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16回国会衆議院1953/07/28

経済安定委員会 第20号

発言数
5
登壇者
3
会派数
1
開催日
1953/07/28

会議録

佐伯宗義改進党

○佐伯委員長 これより会議を開きます。  本日は、まず公報をもつて御通知申し上げてあります通り、先日経済審議庁より発表せられました昭和二十八年度年次経済報告に関し、政府委員より概略の説明を求めます。須賀政府委員。

須賀賢二総理府事務官(経済審議庁調査部長)

○須賀政府委員 経済白書につきまして簡単に御説明申し上げたいと思います。経済白書は御承知のように昭和二十二年から毎年大体七月ごろの時期に公表いたしておるのでございまして、今年で七回目になつております。毎年その前年の経済動向の分析を中心といたしまして、作成いたしておるのでございますが、特に昨年あたりからそのときの状況によりまして、中心的なテーマをつかまえまして記述をいたすように心がけておるわけであります。昨年はちようど占領終結のときでもありましたので、終戦後の日本経済の復興の足どりを概略記述いたしたのでありまするが、今年はちようど朝鮮動乱終結というような情勢も見えて参つておりました時期でもありまするので、動乱後の日本経済の一めぐりいたしました姿を解説いたしますように重点を置いたわけであります。  それで白書の内容につきましては、大体ごらんをいただいておると思うのでございますが、今回の白書の立て方負会議録は、目次でもごらんを願えますように、第一部の総説では、これを大きく三つに区切りまして、第一の段階では昭和二十七年の経済循環を述べておるわけでございます。それから第二の区切りの動乱ブームの総決算という表題のところで、ただいま申し上げました日本の経済の昭和二十五年以来の一めぐりいたしました状況の概略を解説申し上げたのであります。それから最後の表題で最近特に強く話題に上つておりまする日本経済自立のいろいろの問題について触れたわけであります。申し上げるまでもなく白書と申しますものは過去の経済動向の分析が中心になるものでございまして、将来の経済施策あるいは将来の経済に対する見通しというような点につきましては、白書としては本来そういう点にあまり力を入れる性質のものではないわけでございます。ただ今回は、経済自立という点につきまして各方面の関心が非常に強いわけでありまするから、分析の結果その考え方なり見方を伸ばして行つた場合にどういうふうに考えて行つたらいいだろうかというような意味合いで、若干今後の問題にも触れたというようなことになつておるわけであります。それで総説につきまして要点だけを簡単に御説明申し上げたいのでありますが、まず第一に総説の二ページをごらんいただきたいのであります。二ページに昭和二十七年の経済循環という表題のところがございまするが、ここでわれわれが申しておりますことは、昭和二十七年の経済の動きの特徴といたしまして、世界的には軍拡の引延ばしというふうな関係で、世界景気はどちらかと申しますと停滞の傾向を見せておる。各国の国民所得、国民生産の伸び等を見ましても、これの三ページにグラフがございまするが、一、二の国を除きましては、ほとんど目立つた動きを示しておらないわけでございます。日本の場合は生産、貿易等はその前年度いわゆる二十六年度までの各年の動きに比較いたしますと、非常にその伸び方が減つて参つたのであります。これはある程度各国事情を同じくしておるのでございまして、具体的に申し上げますと、鉱工業生産では、二十七年度が二十六年度に対して六%ないし七%しか伸びておりません。それから貿易の関係は、すでに御承知のように、輸出は非常に低調であるわけであります。輸入につきましても、前年と比較しましてそれほど月立つた変化はいたしておらないのであります。それに対しまして国民所得の方は二十六年度から二十七年度に名目額で一六%程度伸びておるわけであります。実質で見ましても、一二%ばかり伸びておるのでございます。いわゆる生産、貿易というような面の伸び方に比較いたしまして、国民所得の伸び方が非常に大きいわけでございます。この点は若干各国の事情とかわつた動きをいたしておるわけであります。なぜこのような動き方をしたかということにつきまして、以下それぞれの要素にわけまして分析をいたしておるわけでございます。それがこの報告書の三ページ以降の「有効需要はどこでふえたか」という項目で記述をいたしておるわけであります。その要点になりますところは、二十七年度の動きの特徴といたしまして、むしろ昨年あたりの段階では、景気動向を動かす要素といたしましても、供給よりも需要の方面が大きく作用をして行く。有効需要がどういうふうに動いておるか、需要の面がどの程度に活発であるかということによつて、景気の動向が支配されて行くというような姿になつておると考えておるのであります。それで二十七年における需要の動きはどういうことであつたかという点につきまして、四ページ以下述べておるのでありますが、これは大体、輸出、特需等の外需の面と、それから六ページにあります財政の購買力、その次の産業設備投資、それから国民消費というような、この四つばかりの要素によつて動いておるわけでございます。  輸出と特需の方は、すでに御承知のように輸出が二十七年においては対前年比八千万ドルばかり減つておりまして、それに対して特需の方は二十七年度から二十六年度にかけまして一億数千万ドルふえております。ただ物の面から見ますと、この特需のふえた中には、いわゆる従来の防衛分担金で支弁いたしておりましたものが、一部ドル払いに振りかわつたというような関係で、物の需給そのものとしては、直接かわつていないような面もありまして、いわゆる輸出特需といつたようなものを総合いたしました外需としては、大体二十七年は二十六年に対してそれほどの変化はない、大体同じくらいのレベルというふうに考えております。  次に財政の方でありますが、これは二十七年につきましては、給与ベースの引上げでありますとか、あるいは公共事業費の予算額が増加いたしました等の関係もありまして、財政の購買力は、私の方でやつております国民所得の支出の方の計算を見ましても、中央地方を合せまして約二千億ばかり増加をいたしております。  それから設備投資の方でありますが、これは二十七年は、二十六年のいわゆる動乱ブームが非常に好調を保ちましたそのあとを受けまして、やや低下するのではないかという見通しであつたのでありますが、実績はこの設備投資は相当高い水準を保つておりまして、前年度に比較いたしまして約三割近く上まわつておるようであります。特にいわゆる四大重点産業、電源開発、海運、鉄鋼、石炭というような面に、相当高い水準の投資が行われるという結果になつております。それから投資面で、その次の大きな要素になつております在庫の投資の関係でありますが、在庫投資は二十六年から二十七年に対しまして、若干減少いたしております。