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15回国会参議院1953/03/09

労働委員会 第12号

発言数
16
登壇者
4
会派数
3
開催日
1953/03/09

会議録

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(椿繁夫君) 只今から労働委員会を開会いたします。  本日の委員会におきましては、現在本委員会に予備付託になつております電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案につきまして、政府側から本法律案の趣旨と説明を聴取することといたし、質疑等は次回に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(椿繁夫君) それではそのように取計らいます。  それでは、これより電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案につきまして、労働大臣から提案理由の説明を聴取することといたしたいと思います。

戸塚九一郎自由党労働大臣・建設大臣・北海道開発庁長官

○国務大臣(戸塚九一郎君) 只今議題となりました「電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案」につきまして、その提案理由及び大体の構成を御説明申し上げます。  昨冬行われました、気事業及び石炭鉱業の両ストライキは我が国未曾有の大規模のものでありまして、幸にして最後の段階におきまして収拾されましたが、この両ストライキが国民経済と国民の日常生活に与えた脅威と損害とは実に甚大なものがあつたのであります。  労使関係の事項につきましては、法を以つてこれを抑制規律することは、できる限り最小限とし、労使の良識と健全な慣行の成熟に委ねることが望ましいことは言うまでもないことであります。併しながら政府としては、かかる基本原則のみを固執し、徒らに手を拱いて当面の緊急の問題に対して必要な施策を怠ることは許されないと考えるのであります。  よつて政府としましては、電気事業及び石炭鉱業の特殊性及び重要性並びに労使関係の現状に鑑みまして、争議権と公益との調和を図り、以つて公共の福祉を擁護するために、両産業における争議行為の方法について必要な規制をなす必要があると考え、本法案を立案するに至つたのであります。  公共的性質を有する産業は、ひとり電気事業及び石炭鉱業に限るものでないことは申すまでもないところでありますが、種々検討の結果、今回はいわゆる基本産業中最も基幹的な重要産業であり、而も昨年現実に問題となつた電気事業及び石炭鉱業につきまして、必要な限度の規定を設けることとした次第であります。  又、労使関係の調整につきましては、昨年第十三国会において一応の改正を了しており、且つ本法案は労使関係の調整とは別個に、専ら公益擁護の見地から争議行為の正当性の範囲を必要な限度で明かにするものでありますので、今回の措置は既存法律の改正を以てせず、単独法の形をとつたものであります。  以上の見地より今回本法案を提案いたしたのでありますが、本法律案の作成に先立つて、二月十四日、十六日の両日東京、大阪及び福岡におきまして労働省主催の公聴会を開催し、労働者、使用者、学識経験者、及び電気事業及び石炭鉱業の公共性に鑑みまして特に一般消費者を加えた公述人約六十人の意見を聞き、その公述を慎重に検討しました結果、成案を得まして今回提案の運びに至つた次第であります。  以下本法律案の大要について御説明申し上げます。  本法案は三カ條から成るものでありますが、先ず第一條におきましては、以上申上げた如く、電気事業及び石炭鉱業の自然的、経済的、社会的な特殊性及びその国民経済及び国民の日常生活に対する重要性に鑑みまして、争議行為と公益との調和を図り、以て公共の福祉を擁護するため、争議行為の方法について当面必要とせられる措置を定めるという本法律案の趣旨を明らかにしたものであります。従いまして本法案は、争議権そのものを否定する趣旨のものではなく、専ら争議権に基く争議行為の一部方法のみを規制の対象とするものであります。  次に第二條につきましては、電気事業についていわゆる停電スト、電源ストその他電気の正常な供給の停止乃至直接の障害を生ぜしめる争議行為の方法は禁ぜられるものであることを明らかにいたしたのであります。  スイッチオフ等ほしいままに装置を操作する積極的行為は、従来から政府として正当ならざる行為と考えていたのでありますが、更にこれと同様に電気を停止したり、電圧、サイクルを狂わせたりする行為であつて、昨年のストライキの経験にも鑑み、社会世論の上で耐うべからざるものとされるものについても、この際その正当ならざることを明らかにしたものであります。  けだし停電スト、電源スト等は、これに携わる人員は全電気産業労働者中、少数に過ぎず、他の大多数の労働者の争議行為は、何等制約せられるものでないと同時に、労働者の失う賃金及び使用者のこうむる損害は、これによつて無辜の需要者が不可避的にこうむる物質的、精神的損失に比較いたしますと極めて僅かなものであります。この点他の争議行為の方法と全くその類を異にし、電気事業の公共性に矛盾すること甚だしき争議方法といわなければならないのであります。而も電気産業労働者にはこのほかにも労使対等の立場を維持するに十分な争議手段があるのでありまして、本底の規制は当然やむを得ざるものと考えられるのであります。なお使用者が変電所、発電所等の停廃を来すロックアウトを行い得ざることは、勿論であります。  次に第三條につきましては石炭鉱業について、鉱山保安法に規定する保安業務の正常な業務の運営を停廃する争議行為のうち、温水、落盤、自然発火、有害ガス充満等を防止する業務を怠り、その結果、人命に危害を及ぼしたり、石炭資源を滅失し乃至炭鉱の破壊を招いたり、第三者に鉱害を与えるごとき保安抛棄の行為は、争議行為として正当性を逸脱するものであることを規定いたしたのであります。けだしかかる争議行為は、法益の均衡を著るしく失し、又労働者をして復帰すべき職場を失わしめるものでありまして、争議行為の目的を逸脱し、到底正当な行為と認め得ないのであります。このことは昨年の炭労ストに対する政府声明におきましても明らかにいたしたところであり、極めて明白の事柄でありますが昨年の経験及び現状に鑑みましてこの際特にこの旨を法律の明文を以つて定めたものであります。  以上本法律案の提案理由と大体の構成を御説明申上げたのでありますが、これによつても明かなごとく、本法律案は決して不当に労働者の権利を抑圧いたすものではなく、電気事業及び石炭鉱業の特殊性並びに国民経済及び国民生活に対する重要性に基き、両産業における争議行為の方法について必要止むを得ざる制約を明かにし、公共の福祉を擁護せんといたすものであります。何とぞ御審議の上速かに可決せられんことをお願いいたします。

