外務委員会 第32号
- 発言数
- 206 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1953/10/28
会議録
○上塚委員長 これより会議を開きます。 本日は国際情勢等に関する件について、政府当局に対し質疑を行うことといたします。まず岡崎外務大臣よりMSA交渉に関する中間報告、並びに日韓会談に関する交渉経過について、その報告を求めたいと存じます。岡崎外務大臣。
○岡崎国務大臣 MSAの問題につきましては、この前九月の初めに申し上げたのですが、その後も引続き協定文その他については交渉を続けておりまして、大体において意見は近づきつつありますが、いわゆる顧問団の性格とか、顧問団の任務、顧問団に要する費用等については、まだ双方の——こちらは大体意見がありますが、アメリカ側は政府に請訓しておるようで、まだ向うからの確答がありません。それから日本の経済とMSAとの関係について、いかにこれを表現するかということについても、まだ結論を得ておりません。その他多少一、二こまかい点ではありますが、大体においてはその方面の話合いはまとまりつつあるのであります。そこでそのうちにこのMSAの五百五十号といいますか、アメリカ側が農産物を政府で買つて、それを希望する外国政府に売り渡すという問題がありますので、これもちようど折から国内でも不作の状況でありますので、この農産物を相当量手に入れてみたいという考えも持ちまして、その方面の話も並行して続けております。これは要するに考え方としては、外貨を支払わないで麦等を入手するのでありますが、そのかわりに円でアメリカ側に支払うということになります。そこでその円は国内に積み立てまして、それでもつて何に使うかという問題になるのでありますが、これは日本の防衛力の増強に使うという点もありましようし、あるいはその他の国の域外買付に一部使うという考え方も出て来るわけであります。また防衛力に関連して、日本の工業方面にその一部を使うという考え方もあるわけでありまして、これらの条件とかあるいはアメリカの小麦の値段が高いのでありますから、それを国内でさばく場合には、買上げ値段よりも安く売らなければならないわけであります。その間の調節をどうするかという点もあります。また日本国内には小麦は手持ちも相当ありますし、また小麦協定によつて入手するかなり安い小麦もあります。またフリー・マーケットで買えば、カナダ等非常に安い小麦もあるのであります。従いましてこの値段という問題も、なるほど外貨はいらぬわけでありますから都合がいいし、またそれをいずれは必要である国内の防衛のいろいろの費用に使うということであれば、これもさしつかえないと思いますが、しかしこれらの点についてはいろいろ今交渉いたしております。 なお、どういう種類のMSAの援助を求めるかということにつきましては、来年度におきまして保安庁においてただいま防衛力漸増の計画を立案中であります。従いまして、アメリカの会計年度と日本の会計年度は違いまして、日本では来年度でありましてもアメリカでは本年度の会計に入る月がありますから、従つていずれそういうものができるとしますれば、その前に援助の内容をきめても、またそういうものができると、さらに新しく援助の追加を必要とする場合もありましようので、そういう保安庁の方の計画が定まり、予算等の見通しがつく場合には、一括して交渉した方がいい場合もありましようので、この点もにらみ合せてただいま研究中でありまして、こういう点はもうそうおそからざるうちに結論が出ると思いますが、ただいまはそういうぐあいで、まだ諸般の問題についての結論には達しておりません。 他方日韓会談につきましては、ここにおります久保田参与が主としてこれに当つたのでありますが、御承知のように、日韓会談の内容としては大体五つの問題がある。つまり基本条約の問題、それから財産権請求権の問題、漁業の問題、それから日本におります韓国人の国籍とか、処遇問題及び船舶の問題、こういう五つの問題がありますが、これがなかなか話がつかないで今日に至つておりますところが、ちようど漁期にあたりまして李承晩問題が再びむずかしくなつて参りましたので、このほかの問題はしばらくおいて、漁業問題だけを話し合おうという申入れをいたしましたが、先方はやはり五つの懸案について会談を行うならば応じようということでありましたから、日韓会談を全般の問題について再開することをこちらも承知いたしまして、十月の六日から話合いを始めたわけであります。始めましてもまず漁業問題を先議しようと提議いたしておりましたが、結局これも先方は全部の問題を同時に話し合いたいということでありましたので承知いたしまして、本会議及び分科会をつくりましてこれらの問題を討議いたしました。しかるに先方では依然としてこの原則論にのみ終始いたしまして、なかなか実際的な話合いに入らないのであります。ことに請求権につきましては、韓国側が日韓併合後三十六年間の統治において受けました被害に対する損害賠償といいますか、賠償請求権を保留しておるのだからというようなことを言い出しまして、普通の請求権以外の問題にまで議論を及ぼしましたので、こちら側でもそんな不合理なことはないという主張をいたしましたところが、これを口実にして、どうしても日本側でその発言を取消して、悪かつたと言つてあやまらなければ、もう会議は続行しないという態度をとつて来たのであります。われわれとしましては何も間違つたことを言つているわけでもないし、あやまる理由は一つもないのでありますから、それをあやまるということはできないのでとうとう会議は不調に終りました。残念なことは、ちようどその翌日日本側としては漁業問題の分科会を開いて、かねてから言つておりますような漁業に関する積極的な、しかも建設的な提案を出そうといたしておりましたところが、そういうようなわけで会議が続行不能になりましたので、漁業問題についても実際的な討議に入れない事情になつてしまいました。もつとも韓国側の今までの会議における発言等から見ますと、かりに実際的な提案をいたしましても、これに応じてまじめに討議をするかどうか、はなはだ疑問なような感じも受けたのであります。要するに李承晩ラインを日本側が承認して、あのラインの向う側には船を出さないということの原則を認めなければ、漁業問題の話合いにも応じられないような態度をずつととつて来ましたから、はたして建設的な案を出して、先方がこれに乗つて話をするかどうかは、実際上は疑わしかつたのであります。いずれにしましても、こういうふうにして会談が不調に終りましたことは、はなはだ残念であります。しかしながらこちら側がすべて悪くて、先方の言うことはみな聞かなければ、話合いは続行できないというような態度であつては、まことに残念でありますが、こちら側としても、そこまで何でもかんでも先方に屈従して話合いをするということも困難であります。従いまして、この日韓会談を通じて漁業問題を解決しようとしたわれわれの初めの意図は、実現ができなかつたのであります。その後も——実は会談中でも日本の漁船等はつかまつて、向うに持つて行かれております。その後も同様の事項が起りまして、御承知のようにすでに四百何十名という人が向うに捕えられておる。またこれに対しては、いかなる法律であるか、はなはだ根拠があいまいな法律によりまして裁判を行つておる。その裁判には弁護士をもつけないで、かつてな裁判をやつておるというような、非常に不合理なことをいたしております。そこでわれわれとしてもここに二つの問題に当面したのでありまして、一つは、ただいまつかまつております漁夫や漁船を早く日本に返還させるということと、それからようやく漁期に入りました底びき網とかトロール船の漁業を、李承晩ラインの中でも継続してできるようにするという二つの問題があるのでありますが、先方が国際法を無視し、そして力をもつてかつてに日本の漁船等をつかまえておる現状では、なかなか条理を尽して話しただけで解決はむずかしいようであります。ようやくにして最近このつかまつておる人たちに対する着物であるとか、食糧であるとかいう種類の品物を送ることだけは先方は認めましたけれども、これにつき添つて業者の代表なり漁夫の代表なりが向うに行つて世話をしようというこちら側の申入れについては、まだ返事をよこしておりません。品物だけは受取ろうという態度であります。そこでこれをどうやつて解決するかということにつきましては、いろいろ業界からも意見を述べられ、われわれももちろん研究をしておりますが、できるだけまず平和的な解決方法を求めることは、これは当然であります。しかしながら一方においては漁船の強行出漁ということも言われております。その場合にいかなる保護を与えるか。これは何も実力を行使しにこちらから出かけるわけではありませんけれども、公海において漁船がむやみにつかまるという場合に、これを保護するという手段は講じなければならない場合も起ろうかと思つております。しかしその結果国際間におもしろくない事件が起ることはできるだけ避ける必要もありますので、ただいまこういう点につきましても、また韓国の問題につきましては国際連合軍も同地におることでありますし、国際間の関心も非常に強い今日でありますので、世界の輿論、ことに国際連合軍を出しておる諸国の考え方を、できるだけ日本側の主張に理解あるようにいたしまして、こういう方面の輿論を結集して、韓国側の不合理を是正するような措置もとるべきであろうと考えて、いろいろの点でただいま至急に対策を講じつつあるような実情であります。 以上簡単でありますが、御報告申し上げます。
○上塚委員長 これより質疑を許します。外務大臣の都合もありますので、質疑はなるべく零時半ぐらいまでに打切りたいと考えております。従つて各党持時間は二十分程度でございますから、さよう御了承を願います。福田篤泰君。
○福田(篤)委員 木村長官はまだですか。
○上塚委員長 じき見える予定です。
○福田(篤)委員 ただいま外務大臣から、簡単ではありますが、中間報告のようなものが日韓交渉並びにMSAについてあつたのであります。御苦労を多としますが、ただMSA問題につきましてお伺いいたしたいことは、今の御説明では軍事顧問団の性格、その他こまかい点、おそらくこれは特許権の問題とか、免税とか、こまかい技術的な点でしようが、そういう政治的な話がまとまらないで、調印が遅れておるというお話でありますが、この前からの委員会の御説明では、大体初めは十月初旬、その後の御説明では、おそくとも十月の下句には調印できるということを言われたのであります。こういう技術的なこまかい点で、この大事なMSAの交渉が、大臣のお見通しが狂つて遅れておることは、私どもにはちよつと了解いたしかねるのであります。これが遅れておるもつと本質的なものがあるのではないか。これについてお尋ねいたしたいと思います。
○岡崎国務大臣 いや、私はそういう問題で遅れておるというのではなくして、そういう問題もまだ片づいてはいないけれども、実質的には大体お話合いがつく見込みは十分あると考えます。同時にただいま保安庁方面では、防衛力の漸増を来年度について考えておられる。そうすると、こちらは来年度でありますが、向う側からいえば、まだ本年度のうちに入る部分がありますので、そういう点で、今実質的な援助の内容まで話をきめて、来年度増強計画ができたとき、またそれに加えて話をするというのでは、非常にまずいですから、同じことならば、案がきまり、予算等の措置も考えられて、見通しがつきましたならば、そこで実質的な話を一括してやりたいと思つておりますので、その方面の事情もにらみあわせて、ただいまいろいろ研究しております。こういうわけであります。
○福田(篤)委員 そうなりますと、保安庁で立案中の防衛計画、これがこのMSA交渉につきまして大きな材料になるわけですが、これはおそらく外務大臣として、木村長官とも密接に連絡しておられると思いますが、大体いつごろこれができるものか、この見通しを承りたい。
○岡崎国務大臣 まだいつごろということは私にも言えませんけれども、いずれ十二月の上旬には、通常国会が開かれる。その場合には、計数までは行かないにしても、来年度の予算の大体の見通しがつくわけだろうと思つております。おそくともことし一ぱいには、見通しをはつきりつけなければならぬわけであります。従つてその場合に、保安庁でそういう計画ができなければ、来年度の予算に間に合わないわけですから、おそくともその時分までには、計画ができるかできないか、予算に入るか入らないか、そういう見通しははつきりするものと考えております。
○福田(篤)委員 この前の委員会での御答弁におきまして、現在行われておる池田特使とロバートソン氏の会談の問題について、ある委員の方から御質問があつた。外務大臣は、MSA交渉とこれとは関連がないという御答弁でありましたが、御承知の通り池田特使は、外交旅券を所持して、特使としてアメリカへ行かれております。個人の資格という簡単に割切れるものではないのでありまして、特に相手のロバートソン氏の公的立場から申しましても、この会談はきわめて重要な、国策に直接ないし間接の影響を持つものである。これは常識上考えられます。ところが昨日の毎日新聞の記事を拝見いたしますと、いわゆる池田特使からの政府に対する公報というものが詳しく報ぜられております。三十二万五千の地上軍、駆逐艦八隻、あるいはジエツト機三十五機とか、こまかい計数まであげて出ておりますが、このような特使の任務を持つた池田特使から、おそらくは外務大臣あるいは総理大臣にも、当然報告なり連絡があるものと考えられるのであります。ことにこの前の外務大臣の御答弁には、出発前にもお打合せをして連絡をして、池田特使が国を出たという明確な御答弁がありますので、一流の新聞にもその一部のものが伝えられておる今日、外務大臣として、池田特使から来た公報について、本委員会において、さしつかえない限りなるべく詳しくお話を願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 池田君はもとより全然私人の資格で行つたわけではありませんが、外交旅券を持つ持たぬは、いろいろな場合がありまして、たとえば衆議院議員の中でも外交旅券を持つて行かれる人もあります。最高裁判所長官が行かれる場合も外交旅券を持つて行かれる。外交旅券とかなんとかいうことは、大した意味は私はないと思います。日米間に将来の一番われわれの重要と考えておりますことは、もちろん経済の自立ということであります。それにつきましては、日本の財政状況、経済状況等を十分先方にも認識させる必要もありますし、また将来のアメリカの経済政策、財政政策、あるいは東南アジア方面に対する考え方、こういうことをはつきり知つておくこと、また日本の希望等をよく述べて、将来の立案についての参考に供することも非常に必要でありますので、池田君の従来の経歴から言いましても、こういう方面を十分に先方と話し合う任務をもつて行つておるということになります。従いまして、一緒に参りました愛知大蔵政務次官も、この方面のことについては十分池田君とも協力して、日本側の立場を先方に説明することもやつております。また参議院議員宮澤君も、長く大蔵省に働いておりまして、この方面のことはいずれも詳しい人ばかりであります。将来の日本の経済の自立に関連する諸般の経済、財政、国際金融、あるいは外資等の問題についての基礎的な意見の交換、及びこちら側の考え方をできるだけ先方に十分なる理由を示して知らして、将来とも日米間の経済提携が円滑に行くような努力をいたしております。それと同時に、いろいろ諸般の問題につきましても、たとえば先ほど申しました、MSAに基いての小麦を先方から求めるというような問題につきましても、これはやはり財政上の考慮も非常に必要であります。食管特別会計の模様がどうであるとか、こういうことは、やはり大蔵政務次官等直接そういう問題に携わつておる人が、現地におりまして、先方の意見を聞いて、はつきりこうなる、ああなるということの見通しも、こちら側に知らしてもらうことが必要であり、もちろん大使館としてもやつておりますけれども、現に計数をいじつて予算等をつくつておる人が見ますれば、また考え方ももつとはつきりするわけでありますから、こういう点も話してもらつております。また新聞等に非常に伝えられております防衛力の問題につきましても、自然これは日本の経済とも密接な関係があるのでありますから、話はいたしております。しかし新聞に出ておるような、ジエツト機何台とかなんとかいうようなことは、私の方にはいまだ報告としては参つておりません。それはある程度新聞で研究して、いろいろの新聞の方の材料からつくられたものではないかと思います。従いまして新聞に出ておりますものは、これはずいぶん実際と違つておる点もあろうかと考えております。いずれにしましても、いろいろの話をしておりまして、そのまとまつた結論につきましては、不日報告も参ろうかと思つております。一番防衛力というものが、新聞等では非常に大きく取上げられておりますが、われわれの考え方の基礎としましては、経済、財政、金融、そして日本の経済自立に資するような東南アジア等の問題、これが主眼であつて、この方面の話をとつくりしてもらうということを考えております。
○福田(篤)委員 今公報につきまして、具体的にお尋ねしたのですが、少し漠然とした御答弁のように考えます。何か最近、たとえばMSAに間接の影響があると思われる防衛問題について、池田特使からこちらに御連絡ないし公報的なものがあつたか、ここでもう一度お尋ねいたします。
○岡崎国務大臣 池田特使からは随時いろいろの報告は来ております。その中には防衛問題についての先方の意向も知らして来ております。その他ほかの問題もあります。いろいろの問題が来ております。
○福田(篤)委員 その公報は、今まで御答弁になつた程度のものであるか、あるいはあつてもまだ説明する段階でないのか、また今おつしやつたように、適当な機会、なるべく近い機会においてこれを発表される御意向か、もう少しこの点を具体的にお尋ねいたしたい。
○岡崎国務大臣 これは先方との話合いにもよりましようけれども、いまだこういう正式の委員会で申し上げるようなはつきりしたものには話合いはなつておりません。またおそらく池田君のはそういう基礎的な意見の交換を主眼といたしますから、こういう了解が成立したとか、こういう話合いが成立したとかいうようなことにはならないのは当然だろうと思いますが、それにいたしましても、今話合いの最中といいますか、中間でありまして、まだ申し上げる段階には至つておらないと思います。いずれそのうちに、先方とこういう点で意見が一致したとか、一致しないとかいうことが言えましようかどうでしようか、向うとの話合いにもよりましようが、もう長くはアメリカにはおらないわけでありますから、そういう点については申して来ることと考えております。