それから投資面の第三の住宅建設でありますが、着工統計で見ますと、約三割程度増加いたしております。これら三種の投資面を総合いたしますと、大体前年に対して、五十でありますが、減少をいたしたという結果になつておるようであります。  その次が国民消費でありますが、二十七年におきましては、消費面が非常に大きく伸びたということがあとの方にもるる述べてございますが、一つの特徴でございまして、八ページから九ページの「国民消費の異常な膨脹」というところにもやや詳しく書いだのでありますが、いわゆる消費水準を一つの指数で表わしております。それによりますと、都市におきましても、農村におきましても、三十六年に対しまして二十七年は約一六%ばかり水準が上つておるのでございます。九ページの第六図に「都市農村消費水準」がグラフにして出してございますが、都市につきましても、農村につきましても、二十六年から一十七年に対しまして相当の伸びを示しておりまして、大体おのおの一六%程度になるのであります。二十七年の水準は、都市につきましては八〇、農村につきましては一二〇、これは昭和九、十、十一、三箇年の平均を一〇〇といたしました場合の水準でございますが、そういうことになつておるのであります。これを都市と農村と四対六の割合で総合いたしますと、ここに出ております全国平均の指数が出るわけでございます。これが昭和三十七年につきましては九九ということになつております。大体戦前水準にまでもどつて来ておるというようなことになつておるのでございます。ただここで一言お断り申し上げておきたいのは、消費水準の指数といたしまして、この指数を使つておるのでありますが、これは戦前の家計支出額と現在の家計支出額の倍率を消費者物価指数で割りましたものでありまして、いわゆる家計支出額の倍率を消費者物価でデフレートしたものをそのまま消費水準ということで使つておるのでございます。御参考までにやや詳しく申し上げますと、都市につきましては、これは東京の勤労世帯をCPSでとつておるのでありますが、現在家計費の一世帯当りの消費の倍率が二百十三倍になつております。基準年次では一世帯で約九十何円でありましたものが、現在約二万円弱というような数字になつておりまして、二百十三倍くらいになつております。それから消費者物価指数の方は、統計局でつくつておりますものが二百六十六倍二十七年にはなつておるのでございまして、ただいまの二百十三倍を二百六十六倍で割りますと八〇・二という指数になつて参るわけであります。これを消費水準ということで現在代用しておるわけでございます。従いまして生活水準というような観念で見ます場合には、これは家計支出の場合だけでありますので、いわゆる世帯の備蓄、保有の関係等は全然これに出て参つておりません。そのときどきに流れております家計支出額の動きだけが、みなこの指数に反映されて来るわけでありまして、たとえば衣料品等におきまして、戦前の保有高と現在の保有高とを織り込んでの生活水準という考え方につきましては、こういう指数によつては端的には出て参りませんので、その点はこの指数だけでこれを一切判断するということは無理であろうと思いますが、いろいろな関係でやむを得ずこれを消費水準ということで代用いたしておるわけでございます。そういうことで昭和二十七年につきましては非常に消費水準は上りました。消費水準が上つたということは、いわゆる消費の実態が前年に対しまして分量的にふえて来ておるわけであります。都市、農村総合いたしますれば大体戦前の水準に近いところまでもどつて来ておるというかつこうになつておるわけでございます。それで消費水準はそういうふうに上つたのでありますが、個人支出は二十七年にはどれだけふえたかということが国民所得の計算から出て参りますが、私どもの計算では、二十七年は二十六年に対しまして国民消費支出の面は約六千億ばかりふえた計算になつております。それで先ほど申し上げました財政の三千億、それから国民消費支出の六千億というようなところが、去年の消費需要が大幅に伸びました面になつておるわけであります。  それでこれを国民所得とその支出、いわゆる国民所得計算の面から見てみましたのが十一ページにありまするグラフでありまして、このグラフで端的に読みとれますことは、上のグラフでは勤労所得が非常に大きく伸びた、これは二十六年に対して二十七年の伸びを示しておるわけであります。勤労所得が二割二分ばかり二十六年から伸びておるわけであります。それからその次に個人業主所得が約一九%でありますが、やはり前年より増加しておる。それから法人所得は前年に対しまして相当減つておるわけであります。二十何パーセント前年よりも減つております。  それから支出の方の関係では、このまるいグラフにあるわけでありますが、国民所得が支出にまわります場合の姿といたしましては、このグラフにもありますように、個人消費支出とそれから民間総資本形成、いわゆる投資に当る部分でありますが、民間総資本形成と、それから政府の財貨とサービス購入、それから海外純投資、おもなものはこういう四つの項目に支出の面が整理されて行くわけでありますが、これでいわゆる国民所得が支出にまわります際に、消費の面に多く出たが、投資の面に多く出たかということが、この図表からわかるわけであります。これで二十五、六、七年とその動きを見てみますると、二十五年には個人消費支出が五九・九%であつたものが、二十六年には五八%になりまして、二十七年にはこれが六一・六%にまたもどつて来ておる。この反対に投資の方、いわゆる民間総資本形成の方は、二十五年が二〇・六%であつたものが、二十六年には二三・九%になり、二十七年には一九・一%になつた。二十六年はいわゆる消費支出よりも投資が大きく行われた年でありまするが、二十七年はこれが再び二十五年に近い姿にもどつて参りまして、消費が非常に伸びまして、投資がむしろ減退をした。これはあとで申し上げますように、朝鮮動乱後の日本の経済の動きの一つの姿として現われて来ておるわけでございます。二十六年にはいわゆる設備投資等が相当活発に行われまして、むしろ投資面に重点が置かれた。賃金のレベル等も二十六年は相対的に低く押えられておりまして、二十六年の末から二十七年にかけて賃上げ等も大幅に行われておる。従いまして法人所得等が二十七年にこういうふうに前年より下つております関係も、やはりこちらとそれぞれ連関をいたしておるわけであります。  それから国民所得の面でもう一つけ加えて申し上げておきますことは国民所得の二十七年度の特徴といたしまして、この白書の付表をちよつとごらんいただきたいのでございますが、付表の六ページに、昭和二十七歴年産業源泉別国民所得という表で、国民所得をいわゆる産業源泉別に組みかえてあるわけでありますが、これが物的所得とサービス所得にわかれておるわけであります。これの伸び方が、物的所得の面につきましては、対前年比という欄に出ておりますように、対前年比一三・五%と伸びておるのでありますが、サービス所得の方は二三・九%伸びておる。