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(椿繁夫君) では速記をやめて。    午前十一時四十九分速記中止    —————・—————    午後零時三十七分速記開始

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(椿繁夫君) 速記を始めて。只今懇談中におきまして御協議、決定を頂きましたように、健康保険法の一部を改正する法律案ほか五件につきまして、外務、人事及び厚生の各委員会に対し、それぞれの所管に応じて本委員会より連合委員会の申入を行うこととし、その方法、日時等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(椿繁夫君) 御異議ないものと認めます。  それからなお珪肺法の件につきましては、事務当局に命じて立案の準備をいたさせたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(椿繁夫君) それでは御異議ないものと認めます。   —————————————

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(椿繁夫君) 原委員より龜井局長に対して質疑がございますから許すことにいたします。

原虎一日本社会党(第二控室・右)

○原虎一君 基準局長にお伺いいたしたいのですが、栃木県の宇都宮市外にあります大谷石材職場に働く婦人労働者は地下労働であり、重労働でありますから、就業は基準法によつてできなかつたのでございますが、まあ事実上は基準監督署が大目に見ておつたわけでしよう。ここ三、四年間働く者があつたのです。ところが或る婦人新聞にこれが摘発されて公になると、監督局長は無視しておられないというので、昨年の暮に合計四、五百人を就業禁止の強い命令を出した。このことについての何か報告が参つておりますれば御説明を願いたいと思います。

