外務委員会 第3号
- 発言数
- 152 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/05/29
会議録
○上塚委員長 これより会議を開きます。 国際青勢等に関する件について質疑を継続いたします。通告順によつて発言を許します。帆足計君。
○帆足委員 私は外務大臣が見えてからにいたします。
○上塚委員長 加藤勘十君。
○加藤(勘)委員 私も同様です。
○上塚委員長 それでは並木芳雄君。
○並木委員 昨日いただいた一九五三年相互安全保障法案と前年度とを対比してみたのでありますけれども、時間が十分ないためによく調べることができません。そこでお伺いしたいのですが、今度の改正法案によつて日本が適用を受けると思われる条文とその内容、特に金額の点について御説明願いたいと思います。
○小滝政府委員 一九五三年の保障法案で特に日本に適用せられるであろうと思われる点は、最初に出ておる第一章第百一条のところの四行目の十億百万ドルという点ではなかろうかと想像される以外、特に関係の条文として適用する点はないように思います。
○並木委員 そのほかに関係をして来ると予想せられるものはありませんか。あるいは局長の方がこれは詳しく研究されておると思いますから、局長からの答弁でけつこうです。
○土屋政府委員 そういう趣旨からの御質問でございますと、たとえばこの援助法の適用を受けました際の義務、またこれに附帯しますいろいろの条件が全部関係事項になつて来ますが、直接日本だけを目途としてこの条文の中から適用されると考える条文は、私どもの研究の結果によりますと今のところないのではないかと考えております。
○並木委員 特に金額について。
○土屋政府委員 金額についてはございません。ただ金額は、今政務次官から御説明のありました中から、日本に将来援助があり得るとすれば当然割当てられるということ以外にはございません。
○並木委員 それ以外には全然考えられないわけですか。
○土屋政府委員 そうでございます。
○並木委員 昨日来の質問を通じて私は個人として感じたのですけれども、軍事的の義務も負わないで済むし、それから無償であるというような場合になつたとすれば、特に日本としてはそう神経質にならなくてもよいのじやないかという感を受けたのです。ところが政府は非常に慎重な態度をとつておるようなんです。今までだつて、保安隊とか海上警備隊とか、安全保障条約などによつて援助を受けておるのですから、それが振りかわつて来るというような形で考えますときに、もう少し軽くMSAの援助の問題を考えられないかというのが私どもの率直な感じなんです。アメリカの方の報道を見ますと、日本はどうしてMSAの援助を申し込まないのだろう、特別にやかましい条件はつけないのだがというようなこともあるくらいなんです。この私の率直な感じというのは間違つているかどうか。その点政府としての研究の結果はいかがでしようか。
○土屋政府委員 私がきようここで政府の見解として御回答できないのは残念でございますが、そのゆえんのものは、実はまだ事務当局としての見解で、政府の政策その他についての指示を受けておりませんことは昨日申し上げた通りであります。ただ今せつかく並木委員からのお話でございまして、私が率直にこれを見ましたところ、それからまた現在までアメリカ側の言明しましたところから見ると、そうむずかしい問題と考えなくてもいいのではないかというような気もいたします。しかしそれも政府としての答弁でなくて、私の事務的な考えだけを申し上げたわけでありまして、御了承いただきたいと思います。
○並木委員 ややそういう感じがするということがわかつたというだけのお話だと思いますが、なおそれであるからこれを日本としては至急申し込むべきであるかどうかというようなことについては、大臣でなければわからないと思いますので、その点は大臣に直接質問をいたします。それから一応政府が検討した結果、最悪の場合でなく、最上の場合というものがきのうの質疑応答の中から出て参つたのでありますけれども、なおそれでもこういう場合があり得るのではないか。特に政府として今懸念をもつて検討を進めている重点はどこにあるか、それをお尋ねしたいのです。たとえば軍事的義務は負わない、それから無償であるというようなことになりますれば、最も案じられておつた点が、解消するわけでありますが、そのほかに問題となる点はどういう点を政府としては検討しておられるか、それを聞きたい。
○下田政府委員 政治的の観点は別といたしまして、私ども法律的の観点から研究いたします点は、当然軍隊、軍備を有せず、かつ交戦権を放棄しておる日本、憲法第九条の建前に縛られておる日本と、この援助を受けることとの法律的関係、そういう点が重点になると思つております。
○並木委員 その点はいかがですか、つまり自衛力の漸増という見地から保安隊、海上警備隊の増員強化というような問題が起る。そうなつて来ますと、当然憲法との問題が起つて来るわけなんです。そういう点についてどういうふうに研究されておられるかお聞きしたい。
○下田政府委員 各国の先例を見ましても、その条約を、――もし日本が同じものをつくれば憲法違反になるような協定もあることも事実であります。しかしかりに日本がそれを結んでも憲法違反にならない先例のあることも事実でございます。でございますから日本としてはわざわざ憲法に触れるような協定を結ぶ必要はない、また憲法に解れないような協定も結べるのではないかというのが、事務当局の研究の結果でございます。
○並木委員 現在の保安隊をかりに現状以上に増員するという事態に至つても、政府は従来通りの解釈を続けて行くつもりでありますかどうか。つまりこれは憲法違反でないということになりますかどうか。それと保安隊なり海上警備隊なりの増強が、一つの話題になつて参つた場合に、これはかりに軍隊という名前はついておらないけれども、例の五百十一条第一項第三号の軍事的義務に相当するような行動をとらなければならないことが起り得るのではないか、こういうことが一応考えられるのてありますが、その点いかがですか。
○下田政府委員 憲法の解釈の問題になりますと、外務当局よりも内閣の法制局から御答弁を願つた方がいいと思うのでありますが、私どもアメリカの国内法を研究いたしましても、何も日本の憲法とまつこうから背馳するというように解釈する必要はごうもない、いくらでも日本の現行憲法の建前でやり得る余地がある、そういうように結論が出ております。
○並木委員 安全保障法に基く援助の対象として一番考えられるのは、やはり日本の保安隊、海上警備隊の強化ではないかと思うのです。先ほど質問しましたお答えでも、第三百一条による援助というものは主として軍事的な援助でございます。そうするとまず現在の日本としては、軍備という名をつけざる限り保安隊、海上警備隊のほかにはちよつと考えられないと思いますけれども、何かそのほかに考えられるかどうか。これの強化、育成ということにしか考えられないのですけれども、この点お伺いしたいと思います。
○下田政府委員 現在の日本といたしましては、軍隊というものは保有できません。従いまして国内治安を目的とする保安隊、これ以外のものを考えられないと思います。そうして五月五日のダレス証言によりましても、ホーム・セキュリティ、日本の国内治安というようなことを言つておりますところを見ますと、軍隊を持たない日本に対して軍隊を持てとか、あるいは日本の保安隊をつくつてそれを海外に出兵しろとかいうようなことは考えておらないのじやないか。国内治安という点に触れている点から見ましてもそういうように考えられます。またアメリカといたしましても、憲法の制限下にある日本の実情はよく承知しておりますから、それに背馳するような義務を日本に要請することは万ないと見通しておるわけであります。
○並木委員 その点はつきりして来たわけであります。ところで国内治安の強化ということが、安全保障法に基くアメリカの安全とどういう関係になつて来るか、日本の国内治安を強化することだけで、安全保障法に盛られておる目的を達することができるかどうか、こういう問題なんです。名前を軍隊とつけないで、保安隊なら保安隊を強化して行く。そうしてこれによつて国内治安の強化に資するのだと言いながら、実は将来それが軍隊としての役割を実質上になすような場合が起つて来るのではないかと思うのです。従つて日本の国内治安の強化と、アメリカの安全維持ということの関連を説明してもらいたいと思います。
○下田政府委員 国内治安の強化ということが、米国の安全にどういう関係を持つて来るかという御質問であろうと思うのですが、昨日政務次官から申されましたように、アメリカの根本の考え方は、今日の世界においてはいかなる大国といえども、一国の力をもつてしては安全を維持し得ない、自由主義諸国全体の安全保持の力が増強されるにあらずんば、いかなる一国の安全も保持し得ないというのが、繁木的観念であると思います。そして国内の安全、それから対外的侵略の脅威というものが、第二次大戦後同様に重く扱われておることは御承知の通りであります。第三次大戦の侵略の行われました形態は、国境の外から来る脅威よりも、国内の擾乱をもととしてやる間接侵略、安全保障条約にも直接及び間接侵略という言葉が使つてありますが、この間接侵略というのが侵略形態として第二次大戦後、しばしば実例となつて現われて来ておるわけであります。そこで昔でありましたらば国内治安というものは国際の安全維持、平和保持ということと直接の関係は持つて来なかつたのでありますが、今日の世界においては国内の治安そのものが直接国際の平和維持、安全保持ということと一体をなしているわけです。そういうところから米国の考えも、たとい国内の治安維持のための援助でも、これを全体的に見る場合には、国際の平和維持に貢献するのだ、そういうのがアメリカの根本的見解ではないかと了解しております。
○並木委員 そういたしますと、五百一十一条第一度第三号の「軍事的義務」ということは、一度定義をはつきりしておかないと、また将来問題が起るのじやないかと思います。ずいぶん広い意味に使われるように思われますが、この際軍事的義務とは何を意味するか、明確にしておいてもらいたいと思います。
○下田政府委員 御指摘の五百十一条の軍事的義務、これは大体三つあると思います。一つは、米国及び被援助国がともに当事者となつておる条約、協定から来る軍事的義務。日本もアメリカもともに当事国となつておる条約で軍事的義務らしきものを規定したのは安保条約だけということは昨日申し上げました。その安保条約から来る軍事的義務というものは、日本にとつては非常に消極的なものである、消極的な義務にすぎないということも昨日申し上げました。そのほかの軍事的義務というのは、自国の、つまり被援助国の防衛力、ディフェンス・フオースと申しておりますが、防衛力というものを維持強化する。もう一つは、防衛の能力と申しますか、デイフエンス・キヤパビリテイという言葉を使つておりますが、それをやはり維持強化する。そういう三つがあげられると思うのであります。防衛能力と言い、防衛力と言い、きわめて漠然たる言葉でありまして、これは一国の国情に沿つて解釈し得る問題ではないか。また防衛力や防衛能力を維持強化するについても、その国の経済力、資源等と見合つてリーズナブルな範囲でやればいいという、ゆとりのある書き方をしております。従いましてこの御指摘の軍事的義務も、それぞれの国によつてきわめて融通性のある解釈がとれるのではないか。そう了解しております。
○並木委員 そうすると、アメリカの方ではこういうふうに考えているのじやないでしようか。保安隊とか海上警備隊というものは、やはり今局長の説明された安保条約に基く消極的の義務、それから第二の自国の防衛力を維持するためのもの、第三の防衛能力、こういうものに入つて来るんだ、というふうな考え方ではないのでしようか。従つてだんだんと保安隊なり海上警備隊が育成されて来れば、現在安保条約で日本に駐留しておる米軍にかわつて行く。こういうふうに考えているところに安全保障法発動の根拠がある。こうは見られないでしようか。
○下田政府委員 私から御答弁する範囲ではないかと思いますが、アメリカのほんとうのねらいはどういうところにあるかという点は、これはまだ交渉を始めておりませんので、的確には把握できないと思いますが、大体の考え方としては、日本の国情に適して、しかも日本の経済力その他から満足にできない国内治安の維持能力を増加する、もし日本一国でできないならば、アメリカが足りないところを補おう、そういう考え方ではないかと思います。
○並木委員 私の今の質問に対してもう少し具体的に答えられませんでしようか。つまり保安隊を育成して軍隊という名前をつけなくても、これは向うとしては今言つた軍事的義務の中に入つて来るのだと考える。私は何もこれであげ足をとるのではないのです。だから軍事的義務をやるのだから憲法改正の必要が起るのではないかというあげ足をとるのではなくて、そういう考え方でないと、何ゆえにアメリカが安全保障法に基いて援助するかというピントがはつきり出て来ないから私は聞いておるのですが、いかがですか。
○下田政府委員 日米安全保障条約の前文に、アメリカは日本がやがては自分の国の安全を守るための自衛力を、漸進的に増強することを期待しておるということが明記されております。アメリカとしては日本自身が自分を守れるようになつて、早く米軍を引揚げたいことはやまやまであろう思います。そういう意向は、マーフィー前米国大使が離任に際しまして、日米協会で演説したのでありますが、その中にもアメリカは何もすき好んでいつまでも兵隊を日本に置きたくないのだ、アメリカの納税者の負担から見ても、そういうことはできれば一日も早くけりをつけたいのだということを率直に述べておりますが、安保条約の前文に現われましたそういう期待というものは、アメリカの政府も国民も持つておる気持ではないかと存じます。
○並木委員 少し観点をかえてこういうふうにお尋ねしてみたいと思います。かりに今度のMSAの援助を受けなかつた場合、日本としてはどうなるか。何らの意思表示をせず、またはこれをお断りしたような場合に、現状にいかなる変化が起つて来るか、こういう伺い方をしてみたいと思うのです。
○下田政府委員 日本がお断りした場合にとおつしやいますが、この援助というものはわが方からよこせと言わない以上は、向うから押しつけて来るものではないわけであります。新聞の報道によりましても、あたかも向うから押しつけられる問題かのごとく坂上げておりますが、決してそうではないので、これも何億ドルという巨額の納税者の負担に基く援助でありますから、受入れる方からくれと言わない以上は全然問題にならない。従いましてお断りするという仮定は考えられないと思います。
○並木委員 私の質問が足らなかつたかもしれませんけれども、昨日の土屋さんの答弁によつても、保安隊の武器あるいは海上警備隊におけるフリゲート艦、そういうものに要する費用が振りかえられるであろうということだつたのです。従つてこの援助というものを日本が受諾しないとすれば、保安隊とか海上警備隊に当然影響を及ぼして来るのではないか。そういう点を答えていただきたいのです。
