P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
15回国会参議院1952/11/27

本会議 第6号

発言数
48
登壇者
18
会派数
8
開催日
1952/11/27

会議録

三木治朗日本社会党(第二控室・右)副議長

○副議長(三木治朗君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      —————・—————

三木治朗日本社会党(第二控室・右)副議長

○副議長(三木治朗君) これより本日の会議を開きます。  この際お諮りいたします。高橋龍太郎君から海外旅行のため二十一日間請暇の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三木治朗日本社会党(第二控室・右)副議長

○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつて許可することに決しました。      —————・—————

三木治朗日本社会党(第二控室・右)副議長

○副議長(三木治朗君) 日程第一、国務大臣の演説に関する件。(第三日)  昨日に引続き、これより順次質疑を許します。三好始君。    〔三好始君登壇、拍手〕

三好始改進党

○三好始君 去る二十四日、吉田内閣は独立後最初の施政方針を本議場において明らかにいたしたのでありますが、私はこれに対し改進党を代表して質疑をいたさんとするものであります。  長い占領から解放された我が国政治の第一次的な課題は、先ず政治の自主性を回復し、平和と建設の方策について国民的努力の方向を確立することであると思います。然るに国民は今日の我が国の政治に果して独立国家としての自主性があるのかどうかを危惧しております。それは決して日米行政協定や国連軍協定の裁判管轄権の問題のみを憂慮しておるのではありません。再軍備問題に始まつて、国の財政経済の方針にまで及ぶところの国家の最高方針が、実質的に国民の輿論と我が国政治の自主性において決定されるものであるかどうかについて、一抹の不安を感じておると思うのであります このような不安感が持たれておる状態では、国民的団結を通じて平和と建設への努力を傾ける基礎的条件を欠いておるものと言わねばなりません。国民の認識には誤解や不安があつてはならない。現実は現実として明らかにされねばなりません。現実の正しい認識の上に立てば、それに応じた国民的協力が可能であると思うのであります。国民の政治に対する信頼を高め、無秩序と分裂の傾向を克服して行くためにも、首相は今日の我が国の国際的地位を率直に披瀝し、政治の自主性に関して国民の納得の行ぐ説明をいたすべきものと思うのであります。更に国民は、日米行政協定或いはその根源をなす日米安全保障条約等が対等国間の条約であるとは考えておらないと思うのであります。集団安全保障が世界の潮流であることは認めても、それは我が国が他国に附属することを認めることではありません。首相は将来の目標として、以上のごとき条約を対等者間の条約として改訂する意思があるかどうかを明らかにして頂きたいのであります。  政治の安定については、自由党並びに吉田内閣はあらゆる機会に強調して参つたのでありますが、政治安定の要件は、政治が輿論の上に立つて信頼と権威を維持することであると思うのであります。政治不信の風潮の下で与党が絶対多数を維持しても、決して政治は安定するものではありません。独立後最初の施政演説においても、吉田内閣は、国民が直面している政治の重要課題を解決する明確な方針と気魄を示さないで、ただ問題の所在と行政事務的報告を羅列したに過ぎないとの感じを与え、国民をして失望せしめたのであります。このような政治の内容に対し、他面、最近の新聞紙上にはしばしば与党の多数派工作の意図が伝えられておるのでありますが、かかる方法で政治の安定を期待することは無駄であり、且つ有害であります。真に国民の輿論に立脚し、議会政治の原則に基いて、政府、政党が良心的に堂々たる態度で政治に臨むところに、政治の明朗化と安定が期待できると思うのであります。最近の政治はこれに逆行するがごとき無力沈滞と腐敗を極めようとしております。即ち政治はますます不安定の様相を呈しつつあると考えられるのであります。私は首相が政治の安定に如何なる方策を着せられるかを伺いたい。  政治腐敗の端的な現われは選手の腐敗と人事の腐敗であります。人事に関しては、特に私は行政権の首長としての内閣総理大臣の国務大臣任免行為について指摘しなければなりません。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)行政権行使の適否が国家の運命と国民の福祉に重大なる影響を及ぼすことは今更言うまでもありませんが、その運用の局に当る者の適否についても同じであります。従つて、行政権の首長としての内閣総理大臣の最大の職務は、憲法第六十八条に規定された国務大臣任命行為であることは多言を要しないところであります。更に内閣は、総理大臣とその他の国務大臣で組織し、国会に対し連帯して責任を負うことも、憲法第六十六条の明記するところであります。吉田首相は戦後の重要時期に四たびに亘り組閣をし、行政権を主宰したのでありますが、以上の見地に立つて考えるとき、国務大臣任命に多くの誤まりを侵していると言わねばなりません。吉田首相が第一次内閣を組織してより今日に至るまで国務大臣を任命したる数は、再任した者を除いても六十五名に及んでおります。(拍手)国務大臣は国会議員及び国民のうちより最適任者を任命し、首相はこれと相携えて行政権行使の全きを期さねばならないはずであります。従つてその任命が正当である限り、頻繁なる更迭はあり得べからざることであり、(「その通り」と呼ぶ者あり)その必要を認めないはずであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)然るに、在任期間の短かきは一ヵ月、長くても一年を出る者は稀であるというに至つては、その任免の方針が奈辺にあるかを疑わざるを得ないのであります。(「いいぞ」「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)国政渋滞の原因の一端も又ここにあると言わねばなりません。殊に今回の第四次組閣においては、国民をして唖然たらしむるがごとき人事として痛烈な批判を受けつつある事例が多いのであつて極言する者は、今や吉田首相の退任準備のための清算内閣だと称し、独立国家再建の重責に任ずべき内閣が国民と遊離せんとしておることを私は憂慮するものであります。私はここに、国家の政治、行政の最善の行使を念願する厳粛な気持を以て、首相に、国務大臣任免にとり来たつた方針と責任について伺いたいのであります。(拍手)  今日の政治が直面しておる具体的な最大の問題は、独立国家としての自衛問題を如何に処理せんとするかについてであります。自衛力をめぐる国論は分裂状態にあつてこれが国民生活のあらゆる部面に対立的傾向を激化せしめる根源を作り、政治不安の底流ともなつておると認められるのであります。私は、我が国民が誰しも戦争を嫌悪し、平和を念願しておる善意を信ずるのであります吊るが、今日の国内には、国際関係を反映して、力による平和論と絶対平和論が対立しておるかのごとく見受けられますこの二つの立場は、我が国内政治の上では克服されて一つの一致に到達さるべきであります。私は、先走つた再軍備論が危険なのと同様に、絶対平和論を固執する者が国内的には最も闘争的であることに危惧の念を抱かざるを得ないのであります。平和を守るためには、先ず国民の心の中で平和の条件を確立して行かねばなりません。そのためには、政治は飽くまでも民主主義に徹すると共に、対立的条件を克服することに全力を注ぐべきであります。この点について私は、政治家の努力が足りないだけでなく、特に自衛問題に関する今日の国論の分裂は、政府の真実無視の態度に由来するところ大なることを指摘せざるを得ません。(拍手)首相は施政演説において、いわゆる再軍備に対する政府の所信は一貫しておると述べておりますが、それは従来の過まちを一貫して続けて行くということなのでありましようか。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)首相はその演説において「国力の回復に伴つて自衛力の漸増を図るべきことは勿論でありますが、現在の段階は専ら物心両面における国力の充実に努力を傾くべき時期なるを信ずる」と申しております。それは現実に吉田内閣が、保安隊、警備隊を創設していなかつた場合においてのみ、論理的には正しい主張となり得るのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)予算年額の二割以上を、防衛関係費に割き、軍機関銃、迫撃砲に始まつて航空機、戦車に及ぶ武装を急ぎつつある保安隊や、或いは軍艦を保有せる警備隊を前にして、新国軍の土台と呼称する首相が、再軍備反対、自衛力漸増を説くところに、国論の混迷が生ずるのであります。(拍手)日本の政治史において吉田内閣ほど、善良なる国民に対し、政治はごまかしであつて誠実と良心がないという印象を与えた内閣はないと思うのであります。(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり)私は日本の政治の名誉のために、自衛問題に関し次の諸点を明確にされたいのであります。  第一に、保安隊、警備隊は違憲であるという国民の間の有力な主張に対し、政府は堂々とこれと対決して、国民の納得の行くようにその立場を明らかにしなければならないのであります。違憲論争の中心問題は、憲法第九条第二項の戦力の意義と交戦権放棄の趣旨に関するものであります。政府は憲法の実定法上の戦力の意義を抽象的に把握し、戦力は相対的なものであつて近代戦遂行能力が戦力であるとの態度をとつております。これに対し、違憲論の多くは、客観的な戦争能力は勿論、有効に防衛の目的を果し得る実力なりや否やとは無関係に、外敵対抗の意図を持つ武力をも憲法に言う戦力と解しているのであります。警察予備隊以来、保安隊のかかる意図はしばしば明らかになつているから、政府の態度は違憲なりとするのであります。又、憲法は国の交戦権を放棄しているのだから、外敵が侵入しても、へーグの陸戦条規が定める義勇兵団、群民蜂起以外に、憲法上は国家機関が国家機関としての立場において交戦することは認められません。然るに政府は保安隊の敵対行為を肯定するのだから違憲だというのであります。これらの諸点は、単に見解 ○相違として片付けることは許されません。木村保安庁長官は、六月二十六日、当時法務総裁として本院内閣委員会に出席し、私の追及に対し、陸海空軍と名付けられた部隊を保持しても、客観的に近代戦遂行能力に達しない限り違憲ではないという答弁をしていることは、当日の速記録に明らかに記録されております。これは政府のとつて来た憲法解釈の論理的帰結であります。このような論理は人間の世界に通用するものではありません。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)その後、最近における政府の態度には、当時とはやや趣きを異にした発展が伝えられておるのでありますが、ここに改めて違憲論に対する政府の態度を具体的に明らかにされたいのであります。(拍手)  第二に、政府は米国との間に艦艇貸与協定を結んだのでありますが、アメリカ海軍が使用すれば艦艇と呼ばれるものが、日本の警備隊が使う場合には船舶という平和的表現にすり替えられておるのであります。いずれにせよ、これは国会の承認を求めておるのでありますから、憲法論、政治論は別として、手続としては当然のことと思うのであります。ところが、占領中以来今日まで保安隊の使用しておる厖大な量に達する米国の武器は、何らの協定が締結されていないのであります。而も伝えられるところによりますと、これは私法上の契約として処理し、国会の承認を求めない方針と言われておるのであります。およそ国家自衛の物的王段としての武器を、私法上の契約と称して、行政機関のみの責任において外国に仰ぎ、その種類、数量決定のイニシアチヴが外国に握られておるがごとき国家が独立国の名に値いするかどうかには、大いに疑問を持たざるを得ません。(拍手)かくのごとき国家間の重大なる貸借関係は、当然に条約として国会の承認を求むべきものと考えるのでありますが、(拍手)政府の所信を承わりたいのであります。(拍手)又独立回復後、今日まで、保安隊の武器使用関係が明確にされないことは甚だ遺憾でありますが、その経過と実情を明らかにされたいと思うのであります。  電産、炭労を中心とする労働争議の問題は、我が国経済に深刻なる影響を及ぼしつつありますが、政府はこれに対して如何なる方針どろうとしておるのか。国民には一向に理解ができないのであります。元来、労働争議は自主的に労使双方の協議によつて解決さるべきことが民主国家の常識でありますが、政治的には、先ず根源に遡り、争議の発生を未然に防止するがごとき政治の実現に努力し、発生する労働争議に対しては、公共の福祉に重大な影響を及ぼす虞れのあるものについて政府は民主主義の原則を崩さない範囲でその解決のための方策を考えるべきものと思うのであります。政府は今回の労働争議並びに今後起り得べき同種の争議に対する解決乃至防止のため如何なる対策を考えておるかを承わりたいのであります。私は今日の国民生活の現状は、すでに経済政策の根本理念としての自由経済主義で処理し得る限界を超えておると思うのであります。殊に我が国人口問題の現状において、雇用の増大を図つて完全雇用に近付け、自由競争能力の脆弱な零細農業、中小企業が圧倒的に多い日本の産業構造の中において、経営の合理化を促進し、更に貿易の振興を図ることなどは、無計画な自由競争経済の果し得るところではありません。特に戦後の財政経済が当然に背負わなければならない運命にある遺家族、未帰還者、留守家族、母子家庭等を含む戦争犠牲者対策、軍人恩給を含む一般恩給問題、その他、社会保障制度等、切実な問題を抱えて、無計画な自由経済に立脚する今日の吉田内閣の政治には確固たる方策が発見できないのであります。政府は人口問題に関連して、移民に対し必要なる措置を促進しておるというのでありますが、その具体的内容を明らかにされたいのであります。又零細農業、中小企業の育成合理化に対しては、自由競争に期待するよりは、財政的援助並びに協同組織による生産条件の改善、金融、技術向上等によつてのみ打開の途が考えられると思うのでありますが、政府の所見を承わりたいと思います。  貿易の振興についても、生産面から考えれば、根本的には、産業設備の近代化、技術の向上、能率化等による優秀品の生産とコスト切下げを実現するように、計画的な施策を講ずべきものと考えるのであります。  戦争犠牲者対策、恩給問題等については、政府は基本方針すら決しかねているという不徹底な現状にあるのではないかと思われます。遺家族、留守家族等の戦争犠牲者対策については、国家補償の確立を方針として決定する意思があるのかどうか。恩給問題については、恩給亡国論、軍人恩給復活論、文官武官不平等反対論、人事院の新恩給制度案等が錯綜した状態の中にあつて、政府はどのような根本方針を立てようとしているのか。国民の前に明らかにすべきであります。(拍手)  要するに、国民経済の諸問題は、長期財政経済計画の内部で合理的な方向を決定すべきものであつて、場当りの経済政策は問題を解決することはできないと思うのでありますが、自由経済に立脚する政府の所信を明らかにされたいのであります。  食糧自給の強化について政府が積極的な政策を用意しつつあると聞くことは、食糧輸入の現状から考えても当然のこととして了承いたすものであります。併しながら今日の食糧自給のための増産問題は、耕地の拡張改良の机上とフンを中心とした戦時的増産方式を以て達成し得るとは到底考えられないのであります。政府は食糧増産の基本的観念を誤まつてはなりません。食糧増産を農家経済の問題として総合的な角度から取上げ、単に生産手段としての耕地の拡張改良にとどまらず、農民生活の安定を図るための総合対策、殊に農産物並びに生産資材の価格政策の是正、経営並びに技術近代化のための試験研究、普及事業の強化、国土の農業的利用の見地からの総合開発などに努力を払うべきであると思うのであります。耕地の拡張に関しても、単に機械的な開墾、干拓のみを考えるべきものではありません。私は昨年農業使節団として渡米の際、サンフランシスコ郊外で、相当の傾斜を持つた小高い出の頂上まで美しい牧場になつているのを見て、我が国の土地利用について考えさせられたのであります。むしろ開墾と並行しながら急速に草原地帯の畜産の開発を図るというが、ごとき弾力性のある方針を採用すべきであります。而うして、政府の企図している食糧自給がどこまで効果を収めるかを決定するのは、以上のごとき増産諸対策の予算的裏付けだと思うのであります。従つて本問題については農林大臣のほか大蔵大臣の所見も伺いたいのであります。  税制改革は国民の要望しておるところでありますが、特に国民の産業活動を圧迫するがごとき不合理な課税はこの際改正すべきであります。政府は明年度において、国税、地方税を通ずる税制の一般的改正を企図していることが明らかにされたのでありますが、その根本方針をどこに置かんとしておるかを伺いたいのであります。特に今日税制に関連して地方財政の窮迫は容易ならぬものがありますが、この際、根本的に考慮すべきであります。なお選挙中公約されたはずの一千億減税、貯蓄公債等については、今回の政府の演説においては何ら触れるところがなかつたのでありますが、これを如何に処置せんとしているかについてもこの際明らかにすべきであります。最後に、今後の政治が最も重要視しなければならない教育問題についてお尋ねいたしたいのであります。教育の振興が国家発展の基礎となるべきことは殊更申上げるまでもありませんが、株に狭小なる国土に八千五百万国民が文化的生活を享有する途は、個人々々が有能な産業人、社会人として生活し得る高い技術能力を養うほかにはありません。それを可能にするものが教育である以上、教育はむしろ今後の政治の上で最大の考慮が払わるべきものであります。これに関し、政府は戦後の教育改革を我が国情に照らして再検討するというのでありますが、この主要なる問題点を如何に把握しておるか承わりたい。又、義務教育、産業教育の充実、学芸及び科学技術の振興に格段の努力を払うと言われるが、その誠主なる実行を保障するものは予算の裏付けであると言わなければなりません。首相の教育尊重の言明にもかかわらず、補正予算にはその努力の跡を認めることができません。明年度予算上格段の努力を払う具体的計画があれば承わりたいのであります。教育委員会法についても、市町村教育委員会の権限、運用等には、検討を要する問題があると思うのでありますが、これを早急に考慮する用意があるかどうかをここに質しておきたいのであります。私は、教育振興の捷径は教育者の実力の向上であり、更に実力向上の捷径となるものは、教育、科学技術関係者の物心両面における優遇にあると信ずるのであります。人材が教育界から逃避するがごとき待遇をして教育振興を説くことはナンセンスであります。政府が若し教育に熱意を持つならば、人材が教育界に集まるがごとく大胆に物心両面における待遇改善を実施すべきであると思うのでありますが、政府の見解を承わりたいのであります。首相は教育に関して愛国心の油養と道義の高揚を説かれたのでありますが、それは単に修身科の復活によつて達成できるものではありません。(「その通り」と呼ぶ者あり)政治が正しい方向に向つて全力を尽しているとの信頼感を国民に持たれることが今日の段階では最大の課題であります。(拍手)たとえ現状は苦しく、も、青少年が日本の前途に希望の持てるような正しい政治が良心的な政治家によつて行われるところに、愛国心も道義も確立されると思うのであります。政治は国民的活力に正しい方向と機会を与えるものでなければなりません。独立後最初の歴史的な施政演説において、私は遺憾ながら吉田内閣から独立政治担当者としての気魄を感ずることができませんでした。願わくは答弁を通じて、独立日本の宰相として、或いは閣僚としての良心と気魄を示して頂きたいということを希望して、私の質疑を終ります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。  三好君の御質問の第一点は、国民が果して我が国の政治に自主性ありや否やを疑催しておるこの際、我が国の国際的地位を率直明快に説けというのであります。これは昨日も衆議院において露光君からも同じ趣意の質問があつてこれに対して私は、今日民主政治の基礎として、国民が事実の真相を究めることが第一である。その事実の真相を確かめて、その事実について如何に国民が判断するか、これが民主政治の出発点である。政府はこれまで我が国の国際地位については機会あるごとに説明いたして来たのでありますが、なおこれに対して国民が疑櫻の念を果して持つておるとするならば、真実の事実を国民に広く知らしむる手段において欠けるところがあつた。私はそう考えまして、新たに広報機関、名前はきめておりませんが、事実を事実として広く国民のみならず国内外に知らしむる一つの機関を置くべきであると考えて、只今その準備を着々進めております。これは昨日言明いたした通りであります。かくして国民が、我が政治に自主性がある、我が独立は完全な独立であるという事実を知り、確信を持つためには、現在の事実を事実として広く知らしむるということに努めたいと考えておるのであります。その上に国民が如何に判断するか、この国民の正確なる判断が民主政治の出発点であると考えるのであります。  第二に、日米安全保障条約、行政協定は、対等者としての条約ではないというう」とでありますが、これは国会の承認を経てでき上つたものであつて、当時これが対等条約でないとして不安があつたとしたならば、国会は通過しなかつたはずであつたと思います。なおこの条約の改訂の必要があるかないか。この改訂は)現在、私はその必要を認めないのであります。併しながら改訂を必要とする場合においては、改訂に関する規定がございますから、これによつて改訂いたします。  次に政局安定に対する方策を問うというお話でありますが、政府は衆議院において総選挙の結果、絶対多数をかち得たのでありますから、この勢力を基礎としてますぐ政局安定に努めたいと考えておるのであります。(「鳩山新党はどうした」と呼ぶ者あり、拍手)  次に行政運営の面から、一般に吉田内閣が六十五名の大臣を任命するがごときは無責任だと言わわるるのでありますが、これは吉田内閣は、第一次内閣から数えますと、すでに五、六年に近く担当をいたしておるのであります。(「選挙違反はどうした」「大分失脚するぞ」と呼ぶ者あり)故に相当の大臣が任命せられるのが当然であり、必要に応じて又新しい大臣を任命するということも、これは国務担当者としての当然なことであると考えます。(「その通り」と呼ぶ者あり)又如何にも内閣に、腐敗と言いますか、腐敗、汚職があつたようなお話でありますが、吉田内閣は組閣以来曾つて一度もスキャンダルのケースは出ておらないのであります。(「選挙違反はどうした」と呼ぶ者あり、拍手)    〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 移民についてのお尋ねでありますが、私どもは移民で以て日本の人口問題を解決するということは、これは非常に困難だと考えております。併しながら移民というものは、いろいろの意味で非常に必要でありまするから、常にこれの努力をいたしておつたのであります。先般の演説でも申しました通り、本年におきましても多少の、数は少うございますが、ブラジルに出かけることができるようになつております。その他、これはまだまだ更にだんだん発展して来ると思いまするが、アマゾン方面に対しましては約五千家族の移民について原則的には承認を得ております。来年はそのうち三百七十家族ぐらいを出す計画にしております。又中部ブラジル方面につきましては、これ又約四千家族くらいの移民を原則的には承認を得ておりますので、そのうち二百家族くらいは来年中に出したいとして計画いたしております。又パラグアイに対しましては、約百二十家族だけは出せるような話に進んでおります。更に、ブラジル、アルゼンチン等におきましては、いわゆる呼び寄せ移民というのがありまして、これは年に二千名くらいに達すると予想をいたしております。これらにつきましては、入植資金であるとか或いは渡航費であるとかいう点については、いろいろ政府としても考慮しなければなりませんので、この方面の斡旋その他に尽力をいたしております。又移民募集の選考機関も必要と考えておりまするし、更に移民斡旋所につきましては近く法案を用意いたしまして、国会の承認を得たいと考えております。これらによりまして、相手国の国民に同化するような、又相手国に繁栄をもたらすような移民を、できるだけ多く出したいと考えておるようなわけであります。(拍手)    〔国務大臣木村篤太郎君登壇、拍手〕

