建設委員会 第17号
- 発言数
- 39 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1953/07/25
会議録
○久野委員長 これより会議を開きます。 災害復旧に関し、前会に引続き調査を進めます。赤澤正道君。
○赤澤委員 昨日に引続きまして質問をいたします。昨日申しました通り、本常任委員会と水害地対策特別委員会の建設部会とが、ちぐはぐなことを論議しておつても、かえつて弊害が伴うと思いますので、私、水害地対策特別委員会における論議を、当常任委員会の委員の方々に御紹介かたがた質問を進めさせていただいておる次第でありますから、政府におかれましてもその観点からお聞き取りを願います。そのために、あるいは私がここで質問いたすことが、向うの委員会の方とダブるかもしれませんが、お許しを願います。 きようは、住宅の問題について質問をいたします。特別委員会の方で今論議せられ、ほぼ結論に近づいている問題の一つとして、公営住宅法に関する問題がございます。大体災害地は、御承知の通りに一面に押し流されてしまつて、家も田畑も失つたという人たちが、たくさん学校とかあるいは寺院に収容されて、救助法の適用を受けつあることは御承知の通りであります。この衣食住のうち、住の問題をどうするかということでございますが、低額所得者と申しますか、自分の力をもつてしては自分の家が建てられぬという立場の気の毒な人たちが充満いたしております。そこでまず公営住宅が当然問題になるわけでございますが、特別委員会の方では、公営住宅の建設費の三分の二を住宅法で国の方で補助することになつておるのでありますけれども、これを四分の三まで上げてもらいたいという要求が一つと、さらに滅失住宅戸数のうち三割以内という制限がございますが、これを五割とするということを非常に熱烈に主張されまして、大体そういうふうに傾いております。これも当然財政措置が伴わなければ、単にこういう数字をいじつたのみでは家はできないのではないか。それで建設省におかれても、非常に親心をもつてこういう問題を処理していただいておるようでございますけれども、ただいま私が特別委員会の空気というものを申し上げましたのにつきまして、政府の御所見を一応承りたいと思います。
○南政府委員 お答え申し上げます。ただいま御質問になりました点も、明らかになつておるのでありますが、現在災害復旧公営住宅の建設戸数については、政府の計画は、全壊流失戸数を対象として、厚生省所管のもとに約二割五分応急住宅をつくつておることは、御承知の通りであります。私たち建設省所管のもとにおきましては、滅失戸数の三割に相当する戸数を三分の二によつて建設する、それから住宅金融公庫より二割五分に相当する戸数につき、特別優先貸付をすることといたしておつて、大体八割ぐらいの滅失戸数は再び建てることができる、こういう見通しを持つておるのであります。水害地委員会の方におきましての四分の三とか、あるいは五割までというような御意見も拝承しております。御質問の通り、それには相当財政措置が必要と存じます。私の方におきましては、大蔵当局と折衝はいたしておりますけれども、まだほんとうに了解に達しておらぬというのが、現在の実情であります
○赤澤委員 大蔵省の方いらつしやいますか。
○久野委員長 来ておられません。
○赤澤委員 それではただいま南政務次官の方から、大蔵省と折衝を続けておるというお言葉がありましたので、大蔵省の見解並びにその折衝の経過についてお伺いいたしたいと思うのです。実は滅失住宅の戸数の三割あるいは四割、五割ということをいつてみたところで、これは根拠があつていうわけではなくて、一つの数字をおのおの発言するというだけだと思うのであります。ただ私が聞き及ぶ範囲内においては、現行の住宅戸数の三割のうちで、大体今年度一割五分、来年度一割五分というふうな計算を大蔵省でしておられるということを、ほのかに聞いたのでございますが、これは事実でございましようか。
○石破政府委員 大蔵省と折衝はいたしましたけれども、われわれの段階における事務折衝では、今回の災害に特別に建設戸数をふやすとか、補助率を上げるとかいうことは、全然納得いたしておりません。また私の方といたしましても、それを上げることが妥当であるとは考えておりません。 なお御参考に申し上げたいと思いますが、原因は違いますけれども、去年鳥取市に大火がありまして、五千数百戸が焼けております。鳥取市は人口十一万足らずの町でございますから、おそらく三分の二程度の家が全焼したわけでございますが、これに対しても罹災戸数の三分の二の補助で行つておるのでありまして、おそらく事務当局に言わせますれば、今度は鳥取市という局限されたものよりか、滅失戸数は、なるほど六千とか八千とかいつておりますけれども、相当広い範囲にわたつておりますから、密度は鳥取よりは低いであろう、さらに財政力も、鳥取のような貧弱市に比べますと、若干ゆとりがあるのではないかというようにも考えております。なお災害の例を申し上げますと、過去二十六年にルース台風というのがありまして、このときも二万五千九百五十戸の家が滅失いたしておりますが、これに対しても、やはり三分の二の補助をやつておるのでありまして、今回のに、もちろん同情しないわけではありませんけれども、過去の例などを考え合せますと、現在やつておることで大体妥当じやなかろうかと考えております。
