外務委員会 第9号
- 発言数
- 145 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1953/07/01
会議録
○上塚委員長 これより会議を開きます。 まず団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約の批准について承認を求めるの件、工業及び商業における労働監督に関する条約の批准について承認を求めるの件、職業安定組織の構成に関する条約の批准について承認を求めるの件の各件につきまして、政府より提案理由の説明を求めます。下田条約局長。 —————————————
○下田政府委員 ただいま議題となりました工業及び商業における労働監督に関する条約、職業安定組織の構成に関する条約並びに団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約について、提案理由を説明いたします。 工業及び商業における労働監督に関する条約は、一九四七年に国際労働機関(ILO)の第三十回総会で採択されたものでありまして、一九五〇年四月に効力を生じ、最近までに批准した国は、十六箇国を数えております。 この条約の目的は、ILOの加盟国に労働監督制度を採用させて各国における労働者保護に関する法規を忠実に実施せしめ、これによつて労働者の保護を確保しようとするものであります。わが国におきましては、労働基準法により監督機関の設置が定められておりまして、監督機関の任務、監督官の権限、資格等この条約の規定の内容は、すべて実施されているのであります。 次に、職業安定組織の構成に関する条約は、一九四八年にILOの第三十一回総会で採択されたものでありまして、一九五〇年八月に効力を生じ、最近までに批准した国は、十六箇国であります。 この条約は、職業安定組織の設置による雇用市場の組織化を目的としたものでありまして、これによつて失業防止及び雇用の増大をはからんとするものであります。わが国におきましては、すでに職業安定法により職業安定組織が維持されておりますほか、安定組織の構成業務の内容等この条約の規定する条件は、すべて同法、失業保険法等により満たされております。 次に、団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約は、一九四九年にILOの第三十二回総会で採択されたものでありまして、一九五一年七月に効力を生じ、最近までの批准国は、十一箇国であります。 この条約は、労働者に与えられるベき基本的権利であります団結権及び団体交渉権の擁護を目的としたものであります。わが国におきましては、すでに労働組合法及び公共企業体等労働関係法によりまして、これらの権利の保障を確保しております。 この三条約は、戦後わが国が初めて批准する労働条約となるわけでありますが、これらの条約を批准することにより、わが国が公正な国際労働慣行を遵守している実情を広く世界に知らせ、また、将来もこれを維持して行くことを国際間に約束いたしますことは、ILO憲章の趣旨に沿つた国際協力を進める点からいいましても、またわが国の海外における信用を高める点から見ましても、きわめて有意義であると考えます。 以上の点を了察せられ、御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望する次第であります。 —————————————
○上塚委員長 今日は外務大臣が出席せらるる予定でございますから、ただいまの各案につきましての質疑はあとに譲りまして、国際情勢等に関する件について質疑を行うことといたします。これより質疑を許します。並本芳雄君。
○並木委員 MSAの問題で質問いたします。私の方の改進党としては昨日MSAに関する第一回の幹事長談話というものを発表いたしました。その中で正直に自衛軍創設を言つている改進党としては、MSAに関する限り、さほど困難は伴わないと思うけれども、自衛軍というものを打出さずに保安隊、海上警備隊のままで欺瞞的な軍隊をつくつている政府としては、おそかれ早かれ行き詰まるであろう。特に先般質問書を出して、その回答書にあつた第一の平和条約第五条(C)の問題で日本政府は窮境に陥るであろうということを指摘したのであります。そこで私はこの問題をもう少し掘り下げてお尋ねをしておきたいと思います。日本の質問書の中にあります防衛という意味はどういう意味でお使いになつたか。英語ではホーム・デイフエンスとしてありますが、防衛という意味と先方から回答の来た平和条約五条に引用されている自衛軍、個別的自衛権、集団的自衛権の関係をお尋ねしたいのであります。
○下田政府委員 防衛と自衛とは実質的には同じことだと思います。英語でもデイフエンスとセルフ・デイフエンス、つまりセルフがあるかないかの差でございまして、実質的内容は同じことだと存じます、
○並木委員 条約局長として答弁はそれだけですか。別に法律上もつとむずかしい専門的な回答はないのですか。
○下田政府委員 しいて法律的の差を求めますならば、防衛というのは一般用語でございまして、自衛という方がむしろ法律用語だと存じます。国際法で自衛単ということは申しますが、防衛軍ということは法律用語にはなつておりません。
○並木委員 防衛の中には、直接侵略に対する防衛というものも、もちろん含まれて来るわけですね。
○下田政府委員 もちろんでございます。防衛と申しますことは、侵略に対応する観念でございまして、結局実際問題としてどういうことが防衛の核心となるかということは、いかなる形で侵略が行われるかという問題と対応することだと思います。昔におきましては侵略というものは国境を越え、あるいは海岸に上陸することによつて、外部から入つて来ることが例であつたのでありますが、第二次大戦後の最近の実情を見ましても、今日の侵略はそうではなくて、国内に擾乱の種をまいて、その種をもととして事を起す、いわゆる内部からの間接侵略が侵略のおもな態様になつております。従いまして今日の防衛ということは、外からある日突然やつて来る侵略に対するものよりも、内から事を構えられる事態に対応するという点が、重きをなして来るという一般的形勢にあるのではないかと存じます。
○並木委員 その内から出て来るということを称して国内治安とは言わないと思うのです。この文字から見て、「この援助により国内の治安と防衛とを確保することを得るに至れば」、という質問書の内容でございますが、国内治安と防衛とをあわせて書いたところを見ると、たとい国内における間接の侵略にいたしましてもそれは侵略であつて、国内の治安とは別なものであると思いますけれども、いかがでしようか。
○下田政府委員 国内治安は結局国内の擾乱に対応する言葉でありますが、国内の擾乱と申しますことは、狭い意味で申せば、何ら外部的な原因との関係なくして、モツブが群衆心理にかられて騒ぎを起すというのが、狭義の擾乱、そういう擾乱に対応して治安を乱すと言うのが普通でございますが、狭義でなく広義にすれば、外部との連絡があるようなものも擾乱といつてもさしつかえないと思います。そこで国内治安と防衛ということを並べました場合には、国内治安の維持ということは、外部との関係のない擾乱に対するものである。防衛というのは外部との関係のある侵略に対する防衛、そうしいてわけて観念することも可能であるかと存じます。
○並木委員 その点ややはつきりして来たわけです。そうすると保安隊の目的というものは国内の治安の維持にありますから、この質問書にいう防衛の目的には沿いかねる、こういうふうに解釈できますが、その通りですか。
○下田政府委員 仰せの通りでありまして、保安隊の任務は、保安庁法に明らかに書いてありますように、国内の平和及び秩序の維持ということになつております。従いまして現在の憲法並びに保安庁法の建前におきましては、先ほど申し上げました内部から来る擾乱に対応する防衛は保安庁がなすことが可能でありますが、外部から来る直接侵略に対応する防衛は、日米安保条約によつて米軍がになつてくれております。そういう任務の分担になるかと存じます。
○並木委員 少しまた私の疑問がぶり返したのです。それは私は保安庁法というものを改正しなければならぬだろう、こういう意思を持つております。と申しますのは、先ほどの条約局長の答弁ならいいのです。外部との連絡がある国内における騒擾内乱、こういうものはやはり広い意味における防衛だ。そうすれば保安隊というものは外部との連絡のある内乱騒擾には出動することを目的としないと思います。あれは純粋の国内治安に限られておると思う。その限りにおいては、私は保安庁法を改正する必要が起ると思うのですけれども、今の御答弁ですと、また振出しにもどつたような感じがいたしますが、その点もつと明確にお願いしたい。
○下田政府委員 並木さんは、保安隊は内部の擾乱に対する秩序の維持と、もう一つは内部から発生する間接侵略に対する防衛と、第三の任務として外部から来る直接侵略に対応する任務を正式に持つものである。従つて保安庁法を改正しろ、そういうお考えのように考えるのでございます。現在のわが国の法制のもとにおきましては、その第三の点は、保安庁の任務外であると存ずるのであります。これは外部からの直接侵略に対するものは、安保条約によりまして米側が分担する、そういうことになつております。
○上塚委員長 外務大臣が見えられましたから、大臣に対する質疑を許します。たくさん通告がございますので、時間は十五分ないし二十分をもつてとめていただきたいと思います。穗積七郎君。
○穗積委員 岡崎外務大臣にちよつとお尋ねいたしますが、きのうの参議院で、MSA受諾に対します交渉も正式に向うに申し入れて、それに伴いまして想定されるいろいろの問題について多少お話があつたようでありますが、それに関連いたしまして、私がごく簡単にお尋ねいたしたい点は、この援助を受けるか受けないかは、日本の外交または経済一般にわたりまして非常に重大な問題であると思いますので、どういう条約の形式にされるか知りませんが、事前に国会の承認を求められて——事前と申しますのは調印前でございますが、そして十分討議の上で調印に臨んでいただくことが、将来のためにも望ましいことであると強く思うわけでありますが、その点に関しまする大臣の御意向をちよつと承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 これは法律的といいますか、憲法解釈の純然たる法理論と、実際問題と、二つあると思います。法理論からいいますれば、これはほとんどすべての憲法学者などの意見の一致するところですが、それは条約なり協定なり、要するに国際約束と称するものについては、調印と同時に効力を発生するものと、調印では効力を発生しないで、批准行為をした上で効力の発生するもの、この二つがあるわけですが、事前もしくは事後というのは、要するに憲法にいつておるのは条約の締結の事前もしくは事後というのであつて、調印の事前、事後とはいつておらないのであります。締結というのは、要するにその条約なり協定が、国家を拘束する時期をいつておるというのが通説であります。従つて国家を拘束するのは、調印と同時に効力を発生する場合には調印のとき、従つてそういう条約については調印の前に、事前に国会の承認を受けるのが普通のことであつて、特別の場合のみ事後に国会の承認を受ける。調印と同時には効力を発生しないで、批准行為が行われた後に効力を発生するものにつきましては、批准の前に国会の承認を得る。その場合には国会の承認を得べき条約の原案というものは、調印しなければまとまらないものでありすまから、調印をしたら国会に提出して承認を求める。そしてその上で批准行為を行う、これが通説だと思います。但し実際上の問題としてはでき得る限り、その間にあつても国会に報告するなり説明するなりして、あらかじめ十分なる理解を得、また国会を通じて国民の理解を得るということが必要でありましようから、実際問題としてはできるだけそういう措置をとろうと思つております。
○穗積委員 その一般的な法理論はたびたびお伺いいたしましたが、今度の場合すでに交渉を開始されたわけでありますから、どちらにはつきりするかという大体のおつもりがあるだろうと思いますが、そのことをお伺いいたしたい。
○岡崎国務大臣 これは相手のあることでありまして、先方と十分話してみなければ、どういう形の協定にするか——元来協定になるだろうと思いますが、協定というものになるのかどうか、実はこれも正確には話してみないとはつきりしないわけであります。しかしいずれにしましても、調印と同時に効力を発生する協定であれば、国会にその前に諮る。それから批准をもつて効力を発生する場合には、批准の前に国会に出して承認を求める、こういう措置をとるつもりであります。
