予算委員会 第29号
- 発言数
- 261 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1953/03/05
会議録
○委員長(岩沢忠恭君) 只今より予算委員会を開会いたします。 本日より吉田総理大臣に対する質疑を開始いたします。内村君。
○内村清次君 私は吉田総理に対しまして、二十八年度予算案審議の当初に当りまして、国民の最も聞かんといたしております国の内外の重要問題をお尋ねいたしまする前に、是非とも総理の心境と所見をお伺いしておかねばならないことがあるのであります。それは独立日本といたしまして新発足しまして間もない現下の険しい国際情勢に対処いたしまして、友好諸国との親善関係は勿論でありまするが、未調印国に対しまして、世界の平和のためにも国交を回復して親善関係を打ち立てまして、日本みずからの安全と生存とを確保して行かねばなりません重要なときに当りまして、又国内にありましては、国民と共にこの重大な危局を乗切つて行かねばならない重要なときに当りまして、我が憲政史上にも前例のない、又世界にも類例のないところの、総理大臣の暴言によりまするところの懲罰事犯が衆議院におきまして可決されておりますことは、誠に政治上、或いは道義的にも、国の内外に及ぼしまする影響は極めて重大であり、議員といたしましても最も不名誉な懲罰の被疑者として、懲罰委員会の取調べを一国の総理大臣の吉田茂議員が受けられますことは、口に道義の高揚を説かれ、人間の尊厳と人権の尊重を基調とする民主主義を徹底して範をお示しにならなければならないところの一国の総理大臣が、暴言を以て国民の代表を侮辱されましたことは、総理の御身分といい、又過去の経歴といい、お齢にも似合わないところのその感情の態度というものは、誠に独立日本の総理大臣といたしまして悲しみに堪えないところであります。又現に総理大臣は、本院におきましても国会軽視をなされておる。昨日におきましても又同様国会軽視の御態度で国会を放棄せられておる。このような歴然たる事実を前にいたしましたときに、どうして品位と人格とを重んずるところの国際外交関係を、又八千万国民をどうして指導して行かるるでありましようか。総理は輿論政治、責任政治、又道義の高揚のためにも、民主主義を生かすためにも、職を辞して範を国民にお示しになつて、日本の政治を明るくするという御意思はないかどうか、この点を先ずお伺いいたしたいのであります。
○国務大臣(吉田茂君) この問題については、昨日の本会議においても、又議院運営委員会においてもはつきり申しておきましたが、私としては一身上の弁明その他は全然いたさないつもりであります。静かに懲罰委員会の議事の進行経過を待つて、私としては善処いたすつもりであります。
○内村清次君 懲罰委員会の結論を得て善処するというお考えでございますが、私の申しましたのは、懲罰事犯になられたその政治的な責任、その影響の点に対して総理はどういうふうな責任、感じを持つていられるかということをお聞きしたのでございますが、その点に対しましての御答弁も次の質問と一緒に答えて頂きたいのであります。 この日本の困難なる情勢の中におきましては、総理が常々説かれておりますることは、政局の安定、これを頻りに説かれております。そうして総理は総裁であるところの自由党の即ち内情というものは相当な状態に来ておる。面もそれは民主主義の建前からして、党内に議論があるのは結構ではないかというようなみえを本会議でも切つていらつしやいます。これは結構でございましよう。併しながらその様相というものは、私は他党を申したくはないのでございますが、決して民主主義の過程におけるところの即ち議論ではなさそうに見受けております。党内の派閥というものは深刻である。すでに私は自由党は分裂の危機に来ておるとさえ考えております。いわゆる政府を守つておるところの与党はすでにこれは仮装の多数党である、決して安定したところの多数党ではないと私は考えております。この点に対しまして政局は混迷をしておる、この状態というものは、すでに私は吉田内閣へ国民世論というものは支持をしておらない、吉田内閣に対して国民はすでに失望をしておるというように私は考えております。同時に又あの直後におきまして、閣内の不統一が現われて参りました。而も総理はその直後に廣川前農林大臣を罷免しておられる。本委員会が今後二十八年度の予算を審議して行きます上について、農林行政の点につきましてはやはり前農林大臣が所信を以て、責任を以て、農林省所管の政策問題というものは予算全体の、吉田内閣の予算に対するところの一翼として出しておられるはずであります。こういう責任大臣が審議中に罷免をされたというこの事実というものは、今後の審議に対しましてもこれは相当な打撃であります。我々予算を審議するものといたしましても、その責任大臣がやめたということに対しましては、これは徹底したところの審議もできないとさえ思つておるのであります。このような状態で総理は果して政局は安定せりとお考えであるかどうか。これはただ単に私は自由党の問題をのみ言いたくはない。日本の危機を救わなくてはならない、こういう国民の即ち一員といたしましても、議員の一員といたしましても、総理と共に現下の情勢を憂うるために、現下の情勢に対しましてどうかして国を救わなくてはならないという見地に立つての私の即ち総理に対する質問でございます。そういうような点におきまして、総理は本当に誠心誠意日本をどう持つて行かれるか、どう即ちこの危局を乗切つて行くかというようなお考えの下で現下の問題に対処してもらいたい。私はこういう意味から、総理は再度一つこの問題、前問題と共に御答弁をお願いしたい。
○国務大臣(吉田茂君) 前問題に対しては、先ほど申した答弁を以て、私はそれ以外以上に付け加えることをいたしません。 又後の問題については、これは予算は内閣全体の政府の責任、政府の予算として提出いたしたのであります。提出中に、或いは予算の審議中に閣僚の替ることもあり得ることであります。又そのたびごとに政府がその予算を、その部分におきましては政府の責任でないということは言えないのであつて、政府全体の責任において予算を提出しておるのでありますから、ときに閣僚が替りましても、その全予算に対する政府の責任は少しも変つておらないのであります。即ち後任農林大臣において十分の予算の説明はいたすだけの資料も持ち、又いたし得る人間、人物と考えて採用いたしたのであります。この点は御懸念は要らないと思います。
○内村清次君 政局の問題……。
○国務大臣(吉田茂君) 政局については只今申した通り、懲罰委員会の経過等によりまして政府は善処いたします。
○内村清次君 私といたしましては、まだ総理の答弁に対しましては不満足な点がございますが、私も、又総理も、共に現下の情勢に対しまして、国民の帰趨が日本を協力して守り得る態勢の点に、この政局を乗り切るというようなお考え方からして、党内問題でなくして、自由党の即ち党利党略ばかりからお考えならずして、憲政の常道を、又日本の今後の政治の発達を、民主政治の発達を念願するような善処を私は強く要望いたしまして本論の前提に入ります。 これは本論の前提でありまするが、当委員会といたしましても、これは参議院の院議で決議をされております。これは衆議院の院議でも決議をされておりまするが、二十七年度のいわゆる補正予算の際におきまして、衆議院の附帯決議に対しまして本委員会は決議をいたしました。これはよく御存じの通りです。この決議の点は委員長から本会議に報告をされております。このうちに公務員の給与改善に対するところの決議としてその一つに「一般公務員(教職員を含む)については、本年末においておおむね月給与の〇・二五分を目途として、実質上の増額支給をなすよう措置すると共に今後一層公務員の給与改善につき人事院勧告の趣旨を尊重し、これが実現を図るよう措置すること。」このうちに「前項に関連し予算措置を伴う短期期融資の途を講ずること。」こういうような附帯決議がされております。これが当時の年末におきましての一般地方財政の困窮からいたしまして、教職員の方々の〇・二五を基準とするところのベースの増額に対しましても不十分なところさえもあり、又地方財政は枯渇をいたしておりますからして、この項目によりまして地方の財政の補填は政府が責任を以てするものであると考えておるところの府県もある。ところがそれが実施されない。そうして現在に至つております。而も院議はこの状態を以ちまして参議院では決議をした。本多国務相も大蔵大臣も、衆議院におきましても決議に対しまして、善処いたしますということを約束されております。これがされておらない。こういうようなことで、国会の決議を現政府はどういうふうにして尊重されて行くのであるか。又この処置は一体どうされるのであるか。吉田総理はどうお考えでありますか。
○国務大臣(向井忠晴君) 御決議に対しましては、予算の範囲内及び法律の範囲内で以て、国家公務員並びに地方のほうは国家公務員に準じた給与を与えると、そういうことをいたしたのでございます。只今お話の地方自治体との間の話につきましては、只今本多自治庁長官と十分に話合いをいたしておりますところでございます。
○内村清次君 これは以てのほかの御答弁でありまして、今日に至るもまだ地方自治庁長官と話中である、こういうこと、これは一体政府の責任によるところの地方関係、即ち府県の責任者はどうお考えになるでありましようか。又そのために迷惑をしておるところの各関係者はどうなりましよう。院議でもうすでに年末の問題ですよ、これをまだ考えておる。昨日聞いてみますと、地方行政委員会におきましてはこの問題が提起されまして、そして国務相は公募による、三十億の公募によるということを発言されておる。これでは全く政府が責任を以て五十億の即ち短期融資は勿論として、あとは財政措置を以てやるというようなことはこれは嘘であつた、重大な問題でございますよ。この点に対しましてはどうですか。
○国務大臣(本多市郎君) お答え申上げます。 年末手当に対しまして、地方が国の措置に準じてやりました財政措置は、これは政府の責任でございますので、先日御決議に対しましてお答えいたしました通り、政府は地方財政状況の推移とも睨み合せてできるだけ速かに善処いたしたいということを申上げたのでございますが、すでに年度末も近まりまして地方財政の推移状況も大体の把握ができたのでございますから、この財政措置を講じたいと考えまして、只今資金運用部関係、更に又地方団体が如何に運営し得るかというような関係等も検討中でございます。その中に公募債を含むか否かという問題でございますが、公募債もやはり地方財政計画の中に従来もとり入れて運営されて来ているのでありますから、公募債を成る程度含んでもその公募債が消化が確実なものであれば、これは財政計画の中に入れてもよろしいとも見ております。従つて今の段階ではこの財政措置は起債の許可という方法によつて措置をいたしたいと考えておりますが、その起債の内容が預金部資金において幾はく、更に公募債において幾ばくになるかということが運営計画の点からと、公募債消化の点からと睨み合せて地方に不便を与えない処置をしなければならないと考えまして、今研究いたしているところでございます。これは年度末も近まりますので、急速を要することでございますので、急速に決定いたしたいと考えまして大蔵省とも打合せ中でございます。
○森八三一君 関連質問で……只今の内村委員の御質問はあの当時あの附帯決議をいたしました趣旨を述べてお伺いになつておると存ずるのであります。と申上げますのは、この委員会で年末におおむね〇・二五に相当する公務員の給与を増額する、それについては取りあえず五十億の金融措置で当面を切り抜けて行くのであるが、他日それは財政措置を伴うというような結果にならなきやならん、その意味は平衡交付金等を増額するなりというような方法において、非常に枯渇している地方財政に圧迫を加えないような措置が当然講ぜられるべきであるというような意図を持つておつたわけであります。ところが今お話を聞きますると、すでに年末も経過いたしまして数カ月を経ておりまするのに、その額等もはつきりしないし、なおその措置等について起債等によつてこれを措置するというような御意図のように拝承いたしたのでありますが、我々がこの議決をいたしましたのはそういう趣旨ではなかつたはずであるのであります。若し昭和二十八年度の平衡交付金等においてこれがどういうふうに勘案をせられて穴埋めがなされるかということを考えたわけでありますが、そういうような御意図があるのかどうか、その点を重ねてお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(本多市郎君) 御承知の通り地方の財政措置は平衡交付金のみではないのでございまして、その他に地方税、政府支出金、地方債、そういうものをすべて含みまして財源のバランスが得るか否かということをみておるのでございます。すでに予算を提出いたしておりますので、その平衡交付金の増額ということは政府としては考えておらないのでございまして、地方債で財政措置を講じたい。これを講ずることができますと、平衡交付金を増額したのと同じに、やはり運営はついて行くわけでございますから、その措置によつて解決いたしたいと考えております。
○木村禧八郎君 二十八年度予算を編成するに当りまして、この〇・二五の年末給与の措置に対しての考慮は払われていなかつたのでありますか。先ほど森委員も御指摘になり辞したように、一応金融的措置をするが、財政的措置ということもあの要望にあるのでありまして、それで当面の措置としては金融措置でないと困難であるが、二十八年度において財政措置としてこれを肩替りする、こういうふうに大体我々は了解しておつたと思うのです。それは各委員もみなそういう考えでおつたのでございます。今の答弁ですとちよつと食い違う。成るほど本多国務大臣の言われる通り地方財政に対する政府の補助というものはそのほかいろいろあるわけですけれども、財政的金融措置、補助金があるわけです。けれども我々の了解しているのは最後に財政的に平衡交付金という形で、或いは補助金でもいいわけですが、政府のそういう形で、地方財政の将来金利負担にならないような形で、金利負担を過超しないような解決処理して行くというふうに了承しておつた、その点もう一度重ねてお伺いしたい。
○国務大臣(本多市郎君) これは二十八年度の予算編成の当時、年末の措置についての予算、又財政措置ということにつきましては十分考慮いたしたのでございます。併し政府の方針がこの年度内における地方財政の推移と睨み合せてという方針になつておりましたために、金額を予算編成当時つかむことは困難でございまして、この金額は結局起債によつて解決しよう、財政措置をしようという方針をとつたのでございます。従つてこの三月末の年度末も切迫して参りましたので、急速にこの措置は起債措置によつて、起債許可措置によつて講じなければならないと思つております。
○森八三一君 只今の御答弁では、我我がこの議決いたしました趣旨とほど遠いものがあると思います。成るほどその金額を十分に把握することができなかつたので、取りあえずは金融措置においてこれを始末をする、それもここに言う財政措置の一環であるというようなふうの御答弁であつたと拝承いたしまするが、金融措置によつて当面を切抜けるといたしましても、それは他日地方財政の負担になるということであります。その返済等の場合に負担が生ずるという結果になる、それは我我が意図しているところではないということであります。その金額がはつきりすればそういう点をどういう方法によつて始末をおつけになるのか、そのお考えをもう一遍伺いたいと思います。
○国務大臣(本多市郎君) これは起債による地方の負担は、又全体の地方債のその財政措置を財政計画の上では講じて行くのでございます。結局地方の負担する元利の償還というものは次に又財政措置を全体としては講じて行くことになります。
○内村清次君 これは本年度末には大蔵大臣と協議の上に結末をつける、その見通しがまだ今の問題では明確になつておらないようですが、大蔵大臣は必ず本年度のこの二十七年度の予算の決済には結末をおつけになりますか。
○国務大臣(向井忠晴君) 地方財政の推移状況によりまして善処するつもりでございます。
○内村清次君 本論に入りたいと思いますが、総理の施政方針演説の中に、「先ず以て国民諸君に訴えたいことは、独立日本としては、自由諸国との提携、なかんずく対米親善関係を一段と緊密にし、力を国連協力にいたし、以て世界平和への貢献をなすことであります。」と述べられております。要点の骨子は対米親善関係に重点を置く、対米一辺倒外交を打出しておるようであります。国民が危惧いたして聞かんといたしておりまするところは、米ソの対立から来るところの国際連合の運営の現状、アイゼンハワー大統領の教書を中心とするところの共和党政府の世界政策の影響、なかんずく極東政策、及び朝鮮動乱を中心といたしましたところの対日、対中共、対国府関係等々、この世界の危機の中にあつて如何にして日本の平和を維持して行こうか、又行かれるであろうか、或いは次第次第に戦争に巻き込まれるようなことがありはしないか、これを現在の日本の国民が一番心配いたしておるのでありまして、日本人が朝鮮に出兵されはしないか、或いは又中国の大陸反抗の一翼を担つて出動するようなことがありはしないか、更に日本の領土に爆撃の惨禍というものが再び起りはしないか、この点を痛切に憂慮いたしております。総理の演説を注目いたしておりますると、総理は真実の発表ということがなされておらない。又国民が聞かんとすることを言つていらしやらない。具体的な方針というものが期待されておらない。私は、これでは主権国民に対するところの政治のやり方ではないと思う。この点は従来の吉田総理のとられた秘密外交の点にも現われておりますが、私はいやしくもこの独立後の国会の初頭におきましては、こういう具体的な日本の進路というものは明示してもらいたい。ただ総理は戦争の危機は遠のいた。こういうような楽観的な観測だけを発表しておられまするが、このようなことで国民は納得しておりません。このような中立に対するところの総理の具体的なお考え、又進路、これを一つ明らかにして頂きたい。
○国務大臣(吉田茂君) お答えいたしますが、日本の行き方、或いは日本のいわゆる進路と言われるものは、講和条約等において明白にされておるのであります。即ち日本は自由国家と行動を共にし、相互いに協力して世界の自由なる平和を進める。この線を守つて進むことはこれは私が常に申すところであり、又条約の上においても明らかになつておるところであります。私は、この条約の示すところ、又、我々が公言しておるところによつて進むこと、これによつて私は国民は政府を信頼しておると思います。これに対して質問、或いはこれに対して反対の意見を表せられるのは、反対党の諸君は別として、国民多数は我々の政府の申すところに対して非常な不満を持ち又は反対をしておるとは認めません。 又、世界の平和はどうであるか、世界の平和の大勢はどうであるかと申せば、これは私が常に申しておる通り、月を重ね、年を重ねるに従つて、世界の状態は平和に向つて安定しつつあるという結論を申すのが妥当であると思います。これは議論は別といたしまして、今日の戦争と言えば結局は国力の戦争であり、経済力の戦争であるのであります。で、共産主義国のいわゆる生産力といいますか経済力というものは、これは鉄のカーテンの向うは誰も知らないところでありますが、併し常識を以て考えてみて、経済活動なるものは自由によつて、自由競争によつて、自由意思の尊重せられることによつて経済的活動は活発になるのであります。それを共産主義若しくはソ連政府等のやり方によつて一種の政府がこれを指導する。或いは個人の自由意思を圧迫して、そうして政府の指導の下に自由活動を指導をする。これによつて経済活動は私は最も盛んに起るはずはないと思うのであります。個人の意思を尊重し、個人の自由によつて真に経済、産業というものは初めて発達するのにかかわらず、その自由意思を圧迫して、特に軍事産業その他に力を入れる、或いは国民の意思に反しても政府の都合のいい兵器産業等を発達させるということになりますと、(岩間正男君「アメリカだよ、アメリカさ」と述ぶ)アメリカはどうか知らないが、(笑声)とにかく私の考えるところによりますと、自由経済によらなければ、政治、経済活動の隆盛ということは期待し得ないのではないかと私は思うのであります。この点から考えてみましても、時が経つに従つて自由国家群の経済活動は盛んになり、然らざるものは競争ができないはずであると私は思う。この観点から考えてみましても、時を重ね、年を重ねるに従つて自由国家群の経済活動は基礎ができ、又活発になるものであろうと思います。それだけ又平和運動、世界の平和的傾向は増すものと私は考えるのであります。政府が、或いは日本国が外交の方針として、自由国家群と行動を一にするということは、単に条約の規定のみならず常識から考えて見ても、平和を進むるゆえんであると私は考えます。