○赤澤委員 政府の御所見は、今石破官房長から承つて了とはいたしませんが、大体そのお考えの筋はわかりました。しかし特別委員会の方では、決してそういう空気ではございませんので、さらにこれは問題になると思いますから、ひとつお含みおきを願います。 さらに、この三割を二つに割つて、今年一割五分、来年一割五分という大蔵省の見解であつては、とうていこの低額所得者の住宅問題は片づかぬと思うのですが、これについて住宅局から見えておりますならば、どういう熱意をもつて御折衝になつて、大蔵省がそれをどういう理由で拒んでおるかということにつきまして、ひとつ折衝の経過をお伺いいたします。
○前田説明員 災害につきましては、もちろんその直後、当年度において解決すベき問題でございますが、従来昭和二十六年ごろから、財政の都合で一部分次年度に繰越された例がございます。昨年度の災害につきましても、十勝沖地震あるいは鳥取大火につきましても、二十八年度まで繰越されておる実情で、ございましてわれわれとしましては、災害の実情並びに災害対策の必要性を説きまして努力をいたしております。今回の災害につきましては、まだ当年にするかどうかという点につきまして、話はきまつておりませんが、過去の例をふみたくない、少くとも今回の災害については、諸般の情勢を考えまして、前年の例によらないようにということを強く要望しております。しかし、まだ戸数も決定しておりませんし、財政措置も決定しておりませんので、具体的にはきまつておりませんが、われわれの方ではできるだけ今回の災害については、何とかして当年度にやつてしまうように折衝をしております。
○赤澤委員 折衝が進行中であるように承りましたが、この問題は早く事を明確にしていただきませんと、災害地の人たちは、実にこの問題でも帰趨に迷つておることと思います。現地からの要望も矢の催促もあります中にこの問題も当然加わつて行くのでございまして、いつまで童交渉中ということでなくして、早い機会にひとつ結論を、できるならできる、できないならできないという線を出していただくことを希望いたします。 さらに、やはり特別委員会の熱望といたしまして、公営住宅の補修費の問題でございます。この補修費はぜひ全額国庫負担に願いたいということでございますが、これについていかがお考えになつておりますか、一応御意見を拝聴いたします。
○南政府委員 半壊住宅の補修の融資の問題ですか、滅失の方でしようか。
○赤澤委員 今まで第二種公営住宅に入つておつた人がその家が滅失した場合と、もう一つその入つている家が半壊した場合と、わけて御説明願えばけつこうです。
○南政府委員 公営住宅の滅失または損傷に対する補助率、これは法律の第八条二項でございますが、公営住宅の失滅または損傷に対する全額国庫負担という御要求に対しましては、公営住宅管理経営上の損失補償の問題でありますので、現行の補助率一種住宅については二分の一、二種住宅については三分の二で、一応はやつて行けるのではないかというふうに考えております。それから半壊住宅の補修問題につきましては、補修費転貸しの方法につきましては、地方財政法によつて、起債がきめられているのであります。従つて特別の立法は必要としないものだと考えております。この起債の実現につきましては、御承知の通り一定のわくがありますので、この問題を真剣に考えるといたしますと、補助の増加ということになりますが、これまた事務当局と相当折衝がいります。自治庁あたりの見解も聞かなければならぬと存じております。この問題につきましては、政治折衝はやつておりますけれども、住宅公庫において半壊住宅の補修費を融資することは、審査貸付後の監督、実施期日の上において相当困難があるようであります。公庫の方においては、あまり賛或しておらないようであります。
○赤澤委員 滅失の場合においては、大体現行のままでいいというふうなお考えでございますか。特別委員会では、申すまでもなく今度の災害の特例法としてものを処理する。従つてこれを恒久的に考えておるわけではございませんで、ただ現地の状態をいかにして緊急に復旧するかということ、さらに地方自治体の財政状態、あるいは今日の低額所得者の置かれている立場等を考えまして、焦眉の急の問題を実は取扱つておるわけでございます。そういうことでありますために、政府の方でいろいろあたたかいお気持で処理していただくのはけつこうでありますけれども、やはり特別委員会の方では、特例法だという考え方で処理いたしておりまするし、これもまた非常に熱心に論じられておる問題でありますので、お含み置きを願います。 さらに地方財政法第五条の起債の問題でございます。これもわくその他いろいろ困難なことがあるでありましようけれども、やはりこれも優先的に住宅問題解決のために、政府の方でぜひ御尽力願いたいという意向を強烈に持つておりまするので、これについてもお含みおきをお願いいたします。 さらに次の問題は、住宅金融公庫についてでございます。特別委員会の大体の方向としては、今回の災害に限つて、とにかく融資限度を木造八割とあるのを全額に改めてもらいたい。ということを、実は強力に発言いたしておるわけでありますが、公庫の見解をお伺いいたします。
○鈴木説明員 お答えいたします。公庫の業務は、御承知のようにまつたく回収を前提とした貸付でありまして、そういう意味から申しましても、全額の貸付ということは、大体において考えられない方法ではなかろうか。その見地から言うと、好ましくない、こういう考えを基礎的にいたしております。自己の力による若干の財力を合せ用いまして、貸付金とともに住宅を新規に建てる、こういう趣旨にいたしておる次第であります。ただいまでも二割あるいは二割五分程度は、建てる者の自己出資ということに願つております。非常災害の場合でありますから、非常にお困りだということは重々お察しはいたしておりますけれども、その基本観念の意味から申しますと、動かし得る所要資金を全部動かすということは好ましくなかろう。もしそうでなければ建たぬということであれば、やはり政府の他の方法によつて遂行される道をお考えくださるほかはないのではあるまいか、かように考えておる次第であります。
