公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第3号
- 発言数
- 35 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1953/07/08
会議録
○森委員長 これより会議を開きます。 前会に引続きまして、公職選挙法改正につきまして、フリー・トーキングを行います。前回の委員会で、自治庁当局の御意見を聴取し、これについて御意見の交換を願つたのでありますが、意見資料の四十一まで一応終りましたので、本日は四十二以降、いわゆる連座制の問題について御質問願います。 なお本日は非常に暑さも加わつて参りましたので、委員諸君も、上着をお取りになつて、お願いいたします。政府委員もどうぞ……。金丸政府委員。
○金丸政府委員 四十三につきまして簡単に御説明をいたします。 これには二つ問題がございまして、一つは、現在の公職選挙法の罰則では、出納責任者が法律に違反いたしました場合、これを処罰するというふうになつております。従いまして、出納責任者に事故がありました場合、職務を代行する者があるわけでございますが、その職務を代行しておる間に法律に違反いたしました場合、これを処罰できるのかできないのか、法律では出納責任者が云々と規定しておりますので、代行者が入るのか入らないのか、解釈論として三論あり得るわけでございます。罰則は、申すまでもなく、なるべく厳格に解するというふうになつておりますので、事柄の性質上から申しますと、出納責任者の職務代行者が違反しました場合、これを罰しなければ法の目的は達せられませんので、罰するのが当然なように考えられますけれども、そのような疑問をいれる余地がございますので、職務代行者も罰することができるように明白に規定をしておくということが一つでございます。 もう一つは、出納責任者がたとえば病気等で辞退をいたしましたために、次の出納責任者を選任するまで、ある人が職務を代行しておつた。ところが、その行為が出納責任者の行為あるいは以前の出納責任者であつた人の行為によつて違反したというような場合には、その代行者だけでなくて、出納責任者あるいは出納責任者であつた人も、同じように処罰し得るということにしなければ不都合でございますので、そのように規定を整備する必要があるのではなかろうか。これが四十二の意見でございます。
○森委員長 御質疑はございませんか。——委員長よりちよつとお尋ねいたしますが、出納責任者の職務を代行する者というのは、特に代行者というものを正式に任命したその行為がなくとも、事実上出納責任者の職務を代行する岩と客観的に認定された者をも含むわけですか。その辺のところを……。
○金丸政府委員 この代行者につきましては、公職選挙法の百八十三条に規定がございまして、推薦届出の場合には推薦届出者、それから候補者が自分で立候補いたしました場合には候補者でございます。推薦届出の場合には、推薦届出者にも事故があるような場合、あるいはその人が不時の事故で死亡されたような場合には、候補者が代行するというふうになつておりまして、百八十三条の二項の前段に書いてございますような条件がある場合には、推薦届出者または候補者が職務代行者になるわけでございます。
○森委員長 御質疑がございませんでしたら次に移ります。
○金丸政府委員 次は、第二の選挙の公明化を推進いたしますために改正をお願いしたいという事項でございます。その一は、百九十八条の法定選挙運動費用を超過して費用が支出されました場合の当選無効に関する規定でございます。これは出納責任者あるいは職務代行者の選任、監督について相当の注意がなされ、かつ支出について過失がなかつた場合には、当選が無効にならないという但書の免責規定があるのでございますが、実際上の問題といたしまして、この規定によつて十分にこの制度の目的が達せられないというような事相から、この但書をとるようにしたらどうだろうか。私どもの方では、それに伴いまして、三十七にございますように、それに相応して法定選挙運動の費用を上げるようにしたらどうかという考えを持つているわけであります。 次は、三の二百五十一条の一般の選挙運動に関する規定に違反した場合の当選無効でございます。これもただいま申し上げましたのと同じような趣旨の免責規定がございますので、一項、二項の免責に関する但書の規定を削除するようにしたらどうだろうかというのでございます。 それから四は、出納責任者の行為によりまして当選人の当選が無効になるという連座の制度が、二百五十一条の第二項にございます。それを若干拡充いたしまして、出納責任者が途中で交代する場合がございますので、出納責任者であつた人が罪を犯した場合も同様にする。それから、現行法では、二百四十二条の収支に関する報告書を提出しなかつた場合におきまして連座することになつておりますけれども、これはどちらかと申しますと形式的な違反でございまして、その以前に、二百四十六条に規定されております選挙運動に関する収入、支出についてのいろいろな規定がございます。