予算委員会 第18号
- 発言数
- 386 件
- 登壇者
- 41 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1952/12/23
会議録
○委員長(岩沢忠恭君) 只今より予算委員会を開会いたします。先ず昨日の委員長理事打合せ会において協議決定した事項についてお諮りをいたします。昭和二十七年度補正予算に対する質疑は本日を以て終了し、明二十四日午後討論採決に入ることを申合せたのでありますが、そのように決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩沢忠恭君) 御異議ないと認めます。 それでは只今より質疑を続行いたします。石川君。
○石川榮一君 私は時間が非常に制約されておりますので、簡単に六つの項目に亘りまして政府の所信をお質しいたしたいと思います。第一にお伺いいたしたいことは治山、治水、利水、この問題が戦後占領下に置かれますために政府の施策が十分に行われておらないという観点に立ちまして、独立を回復しました今日いよいよ自主独立の予算を御編成に相成ります今日におきまして、特に政府に向いまして治山、治水、利水に対する政策の確立と、これらに対する大幅の予算の編成とを要請するものであります。その理由は簡単に申上げますが、敗戦後御承知のごとく国土が六十八万平方粁から三十七万平方粁のいわゆる四五%の領土へ圧縮されておるのでありますし、而してこの四つの島に閉じ込められました人口は只今八千五百万と言われております。その人口は戦後において今日まで約八百万人激増しております。現在でも産児制限が唱えられておりましても百二十万程度の人口増は必至であります。こういう観点に立ちますと、昭和三十五年度におきまして九千五百万、昭和四十年度になりますると、一億を突破するでありましよう。而もこの人口は無限に増加して参るのであります。この狭小なる国土にこの厖大なる人口を包容して生活を改善し、文化の恵沢に浴せしめるような文化国家の建設は非常なる決意が必要であると思うのであります。然るにこの四つの島にありますところのいわゆる食糧基地である農耕地は、全国直轄河川七十六本、中小河川千四百本、その他を加えまして約二千本の川がその中心をなしておるのであります。この川のそばにあります沃野、これが一意の人口を四十年において包容し得る食糧基地と相成らねばならんのであります。然るにこの河川は戦時戦後を通じまして殆んど放任されております。従いまして、山は過伐濫伐に陥り、山地は恐るべき荒廃を来しております。河川の維持管理も思うに任せませんで、殆んど各河川がまさに決潰の前夜にあるような様想を呈しておりますことは御承知の通りであろうと思う。こういうような治山治水、利水政策で日本の大きな人口を包容し、狭小なる領土で以て生活を確保し、いわゆる文化の生活を営まんとする理想を持つ我が日本がやつて行けるでありましようか。戦後七年間に亘ります治山治水に投入した財政投資は微弱なものであります。政府の発表せられましたものから考えましても、例えば本年の予算を比較いたしましても、本年追加を加えますると九千三百億円にもなるでありましよう。にもかかわらず我が直轄河川の重要河川で沃野を培養するところのとの河川費は僅かに九十億、そのパーセンテージは失礼でありまするが僅が一分程度であります。百分の一であります。全国の都道府県が管轄しております中小河川、これに対する国費の投入は僅かに五十億円であります。百四十億円程度で、一分三厘程度で全国の河川を賄おうと、こういう無謀な私は治山治水政策というものはあり得ないと思うのです。それは今まで占領下にありましたということから止むを得ないと考えます。私どもも占領下におきまして随分米軍にはあらゆる面からこういう面を陳情したことがあるのでありまするが、なかなか思うに任せませんでした。ことにおいて政府は思い切つた治山治水、利水政策を確立して、そうして少くも十年間程度これらの荒れ果てた食糧基地の根幹でありまする治山治水、利水の財政投資に対しまして格段の配慮をすべきではないかと思うのであります。只今電源開発と言い、食糧増産五ヵ年計画と言いますが、これは治山治水を措いてそれらの計画が立つでありましようか。ややもすると窮迫した状況に追込まれまして、国家の向うべき恒久対策が疎ぜられる傾向があるのでありますが、どうか政府におかれましては、この電源開発の事業、食糧増産五ヵ年計画は立派なものであります。是非ともこれを遂行して欲しいのでありまするが、その中心をなすものは山であり川であります。電源開発も食糧増産の農地改良も、根幹となるととろの河川が荒れておつて、どこに電源開発がありましよう。どこに食糧増産ができるでありましよう。こういう観点に立ちまして、電源開発事業、食糧増産事業は勿論緊急でありまするが、それにも増してその根幹をなすところの治山治水、いわゆる国土の保全開発ということを中心にしてこれらの計画は編み出さねばならんと私は考えるのであります。こういう観点に立ちまして率直な政府の御見解を伺いたいのであります。まさに二十八年度の予算の編成査定に入つております。建設省は昭和二十四年度から十ヵ年の重要河川に関する計画を以ちまして治水の完璧を期せんとする計画が事務当局において立案されました。この予算は総計で大体五千億であります。今日、二十四年から二十七年度まで四ヵ年間に投入せられましたところの河川費は僅かに三百億足らずであります。その計画の四年開で約一二%、一年に三%であります。三%ということはこの計画の十年計画では三十三年かかることを物語つておるのであります。年々歳々の災害は御承知のごとく終戦後頻発しております。その災害の総額は二十二年のカスリン台風以来約六千億に達しております。国家が施行いたしまする土木、或いは農業施設或いは農地山地その他の施設に対する災害だけでも、政府が只今私どもに配付せられました数字を見ますると、二十三年から二十六年まで四ヵ年間に三千百七十三億万円であります。これに対しましてこの災害の復旧費は千七百五十四億を取つております。これは非常な大きな額でありまするが、その災害の施設に対する復旧の状況は五五%、本年から昭和二十八年後において残りますものが千四百十八億に達しております。四五%は生々しい残骸そのままで明年度の風水害に対処せんとする状況なんであります。かくのごとき状況で行きますならば災害亡国になるでありましよう。国家予算の大部分を投入しても全国の河川を救うことのできない窮地に追込れるでありましよう。こういう観点に立ちまして、吉田内閣におきましては今までの占領政策下における治山治水政策に対する貧困を、この独立を契機に大幅に増額をいたしまして、電源開発、食糧増産等を抱擁するところの大国策を立ててもらいたい。基本的な政策を立ててもらいたい。これなくしては四千万の農民は晏如たり得ないのであります。中小工業者の工場の浸水流出等恐るべきものがあるのでありまするから、これらの観点に立ちまして治山治水、利水の災害の根本をせん除するところの方策を立ててほしい、これが国民多数の要望であると信じまして、この点を特に大蔵大臣、建設大臣の御所見をお伺いしたいのであります。
○国務大臣(向井忠晴君) お説は御尤もでございまして、これからはほかの省、例えば建設省、それから農林省その他河川山林というふうな、それらと関係のあります省とよく打合せまして金額の増加もできますことならやりたいと思いますが、金を能率的に使う方法を十分に研究しまして、早く治山治水の効果の挙がるようにいたしたいと存じております。
○国務大臣(佐藤榮作君) 御高説御尤もに拝聴いたしたわけでございます。私どもも国土の保全、その根幹をなすものが河川であり、海岸である、殊に水を利用するところの利水という観点に立ちまして大いにその対策を立てなければならない、かように考えております。従いまして今の洪水対策としての河川行政から更に利水まで推し進めましての諸政策を立てて参らなければならないと思います。洪水対策の観点に立ちましては、砂防の大事なこともよくわかります。又直轄河川と言わず、中小河川等につきましても、在来の河川改良の方法につきまして検討を加えまして、最近は多数目的のダム建設というような方法も慫慂いたしておるのでありますが、それは只今御指摘になりましたような観点に立つての諸政策にほかならないのであります。問題はかような重要な問題であります。その事業に対する予算の計上問題と考えますので、只今大蔵大臣がお話になりましたように、現在の国内情勢からみまして大事なものには違いないのでありますが、財政規模等も勘案いたしまして、適正な配分をいたさざるを得ない現情にあるわけであります。私は建設大臣といたしまして所管大臣としての責任は十分痛感いたしておりまするが、何を申すにいたしましても貧乏予算の編成でありますので、なかなか思うに任せないだろうと思います。ただ今大蔵大臣の御指摘になりましたごとく、やはりかような予算におきましては十分効果の挙るような点を勘案いたしまして、予算の支出等を図つて参らなければならないだろうと考えております。食糧増産の諸計画、或いは電源開発の諸計画等もそれぞれ進められておりまするが、これらのものも御指摘になりました治山治水の総合計画の一環として政府が考えるわけでありまして、並行しての、いわゆる総合開発という観点に立ちまして予算が配分されるわけでありますし、又こういうものの金の使い方等におきまして、これはやはり間接には治山治水にも関係のあることで、好影響をもたらすものであるということもお考えを願いたいと思う次第であります。
○石川榮一君 更に一歩を進めまして御質問いたしますが、大蔵大臣並びに建設大臣の御意見もよくわかります。只今電源開発、食糧増産五ヵ年計画、これらは着々強強推進せられる段階に相成つておるようであります。この電源開発も食糧増産も緊急でありますが、治山治水も非常に緊急なのであります。従いまして政府は電源開発、食糧増産五ヵ年計画、治水五ヵ年計画、これらのものを織込んだところの大きな施策を至急にお立てて願いたい。ばらばらに電源開発をやり、ばらばらに農地改良をやるということは私ども非常に予算を無駄に使うと考えるのであります。又国とせられましては大所高所に立つてなすべきでありまして、はつきりしたこういうふうな大きな問題は総合的に勘案しなければ後に悔いを残し、又予算が濫費される傾向があるのであります。ややもするとトラブルが起りまして事業を停滞に陥れることもあり得るのであります。こういう観点に立ちましてこの三の事業を総合いたしまして、そして一つの大きな策としまして基本方針をきめて欲しいと思うのであります。御所見を伺います。これも大蔵大臣、建設大臣、これは電源開発でありますから、通産大臣にも御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(向井忠晴君) 御趣旨の通りにやらないと無駄な金を使うというか、或いは無駄でないまでも順序を失するようなことが起りがちと存じますので、今おつしやいましたような方法を何らか考えまして各部門における仕事の進め方をまとめて頂くということにいたしたいと存じまして、その方法を研究いたします。
○国務大臣(佐藤榮作君) 御指摘の通り関係事業を総合的に計画し、総合的に進めて参ることは最も必要なことだと思います。而して只今の事業執行等から考えますると、政府自身が総合的な機能を発揮いたしますが、それから先はそれぞれの分科分業の方法によつて事務、事業を担当して参ることになるのではないかと思います。これらもいろいろ御議論はあろうと思いまするが、現在の状況の下におきましては、それぞれの事業が専門化し、分業化することは考えられる趣意でありますので、ただ専門化し、分業化した場合に関係の箇所が一層連繋を緊密にする要はあると考えます。その調整は政府自体がとるべきものであると、かように考えておる次第でございます。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 電源開発の急務なることは申すまでもございませんが、但しこの水の利用に属するものは、御承知の如く単に電源開発のみの点から見るわけには参りません。従いまして農業用水、工業用水等の問題も考えなければなりませんし、又今仰せになりましたような治山治水、或いは鉱物資源等各種の問題にも相関連いたしておりますので、総合的見地からこれを処理することでなければ効果は挙げ得ないと思うのでありまして、よく各省とも協議をいたしまして、総合的計画の下に電源開発の仕事を進めて参りたい、かように考えておる次第でございます。
○石川榮一君 大体御意見のあるところを伺いましたが、更に一歩を進めまして、各省が緊密に連絡をとつて協議の上でおやりになるということは、これは当然であります。若しさような傾向に運行をして行くという場合に、事務当局がややもすると各省のブロツク的な観点に立ちましてセクシヨナリズムを起しやすいのであります。現に河川法といい、海岸保全法といい、あらゆる水に関する法令を施行しようといたしましても、各省の事務当局の意見は必ずしも一致しないのであります。それがために未だ提案を見ることができません。私は各省ごとに御相談になることも結構でありまするが、百尺竿頭一歩を進めまして、吉田総理は常に行政の簡素化、行政能率を促進させるためには行政機構の簡素化をやるのだということを言われておるのであります。前国会においては必ずしも成功しませんでしたが、このたびの予算委員会における総理の答弁にははつきりその点を謳つております。私もこれには共感をいたすのであります。こういう観点に立ちまして少くも水に関係を持つものの行政は一元化すべきである、各省に分れておること自体がおかしいのである、現在の行政機構は必ずしも理想的ではないのであります。殊に電源開発といい、土地改良といい、治山治水といい、全部不可分の関係にあるのであります。緊密不可分の関係にあるものを殊更に行政機構を異にし、そうしてややもするとトラブルを起しやすいような状況に追込んでこの問題を処理することは非常に困難だと考えますので、この際行政の簡素化、能率化を図る意味から、水に関連を持つところの行政を一元化するお考えがありまするかどうか、又あらしめるように御努力が願えるかどうか、私は特に水の問題を扱うところの仮称水資源省のようなもの、先ほど国土省と言われましたが、道路とか水に関するものは一本の行政機構にまとめまして、強力に而も予算を重点的に投入することによつてこれらの大問題を処理すべきである、かように考えるのであります。御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 今まで国土省という構想があつたことは御指摘の通りであります。又只今は水資源省という仮称の下に水に関する行政を統一したらどうか、こういうお話でございます。これも立派な一つの御意見だと思いまするが、私どもといたしましては先ほども申したのでございますが、この利水の観点に立ちますると、それぞれ専門化して参る部門があるわけでございますので、なかなか専門的な関係から見まして一省に統一するということは現在の状況で直ちにできることかどうか、いろいろ工夫しなければならない点が多いように思います。勿論行政機構の改革をいたすのでありますから、少んの摩擦のあることは当然予想されるところでありまするが、現在の状況の下においてそれが適当なりや否や、まだ私自身には結論が出ておりません。むしろ私が先ほど来申上げますように各省の関係を緊密にすることがより必要ではないか。私自身も長く役所に勤めておりましたので、役所のそれぞれの立場からいろいろの意見を出すことを、これは場合によりますとにがにがしくも考えることもあるのであります。併し同時にそれは自分たちの担当の業務についての熱意の現われでもあるのでありまして、一概に非難すべきことでもないようにも考えられておるのであります。私どもの建設省の所管から考えまして、御指摘になりました例えば河川法の改正を最も必要としておるにかかわらず、なお提案ができないではないか、或いは海岸保全についてのよるべき根拠法規がないじやないか、かような御指摘のことも、ひとり建設省ばかりではなく、関係省等もこれには多大の関心を持つておる次第でございます。私どもは只今御指摘になりましたような機構の統一を図る前に、先ずなすべき仕事としては、御指摘になりましたような河川法の改正を企画し、一日も早くその法案の御審議を願えるように準備すること、又海岸保全法案も皆さまがたの御斡旋によりまして試案も得ておるやに伺つておりますので、これらの法案も早急に提案いたしまして、御審議を賜わり、そうして先ほど来申上げますような総合的な施策は勿論その目的を達するように総合的に物事をきめて参る、そうして各省の分担の範囲において相互助け合つての立派な国策遂行を期して参りたい、かように考えておる次第であります。結論的に申しますると、只今は国土省或いは水資源省、これを設置するというような考え方にまで研究が進んでおりません。只今の状況の下におきましては建設省所管の河川法、これを改正することが一番急務ではないか、かように考えまして、関係省ともたびたび折衝を重ねておるような次第であります。私の見るところでは、近提案をして皆さまがたの御審議を賜わるように是非いたしたい、かように考えておる次第でございます。
○石川榮一君 只今建設大臣の御所見は一応私ども心得ますが、思い切つて水資源省的なものをお作り下さるならば、私どもは決して治山治水の完璧を強いない、今顧でのトラブル的な機構で行きましては、ことごとに予算の分捕り戦に陥りまして、おのおのの特定の事業にのみ没頭し、総合的な計画の関連性が薄くなる、こういう観点に立ちまして、水資源省的な、名前は何でも結構でありますが、是非とも水の政治は一本建にする、少くとも治山治水が立派に仕上るまでは、その期間は五年でも十年でも結構であります。その大きな問題を処理するまでの間にかくのごとき強い政治力を持つところの機構の必要があるということを私は強く進言をいたします。 更にお伺いしたいことは、国土総合開発法の改正法が前国会に通過いたしました。これは治山治水を余りになおざりにいたしましたので、利根川総合開発法案、或いは只見川開発法案、その他の河川から続々と単独立法としての要望が出て参つたのであります。この大きな治山治水の要望を一つに取りまとめて、政府が中心になりまして検総合いたしまして、そして一つの大きな策としまして基本方針をきめて欲しいと思うのであります。御所見を伺います。これも大蔵大臣、建設大臣、これは電源開発でありますから、通産大臣にも御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(向井忠晴君) 御趣旨の通りにやらないと無駄な金を使うというか、或いは無駄でないまでも順序を失するようなことが起りがちと存じますので、今おつしやいましたような方法を何らか考えまして各部門における仕事の進め方をまとめて頂くということにいたしたいと存じまして、その方法を研究いたします。
○国務大臣(佐藤榮作君) 御指摘の通り関係事業を総合的に計画し、総合的に進めて参ることは最も必要なことだと思います。而して只今の事業執行等から考えますると、政府自身が総合的な機能を発揮いたしますが、それから先はそれぞれの分科分業の方法によつて事務、事業を担当して参ることになるのではないかと思います。これらもいろいろ御議論はあろうと思いまするが、現在の状況の下におきましては、それぞれの事業が専門化し、分業化することは考えられる趣意でありますので、ただ専門化し、分業化した場合に関係の箇所が一層連繋を緊密にする要はあると考えます。その調整は政府自体がとるべきものであると、かように考えておる次第でございます。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 電源開発の急務なることは申すまでもございませんが、但しこの水の利用に属するものは、御承知の如く単に電源開発のみの点から見るわけには参りません。従いまして農業用水、工業用水等の問題も考えなければなりませんし、又今仰せになりましたような治山治水、或いは鉱物資源等各種の問題にも相関連いたしておりますので、総合的見地からこれを処理することでなければ効果は挙げ得ないと思うのでありまして、よく各省とも協議をいたしまして、総合的計画の下に電源開発の仕事を進めて参りたい、かように考えておる次第でございます。
○石川榮一君 大体御意見のあるところを伺いましたが、更に一歩を進めまして、各省が緊密に連絡をとつて協議の上でおやりになるということは、これは当然であります。若しさような傾向に運行をして行くという場合に、事務当局がややもすると各省のブロツク的な観点に立ちましてセクシヨナリズムを起しやすいのであります。現に河川法といい、海岸保全法といい、あらゆる水に関する法令を施行しようといたしましても、各省の事務当局の意見は必ずしも一致しないのであります。それがために未だ提案を見ることができません。私は各省ごとに御相談になることも結構でありまするが、百尺竿頭一歩を進めまして、吉田総理は常に行政の簡素化、行政能率を促進させるためには行政機構の簡素化をやるのだということを言われておるのであります。前国会においては必ずしも成功しませんでしたが、このたびの予算委員会における総理の答弁にははつきりその点を謳つております。私もこれには共感をいたすのであります。こういう観点に立ちまして少くも水に関係を持つものの行政は一元化すべきである、各省に分れておること自体がおかしいのである、現在の行政機構は必ずしも理想的ではないのであります。殊に電源開発といい、土地改良といい、治山治水といい、全部不可分の関係にあるのであります。緊密不可分の関係にあるものを殊更に行政機構を異にし、そうしてややもするとトラブルを起しやすいような状況に追込んでこの問題を処理することは非常に困難だと考えますので、この際行政の簡素化、能率化を図る意味から、水に関連を持つところの行政を一元化するお考えがありまするかどうか、又あらしめるように御努力が願えるかどうか、私は特に水の問題を扱うところの仮称水資源省のようなもの、先ほど国土省と言われましたが、道路とか水に関するものは一本の行政機構にまとめまして、強力に而も予算を重点的に投入することによつてこれらの大問題を処理すべきである、かように考えるのであります。御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 今まで国土省という構想があつたことは御指摘の通りであります。又只今は水資源省という仮称の下に水に関する行政を統一したらどうか、こういうお話でございます。これも立派な一つの御意見だと思いまするが、私どもといたしましては先ほども申したのでございますが、この利水の観点に立ちますると、それぞれ専門化して参る部門があるわけでございますので、なかなか専門的な関係から見まして一省に統一するということは現在の状況で直ちにできることかどうか、いろいろ工夫しなければならない点が多いように思います。勿論行政機構の改革をいたすのでありますから、少んの摩擦のあることは当然予想されるところでありまするが、現在の状況の下においてそれが適当なりや否や、まだ私自身には結論が出ておりません。むしろ私が先ほど来申上げますように各省の関係を緊密にすることがより必要ではないか。私自身も長く役所に勤めておりましたので、役所のそれぞれの立場からいろいろの意見を出すことを、これは場合によりますとにがにがしくも考えることもあるのであります。併し同時にそれは自分たちの担当の業務についての熱意の現われでもあるのでありまして、一概に非難すべきことでもないようにも考えられておるのであります。私どもの建設省の所管から考えまして、御指摘になりました例えば河川法の改正を最も必要としておるにかかわらず、なお提案ができないではないか、或いは海岸保全についてのよるべき根拠法規がないじやないか、かような御指摘のことも、ひとり建設省ばかりではなく、関係省等もこれには多大の関心を持つておる次第でございます。私どもは只今御指摘になりましたような機構の統一を図る前に、先ずなすべき仕事としては、御指摘になりましたような河川法の改正を企画し、一日も早くその法案の御審議を願えるように準備すること、又海岸保全法案も皆さまがたの御斡旋によりまして試案も得ておるやに伺つておりますので、これらの法案も早急に提案いたしまして、御審議を賜わり、そうして先ほど来申上げますような総合的な施策は勿論その目的を達するように総合的に物事をきめて参る、そうして各省の分担の範囲において相互助け合つての立派な国策遂行を期して参りたい、かように考えておる次第であります。結論的に申しますると、只今は国土省或いは水資源省、これを設置するというような考え方にまで研究が進んでおりません。只今の状況の下におきましては建設省所管の河川法、これを改正することが一番急務ではないか、かように考えまして、関係省ともたびたび折衝を重ねておるような次第であります。私の見るところでは、近提案をして皆さまがたの御審議を賜わるように是非いたしたい、かように考えておる次第でございます。
○石川榮一君 只今建設大臣の御所見は一応私ども心得ますが、思い切つて水資源省的なものをお作り下さるならば、私どもは決して治山治水の完璧を強いない、今顧でのトラブル的な機構で行きましては、ことごとに予算の分捕り戦に陥りまして、おのおのの特定の事業にのみ没頭し、総合的な計画の関連性が薄くなる、こういう観点に立ちまして、水資源省的な、名前は何でも結構でありますが、是非とも水の政治は一本建にする、少くとも治山治水が立派に仕上るまでは、その期間は五年でも十年でも結構であります。その大きな問題を処理するまでの間にかくのごとき強い政治力を持つところの機構の必要があるということを私は強く進言をいたします。 更にお伺いしたいことは、国土総合開発法の改正法が前国会に通過いたしました。これは治山治水を余りになおざりにいたしましたので、利根川総合開発法案、或いは只見川開発法案、その他の河川から続々と単独立法としての要望が出て参つたのであります。この大きな治山治水の要望を一つに取りまとめて、政府が中心になりまして検説御尤もと感ずる次第であります。そこで、如何にしてこの勤労意欲を、生産意欲を向上せしめるか、そういうような問題のようでございますが、私どもとしましては全力を挙げてそういう方面に努力をいたしております。具体的に申上げますならば、これは池田さんの御説のように、如何に食糧増産が日本の自立経済の根幹をなすということを政府が声を大にし、或いは役所が大いにこれを推進いたしましても、これは生産農民がその気持で御協力を願わないことには、その目的を達成するわけには参りません。そこで、明るい希望の持てるような農村を作るととが何より先決であると、かように考えておるような次第であります。そこで、現在食糧増産に最も必要であり、且つ農村方面の希望もありまする土地改良というような点に先づ第一に重点を置いたり、或いは又無畜農家の解消、即ち有畜農家の創設というような点にも力を注ぎ、或いは又御承知のように、農村は原始産業であり、又担保力が非常に不足でありまするので、これに対しまして金融面につきましても、非常に現在困つておるような状態でございまするが、その方面につきましてもいろいろの施策等をやりまして、そうして明るい希望の持てるような、そういう線を漸次やつて参りたいと、こういうつもりでやつております。
○池田宇右衞門君 政府は只今農村漁業資金の融通と言いましたが、今回の補正予算案の補助費として、五億七千六百三十一万三千円を追加要求し、その他農林漁業予算に二百八億以上の融資をお説の通り実行しつつあります。併しながら、農業協同組合は、御承知の通り日々衰退の様相を増しております。政府はこの事実を見まして、今後これに対するところの如何なる手を打たんとしているか、協同組合の組織は申上げるまでもなく、日本の農家に準備や自覚のないのにもかかわらず、天降り的組織を命じたので、農村にしつくり合わない弊害は認めたので、このたび団体の再編成を提案されておると、かように信じます。併し弾力性が弱まり、自主性が欠けんといたす……只今の答弁にありましたような、農家みずからは叩かなければ意欲が出ないのですが、農家、農村に対して敗戦後に最も欠けておるのは技術指導の徹底である。この技術指導の徹底は一元化されなければならないと思うが、国費を十分に支弁いたしまして、この一本化によつて農村の堅実な育成に当るところの御計画をお持ちになつておるかどうかお尋ねいたします。
○政府委員(松浦東介君) 先ほど申上げましたように、健全な農村を作るという意味におきまして、あらゆる角度からこれをやつておるつもりでございますが、只今詳説のように、その一つには農業団体の統合問題も入つておるわけでございます。只今他出さんがお述べになりましたように、現在の協同組合も甚だ不活溌な状態にもありまするし、又農業委員会等も所期の目的を達するにはまだまだ道遠いような感じもありまして、今回の食糧増産対策五ヵ年計画等の大きな計画をやりますにも、どうしてもこの際農業団体が統合する必要があるのではないか、こういうような機運がいろいろ輿論となつて澎湃として起きておるようでございます。そこで政府としましては、これは成るべく農業団体の自主的なそういう気持を尊重いたしまして、そうして事務的にはいろいろお手伝い申上げておりますけれども、そういう自主的な気持がだんだん一つの結論を生むようなことを期待いたしておるようなわけでございまして、我々は現在今こそ非常に農業団体が統合するには絶好の機会ではないか、こういうように考えて期待をいたしてみるような次第でございます。
○池田宇右衞門君 生産費を割るような石当り七千五百円の米価は農家の犠牲的供出と考える。政府は輸入米と比較してこの米価改訂を今後行う考えがあるかどうか、又供出米に対しましては、昨年度実行した超過供出奨励金に対しては勿論、早期供出に対しても免税を断行されたと承知しておる。そこで今回はこれに対して議員立法で提出いたしまして、超過供出奨励金に対する又早期供出奨励金に対するところの免税を断行するように聞くが、大蔵大臣はこれに対して議員立法をせざる前に免税を断行する用意があるか。昨年度やつたのを今年度廃止したという理由はどこにあるか、この点をお尋ねいたします。
○国務大臣(向井忠晴君) 初めの御質問は、外国の米に比べて安い日本の米を高くする考えがあるかということですか。
○池田宇右衞門君 そうです。
○国務大臣(向井忠晴君) この点は十分に研究をしませんと、只今御返事ができませんです。外米の高いのはお話の通りでございますが、これも或いは買い方によつては今の値段よりは安く買えるように私は考えておるのでございますが、それにしましても外米のほうが或いは高いことになるかと存じますが、それにつきましての日本の米価ということは慎重に研究したいと思います。それから供出米の免税ということは、これはほかの農産物とか、或いはほかの商品というものとの関連もございまして、全部免税ということは不適当だと考えますが、又それから飯米農家との均衡からも増えまして、又財政全体の収入を減ずるという点から言いましても、供米全部に対する免税ということはむずかしいと存じますが、超過供出奨励金、それから供出完遂奨励金、この両方につきましては、その後食糧対策ということの見地から、篤と考えました結果、免税も止むを得ないというふうに存じております。但し早場米の奨励金につきましては、すでにその半分は経費として見ておりまして、半分だけに税をかけておるのであります。それの免税ということは、実際問題として賛成いたしかねる次第でございます。
○池田宇右衞門君 将来の考え方はあるが、今のところはしないと言うが、農家が努力して、又節約して供出した、早期供出奨励金、超過供出に対する奨励金に対しては、当然免税するのが当を得た処置である、ここが政治だ。政治は要求される前に手を打つて、農民を納得して行かして、政府に協力態勢を続かさせ、更に生産意欲を向上させるところに政治の妙味があると信ずる。今後これを断行するお考えがあるかどうか。 次に、私の見たところによりますれば、国内において七千万石以上の米が取れておる。外国に対してドルを支払うよりも、これらの手を打ち、仮に米価をつり上げても、日本人の体質に適し、日本人の消費者一般階級が喜ぶ米を、それんぞれの手を経て配給したほうがいいし、又農村がうるおえば、それだけ内地の財政を満たすことになり、そこに安定策が生じて来ることは論を待たないのであります。これらの点につき、大蔵当局は御研究したことがあるか、又今後手を打つ考えがあるか、この二点について更にお尋ねいたします。
○国務大臣(向井忠晴君) 早場米につきましては、お説は伺いましたが、只今のところ先ほど申上げました程度のことにして置きたいと思います。それから外米を入れずに済むという、外米を入れずに済むようにしろという点でございましたね。外米を入れずに済むというふうに……。これは御尤もでございまして、日本の米が大分いわゆる公表されているよりも実収はあるように私も存じますし、それから今後米がいろいろの方法で増収されて、外国の米を買わずに済むような方法を取りたいと思うのでございますが、ただ私は農林当局ではございませんので、的確なことはわかりませんけれども、今まで米を増収するためにいろいろ使つた金が、或いは別の、適当なところに使われていなかつたというふうなことがありはしないかというふうに考えますので、これも最も能率の上る方法で増収のできる方法を取るというふうにしまして、或る年月を経ましたのちに皆が米が食べられるという数字の出るように努力したいと存じております。
○池田宇右衞門君 三百万町歩の水田、二百万町歩の畑地より米麦に対する一割の増収を図れば六百五十万石、米において。麦においてもこれ又米換算において百五十万石以上の増収を得ることができると思う。いわゆる肥培管理の適正化、品種の改良、肥料の適正配分等によつては、これらが実現して来ることが極めて楽であると信じます。今日の反当り二石二、三斗というような農林省の標準は惰農の標準であるのであります。これに思いを致し、この際莫大な経費を費やしても手近にできるこれらのことは、下部組織たるところの農事実行組合を拡充強化して活躍する農村人が協力体制をするときには実現すると思うが、これに対する農林当局の計画及び方法を考えておるかどうかということをお尋ねいたします。
○政府委員(松浦東介君) 今日政府が取つておりまする農業政策は決して惰農中心ではないと思つておりますが、お説もありますので、よく研究いたしたいと思います。食糧増産につきましては、いろいろ抱負はありますが、先ほど申上げましたように、その手段としましては、土地改良でありますとか、或いは有畜農家の奨励であるとかありますけれども、もう一つは今おつしやられたような、科学的にいろいろなものを使つて、秋落ち防止をするとか、或いは病虫害の駆除であるとか、こういう面につきましても研究いたしたいと、かように考えます。
○吉川末次郎君 私は印紙贋造事件について、専ら法務大臣、官房長官、国警長官並びに大蔵省、大蔵大臣、大蔵大臣はここにおいでになりますが、そのほか郵政、通産或いに農林等の当局からいろいろ御返事を得たいというふうに、かねて委員長に通告をいたしてあるのでありますが、大蔵大臣は御出席になつておりますが、私が要求いたしております法務大臣、国警長官、官房長官その他の諸君はまだおいでになつておらんようでありますが、至急一つここへ来て頂くように御処置が願いたいのでありますが、その間に今当面いたしておりまするそれ以外のことについて、たつた一つ大蔵大臣に簡単に、大蔵大臣が御出席でありますから、この機会にお尋ねいたしまして御答弁を得ておきたいと思うのであります。 それは数日来、この委員会におきまして非常に論議の対象になりました衆議院議決の予算案の附帯決議の処置についての問題でありますが、特に公務員の給与改善につきましては、大蔵大臣の説明要旨によりますというと、一般公務員については、年末に際し現行の法令及び予算の範囲内において、超過勤務の実情に即し、第四半期分の超過勤務手当を年内に繰上げて支給する等の措置を講ずる、こういうふうに語つてありまして、これを中心として盛んなる論議が先般来行われたのでありますが、私は野党の一委員として特に申上げたいのでありますが、この給与改訂の問題につきましては、我々のほうでは予算に対する修正案を衆議院において出しておるのでありますから、一応私たちの意のあるところは政府当局もすでによく御承知のことだろうと思いますが、今それから離れまして、当面いたしておりまする緊急の問題でありまするいわゆる超過勤務手当の形式において既定の一ヵ月以外に〇・二五の給与改善と言いますか、増額が行われるということについてでありますが、その法令上或いはその他の形式上の問題というようなものは決してこれは閑却し、等閑に附しておるわけではないのでありますが、とにかく正月を前にいたしまして、国家公務員といい、或いは地方公務員のかたといい、非常な期待をそのことに持つておると考えるのであります。それで今日予算委員会の開会が非常に遅れたのでありますが、これは私の推察でありますから聞違つておるかも知れませんが、閣議をお開きになつたからだと思いますが、その閣議においてもその処置について何か内閣の本日の閣議等においておきめになつたようなことがあるのではないか。我々は形式論議は別としてとにかくも衆議院の附帯決議は公務員の給与の改善ということにあるのでありますから、結局のところ結論として公務員の給与の改善結果を生むならば、差当りはまあそれでいいのであります。でありまするから、私が今申上げましたような意味におきまして、実質的な給与改善にそれがなるということについて形式のこに拘泥しないで予算措置、その他の方法において何か政府のほうで我々の先般来の論議に応えるために御決定になつたことがあるのではないか、あるならばそれを一つこの機会において声明して頂きたいと思うのであります。それには私たちの考えとしては、又この議場におけるところのいろいろな論議の肚の中には、地方公務員も国家公務員と同様な給与改善に資する結果を得たいということ、それから超過勤務手当は法令上学校教員にはないけれども、併しそうしたことを余りやかましく言わないで、学校の先生も国家公務員及び地方公務員と同じようにやはり一カ月以外に〇・二五の給与をこの際正月を前してもらうようにしてもらいたい、そうした肚であると思うのでありますが、それについてどうぞ一つこの機会に内閣で御決定になりましたようなことがありましたら、又大蔵大臣としても暮に迫つておることでありますから、彼らを安心させ、喜ばして頂くという意味において、この際御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(向井忠晴君) 只今おつしやいましたうちに、国家公務員に対しまして〇・二五ヵ月ということをおつしやいましたが、私はそれは考えておりません。今までにもそれは申したことはありませんから、念のため申上げておきます。今日の閣議でも別に今日まで私の申上げましたほかのことはきめておりません。
