外務委員会 第5号
- 発言数
- 199 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1953/06/20
会議録
○上塚委員長 これより会議を開きます。 まず理事補欠選任の件についてお諮りいたします。理事灘尾弘吉君が去る五月二十九日委員を辞任せられましたので、理事が一名欠員となつております。それゆえこの際理事の補欠選挙を行いたいと存じますが、これは慣例によりまして委員長より指名することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上塚委員長 御異議なければさよう決定いたしまして、今村忠助君を理事に指名いたします。
○上塚委員長 次に、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にへーグで、及び千九百三十四年六月二日にロンドンで修正された貨物の原産地虚偽表示の防止に関する千八百九十一年四月十四日のマドリッド協定への加入について承認を求めるの件及び千九百五十二年七月十一日にブラッセルで締結された万国郵便条約及び関係諸約定の批准について承認を求めるの件を一括議題といたします。 まず松井郵務局長より発言を求められておりますので、これを許します。
○松井政府委員 先日の外務委員会と郵政委員会との連合審査会におきまして、吉田委員からのお尋ねに対しまして私の説明が不十分であつたために、多分に誤解を来すおそれがありますので、この際簡単に補足的な説明をさせていただきたいと思います。吉田委員からのお尋ねの趣旨は、今度のブラツセルの条約にはドイツが参加しておらない、そういう観点からしてドイツとの小包交換というものは、このブラッセルの条約と関連してどうなつておるかというような御趣旨であつたろうと思います。ドイツは終戦後締結せられましたパリ条約についてもその加入を認めておられませんし、また今度のブラツセル条約においても、現在のところまだ加入を正式に認めておられません。その意味合いにおきまして、パリ条約またはブラッセル条約に基いての小包郵便物の交換というものはできないわけでありますが、しかし郵便条約というのは新しく今回できたものではなくて、ずつと昔から五年ごとに改正改正という手続を経て来たわけであります。第二次世界大戦の起ります前の一九三四年にカイロで締結せられました郵便条約並びに附属約定につきましては、ドイツもこれに加盟しておつたわけであります。そこで現在はわれわれといたしまして、現行のパリ条約に基く交換ということはもちろんできませんが、昔の条約というものは、条約自身には当然終期はないということからいたしまして、現在は実際問題としてはカイロで締結された約定というものを根拠にいたしまして、便宜ドイツとの間の小包は交換しております。この点は私の言葉が足りなかつたために多分に誤解せられた点であろうと思います。但しそれは現在のところ西ドイツとの間だけでございまして、東ドイツとの間におきましては、東ドイツ側が小包の交換についての受入れの意思を最近に至るまで表明しておりません。そこで東ドイツヘの小包交換はできなかつたのであります。しかし最近にはスイス郵政庁あるいは西独の郵政庁が媒介をいたしまして東独への小包も開く意思があるというような報告が国際事務局から参つております。そこで新しく東ドイツヘも小包郵便物を送る道が近く講ぜられるのであろうと思つております。この点私の説明が不十分なために、たいへん御迷惑をかけましたことをおわびいたしたいと思います。
○上塚委員長 ほかに両件について御質疑はございませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○上塚委員長 御質疑がなければ、これにて両件に関する質疑を終了することといたします。 それではこれより順次討論採決に入ります。 まず貨物の原産地虚偽表示の防止に関するマドリツド協定への加入について承認を求めるの件を討論に付します。討論の通告がありますのでこれを許します。戸叶里子君。
○戸叶委員 この条約に加入することによつて日本の信用が高められるという意味からは賛成できますが、政府の説明の中にもありましたように、多少業者の自由が制限されるのではないかという面が私どもにもうかがわれます。ことに固有名詞であつてもすでに普通名詞の域になつておりながらも、いまだ固有名詞として原産地虚偽表示というような形で扱われることが業者の自由を非常に束縛する、それがぶどう生産品に非常に影響が多いようでございますが、日本のポートワインというようなものも一々メード・イン・ジヤパンとつけなければならないような不自由さが一日も早くなくなるように、この協定に加盟するにあたつては、そういう希望条項をも入れた上で協定に加盟されんことを望みまして、賛成いたします。
○上塚委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより採決いたします。本件を承認すべきものと議決するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
○上塚委員長 異議なしと認めます。よつて本件は承認すべきものと決定いたしました。 次に、千九百五十二年七月十一日にブラツセルで締結された万国郵便条約及び関係諸約定の批准について承認を求めるの件、条約第四号につきまして討論を行います。討論の通告があります。戸叶里子君。
○戸叶委員 この条約に加盟することに異存はありませんが、ただこの条約に加盟するだけでは日本の国がどこの国とも郵政関係を円滑に行うことがまだできない。たとえばソ連地域には日本のたくさんの抑留同胞がおりますけれども、その人たちに自由にはできないで、向うから来た住復はがきに書かなければ、自分の要望通り届かないということは非常に不便でございますので、そういう点が一日も早く改訂されることを希望条項として申し入れた上で、この条約加盟に賛意を表するものであります。
○上塚委員長 これにて討論は終局いたしました。 採決いたします。本件を承認すべきものと議決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上塚委員長 御異議なしと認めます。よつて本件は承認すべきものと決しました。 なおただいま採決いたしました両件に関する報告書の作成は、委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 —————————————
○上塚委員長 御異議なければ、さようとりはからいます。
○上塚委員長 次に、国際情勢等に関する件につきまして質疑を行います。通告順によりまして質疑を許します。穗積七郎君。
○穗積委員 私は外務大臣と保安庁長官と御同席いただいて質問いたしたいと希望いたしておきましたが、両方とも御都合で、今日特に保安庁長官は御出席ができないということで、秘書の方からお断りがありましたので、来週初めには必ず出席するということでありますから、そのときに譲つて質問いたしたいと存じます。 なお外務省の事務当局にお尋ねいたしたいと思いますが、今までにMSAを受諾いたしました各国のその後の実施状況に関しまする資料、並びにこの援助を拒否いたしました国々の事情を記述した資料、これらはこの委員会の席上で質問の形でお尋ねしてもいいのでありますが、時間が相当かかると思いますから、もしお手元に資料がありましたら委員に御配付をいただきたいと思いますが、いかがなものでありましようか。
○下田政府委員 第一点の資料の点でございますが、実は外務省にも必ずしも全部そろつておりません。アメリカ側に要求いたしまして米国と各国との協定のテキストはほとんどそろうに至りましたが、ただその実施状況の資料といたしますと、結局協定のもとにどういうものを幾らくれるかという点が実施の問題でございまして、これは必ずしも発表いたしておりませんので、外務省にもないのでございます。ただアメリカ側から見まして一括してどういうものを幾らやつたという程度の統計はございます。 それから第二のMSA援助を断つた国についての情報でありますが、これも詳しいことはわかりませんが、現在まで断つた国が二箇国ございます。インドネシアとビルマでございますが、インドネシアはもつぱら内政的理由、つまりインドネシアの政府党が国会において多数を持つていないという点で非常な内政上の紛糾が起りまして、そのとばつちりでMSA協定が承認されなかつたというように承知しております。またビルマは実はMSA自体の問題でございませんで、ビルマに例の李彌将軍と申しまして国府系の将軍の麾下にある国府軍、これは蒋介石はわしの指揮下にないと申しておりますが、わけのわからない軍隊がおります。これを何とか解決したいという熱意に対して、アメリカがなかなかはつきりした態度をとらなかつたというような点から業を煮やしまして、そういうことならわしはもらわぬということで拒絶した。ただ拒絶はいたしましたが、いまだ協定が有効であつたときに発注したものなんかは、引続いて来ているような状態でございます。現在まで断つた例といたしましてはその二件があるのみでございます。
○穗積委員 受諾いたしました国のこまかい資料は発表になりましたものだけでけつこうでありますし、それから援助のいろいろな状況について、アメリカ側のまとめた発表だけでもけつこうでありますが、受諾いたしました国に対しまする資料を一括して御配付いただきたいと思います。 それから今拒否いたしました国に対しての簡単なお答えがありましたが、その程度のことはわれわれもいろいろな資料を通じて承知いたしておりますが、もう一ぺんその国についてお尋ねいたしたいのは、拒否いたしました後のそれらの国に対するアメリカの政治的経済的な政策の変化または態度、そういうものがわかりましたら、これもついでにその後の資料として御配付いただきたいと思います。これは口頭をもつてもけつこうでありますし、あるいはまた資料の写しをもつて御説明いただいてもけつこうであります。至急ぜひお願いいたしたいと思いますが、よろしゆうございますか。
○下田政府委員 ただいまの資料、なるべく文書にいたしまして御配付申し上げます。
○穗積委員 続いてお願いいたしたいと思いますのは、五三年の改訂になりましたMSAに関する解説書、これも委員に配付をいただきたいと思いますが、御承知願えましようか。
○下田政府委員 承知いたしました。
○穗積委員 もう一つ、この委員会として後々の討議のためにお願いいたしておきたいと思いますのは、行政協定に伴いますアメリカの軍事基地が日本全国に七百余箇所と伝えられておりますが、それらの地名とそれから施設の状況と面積、これらの資料をこれまた各委員にいただきたいと思つております。もしこれが軍事的な機密を要しますものでありますならば、もとより各委員におきましても責任を持つてその取扱いを慎重にいたしますので、その点もあわせて申し上げまして、ぜひともちようだいしたいと思います。あるいはまたそれに関しまして既設の軍事基地以外に、アメリカから拡張または新設の申入れの今までありましたもの、現在ありますもの、これも追加して今の資料の中に加えていただきたいと思います。これをお願いいたしたい。
○下田政府委員 主管当局に伝えまして、そのようにとりはからわせます。
○穗積委員 御承諾いただいてありがとうございました。ついてはわれわれの勉強も急いでしなければなりませんので、それらの今申しました資料を一括しておそくも来週末ころまでにはいただきたいと思いますが、いかがでございますか。あるいはそれができなければいつまでにはできるという大体の期日の予想をひとつはつきりしておいていただきたい。
○下田政府委員 MSAの方の資料はもうあるものもございますので、すぐにでも全部そろうのを待たないでも差上げられると思います。基地の方は私どの程度資料があるものか全然わかりませんので、主管当局になるべく御期待に沿うように準備するように申し伝えたいと思います。
○上塚委員長 それでは次は戸叶里子君の順番になつておりますが、御要求は外務大臣のようですが、まだ見えませんがお待ちになりますか。
○戸叶委員 外務大臣に伺う前に、それでは局長に一点伺いたい。けさ新聞を見ましたところが、赤羽の日本製鋼の工場で米兵が発砲したという事件がございますが、そのことを局長は御存じでございますか。
○下田政府委員 私もけさ新聞で見ましただけで、それ以外の事情を聞いておりません。
○戸叶委員 これは米軍の管理工場だと思うのですが、そういうような米軍の管理工場の場合には、日本の労働三法というものは適用されることになつているんでしようかどうでしようか。あるいはまた日本の労働三法と、アメリカ側と日本側の会社の契約と両方あつた場合に、どちらが優先するかという、その点を伺いたいと思います。
○下田政府委員 日本の労働三法は適用ある建前だと存じております。
○戸叶委員 ある建前というお話でございましたが、日本と米軍側との何か協定がありましたときにも、労働三法の方が優先するわけでしようか。
○下田政府委員 私の主管ではございませんが、労働契約等を結びます際に、労働三法に矛盾しないように気をつけているはずでございますから、矛盾が生ずるようなことは事実ないと思つております。
○戸叶委員 この問題は、日米行政協定に関係があることでありまして、もしも米軍が発砲してだれかを傷つけたというようなことがおわかりになつたときに、外務省としてどういう措置をとられるかということを私は伺いたいのです。それはなぜかと申しますと、もう一つ実はここに陳情が参つておりますが、五月の二十五日に香椎線の海ノ中道駅で機関士と機関助手が米兵によつて頭部を殴打されたというような事件がございます。これも事件をうやむやにして、その害を加えたところの兵隊が逃げてしまつて、そのままになつておりますが、日米行政協定の十八条の日本にとつて不利な点から見ましても、一日も早く日米行政協定が改訂されないために、こういう問題がそのままうやむやのうちに葬り去られるような危険がありますし、また今までもうやむやにされている例がたくさんあると思います。そこで一番根本的な問題の、日米行政協定の改訂ということになるのですけれども、この前の委員会で、局長は、アメリカの国会でなかなかNATOが批准されないから、困難のようだというようなお話でございましたが、先ごろの岡崎外務大臣の外交方針演説の中には、何かしらNATOの方にも見通しが今国会につきそうだというようなお話があつたように思われます。そこで一体そういう情報が外務省にアメリカから来たかどうかということを伺いたいと思います。
○下田政府委員 アメリカの国会でNATO協定の批准に対しまして反対論がございまして、ちようどその反対論が行われましたときに、ダレス国務長官が近東方面を旅行しておりまして不在であつたのであります。政府側の責任者たる国務長官が不在でありましたために、すぐ措置がとられなかつた事情があるのではないかと思つております。ダレス長官はただいまは帰つておりますし、アイゼンハウアー大統領といたしましても、自分がヨーロツパにおつたときにできた協定でありますので、これが批准については、非常に熱心であるように聞いておりますので、今おつしやいましたように、何とか今国会中にはまとまる可能性がむしろ大きいのではないか、そういうようにただいまは見通しております。
○喜多委員 議事進行について。さつきから伺つていると、これでは議事は進みませんよ。穗積委員の要求のときにも、条約局長だけだから、資料はほかの係の者と相談して、いつ出せるか出せないか言えないというが、あれがびしやつと国際協力局長が来ていれば、私の質疑の中の一件も消えるし、今の戸叶委員の赤羽の問題でも、国際協力局長の方でしよう。きようの状態はだらしがない。委員長と理事と相談して、特に私は委員全体に諮りたいのですが、予算案が予算委員会にかかると、どうしても大臣は予算委員会にとられてしまい、そのあいまにこつちが勉強しようと思えば、公用か何か知らないけれども、ほとんど条約局長ひとりだけで、委員の方がかえつて精励恪勤ぶりです。ひとつ理事と相談してやつてもらいたい。この問題は、やれば一番大事なんですよ。政府の今日の態度は遺憾なので、委員長と理事と協議をして、みんな出すがいい。こういうことだけをお願いしておきます。
○戸叶委員 今の問題は、私は協力局長がおいでになりましてから、もう少し詳しく伺いたいと思うのですが、今の条約局長の御答弁で、この国会中に何とか見通しがつきそうだということでございましたが、それではこの前に御答弁になつたあとで何かそういう情報を入手なすつたのでございましようか。
○下田政府委員 入手いたしました。
○戸叶委員 ではこの問題は、あとから協力局長がおいでになりましてから私は質問することにいたしまして、あとは岡崎大臣がお見えになりましてから、私の質疑を続けたいと思います。
○上塚委員長 質問者各位の御要求はみな外務大臣でありますが、なお欧米局長、廣瀬参事官等も見えましたからして、御質問があれば……。
