労働委員会 第8号
- 発言数
- 79 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1952/12/17
会議録
○委員長(吉田法晴君) 只今から労働委員会を開会いたします。 本日の会議に付する事件といたしましては、先ず請願及び陳情の審査報告書を撤回するための要求書を提出する件と、次に労働情勢一般に関する調査及び賃金問題に関する調査として、特に炭労ストに対する緊急調整発動の経緯等に関して政府当局から説明を聴取することを予定いたしております。 炭労ストに対する緊急調整の発動の経緯等に関しましては、只今本委員会から出席説明を求めている各省関係政府委員が殆んど見えておりますので、先ず江口内閣官房副長官からその実情を聴取いたしたいと思います。
○政府委員(江口見登留君) お答え申上げます。 今回の石炭労働争議に関しまして、政府といたしましては一昨日緊急調整の決定をする準備といたしまして、労調法の規定に基きまして中労委の意見を聞きまして、昨日その答申がございましたので、いよいよ決定ということにきめまして、その準備をしたものを十七日付で送付をし、それを中労委からの当事者を呼びましてその通知をいたしたのであります。 今回緊急調整を決定するに至りました経緯につきましては、別途資料をお差上げしてあると思いますが、昭和二十七年八月十三日に日本炭鉱労働組合から日本石炭鉱業連盟に対しまして、本年十月以降の賃金を引上げるべしという要求を発したことに始まりまして、この労働争議が起つたのであります。両者間なかなか話がつかずに対立をいたしましたまま決裂しまして、十二月二日より行われた中央労働委員会の会長の斡旋も、十二月十日斡旋案を組合側が拒否して不調に終り、更に組合側は十月なかば以来行われておるストライキを一層強化する、更に十二月の十七日と十八日に保安要員引揚というような準備指令を発して参つておつたのであります。政府といたしましてはできるだけその解決は当事者の自主的交渉に待つということを原則といたしまして、暫くその経過を静観して参つたのでありますが、ストライキが非常に長期に亘りまして、漸く国民経済乃至国民生活に対する影響が深刻になつてもう一刻も拘泥することができないという状態に立ち至つたものと認められるようになつたのであります。この影響が各方面に及んでおりますることは新聞紙上にも伝わつておりますので、それらの数字的な詳細は又関係官庁から御説明申上げることにいたします。 只今申しましたように山自身の危険を生じて来るような虞れがあるし、まして十七日、十八日先ほど申しましたように、本当に保安要員の全員引揚が行われました際には、我が国主要炭鉱の大多数が回復すべからざるような甚大な痛手をこうむるに至るであろうということが考えられたのであります。而もこれらの諸情勢を勘案してみまするに、今回の石炭争議はその規模が最も大きく、且つ石炭事業という特別の性質の事業に関するものであります。そのために争議行為による業務の停止によつて国民経済の運行を一層阻害し、且つ国民の日常活を著しく危くする虞れがあり、その虞れは極めて緊迫せる現実のものであると、こう考えられましたために、労調法第三十五条第一項に規定する場合に該当する、こう認めまして、先ほど申しましたような手続をふみ、中労委の意見を聞きましてこの措置に出たのであります。中労委の意見も別途資料として差上げてあると思いますが、昨日の四時頃中山中労委会長からその意見書が政府にもたらされまして、その意見はこういうふうに書いてあります。緊急調整の決定はこの事態の下ではやむを得ないものと考える。ただこれは直ちに争議の根本的解決ではない、特に労働者委員はその見地から全員反対意見を表明しておる。政府はこの間の事情を十分に斟酌せられたい。中央労働委員会としては緊急調整の決定の如何にかかわらず、問題の根本的解決に全力を尽したい。こういう答申があつたのであります。昨日六時半頃労使双方に只今申上げました措置に関する通告をいたしたのでありまするが、幸いにして十二時前に炭労としましてはストの中止命令を出しまして、ストライキは一時これで終えんするということになりましたことは、誠に国家のため喜ばしいことであると、かように考えております。緊急調整決定をいたしました経緯につきましては概略以上の通りでございます。
○委員長(吉田法晴君) 御質疑がございましたら。
○重盛壽治君 補足説明はないのですか。
○堀眞琴君 今官房副長官から御説明があつたのですがね。その数字的な国民生活に重大な影響を与えるということが、緊急調整を決定する最大の原因だということを申したのですが、それについての数字的な説明ですね、政府当局のほうから御説明願いたいと思います。
○村尾重雄君 緊急調整が発令されて、その事前に炭労でスト中止指令が出ました。それから後のあなたのお知りの今までの経過ですな、お知りになつている程度において一つお知らせ願えれば結構だと思うのです。例えば事業者連盟が呑むか呑まないか、又呑むとすればどうなるか、お知らせ願いたいと思う。
○委員長(吉田法晴君) それでは通産省佐久石炭局長から補足的に御説明を願います。
○政府委員(佐久洋君) お答え申上げます。これは或いは労働省からお答え申上げるのが適切かも知りませんが、私の知つている範囲でお答え申上げます。昨夜遅くなりまして炭労のほうでストの中止を決定いたしまして、各地方に直ちにその伝達をいたしました。そのあとで中山中労委会長から一つの斡旋案が提示されております。その斡旋案と申しますのは、第一次の斡旋案はそのままにして、そのほかに五千円の一時金を支給するという案でございます。これは炭労のほうでは討議の結果受諾いたしまして、経営者のほうはその通告後本日になりましてから会議を開いて検討をしておるはずでございます。只今のところでは経営者側がその斡旋案を受諾したという報告にはまだ接しておりません。
○委員長(吉田法晴君) 堀君にお尋ねをいたします。数字を挙げての説明ということでありますが、通産省からお手許に資料が配付されておると思いますが、通産省関係だけの数字等は御説明が願えるかと思いますがそれはどうですか、それでよろしうございますか。
○堀眞琴君 ええ。
○委員長(吉田法晴君) それでは通産省から。
○政府委員(佐久洋君) 御説明を申上げます。お手許にお配りいたしましてございます炭労ストの産業に及ぼせる影響及び対策、これが仲労委の総会で審議するために提出いたしました資料でございます。その総会の資料として提出をされましたのは通産省から出したこれだけではございませんので、このほかに国鉄、農林省、厚生省からやはり資料が提出されております。私のほうの関係だけ御説明申上げます。 第一に炭労ストによる出炭減及び貯炭減、これは今回の炭労ストが十二月十四日現在におきまして継続日数が五十四日、参加延人員が千百六十七万五千三百九十六人、こういうことになつております。この間の生産計画に対しまして、全然出炭がございませんので従つて計画に対する出炭減は五百六十八万七千五百四十トンということに相成るのであります。十一月中の出炭は百四十五万七千トンでございまして計画にいたしますと三六%でございます。計画が四百九万トンということになつております。そのために九月末におきます全国の貯炭高というのは坑所、港頭、市場これにある全国貯炭でございますが、これが二百八十六万七千トンでございましたが、十二月十日におきましては八十四万八千トンに減少いたしております。このほかに石炭としては各主要の工場で手持の貯炭を持つておりますが、それが九月末におきまして三百七十四万五千トンございましたが、十二月十日現在におきまして百四十九万四千トンに減少しておるわけでございます。従いまして通常の状態におきまする適正保有量を遥かに下廻る状態になつておる次第でございます。 次が出炭減、貯炭減の産業に及ぼせる影響でございます。只今申上げましたように出炭が激減し貯炭もだんだんと減りまして各種の産業、公共事業は重大な危機に直面いたしたのでありますが、特にガス関係、国鉄、鉄鋼、ガラス或いは北海道の煖房用炭という方面に大きな影響が出て来たわけでございます。 第一にガス関係でございますが、これは全国的に大小さまざまのガス会社がございますが、ここで掲げましたのは、東京と大阪と名古屋地区のガス会社の状態を調べてあるわけでございます。これで推計いたしまして、大体の推計がわかることになつております。第一に東京ガスでございますが、貯炭が逼迫したために十一月二十五日から第一次の制限をいたしております。その次に、その第一次の制限と申しまするのは、一日のうちで二時間半の制限をいたしたことでございます。十二月三日から第二次制限をいたしました。これは一日のうちに四時間しか供給しないという制限でございます。それで十二月十日の現在におきまして、ガス会社として最も必要な弱粘結炭が輸入炭全部を入れまして二万七千トンの貯炭でございまして、これを維持日数から申しますと大体一日二千トン前後の数字でございますから、十三日の貯炭ということになるわけであります。次に大阪ガスでございますが、十一月二十六日から第一次の制限をいたしました。第一次の制限というのは、二時間半の供給を制限するということでございます。それから十二月六日から第二次の制限を行なつております。これは一日のうちで四時間制限をいたすということでございます。十二月十日現在の貯炭が一万三千五百トンといたしまして、一日の供給がざつと千三百トンでございますから維持日数としては十日ということになるのでございます。次が名古屋地区の東邦ガスでございますが、十二月一日現在で、これは時間の制限はいたしませんで、ただ圧力の制限をいたしたのでありますが、十二月十日から時間的な供給を行なつております。