○吉川末次郎君 その問題につきましては一応それで打切りまして、お答えを承わるだけにしておきます。大臣、法務総裁その他の御出席を要求しておりますが、委員長如何がですか。
○委員長(岩沢忠恭君) 連絡いたしましたところ、法務総裁、国警長官は法務委員会に出ておられていずれも外せないということです。十二時には来ると申しております。
○吉川末次郎君 大体通告しておりますから、私の問わんとする内容については若干知つておられると思いますが、応問が急がれておりますので、大蔵大臣もおいでになるので、大蔵大臣の御答弁を得たいと思いますので質問を展開いたしたいと思います。 私がお聞きしたいと思つておりますことは、多数の国家公務員の不正に絡むいわゆる印紙偽造事件、これは本年の五、六月頃から七、八月頃に全国の新聞に非常にこのことが大きく伝えられたのでありますが、その後それがどうなつたかということが甚だはつきりしておらんので私はお尋ねいたすのでありますが、私が今ここに取上げております事件と申しますのは、新聞紙の報道等を中心にして申上げますというと、一度貼られたところの印紙、それには当然に消印があるのでありますが、その印紙の貼られた書類を収蔵いたしておりますところの各省の役所でありますが、例えば法務省の登記所であるとか、或いは特許局であるとか、建設省、通産省、各方面でそういう印紙を印紙税として使用いたしまして国家に金を支払うのでありますが、その一度使われました消印の押されたところの印紙を各省の官吏が、主としてそれは下級の官吏であると考えますが、中には新聞の報道によりますると、課長級の職員等も関係があるとまで言われておるのでありまするが、それが倉庫か何かそういう古書類を収蔵いたしておりまするところから持出しまして、そうしてその印紙を剥しまして、而もそれは非常な高額の印紙ばかりであります。それを剥しまして、それを薬品で以て消印を消して、そうして再生というのでありますか、きれいにしきて、いろいろな方面から新しい印紙として販売いたしておつたのであります。そうした古い印紙の贋造印紙は世間ではそのブローカーをいたしておりました権正でありますが、権正印紙という名で非常に広く流通いたしておつたのでありますが、朝日新聞の記事等によりますと、大体その総額は二百億円を超えるだろう、こういうふうに伝えておるのであります。二百億円と申しますと、今度御提出になつたところの補正予算の四分一よりもまだ幾らか多いのでありまして、公務員の給与問題が大いに論議されておりますが、こんな二百億円というような金がありますれば、この問題は立ちどころに解決できるものであると考えるのであります。今或る新聞が書いておりますところによりますというと、東京都内だけで実際に使用されているところの印紙の年額を平均するというと、収入印紙、取引高税の印紙と合せて、法務省では民事関係で約二十五億、刑事関係で約十二億五千万円、東京法務局の全出張所で約十七億円、通産省では通産関係約三億五千八百万円、特許関係が約一億六千万円、東京都庁関係が二億一千万円、建設省では、土建業者と一級、二級建築士の登録に約二千八百万円、厚生省では医師、薬剤士などの登録で以て約七千一百万円、そのほかを合計するというと、東京都内だけで年額五十億円ほどの印紙が使われると書かれておるのでありますが、ところが最近においては、その使われるところの印紙、殊に高額の印紙というものは、むしろそうした消印を消しまして贋造しましたところの、再製しましたところの、こういう不正印紙のほうが多かつたというようなことが伝えられておるのであります。又取引高税の印紙についてでありますが、これも今のように収入印紙と同じようにこれが使われまして、新聞記事にも「取引高税印紙高価に買います」という広告が出ておつたということを報道いたしておりますが、私も何かそういう広告が新聞に出ておつたような記憶が今でもあるのであります。そこでお尋ねいたしたいことは、この事件はその後どうなつたのかということを法務大臣おいでにならんようでありますが、私は法務大臣と国警長官から先ず第一にこれを聞かしてもらいたいと思つておるわけであります。おいでになつてからもう一度繰返して……。
○委員長(岩沢忠恭君) 法務大臣見えました。
○吉川末次郎君 それでは法務大臣から先ず御答弁を願いまして、そうして補足的に法務大臣の御答弁が足らないところがありましたら、一つ国警長官から足して頂いて、大体に検挙された犯罪容疑者の数というものがどれほどあつたのか、その中で行政庁別にして国家公務員であつた者の数はどれくらいあるか、それを各省別に御調査の結果を知らして頂きたい。それからそのうちで起訴されたものは何人であるか、そして又各省別に一つ知らして頂きたい。 それからこれは大蔵大臣のほうからも御答弁願いたいと思いますが、新聞は先ほど申しましたように、二百億というようなことを言つておりますが、国庫の被害の見積額は大体どれくらいになるか、それから犯罪容疑事実の中で特に注目すべき点があつたらそれらの点について一つ我々に明らかにしてもらいたい。そのほかこの事件の内容を役所の調査を通じて我々にはつきりさして頂くということが目的でありますから、参考になる点があつたならば法務大臣及び国警長官から御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(犬養健君) お答えをいたします。法務委員会へ出て途中からこちらへ参りましたので、或いは御質問の御趣旨に対してそれるようなことがございましたら、再び御質問を頂きまして、答弁をさして頂きたいと思います。 この事件は率直に申上げまして誠に遺憾な事件でございます。事の起りは、商工業及び農業とか水産業ということに関係のあります役所にたまたま保管されております収入印紙を持出す者がございまして、それが又ブローカーの手に渡りまして、そこに又一部の不埒な役人がおどりまして、ブローカーの手によつて消印を薬品で消しまして、そうして又これを登記所などで使つておつた、こういう事件でございます。誠に遺憾な事件でございますが、起訴された数は私の手許にありますのは、法務省のほうで起訴されたものは大体十四名でありまして、そのうち一名は退職者、収賄が八名、この八名のうち一名が退職者、収賄及び印紙犯罪処罰法違反二名、印紙犯罪処罰法違反四名、こういうようなことになつております。犯罪に関しました金額は、私は誠に恐れ入る次第でありますが、私が聞き及んでおるのでもまちまちな点もございますから、政府委員から答弁さしたいと思つております。 今後再びこういうことを繰返さないということが非常に大切だと思うのでありますが、今考えております点は二つございます。これは保管の方法を更に厳重にする。それから薬品で消されるような消印を使うことがもともと間違いでございますので、何と申しますか、ぶちぬいて穴があくような消印に変えたいと存じております。私のほうの役所の役人に対しては、就任早々このことを聞きまして、厳重に過去のことを戒告いたしますると同時に、今後断じて繰返さざるよう厳重に申渡しをしてあります。同時に只今申上げましたような消印の押し方についてそういう犯罪の起らないような技術的な措置を講じて行きたいと考えております。
○吉川末次郎君 国警長官から補足的に説明があつたら頂きたい。
○政府委員(斎藤昇君) 不正印紙の使用額でございまするが、只今捜査中でありまするので、確実な数字はまだ不明でございまするが、警視庁において取調中の被疑者らが自供いたしました持出窃取額、これは一億五千九百五十万円になつております。全国に亘つておりまするので、もう少し大きな数字になるであろうと考えておる次第でございます。
○吉川末次郎君 大蔵当局からの国庫の損害見積額について御答弁をお願いします。
○政府委員(平田敬一郎君) この問題につきましては、私どもも重大な関心を示しまして、いろいろ調べておるのでございまするが、正確なところどれくらいこれによつて税が減つておるかという数字はなかなかつかみがたい。実際におきまして検挙されました者につきましては、これは実数がございますので、今国警長官からお話のようなものが資料として頂いておるわけでございますが、その他のものが全体としてどれくらいあるかということはなかなかむずかしいのでございます。でございまするが、参考のために最近の印紙の売上げの足取りを申上げまして御参考にいたしたいと思う次第でございまするが、昨年の九月の一月分の印紙の売上げが八十億八百三十万円でございます。昨年の九月、一年前でございますが、それに対しまして最近どうなつているのかということでございますが、本年の一月はこれは季節の関係だと思いますが、少し減りまして七億九百万円、それから二月が九億一千万円、三月が十億五千六百万円、それから四月が十億二千百万円、五月が十億三千七百万円、六月が十億七千百万円、七月が十二億四千五百万円、八月が十一億五千六百万円、九月が十一億四千三百万円、こういう大体売上げの足取りでございます。この途中で取締が開始されまして、取締が開始されましたのちにおきましては、よほど本当の印紙であるかどうか、取扱官庁におきましても御注意願つておると思いまするので、それほどのことはないのじやないかと思うわけでございまして、従いまして、この点から行きまして、新聞紙等に伝えられておりまするような多額なものではないということは予想が付くと思うのでございまするが、具体的に幾らあるかということにつきましてはもう少し取締が進行いたしまして、その結果を待ちまして調査するよりほかない、その場合におきましてもなかなかこの調査は簡単なものではないということを御了承願いたいと思う次第でございます。
○吉川末次郎君 私が御出席を願つておりまする各省の代表者、郵政大臣或いは農林大臣、通産大臣等から個々のそれぞれ先ほど犬養法務大臣から答弁がありましたように、その管轄のそれぞれの各省の中からどれだけの被疑者が出た、どれだけの検挙者が出たかということについての一々御答弁を願いたいと思いますが、特に郵政省の代表者のかたがたには印紙は郵便切手と同じように郵便局で売つておるわけであります。ところがその検挙者の中には新聞の報道によりますると、数台の郵便局長が挙げられておるようでありますが、それらの点について御報告が願えないか。それから又これも新聞の報道でありますが、大蔵省でありますか、この印紙のそうした変造を見分けるところの科学的な設備が郵政省のほうにあるので、そういう手を煩わしていろいろな鑑別を嘱託したというようなことが書いてありますが、それらの問題に触れても一つ郵政大臣がおりませんければ、担当者のほうから御報告を願いたいと思うのであります。先ほど申しましたように、それぞれ代表者から被検挙者数、被疑者数というものを、犬養法務大臣の法務省内の数をお挙げなつたように挙げて頂きたい。それから各省においては犬養法務大臣がお言いになつたように、それに対してどういうような処置をとろうとしていらつしやるかということをそれぞれ附け加えてお話しを願いたい。それから時間がありませんから一つにまとめておきますが、緒方官房長官に対しては、これは新聞の報道よりも非常に損害を小さく見積つた只今御報告がありましたが、いずれもこれは明確にしにくい立場にあつたと思われるのでありますが、併しこれは重大な問題と思われるのであります。それで殊に犬養さんにもう一度御答弁を得たいのでありますが、この法律の正しい運用を期するということについての最も中心的な役所であるところの法務大臣のお膝許で、法の権威を守らなければならないのに、最も多くのこうした不正事件を出すようになつたということは、これは法務省の地位に鑑みて、国民の上に与える精神的影響というものも私は相当深刻なものがあるだろうと思われる。先ほど御答弁がありましたが、犬養さんからもう一度法務省たるの立場からその責任についての御意見を承わりたいと思いますが、それから前後しましたが、緒方さんからは、こういうことが起るということは、我が国の行政機構乃至官吏制度の全般に関係のある問題であると思われます。書類に貼られておりましたところの高額の印紙というものを、貼つたものを変造いたしますというと、今のような利用することのできるように極めて粗末に取扱つて、下級の公務員がそれを引ずり出して悪ブローカーと結託して、それを売ることができるようなことが容易にできるというところに、まあ役所の機構としての私は考えなければならない欠陥があるだろうと思うのでありますが、政府を代表してそうしたことについて官房長官が総括的にどうした方途を将来講じたらいいかというように思つていらつしやるかということについての、できるだけ具体的な御意見を最後に一つ聞かして頂きたいと思います。
○政府委員(平田敬一郎君) 先ほど申上げました数に少し読み違いがございまして恐縮に存じますが、昨年の九月は八十億と申したらしいのですが、八億八百三十万円、昨年の九月でございます、八億八百三十万円でございます、その点訂正申上げます。それからあとの足どりを申上げたわけでございますが、もう一つ補足して申上げておきますが、最近不動産の相場が、価格が一般に上つておりますので、そのことから来ます登録税等の自然の増収の分、それから最近取締が行われましてからそのような不正がないことによつて増加した分、いろいろ収入の中に混つておるわけでございます。そのようなものを精密に計算することはなかなか困難であります。取締の結果に鑑みまして、なお私どもとしましても検討はしてみたいということを附加えておきます。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) この事件に関係を持つた郵政省職員についてお尋ねがありましたが、その点を先ず申上げますと、東京都の本郷四丁目郵便局長滝川某外数名の者が関係がありました。併しこれは職務とは関係がなく、外部の者から依頼されまして売買を斡旋したという事実であります。それでこれは刑事事件としまして目下検察庁或いは裁判所でそれぞれ審理中でありますが、身分上の処置といたしましては、すでに起訴されました分が、局長三名であります。郵政省へこの事件と関連して偽造印紙の鑑定を依頼された事実につきましてお答えを申上げますと、本年七月から八月に亘りまして、浦和地方検察庁及び浦和市警から郵政省監察局に対しまして、偽造印紙の判定依頼がありました。それで写真その他郵政省で設備しております特別の鑑識の機械によりまして鑑定を行なつたことがあります。鑑定をいたしました印紙は二十五年度乃至二十七年度の不動産登記申請書類、商業登記申請書類等に貼付してあります百円、五百円、千円、五千円等の高額の収入印紙及び取引高税印紙であります。数回に亘つて依頼を受けたのでありますが、その都度かなり多数の偽造印紙が混入しているということが確認されたわけであります。その確認の結果によりますと、偽造の方法は大部分が一旦消した印紙面のインキや朱肉を巧妙に洗い落してあつたものであります。 なお、これと関連して考えられることは、郵便局の窓口からの印紙販売の方法であります。この事件は御承知のように郵便局の窓口から販売されたものではございませんで、全く外でいろいろやられたことでありますから、これがために販売の方法等について特に考えなければならんという点はないかと思いますので、今後こういう事件について取締をして行くという点は別個に考えなければならんものと思うのであります。
○吉川末次郎君 その他の役所のかたから……。
○委員長(岩沢忠恭君) 農林省のほうから……。
○政府委員(松浦東介君) 只今の印紙の問題で、農林省の関係者は約五名でございます。身分上の処置は免職いたしました。又今後の対策といたしましては、先ほど犬養国務大臣からお答え申上げましたように、保管を厳重にすること、又打抜き等の処置をとることをやつております。
○政府委員(永山時雄君) お尋ねの使用済印紙の窃取変造の問題につきましては、通産省関係では昨年三月以来これに関係をいたしました者が十四名でございます。懲戒免官をいたしました者が四名、それから休職処分にいたした者が一名、それから依願退職後逮捕された者が二名、それから本年四月の公務員等の懲戒免除に関する法律によつて懲戒免除せられましたが、強制退職をさしたというものが七名、合計十四名で、今後の対策といたしましては、先ほど法務大臣或いは只今農林省からお話になりましたのと同様な措置を講じたいと思つております。
○国務大臣(犬養健君) 先ほどの御質問に再びお答えをいたします。法務省のような性質の役所から十三名こういう者が出ましたことに対しては深く責任を感じております。明らかに私の重大な政治責任と存じております。申し遅れましたが、今判明しておりますところによりますと、この印紙偽造事件で送庁いたした者が約三百七十名、起訴せられたものが百七十名、審理未済のもの百四十七名、大体百五十名というふうに聞いております。法務省関係の現職者の十三名のうち一名は講和恩赦の前に懲戒免職処分にいたしました。他の十二名は恩赦によつて懲戒処分を免れたのでありますが、事情が事情でございますので、特にそのうち八名は休職処分にし、四名は依頼の形で免職いたしました。今後ともこういうことのないように努めたいと存じております。 それからその関係の種類が大体わかつておりますので申上げたいと思います。一般の会社員、不動産仲介業者、印紙売捌人、司法書士、これは私のほうの監督下にあるものであります。六十九名起訴いたしました。弁理士、金融業者、手形ブローカー、新聞広告代理店、古物商、海事代理士、印刷業者、公団職員、それから先ほど申上げましたような関係の公務員、こういうようなことになつております。深く責任を感じておりまして、今後こういうことのないように努めたいと思つております。
○吉川末次郎君 緒方官房長官の御答弁を願います。
○委員長(岩沢忠恭君) 官房長官は今連絡をしておりますが……。
○吉川末次郎君 官房長官はあとからお願いしたいと思いますが、先ほどの大蔵当局の数字についての御答弁でありますが、さつきは印紙の昨年九月における売上高が八十一億というように御報告になつて、今度は一桁間違つて八億何億と言つておられますが、そうしたあなたのほうの御職務柄非常に近接の関係にあるところの印紙売上高等について一桁間違つたような御答弁をおしになるということは非常に無責任な感じを受けるのであります。従つてあなたのおつしやつているところの数字についても何となくまあ信頼しがたいような面があるわけなんですが、先ほど私の質問のうちに言いましたように、これは産業経済新聞の記事でありましたが、東京都内だけで一年に五十億円ぐらい印紙が売られるということがここに書かれておるわけであります。それから二十四年度の印紙の売上高は八十五億八千万円、丁度あなたがさつきお言いになつた八十何億というもののほうがこの少くとも産業経済新聞の記事に符合するのでありますが、余り自信のないような御答弁でありましたが、それはどうなんですか。一つ聞違いのない、はつきりした、印紙が一年にどれだけ売られるかぐらいのことは聞違いのない御答弁がその道のお役人としては……。
○政府委員(平田敬一郎君) どうも大変なことを申上げて恐縮に存じますが、今私が申上げましたのは、実は毎月の売上高を、取締の始まります前後の経過を申上げたほうがいいと思いまして、昨年九月の一月分を申上げたわけであります。そこの上のほうに二十五年度の計の数字がございますが、その数字は八十一億九千六百万円でございます。併しそれよりも毎月の数字をお話申上げましたほうが前後における足取りがわかつていいのじやないかという意味で申上げましたので、その際にどうも読み違いいたしましたことは、これは誠に恐縮に存じます。それからその八億……。
○吉川末次郎君 一ヵ月でなしに、非常に長い間行われたということが新聞に書いてあつたものですから……。
○政府委員(平田敬一郎君) そこで私が大体申上げましたのは、取締の前後におきましては、取締が始まりました後においては、よほど取扱官庁におきましても御注意願つたであろう、従つてその後の数字はほぼ不正のないものに近いもの、まあ全然ないとは言えないかも知れませんが、ものが出ているだろうと思います。その前後のことを申上げますると、なかなかこれは正確な計算はむずかしいのでありますが、大体の判断がおつきになるのではないかという意味で実は申上げたわけでありますが、従いまして、その数字をもう一遍繰近して申上げますれば、最初のスタートを誤りまして恐縮にじ存ますが、一年ぐらい前の一月分ということで九月を申上げますと、八億八百三十万円、それからずつと申上げたわけであります。それで今年の九月は十一億四千三百万円になつており、順々にずつと増加いたしまして、このように相成つております。この中には先ほど申上げましたように、取締の徹底によりまして、不正がなくなつたことによつての増もあると思いますが、そのほかに不動産等の値上りによりまして、登録税の実収が殖えた自然増収がここに出て来ている。それから会社の増資払込等の分が相当ございますが、それらの増加等によります分、いろいろなものが織りまぜて入つておるわけでございますが、その大勢から申しまして、今の数字によりますると、新聞紙等に伝えられておるような大きなものはなさそうだと思います。
○吉川末次郎君 そう思いたいのじやないですか。成るべく少く思つていたいのではないかね。
○政府委員(平田敬一郎君) 必ずしもそうではないのでございますが……。まあそのように判断されるわけでございますが、ただ併しこれは先ほど申上げましたように、取締当局におきまして更によく調べができました上で、その実績等とも関連しまして、どれぐらいあるかはもう少しよく検討してみたいと思いますけれども、大体の状況の御判断の資料としまして申上げましたことを御了承願いたいと思う次第であります。
○吉川末次郎君 大蔵大臣から一言だけ総括的な御所見を伺つておきたいと思います。今の問題について。あなたのほうの役所の収入減になることだから。
○国務大臣(向井忠晴君) 私は実にけしからんことだと思つております。
○池田宇右衞門君 現在農業生産上において重大なる役割をしておる肥料、農薬、農機具等の価格と、現在農産物であるところの米麦等を比較いたしますれば、農村の購入する物資は農産物の販売価格より二、三〇%乃至五〇%以上の高値であることは御承知の通りであります。従つて地方税の負担と同時に、農家は困難の段階にあることは御承知の通りであります。そこで通産大臣にお尋ねするのでありますが、現在の肥料価格を公定化するに当りまして、これを十分に考えておやりになつたかどうか、これが一点。次に輸出肥料の価格を基準として今後内地の配給肥料の公定価を決定るすようなことはないか。又かようなことは非常に農村の肥料を配給する途中において不安を感じますから、これに対しまして、十分な考慮を払わなければならないが、これに対するところの対策を一つどういうふうにとつたらいいか。 更に農林当局に対しては、自給肥料にはもつと増産奨励をする必要があるが、これに対する計画、耕土培養についてはすでに実行されてありますが、二十八年度予算においてはこれがもつと増額計上するの必要を認めておりますが、これに対しましての計画ありやなしや、これは大蔵大臣にこの三点を先ずお尋ねいたします。
○政府委員(永山時雄君) 通産関係のお答えをいたします。只今肥料につきまして、公定価格をきめるというような考え方は現在のところ持つておりません。御承知の通り安定帯価格というものを肥料について現在設定をしておるのでありますが、これについては、生産費を基準にいたしまして安定帯価格をきめて行くという考えであります。それから第二点のお尋ねは、ちよつと私閥取れなかつたのですが、お話は……。
○池田宇右衞門君 輸出肥料の価格を以て内地の肥料の標準に取られることは、非常に農産物の価格と比較して均衡が取れていない。この均衡をどう考えておるか。
○政府委員(永山時雄君) 輸出につきましては、これは御承知の通りそのときどきの値段が非常にフラクチユエーシヨンがありまして、先頃は非常に高かつたにかかわらず、最近におきましては、国内の国産の肥料では生産費がなかなかカバーできないという程度の価格に国際的な価格が下落しておるというようなことで、非常にフラクチユエーシヨンがあるのでございますが、今の政府の考え方は、輸出価格の上で損失がありましても、そのしわは国内の配給価格には及ばないという線を今後とも厳重に守つて参りたい、かように考えております。
○政府委員(松浦東介君) 食糧増産には自給肥料が最も大事でありますことは、池田さんのおつしやる通りでございます。そこで我々といたしましては、有畜農業奨励のため、或いは又特に推肥舎等に対しましても金融措置を講ずるなど、この補正予算からいろいろ計画いたしておりまするが、二十八年度は更にこれを強化して行きたい、こういうふうに考えております。
○池田宇右衞門君 耕士培養について、それぞれ二十八年度予算のうちに計画を盛込んで行くべきだが、もつと増額する考えがあるかどうか。
○国務大臣(向井忠晴君) せいぜい研究いたしまして……。
○池田宇右衞門君 目下国鉄においては貨物等級について全面的に運賃の改訂を計画されて、すでに関係の運輸委員会にかかつておりますが、その内容から見ますれば、いわゆる国民生活の必需物資たるところのいも類及び野菜等は約五割、蔬菜については四割一分、果実等は一割五分、その他戦災によつて失われた家屋は未だ半分の復旧も見ていない。然るに建築上最も必要な木材その他の資材運賃等も皆それぞれ値上げになる。国民生活の必需物資を値上げし、又建設途上にあるところの家屋に対しても支障がないとは言えない。これに対しまして、運輸大臣は国民に対するところのこれらの必需物資に対しましては相当考慮をして、これが運賃の改訂、実際運賃の取立てに対して十分なる計画性があるか、今後十分に考慮する余地があるか等を先ずお尋ねしたいと思います。
○委員長(岩沢忠恭君) 池田君に申上げますが、運輸大臣はいませんから、御答弁はあとでお願いいたします。
○池田宇右衞門君 承知いたしました。
○委員長(岩沢忠恭君) これで暫時休憩いたします。 午後零時三十九分休憩 —————・————— 午後二時七分開会
○委員長(岩沢忠恭君) 只今より休憩前に引続き質疑を開始いたします。
○岡田宗司君 林屋国務大臣にお伺いいたします。内灘の射撃場の問題につきまして十一月の末に林屋国務大臣は内灘に参られまして、内灘の村民大会にも御出席になつたようであります。まあその間の事情はよく聞き及んでおりますが、結局において林屋国務大臣は内灘の村長その他と話合いをされまして、或る種の協定に達せられて、その協定は私の聞いておるところによりますと、補償金を即時実施する、即ち即時払う。それから国警を増員する。道路を補修する。文化施設に対し或る程度の支出をする。それから四ヵ月経つたら完全にその射撃場をやめる。それから使用後には国有地を内灘村に売渡す。こういう六ヵ条の協定をなされたということを聞いているのでありますが、それは本当でありますか。又それができるに至りましたいきさつを林屋国務大臣からお伺いしたい。
○国務大臣(林屋亀次郎君) お答えいたします。只今岡田さんより御質問の内灘は、先月の二十六日に向うに参りきていろいろ村民各位と折衝をいたしました結果、大体において補償金と申すわけでなく、見舞金として一時金を支払うということ、あと補償金の問題は十分に調査をいたした結果具体的の案に進もうということで話を進めて参つたのであります。道路の改修を即時実行するというのは、その話合いにありましたので、その線に沿つてやつているのであります。又期限の四ヵ月という問題は冬の間向うを使わしてもらいたいというアメリカの要望もあつたのでありまするので、四ヵ月ということを限定して参つたのであります。なお国有林の払下げの問題は、これは若しその射撃場に使用しなかつた場合には県としても国家としても払下げて開墾をするというような運びに立ち至つておつたのでありますが、不用の場合には払下げをしてもいいだろうということを了承して参りました。
○岡田宗司君 去る十七日に内灘の村長が金沢に帰りまして、金沢で新聞記者にこう語つておる。見舞金として五千五百万円を調達庁より受領した。更に残りの二千万円は道路補修費、全額国庫負担の公共事業として県に渡されるもののようである。この点村民から苦情が出るのではないかと心配している。なお五千五百万円の、配分方法は、これを一戸当り五万円ずつ分けるよりは、農協その他の組合を通じて無利子で貸付けるのがよい方法だと思うが、村民の意向もあり、十八日に村民協議会を開いて処分方法をきめたいと語つております。この五千五百万円の見舞金なるものは、どこの予算からどういう方法でお出しになつたのか、これをお伺いしたい。これは或いは官房長官にお伺いしたほうがいいかも知れない。
○国務大臣(林屋亀次郎君) 特別調達庁からお答え申したら如何でございましようか。
○岡田宗司君 聞くところによると、内灘問題は閣議で以てこの解決につき決定したという話ですが、閣議で、この林屋国務大臣の内灘で協定して来られた問題をお取上げになつて、そうしてその見舞金を支出されたとすれば、閣議で以て官房長官は御承知のはずである。それをどこから出さしたということをお伺いしたい。
○国務大臣(緒方竹虎君) これは閣僚懇談会できめました。閣議として決定したわけではございません。その見舞金のどこから出したかということは、今林屋大臣からお答え申した通りであります。
○岡田宗司君 特別調達庁の予算からお離しになつたのですか、それとも安全保障諸費の中から、何か特別調達庁のほうに廻してお出しになつたという話も私聞いておるのですが、どちらが本当ですか。
○政府委員(川田三郎君) 只今御質問の事務的処理の点を御説明いたします。これは防衛支出金の補償費から調達庁が名古屋調達局に予算を配付いたしまして、見舞金として支出いたしたものであります。
○岡田宗司君 今までにこういうような問題で見舞金を出した例がございますか。
○政府委員(川田三郎君) ございます。
○岡田宗司君 その額と、場所と、どこでどういうことがあつて、それを幾ら払つたか、たくさんあれば、その一、二の例を……。
○政府委員(川田三郎君) たくさんの例はございません。それから占領中にありました比較的この支出と似た例といたしましては、占領中の軍がやはりその見舞金的なものを出すことを特に了承したケースがございます。それは小学校の校舎を接収いたしまして、その学校を経営しておつた町が、町の予算としては、その代るべき校舎を作る費用がないというときに、その町に対しまして校舎の新築費を、特に軍の予算を似て支弁したのでございます。これが比較的似た例でございます。
○岡田宗司君 大分例が違うようです。これは今言つた直接接収してそれを新築するような費用じやない。これは一種の間接的な損害に対する見舞金などは、今までだつて一例だつて払われておる例はない。これはまあ私に言わせれば、林屋国務大臣の政治力の結果、こうなつたのかも知れんけれども、とにかく一戸当り五万円ずつ払うというような割合でこれがきめられておる。これは林屋国務大臣、どういう法律の根拠に基いて、閣僚懇談会にお諮りになつてこれを決定したのか、これは林屋国務大臣からお伺いしたい。
○国務大臣(林屋亀次郎君) 財政措置に対しましては違法でないという確信を持つておるのでありますが、事務的のことはなお事務官か聞いて頂きたいと存じます。私は実はあの内灘の問題は、どうしても政府といたしましても実現せなければならないのであります。村民の意向又村当局の意向をいろいろ参酌した結果、これを支出した金額によつてこれが完全に使用できるならばいいだろうと存じまして、実行して参つたのであります。
○岡田宗司君 緒方官房長官に伺いたいが、閣僚懇談会でこの支出をおきめになつたということになりますれば、閣僚懇談会としては見舞金にこれこれの額を出す、それからこの見舞金の算定の基準なんかについても御協議になつたかと思うのですが、それらについての閣僚懇談会でおきめになつたことをお伺いしたい。
○国務大臣(緒方竹虎君) 一戸当りどうということでなくて極めて大ざつぱに考えます。
○岡田宗司君 そうしますと、林屋さんのほうから五千五百万円ぐらい出せということで、極めて大ざつぱに何ら基準も何もお考えにならないで、これを出すことにおきめになつたのでございますか。
○国務大臣(緒方竹虎君) 先ほど林屋大臣からおつしやつた道路補修費等のことは、林屋大臣の御意見を尊重いたしたのであります。
○岡田宗司君 道路補修費でない、見舞金の点をお伺いしたい。
○国務大臣(緒方竹虎君) 見舞金は見舞金としてきめたのであります。
○岡田宗司君 これはまあ特別調達庁のほうは総理府にあるのですが、これはあなたの所管ですが、一体こういう見舞金の基準はあるのですか。これは一つ事務当局から。
○政府委員(川田三郎君) 見舞金は普通法律又は政令等によりまして補償の基準が定まつていないものを、事情に応じてやはりいわゆる見舞をしなければならんという場合に支出するものでございまして、基準はその際見舞金を支出するという決定を政府においていたします際に、基準をきめる場合もございますし、それから事務的にこれを予算当局と折衝してきめる場合もございます。一般的に基準がきまつておるかという御質問に対しましては、大体において基準をきめます。今回もやはじ政府部内において、一つの基準として五千五百万円というものが決定されたわけでございます。
○岡田宗司君 閣僚懇談会では大ざつば、それから今聞くと何か基準がある、こういうお話、でどういう基準で一戸当り五万円、全部で五千五百万円をおきめになつたのか、詳しくお話願いたい。
○政府委員(川田三郎君) その村に対しまして五千五百万円が相当であるということがきまつた次第でございます。
○岡田宗司君 相当であるというのは何が相当だ。あなたにそれを聞こうというのに、ただ相当であるというのじやわからない。その相当の内容を詳しく言いなさい。
○政府委員(川田三郎君) その相当の内容につきましては私どもも深くは存じてないわけでございます。
○岡田宗司君 相当の内容を深く御存じないのではどうする。それじや誰がきめたのですか。林屋さんの御命令か、それとも緒方官房長官の御命令か、それを伺いたい。
○政府委員(川田三郎君) それは御審議になりました閣僚懇談会の結果、この村に対して五千五百万円の見舞金を出すということになりましたので、相当と申しましたのは、そういうお達しがありましたから相当と申上げたのであります。
○岡田宗司君 そうすると一体緒方官房長官の今のお話ですと、閣僚懇談会で大ざつぱにきめた何の基準もなしで五千五百万円を出すとこうおきめになつたのだが、恐らくそれは林屋さんの御要求になつたものであろうと思うのですが、林屋さんはどうして一戸当り五万円が相当とお考えになつて閣僚懇談会にお持ち出しになつたのかお伺いしたい。
○国務大臣(林屋亀次郎君) お答えいたします。先ほど申上げた通り、村の幹部と実は三日間夜通しでいろいろ懇談をいたしました結果、五千五百万円くらい支出すればこの話がまとまるだろうということできめて参りました。
○岡田宗司君 そうすると三日開吊し上げになつたから、五千五百万円で話がつくだろう、そういうことなんですか。それともあなたの選挙地盤だからこれが適当だろうと思つておきめになられたのか。どつちなんですか。
○国務大臣(林屋亀次郎君) お答えいたします。選挙地盤だからこの金をどうこうきめたというような考えはさらさらありません。どうぞこの点御了承をお願いいたします。
