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16回国会衆議院1953/06/18

外務委員会郵政委員会連合審査会 第1号

発言数
77
登壇者
7
会派数
3
開催日
1953/06/18

会議録

上塚司自由党

○上塚委員長 これより外務委員会郵政委員会連合審査会を開会いたします。  慣例によりまして私が委員長を勤めますから、さよう御了承をお願いいたします。  千九百五十二年七月十一日にブラツセルで締結された万国郵便条約及び関係諸約定の批准について承認を求めるの件を議題といたします。政府側より提案理由の説明を求めます。飯塚政府委員。

飯塚定輔自由党郵政政務次官

○飯塚政府委員 ただいま議題となりました万国郵便条約及び関係諸約定の批准について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  わが国は、一八七七年以来万国郵便連合の加盟国となつておりますが、現行の万国郵便条約及び関係諸約定を改正するため昨年五月からブラツセルで開かれました万国郵便連合の大会議にも代表者を参加せしめ、同会議で採択されたこの万国郵便条約及び関係諸約定に署名いたさせました。  この条約は、現行条約と同様万国郵便連合の組織及び構成を規定するとともに通常郵便の業務を規律し、また関係約定はその他の特殊業務を規律したものでありますが、五年前のパリ会議で採択された現行条約及び約定の実施の経験にかんがみ、今日の事態に適応した改善を加えております。  この条約及び関係約定は本年七月一日から実施されることになつておりますが、わが国の国際社会復帰以来海外との郵便物の交換が目々増加の跡をたどりつつある現在、これら条約及び約定を批准し、郵便連合を通じての国際協力を維持、増進することは、わが国にとりきわめて有意義な措置と認められます。  よつて、この条約及び関係諸約定の批准につき御承認を求める次第であります。右の事情を了承せられ、御審議の上本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。