○並木委員 MSAについてお尋ねをしたい。それは、最近反対論の中に、MSAの援助を受けると、海外派兵をしいられるおそれがあるというのがあります。私はそういうことはないという自分の結論を持つておるのですけれども、それに対する政府の見解をお聞きしたい。要するに、これは二つにわけて答弁していただきたいと思うのです。大体日米安全保障条約でMSAの援助が受けられる模様でありますけれども、その通りであるかどうか。その場合には海外派兵ということは、MSAの援助を受けても起らないと思うのです。それともう一つ、私たちの主張のように、自衛軍というものを持つた場合にどうか。これが大事なわけです。自衛軍を持つておりまして、アメリカとの間に例の五百十一条第一項第三号に該当する相互防衛条約を結んだ場合に、ただちに、必要によつては海外派兵をさせられるおそれがある、これが有力な反対論になるわけです。しかし私は、その防衛の条項自体から、ただちに日本の自衛軍——われわれの時代になれば自衛軍と称しますが、自衛軍を海外に派兵するという義務は生じないと思うのです。その点どうなつていますか。つまり抽象的なとりきめはするかもしれませんけれども、そのとりきめの前提のもとに、たとえば朝鮮動乱のようなものが起つたときには、国際連合というものが会合して、そこで会議をして、決議をして、各国から軍隊を出してもらいたいという決議が行われて、初めて出兵するかしないかという段取りになるのではないかと思うのですけれども、この点について確かめておきたいと思います。
○下田政府委員 法律論としてお答えいたしますが、並木さんの御質問の趣旨は、MSA協定を締結した場合に、海外出兵が必要になつて来るのではないか、むしろ並木さん御自身は、そういう事態にならぬというお考えのようでございました。その理由でございますが、日本が締結いたしております広義の軍事条約といたしましては、御指摘のように安保条約があるだけでございます。この日米安保条約は、いかに解釈いたしましても、それからは日本が出兵の義務を負うものでないことは御承知の通りでございます。 そこで並木さんの御指摘になりましたMSA法の五百十一条から、安保条約以外の軍事条約を結ぶ義務が生じはしないかという次の問題が起つて参ります。しかしながらこれはまだ交渉しての見解ではございませんが、日本側の一方的見解では、必ずしもそういう安保条約よりも一歩進めたような軍事条約の締結は必要ではないというのが、私ども事務当局の研究の結果になつております。 また御指摘の海外出兵の義務は、MSA協定とは別の問題ではないかという点でございますが、私どももそのように考えております。具体的の例で申しますと、MSAの協定を結んでおる国は五十数箇国ございますが、朝鮮事変が起つたときに、MSA協定を米国と結んでおるからといつて出兵した国は一つもないのであります。またNATO条約あるいは全米相互安全保障条約というような積極的な意味における軍事条約を結んでいる国々は、世界にたくさんございます。しかしながら朝鮮に出兵したのは、何もNATO条約とか全米相互安全保障条約というもので出兵しておるのではなく、結局ある事変なり戦争が起りました場合に、今日の世界におきましては、国連というものがすぐその問題を取上げまして、その紛争に対していかなる措置をとるかということを相談いたします。そこで朝鮮事変の場合には一九五一年の国連の決議がございまして、そこで朝鮮を援助するために出兵するということをきめました。しかしながらそういうことをきめましても、現実に朝鮮に兵を出しました国は十六箇国しかございません。でございますから、ただいま申しましたように二重、三重の距離がある問題でございまして、MSA協定を締結すればすぐ出兵の義務を伴うというような結論を出す前には、その二重、三重のギャップをのんでかからないことには考えられないことでありまして、決してそのようなまつすぐな結論は、いかなる意味においても出ない、そういうように存じております。
○並木委員 まことに明快であります。それでMSA反対の一つの根拠は私はなくなつて来ると思います。それともう一つ有力な反対の根拠としては、MSAの援助を受けると例の中ソ友好同盟条約の発動の対象となる、こういう議論があるわけなんです。これに対しても私としては何もMSA援助を受けたからといつて、中ソ友好同盟条約の直接の発動の理由にはならないと確信しておるのでありますけれども、この際政府の見解を伺つておきたいと思います。
○下田政府委員 中ソ友好同盟条約との関係の御質問でございますが、中ソ同盟条約とMSAの問題とは何ら関係がないと存じます。いかなる意味でソ連、中国が日本を敵視しておりますのか、両国政府の見解は私どもの関知しないところでございますが、MSA協定を結ぶことによつて敵国と見なされるならば、アジアには日本以外にMSA協定を結んでおる国がたくさんございます。それも敵国と見られなければならないわけでありますが、何も中ソ両国はそうは見ておらないわけでございます。従いまして日本が他のアジア諸国と同じような協定を結んだからといつて、何もそれだけの理由で日本を敵視し、あるいは中ソ友好同盟条約を発動するというような懸念は毛頭ないと存じます。
○並木委員 先日来質問を続けて来まして、大体私どもの得た感じといたしましては、もはや政府としてはここまではつきりすればそう疑問がないんじやないかという点なのです。今政府がアメリカに質問書を出しておるそうでございますけれども、具体的にどういうことを聞いておられるのか、アリソン氏の演説によつても日本に代償は求めないというし、MSAの援助をもちろん押しつけるものではないというし、それからまた原則として無償であるというし、海外派兵などということは夢にも及ばないことであるというようなことを考えて来ますと、私どもは今までサンフランシスコ条約に調印し、日米安全保障条約に調印しておる今日、躊躇することはないように思われるのであります。この点について条約局長でも士屋さんでもどちらでもよろしゆうございますが、一体アメリカにどういうことを聞いておるのか、またそれに対してもう返事が来たと思いますけれども、その辺のところをひとつ具体的にお伺いしたい。
○土屋政府委員 アメリカに対する質問につきましては、事務当局として準備を進めて来ております。今のお話ではあたかも日本政府からすでに質問書が出たというふうな御印象をお持ちのようでございますが、まだ事実出ておりません。従つて回答は来ておらないことはもちろんであります。なぜ遅れているかというふうな御質問の要旨であつたように考えられますが、私どもは大体においてこのMSAの研究の結果、ただいま並木委員の言われたような印象を得ているのでありますが、ただこれは各国に対する従来の例というものも日本として全部つまびらかにしているわけではございませんし、また質問にいたしましても単にMSAの条項の解釈を聞くということよりは、それに関連いたしまして日本の経済に及ぼす影響とか、あるいはただいまお話になりました保安隊に対する関係だとか、そういう問題も考慮に入れなければならないわけなのであります。従つてそういう点からやはりさらに検討を続ける点もございましたので、現在まではその検討を続けて来たというのが実際であります。従つて実際上アメリカに対する質問も、右申し上げましたような趣旨に応じた質問をするという考えで、ただいま上司の裁可を待つておりますというのが現状であります。
○並木委員 けさの報道によりますと、アメリカの政府でしたか議会でしたか、正式に発表して、今度の安全保障法に基いて日本に対する援助が一億五千五百万ドルだつたか含まれておるということになつております。この点について政府にそういうものの公式の通告がありましたかどうか。
○土屋政府委員 政府に対しましては、このMSAの問題につきましてはアメリカ側から金額というような点について通知があつたことはございません。大分前から新聞報道には一億五千万ドルというのが報道されておりますが、おそらくその根拠となりますものとして私ども想像いたしますのは、ただいまアメリカの議会に出ております予算の中で日本に割当てられると思われる費目、つまり中国一般地域に対しては十億百万ドルというものが予定されておるわけでありますが、この中ですでに台湾、フイリピン、大韓民国に対しましてアメリカが実施して来ましたMSAによる援助、なお長期を要する費目が多いのでありますが、この費目をだんだん控除いたして参りますと、この中国一般地域に割当られた十億のうち余裕として残り得るものが大体二億前後あるのではないかというふうな算定ができるわけであります。そうしますと、その二億前後のうち全部を日本にまわすということも考えられますが、そうではなくて、そのうちやはり、大部分は日本にくれますが、そのほかに予備もとるだろうという見地から考えますと、一億五千万ドルという数字が常識的には日本に援助し得られる費目として、この予算に計上されているものというふうに見られるわけであります。そういう意味で、おそらく一般の方がこの予算の内容を見まして、日本に当てはめる費目はこれだというふうに報道をしているのだと思いますが、正式にはまだアメリカからは一切この点についての通知は受けておりません。
○並木委員 大臣が来ましたから、それではもう一つだけであと大臣にかわります。公安調査庁の高橋次長が見えておりますが、先般来首相ほか関係閣僚の答弁を聞いておりますと、直接侵略はとにかくとして間接侵略のおそれは多分にある、また地下工作なども予断を許さない、武器の訓練にまで及んでおるというような、いろいろ私たちとしては憂慮にたえない破壊活動の前兆についての答弁があつたのであります。これを少し具体化して高橋次長からこの際聞いておきたいと思うのです。日本の公安調査庁の管轄する範囲内においての調査の現況はどうであるか。それから今後どういう点が特に憂慮されるのであるか。実際保安隊が今演習をやつておりますが、あの演習を見た方の観察記を読んでみましても、国内の単なる治安だけならばこういうような大規模の演習は不必要と思う、そういうことが言われております。そうするとこれはよほど警察力だけではとうてい鎮圧できないようなものを前提としておらなければならないわけであります。政府はどういうものを仮想して保安隊のああいう訓練なり演習をしておるのか、この点についてはぜひこの際公安調査庁関係の情報を得ておきたいと思いますので、特に質問をする次第であります。
○高橋(一)政府委員 公安調査庁としましては、国内の治安問題ということについて、特に破壊的な国体というものを中心にして考えておるわけであります。そういう見地からしまして日本共産党の動向は非常に注意しなければならないというふうに考えておるのであります。共産党が暴力革命の方式をとつておりますことは、ほとんど疑う余地がないところでありまして、革命を起す場合にどういうふうな準備でこれに当るかと考えますると、大体今のところでは、ソ連を中心としますいわゆる平和擁護運動というようなもので、中間分子を自分の味方に引きつけ、あるいは少くとも、いざという場合に、中立的な立場を保たしめるというふうな運動をしておるように見えるわけであります。この面につきましては、共産党の方としても、かなり成功しているというふうに考えておるのではないかと思うのでありますが、それだけではしかし革命は起らない。そのためにいわゆる労働者階級の主流というものを革命化するというような段階にあるのではないか。そこで、私どもの直接関連しまする軍事活動を中心として、要点だけお話いたしますと、今共産党として一番力を入れておりますのは、軍事思想の普及といつていいのじやないかというふうに考えるのです。それは新綱領から出て参りまして、昨年の二十二回中央委員会総会の決定にも、むろん強調されておるのでありますが、本年になりましてから、党の非公然の機関紙などで、非常にその点が強調されておりまして、特に労働者に対しまして、議会主義ではもう間に合わない、合法主義のわくを越えなければ事態は改善されないということを、しきりに強調しておるわけです。その一つの例を申し上げますと、ことしの一月に出ました「労働者階級の闘いと新しい軍事の任務」という文書の「昨年の闘争の成果は何か」というところで、「炭労、電産、国鉄等の基幹産業の労働者は、社会民主主義の思想と戦術が、どんなに有害なものかに気づき、社会党左派、総評、単産幹部の議会主義を憎み、その裏切りと分裂策動にもだえるがごとき」云々ということを書きまして、さらに「これは労働者階級の思想的政治的前進であり、ストライキ労働者が身をもつて闘つた大衆自衛の行動と組織は、労働者階級の思想的政治的前進として高く評価しなければならない。」云々ということを言つております。最近では公然機関紙であります。アカハタの論調すら、そういうふうな傾向をとつておるのでありまして、最近、指導階級としての労働者階級という主張がございましたけれども、それなどもそういう意味で非常に注目されなければならないというふうに考えておるわけでおります。 このようにして一般大衆あるいは特に労働者を対象としまして、軍事思想、暴力主義的な思想の宣伝に非常に努めておるのですが、一方、軍事委員会以下の特別な軍事組織を中心としまして、軍事委員会ないし中核自衛隊といつたような軍事組織の拡充という問題と、それから軍事訓練、武器の収集といつたような直接の軍事活動をやつておるわけであります。特にその重要なものとしまして、これは記名がないのでありますけれども、本年の三月十五日に「Y組織活動を強化せよ」、軍事組織活動を強化せよという意味でありますが、この名前の通達が出ております。そこで「武装闘争におけるわれわれの二つの任務」というところで、一つは先に申し上げました軍事思想の普及ということを申しております。その次に、武装組織を組織として運用指導するということを申しておるのでありまして、ここで中核自衛隊がなぜ解消したか、昨年の上半期の、非常に暴力事件の頻発した時期において、中核自衛隊が多数結成されたというふうにいわれたのでありますが、それはまだ組織として確立してないものを、中核自衛隊として評価したものもあるというような自己批判をやつておりますけれども、なぜ解消したかということを検討しまして、これをどうするかという組織面の指示をいたしておるのであります。それで、そこに初めてこの中核自衛隊の統一司令部というものを設けなければならない、従来は軍事委員会が直接の中核自衛隊の行動の指揮までしておつたけれども、それではいけないというようなことを言いまして、統一司令部という考え方が出て参つておるのであります。 それから、おそらくそれと同じときに出されたのではないかと思うのでありますが、「憲法闘争を強化するためのZ活動を組織せよ」という文書がありまして、こでは武装闘争を強化するための武器活動を組織せよというふうに読めるのでありますが、これでもつて武単の製造、収集、製作、保管というようなことを具体的にいろいろ指示しておるのであります。 それで、この軍事組織なりあるいは武器の問題につきまして一般的に言えますことは、革命は結局労働者階級、国民大衆の手でやらなければやれない、そこで中核自衛隊なんかも特別な組織というよりは、むしろ直接の、会社とかあるいは居住区域、経営や居住、つまり生産点、生活点に基礎を置いたものをつくらなければならない、学生とかあるいは日雇い労働者の特殊の団体であるとかいうようなものではならない。それから武器の方も、高度のものも研究しますけれども、自分らの手元にある、身のまわりで間に合うもので、しかも発見されても弁解のできるようなものを用意しなければならぬというような具体的な指示をいたしておるのであります。この中で特に注目しなければならないと思いますのは、最後のとろこで、武装闘争が武器の面で制約されるような事態が生ずるならば責任は正人であるということを申しておるのであります。従つて軍事の責任者としましては、情勢がいつどのようにかわつて来るかもわからない、その場合に自分たちの分担しておる軍事面の準備が不足であるということでは、責任が非常に重大であるという焦慮の念を現わしておるように思うのであります。このような指示でございまして、これに基いて実際面においていろいろな活動が行われております。たとえば統一司令部という名前を用いましたビラなどが数箇所で発見されております。それから日本共産党と関係のある人物が武器を携帯しているところを検挙されたというような事例が幾つかございます。そのほかにも武器の点について、相当高度のものを準備しておるという、相当確実な情報があるのであります。 今後どういうふうな点を気をつけなければならないかという点でございますが、これは今まで申しましたような、共産党の方が持つて行こうとする暴力革命の準備の段階に従つて、対処して行くということになると考えるのであります。私どもは情勢一般を判断しまして、共産党のいろいろな動向を分析して、大体こういう方向に行くのではないかというふうに判断して参つておるわけであります。そんな意味におきまして、一方において平和運動をやつておりますけれども、他面において、従来に比べますと、非常に地についた、着実な軍事活動になつて参つたわけであります。それに関連してもう一つ気をつけなければならないのは、労働者のいわゆる思想の革命化というような意味と、それから直接の労働争議なんかを結びつけまして、また再び生産管理方式が相当とられるのではないかということを、実は考えておるわけであります。 それから行動を起す時期につきましては、最近国際的連帯が非常に強まりまして、そういう意味で、国際情勢というものの変化に従いまして、必ず日本共産党その他の行動も規定づけられる。従つて日本共産党だけの条件を見ておつたのでは、その行動は全部はわからないというふうに考えておる次第であります。