○赤澤委員 しかし、ただいまのことは、特別委員会で取上げて、それを熱望しておりますから、さらに特別委員会の方でもう一回お尋ねすることになるかもしれませんが、これもひとつお含みおき願います。 それから利率の問題と、償還期間の問題でございますが、利率の五分五厘というのは、今日こういう災厄にあつた、しかもみじめな立場にある人たちにとつては、結果的に非常な負担になるんじやないか。それでこれは三分九厘六毛という、こまかい半端をつけた利率でございますけれども、そういうふうにおかえを願いたいという意見があるのでございます。三分九厘六毛というのは、郵便貯金の一番安い利率でございますけれども、こういうことを強力に主張いたしております。さらにもう一つ、三年だけすえ置きにして徴収猶予をしてもらいたいということでありますが、これについて御所見をお伺いいたします。
○鈴木説明員 貸付利息の特別の低減という点でございますが、これも借り受けた方から申すと、でき得る限り少い方がよろしい。これはしごくごもつともと考えるのでありますが、現在の建前から申しまして、政府出資及び預金部からの借入金をもつて経理いたしておる金融公庫であります。しかも政府から借り入れた借入金に対しましては、六分五厘の利息をつけてお返しをする、こういう建前になつておりますので、三分、四分程度の利息ということでは、公庫の経営の根本にも触れる問題かと思うのであります。但し、これを根本論を申しますれば、経営の可能な程度は、公庫の要する資金の根幹いかんということに相なるのでありますから、絶対不可能なことではございませんけれども、ただいままで経過し来つたところでは、現在の五分五厘が、二画にまた比較的長期であるということとあわせ考えますときにおいては、現行の程度で極力お貸しするという方をむしろ考えるべきではなかろうか。過去の災害の場合等につきましては、火災、風水害、震害等の際に、その都度極力お役に立つように、あるいは特別の資金を仰いだ場合もありますけれども、運営上の予算をもちまして小さい一部落全滅程度の火災等にも、創業以来できるだけお役に立つように努めておりますので、今回の災害につきましても、その意味をもつてできるだけの勉強をいたしまする程度でお貸しも願えるだろうし、おしのぎも願えるのではなかろうか、かように考えておる次第であります。
○赤澤委員 とにかく現状のままで押して行こうというお考えであるように承知いたすわけでございますか、しかし特別委員会の空気は、御承知でありましようけれども、この常任委員会とはよほど違つて、殺気立つております。この問題についても、なるほど平常の場合は総裁のおつしやる通りで、これはもつとも千万で、けつこうだと思われますけれども、今度の災害がはなはだ広範囲であり、しかも悲惨な立場に置かれておりますために、法的措置においていろいろな特例を認めておるわけでありまして、この問題はなかなか特別委員会としては讓歩しないと思いますし、問題になると思いますから、これもひとつ御承知おき願います。 さらに、ただいま預金部資金の運用についてのお言葉がありましたので、本日大蔵省からだれも出席なさつておらぬことを、たいへん不満に思う次第でありますが、大体不可解に思うことは、つなぎ融資や、そういつた政府の、究極には罹災者の住宅の建設に流れるような資金に対してまで、国家が相当高率の利息をとられるということは、私はおかしいと思う。これについて政務次官も、建設省所管の諸問題についても、いろいろこういう問題があると思いますので、大蔵省にかわつて、ひとつ建設次官としての御見解を承りたい。
○南政府委員 ごもつともな御質問と存じます。しかしながら、資金運用部資金と申しますものは、郵便貯金でありまして、郵便貯金と申しますものは、預金に対して一定の利子を払つております。現在たしか六分近い利率になつておると思います。そういたしますと、その利子を払つて行くという建前からいたしますと、これを貸しつけて行く上におきましては、相当の利子をとらなければならぬという立場になつている。要するに利子補給を財政措置によつてやるかどうかという問題に帰して参ります。今大蔵省といろいろ事務的に折衝させております段階におきましては、まだほんとうに予算編成についての腹掛えが財務当局にできておらぬようであります。現在のわく内において、特別委員会あるいは当委員会あたりの御要望に極力応じて行くという考え方についての政府の意向を率直に申し上げますならば、それは結局全国に対してしぼりとることになりまして、いろいろな意味において非常に困難になつて来るのではないか。とりあえず措置としてはやりますが、今御審議願つております予算が通つて、その予算のわく内において一地方だけに厚い保護をするといたしますならば、融資の額について、預金の利子の点につきましても、他の方面に影響が出て参ります。結局最後は、何と申しましても、この災害をどう政府全体として考えて、いかなる予算を編成するかという、その問題にかかつて来ると思います。現在まだ予算も審議中のことでもあり、建設当局といたしましては、いろいろの要望はございますけれども、政府が一体となつてこの問題を取扱うという立場になりますと、大蔵当局あるいは財務当局の立場も考えてやらなければならぬと思います。こういう現在の時期におきまして、今審議中の予算をどう補正するかと申しますことは、これはなかなかむずかしい問題であります。相当いろいろな困難な問題が予想されると思います。しかし、考え方といたしましては、金額の程度はありましても、予算の補正にまで行かなければならぬものだと、私個人としては考えております。その意味合いにおいて、御趣旨をどの程度に織り込めるか、当委員会あたりとも密接な連絡をとつて、そうして災害地の皆様方に政府の意のあるところを十分にくみとつていただけるように、予算措置その他でやつてみたいと考えております。
