外務委員会 第11号
- 発言数
- 96 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/07/08
会議録
○上塚委員長 これより会議を開きます。 まず国際小麦協定を修正更新する協定の受諾について承認を求めるの件を議題といたします。これより質疑を許します。 なお本件に関しましては農林委員より発言を求められております。委員外発言として順次これを許したいと存じますが、御異議ございませんか、 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上塚委員長 ではさようとりはからいます。川俣清音君。
○川俣清音君 今議題となつております件について、農林委員会としては慎重な検討を要する問題でありますので、委員長を通じて外務委員会に合同審査の申入れをするはずでございましたが、時間の都合上できないとのことで、委員外発言を求めたのでございます。 問題は世界の農産物の価格が下落の傾向にありますときに、本協定に入ることが、日本として得策であるかどうかという問題が一つあるわけであります。この点について私どもの見解を述べることは省略いたしますが、先般の国内麦価の値上げの問題につきまして、農林省と自由党の政調との間になかなか解決がつかないで、最後に内田農林大臣が責任を負つてやめなければならないような状態が生れて来たわけであります。この根拠は、おそらく将来農産物の価格が下つて、ことに内地小麦と外国小麦との競争が行われるであろ、という見通しから、大麦、裸麦の値上げ率と小麦の値上げ率とに開きを持たしたのが、自由党の政調案である。と同時に、農林省もまたこれをのんだからには、将来農産物価格が下降するであろうという前提に立たれたものと私は見るのであります。従いまして小麦も将来下るであろうという見通しを持つたのが、現在の政府の小麦に対する態度ではなかろうかと思いますが、この点について食糧庁長官の答弁を求めます。
○前谷政府委員 お答え申し上げます。川俣委員も御承知のように、本年の麦価の決定につきましては、食糧管理法の規定に従いまして国内価格をきめて参つたのでありますが、その際、仰せのように、国内の麦価の値上り率につきまして、粒食でございまする、裸麦、大麦と、小麦との値上り率が異なつたわけでございます。これは国内需要といたしまして、従来ともにだんだん大麦、裸麦の出まわり量が減つて参つておるわけでございますが、本年度におきましては、災害等の事情がありますので、さらに出まわり量は減るだろう。また一方におきまして、昨年度来の需要の傾向を見ておりますと、粒食傾向が相当ふえておるという需給関係の変化がございます。小麦につきましては、出まわり数量も統制時代よりもさらに上つておる。しかも所得の関係からいたしまして、消費者価格の調査におきましても、粉食傾向が減つておる。こういう実績がございまして、大麦、裸麦との間におきまして、需給条件が非常に違つておるということでございますので、その需給条件の変化を考えまして、両者の間に差等をつけたのであります。われわれといたしましては、食糧管理法のもとにおきまして、国内の麦につきましては、独立の形におきましてこれを考えて行きたい。外麦は御承知のように政府が一手に輸入いたしますので、外麦の価格と国内価格というものは遮断して行きたい。これが食糧管理法の、ある場合においては補給金を出して消費者の家計の安定をはかるゆえんでもあり、また場合によりますと、国内の生産者の生産を保護する意味にも働く場合もあるということで、この輸入管理、同時に国内価格と外国価格との遮断ということは、国内の食糧政策上もぜひ必要であると考えまして、これは今後も続けて行く考えでございます。
○川俣清音君 食糧長官の説明はやや詭弁の点があると思います。農林省が一致いたしまして、内田農相を通じて閣議に持ち出したのは、御承知のような案であります。これが結局譲歩しなければならぬようになつたということは、今長官が言われたような、粒食が将来盛んになるであろうから、粉食を押えるために、粒食の値上りは認め、小麦の値上り率を下げたという説明でございますが、それではなぜその原案を訂正されたか、その点の説明が足りなくなる。さらに言いますれば、確かに粒食の裸麦、大麦の中で、大麦は小麦から見ると、約倍ぐらいの収量があるわけであります。これの値段を上げて、比較的率の悪い、日本古来から割合に盛んでありました小麦の値段を押えるという理由は、粒食が盛んになつて、粉食が減つて来たから、小麦の国内値段を押えてもいいという理由では、これは理由が薄弱だと思う。やはり自由党の政調会が言うように、国際小麦価格とのつり合い上、国内小麦の値上げを押えなければならないという方が、筋が通ると思います。そういうふうに筋が通るようにお考えにならないと、あなたが御説明になりましたように、大麦や裸麦の被害が大きかつたために、これを値上げして、小麦の値上げはそういう理由から値上げしないのだという説明では、不十分である。特に麦価の決定にあたりましては、豊凶の差を見ることになつておりますので、その豊凶の差というものは、小麦も裸麦も大麦も区別いたしておりません。食糧庁長官御存じの通りであります。不作があつたから、小麦だけは上げなくともいい、大麦、裸麦だけは上げなければならないという説明では、これは在来の説明と異なる説明をあなたがあえてなさるので、どうしても国際小麦協定との関係で、小麦の方の値上げ率を低めた、こういう理由に説明されないと筋が通らないと思います。その点についていかがですか、もう一度御説明を願いたいと思います。
○前谷政府委員 お答え申し上げますが、国内の買入れ価格につきましては、御承知のように、パリテイ価格に豊凶係数を加味する、こういうことになつております。しかしながら私が今申し上げましたのは、生産の関係から出て参ります出まわり市場の需給関係の変化があるのであります。特に麦の価格については、全体といたしまして一面にはやはり支持価格的な性格もあるわけでありまして、特に昨千度の小麦価格の傾向を見ますと、農家が実現いたしました市場価格と申しますか、手取り価格等も考えてみますと、その点も見合いまして、特に市場の出まわり量は小麦が増加しておつて、裸、大麦は減つておる。そうすると、その供給が減つて参る。また一方におきまして需要は大、裸におきましてはふえておつて、小麦は減つておる。この需給関係というものは、ある一定の幅における価格変動には相当響いて参ります。そういう事情を考慮いたしまして、両者の間に差をつけたのでございます。もちろん川俣先生のおつしやるように、途中におきましては、いろいろな案を考えたのでございますが、最終におきまして、そういうことが適当だろうということでああいう麦価を決定したのであります。
○川俣清音君 そういたしますと、長官の考え方は、将来粒食が盛んになつて行つて、粉食の傾向が減つて参るから、やはり粒食については特別な取扱いをしなければならないし、粉食は相当減るということを見込んで計画を立てなければならないという御説のようですが、ここに問題になつて参りますのは、政府の原案を見ますと外麦の大麦を減らして小麦の買入れの数量を増して行くという考え方はおかしいのじやないですか。粒食が盛んになれば大麦を多く入れて小麦を減らすならわかります。だんだんに小麦を下げて行かなければならなくなるほど小麦の需要が減つて来るならば、あえて協定に入つて、しかも相当数量買わなければならないということはおかしい。外国小麦が入つておりますために、国内の小麦の買上率が減つて来た、こう御説明するなら別ですが、粉食の傾向がだんだんに減つて来るということがありますならば、あえて外国小麦をたくさん買わなければならないという根拠にはならないと思うのです。
○前谷政府委員 私、あるいは言葉が足りなくて誤解があつたかと思いますが、粉食傾向を積極的に減らす気持は全然ないわけであります。ただ現実に昨年度の実態といたしまして、そういう傾向が現われておる。この傾向をもとにして需給計画を考えておるわけであります。国内の出まわりの数量を考え、需要の数量を考えて、一定量が必要であるということで輸入数量を決定いだしたのでございます。でございますから、必要以上に入れるわけでもございませんで、需要に対してその必要最小限度を入れて参りたいということで需給計画をつくつたわけでございます。積極的に粉食を否定するとか、あるいはこれを減して参るという考えは毛頭ございません。ただ国内の需給関係を考えます場合に、そういう傾向があるという事実は無視できないわけでございまして、そういう点を考えたわけでございます。
○川俣清音君 私もあえて外国の小麦を全部買わないでもいいということは言つていないのです。あなたの説明によると、ただ粉食がだんだんに減つて来るような傾向にあるので、ほかの大麦、裸麦の麦価よりも低くしたという御説明だから、それならば外国から入つて来る小麦も同じような取扱いをしなければならないのじやないか、数量の上においても考慮しなければならないのじやないか、こういう質問をしておるのです。この点についてもう一度伺いたい。
○前谷政府委員 需要の見込みにつきましては、御承知のように、前年度の実績等を考慮いたしまして、国内出まわり量と輸入量とを考えたのであります。現実には政府の麦類全体の会計年度終りにおける手持ちが、昨年度におきましては八十万トン近くありましたが、本年度は約五十万トンになつております。その点で持越し数量の点におきましては十分と考えております。全体としてはその年度におきます需要を想定して、国内出まわり量と輸入量とを勘案しまして、そうして計画を立てておるようなわけであります。