それに違反いたしました場合には、何ら影響が及ばないことになつておりますが、若干均衡を失するように思われますので、二百四十六条の行為につきましてもやはり連座するというふうにしたらどうであろうかというのが、この改正意見でございます。但し、二百四十六条は若干こまかな行為にまで規定がされておりますから、あるいはこれ全部でなく、中の行為の軽重によりまして区分をするということも考えられるのではなかろうか、かように考えております。 第五は、いわゆる附加制裁の規定でございます。現在は十六章に掲げる罪を犯しまして刑に処せられますと五年、例外といたしまして十年間選挙権、被選挙権を停止し得ることになつております。現行法では、選挙権及び被選挙権の両方を停止することができることになつております。それと、裁判所が、情状によりましては全然この附加期間の制裁を科さないという判決をすることができることになつておりますけれども、選挙権と被選挙権を考えてみました場合、選挙権まで停止する必要はないのではなかろうか。これは、どちらかと申しますと、懲役とか禁錮とか罰金とかいう刑罰のほかに、選挙権、被選挙権を停止するという政治的な制裁でございまして、これは選挙に関連した人を政治的に制裁するという趣旨のものでございますから、そういうような人が選挙界に入れないということにしたらいいのではないか。投票というのは基本的人権にも準ずる権利でございますから、選挙権は一切停止しないことにする。そうして単に被選挙権だけを停止することにする。しかも、その期間を現在ゼロにすることができることになつておりますけれども、裁制の実際を見ますと、いろいろな取引によりまして実際停止しないからというようなことで、罰金の刑を受ける、上告をしないというようなこともあるやに承りますので、裁判所は、いかなる情状がありましても、六箇月なら六箇月、三箇月なら三箇月、あるいは一年でもよろしゆうございますが、そういう一定期間以下はできない、五年、十年の期間はそのままにしておきまして、最短の期間を六箇月なり幾らかの期間に定める、こういうことにしたらどうか、その二点が第五の改正意見でございます。 第六は、これに伴いまして、その期間は選挙運動ができない。選挙運動ができないということにいたしておきますと、自分が立候補するということがまず困難になつて参ります。それは被選挙権が停止されますから、どうせできませんが、同時に他人のために選挙運動をすることができないということになつて参ります。そうしますと、いわゆるいろいろな人の選挙運動をやつて、それによつていろいろな利得を受けているいわゆる選挙ブローカーというようなものが、この点において一番痛痒を感じるんじやないかというふうに思われるわけであります。第六はそういうふうな新しい事項でございます。 七は、罪の時効が、現在一年とか六箇月とか、犯人が逃亡しました場合も二年とか、一年とか、区々になつておりますが、いろいろな実情等も考えまして、これをすべて一年と二年に統一したらどうであろうかという改正意見であります。
○羽田委員 これはしよつちゆう言いふらされていることでありますが、ただいまお読みになり、御説明になつたところによりましても、いわゆる法定費用という問題についてでありますが、どうも現在の法定費用というものが経済の実情に即していない。トラツク一台にいたしましても一日七、八千円から一万円もかかるわけですから、二十五日やつただけでも二十五万円かかる。そこにいろいろ装備をいたしたりいたしますと、トラツク一台でも三十万円ぎらいかかるのが実情だと思うのです。しかも、ほとんど二十四時間労働にもひとしいような、朝五時ごろから出動を始めて夜の一時、二時というようなわけでありますから、従つて、実際は一万円以上のトラック代というこになるだろうと思います。そうすると、トラック一台でほとんど法定費用になんなんとするような状態になつておるわけでありまして、そのほか事務所の費用とかその他いろいろのポスターを張るとか、ほんとうに法定された極限された費用だけでも、大体三十七、八万円から五十数万円に及ぶようなことで、法定費用でとうていまかなえないことは明瞭であります。そういうまかなえないような費用を法定費用としておいて、そうしてその違反をいたした者に連座の規定を置く、あるいはいろいろな将来の選挙運動あるいは選挙権行使について制限をするということ自身が間違つた基礎に立つたもので、土台が間違つておる。それから発したさまつ的な問題にまでいろいろな制限をすること自身が、非常な間違いではないか。だから、やはり法定費用というものをもつと——どんな選挙においても、法定費用の中で上つたという人はもちろんあるかもしれませんけれども、しかし大部分、おそらく九九%、一〇〇%の人たちが、法定費用では事実上上つていない。