上塚司自由党

○上塚委員長 これより通告順によりまして、本件に関する質疑を許します。吉田賢一君。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 私は以下二点につきまして、政府の所見をただしたいと思います。この配布されました万国郵便条約という資料によつて見ますると、最後の署名国の箇所には、まだ署名していない国といたしまして、ドイツ、それからサウデイ・アラビア王国それからジヨルダン・ハシエミツト王国、リビア、イエメン、以上の国が載つております。そこで、日本はもちろん署名しておりまするが、日本とこれらの国々との郵便物の交換については、どういうふうになさることになつておりますか、まずこれを伺つてみたいと思います。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 お尋ねの日本とこの条約に署名しておりません国との関係、それと同様な問題が実は日本とこの条約を七月一日以降いまだ批准しない国との関係につきましてもございます。私から申し上げるまでもなく、国際郵便と申しますものは、世界の諸国が同日に同じ条約規則を実施することによつて、初めて完全な国際業務の運営を期し得る次第でございます。しかしながら純粋の法律論といたしますと、御指摘のこの条約を署名しておりません国及び七月一日になりましてもまだ批准しない国との関係におきましては、依然として五年前のパリー条約がその関係を規律するという法律上の関係になつております。しかしながら伺いますところによりますと、それではいかにも不便であるというので、事実上は各国の郵政庁におかれまして、新しい規則をあたかも批准しあるいは署名したと同じような取扱いを行つて、国際間の郵便業務の運営の円滑な進行を期しておられる、そういうよう承知いたしております。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 事実上署名しない国あるいは未批准国との間に郵便の交換ができておるとすれば、これは条約に根拠のない郵便物の交換、こういうことになるのでしようか、条約との関係解釈あるいは国際慣例というのですか、それは合理的にはどういうことに根拠を求めたらよいのでしようか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 御承知のように郵便条約は、大体五年、ことに大会議を開きまして改正しております。でございますから改正されましても、大部分の原則は前の条約と大して違わないわけでございます。でございますから、七月一日にまだ署名しない国及び批准しない国との間に、前の条約を適用する場合と新条約を適用する場合とは、実際面におきましては大きな差違はないわけでございます。そこで先ほど申しましたように、法律関係といたしましては、まだ署名していない条約あるいは批准していない条約の拘束を受けるということはあり得ないのでございますが、各国の郵政庁も事実上の不便を避ける意味におきまして、事実上の取扱いとしまして、七月一日以降は一斉に新しい条約及び規則を事実上採用する、そういう措置が今までの条約の改正の都度とられておつたように伺つております。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 事実上取扱つておられ、また取扱うことにつきましては、それは政府間にさようなとりきめをしたのか、お互いに何らかの意思表示があつて協定でもしておるのかどうか、自然にまかしてあるのかどうか、その辺を明らかにしてもらいたい。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 私からただいまの下田条約局長のお答えに補足的に御説明をいたしたいと思います。郵便条約と申しましても、この中にはいろいろ種類の違つたものがあります。最も一般的な普通の手紙のやりとりというものについては、それを差出した国が料金を全部とつてしまう。従つて相手国はそれを配達しましても、何らそれに対する反対給付がない。お互いに郵便というものは、出されれば必ず返事があるという大数的な見地に立つて考えられておるわけであります。そこで条約に加盟してない国とは、しからば全然郵便は通じないかといいますと、そうはなつておりません。これはたとえば、昔満州国というのがありまして、満州国はどうしてもこの郵便条約に加盟が認められなかつたわけであります。しかし満州国の切手を張つたものが、やはりヨーロツパヘも、アメリカヘも行つた。それは日本の郵政庁が、満州国に対する責任を負うという形で、日本を媒介として行つたわけなのでございます。そんな形で、この郵便条約には加盟しておりませんでも、少くともそこに一つの交通路があり、郵便物を運んで行くことがあり、そしてどこか接続国が自分が媒介しようという態度をはつきりいたしますれば、その郵便は第三国に向つて出るということは可能でございます。それは条約上も認められておつたわけであります。その責任は仲介国が負う。ただ小包郵便とか損害賠償を伴う書留郵便とかいうことになりますと、これはやはりお互いに取分というものが起つて参りますので、これはやはり条約に加盟していないと、直接これと取引することは困難になつて来るわけでございます。それは別に条約上の問題として私どもは違法とは解釈しておりませんし、条約もそういうあり方を認めておるわけでございます。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 そうしますと、七月一日までに批准を終えない国、あるいは署名していない国に対する郵便物の交換については、今おつしやつたように、仲介するような国なり、いずれにいたしましても、それがどこかの径路があつて出す国でありまするか、その国として一種の国際的な事務管理的な仕事をするということの責任を負うという趣旨が、この条約上にあるわけでありましようか。さような御説明のように今聞いたのですが、条約の中にそういう趣旨が含まれておるのでしようか。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 お尋ねの点は、先ほど私が申しました、たとえば条約に加盟していない国というものをある国が仲介することが条約上認められておるかということでございますが、それは私は条約上認められておるとお答えいたしておきたいと思います。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 今のヨーロツパにおきまして、特にドイツと日本との関係は、他の小国に比較いたしまして、格段に緊密な関係にあると思いまするが、具体的に西独と日本との郵便物の交換の実情、あるいは進んで東独と西独の間、日本と東独、これらの関係につきまして、一応御説明願つておきたいと思います。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 お尋ねのように、日本と西独との間においては、郵便に関してもいろいろと深い関係を持つておるわけでありますが、現在のところは条約上ドイツが正式にこれへの加盟を認められておりません関係上、ドイツヘは先ほど申しましたような意味合いで、通常郵便物は参つております。しかし小包とか書留とか、そういう特別のものは、現在直接交換はいたしておりません。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 小包とか書留というものについては、直接扱わないことに事実はなつておりますが。現実にあればどうするのですか。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 現在残念ながら、送る道は直接ありませんです。従つてもしもそういう小包とか何とかをお送りしたいという場合には、残念ながら、小包約定その他が復帰するまで、われわれとしては待たざるを得ないという関係になつております。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 日本の対外貿易との関係から見ましても、ドイツとの通商をすみやかに盛んにすることは、最も重要な課題であろうと思います。単に通常郵便物だけでなくして、その他広汎なる郵便物の交換ということが、特にドイツとの間において、すみやかに道が開かれることが、日本としては必要ではないかと思います。しからばその打開策について、どういうふうにお考えになつておるか、はつきりとお答えを願つておきたい。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 ドイツにつきましては、特にこの条約の第十九条に、「条約及び約定への加入を一時的に妨げられているドイツに対し開放されている議定書」という条文が一条設けられてあります。その一には、「条約及び約定への加入を一時的に妨げられているドイツは、責任のある当局が適当であると判断する時に、条約第三条に規定する手続によることなく、これらの文書に加入することができる」。こういう一条が設けてあるのであります。実はパリ条約のときには、これと同じ条文が、ドイツ及び日本という形であつたわけでありますが、日本はパリ条約が締結されたすぐあとで、当時の日本の占領軍当局が、これはさしつかえないという通告を、スイス政府にいたしまして、それによつて自動的に日本は郵便連合に復帰したわけであります。ところがドイツについては、いろいろ政治的な問題が、日本よりも複雑でありまして、今日に至るまで、まだ「責任のある当局が適当であると判断する」ということに対する正式な措置がなされておらないわけであります。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 そこで政府としましては、通商貿易等の関係を見ましても、あるいは各般のヨーロツパへの旅行者の便益から考えましても、すみやかに何らかの適当なる打開の策を講ずる必要があると思いますので、何らかの御用意があつてしかるべきだと思いますが、重ねて、伺つておきたいと思います。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 まことにごもつともな御意見と拝聴いたしました。実際上の関係から申しますと、ドイツは依然として三国の管理を受けておりまして、そのために日本が単一の連合軍司令部によつていち早くパリ会議後に連合への復帰が認められたのと違いまして、非常に複雑な国際情勢を反映した管理のもとに服しておるわけでありまして、そのためにドイツが早く復帰できないことは、まことに日本としても不便きわまることでございます。