○岡田宗司君 それでは三日間吊し上げされたからそうなつたということですか。そうすると、これはやはり内灘のほうで強く要求されたからこうなつたのだと私は解釈します。 ほかの問題についてお伺いしたいのですが、例えば防潜網の問題もあるし、それからほかに射撃場もあつて魚が一向獲れなくなつたという所もあるが、ここいらにはちつとも見舞金を出さない。随分運動をしているけれども、そういうような措置は全然講じられておらない。今朝ラジオを聞きますというと、なんでも間接の被害に対しまして、補償のための法律案を出すようなお話で、農林省のほうでは六億円を要求しているという話だけれども、何か大蔵省のほうでは一戸当り二千円のお見舞金を出すというようなことで、話がつかないということも私今朝ラジオで聞いたばかりで、この内灘の問題につきましては、一戸当り五万円、而もこれは間接の被害に対して五万円、そうしてその上へ持つて来まして林屋さんは別に二千万円お約束している。こうなつて参りますというと、林屋さんの地盤で、林屋さんがいるからこうなるので、ほかのほうは放つて置けということになるのですか。それともこれを前例として間接被害に対しましては大体これくらいの額を出すということを、大蔵大臣は認められますか。私は大蔵大臣にその点をお伺いしたい。
○政府委員(河野一之君) 代つてお答え申上げます。内灘のケースは非常に御承知のように複雑なケースになつておりまして、新らしく土地なり施設を設定するという問題でありましたが、それも非常に広範囲でありますので、そういつた措置をとつた次第でありまして、ほかの区域についてこれを及ぼすというような考え方はちよつと只今持つておりません。
○岡田宗司君 これは異例のケースでございますか。とにかく四ヵ月で撤廃する。四ヵ月間に対して一戸当り五万円のお見舞金というなら一体防潜網で以つて何年も苦しみ、それから千葉県の片貝や豊海のように防潜網で以つて魚が一向獲れなくなつて非常に悲惨な生活を何年も続けている所には、一体幾ら出すつもりか。それを今度はあなたにお伺いいたします。
○政府委員(河野一之君) 片貝の被害につきましては、二十四年以降、終戦処理費で以つて、又今年度におきましては防衛支出金で毎年補償をして参つております。
○岡田宗司君 四ヵ月で一戸当り五万、それではあなたの言われる片貝は一戸当り幾らですか。
○政府委員(河野一之君) 一戸当り幾らになるか只今計数を覚えておりませんが、二億円程度の金を毎年出していると思つております。
○岡田宗司君 一戸当りをお伺いして、これと比較したいのです。はつきり言つて頂きたい。
○政府委員(渡部伍良君) この補償は私のほうではそういう被害の推定のほうの計算をやつているわけでございまするが、今正確には覚えておりませんが、主計局長から申上げました二億円というのは、二年度に亘る分です。二年聞分になつております。一戸当りはよくはつきりは覚えてありませんが、一万円にはなつておりませんが、恐らく五、六千円見当じやなかつたかと思います。そのくらいじやなかつたかと思つております。(「それ見ろ」と呼ぶ者あり)
○岡田宗司君 べらぼうな話です。林屋国務大臣の地元であるとそういうことにされる。閣議も基準も何もきめないで以つてどんどん支出される。ほかのほうはひどい目にあつて、じやんじやんやつていたつてさつぱり補償しない。一戸当り一万円以下五、六千円じやないですか。こんな政治がありますか。官房長官これを公平な政治とお考えになりますか。私は内灘にこれを出したのは悪いとは申しません。内灘にとれだけ出すならばよそへもやはりこれだけ出してもらいたい。アメリカ軍による被害というのは日本の離業に莫大な影響を及ぼしている。そうして日本の、そのために漁民にいたしましても、農民にいたしましても困つている。接収等によりまする直接の被害に対しては、一定の基準をとつておりますけれども、間接の被害に対しては今までろくに金も払つておらん。今度の場合はかような措置を講じているのです。こういう政治をあなたはやつていいとお思いですか。これは内閣の大番頭であるあなたの心境をお伺いしたい。
○国務大臣(緒方竹虎君) 今度の内灘の問題は御存じでもありましようが、非常に特殊の土地でありまして、殊に事、急に決定を要しましたので、多少平生の基準と違つておつたかも知れません。そういう点につきましてはできるだけ他と合せるのが本則であると考えております。
○岡田宗司君 多少どころではない。大違いなんです。だから、私はこれは悪いとは申上げているのではない。ほかもこの通りにして頂きたい。そうでなければ政治の公平になりません。又私はこれははつきり申上げる。ほかからもどんどんと私は内灘と同じような要求を内閣にすべきだと思う。これは国民としてこういう例があります以上当然だと思う。政府はその場合に内灘と同じように取扱われるかどうか。これは一つ大蔵大臣から支出の問題ですからお伺いしたい。
○国務大臣(向井忠晴君) よく事情を研究しまして査定いたすのが本当だろうと思つております。
○岡田宗司君 そうするとこの内灘の問題につきましては、査定がなかつたということを大蔵大臣はお認めになりますか。
○国務大臣(向井忠晴君) 特殊の場合として行なつたものと存じております。
○岡田宗司君 特殊な場合ならば査定をしないでも大臣の裁量で以つてどんどん金を出せるという前例が開けた、こういうふうにお認めになりますか。
○国務大臣(向井忠晴君) 適当の査定はいたしたつもりでございます。
○岡田宗司君 適当の査定をしなかつたことは緒方官房長官の言で明らかであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)そういたしますというと、大臣の選挙区のことでありますならば、特別な措置ができるという先例を開かれたものでありまして、私は甚だ腑に落ちないやり方だと思う。今後のいろいろな間接補償の問題等につきましてどんどんとこういう要求が起つて参る。その際には政府のほうではこれに倣いまして、十分な補償をするようにして頂きたいことを皆さんにお願いをするのです。そうして私は時間がないのでこの問題についてはこれで質問を終ります。
○羽生三七君 二、三大蔵大臣にお尋ねいたします。それは、終戦後のアメリカの対日援助資金が債務であるかどうかという問題については、先般来の各委員の質疑と、政府のこれに対する答弁で大体問題は明らかになつたようでありますが、伝え聞きますと、この二、三日来、アメリカから何かこの問題について政府に申入れがあつたように聞いておりますが、こういう申入れがあつたのですか。
○国政大臣(向井忠晴君) アメリカからの申入れのことは、私は承知いたしておりません。
○羽生三七君 それが若し一部の誤報であつたといたしましても、恐らく近いうち値何らかのアメリカから意思表示があると思うのでありますが、その場合に、戦前の外債、或いは今度の賠償、それから今の援助資金等を若し予算化して行く場合には、どういう順位でおやりになるか、構想をお持ちになつておりますか。
○国務大臣(向井忠晴君) 只今その構想というものは持つておりませんが、併しアメリカの対日援助資金というものについては、成るたけ我々の負担の軽くなるように努力いたすつもりでございます。
○羽生三七君 いや、私のお伺いしたいのは、負担の多い軽いの問題じやなく、仮にアメリカから早急にとれの要求があつた場合に、昭和二十八年度予算の中で、例えば外債の支払いの問題……戦前の外債であります。その支払いの問題或いは賠償問題、それからこの戦後の対日援助資金の支払いが、具体的な事実となつて来た場合に、その順位というものを、どういう配列でウエイトの点をお考えになつておりますか。
○国政大臣(向井忠晴君) この順、序は、やはりきまつたものから先へ行くもので、外債はきまつておりますから、それはまあ目方と言いますよりも、順位がはつきりして来ると思います。それから賠償と対日援助の資金、これはどつちもまだきまつておらないのであります。どうも順位は今から考えておくわけには行かないと思います。
○羽生三七君 実は今度の……、問題がちよつと変るわけでありますが、今度の参議院予算委員会では、廣川農林大臣が病気をされたために、遂に一度も農林関係、食糧問題等が審議の対象にならなかつたわけであります。非常にこれは私は遺憾に思つておるのでありますが、御病気の場合は、これは止むを得ませんので、これは割愛いたしまして、それと関連で、大蔵大臣に御答弁願えると思われる筋のことが一つ二つありますので、それをお伺いしたいと思います。これは別段この事務当局なんかとお打合せの必要のない常識的な問題でありますので、突然で如何かと思いますが、お伺いいたします。それは今度の議会に、農林金融公庫法が出ておる。これは御承知のように、農林漁業資金融通法の二百余億を受継ぎまして、農林金融公庫として発足するわけなのですが、これは今まで農業漁業資金は非常にいい役割を果して来たので、これは私たちも賛成しております。そうして今度それが金融公庫法案として成立することにも私は賛成しているのであります。ところが一部我々の農林に関係する議員の間には、この金融公庫法案が成立して、金融処置がとられるようになると、その結果政府の財政資金の投資を割愛して行くのではないか、そういう心配を皆持つております。どういうところからそれが来ておるかと言いますと、前の池田大蔵大臣の著書に、均衡財政という本がありますが、あれを読んでみますと、池田前大蔵大臣は、将来この種の問題は漸次金融措置に移して直接投資は削るべきものである、そういう意見をかなり強く述べておられるし、そういう考え方をずつと持つて来られたのじやないかと思います。でまあ池田さんは退陣をされましたが、今度お向井さんが大蔵省を担当なされるについて、金融公度法案が成立して、金融処置に万全は期するが、又同時に農林関係、或いは食糧増産等については、他にやはり直接の財政投資をされると了解していいのか、金融処置をするから、財政処置のほうは漸次削減の方針を以つて行かれるのか、この点を一つお伺いしたいと思います。
○国務大臣(向井忠晴君) 漸次削減するというふうな意図は持つておりませんが、融資で行くものならば、融資で行くのが本当だろうと思つております。
○羽生三七君 そこが実は問題でありまして、金融公庫を作つてもらうのは有難いし、皆が皆賛成なのであります。併し今お話がありましたように、実は直接投資で財政援助をやつてもらう場合には、金利も要らないし、農民は喜ぶわけです。併し一面において、いい法律ができると喜んでおると、これが口実となつて、だんだん直接投資のほうが減らされるという心配を皆持つている。これは実は農林委員会に一昨日私は出てみまして、殆んど皆が皆一致した意見になつておるわけです。そういうことの心配がありますので、財政投資プラス金融、こういうように一つお考え願いたいと思います。
○国務大臣(向井忠晴君) 勿論できましたら、富んでいたします。
○羽生三七君 その次に、これも非常に常識的な問題でありますので、お伺いしたいことは、御承知のように先に政府は、今度食糧の統制撤廃とは申しませんが、超過供出後の自由販売制をとられるようになつて来たのでありますが、これは漸次統制を撤廃する気構えだと思いますが、大蔵大臣は、食糧の現下の客観情勢において、食糧は現状のままがいいか、漸次統制撤廃がいいとお考えになるか、どちらをおとりになりましようか。
○国務大臣(向井忠晴君) 私の考えは、漸次統制撤廃のほうがいいと存じております。
○羽生三七君 多分そういうことで、供出後の自由販売というものをお考えになつておると思うのですが、ところがこの統計を見て行きますというと、例えば昭和二十四年に二千八百九十四万石であつた供出が、昭和二十五年度は二千七百三十三万石となり、二十六年には二千五百三十万石となり、三年間で三百万石減つております。これは天候のせいもあつたと思いますが、漸次減つて来ております。本年度はどうかと言いますと、本年度は基源割当てが二千三百二十三万石、それから超過供出を二百二十四万石としましても、合計で二千五百四十七万石で、昨年度と大体同額であります。これは非常に豊作で、天候に恵まれておる本年で、同額になるのであります。そうすると、二十四、五、六、七とずつと供出が下つて来ちやつておるわけです。どうして下つて来るか。すると政府が自由販売というものを放送するたびに、農民に非常に大きな心理的影響を与えるわけです。だから天候で不作ということもあるが、供出絶対量がずつと下つて行つちやつた。すると下つた部分だけは政府が超過供出の奨励金やら、何らかの報奨金というように、余分な財政投資をして、この下つた分だけをもう一度吸上げておる。そうしてやつと去年の水準に達するかどうか。これは非常に矛盾した策であり、これは大蔵大臣に申上げていいかどうかわかりませんが、実際問題から行きますと、このように数百万石数年間に供出が下つて来ておる。この下つた分だけを何とかして前の年の基準に接近させようとするから、今申上げたような余分な財政投資をしなきやならん、そこに非常な問題があるわけです。そこで本年基本米価が、先ほど池田議員からも御質問がありましたが、基本米価がもう少しよければ私はこうした心配はないと思うのです。それからこれはちよつと質問じやない、議論になりますが、先ほどどなたかの御質問の中で、政策をうまくやれば米は幾らでも出て来るというように言われましたが、これは私疑問があるのじやないか。と申しますと、幾ら統制をしようが、自由販売にしようが、日本の絶対量はきまつておるのですよ。それは輸入量がきまつておる。輸入量を見て行けばすぐわかります。それじや日本が全部自由販売なんかにすれば米は幾らでも出て来るかというと、あの戦後一億数千万石輸入したものが残らず使つてしまつて一つも残つていないで、足りないところを見るというと、これは問題は絶体量の問題だ、それは自由とか統制とかの問題じやない。絶体量の問題でありますから、これは明らかに足りないということはわかつておる、わかつておりますから私は基本米価を適正に直して、そうして少くとも二千七、八百万石程度はノーマルに供出が出て来るようにしなければ駄目だと思うのであります。だんだんだんだんこれは統計が示すように物凄く下つて来ておる。そこで大蔵大臣にお伺いしたいことは、この場合やはり統計が示しておりますように外米を輸入する場合には、例えば一番安いタイの政府割当米でもCIFでトン百六十九ドル、それか台湾のごときはFOBで二百五十二ドルであります。これは日本のあれに換算いたしますというと石一万三、四千円になる、数千円の開きであります。ちよつとひどく言うならば倍に近いような開きを示しておる。そうすると政府は国際価格への鞘寄せを盛んに言つておられますが、その場合農産物だけは逆鞘であります。日本は非常に国際商品が割高であるから企業の合理化をしてそうして外国の商品と対抗できるように日本の商品コストを切下げなければならん、その意味で日本の生産品の国際価格への鞘寄せを言われておるわけであります。ところが農産物価格はそれじや統制を無条件に搬廃した場合にはどういうことになりますか、逆鞘なんでありますから、国際価格に農産物価格は幾らでも接近してよろしうございますか。こういう問題が起つて来る。その場合にそれでは消費者が困る、国全体の経済に非常に重大な影響があるということで一部から二重価格制ということが言われておるのであります。だから統制が撤廃になるというような場合には、米価は幾らでも何か政府が抑えて、それからただ供出だけを撤廃するというように解釈すれば別でありますが、逆に価格なんか野放しだということになるならば、今申上げたように国際価格へ逆に接近して来る、七千五百円の米価が一万三千円に行つてもいいということになつて来る、事実上は必ずしもそうは行きませんが……。そうすると大蔵大臣の言われる統制撤廃ということは野放しの無条件の統制撤廃ということに至ることがいいとお考えになりますか。
○国務大臣(向井忠晴君) 只今の話でよくわかるのでございますが、従つて一遍に野放しにするということはできないと私は思います。それでは漸次統制撤廃のほうに向いたい。こういう考えを持つのですが、どうせ統制撤廃をいたしましても外国から米は入れなくちやならない。それで外国から米を入れましても、それによつて日本の米が必ずしも外国の米と同じ値段になるということは今申上げましたように起りはしますまいと存じますが、どうしても日本の米だけで以て賄うということでは当分の間は、少くも当分の間はできますまいと思います。
○羽生三七君 時間がないのでこれで終りますが、御注文を一つ申上げておきます。それは先月来たガーナー氏が今度政府が考えておる食糧増産推進法というようなものに投資するのは経済効果のないことだということを言われたそうでありますが、これは他国の人が言うことでありますから我々は別段気にいたしませんが、少くとも年間千六百億乃至七百億に近い食糧輸入を極力節減して自立経済の基礎を確立するために、政府が経済効率は若干乏しいかも知れないが、実はこれは日本としては非常に大きな問題でありますので、先ほど申しましたように金融の対策と共にこういう食糧の徹底的な増産等のために財政投資に対しては十分な配慮をされることを希望いたすのであります。私の質問を終ります。
○三輪貞治君 時間がありませんので極く簡単に御質問を申上げますから、答弁については一つ叮嚀懇切に御答弁を願いたいと思います。初めに中国貿易を含むアジアの貿易につきまして官房長官並びに通産大臣にお伺いをいたしたいと存じます。世界の経済情勢は最近非常に急激な変化をいたして参りまして、日本の産業界が非常に頼みにいたしましたアメリカの軍需景気もだんだん景気後退から不景気、パニツクと展開をしつつあることは御承知の通りであります。そこでアメリカの軍需景気の崩壊が世界経済に非常な波紋を投げておるのに対しまして、一時はこのデイス・インフレとか或いは価格の横這い、景気の中弛みとかいつたようなことで言われて参りましたけれども、最近においてはもうそういう事態を通り抜けて、非常に日本の経済に大きな影響を与えることが現実の問題としてのしかかつて来ていると思うのであります。特に輸出を見まするというと、昭和二十六年の十四億四千万ドルから今年は十一億四千二百万ドル、明年の予想される数字は十億五千万ドルといふうにだんだん下向いて参つて来ておるのであります。ところがその貿易上の正常収入の減少というものを特需の増加によつて辛うじて国際収支のバランスをとるという非常に苦しい日本の経済状態にあるわけであります。そこでこれは世界的な一つの動きでありまするが、これに対してヨーロツパ諸国、特にイギリスなどはこの前四月に行われましたモスクワ経済会議等にも代表を送りまして、そうして具体的な契約とその実行に乗り出しておる。或いはインドあたりでも丁度私は三月から四月にかけて参りましたが、丁度その前にデリーでアメリカとの経済提携の会議を開いておるさなかに、又ボンベイでは場所を貸してソ連圏内の博覧会を開いて、それを契機に具体的なソ連圏との貿易を始める、こういうような動きをしておる。又最近の新聞の報道でも、セイロンは一番大切な軍需資材となつておるゴムを出しまして中国との間に米とのバーターの貿易を協定している。こういう動きの中にあつて、日本だけがこの中国貿易というものを非常に軽視いたしまして、みずからがその道を閉ぎしておるというような状況にあることは誠に遺憾であるわけであります。こういうような政策が反映をいたしまして、一九三四年から六年にかけての貿易の状態を見ますと、アジアが六四%、アメリカは一七%であつたものが、一九五〇年にはアジアは四六%に減り、アメリカは逆に二六%に殖える。最近におきましては更にそれがアジアのウエイトは下つて参りまして、三割ぐらいになつておる。こういうような状態が現われておるのであります。果してとれは日本の経済にとつて健全なる姿であるかどうか、この点を先ず官房長官にお伺いをいたしたいと存じます。
○国務大臣(緒方竹虎君) 現在我が国は国連協力の見地から対中共貿易に一定の輸出制限はとつております。又中共側も外貨不足が原因になりまして厳重な貿易統制を、実施しておりまする関係上、中共貿易の量は甚だ少いのであります。我が国は今後も国連協力の建前を堅持して行く方針を変えないつもりでございます。
○三輪貞治君 そこで十三国会から引続きこの問題については各大臣との間で本会議、委員会を通じていろいろと、質疑応答が交されましたがその間にはつきりいたして参りましたことは、同じく国連協力を建前としている国々の間で、非常に中国貿易に対する制限の度合いが違うということについて指摘をされました場合に、日本をイギリス並みにバトル法の線ぐらいまでは緩和されていいのではないかという質問に対して、岡崎国務大臣の御答弁は、実に遺憾でありますが、それはイギリスは非常に緩い統制、制約を受けていること自体がこれはおかしいので、日本並みぐらいにイギリスの制限もまた強くしなければいけない、こういうような御答弁をされておつたのであります。これは明らかに同じ国連の協力を、約束をこさえている国々の間で非常に日本は特別な制約を受け、それは日本では正しいこととしてほかの国ももう少し制限しなければならんというような御意見を持つているということが明らかになつたのであります。これらは今においてもなお変りないかどうか、重ねて官房長官の御意見を承わりたいと思います。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 只今のお尋ねでありますが、岡崎国務大臣も昨日か一昨日ここで答弁をされました通り、国連の線に沿つて行くのであるが、これははつきりとした大きな線であるが、併し国連諸国は皆足並みを揃えて行く。こういうことを言つておられるのでありまして、決して今お話になつたような、以前はどうか知りませんが、ここでの答弁はそういう日本のほうが少し、ずつとというような答弁ではございません。なお私どものほうも通産行政担当者としては、常に申上げている通り少くともバトル法のところまでは是非日本も緩和してもらいたいということで絶えず話を続けている次第でございまして、その後繊維品その他について相当緩和されましたことも御承知のことだろうと思います。なおよく岡崎国務大臣はこれは皆足並みを揃えて行くということを常に強調されております。これは国連協力の点から見てそうなきやならんと思うのでありますが、併し私どもはまあ隣接地域のことでもあるから、又過去において大きな貿易の比重を占めた中共に対することであるから、でき得るだけこれらの点について緩和を図りたい、こういうふうに努力しつつある次第であります。
○三輪貞治君 そこで昨日の木村委員の御質問に対して、通産大臣のお答えになつたことを今想起してみますと、結局結論としては朝鮮で戦争を行なついる。その朝鮮で戦争している相手国の中共の兵力を増強することになつては、アジアの平和、日本の平和が保障されないので、そのために日本は不本意ながらこういう制限をとつているのである。こういう御答弁であつたと私は了解するのでありますが、そこで中共の兵力が増大するために、朝鮮事変が片付かないでアジアの脅威がますます増大するというその増大の仕方と、日本が中国貿易を制限することによつて経済の麻痺状態、中風状態、半身不随状態が来ることによつて国民生活が破壊され、国内の治安が脅かされるというこの二つのウエイト、重さは、一体どちらが大きいとお考えになるか、お伺いしたい。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 昨日私はさようなふうには実は申さなかつたのでありまして、現に朝鮮で戦争が行われているときであるから、日本としては国連の線に沿つてやる以外に途がない。従つて日本だけがどうこうというわけには参らんということを申したのと、もう一つは現在中共というものがポンドとかドルとかいう決済の資金を持つているわけではないし、又向うと日本との、例えば船舶の入港とかそういつたようなことも自由に行かないので、従つて現在の段階ではそう多く期待し得ないのではないか、こういう意味を申上げたことは、速記録を御覧願えばよくわかると思うのであります。この点について私の考えは何ら変つておりません。勿論そのウエイトというか、これは国民生活は極めて大切でありますが、併し国民生活も大切だと同時に、国際関係を緊密に持つて、又国際親善を図つて行くということも大切なのは、これは私が申すまでもないことでございますので、日本といたしましては飽くまでも国連協力の線に沿つて、このことは変えがたいことと考えているのであります。
○三輪貞治君 そこで朝鮮で戦争が行われているから、国連に協力をする立場上止むを得ないというお話がありましたが、同じように国連に入つており、而もその国連の中心勢力である英国あたりは、バトル法の線で立派に貿易をやつているわけです。日本だけが独立国でありながら、而もアメリカの国内法であるバルト法の枠以上の制限を受けなければならないということは一体どういうことでありますか。これは政府の努力が足りないのか、アメリカが日本に対して、特にイギリスよりもそれだけの多くの期待を持つているという結果によるのか、これは一体どういうことなんです。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 外交に対する問題は私からちよつと御返事を申しかねるのでありますが、併し現在イギリスはもう全部の商社を中共から引揚げてしまつたということを以てしても、イギリスの中共貿易の輪廓及び内容はわかると思うのでありまして、従つて今日のところ日本が特別な不利を受けているという事情は何らございません。
○三輪貞治君 私はイギリスが在中華公館を引揚げたのは、これは対中国貿易をやめるということを意味していないと了解をしておるのであつて、若しそういうふうに御了解になつておるとするならば私は誤りではないかと思います。イギリスは現はモスクア経済会議が済んだあと商務省の高官であるボポキンスをモスクアに派遣して、その後においても具体的な貿易の協定、その実現を図つておると私は了解をいたしておるのであります。それはそれといたしまして、直接戦力に関係のない例えば農業用の薬品のDDT、或いは染料であるとか、或いは農器具、脱穀機、調製機、籾摺機、こういつたような農器具に至るまで日本は貿易ができない状態である。一体このDDTは支那に送れば支那の野菜が非常によくできて、中国の解放軍の青年諸君が非常に元気づいて、朝鮮戦線で非常に強くなるだろうとお考えになるのか、染料さえも送られないのですが、染料を送ると、中国の少女諸君の髪の毛がきれいになつて中国の解放軍の兵隊の戦力が増すというのか。私はどうもこういう品目に至るまで、而もこれは日本の品物にとつては重大な問題であろうと思います。こういう生産業者、貿易業者というものは実際困つておる。お隣りの中国と貿易ができないということは、如何に答弁をされ、如何に説明をされても、私は日本の業界をして納得せしめることはできないのではないか。一体どういう理由によつてかような平和的な物に至るまで日本は制限を受けなければならないのか、重ねてお伺いをいたします。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 個々の物資について私も少し究めないところがありますが、併しいずれも相談をいたしまして出し得るものは出すことにしております。さつき申した通り決済の方法その他がついておりません、そういつた点から品物によつて出ていない物もあるのではないかというふうに私は考えるのであります。 更にさつきちよつと私が申しましたイギリスのほうも最近におきましてはバトル法の線をもつと厳格にいたしているように承知いたしております。
○三輪貞治君 先ほどから中国貿易の一番の具体的な隘路は船の問題、或いは決済の問題等にあるというふうに言われましたが、これは前の高橋通産大臣のときから一向に変らないことなんです。一体その間にこういう船舶の問題、或いは決済の問題について政府は交渉され、お話合いをされてその隘路を打開するように努力されたことがあるのでありますか、お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(小笠原三九郎君) これは外務大臣のほうで相当努力しておると思いまするが、私はどうも所管外なので詳しくは承知いたしませんが、私どもとしてはさつき申した通り、中共は隣りの国であるしするから、でき得るだけその通商関係を拡げたい。併し飽くまで国連協力の一線を以つてと、こういうことで終始いたしておるわけ合いであります。
○三輪貞治君 どうもこの国連協力ということをたびたび言われるのですが、日本の経済がどうなつても国連に協力をすればいいのだと、誠にどこに御忠勤を励まれるのか知らんが、日本の通産大臣であれば、私は日本の産業の建直しのためにということをば第一にお考えにならなければいけないのに、日本産業を破壊しつつある。支那から七ドルで買える塩をアラビアから二十ドル以上で買わされておる。或いは又中国からは十五ドルぐらいで入る石炭を三十ドル以上でカナダあたりから買つている。そういうような状態であつても国連協力のためなら止むを得ないのだ、こういうふうにどうもお考えになるようでありまして、誠にこれは遺憾であります。 併しながら問題を今の船舶と決済の問題について返しまするが、これは政府のほうで前の高橋通産大臣のときからもそういうことを言われ、その後何ヵ月経つても同じようなことを言つておられて、実際は努力は余りされておらないにもかかわらず、民間ではすでにそのことをば打開するために努力しておるのです。現に最近中国から帰つて参りました、御承知であろうと思いまするが、巴商事の桜井という専務、この人は三十七、八方ポンドの契約をば現に締結をして帰つておるようであります。その内容はこれは輸出については昆布、自転車、人絹糸、それから輸入についてはマグネシア、プリンター、麩、肥料用大豆粕、福州粘土、白山粘土、礬土頁岩、こういつたものについてとにかく三十七、八万ポンドの契約をして帰つておるわけなんです。そこで、これはもう具体的な現実の問題でありまするから、大臣の言われた船と決済については一番大きなこれは交渉の焦点になつたわけであります。どういうことで帰つて参られたかと申しますると、船については日本船を使用するということ、それから港は天津、上海とする、こういうふうに具体的に取りきめをしておられる。それから決済の方法については、これはスターリングにすることは勿論でありますが、これがローカル・ポンドであるためにイングランド銀行の承認を要することも、これは勿論であります。そこで問題はこの中間に立つ銀行でありまするが、その銀行についても具体的に香上銀行、それからインド・シナ銀行、こういうふうにきめられましてそれを香港を通じてバツク・オヴ・バツクの方式を採用する、こういうような取極めを現にしておられて、それを来年の一月まで、先申しました品目について三十七、八方ポンドの実際の貿易をされるというような運びになつておる。政府は前から何代も続いて大臣が船と決済の方法がどうにもならないからできないのだと言つておられる間に、民間ではそういうのんびりしたことは言えませんから、現実の自分らのもう倒れるか生きるかという問題ですから、非常な危険と申しまするか、この政府で正式にいろいろと旅券等についても発行することを好まない。そういう状態においてまあとにかくいろいろな方法で行つて来て、そうしてこういう契約を結んで来ておられます。これについては一体通産大臣はどういうふうにお考えになるか。そういうことは夢であつて、そういうことはできない。民間の者がやつたのだからおれは知らない。こういうふうにやはり依然としてお考えになるのか。これは面子は捨てて、私は日本と中国貿易の発展のために一つ真剣にお考えになり、これがスムースに行くように、又援助もして頂きたいと、こういうふうの希望を持つておりますから、お尋ねするわけであります。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 私の申上げた言葉が少し足りなかつたかも知れませんが、一番強い線は、まだ平和条約も結ばれておらず、通商航海条約も結ばれておらないということでありまして、従つてそういう所といろいろな貿易、通商の関係を結ぼうといたしましても、この点が危ぶまれるから現在の段階では多くは望めない。併しすぐ隣りのことであるから、だんだんそういうことに尽したい。従つてこれは外交のことでしたから外務大臣が言うことだから私は申さなかつたのでありますが、これは何と言いましても先ず先立つものは平和条約、通商条約でなければならんと思います。
○三輪貞治君 さつきの船舶、決済の問題は……。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 従つてすべてその下に物事を判断いたしますから、具体的な問題としてどう処理するかは、まだ私はこれについては何ら正式な申入れを聞いておりませんから、今後検討した上で処理することにいたします。
○三輪貞治君 さきに申しました通り一月までにその数量を実際に取引しようとしておるわけであります。ではそれは民間の者が勝手にやつたことだから民間でやればよいのだ、こういうことでありますか。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 個々の具体的なものにつきまして検討し、処理いたしたいと考えております。いわばよく言われておるケース・バイ・ケースで問題を処理いたしたいと考えております。
○三輪貞治君 勿論平和条約に調印いたしておりませんから、正式に国交が回復していないのでありますけれども、現実に又別な面からも残留者の引揚等で私がこの前に堅急質問をした際に、外務大臣は然るべき代表を派遣することを考えよう、そういうことをおつしやいました。又それに引続いて衆議院の外務委員会で同じような質問がされたときに、旅券の交付を考える、こういうような御答弁をしておる。そうすれば政府のかたが行かれるか、民間のかたが行かれるか、とにかくもう近くそういう人が行かれることになると思う。そうすれば私はそういう機会にそういうこともただ残留者の引揚問題ばかりでなく、向うの貿易振興会とか、或いは中国進出口公司といつたような民間とか、政府機関等が貿易についてはあるわけですから、そういうものとこの機会に話合いをして、それが本問題の解決の一つの緒口になる、こういうふうに努力をされたいのでありますが、大臣は如何にお考えになりますか。
○国務大臣(小笠原三九郎君) お話の点はよく承つておきます。
○委員長(岩沢忠恭君) 三輪君、時間になつたのですが……。
○三輪貞治君 もう一つ……、実はですね。中国貿易が非常に縮められました。そうしてアメリカの貿易が非常に多くを占めておるわけでありますが、併しながらこれも先ほど申しましたように軍需景気の下向き等で必ずしも期待できない。それで方向をだんだんずらせまして東南アジア貿易というようなことがよく言われております。この夏でしたか、国民政府から張群氏が見えて政府との間に話合いをされて、東南アジア開発のために、貿易のためには中国の華僑を通じて一つの道を拓きたい。こういうことを言われたことは私は新聞で承知しておるのであります。併しながら中国問題をそのままにしておいて、中国から出ておる華僑を通じて東南アジアの開発をしよう、貿易の進展を図ろうということは、これは如何にも困難じやないかという気がするわけであります。というのは、一体今東南アジア地域におる華僑の諸君が中国というものを、中国本土、国民政府というものをどう考えておるか。中国の諸君は、華僑の諸君は中国を出ておるから、もう中国とは全然関係がないというようなことでは決してない。いろいろな意味で非常な深い繋がりを持つておる。私一つの例を申上げますと、丁度私はバンコツクで金屋というものがたくさんあるのにびつくりして聞きましたら、金の値打が下れば彼らは金を買込んで中国本土に持つて行つて銀と換える、こういうふうにいたしまして、自分の国の銀本位と自分の働いておる国の金本位とをうまく利用してその差額で商売をしておる。又子供を学校にやる時には幾ばくかの金を買込んで、その金を持たせて学校に通わせておる。その金で彼らの子弟は勉強して帰つて来る。こういつたような或いは支那人の棺桶、あの死体を運ぶ棺桶の値段というものが国際的にきまつておる。それぐらい支那人というものは死ねばその故郷である中国本土にその亡骸を運ぶというようなこと、こういうようなことを考えますと、非常に中国本土というものと精神的にも物質的にも文化的にも深い繋がりを持つて商売しているのではないかとこういうふうに考える。現に又私どもも日本の政府でそういうことを言つたけれども、中国の本土と商買しないように、あれでは不必要に神経をこわばらして、向うのほうへ押しやつて、自分らを通じて東南アジアの開発をするというようなことは以てのほかだというようなことをば、直接言つているような華僑の人にも会いました。どうでしよう。これはやはり華僑を通じて……、尤も華僑が東南アジアの資本の大きなものを握つておりますから、この着眼するところは正しくないとは申しませんが、この状態において華僑を通じて東南アジアの貿易が拡大されるような方向に行くとお考えになりますかどうですか。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 私は張群氏とも古い友達であつて、やはり会いましたし、又華僑は私が古い大正十年の頃華僑とも提携して、例えば河南銀行の時代に専務をやつた経験もありまして、南方華僑ともその後の連絡がありますからその辺の事情はよく承知いたしております。従いまして、私の見るところでは、これは今おつしやつたように中共を自分の本国としている。その繋りもあります。併し同時に例えば英領にいる者はブリテイツシユ・サブジエクトになつている。蘭領にいるものは、今は蘭領ではありませんが、インドネシアへ行つている者はインドネシアの国民となつているのでありまして、これは又台湾その他の面からも、繋りからも十分言うことができるのでありまして、従いまして華僑だけの一点について申しまするならば、華僑によつて貿易を若干進めることはこれのみでは行きません。これは日本の貿易というものは日本人の手でやるべきでありますが、これは勿論でありますけれども、華僑を通ずるということも一つのやり方である。これがどのくらいのウエイトがあると言われたら、非常に大きなウエイトを置くわけに行かんと思いますが、華僑の東南アジアにおける経済的地位に鑑みまして相当なことはなし得ると、かように考えている次第であります。