木村篤太郎保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 三好君にお答えいたします。  自衛力の問題につきましては、内外の情勢と睨み合せて、国力の回復に伴つて、これを漸増すべきは勿論でありますが、現在の段階におきましては、専ら物心両方面における国力の充実に努力を傾けるべきと、我々は考えておるのであります。又政府においては、しばしば声明した通り、再軍備はいたさないのでありまするから、(「閣議で何をきめた」と呼ぶ者あり)決して違憲の問題は起らないのであります。(「三百代言」と呼ぶ者あり、拍手)  保安隊の任務遂行に必要な武器は、現在米軍の下に事実上処理をいたしておりますが、これらの関係につきましては、現在保安庁において折角米軍と折衝しておる段階であります。(拍手、「その通り」「熱心な主張者じやないか」「ひどい答弁だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)    〔国務大臣戸塚九一郎君登壇、拍手〕

戸塚九一郎自由党労働大臣

○国務大臣(戸塚九一郎君) お答えいたします。  労働争議について、公共の福祉に重大な関係のあるものには、民主主義の原則を崩さないで、特に解決の方策をどう考えておるかという御趣旨でございました。お説のごとく、労働争議解決の本義は労使が自主的に解決することにありますので、公共の福祉に大きな関係を持つておる争議については、政府といたしましては重大な関心を持つところではありますけれども、やはり右の原則に則つて、公正な輿論を背景として、労使の当事者が常に良識を持たれて、自省を怠ることなく、時に応じて互譲の精神を発揮せられて、それで解決しない場合には、公正な中労委の斡旋調停等によりまして解決せられることを念願をいたしておるのでございます。併し今回の電産、炭労争議のように、国民経済、国民の生活に重大な関係を持つておりまするものが、現在のように激化して参つておりまする現状は、誠に憂慮に堪えないのであります。併し目下極めて微妙な点にありまするので、慎重に成行きを見守つておる次第でございます。又お話のうちにもありましたように、種々今後の方策についていろいろ御意見のあるところも承知いたしておりまするが、目下只今申上げましたように、非常に微妙な段階にある際、特に刺激になるようなことを願いまして、この際は差控えておきたいと存じます。(拍手)    〔国務大臣小笠原三九郎君登壇、拍手〕

小笠原三九郎自由党農林大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) お尋ねに対してお答え申上げます。  移民問題につきまして農林省の関係いたします範囲について申しますと、本年度はブラジル国、アマゾン流域に、戦後最初の農業計画移民として五十余名を送り出すこととし、目下募集中でございます。明年度はブラジル国に五百七十、パラグアイ国に百余戸を送り出すことになつております。海外移住に対しましては、今後も継続的に送る必要がありまするので、成るべく優秀な移民を送り出すことによつて、受入れ国が長く日本農民を歓迎するような情勢の招来に努めたいと考えております。(「来年は五十六人か」と呼ぶ者あり)五十六人ではございません。  零細農家の対策は極めて重要な問題であり、(笑声)政府としては、土地改良事業、耕種改善等に対する助成融資、農業共済事業に対する国の再保険等、各種の財政援助を行なつているのであります。又農業協同組合の育成強化、再建整備等を行い、この組織を通じての生産指導、その他農業生産条件の改善を図ること等、又農林漁業資金融通法、開拓者資金融通法、農業手形制度による農業用資金の低利融通を行い、又、国の補助職員たる改良普及員により農業生産指導を積極的に推進し、農家の技術向上に尽しておる次第でございまするが、今後ますますその拡充強化を図つて参りたい所存でございます。  食糧自給の計画につきましては、総合的に土地の開墾開拓のほかに、技術改善、耕種の改善等の計画を立てよとのお話でございましてさような通りにいたしております。年次的に予算措置を講じておりまするのみならず、この計画は全国的な現地調査に基いて下から積み上げた計画でございまするから、極めて実効的なものであります。なお、この計画の確実な遂行を期しまするために、その裏付けといたしまする法律案、食糧自給促進法をも準備いたしており、不日提案いたしたいと考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕

池田勇人自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(池田勇人君) お答えを申上げます。  通商産業政策は何も場当りの自由放任主義ではやつていないのであります。自由主義の基盤の上に各部門によりまして適当な育成指導をいたしております。殊に中小企業に対しましては、その産業界の占むる地位、又いろいろな政治社会面から申しまして、特に力を入れ、金融部門、或いは組織化、或いは合理化、又特定の場合につきましては先般御決議願いました臨時措置を講じましてあらゆる方面から措置をとりつつあるのであります。(拍手)    〔国務大臣山縣勝見君登壇、拍手〕

山縣勝見自由党厚生大臣

○国務大臣(山縣勝見君) 三好君の御質問にお答えをいたしたいと思いまするが、政府といたしましては戦争犠牲者に対してはできる限りのことをいたしたいと思つて参つておるのであります。御承知の通り、昭和二十二年に未復員者給与法を制定いたしまして、なお又引続いて二十三年の十二月には特別未帰還者に対して給与法を制定いたしまして、及ばずながらいたしておるのであります。殊に本年の七月の三十日に制定いたされました戦傷病者戦没者遺家族援護法によりまして、戦傷病者、戦没者遺家族等に対しては、これ又障害年金、或いは遺族年金、或いは弔慰金等を、政府といたしましては財政の許す範囲においてこれらの方々に対して給与をいたして参つたのであります。併しながら御承知の通り、軍人恩給が現在検討中であります。従つてこれらの軍人恩給がきまります際におきましては、これらの援護、或いはこれらの給与法との関連がございまするので、これらにつきましては適当の調整を現在検討いたしておるのであります。この中で、援護法につきましても、或いはこれらの給与法につきましても、軍人恩給との調整をいたし、或いはその範囲或いはその給付の内容等につきましては折角検討いたしまして、できる限り国家財政の許す範囲において国民の皆様方に対してお応えいたしたいと考えておるのであります。なお又戦争犠牲者の方々に対しましては、これらの多くは御承知でありましようけれども、生活保護の面におきましても、或いは戦争未亡人の方々に対しましては、母子寮、或いは今回補正予算に御審議を願つております生業資金等の点につきましても、何とかしてこれらの方々に対しまして、国家といたしましては報いたいと考えておる次第であります。  お答えをいたします。(「雀の涙」と呼ぶ者あり、拍手)    〔国務大臣向井忠晴君登壇、拍手〕

向井忠晴大蔵大臣

○国務大臣(向井忠晴君) お答えいたします。  食糧自給度の向上が緊要であることは御同感でございまして、農業の振興ということは何よりも大事であることは申すまでもないのでありますが、今年度の当初予算におきましても、食糧増産関係の経費は前年度予算に比して約百億円を増加しております。かようにして努めて食糧増産を図ることにしております。又、只今御質問のありました諸点につきましては、政府としましてもお説の通り増産促進の具体的施策を多角的に取上げることが肝要であると考えております。ただ今後の具体的な予算措置の細目につきましては検討中でございまして、御趣旨に副うように努力をいたしますつもりでございます。  それから、税制改革の根本方針をどこに置くか、その他地方財政の窮迫の点をおつしやいましたが、これにつきましては、税制改革は国民経済の安定と国民生活の向上を図ることを根本方針といたします。この根本方針の下に政府は来年度において一般的な税制改正を行おうといたしますが、差当り本年度におきまして、負担の重い所得税につきまして臨時特例で二百三十億の減税を行うごとにいたしたいのでございますが、この減税は平年度においては約八百億円に達するものと見込まれまして、来年度に一般的税制改正による減税を合せますと、減税額は約一千億円に達する見込でございます。  次に地方財政の問題につきましては、今回の補正予算におきまして、地方財政平衡交付金を増額、又資金運用部資金による地方税引受の枠を増大いたしましたが、地方財政については御指摘のようにいろいろ困難な問題がございますので、来年度は、財政面、税制面に亘つて根本的な改革を実施するようにいたしたく、目下慎重に検討しております。  最後に貯蓄国債の問題でございますが、政府は昭和二十八年度予算の編成案とも関連しまして目下鋭意検討中でございます。  それから教育のことをおつしやいましたが、義務教育の充実につきましては、義務教育費国庫負担法によつて、二十八年度以降教職員給与費の二分の一と教材費の一部を国庫で負担する考えでございます。なお補正予算については公立小中学校建物整備費補助約三億円を計上しております。それから産業教育の充実につきましては、産業教育振興法によつて補正予算に高等学校産業教育設備費補助その他約一億円を計上しております。学芸及び科学技術の振興につきましては、科学研究費を初め、研究費、設備費の充実に努力する考えでございます。(「校舎はどうした」と呼ぶ者あり)学校及び研究所職員の給与等につきましても慎重に考慮して措置いたしたいと思います。(「校舎はどうした」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣岡野清豪君登壇、拍手〕

岡野清豪自由党文部大臣

○国務大臣(岡野清豪君) 教育の問題につきまして触れられましたのですが、只今大蔵大臣から御答弁いたしましたことを除きまして、先ず第一に私がお答え申上げますることは、教育は今後の政治の上で最大の考慮を払うべきものである、政府はそれをどういうふうに再検討して行くかと、こういうような点でございます。これは御説の通りに、教育は立国の根本に触れる問題でございまして、その政治上非常に重大であるということは御説の通りでございまして私もそう考えております。そうでございますから、我々といたしましては、今後日本の国運を反映さして行くという意味におきましては、戦後教育に非常に力を尽さなければならん、こういう点は十分承知しておりまして、その方向に進んで行きたいと思います。ただ、問題は、戦後教育の改革が行われまして、六三三四の新学制ができたのでございます。この六三三四の新学制と申しますものは、これは民主主義としまして、非常に精神においてはいいのでございますが、ただ日本の国情にびつたり合つているかどうかということには私はもう一遍検討しなければならん。これは先ず第一の問題でございます。  次に、社会は日に日に進展しておりますので、産業界とか経済界というものが動いておりますから、その動いたのに従つて人材を如何に供給するかと、こういう意味においても私は考慮を払わなければならんことと考えます。そういう点におきまして、今後教育内容だとか、又教育の方法だとかということにつきましては十分検討してやつて行きたいと思います。(「教員の政治活動を自由にせよ」と呼ぶ者あり)私どもといたしましては、その点におきまして十分研究し、新独立国家の体面を維持し、同時に国家が繁栄して行く方向に教育を進めて行きたい。こう考えております。その次の問題は、教育委員会の運営のことでございますが、これは御承知の通りに、この教育委員会というものができましたのは、これも又私どもの考えといたしましては、日本の実情にぴつたり合うかどうかということに疑問を持つたのでありますが、(「合わんにきまつておる」と呼ぶ者あり)併しながら一旦これが法律としてきめられておりまする通りに実行されております以上は、これを堅持して行かなければならんと思います。(「今からでも遅くない」「やめたらいいじやないか」と呼ぶ者あり)その堅持して行きますにつきましては、やはりその運営について十分我々は立派に運営ができるように指導したいと思いますが、(「したくありません」と呼ぶ者あり)何を申しましても、十一月一日に実行されておりますものでございますから、その後の実績というものが如何あるべきか、まだその実績は挙つておりません。今後の実績に徴しまして、(「見通しがなくてやつたのか」と呼ぶ者あり)これは私は研究して行きたいと思います。ただ問題は、早急に解決をしなければならんことは、市町村の教育委員会におきましては任命権を持つておる。併し只今の法律上はその給与の負担は都道府県が持つております。この関係を早急に調整をしなければならんと思つて只今折角苦心中でございます。お答え申上げます(「そんなわけのわからないものを作つたのは誰の責任か」と呼ぶ者あり)