しかしながら伝統的にドイツは連合の正常なメンバーでございまして、日本はアメリカ、イギリス等とは小包あるいは為替等の面におきまして特別のとりきめを締結いたしましたが、ドイツとの間にはかつてそういう特別なとりきめを締結したことはございません。常に郵便条約並びに関係約定の一般的規定で円満に日独間の郵便を処理して参りました。そういう関係でございますから、日本としてはあくまでもすみやかにドイツが連合に復帰してくれるのを願つて今日まで参つたわけでございます。しかしながら、将来いつまでもドイツがこのように連合に復帰し得ないという事態が継続いたします場合には、御意見の通りに何らかの措置を考慮せざるを得なくなるのではないかと存じております。ただ郵政省におかれましても、外務省におきましても、何か特別なとりきめをしようという考えは目下のところはございません。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 西ドイツにつきましては英、仏、米との関係もありましようから、その辺を通しては今のような普通郵便物以外の交換についての新たなる方法はないものでしようか。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 小包などの交換につきましては、たとえば日本である小包を引受けますと、その料金の内容を一々こまかく各国へ分収するといつたようなことがありまして、どうしてもこれは直接相互においてそういう形が許されないと、第三国を仲介して行くというふうには簡単に行い得ないというのが、現在卒直に申しての実情でございます。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 それから東ドイツとの関係もございますが、それとあわせてソビエトとの関係についても伺つてみたいと思いますが、これによりますと、ソビエトは署名国になつております。そこで国連との関係において、日本が国連に加盟しておりませんのは、これはソビエトの反対に由来するものと思うのでありますが、国連との関係なく郵便連合はお互いに署名しております。そこでソ連と日本との郵便の交換の状況、これは現実にはどういうふうになつておるのでしようか。同時にこれは東独との関係も似たことではないかと思いますが、あわせてひとつ御説明願いたい。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 お尋ねのように、ソビエトは郵便条約に関する限り連合国の一員であります。そこで通常郵便の交換につきましては日本は他の国と同じような形でもつて現在交換をしております。これは一般通常郵便のことでございます。但し小包郵便につきましては、ソビエトは従来この万国郵便連合に関する小包郵便約定というものを批准しておりません。日本との関係におきましては、ずつと昔から日ソ小包約定という特別約定をもつて、小包郵便の交換をしておつたわけでありますが、これも戦争後ずつと中絶しております。そこで現在のところソビエト向けに直接小包を送る道はないわけであります。ただ現在ソビエトに残されている方々、これを国際法上どういうふうに身分を定義するか、いろいろ問題もありましようが、その方々についてのみこれは人道的な立場から特別無料小包として出すということを話合いまして、これはもちろんスイス郵政庁を媒介として話をつけたわけでありますが、ことしの二月以降ある一定の数量を限つてソビエト向けにこれを送つております。ただ一般的な小包というものは残念ながら日ソ小包約定というものが効力を失つておるとき、これを交換する道はございません。同じようなことは東独についても言い得ると思います。一般郵便物につきましてはモスクワを仲介して行く場合もあるでしようし、西独を仲介にして行く場合もあるかと思いますが、小包、書留といつたような特殊郵便物については今のところ直接送る道はないと思います。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 そうしますと、ソ連に抑留されております多数の同胞との間の普通郵便物は、実情においては任意に通常の状態で交換されておるのですか。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 私どもの方としてソビエトあてに郵便物が出された場合におきましては、通常の方法で向うへ送達しております。但しその国の国内法上ある種の検閲その他のためにあるいは何でも自由に相手方に届くという保障はちよつと私どもとしてはなし得ないと思います。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 現実には郵便物の交換の数量は相当数にのぼつていて、これは円滑に行われておるのでありましようか。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 現在もちろん一般的な商取引関係のそういう通信はほとんどありません。ただ向うに現在抑留されておる方々との間に通信があるわけであります。これは特に向うに抑留されておる方々の希望によりまして向うから一定の往復はがきのような書式のものを送られまして、自分あての通信は必ずこれに書いてくれ、そうでないとはたして手に入るか、どうかわからないということを向う側から要望がありますので、従つて内地から出される方も必ずそれによつて書いていらつしやるというのが実情でございます。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 最後にもう一点だけ伺つておきます。ソ連に抑留されておる多数同胞の郵便物に関してはスイスを経由していろいろ交渉をなさつたらしい。そこでそれらの人に対する身分は俘虜として規定したのか、そうでないのか。しからばどういう身分となさつたのか。俘虜ならばこの条約によりまして一つの取扱いを受ける対象になつておるようでありますが、その点はどういうことになつたのでありましようか。伺つておきたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 いまだソ連に抑留されております日本人の身分につきましては、実はソ連はどう考えておるか、はつきりしないのであります。しかしながらソ連側の言い分によりますと、現在ソ連に残つておるのは二千数百の戦犯者があるのみだということを言つております。従つてこれを捕虜と見ますか、あるいは被抑留者と見ますか、この点につきましてはソ連の明確な見解の表示がございません。彼らは戦犯者であるということを言つておるだけでございます。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 スイスとの間にそれらの人たちを対象にして郵便物をめぐつていろいろ折衝なすつたらしいが、スイス側の身分についての見解、そういうものも現われることなし済んだのでありましようか。それを伺つておるわけであります。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 御指摘のごとくこれが正式の俘虜なり、あるいは俘虜でなくしても、戦争または内乱に伴う市民としての抑留者であるという、そういう身分のはつきりとしたものでありますれば、もちろんこの条約関係において割合にこれはスムースに参ります。ただ先ほど下田局長からのお話もありましたように、現在ソ連はもちろんこれを捕虜という解釈はとつておらないようであります。極力そういう言葉を使うのをきらつております。それから向うから来る郵便物につきましても、これを万国郵便条約上認められておる正式の俘虜郵便という形を避けておるようであります。ただしかし、実体は、やはりそういう戦争に伴う身分を抑留されておるという事実は否定できないわけでありますから、実際問題としては、俘虜に準じた扱いを郵便法上はソ連側もしておる、私どもはこう解釈しております。なぜなれば、向うからわざわざ一種の俘虜郵便に準じたような形のものを送つて来るところから見ると、向うもそういうふうに解釈しているのではないか、そこで私どもはスイスを介して議をしたときには、いろいろそういう点、観念上の争いはあるかもしれません。しかし、郵便というものの持つている一つの人道主義的な立場から見まして、たとえどちらのカテゴリーに入ろうと、現案にそういうようにソ連に何人か今日といえども帰れない人があるじやないか、それに対しては条約の正面から見ると、俘虜であるとかないとかいう議論を別として、俘虜に準じた取扱いをしてもらいたい、かように私どもの方からは申入れたわけであります。そこでソ連側もわかつた。両条約上の俘虜とか抑留者とかいう観念争いは抜きにして、事実上それと同じような扱いをしようという形で無料小包の送付を開始したわけであります。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 それと関連いたしまして、もう一つだけお伺いいたします。これは中国となつておりますが、この中国というのはどの方ですか。中共とすれば、今ソ連についてお尋ねしたと同じような問題があるんじやないかと思いますが、これらにつきまして一連の関係を御説明願いたいと思います。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 実は郵便条約関係は、政治的の関係と切り離して、伝統的にもつぱら国際郵便の業務遂行に便ならしめる見地から、非常に政治的観念を離れて取扱われております。御承知のように、日本が中国を占領しておりましたときにも、汪精衛政権下の中国と、蒋介石政権下の中国との間の郵便物は自由自在に行つておりました。これは郵便条約の大原則として、万国郵便連合の領域は加盟国の全領域である。その加盟国の領域の一部がある政権に支配され、他の一部が他の政権に支配されているという政治的観念を抜きにいたして、加盟国の全領域が郵便連合の全領域であるということになつております。従つて事案問題として郵便物が行くことが可能であれば、どこまでも郵便は行くわけであります。そこで現在は、大陸の中国と日本との間の郵便物は、香港を仲介といたしまして、普通郵便物も航空郵便物も交換が行われておるわけであります。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 私はこれで終ります。

