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16回国会衆議院1953/07/28

建設委員会 第18号

発言数
20
登壇者
8
会派数
2
開催日
1953/07/28

会議録

久野忠治自由党

○久野委員長 これより会議を開きます。  災害復旧に関し調査を進めます。  ただいま当委員会の理事会と水害地緊急対策特別委員会北九州水害地建設対策小委員会と、今次の西日本災害対策の特例に関する件について協議を行いました打合せの経過につきまして、報告協議することについて、委員長に御一任いただきたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

久野忠治自由党

○久野委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたします。  ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕

久野忠治自由党

○久野委員長 速記を始めてください。内海安吉君。

内海安吉自由党

○内海委員 治山治水の長期計画につきまして、政府は二十七日の午後、江口、田中両内閣官房副長官を中心に、建設、農林、大蔵各次官が集まりまして、総理大臣のさしずに基いて、いろいろ審議をされたということであります。ちようどわれわれはこの西日本の水害や、あるいはまた北上特定地域総合開発計画というような観点からいたしまして、治山治水の、この吉田総理のさしずに基いての御計画ということは、まことにけつこうなことであると思うのですが、昨日の関係各省次官と官房副長官との間においてお話合つた内容、あるいは将来においてこういうような計画をしたいというようなお考えなり、あるいは御意見なりがありましたならば、さらにまた、昨日のいろいろな御懇談の経過等について、さしつかえない範囲においてこの委員会に御説明を願えれば幸いだと思いますが、稻浦次官から承りたいと思います。

稲浦鹿藏建設事務次官

○稲浦説明員 昨日両官房副長官と、それから関係の次官が集まりまして治水の恒久対策について懇談しようということで、次官会議を約二時間を費したのであります。問題は、河川の治水対策というものは、もうすでに建設省において相当古くから研究しておりまして、いまさらこういうものを事新しくやる必要もないじやないか。ただ、この未曽有の大降雨による出水が、今まで予期しなかつたような出水であつた。その原因は、申すまでもなく水源地の荒廃等によつて起つておると思いますが、一応治水計画の根本をなす計画洪水量の再検討だけはしたい。そうしてそれによつていろいろ具体的な計画を樹立するとか、いろいろな意見を申し上げましたところが、今までせつかくそういう計画を立てても、財政の関係等によつてこれが実行に移せなかつたことは、まことに遺憾であるから、これをひとつ何とか考えなければ、いくら案を立ててもだめじやないかということで、たとえば筑後川のごときも、以前は毎秒五千立方メートルの計画洪水量で仕事をやつて、約七〇%近くの仕事ができ上つたのですが、昭和二十四年に、水源地の状態がいろいろ変化して来たからといつて検討した結果、どうしても七千立米に上げなければいけないというので、改訂計画をつくつた。しかしながら、予算措置その他の関係で実行に移し得なかつたというようなことがありまして、さらに今度の洪水によつてどうも七千立米じや足りないような気がする。いろいろ検査や調査して、ことによつたら七千を越えるかもわからないというような調子で、せつかく計画を立てても、実行に移せなかつたら何にもならないというようなことを申し上げまして、結局、それではまずもう一度再検討するということにして、建設省は水源地から河口に至る全水域での治水計画を樹立する。それから農林省は山林、つまり水源地の山林となつておるもの、保安林とか山林砂防ということについて再検討する。もちろん河床については農林省と建設省が十分打合せて一貫した一つの計画を立てるという根本措置を講ずることに申合せをしようじやないかということにいたしました。それから、大蔵省は予算措置を講ずる。たとえば、先ほどお話があつたような建設公債というようなものもあるだろうと思いますが、予算措置を考えて結局実行に移し得る方法を考えようじやないか。なお、建設省及び農林省において立てた具体的な計画につきましては、内閣に関係閣僚協議会というのを置いて、そこでひとつオーソライズでありますか、して、結局議会に提案するということになるのだと思います。そういう根本方針だけきめたのでありまして、それに基きまして建設省は、まず建設省自体の力によりまして根本計画を立てたい、かように思つておりますので、建設委員の方々にもひとつ御協力を願いたいと思います。

内海安吉自由党

○内海委員 もう一言承りたいのですが、きのうの会合で、何か吉田総理からさしずがあつたように報道されておるようですが、これは何か具体的に総理大臣からあなた方に対して、かくかくの問題を調べろ、かくかくの問題について重点的に扱えというような、単なる協議会の設置問題じやなしに、何か総理からあなた方に御指示があつたのですか。

稲浦鹿藏建設事務次官

○稲浦説明員 総理からわれわれに、直接にそうして話はなかつたのであります。田中官房副長官から、恒久対策を練ろというだけの話で、先ほど申し上げたようなことに終つております。