○土屋政府委員 昨日私が申し上げました点も含まれておりますので、私からお答え申し上げますが、もしこのMSAの適用を日本が受けず、援助を受けるということにならないときを想定いたしてみますと、従来保安隊あるいはその他に対して貸与された武器その他につきましては、アメリカの七月一日以降における軍事予算が大削減されますので、おそらく今後こういう種類の日本側に対する援助というものは、MSAの援助を受けない限り絶たれるであろうということを私は申し上げたわけであります。但し、しからば今まで受けでおる援助、あるいは今まで貸与を受けておるところの武器はどうなるかという問題、これは交渉してみないとわからないのでありますが、われわれの予測では、今までの問題は既定分として何らか法的措置が講ぜられるだろうと見ております。従つてかりにMSAの援助を日本側が七月以降も受けないということが何かのことで決定いたしたとしましても、現状から非常に遠いものになるだろうとは存じておりません。
○上塚委員長 並木君にちよつとお諮りいたしますが、あなたの順番はまだ四番目に残つております。今帆足君から事務的な問題でこの際質問したいという申出がありましたから……。
○並木委員 それではどうぞ。あと続けさせてもらいます。
○上塚委員長 帆足計君。
○帆足委員 私は中日貿易の再開その他二、三のことについてお尋ねしたいのですが、これはきわめて重要な問題でございますから、外務大臣がお見えになつてからでなければ、大事な問題についての最後的御返答はむずかしいと存じます。ただ大臣が大分遅れるということでありますので、事務的な問題だけを先に、便宜上担当の方にお尋ねしておきまして、基本的な問題は大臣にお尋ねしたいと思います。 そこで朝鮮戦争は早晩終結するということが国際的に予想され、期待されておりますが、そうなりますると、中国との貿易にもよほどよい影響が与えられるようになろうと思います。政府側の啓弁としては、従来中共貿易に対しては非常に消極的でありましたが、この国際情勢を反映してか、岡野通産大臣が、やや積極的な見解を披瀝されましたことは、きわめて多とするものであります。 そこで第一にお尋ねいたしたいことは、現在中国向けに相当平和物資に至るまで制限され、はなはだしきに至つては、西ドイツやフランスやイギリスが輸出を許されておるものについて、ひとり日本だけが禁止しておるというような、ばかばかしい不合理きわまることが平気で国会の承認もなくして行われておりますが、一体これはいかなる理由に基くものでありましようか、まずこの点を伺いたいと思います。
○小滝政府委員 政府といたしましては、中日貿易を国際連合との協力関係を害しない程度において、できるだけ促進したいという希望を持つていることは、先ほどお話の通り岡野通産大臣も申されております。ただ輸出品目につきましては、占領下において相当厳重に管理せられておつたのでありますが、その後日本としてはできるだけ輸出許可品目を拡大しようといたしまして、アメリカの方へも交渉した経緯があることは御承知の通りであります。アメリカのバトル法の関係がありまして、共産圏の諸国へ戦略物資を出す、その場合には向うの方の援助を打切るというような建前をとつておりますので、アメリカと話し合いまして、できるだけこの品目を拡大しようという努力をいたしました。その後もパリにありますココム等へ参加いたしまして、せつかくこの品目を拡大するように努力して参りまして、現に最近に至りましては、以前よりはよほどよくなつているのであります。この一年間に新たに許可いたしました品目は、八十種類くらいになつていると記憶いたしております。もちろん今のところまだヨーロッパの一部の国に比して、その許可品目の数が少いのじやないかという点を御指摘になりましたが、この点まことにごもつともでありますけれども、これまでの関係もあり、ことに決して日本だけがこうして特別な制限をしているのではなしに、日本以上に輸出品目を制限している国もあるのでありまして、こうした事情もありますから、われわれといたしましては、今後さらにココムとの話合いを続けまして、できるだけ品目も増加させたい、そして中日貿易を改善して行こうという熱意を持つているわけであります。
○帆足委員 私がただいまお尋ねしたのは、そういう新聞に出ているようなわかり切つたことをお答えを願いたいと思つたのではないのでありまして、次官が御承知の今のようなことは、われわれは全部、その十倍くらいよいよ知つているのであります。そこで新聞に出ないもやもやした問題がたくさんありまして、国民が非常に心配しておりますその問題をお尋ねしたいのでありまして、第一には今の日本よりもつと制限をひどくしている国がある、それはアメリカのことですが、そういうことをお尋ねしているのではなくて、世界の平均的な国、すなわちフランス、西ドイツまたはイギリス等の国々、この民主世界と呼ばれている国において、たとえば去年はDDT、これは御承知のように、北京に行くとはえが一匹もいないといわれております。これは上海、満洲だけで中国の国産のDDTができたというのではなくて、大量に西ヨーロツパ諸国から輸入されて使われておる。政府は昨年の十一月ごろでしたか、それをやつと許しまして、許したときにはもう中国では国産品ができ始めておりまして、ほとんどDDTはそれほどいらなくなつておる、いらなくなつたころ許されておる。そういうようなこともありまして、現在西ヨーロツパ諸国やその他の諸国が許されておるのに、なぜ日本だけが許されないのか。またその法的根拠や理論的根拠はどこにあるのかということを第一にお尋ねしたのであります。 それから第二に、バトル法の関係があると申されましたが、日本は今相互安全条約に入つておりません。その日本に対してバトル法が施行せられておるかのごとく運用されておるのは、どういう法的根拠に基くものであるか。 それから第三に、今日各種の制限が相当の平和物資に至るまである、朝鮮戦争が続いております以上は、軍事物資について輸出をとめておるということは、われわれもちろん了としておるのです。しかし相当広汎な平和的物資についてまで禁止令が行われておる、そうして現在のその禁止令は、占領下において省令すなわち行政措置として行われたことであつて、この禁止リストのような、国民の基本的人権並びに経済界の基本的政策に関する問題が、省令、行政処置として、占領政策の惰性として行われておつて、国会の承認を何ら経ていない、そこで一体こういう現在の禁止令の法的根拠はどういう点にあるのか。 それから第四に、伝えられるところによりますと、経済雑誌などはどうやら秘密の協定があるらしい、われわれの知らないリストがあるらしい。セキユリテイー・リストとか、Aリストとかいうことが、ちよいちよい経済雑誌に伝えられておりますが、そういう問題は一体どうなつておる。われわれそういうことは事情を詳しくしておりませんので、この際次官なり局長なりから、わかりやすく説明していただいて、相ともにそのもつれをほどいて行くような道をわれわれは求めたいと思つておりますので、懇切明確な御答弁を願いたい。
○黄田政府委員 軍事物資、軍事的目的に資さないようなものまでとめておるかどうか、あるいはとめている、それはどういうわけか、もう少し広くしたらいいじやないかというお尋ねの点でございますが、軍事的価値ありやいなやということにつきましては、非常に複雑なあるいはときによつて違う解釈をされるのであります。たとえばタバコの中に入つておる銀紙、一時はあれすら軍事的価値ありということの決定があつたのであります。と申しますのは、爆撃するときに、あれで高射砲のじやまをするということがございまして、これが第一次戦争のときはそうだつたのでありますが、その後ジエツトの発明によつて、これはその価値がなくなつたというふうなこともあつたわけなのであります。従いまして、それがどういうふうに軍事的に価値があるかいなやということは、非常に専門的な方から議論をしてきめて参つておるのであります。 それからDDTの解き方がおそかつたということでございますが、これはまつたくとめておりましたのを、昨年の十一月でございますか、十二月でございますか、そういう議論がありました末に、これをとつたのであります。それからバトル・アクトの関係で、なぜこれが日本に適用があるのかということでございますけれども、これはバトル・アクトそのものが日本に適用があるのではございません。バトル・アクトはアメリカの法律であります。従いまして、これが日本にそのまま適用があるということはあり得ないのであります。たたバトル・アクトの中に、軍事的目的の軍事物資を一定の国に出す国に対しては、一切の援助を停止するということがございまして、その点で日本にも関係が生じて来る、こういうわけでございます。 それから輸入貿易管理令はいかなる権限かという点に関しましては、これは外国貿易及び外国為替に関する法律がございまして、それに基きまして政令を制定するという、つまりどういうものに関してはどういう措置をとり得るということが基本法にございます。それに基いて政令が施行される、こういうわけであります、
○帆足委員 その戦略物資の境界線が非常にむずかしいなんということは、これはもろ議員各位のよく御存じのことで、ただいまお尋ねしたのはそうではなくて、DDTの例を申しますと、去年の六月、私どもが北京を訪れましたころは、すでに西ヨーロツパから輸入が許可されておるのに、日本だけがなぜ差別待遇を受けたのか。それはDDTを中国に輸出すれば、のみや南京虫が減る、のみや南京虫が減ると、解放軍ののみやしらみがなくなつて戦力になるであろう、こういう理論でありましたでしようが、そのDDTが西ヨーロツパからすでに多量に輸入されておるのでは、せつかくのDDTも、孫子の兵法もたるの底が抜けておるのではないか、商売の上で日本だけが立ち遅れて損をするのではないか、こういうことをお尋ねしておるのです。現在でもこういう品目が西日ーロツパに比べてたくさんあるのはどういうわけか。 それからその次に、伝えられておるところの、Aリストとか、セキユリテイ・リストとか、表に発表されていないリストがあるが、政府がこういうものは許可した、こういうことは許可しないということを、私どもは明瞭に知りたいのです。それは何の法律に基いてどうなつておるか、またそういうことは国会の意見も参考にしてきわておるかというようなことを、もつと明瞭にしていただきたい。こういうことについて、まずお答えを願いたい。
○黄田政府委員 特定の国々に対しまして軍事物資を輸出しないという国は、先ほど政務次官からも御答弁がございましたように、緩急非常に差があるのでございまして、帆足委員も先ほど申されましたように、アメリカ、カナダ、これはもう全部何も貿易一切しないという国であります。それから御指摘の西欧の諸国は、日本がその間に位しているというような次第でございまして、これはいろいろな段階がございます。これを調査しようという目的で委員会というものができておりまして、その目的のためにやつておるのであります。 それからセキユリテイ・リストと申しますのはアメリカ側にあるものでございまして、日本には関係ない。日本は日本独自の考え方でやつております。
○帆足委員 私は、政治的な問題は外務大臣にお尋ねするのですから、局長は事務官的に明確にお答え願いたいのですが、西ヨーロッパといろいろ段階があると申しますけれども、西ヨーロツパと日本とが差別待遇をされておる理由は、どういうところに論理的支障があるのかということを聞いておるのです。 それから第二には、今のリストの問題で、段階がついてしると言いますけれども、段階を私どもが何も国会できめた覚えもないし、また政府におさしずした覚えもない。バトル法は日本に適用されていないとすれば、しかもバトル法以外の物資がたくさん禁止されておるとすれば、そういう段階はだれがつくつた段階か、いかなる論理のもとにそういう段階がつくられておるか。国民の承服するような論理のもとにつくられておるならば、今日多少アメリカの影響下にありますから、国民の多数は承知するでしよう。しかし論理も明らかでなければその法的基礎も明らかでなく、国会の声も十分に聞いていないとするならば、その情勢をよく承つて、これは事務当局だけの責任ではありませんから、われわれは国会の力によつてそれを解きほどいて行きたい、こういうわけでありますから、実はこういうことは論理のないことですとか、こういうことは占領政策の錯誤のために起つておるとか、そういうことについて明確に現状を説明していただきたいのであります。
○黄田政府委員 どういう理由でという理由はございません。ただ日本は日本できめたことによつて、そういう中間に位しておる、どこかからさしずを受けてどうなつておるというようなことは、ございません。
○帆足委員 きわめて驚くべき御回答で、理由はないと言うが、理由なくして一体どうしてそういう段階ができたのですか。理由がなければフランス、西ドイツ並にすればよい。いかなる理由か。軍事的理由とか、経済的理由とか、何かあるはずです。またいかなる法的根拠でそういう差別待遇をわれわれは受けておるか。日本がきめたものであるならば、政府は何もそのために努力するなどと言われずに、即刻断行したらよいのです。それを努力すると言われるのは、おそらくアメリカと交渉しておることでしよう。その苦衷のほどはよくわかります。しかしそれにはやはりわれわれを納得せしめる論理というものがなければならない。包囲攻撃をするときは、うしろの方を防いでおかなければ何にもならない。うしろの出入りを自由にしておいて、そうして包囲攻撃をするということであるならば、外務省の経済局の予算は、アメリカの国会か西ヨーロッパの国会からもらえばよいのであつて、何らわれわれがそれに対して御支援をする必要はないのだというような矛盾した結果になるわけでありますから、ひとつその点を明確にお答え願いたいと思います。これは野党、与党の問題ではありません。国民の期待しておる問題ですから、相ともに協力して、今日の自由世界の問題としてひどく矛属しないような、摩擦を起さないような方法において貿易を拡大して行こう、貿易は戦前の三〇%というさんたんたる状況ですから、相ともに協力しようという熱意をわれわれは持つておるわけでありますから、もう少し親切な御答弁を願いたいと思います。
○小滝政府委員 理由がないとおつしやいますが、また帆足委員のお考え方では、バトル法なんかを心配しなくてもよいかのような御説にも承つたのでありますが、何といたしましても、日本の方で相当な特需などの利益を受けておるということは認めていただかなければならないと思います。そこで結局これはアメリカの国内法規であつて、アメリカの方で出ておる措置であるからというのでほつておけないので、こちらの方で輸出品日をふやそうとすれば向うと協議をして、そうして日本に対する協力関係が削減されないように努めなければならぬ、相手のある仕事であるということも御承知を願いたいと存じます。 またヨーロツパと日本とを考えてみますと、今朝鮮事件というのははつきり休戦ということになつていない。この事件がいかに展開するかということについて、ヨーロツパ以上に重大なる関係を持つておるのは日本だろうと思います。その際に日本は幸いにして出兵する義務などを負つていない。ところが他の国連諸国は、現に相当なる国費を使つて、朝鮮の方に派兵をしておるというような状態もありますので、そうしたいろいろの国の立場によつて、その共産圏に対する貢献の程度も違つておるというような点をよくあわせてお考えくださいますならば、私どもがここに努力いたして、できるだけ輸出物資をふやそうとしても、それには多少時を要するのですから、帆足委員の御意向も十分に体して努力しておるということを御承知願いたいと思います。
