外務委員会 第4号
- 発言数
- 76 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1953/06/17
会議録
○上塚委員長 これより会議を開きます。 まず貨物の原産地虚偽表示の防止に関するマドリッド協定への加入について承認を求めるの件、次に千九百五十二年七月十一日にブラッセルで締結された万国郵便条約及び関係諸約定の批准について承認を求めるの件、これを一括議題にいたします。 なお今日は外務省より大江官房長、下田条約局長、郵政省より松井郵務局長、小野貯金局長、通産省より正木特許庁総務部長が出席いたしておりますから、御参考までに申し上げておきます。これに関する質疑を許します。
○田中(稔)委員 政府委員の方はまだ御出席はありますか。
○上塚委員長 今申し上げました方々が出席いたしております。
○田中(稔)委員 そのあと追加で……。
○上塚委員長 黄田経済局長も見えることになつております。
○田中(稔)委員 倭島局長は来ませんか。
○上塚委員長 すぐ手配いたします。 通告順によつて質疑を許します。並木芳雄君。
○並木委員 万国郵便条約について一点だけ質問しておきたいと思います。それは最近外国郵便の料金が下るというようなことを聞いたのですけれども、その点どうなつておるか。もし下るとすれば、いつから実施されて、幾らになるのか。それからこれに関連して、外国電報の料金はどうなるか。それと、この一箇年間くらい、平和条約発効してからでいいですけれども、外国電報為替、その他の取扱いの数量、金額、それから今後の見通しなどについてお尋ねしてみたいと思います。
○松井政府委員 お答えいたします。ブラツセルで昨年の七月に調印されました万国郵便条約によりまする外国郵便の基本料金については、いろいろな議論があつたのでありますが、これは大体建前が金フランでできております。また各国通貨のいろいろな情勢を考えまして上下に幅がとつてあるので、一応料金自身としては、条約としてはすえ置きである。ただその国の状況によつて、その基本料金よりも前後に六〇%の幅を持たしめるということになつております。しかし従来日本はその基本料金をそのまま適用しておりまして、これを特別に上げも下げもしておりません。その意味において、基本料金というものはかわらないのであります。ただ今日御承知のように、外国郵便のほとんど七割というものは、航空路によつて運ばれることになつております。そしてその航空路によつて運ばれる割増し料金というものが、実は基本料金よりもはるかに高い額を占めておるのが通常であります。ところが航空の割増し料金の基本になつておりますのは、各国がお互いに航空路によつて運んだ場合に決済する基本料金というのがございます。これは従来大体ヨーロツパ地域は、普通われわれLCと申しておりますが、主としてレターとかカードというものについては、ヨーロツパ地域は金フランで一トン一キロメーターについて三フラン、その他の地域は六フランということが、前回のパリ条約においてきめられた問題でありますが、その後いろいろ航空の発達によりまして、この六フランというものについていろいろな異議、が出まして、中間におけるIATAと申しますか、大体世界のおもな航空会社の一つのアソシエーシヨンでございますが、こちらとの間のいろいろな話合いの結果、これは両方をコンビネートする場合には五フランにしようというような形で進んでおりましたところ、さらに一歩進みまして、ヨーロツパ地域の三フランというものはそのまますえ置きにする、しかし従来三フランを越えておつたもの、たとえば五フランのコンビネートの料金をとつておつたもの、あるいは六フランの料金をとつておつたものは、今度は四フランにしようということになつたわけであります。金フランの一フランというものは、大体今日、日本金に換算して百二十円ぐらいになります。これが一トンーキロメーター運ぶ際において、従来六フランあるいは五フランというものを払つておつたところが四フランで済むことになります。その範囲内において――日本から外国へ払うような航空の料金というものは、その限度において二割ぐらいは低減されるわけであります。ただ今日いろいろ一般の方々の便宜のために、私どもは航空の料金と通常の料金というものを一括して一本の料金の体系をとつております関係上、これを全般として見ますと、大体において一割程度現在の料金よりも下げてさしつかえないという私どもの計算上の結論になつております。そこで七月一日からこのブラッセル条約が御承認を得て批准が済みますれば発効するわけになりますが、そうしますと大体航空路に関するものについては従来よりも平均において一割を下げて、巾には、たとえばはがきのようなものは従来の半分ぐらいに引下げをしたいというようなものもありますが、全体としては大体一割の値下げをしたい、かように考えております。これが今度のブラッセル条約を批准する上におきまして、直接われわれが利益を受ける点であろうと思います。 それからお尋ねの外国郵便の大体の趨勢というものは、最近どんどんふえて参りまして、日本から出す分と到着する分と若干の差異はありますが、一年間に千七百万通ないし千五百万通というところがここ一、二年の間に上下しておる数字でございます。
○小野政府委員 ただいまお尋ねの外国郵便為替の最近の取扱いの実情でございますが、二十七年度――前年度を見ますと、日本から外国あてに振り出しました件数が三百二十八件ございます。それに対して日本に外国から振り当てて参りましたものの数が八万七千六百九十口であります。非常に片為替になつておるような状況であります。金額にいたしまして振出しの方では米貨で三千九百六十二ドル、邦貨に換算いたしますと百四十二万九千三百十八円、払渡しの方では金額が米貨で二百三十九万七千九百四十一ドル、邦貨にいたしまして八億六千十六万一千三百五十七円、こういうような状態になつております。国別で概略を申し上げますとアメリカが最も多いのでありまして、日本からアメリカに行く為替を振り出しました件数が二百八十四件、金額で三千三百八十九ドル、邦貨で百二十二万二千八百二十八円、これに対しましてアメリカから日本にあてて振り当てられましたものが、件数で八万二千八百九十七件であります。金額は米貨で二百二十七万八千六百六十七ドル、邦貨で八億一千七百三十五万七千六百八十一円、かような状況になつております。その他ドイツ、スイス、オランダ、デンマーク等がありますが、これはいずれも金額、件数ともにあまり多くございません。大体そういつたような取扱いの実情であります。
○並木委員 外国郵便値下げの実施期は七月一日と了解してよろしゆうございますか。 それから外国電報についての点がまだ答弁をいただきません。
○松井政府委員 七月一日にいたしたい、但しこの条約の御承認を得て批准ざれるという前提のもとに七月一日に実施したい、かように考えております。 それから電報のことについては、実は私当面の責任者でありませんので、別の方をさつそく連絡いたします。ここに出席されている方には、ちよつと電報関係の専門家はいないと思いますので、別に私の方から連絡させていただきたいと思います。
○上塚委員長 並木君、よろしゆうございますか。
