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15回国会参議院1952/12/15

予算委員会 第11号

発言数
16
登壇者
8
会派数
6
開催日
1952/12/15

会議録

岩沢忠恭自由党

○委員長(岩沢忠恭君) 只今より予算委員会を開会いたします。  本日はこれから第一、第二、第三及び第四小委員会における審査の経過報告をお願いいたしたいと思います。  先ず第一小委員長堀木鎌三君。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 それでは私から第一小委員会におきます審議の御報告をいたします。  第一小委員会は自治庁を除きます総理府の予算補正について審議いたしましたのでありますが、当委員会におきましては保安庁の二十七年度予算の使用状況、それから給与改訂中、特に地域給の問題に関しまして、更に情報機関の設置について政府が如何なる構想を持つておるかというふうな点、第四に二十七年度の経済総合の見通し、特に東南アジアとの経済提携等につきましていろいろ審議を重ねましたが、最後に自治体警察を国家地方警察に編成替えいたしました経過等について、審議の論点が集中されたのであります。で、以下簡単に要点を御報告申上げるわけでありますが、第一の保安庁の二十七年度予算の使用状況につきましては、年度当初予算が五百七十七億円であります。で、繰越予算額が百五十二億円であります。本年度の予算現在額といたしましては七百二十九億円でございます。ところが本年十一月三十日現在まででは、支出負担行為済の額が二百八十億円であります。それから支出済額が二百三十億円でありまして、予算残額は、支出負担行為未済額が四百五十億円に上つておりますし、支出未済額が五百億円の巨額に上つております。そして現在の予算残額中、年度内に支出される見込みにつきましては、発注だけは大部分済む模様との話があつたわけであります。で、提出いたされました資料につきましても、予算残額は二十七年度末においてはおおむね支出負担行為を完了する見込みであるというふうに、政府としては答弁してあるのであります。併しながら、かかる多額のものが次年度に繰越されるに至りました主な理由を検討いたしますと、一つは定員の充足が予定通り進捗いたしませんでしたこと。それから装備につきまして、規格その他特別のものが非常に多くて、国内におきましては試作品から始めなければならないというふうな状況で、それに日にちを費したこと。及び施設費におきまして、土地の決定が遅れましたのと、その土地に合せまして現場の設計等をいたしますわけでありますが、これらが進捗いたさなかつたという事情に基くもののようであります。この点に関しまして、左藤委員、羽生委員から、一体明年度にはどれくらい実際に繰越されるのだろう、決算見込みがどうであろうというふうな点につきまして、相当突込んだ質問が行われました。案は一番大きな原因としましては、保安庁の経理能力、新しい人間を整備いたしました関係上、経理能力が十分整つていないので、実は決算見込みがどれだけになつて、そうしてどれくらい明年度に繰越されるだろうというふうな点につきましては、実は明確な答弁を得られなかつたのであります。ただ過去の予算使用状況から見ますと、二十六年度の補正予算で百五十億の追加計上がされましたわけでありますが、現在、本年度において、どういう状況かと申しますと、二十六年度の補正予算で追加された百五十億にほぼ相当するものは、実は前年度から繰越されておるというふうな現状であります。で、現在の状況から見て、正確に幾ら繰越されるだろうということは予想が困難でありましたが、ともかくも相当多額の経費、約五百億近いものが明年度に繰越されるのでなかろうかというふうな点が明らかになつて参りました。これらの点につきましては、予算の使用状況は、審議の過程から見ますると、なお究むべきものが多く残つておるように思われるのであります。  次に国家公務員の給与問題でありますが、今申上げましたように、給与に関しましては政府の意図しておりまするところと、人事院の勧告とにつきまして報告を受け、そして審議したわけでありますが、そのうちで特に御報告申上げるべきだと考えますことは、給与の改訂中の地域給におきましては、現在すでに地域給が付いております所が、全体の中で九一%まで地域給をもらう状況になつておる。で、この地域給の問題を今後どうして行くかという問題が相当論議されたのであります。この制度は御承知の通りに、終戦後経済事情の激変に伴いまして生じた特殊のものでありますが、最近の経済状況は当時と大分異なつて参りました。これらについて直ちにこれを、地域給の問題を廃止するというふうな点は、いろいろな事情を勘案しなければならない問題でありますが、方針としては廃止するを可として、目下具体的処置について検討を加えておるという政府の話でありましたが、実際におきましては、まだそんなに具体的な調査研究が十分行われておることは考えられませんでした。  第三の情報機関の設置の構想につきましては、緒方国務大臣から次のような言明があつたのであります。