決算委員会 第15号
- 発言数
- 137 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/07/20
会議録
○田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。 本日は前会に引続きまして対米債権に関する問題を議題に供します。 本日総理大臣は、参議院予算委員会に御出席のため本委員会には出席できかねますので、わざわざみずから足を運んで理事会にその旨を申し出ましたので、一応これを承認いたしましたから、御了承願います。
○熊本委員 本問題につきましては、過去三回の委員会で議題となり、その結論としては、総理がここへ出席されて、重大な大綱についての答弁を求める。そのことなしには本委員会の進行はできない、こういう決議をもつて正式の手続は議長を通じて出席を求めたはずであります。しかるにきようの委員長の態度は、何か知らぬがやみ取引のごとくにごしやごしやと話をして、そのまま承認の形をとられることは遺憾千万だと思います。従つて本委員会の決定通り、もし総理が本日ここに出席ができなければ、委員会はやむを得ず閉会して、総理の出席のあるまで延期するということにおとりはからいを願いたいと思います。
○天野委員 ただいま熊本委員からの御発言でございますが、先ほど理事会でお話合いをしたごとく、総理はこの理事会にお見えになりまして、参議院の予算委員会に出席のため、副総理にかわつて答弁をしてもらうというお話でお帰りになつたのでございまするから、本日のところは理事会の決定通り、緒方副総理に御答弁を願うことにして本委員会を開催せられんことを望みます。
○熊本委員 本委員会の権威に関しても、過去何回かの決議もいたしております。そうして総理の出席なき限りは本委員会の進捗はできないという決議のもとに折衝を行い、そうしてそのことについては、この前の委員会で議事の進行はできざることに委員会は決定している、それをさつきのような話でこれが進行されるということは、本委員会の審議権及び決議権を軽視することになるのでありますから、われわれはあくまでも反対であります。
○田中委員長 お諮りいたしますが、委員長は総理大臣には出席願いますために非常に努力したつもりでおります。そうして本日も絶対に出られないからもう少し待つてくれと言われるのを、それでは皆さんに申訳ないからひとつ来ていただいて総理から言い訳していただきたい、ここまで相当強硬に交渉した結果こういうぐあいになつたんですから、どうですか本日はこの点でひとつ……。
○春日委員 私は一事不再議の原則は当然あらゆる会議を通じて尊重されなければならぬと思います。少くとも本委員会がこの委員会の権威において決定したことが、総理によつて全然拒否されるというようなことは、これは国会の権威の立場において大いに重視されなければならぬと思います。のみならず、この憲法の六十三条の中には、議院の要求があつた場合においては総理大臣は必ず出席しなければならないということを厳粛に規定をいたしております。国会法並びに衆議院規則に基いてすべて国会は運営されなければなりません。そういう委員会の決定に基いて、事の重大性にかんがみまして、全国の国民は事の成行きを非常に重視いたしております。折しもこういうような重大な段階においてなおかつその出席要求に従わない、こういうようなことは非常に重大でありますから、私は当然前委員会の決定通り総理がここに出て、そうしてそれぞれの問題に対して責任ある答弁をなさるべきであると考えますので、前委員会の決定に従つてあくまで総理の出席されることを強く要望いたします。
○天野委員 本委員会の運営にあたりましては理事会決定通りすみやかにこの委員会を開催せられるよう、理事会の権威のためにおとりはからい願います。
○杉村委員 私は理事諸君の会合を全然無視するわけではございませんが、理事会は総理が来る前に開いたわけで、しかもその理事会を開く議題はわれわれは知らない。われわれ委員はいかなる事項について理事会を開くかということは知らない。そしてしかも本日総理の出席を求めますことは両三回求めたけれども来ないので、議長まで文書を通じてやつた、それだけの重要事項であります。そうしてここに首相が来たのにもかかわらず、われわれはいかなる理由で理事会を開いたかわからないで、そしてそこで話をしてそのまま帰してしまつたそれでこのまま議事を進行させるということは、私はいささか手落ちがありはしないかと思う。少くともそういうことを承認するのであつたならば、一応この委員会にこの問題についていかがすべきかということをはかつて、しかる後に理事会を開いてこのことであれば私は筋が通ると存じますが、いささかそういうことについて筋が通つておらないのをはなはだ遺憾とする。しかもここに首相が来ておる、来ておつたなら理事会でなくこの委員会に一応敬意を表して帰るべきだ。それをなさらずして帰るのは不都合だ。それではわれわれは何のために議長を通じて首相を呼んだのか、まつたく意味をなさない。私はこのような理由によりましてあくまでも首相の出席を求めます。
○天野委員 先ほど総理も参議院予算委員会に出席のためとはつきり申されておるのでございます。従つて理由の点でははつきりいたしておりまして、一つのからだで二つの委員会に同時に出るということは当然できないことでございます。そのかわりに緒方副総理が総理の代理として御出席になつておるので、委員長におかれましてはすみやかに総理の代理としての緒方副総理に対しての質疑を進められんことをお願い申し上げます。
○熊本委員 どうも私は頭の悪いせいか了解がつかない。何回も本委員会で決議をして、そして理事会は議事の運営についての打合せをするのみであつて、決議権は委員会にあるはずだ。その委員会で三回も決議したものを、総理が来ておるならば一応委員会で弁明せしめて、そうして委員会の承認を求めてなぜ帰さない、そういうべらぼうな委員会軽視の態度はない、われわれは断じて承服できない。委員会の決議を変更するだけの資格はない。
○田中委員長 総理は今後出ないというのじやない、きようは出られないという言い訳においでになつたんですから、きようは緒方副総理が出ておいでになりますから、憲法論も出ましたけれども、皆さんからひとつそういうことを……。
○杉村委員 それではただいまの委員長の言葉によつて私は了承しますが、そうすると必ず出るという言質を委員長は得ておるわけですか。きようは参議院の予算委員会に出るのでやむを得ないが、そのあとでは出るという話であるか、その点を了として帰られたのでありますか。
○田中委員長 私は必ず出るという言質はとつてはおりませんが、しかし憲法に示してある通り、国会から弁明を求められたときにはおいでになるということになつておる。出なければならぬということになつていますから、総理はまさか憲法をお破りになることはないと思いますから出られるものと信じます。
○杉村委員 この議題、四千七百万ドルの事件というものは、実に重大なる事件であります、しかも衆議院のこの決算委員会において数度にわたつて首相の出席を求めて、ようようここに来た、それが参議院の予算委員会に行くというのであるが、衆議院よりも参議院の方を重く見ておるのであるかどうか、その点非常に疑わしい点がある。
○田中委員長 杉村君に申し上げますが、今まで決算委員会というのは、皆さんが御努力なさるまでは眠つたようなものであり、委員長もなるべく委員会を開かぬように、なるべく問題を起さないようにするのが名委員長であつて、われわれは超点派の考えからどんどんこういうぐあいに決算委員会を今日まで持つて来たんですが、そう急速には参りませんから、もうきようはこの程度にして、起立をとるとか何とかしないで、委員長にまかしてください。