○穗積委員 それはむろん相手のあることでありますが、しかしこの条約締結の形式については、日本の国内の政治情勢等もありますので、輿論をも勘案されながら、こちらで調印とともに効力発生の形式について、調印前に国会の十分なる討議と、承認を求めるということをこちらで希望されるならば、おそらくそのことについてはアメリカ側はあまり拘泥しないで、先般も大臣がおつしやつたように、アメリカ側としては日本の国内の事情をよく了解しておるので、政府の立場も十分了として、こちらの希望を聞いてもらえるつもりであるというお言葉がありましたが、そうでありますならば、願くばこちらがそういうことを希望すれば、調印とともに効力発生の形式をとつて、そしてその事前に国会における討議並びに承認を求めるという方法にしていただきたいと思うのでありますが、その点について重ねて政府の御意思をお伺いいたしたいと思います。
○岡崎国務大臣 何かいつも御議論の中心は、調印をしてその後に批准をするために、国会に提出すると、調印したから既成事実できて、なかなかこれを国会で不承認にはできないのだ、こういうような議論がありますが、私はそうじやないと思います。それは調印と同時に効力を発生する条約をつくつて、国会に承認を求める場合には、そういうかつこうの条約なり協定なりでもその原案なるものは、この場合は日米間ですが、日本と外国との間にすつかり話合いができて、そしてこれならよろしいということになつて、調印する前に出すのでありますが、その場合の条約の案と、調印して国会の承認を求めるための条約の案とは、その間に何ら差はないと思います。従つて調印をする前に国会の承認を求めるかつこうのものなら、国会でかつてに修正ができるが、そうでない場合にはなかなかできないのだというのとは、私は少し意見が違うのでありまして、国際間に話合いのついたという点は同様でありまして、ただ効力が発生する前には、いずれにしても国会の承認を得るのだ、こういうかつこうになるのでありますからして、その間に差異はないと私は思います。
○穗積委員 今のはまさに国会と政府この法律的な点から行きますならば、おつしやる通りだと思うのでありまり。調印いたしましてから、国会が批准を否決することもあり得るわけでございますが、それは法理論であつて、私が言いますのは、二点についてであります。 一つは、実は吉田内閣が今まで外交団題に対しまして、特に日米間に対しましてはアメリカの言うことをあまりお聞きになり過ぎて、そうして一方国民に対しては、言わなければならぬ、十分納得せしめなければならぬことまで、あえて言えば、お隠しになるような傾向が強かつたのであります。従つて特にこういうような重大な問題につきましては、日本の全体の運命にかかわるような重大な問題でもありますので、その点も危惧いたしまして、事前に国会に報告をし、または討議をし、その上で十分納得の行く承認を求められた上で調印なさることが、これは政府と国民との関係から行きましても、それをあと実施する場合におきます国全体の立場から見ても、それが望ましいことだと私は思う。 もう一つは、アメリカとの交渉の過程におきまして、政府のみでおやりになるといたしますならば、重要なこまかい細目の点につきまして、十分国民の意向を交渉の過程において聞くことがいささか手落ちになると思うのです。従つて国民が何を考え、何を要望しておるかということを、政府の意向のほかにアメリカに伝えることが、交渉の過程における政府の立場を有利にすることでもあり、日本のいろいろな義務規定を緩和する、あるいはまたわれわれの受けるメリツトを有利にする可能性が十分あるわけであります。言いかえますならば、一つは、今の政府だけで交渉されるといたしますと、交渉の衝に当られる方だけが責任を持つて話合いをするということになりますと、ややともすると向うの権力や経済力に押されまして、ついこちらが妥協する、譲歩するようなことがある。しかしながらその背後にはこういう輿論があるのだという、広汎な国民的な大衆的な輿論を背景にしてやられるということになると、この交渉がアメリカとの関係において非常に有利になる。もとよりこまかい条約——先ほど来批准を求められております条約でありますならば、あえてそういうりくつは言わないのでありますが、MSAに関します限り、日本の全体の運命にかかわる重大な問題であります。のみならずごらんの通り、輿論も必ずしも政府のお考えになつている通りのことに対して、政府は安心されても、国民並びに大衆は必ずしも安心しておらぬのであります。従つてそういう意味で国民に対する良心的な態度からいたしましても、アメリカとの交渉を有利に展開する点から行きましても、これはぜひひとつ事前に討議と承認を求めるという態度に出ていただきたいということを、あくまで私は要望するものでございます。重ねて大臣の御所見をお伺いいたしたい。
○岡崎国務大臣 第一の点は、今申し上げた通りで、つまり調印をして後に国会の承認を求めるいわゆる批准条項のついた協定と、それから調印と同時に効力を発生するために、調印の前に国会の承認を求める協定なり条約と、その中身においては、たとえば日米間において完全な合意が成立してからやるということについては何もかわりがありません。普通のやり方にしましても、調印と同時に効力を発生するものについては、調印はいたしませんが、その条文がはつきり両方できまれば、両方の代表がイニシアルをして、これで間違いないのだということではつきり約束して、それから国会に提出するというかつこうと、調印してから、批准を求めるためにまず国会の承認を得るというかつこうとで、初めの方ならば、いくらでも内容は直せるが、あとの方は直せないというような関係は一つもないのであります。いずれにしても直す直さぬは国会の御自由ですが、日米間に合意がはつきり成立したというかつこうは、イニシアルをしたものであろうと、調印したものであろうと、それはかわりがないのであります。 それから第二の点につきましては、私どももむろん国民の意向を十分聞かなければならぬということも承知しておりますし、またできるだけ国民に理解を求めるために、知らせなければならぬということも考えております。ただおつしやるような意味は、交渉を有利に導くために、国民の輿論を使うというような疑念を相手方に持たせる、いわゆるうしろ向きの外交をやつておるような疑念を持たせるということで、交渉としてはこちら側の誠意を疑われる場合もありますから、十分慎まなければならぬと思いますが、ただお話のように、国民なりあるいは国会を通じて国民に十分理解を得るように努力をすべきことは、これは原則的にはまつたく同意であります。
○上塚委員長 穗積君、すでに十五分を経過いたしました。
○穗積委員 まだ十五分になりません。 実は時間がありませんので、はなはだ残念でありますが、ただいまの御答弁で私は満足しておりませんし、それから事前に、調印前に報告、討議をして、承認を求めていただきたいという要望をもつて次の機会にお願いするつもりであります。 ついでにお願いをしておきたいと思いますのは、この国会がもし予定通り七月末をもつて終るといたしますと、重要な最後のつじつまを合せます交渉のとりきめの行われますのは、国会終了後になると思われます。そのときにはぜひ少くとも外務委員会なりとも開いていただいて、そして適時この交渉の経過を報告していただき、われわれの意見も聞いていただきたいということをお願いいたしたいと思いますが、いかがなものでございましようか。
○岡崎国務大臣 これは私のきめることでなく、むしろ外務委員長なり理事のきめることであります。
○上塚委員長 加藤勘十君。
○加藤(勘)委員 外務省は、二十六日のアメリカ側の回答文書に基いて、きのう交渉を開始するようにという申込みをなさつたようでありますが、これは受諾の意思をもつて交渉の開始をお申込みになつたのかどうか、その点を聞きたい。
○岡崎国務大臣 私どもは、たびたび申す通り、あの回答を見まして、これならば援助を受けることが望ましいという大体の結論が出ましたので、交渉を試みるのでありますが、交渉の間にまた思わぬ障害が出て来ることもありましようから、まだ受諾の意思を決定したというところまでは行つておりません。交渉の結果、いよいよこれならいいといつて協定ができるような場合には、これはそうなりましよう。ただいまのところは、まだ法律的にいえば白紙といいますか——しかし受けることは望ましいという気持がありますから交渉を始めたのであります。
○加藤(勘)委員 私どもがあの回答文書を見ましたときに——私の個人的な感情かもわかりませんが、文書を見て第一に印象づけられたものは、こんな調子では、これは非常に内政干渉を誘発するのではないか、こういう印象を強く受けたのあります。申し上げるまでもなく、日米安全保障条約そのものを見ますと、文書の上ではきわめて平面的で、何もかれこれ文句を言う余地がないほどに平面的にできておりますが、一たびその第三条に基く行政協定というものを見ますと、現在日本国内においては排米感情にまで到達するがごとき状態に、具体的な事実が現われておるのであります。これはもとより単なる一方的な干渉というのではなくして、日米合同委員会の決定がそうさしたので、一々日本政府はアメリカ側に強要されたのではなく、合意の上でやつたと言われるかもしれませんけれども、実際においては国民の受けておる印象は、アメリカ側から強要されておる、こういう感じを非常に強く受けておるのであります。そういうことと思い比べまして、今度の回答文書を見ますと、言うまでもなく相互安全保障法の五百十一条の(a)項によつておるこういうことが明らかに書かれておるのであります。この五百十一条の条項を見ますと、申し上げるまでもなく、アメリカの安全を維持し、かつ外交政策を推進することが主要なる目的であつて、大統領がそれを認めた上で、さらに六項目の条件に承諾をした被援助国に対して援助をする、こういうことになつておるのでありますから、具体的にいいますと、われわれは非常に内政干渉を誘発するのではないかという危険を感ずるのでありますが、外務大臣としてはそういう感じはお受けにならなかつたかどうか、それをお伺いしたい。
○岡崎国務大臣 まず今お引きになつた行政協定に基く各施設や区域をアメリカ側に提供するという問題で、これは私どもも何ら問題のなしことである、日本の国を守るためにやむを得ずアメリカの軍の援助を受けて国内に駐留している状態であれば、それに必要な施設なり区域なりを提供することは当然のことでありまして、また必要最小限度であればこれはさしつかえない、こう思つてずつと来たのでありますが、その間にわれわれの措置が十分でなかつた場合もありますし、またはつきり国民の理解を得るだけの努力も足りなかつたかもしれません。また場合によつては、全然安保条約や平和条約に反対である立場をとる人からの、いろいろの意見の表示もあつた関係もありましようが、いずれにしても今おつしやるように、国民の中にわれわれが何でもないと思つておつたことが、なかなか大きな問題になつておるような状況で、これについては私どもももつと十分なる手を打たなければならぬわけであつたことを痛感しております。今後できるだけその点では国民の理解を得るように努力しないと考えております。 今度の場合におきましても、今までのMSAの援助を受けておる各国の例を調べてみましても、一部のごく少数の国におきましては、内政干渉というような点を心配して、援助を受けないというようなことを言つておる国もありますが、非常に多くの国々においては、この援助を受けて別に内政干渉の事実も起つていない、こういうふうに私どもは判断して、それも援助を受けたいと思う一つの理由になつておるわけであります。これも今の施設、区域と同じようにわれわれが十分その点を努力して、国民の十分なる理解を得ない場合には、お話のような心配もあるわけでありましようから、この点も十分注意しようと思つております。
○加藤(勘)委員 実は私どももアメリカとは真実の友人になりたい、友好国でなければならぬという感じを抱く一人であります。しかしながら国の自主性、独立を確保するという点から行けば、たといどういう利益があろうとも、利益のためにその権限を侵されてはならない、これが国民として持つべき一つの誇りであろうと思うのであります。そういう点から見まして、われわれは行政協定の実施の状態に対しては遺憾を禁じ得ない点がたくさんありますが、そういう点は議論になりますからやめておきまして、この回答文書の中で、第一項に掲げてありますものの中で、日本政府の質問書とは食い違つた平和条約第五条(c)項が取上げられておりますが、これに対しては外務省はどういう意味でこの(c)項がアメリカ側で取入れられたか、これに対する御見解を伺いたい。