○川俣清音君 本協定に入りますと、一定数量を引受けなければならないのですが、粉食がだんだん減つて来る傾向からいうと、協定に入つて一定数量を無理に引受けなければならないというようなことには、農林省はあまり賛成されないように理解するのですが、この点が一つ。 もう一つは、この協定に入らないで自由で買いますと、今は高いかもしれないが、将来は相当下落するというようなところから、英国なども協定に入らないように見受けるわけです。特に英国のように食糧を外国に依存しなければならない率が日本よりも高いところですら協定に入らないということは、これはやはり食糧自由市場で買う方が将来より有利だという考え方であろうかとも思われます。日本が今言うような傾向にあるときに、なぜ本協定に無理に入らなければならないのか、協定に入らなければ買付が不可能であるかどうか、この点についてお伺いいたします。
○前谷政府委員 粉食が減る傾向が昨年度の消費者の実態において現われておりますことは、先ほど申し上げた通りであります。今後の国内の増産との関係もありますが、国内の米麦を合せましても、三百万トン程度の輸入は、本年度において絶対に必要なわけであります。御承知のように米には一定の限度がありますから、これを麦類をもつて補つて参ります場合におきましても、大麦等は全体の世界の貿易量が小麦と比べて非常に少いというふうな点もあり、また全体的に農林省といたしましても、畜産増殖計画を立てておりまして、だんだんに長期に粉食の傾向を助長するという考え方もあるわけであります。これは現実の明年度の具体的の計画とは別に長期の問題としてあるわけであります。そういうこともありますし、必要量といたしましては米麦を合せてこの程度のものは必要である、また今後ともここ数年というものは、この程度はやはり必要ではないかと考えておるわけであります。 なおこの協定に入ることによつてどういう利益があるかということでありますが、現在におきましては、ポートランドの相場におきまして——現在わが国はここを中心にして買つておるわけでありますが、六月におきまして、二ドル三十七セントになつておりまして、現実に市価が最高価格を上まわつておるというような事情でありますので、やはりこの協定によつて最高価格で輸入し得るということは、わが国としては非常に有利な条件ではないかと思います。協定におきまして問題になりましたのは、最高価格を幾らにするかということであつたようでありまして、最低価格の一ドル五十五セントにつきましては、英国もこれを承認しておつたように聞いております。協定に入ります場合も、輸入国の義務といたしましては、最低価格におきまして輸出国が輸出の申出をいたした場合に、その価格でもつて輸入することが輸入国としては最低の義務でございまして、これにつきましては各国ともにそう異論がなかつたように承知いたしております。
○川俣清音君 私はさらに疑問かだんだん出て来るのですが、粉食は将来やはり助長して行かなければならないという考え方でありますと、国内の小麦価格がはやり若干入つて参ります小麦の圧迫を受けないように考慮しなければならない、こういうことになると思うのです。もつとつ込んで言うと食糧会計の上から見ると、これだけの多くの小麦を擁しておりますために、これを売ることに苦労されておるから、粉食が減つたというふうにあなたは見ておられると思うのです。ところが実際には農家は麦が自由価格になりましたために、加工自家用品として相当小麦を粉食にして消費している部面が実はふえて来ていると思うのです。ただ市場性がなくなつて来たのは食糧庁が多くの小麦をかかえておりますために、その圧迫を受けて国内の小麦の出まわりが悪くなつたので市場性が乏しくなつた、しかしながら潜在需要は決して減つていないというふうに私は見ておるのですが、それを食糧庁長官がわざわざ粉食の傾向がなくなつたという説明で価格の問題を説明され、輸入の方から見るとそれだけのものを輸入するには将来長期間粉食を奨励して行かなければならないから、今からこれだけの数量を持たねばならぬ、この自分みずからの政策の上に一つの自己撞着が起きて来ておると思うのです。私どもから申しますと、こうした数量をあえてかかえなければならないという根拠があいまいであるということが一つと、もう一つは協定に入らないでも——あれだけの消費量を持つ英国ですら、この協定に入らないでも買い付け得るという自信があつてこそ食糧政策が成り立つておると思うのです。日本にはその自信がないのかどうか。ただ価格の面だけから考えられてのことなのか、あるいはこれだけの買付が不可能であるという意味からの協定に入られる意味か、あるいは価格が現在では最高価格と最低価格が——実は今度は協定が五セント上つたので最低価格が変動したのではないというふうに考えておりますが、最低価格を一ドル五十五セントにする、英国のようなあれだけの大きな輸入国があえて協定に入らないでも食糧政策がまかない得る、英国のように外貨の最もすぐれている国でしいて入らないというようなことは、日本よりもつと切実でなければならない、その点では食糧の事情からいうと、英国よりも日本の方がもつと健全な食糧政策を持つておるのに、あえて協定に入らなければならぬという説明がこれでは不十分だと思うのです。自給度の関係というようなことをわざわざ説明されるところを見ますと、これで数百万ドルの外貨が節約されるから外貨資金の節約のみならずと、こういうふうに説明しておりますが、私は将来の農産物価格は下るという見方をやはりとつてしかるべきではないかと思う。その意味において自由党の池田会長案というようなものも一応参考にはなるのです。私どもは参考にしたいだけですが、しかしながら政府は参考どころか実施したのですからもつと私らよりもこれを尊重した形をとつておると思うのです。私は参考にしようと思うのだが、政府は実際それを実施した。屈服したかどうか知らぬけれども、とにかくその案をのんだのだから、やはり世界の農産物の価格は下るという見方を幾分是認されたと思うのです。その是認されたのと依然として農産物価格は高いのだという説明とは非常な矛盾だと思うのですが、もう一度この点について御説明願いたい。
○前谷政府委員 第一点の粉食との問題でありますが、私言葉が足りないで誤解を招いたかと思いますが、価格の問題におきましてもすべて粉食傾向というものをチエツクして行くという考え方は毛頭ないわけでありまして、私があとから申し上げたのは、粉食傾向はやはり助長すべきものだという考え方は持つておる、ただ本年度の状態としての需給状態を見ますと、小麦の需給関係は統制前よりももちろん農家の需要はふえていると思いますが、統制中よりも昨年度におきます小麦の出まわり量はふえておるわけであります。従つてもちろん農家の需要もありましようけれども、農家からの供給量がふえている。逆に大麦、裸は減つている。農家消費がふえている、そういう国内の麦につきましては国内の需給状況というものを考えたわけでありまして、これは本年度限りの状況で、今後また需給条件も変化が起りますれば、これはまた明年度において考えて行かなければならぬ問題だと思うのであります。 それから英国において加入をしないのに日本がなぜ加入するかということにつきましては、価格の問題もございますが、御承知のごとく英国は濠州、カナダの非常に大きな小麦供給国を持つておつて、従来からの関係でもつて非常に入手しやすいという一つの連邦内におきまする特殊の関係がございます。日本は御承知のような国際情勢におきましてこれを輸入するためには、ほかの欧州の輸入諸国と同じように、一つの安定した価格で安定した形において供給を受け得るということは、わが国の食糧の需給面におきましては非常に有利な点ではなかろうか、かように考えているわけであります。
○川俣清音君 時間をできるだけ節約いたしまして、あとの問題は農林委員会の方に譲りましてここでの問題を節約したいと思いますが、御承知のように、これは食管会計の中でまかなわれる支出でありますので、この影響するところは、結局消費者が負担しなければならない問題を含んでおるわけであります。従いまして外務委員会におきましても、この点については慎重に御考慮願わなければならぬと思います。問題はこれらの買付によつて来るところの有利、不利ということは、現在消費者がかぶらなければならぬところの食管特別会計の建前をとつておりますから、農林委員会としても無関心であり得ないわけであります。ことに全体の消費の立場から申しまして、はたしてこれらの協定に入ることによつて、われわれの食生活が安全になり、しかもこれらの小麦から来る国内小麦の圧迫を防ぐことができるかどうか。あるいはかえつてこの圧迫のために将来国内小麦の減産を来したならば、さらに外国の小麦に依存しなければならないような傾向ができて来て、食生活の上に非常に大きな影響を与えるという点、しかも独立会計でありますために、その得失は行政面よりも一般消費者が非常に大きな損害をこうむるという点を十分考えられまして、この法案についての取扱いは慎重であつてしかるべきだと思います。 以上申し上げて私の質問を打切りますが、食糧庁としては十分ひとつ御検討願わなければならぬ問題だと思うのであります。ことにアメリカの小麦にのみ依存いたしまして、東南アジアとの取引を将来どういう考えで行くのかという点については、特に外務委員会が考慮されなければならぬ問題とも思いますし、以上の注意点を申し上げまして、外務委員会の慎重なお取扱いを願いまして、私は質問を打切りたいと思います。
○前谷政府委員 ちよつと私の説明で補足いたしたいと思いますが、御承知のように小麦協定は最高価格におきましては輸入国が輸出国に対してその価格でもつて申し込んだ場合には、輸出国がそれで売らなければならないという輸出国の義務になつております。現在におきましてはこの市場価格は最高価格を上まわつておりますが、も上市場価格が最高価格よりも下まわつた場合においては、市場価格でもつて取引することには何ら制約がないわけであります。そこで問題は最低価格が輸入国の義務の価格になります。最低価格をもつて輸出国が輸入国に輸出を申し出た場合には輸入国の義務になります。この最低価格を割るかどうかという問題かと思います。先ほども申し上げましたように、会議の経過におきましても、最低価格を一ドル五十五セントと五セント上げるにつきましては、各国ともに何ら異議はなかつた。英国におきましては、最高価格の一ドル八十セントを二ドルにするか、二ドル五セントにするか、こういう最高価格の問題について問題があつたように私承知いたしております。その点つけ加えておきます。