○内村清次君 只今の総理の答弁の中に二つ重要な点があるのですが、私たちが聞きたいのは決してこの反対党だけがこういうようなことを考えているということでなくして、恐らくこれは自由党を支持した人でも、日本人であるならば、今の私の質問の要点というものは、国民であるならば恐らくこれは全部が心配している問題ですよ、この点はよく考えて頂きたい。 それから第二の点において、自由思想を以て経済の発達を期するというお話であります。ところが現在の国内の経済状態はどうでございますか。勿論鉱工業生産の指数はこれは一四〇%になりました。併し国民生活というものは安定しておらない。同時に又国民生活というものは御承知の通りに戦前のパーセンテージよりも以下であります。八〇%くらい、七六%とも言つております。こういう状態、而も私が申しますことは、こういうような自由意思で以て経済を発達させようとしても、国の政策、而も又すべての政策が、すべての政策が貿易状態に現われているという状態はどうですか、勿論これは世界の影響もありましよう。貿易の輸出入の本年度見積りにおきましても、又二十八年度の見積りにおきましてもどうですか、今回の予算の欠陥は、この貿易の状態ですよ。こういう点を考えなさらずして、而も中共の貿易は鎖されている。これは本論のあとに質問いたしますが、鎖されている。而も外務大臣はこれをまだ制限して行こうというようなお考えでしよう。こういうようなことでどうしてあなたの今言われたようなことがなされて行かれますか。決してこれはなされて行かれないと私は思う。総理は、一つこの二つの点に対してくらいはもう少し親切味のある答弁をお願いしたい。
○国務大臣(吉田茂君) 私の答弁は先ほどの答弁で尽きていると思いますが、あとは議論になりますからして暫く差控えますが、貿易の情勢については成るほどこれはお話のように不振であります。不振であるのは、これは世界的の不振であつて、日本ばかりこの貿易の不振に苦しんでおるのではありません。イギリスにしても、その他の国にしても、貿易の不振、これをどうして挽回するか。或いはアメリカに対して関税の引下を要求するとか、或いはヨーロツパにおいて関税をよそうじやないか、関税を早く撤廃しようじやないかというような運動があつて、貿易不振の問題は世界的問題として、各国がどうかしてこの不振を克服しようといたしておるのであります。経済活動は時に鈍り、或いは貿易は時に鈍ることはありますが、鈍つた場合にこれをどう処置するか。一つは国内の政策によることもありましようが、貿易のごとき国際問題については国際問題として、列国が共同してこの不幸なる結果を打開するということに協力する。又協力することによつて過去においてしばしば貿易不振なり経済不況なりというものが打開されたのであります。故に不振であれば不振であるほど、これに対する処置は真剣に各国共に考えられると思います。又これによつて打開するより世界の貿易の趨勢を変化させることはないと考えます。やがて貿易が不振であればあるほど、如何にしてこれを打開するかということは、列国の間に真剣なる政策として考えられると思います。
○内村清次君 やはり総理は戦争の危機は遠退いたというようなお感じであつて、日本の防衛機構というものは、これは安全保障条約に任せているのだからまあ日本は安心だ、こういうお考えのようでございます。私たちがここで注目せなくちやならないことは、今国連での状態を見ましても、やはり朝鮮問題を中心といたしまして、相当米ソの対立がはつきりと出ておる。又満洲の爆撃もその後なされた。同時に又連国軍は朝鮮において攻勢をしておる。併しまあ戦線は今は大体において停頓状態である。ところがアイクのこの教書によつて世界各国が皆目を揃えて強硬政策に対しまして、これは各国が、西ヨ—ロツパといい、中東といい、或いはアジアといい、皆この教書によつて相当心配をし始めておる。これは各国の元首の声明によつても明らかであります。こういうような状態のうちにありまして、アイクは国連に、朝鮮問題はこれは大戦の様相がある、重大な問題であるというような発言をしたメッセージを出しておられた。これは現実ですよ。こういうような情勢の中にありまして、今スターリンが非常に重体の報が出まして、これも又一つの世界情勢といたしましては大きな問題でございましよう。これに対しましてスターリンの死という問題さえも今日は報道しておりまするが、これで一体世界情勢というものは、どういうふうに転換して行くかという点に対する総理の御所信を承わりたい。
○国務大臣(吉田茂君) 世界の情勢がどう転換するということになると、結局はこれは基礎的に方程式を作つて、こういう結果になるということは、これは一種のスペキレーシヨンといいますか、見通しといいますか、それ以外にないのであります。而して現在の大体の状況から申せば、只今申した通りと私は考えます。又これは多少希望を加えてであるかも知れませんが、大体において世界の平和情勢は進みつつあると、こう断定するのがこれは常識であると思います。
○内村清次君 スターリンの死に対する総理の考え方……。
○国務大臣(吉田茂君) これはたとえ主義政策が違つておつても、ソ連の総理大臣が不幸なる病気若しくはそれ以上の事態に際会されるとすれば、私は遺憾の意は表しますが、それに対してとやかく申すことは差控えたいと思います。
○内村清次君 アメリカの外交というものは、これはトルーマン大統領の宣言でも明らかでございまするが、力の外交を取つて来た。アイゼンハワーの外交も又これに拍車をかけたような外交のようでございます。外交官をされておりましたところの総理といたしましては、曾つて日本帝国の時における外交官として、大使として、そうして各国に外交上の問題の要衝に当つておられたその時の御経験では、やはり力の外交がこれが一番外交上において強いと、そうして又その力の外交から来るところの平和の問題と取組んで行つたほうがいいというような考え方を持つておられはしないか。併しながらこの力の外交と言いますると、やはり他国を無視して行く。或いは又他国の尊厳を傷つけて行くと、こういうような面もありましようが、この力の背景というような諸点に対しまして、総理は御経験からしてどうお考えであるか。その点一つ。
○国務大臣(吉田茂君) お答えをしますが、力の外交とか、或いは力という言葉を使いますと非常に話が変な方向に参りますが、結局外交にいたしましても、或いは国の政策実行におきましても、つまりその国の国力が土台になるので、国力がない外交はどうしてもその目的を達しない、これは当然の話であります。それで今日アイゼンハワー大統領の政策が力の外交であるや否やということは、私はここに批評を加えることは差控えますが、とにかく大統領の考えとしては、世界の自由を守り世界の繁栄を守りたい。そのために自由国家群の団結を固くしたいとか、或いはその間に貿易をますます伸張さしたいとかいう考えで、これを力の外交というかどうかは別といたしまして、アイゼンハワー新大統領の考え方は日本政府としてこれに異存を言うべきことはないと私は考えているのであります。
○内村清次君 今回のアイクの一般教書の中にこういうことが書いてあります。各国が共同防衛を引受けることを期待すると、こういうことが書いてあります。勿論このアイクの教書の発表と同時に各国の情勢というものが、おのおのの責任者からの発言を見ましても、これは相当な反響があつて、而も憂慮の点が多いようであります。特にインドは是非ともこの状態に対しては第三勢力の発展を期待しなくてはいけないというようなこともはつきりと申しております。又軍人大統領の点に対しましても世界の危機は増大したような状態が明確になつているのであります。で、教書の中の共同防衛ということ、これに対しましてこれはもう各国の輿論や或いは又、これは特に米国の政策といたしまして、地上部隊の育成だとか、或いは又アジア同盟の発展だとか、こういうような点を報道せられているのです。そうなつて来ますると、私たちが心配いたしておりますることは、太平洋同盟に対しまして、この問題が、即ちこの防衛機構というものが今後醸成せられるのではないか、そういう場合に総理は一体どうお考えであるか、この点は近く来日いたしましたところの台湾政府の外交部の代表にいたしましても、或いは又朝鮮関係の李大統領とも会つていらつしやる総理といたしまして、こういうような一連の反共的な同盟の結成、或いは軍事的な同盟の結成というものに対しまして、総理はどうお考えでありますか。
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたしますが、政府として義務として考えるべきことは講和条約若しくは安全保障条約でありまして、それ以上の義務は何ら負担いたしておらないのであります。又アイゼンハワー新大統領の教書等については、これは無論注意を以て熟読いたしましたが、併し直ちにこれが日本の義務になり、日本がこれに対して或る要請を受けるというようなことは私は今感じておりません。只今お話の台湾の何でしたか……。
○内村清次君 台湾の葉外交部長あたり来ておる……。
○国務大臣(吉田茂君) 葉外交部長が参りました場合には、単に儀礼的のと言いますか、社交的な挨拶だけでありまして、何ら日本に対して、これはアメリカの帰りに日本に寄られたのでありまして、特に日本に対する使命を持つて見られたようには考えられません。従つて話も社交的の話であつて、何らまとまつた話はなかつたのであります。李承晩大統領についても同じことであります。これはクラーク将軍の賓客として見えた。見えたから私にも来ないかということを言つて、会いはいたしましたが互いに日韓親善の大切なることを申しただけの話でありまして、今お話のような太平洋同盟論というようなことは少しも触れておりません。
○岡田宗司君 関連して。太平洋同盟、或いは太平洋防衛同盟のことについて何ら触れておらない、こういうふうにお話でございましたけれども、アイゼンハワー大統領が当選をいたしましてからのちのいろいろな動き、特にアイゼンハワー大統領が朝鮮へ来てからあとのこと、李承晩大統領が日本をそういう太平洋防衛同盟に加えてもいいというようなことを言つた、又台湾におきましてもそういうことがしばしば外交部のスポークスマンによつて言明されておる。或いは又フィリピンのエリサルデ外相が条約の批准を急がなければならん、それは共産主義の脅威に対処するために賠償問題と切離してそれを急がなければいかんというようなことを言つておる。又日本政府から台湾に出しております吉澤大使の言等から見ましても、この太平洋防衛同盟というようなものを作ろうという空気がどうもあるように受け取れるのであります。特にダレス新国務長官は地域的集団安全保障ということを非常に強調しておる。この地域的集団安全保障ということを太平洋において行うという場合に、アメリカとしてそういうような考え方になつて来、又現在の情勢から見てこれを一種の軍事同盟として作り上げよう、こういう動きがあるのではないかと思うのであります。恐らく李承晩大統領もそのためにクラーク大将の招請でこちらに来たのでありましよう。又フィリピンやそれから台湾の動きもそういうことを示しておる。吉田総理大臣はこの点について否定をしておられますけれども、私どもはどうもそういう気がするのであります。或いはダレス国務長官が日本に来るようなことになるならば、そういう問題がもたらされるのではないか。或いは又この問題について大分論争したであろうと思われるアリソン氏が、今度日本の大使として来られるということになれば、又この問題がもつとはつきりした形になつて来るのではないかと思われるのですが、首相としては今後そういう問題が起りました場合に、これに対してはつきりと日本は太平洋防衛同盟というような、そういう軍事同盟に入らないということをここで御言明になれるかどうか、この点をはつきりして頂きたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) お答をいたしますが、一体太平洋軍事同盟というものの内容は実は知らないのであります。実は我々承知いたさないのであります。又政府として何らその点について情報を受取つておりません。従つて先ず常識的に申せば、軍隊を持たない日本が軍事同盟に入るということはあり得ないと思います。又今お話のダレス氏が仮に日本に参られても、日本の憲法はこれを承認しない。或いは日本の輿論がこれを承認しない。日本が軍備するとしないとは、一に国民の自由意思であるということを、ダレス氏でありましたか誰でありましたか忘れましたが、そういうことははつきり言つておるのでありますから、輿論が好まない軍事同盟、或いは輿論の賛成しない軍備を強いるということは断じて私はないと思います。一応お答えいたします。
○岡田宗司君 只今の吉田首相の言明であれば、日本は軍隊を持たないからそういう軍事同盟的なものには入らん。それから国民がこれを好まないからそういうものに入ることはない、こういうふうに言明されたのです。併しながらアメリカが若し欧洲に対して行いましたように、相当強圧を以て臨んで来るというような場合において、首相はこれを今の立場からはつきりとお断りできるかどうか、この点をもう一度念を押してお聞きしたいのであります。
○国務大臣(吉田茂君) お答えをしますが、第一そういう強圧を以て日本に或る要請をするということは、断じてないと私はここに明言いたします。然らば強圧を用いられた場合にはどうか、これは自然お答えは明瞭であろうと思います。若しあなたが私の立場に立つて強圧された場合にうんと言われますか、言われないか、これをお考えになれば自然問題は明白であります。
○内村清次君 この教書の中の、先ほど私が質問いたしました要点に対して、外相は、これは自衛力の増強だけは当然希望しておるからして、この点に対して日本も対処しなくちやならんという答弁を衆議院でやつていらつしやる。この点は私は重要な点であろうと思う。自衛力の強化の問題。私が総理に先ずお尋ねすることは、今、日本の政界もそういうふうな面で動いておるというような見方をする人もある。いわゆる再軍備を強化して行く、憲法を改正して行く、そうしてこの政局を乗り切つて行くというような、いわゆる政界の再編成というものがもうすでに緒についた。而も総理はこの問題に対して、自分も対抗して決意を新たにして、やはり憲法改正、再軍備の強化の点についてはもう時期的に来ておる、ダレスさんもやがて来る、だからしてもう時期的に来ておるから、国民もこの際においては要望しておるというような点をあなたが感じられておる。そうして自分も決意してそういうふうにやつて行こうというようなことを噂されておりまするが、政界の動き、それから総理の決意、この点お伺いいたしたい。
○国務大臣(吉田茂君) 政界の動きは私よりもあなたのほうが余計御存じと考えられますが、(笑声)ところで今のお話の再軍備及び憲法改正、これはしばしば申す通り、私はこれは国力が許さないと思います。現在においては……。今日再軍備いたすために増税をいたすというようなことは、これは減税はしても増税はいたしたくないと考えておるのでありますから、再軍備によつて増税をするというようなことになつたら国民は迷惑するだろうと思います。又、従つて国力の伴わない軍備を持つために憲法を改正すると申しても、国民は納得いたさないと思います。故に私は今お話しのようなことは噂としても私は聞いたことがないのであります。若し聞いたとすれば、あなたが噂の根拠はどこにあるかを御存じであろうと思いますから、承知いたしたいと思います。
○内村清次君 この朝鮮問題につきまして、総理は、現在朝鮮戦線に日本人が出動しているのだというのが日本週報にたくさん出ておる。これは相当部数出しておるのですよ。だからして、やはり日本人でそれを信ずる人たちも出て来ております。だから、これは聞明しなくちやならない。だから総理は一体この朝鮮戦線に日本は出動しているかどうか、又出動は今後するかしないか、この点明確にしてもらいたいのと、それから、国籍を有しておるところの日本人が、どのような協力態勢で朝鮮戦線にあるか、この点を一つ明確にしてもらいたい。
○国務大臣(吉田茂君) 朝鮮派兵……保安隊のことであろうと思います。派兵ということの御質問であるならば、これは断じていたしません。 それから又、国連協力の線で以て、物資その他の供給にはなにしておりますが、戦線において日本の兵が働いておる、少くとも南鮮において働いておるということは政府は承知いたしておりません。
○内村清次君 国籍を有しておる者が、どういうような協力態勢にあるか、又戦線、朝鮮国に行つているか、こういうことを……。
○国務大臣(吉田茂君) 外務大臣から……。
○国務大臣(岡崎勝男君) ちよつと聞き洩らしましたので、今一度おつしやつて下さい。
○内村清次君 朝鮮戦線に日本人がどういう態勢で援助しているか、日本人がどういう態勢で援助しているか、又行つている者はどのくらいいるか、こういうことです。
○国務大臣(岡崎勝男君) 朝鮮戦線には日本人は一人も行つておりません。併しながら、例えば発電所等で日本人の設計したものについて、これはまあ釜山とかうしろのほうですが、或いは船に乗つて輸送を、釜山のほうへも品物を持つて行くとか、或いはその他技術的な面で数百名はいるだろうと思います。それ以外にはおりません。
○内村清次君 次に、最近起りました日本漁船の大邦丸事件をきつかけといたしまして、相当漁区の問題や、或いは又漁獲の、権益の減少の問題、それから李承晩ラインの設定の問題に対しまして、これは物議を醸しておるようです。そこで、この根本的な解決をやらなくちやならん。ところが、そういう事態の起つたときに内閣のほうで、而も又これは保安庁の政務次官ですか、実力行使で以て今後やつて行く、こういうようなこと、どうも保守党のかたがたは実力行使だ、或いは又暴言だとかいうものがはやつておるようでございまするが、こういう国際情勢の緊迫した中に、実力行使で今後解決をして行く、こういうような態度というものは、私はやはり力の外交、即ち自衛強化の外交の線から出て来る言葉だろうと思うのですが、そういうようなことをする前に、合理的な、平和的な解決の根本的な方策は何であるか、これを一つ総理から言つて頂きたい。これは日本の漁民関係は相当迷惑をしておる。
○国務大臣(吉田茂君) お話のような不祥事件が起りました。大邦丸のような事件が起つて、政府は誠に遺憾に思い、又心配をいたしております。これはただに日本ばかりでなく、関係国においても、或いは又米国の海軍等においても非常に心配をしてくれて、それで米国の海軍の斡旋によつて日本船を取返したそうであります。詳細は外務大臣から答弁がありましようが、とにかくこういう不祥事件が隣国と、最も近い朝鮮との間にしばしば起るということは、誠に不愉快なことであるのみならず、不幸なことであると思います。この間李承晩大統領が見えた場合にも、日本と朝鮮の関係は善隣友好な関係で行かなければならないということを強く主張せられて、私もこれは誠に同感に堪えないと申しておるのであります。それで、併し日韓会談が行われないためにこういう事件が起つた、まあ起つたとも申されないけれども、いずれにしても両国の関係をよくするために成るべく早く両国会談を開きたいと思つております。ただあの射殺事件等が起つた直後に、直ちに開くということもどうであろうかとは考えますが、併し成るべく早く両国の関係を処理するために会談を続行いたしたいと今その準備をいたしております。
○内村清次君 この問題は一つ会談を早く再開して漁業協定の解決をするという決意が総理におありとすれば、これは善処してもらいたい。 それから総理がこう言つておられる、これは領空関係、いわゆる空の関係としては、西ヨーロツパでは陸続きであるからして、いわゆる領空を侵犯することはもうたびたびあるのだと言つていらつしやる。ところが北海道におられるところの国民のかたがたは相当心配をいたしております。而も又最近ではアメリカ兵と交戦状態になつておる。こういうような関係が続いて参りますると、これは必ず基地の報復爆撃というものを又国民は連想して考えて行くのです。若し基地の周辺の日本国民に対して、いわゆる報復爆撃のために被害を与えたときにおいて、総理の言つておられるようなのんきな言葉じやいかない、又行政協定の面でだけでも行かない、一体どういうような責任をおとりになるのか、この点を明確にして頂きたい。
○国務大臣(吉田茂君) 私の申したのは、ヨーロツパにおいて隣接国においてしばしばこういう事変があるから、日本はうつちやらかしていいという結論じやないのであります。日本ばかりにおいて、こういう国境侵犯の事変が起つたのではないのである、前例はあるのだ、であるから、これを、この領空を守らなければいけない、領空の侵害は許されないと申したのであります。それで現在のところ今お話のように基地爆撃だとか、それ以上の事件は今のところはございません。そういう事件を予想せられるべき原因は何も承知いたしておりません。
○内村清次君 あつた場合のときは。
○国務大臣(吉田茂君) あつた場合にはそのときに善処いたすとお答えするより仕様がないのです。