○岡崎国務大臣 これについては、われわれはいろいろの質問で実ははなはだ当惑しているのであります。一方においてはこの手紙はなれ合いの手紙である、こういうふうに言われており、片方では今おつしやるように質問と答えと食い違つているのはどういうわけだ、こういうような御質問もあるわけでありますが、これはなれ合いでも何でもないのでありまして、アメリカ側としてはアメリカ側の独自の見解で返事を出すのでありますから、質問と多少食い違つていても、これは私はやむを得ないと思つております。そこでそれじやどういう点がそうなのか、おそらく私の想像では、こちら側としては国内の防衛ということ声言つておりますが、アメリカ側としては安保条約にもごらんになるように、自衛力の漸増ということをアメリカは期待しているわけでありまして、この自衛力の漸増ということに寄与したいのであつて、今の国内の防衛という、漸増の意味の入らない、今だけのことに寄与しようというのではない。もつと自衛力漸増にも役立つものにしたいものだという意向を表明したもの、というように私は理解しております。
○加藤(勘)委員 申し上げるまでもなく、(c)項は日本が日本の独自な立場におきまして、集団的もしくは単独に安全保障条約をどこの国とも結ぶことができるという国連憲章の精神をうたつたものであります。これが特にここに持ち出されて来るということは、やがて日本が太平洋軍事同盟というようなものに参加を強要されるという伏線でないかという疑惑が起るのでありますが、この点について外務大臣はどのようにお考えになつているか。
○岡崎国務大臣 これは平和条約締結当時に何べんも念を押してあの平和条約ができたのでありまして、今おつしやる平和条約の第五条の(c)項にははつきり「自発的」にという字が入つております。これはあくまでも自発的にという意味でありまして、日本政府は「自発的」にというのに特に重きを置いておるのであります。われわれは強要されるということはいかなる場合にもない、自発的に政府が独自の見解でやるのだ、こういうふうに考えております。
○加藤(勘)委員 時間があまりないので、非常に残念ですが、まだたくさんその点についても聞きたいのでありますけれども、次に移りたいと思います。 もし日本が援助を受けることになると、アメリカはどういう機関でそういう実施に当るのであるか、この点についての見通しを聞かしていただきたい。
○岡崎国務大臣 実施という御質問の意味があまりはつきりしませんが、もし御質問の趣旨が、たとえば安全保障法にあるカントリー・チームというものがどういうものであるかという意味ならば、おそらく日本の場合にもカントリー・チームというものは来ることになるのではないかと考えられますが、そのおもなる仕事は大体において安全保障法にも書いてありますが、これはむしろこれを読んでしまつた方が早いかもしれません。「軍事援助顧問団の任務は当該国政府と協力して完成兵器援助計画の実施、海外調達に関してアメリカ陸海空三軍の調達官との連絡調整、軍事訓練計画の実施が主要なものである。」こういうことになつておるのであります。
○加藤(勘)委員 これは委員長、外務大臣の答弁も相当時間を食いますから、それをちよつと考慮に入れていただきたい。 その顧問団の権限は、今おつしやつたように軍事的な性格に限つておつて、現在の保安隊に顧問団がおるような性格のものであるか、あるいは日米合同委員会というような行政面にまで関与する性格のものであるか、その点は、どうでしよう。
○岡崎国務大臣 これは話してみなければわかりませんが、おそらく今申したような援助計画の実施であるとか、海外調達に関する連絡調整であるとか、それから軍事訓練計画の実施、こういうようなことを、これは一般的な規定でありますから、日本の場合には軍隊はないからそこは直さなければなりますまいか、これ以外のことにはならぬというつもりでおりますし、また交渉のときにはそういう意味で話をしようと思つております。
○加藤(勘)委員 次に援助の形式というか、性質ですが、われわれが予想し得られるところによると、第一には現在保安隊に貸し付けておる武器を、そのままMSAの援助に切りかえるということが一つ、それからアメリカ製の兵器をそのまま武器として日本に持つて来て貸与するということが一つ、それから日本の保安隊の使用する兵器を日本の内地で生産せしむるように注文をするこういう形式が考えられるのでありますが、外務大臣としてはどういう形式がとられると見込んでおられますか。これらのものが総合されたものであるか、あるいは一つ一つ別々のものであるか、またどういう形式が望ましいと思われるのか、お伺いしたい。
○岡崎国務大臣 今おつしやつた質問の第一の点は、つまり今まで保安隊に貸与しておるものをどう扱うかということは、今ただちにお答えはできないのでありまして、これは話してみないと私はわからないと思つております。あるいは別個のものになるかもしれないと思つております。第二、第三の点は、私はその通りだと思います。そのほかにもあり得べきものは考え得るのでありますが、これは交渉してみないとわかりません。たとえば日本の兵器産業に対する援助というものがあるかどうか、あるいはアメリカのポイント・フオアに関連して、何か日本の方に課せられることがあるかどうか、こういうようなこともポシビリテイーとしてはあるでしようが、これは交渉してみないとわかりません。
○上塚委員長 加藤君、十五分の時間が参りました。あと五分の延長を許します。
○加藤(勘)委員 日本の自衛力漸増ということをアメリカ側が要望しておるわけですね。その要望の自衛力をどうして漸増するかという具体的な方法について、これは広い意味で自衛力ということになれば、経済力も全部含まれることになりましようが、直接には武力的な漸増もありましようし、いろいろありましようが、そういうことに対して政府としてはどういう点でアメリカの要望にこたえられようとするのか、それをお伺いしたい。
○岡崎国務大臣 これは当方の質問書の中にも意見を述べておりました通り、まず防衛力を強めるということには、経済の安定が先決条件だとわれわれは考えておりまして、今おつしやつた経済というか、民主の安定ということも強い一つの要素になると思います。その他直接の問題としましては、保安隊なり警備隊なりの多少の人員のふえたり減つたりすることはありましよう。何百とか一千とか千五百というものは動くことがありましようが、大量に人員をふやすということはただいま考えておりません。従つて訓練とか装備とか、そういう質的の向上を考えております。
○加藤(勘)委員 その場合に問題になるのはこの点だと思いますが、アメリカの要望が単なる要望でなくして強い趣旨となり、さらに強要となるということは当然考えられると思うのですが、もし強要されるというような場合に、これをはねつけるだけの勇気をお持ちになるかどうか。
○岡崎国務大臣 私は今までのアメリカ側の態度から見ましても、どうも日本政府なり日本の国民、ことに日本国民の一般の考え方に違つたようなことを強要するというようなことは、私どもには考えられないのでありまして、そういう場合にはどうするかという御返答には直接なりませんけれども、私はそういうことを今考えておりません。
○加藤(勘)委員 外務大臣はそうおつしやいますけれども、これは占領中の事柄であるが、占領中には司令部はかなり強要して、無理だとみすみすわかつておることでも、日本政府に迫つたことをわれわれは実際に知つておるのです。もちろんこれは占領中のことであるから、日本が独立国になつた今日においては違うとはいいますものの、実際に日米合同委員会の状態なんか見ますと、そういう懸念は非常に多いのですね。いずれこの委員会において私まだそれらの点については質問をしたいことがたくさんございますが、全然そういう心配はないとは言われないと思うのです。われわれはそういう強要とかいうようなことに対しては、断固拒否するという勇気と信念を持つて、国民全体として臨むべきでありますが、われわれはそういう強要をせしめないような条項を、はつきり協定の上では結ばれる必要があるのではないかと思います。 それは意見になるから別にしますが、あの回答文の中に「人力」という言葉が使つてあります。この「人力」という言葉自体が非常に誤解を受けるのですね。前のアメリカの議員が言つた、東洋人には東洋人をもつて戦わしめよというような言葉がこういう「人力」という言葉と結びつけて考えられますときに、これは非常に誤解を受ける。こういうようなことさらに「人力」という言葉をここに持ち出された意義が、やがてこの人力を広汎に利用するというようなことに発展して行くのではないか、こういうことが考えられるのですが、外務大臣はどのようにお考えになつていますか。
○岡崎国務大臣 そういうふうにお考えの向きもあるのですが、実は相互安全保障法の五百十一条の(四)というのをごらんになりますと、「自国の人力、資源、施設及び一般的経済状態が許す限り」という文句があるのでありまして、この文句を先方は引いたのであつて、もしこの法律にある文句の中から人力だけを取除いて日本に回答したとすれば、何かもつと特別の意味があるようにとられる心配もあるでありましよう。この文句を、一般的な規定としてあるものを入れたにすぎないと私は考えております。
○上塚委員長 加藤君、時間が参りました。
○加藤(勘)委員 それではこの次に譲ります。
○上塚委員長 須磨彌吉郎君。
○須磨委員 この前の二十七日の会で、大臣がこの次にお答えすると言われました通商条約の問題について、お答えを求めます。
○岡崎国務大臣 今その答弁の資料が経済局長の方へ行つておりまして、間違うといけませんので取寄せますから、ちよつとお待ちを願います。
○須磨委員 それでは参りますまでほかの質問をいたしたいと思います。この前のときにもお伺いをいたした次第でございますが、二十四日付でお出しになりましたアメリカ大使館との手紙の中で、これは先ほどわれわれ同僚の並木委員からも御質問があつたのでございますが、こちらとしては国内の治安と防衛という言葉を使つておられるのですが、それを英文に訳したのを見ますと、インターナル・セキユリテイアンド・イツツ・ホーム・デイフエンスとなつておるのであります。そういたしますとこのデイフエンスでございますが、防衛となりますと、ことにホーム・デイフエンスとなりますと、こういうものをこれから確保されるお覚悟であるとしますと、今までの保安隊とは違つて参りますために、このホーム・デイフエンスをお取扱いになる役所とか、そういうものをおつくりになるということが自然出て参るかと思うのであります。その点はどういうものでございましようか。
○岡崎国務大臣 ホーム・デイフエンスという言葉は、過去何年間かずつと使つておりまして、アメリカ側との間には、ことに一般的な意味とは別に、日米間にずつと使われておりますから、一つの慣例のようなものができておりまして、ホーム・デイフエンスと申しますと、アメリカで言えばホーム・ガードみたいなものであつて、アメリカであれば国内の戦争みたいなときに——戦争は起りはしないけれども、国内の暴動等に備えてミリシヤア的なものをつくつておりますが、こういうものと似たもので、国内の警察力が及ばざるごとき大規模な掻擾に対するホーム・デイフエンスということで、もしこれを広義に解して、たとえば直接侵略に対抗して国を守るのだという意味にも英語としては、とれないこともありますまいが、アメリカとの間の往復では、常に直接侵略を除きましたホーム・デイフエンスということで往復いたしております。
○須磨委員 そういたしますと、少くともただいまあります保安庁法の第四条に、わが国の平和と秩序を維持するということが規定されておる。それがまたよつてもつて出ておりまするのは、前の警察予備隊令第一条にあります平和と秩序ということでいわゆる治安維持でございますが、その治安維持から一歩進んでおるということを認めましてよろしゆうございましようか。
○岡崎国務大臣 保安隊にしても、警察予備隊にしましても、一般の警察力の及ばざるがごとき大規模な掻擾とか外国の使嗾による暴動とか、こういうものに対抗するという趣旨でありまして、このホーム・デイフエンスもそういう趣旨であります。