田中角榮自由党

○田中(角)委員 ちよつと次官にお聞きしたいのであります。今まで建設省の予算等を編成する場合の基本的問題としては、結局その年度の治水に対する工業量をどうきめるかというような見方からだけでありましたが、かつて経済安定本部と建設省その他関係省がやつておりましたように、日本の治水、利水の問題を解決するためには、根本的な調査をまず第一段階に行わなければならぬ。今まで内務省時代から、建設当局においても治水に対する調査資料は完備しているとは思うのでありますが、この調査というものを予算科目に別個な形式をとつて、五箇年間だつたならば五箇年間日本の国土保全という立場から、また新しい日本の国土利用という面から抜本的な調査を行わなければならない。しかもそれに対しては、新して予算科目を設けてさえもやらなければならぬ。これに対してはもちろん基準立法が必要だ、こういうふうに考えておるのですが、この問題に対して、建設省の技術系統の御出身である稻浦次官は、どういうふうな考えを持つておられるか、ちよつと伺いたい。

稲浦鹿藏建設事務次官

○稲浦説明員 河川で申しますと、もちろん計画を立てる上には調査が必要であります。建設省におきましても、調査に相当力を入れてやつておりますが、お話の通りその予算が非常に貧弱なものでありまして、ほんとうに完全な調査をするには、やはり予算の増額ということが当然必要になつて来ると思います。ただ、全然新しいものをやるのでないので、前から先輩が相当研究された資料が残つております。その上に新しく積み立てて行くのだから、相当完全な計画が立て得るというふうに考えております。ただいま申しましたように、計画洪水量算定につきましても、前から何べんもかわつております。利根川りごときは四回ぐらい、最後は一万七千立米になつております。これをどうするかという問題でいろいろ再検討いたしておりますが、一万七千で大体よいと思うのです。これに対しては、藤原とか上流五箇所で洪水調整をやることはなつております。私見を申し上げてまことに相済みませんが、私はむしろ沼田あたりに相当大きな洪水調整の専門のダムをつくつて、そのダムだけは、ふだん、からにしておく、いざとなれば使うというような新しい考えを取入れてやりたい。これは相当経費がかかりますが、うまくやれば三年ないし五年でできる。これができると、下流に対して一応の安心感を与える。これによつて利根川の水害を救い得れば、かりに百億かかつても相当効果があるという感じをしておりますので、こういうことを取入れまして新しく検討してみたいと思つております。いずれにしましても、調査ということを根底にしてやらなければならぬので、その点田中委員の御意見まことにけつこうであります。皆さんの御支援と御協力をお願いしたいと思つております。

田中角榮自由党

○田中(角)委員 もう一言だけ、もし簡単に御答弁できたら、おき聞しておきたいのでありますが、日本の現在の状況は、戦時中の過伐、濫伐等でもつて基礎数字というものがかわつて来ておるわけであります。新しい新字をつかんで治水十箇年計画をつくり、そうしてそれにはもちろん水系別の設計書も全部添付する、こういう状況でいわゆる治水十箇年計画を遂行したならば、日本には水害というものは起きない、こういう確信を持てるまで調査を行うために、概算どのくらいの調査費用があればできるのか。大臣に聞いた方かいいのですが、こういう問題を解決しないで水害対策などあろうはずはないのです。あまりにも目先の問題にばかり追われて曲つてそういう問題を解決しないところに、私は政治の貧困もあり、行政の欠陥もある、こう考えておるのです。その道の専門家である次官でありますから、大ざつぱに百億あればいいのか、五百億あればいいのかという程度の御発言が、できたら願いたい。もしできなかつたら、一水系に幾らずつで、概算どの程度だろうというものを、この次の委員会に出していただき、それによつて、百億や二百億でできるものであつたならば、基準法をつくつてこういうものを行わなければ、災害対策の問題の根本的解決はでなきいと考えております。