○福田(篤)委員 御承知の通り、現在アメリカにはわが国の有力商社も行つております。それから有力な報導陣もおられるので、相当いろいろなニュースがわれわれの耳にも入つて来るわけであります。この大事な、国民が関心を持つておることにつきましては、先ほどお願いいたしましたように、いわゆる公報的な権威のあるものを、一日も早く事情の許す限りにおきまして、外務大臣としてあるいは政府側として発表せられることを特に希望いたします。 それから先ほどお話のありました李承晩ラインのことでありますが、この点われわれ国民の憤激の的になつておることは当然でございますが、これについて解決策の一端として、外務省的な立場からちよつとお触れになりました国際連合の問題でございます。御承知の通り、国連憲章の第三十五条第二項には、加盟してない国の提訴権を認めております。この第三十五条第二項によりまして、非加盟国たる日本が、ただちに手続をとつて国連にこれを提訴し、安保理事会なり総会の注意を喚起して、この理不尽な李承晩政権のやり方につきまして世界の注意を喚起する、同時にその正義感に訴えて、わが方の主張を広く世界の輿論に訴えることも必要ではないかと思いますが、この手続をおとりになる用意があるかどうか、これについてお答えを願いたい。
○岡崎国務大臣 これはもちろん大分前から研究中でございます。また国際司法裁判所等の問題についても研究中であります。安保理事会におきましては、こういう種類の紛争を二、三提起されましたときに、あそこの例の拒否権の問題もありまして取上げなかつた事例が二、三あるようでありますが、総会においての機運はどうであつたか。いずれこれは国際輿論に訴えるべき性質のものであるが、それだけで済ますというわけにも行きません。ほかの方法も直接間接にとらなければいけないと思います。同時に国際輿論に訴えるという方法も当然考慮すべきと思いますので、できるものならばすみやかにやりたいと思つて考えておりますが、ほかの方面の直接間接のいろいろの話合いなりあるいは情報なりも入りつつありますので、同時に国連の方も沢田大使にも照会していろいろその向きの情報をとつております。これも遠からずして決定できるものと考えております。
○福田(篤)委員 御承知の通り、国連の重要な有力な理事国の相当部分はわが国の友好国であります。もし外務当局にして真に国民の今の憤激しておる気持を感じ、そしてまた日本の生命ともいうべき漁業権の重大性を考えるならば、考慮中であるというような手ぬるいことではなくして、ただちにこの重要な理事国に働きかけて、当然理解を求められると信じますが、この提訴手続を一日も早くおとりになることをわれわれは希望いたします。 木村保安庁長官がおいでになりましたので御質問したいと思いますが、昨日の水産委員会でありましたか御答弁された中に、保安庁法第六十五条によりまして、必要な命令を下して警備船の出動もできるということで、私どもはその非常に強い決意に対しまして敬意を払うのでありますが、これをどの程度まではつきりおやりになるか、この点についてもう一度明確にお伺いいたしたいと思います。
○木村国務大臣 保安庁法第六十五条に明確に規定されております通り、少くとも漁民が生命の危険を感じ、あるいは漁船に危害を加えられるというような場合においては、必要な処置をとらざるを得ないということは当然のことと考えております。そこで万一にも不幸にしてそういう事態が起らぬように、あらゆる手を尽すべきは当然であります。しかしながらそういう事態がかりに発生いたしたといたしましても、われわれはできる限りにおいて慎重に処置いたしたい、こう考えておる次第であります。いかなる処置をとるべきかということは、よほど考慮を要する問題だと思いますので、慎重に研究の上のことになると考えております。
○福田(篤)委員 これも新聞報道でありますが、右派社会党の申入れに対しまして緒方副総理が、経済断交あるいは生活保護の打切り、あるいはその他の報復的な手段を考えておるというような答弁をしたと伝えられておりますが、これに対して政府側の御説明を伺いたいと思います。
○岡崎国務大臣 われわれとしては、あくまでも条理を尽して先方の反省を促すという方向で行つておるのでありますが、どうしてもむちやくちやで話がつかないということになれば、これはほかの手段も講じなければならぬ場合も起ろうかと思つて、いろいろ問題は研究はいたしておりますが、まだどれをやるという決定はいたしておりません。ただいま研究中であります。
○福田(篤)委員 水産庁にお伺いいたしますが、今度の李承晩政権の理不尽な暴挙によりまして、わが漁業権がこうむつた損害、実際どのくらいの損害を受けておるかという見積り高、また濠州の大陸だなの問題について今後予想せられる日本の受ける漁業の損害、これについて数字をお示し願いたいと思います。
○永野説明員 李ラインにおきます日本の漁業の漁獲高その他の評価の点でございますが、これはいろいろな要素を組み合せて、ある程度の推定が入るのでございますが、われわれといたしまして最善のものと信じて計算をいたしましたものは、総額にいたしまして漁獲高が六千九十三万貫、金額にいたしまして百三十億という概算になつております。これは一年間のものでございます。その内訳といたしましては、おもな漁業は以西の底びき網漁業、及び以西のトロール漁業、それからさばの一本づり漁業、あじ、さばのまき網漁業、それから朝鮮半島東海岸に近いところの以東の底びき網漁業、その他の漁業というような内訳になつております。 次に、第二の点の濠州の大陸だなの措置によりまして、わが方のこうむつた損害という点でございますが、これは御承知の通り、本年の出漁におきましては、一応の生産目標を千二百五十トンということでスタートをいたしたのでございます。現在まだあの付近の水域で漁業をいたしておりますので、最終的な漁獲高が幾らになるかということは決定いたしておりません。またこの措置によりまして、幾ばくの損害があるかということを計算いたしますためには、単に本年の計画だけを考えて計算するわけにも行かないかと存じます。こういう点で、私どもといたしましては、もう少し慎重に計算をいたしまして、この問題を考えて行きたい、こう存じております。
○福田(篤)委員 外務大臣にお尋ねしますが、今水産庁の御説明によりましても、李承晩政権の暴挙並びに濠州側の暴挙の二つの不祥事につきまして、わが方の漁業が非常な損害を受けておるということは容易に想像できます。正確な数字につきましては、今当局の説明の通り、慎重なあらゆるデータも必要と思いますが、このデータが出た場合、ただちに日本政府としてこの両国に対し、損害賠償の要求を当然いたすべきである。ところが今までのいろいろな御説明なり、発表を見ておりますと、これらの漁業権に対する損害賠償に一言も触れておられない。これはどういうわけか。政府として損害を受けても黙つておるのか、魚さえとれればいいというお考えであるのか、あるいは既往にさかのぼつて、不法行為によつて受けたわが方の損害は、当然賠償せらるべきものとお考えになつておるが、まだ数字が出ないので黙つておられるのか、この点を明確にしていただきたいと思います。
○岡崎国務大臣 韓国につきましては、こういう損害の補償に対する権利の一切を留保いたしております。将来こういう数字等がはつきりしました場合、またほかの損害もわかります場合には、正式の公文で当然申し入れるべきものと考えております。濠州につきましても同様になるべきものでありますけれども、これはまだ最近の問題でありまして、交渉中に属しておりましたから、まだ正式に損害の賠償までは申しておりませんけれども、国際司法裁判所に提訴の問題も先方に話しております。こういう点で判決等が下れば、当然その問題も入つて来るものと予想しております。またそれでなくても将来はつきり先方の態度がきまりますれば、それ相応の要求も必要かと考えております。
○上塚委員長 次は須磨彌吉郎君。
○須磨委員 外務大臣からお尋ねいたしたいと思います。MSA問題については、大臣は九月の末ごろには調印の運びになるであろうという御観測を以前には申しておられたのでありますが、それが今日までだんだん延び延びになつて来ております。ただいまのいろいろな御説明によりまして、大体の模様はわかりたようでありますが、何とはなしに何か困難があるのじやなかろうかということが国民一般に抱かれておる。これは杞憂であつてくれれば非常にけつこうでありますが、そういう考え方があるように思われる。また事実考えてみますと、アメリカの予算は、つまり十億百万ドルという予算は、七月から始まつて六月までの予算でございますから、これで十二月までというお話であつて、一月ごろになりますれば、過半は徒過いたすようなわけで、のがしてしまうようなわけでありますから、こういう点からも、アメリカ側からもあるいは困難が出て来ないとも限らないという私は杞憂を抱くものであります。何かその辺に根本的な食い違いなり、障害が起りつつあるのではなかろうかと思われる点について、疑いを晴らすような御説明があれば承りたいと思うのであります。
○岡崎国務大臣 これはここに保安庁長官がおられますから、あるいは保安庁長官からお答えになつた方が正確かもしれませんが、現に保安庁におきましては、来年度の防衛力漸増計画についてもいろいろ考究中であると承知いたしております。従いましてそれが来年度の予算にどう現われるか、これはまだ来年度予算の編成に着手しておりませんので、はつきりしたことはわかりませんが、しかしいずれにしてもこれは長くかかるわけではなくて、この追加予算の問題が済みますれば、ただちに来年度の予算にかかるわけでございます。そのときに防衛計画等が立案できますれば、当然予算の問題にもなつて来るわけであります。私の考えでは、もしそういう事態になつておりますれば、今までのように、本年度の現在の保安隊に対する武器供給というような問題のみならず、来年度において増強の計画があり、またそれが実現されるものとしますれば、それも含めた実質的な援助の額その他をきめることが一番適切であると考えますので、来年度の予算編成の状況ともにらみ合せて、大体の見通しがついたところで、最終的な交渉をいたすのが必要じやないかと考えております。延びた理由といたしましては、ほかにもありますけれども、それも一つの大きな理由であります。
○須磨委員 そこで保安庁長官の問題になるわけでございますが、実は前の国会以来たびたび問題になつたことでございますが、保安庁長官の申されまする、いわゆる警備計画、防衛計画というものが根本になつて、今外務大臣のお話によりましても、MSA問題を左右しておる一つの事柄だと思うのであります。しかるにこの防衛計画につきましては、御研究中だとおつしやいましたが、よく新聞等にまちまちな報道が伝えられておるわけであります。御研究中でありますれば、最後の結論は出ておらないかもしれませんが、しかし大体なりともひとつこのくらいのときでお明かしくださることが非常に必要な時期ではなかろうか、かたがた申し上げまして、あとからも質問申し上げますが、朝鮮水域に関する問題等も、この防衛計画に関しましてわが当局がきわめてなまぬるい態度をとつておるということが、争われない原因の一つであると私は痛感いたしておる次第でありますから、保安庁長官からあらましなりとも御計画の大体を御説明いただきたいと思います。
○木村国務大臣 お答えいたします。防衛計画に関する問題はきわめて重大であります。そこでわれわれといたしましてはいろいろの面からこれを検討いたしております。一つの案をつくり、また一つの案をつくり、いろいろ事情の変化によつてかわつて来るのであります。そこでさしあたりの問題といたしましては、来年度にどれだけの数を増加すべきか、これが問題であります。これとても財政的の面から、また募集の面からも考えなければいかぬ。申すまでもなく、来年度におきましては現在の隊員で退職する者がおよそ推定で四万くらいであります。それに加えて今度募集いたしますと、どれだけの数の募集が可能なりやという問題が出て来るのであります。そこでいろいろの難点と申しましようか、研究を要すべき問題が多々あるのであります。私は前の国会において申し上げました通り、木村個人として一応の試案を立てたことは事実であります。しかしその後におきましても保安庁においていろいろ検討いたしております。検討すればするほどむずかしい問題が出て来るのであります。そこで最終的のものはまだできておりません。私は早急にこれも確定しなくてはならぬと考えております。一刻も早く案を立てたいと考えて急がしております。それができますると私は喜んで皆さんに御批判を願いたいと考えております。ただいまのところでは来年の数すらまだ確定的のものはきまつておりませんので、詳細のことは申し上げることができない事情であることを御了承願いたいと思います。
○須磨委員 この李承晩ラインについて問題を移したいと思うのであります。これにつきましては前々いろいろ御答弁があつたのでありますが、私が一番先に外務大臣に伺いたいのは、この前外務大臣もおつしやつておられましたが、アメリカは一九四〇年でございますか、いわゆるポートマック会談以来、大西洋大憲章におきましてはつきりと公海の自由を唱えておる。しかるにそのアメリカが一九四五年の七月でありましたかに大陸だなの問題をトルーマン大統領が発表いたしまして、それがそもそも最近はやりものとなりました中南米もしくは濠州にまで及んだ大陸だなの宣言となつたと思うのであります。李承晩ラインの設定にあたりまして、昨年の一月十八日に李承晩が出しました声明の冒頭におきましても、従来の慣例にかんがみというような言葉を使つておるのでありますが、これはアメリカのとりました措置にヒントを得てやつておるような点もなきにしもあらずでございます。さような点からいたしましても、今度のことについてはアメリカが相当な関係を持つと私は思うのであります。またかたがたわが国を防衛いたします責任は、日米安保条約の上において当然ある次第であります。さらにまた八月八日仮調印をしました米韓相互援助条約によりましても、アメリカは韓国についても同様な義務を持つておるのでございますから、これはわれわれ日本が頼むからということではなくして、アメリカとしても今度の問題の発生につきましては、重大な責任と義務があるような感じが私にはいたすのでございます。さような点においてこの際注意を喚起されることが、私はこの李承晩ライン問題解決に資する一つの礎石でないかと考えるのでございますが、これについて外務大臣の御見解を承りたいのであります。
○岡崎国務大臣 大陸だなの問題につきましては、おつしやる通りアメリカのトルーマン大統領の申したことに端を発しておると思います。ただ私の承知している限りでは、国際法学者におきましても、自分の領土から掘り進んで海底に出て行く場合の、たとえば石油等を掘り進んで沿岸から先へ出て行く場合の主張につきましては、これはある程度理由ありと考えることに傾いておる向きもあるように思います。しかしながらいかなる場合におきましても、いまだ国際法学者が地下の資源でなくして海の底にくつついておる真珠貝であるとか、あるいは海の中に浮いておる魚であるとかに対する権利を主張することを認めたとは私は承知しておりません。従いましてアメリカの主張と濠州なりあるいは韓国なりの主張とは、その間にたいへんおもむきが違つておりまして、合理的でない部分が非常にたくさんあると考えておる次第であります。しかし大陸だな自身、アメリカ自体の主張につきましても、国際法的に多数説がきまつておるというところまでも行つておらないのでありますから、いわんや李承晩ラインなどというものについて、国際法学者が今の段階においてこれを認めるとはとうてい考えられません。従いまして李承晩大統領の宣言は、これは国際法違反であることは明らかであろうと思いますし、また大西洋憲章とか連合国宣言とかにうたわれております海洋の自由ということも、もちろん公海の自由を意味するのでありまして、この主張はこれは大きな国際的な問題となつて主張されたわけでありますから、日本の考え方を関係国がサポートするのは当然であろうと思つております。なおアメリカが韓国との問、日本との間にいろいろな関係がある、これは当然であります。従いまして私の承知いたしておるところでも、アメリカ側も非常に強い関心を払つております。またわれわれの方にも常に日韓会談その他の模様については情報を求めております。われわれももちろん進んで、アメリカのみならず、おもなる国連側の国々に対しましても、日本側のかつてな意見でなく、正直な両方の主張を公平に先方に示してその理解を求めつつあります。またアメリカ側としましても、御承知のようにクラーク前国連軍司令官は、李承晩大統領がこちらに来ました機会に、吉田総理、私などとの会見の機会をつくりまして、いろいろに日韓間の友好関係を増進することに努力しております。要するにただいまの状況では、共産側が向うに攻勢をとつておる。そのこちら側の韓国なり日本なりその他の国々が結束するということのみが、平和の維持に当り得る唯一の方法であるということは、アメリカ側もその他の連合国側も考えておることは当然であります。こういう紛争が起つたことはその関係国も非常に心配しており、情報も求めておるのでありますから、これらの点には十分意を使つて、こちら側の考えも徹底的に知らしておるような次第であります。率直に申しますれば、アメリカ側も非常に困つておると思いますが、われわれとしましては韓国側との間の交渉ももちろんであります。しかし同時にこういう問題については、国際的な輿論ということも大きなバツクをなすものでありますから、あるいは国際連合の方に、あるいは連合各国にできるだけ理解を深くさせるような努力をいたしております。今後も続けるつもりでおります。
○須磨委員 これから出て参ります以東・以西の底びき網と申しますか、十一月が非常にしゆんな時期だそうでありまして、千何百隻が出て行く。きようはその大会などもある様子でございますが、それに対しまして保安庁長官におきましては、六十五条によるいかめしいことでなくして、コンヴオイと申しますか、それを護衛して行くというような措置をおとりになることも私は自然必要ではなかろうか。現に現地の人々の話によると、そういうものがないと出て行けない。そうしますと来月にかけて一箇月半しかない底びき網の時期を徒過してしまう、こういうことで非常な関心を寄せられておるようでございますが、さような御用意がございますか承りたい。
○木村国務大臣 われわれといたしましては、何よりも日本国民の人命と財産の保護及び治安の維持に当らなければならぬのであります。ことに人命及び財産の損害がまのあたりに生ずるということになりますと、これは御承知の通り個人は防衛権を持つておりますが、国家も持つておるわけでありますから、それに対して保護すべきは当然であろうと思います。しかし事重大でありますので、その場合にはたしてどういう措置をするか、これは相手の出様いかんにもよりますので、われわれは慎重に検討いたして適宜の処置をとりたいと考えておる次第であります。
○須磨委員 先ほど御説明がございましたように、損害が百三十億にも上るということでございますが、現地の人人の話を聞きますと、その日のことに困つておる状態が非常にある。ちようど今回の救農国会が凶作並びに冷害に対して対策をとるがごとく、今度のこういうことによりまするその災害と申しますか、損害についても、国家として応急の措置をとるような施策が私は必要でないかと思うのでございますが、外務大臣もしくは水産庁の方面においてさようなお考えを、もうしておるでありましようか、伺いたいと思います。