○委員長(岩沢忠恭君) 午前中の吉川委員の質問に対する緒方国務大臣の答弁を願います。
○国務大臣(緒方竹虎君) この印紙変造事件は誠に遺憾な事件であります。今後同種の事件が再び起りませんように、十分に注意をいたしますると共に、制度上の問題に関係があるかどうか、慎重に研究をいたしてみたいと考えております。
○田村文吉君 私は大蔵大臣並びに通産大臣に二、三の問題をお尋ねして見たいと思うのでありまするが、先ず第一に大蔵大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、この問題は前大蔵大臣の時代から、数回に亘りまして申上げたことでもあり、国民のすべてが感じておりまするつまり税が高過ぎるという問題であります。そこで十分そういう点についての御調査もできていると考えますが、昭和十年のいわゆる基準年度におきしまして、国民所得は百四十五億円、こういうふうになつておりまするが、現在政府でお示しになりました最近の国民所得は五兆三千二百六十億、倍数を申しますというと、三百六十六倍こういう数字に相成つているのであります。然るにこれにし対しまする全般の税の割合はどうなつておるかと申しますると、昭和十年においては八・四%、それから現在の補正予算によりまする数字は一五・三%約二倍に近い倍数に相成つているのであります。而も私が特に強調申上げたいと存じますることは、所得税並びに法人税、これの割合が非常に負担割合が増加いたしているのであります。と申しまするのは、昭和十年におきましては所得税、当時は法人税というものはございません、皆所得税の中に計算されておつたのでありますが、二億二千七百万円であつたのでございますが、今度の補正予算によりまするというと、四千四百八十億円に相成つておりまするので、これの倍数は一千九百七十倍、つまり所得税及び法人税というのは戦前に比べまして一千九百七十倍という倍数に相成つているのであります。酒の税金、或いは関税或いは専売益金等でありまするが、酒の税は大体六百六十倍、又専売益金も丁度六百六十倍、関税は今日の状態においては止むを得ないのでありまするが、僅かに百十三倍、こういうことになつておりまするが、要するに直接税において、非常に困難な状況に遭遇して非常の苦痛を嘗めているということが事実なのでありまして、これにつきましては、あらゆる形でこの税の高いというものに対する苦痛が訴えられているのであります。そこで私はまず何よりも今後独立いたしました日本といたしましては、この税を当り前の通常の状態に直すということが、先ず必要なことじやないだろうか、こういうことを深く考えているのであります。 そこでただ税を私はどのくらいを然らばお前は考えているかと申しますならば、現在四千四百八十億も払つております所得税、法人税を半分くらいに一つしてもらいたい。二千二百億くらいに一つ減らしてもらいたい。そういう大きな数字を、というからにには、何かそれに対する対応策ありやなしの問題が検討されなければならんのでありますが、これは一部分現在の直接税が奢侈品その他の間接税に転嫁されることも考え得ると思うのであります。それから過去におきましていわゆるインベントリー・フアイナンスのような式で、一般会計が支出されましたようなものをやめることは勿論でありますと同時に、生産的の行為に必要でありまする、例えば河川であるとか、或いは道路であるとか、或いは開墾事業であるとか、そういうものに必要といたします部分のものは今後堂々と国債を御発行になつてもよろしいではないか。現在日本の持つております国債は、私の概算で三千八百億程度と考えておりまするが、一年の歳計に比べましてその半分にも及ばんのであります。世界にこれくらい少い国債を持つているものはないと申してもよろしいかと考えるのでありまするが、これは過去の占領治下におきまして、国というものを如何にも富んだ楽な状態にして、インフレーシヨンをやめるということのために、地方税や或いは個人の借金というのはどんどん殖えて行つたが、国家の借金というものはだんだん減つて行つた。こういうことが実際の状況でありまするので、そういう方面の今後の経済政策を転換をいたしまして、そういう生産的の行為に関するものに対しては、必ずしも税によらずして、これを国債で賄つてもよろしいのではないか。勿論歳出の問題一般の問題でございますが、議論をすれば、いつもあれを殖やせ、これを殖やせというような注文が多いのでありますが、私はもう少し政府といたしまして、何とかして経費の支出を節約するために努力をする方針を考えて、或いは事務の簡素化であるとか或いは企業の能率化、或いは私は国民が余りに安易な考え方を持ちまして、ただその日その日の享楽に追われるようなことを奨励するような形に相成つておりますが、今日の社会風潮を憂うるものでありまするが、同時に政府の施策もこの点について何かしら抜けたところがあるのではないか。例えば言われまする社用族とか申しまして、非常に夜の宴会が繁昌する、こういうようなことのために、一般の大衆の怒りを買うというようなことも事実あるのでありますが、そういうような点からいつて国民の耐乏生活に対して、或る程度これはもう少し我慢して行くべきであるという方針を指示して進めて行くべきではなかろうか、こういうような点によりまして、私は税金を先ず一つ半分にしてやるということを考えられるべきじやなかろうか、こう思いまするので、これに対して先ず第一に大蔵大臣がどういうふうにお考えになりますか、明確にお答え願います。
○国務大臣(向井忠晴君) 至極く御尤もな御意見でございますが、税金を半分にいたしますということは、究極の目的には副いましようが、急にそれをやることは不可能だろうと存じます。そこで先ず所得税、法人税というふうな税金を個人の分、或いは法人の分のそれぞれにつきまして、軽減のできるように税制を変えて行こうと考えております。それは併し決して三分の一減税できるとか、四分の一減税できるとかいう程度のことは私はできないことと存じておりまするが、その方向に向つてこの次の予算を組んで行きたいと存じております。それから消費税というような間接税を多くして、そして直接税は軽くするというふうな方向にも進みたいと思つて只今研究しております。 それから公債のことは御尤もでございまして、実際世界中で今日本ほど国債の少い国はないだろうと存じますが、これも考えてはおりますが、ただ公債を出しましても、これが裏付けのない出し方では、悪い結果を来すと存じますので、慎重に考えまして行動いたさなくちやならんとこう考えております。それか奢侈品というようなものに金の行かないように、国民の大衆にも考えてもらう必要がありますが、同時に法律なり或いは税制の改正でその方向に向うように誘つて行くという形をとることも一つの方法と存じます。それも只今考えております。
○田村文吉君 数字を以てどうこうということは困難であるということは御尤もに思いまするが、とにかく所得税、法人税が千九百七十倍、いわゆる二千倍に近いものを戦前に比べて払つているということは非常な不自然だということを大蔵大臣はよく御認識になりまして、二十八年度予算の編成に当りましてよく考えて頂きたい。 それから二番目にお尋ねいたしたいのでありまするが、過日の御答弁の中に、生産増強を図る中に、重点主義によらざるを得ない、重点主義によると、こういうお話があつたのでありますが、観念的に重点主義というようなことをお考えになることはかまわないのでありますが、昨日も外航船舶の利子補給を決議いたしました。私はこれは最近において初めて重点的なものが法律に現われた形であると思うのでありますが、過去においてこの鉄鋼の補給であるとか、或いは石炭の補給であるとか、或いは肥料の保護であるとかいうようなことで、いろいろの保護をやられたのでありましたが、又補給金も出されたのでありましたが、その結果はどうであつたかということを申上げますと、今日世界的物価の中で一番高いものは何であるかといえば肥料である、石炭である、鉄鋼である、すべて保護を受け奨励金を受けた産業が皆一番高い水準にある。これはよほど考えて行かなければならない問題でないかと考えまして、重点主義に進むようになるのはいいが、それがために補給金を出すなぞというようなお考えをお持ちになつておるのかどうか、これは大蔵大臣と通産大臣のお二方にお伺いいたしたい。
○国務大臣(向井忠晴君) 御説御尤もでございまして、補給をすればその業体は大体安易なやり方をする傾向がございますので、努めて補給ということは避けて参りますつもりであります。従つて重点主義に生産事業を助けて行きたいと存じますが、補給金で行こうという考えは只今持つておりません。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 只今大蔵大臣のお話がありましたように、私どもといたしましても、現に鉄鋼合理化三ヵ年計画を鉄鋼について言えば進めている際でもありまして、その見地から今例えば鉄鋼などについて補助金を出すことがいいかどうか、こういうことについてはまだ結論を得ておりませんし、又対外的にも例えば西ドイツなども輸出補助金を出しておりますが、これは各国で今実情を調査しておつて、或いは近く何らかの処置に出るのではないかというふうに言われている際でもありますので、従つて日本までこれに類するような行動はどうかというふうにも考えられているのでありまして、更に又一方財源の問題、補給金を仮に交付するとすれば、財源等の問題もありますので、かたがた私どもとしては今補給金を出すとすれば、どうして輸出の面で補給金額は少くしてやられるか、例えて申しますと、昨日申上げましたプラント輸出の場合の或いは機械とか、そういつたものに含まれているものだけに対しての補給、こういつたような問題については特別に考えてもいいのではないか、こういう考え方から考えておりますが、一般的に鉄鋼に対して、或いは肥料に対して、或いはその他のものに対して補給金を出すということについては、私も現在の段階ではまだ適当と考えておらん次第であります。
○田村文吉君 そこで今の補給金政策は、ドツジ・ラインでもいわゆる竹馬の脚を切るというようなことで、そういうことについての警戒をされたのでありまして、今回では大体においてそういう方向に進んでいるのでありまするが、大変結構なんです、結構なんでありまするが、同時にもう少し今の現在の生産に、或いは商売に影響いたしておりまするところの独占禁止法の関係であるとか、ああいうような非常に商売人或いは産業人を縛るような法律を、これを早急に緩和するということが当然に必要になつて来るのであります。又中小企業の面から申しまして、今日のような労働基準法、あんな窮屈な労働基準法のようなものを似て、そうして日本がよたよたと世界のこの経済界に太刀打ができると思つていることが大間違いだ。こういう点について通産大臣はどうお考えになつておりますか、併せてお伺いいたしたい。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 田村さんが仰せになる点は、私にも全く同感の点が多いようであります。但し労働問題等の話は、これはちよつと所管外でありますから差控えさして頂きますといたしまして、今の独占禁止法については、現在の段階で相当これを改むべき面があると考えているのであります。先般横田公正取引委員長と私ども相談いたしまして、実情に応ずるようにこれを少し改めて行きたいということで、通産省のほうと経済審議庁のほうといろいろ協議中でありまして、目下事務的に案を練つております。これは来春遠からずそういうような案を国会へ提出して御相談し得ることと、私は固く信じております。
○田村文吉君 今通産大臣から労働基準法に関しては労働大臣の所管であるから、自分からどうこうという話はいたしません……、いや決して責任のある御答弁を要求するわけではございませんが、併し中小企業を何とかしてこの際興してやつて、できるだけ日本に失業者のないようにしてやろうと、こういう考えを持つ政治家であれば、これは労働省の関係であろうが、所管の通産大臣として無理にでもこれは押して頂かなければならん、こういうふうに私は考える。これは決して強いて御答弁を要求しませんが、併しそのくらいの気魂があつて初めて中小企業というものが立つて行くのであります。労働大臣がやつているのだから、わしはどうもその問題には触れんぞというようなことでは中小企業の発達ということは今後困難だと、こう考える……、
○国務大臣(小笠原三九郎君) 今のような、私一人の考え方を言え言つたとらこれは差支えないのでありますが、それに対する政府の御答弁のようでありましたので差控えたのでありまするが、実は私どもも中小企業が、例えて申しますると、先般の炭労或いは電産のストの結果、あの間営業ができなかつた、仕事ができなかつた。その結果期日に納付すべきものを納付することができない。そこで今度はストもやんで、一生懸命これからかかろうとすると、この労働の基準法等に縛らてしまつてこれをやることができない。労務者のほうも、実は労働者のほうも進んでやりたい、そうして年末賃金を得たいのだがやれない。資本家の、つまり資本家と言つたら語弊があるかも知れませんが、経営者の中小企業者のほうもやりたい、労務者のほうもやたりい。両方やりたいと言つておりながらこの基準法のためにやれないという点は田村さんもよく御承知の通りであります。さようなことは日本の現状にはふさわしくないと考えて、私はこういう点について労働省のほうにいろいろ話をしておる次第でありまして、中小工業者を預かる私どもの立場といたしましては、決して不熱心でも何でもありません。熱心にやるつもりでありますが、但し所管外のことでありますから、直接これに対するお答えは差控えた次第でございます。
○田村文吉君 第三番目の質問を伺いたいのでありまするが、それは今後の日本の物価に対する見通し及びこれが対策をどうなさるか、こういう問題を両大臣に伺いたいのであります。 無論貨幣価値の変更をするとか、或いは三百六十円の為替レートを今変更なさる意思があるかないかというようなことを、やぼにお聞きするつもりはございません。無論お尋ねしてもさような意思はありませんとお答えになるにきまつておる。ただ現在日本の国際的の商品の値段が相当行詰つた形に相成つておる。又東南アジア方面における経済情勢等から考えましても、輸出は相当に困難な状況にある。国内では或る部分では相当品物は余つているというようなことで、誠に中小企業だけじやない、大企業まで実は全部に非常に暗い感じを持つているのでありまして、何かしら大事の安全弁が抜けているのじやないかというような気がいたすのであります。そこで今後物価に対しては、飽くまでも現在の価格を維持してこれを行くという御方針をお立てになるのか。それにはどうすればよろしいかというようなお考えがございましたらば、大蔵大臣から御答弁をお願いいたしたい。
○国務大臣(向井忠晴君) 大蔵省としましては、物価について対策といいますと、金利を下げるとか或いは生産品に対して或る部分のものは税金を下げるとかいうふうな、比較的まあ姑息な方法以外には考えつかないのでございますが、一体物価が国際的に見まして高いというふうに私は考えるのですが、これを放つておいて物が溜り、そうして外国が買つてくれないで今よりもまだ下つて来ると製造家が困つてしまう。そうして仕事の進展を鈍らせるばかりでなく、或いは今度は生産が減つて来るというふうなことまで参りましては大変でございますが、それまでの間に各製造家が原価の引下げについての諸方策を講じて、そうして成るべく国際水準まで生産費を下げて輸出のできるようにします一方、輸出の途が開けます方法を各般の方向に政府としても努力をして、そうして国際収支の均衡とまで行きませんでも支払超過を減らすという方向に進めて行く、それ以外には私は方法はないというふうに考えております。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 日本の物価が国際的に割高であることは田村さんが仰せになつた通りであります。こらはまあいろいろ原因がございましようが、原材料を取得する条件が非常に劣つておりますことと、或いは機械設備などが老朽化或いは陳腐化しておることとか、或いは又操業の不適正であるとか、或いは又石炭、鉄鋼等ああいつた原料、材料とでもいいまするか、そういつたものが割高についておる等いろいろな理由に基いておるのでございますが、併しいずれにいたしましても繊維品等を除いては国際的に割高であるのでありまして、できるだけこれが是正を図つて、もう少し低いところで国際競争力を持ち得るところで安定を図りたいということが私どもの物価政策に対する根本の考え方であります。それがために今大蔵大臣からいろいろ話がありました通り、私どもといたしましても先ず第一に保有外貨などを少し有効適切に使用することによつて合理化対策、機械を輸入することがやれればそれを一つやりたい。又第二にいわゆる国内産業保護のほうに流れないで、併し低廉な外国から原料及び製品の輸入を図ること等、こういうようなこと等で一つ漸次物価水準を下げて参る、そうして国際競争力をつけて行く。とにかくこの物価につきましても、これ一つだけで物価を下げ得るという方法がございませんので、例えば租税の面でそういうふうに行くものは租税の面で考える、又金利の面で行くものは金利の面で考える、又金融の面で行くものは金融の面で考える、生産工程の改善によるものは生産工程の改善を図らせるというような各種の方法をとることによりまして、そうして日本の割高であるのを是正して参りたい、そうして国際競争力を持つようにいたしたいと思つておるのでありますが、これはすぐ右左に効くようなペニシリンのような即効薬を見出し得ないことは誠に遺憾であります。そういう方向に向つて私どもは今努力いたしつつある次第でございます。
○田村文吉君 その次に合理化というような問題は当然にやるべきだと思いますし、又大企業等においては政府のお勧めがなくとも十分そういう点についてはやつておる。そこで先ほどもお話になつた中小企業等になりますると、なかなかそういうことは事実上言うてもそれができんのです。一方米の値段は上る、労働賃金は上る、鉄道の運賃も上る、こういうような政策を一方にとりながら、これも私は止むを得ない今日の情勢だと思うのです。止むを得ないから公務員の給与も上る、賃金も上る、これは止むを得ない。だがそこにどうしても安全弁として割切れない問題が残つておるが、これは大蔵大臣と通商産業大臣としてどう解決なさるお見込みがあるか、つまり一方において多少の合理化ぐらいいたしましても、賃金が上る、米が上る、運賃が上るというような情勢で、ものを下げるということはできんのです。つまり事実が示しておるように、池田大蔵大臣が如何に物価は横ばいだ横ばいだと言いながら、一昨年、昨年とだんだんやはり物価指数が上つて来ておる。最近において多少繊維品等が下りましたから、指数的にはちよつと下つているというふうに見えますけれども、先ず何といつても賃金が上る、いろいろなものが上るというような情勢にあるから、従つて又賃金も上げる、こういうような情勢で何かしら大事な安全弁が抜けているのではないかという気がするのです。それはいわゆる貨幣価値を変更するとか、或いは三百六十円のレートというものをもう少し検討してみる必要があるのではないかという問題も起つて来るかと思いますが、こういう点は今無論大蔵大臣はこれは御答弁頂ければなお結構であります。ですけれども大抵答弁は予期いたしておりまするが、併しこれは根本的にお考えをなさらないというと、何かしら日本の経済が行き詰つた形にあるのではないか。これを如何にして打開するか、どういう点が妙薬があるか、ただ今小笠原さんが言われるように、いや一つではない、あれもやるんだ、これもやるんだというふうにお列べにはなるが、一方は値の上るほうを一生懸命やつていらつしやる、これではいかんので、何かしらそこに根本的に安全弁の抜けている点を早く見付けて頂いて、これを解決して頂かなければならん。それは二十八年度の予算をお作りになるときに十分にお考えにならなければならん。その一端として私は先ず第一に税金は高過ぎる、これは先ず第一の癌だ、だから所得税、法人税などは半分位になさい。こういうことを実は申上げたわけでありますが、そういう点を何かもう少し頼りのある御答弁が願えればなお結構なんです。
○国務大臣(向井忠晴君) 甚だ遺憾でありますが、頼りのある御答弁は申上げかねるのでございます。私は政府も努力いたしますが、同時に国民大衆もその方向に向かつてますます努力をして頂さたいということはこの国会の答弁のついでといたしまして、皆さんに申上げておさたい、かように考えます。
○片柳眞吉君 私は先ず最初に繭糸価の安定につきまして、これは大蔵大臣と農林当局に御質問をいたしたいと思いますが、繭糸価の安定施設法が通りまして、すでに運用といいまするが、実施をされておりまするが、この関係で一般合計から三十億繰入れをいたしまして、こういう点はこの予算委員会でも国家資金の合理的な使用をやり、或いは財政支出の重点的使用という問題がしばしば議論されておりまするが、そういう点から考えて参りますると、実は三十億の一般会計から繰入れをしておりまするけれども、幸か不幸かこの法律が施行されてから生糸は上る一方でありまして、従つて貴重なる三十億の金というものが実は特別会計の中で遊休して資金運用部に預託されて、いつも遊んでおる状況なのであります。この糸価安定施設の性格は、大蔵大臣も御承知だと思いますが、生糸を最低価格で買つて最高価格で売るという仕組でありまして、これは過去の実績から見ましても、かような制度においてはむしろプラスとして相当の金が残つておるわけです。而もこれはいつ買い売りが起るかわからないわけであります。現物を買つて売買をするわけでありまするから、私はむしろこういうものは一般会計から繰入をせずに、丁度現在の食管会計の食糧証券みたような考え方で、仮にいたしますれば、蚕糸証券というものを発行して、それによつて生糸を買つて、それで最高価格で売つた場合にそれを償還する、こういうむしろ売買の会計の性格なり、又過去の実績からも、決して国庫には損失を及ぼしておらんわけでありますから、こういう特別会計の資金はむしろ食糧証券に準じたような考え方のほうが、私は貴重なる国家資金はほかのほうへむしろ有効に使つて頂きたいという考えを持つております。これに対しまして先ず大蔵大臣の御所見を承わりたいと思います。
○国務大臣(向井忠晴君) 過去の歴史を考えますと、蚕糸を安いときに買つて市場を救済したというふうな場合に、それが救済だけなく大いに成功したということを私は覚えております。只今のお話で安いとき買つて高いときに売る、それを特別な債券のようなものでやつたらどうかというお話でございますが、まあそれもいいでしようけれども、実際問題として生糸が日本でもよく売れる、外国へ行渡らないくらいに売れているという現状では、今のお金が遊んでいるという事実でもわかりますから、その心配を大蔵省としては今方法を変えるまでに行かないでいいんじやないかというふうに考えております。
○片柳眞吉君 その次に、今の問題に関連いたしまして糸価安定施設というものが法律が施行されておりますが、現在では一俵二十四万円近い最高価格に近付いております。従つて折角この制度ができましても、実は農林省の特別会計では一俵の現物も持つておらない。現物を持つておつてそれを最高価格になつた場合においてはこれを市場に放出をして、生糸の価格を安定するというような仕組でありますが、これが現在一俵も実は現物を持つておらないのであります。これは制度ができたけれども実は全然力を持つておらないわけでありますが、従つてこれは現在でも生糸の価格が高いわけでありますから、相当困難な事情はあると思うのでありまするが、来年の新繭の出廻り市況をとらえて、一定の数量を時価で特別会計から買つて持つておる。或る程度の現物を持つておりませんと、この制度は全く実は有名無実になつております。而も最低価格では買えませんので、現在の時価で適当量を政府が買うということをしませんと、この制度は何ら意味がないわけですが、これは主として農林政務次官のほうにお伺いしたい。
○国務大臣(向井忠晴君) 片柳さんは慾が深くて同町に気が短いというふうに私は考えます。それで安くなつたらお買いになればいいので、高いときに是非持たなくちやならないというのは性急な話で、もう少しお待ちになるのがいい。いずれ何かで安いときが来るでしようから、そのときにお買いになればいい。それから今お買いになつて、もつと上つたときにお売りになるということになると、これは慾が深いというふうに考えます。
○政府委員(松浦東介君) 今片柳さんがおつしやつたことは、その法律を作るときにも非常に問題になつた点でございまして、現在としては只今大蔵大臣が申述べた通りでございます。
○片柳眞吉君 大いに不満な御答弁でありますが、時間がありませんから次の問題をお聞きいたしますが、その次には、食生活の改善という問題がこの委員会でもしばしば論議をされておりまするが、食生活の改善の点からは、どうしましても午乳でありますとか、その他の酪農製品が安く買えるということでないと、私は食生活の改善は実現ができないと思うのですが、そこで農林省も家畜の導入なり、或いは現在飼料の需給調整法案というものを審議をしておる最中のようでありますが、従つて生産を殖やすということも勿論基本的問題だと思いまするが、ところが現在の牛乳なり酪農製品の流通過程を見て参りますると、これは非常に農家の売つた価格と我々の消費者の買う価格との間においては相当巨額なマージンが中間に介在しておる。詳しい調査ではありませんが、例えば千乳にいたしましても、農家の売るのは一合が大体四円内外、ところが我々が買いまするのが一合が十四円というような非常に高いものであります。それから肉にいたしましても、例えば豚等にいたしましても農家の庭先の価格は私は大体百匁当りが四十円を切つておるのではないかと思いますが、それが我々が肉屋で買いますれば二百円近い価格で、流通過程に私は相当改善すべき点があるのではないかと思うのですが、これが予算の面におきましてもその他の面においても余り出ておらないのですが、これに対して農林省でどういうお考えを持つておるか、これは来年度の予算の関係もあるので……。
○政府委員(松浦東介君) お話のように大分乳牛も殖えましたし、牛乳も殖えておりますが、農家が出します生産生乳、例えば牛乳にとつて考えますると、生乳が我々が消費する場合の値段と大分開きがあるという点については、その間にいろいろ輸送賃その他の問題もあるのでございますが、もつと公正な取引がならないものであるか、こういう観点について取引の実態調査のようなことについて多少でありますけれども予算を計上しておるような次第でございます。なおこれらの対策につきましては、今後農業協同組合などの牛乳処理加工施設などにも金融措置等を強化いたしまして、そうしてだんだんそのコストを下げるような方法をとりまして消費の拡大を図りたい、こういうことを考えております。 又食生活の改善の問題でございますが、これは申上げるまでもなく大人よりもむしろ子供の食生活の改善という意味で、子供からの習慣によるところの食生活改善という意味で、食生活改善の費用の大かたを学校の給食のほうに使つておるような現状でございますが、牛乳の脱脂乳ですが、そういうものも国内のものを特に使うというようなことに持つて行きたい、かように考えます。肉につきましてもいろいろ輸送途上の問題もあり、さまざまありますので、これは屠殺場の家畜取引法を設定するとか、或いは簡易屠殺場の問題であるとか、或いは冷蔵施設というような、そういう面に金融の措置を講じまして、だんだんよくして参りたい、かように存じております。
○片柳眞吉君 その次は、農林漁業金融公庫の問題で簡単にお伺いいたしますが、この法案は大体通るというふうに私は存じておりますが、ただ一つの心配は、現在は農林中金で政府の特別会計の事務は実際上代行しておりますが、その場合において農林中金の損失は最高二割が損失の限度になつている。ところが公庫ができて参りますると、公庫が最悪の場合においては全部の、百%の損失を負担するというような関係で、折角の資金がなかなか出ないという点が実は心配の一つであります。これは本来申すまでもなく、普通の金融ベースに乗らないから、政府の金をお出しを願つて、而も国の助成金等と表裏一体の資金も相当あると思うのでありますが、そこで公庫のできることは大体賛成でありまするが、余り堅くなつて厳重な査定をされると、どうも折角の趣旨がつぶれてしまう。そうかといつて、曾ての復金のように主務省と公庫のほうと余り相談をしてやるというと、今度は責任の所在が不明確になるという関係から、その間にむずかしい問題があろうと思いますが、この公庫のできました趣旨がはつきりできるように具体的などういう考えを持つておりますか、これは大蔵、農林両省に関係がありまするが……。
○政府委員(松浦東介君) 金融公庫を作りました趣旨は、片柳さん御存じのように、現在の農村の経済状態としましては、これは担保も少く、あらゆる観点から考えまして、これは一般金融では救えない現状にありますのと、一面食糧増産等に非常に大きな資金を要しまするから、これを農林漁業資金融通法によるところのあの資金の活用を図つておつたようなわけでありまするが、この資金がだんだん増大します場合に、現在窓口その他は中金に任してあるわけでありますが、決定権は農林省の金融課が持つております。それでは余りに堅苦しく、又余りに複雑であり、且つ又官庁の人間としては専門的な知識を要する面も非常にありまするので、これは能率をあげるわけには参らない。これを一般の市中銀行並びに中金にこれを全部委託するというような問題を考えまする場合には、それでは折角政府が意図しますところの農業政策というものが、中金のような、或いは市中銀行のような大きなダムのようなところに入つてしまつて、そこから細々と下のほうに、下部に浸透するのでは、非常に政策の浸透が遅くて、国民は非常にせつかちでありまするから、遅いのを浸透しないと考える。こういうようなことにもなりまするので、これを全部金融機関に任せるわけには参りません。そこでその中間の公庫という、こういう構想になつたことは片柳さん御承知の通りであります。目的がそこにあるのでありまするから、これは今御心配のような非常な堅苦しい運営をしたのでは意味をなさないととになります。我々は十分この法律ができましたならば、運営に気を付けまして、そうしてこの法律を作りました趣旨を最もよく達しまするように努力をいたしたい、かように考えるわけであります。
○片柳眞吉君 最後にこの前、総理に私御質問いたしまして外務大臣から御答弁があつた点でありますが、防衛水域の問題で、これは農林当局に御質問いたしたいと思つておりますが、この前の外務大臣の御答弁では、防衛水域ができてもこれは漁船は自由に立入りができるということであります。従つて国庫補償も考えにくいというような御答弁がありましたのでありますが、ところが今日の新聞を見ますると、国連軍の現地当局では、実は実際上は立ち入りができない、漁船が入つて漁業がでさないという情報があつた。これは実は外務大臣の答弁と非常に違つておるわけでありますが、これを水産庁でその情報が事実でありまするか。私は事実であるとすれば、やはりこれについては国連協力というラインからやはり国が相当の補償をしないとおかしいと思うのですが、その点につきまして農林省からお伺いしたい。
○政府委員(塩見友之助君) 防衛水域の問題につきましては、あの水域に入るのを好まないのは、理由は諜報であるとか、その他軍事上障害のあるようなものを排除したいから、それで平和的にそういうふうな懸念のないようなものが入つて来るのを拒むという趣旨でこれは設定したのではない。こういうことをはつきり言つております。それで我々といたしましては、先般そういう趣旨ならば日本政府において、それでそういうふうな懸念がない、これは平和的な漁業だけをやるという単独な目的で以て入つて行くという証明をやるから、それを見た場合には、現地の軍のほうで以て親切に取扱つてもらうというふうにしてはどうかというふうな下交渉をやりましたところが、それはいい考えだ、非常にプラスになるだろうというふうな回答でございましたので、それをこの間実行いたしましてそれで出漁証明書を発給して、それで出漁させているわけでございます。それで今朝の新聞に出ました部分については、なお現場からのはつきりした証拠がございません。併しながらあの水域に入つて来たものはこれは軍事上の必要がある場合には、とにかく立去つてもらうことは事実あるのだというふうな註釈が加わつておりまして、まあそういうふうな判定につきましては、具体的にどういうふうな場合かということがしつかりしておらないわけであります。それでこれは現地の軍がやることでありますし、現地の指揮官も十分なそういう理解の下にやつてもらわないと、漁業者には迷惑をかけるようなことにもなりかねないのでありますから、その趣旨が十分現地の指揮官に伝わるように、我々としては外務省を通じて、大使館を通じて国連軍のほうに意図が徹底するように努力しているわけでございますが、ときどきそういうふうな問題が起つて、操業上非常に支障の起ることがあり得るわけであります。併し現実には船は行つております。まあそういう支障があるために、船の行くのは幾らか減りましたけれども、現実には行つております。そういうふうな関係からいたしましてなお我々のほうといたしましても、最近にも出漁証明制度というものを十分理解して、これによつてやつてもらいたいということを念を押し、そういう点で問題のありました漁船の事例をしつかりとしたためまして、向うに決定方を依頼しているという状態でありまして、今法律を以てそういうふうな水域への出漁を制限し、それによつて保障をやるというふうな形では、行く漁民のほうでも非常に困るのであります。まだそういう段階に至つていない。望むところのものはあそこで軍上障害のない限りは操業をさせてもらいたいというふうな漁民の要望でもありまするので、極力そういう点で漁民の要望を貫徹するように努力しているという状態であります。
○片柳眞吉君 それは一つ政府の一方的なまだ客観的な解釈だということだでははいけませんから、実際上どういう措置をとつているか、これは水産庁としてやはり具体的に一つお調べを願いたい。これは又別個の委員会になりますからこれは現実をよく調査して調べて頂きたい。これで終ります。
○委員長(岩沢忠恭君) いいですか……、東君。
○東隆君 私は沿岸漁業の開発発展とに関連して北洋漁業について質疑を行いたいと思います。 長い占領下の間に北洋漁業が閉鎖をされてしまつて、沿岸の漁族は実のところを申しますと底曳網の関係で殆んど取尽されてしまいました。こういうような関係になつているのが現状でないかと思う。そこで沿岸の漁家の生活を維持して行くために、どうしても北洋の漁業の開発をして行かなければならん。こう考えますが、これは非常に今の状態といたしましてはむずかしいと思うのであります。それに対して水産庁のほうでどういうふうにお考えになつているかお伺いをしたいと思います。
○政府委員(塩見友之助君) 北洋漁業のほうの開発によつて沿岸漁業に対してまあ資源面にも経営面にもいい影響を与えるというのを、どういうふうに具体的に考えているか。とういう趣旨の御質問であると存じます。それは方向といたしまして我々も是非そういうふうに持つて行きたい、こういうふうに考えております。確かにおつしやる通りに、底曳網漁業が戦後に特に食糧不足の関係からして、又県のほうに許可権があつたために、非常に許可数が殖えておりまして、戦前に農林大臣が許可権を持つておりましたときに適正な隻数まで落して行つたのが倍近くになつた。とれが多過ぎることは事実であります。ただこれに従つている漁業者も又非常にこれをやめれば、食うに困るという実情にあるので、これがマツカーサー・ラインが撤廃され、そうして自由に公海において漁業が営まれることになつた現在において、何らかの形でうまく打開して行きたい、こういうことは我々もかねがね考えているわけであります。その場合にこの沿岸漁業者のほうで、非常にそれによつて被害をこうむつたかたがたも又共同して或る程度のやはりそういう太洋漁業に出るということも考えられますが、やはりどうしても公海における太洋の漁業になりますると、乗組員の関係、或いは船の大きさその他いろいろの関係からいつて相当な規模を要しますので、そういうふうな点については、殊に北洋の鮭鱒の流し網のようなものについては、船の型からいつても、トン数からいつても、現在ありますところの底曳網漁業がこれが一番恰好なわけであります。できるだけ我々のほうといたしましてはその底曳網漁業自体をそういうふうなところに操業するようにできるだけ進めて行つて、そうして沿岸のほうを楽にする。そうして沿岸漁業者は沿岸でもやれるという形にして、できるだけ各種の兼業関係を付けまして、遠洋のみで以て成立をするようになれば、沿岸のほうの底曳は我々やめてもらうという形で、沿岸のほうにかかつているところの重圧を軽くして行こうということを考えているわけであります。一方又非常にどうにもこうにも行かなくなつたという沿岸漁業者のかたが、やはりそれだけの実力があるので遠洋漁業に出たいという場合には、その計画が堅実である限りにおいては、我んとしてもできるだけ援助をして、金融その他でも面倒をみて、そうして局面を打開できるようにしたい。とう考えております。