しかるにもかかわらず、ちやんと役所へ届け出る法定費用は、法定費用以内にうそを言つてその申告をするというようなことは、実際法治国として、ことに立法に当るような衆参両院の議員の選挙においては、実にこつけい千万だと私は思うのでありまして、そういう意味においては、もつと法定費用というものが経済の実情、選挙運動の実情に適するところの相当なる費用を計上いたしまして、そしていやしくもそれにはずれるものがあつたならば、それこそまず候補者が選挙無効になれば一番はつきりしてしまうわけですから、そのくらい厳罰に処することは私はいいと思うのですが、どうも今みたいな、うそでこさえた問題で、そしてうそのところから派生していろいろな選挙違反が起つて来る、それに対して刑罰が追つかけて行くというようなことでは、まつたく当事者も割切れないし、また選挙というものはみんなうそで固めてあるのだ、従つて選挙違反になつて、別に恥ずることはないのだというようになつてしまつて、いわゆる御心配のブローカーなんというものがますますはびこることになると思いますので、どうしても根本的に法定費用というものを、ほんとうに実情に適するように相当額に引上げて行く。なるほど、そうすれば、もう一定の選挙運動費用のできる者以外は選挙ができないで、国民の立候補の制限を、金の面でするということは非常に不都合だという議論が成り立つと思いますが、それは、実際の選挙を知つた者の立場から言えば、こつけい千万なものであります。ですから、そういう点にもつと本格的な、ほんとうにまじめに事実と取組んだ立法というものがなされない限りにおいては、もうそんなさまつなことを規定してみても、こんなことはナンセンスだ。こんなことはまつたく子供だましの法律にすぎない。もつとまじめに、真剣にこの選挙というものを——ほんとうに国民の代表を選び、ほんとうに国民の負託を受ける代表者を選ぶという厳粛なる選挙においては、やはり金銭の出納の面においても厳粛なる出発がなければならぬ、こう私は思うのです。こういう点について、ひとつ御当局の御意見を承りたいと思うのです。
○金丸政府委員 私どもも、費用超過によつて当選が無効になつたという実例は、ごくわずかしか聞いておりません。ところが実際は、いわゆる告発と言いましようか、非常に多いのだそうであります。ところが、その当局にしましても、あまりに実情にかけ離れておりますから、良心からいつてそれを取上げて当選無効にできないというような話を聞くのでございまして、やはり法定選挙運動費用がきめられておりますならば、なるべくそれが励行されるようにする。そのためには、実際に必要な費用は——これは欲を言つたら切りがないと思いますが、その基準額が実情に即するような額に定められて行く。私どももその額はなるべく少い方がいいと思う。また有効な方法がありますならば、公営を拡充しましてもそういう方向へ持つて行つて、費用はなるべくかからないが、しかし実情に即した額にして、もし超過するようなことがあれば、やはり百九十八条の規定が働くようにするという方が、結局は選挙が全体としてきれいになつて行くんじやないか、かように考えておる次第でございます。
○羽田委員 そういう根本的のことについては大体お考えのようでありまするが、私は、やはり公営でやるならば相当徹底的に公営で、一切個人の選挙運動を許さぬ、一切公営で、バスにみな候補者が乗つて公営の演説会場をぐるぐるまわる、あるいは本人あるいはその応援者の一人なり二人なり、その候補者にかわる代行者が演説する程度にして、あとはもう公営の文書によるという以外には選挙運動はしないのだ、それでもう全部本人以外の者、あるいは本人にかわるべき若干についての制限した以外の運動というものは一切が選挙違反だ、こういうふうにまで徹底的な公営をやるならば、私はけつこうだと思うのです。しかし、実際問題としてそういうことはできないだろうと思うのです。そうすれば、やはりこの選挙事務所の選挙運動と公営というものとが並行しながらやつて行くという形になると思うのです。そうすると、結局は相当な金がかかる。従つて私は、今みたようなでたらめな経済の実情、選挙の実際に合つていないような少額の費用を法定するよりも、むしろ相当額の法定費用をきめまして、いろいろな制限も何もない。もし必要ならばそれで買収したつてかまわない。そのかわり、一銭でもわく以外に出たものは当選無効になるというふうに、選挙をその費用の範囲においては徹底的に自由にしてしまつて、従つて選挙違反は一つもないというくらいまで自由にして、いわゆる取締り規則なんかしないで自由にしてやるということが私は理想だと思うのですが、どうでございますか。
○金丸政府委員 理想としてはまつたく同感でございます。
○羽田委員 そういう理想はまつたく同感であるというならば、こういうような原案をお出しになるのはこつけいだと思うのですが、それはどうでございますか。