即ち本件はまだ閣議決定を見たわけでもなく、全く自分の、一個人の緒方構想に過ぎないのだ、併しその趣旨といたしまするところは、政府の施策の参考に供するためにあらゆる諜報、出版物、ラジオ、ニユース等を収集、整理、分折して、世界の動向等について的確なる情勢判断をしようとするものであつて、こういう問題が今まで取上げられなかつたこと自体がおかしいのだ、こういうものがなくては羅針盤のない国家の施策、方針になると思うのである、衆議院等におきまして問題になりましたのは、曾つての情報局の再現にならないだろうかという点で、いろいろこの問題が取上げられておるが、自分としては新聞等の報道関係の取締規定がすべて廃止されておるし、又往年のごとく権力的に思想なり出版の自由を制限するような、そういう何らの法規的に取締規定もない現在、どういうふうな情報であろうとも、これはむしろ新聞その他の編集局の権威から見て、これによつて左右されることはないであろうと考える、又自分の考えとしては、政府にこうした機関は成るべく統一をしたい、そこで以てまとめて参りたいと思う、それに関連いたしまして、外務省の情報文化局のようなものでやらせるかどうかという論議が行われましたが、緒方式の構想としては、外務省の情報文化局のごときも幾分の縮少は免かれないだろうと考える、成るべく統一したい、こういうふうな考え方を述べておるのであります。なお予算関係におきましては、今度の補正で、内閣官房調査室費として六百五十万円組んでありますが、これはこの緒方構想とは全然関係がないのであつて、現在は予算には一文も計上いたしてない。では一体どれくらいの額が必要であろうという質問に対しましては、まだ構想がしつかりきまつていないことであるから、全然その点についてはわからないが、強いて言えば三、四億のものは計上しなければなるまいと思う。来年度所要額として要求したいつもりでおるのだ、こういうふうな答弁でございました。  第四に、経済審議庁の関係につきまして、本年度の経済の状況、及び来年度の見通し等についての一応の説明を受けましたのでありますが、これらにつきましては、大体皆様の御承知の通りであります。特に申上げる新らしいものはございませんでしたが、特に東南アジア経済提携につきまして、主として実績はどうなつておるのだということが質疑応答されたのであります。これについて政府委員からこの問題は物の面と人の面とにわけて考えられるのであつて、物の面については、日本側が考えておるような、日本側の所要原材料を獲得するという事柄に重点を置いたことに捉われないで、むしろ今後は先方本位に開発提携する方針である。現在までのところ、印度に対しましては電気メーター製造工場、東芝系でありますが、工場が約二カ所、それからゴアの鉄鉱石開発、印度及び香港方面の漁場の提携、フイリツピンに対しましては、鉄鉱石開発のため資金を貸付ける。併しこの設備はアメリカからやつて来たような次第である。タイには塩田開発、インドネシア、印度洋岸の中部に石油開発計画が進行しておるという説明でありました。ただマレー、ジヤワ等では入国制限がありまして、提携の具体化に相当困難を来たすという説明がございました。又人の面から申しますと、技術者、中小工業等の指導、農業適格者等が中心でありまするが、技術者が今までに約百二名、六家族が先方に渡つておるようであります。無論このほかに、一時的な滞留者として、機械運転、道路工事、クレオソート注入の指導等には約三百五十一名が参つたというのが現状のようであります。  最後の国家地方警察に地方自治警察が移管されました模様につきましては、自治体警察が千三百十四あつたもののうち、只今までに廃止の決定から国家地方警察に編入を終つたのが千九十七、更に明年四月から編入される予定のものが五十七ありまして、これらを全部総計いたしますと、大体廃止率は八五%であります。人員の振り替りましたものが一万八千六百五十三名であります。編入後の処置につきましては、千九十七町村の区域を国警機構に再編成をいたしまして、地区警察署二百五十二、その他は警部派出所二百六十九、警察部補派出所百七十二、その他巡査部長派出というような情勢で、治安の維持を期しておる次第であります。編入後の実績を見ますと、二百五十二地区署に圧縮の結果、機動力が増加いたしまして、犯罪の検挙件数の上昇が現われて参つておる。それ以前には約七二・三%であつたものが、最近においては七七・九%、約五・六%の上昇率を示しておるというふうな状況であります。編入に当つて困難を感じておるのは、給与の点であつて、国警の警察官は国家公務員として一般職の給与を受けておりますが、地方公務員たる自治体警察官は地方公務員の給与を受けておつて、その標準に差がある。そうして一般についても言われるように、地方公務員のほうが給与額が高い、無論六大都市を除きましても、町村におきましても、やや平均して二割程度高いと認められ、この調整に困るという話があつたのであります。この点につきまして、今地方財政平衡交付金と関連いたしまして、国家公務員の給与及び地方公務員の給与について問題がありますので、左藤委員から、実例として警察官だけについても調査研究をしたものがないかという質問があつたのでありますが、全国的にはないが、地域的にはある面もあるから報告するというような情勢であります。  以上簡単でございますが、審議いたしました主なる点についてのみ御報告をいたします。