○上塚委員長 足鹿覺君。
○足鹿覺君 私は農林委員の立場から、この国際小麦協定加入の問題について、二、三お尋ねしてみたいと思います。もちろん小麦の絶対量が不足しておる場合には輸入にまつて、これが需要をまかなわなければならぬことは当然でありますが、ややもすれば従来の政府のとつておる方針は、国民経済的な食糧政策に重点が置かれ、農業政策的な見地に立つ措置に適切妥当なものが欠けておつたのではないか、かような印象をわれわれは持つておるものであります。そういう意味からこのたびの協定は、従来の協定と異なり、三年間にわたつて一つの義務を輸入国として負わせられるやに聞いております。ただ単に国民経済的な食糧政策の観点からはわれわれといえどもこれを否定することはできません。しかし問題は、国内の主要農作物の一つである麦作に対して本協定がいかなる影響をもたらすか。もし内麦を圧迫するがごとき事態を招来した場合にはどうするかという農林政策としての見地からどのような御検討をされたのでありますか。これはむしろ農林大臣なり、農林省を代表する御所見を承るのが適当とは思いますが、おいでになつておりませんから、前谷さんは農林省を代表して、農業政策的な観点とどういうふうに調整をとつて行かれる御所存であるか。まず最初にその点をお伺いしてみたいと思います。
○前谷政府委員 国内の農業政策と外国からの食糧輸入との調整の問題でございますが、われわれといたしましては、米麦は主要食糧といたしまして、これの生産につきましては十分な土地改良その他のいろいろな面におきもして生産の維持、増強をはかつて参るということは、御承知のように、当然努力すべき問題と思うのでございますが、外国の食糧輸入との関係は、一つは価格の問題かと存じます。価格の問題につきましては、足鹿先生も御承知のように、食糧管理法に基きまして国内価格は、別途の建前によりまして、外国価格とは遮断されました価格において決定されるわけでございます。外国価格の影響は、おそらく外国から輸入いたしました小麦の払下げ価格によつて影響が起るということになろうかと思います。この払下げ価格につきましては、国内の小麦の払下げ価格からいたしまして純粋に、技術的に、品質的な差をもちまして外国の小麦の払下げ価格を決定いたしておるわけでございます。そこにおきまして外国の輸入原価にかかわりませず、国内の麦の払下げ価格からいたしまして、歩どまり等を考慮いたしまして外麦の払下げ価格を決定いたしておる次第であります。われわれといたしましては、価格の面におきましては、現在国内の価格と外国の価格とは遮断しておるというふうに考えておるわけでございます。特に価格の問題のほかに数量の問題がございます。今後の状態といたしまして、本年度におきましては百五十七万トンの輸入を考えておりますが、国際小麦協定で入りますのが百万トンでございます。今後の国内の増産との関係、需要との関係を考えて参つて、今後の輸入計画を毎年立てるわけでございますが、三年間におきまして百万トンを下まわるということは、現在の状態においては考えておりませんし、また増強計画等の見合いにおきましても、そういうことにはならない、かように考えております。
○足鹿覺君 そうしますと、大体明らかになつたことは、量的な圧迫が国内農業にどのように現われるかということと、いま一つは、売渡し価格の面で適当な措置をすれば心配することはない、こういうふうな御結論のようでありますが、そういたしますならば、現在この協定によつて入つて来るFOBの価格といま一つは民貿による価格、これの現在の状態とまた将来の見通しいかん、この点についてお伺いしてみたいのでございます。それは御存じのように、アメリカにおきましても、この資料がありますように、大増産の結果処置のつかない暴落状態を続けている。先刻も川俣君から指摘されたように、私どもの見るところでは、この二ドル五セントという最高価格と一ドル五十五セントという最低価格よりも、三年の間には、これは推定でありますからあるいは間違つておるかもしれませんが、民貿で入つて来る場合、むしろ安く入つて来る場合があり得ると考えられる。そういう点についてはどういう判断と見通しを持つておられるか、その点を明らかにしていただきたい。
○前谷政府委員 お答え申します。本年度における麦の輸入単価は大体九十ドルと考えております。そのうちIWAで入つて参りますものは八十六ドルでございます。そのほか自由小麦の分とアルゼンチンの分があるのでございます。自由小麦につきましては、品質等によつていろいろ違いまして、九十七ドルから九十四ドル程度になろうかと思います。それからアルゼンチンの場合におきましては百五ドル程度を予想いたしております。それで先ほども申し上げましたように、市場価格との関係は、最高価格は輸入国の義務価格ではございませんで、市場価格がそれよりも高まつている場合におきましては、一つの権利として輸入国の有利な点になるわけでございます。 将来の見通しといたしましては、先ほども申し上げましたように、この協定の期間におきまして最低価格を割るということはわれわれも予想いたしておりませんし、会議におきましても、その議論は全然しなかつたように承知いたしております。
○上塚委員長 足鹿君にお諮りいたしますが、外務大臣よりただいま発言を求められております。緊急な用件のようでもありますし、もしあなたの御質疑がまだ長く続きますれば、この際ちよつと中断いたしていただきたいと思います。
○足鹿覺君 簡単なんです。 そうしますと、そういう見通しにお立ちになつており、それが確実であるということであれば、私は今申し上げた意見を杞憂として一応了承しておきます。しかしながら第二点は、政府はややもすれば主食の統制撤廃という基本方針を持つておる。これは与党の基本方針としていつも問題になつておるのでありますが、外麦に関する限り政府管理については基本方針をかえないということを簡潔に、政府を代表して——将来外麦に対するところの管理をゆるめるというようなことがもしあつたとすれば、これは重大な国内産麦に対する圧迫が現実に現われて来るのですから、この際明らかにしておいていただきたい。
○前谷政府委員 御承知のように、米が統制になります以前におきましても米穀統制法がございまして、主要食糧につきましては輸出入の統制と申しますか、輸入統制は従来自由経済の時代においても続けられておつたのであります。食糧事情の窮迫に伴いまして割当配給というふうな形がとられて、強化されておりますけれども、食糧政策といたしましては国内の食糧の自給の面及び国内の生産の面から考えまして、自由経済におきます従来の時代におきましても輸入管理ということは続けて参つたのであります。そういう関係から考えてみますと、今後割当の配給統制とか、そういう直接的な統制がはずれまして、昔の米穀統制法の時代に帰ると仮定いたしましても、米穀統制法の時代においては輸入管理というものは厳重にやつておつたということを申し上げたいと思います。
○足鹿覺君 そうすると、かりに統制撤廃になつたとしても、従来の経緯等から見て外麦に対する管理はかわらない、こういうふうに承つて、了承しておきます。 第三点は、内麦を圧迫しないための具体的な措置として、これは農林委員会で別に申し上げてもいいのですが、この際外務委員会においても御考慮いただきたいと思いますので、特に二点だけ申し上げておきますが、現在の標準売渡価格というものは、結局輸入麦の物量的な背景のもとに、具体的には内麦を圧迫しておる、これは私どもの見解であります。見解が相違すればいたし方ありませんが、特に大麦等についてはまだ輸入する麦の価格か内麦よりも上まわつておる。しかし小麦に関する限りはほとんどパーである。従つて品質のきわめて優秀なこの小麦が、しかも大量に一つの協定に基いて入つて来るということ自体が、内麦に対する大きな圧力になることはいなめない。これは具体的な数字をあげて申し上げることはできませんが、常識的にいつていなめないと思う。そうした場合に、政府としては今後どのような標準売渡し価格上における調整措置をおとりになるかということが一点、いま一つは先般の米価審議会でも論議かありまして、前谷長官はよく御存じでございましようが、要するに内麦の生産作付を転換して、安い外国小麦に依存をし、内地においては大裸を増産して行くべきではないか、すなわちある程度自主的な作付の仏換をはかるべきではないかというような意見もありましたが、食糧庁はただ国内食糧の需給を見合して、それを確保して行くという基本的な任務を持つておる。しかしこういう食糧庁の基本的な任務とは別に、農林省全体としてはこういう国際情勢なり、品質の優秀な小麦初め各種の農産物が国内に輸入されて来る情勢になつた際に、とりあえずこの小麦の問題に対しては、将来小麦にあくまでも依存をし行かれる方針であるか、それとも内地の食糧確保の面、自給の面からいつて、いかような条件があつてもやはり国内産麦に対する増産施策というものを講じ、外麦とめ価格差等による点は、農業政策上からこれを調整して行こうという方針に立たれるのであるか。今見ておると、どうも小麦に関する限りは、外麦依存主義で行くというふうにわれわれは見るのであります。そういう事態になりますと、内地の農業というものは大裸をつくる適当な土地もありましようし、小麦が酸土に強いという意味からいつても、小麦作でなければならない地帯というものは、絶対的にこれは不変であつて、農家経営上これを無視することはできないのです。従つて外麦依存を、特に小麦の面で基本方針を打出されるということは、非常な影響があると私どもは心配をいたすのでありますが、その点については農林省としては、どういう御方針を持つておいでになりますか、この点を最後にお尋ねを申し上げたい。