いわゆる物的所得に対しましてサービス所得の伸びが二十七年は非常に大きいのであります。サービス所得と申しますのは、いわゆる消費面の産業から発生する面が相当に大きいのでありまして、むしろ物的所得よりサービス所得の伸びが非常に大きいということは、先ほどの消費面が二十七年度に非常に旺盛であつたという面と照応をいたしておるわけであります。これは二十七年の国民所得の一つの特徴でありまするので、ここでつけ加えて申し上げておきたいと思うのであります。  それで十二ページ以降は、ただいま申し上げましたように消費が非常にふえておるのでありますが、そういう消費の増大はどういうところから起因して生れて来ておるかという点について申し上げておるのでありますが、まず第一は、手取り所得の増大でありまして、これは先ほども申し上げましたように、二十六年の終りから二十七年にかけまして、俸給、賃金等のベースが相当上つて参つた結果、所得の面でも給与所得は対前年二二%程度の増加になつておる。またもう一つの面で減税が手取り所得の増大に相当響いておるということは、これは強調しなければならないと考えておるのであります。ここにも試算をいたしておりまするが、減税がなかつた場合と減税された場合とを比較いたしまして、二十七年中におきましては一つの試算として、減税の効果といたしましての手取り所得の増大を約千二百億円程度に計算をいたしておるわけであります。  それから農村の面におきましても、昨年度は各種の農作物全体を通じまして、相当作柄がよかつたわけであります。それから価格の面につきましても、前年に比較いたしまして相当大幅に引上げられておりまして、それらが総合いたしまして、農村の面でも相当所得が増大をいたしておる結果になつております。特にこの各論の農業の面でやや詳しく申し上げておりまするが、農村につきましては農外所得等の増大の割合も相当大きくなつておるようであります。その面からも農家の所得が増大いたした結果を示しております。  それから十四ページで、特に個人営業主の所得の増加に触れておるのでありまするが、俸給、賃金等が上りましたことは、これはベース・アツプその他ではつきりわかるわけでありますが、個人営業主につきましては経済学の方でいわゆる消費の乗数効果と言われております現象が現われておると解釈しておるのであります。給与所得等がふえました結果、それらが循環をして参りまして、個人営業主等に対しましても所得の増大を循環の形において発生をしておるわけであります。それらの結果が先ほど国民所得の際に申し上げましたように、一九%程度の個人営業主の所得の増加となつておるわけであります。それから特にここで御注意を願いたいと思うのでありまするが、そういうふうに非常に消費が伸びて行つたのでありますが、この消費が伸びました姿は、個人経済から見ますと、赤字を出して消費を伸ばしたというようなかつこうになつてはおらないということが、やはり二十七年度の一つの特徴であります。それは十四ページの「貯蓄の増大」という項目でその点に触れておるのでありますが、可処分所得の中から、いわゆる所得額から税引後の手取りの所得のうちで消費に充てられました割合は、昭和二十六年におきましては八六%であつたのでありますが、これが二十七年には八三%ということになつておるのでございます。そこに四%程度の差ができておるわけでありまして、二十七年においては相当消費が伸びておりまするけれども、一面貯蓄に向けられました面も伸びておるというような結果になつております。個人貯蓄等も別途日本銀行等の資料によつて推計しておりまするが、前年に比べまして三割増加をいたしまして、六千四百億円というような数字が一応出ております。消費が非常に伸びたけれども、一面貯蓄も伸びておるという点が大事な点ではないかと考えております。  それから消費が非常に伸びて来た物財的な裏づけはどういうところにあつたかという点でありますが、この点につきましては「消費財の供給」という面で触れておるのでありますが、これにつきましては、大まかに申し上げまして、供給をふやしました原因は三つあると考えております。その一つは消費財関係の生産が非常に伸びた。これは十図のグラフで示してございますが、「市場別分類生産指数増加率」、いわゆる消費財につきましては、対前年比昭和二十七年度は国内商品の消費財が非常に大きく伸びておるのであります。国内の商品の消費財と申しますと、たとえば食料品でありますとか、毛織物でありますとか、医薬、印刷、油脂、そういうようなものでありますが、国内商品の消費財が大体二割強、三割近くまで伸びておるのであります。それからその次は、生産の中で輸出向けと国内向けとわけてみますと、国内向けに向けられる割合が非常に大きくなつて来ておるということが一つのはつきりした現象であります。それは十一図、十二図におのおのその表が示してありますが、たとえば繊維品の綿布で見ますと、輸出対内需の割合が従前六対四となつておつたのでありますが、昭和二十七年には三対七というような形に逆転をいたしておりまして、内需の割合が非常に大きくなつて来ておるのであります、綿織物等の内需向け供給が相当大幅に増加をして来ておる。それから第三は、やはり輸入の増加であります。食糧にいたしましても砂糖にいたしましても、その他物質につきましても、二十七年の消費財原料は前年に比べまして増大をしておるわけであります。それらが総合いたしまして、先ほど申し上げましたような消費財需要の裏づけになつて来ておるわけであります。以上のようないろいろな事象を総合いたしまして、われわれの解釈をいたしておりますのは、鉱工業生産について、いわゆる基礎財、投資財、消費財、中でも比較的こまごまとした雑品関係というようなものの、比較的指数の表面に出ておりません面での生産指数はあまり伸びておりません。二十七年度としますれば、あまり伸びなかつた、これは初めに申し上げたことでありまするが、それから貿易の面も、前年度から比較いたしますと。停滞ないし減少というような結果になつておるにもかかわらず、国民所得だけが相当大幅に伸びたというような結果になつておりますわけで、国内消費需要の増大ということがいろいろな面に派生または循環をいたしましてこういう経済の姿を描いたというふうに解釈をいたしておるのであります。言葉の使い方といたしましては、二十七年は一種の消費景気というような言われ方もしておるわけでございます。十七ページ以下の「景気を支えた二つの要因」、こういう点は、今まで申し上げました点に付随いたしましての問題でありますが、むしろ生産面では、どちらかと申しますと供給過剰になる面の要素の方が強いような傾向をたどつたと見られるのでありますが、それに対しまして、企業側の対応措置といたしまして、操短でありますとか、あるいは出荷調節その他の措置がとられたということが一つ、それから金融の面でそれに対する一つのささえが行われたと見ておるのでありますが、それは十九ページのグラフにありますように、銀行貸出しと生産指数物価指数等との関係をグラフに描いてみますと、生産の伸びと物価の動向に比較いたしまして、銀行貸出しの伸び方が非常に大きいのであります。