建設委員会 第22号
- 発言数
- 9 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1953/09/07
会議録
○久野委員長 これより会議を開きます。 閉会中北海道、近畿、九州地方へ委員を派遣いたして、六、七月の豪雨災害状況並びに道路、河川、住宅等の実情を調査いたすのでありますが、ただいまより、派遣委員からその調査の報告を聴取いたすことといたします。 北海道では内海安吉君。
○内海委員 私は去る八月中旬、同僚の瀬戸山三男君とともに北海道の主要部を一巡し、同地における河川、道路、住宅、発電その他総合開発の実施状況等を視察して参りましたので、ここにその概要を御報告申し上げます。 御承知のように、第十六国会におきまして、北海道防寒住宅建設等促進法が成立いたしましたので、まず北海道における住宅の実情を調査し、今後この法律の適用がいかなる効果を現わすかを知る基礎といたしたいと考えました。ちようど苫小牧市におきましては、防寒住宅普及のための博覧会が開かれておりましたが、約二十戸ばかりのブロツクづくり住宅が、いろいろ趣をかえ、また配置も単調にならぬようくふうをごらして建てられておりました。この種集団住宅としては、まことにおもしろくできており、道内はもちろん、広く全国の公営住宅の範となるものと認められました。 北海道は、現在人口四百三十万、住宅戸数は七十七万余り、不足戸数は約十三万と算せられております。戦後の新築戸数は、年平均約二万戸となつておりますが、前述の北海道防寒住宅建設等促進法の公布により、今後建てられる公営住宅、住宅金融公庫より融資を受ける住宅等は、すべて鉄筋コンクリートづくり、あるいはブロックづくり等の防寒住宅となりますので、新築住宅の少くとも三割以上がこの種構造となる見込みであります。 現在、北海道には約六十のブロック製造工場が各地に分布しておりまして、大体道内に産する火山灰七に対しセメント一の割合をもつてブロックをつくつております。 札幌近郊の琴似町にある道立ブロック指導所は、これらの工場を指導し、ブロックの規格を定めて試験を行い、製造業者の登録を行うなどの仕事をしております。全工場ブロック生産能力は、年間約一千万個と称せられて、住宅二戸当り一千個のブロクを費すものといたしましても、防寒住宅一万戸の建設は十分可能な模様であります。またブロックの単価も、一個六十五円程度の低廉なものでありまして、これらの点か他の地方と著しく異なつた条件であり、かつて冬期の燃料を半減し得るというブロックづくり防寒住宅の本道における普及は、今後大いに期待されるように思います。なお、この成果が上れば、将来建築基準法の防火規定を全面的に強化する一つの契機ともなり得ると考えられるのであります。 次は、河川関係といたしましては、石狩川の治水工事を視察いたしました。月形村附近のシヨート百カツト工事においては、まず比較的狭小な開墾を行い、後に自然の流水を利用して必要な川幅まで拡張するという、工法を見聞いたしたのであります。北海道のような原始河川を取扱う一つのおもしろい方法と感ぜられた次第でございま 道路関係といたしましては、一級及び二級国道はおおむね良好で、自動車の交通も円滑でした。また相当数の橋梁が鉄筋コンクリートの永久橋にかけかえられつあります。現在進行中の千歳から札幌に通ずる四十二キロの国道の舗装工事は、工費約八億円、二箇年間で、今年十月完成する由でありまして、幅員はやや不足のうらみがありますが、工事はまことにりつぱなものでありました。但し、地方費による町村道等は、路面も橋梁も相当に荒れているところが多く、また全体の道路密度も、内地に比して著しく劣つている由であります。交通は開拓の根幹である点にかんがみまして、道路の充実には、さらに意を用うべきものと考えられます。 次に、幾春別川総合開発事業の一つである桂沢ダムの建設状況を視察いたしました。本工事は、現在北海道開発局により堰堤の築造中でありますが、工費八十四億円をもつて昭和三十一年に完成のあかつきには、洪水の調節により毎年の水害を防ぐほか、約五万キロワットの水力発電が行われ、また農業用水として美唄原野四千町歩の開田を可能にし、さらに鉱山地帯の鉱工業用水並びに飲料水の水道にも利用し得るという多くの目的を持つております。 発電関係としては、帯広北方四十キロの糠平のダムも視察いたしました。本工事は電源開発会社の手により、五箇年計画をもつて約十五万キロワットの電力を得る目的で、目下準備工事が進められております。北海道の電力事情は、現在相当不足しておりますが、以上の発電工事は、これを緩和し、本道工事の発達に寄与するところが大きいと考えられます。 最後に、本道における行政機構の問題について一言申し上げます。御承知のように、去る第十国会において北海道開発法の一部が改正せられ、昭和二十六年七月以来、札幌に北海道開発局が設置されました。現在同局の仕事は、国の直轄する河川、道路、営繕、港湾、開拓事業等でありますが、各事業の予算は、それぞれ担当省を通じてわくが定められ、現地として総合調整する自由を認められておらないため、せつかく一元的に総合された仕事が、予算的な制約により、ゆがめられる場合をも生じております。また道路関係等は、道庁土木部の仕事一部競合する場面をも生じ、機材、人員等も、二重に保有するむだも若干あるように見受けられました。これは、むしろ開発局の仕事は、国家的な重要性のある総合開発を重点的に行うことに集中し、このために必要な予算は一括してこれを与えることにより、十分に活動せしめると同時に、爾余の地方的な仕事は、すべて道の地方自治にゆだねることが適当ではないかと感じた次第であります。 北海道の石炭埋蔵量は九十億トンに近いと称せられ、未開拓の原野も、土地を改良することにより、相当量の食糧を生産し得るものと期待されております。