○帆足委員 ただいまの御答弁、どうしてそういうあいまいな御答弁をされるのか。私は今バトル法のことを申し上げたのではなくて、バトル法がどういう形で適用されるか、ここでも一つの問題があるのですが、それではなくて、バトル法以外の、バトル法で許可している物資までが日本は輸出できなくなつている。それは西ヨーロッパその他と段階がついている。その段階は一体だれがつけたのか、いかなる法的基礎のもとにおいてつけたのかというお尋ねをしたところが、局長はそれは自主的判断によつてきまつたというのですが、自主的にそんなことがきまるはずはない。そこでアメリカに対して遠慮するというなら、どういう点を遠慮しなければならないからきまつたか。そうするとその点は今次官は朝鮮戦線に西ヨーロツパは派兵しておるからと言われるのですが、派兵しておる国ならもつときつくすベきである。われわれは今国連にも入つていないから多少中立的領内もあるし、軍隊も持つておりません。しかるに西ヨーロツパの諸国ではDDTが許されていたときに、日本だけ許されていなかつた。これは何かアメリカに対する心理的なおつき合いで許されていなかつたのか、今の次官の御答弁では何ら説明にならなかつたと思うのです。そこでこういうことはただ行きがかりで、何ら法的根拠もなければ、理論的根拠もない、私はそう思つているのです。理論的根拠もない、法的根拠もない、だからこの際国会と一緒にひとつ努力しましよう、こう言つていただければ、私は次の質問に移りますけれども、いやしくも国民に責任を負つている政府当局が――エコノミストや東洋経済新報などを見ましても、この点がもやもやして秘密リストがあるのではあるまいか、秘密協定があるのではあるまいかということをジヤーナリストが書いているような現情ですから、この問題を明らかにしていただきたい。こういうことであります。
○小滝政府委員 今帆足委員のおつしやいましたところは、私どもといたしましても、議会と協力してできるだけ貿易の改善をはかりたいということを念願し、その方面に努力するつもりであります。ただいまの法的根拠はどこにあるかというふうにおつしやいました点については、先ほど経済局長が申しましたように、為替及び貿易を管理する法律に基いて輸出管理令で品目を指定し得ることになつているので、その根拠に基いてやつたものであるということを御了承願いたいと思います。
○帆足委員 私は本日の委員会でこのことを承りまして実に驚きました。結局日本が西ヨーロツパから差別される理由は、論理的にはまた戦略的にはほとんどない。うしろからDDTその他が入るのに、日本だけが禁止するということは、これは経済的または戦略的にどうしてもりくつが成り立たないと思うのです。また差別待遇を受けるほどの法律的根拠もない。そこで従来のアメリカとのいきさつ、占領政策の影響などで政府が苦慮されておるとするならば、それはわれわれ政府を攻撃するだけでなくて、現実の問題として日本は過渡期にあるわけでありますから、相ともに朝野の別なく努力し合つて、この国民的な貿易の難関を少しでも緩和して参らねばならぬというふうに私は理解するのであります。 第二に、これも重要なことは外務大臣にお尋ねしなければ意味がないのでありますから、事務的なことをお尋ねいたします。吉田総理はいつも中国との貿易は三%、近ごろは訂正して五%――一体こういうような統計学をだれが吉田総理に教えられたのか。経済局長あたりは吉田総理にお目にかかる機会もないでしようが、もう少し正確な数字を、そしてどうせ御老人は目も見えないでしようから、大きな字で書いて、赤線でも引いて総理にお見せしなければ――私はいつか吉田総理にこう言つたのです。東条さんの前の近衛さんが国を誤つたときに、日本の鉄は自給能力三百万トンでした。アメリカの鉄は六千八百万トンでした。二年たつて日本の鉄は二百五十万トン、アメリカの鉄は九千八百万トンでした。三百万トンと一億トンの鉄の戦争が武力だけで戦えるはずはないということを私は申しました。そうして一年間も私など憲兵隊にぶち込まれたのでございます。その例を申し上げて一国の総理たるものはぜひとも基本的な経済の統計の数字だけは知つておいていただきたい。中国との貿易の数字は、御承知のように満洲、北支を含めますならば、二〇%から多いときは三五%、また四〇%近くにもなつた年もありましよう。黄田経済局長はこの点についてどのようにお考えになつておられるか。これはいずれ私は直接総理、外務大臣に申し上げて、よく考えていただかなければならぬと思います。あの当時は満洲があつたじやないか、北支があつたじやないかと言いますが、今でも中国の中には満洲、北支がありまして、満洲、北支の重工業建設が今や全中国に五箇年計画として推し進められようとしている点において、前の数十倍の需要が起りつつあるということは、中国五筒年計画の最近の解説を――もしお持ちでなかつたならば、私どもから差上げたいと思いますが、それを見て私は驚きました。従いましてむしろ購買力は前の数倍に増大しているということが、西ヨーロツパ諸国の学者の一致した意見でございまして、単に私個人の意見ではありません。この問題について、外務省当局はどのようにお考えになつているか、ぜひともお考えのほどを伺つて、その数字を発表していただきたい。で、それをわれわれ検討したいと思います。
○黄田政府委員 パーセンテージというお話の点は、何年が幾らで何年が幾らということはちやんとつくつてあるのでございますが、それを総理がお間違えになつたのか……。
○小滝政府委員 私は総理が誤解しているというふうには考えておらないのであります。もちろん、たとえば昭和九年から昭和十一年の統計をとりましても一億数千万ドル輸出も輸入もあつて、これは二割程度になるというような点も示しているわけであります。しかし総理が言わんとする点は、当時における中国と現在とは非常に状態が違つている。今は中国の貿易を見ましても、七割から八割九分くらいはソ連圏であります。これはこちらの方の貿易が自由にできないからであると帆足委員はおつしやるでありましようが、こういう状況になつている。一体日本の方が入つて行こうとするときに、これまでのような重要性を持ち得る市場とすることができるかどうかという点において、総理はあのように言われたのだろうと思います。まず第一は、戦前でありますと、消費物資が行つた、繊維品が行つた、日本の軽工業品が行つたのでありますが、今中国では、私から帆足先生に申し上げるのは釈迦に説法でありますけれども、とにかくそうした工業が進んで来た。従つて中国の需要というものは重工業関係の品物であろうと存じます。だからそれを許せばいいじやないか、朝鮮事件も済んだらそれを許したらいいだろうというふうにおつしやるかもしれません。しかしながらもしそういう時代が幸いにして参りましたならば、日本だけがその供給国ではなくして、その際にはもちろんフランスとかイギリスとかベルギーあたりと競争しなければならぬ。その際一体日本の生産コストというものはほんとうにこれらと対抗できるかどうか。そうするとわれわれとしてはまず国内対策をもつと推進して行かなければならぬということになるわけでありまして、今すぐの見通しとして、はたしてそういうことが期待できるかどうか。これにはもちろん政府として努力しなければならないのでありまして、コストの引下げであるとか、いろいろな産業上の施策を進めなければならないわけであります。現実の貿易を見ても、これも帆足先生御存じの通り、船の問題もありましようし、保険料の問題もある。事実最近やりました貿易を見ましても、到着した荷物の品質の問題が起つているという点で、現実の貿易としてもいろいろな困難がある。こういうわけであつて、今すぐ全部輸出が自由になつても、そう大きなことを期待し得ない。われわれは最善の努力をするけれども、現実の姿はこのようなものであるというのが、吉田総理の言わんとするところであるということを御承知願いたいと思います。
○帆足委員 また次官から驚くべきことを伺つたのですが、それは中国に対して日本の商品が、英米独仏との国際競争場裡で、将来非常に不利である。だから見込みがないとするならば、それでは東南アジアでは一層見込みがないということにもなるでしよう。何となれば日本の商品は今国際的に割高になつております。合理化をいたしますための要件としては、労使関係を合理的にするということも重要な要件ですし、国内の電源開発その他もいろいろ重要ですけれども、原料を、よい品物を安く確実に入手する方法もあわせて講ぜねばなりません。御承知のように日本の鉄は四百五十万トンそこそこの努力をしておりますが、アメリカでは一億一千五百万トンの鉄をつくつております。実に驚くべきことです。その日本の鉄が、ニユーヨークのかなたから、原料をはるばると運んで来ておるような体制で、その他大豆にしても、工業塩にしてもそのような体制で、どうして世界市場で十分な競争をすることができましよう。従いまして中国の問題は、市場を得るだけの問題ではなくして、原料を得るという点においても、きわめて重要であることは御承知の通りであります。従いまして中国では大きな重化学工業の建設が必要であり、非常に広汎な、従来の雑品以上の新雑品が必要であるとするならば、戦争経済で鍛えられた日本の重工業、化学工業、中小工業には持つてこいの市場であつて、むしろ前よりも有利になる。ただ一つ不利な点は、過去のように自分の植民地または自分の支配下というようなことで、わがままかつてには、もちろんふるまえなくなつたから、世界各国と公正な競争もしなければならぬし、合理的な友好関係も結ばねばならぬという点で、前より以上の努力が必要であるということは指摘されると思うのです。しかしそういうような重要な問題をはずして、ただ中国の市場は困難であるから、多くの期待ができない。――中国で期待できないようなら、東南アジアのどこに期待できるところがあるか。ましてや船の八割五分までが一応全滅した日本にとつては、西ヨーロツパや中南米はもつと期待できない。従いましてこれらの点についての御当局のお答えは精神倒錯の症候があつて、これを健全な状況にしますためには、もう少し総理に対して、次官や局長がおやじ教育をしていただく必要がある。そして与党、野党の区別はありますけれども、それは部分的な問題であつて、国の運命に関するような問題については、もう少し虚心坦懐に語り合つていただきたい。私のことを次官は経済学者と言われるならば、ひとつ総理にでも会わしていただいて、そうしてわれわれからもよく意見を聞いていただいて、国民全体によいことについては、ひとつ与党も一はだ脱いでいただきたい。われわれは中国貿易の問題を、政府打倒の攻勢に使おうなどとは夢にも思つておりません。これは昔からの、われわれの父祖の時代からの課題です。満州、北支那、中国と、日本の関係を緊密に結びつけて、そして国運の隆盛をはかりたいというのは、昔からの、われわれの父祖伝来の伝統です。この伝統を過去においては軍国主義でやれた時代もありました。それは当時は小銃、機関銃の時代ですからそういうことができた。今の原爆と超音速航空機の時代には、われわれはこれを平和と友好と理性の力によつてやりたい。こう念願しておるのでありますから、私どもの主張をやれ桃色とか、赤とかお考えくださらずに、国民的課題として、一緒に解決して参りたい。 今日はこれだけの質問にとどめておきますが、ひとつ委員長を通じてお願い申しておきたいことは、まず過去、現在並びに今年の中日貿易の数字並びにパーセントを、正確なものをお出し願いたい。それには香港も入れていただきたい。香港貿易の多いときは七割ぐらい、少いときでも五割ぐらいは中国貿易でありますから、それを入れた統計をひとつお示し願いたい。私どももまたそれを検討して、これが正しい統計というので、国民にアッピールするようにしていただきたい。わざわざ中国貿易を五%というようなにせ統計をつくつて、それを国民に知らせるということは、かつて三百万トンの鉄をもつて、一億トンの鉄と戦い得るかのごとく宣伝したのと同じで、外務省文化部の責任だと思う。外務省の文化部は近ごろ特審局のような傾向があつて、傾向がよろしくありません。もう少し新憲法を読んで心を改めて、科学的に国民を啓蒙していただかなければならぬ。西ヨーロツパ諸国は一九五〇年では二十二、三億ドルの貿易を鉄のカーテンのかなたと貿易しているということを――これは黄田さんが序文を書いた非常にいい編集の書物です。これは黄田局長に教えられたのでありますが、こういう数字もよく検討されたい。そうして最近に至つてはもうイギリスは朝鮮戦争は済んだものと考えて、中国との貿易は去年の十数倍になつたと新聞は伝えておりますから、西ヨーロツパ諸国の鉄のカーテンのかなたとの貿易の品目と数字をひとつ全部示していただきたい。第三には国際連合の主催で東西貿易会議というものが一月前に開かれました。これは日本にとつては非常に重要な問題でありますから、その資料をいただきたい。この三つの資料をひとつ一日も早くできたものからいただくことをお願いいたしまして、事務的な問題だけについて質問したわけでありますから、後ほど外務大臣がお見えになつてから、あらためて質問を続行させていただきます。
○小滝政府委員 ただいま帆足先生から非常に有益なおしかりを受けまして、私十分御趣旨を体してこれからの事務をとりはからつて行きたいと思います。ただ、ただいま仰せになりました点で、輸入の方が非常に重要であるという点は私も承知しているつもりでございます。しかし中国の資源が戦前におけるがごとく日本で利用し得るかどうか、ソ連との関係もありますので、ほんとうにそれだけ日本へ持つて来れるようになるかどうか、これは政治関係とも関連する問題でありまして大きな問題でありますが、そうした点もありますので――非常に弁解のようでありますけれども、現在の状態においてはいまただちに大きな期待をかけることはできないということを総理が言つていると考えるのであります。たとえば石炭の例をとりましても、カロリーに対する日本へのCIFの値段を比べてみましても、現状では現在の市場に出ている程度から判断いたしますと、アメリカから持つて来た方がまだ粘結炭も安いというのが実情であるわけであります。もちろん日本の潜在的な市場として、また日本の今後の経済発展の上に、中国が大きな役割を果し得る可能性を持つているということは十分認めるものでありますが、こうしたいろいろな問題に関連があり、そうして現にまだ朝鮮でもああいう戦いが行われているという事情がありますために、いますぐ期待はできないが、われわれとしては将来を考え、またこれからの外交推進の面に対しましても、そうした御趣旨を体しまして十分御期待に沿うようにいたしたいと思います。 なお先ほど御指摘の書面は委員長からもお話があると思いますが、せつかく事務当局を督励いたしまして一日も早くお手元に差上げたいと思います。
○上塚委員長 ただいま帆足計君から御要求の資料については、できるだけの範囲において、外務省の政府委員において御用意あらんことをお願いいたします。
○並木委員 先ほどのMSA援助の質問を続けたいと思います。さつき土屋さんがMSA援助を受けなかつた場合には、保安隊とか海上警備隊の受けている援助もなくなるだろう。ただその場合に別途の交渉でこれを継続して行く余地があるのではないかというような答弁をなさいました。そうすると考え方としては、今度のMSA援助の中に、今までのいろいろの援助が含まれているというのが原則的な考え方でありますかどうか。今までの援助は援助として全然別であつて、新たなる援助がMSA援助によつて盛られて来るという考え方であるかどうか、この際明瞭にしていただきたいと思います。