○須磨委員 その点であります。実質においては一歩進んだことを大臣もお認めのようでございますが、私の心に描いておるところをはつきり申しますと、今までの保安隊より一歩を進めて、自衛軍という言葉は当るか当らないかしりませんけれども、そういうものの創設のスタートを切るということになりはしないかという疑いが出て参るのであります。このことを申し上げますことは、単にホーム・デイフエンスについてはアメリカ側と連絡があり、でき上つている一つの解釈法があると仰せられますけれども、そのほかの点におきましても、こちらから出しました手紙の第二にも、日本の防衛、ジヤパンズ・デイフエンスという言葉を使つておられます。また第二には、日本の防衛力、デイフエンス・キャパシテイスという言葉も使つておるわけでありまして、何もホーム・デイフエンスだけではないのであります。これは言葉の問題より、この文書によつてお問合せになるときのお気持は、もうすでに保安隊から一歩先んじておる。実質的にはもつと軍の方に近いものであるという考え方が働いておることは、あの文書から自然に受ける印象でございます。私ばかりではない、これは国民も受けると思うのでございますが、その点を伺いたいのでございます。
○岡崎国務大臣 いや、今私の申し上げたのは、現在の保安庁法第四条なりを出ておらないということを申し上げたのであります。われわれの考えといたしましては、もし政府がそういうふうなことが必要であると考えれば、そういう一歩進めたようなことを国内で声明するなり、あるいは法律をかえるなり何とかいたすことは必要があればやるでありましようが、これをアメリカに対する何かの質問の中に、今までの方針をかえたようなことを入れて知らぬ顔をしているというような、そういうことはやるべきものではないと思います。少くともアメリカに対する質問書においては、今までと方針がかわらない範囲においてやつておるのであります。その中にデイフエンスという字がありましても、大前提としてホーム・デイフエンスということを言つておりますから、一々ホーム・デイフエンス・ストレングスというようなこともおかしいから、そこにときどきそういう略した字を使つておりますが、趣旨は今申した通り、アメリカに対する質問書の中で日本政府の方針を変更するというようなことはわれわれはいたすべきじやないと考えております。するならば国内の適当な方法でやるべきものであつて、従つてそういう意味で日本政府の方針をここでかえて書いておるというようなことはないのであります。
○須磨委員 お出しになる気持がそうであつたといたしますならば、かりにそれを受入れるといたしまして、向うから来た手紙の第三項の中にこういう言葉を使つてあるようであります。自衛のため以外に、日本の治安維持の部隊を使用することを要求しているものはない。」という言葉にこちらでは訳してございます。ところが向うの原文では、これはこちらの保安隊を意味する場合は——保安隊は、常に英訳をなさつておりますのには、大文字で書きましてナシヨナル・セーフテイ・フオーセズとかナシヨナル・ガード・フオーセズとかいう言葉を、公式な文書としてお使いになつておられますが、アメリカの文書の第三項には、ツウ・ユース・イツツ・セキユリテイ・フオーセズと書いております。これを見ますと、単に今大臣のおつしやるような保安隊の兵力のみを考えておるのでなくて、これから回転すべき自衛力を持ちました自衛軍というものを創造して行くことがアメリカ側の主張であるとも考えられるのであります。その点いかがですか。
○岡崎国務大臣 そういう御疑問の点はありましようけれども、私の確かめました範囲では、セキユリテイ・フオーセズという字は、主として保安隊と海上警備隊を含んで意味しておるのであるけれども、それを一々保安隊及び海上警備隊とはつきり言うことはおかしいのでセキユリテイ・フオーセズというふうに、日本の治安維持を担当する部隊というふうに言つておると了解しております。
○須磨委員 ただいま第一の質問に対しても、第二の質問に対してもお答えがあつたのでございますが、これはアメリカとそういう話合いになつておる、アンダースタンデイングがあるのだとおつしやればここで通るかもしれませんが、この文章そのままで見たのでは、私が申したと同じ疑問——疑問よりも解釈がどの国のだれにでも起るものだと私は思うのであります。従いまして、これをせんじ詰めますならば、政府はMSAの今度の受諾をスタートとしまして、今までの保安隊というものから百尺竿頭一歩を進めて、自衛軍の創設というようなものにちよつと近づいて参るという考え方があるということは、この文章から自然と受けるのでございます。ただいまおつしやいましたセキユリテイ・フオーセズの中には、大文字で書かなかつたけれども、それは保安隊並びに海上警備隊を意味するなどということは、よほどの注釈でもつけない限り、われわれには了解ができない、だれにも了解ができないことであります。私の伺いますことは、われわれ改進党は、自衛軍の創設ということをもつて、初めから正直にまつすぐに進んで来ておるのでございます。それと、ほぼどころではない、同じラインに趣旨が沿いつつあるのではないかという解釈をいたしますから、それをお確かめしている次第であります。もう一度私の疑問に対してお答えをいただきたいと思います。
○岡崎国務大臣 このセキユリテイ・フオーセズなども、その前にイツツという言葉がありまして、これは英語の解釈になりましたが、新しく将来考え得る何かのものじやなくて、現在あるセキユリテイ・フオーセズ——イツツ、こうなつております。そうしますと、やはり先方の意味することは、海上警信隊と保安隊ということがすらつとした解釈ではないかと思うのであります。
○須磨委員 いずれにしても、私がきよう申しました二つの疑問は、この文書からはどうしても来る自然のあれであつて、しかも保安庁法並びに警察予備隊法と照し合せてみますと、他にも幾多の疑義を生ずる条文もあるわけでありまして、私はきよう代表的なものだけを指示して申し上げた次第でありますが、もしきよう御答弁になつた通りだといたしますならば、何らかの機会でこれを御訂正になるなり、注釈をおつけになることが必要かと思うのでございます。ことに私は、二十七日の本委員会で御質問を申し上げましたときに、すなわち先方が平和条約第五条(c)項を持つて来たのは、どういう意味かというお尋ねをした際に、お答えがあつた点等をあわせてみますと、どうしてもこの文書をお書きになり、またお出しになる気持というものは今の保安隊じやない。いま少しく性格のかわつたものができるのだという気持があることは、私はおおうべくもないことと思うのであります。いま一応お考えを伺いたいと思います。
○岡崎国務大臣 私の方で質問を出しましたときは、現に今の保安隊なり海上警備隊なりを頭に置いて出したのであります。アメリカ側でそれを多少広く解釈するとか、あるいはセルフ・デイフエンスというような字を使うとか、向うの返事は必ずしもぴつたりとしおりませんけれども、われわれの意図するところは、やはり保安隊、海上警備隊ということでありまして、もし政府が方針を変更するということになりますれば、これはこんな質問書で出すべきものじやない、国内ではつきり堂々と言うべきものであろうと考えております。
○須磨委員 ほかの文書はまだ来ないようですから、もう一つ御質問いたしたいと思いますが、大体政府がお考えになつておられます今度のMSAによつて日本が受けることのできる額、数量というようなものが、もし御見当があるならば承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 これはどうもまだ見当がついておりません。ただアメリカの議会等で証言があつたとかいうような話で、一億一千万ドルとかあるいは一億五千万ドルとか、そういうような数字は聞いておりますけれども、それ以外にはちよつと判断の材料はないのであります。
○須磨委員 書類が来てからあとにします。
○上塚委員長 岡田勢一君。
○岡田(勢)委員 私は東南アジアの各国との国交の回復、賠償問題に関しまして、外務大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、その前に先般来新聞等でも発表せられておりますように、日本人戦犯が七月四日フイリツピンの独立記念日を機会といたしまして特赦、減刑、釈放されるということでございまして、これはかねてわれわれが国民とともに要望しておりますフイリツピンとの国交の回復並びに賠償の解決等の問題に、非常な好影響を及ぼすところの一つの朗報であると考えまして、国民も非常に喜んでいることと思うのでありますが、この問題の実現しましたことについて、適当な機会に日本の政府からフイリツピンの政府並びに国民に対しまして、感謝の意を表する手続をもちろんおとりになることと思われるのでありますが、その際に、これはわずかのことのようでもありますが、フイリピンの現地におきましては、フイリピン国民の中のあるいは宗教的の立場あるいは人道的の考え方から、政府でなくして国民の方で日本人戦犯の助命減刑を嘆願してくれ、また長年にわたりましてモンテインルパに慰問をし、金品を寄贈されております団体もございます。また個人といたしましても、かつての苛酷な戦争の惨禍の最中に、日本軍の一部から当時あるいは救助せられ、あるいは命を助けられ、また食糧等の供給を受けたりしましたことを徳とし、恩義といたしまして、相当多数がモンテインルパを始終訪問し、またそれらの減刑運動に参加をして来た者が多数あります。これにはわれわれとしましても、日比国交の根本的の回復の問題という点から、相当注意しなければならぬと思われます。もちろん外務省におかれましても、在外事務所などを通して御調査であろうと思いますが、戦犯が釈放されましたならば、戦犯自身についてお聞き取りになりまして、適当の謝意を表する措置をおとりになられるか、どうでありますか、一応お伺いしたいと思います。
○岡崎国務大臣 今度のフイリピン政府の処置というものは、大統領の非常な英断によつたことはもちろんでありますけれども、その陰には非常に多数の人々の尽力なり好意なりがあつたことは、お話の通りであります。これはぜひわれわれとしても十分に漏れなく謝意を表したいと思います。ただいま調査をいたしておりますが、漏れることがあつてはたいへんだと思うので、その方に注意をして細大漏らさずやりたい。これは単に感謝の意を表するだけにしましても、漏れなくやりたいと思つて今準備をいたしております。
○岡田(勢)委員 これらの戦犯は、御承知の通り、今はこの問題を持ち出して言うことは不適当であるから控えたいと思いますが、戦争の直後の軍事裁判におきましては、対日感情が非常に悪化しておりました影響を受けまして、不当に苛酷な断罪をされておるという疑いを相当残しておつたものもあります。しかしながらこの際といたしましては、そのようなことは言うべきではない。まず八年間という長い間あの牢獄に、死刑の執行を受けるかもわからないという大きな不安と煩悶の中に呻吟をして参りました彼らに対しまして、われわれ国民といたしましては、もちろん政府もそうでありますが、あたたかい手を差延べて、できる限りの援護措置を講じてやりまして、受入れることにいたさなければならぬのではないかと考えておりますが、政府といたしましては、それらの準備はまだ完成しておらないと思いますが、お心持はどうでございましようか。
○岡崎国務大臣 これにつきましては厚生大臣と先般、たしかあれは土曜日の晩にしたと思いますが、日曜日以来ずつと話をいたしております。もつともひとつ注意をしていただきたいことは、これは非常に長い間異境にあつたのですから、自然国民も喜んで迎えるでありましようけれども、まだほかにも残つておる不幸な人もあるのでありますから、それらの点も考えますと、あたかも凱旋将軍でも迎えるようなふうにはいたしたくない、しかしできるだけの好意をもつて援護に手を尽したい、こう考えております。
○岡田(勢)委員 今国会の初めに、政府の行われました施政方針演説の中に、総理大臣並びに外務大臣からも申されました、いわゆる東南アジアの貿易の振興と資源の開発に協力するということでございます。これにつきましては、フイリピンにしましても、あるいはインドネシアまたヴエトナム等にいたしましても、まず賠償問題が関連をして来ると思うのであります。この賠償問題の解決に対しましては、十五国会中からもいろいろと論議があつたのでありますけれども、その後今日まで政府のとり来られておりますことは、私たちが了解します範囲におきましては、積極的に賠償問題に対する熱意を示された交渉の手が延ばされておらないように思われるのであります。これら各国に対する賠償問題の交渉の経過、あるいはどういう考え方でこれを進めようとなさつておられますかを一応お伺いしたい。