また水産は全国の四割を占め、製紙業その他の工業も盛んであります。本道の治山治水が進み、道路や電力の開発が行われるとともに、防寒住宅の普及により、住みよい都市や農村がつくられるようになれば、一層多くの人口を収容して、偉大なる潜在経済力の開発が可能になりましよう。これはひとり北海道のみならず、広く日本全体の興隆に寄与するところ大であるという確信を深めた次第であります。 以上、簡単ながら北海道における視察状況並びに所見の一端を御報告申し上げましたが、現在日本においては、内閣その他においても唱えられておりまするがごとく、すでに道路の面におきましても、十三万キロというものに対して道路使用の調整というような問題も起つており、さらにまた、一面においては地下埋蔵資源の開発あるいは未開発の開発等というようなものが大いに叫ばれておる今日において、この国策の線に沿つて北海道開発を強力に推進することができましたならば、わが東北における北上総合開発のこの国家的使命と相まつて、北海道における未開発資源の開発、あるいはこれによつて、かつて撫順の炭鉱あるいは支那における開らく炭鉱などに比較いたしましても、決してまさるとも劣らぬというようなこの重大なる石炭の埋蔵量を持つており、一面において十勝川上流におけるこのダムが完成いたしましたならば、必ずや産業開発の上の基本的条件の完成とともに、偉大なる経済効果をもたらすということを信じて疑わない次第でございます。 なお、北海道の地方行政あるいは開発局等の関係におけるいろいろな問題が起つておるのでありますけれども、これらの問題については、あらためて機会あるごとに皆さんと御懇談を兼ねてこれを効果的ならしめることに努力しようと考えるものであります。 今日同僚の瀬戸山君が欠席せられましたので、とりあえず私より皆さんに対し一応北海直視察の御報告を申し上げた次第でございます。
○久野委員長 次に近畿班岡村利右衞門君。
○岡村委員 近畿班は仲川房次郎君、堀川恭平君、松崎朝治君、細野三千雄君、山下榮二君並びにこの岡村、計六人が去る八月二十五日より一週間にわたり、衆議院規則第五十五条に基きまして奈良、和歌山、兵庫の各県を調査いたしました近畿班の御報告をいたします。 今回の調査の目標は、先般近畿を襲つた大水害の実情を調査し、これら災害防除のための根本的対策樹立に資することにあり、さらに他面資源開発及び災害防除のために、いかに建設行政が行われているかを調査することにありました。調査の詳細は文書に譲ることといたしまして、以下、主として所見を中心として、御報告いたしたいと存じます。 最初に奈良、和歌山両県を通じまして調査いたしました災害について申し上げます。まず概要を簡単に申し上げます。今次の災害は七月十七日の夜より十八日早朝にかけて奈良県南部山岳地帯、和歌山県山間部を中心に降つた四百ミリ以上に上る豪雨によるものでありますが、両県とも明治二十二年以来の未曽有の大災害を惹起しております。 奈良県におきましては、災害は南部山岳地帯の十津川、野迫川、北股川筋に集中され、特に山腹崩壊の現象が目立つております。この山津波のため、多数の家屋倒壊、死傷者を出し、道路は寸断され、河川は埋没、氾濫しております。県下重要国府県道のうち、交通杜絶したのは、二十四号国道外二十六路線で、総延長の三〇%に達しております。本地方は、すべてを道路輸送に依存しております関係上、これを断たれることによつて、食糧の移入も、生業である木材の移出も不可能になり、深刻な社会問題を起すに至つたのであります。土木施設災害は二十九億円余と目されております。 和歌山県におきましては、主として貴志川、日高川、有田川筋に災害が集中されておりますが、わずか数時間内に山をくずし、材木を流し、急激に増水したこれら諸河川は、一瞬にして多くの人命を奪い去り、住宅を倒壊し、堤防を決壊して一面泥海となり、凄惨な災害を生じたのであります。特に海岸近くまで延びる重畳たる山岳地帯が多いため、山間に注いだ豪雨は、急速度に各河川に集結し、未曽有の氾濫となつたのでありまして、おびただしい立木、材木の流出と相まつて、損害の規模を一段と大きくしたものと思われるのであります。また山間部においては、諸所に山津波が起り、自然ダムが形成される等、水害後も不安の状態が継続しているのであります。 両県とも、災害後、早くも一箇月以上を経過し、一応山間奥地との連絡もとれるようになつたとはいえ、谷深い奥地では、道路の復旧困難をきわめ、食糧など、今日なお婦人、子供まで暑熱を冒し、肩力輸送を続けておる状態であります。われわれ調査団も悪路険路を冒し、あるいは病人用のかごに乗り、悪条件をついて調査を進めた次第であります。また御坊を初めとして多くの町村においては、押し流された多量の泥土、流材の排除清掃に懸命の努力を続けている状態でありまして、水害の災禍は今もなお各地住民を悩ましております。土木施設災害は百五十億円余と目されております。 今次災害の原因については、多角的に種々な方面から探究され、これが対策が早急に確立される必要がありますが、私どものきわめて短時日の調査の結果として、その原因と対策の一部について、次に述べるようなことが考えられたのであります。 原因として考えられるものは、第一に、異常降雨現象であります。これは両県とも、山岳地帯に明治二十二年以来実に六十四年ぶりの豪雨であつたという点であります。すなわち奈良県吉野郡大塔村においては、二十四時間雨量五百四十ミリ、野迫川村においては九時間に六百四十ミリであります。 第二は、山腹の崩壊であります。今回の災害は、この山くずれが非常に多く、これによる土石流と流木とが下流に流下し、災害を増大せしめ、さらに海上に出て航行や漁業に甚大なる影響を与えております。