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16回国会衆議院1953/07/29

決算委員会 第21号

発言数
52
登壇者
9
会派数
5
開催日
1953/07/29

会議録

田中彰治自由党(分)

○田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。  本日は前会に引続きまして対米債権に関する問題を議題とし、その調査を継続いたします。  調査に入るに先立ちまして、明三十日の調査の予定になつております国鉄所管中、株式会社鉄道会館の審議参考人として鉄道会館会長渋沢敬三君、同社長加賀山之雄君、同専務取締役立花次郎君、同じく伊藤滋君、また日本交通公社から同会長高田寛君、専務理事三原種雄君、同監事近藤栄一君及び鉄道弘済会から同会理事長西尾寿男君、同国鉄監理委員会から委員長佐藤喜一郎君、委員佐々木義彦君、同阿部藤造君、同工藤義男君、同村田省蔵君を招致して意見を聴取する必要ありと存じます。従いまして全会同様これを参考人として指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中彰治自由党(分)

○田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定し、その手続をとります。

田中彰治自由党(分)

○田中委員長 それでは本日の議題、対米債権に関する問題の調査に入ります。  前会におきまして関係各大臣につき質疑を行い、一応締めくくりをつける予定でありましたが、要求大臣の都合で出席できなかつたので、さらに本日大蔵大臣及び通産大臣の出席を求め、質疑を行うことにいたします。委員各位は右大臣の出席あり次第、順次質疑を行い、各大臣に対する本件調査は一応終了させたい予定であります。  それではこれより質疑を願います。杉村沖治郎君。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 大蔵大臣に対米債権についてお伺いいたしますが、大蔵大臣もたいへんお忙しいような話ですから、きわめて簡単でけつこうでありますから、単刀直入に御答弁願いたいと思います。  対米債権が四千七百万ドル、これにつきましては、もはや議論はないのでありまして、先般の通産大臣のお答えによりますると、これは大蔵省の所管になつておる、そういうお答えでありましたが、それはどうであるか、これが第一点。  そうしてさらに対米債権について、アメリカに対してどういう交渉をせられたかということが第二点。  交渉せられたとするなれば、アメリカ側からどういう返事があつたか、それが第三点。  さらにガリオアの問題でありまするが、これに対して日本側では二十一億と発表し、アメリカ側では十六億と発表いたしておるのでありまするが、これは両者いずれがほんとうなのであるか、それが第四点。  さらにそのガリオア、イロアというものは、われわれは債務とは思つておらないのであります。われわれはアメリカから占領されましてこの日本島の中に八千万民族は閉じ込められておつて、どこへも行くことはできないでのあるから、当然占領国としては日本民族が食えなかつたならば食わして行くだけの義務があると思う。われわれはそうして救つてもらつておつた、もらつたという考えを持つておるのであつて、債務というようなことは毛頭考えておらないのであります。しかるにそれについてのはつきりしたところが、まだ吉田首相の答弁の中には、何だか債務であるやのごとき口吻があつたようでもありまするが、しかしそれは道義上の債務であるというような言葉ではあるまいかと思うのでありますが、法律上の性質を持つたところの債務などということは、われわれ国民は毛頭考えておらないのであるが、このガリオアに対するところの法律上の所信いかん。  以上をお尋ねする次第であります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 最初に四千七百万ドルのいわゆる対米債権の問題でございますが、これにつきましては旧朝鮮オープンアカウント決済の問題に関する資料の送付についてということで、大蔵省理財局が昭和二十七年七月八日にこの経緯を参考までに通商産業省から資料の送付を受けたのであります。それが第一点。  第二は昭和二十七年八月一日外為委員会は残高ゼロとして大蔵省が引継いだのであります。それが第二点であります。  第三点は、それでは債権があつたということを知つておつたかという問題になりますと、今のような昭和二十七年七月八日付の通産省の手紙によりましていきさつを承知いたしておりますから、そういう債権のあつたことを承知いたしてはおりますが、大蔵省としては今申し上げた通り、昭和二十七年八月一日外為委員会は残高ゼロとして引継がれております。さらにその後の取扱いはどうなつているかと申しますと、これは通商産業省企業局経理課で取扱つております。従いましてここで取扱つた金が入金いたしますれば、初めて外為特別会計に入つて来るわけでございます。それまではこの残務整理として通商産業省企業局経理課でこれを取扱つております。従つて一切の書類は通商産業省企業局経理課にある次第でございます。これが最初のお答えであります。  第二の交渉の問題でありますが、従いまして大蔵省としては別に交渉をいたしたことはございませんが、外務省その他にこの移牒を受けましたときに、同じものが外務省等へ行き、また新木大使が赴任するときにこういうものがあるという書類が渡されているので、それらの交渉はその方面でなされたかと思いますが、大蔵省としては別に交渉をいたしたことはございません。しかし今申し上げた通り同じ書類があり、新木大使が赴任のときにその書類が送られておりますので、交渉はあつたかと存じますが、これは私直接は承知いたしておりません。  それからその次はいわゆるガリオア、イロアの話であります。金額はどちらかということが第一点でございましたが、金額につきましては、これは、向うの帳簿には何か二十億以下になるというお話でございますが、こちらの方ではその点がはつきりいたしませんが、大体二十億見当ではないかと思います。いずれにしましても、通産省の方でこれはとりはからつておりますので、大蔵省としてははつきりした金額はよく承知いたしておりません。しからばこれを債務と心得ているかどうかということにつきましては、これはもうたびたびの引続いた国会で一応債務と心得ておりますが、この処理については今後の交渉にまつべきことである。かつ金額、内容、条件等につきましては、国会の承認を得て初めて確定的な債務となるものであると考えております。従つて確定的な債務ではございません。そこでしからば私どもでお手元に差上げた「昭和二十八年度予算の説明」の十一ページの四項の平和回復善後処理費の説明のうちに、この経費は二十七年度は百十億見てありましたが、二十八年度は百億見てあります。「この経費は、連合国に対する賠償の支払および米国に対する対日援助費の返済、その他対外債務の処理等平和条約の発効に関連して処理を必要とする経費」云々と書いてございます。これはどうかといいますと、昭和二十六年の予算書から引続きこういつた文字が使われておりまして、もし話がついて対日援助費を認められた場合に、一文も財源がないというのではやりようがないので、一応こういうものが見てあるのでありまするけれども、今申し上げた通り、これは金額、内容、条件等は国会の承認がなければ確定いたしませんので、それでただこういうものが一応見てある。またちようど賠償問題についても、賠償の支払いは決定いたしておりませんが、決定した場合を考えまして、平和回復善後処理費として一応あらゆるものをここへ入れておる、こういう次第でございます。お尋ねの点についてのお答えはそれだけだつたと存じます。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 なお簡単にお聞きしたいと思います。今は通産省の所管になつておるということでありますが、実はこの間の外務省の経済局長の答えによりますると、アメリカに対米債権について交渉した、その交渉の結果向うからどういう返事があつたのかということを私が尋ねたところが、それはここで私から言うことはどうもできない、こういう話で、たいへん思わせふりでありまして、外務大臣が来なくてはそのことはわからぬというようなことで終つてしまつたのでありまするが、大蔵大臣はそういう交渉を、少くとも日本の大蔵大臣として、二百億の債権をアメリカに外務省が交渉したならば、その交渉の結果がどんなふうであつたくらいのことは外務省の方から何らか連絡があるのじやあるまいかと思われるのでありますが、その点はいかがでありますか、  いま一つ。債務のガリオアの問題ですが、国会が承認をしなければと言うが、先に借金をしちやつてからあとで国会の承認ということはないのであつて、国会が債務とするならば、先に国会の承認を得て債務を負担しなければならないのであつて、これはもう向うからくれたので、国民は食つておつた、使つておつた、こういうようなわけで、これをあとで国会が承認すればとか言いますが、それはおそらく国会としても承認しないと思うのですが、ただ私どもは大蔵大臣や総理大臣の心構えが知りたいのです。これがもし債務であるなどということになつたならば、それこそたいへんなことになるのであつて、私はいやしくも日本の行政府の最高の地位にある人たちが、これを債務だなどと言われたらたいへんなことだと思う。日本人は当然生きて行かなければならない。それを占領しておるのですから、貿易もできなければ、どうすることもできない。それこそ牢獄なき牢獄に入れられておつたと同じなのであつて、これを食わせるのは当然な義務だと私は考える。でありますから、これは重大な問題でありますから、その点をはつきり伺つておきたい。また国民もその点については非常な関心を持つておるだろうと思う。であるから、私どもはその点に対するところのしつかりした考えを伺つておきたい、こういうわけなのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 ただいまのお尋ねの点はよくわかりました。私どもは実は一応新木大使から向うへちよつと話をしてみた。またこちらの方でも大使館へ何か話をしておるということを聞きましたが、それ以上実は詳細な話に接しておりません。それからまた今仰せになりましたが、実はさつき御返事申し上げたように、大蔵省の方では書類その他全部持つておりませんので、しかも外為会計は残高ゼロとして引継がれておるのであります。これはさつきも申した通り、いきさつは、書類は来ておりませんが、四千七百万ドルあることはわかつておりますから、この点からいいますと、あるいは補助沖にでも——向うからいえばゼロであるが、移したことは移したのだ、こういう説ができるかと思います。しかしゼロですから、受取つたものは受渡しを受けたような感じはいたしませんので、あるいは補助簿にでもこういうものがあるのを書き加えておいたらいいじやないかという感じもいたします。  それから今の平和回復、対日援助、ガリオア、イロア等の問題でありますが、この問題はさつき申したように、いわゆる道徳的にそういつたものだから返すという意味に解しておるのでありまして、法律上の債務ということでございますれば、御承知の通り、金額、条件、これかきまりませんければならない。そのときはもちろん国会の承認を要する、こういうことであります。