○熊本委員 どうも過去の委員長ときようの委員長は少し違つておるようで、はなはだ了解に苦しむのでありますが、杉村君からもそういう御意見がございましたが、委員会の審議を引延ばすことのみがわれわれの目的ではありません。 〔発言する者多し〕
○田中委員長 静粛に願います。
○熊本委員 繰返し申し上げておきますが、せつかく出て来た総理であるならば、理事会で承認を求めたのみで帰るということではなく、やはり委員会を開いてその旨を正式に委員会に報告し、了承を求むべきである。これは委員会運営の基本的原則であろうと私は考える。従つてきようの運営については、委員長の過去の努力についてわれわれも考えないわけでもありませんが、きよう中に、この委員会の開会中に総理が次にはいつ何時にここへ出て来るかということを明確にして、それを御発表願うという条件のもとでなければ委員会の審議は進められない、かように思うのでありますが、ひとつ委員長の心構えをお願いしたいと思います。
○天野委員 先ほど理事会で決定をせられたように議事を進められるように採決せられることの動議を提出いたします。 〔「若いのに何を言うか」「若いとは何だ」と呼び、その他発言する者多し〕
○田中委員長 静粛に願います。 〔「採決々々」と呼び、その他発言する者多し〕
○田中委員長 静粛に願います。山中委員、静粛に願います。春日君。
○春日委員 ただいまいろいろとかわされている論議は、衆議院規則に従つて議事を運営してくれ、こういうことなんだ。そこでこういう重大な案件について、委員会が決定したことを委員会に諮らないで変更するということは、衆議院規則に違反する、こういう立場において、問題を変更しようと思うときは、その決定した委員会の議決を経て決定しろ、こういうことを言つている。何がわからない。だからそういう方法をとつてもらいたい。
○田中委員長 春日委員に申し上げます。これは別に理事会で決定する事項ではありません。総理が出られないから待つてくれ、今日は副総理を置いて行くから、副総理に御質問してもらいたい、この次また都合して出られるだけのことをいたします、こう言つているのですから、それでひとつ……。
○熊本委員 私はわからないことを言つているつもりじやない。委員長があとの出席の期日を確めて、こういう事情であるから、今日はこの建前で進めようとおつしやれば、譲らぬことはないと言つている。それにもかかわらず、天野君が理事会々々々と言うから問題はこんがらかるのであつて、委員長の努力のほどをここではつきり聞かせればいい、こういうことなんです。
○田中委員長 熊本委員も理事をしておられるから、相当責任があると思います。そこでこの次もこの問題をまだやりますから、もう一度総理を呼び出すように委員長がとりはからいます。今日はこれで審議をしますから、どうぞよろしく……。
○吉田(賢)委員 議事の運営につきましては、何とか今の委員長の最後の御発言の趣旨に沿うて、これによつて円満に進めることに何とか皆さんの御了承を願いたいと思います。
○田中委員長 それでは野党の委員諸君に申し上げますが、なるべく委員長は決をとるようなまねをしないで、円満に行くようにやつていますから、御了承を願います。 それではただいま出席せられております緒方副総理、及び外務大臣があとでおいでになりますから、外務大臣、通産大臣並びに会計検査院長に順次質疑を行うことにいたします。それでは質疑を許します。吉田賢一君。
○吉田(賢)委員 まず緒方副総理にお尋ねしますが、御承知でありましようけれども、決算委員会は国の予算の跡始末を監査すべきような委員会でありますことは申すまでもないのでありますが、憲法第六十三条の後段によりますと、総理大臣並びに国務大臣は国会の答弁あるいは説明について求めがありますと出席せねばならぬという義務規定があるのであります。これは憲法学者の説明によつてみましても、やはり国会の審議権の尊重の趣旨に沿いまして、国会の権能の中の、また内閣の義務の中の、最も重要な規定になつているのであります。そこで過般来三回にわたりまして総理大臣みずからこの委員会に出席せられまして、ただいま問題になつております調査中の例の対米債権をめぐりまして、各般の日本の内閣の根本的な方針あるいは考え方等について十分に聞かねばならぬ、こういうことに決定したのであります。いろいろと御多忙中でありますので、なかなかに御出席が困難であつたかと思いますけれども、しかし三回にもわたりましたために、委員会におきましては、総理の出席がなかつたということを通じて、非常に不満の意向がみなぎつておつたというのはただいまごらんの通りであります。そこでこれは今後この委員会を運営する上におきまして重要であると思いますので、憲法六十三条の総理大臣並びに国務大臣の国会への出席義務の規定、これにつきましてお考えのありますところ、御所信のほどを一応伺つておくことが大事だと思いますので、お尋ねいたしたいと思います。
○緒方国務大臣 大臣が国会の要請によりまして出席して質疑に応ずる等のことは、ただいま吉田委員からお話のありました通りで、政府といたしましては従来どこまでもその趣旨に沿うつもりでやつて参つているのでございます。総理大臣の出席を求められました際には、あいにくと総理大臣がほかの委員会等にからだがふさがつておりましたために、今まで出られなかつたのであろうと考えます。今後そういう場合におきましては、従来通り委員会の要請にはできるだけ応ずるつもりでございます。
○吉田(賢)委員 きようは会計検査院院長みずからが出席しておられます。また会計検査院の院長は、この委員会へしばしば出席があるのであります。この委員会はさきに述べましたごとき重要性を持つていることにもかんがみまして、今後この問題のみならず、幾多の問題の審議にあたりまして、もし出席を求めましたときには、出られぬときには相当理由を付してその趣を委員会へお伝えを願いたいと思うのであります。そうすることが国会を尊重するゆえんでもあり、そうしないことによつて数回委員会をむだに流すというようなことは、実に遺憾しごくのことであります。従つて今後のことでありますが、副総理におきまして、総理がもし出席できないような事情のあるときには、理由を付して委員会に御通知をなさるようにおはからいを願うことが至当な筋道であろうと考えます。さようにおはからい願えましようか。さようなことをあなたに希望するのですが、御所見はいかがですか。
○緒方国務大臣 御発言の趣旨は了承いたしました。
○吉田(賢)委員 それでは今の質疑について十分に尊重してくださるものと了承しまして、私は本論に入りまして、二、三質疑したいと思います。 第一に問題になつておりますガリオア、イロアの勘定の問題であります。これは申し上げるまでもなく、アメリカの占領中における日本に対する援助、救援ないしは復興という趣旨が含まれた援助物資が送られたものと国民は了解いたしております。先方における法律の内容についてこれを見ましても、やはり贈りものという趣旨は、ガリオア勘定においては明白になつておるように私ども了解するのであります。もつとも贈りものという字句は、日本の法律上の贈与になるのか、プレゼンテーシヨンとかいうことになつておりますから、そういう趣旨になるのかどうかということは、多少疑問があるといたしましても、政府におきましては、このガリオア勘定なるものは債務とお認めになるのか。あるいは贈られたものとして、特に綿花などのクレジットの関係を除いて、その他の贈りものの部類に属する援助物資の関係においては、これは反対給付の伴わない贈られたもの、いただいたもの、こういうふうにお考えになるのか、その根本のお考え方をひとつはつきりしていていたできたいと思うのであります。