○久野委員長 赤澤君に申し上げます。大蔵当局より柏木主計官が間もなく出席いたされますので、その際大蔵当局に対する質疑を続行していただくことにいたします。
○赤澤委員 では大蔵当局にはあとで伺いますが、私どもは、財政が非常に複雑なために、ときどき疑問を持つのでありまして、やはりこういつた問題についても、非常に疑義を持つております。もちろん預金部資金を流用いたします場合にも、預金部資金の構成そのものからして、やはり無利息というわけに行かぬことはわかつておりますが、それをまた、たとえばつなぎ融資等に高率の利息をとる、これを補給する財源を一体どこに求めるかという問題について、また一般会計の方から預金部の資金の方へ利子補給するというのも、どうも私どもりくつもへんなような気もいたしますが、しかし、やはりこういつた緊急の場合につなぎとして出される政府の資金に、どつちみち大幅な利息がくつつくということも、また不合理なような気がする。こういつた点について、どういう調整の方法があるか知りませんけれども、これは問題をあとに譲ります。 さらに、建物の方については、一応そういう限度でございましたが、ただここに長崎の地すべりの問題がございます。この地すべりの対策をどうするかということについては、昨日建設省当局にもお伺いいたしましたが、まだ根本的な対策はない、やはり一応これを根本的に調査をやつてからでないと案が立たないので、大蔵当局に調査費を要求する、これは話合いがつきそうだということまで承つたのであります。なるほど、ああいう天変地異的なものを人為をもつて押し返すには、なかなか事前の研究も必要でありましようし、この問題は了承いたしたのでございますが、とりあえずのところ、今にも土砂がずつて参る——現に相当広汎な区域が地すべりをしつつあり、地すべりの過程にあるわけであります。私ども先般調査に参りましたときも、山の中腹に無数の亀裂が入つている。あの亀裂が原因となつて、次第にずつて参るわけでございますが、これについて、こういう事態のもとに生活している人たちを、そのままほうつておいてもいいかどうかということでございます。大体地すべりということについては、根拠になるような法律がどこにもないようです。私寡聞にして知りませんけれども、特に地すべりの処置ということについて、何かよるべき法規があるということを記憶せぬわけであります。これについては建設省等の調査をもまちまして、根本的に検討して根拠法をつくらなければいかぬのではないかと思うのですが、とりあえずは、たただいま申し上げましたように、現に動きつつある地盤の上に、たくさんの炭住であるとか、あるいは農家等が建ち並んでいるわけであります。それはもう国の措置が待つておれぬので——口之津という町が島原半島の端の方にありますが、そこでは四百戸ばかり避難命令を出しておるということを聞いております。こういうよるべき根拠となる法律もないということはどんどん事態を危険な方向へ進めつつある。緊急避難する場合の家屋移転等についても、先般私、現地を調査いたしました際に、県当局でも市当局でも因つておりましたが、あぶないからのけのけということを口に言うだけでは、やはりのく人にとつてはピンと来ない。やはり生命の問題であるから、勧められようが勧められまいが、とにかくのく意思のある人はのくでありましよう。もちろん資力のある人は、危険な場所はどんどん放棄して堅実な地盤の上にバラツクでも建てて行くでありましようけれども、そうでない低額所得者で、危険とは承知しながら、どうにも、行きどころがないから、びくびくしながら今の家に住まつているという人が非常に多いのであります。こういつた人たちに避難をせよという場合には、やはりここに補償がされませんと、ものが進んで行かない。これを遅らせますと、やはりここに人命に関するような問題が出て来ると思うのであります。地すべりの緊急避難といつたような問題については、先ほど申しましたように、どの法規にも根拠がないのでありまして、このよるべき根拠がない。しかしながら、これは建設省のいわゆる根本対策の研究を持つておるわけには参らぬのでありまして、何とか法的な措置を急速に講じてこの移転に要した費用の少くとも三分の二ぐらいは国庫において補助するとか、あるいは残額については融資の道を講ずるとか、こういうことが焦眉の急になつて参つておると私は思うのでございます。これについて建設省当局の御意見を承ります。