岩沢忠恭自由党

○委員長(岩沢忠恭君) 次に第二小委員会につきまして内村小委員長。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○内村清次君 第二小委員会における審査の経過を御報告いたします。  第二小委員会は、昭和二十七年度一般会計予算補正、同特別会計予算補正、並に同政府関係機関予算補正のうち厚生省、運輸省、郵政省並びに労働省所管予算の審議を担当いたしたのであります。去る九日、十日及び十二日の三日間に亘り関係各省の政府委員の出席を求めて、慎重なる審査を行なつたのであります。関係各省の予算についての政府委員の説明及び質疑応答の細部につきましての報告は省略いたしまして、ここには所管各省ごとに問題となりました主な点のみを報告するにとどめたいと存じます。  先ず郵政省関係について申上げます。郵政省関係におきましては、簡易生命保険及び郵便年金の積立金管理運用権移管に関連する問題、電信電話公社職員の給与に関する調停案に対する郵政省の態度、電信電話債券二十億円の予算計上額に関連する電話架設費の負担の方法、それから料金値上げ等につきまして、主に質疑応答が行われたのでありまして、特に給与改訂に関する問題につきましては、各小委員より政府当局の態度は公社にした趣旨に逆行するものがあるから、何とかして調停案に近ずけるような措置を講じ、能率を上げて公社の収入を増加するよう努力すべきである旨の強い要望がなされました。  次に労働省関係について申上げます。労働省関係におきましては、失業対策事業の実施方法の転換、職業安定所現場職員の待遇及び事故の際の補償方法、身体傷害者雇用促進に関する問題、労災病院の建築計画等について主に質疑応答が行われたのでありますが、特に失業対策事業の実施方法の転換につきましては、各小委員より何とかして有効なやり方に改めることが必要であるから、緊急失業対策法のみに執着することなく、法律改正を行なつて、実施方法を変えることが必要である旨の強い要望がなされました。  次に運輸省関係について申上げます。運輸省関係におきましては、国鉄の損益勘定と炭労スト及び今回の列車削減による影響、国鉄の給与に関する裁定、国鉄の自動車路線に対する対策、航空機の乗員養成並びに民間航空に対する助成策、内航船の窮状に対する緊急対策等について、主に質疑応答が行われたのでありまするが、特に国鉄の損益勘定と炭労スト及び今回の列車削減による影響と、国鉄の給与に関する裁定と、内航路の窮状に対する緊急対策問題につきましては、各小委員より、現状において予想せられる損益勘定の赤字十八億円については、集炭に対する対策を講ずるなり、補正の補正を行うなり、万全の措置を講ずるよう。又裁定につきましては、これを実現しなければ、公社にした意味がないので、何とかして実現に努力すべきである。それから内航船につきましては、中小企業に対する措置が今回行われたにもかかわらず、これと殆んど変らない、而も石炭や木材の輸送になくてはならない内航船だけを破産の一歩手前の状態にあるのに、取残すということはよくないので、何とか緊急対策を講ずべきである等の強い要望がありました。  最後に厚生省関係について申上げます。厚生省関係におきましては、社会保険の医療給付費の現状並びに来年度の要求予算額、老齢元軍人に対する特別給与というものの性格、遺族年金、寡婦年金並びに遺児年金の受給者数、及び一件当りの支給金額、生活保護と結核予防の実情等について、主に質疑応答が行われたのでありまするが、総じて社会保険費の強化拡充については、各小委員の強い要望がありました。  以上を以て簡単ではありまするが、御報告を終ります。