○上塚委員長 それでは岡崎外務大臣が見えましたから、戸叶里子君に質疑を許します。戸叶里子君。
○戸叶委員 私は質問に先だちまして、まず外務大臣にお願いしたいことは、このMSAの問題に関する限り、岡崎大臣初め政府の方々が、これはまだわからない、わからないというような、ほおかむり的な方針をとつておられるようでありますけれども、国民はすでにラジオや新聞や、あるいはアメリカの報道等によつて、ある程度の知識を持つております。政府がそういうものをほおかむりしておりますと、かえつて国民は不安を抱くものでありますから、できるだけ詳しく御存じの点を説明していただきたいことを、まず第一に要望する次第でございます。 まず一点伺いたいことは、私どもが知つております乏しいMSAに関する知識の中においてさえも、あるいはこれが日本の国家性格をある程度かえるのではないかというような点さえも、考えられるのでありますが、政府におきましては、そういう点をお考えになつて、疑問点と思われる点などを、この際積極的にアメリカ側に何か問い合せておられるかどうかを、最初に伺いたいと思います。
○岡崎国務大臣 お話でありますが、MSAにつきましては、たとえば相互安全保障法とか、あるいはアメリカがよその国と締結しました協定等は、材料はみなあるのであります。これは公表されたものでありますから、何も秘密はないし、またこれに対する解釈等も、大体研究は済んでおるわけであります。しかしそれは非常に幅の広いもので、各国の結んでおる協定もみな一様のものではないので、その国々によつて事情を異にしております。そこで日本に適用される場合に、その中のどの点が強調されるか、どの点が重要であるかということは、実際日本側で受けるという意思ができて、交渉する段階になつてみなければわからないわけであります。ところが実際は今おつしやるように、いろいろよく慎重に考えてみれば、憲法との関連はどうであるとか、その他日本の政治情勢とか、国際環境とか、あるいは国内の情勢等に比べてどうであるかということを十分研究した上でなければ、もちろんこれをまず受けるつもりで話をしてみようかどうかという点も、まだきまらないわけであります。そこで今のところは、問題もなかなか重要でありますから、まだこちら側でいろいろ研究をしておる最中であります。そこでその中で、もちろん必要があれば、問い合せることは何ら躊躇する必要もないのですが、その前に、問い合せる値打があるかどうかということも考えてみなければなりませんから、念には念を入れということで、いわゆる慎重のようにお考えになるかもしれませんが、いろいろな点をこちら側でまず考えてみて、それではこの点とこの点がわかりさえすれば結論が出るというところまで来れば、問い合せることも何ら躊躇するところはないのであります。まだ問合せ等はいたしておりませんけれども、そういうわけで、決して隠すわけでも何でもないのであります。実情が今その通りの段階であります。しかしそういつまでもこちら側の研究だけで済むかどうかはわかりませんが、とにかく隠すようなことは全然いたしません。
○戸叶委員 ただいまの外相の御答弁で、決して隠すようなことはしないというふうなお話でございまして、また非常に重要なものであるからよく研究しなければならないというお話でございました。その研究は、ずいぶんこの話が起きてから長いことでございますけれども、どういう方々によつて一体研究されておられるかということと、もう一点は、いつごろまでにこのMSAに対する態度を御決定になろうとするか。態度を御決定になつた上で、初めて向うに問合せをなさるというお話でございましたが、それでは一体いつごろまでに態度を決定なされようとするかをお伺いしたいと思います。
○岡崎国務大臣 これは外務省ではむろん研究しておりますが、援助ということになりますと、大蔵省にも関連がありましようし、通産省にも関係がある部分があるでございましよう。それはそれぞれ適当に研究しておりましよう。今私が申したのは、ちよつと誤解しておられるようですが、態度を決定することではなくて、一体聞いてみる値打——そう言うとはなはだ妙ですが、聞いてみる値打がありやいなやをきめるのであつて、聞くか聞かないかは別として、かりに聞いたとすれば、聞いた上で、さらに態度がきまるわけだと思います。聞かないうちに態度をきめるということはないでしよう。聞く聞かないの態度をきめるということを申したのであります。そこで、それではいつやるかというお話ですが、これは日本政府の研究とか、いろいろな頭がだんだん固まつて来た場合のことであつて、別に期限はないわけであります。しかしもうずいぶん日もたつておりますから、そう長くかからずに済むのじやないかと思いますけれども、別に期限というものは何もありません。
○戸叶委員 期限は別に限らないというお話でございました。それと、長くないのではないかというようなお話でございましたが、大体いつごろという見通しをつけておられるかということが第一点。 それからもう一つは、やはりこれは重要な問題だと思いますが、問い合せる上におきまして、岡崎外務大臣のこの前の外交演説の中におきましては、はつきりと日本の経済面に役立つものであればというようなお話で、経済援助ならば受けられやすいというふうに私は解釈をいたしました。ところがアメリカの発表しておるところを見ますと、いずれも軍事援助といわれており、けさのラジオにおきましても、日本に対する軍事援助が国会で可決されたというふうに報道されております。そうすると、あくまでも援助する方では軍事援助と言つて、受ける方では経済援助と言つておられますが、この辺の解釈を伺いたいと思います。
○岡崎国務大臣 私は軍事援助とかいう言葉にそうこだわる必要はないのだと思います。一般的に普通の国は軍備を持つておるのですから、これに対してミリタリー・アシスタンスとかいう言葉を使うのは、法律としてはあたりまえだと思います。しかし、たとえば日本のような特殊の場合には、それを違つた意味で適用する場合もある。それがつまり幅の広いやり方だと私は考えておるわけであります。そういう言葉に一々問題があるのじやなくて、実はその内容だろうと思つております。そこで、経済面に寄与するというのは、何も経済的な援助だけということではなくて、いろいろな面で、たとえば、これは当らない例かもしれませんが、保安隊ができてから今まで武器等をアメリカから借りております。これがもし借りられないとすれば、日本でつくらなければならぬか、日本でどこかから買つて来なければならぬわけで、それだけ国の財政に負担がかかるわけであつて、それを借りて来れば、早い話がそれだけ経済面に寄与する点もあり得るわけです。それは純然たる経済面だけのことで、借りて来ることがいいか悪いか、これは別問題です。そういうわけで、経済面に寄与するというのは、何も日本の経済界に直接援助があることだけに限るとも思われないわけであります。いろいろな意味で、そういう点はただいま研究中であります。
○戸叶委員 こういう問題は、別に軍事援助でも経済援助でも、言葉にこだわる必要はないというお話でございましたが、これは日本にとりましては、非常に重大な問題だと思います。ことに日本は軍備を持つておりませんので、軍事援助をするということは、結局軍備を持つという方向に行くものではないかと、私どもは非常に懸念するものでございます。そこでもう一度確かめておきたいのは、それでは今まで保安隊なり、警備隊の方に与えている完成兵器、そしてまた完成兵器がそのままMSAの中に含まれ、また日本に資材を与えて発注させるというような、そういつたある意味の軍需産業を興すという、幅を持つて解釈しますならば、経済援助とも思われるそういう面の両方のもので考えた場合におきましても、それは経済援助として、日本の外務省では解釈するわけでございましようか。
○岡崎国務大臣 これは今申した通り、日本に適用する場合のことは、まだ的確に何も言えないのでありまして、一般的の議論をする以外に、ただいまのところはしかたがないのであります。しかし今私の申したのは、たとえばミリタリーという字が使つてあるから何か気になるということであれば、これはたとえば防衛とか自衛とかいう字にかえてしまえば、字だけの問題ならそれで解決してしまうわけであります。それを日本に適用する場合に、そういうふうにかえることに話合いがつくかどうかは別問題として、これはまだ話してないからわかりませんが、軍事という字がじやまになるなら、防衛でも自衛でもそういう字を使えば、字の上からは消えてしまうわけです。ですから、言葉の上の問題はそう大きくないのだが、実際に援助を与えられるということが、戸叶さんなんかの考え方からいつてこれはごまかしであり、実際は軍事援助と考えられるか、それとも内容的に日本の自衛のための援助と見るかであつて、悪く言えば、言葉の上では何とでも形がつくけれども、実際の問題がどうであるかということは別問題であつて、それをよく考えなければならぬだろう、こういう意味で申したのであります。
○戸叶委員 私はそこが今の政府の性格をはつきり現わしていない点だと思います。たとえばだれが見たつて、今の保安庁が再軍備はしていないと言つても、外国の兵器を借りて来て、再軍備しないしないと言いながらも再軍備の方向に向つておる。そこでこのミリタリーという言葉が気に入らないならば、防衛なりあるいは自衛という言葉を使つてもそこはさしつかえないのであつて、言葉上の問題は何でもないと言うのですが、私どもの御質問したいのは、その言葉ではなくしてむしろその内容であります。すなわち外国からの完成兵器などが日本に援助されましたときに、それを経済援助などと言うことは、だれが考えても言えないことでありまして、その言葉のごまかしはどうでもつくかもしれませんけれども、実際の問題は、それが防衛力をふやすための援助だとかなんとかいうごまかしにすぎないとしか考えられないわけでございます。この点は岡崎さんと私どもとの考え方は違います。あ 〔委員長退席、熊谷委員長代理着席〕 るいは岡崎さんも心の中では、まあ軍備だけれどもしかたがない、防衛ということにしておこうというくらいに考えていらつしやるのではないかと私は考えるわけでございますが、この問題はこれ以上追究しません。 次にもう一つ伺いたいことは、アメリカは多分日本に防衛力の漸増を望んでおると思いますし、政府もまたそういう点を望んでおるようでありますけれども、この漸増とMSAの問題とは当然関連して来ると思います。このMSAの援助を受けた場合において、防衛力を量の面でふやそうとなさるが、あるいは質の面においてふやそうとされるかを伺いたいと思います。あるいは岡崎さんは、そういうことはまだ考えておらないからお答えできないというふうにお答えになるといけませんから、もう少し具体的に申し上げますならば、もしもそういうふうに言われましたときには、量の上でふやさなければならない場合には、MSAを受けることを遠慮なさるかどうかという点を伺いたいと思います。
○岡崎国務大臣 それは、今戸叶さんが私の答えを言つてくださつたのですが、ほんとうにまだわからないのです。ただ私どもの考えておりますのは、この自衛力の漸増ということは、何も今回初めて考え出す問題ではなくして、安全保障条約の前文にある以上は、ずつとその点には考慮をめぐらして来たわけであります。われわれの考えとしては、三つの制約のもとに、なるべく自衛力を漸増する方向に持つて行きたいと思います。三つの制約というのは、一つは、たとえば日本の物的資源であるとか設備とかで可能な範囲において、もう一つは日本の政治上、経済上の実情において可能な範囲において、さらに日本の憲法その他の法規の範囲内で可能な程度、こういう三つの制約のものにできる場合にはぜひ漸増したい、こう考えております。それは早く言うと、今のところは量的にごく少数のものは別といたしまして、五百人とか三百人とかいう必要なものはあるかもしれませんが、大きな量的の増強は、今のところは別に考えないというのが実情でございます。
○戸叶委員 そういうふうなことが向う側の要求であつても、その点は岡崎外務大臣としてはお断りになると了承してもよろしゆうございましようか。
○岡崎国務大臣 外務大臣としてではなくして、これは政府の考え方であります。さよう御承知になつてさしつかえないと思います。総理もそういうふうに言つておられます。
○戸叶委員 そうすると、断ると了承してよいわけですね。
○岡崎国務大臣 まだ話はしておりませんから、そういう要求があるかどうかはわからないわけであります。われわれも総理もみな同じように考えておりますが、米国側から日本の実情に適さないような要請はないであろう、こう思つておるわけであります。
○戸叶委員 それでは今の御答弁で、量的にはふやすように要求されても無理なことには応じない、そういうふうに了承いたしました。 もう一つ伺いたいことは、アメリカの中ではもうすでに、日本に駐留兵を置くことは非常に経費もかかるからまずい、引揚げさせるべきだというような輿論が起きておるということも聞いておりますが、それとこのMSAの問題とは一体関係があるかないか。つまりMSAの援助によつて日本の国に軍備をさせて、そうしてアメリカの駐留兵を一日も早く引揚げさせた方がいい、そういうふうな希望意見がこの中に含まれているかどうかを伺いたいと思います。
○岡崎国務大臣 その前に念のためお断りしておきますが、ここに記者諸君もおられるので間違つて書かれると困りますから……。私の申すのは、アメリカ側からそういう要求があつたら断るとか断らぬとか、それは要求もないし、まだわからないのです。だからそんなことを言つておるのではないので、アメリカ側としても日本の実情に対して無理なことを言うはずがないということを申しておるのであります。
○戸叶委員 そういう答弁は私は納得できないのですが……。 〔「それはおかしい」と呼ぶ者あり〕
○岡崎国務大臣 ちよつと待つてください。まだ答弁中ですから……。それはアメリカ側としては、輿論といわず、政府の初めからの根本的考えが、できるだけ早くアメリカの軍隊は引きたいということで、日米安全保障条約というものはあくまでも暫定的なものである。従つて自衛力の漸増ということをアメリカは期待しておるということを前文に書いてある通りであります。だから輿論もそうでありましようし、政府も早く引きたいという考えを持つておることはこれは間違いないと思いますしか、MSAと直接関係はないと思います。
○戸叶委員 今の外務大臣最初の御答弁は、私の質問を適当に横道にそらしていらつしやると思うのです。アメリカの輿論も日本の自衛力漸増を望んでいるとするならば、あるいは量的にもふやすというようなことが望まれるかもしれないと思うのです。従つてそういう点を考慮して政府は、今その問題は言われておらないにいたしましても、当然起きて来る問題でございますから、そうしたことに対する態度はおきめになつておかなければならないと思います。そこで私は、今の大臣の御答弁は無理なことを言わないだろうという御答弁でございましたが、無理なことというのは一体どの範囲を言うかを正確に具体的に御説明願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 だから今政府の考え方を申し上げたのです。政府は三つの制約のもとにできるだけ自衛力の漸増をやろうと考えておる。ところがその三つの制約からいえば、ただいまのところは量的にふやす意向はないし、また制約の中においては今のところふやすのは適当でないと考えております。それが政府の態度であります。
○戸叶委員 それでわかりました。ふやす意向ではないということがわかりました。もう一つ伺いたいことは、この協定を調印後に国会にかけるわけですか、この協定がもしも日本の政府で受けることに決定いたしましたときには、調印の前に国会におかけになりますか、あるいは調印後にかけようとなさるか、その態度を承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 これは常に憲法なり法律上の重要な点でありますから申し上げますが、憲法では条約締結するその事前または事後にと書いてあります。条約を締結するということは、これは憲法学者の一様に認めるところでありますが、その条約が日本の国に対して効力を発生するときが条約を締結することになります。そこでたとえば例をとりますと、国会が先般解散になつた。ところが平和条約によつて四月二十八日までにこれこれの条約には、つまり平和条約効力発生後一年以内にはこれこれの条約には加入するということになつている。そこで国会にこれらの条約に加入することについての承認を求めるという件を出したのですが、国会が解散になつてしまつた。そこで政府は四月二十八日までに幾つかの条約に加入して、そうして国会の承認を求めるために今出しておる。これは事後の承認であります。つまり加入の効力が先に発生して、あとから国会の承認を求める。これはやむを得ざる場合であるから事後の承認を求めたわけであります。そういうふうに、加入なり調印なり、たとえば例をとりますれば、主として調印によつてすぐ効力を発生する条約のような場合には、調印の前にかけるので原則であつて、調印の後に、つまり効力発生後にかけるのは特別のやむを得ざる場合のほかはしないわけであります。ところが調印と同時に効力を発生しないで、批准行為をもつて効力が発生する場合には、調印をしてから国会にかけてその承認を求めて、効力発生の手続をとるのがこれは普通のことであります。従つて批准条項がついているかいないかによつてその手続の前後は計いますけれども、批准条項がついているものについては調印後国会にかける、これが憲法学者のいずれも認めておる原則であります。