○金丸政府委員 この公職選挙法ができます時分であつたかと思いますが、全国選挙管理委員会といたしましては、そのような理想的な意見を出したことはございます。ただ、現実の問題といたしまして、なかなか現実が困難だと考えるものでございますから、私どもも、現実に即しまして、できるだけ漸進的にというようなことで行つたらどうか。世界各国、と申しますと非常に口幅つたいことを申しますけれども、わが国ほど選挙法の罰則のこまい、選挙運動がこまかく取締られておる国はないと思います。従つてまた選挙違反が非常に多いというのが実情で、もう少し国民が選挙をおびえないでするためには、おつしやるように、できるだけこまかな規定をやめて、伸び伸びとして選挙運動に従事することができるようにしなければいけないと思いますけれども、今すぐになかなかそういうようなところまで参れませんから、私ども、現状を考えて、こういう意見を出したわけであります。
○羽田委員 実際を申しますれば、現在のような少額な実際と離れた法定費用がきめられておりますために、どうせこれでは選挙ができつこない、だからひとつ機密費をよこせということで、実はブローカーが跋扈するわけです。そしてそれがためにまた候補者は実に苦心さんたんするわけです。参謀もしかりです。ところが、もし百万円なら百万円、あるいは百五十万、二百万と——われわれよくみんなで雑談的に話しているのは、会社党の人までもそうでありますが、二百万くらいにきめておけば、実際今千万だ二千万だとかかる人もあるし、五百万もかかる人もある。しかし二百万くらいになれば大体選挙運動ができる。そうすれば、出納責任者の人ががんばつて、二百万のわくを越えるのだ、これは結局あなたは選挙運動をしてくれるというけれども、あなたにやつてもらえば法定費用を超過するから無効になるのだ、だからして、私の方はそういう金は一切出せないのだということになつて来る。この一定の相当のわくがあれば、そのわくの中で毎日管理委員会の人が管理してもいいですね。そしてちやんと金庫に入れておいて、それから出してやるというようにして、そのほかに一銭でもわくから出ておるということが明らかになつたら、すぐ選挙の当選無効をするというようにすると、ブローカーの跋扈もなくなるし、そして二百万円なり、百五十万円なり、百万円で——百万円ではおそらく困難だと思いますが、なるほどこの程度の選挙費用なら適当だ、それ以上に出すということはおかしいという範囲において自由にやらせるということが、一番選挙違反がなくなるし、そしていわゆる連座法とかなんとかいうことを、よく新聞の論調や投書で、選挙を知らざる人が、代議士が立候補しているのだから、自分の都合のいいことを立法しているのだと言つて、いかにも非難めいたことを言つておりますけれども、そういうようなことも、結局今みたいな法定費用の少額というところに基因して、そうして連座か何かでつかまえようとして盛んにやるわけですから、私は、相当な、これならまずまず今どきの選挙運動はよかろうという経済の実際に合つたわくをきめてやることが、一番正しい選挙が行われることになるだろう、同時に、金のある人とない人とまつたく不公平な現状の選挙はずいぶん間違いだと思うのです。だからその意味では、一定のわくだけの金さえ用意すればそれでいいということで行けば、これは公平になつて行く。金持も貧乏人も応援者があつて、貧乏人もそのわくだけは満たし得るものなら立候補してやる、こういうふうにして行けば、私はほんとうに公平なる選挙の運営ができるのではないかと思うのですが、御所見を承りたいと思います。
○金丸政府委員 その点はまつたく御同感でございまして、以前も、言論は少くとも全部自由にしたい、文書は原則として自由にしまつて、あるいは大きさなり、枚数なり、張る場所等の制限は必要であろうと思います。それ以外は、投票の買収とか、あるいは不正投票とか、暴行、脅迫、そういうような程度にとどめまして、選挙運動費用を相当額に法定して超過した場合には無効になるということによつて励行できるようにしたい、そういう趣旨の意見が公職選挙法が制定されます当時に、全国選挙管理委員会できめられた意見だつたわけでございます。しかし、どうも相当額にすると、それ以上金を出されるという御意見が多うございまして、今まで御承知のような沿革をたどつて、現在の法定選挙運動費用の基準額になり、またそれに伴う当選無効の制定になつているのじやないかと思います。理想としましては、私は羽田委員の御意見とまつたく同様でございます。