岩沢忠恭自由党

○委員長(岩沢忠恭君) 次に第三小委員会につきまして、松永君。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 第三小委員会の審議の経過を御報告申上げます。  本小委員会は初め波多野委員が委員長に指名せられたのでありまするが、波多野委員長事故のため、本員が代りまして小委員長として審議を進めました。  十二月九日は文部政務次官より、文部省関係予算補正につき概略説明がありました後、各委員より老朽校舎改築計画、屋内体操場整備計画、六・三制施行に伴う校舎整備計画、学校給食問題、文部省関係予算の大蔵省査定の際における基準単価数量の問題等につき質疑がなされ、事務当局より答弁がありました。  十二月十日は農林事務当局より、農林省関係予算補正につき概略説明のあつたのちに、各委員より繭糸価安定法関係予算の現状、食管赤字補填と運賃引上げの関係、学校給食費を食管負担とすることの可否、農林中央金庫より南氷洋捕鯨の鯨油融資の事情、澱粉買上げといも価格安定の関係、駐留軍の演習その他による漁民の補償の進行状況などにつき質疑があり、政府側より答弁がありました。  十二月十一日は、通産事務当局より通産省関係予算補正の概略説明ののち、各委員より硫安の生産費、石炭の輸入計画、本年度貿易の見通し、緊急物資特別会計の現状、年末金融対策と商工中金の資金状況、中小企業融資促進化の問題、闇金融に対する政府の措置等の諸問題につき質疑が行われ、政府側より答弁がありました。  十二月十二日には、大蔵省事務当局より大蔵省関係予算補正につき概略説明があつたのち、日本開発銀行の炭住利子引下げによる減収事情、政府特別会計政府関係機関における給与改訂における影響、資金運用部見返資金特別会計の余裕金の現状、今回の予算補正実施に伴う国庫対民間収支の見通し、終戦時の在外公館の借入金の措置等の諸問題に関して質疑が行われ、事務当局よりそれぞれ答弁がなされました。  以上を以つて本小委員会の予定した日程を完了いたしました。多少政府側責任者の出席が悪かつたり、当局側の見解が聞き得なかつたりして、万全とは言いかねますが、四日間の審議により疑点を質し資料を提出せしめ、各委員は相当の収獲を得られたことと存じます。以上。

岩沢忠恭自由党

○委員長(岩沢忠恭君) 次に第四小委員会につきまして、森君お願いします。

森八三一緑風会

○森八三一君 第四小委員会の審議の経過につきまして、簡単に御報告申上げます。  第四小委員会に付託せられました案件は、昭和二十七年度予算補正中、法務省、外務省、建設省及び自治庁の各関係予算に関するものでありました。  本委員会は、これら各省庁の関係予算につきまして、十二月九日から十二日まで四日間に亘り政府当局から説明を聞き、質疑を行なつたのでありますが、なおその間特に地方財政の重要性に鑑みまして、参考人として全国市長会代表宇都宮市長佐藤和三郎君並びに全国町村会代表の津田沼町長白鳥義三郎君の出席を求めまして、意見を聴取いたした次第であります。  以下簡単に本小委員会で問題になりました主なる点につきまして経過を申上げますれば、先ず法務省所管につきましては、政府委員から説明を聞きました後、地方検察官署において公安検察の強化等に必要な経費並びに検察事務に必要な経費の増加として、合計七千三百万円を計上しておる理由とその根拠、公安調査庁の調査活動の現況と二十八年度における拡充方針、立太子礼恩赦と憲法との関係等について、小委員から政府当局に対して質疑が行われました。  次に外務省所管につきましては、中村政務次官から説明を聞いた後、情報文化局の事務、事業の内容と、新たに設置されようといたしておりまする情報機関との関係、外務省とラジオプレス社、日本国際連合協会、欧亜協会、国際学友会等との関係、アマゾン流域移民に対する渡航費貸付に関する予算、中華民国及びスペイン国の被殺害外交官の遺族に対する見舞金支出に関する予算等について、小委員から政府当局に対し質疑がございました。  次に建設省所管につきましては、政府委員から説明を聞きました後、災害復旧事業を原則として原形復旧にとどめているために経費を浪費し、災害を一層増大する不合理性を是正する方策に関する問題、並びに災害防除の根本対策、即ち治山、治水の永年計画並びに年次計画に関する問題、いわゆる弾丸道路、即ち東京、神戸間の高速自動車道路の建設計画並びにそれに伴つて起ることが予想されます、又現に起りつつある重大な経済的、社会的影響の問題、特定地域及び調査地域に必要な経費予算等について小委員から政府当局に対し質疑が行われました。  最後に、自治庁所管につきましては、十二月十一日先ほど申述べましたように、参考人から意見を聞いたのでありますが、翌十二日本多国務大臣の出席を求め、慎重に審議を重ね、政府側の地方税補正収入見込額は、地方公共団体側の見込額に比し著しく過大であるという問題、企業収益率の低下が地方税収に及ぼす影響、電産並びに炭労ストの地方税収に及ぼす影響、地方公務員の給与が国家公務員のそれよりも高いとする政府の給与調査方法の妥当性の問題、学歴、勤続年数等を基礎として、あるべき給与として算定された理論給与額と実際給与額とのズレの有無の問題、その他基準財政需要額の過小見積りと、基準財政収入額の過大見積り、地方財政の状況が逐年悪化しつつあるとの根本的な原因、本年度公募公債の額の見通し等の諸問題について、小委員と本多国務大臣及び政府委員との間に極めて熱心な質疑応答が行われました。これら質疑応答の詳細につきましては、前日の参考人の意見と共に速記録によつて御承知を願いたいと存じます。  大体右のような経過を以ちまして本小委員会に付託らせれました案件は、十二日を以ちまして一応の審査を終了いたした次第であります。  以上簡単でありまするが、問題点を御報告申上げます。