○前谷政府委員 お答え申し上げます。売渡価格につきましては、外麦と内麦との歩どまり関係によつて価格を決定して参りたい。従いまして現実におきましては、内麦よりも外麦の歩どまり関係がよろしゆうございますから、その割合だけ売渡し価格は外麦の方が高くなります。そういう形で内麦を中心といたしまして、外麦の歩どまりによりまして技術的にその品目に応じまして決定いたして参りたい。従いまして外麦売渡し価格と内麦売渡し価格は、品質におきましてそこに均衡がとれた価格によつてやつて参りたい、かように考えております。 なお増産計画につきましては、御承知のように食糧増産計画を立てまして、できるだけ自給度の向上ということを農林省としては考えて、おりますが、毎年人口増加とかあるいはつぶれ地等によりまして、約二百四、五十万石の増産を必要とするわけでございまして、増産計画の進行に伴いまして、食糧庁といたしましては、その需要及び国内の供給と合せまして輸入の量を考えて参りたいと思いますが、現在におきまする増産計画におきましては、三年後の場合において小麦協定の百万トンを減らさなければならないような増産量にはならない。もちろんわれわれといたしましは、国内の生産と外国からの輸入とにつきましては、調整をはかつて、国内生産を長期的には進めて参るということについては十分注意いたしたい、かように考えますので、御了承願います。
○足鹿覺君 最後に御要望を申し上げまして、外務委員会の慎重なろ御審議をお願い申し上げたいと思います。問題は、標準売渡し価格をめぐつて、歩どまりその他の点について、内麦を圧迫しないような価格差があるから大丈夫だという御意見もありますが、しかしこれは事実上におきまして用途によつても違いますが、従来からの傾向を見ておりましても、外麦に対する業者の期待というものはきわめて強い。少少の歩どまり差をつけましても品質の点において絶対的に優秀である、そういう点から外国小麦が着々一定の計画のもとに入つて来ます場合においては、必ず今後予測される事態としては、業者の売渡要望が熾烈をきわめて来ろと思う。そのことは内麦に対する業者の買進みを控えさせまして、チエツクする結果になり、勢い内麦の市況を不利に導くような、事態が起きると思う。従つてそういう点について私は農林省にも十分なる措置をお考え願つて、いかような事態ができましても、国内産麦を圧迫せざるための措置をはつきりと打出していただきたいということと、それから次に、内地の産麦に対する影響度をよくお考え願いまして、もし必要とあれば自主的な作付規制によつて、いわゆる無計画な増産のもたらす結果として、逆に農家経済を圧迫するような事態が起らないための指導、またその方針を確立していただきたい。そういう線に沿つて、そういうことが一つの前提となつて、初めてこの国際小麦協定加盟の当否の問題の審議を願わないと、事は農家経済とも密接不可分のきわめて重大な問題でありますので、そういう点を特に前提として、外務委員会全体として御考慮をいただきまして、これが内麦との調整策という点につきましても、外務委員会において適当な対策を御決定願つて、この法案の審議を進めていただきますようにお願いをいたしたいと思います。もし必要とあれば、農林委員会としてもわれわれの意見を、ただ個人的な意見でなくして、農林委員会全体の要望事項としてでもとりまとめて提出する用意があることを申し上げまして、委員長においても慎重なるおとりはからいを煩わしたい、かように存ずるわけであります。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
○上塚委員長 外務大臣よりの戦犯問題に関し、発言を求めておられます。この際これを許します。岡崎外務大臣。
○岡崎国務大臣 小麦協定の御審議中に恐縮でありますが、濠州関係の戦犯問題について緊急御報告をしたいと思いまして、お許しを願つたわけであります。 例のマヌス島の戦犯者については、釈放とか内地送還とかいうことについて、しばしば濠州政府に対して要望して参つたのでありますが、昨日の夕刻、大使館に対して濠州政府から、一定の条件で内地送還を認めることに決定したが、正式の話は在京濠州大使から日本政府にいたすことになつておるという報道が夜到着いたしました。同時に濠州の外務大臣及び陸軍大臣の共同声明が発表されたようでありまして、その趣旨は、濠州政府は日本が講和条約の条項により残余の刑期を忠実に巣鴨で服役させる旨文書で誓約するにおいては、マヌス戦犯百七十三名を内地送還せしむる旨、並びに英米仏蘭はすでに送還済み、日本侵略の最大被害者たる比島も収近右決定済みで、残りはソ連だけとなるというような趣旨のことを発表したようであります。本朝濠州大使を私が来訪いたしまして、このことにつきまして正式に政府に申入れをいたしました。これはこちらから数回にわたりまして先方に要請しました文書等を引用しまして、これに対しての回答として向うから申し入れて来ておるのであります。その趣旨は、濠州政府は次のような条件で日本戦犯を内地に送還せしむることを認めるつもりである、こういうことでありまして、その条件の趣旨は、第一には、内地において刑期を完全に服役させることを日本政府が保証する。——残りの刑期であります、それから日本の法律第百三号を忠実に適用する、但しこの法律第百三号は、濠州政府としてはまだ認めておりませんので、その中の第九条、第十一条等につきましては、これは例の判決前の勾留期間を通算するという条項と、それから善行特典の条項でありますが、これを適用する場合には濠州政府の事前の了解を得ること、それから帰還の費用は日本側で負担すること、こういう条件であります。そこで刑期を内地服役で完全にこれを行うということは受取る以上は当然でありますし、また法律第百三号の趣旨も、われわれとしては特に多少こちらの希望もありますが、この条件で向うが送還するというならば、受けられない条項ではむろんないと思つております。つまり先方に事前に了解を得るということであります。それから帰還費用は日本政府で持つ、これは当然のことと考えております。そこですみやかにこの条件を受諾することを確認しまして、一日も早くこの帰還を実施したいと考えております。それにはやはりフィリピンの場合のように特別の船を送る必要も出て参りましようし、またそれの入港とか、途中濠州近海を通る場合の保障とか、いろいろなものが必要になつて来ますから、こういう細目については濠州政府と今後さらに打合せをいたすわけでありますが、一つだけ、特別船を一隻出しまして、百七十三名を全部できるだけ早い機会に引取つて内地に連れて来たい、こういう考えで今のところおります。それだけの問題でありますが、長い間本委員会でも非常に心配をされまして論議のたびたびあつた問題でありますので、とりあえず御審議の中断をして恐縮でありますが、これだけ御報告をいたしたいと思います。(拍手) —————————————
○上塚委員長 この際外務大臣に対する緊急質問を許します。福田篤泰君。
○福田(篤)委員 私は先般の九州大水害の問題について、これと関連する国際的な面から見た問題について、外務大臣にお伺いいたしたいと思います。御承知の通りこのたびの九州大水害は、きわめて大規模である。先般院議をもつて調査団を派遣せられまして、委員長の報告も昨日行われたことは御承知の通りであります。政府側も本部を設けて真剣にその救済に乗り出した、いわば国内的な大きな関心事でありますが、この際に私が承知しておる範囲から申し上げますと、各国からも非常な甚大な同情と関心を寄せられ、おそらく外務省にも各国から丁重な見舞かあり、その他の処置がとられておると思います。あるいは書面、あるいは口頭、あるいは金品の寄付と各国のあたたかい同情が、連日寄せられておることを耳にいたします。また現地におきましても、アメリカ駐留軍あるいは英濠軍の各現地キャンプ、あるいはペースにおける人々が、博多でありますかどこかに水害救済本部すら正式に設置しまして、真剣に救済対策に努力している。人命救助であるとかあるいは衛生方面あるいは通信方面、あらゆる精神的物質的な面から、真剣に彼らがわれわれの同胞に対しまして救援に当つておることは、御承知の通りであります。私は現在の独立後のこの困難な日本の外交政策を考えまして、正しい意味のレジスタンス、独立国として当然要求すベき点はどしどし要求しなければならぬ、私はこの点はあくまで歓迎いたしますが、同時にまた国際親善なり協力なり、正しい意味の感謝すべき点はこれも率直に認めなければいかぬ。われわれ大国民の態度はレジスタンスに偏向せず、また植民地的な態度にも偏向しない、あくまでただすことはただすが、感謝すべきことは率直に感謝することが、日本の正しい外交の道ではないか、かような考えております。かような場合に院議をもつてこれほどわが国会におきましても重大視しておる問題について、国際的な大きな反響があり、現地においても真剣な努力が見られておるこの際におきまして、外務大臣としてむしろ積極的に国会を通じて国民各位に彼らの努力、活動をお伝え願いたい。また外国に対しまして、あるいは国内の駐留軍に対して、そういう真摯な真剣な努力に対しては、率直に国民をあげて感謝すべきことが当然の道であろうと考えるのであります。この点に対する外務大臣の御所見、並びにいかなる処置をとられるか、具体的な処置につきまして御意見を承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 ただいまの御質問私もまことに同感でありますが、まず第一に各国側から寄せられました好意の具体的の事例を申し上げまして、次にわれわれがどういうふうにそれを考えておるかということを申し上げたいと思います。 