稲浦鹿藏建設事務次官

○稲浦説明員 数字的な問題でありますので、私からここで思いつきを申し上げて間違うといけませんから、これはひとつ研究しまして、あとで御報告申し上げます。ただ筑後川のごときは、もうすでに水害がありまして、今盛んに調査しておりますが、要は計画洪水量を幾らにするかということが問題でありますので、さつそくこれを調査して、これがきまれば具体的な設計に入れる、かように思つております。いずれの河川も、申し上げるまでもなく計画洪水害の設定が根底でありますので、それがきまれば、大体治水の計画が立つと思つております。これが幾らいるかということは、今からよく検討しますから、御了承願いたいと思います。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 こういう問題が起りましたので、簡単に河川局長にお尋ねしておきたいと思うのです。ただいま稻浦次官から、大きな一つのからの貯水池をつくる構想を述べられましたが、これは高知に野中兼山という大儒学者がありまして、兼山のあほうぼりというのがあるのであります。村人はそれを知らないで、これをつぶしてしまつたところが、雨が降つて大水害が起つたという、野中兼山の非常に着眼点のよかつたことに通ずるところでありまして、私は稻浦次官に敬意を表するものでありますが、同時に、今回の和歌山水害等を実際に見てみまして、日本の国力、あるいは技術の力、地勢から考えて、この水害を皆無にするということは、自然に対してとうてい不可能であります。そこで事前に水害をいかに分散して少くするかということぐらいが人間のなし得ることだというこそを、私は今度考えて参りました。この観点から見ましたときに、堤防はかりに力を入れるということは、ある程度無意味である。  そこで考えられるのは、今まで日本でも、徳川時代からやつて参りました霞堤というものであります。いわゆる塩水によつて堤防の決壊となりますと、水流もきつくなりまして、田も何も流してしまうのであります。ところが、昔のしりなし川というものが、全国の各地にあるのでありますが、これなどは、各藩の力に応じた一つの水害対策の結果として、自然発生的に生れたものであろうと思うのであります。その霞堤を研究して、溢水によつて水勢が逆にあふれるのではなく、じわりとその付近の一時の溢水による水害を防ぐという構想は、野中兼山のあほうぼりにも相通ずるものであります。これはまた地勢によつて、ポンプ・アツプなどしなければ、いつまでもそのあふれた水がのかないということになりますと、また大水害になるのでありますが、地勢によつては、金原明善翁が始めた天龍川でありますとか、ああいうものを参考にして、ひとつモデル霞堤をつくつて、それによつて日本の水害を分散するという点を御研究になつてはどうかと思うのであります。それに対する資料があれば一応御提示願いたいと思います。

米田正文建設技官(河川局長)

○米田政府委員 ただいま次官からお話申し上げましたように、建設省としては、早急に全国の重要河川について十分検討すると同時に、改修計画、あるいはダムの問題、砂防の問題等、全体的な総合計画を立てるための準備に入つたのでありまして、現在作業中でございます。今お話のように、山地の状況、降雨の状況その他の要素を基準にして計画洪水量というものを決定するのでありますが、しかし、これも今後永久に絶対にそれ以上のものが出ないかどうかということは、これは非常にむずかしい問題であります。アメリカ等でも非常に研究されておりまして、将来起り得る最大の流量というものを研究目標にして、そういう観点からきめておりますけれども、それでは絶対ないかという問題になりますと、学者によつて、いろいろまた見解を異にしております。そういうものでありますから、もちろんある一定の基準のもとでの計画洪水量はきめますけれども、それ計画のぎりぎりにして、それ以上は一滴も余裕がないというものではいけないと思うのであります。そこで堤防には余裕の高さを持たせておいてある流量までは余裕の高さで持てるというような方法もとりますが、今お話のありました遊水池の問題、あるいは霞堤の問題は、重要な今度の一項目にいたしております。霞堤については御承知のようでありますから、御説明をする必要もないのであります、やはりある勾配のあるところ、傾斜地のところに適当な方法でありまして、そういう河川については、われわれの今やつております計画の中には霞堤工法というものを極力取入れるという考慮を払つておりまして、そういう観点から今計画をいたしております。昔の霞堤というのは、今日から見ますと、一番堤、二番堤、三番堤というような、非常に荒つぽい計画をいたしておりましたけれども、今後われわれのところで考えるものはなるべく支川の合流点から逆流をさせて、上から水が入らぬようにして下から入つて行くというようなことである限度以上に来たら、そういう洪水が逆流するという箇所をあらかじめきめておくというようなことを考えております。資料等の御必要があれば——これは資料といつても、図面になりますのでむずかしいのですが、特つて来て差上げてもけつこうでございます。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 これは計画的に洪水を起すというようなものでありますから、いろいろ付近の耕作者との交渉もあると思いますし、霞堤にしてもらつては困るという問題も出ると思うのでありますけれども、今度のようなノアの洪水を思わしむるような水量がありますと、地形によつては、水系を利用して、同時に、そのたまつた水をどうするかということが第一の問題でありましようが、特にこの問題については、日本は世界で先鞭をつけるほどのことにもなると思いますので、将来の御構想の一部門として大発展させるといいますか、特別の工法を完成されんことを希望するものであります。

