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16回国会衆議院1953/07/24

公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第5号

発言数
101
登壇者
10
会派数
4
開催日
1953/07/24

会議録

森三樹二日本社会党(左)

○森委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法改正に関する件について議事を進めます。近く行われます熊谷市の市会議員の再選挙等に備えまして、公職選挙法の一部を改正する必要がありますので、委員長におきまして、議院法制局に依願して案を作成していただいたのでありますが、ただいまよりこれについて御協議を願いたいと思うのであります。  まず案について、三浦法制部長より御説明をお願いいたします。三浦法制部長。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 お手元に差上げてございます公職選挙法の一部を改正する法律案というのが二部あると思いますが、そのうちのタイプで打つてあります二枚つづりのものを先にごらん願いたい。  実は先ほど委員長からお話のございましたように、一部無効による再選挙に関係いたしまして、公職選挙法の従来の規定を多少改正した方がいいのではないかという意見は前々からございまして、私どももさように考えておつたのでございますが、差追つた問題もありますので、この機会にその改正ができるならば、していただいたらどうかというような自治庁からの希望意見もございまするので、便宜私の方で案をつくつてみたわけでございます。従来この選挙法の改正に関しましては、議員立法という形でいたして来ておりまして、政府提案ということにしておりませんので、その取扱いに応じまして、ただいま委員長の試案ということで御審議を願うということになつたと推察する次第でございます。  まず、内容について申し上げますと、先に二枚つづりの改正案の中の「第二百五条に後段として次のように加える。」というところをごらん願いたいと思います。二百九条も同様なことでございますから、関連して申し上げたいと思います。二百五条の規定はこういうようになつております。「選挙の効力に関し異議の申立、訴願の提起又は訴訟の提起があつた場合において、選挙の規定に違反することがあるときは選挙の結果に異動を及ぼす虞がある場合に限り、当該選挙管理委員会又は裁判所は、その選挙の全部又は一部の無効を決定し、裁決し又は判決しなければならない。」という規定であります。これは選挙訴訟に関する全部または一部の裁判決定、裁決、判決に関する根本規定でございまするが、これに後段としてお手元にあげてありますような案を加えたいというわけであります。その案は「この場合において、選挙の一部の無効に係るものについては、当選に異動を生ずる虞のない者を区分することができるときは、その者に限り当選を失わない旨を併せて決定し、裁決し、又は判決しなければならない。」というわけであります。  選挙訴訟が提起されまして、その判決がございますと、それによりまして、選挙の全部やりかえ、または一部やりかえということになりまするが、そういたしますると、その選挙によつて当選いたしました人は、一応全部当選を失うという関係になるわけであります。そういう結果になります場合におきまして、たとえば全国区の参議院の選挙等におきまして、この事態を考えます場合におきまして、あまりに高点の方で、そういう影響が実質的にもないと認められるような方たちに対してまで、この規定を適用して当選を失わせるという必要はないのではないかというような意見も出て来るわけでございます。そういう趣旨に沿いまして、裁判所におきまして、たとい選挙の全部または一部無効が確定いたしましても、その結果、当選人の当選に異動を生ずるおそれのない人と異動を生ずるおそれのある人と区分することができる場合におきましては、それを判別いたしまして、当選に異動の生ずるおそれのない人は、そのまま当選を失わせないことにして、それ以外の人だけの当選無効を確定する、こういうことににしたらばどうかというのがこの案でございます。  この際に問題になりますのは、当選した人だけについてのこういう規定以外に、落選した人であつて、再び選挙があつても、もはや見込みがない人につきましては、やはりさらに選挙を行う必要はないのじやないかというような意見も多いかと存じまするが、ここに掲げました案は、かつて府県制、市制、町村制の規定が大正十四年ごろできましたときにおきまして、これと同様の規定を置かれておりましたので、その趣旨に沿いましてこの規定を置いてみたならばというわけで、設けたわけでございます。  ただ、私から申し上げておきたいと思いまするのは、この後段の規定につきまして、多少いろいろな疑義がある。たとえば、最高裁判所の事務当局からも意見がございますし、私も多少の意見もありまするので、それらの点につきまして、この規定を置きますることについて、はつきりさしておかなければならないかと考えております。  それから次に、「第二百九条に後段として次のように加える。」というわけでございまして、二百九条は、「当選の効力に関する異議の申立、訴願の提起又は訴訟の提起があつた場合においても、その選挙が第二百五条の場合に該当するときは、当該選挙管理委員会又は裁判所は、その選挙の全部又は一部の無効を決定し、裁決し又は判決しなければならない。」という規定がございまして、当選訴訟が起りましたときに関連して、選挙の全部または一部無効の判決をする規定でございます。この場合におきましても同様の事態が考えられますので、その後段といたしまして、ただいまの二百五条の後段にこういう規定を設けるとするならば、ここにも同様の規定を置いたがいいじやないかというわけでございまして、その規定の内容は「この場合において、選挙の一部の無効に係るものについては、第二百五条後段の規定を準用する。」こういう規定を設けるわけであります。  それから次に、二百七十一条の二の規定でありまするが、「選挙の一部無効に因る再選挙については、この法律に特別の規定があるものを除く外、当該再選挙の行われる区域、選挙運動の期間等に応じて政令で特別の定をすることができる。」という規定を設けるわけでございまして、現在二百七十二条に、公職選挙法の一番最後の方の条文でありまするが、「この法律の実施のための手続その他その施行に関し必要な規定は、命令で定める。」という規定がございまして、場合によつては、この命令によりまして、選挙の一部無効に関しまする規定等を政令で規定することも不可能ではないと考えられまするけれども、しかし、さらに別個に新しい法律的な根拠の規定を置きまして、一部無効に関しまする再選挙の特例といたしまして、いろいろな事項につきまして法律の例外規定を設け得る道を聞こうというわけでございます。  御承知の通り、公職選挙法におきましては、たとえば選挙公報の発行、あるいは選挙費用等につきましては、選挙の一部無効等の場合におきましては、特別の例外を設ける旨の規定が法律の中にあるのでございます。それ以外におきましても、数個所規定があるわけでございますが、それらに規定してあります点は別問題といたしまして、たとえば、選挙の公営の場合におきまして、はがきを五万枚公営で交付するという場合におきまして、一部無効の場合においては、それまでの必要がない場合等もありまするので、そういう場合には枚数を減らして交付するというようなこと等も考えるわけでございます。そういうこと。さらに、選挙の期間あるいはその他自動車、演説会等に関しましても、この根拠規定に基きまして、選挙の一部無効の場合におきましては、箇所も限定されまするし、選挙運動の期間等も場合によつては短かくするというようなこと等の関係上、多少本法に規定しておりますものよりも制限して考えていいのじやないか、こういうわけでこの規定を設ける次第であります。  それから、前にさかのぼりまして、百十条の第二項中云々という規定がございまして、その二項に「参議院(全国選出)議員」云々とございますが、これは、百十条の二項に、参議院議員の選挙につきまして、欠員が生じました場合におきましては、一定数以上になつた場合に限つて再選挙をやるという規定があります。たとえば、参議院の全国区につきましては、議員定数の四分の一の欠員が生じた場合には、再選挙をやるという規定がありまするが、先ほど二百五条あるいは二百九条で設けましたように、ある特定の人につきまして当選を失わないという規定を設けることにいたしますると、いわゆる人的無効という観念を取入れることにいたしますると、この四分の一以上ということでなくしても再選挙を行わなければならないことになる場合が起りますので、その例外規定を置く意味におきまして、この百十条の二項を改正するようにするわけでございます。  それから、目次中の改正は、同条二百七十一条の二を設けまする関係の目次の整理であります。  それから、附則の一、二項について申し上げますが、附則の一項は、「この法律は、昭和二十八年八月一日から施行する。」。これは熊谷の選挙が八月二十日に予定されておりまするので、従来の規定によりまして、市の選挙でありますから、十五日前に告示すると八月五日ということになりますので、できれば八月一日から施行したいという意味で、八月一日の施行日を予定しておるのでございます。その但書は、「改正後の公職選挙法第二百五条後段及び第二百九条後段の規定は、従前の公職選挙法の規定による選挙の効力に関する争訟でこの法律の施行の日において現に選挙管理委員会に係属している異議の申立若しくは訴願又は裁判所に係属している訴訟についても適用する。」というのでありまして、この改正後でなくても、施行日にもうすでに争訟の起つておるものにも遡及しようというわけでございます。  それから第二項の規定は、「選挙の一部無効に因る再選挙でこの法律施行の際その選挙の期日を告示してあるものに関しては、なお従前の例による。但し、改正後の公職選挙法第二百五条後段及び第二百九条後段の規定の適用を妨げない。」というわけでございまして、施行の際告示をしてある選挙につきましては、どちらによるかということははつきりいたしませんので、ここで従前の例によるということにしまして、二百五条の後段と二百九条の後段の規定は適用してもかまわないという措置をとるわけでございます。  それから、これが先ほどの人的無効の規定を入れました案でございまするが、この点ついていろいろの疑義があるといたしますならば、その点を省きまして、簡単にただ、選挙の一部無効につきまして、政令で、特別の取扱いを設けることができるという根拠規定だけを置く改正にとどめることにしたらばどうかということが考えられるわけでありまして、その案がお手元に配付してございまする一枚刷りの案でございます。これは、目次中の改正は先ほど申し上げましたのと同様であります。その次の第二百七十一条の二の改正規定は、これは内容は前と同様でありまするが、その規定を置きまして、附則といたしましては一、二項の規定を置けば、さきに申し上げました但書等の規定はいらないもの北考えます。  以上で御説明を終ります。