一日に一時間三十分の制限をいたしております。貯炭が十二月十日現在で九千トン、一日の消費が四百二十トンくらいでございますから、維持日数としては二十日ということであります。その他の小さなガス会社は大体貯炭の維持日数から計算いたしますと、少いものは十日、長いものは三十日というふうな状態でございます。 次が国鉄関係でございます。北海道におきましては、一番先に列車の制限をいたしまして、十一月二十一日から旅客関係で一二%、貨物が二五%の制限をいたしております。十一月二十八日からは全国的に客車七・九%、貨物が一〇%という制限を行つておるのであります。十二月十日現在の貯炭が二十四万トンに低下いたしておりまして、国鉄の最低保有貯炭は十八万トンでございます。この数量をどうしても確保するというためには、十二月十一日以降一日の消費量を一万四千トン程度に引下げて、旅客を二九%、貨物を三三%の制限をせざるを得ないということでございます。現在、現在と申しますのは、資料を作りました当時の話でございますが、国鉄としてはストをやつていない炭鉱からできるだけ石炭を納入をいたしておりますので、一日で一万一千トン程度のものがそういうストをしていない炭鉱から入つております。併し一万一千トンでは一日の数字に間に合いませんので、この数字が低下すれば更に数量を減らしまして、一万一千トン程度に下げざるを得ないという状態にその当時はあつたのであります。 次はガラス関係であります。発生炉用炭の貯炭は殆んどございません、従つてこの代りに一般炭で代替しようという状態で、貯炭の状況は四日から十日くらいしかない。これが切れれば炉を休止しなければならないという有様になつております。次が鉄鋼の平炉関係であります。発生炉用炭の貯炭はガラス関係と同様に殆んどございません。一般炭を代替して行くとか、或いは重油の設備に転換するという方法にして一時をしのいでおります。併しこの手だても間に合わないという所は、例えば日本製鋼の室蘭工場は十二月二十八日から七〇%の操業を停止し、川崎製鉄において七基が休んでおるという状態でございます。 次が北海道の煖房用炭でございますが、十月から下期需要に入りまして、大体一カ月十五万トンを煖房用炭として供給するのでありますが、ストが始まりました関係で、十二月十八日からは石炭の仲買業者に対する荷渡がとまつてしまいまして、片方の販売業者の市場貯炭が減少いたしました。その上に北海道におきましては中小炭鉱というものが比較的少うございまして、従つてその出炭も一カ月で十六万八千トン程度でございます。こういう状態で中小のいわゆるストをやつていない炭鉱からの供給というものは極めて少いのでございます。そこへ持つて来て今年は寒波が早く襲来したというような関係がございまして、この煖房用炭については相当大きな問題になつておつたのでございます。 電力用炭でございますが、電力用炭は相当本年度の上期におきまして豊水であつた関係もございますので、かなりの貯炭を持つておつたのでございます。十一月末の貯炭は百九万三千トンというくらいのゆとりはあつたのでございますが、これを維持日数に換算いたしますと四十日分でございます。併し今後渇水期に入りますので、火力発電を大きく使うということで、これ以上ずつとストが続くということになれば、やはり電力の方面で一般の関係から相当の問題が起つて来るということが考えられるわけでございます。 以上の出炭減と貯炭減に対する対策といたしまして、ストが起りましてから殊に需給の逼迫を告げております原料用炭と発生炉用炭については、できるだけ一般炭に代替使用をする、或いは割合にゆとりのあります強粘結炭との混炭率を変えまして、産業間の貯炭の融通を勧奨指導するというような方法をとつて参つたのでありますが、十一月二十日以降緊急輸入の手を打ちまして、下期の石炭不足というものを補おうという施策を講じたわけであります。その内容は第四次まで緊急輸入の手を打ちまして、第一次が原料用炭の二十五万トン、発生炉用炭八万トン、第二次が原料用炭十七万トン、第三次が原料用炭三十万トン、第四次が一般用炭七万トン、合計して八十七万トンの緊急輸入をいたしました。なおこれは私まだ確実にきまつたかどうかを確認しておりませんが、第五次の分として六万五千トン緊急輸入するということが閣議に昨日あたり出ているはずでございます。この点は私まだはつきりつかんでおりません。以上の緊急輸入のほかに国鉄向けの一般炭として四万トンの輸入を確定しております。そこで以上申上げましたのは緊急輸入の分でごいますが、年度当初から計画いたされましたもので、本年度の下期につまり十月から来年の三月末までに輸入をするために外貨割当をいたした分が九十八万トンございます。更にそのほかに又国鉄向けとして一般炭五万トンがございますので、合計すると既定計画分として百三万トンあるわけでございます。それと只今の緊急輸入の分とを合計いたしますと百九十四万トンということになるわけでございます。これだけの数字が十二月から来年の三月までに入るということになるわけでございます。これらの輸入炭は十二月中旬から明年三月までの間に逐次入るわけでございますが、この中で先ほど申しました緊急輸入のために使われた外貨が千七百四十万ございます。日本の貨幣にいたしますと六十三億という金額になります。 次が最後に争議による炭鉱の荒廃のことでございますが、六十日に亘る非常に長い期間の争議でございまして、抗道の崩落、切羽の崩壊等は相当の程度に達しております。争議が停止した場合においても、正常出炭の状態に回復するには相当莫大な時間がかかると思われますが、これは見方によつていろいろ違うかと思いますが、まあ一応早くても一週間程度ではないかと思われるのであります。又争議が開始いたしましたあと、採掘跡の残炭を放置した所がございますが、炭質によりまして自然発火を起しまして現在までに随所に自然発火を見たのでありますが、特に大きな所は三菱高島二子抗におきまして四切羽のうち三切羽まで自然発火を起しまして、これを防ぐために水没或いは密閉せざるを得ないという状態でございます。従いまして今後なお争議がこのまま継続して十一日以降におきまして全部或いは一部の炭鉱において保安要員の総引揚ということが実行されることになりますと、正常出炭の回復は極めて困難となりますし、従つて国民経済の運行を阻害し、或いは国民生活に対して非常に被害の甚大であることは明瞭であろうと思うのでございます。これが中央労働委員会に提出いたしました資料でございます。
○委員長(吉田法晴君) 以上の報告に対しまして御質疑がございませんか。
○村尾重雄君 この資料のうちに例えば中小企業者の石炭争議に対する影響ですね、ここに北海道の石炭仲買業者に石炭を売れないから、貸付が非常に多いのだということのできている一面、九州の中小炭鉱の炭がかなり出廻つているから、これに挙げられた国鉄なりガラスなりそれからガス等の重要産業以外に中小企業というものの実態は中労委に出ていないわけですか。
○政府委員(佐久洋君) 中小企業に対する影響全体というのは非常につかみにくいものですから、この資料の中には出てございません。それと石炭が行かないために中小企業に及ぼした影響というのは、非常に電産が同時に問題があるものですから、石炭がどの程度に影響し、電産ストがどの程度影響するというその分離が実際上困難なのでございます。二、三の中小企業者について調査をした、そういう資料はあるようでございますが、全体の問題としては時間的な調査が間に合わないという関係もございまして、それは中労委に出してございません。
○重盛壽治君 今の御説明の中の貯炭の数字が、一体どういうところでこれは出たのですか。
○政府委員(佐久洋君) それは法規に基きまして、毎月の出炭、貯炭、荷渡、そういうものを報告することになつております。それに基いてとつた数量と、それからその報告がどうしても遅れますから、極めて最近の数量ということになると、従来からの傾向を見まして推定をいたした数字でございます。
○重盛壽治君 推定数字でございますね。
○政府委員(佐久洋君) はあ。
○重盛壽治君 そうすると、まあ先ほどの副官房長官の御説明の点等からいつて一応の簡単な経過というようなものはわかつているが、もう少しつきつめた経過を知りたいということが一つと。それからこの経過だけから判断すると、今度の緊急調整を発動した政府の見解が非常に過大ではなかつたか、このように考えるのでありますが、その点どうですか。更に政府の見解のような事態が仮にあつたと仮定したならば、現在の段階に至るまでにはもう少し努力する、或いは手段があつたように私どもは考える。政府は争議解決のためにはどれだけの努力を払つておられるか。我々の見たところでは労働大臣が労使双方を呼び出して、自主的に解決をつけなさいというような程度の斡旋しかしておらないのであつて、この事態までに而も政府が認めているような過大な事実であつたと仮定するならば、もう少し早く積極的な手を打つ必要がなかつたか、努力する必要があつたではないか、こういう点に関して政府の考え方を一応承わりたい。
○政府委員(江口見登留君) 炭労ストによる国民生活、国民経済に関する影響の点でございますが、只今は通産省関係の分についてのみ通産省の政府委員から御説明があつたわけであります。このほか影響のありました点におきましては、国鉄の問題、或いは医療関係の問題、或いは農林物資の関係、そういうものにつきましてそれぞれ関係当局から御説明を聞いて頂きまするならば、今回の緊急調整をいたしました止むを得なかつた事情というものはもう少し詳細にわかつて頂けるものと考えます。この緊急調整をやるかやらないかという問題の考究は内閣総理大臣が結局行うわけでございます。内閣においてこの研究に着手いたしましたのは四、五日前からでございます。それまで労働省におきましてこの炭労ストの即時解決ということにつきまして中労委とも協力していろいろと手を打つて参つておるということは聞いております。その詳細は労働省のほうから伺つたほうが正確ではないかと存じます。
