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16回国会衆議院1953/07/16

経済安定委員会 第17号

発言数
58
登壇者
9
会派数
4
開催日
1953/07/16

会議録

佐伯宗義改進党

○佐伯委員長 これより会議を開きます。  本日はまず昨日に引続きまして、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたし質疑を継続いたします。質疑の通告がありますからこれを許します。杉村沖治郎君。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 私は公取の委員長に伺いたいのでありますが、この前岡野大臣から伺つたのでありますが、この独占禁止法は民主経済憲法というふうに言われておつたのでありまするが、今度大臣がこの法律について、認可不認可の権限を持つように改正案においてはなつておるのですが、この民主経済憲法が、その性質を破壊されて改正されるような感が多分にあるのでありますが、この点について公取の委員長はどういうふうにお考えになつておられますか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 ただいまの点は、カルテルの認可権につきまして、主務大臣が認可をいたすということになりました結果、この独占禁止法の精神が踏みにじられるおそれがありはしないかという御質疑と了解いたしますが、先般来申し上げますように、公正取引委員会といたしましては、主務大臣の意見を尊重して、認可そのものは公取が最終的にやるという案を最初出したのでございますが、先般も申しましたようないろいろないきさつからいたしまして、結局この改正案のように決定いたしたわけでございますが、しかし条文にございます通り、主務大臣の認可というものにつきましては、必ずその前提といたしまして、公正取引委員会の認定が必要でございます。あるいはこれを変更し、あるいは取消す場合も、すべてその前提といたしまして、公正取引委員会の認定が必要になつておりますので、この認定を公正取引委員会が適正に行う場合には、公正取引委員会が認可権を持つたと実質的には国じことになると私どもは考えております七結局法の運用につきましての公取の態度に問題はかかつておると思います。御心配のようなことはないように私どもはいたしたいと考えております。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 委員長のお答えが、どうもちよつと私の問うておるところからはずれておるような気がするのですが、運用そのものでなくて、少くともこれはいわゆる民主経済憲法というようなわけで、役人は介入しないで、あくまでも民間人、公取も民間人を起用し、それぞれの委員制度によつてこれを運用するということになつておるので、官僚が入つて来ないというところからほんとうの民主経済憲法であるというふうに言われるのであります。それにもかかわらず、今度大臣がこういうふうに入つて、認可、不認可をするというようなことは、それをこわして、その性質を傷つけて来やしないかということでありまして、今委員長のお答えを聞いておれば、大臣に認可、不認可ということの権限があるけれども、公取が実質権を持つておるから、こういうようなお答えのようです。確かにそれはそうでありましよう。大臣が認可権を持つておりましても、その認可する前提条件としては、公取の承認がなければならないのであつて、いわば形式的のようにも受取れるのであります。それは実質上の権限が公取にあるからということは、その通りであります。しかしながらそれにしましても、何の必要があつて、しからばそのように大臣の認可権、不認可権というものをこれに規定をする必要があるか。この民主経済憲法というものに対して、そういうような官僚的な色彩が入つて来たじやないか、だから真に今までのような民主経済憲法とは言えないのじやないか、その点はどうかということであります。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 結局形式的には、なるほどおつしやつたように、今までの独禁法にはない、やや異質の形が出たわけでありまして、これをもつて経済民主化の逆行というふうにただちにおつしやれば、あるいはおつしやれないこともないかもしれませんが、しかし私どもは先ほど申し上げましたように、実質的に考えますと、別にそういうふうに見なければならないというふうには考えておりません。ただこの前もどなたかから、それではどういうのが一番いいのだと公取が考えておるかというお尋ねがありましたが、やはり私どもといたしましては、原案が独禁法の建前並びに法制的に考えましても正しいということは、現在でも考えておるわけであります。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 今の原案というのは、現行法のことでございますか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 公正取引委員会の最初の案ということであります。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 この間、主務大臣に何の必要があつてこういうふうに大臣が介入するようにこれを改正したかということについて尋ねたのでありましたが、私の納得するような答えはなかつたのであります。公取の委員長は、こういうふうに改正をしなければならないのは、今までの独禁法の運営上においてか、あるいは他にどうしても大臣のこういう認可権、不認可権を認めなければ、何らか都合の悪いようなことがあつたのでありますか、どうでありますか、その点をお伺いいたしたい。