森三樹二日本社会党(左)

○森委員長 質疑に入ります。中村高一君。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 さつき何か熊谷の選挙があるからという説明でありましたが、熊谷に近いうちに選挙があるのですか。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 熊谷の選挙は、判決が確定いたしまして、判決が確定いたしますと、現在の選挙法の規定によると、それから五十日以内に選挙を行わなければならない規定になつておるわけでございます。ときろが、それが最大限でありまして、ただ、選挙の告示期間は、市の選挙等につきましては十五日前にやればいいということになりますので、八月の二十日だとすると告示は八月五日ということになるわけでございます。従いまして、こういう改正規定を置きました以上は、そういう選挙の行われることが予想されますので、できればそういうものから適用したらばどうか、こういうわけで八月一日の施行日を予定したわけでございます。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 これも熊谷の市会のことですが、その選挙で何人無効になるわけですか。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 熊谷の市会の定員は三十六人でございますが、現行法で参りますと一応全員当選を失いまして、もう一ぺん選挙運動をやり直さなければならないということになつて参ります。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 この前に行われた参議院の全国区の選挙で、栃木県の佐野市の問題があつて、それを目標にしてやつているのかと思いましたが、そういう場合も予想しているわけですね。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 私の言葉が足りなかつたかと思いまするが、今の二百五条、二百九条の改正規定等は、参議院の全国選挙について起つております佐野市の問題から適用があることになるわけでございます。それから二百七十一条の二の規定は、これはすべてについて適用があるわけでございます。従来もうすでに熊谷は判決が確定いたしておりまして、従いまして、但書の方でなく、これは従前の例によるので、但書の方はこの法律施行の日において係属しておるものだけに適用することにいたしております。熊谷はもうすでに判決が確定いたしておりまので、係属しないで、つまり附則の第一項、第二項の但書の適用がない、こういうことになるわけであります。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 そうすると、この二枚つづりの方を審議すれば両方含まれるわけですね。この方を審議して通ればそれでいいわけですか。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 熊谷につきましては、いずれにいたしましても二百五条、二百九条の規定は適用されないことになります。ただいま申し上げましたように、附則でそれまでは適用しておりませんので、今裁判にかかつているもの、進行中のものだけにしか適用しないことにしておりますから、従いまして、二枚つづりの方につきましては、半分は、二百七十一条の二の方は熊谷にも適用がありますが、二百五条、二百九条の改正規定は、熊谷には適用がないということであります。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 だから、これが通れば両方いいのですねと言つているわけですが……。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 両方いいということが、両方とも適用させたいという意味でございますると、いいというわけに行きません、今の二百五条、二百九条は熊谷には適用がありませんから。

森三樹二日本社会党(左)

○森委員長 ちよつと委員長から質問いたしますが、熊谷の場合にはもうすでに判決が下つて、全部の再選をしなければならない状態になつているのでありますから、二百七十一条の二の改正だけでいいという意味ではありませんか。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 結果はそういうことになります。

森三樹二日本社会党(左)

○森委員長 もう判決が下つてしまつて、全部改選しなければならないのだからですね。ところが、全国区の選挙の場合には、二百五条の後段、二百九条の後段の改正によつて、当選の効力を持続せしめてやれるものをつくろうという考えから、こういうものが設けられたと解釈していいですか。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 そういうわけです。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 この規定は、この二枚つづりの方に入つているのでしよう。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 一枚刷りの方の規定は二枚つづりの中にもちろん入つております。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 だから、二つ出て来たからこんがらかつてしまうのです。この中に両方含んでおるから、これを通せば、参議院の方も熊谷市の方も、両方の選挙にいいというわけでしよう。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 大体においてそういう意味です。私が申し上げましたのは、二枚つづりの案を審議していただいて、その上で、二百五条、二百九条の規定を落そう、こういうものはいろいろ解釈上の疑義もあるから、この際は避けて次の機会に譲ろうということになれば、この一枚刷りの案になるわけでございます。従いまして、その場合は一枚刷りの案を御審議願えばいいのであります。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 それだと、栃木のものが無効になつた場合は間に合わないわけですね。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 その点については、要するに人的一部無効と申しますか、ある人だけの当選は失わせはないという規定が適用がないだけでありまして、従来の解釈によりまして、その間に全部の人が一応選挙を失うことになつてさらに選挙をやり直す。しかし、実際上は、佐野は約三万票くらいが有権者の数でありますから、その三万票の得票の異動によつて当落に影響のある人だけが影響を受けるだけでありまして、それを差引きましてもまだずつと得票の多い方は影響はない、こういう結果になつております。

田嶋好文自由党

○田嶋委員 そこで問題は、根本的にちよつとお聞きしなくちやならぬのですが、この実例として今日起つている熊谷の問題が再選挙に発展して行つた場合、ただいまああところの公職選挙法第三百五条によつて、全部が議員の資格を失うということになりますと、国会の構成はどういうことになりますか。これはまあ法規を見ればわかることですが、一応……。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 それは一応当選を失いまして、次に選挙が行われまして議員が出て来るまでの間は、議院の構成を欠く、こういう結果になつております。

田嶋好文自由党

○田嶋委員 そうすると、議院の構成を欠くのだから、参議院の審議はどういうことになりますか。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 参議院議員中の全国区選出議員は、本来の定員である五十名とそれから三人の三年議員を合せて五十三名の選挙を行いましたので、全体の二百五十名のうちの五十三名の問題であります。それで定足数を欠くかどうか、あるいは特別議決の場合にその定数に欠けるかどうか、こういうことによつて決定せらるべき問題だろうと思います。