柴田義男日本社会党(左)

○柴田委員 対米債権の問題は、本委員会も非常に重要視やいたしまして、本日まで数回委員会を持つたのでありますが、大蔵大臣が御出席くださいましたので、今度こそ対米債権の問題が明瞭になることを期待しておるものであります。ただ私ども委員会といたしまして、昭和二十年の十月から二十五年の三月という長い期間において輸出をいたしました物資が、ドル換算をいたします場合に、全部が平均して一ドル百二十五円と換算された。こういうことがどうしても納得が行かないで、通産当局にもしばしばこの点を伺つたのでありますけれども、通産当局のお答えは、一ドル五十円の場合もあつた。だからいろいろ先方との交渉の過程において、百二十五円が正当なものだと考えてこういうレートをきめたのだ、こういうのでございますけれども、財政の総元締めとしての大蔵大臣のお考えはどうか、こういうことをまず第一点に伺いたいと思います。  第二点は、オープン・アカウントとして総司令部が管理しておつたということも、通産当局がお答えでございます。これに関しましても、私ども考えまするに、価格を何によつて算定するのか。おそらく想像いたしますると、日本政府は当時マル公で計算されたと思います。だけれども、買つた相手の方ははたして日本のマル公をそのまま認めたのかどうか、こういう疑問を持たざるを得ないのであります。われわれ聞くところによりますると、日本の政府はマル公で計算しておるのだが、総司令部の方では国際市場で妥当だと思われる価格をもつてドルでインヴオイスに記入した、こういうようにも聞いておるのであります。こういう点に対して、大蔵省といたしまして大臣はどのようなお考えを持たれておるのか、この二点を承りたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 これは全部当時通商産業省でやつておることでありまして、大蔵省には直接何も関係ございませんが、しかし御参考になるならば、私が聞いておることだけを申し上げますと、当時相場はいろいろでございまして、五十円のものもあり、七十円のものもあり、百二十五円のものもあり、そこであの四千七百万ドルを確かめるときに、百二十五円のレートが妥当であるかどうかについていろいろ相談があつたやに聞いております。  それから価格の問題については、私どもどういうふうに当取引されたのか承知いたしておりませんが、これは通商産業省の方で取扱いましたから、個々のものにつきましてのお話ができることと存じております。おそらく妥賞な価格ではあつたろうと存じております。

柴田義男日本社会党(左)

○柴田委員 ただ、大蔵大臣から伺いたいと思いますことは、そういうことは通産省が一切おやりになつて、報告を受けたからその問題がおわかりになつたというだけでは、われわれとしては納得しがたい。少くとも政府全体でこの問題について総合的に御相談があつたはずだとわれわれは考える。またそうなければならないとわれわれは考えておるのであります。しかも輸出業者に対しましては、邦価二百億にならんとするだけのものを、すでに日本財政から払つておる。そういう場合に、大蔵大臣といたしまして、この問題を通産省当局から報告があつたから、その後にお知りになつたというだけではどうしても承服ができないのですが、そういう軽いお考えで大蔵大臣が現在もこの対米債権に対してお考えであるのかどうか、もう一度重ねてお伺いいたしたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 この問題について別に軽く考えておりませんけれども、ただこの事務は通産省にあるこの特別会計で全部やつておりましたので、そのことが担当省でないと全部わかりかねるということを正直に申し上げたわけで、よその外部の方からこれに対してかれこれ申しても、これは見当も違うしお答えも違うだろう、こういう点を申し上げたわけであります。

柴田義男日本社会党(左)