稲浦鹿藏建設事務次官

○稲浦説明員 私今度の筑後川の水害で、いろいろ古い文献を調査してみますと、食糧増産のために小規模な遊水池は全部ふさいでしまつたということを聞いております。もちろん筑後川だけではなしに、全国の各河川でさような現象が相当あるだろうと思います。霞堤なり遊水池のことにつきましては、もちろん古くからやつておりまして、私もみずからやつた例もありますが、これは非常に効果的なものであります。しかし、一時は水につかりますので、耕作者に対しては、時間的の問題で反対を受ける場合があります。それは技術的によく検討してやらなければならぬと思います。もちろん、村瀬委員のお話のあつたように、この問題も河川局で検討して取上げることにしております。昔から争つておる問題でありますが、食糧増産を一時押えたのは元に帰さなければならぬ、これは耕作者の関係で、相当むずかしい問題が起つて来るだろうと思います。しかし全体の災害を軽減するためには、ある程度そうした方法をとらなければならぬ、かように思つております。     —————————————

内海安吉自由党

○内海委員 この機会に政府委員に質問したいと思います。委員会で扱つております建築基準法の一部を改正する法律案なんですが、これは委員長初めほとんど超党派的に十五名の委員の人々より提案されておる。先般田中委員よりこの提案の理由を説明し、その後しばらくたつておるのですが、民間といわず政府部内といわず、この問題に対してはいろいろな議論が行われておる。この法案を制定するときにあたりましても、瀬戸山委員より、今度改正しなければならぬ点を指摘いたしまして、そうして政府当局に質問応答を重ねたのでありましたが、遂にこの問題は今日まで残されて来ております。ところで、この提案理由の説明に対して、政府当局よりは何らの意思表示もありませんが、政府はどんな考えをもつてこの案に臨まれる覚悟であるか、この機会に御意見を承つておきたいと思います。

師岡健四郎建設事務官(住宅局長)

○師岡政府委員 これはただいまお話の通り、立法当時、この問題点を指摘されておるように私も承知しております。法第四条の改正については、かねていろいろ論議があるわけでありますが、この問題について建設省といたしましては、問題になつております当事者側の意見も十分に聞いております。それに応じましていろいろと解決策をはかつておるのでありますが、単に基準法の問題だけでなくて、その他地方自治庁の問題もからんで参るわけでありますので、解決に困難を来しておるという実情でございます。現在御提案になつております法案につきましては、この立法のそもそもの根本の趣旨から申せば、そういう方向に向うべきものであろうと思います。ただ建設省といたしましては、いずれにしてもただいま申しましたように、非常に複雑な事情にありますので、でき得るならば円満な解決をはかりたいということで、従来これに臨んで来ておるわけであります。ただいまのところ、それだけを申し上げておきたいと思います。

内海安吉自由党

○内海委員 いろいろ解決すべき問題が、この法の不備なために解決か困難であるとするならば、むしろ建設省は、進んでこの法案の改正を提唱されることこそ、今日とるべき態度ではなかろうかと思つております。なお、いろいろ解決に困難を生ずるに至るのは、これは住宅局長の怠慢ではないか。こういう問題こそ、進んで解決して行かなければならぬことだと思う。この点法案の審議にあたりましても、十分御勉強をしていただきたい。そこで委員長みずからが提案者となつておるのだが、去る二十二日に尊敬する田中委員あるいは瀬戸山委員が真剣にこの法案を提出しておる。会期もまさに切迫しておる今日であるが、少くとも建設省においてもこういつたような問題を解決するために困難であるということをお認めになつておるのであるから、この機会において委員長に大いに勉強してもらつて、この法案の通過に努力していただきたい、委員長の所信を承つておきたい。

逢澤寛自由党

○逢澤委員 関連して、ただいま話題になつております問題であります。実は私どもも議員提案の賛成者の一人になつておりますが、その後いろいろの陳情があります。そこで、私どもがサインをした当時の事情と昨今の事情とは、非常に違つたことを私ども発見しております。従いまして、この問題はいろいろ議論もありましようが、今少しく研究をせねば、にわかにこれを決定することはなかなか困難だと思います。ただいま内海委員からいろいろのお話がありました、委員長も立案者となつておられるようなお話でありますが、この点は多数の方々がそういうようなことになつておると思います。しばらくの間研究していただいてから、審議に入るようにしていただきたいということを申し上げておきます。

久野忠治自由党

○久野委員長 ただいまの内海委員の御発言にお答えを申し上げます。本法案の取扱いについては、先回の理事会で慎重審議をするということに決定をいたしております。この理事会の申合せに従いまして、委員長といたしましては、本法案を慎重審議いたしたいと思います。  次会は公報をもつてお知らせすることとして、本日はこの程度にて散会いたします。     午後零時四十八分散会

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