これは直接異常なる豪雨によるのでありますが、地質の関係もあり、表土が浸透性の土質であるということも考えられるのであります。五十年生くらいのすぎ、ひのきの林がそのまま崩壊しておるのであります。かかる大規模な山くずれには、従来の砂防では効果が期待できないのではないかと考えられる箇所も相当あつたようであります。 第三は、自然条件の変化ということであります。すなわち、今回の災害を受けた各河川とも、大体安定した河川であります。日高川、有田川は、記録はありませんが、かつてある程度改修され、その後局部改良を施行して来た河川でありまして、これが今回計画洪水流量の約二倍の出水を見ているのであります。自然の様相は年々変化するものであり、一度改修が済んだからとして放置しておくことは、まことに危険であると思うのであります。これに対応してある程度の対策を講じておけば、災害は軽減し得たのではないかという点であります。 以上の原因によつて生じた災害を契機として、今後いかなる根本対策を講ずべきかを考えてみまするに、これもまた調査団のきわめてささやかな一応の結論でありますが、まず今回のごとき異常降雨も、これを災害として受けずに、科学技術の十分なる行使によつて、水資源として利用し、人間生活に役立たせねばならないとする前提として、まず第一に、河川改修計画の再検討が考えられねばなりません。自然の状態は年々変化しております。これに対応して各河川について計画洪水流量を再検討する必要があります。 第二は、今回の災害のように計画洪水流量の倍以上出水すると予想される河川の治水対策としては、これをでき得る限り上流においてダムの築造その他の方法による洪水調節を行う必要があろうと存じます。一般的にできるだけ早く海へ流そうとする考えはやめねでなりません。 第三に、今回の崩壊山地は、今後さらに拡大して土砂を流下せしめ、河床を隆起させるおそれがありますので、土砂汗止と新規荒廃地の拡大を防止する必要があります。さらに下流部においては、特に浚渫を考慮すべきであります。 第四は、以上を考慮した治山治水事業の早期断行であります。しかしながら、一国の経済力には限度があります。従いまして、その経済面とつき合せて、早急に治山治水事業を断行する必要があろうかと存ずるのであります。と申しますのは、建設省は、いわゆる建設白書の中で、治水十箇年計画の進捗率はわずかこの程度であると発表し、これに対し、大蔵省は大蔵省で、かたくさいふのひもを締めているという現状であります。これをつき合せて一国の治水政策を決定し、これに基いて計画的に断行するという状態が望ましいのであります。 第五は、この対策に基いて実行する際は、災害復旧工事が改良工事と重複する際は、災害復旧工事は全廃し、二重投資を避けるようにすべきであろうと思われます。 第六は、気象観測の整備強化であります。現在気象観測所は、平地より山間部に行けば行くほど、その受持つ区域が広くなつております。すなわち、より高い山地に行けば行くほど観測所の数は減少しております。このような、状態では、山地の降水量を正確に知ることはむずかしいのであります。従つて洪水の様相もつかめないのでありますから、これは早急に気象観測所の整備をする必要があります。 最後に付言いたしたいことは、有田川上流の花園村に生じた天然ダムであります。これは極度に集中された豪雨のため、山腹が大崩壊を生じ、有田川をせきとめて湛水量五百万トン、堤長八十メートル、高さ七十五メートル、崩壊土砂二百万立米という天然ダムが生じたのであります。これをいかに措置するか、あるいは利用するかは、今後の問題でありますが、このダムによつて災害が生ぜぬよう、あるいは利用し得るなら利用するよう、特に留意する必要があろうかと存ずるものであります。 次に、大阪、兵庫の一般建設行政の調査について申し上げます。これも詳細は文書に譲ることといたしまして所見のみについて申し上げます。 最初に海岸堤防について申し上げます。第一は、大阪におきまして、ジェーン台風を契機として〇・P七メートルより四一五メートルまでの防潮堤を着々と施行中でありまして、一応荒波は切れるところまで行つておりますが、内水排除施設の設置、工業用水の補給等、早急に考慮せねばならない問題があります。第二は尼崎の防潮堤でありますが、運輸省関係二十四億、建設省関係六億円で〇・P八メートルより五・五〇メートルまでの防潮堤を施行中で、大体本年度完成いたすのでありますが、問題は内水の排除と、上流よりの洪水の浸入を防禦することにあります。すなわち現在建設省直轄施行中の猪名川改修工事が、今日のごとく遅遅として進捗しないならば、未改修地点より破堤し、洪水が防潮堤に溜積され、その水深が七メートル以上にも及び、これがため尼崎全市水没の災いにあう危険性が十分にあるのであります。防潮堤をつくつたがために、逆に洪水の厄にあつたなどということのないよう十分なる措置をする必要があります。 次は道路に関する諸問題であります。その第一として、阪神第二国道について申し上げます。現在阪神地方の陸上貨物は、現阪神国道によつて輸送されておりますが、本国道は、規模、構造ともに近時重量高速車両の異常なる発達に即応し得られず、阪神地帯を通ずる陸上貨物輸送は、まさに危殆に瀕せんとする現状でありまして、本地区の産業進展上、まことに憂慮すべき状態にあります。従いまして、戦災復興事業の一環として着工された幅員五十メートルの第二阪神国道が、その代替線としてまことに緊急性を持つて参りました。しかしながら、その進捗は遅々としており、特に戦火復興事業区域外に属するものが相当区間にありまして、阪神地区の発展に暗影を投じつつあります。戦災復興事業の早期完成とともに、本路線の貫通をはかることが、本地帯振興の基盤であると存じた次第であります。 その二は、国道二号線明石—姫路間の鋪装補修の問題であります。