ただこういう現象に対する解釈というものは、そう簡単には割出せないのでありまして、金融の面に対する分析は非常にむずかしいのでありますが、私どもの一応の理解といたしましては、非常に内需に需要が転換をいたしました一つの結果といたしまして、決済面等も相当長期化しておるというような面を一つ考えております。それから輸入増加に伴いました金融の面の役割、それから先ほど申し上げました企業側のいろいろな防衛対応措置に関連をいたしまして、企業系列の整備でありますとか、そういう面からの金融の役割、それから赤字救済というような面で、金融が相当景気下ざさえの役割をしておるのではないかというふうに考えておるわけであります。  以上申し上げましたのが昭和二十七年の経済の大体の要点でありますが、一口に申しますと、先ほども申しましたように、二十六年は投資面が非常に活発であつた。それが二十七年は、むしろ支出の重点は消費面に向つた。ただこれは経済学の方で常識といたしましては、投資の年の次には消費の年がまわつて来るということが常態になつておるのだそうであります。そういう面からはある筋道をそれ相応に動いておるということに見られるわけであります。  それから第二のパラグラフでは動乱ブームの総決算ということで、朝鮮動乱以来の物価、賃金、会社の利益の動向というような点につきまして、それぞれ説明をいたしておるのでありますが、価格の面ではこれはすでに御承知のことでありますが、二十二ページにグラフ化いたしておりますように、貿易価格が動乱後第一番に上昇をいたしまして、その後反落をしておる。いわゆる貿易関連商品に伴つて非常に動きが活発になつて来た。それから現在の水準は、日本はいわゆる物価割高だということをいわれておりますが、現在動乱前を一〇〇といたしまして大体五割高ぐらいのところにおちついて、ごくわずかながらの小幅な上下の動きを示しておるわけであります。それから製品と原料価格と賃金、これも動乱直後は原料安の製品高、それから賃金も当然賃金固有の動きといたしまして非常に遅れて動いて行くというふうな関係で、企業利益は二十六年の上期、下期あたりを契機といたしまして非常に増大をした、特にこれは百六十三ページの表をちよつとごらんいただきますと、この関係が非常によくわかるのでありますが、百六十三ページに原料製品別卸売物価の推移という表がございますが、いわゆる朝鮮動乱後製品がずつと上つて参りまして、その後製品価格は漸落をいたしております。これと逆に、基礎原料の価格は二十七年の中ごろから現在にかけて上つて来ております。後半期になりましてはいわゆる製品安の原料高という関係を描いたわけであります。それから賃金の方もそれぞれ生産性その他の見合いにおきまして二十六年の暮れから二十七年にかけて賃上げが行われまして、調整されました結果、会社の利益率等もだんだんその間に変化をして参つたわけでございます。利益の推移につきましては二十四ページにやや詳しく書いてございますが、これは通産省で調べました総資本利益率から見ておるわけでありますが、二十五年上期は四・三%であつたのでありますが、それが下期には一七・八%になつた。それをピークにしてだんだん下つて参りまして、二十七年上期には六・三%というような形になつております。なおこの利益率の推移も業種別に見ますと、第十八図にあるのでありますが、輸出、投資、消費、業種別に見まして、輸出産業、投資産業、消費産業といつたような順序で利益率のピークが早く現われ、順次動いて来ておる、二十七年上期ごろに利益率が最大になりましたものといたしましては、やはり食料品工業でありますとか、映画、演劇等の興業、そういう消費面にだんだんその重点が移つて来ておるような結果になつております。なお利益率と関連いたしまして、第十九図に附加価値の推移とその配分というグラフがございますが、このグラフの下の方をごらんくださいましても、人件費の動き等はこういうふうに動いて来ております。これは附加価値の配分割合でありますが、二十五年の上期には人件費が七五%くらいのところまで行つておりますが、それが二十六年の上下あたりが最低になつて来ておりまして、また二十七年の下期あたりで漸次以前の姿にもどつて来ておる。こういう結果が先ほど申し上げましたような法人所得が総体的に減つて来ておることと照応いたしておるわけでおります。だんだん従前の姿にもどつて来ておるわけであります。  それから次は二十六ページ以下の動乱後の経済水準の上昇というところで、二十七年の経済水準につきまして一括とりまとめてみたわけでありますが、二十七年の経済水準は二十七ページの棒グラフにもありますように、鉱工業生産は大体一四〇、これは九—十一年を一〇〇としたものであります。それから農業生産が一〇七、それから輸出は特需を含めましてもなお三六ぐらいのところであります。それから輸入が戦前の五割八分、それから国民所得の一人当り実質が約一〇〇、これは消費水準が都市を総合いたしまして約九九であります。それから実質賃金が一〇四、それから労働生産性が一〇九、人口は一二四、人口は二五%増、大体そういうようなかつこうになつておるわけであります。特にこれを二十五年から二十七年にかけての関係で見ますと、鉱工業生産は五割伸びまして、それから輸入は非常に大きく伸びておる、八割近く輸入が伸びておる、それから設備投資がやはり七割程度伸びておる、そういうようなところに非常に大きな伸びを示しておるわけであります。  なお二十七年の特徴といたしましては、二十六年に伸び方が比較的低かつたところが伸びておる、つまり消費水準でありますとか実質賃金というようなところが二十七年度に伸びておる、そういうところを特に御注意願いたいと考えております。それから二十七年度の経済の特徴として特に触れておかなければならぬ点は特需の問題であります。特需につきましてはいろいろ議論をされておるわけでありますが、これが特に現在のこういう高水準を維持しておりまする生産、消費すべての面を通じまして相当大きなささえになつておりますことは、これは議論の余地がないわけであります。特需につきましては功罪いろいろに議論をされておるわけでありますが、正常貿易におきまして約八億ドルぐらいな幅になりますギヤツプをこれで埋めておるわけであります。これによつて日本の現在の水準が維持されておるという面ははつきりした事実であると考えておるわけであります。一面これが物価割高の作用をいたしておるいろいろな面が、マイナスの要素としていろいろ取上げられておるわけでありますが、それらにつきましてはすでに委員の方は御承知の通りでありますので、あえて詳しく申し上げないことにいたします。  そういうような形において動乱後日本の経済は一まわりして来たわけでありますが、三十ページ以下の章では、「自立経済達成の諸条件」というぎようぎようしい見出しを出しておりまするが、あえてこの際白書として特に新しいことを申し上げたというわけではないのであります。