○永野説明員 当面の漁業者の出漁不能の事態、また現在韓国に抑留せられております船員の家族等の対策につきまして、これは早急に処置をいたさなければならないと考えておるわけでございます。そのためにさしあたりできるだけの措置を講ずるということで、いろいろな方法につきまして政府部内で相談をいたしております。たとえば抑留せられました船員の留守家族に対しまして、何らかの方法でこれを見舞つてやるということはできないかというような点、あるいは抑留されて船を失いました向きに対しまして代船の建造につきましての金融措置をなるべくつけてやりたいというような点、あるいはまた漁場がどうしてもほかの方面に転換をせざるを得ないというような事態も予想いたしまして、その最悪の場合にほかの方面の漁業が考えられるかどうかというような点の検討、そういうようないろいろな点につきまして、ただいま政府部内といたしまして相談をいたしておる最中でございます。
○須磨委員 きようは外務大臣から何の御言及もございませんでしたが、新聞で承りますと、国連軍との行政協定がきようから発効することになつておるようでございます。また日米間の行政協定も発効するようになつております。重要な点でございますから伺つておきたいと思いますが、あれは結局国会の事後承認となるわけだろうと思うのでございます。日米間の行政協定につきましては、われわれはこの前の本委員会におきまして、でき得れば今回、思い切つて踏み切つて国会を通すようにしたらどうかということの意見を申し上げた次第でございますが、それはともかくといたしまして、今度の国連軍との行政協定につきましては、明らかに国会の承認を得なければならぬのでありますが、それがきようから発効するわけです。そこで私の伺いたいのは、あの内容を見ますと、刑事裁判権についての規定が一ぱいでありまして、これは、日米間の行政協定と軌を一にする点においては、私は日本の刑事裁判権上は非常にいいような解決をしたと思うのでありますが、何となく私に奇異に感じられますことは、ほかの点について——たとえば国連軍が支払うことになるべき費用とか、そういうことについての規定が一切欠けておるのであります。これはいかなる事情によりますものでございましようか、いずれ日を改めまして御提案になると思うのでありますが、重要な点で、しかもきよう発効になりますから、この点を伺つておきたいと存じます。
○岡崎国務大臣 この点はわれわれは非常に考えたのであります。まず刑事裁判権の問題でありますが、御承知のように国連側とは、ずつと前から刑事裁判権のみならず、施設区域における裁判義務の問題、あるいはそれに対する賃借料、あるいは税の問題、あるいは国連軍が中で持つておりまするいわゆるPXに対する品物の取扱いの問題、いろいろあるのであります。おもなる点は、話合いが大体つきましたけれども、その支払いの問題、たとえば税金をどれだけにするか、あるいは賃借料をどれだけにするかということにつきましては、国連側はアメリカの行政協定と同様な取扱いをしてもらいたいという主張でありまして、これに対しまして日本側はアメリカ側の軍隊は頼んで来てもらつておるのだ、従つて待遇をよくするのだ、国連側のは、むしろ国連側に便宜をはかつて日本に置いておるのだ、それで少しアメリカと違つてもやむを得ないのだという主張をいたしております。これに対して国連側は、それは動機が違うだろう、しかしながら軍隊をある国の中に置くことを認めた以上は、その軍隊に対する取扱いというものは同等であるべきものである、しかも朝鮮におきましては、国連軍もアメリカ軍もまつたく平等の立場で平和の擁護のために戦つておる。それがこの日本に帰つて来ると差別待遇をされるというのは困るというので、話合いがつかずに今日まで来たわけであります。ところが行政協定の方は、御承知のように安全保障条約によりまして、国会の承認を得ずして発効いたしておりますために、先般アメリカ側との間に刑事裁判権の問題が解決いたしまして、調印いたしましたから、その調印後一月たつて発効する、こういうことになりまして、その際にアメリカ側にはむしろ日本側としては多少待遇をよくしてもいいくらいに思つている。ところがアメリカ側には刑事裁判権が厳重に施行され、国連側には話合いがつかないからいまだに厳重に施行されないということは、これは逆になりますので、とにかく刑事裁判権だけは早くアメリカ側と同時に国連側にも発効させたいというので、ほかの問題もありましたが、それをやつておりますと時間が間に合いませんので、先方に話合いをしましたところ、先方も刑事裁判権についてアメリカと同等の、つまりNATO協定と同等のものであるなら異存がないから、それだけとにかく発効させようということでそれを承知いたしましたから、調印をいたしたわけであります。 そこで本来ならばもちろん国会の承認を得ましてその後に発効させるのが当然でありますけれども、今申しましたように、アメリカ側は発効する、国連側は国会の承認を待つてということになりますと、そこに時間のずれがある。そういたしますと、同じ軍人であつて何か不注意によつて罪を犯したというときに、アメリカ側のは、これからは日本側で裁判する、国連側のは、日本側で裁判しないというような状況では、これまた非常に公平を欠きますし、また内容につきましても、国会の累次の御意見に沿つて大西洋条約に基く裁判権と同様の協定をつくつたのでありますから、この際はむしろ国連側の方も早く発効させることが、日本としては利益であろうと考えましたので、はなはだ変則で恐縮でありましたけれども、今日これから発効させることにいたしまして、国会にはこの事情をよく御了解を求めて、事後の承認をお願いしたいと考えておつたわけであります。 そこで刑事裁判権の問題だけは解決いたしましたから、一昨日調印をいたしましたときにも、私はそのあいさつに行きまして、これができた以上ただちに今度は全般的の国連協定について円満なる解決を希望する。またこれについてさつそく話合いを進めたいと思つておりますが、要するにそのほかの問題につきましては、もし日本側がアメリカの軍隊に対すると同様の取扱いをすることを承知いたしますれば、あすにも協定はできるのであります。アメリカ側より少し差別待遇をするというところに今問題があるわけでありますが、額といたしましてはこれは勘定の仕方によりますが、年にあるいは二、三億の問題ではないかと思つております。これにつきましては大蔵当局の方ともさらに話合いをいたしまして、できるだけ早く全般的の協定をつくり上げるようにいたすつもりでおります。
○須磨委員 ただいまのお話によりますと、二、三億の問題のために——とばかりではないのでありましようが、いかにもそれが原因となつて差別待遇をするようにも聞えたのでありますが、わが国は国連には行く行くは入らなければならないので、今非常な努力をしているわけでありますから、そういう点から行きましてアメリカと国連との間に差別を二、三億つけるというようなけちな考えは、私は実はとらざるところでなかろうかと思うのであります。さようなことばかりでなくて、ほかにもしもいろいろな御事情がありますればともかくといたしまして、さようなことで今回完全なるNATO協定同様のものができなかつたとするならば、私は非常に遺憾な外交措置であつたと言わざるを得ないと思うのでございますが、はたしてその点ばかりであるといたしますならば、今後ぜひとも外務大臣等の御尽力によりまして、二、三億のために二、三千億でもかえられないような名誉を失うということをなさらずに、堂々たる協定をおつくり願いたいということを申し上げまして、私の質問を終りたいと存じます。
○上塚委員長 穗積七郎君。
○穗積委員 防衛計画についてちよつとお尋ねいたしますが、今MSAの交渉が停滞し、しかもこれが長引いておるということ、また保安庁におきまして防衛計画を政府の案として最後的に決定し発表できないのも、まつたくわれわれはアメリカと日本との間に、日本の防衛計画に対する大きな食い違いがあることに原因があると思うのであります。そこでお尋ねいたしたいのは、アメリカ側の要望しております防衛計画が、その後多少なりとも正式に外務省が直接、あるいは池田特使を通じまして明らかになつておる点がありましたならば、御報告を願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 正式に明らかになつておる点は一つもありません。またアメリカ側といたしましては、原則的に、つまり防衛力の漸増ということは日本も約束することになりますから、これはアメリカとしても最も希望するところでありますが、その時期とか大要とかいうものは、これは日本政府がつくるべきものである。アメリカ側の干渉すベきものではないという態度をとつております。
○穗積委員 最後の決定は日本がするにいたしましても、アメリカと日本との間におきます防衛計画の話合いが十分できないということが、MSA協定成立の運びが遅れておる理由であることは認めてよろしゆうございますか。
○岡崎国務大臣 これは私が御返事するのは少し僭越ですが、日本自体の防衛計画というものも今木村保安庁長官のおつしやつたように検討中でありまして、これは予算との関連もありますから今決定ができないのでありますが、これは予算もそういつまでもつくらないわけに行きませんから、もうじきできるわけであります。そのときはおそらく何らかの形で防衛計画というか、警備計画の方もおきめになることと考えております。従いましてアメリカとの交渉においてというのではなくして、こちらの予算その他とのにらみ合せにおいて——そのほかの問題もありますが、ただいま検討中であると私は了解しております。
○穗積委員 九月初旬の四日だつたと私は記憶いたしますが、この委員会で外務大臣は防衛拡張計画を持たざるを得なくなつた。そしてそれはいつきまるかとお尋ねいたしましたら、およそ来週あたりの閣議で日本自身が独自の立場で決定する予定であるということを言われました。ところが今日までそれもきまらず、従つてMSAの交渉も停頓しております今の実情を見ますと、はなはだ矛盾をするわけであります。そこで木村保安庁長官にお尋ねいたしますが、日本の防衛計画を独自に立てるということでありますならば、それはきのうやきように始まつたことではないのであつて、われわれの認識によれば、もうすでに事実上防衛計画を今まで実行して来ておられるわけでありますから、従つてこの期に及んで急に方針がかわつたので計画ができないというような事情とはわけが違うと思うのです。従つて防衛計画そのものについて日本自身の方針があるはずだと思うのですが、それをもう少し率直にお答えを願いたい。 さらにそれに関連しまして先般木村保安庁長官の談話として、日本の防衛計画に対します二十万台の御方針が新聞に載つたようでありますが、これは事実として認めてよろしゆうございますか。
○木村国務大臣 お答えいたします。私は二十万というような数字をいまだかつて言つたことはありません。また防衛計画を立てるにつきましても、これは事簡単ではありません。あらゆる面から検討しなければならぬのであります。先ほど須磨委員にお答えいたしましたように、募集の面も、これは刻刻にかわつております。国民感情もありましようし、いろいろの面があるのでありまして、こういう問題はそう急にきまるわけではないのであります。事国家の将来に関するわけでありますから、検討に検討を重ね、われわれは慎重審議頭を悩ましております。現在の段階においてはまだ最終の決定案は持つておりません。
○穗積委員 それではお尋ねいたしますが、九月初旬のこの委員会におきましては、木村保安庁長官も岡崎外務大臣も同席しておられたと思う。そのときに岡崎外務大臣は、およそ来週あたりの閣議では大体の方針はきまる予定であるということを言われたのですが、それはどういう根拠によつてそういうことを言われたのでありましようか。
○岡崎国務大臣 どうも穗積君何か誤解しておられるのではないかと思いますが、速記録がここにありませんからはつきり言えませんが、私はさようなことを言つた記憶は全然ありません。何か誤解だろうと思います。
○穗積委員 私も実はそういうことを言われるのなら速記録を持つて来ればよかつたと思いますが、明らかにもう一度速記録を調べて見ます。しかしいずれにしましても、そう言われればお尋ねいたしますが、たとえばアメリカが持つていると言われる三十五万の計画、三十五万という端数は別といたしまして、三十万以上の計画を三箇年間に圧縮して実行するというような要求がもしあつたとするならば、それに対して保安庁並びに政府としては、一体どういう態度をおとりになるつもりであるか、あらかじめお尋ねいたしておきます。
○木村国務大臣 しばしば申し上げております通り、わが国の防衛計画は日本自体でやるべき問題であります。アメリカ側はかりにどういう希望がありといたしましても、われわれはわれわれとして独自の計画を立てることは当然であると考えております。
○穗積委員 実はアメリカは最近重大な日本の内政問題に干渉して発言しております。一つは今の吉田内閣が再軍備に対して熱意がないという点、もう一点は池田特使が行きましてからでございますが、日本の経済的な事情からして、耐乏生活をして、言いかえればその金を再軍備費用にまわさなければならぬというような、いらざる干渉にわたるような発言をいたしております。そこで今まで防衛計画の問題につきましては、アメリカとの関係においてきまらないのではなくして、日本の経済状態やあるいはまた募集その他の条件によつてなかなかきまらないのだということでございます。そこでお尋ねしたいのは、今度の臨時国会に提案されることが予想されております補正予算等を見ましても、日本の国民生活を非常に圧迫する、もしくは被害農民の生活を無視するような案が出て来ているわけでございます。そうしてアメリカの今までの要請に従いました防衛費の中で余剰金がありますものに対してもこれを手をつけていない、こういうような事実を予算編成の中では発見するわけでございます。そこでこの防衛計画そのものが、今言いましたように三十五万、これを三箇年間に圧縮するということになりますれば、恐るべき経済状態が出るということは、研究しなくてもすでに結論が出ていると思うのであります。ですからもう一度木村保安庁長官にお尋ねいたしますが、独自の案とはその三十五万、三箇年間の案をのむのか、のまないのか、それをお尋ねいたします。
○木村国務大臣 アメリカが三十万とかなんとか今おつしやいましたが、そういうことは私はわかりません。われわれといたしましては、繰返して申します通り、日本の独自の防衛計画を立てたいと考えて、今しきりに検討中であります。繰返して申します。われわれといたしましては、日本の防衛計画ということは、これは日本国家存立の上からいつて、どうしても考えなければならぬ問題と私はこう考えておる。一たび日本が外敵から侵入された場合においては、これは元も子もなくなるのである。どうしてもわれわれはある程度の防衛計画を立てて、日本を安泰に導かなければならぬ責任を持つておると考えておる。その観点からわれわれは研究をいたしまして、いかにして、日本の防衛の全きを得べきものであるかという点を考えておる。しかし乏しい財源をもつてこれをつくり上げるということは、なかなか容易ならぬ事業であると考えておる。これは穗積君もひとつ大いにお考え願いたい。われわれは食うことも考えなければならぬし、守ることも考えなければならぬ。ここにむずかしい点があるわけである。その点においてわれわれは大いに努力しておるのである。
○穗積委員 ちよつとくどいようですがさらにお尋ねいたします。岡崎大臣は大体九月の末ごろには——延びても十月の初めにはMSAの協定が成立する予定であるという見通しを立てられておつた。MSAの協定はもとより日本の防衛計画が決定しなければその具体的な協定ができるはずがございません。そうでありますならば、当時の方針といたしましては、責任者である木村保安庁長官のもとにおいて、少くとも九月の末までには防衛計画が立つておるはずだ。これが立たなくてMSAの協定ができるはずがありません。ところがそれが今日まで延びておる理由をもう一ぺん明確にしていただきたいと思います。政府としてはそういう計画で進められておつたに違いないと思います。それが一体何がゆえに日本の国内事情によつて延びておるのか、われわれは明らかにアメリカとの交渉によつて、その防衛計画が、アメリカが過大に失して、こちらは、さすがに再軍備論者の方々でも驚くような大きな案が出ておるので、そこで話合いがつかないで延びておる。独自の案で行くというなら、九月末までにはMSA協定をやるというのですから、それまでには防衛計画が立つはずなんです。国内事情によつて立たぬというはずはないはずだと思う、ですからその理由をもう一ぺん明らかにしていただきたいと思います。
○木村国務大臣 私はMSAの問題については関知しておりません。私の職責上、日本の防衛がどうあるべきかということを考えております。その点についてわれわれは研究しておるのであります。遺憾ながらいろいろの観点から研究いたしますと、なかなかむずかしい問題が出て来る、募集の問題その他の問題が出て来る、そこにおいてまだ結論が出ないというだけでございます。
○穗積委員 先ほど木村長官は、すでに自分の試案としてはあると言われたのですが、そのときにはそういう財政上の問題その他募集の問題等は研究なしにかつてに抽象的におつくりになつたのでございますか。
○木村国務大臣 私の試案なるものは、これだけのものが必要であるというその観点から研究しておるのであります。もちろん財政事情は無視することはできません。しかしわれわれがどれだけのものを必要とするかという点を研究したのであります。
○穗積委員 岡崎大臣にお尋ねします。MSAの協定に向つて向うが援助するのは、日本の必要とする計画、その計画に従つて向うが援助するのである。今言われた通り、日本の必要とするものを木村長官がそういうふうに責任のある立場でお考えになつたなら、それをアメリカに示して、それが実行できるように、援助を受けるようにするのがMSA協定である。そういうふうに岡崎大臣はこの委員会において説明されたわけです。そうであるならば、なぜそういうふうに推進されないのか、その点を大臣にお尋ねいたします。 もう一点お尋ねいたしますが、もう一点は、先ほど言いましたように、九月末もしくは十月初めには協定が完了する予定だというときに、木村保安庁長官に対して、この防衛計画をそれまでに完成してもらわなければ困るということ、それがなくちやMSAの協定は妥結できないはずでありますので、当然そういう連絡があつたはずだと思うのです。そのどきにおける岡崎大臣は、木村長官に対してMSA協定が九月末でできるという予定であるならば、当然それまでにこの計画を要求されたと思うが、その間の事情をお尋ねいたします。 以上二点、岡崎大臣にお尋ねいたします。
○岡崎国務大臣 何か初めの御質問はよくわからないのです。日本の必要とするものについてというのですが、日本の必要とするものにつきましては、政府の決定がなければいけないのであつて、それが何ですか、たとえば今木村長官がおつしやつたようないろいろな点は別として、日本がこれだけなければ防げないのだということがあれば、それを持つて行つてそれだけの援助を求めて来いとおつしやるのかもしれませんが、MSAの協定は、もちろん完成兵器等の援助がおもでありまして、それ以外に防衛の計画を立てますれば、人員その他の費用について財政上の負担もあるのは当然であります。従いまして、そういう財政上の考慮その他を見て日本の案をつくつて、それが結局日本の必要とするものになるわけであります。それはまだできておらないわけであります。 なお九月末もしくは十月初めに話合いをつけたいという私の希望は申しましたが、それは前にも申した通り、日本の警備計画というものは、MSA交渉の必須の条件ではないということを私は申したので、それがなくてもMSAの交渉はできる。しかし折から保安庁の方で計画を今せつかく研究中でありますから、そこでそれならばもう一ぺん交渉するよりは、それを待つて一緒に交渉した方がよろしいから、今までそれらの研究をにらみ合せておるわけであります。