三木治朗日本社会党(第二控室・右)副議長

○副議長(三木治朗君) 竹中七郎君。    〔竹中七郎君登壇〕    〔「与党か野党か、はつきりして行けよ」「改進党民主化同盟か」と呼ぶ者あり〕

竹中七郎民主クラブ

○竹中七郎君 私は民主クラブを代表いたしまして以下順を追つてお伺い申上げます。  先ず、他党におきましていろいろ自衛力とか或いは引揚、遺家族その他の問題がありましたので、これは省略いたしまして、文教問題につきまして首相にお伺いいたしたいと思います。敗戦によりまして、占領政策の第一期といたしまして、日本民主化の線に沿われまして教育制度が改正された。男女共学、六三三四制、或いはいろいろの学制の改正、或いは民間におきましては家族制度の改正というような、いろいろ批判的立場にあるような問題が非常にあつたのでございます。これを独立いたしました今日、何とか直さなければならないというのは、国民の大多数の人が考えておる問題であると思うのであります。このたびの政府の五大政策におかれましてもこれは出ておりますが、その間におきましては、甚だ漠といたしましてはつきりいたしておりません。教育というものは、各地方地方によりましていろいろ特徴があるであるから市町村へ教育委員会を分散されましてその郷土の意味を生かすということはいいのでございますが、併しながらこの点につきましていろいろの問題がある。先ほど三好君が言われた通り、いろいろ問題がございまして、批判の的となつておる。こういう問題を本当に如何にしてやるかということは、もう一度お考えになりましてやつて頂かなければ、教育委員会の財政問題その他におきましても、これは不可であると私は考えるのであります。特に現在の青少年の動向を見ますときにおきまして、我々は肌に粟を生ずるものがある。戦前におきましては、或いはいろいろの忠君愛国とか或いは敬老、孝行とい品うようないろいろの一つの指導方針がありましてなつておりましたが、これがなくなりましたために、狂信的に共産主義に走る学生がある。非常に多い。これは文部省の弱体であるか、その教育のばらばらな制度のためであるかということに考えを及ぼさなければならんと思う。そうして、その内容におきましても、或いは日本のいわゆる歴史とか或いは修身問題がいろいろ前文部大臣におきましても考えられておつたのでございますが、こういう点を首相は如何にお考えになりまして、青少年に理想と希望を与えようとしておられますか。この点をお伺い申上げたいと思います。  次に産業振興に関しましてその一つといたしまして、農業生産力の拡充ということが考えられる。我が国の国土は狭く、狭いのを極度に活用いたしまする必要があるのでございますが、又我が国におきましては、亜熱帯から寒帯に及んでおる気候、風土、その他非常に違う。それで、このたび農林省におきましては五ヶ年計画をお立てになりまして、いろいろ御施策になつておる。戦前におきまして、土地改良におきまして暗渠排水をおやりになつた。その暗渠排水は画一的にやつたために、そんなことをやつては困るけれども、補助をもらいたいというのでやつて、その成功率は何パーセントあつたか、何十パーセントあつたかわからない。この点につきましていわゆるこの計画を適地にやられる、どういうふうにこれを推進されるかということをお伺い申上げたい。  又現在農地造成その他におきまして、開拓或いは開墾、干拓を施行中でございます。これは着々施行されております。干拓方面におきましては、或いは農林省だけでは行かない面がある。建設省と共同でやらなければならん。けれども、これは金がかかるというわけで、現在ふらふらしておる面がありますが、こういう開拓、干拓というような面を今後如何に御推進になられますか。又この開拓に対しまして入植いたされました方々の問題、生活問題に対しまして、相当思想的に悪化されておる。この問題に対しまして農林大臣は如何にお考えになつておるか。この点をお伺い申上げたい。  次に、現在の我が国で最も我々が重要といたしておりますのは青少年の就職問題であります。その端的の現われといたしまして、本年度の大学新卒業生が非常に就職難に苦しんでおるのである。文部省の調査によりますと、新制大学の卒業生が八万八千名で、旧制大学の卒業生が二万八千名、短期大学が二万一千名、それに専門学校卒業生が千三百名、合計いたしますと、十三万四千名となつております、これを一昨年の十二万二千、昨年の六万二千に比べますと、本年度は新旧両制度の卒業生が重なりまして卒業するために、特に多くなつておるのであります。この就職の見通しは甚だ悪くなりまして東京都内の大学八十七校に対しまして十一月一日現在の状況では、就職の決定した者は就職希望者の一六・一%であります。勿論これから就職の決定する者も多数ありますが、とても就職率は昨年の七一・八%とか一昨年の六一・五%というような率には参らないと思うのであります。そういたしますと、大学は出たけれどもという、いわゆる知識階級の未就職失業者が何万人も出るわけでありまして、これは由々しい問題であります。ただでさえ敗戦後の日本の青少年は希望を失つておるのであります。これに加えまして、大学は出たけれども就職はできないということになりますと、青年は自暴自棄になり、政府の方針に疑問を持ち、思想的にも動揺して種々の社会不安の原因となるのであります。かかる失業者を出すことは、産業の問題でもあると共に社会の問題でもあり、政府はこれに対しまして如何なる対策を考えておりますか。殊に青少年に希望を持たせるべく青少年を如何に指導して行こうとしておりますか。特にこの点に対しましては総理大臣の御答弁を伺いたい。  次に、やはり同様の問題が農村のいわゆる次三男問題として世間の注目を集めております。我が国の農村は人口増加が激しい所でありまして明治以来の我が国の人口は、大部分が農村に生れ農村に育つて増加した人口の大部分は、都会へ出て、工業、商業その他の職に就いて生計の途を立てて来たのであります。然るに現在は、都会でも右に申しましたように就職の機会が乏しい。分家するには耕地が狭い。かくて次三男は一体どこへ行つて何をして暮しを立てたらよいかということに非常に悩まされておるのであります。政府は、或いは保安隊へ入ればよいと言うかも知れませんが、保安隊でも収容し切れないほどの次三男がある。農業動態調査が今年二月一日現在で行われ、それを分析した結果は、農家のいわゆる次三男というべき人口が七十万から八十万はあるだろうということになつております。これに如何に就業の途を与えて行くかは、農業経済の中だけではなかなか解決できない問題であると思うのでありますが、農林大臣はこれに対して如何なる対策を持たれるか。このように青少年の就職の問題が重大化している上に、街には見えざる失業、潜在失業とも言うべき人口も我が国には頗る多いのでありまして、これが思想の動揺と社会の不安の原因となつておることは申すまでもありません。首班の決定をめぐつて何カ月も政治上の空白を来たすような悠長な状態ではないと思うのであります。一日も早くこれが対策を樹立して不安動揺の一掃に努められんことを希望するものであります。  如何にして就職の機会を増すかということは、第一に産業の振興に指を屈しなければならないと思います。その一つといたしまりて、農業生産力の拡充ということが考えられますが、これは先ほど申した通りでございます。  次に、貿易の振興を考えなければならない。明治以来、我が国が進展して来ました跡を顧みますと、その大部分が貿易の発展ということに関連しておるのであります。貿易の不振のときは我が国の経済が如何にみじめなものであつたかは、終戦直後の日本が海外との交通を遮断されまして、殆んど貿易らしいものを持たなかつた時に、如何に惨澹たるものであつたかを想起いたしますれば十分であると思います。幸いにして、その後、貿易量は順調に増加いたしまして、国民の経済生活も順次よくなつて参つたのでありますが、その位置はまだまだ低いのでありまして、昨二十六年の輸出入合計は三十四億ドルという数字ですが、これが日本貿易の歴史上でどんな地位にあるかを見ますために、この輸出入合計を物価指数で修正して明治初年と比較いたしますと、昭和二十六年は二十三倍になつております。非常に殖えているようでありますが、明治末期に明治初年の十倍になり、二十倍となり、昭和十二年には三十五倍になつておるのでありますから、昨年の貿易高は大体大正の末期頃の数字にしか回復していないのであります。従いまして、貿易量をもつと増加させるよう努力しなければならないのでありますが、その貿易が昨今の状態では再び不振になつて来ているのであります。特に貿易の不振が目立つて来ている。輸出認証高の統計で見ましても、昨年十月から毎月一億ドル以上であつたものが、本年六月から一億ドルを割り、十月になつて漸く一億ドルに回復したようなわけで、月別で昨年度よりも多かつたのは僅かに一月、二月、九月の三ヵ月だけであります。従いまして、本年度の輸出額は昨年の十三億五千万ドルにはとても達しないだろうということになつております。幸いに、特需、新特需のお蔭でドル収入が多く、輸出が不振でも輸入外貨に困ることはないのでありますが、貿易の本筋から言つて、一時的な収入ともいうへきこれらのドル収入に依存するのは健全とは申されません。速かに正常なる輸出振興に努力しなければならないと思うのであります。  輸出振興に当つて最も大きな障害となつておるのは、支那大陸が我が国の貿易相手国から姿を消していることであります。対中共貿易の開始は我が国といたしまして最も望ましいのでありますが、現下の国際情勢ではなかなか困難であることはこれを了承するにやぶさかではないのであります。併し、この大国が貿易相手国でないということは、それだけ他の諸国との貿易を拡大するよう特段の努力を払わなければならないということになります。そして若し他の諸国との貿易が順調に伸長しない場合には、我が国といたしましては常に対中共貿易の再開に心を惹かれざるを得ない状態にあります。政府はこの点を十分に認識して貿易政策の方針を樹立されたいと願うものであります。そこで、現在世界の貿易がそれぞれの国の主義によりまして縮小的な傾向にあることは、我が国にとつて甚だ不利な情勢でありまして、時代はまさに一九二七年国際経済会議が開催されました当時、或いはそれ以上に不利な状態にあると思うのであります。従いまして、国際間の自由なる通商を促進するよう我が国の貿易に関する国論を統一いたしてむしろ率先して国際経済会議開催の機運を醸成すべきであると思うのでありますが、外務大臣の所見は如何でしようか。  ガット加入は独立以前からも要望され、政府も大いに努力されていることは認められますけれども、その加入が未だに認められず、従つて諸外国へ日本商品が輸出される場合、ガットの低い関税率の恩恵を受け得ないことは甚だ遺憾であります。殊に米国における、新政権により関税引上げの気配があることも、我が国の輸出にとつて大きな悩みの種であります。相手国の関税引上げに対して外務大臣は如何に対処しようとしておるか、ガット加入の見通し等に関しまして御所見を伺いたいのであります。  海外との交渉が遅々として進まない上に、我が国の輸出促進対策も又甚だ微弱であることは誠に遺憾であります。西独における輸出の異常なる進出の蔭には、西独の思い切つた振興対策があるのであります。輸出を多くするためには輸出品の価格を低くする必要があり、そのためには輸出産業の合理化が強く要請されるのであります。そのために政府は保有外貨の活用によつて輸入を促進すると声明し、特に又通産当局は、約七億に達する手持ちドルを利用して産業合理化に必要な機械類の輸入を図り、それによつて日本商品の国際競争に堪え得る基礎を作ると表明しておるようでありますが、これは一見して極めて妥当な政策と考えられますが、その実一つの重要な問題を含んでいると存じます。即ち合理化用の機械を輸入するという名目のもとに一部先進国の中古機械が輸入されて若干の国内業者を圧迫する虞れがないかということです。この点につき当局は如何なる御見解を持っておりますか。  又、我が国では輸出品の低廉を図らねばならぬにもかかわらず、税制の不備によりまして、必ずしも輸出品が免税されていない場合があり、そのために我が国の商品の割高という結果を招いている例があるのであります。物品税のかかつた商品が原料品として用いられ、それが完成品として輸出されるとき、必ずしもその物品税は払戻されないのであります。この際かかる物品税は全面的に底止する意図はあるかどうか。大蔵大臣に伺いたい。  