田嶋好文自由党

○田嶋委員 そういう問題が起るので、国会の構成上も、国会開会中は非常に支障が生れるおそれがある、こういうことになるわけですか。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 国会開会中にそういう選挙が行われるということになりますと、おつしやるような結果、つまり五十三名の者がいなくなるというようなことになると思います。

田嶋好文自由党

○田嶋委員 また全場区選出参議院議員以外についてそういうような場合が予想されますか。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 たとえば、熊谷の方はもうすでに判決が済みましたが、これは三十六名の定員で今のように再選挙ということになりますと、その三十六名が地方議会開会中であるとすれば、全部失う、こういう結果になります。

田嶋好文自由党

○田嶋委員 そうすると結局、そうした議会運営上にも、現行法をもつてすれば支障を来すおそれがあるから、これはぜひとも改正してもらいたいという熱意を持つている、こういうことになるのですか。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 自治庁からはそういう意見が出ております。

田嶋好文自由党

○田嶋委員 わかりました。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 この二百五条の「後段として次のように加える。」、この中にあるのですが、これは昔の町村制ですか、府県制ですか、当時の法律をそのまま持つて来たんだそうですが、多分そのときにもこういう条文があつたのだと思うのです。当選に異動を生ずるおそれのない者を区分することができるときは、選挙の一部が無効になれば、たとえば参議院の選挙の場合などは、選挙区というものが特定されるのですから、有効投票というものの数も特定されて来るのですから、いつも区分ができるように思いますが、区分することができない場合というのはどんな場合でしよう。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 これは、当選者ときめていい人とそうでない人との境を区分することができるときは、こういう意味でございます。従いまして、ある何人かの当選者があつた場合におきまして、そこのいわゆる有権者名簿に登録されております何票かの投票を、全部その区において得票した人はなかつたものだ。その有権者名簿に載せられておる票数を一応全部差引いて考えた場合において、なおかつ全体の得票数が法定得票数以上であり、そして他の当選者との関係で定員以内であつたというような場合は、当選に異動の生ずるおそれのないものとして決定することはできる、可能性があるだろうと思つております。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 だから、有権者の数を差引けば、いつでもそろばんは出て来るのですから、いつでも区分することができるのですから、区分することができないという場合があるかというのです。有権者の数を差引けばいつも区分ができるのじやないですか。それだけ引いた残りでちやんと計算が出て来るのですから、いつも区分ができる。数ですから、できますよ。

田嶋好文自由党

○田嶋委員 そういう意味じやない。境ですよ。当選かどうかの境のところはむずかしいのが。上の方は当選できるし、下はできない。境なんですよ。だからこれは書きようが悪いのだね。

森三樹二日本社会党(左)

○森委員長 書きようはむずかしいですよ。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 これは全国区だけではございませんで、すべての選挙に通ずる問題であります。一部無効の場合には、衆議院なら衆議院で選挙公報が聞違つておつたと仮定いたします。ところが得票数の差が最下位の人と落選者の間に十票とか千票だとすると、票数を引けばおつしやる通りに特定いたします。しかし、ここで言つておりますのは、選挙公報が間違つておつた。これをかりに間違つていない選挙公報のもとにおいて投票したら、どういうふうに各候補者が票を得ておつたであろうかということを想像するわけでございます。そういう想像をして、かつ絶対にこれこれの人は当選を失わないという人と、接近をしておる人はあるいはそういう状態のもとにおいては下の方の人が多くとつたであろう。そうしたら最下位の当選者が落選をして、次点者が当選圏に入る、そういう可能性が出る。それですから、票数を引けば特定しますけれども、ここで論じておりますのは、違法な選挙をやつたのだが、もし違法でない状態においてその当時に投票が行われたとしたら、各候補者の得票の分布がどうであつたかということを想像しまして、そうした上で、当選に異動を及ぼす者と及ばない者が、区分できるかどうかということを言つておるわけでございますから、得票数の状況、あるいは選挙違反の実態、場合によりましたら候補者の選挙の地盤、そういうこと等を考えますと、異動が及ぶ場合もあれば及ばない場合もある。また人によつてそういうような区分ができ得る場合があるわけでございます。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 たとえば栃木の場合を例にして、佐野なら佐野、ある一部が無効になるから佐野の選挙は無効になるのでしよう。そうすると佐野の有権者がかりに三万あるとすれば、三万票を標準にして計算が立てられるから、はつきりするのではないか区分はちやんとできるのです。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 それでは私からつけ加えて説明申し上げます。区分することができるときは、確かにおつしやる通り数の問題でございます。但し、これは判決の場合において決定いたしまするので、判決の場合と、前に行われた選挙の場合とでは時期が違つておりますし、それからまた、次にこれによつて再選挙を行います場合の時期は、また時間的なずれがあるわけであります。従いまして、ほんとうは再選挙をやりますときの有権者名簿に載せられております数がほんとうの投票の数になるわけであります。従いまして、それを差引くことが、できれば一番いいわけですが、判決のときには補充名簿もまだできておりませんし、つまり前の選挙に使われた名簿を基礎として、それから推定して、これだけの数であれば、従来の人口の異動とか、あるいは有権者名簿の異動等を勘案してさしつかえなかろうというわけですから、そこは厳密な意味において何十何人という限定した厳密な数字は出し得ないと思います。従いまして、それらを入れた大ざつぱな何百人あるいは〇〇人という数字を差引いて区分することになるのです。その区分するというときには、そういう観念も入れておりますので、ただの数だけではすぐにはいけない、こういうわけであります。

羽田武嗣郎自由党

○羽田委員 これは法文のことではありませんが、参考に聞いておきたいのですが、佐野市で一応再選挙しなければならぬ人はだれとだれとあるのですか。上の方の人を参考までに聞きたい。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 実は訴訟係属中でありまして、佐野市のことを申し上げるのは私どもとしては非常につらいのでありますが、裁判所の方で公正な判断が下されると思いますので、御質問もございましたから申し上げます。  私の方で具体的に得票を計算してみますと、影響は四十八位の大倉精一さんまで及びます。得票が十六万九千二百七十二、社会党左派です。それから闘根久藏さん、十六万四千六百三十九票、自由党吉田派、それから大谷贇雄さん十六万二千六百十六票、自由党吉田派、八木秀次さん、社会党右派、十六万一千二百五十票、柏木庫治さん、緑風会、十六万五十七票、楠見義男さん、緑風会、十五万九千六百五十二票。参考までに低い方の方を申し上げますと、平林剛さん、十五万九千三百十六票、第五十五位が前野與三吉さん、無所属、十五万八千四百五十票、大須賀貞夫さん緑風会、十五万七千四百八十四票であります。

羽田武嗣郎自由党

○羽田委員 そんなところで勝負になるのですか。この三人だけですか、上り得る人は。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 それはずつと下まで可能性はあります。三万票ありますから、一人で三万票とられますと当選されるわけです。

木村武雄自由党(分)

○木村(武)委員 次点から何人くらい可能性があるのですか。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 第八十位の藤田藤太郎さんまで当選の可能性がありますから二十七人。上の方は今の六人以上には及びません。得票が一人に集中しますと絶対に一人しか落ちないわけですから、近くの人に三万票が平均して入りまして、それがずり上つて来た場合が最大の可能性で、その場合に六人が当選をしているが、そのうち落選の可能性がある。そこで、全国区の参議院の選挙と教育委員は複雑であつて、六年議員が三年議員になる、三年議員が六年議員になる、教育委員は四年委員が二年委員になる、二年委員が四年委員になるということで、またそういう複雑な影響が及んで参ります。