○並木委員 よろしゆうございます。
○上塚委員長 それでは戸叶里子君。
○戸叶委員 マドリッド協定加入に関する点で、一、二点伺いたいと思います。まずこの協定に加入することによつて、日本にとつて有利な点と不利な点を伺いたい。
○下田政府委員 日本にとりまして有利な点とは、漠然たることでございますが、遺憾ながら従来とかく日本の業者に不正競争をやる者があるといううわさがございまして、日本の対外信用を傷つけておつた部面がありましたのは事実でございます。その外国の不信の念を、この条約に日本が加入いたしますことによりまして晴らすというのが利点だと存じます。不利な面といたしましては、別にございませんが、ただ業者におかれましては一々この協定にひつかかりはしないかという点について、気をつけていただかなければならないという点で、多少自由が拘束されると申しますか、そういう点はあると思います。しかしながら、いかなる条約に加入いたしましても、国家が加入したらそれを守らなければならないのは当然でございますから、あながち不利という言葉は当らないかと思いますが、そういう点があるのは事実だと思います。
○戸叶委員 業者が幾らか拘束されるという点に関連することなんですけれども、原産地虚偽表示の範囲で、日本に最も関係の深いものは一体どういうようなものがあるのか。つまり、日本に最も関係が深いもので、原産地虚偽表示と思われるものはどういうようなものがあるかということを伺いたい。
○下田政府委員 実のところ、日本に関係深い部面はあまりないのでございます。このマドリッド協定自体が、実はヨーロッパにおけるぶどう生産国――フランスでありますとか、ポルトガル、スペイン、イタリア、そういうぶどう酒生産国が非常に主張いたしまして、この協定が工業所有権の一般条約以外に特別の条約としてできたものでございまして、ヨーロツパ諸国に比べますと、日本は割合に利害関係が少いということが、一般的に申されると存じます。ただしかしながら、日本でも甲州のぶどう酒初め、ぶどう酒の生産もございますので、そういう部面では多少関係が生ずることになると存じます。
○戸叶委員 それでは、名前のことでもう少し具体的に伺いたいのですが、たとえばぶどう酒で、ポートワインというような名前が出た場合に、日本で今までポートワインという名前を使つて生産しておりました表示というものは、使えなくなるでしようか。
○下田政府委員 ポートワインという名前のぶどう酒を売り出しましても、そこにはつきりメイド・イン・ジヤパンという原産地を明記しておきますれば、この条約には抵触しないわけであります。
○戸叶委員 そうしますと、この条約に加盟しておらない国に日本のポートワインが送られるときにも、やはり向うの裁判にかけられるわけでしようか。たとえばアメリカはこういう条約に入つていないと思うのですけれども、そういうような場合に、もし日本からポートワイン・メイド・イン・ジヤパンというふうにならないで行つた場合には、アメリカの裁判にかけられるのですか。
○下田政府委員 この条約の義務は締約国だけが負つておるわけでありますから、御指摘のアメリカのような非締約国に、ポートワインと書いて、メイド・イン・ジャパンと断つてないものが参りましても、アメリカはその輸入禁止をするとか、あるいは差押えをするというような措置をとる義務はない次第でございます。
○戸叶委員 それでは、日本の国内において売りますときにも、やはりポートワイン・メイド・イン・ジヤパンと一々書かなければならないのでしようか。それともポートワインだけでいいのでしようか。
○下田政府委員 たとい国内だけで販売される場合でも、この条約並びにこの条約の趣旨に沿つてできました不正競争防止法によりまして、メイド・イン・ジャパンと書かないといけないわけでございます。
○戸叶委員 そうすると、固有名詞というよりも、もうほとんど普通名詞の形になつてしまつているポートワインとか、まだそのほかにも何かあるのではないかと思うのですが、そういうものも一々名前を書きかえなければ、条約違反ということになるわけですね。そうすると、一々外務省なり何なりが指令して、そういう名前の書きかえを製造工場に要求することになるわけですか。
○下田政府委員 その点に関しましては、その商品の名称が通有性をすでに持つておる場合にはさしつかえないという除外例がございます。通有性とはどういうことかと申しますと、たとえば瀬戸物でございますね、瀬戸物というものは、瀬戸から始まつたものかもしれませんが、今日瀬戸物といえば、もうほとんど一般的な名称になつて、何も瀬戸のものだけに限らないというように一般に観念されております。そういう場合には、通有性があるから、それを使つてもかまわないと思います。御指摘のシャンパンでございますとか、ポートワインとか、そういうぶどうの生産物に限りまして、この協定の第四条で特別の規定をいたしまして、シヤンパンとかポートワインとか名が通つておりましても、ぶどうの生産物に限つては、例外的にやはり原産地をはつきり書かないといけないという建前になつております。これはこの条約がもともとぶどう生産国が主張したという経緯に由来しまして、そういう特別な事情があるわけでございます。
○上塚委員長 ほかに御質疑がないようでありますから、次の議題に移ります。 ―――――――――――――
○上塚委員長 次は国際情勢等に関する件につきまして、質疑を行うことといたします。通告順によりまして質疑を許します。戸叶里子君。
○戸叶委員 私はMSAの点について一、二点伺いたいと思います。きのうの岡崎外務大臣の演説を聞きました際に、MSAに対しましては、受けられるようなある程度の意思表示があつたようにも思われますけれども、この点で一体いつごろ政府としては、MSAに対してはつきり受けられるか受けられないかの意思表示をなさるかを、まず第一に伺いたいと思います。
○土屋政府委員 きのうの大臣の演説で御承知のように、MSA自身につきましては、私どもは研究をいたして参りました結果、もし日本経済に有利であるという判定ができ、また諸般の関係から日本が受けてさしつかえないという断定を下しますれば、われわれとしては当然アメリカ側に話すべき段階になるわけであります。今までの段階では、まだ二、三私どもといたしまして研究を続けて行かなければならない点もございますので、すぐアメリカ側にMSAを受ける受けないという意思表示をする前に、われわれとして確かめなければならない段階があると思うのであります。従つてかりにこのMSA問題につきまして政府が積極的に動くという段階が来ますと、これはやはり一応われわれの疑点になつております点、あるいは明確にアメリカの意思を知りたい点について、アメリカ側に質問するというのが第一回の段階になると存じます。まだ大臣から御指示がございませんので、いつどういう形でするかということは、私どもは申し上げる材料を持つておりません。
○戸叶委員 今の欧米局長のお答えの中には、確かめるべき点があるというお話でございましたが、欧米局長の考えられる確かめるべき点というのは、大体どういうものかを伺いたいと思います。