又、通産当局は貿易振興策の一つとして貿易商社の強化を主張し、現在の貿易商社は余りに弱体なので、この際或る程度その整理統合が必要であると声明しております。又その促進助成策として、メーカー金融と商社金融を切り離したり、外貨貸付を商社に多く割当てるなどを挙げているようであります。この貿易商社の整理統合は確かに或る程度必要なことと考えられますが、又半面において、弱小と目される中小の商社並びにこれに関連いたしまする中小メーカーなどに対する措置も簡単に看過しがたい問題でありますが、これに対しまする政府の御所見を承わりたいと思います。  産業政策に関しまして次にお伺いいたします。最近における生産過剰対策であります。生産が豊富になることは勿論歓迎すべきでありますが、その豊富さが程度を越しまして過剰生産となり、業者の無謀なる競争によりまして出血生産になることは、必ずしも歓迎されないと思うのであります。製品の過剰もさることでありますが、設備の過剰を来たすことは、資本蓄積の少い我が国にとつて憂うべきことであります。この点に鑑みて国会は今年、特定中小企業の安定に関する臨時措置法を制定して、中小企業のうち特に生産過剰の慮れある業種につきましては、自主的に生産制限、出荷制限等を行い得るようにしたのであります。政府においてもその必要を認めまして、重要産業安定法案なるものを用意して今国会に提出するやに聞いておりましたところ、池田通産大臣は、未だその時期にあらずと、これが中止を決定された由でありますが、後進国といたしまして先進国に対抗する必要上、或る種の協定によつて生産を調節し、安定せる産業の発展を企図することは必要ではないかと思います。独禁法をその程度まで緩和する必要があるのじやないか。これに関しまして大臣は如何にお考えになるか。又現在その時期でないとするならば、将来その時期が到来下ると考えるか。御所見を承わりたいのであります。  次に特定中小企業の安定に関する臨時措置法につきまして衆議院におきまして附帯決議があつたはずであります。即ち、生産調整によつて生ずることある損失に関しては、有効適切な補償の途を講じなければならないこと。又、調整命令が効力を有する期間に限り、指定業種に属する事業の新規開業については、これを抑制するために適当な方法を講ずること。    〔副議長退席、議長着席〕  更に又、調整組合又は連合会が、この法律に基いて生産調整を行うために必要な資金を借入れる場合に、政府は、予算の範囲内において年五分を限度として、当該資金の借入れにかかわる利子をその融資期間に対し補給すること等であります。ところがその後の経過を見ますると、政府はそれを実行しておらない。全然無視している。現在調整組合が生れようとしておりますが、それが活発に動けないのは、これら中小企業が生産や出荷の調整をする際の金融が付かないところのいわゆる自転車操業を行なつているからであります。政府はこの決議を如何に実行するつもりであるか、御答弁願いたい。  次に中小企業の年末金融は、又々困難を告げつつあるようであります。年末金融は今や中小企業の年中行事になつたかの感がありますが、これは中小企業金融対策について常に抜本的な対策が講ぜられないからで、いつでも応急的な、場当り的な措置を講じているからであります。政府は、施政演説でも、国民金融公庫へ三十億、商工中金へ二十億の資金を増すことを述べており、その熱意は相当見るべきものがありますが、更に政府において、この際、中小企業金融特別会計を作り、政府から相当の出資を行い、その資金を銀行その他の金融機関を通じて中小企業に貸付け、以て設備資金と併せて長期運用資金を供給する意図はないか。又見返資金が現在開銀を通じて貸付けられておりますが、中小企業の要望に応え、これを設備資金に限ることなく、長期運転資金にも廻し得るようにする考えはないか更に又、現在下請代金の支払が親会社からなかなか支払われず、中小企業は非常に困つておるが、この支払を促進するために何らかの法律的措置を講ずるお考えはないか。これらの点につきまして御所見を承わりたいと思います。  産業の振興と関連いたしまして、国内資源の開発の重要なことは申すまでもありません。国会は先般電源開発促進法を通したのでありますが、電源開発に関しまして総理並びに経済審議庁長官に二、三お尋ねいたします。総理が産業の基盤育成のために電源開発を一層促進する旨を言明されたことは、私も大いに賛意を表するところでありますが、具体的な施策について何ら方途を示されておらないのであります。政府が行うところを見ますと、我々の理解に苦しむ点がたくさんある。電源開発促進法が七月末を以て成立、公布され、電源開発会社も又九月に発足された現在といたしましては、電源開発会社の行うべき開発計画には、国民は大いに関心を持つているのであります。その電源開発会社の資金が、その過半を政府資金による関係から、各地区共にその恩恵にあずからんと希望しておることは当然と思います。又、法文上から申しましても、同法第十三条に示してありまするごとく、「只見川その他の河川等に係る大規模な又は実施の困難な電源開発、国土の総合的な開発利用及び保全に関し特に考慮を要する北上川その他の河川等に係る電源開発、電力の地域的な需給を調整する等のため特に必要な火力又は球磨川その他の河川等に係る電源開発」等に見るごとく、政府の行うべき重点を法文に明示されているのであります。然るに経済審議庁の公表を見まするに、法文上に重点を明示された河川の中で、只見川及び球磨川は調査河川ということでお茶を濁され、開発計画にはまだ載せられていないのであります。更に経済審議庁発表の地区別の水力電源開発計画を見ましても、電力会社、開発会社及び県営等の一般供給用の新規及び縦続開発計画の合計を見ますると、中部の五十八万キロ、関西の三十八万キロ、東北の三十万キロ等が大口でありまして、需用の最も多い関東地区は僅かに七万八千キロ、九州が十二万キロとなつております。水力と火力の合計についてもその傾向は同様でありまして、地区別需用に比して開発計画が格段に低いのは関東地区でありましてこれに次いで少いのは九州であります。  以上の事実に鑑みまして、質問の第一点といたしましては、法文に示されておりまする只見川及び球磨川の開発につき、政府は本気でやる気があるのかどうか。関東地区が開発計画の最も貧弱であることは前に述べた通りであります。その穴埋めといたしまして、目ぼしい未開発水力を持たない関東地区といたしましては、只見川に依存せざるを得ない状態でありますが、その只見川の本名、上田両地点の水利権を、閣議決定を以て東京電力から東北電力に強権を以て移動せしめたことは、甚だ奇怪なことであります。電源開発法には、只見川は特に電源開発会社にて開発すべきものと明記されております。同法案が七月七日には参議院を通過しているにもかかわらず、七月二十五日の閣議決定にて、同法案の趣旨を無視し、且つ未開発電源の貧弱なる東京電力から、電源の豊富なる東北電力に移動を決定したことは、甚だしく不当な処置と思うのであります。この問題については委員会でも詳細に検討することとなると思いますが、差当り、本問題につき、裁判の結果を待たず、進んで再考する考えがあるかどうか。本件につきまして特に政府は電源開発促進法を忠実に実施するお考えがあるかどうかをお伺いいたしたいと思うのであります。  以上のように、産業振興によりまして就職の機会を増加することは、青少年の就職を促進するための積極策でありまして、広く人口問題の解決策となるので、現在の日本のように人口の多い国は、積極策といたしましては、産業興隆が必要であると共にもう一つ問題があるのでありまして、それは何であると申しますならば、これは先ほど三好君が言われました通り、移民の問題があるのであります。その次にもう一つは産児制限問題、この問題があるのであります。  産児の調節につきまして特別に本年度は受胎調節の普及に必要なる経費といたしまして二千二百万円程度の国費を支出して三百二十九カ所の保健所に優生保護相談所を置き受胎調節の指導をさせる一方、助産婦、保健婦、看護婦等に受胎調節に関する講習を行い、これを受胎調節指導員として指導に当らしめることになつたのは、誠に当を得た方法であると思うのでありますが、このくらいの経費ではその目的を達し得ないと思うのであります。何となれば、我が国の現状から言つて、指導料を出して受胎調節の指導を受け、その上に器具薬品をみずから購入して使用せんとする者は、かなりの費用を要するので、いわゆる中流以上の有産階級或いはインテリ階級のみであつて、従つてかかる方面の者のみが受胎調節を行なつて出生を抑制し、他方、生活保護等を受けている階級の人々並びに多数の子女を有し生活に困窮している者は、たとえ受胎調節の方法を知つてもこれを利用するだけの経費がないために、これを行うことなく、相変らず多数の子女を分娩しているので、人口のいわゆる逆淘汰を来たすことになりまして、国の補助額はますます増加する一方であるということになるのであります。従いまして、かかる方面の人々に対しては、受胎調節の方法を無料で指導せしめ、なお必要なる器具薬品は国が無料で指導員の手から配付せしむるようになりますれば、初めて意義ある受胎調節が実施されるものと思います。而もこれに要します費用は十億以下の金で十分であると思うのでありますが、政府は直ちにこれを実施する考えがあるかどうかということであります。又この頃にきおましては、最近精神薄弱者が非常に増加しております。子供におきましては、蒙古病と言われる低能児が現われております。一方パンパンのごとき安易な職業を選ぶ婦人には精神薄弱者が多分に認められ、殺人強盗等の重罪犯人には精神異常者が多いと言われておるのでありますから、これらの出生をでき得る限り防止することが、民族の逆淘汰を防ぐ上におきましても、又社会不安を除く意味からいたしましても、極めて重要でありますから、国といたしましては、先ず保健所並びに刑務所の職員中には精神科を専攻した医師を採用しまして、これを鑑別させ、それらの人々には十分理解をせしめて、優生手術即ち避妊手術を行わしめ、又刑務所服役中の者には優生手術を受くれば刑期を幾分短縮してやる等の方法がとれないものかどうか。この点をお伺い申上げたいと思います。  次に、社会保障制度審議会では、一昨年十月第二回の勧告に当り、特に社会医療の面について要望しておりますが、未だその実現が思わしくなく、而も却つて逆転するものさえあるようであります。例えば社会医療、特に健康保険並びに国民健康保険は、給付費に対する国庫補助がないために、国保組合は開店休業の状態にあるものがあるのであります。これは是非二割の国庫補助を必要と考えますが、この点につきましては、厚生省におきましては相当御努力になつておりますが、大蔵当局におきまして難色があるのであります。この点につきまして大蔵当局は如何にお考えになるか。又厚生当局はこの点につきまして努力する意思があるかどうか。この点をお伺い申上げたいと思います。  現在我が国におきまして統制されておりますのは、米の統制と、健康保険の統制でございます。一方、健康保険料金に対する税の軽減その他をやつておりますが、これに対する医師のほうに対しまする医療並びに料金の統制されましたものの恩恵というものが少しもない。この点につきまして大蔵大臣或いは厚生大臣はどういうふうにこれをやつて行くか。この頃、地方税の減免、特別所得税の減免というのがありますが、いわゆる社会保険だけを切離して或いは税制において、或いはほかの点におきまして御考慮にならなければ、本当に医療関係社会保険というものが発達しない、かように考えますが、この点をお伺い申上げたいと思います。  以上を以ちまして私の質問を終りたいと思います。(拍手)    〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) 竹中君にお答えいたします。  独立後の国民思想の涵養は文教政策によるほかないが、どう考えるかという御質問でありますが、文教政策はお話の通り国民思想涵養に寄与するところ頗る大なるものがあることについては御同感であります。当面の文教政策としては、愛国心の涵養と道義の高揚に重点を置く考えでございます。戦後の教育改革に再検討を加えると共に、学校教育及び社会教育の刷新強化に力をいたすつもりであります。  青少年の就職が不振である、これの対策如何というお尋ねでありますが、これは誠に遺憾なことでありますが、只今当局者においてその就職の斡旋に努力いたしております。産業の復興、或いは貿易の振興と共に自然この問題も解決することを期待いたします。(拍手)    〔国務大臣岡野清豪君登壇、拍手〕