○岩間正男君 関連して、領空侵犯というようなことがしばしば報道されて、更にその後どこか国籍不明の機と交戦した、こういう問題が新聞に出ておるのでありますが、こういう情報は政府としてはどこから一体入手されたのか、更に国籍不明の機というようなことを言つておるのでありますが、これがはつきりしないのに、すでにこの防衛について依頼をするというような言明を政府がせられるのは非常は私は軽卒じやないかと考える。従いましてどこからこのような情報を入手されて、そうしてどのような判断に基いてそういうことをされたかということは非常に重要であります。私は北海道にたまたま参りまして、現地には参りませんでしたが、北海道におきますところのいろいろな情報を聞いてみますというと、案外この土地の人たちはこのような飛行機を見たことがない、事実見ていない、こういうのでありまして、大変新聞の伝える情報とは事実食違つておる。こういう事実を私は北海道を約一週間ばかり旅行する間に発見した、中央で騒いでおるほどではない。問題は、そうしますというと非常にあの問題というのは何か騒ぎのために騒ぎをしているような問題で、問題のないところに問題が醸成されておるような印象を非常に受けざるを得ない。こういう点から考えて政府の、この情報の取り方並びに判断の仕方というものは非常に重要である。殊に先ほどから聞きますと、総理は国際関係は平和のほうに、むしろ向いつつある、こういうことをしばしば言明されおる。その点なんかは、非常に衆議院あたりでも食い違いになつて、我々の見るところ又ほかの諸君の見るところと、総理の見解は非常に違つておるようでありますが、こういうことが紛争の一つの原因になつたようでありますが、どうですか、こういう点について、はつきり政府の態度というものを示さなければならんと思う、私はとに角今の情報の出所、それから政府の判断した根拠、こういうものはどういうところにあるかということを、はつきりこの際確かめたいと思う。
○国務大臣(岡崎勝男君) 北海道のどこを歩かれたかわかりませんが、とに角肉眼で見えない場合にも、非常に精巧な望遠鏡等では見える場合もありますので、又アメリカ空軍の持つておるレーダーに入る場合もありまして、我我のほうでもチェックいたしまして、アメリカのほうのレーダー等に入つて来るものと併せますると、とに角我々のほうから考えれば、日米安全保障条約によりまして、アメリカの飛行機は日本の領空を飛ぶことは行政協定によつて一般に認められておりますが、それ以外の国の軍用機が、日本の領空を無断で飛ぶことは、これはいずれの国においても、如何なる場所においても許されない問題であります。そこでいろいろチェックをしましたが、これも慎重にやりまして、初めに発見したのは確か昨年の九月頃であつたと思いまするが、それ以来チェックをして間違いない。これは国籍ははつきりしないが、外国の軍用機である、こういうことがはつきりわかつたのであります。そこでこれに対して日本の領空を侵犯しないように警告を発し、且つ侵犯をした場合には適当の措置をするということは、これは国際法上も又実際の国際の慣例も、いずれの国においてもなすべき当然のことをなしたばかりでありまして、これによつて決して国際の危機を増大するとか、或いは国民が不安に思うとかというようなことはあるべきではないのでありまするが、若しそういう点がありますれば、なお十分に事情を説明して心配のないということを十分徹底いたしたいと考えます。
○左藤義詮君 当委員会としては理事会の申合せによりまして、関連質問は緊密なものである限り、一分以内ということに限つてということの申合せをしておるのであります。先ほど岡田委員も相当長い質問でございましたが、ことに岩間委員は理事の一員として申合せをよく御承知のはずでありまして、そうでありませんと、関連質問が幾らでも長くなつて参りますと、折角私どもが各派に行きわたるように協調いたしまして、この運営をいたします趣旨に背くと思いますので、岩間君も御質問の持時間はあるはずでありますから、関連質問ということは委員長において一分以内ということを厳格に一つお守りを願いたいと思います。
○岡田宗司君 内村君の質問に対する答弁について二、三お伺いしておきます。 日本人が朝鮮に数百名程度いるという岡崎外務大臣のお答えがございましたが、それは如何なるポジシヨンで出ておるか、これはアメリカ軍の雇傭者として行つておるのか、それとも日本のほうからアメリカ軍に協力してという形で出ておるか、それだけ。 第二点は、大邦丸事件が起つてからのちに、日本漁船は李承晩ラインの向うに行かないように、日本のほうで抑えておるのか、或いは又アメリカ海軍のほうから行つてはいけないというように言われて行けないのかどうか、この点をお伺いしておきます。
○国務大臣(岡崎勝男君) これはいろいろのものがあると思います。例えば極端な例を言えば、アメリカの人々の何といいますか、召使といいますか、雇人として行つておる者もあります。これは個人的な関係で、例えばナースであるとか、そういう者もあります。それから技術者、これは軍との契約で行つている者が多い、その他例えば船に乗つて向うで種卸しをして帰つて来る。これは一時的の、全部一時的のものであり種類のものがありますが、主としてアメリカ側との契約によつて行つているのであります。日本政府から派出しているというものは、今度或いは海底電線の修理で、日本政府とは言えないかも知れませんが、或いは極く臨時的に釜山方面に行くかも知れません。その程度であります。 それから日本政府は、元来李承晩ラインというものが存在すべきものでないと考えておりますから、李承晩ラインの向うに行つてはいかんというようなことは一遍も言つておりません。又アメリカ側なり或いは国連側なりから、そういう要請を受けたことも一度、もありません。
○岡田宗司君 現在行つていないのですか、行つているのですか。
○国務大臣(岡崎勝男君) 現在行つているかどうかは、これは水産庁でないと、私にはわかりませんが、日本政府なり或いはその他で止めたり、或いは行かないように勧告したりしたことはありません。
○内村清次君 国際連合に対しまして、日本はオブザーバーとして加入された、これに派遣するところの大使を澤田廉三氏に内定されたということですが、その後確定したかどうか。 それから国際連合に対しまして、日本の加盟問題、これはどういうふうな見通しであるか、それから今回日本がどのような問題を、どの国に要請をしつつ提起をしているか、この点に対して総理大臣から明確にしてもらいたい。
○国務大臣(吉田茂君) 外務大臣のほうが詳しうございますから、外務大臣のほうから……
○国務大臣(岡崎勝男君) 国際連合には只今公使を派遣しておりまするが、これは大使の資格を有する人に変えようという考えで今選衡いたしておりまするが、まだ決定はいたしておりません。 国際連合に加盟する見通しと言われまするとこれは法律といいますか、憲章は安全保障理事会の勧告によつて総会が決定する。御承知のように安全保障理事会は五大国が拒否権を持つておりますから、今までの調子であるとソ連側が考え直さない以上は、なかなか安全保障理事会の議はまとまらない。こういう考えでありまするが、他方いわゆる一括加盟というようなものもありまするし、又国際連合側でも特別委員会を作つて、この問題を研究するような模様でもありまするから、全然見込なしとも言えませんし、そうかといつて、それじやいつ入れる見通しだといわれても、御返事には困るのでありまするが、各国と申しまするか、昨年の十二月二十一日の決議も、国際連合のうちの五十カ国が日本の加盟に賛成しているのでありまして、大部分の与論は日本を支持しておりますから、或いはそのうちに何らかの打開方法があるものと期待いたしております。 各国にどういう問題を持ち出したかということはよくわかりませんが、別に各国に問題を……
○内村清次君 問題を国際連合の会議に出そうとしているか。
○国務大臣(岡崎勝男君) 各国がですか。
○内村清次君 日本が……。
○国務大臣(岡崎勝男君) 日本は未だオブザーバーの資格しかありませんからして、国際連合に問題を出すというのは私よくわかりませんが、若し例えばこの引揚げの問題であるとか或いは労働の関係であるとか、或いはユネスコの問題であるとかいうことになりますと、ユネスコなどは日本が直接出せまするが、若し直接出す関係になる場合には、他の親しい国々と相談して、その方面から日本に適当なような提案をいたしてもらうようなことは、これはあり得るのです。
○内村清次君 総理にこれはお聞きしたいのですが、国際連合に加入する際に重要なことは、いわゆる憲法を改正しないとあなたは言つていらつしやる。非武装で、非武装加盟の即ち決意をこれを押し通して行かれる決意があるかどうか、その点……。
○国務大臣(吉田茂君) 加盟の条件は国際連合できめる問題で、指図はできませんが、併し日本の憲法に反するような条件は出しもしますまいし、又日本とじて受諾ができないことと思います。
○内村清次君 次に台湾問題に移りたいのですが、アメリカの第七艦隊が台湾海峡を引揚げた中立化の解除をやつた。同時に又中共の海岸の封鎖を宣明した、この問題は相当イギリスも反響あるようですが、問題はこういうような二つの重要な問題で日本が何か影響を受けなくちやならない。何か影響を受けなくちやならない。この問題は総理もよく御存じでしようが、どういう影響が一番困つておる問題か、この点に対してお話願いたい。
○国務大臣(岡崎勝男君) これは実は初めは非常に各国に大きなセンセーションを起したのでありまするが、その後ダレス国務長官がヨーロツパに行かれたり、或いはその後のいろいろの米国政府の態度が直接或いは間接にだんだん判明いたしまして、そういう初めに各国が心配していたような事態は起らない。少くとも急には起らないというわけで、各国も今では大分考え方が鎮静しておると思います。そこで、申すまでもなく、各国の心配していることは即ち日本も同時に心配すべきことでありまするが、それはこれを契機に何か大きな戦争の勃発にでもなるのじやないか。或いはそつちのほうへ少しでも近付くような傾向になりはしないかという点が各国でも心配しておる点でありまするが、だんだん判明したところによれば、アメリカ側もそういう点は十分考慮しての上であり、又決してそういう方面に事態を導こうとする考えはないのであるということが判明したために、だんだん各国の考え方も静まつて来た、こういうわけであります。従つて若し何が一番心配かと言えば、現状におきましては、そういう大きな問題を除けば、差当り国民政府側で中国本土の港の、これは閉鎖と言つておりまして、封鎖とは言つておりませんが、クロージユアという言葉を使つておりますが、こういうことがどの程度実際的に行われるものであるか、又それによつて日本の漁業等に影響があるかも知れず、或いは或る程度の貿易にも影響があるかも知れずという程度であります。併しこれもまだ実際に事態が起つておりませんので、ちよつと判定に苦しみますが、差当りそういう点を注意して我々は見ておるわけであります。
○内村清次君 芳沢大使がどういう御用でおいでになつたか知りませんが、日本に帰られた。非常に台湾の動きを中心といたしまして日本も又関心を寄せなくちやならない。それで台湾政府の動向といたしまして、伝えるところではやはり大陸反攻を考えておるのでしよう。このときに保安隊は絶対に使用しないという言明ができますかどうか、その点を総理から。
○国務大臣(木村篤太郎君) 保安庁長官としてお答えいたします。如何なる場合にあつても海外に保安隊は出動いたしません。
○内村清次君 朝鮮海域におきますところの漁船問題もありましたが、今最近起つておりますことは東支那海を中心として非常に漁船が拿捕されておる。これに対して最近におきましても、一月の二十二日から二つの船が拿捕されております。乗組員は二十三名、これは喜久丸、大衆丸というようなこういう船もやられた。現在まで百二、三十隻ありました。これに対して外務省の課長あたりを呼んで聞いて見ましても、中共には一言も話はできないと言つておる。こういうような態度でどうしますか。政府といたしまして、この被害を受けた人とそれから同時に漁区の問題もあるでしよう。いわゆる百二十五度線以東の問題は漁区が減少してしまう。クラーク・ラインの問題から非常に漁区が減少してしまう。こういうような問題からして農林大臣或いは外務大臣はなぜ日本は中共に対してこういう交渉ができないか。或いは又この拿捕された問題が、台湾政府のほうで拿捕されておりはしないかということも情報としてありますが、この点の真相をお伺いいたしておきます。
○国務大臣(岡崎勝男君) 船が不当に拿捕された場合には中共政府であろうとソ連政府であろうと、つまりまだ国交のない国であろうと国交のある国であろうと、ひとしく日本政府としてはこれが返還或いは漁夫の保護ということについては十分の努力をいたすことは当然であります。従いまして中共側に拿捕されたものといえども、実効が挙るか挙らないかは、これはそのときの情勢によつて違いましようが、十分の努力をいたすことは当然でありまして、又いろいろ努力をいたしております。或る場合には極く少数でありますが、船も漁夫もかなりたつてからでありますが、帰還しておる実例もあるのであります。 第二の台湾のほうでは今まで調べましたところ、私の知つておる範囲では最近においてそういう事件は起つておりません。併しずつと前に起つたのは未解決のものがあります。これは国民政府に引続き交渉いたしております。
○内村清次君 漁区の問題、農林大臣、漁区の問題はどうだ。
○国務大臣(田子一民君) 今のお尋ねにつきましてお答えする前に、一昨日の午後就任いたしまして、只今事務引継最中でございます。二月四日の大邦丸事件のことは監視船の足らざる点もあつたかのようであります。今事務局におきましても、私といたしましても今後監視船の増強、いわゆる監視の増強に力をいたしたいと思つております。
○内村清次君 こういうことだから困るのでしよう、総理大臣、そうでしようが、それでまだ事務の引継中だからわからない。人命の問題ですよ、漁夫の問題は。これは漁業の即ち大きな日本の問題ですよ。こういう問題を引継中だからわからない。而も又答弁は大邦丸の事件でしよう。私は東支那海におけるところの問題を言つておる。それでどうしますか。総理は。一つお答え願いたい。
○国務大臣(吉田茂君) 只今新農林大臣もお答えいたしておるように、監視船その他の船を増強するということもいたしましようし、又今外務大臣からお答えしたように、それが中共政府の問題であれば中共政府、或いはそれが国民政府の問・題であれば引続きこれら政府に交渉いたすように努力いたします。
○内村清次君 要するにこの問題は一つ総理からもう少し政局の問題とも関心を持つてもらいたいと思います。それから私が問いますことは、この未調印国に対しまして総理はどういうふうな態度で行かれるか。私たちは今の吉田内閣の外交では、これは刺戟さすばかりだ。中共と交渉すると言つていらつしやるが、外務省の当局は一つも何ともなりませんといつている。これでは人命保護はできませんよ。こういう問題を一体どうして行かれるか。刺戟されることばかり言つている。これでは本当の日本の完全な安全という基調に立つたところの外交はできない。私は未調印国に対する見通し、これを申して頂きたい。
○国務大臣(岡崎勝男君) 未調印国はまだたくさんありますが、恐らく内村君のおつしやるのはソ連や中共、いわゆる共産陣営側のことだと思うのであります。尤もその中でもユーゴースラビアとはすでに調印をいたして、公使館を両方で設置しておりまするが、その他の問題であろうと思いますが、我我は決して故意に相手国を刺戟するようなことはいたしておりません。先ほども一例でありまするが、総理よりスターリン首相の病状について非常に慎重な言葉遣いを使われておりましたが、常に我々は決してそういう刺戟的なことをいたしておりません。若しそう言うと刺戟的になるかも知れませんが、ずつと北京の放送であるとかいうものをお聞きになれば、どちらが刺戟的な言葉を使つているか、おのずからおわかりだろうと思います。我々はできるだけいずれの国とも条約を作りたい。これは総理もしばしば言つておられることで、全面講和ができればそれに越したことはない。併しながらそうかといつて、すべての日本側の立場を捨て、日本側の主張を捨てて、憐みを乞うがごとき講和を求めるわけに行かないのですから、これにはおのずから限度がある。従つて今のところ共産陣営の諸国とは差当り条約を結ぶ可能性は非常に少い、こう私は考えておりますが、それにしても決して不必要な刺戟的の態度をとり、言葉を使うというようなことはいたさないつもりでおります。
○内村清次君 あなたの今回の本会議におけるところの演説を見てこらんなさい。とても刺戟的ですよ。これほど極端な中立放棄の言論というものはない。私は要するに吉田内閣の精神というものは、即ち総理も言つておられるが、一朝有事の際においては中立はできんじやないかという結論をしている。それから中立論は成り立たない、こういうところの外務大臣の言葉です。これでは日本の安全というものは、いわゆる大きいところのどこかにまかれてしまつている。抱かれてしまいまして、追従外交になつてしまう、一辺倒外交になつてしまう。これでは憲法の精神に悖つて行く。憲法の前文を一つよく読んで頂きたい。これでは平和は守られて行かない。で私は中立論議を展開したいのですけれども、残念ながら時間がありませんが、この外相の中立論議の結論といたしまして、いわゆる各国は、各国の中でアジアの平和を守ろうとするところの諸国はどういう中立外交をしているか、例えばイギリスにおきましても今回の一般教書において、いわゆる中共の海岸の封鎖に対しましても非常な外交的にアメリカに対する抗議を申込んでいる。これもやはり一つの中立外交、こういうような態度というものが、各国に現われている事態をどうお考えになりますか。
○国務大臣(岡崎勝男君) 私の演説を実はよく読んで頂きたいのですが、その中には平素の中立的な政策がいいとか悪いとかいうことはこれは別問題としまして、若し不幸にして世界の大戦等が起つたような場合を仮定すれば、そのときに中立で以てこの日本の国がどこの国からも侵略されずに守り得るか、それはできない、こういうことを申上げているのであります。そうして若しそれが甚だよくないとおつしやつても、若し私はそれを事実だと考えれば、これは率直にそれを発表するのが当然でありまして、事実であると思つても、それを黙つておつて、中立で行かれるような態度をとれば、それこそ国民を欺くことになるのでありますから、多くの議論は用いませんけれども、私は今でも万一の不幸な事態が起つた場合に、日本のような地位にある国が中立だといつて、どこの国からも侵略されずに平穏無事に行かれるかということは私はできない、こういうことを申上げているのであります。
○内村清次君 あなたの結論は、いわゆる軍備を持たなくちやいかないという結論、フィンランドでもスエーデンでも軍備を持つているじやないか。それであの第二次大戦において中立を守り得たのじやないか。ところがこの軍備というものは、フィンランドはソ連と陸続きでありますが、陸軍は三万四千、海軍は四千五百人、スエーデンにおきましてもやはりこれはソ連と地続きでありますけれども、常備軍は僅か六万、こういうようなことです。私は保安隊そのものが刺戟をしておる、再軍備の即ちこれはもう発生だと言つておりますが、そういうような軍隊でどうしてその中立が守られるのですか。やはり国の精神というものが中立政策を打ち出している。又世界の環境は許さない。こういうふうな外交を以てしてそうして国の安全というものを守つて行かなくちやならない。私たちは軍備が強いから守られたのだという議論には承服できませんが、どうですか。
○国務大臣(岡崎勝男君) 私はこういうことを申したのであります。日本における中立論というのは、一方においては軍備反対であり、そうして中立で行けば軍備なくして社会保障制度でも大いに拡充すれば、それで国内は安全であり、どんな場合にも国は守られる、こういう議論でありますから、それは無理だ、こう言つたのでありまして、併し日本は軍備をしなければならんと言つているわけじやないのでありまして、事実あなた今スエーデンのお話をされましたが、スエーデンは決して常備軍のみではありません。例えばスイスもあの人口の少いところで五十万の動員が可能ということになつておりますが、スエーデンはそれ以上の動員可能な状況になつておりまして、最近でも飛行機その他の状況を発表しておりますが、決してそんな非常に弱い力ではないと私は思つております。スエーデン自身に言わせると、ヨーロツパで一番武力が強いのだ、こういうことを発表しております。併しそれは別としまして、全然国を守る力を蓄えずして、中立という抽象的な議論だけで国を守れるということは、これは間違いだ、こういうことだけを私は議論として言つておるのであります。
○内村清次君 あなたの言われまするその力を蓄えなければいかんという力の問題はどうですか、具体的には……。
○国務大臣(岡崎勝男君) 我々はその力を蓄えるだけの今余力がありませんので、止むを得ずといいますか、安全保障条約を結びまして、アメリカ側にいわゆる直接侵略に対する脅威から守つてもらう、こういうことにいたしているのであります。
○内村清次君 そうすると結論は、この力を持つんですか。憲法を改正して持つて行きますか、あなたの御思想で言えば……。