○戸叶委員 その原則論はわかりましたけれども、MSAの場合にはどういうふうになさるかを伺いたいのです。
○岡崎国務大臣 これはつまり今申したように、まだ協定ををつくるなんという話をしていないのですから、今のところどういう形の協定になるかもわからないのであります。また受けるかどうかも元来わからないのですが、仮定のもとに協定をつくつて、そうしてMSAの援助を受けるかとかりに法律的に考えてみたときには、その協定の中に批准条項があるかどうかによつてきまるのであつて、調印をして効力を発生するという場合には、その調印をする前に国会にかけて、国会の承認を得てから調印する。批准条項がある場合には調印をして、国会にかけ承認を求める、これはやはり同じことだと思います。
○戸叶委員 それでは日本の方は、批准条項が来るまでは、外務大臣としては何ともはつきり意思表示ができないわけですか。
○岡崎国務大臣 つまり協定なるものが国際条約の範疇に入るものでありますれば、調印をして効力を発生するか、批准条項がついて批准してから効力を発生するか、どつちか一つしかありません。だから調印と同時に効力を発生する場合には、その前に国会にかけて承認を求めてから調印をする。批准をして効力を発生する場合には、批准の前に国会にかけて国会の承認を求める、こういうことになります。
○戸叶委員 私の質問が悪いかもしれませんが、それはわかつたのですけれども、MSAはどちらの性質のものかを伺いたいのです。
○岡崎国務大臣 それは今申した通り、まだ話もしてないし、協定のことにも入つていないのですから、どつちになるかはまだまつたくわかりません。
○戸叶委員 それでは私はもう一点で質問をやめますが、このMSAの援助を扱つているアメリカのその運営の機構状態を伺いたいと思うのです。それは技術援助を扱つているところは国務省とか、あるいは経済援助は何省というふうに違うと思うのですが、その運営上の機構を伺い、かつ日本から交渉するとするならばどこへ交渉するか、その省を参考までに承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 これもまだ交渉しておりませんから的確なことはわかりません。つまりMSAの法律等で判断するだけでありますけれども、現在の事態では、国防省がやる部分があり、それから国務省がやる部分があり、安全保障庁ですか、何かMSAの本部のようなところでやる部分もあるようでありますが、それをアメリカの政府は安全保障庁一本にしてやろうということで法案を準備しておるようでありますが、それはまだできていないようであります。
○熊谷委員長代理 喜多壯一郎君。
○喜多委員 最近十六日の本会議における外務大臣の演説の末句のうちに現われましたこと、すなわち米国駐留軍に提供する施設等について、最近石川県内灘の例のごとく、種々の問題が生じておることは、率直に認めるものであるが、だがこれら施設は日米安全保障条約により、わが国として必要の限度においてこれを提供する条約上の義務を有するものであるとあなたは結ばれている。私はこういうことを中心に軍事基地の問題及びあなたの、言葉は変ですが、政府上の哲理などを聞いてみて、なぜこういう問題か起きて来たかということを、事実的に究明して、対策をただしたい。特に最近石川県内灘の例のごとく種々な問題が生じておることは率直に認めるものであると言われる、その種々の問題とはいかなる意味か。その種々の問題が起きたることのうち、政府にとつて、あるいは国家にとつて不利であり、また不利益であり、国家のためにならない問題があるかないか、ひとつ具体的に御指示を願いたい。
○岡崎国務大臣 いろいろこういう問題については失言等もありますので、注意してものを言わなければなりませんが、内灘の例と言いましたのは、地元でもつて実際にこれは先祖伝来の土地であるから、大した値打はないかもしれぬけれども、精神的に非常に大事なものである。あるいは補助をもらえば暮しはできるかもしれないが、自分たちは実は自活して、自分で働いて暮したい。従つて働くところの根拠を失うことは困るのである。そういうような事情もありますし、また大きな砲弾が落ちて、非常に子供たちにもじやまになるというふうな、実際上の苦情もあるわけです。それからたとえば風紀の問題にしても、今は起らないかもしれないが、将来起るかもしれないというふうな心配もあるわけであります。それからたとえば考え方が違うからして、アメリカの駐留軍は一日も早く日本から撤退さすべきであるという考えから、従つてそういう試射場等は置くべきでないという主張から、これに強い応援をしておる人もあるわけであります。いろいろな問題があるわけであります。そこでその中には、政府として説明が十分でなかつた点もありましようし、また政府として他の地域における取締りが十分でなかつたために、不必要に内灘の場合も住民に懸念をかけておる場合もありましよう。それからこれは条約上どうしても提供しなければならぬ一つの義務であるが、これをどこに持つて行くかということは、これはまた別問題でありますが、政府としては、かりに内灘が最適であると考えた場合でも、内灘の住民には、やむを得ざる、非常な困難をかけておる場合もある。それやこれやで、いろいろな問題が重なつておる。その中には政府として十分やらなかつたために、住民に迷惑をかけておる問題もあるし、また政府としては当然やるべきことをやつておるとしても、考え方の根本に相違があるために、これに対してはいかに理由があり、いかに政府が努力しても、これは徹頭徹尾反対であるという立場をとつておる者もある。従つて種々な別な角度からの問題がある。こういうことを申したのであります。
○喜多委員 その種々の問題というのは漠然とわかりましたが、どうも外務大臣の演説だけでは、条約上の義務だから提供する義務があるのだと言つて、その前に種々の問題がなぜ起きたかという根本問題について、政府は人間的にこれだけでは反省してないと思うのです。今のあなたの私の質疑に対する答弁の中でもそうなんです。風紀の問題、もつと大きな問題がありますよ。私はそれをこれからお尋ねしたいのです。これは事実ですから、事実の間違いから来ているのだからりくつではない。第一にお尋ねしたいのは、ここに伊関局長がおいでになるが、六月九日東京を出発して翌日の十日の朝石川県の金沢に田中官房副長官と局長と二人でおいでになつたが、なぜ金沢の駅におおりになつて金沢の石川県庁に堂々とおいでにならないで、石川県と富山県の県境の石動駅でおおりになつて、自動車でひそかに——私はこうつけましたけれども、そうだろうと思うのだ、倶利加羅峠を越えて県庁に行かれるような、何だか引かれ岩が、被疑人がこそこそ行くような感じを天下に与えている。これがひとつ外務大臣としてどういうふうにお考えになりますか。これは私らの持つ健全な常識からいうと、何だか政府がやりそこなつたものだからまたつるし上げを受けはしないか、どこかというので石動などという駅からおりて、自動車で以つて木曽義仲が昔戦つたという時などを越えて行くというような政府の態度におもしろくない印象を国民に与える、こういう点から聞いておきたい。 もう一つ、それから十日に帰つていらつしやつた。これがまた国民に一種の疑惑を与えるように小松というところから米軍の飛行機で東京へ帰つて来た。一体外務省の国際協力局長と官房副長官というものは、日本人なのか米人なのかという大きな疑惑を与える。(「逃げたんだ」と呼ぶ者あり)逃げたか、局長が怒つて帰つて来たかはこれからの質疑なんですが、こういつたことについてひとつ外務大臣が伊関君の気持などは聞かないで、あなたはこういうことを国会議員だつたらどうお思いになる、国民だからどうお思いになるということを人間的な心理からひとつ分析して私にお答え願いたい。
○岡崎国務大臣 元来田中官房副長官の一行は地元との了解を得るべく説明に行つたわけでありますが、そのときに非常に大勢の人が、さつき申したような思想的にもこれは反対の立場をとつているということで、非常に大勢の人が来ているという話であれば、これと摩擦を起すということは、実際の目的を果すのとは違うのでありますから、この方面の集まりを避けるということもやむを得ざる場合があると私は思います。実は始終省内では起つているのですが、外務省は特別の建物でありませんものですから、いろいろなデモや陳情や反対運動等があつて、入口を占拠している場合がしばしばある。私は自分の省に入るのにまつすぐどこを通つて行つたつてさしつかえないのだというけれども、守衛等は裏口からいつも入れるのです。そのデモの占拠しているところを避けて入れられてしまう。私は内心非常に残念だけれども、そうかといつて自分の我ばかり張つて、そこでもつてもんちやくを起しては悪いと思つてやつているのですが、これは性質が似たようなものだと私は思います。そのときの臨機応変でやるのもやむを得ぬと思います。 また飛行機で帰つて来たことについては、私も事情は十分には知りませんが、その翌日が閣議の日でありまして、急いで帰つて来てくれという依頼は出しておつた。できるだけ閣議に間に合うように報告を受けたいと言つたので、おそらくそういう便を使つたのではないかと思いますが、これも私から言えばアメリカの駐留軍の試射場の問題で行つているのだから、急ぐときには駐留軍の飛行機といえども、アメリカの乗客をおろしてもおれの方は急ぐのだから急いで帰せと言つても、さしつかえないのではないかと思います。詳細は私も知りません。
○喜多委員 と言つてもさしつかえないだろうというのは外務大臣的お立場なんで、私はもつと大きく考えて、そういうことが日本の国民大衆にいやな影響を与えている。これは事実です。そしてあなたが堂々と玄関からお入りになるのはけつこうですし、うしろから入られてもいいのですが、でき得べくんば説得に行つた方なんですから、正面から行つて、思想上の反対があるからといつて、今日そういう反対の人人が、まさか田中官房副長官や伊関君たちの命をとろうというような人々でないことだけは、ひとつ日本の役人として考えなければ……。非常に行き方と帰り方が悪かつたと思う。そのことをお尋ねしたのは、外務大臣が今必要上やむを得なかつたのだからと言うのですが、誤解が大きくなつて来た。うしろ向きの外務省じやないか、どこの国際協力局なんだ、日本人のためなのか、うしろ向きじやないか、こういうふうに輪をかけて来ます。これは私は地元の人々の気持を代表して言つておくのです。 次に国会の自然休会を利用して内灘試射場の継続使用を六月二日に閣議決定をしたのは、いかにもそれは——言い分はありましよう。行政措置ですからいつなさつてもいい。緊急措置なら夜中でもなさつてもいい。けれどもあの行き方は、少くもあなたが今度野党にお立ちになるとはつきりわかる。私は今でもおわかりになつておるのだろうと思うのだが、そうじやありませんとおつしやるだろうと思いますが、国会軽視、国会無視のそしりは当然受けなければならないと思いますが、どうお考えでありますか。
○岡崎国務大臣 その前に一応お断りしておきますが、私は伊関君たちが殺されると思つて行つたわけではないと思いますが、過去の例を見ますと、総理なりあるいはその他の閣僚でも、地方に行きまして、自動車の前に寝ころがつて自動車が進まない。進むこともどうすることもできないで立往生した例がよくあるのであります。そういう寝ころがるとかどうとかいうことは別としまして、そういう意味の、目的地に到達しない心配があるということを申したのであります。 それからこれはざつくばらんに申しますが、実は国会中に継続使用を決定しようとも考えたのでありますが、それはよろしくないという意見もありまして延ばしたのであります。しかし六月二日の閣議で決定したというのは誤りでありまして、六月二日には継続使用をする場合の条件をきめたのであつて、継続使用するということは六月二日にはきめておりません。その後の閣議できめたのであります。
○喜多委員 条件をきめたんだとおつしやるのは、もう継続することの前提条件で、それはエクスキューズにならぬですよ。継続しようという意思がおありになれば、条件なんかきめる必要はないのですから、私は五日として三日くらい譲ります。どつちでもいい。そういうふうな行き方がだんだんと大きな誤解を生じて来るのみならず、事の始まりは、私はどうしても第四次吉田内閣におけるところの間違いから出発していると、こう事実をもつてあなたに申し上げたい。これは御承知の通り、昨年の十一月二十八日に、そこにおいでの局長もおいでになつたので御記憶と思いますが、一体外務大臣は石川県内灘が試射場として最も適当な所だということは、いついかなる機会にいかなる人からあなたはお耳にしましたか。
○岡崎国務大臣 私はいつという的確な日をここで記憶しておりませんが、十月、十一月、十二月ぐらいにわたつて、しばしばそういう意見の交換をした結果の結論であります。閣議決定前にそういう結論に到達したのであります。
○喜多委員 むろん閣議決定前に、雑談的にも出たのでしようし、耳打ち的な話もあつたと思います。私はそういう種類のことをお尋ねしているのではありません。それではあらためて、閣議で、石川県内灘村の砂丘地帯が試射場として適当だとおきめになつたのはいつの閣議でありますか。
○岡崎国務大臣 日はあとで調べてお知らせしますが、昨年の暮れであります。
○喜多委員 こういうことはありましたか。日米合同委員会で候補地をきめて、私どもの聞くところでは、第一の候補地が愛知県の伊良湖岬、第二が静岡県の御前崎、第三が青森の八戸、しかるに愛知県はその当時の通産大臣、今の大蔵大臣小笠原三九郎氏の閣内における反対が功を奏したといわれている。第二の候補地の御前崎は、予算委員長太田正孝氏や、あるいは当時の戸塚労働大臣、今の建設大臣の閣内反対があつて除かれたというので、最後に石川県の内灘がきめられたんだという世評がありますが、あなたはこの世評を打ち返すだけのことを持つておられましたかどうでしよう。
○岡崎国務大臣 それは候補地がいろいろあつたことはその通りであります。しかしこれについて閣僚の中に特に反対があつてほかのはやめたということは、全然事実に反します。
○喜多委員 事実ならこれはたいへんですがね。しかし事実は、何だか一番弱い、だらしのない林屋前国務大臣などがいたところへ持つて来られたものですから、地元の人はこれをそうだつたんだなと思う。それともう一つお尋ねしたいことは、なぜこの石川県の内灘試射場問題が俎上に上つたときに、その措置に関する当面の責任者である外務大臣自身が乗り出さないで、林屋前国務大臣が乗り出して来られたのですか。昨年の十一月二十八日に、林屋前国務大臣と伊関局長が金沢の石川県庁に行かれた資格は、林屋前国務大臣は閣議内において指名されたのでしようか。それともあなたが外務大臣として、ほかに働くこともなく遊んでいる国務大臣だから、君の郷里でもあるから行きたまえというふうな、閣内における私事の関係でおいでになつたのか、その辺を率直に——大きな問題ですからお忘れになりますまい。よく思い出していとつお答え願いたい。
○岡崎国務大臣 別に林屋前国務大臣に対して、正式な辞令を出したわけでも何でもありません。しかしながら閣僚の了承を得まして、林屋前国務大臣に政府を代表して行つてもらつたのであります。
○喜多委員 辞令は出さぬでしようね。それは常識から言つて……。そうすると林屋前国務大臣は、外務大臣から少くも白紙委任されたことだけは確かですね。そう解釈してよろしゆうございますか。
○岡崎国務大臣 白紙委任ではありませんで、一定の条件をもつて交渉をお願いしたわけであります
○喜多委員 一定の条件とは、どういうのが一定の条件でありますか。
○岡崎国務大臣 地元の人々をできるだけ説得することと、その説得にあたつては、補償等を十分にするという——こまかい金額等もありますが、そういうこと、及び補償以外に地元の人たちが農地を失つたり、漁業ができなくなつたりするため、働くために、たとえば畑地灌漑であるとか、あるいは船着場であるとかいう点についてできるだけ考慮をするように、これは地元の事情も調べなければわかりませんが、一応そういう構想を持つて、どういうことをすればいいかということも特に調べて来て、地元の意見も確かめて、さらに報告してもらう、大体そういうような方法ではわれわれは考えておりました。その範囲内で実際の状況を見て来てもらう、こういうことも入つておりました。
