは船をまわすといつてもなかなかたいへんなことだろうと思います。むしろそれよりも先ほど申し上げましたように、飛行機の関係等はきわめて頻繁にフイリピンと日本の間を通つているのですから、これに便乗せしむるというような考え方を持たれたらどうかと思うのです。あるいは特別にチャーターして来るとかいうような考え方を持たれることが私はよいのではないかと思うのです。  さらにそこで伺つておきたいのは、万が一この飛行機の場合を考慮に入れしも、この手配がつかないとか、あるいは帰還される人々に本国からお迎えの配船ができない場合を想像したときに、七月四日に釈放される人々は、一体本国からの迎えは来ない、どういう結果になるかということを私らは非常に憂慮するものなのです。この場合援護庁の方はどういう処置をされるか、外務省とされてもどういうような処置をされるか、この点を伺つておきたいと思うのであります。

大江晃外務大臣官房長

○大江政府委員 先般来中野委員から、七月四日に釈放されて、そのときまでに送還の配船なりあるいは飛行機の手続が終らぬということは、向うにおられる方々には気の毒ではないか、また政府として怠慢ではないかというお話がありましたが、帰国を望んでおる方々を、一日も早くお連れすることは当然でありますけれども、実は七月四日までフイリピン政府は発表をしないというようなことでございまして、七月四日に特赦令が交付されましても、即日それらの方々をお帰しするということは、事実上私は不可能ではないかと考えておつたのであります。そこで現在中川所長と電報を往復いたしておりまして、一刻も早く、どういう方法により、何名、いつごろ帰るような手配をするかという第一の点を確めたいと思つておりますが、これによりまして、援護庁その他と十分緊密に連絡してやりたいと考えております。実は最初これほど大きな範囲の釈放があるとは予想いたしておらないものでありましたから、あるいはもつと簡単にできると思つておつたのでありますが、これはまつたく先方の好意によつてこういう事情になりましたので、政府といたしましても、極力これに対応するように全力をあげてやりたい、こう考えております。

中野四郎改進党

○中野(四)委員 ちよつと私納得が行かないのですが、七月四日にかりに特赦令が出ても、すぐに釈放するかしないかわからないということはこちらの想像であつて、実質上においては出さないかもしれないし出すかもしれない。特に私が心配しますのは、かつて中共あるいはソ連地区から引揚げて参りました方々に、私は舞鶴の港へ行つて、一番最初の高砂丸のときにお目にかかつた。一番最初に上陸した人たちの気持は非常に強いものでしたが、その中から特に私の感じたことは、ナホトカまでせつかく引揚げて来たにもかかわらず、日本の配船準備が完全でなかつた。従つて君らは帰らないというような当時の誤解が非常に大きく、悪い影響を及ぼしたことは御承知の通りなんです。当時本国では、皆さん方ももちろんそうでありましたでしようが、あらゆる面において、この人たちの引揚げ帰還に対しては万全を期しておつたのだが、それですらそういう非難を受けて非常に迷惑をしたことが、まだ記憶に新たなところであります。特に今度の場合は、先ほど大江さんのおつしやる言葉を聞けば、釈放するかしたいかはわからないというのは、これはお互いの考え方であつて、当日釈放するかもしれないので、そのときの用意はしておかなければならぬわけです。もしこの用意がないために、そういう非難あるいは責任を問われた場合には、当然その衝に当る人はこれを受けなければならぬのです。従つて私は先ほど申し上げた便法論として、人員の上からいえばわずか五十一名なんですから、この人々がいわゆる一日千秋の思いをもつて本国の土の上にとにかく足をおろしたいという念願を、何とかしてかなえる方法、あるいは先ほど私が希望いたしましたように、死刑囚で無期囚になつた人たちが同時に五十七名帰してもらえるかもしれないのですから、そういう面におけるところの万全の用意をしなければならぬ。四日にされないかもしれないしされるかもしれないのであるから、この点を特に考慮に入れて用意をしていただきたいと思います。以上で私の質問を終ります。

小島徹三改進党

○小島委員長 他に本件について発言はございませんか。     —————————————

小島徹三改進党

○小島委員長 それでは国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。杉山元治郎君。

杉山元治郎日本社会党(右)

○杉山委員 一点お伺いしたいと思うのですが、改正案の趣旨については、赤字を解消いたすこと、また貸付のわくを拡大すること、貸付の年限を延ばすこと、これには非常に賛成でり、政府の手心に非常に敬意を表するものですが、私の伺いたいと思います点は、このような一部改正をして赤字を解消しましても、また赤字が出るようなことでは困る。それで国民健康保険が今日のように再建整備をしなければならなくなつた根本的な原因はどこにあるか、この点突きとめて解消しなければ、またまた同じことを繰返さなければならないのではないか。こういう意味で、私は政府に、国民健康保険が今日までうまく行かなかつた点はどういうところであるかということを、よく伺いたいと思うのであります。