本路線は、昭和六年より内務省直轄施行で鋪装したものでありますが、戦後の重量交通により破損し、最近一年間で鋪装面積に対する破損率は二七%より四四%に増加し、約四十キロにわたつて危険箇所があるため、道路交通はまつたく麻痺状態にあるといつても過言ではないのであります。一日五千台も通過するかかる重要幹線がこのような状態にあるのは、まつたく残念なことであります。しかも、かかる大規模な補修は、県の維持に耐えられるものではなく、国直轄補修が必要であります。本年度より着工いたすようでありますが、かかる幹線は早急に完成さす必要があります。 次は、河川関係について申し上げます。その一は、十津川猿谷ダムのアロケーシヨン問題であります。本ダムの発電事業は、電源開発株式会社で行つておりますが、会社は、ダム建設費の費用割振りに不満であるとして、分担金の支払いを停止してしまつたため、現地においては事業が進捗せず、まことにけしからぬことがあります。これは本省において早急に話合いの上、工事の促進をはかるべきであります。 その二は、河川法の改正に関連するのでありますが、河川監視員に警察権を持たしめようということであります。阪神地区に近接せる河川におきましては、砂利の需要度が高いため、採取禁止区域より砂利を採取する者が多く、これを制止しても力ずくでとつて行く。警察でときどき手入れをするが、跡を絶たないという悪質な砂利業者がおるのであります。従いまして、洪水防禦上、河川監視員に、必要があると認められるときは警察権を行使し得る権限を与えるようにすべきであると存ずるのであります。 その三は、天川、市川、六万川、円山川等中小河川を見て参つたのでありますが、いずれも事業の促進をはかる必要がある河川であります。問題であるのは、円山川でありまして、これは下流部はすでに直轄で改修済みであるのでありますが、現在上流部を中小河川で改修中でありまして、そのために下流の流量が増加し、増補工事を必要とするに至つております。従つて、上流の工事の進むにつれ、下流は洪水の危険度が上つて来るわけでありまして、すみやかに増補工事に着工する必要があります。 次は、戦災都市復興事業の問題であります。これにつきましては、尼崎、神戸、姫路の各都市を調査いたしたのでありますが、いずれの都市においても、再検討五箇年計画の完遂と、さらに残された関連事業の遂行を切実に希望しております。特に関連事業の遂行は、戦災復興事業の効果をあげるのに絶対的に必要なものであると思われるのでありまして、これにつきましては、何らかの対策を立て、明年度より実施いたす必要があると考えるものであります。 次は、工業地帯の整備についてであります。大阪、尼崎、姫路等の工業地帯は、現在工業用水の供給、地盤沈下の防止、悪水排除、埋立て等、工業地帯の必要に迫られております。これらに対する助成措置を望む声が非常に高いのでありまして、これに対しましては、都市計画法の改正あるいはその他の立法措置が必要になつて来るかとも考えられるのでありますが、本問題は緊急を要するものでありますから、至急対策の樹立が必要であります。 以上、はなはだ雑駁でありましたが、調査報告を終ります。つきましては、ただいま申し上げた所見等について、建設省当局の御意見を伺い、参考にしたいと存じます。
○久野委員長 次に九州班中島茂喜君。
○中島委員 去る八月二十一日より一週間にわたつて、衆議院規則第五十五条に基きまして北九州各県の災害状況を調査いたしました結果を御報告申し上げます。 まず本災害の経過及び概要について申し上げますと、六月の二十五日早朝より南九州に降り出しました雨は、梅雨前線の北上とともに、同日午後より九州の中部及び北部に現われ、その後この梅雨前線は九州の中部以北、幅約百キロの狭い地域を南北にゆるやかに移動し、あるいは停滞しつつ、二十九日南北州に南下するまでの間、五百ミリないし千ミリに及ぶ大豪雨を降らせ、まれに見る大水害を惹起いたしたのであります。すなわち二十五日の雨は、前線の北上に伴つて九州北西部に最も多く降り、まず佐賀平野、筑後平野、筑豊平野の大水害となり、二十六日には南下して白川の氾濫となつて熊本市の災害を起し、さらに二十七日には大分県に移動し、筑後川は再び水位上昇し、大野川、大分川にも災害を起し、二十八日にはさらに北上して関門を中心とする北九州工業地帯に甚大なる災害を惹起いたしたのであります。 今その災害の概要を数学的に述べますと、福岡県が被害額約八百億、佐賀県が二百二十億、熊本八百三十億、大分百八十億。このうち土木災害は、福岡が百七十七億、佐賀県四十四億、熊本県百八億、大分県四十億。全壊流失家屋数は、福岡県が四千戸、佐賀県五百戸、熊本県二千四百戸、大分県千二百戸という厖大な額に達するのであります。 以下各県別に災害の状况を御報告申し上げます。 福岡県について申し上げますと、筑後川につきましては、本川の改修計画は流量五千立方メートルでありまして、改訂計画流量は七千であつたのでありますが、今回の豪雨による出水量は、はるかにこの計画流量を上まわり、現在までの痕跡調査によりますと、河口約七十キロ上流に当る長谷狭窄部において、毎秒一万立方メートルの流量があつたものと推測されるのでありまして、その最高水位は下流久留米市瀬下付近におきましては、二十六日の午後七時半には最高水位九メートルとなり、本川の計画高水位を上まわること実に一メートル四十に達しておるのであります。このため本川改修区域内におきまして、被害箇所が二十六、決壊崩壊箇所五十八、護岸床固めの被害箇所が四十三、金額にして三十三億円余の被害をこうむり、左右両岸の市町村におきましては、約四万町歩にわたつて浸水を見、未曽有の惨害を惹起したのであります。この災害に対しましては、第一次緊急費として五億円、第二次緊急費として四億円、計九億円の配付を受け、七月末をもちまして一応破堤箇所の仮締切りを終り、八月末を目途といたしまして、危険個所の応急復旧工事を施行中でありました。 