上塚司自由党

○上塚委員長 次は、田中織之進君。

田中織之進日本社会党(左)郵政委員長

○田中(郵政)委員長 ごく基礎的な問題から教えていただきたいのですが、一八七七年に万国郵便連合に加盟して以来、日本は万国郵便条約を批准して、それに従つて来たと思うのです。先ほど吉田委員の質問に対する条約局長のお答えから、敗戦に伴つてそれが一時中断したが、占領軍の了解があつて、再び復帰することにきまつたということですが、その復帰することにきまつたのは正式にはいつなのか。十八七七年に加盟して以来、この郵便条約に関連する郵便に関連する国際条約には、どういうようなものが締結されておるか。それから五年前のパリで改訂されたものに占領軍の承認を得て復帰したときに自動的に日本もそれに加盟するという形になつたものではないかと想像されるのでありますが、これも先ほどの吉田委員の質問に関連をいたしますけれども、新しくブラツセルで改正されたものに対する署名はしておらなくても、五年前のパリにおける条約に加盟しておるものは、改正点は別として依然として効力があるような御回答もなされておつたようでございますが、その間の事情についてお答えを願いたいと思います。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 日本は八十余年前から郵便連合の一員として、国際郵便に従事しておつたわけでございまするが、御指摘のようにその長い間に郵便条約並びに関係約定はいろいろな変還を経て参りました。八十年前には航空郵便などというものはございませんでしたが、時代の変遷につれまして、おのずから関係約定にも新しい約定のできたものもございますし、前の約定が引続き続いておつて、ただ内容がかわつたというのもございます。また御質問のいつから日本は郵便連合に復帰したかという点は、たしか一九四八年だつたと思います。復帰しますと同時に、今まで日本が過去において加入しておつた条約並びに約定には自動的に復帰したわけであります。それから昨年のブラツセル条約、これには日本は当初から――ここにおられる松井郵務局長も代表の一人であられたのですが、当初から会議に参加いたしまして、条約、約定ができましたときには、加盟国として当初から署名しておるわけでございます。従いましてもしこの条約並びに関係約定の御承認が七月一日前に得られますならば、この新条約発足の当初から日本は新条約の当事国として出発できるわけでございます。もし日本が、あるいは他の国が、七月一日になりましてもまだ批准しないという事態ができますと、純粋の法律的関係におきましては、依然としてそれらの国との間には、旧条約、すなわち五年前のパリ条約が支配するという関係になるわけでございます。

田中織之進日本社会党(左)郵政委員長

○田中(郵政)委員長 その最後の点でございますが、もし七月一日までに改正条約について批准が得られないという場合においては、旧条約の効力が引続き有効であるということは条約に明記されておるのですかどうか。その点は、次にお伺いしたいと思つていた条約の批准に伴う義務関係その他の批准に伴う効果は、一体どういうところにあるのかということに関連するのですが、もし七月一日までに批准が得られない場合には、旧条約が引続き効力があるというのは、旧条約のどこかにそういう規定があるのかどうか、同時にお答え願いたいと思います。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 今回の条約もそうでございますが、今までの条約も条約の有効期限は何ら書いておりません。従いまして、黙つておればいつまでも継続して行くわけであります。ところが新しい条約には、必ずこの条約が効力を発生したときは前の条約は廃止するという規定があるわけでございます。ところが、前の条約を廃止するといつても、条約に加入した国でなければ廃止するということは言えないわけでございます。従いまして、批准しない国については、この前の条約を廃止するという規定が効力を生じません結果、自然前の条約が有効に引続いておる、そういう関係になるわけでございます。