○土屋政府委員 これはMSAの法律自身の解釈だとか、あるいは実際上欧州に適用された例だとか、またこれから来ると想像される日本の経済、国民生活に及ぼす影響というような点につきまして、私どもがMSAを研究いたしました結果についての一応の結論を持つわけであります。その結論に対して、アメリカ側も同じような解釈を下しおるか、つまりわれわれの結論が正しいという結論になるかどうかという点について、われわれは一、二考えなければならぬ点があると思います。特に日本の国民経済に及ぼす影響につきましては、相当多角的な方面から考慮を要すると思いますので、こういう点についてアメリカ側の意向を聞いてみる必要があると存じます。
○戸叶委員 外務省側の了解しておられる点では、MSAがどういう形になつて援助されて来ると思われますか。たとえば完全兵器でもつて来る場合と、それから完全兵器でなくて、日本の工場にオーダーするような形と、両方あると思いますが、そういう点を今まで入つた情報で、どの程度におわかりになつているかを伺いたい。
○土屋政府委員 もし日本がこのMSAの問題について、本格的にアメリカと話をするという段階に達しますと、材料となりますものとして現在持つておりますものは、一九五三年から五四年の会計年度に対するアメリカの相互安全保障計画の予算が目下議会に出ておりますので、これによつて一応の断定を下すということが今の段階では材料として持ち得る唯一のものであります。これによりますと、大体中国一般地域といたしまして日本に適用される援助の項目は、相互防衛資材及び訓練という項目の中にあげられているのでありまして、この中で、内訳といたしましてはどういう形で、つまり今おつしやつた完全兵器で来るか、あるいは金で来るか、あるいは日本の産業に対する注文で来るかという点については、明確にこの予算案というものは出しておりません。従つて形としてどういう形で来るかということはわかりません。それから第二の問題といたしまして、このアメリカの予算案は一応の案でありますので、従つて日本がアメリカと援助を受けるということで話合いをするということになりますと、御存じの通り、この項目の中では一応一割を限度といたしまして動かし得る規定もございますから、そういう点から内容がどうなるかということは、今後の交渉を見ませんとはつきりしたことはわかりません。現在の段階では相互防衛資材及び訓練という形で来ることになりますから、この文字の示しますように完全兵器あるいは資材あるいは注文あるいは訓練といろいろな形が考えられて来るわけであります。
○戸叶委員 きのうの岡崎さんの演説の中におきましても、自衛力漸増に役立ち、そうして国民の経済面に寄与するものであれば、受けることが望ましいというふうにあつたと思いますが、そうすると、もしもこのMSAの援助の中に多少でも完全兵器として日本に援助されるようなものがあるとするならば、それはやはり軍事援助となつて、経済援助というものとは違うと思うのですが、その点の御見解はどうなんでしよう。またもう一点はもしもそういうふうな完全兵器が含まれるならば、この趣旨からいつても当然そういうものは断れると思いますけれども、その点の御見解などを伺いたいと思います。
○土屋政府委員 今申し上げましたように、どういう形で来るかということは、これから先、交渉の経過によりまして判明する問題で、今のうちから判明しないと思いますが、かりに今仮定的に御質問になりました点を考えてみまして、私どもといたしましては、どういう形で来るかということは別といたしまして、かりに何らかの形で日本に与えられる援助の一部分が、完成兵器で来るというようなことがあつたといたしましたならば、これは従来保安隊にいたしましても兵器の貸与と申しますか、武器の貸与もあつたのであります。そういう形でありますから、これあるがゆえに日本経済にプラスにならないという結論をすぐ引出すことは、少し論理の飛躍ではないかと思うのであります。ということは保安隊にはその訓練に対して一つの装備を必要とするのでありますから、そういう装備をアメリカから借りられるとするならば、それだけ日本経済の面に消極面ではありますが、プラスする面があるのであります。一方この援助につきましては、先ほどから申し上げて参りましたように、内容ははつきりいたしませんが、完成兵器で全部が来るという断定を下すことはできないわけでありますから、従つて日本産業に対する発注という形で来るということも考えられます。また経済的にそういつた産業を援助するという形で来るということも、決して私は考え得られないということはないと思います。そういう点からかりに一部が完成兵器で来るということがありましても、それが日本経済に対してマイナスになるどころではなしに、幾らかのプラスになるということは常識的に言えるのではないかと思います。
○戸叶委員 私は、その点に対して局長と意見を異にするものであります。アメリカからの兵器を持つて来て保安隊にそれを使わせることによつて、日本の経済にプラスになるなんということは、だれが考えてもあり得ないことでありまして、むしろそういう点はもう一度考え直していただかなければならない点だと思います。ことに私どもがこの間保安隊なり警備隊を見に参りましたときに、そこでアメリカの兵器を借りて使つておりましたけれども、それを使つている人たちの話を聞きましても、アメリカの人は指が長かつたり足が長い、それを日本人がそのまま使おうとするので、指を伸ばすのにたいへんだつたり、あるいは踏台をつけてその上に登つて望遠鏡をのぞかなければならぬ、いともこつけいな姿をしなければならないということを伺つて参りました。こういうようなことを考えましても、その兵器がいかに役に立たないかということは、外務省の方もおそらく御存じだと思いますが、御存じなかつたらぜひ調査していただきたいと思います。そういう面から私は、一体どうして完全兵器が経済的な援助になるかということについてまだ納得が行きませんので、もう少し納得の行くような御答弁を願いたいと思います。
○土屋政府委員 お話はどうも完全兵器であるという前提に立つているようです。今兵器が日本の国情に合わない、あるいは国民性に合わない、からだに合わないというような点を御指摘になりましたが、残念ながら私はその来ております兵器を存じませんので、この点については何とも御返事ができないのであります。ただかりに今戸叶委員がおつしやつたようなことが事実であるといたしましても、私の考えますのには、保安隊は何かの形で装備がいるわけでありますから、日本人に合つだ装備があればこれに越したことはございません。多少不自由はありましようが、それを生産しないで一応アメリカから貸与された兵器、装備を使つているということで、やはり日本政府が支出すべき予算の一部は、それによつて支出しないで済むという結果になつておるのではないかと思います。従つて私は、これは非常にプラスになるという議論とちつともプラスにならないではないかという議論の二つあると思いますが、あとの議論にお答えいたしますと、これはやはり日本の経済面に対して幾らかはプラスになつているのであつて、全然それが日本の経済に影響しないというような結論は、決して下してはならないと思います。