みな一同非常に厚い同情を示しておられますが、特にいろいろ国内に機関を持つております在日アメリカ駐留軍が非常な活躍を示しておるのでありまして、東京と地方とが一体になりまして救援に協力をいたしており、福岡や小倉の現地部隊は二十四時間勤務で救助に活躍しております。そして衛生であるとか人命救助はもちろんでありますが、道路の修復であるとか、家の破壊防止であるとか、その他浸水の防止であるとか、あらゆる方面に努力を続けておりますと同時に、毛布とか衣料、食糧、薬品等の供給も行つておりまして、さらに駐留軍の車両を使つての物資の輸送にも協力しておりまして、その協力は実に非常なものであります。その他イタリアの赤十字、病院は朝鮮にあるのでありますが、これが本国政府の電報によりまして、内科の医者一名、外科の医者一名、看護婦三名等よりな、救護班を災害地に派遣いたしておりますし、また本国からも救恤物資を送る旨を通達して参つております。それからイギリス関係の連邦軍におきましては、イギリス大使とともにこの救援に非常に努力をいたしておりまして、大使館と協議の上、英連邦軍からも非常に多量の物資、たとえば毛布は五百六十枚、寝具を四千三百七十六個、その他服を八千枚、ズボンを二万二千枚、シヤツを九千七百五十枚くつ下か三万二千、編上げのくつが二万一千というふうに、非常に多量の物資を寄贈されております。そのほか東京におります外交団、領事団等は全部外務省に対しまして非常に同情の厚い言葉を発して来ておりまして、一々名前をあげると非常に長くなりますから省略しますが、これは全部であります。また手紙をよこしてくれる人もあり、自分で訪問して慰問の言葉を述べてくれる人もあり、いろいろありますが、時を移さず参つております。そのほかに金品も非常にたくさん寄贈を受けておりまして、たとえばイギリス、アメリカは申すに及ばず、中国でも見舞金を十万円送つてくれておりますし、フランス大使は見舞金として三十六万円送つて来ております。ドイツからは大使が一万円、館員が二万五千円、法王庁からは見舞金を特に法王の名においてよこしてくださつております。法王庁としては額を発表してもらいたくないというような意向でありますが、その額は非常に多額であります。またそのほかにユーゴスラビアからも十万円の寄贈があり、タイ国からはとりあえず一トンの米を送られましたが、さらに十トン送られるということであります。そのほか、たとえばイギリスの在留民は英国大使館において、アメリカの在留民はアメリカ大使館において、中国在留民は中国大使館において、その他各国の在留民から、大使館の婦人連が集まりまして、衣料であるとか薬品であるとか非常に多量を送つて来ておられます。ほとんど大きなトラツクに一台ぐらいずつの分量を送つて来ております。それが一ぺんでなくして何回も送つて来てくれるのもあります。しかもこれは非常に急に集めたらしくて、新しいものを買つて来てくださつたものもあり、また古いものもあり、とにかく手当り次第に集めて送り届けてくださるようでありまして、直接外務省に参りますものもあり、またその前に外交団の宴会の席上一緒に集まりまして、外交団で集めようという話もし、その外交団で集めて赤十字に送つてくれるものもあり、いろいろとありますが、実に驚くほど厚い同情を寄せておられます。これらの物資は、外務省に参りましたものは、すべて赤十字に外務省の方で荷づくりをして送りまして、赤十字から罹災地に届けてもらうことにしておりますが、特に注文がありますようなものは、特殊の罹災地に届けております。またお金の類は、それぞれ厚生省なり赤十字なり注文がれておりますところへ届けて、それから罹災地に送つております。さらに申し落しましたが、ニュージーランドでは国内でただいま委員会を組織して、救済物資の募集に努めているそうでありまして、二、三週間のうちに船でこちらに送り届けて来るそうであります。各国の代表者の意見では、今すぐにも非常にたくさんいるけれども、この罹災の状況から見ると、冬になつてもやはり品物が必要になるであろうから、夏のものばかりでなく、冬のものも用意して、長い期間送つて罹災民に充てたいというような意向で、ずつと常時やつてくれておりまして、その努力はまことにわれわれも感謝しておるところであります。またオランダのごときも、先般オランダ自身が非常な水害をこうむつた経験もありましてか、特に深い同情を寄せておりまして、またこういう水害の予防なり跡始末なりについて、オランダの経験の利用できるものがあれば利用するように、本国にも材料を坂寄せようというようなことも申しております。いずれにしましてもわれわれが予期した以上に非常な深い同情とまじめな、ただ口だけでなくして、実際に在留民をみな集めていらないものを一品でも多く出してくれというような話で、そろいもせず、何でもかまわず、手当り次第に持つて来て届けてくれるというような、非常に親切なやり方でありまして、まあ一々名前を申しませんでもここに書いてありますが、これは在京外交団、領事団全部であります。ヨーロツパもあれば、南北アメリカ、東南アジアはもちろんであります。インドもあればオランダもあり、どこもあると全部でありますが、フインランドからも来ております。インドネシア、ことにまたヴエトナムのごときは賠償交渉で来ておる代表か特にこういう同情の意向を表明して来ておりまして、非常にわれわれは感謝しております。こういう点につきましてはそれぞれその都度新聞等にも出すことにいたしておりますが、記事輻湊のため十分出ないために、われわれの感謝の意も十分表明する機会が少なかつたのでありますが、この御質問によりまして、われわれの気持が一層はつきり出ることはたいへん幸いと考えております。
○上塚委員長 並木君、外務大臣には予算総会から出席を要求して来ておりますので、きわめて簡単にお願いいたします。
○並木委員 大臣のただいまの御報告がありましたマヌス島のことについて内地送還のことについて二、三お尋ねをしておきます。私ども待望の内地送還ができましたことは、まことに欣快の至りでございます。ところで大臣けさ濠州大使にお会いになつたのですが、その節、内地送還だけでなく、減刑あるいは釈放等の特赦について、何か将来のお話がありませんでしたか。
○岡崎国務大臣 そういう問題につきましてもいろいろ触れたのでありますが、濠州の国民感情から申しますと、今回の決定というものはかなり英断を行つたとも言えるような模様でありまして、濠州の閣議においてもかなり長い時間を使つてこの問題を討議したように考えております。そこでわれわれとしては、この際はまず非常に先方の措置を多として、これをうれしく受入れるということにいたしまして、先方もよく政府の事情はわかつておりますから、まだまだ今後いろいろの機会もありましようから、そういう点についてはまた機会をつくりまして、いろいろ話をいたしたいと思います。本日も実は一応そういう点も触れまして、濠州大使の方でもそういう話がありましたけれども、ただいまのところは、まず今申した通り喜んでこの処置に対して応諾したい、こういうふうに考えております。
○並木委員 その点わかりました。ですから今後政府においては特に交渉を続けていただきたいと思います。 それから先ほど報告のありました条件の第二の、法律第百三号を適用する云々の件でございますが、この点については先方はどのような意向を漏らしておられましたか。
○岡崎国務大臣 法律第百三号につきましては、原則として濠州政府は異存がないのでありまして、先方の条件は百三号という日本の法律を完全に適用するようにというのであります。但し平和条約で御承知のように、たとえば仮釈放を行う場合には、日本政府から勧告をし、関係国政府の承諾を得て行うわけでありますので、仮釈放とあるいは減刑等もありましようが、そういう平和条約第十一条の条項を適用する場合には、日本の法律に基いて善行特典等を入れて勘定しましても、相手国政府にリコメンドして承認を求めるということになつておりますから、その点はやはり先方の承諾を求めるということが必要であろうと思いますが、これは法律問題で、私も十分研究したわけではありませんが、そういうことに普通なると考えておりますので、この点も特に異存をさしはさむべきものもないのじやないか、こう考えております。
○並木委員 先ほどの大臣が濠州大使に対して確認されたことで、日本政府としての正式の回答になりますか、それとも文書によつて回答を送るのでございますか。
○岡崎国務大臣 これはやはり日本政府の約束でありますから、一応閣僚にも報告をいたしまして、総理の承認を得て、正式に書面をもつて応諾したいと考えております。
○並木委員 いつときを争う問題でございますから……。そうするとこれを今度閣議にかけるのはいつごろになりますか。
○岡崎国務大臣 これは持ちまわりの書類で本日中にも閣僚の署名をとろうと考えております。
○並木委員 ぜひ本日中にもやつていただきたいと思います。 最後に内地帰還の輸送の問題です。これは日本から船をやらなくても、濠州の船に頼んだらいかがでしようか。フイリピンの場合でも私はそう感じたのですが、きようはよい機会ですから、大臣に要望的に質問したいのですが……。
○岡崎国務大臣 フイリピンのときもわれわれそう考えてみたのですが、フイリピンの戦犯者諸君の希望、それからフイリピンにおります日本側の連中の意見も、外国船でありますとほかの外国人と同船をするわけであります、そのために思わぬ摩擦が起つてもいけない、またやはり習慣等も違いますし、服装等もあまり整わない場合もある、それから何よりも戦犯君たちは内地帰還で気をくつろいで、ゆつくり船中で気持も回復したい、そういうときに何か外国人も大勢いて、しよつちゆう緊張していなければならぬというよりも、仲間同士でゆつくりしたいという気持もずいぶんあるようでありまして、これらわれわれから考えると、そう重要視する事柄でもないかもしれませんけれども、本人たちからいうと、なかなかこれは重要なことのように思われますので、それでむしろこれは関係者の希望もありますので、船をわざわざ送る、そのために多少時間もかかるのでありますが、外国船だと一ぺんに何人乗れるかということもありまして、先に乗る人とあとから乗る人もありますので、やはり一隻の船で一ぺんに乗せた方がよかろうと考えております。