○重盛壽治君 それではまあ労働省のほうからお聞きするといたしまするけれども、私どもがもう少し早く事前に努力を払う必要があつたのではないかと申上げますことは、今度の取扱が何か知らん労働組合に対しては相当きつい態度をとつていながら、経営者側に対しては極めて微温的な態度をとつていたように察知せられる。例えば第一次中央労働委員会の幹旋案が提示されて、組合側は勿論これを不満として拒否しておるわけです。使用者側はこれを一応受諾はした、受諾はしたけれども、使用者側は受諾したからということでそれ以来組合との交渉には応じなかつた。組合側はこの斡旋案は蹴つたけれども、団体交渉はやろうということは常に言明しておつた、それが組合側の要求に応じたところの団体交渉をやらなかつたことのために、組合側は止むなく保安要員引揚という重大決意をしなければならない段階に追込まれたのではないか。更に政府は組合側に対しても保安要員を引揚げることは不都合だ、不当であるということで、いろいろ経営者側に対しては交渉に応ずるよう勧告しなかつたように私思うのですが、その点どのような処置がとられたか。先ほどの問題に関連して両方お答え願いたいと思います。
○政府委員(賀來才二郎君) 先ず副長官の今のお答えに対しまして補足して申上げますと、今度の争議に対して政府の努力が足りなかつたんではないかという質問についてでありますが、御承知のように今度のストは電産についてもそうでありますが、我々労働省といたしまして、又政府全体の方針といたしましても不介入という基本方針を固く堅持しておつたわけであります。でこの不介入という立場に立つてみますると、行動の範囲というものが極めて限定をされるのでありまして、これはもうかねて重盛委員もお認め下すつておると思うのであります。と申しますのは、少し動きますとこれは介入になる虞れがあるわけでありまして、必ず中労委委員あたりからお叱りを受けるということになると思うのであります。この点がお叱りよりも我々のとりました態度についてはお認め下さるものと考えておるのであります。と申しましてかような状態に立ち至ると申しますか、緊急調整でとめなければならんような状態になることは極力回避しなければならない責任はこれはあると考えまして、新聞等に出ましたところでは労働大臣が数回に亘り労使双方を呼んで勧告をいたしておるというのでありまするが、併し新聞に出ないという状況におきましては我々労働省といたしまして、又政府の意向を受けまして常時昼夜に亘りまして労使双方と連絡をとつておりまして、場合によりましては非公式の立場でその情勢を聞き聞きそれに対しましてこうしたらいいのじやないかというふうな意味のことも伝え、又できるだけ解決に向つて行くように協力もし得る範囲では、いわゆる不介入という限界においてやつて参つたつもりであります。御批判はこれはまあやむを得ませんが、我々といたしましては最善の努力を尽して参つたつもりであります。 で安保要員の総引揚の問題でございますが、確かに御批判によりますると或いはそういうことも言い得る。労働組合側に対してのみ非常にきつく出ておるではないかというような御批判もあるだろうと思いますが、あの保安要員引揚問題に対処いたしました我々の気持と申しますものは、やむを得ずここまで来た気持は了解できますけれども、曾つて共産党の諸君でさえやらなかつたような破壊的な結果を来すと思われるような行為を今の民主的な組合、いわゆる共産党の行き方とは画然一線を画しまて、そうして合法の範囲で組合運動をやつて行こうとするこの組合がさようなことをするような結果になりますると、これは民主的な労働運動史上一大汚点を残す、だから何とか防止をさしたい。防止をさしたいと共に今度の保安要員引揚に関連いたしまして組合側がとつております法解釈の立場というものが、どうも我々からみまして納得の行きかねる解釈でありまするし、若しさような解釈の指導下に合法的なものであると信じて行うようなことがありまして、その結果法に触れるようなことがありますことは、労働者にとつて特に一般大衆にとりましては非常にお気の毒なことになるわけであります。これを見捨てておくということは政府としてなすべき態度ではない。従つて反省を求めるという、又まつすぐな合法的な良識と判断の上に立つて、そうして行動をしてもらうようにという意味で強くこの行為に対しまして反省を求めた次第であります。 それと同時に、そこまでやろうというような気持を出しましたことは了解ができると思いますので、それ以来使用者側につきましてなんとかこの方法を打開するようにということを強く勧告をし、且つ中労委に対しましても、この争議の中に早く入つてやつてもらいたいということは常時連絡をいたして参つたのであります。併し重盛委員も御経験のございますように、何しろ争議というものは相手方のあることでありますので、なかなかうまくこれが行かなかつた。経営者側は、違法と考えられる行為をやろうとするものを問題として交渉に入ることは困るというふうな態度で、非常に固い態度をとつておりまして、どう考えましても現在の状況では、これは双方が自主的に或いは第三者の中央労働委員会の斡旋によつて打開の方法は見出せないという結論を、労働省としては出しますと同時に、関係各省の御意見はすでに経済上ほつておけない状態にあるということになりますので、この状態を合せまして緊急調整を決定するという結末になつた次第でございます。
○重盛壽治君 大変長い御答弁を承わつたのですが、それでは炭労の争議があのように長期間に亘つた原因は一体どこにあつたのか。私どもが知つておる範囲内では、炭労の今の給与というものは日本の一般労働者の給与水準というものと比べて非常に劣悪で、而も労働は過酷な労働をやつておる。こういう点から考えて要求の全部をうのみに妥当なりとは必ずしも申上げませんけれども、賃上あの程度の要求をするのは今日の社会情勢において当然ではないか。それにもかかわらずそのような長時日を費したという原因は一体どこにあるのか。更に進んで労働組合があなたの今言われるような手段にまで訴えなければならない原因は、一体労働組合自体が行過ぎであつたか、それとも資本家いわゆる経営者の無理解からそこまで追いつめられたのか。労働省或いは政府としては今度の組合のストライキに対する見解、経営者に対する見解をどのように持つておられるか、その点。
○政府委員(賀來才二郎君) 今度の争議が長期に亘りました原因、これは電産につきましても非常に長期に亘つておるのであります。これを我々どう考えておるかということを申上げましたならば二時間でも三時間でも申上げますが、我々が考えておりますことを二、三申上げたいと思います。 一つは直接的に労使の問題として考えますると、当初この争議が始まりましたときの両方の態度としては、これは労使双方でありますが、態度が我々からいつて果して納得のできる態度であつたかどうかということが言い得るのでありますが、例えば経営者側はいきなり回答といたしまして、まあ組合の言葉をかりますれば賃下げだ、我々側から見ましても標準作業量は引上げるが基準賃金はすえおくというような回答をぶちつけて、そうして組合の説明というものにつきましても余り多くを聞いていない。今度組合側から申しますと、極めて我々から申しましてずさんな数字に基きまするところのマーケツト・バスケツト方式、これはマーケツト・バスケツト方式自体をいかんというのではありませんが、我々から言いまして、ずさんな計算の下に立つていると思われるのでありますが、いきなり現行賃金の倍額に近いところの要求を経営者側に突きつけている。そうしてその説明につきましても極めて不十分な説明をしている。こういう状態で始めましたので双方が非常に感情的に対立をしてしまつたのであります。その感情を解くことが非常に困難なことである。で、あれほど炭鉱の労働者が現在の収入において、我々から見まして一カ月や二カ月は堪えるだけの貯金はできておろうとは思われないような給与の状態下におきまして、よくがんばつて来たということは、やはりそういう感情的な面を考えなければならないと思うのであります。 もう一つこれは一般的に言えるのでありまするが、経営者が労働組合を見ておりまする見方が非常に甘かつた。従来の例から言いますと、大体ここらで行くもんだと思つておりましたが、団結の状況から申しましても或いは生活を保持して行く面から申しましても、経営者は組合の動きというものに対して甘い見方をしておつた。又組合側も経営者に対しまして考え方というのがやはり甘くて、恐らく貯炭の状況から見て大体二週間くらいで手を上げるであろうというふうな見方をしておつたのではないかと思うのでありまするが、更にこれを一般的に申しますと、我々から見まして、従来占領軍がおりましたときは、さような状態に立到る前に、大体占領軍の協力乃至圧力で片が付いて来たのでありますが、今度そういう力というものがなくなつているということを自分では自覚しつつも、やはり以前さような状態で片付いたときのくせが残つておりまして、さようになつたときに最後的にはどこで打開するかということについての見通しというものが或いはなかつたのではないか。持つておつたかも知れませんが、占領軍のおりましたときのような考え方で見通しを持つておつたということも考えられるのであります。これも或る意味から申しますと、見通しが甘かつたということがあると思うのであります。従つて両者とも恐らく自分が見通しておつた或いは予期しておつたところの長さよりも思わず長く入つたというのが、これが原因の一つじやなかろうか、かように考えるのであります。