○国務大臣(岡崎勝男君) 私は別にこの力を持つとか持たんとか、これは安全保障条約に言われておりまする自衛力の漸増ということは期待されておりますから、できる範囲では努力するのが当然だと思いますが、それ以上に別に何も言つているのじやないのです。言つているのは、ただこの一つの議論として、中立するならば国が守れるという議論があるから、それは無理なんだと言う、ただ中立論に対する実際の実状はこうなのだという議論をしているのであつて、これは如何に将来やつて行くかということは、差当りはこれは安全保障条約でやつて行くのでありますが、将来如何にこれに対処すべきかということは、総理のしばじば言われるように、国民の輿論に待ち、そうして日本の国力等に待つて善処する以外に仕方がない、これは私はそう考えております。
○内村清次君 一国の外務大臣がいわゆる国民に明示するところの外交方針に議論を言つてどうします、議論は委員会でもできます。あなたのこの演説というものは議論だつたのですか。これは私はこういうような重大な時期に当つて議論でその演説をごまかして行こうというようなことではいけない。実際にやらんとするところ、これを明示して行かなくちやならない。あなたの議論から行くと、やはり憲法改正をして力を蓄えるのには、即ち再軍備をしなくちやならんという結論になつて来る。あなたの外交演説を見ましてもはつきりそれは現われておるじやないですか。そうして今、こまかしにそんなことを言つている。そんなことでは私は堂々たる即ち外務大臣の所論とは考えられない。中立をやつておるところの国というものは、これは軍備は勿論持つておるところもあるが、僅かな軍備、僅かな軍備は持つておる。併しながらその軍備に頼つておるようなことじやない。やはり外交の精神というものは、中立国たるインド然り、ビルマ然りでございましよう。やはりこの精神がなくちやいけない。又政策がなくちやいけない。国民の協力を以てそうしてこの中立外交をして、各国を刺戟して行かない態度で行かなくちやならない。そういうようなことを少しもあなたは考えていらつしやらない。ただ挑発的であり、これでは的を得たところの円満な遂行というものは吉田内閣においては期待できない、こういう結論になります。そうお考えになりませんか。
○国務大臣(岡崎勝男君) 大変まあ中立論で時間を取つて恐縮ですが、私の外交演説というものは、何も日本の外務大臣としてすべきことだけを全部羅列しておるのじやありません。その中には国際情勢の観察もあれば事実の問題の報告もあります。そして又外交方針としてなすべきことも書いております。なすべきことのみならず、そこにはわざと断りまして、最近未だ中立論というものが行われておるから、これに対する自分の所見を述べる、こう言つてそこに前置をして私は中立論のとるべからざるゆえんを述べたのであつて、その点は議論であります。併し外交政策はないのかとおつしやるなら、それはあるのであつて、それは又はつきり書いてあります。これは要するに自由主義国家との緊密なる協力によつてのみ世界の平和は守れる、こういう主張をいたしておるのです。 なおこの中立論について、これは私の今申したのは、万一不幸な場合が起つたときにどうなるかという点を主眼として述べたのであります。同時にそのあとにおきまして、今の世界の争いというものはイデオロギーの相違ではあるけれども、その間にいずれが正しいかということはおのずから明白である。その場合に正しいほうにつかないで、何と申しますか、おのずからどちらが正しいかはつきりしておる場合に、而もそのどちらにもつかないでおるということは、型はこれは、例最という例で前にも申しましたが、例えば列車の中で乱暴する者があつたときに、これを取押えるほうにもつかずして、触らぬ神に崇りなしというような恰好では社会の正義は守れないと同様に、正しいほうにつかないでは世界正義というものは守れない、従つて正しいほうにつくべきである、こういうふうに考えます。
○内村清次君 一方的なことだけ聞いて、片方は全然知らないで、正しいか正しくないかということがわかりますか。こういうようなことで中立論論議で、外交方針という重大な方針を論議で以て書くというようなことは、これは国民を馬鹿にしたことですよ。実際こういうようなことは慎んでもらいたいと私は思います。 それから時間がありませんから、吉田総理が、又外務大臣もですが、日比の賠償問題、その他の賠償ということは二月中に、特に日比賠償問題は二月中に見通しがつくのだとはつきり言つておられる。ところが二月は過ぎました。而も倭島局長が行かれて、非常に好転した報道をやつておるけれども、一向好転していない、一体どうなつておるのですか。
○国務大臣(岡崎勝男君) 二月に好転するとはつきり書いておりませんが、二月中にできる見込もあるかも知れないと思つておりました。併しながらこれは多少遅れておりますが、最近でも先方からの申入れでは近いうちに代表を送る、こういうことであります。 なおそのほかに沈船のほうの調査は一応終了いたしましたが、これを引揚げるという問題がまだあるのであります。これにつきましては引揚げに関する協定を作つて、フイリツピン側ではいわゆる行政協定といいますか、エグゼキユテイブ・アグリーメントでよいそうでありますが、日本側としてはこれは国会の承認を得なければ引揚を実施することはできないと考えておりまして、この協定を急いでおります。で国会の会期の関係で間に合わない場合もあり得ると思いますけれども、とにかく急いで協定を作つて、極く最近に国会に提出したいと考えておる。その方面の話も相当今進んでおります。他の国々につきましてもいろいろ話合をいたしておりまするが、このほうはまだ報告するほどに具体的になつておりません。
○内村清次君 予算審議上吉田総理から、是非政府の見解を統一しておいてもらわなくちやならんことがございます。これは衆議院の予算審議の過程におきまして問題になつておりまして、まだ結論が出ておらないようです。それは対日援助費の問題です。で米国の要要請が最近あつた、これに対して日本の政府の心がまえも大体できたというような報道もしてありますが、併しこの予算書の中にはつきりと平和回復善後処理費として出しておる。この問題につきまして、債務であるかどうかはつきりした明確な態度というものがなされておりません。これはやはり憲法との問題とも、財政法との問題とも関連しておりますから、明確なそういう統一あるところの答弁をお願いいたします。
○国務大臣(吉田茂君) 対日援助費の問題については、曾つてこの委員会であると思いますが、私の心がまえをお話いたしたと思います。日本は対日援助によつて一時食糧その他の困難を救われた。故にこれをもらつたものと考えるのはよろしくない。政府としてはこれをいつか償還する、返還するという気がまえで話しておりますが、併し気がまえで話しておる程度でありまして、これは債務と未だ名付けるべきものでない。いよいよれこれが債務ということになれば、米国政府との間に交渉の結果、或る取極をなして、ここで初めて債務となるのであつて、現状においては債務という形にはなつておりませんが、これは私は返すべきものであると考えます。他国の慈善というのもおかしいが、好意をそのままに置くというべきものではないと考えております。今お話のような米国政府から要請があつたということはないと思います。承知いたしておりません。
○岡田宗司君 関連しておりますので……。
○委員長(岩沢忠恭君) 簡単に願います。
○岡田宗司君 債務と心得られておるということでありますが、アメリカは債権と心得えておるか、又債権であるというはつきりした法的根拠があるか、それからアメリカ側はこれを最初から日本に貸したものとしての取扱をして来たか、これでないと、こちらが債務と心得ていても、その根拠が明らかでありませんが、アメリカのほうで以てこれをどういうような沿革で日本に与えて来たかということを一つ明瞭にして頂きたい。
○国務大臣(岡崎勝男君) アメリカ側でも日本政府に対してこれが債権であるというような明白な意思表示を正式にいたしたことはないと記憶しております。併しながらこれは贈与であるということを言つたことはこれは一遍もありません。で非公式には何らかの形で以てこれをドイツやイタリーの例もありまするが、何らかの形で解決すべきものであり、又解決を希望するということは非公式にはしばしば聞いております。併し今おつしやつたような意味のことは、いずれの側についても、つまり贈与であるとは無論言つておりません。むしろ債権であるというらしきことはあつても、正確にはそういうことはまだ承知いたしておりません。
○岡田宗司君 アメリカの陸軍省の予算の中だつたと思うのですが、陸軍省の予算としてこれは支出したものであつて、貸付けたものではない。そのアメリカの予算におけるガリオアなりイロア資金なりの位置というものをはつきりして頂きたい。
○国務大臣(岡崎勝男君) 私今ここで正確には申上げられません。間違うといけませんから、失言しないように(笑声)資料を以て申しますが、大体においてこれは一つの議論は、もう陸軍省の予算として出しちやつたものだから、それで以てライト・オフしてしまつて、もう済んじやつたんだという議論も日本側には一部あるようでありますが、併し例えばイタリアその他の例を見ますると、必ずしもそう単純に行つていないようでありまして、方法はいろいろあるようであります。併しながらまだ返すとも返さないともきまつておらないのでありますから、如何なる方法でそれが受入れられるかということはまだわからないわけであります。
○岡田宗司君 これはアメリカのほうの態度を、アメリカ側のほうの根拠をはつきりしてから、日本側はどういう態度をとるかということをきめて頂くのが当然であろうと思うのですが、日本はそれを確めないうちに返すのだというつもりで予算に盛込むということは、甚だこれは困る問題であります。又そういうことは財政法上許されん問題だろうと思う。その点……。
○国務大臣(岡崎勝男君) 財政法の問題は大蔵大臣からお答えされましようが、向うが受取ると受取らないとこちらが返すつもりだということは、これは必ずしも一致しないわけじやないので、嫌だと言つても返してやるという場合もあり得るのであります。(笑声)そんなことはこの場合にはないのでありましようが、理窟から言えばそういう極端な場合もあるのであつて、こちらがそういうふうに考えておるということは、別に先方の意向如何にかかわらず差支えないものと思つております。
○西田隆男君 今までのお話を聞きますと、何かお年寄の茶呑話みたいな答弁を岡崎外務大臣はされておりますが、総理大臣の御意向を私は悪いとかよくないとか申しません。併しいやしくも日本が独立して、総理大臣がアメリカの対日援助資金に対して返してやるのが当り前だ、返すべきだというお考え方を持つていられるならば、少くとも独立してもう一年になる日本が、その外務大臣としてアメリカ側に対して何らかの意思表示をして、アメリカ側が本当にどういうことを考えているかということぐらいは、もうおつかみになつておらなくちやいかんと思う。今までの御答弁によると、何も向うには日本政府としては話がしてあるように受取れない、お話をなさつたかどうか、何回話をなさつたか。日本側の意思表示をされて、アメリカ側の意見をお聞きになつたことがあるか。これを御答弁願いたい。
○国務大臣(岡崎勝男君) これは占領中からもそういう話は非公式にしばしばあるのであります。併しながらこれは一般の問題で、例えば今主として問題となつているのはガリオアでありますが、イロアもあれば放出物資もあれば、報奨物資もある、払下物資もある、いろいろ問題があるわけでありまして、これをひとしくアメリカ側としてははつきりどれだけのものが日本に行つたというような計数を整理したいという希望はあるのであります。併しながら当時、当時といいましても終戦直後でありますから、その時分には実は非常に困窮した状況であつたので、とにかく物が来ればいいというわけで、もらうほうに専念して、書類の整理などが十分になつておらん場合が非常に多い。又ガリオアというのは御承知の通りオキュパイド・エリアという字が一番お終いに使つてあるのであつて、その一部は沖繩の方面に行つたかも知れず、或いはその一部は朝鮮方面に当時、まだオキュパイド・エリアの場合には行つておつたかも知れない。そういう点の数字のチエツクも必要であります。ところが日本側の数字というものはなかなかその当時、殊に終戦直後当時の問題ははつきりいたしておらないのであります。そこで仮にこの数字を突き合わして、どれだけが真に日本側に落ちた品物であるか、金額であるかということだけでも明らかにしようしても、主には先方の数字だけになつてしまうと、これは十分なる突き合せができないわけであつて、これはずつと今までもいろいろな書類を調べて、大蔵省等で調査をいたしておるようでありますが、まだ十分なる自信のある数字までに至つておらないのではないかと私は了解しております。そうするとそれができる前にアメリカ側とどういうふうにこれを処理するかという意向をお互いに相談し合うということは私はまだ早い。十分こちらの数字が揃つてからが至当であると、こう考えております。
○西田隆男君 今のお話を聞いてますます私は不思議に思います。これがただ日本の総理大臣として、援助をしてくれたアメリカ側に対しての考え方だけの問題であれば、これは問題にする必要はないと思うのです。併し二十八年度予算に経費を計上しておる以上、今の岡崎外務大臣の御答弁では私は納得行かない。これは恐らく国民全体が納得行かないだろうと思う。これをもう少し国民の納得の行くようなふうに御説明を願わないとちよつとこれは困ります。もう一遍御答弁願いたい。
○国務大臣(岡崎勝男君) 予算に計上してあるのはこの費目だけではありません。例えば賠償についてもその一部が充当される予定になつておりますけれども、話合いがつかなければそれは使えないわけでありまして、こういう問題についても話合いが、平和関係処理費ですか、平和関係に入つたら数字のチェックができれば、そういうものもでき得ると期待しておりましても、できない場合があるのであります。これは不幸にしてできない場合であつたと思います。
○西田隆男君 今のお話を聞いているとなおわからない。賠償はこれは日本が払うということに肚をきめている、向うももらうことに肚をきめている、だから金額がきまらないからというわけで計上しないわけには行かん。きまれば払わなければならん。併し今の問題は別個です、まだ考え方だけ、総理大臣がそう考えておる、外務大臣がそう考えておる、アメリカ側がどう考えておるかわからない、交渉経過もないというのだから、原則そのものがそう考えられたところで、予算にこれを計上するということは私は納得が行かんのです、どうしても……。
○国務大臣(向井忠晴君) 対日援助費というものを予算に書込みましたのは、これは対日援助費が交渉の結果どういうことになるかということはまるで見当のつかないことでございますが、併し債務と心得たということはこちら側の考えでございまして、それを払うことになりますと、(「それは憲法違反だよ」と呼ぶ者あり)いいえ、併し債務としてはさまつていなのですから、(「それでは法的根拠がない」と呼ぶものあり)いよいよ払うときになりますると、これは国会に出しまして協賛を仰ぐわけでございます。
○岩間正男君 実にこれは重大問題だと思う。第一に向うと交渉もしないで、そうして向うではつきり取るかどうかという意思もわからないということが今明らかになつた。そういうのにすでにこつちから払う。而も岡崎外務大臣のさつきの言葉を使つて言いますると、嫌だと言つてもこちらで払うことがある、こんな馬鹿げたことを言つておる。そんな余裕が日本の財政にありますか。殊に今の言葉は聞き捨てならない。嫌だと言つても払わなければならん、なぜその必要があるか。而もこの援助資金は御承知のように日本が窮乏したとき確かに持つて来た。併しあの食糧はどうだ、先ほど吉田総理大臣もこの前の補正予算のときに私の質問に対して答えた通り、これは食えないものもあつた、非常にひどい食糧であつたということは、これはあなたもお認めになつた、こういうものを持つて来まして、而もどうです、日本の米の二倍も高いものじやなかつたか、従つて莫大な食糧補給金のようなものを出して、そうしてその結果始末をしなければならない、こういう実に押付け輸入みたいな恰好でやつたのです。而もそのとき向うからもらう意図であつたから、数量さえもはつきりされなかつた、こういうことを言つておるのです。こういうような実にあいまいな、そのとき払う意図もないような形で押付けられ、而も非常に今言つたような日本の財政を一面で実は苦しめた。それからこのために日本の食糧事情、又国内の食糧もこれで以て非常に抑えられた。こういうような関連にあるところの重大な問題に対しまして、今のような嫌だと言つてもこれを払うのだというふうなことを言うのは、非常に重大な問題だと思うのでありまして、一体これに対してどのようにはつきりした態度をとられるのか。もう一度、国民の納得の行くというようなことが、先ほどから出ておりますが、絶対これは納得の行かない問題だと思います。私はむしろ再軍備の引換えにこの問題を最近強要されているのじやないかと、こういうような点を感ずるのでありますが、この点ありやなしや明確にして下さい。
○国務大臣(岡崎勝男君) 今私が申したのは、ただそういう極端な場合もあり得ると言つたので、それを言葉尻を捉えて、そう私が、向うが払わんでもよいと言つても払うのだと、そういうふうにとられることは私は甚だ心外であります。速記録をよく御覧になつてから御質問願いたいと思います。 もう一つお断わりしておかなければならんのは、対日援助というのはイロアありガリオアあり、報奨物資あり、払下物資あり、或いはその他のものがありまして、その中では明確に日本の債務であるとして計上するものもあるのであります。ただガリオアのような大きな問題については明確でないというだけであつて、その他には明確なものもあるのでありますが、それも今一部御指摘になりましたように、例えば罐詰にしても、これが正確に何個来たということがわかつても、その中に使い物にならないものが何個あるかということも調べなければならない。実際に日本に有効に落ちたものが何個であるかという数字のチェックはこれは要るわけであります。(岩間正男君「まだやつていないのですか」と呼ぶ)従つて、その全部の問題についてチェックができておりませんからして具体的な数字は出て来ておらないけれども、先方も明確にこれは支払つてもらうべきものであり、日本もこれは明確に支払うべきものであるとして受取つた物資もあるのでありまするから、ただその数字がまだはつきりしてない、こういうだけのことでありますから御承知願いたい。
○内村清次君 この問題は、私は総理の総括をした、統一ある政府の見解をここで言明してもらいたいということを要求したのです。それは衆議院で問題になつているのです。そのまま未解決の問題である。法的の問題といたしましては、もうすでに予算案の中に入つておる、而も説明書の中にはれつきとして書いてある。だからしてこういうような法的問題が、根本が確定しないものを出して来るということは、これは憲法上或いは又財政法上違反だと、こういう点がありますから、私はそれは統一して答弁してもらいたいということを言つたのです。今聞いておりますと、これは閣員の一人だけでは納得しませんよ。これは理事会でこの問題はやはりはつきりした統一ある態度を政府から明確にしてもらつて、そうしてこの予算審議をしてもらわないと困るのですから、この点は委員長に要望しておきます。よろしうございますね。
○委員長(岩沢忠恭君) よろしうございます。
○内村清次君 それでは最後でございますが、今回政府が提出いたしておりまするところの警察法、それから義務教育学校職員法、スト制限法、独禁改正法、それから恩給法、こういうような重要な法案というものは、これはすべて民主主義に反しておるのだという世論、又私たちも法案の内容を見ましてそう感ずる。而も吉田総理が行政の権利を持つていらつしやる。或いは又警察の権力を持つていらつしやる。又、保安隊その他におけるところの行政協定上から来るところのこういうような軍隊の権力も持つていらつしやる。東條以上だ。こういうような逆コース的な重要法案というものは、自由党を支持しましたところの或いは知事会、それから市町村会、或いは議長会、各般に亘るところの輿論が沸騰しておる。輿論機関というものが皆反対しておるのです。こういうような民主政治に副わないところの重要法案というものが出されておりまするが、これが若し本院その他におきまして通過しなかつたから……、当然なことです、当然なことですが、こういうような通過しなかつた場合のときにおきまして総理はどういうような態度をとられるか、政治的責任をとられるか、同時に又これを撤回をする意思はないかどうか、この点を明快にして頂きたい。