○上塚委員長 それではこの際暫時休憩いたしまして、午後二時より再開いたしまして、小麦協定の採決をいたしたいと思いますから、全員御出席を願います。 午後零時十九分休憩 ————◇————— 午後二時二十二分開議
○上塚委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 国際小麦協定を修正更新する協定の受諾について承認を求めるの件に関し質疑を継続いたします。並木芳雄君。
○並木委員 私は農林大臣が来たら一言だけ要望的な質問をして、すぐ採決に入ることに異存はございません。そこでその前に他の方の質問がなければ国際情勢について質問したいと思います。
○穗積委員 私は小麦協定の問題について、採決に入る前に二、三点お尋ねしたいと思います。一点は、前の協定は四箇年で一年間に十セントずつ逓減ということになつておりましたが、今度は三年間すえ置きになつております。二十二条を拝見いたしますと、改正があつた場合にのみ脱退ができるように解釈できますが、改正がない場合には脱退することができないのか、その点をちよつと明らかにしておいていただきたいと思います。
○下田政府委員 最初の、この協定は三年間の有効期間であり、前協定と違つて毎年十セントずつ逓減するという方式を採用してないのは、どういうわけかという点でございますが、これは前の協定が四箇年間の有効期間で、その間に毎年十セントずつ逓減をするという規定を設けましたが、事実は市場価格が下つてその逓減された価格に従つて買うという事態が一回も起らなかつたわけであります。それで新協定にそういりような規定を置いてもしかたがないというので、今度の協定にはそういう逓減の方式を採用いたしません。 第二の御質問の脱退でございますが、これは二十二条で改正を受諾するかどうかをきめて、改正がどうしても受諾できないという上でなければ脱退できないことになります。
○穗積委員 実は前の場合は国際価格が下らないということが事実としてあつたのであります。今度は平和状態が継続ざれるといたしますと、輸出国における増産並びに輸入国における生産回復によつて、国際市場価格が下るものという見通しも一応考えておかなければいけない。そういうときに三箇年間すえ置きとなりますと、しかもすえ置きされた三箇年間改正がなくて、こちら側の理由によつて、たとえば協定で買うよりは一般自由市場で買つた方が有利だというような、英国が今度とつたような態度をとる方が有利だという状態が、一年ないし二年後に起きましたときに、これが脱退をすることができないとなると、非常に不当なオブリゲーシヨンになるように思うのですが、その点についてのお見通しはいかがでございましようか。
○下田政府委員 ごもつともな御質疑だと拝聴をいたします。けさほど農林委員の方からやはり同趣旨の見解の表明がございましたが、この協定の御審議を煩わすについての根本問題だろうと思いますので、私どもの考えを申し上げたいと思います。まことに卑近な例で恐縮でございますが、実はこれはバナナのたたき売りに非常によく似ておるのであります。どういう場合に日本が損をすることもあり得るかということを考えてみますと、協定は最高価格と最低価格という二つの価格を設けております。そこで、日本が得をするのは、ただいまのように国際市場価格が協定の最高価格よりも上まわつておるときなのであります。つまりバナナ一貫目が今二ドル三十五セントしておるのに、日本はそんな高い価格で買うのはいやだ、この協定にある二ドル五セントで売れ、これは買う権利があるわけなのです。ですから多くの場合は現実の国際市場価格よりも低い値段、つまり協定の最高価格で日本が買わんと欲すれば、終局的には輸出国が売らざるを得なくなる。あちらに義務があつて、こちらに権利があるわけです。もし国際市場価格が協定の最高価格よりもざらに下まわつて、たとえば一ドル八十セントになると、建前は自由契約でありますから、日本は一向おかまいなしに協定の最高価格よりも下の値段で買うことができるわけです。それでは日本がかりに困ることがあればどうかといいますと、協定の最低価格かものを言う場合であります。それは、バナナが売れなくて困る、よし一ドル五十五セントで投売りだといつた場合に、協定の最低価格まで下りましたら日本は買わざるを得ないわけです。国際市場価格が一ドル三十セントまで下りましても、協定で定めた一ドル五十五セントでオファーされたら日本は買わざるを得ない。そこで、現実にその一ドル五十五セントの最低価格まで下るかどうかという見通しの問題が問題でありますが、これは先ほど食糧庁長官からお話がありましたように、国際小麦会議では世界の小麦のエキスパートがそろいましたが、だれも最低価格よりも下るという見通しを立てた者はないのであります。これはイギリスですら最低価格一ドル五十五セントには何ら異存は唱えておらなかつたわけであります。でございますから、この協定の四年間の実施の経験にかんがみましても、また世界の小麦のエキスパートの見解にかんがみましても、まず一ドル五十五セント以下に下るということはあり得ない。また、もしそういうことになりましたらたいへんでございますから、アメリカは支持価格でもつて国内小麦を買いつけるでありましようし、また濠州等も小麦の値段が悪くなれば、作付の制限その他をやりますでしようし、小麦の輸出国側は各国ともそんなに下らないための措置をとるでございましようから、もちろん見通しといたしましては、最低価格以下に下るということはないと思います。 それからもう一つ、イギリスは最高価格の二ドル五セントに不満で脱退したじやないか、なぜ日本もイギリスのような態度に出ないかという御質問でございますが、イギリスは伝統的に濠州、カナダ等から非常な上得意として優遇されております。この協定でもオーストラリアが留保をつけております。つまり、もしイギリスが協定から脱退し、あるいは協定を受諾しなかつた場合には、イギリスにやる分だけは自分の保証数量から差引くぞということを言いまして、ですから、濠州はほかの協定当事国よりもイギリスを重視しておるわけであります。そういうようで、イギリスは英連邦諸国内から自分に有利な条件で買い得る見通しがありますので、非常に立場が強いわけであります。これに反しましてヨーロツパの輸入国は、日本と同様に伝統的な買付先がないので、イギリスと同じような強い態度には出られないという根本的な差異があるわけでございます。
○穗積委員 私は今の日本が英国のように、選挙で申せば基礎票でございますが、そういうような特別な相手国を持つていないということも十分わかつています。そうして現在の段階においては、協定に入つて買いつけることが確実であり、かつ有利だということも十分のみ込んでおるわけでありますが、ただ問題は、国際的に見まして、過剰生産とまでは行きませんにしても、だんだん生産が上まわつて来る。そうして、特にこの協定には、大きな供給国でありますソ連とアルゼンチンが入つていない、需要国の第一位を占めております英国が入つていないということになりますと、いわゆるフリー・マーケットの操作と、この協定内におきます取引によつてきまる価格とが相関関係になるわけだと思います。おつしやる通り、フリー・マーケットの価格が最低価格の一ドル五十五セント以下になるという見通しはむろん私どもといたしましても考えておりません。ただ、最高最低の幅の中で取引をいたします場合の価格ですが、これが場合によりますれば、市場価格により多くのものを依存した方が——たとえば百万トンは義務受取りになろと思いますが、そうでなしに、市場価格にも依存した方が有利である場合がある。これは商売のことだと思うのであります。法理上のことではありませんで、商売から見まして、つまり協定内におきます価格というものも、並びに自由市場におきます価格というものも、第一、非常な生産国であるアメリカが、国内の農業調整法で最低維持価格を決定しており、そのてこ入れがこの協定の価格決定にも相当に影響を持つており、同時に自由市場価格の相場にも大きな影響があると思います。そのときに、将来、各国の需給関係がバイヤーの方に有利になるような条件がだんだん出て参りましたときには、協定によつて買うというよりは、自由市場価格に移行する。つまり自由ということをもつて牽制するということが、国際市場価格全体を引下げる一つの有利な商売の戦術になると思うのです。そのときに三年間くぎづけされるということになりますと、自由市場の価格の操作をやろうといたしましても、業者の側から非常に困難になるのではないかということを危惧いたします。そこで今お尋ねしたわけです。 そこで最後に条文の上でちよつとお尋ねしたいのですが、この二十二条は、改訂を受諾しない国は脱退するということになつているわけでありますが、もし改訂のない場合に、自由意思で日本が脱退した場合の制裁規定はどういうことになつておりますか。
○下田政府委員 脱退した場合の制裁規定はございません。
○上塚委員長 穗積君にちよつと申し上げますが、ただいま、五分間という約束で農林大臣が農林委員会を休憩してこちらへ来られましたから、この際並木芳雄君に発言を許します。並木芳雄君。