大村清一自由党

○大村委員 この問題については、三浦法制部長からも触れられたことではありますが、今度の立法をします主要なところは、不必要な選挙はこれを避けよう、そして失格者も少くしようとするところにあると思います。現在のこの法案によつてみますと、当選を失うおそれのないのは当選を失わさないで、五人か六人かの当選だけを、今の佐野の例で申しますと、六人ばかりの人の当選だけを失わせまして、その人が再選挙で争うということになる。この点は、立法の目的から言いまして、まことに当然だと思うのであります。そうならば、さらに一歩一を進めまして、当選しなかつた者の中でも、佐野市の三万票を全部とつても当選の見込みのない者は、選挙場裡に再び出て来てもむだなことでありますから、立候補を制限するというようなことにいたしましても一向さしつかえない。選挙の混雑も防げるのではないかと思う。もしそれをやらなくて立候補の制限もしないということでありますれば、むしろ全部を無効にいたしまして、フエアー・プレーをさせるというのが正しいのではないか。それにいたしましても、三万の佐野市の得票では絶対影響を受けないという人は、自分で出ないだけのことでありまして、選挙の混雑さを防ぐという趣旨からいえば、むしろ当選無効になる人と、それに近い落選者の中で努力によつては三万票の力で当選をかち得るものだけを限定して立たせるというようなことも、大いに考慮の余地があるのではないかと思うのでありますが、この辺についてひとつ皆さんの御意見も伺いたいと思います。

羽田武嗣郎自由党

○羽田委員 今大村さんやほかの委員の言われたことはまつたくごもつともだと思いますが、実際の問題で、佐野市の選挙管理委員の人が若干のミステークをやつただけのおかげで、一万七十幾つかの町村の正しく選挙をしたものまで影響をされるというようなことは、確かにいかぬと思うのです。だから佐野市以外のものの票というものを生かして行くためにも、今の大村さんの御主張のごとく、六人の人と二十七人ぐらいに限定して、それが立候補ができるというふうに、もしやるなら、私はそうすべきだと思うのです。それで全国の傷のない投票というものは生かして行くということが必要だと思うのです。そういう点、私も大村さんの御意見にまつたく同感です。  それから、今の条文の中で「当該再選挙の行われる区域、選挙運動の期間等に応じて政令で特別の定をすることができる。」という、政令で特別の定めをすることができる内容は、一体どういうことを予定されるか、この点をちよつとお聞きをいたしておきます。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 最初の大村委員の御意見に対しまして、羽田委員からお述べになりました中で、ほかの市町村の投票は有効にしてというようなお話があつたようでありますが、これは当然有効なんでございます。佐野市においてだけ投票が無効になりまして、ほかの町村はもう確定しておりますから、念のために申し上げておきます。  それから、政令で規定いたします事項は、お手元に公職選挙法施行令改正案要綱というのを差上げてあるはずでございます。私どもまだ正式に決定をいたしたわけではございませんし、御意見がございますれば、委員会の御意向等も承りましてきめたいと思つておりますが、考えておりますのは、衆議院、参議院、知事、都道府県の教育委員、これにつきましては十日間くらいにしたい。実は一部無効の再選挙というのは、そう広い区域について起るとは考えられませんので、市町村あるいは市町村の一部でございます。そういたしますと、せいぜい十日程度でよくなかろうか、もしこれが郡単位とか、そういう広い地域について起りました場合、そういう場合には「少くとも十日」となつておりますから、十五日前なり、あるいは選挙公報が一県一円間違つておつたという場合には、二十五日なり三十日なり前に告示をして、十分に選挙運動が行えるように運用でまかなつて行けるのではないか、そういうことで一応十日といたしております。  都道府県の議会の議員と五大市の議員、それから五大市の市長、五大市の教育委員会の委員の再選挙では七日間、これは現在の法律では二十日前ということになつております。  それから、第三は、五大市以外の市と町村の議会の議員、長、教育委員の再選挙につきましては、現行法では、市は十五日前、町村は十日前となつておりますのを、五日程度でよくはなかろうかという考えでございます。従いまして、最小限度十日、七日、五日という選挙運動の期間程度に短縮をしましてもいいのではなかろうかという考えでございます。  それから、一部無効の場合の再選挙におきます選挙運動と選挙公営につきましては、大体の大ざつぱな説明でございますが、一、二、三とわけておりますけれども、全国区の場合、府県の区域で再選挙がございますならば、地方選出議員の選挙と同じような程度の運動を認める。一つの郡の区域の程度で再選挙を行います場合には、都道府県の議会の議員の選挙運動と大体同じようなことでやつて行く。市におきましては、五大市の一つの市または市の一部の区域であります場合には、おおむね市長の選挙と同程度、町村あるいは町村の一部の区域であります場合には、町村長の選挙運動と同じような程度でよろしくはないかという考えでございます。  それから、参議院の地方選挙議員と、衆議院、知事、都道府県の教育委員会の委員の再選挙につきましては、やはり区域の広さによりまして、郡の単位では府県会議員なり、市あるいはそれ以下の場合には一般の市長なり、町村あるいはその一部の区域の場合には町村長なり、大体以下同じような考えでございます。できるだけ選挙公営のあります選挙につきましては、選挙の質を考えまして公営はできるだけやるようにいたしたい。  それから、場合によりますと、ある郡で一町村が無効になり、隣の郡で一町村が無効になるということが考えられます。全国区の場合において、北海道のある町村の再投票、九州で再投票というような場合が考えられますのでこういう場合には、適宜選挙管理委員会で、選挙公営なり運動の費用なり、若干特例が認められるような規定を置く必要があるのじやないか。再選挙は九州一円ということも考えられますれば、山の中の蘆湯村のように、人口二、三百のところが再選挙というようなことも考えられまして、実に大小種種さまざまでございますから、その程度のゆとりを選挙管理委員会に与えていただきました方が、実情に合うのじやないかという考えでございます。

羽田武嗣郎自由党

○羽田委員 今の場合、そうするとポスターの枚数とか選挙費用とかいうものは、一切その実情に応じてそのたびごとにきめることになるわけですね。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 この第二項の一号から四号までに書いてございます事項につきましては、政令ではつきりと規定をいたしたいと思つております。この三項だけが、ただいま申し上げましたように、いろいろなケースがございますので、それは政令で書いてある以外にプラスするという考え方で、あまり自由かつてなことはできないように裁量の余地を与えるという考え方でございます。

羽田武嗣郎自由党

○羽田委員 それから今の九州に一箇所一部無効、北海道に一部無効というような場合に、九州の判決は、本日なら本日ある、片方の判決はいつになるかわからぬという場合に、そのもう一方のやつがきまるまではやらないわけですか。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 これは公職選挙法の第三十四条の第三項の規定によりまして、最後の判決が確定するまでは、前に判決がございましてても選挙を行わないようになつております。