ただ今までのような分析検討の結果、今後の問題としてすでに長期計画その他で取上げられております問題を、白書の角度からも若干これに触れておいたという程度であります。  それで問題といたしまして、賠償その他今後新しい負担がふえて来るだろう、それから人口の問題、これは解決策のいろいろむずかしい問題でありますが、年々百二十五万程度ふえておりまして、現在の見通しでは、昭和四十五年に一億になるという見通しになつておるという予想でございます。これによつて新しく発生して参ります労働力人口、生産年齢人口をどういうふうに見、どういうふうに雇用の機会を与えて行くかということは、今後の大きな問題であると考えるのであります。人口がふえて参りますと、ざつとした計算でいたしましても食糧、繊維等で年々の追加輸入が四千万ドルくらいになる計算であるそうでありますが、これらから考えましても、国内自給度の向上と輸出振興という面に非常に大きな力を注がなければならぬということは、すでにいろいろなところで言い触らされておるところでありますが、それらにつきまして若干触れております。  第二は、正常貿易増大の問題といたしまして、いろいろ輸出振興その他考えられておりますけれども、国際的条件も戦前に比較いたしまして、非常に大幅にかわつておりますことは、一応これを前提として頭に置いておかなければならぬというので、この点に触れておるわけであります、それの一つは、いわゆる貿易の地域的なエリアが非常にかわつて来ておる。戦前の輸出を一〇〇といたしますと、戦前はその二割がもとの外地、いわゆる朝鮮、台湾に向けられておつたそうであります。また二割が現在の中共圏に入つております満州中国等に向けられる。これで大体四割くらいが縮小しておる。それから生糸の輸出が現在戦前の十四、五パーセントのレベルでありますが、これも輸出量としてはやはり総輸出量の一割くらいが減つた勘定になるだろう。それから綿製品輸出が、戦前では二十数億ヤード出しておつたことになつておりますが、現在では御承知のように十億を相当下まわつておるということになつております。これも貿易量に相当響いておる。こういう計算をしてみると、大体戦前の四割、戦前の輸出を現在価格に直しますと、大体四十億ドルくらいの計算になるのでありますが、その四割、十五億ドルというものが、そういう地域と貿易構造の関係から見ると、マイナスのフアクターを一応はずして見た場合の輸出規模ということに考えられるわけであります、輸出振興に対しては、いろいろの面で考えなければならないという一つの面に立つておるわけであります。その他東南アジアの関係、中共の関係等についても二、三触れておりまするが、特に白書として特赦のある分析はいたしておりませんので、その点についても割愛をいたしておきます。  それから輸出をはばんでおりますいろいろな要素につきましては、すでに考えられておるところでありますが、これは重化学工業品の価格の割高と、国内消費が非常に旺盛であるという面が、両方から作用しておるというふうに見ております。  三十四ページに主要商品価格の国際価格がグラフにして示してありますが、日本の方は割安だというのは綿製品、いわゆる繊維製品の一部だけでありまして、あとの金属、機械その他は全部相当割高になつておるのであります。日本の今後の輸出を伸ばして行く重点としては、従来の繊維雑貨類から、重化学工業品に向けて行かなければならないということは、通念としていわれておるわけでありますが、ここには割高の問題があるのであります。それから国内消費が非常に大きいということは、やはり輸出努力をはばむ原因になることでありまして、生糸等もやはりそういう面があるのではないかといわれております。コスト高の原因等につきましてはいろいろあげられるわけでありますが、原料価格が高いという面、特に鉄鉱等につきましては、もうはつきりした事実でありますが、特に日本については、石炭が割高であるということは、原料高の非常に基本的なものになつておるようであります。石炭の賃金の上り方と生産性の上り方を指数で見ましても、石炭については生産性の上り方に対して賃金の上り方が非常に大きいのでありまして、そういう面からも、やはり一つの割高の要素をつくつておるようであります。  その他設備が非常に古くなつておるとか、また金利の問題は三十六ページあたりに触れております。特に金利の問題につきましては、いわゆる借入れ資本によつております割合が、戦前に対しまして非常に大きくふくれておりますので、利率の問題もさることながら、金利の絶対額そのものが非常に問題だという点に触れております。そういうコスト高に対しましては、いわゆる企業の合理化という線でこれを調整して行くように、いろいろ企業面でも努力が払われておるのでありますが、現在の姿ではまだそれが十分効果を現わすというところまでは行つていないのであります。一つは合理化がなお中途の段階にある、設備そのものが十分に本来の機能を発揮する段階にまで行つておらぬ、それからやはり市場の狭さというものが、その設備の能力を十分に上げろというところまで行つておらぬ。これは鉄鋼関係のストリツプ・ミル等についてもその事例があるのであります。  それからこれは非常に解決のむずかしい問題でありますが、合理化と雇用との問題をどういうふうに調整して行くか、合理化を推進いたしますと、勢い雇用もそれに応じてある程度縮小、またはそれに応じて調整して行かなければならないという問題を伴つて来るわけであります。この辺も、血かなか簡単には解決のむずかしい問題である。そういう点から十分合理化そのものについては、投資されております金の量等が相当の額に上つておるようでありますが、効果としては、まだ十分なところまで行つておらぬという形も出ておるようであります。  それから国内資源の開発といたしましては、食糧増産と合成繊維に触れておるようでありますが、食糧増産は御承知のように農林省が中心になりまして、年次計画を立てまして推進いたしておるわけでありますが、ぜひこれらのことを推進して行くようにいたしたいと考えております。  それから合成繊維につきましては、審議庁の長期計画の中では、一億五千万ポンドの計画で組まれておるわけでありますが、これは従来の人絹等のああいう人工繊維と違いまして、ああいう資源によらない新繊維でありますので、これを強力に新資源の開発として推し進めて行くことが適当ではないかという考え方をいたしておるわけであります。ただこれにつきましては、食糧の方面とも大きな関連があるわけでありますが、これも相当大きな金がいるわけであります。設備そのものだけでは四百億くらいに見積られておりますが、これに電源開発が伴うわけで、これを両方合せますと相当な金になるわけであります。  国内資源の開発といたしましては、このおもな二つを取上げたわけでありますが、それらと関連をいたしまして、最後に資本蓄積の問題に触れております。