本川の根本的改修計画としましては、すでにその沿川が開発された穀倉地帯であり、引堤その他の方途による河積の増強が困難である実情より見まして、上流各地におきましてダムを築造することにより、流量を調節する以外にその方法はないものと思われるのでありますが、これらのダムの築造に関しましては、国の予算面あるいはその施行面より見ましても、これが完成には少くとも五年ないし十年の期間を要するものと考えられるのでありますが、当局はこの間における災害に対しまして、いかなる措置を講じようとお考えになつておるのか、この点を伺つておきたいのであります。また本川上流部夜明ダムにつきましては、その結論はさらに今後の詳細なる調査にまたねばならぬとはいうものの、当局においては、将来この種のダム築造に対する認可あるいは管理等に関し、十分慎重、正確なる措置を監督指導する必要があると思われますが、これに対しましても本省の考え方を承つておきたいのであります。 以上につきましては、後に述べる所見におけると同様、詳細なる見解を承りたいと思います。 なおこの際、本川におけるのみならず、いずれの河川についても同様でありますが、最近における異常なる水量及び沿川の実情よりして、今後新たにこれが築造の困難なる現状にかんがみまして、従来築造されている霞堤は、でき得る限りこれを保存活用されんことを付言いたしたいのであります。 次に遠賀川につきましては、植木町堤防百八十メートル余にわたる原因不明の破堤を初め、決壊崩壊箇所八箇所、護岸床固め被害箇所九箇所等金額にし幸して一億九千万円に及ぶ被害をこうむつたのであります。現在までに第一次緊急費として五千万円、第二次緊急費として二千万円、計七千万円の配付を受け、筑後川同様八月末を目途といたしまして危険箇所の応急復旧工事を施工中でありました。元来本河川は、その流域地帯が鉱害による地盤沈下地帯でありまして、そのため年々河川及び堤防自体が、絶えず損傷をこうむりつつある現状にかんがみまして、単に災害時における復旧工事のみならず、常時における維持管理の必要性を痛感されるのでありますが、さらに今回の植木町における堤防の決壊は、単に異常なる出水のみによるものではなく、その原因がいまだに朗らかでない模様でありますが、かくのごとき、ことは、今回のみで済まされるべき性質のものではなく、今後における本川の復旧計画あるいは改修計画における重要なる要素となるものであり、これが原因の探求並びに対策の樹立は、特に必要と思われるのであります。 また本川は、その支川の改修工事の進捗状況に比較いたしまして、著しく本川の改修が遅延いたしておる状況にありますが、これが改修の促進方が要望されているのであります。なお、今回の植木町提防の決壊により、耕地数町歩も同時に災害をこうむつたのでありますが、これが復旧に際しましては、目下建設省側において行いつつある堤防復旧工事に使用しつつあるサンド・ポンプを用いることにより、両者の復旧がより効果的に行われるものであるにもかかわらず、所轄省の異なるため、これが統一的に行われておらぬ状況にありますことは、植木町におけることのみでなく、全国的に見て一考を要する問題と思われるのであります。 次に、助成河川編入を熱望いたしております。矢部川外四河川の災害について簡単に申し上げます。まずこれら諸河川の被害箇所数、被害額及び助成希望延長キロ数について申し上げますと、矢部川九十五箇所、大根川八十三箇所、板櫃川七十五箇所、尺岳川四十二箇所、犬鳴川に百三箇所となつております。この被害額は、矢部川にして四億、大根川二億一千、板櫃川三億九千、尺岳川三千、犬鳴川四億五千となつております。助成希望延長は、矢部川の九キロ、大根川十キロ、板櫃川七キロ、尺岳川三キロ、犬鳴川二十五キロでありまして、このうち、矢部川を除く他の諸河川は、急流河川の様相をなしており、出水時における破壊力は特に甚大であり、大根川においては千三百町歩、犬鳴川においては五百町歩余の浸水を見、板櫃川においては小倉市、八幡市の大災害となつたのでありますが、いずれも河床の降起著しく、また大根川においてはいぜきが破堤の原因といわれておるのであります。矢部川につきましては、既改修部分は、今回の出水に対し何らの被害をも受けておらず、注目すべきことであろうと思われます。 次に、九州工業地帯における災害につきましては、北九州一帯は、門司市における十五度ないし三十度の傾斜を初め、小倉市、八幡市におきましては、背後に急峻なる山地を控えるために、地質は最も崩壊しやすいものでありまして、保水力がきわめて乏しい状態に置かれておるのでありまして、六月初旬よりの連続雨量による飽和、状態に引続き、二十八日正午ごろを中心とする約四百ミリに達する豪雨により、門司市における六百十九箇所に及ぶ山津波を初め、各所に空前の大災害を起したのであります。すなわち門司市におきましては、死者百三十七名、家屋全半壊二千七百六十四戸、一般被害四十三億、土木災害約十億に達したのであります。小倉市におきましては、死者百十八名、家屋全半壊六百七十四戸、土木災害四億七千万、八幡市におきましては、死者十七名、家屋全半壊千五百戸、土木災害九億円余に達し、ことに八幡市におきましては、年産額一千億円を越える製鉄事業等に対し、僅々一日にして約八億円に及ぶ減産を生ぜしめたのであります。 これらの諸都市におけるほぼ共通の要望といたしますものは、背後山地における森林砂防、河川砂防、新規荒廃砂防事業を直轄事業として施行されたいこと。狭少なる地域における排土作業に対しては、多数の人力を使用する、いわゆる人海戦術による作業が困難なるため、排土用土木機械の無償貸付を早急に具体化されたいこと。つなぎ資金の早急なる追加措置をとられたいこと。