田中織之進日本社会党(左)郵政委員長

○田中(郵政)委員長 それでは次にお伺いをいたします。私らに配付していただいた資料の中に、この万国郵便条約及び関係諸約定のうちに規定されておる業務のうち、まだ取扱いを実施していないという項目が五つあげられておるのであります。そのうちで、一、二はただちに実施せられるようにも理解せられるのでありますが、第三の代金引換郵便物に関する約定等は、目下のところ実施する運びに至つていないという説明がついております。かりに七月一日までに国会がこの両条約の批准を承認した場合に、これらの実施していない業務というものは、全面的に批准と同時に実施に移されるのか。批准をしておいて実施しない事項が出ることはちよつと不合理であると思うのでありますが、その間の事情を御説明願いたい。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 この万国郵便条約並びに附属の約定は、何と申しますか、批准した以上強制的になされる部分と、それから任意的な規定と、この二つに大体わかれておるわけであります。条約自身並びに条約の中の通常郵便に関する規定というものは、通常郵便に関する規定の中には、部分的には任意的な規定もありますが、大体においてこれは義務的に実行、実施しなければならないというものであります。ところがほかの問題につきましては、任意規定になつておる関係上、いろいろと実施の場合については、当然国が同意した場合においてはというふうな関係が非常に大きくなつております。事実ここに御指摘の代金引換郵便物に関する約定というのは、日本としては、もちろん署名した以上はこれを実行したいわけでありますが、これの裏づけとして郵便における為替取引というものがある程度自由になされなければこの事務が円滑に行かない。ところが日本においては、この四に出て来る郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定というものについていいろいろ為替管理上の問題で今日まだ完全に自由に送金問題がなし得ないという関係から一時的にこの業務の実行が妨げられておるということでございまして、もちろんそちらの方の問題さえ解決いたしますれば、この業務はすぐにでもやりたい、かようなものであります。

田中織之進日本社会党(左)郵政委員長

○田中(郵政)委員長 そうすると、一、二の事項等は、現在は取扱われておらないが、批准と同時にただちに取扱いを開始される準備ができておる。そういうように了解してよいわけですか。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 この一、二に書いてございますのは、大体先ほど申し上げました中の任意規定になつておるのでありまして、これを批准した国がやろうとやるまいと自由になつているのであります。従つて日本としても、これをやろうと思えばいつでもやつてさしつかえないのでありますが、ただここに書いてありますような問題は、日本の国内業務との調整上、さしあたり日本としてはこういうものはやらない方が業務取扱い上よいんじやないかというような意味合いでこれを留保して適用をしない、しようと思えばいつでもできるわけであります。そういう意味合いでここにあげてあるわけであります。

田中織之進日本社会党(左)郵政委員長

○田中(郵政)委員長 それではちよつと角度をかえて――先ほど条約局長の答弁の中にもちよつと言葉が出て来たのでありますが、万国郵便条約と、各国が行つておる郵便物に対する検閲制度との関係であります。日本では講和発効後そういうことは見受けませんけれども――占領中であつたからやむを得ないには違いありませんが、われわれ国内の関係においても、いわゆる占領軍の検閲を受けておつたわけであります。私今年の一月ビルマヘちよつと行つて参つたのでありますが、ビルマにおいても一種の検閲制度が行われておるようでございます。ソ連のような国においては、先ほどの条約局長の答弁によりますと、厳重な検閲制度がしかれておるようでありますが、万国郵便条約の関係から見まするならば、それは各国の任意的なものなんでしようか。国際的な郵便の円滑を期するという点から見まするならば、一国の特殊的な事情その他によつて、また政治的な関係その他によつて郵便物の検閲制度というようなものが行われることは、これは民主主義のルールにも反するし、人権の問題としても大きな問題だと思うのであります。検閲制度の問題は、条約審議の過程においても問題になつたことと思うのでありますが、それはどういう事情になつておるのですか。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 御指管のごとく、郵便の円滑な運営ということから見て、検閲制度が好ましくないということは、私ども過去の経験から痛感しておるところであります。そして郵便の関係者としましては、そういう問題のないことが好ましいのでありますが、しかし検閲というものは、本来から申しますと、むしろ郵便外の要求から強く出て来る問題であります。そこで万国郵便会議におきましても、もとよりそういうことのないということが好ましいのでありますが、しかしそれは各国国々の郵便外のいろいろな形から出て来る問題でもあり、各国の主権というものを郵便の条約でそこまで縛り切るということは、やはり今日の実際問題としてできないというので、検閲に関する問題は、これは各国の自由にまかしておるというのが郵便条約の建前になつております。