○緒方国務大臣 ガリオアを全体として債務と心得ておるということは、総理大臣、大蔵大臣等から、国会に向つて何回か繰返して言われたところであります。但しそれはきわめて抽象的な発言でありまして、ガリオアというものの中には、言葉の示しておりますように、明らかに日本の債務になつておるものもあるように考えますし、またアメリカ側の政府の使用も何がしか入つておるのじやないかと思います。そういう点から、このガリオアの内容をよく点検いたしませんと、どれだけが日本の債務になり、どれだけが債務と心得える必要がないものであるかということは、ここでは簡単には申し上げかねるのでございます。
○吉田(賢)委員 しかしながら、相当年数を経ましたのみならず、この問題は、数年間政府の内部において、たとえば通産省においては、総司令部との間に折衝を重ねて参りました、例の朝鮮に対する輸出超過の債権受取勘定分について、ずいぶんと検討し折衝を重ねて参りました。これに関連しまして、ガリオア勘定というものは当然浮び出まして、政府の内部においては、おそらく相当検討もあつたものと思います。のみならず憲法の九十一条によりますと、九十一条においては、内閣は毎年一回国の財政状況について国会に報告する義務が規定してございます。そこで数年間このガリオア、イロアの問題については、いろいろな意味において懸案にもなつて来ておりますので、その内容について、どの部分が債務になり、どの部分が債務にならぬだろうということは、最終的な確認への到達はあるいは問題があるかもわかりませんが、大体の線は明瞭になつておると申してもいいのじやないだろうか。たとえばクレジットの関係においては、綿花などはこれはもうすでに決済が済んでおります。返還をいたしておりますし、また昭和二十四年四月以降の分については、見返り資金としての積立てもありましたし、またこれに関する法律もできておりますし、特別会計などいろいろできておりますので、その両者の区別、つまり純粋の贈りものか、法律上の義務を伴つておるものかについては、相当明瞭になし得べき各般の事情が、数年間の経過としてはあつたはずであります。今さらどの分がどうだろうかを検討しなければわからぬというのは、国民としては、また国会としては、実に心細いわけなんです。すでに一方これに関連するものとして、調査いたしておりまするいわゆる対米債権の問題は、具体性を持つておる。関連の有無について、調査の対象にしましたガリオア勘定が、まだその内容がわからぬ、贈与のものもあるし、しからざるものもある、調べてみなければわからぬというのでは、どうもわれわれとしては納得いたしかねるのであります。ほんとうにおわかりでないのならば、また別の方法をもつて政府の責任も問わなければなりません。副総理はどうお考えになりますか。
○緒方国務大臣 具体的のことは、通産当局からお答えした方が適切であると考えますが、一応ガリオアの物資のアメリカ政府の使用に属さないものガリオアのGはアメリカ政府の分を意味すると思いますが、それに属さないものは、総括して政府として債務と心得ておるわけであります。それをどういうふうに決済するかということは、今後かりに債務になりましても、いろいろ交渉の余地があるものもありましようし、今後の交渉によつてはつきり債務に属するものがきまる。そのときに初めて、国会の御承認を得る等の問題も起つて来るのでありまして、今までどういう折衝を経ておるかということは、通産当局から御説明申し上げます。
○吉田(賢)委員 政府委員にはあとで伺うことにしまして、根本のことを先にお尋ねしておきたい。そこでガリオア勘定については、少くとも私がさつきから述べておるクレジットの関係などを除けば、これは贈りものを受けた、日本流で言えばいただいた、もらつた、贈与された、こういうふうに理解していいのでしようか。
○緒方国務大臣 これは救援を受けたことは確かな事実でありますが、それがアメリカ側でどういう含みになつておるか、そのほかの債権債務と一緒に検討してみる必要があるのじやないかと思つております。
○吉田(賢)委員 今政府に、総理大臣としては御承知ないだろうが、他の所管大臣は承知しておるかもしれないというふうに了解していいのでしようか。それとも内閣としてはまだわからぬということになるのでしようか。副総理は、さきに総理から国会にしばしば債務であるということを答弁したことがあるというような御説明でありましたが、あなたとしてはよくわからぬということに了解すべきなんでしようか。政府としてまだその性質がわからぬということになるのでしようか。わからぬということであれば、ますますもつて私は奇怪なことと考えますので、その辺はくどいようですけれども、ひとつはつきりとしたところを率直に述べてもらいたい。この委員会は御承知ですけれども、大体において数字をもつて論議して行きます。ですからあげ足をとつたり、言葉のしりでどうこう議論をかわすことはしておりません。ですからノーとかイエスとか、そうであるとかそうでないとかいうことについては、相当明確に政府として最高の確認するところをぜひとも述べてもらいたい。
○緒方国務大臣 先ほど申し上げたことを繰り返すようでありまするが、全体として債務と心得ておるだけでありまして、これを突き合せてどれだけが法律的に債務となるかというところまで行つておりません。
○吉田(賢)委員 全体として債務と心得ておる。これはひとつ慎重に述べてもらわぬといけないのであります。
○緒方国務大臣 ただ先ほど申し上げましたように、一言にガリオアという中にはいろいろな費用がありますから、その点は私が先ほど申し上げた通りであります。
○吉田(賢)委員 ガリオア勘定は、いろいろな数字を大体推定するところによりますと、また政府の他の委員会における答弁を総合して考えますると、少くとも二十億ドルに達する様子なのであります。あるいは二十一億ドルを越えております。そこでもしこれ債務ということを政府が軽率にお述べになるということであるならば、これは国家国民のためにたいへんであります。緒方副総理、吉田総理お一人でこの問題を解決なさるのではありませんし、また二十一億ドルをお払いになるわけではございませんので、もし債務ということであれば、八千万国民はまさに天文学的数字の負担をアメリカに対して負うておるという結論になるのであります。一方またしばしばわが国会はアメリカに対しまして、援助物資、ガリオア、イロアに対しまして感謝決議をいたしております。いただきましたという国民感情を集結して感謝決議をしておる。ところが今政府は率然としてこれは日本の国の債務なり、こういうようなことをおつしやるとすれば、一体何を根拠にそれは言われるのであるか。八千万国民が孫子の代まで払うことのできないような負債を背負い込んで行くというようなことを、政府は言明するということにもなるのでありまして、実に重大な発言になります。よほどこの点は慎重にお答えにならねばいかぬと思います。重ねて所信を伺いたい。