○羽田委員 今の沿革の場合においてもそういつたことが議論をされたということで、それはしかるべきだと思います。今のお話の中で、わくを大きくしてもまた選挙違反になるだろうというお話は、これは全然違うと思うのです。そのかわり、わくを大きくして、それをオーバーするものがたとい幾らかでもあつたら、みんな無効としてしまう。だから、金をとりに来るやつがあれば、お前はおれを無効にするつもりかといつて開き直ることもできるわけです。従つて、まじめなる人たちは、そのことを聞けば、それではけつこうだということで引下るし、またインチキのブローカーなんかは、それが一番の頂門の一針になろうと思うのです。今は寸足らずだから、結局こんなばかな——選挙は金がいるのだから、どうせこんなことではできつこないので、よこせよこせということになつて、われわれの想像もつかない一千万円だ、二千万円だというような運動費用がかかる、こういうことになるだろうと思うのです。この点はもつと謙虚な気持で現実を見て、改むべきものというのは明瞭だから——私の選挙では三十七万円ばかりですが、そんな三十七万円くらいではトラック代にも足りない。トラックも故障しますから、幾つも如意しておいて、いざといえば出動するというふうにすれば、トラックだけでも法定費を相当超過します。そういうトラックだけでも超過するようなでたらめな選挙の法定費用を法で定めたということは、こつけいだと思うのです。こんなことは寸足らずで、意味をなさないと思う。ですから、これはもつと真剣に、深刻に、また現実に即した再検討をもう一回要することと私は思うのです。その点は、ただ、過去にこういう議論もあつた、ああいう議論もあつたというような見のがしでなく、本格的に四つに取組んでこの法定費用というものを再検討する必要がある、こう私は思います。何かそれについて御意見でもありましたら……。
○金丸政府委員 私どもも、法定費用を実情に即するようにきめていただきたいということは、前々から非常に強く要望いたしております。従いまして、もし必要な資料等なりの御要求がございますならば、私どもとしてできる限りのことはお手伝いをしたいと思いますので、これはぜひとも実情に即するような基準額を定めるように、私からもお願いをいたしたいと思います。
○島上委員 選挙費用の現行法が実情に即しないということは、これは前回の国会で改めることについては全員一致してきまつておりました。しかし、だからといつて——今かりにということで言われたのでしようが、二百万ということになると、これはまたどういうふうに運動されてそのくらいの計算になるか知りませんが、私どもの経験からすれば、せいぜい百万を限度として——有権者の数、選挙区の広さ狭さにもよりますが、私どものところは全国で有権者の一番多いところですが、それでも百万あつたら相当ゆつくりやつても十分だと思う。
○羽田委員 金額は別です。
○島上委員 だから、そこでやはり金額を実情に合わせるようにするということと同時に、公営の範囲をなるべく拡大することによつて、候補者本人の負担する費用があまりたくさんかからぬようにしようということでなければいかぬと思うのです。われわれは貧乏人のせいか、かりにであつても、二百万なんと言われるとびつくりしますから、現行法が実情より若干ずれているということは認めるけれども、二百万ということは高過ぎる。それと、やはりわれわれは、公営の範囲をなるべく拡大して、本人の負担を少くするという方向に向つて改正するのがほんとうじやないかと思います。
○羽田委員 今島上委員からの話でありますが、東京といなかは違うのでして、いなかというものはとにかく非常に広い選挙地域がありまして、交通が不便ですし、自動車が故障する、トラツクも故障するというようなわけで、東京のような人口が密集した地域とは大分違うのです。そういう点もありますから、別に金額の点にこだわりはせぬが、要するに実情に合うという算定は、東京なんかはおそらく百万でいいだろうと思う。いなかは距離も広いですから、そういう点もありますが、その金額を私は問題にしているわけではありませんが、ともかく実情に即せよということなのです。
○大村委員 自治庁から提出されました意見の三十五につきまして一度発言したことがありますが、本日重ねてこの点につきまして意見を述べ、質問もしてみたいと思います。現在選挙違反が非常に大量に取扱われております。今回の選挙におきましては前回よりは幾らか少いそうでありますが、しかし相当多数に上つております。新聞等によりますと、そのうちには買収犯が相当多数に包蔵されておるのであります。しかし、よく調べてみますれば、文書による承諾がないために、文書を欠いておりますがために、それに該当する事件はことごとく買収犯とみなされてしまうものが、きわめて多いと思うのであります。今政府当局はおかれましてこれらの正確な調査ができておりますかどうかわかりませんが、もしできておりますれば、まことにこれは重大な問題でございますので、文書による承諾がないために買収犯とみなされておる数が幾らあるかというような点も御報告願えますれば、仕合せだと思います。しかし、なければいたし方がございません。 そこで、現在の買収犯を、文書による承諾がないからただちにこれを買収犯にしてしまつたというような、まことにもつてのほかの取扱いがありといたしますと、これを直すことにいろいろ努力の必要があろうと思います。自治庁から提出されておりますものも、文書による承諾は用途を明確にしてやる、かつ承諾に関する文書の様式を定める、こういうような方法によりまして、文書によつて承諾を励行させようという御趣旨だろうと思います。これは一つの改良点であろうと思います。