龜井光労働省労働基準局長

○政府委員(龜井光君) 大谷石の問題につきましては、御承知のように労働基準法なり女子年少労働基準規則に関連しまして、坑内における作業並びに重量物の運搬につきまして制限を受けておる仕事でございます。従いましてこの問題につきましては、栃木県労働基準局といたしましても重要な問題としまして、昨年来この問題を注視して参り、監督も実施して参つたのでございますが、監督官が現場に参りますと、そういう事実が見付からないというのが再三の例でございます。従いまして、これは結局当事者のもう少し真実の実態を当事者から聞き出し、或いは実態をもう少し把握する必要があるというので、昨年の暮経営者並びに労働組合のかたがたのお集りを願いまして、この問題について懇談をいたし、今後この問題については業者自体におきまして自粛をし、この法令の違反を業者自体の手で解消して行くというふうな話合いを進めたのでございます。その後栃木の局並びに地元の経営者、これは御承知と思いますが、非常に零細な経営者もたくさんございまして、これが取扱いにつきましては非常にむずかしい社会的な問題も包含しておるようでございます。併し婦人労働者の保護という面から申しますと、この取締りを強化して参りますることが必要だという視点から、今年に入りましてもその経営者の懇談を進めておる次第でございまして、まだその結果については報告を受けておりません。ただその経過につきましてはそういう経過になつております。

原虎一日本社会党(第二控室・右)

○原虎一君 実情を局長は御存じないから……、栃木県の基準監督署からの報告だけに基いておると思いますけれども、問題は現実に一年以上三年くらい職場に働いておつたものですから、これを事業主と監督署とが相談の上で今後使用しないということをきめます場合に、これは監督署のほうの手落ちとも言えるわけですね。従来あるものを黙認しておつた、黙認をせざるを得なかつたという事情があるかも知れませんが、黙認しておつたという手落ちがあるわけです。そこで事業主に対していわゆる基準法を適用する解雇手当の問題であるとか、或いは当然やらなければならなかつた健康保険の問題にいたしましても、失業保険の問題にいたしてもいたしていないわけでございますね。殊に失業保険には入つておりませんから、即座に四、五百名の婦人労働者は失業して生活に困る。ですから基準監督署はただ今後法律違反をなくすることだけに専念して、従来使つておつたという現実を無視して、労働者を解雇する場合に必要なる基準法の適用を事業主に対して指導していないのですね。これは非常な問題だと思うのです。この点に対して労働者当局がどういう処置をされるかということを待つているわけですね。これはどうですか。

龜井光労働省労働基準局長

○政府委員(龜井光君) 先ほども申上げましたように現場に参りましても、婦人の労働者が坑内で働いておるという実態が監督官が現場に参りましてもないのであります。それから又賃金台帳を調べましても、労働者名簿を調べましても、そういう女子の労働者の名前が挙つて来ない、従つてまあ形式からいいますと、労働者でないというふうな実態なんであります。併し真実の声はそうではないということで、先ほど来申上げましたように、今後どうするかという問題を今話しておりますから、坑外でございますと、重量物の制限内でありますと、これは一つの仕事があるわけであります。坑内は絶対にできませんが、坑外でありますと、重量物の制限の範囲内での業務があるわけで、それへの転換ができるわけです。或いは他の職場への就職ができるかどうかということについて、地元の局長といたしましては非常に慎重にこの問題を考えておるようでありまして、その分の報告は実は参つておりません。ただ今お話の解雇手当の問題になりますと、法律上の関係におきまして、そこに雇用関係が成立していないというふうな事実でございます。従いまして基準法違反として解雇手当を出さない場合に摘発できるかどうかという問題は、我々といたしまして更に検討しなければならんと思うのでありますが、そのほかの措置しましては、それは今経営者の組合と地元の局との話合いがいろいろ進んでおるようでございまして、できるだけそういう面からいたしまする社会会問題を片付けて行きたいというのが私の気持でございます。

原虎一日本社会党(第二控室・右)