○重盛壽治君 この長くなつたということは、私はあなたの今の説明以上に関係の労働者に対する待遇が非常に悪かつた点に対する、経営者が何といいますか昔ながらに炭鉱労働者をややもすれば経営者に隷属化して行くというような観念の抜切らないところにあつたのじやないか。ただ政府のほうから言うならば、どうしてこんなに長くなつたかというと、先ほど来私の申上げるように、どのような御説明があろうとも、勿論介入はしない、介入しない形においても、あなたがたの御説明なさるようにこの石炭産業というものが重要であるならば、このように長引かさんでも解決つくかつかないかは知りませんが、今回出ておるような政府の解決方法は幾らでもあり得たろう。これが長引いたというのは、むしろ先般いわゆる緊急調整という労働法の改正があつて、これは一般に改悪として反対して来たのでありますが、その改悪で、やつていけない場合には緊急調整があるんだ、これを使えばいいんだというような考えがどこかに存在しておつたことのために、今度のストが非常に長引いたという主な原因になつた。むしろ緊急調整が最後的にはあなたがたの考え方から行けば役に立つたように思われるかも知れませんが、これが長期ストをなすところの非常に大きな障害になつておる。ここに解決することのできない点がある。最後にはいわゆる伝家の宝刀なるものを抜こう、今に抜こうか、今に抜こうかと考えておるうちに六十日間たつてしまつたということであつて、実際にはそうした法律があつたことが非常に障害になつたと考えるが、その点労働省はどういうふうに考えるか。
○政府委員(賀來才二郎君) 只今重盛委員のような御議論は、私は直接は承わらなかつたのでありますが、中労委の中山会長は、衆議院におきまする参考人としての証言の際にそういう意味のことを申されたようであります。で、我々から見ましても議論としてはそういうこともあり得ると考える。併し今度の場合について考えてみますると、両者ともさような考え方はなかつたということをはつきり申上げることできるのであります。と申しますのは、我々は先ほどから申しましたように、労使双方とも緊密な連絡をとつてどういう考え方をしておるかということを見ておつたのでありますが、基本的にこれは両者が団体交渉へ入りますときに申合せておることは、即ち今度は占領軍もいないことであるから、途中でいろいろな圧力とか或いは介入なりは一応ないはずだ。従つて今後は労使の間で極めて公正な、フエアな考え方で以て何とかして両者の間で片付けよう、そうして一つの慣行の確立を図ろうじやないかという意味の申合せをいたしております。途中で我々はやはり、それは非常に結構なことであるけれども、こういうふうに団体交渉が行われていないという事実から考えて、初めの申合せと違うじやないかというので、政府はやはり両者の考えの通りに、独立後における日本の労使関係の慣行の確立ということは、今両者が言つておりました趣旨は非常に賛成である、又不介入という態度をとりたい、占領軍がおりましたときのように途中で圧力を加えるようなことはしないというんだが、併しこういうふうに両者が対立すると打開の途がないので、第三者たる中労委の斡旋なり何なりをやつたらどうかということを言つております。非公式にはたびたび言つております。公式には労働大臣が両者を呼んで勧告いたしておるのであります。そのときにも絶対に第三者の介入といいますか中労委の斡旋を受けないというんではない、中労委で斡旋すると言つて来た場合にするなということもできない、併しながらしてくれということも言わんのだというようなことを言つておるのであります。従いまして、今度の場合につきましては、緊急調整自体がさような結果を来したとは私は考えていないのであります。
○重盛壽治君 まあ一応労働省のほうはちよつと保留させて頂いて官房長官にお聞きしたい。 今の点ちよつと私から申上げたいと思いますが、今の中労委につきましてでありますが、賀來労政局長の今の言葉の中からも私ども占領軍はなくなつたし、制限のない新らしい日本の情勢の中で新らしい労働慣行を打立てようという双方の意向があつたことは私ども了承できるのです。そして長期化の原因として挙げられました中に、貯炭が大きな原因をなしていることはこれは何人も認めると思います。今の賀來局長の御説明を聞いていると二週間ぐらいで手を上げるだろう、二週間ぐらいというのは貯炭が相当あるから直ぐにはその兆候は現れないだろう、そういう考え方が中労委の中にもあつた。それから政府にもしばしば通産相等から言われて来たことですが、七百万トン近い貯炭があるから大丈夫だということが言われて参りました。そして便々たつている間に貯炭が減り、それから出炭減の影響が現われて来た、こういうことだと思うのであります。それからそれに即応して労働省としても介入することはしない。それから緊急調整の問題についてもぎりぎりまで緊急調整を発動する意向はない、こう言つておられました、この貯炭が相当あるからそれほど心配は要らん、或いは緊急調整を発動しないという政府の答弁、或いは発言の裏には私は議会に対する政府のこれは観測と言いますか、今日から考えれば責任が私はここにあると思うのであります。そして幹旋を勧告された、或いは自主交渉をするということを中労委の幹旋に任される、こういう動きに政府としてなつてしまつた。これは無論周知の事実でありますが、そうして斡旋案が出て来た。この斡旋案は法に基きまする幹旋委員会の斡旋案ではありませんし、中山会長個人の斡旋で、あとには正規の幹旋もございましようし或いは調停という問題も残つております。そして幹旋案が出た。それは双方ともこれは断わることができる、或いは拒否することもできましようが、連盟のほうは断わつた、そして炭労のほうはこれを不満として蹴つた。それからまだ労働関係法上の手続が残つておつたのでありますが、それから間もなく緊急調整という問題が起つて来た。今ここに官房長官から緊急調整の問題を研究いたしましたのは四、五日前だというお話であります。斡旋案が出ました後に緊急調整というものが急速に考えられて来た。そうしてたまたまああいう問題と、炭労の幹旋案拒否の後に出て参りましたあのような問題と、更にもつと大きな原因は長期の影響というものがあると思うのでありますが、昨日になつて緊急調整が発表されて決定になつた。客観的に見まして斡旋案が出されてから後の経過についてはこれは政府としても十分手を尽したということは言えないと思うのであります。或いは最初の言明、或いは見通しというものからして尽されなかつたところのものがあるということは客観的に言い得るのじやないかと考えられるのですが、その点については政府なり或いは労働組合はどういう具合に考えておりますか。
○政府委員(賀來才二郎君) 只今委員長御指摘のような批判があるということは承知をいたしておるのであります。その場合ああすればよかつたとか、又ああすべきだつたとかいうことがあることは、これはもう如何なる場合でもあり得ると思いますし、特に労使関係と申しますのは、御承知のように生きた関係でございますので、刻々様相を変えて参るわけであります。措置をしそこなつたということ、或いはあのときにああすればよかつたということもいろいろあると思つております。従いまして今後の独立後におきまする日本の労使関係のよき慣行の確立を図りたいという念願で動いて参りました政府、或いは労働省といたしましては今後の措置のために、今度の経過を十分自己反省をすべき点は多々あると考えるのであります。 先刻御指摘の斡旋案が出ましてからどうだつたかという問題でありまするが、これにつきましては経営者側は斡旋案を受諾し、組合側は不満としておつたのであります。そこで労働省といたしましては、両者が一方は受諾し、一方は拒否するという態度をとりましても、これはいろいろな程度がありまして、その程度がどのくらいに開いておるのかという点をまず考えてみなければならんというので、両方の態度の打診を相当突込んでやつたのであります。その結果労働省としてわかりましたことは、基本的な対立であつたところの今度の炭労争議、即ち使用者側はべース・アツプはしないという、組合側はべース・アツプでなければいけないという基本的な対立が、この斡旋案によつて一応解けておる、そうしますと問題点は数字になつてきておるのだ。そこでここでもう一押しと申しますか、もう一度その点について話合えば解決するのではないかというような見通しを持つたのであります。ところがそれで両方更に打診してみますると、案外その点が単に数字であるというのみでなくして、更に基本的な考え方において対立がある。即ち組合側はあの斡旋案をもう少し動かしてもらえばいいんだと言つておるのに対しまして、経営者側は少しも動かせないのだということで、対立が深まつて行つたということがわかつたのであります。この間に或いは見通しの違いと申しますか、我々として甘い見通しを持つたというふうな、やはり反省はしなければならないと思つております。併しともかくさような状態で数日を費しております。即ち七日に出た斡旋案に対して十日に受諾をいたしております。組合側は同時に不満という意思表示を十一日にいたしておるのであります。十一日から十二日、十三、十四日あたりがやはりそういう問題で、我々といたしましてはもう一押し行くのではないかという考え方でこれに対処しておつたのであります。 もう一つの立場は、やはりその状態になりましても緊急調整というような手段を講ぜずに、飽くまで慣行の確立ができたならばという希望を捨てていなかつたのであります。そうして長官が申された通りに、政府として緊急調整の問題を取上げましてからは、僅かに四、五日でありますが、労働省といたしましてはすでに強制調停と申しますか、そういう段階をとるべきではなかろうかということも考えておりましたし、緊急調整ということも考えて、関係各省としばしば連絡をとつておりましたのは、これはそういう問題を突込んで考えましたのは、十二月の一日の両者の決裂後からでありますから、相当長い期間やはり慎重に研究をいたしたのであります。さようなことで参りましたので、国民の経済状態と申しますか、一般の経済状態というものが、或いはこの石炭争議が国民生活に及ぼしております影響の状態というようなものが加速度的に加わつて参りましたので、止むを得ず中間におきまする強制調停等の手段を講じ、又労使に対してもう一ふんばりで妥結という点に持つて行くことができずして、緊急調整の発動をした、こういうことになつておるわけであります。