○岡崎国務大臣 その点はわれわれも実ははかばかしくないので、はなはだ残念に思つております。しかしフイリピンとの間にも、これはほんとうは平和条約ができてから賠償というものは手をつける、法律的にはそうなつておりますけれども、今度国会に提出しようとしておる中間賠償協定、あるいは平和条約ができる前に沈船の引揚げだけはやりましようということでありますが、できるだけ誠意を示してやりたいと思つております。ただ額の点はなかなかむずかしいのでありまして、われわれの方にも外貨のポゼツシヨンは必ずしも有利というわけに参りません。たとえばただいま約十億近くの外貨がありますけれども、これでも一年の貿易量からいえば、半分でありまして、毎年の外貨の不足高をほとんどカバーする程度のものしかないのであります。決して外貨が余裕がある状況でもありませんので、額があまり多ければ国民生活に影響も及ぼすわけでありますので、そういう点も考慮して話をいたしますものですから、どうもはかばかしくないのは私も認めております。しかしだんだんフイリピンとの間にもこういうようなことになればお互いの空気もよくなるでありましよう。ただいまインドシナ三国との間の話もいたしております。またビルマやインドネシアにもこちらから進んで話をしようじやないかということを申し入れておるのでありますが、先方の政情にも関係いたしましよう。はかばかしい返事もまだ来ておりません。おりませんが、しかし決して賠償問題を回避しようという考えは、私どもにはないのであります。ただ日本の国民生活にひどい支障を来さない範囲で実行したい、こう考えて今後できるだけ積極的にいたしたいと思つております。
○岡田(勢)委員 東南アジア諸国の現地の政治情勢、あるいはその他複雑な事情にありますことは、外務大臣のおつしやる通り、私もわかるのでありますが、このうちフイリピンとの交渉につきましては、まずサンフランシスコ平和条約の批准を求めるという問題と、賠償の問題を先に解決するかどうかという問題とが競合して参ると思うのであります。しかしわれわれ日本といたしましては、昨年の四月二十九日に独立を獲得いたしまして、もはや一年余りにもなることでありますので、平和条約の批准を経ていない国々に対しましては、まずもつて対日平和条約の批准を要請せねばならぬと思うのであります。この点については、向うから言えば、賠償問題がまだ目鼻がつかぬではないかという話もありますので、今外務大臣の言われました沈船引揚協定、これに対する国会の承認等の手続を早くせられまして、まず賠償の一部の現実的の着手実行ということによつて、相当フイリピン国民の対日感情並びにフイリピンの政界の反対分子に説明がつくことではないかと思うのであります。それで今もおつしやいましたような中間協定、この引揚協定の国会承認をいつごろなさるおつもりでありましようかということが一点と、もう一点は今日まで正式に対日講和条約の批准という問題を要請されたことが何回ぐらいございましようか、あるいはその成行きはどうなつておるのでございましようか、お伺いしたいのであります。
○岡崎国務大臣 中間協定の方は、実は今まで来月の半ばまでにどうしても決定をしたければならぬ条約がありましたので、急ぐ関係でその方を先に出しました。ここでもうすでに御承認を得た例の航空関係の条約であるとか、ああいうものでありますが、これが済みますれば、ただちに出したいと思つております。ぜひこの国会で御承認を得たいと思つております。 それから対日条約の批准につきましては、ずつと要請しておりますが、不幸にしてこの前のフイリピンの国会は、それをかけないうちに流会になつてしまいました。ただいま大統領選挙が行われつつありますので、どうしてもこれはこの次の国会——というのは来年の一月ごろになるのではないかと思います。延びますので、はなはだ残念でありますが、どうもいかんともいたし方ない。但しわれわれといたしましては、今お話のように、批准が先か賠償が先か、これはいつまでたつても議論の尽きないことになつてしまいます。先方では賠償問題がはつきりしなければ批准はできないというような意見もありました。私どもの方で法理的に言えば、批准が済んでから賠償を払うのが当然だ、サンフランシスコの規定はそうなつておりますから。ただそんなことを言つておつてもしかたがないのでありますから、批准の前に実際上の賠償の話合いがついて、そうしてこれなら批准していいということになつて批准ができれば、それで正式の賠償の問題もそこで話がつく、こういたすよりしかたがないのではないかと思つております。でありますから、来年の国会に入る前に、でき得べくんば賠償の実際上の話合いが完了するようにいたしたい、こう思つて、ただいまやつております。
○岡田(勢)委員 どうもフイリピンの批准が、今外務大臣が言われましたように、来年の一月ごろ開かれる国会でなければ審議されないということは、まことに不幸なことで、困つた問題でありますが、具体的に、第一にわれわれ日本の困りますことは、通商航海条約その他の貿易振興に対する積極的の政策が今とられないということが、一番現実の問題として困るのでありますが、もちろんこのフイリピン、あるいは仏印、インドネシア等とは、若干の許可制の貿易が行われているようでありますが、こういうことでは、とうてい日本が支那大陸の市場を失つております今日の対外経済態勢から申しまして、早く東南アジア方面とでも活発な貿易取引が行われないということになりますと、日本の経済の自立ということは、非常に遅れて来ると思います。この点につきまして、フイリピンを初め、仏印あるいはインドネシア等とどういう方法で貿易を——条約の行われない、国交の回復しないときとしてもいろいろ方法はあろうと思われますが、具体的にどういう方法で政府の施政方針で述べられました通りの貿易の振興を行い、あるいは資源の開発の協力を具体的にどういう方法で行おうというお考えでございましようか。
○岡崎国務大臣 貿易の方は、国内の施策と外国関係の二つにわかれると思います。国内の施策の方は、早く言えばコストの切下げということになるのでありますが、それにはたとえば金利をどうするとか、金融をどうするとか、いろいろ問題があるわけであります。これは通産大臣のところで今しきりにやつております。それから国外に対する問題は、やはりお話のように、根本的には条約ができなければできないわけでありますが、その間にもいろいろ方法がありますから、各できる問題について話合いを進めるように準備をいたしております。アジア経済懇談会というようなものも外務省につくりまして、その方の専門家の意見を聞きながら、ただいま準備を進めております。実はフイリピンとの間、あるいはインドネシアとの間、その他の国との間にも、経済的な提携ということについては、個々の事業会社でかなり進んで話合いをしておる向きもありますので、この方面も政府としてできるだけ応援をして、その仕事がやりやすいようにいたしたいと思いますし、また一般的に愛情の融和をはかつて、貿易にしましても、こちらから売ることばかり考えましてはなかなかそうは行きませんから、先方から買うことをまず考え、その買つた資金でこちらの物を売るというふうにやらなければならぬと思いまして、輸入の方も強く考えて促進するつもりでおります。いずれにしてもこれは根本的な問題ができないのでありますから、どうしてもそれぞれの事態に応じて善処する以外に、方法はないと思つておりますが、できるだけこれはやるつもりでおります。
○上塚委員長 岡田君、十八分経過しましたから、もう一問だけに願います。
○岡田(勢)委員 最後にお聞きします。先ほど大臣から仏印三国と賠償の交渉を行いつあるというお話がございましたが、これをもう少し具体的に、どういう事項について今交渉におかかりになつておるかということをお伺いしたいのでございます。 それからもう一点は、フイリピンとの中間協定を国会に承認を求めることは、今国会中に出すもりだというお話、これは大体いつごろお出しになるつもりか。
○岡崎国務大臣 インドシナ三国との間には、ただいままだ話を二回ぐらいしている程度でありますが、今のところ出ておりますのは、主として沈船引揚げの問題であります。これも大体フイリピンと同じような形になるかと思つておりますが、まだ協定の案文までは行つておりません。意見の交換をいたしております。 それからフイリピンとの中間賠償の協定は、おそくとも今月の半ばまでには提出するつもりでおりますが、実は仏印等の話が早く済めば、できれば一緒に御承認を得たいと思つて、ちよつと様子を見ておる次第でありますが——それが長くかかるようでありましたら、フイリピンの方だけ離して提出したいと思つております。
○上塚委員長 池田正之輔君。
○池田(正)委員 この際外務大臣に二、三お尋ねしておきたい思うのですが、政府はMSAの援助については今まで何ら折衝しておらぬということを繰返して言つて来た。しかるに突如としてその返事が二十四時間以内に届いた。これはわれわれの常識ではとうてい想像できないような問題ですが、このことについて私は今触れようとは思いません。同僚諸君からいろいろ御質問があつたようですから触れませんが、一体MSAを受けようという御決心をなさつて、これからいよいよ正式の交渉にお入りになるということですが、それは一体どういう根拠に立つて、どういう必要から、どういう想定のもとにやろうとするのか、一応伺つておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 これは私も述べましたように、この援助が日本の国内の防衛に役立つものであり、かつ日本の経済の面にも寄与するものであつて、そして特に日本として国内の政治上、経済上支障のあるような義務を負うものでなければ、援助は受けたいと考えております。その意味で交渉を始めるつもりでおります。
○池田(正)委員 御趣旨はよくわかるのですが、そこで私はお尋ねしたい。一つは国内の防衛である。その場合に国内の防衛ということは、時間の節約の意味において私の方からはつきり申し上げますが、保安庁長官は保安隊、警備隊の任務はあくまでも国内の治安を維持するもので、治安維持上特別の必要があるときに出動する、こういうふうな表現をしておるのですが、そういうふうに解釈していいですか。
○岡崎国務大臣 保安庁長官の御意見なら、それが正しいと思います。私は表現が違いますが、私が言つておりますのは、常に国内に何らかの騒擾なり、あるいは外国の使嗾等による大規模な動乱等が起つて、普通の警察力で鎮圧できないような場合、これを鎮圧して国内の秩序なり平和なりを維持するのが保安隊の目的である、こう考えております。
○池田(正)委員 そこでつまり国内の治安ということは、われわれもその点については基本的な考え方としては同感なのです。ただそうなつて来ると実際問題として、あなたがいかにそういうことを強弁されても、しからば今日、日本の保安隊というものは一体どういうふうに分布されておるかというと、十一万の保安隊のうちで、一番その治安上不安を感ずる点は、おそらくだれが考えても東京を中心としたいわゆる京浜地区、あるいは大阪、神戸を中心とした京阪地区ということになると私は思う。少くとも国内の治安というものを考えた場合に、当然それは考えられると思う。これは常識です。しかるにこの保安隊の配置を見ますと、約三万というものが北海道におる。しかし駐留軍の大部分というものは北海道及び東北なんです。そこに持つて来て国内保安隊の大部分、一番多いのは北海道なのです。それから次は九州です。京阪地区には全然保安隊というものはいないと言つてもいいぐらいで、衛生部隊が伊丹に千七百、それから施設部隊が千六百、これしかいない。京阪地区にはこういうばかなことをしておつて、一面においてそれで国内の治安だと言うことは、これは通らない。そこできようの質問を、私は実は木村長官が来てからそのあとであなたにお伺いしたがつたのでありますが、このことを今あなたにこまかくお尋ねしても御無理ですから、そこでこれは少し内部に矛盾がある、そういうごまかしはいけません、これをあなたにはつきりしてもらいたいと思うのです。 それからもう一つは今の経済上の問題で、経済的に日本の経済の助長に役立つならばこれを受けたい。これは私ども、基本的にはものの考え方は同感なのです。しかしこの間からの——さつきもあなたの御答弁を聞いておりますと、一体一億ドルになるのか二億ドルになるのか、それもわからない。しかも治安上については、この間から政府委員の説明を聞いていると、現在の保安隊で十分であるということを繰返し言われておるのです。そうすると、治安上のことでMSAを受けるという根拠がなくなる。それじや経済上はどのくらい来て、どういう形で来れば、日本の役に立つというはつきりしためどが全然ついておらぬということなのです。何だかわけもわからぬのに、これを日本政府が欣然として受けようという決意をなされたということは、私にはどうしても了解ができない。これはどういうわけなのですか。もう一ぺんその点を確かめたい。