○柴田委員 もう一つはいろいろ総合的な御協議になつておるといたしますと、対米債権が論議されておりまするのは四千七百六万ドルかでございまするが、私どもはこのほかにも、たとえば朝鮮の船の修理費であるとかそのほかいろいろの金額がございまして、この問題はまだ確定ではないということも聞いておるのでありまするが、大蔵省当局ではそれに関して何か新しい資料をお持合せでございませんでしようか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 これにつきましては実は私どもも詳細調べたものがございますが、これによりますと、そういうことが一切確定いたしまして、その残高が四千七百五万六千二十七ドル五十七セント、こういうふうに相なつておると承知いたしております。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 この間から問題になつております例の対米債権ですが、この対米債権は、現在外務大臣はアメリカ大使館との間に交渉中と承つております、本委員会においても答弁がありましたが、その点この債権を債権としてアメリカに対して主張しようといたしますると、昨年四月十九日付のマーケット少将の新聞声明により、当然にガリオア、イロアの問題との関連を考慮しなければならぬものと私は考えます。そうしますと、ガリオアの勘定は債務か贈与を受けたものか、もつと正確に言うならば、そのうちに何ほどが贈与を受けたものとなし得るか、何ほどが債務かということをここできめてかからねばなるまいと思います。同時にまたその債務であるということを何分の一でも——たとえば世上伝えられるがごとくに、二十四年の四月以降、例の見返り資金を積立てました八億四千何方トル、約八億五千万トルのみを債務と認めるか。かりにそういたしましても、ガリオア勘定をある部分もしくは全部債務と認めようとすれば、前段質疑があつたごとくに、また前から問題でありますごとくに、当然憲法八十五条によりまして国会の承認を経なければなりません。そういたして参りますと、どうしてもこのガリオア勘定の性質を明らかにするということがないと、外務大臣が今どんなに努力しておると説明いたしましても、それでは努力の効果は実を結ばぬと思います。言いかえますと、対米債権について外交交渉の前提要件が欠けることになります。そうなりますと、同時に、国会に対しまして債務を承認さそうといたしましたならば、先般来いろいろとここでも問題になつておるのですが、ガリオア債務の内容は何ぼか、あるいは商業債務が何ぼであるかということはわからぬということなのです。しかし一体わからぬというようなことでこれが済まされるであろうか。この点については、そういう作業については大蔵省の所管ではないでしようけれども、対米債権、朝鮮に対する輸出の受取勘定の四千七百万ドルというものが国の債権であるとすれば、これは当然大蔵省の所管であります。この所管の債権を行使できる交渉の前提としては、ガリオア債権についてはつきりしておかなければなりません。それを国会の承認を求めようといたしますならば、その債務の内容あるいは性質等いろいろなものを明らかにしなければいけません。でありますから、当然ガリオア勘定の内容を明らかにしなければ対米交渉はできぬもの、こういうように考えるのですが大臣はどういうようにお考えになりますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 吉田さんの仰せになつたことは、私も大体そういうふうに感ずるのでありまして、目下通商産業省の方で、いろいろななにがありますから、できるだけこの内容を明らかにするために今非常な努力をしております。それがガリオアがどういう内容でどうなつておるか、イロアがどういう内容でどうなつておるかということについて、今それぞれ調べておりますから、この調査はいつごろでき上りますか、まあ日にちは相当かかりましようが、この調査ができてからでなければ交渉に入れないと私は思います。一方的に向うの分を認めてどうこうというわけには参りません。私はそう考えておるのであります。ただいつも、前々の議会でございましたか、吉田さん御存じの通り、これを債務と認めるかどうか——これは債務と認めたのではないが、まあ道徳的に債務と心得て、日本人がよそからそういう恩恵を受けているようなことはおもしろくないから払つて行こう、こういうようなことでよく債務と心得ろということが言われておるが、これは道徳的の問題でございます。法律的な問題は、お話の通りはつきりガリオア、イロア等の金額を確定すること、これが何より必要であろうと存じております。  それからこちらでそう確定いたしましても、向うとの交渉が起つて参りますれば、話を進めて行く必要があろうかと思つております。  それから今お話の四千七百万ドルのことについて、さつき申しました通り、大蔵省としては、昨年の八月何日でしたか、はつきり債務をゼロとして引継いでいるのであります。従つて金額ゼロとして引継いでおりまするが、しかしそういう向うからの移牒された書類によりまして、こういうものがあるということは聞いておつたのでありますから、これを国として忘れないためには、何か補助簿へでも載せておいたらどうだろうか——これは全然私の考え方でございますが、私はそう思つております。なお向うの方で、次の三条件が満たされれば云々という言葉があつたことは、吉田さん御承知の通りで、それが満たされたあとの確認ができているかというお尋ねがあつたが、これは書類はあるようです。これは何か金庫三つにわたつて一切の書額があるということで、これは書類については的確妥当だと信じております。しかしこの書類についての確認は行われていないように私は聞いております。それから今お話になりましたマーカツト声明との関係の問題もあります。マーケットはガリオア等の問題を相談するときに、この問題を考えようという声明をあの当時出したのでありまして、そういう点から見ると、ガリオアとは性質は違いますけれども、やはり解決するときは一緒でないと解決がむずかしいのではないか。これは私一人の意見でありますが、私はさような感じを持つておるので、これは率直に私の感じだけを申し上げておきます。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 大臣は大蔵大臣として御就任後まだ日が浅いのでございますけれども、以前の大蔵省の所管事項でもあつた部分が相当ありますので伺わなければなりませんが、やはりその問題は、ガリオア勘定の性質を追究して行こうとなると、どうしても見のがすことのできないことは、二十四年三月以前におきましてアメリカから入つて参りました物資は、たとえば五割くらいは食糧かと存じますが、食糧は、当時の食糧危機の関係もありまして、時価から見まして、またアメリカのドル買上げの価格にかかわらず、かなり安く売りさばいております。また同時に、多数の基幹産業あるいは肥料等につきましては、当時の基幹産業培養等等から、一つの国策といたしまして、これに向つては相当原材料の安売りをしておると見ます。そうかと見ると、一方外国に対する輸出の面におきましては、これをレートから見ましてもわかるのでありまするが、ずいぶんと原価及びしかるべき再生産についての口銭もまじえました高値で収買しております。こういう関係もあり、向うで何ぼに売れるやら、そんなことはとんちやくなしに高く買うて、そしてこちらへ入つたものは安く売りつけておる、こういうことになつておりますので、その差額というものは当然どこかから穴埋めされなければならない。この穴埋めをするべきものは、司令部のドル計算とこちらの円勘定と、こうなりますので、はうきりと金額は出にくいといたしましても、現に大蔵省で発行しております財政金融の月報などにようて見ましても、やはりこれは十億ドルを超過するだけの入超勘定といつたような、観念的にそういうふうに計算せられると思いますが、結局穴の財源は何で埋めたかと言えば、要するに向うから入うて来たものを処分した金が穴埋めになつておるのじやないか。言いかえますと、ガリオア物資の半分以上、二十四年三月までの大部分のものが、ただいま申しましたようなものへの価格補給金の実質を持つた方へ流れて行つておるのじやないだろうか、こういう推測は十分できるのであります。その点についての考えはどうでございましようか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 この点について は、実は私も吉田さんと同様に考えておるのです。向うの計算では二十億ドルのものをガリオア、イロアで入れましても、当時日本の食糧事情で、しかも公定価格で配給しました等の関係で、この輸入に対してそこに大きな赤が出ておるわけです。一方では日本の品物をよそへ売らなければなりませんので、輸出に対しても、今仰せになつたような補給金という言葉ではやつておりませんが、いろいろな点で出しておりまするので、これが相当に上つております。今ここで数字を見たところ、二十四年三月までに十億八千六百万ドル入超になつておりますが、この入超の財源というものは、お話のようにつまりこちらに残つておる約八千何百万ドルですね。見返り資金の関係へ入れられておる分だけですと、八億五千万ドルですか、そういうふうに考えられるのでありまして、この点はお話の通りだと私は考えております。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 そうしますと、輸入物資のうち五割を占める食糧につきましては、これはまつたく恩恵的なものと考えられましよう。ところで一方基幹産業等へ、一例をあげれば、十大紡績の綿花とか、あるいは鉄とか、その他肥料そういうものにつきましては、一部の相当大きな財力を持つた資本の団体、本来ならば自己資本でまかなわなければならないものを、ガリオア、イロア物資によりましてまかなうてもらうて、起死回生の運命を開いて行つたということになつて来ておるのであります。でありまするから、そういう面から見ましても、ある程度ガリオア、イロアが債務なりといたしましても、国民全体の負担において将来その債務を背負わなくちやならぬということは、きわめて不合理な、国民といたしましては納得しにくい面があるのじやないだろうか。かりに債務であるとしても、むしろ保護を受けましたところの資本が、これをある程度まで背負い込んで、将来お返しするというべき筋じやないだろうが、こういうふうにも考えるのでございますが、どうでございましようか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 私どもの承知しているところでは、これは吉田さん御承知だろうと思いますが、大部分は食糧です。あとの分については、当時御承知の公定価格がありまして、その公定価格で押えてやらせておつたものですから、この点ではたして今仰せになるように考え得るかどうか。私はこの公定価格をきめてそれでやらしたという点に疑いなきを得ないと考えているのであります。