岩沢忠恭自由党

○委員長(岩沢忠恭君) 以上第一乃至第四小委員長の報告につきまし御質疑がありますか……。

岩沢忠恭自由党

○委員長(岩沢忠恭君) なければ、過日派遣いたしました派遣議員の御報告を願いたいと思います。第一班千田君お願いいたします。

千田正第一クラブ

○千田正君 昭和二十七年予算施行に関連して地方財政並びに国民経済の動向を実地に調査するため、関東地区に派遣されました現地第一班の御報告をいたします。  本調査班は池田宇右衞門、松永義雄、千田正の三人及び専門員野津高次郎の一行でありまして、十一月十九日東京を出発し、茨城、栃木、群馬の三県を視察調査し、同月二十一日東京に帰着いたしました。  先ず、三県の二十七年度財政について見ますと、本年度においては給与べースの改訂、年末手当の増額と行政の実情に副わない国庫支出金の補足、起債割当額の過小等の原因から各県とも多大の財源不足を来たしておりまして、今回の補正予算に計上されました交付金百二十億、地方起債限度二百億円の増加から、各県への割当見込額を算入いたしましても、なお多大の財源不足、即ち茨城県においては十一億三千余万円、栃木県においては六億六千余万円、群馬県においては七億二千万円の不足を来たすものとせられているのであります。  右三県の歳入構成は多数府県と同様、国庫依存度が甚だ高く、二十六年度の三県の決算について見るに、地方平衡交付金及び国庫支出金の県歳入に対する割合は、茨城県六割二分、栃木県五割二分、群馬県六割一分に当り、その租税収入は僅かに茨城県一割四分余、栃木県二割余、群馬県一割余に過ぎないのであります。二十七年度においても大体この趨勢を迫るものと思われるます。この歳入構成の事情から考え、府県側にとつて最も安易効果的な不足財源補充方法である平衡交付金の増額及び地方起債限度額の拡張を要望しているのであります。而して県当局の意向としては、若し平衡交付金や地方起債限度額の増額が行われなければ、国直轄工事分担金の支払繰延べ、事業繰延べ、事業縮小等の方法により歳出入の辻棲を合わさざるを得ないとのことであります。併しこれらの方法は歳出については極力整理緊縮して冗費を節減し、歳入においては税源の調査を周密にし、滞納整理を強化し、又税外収入の増収に努めてもなお不足の場合にとらるべきであるが、果してこれらの努力が県当局によつて払われているか否か、時間の関係上十分の調査を遂げることができなかつたことは誠に遺憾でありました。  次に、中小企業の金融状況について、本班は水戸、宇都宮及び桐生の三市において当該県下の代表的各種中小企業家の懇談会を開催して、その実情を聴取したのでありまするが、衆口一致して普通銀行、相互銀行、国民金融公庫、商工中金、信用金庫、信用組合等の中小企業に対する融資額は不十分で、且つ借入手続が煩瑣のため急場の間に合わないことが指摘され、その結果は最近非常な勢いで地方に進出し来たつた闇金融に依存せざるを得なくなつた事情が訴えられたのであります。この闇金融は貸金業等の取締に関する法律によつて取締られることになつておるのでありまするが闇金融はこの取締法規の間隙を縫つて盛んに行われておるのであります。元来貸金業を行うには貸金業者でなければならず、貸金業者たるには一定の事項を記載した届出書を大蔵大臣に提出しなければならないし、その届出書が法定條件に適合すれば、大蔵大臣はこれを受理しなければならないのであります。闇金融は主としてこの届出書の受理されないもぐり業者によつて行われるのでありますが、中にはこの届出書の受理された正規の貸金業者によつても相当に行われておることと思われます。正規貸金業者は東京都内に千二百、もぐり業者は二千乃至三千にも及び、これらが近県地方に多数の支店、出張所を設けて活躍しておるとのことであります。貸金業は預り金をなすことは取締法によつて禁じられております。即ち預金貯金掛金等の名義で不特定の多数の者から金銭を受入れることは禁じられておりまするが、彼らは貸付資金を得るために事情に暗い農漁村民や、或いは官公吏等を高利を以てその出資を勧誘し、出資証券を交付しておるのであります。その出資金の返還を支店、出張所に求めても要領を得ず、東京の本店を尋ねれば、薄暗い陣屋の一室に机一台、椅子一脚の状態であつたという事例えしからずとのことであります。又闇金融の貸付は、高率の利息や貸付手数料等を天引するため、借主の手取金は著るしく減額されたものであり、而してその返済については日掛又は月掛で厳重に取立てられ、いやしくも仮借されないとのことであります。  中小企業金融が以上のごとき状態であり、年末に至らば一層甚しきものあるべきを察し、栃木県においては年末金融対策として県費一億円を中金、信用金庫、信用組合、足利銀行に預入し、各金融機関の資金源を増強すると共に、信用協会に対し一千万円を出資してその保証能力を増強し、以て緊急なる年末の零細資金の需要に応えんとしておるのであります。各金融機関は県預入資金に自己資金を加え、合計三億円となし、これを年末資金として県内中小企業に融通することとしておるのであります。  公共事業について第一班が奥地視察を遂げたのは、茨城県の那珂湊港の漁港工事、栃木県の五十里ダム、艇治発電計画地、群馬県の利根川水系赤谷川統合開発予定地でありました。那珂湊港は那珂川河口を利用して、大型漁船の出入碇泊に便するための船溜りの開墾、航路水深維持施設及び物揚げ場の築造を行う工事であつて、昭和八年度よりの町営の継続事業として行われ、二十六年度までに七千三百余万円、本年度三千五百万円、二十八年度以降二億一千万円の経費を投ぜんとするものであります。本工事は着々進捗しておるのを見ました。五十里ダム工事は着着進捗し本年度配付予算は大半使用し尽したのでありまするが、補正増額がないために、折角仕事に習熟した労務者を退散せしめ、二十八年度予算配付を待つて新労務者を集めることになり、事業進行を阻む結果を生ずるのやむなきに至つておるのであります。川治発電事業は国の直轄事業たる五十里ダムによる貯水を利用して、県営を以て発電事業を行わんとするものでありまして、二十八年度より三カ年の継続事業とし、合計二十一億七千万円の工事費を投じて完成せしめんとするものであります。又群馬県の赤谷川総合開発事業計画は県営を以て利根川水系赤谷川に新治村大字大俣地先にダムを築造し、洪水調節、耕地改良と共に一万四千キロワツトの発電能力を確保せんとする総合開発計画であります。栃木県及び群馬県に行わんとする発電事業計画は、これを県営とするか、国直轄事業とすべきかについては、種々利害得失があつて、議論の分れるところであるから、慎重検討を加えて決すべきものであると感じました。  なお茨城県下沿岸漁民より駐留軍の演習のため出漁不可能に陥り生活困窮を極めておる旨の陳情を受け、現状視察の結果、誠に同情すべき状況にあり、国において十分検討を加え適当なる処置をとるべきものと認めた次第であります。  以上簡単でありまするが、第一班の報告といたします。