○穗積委員 それではお尋ねしますが、今までの交渉にこちらから防衛計画を示した事実は皆無でございますか。
○岡崎国務大臣 皆無であります。
○穗積委員 それでは池田特使が、新聞の報ずるところによりますと、こちらからの防衛計画を向うに説明して、これ以上のものは経済的な理由によつて困難だということを説明されたようですが、そのことは、岡崎さんは池田さんが行かれるときには事前に打合せをされたということを言われたわけですが、それはどこからそういう案が出たのでございましようか。
○岡崎国務大臣 私はそういうことは承知しておりません。
○穗積委員 木村長官にお伺いいたします。池田特使が、新聞の報ずるところによりますと、こちらから防衛計画はこの程度でなければ、経済的に困難だというような概略の説明をされたようでございますが、そのことに対しまして、一体それがどこから出たものか、長官はそういうことを御存じであるのかないのか。
○木村国務大臣 私は池田君とは会つております。会つておりますが、防衛計画なるものを池田君に渡したわけではありません。ただ参考のために自分の意見を聞かせてくれというから、私は簡単に池田君に話をしただけであります。それ以上のことは何もわかりません。
○穗積委員 その参考のために話された計画をちよつとお知らせいただきたい。
○木村国務大臣 それは私のことでありますから、申すことはできません。
○穗積委員 それではそれらの問題は池田特使が帰られてからよく究明して明らかにしていただきたいと思います。 そこでちよつと韓国問題について二、三簡潔にお尋ねいたしますが、大陸だなのアメリカの声明に対しまして、きのうの水産委員会において私がお尋ねしたのに対するお答えも、きようの須磨委員に対する岡崎大臣のお答えも、非常に抽象的で不明確でございます。この問題は国際法上の学理の問題ではなくて、もう現実この問題が、日本に大きな影響のある韓国問題に関しましても、あるいはまた濠州の問題にしても、どんどん援用されて政治問題となつておるわけであります。従つて国際法学者が大陸だなの宣言は法律的に有効なりやいなやということを研究する、その研究をまつ問題じやなくて、日本の政府自身としては、そのことに対する何らかの政治的な態度を明らかにしなければならぬはずなのであります。従つてもう一度そのことに対して明確に御答弁がいただきたい。そうしてもしそうであるとするならば、大陸だな問題が大体援用されておりますので、当然その問題に対する政府の態度自身を、この際外交的に声明されることが必要だと思う。これは黙つておりますと、アメリカが今まで言つておりますごとく、黙つておるものは承知したことだということで、各国ともどんどんこれを援用する危険が出て来るわけでございます。ですから国際法の学理の解釈の問題ではなくして、政治的な問題、具体的な問題になつておりますこの大陸だな宣言をどう取扱うのか、これをもう一度明瞭にお答えいただきたいのであります。
○岡崎国務大臣 日本としてただいま当面しておるのは韓国と濠州だけでありますが、この両国につきましては、公海の自由ということを日本政府の原則的主張として申しております。またこのことについては、国会においても私はしばしばはつきりと申しております。これが政府の態度であります。
○穗積委員 公海の自由なんという、そんなことは昔からきまつたことでございまして、それを侵略する意味で、今までの領土権を海に延ばして行こうという傾向が最近の外交上にはつきり出て来ておるわけなのです。そこでそれの援用される基礎になつておるのが大陸だなの宣言でございますから、その大陸だな宣言そのものに対しまする態度を明らかにしなければならないので、それでは公海自由の原則を主張されるなら、大陸だな宣言は、われわれはそれを認めないという趣旨に解釈してよろしゆうございますか。
○岡崎国務大臣 大陸だな宣言というのもいろいろあるのですが、どの部分をおつしやつておるか、まずそれから伺います。
○穗積委員 おそらくはわれわれはこれは今後の推定でございますが、アメリカは地下資源を必要として大陸だな宣言をされた。ところがだんだんと主権をそこまで及ぼす、所有権の主張は主権、領土権の主張に基礎を置いておると思います。たとえば地下資源の石油云々に対するアメリカ国の所有権というものは、アメリカの領土権、またはアメリカの主権がその地域まで及ぶのだという理由によるものだと思うのです。そうなりますと、水中のこの動産、不動産に対しましても、これは当然所有権を主張してだんだん拡大解釈する。宣言が逐次行われる危険があるわけで、現にもうすでに濠州、朝鮮等において行われておるわけです。でございますから、そういうすべてのものを含む基礎になりますものが、大陸だな宣言がそういうことになつたのでありますから、従つて私がもつとこつちからお尋ねすれば、地下の資源に対しては大陸だな宣言が有効であるが、水中のものに対してはこれは無効であるという声明をされるのかどうなのか、そういう態度をとつておられるのかどうなのか、そこをはつきりしていただきたいということでございます。
○岡崎国務大臣 陸地に続きます地下資源につきまして、これを開発するということは人類の資源をそれだけふやすことでありますから、これはけつこうなことだと思うのです。ただそれにつきまして、普通いえばその陸地続きの国から掘つて行くというのは、これはあたりまえの話であつて、よその国から海の深いところに何か入れて掘るというのは、今の技術ではできないのですから、そこでそういうものについては私もかなり同情的に考えておりますが、しかしこういう場合でも、たとえば、国と国とが非常に接近しておつて、その水底もどつちから入つて行くかというような議論も出て来ましようから、こういう問題は、やはり国際法学者なり、あるいは場合によつては国際司法裁判所等で、明確な判定を下すのがよかろうと思つております。しかし地下資源を大陸だなとかなんとかいうことでなしに、ただ地下の資源はその国の領海外のものはだれも利用できないのだというように考えるのはどうかと考えております。しかし海の底なり、海の中におきましては、これはどこの国でも行つてとれるものでありますから、これは事情が非常に違うと思います。従つてわれわれはただいまのところは、公海の自由ということは政府の根本的な主張としてやつておる最中であります。
○穗積委員 時間がありませんので、もう少しその問題をお尋ねしたいのですか……。
○上塚委員長 もう時間が来ました。
○穗積委員 あと一点だけお願いいたします。韓国問題につきまして外務大臣に一点と、木村保安庁長官に一点お尋ねしておきたいと思います。 外務大臣にお尋ねいたしたいのは、われわれはこの韓国問題が起きましてから、アメリカの態度に対して、何といいますか非常な疑問を持つわけでございます。と申しますのは、アジアの問題について、しかも自由主義諸国の中へ入つておる両国である。しかも両方に対しまして安保条約を締結しておる間柄でございます。この中に立つたアメリカの今までの態度を見るならば、韓国の問題にしましても、日本の問題にしても、外交問題だけでなしに、ときには内政干渉のおそれのあるようなことまでかつてなことを言い出しておつたにかかわらず、この二つの友国がこういう公海上の漁業権あるいはまた領土問題について紛争を来しておるようなことに対して、まるで傍観的な態度をとつておる。悪く解釈すれば、かつて蘆溝橋事件が日本の軍部の再軍備計画に拍車をかけた、言いかえますならば、国民をだます非常な材料に使われたのでございます。これはすべての人がそうでございませんでしようが、中にはそういう意図をもつてやられた方もあるわけであります。今日このアジアにおきまして日本と韓国、これはお互いに自由主義諸国の中へ入ります友国でございます。これが争いを起しまして、それが、言いかえますならば、国際紛争を拡大悪化せしめ、またはそれをもつて日本の再軍備強化の熱をあおるような材料にするような空気がすでに街頭に出ておるわけでございます。そういう中に立つてアメリカが今までの態度をまつたくかえて、韓国に対しましても、日本に対しましても、あるいはまたその両国に対して何らあつせんの態度をとらない、発言もしない、こういうような態度は、われわれとしては、今までのアメリカの態度から見ますならば、非常な疑問を持つわけでございます。そこでこういう問題を外交的に解決するためには、先般来岡崎大臣も言われたごとく、単に日韓間における外交交渉、これはまだやらなければならぬ余地も残つておると言われ、われわれもそう思います。のみならず、それを促進せしめますためには、国際輿論または第三国というものを中に立てて、これを利用するといつては語弊がありますが、活用することも考えなければならない。その場合に当然アメリカが出て来るわけですが、こういうアメリカの態度に対して非常な疑問を持つわけでございます。 そこで岡崎大臣にお尋ねしたいのは、アメリカがそういう態度をとつておるのに、どういう認識で岡崎さんは日韓問題の交渉に当つておられるのか、それからアメリカに今後この問題解決のために大いに働いてもらうというつもりはないのか、その具体的な構想がありましたらお尋ねしたい。 それからもう一ついでに木村長官にお尋ねしたいのは、昨日の水産委員会におきましても、きようのお話の中でも、集団的な出漁をいたしまして、それに警備船をつけて行く、その法律的根拠は保安庁法六十五条によるものだという式のお話が、ございました。保安庁法は言うまでもなく、四条によつてその性格が決定され、しかもその法律全体が憲法のわく内においてのみでございます。こういうような国際紛争を解決する場合におきましては、これは言うまでもなく、日本の出漁いたしました船とその乗組員の生命財産を保護するための警察行為を出るものではなかろうと思う。正当防衛権の刑法上におきます解釈についても非常に限界がむずかしゆうございますが、この李ラインを越してそういう集団出漁をいたしましたときに、向うが実力行使をすることは当然予想をして行かなければなりませんが、そのときに正当防衛と称しまして、一体こちらから向う側に対して実力行為を行うのか、あるいは向うから危険がありましたときに、それをただ危険があつたり、あるいは被害を受けたものを日本の漁船並びに船員の保護に当るのにとどめるのか、その限界が非常にむずかしいと思う。それに対してはそういうお考えをお持ちになるなら、事前に慎重精密なる御研究の上でなくちやならぬと思うのです。ところが委員会においてすでにそういう御方針を言われる以上は、何らかの腹案がおありになると思う。そこでこの問題はわれわれは出漁を一日でも早くしたい、外交交渉だけにまつておれないということで、目的は出漁を確保するということだと思うのですが、韓国の今までの態度をもつていたしますれば、実力をもつて出漁すれば問題解決はさらに悪化し、ないしは漁業そのものを困難ならしめることは火を見るよりも明らかだと思うのです。そういう非常にきびしい、デリケートな関係にありますので、その間における警察行為の限界について、これは明確な御方針を承つておかぬと、われわれとして心配でならぬのであります。その点をはつきりお尋ねいたしておきます。
○岡崎国務大臣 穗積君は立場がお違いですから、とかくアメリカに対してあきたらないような考えを持つておられるのだろうと思います。しかし権威あるこの外務委員会の委員が、根拠があれば別ですが、朝鮮問題を利用してアメリカが日本に再軍備をさせるなんという、そういう想像の発言は、私はどうかと思うのであります。そんなことは絶対にないことを私はここで申し上げ得ると思います。なお私は常にこの日韓問題につきましては、まずこれはアジアの両国が両国の間で話合いをいたすべきことは当然の原則であつて、この筋に従つてやつておるのでありますが、同時にこういう問題ですから、国際的な輿論も十分に理解を持つようにしなければなりませんし、また国連の諸国としても、非常に朝鮮問題については利害を感じておるのでありますから、その方面に対する日本の立場を十分理解させる努力も、これは当然すべきものである、また国際連合なり国際司法裁判所の問題も考慮すべきは当然でありますから、今いろいろのことをやつております。やつておりますが、何でもかんでも今度アメリカにやらせなければいかぬというのは、何か今までは穗積君は、私に対しても向米一辺倒とかなんとかいうことを言われましたが、今度は宗旨をかえて、穗積君の方が向米一辺倒になられたのかどうか、これは知りませんが、私はあくまでも冷静にして、原則は原則、その他の問題はその他の問題として解決を堂々と進めたい、こう考えております。
○木村国務大臣 われわれは実力によつて国際紛争を解決しようなんという考えは毛頭ありません。またそういうことは憲法において禁ぜられておるところであります。また漁船、漁民が不法にその生命財産の危険に瀕したような場合には、これは相当の処置をとらなければならないということは、言うをまたないのであります。そこで今度の漁船が出漁をした場合にどうするか、これはわれわれはあらゆる面から考えて、漁船がさような危険に瀕せないように処置をとつて行かなければならぬと考えておる。私は何もすぐ出動するとは言つておりません。これは国家の大事であります。われわれは一日としても漁船は出漁させて行きたいということは、同様な考えを持つておるのであります。そのときの処置ということについては、慎重に考慮しなければならぬ。逆に漁船に対して損害を発生せしめるようなことがあつてはいけない。ここがなかなかむずかしい点であります。そこで私が繰返して言つておるのであります。慎重にこの点については考慮して、万違算のない処置をとりたい、こう言つておるのであります。
○上塚委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 木村保安庁長官がお急ぎのようでありますから、一、二点伺いたいと思いますが、今の穗積委員のお答えに関連して私は伺いたいと思います。今木村保安庁長官は一つの、たとえばそういうふうな漁民の生命財産の危険にあつたときには、しかたがないから保安庁法の六十五条をも適用するが、あらゆる面から考えてそういうふうなことが起らないようにして行きたい、こういうふうにお答えになつたと思います。そこで問題になつて参りますのは、そういう面が起らないようにするのは当然必要なことですし、そしてまたここで実力を行使しなければならないということは、非常に重大な問題になつて参りますが、現実の問題といたしまして、出漁しなければならない状態に置かれている人がたくさんここにおります。そういうふうな人たちの保護をして、そうして出漁させるというような立場から、今保安庁としてお考えになつていることは、警備隊をつけてそれらの方々の出漁をさせるというようなことをお考えになつていらつしやるかどうかを承りたいと思います。
○木村国務大臣 お答えいたします。まだそこまで考えておりません、そこが慎重考慮しなければならぬ点であります。よくその点について万違算のないようにとりはからいたいと考えております。
○戸叶委員 それでは今たくさんの漁師の方が出て行きたい、そうしてまた日本は漁業国として蛋白の資源をお魚に得なければならない、どうしてもここで手をこまねいて木村保安庁長官が考えていられるように皆考えていられないと思います。何らかの方法をここにとらなければならないと思います。もしもそういうふうな漁夫の人たちが、ぜひ何か警備船をつけてもらいたいというふうに言われましたときには、一体それにおつけになるつもりでしようか、どうですか。
○木村国務大臣 今申し上げた通りでありまして、その要請がありましたときに、私たちははたして出動してよいのかどうか、これは漁民のことも十分考えた上においてわれわれは適当な判断をそこにいたしたい、こう考えております。
○戸叶委員 すでに多くの漁民の方々はそういう希望を持つていられると思いますので、早くその点の態度を御決定にならなければならないのではないかと思いますが、そこで問題になつて参りますのは、この保安庁法の六十五条の解釈でございます。実際問題としてはそういうような場面になつても、実力を行使するようにするまでには慎重に考慮しなければならない、こういうふうに木村保安庁長官は答えておられますけれども、法律そのものからの解釈からして、一体防衛するという意味から、もしも韓国の船が何らかの危害を加えて来たときに、警備船がそれに対抗する権利があるということを、この六十五条の上から解釈してあるとお考えになるのでしようか、どうでしようか。
○木村国務大臣 六十五条に明らかに人命及び財産を保護し、秩序を維持するためにやむを得ざる場合においては出動するということになつておるのであります。従いましてわれわれは防衛という点ばかりじやなしに、個人の保護の点から考えて参つても、海賊が不法にやつて来た場合には、これに対して防衛処置をとることは当然であります。いずれのものたりとを問わず、日本人の生命と財産を不法に侵害する者に対しては、これは一種の正当防衛権とわれわれは認めて、それに対する相当の処置をとり得るものと、こう考えております。
○戸叶委員 それでわかりましたが、そうしますと、木村保安庁長官がたびたび言われますことは、保安庁法の第四条を改正して、そうして国内の治安、平和秩序を維持するというその役目から、さらに積極的なものにしなければならないということを先ごろ発表されましたが、防衛する、あるいは生命財産を保護するという立場から、もしも保安隊が国内においても正当防衛権を行使できるとするならば、保安庁伝をここに改正するというその目的、その違いというものを御説明願いたいと思います。
○木村国務大臣 保安庁法第四条によりまして、わが国の平和と秩序を維持するために保安隊は出動することになつております。大きくいえば外国からの侵入に対しても、この点からいえば防衛できるじやないかという議論が出て来ることは当然であります。しかしこの規定の根本精神は、いわゆる警察的の意味を持つておるのだということが通説になつております。かたがたわれわれとしては、外国からの集団暴徒が大きな力をもつて日本の国に侵略を試みようということがなきにしもあらず、そういう懸念がありとわれわれは考えております。そういうときにおいて明らかに日本が防衛体制を整えて行くためには、保安庁法を改正して、この規定から来る制約をある程度解除したい、こういう気持をもつてわれわれは保安庁法の改正をいたしたい、こう考えております。
○戸叶委員 そうしますと、六十五条と四条との関係が非常にあいまいなものになつていて、はつきりこういうふうだからこういうふうに違うという点が私にはわからないような気がするのです。ただ四条を改正することによつて、もつと積極的にこの保安隊に外敵に対して抵抗することができるという権限を与えるというような御希望にしか思われないのですが、その点はどうなのでしようか。より軍隊的なと言つたらおかしいのですけれども、より積極的に、日本のある所まで集団暴徒が来た場合に、これを積極的に追い払うというふうな権利を与えるというふうにしか解釈できないのですが、その点の御見解を伺いたい。