○緒方国務大臣 あの敗戦後の日本におきまして、衣食住その他非常に悲惨な国民生活が続けられておりましたときに、それが日本の将来債務になりましようとも、なるまいとも、あれだけの救援物資を機宜によこしてくれたということに対しましては、これに感謝をするのは当然でありまして、国民感情もそうであろうと考えるのであります。ただそれをまだ決済をせず、従いましてどれが法律的に日本の債務に属するかということもありませんけれども、それを総括して日本の債務と心得ておる。これは別に法律的な意味でも何でもございません。つまりこれの中にはオブリゲーシヨンがあるのだということを考えておることは、私は一向さしつかえないことだと思います。しかしなおよく調べまして、この点は主管大臣からお答えした方が適切であると考えます。
○吉田(賢)委員 日本の憲法によりますると、八十五条に、国が債務を負担する行為をなすときには国会の議決を経ることが必要になつております。従つてもし法律的の債務ということであれば国会の議決が必要なんですが、そういう手続をなさつたことでもありますか、またする意思でもありますか、その点いかがですか。
○緒方国務大臣 これは法律的に国の債務というわけではありません。従いましてまだ何らそういう手続はしておりません。
○吉田(賢)委員 法律的に国の債務でないというのならば、道義的な一つの負い目とでもいう意味なんですか。どういうことをおつしやろうとするのですか。国会では、国際的にしろ国内的にしろやはり法律の筋が通つておらなければ、債務とか、債権とか、権利とか、義務とかは表現すべきではないと思いまするが、もしその点についていま少しくお考えが政府として熟さないのならば、これは重大なことでありまするから、別なあとの機会にひとつ責任を持つて述べていただきたいと思いますが、そうしていただけますか。
○緒方国務大臣 これはたびたび申しましたように、法律的に債務であるということは、おそらく総理大臣を初めだれからも申し上げていないと思います。これは私は抽象的といいますか何といいますか、これはオブリゲーシヨンであるという意味のことを言うているのでありまして、それをどう決済するかということは、七年の占領のあとアメリカも相当厚意を尽したあとでありまするし、日本の方から受取り勘定もあることでありまするし、今これをこつちだけどうするとか、一々はつきりしていなくても、私はそういうことがあり得るのだと考えております。
○吉田(賢)委員 昭和二十七年及び二十八年の総理府会計におきまして、平和回復善後処理費という費目の中に、その説明といたしまして、連合国に対する賠償の支払い及びアメリカに対する対日援助費の返済、こういうような記載があるわけであります。これは若干予算においても触れたらしいのでありまするが、この対日援助費というものの中にはガリオア勘定が入つておるとこれは常識で考えるのですが、はたしてそうであれば政府はすでに予算化して、アメリカに対してガリオア勘定に法律上の債務ありというような考え方が現れておるのでありまするが、その点はいかがですか。
○緒方国務大臣 それは私はガリオア勘定ではないと思いまするが、なおここに資料を持つておりませんので、いずれよく取調べましてお答えをいたします。
○吉田(賢)委員 それではいずれよくお調べくださつて御答弁願うことに約束いたしておきましよう。
○細迫委員 関連して。ただいま吉田委員からの御質疑によつてもなお副総理ははつきりした態度を御表明にならないのでありますが、アメリカから送つてもらつた援助物資に対する国民感情などという言葉も出ました。まつたく国民としてはもらつたものだという百パーセントの感謝をもつて、あの衆議院などの感謝決議にもなつておると私は思うのであります。もしあれが対価を要するもの、債務としてあとに残るものだということになりますれば、同じ感謝であつてもその内容が大分違つたであろう、それならそれと最初から言うてもらいたかつた。なおまた対価を支払わなければならぬ性質のものであれば、送つてもらう品物に対しても注文をする、取捨選択する権利と申しますか、債務なら出たはずだと思います。中には、いらないものあるいはぜいたくに属するもの、日本国民の嗜好に合わないものというようなものもずいぶんまじつておつたのでありますが、これがすべて政府において債務と心得られては、国民感情にそぐわないところが非常にあると思うのであります。それを今率然として債務と心得られるということは国民感情に沿わざるはもちろんでありますが、国の財政上きわめて重要であります。法律上の意味ではないとおつしやいますが、これがもし争いに相なりますれば、日本政府は債務と心得るということを表明しておるということは、必ずやアメリカ側の債権主張の裏づけの有力なる証拠として出て来る記録であります。債権なりとする有力なる証拠物資であります。私はこの際むしろ債務と心得るということをはつきり取消されて、あらためてよくお考えになつて決定的な態度を表明せられる方がよろしいと思うのであります。国のためにその道をとつていただきたいと思うのであります。今吉田委員が引用せられましたように憲法においても八十五条に、国が債務を負担するには、国会の議決を要するとありまするし、なおまた財政法によりましても、その第十五条におきまして、いろいろな例外はありまするが、「国が債務を負担する行為をなすには、予め予算を以て、国会の議決を経なければならない。」と明示しておる。こういう手続をとつておられないことは、御答弁を求めるまでもなくはつきりしておる。そういう国内法律的にも、まつたく無効と言つてもいいような、また不法というべき御言明を軽々になされることは国のためにとりません。国民のためにとりません。よろしく総理代理といたしまして、はつきりお取消しになりまして、あらためて慎重考慮の上政府の態度を決するということに御言明が願いたいと思いますが、そういうことができましようか。
○緒方国務大臣 先ほど来私が繰返して申し上げました意味におきまして、債務と心得ておるということは、何も全部を法律上の債務と認める、すなわち国民の負担にするという意味ではもちろんないのでありまして、これをオブリゲーシヨンとして見るか、そうでなくしてただもらつただけに見るかということにつきましては考え直せという御意見でありまするけれども、考え直してどうとかわるものではないのでありまして、政府としてはそういう態度を慎重に考えました結果、独立した国としてさように考え、さらに精細なる実際上の決済は事実によつてやるのが正しいやり方だと思つておるのであります。
○柴田委員 緒方副総理にお伺ひしますが、去る七月十日の本委員会におきまして、岡野通産大臣は、アメリカからあの援護物資が参りました当時、実際数量その他においても相当不明のものがあつた。あるいは大臣ばかりでなく通産省の当局者もそういう御説明であつたのであります。ガリオア、イロア等が、これは援護物資である、これは普通の商品である、こういうように区分されて入つて来ておらなかつた。当時の終戦後のあの混乱状態においてはそういう状態で、まちまちに商品が入つて来たものである。で、実際の経理の上においてははたしてどれだけのものが援護物資であり、あるいはどれだけのものは商品として日本に売渡されたものであるか、不明な点が多々あつたということを、はつきりとお答えになつておるのであります。こういたしますと、しからばどこに根拠があつてガリオアとイロアが二十億ドルであるとか、あるいはまた何十億ドルであるというような仮定論でありましようか、何か根拠がありましようか、それをまず一点承りたいと思います。