○委員長(吉田法晴君) 重ねて伺いますが、労働省として十二月一日以降強制調停、その他を考えたというお話でございますが、こういうところにも新らしい自主的な方法による労働関係を打立てようという努力に対する多少積局的な介入の御意図もあつたように承わります。その辺にも私ども残念のようにも思いますが、お話の中にありましたように、顧みてああすればよかつた、こうすればよかつたという反省と申しますか、これは愚痴としてではなく、例えば緊急調整が発動されたけれども、昨日に至つて妥結をして、そうしてストは禁止された、これは事実であります。そこでこれは労働関係法の当然の運用として、更に十二月一日以降昨日までの間においてもつと別の努力をしても解決し得る途はあつたのではないか。これは現実から逆算してでありますけれども、そういうことも言い得るのじやないか。そういう意味においては緊急調整発動は多少無理がある。或いは措置が当を得ずして、その間に努力すべきものがあつたということは今日からは言えるのではないかと思いますが、この点についてはどういう工合に考えておられますか。
○政府委員(賀來才二郎君) 政府或いは労働省といたしまして、緊急調整の措置を昨日とりましたことは、遺憾ではありましたけれども、時期、或いはとりました方法につきまして、決してこれが過ちであつたとは考えていないのであります。併し御指摘のように、又私が先ほど申上げましたように、今度の経験は初めての経験でもありましたし、更に我々行政当局としては、この経過というものを掘り下げて、分析して、どうすればよかつたというふうなことを考えるべきであり、反省すべき点もあると申上げたのでありますが、更に、組合側にいたしましても、使用者側にいたしましても、最後的決裂から緊急調整を遂に政府をしてやらしめた。声明にもありましたように、何と世論が言いましても、言わば隠忍自重というふうな気持ちで緊急調整の発動を抑えて来ましたところのこの政府の気持ちに関連をいたしましても、使用者並びに労働組合においても、やはりこれは非難する意味ではありませんが、将来のために自己反省すべき余地があつたと我々も考えるのでありまして、この点は今後将来に亘つて労働組合或いは使用者とも一つ突つ込んださような懇談もしてみて、将来のために、国民一般にとりましても、或いは労使にとりましても、非常な出血であり、或いは損害でありましたところの争議を今後のために非常に価値のあるものにして行きたい、かように君えておる次第であります。
○委員長(吉田法晴君) ではもう一つお伺いします。緊急調整の最初の発動ですから、慎重であつたろうと想像するのですが、一たび発動された緊急調整は何と申しますか、今後の発動について、一度やつたものは今後最初ほど慎重を期しがたいのではないかという心配がございますが、今度の経験からしますならば、緊急調整の発動はなお早かつたと、或いは失敗であつて、他の方法を以てして今度の争議を解決するについては方法があつたということが言い得る点から考えても、より一層慎重を期しようという御決意でありますのかどうか。その点を一つ重ねてお伺いいたします。
○政府委員(江口見登留君) 緊急調整の発動ということは全く最後的な手段でございます。而もそれは単なる労働争議の解決という問題のみならず、労調法三十五条の二に明確に規定いたしておりますように「国民経済の運行を著しく阻害し、又は国民の日常生活を著しく危くする虞があると認める事件について、その虞が現実に存するときに限り、」と、いわゆる公共の福祉という面から見てこういう重大な決定を発動すべきだろうと考えると、今回の緊急調整発動に当りましても、労働省といたしましても極めて慎重にその態度を練りつつあつたのでありまして、むしろ労働省以外の各公共の福祉に関係あると認められておりまするような方面から、そういう官庁なり輿論なりがこれを支持する段階に来たと、そういうふうに政府としても考えましたので、労働省とも相談の上こういうような最後の手段に出たのでありまして、只今申上げましたように一度発動しました上は、今後容易に発動するのではないかというように言われましたが、そういうようなことは内閣としては絶対に考えておりません。
○重盛壽治君 今日の朝日新聞に緒方官房長官の言葉が出ておりますがね、それによりますと、「政府は争議の解決にあたつて、緊急調整の発動も、世間の批判を浴びるほど自制していただけに、事実上その発動に至らず、従つて保安要員の引揚げという面白からぬ事態を引起す前に解決したことは満足この上もない。」ということが私の見た新聞には載つておりまするが、事実上この発動に至らずということは、今の現実とは大分違つうように考えるが、事実このようにお考えであるならば発動しなくてよかつたのではないか、政府はこの辺はどういうふうにお考えになつておるか、お答え願いたいと思います。
○政府委員(江口見登留君) 官房長官の話を私詳細承知いたしておりませんが、只今のお話によりますると、緊急調整の発動という言葉が使われておりますが、緊急調整は決定をしてからその効力が発するまでに時間があるのでございます。従いまして私官房長官の言葉は緊急調整の効力が発生する前にという意味ではないかと考えます。つまり昨夜の十二時、その以後若しストが行われたならば違法のストとして取締られるのでございます。その前にストの中止が行われたことは欣快であるという意味で述べておるのではないかと思います。
○重盛壽治君 そうだといたしますと、この事実上発動に至らずというふうに書いたことは、緊急調整は例えば今朝の零時に発動する予定だつたと、ところが夕べの十一時何分か知りませんが、十一時というか、二十三時というか、それにスト中止の指令が出たと、こういうことは非常に結構なことだと思う。だから緊急調整はしなくて済んだのだろうというふうに解釈できるのですが、その辺をお伺いしたい。
○政府委員(江口見登留君) 緒方官房長官の御意図を私なかなか察しにくいのでありますが、まあストがやまつたということは非常に結構なことだという意味ではないかと思います。つまりストがなければ、緊急調整の決定があり、それが公表されて効力を生じましても、刑事事件等の不祥事件は起らずに済むというのでありますからして、その点を強調されて話をされたのではないかと思います。
○重盛壽治君 くどいようだが、これはいろいろな見方があろうが、緊急調整を出すということを聞いて、ストを打切つたようにも考えられるけれども、そういう事態の起らないうちにストを打切ろうということで、中山氏の申入れといいますか、第二斡旋といいますか、申入れと新聞に出ておりますが、そのことによつて自主的に解決をつけたように考えられるのです。従つてもう僅かの、時間的に言えば間に合わなかつたというようなことも言い得るかも知れませんけれども、そういう関係からすれば、緊急調整は必要はなかつたのじやないかと私は考える。それで併し出た問題は止むを得ませんが、ところで出したいところの緊急調整を一体どういうふうに処理して行くつもりか、これはこのままに出しつぱなしにしておくか、この点が一点。それでこれ又細かい妙な話だが、緊急調整は炭労と連盟の争議に発動したのであるから、炭労の個々の山に対してはこれはどういう考え方を持つておるか。どこにでも出したから全部がそれは包含されておるという解釈を持つておるのか。それとも炭労と連盟の争議に発動したのだからそういう巾があるのか。その点を併せてお伺いしたいと思います。
○政府委員(賀來才二郎君) 緊急調整は今朝の午前零時から法律的な効力を発生いたしておるのであります。ところで炭労はストライキはやめましたが、やめると同時に中山会長の申入れを受諾いたしておりますが、経営者側はまだ相談中でありまして、労使の妥結による最後的解決には至つておりません。どうなりますか、これはまだ我々見当がつかんのであります。さて仮に今日中に経営者がこれを受諾する、で炭労と両方の間で妥結いたしまして全面的に今度の争議が片付くということとになりますると、緊急調整の法律的効力というものの及ぼすという対象はなくなるわけであります。併しながら実際的には法律的な効果を及ぼすことがなくなるということになるのでありまして、といつてその時にこの緊急調整の処置は、公表することによつて法律効果が生ずるということは書いてありまするが、さような場合に取消すとか、さような行政的な措置を講ずることはあらかじめ予定いたしておりませんので、このまま法律効果を及ぼさんという状態のままで進むことになつておるのであります。それから今度の緊急調整は御摘のように石炭連盟対炭労の争議であります。従つてこの両当事者の関係におかれておりますものは全部包含をいたしております。
○重盛壽治君 そうするとあれですか、まあ五十日はこれなりに放つておいて、仮に最悪な場合が来て五十日経つても、先ほど来私が申上げますようにちよつと歩み寄りの困難なものもあるので解決がつかないということになつて、又まあストライキに入つて行くというような状態が仮にあつたと仮定しても、これはそれまでの問題だということになるのか。それからもう一つは、逆に経営者側のほうで今出ておる斡旋案を呑んでよろしいということになれば、それでまあこの問題は自然、つまり解くとか解かんということを言わんでも自然消滅して行くのだ、法的にこういう解釈をとつてよろしいのですか。