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 その点はこの前申し上げましたように、最後まで主として通産省との間に意見が相違しておりまして、最後の決定は閣議でなされたわけであります。結局政府案として出します以上は、最後においてそういう決定がございました以上は、その案で出さざるを得ないことになります。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 ただいまのお答えを伺つておりますと、公取の委員長としてはそういう必要はなかつたと思われるけれども、閣議でそういう決定があつたのだからまあしかたがない、こういうふうに伺つてよろしゆうございますか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 大体さようでございます。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 第一条の「不公正な競争方法」を「不公正な取引方法」というように改正したのは、どういう意味でありましようか。どういう理由から、どういう必要からこういうふうに改正されたか、それを伺いたい。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 これは結局今度の新しい改正案の第二条第七項におきまして、現行法で申しますれば、不公正な競争方法に関する規定に対する改正を加えたのでございます。ここにおいて「不公正な競争方法」という言葉を「不公正な取引方法」と改めました理由は、前回も申し上げましたように、競争方法と申しますと、何かその方法を用いておる人とだれかの競争の問題のような響きを持つのであります。ところが実際に現行法におきましても、あるいは今回の改正案におきましても、問題といたします点は、用いておる人がだれかとの間の競争を阻害する行為ばかりでなく、そういう行為が行われます結果、どこかの面において競争が阻害せられるおそれがあるという場合に、やはりそれを取上げる。そういうことになりますと、競争方法という言葉にはやや語弊があるのではないかというので、特に今回は「不公正な取引方法」という言葉を使つたわけでございまして、これはそれほど大きな意味はないように私は考えておるのであります。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 私が考えるところでは、競争方法という方が範囲が広いように思うのです。不公正な取引方法ということになると、これはほんとうに商取引ということになつて来るから、非常に範囲が狭まつて来ておるように考えられますが、そういうことはいかがでありますか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 私どもはそういうふうには実は解しておりません。現行法で申しまする競争方法を含んだ、さらにそれよりも広いものを包含するという趣旨で解しておるのであります。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 そうすると、取引方法というのは商取引というような意味ではなくて、もつと広いという意味でございますか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 商取引という意味でございますが、これはこの中をごらんになりましてもおわかりになるように、必ずしもいわゆる商取引だけではないのであります。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 そうすると、従業員の引抜きとかなんとかいうようなことはこれに入りますか、入りませんか。私は競争方法という方に従業員や何かの引抜場きというようなことは入るだろうと思うのですが、ただ取引方法という取引ということになつて来ると、そういうのは入らないじやないかというような気がします。そこらのところはどうでありますか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 これは言葉の使い方でございますが、競争方法とやりましても、取引方法とやりましても、結局われわれの今回の案におきましては、いわゆる従業員の引抜きというようなものは一応入らないという建前で行つております。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 それから第二条の「事業を営むもの」というのを「事業を行う者」と改正したのはどういうわけでありましようか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 大体独占禁止法の対象になります事業者は営利事業、ことに会社が主たるものでございます。しかしいわゆる営利と見られませんでも、やはりいろいろな事業をやる場合がございますので、そういう会社寺のいわゆる営利業者以外のものもやはり独禁法の事業者というふうに取扱おうという趣旨でかえたわけでございます。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 次に第一条の第二項の「国内における通常の事業活動」というその「国内における」という字句をこの改正法で削除しておるのですが、これはどんな関係から削除したのでありまするか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 これは第六条等をごらんになりますと、いわゆる国際カルテルの問題、貿易問題等を取上げておるわけでございます。従いまして、独占禁止法の対象となる事柄は、何も国内の競争だけでなく、もう少し広いのであるということになりますので、定義の中にこの言葉がありますと、かえつてじやまになるというような意味で削つたのであります。