○土屋政府委員 私が先ほどMSAの援助を受けない際に、従来保安隊その他に貸与を受けましたアメリカの武器その他は、どうなるかという点を申し上げましたのは、アメリカの軍事予算の面から今後ああいうものの継続は困難だろうと推定をいたしましたということを申し上げたのであります。そこでしからば今後MSAを受けないという仮定に立つて、ああいうものを継続させるためにはほかのとりきめを必要とするかということについては、現実に交渉してみないとわかりませんが、おそらく軍事予算の削減の面から、そういつた点については、従来日本が受けましたような形をほかの形で考えるというようなことも無理ではなかろうかと思います。従つて従来日本が受けておりました武器援助その他につきましての形を、何かの形でアメリカとしても始末をしなければならないということになるわけであります。その点から特別なるアメリカの立法なり、あるいは日本との協定ということを必要とするようになつて来ると思います。アメリカの最近の傾向は、海外援助はMSAをもつて一本にまとめるという議論のように見受けられます。従つてMSAの援助を受けずして、別途新たなる交渉によつてMSAと同じ援助を受けるという形を、ほかでつくり出すということは、おそらく無理ではないかと常識的に考えております。
○並木委員 その点わかりました。そうするとそのMSAの金額そのものも決定的なものでなくて、かなり幅の広い融通性のあるものではないかと思うのです。先ほどの十億何がしドルの中で、今までのところでは日本に大体どのくらい割当てられるかという数字の概要はわかりませんか。
○土屋政府委員 ただいままでのところ、いろいろの臆測をいたしてみたのでありますが、どうも確定的なことはわかりません。大体十億何がしのわくがあるという以外にはわかりません。ただそこから常識的に判断できますのは、このわくの中に台湾、フィリピン、南鮮等も入りますので、日本が今度割込みますと、そこにおのずから按分的に考えられる数字が出て来るかもしれないと考えております。しかしこれも明確にそれではお前は幾らと按分的に出すかと申されますと、御返事が申し上げられないのであります。
○並木委員 従来の例で、その交渉の過程によつて、日本の計画次第ではこの数字というものはどうにでもなる、そういう可能性は認められますか。今度の場合に十億ドルの中で、日本として交渉次第によつては、相当大幅の援助を受入れられる見込みがあるかどうか。
○土屋政府委員 御存じの通り相互安全保障法の中には、欧州向け、アジア向けと大別いたしました費目の中から、大統領の権限において一割だけは融通がきくようになつております。従つてこの一割というのは、どちらかに比重をかえることによつて、かなり大きな数字に移りかわるという意味から、今後の交渉あるいは、アメリカの考え方で、費目については額の増減ということはあり得るわけです。 もう一つはこのアジア地域に割当てられました額の中で、どの国に幾らどういう形で出すかということは、すべて本部長官の裁量によつてきまるわけであります。かりに他国に割当てたものでも、日本でもプロキュアメントの形でとるということも可能なわけであります。そういう点からこの額については、相当程度まで弾力性があるかと見受けられます。
○並木委員 MSAの援助を受けた場合に、この援助がどういうふうに使われておるかということに対する、アメリカ側の監督という問題が当然起るのじやないかと思うのです。そういう点は日本の場合にどういうふうに考えられるか、今までの例もあるでしようが、ただ援助をやりつぱなしで、そのままに被援助国の自由にまかされているものか、それとも与えられた援助の使い道とか、そういうものに対する監督という言葉は当るかどうかわかりませんが、そういう制度があるのじやないかと思うのです。その実際の例並びに日本の場合に考えられる点をお尋ねしておきたい。
○下田政府委員 法律解釈といたしましては、MSAに、被援助国の義務といたしまして援助が与えられた目的に使用しなければならないということがあります。従いましてアメリカからもらつたものを、外国に輸出して資金をかせぐというようなことをしてはいけないわけですが、援助の目的に沿う限りにおいて監督を受けるというようなことはあり得ないと思います。
○並木委員 実際にアメリカから職員を派遣するとか何とかして、監督の任に当らしめることはないのですか。たとえば今度かりに保安隊関係で日本が援助を受けた場合に、向うからMSA関係の職員が来て監督するとか、指導するとかいうことが行われやしないかと思うのですけれども、今までの前例もあるでしようが、どうですか。
○土屋政府委員 両国話合いの上で援助するという結果になつた例は、使用の目的に大体沿うようにという確信を両者とも持つわけであります。そんな点から監督官を派遣するというようなことはなかろうと存じますし、監督官を派遣した先例も見受けられないようであります。
○並木委員 MSAによつて受けた援助というものの資金あるいは財政、これか処分方法、そういうものに対して制限とかあるいはそれに対する一種の特典、特権というようなものは、今までどういうふうに行われていますか。普通の日本における資金であり、日本における資材である、そういう取扱いで行われるか、それとも特殊な扱いを受けるものか。
○伊関政府委員 MSAの援助に関しては三種類あるわけであります。第一種を軍事援助、第二種を経済援助、第三種を技術援助、第二種の経済援助の中で、欧州に対するものに防衛支持計画というものがございす。これは欧州における各国の兵器産業に対しまして、原料並びに機械を供給する、この場合にはたとえばフランスならばフランス政府がそういうものをアメリカからもらいまして、それをフランスのそういう製造業者に払い下げる。払い下げけすと当然そこに政府が払下げ代金を受取るわけであります。これが一種の見返り資金になるわけです。この見返り資金につきましては、たしか五%以内と思いますが、それはフランスに参つておりますMSA関係のアメリカの職員の行政費に充てる。それ以外のものはアメリカ側とフランス側で相談しまして、そして将来フランスの軍備を増すという方向に使えばいいというふうになつております。これは普通無償の援助でありますが、それに対してそういうふうな見返り資金を積むという例は、第二種の援助で、しかも欧州に行われておるところの防衛支持計画というものにだけ与えられるわけであります。
○並木委員 日本の場合にはそういうことが考えられませんか。
○伊関政府委員 日本の場合にはそういう欧州に対するような、防衛支持計画というものが行われるかどうかは今のところわかつておりません。
○並木委員 先ほど中共貿易の話が出ましたけれども、今度のMSA援助を受けたと仮定した場合に、それから当然中共貿易に対する制限というようなものが出て来るのかどうか。法律的にも実際的にもお伺いしておきたいと思います。
○土屋政府委員 MSAの援助からただいま並木さんからお話の出ました制限が直接出て来るとは考えられませんが、その点はまだほかに関連の法律もありはしないかと思いますので、後日もう少し研究の結果、御返事申し上げることにいたします。
○並木委員 もう一点だけ伊関局長にお尋ねしておきたい。朝鮮休戦の話が今出ておりますけれども、もし休戦が成立した場合には、日本に駐留するアメリカ軍隊が本国に相当引揚げるのではないか。その場合にいろいろ問題が起つて来ると思うのです。休戦が成立した場合に、今のまま現有米軍兵力というものは残つておるか。それとも、休戦が成立した場合には、当然本国に相当の兵力が引揚げるということが考えられておるか。その辺のところをお伺いしておきたい。
○伊関政府委員 非常にむずかしい御質問なのでありますが、ただいま日本におります米軍は、二つの任務を持つております。一つは日本の防衛、二つは朝鮮における国連軍の軍事行動のサポートをする、こういうふうになつております。北海道に一個師団、東北に一個師団こういうのが日本防衛部隊でありまして、東京以西におりますところのいろいろな部隊は、朝鮮作戦の関係でおるのが多いのであります。ですから日本防衛部隊というものは当然残らなければならぬ。当然と申しますよりも、状況に変化がなければ、これが朝鮮休戦でただちに引揚げるということは考えられないと思つております。
○上塚委員長 これにて暫時休憩いたします。午後一時より再開することといたします。 午前十一時五十四分休憩 ――――◇――――― 午後一時四十七分開議
○上塚委員長 休憩前に引続き、会議を開きます。 質疑を継続いたします。 なお、外務大臣に対する質疑者が非常に多うございますので、できる得るだけおまとめくださいまして、御一人十分ないし十五分程度にお願いいたしたいと存じます。 通告順によつて質疑を許します。帆足計君。
○帆足委員 外務大臣にお尋ねをいたします。朝鮮戦争も休戦の曙光を見るに至りつつありますことは、御同慶の至りでありますが、外務大臣には、朝鮮戦争の見通しにつきまして、予算委員会において多少お述べになつたことがありましたが、その見通しを承り、その結果、中国との貿易が多少やりやすくなるのであるまいがと私は思つておりますが、それについての外務大臣の見通しを承りたいと存じます。 さらに第二には、今日中国との貿易につきまして、バトル法のために制約されておると申しますが、日本は警察力に対する援助は得ておりますが、軍事援助と申すほどのものは正式には得てないわけでありますから、これが適用される根拠はないように思うのですが、現在いかなる根拠のもとに中国への輸出制限が行われておるか。1 第三には、西ヨーロツパに比べまして、わが国は相当許されてもよいと世界が考えておるような物資においてすら従来許されておらず、最近御努力にようて多少緩和されましたが、なおかつ西ヨーロツパ諸国に比べて不当なる差別待遇を受けておりますが、これはいかなる法規に基き、いかなる論理と理由に基くものであるかということを承りたいと思います。 なお第四には、MSAによる援助を受けますると、中国との貿易を制限される協約を結ばねばならぬというふうに新聞に書いておりますが、そのような問題が直接関連いたしますかどうか。 さらに最後には、中国に対して直接の戦略物資の輸出は、朝鮮戦争の最中は控えろということについては、その当否は別として、実際問題としてわれわれもこれを了とするものでありますが、平和物資について西ヨーロツパの諸国において許されております物資についてすら、過当なる制限を更けておりますのは、いかなる法令に基くかということをお尋ねいたしましたが、これは占領中において輸出管理令等、国会の審議を経ざる行政措置によつてずるずるべつたりにこのようになつたようのでありますが、あらためて国会の意向を聞いて再検討する意思はないのか。なおこれに関連して、Aリストとかいうような国民に知られてない祕密のリストが外務省または通産省にあつて、アメリカと協約しておるというようなふうにもジャーナリズムなどは伝えておりますが、そのようなことはまさかないと思いますけれども、念のためにお尋ねしたいと思います。
○岡崎国務大臣 休戦につきましてはいろいろ言われておりまして、あるいはできそうだと言い、あるいはできないと言う。いろいろな理由も述べられておりまして、これを一々どうだこうだ言つてもしかたがないと思いますが、私の勘だけで申しますれば、休戦はできそうであるということは、この前の予算委員会でも申したのであります。そこで休戦がかりに成立した場合に、中共貿易はどうなるかというお尋ねでありますが、中共貿易の制限は、われわれとしては国際連合の勧告に基いてやつておるのでありまして、休戦とは直接関係はないのであります。しかし休戦によりまして国際連合が中共を侵略者とみなすというようなことをやめて、制限勧告をしたのをやめるというようなことになれば、またこれ別問題でありますが、休戦によつてすぐどうということはないのであります。 それからバトル法のお話もありましたが、われわれは国連の勧告を基礎として制限をやつておるのであります。その制限の内容がヨーロツパの諸国に比べて重いとかいうような議論、これは一々の場合のでこぼこがありまして、あるものについては重い、あるものについては軽いというようなこともありましようと思いますが、われわれとしては、今までも申しておる通り、できるだけ自由諸国の足並をそろえるというのが考え方の根本になつております。従つて昨年の暮れでありましたか、品目の緩和をも行つたのでありますが、漸次話合いによりまして実情を調べて同じような歩調で行きたい、こう考えております。 それからMSAの問題についてはいろいろ言われておりますが、まだ政府として話をいたしておる段階ではないのでありまして、いろいろ新聞その他に伝えられてはおりますけれども、実際にこれがどういう形でどうなるかということについては、私はほんとうのところ知らないのであります。 中共貿易云々のお話がありましたが、まだまだそこまで何もきまつておりません。 それから中共に対する平和的な物資の制限を、国会で協議したらどうかというようなお話でありますが、これはちよつと所管外でありまして、通産省の主管する事項でありますので、私から意見を申し述べることは差控えたいと思つております。
○帆足委員 あと二点ばかりお尋ねしたいのですが、西ヨーロツパ諸国に対して不当なる差別待遇を受けておるというのが現状でありますが、大臣は、あるいは重いものがあり、あるいは軽いものがあると言われました。私は西ヨーロッパの方が日本より重くなつているものはないように思いますが、ありましたならば後ほどお知らせ願いたいのでございます。 さらに、中国との貿易は、平和的物資の貿易振興については、輸出振興の一環として政府も好意ある努力をしようということを、岡崎外務大臣も前国会の終りの外務委員会で申されて、われわれはこれを多としたわけでありますが、通産大臣はこの問題に関連して、昨今の国際情勢から見て中国に相互に見本市を開催したい、または経済調査のために調査員を派遣するということについては、自分もその事情が許せばその派遣も考えたいと思つているという御答弁をされております。中国との貿易を平和物資に関する限り、大いにやろうというのが外務大臣並びに通産大臣のお考えであるとするならば、今中国との貿易は長い間断絶していたあとでありますから、向うに参りまして技術につき、品質につき各種の問題を打合せをすることが、非常に重要な必要欠くべからざる要件でございます。たとえば開演炭にいたしましても、参りましたものの品質が悪いというようなことが新聞に出ておりましたが、これは選炭について十分な打合せができていなかつたことが一つの要因でありまして、それらの打合せができれば、近い開演炭の方がはるかに経済的であるということは自明の理でございます。従いましてこういう問題について通産大臣が大阪の輿論などを考慮し、業者の気持、国民の期待を考えて、せつかく積極的態度をお示しになつておられるときに、外務省当局が消極的で、たとえば旅券の問題などにおいてまたもや支障が起るというようなことでは、問題の解決を阻害すると思いますので、この際外務大臣から積極的な御意見を承つておきたいと思います。同時に、中国貿易議員連盟の方から、参考資料等は別便で大臣にお届けすると申しておりましたが、中国中央銀行総裁南漢宸氏から三百数十名を擁する議員連盟あてに、貿易使節団の交換をいたしたいという手紙も参つております。従つてこの際外務大臣の御意見を承つておくことはきわめて重要なことでありますので、御答弁を願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 西欧諸国と日本との間のどつちが重いか軽いかということにつきましては、いろいろあると思います。たとえばこの間イギリス政府で発表しました中共向けの船や、ほかの国の船で中共に行くものに対する制限等なかなか詳しいものが出ておつたように思いますが、これらも必ずしも日本と同程度とは言えないと思います。いろいろな点で違いは多少ずつあると思います。 中共貿易についての使節団といいますか、そういうものにつきましても、私は昨日も申したのでありますが、とかく全体主義の国では、芸術でも医学でも宗教でも、すべて一つの目的に集約して、たとえば共産主義に対する考え方がそこに浸透していないと、非常な非難をこうむるという実例が幾度もあるのでありまして、総理もしばしば言いますように、共産国だからというイデオロギーの問題と経済の問題とは別であるから、経済だけにこれを区切つて考えれば、どこの国とでも貿易することはさしつかえないじやないかという意見であります。ところが相手方が、もし経済でもその他思想の問題でも、すべてこれは共産主義を実行する上に役立つような方法をとるのであるというような思想の問題や宣伝の問題がそこに入つて来ますと、これはなかなかやつかいであります。私は、そういう問題については十分考えなければ、今の日本の状況としては、ただちにこれを自由に全部認めるということは困難であろう、いまだにこう考えております。