○政府委員(賀來才二郎君) これは五十日だつたらどうなるかというお話がありましたが、我々といたしましてはあの緊急調整のほうの関連条文にも書いてありまするように、中労委は最大限の努力をいたしまして解決が付くものだと、又さようなことを予定いたしまして、法律は作られておるのであります。
○重盛壽治君 最後に一点だけお伺いしておきまするが、これは政府のほうにお伺いし、同時に考えて頂きたい問題でありまするが、今度のストライキで経営者のほうも労働者のほうも相当重大なる痛手を受けたことは御承知の通りと思います。そこで経営者は従来の関係から行きますると、政府関係のいろいろな負担の軽減を要望したり、或いは復金の返済の期間の延長を願つたり、利子の棚上処置を考えたり、いろいろの手を打つて来、乃至は炭坑住宅問題のごとく利子の返還等政府の援助が相当いろいろな方法で行われるというように私は思います。経営者のほうにはこうしたいろいろな方法と便利の途は開かれておるように考えますけれども、長期の争議のために年末を控えて困つておる労働者に対しては、例えば失業対策費のようなもので失業者に年末に千円くらい出すとか、二千円くらい出すとかいうようなことが衆議院等できめられたようでありますが、そういう費用では勿論なく、緊急の処置としてこうした労働者のほうに対しても何かこの際面倒を見てやろうという考えがあるのかないのか、この点を一つお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(賀來才二郎君) 御指摘の点、即ち善後措置でありますが、これは当然政府といたしましても長期に亘つて参りましたストライキの若し解決後においてどういう問題を考えなければならんかということについては、かねがね研究もいたしておりました。従つて善後措置についてやはり具体的なことは相談しなければならんと思つておりますが、現在申上げるような具体的なことは労働者の生活を保護するという面につきましては、お答えする段階に至つていないのであります。
○重盛壽治君 これは一つ質問でなくて、特に今言うような問題は、異例な、緊急調整等も出したいわゆる跡始末でもありますので、私はこの緊急調整を出したこの実態すべてを是認するわけじやありませんけれども、できた事態をとやかく言うのではないが、このあとの処置をできるだけ国の立場から公平な処置をやつて頂きたい。そういう意味合いから労働組合に対しても法的な手段においては困難なものもあろうかと存じますけれども、官房長官或いは労働省等と十分お打合せの上善処することをお願いいたします。私の質問は一応これで打切ります。
○片岡文重君 私のは質問ではないのですが、この緊急調整が決定せられたことについてアメリカあたりではタフト・ハートレー法でさえ未だ完全に実施されたことはないと私聞いております。一昨年でしたか、鉄鋼ストの場合にも遂にそれを発動することなくして、あの世界的な影響を与えたような大ストライキに対してもそういうようなことは行われず、大統領その他の政治的な処置によつて解決された。日本では政府は殆んど拙手傍観の態度を以て終始してしまつておる、何らこれに対して政治的な措置をしないでしまつておる。而もこの緊急調整というようなことを出されて、炭使の自主的な解決を政府みずから蹂躙するような措置をしたということについて非常に私ども遺憾に思いますが、そういう点については十分政府として現状の最も労使双方を利する解決案、それから今後の炭使の紛争に対して政府がかくありたい、少くともあらねばならんというか、かくありたいという希望もあろうかと思う。そういう点については政府のやはり最高の責任者にその責任と考えを明らかにして頂く必要が私はあると思うので、官房長官、それから賀來労政局長等から懇切な御説明はあつたようですけれども、更に政治的な責任を明らかにする意味において私は総理大臣の一つ出席を求めて所信を明快にして欲しいと思いまするから、一つ委員長としてさようお取計らいを頂いて、今日はこの緊急調整に関する問題についてはこの辺で打切つて頂いたらどうかとこう思うのですが、お諮りいたします。
○委員長(吉田法晴君) 今の御要望につきましては、先ほど他の委員からも御要望がございましたので出席しておられます政府委員において総理の出席が得られますように一つお取計らいを願います。
○村尾重雄君 石炭局長お見えになつておりますので、この際少しお聞きしておきたいと思います。というのは今日の現状で石炭の今後の出廻りについてちよつとお伺いしたい。というのはこの資料によりますと、争議が停止された場合、これは十四日でありますが、一週間程度で正常出炭になるということが書かれてあるわけなんです。今日そういうような御承知のような状態で未だ完全解決には至つておりませんが、先ほどもお話を伺えば、今日明日の出炭の量を見た上でなければ、今後の出廻りの方法が立たないというお話があつたのでありますが、どうでありましようが、この資料による一週間程度で正常出炭に回復するということが、これは争議前のように一部の出炭不能の炭坑は知りませんが、なるかどうか。それと今一つは、例えば制限を受けておる国鉄、並びにガスその他制限を極度に受けておる重要基幹産業に、優先的に出廻つた石炭を廻わすということは勿論考えられるのですが、どういう方法で石炭というものの出廻りに対して見通しを持つておられるか、計画を持つておられるか、それを少しお伺いしておきたいと思うのです。
○政府委員(佐久洋君) 只今御質問のございました一週間で正常な出炭に還えるかどうかということは、先ほど私ちよつとこの点補足して御説明を申上げてありますが、実際のところは現実に坑内に入つておりましたのは保安用員だけでありまして、実際の採炭の課長とか、係長とかいう関係者は実は入つておりません。従つて今朝の一番方から早いところは入坑をかなりいたしておりますが、それによつて坑内を具さに調べまして何日くらいで正常の出炭に還えるかということが判明いたすのであります。その報告は恐らく明日の夕方か、明後日の朝頃に私のほうには受けられると思つております。ただ今までの状況から考えまして、相当に長いストライキでございましたが、炭鉱労務者が最も愛着を感じておりますのは自分の職場でございまして、普通の工場と違いまして、かなりその保安上の注意も十分に払つておきませんと、石炭が出ない。従つて自分の稼ぎにならないというだけでなしに、直接自分の身に危険が加わりますから、非常に真剣に保安には注意をいたすのであります。今まで私どもの報告を受けましたところでは、特殊な自然発火とか、或いは若干の落盤個所、或いに支柱の折れたというような所はございますが、全般的に見て長いストライキにもかかわらず、抗内の保安状況は良好であるというふうに報告を受けておりますので、現在私どもが想像いたしますれば、先ず一週間から十日で正常出炭の状況には還り得るのではないか、かように考えております。これは併し現在までの報告に基いた私どもの想像でございまして、現実の報告というものは、一両日のうちに又改めて得られると考えております。 それから石炭の出回りの関係でありますが、これは出炭が始まりましたならば、一番先に公益事業関係それから国鉄、それから石炭がないために設備が保持できないという特殊なものがございますが、そういう方面に優先配炭をいたしたい。同時に北海道につきましては、一般の煖房用炭として優先配炭をしたい、こういうふうに考えております。そこでその優先配炭の方法でございますが、統制の時代でございますれば、一々その最も重要と思われるそういつた方面に切符を切るということでできますが、現在は全くの自由でございます。統制ではございません、そこで仮に統制形態というものをここに作るとすると、実は根拠になる法律がはつきりしたものはございません。ただ一つ考えられますのは、国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置法に関する法律というのがございます。これに根拠して政令その他の規則を作るということが一応考えられますが、この法律は第一条におきまして、この法律の目的として「国際的に供給が不足する物資等の需給を調整することにより、国民経済の健全な発展を図るとともに、国際経済の円滑な運行に寄与することを目的とする。」こういうふうに規定されておりまして、只今の国内の石炭を調整するために、この法律に根拠を置くということについては、私は若干の疑義がございます。勿論これは法制局と相談しての意見ではございませんので、私今までの経験から判断した結果でございますが、若干の疑義がありまして、これに基くということはちよつと控えたい。又現実問題としてこの法律に基いて何らかの法制的な措置を講ずるといたしましても、一応石炭の荷動きを全部ストツプして、政府の指示に従つてそれを動かすという形にしなければなりませんが、現実問題としては、そういうことは手が足りなくて、とても組織もありませんし、人間もありませんしできません。そこで大口の供給者と需要者との間の調整を図ることによつて、大体の需給調整というものをやつて行きたい。そこで先般来私のほうが中心になりまして、産業別に大口の消費者と、供給者としての大口の供給炭鉱でございますが、その責任者を集めまして、一応十二月一ぱいくらいに一体どの程度の石炭があれば、需給者としては賄い得るのか。それから供給者としては、十二月中にどの程度の石炭を出し得るかという数字をつき合わして、二、三日のうちにはつきりした数字ができるはずであります。消費者の希望数字は大体まとまつておりますが、供給者のほうは、何分今朝から仕事を始めたばかりでありまして、どのくらいの石炭が出るかいうことは、ここ一両日見なければわかりません。併し今まで坑内で貯つておつた貯炭が払い出されるのでありますから、その数字通りにこれから出るということも考えられませんが、一両日の様子を見たい、こういうふうに考えております。