岡野清豪自由党文部大臣

○国務大臣(岡野清豪君) 只今総理大臣から御答弁申上げましたことに附加えまして申上げたいことは、学校教育を十分充実してやることも無論必要でございますが、今までに欠けておりましたところの青少年の社会教育ということにも今度重点を置いて行きたいと考えております。と申しますのは、義務教育を受けております、即ち小学校に行つております者が千百万おりまして、中学校に行つております者が約五百万おります。併しその以後十五歳から二十五歳までの青年層でございますが、これは約千六百万人ございます。そのうちで高等学校に行つております者が百八十一万、それから夜学に行つております者が五十三万、大学に行つております者が、官立並びに私立に行つておりますのが約五十万でございます。そういたしまするというと、千六百万のうち二百八十万前後は学校教育を受けておりますけれども、あとの者は勤労しておる者でございます。私どもといたしましては、この勤労の青少年に対して、或いは夜学を拡充するとか、又只今緒についておりますところの青年学級の級数を殖やしまするとか、又もう一つ新らしく考えておりますことは、短波でも利用しまして、そうして通信教育をやつて行きたいと、こういう考えでやつております。そういうふうにいたしまして、今後道義の高揚、愛国心の涵養ということをやつて行きたいと、こう考えております。  それから来年度の就職の問題でございますが、これは私の考えといたしましては、元、大学並びに高等専門学校がありましたときには、約十万内外、十一万くらいの卒業生があつたのでございます。ところが、それが新制大学になりまして、専門学校が皆大学に昇格いたしましたものでございますから、昨年度は即ち六万一千でございますけれども、これは大学だけでございます。新制大学は来年初めて出て来ますものですから、それで十三万四千になりますが、この十三万四千と申しますものは、元の大学並びに高等専門学校を合せたものの卒業生が今度出て来るということであります。成るほど昨年六万一千でやつと就職しておりますが、来年度は就職困難だろうということは無論我々も考えておりますし、世間の情勢がそうなつておりますから、極力この就職を世話することについて、大学当局にいろいろ就職斡旋の係を充実してやらしております。文部省といたしましては、係官を全国に派遣いたしまして、業者と大学との連絡を付けるようにいたしております。私も先般大阪に参りまして、私の考えといたしましては、こういうような世の中になりまして、大学卒業生であるから大銀行とか大会社だけに入ろうと、こういうようなことを考えることは、これは間違いである。高等専門学校を卒業した人が、大銀行、大会社以下の中小の方面に入つておつたということを思い起しまして、中小企業の連盟に働きかけまして、中小企業者に大学卒業生を採つて頂くと、こういうことにいろいろ話を進めて参りました。ところが大変この結果はようございまして、先般一カ月ほどの間に、中小企業者から四百五十人ばかりの求職の申込があつたわけでございます。(「大したものだ、お手柄ですね」と呼ぶ者あり)そこで大学卒業生も、自分自身で考えを直し、同時に中小企業者が、これは経済問題になりますけれども、どうも中小企業金融がうまく行かんと言いますのは、政府も随分努力をいたしておりますけれども、これが受入態勢がまだしつかりしておりません。成るほど中小企業で発展されたかたは、おのおの御自分の非常な秀でた技術によつて事業が発展しておるのではありますが、銀行から金を借りるとか、大きな会社から下請けを受けるという場合に、やはり幾らか一般の知識を持つた経営者がおらぬと、こういうことに欠点があるようでございます。でございまするから、大学を卒業したというような人が中小企業に入れば、将来中小企業がいろいろな意味においてよくなつて行く可能性がある。同時に卒業生の捌け口もできる。こういう考えでございますから、私どもとしてはこの方面に力を入れて行きたいと存じております。それから御説の通り、若し就職が十分できませんで、大学を卒業した人が市中に溢れるということになりますれば、思想上我々は余程注意しなければならんということは、竹中さんの御高説の通りでございます。その点を非常に恐れておりますから、できるだけ就職に努力いたしたいと存じております。(拍手)    〔国務大臣小笠原三九郎君登壇、拍手〕