久下勝次厚生省保険局長

○久下政府委員 国民健康保険が、全体としてうまく行つていないのでありますが、ただ中には、非常によく行つているところもございます。何分にも五千百余に上る保険組合があるわけでございまして、個々の事情によつて非常な差異があることは申すまでもないことであります。その事情は各保険者なりその地域によりまして非常に違いがございまして、一概にこれということを断定することはできないと思いますが、おもな原因を検討して見ますと、一つには、健康保険と違いますいわゆる自営者の保険、従いまして保険料の徴収等も、健康保険のような事業主が俸給から源泉徴収するというような意味の徴収ができない事情がございます。その他農村の特別な事情で現金収入が比較的少いというようなことも、国民健康保険が他の社会保険に比較して困難な状態に陥つている原因であると思つております。また一つには、ごくまれではございますけれども、被保険者である一般住民の理解が、まだまだ不十分なところがございます。またそれに関連して運営の衝に当る人の、認識の薄いところもあるように考えられます。また運営の衝に当る人が非常に熱心にやりましても、一般財政力が非常に脆弱なために、成績のあがらないというようなところもございます。さらにまた、むしろこれは理解が非常に行き渡りまして、国民健康保険の受診率が高くなつて参りましたために、財政力との関係上運営が困難を来しておるというようなところもございます。いろいろあげて参りますと、以上申し上げたような点がおもな問題であろうと思いますが、これがそれぞれ別個に、あるいは重複して原因となつて現われておると思うのであります。従いましてこの対策につきましては、非常に総合的な施策が必要でありまして、私どもとしては、これらいろいろな地方の事情々々に基く個々の保険者の、さらに詳しい検討も今後やつて行かなければならないと思つております。以上のようなことでお答えにかえる次第であります。

杉山元治郎日本社会党(右)

○杉山委員 お示しのように、国民健康保険は、中には非常にいい模範的な組合もあることは私どもも承知いたしております。しかし大多数が再建整備をしなければならぬような困難に立つている。その根本原因は、お話のように関係の農村の人たちが、保険思想というものが非常に十分でないということ、あるいは町の人たち、労働者諸君のように、現金収入がないのに、掛金は現金でして行かなければならないという点が、非常に掛金に困難を来しているというようなこと、あるいは今お話のように、事業家がこれを負担するというのでなしに、そこに住んでいる人たちにおいてやつて行かなければならぬということのために、一部の裕福な人たちが余計出さなければならないので、負担の不均衡の問題から来る不平がある。あるいは特に医師の協力がないというような問題が、お話のように大きな原因になつておつたと思うのでありますが、それならば、一面において今お話のような再建整備をしていただきますとともに、その根本原因になつておる点を除去していただきますために、厚生省がいろいろとつていただかなければならぬことでありますが、そういう点についてどういう御所存を持つておられるのか、一応伺つておきたいと思います。

久下勝次厚生省保険局長

○久下政府委員 再建整備資金の貸付につきましても、貸付をいたします条件が非常にむずかしくなつておるのでございます。これは一つには、貸付をするのであるけれども、努力をしない、成績が悪いような保険者には貸付ができない、これは将来の償還のことを考えてではありますけれども、同時にまた一つには、奨励的な気持も含めてあるわけでございます。この点で先ほど申し上げました国民健康保険の不振な事実に対する一つの奨励の方法といたしたいと思つております。  なお新たに昭和二十八年度予算案に組み入れてございます助成交付金として、療養給付費の一割五分相当額を補助することになつております。この交付につきましては、やはり以上申し上げたような諸原因を除去いたしますために、まず保険者の努力が現われておるかどうかというようなことによつて、貸付制度と同じように、保険料の徴収成績のいかんによつて、交付額に差等をつけるということも考えております。これは裏を返して申しますれば、今お話の中にあつた被保険者なり——被保険者と申しますか、一般の住民のこの制度に対する理解の程度もはかることができると思うのであります。それからさらに非常に努力をいたしましても、もともとその町村の財政力が弱いために、成績が上らぬ、あるいは被保険者の非常な理解があつても、負担能力がないというようなことで成績が上らない場合もございます。そういうものにつきましては、財政力調整交付方式というようなことを考えまして、補助金の交付をいたす所存でございます。さらにまた先ほど申し上げたのでありますが、受診率が他に比較して非常に高くて、そのために経営困難な保険者もございます。そういう場合には他の一般の平均以上に受診率が高く、従つて保険料を上げなければならぬような地域につきましては、その分について補助金の交付を考慮してやるというようなことを考えております。その他の大部分の残りの金は、一律に交付をいたしますけれども、そういうような方法で二十九億六千万円の助成交付金も交付をいたしまして、こうした方法によつて、国民健康保険不振の原因でありますいろいろな諸条件を改善をするようにいたしたいと思いますが、同時にまた一般行政措置といたしましても、私どもとしては、貸付金なりあるいは助成交付金が出ます機会に年次計画を各国民健康保険の保険者につくらせまして、その年次計画によつて再建整備をするようにいたしたい、こう考えております。

小島徹三改進党

○小島委員長 本案について他に質問はございませんか。——それでは質疑はこの程度にいたしまして、本日はこれをもつて散会いたします。次会は明三十日午前十時より開会いたします。     午後零時三十五分散会

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