○緒方国務大臣 二十億ドル余りと言うておりますのは、向うの評価によつて言うておるのだそうでありまして、それがはたして日本の援助物資であつたか、商品であつたか、また向うの政府の官吏あるいはアメリカン・スクール等の費用も入つておるそうでありますが、そういうものはどの数字に当るかというようなことは、一々チエツクをいたしまして、つき合せないとわからぬことだろうと思います。それが私先ほどから申し上げますように、はたしてこれのどれだけが日本の債務になるかということは、軽々に申し上げられないというのはそこにあるわけでございます。
○柴田委員 岡野通産大臣は、速記でも明らかでございますが、私の質問に答えまして、「あの当時日本向けのガリオア、イロアが来まして、あるいは各方面にまわつたかと存ずることもございますが、しかしそういう意味において向うで幾ら幾らくらい日本に対してその資金を出したという計算はできております」こうおつしやつておる。こういう点を私どもは御答弁を承りますと、十六億というものが援助物資であるのか、二十一億というのが援助物資であるのか、大きな開きがそこにございましてまつたくこんとんとせざるを得ないのでございます。あるいはまた岡野大臣は、アメリカでは日本に対してその債権の要求はしていないのだ、けれども、物資の足りないときもらつた品物であるから、何といいましようか、その当時のお答えをわれわれ承りますと、金額的な債務という考え方でなしに、ただ物資のない日本において非常にありがたくもらつたのだから、そういう意味合いにおける精神的な債務、こういうようにも伺われたのでございます。そのお考えは相違ございませんでしようか、承りたいと思います。
○緒方国務大臣 精神的の債務とのみ言うことができるかどうかわかりませんが、多分にその意味を含んでおります。あの際に日本の物資の窮乏底をついておるときに、あれだけの救援物資を送つてもらつたことに対しまして、精神的にも非常に感謝の念があつたことは、当時の国民感情もそうであつたろうと信じております。
○柴田委員 結局そうなりますとその問題は別といたしまして、今度は対米債権の問題に関しましても、たとえば日本で朝鮮に送つてやつたのに対しまして、その債権が確実であるかどうかに関しましてもいろいろと疑義があるのであります。今のガリオア、イロアと同様な問題がそこに含まれておる。ガリオア、イロアが今のような考え方で、精神的な債務であるのか、物質的な債務であるか。これと同様に今度はこちらから送つた物資に対しましても金額的にわれわれは計算いたしますと、相当大きな開きがある。こういう点に対しまして政府当局がはつきりと責任の負える数字がほんとうにございましようかどうか、この点を伺いたいと思います。
○緒方国務大臣 ちよつとお伺いしますが、今のは、この間の朝鮮貿易のようなものでございますか。
○柴田委員 さようでございます。
○緒方国務大臣 あれはガリオアの場合とは少し性質が違うので、あれは司令部と韓国との間に貿易をいたしておりますその帳尻をこちらに引継いでおるものであります。
○柴田委員 じや了解します。
○杉村委員 ガリオアのことが非常に問題になつておるのですが、これは非常な大きな数字なんですが、副総理はこのガリオアの数額がどれだけであるかということをお調べになつたことがありますか。
○緒方国務大臣 私自身で調べたことはございませんが、主務省には数字があるはずであります。推定のものがあるはずだと思います。
○杉村委員 調べたことはないとしても、今国会において非常に問題となつたのですが、その後あなたはどれだけの数量であるということを御自身ではまず胸の中に計算ができておるのですか、できておりませんか、それをお伺いいたします。
○緒方国務大臣 通産省に数字を持つております。
○杉村委員 通産省の数字というのは二十一億一千五百万ドルでありますか。
○中野政府委員 お答えいたします。通商産業大臣から二十一億五千万ドルと申しますのは、司令部で扱つておつた結果に基く司令部の統計でございます。推定をいたしておるのでございます。
○杉村委員 副総理に伺いたいのですが、その問題なんです。一九四八年の十二月現在でアメリカ政府の発表によれば、十六億七千三百九十万ドルこういうことを発表しておるのでありますが、その点について緒方副総理は、それらの数字についてどういう関係でそういう開きがあるのか、お調べになつたことがあるか。
○緒方国務大臣 それは私は調べたことはございません。
○杉村委員 このたびこれほど大きな問題として論議されておるのにもかかわらず、ここに十億ドルも開きがあることを、しかもアメリカ側の方で発表しておるのが数額が少いので、日本側の発表の方が多いのであつて、それをお調べにはならないということははなはだどうも無責任きわまる行為ではないか。行政の主管者として、そういう態度は国民に対してはなはだ相済まぬのではあるまいかと思うのですが、いかがですか。
○緒方国務大臣 一九四八年というのはまだ独立前であります、政府の申しておりますのは最後の数字を申し上げておるつもりであります。多少の開きかそこにあることはあり得ることだと思います。
○杉村委員 さてそこで、先ほど債務と思うか思わないかという問題について各委員から質問されたのでありまするが、私もこれは債務とは思われない。緒方副総理がその点についてはつきり答えられないというのは、吉田首相はかつて債務だという言葉を使つたのでそれを推持しよう、推持させよとといとよとな考えからではないのかと思う。なぜならば私どもはアメリカが日本を占領して、天皇までも呼びつけて、国民の所有権を自由自在にやつておる。この島の中に八千万の人間を捕虞として扱つておつたのであるから、月本人を食わせておくのはあたりまえなんです。最低の生活をさせるのはあたりままえなんです。われわれはそのようなぜいたくな生活をしたのでもないのである。であるからそれはわれわれは当然もらつたのだと思つておるが、緒方副総理は御自身としてはその当時やはりこれは日本が債務を負うて、借金をしておるのだという考えでおられましたか、その当時と現在のあなたの御心境はいかがでございますか。
○緒方国務大臣 私は敗戦後におきましてアメリカから救援物資を受けているときに、これは向うが食わせるのは当然だという考えで食つておりませんでした。できれば自分で食いたいけれども、食えない、やむを得ず、もらいものを食うのはいやだけども、食つておつたという気持でございます。
○杉村委員 それは私は非常に意外と思うんだ。人を捕虜にしておいて食わせずにおいていいんだということはないと思う。日本人はあの当時食えなかつたじやありませんか。それを食わせるのは当然だと思うが、あなたは食わせなくてもさしつかえない、それで人道上アメリカの博愛主義というものが通ると思つておりますか。
○緒方国務大臣 私は占領下におきましても、国民はやはり独立の気魄を持つべきものであると考えておりました。できれば、自分で食いたかつたのであります。食えなかつた現実にいかんともし得なかつたというのが事実であります。
○杉村委員 しからばあなたは、捕虜を食わせずにおいてもさしつかえないというお考えでありますか。
○緒方国務大臣 捕虜ではないです。