これは先ほどの食糧増産、合成繊維その他いろいろな新規計画を総合いたしますと、ここにも掲げましたように厖大な金になつて行くわけであります。これらの資本調達を今後どういうふうにして行くかということにつきましては、これら長期計画の裏づけとして非常に重要な問題になつておるわけであります。これを民間貯蓄によるか、財政で行くかという問題も議論としてはあり得るわけでありますが、現在の段階においてはなお財政投資を相当の期間にわたつて継続して行かなければ、投資面もそれぞれ必要なところに適量を向けて行くということはむずかしいのではないかという考え方で、この白書は一応資本蓄積の点はそういう考え方で結んでおります。  それで非常に長くなりましたが、最後に結びでありますが、結びはこういう文章の性格といたしまして、やや元気よく書いておりますが、一口に申し上げますと、要するにいろいろ分析をやる者の立場といたしましては、こういうふうに考えて来た、ただ特需を一口に悪く言うようでありますけれども、特需によつてささえられて、日本の経済というものは一応現在ある姿で循環をいたしております。従いまして将来の問題を考えまする際は、やはりその循環の姿だけを一応ながめておりますだけでは将来に対して足が伸ばして行かれないだろう。そこでひとつ将来の事実を考えていただく人々に、この状態からどういうふうに脱却をしてこれからの自立経済を進めて行くかということについて十分お考えをいただきたいという、この白書作成者の気持なり意思を表明しておるわけであります。一応そういうことで締めくくつておるわけであります。  なお各論につきましてはそれぞれの部門につきましてこまかく記述をいたしておりますが、ここでは説明を省略いたしたいと思います。  非常にそまつでありますが、以上で終ります。

佐伯宗義改進党

○佐伯委員長 次に国土総合開発の経過及び今後の計画について、政府委員より説明を求めます。今井田政府委員。

今井田研二郎総理府事務官(経済審議庁審議官)

○今井田政府委員 国土総合開発計画につきましての現在までの経過及び将来どういう構想で仕事を進めて参るかということにつきまして、簡単に御説明申し上げたいと思います。お手元にそれに関しまする若干の資料を差上げてございますので、この資料を中心といたしまして御説明を申し上げたいと思います。  御承知のように、国土総合開発法は昭和二十五年に制定されたものでございまして、それ以前にも国土開発につきましてのいろいろな論議が行われ、かつまたその審議等も各方面に行われておつたのでございますが、具体的に政府がこれを取上げまして、法規として制定し、あるいはその行政を展開することにきめましたのは、今申し上げました昭和二十五年に始まるわけであります。それ以後この法律に基きまして国土総合開発審議会というものを設置いたしまして、この審議会におきましていかなる方針、いかなる態度でこれを行うべきかということにつきまして始終審議しておつたのでございますが、まずこの審議会といたしまして最初に行いましたことは、昭和二十六年の十二月に十九の特定地域を設定したということでございます。申し遅れましたが、総合開発法におきますところの総合開発計画とは大体四種類あるのであります。第一は、全国の地域を対象といたします全国計画。第二は、府県を対象といたします府県計画。それから数県を対象にいたします地方計画。最後に、政府が特に指定しましてその指定した地域につきまして計画を作成するところの特定の地域、この四つのカテゴリーに基きます計画が総合開発計画という言葉で包括されて言われておるのでありますが、一応その概要といたしましては四つの計画があるのであります。そのいずれを最初に取上げるべきかということにつきましてはいろいろの論義がありまして、現在でも今までのやり方につきましてはいろいろ批判があるのでありますが、この法律制度以前に、建設省におきまして全国に十三の特定地域という地域を設定いたしまして、これについていろいろ特殊の方策を講じて参りました関係上、まず従来から一応行政の上に取上げられた特定地域という観念から出発するのが最も現実的であるという考え方をとりまして、二十六年の十二月に全国に十九の特定地域を設定したわけであります。その十九の特定地域の名称等はすでに御承知の通りでありまして、相当広汎にわたる各地域につきましていろいろな地域を設定したのでございます。これにつきましてはさらに後ほど若干申し上げて、みたいと思います。それから十九の特定地域につきましては現在いろいろ施策を進めておりますが、この中でただいままでに正式に計画として政府が決定いたしましたものは北上特定地域がただ一つでありまして、他の地域につきましては目下検討中という段階にあるわけであります。次の府県計画につきましては、現在各府県がそれぞれ府県計画を作成中でありまして、まだ正式に中央の審議会に提出される段階には立ち至つておりません。また地方計画につきましては、現在までに地方計画として中央に提出されておりますところは、東北の七県がいわゆる東北七県計画として東北七県開発の基本的な態度を協議決定して中央に提出しておるものがございますが、これまた確定的なものにもなつておりませんし、まだ現在総合開発審議会におきまして審議をいたしておるという段階でございます。それから全県計画は、法律によりますと、政府が総合開発審議会に諮問しましてつくることになつておりますが、この計画は現在鋭意作成中でありまして、本年度中には一応暫定案でも何とかして決定いたしたいという方針で準備しておるわけであります。今申し上げましたように、経過といたしましては二十五年に法律が制定されて以来、計画として決定しましたものは北上特定地域の計画がただ一つでありまして、近々中に二つないし三つの計画が決定されるという段階になつておるのでございますが、何分総合開発という行政の取上げ方はまつたく新しい分野でありまして、御承知のように各省の施策を総合調整しながらやつて行かなければならないような点もございますので、なかなか思うように進まないというふうな難点もございますし、また新しい行政でありますだけにいろいろな準備もいりまして、今日までわずかに今申し上げましたような一つの計画ができ上つたという段階にあるのであります。しかしながらようやくこの三、三年いろいろ考え方もまとまつて参りましたし、その行政上の取上げ方の順序等一応完備されましたので、今後はいろいろな地域につきましても具体的な計画が着々と進められることになるだろうと考えておる次第であります。今までは経過を申し上げたのでありますが、今度は各計画につきましてもう少し詳しくその全貌と将来実施したい構想について申し上げてみたいのであります。  まず最初に特定地域について御説明申し上げたいと思うのでありますが、お手元に「特定地域の概要」という書類が差上げてございますので、これにつきましてごく簡単にお話してみたいと思います。