岩沢忠恭自由党

○委員長(岩沢忠恭君) 次に第二班は山田君。

山田節男日本社会党(第二控室・右)

○山田節男君 現地調査第二班の調査の結果を御報告申上げます。  第二班は、中川委員と私、並びに湯本調査員が随行いたしまして、去る十一月十六日から二十二日までに至る一週間福井県、富山県、及び新潟県の三県に参りまして、地方自治団体としてはこれらの各員庁及び小松市の四団体、代表的な工場としましては福井精錬加工株式会社、小松製作所小松工場、倉敷レイヨン冨山工場、広貫堂製薬会社並びに日本瓦斯化学工業新潟工場の六工場、又公共事業の現地といたしましては、富山県の流水客土並びに新潟県の三面川総合開発事業、新潟港等の各所において最近におきまする国民経済の動向をつぶさに調査して参つたのでありまするが、ここには特に補正予算の審議に直接参考となるべき事項につきまして要約して御報告申上げたいと存じます。  先ず第一に地方財政に関しまする問題でありますが、政府は今回の補正予算におきまして、地方財政の赤字補填のために地方財政平衡交付金におきまして二百億円、起債において百二十億円を計上しておりますが、到底足りそうもないということであります。即ち今年度の赤字を各県で調べた結果によりますると、福井県が三億余万円、富山県が三億三千二百余万円、新潟県が八億四千七百万円のそれぞれ赤字を見込んでおるのであります。この原因は、地方に独自の財源が少い一方、人件費、義務費が増加しますので、その穴埋めに平衡交付金或いは起債等の水増しを行なつて予算の収支を合わせていたためであります。政府は今回の補正予算算定の基礎としまして、地方税を、府県分におきまして約三十一億円の減収、市町村分におきまして約四十二億円の増収を見込みまして、差引き十億円の増収を見込んでおるのでありますが、各県におきまする実情は、最近におきまする景気沈滞傾向を反映いたしまして、地方税の減収は特に甚だしいものがございました。即ち福井県におきましては県税が自治庁の見込では七億余万円にしておりまするのに対しまして、県の決算見込では六億余万円となつておりまして、富山県におきましては自治庁の見込が十五億余万円に対しまして、県の決算見込が十二億余万円となつておりまして、この二県分を合わしただけでも四億余万円の減収が予想されるのであります。又市におきましても、今回の見学しました小松市のごときは、繊維工業が圧倒的に多いので、市民税の見積りが過大でありますから、確保の見込がたたないということを申しておりました。又平衡交付金や起債の水増しをして予算を組むことは、これは不確定な財源を当にするものでありまして、不健全な方法でありまするが、半面予算編成の苦しい端的な現われともこれは言えると思うのであります。これも現状では止むを得ないのでありまして、将来におきましては地方においてもつと独立の財源を与えまして、中央依存の弊をなくしなければ、憲法に明定されたいわゆる地方自治体の自主性と申しますか、地方自治は名はあつても実はないというものになるというように感じました。  次は積雪地方における屋内体操場建築費補助の問題でございますが、これは冬季に入りますると約半年の間というものは雪に閉ざされる北陸信越地方にとつては特に切実な問題となつております。積雪地方の市町村におきましては、去る第十三回国会におきまして両院の決議が行われました。これに安心をしましてすでに屋内体操場の建築に着手し、その資金の善後手当に窮しておるような実情であります。その不足坪数は中小学校だけで富山県におきまして一万二千百五十九坪、新潟県におきまして二万三百六坪となつておりまして、この両県分だけでも文部省の補助単価二万三千円で計算いたしますと七億四千六百余万円となりまして、半額国庫補助として三億七千三百余万円、三カ年計画で行うことになつておるので、一年分といたしまして一億二千四百余万円が必要になるわけであります。ところが今回の補正予算には全体の分としまして僅かに三億円しか計上されていないのでありまして、到底問題にならないという実情であります。  次は中小工業の問題でございますが、最近の景気はこれは世界的に中だるみになつておりまして、輸出の不振、内需の頭打ち等によりまして事業の不振になつておりますことは、中小企業におきまして特に甚だしいことを見て取つたのでございます。今度見学いたしました各県を通じて最もひどいのは繊維工業でありまして、機械工業がこれに次いでおります。いずれも原料高の製品安に悩まされておるのであります。福井県などは織物王国と言われておりましただけに、特に窮状が甚だしく、これらの土地におきましてはガチヤ損であるとか或いは自転車操業というような言葉が人口に膾炙されておるような実情になつておるのであります。これを少し具体的な計数で見まするというと、昭和二十六年の内需の原糸の生産高は生糸が約二千万ポンド、人絹糸が約九千百万ポンド、その他絹紡糸、スフ等が約二千万ポンド、合計一万三千六百万ポンドでありまして、全国織機台数二十万台に対しまして十三万合分にしか当らないのでありまして、約七万台の織機が過剰になり、休んでおるような実情であります。二十七年度におきましても原糸の増産、合成繊維の利用、輸出不振による内需の転換等を考慮いたしましても、なお五万台以上の過剰となるのが実情であります。この原糸の絶対量の不足が慢性的な採算割れの主因になつておるのでありまして、更にこの十三万台分で生産しまする織物でも輸出の不振やら内需の綿織物の圧迫等によりまして、相対的に生産が過剰となつておるのが現状であります。又採算は昨年三月以降黒字の月は一度もないというのであります。その一例を申しますると、人平一号で、今年の九月で製品の原価が二千六十円八十九銭、これに対しまして製品の市価は一千六百六十九円二十銭でありまして、差引三百九十一円六十九銭の欠損となつておるのであります。こういう状態でありますから、福井県の業界では危局乗切りのために五十億円の緊急融資をお願いしたいと言つておりました。又機械工業関係の金詰りの例は、七月の納品に対しまして十二月の支払ということが、これは普通になつておると申しております。今回の補正予算では、中小企業金融としましては、商工中央金庫の貸付金としまして二十億円を計上いたしておるに過ぎないのでありますが、更に積極的に合理化、輸出増進等について緊急に策を講じて、健全な産業の発展に資することが必要であると考えました。  又防衛生産関係の企業についてでありますが、即ち特需の問題でありますが、どうも将来の見通しがはつきりしないので、腰を据えて本格的な生産ができないので困る、なおその上に納期或いは品質、規格、精密度等が非常にやかましく要求されますので、いわゆる出血受注にならざるを得ないというような状態でございます。  次に駐留軍の土地収用に関する補償の問題でありますが、これは冨山県の内灘浜、新潟県の松ケ崎浜村下山部落という半農半漁の部落でありますが、新潟飛行場建設によりまする第一次、第二次の土地収用のために全農地の八割を喪失しておる状態であります。今回第三次拡張計画がなされておるのに対しまして、部落の住民は第一次、第二次の収用に対する補償の支払が二年半も遅延しておるので、これ以上に犠牲になれんと言つて拒絶しておるというような状況であります。これは政府におきまする事務の怠慢であるので、速かに支払う必要があると存じます。  最後に公共事業の現地及び天然ガスの合成工場を見た結果についてその感想を申上げたいと存じますが、先ず新潟県の三面川総合開発事業でございます。これは第一期事業並びに第二期事業を総合して治水、灌漑、発電の目的の下に総額六十八億五千万円の事業費を以て計画されておるものであります。この第一期工事は地元民並びに県当局の非常な熱意の下に昼夜兼行で、いわゆる突貫作業を続けまして、去る十二月一日からは発送電を開始しておるというような状態でありまして、更に第二期工事が来年度から三カ年計画、二十五億七千万円の事業費で着手するということになつておりまするから、その初年度分三億八千万円を是非認めてもらいたいという地元民から強い要望がございました。  それから天然ガスの合成工場を見たのでございますが、これは現在新潟市にございます。これは現在の日本にただ一つの会社だというのでありまして、その天然ガス合成の工業化につきましては、当初非常な反対を受けたそうでありまするが、工場長の熱意に動かされまして、県の資源課等がこれに応援をいたしまして、遂に操業開始までに漕ぎつけておるのであります。これが今主な産物はメチール・アルコールでございますが、その需要が非常に多くて、とても応じ切れないというような状況であります。天然ガスの資源はほかにも幾らでもあるものと思いますので、資源の乏しい日本におきましては、今後大いに助成の措置を講ずべきであると、かように感じた次第でございます。  以上要約御報告申上げます。