田中織之進日本社会党(左)郵政委員長

○田中(郵政)委員長 その点は、こういう国際条約を締結するときにはやはり各国の、もちろん主権の強力なる部面でありますけれども、郵便物の国際的な交換の円滑という点から、もし次の機会等がありまするならば、そういうものについて国際間の検閲制度に対し一つの規正を入れていただくように、これは希望しておきたいと思います。  それから最後に一つ、これは事務的な問題でありますけれども、この条約を批准して行う郵便物の交換に当つて、料金は受付けた国の収入というか、それで目的地まで送られて来るその間において配達を受けた国が実際は特別に配達料をとるわけではないだろう、そういうように私は了解するのであります。たまたま私今年の一月、カルカツタで日本あてに絵はがきで数十通通信をしたわけなんです。カルカツタの飛行場の外の郵便局で、飛行機の乗り次ぎの時間中、飛行機の中で書いたやつを持つて行つて、片言交りの英語で料金を聞いて、ちやんと受付けてもらつたのでありますが、それがたまたま私の郷里へ配達されて参りますと、どういう計算の違いであつたのか料金不足ということで、一律に十九円五十銭ずつの超過料金がとられておるわけであります。絵はがきでたよりを受けたのはよいけれども、三十円罰金をとられたということで、かえつてたよりを差出した方面に迷惑をかけたような結果に、実はなつておるのであります。これは私、国内の場合には、ままあるといたしましても、それは何かのミスで了解できるのでありますが、これは勢い万国郵便条約に関連したことでありますが、インドで正規の請求されるままの料金を払つて出した航空郵便が、日本へ配達されて来たときに、どういうわけか、料金が不足だということで、日本の郵便局の方から十九円五十銭――わずかな金額ではあるけれども、はがき一枚五円の慣例から行くならば、二十円の超過料金をとられるということで、それだけ印象には残つたかもしれませんけれども、私どもから見れば、実はたいへん迷惑を受けておると思つておるのであります。そういう場合は、先ほど郵務局長が言われた、その郵便料金を受取つたインドの関係であつて、日本政府の関係にまで請求をして来ているということになれば、これはおかしな話で、また請求も何もないのに、たまたまそれに貼付してある切手が、いわゆる条約による規定のものにないから、日本側の郵便局が追徴金をとつたということになれば、これまたおかしな話だと思うのであります。その間の事情を、条約の中にも、料金の未納または不足の郵便物につき徴収する料金という規定があるようでありますが、その規定との関係において、ちよつと御説明願いたいと思います。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 外国郵便といつても、昔のような通常郵便のように料金の安いころは、不足料金も大した額になりませんが、最近のように航空が入りますと、相当大きな料金になります。そこで、不足というようなけちなことはやめようじやないかという議論も会議において出たわけでありますが、今日世界の各国の国内郵便の建前からも、不足料金というものは別途とる、見のがしにはしないということで、大体世界各国でとつておる関係上、やはり足りない分は別にとるということが万国郵便条約においても建前になつておるわけであります。ところで日本の郵政省の現実の運営からいいますと、はたしてインドの郵便料金がそれで正しかつたか、正しくなかつたかということを、日本の郵政省がインドの郵便料金と照してやることは、事務的に煩雑でほとんどできないことでありますから、ただ向う側からちやんとこの郵便物は料金不足により、これだけのものを追徴してくれと指示があつたものだけとつておるわけであります。日本の郵政省だけで、特別の指示がないのを、いわゆる向うの国内郵便料金とにらみ合せて、これは不足であるからとるという措置はしておりません。必ず向う側から不足の表示のあつた分について、日本側としてはとつております。こういうやり方をしております。だから、おそらくそれは、インドの郵政庁から、不足料金という一つのマークと、幾ら不足かということがついてきたのだと思います。

田中織之進日本社会党(左)郵政委員長

○田中(郵政)委員長 こまかい問題でありますが、その問題については、私も向うから何か来ているかと思つたのですけれども、親しい友人で、十九円五十銭払つた人が、これは国際郵便で、そんなばかな話はないだろうと言つて私に返してくれたのが郷里にあると思うのですが、それには、日本文字で不足と書いてあるだけで、別にインド側の――おそらく英字か何かてあると思うのですけれども、そういうものは全然ないのです。日本政府の関係だけで出ておると思うのです。それでなお、この要綱の二十三の項にありまする最終議定書第三条一によつて、料金の引上げを行つた国が云々というような関係に出て来るので、未納または不足の郵便物の料金の徴収というのは、この料金の引上げを行つた関係から過渡的に出て来る問題で、原則的な関係からは、そういう問題は、通常の場合においても、不足料金は、もし向うの方から請求があれば請求するというような建前になつておるのですか、その点を同時に御説明願いたいと思います。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 その最終議定書で引上げをやつたという意味合いは、大体外国郵便の基本料金というものは、金フランでもつてきまつております。ところが今日金フランというのは現実にある貨幣ではなくして、ある観念上金何匁を含んだ一つのフランというものを想定したわけでありまして、それをもつて基準単位にしておるわけであります。しかし今日いろいろ各国が為替統制その他をやりまして、必ずしも貨幣の対外価値と対内価値は一致しておらない。そこである国がそれを形式的に換算した場合においては、一般物価に比べて非常に安過ぎるというような料金になる可能性があるわけであります。そこでその基本料金を基準にいたしまして、上下に六〇%の範囲内においては、各国郵政長が自由に決めてよろしいということに実はなつております。ところがある国がはたして基準料金をとつておるか、上の料金をとつておるか、下の料金をとつておるかということはなかなか簡単にはわからないので――よく調べればわかりますが、そこで事務的にはそういう疑念のあるときには、基本料金を基準にする、こういうことであります。

田中織之進日本社会党(左)郵政委員長

○田中(郵政)委員長 私の質問はこれで終ります。

上塚司自由党

○上塚委員長 次は片島港君。

片島港日本社会党(左)

○片島委員 私少し送れて参りましたので、もし速記録によつて間に合うようでありましたら、一向反対すべきほどの重要な問題ではありませんからよろしくお願いいたします。  一つ、二つお尋ねしたいと思います。この万国郵便連合は国際連合と連帯関係を有する専門機関であるという説明がしてございますが、国際連合に加盟しておる国即万国郵便連合に加盟しておる国ではないのですね。たとえば日本も国際連合に関係なく入つておる。国際連合に加盟しておる国と万国郵便連合に加盟しておる国とは、一方には入つておらないが一方には入つておるという関係になつておる。万国郵便連合には、国際連合に入つておると入つておらないとにかかわらず、この連合の常設機関の方に連絡をして加盟国に認めるということになると、これは関係なく認められるものであるかどうか、ちよつとその点を伺います。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 万国郵便連合というものはすでに八十何年の歴史を有しておりまして、今日形としては国際連合の一つの専門機関というような形をとつております。しかし実は国際連合よりもはるかに古く生れたものであります。それともう一つは、郵便というものについては、できるだけお互いに一時的な政治的な問題から離れて、人類の相互の間の交通のために尽そうということがその旗じるしになつております。そこで今日国際連合に加盟しておる国はもちろん全部万国郵便連合に入つておりましよう。しかしそのほか国際連合に加盟を認められない国がたくさんあります。一々申し上げればいろいろありますが、これは国際連合に入つておる国と入つていない国と照し合せてみれば大体わかると思います。そういう国も大体主権国である限りは原則として認める。この条約の最初に書いてありますように、主権国が万国郵便連合に加入を求めた場合において、加盟国の三分の二が賛成した場合においてはその加盟を認めるという形で、大体において門戸が開放されておる。そうしてそこにはでき得る限り政治的なものは排除したいというのが強い意向になつておる関係上、いわゆる東西の諸般の対立にもかかわらず、今日主権を持つておる国というものはほとんど全部郵便連合への加入は認められておる、かように申し上げてさしつかえないと思います。