○帆足委員 ただいま大臣の言われたことは一般論でありまして、西欧諸国もこの問題に関する限りは、同じ問題を含んでいるわけですが、すでに英国などは昨年の十数倍の貿易を中国としておる。そうして今は北京に西ヨーロツパ諸国の商人が詰めかけて、売込み競争をしておるというような状況のときに、ひとり日本だけが今の岡崎外務大臣の言われるようなのんきなことを言つてれられたのでは困る。これは大臣の言われたことは今日の常識でありまして、思想と経済とを区別するということはだれでももう考えておることで、そのことはアメリカに対しても、また日本と国情の異なる他の主義、主張の国に対しても、同じことであろうと思います。従いまして一方では、日本の貿易は中国との貿易が戦前に比べますとさんたんたる状況であるから、この厖大な市場並びに原料の市場と貿易をすると言つていながら、他方においてはむしろ阻害しておるというのが、不幸にして今日の実情であると思うのであります。従いまして今の外務大臣のおつしやることでは、一体貿易振興のためにどういう努力を払つておられるかということが、とんと了解いたしかねるようなことでありますので、重ねて積極的な外務省当局の政策を伺いたいと思います。
○岡崎国務大臣 私の考え方は今申した通りでありまして、貿易も必要であることは当然でありますが、日本の堅持しまする自由主義を守り、民主主義を確立するということも非常に必要であります。ただいま引揚げも実行中でありますから、中共のやり方についてとやかく批評することは差控えたいと思いますが、少くとも日本に来ようとする場合には、全然純然たる経済上の問題でなければならぬはずであつて、そこに思想的のいろいろの企図があるということであつては、日本としてはこれは困るのは当然であります。その点十分考えなければならぬと思つております。
○帆足委員 時間がございませんので、私は外務大臣の御答弁に対して非常に不満足に思うのでありますが、他の同僚議員も御質問があることと思いますので、きようはこれで打切ります。しかしせつかく岡野通産大臣その他の方々が、問題を具体的に提示されて、中国との貿易の打開に苦心されているときに、外務大臣の御答弁は特番局長の御答弁ならこれでよいと思いますが、通商、外交は一体になつて進まねばならぬとき、しかもイギリス、西ドイツ、デンマーク、スウェーデン、フランスそれぞれ必要なる手を打つているときに、そうしてハリマン前相互安全保障本部長官の報告書を見ましても、機械的な画一禁止はとるところではなくして、選択的に合理的に順を追うて、ある程度の平和物資の交流は確保せねばならぬとまでアメリカですら言つているときに、日本の現状は、せめて過去三〇%くらいあつた貿易が一〇%くらいに今減つているというならがまんできるのですが、ほとんどゼロにひとしいということで、一体日本経済の自立ができるのかどうか、一体そういう数字に大臣並びに総理ともによく目を通されておるのであろうかどうかということをわれわれ疑うのであります。この問題は国民共通の問題でありますので、さらにひとつ御研究くださつて、満足の行く施策をしていただくことを要望いたしまして、私はこれで質問を打切りたいと思います。
○上塚委員長 加藤勘十君。
○加藤(勘)委員 私は質問の前に一言申し上げておきますが、決して社会党という狭い視野に立つて質問をするのではなくして、政府の政策と日本の将来に関して重大な関心を持つておるという国民的な立場からお尋ねするのでございますからして、ひとつやはり大臣も党派的な立場ではなくして率直にお答えを願いたい。これだけ希望いたしておきまして、質問に入りたいと存じます。 私は、四つの点で質問を申し上げたいと思います。第一の点は、政府の東南アジア開発の問題と貿易振興対策についてのこと、第二には、政府の考えておる対策とアメリカのポイント・フオア、英国のコロンボ会議、国連のエカフエ等の関係はどうであるかということと、それの調整についてどのようにお考えになつておるかということ、第三には、東南アジア諸国との関係について、たとえば国交の正常な回復、賠償の問題、民族意識と経済的な関連性等についてどのようにお考えになつておるか、第四には、貿易振興策としての中共貿易について、どのようなお考えを持つておいでになるかということ、この四点であります。順次一つ一つお尋ねをいたしたいと存じます。 第一の点につきましては、政府は前に総辞職をされます五月八日の閣議で、吉田総理が東南アジア開発と貿易振興対策について、異常な関心を示されて重大な発言をされたことが、新聞紙に報ぜられておるのでありますが、これらの当時の総理大臣の言葉は、新内閣においてもそのまま継承されて、これを具体化そうとしておいでになるのかどうか、この点をまずお伺いしたい。
○岡崎国務大臣 この東南アジアとの貿易とか、その他経済的な協力ということは、これは吉田総理の常の持論でありまして、ずつと従来から述べておるところであります。そこで新しい内閣になりましても、その方針はかわつておりません。引続き十分やるつもりでおります。
○加藤(勘)委員 そうしますと当時の吉田総理の発言によりますと、貿易の振興については、通産、外務、大蔵各関係省や民間の代表を加えて委員会をつくて貿易振興策を具体的に推進する。それからたとえばそれらのことについては、個別的には産業の問題、商品などについてもいろいろ問題がある、単価の引下げであるとか、金利の点であるとか、税金等をどうするかということについての総合的結論を出して、思い切つた措置をとるように、それから東南アジア開発の問題については、通産、外務その他の関係各省で急速に協議して具対的な策、たとえば委員会を設けて対策を樹立するとか、それに基いて英米等関係各国と折衝するように、こういう発言がなされておつて、その後の新聞報道によりますと、東南アジア開発の問題については、外務省が主管省となつてこれを推進する、また当時の小笠原通産大臣も、この東南アジア開発問題について総理の言葉を受けて、たとえば鉄鉱石であるとか、ボーキサイトとかいうような天然資源の開発については、日本から技術を提供したい、プラント輸出をして開発を促進する必要がある場合においては、その代金決済はできるだけ長期化する、また現地に合弁会社をつくつて開発を促進する案もあるが、その場合、日本側の出資を減じ相手側の経営権を認めて開発を円滑に進めたいと言われた。こういうことが新聞に報道されております。これらの事柄は、今外務大が臣おつしやつたような総理の異常な熱意の継承として当然こういうことが考えられますが、これは言葉としてはきわめて言うは安いと思います。しかし具体的にこれらの策を進めるということは容易でないと思いますが、まず第一に外務省でそういう開発に関する特別委員会をおつくりになり、貿易の問題について通産省で特別な委員会をおつくりになつたかどうか、もしおつくりになつておるとすれば、委員会はどういうことを具体的に進められようとしておるのか、またまだ委員会ができておらぬとすれば、どういう構想のもとに委員会をつくられようとするか、この点をお伺いしたい。
○岡崎国務大臣 この二つの問題は、いずれも政府全体としてやるべき問題でありまして、従つてどこが主管するというような意味合いのものでありません。ただいろいろの便宜の関係上、コスト切下げ等の貿易の促進の方は通産省が幹事役になつてとりまとめよう、また東南アジアに対する開発、と申しますといろいろ語弊がありまして、いい言葉もありませんが、経済的な協力を推進するということについては、外務省が幹事役になつてやりましよう、こういうことにいたしております。そこで通産省の方は私はつきり知りませんが、外務省の方では委員会と申すものは、これは成規の手続がなければできないものでありますが、同時に行政の簡素化というような趣旨から、なるべく委員会も置かないようにしようという方針を従来ともとつております。これは重要問題でありますから、委員会をつくつていけないという理由はありませんが、とりあえずは民間の実際に仕事をしておるような人々の知恵を借りるために、東南アジアの問題については、何か懇談会とか協議会とか称するものをつくろうと思つております。まだしかし人選等はきまつておりません。比較的小人数でやりたいと思つております。従来こういう委員会等がありましたが、いわゆる顔役のような人をずつと並べるだけでありまして、具体的に話を進めるのがなかなか困難であり、そういう人はとかく忙しいものでありますから、会議にもめつたに出て来られないということで、龍頭蛇尾に陥るおそれもありますので、できるだけ実際の仕事をしている人の知恵を借りる意味で、そう有名でなくてもさしつかえない、こう考えておりますが、ただいまそういう意味でいろいろ人選を考慮中であります。外務省が経済的な協力については幹事役になりますが、もちろん政府のほかの省とも密接な連絡をしなければできない問題であります。現に東南アジアの問題についても、あるいは貿易の問題についても、ことに貿易の問題などはすでにいろいろの案が政府にも提示されておるのであります。それがたとえばその長期の金融をつけるとか、あるいは金利を引下げるとかいうようなことになりますと、実行がおつしやるようになかなかむずかしいのでありまして、従つて初めから非常に大きな計画でやつても、実行ができなければ意味がないので、できるだけ実際的な方法で実行をまず第一に考えて行きたいと思つております。ただいまのところはその程度の構想しか持つてしおりません。しかしこれは急速にいたすつもりでおります。
○加藤(勘)委員 今おつしやるように、国内的にもさまざまな困難があることもわかりますが、国内的な問題以上に、国際的な困難な問題が一層からみついて来るのではないかと思うのです。そういう場合に、私は第二の質問に移りますが、アメリカのポイント・フオアの進行状況と、日本がもしそういう対策を進めて行く場合において、はたして衝突するようなことはないかこうか、イギリスのコロンボ会議の決定策に対して矛盾するようなことはないかどうか、また国連のエカフェの具体的な実施について、日本のそういう対策と矛盾する点はないかどうか。国際的な問題としては相手国の事柄ももとより重要でありますが、こうしたいわゆる日本と友好関係にある国々の東南アジア対策というものと、日本のことに開発対策というようなことが推進されて行く場合に、いろいろな衝突、矛盾を来すのではないかということを憂うるのですが、そういう場合に、政府はどうしてこれが調整をはかろうとされるか、この点について卒直な御意見をひとつお伺いしたいと思います。
○岡崎国務大臣 これにつきましても、実は東南アジアの問題は、ただいま申したような懇談会的なものをつくりまして、そこの意見を賜いてまとめるのが順序でありますが、その前に、大体のわれわれの構想としましては、やはりおつしやるように今までいろいろの計画もあるのでありますから、これと矛盾することも意味がないし、また矛盾しないまでも、これとオーバーラップして重なり合つてもしかたがないことでありますから、できればこういうものの中に溶け合うというのは妙ですが、この一部として日本も一役を買い得るようなことになれば、はなはだ好都合であり、またそういうことになれば、日本が何か経済的の利権を独占するのじやないかというような、あらぬ疑いも避け得ると思つております。但し一つの見方としては、このうちのあるものについては、何か従来の植民地政策というようなものをカムフラージユして、こういう形が出て来ているのだという感情も絶無とは言えないのでありますから、そういう点では、これに便乗したということになると、かえつて悪い結果が起る場合もあり得ると思いますけれども、それらの点は十分考慮しまして、原則としては、こういうものと一緒にやりたいというのがわれわれの希望であります。ことにエカフエにつきましては、すでに日本の代表も入つていろいろ討議もいたしておりますので、これは比較的とりつきやすいことになるかもしれませんが、ほかの方はどういう点で協力ができるか、今いろいろ検討しております。
○加藤(勘)委員 ただいまの御答弁の中にもありましたように、従来の植民地政策がこういう形をかえてまた実質的には植民地化されるのではなかろうかという疑惑が持たれることが、絶無ではないとおつしやいましたが、実際には絶無でないばかりか、こういう点が非常に民族感情を刺激して、かりにどんな善意を持つて行かれても、アメリカのポイント・フオアの政策がうまく行かないということも、コロンボ会議の政策が実際には現地においてうまく行つておらぬということも、主として現地における民族的な感情が反撥している結果だと思うのです。たとえば、これも新聞紙の報ずるところでありますから、政府はどういうようにお考えになるかしりませんが、先般吉田総理大臣がああいう発言をされたことが、すぐに数日後の日本の新聞には、現地における民族的な感情の反撥したものが報道されているような次第でありまして、日本が東南アジア諸国に対する場合には、こういう現地諸国の民族的感情というものが十分に尊重されなければならぬし、具体的には私は別な機会にも言うたことがありますが、戦争中の大東亜共栄圏思想を日本はまだ依然として持つているのではないか。たとえばエカフエの問題が出ましたが、これは国連の名によつているけれども、実際においてはアメリカの資本が大部分である。そうするとアメリカが国連を手先にして、アメリカの資本を投資して、かつてのように植民地化するのではないか、あるいは日本があまりに深くアメリカに入り過ぎているために、日本がいろいろなことを言い出すと、これもまたアメリカの手先を勤めるのではないか、こういうふうに現地における民族意識を非常に刺激しているということを、私この正月に向うに参りまして、いろいろな人と話し合う機会を得たのでありますが、現地の人は露骨にそういうことを言つているのです。従つて私はこれらの諸国が非常に遅れた国として、日本を東洋における進んだ国として尊敬を持つているということは認められますけれども、日本の優越した意識によつて支配されるということは、まつたく拒否していることがうかがわれるのであります。そういう点で、私はただ単に国連のこの政策に日本が協力するというような考え方ではなく、日本が東洋におけるほんとうによき友として、信義と友愛の上に立つた政策が――その信義と友愛も言葉ではなく、何らか具体的にそういうことが示されるような方法によつて政策が打立てられないことには、これがアメリカの政策や英国の政策と同様に、またしても姿をかえた支配力の現われではないかということがくみとられたならば、私は日本の政策は行き詰まると思います。そこでこれらの点についてほんとうにこれは考えなければならぬ点だと思いますが、そういう点について何か特別に東南アジア諸国の民族感情から誤解を取去るような方法をお考えになつておいでになるかどうか、これが私はポイントの一つだと思うのですが、政府のお考えがありましたらば聞かしていただきたいと思います。