○木村国務大臣 そうおとりになればそうおとりくださつていいのです。とにかく外敵の侵略行為に対しても、保安隊は堂々と防衛体制を整えて行くことにいたしたい、こう考えております。ここをはつきりさせたい、かたがたこの保安庁法の中のいろいろこまかい点について、いわゆる警備行動などについて制約を受けておる点がありますから、そういう点を検討して新しい保安庁法をつくりたい、こう考えております。
○戸叶委員 今のように改正なさつた場合に、軍隊とはどこが違うのでしようか。
○木村国務大臣 軍隊という定義によります。むしろ私は戸叶さんに軍隊とはどんなものかということをお聞きいたしたい。定義によつていろいろかわつて来るのであります。私は実は軍隊という定義はおそらくだれもつけ得ないと考えております。保安隊を軍隊とかつてにお呼びになつても一向さしつかえないことなんです。これは私は軍隊ということの定義いかんによつて一応かわつて来ると思います。
○戸叶委員 非常に重大な、危険な言葉を私は伺つたように思います。軍隊というものはその人の解釈によつて違う、私どもの解釈と政府の考えとは大分違つておることは、木村保安庁長官もお認めだと思いますが、木村保安庁長官の言によりますと、今日の保安隊を軍隊と認めていらつしやるかもしれないけれども、それでもなおそれを保安隊と呼んでいらつしやるようにしか私どもには解釈できません。そこで木村保安庁長官は今保安隊を軍隊と呼んでも一向さしつかえない、こうおつしやいましたが、それでは木村保安庁長官のおつしやる軍隊と保安隊との違いというものは一体どこにあるのでしようか。
○木村国務大臣 普通の観念からいうと、軍隊はまずもつて戦争目的を任務としておる、これは普通に解釈される点であります。保安隊はそうじやないのであります。戦争目的のために持つているわけではありません。これは保安庁法を改正いたしましても、ただただ外敵侵入を防止するという任務を与えようとするものであります。これであります。これをしも軍隊であるというならば軍隊といつてさしつかえないと思う。これを言うのです。
○戸叶委員 軍隊というものは大体戦争目的というものを持つているとおつしやいましたが、今日どこの国を見ても戦争目的を持つているような軍隊というものは私はないと思うのです。国際法から考えてみましても、よその国を侵略するために軍隊を置こうなどと、そんな考え方を持つた国はないと思う。そういうふうに考えてみますと、一体軍隊というものはどこにもないとも言えるし、また日本のも軍隊であるとも言えるのじやないかと思うのです。ですからこの論議は木村さんの時間のないときにこうやつて続けていますと、ほかの質問ができませんから、私はほかヘ移りますが、ただ一群問題になつて参りますのは、この六十五条の解釈の仕方であり、そしてまた漁民の方々が今何とかしてお魚をとりたい、しかも警備船をつけて——その警備船の権限というものがどこにあるかわからない、それを考えてきめなければならないというふうなあいまいな態度でこのままうやむやにするということなしに、ごまかさないように、もう少し態度をはつきりしていただきたいということを私は要望したいと思います。 次に岡崎外務大臣にお伺いいたしたいと思いますが、MSAの問題で岡崎外務大臣も最初のうちは、防衛力漸増とかあるいは保安隊とMSAは関係がないとはつきりおつしやつていましたが、だんだんにMSAと防衛力漸増とは関係があるということを実に巧妙におつしやるようになつて来ました。そこで、先ほどもお話が出たのですが、保安庁の来年度の計画がそう長引きはしないだろう、おそらく今度の国会には出るだろうと思うということをおつしやいましたが、そういうふうな関係があるといたしますと、結局保安庁の計画がはつきりしてからMSAの交渉もさらに進められるというふうにしか解釈できません。そうすると結局MSAの交渉なりあるいは調印に行くのかどうか知りませんが、そういうような場合は十二月ごろまで延期される、あるいは十一月末まで延期されるというふうに了承していいわけでしようか。
○岡崎国務大臣 私は非常に口下手な方で、あまり巧妙にごまかしはできないのですが、私は初めからMSAの交渉と防衛計画とは必須の関係はない、要するに防衛計画は必須の条件ではない、しかしあればあつた方が都合がいいのだということを申しておるのであります。そこで先ほども繰返して申し上げますように、今交渉をやつて結末をつけることは不可能ではありませんが、そのすぐあとにまた来年度の保安隊の計画が出て来ますれば、またもう一ぺんやらなければなりませんから、それなら、どうせもうじきできるものとすれば、それとにらみ合せてやつた方が一ぺんで済む、こう思つております。
○戸叶委員 そうすると大体十一月の末か十二月になるわけですか。
○岡崎国務大臣 これは計画自体が予算との関係もあり、いつになるということは、また言うとあとで延びたなんてしかられますから言えませんが、予算ができるのはおのずから限度がありますから、その前にきまらなければならぬわけであります。従つてそう長引くことはないと思つております。
○戸叶委員 池田特使とロバートソン氏との会談で、日本の防衛力の問題で数の食い違いがあるとか、いろいろ報道されておりまして、その点で先ほどほかの委員からもお聞きになりました。それに対して木村保安庁長官は、それはあくまでも日本自体の考え方によるものであつて、来年度の計画さえ出ていないというようなことを言われておりましたけれども、私どもが考えますと、どうもその辺がごまかしのようにしか思えませんが、そう申し上げてみても、これはそうじやないと言われればそれまでで、しかたがないと思いますが、そこで考えられますことは、アメリカ側の考えております防衛力の数、そしてまた日本側の考えております数と、その数がどれだけにいたしましても、もし食い違いが出て来た場合に、何かMSAの内容にかわりが出て来るというようなことはないかどうか、つまり根本は、もうこれだけのものは日本に援助することがすでにきめられてあつて、その防衛力の数の変化いかんにかかわらず、アメリカ側のこれだけ日本に援助するという態度は、きまつているのかどうかという点を承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 そういうことはないと思います。アメリカ側としても、日本できめる防衛力の計画とその時期等に合うように、いかようなる援助もしようということになつております。従つて向うできめたものを、これはもうどうなつてもそれだけは援助するのだと、そんなことはもちろんありません。
○戸叶委員 そうすると、数がどれだけであつても、つまり数が少しふえる——たとえば日本の防衛力がふえれば、経済的な援助がもつと多くなるとかいうふうな、内容の変化はないというふうに了承していいわけなんですね。
○岡崎国務大臣 ただいまのMSAの根本的な問題は武器等の援助でありまして、経済的の援助というものは、それに付属して出て来る結果がある場合があるだけでありますからして、そういうものは別問題でありますが、その実際の武器等の援助につきましても、もちろん数がふえればそれだけふえる、数が減ればそれだけ減る、これは当然のことであります。
○戸叶委員 アメリカ側が、日本にいるアメリカの駐留兵を一日も早く撤退させたい、そこで日本自体に防衛をさせたいというふうな考え方であるということは、幾たびか大臣が言われたことであり、そういう方向に持つて行くために、MSAの援助を受けているのだと言われておりましたが、さて、そのアメリカ側が駐留軍を撤退させて行くその方法は、一体どういうふうな形で撤退させて行くのでしようか。日本の防衛力をこれだけふやしたらこの程度減らして行くという形であるか、あるいはこれだけに達したら全部しりぞけるというふうな形であるか、漸減方法をとるか、それとも一時に撤退するか、その点についてはどういうお見通しを持つていられますか。
○岡崎国務大臣 まだこちらの計画も立つておりませんから、そういう具体的な話に入つておりませんし、従つてわかりませんが、安全保障条約を締結した当時及び行政協定を締結した当時の話合いからしますと、たとえば日本の計画で防衛にこれだけよけい金がいるとなれば、それだけ日本側の防衛分担金を減らしてもいいのだということも言つておりますし、また防衛力漸増ということを安保条約の前文にうたつているようなところから見まして、先方はおそらく日本に、これだけふえたらこれだけ減らしたい、そういうふうなだんだん減らして行く計画を希望するのじやないかと思いますが、これはまだ何もきまつておりません。
○上塚委員長 戸叶君、もう時間が来ましたから……。
○戸叶委員 それではもう二点だけ伺つておきます。 軍事顧問団の問題ですが、MSAの援助を受けた場合に、今保安隊で武器を使用するために指導しているところのアメリカの顧問の人たちと、それから今度MSA援助を受けた場合に来る軍事顧問団との関係はどういうことになるのでしようか。入れかわりになるのか、それとも、そのまま引継いでいるというようなことはないと思いますが、その点はどういうふうな交渉を進められているのでしようか。
○岡崎国務大臣 これは人の問題は別であります、向うでどういう人を出すかは、これは適当な人を出すのでありましようから。ただ二軍にそういうものがあるのではなくして、一つになるわけであります。つまり、同じ人が今度はこの顧問団に入るということはあり得るでありましようけれども、二つのものがあるのじやないわけであります。
○戸叶委員 今いる人たちの資格はどういう資格でしようか。それから、今度来る人たちの資格はどういうふうになるか、その点も伺いたいと思います。
○岡崎国務大臣 今いる人はアメリカの駐留軍から派遣されておりまして、駐留軍の費用によつてすべてをまかなわれておるのであります。そうしてこの権限は、厳重に申しますと、アメリカ側から貸与しております武器を保管しておるのであります。顧問団の方は、MSAの協定の中にはつきり書かれまして、これは駐日大使のものにある組織でありまして、その中には、まだ協定ができませんからわかりませんが、普通のほかの国等の例を見ますれば、外交官の特権を持ち得る者も数名おります。領事官の特権と似たようなものを与えられる者もあります。また、ほんの大使館の雇い人と同様の待遇しか与えられない者もありますが、すべて大使の指揮のもとに働くということになります。
○戸叶委員 総額の援助額に応じて顧問団の人数というものもきめられるわけなんでありましようか。
○岡崎国務大臣 援助の額ではなくして、日本における必要に基くものでありまして、従つて、武器が非常に新しい特殊のものであれば人がふえるという場合もありましようし、それから国内の人数が、保安隊等の人数が非常に多ければ、また必要に応じてふえるということもありましようが、援助の額にはよらないものだと思います。
○戸叶委員 もう一点だけ伺います。先ほども岡崎大臣が、ことしの日本の凶作をカバーするために、MSAのわく内で小麦の援助を受けるというようなことをおつしやいましたが、その場合の予算は結局見返り資金となつて、日本の政府では全然自由にならないのではないかと思いますが、そういうような場合が生じたときに、はたして日本の政府としては、そうでなく、日本の政府の意思ででも使えるようにしてもらいたいというような意見を申し述べられることができるかどうかという点を伺いたいと思います。それは、このほかの国のMSAの協定を見てみますと、どうもそういう点が縛られているように思いますので、ほかの国と同様な立場においてしか、日本が援助を受けた場合に見返り資金が使えないかどうか、その点を承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 これはつまりこういうことになるのです。実質的な内容を申しますと、日本がドルで麦を買つて来るかわりに、円で買うということになるのですが、その金はアメリカの金なのです。ドルで買うかわりに円で買う、こういうことになりますから、アメリカの金なのであつて、それは五百五十条でしたか、その中にはつきり書いてある。従つて、それがいやなら買わないだけの話ということになるわけであります。従つてこれは直すとか直さないとかいう問題ではなくて、それでよければ買うし、いやならば買わない、これだけのことであります。
○戸叶委員 そうすると、その場合に、これは純然たる経済援助とは言えないわけですね。
○岡崎国務大臣 経済援助の定義になつて来ますけれども、われわれはとにかくドル、外貨を出さないで買えて、しかもその支払う円は日本の防衛力等の増強に充て得るものとすれば、つまり防衛力はいずれかは増強しなければならない。その金は政府で出すべきものを、もしアメリカの麦をもらつて来て、それを国内で売つて、その金でそういうものができるとなれば、これはかなりの援助にはなり得るのではないかと思つております。しかしこれは詳細な協定を相談してみないと、いろいろの制約もありましよう。その中には、たとえば、これはアメリカの金なのでありますから、日本の国内の防衛力にだけ使わないで、あるいは第三国に対する武器をその金で買つて、向うに提供するというようなこともあり得るわけであります。従つて、そういういろいろの条件はさらに検討してみなければ、はつきりしたことは言えないと思います。
○上塚委員長 木村武雄君。
○木村(武)委員 簡単に三点についてお伺いいたします。 最初に池田特使の資格の問題でありますが、日本の外交といえば、七、八割は日米外交だろうと思います。その米国に使いされる特使として池田さんをなぜ選ばれたか、こういう問題についてであります。岡崎外務大臣は本席上におきましても、池田特使の交渉の内容は経済自立の問題である、財政経済と金融の問題が主であつて、防衛の問題はつけたりだろうというようなお話をなさいましたが、木村保安庁長官は、事前に打合せをして池田特使はアメリカに立たれておる、こう言われたのであります。さすれば、今の日本の大きな政治問題といえば、経済問題と防衛問題に尽きると思う。そうした日本の運命をかけたような大きな交渉に池田さんが行かれましたけれども、それは政府の代表として行かれたのでありますか、別途の意味合いにおいて行かれたのでありますか、ちよつとお伺い申上げておきます。
○岡崎国務大臣 総理のパーソナル・リプリゼンタテイヴとして行かれたのであります。
○木村(武)委員 それは一体どういうことでありますか。総理個人の代表者として行かれたのでありますか、政府の代表者として行かれたのでありますか、そういう点をもつとはつきりお聞きしてみたいのです。
○岡崎国務大臣 総理の代表者として行つたのです。
○木村(武)委員 日本の総理大臣の代表者として行かれたのでありますか。
○岡崎国務大臣 これはちよつと考えるとおかしいようにお考えかもしれませんが、もちろん例はしばしばあるのでありまして、国際的には一種の認められた慣例のようなもので、たとえばハリー・ホプキンスがルーズヴエルトのパーソナル・リプリゼンタテイヴとしてモスクワに飛びロンドンに飛んだとか、あるいはマルコン・マクドナルドがチャーチルの代理としてカナダに行つたりヨーロツパに行つたりしておりますし、またダレスさんもヨーロッパ等に大統領のパーソナル・リプリゼンタテイヴとして行つておるのであります。これはあまり法律的にむずかしく言うとよくわかりませんが、要するに公務員ではないのであります。従つてパーソナル・リプリゼンタテイヴという名前をつけております。それは外交上いろいろつつ込んだ話をいたして、しかも政府の代表とか全権とか、しかつめらしい抜きさしならぬような形でやらぬ方が、国際問題を処理する上において非常に役に立つ例もしばしばありますので、そういうことがだんだん方方で使われておる。池田君もその意味で行かれたと私は了解しております。
○木村(武)委員 私は、特別にそういうむずかしい道を選ばねばならない政府の意図が実はわからないのであります。そうなりますと、吉田総理大臣の好みというものは悪趣味になつて来はせぬか。池田さんは国会において不信任の決議を受けて朝から野に下つた人なのであります。民主主義の国のアメリカでは、そういう人の出入りすることはあまり好まないに違いない。好まないだけでなく、そういう人をやるということ自体が、アメリカの民主政治を日本が冒涜したことになりはしないか。そういう人を特に日本の吉田総理大臣の特使として、しかも重要な日本の運命をかけた交渉に、かりに下交渉であるかないか知りませんが、やるということ自体が少しおかしなことじやなかろうか。岡崎外務大臣は外務大臣として当然池田特使をアメリカにやることについて、御相談を受けられたに違いありませんが、御相談を受けられましたときに、岡崎さんはそれを了承されたのでありますか、お伺い申し上げておきます。
○岡崎国務大臣 了承いたしました。
○木村(武)委員 私はそういう日本の民族の運命をかけたような大きな問題を、なるかならないかわからないような、特使であるようなものを出して交渉しようというものの考え方自体が非常に卑怯ではないか、こういうふうに感じておりますが、まずそれは申し上げません。 第二の点でありますが、今の李承晩ラインの問題であります。これは委員からるる申し述べられましたけれども、非常に大きな問題であります。私は十九日のこの委員会の席しにおきましても、まず政治的に問題を打開して後、事務折衝をやるべきである、こういうお話を申し上げましたが、岡崎さんは李承晩が日本に見えましたときに、韓国も日本も共産勢力のあらしにさらされておる共同の運命を持つておるから、何とかなるのじやなかろうかというような御意見をここで発表されましたけれども、結果は会談決裂となつてしまつたのであります。しかもその会談決裂でありますが、政府の林外務省情報文化局長の談話によりますと、これは、国側の予定の計画のようである、こういうことを明瞭に発表されておりますが、その予定の計画というようなことは、日韓会談の交渉に入られます前にわかつたことでありますか。結果によつてこういうことが判断されたのでありますか、お伺い申し上げておきます。
○岡崎国務大臣 予定の行動というのは初めから韓国側は会談を決裂させようと思つたかどうか、それまで言つておるのではありません。会談が始まりましてから、いろいろ漁区の問題、漁船の問題等の、何といいますか痛いところを盛んにやられるので、これはもう早く切り上げた方がいい、そういう意味の計画的なウオーク・アウトであつたろう、こういう意味であります。
○木村(武)委員 そうすると発表の文章は訂正された方がいいと思います。日韓会談は昨日不幸にして不調に終つた、これは韓国側の予定の計画のようである、こう書かれておりますと、韓国側は始まりから会談を決裂せしめる意味合いにおいてやられたように、明瞭に受取られるのでありますが、岡崎外務大臣の答弁によりますと、そうでもなさそうでありますが、世界各国との交渉をおやりになります外務省が、こうした外務大臣の特別な説明を聞かなければわからないような文章を、爾今お書きになりますと、重大問題を起すに違いありませんから、文章の書き方だけはもつと厳密におやりになつた方がいいと思います。
○岡崎国務大臣 かしこまりました。