○東隆君 沿岸漁業の開発の発展を期するために、今のお話により発展することができると思います。我々もそういうふうに考えておりますが、この際底曳網に荒されている所を、そこが魚族の繁殖地帯であるというような地帯は、完全に北洋漁業に転換をする、こういうようなことを条件にして、或いは国が補償をするというような形で以て禁止区域をはつきりと明示しやつて行く意思が、そういう意思があるか。
○政府委員(塩見友之助君) 禁止区域の問題はかなり昔にいろいろ技術的な検討を加えた上で地方庁の意見も徴して底曳網の禁止区域を作つたわけであります。これは不十分な点はまだあるというふうに考えております。現在全体としての隻数が非常に過剰になつている関係から、いろいろ問題がございまして、事実は禁止区域自体が守られさえすれば、或る程度沿岸漁業のほうは助かるという部分も、これは長い歴史を持つておりますので、相当ございます。取締りが十分でないために、そのために実際は禁止区域の中に入るとかいろいろな障害が起つて沿岸漁民に迷惑をかけている、こういうところに問題が多いわけであります。併しながらあの禁止区域もかなり前のものでございまして、技術的に検討するととは、繁殖保護その他の関係からして改正すべき点も相当あると思います。殊に又戦時中から戦後にかけて、資源よりも食糧を増産すればいいというところから、こういうところから前にありました禁止区域を狭めまして、そのために沿岸漁民が困つているという地帯もございます。そういうふうな点はできるだけ早く十分な調査をやりまして、それで改正して参りたい、こう考えております。直ちにこれをやめさせて転換をさせるという問題でございますが、これは前には正式な許可が出なかつたようなものが、戦時中から戦後にかけていわゆる小型底曳網漁業と称しまして出て来た。これは本当は法律的には認められないものであつたわけであります。それを非常に苦しいというふうな関係から、又非常に零細な漁業者も多いわけであつたものですから……。その小型底曳網漁業は隻数を減らして、約九千隻ほどの計画を持つております。五カ年間で補償しまして、それで順次沿岸の資源を楽にして行く。その他釣り、延縄をやる漁業者の生計を楽にする、資源的にも楽にするという方法をとつております。併しながら中型の汽船底曳網に対しては、そういうふうな許可がなかつたのではなくて、正当な許可を受けたものでございます。これの転換につきましては、相当大きな投資をやつておりますし、小型と違いまして転換の先にいたしましても、小型底曳網に比べますと、どうしても相当規模が大きくなるというふうな観点からしてむずかしい点もございますので、極力今投資したもの、それから今あるものを整理して失業させないという趣旨で、先ほど申しましたように公海におけるできるだけ遠洋の漁業に兼業関係をつけ進出させるような形で救つて参る。それがどうしてもいけないというようなことがはつきりして参つた場合には、最後的にお話のありましたような措置をとらなければならん、こう思つております。ただ非常に困つておりますので、希望者は相当あるようでございますので、その点は十分考えながらできるだけ転換させて行く。これは整理しても、漁民はどうしても漁業でないと食えない。何かの漁業をやらないと、失業のままでは放置できない。こういうような関係がございますので、それらの情勢と見合いながら最後的には相当補償をしてでも整理しなければならんかも知れませんが、今のところはできるだけ転換するほうに最重点も置く、こう考えております。
○東隆君 転換を希望している向きがある場合に、それを北洋漁業に積極的に農林省としてもらうというふうにきめるほうがいいと考えますが、二十七年度においては船団が三、独航船が五十、こういうのでありますが、灰関するところによりますと、今年はやはり船団が三、独航船が八十六とかというような話を聞いているわけでありますが、これは最盛期に十六船団約五百隻の船を送り込んだ実績がありますので、私は希望する向きがあるならば、この船団をもう少し殖やすほうがいいと考えますが、又希望するならば独航船の数を殖やすべきである。こう考えるが、その点お伺いします。
○政府委員(塩見友之助君) 過去において、戦前において操業いたしました漁場は、主として露領の沿岸近までございます。大体三浬線すれすれのところまで行つておつた。それで今般許可してやらせましたが、今年度は、又来年許可しようという操業海域が相当沿岸から離れている。こういう海域における操業の実績というものは営業的にやつているものはございません。それで過去において三つだけ試験の成績がございまして、その試験の成績を基としまして大体漁場としてはここだろうという点を押えまして、昨年漁業者のほうから百五十とか二百とかいう要望もありましたけれども、我々のほうとしては堅く見積りましてせいぜい五十ぱいというのでやつたわけであります。その五十ぱいがやつとあそこでは収容ができた、こういう状態でございます。それでキスカの南の漁場でございますが、これは大体一船で四浬半くらい網をずつと張るわけです。びしつと五十ぱいの船を入れてそれでやつと入るくらいな安定した漁場であるわけです。でこの前にありました漁場では大体網が五十間くらいの網でありますが一反当り十二尾から十四尾くらいかかつておつた。それはさけがずつと接岸して岸にぶつかり、岸に伝わつてずつと水が出る川のほうに廻つて行くのでそこを待伏せると非常によくかかるのです。あの海域において三つしかない、三尾が二つ、五尾かかつておるのが一つ、こういう状態でございます。それを基礎として採算を立ててみて、それで漁価等も勘案いたしまして隻数をきめたのであります。あれがやつとの隻数であると思います。それで初め許可した区域内では赤字が出るというようなことが明瞭になつたし、独立直後におけるソ連の態度というものがはつきりつかめませんので、そつちのほうの区域を非常に狭せばめにとつて参りましたのですが、その点の懸念が大体なくなつた。こう認めまして七月になりまして漁区を東のほうへ拡げたわけです。ここでますを取つた。これはますのほうは大体七度の水温になりますと、初めて浮上して参る。それであの海域では大体その時期でないと網にかかりにくいこういう状態にあるのです。今度許可しますのは、当初から去年拡げました所全部含めて、又東のほうも日米加条約線一ぱい拡げてそれを許可するわけでありますが、そこの中で的確に採算が合うとみられる漁場は、現場を見て参りました監督官それからその漁船、今年出漁いたしましたところの三船団の船団長、すべての意見を総合いたしまして、すべてその点では非常に前半期の漁場は狭い、後半期はゆとりがあるが、前半期五月、六月は非常に狭い。それで先生たちも政府も大体見当をつけてすべてその数字を正しい、こう見ております。これは今朝も参りましたので、それで個別的に聞きましたけれども、すべてあの数字でないと危ない。こう言つておつて、これは二カ月くらいに亘つて技術者も十分検討して参つた数字でありますので、我々のほうとしては現在内定しておるところの八十五はいと調査船十五はい、こういうのでやつて参るのがいいのではないか、こう思つております。或る程度調査が進みましてそれで或る程度まで又網を上げる作業が機械化できまして、それで一般の流す網の数を相当殖やすということができますれば、一反当りのかかる尾数が或いは三尾台でも採算が古れるということになれば、漁場も拡がり、隻数も殖えて参ります。現在のところその点は今朝も船団長とも十分話合いましたが、その点にまだ自信はございません。できるだけ今の線で確実にやつて参りたい、こう考えております。
○東隆君 私は区域は大分拡張されておるように思いますが、この際、沿岸の漁民が北洋漁業を目的として協同組合を組織し、それが北洋漁業をやる、こういうように目的を掲げてやろうとした場合、協同組合の企業のほうが、私は広汎な範囲において漁民を救うというような意味においても、私はいい企業の主体である、こういうふうに思います。営利会社による船団、それから協同組合によるところの船団、どちらを水産庁としてはとるべきであるか。こういうようなことを考えるときに、私は協同組合による企業、それによる船団、それをとるべきではないかとこう考えますが、それをとらない理由を一つ御説明願います。
○政府委員(塩見友之助君) 協同組合による漁業の自営というふうなことは、旧漁業法では禁止しておりました。その理由は、やはりその協同組合が各種の漁民のための事業をやつておるのに、このような危険な事業で以て赤字でも出して、漁民のための共同の施設ができなくなつては困る、漁業権にも危殆を及ぼしては困る、こういうような趣旨でありまして、今度の漁業法ではそういう点を幾らか緩和いたしまして、それで従業員のうちの三分の二以上が、その組合員又は組合員の家族であるというふうな限定を置いて、漁業法ができておるわけです。ですからその半分以上は、組合員がそれで職を得られるというような漁業でなければならない。それからもう一つ組合員の三分の二以上の同意がなければならない。これは組合の一部の人が、そういう漁業のような危険な仕事をやつて、それで組合を危殆に瀕しめては困る、三分の二以上が認めればいい、この二重の制限を置いておるわけです。そういうような関係から見まして、立法当時に問題になつた部分は、これは北洋漁業等で考えれば、独航船のようなものであります。部落で以て一緒にやるというような場合も考えられますが、大きな船団、殊に母船の契約、母船の乗組員の場合は、従業員の三分の二が組合員又は家族でなければならないというような、こういうような制限の下では、法制的には不可能ではございません。できないことはないのでありますが、それは事実上やる場合には、非常に法制的に無理があるというふうに考えておるわけであります。それらの点も十分考えた上で、組合の漁業の経営ということを進めて行かなければならないと、こう思つておるわけであります。 それから北洋漁業につきましては、過去においては母船を持ちました業者が、これがどの独航船を連れて行くかということは、これは母船を許可されました業者がきめておつたわけです。それで出漁の制限その他を一方的に押しつけるというような傾向があつた。これが本年度やります出漁形態では、これは共同の出願にいたしまして、そうして内容の計算も共同でやるというふうな形で今年持つて参つた。それで来年出します場合にも同様の形でやる。独航船の地位も十分確立して行く。対等の地位で以て話を進める。こういう形で行くほうが差当りいいのではないかと思つておりますが、組合でやる場合は、資力があり、十分携行力もある場合には十分考えなければならんと思つております。そういう利害得失を考えながらきめて行かなければならないと思います。どちらが優先ということは、北洋漁業の大きな船団の経営については、一概に言い切れないと思います。
○東隆君 具体的に申しますと、北海道の北洋漁業を目的にしたところの北洋漁業協同組合があるわけで、而もこれは母船も相当なものを用意し、独航船を十分持ち、今お話になつたような母船、独航船との間における共同形態もある。そういうような前提の下に進めている場合に、私は北洋漁業を目的にして、その上で組織をした。こういうようなことを考えますと、漁業法によるところのいろいろな制限、そういうようなものが却つて法の不備である、こういうように考えます。本質的には私は北洋漁業を目的にし、而もその目的のためにいろいろな資本の集積をやり、設備を持ち、そうしてやろうとするものを優先的に取上げることが、これが私は本旨であろうと思います。而も北海道には千島或いは樺太の方面で実際に北洋漁業に携わつて、その傘下に入つてやろうとしているわけです。恐らく八割以上のものがそういうような方面のものが残つている。そういう事態を考えてみたときに、私はどうしても優先的にこれを認めるのが当然である、こう考えるのであります。それと併せて北海道における底曳網の禁止区域を厳重にし、そうしてそこからはみ出されるところのものを北洋漁業に転換させる、こういうことを考えますと、すぐ解決するし、又過去におけるところの北海道の北洋漁業における位置を考えて参りますと、船団を一つ持つてやるだけの力は十分にある、こう考えるのですが、その点はどういうふうに考えますか。
○政府委員(塩見友之助君) 現在あります北海道の北洋の組合というのは、組合員数がたしか全体で二百五十名前後であつたと思います。母船を経営する目的で作られては当初おらなかつたように思います。大体私は本年の初めにきめましたところの政府の方針でいいということで、それで独航船側だけ共同でやるという意味で作られたように考えております。本年度その話のありましたのも、やはりその組合だけでやるのではなくて、それはやはり組合と大資本会社と組んで共同でやる、こういう形で出てきております。その形というのは、我んが本年度初めにすべての船団についてその形態をとらせたいと思つております。共同出願でやる、こういう建前で行つているのでありますが、そういうふうな観点から申しますと、やはり準備の十分できておる、或いは経験、いろいろな点も考えまして、そうして順位をきめて参りたい、こう考えております。
○東隆君 船団の増加についての希望を私は多く持つているものでありますが、と同時に独航船の北海道に対するものは二十七年度は五十隻のうち二十五隻、この率で今度殖えますものを考えてみましても北海道で希望をしておるものよりずつと少い。そういうような点から考えて、この際沿岸漁業を少し休まして、立派な漁業に仕上げて行く。こういうような意味からも、私は出たいと、出漁を希望しておるところのものに対して、大きく取上げられることが、水産業の発達にも資し、又漁家の幸福にもなると、こう考えまするので、この点十分お考えになつて、十分の御処置を願いたいと思います。 以上であります。
○田中一君 大蔵大臣に主として伺いたいのであります。我々はこの憲法二十五条で規定されるところの生活の安定、この線を通じまして、現在政府がとつておりますところの食糧政策、そのうちの補正予算の説明を見ましても、国内産の米麦を買うために約二千三百四十七億を出しております。外米を買うためには千六百六十億、これに対しまして補給金を二百二十九億出しておりますが、日本の国土というものは、この建設省白書を見ますと、最近五カ年の平均を見ても、農地の荒廃度というものは約年々四十七万町歩荒廃しております。そのうち、なかんずく流失家屋が四万町歩、埋没が六万町歩というような厖大な国土の荒廃を来しております。で、第一に伺いたいのは、この外米輸入政策をとらないで、殊に二百二十九億のこの補給金などを、この荒廃した農地の改良、保全、開発に振向けようというような意思があるかないか、これをお伺いいたします。
○国務大臣(向井忠晴君) 外国から食糧を買いますことは、望ましいことではないのであります。これを防ぐようにいたしたいとは存じます。そこで農地を治山治水の方法で、日本に食糧ができますようにいたしますのは当然でございますが、急に実を結びませんので、やはり暫らくは外国から食糧を入れることは、止むを得ないと存じます。治山治水の経費の出し方について、日本の食糧に向う農作物を増大できるような方向に特に考えて行くのが至当だと思います。
○田中一君 これは二十七年度の補正予算ですから、あえてかまいませんが、この外米を抑制して、内地米…、内地の百姓の生産増強のための施策をおとりになるつもりがあるかどうか、もう一遍伺いたいと思います。
○国務大臣(向井忠晴君) できるだけ外米の輸入は抑制して参りたいと存じます。そうしてそれと同じ金額になりますかどうですか、それはわかりませんが、農家の食糧の増産に向うような方法をとりたいと考えております。
○田中一君 次に、この衣料の問題ですが、日本は有数な繊維製品の生産国でございます。併しながら最近非常に生産過剰ですか、或いは輸出ができなくなつたか、少くとも街には出廻つております。併しながらそのために、国内ダンピングが行われている事実も御承知かと思います。綿製品、その他の繊維製品に対しては、輸出の現状はどうなつておりますか、伺いたいと思います。
○国務大臣(向井忠晴君) 繊維製品の輸出につきましては、甚だ不振でございまして、その不振の理由はやはり東南アジア、その他今までに日本の繊維製品を買つておつた国の購買力が減じましたり、又一町市場の糸価の関係上、将来の騰貴を予想して買いに来た外国の市場が、予想が外れたために、今まで買いましたものが溜つておつたとか、又は今後買つて、それで儲かるかどうかわからんというふうな危惧の念に駆られましたために、買わないというふうな点から、輸出が現在減退しておる現況でございます。
○田中一君 ポンド地域におけるところの輸出を一時政府は抑制した時代があります。今後とも国内における品物が余りますと、大体において低賃金に移行するというような形があります。これについて政府としては操短をこれ以上させるという御意向があるかどうか、御干渉の御意向があるかどうか、伺いたいと思います。
○国務大臣(向井忠晴君) 操短をこれ以上させるというふうな点は、大蔵省では直接にはどういうふうにという指図ができませんのですが、操短は或る点までは止むを得ないと存じますが、それを余りやりますと、今度は労働のほうに人がだぶつくとか、いろいろ派生的の現象があつて面白くないと思いますから、先ずさほど操短を強化して行く必要はないのではないかと私は考えております。
○田中一君 操短をやらず、現在のような生産状態が続いて行きますと、品物が余ります。余ると、これは経営者は必ず賃金の低下を必然的に要求するようになります。この際そういう場合、政府としては低賃金に対して一定の施策を持とうとするかしないか。これは無論ストライキその他の形において問題が起るということはもう明らかでございます。従つてこの操短をせずして低賃金にさせないという大蔵大臣の財政金融政策、これについて伺いたい。
○国務大臣(向井忠晴君) 金融政策で助かりますことならば、適当な方法を政府自体でなく、これは銀行とか、その他金融機関がいたすべきものと存じておりますが、結局は事業をやつている人が労働賃金を引下げたりしないで、そうして生産品を安くするとか、或いは或る場合滞貨のできるのを負担して行く方法を講じてもらうのが、それが一番いいと思います。滞貨金融というようなことが或いは必要が起るかも知れませんが、それについては政府としてはいろいろな、円満に行きますように、そのときどきの相当の処置を考えて行きたいとそう存じております。
○田中一君 物価と賃金とは不可分のものです。大蔵大臣は最近総評その他の労働組合が言つたところのマーケツト・バスケツト方式、こういうものは今日の日本の状態において妥当であるか妥当でないか、或いはこの方式が、若し政府が取上げるときにはどういう影響があるか、これは大臣の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(向井忠晴君) マーケツト・バスケツトという方式は、或いはこれを主張する人には理想的のものかと思いますが、私はこれは行き過ぎた点があるのではないかというふうに考えております。
○田中一君 その行き過ぎた点を御説明願います。
○国務大臣(向井忠晴君) これは一般物価指数とか、或いは何といいますか、CPSというのは、やはり消費者の払います金のインデツクス、指数です。そういうふうなもので行くほうがよくて、ものを狭く解釈するマーケツト・バスケツトというほうは、或いは現在のところでは妥当ではないじやないかとそういうふうに考えております。
○田中一君 米の問題にしましても衣料の問題にしましても、米は買います。衣料は売らなければならぬという点でございますが、若しもこれが貿易というものを一応やめまして、国内の自給自足体制を持つ場合には、結局物価の問題と賃金の問題とはバランスがとれると思うのです。従つて政府がどこまでも貿易至上主義で立つところに国民生活の不安があるのじやないかと思うのです。この点について今の輸出のほうがはかばかしく行かぬ。輸入は米をどうしても買わなければならぬという場合に、低賃金並びに国民の生活の低下ということは必然的に起るのじやないかと思うのです。この点について衣料の輸出がとまつて来るという場合、もう少し明確に賃金の問題について御意見を伺いたいと思うのです。例えば人事院が勧告した線までも行つてはならないというお考えなのか、或いは物価が上つてもそれに対する賃金というものは据置きにしなければならないとかいうことを明快な一つ御見解を伺いたいと思うのです。
○国務大臣(向井忠晴君) 御質問でございますが、明快なる御返事ができにくいのでございます。輸出至上主義といいますか、貿易至上主義といいますか、私はそれは或る点までは外貨を得て物を買う上に輸出が大事でございますけれども、日本の生活が必ずしも輸出だけに依存しているのでないということを私は考えております。それから労働賃金と衣料の輸出とが特に関連を持つというふうにも考えておりませんで、これは只今の御質問には遺憾ながら明快なる御返事はしにくいのでございます。
○田中一君 次に伺いたいのは住宅の問題ですが、住宅の問題です。今日新聞を見ますと、或る不良住宅地区には肺結核の集団患者が発生しているというニユースも聞いております。これにつきまして御列席の建設大臣はいろいろ理想的なまあ現政府としては割合に理想的な住宅政策を出しておりますが、大蔵省当局としては、今回の公営住宅にも金を出しておらぬし、或いは住宅金融公庫に対しましてもたつた三十億内外の金を出すに過ぎない。これについて、住宅問題について大臣の御見解を伺いたいのです。
○国務大臣(向井忠晴君) 住宅につきましてはいろいろの項目の下に政府はその住宅のできますような方向に努力をしていると存じますが、私はこれは不十分であると存じます。もつと住宅のできるようにあらゆる方法で推進しますつもりでおります。
○田中一君 建設大臣に伺いますが、大蔵省は住宅予算に対してどういう態度を以て臨んでおるか伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 住宅問題につきましては、只今大蔵大臣が表明されましたように、かなりの関心を持たれまして予算を編成しておられると思います。ただ今回の補正予算につきましては、御承知のように住宅金融公庫に対する融資のみでありまして、その他の公営住宅の予算等の増額ができなかつたのであります。補正予算の性格並びに財源等の関係がありまして止むを得なかつた次第ではないかと私は考えております。
○田中一君 住宅金融公庫に三十億の資金運用部資金が組込んでありますが、これは無論金利のつく金であります。財政支出をすればこれは金利はつきません。従つて今日今までのように資金運用部資金を以て住宅政策を推進する場合には、住宅金融公庫そのもののあり方が危険なんじやなかろうか。殊に住宅金融公庫のような方法というものは金持以外には、少くとも十万円以上の現金を持たなければ家は持てないのである。これについてもう少し家のないものに家を供給するような考え方を建設大臣は持つておられるでしよう。大蔵大臣はどういうお考えを持つておるか伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 住宅金融公庫の資金は只今御指摘になりましたように財政資金……、又それ以外でありますると公庫自身も困りますが、この貸付ける場合の金利等も高くなりますのでできるだけ金利のつかないような方向においての資金を獲得したいとは考えます。併しそれも程度の問題でありますので、全部が全部というわけには参らないのであります。補正予算は御承知の通りの状況になつておるのでございます。
○田中一君 時間がありませんから簡単に聞きますが、大蔵大臣に聞くのです。建設省では議員提出の形を以ちましてガソリン税を目的税とするような法案を衆議院に出しております。これについて大臣の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(向井忠晴君) これは数字が入つておりますので、政府委員から御返事をさせたいと思います。
○政府委員(河野一之君) ガソリン税を目的税として道路の改良等を行うのも一つのアイデアではありますが、明年度以降予算の編成の問題といたしましてこういつたアイデアが予算の面でいろいろ実現できるかどうか。まあ各方面、各種の問題について検討を要するので、目下この問題につきましては検討をいたしておる段階であります。
○田中一君 今日衆議院ではその法案が満場一致通過したそうでございます。検討するなんていう時代じやないと思うのです。従つてもう一応の対策があろうと思いますから、もう一遍本音を吐いて頂きたいと思います。
○政府委員(河野一之君) 道路の経費は現在本年度予算で八十億程度であります。そのほかに都市計画関係の道路を入れますと百億程度になりますが、ガソリン税に相当する額と申しますか、目的税ということになりますと、更に七、八十億の金を要するわけであります。一方又これに伴いまして公共団体におきましてその補助なり、直轄に伴う補助金の見返り或いは分担金等で四、五十億、金を要するわけであります。そういつた関係にありまするので、明年度予算に非常に重大なる関係を及ぼしまするので、明年度予算との編成の関連に置きませんと、只今政府の立場、私どもの立場といたしましてどうという返事は申上げることはいたしかねると思うのであります。
○田中一君 佐藤建設大臣は大蔵大臣とも了解があるやのような口ぶりでございますが、大蔵大臣の御所見を伺いたい。
○国務大臣(向井忠晴君) 道路につきましては、予算で金をできるだけ出すということはいいことと存じますので、従つてガソリン税なんというものを考慮に入れるということは、建設大臣とお話合いはいたしましたが、目的税とすることについてはつきりと御承諾を申上げたことではございません。
○田中一君 私は先ほどから国土の荒廃、これを何とかして守らなければならんということを申上げているのです。大蔵大臣は大体貿易業者の出身であられるように伺つておりますから、日本の国民の生活を安定させるには、ただ貿易依存では、結局低賃金政策にならぎるを得なくなつて来るのです。貿易至上主義ですと、従つて一貫した道路の問題にしましても、耕地の問題にしましても、大蔵大臣はどちらにウエイトを置いて財政計画を立てるか、国土から物を生むために考えられるか、或いは外国から原料を買つて、日本人の大きな労働力を使つて、労働力によつて日本の国の経済を立てるか、この大きな問題なんです。これについて御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(向井忠晴君) 私は先劾も申上げました通り、貿易に依存しようという考えは持つていないのでございまして、国土がよくなつて、国土の物をできるだけ開発して、そうして国民の生活水準を上げて行こうということが大切だと存じております。
○田中一君 よくわかりました。二十八年度の公共事業費は、恐らく大臣がおられる限り大巾に増加されまして、国土総合開発にしましても、道路にしましても、河川にしましても、農地にしましても、相当整備され、又資金が投入されまして、外米に依存することなく、国土の回復が一日も早くなるような政策をとられることは、はつきりいたしました。有難うございました。
○岩木哲夫君 木村保安庁長官にお聞きしてから大蔵大臣にもお聞きしたいことがあるのですが、木村保安庁長官は……。
○委員長(岩沢忠恭君) 今連絡に行きました。今外務委員会に…。
○岩木哲夫君 それではそれを後廻しにいたしまして、農林大臣が御欠席のようでありますから、東畑長官はおいでですか。
○委員長(岩沢忠恭君) おります。
○岩木哲夫君 お脅ねいたしたいのですが、この問題は、前議員諸氏からも一応触れられてありますが、もうちよつと掘り下げて私お尋ねいたしたい。それは現在政府は外米を百万トン買うておる。ところがこれは二百四十ドルから二百五十ドルくらいの状態になりつつある。最近イタリアで政府が入札いたしたのは、FOB二百九ドルであります。これがCIFになりまして、それで諸がかりをかけますと、一石一万三千円内外になるわけであります。実際配給するまでには一石一万四千円にも相当すると思うのであります。ところが政府はこれを、今回の価格において八千円、即ち大升八十円がらみで配給するということになりますと、一石について六千円現在損をいたしておる。だから百万トンで七百万石といたしますれば、四百二十億円の、ここで外米を買うことによつて国民は損をしておる。併し足りないからいたし方がない。けれどもこれは外米だけの価格補給金であるが、内地米においても同様の価格補給金が要せられておるのであります。ところが本年度、例えば本年度の米作は先ほども自由党の池田農業専門博士が見解を述べられたことく、七千万石以上本年は取れているということは、これは誰しも少し専門家らしい専門家だつたら、皆本年度の作は七千万石取れるということは誰でも言つておる。ところが報告は六千四百何十万石でありますが、そこで闇に流れておる内地米が一千万石に及ぶということも万人手応えで見ている。大臣も食堂で券のない内地米を食べていることは、私がここで御披瀝するまでもない。そこで問題は、外国のあのおいしくない石まじりの米を七百万石も買つて、四百二十億ドルも価格差損をいたしておる。この金を以て現在の内地米の供出価格を上げるか、或いは供出完了後の特別供出の、現在の一万五百円をもう少し、例えば一万二千五百円とか、一万三千円に上げますれば、恐らく政府の予想する二百七十万石の集荷でなくして、一千万石の集荷ができると我我は見ておる。そういたしますと、七百万石のおいしくない外米を買うよりは、内地米の、農家に特別供出価格を二、三千円上げますれば、もう七百万石ぐらい買えるのは安いことだ。この分を配給にいたしますれば、国といたしましても四百二十億円の仮に損というものが、例えば一万二、三千円で内地米を買つて、現在の配給価格一升百円と見て配給すると、僅かにその価格差損は、二、三百億、併し内地米自身の旧来の価格差損などを考慮いたしますれば、非常にこの価格差、輸入補給金などが浮いて、結局三、四百億円ぐらいの金というものが浮いて来て、そうして外国の土人に高いお金を、国民の税金を払うよりは、内地の農家にそれだけやることによつて、いわゆる再生産経済が維持されるし、いわゆる農村景気も回復する。これは決してインフレにならない。こうした状態をやるということが、現在五カ年、十カ年の食糧増産の問題は別個にして、当面する食糧政策としては当然とらなくちやならん。だからこういう方法を政府は講ずる意思がないかどうか。即ち外米を買うお金で内地米の特別供出価格を上げて、それだけ外米に代る内地米の確保を得て、そうして配給に廻すとすれば、もう闇買いを殆んどしなくても行けるのじやないかという、この見解は、必ずしも空想ではない。専門家の殆んど一致しておる意見だが、これを政府はやる意思があるのか、ないのか、先ず食糧庁長官にお尋ねしたい。
○政府委員(東畑四郎君) 今日の日本の食糧、これは闇も含めまして、果して米の需要量に足るかどうか、こういう問題だと思います。政府といたしましては、闇のあることも、これを率直に認めぎるを得ないのでありますけれども、なお且つ約百万トン程度の外米を輸入いたしまして、全体としての米の需要を賄つておる次第であります。従いまして補給金が米だけで見ますると、約二百四十億余の金額になつております。これを輸入いたしませず、二百四十億余を、国内の供出価格を上げて集荷すれば、食糧はうまく行くのじやないか、こういう御意見のようでございますけれども、我々といたしましては、やはり約百万トン程度は今日の生産状況では不足しておるのではないか。一日も早くこの需給化を図るということについては、毛頭異存はございません。今直ちに外米の輸入をなくして、国内の食糧を、殊に米の需給ができるというようには考えておりません。
○岩木哲夫君 もとより外米百万トン入れれば、潤沢になることはわかつておる。けれども現在農家で米がどぶろくになつたり、価になつたり、菓子になつたり、又従来節米、節約というので、いわゆる米以外の麦とか、芋とか、その他節約によつて農村経済を維持している、農家の食糧生活というものが非常にまあ改善されて、それだけ内地米の供給力というものが増大する、価格が現在安いからこういう状態である。ただひそひそ闇で売るからこういつた現象が生ずるけれども、全般的に再生産経済が維持される、又米の値段が上がるというところにおいて農村のいわゆる代用食、代替食のことから箪笥の底から朱が出て来るという古諺のごとき状態が展開されることは予想にかたくないのであつて、余りにも外米が、ただ数字上足らないから百万トン入れるということは芸がなさ過ぎる。而もそうした価格差損、外米補給金の数百億に及ぶような、こうした無駄を私は順次是正して行くというところに一歩とり残された食糧政策があるということを指摘しております。もとより外米百万トンを入れなかつたならば、需給上窮窟を生ずることはわかつておるが、順次そういうところに私は切替えて行くべきだと思う。これは重ねてこの点は大蔵大臣にお聞きしたい。 それから東畑長官にもう一点時間がないから一緒に申しますが、現在秋田、山形、新潟のごときところは、内地米を一カ月二十日から二十二、三日分食べておる。ところが東京や大阪といつた大都市は一カ月五日か七日分しか内地米……それは台湾米とかイタリア米とか、内地米に準ずるものは内地米と称して政府が配給しておるものが十日分あるかも知れませんが、要するに大都会、消費地は五日分か七日分しか内地米が配船されておらないが、今申しましたように米産地は二十日分から二十二、三日分いわゆる純米と称する内地米が配給されておる。これの是正は、各都会の主婦のかたがたの血の叫びであつて、これがために非常に不自然な、不公平な配給政策が行われておる。何とかこれらのものをせめてもう五日分、もう十日分公平に都会地に内地米の輸送計画を立てる状態をやつてもらわなければ困るという声が非常に盛んでありますが、こういう方法をやる意思はないのかどうか。政府はやれないと言いますが、やれないことはない、私だつたらやつて見せる。やらないのだ、そういう怠慢なことで消費地のいわゆる消費者に対して非常な不利益を招いておる現象は須らく是正すべきだと思う。これは東畑長官にお聞きします。前の話は大臣にお聞きします。
○国務大臣(向井忠晴君) 外米を買う金を倹約して、日本の米をそれに相当する数量を買い得れば、大蔵省は非常に仕合せでございます。それは外貨の倹約になりますから有難いのでございますから、そういう点につきましては食糧庁長官とよく御相談をしまして、成るべくそれが達成できるようにいたしたいと考えます。
○政府委員(東畑四郎君) 内地米を地域によりまして均分に配給しろという御意見は我々としましても異存は毛頭ございません。併し実は秋田、青森、或いは東北、北陸方面の全体としての消費量は、日本全体から見ますと非常に少いのでございます。これを均一化いたしましても、なかなか五日、六日と増量は実はできないのであります。現在十五日地区と二十日地区という間に、四段階実は分れておる次第でございます。我々といたしまして、何とかこれを順次是正するというので、本年は例えば労務加配等については、米倉率の引上げ等をいたしまして、これの均衡化を図つております。本年も北陸等には精麦等の配給をいたしまして、順次供出量を増加いたしまして、京浜等の配給米の内地米食率を増加いたしておるという現状でございまして、漸次改善をする以外には現在急激な変革は、食慣習等もございますので、甚だ遺憾でございますけれども、いかないような次第であることを御了承を得かい思います。
○池田宇右衞門君 只今岩木さんの質問に対して東畑長官より答弁がございましたが、先に私も申しました通り肥培管理、或いは品種の改良、或いは肥料の配分等の適正を得れば、三百万町歩の水田であるから、これに現在の政府の言う六千五百万石といつても、一割でも六百五十万石の増収が必ずできるというようなことで、明らかな数字が出、明らかな方途が講じられるにかかわらず、百万トン二百四十億を払つて外米を七百万石も買わなければならない。一体食糧庁は買うことのみを考えずに、もつと日本の農家において、食糧庁が中心となつて農村のかたがたに反当りの増収を真に計画いたしまして、日本人の消費者階級には、体育の向上から言つても、保安の上から言つても、又食生活の安定から、いわゆる国民生活の安定から言つても、これをこの際実行することが最も新日本の出発に当つて適宜な処置であると思うが、これに対しまして食糧庁が各局と関係を密にこの計画を進める方法を立てておるか。若しないとしたら今後十分にこれを計画を立てる意向があるかということを親切に答弁願いたいと思います。