片島港日本社会党(左)

○片島委員 次に最終議定書の署名を行つた場合に、ソ連が、中国のために国民党政府が代表する、また、北朝鮮のために南朝鮮の政府が代表するということには非常に不満、反対であるというような宣言をしておるのでありますが、こういう関係は、中国本土及び北朝鮮との郵便交換関係に支障を来さないものであるかどうか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 御指摘のようにソ連並びにソ連圏諸国の、中国の代表権問題につきまして、最終議定書で宣言を行つております。これは形式的には条約に対する留保と見られるのでございますが、留保には二通りございまして、法律的意味を有する留保と、そうでない留保とございます。ソ連の留保は、単に中国の代表がソ連の認める政権によつて代表されないことに対する不満を表明したものでありまして、何ら法律的意味は有していないわけであります。従いまして、郵便の実際の業務には、この宣言を行いました結果何らの影響を持つことはないというふうに了解しております。

片島港日本社会党(左)

○片島委員 この署名の場合に、中国のために、それから朝鮮のためにという国民党政府と南朝鮮政府の代表が署名したことは、中国本土及び北朝鮮の方を両方含むというつもりで署名したものであるか、またそういうふうに各全権団が認めたものであるかどうか、この点をお伺いいたします。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 会議に出ました中国政府の代表は、全中国を代表しておるつもりで署名したものと思われます。だからこそソ連は、いやその代表は間違つておるという意味の留保の宣言をしたものと思われます。

片島港日本社会党(左)

○片島委員 それはソ連がそう思うというのと、それからほかの署名国が全部そういうふうに思つたのかどうか。向うは思うけれども、おれたちは思わぬというふうに別々の考えを持つて署名をしてわかれられたのかどうか。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 それでは私からもお答えいたしますが、もちろん中国全部を代表するという資格を承認したわけであります。朝鮮全部を代表するということを承認したわけであります。そのことと、現実において、一体台湾の政権がどの程度持つておるかという問題には若干のずれがあると思いますが、会議としては、中国を代表するものであつて、一台湾を代表するという意味合いでこの署名を認めたわけではありません。

片島港日本社会党(左)

○片島委員 そうしますと、各署名国は、やはり中国本土に対する郵便及び北朝鮮に行くところの郵便は、国民党政府ないし、南朝鮮の政府が代表しておるから、これが責任を持つて向うにも郵便を交換して送つてくれるだろう、そういうふうに信頼されてこれが署名をしておられるものかどうか。おそらく南朝鮮としては北朝鮮にあのような状態でうまく行くわけもないし、また国民党台湾政府が中国本土に対して責任を持つて郵便を送達するなどということはできるわけのものではないのであります。特に私先ほどお伺いしておりましたときに、たとえば満州が条約に入つておらなくても、日本が入つておつて、日本を通じて行つたというのは、日本と満州との関係、それから日本とその他の万国郵便連合に入つておる国との関係から見れば、日本は責任を持つて満州国に送達できたわけであります。けれども、南朝鮮や台湾の政府の場合には、中国本土や北朝鮮に対する関係とは大いに違つておるわけであります。その点について、責任を持つて向うの方に郵便を送るというのについて、こういう署名をした今日、われわれは両方に信頼を置けるかどうか、その点についてお伺いしたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 郵務局長の答弁の補足をさせていただきたいと思います。  この条約に黙つて署名した国は、国民党政府の代表を全中国の政府なりと認めたわけであります。しかしソ連やソ連圏諸国のようにそれに反対の見解を留保して掲げた国はそう認めないという意志を明らかにしたわけでございます。でございますから、いずれの政権が中国あるいは朝鮮を代表するやという点につきましては、署名国の見解は異なつているのが事実でございます。  それからただいまの御質問は、それでは国民政府は中国本土あての郵便物を責任を持つて取次ぐか、どうかという点でございますが、これは先ほど申しましたように、この条約の参加国のおのおのの国の領域は万国郵便連合のまた全領域である。それで各締約国は中継ぎの自由ということを保障しております。でありますから中継ぎだけはしなくちやならないということになつております。従いましてこれは事実の問題でありまして、中国向けの郵便物をわざわざ台湾まで持つて行つて中継ぎする郵政庁はいないと思います。事実、たとえば日本と大陸中国との間のものは香港郵政庁を媒介として行われております。従いまして政治的の見解とは全然関係なく、事実上の地理的の関係その他の便宜の点で、この中継ぎの自由が最も容易に行われる方式で行われている、そういうふうに了解しております。

片島港日本社会党(左)