○石破政府委員 ただいま赤澤委員の御発言中にもありました通り、実は私の方も非常に心配しておるのでございますけれども、まことに調査もまだ十分届かぬので、一番困つておる問題の一つであります。よるべき法規がないとおつしやいましたか、地すべりのために公共土木施設に被害があれば、これを救う道は、公共土木施設についてはあるわけです。そこで今度は家の倒れたもの、要するに全壊したものについても、公営住宅の特別の措置が行くことに相なつておるわけでありますが、さてその倒れそうだという家が一番困るわけです。さらに私どもといたしましては、家だけ何かやつてあげても、あとの田地田畑もありましよう上、炭鉱で働いておつた人には、また新しい職場を与えるというような問題が出るのかどうか、さらにその移転を命令するというような根拠法規はどうするとか、非常に頭を悩ましておる問題でありますが、お言葉の中にもありました通り、できますことならば、今国会は一応もう数日で終るわけでありますから、調査費もとれた次第でございますので、至急に根本調査をやつて、その上で対策を立てたいと思つております。その間どうしても待てないという事情がございますならば、私の方では正確な資料を持たないので、何とも申し上げかねますけれども、適当な御処置を願いたすなり、いろいろ新しい具体的な資料をちようだいいたしまして、政府としても考えて参りたいと考えます。
○赤澤委員 現にこの移動しつつある地盤の上に住んでおるような状態でございますから、緊急な面につきましては、また格別の御配慮をお願いいたしたいと思います。さらにこの場合には、農家が多いものでございまして、公営住宅法によるところの規格の住宅ではどうもまずいのです。そういうことから、この住宅も金融公庫で相当大幅な御考慮をお願いしないと、現実問題としてこれが救えないのではないかと思うのですが、公庫の方でこれについて御所見がありましたら承りたい。——地すべりの場合は、今はこわれていない、現にあるのだから、移転についての御所見を承りたい。
○鈴木説明員 御質問の御趣旨は、まだ崩壊、全壊しないで、現にある住宅について、住宅金融公庫の融資による方法によつて何か援助といいますか、救済はできないかというお尋ねのように思いますが、これは今のところ私どもの方では、ちよつと考える方法がないかと思います。もし不幸にして全壊に陥つてしまつて、新築をしたいということでございますれば、できるだけの勉強といいますか、優先的に貸付の道を開くといつた方途はあると思います。 なお、先ほどのお尋ねに関連もしますが、今回の西日本の災害につきましては、私の方ではいろいろ金融機関の都合等もありまして——と申しますのは、金融機関の従事員そのものが被害を受けております。あるいはまた金融機関の設備も、水害のために機能を害しておるといういろいろな事情もございましたので、急いではおりましたが、ようやく明後日から受付を開始するということにいたしました。もつとも、和歌山県地方の災害につきましては、ごく局部ではありましようけれども、金融機関等の受けた損害等はまだ判明しません、全体の被害の数量等も判明しません。ことに金融機関の能力が、ただちに力をあげて受付、審査等に当り得る域にまだなつておらぬような現場からの報告であります。これは最近の機会において、そういう程度に立ち至りました際に、あらためて受付を開始するという処置をとろうと考えております。
○赤澤委員 この地すべりの場合には、特例中の特例のようなことになると思うのでございます。家はどこもきずがなく、現に立つているが、いつ崩壊するかわからないという状態に置かれているわけでございますから、やはりこの問題については、融資の面では住宅公庫の方でもさらにお考えを願いたいと思いますし、政府の方でも何らかの緊急避難の命令を出した場合には、国としての補助の面もひとつ御検討願いたいと思います。さらには、この地方団体に対して起債を優先的に開くという道も、この問題を処理する上において必要ではないかと思いますので、これはよく当局の方で御検討の上、特にこの地すべりの点につきまして、あたたかい思いやりを加えていただきますように、切望いたす次第でございます。 それから委員長に協議をいたしたいと思います。大体冒頭申し上げた通りに、この常任委員会のほかに、さらにまた特別委員会がある。非常に屋上屋を架するような形になつて、しかも両方の空気が大分かわつております。向うの方の委員会では、災害地出身の人がほとんど大部分です。私どもはどらかというと中立的な立場で、ブレーキをかける立場におるものですから、非常に向うでいじめられるわけです。やはり今日の事態にあつてどうしてもできないこと、またこれをやつては将来に大きな禍根を残すとかというものをやつてやつて行くということは、私はとるべきではないと思うのでございます。そういうことから、やはり当委員会と特別委員会との間に交流があつてもいい。私は両方兼ねておるわけでございますけれども、懇談の機会をぜひつくつていただきたい。しかも早い機会におつくり願いたいということが一つと、さらに実はきのう申しました公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の適用の範囲につきまして、一箇所当りの工事の最低限度——これはたびたび問題になつておるのですが、政府は一箇所当りの金額を下げるということには、非常に反対だということも承知しております。しかしながら、これは特別平衡交付金等の措置がはつきりいたしませんことには、勢いこういう十五万円を十万円にするとか、十万円を五万円にするとかいう論議がぐんぐん進んで行くと思うのでございます。それで、昨日も申し上げたのでございますが、総被害がかりに五百億といたします場合に、建設省で大体適用の範囲にひつかかるものを御計算になつたら総災害費用の五%ぐらいであるというわけですが、五%とすると、この二十五億という数字が出て参るわけでございます、かりに二十五億が十五億であろうが十億であろうが、とにかくこういつた小額の損害に対して、こういう財源でもつてこういう手配を考えておるのだということを、非常に困難なことではございましようけれども、はつきりしていただけば、おのずからこの問題の論議も解消するのではないか。