○熊本委員 先ほどの質疑から考えますと、ガリオア、イロアについては政府の方は大体債務と考えておる、こう言われる。そこで細迫委員からの質疑がありまして、もの債務関係になるとすれば、日本の求めるものを与えるのが当然であつて、向うからかつてにこちらに恵むものであるという観点に立つて向うの都合によつて与えたものである。これを今になつてから債務と考えて行くということになりますと、現在の貨幣換算から行けば七千五百億になろうかと思いますが、こういうようなものを政府が軽々に国の内外に意思表示するということは、何としても軽率であるとわれわれは考える。もしわれわれの方で占領下における占領軍の援助であるという態度をとつて、もし不幸にして普通の輸入物資あるいはSIMであるとかQMというようないろいろな関係上、その決算計算の上に現われて来る相違であればやむを得ないと思うのでありますが、それをことごとく頭から債務であるという建前ははなはだ妥当でないと私はあくまで考えます。 そこでお尋ねしたいことは、かりにガリオアやイロアの物資が参つた場合に、これを放出する際に、どういう形で価格をきめて、放出したのであるか。アメリカから持つて来たのであるから、これはあまり国民は求めてないのであるけれども、せつかく来たのであるから、ないよりあつた方がいいという形において配分価格をきめて、国民に与えたものであらうと思う。そうしておいて、これは債務である。向う様の要求に応じてこれを支払わなければならない義務があるというような、甘つちよろい考え方はわれわれははなはだ承服できない。でありますから、私はこの物資の配分についての当局の当時の観念は、あらためて副総理として、そういう問題と関連して今までの態度についてもう一歩進んで研究されることが必要であろうと思うが、この点についてあらためて御答弁を願いたいと思います。
○緒方国務大臣 当時援助物資の国民に対する配給は、マル公で配給しろという司令部の指令で、それによつてやつたことと考えます。 それから今のお話の、こつちの希望しないものまでも債務と心得云々ということでありますが、皆さんは法律家だから、債務という文字を法律的にお考えになりますが、私は必ずしもそういう意味で言うておるのではなくて、日本側のオブリゲーシヨンになるもので、それを清算する場合にはむろん落すものもあるのではないかと思いますが、そういう意味で全部日本の債務になる、従つて国民の負担に帰するものというようなことは夢々考えておりません。
○熊本委員 私はガリオア物資、イロア物資の配分配給等についてはしいてあの状況の中で、必ずしも緊急を要せざるもの、しかもこれが使用に足りざるもの、こういうもの等のあつたことを聞き及んでおります。そういうものをも、せつかくの恵みであるからこれをわかち与えて急場を救うというような、便宜が与えられておる程度のものがたくさんあるはずであつて、そういうものを債務と必得るということが基本的に間違いであると私は考えたい。なお百歩を譲つて、もし副総理の言われるように、そういう観念のもとにおいてこれを処理するといたしましても、すでに今日ではそれらの色わけがついて、こういう建前でこれらの物資の決済をするのだという方針が政府にはなくてはならないと思うが、それすらもまだないということになりますると、国民はこれらの問題についてますます疑惑を深めるであろうと考えます。そこでもし百歩を譲つて、副総理のような考え方に立脚したとして、これが整理清算はいつつくのであるか、それについても参考までに聞いておきたいと思います。
○緒方国務大臣 まだいつ決済をするということは双方の間にきまつていないようでありますが、これはやはりいろいろな政治的な問題も含まれておりまするだけに、ある機会に何人かアメリカ政府と直接に交渉する必要があるのではないかと考えております。
○熊本委員 いろいろ政治的な問題も含まれておるから、私どもは、他の物資と同一視してこれを総括的に債務なりと考えることは、少くとも政治性のない愚論であると考える。われわれはこのガリオア物資については当然恵まれたものであるという立場に立つてものの出発をしなければならない、かように考えておるのであつて、その点もう一応考え方を聞いておきたいと思います。
○緒方国務大臣 すべてが恵まれたものと考えてはおりません。その点は少し違つております。
○柴田委員 関連して伺います。去る十四日の予算委員会において岡野通産相は、外国のものが当時たくさん入つて来ておつたのだが、高い価格であつたといたしましても、国内の状況でこれを安く売らなければならないというような事情もあつた。そうして輸出入の調整がせられていたはずであるが、われわれはわからない、こういう御答弁をなさつておる。こういうことで、通産大臣はその調整についてもおわかりになつてない。こういうことであれば私どもはどうしても承服ができないので、それでは総理の御出席を求めて、こういう点をはつきりと御方針を御明示願いたいというのがわれわれの委員会の希望であつたのであります。それが残念ながらちよつとここへお立ちになつてお帰りになつたので、われわれは総理と考えて副総理にお尋ねを申し上げるのでありますが、このガリオア、イロアがはたしてわが国の債務であるかどうかという問題に対しましては、国民全体が大きな関心を払つておりますので、少くも本委員会におきまして政府当局の責任のあるお見通しを承りたい、これが大きなわれわれの希望でございます。なお、今の岡野通産相のお答えでは、債務と心得るが検討してみなければ確定はしない、こういう言葉を使われており、そうして最後には、しかも債務であるとするならば国会の承認を経なければならない、こうおつしやつておられますが、やはり副総理も、債務であるというような問題は個人の主観でやるのではなくして、こういう債務であるかないかという大きな問題を決定的になさる場合には、国会の承認をお受けになる、こういうお考えでございましようか、その点を承りたいと思います。
○緒方国務大臣 将来双方からチエツクし合いまして、そうして最後にはつきりと日本の債務に属するものが出て参りました場合には、もちろん国会の御承認を経なければならぬと考えております。
○山田(長)委員 先ほどからのお話を伺つておりますと、戦争中にもらつていた日本の物資が、もらつたものでなくなつてしまうということを何かしらはつきり明示しているように伺えるのです。これと関連して私たちが考えなければならないことは、戦争直後、まつたく日本に物のないときにアメリカの手を通じて朝鮮に物資をたくさんに出しておりますが、このたくさん出している物資とアメリカからもらつた食糧とを相殺されるのではないかというような感じがしますが、その点について副総理はどんなふうなお考えを持つているか、ひとつ明確にお答えを願いたいと思います。
○緒方国務大臣 それは、一例をあげますれば、先般の韓国との貿易の帳じりのごとき、これははつきり日本の債権となつておるのでありますが、このガリオアの清算等がはつきりいたしました場合に、それと相殺することはあり得る、但し今のところは性質が違つております。先般の日韓との間の貿易のごときは、これははつきり向う側が確認した日本の債権であります。ガリオアはまだ漠然と日本側の債務に属すると日本が心得ておるのでありまして、これをつき詰めて、どれだけ日本が債務を負うかということは将来の問題で、今の日韓貿易の数字とガリオアの数字とは性質が違つております。
○山田(長)委員 平和回復善後処理費の中に百億という金が入つておりますが、私たちは、この金で実は援助物資に対する支払いをしているのではないかという感じがいたしましたが、この数字はどういうふうに使われているか一応伺いたいと思います。
○緒方国務大臣 通産当局からお答えいたします。
○中野政府委員 ただいま御質問の点は、いわゆる余剰物資、第八軍が国内において余剰を生じた車両とか、そういうようなものの点だと思われまするが、政府が従来お答え申し上げておりますのは、広い意味の援助物資には、ただいま私が申し上げました余剰物資、SPと俗に申しておるものが使われておるのでございます。それから善後処理費については、外債の償還の問題と、連合国財産の損失補償等の問題が入つておるのでございます。先ほど申し上げました余剰物資のほかに、それらのものを一括して善後処理費でまかなうということで、国会の御承認を経ているのでございます。