小笠原三九郎自由党農林大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 農業生産力の拡充問題についてお尋ねがございましたが、今回の食糧増産計画は、竹中さんが指摘されたように、過去の事柄等に鑑みまして、実地に即して増産量、事業量及び所要資金について、綿密な年次計画を立てたものでございます。(「できますか、本当に」と呼ぶ者あり)  その次に開拓等についてのお尋ねがございましたが、これは向う五ヵ年間に開拓干拓等によりまして約三十七万町歩の農地の拡張を図りたいと考えております。決して仰せになつたような、軽く見ておるものではございませんので、一貫した施策の下に実行して参りたい所存でございます。  農家の次三男対策についてお尋ねがございましたが、これは第一に、今後とも開拓干拓等を食糧増産計画の線に沿いまして計画的に実施いたし、極力農家の次三男をば、開拓地、干拓地等に受入れまして、自作農家として育成いたしたい所存でございます。又畜産を奨励いたしましてこの部門にも次三男対策の一つの狙いを背負つて参りたいと考えるのであります。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 国際経済会議というようなことについてお尋ねでありましたが、御指摘のように、只今の貿易の不振はドル不足とか輸入制限等に基いておるのでありますから、有力なる貿易国が参加するこういう会議が若しできますれば、これは非常に有益だとは考えておりまするが、只今はぼつぼつ各国でそういう声が出ている程度でありまして、まだ具体化には至つておりません。又ガット加入の問題につきましては、この間の第七回の総会で、日本の加入時期及び条件をこの次の総会までの間に開きまする会期間、委員会で審議することになつております。併しながら加入に先立ちましては関税交渉その他いろいろのことをやらなければなりませんので、今折角その準備及び交渉を進めつつありまして加入には総会の中の三分の二以上の賛成を必要としますので、まだ多少の日子がかかることは、これは止むを得ないと思いまするが、でき得る限り早く加入できるよう今努めております。(拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕

池田勇人自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(池田勇人君) お答え申上げます。  重要産業安定法につきましては、提出しないときめたわけではないのでございます。只今検討を加えております。  次の特定中小企業の安定に関する臨時措置につきましての御質問は、御承知の通り施行後まだ日もございませんので、只今この臨時措置法によるものは、輸出絹、人絹の一部と、マッチだけでございます。この運用につきましては御決定の趣旨を十分体しまして万全を期したいと思います。  なお機械の輸入につきましては、古機械とか役に立たぬものはやつておりません。発電機械等につきましても、特に優秀なものを制限して入れる、見本的に入れるという建前でおるのであります。従いまして、優秀な機械を入れまして、それを土台にしてこちらで作るという考え方で進んでおるのであります。  又貿易商社の強化によりまして、中小貿易商社が困るのではないかというお話でございますが、御案内の通り、各商品別におのおのその特殊性を持つた中小商社ならば、私は困ることはないと思います。なお又日本の産業上特に今弱いのは問屋でございます。それで貿易商社を強化すると共に、私は問屋制度を復活させたい、こういう気持でおるのでございます。従いまして中小商社が問屋に変る場合もございましよう、又特殊の機能で中小商社として立つて行く場合もあると思います。  なお審議庁関係での御質問で、電力の開発でございまするが、先般、十勝、北上川等五河川を開発地点として決定いたしました。又第二の開発地点を最近の審議会で決定する予定であるのであります。又お話の只見川、熊野川、吉野川、球磨川、琵琶湖、二の五地点につきましては、電源開発会社で調査をいたすことに決定いたしたのであります。できるだけ有力なと申しますか、いい所を選んで早急に開発させて行きたいと考えております。なお関東地方には電源開発会社のやるのがないというお話でございますが、これは天龍とか或いは庄川をやれば、中部、関東には送電はできるのであります。何も関東地方とか中部地方とかで、電源開発の地点のない所をやる必要はないと考えておるのでございます。なお又只見川に関連いたしまして東北電力が只見川の一部の開発をしているということはどうかと、こういうお話でございますが、これは水利権が東北電力にあると建設省で認められましたので、通産省といたしましてはこれに開発の許可を与えたのであります。ただ問題は、電源開発会社がこれを受継いでやつたほうがいいということに審議会できまれば、電源開発会社のほうへ移し得るという規定を置きまして、早期開発に努力いたしておるのであります。(拍手)    〔国務大臣向井忠晴君登壇、拍手〕

向井忠晴大蔵大臣

○国務大臣(向井忠晴君) 物品税を課せられた物品を原材料として課税物品を製造する場合には、原則としてその原材料に対する物品税は、政府の承認を受けた場合には免除することにいたしております。又物品税を課せられた物品を輸出する場合にも同様免税の措置を講じております。  中小企業金融の充実のために、中小企業金融特別会計を設けるかどうかというお問いでございましたが、政府は中小企業金融の積極化を図るために、当初予算において特に意を用いたのでございまして、今日の補正予算におきましても、国民金融公庫、商工中金等の資金を増加する措置を講じまして、これらの措置によりまして中小企業方面への資金の疏通は相当図られると考えられますので、現在のところ中小企業融資特別会計を設けることは考えておりません。  産児調節について、受胎調節の予算的措置をお尋ねでございましたが、これは只今までの必要な経費を計上しております。又明年度の予算の編成に当りましても十分配意いたしたいつもりでございます。社会保険に対する国庫補助ということは、事務費の全額国庫負担を行なうほか、国民健康保険については本年五月国民健康保険再建整備資金貸付法を制定しまして、診療報酬の未払いを解消し、又保険事業の再建整備を助成するために、長期資金を貸付ける措置を講じますと共に、保険料徴収率を向上せしむるため奨励金を交付する方途を講じました。なお国民健康保険等の給付費に対する国庫補助につきましては、各保険の財政状況等を勘案して目下検討中でございます。(拍手)    〔国務大臣山縣勝見君登壇、拍手〕

山縣勝見自由党厚生大臣

○国務大臣(山縣勝見君) 竹中君の御質問の三点に対してお答えをいたしたいと思います。  先ず第一に受胎調節の問題でありまするが、これに対しては先ほど人口問題に関連してお話がございましたが、厚生省といたしましては母体保護の見地からいたしておるのであります。なお、この受胎調節に対して適切な方法の普及徹底のお話がございましたが、これに対しては御承知の通り、かねて府県等にあります優生保護相談所を中心にいたし、なお又医師会或いは助産婦会等の諸団体の協力の下に、医師或いは実施指導者等を動員いたしまして、現にこの適切な使用方法の普及徹底に政府は努力いたしておるのであります。なお又これらの器具或いは薬品等に対して、国庫の負担においてしてはどうかというお話がございましたが、竹中君のお話にもございました通り、全体といたしましては大した金額ではないからというお話の裏を返せば、若しこの使用方法の適切な普及を徹底いたしますならば、各戸の家計に影響いたしますほどのものでございませんので、これに対して国庫負担の下においてその器具或いは薬品を支給いたす考えは現在のところ持つておりません。  なお、第二の精神薄弱者に対する点のお話がございましたが、これに対しましては御承知の通り、府県にありまする精神衛生相談所等を中心にして折角政府といたしましては最善の努力を払つておるのであります。なお又遺伝性のものにつきましては、優生保護法によつて優生手術をいたしておりますことは御承知の通りであります。  なお第三点の国民健康保険に対する給付費の国庫負担の問題でございまするが、これは現在国民の生活に脅威を与えておりまする疾病に対して何とかいたしたいということは、従来政府がこの健康保険に対しましても、例えば奨励交付金を出し、或いは再建整備資金を出しまして努力をいたして参つておるのであります。併し現在まだ全体の三割五分にも満たぬのでありますから、今後国民が生産の活力を持ちまするような意味におきまして、疾病の脅威を去りまするための最善の措置を、政府といたしましても大蔵当局と話をいたしまして、国家財政の許す限りにおいて努力をいたしたいと考えておる次第であります。