半壊家屋の補修費及び公営住宅、公庫住宅に対する標準建設費の増加を認められたいこと等がそのおもなるものでありまして、さらに門司市におきましては、風師山標高五十メートル付近に砂防と道路とを兼用する防災道路の建設を要望いたしておるものであります。 次に熊本県について申し上げます。まず菊池川につきましては、本川は今次の豪雨によりまして、中富護岸を含め、堤防決壊崩壊箇所二箇所、護岸床固め被害箇所二箇所、金額にして六千三百万円の被害をこうむつたのでありますが、現在までに、第一次緊急費とて二千万円が配付されておるのであります。本川は、直轄河川といたしまして、昭和十五年度より改修計画が進められているのでありますが、現在までに、わずかにその一〇%の改修が施されたにすぎず、堤防、護岸等の施設が局部的に施行されているのみで、まつたくの原始河川の域を脱出していないのであります。本川に対する本年度予算は七千万円程度でありますが、本川の改修を一応完了するには、明年度以降なお二十四億円を要するものと推定されるのでありまして、現今のごとき予算措置をもつてしては、これが改修の完成までには数十年を要することとなり、地元におきましては、少くとも十年ないし十五年程度をもつてこれが改修を完了されんことを要望いたしておるのであります。また本川は、河口より上流四キロの地点にある玉名町に至るまで海潮の昇戻を受けるため、玉名町河崎地先より永徳寺に至る間の堤防の補強が特に要望されているのであります。 次に、本県下におきまして最も甚大なる災害を惹起いたしました白川水系について申し上げます。本県下における豪雨は、白川水源阿蘇地方で、実に九百八十五ミリという記録的の降水となり、阿蘇山一帯は各所に崩壊を来し、これがため粘着力なき火山灰を含んだ濁水が流域各河川を経て白川に流入いたしたのであります。このため上流における東岳川、西岳川、古恵川、黒川等の各河川では、河積をはるかに越える流水により、全面的に破堤または決壊が続出し、特に白川上流の南郷谷は最も被害激甚で、ほとんど河川の原形をとどめざる状態であります。一方熊本市におきましては、含砂量三〇%以上と推定される濁水のため、小貝橋を初め、市内十七橋のうち一橋を余すのみとなり、また京町方面の高台を除く市内約八割の戸数が浸水いたし、かつその堆積土砂量は二百四十万立方メートルに達するものと推定されるのであります。白川水系の一般被害といたしましては、死者行方不明千余名、家屋その他建物の流失、全半壊六千余戸、田畑流失埋没五千余町歩、浸水面積実に一万二千町歩でありまして、土木関係災害のみにても六十二億円余の被害をこうむつており、うち緊急査定額として十八億余が認められているのであります。県当局におきましては、これらの対策といたしまして、被害の最も激甚であつた白川上流南郷谷、東岳川及び筑後川水系北里川は、合併施行による改修工事を計画いたしており、また黒川、西岳川は、助成工事による改修を要望いたしております。一方白川下流部につきましては、昭和四年以来河川法を適用されているのでありますが、その後の被害が他河川に比し激甚でなかつたため、直轄工事として採択されるに至らなかつたものでありますが、今次未曽有の災害にかんがみ、直轄工事としてすみやかに改修されんことを、強く要望いたしておるのであります。なお本川中流部より下流にかけましては、堆積土砂による河床の隆起がはなはだしいために、川幅を現在の三倍、約二百メートルに拡大するとの案もあるようでありますが、用地等の問題を考慮するとき、ただちに実行可能とは思われないのでありまして、むしろサンド・ポンプ等を利用することによる堆積土砂の急速なる排除及びその排除土砂による臨海埋立地の造成等を考慮してよいのではないかと思うのであります。 次に、佐賀県について申し上げます。六月二十五日の豪雨により、佐賀県下における城原川、田手川、嘉瀬川等、佐賀平野中央部における堤防決壊により、たちまち氾濫に陥る一方、筑後川の増水もはなはだしく、各所に破堤を見、三養基、神崎十七箇町村の被害となつたのであります。すなわち、住宅全壊が五百戸、田畑の流出五千町歩、堤防決壊五千箇所、橋梁流失千四百箇所に及び、土木関係災害のみにても五十六億円余の災害をこうむつたのであります。 本県におけるこれらの河川は、単に豪雨による影響のみならず、有明海の干満差の影響及び筑後川本川よりの逆流による影響が特に顕著でありまして、内面排水施設の早急なる完備の必要が痛感されるのであります。 また本県は特に県財政貧困をきわめ、本年度は前年度赤字補填のため現金に乏しく、しかも年度開始後五箇月の今日、一般経常費においてさえ、財政調整資金の借入れにより辛うじて運営を行つている状態であり、従いまして国庫補助事業に対する県負担分はもちろん、県単独事業の財源にも困却している状態でありまして、平衡交付金、起債あるいはつなぎ融資等のわくの増額を特に切望いたしておるのであります。 最後に大分県について申し上げます。台風第二号に伴う豪雨により、山地が飽和状態となつている折に、さらに今回の豪雨に際会いたしたため、県下各地の重要なる道路、橋梁並びに河川は甚大なる被害をこうむり、土木関係被害額のみにても約四十億円に達するのであります。本県における直轄河川といたしましては、大分川につきましては決壊崩壊箇所三箇所、護岸床固め箇所四箇所、被害額六千万円、大野川につきましては、護岸床固め五箇所、被害額四千二百万円の災害をこうむつております。 一方、筑後川上流に位置する日田市におきましては、三隈川及びその支流花月川が比較的狭窄部をなしている小渕町付近において、また庄手川が日高町において浸水し、市街はごく一部を除いてことごとく浸水を見たのでありますが、地元におきましては、これら三川合流点に対する早急なる根本的改修計画の樹立及び筑後川の直轄区域を三隈川、花月川にまで延長されんことを、強く要望いたしておるのであります。 