○原虎一君 局長はこれは現地へおいでになつたか、現地の労働者並びに事業主のほうの事実を調査されたかどうかと思うのでありますが、今の御答弁で行きますと、解雇するときに解雇手当の問題よりか、その前に使つておつて、賃金台帳にも労働者の名簿にもないと言われるが、併し使つておるということは明らかに基準法違反です。それを罰していないということになりますれば、これに対する労働者としての、或いは国民としての基準監督署に対する法律的な問題が起きて来るわけですね。ですから資本家が現実に使つておるにもかかわらず、労働者名簿もそれから賃金台帳もなかつたという事実を労働省当局は認めるかどうか。認めないということなれば、現実の証拠を挙げて訴えるという問題までが起きようとしておるわけですね。従つてこれは雇い主としての責任を果していなかつたという点からしても、当然解雇手当の問題は、法による解雇手当の問題は別といたしましても、基準法違反を事業主みずからがやつておつたと、而もそれは非常な計画的なものであつた。中にはこういうのがあります。夫婦共稼ぎで、請負作業でありますから、事業主に家内を連れて来るといつて、そこに雇用関係ができたかできないかというような関係で入つたのもおりますが、それらは半数以下であつて、現実に石を切つた、屑石を外に持出すなんというようなものは、明らかに何年も工場主が了解の下に使つておつた。してみれば、今申しますように、名簿がないということがおかしいのです。だからこれは計画的基準法違反で、闇労働者の婦人を使つておつた。これを罰せられないということはないわけです。ですから、今の局長の御答弁は、名簿にない、賃金台帳にない労働者だから解雇手当を出さんということについて、基準法の違反として摘発するということは困難だと言いますけれども、もう一段上のことを、その前のことを考えれば、明らかにこれは摘発しなければならん問題なんですね。そして一文の解雇手当も渡していないわけですね。これはやはりこういう問題を処理するところの監督署長が、法的な、法の適用のみによつて今後違反させないというだけでは済まない問題です。署長権限では処理できないのですね。相当にこれは労働省みずからが考えなければならないところではないかと思うのです。その私の今の考えに対して局長はどういうお考えを持ちますか。

龜井光労働省労働基準局長

○政府委員(龜井光君) 労働の実態は、お話の中にございましたように、夫婦共稼ぎで請負いをやつておるというような、いわゆる女子と使用者の間に労働関係が必ずしも明瞭でない、これはございますようでございます。単独にいわゆる基準法上の労働者として働いておるというものにつきましては、先ほど申しましたように、現場に参りましても、坑内で働いておる実態はないというようなことで、局としても非常にその点苦心をして参つて来ておるのでございます。併しお話の事実、そういう労働の実態があり、而もその者が基準法制定前から引続いて雇用されておつて、同じ業種に従つておる。基準法の施行によりまして、当然その者は法律の改訂によりまして解雇されなければならない、或いは坑外の仕事に従事しなければならんというふうな実質であるわけでございまするが、それが引続き雇用されておる。そうして雇用の実態があり、而も今後基準法の施行を厳重にやるための解雇という問題が起つた場合にどうするかという今の御質問につきましては、我々としまして、もう少し実態を調べて解決の途を考えたいと考えております。そうして万が一、どういう結果になりまするか、基準法上の問題でないとしましても、やはり社会問題として大きな問題でございますので、これは我々としまして、十分経営者と相談をいたし、その善処方につきましては万全を期したいと考えております。

原虎一日本社会党(第二控室・右)

○原虎一君 実情について御存じないようでございますから、十分速かに御調査願いたい。そうして労働省において最大の努力を払われんことを要望いたしておきます。  もう一点、そういう婦人労働者の失業者が一時に五、六百人出ておるのですが、実を申しますと、今も言われますように、請負作業をやつておるために、これは婦人労働者、いわゆる夫婦共稼ぎにおける賃金が生活を維持する程度の賃金である。婦人が今度働けなくなるということになりますと、非常に収入が減じて来る。これをどう救済し、他の方面に就職の途を求めるかということですね、地域的な問題でありますから、職業安定の局長とも御相談の上速かな手を打たれたい。そうでないと先ほど申しましたように、裁判問題が起きて来るということ、私先日参りまして、私自身も裁判をやらなければならんのではないかと思つた。その途を講ずるには、三年でも、一年でも、或いは半年でもよろしい、現実に労働しておるという事案を証明すれば、雇つたということが立証されますれば、これは基準法違反として事業主がやられるということです。そういうことをやることが、これは僅かな狭い地域で事業主と法的な争いまでをやるということは、あとの労使関係を悪くするのです。そういうことの起きないように、速かにやはり労働省が適当な指導を与えることが必要ではないか、こう思うので今日お聞きしたわけでありますから、安定局長とも十分な連絡を速かにとられて、善処されることを要望いたしまして、今日は打切ります。

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(椿繁夫君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十七分散会

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