田嶋好文自由党

○田嶋委員 さつきの大村さんの質問に答えてもらいたい。

大村清一自由党

○大村委員 前の私の質問が質問の形を備えなかつた点もあろうと思いますので、なお一つ質問を補充して申し上げます。私はさきに発言をいたしました際に、現在の改正案のようにやりますことは、選挙の煩を避けるということが一つの重要な理由になつておるようであります。もし選挙の煩を避けるといたしますと、当選しておりましたものの中で失格者を限定するということだけでなく、どんなにいたしましても当選力のないものは、落選者の中でも立候補権をなくするということも考えることによつて、選挙の煩は避けられるではないか、この点について伺つたのであります。しかし、これはそれをまた反対の考え方でありますが、一体こういうようなことを立法いたしますことは、選挙の実際から申しまして、邪道ではないかというおそれがあるように思うのであります。むしろ、このように一部に無効が起りましたならば、この関係者は全部当選を無効といたしまして、それぞれ自分の見込みによりまして大いに再選挙で争つてよろしい。その場合におきましては、どうせ当選する見込みはありませんけれども、同志の当選を助けるために、堂々と犠牲候補に出て選挙を争うということも、選挙戦術の一つであります。また全国区議員で多数の得票を得ていて、佐野市の票がどのように動こうとも自分には無関係だと確信する人は、自分で選挙運動をやらなければよろしいのであります。ここで選挙場裡に出て争う人をことさら制限するようなことをやることは、かえつて選挙の公正を害するというようなこともあるので、これらの点につきまして立案者はどのような御研究をなさいましたか。この点につきましてその御意向を伺つておきたいと思います

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 ごもつともな御意見だと思いますが、落選者につきまして、ことに当選見込みのない落選者につきましても、やはり同様の受置を講じた方がいいのではないかという御意見につきましては、一応さようにも考えてみたわけでありますが、しかし再選挙は選挙のやり直しでありまして、もう一回そこで選挙をいたしますので、その結果、落選した者でありましても、その得票数には異動を生じて来るだろうと思うわけであります。従いまして、得票数の異動は同時にその人の法定得票数の問題に関連いたしまして、今までは法定得票数以下で没収点になつた者でありましても、場合によつてはやりかえによつてかけ上るというようなことも一応考え得るわけであります。従いまして、そういうような点を考えまして、落選考につきましては特別の制限をしなかつたわけでございます。それから、なるほど御意見のように再選挙は、長い剛、選挙のやり直しという観念で、全部御破算にいたしまして新しく逐鹿戦場に出て戦うというようなことで今まで来ておりましたし、またその解釈でもあつたわけでありますので、それで行くことが一番すつきりした形であろうと考えますが、何分戦後参議院の全国区というような特殊の選挙組織が出て参りまして、それに対する批評、あるいはさらに、衆議院の選挙の場合においてはさようなことも従来あまり影響なかつたかと思いますが、全国区の場合においては、その結果議席を欠く人が、ある期間生ずるというような結果をも招来いたしますので、それらの点から、少し本筋ではないかもしれないが、そういう趣旨で、選挙の当落、選挙の無効の判決の中に、ある制限を加えた意味においてそれる解釈しようではないか、こういうわけであります。従つて、それらの点をお考え願いまして、皆さんの方で最後の方でいいということでおきめを願えれば、それが一番いいんじやないかと思います。

田嶋好文自由党

○田嶋委員 私は先ほどちよつと政府の肩を持つたような質問をしたわけなのですが、政府の答弁はその点において一致したのです。私の質問に答えられた意味において、この改正はりくつが通ると思うのですが、後ほど大村さんが質問したところが、選挙の煩雑をなくするためにという言葉が出て来たので、つい下の方の問題まで起きて来たと思うのです。私たち、この改正案を通すには、やはり国会の構成上支障を来すという意味において、初めてこの改正案がりくつ上了承されるのであつて、選挙の煩雑ということを言えば、選挙は煩雑なものなのです。それを簡略にしようというところに非常にむずかしさが起るわけで、そうした意味ではこの改正案の目的はなくなるのじやないか、こう考えるのでありますが、その点承りたい。  それからいま一点、大村さんの言われたように、結局下の方まで一応行くということになりますと、憲法違反にはならないのでありますか。立候補の当選者は別として、この点もひとつ伺つておきたい。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 最初にお述べになりました点、選挙の一部無数は、少くとも国会に関する限りにおきましてはさようであろうかと思います。この規定は地方議会その他にも同様に働いて参りますので、その趣旨をさらに押し広げれば、そういう意味においての国民の代表機関の構成を欠く。その他の選挙の場合にもございますけれども、そのようなことは確かに言われるかと考えております。  それから、憲法上の問題でございますが、御承知の通り再選挙は、選挙のやり直しという観念でやつておりまして、この前の選挙で立候補しなかつた者をこの機会に新しく立候補させるということは、従来も考えておりませんし、また再選の本質上さようなことにはならないかと考えております。従いまして、この前の選挙に立候補した者だけが再び立候補する資格があるわけでありますので、その限られた範囲内において、ある一定の人、当然当選の見込みのない人を当選させないということでありますから、選挙の平等という観念から見てもさしつかえないのではないかと思います。但し、すべてを新しく立候補させるということになりますと、仰せのような憲法上の問題が起るかと思います。

森三樹二日本社会党(左)

○森委員長 松永さん、御質疑ありませんか。

松永東自由党(分)

○松永(東)委員 私は熊谷の選挙について伺いたいのです。熊谷の市会議員の選挙が無効の判決を受けたことは聞いておりました。その無効は全部無効ですか。あれはたしか開票場が第一と第二とあつて、第二開票場が無効だというふうに聞いておりましたが、それをひとつ承つておきたい。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 熊谷市は開票区が五つございまして、そのうち第二開票区だけが無効になつております。

松永東自由党(分)

○松永(東)委員 現在三十六名の市会議員が全部無効でやり直しというお話がさつきあつたのですが、それはその第二開票区だけが無効でもそういう結果になるわけですか。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 現行法ではそうでございます。但し、第一、第三、第四、第五開票区の前の投票はそのまま有効でございますから、第二開票区の中にあります投票所の投票をやり直しまして、その結果と以前の得票とを合計して、新しく当選人をきめ直すということになつて参ります。判決が確定いたしましてから、その選挙が終つて、選挙会が終りますまでは、市会議員は一人もおいでにならないという状態になつおるわけでございます。

松永東自由党(分)

○松永(東)委員 そうすると、先ほども御説明があつたようですが、前の選挙のときに立候補をした人のみが立候補し得るというのですか。さらにもう一つ続いて、その前の市会の選挙のときに投票権を持つておつた人のみが投票をなし得る有権者ですか。それを承りたい。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 前の候補者でありました方は、当然に候補者になります。それ以外は新しく立候補できません。現行法では立候補辞退も認めないという解釈になつております。それから有権者は、選挙の直前に補充選挙人名簿というものをつくります。それまでに新しく二十才になりましたとか、引越して来て居住の期間が三箇月に達した、あるいは刑の期間が満了したというような新しい有権者あるいは選挙権を回復した人も、選挙に参加できることになります。

松永東自由党(分)

○松永(東)委員 そうしますと、熊谷市の全有権者がことごとく無効になつた第二開票区、そこにその後移住して来てもう二年もたつたわけですが、そうしたときの選挙の結果は、やはりただいま仰せになつて通りの現在の有権者の数によつて当落はきまるということになるわけですか。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 そういうことになると思います。若干の住所の移動によつて第二開票区へ入つて来たというような方もあり得ると思います。これは、実際問題といたしましては、そこに住んでおつたのによそへ移住したとか、あるいは選挙権を失つてしまつたとか、あるいはなくなつたとか、それはもう約二年の間に非常な変化がございます。それを二年前の状態において正確にやり直せと言つても不可能でございまして、やはり再選挙は、再選挙を行います際の状態において行うほかはないと思います。

松永東自由党(分)

○松永(東)委員 有権者の数は、選挙をやるときの現状においての姿でやるということですと、候補者も、二年もたつておるのだから、新たな候補者が出て来たつてよさそうだと思いますが、その点はどうでしようか。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 選挙無効に二通りでございまして、選挙が全部無効になるというまつたくやり直しの場合と、一部無効の場合とでございます。一部無効は、ある一部分に欠点があつたからそれを補充するという性質の再選挙でございます。ほかの面は完全無欠なものであつたのに、ある部分だけに違法があつたからそれを是正するという以上は、全体として昔の状態のままで再選挙をやることが性質上当然ではなかろうか、こういう考えから、候補者が新しく立つことを認めないという制度になつておるのではないかと考えます。