以上をもちまして、災害状況の報告を終り、次に所見を申し述べ、当局の明確なる御答弁を承りたいと思います。 第一には災害対策特別法に関する予算措置についてであります。 今次六月及び七月の大水害に対しましては、公共土木施設等についての災害復旧等に関する特別措置法を初め、国庫補助率の引上げまたは補助対象の拡張等につき、二十四の特別法が去る第十六国会において成立いたしたのでありますが、かくのごときことは、まつたく従来にその例を見ざることであり、従いまして、それだけに地方公共団体のこれら特別法の成果に期待するところ、まことに大なるものがあるのであります。しかしながら、現実の復旧事業が促進するやいなやは、一にかかつてこれら特別法の裏づけとなるべき財源の措置いかんにあるのでありまして、十月末に開会を予想される臨時国会におきましても、これが論議の中心となることと思うのでありますが、国家財政多端の折から厖大な額に上るこれらの予算措置に関して、当局はいかなる措置をとられようとするのか。しかもこれらの措置は早急を要するものであり、これが財源措置として建設公債の発行の構想等も一部にはあるようでありますが、いずれにしろこれが予算措置いかんは、単に復旧事業の促進いかんのみにかかわるものではなく、国民の法律に対する不信、国の政治に対する不信を招くものでありますがゆえに、この際明確なる御答弁を願いたいのであります。 第二には、水害復旧に伴うつなぎ融資の問題及び十万円未満の復旧工事に対する国庫補助の問題についてであります。まず、つなぎ融資の問題につきましては、さきに御報告申し上げました佐賀県に例をとりますに、被害見込額二百八億中、県において本年九月までに緊急に復旧せねばならぬものは約二十二億円に上るのでありますが、現在までに復旧資金として二億七千円余の融資があつたのみであり、緊急所要額にはなお十九億円の不足を来している実情にあり、中小都市である門司市の例によりましても、第一次分として六千万円余の融資を受けたのでありますが、災害応急経費として九月までに一億二千万円余の現金支払いの必要に迫られており、少くとも一億円のつなぎ融資を熱望する等、つなぎ融資のわくの増額の問題は、関係公共団体にとりましては、最も緊急を要する切実な問題であり、考慮すべき問題であろうと思うのであります。また今回の融資は、資金運用部、簡易保険等のわくがあり、緊急を要する場合に際し、このわく配分の事務手続に時間を要する実情であつたようでありますが、今後はこれを一方に統一するか、あるいは一次分は資金運用部、二次分は簡保にわける等、資金化を急速かつ効果的に行うべく措置を考慮する必要があろうと思うのであります。 次に、十万円未満の復旧工事に対する国庫補助に関する問題につきましては、各市町村ともに、地方財政窮乏の折から、これを熱望いたしておるのでありまして、すでに農林省関係につきましては、三万円の線に落ちついたようであります。建設省関係の災害復旧工事につきましても、同様の措置を講ずるかわりに、平衡交付金に特別のわくを設け、これを処置するよう承つておるのでありますが、災害関係者一同が納得の行くよう、具体的措置を早急に講ずる必要があると思われるのであります。これにつきまして詳細な御答弁を特にお願いをいたしておきます。 第三には、半壊家屋に対する補修費及び公営住宅、公庫住宅等の標準建設費の増額の問題であります。この問題は両者とも公共土木施設等についての災害の復旧等に関する特別措置法の附帯決議第二、第三、第四に述べられており、関係当局におきましても、当然この線に沿つて折衝を進められておられることと思いますので、あえて多言は避けたいと思いますが、現在までの折衝の経過並びに見通しについて、詳細承りたいのであります。本問題は、災害地における最も熱烈なる要望でありまして、時期を失しては、せつかくの融資もその効果を半減する点を十分考慮する必要があると思うのであります。 第四には、組立橋及び組立家屋についてであります。今回の災害により流失せる福岡県の両築橋、あるいは熊本市における子飼橋等、駐留軍より貸与された組立橋によりまして、非常な便宜をこうむつているのでありますが、これらはあくまで貸与物でありますため、先方の都合いかんによりましては、いまだ完全なる復旧を見ざるうちにも返還を余儀なくされるのでありますので、今後組立住宅と同様、災害の多いわが国にとりましては、これが整備は特に必要かと考えるのであります。 第五に、福岡県尾野川における鉱津災害についてであります。本災害は、旧帝国産金の鉱津が今回の豪雨により崩壊流出いたし、家屋九戸、住民十四名を埋没し、さらに本川の河床を隆起せしめたのでありますが、所轄省の異なるため、残余の鉱津はそのままに放置され、きわめて危険な状態のままに置かれているのでありまして、これを砂防事業として取扱うか、あるいはその他の措置を講ずるか、いずれにしましても、何らかの早急なる措置を必要とすると思うのでありますが、これが通産省当局との折衝はいかなる状態になつているか。なお今後の措置について承りたいのであります。 最後に、河川管理に関する行政組織の一元化並びに災害復旧工事の促進化について申し上げたいのであります。治水問題につきましては、水源より河口に至るまで一貫して一元的に処理することが必要であることは言うまでもないことであるにもかかわらず、依然として農林省関係に山林砂防あり、建設省関係には渓流砂防あり、しかも両者間の計画に必ずしも一貫性があるとはいえない状態に相なつているのであります。また河川堤防に対する灌漑用いぜきにいたしましても、工事施行の担当が異なるため関連性がなく、今回の災害に際しましても、大根川を初めいぜき箇所における破堤は各所に見られるのでありまして、河川管理に対する行政組織の一元化、すなわち一箇所で治水に関するすべての計画と責任を担当することの必要性が痛感されるのであります。 