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 改正案の第二条の第六項でありますが、昨日いろいろ伺つた、この第六項に用いられておる不当という文字の解釈と、第七項の一、二、三以下の不当という文字と、解釈において相違がありますか、ありませんか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 第六項の「不当な取引制限」というのは、これは一気に読んでいただくのでございまして、結局「不当な取引制限」という一つの法律用語と申しますか、それを定義づけまして、この内容は、そのあとにございますような事柄を言つておるのでございます。従いまして、この不当だけを特に取出し、ほかのところの不当と比べるわけには行かないのでございます。これは一気に「不当な取引制限」という言葉を——これはあるいはカルテルと書いてもいいのでございますが、そういうような意味で、「不当な取引制限」というこの、不当と、ほかの場合のとは比べることが困難だと思います。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 どうも、たとい一気に読んでも、やはり不当の意味は不当で、また解釈が出るのではないか。そういうことになりますと、今の委員長のお答えでありますると、第七項の三の「不当な対価をもつて」というこれも一気に読むのではないでしようか。どうもそういう、一気に読むから、文字の解釈がこちらの不当とこちらの不当が違うのだというお答えは、ちよつと私には納得できないのです。なぜならば、こちらも「不当な対価をもつて」と一気に読むのではないかと思うのですが、どうなんでしよう。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 この「不当な取引制限」というのは、いわゆる一つの定義規定でございまして、その他の場所にございますものは、大体その場所々々において、それぞれの意味を持つておるわけでございます。同じような言葉があちこちに出て来て、範囲がはつきりしないではないかというようなお疑いもあるかと思いますけれども、他の場所のものは、そういう定義に関係なく、その場所々々のそれぞれの意味を持つておるというふうに解しております。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 されば、さらに伺うのでありまするが、第六項の「不当な取引制限とは、」というこの次の文句を読んでみますると、対価を決定するとか、あるいは維持するとか、数量、技術、製品、設備、そういうものがいわゆる取引の制限になつて行くのであつて、ここの不当ということは、そういうようなこと、すなわち公共の利益に反することが不当であるということになるのじやないのでありますか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 これはあくまでも定義でございまして、結局ただ取引制限というのでは、何となく言葉が足りないような感じがしますので、その上に不当という字をつけておるわけでございます。あるいは「不当な事業能力の較差」というところにもやはり不当という言葉がついておりますが、これもやはり一つの定義でございまして、これだけを取上げて、この内容が何であるかということを申し上げることは、非常に困難だと思います。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 そういたしますると、この「不当な取引制限」ということに対するところの定義であるとするならば、「不当な対価をもつて」ということの定義はどうなつていますか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 「不当な対価」の定義ということになりまするが、この解釈はおのずからその規定の趣旨によつて明らかになるわけでございまして、この点は昨日も申し上げましたように、今度の指定によりまして、できるだけその内容を具体化するということによりまして、多少解釈上の問題は明らかにしたいというふうに考えておるわけでございます。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 いま一ぺん伺いますが、そうすると、この第七項の「不当な対価」という、この不当といううちには、公共の利益に反するとか何とかいう意味は含まれておるのではないのですか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 そこにただちに入つておるというふうには言えないと思いますが、要するに独占禁止法全体が、やはり一つの公共の福祉と申しますか、そういうものがかぶつていることは事実でございます。しかしそこのその部分を取上げて、そこに公共の利益というようなものが入つているというふうには申し上げられないと思います。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 この不当というのをいま一度伺つておきたい。それだけでけつこうです。不当ということは、法律上の不当であつても、経済上の不当であつても、いかにしても不当なんですから、この不当の定義だけをはつきりお答え願つておきたい。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 これは、きようお配りいたしましたいわゆる指定案についてごらんいただきますと、その点が多少具体的になつておると思います。その不当という言葉は、あるいは場合によりましては、別段の正当な理由がないのに、どいうふうな点に帰する場合もございましようし、あるいは分量的な意味を含んでおる場合もございまするし、いろいろでございまして、この点はできるだけ指定において、こういう不当の内容を明らかにしたいと考えております。