○山田(長)委員 しからば、その向うから出された援助物資についての査定はどういう方法でやられるお考えであるか。それからまた、その使われたものと使われないものあるいはその査定の方法というようなことのしていいものと悪いものとをどんな方法で区別されるのか、それを副総理にちよつと伺いたいと思います。
○緒方国務大臣 通産省からお答えいたします。
○田中委員長 山田委員にちよつと申し上げますが、通産省に答弁させますか。緒方副総理が帰られてからその答弁を聞こうと思いますが……。
○熊本委員 その前に関連してちよつと副総理にお尋ねいたしますが、日本で終戦処理費に今日まで支出しておる金は総額幾らになつておりますか。
○緒方国務大臣 手元に数字を持つておりませんので、調べてあとでお答えいたします。
○熊本委員 大体われわれの調べによりますと五十億ドルを越えておると思います。従つてわれわれは終戦処理費という名前によつて進駐軍の費用について負担をしておる。こういう点から考えても二十一億ドルであるかどうかはわかりませんが、かようなガリオアその他の援助物資と心得ておるもの等を相殺するのは当然のことではないかと考えておるのでありますが、副総理はこういう点の関連はどうお考えでしよう。
○東條政府委員 副総理からお答え申し上げましたように、計数のことでございますので、後刻精細取調べて申し上ぐべきでございますが、私の記憶いたしておりますところでは、終戦処理費の累計額は、終戦後先般独立まで御承知のように、数年にわかれて分割して支出されております。従いましてその為替換算率等も一概には参らぬわけでありまして、その当時の為替レートを用いたにいたしましても、熊本委員の御指摘の五十億ドルという数字にはよほど達しなかつた数字であると記憶しております。
○杉村委員 議事進行について……。私はこのガリオア問題が債務であるかどうかということは実に重大問題でありますから、この点については、政府ははつきり債務であるか、ないかということを、次会までに十分検討をして、そうしてそのお答えが願いたい。本日はこのガリオアが債務であるかないかということは、これで打切つて、次会までにはつきりしたところの答弁をしていただきたいと思う。このガリオアというものは、われわれは被占領民であつて、被占領民は当然に占領国か食わせなければならない。その食わせてくれたものを債務である。——債権債務などというものは少くとも人格か対等でなければ起つて来ないものである。占領されておつて、この島国からどこへ行くこともできない。貿易することもできない。何もない。米も日本では足りない。それをこの中に伏せておいてそうして食わせなかつたらどうする。餓死する。それを食わせたということは占領国が被占領民に対するところの義務をやつたのだ。それを債務だなどということはとうてい受取れない。政府は十分研究されて、はつきりした答弁を次会にしてもらいたい。
○春日委員 それについてちよつと伺いたいのでありますが、八十五条には債務を負担するには国会の議決を必要とする。国会の議決を前提として債務を負担することができる、こういうふうに憲法は規定しておると思うのであります。従つて今副総理が債務であるとお考えになろうとなるまいと、これは副総理の個人的な感想であつて、この憲法の建前では、債務を負担するには国会の議決を必要としておる。ところが今日まで国会はこれに必要とする議決をしていない。従つて今これは債務たるの資格をすでに喪失しておるものであると私は考えるのでありますが、会計検査院長はこの八十五条の解釈から、今日これを債務だと考えても、これは国会の議決を何ら経ていないので、もはや国会においてこれを追認されるという資格を持つていないものだと私は思うがこれに対してどうお考えになるか御答弁願いたいと思います。
○佐藤会計検査院説明員 ガリオアの問題先ほどから伺つていますと、なかなかむずかしい問題で、われわれの方としては、債務であるかどうかということは政府において確定する。その政府の確定が正しいかどうかということを会計検査院の立場で検討しよう、こう思つておるのであります。
○春日委員 そういたしますと、この八十五条の解釈についてでありますが、国会の議決に基くことが必要であるが、基かないできたところの債務はこれは憲法にいうところの国の債務たる資格を持つものであるかどうか、この点をひとつお伺いいたしたい。
○佐藤会計検査院説明員 国の債務は、国会の議決を経なければ負担できないという規定があります。まだその議決がないものであります。従つて債務を負担しておるのではないかというふうに私は理解しております。
○春日委員 それでお伺いいたしたいことは、今まで議決をしておりません、そうして債務を負つたと言う、こういう形になつておるが、債権者は、この憲法の建前において、この債権を主張する権利があるかどうか、この点についてお伺いしたい。
○田中委員長 春日委員にお諮りしますが、副総理の時間が迫つていますから、副総理に対する質問を早くしてもらいたいと思います。
○佐藤会計検査院説明員 先ほど伺つていますと、副総理のお話は、法律上の債務かどうかということははつきりおつしやつておらないので、法律上の債務とおつしやるのなら相当疑義がある、こういうふうに考えております。
○春日委員 そうするとお伺いをしたいことは、ただいま細迫君の質問もありまして、それに対して精神的ともあるいは法律的とも確認がありませんでした。ところが法律上の債務としてこれを認めるためには国会の議決を必要とするのであるが、しかしながら国会は所要の承認をいたしておりません。従つてこれはただ単に精神上の債務、こういうふうに副総理はお考えになつておるものと了承してさしつかえありませんか、副総理より御答弁願いたいと思います。
○緒方国務大臣 精神上の債務とのみ言うわけには参らぬと思います。
○春日委員 さすればこの憲法の八十五条にかかる規定があります。そこでシーボルド氏が帰るときに朝鮮貿易との関連において単なるステートメントを発表して行つた。それ以外にアメリカはこの債権を主張したことは一度もない。アメリカは全然主張していない。貸したとも言つていない。それだのに借りた借りた。借りたのならば返す義務が伴う、そういうことをあなたが主張されるということは、一体いかなる理由に基くものであるか。向うが貸したとも言つていないのに、借りた借りたと言つているのはどういうことであるか、これは何のためにまたいかなる法律に基いて、国会の承認を得ることなくて——精神上のものだとか、何となくアメリカに負担しているのだとか、そういう意味なら私は了解できますが、そういう意味を越えて法律上の債務の面も含んでおると言うならば、その含んだ面について、やはり憲法八十五条に基くところの国会の承認を経た後、あなたはそういう言明をされなければならぬと思う。従つて私がお伺いしたいことは相手は貸したとも言つていない、そうして借りたという主張を政府の責任者がするならば、やはり八十五条の手続をしなければならぬ。そのいずれもなさつていらつしやらない。こういう立場において、あなたが精神上の債務のラインを越えて、物質的なあるいは法律的な債務としての感じを持たれる何らかの根拠がなければならぬと思うが、それはいかなる根拠に基いてそういう主張をなさるのであるかお伺いしたい。