次に、災害復旧事業の促進化につきましては、国の復旧方針といたしましては、災害発生の年度を含め三年間に三・五・二の比率による完成が目ざされているようでありますが、実績はやはり五箇年ないし六箇年を要する実情のようであります。これは国家財政の実情より、やむを得ないといえばそれまででありますが、わが国のごとき災害国におきましては、災害は短期間に復旧してこそ、その意味があるのでありまして、現状のごとき状態におきましては、未復旧箇所の再度罹災による災害は増加するのみでありまして、災害基金法等の特別措置による財源確保の方途をも検討する必要があると思われるのであります。 なお、この際付言いたしておきたいことは、今回の災害に対しまして、災害予備費百億円中より、すでに四十数億円が支出されておるようでありますが、本年度はいまだ台風期を控えておりまして、少くともそれまでには一応の態勢を整える必要があると思うのでありまして、今回の災害地に対する残余の予備費の早急なる支出の必要ありと思うのであります。 以上御報告申し上げまして、当局の御所見を承りたいと思います。
○久野委員長 ただいまの調査報告に関し幸して、政府より意見を聴取いたします。稲浦次官。
○稲浦説明員 建設委員会の各位には、このたびの災害地を詳細に御視察になりまして、いろいろ貴重な御意見を承りまして、われわれの仕事をして行く上に非常に参考に相なりました。御意見によつて強力に建設行政を遂行して行く覚悟でございます。つきましては、ただいまの御意見に対しまして、私から総括的なお答えをいたしまして、各項につきましての詳しいことは、局長なり課長が参つておりますので、お答えいたすことにします。 まず第一に、河川の恒久対策でございますが、お説にあつた通り、計画洪水流量を再検討いたしまして、改訂するものにつきましては改訂いたすことにして、まず計画洪水流量をただいま検討中でございます。大体昭和二十四年にやりまして、ほとんど改訂するものがありませんが、筑後川のごときはその改訂の必要に迫られておるものでありまして、そのほかに球摩川とか、あるいは白川とかいうようなものが二、三あります。大体以前に検討しました計画洪水量で行けるはずになつております。そこでこれに従いまして、具体的な実行は、上流部における水源の涵養のために強力に砂防工事を実行して、土砂の崩壊、河底の隆起を防ぎ、なお御意見のありましたように、現在すでに堤防ができておりまして、これを引堤するということは、貴重な耕地をつぶすことになりますので、現在の川幅はできるだけそのままにしておきまして、上流部で大規模な洪水調節ダムをつくつて、現在の下流における過量を下げて行こう。なお霞堤、あるいは溢流堤のごときものをつくりまして、農作に大きな支障のないような方法をとつて行きたい、かような方法でやつております。 各河川につきまして具体的な検討をいたしまして、全国の河川全部を一時にやるということは、非常に財政的にも困難でありますので、財源の許す限り、重要度に応じて、その重要ポイントを押えるような形で、改修、災害防除をやつて行きたい、かように考えます。たとえば筑後川のごときは、もうすでに下流はでき上つておりますので、今後の計画洪水量は、とうてい七千では足りない、ある程度増さなければなりません。先ほども一万というお話がありましたが、あるいは一万をとらなければならぬかもしれませんが、私どもは現在検討中であります。その下流は五千でできておりますので、その差の流量は、どうしても上流で大きなダムを二、三箇所つくつて調節する考えであります。これはぜひとも強行しなければ、筑後川は治まらないと考えております。またその他の河川についても同様な方法をできるだけとつて、下流における耕地の支障のないような方法をとりたい、かように考えております。 それから災害復旧につきましては、前の国会で特別措置法が成立しましたので、その趣旨にのつとりまして、できるだけすみやかに災害復旧をやるために、いろいろな検討をいたしております。ことに予算措置でございますが、これは現在の予備費だけではとうてい実行ができませんので、いずれ補正予算なり何なりで、予算要求をしなければ実行ができない、かように存じております。 それから、これに伴つて将来の問題としましては、どうしても河川管理の一元化をやらなければならない。何と申しましても、国土を開発する上におきましては、まず治水を断行しなければならない。治水があつて、しかる後に利水というものが起つて来るのであつて、川が不健全であれば、これを利用することができないということは自然の法則でありますので、それを強力に実行するためには、どうしても現在の河川法の改正をやつて、全水系について一貫した気分、一貫した政策で川を治めて行かなければならない。近い将来に河川法の改正をぜひとも行いたい、かように存じております。 そのほかいろいろ個別的な御意見がございましたが、関係の局課長が参つておりますので、一々詳細に御説明いたします。
○久野委員長 ただいま調査報告並びに政府側の意見を聴取いたしたのでありますが、今次の災害に関連をいたしました緊急対策あるいは根本的な恒久対策等につきましては、まことに重要でありまして、いち早くこれが予算的な裏づけをなさなければならぬと存じます。そのような問題につきまして、明日は特に大蔵省あるいは各省の政府委員の出席を求めまして、これらの諸問題を検討いたしたいと存じます。 なお本日、本委員会の終了後、政府側より治水根本対策要綱並びに特別法に基く地域指定についての意見を聞きまして懇談をいたしたいと存じます。 本日はこの程度にて委員会を散会いたします。 午後三時七分散会