石村英雄日本社会党(左)

○石村委員 ただいまお配り願いました告示案ですが、この四号にある、「競争者の事業活動を不当に妨害し又は排除するように、」とあるのは、これはこうした行為をする人が、不当に妨害しあるいは排除するという意思を持つてやつた場合なんですか、それとも、結果的に妨害なりあるいは排除するという場合もいけないということになるのでありますか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 この案につきましては、まだもう少し推敲を重ねたいと思つておりまするが、今仰せの四号につきましては、この「するように、」というのは、明らかにそういう目的を持つてしないでも、結果的にそういうことになるようなものもさすつもりでございます。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 ここへ出された公正取引委員会告示案、これはこの独禁法の改正案の改正理由の説明書類になるのでございますか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 昨日菊川さんからお話もございましたが、今回この改正案がもし施行になるといたしますれば、同時にこういう形式をもちまして、内容はまだ多少先ほど申しましたように検討いたしたいと思つておりますが、こういう形式をもちまして同時に施行する、ちようど法律の内容を一部政令に譲りました場合に、その政令につきまして、一応御検討をお願いすると同じ意味におきまして、一応の案をお示しいたした次第であります。

石村英雄日本社会党(左)

○石村委員 最近こういう事実があるということをちよつと聞いたのですが、石油の販売で卸屋か何か知りませんが、二箇月のサイドがあるということから、金融をつけるという意味で値段をそのまま売る。金融さえつけばいいというので、元で売つている事実が最近非常に現われて来たということですが、これもやはり不公正な取引方法ということになりますか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 その実質は、事実関係が問題でございますが、今のようなことでございますと、その第四項に当然触れるというふうには言えないかと思います。

佐伯宗義改進党

○佐伯委員長 菊川君。

菊川忠雄日本社会党(右)

○菊川委員 この法案の審議に関連して要求いたしました資料がこれに入つておるかどうかわかりませんが、私は今年のここ半期程度の物価の動向についてお尋ねをしたいと思います。というのは最近発表された経審庁の関係の資料によれば、大体物価は当分横ばいというのが、大まかに言つて今の見通しのようであります。ところが、これは卸売価格を主としたもののようでありますが、しかし現実には小売物価——消費者生活に関係のあるところの物価の動向は、必ずしも横ばいというように簡単には見られないように思います。それから同じ政府部内でも、最近人事院が公務員の給与ベースについて勧告をなさるようでありますが、その理由となつておる中には、やはり最近までの物価の上昇がやはり理由となつておる。また先行きの物価上昇についても、当然人事院勧告の裏づけとなつておるところの物価の動向については否定できないと思われるのであります。そういうことと、さらに今ちようど二十八年度予算が審議中でございますが、大体あの予算の規模から見ましても、インフレの傾向が出て来るということは否定できないと思います。そういうようないろいろな要素を見る場合に、はたして物価というものは横ばいの状態で行くと断定されておるのか、それとも上昇するという傾向をお認めになるのか、この点を最初に伺つてみたいと思います。

岩武照彦総理府事務官(経済審議庁調整部長)