○国務大臣(吉田茂君) これらの法案がことごとく民主主義に反するという見解でありますが、政府はその見解には御同意ができないのであります。飽くまでも民主主義の線を守るんだということはしばしば申しておるのであります。これに対して反対論があるということは、これは当然……当然と申しますのは、たくさんの人間、国民の間からして反対論も賛成論もありましようが、ことごとくこれが反対なりとは私は承知いたしておらないのであります。而して政府としては、これは国会が必ず通過するということを期待いたしておるのであります。通過しなかつたらどうするか、そのときには善処いたしますとお答えするよりいたし方がない。それからもう一つは何でしたかね。
○内村清次君 撤回の意思……。
○国務大臣(吉田茂君) 撤回の意思はございません。
○内村清次君 ただ、今の総理の御答弁のうちに、分析して御判断を願いたいことは、これは先ほど私が言いましたように、知事個人の反対じやない、知事に即ち投票したところの地方の国民、県民、或いは道民、こういうようなもう多数で当選をして来た人たちであります。而も、なおそれが細分されて市町村会議でも決議をされておる。こういう事態というものは、その中には自由党のかたがたもいらつしやるが、みんな反対していらつしやる。輿論政治であるとするならば、この動向はあなたも見なくちやいかん。それでもなお且つ押切つて行こうというのは、私は輿論政治に逆行するものである、その考え方だけははつきりして頂きたい、この点を私は総理に警告をいたしておきまして、そうして私の質問を終ります。
○委員長(岩沢忠恭君) 暫時これにて休憩いたします。午後は一時半から開会いたします。 午後零時三十八分休憩 —————・————— 午後一時五十五分開会
○委員長(岩沢忠恭君) 只今より午前に引続き質疑を続行いたします。
○岡本愛祐君 昭和二十八年度予算案の審議に際しまして、私は緑風会の一員として現下多難を極める国内国外の諸情勢に関して、そのうち主として外交、治安、地方行政等の問題について国民の聞かんとする諸点を総理大臣からお伺いいたしたいのであります。 吉田総理大臣は施政方針の演説におきまして、アイゼンハワー大統領とダレス国務長官の就任に関し日米関係の将来にも新らしい希望を感ぜしむるものであると述べておられますが、具体的にはどういうことを意味しておるのであるか。政治上、国際上、及び経済上具体的にお話を願いたいのであります。
○国務大臣(吉田茂君) アメリカ新政府ができ上つてから未だ間もない頃でありますから、具体的にと申されても事実こういう話があると、或いはこういう交渉があつたということは申せられませんが、併し新大統領の演説等から考えて見て、自由国家の団結を固くするとか、或いは貿易を伸張させたいと考えるとかいうようなことがことごとく我が国にとつて決して不利な話ではないと考えます。又細かいことは別といたしまして、アイゼンハワー新大統領は曾つて日本にも見えたこともあります。四十六年と思いますが見えたこともあります。又ダレス、ドツジ、新政府の要職を占める両氏とも日本に対しては深い関心を持ち、友好的感情を持つておられる人でありますから、日本に対して決して不利な又無理な要請若しくは希望を抱かれるはずはないと確信いたします。
○岡本愛祐君 只今お答えを頂きましたが、アイゼンハワー大統領は就任式の際に九原則を内外に宣明されました。その中で国連の枠内で地域的安全保障の態勢を強化すると共に、又国連を言葉の上だけでなくて実際の勢力に作り上げるべく努力すると言つておるのであります。又ダレス国務長官は日米、アメリカとフイリピン、又アメリカと濠洲、ニュージーランドとの三安保条約よりももつと大きな統一と力を築き上げる、もつと適切な安全保障機構を作り上げる方向に進むべきであると述べておるのであります。これは日本も加えて強固な集団安全保障機構を西太平洋においても作り上げようとするのであると思うのであります。又別の機会にアイゼンハワー大統領は、又ダレス国務長官もそうでありますが、アジアの問題に関してはアジア人を以てこれに当てよ、そういうふうにこれからやつて行くんだということを言つておるのであります。そういたしますと、アジアにおいて最も強いと申しますか、力強い潜在的な力を持つておる日本が、アジアのために働かなきやならん地位に置くように心得ておるのじやないかと思うのであります。そうすれば非常に我々としは迷惑に考えるのでありますが、この点は総理大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。
○国務大臣(吉田茂君) 私の新大統領及び国務長官に対する感じは今申した通りであります。又今のお話のように地域的安全保障、若しくはアジアにおける太平洋条約でありますか、ちよつとそこの点は聞き漏らしましたが、いずれにしても地域的の安全保章を考えておるのであろうと、これはそうあろうかと思いますが、併し政府としては未だ何らの交渉を受けておりません。仮に受けるといたしましても、日本の憲法がこれを許さない問題とか、或いは国民の世論が支持せざるような要請があつても、これは現政府としては受けられませんが、併しかかる要請はせられることはないと思います。大統領及び新国務長官の演説の趣意は私はよく存じませんが、私の只今の率直なる感じは今申した通りであります。
○岡本愛祐君 吉田総理大臣は又、自由国家と協力して世界の平和を図るのだ、世界の態勢は平和にかかつておる、こういうふうに従来も言われ、今日も内村君の質問に対してお答えになつておるのであります。そこでそれだから対米親善関係を一段と緊密にし、力を国連協力にいたしておればそれでいい、こういうふうにお考えになつておるのか。それに加えてもつと積極的にこの二つの世界の衝突を緩和する方法、即ち世界第三次大戦を防止することに貢献する日本の役割を大きくお考えになつておるのか。日本はいわば自画世界の最前線に立つておると言うべきであります。日本国民が日本における屈指の外交家である吉田総理大臣に期待する第一のものは、今申した二つの世界の衝突の緩和、世界第三次大戦の防止に日本が貢献する、それが延いて日本の最も安全な途である、こういうふうに思い、その大きな積極的な策を総理大臣に期待をしておるものと思うのであります。これに対して対ソ関係、対中共関係は、向うがああいうふうならばこちらはどうとも仕方がない、向うが喧嘩腰ならばこちらも喧嘩腰だというのでなくして、もつと大きくお考えになつておるのであるか、その点をお話を願いたいのであります。
○国務大臣(吉田茂君) お答えいたします。私はお話のように共産主義、自由主義の間に立つて調停と言われますか、とにかく間に立つて第三次戦争を避けるように尽力すべきであろうというお話でありますが、これは無論でき得るならば、第三次戦争は避けるのは勿論のことでありますが、更に自由世界の平和を確保し、その平和に貢献する役割は、講和条約その他においても日本に課せられた問題でありますししますから、我々は無論その線に沿うて参りたいと思います。併しながら然らば積極的にどうするかというお尋ねがあつても、これに対してはこういうふうにする、或いはこういうふうにしたい、或いはすでにこういうふうにしたというようなことは、公開の席上においては言明を差控えたいと思います。
○岡本愛祐君 私はいわゆる対米一辺倒だけでなくて、あらゆる手を打つて二つの世界の熱い戦争になることを防止する役目を日本もしなければいかん、日本は自由国家群の中に位置を占めることになつておるのでありますが、最前線に位置しておれば位置しておるほど、国旗のためにこの役割をする、否国民のためでなくて世界人類のためにやるのだという大きな抱負を持たなければならないと思うのであります。そこで小さなことでありますが、戦争不拡大の積極策の一つとして、アメリカ軍又国連軍が、満洲又は中国本土を爆撃するに際して、必ず事前に我がほうに協議をするように確約をされておるのかどうか、この点を伺つておきたいのであります。安全保障条約のときでありましたか、又行政協定問題のときでありましたか、私は岡崎国務大臣にこの質問をいたして、確かに確約があるように聞いておるのであります。その点を吉田総理大臣からお尋ねしておきたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 満洲爆撃前には必ず日本に通告するとか何とかいうようなそういう確約というようなほどのものは、これはあり得るはずはないと思います。又外務大臣のお考えは別でありますけれども、私の承知いたしたところで、これから満洲を爆撃するぞ、その場合にはお前のほうに話すというようなことは、これはちよつと岡崎外務大臣の言い方はどうであつたか知りませんけれども、私はこれは常識としてそういう話はないだろうと思います。併しながら東洋の事態に重大な変更を及ぼし、或いは事態を引き起すというような場合には、例えば台湾の中立問題にしても、第七艦隊撤退でありますか、そのときの場合も、あらかじめ通告があつたのでありますから、それ以上の問題の場合は日本に、特に友好関係にあり、又被害の直接にある日本に何らの話なくして、突然そういうような事態を引き起すことは万々ないと確信いたします。
○岡本愛祐君 そういう確約ができるわけもないし、まあ現在ない、こういうふうに総理大臣はお答えになるのでありますが、それでは戦争不拡大というような大きな見地に立ちまして、日本に駐留して日本を守つてもらうのではありますが、日本のためだけではなくて、アメリカ又は国連の戦争の便宜上日本におらしておるのでありますから、そういう戦争が拡大するような行動を新たに国連軍等がとるという場合に、即ち満洲や中国を爆撃するという場合に、我がほうに協議することを申入れをするおつもりはございませんか。
○国務大臣(吉田茂君) 私は満洲爆撃を前提としてこうしろとか、ああしろとかいうことの確約、若しくは申込をいたすことは時期においてどうであろうか、又相手方の立場も考えて見ますると、そういうことを申入れるということが穏当なりや否やということを考えざるを得ないだろうと思います。
○岡本愛祐君 時期の問題というような含みのあるお言葉でありましたが、私はアメリカの意向はどうであろうとも我が国が独立国になつた以上は我が国民のために、国民の安全のために政府から適当の時期に申出をされたいと思うのであります。 次に北海道の領空の侵犯に関して一月十三日に政府から声明がありました。今後これを繰返す場合には必要と認める有効適切な手段をとると警告を発しました。そしてすでに二月十六日に北海道において米軍飛行機がソ連とおぼしき飛行機に対して発砲して、そしてこれを撃墜か何かしたらしい事件が起きたのであります。先ほど共産党の方面からもこの問題に触れられましたが、私ども聞いておりますところでは北海道の中央部等の侵犯事件でなくて、これはソ連の占領地区と北海道本土との間の境界線ぐらいのところで起つた事件である、而もアメリカ軍の中ではこの前はアメリカのほうがソ連に打たれたんだから今度はソ連に対してアメリカが打つてやるというようなことでやつたというふうにも或る書物に出ております。こういうことでは甚だ困るのでありまして、本当に日本を守つてくれるならば、日本の守りが危い、そのときに米軍が行動を起してくれなければ困るのである。単に境界線を越えたか越えないかというときにやたらに発砲されても困るのでありまして、これらについて政府が米軍側に適当な申入をされたかどうか、又する必要があるのじやないかどうか、この点をお伺いいたしたい。
○国務大臣(岡崎勝男君) これはお話のようなふうに私どもも考えておりまして、十分にその間に打合せをしております。又一、二回来たからといつてすぐやつたわけではなくして、しばしば注意して見ておつて、これはどうしても故意で、偶発の問題でないと考えましたので、警告を発しました。併し仮に追撃をする場合でも公の海の所までは行かなくて、北海道の上空で停つて、要するに領空侵犯を排除すればよろしい。こういうつもりでアメリカ側ともその了解の下に行動をいたしております。
○岡本愛祐君 それから例の大邦丸事件に関連してでありますが、朝鮮水域に出漁する漁船、これが国連軍の防衛水域内に出漁するときは作戦上支障なき限り許されるということに聞いておるのでありますが、それがどういう交渉に結末がつきましたか。国連軍がどういう了解を与えておるか、その点をお伺いしたい。
○国務大臣(岡崎勝男君) 防衛水域というものは元来先方からいえば先方の必要としない船は入つてもらいたくないというのが原則でありますが、こちらからいえば漁業が必要でありまするから入る場合も当然起るわけであります。その場合には拿捕したり、或いは砲銃撃をしたりせずして退去を要求する、それにおとなしく従つて退去をしてくれという了解になつております。
○岡本愛祐君 それでは入つていいということが前提であると思うのであります。入つて悪い作戦上の支障が起つたときにだけ退去を命ずるのでありますから、入つて出漁していいということに了承してよろしうございますか。
○国務大臣(岡崎勝男君) 議論を押し進めればその通りになります。ただ防衛水域といつて、向うにも艦船に限りがあつてそれで守つておるのでありますから、一々日本の漁船が来たときに必要の場合に退去を命ずるために船を方々へ出上ますと、それだけ防衛水域の警備が手薄になりますので、ほかでできるならば入つてもらいたくないという気持は向うは強いということは申上げなければなりません。併し原則はその通りであります。
○岡本愛祐君 その点につきまして或る……特に名前は避けておきますが、海上保安本部におきまして聞きますところによりますと、それは国連軍の防衛水域に入つておる場合が多いのだ、拿捕されたり何かするのは。それで日本も悪いのだというふうに我々は聞いたのでありますが、そこらが問題の焦点じやないかと思うのです。で、我が国におきまして今外務大臣から御説明のありましたように、理論上はその防衛水域でも入つていいのだ、向うが工合が悪いときには出てくれ、こういえば同じことでありましよう、こういうことにすつきりさせるわけに行きませんか。これが問題の焦点じやないかと思うのです。
○国務大臣(岡崎勝男君) 理論上はその通りであります。ただ漁船の数が非常に多いのでありまして、水域もかなり広い所でありますから、それにどんどん日本の関係漁船が入つて来て、一一船の退去を要求するという場合にはその煩に堪えないから、成るべく必要止むを得ざるもの以外は入つてもらいたくないというのが向うの正直なところの気持であります。
○岡本愛祐君 向うがそれであれば日本政府で強く主張して頂いて、向うが退去してくれというまでは入つていいという原則を立てて頂きたいと思うのであります。理窟はそうだが入つて来ちや困るのだというのじや、それじや困るのでありまして、この点をもつとはつきりして頂きたいということを申上げておきます。 次に吉田総理大臣は、これまでしばしば現在は再軍備はしない、従つて現在は要請をされても集団安全機構には入らない、こういうふうに言われておるのであります。そこで将来は別であるかどうか、事情が許すようになれば再軍備もしたほうがいい、そういうふうに考えておられるともとれるのでありますが、その点はどうでありますか。現在はしない、併し将来は、即ち日本の国力が充実し国民生活が十分それに堪えるようになればやはり再軍備……自衛戦力は持つたほうがいい、こういうふうにお考えになつておるのだろうと思いますが、その点は如何ですか。
○国務大臣(吉田茂君) 日本が独立国である以上は日本の独立、安全はみずから守るべきものであり、国の力を以てみずから守るべきものであり、これは原則であります。併しながら国力がこれを許さないから、それで私は国力の許さざる間は再軍備するべからず、又国民の輿論も、再軍備を要する、是非とも再軍備がしたいという盛り上る輿論と言いますか、国民が再軍備に対して一層理解が進まない限りは無理をしてすべきものでないというのが私の信念であります。
○岡本愛祐君 総理のおつしやる現在の考え方、それはよくわかる、私どもも賛成であります。国論に待ち、国の充実を待つて初めて無理をしないで、独立国である以上は再軍備をしなければならない、こういうふうなお考えと了承していいかどうか。そうして私はそれなら総理大臣はやはり国民の指導者であられるのでありますから、どうしても行く行くは日本の充実を待つて極力国論を喚起して再軍備をして行くというふうに向けて行かなければならない。単に熟柿の落ちるのを待つだけでなくて、そういう国論をだんだん喚起するようにしなければならんと思うのでありますが、如何ですか。
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたしますが、喚起という意味合いがいろいろあるので、政府が先に立つて再軍備論をするとか、或いは国民に対して必要止むを得ざることを説くとか、そういうようなことは政府としてはいたすべきでないと思います。何となれば、輿論がそこに動くのは、輿論なるものを指導するというのが、これが民主政治としてはどうであろうかと思います。四囲の状況から考えて見て、国論が再軍備を必要とする、即ち自然の間に国民が動き、国民の理解が進みのそうして機熟してここに再軍備を説くべきでありますけれども、政府が先に立つて国論を喚起する、喚起の仕方にもよりますけれども、若し積極的に政府が喚起すべし、喚起する義務ありと言われるものなら、私はこれに対して反対せざるを得ないのであります。
○岡本愛祐君 大体御意向はわかりました。そこで進みまして、そういうふうな国論が起きて、そうして再軍備をする、そういうふうになつて初めて集団安全保障の中に入るのであつて、それまでは集団安全保障の中に入ることを要請をされても、総理は断わる、こういうふうに了承してよるしうございますか。
○国務大臣(吉田茂君) 安全保障条約の目的とするところは、日本がみずから日本の独立安金を守るに足らないという事態を前提といたして考えておるのであります。併しながら輿論がもはやその力あり、又日本の面目と言いますか、国民の自負心から言つて見ても、みずから守る、米国軍に頼らずして守るべしという、積極的の意思が動けば、これは当然政府がその輿論に従とべきだと思いますけれども、それ玄での間は、私は政府が先に立つて再軍備論をいたすというようなことはいたしたくないと思います。
○岡本愛祐君 御軍備なしなければ集団安全保障に入らない、又入れない、こういう御意見でありますか、その点を伺いたい。集団安全保障の中に加えろというふうな要請と言いますか、勧誘があつても、それは再軍備のできるまでは断わるという御趣旨と承わりましたが、違いますか。
○国務大臣(吉田茂君) 大体原則論としてはそう考えるべきであろうと思いますが、今日は集団安全保障条約なるものの内要ついては何ら示されておらないのであります。いろいろ噂はありますが、太平洋同盟論とか、いろいろありますが、従つてその内要は何であるか、又日本国としては如何なる利害があるかというようなことは、従つて今日断定ができない。まるで何と言いますか、一種の茫漠たる考え方で、又こういう同盟条約に賛成してもらいたいというような具体的な話はどこからも交渉を受けておらないのであります。
○岡本愛祐君 二十八年度の防衛支出金が火百二十億円を計上されておる。そこでこういうふうに年々防衛支出金を計上して行かなければならない、日本の安全を期するためには、日本の自衛戦力を持つまでは、アメリカの駐留軍と、それから保安隊、海上警備隊、これだけでやつて行かなければならん、そういうふうに、又それで十分であるというふうに総理大臣はお答えになつておりますが、そういたしますと、自衛戦力を持つにいたるまでは、米国軍に駐留してもらわなければならんという結論に達するのでありますが、その点はこういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(吉田茂君) 現在の独立安全に安全保章条約において守られておるので、この安全保障条約の規定するところによつて国が措置をいたして行くという建前であります。おつまでもと申すか、或いはそういう期限は安全保障条約には書いてございませんが、無論必要のないのになお安全保障条約を存続せしむうるというようなことは、毛頭考えておりません。
○岡本愛祐君 私のお尋ねしておるのは、その反対のほうでありまして、つまり日本の安全を保障するためには、日米安全保障条約に基く米軍の駐留と、そうして日本の国内治安の維持のための保安庁の力、これとで以てやるのであり、又それで十分である、こういうことになつて、年々保安庁のほうは充実されて行くでありましようが、それは戦力に到底なり得ない、又なつては大変であります。そこで戦力になり、自衛のできる戦力にならない以上は、アメリカの駐留のほうをいつまでも続けてもらわなければ、国内の安全は期せられない、こういう結論になるのであります。それで国民の輿論の熟するのを待つて再軍備をする、それまでの間はアメリカ軍に駐留してもらわなければならん、こういうことになると思いますが、その点はどうお考えになつておりますか。
○国務大臣(吉田茂君) お話は少し結論よりも、結論がいわゆるジャンプしておるように私は感じられます。どうお感じになるか別としまして、私の感じは……。要するに安全保障条約を必要とする限り、安全保障条約は存続せしむる、必要がなければ存続せしめない、従つて必要がないのに、アメリカ軍に駐留してもらうという考えはございません、又必要がある以上は、駐留をしてもらうより以外に仕方がないと思います。