○委員長(吉田法晴君) ちよつと合わせて一つ御説明を頂きたいのですが、一番の関心は、鉄道輸送の削減がどういう工合に……、大体でいいのですが、何日くらい経つたら全部回復するか、或いはガス使用制限が何日くらいたつたら回復するか、先ほどの今の坑内の状況で言うと、一週間くらいたてば正常な出炭に復するのではないか、こういうお話もございますので、大体の見当はつくと思うのですが、それを一つ御説明頂きたいと思います。
○政府委員(佐久洋君) これは先ほど来私が申上げましたように、現実に仕事についたあと出炭がどの程度あるかということを把握した上での推定ではございません。いろいろの過去の経験なり、或いは中小炭鉱が現在出炭をやつておりますが、そういう状況を総合してこの月中にどういう状況になるかということを一応推定いたしたのでありまするが、十七日から操業に入るといたしまして、ストを中止した炭鉱が月末までにざつと九十万トン程度の石炭は出せばしないかというふうに考えられます。それから現在ストをやつていない炭鉱の出炭が少くとも九十万トンは見られると思いますので、これで合計いたしますと、百八十万トンということが推定されるのでございます。この中で山ごとに調べて見ますと、原料炭としておよそ三十万トン、発生炉用炭が十三万トン、残りが一般炭だということで考えられますが、そういつた石炭を先ほど申上げましたように、国鉄、ガス、ガラス、或いは北海道の煖房用炭というものに優先的に向けるとして、国鉄には二十五万トン程度の供給が考えられる、原料炭のガス向けとして十万トン、発生炉用炭をガラス関係工場に五万トン、北海道の煖房用炭として十万トンという配炭が、大体私は可能じやないかと思います。そういたしますと、ガスはそう遠くない機会に第一次制限、先ほど申しましたこれは各地域によつて違いますが、最初に制限をした東京ガスで申しますと二時間三十分の規制、大阪ガスが約二時間三十分ですが、東邦ガスがこれは圧力を制限しただけという状態に還り得るし、国鉄のほうは、今日も実は国鉄と話をいたしたのでございますが、通常の消費が一日一万九千トンでございます。そこで国鉄のほうには、一万九千トンプラス三割という数字を送り込もうという計画を国鉄と具体的に話をいたしております。そういうことで参りますと、現在国鉄が持つておる貯炭が恐らく二十一、二万トンと思いますが、それをあとの補充さえつく見込がつけば、遠慮なく食えるわけでありますから、制限はいつでも解除ができる。従つてここ二、三日のうちに石炭がどの程度出るかという数字さえつかんで、それが国鉄と今話をしているように二万数千トン毎日送れるという見通しがつけば、すぐにでも規制は解除できる、こういうふうに考えられます。
○村尾重雄君 先ほどちよつと触れましたように、勿論規格と統制のない今日において、石炭の出廻りについて局長としての御配慮がどの程度あるか存じませんが、非常に少い量の問題かも知れませんが、例えば間接じやなく直接石炭による産業、鋳物工業、大企業でない窯業、製びん業が石炭不足で現在も苦境に陥つておるが、今後の生産というものは非常に苦しい立場にあるのじやないかと思いますが、そういう点、中小企業に対する石炭出廻りの点について通産省としても大いに御努力を願いたいと思つております。
○安井謙君 簡単に一、二点政府委員にお伺いしたいのですが、これは政府委員にお伺いしていいかどうか……、この斡旋案が出されましてそれの前後における中労委なり政府のとられた態度について、いろいろ御批判があろうと思いますが、その御批判は別にして、結局斡旋案を一方が呑まなかつたことによつて、緊急調整の措置をとらざるを得なかつた、これはそこまでしか今の新らしい労調法で途がなかつたかどうか、或いは又そういう途がなかつたとすれば、もう少しこうやつて行つたほうがいいのじやなかろうかといつたような法的な感想なりお考えが若し承われれば、簡単でいいのですが承わりたい。
○政府委員(賀來才二郎君) 先ほどもちよつとこの点に触れましたが、実は労働省としましては、何としても緊急調整の発動を避けたい、ついては斡旋案が出ましてから、もう一度強制調停という段階を踏んでみたい。ところで強制調停ということになりますと、御承知のように三者構成の委員会になりまして、やはり非常に合理的な討論がなし得られるのでありますけれども、時間がかかるということになりますと、いわゆる組合の斡旋を呑まなかつた点が、どういう事情であつて成るほどそうかということがわかるまでに至りますには時間がかかりますので、ストライキを取りあえずやめておいて、そうして調停にかかるということができれば非常にいいのじやないかというので、内々組合と話合いをしてみたのでありますが、組合としましてはこの期に及んでいわゆる武装を解除して、そういう委員会の調停に応ぜられない。調停委員会において公正にやつてもらうこと自体には反対ではないが、併しそうは参らんということがありましたので、なかなかうまく行きません。と申しますのは、強制調停にかけましても、必ずしもストライキはとまらんわけです。こういうことで考えておりますうちに、一般の事情が切迫して来たというので緊急調整をやつたのであります。さて法律的にどうだろうかという問題でありまして、これは十二月になりましてから輿論的にも、或いは直接関係者は勿論でありますが、一般的にもこの法律というもの自体に考えるべき点があるのじやないかというふうな御議論がだんだん出ておりましたことも承知いたしております。我々といたしましても、やはりいろいろ研究はずつといたしておりまするが、今度緊調整を発動いたします決定をいたしまして、組合がいわゆる非合法的な、違法的な行動に出ることなくして合法の範囲を固く守つてもらえましたし、中央労働委員会にいたしましても、緊急調整の制度に関連してこの前の国会でいろいろ審議をされておりましたような点、例えば緊急調整の決定についての意見を問いましたならば、恐らく労組側は労働委員会に出席をしないだろう、労働委員会の会議が成立たないのじやないかというふうな御心配をされたかたもあつたようでありますが、今度は労働組合側は非常に、何といいますか、フエアーな態度をとりまして、さような措置はとらずして、労働委員会で言うべきことは言い、自己の意見を発表するというふうな結果になりましたので、いろいろさような点につきましては問題が解消したように思うのであります。殊に端的に申上げますと、緊急調整という制度は最後的にあれをきめるものではないのであつて、恐らくこれでは解決はできない場合が出ると思うが、それについては法律的な措置が必要ではないかというふうな議論、まあ一応今度の経験から見ますと、緊急調整の決定によりまして、ストライキは組合の公正な態度でとまつたということになりますならば、その点に関連しての法律改正問題というものがなくなり、或いは労働委員会に諮問するという制度自体が運行できないじやないかというような点も一応問題はなくなつた、かように考えております。併しながら先ほど来由しましたように政府といたしましては初めての事件でありますが、重大な事件でもありましたので、これは一つとらわれることなくして反省をして、将来の新らしい独立後の日本経済の回復或いは興隆のために、いろいろ各方面から研究をして行かなければならん、かように考えておる次第であります。
○委員長(吉田法晴君) ちよつと速記をとめて下さい。 午後四時七分速記中止 ————————————— 午後四時二十四分 速記開始 〔委員長退席、理事村尾重雄君委員長席に着く〕
○理事(村尾重雄君) 速記を始めて。
○安井謙君 今ストが合法的に非常に秩序正しくやられたというお話ですが、保安要員の引揚げという問題は新聞なんかではこれは非合法だというふうに書かれておつたように思いますが、それに対する見解は政府としてはどうなんですか、簡単でいいですから……。
○政府委員(賀來才二郎君) 保安要員の総引揚げということが問題になるわけであります、そうなりますとその行為自体は我々から考えまして、組合の要求を貫徹するための行為という、労働組合としては自分が持つておる要求貫徹のために争議権という権利を行使するのは当然であるという立場をとつておられたようであります。併しながら幾ら争議権が使えるからといつて、このこと自体から起りまする事態、影響というものを考えて見ますると非常に大きな損害を国民経済にも国家経済にも与えるということになるわけであります。それとの釣合いを考えて見まするとその行為自体は権利の濫用だということが社会通念といたしましてもいろいろな点から申しましても言える。従いましてその行為は労働組合法で保護されておりまする行為の範囲を逸脱するもので、正当なそういう行動範囲を逸脱するものであると、かような判断をいたしておるのであります。勿論そういう考え方でありますから、その行為の中には労調法三十六条違反というのもやはり含まれて出て来るという考え方で、全体としてそういう考え方であるということで、組合に対して警告をいたした次第であります。
○安井謙君 もう一点だけ、そうするとこういう行為を決議して指令を出すということはどういうことですか、行為に移る移らないは別にして……。
○政府委員(西村健次郎君) 緊急調整が発動されますと争議行為は禁止される、それにもかかわらず保安要員総引上げというような……。
○安井謙君 緊急調整の発動される前の問題……。
○政府委員(西村健次郎君) いわゆる保安要員総引上げというような場合……。
○安井謙君 決議するということは一体合法的措置と言えるかどうかという問題、手続して指令を出して……。