この点につきましても、また当委員会におきまして、各位の御考慮によりまして、文書の承諾が広く行われるように法律の上にも改正するということも、考慮点の一つであろうかと思います。しかし、実際問題といたしまして、文書による承諾を得ていないために買収犯に問われたという犯人の立場になつてみますと、あるいは労務に対する報酬に対しての取扱いについて文書を欠いておつた、ないしはまた運動貝が、弁当料、茶菓料等の支給を受けたに対して、文書による承諾が欠けておつたという理由をもつて罪に擬せられたにいたしましても、それは犯罪だとは考えておりませんから、きわめて簡単に、どうでもかつてにしてもらいたいというようなことになりがちだと思います。そうして、そこに略式命令か起ります。略式裁判が行われますと、これらの文書による承諾がなくて、実際上の買収犯でない者が買収犯に擬せられ、罰金刑に付せられましてもやむを得ない。裁判は略式でございますから、そこに適当な裁判でないということを争うわけに参りません。そこで、これを正式裁判に訴えるといたしましても、罪に擬せられた人にとりましては別段悪いことをしたとは考えませんから、正式裁判に訴えることもめんどうくさいからほうつておくというようなことで、買収犯罪が日本の選挙においてはしかじかこれこれの多数がある、こういうことを報道される結果になつておると思うのであります。そこで私考えますのに、もし法律上可能でありますならば、文書による承諾のない金銭の支出をされました事件を、ただちに買収犯と認定することはいけないのだという注意規定をこの法律の上に書き現わすということも、このようないわばむちやな判決を避ける一つの方法ではなかろうか。これらの点につきまして、自治庁の方でお考えがございますならば、この際承つておきたいと思います。
○金丸政府委員 せんだつての選挙におきましてどれくらいの犯罪件数がございましたか、これは私どもの方ではわかりませんので、法務省の刑事局の方へでも御要求を委員長からしていただきたいと思います。ここに書いてございますことで、ただいまの大村委員の御質問にお答えいたしたいと思いますが、出納責任者以外の者が選挙運動に関する支出をいたします場合には、文書の承諾がなければならないのに、文書の承諾を得ないで支出したからといつて、買収によつて処断されているということでございますけれども、公職選挙法の二百四十六条の第四号に、「第百八十九条第一項の規定に違反して支出をしたとき。」という規定がございます。これは、検察当局といたしましては、買収か買収でなかつたかということは、立証が非常に困難でございます。だから、文書の承諾を得たかどうかという、形式上の行為をつかまえた方が立証がしやすいので、私は、実際の取扱いとしましては、そういうのは買収としてではなく、この規定によつて処断をしておるのじやないかと思います。問題は、むしろそうではございませんで、文書による承諾があるかないかわかりませんが、用途が明確でないなめに、実際は、君にいつからいつまで何郡の方面の選挙運動をやつて来てもらいたい、ついてはこれだけの金を渡すけれども、しかるべくやつて来いというようなことで、包括的に金が渡される。その人が、使途が明確でないために、買収の資金として渡されたのではないか、そのつもりで受取つたのではないかという悶着を起しまして、実際には正当な選挙運動の費用のつもりで派し、受取つたのが、用途が授受の際に明確でないということから、買収の金の授受ではないかという嫌疑で、そのような処断を受けておられる方が案外多いのではないか。この点がまた、検察当局でも非常に実は苦労の種になつておるのであります。明確になつておりますれば、別にしいて何も犯人をつくる気はないのですから、そのままにしておきたくても、はつきりしないために、結局私はこの文書の承諾がないということで、買収として処断されているのではないか。間違いが多うございますから、抽象的な、金を渡すという今の慣習を、文書で用途を明確にして渡すということになりますと、今後は皆さんも御注意をなさつて、問題が起きなくなるのではないかというようなことから、こういうような意見を、国警や法務省当局とも相談をいたしまして、こちらの力に出したような次第であります。
○田嶋委員 いろいろこれからわれわれ協力を得て審議して行くわけでありますが、その前に、私は、ここへは載つていないのではないかと思うのですが、選挙人名簿と住民登録令の関係を確かめておきたいし、お考えを願いたいと思つて質問をするわけです。今日選挙人名簿と住民登録令とが分離されておりまして、これは選挙の方法には錯綜いたしておりませんが、選挙民の観念的な意味において錯綜いたしておりまして、非常に国民が迷惑をしておるという事実は、おそらく当局においてもお認めになつておられるのではないかと思います。最近私たちは住民登録令をずつと調査いたしておりますが、相当これは整備して来たように思うのです。そしてこれが利用されている方面というものは、選挙人名簿よりも広いわけです。利用価値が広く、しかもその法律が適用される範疇が広い。このものと非常に範疇が狭い選挙のみに限られた選挙法との関係、これはよほど考えていただかなくてはならぬと思うのですが、今日のこの住民登録令と選挙法というものを、にらみ合せて御研究をしていただいたことがあるか、これをひとつ承りたい。