○喜多委員 それでは一定の条任というのは、もうそのときにはあれですね。あなたが今おあげになつたようなことだとするならば、これを試射場として使おうという腹構えをお持ちだから一定の条件が成り立ちますね。そこで私はお尋ねしたい点は、第一回に林屋国務大臣と伊関局長が金沢においでになつたのが十一月二十八日でした。あれは私も覚えている。みぞれの降るいやな日だつた。駅をおおりになる。おそらく数千名の警官に守られて、辛うじて、これまた駅の裏口からお出になつた。そうして二十九日と、たしか三十日とおいでになつた。そのときの復命といいますか報告は、外務大臣大丈夫です、事なく行きますという報告でありましたか、むずかしいですぞ、——簡単に行こうじやありませんか事実ですから。どつちですか。
○岡崎国務大臣 これも非常にはつきりは覚えておりませんが、私の記憶するところでは、非常にむずかしいことはむずかしい、しかし事情をよく話せば納得してもらえるはずである、こういうことであつたと思います。
○喜多委員 それより先です。二十七年の十一月十三日の朝、内灘の村民約百名は驚いた。郷土出身の国務大臣だから試射場設置などには反対してくれるだろうと思つたところが、どうも賛成らしい。その上に閣内でもつて無力な国務大臣だから押しつけられて、結局おれらのところに降りかかつて来る、たいへんなことだというので、このとき初めて試射場絶対反対の白旗を連ねて——特に心して白旗を持つて県庁の広場に押しかけて行つた。村長、議長、村議二十名がそれからすぐ上京して来て、私どもに会いたいと言つて来た。そのときこの陳情団を連れてあなたのところに行つたのが、何と与党自由党の今の建設政務次官の南好雄君ですよ。そうして益谷総務会長にも会い、また時の国務大臣林屋亀次郎氏にも会つて陳情した。ところが、これはなかなかむずかしいことだが、反対しようと言つた。この空気は外務大臣が知らないとは私は言わせない。御承知なんです。しかるに、それからあととうとう性格の弱い人、私はそう解釈するのですが、林屋国務大臣はずるずるになつて、絶対反対を東京で表明しながら、いつの間にか内灘村の村民に東京でも何とか外務大臣と相談して補償は十分にするよう私が責任を持つてするから、何とか納得してくれというようになつてしまつた。これは一口に言うと軟化したのです。これはさつき私が申し上げた点と、これからお尋ねする大きな材料になるのですが、あなたが当面の責任者としてからだを出さずに、郷士出身だからというので林屋前国務大臣ごとき人に——いわばこれは全権ですよ。これは信任状があるかないか、そんなことは別問題として、りくつは別として、少くもさつきの御答弁から申し上げると、林屋君、君に一任するよと言つて来たことが今日の大きな問題であり、同時に全国の軍事基地に波及して、しかもこれが大きな政治問題化しつつある、反米運動化しつつある、容共派はこれをりつぱな平和攻勢の運動に取上げている。ここまで来た。これは一つはあなたが選ぶに人を間違つた、こはは確かですよ。どうです、私の言うことをそうだというように納得なさいますか。それとも違うのだ、違うならあなたの建前をお聞きしたいのです。
○岡崎国務大臣 私は林屋国務大臣が閣内で無力だとは全然考えておりません。また林屋国務大臣が一番適任であつて、あの当時ほかの人に頼むとか、あるいは私が自身で行くより、林屋国務大臣にお願いした方がもつと円満に解決するとかたく信じておりました。また実際やつてみないからわかりませんが、かりに私がやつてもあれ以上にはできなかつたと思います。(拍手)
○喜多委員 これで手をたたくのだから私は驚く。(笑声)与党はつらい。いいですか外務大臣、あなたがおやりになれば結果がいいか悪いかを私が聞いているんじやない。郷士出身の人を押し出したらうまく行くだろうというような筋合いのものじやない。私と林屋国務大臣は郷党の同輩です。しかも昔は同じ党派の民主党におつた人。陰口はききたくない。天下の公の場所で、こういう問題の当面の最初の、しかも一人者として間違つたということだけ言つておきたい。しかしあなたはかばつて無能だとは思わない。しかしあまり有能だという言葉もお使いになつておらないですから、その辺は私も頭の中で解釈しますが、昨年の十一月二十八日に、国務大臣林屋亀次郎氏は伊関氏と金沢へ行つた。そのときに、対内灘説得の政府代表であつた。これは自分でも明言しておる。閣議で決定された、そこでそう言つて行つたのですが、その政府の正式の全権大使ともいうべき林屋前国務大臣の言い分と、あなたの忠実なる部下である伊関局長の言い分とは食い違つておる。全権とそれに随行しておつた最も専門的な局長との間の食い違い、というようなことはお感じになりませんか。
○岡崎国務大臣 いろいろそれについてはいわれておりますので、実は林屋前国務大臣も、たしか来週の月曜日の水産委員会に証言を求められておるのじやないかと思います。そこで、林屋前国務大臣がおられないときに、林屋国務大臣の言つておることを、ああだ、こうだということは正しくないと思いますが、私が林屋国務大臣から直接聞いておきましたところと、伊関局長の向うで言つたといつて報告を受けたところとは、原則的には矛盾しておらないと信じております。
○喜多委員 これは批判すべきものは批判しなければいけませんよ。一人物をかばおうなんと思つたつて、この委員会だつて林屋前国務大臣を証人として出てもらうことができるのですし、これはひとつ遠慮なくやりましよう。国のためです。かばつてやる必要はない。ただすべきは大いにただしたい。大きな食い違いがある。この食い違いはこれから出しますが、そこで外務大臣はもう御承知ですが、内灘村は石川県でも実に貧しい村である。全面積が千二町歩、そのうち九百町歩までが国有地ですから、これは接収の場合はやりいいと思います。戸数が千八十五戸、そのうち私の調べたところによると、二十七年度の国税納付者は、わずかに四十名、千七十六戸が漁民で、九戸が農民、そういうところ。その上に、風紀問題ということをおつしやいますが、壮年の八割が出かせぎに行く。従つて出かせぎに行つておる間は婦人だけがうちを守る。従つて軍事基地の一種にでもなればというようなことで、非常な憂いを持つておつた、そういうところなのです。そうして一年の半分以上を山口県、福岡県、島根県、鳥取県等へ出かせぎに行くのですから、ある季節には婦人だけの村だとも言える。そこへ林屋氏は、今あなたの答弁ではつきりしたのですが、政府の代表の一人としてとにかくこういうことを伝えている。一つは、期間は冬の間四箇月、それは青森の八戸地方の候補地が冬の間は石川県の内灘よりも雪があるし、寒いから使えないので、ここでためしにやるのだという言葉を使つておられる。それから米軍による風紀紊乱を防ぐため国警も増員しようということ、それから三に、七千五百万円の補償金は即時支払おうということ、第四は、四箇月たつたら完全に撤退すること、第五は、使用後は国有地を内灘村に払い下げること、第六は、地方交通機関の誘致等に力を尿そうと、これは伊関局長も参加せられて二十九日、三十日にかけて交渉した。その間内灘村の村長は林屋邸に軟禁されるというふうな騒ぎが起きている。そこにさらに林屋前国務大臣は百五十億円で——内灘村というのはちようど前が河北潟でうしろが日本海です。その間の細長いところが砂丘地帯であると同時に、村民の住んでいる帯のような細長い地形ですが、その前の方の河北潟というのは、例の銭屋五兵衛以来干拓々々といわれて来たところですから、そこへぼんとえさをほうり込んだ。試射場を承知するならば、百五十億円で河北潟干拓をやろう。しかも林屋国務大臣の口から、アメリカの干拓技術を利用しよう。アメリカの技術者も連れて来よう。しかもこれは吉田総理大臣の好意によることで、了解を得て来たということを言つております。何とこれが新聞にちやんと出ておる。あなたのこの間の本会議だかの答弁で取上げた好きな新聞に、ちやんと載つておる。どうです、この新聞はちよつと誤りだと木村国務大臣のように取消しますか、どつちでしよう。
○岡崎国務大臣 これは私の問題よりは、林屋国務大臣に聞いてみなければわからない。あなたが今おつしやたのは、新聞に出たことをおつしやつたのか、あるいは林屋国務大臣が言つたというのでおつしやつたのかはつきり知りませんが、いずれにしましても、林屋国務大臣に確かめてみなければ、私からどうということは申されない。
○喜多委員 驚いたもんですね。外務大臣、一体あなたが、これが大きな問題になるべくそう予見はしなくとも、たやすく行くだろうと思つて全権のようにして出した国務大臣ですよ。その国務大臣が行つて、あまり芳ばしからざる経過をたどつて帰つて来て、一体問題の経過について報告があつたんですか、なかつたんですか。林屋氏がどう言つたかどうか、私は知りません。新聞にどうと言うが、出た。何ならば出しますよ。これはあなただつて私だつて、ぶちこわそうとか悪くしようという考えはないんです。もう少し真剣に、そういう話があつたんだが、そういうことはできないんだと言つたのか。それとも、それでひとつ行こうじやないか、と言つたとすれば、だまかしたということになる。吉田内閣のインチキ性、秘密独善主義の外交がびしやつとこの地方問題に出ておる。どうですか。もう少し率直に御答弁願いたいですな。
○岡崎国務大臣 あなたの質問の仕方が私の答弁を率直にさせないんです。というのは私の見たこともない新聞を取上げて、この新聞に出ていることはほんとうかどうかということをおつしやるからです。林屋国務大臣が私に何と報告したんだということをお聞きになるなら、それは答弁ができます。
○喜多委員 それじやそういうふうに、前言を取消して、何と報告なさいましたか、伺いたいのであります。(笑声)
○岡崎国務大臣 林屋国務大臣の報告は、第一には、七千五百万円の補償をいたすべきであるという点、第二には、畑地灌漑をいたすべきである、第三には、これは具体案はまだないけれども、何か漁港について考慮をしてやらなければならないであろうという点、交通機関の点も、これは実際問題としてはむずかしい点がある、しかし考慮できる範囲でやつてやるのが適当であろう。むずかしいというのは、地方起債等の点で、起債を許すとしても、今おつしやつたように、村の収入が非常に少いので、起債返還の能力がほとんど認められないという点で、非常にむずかしいであろう。しかし何か考慮する方法はないであろうか、こういう点であります。さらに今おつしやつた河北潟の干拓につきましては、できればこれもやつてやりたいと思うが、これは技術的に非常にむずかしいのであるという点がありました。それからなおわれわれとしてはここにいろいろな条件を入れて、そして内灘を使用するのであるけれども、もしこれが四箇月で打切られる場合には、むだ——と言うのはおかしいんですが、不相応に多分の国費を使うことになる。そこでこれは非常に躊躇されたわけであります。どこの場合におきましても、四箇月、しかも四箇月の初めの方は準備ですぐには使えないわけでありますから、三箇月なり二箇月半なり使うために、巨額の国費を出すということは、これは政府としては考えなければならぬ点であります。そこで四箇月で一応打切つて、四箇月のうちに一体風紀問題はどういう傾向にあるであろうか、アメリカの兵隊と住民との摩擦等が起るであろうかどうか、またたまを撃つてみた結果を見なければ、破片が飛ぶというようなことがあるかもしれぬ、あるいは近所の者に危険が非常に起るという心配があるかもしれぬ、その他の障害があるかもしれぬ、こういう点を見てみなければわからないけれども、これがそうさしつかえないということで、四箇月たつたあとも継続されるということの見込みがつかなければ、容易にこの補償は出しにくいのであつて、この点もいろいろ心配したわけであります。要するに、林屋国務大臣の報告はそういうことであります。
○熊谷委員長代理 ちよつと速記をやめて。 〔速記中止〕
○熊谷委員長代理 それではどうぞ速記をとつてください。 それではさつき喜多壯一郎君から御発言の林屋亀次郎君を参考人として呼ぶということにつきましては、いずれ理事会で相談いたしますから、さようおまかせ願います。
○喜多委員 このあともう少し時間をいただいて、私も簡単に申し上げて、取消しなどしなくて済むように質問しますから……。もう二、三点締めておかないと、ここで保留すると困りますから、これは外務大臣も了としてくださいませんか。
○熊谷委員長代理 それではこれにて暫時休憩いたします。午後一時三十分から再開することといたします。 午後零時五十二分休憩 ————◇————— 午後一時四十三分開議
○熊谷委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。 質疑を継続いたします。並木芳雄君。
○並木委員 大臣にMSAの問題についてお尋ねをいたします。さつき喜多さんから大分締められたようですから、今度は少しやわらかくやります。(笑声) MSAについて日本から何も申入がないのにアメリカで予算に計上したという理由について、外務大臣はどういうふうに了承されますか。外相はすでにいろいろのアメリカの関係者と会つておりますから、もうその真意は確かめられたと思うのです。こちらから申出をしないのに向うで予算に計上して来たということで、日本国民の間にも何だかMSA援助という問題をやや神経質に扱つておる向きもあるのでございます。私自身はそういうふうに考えておりませんので、この際大臣の所見を伺つておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 アメリカの予算は日本のやり方と少し違いまして、いわゆるオーソリゼーシヨンというのがありますが、つまり日本がそういうものを受けるということをきめて申し入れた場合に考慮する財源として、そういうものを含めておるのであつて、いわゆるバジエットの中の予算、アプロプリエーシヨンというわけではないのだと思います。オーソリゼーシヨンであろうと思います。
○並木委員 オーソリゼーシヨンにいたしましても、これが出て来た根拠というものは、大臣としては知つているはずでございますが、いかがですか。なぜこれを議会に出したか、このほんとうのところなんです。いろいろ伝えられている。たとえばもう少し具体的に申しますと、今まで保安隊に武器が貸与されておつたものを六月一ぱいで打切られるから、新たな法的措置を講ずる必要があるからであるというようなこと、それから前に国務省から声明が出された、朝鮮動乱がなくなると特需というものはなくなる、従つて今後二年間特需を保障するというような報道と照し合せますと、あるいはこのMSAの今度の援助というものがこの声明と見合うものではないかとか、また先ほど申しましたように日本の保安隊を軍隊に持つて行く、あるいはこれを強化して行く行くは海外派兵もさせるのだとか、いろいろこれに対する見方がありますので、そこで大臣が得られた的確な理由というものを知りたいのであります。
○岡崎国務大臣 実は再々申し上げておるように、この問題についてまだ話合いをいたしておりません。従いまして的確なる理由とか的確なる材料とかいうものをまだ申し上げられないのであります。ただ想像されることは、今までも日本としては、いろいろの形ではありましたけれども保安隊に対する武器等の援助がありましたし、またいわゆる特需という形で日本の国内の産業に対しての注文もありましたし、またこのごろの言葉でいえば域外調達といいますか、そういう種類のものもあつたわけでありまして、こういうものをアメリカ側としては今までいろいろの形でやつておりました。これは日本ばかりではありません。ヨーロツパにもそうでありますが、それを一つのMSAというものに統合しようとしておるのは確かなようであります。従つて今まで日本に対してもいろいろの形で来ておりました援助を統合する形にいたすものではないかとも一般的には想像されますけれども、これとて的確にそうであるというわけには参りません。
○並木委員 その点、実際にアメリカに行つた伊関局長はどういうふうに了解しておりますか。
○伊関政府委員 私が参りましたときには何もそういう具体的な話は出ませんで、ただアメリカ政府はMSAによる援助を考慮するかもしらぬという程度であります。一月でございましたが、まだそういうふうなこまかい点には入つておりません。MSAというものを考慮しておるということだけは聞いて参りました。
○並木委員 保安隊に対する武器の無償貸与の期限が今月一ぱいで切れるのですけれども、これについては何か話合いがあるはずでありますが、どうなつておりましようか。
○岡崎国務大臣 期限が切れるというふうには私は聞いておりませんが、しかしこの問題もMSAに関する限りは今申した通りまだ話合いをしておりませんからわかりませんが、一般に法令とかあるいはアメリカ側から出ておりますいろいろの報道で判断しますと、七月以後には、援助をすればMSAに基いて援助するということになるのではないかと一般的には想像されますけれども、今までの分は別だろうと考えております。但し何かそこに調整の必要ありやいなや、これもまだ的確には何も申し上げられません。