○政府委員(西村健次郎君) 例えば今労政局長からお話がありましたように、これは一つの権利濫用になつております。従つて正当性を逸脱する行為である、従つて仮に保安要員の引上げによりまして或いは水が溢れて出れば、これは溢水罪というような、或いはその他鉱坑焼燬という刑法の百何条かにありますが、そういう刑事上の問題が生ずる。そういう場合におきまして今のような指令を発したものはどうだろうか。その刑事上の犯罪となつた場合に刑事責任はどの範囲だという御質問だと思いますが、恐らく具体的な事例について判断しないと簡単には申上げられないと思いますが、明らかにその行為について責任がある。その指令をしたということが明らかな場合には、或いは共犯なり或いは教唆というようなことになるのではないか。
○安井謙君 その場合に総引揚という行為自体が合法性を逸脱した行為であるという場合に、その実行に移る移らないは別にして、総引揚げを決議して指令を出したということ自体はどうです。
○政府委員(西村健次郎君) 指令を出すと、例えば組合の本部で指令を出すということは、その前に意思決定が必要になるわけであります。只今のお話でその指令を出したことだけが一体未遂になるかとか或いは教唆になるかというようなお尋ねであろうかと思いますけれども、恐らく指令を出すということになれば、その山元、における行為との連関性におきまして、この指令がどういう拘束力を持つておつたかということによつて、或いはそれが教唆になり、或いは共犯関係が成立するというようなことになるのじやないかと思います。 〔理事村尾重雄君退席、委員長着席〕
○委員長(吉田法晴君) 先ほど官房長官からだつたですか御答弁によりますと、五十日はこのまま効力を有すると、こういう御答弁であつたと思うのです。言い換えますと、例えば連盟のほうから再斡旋案について承認が仮になされたとしても、そのまま法律の建前上五十日間有効になる。こういう御説明だつたと思うのですが、そうするとその答弁の中にありましたように、結局斡旋案の受諾があつても、調整の手続が進むこういうように解釈していいものですか。その点伺いたい。
○政府委員(西村健次郎君) 今のお尋ねは、緊急調整の決定がありまして、そうして労調法三十八条によりまして争議行為が禁止される、五十日間禁止された。その間においてこの労働争議が解決した場合にどうなるかというお話と思いますが、労働争議が解決しますと、その三十八条の適用すべき対象が消滅するわけでありますから、その事件について動く余地はない、事件そのものが消滅する、こういうふうに考えます。
○委員長(吉田法晴君) そうしますと、その法的な手続はどういう手続をとるのですか。
○政府委員(西村健次郎君) 前提といたしまして、この緊急調整というものを発動するとまあ一般的に申しますが、これは、御承知のように、労調法三十五条の二のような要件及び手続を経まして内閣総理大臣が中労委の意見を聞いて緊急調整の決定をする、決定をしますと、直ちにこれを公表の手続をとる。勿論中労委関係当事者に通知いたします。その公表をすることによりまして、決定をし、公表をすれば、それから以後は労調法三十八条が発動し、適用になつて来るわけであります。いわば、その内閣総理大臣の決定及び公表ということは、そのスイツチを切換えた、あとは労調法三十八条自体が発動して五十日間適用されるということであります。これはあとから内閣総理大臣が処分を取消す事後取消しというようなことは法律の規定の面からは予定されてないことである、そういうふうに解決します。
○委員長(吉田法晴君) そうしますと、先ほどの御答弁から言いますと、対象になるべき争議がなくなるからという御説明でしたが、自然消滅をする、法律的には何らの手続も経ずに自然消滅をする、こういう御解釈なんですか。この消滅の際の要件ですが……。
○政府委員(西村健次郎君) これはほかにもいろいろな法律の例があると思いますが、或る法律が制定されました場合におきまして、その規定の対象としておる事実対象が消滅した場合におきましては、形式的にはその法律はまだ残つておつても、事実上働く余地が全然ないということは、これは吉田委員長もいろいろ御承知と思います。この場合におきましても、形式的には三十八条は五十日間適用になる。ところがその適用になる対象の労働争議というものがないわけでありますから、何らそれは、いわば形式的には残つておりまするけれども、実質的に全然働かない法律の規定が存在するのと同じような状態というわけであります。
○委員長(吉田法晴君) そうしますと、法律的な関係はわかりますが、事実上の手続としても何らの措置は講ぜられないと、こういうように了解してよるしうございますか。
○政府委員(西村健次郎君) 事実上と申しますとか、先ず第一に法律上は何ら取消しという措置はできない。そういうことは法律が予定していないというように申上げたのでありますが、事実上と申しますと、例えば労働争議が解決した、問題の労働争議が……。従つて今後この前発動した緊急調整は適用すべき対象を失つたというようなことを一般にこれは法律に定められた要件ではございませんけれども、何らかの形で分けにするということは或いは好ましいことかとも存じております。これは法律問題ではございませんので、ちよつと……。
○政府委員(江口見登留君) 法律的な要件ではございませんが、或いは只今の政府委員からお話がありましたような周知徹底という点か見ますれば、何かの方途を講じたほうがいいのではないかとも考えておりまするが、今のところ決定的にそうするということを申上げる段階に至つておりません。
○重盛壽治君 時間がありませんからたくさんお尋ねしたいことがありますけれども、労政局長にお伺いしたいのですが、何か駐留軍労務者が十九日からストライキに入るというようなことを耳にしておるが、どういうことで入るか、簡単に知つていましたらお聞かせ願いたい。それから更に横浜で今日ストライキをやつておるということも聞いておるが御存じかどうか。もう一つは、これはまあ前の労働委員会にも、曾つての吉武労働大臣の時代にも、私が質問して、駐留軍労務者には日本の労働三法によつてやつて頂きたい。もつと端的に言うならば、英連邦軍に使われておるような人たち、軍直属に使われておるのですね。これは非常に外交上むずかしいのであるけれども、たまたま江口官房副長官もおられるので、今の問題で問題の解決には労働省と外務省と大蔵省と、三省が一体になつて、これらに関係した一万三千人の労務者をどう扱うかという御相談を願う機会を何か作つて頂かなければならない。これは政府で責任を持つて作つて行かなければならんじやないかということは、労政局長は御存じのことと思いまするが、説明の要はないと思いまするが、英連邦軍は軍直属に労働者を使つておるために、日本の法律で言ういわゆる労働法規を無視し、そうして勝手な解雇、いわゆる労働法規違反を公然とやつておつて、そうしてこれを今度交渉しても、例えば今日約束したことでも明日になつて都合が悪いようなことがあれば、さような約束をしたことがないというようなことを公然と言つてのける。さればといつて労働組合がこれは不当労働行為だというので地労委とか、そういうものに出しても、それを先ず私どもの耳に入つた範囲内では取上げて措置したということは言われておらんわけです。こうした一万三千人の英連邦軍の、濠洲軍だそうですが、そういうものに使われておる人たちの待遇問題、それからこの人たちに当てはめる労働法規をどう扱つておるかということを一つ政府の責任で、関係省、大蔵省と労働省、そうして外務省と、この三者が腹を割つた御相談を願つて何とか処理のつかない問題か。この点を是非官房長官から、今申しました関係官庁に御相談の上御処置を願いたい。勿論今までもこの点は江口官房副長官は労働省におられたから御存じのことと思いまするが質問をいたしたい。直接雇用でなくて間接雇用のほうがよろしい。そのように処理するつもりだという答弁は常にしておりまするが、そうした事態が生れておりますので、この際御処理の御努力を願いたい。この点質問したい。あとは賀來さんから……。江口さんからは、先ほど前段に申上げましたストライキに入つておるということ、十九日にストライキに入ろうというような情報がある。これらをお聞きしたいと思います。
○政府委員(江口見登留君) そういう事態があるやということも新聞紙上で、或いは調達庁のほうからも承わつたこともございまするが、調達庁といたしましては、労働問題につきまして労働省のほうとも十分連絡をとつておりまするし、予算の面につきましても大蔵省とも十分に連絡をとつておりまするし、適当な機会にそういう問題も速かに解決し得るように私ども努力をいたしたいとかように考えております。
○政府委員(賀來才二郎君) 進駐軍労務がどういう問題で紛争過程にあるか、これは三つあります。ベース・アツプの問題、年末手当の問題及び労務の基本契約に関する問題、これは協約に関連して来ますが、基本契約に関する問題というので紛争状態にあります。争議状態にあります。十九日に入るということを予定し、今日も入るということを予定しておるように情報はとつておりましたが、今日入つたかどうかは今調べ中であります。
○重盛壽治君 これはもう今まで申上げたことで了解せられておることと存じまするから、時間がありませんからくどくどしく申しませんけれども、次の機会に細かいことはお尋ねいたしまするけれども、今申上げましたように労働者側だけで解決つかない問題があろうかと思いまするので、積極的に労働省としてもこれの一万三千人の労働者の保護の意味合いから善処方をお願いして打切りたいと思います。
○委員長(吉田法晴君) それでは本日の委員会はこれを以て散会いたします。 午後四時四十二分散会