特定地域というものは、先ほど申し上げましたように全国の総合開発計画のうちで政府が特に地域を指定いたしまして、その地域につきまして府県に計画を立てさせる。それを府県から提出を待ちまして地方開発審議会において審議し、各省の意見を調整し、最後には閣議でその計画を決定するということに法律でとりきめられておるのでありまして、いわば政府がその地域につきましては責任を持つて計画を決定し、それを推進するという仕組みになつておる地域でございます。現在この特定地域の開発を進めるということがわれわれのやつております総合開発計画の行政の最も中心となつておるわけでございます。  それではそれらの地域はどこであるかと申しますと、先ほど申しましたように十九あるのでありますが、その外貌はお手元に差上げました資料の第一ページにございますように、十九の全部の地域を総合いたしますと、面積としましては日本の全土の二五%、人口といたしましては二七%、そういう日本の全土の約四分の一の地域を対象にしておるわけでございます。その中には相当大きな潜在力を持つておるのは当然のことでございまして、なおこの地域の選定につきましては、法律に条件があるのでございまして、それはお手元に法律も差上げてありますので、ごらん願えばわかるのでありますが、この法律の十条にあります。未開発資源を豊富に包蔵しておる地域あるいは国土保全を緊急に行わなければならない地域、さらにまた都市周辺等におきましていろいろな立地条件を整備しなければならないような地域、こういう地域のうちから選ぶということが法律で規定されておるのでございますが、さらにその条件につきましては、審議会におきまして慎重に審議をいたしまして、この十九地域を決定したのでございます。これが今申しましたように全国の地域の約二五%に上り、人口も全人口の二七%に上る者がその地域内に居住しておるというような関係になつておるわけでございます。その地域の持つております包蔵力はここにありますように開拓適地といたしましては二十万町歩、それから土地改良を要する地域は九十二万町歩でありまして、全国の三五%の地域を持つております。森林の蓄積といたしましては二六%、未開発包蔵水力といたしましては全国の包蔵水力の六三%、それから漁業におきますところの漁獲高につきましては、この地域におきまして大体全国の二二%を占めておる。さらに風水害によりますところの災害を年平均でとりますと、大体生産災害といたしまして、この地域におきまして年々約百八十五億の損害を受けておりまして、これは全国の四六%に当り、それから施設災害といたしまして三百十九億でございまして、これまたやはり全国の六一%に上つておるわけであります。災害の面におきましても、この特定地域は相当年々多額の被害を受ける地域でありますし、また包蔵しております資源等から見ましても相当全国の重要な地域を包含しておるというふうに考えまして、一応法律に定められました地域に該当する地域といたしまして、今の十九を指定したわけでございます。  この地域におきましてどのような開発を考えておるかということでございますが、これも先ほど申し上げましたように、まだ決定的な計画は北上地域についてでき上つたばかりでございまして、現在府県がこれを検討中、あるいは中央におきまして一部は害議中という段階でございますが、大体この地域におきまするところの開発計画は、米にいたしまして約六百七十万石、麦は三百九十万石、電力六百八十万キロワツ卜、用材は九百万石、水産物の一億四千万貫、その他の地下資源のつきましては、目下検討中でありますが、こういうふうに多くのものをこの地域から開発いたしたいという計画を持つた開発計画をつくつて参りたいと考えておるのであります。  それではこの十九の地域を開発しますために、一体どれくらいの国費がいるか、あるいは全体としてどれだけの事業費がいるか、これが非常に大きな問題になるわけでございますが、これは先ほど申しましたように、事業計画が決定しておりませんので、最終的な事業費は申し上げられませんが、一応現在までに府県が考えている事業費を集計いたしますと、全額で約一兆八千億の金がいうことになつております。そのうちでA種公共事業費は一兆円でございまして、そのうち国費によるものと推定されるものが六千億、それから八千億がいわゆるB種公共事業ということになつておるのであります。従つて直接国が負担しなければならないものは六千億でございますが、これはさらにわれわれの方で検討しましたり、実際に行わなければならない事業というふうに計画をしぼつて参りますと、大体この七割程度が実際に国費でまかなわなければならぬものになるのではなかろうか、これは県の集計額でありますので、中央で査定いたしますと、大体四千億くらいになるのではないかと考えております。ところでこの特定地域計画は大体今後十年間をもつて完成するということを目標にしておりますので、四千億を十年間に均分に配分しますと、年間約四百億になるわけでございます。ところでこの特定地域におきますところのいろいろな施設計画につきましては、すでに現在国がそれぞれ施設を行いつつあるものが相当あるのでありまして、大体われわれが考えでおります事業に対しまして、公共手業費として投資しているものは、約二百億程度ではなかろうかと推定しておるのであります。従つて今申し上げましたように、四百億のうちで二百億はすでに出していることになりますと、この特定地域開発計画を実施して行く上において、年々必要とする増加金額は、年間約二百億ということになるわけでございます。これは現在の国家財政から見ますと、決して少額の金ではないのでございますが、しかし全体の公共事業費の総わくが御承知のように現在千三、四百億でございますので、それから見ますと必ずしも二百億という金額は、われわれとしては過大ではないと考えておりまして、その開発効果等から勘案いたしますれば、もしこれだけの投資によりまして、真に国土が開発できるということになりますれば、これは非常に経済効果の高い投資になるのではなかろうかということで考えておる次第であります。特定地域は今申し上げましたように、これだけの事業費を投入いたしますならば、今後十年間にほぼ目標に近い開発が完成できるものといたしまして、この計画を鋭意実施しておる次第であります。  次に全国計画でございます。これはお手元に「全国総合開発について」という書類を差上げてございますので、これをごらん願いたいと思うのでございますが、この計画の作成の趣旨は、ここにもいろいろ書いてございますが、法律には、全国計画は政府が作成して他の総合開発計画すなわち地方計画、府県計画、特定地域計画の基本にするということが書いてあるのでございます。