田中彰治自由党(分)

○田中委員長 熊本虎三君。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 大蔵大臣はお忙しいようですから簡単に二、三伺いたいと思うのですが、先ほどの答弁によりますと、大蔵省が引継いたのは零で引継いだ。しかもそれは二十七年の七月でございましたか、八月でございましたか、それだから、現在においてもその所管は大蔵省ではなくて、通産省にある、こういう御答弁のようであります。ところが小笠原さんは昨年の十月に通産大臣であつたはずです。そこで七月に通産省から大蔵省はゼロで引継いで、そこに三箇月のゆとりがございます。今日では大蔵大臣でございます。そこで三箇月のあやを持つて小笠原さんは直接の責任からのがれられているのだと思うのでありますが、それだからといつて現在直接所管でないからというのでこれを冷淡に扱われることは、私ははなはだ遺憾だと思います。しかしそのことはほんとうに通産省に全責任がありますならば、あとでまた通産大臣に来てもらつてあらためて質問をいたしますが、ここでお答えを願つておきたいことは、とにかく四千七百万ドルというものは、これはとりもなおさず商業債権である、こういうことだけは明確に大蔵大臣としてお答えができるだろうと思いますが、いかがでしようか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 熊本さんの御質疑にお答えいたしますが、実は私どもの方では何も責任を回避してものを言つているのじやございません。事実二十七年八月一日に外為委員会から、残高ゼロとして引継いでいる。外為委員会から大蔵省にこの所管が移つているわけであります。これが実情なんであります。それならば一体仕事はどこでやつているか、こういうことでございましたので、仕事は引続き通商産業省の方に書類もあり、こういう残務をやることであるので、通商産業省の企業局経理課でやつている、こういう事実を申し上げたのであります。私どもも四千七百万ドルのいわゆる商業債権があることは承知いたしております。しかし残高ゼロとして引継いでおりますから、帳簿にはそういうものはございませんけれども、そういう書類でそれを承知しているから、今後ともこのことについて回収方その他に骨折りをしたいと考えている次第でございます。現在から申せば、残高がゼロとしてありますから、金額としての問題ではございませんが、現在の所管からいえば、ゼロでも何でもとにかく大蔵省が引継いだのでありますから、大蔵省の所管であると思いますけれども、実際の書類その他の仕事は、これはどこでもそうでありますが、通商産業省企業局経理課でやつている、こういう事実を申し上げた次第であります。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 それでは先ほど私が聞いておつたのとは少し違うのであつて、元通産省がその処理に当つておつたのであるから、整理については通産省の書類によつてやらしめている。しかし所管は引継いだのであるから、大蔵省に責任がある、こう考えてよろしゆうございますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 整理の責任というものは、やはり整理をするところにあると私は思います。外為委員会から入つて来た金について問題が起つて来れば、これは大蔵省になりますが、ゼロとして引継がれたのですから、たとえば熊本さんが何か人からゼロとして引継がれたもので、それで責任があるかといわれたら、金が入つて来れば、その入つて来た金については責任が起つて来ますけれども、入つた前のものについては向うでやつてくれる。つまり通産省企業局の経理課でやつてくれる。これは当然じやございませんかね。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 実情がそうであることは私どもも認めます。従つて詳しいいろいろのことについてはあとで通産大臣にお尋ねしたい、かように存じますが、責任の一端が大蔵省にもあるということだけは、今の御答弁でさように認めたいと子じます。  そこでお尋ねいたしたいことは、たとえばガリオア、イロアの問題でありますが、これは原則といたしまして明確なとりきめがなくて、終戦後から引続いて行われたものであることは、当時の事情上わかりますが、しかしながら先ほどから問題の中心になつております日本の債務として明確な理由はどこにもない。ただ日本も独立した限りにおいて、そうそうアメリカのお助けばかりをこいたくないという、いわゆる民族感情はよくわかりますが、当然日本の債務ではない、このことは明確になつておると思いますが、さよう心得てよろしゆうございますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 さつき熊本さんがお尋ねになつた責任問題について言いますと、率直に言えば、政府が一体だという意味から言えば、責任は大蔵省にもあると思います。それからその次の問題ですが、こははよく申します通り、仰せのように、道徳的に日本はこんなものはもらいぱなしではいかぬから払いたいということですが、それで法律的にここに債務が発生しておるのでないことは、これは繰返し印した通りであります。金額もきまつておらない、支払い条件もきまつておらない、そういう債務というものはあるものではない。ですから法律的にはありません。法律的にそれをきめなければならぬときは、国会にお諮りする、これは当然のことなのでございます。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 そこで私はお願いをいたしたいことは、一方は明確なる商業債権である。一方は道徳的には別といたしましても、法律上一切合財が債権として成立されておらないものであるとしますならば、今日本の経済のまことに行き詰まり的な、大蔵大臣として予算編成にもお困りになつておる現状は私ども推察できるのでありまして、こういう条件下においては、当然明確なる債権は債権としてどしどし交渉して、もらうものはもらうという態度こそ、今日の責任ある大蔵大臣としても、吉田内閣としてもなすべき行為であろうと私は考えるのでありますが、その点困難であるか、ないかということは別です。しなければならぬという原則はお認めになるだろうと思いますが、その点いかがですか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 商業債権たることは間違いございませんから、これは仰せの通りだと思います。けれども、その点に交渉相手もあることだから、実情に即してこれはやつてもらう。但しいつも忘れぬようにこちらの方も交渉を続けてもらう、こういうようなところで、これは私が少し実際家過ぎるかもしれぬと思いますが、いろいろな関係もありますから、あまりりくつ詰めにこれを進めにくいのではないか。これはあまり率直過ぎた答弁で、法律的にならぬじやないかと仰せになれば、その通りだが、実際上はいろいろな関係もあるから、これはおれの商業債権だからやつてくれということを言うのはいいが、それのみで厳重交渉というわけにも行きかねる点があるのではないか。