○政府委員(東畑四郎君) 外米の輸入に厖大な輸入補給金を費消いたしますことは、食糧庁といたしましても誠に不本意でございます。我々といたしましては農林省としての全体の増産計画と並行いたしまして、外米の輸入量等を順次減らして行きたいという考慮を持つております。食糧自給促進法等を今検討いたしております。これの五カ年計画等におきましても順次外米の輸入量は減らしておるのであります。そういうことにつきまして我々といたしましても米価のみならず、輸入の減少ということについても十分協力をいたす考えでございます。
○委員長(岩沢忠恭君) お諮りいたします。木村国務大臣はほかの関係上五時二十分頃ここをお立ちになる。でありますから、通告によりまして岩木君とそれから松永君と鈴木君と、一つ木村国務大臣に対して順次御質問を願います。
○岩木哲夫君 今の食糧対策はちよつと時間があつたらあとにしましてお尋ねしますが、木村保安庁長官にお尋ねいたしたいことは、船舶貸借協定案が通過いたしましたならば、今後どのような船を何艘借り受けるおつもりでありますか。その内容を承わりたい。
○国務大臣(木村篤太郎君) 御承知の通り船舶協定にははつきりPF十八隻LSSL五十隻合計六十八隻を借りる予定にしておるのであります。これらの船舶を海岸警備と人命救助のために差当り使用して行きたい。これ以上のことにつきましては只今のところまだ計画はありません。
○岩木哲夫君 只今のところないということでありますが、将来およそ予想される、随分衆議院でも参議院でもぼろ船である、大臣もばろ船であるということを御吹聴なさつておる。そんなことで警備はできない。李承晩ラインの韓国の軍隊より性能が落ちると言われているような軍艦を借入れるということについてはいろいろ問題がある。そこでもつと性能の優秀なものでも、やはり例えば巡洋艦とか、せめて二十二、三ノツト以上でも出るような舶でも借入れる何らかの交渉はございませんか。
○国務大臣(木村篤太郎君) さような交渉は伺もやつておりません。申すまでもなく今仰せになりました巡洋艦のお話でありますが、巡洋艦を借入れるにいたしましては、これはただ借りただけではいけない、これに乗せるべき人も要ります、装備も要ります。これらの観点からさような大きな船は到底我々は借りるような考えは持つておりません。海岸警備に必要な適正な船を持ちたい。私はぼろ船と言つたのは、決して使えない船とは申しません。私の気持といたしましては海岸警備に適切なる船を持ちたいというのであります。併しながらかような船を作るのについては多大の経費を要する、又時間的にも相当の日時を要する、幸いにアメリカから好意ある計らいで総計六十八隻のこれらの船を貸してやろうというのでありますから、これを借受けまして日本の海岸警備と人命の救助に使用いたしたい、こう考えております。
○岩木哲夫君 それじやもう一点、現在のそれは耐用年数は何年ぐらいか、そしてPF、LS等の時価は一艘幾らになるか。
○国務大臣(木村篤太郎君) これは御承知の通り今から十年ほど前にアメリカで作つた船であります。現在といたしましては甚だしく旧式であります。総トン数において千四百三十トン、速力は公称十八ノツトと申しますが、それほどは出ません。貸借期間は五年で、更に五年を延長することができるようになつております。耐用年数は私は約二十カ年と考えております。それの建造費は約七千三百万ドルであります。
○松永義雄君 日本が船舶貸借協定によつてPF、LSを借りるというのは、海洋の警戒のために空白状態になつているから必要だ、こういうふうに昨日おつしやつたんですが、その通りなんですか。
○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。申すまでもなく日本の海岸線は私は八千マイルと言つておりますが、九千浬あるそうであります。この長い海洋線を従来は相当な数で以て警備しておつた、終戦後以来全く空白状態であります。従いましてこれらの長い海岸線をどうしても我々としては何とかしなければならんという訳合を以ちまして、この六十八隻を差当り警備の用に使用すべく借受けたのであります。
○松永義雄君 併しそうではなくして、実際は或る艦隊がここを警備しておつて、それに代つて日本が借りてその穴を埋めるということになるのではございませんか。
○国務大臣(木村篤太郎君) 全然さようではありません。日本独自の考えにおきまして、保安庁法に基きまする警備隊、それの使用にするわけであります。
○松永義雄君 それ以上の質問は私は避けまして、一応只今木村さんのおつしやつたことについて木村さんにお考えになつて頂きたいと思うのです。昨日おつしやつたネーヴアル・パトロール・ヴエツセルスを日本の政府に貸付ける権限を大統領に与えるというその法案のアメリカにおける審議の経過、結果において交されておるところの質問応答にはそうはなつておらないように私は読んでおるのですが、一応そういうことだけを申上げます。
○木村禧八郎君 木村長官お急ぎのようですから、実は昨日御質問申上げました保安隊の保有しておる兵器の種類及びその数量等について御質問申上げたのですが、御回答ございませんのでその御答弁を願いたいのです。今非常にお急ぎで時間がありませんければ後ほどでもいいのですが、その御答弁を煩わしたいと思います。
○国務大臣(木村篤太郎君) 実はアメリカから借りておりまするこれらの船につきましては、アメリカ側と公表すべきことを交渉したのです。秘密懇談会の席上でやつてもらいたい、一般的にはどうも差支えるからというので、私は信義を以ちまして、どうか秘密懇談会ならば申上げたい、さように御了承願いたいと思います。
○木村禧八郎君 アメリカ側から秘密懇談会においてこれを発表されたいと要請されたので、秘密懇談会でなければ御公表できない、こう言われるのでございますが、そんなにそういう自主性がないということでよろしいのか。そういうことを又御了承なすつたことも私はおかしいと思うのですが、これ母上追及しても、これは木村長官とアメリカとでお約束をされたのですから、お約束されたということを守ることはこれは道義上当然と思います。そのこと自体は当然と思いますが、併しお約束されたこと自体が、日本の国会に対してどうしてこれを秘密に発表しなければならんかということが、昨日も波多野委員から触れられましたが、保安隊が軍隊ではないか、こういう国民に疑惑があるわけです。政府は軍隊ではないと言つておられるので、軍隊でなければなぜ公表してはならないか、そういう秘密があるのか、こういうことの疑問を抱かざるを得ないのです。そこでこれはやはり軍隊ではないと政府が言われるならば、やはり国会において国民と共に我々は知りたいのであります。我々一部の議員だけがこれを知つておるということは、これはいけないと思うのです。軍隊ではないと言われながら国会議員の一部だけが知つておるということは、これは非常に疑惑をますます深めるのでありまして、なぜ木村長官にそのときにアメリカに対して秘密に発表するということになると却つて国民に疑惑を深めるから、やはり公表すべきであろうと思うがと、そういう御折衝をどうしてなさらなかつたか、この点お伺いいたします。
○国務大臣(木村篤太郎君) 木村委員の仰せになることは誠に御尤もです。私もこれは一般に公表したいと考えております。併し貸借を受けております船はアメリカのものであります。一応礼儀といたしまして、これは公表していいかということは当然のことであろうと私はこう考え、そこで私は交渉いたしたのであります。どうも今の何ではアメリカ側としては、秘密懇談会の席上でやつてもらいたい、こう申すのです。それを強いてということは私の立場としてこれは困難な事情にある。いずれ一般的に公表し得る時期はあるだろうと思います。差当りのことといたしましてさような取扱をいたしたい、こう考えております。
○委員長(岩沢忠恭君) お諮りいたします。今木村委員の提案に対する兵器の発表は秘密懇談会でなければ政府筋では発表しないと、こういうようなお話でありますが、秘密懇談会を開いて発表してもらいますかどうか。(「必要なし」と呼ぶ者あり)
○三輪貞治君 アメリカ側が秘密懇談会でなければ発表してはいけないという、その理由、これはいずれ向うも当然その理由を述べられたと思うのであります。それは一体どういうことでありまするか。日本の保安隊の持つておる、皆さんがたは戦力でないとおつしやるのですが、自衛力と言われるのですが、これはそういうことであれば、ますますアメリカのアジア防衛の戦力の一部であると、こういうふうに考えられるからこそ、そういうような要求も出るのであるという疑惑がこれは必ず生まれて来る。その秘密会でなければ発表はいけないという根拠、向うで述べられた理由、あなたがお質しになつてお知りになつた理由というのは一体どういうことか。
○国務大臣(木村篤太郎君) 理由は何もありません。ただ礼儀といたしまして私は公表したいのだと言つて、アメリカ側では、関係者でどうか秘密懇談会の席上でやつてもらいたい。それだけの簡単なことであります。ただ礼儀として、借受けておる、日本のものであれば、さような措置はとらないのですが、一応礼儀といたしまして私はそうするのは当然であろうと思う。いずれ私は十分に折衝いたしまして公表すべき手続をとろうと考えております。併し差当りの問題といたしましてこれは信義であります。一応日本国として礼儀を尽すべきは当り前だろう考えておるのであるから、それで公表をしてはいかん、それは一応秘密懇談会にしてもらいたい。これはいろいろ事情はありましよう。そんな理由は私は問うべきではないと思う。さよう御了承願いたい。
○三輪貞治君 アメリカに対しては成るほどそれで信義が成立つでありましよう。併し国民に発表できないようなものを内容において借りるということは、国民に対しては木村長官は信義を果されないものであると私は考えます。如何お考えですか。アメリカに信義を尽される。併し国民に対しては非常に不信義である。そうお考えになりませんか。(「進行々々」と呼ぶ者あり)
○国務大臣(木村篤太郎君) それでありまする故に、或る時期が来たら私は発表すべき手続をとりたいと考えております。
○岩木哲夫君 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、今船舶貸借協定が通過いたしましたならば、今木村長官が御指摘になつたフリゲート艦十八隻、上陸用支援艇五十隻ですか、これはただ木村長官の説明によれば、機雷敷設の除去であるとか、沿岸防備であるとかいつて、かなり危険な行動を起すものであろうと思うのです。ところがこの船が滅失損粍いたしたならば、今聞きますと軍艦一隻が約一億円に相当するようでありますが、滅失損粍いたしましたならば、政府はどの予算からこの金を支出しようとするのか、何ら予算措置が講じてないと思うのですが、そういう損粍滅失いたした場合に、アメリカに損害を補償しなければならん、支弁しなければならん。そのお金はどこの予算項目から出そうとされるのでありますか、それを伺いたい。
○政府委員(河野一之君) 代つてお答え申上げます。船舶の貸与協定にもありまする通り、不可抗力等の場合は免除されるのでありますが、我がほうに責のある場合にそういつた補償の問題が或いは出て来る。その額につきましては、勿論合理的に決定いたさなければならんわけでありますが、その場合におきましては改めて予算の措置をしなければならんと考えております。
○委員長(岩沢忠恭君) もう時間がありません。
○岩木哲夫君 重要なことです。船が沈没したり滅失したら改めて法律案を出さなければならんというのでありますが、船舶協定案は今日参議院を通過するのか明日するのかわからんが、恐らく今日明日のうちに通過するのであります。明後日損耗したらどこから金を出すのかというのです。何ら措置が講じてないじやないですか。
○政府委員(河野一之君) 貸与協定におきましてそういつたような義務を負担することのあるべきことを国会の御承認を求めておるわけであります。
○岩木哲夫君 そんなことはどこにもない。
○政府委員(河野一之君) そういう場合がありましたような場合においては、改めてやはり出すということであります。
○岩木哲夫君 とんでもないことです。損粍があつたならばそれは直ちに適当な方法を講ずることをも了承を得ておるといつたような局長の意見でありますが、それはそんなことはありません。又これが直ちに損耗滅失した場合に起る損害の補償については、当然この法律案に並行して予算措置の手段を講じておらなければならんのに、講じてないのはこれは政府の手落ちではないのですか。
○政府委員(河野一之君) 将来そういうようなことが起るかどうか未知の事実であります。そこまでも予定して予算を組んでおくわけには参らんと思います。若しそういうことになりましたならば、予算的な問題になり得るということであります。
○岩木哲夫君 違います。これはそんなことは予想できる。直ちに船が損耗滅失することははつきりわかつておるのです。海上を航行する危険な第一線に活躍するのであるから、それはもうそのときに又予算措置を講ずる、こういうことは違法であります。大体政府はそれは違法に私はあると思うのですが、このままではとても納らないと思いますが、どうですか。
○政府委員(河野一之君) 貸与協定をよく御覧になりますと、若しそういつた損害があつた場合において両国政府において十分協議いたしまして、若し補償をいたすとすれば、合理的な額をきめることになつておるのであります。従いまして若し我がほうの過失によつて沈んだといつたような場合においては、如何にすべきかということはそのときに改めて手続がとられるのであります。そうしてきまつた場合におきまして我がほうにおいて補償しなければならんということになりますれば、そのときにその金を出す予算を組むのが行き方であると思います。
○松永義雄君 先ほどの木村長官に対する質問に対して外務大臣からお答え願いたい。
○国務大臣(岡崎勝男君) 何の問題ですか。
○松永義雄君 日本が今度借り得る十八隻のフリゲート、或いは五十隻のLSSLに対しましてもそれは空白になつておるのではないので、そこに入れ替えに借りて、そして日本が警備に当るということになつておるのですが、その通りであるかどうか。
○国務大臣(岡崎勝男君) これは多分アメリカの国会の議事録を御覧になつての御質問だと思いますが、日米安全保障条約におきましては、いわゆる直接侵略、これに対してアメリカが責任を負つて日本の安全を守るということになつております。間接侵略につきましてはでき得る限り日本のほうで努力をする、その趣旨で保安隊もできておるようなわけであります。ただ海上の警備におきましては御承知のように、海上保安庁がありまして、只今警備隊がありますけれども、現状においては船が足りません。従いまして密輸もあれば密入国もある。なかなかこれを抑えることもできない。阿片、モルヒネなどのような危険物の密輸入がたくさんあるような現状でありますので、早くこれを整備しなければならんというので、従来から海上保安庁のほうでは予算さえ許すならば日本で建造して警備艦を殖やそうという計画であつたのであります。併しながらこれには予算の関係上できずにおつたのでありまして、たまたまアメリカ側で空いている船を貸すということになりましたので借りましたけれども、これは本来日本側でやるべきもので、それに事実上は手薄であつたということはこれは認めざるを得ませんけれども、決してアメリカ側と代るという意味ではないのであります。併しながらアメリカ側としても占領中はその方面の警備が足らなければ、当然日本全体のこれは占領行政の一部として従来はやつておつたことでありましよう。併しながら安全保障条約におきましては日本の沿岸の警備というようなことまでアメリカが引受けておるわけではないのであります。
○松永義雄君 更にお尋ねしますが、この日本の海岸警備ということは、日本の利益ばかりではなくして、アメリカの安全のためでもあるということになつているのですが、この点はどうですか。
○国務大臣(岡崎勝男君) これは一般的に申しますと、沿岸の警備ということは勿論これは自国のためであることが第一でありますけれども、これは世界各国のお互いの利益でもあるわけでありまして、種々の密輸品、殊に阿片やモルヒネその他の密輸品を取締ることは国際条約の約束でもあるわけであります。従いましてその意味では、広い意味の沿岸警備の責任をその国は持つておるわけであります。同時にアメリカの駐留軍なり、それに属する艦船が日本の附近におります場合には、アメリカ側としても自国の軍隊の安全を守るために一応の警備はいたしましようけれども、それと沿岸警備とは別問題でありまして、たまたま日本の国の沿岸警備の責任もあり、そこにアメリカの駐留軍がおるために、それ自体の安全保障のための措置も必要であるから、そこは二重に被さつておる点もあるかも知れませんけれども、性質から言えば、観念から言えばこれは別問題であります。
○松永義雄君 アメリカは従来日本の海岸の警備に当りましてフリゲートを使つていたとかいうことですが、どうですか。
○国務大臣(岡崎勝男君) 私は詳細にはその点は知りません。知りませんが、今借りようとしておるフリゲートはそのために日本の沿岸で使われたことはありません。
○松永義雄君 十隻は横須賀にある、先ほど古くさいというお話でしたが……。更に八隻これが借りられると、併しそれは有効に日本が使用できる場合において貸されると、こういうふうなことになつておるのですが、一体その八隻というのはどういう効用を持つているのですか。
○国務大臣(岡崎勝男君) これは一部はアメリカ側で使つておる船と了解しております。一部は繋船しておるものと思います。併しながら使つておるにしても、もうそれほどの必要はないから貸そうと思えば貸せるという状況であるようであります。これにつきましては、フリゲートなどは各国でアメリカから借りたいという申入れをいたしております。そのために日本側では初め手紙では最小限度十隻のフリゲートという希望をいたしたのでありますが、勿論これは最小限度であつて、もつと借り得ればますますよろしいわけであります。先方ではその事情を調べましていずれ日本では十隻では足りない。然るに今十隻だけということにすれば残つた船はよその国に貸してしまつて、あとで日本が欲しい場合にも借りることができないようになるから、とにかく十八隻にしておこうということになつたのであります。そこでこの八隻というのは特によその国に貸す場合があるのを日本側に留保しておりますから、これを日本側で措りて有効に使つてくれなければ意味がない、こう考えて向うもおりますので、これを有効に使えるということであればお貸ししましようという話であります。
○松永義雄君 その十隻の横須賀にある船は非常に古くさくて、これはどうも修繕しなければならないというので、相当に修繕費を使われているようでありますが、これはアメリカが負担しておるのですか。
○国務大臣(岡崎勝男君) これは御覧になつた国会の議事録でもおわかりになると思いますが、必ずもそんな古くさいものではないのでありますが、ソ連に一時貸与えてあつた部分もあるので、大分修繕を要するのであります。これにつきまして私は正確な数字は聞いておりませんが、約二千百万ドル、日本金にして約七十六億円くらいの程度のものをアメリカ政府が支出してこれを完全なものにして日本に引渡す、こういうことになつております。その予算もすでに計上されて支出されております。
○松永義雄君 その金は予算できまつておるようですが、これは相互援助資金から出るのですか。
○国務大臣(岡崎勝男君) どの予算から出まするか、アメリカの予算は非常に複雑でありまするから、はつきり項目を示してない場合もありまするが、いずれにしてもこれは日本に関係ある費目から出るのではなくして、つまり例えば防衛分担金とか何とかいうものから出るのではなくて、純然たるアメリカ政府の予算から支出されるのであります。
○松永義雄君 アメリカの政府の予算から出るにしましても、その出る金の基礎というものは相互援助法による相互援助資金、こういうことを言われておるのですが、そうでないのですか。
○国務大臣(岡崎勝男君) その点は私のほうではいろいろアメリカ側でも予算のやり繰りその他の関係がありましようが、要するに端的な形においてアメリカ側で修繕して引渡してもらうということを主眼といたしておりまして、それがどの予算で、この予算ではない、あの予算では悪いということは特に研究する必要がないと考えております。要するにアメリカの政府の費用でこれを完全なものにして日本に引渡してくれるならば、それで満足であるとこう考えております。
○松永義雄君 返すときはロシアの場合と違うと、こういうことを言われておりますが、その点はどうですか。
○国務大臣(岡崎勝男君) それは違うかも知れません。違うかも知れませんと申しますのは、返す場合には実質的には貸してもらつた場合と同じような状態で返すと、こういう約束をしております。これは特に実質的ということが入つておりまして、例えば五年借りたために普通の損耗がある。こういうものはこれは通常の損耗でありますから、勘定に入れませんで、特にそれが必要以上に壊れたり、必要以上に悪くなつたりした場合には直して返すということになりますけれども、要するに実質的に同じような状況であればいい、こういうことになつております。
○松永義雄君 この船を日本が借りると言つて、アメリカ側においては戦力とか兵力とか、言葉はどうでもいいのですが、要するに日本でやることによつてアメリカの人員なり経費なりの負担が免れると、こういうことになつておるのですか、どうですか。
○国務大臣(岡崎勝男君) それは非常に細かく言えばさようなことがあり得ると思います。というのは、先ほど言いましたように、日本の沿岸警備の仕事とアメリカ軍の安全のための警備とが重つております。でそういう日本のほうが完全になれば、アメリカのほうは、安心して沿岸警備のことについては、駐留軍の安全のためにも、もう日本側が十分やつてくれておるから心配ないということになれば、自国のやつている安全についても沿岸に関する限りはもう安心だといえば、それだけ費用が減ることもあり得ると思います。併しながらこれは性質が全く違うのであるが、重なる場合もあり得るのだ。たとえアメリカのほうで経費や人がそれによつて減るか減らないか、それは実際にやつてみなければわからないことだと考えております。
○松永義雄君 その船を借りるということは、安全保障条約の自衛力漸増の責任を果すということになるのですか。
○国務大臣(岡崎勝男君) これは実はアメリカの国会でいろいろそれについての論議もあつたようでありますが、アメリカ側の考えは如何ようでありましても、又国会の論議等について私はここでそれに対して批評を加えることは差控えたほうがいいと思いますが、日本側に関する限りは、この協定を今御審議願つておるのでありまして、この協定が国会で承認されれば、有効になるわけであります。そうすると、この協定に書いてある範囲の義務を日本は負うのであります。それ以上のことは何も負いません。又協定に、保安庁法に書いてある規定に基いてこの船は使用されるのでありまして、それ以上のものでは何もないのであります。従いましてこれをどう解釈されるかは銘々別に御意見もありましようが、その船は沿岸の警備及び海難救助その他人命、財産の保護こういうことにだけ用いられるわけでございます。
○松永義雄君 協定は一つの契約でありますから、契約者の意思というものはお互いに了解されなければ、協定というものは成立しないわけであります。相手の意思の如何がわからずして、ただ形の上の文書をそれに署名するだけで、それでその先は解釈によつて動く、こういう考えですか。
○国務大臣(岡崎勝男君) いろいろの意思はありましようけれども、残りますものは協定であります。従つて協定自体に書いてある以上の義務を負うこともなければそれ以下の義務を負うこともない、協定自体だけであります。従つて協定に書いてあるだけのことを我々はやることになるのであります。
○松永義雄君 最後にあなたが外交演説の中で申されたことについてお尋ねしておきたい。現在北大西洋条約の成立したときに一人の司令官の下に統率を受ける北大西洋軍の成立が実現されて、これが今日の平和を守る唯一の途である、こういうことを言われておるのですが、このあなたのおつしやつたことは、ただ漫然ここにぽろつと出て来たのじやないので、何らか前提がなければならない。この協定なり保安隊なりというものについて何らか関係があるか。
○国務大臣(岡崎勝男君) それには別段関係はありません。私がそれを例に引きましたのは、民主主義国家の結束というものをこの際非常に強くしなければ世界の平和を維持することは困難であろう。その意味で民主国家はこういうような組織をヨーロツパ等ではやつておるという一つの例を引いたわけであります。
○委員長(岩沢忠恭君) 松永さんもう時間が来ました。
○松永義雄君 もう一点だけ。同様の演説においてあなたはこういうことを言われておる。「今なお苛烈なる戦闘が行われておるのでありまして、我々としても、かかる現実の事態を十分に認識し、今後とも強い決意と勇気とを以てこれに対処することを要するものと信じます。」こう言つておるのですが、一体これは何を意味しているのですか。ただ漫然抽象的にこういうことを言われたのか、こういうすごい言葉を言われると、我々は鬼面人を驚かすといつたような感じを持つものでありますが、ただこれは警告の意味において国民に対して申されておるのか、具体的に何らかここに現われて来ることを予想してこういうことを言われておるのですか。
○国務大臣(岡崎勝男君) これは全体の調子を御覧になつて頂ければもつとよくおわかりになると思いますが、この部分だけを御説明をいたしますと、日本が平和条約ができまして国内には平和憲法が成立しておりまして、すべて平和という建前で進んで来ているように私には感じられるのであります。ところが一歩外へ出ると、なかなか平和ということだけで行つてない。そこでややもすればこの日本の国内の平和ということに便乗しまして、例えば自衛力などということはよくないとか、或いは保安隊というものはこれは兵力、軍備であるからいかんのであるという議論もありまするし、又外国においてはいずれの国ももう平和を希求しておるのである、現にモスコーでも平和会議があり、北京でも平和会議がある。今ではウイーンでも平和会議がある。従つてこの戦争などということは全然考えなくてもいい、民主主義国家も軍備なんということは全然考えなくてもいいと、いわゆる平和攻勢というものも行われておりますし、又その間には中立論というものも行われておつて、いざ戦争になつた場合には、日本は民主主義国家についておれば、共産国家から爆撃されてひどい目にあうぞと、いろいろな脅かしといいますか、脅かしいというと語弊がありましようが、いろいろの議論が戦わされておりますから、私はこの間において民主主義国家との強い連繋を持つことだけが平和維持の唯一の方法であるということについて、迷わされないように国民が強い決心を持つてその方向に進んでもらいたい、こういう意味であります。
○松永義雄君 なお国際連合の加盟の点について外務大臣にお尋ねしたいし、国際復興開発銀行の使命についてお尋ねしたいと思いますが、私に与えられた割当時間がもうないようでありますから、又機会を見て御質問いたすことにいたします。
○鈴木強平君 この機会に国連軍の駐留に関係する二、三の件をお尋ねしたいと思います。米軍の駐留については、すでにあれやこれやの協定がございまして、おのおの起きた問題については処理されておりますが、国連軍特に英濠軍の駐留に当りましてはいろいろな問題が起つておるのは御存じの通りだと思います。すでにこれらの問題については外務大臣がこの委員会におきましても何回かに亘つて御説明を伺いましたが、まだその問題は解決しておりません。国連軍との協定或いは条約はどのくらいの取結び方でありますか。なお今までに起つております政務上の支障、或いは民間からもいろいろ出ておりますが、それらの問題についてはどんな問題が起つておるか、大体その問題に対してはどのように処しておりますか伺いたいと思います。
○国務大臣(岡崎勝男君) 国連側との協定につきましては、この委員会でも申上げた通り、先方の意見とこちらの意見が残念ながらまだまとまつておりませんので、協定成立に至つておりません。今なお連続してやつておりますが、相手のあることでありますので、いつできるかという見通しは只今のところはつきり申上げるわけに行きませんが、私の考えではここ数カ月以内には、是非何とかまとめてみたい、こう思つております。その間におきまして主として裁判管轄権の問題で、いろいろ世間を騒がしておつて誠に残念でありますが、これも最近の一、二の例によりまして大体先例のようなものが作られつつあるようでありますから、今後私はそれほどむずかしくなくできるのじやないかと思います。そのほかには、例えば補償の問題、これは余り今まだ件数も多くありませんが、例えば誤つて英濠軍の車が人をひいたというようなことの補償はどうするかというような問題もありますし、もつと大きな問題としては、英濠軍に雇傭されておる労務者の雇傭を一体間接雇傭というのにするか、直接雇傭にするか、これは理窟から言えば直接雇傭が当然であります。言葉の関係その他から見て便宜上は間接雇傭のほうがよろしかろうという組合側の意見でもありますので、その方向で話をいたしておりまするが、間接雇傭にいたしますと、アメリカの例によれば、一人当り月給の外に月に二千円なりその前後の費用が要るのであります。この予算の問題もあるものでありますから、まだ解決しておりません。只今いろいろストライキをやるとかいうようなことも言われておるようでありますが、これが差当り一番大きな問題であります。これも早く何とか仲裁いたしたいと考えて、よりより相談をいたしております。
○鈴木強平君 裁判管轄権の問題、雇傭の問題は今折衝中であるといたしますならば別といたしましても、現在年末の迫つて政府が代つて何とか措置しなければならない問題が多々起きておるのではないか。例えてみまするならば占領英濠軍が現在占拠しておりまして、将来もこれを占拠しておきたい、それらの観点に立ちまして接収財産の返還なども遷延しておる。四月までは何とか地代などは払つたけれども、四月以降何にも払つていない。年末に迫つて非常にそういう問題が起きておる。それどころではございません。国連軍が現在占拠しておりまする宮島ホテルのごとき、その家を焼いても何らの補償の話もありません。又農耕すべき耕作地におきましても、将来これを借上げられるという関係から農耕を取止められておる。そういうような問題につきましても、たとえこれらの国連軍との協定ができておらないにいたしましても、国民が例えばすでに或る意味におきまする補償もされておらない。然るに半年以前からかような問題が繋がり起きておる。にもかかわらず何らの補償もされていなければ、見舞もされておらない。これでは到底関係地区の者は納得しないと思います。それどころではありません。年末に際しまして、場合によつては或いは筵旗を立ててもこの問題を解決して欲しいというような強い意見すらあるのであります。これらの実際問題については、政府はどのように処置されるお考えでありますか。お尋ねいたします。
○国務大臣(岡崎勝男君) 例えば、その個人の財産を借り受けて家賃を払つておらないということは、これは私はあるはずがないと思うのでありますが、少くとも四月以降は、これは六ヵ月の期間はこれは調整期間で、平和条約にも書いてあるのでありますが、その間におきまして必ず調整をしておるはずになつております。若しそういうのがありますれば、早速取調べて善処いたしますから、例を一つお示し願いたいと思います。これは外務省のほうに言つて下されば結構であります。それから補償はこれもいずれ、独立前でありますれば終戦処理費、独立後におきましては別の費用といたしまして、例えば焼けた家屋等につきましては適当の補償をすることになつております。事務で或いは渋滞しておるかも知れませんが、その点は急いで解決することにするつもりでおります。その他年末に際してと申されまするが、政府としては特に立替えなければならないと考えられるものはどうでございますか、英濠軍といえども日本におる以上は、日本の国民の感情を害するようなことは最も好まないところでございまするから、予算上どうしても支出が今すぐにできないというならば、立替えて払うということも考え得ないこともありませんけれども、原則としては先方で必要の費用を払うのはこれは当然と考えております。
○鈴木強平君 只今の外務大臣のお話では、賃借費や、地代は当然払つておるであろうというようなお答えでございまするが、我々国会に参りまする陳情は決してそうでないのです。従つて、これを処置しなければならん。特に宮島ホテルのごときは、焼いてしまつて、そうして残つておる土地は返す。その他の補償はどうする、日本国政府との間に何らの協定はできていないから、これらの処置は何らする必要はない、従つてあちら方面では国連に対する気持の点におきましてもそぐわん問題がたくさん起きておるのであります。現在そういうような条約のできておりません関係がございましようけれども、米軍との協定に則りますれば、いろいろ問題がここで解決できるじやないか。こういう問題につきましては、恐らく特別調達庁においては何をお考えになつておられますか、実際にこれらの損害は手を尽したか、或いは立替え払いをいたしたか。いたしたといたしますれば、どういう予算面から持つて行つてやつておられますか、お尋ねいたしたい。
○国務大臣(岡崎勝男君) 協定ができていなくても、損害を与えたのに補償をするのは、これは当然でありまして、協定には直接関係はないのであります。従つて若しそういうところで何か間違つてぐずぐずしておりますれば、早速急がせます。特別調達庁のほうは、実は外務省の管轄でございませんので、事私からお答えいたしかねるのであります。
○鈴木強平君 調達庁の誰か来ておるでしよう。
○政府委員(川田三郎君) 国連関係の使用料の支払いにつきましては、現在調達庁といたしましては、直接にこれを所管することができない形になつております。併し従来連合国時代の契約の当事者といたしましては、これを借入れておきまして、その品物、物件はまだ返還しておりません。従つてそういう意味において何らかの支払いをしなければならない。責任は国連軍関係の所有者に対しては存在しております。従つて借上げ料を支払つたという事実はまだ調達庁の関係においてはないわけであります。 もう一つ、宮島ホテルにつきましては、焼いた原因が国連軍にあるという推定されておりますので、これに対して補償をいたします場合も、国連軍とすれば補償すべき基準がないわけでありまして、その場合調達庁が従来連合軍として借入れておりましたものを返さないでおつて、その間火災が所有者以外の者の管理の機関において起つたとなりますと、返還義務そのものから派生して、賠償責任が生ずるのではないか、こう解釈をいたしておりますが、実際問題といたしましては、保険金を取つております。保険金の収入があるので、果して実際実損と保険金を差引きました場合に、所有者に損害ありや否やというところは今所有者と調達局の間でこの損害額の見解の相違を折衝中でございます。若し保険金を差引いてなお且つ損害があるという評定ができますならば、これに対しましては何らかの方法を以て補償をいたしたいと考えております。
○鈴木強平君 只今調達庁からのお答えによりますと、外務大臣は、その賃借料その他は六カ月以上を過ぎておるのだから支払われておるはずだというお答えでございましたが、この点は恐らく調査が十分でなかつたろうと私は思うのでございます。そのような意味におきましても一日も早く国連軍との協定は取結ばなければならんと思う。只今の調達庁のお答えでは、未だに損害をただ調べておる程度である。従つて立替払いいたしておらないような考え方で言つておりましたが、若しさようであるといたしますならば、年末の迫つておりますこの際重要な問題であろうと思う。従いまして、大蔵大臣はかようなものにつきましては至急に取計らつて支払うべきであろう。若し支払いいたすといたしますならば、如何なる予算の費目からこれをお出しになつておやりになるか、或いはすでに調達庁と大蔵省との間に相当のお話が進んでおられるかどうか、この点につきましてお尋ねいたします。
○国務大臣(向井忠晴君) その点は政府委員から返事をいたさせます。
○政府委員(河野一之君) 国連軍の関係の損失補償については、現在政府においてその分を補償するというような関係になつておりません。国連軍においてその補償をなさるべき筋合いのものだと思つております。
○鈴木強平君 只今政府委員からの御答弁によりますと、政府においては支払うことは考えておらない、併しながら国連軍において支払うであろう……、当然そうあるべきであろうと思う。恐らく協定が結ばれましたならば逸早く支払うべきでありましようが、いつ協定が結ばれるかという点につきまして外務大臣から、見通しの点について非常に心もとない……、さような見通しの上に立つてあとの補償を待つておるわけには参りません。この問題は占領軍の関係におきまして曾つて調達庁がいろいろと調査をしておりますが問題が起きておるのでありますから、これから敷衍いたしまして、予算面にも平和回復善後処理費の予算も相当額残つておる。二十六年、二十七年度合わしてみれば、使つた金は二百十億のうち僅か十一億しか使つておらない。かようなところに予算を取つておりながら立替払いができないということであれば、数字的に考えまして我我の知つておる範囲において不幸をそのままに見ておることはできないと思うのであります。今の政府委員の答弁は、恐らく大臣の御意思ではないと思うのであります。最後に大臣から支払いを急ぐという御答弁を願いたい。