松永東自由党(分)

○松永(東)委員 候補者だけが二年前の候補者がそのまま現われて、有権者だけはいくらかわつてもおかまいなしというのは、ちよつと合理的でないように思うのですが、法理上の根拠もあわせて伺いたい。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 ただいまの御意見はごもつともでございまして、筋といたしましては、すべて新しくやるというのも確かに一つの理論であろうと考えております。ただ、従来再選挙は、ただいま金丸君から話がありましたような観念で来ておりまして、元の選挙がなかつたと同じような状態、出発点に帰り、もう一度途中の手続の瑕疵を整頓させてやり直すという観念に立つておりますので、候補者は認めない。そうしますと、有権者も昔の名簿でやることが当然でありますけれども、その点は多少時勢の変化なり何なりを勘案しまして、新しい名簿による方が合理的ではなかろうか。現在の国民代表あるいは地方民の代表だものですから、代表としてはやはり新しく構成された有権者の方々から選ばれるということがその性質に合うのではなかろうかということで、半分は妥協、半分は理論、こういうことになつておると思います。

松永東自由党(分)

○松永(東)委員 どうもその点がきわめて不合理だと思うのでありますが、有権者の権利を現在の有権者に認める、こういうならば、二年もたつておるのですから、候補者も現在の候補者はどなたでもよろしい、お立ちなさいということが民主的じやないかと思います。二年前には有資格者であつたりつぱな人物が、二年後の今日は少し頭がぼけたということで不適格と認められるような人もないとも言えません。ですから、現状のままでやるお考えならば、候補者も有権者も一貫した理論で行かれることが合理的だと思います。もしそれで行けないとするならば、法律上の根拠がどこから来ておるか、その点をひとつお示し願いたいと思います。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 大体論といたしましては、やはり元の選挙のやり直しだという観念を中心として考えて来ておりますので、選挙人名簿はただいま申し上げましたようなことでございますが、たとえば立会人、それから開票管理者等につきましては、その人がその後の異動によつていなくなつておれば別問題でありますが、やはり従来の人がなるという建前で今までは進んで来ております。ただ、名簿に関しましては、先ほど申しましたようなことがございますので、先ほどは半分と申し上げましたが、大部分は古い観念で来ており、三分の一か四分の一くらいが新しいところに足をつつ込んでおるのではないかと思つております。但し、この問題は、法律的にこれを確定して、規定の上でどこにそういう根拠があるかと申しますれば、規定上には特に明らかにはございませんが、長い間の選挙法制定以来の従来の観念でありますし、同時にまた裁判等におきます観念もそういうことに立脚いたして来ておりますので、法律的の措置として御意見のようなふうにきめるのがよいということであれば、これまた別問題になるかと思います。

松永東自由党(分)

○松永(東)委員 法律的の根拠がなくて、大体原則的に考えてみてそうじやろうというような考え方も一応うなづかれると思います。そこで、私はあらためてお伺いしたいのですが、熊谷市の選挙については特例をお設けになるつもりでありますかどうか。それはなぜかというと、第一に選挙をやるについては、いずれの候補者もやはりビラをまいたりあるいは選挙演説をやつたり、相当やるごとと思います。そこで、第二開票場だけ無効の場合、第二開票場の地域だけの選挙をやられるというときに、選挙費用とかあるいは運動方法とかについて特例をお設けになるお考えはないかどうか、それをひとつ承つておきます。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 お手元に資料として、「郡、市及び市の一部における再選挙の参考資料」というのが差上げてありますが、小さな市の一つの開票区の区域で再投票を行います場合に、どの程度の選挙運動を行えるようにするかという一つの案をつくつてみたのでございますが、一番下の欄にございますように、選挙事務所は一箇所、自動車、拡声機は一台、はがきは、市全部の場合は五百枚でありますが、地域が狭くなりますので、市全体の有権者とその開票区の有権者との比率で枚数をきめようというわけで、これは運動用ポスターにつきましても同様でございます。それから新聞広告は、一般の市会議員の総選挙と申しますか、一般選挙の場合には、新聞広告を一回有料でできますけれども、一開票区程度の場合にはそういう必要もないのではなかろうかというふうに考えております。それから、あとは個人演説会の関係でありますとか、標旗とか、運動従事者の数が十五人であるとか、そういうようなことは別に制限をいたす必要もないと存じます。それから氏名掲示、これも一箇所が当然であろうかと思いますが、その期間は一般の選挙の場合は六日でございますけれども、先ほど御説明いたしましたように、市の再選挙におきましては、選挙運動の期間は七日程度でよろしくはないかと考えておりますので、氏名掲示の期間は二日程度にいたしたいというふうに考えておるのでございます。選挙運動の費用は大体二万円見当になるかと存じますが、そういうような特例を設けるつもりでおります。

木村武雄自由党(分)

○木村(武)委員 再選の場合に、新しく立候補する者を制限するということは、そうすると便宜上なんですね。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 先ほど松永委員からも法理上の根拠はどうかというような御質問がありましたが、法理上という言葉は、実質的な意味で法理上と仰せになりましたのか、何か公職選挙法の条文にそれを推定させるような規定があるという御趣旨でございましたのか、はつきりいたしませんでしたが、公職選挙法にはやはり追完する、従つて全然新しい候補者が立候補することを認めないのだという趣旨をうかがわせる規定があるのであります。たとえて申し上げますと、第七十二条に「選挙の一部が無効となり再選挙を行つた場合の開票においては、その投棄の効力を決定しなければならない。」これもやはり選挙の一部だけを補完するというような考えが現われておると思います。それから、第八十条の第三項に、選挙の一部が無効となつて再選挙を行つた場合には、すでに各開票管理者から有効、無効の投票あるいは各候補者別の得票数の報告を以前の分と合せましてもう一ぺん調査して、各候補者の全得票数を計算しなければならない。第八十一条の第三項に、参議院の全国区につきまして、これと同様の規定がございます。そのほか、全然ほかにもつと明確に立候補は認めないのだという趣旨のことはございませんが、これは古く内務省の省議等で決定をいたしておる例がございます。

木村武雄自由党(分)