○片島委員 この点で先ほどの松井郵務局長の御答弁は日本の外務省、政府の方の御意見と多少違うのじやないかと思うのですが、今の日本の政府としては台湾の政府を中国本土全部を含めた政府ということにはつきり規定はしておりません。これは吉田総理もたびたび申しております通り、大体台湾だけであつて、向うはちよつといやな政府がいるからそれとは講和条約を結ばないだけであつて、実質的には台湾だけであると、あそこはぼかしておるわけであります。日本の政府は決して台湾の政府が中国本土全部の責任を持つた政府であるというふうには今まで言明しておらぬのでありますが、そういうことはかつてに適当にこういう条約であるならば締結してもいいのであるかどうか、署名してもいいのであるかどうか、外務省の方からでもいいですからお答えいただきたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 先ほど郵務局長からも言われましたように、国際郵便というものは政治的の見解の相違を度外視いたしまして、各国間の郵便の便利のためにとりはからうというのが根本的の考えでございます。でございますから先ほど申しましたように、中国あるいは朝鮮の代表権の問題につきまして会議参加国の見解は違いましたが、しかしながら、その見解の相違はそれとしましてとにかく国際郵便の業務が円滑に遂行できるようにしたいというのが、昨年の会議の全参加国の希望であつたと存じます。事実その希望に基いて、この条約の実施も、先ほど述べました政治的見解の相違にもかかわらず、この条約の精神に基いて運行されるものと存じます。

片島港日本社会党(左)

○片島委員 中国本土への郵便物は、台湾政府が代表しておるにかかわらず、事実上香港を経由して行つておるというお話でございますが、北朝鮮とか、満洲とか、そういつたようなところにはどういうところから行つておるのであるか、こういう郵便条約というものは事実上の問題であるから、条約がどうなつておろうとかまわないで、もぐりでどこからでも入つて行ける道があるならばずるずると入つて行くという事実を認めるのである、こういうような形に了解していいのかどうか。その二つの点をお聞き上ます。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 郵便はどこからでも入れればずるずると行つていいという、そういうような表現をとられることは少し私としては行き過ぎだろうと思います。しかし郵便物というものは、相互に利益を得るものである。従つてお互いに戦争をしておる国相互の間におきましても、第三国を経由してルートのある限りは、大体交換されるというのが、郵便の持つておる一つの本質的なものだろうと思います。もちろんそのやり方、そういう形式というものについては、大体今日においては万国郵便条約というものの組織、そういうフオルムに基いてやるというのがもちろん前提となつておりますが、そうである限りは、大体交戦国相互の間においても、郵便というものはどこかにルートを持つているということは郵便の本質としてあるだろうと思います。  それから先ほどの台湾政府の問題については、これは考え方としては、万国郵便の今度のブラツセル条約における考え方というものをこの際ちよつとお話しておいた方がいいのじやないかと思います。あの会議においては中国を代表するものはだれであるかということについて、二日にわたるような非常に大きな議論が闘わされたようなわけであります。しかし大体会議は、終局的に多数をもつて可決した考え方というものは、従来のいわゆる蒋介石政府というものが、場所は今日台湾に移つておりますが、一応それが中国の代表資格を持つておるということに認めようじやないかということでありまして、その実際的な支配力というものがどの程度あるかということは、別問題であるということで、あの会議ではそういう処理をしたわけであります。

片島港日本社会党(左)

○片島委員 北朝鮮、満洲についてはどういう径路で行つておるのですか。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 北朝鮮については、今日こちらから送る便が残念ながらありません。先ほど申し上げましたように、一つの経由ルートがある限りは、やはりどこかの国を経由して送つてあげるということは郵便事業に従事しておる者の本務でありますが、ただ動乱地帯というものになりますと、郵便自身の安全性というものが必ずしも保証できないという意味合いから、一時的にそういう戦乱地帯に対する郵便物の送達というものは停止するというような措置をとつております。そこで北鮮あての郵便物については、現在そこの状態にかんがみて、必ずしも安全にその郵便物が送達できるという確信がないので、一時今停止しております。しかし休戦ができた後には適当なルートを求めて、そちらへの便を差立てることは考究いたしたいと思います。

片島港日本社会党(左)

○片島委員 満洲はどうですか。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 同様でございます。

片島港日本社会党(左)

○片島委員 ほかの問題でお聞きしておきたいのでありますが、郵便連合に入つておるための経費をどういうふうに支出するかということが、十八条に書いてございますが、この一単位というのは大体どのくらいの経費に相当するものでありますか。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 今度の新しいブラツセル条約においては、一単位が千四百二十金フランという形になつております。大体一金フランを百三十円として計算いたしますと、この一等負担単位の二十五単位というものは、三万五千五百金フラン、日本金に換算いたしまして約四百三十六万円という額に相当するわけであります。

片島港日本社会党(左)

○片島委員 日本は一等の二十五単位に入つておるわけでありますか。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 わが国は戦争前においてはもちろん一等負担金を持つておりました。終戦後。パリ条約に復帰する場合においても、全加盟国はぜひ日本を一等負担金にしてもらいたいという申入れがありまして、日本もそれを受けて今日一等の負担をしておるわけであります。

片島港日本社会党(左)

○片島委員 どうもそういう点だけを――おだてられて金を払うところだけ一等負担金を負担するというのは当らぬと思うのでありますが、そういうことをきめられているのならば、そう大した金額でありませんから了承いたします。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 ちよつと関連して。今の負担金は条約を批准しましたら、今年分を支払うことになるのですか。予算措置は講ぜられているのかどうですか。

松井一郎郵政事務官(郵務局長)

○松井政府委員 パリ条約においては、若干換算率は違つておりますが、日本は一等として四百万円程度のものをやはり負担しております。この基本的なものはかわらない限り、これは国際間の義務としてやらなければならぬというので、予算的にも見込んでございます。

上塚司自由党

○上塚委員長 ほかに御質疑はございませんか。――御質疑がなければこれにて本連合審査会は散会いたします。     午前十一時四十七分散会

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