○国務大臣(向井忠晴君) 政府委員が御答弁申上げたようにいたすよりほかに方法はないと存じます。
○鈴木強平君 只今大蔵大臣から政府委員の答弁以外に答弁のしようがないという話がありましたが、若しそうであるといたしまするならば、これこそ重大な結果を起すのではないでしようか。すでに四月までは払つておる、四月以後日本が独立したために支払いができない、かような馬鹿なことが世の中にあつていいものでしようか。独立前には頂いたが、独立したら払つて頂けない。この際こそ立替払いをして何ら差支えはないと思うのでありますが、十分にお考え頂いて再度の答弁を要求いたします。
○国務大臣(岡崎勝男君) その個々のケースを調べてみなければ私は今即答はできかねるのでありますが、原則論から言いますれば、協定はできなくても、借りているものの家賃は当然払うべきものである。ですから協定とは別個のものとして、そういう借りておるものの家賃とか或いは補償の問題とか我々のほうでも取調べまして必ず善処いたします。
○鈴木強平君 只今外務大臣から必ず善処するということでありますので、この問題は先ほども外務大臣からお話があつた通り事人命に関する問題でございます。トラツクやジープで命をとり或いは船が動いてそのスクリユーに引つかかつて死んだ人さえある。その補償も済んでおらない。さようなことは断じて許されないと思う。我々は正月近くなるならば年始状には自立日本を謳歌する、新年を謳歌するときに、どこに独立がある、かように考えるのであります。でありますから私は外務大臣の御答弁を信頼いたしましてこの質問を打切ります。 次に大蔵大臣にお尋ねいたしますが、第三次吉田内閣を作りまして、自由党内にも大蔵大臣たる資格があるかたが多士済々であると思います。然るに党外から向井君を迎えてそうして自由党の経済政策をお任せになる点におきましては、吉田総理も相当に深く考えておられると思うのであります。申上げますならば、自由党でできないところの大きな経済政策を向井財政においてやつて行きたいと……、言い換えれば超党派的な経済政策を立ていと、恐らく総理もそう思うだろうと思います。超党派政策とは、言い換えれば数年動かないような大きな日本の国是たる経済政策を立てるところになければならんと思う。従いまして向井大蔵大臣の御心境においても大いに期するところがあると思うのであります。大蔵大臣は、先の補正予算の施政演説に当りましてはその片鱗もお洩らしになつておりませんので、この機会におきまして、どのようにいたしまして日本の経済の再建をおやりになりますか、御構想の一端をお洩らし願いたいと思います。
○国務大臣(向井忠晴君) 総理大臣が自由党以外の私を使いますのはどういう考えであるか、それは私は存じません。今度の二十八年度の予算を組みますときには、日本の生産状況を直接間接に計る、それを主体といたしまして有効適切な方向に金を使い、或いは貸して無駄のない方針で行くということを私の大綱といたして行くつもりでございます。それにつきましていろいろ只今研究もいたしますし考慮しておるところでございます。
○鈴木強平君 大蔵大臣は、二十八年度の通常予算を組む際に、そこに自分のまとまつた施政演説をおやりになつて我々にこれを明かにされるのでありますから、私はその機会までこれを譲りたいと思います。併しながらこの機会に二、三の問題について大蔵大臣の御心境をお聞きしたいと思つております。 先づ第一に、自立経済の推進の際にあの炭労ストや電産ストが起きて、六十余日に亘つて国民は苦しみ悩みこれらのストによりまして日本の経済はどのようないたみ方をしたか、どのようなズレを来たしたか、その大綱についてこの際我々は国民にこれを知らさなければならんと思う。勿論これは炭労或いは電産の労働者、資本家は勿論のこと、国民大衆は再びこのような不幸なるストが起らないように、これらによつて生じたる経済的な損害はどの程度であるかということを考えて行かなければならんと思うのですが、大臣におかれましてはどのようなお見通しを持つておられますかお伺いいたします。
○国務大臣(向井忠晴君) 只今の御質問は、損害がどのぐらいあるかという点を考えておるかというのでございますか。よく私にはわかりかねますが、損害の額というふうなものは非常に大きなものだとは存じますが、どのくらいかということは私にはまだわかつておりませんが、併しながら今までにないような大きなストライキの起つておるということは、原因はどこにあるか知りませんが、必ずこれは経営者と労働者との間に意思の疏通を欠くところがあるのは申すまでもございませんで、これから日本を自立経済に持つて行きますのにこんなことがあるようではとても今後の展開は望み得ないと存じますから、私一個としましては、微力でございまするが、そういう問題の再び起うませんように、今のところは最善の努力をいたしたいと思つております。そう考えております。
○鈴木強平君 只今大蔵大臣は、その損害の程度においてははつきり知つておらん。いやしくも日本の経済を受持つ大蔵大臣におきましては、あのような大きなストが起きて損害の程度がまだ数字的に手許に来ないということは、政府といたしまして怠慢のそしりを免れないと思うのでありますが、これは早い機会にお調べになりまして全国民にこれを知らしておく必要があると思うのです。それはかような不幸なストを再び起さない、かような観点について国民も聞きたいと思うのでありますが、併しいつも大蔵大臣は、先ず再建の要諦は生産第一主義であると常に声を高くしておられることは誠に我が意を得ておるのでありますが、我々は一体どうしてかようなストが起きたか、かような点を考えまするときに、我々日本人は戦争で勝つて勝ち抜いて来たが初めて負けた。従つて負けて立ち上がる精神状態において他国と違つた考え方に立つておるのじやないかと思うのであります。これを例をとるならば、あの西ドイツのごとく、歴史的に見れば何回々々も負けておりますが、負けて立ち上がるには自力以外にない。みずから働く以外にはない。みずから工夫する以外に途がない。そうしてみずから協力する態勢を作る以外には途はない。かような観点に立つて、今日の西ドイツの発展があろうかと思うのであります。先ず我々は生産増強の第一は、如何なる考え方、信念を、労働者或いは使用者に持たせるかにあると思うのであります。大臣といたしましては、どのような方策を以てかような信念を抱かせるお考えでございますか。単に生産増強と申しましても、具体的にこういう方法ということを考えなかつたならば、決して生産増強にならん。こういう信念を払われるには、こうこうこういうことがあると思いますが、二、三の点についてお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(向井忠晴君) みずから助けるというほかに方法がないというお話でございまして、西ヨーロツパの国、殊に西ドイツあたりではストライキがない。それから自分の力で以てその国が立つて行くような方法を講じておる。それは延きましては、この国の人が自分の力で、自分の境地を開拓して行こうという精神力で行くものと存じますので、私は我々日本の国民は、先ず自分の力で自分の境地を開拓して行くということに参りますように、従つていろいろ現われまするこの補助政策、それから安易なる施策によつて、ひどく働かないでもやつて行けるというような方法は排除したほうがよろしいので、皆一斉に働く、それには税金の重いのはせいぜい軽くして、そうして生産意欲を発達させる。それから法人あたりにしましても、儲けを使つてしまわずに、成るべく貯めて、それをその後の施策、或いは設備に使つて行くというふうに努めて行く、それが今後日本の自立を助ける最良の方法であろうと考えております。
○鈴木強平君 大臣の信念的なお考えには、敬服する以外には考えられません。最近大きな会社が自己の重役なり、技術員を米英諸国に派遣されて、研究調査をされておりますが、待つて帰るものは何ものであろうということを考えましたときに、国内に大きなビルを作つて、そうしていわゆる大廈高楼に座して、飽衣暖食するというそうな、よいところばかり見て来ておるように思うのでございます。一面に資本の蓄積を要求する資本家が、あのような立派なビルに入つておる。自由党が過去四年間、ビルの建設はけしからんと言いながらも、遂に抑えられなかつた。今こそ向井大蔵大臣は、かような不健全なる建築物については、よほど強いお考えを以て抑えて行かなければならないと思うのであります。只今もお話になりましたが、ややもいたしますと、資本家が高率配当によつて資本を吸収するのだ、蓄積するのでなくて吸収するのだ、三割、四割の配当をしておる、こういうのが最大の原因であろうと思いますが、かような大きな産業が、予想できないところの高率配当をして、単に資本を吸収すると言いながら、みずからの資本を逃がしておる。そして不健全なるビル建設をやつておることに対しましての、蔵相といたしましては、これらについて今後どのようなお考を持つて善処されまするか、お尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(向井忠晴君) 私は大蔵大臣といたしまして、そういうことができるかできないか存じませんが、ビルの立派なものを作るなどということは抑えて行つて、それから高率配当をいたすようなところには、適当な方法でそれを遠慮してもらうというふうな方法を講じたいと思つておりますが、お説は私は徹頭徹尾御同感でございます。
○鈴木強平君 先ほど大臣は生産増強には、先ずみずから深く反省をしなければならないと言われました。併しながら現在労務者といたしましては、自分としては十分に働いていると考えておるのであります。それ以上働いてもらうのには、やはり先進国であるところのアメリカ等の企業の内容を、やはり資本家と同様な調査研究に派遣する必要があると思います。例えるならば炭鉱の労働者が、炭鉱の坑内に入つて、そうして働く体制と、技術の効率化を考えて来る、かような方面におきまして、これまでのように主だつた重役技術者が派遣されるのではなくて、最も末端にあるところの労働者自身が、諸外国のいろいろなものを十分に見て来なければならないと思いますが、大臣は先日も先ず足許から固めて行かなければならんと言つておられますが、かような意味におきまして、各種産業の実際の面におきまする労働者の幹部のかたがたを海外に派遣して、いろいろと働く体制をつかんで来るという点についてのお考えは如何でございましようか。
○国務大臣(向井忠晴君) 仕事によりますと、そういう方法をとりますことは、非常にこの仕事の能率を上げる上に助けがあるだろうと守じます。この最高幹部が、机の前で以て仕事をして、実際に会社の技術すらもわからないですんでいるところもあるように聞いておりますが、そういう人が外国へ行つても、何の役にも立たんと思いますが、仕事によりますと、今おつしやるような実際の苦しいところに当つておる、又ものを作るなり出すなりの仕事に当つておる人が外国の実情の取るべきところは取るために視察に行くということは、有意義なことだろうと存じております。
○鈴木強平君 もう一点お尋ねいたしますが、最近国内の産業製品が、ややもすれば海外に押されまして、なかなか海外に輸出ができない。さような観点に立ちまして、国内の生産業者、小売業者が引合わない価格のものは海外に出さないで、国内にこれを売捌ばく、従つて海外で待つている顧客には品物を渡さないで、そうして世界市場を確保することとは別個に考える、国内にこれをはかせよう、幾ら高く売つてもはけようという考え方が、丁度各種産業にあるように思うのでございます。かような考え方は、大きな海外のお得意を失うばかりでなく、国内におきましても、かような高いものを、つまり世界市場価格よりも高く国内にはかすために、中小企業がこれを購入するときには、その製品のコストは割高となるのであります。従つて世界市場物資であるものにつきましては、これらの品物を世界市場価格で海外に売捌ばくのは勿論のこと、国内におきましても、さような面から国内市場価格をいつも世界市場価格に合せてコストを下げて来る。そうして設備を変えて来るという点がなければ、飽くまでも中小企業は追込まれて来ると思うのであります。こうした観念に立ちまして、どのようなお考えがおありになりますか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(向井忠晴君) これは非常にむずかしい問題で、どうすれば今おつしやるように値段を下げて、外国へも出るし、日本も使う、そういうふうになるということは、只今のところ妙味はございませんが、やはりこれは各自それぞれの方面で勉強をいたして、物をよくして、そうして安くする。殊に海外に輸出をするという点について、内国市場で十分に満足な品が供給されてそれを内国市場が使つておる、それと同じ、又はできれば同等のものを外国に出さなければならないのでございまして、例えば自転車のようなものは、私の聞きますところによりますと、まだ日本内地の需要に対しましても満足な品質のものが行き渡らない。それについて輸出ということを非常に熱心に研究している方面、例えば協会のようなものでも急に輸出の促進はできないので、内国市場に向つてもいい物のできるようにその組合の活動を向上させて行こうという案を私は聞きまして、至極くいいことと思うのでございますが、いろいろの点で政府なら政府が助けて行くということがございましようけれども、どうしてもこれは各製造業者、又は製造に当る人が努力を続けて行きまして、只今申しましたような需要者の、需要者は日本ばかりでございませんで、内外の需要者の満足を買うようにすべきものと考えておるのでございます。
○委員長(岩沢忠恭君) これにて暫時休憩いたします。 午後六時二十二分休憩 —————・————— 午後七時四十八分開会
○委員長(岩沢忠恭君) これより委員会を再開いたします。 先ほどの委員長理事打合会の申合せによりまして、先般の委員会において審議を願つた昭和二十七年度補正予算に対する衆議院の附帯決議に関する政府の措置の処理について小委員会を設けることに決定いたしましたが、この申合せの通り小委員会を設けることに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩沢忠恭君) 御異議ないものと認めます。 次に、小委員の数は九名とし、小委員の選定は委員長に御一任願いたいと思います。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩沢忠恭君) 御異議ないと認め、左藤義詮君、森八三一君、内村清次君、山下義信君、岩木哲夫君、駒井藤平君、千田正君、木村禧八郎君、岩間正男君、以上九名を小委員に指名いたします。訂正いたします。駒井藤平君の代りに鈴木強平君を指名いたします。
○森八三一君 私はこの際大蔵、農林、運輸の関係につきまして、数点の御質問をいたしまして所信をお尋ね申上げます。時間が大分遅くなつておりますので、要点だけ簡明に申上げましてお答えを頂きたいと思います。 最初に大蔵関係につきまして向井大臣の御所信を伺いたいと思います。いろいろ政府が施策を立てて進められて参りまする過程におきまして、まあ平たく申しますれば、勘でものを進めるとか、まあこのぐらいならばといつたような腰だめでいろいろな案が立つて行くということでは、必ずしも本当に国民の了解し、納得するような立派なものは打ち出されて来ないのではないかと思います。こういうような観点から、どうしても間違いのない調査に基きまする具体的な統計と申しますか、数字と申しますか、そういうものの基礎の上に立つて、そこにしつかりした政策が打ち出されて行くということでなければならんと思うわけでありまして、こういうような観点から、政府におきましてもいろいろの調査統計については、まあなけなしの経費のうちから相当工面をして御努力を願つておるのでありまして、この充実、拡充を期して参りますことは今後非常に大切な問題であると考えております。そういうように見て参りますると、ここに予算の面から考えまして非常に納得できませんことは、いろいろの調査が行われておりまするが、その調査の行われる過程における経費についていろいろの形が現われております。例えて申しますると、小売物価調査の関係につきましては、その調査の衝に当りまする人々に一日百九十百の手当を出しまして、調査の実を挙げるようなふうにきめられておりまするし、個人商工業経済調査の手当につきましても同様な措置が行われ、労働力の調査関係につきましても大体同額になつておる。ところが消費の実態調査になりますると、勿論調査の内容が違うとは思いまするが、調査員に対する手当が一日百四十四円というようになつておるかと思いますると、二十六年度の事業所統計調査表の作成でありますが、こういうようなことに従事するのには二百十五円とか、農林関係の調査につきましては、一日が十一円ほどの手当になつておるというように、同じ政府の下に行われておる統計調査の衝に当る人々に対する待遇が事によつていろいろに差別があるのであります。そこでお伺いいたしたいのは、こういうように差別のありますることは、調査の内容が違うからそういうような査定が行われておるということでありまするのか、特に農林関係の調査につきましては非常に桁外れの小さな額が支給されておるということはどういうことから出ておりますのか。農林関係の調査はその程度をやつておけばよろしいというように非常に軽視されておるようなふうにも見えるわけでありますが、その辺のお気持を伺いますと同時に、申上げまするように、非常にこの統計調査の仕事は大切なわけでありますので、今後どういうように取扱つて行かれますか、小さいようではありまするが、これは気分的に非常に影響を持つ問題でありまして、同じように政府の委託を受けてやつておるのに、一方ではこうだ、一方ではこうだということでは、折角御苦労を願う調査員の諸君にも士気を沮喪せしめるというようなことになつて、その統計の結論というものがまずいものになつて行く。延いて政府の施策をお立てになる上に聞違つたようなことになつては甚だいかんと思いますが、そういう点どういうお考えであるか、先ず最初にお伺いいたします。
○国務大臣(向井忠晴君) 取調べの事項によりまして、或いはその衝によりまして、その報酬の出し方が違うということは仕事の性質にもよりましようが、差額の程度によることで、今お示しのようなひどい違いがあることは、これは多分是正せらるべきものだと存じます。で、お示しの通りに調査は正確でなくちやならないし、報酬の少いために粗漏な調査をされましては、これによつて施策をする行政者の方針確定の上に非常な支障を来たしますから、よく検討いたしまして、早速に公平な報酬の出せますように考慮いたします。
○森八三一君 非常に新大蔵大臣から御理解のあるお話を承わりまして、大臣の御調査の結果に非常に多くの期待を持つて参りたいと思います。 次にお伺いしたいのは、これはしばしば論議されておつて大臣も十分御承知のことでありますが、今度の租税の臨時特例法が提出されました。これは勿論その理由がそのことだけを意味しておるのではなくて、いろいろなことからそういう施策が講じられておりますわけでありますが、その説明の中で最も強く取上げられ、打出されております理由の一つは、この一月から米価の値上げをするんだ、更に運賃も一月或いは二月から旅客、貨物等について改訂が行われる、そういうことで国民生活に相当の影響を持つて来るので、その影響を持つて来る分を一部は減税という措置で救済をするのだというのであります。私はこの前に行われました租税の改正の際にもそういうことがございましたので、その当時私は必ずしもおつしやつていることを全幅的に受取つておつたわけではございませんが、まあそういうことに理解をするといたしましても、それによつて確かにお話のような結果になる階級もありまするし、現に納税の義務を負つておりませんような人は、減税という措置が講ぜられましても、その利益と申しまするか、恩典と申しまするかにあずかるわけには参りませんが、そういう人を一体放つておくということは政府としては如何なものでございましようか、こういう質問を前池田大蔵大臣に申上げましたところ、私の記憶では池田大蔵大臣は、非常に尤もなことで政府としては十分に考えて行かなければならんことである。本当に困つておる人はこれは要生活保護者でありますので、政府の補給金を殖やす等の措置によつて救済されるが、その途中に位する人には方法が付きません。その当時の池田大蔵大臣のお言葉は、世界の政治家が税を取扱うときに最も悩みとするところでありまして、今ここにこうすればよろしいと言つて明確にお答えをするわけには参りませんが、非常に大切な政治の要諦と思いますので、今後十分研究をいたしまして適当な対策を立てたいと思います。こういう御答弁があつたわけであります。そこで新大蔵大臣にお伺いいたしたいのは、そういうような御答弁がございましたので、その後恐らく政府では鋭意御研究になつたことと私は思うのでありますが、その研究の結果がどういうように相成つておりますのか、定めしお引継ぎがあつたと思いますので、その状況を一つお伺いをいたしたい。若し前大臣からお引継ぎがないといたしますれば、新大臣としては、こういう問題についてどんなふうにしてこの問題を解決しようとお考えになつておりまするか、これは非常にむずかしい問題ではあると思いますが、お伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(向井忠晴君) 非常に遅まきでございますが、私は研究いたしまして、何か方法を案出したいと存じております。
○森八三一君 そこで一つ申上げたいのは、これも池田大蔵大臣に申上げたのでございますが、そういうような中間に位するまあ税の軽減の場合に、その恩典には十分にあずかることのできませんような階級の人たが主として、全部とは申しません、主としてそういうような人が集まつて構成されておりまする組織が、中小企業に関する協合組合であり、農村においては農業協同組合であり、労働者等につきましては生活協同組合とか、山へ参りますれば林業の組合、漁村では漁業の協同組合などであると思います。そういうような各種の特別な法人があります。その法人が年度末に一応の締切をいたしまして、たまたまそこに剰余が生まれておりますると、これが一般の法人における利益と同様な観念におきまして、その剰余に対して法人税が課せられております。尤もこの前の税法改正に当りまして、こういうような特殊法人の特質、本質に鑑みられまして、一般法人は四二%の法人税、特殊法人は三五%、据置ということで、そこに一応の区別は与えられました。与えられましたが、とにかく三五%の法人税がかかつていることは現実であります。で、今後御研究を願うということは、是非ともお願いをいたしまするのでありまするが、その研究の過程におきまして、或いは研究の結果、今申上げまするような、それは必らずしも私はこういうような相互扶助、協同の親念に立つておる協同組合等につきまして、年度末にたまたま生まれておる剰余というものは、一般法人における利益の観念を持つて律すべき性格のものではない、それに法人税をかけるということは、本質的にも如何かと思いますが、今申上げました税の軽減の恩典に浴することのできない階級が主として構成をしておるということになれば、せめてその特殊法人の法人税というものは三五%は免除してやるというような措置が与えられるならば、それを以て帳消しにするほどの大きい額ではありません。税の軽減に値するほどの大きな額にはなりませんが、研究々々と言つて、一日々々日が遅れて行くよりは、せめてもそのぐらいのことはやつて頂いて、その上にいろいろ御研究願うという段階が持たれて然るべきではないかというように考えるのでありますが、この特殊法人に対する法人税について、これを全免することの可否と申しますか、そういうことに対してどうお考えでありまするか、お伺いをいたしたい。
○国務大臣(向井忠晴君) 即刻私は自分でそういう点について内容を見まして、できますことは実行に移したいと、そう考えております。
○森八三一君 十分研究をするということでありますので、今申上げましたような特殊法人の特質並びにその持つ剰余金の本質等を十分に一つきめて頂きますると一緒に、今申上げまするような税の軽減ということに関連いたしまして、そういう措置を講ずることが一つの政治としてはなすべき道であるように思われますので、十分な対策を立ててお進み願うことを特にお願い申上げるのであります。 その次にいろいろ伺いたいのでありますが、大蔵関係のことはもうやめまして、農林関係について一、二お伺いをいたします。その第一は生糸の問題でありますが、戦前の日本の生糸が輸出の大宗として貿易の上に非常に大きな貢献をして参りましたことは、これは今更申上げるまでもございません。戦後だんだんこれが復活をして、外貨の獲得と申しますか、輸出入貿易の調整に相当の働きを持つて参つておるのでありまするが、如何にも繭糸の価格の上下が非常に大き過ぎるというようなことから、取引上非常に不便になるというために取引を阻害し、輸出を減退せしめるような兆候がありましたので、去る十二国会でありましたか、こういう点を調整するために、繭糸価格安定法が制定をせられました。最高と最低を基準として輸出貿易等の取引に支障を及ぼさないような施策が講ぜられました。我々はこの法律の制定に、更にその活用に非常に大きな期待を持ち、一面には養蚕をいたしまする普通の零細な養蚕農家の経営を安定せしめますると同時に、この輸出貿易に関連をいたしまする大きな商社諸君にも安心をして仕事をやつて頂く、それが及んで日本の輸出貿易に寄与するという結果をもたらすように念願をして参つたのであります。ところがその後設けられました省令を見ますると、繭糸についてはそういうような施策が進められておりまするが、繭糸の一部でありまする玉糸については、そういうよらな輸出の対象にこれがおかれておりませんので、そこに一つ問題が残つておるのではないかと思います。数学的に統計を調べて見ますると、昭和二十五年度におきまする繭糸の輸出数量は八万五千四百九十五俵でありました。玉糸は九千九十一俵、二十六年になりますると生糸は五万五千九百十六俵で、玉糸は殖えて一万二千四百四十俵、本年の十月までの統計では、生糸が四万一千七百二十六俵、玉糸が一万三千六百三十六俵というようなことで、漸次繭糸の輸出量と玉糸の輸出量は、その差がだんだんと玉糸の輸出量が大きな数字を示して来る傾向にあるのであります。なお全体の生産数量から見ますると、国内生産数量に対して、繭糸は大体五〇%程度が輸出に向けられておるが、玉糸は全生産数量の九〇%からそれ以上が輸出に向けられておると承知をいたすのであります。こういうようなことで玉糸が漸次輸出の面に非常に大きなウエイトを占めて参つておる。更に今後の見通しについて、対外市況等を対照いたしますると、縦糸に玉糸を使つて混織をすることが非常に織物の味をよくするというようなことで、特に需要地でありまするアメリカ方面におきましては、今後玉糸の需要が増大するであろうというように伝えられておるのであります。ところがこの玉糸の価格が、二十六年度に例をとりますると、最低が九月の十六万八千円から最高が四月の二十三万八千円というようなことで、実に七万円もの値開きがあつたのであります。こういうようなことで繭糸のほうは一応繭糸価格安定法の対象になりまして、余り高くなつたり、余り低くなつて、生産者なり、国内における業者を圧迫するというようなことのないように措置されておりまするが、玉糸のほうは対象になつておりませんので、野放しになつておりますので、こういうふうな非常に乱調で、今後伸びて行こうとする輸出に非常に障害をもたらすのではないかというふうに私は見るのであります。そこで伺いますると、それは玉糸と繭糸というものは、大体相互関連があるのだから、生糸のほうを大体抑えておけば、玉糸のほうもそれに右へならえで適当に調整をされるのだろうというようなことを当局から伺うのでありますが、実際に動いておりまする実情を見ますると、必ずしもそうなつておらないというようなことでありますので、折角制定されておりまする繭糸価格安定法もあることでありますので、その対象に繭糸を附加えて玉糸を設ける、これは別に法律の改正を要することじやなくして、省令の改正でその目的を達することはできるわけでありまするし、今日も午前中に片柳委員から御質問がありましたように、繭糸価格安定法ができて三十億の特別会計が設定されましたが、未だ三十億円の特別会計を使つて最高のときに買上げたという事実はなくて、三十億円はそのまま遊んでおるというようなことであります。そこで適当なときに買つておいて、本当に上つて来ればそれを売出すといつたような調整法自体の機能を発揮せしめるような対策を講ずべきではないかという質問に対して、大臣は余り片柳さんは気が短か過ぎるというような御答弁があつたのでありますが、私はそういうようなことで折角法律もできておる、予算もあるのだと、だから今後伸びて行こうとする玉糸について繭糸と同じような価格の変動というものが起きないような措置を講ずる対象にこれを置くというように考えるのが当然じやないかと思う。輸出貿易を振興することが日本の当面の課題であるとするなれば、これは当然な問題であろうと思いまするが、農林当局は省令にこれを附加える御意思がありますかどうか。又加えなくてもよろしいという御見解であるなれば、その御見解を詳細に承わりたいと思います。
○政府委員(寺内祥一君) お答えいたします。玉糸と申しましても、いろいろ種類がございまして、繊度によります種類が数種あるのでございまして、あの繭糸価格安定法を作ります当時の状況といたしましては、その種類別の生産数量も非常に少なく、又生糸と違いまして、玉糸は特殊な用途がございましたので、その価格が生糸の時価に影響するというほどの力は持つておらなかつたという事情がございまして、繰糸価格安定法を作りますときには生糸の市場価格を一定に維持しよう、それに一番影響のある繊度、品位の生糸を買上げるという方策をとりまして、財政的な負担をできるだけ軽くして、できるだけ効果を挙げようという趣旨で玉糸を除いておつたのであります。併しながら生糸の価格によりまして、大ざつぱに申しますと、玉糸の価格も大体安定するという大体の傾向はございますけれども、只今申しましたような、玉糸は特殊の用途に使いますので、生糸とは又違つた価格の変動をいたしております。殊にこの玉糸がたくさん外国に出るようになりましたのは、ほんのここ二、三年の話でありまして、一昨年、昨年あたりから約一万俵ばかりの生産がありまして、その約九〇%がアメリカに出ております。このアメリカに出ますのはシヤンタンという特殊の織物に使われておるのでありまして、これは戦後アメリカの何と申しますか、東洋趣味と申しますか、そういうものに合致して大流行をいたしておるのであります。この流行が果して長く将来続くかどうかということにも一応のまだ業界では見通しがありませんが、まあそういう傾向が長く続けば幸いでありますので、我々といたしましては、できるだけこの玉糸の輸出を促進いたしたいと考えておりまして、その後非常に増産いたしました。本年は只今おつしやいました通り、約一万五千俵ばかりの生産があり、そのうち約九〇%ばかりが出ておりますが、急にそういうふうに需要が出ましたので、多少粗製濫造のきらいがありまして、クレームなどの関係がありまして本年は値段が下つております。まだ直ちにこれを買上げ、価格を維持しなければならないという情勢にはなつておりませんので、今直ちにあの省令で玉糸を指定するという必要はないと思いますけれども、そういうふうに有用な輸出品でございますから、この価格の安定を図るということより、むしろ業界の安定を図るということにつきまして慎重に考慮いたしまして、買上の必要があるとなれば、それぞれ財政的の措置をいたしました上で措置いたしたいと考えております。
○森八三一君 買上の必要が起きたならば措置するということでは私ども納得できない、買上をしなければならんような措置がいつ起きるかということはあらかじめ予測はできないわけでありますので、それに備えて農林省令を改正しておくべきではないか、同時にそれは予算的措置を伴うことはよくわかります。只今のところでは三十億の特別会計が生糸のほうには使われておらんという実情でありますので、これを考えますれば、直ちに買上げするという実際の行動が起きるわけではありませんから、省令を改正しておくべきではないか、こう思いますが、そういう事態が発生したときにやればよろしいということで問題の処理ができましようか、もう一遍重ねてお伺いいたします。
○政府委員(寺内祥一君) お答えいたします。玉糸の用途が特殊なものでございますから、直ちに買上げの手段をとりませんでも、例えば戦前は内地におきましてもこれは銘仙等に使つておつたのでございますから、将来玉糸が増産され、価格が下るような事態が起きましても、この新規用途を開拓するというような方面におきまして、この価格を維持することは、ほかにも方途が幾らもあるのでございまして、直ちに買上げるという処置をとりませんでも、相当諸般の方策も、又玉糸につきましては生産の調整が割合可能の物資でございますから、そういう方面で業界と我々と協力いたしますれば、直ちに買上げという手段をとりませんでも、価格の安定その他の措置がとれると思います。
○森八三一君 私は只今の答弁ではまだ納得できません。ということは、買上げしなければならん必要が起きてから、省令を改正するということでは間に合わないので、やはりこれは事前に改正しておきまして、それを直ちに発動するということではなくて、必要のあるときに発動するという準備は、これはあらかじめやつておかなければならん。殊にお話のように、戦前とか、数年前には殆んど要らなかつたものが、最近は非常な速度を以て輸出が進行しておるといたしますれば、これこそまさに新販路の開拓でありますから、これを逃がさないように、やつぱり価格が安定して、需要家のほうにも御迷惑をかけない、取引上も余り迷惑をかけぬという対策を考えておくという施策があつて然るべきだと思いますので、これは今後十分御研究を願いたいことを特に強く要望いたしまして、この問題は質疑を打切つておきます。その次にお伺いいたしたいのは菜種の問題でありますが、国内における油脂の資源としては非常に足りません。国民の栄養の観点から見ましても、私の承知しておるところでは、一年に植物油等が十二、三万トンというものがなければ、国民の栄養方面の関係からうまく行かんと聞いております。国内の資源だけでは、到底この油脂を確保するわけには参りませんので、たしか本年度における計画におきましても、アメリカ大豆等を中心にして三十三万トンもの輸入をしなければならん実情にあるように承知をいたしております。そういうような関係からいたしまして、農林当局ではできるだけ国内における油脂資源の生産を増強確保するように折角御苦労を願つておりますし、農民諸君におきましても、国の実情と政府のこういう特別な状態下における奨励に基きまして油脂資源である菜種の裁培に格別な努力をして参つたのであります。そのために本年におきましては、相当量の生産が増進せられまして、農林当局の統計によりますれば、昨年の市場出廻り数量に対しまして、本年は約倍額の二十二、三万トンのものが、国内の市場に出て来るのじやないかというような非常に喜ぶべき現象におかれておつたのであります。そういうような状況になりましたので、これが取扱については十分注意をして、生産者と消費者との開にスムーズな取引が行われて、所期の目的は達成されたような方向に持つて行かなければならんということで、農林省におきましては、今年の六月頃でありまするか、生産の最盛期に当りまして各地で会議を開きまして、大体本年の諸般の経済情勢等から考えますれば、生産費は一俵が三万六、七千円程度になつておるであろうというようなお話をされたのであります。それが会議のあつた地方におきましてそれぞれ有力な新聞の記事として報道をせられました。勿論生産費がどうなりましようと、実際の経済上の生きておる価格というものは、生産費に従つて動くわけではございませんで、その後いろいろな情勢、特に本年度は国産の油脂を二万二千トンでありまするか、通産関係におきまして輸出をするという計画になつておりまするのは、この輸出がうまく振興いたしませんとか、或いは前年度から持越しの油が相当にあるというようないろいろの悪材料が重なりまして、農林当局の調査では、三万数千になつておるというようなことで、この貴重な油脂資源が非常に価格的に暴落をいたしまして、只今では三万円を遙かに割つているというような状況が生れておる。この状態をこのままに放置しておくということになりますれば、折角二十六年度に比べて二十七年度は倍額の生産程度にまで進んで来て、海外から油脂資源を輸入しなくても、済むとは申しませんが、相当にその数量を減らしてもよいというような情勢が生まれて来たのを、再び芽を摘んで又昔のような状況に逆転をして行くというような結果が生まれるんじやないかというような私は心配を持つのであります。これは農民の経済から考えましても、国家的な見地から考えましても、この情勢は更に一層進めて行かなければならんと思いますが、これに対して農林当局ではこの施策をどういうように持つて行く考えでありますか、私は端的に言わせまするならば、これは全面的に重要農産物については価格支持制度などというものを作つて行くほうがよいと思いますが、これに対する考え方を一つ伺つておきたいと思います。