○戸叶委員 この点はきようはこれ以上追究いたしません。 次に自衛力の漸増と言われますが、それは自衛力の量的な漸増か、あるいは質的な漸増か、ということを伺いたいのです。たとえばこの兵器を貸してもらうことによつて、今の十一万五千の人員をふやすようなことになりはしないか、もしふやさなければならないという要望があつた場合に、これを断れるかどうかということを伺いたいと思います。
○土屋政府委員 質的量的のいずれになるかという問題、それからまたかりにアメリカ側からそういう要求があつた際に、日本がどういう交渉の心組みで行くかという御質問ですが、これは今後交渉の段階においてそういう話合いがあれば、その問題について考えをきめなければならないということは事実でありますが、質的なあるいは量的な要求がはたしてアメリカにあるかどうかということは、まだ確かめてみないとわからない問題でありますし、かりにそういう話が交渉の段階において現われて来ましたときには、日本政府としては本問題を十分に検討しなければならない問題であろうと思います。従つて今仮定の段階におきまして、そういう要求があるかないかという問題にどう応対するかという断定をお答えするのは、何か時期尚早のような気がするのであります。
○戸叶委員 私は当然この問題は重要な問題として出て来るのだと思うのです。それを今になつても、そういうような要求があつても今まだないことだから意思は決定できないというのは非常におそ過ぎると思いますし、そんななまぬるい、危険なことでいいかどうかということはまことに私は心配になるのです。もしそういうような問題が起きたときに、日本の政府が量的にふやさなければならないという場合には、これを再考するとか、あるいは量的な問題はふやさないとかはつきりとした意思表示が必要だと思いますが、それでは政府としての答弁ができないといたしましても、きのうの総理大臣なり岡崎外務大臣なりの話の内容から見まして、量的な漸増ということはあり得ないと解釈してもよいかどうかを伺いたいと思います。
○土屋政府委員 総理並びに外務大臣が施政演説の中で触れました点につきましては、私どもも文字から、今戸叶委員の言われたような点について結論を引出すということは、私にはちよつとできないと思うのであります。従つてこれは交渉の段階において、はたしてそういう要求があるかどうか、その際日本はどうきめるかということを考えるのですが、その意味から申しましてその施政演説から今すぐにそれに対してイエスかノーか、どう返事をするかということについては返答はむずかしいかと存じます。
○戸叶委員 私はまだ質問がありますけれども、この次岡崎外務大臣がいらしてから伺いたいと思います。ただ外務大臣や総理大臣がきのうもある程度の話をしていらつしやるのですから、それに関連した答弁くらいは、外務省の方もできるようにしておいていただきたいということを要望いたします。
○池田(正)委員 議事進行について。きよう私がここへ来て意外に感じたことは、この外務委員会というものは、今度の議会においても、現段階において一番大事な委員会なんです。それなのに、この間はしなくも下田局長は事務的な答弁を――私は善意に解釈をして責めませんが、そういう外務省の局長を相手にして、われわれは今ここで論議してもしかたがない。初日からこんなばかなことであれば、議事を進めることを私は拒否いたします。ましていわんや与党が一人しか来ておらぬ。こんなばかな話はない。一体委員長はどういうふうにしてこの委員会を運営して行くつもりか。聞けばきよう理事会を開いたというが、私は理事であるが、公報をうつかりして見て来なかつた。しかしそれなら迎えに来るはずだ。それには委員部の連中がいるはずだ。私は十時半から来ておつたのに、何も連絡がない。委員長は御存じなかつたかもしれませんが、一体今後どういうふうにして委員会を運営して行くつもりか、伺いたい。
○上塚委員長 池田君に申しますが、きようの理事会の点については、池田君の出席を待つておつたのですけれども、御出席がないために、ほかの理事だけで相談をしたのです。
○池田(正)委員 そういうときには迎えにやるのです。そういうことをやつておる。
○上塚委員長 公報でもつて発表しておるのですから、ひとつそれをごらんくださつておいで願いたいのですが、なおお説のごとく、見えなかつた場合にはできるだけ通知をいたします。 それでは田中稔男君。
○田中(稔)委員 まず議事進行について私ちよつと申し上げたいと思います。池田委員からのお話はもつともだと思います。今後こういう状態で審議が続けられるということでありましたならば、外務委員会の権威を落すものであると思います。ひとつ特に委員長に御努力をお願いいたしまして、毎回の委員会には、よんどころない事情がない限りは、外務大臣も出ていただき、政府当局各委員もできるだけ出ていただいて、与党の委員諸君にも勉強を願いたいと思います。そういう条件が満たされないならば、実は外務委員会というものに、われわれとしては出席できないと思います。一言それだけ申し上げておきまして、質問に移りますが、私の質問はいろいろありますけれども、まだ出席のない政府委員もおられますから、御出席いただいております伊関国際協力局長にお伺いいたします。 内灘の試射場の問題と浅間、妙義の演習地の問題は、国民的な関心を集めておる問題であることは御承知の通りであります。特に後者の問題は地震研究という科学的な見地から、専門家も非常に重大な関心を寄せておる。この両基地の問題の、最近の成行きにつきまして、ひとつ総括的に国民諸君に納得の行くような御説明をお願いしたい。
○伊関政府委員 二つの問題でございますから、浅間、妙義の方から御説明いたします。 浅間、妙義の計画を申し上げますと、これは朝鮮事変の経験にかんがみまして、ことに日本における地形等にかんがみまして、米軍が山岳戦の訓練をしたいというので、学校をひとつくりたいというわけなんです。山登りになれ、また山の方における測量、行軍というようなことを訓練したいというわけでありました。この場所といたしまして、一昨年から、アメリカからリンクと申します中佐が参りました。これはアメリカにおける山岳訓練の専門家であります。日本を北海道から東京にかけまして、と申しますのは、現有防衛部隊は東京以北にいるわけでありますが、東京以北をくまなく探しまして、地形的に見まして、技術的に見まして、気候の関係等を見まして、妙義、浅間が最も適当であるというふうに選んだわけであります。どういう計画であるかと申しますと、妙義のふもとに学校をつくりまして二クラス入るわけであります。最初に一クラス入りまして、一クラスが百五十名程度であります。遅れまして二週間たつてもう一クラス入る。ですから常時二クラスであります。そうして学校は四週間のコースでありまして、そのうちの最初の三週間は妙義の山奥でもつて基礎訓練をやる。これはその山に登つたりおりたり、それからコンパスを持つて道のないところを地図を見ながら歩くというふうなことであります。実弾射撃はいたしません。小銃の空砲を一週間に一、二度撃つ。というのは、やはり実戦の空気を真剣に訓練するために空砲だけ撃つといつております。それから車両等を道路以外の方に持つて行くようなことはいたしません。要するに人が歩くわけであります。