○緒方国務大臣 アメリカ側から債務の決済を迫られたことは一度もないのでありますけれども、しかしアメリカがどういう扱いにしておるかということは、はつきりわかりません。それでそれを債務と心得ておるというだけでございます。
○春日委員 ただいま熊本君からのお話もありましたように、私どもは向うからこういう費用を受けたが、同時に占領費を分担しておる、これは当然相殺にするという考え方も、国民多数の中には、やはり国民感情として抱かれておつたことなんだ。こういう形が、ただいま指摘されたように、国会における感謝決議ともなつて現われております。そういう意味で、何らの根拠もなく、ただあなた方が負債と思つている、何となく負担を感ずるというような個人的なセンチメンタリズムから、こういうような重大問題について債務であるという言明をされるということは、これは明らかに国民に対して大きな犠牲をしいる、損失をしいる結果になると思われますので、この点については、法律的な物質的な債務ではない、ただ単に道義的な精神的な債務といいますか、何かアメリカに負うところがあるという感想、この範囲にとどめておいていただくのでなければ、法律の根拠もなく、所要の法律手続もなされない、しかも相手が主張していないところに、あなたが国民に対してそういう大きな負担をしいるということは、副総理として私はその職責に忠なるゆえんでないと思う。これに対していかなる感想をお持ちであるか、もう一ぺん伺いたい。
○緒方国務大臣 これはダレス・吉田会談の間に、ガリオアをどういうふうに思つているかという会話があつて、それに対して、これは多分に精神的の意味と思いますが、日本はオブリゲーシヨンと思つているということが出ているので、そういう意味でございます。これは法律的の債務と感ぜられるには非常に距離があると思います。
○吉田(賢)委員 ガリオア勘定につきましてはなお政府の根本方針を聞かねばならぬ。たとえば終戦処理費の関係においてもたくさんございますが、一応この程度に保留しておきたいと思います。なお次会には副総理にぜひとも本来の対米債権について、また十分に徹底的に聞かねばなりませんので、お忙しいだろうけれども、ひとつ十分に御調査をしておいて御答弁願いたいと思います。
○柴田委員 お忙しいと存じますが、もう一つだけ重要な問題を伺いたい。先ほど中野政府委員からこのSP問題に関しまして、すでに国会の承認を経て支払いをやつておる、こういう御答弁のように承りましたが、国会で承認をいたしました金額は、先ほどどなたかの御調査では百億といつておりますが、百億でございましようか、その数字をちよつと伺いたい。
○中野政府委員 ……。
○熊本委員 今お聞きいたした通りで、ガリオア、イロアの問題については事重大でありますから、きようはこの程度で留保して、副総理も忙しいということでありますから、そういうふうに委員長においておとりはからいを願つて、次の機会に継続する、それから私が御質問をいたしました終戦処理費については意見の相違があるようでありますが。これについては数字を示して次の委員会まで御提出を願いたい、かように考えます。
○柴田委員 これに関連いたしまして、このSPの問題が現在相当量あるとわれわれは聞いておるのでございますが、先ほど伺つた国会で承認を経ました額と、それから現在その剰余物資が、どれだけの金額に相当するものがございましようか。そういう点を詳細に御調査の上で御発表願いたいと思います。
○田中委員長 ちよつと通産省の方に注意をしておきますが、大臣のおつしやることと副総理のおつしやることと食い違いが大分ある。そこであなた方このガリオア、イロアのあれが何種類にわかれて、ちやんと出せば出せるのでしたら、こういう点を今度表にして出してください。 あと副総理に質疑のある方があればやつてください。さもなければ副総理に帰つていただきます。
○山田(長)委員 債務の問題を非常に軽々しくお考えになつておるようですが、その問題についてはやはり国民が負担を背負うことなのですから、実に重大な問題だと思うのです。そういう点について、いくら先が忙しくても、もう一ぺんだけ副総理に債務の心得を明確にしておいてもらいたい。あなたは先ほど全体として債務として心得るということをおつしやられたのですが、このことについて明確にしておいていただきたいと思うのです。 〔「副総理じやだめだ」と呼ぶ者あり〕
○緒方国務大臣 絶対にそんなことは心得ておりません。心得得るわけでもないのです。
○田中委員長 それでは副総理には本日はこの程度にして帰つていただきます。御多用中のところどうも御苦労様でした。(「総理を帰したのは委員長非常に責任がある、だめだ」「重大問題だ」と呼ぶ者あり) そこで先ほどの中野さんに対する柴田義男君の質問に対して御答弁願いましよう。
○中野政府委員 お答えいたします。平和回復善後処理費の中から余剰物資の代金といたしまして支払いをいたしましたのが、昭和二十七年度において十億八千万円でございます。
○柴田委員 余剰物資を十億八千万円は支払いをやつたといたしますと、現在あるこの余剰物資に対してはまだ未払いでございましようか。
○中野政府委員 未払いがまだ残つております。
○山田(長)委員 今政府委員の方から平和回復善後処理費の金額が明示されましたが、このことについては私も研究した問題がありますから、留保しておきまして次の機会に伺います。
○柴田委員 未払い額はどのくらいですか。
○中野政府委員 残額は約十七億円になつております。
○吉田(賢)委員 通産省は中野政府委員だけですか。
○田中委員長 石井政府委員もおります。
○吉田(賢)委員 大臣は見えてますか、見えてないのですか。
○田中委員長 大臣は今通産委員会の方に入つておるそうであります。(「委員長、本日はこの程度」と呼ぶ者あり) —————————————
○田中委員長 それでは審議はこの程度にしまして、この際理事の補欠選任につきお諮りいたします。去る九日理事福田喜東君が委員を辞任されましたので、その補欠選任をいたしたいと存じます。先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認めます。よつて三和精一君を理事に指名いたします。 —————————————
○杉村委員 本日ははこの程度として、次会にあくまでも総理に出て来てもらつて、ガリオアの問題はきわめて重大でありますから、これについての発言いかんはまことに重大問題であります。委員長はこの間の気持と大分違つておる。どうか厳重に決議の通りにやつてもらいたい。
○田中委員長 杉村君の要請について委員長としてとりはからいます。
○吉田(賢)委員 きようはこれで打切りですか。会期に余すところ十日しかありませんので、回数にしても四、五回くらいしか開けませんし、なお本来の決算の残が国鉄その他ありまするが、もう少しやりませんか。 〔「毎日でもやればいいじやないか」と呼ぶ者あり〕
○柴田委員 今の吉田委員の御発言もごもつともでございまするが、実際の問題といたしましては、われわれは最後の所信は総理から承りたい、こういうことにはかわりはないのでありますから、この問題は本日はこの程度にしていただきたい。 なお決算委員会はまだたくさん調査の案件が控えておるのであります。これに対しましては、われわれはあとう限り努力をいたしまして、連日でもかまいませんからお進めを願いたいと思います。
○田中委員長 それでは審議の進行につきましては、あとで理事の方々に残つていただいて、理事会で決定することにいたします。総理の呼び出しについては、御要求通り委員長は手続を進めます。 本日はこれで散会いたします。 午後四時一分散会