○金丸政府委員 住民登録令が、現在議員提出で法律になつております。実は法務省で研究いたしております時分から、選挙人名簿との関連が深うございますので、私どもも関係いたしておりました。問題は、あの法律は、目的は非常にいいのでございますけれども、寄留法のようになつてしまうのではないかということを、当時関係者はみなおそれていました。あの法律が励行されるように、一番たよりにしておりますのは実は食糧の配給でございます。しかし、将来まで食糧がはたして配給か、まつたく自由販売になるかという見通しもつきませんような折柄でございましたので、私どもの方では、法律的に選挙人名簿とのつながりをつけることに反対をいたしました。それで現在ついておりません。実情を申し上げますと、大分最近では励行されつつあるようでございますけれども、まだ都市方面では、学校の入学の関係で、自然と寄留と同じような扱いになつている事実があるのでございます。選挙人名簿をつくります係から、私どもの方にもやかましく住民登録法をそのまま利用できるようにしろという意見が出て参つておりますけれども、実際にそのまま使いがたい面もございますのと、予算がだんだん減つて参つたりいたすようなことで、励行がむずかしいのではないか。また食糧の配給というのが永久に続くかどうかというようなこともございまして、実は先月来私どもの方の課長以下、必要と思われる地方へ出向きまして、詳細に住民登録の行われている実態と選挙人名簿との関係を調査いたしまして、まだ結論に至つておりませんが、私どもも、非常に広い目的でできました国の制度でございますから、できるだけこれは活用して行きたい、そういう気持で目下せつかく研究中でございます。
○田嶋委員 御研究されているということがわかつてありがたいのですが、これは実は私どもが議員立法で出したのですが、そのいきさつを言わなくても御承知のように、政府で考たのです。当時ああいうような国会の事情があつたので、政府から頼まれて、私どもが議員立法を、共産党だけ除いた社会党の左から全部で出したので、形だけは議員立法でも、実際は政府が出して来たのであります。せつかく政府が苦労してつくり、しかも国家の費用を莫大に使つているのに、これと選挙人名簿とが調節されずに、まるで他人のようになつているのはどうかと思います。夫婦というところまでは行かなくても、せめて親子の関係とか、いとこの関係まで行つていいじやないか、こういうふうに考えております。まつたく今日は他人扱いで、これはあまりよくないと思います。私は、しいて夫婦の程度まで強要するのではなくて、血のつながりをどこかで認めたらいいじやないかと思います。実のところ私も実際経験したのですが、登録に載つておつて選挙人名簿に載つておらないのが、私の選挙区の名古屋でも百何十票もありました。これはその部落全部が抜けている。御承知のように選挙人名簿というものは一人、二人は抜けない。これは町内の役員が担当して選挙人名簿をまわすから、抜けるときには、その選挙人名簿から町内全部が抜ける。集団的に抜ける。これが選挙人名簿の登録漏れの一つの原因だと思います。個別的に抜けている場合は了承すべきです。それはその係の怠慢ですが、必ず抜けている場合は集団的に、一町内全部、一部落全部というの通例であります。これは私の方の例ですから、ほかの例はどうか知りませんが、そうなつている。そこで、これはやはり登録令を用いてやつた方がいいじやないかということを痛感しております。一票、二票のその担当の取扱者に責任があるような脱落に対してはしかたがないが、ひとつ何とかこれを血のつながりをつけて、救済策をお考え願うことが適当じやないか、こう思つております。
○島上委員 ぼくは前回途中からしか聞かなかつたのですが、選挙区制です。新聞には自治庁の案として小選挙区制度なるものが一ぺん報道されたことがありますが、選挙区制の問題、それからかりに選挙区を現在の中選挙区のままとすれば、人口の移動による変化が相当あるはずです。今までは十九万に一名の割合だと思いますが、人口の移動による選挙法の改正というようなこと、もしくは選挙区制ということに対して、自治庁は何か研究しておるかどうか。もし研究しておるとすれば、意見があつたらお述べ願いたい。