○木村(武)委員 私今の話を聞いておりますと、第七十二条でも八十条、八十一条でも、新しく立候補するものを禁止するという条項には当てはまらないと思いますが、どうして新しく立候補するものを禁止しなければならないか。その法的根拠はまつたくない。それを禁止するということになつて参りますと、私は重大問題になつて来やしないかと思う。逆に考えて、かつて立候補した者は今度はどうしても立候補しなければならないという義務があるのかどうか、そういう問題も出て来るのであります。そういうように、しやにむに自分の考え方に当てはめようとする物の考え方はお捨てになつたらどうか。これは立候補することは権利であつて、それを束縛する憲法上の重大なる規定があれば別ですが、憲法上規定がなくて、再選挙なるがために新しく立候補するものを禁止するということは私はあり得ないと思う。そういうようなことはお考えにならない方がいいのじやないか。逆に立候補は義務になるか。かつて立候補した者は、その場合にはどうしても立候補しなければならないか。私は義務じやないと思う。それは根拠がなければおよしになつたらどうか、こう思いますが、どうでございましようか。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 先ほど御指摘の問題を立候補の問題に限りますと、立候補の問題につきましては、直接規定がないと私も考えております。ただ、ほかに選挙の一部無効に関する規定があるわけでございますけれども、それ自体からする立候補は、ほかの新しい人がやつてはいけないということを推測するには不十分であろうと思います。その点は同意見でございます。但し、御承知のように、選挙は再選挙と補欠選挙とございます。補欠選挙の方は、ある欠けた人を補うという観点から、選挙のやりかえという観念に立脚しておりませんので、これは常にどういう人が立候補してもかまわない。ところが再選挙は、その前の選挙に瑕疵があつたから、その選挙をもう一度やりかえるという観念に立脚いたしておりますのが再選挙という観念でございますし、また従来学者等あるいは選挙法の取扱い上もさように考えて来ておりますので、そういうような再選挙の本質上の立場からいたしまして、再選挙は前の選挙に瑕疵があつたからこれをやりかえるのだ、要するに御破算にして何もかも新しく立候補をさせちやうというのではなくして、傷が一部にあつたのだから、その傷のある部分だけやりかえる。従つて、傷のない部分につきましては、できるだけ従来通りのスタートで行く、こういうことが再選挙の観念でございます。従いまして、そういう観念に立脚いたしまして、現在の選挙法の組み立てられておる再選挙という意味を解釈いたしまするならば、先ほど申しましたように、立候補というものは前に立候補した人だけであつて、新しくは立てないということに本質上なると思います。  それから次には、それでは立候補は本人が好まないのに、義務として無理やりに立たされることになるのではないかということ、確かにごもつにもだと思いますが、ただいまのような観念に立脚いたしますと、再選挙は法の擬制、すなわちフィクシヨンでありまして、立候補しなくても、手続は、従来候補者の意思を反映させるために、立候補の届出という観念を入れておりますけれども、この場合においては届出というような候補者の観念を排除いたしまして、何らの手続をしなくても一応立候補したものとみなされるという観念で来ておるわけであります。従いまして、その限りにおきましては、本人の意思いかんにかかわらず候補者となりまするが、本人が選挙に立ちたくないと思えば、選挙運動をしないでありましようし、そういう面で本人の意思というものが現われるというようなことに、従来の観念は来ておるわけでございます。これを再検討いたしまして、さらに法律上の規定の上において明確にするかどうかということは、前々から再選挙の問題はいろいろ議論のあるところでありまして、新しい立法措置を講ずべき一つの課題であろうかと存じます。

木村武雄自由党(分)

○木村(武)委員 私は、再選挙というものは選挙の変則形態であつて、本質的なものではないと思う。そうですから、やはり選挙の本質から議論して行かなければならない。選挙とは何だといえば、国民の意思を問うのであります。国民の意思を問うためにはやはり立候補する者を制限するという物の考え方は間違いである。かつて内務省にそういう慣例があつたといたしましても、それを改めて行くというのが新しい民主主義の形態じやないか。内務省の慣例があつたからといつて、今日それをそのまま踏襲して行かなければならない、そういう物の考え方は、私は新しい時代においては間違いじやないだろうか。そうですから、物の考え方として、これは新しく立候補するものを再選挙なるがために禁止するということはおやめになつた方がいい。国民の意思を問うという選挙法の根本趣旨に反すると私は解釈をします。それはおやめになつたらどうか、こう思います。

大村清一自由党

○大村委員 この際もう一点伺つておきたいと思うのであります。それは今回の改正の本質を明らかにする上からお尋ねをするのであります。再選挙は、だんだんお話もありましたように、選挙の瑕疵のありましたものをやり直すという考えでございますが、それならば全部やり直すというのが筋でございましようが、しかし、今回の二百五条の案のように、選挙の結果に異動を生ずるおそれのない者は当選を失わせない、選挙によつて失格をしないという便宜措置をとるのであります。この場合伺つておきたいと思いますることは、もしその当選を失わない者に投票がありました場合に、その投票は有効であるか無効であるか、もし無効であるとするならば、法律上の根拠はどこにあるかという点であります。このように申し上げますことは、選挙の結果に異動を生じないからいいようなものでございますが、たとえば全国区の選挙におきまして第一位を獲得した人が、これは当選を失わないために、佐野市におきましての三万票という票は、もうすでに当選者でありますから、再選挙においてその人に投票するということはほとんどないと考えなければなりません。そうしますと、三万票失うために全国の第一位を失つて、政治家としては非常に大きな収穫を失うというようなこともありますから、自分でそれを失わないために堂々と立つた場合に、その人にあつた投票は有効か無効かというような点が問題になると思うのであります。そういうようなものも、選挙の結果に異動を生ずるおそれのない者に当選を失わせないという便法をとるがためにいろいろのひずみがそこに起つて来ると思うのであります。それらの調節については十分立法上考えられているかどうかというような点を、この際伺つておきたいと思います。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 その点につきましてはかように一応考えております。当選を失わないことになつた人につきましては、いわゆる候補者でないわけでございますので、候補者でない者に投票した投票は無数とするという規定が六十八条にありますので、それによつてその投票は無数となる。従いまして、かりに二百五条のような規定が置かれまして、それによつて当選人ときめられれば、その運用によつてでき得ると考えております。

大村清一自由党

○大村委員 多分そうであろうと思うのでありますが、そうなりと、この再選挙というのは本質は再選挙でなくなるのであります。と申しまにるのは、前の選挙におきましては特定の人に投票をしておつた者がは今度の選挙におきましては、当選を失わせないという措置をとりましたがために、従来出ておつた特定の人に来ておつた三万票というものは別の方に流れてしまいまして、従前の選挙と同じような選挙をやろうという趣旨がまつたくくつがえつて、再選挙でなくなり、実は新しい選挙になつてしまうという大きな矛盾があるではないかと思うのであります。その辺についてはいかがですか。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 まつたく意味がなくなるということは少し強過ぎるかと思いまするが、多少の点において、その再選挙の意味が少しぼやけて来るということは事実であろうと思います。かしかしながら御承知の通り佐野市におきまして、全国区の五十三人の人がそこで全部票を得ておれば別問題といたしまして、そこで票を得てない人もあるわけでございます。そういう場合におきましては、再選挙になれば得てない人が新しく票を得るし、前に何票か得ていた人が、それ以上にあるいはそれ以下になる場合もあり得ますので、さような意味におきましては五十歩百歩ではなかろうかと思います。

田嶋好文自由党

○田嶋委員 そこで、先ほど私が問うたのですが、選挙の煩雑を防ぐためにということですが、この改正によつてどういう煩雑が防がれますか。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 これは自治庁の方から答弁していただく方がいいかと思つておりますが、私からもつけ加えて申しておきます。実際当選に影響のない人がわざわざ選挙運動をしなければならない。自分は当落に関係がないから選挙運動をしなくてもいいわけでもございましようけれども、ほかの人がやるのに自分だけだまつておるわけには行かない。しかもそれは、当選人として確定されたのではなくて、一応はやはりそこの選挙が無効になつて、自分もまた当落が確定していないのだから、さらに出直して、そこで大いにかせぎたいというようなこともあり得るかと思います。そういたしますると、これは一例でございますが、そういう人が出て来て特にその人の当落をきめなければならない必要が——法律上の意味においてでございまして、政治上の意味においては別問題であるかもしれませんが、——ないにかかわらず、たくさんの人がその狭い地域において選挙運動を限られた短かい期間にやらなければならない。それは非常に混雑を来す。またいろいろな点においても不経済な点も多いのではないかというような点が、その一例ではないかと思います。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 選挙の執行の煩雑というものではございませんで、政治的には、先ほどおつしやいましたように、国会の運営なり自治団体の運営をスムースにする、それから、選挙自体から考えますと、もう一ぺんわざわざ選挙運動をやらなくても、——絶対当選間違いない人まで選挙場裏に無理にひつぱつて来ないでもいいじやないか、そういう意味でございます。