○木村(武)委員 それからこの李承晩ラインが宣言されましてから、日本の漁船が拿捕され、それから漁夫が射殺され、漁獲物は全部とられてしまう。しかも邦人が向うに抑留され、不法なる判決によつて服役せしめられるというようなことが続出しておるのであります。そうした現実の問題をどういうように処理して行くか、こういうことに対しまして政府自体も非常に焦燥を感じておいでになるようであります。私は、総理大臣が二十三日の閣議でありますか、岡崎外務大臣に対して韓国問題の解決にあたつては特に努力するように要請された、こういうことが新聞記事に出ておりましたけれども、もつともなことだと思います。さらに二十四日の朝八時半、首相は福永長官を招かれて、岡崎外相に対して死力を尽して早急解決を期せという指令を出された、こういう新聞記事が出ておりますが、総理大臣といたしましてこうした問題について、このように真剣におなりになることは私は当然だと思いますが、岡崎外務大臣は決裂後二度こういう総理大臣の指令と申しますか、命令と申しますかを受取られましたかどうか、お聞き申し上げます。
○岡崎国務大臣 吉田総理大臣もこの問題は非常に心配しておりまして、特に漁区、漁船の抑留、不法な裁判、さらには出漁船の保護ということについて、非常に心配しておられます。回数は覚えませんが、私に注意されたのも二へんくらいではありません。もつと何べんか注意されております。昨日もちよつと会いましたが、やはり同様に心配しておられます。もちろん吉田総理のみならず、われわれ皆心配して、解決に努力しておるのでありますが、吉田総理も、お話のように非常に憂慮して、いろいろな点から検討を加えております。
○木村(武)委員 外務大臣や総理大臣の御心労は多といたしますが、これは早急に解決しなければならない現実の問題であります。日々被害が続出しておる問題となつております。それに対して岡崎外務大臣は、非常に慎重な態度をとつておいでになります。その慎重な態度の内容でありますが、今お聞きいたしますと慎重な態度の内容はまず世界の輿論を喚起する。もう一つは、国連軍の理解を得る、そして円満にこれを処理したいと、こういうようなお考えであるとお述べになりましたけれども、そういりような手を現在早急に打つておいでになりますかどうか、これもお伺い申し上げます。
○岡崎国務大臣 私はそればかりではございません。たとえば国際連合の方のことも考えておりますし、場合によつては国際司法裁判所ということも考えております。しかし、これらはいずれも現に手は打つておりますが、すぐにあしたから解決するという問題ではありませんからして、その他の方法も面接間接に講じなければならぬと思つております。そして、どうしても道がないということになりますれば、漁船の保護ということも、日本政府として、真剣に検討してみなければならぬ問題だと思います。従いまして、いろいろの角度からやつております。
○木村(武)委員 現実におびただしい被害をこうむつておる問題でありますし、漁民にとつては生存権の問題である。それから、その漁獲によつて生活しております国民にとりましては、生活権の問題でありますが、だからといつて、私は強硬手段によつてこれを解決せよと申し上げるのではありません。可能な範囲内において平和的手段によつてこれを解決してもらいたい、こう感じております。岡崎外務大臣も同様の態度をおとりになつておるようでありますが、こういうような現実の、続出しております被害の解決というものに対しては、およそ平和的手段には目途があるだろうと思いますが、大体いつごろまでにこれを解決するのだという計画のもとに、現在おやりになつておりますかどうか、これをお聞き申し上げておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 お話のように、できるだけ平和的な手段で解決したいと思つておりますし、また先ほどお話になりましたように、李承晩大統領自体の考え方から言いましても、この今の焦眉の問題は別として、長い目で見れば、二、三年かそのうちには日韓間の十分なる理解が進んで、こういう問題が消滅することを私は信じて疑いません。ただ現在焦眉の急であるから、そんなのんきなことを言つておられないわけであります。これについて、私としては、特にいつという日取りを切ることもできませんけれども、およそ常識で忍耐ということも限りのあるものであります。また一方においては、底びき網とかトロールの漁期は、大体盛漁期というのは、十一月から始まりまして、三月ごろに終るのであります。それがかりになかなか解決しないで半分も漁期が過ぎてしまうということになると、損害も非常に多いわけでありますから、この漁期の関係からいつても、ある程度の制限がどうしても出て来るわけであります。従いまして、今できるだけ急いでというつもりで、いろいろの手を検討いたしておる最中であります
○木村(武)委員 そのおよその計画に基く時期はお話できないようでありますが、これは相当困難なことだ、相手のあることでもありますし、しかも相手は相当の者であります。だが私は、外務省が韓国側の予定の計画のようであるというようなことをかりに発表されるといたしますれば、日本は韓国統治三十年の歴史を持つているのであります。どういう民族性であるか、どういうやり方をするかというようなことは、およそ外務省としては見当がついているはずであります。のみならず、韓国が独立してからの今日までの諸外国に対するやり方のようなものも、およそ見通しがついているはずであります。そうしたはつきりした相手に対する外務省のやり方といたしましては、私は非常にまずかつたのではないだろうか、こういうように判断するのであります。 もう一つ、竹島の問題であります。李承晩ラインを李承晩が宣言いたしましてから、事実李承晩ラインというものは確認されている。日本の漁船は一隻といえどもその中には入れない。従つて漁獲はそこからはない。それですから事実上李承晩ラインというものは確認されている。しかもその李承晩ラインの中にあります竹島というものは、これも事実上韓国の領土のようなものになつている。標識を抜いたり立てたりしておりますけれども、事実上韓国の領土のようなものになつている。日本が領土を失いまして、さなきだに少い領土を、しかもよほど前から日本の領土であることが明確でありますこの竹島が、事実上韓国によつて占領されているということになりますと、これは国辱の問題だと考えております。無人島であるから占領されてよろしい、人が住んでいる場所であるから占領されては悪いのだというようなことは私はないと考えております。事実上占領されているということは日本の大きな国辱の問題である。そうした国辱の問題をひつさげて日韓交渉をしなければならぬ外務省の態度といたしましては、決裂したからといつて、一体現状のままで済むのかどうかということも私は大きな問題だ、こう考えております。この国辱の問題を中心にいたしまして、かりに民族問題というものが熾烈化いたしますれば、あるいは穗積君なんかが憂えられたような結果が起きないとも限らないと私は感じておりますが、こうした標識の奪い合いなどやらないで、一日も早く竹島が日本の領土であるということを、韓国をして確認せしめる必要があると感じておりますが、岡崎外務大臣はこの問題をどういう方法で解決しようとしておいでになるか、お伺い申し上げます。これは漁業権の問題とは関係なしに、日本の領土である竹島が事実上韓国に占領されている。私もこの問題が起りましてから、竹島というものに関心を持ちまして、いつごろから一体日本の領土になつたのであるか、文献を調べてみたのでありますが、非常に古い地図が私の手元にあつたのであります。これは文化八年に発表されたものでありまして、今から百四十四年前の地図でありますが、これによりましても、竹島は明瞭に日本の領土になつておるのであります。その領土になつております日本が、韓国とその標識の奪い合いをしなければならないとは、一体何たる恥辱でありますか、じつとしておられないような気持がするのであります。一日一刻といえども、私はこの問題だけはゆるがせにすることはできない、こう考えておるのでありますが、これに対して外務大臣はどういう態度でこの問題を解決されるおつもりでありますか、お聞き申し上げます。
○岡崎国務大臣 領土の問題というのは実際非常にむずかしいので、たとえばトリエステの問題でも、イタリアとユーゴスラビアで非常な争いをしておるというようなこともありまして、なかなかむずかしい問題でありますが、竹島については、私は日本の領土であるということは、これは間違いないのであつて、これは自分の領土なのですから、これをどうすることもできない。これはもう自分の領土だと、がんばるよりほかに方法はないと思います。これを日本の領土でないという者があれば、それはまつたく誤りでありますから、これについては歴史的な文献、その他いろいろの材料はもちろんありますので、これはどうしても日本の領土だといつて守つて行くよりしかたがないと考えております。
○木村(武)委員 岡崎外務大臣の決心はわかりましたけれども、どうしてそれを韓国をして納得せしめる政治的手段をおとりになるか。ただ子供がおれのものだといつてがんばつておるようなことでは済まないと、私はこう感じております。どういうような態度でこの問題を解決されるおつもりでありますか。ただがんばるだけでは子供らしいと私は考えております。国民をして納得せしめる手段、方法いかん、こういうことであります。
○岡崎国務大臣 しかしどうも納得するのは向うの仕事であつて、われわれの方は自分の領土を一生懸命納得させることも、実は必要がないと思う。たとえばこれは例は非常に違いましようが、淡路島は日本の領土だということを、どこの国に納得せしめる理由もない、同様なことだと思つております。従つて韓国が間違つた主張をすれば、それは間違つておるのだということを言う以外に方法はないのだと思うのでありますが、ただ日本の主張を裏づけるための十分な資料は持つております。これはすでに韓国側にも公文の付属として提出しております。またその他いろいろな点から見て、どうもこれはほかに考えようはないのであります。どうもこれは非常にむずかしいのですが、日本の領土ときまつたところですから、向うがそれをよく理解するのがあたりまえの話だ、こう考えております。
○木村(武)委員 韓国をして納得せしめることであります。日本人は竹島は日本の領土であるということは確認いたしておりますが、納得し得ないということは、韓国は自分の領土であると主張して、韓国の標識を立てておる。それに対して国民が納得しない、こういうことでありまして、竹島が日本の領土であることを国民が納得しないと私は申し上げたのじやないのであります。韓国をして納得せしめる、韓国があそこに来て、韓国の領土であるというように標識を立てないようになつたならば国民は納得する、そういう方法が何か、こういうことを私は申し上げておるのでありますから、これ以上は申し上げません。 私非常に憂える点があります。たとえば池田勇人氏を日本の吉田総理大臣個人の特使としてアメリカに派遣するというようなやり方が、こうした大きな日韓の問題、しかも日韓の問題が全般に波及いたしまして、大陸だなの問題が各地にできそうな形勢になつておる、一波が万波を呼ぶような大きな問題、こういうような大きな問題は最初に事務的折衝によつて解決をするというようなものの考え方に根本的な間違いがありはしないか。まず大胆に政治の手を打つ。なるかならないかはわからないけれども、民族の生存のためには、国家の運命のためには、やはり出て行つてやらなければならないことであります。それをやろうとしない。事務的に折衝して、可能であつたならば後にサインには出かけて行く。事務的折衝が失敗に終つたならば、あとは投げやりにするというような態度に、根本的な間違いがありはしないか。こういう大きな問題は、事のなる、ならないにかかわらず解決しなければならない問題であります。そういう問題が出たときには、総理大臣が行けなかつたならば、外務大臣が飛び出して行つて、まず政治的に大きな折衝をして、後に事務交渉を有利に導いてやるというような手をなぜ打てないのであるか。きのうの水産委員会の席上におきまして、首相にも自分にもいろいろな考えがあるのだ、こういうことを申し述べておりますが、私は外務大臣と接触いたしておりますと、答弁はまことにお上手である。答弁の機械のように見えます。しかしながらその機械を冷静に考えてみますと、結果において事がならない。私は答弁の上手下手は問題でないので、物を解決する力があるかどうかということが一番大きな問題だと思つております。私たちはこんなところでこんな議論はしたくないのであります。しかし現実の問題、言わねばならないから申し上げるのでありますけれども、できるできないは別問題でありますが、大きな政治の手を打つて、事務折衝を有利に導くことの大胆さ、豪胆さがほしいと考えております。久保田さんですか、そういうような人々に失礼でありますけれども、経験の点においても、手腕力量の点においても、岡崎さんとは格段の差がある。格段の差があればこそ岡崎さんが外務大臣になつておられる。それ以上の人が吉田さんであります。吉田さんの個人的折衝なんかは非常に見事である。そういうような人が出て行つて、事務的折衝を有利に導いてやるというような政治の手は打てないものかどうか。池田さんをやつてみて失敗すれば知らぬ顔、成功したならばおれのもの、こういうようなやり方は、私は本質的に間違いじやないだろうか、こう考えるのであります。ああした日米交渉のようなものは、総理大臣が行けなかつたならば副総理がおるじやないか。なぜ責任をとる立場において、責任がある行動をとらないか、それをこつそりやつてみて、成功したならばおれのもの、失敗したならば知らぬ顔というようなやり方で、日本の運命の打開は不可能だと私は考えております。そうだから申し上げるのでありますが、こいねがわくば、大きな政治の手を打つことによつて、一刻も早く解決してもらいたい。最近の日韓会談決裂以来の政府の態度を見ておりますと、いたずらに強がりの放送のみであります。首相も強がりの放送をやつておられる。副総理も強がりの放送をやつておられる。外務大臣もその通り、木村保安庁長官もその通りであります。事前に策を整えてやるのであつたならば、私はまた結果は悪くないと思いますけれども、放送だけしておいてやらなかつたならば、結果は非常に悪いものが生れて来はしないか。それだけではありません。力を背景にして、武力を背景にして物を解決しようという時代は、もう戦争以前の時代であります。私たちの求めておるものは力で解決しようとするのではない。武力で物を解決しようとするのではない。政治の聡明さによつて日本の進路を開拓して行くというのが、新しい日本の行き方なのです。そのためには私は岡崎さんも吉田総理大臣も、まず大きな政治の手を打つて、こうした問題を解決してもらいたいということを、特にお願い申し上げる次第であります。私の質問はこれで終ります。
○上塚委員長 佐々木盛雄君。
○佐々木(盛)委員 私は本日は木村保安庁長官を中心として少し承りたいと思つたのでありますが、不幸にして所用があるそうでありますから、外務大臣と海上保安庁と水産庁に対しまして、簡単に二、三の点だけを承つておきたいと思います。 まず第一に外務大臣に対してお伺いいたしたいのは、先刻来各委員からも熱心に発言のありましたように、李承晩ラインをめぐる日韓の紛争であるとか、竹島の問題というものは、単なる国際法上の論争の問題ではなく、単なる原則論の争いの問題ではなくして、まさに公海の上において、あるいは自国の領土の上におきまして、主権が不法に侵略を受けておる、こういうことは明らかに海賊的な行為である。私はきわめて簡単な議論でありますが、まずそういう根本の認識の上に立つて物を考えたい。さような見地から承るわけですが、韓国側の行為はまさに海賊的な行為である、こういうふうに私たちは認識をいたしておりますが、外務大臣はどのような御所見でありますか。
○岡崎国務大臣 私の立場といたしましては、海賊的などという言葉は使いたくありませんが、非常に合法的でない不都合な行為であると思つております。
○佐々木(盛)委員 私はなぜこういう問題を持ち出すかと申しますと、単にこれは公海自由の原則をめぐつての国際法上の紛争ということではなくして、日本人の生命財産が、韓国側の海賊的な行為によつて不当に蹂躪されておる、あるいはまた竹島という日本の領土の一角が不法に侵略をされておる。独立国として公海上において、あるいは自国領土内においてその主権が蹂躙されて、手も足も出ないというような、そんな醜態があろうはずはないのであります。ここに先刻来各委員のおつしやつておつた国民として納得しきれないものがあるのであります。もとよりこの不法行為というものは、韓国側の不法なる態度によつて生じたことは申すまでもないことでありますが、国民の納得しきれないのは、明々白々に韓国側が不法であるのにもかかわらず、会談はむしろ朝鮮側の一方的な行為によつて決裂し、韓国によつて引きまわされておる。国敗れたりといえども、この地球上の一弱小国であるところの韓国から、日本がこんな屈辱を受けて手も足も出ない、まことに醜態でないかという声は、私はけだし一般の輿論、国論としては当然のことであろうと思います。私は必ずしも外交当局が輿論と同じ行動をとれということを主張するものではありませんけれども、輿論として当然のことである。その上にこそ吉田総理も、死力を尽してもこの紛争の解決に当れ、こういうことをおつしやつているのであろうと思います。申すまでもないことでありますが、水産庁の船までもが不当に拿捕されて拘引された。一国の公船が不当に拿捕されたようなことが、戦争を開始するというところの理由にもなつたという歴史はすでにあるのであります。私はそういうふうな根本的な認識の上から、今韓国側の行為はまさに海賊的な行為ではないかということを、あえて外務大臣の口からもはつきりしていただきたいと考えた私の考え方を了とされてもらいたいと思うのであります。 次に私は承つておきますが、先ほども同僚議員からもお話が出ておりましたが、今日の国際外交の原則というものは相互主義の上に立つておる。先般の日米通商航海条約のごときにおきましても、やはりこの相互主義の上に立つて条約が結ばれておる、これは独立国としては当然のことであると思います。このときにおきまして、韓国側だけが一方的な不法な態度に出る。われわれは甘んじてこれを受けなければならぬ、こういうことではまことにわれわれも承服できないわけでありますが、あえて経済的な報復措置と申しますか、少くとも対抗措置は当然とる権利をわれわれは持つておるのであります。さような見地から考えまして、ただいま日本におります韓国人はすでに六十万であります。日本は今日食糧難です。今日この六十万の朝鮮人、韓国人に対して生活保護を与えておる。ない食糧をさいて提供いたしておるわけであります。しかも事あるごとに、あえて動乱を好む不良韓国人のおることも御承知の通りであります。私は当然出入国管理法の対象としても、今日日本にあります韓国人に対する態度につきましては、新しい措置を設けなくても、出入国管理法を厳重に適用する必要がありはせぬかと思う。さような見地から考えましても、対抗的措置といたしまして、日本におります韓国人に対するところの強制送還、ないしはこれらに対するところの何らかの対抗措置というものを、当然今日の段階においてはもはや考えるべく、そして行うべき段階ではなかろうか、またこれが今日九千万国民のほんとうの声であろう、私はこのように考えるわけでありますが、これらの点につきまして外務大臣は、どのようなお考えをお持ちになつておるでありましようか。