その点は少し外務省へでもまかしておいたらどうか、私は率直に言うとそう考えております。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 小笠原大臣はやはり政党人であるだけに、思い切つた率直な答弁をしてもらうことは私は感謝いたします。しかしながら御承知の通り、たとえばMSAの援助も受けなければならない。受けることのためには、憲法との関連性において現内閣が非常に苦労をされて、それでも受けなければならないという日本の国情は、あなたも御承知の通りです。従つてそれを道徳的にこうであるからということで、日本がこれを債務としていかにもこれに対する責任を果すかのごときことを言うことによつて、相手方がこれを日本の債務なりと確認するというような動きが行われて行くのじやないか、そこが外交取引上の重要なポイントではないかと思う。その点現在の内閣のとられておるところが、あまりにも弱腰といつては恐縮ですが、右や左を考え過ぎて、国民のことは二の次にして、アメリカ様のことにかりを考え過ぎているところに、ますますもつて日本の将来の国際交渉上に不利になる。道徳的であろうと、何であろうと、一応みずから認めた形における交渉というものは、これは完全にわれわれの理想通りに行くわけがない。この点せつかく政党人として長く御苦労になつて、そうして率直な答弁を願う——ほかの人は別ですが、小笠原大蔵大臣くらいは腹を締めて交渉に乗り出すくらいの決意があつてしかるべきだと私は思うのですが、もう一度御答弁願えれば幸いだと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 熊本さんの仰せの点はよくわかりました。要求するものは要求するがいいと実は私どもも考えておるそのかわり払うべきものは払つたがいいのであつて、それは今後の交渉にまつべきものだと思つておりますので、その点はよく外務省の方へも話をしまして、交渉してもらうことにいたします。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 せつかくのただいまのお答弁でございますが、人が悪くて物を言うのではなくて、日本の現状をしつかり把握するならば、そうしてアメリカが真に日本に言うがごとく協力態勢があるならば、それくらいのことは——債権は債権として先に片づけるということに応ぜざるがごときことはなかろうと私は思う。腹のきめようだと私は思う。この点はぜひともあなたにお願いをしておくと同時に、終戦処理費の問題で書類を出してもらいましたところ、二十七年までで四十八億八千九百五十八万七千ドル、こういう計数が出ております。従つて日本の苦しい占領下においてすら、国民のかような形において終戦処理については協力しておる涙ぐましい日本の現状と、彼らがいわゆる仁義道徳の国とみずから誇るアメリカが、ガリオア、イロアとして出したものを、それをも取上げて決済しなければならないというようなりくつは、人道主義のアメリカにしてはあまりにもおかしいと思う。こつちの腹をきめてびしびし押せば、これは必ず解決がつく、私どもはこう考えておりますので、その点について特に小笠原大蔵大臣は、日本の苦しい財政を背負つておられるのでありますから、腹をきめて、外務大臣などとは少々の対立があつても、びしびしとひとつやつていただきたい。重ねて私はお願いを申し上げまして、時間がないようでありますから、あとは通産大臣に十分に実疑をいたします。

田中彰治自由党(分)

○田中委員長 山田長司君。

山田長司日本社会党(左)

○山田(長)委員 お急ぎのようですから、簡単に二点伺います。実は過日この委員会に緒方副総理が見えまして、その席上緒方副総理は、今のガリオア、イロアの問題を全体として責務と心得るということを申されたのですが、もちろんこれは法律的な債務か、あるいは精神的な債務かわかりませんけれども、とにかく戦後における日本としては、アメリカをありがたがつて、日本に物を送つてくれたことについて、国会においてマッカーサーに感謝決議までしておるというような事態がありますときに、もらつたものだと思つているものを、いつのまにか債権として取立てられるというようなことでは、私どもたいへんな問題だと思うのです。そこで大蔵大臣としては今何か奥歯に物のはさまつたような物の言い方をして、外務省にまかせれはいいというようなことをほのめかしたようでありますが、一体この問題については、大蔵大臣としてはどんなふうなうまい手を打つてこれを債務としないか、こういう問題についての考え方があるかということが一つ。  もう一つは、朝鮮に輸出した貿易品の中で、一千六百万ドル日本銀行の帳じりの中につけてあつたものを、向うの命令でいつの間にかそれを消してしまつたという事実があるのですが、どうして消したのか、この内容がわかつておるのならば、わかつておる範囲で話してもらいたいと思います。この二つです。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 ただいまのガリオア、イロア等の問題につきましては、これはやはり私ども道徳的な債務とは見ておるのですけれども、法律的な債務と考えていないことは先ほど来申し上げた通りであります。しかしながら国本として独立国となつた以上、よその世話になりつぱなしでもいけないから、返せるものは返したらいいというのは、これは日本人の面目の上からも必要と思いますが、しかしそれは金額ができてるだけ国の財政負担等から見まして、少いことが望ましいことは私ももちろん思います。その点につきましては、これはひとり大蔵省ばかりの考えで行きませんので、内閣全体としてどういうふうにこれを話をするかということは、まだきめておりませんが、先般も吉田総理が予算委員会で答えをいたしました通り、この問題は日本の財政を痛めてまで出すもんじやない、こう考えておるということを言われたのでありますが、これは私も同様に考えております。道徳的な問題の処理ですから、でぎるだけのことをするが、しかしお互いの生活、お互いの財政に影響があるところまでこれはすべきものとない、かように考えております。   それから千六百万ドルの問題ですが、あれは当時占領下でありまして、向うから指令されると拒むことができない。これは占領行政のまことに情ないところであるけれども、千六百万ドル、これはリツトオ、オアとか何とか書いてあつた。よくないということで落してしまえという命令が来まして、その命令によつて落したものであります。ただここで私一言申し上げておきたいのは、そういうこと等が動機になりまして、通商産業省でいろいろ調べた。何んでこんなものを消せと言われて来るかということを調べてみた。それでいろいろ調べたところが、いろいろの書類によつて四千七百万ドルこちらがあべこべに請求するものがあるということがわかつた。実は一千六百万ドルが一つのきつかけをつくつたものでありまして、この四千七百万ドルの帳じりの債権があるということがわかつたのは、これはまことに通商産業省の官吏諸君が非常な努力をして、ここまでやつてくれたものだと私は思つております。元の一千六百万ドル、これは拒めません。これは占領軍が命令して来るのですから拒めませんが、それがどうしてこうなつたかということは御承知願つておきたいと思います。