○岩武政府委員 われわれの本年度の物価の見通しにつきましては、当委員会の最初におきまして御説明したことでありまして、要約いたしますと、お話にありましたように生産財の卸売におきましては、横ばいというよりは、むしろ強含みの横ばいではないかというように御説明したかと思つております。その理由といたしましては、一方におきましては生産財のある種のものにおきましては、生産過剰ぎみから、むしろ停滞あるいは下落の傾向を続けるものが相当多いかと思つております。ただ特殊の品物、ことに需給関係が強含み、需要が強くて供給がこれに追つかない可能性の存するもの、たとえば建築資材関係の特に木材及びセメントというこの二つのものは、建築活動、土木活動の旺盛に伴いまして、需要は相当ふえておりますが、御案内のように木材の方は、森林法の施行に伴いまして、伐採制限等もございまして、十分に需要に間に合わない。またかりに米国などから輸入するといたしましても、長大形のものと申しますか、大きくて長い特殊のものは割安ですが、普通の規格のものにおきましては、かえつて割高となつておりますので、木材の価格はさらに上る。セメントは現在能力一ぱいに近い操業を続けておりますが、これの財政投資、あるいは一般的な土木工事の施行また電源開発といつたような形の需要がふえておりますので、これも需要の方が強く、なお上昇の勢いを続けて行くのではないか。そういうふうに見て参りますと、これは卸売物価の生産者指数の作成技術にもよりますが、かりにこれを日銀の卸売物価指数に当てはめてみますと、どうも全般としては建築資材等の関係で帳消しされて、むしろ強含みの横ばいである、こういうように申し上げたのであります。それから御指摘のありました小売物価、ことに都市の消費者物価は上りぎみと判断しております。これは一つはこの前にも御説明しましたように、昨年度の後半におきまして、消費者米価の引上げ、その他一連の料金系統の引上げがありまして、これが本年度に入りまして、平年度化するという関係で、それだけ上つて参る。もう一つは先ほどの木材の関係の話と関連いたしますが、木炭あるいはまきといつたものも季節的な値上り、すなわちことしの冬は昨年の冬よりもむしろ高くなるのではないかというような関係から、三、四パーセント程度は上るのではないか。CPI、すなわち消費者物価指数は大体上るのではないか。もちろんその中でも、現在でも野菜であるとか繊維品の一部であるとかいうような弱含み、あるいは下落の傾向にあるものもありますが、むしろ全般としては上るのじやないか。それからちよつと申し落しましたが、こまかい話になりますが、たとえば授業料、入学金等の、いわばサービス料の滞納的なものがある程度ございますので、大体消費者物価は上る、こういうふうに申し上げておきます。

菊川忠雄日本社会党(右)

○菊川委員 そこで続いてお尋ねしたいのでありますが、大体生産財価格、卸売物価こういう面においても必ずしも横ばいでなくて、やはり上昇的な傾向が出る。ある部分は横ばいであるかもしれぬが、他の建築その他の関係の資材、そういうものの上昇によつて張消しをされてしまつて、従つて横ばいという断定は下せないというふうに今伺つたのであります。いわんや消費物資関係の小売物価は上昇する。その率のことは別にいたしまして、私ども相当程度上昇する、そういうふうに考えております。そうしますると、結果においては物価は上昇するような傾向が方向としてはうかがえる。その中でいろいろのカルテルを緩和するということは何がねらいであるかということを、もう一つぺん物価の動向とからんで公取委員長にお伺いしたい。これは一般的な合理化カルテル、不況カルテル、こういうような場合のお尋ねでありますが、もう一つは再販売価格の維持ということでありますけれども、その再販売価格の維持というものは、こういう場合には下るということの心配があつての意味であるのか、上るということの意味があるのか、どちらに一体重点が置かられておるのか、その点をお伺いたしたい。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 今回のカルテルは、御承知のように非常時の不況の場合のカルテルでございまして、これをもしゆるやかに認めるというようなことになりますと、価格のつり上げというようなことになりますが、これは前から申し上げますように非常な場合の救済策でございますので、これによりもちろん価格の上昇ということはございましても、これは非常に一時的措置でございますので、いわゆる物価の動向がどういうふうになるということに対しまして、それほど大きな影響はないと私は考えております。なお合理化カルテルの問題につきましては、これの考え方は、これによつてコストが下るということがねらいでございまして、従いましてこれによりましてもやはり別段の不都合な影響はないように考えます。  なお再販売価格の問題につきましては、そのこと自体でただちに価格がどうなるということは私自身として考えておりません。結局あの条件といたしまして、有効な競争が行われて行くということが一つの絶対条件のようになつておりますので、やはり価格はそうめちやくちやに上るものではないというふうに、そちらの方へ拍車をかけるものではないというふうに私は考えております。