○並木委員 今までの分の処理方法というものの相談がなされているはずなんです。前からこの保安隊の武器の貸与については契約を結ぶということで、これは外務大臣も答弁しておられるのです。その点について、今までの援助はガリオア、イロア、保安隊の武器貸与、それからさつきの域外調達といろいろありますけれども、そういうものについてすべてこれは軍事費から出されておつたと思うのです。未解決のものもあるのですけれども、その点はMSAの問題に切りかえられて、すべて過去のものは無償になつてしまうのかどうかお伺いしたいのです。
○岡崎国務大臣 私の今まで言つておりますのは、何か協定なりとりきめなりをするかどうかという点については、船の問題と違う点は、アメリカ側に船については法律が出ており、それに基いてやつたのであるが、保安隊の武器についてはまだそういう法律もないから、アメリカ政府としてもどういうふうにするのかきまつていないようである、従つて日本側としてもまだきめておらないということを申し上げておるので、とりきめをするとかしないとかいうことを申し上げた記憶はありません。なおいろいろの援助につきましては、これも私直接当つておりませんから、日本に適用する場合まだどうなるかわかりませんが、過去のものは過去のものであり、新しく今度MSAの援助を受けるとすればこれから始まるのであつて、遡及的になるのではないのではないかというふうに法案からは想像されますが、まだ的確なことは言えません。
○並木委員 アメリカの年度はもう来月の一日から始まるので、大臣の答弁ですと、どうもちよつとテンポが合わない。私たちが先般来国会でいろいろ検討した結果というものは、MSAの援助はそれほど神経質にならなくてよいという結論なのであります。どうしてサンフンシスコ条約に署名をしておる現内閣、それから日米安全保障条約で守つてもらつておる現内閣、そうして保安隊に武器貸与まで受ておる現内閣が、MSAの援助を受けるのに躊躇するのか、はなはだ了解に苦しむわけです。どういうわけですか。
○岡崎国務大臣 私も感じとしてはそう神経質にならなくてもよいのではないかとも思いますけれども、現に国会等の論議をごらんになれば、私が申すまでもないのでありまして、いろいろの意見がいろいろの党派から出ておるのであります。従いましてわれわれとしては異なつた角度からあらゆる問題を検討する必要が当然あるのであります。早く結論を出すことは望ましいのですが、その意味ではまだ引続き検討中であります。
○並木委員 いろいろな問題がある中で懸念されるようなものが残つておるから今のような答弁になると思うのです。それについて私思い当るのは、実は昨年四月二十六日に大臣に質問しております。「政府としては、将来相互安全保障法に基く協定を結んで行きたい、こういう腹はあるだろうと思うのですけれども、その点をお尋ねいたします。」という私の質問に対して、大臣は「相互安全保障法と申しますのは、いろいろ解釈の仕方はあると思いますが、大体においては常識的に、これは軍隊を持つておる国との間の協定を結ぶのが趣旨だと思います。そうでないかもしれませんが、しかしもしそうであるとすれば、われわれの方ではさしあたり軍隊を持たない方向に進んでおりますから、ちよつと困難じやないかと考えます。」こういう答弁なんです。ですから、大臣の頭の中にMSAというものは軍隊を持たなければ援助を受けられないのだ、こういう先入観があるのではないですか。そのことがいろいろ反対の立場に立つ人の言葉に触れて、うつかりは飛びつけないというような警戒心になつて行くのではないかと私は思う。そういう警戒心が先ほどの内灘の問題ではございませんけれども、かえつて国民に何となく不安な感じを与えるというふうに私にはとれるのですけれども、軍隊を持たなくてもMSAの援助を受けるという点につきましてはどういうふうになりますか。
○岡崎国務大臣 これも同じことを繰返すようですが、まだ実際に話をしておりませんから具体的にはわかりません。わかりませんが、昨年、一年前の話でありますから、その後ずつといろいろの事例を見てみますと、軍隊を持たなければ援助は受けられないという点は間違いであると思います。これも実際話をしてみませんからわかりませんが、おそらく軍隊がなくとも援助は受け得ると考えております。
○並木委員 軍隊を持たないで、つまりMSAに盛られておる軍事的義務のことでありますが、これはまた質問も繰返しのようになるかもしれませんけれども、それについては、ごく最近現存の日米安全保障条約でよろしいという報道がアメリカ側から伝わつて来ておるわけです。従つて、あらためて例の五百十一条第一項第三号にある双務的または多辺的の相互防衛条約は結ばなくてもよろしいというところまで来たわけだと思いますが、この点いかがでしよう。
○岡崎国務大臣 それは実際に日本に適用した場合を言つたのでございます。具体的に何も話しておりませんから一般的の報道以外にないのでありますが、一般的の報道はそういうふうにいつております。
○並木委員 そうすると、大臣の答弁は非常に熱がないように思われますけれども、そんなものなんですか。MSAについては、私はもつと積極的にこちらから申入れしてよいのじやないかと思うのです。向うでなぜ日本が申し込んで来ないだろうということを実際ふしぎがつているくらいなんです。何かピントが合わない。MSAを受ければ海外へ保安隊を送らなければならないだろう、またやがては軍隊にして海外派兵というところに行くような、反対論はそういうところから疑心暗鬼で出て来るのです。そういう点については今までのところ検討されましたか。
○岡崎国務大臣 一般的の問題としては検討しております。そして、大体この間演説でも申した通り、これが日本の自衛力増強と経済面の寄与に役立つものであろうと考えておりますから、それならば受けるのが望ましいということを言つたのであります。熱がないとかあるとかいう問題ではなくて、並木君のように特に熱のある方からいうと歯がゆいかもしれませんけれども、別にその点についてアメリカ側が誤解しているとかなんとかいうことはないだろうと思います。
○並木委員 MSAの内容なんですけれども、私としては、これは個人的意見になるかもしれませんが、実は域外調達、こちらでつくりたい、つまり保安隊に対する武器でも、海上警備隊に対する装備でも、金だけ援助を受けて日本でつくりたい、向うでつくつた完成兵器とかそういうものでなく、こちらの自由につくりたいという意向を持つておるのですけれども、大臣はこの点についてどういうふうにお考えになりますか。
○岡崎国務大臣 保安隊の必要とするものは、自分の国の保安隊ですからなるべく自分の国の工業力でつくるのが当然であろうと思いますけれども、こういうものは設備に非常に金がいるものでありまして、保安隊の必要とするものが少量であれば、設備によけいな金がかかつて非常なマイナスになるという場合もありましようから、これは具体的に見てみないとわからないと思います。原則的にはそれは御説の通りだと思います。
○並木委員 まだ話し合つてないと言われるから、その話し合つてない大臣に質問するのはややむだのような感じもするのですが、今度のMSAの援助について、いわゆる軍事的援助、経済的援助、技術的援助とありますが、大体軍事的援助でありますか、それとも経済的援助も含まれるか、そういうことを話し合つているはずなんですけれども、もう少し腹を割つて答弁していただきたいと思います。なぜ私がそれを聞くかというと、五百十一条の第一項を見ると、軍事的援助の場合には例の六項目の条件が入つて参ります。ところがその第二項の外務省からもらつた案によりますと、(b)と書いてあるのですけれども、その(b)を見ると軍事援助を除いた他の経済、技術援助の場合には、第一項のような軍事的義務を必ずしも負わない条件になつております。つまり条件が違うのです。そこでお聞きするのですけれども、今度の場合の金額は向うで発表になりましたが、内容について伺いたいと思います。
○岡崎国務大臣 どうもまだほんとうに話し合つていないのですから、腹を打明けるも腹を打明けないもその腹がまだないのです。これはそうじやないのです。ほんとうなんですからそう御了承願いたいのですが、いわゆる一般にいわれております軍事援助というものは、幅の広いものがありまして、たとえば相互防衛の資材及び訓練というのもありますし、相互防衛のための財政的な援助というものもあるようであります。これは一般的のものですが、現にそういうものをいろいろの方で受けておるわけであります。その幅の広い中で、日本として受ける場合にどうなるかということについては今後の問題になると考えております。
○並木委員 大臣としてはもう当然話し合つておるということを私は前提として質問を用意して参りましたから、きようはこれだけにしておきたいと思います。 それでは協力局長に違う問題を一つお尋ねしておきます。それはおとといグローブマスターというアメリカの飛行機が落ちた。まことにこの点はお気の毒にたえません。しかしその落ちた周辺の救助作業にあたつて、現地の人の話を聞きますと、何ですか日本の警官も近寄れない、立ち会つておらない。警官はただ外で立番をされておつただけだということなんです。それから交通はすつかり遮断されてしまつて、かなり乱暴な言葉で日本人を叱咤しておつた。おそらくアメリカの警官隊、憲兵でしよう。率直な意見を聞いてみると、これじや占領治下とちつともかわらないじやないか、施設の中で起つたならばいざ知らず畑の中で起つた、施設外のところで起つたのに、日本人がだれも立ち会わないでああいうことが行われるとしたら、これは一種の秘密警察である、治外法権じやないか、そういう声が多いのです。事実昼間落ちた飛行機ですからどういう事情で落ちたとか何とかいう見分けもつきますけれども、あれが夜だつたらどこの飛行機だかわからない。それからまた飛行機事故じやなくてほかの場合にこれを想定して考えると、戦標すべき人権蹂躙という問題も起るわけであります。ここでちよつと何か事故が起つたなどと言つていきなりそこをオフ・リミツトにしてしまつて、日本の警官も近寄れないというふうであつたならば、これは非常に独立した日本としては主権の侵害になるわけなんです。そういうことが実際に行政協定から出て来るものなのかどうか。行政協定の条文で行くとどこから出て来るか。またそういうものがかりに出て来るにしても、その場合非常に過剰だと認められるこういうような場合に外務省としてはどういうふうな措置をとられるつもりであるか、この際お聞きをしておきたいと思います。
○伊関政府委員 私まだ現地における実情の詳しい報告を持つておりませんので、どういうふうなことが行われたか存じませんが、墜落いたしましたので、その墜落の原因等も向うとしては確かめたいと思いますので、人が近づいて参りますと墜落の現場が乱されることがおそらく困るのではないかと思います。行政協定から見ますと、軍機保護という条文はあるわけであります。それに該当した行為であつたかどうかにつきましては、現地の事情をもう少し詳しへ調べました上で、もしそれを逸脱しておりましたならばまだこちらの方で適当に処置いたすつもりでおります。
○並木委員 これはよく調べておいていただきたい。それから畑の中に落ちたからよかつたようなものの、付近に都営住宅などがあるのです。あの上にでも落ちたらたいへんなことになる。将来こういう事故が起らないように十分注意するということは、この前そういう事故が起つたときにも当局は答弁しておるのですが、絶対に起らないようにやりませんと、これこそたいへんな問題になります。もちろん補償などについては万遺漏なくやつていただけると思いますけれども、そういう点を特に要望して私はきようはこれで打切つておきます。
○池田(正)委員 関連して。ただいまの並木君のMSAに関する質問に対しても、また先ほど午前中の戸叫さんの質問に対しても、あるいは本会議においても、外務大臣は、政府はまだ何も折衝をしていないからわからないということで逃げを打つておる。私はあえて逃げを打つておると申しますが、これはどういう意味なのですか。正式の政府の外務大臣が、外務大臣としての岡崎さん個人がまだ向うの人たちと直接の折衝をしておらぬという意味か、日本のあらゆる機関を通じてまだ何らのそうした折衝をやつておらぬということであるか、そこのところを明確にしてもらいたいと思います。
○岡崎国務大臣 日本のあらゆる機関がまだ正式に話合いをいたしておりません。
○池田(正)委員 それならそこでお尋ねしますが、米国の下院が三月の初めから六月まで二十数回にわたつてMSAの援助問題について聴聞会を開いて論議されておる。しかもその中で日米関係の問題についても触れて、これを熱心に討議されておる事実があるのです。そのことについて外務大臣は一体御存じかどうか。
○岡崎国務大臣 その点は承知しておりますが、日本としてはやはり日本の考え方がありますから、アメリカ側でどうしようとも、日本としては自分の考えによつて行動したい、こう考えております。
○池田(正)委員 アメリカがどう考えているかとよけいな御答弁は、この際時間がないから省いてもらいたいのですが、それを知つておるかどうかということをお尋ねしたい。つまり一昨日同僚須磨君からも本会議で質問いたしましたように、ウオルムステツト少将とナツシユ国防次官補が三月三十一日にその聴聞会の席して証言しておる。われわれはすでにこの協定締結の準備的措置をとつたということをはつきり証言しておる。さらに同日ウオルムステツト少将がMSA援助を受ける資格のある相互援助協定の検討折衝は日米間で進展しておるということをはつきり証言しておる。さらにまたナツシユ次官補は五月二十日にこの協定の検討は新木駐米日本大使及びクラーク極東軍司令官、駐日米国大使の間で行われたということをはつきり証言しておるということが示されておるのですが、この点に対して、大体これはうそかあるいは真実か、それともわからないのか、はつきりしてもらいたい。
○岡崎国務大臣 どういう意味であるか私にはわかりませんが、少くとも新木大使とクラーク大将なり駐日アメリカ大使との間に話合いがあるなどということは、とうてい想像ができません。
○池田(正)委員 そうなつて来ると、われわれは実際、外交問題に関して現内閣のやつている処置について信頼感を持てない。信頼感を持てる内閣であれば、そうかというふうに一応了解することもできますが、今までのやり方から見て、これは私のみならず、あらゆる国民が信頼していない。ところが一方こういうものが出ておるということになると、これは全部うそだということになる。そうなつて来ると今われわれはここで論議してもしかたがないので、さらにこの問題は掘り下げて検討しなければならぬ。これは重大な問題で、しかも今後の日本の外交のあり方、あるいは外務省のやり方についても重大な決定的な意味を含んでおる問題ですから、そうなつて来ると、われわれはこれは場合によつてては、院議をもつて新木大使をこの議会に参考人として召喚して聞かなければならぬという事態に達するであろうことを、あらかじめ申し上げておきます。 そこでもう一つ伺つておきますが、先ほどの戸叶さんの御質問に対するあなたの答弁は、自衛力の漸増ということは政府の意図するところである。従つてそれには三つの条件があつて、それに当てはまれば受けるのだ、受けてもいいのだという意味に私は解釈したのですが、くどいようですがそこのところをもう一ぺんお聞かせ願いたい。
○岡崎国務大臣 私の申したのは、日本は自衛力の漸増ということを安全保障条約の前文でうたつておる。そこで自衛力を漸増するについては今言つたような三つの考慮が必要なのであつてその考慮の範囲内でできるだけ漸増して行こう、こういうことになつておるということを申し上げているのであります。
○池田(正)委員 私は頭が悪いせいかどうか知りませんが、岡崎さんの言いまわしが私にはどうも納得しがたいところがある。そうなつて来ると、結局そういう趣旨にかなえばMSAの援助も受けるというふうに解釈していいのですか。さつきはぼやかしておつたが、これは国民の聞きたいところなんだから、もう少しはつきり言つてもらいたい。
○岡崎国務大臣 MSAの援助条件というものは、自衛力の漸増というものは表面的には何も出ておりません。五百十一条にいろいろ書いております。しかし日本の場合にどれが当てはまるかはまだわかりませんが、要するに自衛力漸増をやればMSAの援助条件を全部満たすのだということには決してならないと思います。
○池田(正)委員 ぼくはそれを聞いているのではない。MSAを受けるか受けないかということが根本で、受ける場合には、政府が考えているようなそういう条項に当てはまれば受けるし、当てはまらなければ受けないというのか、そこのところをはつきりしてもらいたいというのだ。
○岡崎国務大臣 それはまだ話をしておりませんからわからないわけです。