田中彰治自由党(分)

○田中委員長 吉田賢一君。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 だれが見えておるのですか。

田中彰治自由党(分)

○田中委員長 大蔵省の主計局の次長と為替局長とが見えております。   「委員長退席、柴田委員長代理着   席〕

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 通産省に伺いますが、さきに大蔵大臣に聞きつつあつた事柄でありますが、少し具体的にあなたの方、通産省側から聞いてみたいと思います。入つて参りました物資の売上げの円で収入しました代金、それから内地へ入つて参りました物を安く売つておりますこと、向うで幾らで売れるかにかかわらず相当高く買つて売つております。これが大体におきましてドルと円との見合いは困難だろうと思いますけれども、さつき大臣も答辨しておりましたごとくに、相当この穴を埋めて行かなくちやなりませんものは、ガリオア、イロアなどの物資によりまして得ましたその代金で処理をされておる、こういうふうな見方は大体一致しておつたようなのであります。そこで伺いたい点は、当時かなり安く日本の基幹産業培養のために、ないしは戦後の工業力の回復、輸出力の回復とかいうような、そうい面から鉱工品の産業の原材料、肥料などに相当便益を与えまして安く売つておる事実もあろうと思います。そういう面において日本内地で売りますものに、また外へ輸出するものにおきまして、実質的には価格を補給してやつたと同じようなら性質に金が使われておる、こういうふうに言い得ると思うのでありますが、その辺につきまして具体的に、あなたの方で肥料とかあるいは綿花とか、あるいは出すものは生糸とかその他鉄とかいつたような基幹産業などについて、どのくらいな補給がされておつただろう。その補給されたものと今のガリオア、イロアで輸入しました物資の量との関係、こういう関係におきまして数字をどういうふうにおつかみになつておるであろう。この辺について概要の御説明を願つたらと思います。

中野哲夫通商産業事務官(企業局長)

○中野政府委員 先ほども大蔵大臣との質問応答にありましたが、ガリオア、イロアの大半の金額が一種の補給金に使われておつたんではないか、こういう点については私どももさように考えております。そこでガリオア、イロアを、話を簡単にいたしますために、かりに十億ドルといたします。十億ドルという金を使いまして一種の補給金、つまり輸出品を円で買い上げた、それからガリオア、イロアその他輸入品をマル公等の円で売つたという場合に、どう使われたかと言いますためには、当時一本レートが御承知の通りないわけであります。ですから極端に言えば比較しようがない、こういうことになるわけでございます。たいへんくどいようで恐縮でございますが、今日でありますれば三百六十円、一本レートが行われておりますから、一ドルのものを三百円で売れば六十円安く売つた。また三百円のものを四百円で買い上げれば差額の四十円を補給したというようなことがすぐわかるのでございますが、あの問題の起りました昭和二十年九月から二十四年の三月三十一日までは、そういうレートは全然なかつたわけであります。そこで通産省といたしましては、いろいろ考えをしぼり協議いたしました結果、どうしてもそこを皆様に、あるいは国民に御理解をいただきますためには、一本のレートというものを前提にして考えなければならぬのではないか、こういうことでございます。この一本のレートをどういうふうにして考え出すかということにつきましては、いろいろな考え方があり得ると思うのでございますが、通商産業省で考えましたのは、この期間中におきまする日本の輸出金額というものを司令部でドルでとつております。その数字は毎々申し上げます通り、六億五千三百万ドルでございます。これが司令部の統計に載つておるわけでございます。  それから当時貿易資金特別会計で輸出品を円を幾ら出して買い上げたかという数字でございまするが、これはたしか昭和二十三年度の決算といたしまして会計検査院の検査も受け、国会の御承認も経ておる数字でございます。そこで一番われわれがつかみやすい、しかも三年間にわたる数字を全部平均してみるためには、この二つのドルと円にわたる数字を割つてみたらどうか、そういうことで割つてみますと、ここに一ドル百四十七円、こまかい数字で申しますと、百四十七円十五銭という数字が出て来るのでございます。  通産省といたしましては、この数字が決算の数字にも合い、また当時の司令部の輸出統制にもはつきり出ておる、こういうことから考えまして、それを当時の一本レートとして考えてみたのでございます。そこでこの期間内におきまする輸入の金額、これも司令耳統計でございまするが、十七億四千三百万ドルございます。そこでこの十七億四千三百万ドルというのは、日本円にして幾らになるだろうかという計算をやりますと、先ほどの百四十七円をかけますると、大体二千五百六十四億円くらいになるのではないか、かように考えます。それで一本レートでありますれば、この二千五百六十四億円で買つたものを、二千五百六十四億円でそのまま売れば、経費その他は政府持ちといたしますれば、差引損得なしに相なるわけでございます。そこで経費を少しでもかせごうということになりますれば、二千五百六十四億円にプラス・アルフアという値段で売らないと国が損をするということに相なると思います。そこでこの三年間の期間内に、今度は貿易資金によつて国内に売り払つた——これには正常輸入のものも入りますし、ガリオア、イロアの援助物資も入るのでございますが、売り払つた金額が、当時の決算書によりますと、千四百九十五億円という数字が出ておるのでございます。これも国会の御承認を得ておる数字でございます。二千五百六十四億という原価がかかつておるものを、千四百九十五億円で売つたわけでございますから、当然そこに一種の赤字が生ずる、こういうことになるのでございまして、その差額はちようど千六十九億くらいの計算になるわけでございます。そこで通産省といたしましては、今申し上げたような計算過程が、最も決算の数字にも近いし、御理解も願える、かように考えまして、今申し上げた千六十九億ほどが、当時主として食糧費その他について日米の実際の物価水準よりも安い価格で国民に売つた、それだけ輸入補給金としてこれが当時民生安定に役立つた、かように考えておる次第でございます。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 今の差額の千億円余りのものでありますが、それは大体の数字のつかみ方といたしましては、食糧その他独占企業、また基幹産業へのふりわけ割合はどのくらいになりましようか。