菊川忠雄日本社会党(右)

○菊川委員 私のお尋ねした要点にあるいはお触れになつたかもしれませんが、不況カルテルの問題について私お尋ねするのは、つまり今物価が上昇するという動向にあるというふうにかりに断定するとすれば、一般的には従つて不況カルテルによつて物価の価格の下落が行われて、そうして業界が特にそのために困るというふうな経済的な条件は当分薄いもの、あるいはないものという第二の断定が下せないわけはないのであります。これはむろん一般的なものでありますから、ある業界においてはそうも行かないということがあるならば、そういう点についての御解明を願いたいと思います。従つて一般的にそういう情勢がないとすれば、当分こういう不況カルテルというようなことによつて条文の緩和をなさることはこの際は必要でないのじやないか。むしろ国会は次の国会もあるのですから、そのときにやつてもいいことである。いろいろなあらゆる場合を想定して、一般的に法文を不備だからこれを直そうというならば、抽象的な問題ならばほかにもまだ問題はございます。しかしながらこういう生きた経済事象に対抗しての独禁法の緩和的な改正ということであつて、やはり生きた法律の改正であります。当面やはり何らかの効果があるのではないか、ただつくつておくのだ、当面これは動かすものではない、生かすものではないという意味の御説明にとれるふしがあるのだが、それでよろしいのかどうかということを一ぺん御説明願いたいと思います。  それから再販売価格維持契約の問題に関しては、物価が上昇する、ことに小売物価が上昇するということは今御説明で決定的のようであります。そういたしますと、特に再販売価格の維持契約を要望されておるところの業界の方々は小売業者であります。もちろんメーカーの要求が背景になつておるかもしれぬが、当面切実に要望されておるところの薬品、化粧品それぞれ小売業の組合の方々であります。そういう方方が今内心心配されているのは、これから濫売その他によつて価格がくずれるのではないかということが当面の御心配のようであります。しかも小売物価は上昇するという傾向の中において、かりに薬品、化粧品だけをとらえましても、まさかそれのみがいかに濫売されても下るという傾向ではないはずなんです。そういう中においてなおかつそういう再販売価格というものの維持契約ということをやる場合において、この結果は一体それでは引上げてならないということに効果が出るのかどうかということをお聞きするのであります。私ども上る心配があるからというのみの一般的なお尋ねではないのでありまして、この点について重ねてお尋ねいたしたいと思います。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 不況カルテルの問題につきましては今仰せになりました通り、先般私もそういうような状態が近き将来に予想されないということを申し上げたのであります。従つてそれならば今先走つてこういうような道を開いておく必要がないじやないかということになるのでございますが、しかしこれはやはり一般の傾向は、なるほど上昇の傾向と申しましても、その中にはいろいろな業種々々によつて違いがございます。またいろいろな特殊の事情によりまして不況というものがある業種あるいは一般的に来ることも全然予想されないわけではないのでございまして、いわばそういう突発的な問題も考慮に入れますと、あらかじめこの程度の法制の整備をいたしておくということが必要ではないかというふうに考えております。  なお再販売価格の問題につきましては、そういうような状態のときにこういうものをつくる必要はないというお考えか思いますが、現にいろいろの方面において実際の弊害が起つておるのでございます。従いましてこの程度の救済策はやはり開いておく必要があるというふうに私は思つております。

菊川忠雄日本社会党(右)