○並木委員 農林大臣に要望的質問をしておきたいと思います。 それは、私の方の農林委員から特に注文がありまして、外務委員会と農林委員会の合同委員会を開くかわりに、私より大臣に申入れをしておいてもらいたいと言われた理由からでありますが、今回国際小麦協定の改訂をいたすに際しまして、農林大臣としては、外国の麦の作柄の見通しとか値段の見通しをよくつけておられるかどうか。今度英国は高過ぎるといつて協定に入りません。従つて、英国などのくろうと筋の見通しでは、あるいは小麦の国際価格というものは非常に下るのではないかと思われますけれども、その点についての見通しはいかがであるか。私どもの要望は、外麦がどうあろうとも、要するに日本国内の麦買入れ価格その他に対しては、絶対に農家に対して悪い影響を与えないということが要望でありますけれども、その点について農林大臣からはつきり伺つておきたいと思います。 そこで、今後の外麦の輸入計画はどういうふうになつておりますか。そうしてこれを管理する方針はどうなつておるか。国内産の麦などとともに、今まで通りにかわらないやり方でやるのか、もつと強化するのか、あるいはもつとこれをゆるめるのか。ただいま問題になつております米の二重価格、こういう制度とにらみ合せて、麦の管理方針はどういうふうになつているか。二重米価に対するお考えとともに、大臣のはつきりした方針をお聞きしたいのであります。以上です。
○保利国務大臣 各国とも戦後の農業生産力が回復いたしまして、増産による国際市況が軟化しつつあることはいなめない事実であると思います。昨年は小麦協定によりまして五十万トンの輸入をいたして参つておりますが、今年は百万トンの輸入をいたすことになつております。食糧全体を確保するには相当多量の外地食糧に依存しなければならない今日の食糧事情の現状からいたしまして、今回百万トンの買付を小麦協定によつていたしたわけでございます。冒頭申しますように、農業生産力の回復による増収、従つて価格の低下傾向はいなめない事実でございますけれども、先般決定をいたしました麦の価格決定の経緯によつても御承知のように、内地麦につきましては内地農民の再生産を確保して参ります上に、食糧管理法で示しております価格決定の方式をとりまして、一応外地食糧と内地食糧の価格上、遮断の方式をとつて参つております。この方式は内地農業の振興の上から行きましても、私はこの方式を続けて参るつもりでおります。麦の管理方式につきましては現行通りこれを継続する考えでございまして、ただいまは需給価格の間接管理の方式でございますが、この間接管理の方式で大体所期の目的を達していると存じますから、この方式を踏襲して参るつもりでおります。なお米価の二重価格の問題につきましては、他の委員会でも申し上げておりますように、出来秋の米の価格を決定いたします際に、もし生産者価格を引上げるという場合に消費者に及ぼす負担の影響、あるいは財政負担の状況等を勘案いたしまして、慎重に決定をいたして参るつもりでおりますが、ただいま本院で御審議を願つております予算は、従来の方法によりまして統制撤廃への努力の方向を盛り込んだ予算をもつて御審議を願つているわけでございます。しかしお尋ねの点は新米価決定当時の問題も慎重に検討をいたすことにしております。
○穗積委員 もう一点お尋ねしておきたいと思いますのは、この協定に参加しておりません供給国であるソ連並びにアルゼンチンでありますが、ソ連圏からの小麦買付の最近の状況と見通しについてお伺いいたします。
○黄田政府委員 昨年ソ連圏全体で七十万トン出しておりまして、そのうち四十万トンがソビエト・ロシヤでございます。たしかそのうちの二十万トンがイギリスに行つているはずでございす。
○穗積委員 今年度の日本の買付の状況はどうでございますか。
○黄田政府委員 ソ連圏からの買付でありますか。日本はソ連圏からはありません。
○穗積委員 その可能性並びに日本政府の御意思はいかがでございますか。
○黄田政府委員 日本の全輸入量が大体百六十万トンでございます。そのうち百万トンは小麦協定によつております。それから約三十万トンあるいはもう少し減るかもしれませんが、それがアルゼンチンから入るといたしますと、あと少し残りますけれども、それは中近東とかそういう方面から入れる。日本のものが出る場合に向うから買うものといたしましては小麦くらいがほとんど全部でございますので、その方に割当をする。そういうつもりであります。
○穗積委員 ソ連圏以外において自由買付をいたしておる価格と、ソ連圏から買いつける可能性のある価格との関係は大体お調べになつておられますか。
○黄田政府委員 小麦をソ連の方からオファーされたことはございませんので、値段がどのくらいであるかということは、直接的には知りようございませんけれども、エジプトとソ連とが取引をいたしますときには一トン百十二ドルということだつたそうでございます。これは普通の市価に比べますと相当高いものであります。
○上塚委員長 他に御質疑はございませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○上塚委員長 御質疑がなければ本件に関する質疑はこれにて終了することといたします。 これより討論に入ります。討論の通告があります。順次これを許します。並木芳雄君。
○並木委員 わが改進党といたしましては、ただいま保利農林大臣に要望的質問をして、大臣から、外麦によつて国内の麦に対してはいかなる影響をも与えない、という確言を得ましたから、賛成であります。
○上塚委員長 穗積七郎君
○穗積委員 社会党を代表いたしまして、次のような対外的政策あるいは国内の農業政策上の諸点について、四つの希望条件をつけまして賛成いたしたいと思つております。第一は外麦を買いつけます場合に、国内の生産農家の経済を圧迫しないことと、それから国民経済上より見まして、必要以上に高い小麦を買わないようにするということを建前にいたしまして、買いつけます場合の態度としては、第一に外麦の生産状況を基準にして国内の生産農家の経済を圧迫しないように、買付の方針を立てていただきたいということが第一点であります。 第二点は買付の価格でございますが、これは最低から最高までの間で取引が行われるのでありますが、従来ややともいたしますと、場合によりましては多小見込み違いがありまして、国際相場が下りつつある場合に、必要以上にまだ出盛り前に高いものを買つているという事実も多少見受けられるように思われますので、従つて協定の中に入つて後にこれを買いつける場合に、数量と価格の問題は商業採算もしつかり見きわめて、一ドルでも国の予算の節約のために従来よりはもう少し商業的なセンスを働かして、より安く買うべきであるということを要望いたし在。特にわれわれの判断では最低価格を割るということはないと思いますが、しかし従来よりはだんだん生産が上まわることによりまして、国際相場は下ることが予想されますので、特にこの点について要望いたしたいと思つております。 それから第三点の要望は脱退の問題でございますが、今申したような将来の市況の判断に立ちますならば、必ずしも協定に人づていることが日本の有利であるという状態が続くとは限らない。そういうような場合には、今伺いますと罰則規定がないようでありますから、これは商売の場合にいたしましてもキャンセルは十分あるのであつて、しかもコマーシヤル・ペースに立つことは、何ら国際的信義に反しないと存じますので、そのこともお含みの上でひとつ協定に参加していただきたい それから対外的な問題で第四点は、ただいままでにソ連圏からの買付はなかつたようであります。のみならず、局長のお答えによりますと、これの相場は他の地域の相場より従来高かつたというのでありますが、これからの市況の関係でこれらの相場が下つて参りました場合には、とらわれるところなしにこれらの地区からも買付を希望するわけであります。 以上四点が対外的な政策における要望でありまして、次に対内的、すなわち国内の小麦生産農家の経済を圧迫しないために第一にお願いいたしたいと思いますことは、輸入小麦の政府の管理を、今農林大・臣並びに午前中の食糧庁長官のお話では、ゆるめないつもりであるということをおつしやいましたが、これを私は要望としてさらに強く申し上げておきたい点であります。 それから標準売渡し価格の決定でありますが、これは実は外麦と国内産とは区別しておやりになるということでありますが、外麦は言うまでもなく質におきまして内麦よりはるかにすぐれております。従つて外麦の売渡し価格と数量並びに時期いろいろあると思いますが、これは内変の相場を相当決定するといいますか、大きな影響力を持つことと思いますので、この標準売渡し価格につきましては、内麦の市況をも勘案された上で、ぜひひとつ内麦を圧迫しないようにしていただきたいというのが第二点の要望の条件であります。 それから第三点は、内麦の買上げ価格でございます。これは今回の予算にも出ておるようでありますが、食糧の統制撤廃の方針も政府の一部では持つておるわけでありますが、これとの関連におきまして内変の買上げ価格を維持することを第三の希望条件として本件に賛成をいたしたいと思います。
○上塚委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 日本社会党といたしましては、この協定に賛成をいたしますが、次の三つの希望条件をつけたいと思います。 第一点は、わが国の小麦価格の不当なる値下りを来させないように配慮することである。その根本的な対策としては一日も早く農産物価格安定法を制定していただきたいのであります。第二は、国内における小麦生産者の意欲を減退せしめないようにすること、第三点は、アメリカの小麦生産が過剰に陥つていることは有名なことであり、そうして今回の協定でも、アメリカが昨年を上まわる一億七千万ブッシェルを輸出割当するように主張されておることを考えてみましたときにも、アメリカにおける過剰生産解決のための手段にのみ利用せられないようにすること、この三点を希望条件としてつけて賛成をいたします。
○上塚委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより採決いたします。本件を承認すべきものと決するに御異議ございまんせか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上塚委員長 御異議なしと認めます。よつて本件は承認すべきものと決しました。 なお本件に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上塚委員長 御異議なければさようとりはからいます。 —————————————