岩沢忠恭自由党

○委員長(岩沢忠恭君) 第三班について山本君。

山本米治自由党

○山本米治君 第三班の出張報告を申上げます。  第三班は内村清次、中山福藏、山本米治の三委員に水谷調査員が随行いたしまして、十一月十六日から一週間に亘つて和歌山県及び三重県における最近の経済動向並びに財政状況を調査いたしました。以下その大要を御報告いたします。  先ず和歌山県でありますが、本県の産業構成は、農林漁業等の第一次産業が主であつて、工業の比重は低いのでありますが、繊維工業を第一位とし機械工業、木工業、化学工業等がこれに次いでおります。中小企業が庄倒的に多く、不況が深刻でありますが、殊に繊維工業が最も甚しく、その操業率は捺染業において四五%、織物業において三〇%程度で、而もいわゆる原料高の製品安で、利潤を得ることが困難であるばかりでなく、本県の工業は阪神地方の下請的地位にあるため、大企業や大商社の金融難のしわが大きく寄せられて、割引利子、借入利子の負担が嵩み、それに租税負担の重圧も加わつて赤字生産持続しているものが多いということであります。我々は十一月十七日、和歌山商工会議所におきまして財界人との懇談会を開き、各業界の忌憚のない意見を聞いたのでありますが、それらを要約いたしますと大体次のように、結局中小企業の金融難と税金の問題とに帰着するのであります。即ち大企業の中小企業に対する代金及び加工賃の支払遅延は運転資金の手当に非常な圧迫を加えており、又設備の老朽化のためこれが改良近代化に要する合理化資金の要望も非常に強いものがあるにもかかわらず、銀行はなかなか相手にしてくれず、見返資金の中小企業融資も、開銀の委託を受けて代理貸付をする市中銀行が躊躇するので、融資を受けることが困難である。又大銀行は地方において預金を吸収するのみで、余り貸出しをしないため、一層地方の金詰りを激化している。従つて一日も速かに中小企業金融対策を実施に移さなければ、中小企業はことごとく倒産してしまうだろうということが一致して強く訴えられました。中小企業の現在の窮状に対しましては、何と言つても金融対策が当面焦眉の急務でありますが、これには政府の中小企業金融施策と共に業者自身の側でも例えば共同責任によつて信用力を強化するというような努力が是非とも必要であると考えられるのでありますが、根本的には生産過剰をどう調整するかという更に広汎な対策も必要と思われるのであります。  税金の問題につきましては、税務署の実額調査に基く所得の見積りが過大で実際とかけ離れているという非難と、税務署に対する徴税責任額の割当制度が今なお行われているとの見解が述べられましたが、同時に指摘されたように中小企業の九割は全然帳簿をつけていないので、正確なことはわかりかねるわけでありますが、少くとも大阪に比べて租税負担が重いのは確からしく、実力のある者は大阪へ逃げ出して行くということであります。租税負担の不権衡は地方税についても同様で、例えば和歌山県ではパチンコ一台につき入場税が一カ月五百円でありますが、大阪府では僅かに七十円にしか過ぎない、これは非常に極端な例でありますけれども、いずれにしても租税負担が経済力の弱いところほど逆に重いという傾向にあるということを否定できないのであります。  次に農林関係はどうかと申しますと、本県の農業は一戸当り経営面積僅かに四反五畝という極端な零細農業で、加うるに数次の災害や虫害のため、本年産米は平年作を下廻り、又みかんを初めとする果実類は昨年の不作に対し約四割の増収であるが、価格が下落して、農村といえども必ずしも景気は良好でなく、農協貯金の動きを見ると、従来成績のよかつた紀北の農業地帯は余りに振わず、収入の低い紀南の山林地帯のほうが却つてよくなつているという現象を呈しておるのであります。みかんと共に有名な本県の木材は、森林法改正の結果、一カ年の成長量百四十万石以内に伐採を制限する必要に迫られたので、全体で三百五十万石の製材能力を持つ六百有余の製材工場と五千五百人の製材労務者の死活問題となつているような現状であります。  以上のような経済動向、殊に景気沈滞の傾向を反映いたしまして、和歌山県の財政状態は甚だ悪化いたしておるのであります。即ち昨年度の決算は一億五千万円の黒字であつたのでありますが、本年度におきましては、県税の減収を初めとして、地方財政平衡交付金及び起債の実績がいずれも予算額に達しないので、歳入面において合計七億六千三百万円の欠陥を生ずる半面、歳出面においては義務的な経費の増加で二億七千百万円の追加支出が必要となりますので、合計十億三千四百万円の赤字となる計算となつております。而もこの計算は、十一月から実施予定の給与改訂費を含んでおらず、今回の補正予算によつて本県に対し一億七、八千万円の交付金と、八、九千万円の起債枠の増加が期待通りもらえたとしても、給与改訂費だけで約二億円を必要とするので、今申述べました十億円の赤字補填に充当し得る部分は、六千万円乃至八千万円にしか過ぎず、結局本年度の赤字は九億円以上となるというのが、県当局の説明でありました。  このような巨額の赤字を出す最も大きな原因の一つは、県税の減収でありますが、県当局の計算によりますと、景気悪化による県税の減収見込額は、法人事業税だけでも二億二千万円、県税全部では二億六千七百万円に上るということであります。これにダイナ台風、七月十日の水害など、風水害による事業税等の減免に伴う減収見込額一億五千五百万円を加えますと、当初調定見込額に対する減収見込額の総計は、四億二千三百万円の巨額に上るのであります。  次に三重県でありますが、本県の産業構成は和歌山県と同様、やはり農林漁業等の比重が高く、工業化の程度は低いのでありますが、工業のうちでは、紡織工業が総生産額の五〇%を占めて圧倒的で、これに次ぐものは化学工業、機械工業、食料品工業等であります。本県の工業生産の六四%は四日市を中心とするいわゆる北勢地区に集中しておりますので、本県主要工業の現況について四日市を中心に具体的に申上げてみますと、大体次の通りであります。  本県の綿紡織工業は東洋紡績、平田紡績等の設備技術の近代化された大企業によつて殆んど独占されており現在四日市市内には中小企業はことごとく壊滅してしまつて皆無であります。我々の視察した東洋紡績冨田工場は平常通り操業しておりましたけれども、東洋紡績全体としては勿論四割の操短を行なつているわけであります。本県の毛紡織工業はその歴史も古く、生産は全国第一位で、四日市所在の大工場だけでもその設備は全国の四割を占めておるのでありますが、やはり繊維不況の例に漏れず、二割程度の操短を行なつております。