○菊川委員 今の百不況カルテルの関係については、一般的な上昇の中で、特殊な業界あるいは突発的な原因であるというお説でありますが、私どもこういうお説では納得できないので、重ねてお尋ねいたします。  一体不況カルテルというのは、業界がねらう不況対策というものは、突発的な原因で起るところの不況——そういう突発的な原因というのは何を意味するかわかりませんが、一体カルテルはそういうものに間に合う性質のものであるのか。公取委員長はその方の専門家なのだが、カルテルという一つの機構が、あるいは銀行のパニックによつて起つたとか、何か水害によつて起つたとかいう突破的な事故によつて起つた不況に対処するのが本来カルテルの機構であり、その一つは不況カルテルだというようにお考えになつているのか。これは一つの認識の問題でありますし、そういう御認識は逃げ口上のような感じがするのでありますが、これは間違いでございませんか、この点お尋ねします。なお、ある業種、ある業界については、今ある程度そういう必要があるかもしれないという点でありますが、これはかもしれないでは困るのでありまして、今申しましたような、物価あるいは経済の動向の御説明に関連して、さしあたつて一体どのような業界においてこの問題に当面しておるか、あるいは起り行るか、この点をお尋ねいたしたいと思います。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 突発的なというふうに申し上げましたが、これはあるいは言い過ぎでございますけれども、しかしそういう場合ももちろんございますので、そういう点を特に強調して申し上げたかと思いますが、そういう突発的な場合ばかりではないと思います。なおどういう業種につきまして、あるいはどういう場合について、こういうカルテルを必要とするかという点につきましては、詳細につきましては通産省の方からお答えさせていただきたいと思います。

小室恒夫通商産業事務官(企業局次長)

○小室政府委員 ただいまのお尋ねのうち、不況カルテルが突発的な事態に対処する方策であるかどうかというお尋ねもございましたが、過去の経験、ごく最近の経験にかんがみましても、朝鮮事変以後の好景気、そのあとの反動的な不景気、これは波としてはずいぶん起伏のはげしい動きがあつたわけでありますが、事前にそういう景気の起伏を予想することはなかなか困難でございます。従いまして不況カルテルの規定は、恒久法としての独占禁止法を久しきにわたつて緩和して、そういう事態に備えるという道を原則的に開いておこうという意味でございまして、ただちに今日どの業種、どの産業で、この不況カルテルの前提要件になつておりますところの、生産費割れが起るとか、あるいは当該業種が共倒れに近いような状態になるとかいうことは、ただいまは予測しておりません。これは日本経済の底が浅うございますし、世界経済の動きいかんによつて、あるいはまた輸出の動きいかんによつて、容易にそういう事態が起り得るかとも理論的には考えられますが、現実にはどの業種ということは通産省としてもちよつと申し上げられません。

小笠公韶自由党

○小笠委員 関連して。たとえば物価が上昇傾向にあると断定せられたようでありますが、個人の家計費の膨脹はサービス料の上り方が相当含まれると思うのですが、一般的に物の小売価格が上つて来る理由はどこにあるか。逆に申しますと、経済の循環をよくするためには、一方においてやはり購買力の漸増というものが相当ついて来なければならぬと思いますが、そこらの点はいずれの部分——建設部分は当然でありますが、一般消費者の消費する消費物資の小売価格が上ると断定せられた根拠、特に個人消費における購買力の漸増と見ておるのか、この点をちよつとお伺いいたします。

岩武照彦総理府事務官(経済審議庁調整部長)