○岡崎国務大臣 御注意の点はまことにごもつともであります。それで私どもも単に言葉の末ではありますが、東南アジア開発などという言葉はできるだけ避けておるのでありまして、何か人の資源をかつてに開発するというような印象を与えるのはよろしくないので、何かいい言葉をと思つて考えておる次第であります。特にこういう点はいろいろ疑惑も起りがちのことでありますから、抽象的にはただ日本はそんなことはないのだと言つても、なかなかそれだけでは納得しないだろうと思います。実際のいろいろの仕事におきまして、われわれの考えとしては東南アジアの諸国がゆたかになれば、そのはね返りで日本の貿易なり、日本の必要とする資源等も入手することができるのであるから、ただいまのところは日本の直接の利益を考えずに、相手国の利益だけを考えて、多少の危険は冒しても投資できるところは投資をする、技術者を派遣し得るところは派遣する。それもこちらの計画で行くのではなくして、相手国にいろいろの経済開発等の計画があるのでありますから、その相手国の計画の中で、日本の力といいますか、資力とか、技術とか、その他の点で協力でき得るところがありましたならば、むしろ非常な謙虚な態度でこれに協力さしてもらつて、それで相手の国がゆたかになれば、将来間接的に日本が利益を得るのだ、こういう考えでいろいろの計画を立てたいと思つております。その実際の計画を相手方の人が見れば、なるほど日本は別に変な考えを持つてやつておるのじやないということが漸次わかるであろう、それをただ抽象的に、決して日本は前のような考えではないのだと言つたところで、これではとうてい納得は急には得られないであろう、こう考えて、もつぱら実際の方法を思つておるわけであります。
○加藤(勘)委員 ちよつと時間が過ぎますが、ひとつ御勘弁願います。今大臣のおつしやつたことは、私どもの考えておることと同じような考え方で、非常にけつこうだと思いますが、ただそういうことを具体的に進めることが非常に困難だと思うのです。たとえばビルマにおいて、これは性質が違うといえばそれまででありますが、MSAの援助を拒否しておる。あるいはインドネシア等におきましては、非常に豊富な地下資源を持つておりながら、その開発の資金がない、どうしても資金がいるのだが、しかし外国の資金、ことにアメリカや国連の資金さえも拒否しておる。こういうような事柄を考えますと、政府のこれらの施策を進めて行かれる上に、非常な苦心がいると思いますが、私はこういうことがまつたく単なる民族的な偏見とばかりは言いきれないものがあると思うのであります。でありますから、これらの点について具体的な事実に現われて、なるほどこれならばと、おつしやるように相手方が得心するような施策を進めていただきたい。こういうことを希望してこの点についての質問を終ります。 第三番の質問といたしましては、今の問題と関連しておりますが、私は何と言うても第一に国交の正常な回復がなされなければ、ほんとうの話は進めて行かれないのでないかと思う。政治と経済は別であるから、政治的において今のような半分仲直りしたような、半分まだ戦争状態におるというような関係で経済問題を進めて行くというよりは、政治的にも正常な国交回復がなされるならば、その上においても信義というものが示されるわけでありますから、経済的な関係を推進して行く上においても非常に役立つと思います。国交調整の問題、国交調整というよりも国交回復の問題について、外務省としてはどのようにお考えになつておるか、まずこの点をお伺いしたいと思います。
○岡崎国務大臣 これはおそらく一番大きな問題は賠償の関係であろうと思いますが、これについても、元来賠償というものは、平和条約ができると相手国にその権利が出て来るのであつて平和条約ができるまでは実は法律上は権利はないわけなんであります。ところが相手国から言えば、賠償について誠意を示さなければ、平和条約の批准は困難であるという建前をとりがちでありますので、どちらも進まないで来ておるような実情であります。そこでたとえばフィリピンにつきましても、沈船引揚げの中間的な協定を三月に調印いたしましたが、これは相当に経費がいることでありますから、国会の承認がなければ実行ができませんので、ただいま国会の承認を求めるために提出しておるような次第でありまして、こういうことが一つずつでき上りますれば、賠償に対する日本側の真意というものも漸次了解されて、条約の批准も行われるのであろうと予想しております。しかし相手国には、たとえばフイリツピンでは大統領の選挙があるということであるし、またインドネシアでも選挙前の気構えで、なかなか政情が安定しておらないというようなことがあつて、それだけでもできない場合もありましようけれども、少くとも日本としてはこういうことで少しでもよけいに日本の真意が伝わるようにいたしたい。またビルマ等につきましても、いろいろ困難はありますが、最近たとえば医者を相当数よこしてくれというような話もあります。先方の給与は日本の相当の医者が生活するには十分でありませんので、でき得る限り政府でその経与の保障をし得るものならばしても、ひとつ先方の希望に応じて医者を出そうというつもりで今やつておりますが、こういうようなこともだんだん重なれば、やはり感情の融和にも役立つであろうと考えております。また仏印三国につきましても、最近先方の話もありますので、でき得れば外交使節を出しまして、そこで国交の融和をはかつて行きたい、こう考えております。この東南アジアのいろいろな問題を解決するためには、やはり賠償の問題というようなものが出て来る場合がありますが、政府としてはこれを逃げることをしないで、十分誠意をもつて解決する態度で進みたい。同時に相手国の民族意識といいますか、こういうものも十分尊重して行きたい、そうして早く目的を達したいと考えておるようなわけであります。
○加藤(勘)委員 国交の正常な回復について、政府も具体的には賠償問題の解決を通してこれをなすべきであるというようなお考えのようでありますが、もちろん賠償の問題も重要な――ことにフイリピンやインドネシや等について見れば、賠償問題が条約批准の前提であるとも言えるかもしれないと思いますが、ビルマ等のようにサンフランシスコ会議に出席していない国もあるわけです。そういう国に対しては、私は単に賠償の問題ばかりでは片づかない、今おつしやるように医療の供給というようなことも非常にいいことだと思います。同時に政治的にもう少し何か特別な手段を講ぜられる必要があるのではないか。たとえばインドネシア等について見ますれば、何というても文化の程度は日本に比べて遅れておりまして、こういう遅れている国に対して、近代的な文化の先進国としての日本が、賠償問題以外にほんとうに両国民の融合をはかるという点において、積極的な施設をなすことがはたしてないであろうかどうか。こういうことについても、政府は一体どのようにお考えになつているのか。 次に、賠償の問題でありますが、平和条約の規定によれば、この間倭島局長が行つていろいろ各国と話をされた、その趣旨を出ることはできぬと思います。また向うの要求をそのまま聞くということは、日本としても許されないことだと思いますが、この賠償の問題を解決するのに、一歩前進せしめるにはどうしたらばいいか。両方とも今大臣が言われたようなことをシーソー・ゲームでやつておつても、解決を進めて行くことは困難だと思う。これを解決するためには、何かここにひとつ障害になつているものを打破つて行く積極性がなければならぬと思いますが、そういう点でフィリピンに対しての沈船引揚げの協定ができたことを私も聞いて知つておりますが、そういうことと同様な意味において、インドネシア等についても何か行う手段があるのではないか。あそこではあまり沈船がございません、近くにありませんからフイリピンのようなわけには行かぬかもしれませんけれども、別な手段によつて、そういう具体的な行為によつて向うの感情を刺激しないように、そして日本があくまでも平等な立場で、決して先進国ぶつた優越感をもつて臨むというのではなく、ほんとうに心から兄弟のよしみで行くのだということを、具体的に示すような施策を何かなすことがあるのではないか。こういうことについて外務省当局としては倭島局長があちこちまわつて来られて、いろいろ向うの状態を見て帰つておられますから、これらの点について何か御相談をなすつたことがあるのかどうか。御相談をなすつたとすれば、どういうことをやろうと考えておいでになるのか。そういうことについてもひとつ聞かしていただきたいと思います。
○岡崎国務大臣 これはお説の通りいろいろの方法があり得るのでありますが、あり得るのであつてそれがすぐ実行できるかどうかはこれまた別問題であります。たとえば留学生を大いにとつてこれの養成に努めるとか、あるいは日本の技術家を出して農業その他のことに役立たせるとか、あるいは大学の先生を向うの大学に送るとか、いろいろ文化交流的な面においての施策はたくさんあると思います。またそれ以外につきましても、たとえばインドネシアでは具体的に何を意味するかよくわからないのでありますが、資本財を賠償としてほしいという意向も非常に述べられております。そこで賠償として資本財を出し得るかどうかは、ちよつと検討の必要がありますけれども、必ずしも賠償でなくても、先方の望んでいるのが資本財であるということならば、それがどういうものであるかはまだはつきりしませんが、何とかしてこれに応じ得る方法があるのじやないか、こうも考えてただいまも問合せ中でありますが、こうやつてでき得るだけ先方の要望するものに応ずることで、その素地をつくつて行くことはいろいろあるだろうと思います。今後ともそういう意味で努力するつもりでおります。
○加藤(勘)委員 今インドネシアの話が出ましたが、私どもが現地で向うの人と話をして聞いた事柄は、たとえばジヤカルタの港湾改修のために、セメント材や鉄骨材がほしいということを言つておりました。これは商業貿易の関係において供給されるのか、あるいは賠償の見返りとして供給されるのか。それは話は別でありますが、そういうようなことについてもやはり具体的に話を進めて、そうして決してこのものについては日本は政治的な反対給付を求めないのだという意思を明確に示されると同時に、実行されなければならぬと思うのであります。今おつしやるように文化の交流ということも非常にけつこうだと思います。たとえば留学生を日本に来てもらうとしても、向うがいやだと言えばそれを無理にひつぱつて来ることはできませんけれども、しかしながら向うのたとえば相当の労働組合なり国会なり実業界なりで指導的な地位にある人を、ほんとうに友人としてこれを迎えて話合いをしたいというようなことで呼ぼうとされるならば、私は喜んで応じて来るのじやないか、こういうことも考えられる。そういうような具体的に一歩前進した方法を、ただ考えておられるだけではいかぬと思いますから、具体的に一歩前進してほしいと思います。こういうことについてはぜひひとつ、今度委員会ができましたら、できれば先ほどおつしやるような東南アジア開発というような言葉は、いかにも先進国が資本を投じて向うの資源を開発するというような感じを与えて、そのこと自身が非常に民族感情を刺激すると思いますから、そういう言葉を用いられないで、私は言葉等についても十分な注意を払つていただきたいということを希望として申し上げておきます。 時間が過ぎてしまつて恐縮でありますが、最後に中共貿易の問題について、これは貿易関係であるからあるいは外務省でなくて、通産省の関係とおつしやるかもしれませんけれども、先ほど帆足君が御質問申したときに言いました通り、総理大臣の中共貿易に対する認識と岡野通産相の中共貿易に対する認識との間には、非常に大きな隔たりがある。しかも何パーセントというような総理大臣は数字まであげておられるが、われわれが見たところによつても、この数字は非常に違つているのであります。たとい満洲、関東州を加えた当時の対中国貿易というものと、中国本土だけを切り離した問題を見ましても、総理大臣のあげておられる数字は、一体どこから出て来たかということを非常に疑問に思います。そういう点で、私は今数字の末端をかれこれ言うのではありませんが、現実に総理大臣の中共に対する認識がああいう程度では、中共貿易というものも非常に軽んぜられるということは争われないのであります。私どもも一部の人々が言うように、中共貿易さえ解決するならば、何でもかでも翌日から日本経済が一人立ちになつてしまうというような安価な楽観は持つておりません。中共貿易といえども、相当前とは形態がかわつている。中国における産業構造の点からいつても、日本における産業構造の上から言つても、戦争前の状態を数字の上においてそのまま求めるということは、実際上できもしなければ、そういうことを夢みて、中共貿易ができれば何でも解決してしまうというような考え方は、一部の共産党の宣伝ならば別でありますが、そうでない限り、われわれはそんなことは考えておりません。しかしながら中共貿易というものの日本の対外貿易の上において占める比重というものは、決して私は小さく評価してはならないと思います。こういう点からいつて中共貿易が一日も早く回復するように、できればわれわれは、ちようどアメリカが長い間ソビエトを承認しないで、一九三三年になつて初めてソビエトを政治的に承認したのですが、これはイデオロギーの問題とは違う。こういう点で当時アメリカはソビエトを承認したのであります。と同様に、われわれはイデオロギー的にはまつたく別個な立場に立つにしても、政治的な国交を回復して行くということは努めなければならないわれわれの義務だと思います。ことに東洋の平和を確保するという点からいつても、今の中国に対する日本の不安定な状態を脱するということは、国民全体が考えなければならぬ点であると思いますが、それが今いろいろな制約によつて困難であるとするならば、少くとも貿易の点において、具体的にはいろいろな、先ほど大臣がお答えになつたように、国連との関係等で困難な制約があるでしよう、あるでしようけれども、われわれはその制約をどうすれば突き破ることができるか、どうすれば国連の了解のもとに日本経済が成り立つて行くように推進して行けるか。これを推進して行くためには、私は必ずしも今の現状でしかたがないと言うてあきらめているときではないと思います。総理大臣のようなお考えだというと、勢いあきらめて、大したことはないから、そんなことに力を入れるのは愚かしいことだという感じになつてしまうと思うのです。ところが一方岡野通産相によりますと、中共貿易というものを非常に大きく評価されておる。私どもは、大にしても小にしても、その見方の上において、正直にありのままをつかむことが必要だと思います。こういう点において、政府――これは外務省ばかりではありませんが、政府として中共貿易に対する確固たる態度をもつて、その態度を国連に話しまして、そうして了解を得て、また実際において私は中国で必要とする、しかも軍需資材でないもので相当需要されるものもあると思います。また日本においても中国から原料資材として受入れるものが相当あると思いますが、こういうことについて具体的に話を進めるような段取りを、ただ単にやむを得ない、バトル法の制約を受けてはおらないが、それに準ずる制約を受けておる、あるいは国連の制約を受けているというふうに何でもあきらめてしまうのではなくして、どうすればその制約を日本自身の経済自立を助けて行くために破ることができるか、こういうことの方向へ努力されるという考え方はお持ちでありませんかどうか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