そうして道のないところを木の間を縫つて歩くことが主でありまして、あとは岩を登つたりおりたりして基礎訓練を三週間以上やりまして、最後の仕上げを浅間に参りまして、旧噴火口の近所でありますが、非常に岩の険しいところでもあります。幅約三首メートル、奥行き百メートルでありますが、数字は多少違うかもしれません。私は山登りは知りませんが、ロープをひつぱつてやるような訓練をやるわけであります。浅間は大体行軍して参りまして、山頂でその演習を、訓練をやります時間は十二時間であります。ですからキャンプを出ましてその訓練をやりまして帰つて来るのに二日あれば十分である、こう見ております。そこで浅間の方は二クラスありますから結局二週間に一ぺんずつ、月に二へん、浅間の山頂におりますのは一回十二時間くらいというのがその訓練であります。これに対しまして非常な反対があるわけであります。一つは妙義の地元における反対、一つは軽井沢の反対、一つは浅間山の地震の関係の反対、地震の、点につきましては、あそこにある研究所は日本で一番いい研究所であります。この地震国の日本におきまして、世界でも有数な研究所を持つているわけでありますから、この研究に支障を来すというようなことがありましては重大な問題であります。今大学当局と十分な連絡をとりまして、両立すればいい、しかし絶対に両立しなければこの浅間における訓練はやめようということに結論は出しております。一昨日日本側の地震の専門家が七、八名見えまして、米軍からは地震の関係の者とそれから訓練の専門家が参りまして、午前十一時ごろから六時ごろまで協議いたしました。本日も九時からおそらく夜までかかると思いますが、相談をいたしておりますから、浅間が使えるか使えないかということにつきましては、地震の観点からはその専門家の話合いの結果によつて動こう、外務省自身の見解は、何らこれには入れないつもりであります。両専門家の話合いの結果によつてきめよう、こう思つております。 軽井沢につきましては、軽井沢の町は直接には全然関係がないわけでありますが、ただ妙義にキャンプができ学校ができると、兵隊が軽井沢に遊びに来るのではないか、あるいは妙義の山奥で演習をする、そうすれば軽井沢に見える観光客が減るのではないかという心配を軽井沢の方でしておられます。私どもの方は軽井沢は全市立入禁止にしてもよろしいということを申しておりますが、最近の反対は理由のいかんを問わず、ともかく反対だということでありまして、詳細な説明をしようといたしましても、反対の方はそういうことは聞きたくない、理由のいかんを間わず米軍には反対だというのが、最近の陳情団の現状であります。妙義につきましては、ここに約三百名の兵隊――兵隊と申しましても将校、下士官、ことに選んで学校に入るのでありますから、優秀な連中であります。これがいるわけでありまして、風紀の問題が考えられるわけであります。そこでわれわれの計画といたしましては、月曜日から金曜日までは、どうせいずれにしましても山に登つて非常に疲れておるのでありまして、外に出る元気はないわけでありますが、外出禁止にいたします。土曜日の午後から日曜日にかけましては外出を認めるわけでありますが、地元が全然今までアメリカの兵隊等を見たこともないので、非常に地元の方は心配しておりますが、地元では外出させない、トラツクで最寄りの駅に運んで、どこか大都市に遊びにやるということを今のところ考えております。そこまで手を打ちましても、地元から見ますればあるよりはないに越したことはない。われわれとしましてはこうした学校が一箇所どうしても必要だと考えておりますので、地元にかける御迷惑を、そこまで手を打ちまして、最小限度にして何とか地元の了解を得たい、こう考えておるのが現在であります。 内灘につきましては、すでに新聞等で御承知かと思いますので、どの点を御説明いたしますか、非常に長くなりますので、質問に応じまして……。
○田中(稔)委員 最近の結論について……。
○伊関政府委員 六月二日に内灘を使用するという方針が閣議においてきめられたわけであります。いつから使用するかということはきめてなかつたのでありますが、これを十五日から使用するということにいたしまして、一昨十五日からたまを撃つておるわけであります。地元の村会におきましてはほとんど大多数がこれに賛成しようという空気になつておりますが、一、二反対の議員もあるようであります。いずれにしましても地元は相当に興奮しております。ことに外部から労組その他の応援がどんどん入つておりまして、今のところ村理事者としましては、まだこれに賛成するという意思表示を正式にいたしておりませんが、反対も、外部勢力の応援も逐次減ることと思いますので、そのうちに村当局がこれに正式に賛成して来るのではないかと思います。そういたしましたならば、政府は従来約束いたしております今後の厚生施設等について、十分協議したいと考えております。
○田中(稔)委員 アジア局の第五課長はいらつしやいますか。
○上塚委員長 まだ見えておりません。
○田中(稔)委員 それでは私は質問を留保しまして、ほかの方にひとつ……。
○上塚委員長 帆足計君。
○帆足委員 先日外務大臣並びに黄田局長さんに資料をお願いいたしましたが、もうあれから二週間たちましたのでできましたでしようか。それをまずお伺いしたい
○黄田政府委員 差上げてあるはずだと思つておりましたが、まだお手元に届いておりませんか。
○帆足委員 届いておりません。それではさつそくいただくことにいたしまして、さらにお尋ねいたしたいのですが、第一には中国との貿易につきまして、国際情勢がかわつて参りましたので、打開の道がついて参り始めましたことは御同慶の至りで、岡野通産大臣が新聞記者談等において述べられております趣旨に対しては、財界一般、労働界並びに国民各層においても、大いに期待いたしているような次第でございます。そこでお尋ねしたいのですが、すでに西ヨーロツパ諸国は、四月の初めに朝鮮戦争は大体において済むものであるという見通しを立てまして、着々東西貿易の拡大についての準備を進めておりまして、鉄のカーテンのかなたと平和物資の貿易を拡大しようとする動きを、赤だなどと言つて排斥するような野蛮国は、まず日本とアメリカをおいてほかにない。野蛮国と申すのはちよつと言い過ぎでございますが、そういう無知な議論が横行するのは、日本とアメリカをおいてほかにないというような状況であると、世界各国の新聞を読むとそういう気がするのでございます。従いまして、新聞論調を見ましても、すでに英国が昨年の十数倍の貿易を実施し、一昨日の新聞によりますと、ロンドンから二十数名の実業視察団がすでに新中国の北京に参つておるということを聞きますし、またベルギーにおきましては、すでに交渉を進めておる。フランスもまた一千万ポンド近くの貿易協定を、平和物資について結んでいる。西ドイツもまた貿易拡大を策している。さらにはなはだしきに至つては、ある消息筋の外電によりますと、アメリカの実業家の諸君がすでに香港に参りまして、その中の若干の人は、かつてゼネラル・モータースがソ連の五箇年計画と提携した故知にならいまして、中国の五箇年計画を詳細に調べまして、平和物資の輸出がアメリカにも可能な状況が来たならば、それに参加すべく基礎調査を始めているということが、香港の新聞にもちらほら見られる状況でございます。