又当市にはこの種大工場のほかに中小企業の毛織業者がありますが、これら中小企業は資金不足のため、原糸の仕入れに困り、主として大工場の下請賃織に依存しておりますが、親工場の操短によつて受注次第に困難となり、その稼動率は大体〇%乃至四〇%程度であります。  本県の特異な存在となつている漁網工業もやはり四日市が中心でありまして、平田紡績を初め五社がありますが、これ又輸出不振と内需減退のため、全体としての設備稼動率は三〇%程度であります。その他メリヤス、タオル等についても状況はほぼ同様であります。又景気沈滞は繊維工業に限らず、その関連産業及び産業一般に及んでおるわけでありますが、ただこのような一般的不況の中で、大規模の近代工業や設備の優秀な工場は比較的順調に生産を続けており、中小企業、殊に零細な且つ設備の貧弱なものほどその業態が著しく悪化していることは言うまでもありません。  我々は十一月十九日、三重県議会議事堂で財界人との懇談会を開いたのでありますが、その席上紡織業、水産業、農業、林業等各業界の指導的立場にある人々から極めて活撥な意見や要望を聞くことができまして、現地における産業経済の実情を知る上に非常に参考となつたのでありますが、ここでは細かい点は省きまして、特に重要と思われる点だけを述べるにとどめたいと存じます。  即ち紡績の不況が極めて深刻化しているにもかかわらず、業者が濫立して、設備を殖やし、売れない商品を作つて、不況に拍車をかけている現状であるが、こうした状態は、本県の世界的特産たる真珠養殖業なども又同様で、現在業者の数は県下で五百人もあり、生産過剰と資金難から真珠の相場は昨年の半分以下に暴落しており、而もなお且つ先安を恐れて業者自身が値を崩している実情にある。元来真珠は金融上の担保物とならないので、業者は常に売急ぐ傾向があり、これが真珠対策の癌と言われておるのでありますが、外貨獲得に貢献するこの事業を発展させて行くためには、金融がつかぬため外国のバイヤーの思うままに買叩かれている業者に適当な融資の道を与えることが是非とも必要であるということであります。又真珠養殖に限らず、沿岸漁業、遠洋漁業、いずれも一番困つているのは金融であるから、水産金融について、政府の特段の措置を要請するということでありました。  農林関係といたしましては、農協の再建整備を促進するため全国で百億円くらいの長期低利の資金を財政支出する必要があること、又森林法の改正に伴い伐採制限を受けた山林所有者に対して貸付ける伐採調整資金は一年間三十万円以下ということになつているが、実際にはその三分の一も手に渡らぬ状況であるから、農林漁業資金融通特別会計の伐採調整資金の総枠二十二億円を大幅に拡大する必要があること等の要望がありました。  なお、工業関係におきましては、四日市の工業用水の問題があります。即ち四日市の工業用水は、各工場が自己の負担で掘つた六十五本の井戸の水で賄われているのでありますが、今や汲上量は限度に達し、このため地盤沈下が八十センチにも及んでおり、速急に三滝川及び鈴鹿川の二河川から導水する施設工事の必要に迫られておるのでありますが、工業用水道の建設については国の保護助成の途が全然ないばかりでなく、主管官庁すら明確でなく、予算措置上の孤児となつている現状は甚だ遺憾であるから、政府は明年度予算編成に当つては工業用水道に対する国庫補助金を計上すると共に地方債の枠をも設定すべきであるという要望であります。この問題は単に四日市に限らず、我が国工業振興のためにも、又農業用水との関係から申しましても、一元的総合的に国の施策として速かに解決を図る必要があると考えられるのであります。  次に本県の財政でありますが、三重県の財政状態も和歌山県のそれと同様、非常な赤字が予想されております。即ち県財政収支の見通しは、主として繊維工業の不振に起因する県税収入の減少を中心として、歳入面において約五億円の欠陥が生ずる半面、歳出面において給与改訂費並びに年末手当に要する経費の増加三億二千万円、義務費の増加一億五千万円、合計約五億円の追加支出を必要としますので、結局十億円の赤字になるというのであります。この赤字の最大要因の一つは、県税の減収でありますが、本県の県税はその五三%が法人事業税であり、その法人事業税の三分の二が繊維関係でありますので、繊維不況の影響で県税は前年度の実績に比べて約五億円の減収となるだろうと県当局は見込んでおるのでありますが、先に申述べました本県工業中圧倒的地位を占める紡織業の不振を考慮しますと、相当の税収減を来たすであろうことは容易に想像し得るところであります。又これを具体的な実例に徴して見ましても、例えば東洋紡績の昨年度の事業税は四億円でありましたのが、本年度は上半期分僅かに一千八百万円で、下半半期分もほぼ同額であるから、昨年度の十分の一にも達しないのであります。これは税法改正の結果、今年から退職積立金の損金算入を認めるようになつたので、その関係も大いにあるのでありますが、いずれにいたしましても大会社の事業税が激減しておることは事実であります。  以上が我々の調査並びに視察の結果の大要でありますが、最後に結論的にこれを要約いたしますと、いわゆる景気沈滞の影響を最も深刻に受けているものは、言うまでもなく中小企業であり、特にその金融難が甚しいのでありますから、当面応急の施策として、中小企業金融対策が肝要であることは勿論でありますが、それと同時に生産過剰対策、貿易振興対策並びに協同組合化、企業合理化等一連の根本対策が必要であることは申すまでもありません。又現行の県税制は景気動向に最も左右されやすい構成を持つておりまする晋ために、県財政は景気沈滞の影響を受けること最も甚しく、その収支を著しく悪化せしめておるわけでありますが、これも本年度の赤字を補填するために地方財政平衡交付金と起債の枠をどれだけ増額するかという当面の問題と、府県税制をどのように合理的に改正するかという根本的な問題と、解決を要する二つの問題があるわけであります。  簡単ながら以上を以て第三班の報告を終ります。

岩沢忠恭自由党

○委員長(岩沢忠恭君) 以上第一班、第二班、第三班の報告につきまして御質疑はありませんが…。  御質疑がなければ、本日はこれを以て散会いたします。    午後二時五十八分散会

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