○岡崎国務大臣 これはいろいろ制約があるのは今お話の通りでありますから、制約を突き破ると一概にも申せないのであります。つまりその制約をわれわれも民主主義国家の一員として、その結束に努める以上は、制約のあるものはですが、ある制約はむしろわれわれは擁護しなければならぬというものもあり得ると思います。しかしながらそれはりくつでありまして、さしつかえないものについては、貿易を促進するということは当然でありますので、お話の趣旨のことは十分通産大臣とも協議をしてみようと思つております。
○加藤(勘)委員 まだいろいろの点において、もう少しし実は具体的な内容等こまかいことについても質問したいと思つておりましたけれども、時間が非常に限られておりますし、私一人で多くの時間を占めることは、他の同僚諸君に対して悪いと思いますから、一応この程度で質問を打切りますが、しかし機会があれば具体的な内容について、さらに政府の考え方をお尋ねする機会があるということを保留して、一応私の質問を打切ります。
○上塚委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 昨日の私の質問に対しまして土屋欧米局長が、七月一日から米国の新会計年度が始まるので、おそくとも六月末までに、MSAの援助を話合いによつては受けてもいいという意向を、米国に意思表示する必要があると思う。だから六月中に一応態度決定をするというような御答弁をされたように記憶しております。そこで私は思い出しますのは、これに先だちまして岡崎外務大臣が、たしか十三日の新聞だつたと思いますが、米会計年度の始まる七月一日までに政府が態度を決定しなくてはならないというようなことはないと思うと言われております。そこでお二人の意見の食い違いがあるように思われますが、一体六月三十日までに意思表示をなさろうとするのか、それともなさらないでもいいのか、承らせていただきたいと思います。
○岡崎国務大臣 実はここに土屋局長がおりますが、忙しくてまだ打合せておりません。土屋局長が何と言つたかも実は新聞以外に知らないのでありまして、これはなれ合いのお答えではないのでありますが、私の考えではおそらく土屋君の言つたのは、法律その他を見まして原則的なものをずつと述べたにすぎないと思います。それが原則であるとしても、当然例外的なこともあり得るのでありまして、私は今でも六月中に何か意思表示しなければならぬということはないのであろうと思つております。
○戸叶委員 それでは土屋さんのが原則的なお答えをなすつた。岡崎外務大臣は、例外的なものもあるから、今回の場合は、六月三十日までに日本としては例外的なものとして、意思表示をしないでもいいだろうというお考えをお持ちになつていらつしやるかどうかを承りたい。
○岡崎国務大臣 そう問い詰められますと、実は私も答弁に窮するのであります。というのは、アメリカ側と何もまだ相談をしておりません。話もしておりませんから、実は先方がどういう気持でおるかほんとうのことはわからないのであります。しかし今までの材料といいますか、いろいろな資料で見ますと、多分私の言うようなことであろうと思つておるだけであります。
○戸叶委員 今までの材料だとしないでもいいというお気持ちなんですか。
○岡崎国務大臣 そうです。
○戸叶委員 それではもしも事態が変化いたしまして、六月三十日まで、あるいはもつと先になるにいたしましても、いずれにいたしましても、その意思表示をするような場合に直面いたしましたときに、岡崎外務大臣は政府だけでその意思表示を御決定になろうとなさるか、それとも国会に諮つて、つまり国民の意思を問うた上で、MSA援助の受入れに対しての意思表示をなさるかどうか、その点を承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 国会にはもちろん報告その他いたしますが、それがどういう形になるのですか、まだ実は先方と話をいたしておりませんから、的確なことは言えないのであります。ただ何でもかんでも政府だけでないしよでやつてしまう、そういうつもりはありません。
○戸叶委員 岡崎外務大臣がないしよでやるという意思はないということをはつきりおつしやいましたので、私は安心いたしましたが、今までの例を見ますと、どうも国会に諮らないで政府だけで秘密になさることが多い。この問題は非常に国民に関係のある問題ですから、ぜひ国民の意思を問うた上でおきめ願いたいと思うのでございます。 そこで私はMSAの問題でまだいろいろ伺つてみたいと思いますが、具体的にいろいろなことがわかつておらないという御答弁であると、それ以上のことは伺えないのですが、今までの材料によつて見まして、MSAの援助を受けたときに、日本の主権がさらに侵害されるというような危険性がないかどうかを承りたい。
○岡崎国務大臣 どういう意味でありますか、たとえば国際連合に加入しますと、ある程度やはり主権の制限といつては語弊があるかもしれませんが、国連憲章と主権との関係が出て来るわけであります。今の国際会議とか国際協定というようなものは、すべて多少ずつの、そういう主権をある程度譲るとかなんとかいうことがあり得る場合が多いのであります。でありますから今度のMSAの話は、私はまだ何も実は正直なところ申すだけの材料を持つておりませんが、そういう普通の意味のことは別とすれば、特に国民の心配するような主権の制限とかなんとかいうことはあり得ないであろうと思うし、またそういうことがあれば、政府としてもそういう援助を受けられないという場合もあり得ることでありまして、まだ先のことで話ができておりませんからわかりませんが、そういう気持でおります。
○戸叶委員 今までMSAの援助を受けていた国の中で、受けてはみたけれども、非常に不満があるから拒否したいというような空気が出ておる国が非常に多いということを聞いておりますが、そういう情報が政府には入つておらないのでしようか。
○岡崎国務大臣 そういうこともあるようであります。しかしまた他方には何といいますか、ヨーロツパの国々のように、アメリカと教育とか思想とかが非常に似通つておる国では、むしろ大いに得たいというような考えのところもありますし、それから新しく独立したりなんかして、民族的な意識というか、そういうものが強いところでは、また反対の意向もあるようであります。
○戸叶委員 それではもしもかりに日本がこのMSAの援助を受けたといたしまして、日本の国民の輿論が、こういうものは拒否したいというような気持になつたときに、それを廃止なさる気持はございますか。
○岡崎国務大臣 非常にむずかしい問題で、国民の輿論をどういうふうにはかるかというようなことになりますが、私どもはやはり、大体国のためになるかならぬかということは、今政府としては政府の立場で考えるよりいたしかたがないと思つております。
○戸叶委員 私が日本の主権の問題について非常に気になりますのは、たしかきのうだつたと思いますが、予算委員会で今澄さんの質問に対して、岡崎外務大臣が、防衛支出金は日本とアメリカとが半々に分担しているが、これをもし日本だけで分担するならば、発言権がさらに強くなると言われたそうでありますが、こういう言葉から考えてみましても、MSAの援助などを受けるならば、さらにそういつた発言権が失われるのじやないか、またそういうような裏づけを私は感じられるのですけれども、その点はどうなんでしようか。
○岡崎国務大臣 お断りしておきますが、昨日言つたのは、今澄君が、日本の方の分担金をなしにして、みんなアメリカの方におぶさつたらどうかという話でありますから、それはおもしろくないのじやないかと言つたのでありまして、アメリカの分までこつちが引受けると言つたのではないのであります。 なおMSAの問題は、たびたび言いますように、まだ中身がわかつておりませんから、今ここで申し上げるわけに行きませんが、いろいろ世間で心配し、この委員会でも御質問がありますのは、やはりそういう点を懸念されてのことと思いますので、われわれもその点は十分留意するつもりでおります。
○戸叶委員 私はどうも政府のアメリカ側に対する発言権というものが、非常に阻止されているのじやないか、あるいは非常に弱いのじやないかということが感じられてしかたがないのです。岡崎外務大臣は、そんなことはないとおつしやるかもしれませんが、そういうことが感じられるのです。その一番いい例は、MSAの問題はもうこれ以上追究いたしませんが、きのうもちつよと質問いたしましたけれども、日米行政協定の裁判管轄権の問題でございます。アメリカの上院においてまだ採択されておらない、しかし近いうちに採択されるであろうと予想しているところの北大西洋条約、それが採択されてから日本の裁判管轄権のことも考える、こういうようなことをいつまでも言われております。そこで私は昨日なぜこのNATOというものにそれほど日米行政協定というものが縛られなければならないかということを質問いたしましたけれども、私の納得の行くような御答弁をいただけなかつたものですから、岡崎外務大臣に、なぜNATOが採択されるまで、日本の裁判管轄権が積極的に改訂されるような努力をされないかということを承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 裁判管轄権の改訂の問題については、いろいろの案がありましようけれども、今国際的にどこの国でも考えて、多数がいいと思つておるのはNATO方式であります。従つてわれわれが行政協定の裁判権の改訂を申し入れるとすれば、第一案として、どうしてもNATOと同じような改訂案を出す以外に名案がないのであります。そこでそのNATOと同じ案を改正案として出した場合に、NATO協定自体が、上院でまだひつかかつておつて可決されないという状況では、これはアメリカ政府として、上院でまだひつかかつているものを、日本だけに同意して協定を結ぶということは、とても考えられないと思うのであります。そこでNATOの協定の上院における批准が非常に長くかかるとか、あるいは絶望であるとかいうことになれば別問題でありますが、もうじきにかかるそうで、かかれば一、二週間で可決されそうだ。これは報道が間違いかもしれませんが、そういう予測がされておる現在でありますから、いましばらくその様子を見ようじやないか、こういうのが実情であります。
○戸叶委員 私はそういう点は違うと思うのです。たとえばNATOがどこの国で考えてみても非常によいものだと言われるが、そういうような案がおありになるのでしたら、そのNATO自身にこだわらずに、よいと思われるものをどんどんお出しになつたらよくないかと思います。日本の国はすでに独立国になつているのですから、独立国の権利をそういう点で主張しても、アメリカが別におかしく思うはずがない。かえつて日本の国はこういうことを望んでいるのだから、早く改訂をしたいという御希望を述べられた方がいいと思うのですが、その点に対しての外務大臣のお考えを承りたいと思います。 それからもう一点は、今朝の新聞だつたと思いますが、ワシントンからの報道で、ノーランド議員の予定表の発表によつて見ても、何かしらNATOの協定が今年中に採択されそうな見込みもないというようなことが報道せられておりますけれども、外務省の方としては、必ず近いうちにNATOが採択されるというお見通しを持つていられるかどうかを承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 これはたとえば実際上の問題をお考えになつてくださればわかると思いますが、NATOと全然同じものでなくても、近いものを出したらどうかと、かりにしましても、その交渉には数箇月かかりましようし、それがNATO協定自体とほとんど精神が同じのものでありますならば、アメリカの上院の今の状況において、このNATO協定自体がきまる前に、アメリカ政府としてこれを応諾するということは、事実上私は困難だと思います。だからもしNATO協定の方が見込みがないということになれば、これは別問題であります。次善の策ということがありますが、日本だけが骨を折つて一生懸命やつて、NATOより幾分か劣るが、それに近いもので協定ができたとして、ちようどその時分にNATOの批准ができてしまつたということになりますと、これは非常に結果においては悪いことにもなり得るのでありますから、私はもう少しどうなるか様子を見たいと思つております。もちろんアメリカの国会の中にも、外国におけるアメリカの軍隊に対して、相手国に裁判権を与えるようなことはけしからぬといつて、大いに論じておる議員もあることは事実であります。ことに今までNATOが批准されなかつたのはそういう理由なのでありますから、そう簡単にすらすら行くとは思つておりませんが、今のところはいろいろの反対派の意見もありましようけれども、何とか批准が成功するのじやないかという期待を持つております。
○戸叶委員 批准が成功されるという見通しをお持ちになつていらつしやるのですが、もしもそれが通らないというようなことがはつきりおわかりになれば、積極的にこちらからその改訂を申し込まれる御意思がございますか。
○岡崎国務大臣 改訂の申し込みはすでにやつておるのでありまして、その改訂の活に応ずるという意向も先方から正式に来ておるのであります。今度は改訂の具体案を出すわけであります。それは見込みがなくなれば、ただちにやろうと思つております。
○戸叶委員 それは大体いつごろになつたらはつきりするのでしようか。
○岡崎国務大臣 大体アメリカの上院で夏前にどつちかにわかるだろうと考えております。
○戸叶委員 私どもは、一日も早くこの改訂をしていただきませんと、いろいろな点で日本の主権が侵されていることをおそれるものでございますから、そういう点に対しまして、外務当局でも、もう一度米上院とも交渉の上、一日も早くこの協定の改訂されることを望みまして、私の質問を終りたいと思います。
○上塚委員長 穗積七郎君。
○穗積委員 私はいろいろお尋ねしたいことがありますが、時間がありませんので、他のことは次の機会に譲らせていただきまして、ただ一つ、今戸叶委員からお尋ねいたしましたMSAの取扱いの問題について、事前に重要な点だけちよつとお尋ねしておきたいと思うのであります。 第一点は、今外務大臣から、相手がまだわからないので、内容についてはお答えができないということでありましたが、もしアメリカがMSAによる協定を提案されましたときには、これを受諾する意思がおありになるのかどうか、まず第一にお尋ねいたします。
○岡崎国務大臣 これはたびたび申します通り、内容によるものでありまして、内容がわからないのに今から受諾するとか受諾しないとか申すわけに行かないと思います。
○穗積委員 これはもとより相手のあることでありますから、こちらの思う通りに万事行かないと思います。しかしながらこの問題は、日本の経済なりあるいは今後の外交問題に重大な基礎をなすものでありますので、日本政府自身としては、かくのごとく希望しあるいは考えておるという御意見があらなければならぬと思うのです。われわれはまつたく自主的な考えがなくて、相手次第であるということは、これははなはだ不誠意、無責任なことでありまして、もし希望されるなら、こういう条件で相手を納得させて行こうというような、事前にこちらからの意見なり工作なりがあるのは当然だと思うのです。従つて重ねてその点について、具体的な条件あるいはまた話合いということの報告は別といたしまして、日本政府の腹の中をひとつ率直に聞かしていただきたい。