従いまして私は経済局長にお願いしたいのですが、これらの正確な情報をひとつ取寄せてわれわれに提出していただき、かつ先日お願いしましたヨーロツパの東西貿易会議の状況とその成果、並びにこれも先日お願いしてありますが、西欧諸国がすでに鉄のカーテンのかなたの諸国並びに中国に対して輸出しておりますところの物資の品目、金額別貿易総額を、昨年度のものはすでに貿易統計が出ているわけでありますから、これくらいのことは私は簡単なことだと思いますし、日時に貿易月報も、もう四月号は多分出ていることでございましようから、品目別、金額別、数量別の東西貿易の資料をひとつ御明示願いたい。これは先日もお願いしてありますが、もし漏れておりました統計がございましたならば、ぜひとも審議の資料に大至急いただきたい。 そこでお尋ねいたしますが、バトル法によつて西ヨーロッパ諸国は今日縛られておりますが、そのバトル法に基く禁止のリストの中には、多少発表されているものもあると聞いておりますが、MSAの審議などをいたすにつきましても、この法律の内容をくまなく知つおりませんければ、われわれの判断がつきかねますので、バトル法の禁止品目のリストの全部と、ココムのリストの全部、それからこういう表があるかどうか存じませんが、UK、イングランドのことでしよう。大英帝国の禁止品目のリスト、こういうものがまた別にあるということを新聞でよく申しておりますが、そういう東西貿易制限のための一切のリスト、各国のリストの中で入手し得る限りのものをひとつこの際議員に御発表願いたい。まずこのことをお願いしたいと思います。
○黄田政府委員 せんだつて申されました資料は整えてございます。それからただいまおつしやいました資料は、できるだけ整えて差上げるようにいたしたいと思います。 それからイギリスが今年の第一・四半期において戦前の十数倍に上つたということが新聞に出ましたので、私もさつそく取調べてみましたところが、新聞に報道されました十七倍というのは多過ぎるようでありまして、実際は十四倍であるようであります。しかしそれにしても非常に多いのでありますが、これの品目を調べてみましたところ、わが方からも出せるような品目のみであるようでありまして、それ以外のものがあるとは認められませんでした。 それからアメリカ等が香港に云々ということは、私まだ初耳でありまして、これは私詳細に承知しておりませんけれども、特に平常状態に立ち入つたということを考えました上で準備しているということは、これはおそらくあり得ることだし、さもありなんと思われることだろうと思うのであります。
○帆足委員 それではただいま申し上げましたリストを至急いただくことにいたします。また黄田さんは外務省の中では比較的経済のことには詳しい方でありまして、われわれも大いに期待しておるのでありますから、どうかそのように敏速な調査をもちまして、ひとつ大いに貿易八進のために尽していただきたいことを希望いたします。 さらにもう一つお尋ねいたしますが、中国との貿易につきましてわが業界がどちらかといえば、小心翼々としてこれひたすら政府のお考え、またはアメリカ当局の政策にそむかざらんことを努めて参つて、まことに見上げた態度であると政府当局では喜んでおられるだろうと存じますが、そのくらい財界は気をつけておりまして、そしてアメリカがすでに承認し、日本政府が許した平和品目についてのみ、しかもそれらの品目は、西ヨーロツパ諸国がすでに実施しておる品目についてのみ、わずかながらの貿易をやつておるにすぎませんけれども、その貿易商社をつかまえて、中国との貿易をしておるから差別待遇をするとか、またははなはだしきに至つてはアメリカに商用がありましてかの地に渡ろうとしますときに、アメリカでは旅券を発給しないということで恐喝しておるというような事実があるのでございます。私は、かくのごとき自由の国であるところのアメリカが、一国の政府が許し、国際条約によつて認められ、アメリカ当局が許しておるところのわく内において中国と貿易をしようとする善良なる市民に対して、そのような差別待遇をしておるという事実があることを数件承つて、まことに遺憾しごくと存じておりますが、そういうことは誤報であることをもちろん希望いたしておりますけれども、そのようなことは、アメリカの今日の旅券法によりましても許さるべきことでないのであつて、出先の下つぱのアメリカの小役人がやつた行き過ぎのいたずらにすぎないものであると思いますけれども、今後やはり両国間の親善並びに貿易の増進にそういうことは阻害いたしますので、われわれはこういう特殊な敗戦のあとを受けまして、中国とも貿易をいたしますけれども、世界各国とも善隣友好の関係を結んで、世界各地に貿易を拡大して行かなければ生きて行けないこの小さな島国の国民であります。従いましてどこの国とも円滑にやつて行きたいというのが全国民の思いでありましよう。しかるにこういうようなことが行われるとするならば、まことに遺憾なことであつて、私はそういうような小細工をする領事の人には国外退去でも命じたらどうだろうとまで内心思う次第でありますが、黄田局長にはそういうことをお聞き及びでありましようか。また私からそういうことを聞かれたとするならば、ひとつ大臣とも相談されまして、折衝して、そういう不明朗なことのないようにしていただく意思をお持ちでありましようか、お尋ねいたします。
○黄田政府委員 中共貿易に従事しております商社に対して、日本側が差別待遇をしているということでございましたならば、これは私の知つております限りにおいてはございません。ただ銀行の方で為替を組むとか、そういうような場合に、個々の信用の度合いによりまして、あるいは銀行の方で断つたというようなことがあるということは、前国会においてもそういうことが出まして、大蔵省及び通産省の方からそれぞれ調べましたところが、それは個々の信用の問題であつて、何ら思想上の問題を含んでおるものではないということが判明いたしまして、そのようにお答えしてあるわけでございます。 それから中共貿易に従事している、あるいは中共貿易を促進させようというような一人が、アメリカの方へ行くので、ヴイザを申請したところが、その理由で断られたという件でございますが、これは私も一つだけそういうことを聞きまして、取調べてみましたところが、それは中共貿易を阻害しているのは実はアメリカであつて、アメリカはけしからぬということをその協会の理事長が申された。その協会の役員の人がヴィザを依頼したところが、それがたまたまもらえなかつただけだそうでございまして、それもその後ヴイザをもらいまして、アメリカに行かれたと思います。私が知つておりますただ一つの例は無事解決しております。