○岡崎国務大臣 そういう点も考慮の対象にはもちろんいたしております。しかし実際に実行するということになりますと、いろいろの問題があるのでありまして、これは出入国管理庁の方で御説明するかもしれませんが、厳重に法を施行することについてはけつこうでありますが、今おつしやつたような点は、いろいろ考慮を要する点があると考えております。
○佐々木(盛)委員 私はもう簡単に結論を急ぎますが、場合によつてはそれらの対抗措置をもとるのだという用意をお持ちになつているかどうか、この一点だけを明確にしておいていただきたい。
○岡崎国務大臣 その心構えでおります。
○佐々木(盛)委員 外務大臣に対する質問は、時間の関係もありますから打切ります。 次に水産庁関係の方に承りたいと思うのですが、水産庁といたしましては漁民保護の立場から、出漁期を控えた漁民に対してどうしようという指導的な立場をお持ちになつておるのか。今出なければ生活権の問題になつておるわけでありますが、どういうふうな方針で漁民たちを指導しようというお考えであるか、承りたいと思います。
○永野説明員 さしあたりまして出漁したい漁船につきましてどういう措置をとるかという点でございますが、この点につきましては、私どもといたしましては日本漁民の働き場所といたしまして、この漁場は絶対に確保いたしたいという希望を持つておるわけでございます。ただその場合に韓国側がどういうふうな態度に出ますか、もちろん従来行われましたような不当な実力が加えられるという危険性が十分あるわけでございます。従いましてこれにつきましては、先ほどからお話が出ておりますように、そういう不当な実力行使から漁業者を守つてやるだけの措置というものも、一方に考えておかなければならない、こういうことで、ただいま政府部内で研究をいたしておるわけでございます。その点につきましては先ほどから保安庁長官からお答えがあつた通りでございます。それとにらみ合せて、私どもといたしましては、たとえば韓国側の出方というような問題もございますので、そのときどきの事情によりまして、漁民にできるだけの親切な指導をやつて参りたい、こう考えておるわけでございます。
○佐々木(盛)委員 重ねて承つておきますが、出漁期を控えた漁民たちは、死活の問題として危険をも冒して強力出漁をする、危険出漁をする、こういうことを訴えて参つておるわけでありますが、李承晩ラインを突破して危険出漁をする者に対して、危険だから出漁してはならない、これを抑制するような方針なのか、あるいはあらゆる便宜をはかつて、出漁する者に対してはできるだけ保護措置、予防措置をとるのか。つまり積極論なのか、消極論なのかということであります。 〔委員長退席、富田委員長代理着席〕
○永野説明員 現在のわが国の現実におきまして、どれだけの措置が講じ得るかという点につきまして積極的に最善の努力を尽して漁民の出漁を保護して参りたいということで、私どもは目下関係各省が相談をいたしております。
○佐々木(盛)委員 それではこの李承晩ラインを突破して出漁する者を、政府当局の方針としては出漁してはならない。出漁をしないでくれといつてこれを抑制する。こういう考え方は毛頭ないわけでございますね。
○永野説明員 ただいまお話の通りでございます。
○佐々木(盛)委員 次に海上保安庁長官に伺つておきたいと思いますが、伝え聞くところによりますと、海上保安庁の巡視船と申しますか監視船と申しますか、この巡視船というものが赤手空拳であつて、韓国側の武装された艦艇に対しては手も足も出ない、こういうので、実際問題として漁船を保護する立場にあつても、これを保護するに必要な火器、武器というものがない、こういう現状であるようでありますが、それでは海上保安庁の当局者といたしまして、この巡視船を武装して火器を持たせるというようなことにつきましては、おそらくはもうすでに構想もあることと思いますし、場合によつてはすでにアメリカの方にも、武器の提供方を申し込んでいるという話もあるわけでありますが、どういう御所信であるかこの際承つておきたいと思います。
○山口説明員 巡視船の火器装備につきましては、すでに昨年以来方針はきめておりまして、ただいま現有勢力であるところの九十二隻の巡視船のうち、若干の老朽船といいますか、弱体の船だけは除きまして、新鋭の巡視船約六十隻を目標にして、火器をとりつけることにいたしました。火器をとりつける内容は、一番大きいものは三インチ、それから四十二ミリ、二十ミリという機関銃、その他でございますが、その巡視船の大きさによつて、それぞれの組合せで三インチまでつけることに、方針はすでにきまつておるわけであります。二十七年度の補正予算で、まず二十六隻の改装工事にとりかかりまして、さらに二十八年度におきまして、たしか最初の予算は三十三隻だつたと思いますが、それが例の百億の行政削減で、たしか若干隻数は減りました。それらについて鋭意工事を進めて参りまして、現在のところは、はつきりした数字は知りませんが、もうほとんど八分通りの隻数は、すでに改装工事は終つております。ただ問題は、それにとりつける火器の手当の問題でございますが、これはお話のように、当初からアメリカから貸与を受けるという方針で参つております。この方の交渉が、形式、内容等につきまして、双方からいろいろの案を出しまして、論議を続けておるわけでありますが、出先だけではきまりませんで、ワシントンの指令もありまして、いろいろな案が行つたり来たりしております。私どもは直接やるわけではありませんで、外務省を通じてやつていただいております。その方で延びておりまして、まだとりつけそれ自体に至らないのは遺憾であります。ただこの火器をとりつけることは、巡視船の本来の沿岸警備という業務上のためにとりつけるものでございまして、その点は、今回のように先方が力をもつて来るから、その対抗手段に備えるためにつけるというものではないわけでありまして、いずれの国におきましても、沿岸の警備船、いわゆる警察船の範囲におきましても、海上における凶悪なる犯罪船に対しましては、相当な火器を装備しなければ仕事が遂行できません。その必要上とりつけることになつて、私どもはなるべく早い機会にとりつけるように、鋭意交渉を進めておるわけでありますが、遺憾ながら今日までまだ現実にとりつけるところには行つておりません。改装工事は、大体八分通りの隻数につきまして完成しておるという状態であります。
○佐々木(盛)委員 ただいまの海上保安庁長官の言明にありましたが、アメリカ側との交渉に入つておるが、これがなかなか進んでいない、こういう仰せであります。その間の事情につきまして、あるいは見通しにつきまして、外務省から御説明を願いたいと思います。
○山口説明員 私どもが直接その問題でお願いしておる外務省の担当局は、国際協力局の方でございまして、きようお見えになつておりません。
○佐々木(盛)委員 その点は了解をいたします。それでは、アメリカ側からの武器の貸与が参りまして、備えつけを終りましたならば、すぐにこれは日本の沿岸全部の哨戒に当るわけであります。またただいまの朝鮮海域の紛争の渦中に飛び込んで行くものと思います。 〔富田委員長代理退席、委員長着席〕 そこでその場合に、日本の漁船が拿捕される、あるいは射撃をこうむる、あるいは拉致される、こういう場合におきましては、海上保安庁の巡視船はいかなる措置をやるのでありますか。
○山口説明員 かりに将来火器をとりつけまして、警備に当るような状態になりましても、先ほど申し上げるように、この火器は要するに号砲であるとか、威嚇射撃の用意のために装備するのでありまして、但しそれとて相当の威力を示すことと思います。その背景によつて、従来から続けておるような、平和裡に条理を尽しての折衝を最後までやつて行くわけであります。その最後と申しますのは、かりに向うが実力に訴えるという瞬間に相なりますれば、警察船としてやむを得ず、避けざるを得ないという考えでおります。退避して参ります。それをも押して向うにぶつかつて行くということは、今のところ指示いたしておりません。
○佐々木(盛)委員 それでは具体的に承ります。日本の漁船が拿捕されたときに、これを哨戒の任に当つておつた海上保安庁の巡視船は、手をこまねいて、拿捕されて連れて行かれるのを傍観するということでありますか。
○山口説明員 今までにもそういうような事態ができておりますが、その場合に、向うの艦艇との間に会談を申し込む。それである程度成功して来た場合もあつたのでありますが、最近ではだんだんそういう点がむずかしくなりまして、向うでは巡視船に対しても威嚇的な態度に出て、向うがいろいろな火器等について準備態勢を整えて、会談にも応じない。実力をもつて連れ去るという場合には、遺憾ながらそういうときの地点とか、その他状況の資料をとることにして、それ以上体当りをするとか、そういつたことまではいたさせておりません。
○佐々木(盛)委員 日本の漁船が韓国艦船によつて射撃をこうむつたり、砲撃をこうむつた。たまたまこれを哨戒する立場にある海上保安庁の巡視船が、付近におつたという場合には、いかに処置するのでありますか。
○山口説明員 これまでもそういうことでありましたが、そういう場合には、もちろんその現場にいわばたてのようなかつこうで行つて、交渉して、しかし向うが依然として撃つて危険があるというときには、やむを得ない、そのときには退避をせざるを得ないということで、今まで来ております。
○佐々木(盛)委員 それでは火器を装備すれば、一体何のために装備するのでありますか。日本の漁船が現実に不法なる射撃をこうむり、砲撃をこうむつておるのを、火器を持つた巡視船がこれを傍観しておる。あるいは会談を申し込むことがあるかもしれませんが、会談を申し込みましても、今日の今の客観情勢からいうならば、この会談に誠意をもつて応ずることは考えられないわけであります。韓国側が会談を拒否して、そうして不法攻撃を加えた場合において、巡視船はいかに処置するか。
○山口説明員 いわゆる正当防衛あるいは緊急避難というようなことがありますが、そういう場合に、消極的に防衛に使う場合はありますけれども、向うが撃つて来たから、こちらもそれに対して撃つて、積極的に向うということは、現在考えておりません。
○佐々木(盛)委員 それでは韓国側の艦艇が、あなたのお持ちになつておる巡視船に砲撃を加えて来た場合には、どういたしますか。
○山口説明員 その場合に正当防衛の必要があれば、その範囲においてはいたしますが、積極的に行くことはいたしません。なるベくそういうときには退避しております。
○佐々木(盛)委員 私はもとより正当防衛の場合を言つておるのであります。公海上におきまして不法に韓国艦艇によつて射撃を受ける、攻撃を加えられる、この場合において、今までの御説明によりますと、日本の漁船がどれほど射撃をこうむつても、海上保安庁の船はこれに対して発砲するということはしない、こういう御説明であつたと思いますが、そのことが正しいかどうかということが第一点。もう一つは不法にあなたの巡視船に攻撃を加えて来たときにおいては、巡視船はどうするのか、この二つの問題であります。
○山口説明員 巡視船それ自体に撃ちかけて来られるときは、いわゆる今の正当防衛の範囲ではむろんこれはやります。漁船の場合はむろんその中に立ち入つて交渉します。もしこちらに撃つて来られたときは今の正当防衛ないしは避けるということになると思います。
○佐々木(盛)委員 私は最後に一点だけ明確にしておいて質問を打切りますが、それは今問題になつております火器を巡視船に装備するということは、巡視船自体が攻撃をこうむつた場合にのみ使い得るのであつて、他の場合において漁船を保護したり、あるいは日本の竹島の領土が不法に侵略をこうむつた、そういう場合において日本の主権が不法行為によつて蹂躪されておる、そういう緊急事態に対してもその火器を使用することがない、こういうお考えであるか、その点をひとつ明確にしていただきたいと思います。
○山口説明員 警察行為の限界で、正当防衛として処理するだけであります。
○佐々木(盛)委員 本来の海上保安庁の使命が、警察行為でありましても、緊急不正の危害が加えられたときにおきましては、正当防衛の権利というものは私は当然発生するのだと思います。このことはいかに憲法の上におきましても、あるいはあらゆる国内法の上におきましても、当然これは優先すべきものであると私は考えるのであります。そのときに本来は警察行為をやるのであるから、どんな不法な攻撃をこうむつても、日本人が殺されても、これを傍観する以外にないというのだつたら、一体何のために火器を装備するのですか。
○山口説明員 お話の通り、正当防衛の範囲においてはこれを使用いたします。
○佐々木(盛)委員 もう一度はつきりお聞きしますが、漁船が攻撃をこうむつた場合においてはどうするかというのです。
○山口説明員 先ほどから申し上げますように、漁船が襲撃されておる場合には、むろんその現場に行つてかけ合うわけですが、今度は巡視船に向つて撃つて来るということになつた場合に、正当防衛が出て来るわけです。そういう段階まで考えておるわけであります。
○佐々木(盛)委員 それでは漁船がどんな射撃をこうむつて不法な目にあわされておつても、巡視船自体が射撃をこうむらない場合におきましては、韓国側と折衝はするけれども、持つておる火器を使用して対抗措置をとることはないという意味ですか。これは重大な問題であつて、私は日本の漁船が射撃をこうむる、砲撃をこうむつた場合におきましても、当然そこに正当防衛の権利が発生すると思うのです。その漁船を保護する立場にありながら、元来がこれは警察行為であるから、拱手傍観をするというようなことは、私は筋が通らないと思うのです。どういうものでありますか。
○山口説明員 先ほど来申し上げたように、そういう現場にあいました場合には、むろんたてになるようなかつこうでその間に入つて行くわけです。そしてそのときにやむを得ない正当防衛の限界ではそういうことも覚悟しておるということであります。
○佐々木(盛)委員 それでは単に漁船がこの砲撃をこうむつただけでは、いかに漁船そのものに対して正当防衛の権利があろうとも、巡視船は交渉はするけれども、またたてとしてその中に飛び込んで行くことはするけれども、対抗措置は講じない、つまり持つておるところの火器を使用して対抗措置をしない。もしその中に飛び込むだけなれば、ともに巡視船までが砲撃をこうむるだけでありまして、いささかも漁船の保護にはならない、かように私は考えるわけでありますが、この点は重大な問題ですからよくお考えになつて、間違いのないような御答弁を願いたい。そんなことを国民が聞いたら何と言つて嘆くだろうかと私は思う。もう少しはつきりした御答弁を願いたい。よくお考えになつて、御相談されてけつこうですから、はつきり御答弁願いたい。
○山口説明員 方針としてはこれから火器を装備してからのことでありますから、十分今後の事態について検討も続けてみたいと思うのでありますが、今のところそういうときの考えとしては、先ほどから申し上げるように、間にまず入つて交渉をしてやつて行くという考えでおるわけであります。むろん自己または他人の生命、財産に対する急迫、不正の侵害に対して正当防衛権があるわけでありますが、問題は不正の侵略かどうか、侵害かどうかという点でなお若干研究を要しますので、この点は今後十分研究してみたいと思います。
○佐々木(盛)委員 今日韓国側のとつております行為が、不正の侵害であるかどうかということに対して、まだ疑問があるかもしれぬようなお話をされています。そういうふうな認識に立つておるから、私は一番最初に外務大臣に、今度の日韓紛争の本質をどういうふうに考えておるかという点から、追究をして行つたわけなのであります。あなたの御説明によりますと、まだそこには双方の、国際法であるとか、国際法上の原則であるとか、そういう慣行上の議論、原則、建前について、韓国側は韓国側としての言い分があつて、必ずしも日本の言うことだけが正しくないのかもわからぬというようなあいまいな点があるようでありますが、私は一点そのような疑いはない、かように考えますから、あえて韓国側の態度は海賊的な行為であるという前提に立つて話をいたしておるのであります。そこで私はもつとはつきり承つておきたいと思いますが、今あなたの答弁の中にも、自己または他人に対して不正なる侵略が加えられた場合においてというお話がございました。海上保安庁の巡視船そのものではなくても、日本国民であるところの漁民、これが不正なる侵害をこうむつたその急迫した事態において、正当防衛の権利というものを保護すべき立場にあるところのあなたが発動されることは当然なことだと私は思うのであります。それすらもできない、こういうふうなお考えであるということになれば、これは実に重大なことであつて、漁民たちは決して安心することができない。最後の場合におきましては、しつぽを巻いて逃げて帰つてしまうというのだつたら、漁民たちは安心することができない。私は巡視船が身を挺して、その中間の弾雨の中に飛び込んで行かれるという、その意気たるやまさに壮とするものがあるのでありますが、その中にあつてもなおかつ韓国側が砲撃をやめないという場合におきましては、巡視船そのものが砲撃をこうむらなくとも、日本の漁船が不法な射撃をこうむつた場合におきましては、当然今その場にあるところの火器を初めとするすべてのものを動員して、緊急事態に対して対抗するということが、もとより私は当然のことであると思う。そのためにこそ国民は今日海上保安庁というものを持つておるわけです。そういう必要があればこそわれわれは持つておるわけです。われわれはその根本の認識につきまして、くどいようでありますが、もう一度もつと所信を明らかにしていただきたいと思います。
○山口説明員 われわれは終始事態を円満に治めようと思つて、多少手ぬるいと思われるようなことも今日まであつたかもしれませんが、今後会談決裂後どういう状況になつて参りますか、その状況によりましては、さらにわれわれのいろいろの指示等につきましても十分考え直して、事態の解決に、あるいはまた漁船の方の期待にこたえるような方向で参りたいと思つております。もちろん火器を装備しました場合の取扱いについては、事は慎重を要しますので、十分に間違いがないように、この取扱い方についての案等も目下検討しておる際でありまして、十分御趣旨に沿うように考えて参りたいと思います。
○上塚委員長 並木芳雄君。
○並木委員 先ほどからの論議を聞いておりますと、ようやく今の佐々木委員の質疑応答でやや焦点が合つて来たように感じます。そこで今のは海上保安庁の警備船でございまして、さつき木村保安庁長官は、出動は考えておるけれども、一旦漁船が危殆に瀕した場合にはたしてどうするかということについては、遂に言明を避けたのであります。おそらくこれは木村長官としては、危殆に瀕した漁船というものを見た場合に、それを撃つべきか撃たざるべきか、そこに問題があつたのだろうと思います。そこで私は条約局長にお尋ねいたしますが、そういう場合に撃つことができるかどうか、これだけはまずはつきりしておきたいと思うのです。現在の保安庁法のもとにおいて、正当防衛という名目のもとに合法的に撃つことができるかどうか、お尋ねいたしたい。