○岡本愛祐君 アメリカ軍の駐留が不必要になるのは、日本の自衛戦力ができたときじやないか、こういうことをお尋ねしておるのです。
○国務大臣(吉田茂君) これは内外の情勢によると思います。国力が充実して、そうして日本がみずから守に足るる国力を持つても、外国軍に駐留してもらうということは、国民の輿論も許しますまいから、そういうことはあり得ないのであります。併しながら国力が充実した、故に再軍備を直ちにやるかと言えば、これはもう一つの条件が、前にも申した通り、輿論がこれを欲する、再軍備を欲する、又輿論が再軍備の必要を考えるというのでなければ、政府が独断的に、もう国力が充実した、これから再軍備だというような断定をするのは、筋が違うと考えます。
○岡本愛祐君 次に伺いたいのですが、今更戦力でもないかも知れませんが、この点をお尋ねいたしておきたい。政府は従来戦力を定義して、戦力を有効適切に運行上得る装備と編成を持つ力であると言つておられます。自衛力がそれではどの程度に達すれば、戦争を有効適切に遂行し得る装備と編成を持つ力になるというのであるかどうか。これは誰が判断するのであるか、それをお尋ねいたします。
○国務大臣(木村篤太郎君) 便宜私から答弁いたします。 先ず第一に、一体自衛力とは何ぞやという問題を解解しなければならん。(笑声)そこで自衛力とは国の外たると内たるとを問わず、圏内の平和を乱し、治安を錯乱する行為に対して、これを防圧して行こうというその総合の力である、こう解すべきであると思うのであります。でありますから、その総合した力でありますから、単に武力ばかりでなく、或いは工業力、精神力、いろいろな力が総合されたものでなければならない。戦力というのはこの武力である、いわゆる憲法第九条第二項の戦力、戦力と申しますると私が常に申しておりまする通り、近代戦を有効適切に遂行し得るいわゆる陸海空軍に相当すべき戦力、自衛力と戦力とはその範壽を全く異にいたしておるのであります。自衛力はどの程度までが戦力になるか、これは私は問題外である、つまり一つの武力がどの程度に至れば戦力になるか、こうなんであります。そこで一つの大きな総合した近代戦を遂行し得る力だ、こう解するのでありますから、自衛力と戦力とはおのずからその意を異にする、こう解釈する。
○岡本愛祐君 それでは範壽が違うとこうおつしやるが、範壽が違つてもそれは戦力であり、これは戦力でない自衛力である。これは誰が判定するのであるか。
○国務大臣(木村篤太郎君) 戦力を保有するということは、つまり国家が保有するのであります。そのときの政府がこれを判断してやるべきだろうと私は考える。
○岡本愛祐君 政府が判断するとなるとこれは問題だと思うのであります。総理大臣が本会議において答弁をなさつて、軍備であるかないか、それは国会が認めておるかどうかによるんだ、国会が軍備でないことを認めておるじやないかという御答弁があつたのであります。即ち総理大臣の御意思を付度すると、つまり軍備であるか軍備でないかは国民の大多数の認定によるのだ、政府の認定じやないんだ、こういうことになりはしないか、この点総理大臣如何ですか。
○国務大臣(木村篤太郎君) いや私の所管だから……、結局のところ戦力たるや否やということはこれは社会通念によつてきまるものである。要するに国民が、結局終局的に国民が判断されるのであります。併し戦力を保持する場合において何が戦力になるかどうかということは一時的に先ず政府がこれをさめてかからなければきめようがないのであります。これは政府のきめ方が悪いかどうかということは社会通念、即ち国民の一般の輿論によつてきまるべきものであろう、こう考える。
○岡本愛祐君 政府の認定でなくて、国民大多数の認定による、こういうふうに今保安庁長官から言い直しをされたのであります。そこでそれなら国民の大多数が自衛戦力になつたと認めたときには、もう政府はすでに憲法違反をしたことになる。こう思のであります。
○国務大臣(木村篤太郎君) 先ず先に申上げておかなければならんと思いますが、私は言い間違いをしておらんと考えております。戦力を持つかどうかということは時の政府がきめる、先ず第一次的に政府がきめるのだ。そうしてそれが果して社会通念に適当しておるかどうか、いわゆる国民一般の判断に適合するかどうか、これが問題になれば最終的には私はいわゆる憲法による最高裁判所によつて判断されるべきものだと考えておるのであります。
○岡本愛祐君 そこで国民の大多数が自衛戦力になつたともう認めてしまつたら憲法違反になることは事実なんで、憲法を改正しなければ自衛戦力は持てなおからであります。だから私は前から言つておるのは、だんだん自衛力を増して行けば戦力に近付いて行く、だから戦力にならないうちに政府は憲法の改正の手続をおとりにならなければいかんということを言つておるであります。それで国民多数が自衛戦力になつた、もうこう認めてしまつたら、国会がそういうふうに認めたら憲法違反を政府がやつたということになるのであります。だからそういう危険がだんだん追つて来るのだから、適当なときに戦力を持つべきや否やは国民に問わなければいかんじやないかというのであります。それでまあ今すぐ問えという意味ではありません。だんだん戦力を持つかどうかということについて国民の認識ができて来る。そのときを待つという意味はわかりますけれども、その待つ間は戦力になつたと国民に思わせるような今の状況、仕方はいけないと思うのでありまして、その点について私は総理大臣の御答弁をお願いします。
○国務大臣(吉田茂君) 私は保安庁長官の意見をこう了解します。国家が戦力を持つことが必要であるか必要でないかということは先ず政府として考えて、然らばその場合に如何なる力を持つか、それが戦力に到達するならば、又社会通念が戦力ということになれば予算を要求する以前において憲法の改正なりその他の処置をするのみならず、これが輿論が支持してこれは戦力を必要とする、戦力を国家として持つべきである、独立安全を保障するためには戦力に至るものを持たなければならん、そのためには悪法を改正しなくちやならんという輿論の方面が動いて初めてここに軍備ということになると思いますが、その以前において如何なる力を持つか、如何なる力を必要とするかに政府が考える、そういう考えではないかと私は解釈いたします。
○岡本愛祐君 もう少し突つこんで承わりたいのでありますが、持時間がなくなつたという知らせでございます。それで先を急ぎますが、第一大邦丸の問題に関連いたしまして、ああいうふうに韓国船によつて公海上において不法射殺事件が起るというようなことであり、出魚者はなかなか多い、こういう問題が将来とも出て来ないという保証味ないのであります。それで海上警備隊の増強ということがもつと必要じやないか、ところが先に海上警備隊の中に加えるべきかどうかというので大分議論のありました海上保安庁のほうの警備救難部と申しますか、つまり第一次的に朝鮮水域なんかへ出て行つて、そうして警備をし、そういう不法射殺なんかができないように監視をする役目をしておるのであります。これは海上警備隊と分れてしまつて、折角海上警備隊のほうにはアメリカからフリゲート艦であつたものと、それから二三五十トンでしたかの五十艘の上陸用舟艇でありましたものを借りておきながら、それが平時使えない。而も海上保安庁の警備救難部のほうは充実しておるかというと、ちつとも充実していないのであります。だからこれは適当に統合をいたしまして、二百五十トンの借りた船なんかは日常使つたほうがいいのじやないかと思うのであります。油が要ると言いますけれども、あれは使わなくたつて油が要るということを聞くのであります。そういう点についてどういうふうに保安庁長官はお考えになつておるか。
○国務大臣(木村篤太郎君) 適切な御意見だと思います。そこで申上げておきたいのは、いわゆる海上保安庁と警備隊とは全く性質を異にしておるのでありまして、海上保安庁におきましては日々の海難救助或いは漁船の保護その他の警察上の取締の任に当つておるのであります。警備隊は申すまでもなく保安庁法第六十五条によりまして、海上における人命及び財産の保護及び治安の維持において緊急止むを得ざる必要のある場合に出動する、要は海上保安庁で手当のできないような大きな問題が起つたときに初めて警備隊が出動する建前をとつておるのであります。そこで今二つを合体してやればどうかという、これは一つの大きな考え方であろと私は思つております。海上保安庁を保安庁内に併合したらどうかという議論もあつたようであります。国会内でも相当御議論があつたように聞いております。併しその当時、これは二つに分けるほうがいいのじやないかというので、私が今申上げたような二段構えになつておるのであります。そこで将来といたしましては、できるだけこの警備隊はこれはむやみに出動させちやいかんと私は考えております。むやみに出動させるものではない、併しながら警備の普通の任務に当る海上保安庁の警備船に対してこれの保護的の役割をして行つてその間の調節をとつて行きたい、こう考えております。併合問題についてはこれは国会で御審議を願つてそういうようになつたのでありますから、今直ちに二つを一つにするということはどうかと考えておりまするが、能力は十分発揮できるように我々は将来処置して行きたいと、こう考えております
○岡本愛祐君 次ぎに治安の問題で若干お尋ねをいたしますが、朝日新聞の報道等によりますと右翼団体で暴力を企むものがある、再軍備論によつて暴力的な動きがあるということを二月十七日の朝日の夕刊は報じておる、政府のほうもこれを調査して再軍備反対の政府委員を暗殺するとかというようなこともあるので、取調中だというようなことが出ておるのでありますが、それはどういうふうになつておりますか。
○国務大臣(木村篤太郎君) これは全然私の所管外であつて、犬養君がおりませんから、硬官私から知つておる限りにおいて申上げまするが、これは私のほうと全然関係なし、いわゆる公安調査庁のほうに属するのでありまするが、そこから私の知り得たところによりますると、相当右翼団体があるということであります。あの朝日新聞の記事かこれは正確であるかどうかということはわかりません。二百幾団体あるということは私は承知いたしませんが、相当、近頃活動状態に入つておるということだけは聞いております。それ困つたものだと思つておる。それで早いうちに何とかこれを処置して、正しい方向に向けるということでなければ私は日本の平和も治安も保つごとにおいて全く支障を来たすのじやないか、これらの取締をどうするかということにつきましては、政府において慎重に考慮して、至急対策を立てるように私から法務大臣のほうへあなたの御質問があつたということをよくお伝えいたします。
○岡本愛祐君 法務大臣がどういうわけか出ておられないので、警察法なんかについてお尋ねすることができませんが、細かいことはともかくといたしまして、警察法を出されて従来の警察法の大改正をされる、それは現在の治安状況から見て能率化するために止むを得ない、治安の責に当つておられる総理大臣は国家の治安を保つためにはこれだけの改正をしなければならん、こういう御熱意に対しては敬意を表するのでありますが、この新たにできた警察法案が飽くまで民主化の線に沿つていなければならないのであります。ところが民主化の線に沿つておると言われておりますけれども、民主化の線に沿つてないのであります。で、総理大臣はどういう点が民主化の線に沿つておるとお考えになつておるのか、それを承わつておきたいと思います。(「総理、答えなさい」と呼ぶ者あり)……細かい点は又別に犬養法務大臣が出られたときにお尋ねします。ただこの大きな改正、この国会におきまして最も大きな法案と言つてもいいのであります、それを出されたのでありますから、総理大臣においてもこれは民主化の線に沿うのが本旨であるのだと言つておられるからおわかりになつていなければならんと思うのであります。その点だけでいいからそれをお尋ねしたいのであります。
○国務大臣(吉田茂君) 私から一応のお答えをいたします。 先ず第一に政府としては、飽くまでも民主警察国家、警察国家の思想を再現しないように注意をいたしております。そのために公安委員会というものを存続せしめますならば、或いは自治警察においても或いは地方の警察制度においても相当注意を払つて、いわゆる中央集権的にならないように地方の意見も、又公安委員等の意見も聴取して、そうして任免その他においても公安委員会の意見という点を十分尊重する組織にいたしております。この点において相当民主化の線を守り得ると確信して提案した次第であります。
○岡本愛祐君 総理大臣はそういうふうに御認識になつておるのでありますが、実はこの法案を我々が調べて見ますと、そうならないのであります。第一に国家公安委員会というものを廃止して、これはいわば警察国家にならない一つの安心料である、その国家公安委員会が首相とそりが合わない、又金がかかるということがありますが、これは警察国家にならない一つの保障であり、安心料であります。今総理大臣と議論いたしませんが、総理大臣の御認識がこの法律には現われていないということを申上げ、警告を申上げておきたいと思うのであります。これは警察国家というのは、警察と時の政府の政治とが混同をするのであります。アメリカでも実はこれには困つておるということは本会議で申上げました。日本の新らしい警察制度は、その点をよく注意して、将来とも政治と警察とが混同しないように、日本の警察制度をやつてくれれば、これはアメリカの警察制度よりずつとよくなるということと思つております。ところがこの法案はこの心構えが足りません。全く政治と警察と混同できるように作り上げられておる。これは総理大臣の御認識と違つておる。どうしても国家公安委員会というものは保存をしてもらいたい。いずれ詳しいことは又この法案を審議する地方行政委員会のほうで申上げます。それから地方における公安委員会、これもあたかも民主的に保存してあるようでありますが、これはそうではありません。大事な肝腎要の人事関係、並びに治安維持の権利は全部警察の長官の指揮、監督になつておるのであります。この点が総理大臣の御認識と非常に違うということを申上げておきます。 次ぎに警察についていろいろ聞きたいことがありましたが、別の機会に譲りまして、地方自治の問題についてお尋ねをいたしたい。地方制度の基盤は地方自治の確立にあります。それ故に憲法では、特に地方自治の章を、第一章を設けておるのであります。旧憲法にはそれがありませんでした。そうして地方自治の原則を掲げまして、国民に地方自治を保障しておるのであります。その憲法の原則の一つに、地方公共団体の長は、即ち府県で言えば、府県知事は、その地方公共団体の住民が、直接にこれを選挙する、というふうに憲法で保障をされておるのであります。ところが従来総理大臣の御意向というようなことが出まして、そうして知事の公選制をやめてそうして任命制にするのだということが報道されております。総理大臣は果してそういうようなことを考えておられるのかどうか、それをお尋ねいたしたい。
○国務大臣(吉田茂君) お答えいたしますが、現在の地方制度についてはいろいろな疑問があります。お話のような、殊に現在のような状態にしておいて果していいか、随分地方の財政その他についても我々としては心配すべき問題があります。地方の財政はますます膨脹するが、政府はこれに対して監督ができないとか干渉ができないとか、一方において地方自治を拡張した結果、そのために地方において財政その他の濫費がある、中央はそれをいたしたくないというような弊害がありまして、現在この問題については研究いたしております。又地方制度審議会でありますか、たしか答申を求めていると思います。政府は答申を待つて研究いたします。
○岡本愛祐君 私も地方制度調査会の一員で、緑風会を代表して出ているのでありますが、地方制度調査会の意見が尊重されていません。非常に遺憾に堪えないのであります。そこで知事の公選制が廃止というようなことは憲法問題とも関連して非常な重要なことであります。そこで地方制度調査会では衆智を集め、各会派を超越して結論を出しますから、その結論を尊重して頂きたい。公選制は是非とも存続しなければならんということに結論が出たにかかわらず、政府のほうでこれを取上げないで、任命制にするというようなことがないということであつて頂きたい。総理大臣はこの問題について地方制度調査会の答申を尊重されるかどうか、伺つておきたいと思います。
○国務大臣(本多市郎君) 総理からすでにお答えいたした通りでございますが、政府は中央と地方の有機的問題を強くするという趣旨を以て調査をお願いいたしておるのでございまして、そうした趣旨に基きまして御答申がありましたならば、その御答申を見た上で政府の最後的方針を決定いたしたいと存じます。
○岡本愛祐君 この問題は簡単なような問題で簡単でないのであります。憲法問題に徹した問題でありますから、慎重なお取扱を願いたいと思います。 最後に総理大臣は綱紀の粛正について特に注意を払つておられます。それは敬意を表しますが、只見川の問題等が出ており、これは総理大臣の側近の或る人の名も出ておるのであります。こういうことについて勿論総理大臣は御関係はないと思うのでありますが、その点を伺つておきたい。 もう一つ国有林材の払下の問題、又国有林野の払下の問題につきまして世間では疑惑が出て来ておる。こういう問題を御承知であるかどうか、田子新農林大臣が就任のときの御談話にも、国有林野を無料で地元に払下げるというようなことを言つておられるのですが、簡単にそういうことを言われますが、国有林材、国有林野の払下の問題は利権が非常に大きいのであります。近くこの問題を提げて林野庁の従業員の中から立候補して徹底的に暴くというようなことも言つておる。こういう問題についてどういうふうに御覧になつておるか。御注意が行届いておるか、それを伺つておきたいのであります。
○国務大臣(吉田茂君) お答えを一応いたしますが、綱紀の粛正については自由党内閣としては組閣以来十分注意をいたしておるのであります。若しその注意にもなお疎漏があつて、そうして問題が生じました場合には、これは断然たる措置をいたす考えであります。只今の林野山林の問題についてはまだ私は承知をいたしておりませんから、新農林大臣からお答えをいたします。
○岡本愛祐君 田子新農林大臣がおられましたら御答弁が願いたいと思います。
○委員長(岩沢忠恭君) 農林大臣は見えませんが……。
○岡本愛祐君 それではそれも保留にして、この次に御出席されたら御答弁を願いたい。もう一つハイアライ法案、回何とか法案というものが総理大臣は適当と認められておるかどうか、総理大臣は競犬法案が出て来たときはこれはいかんというので取上げない措置をとられたのは敬意を表しておつたのであります。ところがこの競犬法案も又出て来たということであります。参議院のほうではこういうものは大体嫌いでありまして、例のモーター・ボートの競走法案のときも参議院のほうでは否決してしまつたのであります。本会議で否決してしまつた。ところが衆議院のほうでは三分の二でこういうものを通されてしまつた。又衆議院のほうで立案されてハイアライ法案とか、競犬法案が又のこくこくと出て来た。国民は呆れ果てておるのでありまして、適当に処置をしなければいかん問題であり、総理大臣はどう考えておられるか、この点を伺いたい。
○国務大臣(吉田茂君) 私はハイアライという何と言いますか、遊戯と言いますか、実は性質をよく知らないのであります。併しながらこれが博打に類するもの、賭博に類するものであるならば、政府としては無論賛成いたしません。又全体としての政府側の空気としては余り賛成いたしておりません。成るべくこれを奨励しないと言いますか、デイスカレージする方針でやつております。
○岡本愛祐君 又競馬法を改正をして民営にするという問題があるのであります。これも何か利権の問題とか何とかやかましく騒がれておるのでありますが、こういう問題についてはどういうふうにお考えになりますか。国営競馬をやめてそして民営にするという問題であります。
○委員長(岩沢忠恭君) 農林大臣はいませんが、この次に保留しておいて下さい。
○岡本愛祐君 こういう法案はすべて利権の伴うものでありまして、首相の綱紀粛正と非常に関係がある。総理大臣初め政府が万全の注意を願いたいのであります。時間が参りましたから、これだけにいたしておきます。
○岡田宗司君 関連質問。
○委員長(岩沢忠恭君) 簡単にして下さい。
○岡田宗司君 只今ハイアライの法案について、政府としては好まない、これは首相の立場。自由党総裁として、たくさんの自由党の議員がこれに署名して出しておる。自由党総裁としてあれをどういうふうにお考えになるか。
○国務大臣(吉田茂君) 自由党総裁も総理大臣も同じ同一人でございますから意見は同じであります。
○岡田宗司君 撤回さすかどうか。
○委員長(岩沢忠恭君) 答弁はありませんから、原君。