○帆足委員 私はただいまの問題につきましてその他の例も存じておりますが、しかし個々の商社の名前をあげますと、また御迷惑もかかりますし、そういう名前をあげると御迷惑もかかるという風潮が第一不明朗である。これでは東条政権下におけるとまつたく同じであつて、まことに不明朗なことであり、遺憾なことであると思います。かりにある人がアメリカの今日の政策が、中国との正常な貿易の進展を阻害しておると議論しましたところで、西ヨーロツパ諸国のイーデン外務大臣やチヤーチル首相が言うておることと同じでありまして、それがいけないのならイーデン外務大臣に対しても、チヤーチル首相に対しても旅券を発給しないがよろしい。一国の政治に対して無礼にわたらぬ程度において評論することは世界国民の自由であつて、趣味の問題にすぎない。現にわが日本社会党に対してはアメリカはしばしば無礼なことを言つておるけれども、われわれは善良なアメリカ市民の入国阻害をするようないやしいことはした覚えは一つもない。自由を守ることをみずから誇示するアメリカがかくのごとく気宇狭小であつて、われわれ外務委員から警告を受けるような心構えであつてはならぬのである。かくのごとき仕儀になることも、これは外務省当局に自尊心が少々乏しいことと、われわれ日本国民が長い間の占領治下になれまして、自尊心を喪失している結果から起ることであつて、一貿易団体の役員あるいはそこにいる者が、多少アメリカの政策を批評したからといつて、それに間接に関係のある貿易業者に対して犬糞的措置をしようなどということはもつてのほかであつて、ひとつ厳重なる警告をしていただきたい。私は今日の時代は、日本は敗戦国でありますから、いろいろ問題について遠慮しなければならない問題も多いのですけれども、同時に今日は世界人権憲章も確立せられ、ユネスコ精神をもつて世界国交の基本とするというような新しい時代でありますから、こういうことは遠慮なしに大臣、次官、局長から言うていただいて、こういうことのないようにしていただきたい。従いまして先ほどはだれか無礼な言辞を多少弄した人もいるからということでありましたけれども、それは個人の問題でありまして、特定の個人が多少行き過ぎた議論をしたところで、そういうことは西ヨーロツパでは日常茶飯のことです。何もわれわれはアメリカの奴隷ではないし、従属国でもないわけであつて、アメリカとわれわれとはできるだけ円滑な関係で行きたいということは、国民のすべてが願つていることですけれども、そのためにわれわれが彼らから植民地のような取扱いを受けねばならぬということはあり得べからざることである。その点私は問題を明らかにしていただくように、ひとつ外務省当局から、アメリカの下の方の――そういうことを上の方でなさるはずはありませんから、下の方のアメリカの旅券査証の係などにお申入れを願いたい。 なお中国貿易の問題につきましては、話に聞きますと、通産省のお役人のところにもアメリカの領事の下つぱの役人などが始終出入りして、きよろきよろしながら中国その他と貿易する商社に対して目を光らすというようなことを業者がよく訴えて参るのですけれども、ぜひともそういう根拠のないデマが横行するような事態を、この際アメリカ大使あたりとお会いの機会に軽くお話くださいまして、政府が許可しており、そして国際的に認められ、アメリカも承認したわく内の貿易だけは、民主国民らしく明るくさしていただきたい。密貿易をする者に対してヴイザを出さないというようなことは私は賛成なんです。こつそり弾薬をあちらこちらに送るような業者に対しては弾圧してけつこうでしよう。しかし政府が認めているわく内において謙虚にやろうというような善良な貿易業者が、今日のような不安懐疑のもやに包まれているということだけは、ひとつおとりやめを願いたい。重ねて明確な御答弁をお願いする次第です。
○黄田政府委員 アメリカの方へ参る日本人のヴィザの問題は、先ほど申し上げましたようにたつた一つだけ私が知つております件は解決いたしました。その他の件でアメリカの方に申し入れろというお話でございますけれども、具体的な例を存じませんと言いようがございませんので、具体的な例が私に知らされましたならば――あるいはこれは私の問題かどうか、それすら私は疑つているのでありますが、具体的な例を伺いました上で適当な措置をいたしたいと思います。 それから通産省にアメリカの大使館の人が出入りしているということ、これも私から御答弁申し上げる筋ではないと思いますけれども、おそらく想像いたしますところでは、事務上の連絡をしているだけでございまして、きよろきよろ目を光らして、何かないかと見ているというようなことではないと思います。
○帆足委員 とにかくただいまのような御質問をいたさねばならぬような事態を払拭するように努力していただきたいことと、先ほど解決したと言いましたけれども、あれはおそらく業者の方が頭を下げて解決したのであつて、アメリカの側が、自分の方がやぼであつたと言うて解決したのではなかろうと思いますので、他の事例も申し上げますから、ひとつ明確な御答弁を願いたいのは、そういう態度にアメリカが出ることはアメリカとして行き過ぎであるという観念を黄田さんお持ちかどうか。頭を下げて、あの件はこういうことだつたから、ぜひともよろしく願いますということでなくて、そういうささいな国内の政治的見解の議論や雑誌の評論などに一度目を通して、そして旅券でもつて報復をするというようなことをするならば、われわれは今度は日本国民に対し率直な議論をするアメリカ国民に対して、退去命令を出さなければならぬというようなことになるわけで、まことに望ましくない。最近では、たとえば山口淑子さんのような映画女優のきわめて単純な俳優が、何か中国関係の義捐金に金を出したということだけで、ヴィザがもらえないなんという騒ぎが起きているということが新聞に大きく出ていますが、まことに私はつまらぬことであると思います。従いまして外務当局としては、わずかばかりの社会党と保守党という程度の意見の相違があつたときに、すぐそれを取上げてアメリカが商売上の差別待遇をしたり、アメリカヘの商用あるいは旅行について差別待遇をするというような愚かしいことは、やめてもらいたいというような見識あるお考えを持つておられるかどうか、そういうお考えのもとに折衝しているのかどうか、それともただ了解を得るということに努められていたのか、そこを明確にしていただけば今後のことに役に立つわけでありますから、その点を明確にしていただきたいということをお願いするわけです。
○黄田政府委員 旅券のことは私の管轄外でございまして、どうも御答弁をするのに躊躇いたすのでありますけれども、ヴィザを与えるかどうかということは、どうもその国の考え方で判断すべきものだろうと思うのでありまして、それをよその方から、何というか、出し方いかんというふうなことに関して、どのくらいまでどういうふうに言うかというふうなことは、どうも相当デリケートな問題でございますので、具体的な問題について取上げると申し上げました先ほどの私の御答弁が一番賢明なのではないかと思います。
○帆足委員 こういうことでありますから、先ほど池田委員から言われましたように、やはり大臣、次官に出ていただいておらなければ意味をなさないと言うのでありまして、私は先ほど池田委員から出た議事進行の発言に完全に同意いたします。委員長において適当な処置をおとりになることをお願いいたしまして、時間の関係がありますからこれで私の質問を打切りまして、次の機会にお願いしたいと思います。