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 大山郁夫君。    〔大山郁夫君登壇、拍手〕

大山郁夫第一クラブ

○大山郁夫君 議長並びに議場の皆様、私は、私が所属しております第一クラブの同僚諸君の理解ある承認を得て、私の一個人の立場から吉田首相の施政方針演説並びに岡崎外相の外交演説について若干の質問をしたいと思つておるものでございます。  それで先ず第一に、私はアジア問題について、この両相がお話になつた点について質問をしたいと思つているのであります。勿論最近において、我々の平和運動において、アジア問題が非常に大きく浮び上つたことはお互に熟知している通りであります。終戦後の我が国の平和運動は、初め民族独立の問題としつかりと結び付いておりました。即ち、この民族独立という、日本のみならず、すべての民族が本当に独立を得なければ世界の平和は得られないという、この立場から出発したものでありますが、同時に又、世界の平和がなければ真の民族独立もないという、こういう考え方と結び付いておつたのでありますが、更にこういうような考えが発展して参りまして、いわゆるアジア諸民族間の連帯性意識、それが非常に平和問題と固く結び付くようになつて来た。即ち我々がアジア諸民族との非常に密接な提携をして、そうして世界の平和建設に努力するのでなければ、本当に我々は世界の平和に対して何らの貢献をなすこともできない。こういうところへ当然傾向が向いて来たわけでありますが、併し同時に又我々が平和運動を進めている間に、アジア諸民族と、我々日本国民というものが、一つの運命共同体とも言うべきものを作つているというような意識も強くなつて来た。我々は地理的にアジア大陸の一部だけではない。経済的にも、それから文化的にも、社会的にも、どうせアジアと共存共栄をしなければならないような運命に置かれている。だから我々は、亡びるも、興るも、倒れるも、立ち上るも、朝鮮の兄弟たち、中国の兄弟たち、否、アジア全諸民族と共に進んで行かなければならないというような気持を持つようになつて来たのである。それ故、我々はアジアおいていろいろ国を作つているものが、これが各国のこの政治、制度というようなことを超越して、或いは又我々お互いに一人々々が抱いている社会的なイデオロギーというようなものを超越して、飽くまで手を握つて行かなければならない。そうして世界平和建設に協力しなければならない。こういうような立場から来ているのでありますが、ともかくこのアジアの連帯性、最近においては更にこの意識というものが非常に発展して、アジア、太平洋地域の連帯性というようなものになつて来たことは事実でありますが、ともかくそういうふうに、アジア問題というものは非常に大きく見られるようになつたのでありまするから、私が首相及び外相の演説を聞いたときに、第一にそのアジア問題に対するそのお言葉に注意を向けたということは偶然ではなかつたのであります。それで、首相はこういうことを言つておられた。アジア諸民族の親善を深めるというお言葉を使つておいでになるのである。又岡崎外相は、我々と志を同じうするアジア諸民族の上に理解と友情を確立するとか樹立するとかいうような、こういうことを言つておいでになつたように思われるのであります。それで、そういうお言葉を聞いたときに、すぐに私が気が付いたことは、一体このお二人は、アジア諸民族とか、或いは又、志を同じうする……いや失礼しました。アジア諸民族ではない。首相は確かアジアの民主主義諸国という言葉を使つておいでになつたと思います。アジアの民主主義諸国とか、或いは岡崎外相が言つておいでになつたこの志を同じうするアジア諸民族、こういうことは一体具体的に何を意味するのであろうかということであつたのであります。わざわざそういうような言葉を、民主主義諸国とか、或いは志を同じうするアジアの諸民族、こういう言葉を、こうしてお使いになつたのは、これは労連とそれから中華人民共和国、この二つを除外しようというようなところから来ておるのではないかというふうに考えられたのであります。そうすると、このアジア諸民族との提携ということは、我々並びに我々と共鳴しておるところの大衆の意味とは非常に違う。我々はこのアジア諸民族との提携ということを言うときには、各国の政体であるとか或いは又イデオロギーというものを超越してそれを言つておるのでありまするが、この御両人はそうではなくて、もうそれと間違えられないような言葉をこういうふうに使つておいでになる。その意味はようくわかるのでありますが、併しわかると、又違つた疑問が起つて来るのである。このアジア諸民族との親善を深めるという、アジアの民主主義諸国との親善を深めると首相が言つておられるときに、そのアジアの民主主義諸国というのはどういうことを意味しておるのであるか。恐らくあのアジアの端のアラブ十三カ国というのではなくして、もつと日本に近い、通商関係も非常に深くなるということが考えられるところの、少くともアジアの中部からこつちの、即ちインドであるとか、パキスタンであるとか、インドネシアであるとか、インドシナであるとか、フイリピンであるとか、それから又蒋介石政権の下における台湾であるとか、或いは又李承晩政権の下における朝鮮というような、こういうところを念頭に置いておいでになると思うのでありますが、そうわかつて来ると、又その次の疑問が生ずるのでありますが、一体若し李承晩の治下の朝鮮とか、或いは又キリノ大統領の治下のフィリピンであるとか、それからあの独裁的な元帥のピプン・ソンクラムとか申しましたか、あの将軍の治下にあり、又あの将軍の行なつたクーデターの産物であるところのタイ、それから又あのフランスのかいらいであるところのハオダイ皇帝の治下に置かれておるところのインドシナ、こういう国が一体民主主義と言われるのであろうか。これは大きな疑問であります。(拍手)若しこのかいらい政権というのが民主主義だというのだつたらば、それはそうかも知れない。そうすると日本も立派な民主主義国ということになるのではないか(「吉田民主主義」と呼ぶ者あり、拍手)だが、本当に民主主義の国というのだつたら、いわゆるこの政治上の通念から言つたならば、そういう国を民主主義というのには、いささか異議があるように考えられるのであります。それから勿論そのインド、それからインドネシア、ビルマ、こういうような国は、我々の政治上の通念から言つて確かに民主主義であるのだが、併しながらこういう諸国はこれはもう中華人民共和国を承認しておるのであります。そこで本当に吉田内閣と隔意なき了解ができるかできないかというようなことはどうかと思うのであります。あのインドのネールは、そういう中華人民共和国が入つておらないようなそういう講和会議というものは、これは無意味であるとか、或いは又占領下における日本に対してはどんなことでも命令できる、そういうような日本を相手にしている片手落ちの条約なんというものは何も意味がないものであるということで、こういう意味でサンフランシスコ会議に行かなかつたのでありますが、ともかく初めからあの中華人民共和国というものを認めているのであり、今日でも変つておらないということは、丁度二、三日前の朝日のあのニューヨーク・タイムスのサルツバーカーのニューデリーから発したあの通信で読んだのでありますが、あの中において、ネールはこのサルツバーカーの問いに答えて、アジアの平和というものは、日本と中国、即ち中華人民共和国、日本と新中国との間の了解がなければ実現できないものであるというようなことを言つておつたのでありますが、ともかくこの点から言つたならば、あのネールの考えというものは、吉田総理或いは岡崎外相の考えとは千里もただならならざる相違があるのであるというふうに考えるのであります。それと、もう一つは、我々は今日この演壇から日中貿易の問題が叫ばれたように思うのであります。それから又日ソ貿易というようなことも盛んにこの頃言われておるのでありますが、私は丁度今から二年半ほど前に第八国会においてこの演壇からそういう問題を叫んだ。二のときはまだ大した問題になつておらなかつかのでありますが、それ以後どんどんこれが問題になるようになり、そうして日本の津々浦々どこへ行つてもその必要が叫ばれているのである。大阪へ行つても、名古屋へ行つても、或いは下関へ行つても、九州へ行つても、北海道へ行つても、やはりこの問題が同じように叫ばれて、そうして日本の本当の自立経済、少くとも日本があの軍需産業の再建というような、亡国的な、そういう経済的な建前に立たないならば、もう日中貿易というものは避けられないものである。そういう日中貿易に対する要求というものはどこにでも起つておるのであり、それから又、この日ソ貿易の問題でも、現在でも、或いは少し前の近き過去においても、やはり或いは樺太炭であるとか、木材、パルプ、こういうものを輸入して、そうして日本の繊維工業であるとか、或いは漁船に使う網であるとか、そのほかいろいろの果実であるとか、こういうものを貿易すれば、非常に日本の経済の足しになるというようなことも言われておつたのでありますが、殊にあのソ連においても五カ年計画がどんどんどんどん成功しつつある。将来の工業上の生産、或いは農業上の生産というものが非常に豊富になろうとしておるときに、日本の経済とソ連経済とのいわゆる経済的交流というものが、日本の独立の上において非常に大きな基礎になるべきものであるということが叫ばれておるのでありますが、それと、もう一つは、今日ソ連と中国と日本との間の外交関係というものはすつかり断絶した姿になつているが、この点を非常に遺憾に考えておる者の中に日本の漁業者があるということを忘れてはならない。あの日加米の漁業条約というものによつて日本の漁業はますます不利益になつておるし、又朝鮮の防衛水域というのか、あの設定も不平を我々は聞いておる。又、支那海に出漁しておるところの日本の漁業家たちが、新中国との了解がなければ、到底我々の前途は打開きないというようなことを言つておるのでありますが、そういう方面において、将来、日本とソ連との関係というものは今のままに拠つておくべきものではないということも考えられるのだし、それから又岡崎外相はあの演説の中に、例によつて色丹、或いは歯舞といいますか、あの返還問題を論じておられた。恐らくこの問題に関して私と岡崎外相との意見というものは、天地の違いほど違うであろうと思うのであります。殊にこの問題は非常に政策的に使われておる。失地回復というようなことを民族独立とすり換えて、そうして低劣なあの日本の軍部が非常に鼓吹したあの民族感情に媚びようとしておる人々の言うことは、ともかく我々とは全然違うということは確かであります。本当に日本の民族的の利益ということから物事を考えれば、勿論違うと思うのでありますが、併しこの問題は今論ずる限りではないのでありますが、ともかく岡崎外相の言われた通りに、この歯舞、色丹というものの返還というものを非常に大事だと思うならば、やはりこの交渉相手というものが必要であるが、それはソ連の政府であるのではないか。若し交渉によらずに、あれを取返そうというのなら戦争になる。こういつたならば、ただあの歯舞とか色丹を取返すの取返さんのの問題ではなくて、日本国民をどうかすると破滅にさえ導くような結末に陥らないとも限らないというようなことを考えるときに、我々はこのソ連とか或いは中国との我々の関係の将来ということに対しては、もつともつと理性的にならなければならないと、こう考えるのであります。  それからアジアの問題に関して、もう一つ言い漏らすことのできないのは、最近あのアイゼンハワー次期アメリカ大統領が、選挙中に、アジア人はアジア人をして戦わしむべきだというような趣意を述べたことである。これはもうすでに衆議院においても問題として取上げられておるのでありますが、併し私は又恐らく多少違つた立場から、この問題を捉えることができると思うのであります。我々はアジア諸民族間の連帯性の意識という、この立場に立つて、普段から不戦アジアの誓いというものが必要であるということを唱えていたのであります。不戦アジア、戦わざるアジア、アジア人同志が戦わない。こういう誓いを固めよう、日本の大衆はこれに非常に共鳴してくれた。のみならず、アジア諸民族の間にも、この主張は非常な反響を呼んだように私たちは考えておるのだが、丁度それと反対に、アジア人はアジア人をして戦わしめる、そうしてアジア人同志戦わしめろ、アジア人はアジア人に殺さしめろ、こういうような考え方、これは最近アメリカの側から非常に猛烈に唱えられるようになつて来ておるのであります。これは勿論昨今に始まつたことではない。私はずつとアメリカ亡命中のときから、このことはたびたび聞いておつたのであります。又アメリカの亡命中、若し私の記憶が間違つておらなかつたならば、アイケルバーガー将軍、日本のあの占領に関して大きな役割を演じたアイケルバーガー将軍も、やはりこういうことを言つたと新聞に書いてあつた。私の記憶から言うわけでありますが、日本の国民というものは、非常に体格から言つても、精神状態から言つても、いい兵隊を作るに適しておるから、これを一つ軍隊に編成して、私が指揮して実戦に用いてみたいというようなことがあつた。あのときに、ポツダム宣言で日本が本当に平和国家になると喜んでおる矢先に、もう一遍日本の軍隊を編成して指揮してみたいというようなことを言う人があつたので、びつくりしたのでありますが、それまではよかつたのだが、一体何に使うのであるか。この目的が非常に大切であるというふうに考えたのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)それからマッカーサーの口からも、それに似通つたようなことを新聞で読んだ。それから最近のことを言うと、たくさんあるので、端折らなければならないが、極く最近のことを申しますと、あの朝鮮の第八軍の司命令のヴアン・フリート将軍でありましたか、これが丁度四月の下旬にアメリカの雑誌のUSニュース・アンド・ワールド・リポートを見ますと、朝鮮かち談話を放送したのでありますが、その中に、ヴアン・ソリート将軍はこういうことを言つておつた。「我々はアジアのあの共産主義と戦うためには、アジアの人的資源によらなくてはならない」。非常に不吉な言葉で、日本の軍部が使つておつたあの人的資源という言葉が、こういうふうに又復活したのでありますが、とにかく「アジアの人的資源によらなくてはならない。我々にはそのための人的資源がないのだ。一億四五千万、アメリカの人口はあるけれども」、ヴアン・フリート将軍は、その目的、即ちアジアの共産主義と戦うための、その人的資源がない。アジアの共産主義という言葉を使われておつたが、併し私は必ずしも共産主義のことを言つておるのじやないというふうに考えましたが、ともかく非常に重大な発言であると考えたのであります。曾つてこの演壇から、それを問題にしたこともありますが、併しそれは過去のことと言うならば、あのアメリカの大統領選挙中に、ハロルド・スタツセン、共和党の大統領の指名のときの候補者であつたハロルド・スタツセン対同じようなことを言つておつたのであります。そうしてその次に聞いたのが、あのアイゼンハワーがアメリカの兵隊を朝鮮から撤退せしめる。だからあの休戦会談を成り立たせるかと思つたら、そうじやなくて、韓国軍隊を肩替りにする。それに代つてやらしめるというのでありますが、それから日本に発行されておるところのいろいろな英字新聞を読んでおると、アイゼンハワーが朝鮮へ来るようになれば、勿論そういうことが実現されるであろうし、ぞのほか蒋介石の国民党軍のほうを使うことができるであろうというので、日本の又軍事力というものをそのほうに用いるのではないかというふうな、こういう危惧をだんだん抱かしめるようになつて来たのであります。これは日本にとつては非常に重大な問題である。もう我々はアジアの民衆を我々の手で殺さないという決心をしておるのに、再びそういう所に引立てられるようなことがあれば、これは本当に捨ておけない問題であると、多くの人々をして考えさせるようになつたのでありますが、併しこういうことは今に始まつたことじやないので、私はこの外国亡命中に、そういうことをしよつちゆう聞いて非常にいつも憤慨しておつたものであつたのであります。丁度それは、恐らくあの昔の中世紀の十字軍時代の思想、キリスト教と異教徒とを分けておつて、異教徒というものを殆んど悪魔とか、けだものに近いというような、こういう考えと思想と非常に深い関係を持つておるのであるというふうに考えておつた。それで、そういうような露骨な、アジア人をしてアジア人を殺さしめよ。アジア人を殺すためにアヌリカ人の血を流すのは余りにも勿体ない。こういう露骨な言葉を使う人もたくさんあつたけれども、併しながら、そういう露骨な言葉を使わなくても、もつと美しい言葉でそれを言い現わした人もないわけではなかつた。これも私の記憶から言うわけでありますが、あのイギリスの保守党の首領のウィンストン・チャーチル氏、この人がアメリカで、一九四六年の初夏であつたと思う。トルーマン大統領とミズーリ州のフルトンという所へ行つて、初めてあの有名な鉄のカーテンの演説をした人なんでありまして、そうしてイギリスとアメリカとの軍事同盟を結ばなければならんという演説をした。その演説の中に、彼は、一方に共産主義の思想置きを、他方に西洋文明或いはキリスト教文明というものを置いて、二つを比較してみると、その間には実に普通の人の想像の付かないような致命的な、どえらい相違がある。影響力の多い相違があるということを彼は言つておつて、明らかにキリスト教文明とか或いは西洋文明という言葉を出して、そうしてこの異教徒を排斥する思想というものを明らかにしておるように、私には考えられた。私は長い過去の生活において、曾つてあの第一次大戦のときにカイザー・ウイルヘルム二世の黄禍論、ゲルベ・ゲフアールを読んだが、それを読んだときと同じような感じに打たれ、そうして、チヤーチルはなおそれに抗いて、あのイギリスの記者の言葉を引いておる。その言葉はこうなつております。やはり西洋文明を非常に讃えたもので、「アジアとヨーロツパとを隔てておるのは、山脈とか国境じやない。思想だ。ヨーロッパ文明という美しいその織物は、いろいろな縦糸と横糸で織り成されておる。この縦糸と横糸は、第一番にあの神に対するヘブライの思想とか、愛と贖罪に対するキリスト教の思想、真善美に対するギリシヤ人の憧憬、それから法律に対する、正義に対するローマの天才、こういうものが我々の精神の中に生きておるので、我々が知性において、感情において、それを掴まえないと、それは死んでしまう」。こういうような言葉で言い現わされておりますが、結局は同じことなんで、露骨に言えば、そうなんで、アメリカの政治家が、曾つて蒋介石の軍隊と中国の人民解放軍が戦つておるときに、我々は人民解放軍をやつつけるのは造作もない話であつて蒋介石軍の軍隊を傭えば彼らは喜んでその仕事を引受ける、彼らに一月五ドルの金と毎日一椀の米飯を供給すれば喜んでこの仕事を引受けるというようなことを言つておつた。これは大きなアジア人に対する侮辱であつたのでありまして、そういうところから我々は不戦アジアの誓いというものを言つたのであります。そうしてこのアイゼンハワーがやつて来るというと、或いは曾つてマッカーサー元帥が試みようとしていた満洲爆撃に再び着手するのではないかというような虞れが、今、日本人の頭を非常に支配しておるときなのであります。それで私は首相或いは岡崎外相に対してアイゼンハワーがどう言つたとか、或いはハロルド・スタツセンがどう言つたとか、そういうような問題を持ち出して意見を聞こうとするのではなくして、アジア人同士を戦わしめよというこの主張に対する御両君の意見はどうであるか、これが聞きたいのであります。そのほかのことを聞いたところで、そんなことは私は責任を負えないというような御答弁があると思いまするから、答弁がわかり切つていることは尋ねる必要はないであろうとしてこのアジア人同士を相互いに殺さしめるというこの主張、それから不戦アジアの誓い、アジア人同士はお互いに戦わない、アジア人の生命というものはアジア人同士が相互いに殺し合うには余りにも貴重であるという考えと、それから我々アジアの人たちは外国の帝国主義の傭い兵にはならない決心を持つているものであるということを何しておつて、それと同時に又、アジアの解放ということはアジアの安定のためで、アジアの解放なくしてアジアの安定はなく、アジアの安定なくして世界平和はあり得ないという、非常に金世界的立場、全人類的立場から言つてのこの不戦アジアの誓い、この二つを対照して、両者に対してどういう意見とどういう態度を持つておいでになるかということを私はお尋ねしたいのであります。  それから、今アイゼンハワの朝鮮訪問に関して我々が抱いておる危惧のことを申しましたが、それを言うと当然軍事基地の問題に入るのでありますが、時計を見ておりますと、私は、この問題と、それからこの次の問題に関して自分の意見を言う時間がないと思う。だからそれは端折りまして、最後にやはりさつき申しましたアジア人の連帯感情とか、或いは不戦アジアの誓い、それと非常に関係の深い他の一つの問題についてお答えを承わりたいと、こう思つております。  他の一つの問題というのは、これは最近あの中国の北京において、十月の二日から十二日までの間に十一日間行われた非常な歴史的な記念すべきあのアジア太平洋地域平和会議、あの問題に関して私は意見を述べて、そうしてそのお答えを聞きたいと、こう思つておるのであります。それは先ず第一にあれに関しては旅券の問題がからんでいる。あれへ日本代表六十名が出席したいと、あれに対して日本の各階層において非常に大きな関心が払われて、そうして代表になつて行きたいと言つた者が非常にたくさんおつて、我々の手許にでも四百八十名というほどの人々がやはりそこへ行きたい、——それは決して労働者農民だけじやなかつたんでありまして、資本家、それから中小工業者、そういう人の側のほうからもやはりそれへ一緒に行きたい、こういう希望を申出たような次第でありましたが、そうたくさん送れないから結局六十人を送るということになつておつたのでありますが、政府はそれに旅券を拒否したので、それで非常に大きな問題が起つた。そうして或る代表者たちはどうしても旅券というものを獲得しなければならないと言つて、わざわざ外務省に坐り込みしてそうして暴力団に襲われた。中国へやるというと生命に危険があると言つて政府は旅券を出さなかつたというが、中国に行つた人は非常に安全で優待されているのだが、日本で旅券を獲得しようとした人が暴力団に襲われて却つて生命に危険があつたと、こういう皮肉な場面があつたのでありますが、それはそれで……(「時間々々」「時間厳守」「もうしやりなさい」と呼ぶ者あり)