○上塚委員長 並木芳雄君。
○並木委員 伊閥局長にお尋ねしておきます。浅間の問題はどうなつたか。福岡の芦屋キヤンプのガードの殺人未遂の問題はどうなつたか。これは前に横田基地で起つた問題と同じようなケースだろうと思いますが、非瀞に警備員の人が困つておりますので、明らかにしていただきたい。それと基地問題がやかましい今日、基地の現場に委員会というものを設けて、その間の円滑をはかつて行きたいという計画があつたはずでありますが、あの計画はその後どうなつておるか、いつから実施するか。以上三点について伺います。
○伊關政府委員 浅間の問題につきましては、日本側の地震の専門家と米軍の係官の間で研究を続けております。最終結論というものはまだ出ておりませんが、今までの大体の話合いの結果から見ますと、やはり地震研究に支障ありという結論が出る可能性が強いようでございますが、はつきりそういう結論が出ましたならば、私の方からアメリカ側にそういう支障があるという点を申し入れることにいたします。 芦屋につきましては、これは施設区域内における日本人警備員の武器所持ということは、合同委員会において認めておりますが、その使用にあたりましては、刑法上の正当防衛または緊急避難に該当する場合に限られておりまして、今回の事件はこの正当防衛あるいは緊急避難を逸脱しておりますので、このガードは日本の刑法に触れるものといたしまして、日本側で起訴、一送検いたしております。なおその加害一者の方もこれは刑事特別法等に触れますので、退院いたしましたならば送検一される予定でございます。 一 それからいわゆる基地周辺の現地委員会につきましては、すでに一箇月ぐらいになりますか、あるいは、二、三週間前か、指令を出しまして、こうした委員会をつくるようにと、もちろん命令を出すことはできませんので、関係各省の連名でもつて、こうした委員会をつくることを勧めておりまして、逐次できて来ておるようであります。
○並木委員 委員会の構想はどういうものですか。
○下田政府委員 委員会は主として風紀問題を取上げますが、それ以外にも現場で起りますいろいろな問題を、できるだけ現地的に解決いたしたいというのが目的でありまして、風紀問題につきましては取締りを強化するという点もございますが、現地でこの委員会で話します問題は、現地限りでどういう措置がとれるか。それから取締りを強化いたしましても、なおかつ所期の目的を達しない場合には、日米間で打合せをいたしまして、立入り禁止地区について、具体的にどこを立入り禁止にするかというふうな相談をいたすわけでございます。この委員会が問題を取上げまして、地方的に解決できない場合には、それぞれ上級官庁に持つて行く、あるいは合同委員会に持つて行くというふうになつております。 委員会のメンバーといたしましては、地方公共団体の長、公安委員、教育長、保健所長、婦人少年室長、児童福祉事務担当官、PTAその他団体の代表者。米軍側は現地の司令官、あるいは憲兵司令官、医務官、それから宗務官1と申しますか、坊さんの方であります。 大体今つくらせようとし、またできつつありますのは、北海道千歳、青森県大三沢、山形県神町、宮城県仙台市付近、東京の立川周辺、千葉の木更津、神奈川県横須賀市、静岡県富士の裾野、大阪の豊中市、奈良県奈良市、鳥取県米子、福岡県福岡市、あるいは長崎県佐世保、こういうところを考えております。
○上塚委員長 並木君、保安庁関係は一日を争うものではないから、明日に延期してはいかがですか。
○並木委員 予算審議と並行して、この点を必要とするので、一つだけ伺いたい。保安隊が自衛のために使われる限界の問題なのです。今保安隊が高射砲、対空砲車を持つておりますが、対空砲車は何のために使うのかということが私の方で問題になつております。高射砲が用途のあるのは、飛行機の襲来であろう。飛行機の襲来は国内治安の問題とは違つて、外部からの侵略以外の何ものでもない。従つて対空砲車とか高射砲を用意する以上は、保安隊がすでに自衛のため、直接侵略にも備えて訓練しておるということになるのではないか。その点なんです。条約局長として答えられるだけの範囲でけつこうですから、お答えを願いたい。
○下田政府委員 いかなる国といえども自国の領空に対しては領土主権を持つております。その主権を侵害して入つて来ることは不法行為を構成いたします。その不法行為を排除する手段としては警告を発しあるいは追いかけ等の措置がとられますが、最後の場面には高射砲を使つて撃ち落してもよい、そういう見解になつております。これは交戦権の問題であるとか、軍隊の問題とは関係なしに、そういう領空の侵害に対する手段を持つておる国は、国際法上認められた当然の領土主権の効果としてそういう措置がとられます。
○並木委員 国際法上は確かに認められておつても、実質上保安庁としては保安庁法に基いて強制することはできないと思います。昨日から増原次長に質問の要点をお伝えしてありますから、先刻御承知ですから詳しくは申し上げません。今対空砲車のことを聞いているのです。保安庁法は強制できないと思いますが、いかがでしようか。
○増原政府委員 ちよつといきさつがよくわかりませんが、保安隊といたしましては前々申し上げておるように、国内の平和と秩序を維持するということを目的として装備を整え、訓練をやつておる。その国内治安の様相というものは、どういうものと限定をして想像することはなかなか国難でありまして、従つて高射砲なども一部装備をしておる。これを使います場合は、やはり国内の平和と秩序を維持するという意味合いにおいてはこれを使出することがある、こういうふうに考えております。
○並木委員 一般論としてはその点はわかるのです。そうすると、どういう場合に高射砲を使うことが起るのですか。
○増原政府委員 どういう場合というのは、ちよつと簡単には想定が困難であります。
○並木委員 つまり私が聞きたいのは、外から宜接の侵略以外に航空機に対して高射砲が使われることはないであろう、こういう質問なんです。そうすると保安隊の使命として直接侵略には用いられないのでありますから、こういうものを目的として対空砲車の訓練をしたり、それを備えつけたりすること自体が保安庁違反になる、こういうふうに考えておるわけです。
○増原政府委員 われわれの方では特にどういう場合という想定をすることが、困難な現実であるという前提でものを考えておりますので、国内の平和と秩序を維持するという建前であつても、やはり高射砲を使うという場合は考えられないではあるまい、そういうふうに思つております。
○並木委員 そこのところを私の方は聞いておるのです、まるで人事のようなコメンテーターが答えておるような増原次長の答弁では、保安庁次長の責任ある答弁でないと思う。国内治安に任ずる、間接侵略に備えるのだという保安隊の使命からいたしますれば、高射砲を用意してその訓練をするというのは、どういう場合に航空機が飛んで来るのか、国内治安、内乱、騒擾の場合にどこの飛行場からそういう飛行機が飛んで来るかということを漠然とお答えになると私は違つて来ると思います。私どもは今アメリカ軍が駐留しておりますし、日本の飛行場を占拠して、そこから内乱としての航空機を放そうとしたつて、できるものではない、これは外部から飛んで来る以外には考えられないのです。それを増原次長は、いろいろの場合があるであろうというふうに考えていることは、これは見当違いであろうと思う。従つて外部からの侵略以外には考えられませんので、それに対応して対空砲車というものの訓練をやつて行く、それを備えつけて行くのは保安庁法の目的を逸脱するものであるということなのです。くどいようでありますが、その点をはつきりしていただきたい。
○増原政府委員 事態を想定することは困でありますが、しいて抽象的に事態を想定すれば、いわゆる間接侵略の形において、外部から飛行機が来るということは、想像としてはあり得ない場合ではないというふうに思います。
○並木委員 間接侵略として外部から航空機が飛んで来ることはあり得ないことはないとおつしやつたのですが、それは少しおかしいじやないですか。外部から飛んで来たのなら、それは直接侵略じやないですか。
○増原政府委員 直接侵略というものの一応の概念としては、外国が正規の形において入つて来るということでありますから、外部から入つて来る場合でも、いわゆる暴徒というふうな形で入つて来る場合には、間接侵略の範疇に入るべきものと思うのであります。
○並木委員 そうすると非常に内乱、騒擾、間接侵略というものの範囲が広まつて来ちやつたわけです。私どもはそういうふうに考えておらなかつた。外部から来る場合というのは、これはいかなる場合でも直接侵略であると思つていたのです。それには保安隊というものは使わない、これが保安庁法の目的じやなかつたのですか。今の説を大きくすると、戦争とか交戦とかいう名前がつかなければ、どんな大規模のものでも、壇原・次長の答弁の範疇の中に入つてしまつて、交戦とか戦争という々一別がつかないで、実質上戦争が行われるような状態になつてしまうと思う。そこまで日本の保安庁法というものは規定しておらないと思うのですが、その点をもう少しわかりやすく解明してもらいたいと思います。
○増原政府委員 直接侵略は、必ずしも外国がいわゆる交戦権の発動として宣戦を布告して来るものばかりとは考えません。しかし外部からいわゆろ暴徒というふうな形で参ろもののうちには、いわゆろ間接侵略と考えらるべきものもあろであろう。これはしいて何か言えといわれるので、しいて想像をたくましゆうしたものであります。
○上塚委員長 並木君。ちよつとお諮りいたします。今行政監察委員会からまた請求がありまして、もうすでに外に見えておりますから……。
○並木委員 では私の質問は留保しておきます。
○上塚委員長 本日はこの程度で散会いたします。 午後三時十五六散会