○政府委員(渡部伍良君) 菜種の事情につきましてはお話の通りであります。殊に食料油脂の資源としましては七、八割を占めることになつております。これが終戦後非常な国民栄養食の改善の傾向に伴いまして、更に又一方から言えば、水田裏作の改良という対策から行きまして非常に増産して来ておるのであります。今年約二十万町歩近くできたと思います。来年は更にこれの二割も三割もできるように最近の植付状況を見ると予想されるのであります。従いましてお話の通りこれの価格の安定を図ることは、今後の食糧増産並びに国民栄養食の維持、農家経済の維持から行きまして非常に重要な問題でありますのはお話の通りでありますので、農林省としましては適当な価格で、これは生産費とかパリテイ価格とかいろいろな勘定を今研究しておりますが、きめまして政府で買上げるような措置をとつて、価格の安定に資したいというので、できるだけ早い機会に最後的な決定をしたいという研究を続けておる次第であります。
○森八三一君 最後に一つ運輸当局にお伺いいたしたいと思いますが、今日は午前中にも池田委員からお話があつたのでありますが、まだ御答弁がありません。政府におきましては貨物等級の改正を企図せられまして、今年の春から等級改正の審議会を設けられて、鋭意研究が進められ、その結論が出て委員会は答申をしたやに承わります。その委員会の出発に当りまして、この等級改正によつて鉄道収入を殖やすという意図は毛頭ないのだ、飽くまでも不減不増の根本原則に立つて等級を改正するのだという構想が発表されました。これは当然だと思います。運賃収入が殖えるということは、運賃価格の改訂ということにも繋がるわけでありますので、運賃の改正は当然国会の承認を経なければならん行為であるということからいたしまして、等級の改正によつてそこに増収が図られる蔭においては運賃改正と同じ結果が生まれるということは許さるべきでないと思いますので、その行為は当然だと思いますが、できた結果から見ますと、必ずしもそういう結果にはなつておらん。不減不増ではなくて増するという結果が生まれておる。而もそのことが殆んど大部分国民生活に非常に重要な関係のありまする蔬菜であるとか薪であるとかといつたような、本当に零細な国民の消費いたしまする物資にしわ寄せが来ておるように考えられますが、これを一体どういうように始末をされて行くのか。不減不増の方針は飽くまで貫徹をされますのかどうかということが一点と、それからそういうような大衆的な消費物資に対する運賃については、改正の結果、前のものと比べて上らんような措置をするという含みがありますかどうか、その辺をお伺いいたします。
○政府委員(植田純一君) お答え申上げます。等級の改正は只今お話がございましたように、国鉄におきまして等級審議会を設けまして慎重審議いたしましたのでございます。その方針に基きましていわゆる品物の負担力、貨物の価格というものを基準にいたしまして、それに或る程度の輸送原価というようなものを斟酌いたしまして、新たに十二等級に再編成したわけでございまして、その結果一部には等級の変更によりまして運賃が上るというものができて参りますし、又一部には等級の変更だけから見ますると運賃が下るというものが出て参つたのでございます。全体といたしましてこの等級の改正によりましては飽くまでも不増収、不減収という方針を貫いております。ただそういうふうに一部におきまして値上りが生じ、一部において値下りが生じる、而もこの値上りを生じましたものの中にはお説の通り生活必需物資、或いは大衆的な物資というものが含まれておりますので、著しくそのために大きな影響を持つというようなものにつきましては、個々の品物につきましてその調整の方法を図つております。この調整の方法は或いは割引であるとか、或いは又減トンという制度がございまするが、そういうような方法を以ちまして極力影響の甚だしく多くならないように、国鉄におきましてはそれぞれ関係向きと折衝いたし、又調整を図つている次第でございます。
○高橋進太郎君 この際本多国務大臣並びに大蔵大臣に地方財政の問題につきましてお伺いいたしたいと存ずるのであります。地方財政の困窮につきましては、しばしば言われているところでございまするが、特に最近ベース・アツプの問題が出ますると、来る年も来る年も、あたかも年中行事のごとく地方財政の困窮が訴えられておるのでございますが、これは要するに現在の地方財政の財源に何らの弾力性がない。例えば今回のベース・アツプにしても、国では九十五億程度のはね返りがあるけれども、地方公務員の場合において、或いは地方財政の場合においては何らそのはね返りがないということ、それから地方財政自身が大体七割程度、或いは町村におきましても五割程度というものは、いわゆる中央からの財源によつて初めてその財政を組立てるというような工合に、地方財政に何らの自主性がない。従つて今回のごとくベース・アツプがあれば、その財源はすべてこれを中央に依存せなければならんというようなことで、府県なり町村なりがどうしても中央に対してこれらのような問題がございますので、従つてどうしてもこうした地方財政の困窮の現状から見まするならば、この地方財政のこうしたいわゆるよつて来たるところの貧困のあり方に十分検討を加えて、例えば、或いはどうしても支出しなければならん義務教育費のごときは、全額国庫負担等の措置を講じてこれが困難をなくすとか、或いは弾力性のあるところの財源を与える、例えば所得税につきまして附加税若しくは所得税の何割かを国家がこれを機械的に地方団体に与えるというようなこと、或いは又最近の事例で見ますると、いろいろな法令の出るたびにそれに対する地方の負担が常に予定されておる。而もその法令上の意味するところの事務が、国家事務若しくは国家の事務でありながらそれを地方の機関に委任するというような形で規定されておる結果、いわゆる地方団体は好むと好まぎるとにかかわらず、その財政負担をせざるを得ない、こういうような状態に相成つておるのでありまして、従つて地方財政のこうした困窮につきましては、抜本的に改革をしなければ来る年も来る年も同じような問題が生ずると思われるのでございまするが、自治庁の本多国務大臣並びに大蔵大臣にこの地方財政のあり方、これらについての御所見を承わりたいと存ずるわけであります。
○国務大臣(本多市郎君) お答えをいたします。現在の地方財政、更に又地方制度全般に亘つて再検討の必要のあるととは御指摘の通りでございます。地方団体の財政が困難になりました原困がどこにあるかということにつきまして、これは政府の平衡交付金が潤沢ではないという点にあることは一面の原因でございます。併し地方財政は自主的に運営するものでございまして、若し地方団体が自主的に行政規模を拡張し、事業を拡大して行きますならば、これは財政的にはどうしても不足を生じて来るのでございまして、この両面からの理由であると考えられるのでございます。これにつきまして、只今御指摘のように財源を与える、或いは義務教育費のごとき国庫負担でやるというようなことをやつたらどうかというお話でございますが、例えば今回半額国庫負担法を実施するといたしますと、そこに富裕団体で平衡交付金の行かない所にも義務教育費の半額だけは交付しなければならんということになりまして、富裕団体と富裕でない団体との財政的な懸隔は一層甚だしくなるということになるのでございます。又一般的に財源を与えたらどうかということにつきましても、例えば所得税のような財源を附加税というような形で与えたらどうなるかということになりますと、やはり富裕団体はますます財源が豊富になり、貧困団体との懸隔は甚だしくなるというようなことになつて来るのでございます。更に又政府が地方団体にいろいろな行政事務を委任する、或いはこれを命ずるということのために地方団体がますます財政的に困るという点、確かにそういう面もあるのでございますが、これは平衡交付金制度が創設されまして以来、政府が地方団体に事務をやらせるというような場合には、厳密にこれを査定いたしまして、そうして必ずその財政措置は講ずるということを忠実に実行いたしておるのでございます。併しこの点につきましても平衡交付金の算定と同じように、それが潤沢であるかと申しますと、国家財政の事情に制約せられまして潤沢とまでは行かない。そこで地方団体では政府の財政措置以上のことをやるというようなことになりますとそれだけ苦しくなる。御指摘のような事情になつて来るのでございます。こうした事情にありまして誠にこの地方財政制度の是正ということは抜本的に検討しなければならないと存じますけれども、如何にしてという結論にまだ到達いたしておらないのでございまして、今回の地方制度調査会におきましてそうしたこと、更に又遡れば府県等の性格というようなことまで検討して頂きまして、そうして政府の方針も決定してお諮りいたしたいと考えております。
○国務大臣(向井忠晴君) 地方制度の改善ということを考えなくちやなりませんと同時に、只今の制度調査会ができましたが、調査会の結果によつて制度が変りましたらばそれの運用方法について十分慎重なる注意及び取扱をして参つて、そして只今の困難な状況を打破するようにいたしたいと考えております。
○高橋進太郎君 この際本多国務大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、先ほど申上げました通り、地方財政の困窮について相当重荷になつておりますのは、最近の立法で地方負担が先ほど申上げましたように、地方団体の好むと好まざることにかかわらずどんどん規定されて、その結果要するに地方の何らの意思も入ることなくして負担だけをせざるを得ない、こういうことが相当大きく地方の負担になり、且つ又それらが何ら国において財政措置を講じてない、こういう実情でございますが、一体こういうような法令が出ます場合には、地方自治庁に十分会議されて、地方自治庁はその法令の内容とするところの負担について、一体十分国との間に話をつけてやつておられるのか。その辺の事情を伺いますと同時に、これちの立法についての自治庁としての今後の取扱い、言い換えれば政府部内での取扱について伺いたい。
○国務大臣(本多市郎君) 政府提案になります場合には、その立法のために地方負担がどうなるかということを検討いたしまして、その財政措置を講ずる建前で提案をするのでございます。ただ議員提出で立法化されるような場合になりますと、あとからその所要額を算定して財政措置を講ずる。今回の補正予算の算定の基準にもあります通りに、本年度の平衡交付金を決定いたしました後に一項ごとにその所要額を算定いたしまして、補正いたしておるのでございます。
○高橋進太郎君 只今の御答弁で了承いたしたのですが、例えば地域給のごときも相当の大幅の修正があり、殆んど国家公務員がおらずに地方公務員のみに適用される地域給の場所等の修正も行われましたので、これらの地方負担になる法律については十分御検討を頂いて、それらの負担が地方団体の負担に耐え得るものであるかどうか十分検討せられて、その財政措置について遺憾なきを期して頂きたいと存ずるのであります。 次に地方団体におきまして最も困難といたしますのは災害の場合であります。特に町村であるとか、府県であるとか、それらが連年に亘る災害であつて、而もその災害に対する国の補助金或いは補給金というものは三年乃至長くは六年、七年の長きに亘つて補給されるものでございまするが、一方その復旧につきましては、どうしても翌年からの田植とか、或いは翌年におけるところの作付とかいうような関係上、或る程度のこれは復旧を棒にいたしましても復旧をいたさなければなりませんし、或いは灌漑、排水の破損につきましても、それを手入れしなくてはならないことでありますが、そうして国のほうの予算措置を実際行わなければならん災害復旧との間にギヤツプがあるのであります。従つてそのギヤツプを埋めるために、どうしても災害についての一種の保険的な金庫制度というようなものでも設けて、そうしてそうした災害に対する国の補給と災害の復旧をやるべく自治体、特に寒冷地帯におきましては、その災害の復旧をなすべき期間が極めて短く制約されておるような状態でありますが、従つてその間公共団体はそれを復旧するために相当無理して、金も一時流用し、或いは又相当の地方民に対する負担をかけてこれが復旧を急いでおる状態でありますが、これらに対して何らかお考えであるかどうか、この際本多国務大臣にお伺いいたしたいと思うのであります。
○国務大臣(本多市郎君) 災害の復旧につきましては、御承知のように、初年度二、中年度に五、三年目に三というような割合で急速に復旧を図ろうという方針で努力されつつはあるのでございますけれども、この通りに予算等の関係、或いは又事業を、実際に遂行し得るかどうかというような関係から、その通りに進んでおらないようでございます。この災害の復旧につきまして、国が災害復旧事業をやる場合に、それぞれ地元負担ということも起きて来るのでありますが、それらについては国の事業の進捗状況に即応いたしまして地方の財政についてもそれぞれ措置を講じて参つておるのでございます。
○高橋進太郎君 もう一点本多国務大臣にお伺いいたしたいのでありますが、よく地方行政がいわゆる民主政治の基盤であるにかかわらず、或いは月給が安いとか高いとか、或いは待遇がどうであるとか、或いは事務取扱がどうであるとかいつて、国家公務員との比較において種々論議されておるのでございますが、これは一つには新らしい日本の基盤であるところの地方公務員に対しての研修の問題、特に町村の吏員に対する研修の問題が殆んど等閑に付されておるところに私は大きな問題が含まれておると思うが、従来国におきましては、この地方公務員の研修について殆んどお考えにならんようでございますが、これは中央において研修機関を設けると同時に、各地方の要衝なる所には、成いは委託の制度を設けたり、或いは講習会という制度を設けるというような工合に、地方公務員の研修によほど力を入れて頂かなければ、いわゆる日本の行政なり、或いはそれらの第一線行政というものは、すべて地方公務員が担当しておるものでございますが、これについての大臣の御見解を承わりたいと存じます。
○国務大臣(本多市郎君) 誠に御尤もな御質問でございまして、地方自治制の能率的な運営の面からも、この地方行政又地方制度全般についての研修ということは、誠に今日必要なことであると痛感する次第でございます。今日この研修の方法についてどういうふうに行われて諮るかということにつきましては、まだ詳しく私が調査いたしておりませんので政府委員から答えさせたいと思います。
○政府委員(鈴木俊一君) 地方公務員の研修の状況につきましては、各都道府県単位程度におきまして市町村吏員の研修の施設がおおむねできておるのでございます、更に府県の職員或いは町村の幹部職員につきましても、更にこれを徹底した新らしい時の動きに即応いたしまするような幹部補導をする必要があると思うのであります。そのためにはやはり相当地方自治体におきまして幹部として将来自治体の運営に当りますものの幹部職員の研修ということを、できれば自治大学といつたような一つの誇りを持たせつつ十分研修の機会を与えるというようなことが望ましいことだと思いますので、鋭意、自治庁といたしましてはその実現に努力しておるような次第であります。
○高橋進太郎君 大蔵大臣にお伺いしたいと思うのでありますが、今回いわゆる補正予算にベース・アツプ等によつて約二割程度公務員につきましては給与の引上げがあるのでございますが、いわゆる生活保護法によつて国により支給されておる人も同じようにこれは相当その生活において不十分であると思うのでありますが、公務員のベースのアツプと同じそこには事情があると思うのでございますが、この生活保護法に対する保護を受けておる人々に対するいわゆるベースの引上げということについてはどう保障なさるつもりでありますか、その点を承わつておきたいと思います。
○政府委員(河野一之君) 生活、米価の値上りに伴いまして、それに相当する分は明月の一月から生活保護法の単価を引上げたいと考えております。
○高橋進太郎君 最後に一点だけ法務大臣にお伺いしたいと思うのですが、おられませんので、実は最近の新聞に或る会社の女事務員が新宿でありましたかどこでありましたか、何かこう自動車の番号を、少し遅くなつたので、自分の会社の自動車かどうかというので、番号を点検しておつたところが、いわゆる夜の女と聞違われてトラツクに収容され、その晩とめられて、而もいわゆる相当の調べをせられた、いわゆる女としては耐えられない調べがせられたというようなことが新聞の記事にございました。それに対して東京都でありましたか、公衆衛生課長が公衆の公益のためにはそれくらいなことは止むを得ないのだというような新聞で回答をせられておるのでありますが、私は非常に由々しき大事ではないかと思うのであります。いわゆる公益のため、或いは一般社会のためという名の下に、そうしたいわゆる女にとつては基本的な人権とも称すべきものが、そう軽々しく一体公益という名の下において侵害されると、而もそれは公益のためだというようなことで何ら恬として恥なくやられるということになりまするならば、これは非常な問題であつて、一種の私はフアツシヨ政治であると思うのであります。この問題につきまして私は人権擁護局長から若しその間の事情がわかりましたならば承わり、又こうしたことに対する基本的な考え方を一つこの際承わつておきたいと思います。
○政府委員(戸田正直君) お答えいたします。只今の御指摘の事件は多分世界人権擁護週間中の多分日本経済新聞に出た事件だと存じます。そこで東京法務局におきまして只今調査中でございますので、その事件がどうかという結論にはまだ達しておりません。ただこの種の事件が、特に婦人であるということによつて、婦人の人権擁護上相当考えなければならん場合が多々多いと思います。すでに前にあつた事件でございますが、普通のまじめな善良な婦人が間違われたために闇の女に転落して行つたという事実もございました。かようなわけで、私の就任前のことでございましたが、当局に対しまして、人権擁護局からこうしたものに対しては人権擁護上慎重に一つやつてもらいたいという意見を発表したことがございます。とかく婦人でありますので、こうした聞違いが、ともすると婦人の人権を非常に侵害する場合がございますことは只今御指摘の通りでございます。この売春取締条例の違反を検挙するにつきましては、客観的に十分なる疑いがなければ軽々に検挙すべきものではございませんし、又検黴等につきましては、任意でなく、強制的にはこれはできません。特に婦人の人権については十分慎重な取扱をしなければならんと、かように考えております。本件につきましては、まだ調査が済みませんので結論を得ておりませんが、こうした事件が起きないように十分なる処置をいたしたいと、かように考えております。
○左藤義詮君 最後になりましたが、国運の将来が貿易の振興にあることは、大蔵大臣も、通産大臣も繰返されました特需とか、駐留軍の消費とかいうような竹馬の上に乗つておつてはならない。どうしても正しい平和的な貿易の振興に主力を注がなければならん。ところが貿易の所管官庁であります通産省の発言力がどうも今まで必ずしも強くなかつた。これは中小企業は勿論、一般業界人の非常に遺憾としているところでございます。今度久振りに党出身の有力、有能な小笠原大臣を迎えましたので、今日お疲れのところわざわざ出て頂きましたのはそのためでありますが、今後大蔵、通産両省が緊密に連絡をいたしまして、この喫緊の問題に取組まれますように、両大臣をここへ並べておいて質問申上げたいと存じます。 先ず第一に金利の問題でございますが、英、米、スイスなどに比べましても、或いは比較的日本と経済状態の近い西ドイツなどに比べましても、非常に我が国の金利が高い。海運業のごときは、貿易に非常に大きな期待をかけております海運業のごときは二十六年下期の配当金と社内留保金の合計額の三・五倍の利子を銀行に払つておる。昨年来非常に政府も御心配になりましたが、貿易商社にいろいろ融資等はいたしましたが、その金利負担のためにたださえ貿易のマージンが少い。人件貿その他の経費と殆んど同額のものを金利に払つておる。こういうようなことでは到底国際競争に打勝つて貿易が伸びて行くことはできないのでございます。露骨に申しますれば、どうも今まで銀行のほうが強くて、金融資本が強くて、産業のほうが圧迫されておる。やつとこの十月から市中銀行を中心として貸出金利が僅か一厘だけ下げられたのでありますが、こういうことでは甚だ不十分だと思うのでありまして、この際徹底的に、而も一方では銀行はどんどん儲かつておる。一厘下げましたけれども、全国銀行の償却前の利益を見ますると、前期よりも二割も殖えているのであります。街を歩いて見ましても、立派な建物は銀行がどんどん建築を完成しておるのであります。もう少し、産業貿易をかわいがられるはずの通産大臣として、この金利の引下げに対してどういうようにお考えになつておるか。又これを大蔵大臣としてはどういうふうに……、即刻に一つ御処置を願いたいと思うのですが、どういうふうのお考えをお持ちになつているかです。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 左藤さんの仰せの点は誠に御尤もであります。但し、今仰せのうちの船会社の資金のごときは、御承知のように比較的長期でもありますので、又この資金の出るコストが相当高くなつておりまするので割高になつておると存ずるのでありまするが、輸出に関しまする事柄等については金利の低下について大蔵大臣もお話を申上げており、又大蔵大臣も過日来金利の低下を図る旨お話がありました。又、丁度この席へ出る二時間ほど前に私は一万田日銀総裁ともお話をしたのでありますが、この輸出のことについての金利の低下は日銀も極力努力をするというお話でありましたので、漸次期待に副い得るかと思つております。
○国務大臣(向井忠晴君) 金利はやはり私は高過ぎるように思いますので、銀行の人にはしばしばそのことを申しまして、銀行もいわゆる金利を構成します経費とかいろいろの費用から言つてそうひどく下げるわけには行かない事情はありましたのでございますが、併し先ずいわゆる両建ということがあるようであります、借りた金の一部を預けなけりやいけない、預けたほうの金利は安くて借りたほうは高いというふうなことは不思議な現象と存じますが、そういうことについてはなくなすようにとそれぞれ適当な筋へ慫慂をしてありますはずで、それも実現するだろうと思つております。そういう点でだんだんと銀行から金を借りている人がその苦しみを軽減して行くと思います。
○左藤義詮君 さすがに苦労人で、貿易で特に努力して来られました向井蔵相から金利はだんだんという私はまどろい話じや困りますので、即刻に御努力願いたいと思います。先ず一つ下げて行くことに努力する。殊に苦労人で両建の問題を私のお尋ねしようと思つておることを十分に御承知でおつしやつたのでありますが、先日銀行局長は表向きは歩積とか両建とかはないのだと……官僚の人からはそういうふうにきれいに見えておるかも知れませんが、貿易の面からは、これは非常に大きな中小業者にとつては苦痛になつておる。金利が二倍にも三倍にもなつている。銀行局長はそんなことはないと言つておられましたが、昨日非常な輿論に押されたのか銀行業界で自粛をしようという申合せをされたそうでありますが、そういう申合せをしなければならないことは、銀行局長がおつしやつておるように実際にあつたということを裏付けるものと思いますが、なかなか自粛云々では、何といつても金を借りるほうが弱いのでありまして、それを表に用立てませんので、どうしても裏面でこういうことが行われる。ただ単に今後だんだんに努力しようということでなしに、歩積、両建を慫慂したような事実があつたら、相当制裁を加え、場合によつては立法の措置するというくらいの私は強い腰を据えなければこういう悪習はやまないと思いますが、これに対して通産、大蔵の両大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 両建の問題は仰せの通りでありまして、普通一割、二割、甚だしきはもう少し三、四割に達する分もあるように私は承知いたしております。このことが公定金利以上に金利を高めておることは左藤さんの御指摘の通りであります。従いまして只今大蔵大臣からお話がありましたように、これをそういうことをなくするようにお骨折を願つておるのでありますが、但し現在の法律では、これは差止めるという、禁止するという法律はございません。それではそれに対する適当な立法をするか、こういうことになりますと、只今のところは、まだ大蔵省でどうお考えになつておるか、通産省の立場から申しますると、さような立法措置については、何ら御相談を受けておりません。併し又こういう立法措置をすべきかどうか、これは相当私はなお検討すべき点が多々あると存じます。併し金融業者が、半ば公の性質を持つておるという、自分の使命に鑑みて、自粛的にそれをやるべきであるということを痛感いたしております。
○国務大臣(向井忠晴君) 立法につきましては、只今通産大臣のおつしやつた通りで、そう軽々しくやることはできまいと存じます。併し業者の自粛に待ちますほかに、又それぞれ急所があるものであろうと存じまして、そこを押せば或いは銀行が取引をして行くかと考えております。
○左藤義詮君 監督の立場に、大蔵省が急所をお持ちになつておることは、私も想像するのでありますが、その急所をちやんと一つ示されまして、自粛などという決議だけで、又依然として巷には、産業経営者、特に中企業者が非常な金利の、而も非合法な金利の苛斂誅求に泣いておる、こういうことがなくなりますように、喫緊に一つ御処置を願いたいと思います。 その次に外国為替売買の手数料でございますが、時間がございませんので、もうよく御承知と思いますから、その額とか、どういう理由とか申しませんが、第一には政府の集中手数料を一つ大幅に引下げせられたい。 それから第二には、為替銀行の徴収します金利、これは非常に変つておりますから、一つ再検討願いたい。それから又為替銀行に、非常に権限をお与えになつたのですが、為替銀行の手数料というものも大幅に引下げられたい、いろいろ申上げたい理由はございますが、これはよく御承知と思いますが、これを一つ速急に御実現になる御準備があるかどうか。通産省としては非常に研究しておられるものでございますが、これは大蔵大臣と両方から、一つこれに対する御説明ができますれば、その時期、或いは引下げの内容等につきまして、お示しを願いたいと思います。
○国務大臣(向井忠晴君) この外貨の運用につきましての手数料、そういうものは御承知と存じますが、三週間ばかり前に、相当引下げたつもりでございますが…。
○左藤義詮君 いや、甚だ僅かですが……。
○国務大臣(向井忠晴君) それでは足りませんか。それじやそれも安くなりますように、できますれば安くなりますように努めますし、それから前の融通日数の、これは金利の勘定から出るのですが、それはやはり日銀の総裁は安くするようなことを言つておりましたが、まだやつておりませんでしたか。
○左藤義詮君 やつておりません。
○国務大臣(向井忠晴君) それもそれでは、安くなりますように尽力いたします。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 実は私どもの取調べでは、銀行間の売買については、まあ左藤さん御承知のように、一米ドルについて三円十銭、それから英ポンドについて十三円九十四銭、銀行が政府に支払つていた手数料は、一米ドルの売買について各三十五銭、一英ポンドについて見ますと、これは九十八銭と五円九十五銭となつておつて、相当まだ高いのであります。従いまして、これは全体半額くらいには、少くとも減じてもらいたいということで、話を進めております。まあ向井大蔵大臣は、さつきおつしやつたように、相当苦労人ですから、相当解決するものと見ております。
○左藤義詮君 年四十億以上に上ります、この為替手数料の問題が、非常に御親密で、御理解のある大臣の御努力によりまして近く実現いたしますと、いろいろ具体的な内容についてお伺いしたいのですが、時間が遅いようですからこれは通産委員会にでも両大臣においで頂きまして詳細に一つお示し願いたいと思いますが、先を急ぎましてもう少し貿易振興の問題といたしましてはこれはいろいろ御議論もございましようが、西欧、特に西ドイツなどの例に倣いまして輸出に大いに力を入れなけれだならない。輸出、或いは出血輸出もしなければならんような、将来のあるもので現在苦しいものについては若干の補給金を物によつては、一つお出しになるような親心はないかどうか。或いは輸出品に対してもう少し税制の点について御研究になつて免税、或いは減税等によつて輸出のできるようにおやりになる通産省としては非常に親心をお持ちだと思いますが、これに対して大蔵省とどういうように御連繋をおとりになつておりますか、両大臣から承わりたい。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 只今西ドイツの事情等も調べております。特に最近私ども硫安などを見ますると、イタリーの硫安その他が東洋に来て日本の硫安と競走し得るような立場におるので、左藤さん御承知のようにイタリーは原料或いは石炭を皆入れる国で、そういう輸入しておる国の硫安がなお東洋に来て競争できるというのは、少くとも向うが何か施策をやつておるからそういうことになるのかということで、実は研究をいたしております。いずれにいたしましても通産省の立場といたしましては、貿易振興という見地からそういつたよその保護政策に基いて向うが安くなつておるのでありますから、これに対する相当の施策が必要であろうと、かように考えておる次第でありまして、まだ実は原因はよくわかりません、又どういうようなことでそうなつておるかはつきりいたしませんが、先般来その調査方を私のほうで進めております。外務省等にも依頼をしておるのでありまして、その結果がわかりましたら、それに基きまして、よく大蔵省のほうとも御相談いたしたいと実はかように考えております。
○国務大臣(向井忠晴君) 只今の通商産業大臣が十分に御研究になつて責任を持つて御相談をかけて下さいましたら私も責任を持つてそれの実現を図りたいというふうに考えております。
○左藤義詮君 イタリー等のことを非常に御研究のようですが、病気の研究をしておるうちに死んでしまわないように御施策を願いたい。 もう一つ先に進みまして落ちぶれましたけれどもやはり我が国の輸出の大宗を占めております綿糸布の問題について操短その他非常に御苦心になつておることは諒といたしますが、現在業者の間で綿糸布輸出の調整組合、又紡績のほうでは商社関係が商品担保の金融会社という構想を以ていろいろ計画しておるようでございます。こういうことが出ましたのは日銀総裁が先月関西へ行かれまして何らかの発言をせられた、それであのときは非常な暴落を食止めたのございますが、これを実現いたしますにはまあ両者の間にいろいろな食い違いもあるようですが、これを早急に一つ操短等をして生産を制限して、ただこの間問題になりました労働者を失業さしたり、或いは内需のもを折角安くして生活を切下げようというのと矛盾しちやいけませんから、それで私はこの輸出に関しまして調整をする、或いはダンピング等ニユーヨークでもそんな問題が出ておるようでございますが、そんなことになりませんよう、これを調整いたしますために早急に私は業者の盛り上る力を十分お受けになり、或いはこれを一つ推進なさつて通産省も御斡旋になり、大蔵省としても一つ御尽力願いたい。大体調整に百億程度の資金が必要なのでありますから、いよいよこれが通産省で案をお作りになりました場合にはこれは日銀総裁とも御連絡あろうと思いまするが、大蔵省として十分のこれに対して御援助をなさる御意思がおありでありますかどうか、その点も両大臣の御所見を伺つておきます。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 只今仰せの点は私のほうでも実は研究いたしておりまして、まあよく考えますると、利と弊と二つあるようでありまして、何か弊害のほうを取除くためにはどう持つて行つたらいいかというようなことで少し研究を進めておる。お話の通り余り研究ばかりしておつては困りますので、速急に結論を得たい、かように考えております。ただ少しこれは一般的に申しますと、左藤さんもよく御承知のように日本の綿紡績等は、今日まですべて自力で以て自主的に解決して来たのであります。ところが今日若干政府の力を頼らなけれだいけなくなつたのは、日本に例の独占禁止法その他のものがありまして、いわばこれらの人々が自主的にものがやり得ないような法制がある、現存しているということから多く来ていると思うのであります。従いまして私どもとしては先般来横田公取委員長からも話もあり、私どもかねて考えておつたことでございますので、少くとも来春早々にはこの独占禁止法の一部改正案等を出して、業者のかたがたが必要な場合に自主的にやつて行くようなことに取計らいたいと考えておりますが、それまで金融問題につきましては、これは大蔵省ともよく御相談申上げまして、まあやはり苦労人の向井蔵相によく援助方を頼もうと実は考えておるところでございます。
○国務大臣(向井忠晴君) 通産大臣にまでおだてられましては困りますが、(笑声)只今の二つの調整法とか、或いは滞貨金融とかいうふうなことは、その業界でもいろいろ議論があるようでございます。それがまとまりました暁には、通産省がそれを取上げて、大蔵省にも骨を折れということがございましたならば、直接、間接に御援助申上げることはやぶさかでございません。
○左藤義詮君 おだてるわけじやございませんので、両大臣が非常に一体になつてこの貿易の問題に取組まれる御決意を伺つて非常に欣快に存ずるのでございますが、併しともしますと、下のほうの役所へ参りますると、非常なセクシヨナリズムがあつて、経済審議庁が立てておる貿易の見通し等が崩れて行つても、通産省は手が出せない、或いは手を出そうとすると、大蔵省のほうでいろいろな問題にぶつつかつてしまうというようなことがございます。私はこれを何とかして総合的に一体としてこの大事な問題に取組みますように、それにはもう少し民間の…、実際大蔵大臣はその経験者でありますが、民間の現実に貿易で悪戦苦闘しております或いは一般の産業のそういう方面の総意を以て一つ総合的に而も迅速な施策をいたしますように……、経済閣僚懇談会等がございまするが、もう少ししつかりしたと言いますか、規模の大きい貿易審議会と申しますか、貿易振興のための一つそういう強力な機関をお持ちになるような構想はないかどうか、若し御構想があればその内容、これに対して大蔵大臣としても協力なさる御意思があるかどうか、若しできますならば、それをいつ頃から発足できるのですか、お見通し等につきまして承わりたいと思います。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 通商審議会とても言うべきものを早急に作つてもらいたいという民間の強い要望もよく承知しております。又今日のような貿易状況の下においては各方面の権威あるかたがたの意向を強く反映されて、立派な貿易政策を立てて行くということは、極めて肝要だと考えておる次第であります。ただこれは左藤さんも御承知のようにこの審議会というものは、とかく余り能率的でない審議会が従来多いので、従いまして例えば内閣総理大臣の下にそういう官民いろいろな人を網羅した審議会を作り、それがどうかすると、余り効果を挙げないような場合もある。存外、小さくと申しますか、通産省の中にそういつたかたがたを網羅した審議会を作ることが存外効果がある場合等もありますので、こういつた点について私どもがどういうのが一番効果があるかどうかということについて、実は今少し議論をいたしておる次第でございます。ややもするとこの審議会というものがまあ責め防ぎといいますか、責め逃れというような機関になりがちなので、この点は私どももそうならんように、今度の審議会は実際国民の貿易を振興さすための審議会でありますので、今そういつたことについてお互いに忌憚なく意見を交換いたしておりますが、併しそういうことのために遅れていかんことは、又左藤さんからお叱りを受けては相成りませんのでこれも先ず少くとも来春には、一月の末までにならんうちに是非スタートしたい、かように考えております。
○国務大臣(向井忠晴君) 通産省でそういうものをおこしらえになつたらば一番適当だろうと思います。
○左藤義詮君 両大臣で符節を合するようなお話がありましたので、私は今まで申上げたことの早急な実現を期待いたしました、最後に一つ時間がございませんから大蔵大臣だけ……。吉田総理が十九日のこの委員会で堀木委員に対して、今まで非常に弊害のありました予算の分捕りを防ぐために権威者を集めて一つの最高機関を設ける、そして重点政策をきめる、こういうことでございましたが、これは予算の所管でございまする大蔵省としても御同意であり、そういう計画をお持ちになつておるかどうか伺つておきます。
○国務大臣(向井忠晴君) 総理は私どもに御相談もなしにああいうことをおつしやつたのでありますが、併し私としては非常に有難い思い付きであられると考えまして、それによつて私の労力が或いは省かれるかも知れないと考えております。
○委員長(岩沢忠恭君) 本日はこれを以て散会たいします。 午後九時十八分散会