○池田(正)委員 それは話をしておらぬからわからないと、かようなことは無責任千万です。いやしくもこれは世界の問題なのだ。これは日本全国民が注目している問題なんだ。しかも今後の日本の国防上、あるいは治安上、あらゆる機関に関連し、経済問題にまで関連して来る大きな問題があらゆる機関において取上げられて論議されているときに、わからぬというそんなばかな話はあるもんじやない。かような無責任な政府というものはあるもんじやない。そうなつた場合にはどうするかということの心構えがなければならないはずなんです。あなたに結論を今日出せと言つているのではない。もし政府が意図するような条件にかなえば受ける用意があるというのか、それでも受けないというのか。これもまだ折衝が開始されていないからそんなことはわからないと、そんなことで政治はできるものではない。この点をもう一ぺんはつきりしてもらいたい。
○岡崎国務大臣 それこそ私はお考えが違うと思う。無責任だというのは、自分の方の考えがはつきりきまりもせず、研究も十分でないうちに受けるとか受けないとかいうことが無責任なのであつて、まじめに研究をし、あらゆる角度から異なつた点を研究して、しかる後に政府の態度をきめるのが当然政府のやることであります。今検討中なのであつて、まだ先方と話す段階には至つておらないのです。そこで、先ほどからたびたび申す通り、実際のMSAの法律というものは長いものでありまして、そうしてその中で、各国が受けた場合の各国の今までの協定を見れば、どれも一律ではない。その各国の状況によつて違つておるのであります。従つて幅の広いものである。そこで日本でかりに受けるという話があれば、そのうちのどれとどれは望ましいか、どれとどれは望ましくないかということを、ずつとあらかじめ研究しなければならぬわけであります。その研究を今やつておるのであつて、具体的に日本に当てはまる場合にどうなるかということは、それはひとつ受けたいから話をしてみようという結論になつたときに、初めて向うと話をして出て来るのであります。その前に、向うと話もしないうちに、結論を言わないからとか、あるいはこうなればこうなるという仮定の問題について政府の意見を述べないから無責任だというのは、それは私は受取れないのであります。
○池田(正)委員 私が言つておることとは話が食い違つておる。私は、こういう場合に受けるとか、そういう具体的なことを言つているのではないのです。あなたは本会議その他でも、根本的には、経済的な援助にもなるという場合には受けてもいいと言つたし、さつきもそれに触れておつた。しかし言葉があいまいであるから、そこで私は確かめておるのです。というのは、こういう場合に受けるとか、ああいう場合に受けないとか、そういう具体的なことを言つているのではない。もしも日本の政府のあなた方が今希望しているような条件であれば受けるというのか。それでは希望している条件はどういうことであるかというこまかいことを私は聞いているのではない。基本的に日本の国情と利害とに一致すると政府が考えた場合に、それならばそういう場合には受けるというのか、どういう角度から考えても現在の情勢下においてはこれは受けられないというのか、この点を私は聞いているのです。世界の今までの各国とのいろいろな条約とかは私も多少は知つております。だからどういう場合ならば、たとえばユーゴとのような条約ならばいいというのか、そういうことを私は聞いているのではない。基本を聞いているのです。
○岡崎国務大臣 それならばよくわかりました。われわれとしては、国内の法規に何ら抵触することなくして、しかも日本の国情に最も適するような形でもつて受け得るものならばぜひ受けたいと考えております。
○池田(正)委員 そうすると大分わかつて来ましたが、そこで受けたいというこの基本の上に立つて、どうしたならば国民にも納得させ、国家のためにもなるというような方式で受けられるかということを目下研究している、こういうふうに解釈していいのですか。
○岡崎国務大臣 実はそう申すと少し私は言い過ぎになると思います。というのは、なるべくこういうものは公平無私、といつてはおかしいですが、要するに受けたいという先入観で研究するとついそつちの方へものが行きますから、なるべくそういう意味でなくして、あらせる角度から研究して、その結論がもしさしつかえないというならぜひ受けたい、こう考えております。
○池田(正)委員 どうも岡崎君はこのごろ答弁がたいへんうまくなつて、逃げることが上手になつた。そこでこれは、きようは関連質問ですから私はそれ母上あまり触れませんでいいかげんにしますけれども、しかし、研究すると言われましたけれども、この問題は起つてから相当の月日がたつておる。一体これはいつごろまでにきめるのか。しかもアメリカの新しい予算というものは七月から実施されている。もつともそれに必ずしも拘束されないということは了承できますが、大体のめどというものはあるはずです。大体いつころまでに政府が態度を決定して、そうしてこれをやるつもりか、その点をお聞きしたい。
○岡崎国務大臣 これはただいまのところお答え申し上げられるのは、できるだけ早くということですが、できるだけ早くということは、何といいますか、今国民もみな知りたがつていることでありますから、その意味から言つても、少くとも国民も知り、議会にもよくわかるような政府の態度を表明することは、そうおそくないと思つております。
○池田(正)委員 それでは伺いますが、そうすると国会の会期は七月一ぱいということになつておりますから、国会開会中に一応の政府の態度はきめたいという、そういうふうに了解していいですか。
○岡崎国務大臣 もちろんそのつもりでおります。しかしそれでも会期の終りよりは早い方がいいのでありますから、できるだけ早くというふうに考えております。
○池田(正)委員 それではほかの方の迷惑になるといけませんから、なお保留しておきます。
○熊谷委員長代理 大橋君。
○大橋(忠)委員 過日の外務大臣の演説の中に、日米条約締結の利点をあげておるのでありますが、「現在在米邦人の大多数が従事している農業も既得権として尊重される結果、彼らの生活の基礎を安定するなど、幾多の利点」がある、という、その既得権というのはどういうことを意味するのですか。
○岡崎国務大臣 既得権と申しますのは、原則として相互主義に基きまして、相互の既得権を認めることにいたしております。従いまして従来の既得権というものは、アメリカにおけるいわば一世ですが、正式に認められてない者が今度は認められるという意味であります。
○大橋(忠)委員 正式というのは、土地法のことですか。加州の土地法ならば、すでにこれは無効になつております。
○岡崎国務大臣 これは主として一世のステータスに関係するものであります。
○大橋(忠)委員 それはどういうステータスですか。
○岡崎国務大臣 今まで既得権としてでなければいろいろの名義等でもつて事実上農業をやつていた部分もあるのでありますが、そういうものも今度は認められる、こういう趣旨であります。
○大橋(忠)委員 それは間違いだろうと思うのです。つまり土地法があると思つて、こういうものを書かれたのだろうと思つておる。土地法はもうなくなつておる。日本人も帰化可能の外国人になつておるのであります。その前にもうすでに加州の大審院で憲法違反である、だから無効であるという判決もある。ぼくはそれを間違えられてやられたのじやないか、こういうふうに推測しておるのですが、それでよいのでしようか。
○岡崎国務大臣 これは御承知のようでありまして、州法はそれぞれみな違つておりますが、今は日本の在留民といいますか、加州にいたしてもずいぶんほかにまわつております。ほかの方の州の都合もありますので、そういうふうに申しました。
○大橋(忠)委員 それは率直に認めなさい。すなわち、マツカラン・ビルというものができた結果、土地法も無効なんです。日本人も帰化可能な外国人になつておる。今一世で農業をやつておるものはほとんどありません。平均年齢がすでに七十歳です。従つてこれは明らかに間違いである。あえて追究しないから、それはあつさり認められたらどうですか。
○岡崎国務大臣 しかし、七十歳とかなんとかおつしやいますが、必ずしもそうじやないのでありまして、自分が農業を営んで、自分の手で必ずしもやつておるとは言えませんから、その点はやはり必ずしも間違いじやないのでありまして、これは加州だけの問題じやありません。
○大橋(忠)委員 その問題は、加州でもどこでも二世の時代で、一世はほとんど百姓をやつておりません。のみならず、それはマツカラン・ビルによつて、日法人も全部アメリカ人と同等に土地も取得し、農業もできることになつております。これは私は間違いであると認定します。 次いで、実はこの前の国会においてわれわれ移民関係者が決議案を上程いたしました。その際にぜひひとつ移民局をつくつてもらいたい、第二には、移民審議会を設けてもらいたい、こういうようなことを要望しておいたのであります。しかるにこの二十八年度の予算を見ますと、移民局だけは予算に載つております。しかしきわめて不満足な形において載つております。しかしこの移民審議会の方は、一向予算面に出ておらぬのでありますが、この点に関する外務大臣の御所見はいかがでございますか。
○岡崎国務大臣 この政府の基本的な方針としまして、いわゆる委員会とか審議会というものは、できるだけ減らそうということにして、何べんか過去においてもそれをやつたのであります。そこで今回の場合も御趣旨はよくわかつておりますが、これを審議会とするか、あるいはそのほかの形で実質的に同様の効果の上るような組織にするか、これはちよつとただいま考慮中であります。
○大橋(忠)委員 東南アジアに関する問題については、審議会式のものが最近できました。そうして盛んに議員団その他が東南アジアの方に行かれますが、私はこれは考えものだと思う。日本軍に占領せられたなまなましい記憶のある国家に向つて、あまりに政府が先頭に立つてやられるということになると、ことにアメリカの強い力を背景にしてやつて行く、そうして開発するというようなことになつて来ますと、彼らはまたとられはせぬかというので、非常に疑惧の念を持つ。そうしてあけかけた戸もとざすようになりはせぬかと憂慮しておるのであります。移民審議会の方はそれと違いまして、主として南米の問題でありまして、そういう方面には一つも私は響きがないと思います。従いましてこの前の決議案の際においても満場一致でもつて決議されているような次第でありますから、この点はぜひ一つ審議会をつくられるよう希望してやまないのであります。 次いでお尋ねしたいことは、日本は西欧陣営に協力をするということになつております。MSAの援助でも受ければ、それはさらに具体的に一歩進むわけでありますが、そういう場合におきましてわれわれが最も遺憾に思うことは、移民の観点から申しますと、日本人はヨーロツパ人と同じ待遇を受けてない。カナダ、濠洲のごときは、一人の日本人も入ることができない。北米合衆国といえども、形式的には平等の割当になつておりますが、実質的にはまだ一年に百五、六十人くらいしか入らない。実質的には非常な差別待遇でありまして、アメリカ国内においても反対が多くて、トルーマン大統領のごときはこれにヴイトーをしたというごとき状態であります。第一次世界戦争の終りのヴェルサイユ会議の際に牧野全権が人種平等案を出した意図も、主としてそういうところにあるのであります。日本を国防の前線に立て、働かせる。ところが自分らの国の中では日本人を差別待遇して、人種によつてきたないもの扱いするというようなことでは、その協力が、かりにするという約束はしても、心からなる約束には進めないのであります。そこで今日のこの人口問題に苦しんでおる日本としては、声を大にしてこの点を世界に向つて絶えず叫び続けねばいかぬと思うのですが、今日までの総理大臣や外務大臣の演説を聞いてみましても、ひとつも、それがないのであります。私は非常にこれは遺憾に思つております。移民の問題にいたしましても、日本は移民によつて人口問題を解決できないというようなことが言われるのでありますが、ヨーロツパの国々、イタリアのごときは移民で人口問題を解決しておる。その他のヨーロツパの国々も、過剰人口はどこでもすきなところへどんどん行つて、現に東ヨーロツパのデイスプレイスド・パーソンズのごときも、二十万からの人が北米合衆国に入れられております。そこで私は、日本の外交はどうしても世界の門戸を日本人にも開放するということを強く求要する必要があると思うのであります。従いましてこのMSA援助のような問題に関連いたしまして、この点を強く交渉の際に要求して、そうしてこれを打開すれば、移民問題というものも非常に大きな問題になつて来るのでありますが、政府のこの点に関する御所見はどんなものでありましようか。
○岡崎国務大臣 まず移民審議会のことから申します。アジアの経済懇談会というものをつくつておりますが、これは単なる懇談会でありまして、何ら権限もない非公式のものであります。移民の審議会は、審議会とするかどうかは別といたしまして、お話のようにできるだけこれは正式なものにいたしたいと考えておりますので、いずれにしても何かつくることは必ずつくるつもりでおりますが、そういう意味で今考慮中でありますから、ひとつ御了承を願いたいと思います。 それから今おつしやつた点でありますが、これはまことにごもつともでありまして、人口問題の解決になるかならぬかという議論は別といたしまして、移民がよけい出得るということは、それだけでも国民に何か広い希望を与えるものでありますし、またそれに関連して、日本の通商とかあるいは文化の交流とか、いろいろな意味で役に立つのでありますから、できるだけ政府としても努力するつもりでおるわけでありまして、それがむしろ行政簡素化の方に向つておる今日でありますが、外務省としては特に海外移住局というものを設けよう、こういう結論になつたわけでありまして、今後ともできるだけ努力をいたしたいと思います。
○大橋(忠)委員 なほ、ブラジル移民の問題についてお尋ねいたします。私が今から二十数年前、移民課長時代に送つた移民が非常に成功いたしまして、今日においては一億円以上の資産家が非常に多い。非常な成功であります。ところが今後日本から移民を出す上におきまして、日本で渡航費を援助して送り出すということは、今後外貨が少くなるに従つて次第に困難になるのではないかということを、私はおそれるのであります。そこで、どうしてもこれは向うにおる在留同胞に金を集めてもらつて、そしてブラジル拓殖会社のような機関をつくつて、向うの在留同胞のお金で日本の方から移民を呼び寄せてもらうというかつこうにすることが、移民政策を長く続ける上において一番大事だろう。ことに、承るところによりますと、正金銀行の凍結資産というものが近く解除され、これが約八億円だと承つております。そういうものをもとにしてブラジル同胞の協力を仰いで、一大ブラジル会社をつくるようにわれわれが働きかけて、そしてそういう機関で日本の方から移民を呼び寄せてもらうという方向に進めることが、私は移民問題の永遠の対策として一番適当だろうと思うのであります。こういうことについては政府はどういうお考えを持つておいでになりますか。現在までどういう施策をやつて来ておられますか。この点についてお尋ねいたします。
○岡崎国務大臣 私は正直なところを申しますと、大橋君ほど知識がないのでありまして、むしろ御意見を伺いたいのでありますが、そういう種類の問題は前からいろいろ聞いております。今度おつしやるような審議会式のものができますれば、この問題もひとつ第一に研究してみたいと考えておるわけであります。ただ正金銀行の金は、これは政府がかつてに使い得るものではないのでありまして、話合いによつて何かしてくれれば別でありますが、これをどうするということをここで申し上げるわけには参らぬと思います。これは前からの考え方でうまく運営さえできればけつこうなことには違いないのでありますが、そういう具体的な問題も各方面の知識を集めて十分討議してみたいと考えておるのであります。
○大橋(忠)委員 最後にお尋ねしますが、来年の一月サンパウロでもつてサンパウロ開市四百年祭が行われます。これについて日本の協力を求めて来ておることは御承知の通りであります。本年の二月二十五日今村君の質問に対して外相は、大いにやるということを言つておられるのであります。現在政府としてどういう具体的な御協力をなさる意思でありますか、その点をひとつ御説明願いたい。
○岡崎国務大臣 これも当初地元といいますか、ブラジル側から持つて来た案がまた変更になりまして計画がえになつておるようでありますので、こちらとしてもそれに応じなければならぬわけでありますが、この間も関係の方方が私の所に来られましていろいろ相談しました。国内でも相当の金を集めなければならぬということで、ただいま日銀総裁等に相談しておるのであります。政府としてただいま要求しておりますのは、たとえばある種のミツシヨンを出すとか、あるいは見本市のようなものをそこで開催するかどうか。その他多くの費用は主として地元と日本の国内で募金をする計画になつておるようであります。これにつきましては政府はできるだけの援助をするとともに、ある程度の予算によつてミッシヨンを出すとか見本市を開催するとかいうことにつきましては積極的に協力しよう、こう考えております。