中野哲夫通商産業事務官(企業局長)

○中野政府委員 ただいま御説明申し上げましたのは、ガリオア、イロアの輸入援助物資が総体として何に使われたかということをわかりやすく御説明いたしますために、さような当時なかつたレートいうものをここに適用し、輸入補給金として使われたということなのでございまして、その千六十九億という金額がただいま御質問のように重要産業と申しますか、重工業その他に幾ら使われたか、あるいは食糧その他の日常消費物資に幾ら使われたかという数字は、私の方では厳密に申しますと、レートは当時なかつたのでございますから、厳密な御質問でございますれば、遺憾ながら数字的にははつきりいたしかねますということでございまして、全体といたしまして、そういうような当時の事情として民生安定のために使われたということを申し上げた次第であります。

藤田義光改進党

○藤田委員 議事進行について。本問題に関しましては、すでに事務当局の説明を聞く段階を通り越しまして、ただちに先般の当委員会における決議に基きまして、吉田総理あるいは大蔵大臣、外務大臣、通産大臣等をお招き願いまして、委員会を続開していただきたいと思いますが、その後の経過はどうなつておりますか、御存じでありましたら、御説明を願いたい。ただいま田中委員長がそのために折衝に行かれているというお話も聞いておりますが、その後の事情をお伺いしたいと思います。

柴田義男日本社会党(左)

○柴田委員長代理 通産大臣は院内には御出席だつたそうでございますが、重病になられて御出店が不可能のようであります。それから大蔵大臣は先ほど約三十分くらい御出席くださいまして、大蔵省当局としての御答弁がございました。外務大臣はすでに前の委員会に御出席になつております。総理大臣の御出席はまだ確定して、おりません。以上でございます。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田賢委員 私が質疑をいたしました問題は、これは中野政府委員も、調査の書類等の整理はなかなか困難な作業を伴うということが前提になつて、いろいろとお述べになつたことと思いますが、これは結局二十四年の三月までにおける国内的なり、また輸出関係におけるいろいろの物価、収買の関係等における補給の財源でありますので、従つてそれがもしかりに九九%食糧であつたといたしましたならば、その品質のいかんは別といたしまして、国民生活に影響する重大な救援でありますので、またそういうふうに考えなくちやなりません。しかしそれがもし半分が、たとえば例をあげまするならば、綿花の輸入につきまして、あるいは硫安の製造について、十大紡績あるいは硫安協会、そういつたところへ相当大きな金額が価格補給として流れて行つているものといたしましたならば、そういうことは後日このガリオア勘定の性質をある部分債務と認めるのか——全然認めないということであれば別です。別ですけれども、政府は必ずしもこの点については債務にあらずとは積極的に言つておりません。先般の緒方副総理にいたしましても、またしばしばの総理の言明等から推しましても、この内閣は態度が明らかになつておりません。そのようなときには、もし債務なりというような考え方が伴つて来るのであれば、どうしてもこれはただいまのあなたのおつしやるその千億円の数字、これといたしましてもその使途についてどのくらいの割合で、どつちに行つたのかということが明らかになつて来ないと、国会は承認しないだろうと思う。国会はかりにも債務と認めようとするときに、債務と認めるその根拠資料が集まつて来ないようなものを、たとい百円、一万円のものでも債務と承認はしないだろうと思う。これは作業が難事業であるとか何とかいうのじやなしに、どうあろうとも、資料は明らかにして、この内容を十分に検討して、後日のためにも備えなくちやならぬし、また現在の段階におきましても、この点について相当究明をしておかなければならぬじやないか、こう思われるのです。そういう意味におきまして、非常に重要なことでありまするので、ここでどうしても通産省といたしましては、これは不可能なことであるというなら、不可能なことということに一応は伺つておきます。事務当局といたしまして不可能だ、しかしながらそうでなくして、相当な経費を出し、予算を組み、人手を貸して、よしんば金庫を十でも二十でも、十分に内容を整理するならば、これらの内容が出て来るというのであるならば、それはまたそれでそういう方法が考えられる。そうであるのかないのか。どうしても論理上も物理上も不可能だということになるのか。こういう辺をやはり十分にこの委員会も検討しておく必要があると思うので、実は聞くのであります。

中野哲夫通商産業事務官(企業局長)

○中野政府委員 お答えいたします。あの三年間で平均となりますと、またいろいろあれでございますが、たとえば昭和二十三年の何月ごろ、昭和二十二年の何月ごろ、塩が足りませんで、御承知の通り当時非常な塩飢饉でございましたが、外国から塩が入つて来た。それを当時の国際価格で、ドルで幾らであつたか、それらに運賃諸がかりなどを入れて何ドルになつたか、それを当時貿易特別会計で——もちろんこれは食糧公団のようなものを通して売つたのですが、円で幾らで売つたかという個々の例の数字は出るのでございます。例としては相当たくさん出ますのですが、それらを全部集計いたしまして、先ほどお話が出ました約十億ドルのそれに見合う円という数字を出しまして、その内訳が、綿花については幾らだ、工業塩については幾らだ小麦については幾らだ、ということをお示しいたしますことは、これはほとんど不可能に近いのではないかということをお答え申し上げる次第でございます。私の申し上げ方がおわかり願えましたでございましようか。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 不可能に近いであろうけれども、作業を大がかりにするならば困難でないかのように思われますが、そうではないのでありましようか。私は現物を、深川倉庫にあるものを、あるいは今通産省の方に持つて帰つておられるのかしりませんけれども、現物を手にとつて見ておりませんので、どの程度の作業が必要かということはわかりませんけれども、およそやはり対米交渉の一つの根拠資料にならなくちやならぬ問題だと思うのです。なぜここでやかましく申しますかというと、四千七百万ドルは、これはきまつておるじやありませんか。最終価格が四千七百万ドルか五千万ドルか、それは存じませんが、しかし向うが認めたのは四千七百万ドル、これはきまつておる。これを行使するやいなやということが一つの問題になつておる。行使するには尾がついておる。マーカツト経済科学局長は、ガリオア勘定を考慮に入れてくれといつておる。これを考慮しなければいけません。考慮しないでは動かせません。考慮するというときには、債務であるのか、もろうたものかということを法律をきめなければならぬ。それをきめるのは政局だけではきまらぬというのです。政村だけできめようとすれば、それは債務にあらずという前提に立たたければならぬ。だから総理大臣がここで、あれは債務でないのです、ありがたくいただきましたのです……。その言明なりもうここで追究する必要はない。何となれば、その確信のもとに対米交渉を進められる。そうでない、半分道徳的な責任を背負つておりますと言われておる。それではこの間外務大臣が、大使館において交渉しておりますとおつしやつても、うしろにガリオアの勘定をいつとられるか、ガリオア勘定の内容は債務とも支払いともきまつておらぬということになつております。でありますから、それが道徳的にしろまた半分法律的にしろ、その内容を最終的にきめようとするためには、ただいまの資料はどうしてもつかんで来なければなまるいと私は思う。国会を通過せぬでもいいというならば、憲法を軽視することになります。国会を通過さそうと思うならば、資料がなければ国会は認めません、ということになるのであります、必要といたしましては不可能でございというのでは、これはいけません。不可能でございというような言葉で終始なさると、であればこそ、この四千七百万ドルが国会で偶然に持ち上つたので問題化されたのであるが、もしあれが国会で問題にならなかつたならば、やみからやみへ、不可能であるからというので、すみにほつたらかして置くのではなかつたのか。何となればその不可能と称せられるのがひつついているから、ということになるのだろうが、それでは済まされない。でありますから、どうしてもこの問題は不可能でございますというのでは、しからば政府は対米債権というものを全然どうとも処理をするということの意思もなければ、誠意もない、そういうようなことで今日までほうつて置かれたのかということに、怠慢を責めざるを得ないということになつて来るわけであります。     〔柴田委員長代理退席、委員長着席〕