○岡崎国務大臣 日本政府の腹の中は、これは希望すべきものであるか、希望すべからざるものであるかを今研究中なのであります、これも相手方に聞けばすぐわかるじやないかとおつしやるかもしれませんが、相手方もやはりいろいろ国内の情勢もあり、ほかの国との関係もありますから、日本に対してもしこういうものを出すなら、どういう協定にするかということはおそらくまだきまつていないのだろうと思います。またかりにきまつておりましても、こちらから言い出した方がいい場合もあり、先方の言うのを待つていた方がいい場合もあるのでありまして、これらの点はやはり外交上のいわば技術的なものになりますが、折衝になりますから、今のところまだ政府としてはどういうことにするかきまつておらないのであります。
○穗積委員 ただ一点、国民の関心を持つております問題は、きのうもこの委員会でも質問があつて事務当局からお答えがありましたが、MSAに墓きます協定を結ぶ条件の中に、ミリタリイ・オブリゲーシヨンを必ずしも条件としない。そうしてすでにそういうミリタリイもオブリゲーシヨンを負わないでMSAによる協定を結んでおる国の事例があるという報告がありましたが、日本の国家といたしましては、言うまでもなく、憲法の条章上ミリタリイ・オブリゲーシヨンを負うところの協定を結ぶことはできないものであると思いますので、そういうことは万々考えられませんが、それ域外の条件、すなわち軍事的な義務を負わないで協定を結んでおる国の事例というものは、われわれの腹をきめる場合に参考になることだと思うので、その軍事的な義務規定を負わざる協定である他の国の例、それらを研究されて、そういう条件であるなら受諾していいかという、これは仮設的なお尋ねでありますが、その点を明らかにしていただきたい。
○岡崎国務大臣 これはいろいろ幅のあることでありますし、また相手方によつてはいろいろ意味が違うと思いまして、私はこれを実際に話し合う前にああであろう、こうであろうといつて想像して、こういう正式な委員会で申して、国民に不必要な誤解を与えるようなことがあつてもならぬと思います。まだほんとうにわからないのでありますから、この点はどうもいかんともお答えのしようがありません。
○穗積委員 それではその問題の内容につきましては、もう少し時期を見ましてからお尋ねいたしたいと思いますが、ただ一点問題は、六月末までに何らかの政治的な返答をしなくともいいということでありましても、おそらくは諸般の情勢からながめまして、多少のずれはありましても、近い機会に日本の政府の腹をきめなければならぬと思うのです。それについて一言重ねて明らかにしておいていただきたいのは、その政府の方針を決定し、向うヘイエス、ノーの答えをされる前に、先ほどのお話では、国会に報告をし、意見を聞くということですが、それの具体的なことについてであります。この協定を結ばれます場合に、安保条約の附属協定のような形で結ぶことは私はあり得ないと思いますが、しかしながら安保条約締結以来の吉田内閣のやり方を見ておりますと、そういう道理を無視して、行政協定、つまり政府の事務的な協定としてこれを取扱おう、そうして国会または国民の意思をあまり尊重されないような不安をわれわれ今まで過去において持つておりますので、この協定が安保条約の附属協定として取扱われるようなことはないと思いますが、その点について外務大臣の率直な御意見をあらかじめ聞いておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 先ほど申しましたのは、ないしよでもつて祕密にどんどんつくつて、どこにも知らせないということは考えておりませんと言つたのでありまして、これはまだ協定をつくるのやらつくらないのやらわからない。その先に協定なりあるいはとりきめなり、そのものの性質によつて、おのずかち国会の批准を得べきもの心あるし、あるいはその他の問題もあるのでありますから、ただひた隠しに隠すということはいたさないということを申し上げただけであります。 なお安保条約の附属協定とかいろいろ御意見がありましたが、これはまつたくまだ成案もなければ話もしてないものを、こうしてはならぬとか、ああするんだということは、私としてはまだ申し上げる段階でないのであります。
○穗積委員 その答弁はわれわれとしてははなはだ遺憾でありまして、実はMSAによります協定というものは、日本が初めて結ぶ協定ではないのであつて、すでに欧米、アジアの諸国において結ばれておるものがあるわけであります。従つてこれらの国の外交上の取扱い事例もありますので、その一般的な状況を基礎にして、もう一度独立の条約としてお取扱いになるかどうかを、はつきり伺つておきたいのであります。
○岡崎国務大臣 これはほんとうにまだわかつてないのです。これは協定になるのやら何になるのやらわからないものを、今そうおつしやられても無理であります。もつとわかつてからならお答えしますけれども、今何も向うで話してないことは再三申し上げた通りでありまして、どういう形にするのやら何やらまだ全然きまつておらないのでございます。
○穗積委員 私の言うのは、内容がわからないからということではないのであつて、すでに結びました各国の事例から見て、当然これは国会で批准を得べき協定とすべきであると私は思いますが、そういう一般的な希望といいますか、あるいはまたそれに対する政府の御方針といいますか、議会を尊重する御意思を伺つておきたいということであります。内容について私は申し上げておるのではないのであつて、このことについてはもうすでに各国の事例を見ましても明らかなことでありますので、それとの関連において御意思を伺つておきたいということであります。
○岡崎国務大臣 国会を尊重することは当然でありますけれども、これは憲法、法律等でもつて国会にはどういうものを批准を求めるとか、あるいはどういうものを報告するとか、おのずからきまりがあるのでありまして、こつちはそれのどれになるかはまだ全然わからないのでありますから、今からどうということをはつきり申し上げることはできない、そういうことを申しておるわけであります。
○穗積委員 それでは最後に希望として、その希望に対してお答えをいただきたいのでございますが、この問題は先ほど申しましたように、日本の経済の性格や、それからアジアとの諸関係を規定します重大な問題であると同時に、再軍備問題につながる重要な問題だと思つております。すなわち国内的には憲法改正問題、対外的にはあるいはこの協定をどういう内容で、どういう方法で結ぶかということが重大な分岐点になると思いますので、これに対しましては、先ほど議会を尊重し、かつ議会の意思を千分お尋ねするということを言われたのでありますが、それについては交渉がもし始まりますならば、そのときに遅れることのないように、既成事実をつくつて、しかる後に国会に事後報告のような形で問題を提案するというようなことのない御誠意を、ひとつこの際重ねてお答えをいただきたいと思つております。
○岡崎国務大臣 どうもおつしやることがよく私にはわからないのであります。事後報告とは何のことかわかりませんが、たとえば、これはまあ今度のMSAがどうなるかは別問題でありますから、MSAの問題ではないのでありますが、たとえば条約を調印して批准を国会に求めると、これは事後報告だというような議論がよくあります。政府としては決してそうは思つていないのでありまして、憲法にも条約を締結する事前にもしくは事後にと書いてあるのでありまして、調印をする事前事後とは書いてないのであります。それは別問題でありますが、国会を尊重するということはただいま申した通りでありまして、またそれがおつしやるように再軍備の問題と関連するかどうか、そんなことはまだほんとうにわからないのでありまして、今それを想像してとやかく議論をすることは、私はまだ早いのだ、こう思つております。
○穗積委員 国会並びに国民の意思を十分尊重していただくことを重ねて私は希望いたしまして、きようはひとまず質問を打切ります。
○戸叶委員 それに関連して一点だけ……。岡崎外務大臣がMSAの問題はまつたくわからない、わからないという御答弁ですが、大体いつごろになつたらはつきりおわかりになるかを、承らせていただきたいと思います。
○岡崎国務大臣 これは先ほど申したように、こつちから問いで歩いた方がいい場合もあり、向うから来るのを待つていた方がいい場合もあるのでありまして、いつごろということは、私はまだ申し上げる時期ではないと思つております。
○上塚委員長 田中稔男君。
○田中(稔)委員 昨日倭島アジア局長に対しまして、在日華僑の中国帰還問題につきしましてお尋ねいたしました。どうもあまり御親切な答弁でなかつたのでありますが、こまかいことはよしにしまして、ごく要点だけを岡崎外務大臣にお尋ねいたしたいと思います。 この帰還問題の難点は、台湾政府の態度にあるように了解しておりますが、一体帰国船の往航を利用して在日華僑を向うに送りますについて、航行の安全の保障を台湾の政府に求める必要というものがあるのでありましようか。向うが航行の安全を保障しないと言つたつて、こつちはそんなことにかまわず断行してよさそうに私は思いますが、これについての御意見を承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 国民政府は中国の港を封鎖するということを宵つておるのであります。事実日本の漁船が国民政府の船に拿捕されたこともありまして、その理由は封鎖を破つたからということもあつたようであります。従つてその封鎖をすることの善悪は別としまして、現在船を送ろうとしておるときに、これの妨げにあうようなことになつては、せつかく帰還する人も非常に困りますから、あらかじめ十分なる了解を得ようとしたわけであります。
○田中(稔)委員 これは皮肉の質問になるようでありますが、日米安全保障条約というものができておりまして、アメリカが日本の安全を保障してくれるということになつている。そうしますと日本政府が自己の判断で在日華僑を中国に送り届ける。しかもこれも三万人の在華同胞を親切に送つてもらうお礼としてわずか六百人あるいは百千人、こういうものを送るという。それをなるほど国民政府が中国の諸港を封鎖しているというようなことがありましても、そういうむちやな態度に出た場合に、たとえば、ほんとうに日本政府が断行した場合には、その帰国船を拿捕するというような事態でも起つた場合には、これはひとつアメリカに頼んで国民政府を押えるという手はないものでありましようか。
○岡崎国務大臣 それは安全保障条約はアメリカの駐留軍のここにいることを認めておりますが、これは日本に対する直接侵略を防衛するためでありまして、それ以上のことを頼むわけにも行きませんし、また政府としても頼むべきものではないと思う。また国民政府に対しましては、われわれは条約を結んで友好的な関係を保つているのでありますから、この方面に十分話をすれば納得してもらえると私は信じておつて、努力しておるのであります。ただ時日が非常に切迫しておりますから、なかなか急にむずかしいということはあり得ると思いますが、私も国内にいる中国人を向うに返すということについては賛成なのであります。できるだけそういうふうにしようと考えて努力しておる最中であります。
○田中(稔)委員 それで国民政府とは平和条約を結んでおるということでありますが、それは私も承知しております。私どもはこれは認めないのでありますけれども、そういうものがあることは知つておる。しかしそれは台湾政府の主権の及ぶ範囲は、台湾本島、澎湖島、大体そういうところに限定されておると思う。そういう了解のもとに結ばれだ条約であると思う。そういう政権が私はこういう問題に干渉する権限はないと思いますし、日米安全保障条約があれば、私はこれはひとつお願いしてもいいじやないか、岡崎さんにぜひひとつやつてもらいたいと思うのであります。大体船というものは、領土の延長だと思いますから、私はこれを拿捕するというようなことが起つたら、やはり確かに侵略だと考えてもいい。しかし日米安全保障条約によらなくても、フリゲート艦や何かお持ちになつておりますから、ひとつこれで護衛でもしていただいて、政府単独の責任で、こういうことは断行していただきたいと思いますが、これは私の希望として申し上げます。 次にお尋ねいたしたいのは、帰ります華僑の中に、大陸出身者と台浜出身者とがあるわけでありまして、この区別につきまして、台湾の方で文句を言うということならわからぬこともない。しかしながら日本政府としましては、だれが大陸出身者であり、だれが台湾出身者であるということを区別して、その取扱いをいろいろ区別する必要は私はなかろうと思う。第一にカイロ宣言、ポツダム宣言におきまして、台湾は中国に返還するということが約束されておる。そうしてこの両宣言は、日本政府が無条件に受諾しておるところであります。さらにまた出入国管理令ができましたとき、その中に強制送還ということがあるのでありますが、華僑を強制送還する場合に、その帰国先の選択は、当人の自由であるというようなことを、岡崎外務大臣なり、当時の鈴木入国管理庁長官が答弁されておるのであります。また外国人登録法による外国人の再登録という問題におきましても、大陸出身者も台湾出身者も一律に国籍は中国ということになつておる。すでにこういう事案もあることでありまして、両者を区別する根拠はない。さらにまた一九四九年に北京に中華人民共和国政府ができましてから、すでに四百名ばかりの中国人が大陸に帰つておる。その中には約半数の台湾出身者が含まれておる。ところがそういう人が帰ります際には、外務省はこれを承知して旅券を発行しておる実績もある。こういう点から見ましても、台湾政府としてなら別としましても、日本政府として両者を区別する必要はない、理由はない、こう思うのでありますが、どうも台湾の方では、大陸出身者が大陸に帰るならまあ黙認するとしても、台湾出身者が大陸に向うことは絶対に認めないとかいつておるということを、倭島局長からも話がありました。しかし私は、日本人が中国から帰るにあたつて、九州出身の人が北海道に帰ろうと、北海道出身の人が東京へ帰ろうとまつたく自由でありまして、そういう行動の自由を許すことこそ、基本的人権に属する問題だと思いますので、私はこの問題についての日本政府の態度をはつきり確立していただき、そして台湾政府に対する交渉におきましても、これは人道上の問題でありますから、ひとつ強い態度をとつていただきたいと思います。この点についての外務大臣の御信念といいますか、御見解はどうでありましよう。
○岡崎国務大臣 第一に、台湾の国民政府は台湾籍民と称する人々の帰ることは強く反対をいたしております。今一方においては、帰還船の出る日の問題になつておるわけでありまして、ゆつくり交渉するなら別でありますが、急いで話をつけなければならぬというときにはなかなかむずかしい思つております。しかしこれは帰還船を利用するからの問題でありまして、そのほかの地域に行く者に対して日本政府が旅券を出すか出さないか、これは日本政府の自由であります。従つて別に政府としてそこに区別をする理由はないのでありまして、この帰還船を利用して向うへ送り返すという問題について困難があるわけです。
○田中(稔)委員 帰国船でなければよいということだと承りましたが、そうしますと、そこにいろいろな便法も考えられるのじやないかと考えられますが、これ以上私追究をいたしません。いろいろ便法をお考え願いまして、人道問題でありますから、ひとつよろしく御処置願いたいと思います。
○上塚委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十五分散会