○大橋(忠)委員 私はこれで質問を打切りますが、最後にひとつ政府に要望があります。実はこの移民問題というのは、ただ単に一年にどれだけの日本人が行く、それだけ日本人の人口が軽くなる、そういうものでないことは御承知の通りであります。向うに行つた移民が終戦以来日本に送つて来た郷里送金にいたしましても、あるいは物の形で送つて来たその量にしましても、莫大な数量に上つておるだろうと思うのであります。また彼らが故国を訪問いたしまして落す金、あるいは日本の船に乗り、将来——これは将来のことでありますがあるいは日本の飛行機にも乗る。あるいは日本の銀行を利用する。イタリアのごときはほとんど移民の落す金で食つておると言つてもいいくらいなものでありまして、私は北米並びに南米方面に行つておる日本の移民が、終戦以来どれだけ日本に経済的の寄与をしておるか、その点をひとつ政府の力で調査していただきたい。そうせぬとこの日本の移民なるものの日本に対するほんとうの寄与というものはわからないと思うのであります。その点を要望いたしまして私の質問を終ります。
○熊谷委員長代理 喜多壯一郎君。簡単に願います。
○喜多委員 簡単に行かないのですから、念を押すだけして、あと二十四日に譲りますが、十一月二十八、二十九、三十日にわたつて林屋国務大臣と伊関局長がいらしたときに、先ほどあげました一から六までの条件と、及びそれに付随した河北潟干拓、すなわち百五十億円という吉田内閣総理大臣の好意によるんだというこの七つの条件、これは多分十二月二日の閣議で局長なり国務大臣から発表されて、外務大臣は了承せられて閣議決定事項の文書となつて残つておると思いますが、残つておりますならば、その文書の写しをひとつ二十四日の定例の委員会に示していただきたいことが一つ、それから内灘試射場の使用の場合において、日米合同委員会で内灘を試射場して四箇月間ためしに使うという、風紀問題その他が起きなければ永続するのだという言葉が、多分外務大臣の答弁のうちにありました。確かなことは速記録にありますが……。そうすると最初から四箇月という条件を与えて、今日絶対反対を叫ぶまでに至つているのにかかわらず、政府は腹の中で、腹黒くもうまく行つたならこれで永久使用にするのだという腹構えがおありになつたと私は感ぜられるのです。おありになつたかどうか、それが二つ。もつ一つ、日米合同委員会で内灘砂丘地帯を使うというときには、合同委員会の席上で、日本の代表伊関局長はただ口約で済まされたのか、あるいはその口約と私は外交上のテクニツクはよく知りませんが、一つの覚書というものになつているのか、念書というようなものになつているのか。われわれ俗人仲間で、それじや間違いないようにやるんだぜ、一件よつてくだんのことしというふうなものが、一体あつたのかどうか。言いかえればメモ、ノートというふうなものを、きようは御用意がないと思いますから、この次に発表していただきたい。そうしてそのメモによれば暫定なのか、四箇月間ということを日本側はアメリカ側に示してあるか、それとも期限付四箇月ということをうたつてあるかどうか。さらに四つ目、内灘試射場の用地は大部分が国有地であります。ただそのうちにいわゆる権現の森という私有地がありますから、地元民の意思にいかんにかかわらず、最悪の場合ならば強制接収とい一か、徴用というか、それが可能だと、最初からのんでかかつておられたらしいが、できるものかどうか。それと、これは伊関局長にお尋ねしたい。先ほどありました外務大臣も大体に肯定しておられる条件、その七つ目の百五十億円の河北潟干拓については、外務大臣は、できればいいことなんだから、してもみたいと思われるというふうな、ハムレットでも使うような言葉で結んでおられる。ところが、局長はそのことについて、きのうお話になつた事実はありませんか。
○岡崎国務大臣 御質問の第二の点でありますが、四箇月で切るか、それともずつと使おうという腹づもりでやつておつたかという点ですが、これは補償の額等をごらんになればわかりますように、四箇月だけ使うのに、そんなにたくさんの国費を使うのは、これは当を得ておりません。それは風紀の問題とか、いろいろの問題が出てやむを得なければこれは見込み違いでしかたがないのでありますが、できれば、そういう問題が起らないという前提のもとに立てば、使用したいというつもりでおつたのであります。しかし、実際にやつてみなければわかりませんことですから、四箇月までに切つて、そうしてその状況を見た上で、あらためて話を出してみたいという考えでおります。それから、閣議には、これは何べんか話がありましたので、たとえば河北潟のことは、おそらく、初めのうちから出ておつたと思いますが、さつきお話の中の、たとえば交通施設なんというものは、大分あとから出て来たのであつて、初めのときは、あの内灘の町の中の道路の問題というので出て来たと思います。そんなふうで、今ここにはつきり申し上げられませんが、いろいろの条件が一ぺんにきまつたのではなくて、だんだんにきまつたと私は了解しております。合同委員会のことは伊関局長からお答え申し上げます。
○伊関政府委員 普通、合同委員会でとりきめます際は、閣議の決定を経まして、それから合同委員会で文書をもつて、この施設提供をいたすわけであります。そのときに、文書は一時使用となつておりますか、四箇月というふうに、はつきり文書はなつておりますか、あるいはその点は口頭で言いましたかは、調べましてから御返事いたします。それから昨日河北潟の話をしたかということでございますが、昨日は、どれをおつしやるのか、私がラジオで録音したのが、たしかきのうやつたのではないかと思うのでありますが、それでも言つておるかもしれませんし、雑誌の懇談会にも、きのうの朝参りましたが、おそらく所々方々でやつておりますから、どこでどう言つたか覚えておりません。
○喜多委員 それでは私からひとつ示唆します。緒方副総理と林屋国務大臣とあなたと会われて、こういうふうに紛糾して来た——ちよつとさしはさみますが、今外務大臣は風紀問題等のめんどうなことが起きなければというが、今の内灘の絶対反対の空気というものは、外務大臣も失言して困られたのですが、外からなんということばかりじやない、村民は死を賭してやつている。そのことの方が実は風紀問題よりも大きな問題ですよ。これはこの問題が起きて来たらどうですか、風紀問題以上に大きいのだから、最初の四箇月という公約で、あなたはとにかく四月三十日限りで試射を打切られた。打切つたということは、公約を重んずるということが前提条件で打切られた。そうして一方では、出した金は、喜多委員よ、少しよけい過ぎるだろう……。これは大きな矛盾ですよ。私にはわかります。出すものはよけいとられたんだが、日限はきちんと四箇月ということを地元民、漁民も正確な記憶で、四箇月とこう思つておつたから、なぜ打切られたかというと、公約を重んじ採打切られた。そこで風紀問題等の紛糾がないから続けるんだ——これは市井の無頼漢といえども言うべきことじやありません。公約を重んずるならば、四箇月ということで、後ほど文書でお答えを願いたいと示してありますから、お答えがあると思いますが、それに基いて、私の方の立場の意見と外務大臣の意見とをひとの闘わして事の筋を運んで行きたいと思います。そうして一箇月間余裕を置いて地元を納得させて行くんだと言つているかと思うと、今度は継続使用、元来日本語はボキヤブラリとして、なかなか意味が不明瞭でもつて、逃げるにはいい言葉がある。しかし突き詰めて行くときになると、不正確な言葉になるが、継続使用ということは、四箇月で打切るということを、みずから政府が打捨てられた意味で出て来る継続だ。どこから継続するのか、昨年の一月から継続ということに普通私どもの常識ではとる。政府みずからは公約を守るという、打切つたことは打切つたが、腹構えはどうせ継続使用、出した金はよけい過ぎる。矛盾と食い違いと同時に食言、私はその責任を痛感しなければ、この問題は解決できないと思う。金や補償だけじやない、政治に信なくして、何の政治の意義がありますか。吉田内閣は信なくして政治をやろうとするならば政治じやない。この点については、今私は外務大臣の答弁を求めません。お考えになつて、二十四日まで宿題にしておきましよう。 もう一つ伊関局長に申し上げたいが、きのう雑誌や何かいろいろおありになつたが、緒方副総理と林屋国務大臣とあなたとで、この次の選挙までにこの干拓を仕上げようじやないかというお話をなすつたことはございませんか。
○伊関政府委員 そういうことは絶対にございません。
○喜多委員 それでは私は先ほどお願いした文書の写しを出していただくこと、及びそれに関連したことを留保して、他の委員の方に質問をお渡しします。
○熊谷委員長代理 田中稔男君。
○田中(稔)委員 朝鮮の休戦ができるかできないかということは、わが国にとつて重大な関係がありまして、私どもはその休戦の実現が近いというので非常に喜んでおつたのであります。ところが最近御承知のごとく北鮮軍のいわゆる反共補虜が、李承晩大統領の命令に基き、また現地の国連軍の暗黙の了解か、あるいは黙認のもとに、突如として釈放された、こういうことになりましたので、休戦協定の成立に暗影を投じている事情でありますが、この問題は人事ではないのでありまして、われわれ日本人といたしましても非常に重大な関心を寄せているところであります。岡崎外務大臣は、アリソン大使から情報を受けて、それに基いて、吉田首相にも御報告になつたような新聞記事も出ておりましたから、外務大臣として御存じとところを、できるなら詳細にひとつ御報告願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 休戦会談の前途につきましては、私も材料を持合せておりません。これは中共側なり北鮮側なりが、どういう態度に出るかまだわかりませんので、何とも言われませんが、私の承知しておるところでは、アメリカなり国連軍と韓国側とが、話合いとかあるいはなれ合いで捕虜を逃がしたということは、絶対にないのだというふうに承知しております。現にアメリカ側は非常に当惑しておるようであります。また部下の将兵に命令して逃亡した捕虜を再びつかまえるということにも非常に努力を払つておるようであります。
○田中(稔)委員 きわめて簡単な御答弁でありますが、朝鮮休戦が、成立することを希望する者と希望しない者とがあるわけであります。これはアメリカにもありますし、日本にもありますが、日本が独立国であれば、自主的に朝鮮休戦の成立に対して一定の意思表示をする必要があると私は思う。朝鮮で休戦が実現することが望ましいならば、アメリカその他国連の関係諸国に対しまして、ぜひ休戦の実現に向つて努力してもらいたい。日本自身は今積極的に行動することにできませんが、国連の関係諸国に対しまして、そういう要望をひとつ提示することは少しもさしつかえない、むしろ必要なことでありますが、そういうふうな要望を行われたことがあるかどうか。しかしまた外務大臣が朝鮮休戦を希望しないというならば、李承晩大統領のように、むしろ休戦に反対という意思表示があつてもいいと思うのでありますが、そのいずれかの意思表示をアメリカその他関係諸国に対して行われたことがあるかどうか、ひとつお尋ねしておきます。
○岡崎国務大臣 われわれは朝鮮休戦ということは非常に希望しております。従つて一度でなく、再三われわれはこれを希望するという意味をアメリカその他関係国には言つております。また御承知のように、総理の施政方針にも、私の外交演説にも、その点ははつきり述べております。
○田中(稔)委員 この際私はさらに外務大臣に対しまして、日本の国民の少くとも大多数は、朝鮮休戦の成立を希望している。そうして反共捕虜の釈放という、こういう事態のためにあるいは朝鮮休戦の成立が遅延するのではないか、あるいはまたそれが頓挫するのではないかというようなことを非常に心配しておりますから、ひとつ独立国であれば独立国日本の外務大臣として、さらに積極的に、やはり国連の関係諸国に対しましても、働きかけていただいて、休戦協定のすみやかなる成立のために御努力願いたいと思うのであります。 次に、かねて私が質問をしておることでありますが、在日華僑の帰国の問題と、それから花岡事件その他の遺骨の処置の問題でありますが、実は昨夜東京におります帰国希望の華僑の諸君三百名ほどが東京駅を立つた。最初これは十一時何十分かの汽車で立つ予定になつておりまして、私もそれを見送りに行つたのでありますが、これが予定を数時間遅れて、やつと二時半ごろに出発いたしました。その間の事情については、外務大臣はまだ詳細御存じないかもしれませんけれども、この帰国を希望する華僑諸君の乗る列車が本来荷物や小荷物を輸送する専用軍であつて、それに四両の客車をつけた、そういう編成でありましたので、おれたちを荷物扱いするかということで非常に感情的に話がもつれまして、私ども中に立ちまして駅長に交渉いたしました結果、やつと荷物は、その華僑の諸君の荷物だけを一両にまとめたものをうしろにつけるが、そのほかの荷物を載せた貨車は別に切り離すということになりまして、客車を主体とした特別列車を編成した。それもまた病人もおりますし、女子供も非常に疲れた人もおりますので、二等車を特に二両連結するということでやつと納まつたのであります。実はこういうことでいよいよ出発のまぎわにごたごたするということは、どうもおもしろくない。中国から在留同胞が帰りました際のことを聞きますと、列車の編成でも特に注意をして、病人その他のためには寝台車を用意するとか、それから主要な駅々では湯茶の接待をする、非常に至れり尽せりにサービスをして送つてくれたというのでありますが、これに引比べまして、帰国華僑の輸送の場合には、どうもほんとうに真心がそこにこもつていないというような扱い、それが昨日現場において暴露されたのであります。これは外務省が日赤に一切おまかせになつておる仕事でありますけれども、しかしやはり私は外務省の責任だと思うのです。岡崎外務大臣が、中国から三万人の日本人が無事に親切な扱いを受けて帰つて来ているという事実をほんとうに御存じならば、わずか千人やそこらの華僑が故国に帰るその際に、もう少し人道的なあたたかい思いやりをもつてお取扱い願いたいと思う。そういう点で、非常にどうも誠意のない態度であれば、今後日中の国交の回復というようなことを考えましても、非常にあとにしこりを残す、禍根を残す、こう私は思うのです。このことは、あえて政治的に私が攻撃するというようなことで申し上げるのでないのでありまして、今後まだ何回か輸送が行われることと思いますので、今後は列車の編成にしましても、それから湯茶の接待その他にしましても、運輸当局あたりに御連絡を願いまして万遺漏なきを期していただきたい。この希望を申し上げておきます。 それから花岡事件の遺骨の問題も長い間の懸案であります。ところがこの間、私は外務大臣もおられないし、アジア局長もおられないので大江官房長に対しまして質問をいたしましてお伝えを願つたのでありますが、この遺骨を送るにあたつて台湾政府に気がねをしてか、荷物としてそつと持つて帰るのなら黙認をする、しかしながら宗教的な儀礼をもつて丁重にこれを送るというようなことであれば困るというようなお話であつて、どうも華僑の諸君も非常に不満に思つておつた。ところが昨日東京駅で聞いた話でありますが、石井運輸大臣が自分でちやんとサインまでしまして、そして何かメモみたいなものを華僑の帰国問題に関する団体の責任者に与えておるのであります。それによりますと、花岡事件の遺骨は第四次の帰国船の往航を利用して送る予定であつたけれども、ほかの方面から集まる遺骨、そういうものを全部まとめて第六次の帰国船の往航を利用して送る。そうしてこれは送るためには、奉持者として十五名以内の代表者の乗船を認めるというような覚書、メモみたいなものを出しておるのですが、これはこの問題の取扱いにおきまして、私は一歩前進しておると思います。この石井運輸大臣の覚書といいますか、そういうものについて岡崎外務大臣は御存じであるかどうか、ひとつお伺いしたいと思うのであります。その御答弁をいただいて、また質問いたしたいと思います。
○岡崎国務大臣 石井運輸大臣が何かそういう意味のことをされたことは聞いておりません。根本的の考え方として、遺骨でありますから荷物と同様に取扱うべきものでないことは当然であります。できるだけ華僑等の要望にもこたえて、しかも送還にさしつかえないように努力するのがわれわれの考え方であります。そこでそういう点については、まだ少しひまもありますが、できるだけいずれの方面にもさしつかえないような方法で考慮したいと思つております。
○田中(稔)委員 私は在日華僑の帰国問題と遺骨の送還問題についてたびたび質問いたしましたが、その際にも私はあまりこれを突き詰めて追究するというような質問ぶりを実はしておらないのでありまして、外務当局が台湾との関係において、いろいろ苦しい立場にもお立ちになつているだろうということを私どもお察しいたしまして、いろいろ便法もありましようから、できるだけうまくやつていただきたい、こういうことを希望しておる次第でありますから、きようもこれ以上追究することはいたしませんが、どうか華僑の帰国の際のいろいろな取扱いにしましても、それから遺骨の送還の場合にしましても、できるだけ儀礼を尽し、親切を尽したおとりはからいを願いたいということを特に希望いたしておきます。
○熊谷委員長代理 それでは本日はこれにて散会いたします。 午後三時七分散会