すなわち他の三つの計画のかがみになつているものでございまして、従つてその順序からいたしますならば、まず全国計画というものを総合開発計画におきまして作成し、その全国計画の構想に基きまして府県計画、地方計画あるいは特定地域計画を設定し、計画を定めるというのが順序なのでありますが、先ほど申し上げましたように、逆な形をとりまして、日本の総合開発は、特定地域から始めておりますが、おそまきながらこの計画を立てませんと、どうしても今後の各般の計画を決定し、あるいは審議する上におきまして非常に不便でございますので、先ほど申し上げましたように、本年中にはいかようなことがありましても、この全国開発計画の素案をつくりたいということで、準備しておるのでございます。この計画はわれわれの現在考えておりますものといたしましては、それ自体が実施計画ではないのでございまして、一つの構想と申しますか、目標計画と申しますか、大体全国の土地の開発とその完全利用をかかる構想のもとにおいて行うのが妥当であり、また至当である、そしてまた最も有効であるというふうな一つの構想をつくりまして、同時にそれには産業の地域的な配分でありますとか、あるいは立地条件でありますとか、そういうものを規定いたしまして、他の計画の基本になるようなものを作成いたしたいというふうに考えておるのであります。その構想等につきましてのごくアウト・ラインをここに示してあるのでございますが、これはなかなか容易でない仕事でございまして、ある場合におきましては、当分の間の日本の国土の開発のあり方というものを決定し、あるいは場合によりましては、これは単なる施設計画ではとどまらないのでありまして、ある程度の経済計画をも前提とした計画でなければならぬというふうな関係もありまして、この計画を作成することは容易でない。実はこの全国計画の規定をこの法案の中に盛ります際にも、国会におきましても、全国計画とは一体作成可能であるかどうか、またどういう構想を持つおるのかというふうないろいろな御質疑もあつたのであります。われわれも決して容易にできるとは考えておりませんけれども、できるだけこういうものをつくりまして、他の計画の基本にいたしたいというふうな考え方で進んでおるわけであります。  それから府県計画、これは先ほど申し上げましたように、府県がつくられる計画であるのでありまして、この府県計画はどういう手続になつておるかと申しますと、府県で計画をつくりまして、中央に送付する。そういたしますと審議会でこれを審査いたしまして、その審議に基きまして、内閣総理大臣が必要な勧告助言を、提出しました府県に対して行いまして、そこで一応計画は決定する。決定しました計画につきましては、国はできるだけ必要な予算を計上しましてその達成に尽力する、こういう仕組みになつております。特定地域計画につきましては、これは国で相当その実施に責任を持ちまして、財政支出に関しましても、相当拘束するような法律の構成になつておるのでございますが、府県計画につきましては、まだそこまでは法律には規定されておらないのでございまして、いわば今日の総合開発計画というものは、大体特定地域を中心といたしました計画を展開するというのが現在の法律の内容といたしましては、最も大きな主眼になつておるのであります。  地方計画、これは相当広い地域の、いわばブロツクの計画でございまして、これをいかなる計画にするかということにつきましては、現在まだはつきりしたとりきめがないということは先ほど申し上げた通りでありますが、大体われわれの構想といたしましては、全国計画に次ぐ一つの構想計画である。すなわち全国計画は、全国の地域につきまして大体土地の完全なる開発利用ということについての一つの構想を示すものである。地方計画は、それをブロツクにわけまして、そのブロツクにつきまして全国計画構想をダイジエストをする。それを実際に実施する計画は府県計画、さらには特定地域計画においてこれをつくる。すなわち全国及び地方計画は一つの構想計画であり、実施計画は特定地域計画及び府県計画において決定し、実施して参るという構想をとつて、その後の総合開発計画を進めて参りたいというふうに考えておるわけであります。  なおこれらの四つの計画と申しますか、そういう進め方のほかに、この法律に従いまして、現在政府は全国に十箇所の地域を調査地域として指定して調査を進めております。これは法律の規定に基くものでございまして、特定地域にいたすのにはまだ調査が不十分であるけれども、将来調査の上で、もし国が特別に地域を指定して責任をもつて開発を促進する必要があると認めた場合におきましては、これを特定地域に決定するという、いわば特定地域の候補地域といたしまして、全国に十箇所の地域を指定しているのでございます。  その地域は、これまた御承知のことだろうと思うのでございますが、北の方から申し上げますと、大体青森県の十和田付近岩木川の地域、それから東京湾を囲む地域、それから山梨県、静岡県にわたります富士川、白根地域あるいは福井県の九頭竜川、それから滋賀県の琵琶湖、瀬戸内海一帯、吉野川、岡山県の高梁川、九州の有明海、球磨川、こういう地域十箇所を選びまして、これらの地域は国が責任をもつて総合開発という行政の取上げ方で各般の開発を実施するに値するやいなやということを現在審議中でございます。  いつごろこれらの地域が特定地域になるかならないかという問題につきましては、今日のところまだ何とも申し上げかねるのでございますが、すでに一部では、全国で十九も特定地域をつくつてこれをやることは多過ぎるのではないか、無責任ではないかというふうなおしかりも今まで国会でたびたび受けておりまして、地域を拡張いたしますれば、拡張いたしましただけ経費もよけいかかることでございますし、それだけ開発の重点もぼやけることになりますので、これらの実情を勘案しながらこの調査地域を特定地域に昇格せしめるというふうな方向を進めて参りたいと思うのであります。いずれにいたしましても、くどいようでありますが、総合開発という行政の取上げ方は新しい行政の取上げ方でございまして、冒頭申し上げましたように、各省でそれぞれ所管されております事業を横に結びまして、調整しながら強力にこれを進めて行くということで、まつたく関係諸機関の協力の上に立つてこそ初めてできるのでございまして、なかなかこの仕事の運び方は容易でない仕事でございますが、しかし北上の計画等から行きましても、これは実施に値する仕事でございますし、また当然こういう形式でやる方が、開発の期間も早うございますし、またその効果も多いと考えられますので、われわれとしては今後できるだけこの総合開発という仕事の取上げ方を強力に発展せしめたいというふうに考えておる次第であります。  まことに粗雑な説明でありましたが、一応説明を終りたいと思います。

佐伯宗義改進党

○佐伯委員長 以上で説明は終りました。なお次に予定されてあります電源開発計画に関する件につきましては、政府委員の都合等もありますので、本日の説明に対する質疑とともに、明日午後に延期することにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十三分散会

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