○原虎一君 私は総理大臣に先ずお伺いいたしたいのでありますが、今国民が一番要望いたしておる点は、総理も常々、強調されておりますところの政局の安定であります。ところが総理の自党の内紛によりまして、誠に国家にとつては遺憾な状態になつているわけであります。でこの時局を如何に収拾して国民の負託に応えられるところのお考えであるか、それをお伺いいたしたいのであります。ついでに廣川農林大臣の罷免の理由をも御説明願いたいと思います。(笑声)
○国務大臣(吉田茂君) お答えいたします。政党は人間の集まりでありますから、ときに風波が起り、ときに内紛が起り、議論が起るということは止むを得ないところであります。これは自由党ばかりでない、各党共に内紛と言いますか、いろいろな問題があることは実際であります。問題はこれを如何にして処理するかでありますが、自由党の内紛なるものは自然現在、処理と言いますか、収まりつつあるのでございます。いずれ暫らく時を借して頂きたいと思います。廣川農林大臣の罷免については、これは内閣として罷免権を発動した、その理由については暫らく説明を差控えます。
○原虎一君 政党の内紛なんということは各党ともある。これは総理がお答えにならなくても私どもは経験をいたしておりますし、(笑声)存じております。ただ問題は政権の担当にある政党が内紛を起して、時の農林大臣が罷免されるというようなことは国政の遂行を妨げる、現にそうなんであります、でありまするから御質問申上げておるのでありまして、その関係さえなければ、私どもは喜ばしいことでありませんけれども、自由党内部でどんなに御議論があろうと、御紛争があろうと、これは関したことではありません。でありますから伺いをいたして、この時局を早く収拾されて、国民の負託に応えるようになるのはいつでございますか、これをお伺いしておるのでございます。殊に総理は先般、今私がお伺いした精神によりまして、去る一月三十一日でありますか、同僚のカニエ君が質問いたしましたところが、総理は内紛ではない、議論だ、人が集まつて党を作つておれば議論があるから、議論に対しては大いに切瑳琢磨で結構であると言われますが、そういう意味におけるところの切瑳琢磨であると国民は迷惑すると思います。従いましてもう一度いつこれが収拾されるのでありますか。と申しますのは私どもは逆な方向に闘いおるのです。いろいろな放送がありまして、解散か総辞職か、総辞職はしない、解散をする、こういうことが盛んに喧伝されておりますから、国民は一層政局に対する不安の念に駆られておる。でありますから、総理は総理の責任においてお答えをなされておると思いますけれども、私が質問しておるのは、今先ほどもお話がありましたような、総裁に対する質問では、ございません。総理吉田茂氏に対して、政局を担当する総理に対して御質問申上げておりますから、そのおつもりで御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 政党……、たとえそれが反対党でありましても、内紛と言いますか、騒動の起ることは決して政党全体の信用を高めるゆえんでありませんから、自由党の内紛を他党のことである、対岸の火事と御覧にならずに、内紛が起らないように外からも一つ助けて頂きたいと思います。(笑声)そこで只今申した通り、自由党の内紛は現在処理いたしておりますから、そう御心配をかけずにできると私は確信いたします。暫らく成行きを御覧願います。
○原虎一君 どうも総理の御答弁は自由党の内紛に対して、私ども野党が何か奇貨おくべしとして質問をしておるようなお考えで御答弁なさつておるようにとれる御答弁であつた。これは甚だ遺憾であります。これから私は具体的に質問して行きます上において、そういう気持で野党たるの原が、与党の内紛に乗じて総理に対する質問をするかのごとき感じを以て御答弁をされることは甚だ遺憾であります。この点だけはあらかじめ申上げて次の質問に移りたいと思います。 一国の総理が懲罰に付せられるということは、その結果は如何になりましようとも、これは日本の国際的信用を失墜するものであると私どもは甚だ遺憾に堪えないわけです。殊にこの問題が、多数を占めるところの与党の不統一によつて総理の懲罰動議が成立した。これは国内政治に及ぼす影響は勿論でありますが、国際信用を傷つけるというこの観点から、総理は如何なるお考えでありますか、この点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 私の前答弁に対して、あたかも自由党の内紛を喜ばれると言われたかのようである。それは間違いである。私はそういうことは考えておりません。ただ関係ないと言われたから、対岸の火事と思わずにほかからも鎮めて頂きたい、こういうことをお願いいたしたのであります。 そして私の懲罰問題については、起つたことは誠に遺憾であります。この点は先ほど……、昨日も運営委員会或いは本会議にて申しました通り、懲罰委員会の結果を見まして善処いたします。
○原虎一君 総理の失言に対してくどく質問いたしたいとは思いませんが、只今の御答弁は私は誠に遺憾であります。衆議院におきますところの本問題についての懲罰動議は、議員吉田茂君に対するという懲罰動議であります。私は議員吉田茂君に対する懲罰動議に対してとやこう申しておるわけではありません。衆議院の扱いがどうあるかは、これは今日ここで私どもは問題にいたしておるわけでもありません。総理吉田茂氏に対して、総理としてこういう問題が起きたので、これを国内の政局並びに国外、国際信用の点から、総理はただそれは衆議院におきますところの懲罰動議の結果によつて答弁するからそれでいいというお考えは、重大な政局を担任される総理のお言葉とも我々は受取れない。この点についての御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 私のまあ懲罰委員会の経過を見て、と申すのは、内外に対する関係を見て善処いたします。こういうことであります。
○原虎一君 続いてお伺いいたしますが、政府は緒方官房長官によつて、いわゆる政府声明なるものを発して、解散なしに総辞職することは断じてない、こういう公式な発表をいたされております。これは重大なる憲法第七条との関係の問題であります。その目的とされるところはどこにあるか、廣川派或いは鳩山派というような諸君が総理の退陣を要求しているから、これを牽制する意味でそういうことを言うならば、解散するぞと、一種のおどかしをかけておるとも見えるのでありますが、そればかりではないとも我々は考える。こういう声明を出されるから巷は解散か総辞職か、非常な政局不安定になつております。こういう声明を出された目的をお聞きしたい。先ずそれからお伺いいたします。
○国務大臣(緒方竹虎君) お答えをいたします。只今お述べになりました政府の公式の声明、私の名前において政府の公式の声明を出しておると仰せられましたが、私新聞記事のどれをお指しになるのか的確にわかりませんけれども、政府の公式の声明をそういう問題について出したことはないのであります。恐らくそれは新聞記者会見におきまして、不信任案が通つた場合にどうするかという質問に対して、私が話をしたことを新聞記者の判断において書いたものと了解いたします。それは私の見解では今日よく総辞職か解散かというようなことを言われますが、私は立憲政治の下におきましては、国民の審判の結果を待たずに政府がやめるくせをつけてはいけない。従来日本の政治におきましては、軍という一つの特別の力がありまして、それが或いは軍部大臣の進退問題とか、その他によりまして、容易に内閣を倒壊し得る制度になつておつた。そのために国民の見る眼も、国民の審判なしに政変があり得るがごとくの錯覚に陥つておるのでありますが、それは私の考えでは間違いだと思います。それで如何なる場合にも国民の審判に一度訴えて、その結果によつて進退をする。これが私は立憲政治の正しい行くべき道であると考えておるのでありまして、新聞に出ましたのは、恐らく新聞記者諸君の質問に、不信任案が通つた場合にはどうするか、その場合には政府は一度これを国民の審判に訴える、即ち解散をするということを申したのでありまして、その総選挙の結果によつて政府が多数を得られなければきれいに野に下る、そういう筋道を立てないというと、私は日本の立憲政治は今日非常に危い。何らか政府を追詰めることによつて、或いは泥仕合をやることによつて政府を倒壊し得るというような錯覚が行われますというと、日本の国会政治に対する国民の信頼というものは全く地を払いまして、丁度五・一五、二・二六が繰返された頃のようなフアツシヨ勢力の抬頭を招く虞れが私は多分にある、そういう意味で私が言うただけでありまするが、それは初めに申しましたように政府の公式の声明でないばかりでなく、新聞記者の質問に対して答えたものを新聞記者が綴つたものであると考えております。
○西田隆男君 関連して……。只今の原君の質問に対する緒方官房長官の答弁は非常に重大な意義を持つておると思います。緒方官房長官は民主化のためによくないのだ、だから政府は解散するのだ、解散して選挙に訴えることが一番正しいのだ、こういうふうな弁明をしておられました。それじや国会議員が内閣を不信任したことは、これはどういうことになるのですか不信任案が仮に可決されました場合、我々は国民の代表であり、衆議院の代議士も代表です、この代表が、選挙から相当期間がたつた、そのうちに最初は自由党の内閣であるからそれを信頼しておつたが、これが自由党の中にその内閣にあきたらないものができたということによつて不信任案が可決された、こういう場合に内閣としては不信任案の可決ということを選挙に訴えるだけが唯一の方法であるという感覚が、天皇の内閣であつたときの感覚である。今緒方官房長官が言われたことと逆なことでなければならん。もう一遍我々の得心の行くように答弁をしてもらいたい。
○国務大臣(緒方竹虎君) お答えいたしますが、総選挙から相当な期間をたてばたつほど、国民の意見をもう一度再確認する必要が私はあると思うのであります。それは憲法第六十九条にも不信任案が出た場合、或いは不信任案が国会を通過した場合、或いは信任案が衆議院で否決された場合、それから十日以後に国会を解散しなければ政府が引下がるということを規定してありまして、これは不信任案が出た場合には、政府のとるべき正常の態度であろうと思います。
○西田隆男君 今の緒方官房長官の答弁は、なお更私はわからなくなるのですが、選挙をして事実がたてばたつほど、解散をするのがよろしいのだ。これは内閣というものが、不信任案を可決された場合に、何の汚点も欠点もない、常に正しい正常な歩みをしておつたということが前提条件になつておれば、緒方官房長官の言うことは一応納得が行く。併しながら衆議院において不信任案を出したという場合は、いずれが正しいか、正しくないかという何かの論拠がなければならない。それの大きな原因があつて、不信任案が可決された。それを可決したものは、いわば選挙に当選した国民の代表であるというものであれば、内閣自体としてただ解散することを念頭に置いて解散を考えてはいけない、私はそう思う。その点において緒方官房長官の答弁は、私は満足が行かない。
○国務大臣(緒方竹虎君) お答えいたします。政府のやつておることが正しいか正しくないかを国民に訴えまして、政府の不信任が出た場合に、政府が正しくないということであれば、政府の解散権は根拠を失うわけであります。
○原虎一君 これはだんだんと角度を変えて又御質問申上げたいと思いますが、今官房長官の御答弁は、二・二六事件のようなことをお考えになつて……、御経験があるからそういう点を強く考えられておりますが、私はむしろ逆なほうで以て、そういう問題じやなくて政党自体の内紛と言いますか、党内において総理に反対する一つの勢力を抑えるためにも、解散権を使うということが非民主的だということをお伺いしているのであります。今官房長官の御答弁の筋で行けば、こういう場合においても解散するのが民主的だというお考えのように受取れますが、この点は非常に間違いであります。そこで私は総理にお伺いいたしますが、多数党である政府が重要法案が通らない、不成立になる、政府の不信任案が通過するということは、それは明らかに今申しますように、そうした与党たる勢力が野党勢力よりも強いにもかかわらず、そういう政府の意に反する結果を来たすという意味において、それでも解散するのが正しいんだという今の官房長官のお考えに対して、民主主義を常に守らんとするために努力を払うという総理の御答弁をお伺いしたいのであります。
○国務大臣(吉田茂君) 先ほど申した通り、自由党の内紛はだんだん納つて、そうして、正当もおかしいが、軌道に乗つて参ると思います。従つて重要法案も私は通過することを確信いたしております。又期待をいたしております。
○原虎一君 そういう御答弁になりますと、これはやはり互いにいやみを言いたくなる。それでは私は総理の御答弁に対する良識を疑うのであります。先ほども繰返して申上げておりまするが、参議院会議録にもちやんと載つておりますのですから……。先ほども申しましたように、一月三十一日の本会議におきまして、同僚カニエ君が総理に対してこういう質問をいたしておる。「相次ぐ自由党内部の内紛の故に内外の信望を失墜した吉田内閣は、この際いさぎよく総辞職をして、罪を国民大衆の前に謝すべきだと信ずるのでありますが、吉田総理にしてその責任を痛感しておられるかどうかを先ず伺いたいのであります。」、これに対する総理の御答弁は「政党内において内紛と言われるが、内紛は、議論が内紛と言われるならば、これは当然であります。政党政治である以上は党内におい議論はますます盛んなるがいいのであります。その議論のたびごとにこれを内紛と言つて、総裁なり或いは委員長なりが責任をとられるということならば、一々総裁、委員長は交替しなければならぬことになるのであります。これは余りに不自由なことであると私は考える。」、これは記録において明らかでありますが、こういう御答弁をなした後における、即ち内紛ではない、議論だ、こう本会議で堂々と御答弁をなさつて、一カ月後に内紛によつてどうでございましよう。一国の国務大臣が罷免されるような問題が起きております。あなたが今内紛の心配をしてくれなくても十分に早く納めるから安心してくれと言われましても、国民は納得いたしません。私は、政局不安の状態を、総理の言葉によつて国民が一日も早く冷静なり得るように、このマイクを通じて言つて頂きたいのであります。この一月三十一日の御答弁からいつても、あなたの御答弁の通りになつていないという事実は国民は皆知つているのでありますから、そういう御答弁は納得できませんし、私の申しましたのは、今の官房長官の御答弁に基いて総理にお聞きしているのであります。即ち新聞記者諸君が、万一不信任案が提出されて通過した場合にはどうするかと言つたら、総辞職はあり得ない。即ち解散をやるんだと、こう官房官長は言われている。併しその問題は、憲法に従つて民主主義を樹立して行く吉田総理としては、こういう事態におけるところの不信任案に対しても当然解散をすべきが民主主義のルールを打立てる基本になるというお考えであるかどうか、その点をお伺いしているわけであります。
○国務大臣(吉田茂君) 若し国民が私の考え方、或いは言葉を信ずるというお話が事実であるとするならば、自由党の内紛は納まりつつあるということについても、国民は私の言葉を信用するであろうと思います。事実その方向に進みつつあるのであります。又官房長官の言われるところの、いわゆる不信任案が通過した場合にはどうするか。これは解散以外に方法はないと言われている。これも私は憲法の規定にあるからそう申上げたと思うのです。こう思います。
○岩間正男君 関連質問。緒方官房長官のさつきの御答弁によりますと、どうも非常に不思議な点があるのです。大体解散か総辞職というものは、不信任案が通つてから政府が考慮して決定すべき問題じやないかと思うのです。ところがそれが不信任案がまだ問題になつていない、通過も見ていない、そういう事態の段階におきまして、それを解散なしの総辞職はしないというような声明を発表されるということは、これは別な意図を以て行われた、こう解釈される余地が十分出て来ると思う。若しあなたの言うような声明が(「声明じやない」と呼ぶ者あり)いや、記者団に(「発表だ」と呼ぶ者あり)一種の言明、記者団を通じての言明だ。これがこういう形で行けば、不信任案が通れば今後あらゆる場合に解散しなければならんということになるのです。そうすると憲法の解散か総辞職というような、こういうのはどういうふうに解釈されるのか。そこの食い違いが非常におかしいのです。そこを明らかにして欲しい。
○国務大臣(緒方竹虎君) お答えをいたしますが、新聞に載りましたのは、政府の公式な声明でも何でもございません。これは新聞記者の質問に答えたのでありまして、不信任案が提出され、それが通つた場合にはどうするかということでありましたので、それは憲法第六十九条にも規定してありますように、不信任案が通つて十日以内に国会を解散しなければ政府が引下がるということでありまして、それは不信任案の通つた後の判断によるのでありますけれども、私の立憲政治に対しての解釈から申しますれば、そのときに国民の意思を確かめずに政府が引下がるということは、これは政治を健全にして行く上において面白くないという私の見解を申述べたのであります。
○原虎一君 官房長官の御答弁は、誠に現実を無視したと言いますか、現実を主観的にのみ取上げて御答弁なすつていると思う。私が先ほどからお伺いしておりますのは、今日の野党、与党の勢力関係におきまして不信任案が通るという事態が不思議なんであります。或いは重要法案が通過しないということが不思議なんであります。それが君上、総理の御答弁はそういうことをお考えにならないで御答弁なさつておる。もつと具体的に申し上げますれば、不信任案が通過した場合ということは政府与党の不統一から来る問題であります。そういう事態を無視して、不信任案が通つた場合においては原則的に解散するのがいいというお考え方が間違いであります。そういう事態を引起したところの総裁吉田茂は、責任を感じて総辞職するのが当然じやないか。それが、民主主義のルールに従つて政治を進めたいということを常に主張されている総理の御見解を伺つているのであります。それには総理の御答弁も、官房長官の御答弁もはまつていないということを言つているのです。 それから私が官房長官の公式声明と申しましたが、これは用語を誤つたかも知れません。而も新聞は一斉に同じ記事を、寸分も違わない記事と言つてよろしいものを、政府は官房長官をしてかく発表せしめたという記事が出ておりますから、これは適切な表現ではないかも知れんけれども。正式声明と国民は見ているということだけは、長官はお忘れなく御答弁願いたいと思う。
○国務大臣(緒方竹虎君) お答えをいたしますが、何と仰せられましても、政府の公式声明ではございません。私は割合に、新聞記者に会見するのが私の仕事の一つでありまして、新聞記者団と一緒に会見いたしますから、私の言葉が同じような表現で書かれたということは少しも不思議ではないのであります。それから不信任案が通つた場合、解散するのはおかしいというようなお話でありましたが、憲法第六十九条に、不信任案が国会を通つた場合、十日以内に解散しなければ、政府は総辞職しなければならん。通つた場合、先ず解散するのであります。若し解散しなければ、政府は引下がるということになつております。これは私は憲法の、立権政治の常道として当然のことであると考えます。
○原虎一君 これは私は重大だと思います。憲法の六十九条は、私は知つて質問しているのです。だからこれは十日以内に衆議院が解散されない限り、政府は総辞職しなければならん。解散しない限り総辞職しなければならんと書いてあるから、解散するんだという結論にはならない。それをあなたは通つた場合には、必ず解散するのだということは、断じて総辞職をやらんという声明は民主主義に反し、この憲法の六十九条に反するでありましよう。
○国務大臣(緒方竹虎君) お答えをいたします。十日以内に、先ず解散し得る客観情勢にあるかどうかを判断して、それができなければ、政府がやめる以外にはしようがないと私は解釈いたします。
○原虎一君 そうすると、新聞声明を今日訂正されたということに解釈してよろしいのですか。
○国務大臣(緒方竹虎君) 先ほど来申しますように、私は新聞声明には少しも責任を持ちません。(「政府のスポークスマンだろう」と呼ぶ者あり)
○原虎一君 理にお伺いいたします。憲法第七条によりまして、昨年の八月二十八日と記憶いたしますが、解散を助言されております。こういう場合に、総理の権限においてどういう形でおやりになつた。又先ほど官房長官のお話によりますというと、総辞職はしない、解散を是非やると言つておられますが、そういう場合においての総理のお考えを伺つておかないと、甚だ衆議院の諸君は心配いたしておりますから、お伺いいたしておきます。(笑声)
○国務大臣(緒方竹虎君) ちよつともう一遍今のところを言つて下さい。
○原虎一君 これは総理の権限でありますから、是非総一理から御答弁願いたいのであります。総理が憲法第七条によつて、解散の手続をとる場合における総理の手続のとり方についてお伺いいたしているわけであります。官房長官でなしに総理から、総理の権限でございますから、伺いたい。