○岩武政府委員 ただいまのお尋ねでありますが、先ほど私が御説明いたしましたように、消費者物価の動向の上る原因になるのは、米を除きましては、むしろサービス的なものの上り方が大きいのであります。それは大部分はいずれも小売価格という形のものになつておるのであります。他方、都市、農村を通じましての個人の消費購買力の増加という問題がありまするが、これが本年度どの程度に相なるか、目下検討しておりますが、まだはつきりした動向はつかんでおりません。ただ昨年の動向を御説明いたしますると、自主でも御説明しておるのでありまするが、たしか年間を通じまして一千億を越え三千億に近い消費購買力の増加があつた。これは一方におきましては、給与水準の一割五分を越える上昇、他方は農村における農産物価格の引上げ並びに豊作が積極的な原因となり、消極的な原因としては、昨年行われた個人の所得税の減税、この両要素が働きまして、プラス、マイナス両方から個人の消費購買力を上げておるわけであります。どの要素が数量的に大きいか、的確なデータを持ちませんが、いずれにいたしましてもその二つの要素が大きく動いている。他方そうした消費者物価の動きは、農村におきましてはほとんど停滞ぎみでございます。都市におきましてはCPIの動きはこれまたごくわずかな上昇傾向でございまして、従つて家計消費水準は昨年におきまして一割前後の上昇を続けておるのでございます。ところがこの増加した消費購買力の支出面を検討いたしてみますると、御承知のように、消費者の購入いたしまする商品並びにサービスが、所得の増加に伴いましていかなる反応を示すか。これを学者の言葉で行きますると所得弾性値と申しますが、この所得弾性値の動きを見てみますと、増加所得というものが、現在はむしろ被服関係、住居関係並びに雑費——これはいろいろな要素がございます。交通費もございましようし、文化修養費もございましようし、あるいは学校の教育費等もございます。また日常の化粧品などもあるかもしれませんが、そういうものに向つておるようであります。ところがこの向け方の検討をいたしまして、弾性値の高い品物につきましても、被服の消費者物価の指数は昨年はむしろ下つております。ことしもおそらく上らないだろうと思つております。と申しますことは、需要の増加にかかわらず、むしろ供給がこれに追いついて参りまして、価格を上げない傾向に相なつておる。先ほど申し上げましたように、野菜等の副食の方は、昨年の所得弾性値を見ましても、非常に低くなつております。従つてこれも上るけはいはないだろう。ただ遺徳ながら先ほど申し上げましたようなサービス関係のものの上昇と、それから年末におきまする木炭、まき等の季節的な値上りが、消費者価格、例のCPIの値上りにあずかつて力があるだろうと思うのであります。  それから先ほど菊川委員のお話がございましたが、私は生産財の物価は上るとは申し上げないのであります。これは指数作成の技術でありまして、われわれも大多数の生産財はむしろ供給過剰ぎみで下るだろう。従つて常識から見ますと、指数は下るはずでありますが、いかんせん建築資材関係の値上りの幅と、それからこのウエートとが大きいものですから、結局日銀卸売物価指数の生産財の方は横ばいだ、こう申し上げたのであります。これは先ほど価格が上昇するのに独禁法を緩和するというお話でしたが、私はむしろ下りぎみであるからこそ、安定のためカルテルを行うけはいも見えるわけでありまして、それが昨年の綿糸に見られましたような、いわゆる突発的な事態に処して一時応急の結果を講ずる必要がある。その事態がなくなれば、その認可を取消すという形の処置を必要とするのではないかと考えております。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 政府委員の方にお願いしておきたいのですけれども、どうも問題のポイントがはずれてしまつておるように思うのです。今の質問は購買力との関連性を聞いておる。今のお答えは、たとえば供給が消費を上まわる状態なり内容なりの質問であれば、今のお答えでいいのですけれども、全然質問の内容が違つておるのです。貴重血時間でありますから、錯綜しないように、質問の内容はよくキヤツチしてもらいたい。これはお願いなんです。

小笠公韶自由党

○小笠委員 値上りの要素の中に、特に標準家計におきまする生活費上昇の主たる原因が、公認サービス料というようなものに中心があるというふうなお話があつたようでありますが、しからば標準家計におけるそれら公認サービス料の占める割合をどのくらいに考えておるか。

岩武照彦総理府事務官(経済審議庁調整部長)

○岩武政府委員 ちよつと御質問の点、恐縮でございますが、後刻お答えさしていただきたいと思います。

小笠公韶自由党

○小笠委員 けつこうです。

佐伯宗義改進党

○佐伯委員長 他に御質疑はありませんか。——他に御質疑がなければ、午前の会議はこの程度にいたし、午後一時三十分より開会いたします。  暫時休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕

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