○金丸政府委員 先般の委員会で同じような御質問がございましたので、お答えを申し上げたのでございますが、あれは副総理や長官の命によつて自治庁の選挙部で小選挙区制の案をつくつたというふうに出ておりましたけれども、これは全然事実無根でございます。あれは、先般もお話がございましたので、溝永徳太郎氏にお会いいたしまして確かめてみましたところが、自分もそういうことを言つた覚えはない、また絶対にそういうことを言うべき筋のことでもないじやないかということでございました。あれは新聞記者が清水さんにお会いをしまして、清水さんの私案を聞いて新聞にあのように書いたものでございます。 それから、選挙区制のことは、先般もお答えを申し上げましたけれども、一昨年選挙制度調査会で、小選挙区制を中心にいたしました衆議院議員の選挙制度の答申をいたしたことがございます。その際に、私どものところで事務的にどういうふうになるかという検討もいたしたことがございますが、これは相当に詳細にいたしたつもりであります。ただ、この前もお答え申し上げたのでございますが、選挙区制をつくります場合に、三人区ないし五人区で行くか、あるいは六人区を認めるかということによりまして、非常に違つて参ります。小選挙区制と申しましても、一人区だけのイギリス流の完全な小選挙区制にするのか。事情によつて二人区も認めるのか。たとえば川崎市は人口が四十万くらいでございます。あるいは御承知のように世田谷区とか大田区とかいうのは四十五、六万あるが、こういうところも一人区にいたしますと、どうしても区や市を割らなければいけません。そういう所は二人区を認めるのか、あるいはまた場合によつては三人区も認めるのか、一人区、二人区で行くのか、一人区、二人区、三人区まで認めるのか、あるいは二人区と三人区だけで行くのか、そういう根本の方針がきまりませんとできません。人口の配分の結果、かりに東京都の一区が現在の四人になつたと仮定いたします。選挙区制を小さくするという場合に、二人区だけで行くか、できるだけ一人区をつくるという方針で行くかによつて、また一区にしろわけ方が違つて参ります。新しい人口で、かりに一区が五人になると仮定します場合に、やはり二人、二人、一人で行けば三つにわかれます。三人区でも認めるとすれば、二人区と三人区の二つにわけることができます。そのように、基本方針によりまして選挙区のつくり方が非常に違つて参ります。また四百六十六人の定数で行くのか、あるいは議席を若干ふやしてもいいじやないか、現在の四百六十六人がきまりました大正十四年とは人口も非常にふえているから、ふやしていいじやないかというような気持でつくりますかによつても、また選挙区のつくり方が違つて参るものですから、私どもの方では、昨年以来そういうような事業は実はやつておらぬのでございます。以前のものはございます。それから、人口に応じましてどういうふうに各府県の議員定数がわかつて来るかということは、研究をいたしました資料もございます。たしか一ぺん差上げたことがあるかと記憶しておりますが、これもまたいろいろな方法よりましていろいろな結果が出て参ります。
○並木委員 きようは官房長官を要求しておいたのですけれども、姿を現わしておらないのですが、どうしたんでしようか。
○森委員長 並木委員にお答えいたしますが、官房長官は、きようは予算関係と各種委員会の関係がいろいろ重要でありまして、遺憾ながらきようは出席できないという回答でありましたので、ひとつ次会に呼びたいと思うのですが……。
○並木委員 ぜひお願いいたします。
○森委員長 本会議も開会されましたが、大体自治庁当局の改正案に対しまして各自の御質問を終つたように考えられます。しかし御出席があまりございませんので、本日はこの程度にいたしておきまして、次会に残余の方々の御質疑があるかどうかということをお諮りいたしまして、決定したいと思います。
○島上委員 せつかく全国市区選挙管理委員会連合会から文書で選挙法改正についての要請が来ているから、次会あたり一ぺんこれを聞きたいと思いますね。
○森委員長 ただいま島上さんから御発言がありました全国市区選挙管理委員会連合会の要請もありますので、これは非常に苦労をしてこうした要請文をつくつておられますので、この要請書に基きまして御説明を願いたいと思います。従いまして、次会には全国市区選挙管理委員会連合会の方に御出頭願いまして、御説明を聴取したいと思うのであります。それに基きまして、各自よりまた御質疑等をいただきまして、この要請にできるだけこたえたい、かように存じておる次第であります。 なお、先ほど大村さんから御発言がありました文書による承諾の件につきまして統計を御要求なさつておりましたので、事務当局から法務省の刑事局長等に連絡をいたしまして、文書による承諾の問題について発生した件数を調査の上、次会に御報告申し上げたいと思います。 —————————————
○森委員長 それではお諮りいたします。参考人として次会に全国市区選挙管理委員会連合会の方をお呼びするにつきまして御異議がございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森委員長 御異議なきものと認めまして、さようとりはからいます。 なお、その人選は委員長に御一任を願います。 それでは本日はこれにて散会いたしまして、次会は公報をもつてお知らせいたします。 午後三時三十九分散会