○国務大臣(緒方竹虎君) 総理の判断によつて第七条によつて、天皇に助言し得る。第七条によつて、総理の判断によつてやり得るということであります。
○原虎一君 私は官房長官からお聞きしているのは甚だ遺憾でありまして、これは総理の全くの権限においておやりになる。総理がいらつしやらなければ、副総理からお聞きすることも、これは当然ではありまするし、止むを得んと思いますが、総理が憲法第七条によつて、衆議院を解散というこの助言を天皇にするところの手続はどういう形でおやりになるのか。これは民主主義を立てて行くのに大事なことであります。これは総理の行動によつて民主主義が破れるかも知れない。だから私はお伺いしているのです。
○国務大臣(吉田茂君) 当時の事情において、民主主義のために解散することを適当と考えて私は解散いたしたのであります。即ち官房長官の只今説明の通りであります。
○原虎一君 私の質問が故意にこう考え違いされたような御答弁でありますが、天皇に解散の助言を総理がやられる場合において、どういう手続を踏んでおやりになるか、これをお聞きしているのです。
○政府委員(佐藤達夫君) 第七条に明らかでありますように、内閣の助言と承認ということが必要でございます。
○原虎一君 法的解釈は憲法なり内閣法を読めばわかるのであります。総理の行為をお伺いしておるのであります。総理はどういう政治行動をおとりになるかということを聞いておるので、何も法律を聞いておるのではありません。総理は、一国の総理大臣として解散を助言するときには、私はかくかくかくかくの行動を以て天皇に助言すると、こういう御説明を願いたいと言つているのです。
○国務大臣(吉田茂君) 先ほどどういう手続かというお話でございますから、法制長官からお答えをしたのであります。どういう考えでいたかということは、先ほど申した通りであります。
○原虎一君 内閣の助言によつて、天皇に助言することはきまつております。その内閣の助言とはどういう形によつて作られるものであるか、そのことをお伺いしているのです。それを総理から御答弁願いたい。総理がどういう政治行動をとつてなさるか、この点をお説明願いたいのです。
○政府委員(佐藤達夫君) 「内閣の助言と承認」でございますから、その助言と承認についての内閣の意思決定は、閣議によつてきまるわけでございます。
○原虎一君 それも法律を読めばわかるのです。(「事後承諾だよ、閣議にはかけていない」と呼ぶ者あり)昨年の八月二十八日には、私は国会を代表いたしまして、不肖の身でありますけれども、列国議員会議に参つておる。それであのときに電報が入りまして、外国新聞を見られたかたはおわかりのように、キングによつて解散されたということが報道されました。内閣の助言は、今法制局長官の御答弁のように、閣議決定がなければなりません。あのときに正式と認めてよき閣議決定がされたかどうか、これを私はお伺いいたしたいのであります。ああいう不明朗なる閣議によつて、官房長官は今回も解散をやると言つておる。而も党内が不統一であつて、総理に反対するべき立場の大臣もおるかも知れません。そういう内閣が解散をやる場合において、又昨年の八月のごとき、閣僚でありながらも、一国の国務大臣でありながらも解散の事実を知らないということが行われるということは、これこそ日本の民主主義に対して非常な汚点を残したのであります。我々国外におりまして非常な恥辱を感じました。であるから、お伺いいたしておるのであります。(「総理答弁」と呼ぶ者あり)
○政府委員(佐藤達夫君) 閣議決定が完全に行われておりますことは、はつきり申上げることができます。
○委員長(岩沢忠恭君) 原君、もう持ち時間来ましたよ。
○原虎一君 私もうこの一点で終了します。何分ですか。
○委員長(岩沢忠恭君) もうないのだ。
○原虎一君 何分、私の持ち時間。
○委員長(岩沢忠恭君) 三十分。もうないのだ。
○原虎一君 そういたしますと……
○委員長(岩沢忠恭君) もう一回だけで一つ。
○原虎一君 それでは次に進みまして、綱紀粛正の問題についてお伺いいたしたい。総理は施政演説において盛んに綱紀粛正を強調されている。我々も非常に喜びとするところであります。併しながらこれは、総理、ちよつとお聞きになつていないと、あとで御答弁に困りますよ。綱紀の粛正は、やかましく総理が言われることによつても、勿論実現するとも考えられまするが、併しやはり一国の宰相たる者は範をみずから示すというところがなければならないのじやないかと思います。総理は曾つて一外交官がエチケットに反したといつてこれを左遷し、或いは解職された。ここに同席されておりますけれども、元大蔵大臣泉山三六氏は、やはりエチケットに反せられて、(笑声)そうして大蔵大臣をやめられた。(笑声)併しながら、それから後に参議院に出られれば、参議院議員に国民は選んだ。これはやはりいわゆる上に立つ者が範を示さなければならないから、時の大蔵大臣泉山三六氏の辞任を認め、又辞任も総理がお勧めになつたかも知らん。こういう点から考えますれば、今回の総理の問題は、こういう問題はみずから範を示されて初めて吏道の刷新ができるのだ。一局長が下僚に向つて暴言を吐いた、おい取消だでは、今後こういうことがはやつて来ては困ります。これはやはり吏道刷新を総理が真に請い願われるものであるならば、総理みずからが範をお示しになるということが、現下の日本におきまして大事なことであります。この点について、私は先ず第一点として総理の心境、所信をお伺いしたい。次に、まあ国民の九割九分までが有罪的な選挙違反をやつていると認めているにもかかわらず、それが外務大臣をやつておる。(笑声)面も持つている時効が来たけれども、その出納責任者との関係において時効は停止しなければならん。こういう人が外務大臣におられるということは、明朗選挙を盛んに唱えておるのでありまするが、政府みずからが、やはりそういう疑惑のあるところの人間は少くとも国務大臣の席から退かして、そうして取調を容易ならしめて、一日も早く明白な身にして初めて、必要な人間ならば外務大臣にされたらよろしいと思います。これはもう岡崎さん以外には、二百四十五名の自由党の中には外務大臣になる人はいないのでありますか。 (笑声)この点を吏道刷新の立場からお伺いしておきたい。まあその二点を。
○委員長(岩沢忠恭君) 原君、はしよつて下さいよ。もうそれでおしまいですか。
○原虎一君 御答弁によりましては……。(「時間々々」「そんなことを委員長聞いちやいかん」と呼ぶ者あり)
○国務大臣(吉田茂君) 綱紀粛正については、内閣は、しばしば申しますが、組閣の当時よりこれを最も厳重に守る考えでおります。従つて法に反した者があれば必ずこれに対して厳重に処分することを方針といたしております。岡崎外務大臣の場合には、起訴せられたということか、或いは容疑という程度でありますか、そこは忘れましたが、(笑声)いずれにしても、ただ起訴されたから、或いは又裁判の決定を待たずにこれを有罪なりと考えることは、私はいたさない考えであります。
○原虎一君 泥棒の嫌疑者を、失礼でありますけれども、泥棒の嫌疑者を国務大臣に仮にしても、(「失言だよ」と呼ぶ者あり)これは嫌疑者であるからかまわん、これは吏道刷新に差支えないという総理のお考えであるかどうかということを伺つておるのでありまして、明々白々になるのを待つて、悪ければやめさす、よければ使う、この言葉によつて私は吏道刷新ができるものとは思いません。一体、泉山三六さんを、(笑声)大蔵大臣をやめさせられたのは、(笑声)あれは酒を飲んだ行動だから、酔いが醒めたから取消す、それで済むものでありますか。(「時間」と呼ぶ者あり)それで済むものでありますか。やはり上に立つ国務大臣は範を示して初めて吏道刷新ができるのであります。その考え方をお伺いいたしておる。だから私は何も岡崎外務大臣が選挙違反の嫌疑がかかつている、それの善悪を言つておるのじやない。吏道刷新上そういうことが正しいか。又更道刷新を遂行して推し進めて行くためにも、そういうことは改めるべきでないかということをお伺いしておるのであります。
○国務大臣(吉田茂君) 選挙法違反と泥棒とはよほどこれは違うとは思います。(笑声)殊に選挙の場合においては、随分人々が激昂といいますか、いろいろな当時の空気もありましようから……。岡崎君の場合を一応聞いてみましたら、私はこれを任命を妨げるだけの事情はないと考えましたからして登用いたしたわけであります。(「時間時間」「時間厳守」と呼ぶ者あり)
○原虎一君 私の質問をしておるのです。我が会派にはもつと多くの時間を与えられておるのでございます。でありますから……
○委員長(岩沢忠恭君) それはわかつておる。こつちへ申出て下さい。
○原虎一君 委員長、私の時間について、我が会派で相談いたしますから、その間の時間をお与え願いたい。我が会派の同僚諸君と相談して私の持ち時間を延ばせばいいのですから、時間制限するというような……
○委員長(岩沢忠恭君) ですから事前に僕に通知してくれればよかつた。
○原虎一君 それだけの時間をお与え願いたい。
○委員長(岩沢忠恭君) もう何分です。
○原虎一君 いや、あと私は許されるならば二十分くらいあります。(笑声、「譲り合うならいい」と呼ぶ者あり)十五分もらつて来ましたから……。(「しつかりやれよ」と呼ぶ者あり)
○委員長(岩沢忠恭君) 原君、(「原君、君の言うのはわかつてる」「十五分ならいいよ」「了承」と呼び者あり)原君、続けて下さい。これから十分ですよ。(「十分か」と呼ぶ者あり)
○原虎一君 はい。多くを申上げません。私の表現が適切でなかつたかも知れん。泥棒と国務大臣という言葉を申上げましたが、併しながらそのくらいに考えてもよろしいことではありませんか。一国の外務大臣、外務大臣という、これは国内ばかりではありません。国際的にも関係あるものであります。非常な大きな国際的影響のあるものであります。そういうことを考えますから私は申上げているのであります。そこで岡崎さんでなければ、他に外務大臣として任命される人がなければともかく、ですからないために任命されているのでありますが、そういう嫌疑者でも国際的にも悪い影響もない、吏道刷新上も悪い影響がないというお考えであるかということをお伺いいたしたわけであります。
○国務大臣(吉田茂君) 外務大臣たる人材はたくさんございます。決して岡崎君一人以外にないと申すのでないのであります。併しながら岡崎君を登用して差支えないと考えますから、登用いたしたのであります。
○原虎一君 次に、労働問題について総理の基本的な考え方をお伺いしたいのであります。これは先般本会議でもお伺いしたのでありますが、御答弁がなかつたのでお伺いいたします。今度いわゆる電源ストの規制又は炭鉱の保安要員引揚の禁止の法律案が出て参りました。勿論それにはそれだけの政府の考えがあつて出ざれたと思いますが、要するに、労働問題を律するに当りましては、現今におきましては労働者が一国の産業の協力者として、その立場を認めて種々の規制法を作るべきであることは、敗戦西ドイツにおきましても今日それが実現されている。御承知のような産業協力関係の規制がなされている。それによつて争議の発生が少くなつたと言われている。ところが、今回の法律はただその罷業の、一部の罷業権というものを剥奪して、産業協力者としての労働者の進むべき途を法的に聞いていないのであります。要するに一方的に労働者を取締り、それによつて電力資本家は経営に非常な安心ができる。これをもつと具体的に申しますと、今後この法案が成立したと仮定いたしまして、ここで電力関係におきますところの労働組合と資本家との間に紛争が起きまして、労働条件問題について紛争が起きて、究極において中労委の裁定を受けたとしましても、力の均衡が破れておりますから、中労委の裁定を資本家側がきかないということが、かなり想像できるのであります。中労委が本当に公正なる判断を下しましても、力の均衡が破れておりますれば、これはその裁定はいずれかが拒否する。資本家側が強ければ資本家側は利害関係においてこれを拒否するのは当然であります。でありますから、一方において公共の福祉のために取締るというならば、それから受けるところの弱くなつた力の部面を何によつて補うかということが考えられる。そういう立案の精神によるということは、基本的に労働者の産業に対する協力者であるという建前と、単に資本家に従属するという立場において取締るということは、これは当を得ないものである。総理のお考えをお伺いしたいのであります。
○国務大臣(吉田茂君) 勿論労働者の協力、まあ労資協調という線で産業の健全なる発達を希望するところでありますが、昨年の電産争議のごときは、そのために国民一般が非常な迷惑をこうむり、非常なる不安を感じたのであります。この不安、この迷惑は、政府としてはうつちやらかして置くわけにいかないから、無視するわけにいかないから、このたびの提案をいたしたわけであります。詳細は労働大臣からお答えいたさせます。
○原虎一君 それでは労働大臣にお伺いいたします。総理はそういう立場でお考えになつて御答弁になつております。ところが労働者の現状をみますと、いわゆる中労委の機構としての拡充に努力するという御答弁が先般本会議でありましたけれども、予算上何らの中労委の機構が拡充強化されるものはありません。それは総理の意思に反しています。 それから第二は、日雇労働者の健康保険、これは厚生省関係でありますが併し当然労働者の労働問題であります。申上げますれば、二十億円に足りない金で工場労働者と同様な健康保険が実施できるのでありますが、対象労働者五十万人とされておりまするが、これに二十億円が、年間二十億円ありますれば、現に工場労働者に行われている健康保険とほぼ匹敵するものができるのでありますが、その予算も削り取られています。そうしてこれは使用者側と労働者側でありまして、ただ病気のときだけ治療を受けるというものでありまして政府は事務的な負担だけであります。これらはもつと国家が、いわゆる産業協力の立場にある労働者としての立場を認めた案ではないのであります。労働大臣から御答弁を願いたい。
○国務大臣(戸塚九一郎君) お答え申上げますが、中労委の強化ということにつきましては、原さんから本会議でもお尋ねを頂きまして、当時もお答え申上げておきましたが、御趣旨は誠に御尤もであり、私どもも同感でございまして、中労委の機能をもう少し十分に活用するようにしたいという意味で努力をいたしているし、又今後もそのつもりでいるのであります。予算上に僅かにしか殖えておりませんことは誠に遺憾でありまするけれども、この点は努力と又中労委の働き方等によつて補つて参りたい、かように考えております。 それから日雇労働者の健康保険のことでありますが、これは御承知のごとく誠に不十分でありまして、遺憾には存じますが、従来の要望等もあり、先ず一歩前進という気持を持つているのでありまして、今後財源等の関係を考慮して順次拡充いたして参るようになることを希望いたしているのであります。
○原虎一君 岡崎外務大臣にお伺いいたします。連合軍との条約問題は非常に暗礁に乗り上げていますが、その点を御説明願いたいと思います。
○国務大臣(岡崎勝男君) これはしばしば御説明いたしておりますが、日本側の主張と向う側の主張と合わないために、まだ締結に至つておりません。併し最近アメリカの上院でいわゆるNATO協定が上程されるそうでありまして、これが若し批准されるならば、この連合軍との条約関係も非常にスムースに行くだろうと思つて期待しております。
○原虎一君 裁判権の問題が非常に問題だと思うのです。で、日本がアメリカよりイギリスを低い国民として扱う、即ち神戸の水兵の裁判問題、アメリカよりか悪い条件で英国に日本は当つて来たという、このイギリス国民の日本に対する感情は、非常に強いものであります。従いまして行政協定の中の裁判権というものは、独立日本の立場からもつと改訂して行くべきものではないか。その点を一点お伺いしたい。それから特調関係の労務者の労働条件についてでありますが、いわゆる米軍からの命令によつて直ちに解雇される、こういう条件が行政協定に基く合同委員会において問題になつております。これに対するお考えと見通し、それから特需工場におきましても、会社とそれからアメリカ側との契約におきましても、アメリカの指示によつて直ちに労働者が解雇される。現にそういうことが各工場に起つて参つておる。これは国内法が適用されると説明になつた、行政協定、これが事実においては適用されないという、この問題に対してどう対処されていますか。この点をお伺いしたいのであります。
○国務大臣(岡崎勝男君) イギリスのみを対象にしておるのじやなくて、国連軍全体を対象にしておるのであつて、裁判管轄権につきましては、我々の基本的考えは、アメリカの駐留軍は日本を直接に保護するために来ていて、我々の要請によつて駐留してもらつておるのである。従つて特別の便宜を供すべきであるという考えであります。国連軍は、間接的には日本の安全に寄与する。朝鮮で働いておりまするが、アメリカの駐留軍とは性質が異なる。従つて取扱も異なるという考え方でやつておるのでありますが、若しNATO協定が発効すれど、いずれにもNATO協定を適用できると、こう考えてその成立を待つておるわけであります。 それから労務者の関係でアメリカ側で今言つておりますのは、何でもすべて解雇できるというのじやなくて、いわゆるセキュリティの問題で、アメリカの機密、軍事上のいろいろの機密があります、その機密保持に適さない人間を一刻も置けないのだという建前をとつております。従つて部隊の規律に背くとか、或いは怠けるとか、そういう問題でないのであります。併しそれにつきましても、日本としては普通の労働法規がありまするから、どういうふうにその間を規定するか、今いろいろ協議をいたしておる最中であります。 なお、一般の会社とアメリカ側との関係におきましては、これは日本の法律が適用されるのが当然でありますが、注文を受けるほうがとかく注文主のほうの言うことを聞いて、会社の中で無理をする場合もあり得ると考えますので、できるだけそういうものについては、政府側でも保護する、労務者が心配ないようにいたしたい、こう考えておりますが、これも問題は要するにこの兵器の機密に関する保持と、この点に限定されておるのであります。
○原虎一君 大臣の御答弁は事実を十分に御存じない点があります。いずれ委員会等において重ねてお聞きしたいと思います。 次に通産大臣と運輸大臣にお伺いしたい。貿易上非常に重要な造船産業に対して通産大臣は如何なるお考えを持つておるか。石炭価格の引上げなどいたしましては、鉄鋼材も高くなりますし、セメントも高くなる。要するに石炭価格を国際価格までに引下げる方策等についてのお考えがありますれば、お伺いいたしたい。 それから運輸大臣に、第九次造船の計画がどのように進んでおりますか。これが速かに実現いたしませんと約五、六万の造船労働者が失業するという状態にあります。 木村保安庁長官に伺いますが、鉄材の値上げ、鋼材の値上げ等によりまして、いゆる保安隊の装備の強化に如何なる影響が来るか。来年度予算が増額されておりますが、どういうものを作るとお考えになつておるか。その点をお伺いいたします。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 造船のことについて最初お答えいたします。外国からの注文につきましては、二十六年十月から二十七年十月頃まで、この一カ年間がいわゆるタンカーのブーム時代でありまして、従つて各国から注文があつて、大型油送船十九隻、金額で約八千万ドルの注文を受けたのであります。その後タンカー界等が不況になつておるので、この頃はさような注文が少なくなつております。なお、支払い関係で大体ドルの地域の分はよいのでありますが、オープン・アカウント地域でポンド支払を向うは求めて来ておるのでありまして、支払条件その他にも折合とか付かないので、この頃は余り注文はないのでありますが、今後このポンド支払を多く認めることになれば、これらの地域からの注文もなお来るかと考えております。 石炭のことにつきましては、これはできるだけ石炭の基幹産業たるに鑑みまして、この値下げ方については、もうすでにたびたび御答弁申上げました通り、政府において税制上の措置もとり、又金融上の措置もとり、或いは例えば竪坑開鑿のごときは、四百九十億を五カ年間に投じまして、それで大体これを行う。二十二の事業主に対しては、約五カ年後にま三割の原価、つまり生産費を下げる、こういうような工合に進んでおるのであります。但し一気に国際価格まで参るということはなかなかむずかしいので、政府としては最善の措置を講じたいと考えておる次第でございます。
○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。保安庁の最も金のかかるのは、施設の建築、それから土地の買入、通信器材、これはなかなか精密なものであります。それから車両、燃料であります。従いまして鉄材の値上りについては影響を受けないのであります。
○委員長(岩沢忠恭君) 本日はこれを以て散会いたします。 午後四時八分散会