中野哲夫通商産業事務官(企業局長)

○中野政府委員 今度は御質問の御趣旨がよくわかりました。先ほどちよつと御質問の御趣旨をとり違えておつたような傾向がございまして、ただいま仰せのごとく、将来対米債権の問題あるいは対外債権債務の問題を交渉いたします際には、今御指摘になつたような資料は、きわめて大事な資料に相なると思います。私どももこれを調べることは不可能だということはたしかに言い過ぎだと思います。われわれは全力を尽して、さような場合に備えてこれを調べたい、調べる決意、意思を持つていることを申し上げたいと思います。ただ先ほどは、その十億ドルの内訳が、この国会中といいますか、この決算委員会に、きようとかあすとかいうときに、はつきりこの明細書で計算して示せというふうなお話かと私とり違えましたので、先ほどのような答弁を申し上げたのでございまするが、それはでき得ない性質のものではございませんし、われわれそういう御指摘のような必要に応じて、極力これを調べるべきものと心得ております。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 その点は、私の申し上げる趣旨は、すでに外務大臣は対米交渉に入つておるのであります。でありまするから、政府といたしましては、何らかの手段をもつて明らかにせねばならぬ。どうしても明らかにできなければ、やはりその所管大臣はやめなければいかぬ、それくらいにこの問題の処理については、真剣に取組んでおらなければいかぬ。だからきよう資料が出せぬ、きよう資料の整備ができぬ、きようその計算ができぬというが、二十四年何月からはもうすでに数年経過しております。もつとも問題の解決は去年の四月ですけれども、しかし事柄は二十四年三月以降でありますから、数年間経過しておる。数年間経過しておるのにそれらの資料がまだ整備されておらぬということは、日本の官庁は何とだらしないことではないかということも、あるいは見方によれば言えぬこともない問題であると考えるのであります。でありますから、ただいま私どもといたしましては、どうしてもきようは具体的には物理上も困る、どうにも方法がないということであれば、それはそういうように承るよりしようがないのであります。けれども、過去におきまして、今日あるべきことを予期して、数年間の努力をなぜその方面にしなかつたのであろう、対米債権の確認で努力したがごとき、そういうような努力を傾注したならば、これは当然何らかの目鼻がついて、整然として、資料はこの通りですというふうになつておらなければならぬ。もしそれアメリカの大使館から日本の外務省へ、ガリオアの内容についてはお前の方の資料を出してみろと言われたときはどうなさる、こういうことすらわれわれは考えるのであります。ところがすでに外務大臣は交渉中だというのです。こういうところに大きな一方の手落ちがある。一方どうにもならぬ過去においてこういう怠慢があつたのではないか、こういうふうにも見るのであります。あなた自身を責めるのではありません。やはり政府といたしまして、なすべき準備が今日までできておらぬことは私ども実に遺憾であります。

田中彰治自由党(分)

○田中委員長 吉田委員にちよつとお諮りいたしますが、今調べて来ましたが、本日は通産大臣が実際に健康が続かないで倒れられたそうです。ちよつと二、三日出られる見込みがない。総理の方は副総理に話して、必ず出してもらうことになつておるのですが、通産大臣から一応聞きまして、それからもう一度副総理から聞いて、最後の結論を得るときには総理か一出ていただくことにしますから、総理の出席をすぐにきよう要求することはやめておきます。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 私が先ほど大蔵大臣に答弁を求めたときには、ガリオア、イロアの問題は道義上の債務は負うておるが、法律上の債務は負うてないということを明確に答えておる、通産省か今になつて変なことを言つておることは、私ら考えるとおかしい。この問題について通産省や外務大臣がいいかげんのことを言つて、おるということになると、これは大臣を甲乙丙と開いて転転とするのではだめなんだ。ことにイロア、ガリオアの問題は重要問題であつて、今日債務でないということを大蔵大臣がはつきり認めておるのだから、これを何もことさらに債務であるかのごときことを言われるのは、われわれ国民として心外千万だ。あと残るところは、要するに総理大臣がこれについて法律上の債務であるかどうかという点の答えを求めればそれでいいのであつて、対米債権についても二百億の債権があるということは、アメリカ自体が確認しておるのでありますから、これを総理大臣がアメリカに向つて請求するかいないかという問題、ガリオアがあるためにそれが請求できないという、そんなばかばかしいことはない。今となつてはもはや通産大臣、外務大臣と転々と開く必要はない。要するに吉田首相に来てもらつてその点を聞けば、この問題は解決するものじやあるまいかと私は考えておる。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 同じ党ですけれども、私は先ほどの大蔵大臣の答弁を聞いて、どうしても頭をそろえて聞きたいことがある。総理大臣がいればなおいいのですが、来なければその関係大臣のいるところで固めておいて、それから総理大臣が一緒におられなければ、別に集約するということでもしなければ、私は先ほどの大蔵大臣の答弁だけでは、大蔵大臣だけはわかるが、ちよつと困りますから、同じようにおいで願いたい、

田中彰治自由党(分)

○田中委員長 一応理事会を開きまして、理事会で決定したいと思います。  それでは本日はこれで散会いたします。     午後三時三十八分散会

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