○下田説明員 私は純粋な法律上の見地から、法律上可能であるかどうかということを申し上げるのでありまして、実際問題としてそうすべきであるとかいうような点は全然ないのであります。純粋の法律問題としてお答えいたしますと、国家の公船、しかも人命、財産の安全を保護する任務を有する国家の公船が、目前において一国の人命、財産が危殆に瀕し、あるいはみずからが危殆に瀕するという両方の場合におきまして、国際法上その所有の武器を使用するということは、合法的であるということをお答えしたいと思います。
○並木委員 よろしゆうございます。その点ははつきりいたしました。ただ問題は、乗組員の場合であります。そういう使命を帯びて警戒の任に当るのはいやだという隊員が、よもや出て来るとは思いませんけれども、あつた場合に、これに対して現在の法律で強制力があるかどうか。
○下田説明員 それは外務省の問題といいますか、国際法の問題ではないのでございまして、国内法上あるいは国内の規律上の問題であります。その指揮者がもしそういう命令を与えたときに、その命令を実行しなかつた場合に対する懲戒なり規律なりの問題でありますから、私からお答えすべき問題ではないと思います。
○並木委員 これは海上警備隊の問題ですから、海上保安庁の長官にも共通した問題であろうと思うのです。要するに私が問わんとするのは、国内法で国内の治安の維持に任ずるのだということを目標にして隊員を募集しております。あるいはあなたの方の庁員をそうして募集して乗り組ましておる。それが今度の場合には、明らかに相当の危険が伴うところに出動するのでございますから、もし乗組員の中でそういうところに行くのはいやだと言つた場合に、それを強制する法的の力がありますかどうか、私はこの点について疑問を持つておりますので、お尋ねしたい。
○山口説明員 私の方は、そういう場合に命令に従わないということはないつもりであります。志気は非常に上つております。かような危険な場面に遭遇することはもちろん覚悟の上で、むしろ乗組員は内心血がたぎつておるわけであります。ただ今のところ、御承知のように火器は積んでおらない。むしろ切歯扼腕というような気持でがまんにがまんをして仕事をしておるわけでございまして、行かないというようなことは私ども考えておりません。
○並木委員 先ほどの条約局長の答弁によりますと、こういうような場合にこちらからも撃つということは、決して非合法ではないということでありますので、お尋ねいたしますが、それならば、現在アメリカの駐留軍が日米安全保障条約で守つておりますが、これは紛争ではなくして不法侵略であるのですから、そういうときには目前の危害を救うために、当然出動して守るべきだと思うのですけれども、この点に対してどういうふうにお考えになりますか。
○下田説明員 日米安保条約に基く米軍の出動の問題と、現在の段階の問題とは、私は関係が全然ないと思うのであります。日米安保条約で米軍が出動する場合は、極東における国際平和及び安全が危殆に瀕するときというのがありますが、今相当はつきりした段階に来ておりますが、やはり漁業紛争でありまして、公海上における漁船が他国の不法行為によつて危害を受けておるという段階の問題でありまして、まだいわゆる侵略が発生した場合ではないわけであります。従つて安保条約に基いて米軍の出動を依頼するという問題とは、現在の段階において関係がないと思います。
○並木委員 漁業紛争であつてまだ侵略ではないと言うけれども、それがさつきから他の委員の発言にもあつた、外務省の認識の相違であると指摘された点であると思います。これを紛争だと言えば、今の海上保安庁の船だつて、海上警備隊の船だつて、行つて向うで紛争解決の手段として実力に訴えることは、どうしても憲法上も疑義があるので、いよいよ紛争をうるさくし、こんがらかして行くと私どもは思うのです。これは紛争ではなくして侵略である。規模は小さいけれども、その個人あるいは漁船にとつては大きな侵略なんです。国の利益を侵略されるその目前の侵略を見ても、日本に守る手段が目下ないのですから、ない場合には安保条約で出動してもらつてもよいだろうと思いますが、いかがですか。この点については久保田さんに伺いますが、久保田さん、あなたは直接日韓交渉に当られた方なんです。一番向うの空気もよくわかつておるしするものですから御質問しますが、一体どうなのですか。今度韓国であんなに主張しておるのは、われわれから見れば明らかに横車を押しておるわけで、こういう無理な言い分に対して、久保田さんも思い切つて反駁をされておりますから、私どもは心から支持いたします。支持いたしますだけに、反面あのお隣の大韓民国がああまでがんばらなければならないというのは、何かそこに裏があるのじやないか、ほかにねらいがあるのではないかとも思われるのです。そういう点のバツク・グラウンドについてこの際見解を披瀝していただけたらけつこうだと思います。そうして直接交渉の任に当つた久保田さんとして、こういう問題の解決にはどういう方法をとらざるを得ない、これ以外にはない、そういう見解もあろうかと思います。ただいまその一つの方法として、下田条約局長に私は自分の一案をお話したわけなのですけれども、それとあわせて御答弁を願いたいと思います。
○久保田説明員 初めの問題は純粋な法律問題であると思いますので、条約局長から御答弁願いたいと思います。 それから日韓会談におきまして韓国側が何をねらつておるかという向うの出方でございますけれども、これは日韓会談の各議題というものを表面から考えてみますと、一口に申しまして韓国は日本漁船を捕えて日本の痛いところを押えておきまして、あらゆる問題を一気に、しかも自分の言う通りに解決しよう、そういうふうなねらいだつたと存じます。またそういうふうな日韓会談のやり方をしよう、そのまた一つ裏には、おそらく韓国政府としまして対日強硬策をとつておく必要があつたのだろうと想像されるわけでございます。もう少し深く考えてみますと、韓国がそういうふうな態度に出ますのは、実はわれわれ普通に考えておりますのと大分違いまして、日本は過去において罪を犯したのだから韓国に対して謝罪すべきではないかという考えが一つございます。それからまた今度の第二次大戦の結果としまして、一つの新しい国際法の考え方が出て来ております。たとえば被圧迫民族たとえば朝鮮の解放と独立というふうな、国際法の非常に高い原則が生れて来たのだから、その一層高い原則の前には、今まであつたような私有財産の尊重というふうな古い国際法の原則は改正せらるべく、また場合によつては捨てらるべきものである、そういうふうな根本的の考えを持つておりますので、双方の考え方が非常に食い違うわけでございます。 結局どうすればいいかというあとの御質問でございますけれども、これは国際会議でございますので、やはり双方の歩み寄りということが解決のかぎでございまして、かりに韓国が考えておると想像されますように、自分の言うことだけが正しいのであつて、日本の言うことは正しくないのだ、従つて日本が全部譲歩すべきであるということであれば、とうてい結末が得られないと存じますので、これはそういう考え方は韓国にとりましても不利益でありましようし、また国際輿論を喚起いたしまして、たとえば李承晩宣言というものは、どうしても国際法で弁護できないのだから、ああいうものはひつこめなければ困る、たとえば漁業問題を考えてみますれば、李承晩ラインがなければ、日本は元来は朝鮮沖合い三海里まで行つて魚をとつていいのだけれども、それでは朝鮮の勢力が弱い漁業が困るであろうから、そこは両方の義理が立つて行くように考えようではないか、また魚族の保護に対しましても、科学的な基礎に基きまして、持続的に魚族を保存するように、お互いに話し合つて行こうではないか、そういうふうに持つて行かなくてはいけないと思いますので、当面の解決としては相当困難でございまして、長い期間にわたつて忍耐強くやらなければならぬのじやないかと考えている次第でございます。
○並木委員 御苦心のあとはわかりますけれども、今の答弁ですと、どうも当面の対策としては間に合わない。そこでさつき条約局長にお伺いしたが、やはり日本の保安庁の海上警備隊それから海上保安庁の警備船、こんな微弱なものでは討てといつてもちよつと無理じやないか。気分の上ではわれわれも要求しますけれども、実際乗組員の身の上も考えなければなりませんし、うつかり両方で戦火を交えることになりますと、両方とも不幸な目にあうかもしれない。そういうことを考えるとやはり心配なんです。それには強いものを当てて行つて効果のある防衛をやらなければいかぬと思うのです。それにはアメリカから今大きな艦船をすぐ借りて来て間に合わせればいざ知らず、そうでない限りは、安全保障条約によつてアメリカの海軍に出動してもらうのが、一番の具体策だと思うのですが、条約局長いかがですか。
○下田説明員 お気持はよくわかるのでありますが、安全保障条約はそういう建前ではできておりませんで、極東における国際の平和及び安全が危殆に瀕する場合、そういうときでなければ米軍は出られないようになつておりますので、遺憾ながらただいまの漁業紛争に、安全保障条約を援用して米軍の助けを借りるということは、法律的に不可能だろうと思います。
○並木委員 それでは次の質問をしておきたいと思いますが、先ほど木村保安庁長官を相手に戸叶さんが軍隊の議論をされたのです。とどのつまりは、保安隊を軍隊と呼んでもかまわないというような議論になつて行つた。これは実に私どもとしては意外だつたのですが、軍隊なんというものは定義のつけようでどうにでもなるんだ、まず委員の軍隊に対する定義を聞きたいと開き直つておりましたけれども、私はやはりそういうことはないと思う。国際法上あるいは国際間の概念として、やはり軍とか軍隊というものは一定の定義があると思うのですが、この際これを局長にお尋ねしておきたい。
○下田説明員 軍隊の定義を言えという御注文でございますが、実はこれは国際法上の確立した定義というものはないかと私は思います。これも先ほど木村長官が話したように、各人各様の考え方でございますが、一応わかりやすい御説明の仕方をいたしたいと思います。前国会におきましてジユネーヴ条約の承認を得ました。あの中に、ジユネーヴ条約の保護を軍隊のみならず、いわゆる不正規軍の民兵でありますとかレジスタント、組織的抵抗力とか、そういうものにまで及ぼすということが書いてございます。そこで軍隊と軍隊でない不正規軍との差はどうかというその角度から御説明申し上げると、あるいはおわかりになるのではないかと思いますが、大体四つの角度から考えられると思うのであります。 第一には、不正規軍、組織的抵抗の場合には一定の指揮者があることが必要でございます。その指揮者は、その場で村長さんがおれが立つといつて指揮者になつてもいいわけであります。ところが軍隊となりますと、その指揮系統というものは中央から末端に至るまで、統帥系統というものが確立して行かなければなりません。アメリカの大統領は同時に最高指揮者でありますが、大統領から末端に至るまで指揮系統が統帥系統というものがございます。ところが軍隊でない組織的の抵抗力あるいは土民兵の場合は、その場限りの者がおれが指揮に立つといつて指揮してもいいわけであります。それが第一であります。 第二は組織編成であります。正規の軍隊の場合は一貫した組織編成があります。ところが不正規兵の場合には、その村の者あるいは学校なら学校の者という一定のオルガニゼーシヨンは急ごしらえでつくりますが、何も一貫した組織系統があるわけではありません。しかしジユネーヴ条約の考えによりましても、組織がなくて木陰からいきなり撃つというのならこれは便衣隊でありまして、そういうものは保護は受けられない。しかしある村の者なら村の者という組織があるわけでございます。 第三の角度と申しますのは、これは装備の問題でありますが、たとい不正規軍でも公然と武器を携帯することが、保護を受けるために必要となつております。公然と武器を携帯しておれば猟銃でもいいわけであります。正規軍の場合はもちろんその軍の目的に応じた装備、武器を持つているわけであります。 第四の最も重大な角度はその目的であります。軍隊というものは部分的な目的を持つておるものではありません。不正規軍の場合は、とりあえず自分の村に侵入して来た者を追い払うという、きわめて地域的にも限定された目的を持つております。ところが軍隊の場合は平時から一定の目的を有しまして、何もほかから攻められた場合でなくても、侵略ではございませんが、有効に国家を防衛するためには、ある程度国境を無視した構想のもとに、戦略というものを立てなければならないという戦争目的がございます。大体軍と軍に似て非なるものとのこの四つの角度からの差異を洗つてみますと、軍隊というものは何であるかということが、はつきりするのではないかと思いまして、その角度から御説明申し上げた次第であります。
○並木委員 政府は、これから保安隊を自衛隊に持つて行こうとする。私どもの改進党は、自衛隊では困る、自衛軍にすべきだ、軍隊にすべきだということを強く主張しております。この間のギヤツプが、相当問題として展開されて行くだろうと考えられます。しかし今の局長の説明ですと、保安隊が自衛隊となり、保安庁法を改正して直接侵略にも当り得るというふうになつた場合には、軍と呼ぼうと隊であろうと、自衛軍と呼んで軍隊としようとも、その間にほとんど差がないというふうにとることができるのかどうか、政府の見解をお聞きしたいと思います。
○下田説明員 そこで問題は、最後の戦争目的の点であります。木村長官が軍と言われようと言われまいとかまわぬとおつしやいましたことは、つまり先ほど来申し上げました保安隊が、本来の軍隊であるということだつたならば困るが、そうでなくて、それ以外の意味ならさしつかえないという意味だろうと思うのであります。そこで一番保安隊の場合に問題になりますのは目的だろうと思います。そこで戦争目的とは何かということになりますが、ただいま政府で考えられておられます目的は、つまり保安庁法第四条の国内の治安、平和の維持ということでも、外敵の侵略があつた場合には、必然的に国内の平和及び治安の維持に影響があるのだから、現保安庁法第四条でも防げるというまわりくどい解釈でなせるのでありますが、それを端的に外部からの侵略があつた場合にも防げるというように直したいのが、保安庁法の改正の問題だろうと思います。しかしなおかつその目的には限界があるのであつて、わが方から進んで出るというようなことは、これは政府でもまた並木さんの方の改進党でもお考えになつておらないと思います。従つて目的において大きな限界があると思うのであります。普通戦争目的と申しましたら、今日の観念では、一国のための目的というよりも、日本は国連憲章の原則を平和条約で受諾しておりますが、むしろ兵力というものは、一国の目的というよりも、国連憲章の目的のために行使するというような目的が国際的になつております。そういう広い意味での目的に使うものでも実は保安隊はないわけであります。進んで出るという意味の目的も持ちませんし、また日本の国だけの問題と関係のない国際的の目的でも、これを使うという点もないのでありますから、その点で普通の戦争目的というものとは、保安隊をたとい自衛軍にお直しになりましても、非常に大きな目的の差異があるのではないか、私はそういうように考えております。
○並木委員 ただいまの説明ですと、今度保安隊からかわつてでき上る自衛隊の性格というものと、従来の意味における軍というものとの間には、一線を画すということになるように承りましたが、その通り了解してよろしゆうございますか。
○下田説明員 その通りであります。
○並木委員 それでは大部時間をいただきましたから、あと二点だけでありますが、奄美大島はいつ返還になりますか。
○下田説明員 これは私直接関係しておりませんが、聞いておりますところでは、当初十一月一日を目標にいたしておりましたが、日米間の話合いが十一月一日返還実施にはちよつと間に合いかねまして、今のところいつということはきまつておりません。できれば十二月一日、あるいは十二月一日に不可能であるといたしましても、なるべく年内にでもということで話合いを続けておるようでございます。
○並木委員 土屋さんにちよつと伺います。これは前にどなたかから質問が出たかもしれませんが、あなたは一番よく交渉しておるからわかると思いますので伺います。MSAの方です。さつきから聞いておつても、防衛計画は関係ないのだし、MSAの草案はできておるのだが、大体この方の調印はいつごろですか。
○土屋説明員 はなはだ不満足な御返事になるかと思いますが、これも実はいつということをはつきりここで申し上げられる材料は持つていないのであります。ただアメリカ側といたしましても私どもといたしましても、従来国会で申し上げておりましたように、協定文だけをつくつて御承認をいただくということにはしたくないと考えております。少くとも内容の骨子につきましては、協定文と同時に国会の御承認を得たいと考えておりますやさきに、池田特使なり、あるいはパーソンズ増原会談がございましたので、日本の将来の防衛力の漸増ということに対し、一つのはつきりした目途については、これが一応の軌道に乗るなり、あるいはその話が済んだあとで、協定文をもう一回見直して総ざらいをしたいと考えておりますので、そんな関係から、ただいまの池田さんなり、あるいは増原さんのお話がある段階に到達するとき、あるいは終了したときをわれわれは協定文をつくる時期だと考えております。そういう関係からいつということは申し上げられませんが、一応の算定といたしましては、そんなにおそくなく池田さんもアメリカを立たれるようでありますし、こまかい問題につきまして増原さんとパーソンズ氏の間に話合いがあつたとしても、これも長くかからないと考えておりますので、比較的近い機会に私どもの協定につきましても、両者の会合によつて話合いができるわけであります。
○並木委員 その増原さんとパーソンズ氏の話合いは、政府の話合いですから御報告願いたいと思います。
○土屋説明員 日本側は外務大臣、それから木村長官・アメリカ側はこちらにおりました当時のクラーク司令官、アリソン大使、この四者の会談がございましたことは、新聞に報道された通りであります。あれを終えまして、現在の日本の保安隊の実情、あるいは保安隊の当事者が将来について考えている保安隊の増強の問題につきましては、よりこまかく日本側の意思を聴取したいという希望がアメリカにあるそうであります。その結果四者会談のあとを受けて、アメリカ側はパーソンズ参事官、日本側は増原次長が、日本の保安隊の現在の状態を基礎にいたしまして、事務当局として考えておる保安隊増強の考え方について、ただ現状についての説明をするということで始められたように承知しております。内容につきましては、私ども実はこの会談に参加いたしておりません関係上、また格別の結果は予期せられないはずでありますから、報告も受けておりません。その結果どういう点についてどの程度の話が進んでおるか、今のところわかりませんが、この現状についての説明が終りますれば、パーソンズ・増原会談というものもそこで一応の区切りがつくわけであります。
○並木委員 内容は全然わかつておりませんか。
○土屋説明員 わかつておりません。
○上塚委員長 本日はこれをもつて散会いたします。 午後二時三十分散会