○岡崎国務大臣 私の方の考え方は、額が多ければ受けるとか、額が少ければ受けないというような問題でなくして、プリンシプルとしてこれは受けてさしつかえない種類のものであるかどうかということをまず検討いたして、そうして今のところはこれは受けてけつこうなものであると思いましたから交渉に入るのでありますが、先ほども申した通り、まだ受けるか受けないかは——これは詭弁だとおつしやるかもわかりませんが、いろいろ交渉してみて思わぬ故障が起るかもしれません。従つて受けるか受けないかは、だんだんこれから話をしてみて最後的にきまるのであつて、それまでは受けてさしつかえないから交渉してみよう、こういうことなのでありますが、先ほどちよつとお触れになつたように、政府とアメリカ側とが内々いろいろな話をしておるというようなことはないのでありますから、実際どの程度来るか、それもアメリカ側のいろいろ表現等で想像される以外には、これからやつてみなければわからないのであります。実は経済上の面で寄与するということになれば、これは多いに越したことはないというりくつにもなりましようけれども、しかし一方においてはそういうような援助ばかり受けておつては、日本の自立経済に対する覚悟が弱くなるというような議論もありまして、多いこと必ずしもいいと限らない場合もありましよう。しかし要するにわれわれは今後交渉しましてほかに何も条件がなくして、そうして今申したような目的を達し得るとすれば、これは受けてみたいと思つてやるわけであります。
○池田(正)委員 ただいまプリンシプルというお言葉を使われたのですが、その場合のプリンシプルとは一体どういうことをさされているのですか。
○岡崎国務大臣 これは外務省の質問書にはつきりしておると思いますが、たとえば極端な場合ですが、例を引けば、日本に軍隊を持たなければアメリカ側では援助を出す気はないということならば、これはプリンシプルでさしさわりが来ます。またそうでなくて国内の防衛だけやるにしても、日本の経済におかまいなしに防衛力だけ大いにやらなければならぬという条件であれば、これはプリンシプルにさしさわつて来ます。それから五百十一条の(a)にも軍事的義務ということが書いてある。そこで軍事的義務というのが日本側で考えておる以上のことを先方で考えておるとすれば、これも受けられない一つの理由になります。そこでそういう大筋についてはつきりとさせて、これは異常がないような返事が来ていると私は思いますので交渉に入る、こういうことであります。
○池田(正)委員 私はあなたがさつきおつしやつたプリンシプルの意味はそういう意味にとらなかつたのです。日米の間の今後のあり方というものをさして一つのプリンシプルとしてお考えになるのだと思つておつたところが、そうじやない。しかしそういうプリンシプルがわからなくて、しかも数字もわからない。それなのにこれを受けよう、そうなつて来るとますますわからなくなつて来る。そこをもう一ぺんひとつ……。
○岡崎国務大臣 私は先方の回答によつてこの点は明らかになつたと思います。数字等は今後の交渉の題目でありますから、交渉してみなければ——まだわれわれも受けるとも受けないとも言つていない。この問題について交渉をしよう、会談をしようということを申し入れたのでありまして、受けるということは決して言つていないのでありますから、数字等はこれからの交渉で確かめるということになります。
○池田(正)委員 ではそうすると、さつきあなたは一体経済的に数字が必ずしも多いことを望まない、いくら少くてもプリンシプルの問題になるといつたように了解したのですが、どうもそこのところは話が違うと思う。一体MSAの援助を受けるということは、経済的な物の面なのです。精神的な面は日米安全保障条約で両国間には一応のとりきめはある、従つて今回あらためてMSAを受けるということは物の面なのです。しかもそれが精神的にも国家の尊厳をそこなわず、国民の意思を尊重して、あくまでも独立国家としての体面を保ち得る範囲内において、拘束を受けないという範囲内においてやるならば、多い方がけつこうなのです。今あなたはなるべく逃げようくとしていなさる、私はどうもそれがおもしろくない、そういう態度でははなはだよくない。ということは、つまり先ほどあなたのおつしやつた国会の承認を受けるか受けないかという問題にも関連して来るのですが、つまり基本的にはなるべく多くを日本の経済にもあらゆる面に寄与するように、しかも拘束を受けないようにするのだ、そういうものであつたならば、欣然として受けるといつたようなことは、はつきり言うて国民にあらかじめこれを知らしてやることが政治じやないか、政治家としての、政府としての責任じやないか、こう思うのです。その点に対する見解を伺いたい。
○岡崎国務大臣 それは先ほどもお答えしたように、いよいよ交渉になれば、なるべく多いに越したことはないだろうということは言つておりますが、このプリンシプルのことで先ほど言い落しましたが、一つは私どもの言つておる自由主義諸国との提携強化という意味で、これは何もアメリカからむやみにしぼりとるだけが能じやないのでありまして、お互いに助け合つて強化するという趣旨であります。経済的にもそうであります。親のすねをかじるように、みなアメリカからよけいとれば手柄であるというふうには私は考えておりません。こちらからも寄与すべきものは寄与すべきであつて、それが私はプリンシプルであろうと思うのでありますが、しかしそのさしつかえない範囲で、なるべく日本の経済のよくなるようにするには、援助も相当多く来ることが望ましいことは、お話の通りでありますから、私はそういうつもりでおります。
○池田(正)委員 これ以上あなたと議論してもしようがない。ただ要するに、日本の従来の外務省、ことに吉田内閣における外交のやり方というものはいかにもたよりない。そうして国民には知らさない、これが私は不満なんだ、そういう政治のあり方はいかぬ、こう言うのです。ですからもつと率直に国民にこういう方針で政府は今後の折衝をするとか、それでいけないならもちろんとりやめるのだ、そのくらいのはつきりとした腹を割つた一つの方向だけは国民に示してほしい、こういうことを私は最後につけ加えておきたいのであります。 それから最後に、これはどなたからか御質問があつたと思いますが、一体今後の折衝の形式はどういうふうな形になつて行きますか、新聞に伝えられておるように、外務大臣であるあなたとアリソン大使との間に進められているのか、それとも特別に委員を任命してやつて行かれるのか、その点はどうですか。
○岡崎国務大臣 委員を任命するかどうか今研究中でありますが、実際上はかりに委員を任命するかしないかは別としましても、これは外務省だけの問題でありませんから、たとえば経済審議庁だとか通産省、大蔵省あるいは保安庁等の各省の人々に援助を求め一緒にやるということになりましよう。 それを委員として任命するかどうかはちよつと今研究中であります。 それからなお具体的交渉はそういうふうに事務的の段階で進めて参りましようが、それと並行して私とアリソン大使との間にも交渉は当然行われると考えております。
○池田(正)委員 それでは私はこの程度にして、あと木村保安庁長官に対する質問は留保しておきます。
○上塚委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 MSAの援助に対しまして、国会において調印前に審議をするか、あるいは調印後にするかということは、先ごろから幾たびか質問いたしましたけれども、岡崎外務大臣は原則論だけお述べになりまして、はつきりとした意思表示をなすつておりません。私どもといたしましては、調印前にぜひしていただきたいと思います。その理由は、岡崎大臣のお話によりますと、調印前にしたのであつても、国会でこれを否決するならば、その効を奏しないから、そういう意味においては同じだというようなことをおつしやいましたけれども、そこに私は心理的な影響が非常にあると思うのです。私どもはもちろん提出されたものに対しましては、どこまでも公平な立場において審議をいたしますけれども、ややともしますと、政府与党の方々は、一応調印されたのだから、これが国会で批准されないとなると、外交上の大問題になるから、まあしかたがないというふうな心理的な影響も、ある程度あるのではないかと思います。そういう意味におきまして、ぜひとも調印前にこの重大な問題は国会の審議を経てほしいということをまず第一に私は望みますが、それに対して岡崎さんの御答弁を伺いたいと思います。 それからついでですから申し上げますけれども、ただいままでのお話を承つておりますと、交渉の過程において、もしも日本側の希望に沿わないようなことがあつたときには、拒否する用意もあるというようなことでございます。そういたしますと、非常に大切なことは、やはりこの交渉に当る人たちの人選ということでございます。今の池田委員への御答弁によりますと、各関係官庁の援助を求めて、その人たちを委員として任命はしないかもしれないが、援助を求めた上で交渉をする、それと並行して岡崎外務大臣とアリソン大使と交渉するというお話でございました。そこで問題になりますのは、受けてもさしつかえないではないかというふうな態度をもつて交渉される場合と、また公平な立場で日本のいろいろな情勢を考えてみて、MSA援助というものは考えなければならない余地があるのではないか、というふうな疑問を抱いた人がその中に加わつているといないとでは、非常にかわつて来ると思うのです。質問の内容もかわつて来ると思います。そこでこの受けていいとか悪いとかいうことは別といたしまして、そうした人の意見をもこのMSA援助の上に反映させるという意味から、公平な考え方を持つた、また適当と思われる民間人なりあるいは国会の人なりをその中にお入れになつていただきたいと思いますが、それに対する岡崎大臣のお考えを承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 こういう交渉につきましては、私は、日本の憲法から見ましても、三権分立の趣旨からいいましても、行政官庁が責任を持つて交渉に当るべきであつて、それに対する可否、つまり承認するかどうかの決定は国会にあると思います。交渉に対する責任は、行政府の持つべきものであると考えておりまして、こういう問題についても民間の人も入れる考えは、今のところは持つておりません。もつとも参考のためにいろいろ民間の意見を聞くということは当然あり得るわけでありますが、交渉の責任に当らせるということは、ただいまのところは考えておりません。国会議員にしましても、交渉の当事者になつて、それから今度国会で賛否をきめる方の裁判官のような立場になるというのは、原則的にはどうかと考えております。 なお国会に承認を求めることについては、先ほどもお答えしたのでありますが、調印と同時に効力を発生する場合には、その前に日米間にはつきりした合意をとりつけまして、両方の代表がイニシア等をしまして、これならいいというはつきりした双方の合意が成り立つた上で国会にかけて、そして承認を得たら調印する、調印したらすぐ効力を発生するということになるのであります。批准条項の場合には、その前にはつきりした両国の合意が成り立つと、イニシアでなくして署名調印をする。そして国会の承認を求めてからこれが効力を発生するということで、調印と同時に効力を発生するつまり調印前に国会の承認を求めるという形ならば、日米間の話合いはいいかげんだからかつてに直せるとか、批准を求めるやつはなかなか直せないのだとかいうようなことは、実はよくお考えくだされば心理的にもほとんど私はかわりがないのだと思います。少くともわれわれ外務省の者として考えますと、日米間の——この問題は日米間でありますが、日米間の合意がはつきり成り立つということは、いずれの場合でも同じだと考えております。
○戸叶委員 ただいま民間人の意見は参考として聞くが、交渉の過程には入れないというお答えでございました。そこでもしも民間の人たちなりあるいはいろいろの方面から、こういうような問題を疑問に思うけれどもどうかというような点を、手紙なり申込みなりの形で外務当局に申し込まれましたときに、その問題をも取り上げて交渉過程に入れていただけるかどうかということが第一点。 それから先ほど調印後に批准をする場合に、それが否決されたときにも、大して心理的影響がないというようなお話でございましたが、私のよく聞く言葉として、こういうものが調印されたのだから、これが否決されるとどうも日本の外交したいへんだからなあという言葉を、私は幾たびも今まで聞いておりました。そこで私は実は憂えたわけでありますが、それからことにこの協定は重要なものでありますから、ぜひとも調印前に十分に審議をしていただきたい、そういう希望から申したわけでございます。 そこで先ほど申しました一般の人からの質問書なり何なりを取上げて、そして交渉の過程の中に入れていただけるかどうかということを伺いたいと思います。