○田中(稔)委員 これはアジア局関係に対する質問だと思いますので、局長、課長の御出席を待つておつたのでありますが、御出席がありませんので、大江官房長にお尋ねいたします。 問題は、戦時中日本に強制的に連れて来られて日本で死んだ中国人の遺骨送還の問題であります。在日華僑の帰国問題は幸いに解決したようであります。今晩その歓送会を日本青年館でやるということでありますが、生きている中国人と同様に、なくなつた中国人の遺骨の問題は、これは非常に重要な問題で、やはり今後中国との国交の回復ということを考えました場合には、この扱いが悪ければ将来に非常に禍根を残す。しかもこの問題は先般在華同胞の帰国問題打合せのために北京に参りました日赤の島津団長その他が、向うの関係者と話をしまして大体約束をして来ている事項で、外務省もたびたび善処するということをお話になつた。ところがいよいよ遺骨送還ということになりますと、また政府の面子というような問題もあつてと思いますが、何か荷物扱いにしてこつそり持つて帰るのならばそれは黙認するけれども、正式にこれを宗教的な取扱いの方法で送り返すということには、外務省は反対である実情であるという。私はこの扱いは荷物として扱うということは絶対にいけないと思うのでありまして、これはやはりどうしても丁重に宗教的な扱いをしなければならぬと思うのであります。これはどなたも御異議ないことだと思います。私の知つておるところはそういう事情だと思いますが、外務省当局としまして、その間の事情を官房長から御説明を願い、また外務省としては今後どういう態度をとろうとしておられるか、私が今申しましたようなそういう取扱いでなく、華僑も希望し、また日本側の関係者も希望しておりますそういう宗教的な丁重な取扱いをしようという何か新しい御意見でもありますならば、聞きたいと思います。
○大江政府委員 遺骨の送還の問題でございますが、外務省は、遺骨を荷物とみなしてこつそり送るという考えだということを申されましたが、私が了解いたしております範囲におきましては、そういうつもりではないのでありまして、もちろん外務省といたしましても、遺骨というものの性質にかんがみまして、これを丁重に扱うということは当然なすべきことだと考えております。ただ、今お話の中にありましたように、宗教的の儀式をいたしまして丁重にやりたいという御希望が出ておるようでございますが、これは今回の責任者が用船いたしまして、赤十字船として在日華僑を送るというときに、国民政府との関係その他でなるべく問題を起さないようにしたいという気持はあるわけでございます。たとえば乗船の際に非常にぎようぎようしい儀式を行う、また、遺骨のために相当多数の宗教関係者が乗船をして行くというようなことになりますと、これは今回の在日華僑の送還の原則ということにも反することになります。そういう点はなるべく問題を起さないように善処したい、こういうのが外務省の考えでございます。
○田中(稔)委員 今の御説明では満足できないのであります。外務省としては、要するに問題を起さないようにしようという御答弁ですが、それでは外務省としてのこの遺骨送還問題に対する何らの誠意も認められない。生きている人ではないのでありまして、もう死者であり、霊なのでありますから、この扱いは、政治的な立場を越えてほんとうに人道的な立場からひとつお考え願いたい。そういうことについて、何か台湾政府の意向とか面子というようなものに拘泥される必要はないのであつて、もう少し積極的な見識のある態度でひとつ臨んでもらいたいと思うのであります。関係一体の方では、宗教的な儀式をやり、それからこれを丁重に持つて行くというのには、どうしてもそれを奉持して行く若干名の代表者をつけてお送りしたいということでありますが、そういうことにつきまして具体的にどういうお考えでありますか、もう少し詳しくお話を願いたいと思います。
○大江政府委員 同じ答弁になるのでありますが、遺骨を人道的立場から丁重に扱うということにつきまして、その限りにおきましては、外務省のみならずだれでも議論のないところだと思いますが、実際現実の問題といたしまして、これをスムーズに実現するというためには、やはり諸般の事情を考慮して行かなければならぬ問題が多々あるのであります。宗教的儀式をやつたあと数名の中共の代表者が乗つて行くというような点につきましても、はたしてそれで問題が起らずに済むか。万一問題が起きたような場合に、さらに将来の送還に支障を来すというようなことのおそれがありとすれば、十分考えなければいかぬじやないか。あるいはそういうおそれがないということで、ほんとうの代表者がごく少人数で行くというような場合には、これはやはり当然だれかが乗つかつて行く必要もあろうと思うのであります。 私は、現在の事務当局の現実の折衝の状況をよく存じておらないのでありまして、こまかい点についてはお答えできないのであります。大体の方針は、話のつく限度において何らかの方法をとつて行きたいという気持で折衝を進めておる次第であります。
○田中(稔)委員 この問題を妨げている諸般の事情というようなお言葉でありますが、あるいは官房長としてその間の事情について十分明らかにされておらないかもしれませんが、できますならば、その諸般の事情とはどういう事情か、特に、台湾政府の方は遺骨送還問題について、一体どういう態度をとつておるかということをひとつお聞きしたいと思います。
○大江政府委員 私が諸般の事情と申しましたのは、もちろん台湾政府の関係もございますし、また、今回の用船は、赤十字の責任において船会社の船を用船せられるのでございますが、この場合に、船会社といたしましても、万一事故が起きたような場合には、政府の補償というような問題も起るだろうと思います。そういう意味で申し上げたのでありまして、国民政府といたしましては、従前から申し上げている通り、やはり中国におります日本人の送還のために配船されまする船は、ノー・パツセンジヤー、ノー・カーゴーという原則を言つております。やはり依然としてその主義を向うは主張いたしており、もちろん反対の態度をとつているわけであります。
○田中(稔)委員 もつといろいろつつ込んでお聞きしたいと思いますけれども、官房長ではあるいはおわかりにならないかもしれませんけれども、この問題は、やはり外務省当局としてはひとつ良識をもつて善処していただくようにお願いしたいと思います。これ以上質問はいたしませんが、どうぞよろしくお願いいたします。 ―――――――――――――
○上塚委員長 この際お諮りいたします。ただいま、万国郵便条約及び関係諸約定の批准について承認を求めるの件につきましては、郵政委員会より連合審査会開会の申出がありました。これを受諾することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上塚委員長 御異議なしと認めまして、さようとりはからいます。なお、開会の日時につきましては委員長に御一任願います。 なお、先ほど池田君、帆足君、戸叶君、田中君より要求のございました件につきましては、今回の本外務委員会は、MSA問題、再軍備問題その他について重要なる案件がございますので、政府当局におかれましては、大臣初め各政府委員つとめて御出席あらんことを切望いたします。 本日はこれをもつて散会いたします。 午後零時九分散会