しかし、それをただいま参議院で審議されております予算の中で論議いたしますのには、金額もかなり大きくなりましようし、今大蔵当局でまだ予算の補正という面について腹がきまつておらぬというふうに次官は言われたのでございますが、政府として早い機会にさらに臨時国会でも開いて、特にこういう問題について予算を措置するといつたようなお言葉でもかりにありますなら、また空気もやわらぎ、かわつて来るのじやないかという面もございます。これは建設当局としても、大蔵省とも毎日御折衝であろうとは思いますけれども、さらに先ほど委員長に要望いたしました通り、さらにまたその背景的な意味で特別委員長と常任委員長、さらに大蔵大臣、それから建設大臣を交えて、この問題については実はこうなんだ、これしかできぬのだ、それを現在こうしているんだということを、しつかり腹を合せておきめ願う。おきめ願えば、両委員会にも空気が伝わつて参りまして、今日の政府の措置が手ぬるい、——手ぬるいということは、財政上やむにやまれぬ事情があつてのことだと思いますけれども、まだ国会そのものに徹底浸潤しておらぬから、こういう事態なつて来ると思うのです。これも一議員としての要望でございますけれども、ひとつお聞きおきをお願いいたしたいと思います。以上をもちまして私の質問を終ります。
○久野委員長 ただいまの赤澤君の御意見、まことにごもつともでございまして、委員長といたしましても、災害対策特別委員長と十分協議いたしまして善処いたしたいと考えます。 次に高田彌一君。
○高田委員 先般の北九州地方を襲つた豪雨災害、さらに今回の和歌山地方に襲来した大安害にかんがみまして、若干建設当局に御所見を伺いたいと存じます。毎年のように生ずる豪雨あるいは台風による大災害が、いかにわが国の再建を阻害し、民生の安定を脅かしているかは、ここに申すまでもありません。これらに対応するには、何としても治水の方式が、水源から河口に至るまで総合的に河川を開発する方向に向うことが絶対的に必要である、またかくあらねばならないと存ずるのであります。このように考えて参りますと、洪水調節を主目的とした多目的ダムの建設こそ、河川を治める最も大きい要素でなければならないと考えるのであります。そこで私は、多目的ダム建設について、建設省の基本的な態度をお尋ねしたいのであります。もちろん、各河川それぞれ特有な事情を持つておるのであり、一概にはいえないとは存じますが、考え方としてかかる方向に進むおつもりでありますかどうか、まずお尋ねしたいと存ずるものであります。
○南政府委員 お答え申し上げます。高田さんの御質問通り、今回の西日本の水害、あるいは和歌山県の水害につきましては、政府といたしましては、まことに深甚な心配をしておるのでありまして、災害対策といたしましても、臨時的の問題と恒久的の問題にわけまして、建設当局といたしましては考究しておる次第であります。結局は、何と申しましても行政が多岐にわかれて参つて、財政も非常に膨脹を続けて参りますので、戦争中の、勝つまでは忍ぼうというような態度で、長い間、道路にいたしましても河川にいたしましても、対策を放置して参つたこと、それから御承知のように山林の濫伐の結果、想像以上な惨害が起きて参つたものと考えております。しかし、将来の考え方といたしましては、いつも起きて来た災害だけを処理して行くというような考え方でありましては、お言葉の通り、ここ四、五年のうちにこういうことが繰返されれば、日本という国は災害的に亡国になつて行くというような考え方も、私たち真剣に考えております。何と申しましても、河川の対策といたしましては、河川を水系的に一元的に十分に管理して行くという考え方を、この際はつきり立てて置かなければならぬことでもありまするし、この河川を管理することにつきまして、御質疑にありましたように、多目的ダムの建設と申しますことは、大きな役割を持つておるものと考えております。しかし、いずれにいたしましても、これには相当広汎な調査等がいります。建設当局といたしましても、直轄河川、主要中小河川、あるいは準用河川につきましては、一定の計画を持つておるのであります。計画は持つておりますが、調査が相当古くなつております関係と、その間における事情の変更等がございますので、これらの計画をもう一ぺん再検討しなければならぬ時期が参つておると私は考えております。事務当局におきましても、これらの問題につきましては、早急に今調査中でございます。いずれ成案を得次第、皆様方にお諮りいたしまして、大きな御協力を願わなければならぬと思つております。もつと具体的に申し上げますならば、河川法の改正あるいは砂防工事の点につきましての権限調整というような問題も、次に起つて来ると思うのであります。しかし、そういう問題を克服して参らなければ、お言葉のようにほんとうの意味の災害を未然に防止するという基本的な方針が出て参りませんので、今後はこれに力強くぶつかつてやつて参りたいと考えております。 なお詳しいことは河川局長が参つておりますから……。
○高田委員 私の質問せんとするのは、今の建設省の多目的ダム建設の基本的態度についてお伺いしておるのでありますから、概略お願いします。