田嶋好文自由党

○田嶋委員 自治庁の意見はそれでわかりましたが、立案者の三浦さんの言う煩雑だというのはどうも気にかかるのですよ。結局煩雑といつても、あなたが煩雑と考えるだけで、票数が余つた当選確実な人はおそらくここには行かぬと思うのです。そんなばかなことをやる人はありません。選挙するのに制限してもしなくても、同じ人が選挙するのだから、これはむしろ自由意思にまかしておいた方が、公明選挙の上からいつてもいいのではないかと思います。これは自治庁の考えのように国会の運営、地方自治庁の運営に支障を来すおそれがある、こういう意味において、これが改正されることに賛成するものである、こうなるのですが、三浦さんいかがです。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 ちよつと言葉が足りなかつたかもしれませんが、たとえば氏名の掲示を例にとりますと、氏名の掲示は全部の人が当選を失つたと見なされますれば、全部の者を書かなければいけません。しかも、一投票区に何箇所というようなことをやらなければならないわけでありますが、これが限られた人数になれば、その人数はごく限定された範囲で済むかと思つております。それは確かに選挙執行上の煩雑性の問題であろうと思います。しかしそれが本質であるかどうかということは別問題であろうと思います。

松永東自由党(分)

○松永(東)委員 念のために一つお伺いしておきたいのです。私は、この二百五条の後段の点なんですが、これは非常にけつこうなことだと思います。それは全村あるいは全町入つても当落に関係のない人を必ずしも無効にする必要はない。この案は非常にけつこうな案だと思うのです。そこで、こうした一部無効の再選挙の場合に、刑罰についての特例を設けるとかなんとかいうお考えはないのですか。そうした特例を設けるお考えはないかもしれないが、これは非常に大きな犯罪が起りやすい。私は現に苦い体験を昭和三年になめているのです。これは余談ですが、あの時分には火ばし事件というのがありまして、村長が投票箱に投票が積つて来たのをならすために火ばしでならした。ところが火ばしをおつことした。それで投票箱の中に火ばしが入つておつちや無効だろうということで封印をはがしてその火ばしを出した。そこへ言いがかりをつけて当選無効の訴訟を起して、今の岩田宙造博士が私の代理人となつて、結局当選無効になつたのですが、そのときの論争の中に、今の一部無効再選挙の議論が原被両方から相当はげしく闘わされた。ところが、その時分に、その村は九百票の村だつたのですが、私は二百十六票で敗れた。そこでその時分の金で——昭和七年ですが、百円で九百票買おうじやないか、そのくらいやつて全部とつてしまつたら、これは二百十六票すぐひつくり返すことができるじやないか、こういうわけです。その時分当選した入は、秦豊助という後の逓信大臣、衆議院議長粕谷義三、こういう人はてこでも動かぬのです。ただ動きやすいのは、私とその時分の代議士で当選した定塚門次郎二人だけだつた。だから私は二百五条の後段の規定が必要だというのは、今のてこでも動かぬような、何にも関係ない奏豊助だの粕谷義三というような人まで当選無効にする必要はない。つばぜり合いをした定塚門次郎と私の二人を当選無効ということにすればいいんだ。こういうので、この後段の規定は非常にけつこうだと私は思う。但し、その時分はきわめて僅少な数を動かせば自由になつたのだから、当落がそこできまるのだから、そこで猛烈な運動を起し、あるいは違反をあえてするおそれなしとしない。そういうときに罰則についても特例を設けるお考えがあるか、どうか。それをひとつ伺つておきたい。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 その点につきましては、罰則の方は、たとえば何年以下の懲役とか禁錮、あるいは何円以上の罰金ということで、刑の量定範囲は相当広くできておりますので、裁判官の心証によりまして決定したらばどうだろうか、かように考えておる次第でございます。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 さつき松永委員の質問の中にあつたのですが、まあ再選挙だから、公平な意味から行くと前にもどつてやり直すのがよさそうで、新しい選挙人名簿でやるということはどうもりくつが合わぬようでありますが、古い選挙人名簿、あれはもうないのでしようね。選挙人名簿というものは九月十五日現在を標準にして幾日とかに確定する。それから補充選挙人名簿はその都度で、現在あるものが選挙人名簿であつて、その当時の選挙人名簿というものは法的にはもう存在しないのだから、事実上やれないということなんだ。妥協でも何でもなくて、選挙人名簿というものは今のよりほかにはないのだから、元にもどりようがないというりくつになるんじやないですか。しようがないから何か妥協で今のでやるというのではなくて、選挙人名簿というものは今の一つしかもうないのですから、今の場合やりようがないのだ。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 確かにそれはごもつともな御意見だと思いますが、選挙人名簿その他投票に関係いたします書類等につきましては、議員については議員の任期間保存するという規定がございますので、たとえば四年の任期であればその期間は一応はあることになるだろうと思つております。しかし、それが非常に長い訴訟にわたりました場合においては、まさに仰せの通りだろうと思います。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 もう一つ、さつきの異動の生ずるおそれのないものを裁判所が今度は裁判をするわけでありますが、そうすると、その異動を生ずるおそれがあるかないかを区分する場合には、現在の判決は当時の有権者の数で判断することになるのですか。数の問題で区分する場合には、これは投票した当時の数ではなくして、今の有権者を標準にしこ判決をしろということでしようね。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 それはさように考えておりませんで、先ほど実はちよつと申し上げたつもりでございますが、判決をするときは、まだ判決があつて後に選挙があるわけでございますから、従いまして判決時におきましては、前に行われた選挙人名簿あるいはその後に補充された補充名簿というものがその基礎になるだろうと思つております。従いまして、その後に選挙がありますと、名簿はまた号の新しい名簿になるわけであります。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 いろいろこまかいことをほじくり出すと、ずいぶん矛盾が出て来るとぼくは思うのです。たとえば、さつきの熊谷の場合でも、第二開票区だけが無効で、第一その他の開票区は有効なんだ。ところが、その他の開票区で一ぺん投票した人でも、その第二投票区にあとから引越して投票権を持つ。ということはその人は二度投票をすることになる。それは参議院の場合でもそうなんだ。熊谷で一ぺん投票した人が熊谷へ移住してそこで投票権を得れば、その人がたとえば平林君に入れる場合には、平林君に一ぺん入れてもう一ぺん入れるということになるですね。これは私は理論的にはどういうことになるか知りませんけれども、そういう矛盾は避けがたいと思うのですが、その点どういうふうにお考えですか。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 公職選挙法の建前では、選挙人名簿のうち基本選挙人名簿は一年に一回つくる、それは九月十五日現在で十二月二十日に確定するということになつております。しかし補充選挙人名簿は、その選挙の都度つくることになつておりまして、選挙のある直前の期間を押えて、作成に必要な余裕を置いてつくることになつておりますので、現在の選挙におきましても、ほかの方で選挙をやり、また他に移つて行けば何回も補充選挙人名簿に載りまして、三箇月の補充要件さえ満たせば、常に選挙人名簿にのつかるということはこれはやむを得ない。住所要件を選挙人名簿の要件とする以上はやむを得ないことだと思つております。

森三樹二日本社会党(左)

○森委員長 他に御質疑はございませんか。——それではちよつと速記をやめてください。     〔速記中正〕

森三樹二日本社会党(左)

○森委員長 それでは速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後四時二十二分散会

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