○岡崎国務大臣 これはもちろん内容にもよりますから、何でも質問書は全部交渉の中に入れるということはできませんが、質問書とかあるいは意見書とかいうものが来ますれば、それは十分考慮いたすのが当然であります。なお私の言いますのは、調印して批准を受ける条約であれば、批准のときに、幾らでもかえてよいのだという意味ではなくして、調印と同時に効力を発生するような協定でも、調印後批准を受けて効力を発生する協定でも、いずれも国会の承認を求める前には、日米間のはつきりした合意が成立して、片方ではイニシア等をいたしましようし、片方は調印をいたすのであつて、その実際上の中身について両国間の意見がはつきり合致しておるということは、同様だということを申したのであります。従つてもし今おつしやるように、調印したから、もうちよつとぐあいが悪いということがかりにあり得るとすれば、調印前にイニシアをして調印前に承認を求める場合にも、もう日米間ではつきり合意をしたのだから、と同じことが言えるわけであります。中身は全然同じだということであります。調印をしてから効力を発生する場合には幾ら直してもよいが、批准と同時に効力を発生するものは、そう直せないのだというような事情のものではない、こういうことを申しておるのであります。
○戸叶委員 次に伺いたいことは、政府がMSAを受けるにあたつて、幾たびも外務大臣は防衛に役立つということを言われて、防衛力漸増ということは少しも言つておられません。ところがこの援助の中には自衛力漸増ということを言われておりますが、そういたしますと、結局岡崎大臣もこのMSAを受けるということは、日本にとつて自衛力を漸増することが必要であるということをお認めになつたものと了承していいのですが、そうでしようか。
○岡崎国務大臣 自衛力を漸増したいというのは、これは安全保障条約の前文にもありまして、アメリカ側が期待しておるところであります。これは義務ではありません。前文に書いてある期待でありますから義務ではありませんが、日本側からすればやはりそういう合意に到達したから前文に入れたわけで、できるだけ自衛力を漸増したいという考えは持つております。これは今に始まつたことではありません。しかし現実の事態はそう思うように行つていないのは御承知の通りであります。
○戸叶委員 この前の答弁におきましても、岡崎外務大臣が自衛力は量においては二百や三百の差はあろうけれども大して増さない、きようは千や千五百ぐらいは変化があるかもしれないけれども、大して増さないというふうに、大分その数において違つて来ております。この次にはあるいは一万、二万になるかもしれないと私は思いますが、岡崎さんのおつしやろうとするところは、大体量においては増さない考えであるというふうなお考えだろうと了承をしておきますけれども、そこでその質を増すといたしましたならば、いろいろ考えられると思いますが、岡崎外務大臣の望まれる形は、一体いかなる形が最も望ましいかを伺いたい。
○岡崎国務大臣 これは私の所管事項ではありませんので、ここで述べることは差控えたいと思いますが、政府としてはただいまのところ、量的に非常にふやすということは考えておらないのは御承知の通りであります。
○戸叶委員 岡崎外務大臣の所管事項でないとおつしやいますので、私はこれは木村保安庁長官に聞きたいと思います。その理由は一昨日の新聞に出ておりましたが、日本の保安隊がアメリカで訓練を受けておりましたが、今後またMSAの援助によつてそういうふうなことがますます強化されるということも考えられるかもしれませんし、またそういうような訓練が少しも日本の国内の治安維持ということには役に立たないと私は考えますので、そういう点までも向う側とのMSAの交渉にあたつてよく質問をした上で交渉していただきたいということを私は考えますが、それに対して岡崎さんはどう思われるかを伺いたい。
○岡崎国務大臣 そういう点につきましては、これは保安庁の考え方によるのでありますので、保安庁にも十分確かめた上で適当に善処したいと思います。
○戸叶委員 次にもう一点伺いたいことは、朝鮮休戦に伴いまして、米韓防衛協定というようなものを申し出ておりますが、それに対する見通しのほどを伺いたいことと、もしもこういう協定が結ばれて、そうして日本にはすでに日米安全保障条約があり、その軍事的な義務をさらに強く負わなければならないようなMSAの援助を受けるといたしましたならば、その米韓防衛協定と関連して何か問題が起りはしないか。たとえば好むと好まざるとにかかわらず、日本が間接的な基地化されるおそれがないかどうか、こういう問題について、伺いたいと思います。
○岡崎国務大臣 まだこの中身については私も承知しておりません。おぼろげなことは話をしておられるでしようけれども、実際には米韓両国間にも具体的なものはまだないのではないかと思いますが、大体の構想として私が想像しておりますのは、おそらくフイリピンとアメリカ、アメリカとニユージーランドや濠州との間に結んでおります今までの条約のような種類のものではなかろうかと想像されます。しかしいずれにいたしましても、日本としてはこれによつて特殊の義務を負うというようなことはないものと考えております。
○上塚委員長 戸叶君、時間が参りました。 この際先ほど須磨君より要求がありました通商航海条約既得権の問題について、外務大臣より御回答があります。
○岡崎国務大臣 二十七日の本委員会におきまして、須磨委員から既得権に関する御発言があつて私から答弁をいたしたことについて補足いたします。御発言は銀行業務に関してでありましたが、本条約に認めております銀行業務は、戦前から認められておりましたもので、本条約において別に新しい業種を許したということではないのであります。つまり占領という特殊事態から得た新しい重要な権利を本条約によつて既得権として認めるというようなものは何もありません。バンク・オブ・アメリカとチエーズ・ナシヨナル・バンクは、戦前において営業いたしておらず、占領期間中に日本政府の免許を得て営業を始めたのでありますが、それとて戦前から認められていた業種のわく内のものであります。これは仰せの通り占領期間中に得た権利ということになりますが、外資の導入をはかり、わが国の経済の健全な発達を助けるということからこれを認めることにいたした次第であります。
○上塚委員長 次は大橋忠一君。
○大橋(忠)委員 さきに戸叶委員の質問に対して、三権分立のはつきりしている日本においては、国会議員を外交交渉に参加させないということをおつしやいましたが、現にサンフランシスコの講和会議のときには国会議員が出て調印をしております。またポツダム会議のときも、英国のごときは反対党の首脳のアトリーが出ております。サンフラシスコの国際連合憲章のきまるときの会議でも、アメリカの共和党の議員、しかも反対党の議員まで出ておるのでありまして、重大なる国際会議のときには、国会議員、しかも反対党の人でも入れるのが慣例になつていると私は思うのであります。従つて国会議員は立法府の者であるから行政面のことにはタツチさせないというような御答弁は少しおかしいと思いますが、その点いかがですか。
○岡崎国務大臣 これは私は原則論を述べたのでありまして、もし超党派外交というものが各党の間に成立いたしますればそれは別問題であります。しかしこの交渉に、原則をまず超党派でやるのかどうかということをきめずに各党の人を入れる——各党というのはちよつと語弊がありますが、国会議員を入れるということは、ちよつとそれだけではすぐにうまく行かないのではないかと思つております。サンフランシスコのときはお話の通りでありましたが、これは平和条約の草案がもうできておりまして、その交渉には行政府の者がタツチしたのであります。つまり外務省でやりまして、その草案ができてこれを発表して、これに対して超党派的に全権ができた、こういうわけであります。あのときでも交渉はやはり外務省が主としてやつたのであります。今度の場合もやはり——もし初めから超党派という原則が各党の間にできますれば別でありますが、そうでなければ、やはり今私の答えたようなことになるのではないかと思つておりますが、これもあまり自信のあるお答えではないのであります。
○大橋(忠)委員 ポツダム会議のときのアトリーが出た当時は、別に英国に超党派外交の話合いがついておるとも思わないのであります。アメリカにおいてもヴアンデンバーグが言つておる当時には超党派外交ということを言つたのでありますが、その他の場合は必ずしもそうでないと思います。従つて私は重要な国際会議には国会議員も入れるのが、民主国家の慣例であるように思うのであります。ところがこのMSAの協定は、日米通商航海条約のごときテクニカルの問題と違いまして、実は日本の政治的性格に影響する、すなわち日本の進むべき方向を定める重大なる政治的の性格を持つた条約であり、しかも桑港会議、安保条約以来初めてわれわれが自由意思をもつて結ぶ重大なる政治的な協定であると思うのであります。しかもここで聞いておりますと、野党側は全部これに反対というわけではなく、少くとも改進党、鳩自両党のごときはどうも賛成のような口吻を持つておる。右派のごときも絶対反対というようなふうには受取れないのでありますが、できるならばこういう方々からも代表を出されて、何らかの形においてひとつ連絡をとつて、そうしてこの会議に参加させるようなことをお考えになる気持はないのでありますか。
○岡崎国務大臣 こういう問題につきましては、これはおそらく今年一年でなく、まだ先に続く場合が多いだろうと思いますから、お話のようなことができればはなはだけつこうだと思います。もつともこれは野党の意見によりましようから何ですが、しかし原則論としてはそれはけつこうな話だと思います。
○上塚委員長 並木芳雄君。簡略にお願いいたします。
○並木委員 私は局長に質問を続けようと思つたのですけれども、ただいま大橋さんのお話の中に、改進党も反対ではないだろう、賛成だろうというような言葉がありましたから、これは党の立場から、一党上の釈明をしておかなければならぬと思います。 私の方は昨日初めて幹事長談話を発表いたしました。それによりますと、MSA自体に対する賛否の根本的態度はまだ保留してあります。決して大橋さんが言うように賛成ではございません。きまつているわけではないのです。むしろ現内閣では無理だろう、それは平和条約第五条の(c)による個別的集団的自衛権という条項によつて、現在のようになまぬるい国内治安の力だけを持つている状態では、政府は早晩行き詰まつてしまうであろう、こういうことをうたつてあります。 それからもう一つの重要な点は、やがてわが党の天下になりますと自衛軍を創設するのでありますから、そのときにも絶対に海外派兵が起らないように、この際MSAの協定の中に強くこれをうたつてほしい、こういう要望を出しておるのです。そういうような点について、私どもはどうしても政府にいろいろの点からまだ質問があるのでありますが、この際大臣に、ただいま申しました後段の点——前段はあとで局長に伺います。後段の点において、かりに自衛軍という軍を持ちましても、海外派兵というものは日本としては絶対にやらないのだという条項をうたう意思を持つてもらいたい、そういう意思をお持ちであるかどうかを確かめておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 海外派兵ということは、これは実は日本の政府なり国民なりがきめることでありまして、外国政府に対して自分の国の保安隊は海外に派遣しないとか——改進党の並木君の御説によれば自衛軍ですか、海外に派遣しないのだという保証を求めるのはどうもおかしいように思いますが、もしそういう点で必要という御意見ならば、十分先方の意向をはつきりさせることはいたしましようけれども、協定の中に、どうも自分の国できめるのを相手に保証してもらうというのは、かつこうとしておかしいのではないかと考えます。