○米田政府委員 御承知のように、日本の治水事業は、本格的には、明治初年以来内務省の手で実施して参つたのでありますが、その河川計画の重点は、下流部における堤防工事、いわゆる堤防を築造することによつて洪水を防除するという計画が、中心をなしておつたのであります。しかしながら、その後情勢の推移に従いまして、特に最近になりましては、上流部において堰堤を築造して、それによつて洪水調節を行う、それと同時に他の治水工事も兼ねて行う、いわゆる多目的の堰堤を計画するようになつて参つて、いわゆる河川計画のやり方が、砂防中心主義より、上流堰堤主義に移行して参つたと申し上げていいと思います。今年も新規に十六地点の堰堤を、多目的ダムとして着手をする予定で、ただいま国会に予算を提出してあるのでございます。これが通過いたしますれば、本年度は、ダムとして着工をするものが総計で三十六箇所に達するのでございます。さように明治以来ずつと終戦直前までほとんどとられなかつた多目的ダムが、最近になつて非常に重要な問題として計画の中に織り込まれるようになつて、お話のように、多目的ダムを中心とする治水工事というものを、今後も強力に推進いたしたいと考えております。
○高田委員 次にお尋ねいたしたいのは、多目的ダム建設による補償の問題であります。と言いますのは、この多目的ダムの建設は、地元民の協力なしにはとうてい完遂を期し得ないからであります。従いまして、いかなる基準で、いかなる考え方で、この補償をして行くおつもりでありますか、お伺いたしたいと存じます。
○南政府委員 お答え申し上げます。ダム建設につきましては、多目的ダムにいたしましても、今非常に国策的に取上げられております電源開発に必要なダム建設にいたしましても、やはり何といいましても水没補償が中心になつて参ると考えております。お言葉の通り、地元の深甚なる御協力を願わなければ、事業の成就ができかねるものと私たちも考えております。この問題につきましては、先般当委員会におきましても御審議を願いまして、土地收用法中一部を改正いたしまして、できるだけ補償についてのあつせんをやらして行きたいというような意味で、衆議院の委員会は満場一致で御審議を願つて、目下参議院で御審議を願つております。ああいう制度の執行によりまして、水没補償の問題についても、相当目下生じつある紛争について、解決の一助にもなることと存じております。しかし、それはただ手続の問題でありまして、実体は何と申しましても、でき得る限り政府の予算を集約的にこの方面に流して行つて、すみやかな期間のうちにこのダムを完成さすことにあると考えておりますので、この点につきましても、皆様方の御協力を切にお願い申し上げる次第であります。なお、こまかい点につきましては、事務当局より答弁いたさせます。
○高田委員 次に、補償の時期の問題についてお伺いをいたします。建設省の今までのやり方を見ておりますと、考え方が少し甘いのではないかと思われるのであります。と申しますのは、せつかく水没者たちが、ダム建設に対して協力せんとしているにもかかわらず、これに対する補償等があまりに遅れておりますので、工事をどんどん進めて行く、従つて水没地の住民は、今度は逆にダム建設反対運動を展開して行く例があつたのであります。最初から補償について話合いをなされば、スムースに工事が進行して行くにもかかわらず、話がこじれて来てからでは、数倍の時間と労力を使うことになるのでありまして、洪水防禦という大使命のもとに国費を的確に使うという点から、はなはだ遺憾なことであると思うのであります。このような事例は最近利根川の藤原ダムにおいて見られるのであり、現在のような考え方では、今後相当数の似たようなケースが生ずるのではないかと心配するのであります。この補償の時期及び方法の問題について、特に河川局長にお尋ねいたす次第でございます。
○米田政府委員 補償の問題は、各地点ダムにおける非常に重要で、かつ困難な問題でございます。お話のありましたように、早く手を打つて地元の方たちと話を進めるということは、非常に必要なことだと、私ども同感でございます。しかしながら、実際の問題になりますと、ダムができるという話は、予算が決定するずつと前に、もうほとんど地元に知れ渡るのが普通でございます。ところが、実際の役所でやる場合のダムでありますと、役所側においては、予算が決定しないと正式な話ができぬというような事務的なこともございまして、事前に十分話をしておく——事前と申しますのは、予算が決定する前に話をしておくということは、実際問題としてなかなかむずかしい問題であります。しかし、調査の時代から、できるだけそういう話も並行して話をすべきだと思いますが、かんじんかなめの金額の問題、方法の問題等を、まだ調査時代にはお話できないのが通例でございます。従いまして、予算が確定をいたしましたならば——たとえば今度の問題でも、予算が確定しましたならば、その時からできるだけ早く補償の問題の話合いを地元とつけて行きたい。そうして、回を重ねるごとに了解は深くなつて参りますので、できるだけ回数を多くひざを交えて話をする機会をつくりたいと思つております。 なお、先ほど補償の基準の問題がございましたが、補償の基準の問題は、建設省では一応公共事業に伴う事業に関する補償の基準を持つております。しかしながら、電源開発を伴うものについては、また別の電源開発に伴う補償基準というものが、閣議決定をされたものがございます。で、われわれがやります場合でも、電源開発を伴う多目的ダムの場合には、大体審議庁で閣議決定を見ました補償基準に準じてやりたいと考えております。
○高田委員 以上で、大体一般的補償の問題については御説明を得ましたが、そこで一つ事例をあげて御質問したいと存じます。御承知のように、北上川の開発は、国土総合開発計画も全国に先がけて決定し、先般五大ダムの一つである胆沢ダムが竣工し、さらに猿ケ石川の田瀬ダムも完成に近づいております。しかしながら、北上川の洪水調節は、残る三つのダムを完成し、これらの有機的な操作によつて初めて可能になるわけであります。とりわけ最も大きいのは、和賀川であります。これは湯田ダムの計画がございますが、先ほど申し上げました通り、何としてもこのダムの早期完成が必要であると思うのでありますが、いかに考えておられますか。さらに問題は、ここには五百戸以上の水没家屋があるであります。これに対する補償の問題は、先ほど申しました時期の問題と関連して、具体的にどのように考えておられるかということについて、御説明を願いたいのであります。
○米田政府委員 御承知のように北上川の総合開発計画においては、上流五箇地点における堰堤によりまして、洪水調節を総合的に行つて、下流狐禅寺以下の流量を調整することが眼目になつておるのであります。その五つのうちの胆沢ダムは、すでに完成をいたしましたのでございますが、次に猿ケ石のダムも近く完成いたす見通しでございます。次に残りの三つうち、まず第一に和賀川の湯田堰堤を着手いたしたいという計画で、ただいま国会で御審議中の予算中には湯田堰堤の計画を盛り込んで予算を要求中でございます。予算案が通過をいたしますれば、二十八年度から湯田堰堤の工事に着手をいたしたいという準備をいたしておるわけであります。補償の問題は、先ほどちよつと申し上げましたように、予算が確定いたしましたら、ただちに補償の交渉にかかりたい、できるだけ早目に、地元と補償の問題について協議をいたしたいと存じております。
○高田委員 大体了承いたしましたが、湯田ダムの水没地帯は、御承知のように半年間雪におおわれております。従いまして、補償の決定はすみやかにいたしませんと、移転その他に時間を要しますので、この点ひとつ十分に研究されまして、的確なる工事の推進をされたいということを希望いたしておきます。 次に、ただいままで御質問いたしました河川総合開発に関連して、ついででありますから国土総合開発東北興業との関連ないしその将来性について、簡単に御質問いたしたいと思います。御承知のように、東北興業株式会社は昭和九年の東北の大冷害を契機として、昭和十一年、東北の開発のために法律をもつて設置された開発会社であります。この監督官庁は建設省であります。この東北興業が東北の殖産工業に尽した功績は、相当大きいものがありましたが、昭和二十一年政府の財政援助が打切られて以来、今日まで細々と存続して来たのであります。私は去る十二回国会におきまして、当時の野田建設大臣に対して、この問題についてただしましたところ、占領下でもある関係上、現在これを積極的に援助するわけには参らぬが、講和条約発効後は大いに助成して行きたいという御答弁があつたのであります。現在講和条約発効後一年以上たつたのでありますが、その間建設省は、東北興業に対していかなる助成と指導をされて来たか、またその将来性についてどのような考え方を持つておられるのでありますか、お伺いいたしたいのであります。
○澁江政府委員 東北興業の問題でございますが、ただいまお話のように、かつての東北の冷害その他の関連から、時の政府において立てられました国策会社でありまして、たまたま時期移りまして、東北地方、ことに北上川の開発問題と関連しまして、この会社のあり方というものについて、いろいろ御意見が出ておるわけでありますが、現在までのところ、政府にあきまして——設立されました当初におきまして、御承知のような政府出資と、それから出資されました株式のいわゆる配当保証、こういう二重の援助措置が考えられておつたわけでありますが、終戦と同時に、例の政府の財政援助の制限に関する法律によつて、この問題が事実上ストツプされたわけであります。その後におきましては、この法律が生きている以上は、いかんとも政府援助の手がかりはございませんが、しかし、それだけを取上げませんでも、政府資金の活用の道はまた別途にございます。現在そういう観点におきまして、財政援助の形だけから参りますと——あるいは御質問にお答えすることになるかどうかわかりませんが、たとえば今回の会社の増資措置、これにつきましては、資金運用部資金を各東北六県の増資引受分の財源として充当するというような方法において考え、また一方に、その会社の必要とする設備資金の一部は、これまた政府資金でございます開発銀行の資金を借り入れる等の方法によりまして、政府資金を充当するようなこと、これによりまして、実質上の政府資金による援助というものを取上げて来たわけでございます。 将来性の問題につきましては、これは実はこの両三年来、政府当局におかれまして非常な力を入れていただきまして、企業の実態についてそれぞれ再建方策を立てることといたしました。その結果、幸いにいたしまして、先年来まで赤字経営を続けておつたような状態でございましたが、今期の決算以後黒字に転換するというようなことになつて参りまして、東北地方の国策会社としても、まことに御同慶の至りだというふうに考えております。将来の問題といたしましては、これはやはり一般総合開発と関連させましてはたして、どういうものをこの国策会社に充当せしめるのが適当か、これは検討して参らなければならぬと思つております。いずれにいたしまても経営の実態が強化されるということが、いかなる企業を引受けるにいたしましても必要でございます。とかく国策会社が非常に乱脈な形で運営されることがありがちでございますから、そういう点についての十分な監督をいたし、将来に備える方法を考えることが、現在のところ最も適切なんじやないか、こういうことで指導をいたしておるようなわけでございます。
○久野委員長 次会は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時一分散会