○並木委員 それはそうでしよう。私もその点については考えないわけではなかつたのです。しかし単に自衛権の発動としての海外派兵というもののほかに、まだ別途に海外に派兵する場合もあるやに聞いておるのです。たとえば朝鮮の派兵のごときは一種の国際警察行為だといわれます。また平和条約にもうたつてあります集団的安全保障体制に日本が入つて行きますと、その中の条項では、あるいは日本の将来できるであろうところの自衛軍というものが、その協定によつて他国に派兵されなければならないようなことがあり得ると思うのです。それも日本の国の意思次第であるということになりますれば、これはもちろん今の岡崎大臣の言われたることが当ると思いますけれども、それにしても、そういう場合にやはり日本としては、かたい決意をここで表明しておく必要があると思うわけで、要望したわけなのです。ですから私今お伺いしたいのは集団的自衛権の発動として、集団安全保障機構に日本が入つたときには、外国の防衛にも出て行くことが起り得るということが言えるかどうか、それをはつきりお伺いしておきたいと思うのです。個別的な自衛権の発動の限度内においては、日本の国内に限られますけれども、集団的の場合において、自衛権に基く外国の防衛という義務が生じ得るのではないか、こういう懸念を持つておりますので、説明を願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 これは日本が具体的に入る集団安全保障機構の内容によつてきまるのでありまして、今どうということは言えませんが、たとえば北大西洋条約のようなものを前例として見れば、これはお互いに軍隊を派遣して助け合うということになりますから、もしそれがいやならばそういう安全保障機構に入らないよりしかたがないというふうに考えております。
○並木委員 その点は強く大臣に要望して、次に局長にお伺いします。
○上塚委員長 並木君に申し上げますが、あと十分ぐらいの程度でお願いします。
○並木委員 はい。さつき最初に質問したところで下田局長は、保安隊は間接侵略にも応ずるんだと言われたが、そうすると侵略に対するものは、やはり交戦ではないかと思います。日本では交戦権を放棄しておりますが、保安隊というものは、間接侵略に対するものとすれば交戦権の行使ということになるのではないかと思うのですけれども、交戦権というものとの関係をお尋ねしておきたいと思います。
○下田政府委員 保安隊は国内治安と平和の保持に当るものでありますから、国内の擾乱は純粋に国内的のものである場合と、外部と連絡のある場合と両方に対処すると存じます。しかし外部と連絡がある場合に先方が交戦権を行使することがありはしないか。そうすると、その場合に保安隊も交戦権を行使することになりはしないかというお尋ねだと思いますが、そこが実は間接侵略の特徴でありまして、浸透作戦をして、堂々と交戦権を行使するというような措置をとらずにやるわけなのでありまして、他国の内部でそういう工作をして、擾乱の種を起すということは、そこに国際法上認められた交戦権を堂々と主張することなしにやるわけでありますから、これをしずめるための保安隊は何ら交戦権の問題とは関係なしに、国内の問題として対処し得るものだと考えます。
○並木委員 防衛の問題でありますけれども、日本からこの間聞いた中に、国内の防衛、ホーム・デイフエンスというのは、これだけで済めばよいという意味で聞いたのでしようけれども、もしこれに対する言葉を探せばどういうことになりますか。国内の防衛に対してはどういう場合に日本が責任を負わなければならないかということを心配して、国内防衛という言葉を使つたか、これに対する言葉は、あるいは外国における外国の防衛という意未かもしれませんが、国内の防衛に対する他の懸念とはどういうものがあつたからあの言葉を使つたのか、お尋ねいたします。
○下田政府委員 国内の防衛に対照する観念は間接侵略であります。
○並木委員 国内の防衛の中に間接侵略が含まれるというさつきの条約局長の答弁ではなかつたのでしようか。
○下田政府委員 そうではありません。保安隊の任務は国内の擾乱を鎮圧すること、国内の平和及び治安の維持でありますが、その場合に純粋に国内的の擾乱と外部と連絡のある場合とございます。それで防衛という意味は、純粋の国内の問題に対して防衛という言葉は当てはまらないのであつて、国内で防衛ということが当てはまる場合は、これは外部と密接な連絡を持つておる間接侵略、それに対してなら防衛ということが当てはまるかと思います。
○並木委員 私もそう思つていたのですが、さつき岡崎大臣の御答弁ですと、ホーム・デイフエンスというのは、アメリカと日本との間だけで特に了解のある特殊用語であるというようなことを言つておりましたから、今の点をお尋ねしたわけであります。質問の第三の点で、保安隊その他国内治安に当るものの使用のことに触れてありますが、それに対する返事で自衛のため以外には使わないということは、大臣のただいままでの説明と矛盾をして来る。明らかに範囲が広まつて来るわけです。直接侵略に対しても自衛のために、国内治安のものを使うということが、はつきりうたわれて来ますけれども、その点はいかがですか。
○下田政府委員 自衛の観念は非常に広いものであります。これは軍隊を持つ国であろうと、持たない国であろうと、国際法上の基本的権利として、いずれの独立国にも認められておる権利であります。権利ということは何かというと、その権利を行使した場合に不法行為にならないということであります。つまり軍備を持つてない国で本来国内治安の任に当るべき警察が、自衛の場合には侵入軍と戦つても、平常の場合ならば不法行為になるべきものが、不法行為にならないというところが自衛権の一つの意味であります。それで自衛の行為の範囲でございますが、これは各国の憲法なり各国の法制によつてきまるわけであります。軍隊を持つている国は直接防衛、もちろん必要の場合には外にも出るでありましよう。しかし軍隊を持たない国、あるいは憲法で交戦権を放棄されている国では、当然その国の憲法なり法制のもとで許された範囲しか自衛の行為がとれない、それだけの制約があるわけでありますが、自衛という言葉自体は非常に広いのです。しからばその自衛の権利に基いて、いかなることをなし得るかということは、各国の憲法その他の建前できまる問題であります。日本は憲法並びに現行法制のもとに狭い行為しかとれない、そういうことであります。
○並木委員 そういたしますと、保安隊とか海上警備隊というものは、内容さえ充実させて行けば、名前を自衛軍というふうに変更しなくても、実質上は国内の防衛、つまり現在駐留している米軍にかわつて行くことができる、こういうふうに解釈できますけれども、よろしゆうございますか。要するに実力が充実して来れば、訓練も積み装備もよくなつて来れば、今のままの名前で駐留米軍にかわることができる。従つて名前を変更しないで、アメリカで言つて来ている先方の要望にも合つて行く、こういうふうに解釈できますけれども、いいですか。
○下田政府委員 それはいくら内容を充実しましても、憲法の制約がある以上は、そういうことは言えないのであります。
○並木委員 ぼくの聞きたいのは、つまり交戦権はなくても今言つた外部からの直接侵略または間接侵略に、先ほどの条約局長の言われたような意味で対応することができるものならば、実質上は交戦ではないか、実質上の戦闘になる、こう解釈されますけれども、その通りですか、こうお聞きしているのです。
○下田政府委員 これは交戦権の行使でなくて事実問題であります。たびたび申しましたように、保安隊以上の、たとえばソ連の国境警備隊、これは今内務大臣の管轄下にありますが、師団編成で階級も大佐、中佐と称している、飛行機もタンクも持つておつて保安隊というどころの騒ぎではないのであります。これはやはり治安の目的であります。フランスのシユルテ・ジエネラル、これも軍隊のようなかつこうでありますが、これも国内治安、そういうものが戦争になつた場合どうするかというと、これは本来治安の任に当るものでありますが、自衛軍として第二次大戦中シユルテ・ジエネラルもドイツ軍と戦つております。これが国際法上不法行為と認められないのはフランスの自衛であるからでありまして、それと同じであります。日本でも保安隊は外に対するものではないのでありまして、本来国内治安の維持に任ずるものでありますが、侵略がある場合には自衛行為として行使できる、そういう国際法の建前であります。
○並木委員 さつき岡崎外務大臣が説明なさつた中に、相互安全保障法を引用して人力というところの御説明がありました。あの人力という言葉を引用しなければむしろおかしい、ふしぎだ、こういう御説明だつた。ところがそういう意味で読んで行きますと、この回答の中の最後のところの、「相互安全保障への積極的成果を最大の効果並びに最小の遅滞及び費用をもつて実現せしめるように、援助を受ける諸国の努力を結合する目的のために、合衆国の資源を引き続いて使用しようとすることは、合衆国の確固たる希望である。」という中に漏れているのがあります。さつきの外務大臣の御説明によれば、完全に向うで通して来たらよさそうなものなんだ、これはあるいは土屋さんはお気づきかもしれませんが、「合衆国の資源を引き続いて使用しようとすることは」云々というところに対応する条文を見ますと、安全保障法の第何条でしたか、そこにアメリカの指導ということが入つているのです。どうしてアメリカの指導というのを抜いたのか。向うでミステークで落したのか。それとも何か意図するところがあつて抜いたのか。第五百十一条の(C)の一のところ、その終りの方に被援助諸国の努力を結集するためには、米国は引続きその指導権と資源を使用することを希望するものであることを確認するという、この指導権という権利が抜けてしまつているのです。その説明をお願いいたします。
○土屋政府委員 これはいつか私も申し上げましたが、私どもの方から要求したことに対するアメリカ側の答えというふうにとるよりは、MSAはなにせ日本に対しては新しい問題でありますので、日本側にこの機会にMSAに関するアメリカの認識を一度述べてみたいというので、五百十一条の(C)の一を、今御指摘のように規定しておりますところを引いたものと思われます。そこで最後の指導権の問題でありますが、これは向うがどういう考えから指導という言葉をわれわれの回答にはとつたのか、この点はわかりません。わかりませんが、従来日本に対しての指導という言葉を使う必要がいろいろの点から好ましくないというのでとつたのではないかと思いますし、もう一つはこの法文にもございますように、引続き使用する米国の希望を確認するわけで、米国自身がそういう願望を持つている。それを自分で確認するわけで、相手方にしいるとか相手方の承認を求めているものではないように了解いたします。
○並木委員 それにしても指導権ということは、何か相互に対等に防衛協定を結んで行こうという上においては、私は穏やかではないと思うのです。それを抜いたところにやはり私の方の須磨委員から指摘されたように、なれ合いがあるのじやないかと言われるのですが、その指導権ということを特に権とまでつけて安全保障法にうたつている。もう少し根本的な説明がほしいと思うのです。
○土屋政府委員 これはどうも今のお話から伺いましても、われわれの回答は、今後かりに交渉の過程におきましてそういうことを聞くことが必要とあれば、聞いてもいいと思うのでありますが、援助法の方を見ますと、指導権という言葉を使つておりませんで、いわば指導的地位、あるいは指導性ということを書いてございます。つまり従来アメリカが持つているあるいは被援助諸国に対して持つているところの指導性というものを、依然としてアメリカは継続して行くのだというアメリカの希望があり、その希望をこの条文においてもう一回自分で確認した。こういうことが正しいのではないかと思います。従つて日本側にそういうことを言う必要もございませんし、日本側でもそういうことをなぜ落したのかということを聞く必要もあるかと思いますが、これは将来の交渉過程において明らかにして行いきたと思います。
○並木委員 もう一点だけ。五百四十二条の相互特別武器計画という項目が独立してありますけれども、これを御説明願いたいと思います。相互特別武器計画というものはほかのものと別個に扱われておりますが……。
○土屋政府委員 これは欧州に置かれたものでありまして、内容が発表になつておりませんからよくわかりませんが、私どもの大体想像しているところでは、航空機の特殊的な発展から顧みまして、あるいは原子爆弾を積む航空機あるいはそれに対する弾薬も特別なものかもしれません。そういう点から英国、アメリカ間に、特にこの生産につきましては特殊的な了解があるというふうに大体想像できますので、その費目に充てられたものが、そこに掲げました項目だろうと見ております。これも実は聞いてみませんのでわかりませんが、大体私どもの想像の点を申し上げます。
○上塚委員長 今日はこれをもつて散会いたします。 午後零時五十六分散会