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 質問の結論をどうぞ。

大山郁夫第一クラブ

○大山郁夫君(続) それでなぜ……、じや結論だけ申上げます。(「結論々々」と呼ぶ者あり)なぜ旅券を拒まれたか。新聞を見ると、あの北京の平和会議というものは、これはコミンフオルム系のあの世界平和評議会の主催したものだからというようなことも書いてあつた。だけれども、併しそれは一体どういうところに事案的の根拠があるか、証拠を承わりたい。ただ推察だけじやなく証拠を承わりたい。それからもう一つ新聞にはこういうことも書いてあつたのであります。あの会議には、アメリカそれからオーストラリアとかパキスタンとかフィリピン、こういう国々が旅券を拒否している。ただあれに正式に旅券を与えたのは、これはビルマとかインドとかそれからセイロンとかそのほか二、三ありましたが、そういう国々だということを書いてあつたのでありますが、併しアジアの問題を議する所であるから、だから私はアメリカが拒否したというようなことは恐らく考えるのだが、併しながら、むしろビルマだの、インドだの、インドネシアなんかが喜んで旅券を出している。こういうことは日本の政府はその後を追うて行くべきではなかつたかと、そう考えるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)そうしてあの平和会議というものが本当の平和会議で、民主的なものであつて、決して日本の国を破壊しようというような意図を全然持つておらないのであつて、殊にあの会議において掲げられた四項目というものは非常に重要であるからここで言いたいのでありますが、恐らく言つておると、とめられると思いますから申しませんから、是非それは読んで頂きたいということにするのです。殊にあの会議の模様が如何に和やかで、そうして又日本に対して非常な友情を寄せたものであり、そうして日本の国民の独立のその努力に対して、飽、くまで援助を送るということを彼らは誓つたものであり、そうして又、日本におけるところの外国軍隊は撤退すべきだ、外国軍隊は日本に対して内政干渉をすべきじやないということだの、それから互恵平和等の上において通商条約を結ばなくちやならないというさまざまの……、そうして日本に対して極力の支持を寄せておりこそすれ、日本を破壊するというようなことは毛頭も示しておらないのであつて非常に友好的なものであり、そうして同時に、この問題を論ずると、私は、来たるべき十二月にあのウィーンで開かれようとしている全世界の諸国民の平和大会、この問題になるのであつてこの問題に対して政府はどういうような、あれへの日本の代表に対してどういう態度をとろうとしておられるか。これは世界に日本の平和的意図を示すために……。

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 大山君、時間が非常に過ぎましたから……。

大山郁夫第一クラブ

○大山郁夫君(続) 大切であると思うのでありまして、こういう質問を出したのであります。遺憾ながらこれで私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) 大山君にお答えいたします。私の施政演説においてのアジア民主主義諸国という表現はどういう意味かということであります。私の言う意味は、日本は民主主義を以て終始せんとする国であり、この主義を了解しこれと親善な関係に入りたい国という意味であります。外務大臣の用いられた志を同じくするアジア諸民族という意味も、やはり同じ意味であろうと私は想像いたします。  それから次の、次期アメリカ大統領たるアイゼンハワー将軍が言われたことについては、お話の通り私はコメントいたしません。又その中に引かれた言葉について意見を述べよというお話のようでありますが、これはアイゼンハワー将軍の言葉に関連いたしますから、これに対しては何らのコメントはいたしません。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 不戦アジアの誓いというようなことをおつしやつてその点に対する政府の意見を聞かれたようでありますが、その趣旨は非常に結構でありましよう。けれども、現に共産系の地域からは攻撃が行われておるのでありまして、(「誰が」と呼ぶ者あり)若しそれに対して戦いをせずということであるならば、他国を侵略するものに対して無抵抗主義を唱えることになるわけでありまして、先ずこの侵略の意図をなくしてからの問題であろうと考えております。(「その通り」「君は若いのだから先のことも考えて答弁しろ」「ずうずうしいぞ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)又、我々は中国の国民に対してはもとより限りなき友情を感じておりまするが、中国自体の現状は、少くとも政府の状況は独裁であり、暴力であり、言論抑圧であり、かかる中共政権とのお附き合いはできないのであります。(「見て来たか」と呼ぶ者あり)若し大山君の言われるような中共との間を調整しようというならば、先ず暴力革命を宣伝する対日ラジオ放送等をやめたり、日本を仮想敵国とする中ソ同盟をやめたり、或いは抑留者を速かに帰還させたりすることが先決問題であります。(拍手)  又、政府は先の中国における会議に対する旅券を出さなかつたのは何の理由によるかというお話でありますが、それは旅券法に規定するところの、渡航が日本の国の利益を著しく害する虞れがあるときは出さないのであります。(「なぜ害する」と呼ぶ者あり)そうして何故害するかということは、その前に、ソ連、中共に密入国をして帰還した人があります。これらの人の言動を御覧になれば思い半ばに過ぎるものがあると考えます。(「もつとはつきりして頂きたい」と呼ぶ者あり、拍手)     —————————————

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 木村禧八郎君。    〔木村禧八郎君登壇、拍手〕

木村禧八郎労働者農民党

○木村禧八郎君 私は労働者農民党を代表して質問いたします。  吉田首相の施政方針演説、岡崎外相の外交方針演説及び向井蔵相の財政演説を伺いまして、私は演説で述べられたことよりも、演説の中で除外されている問題のほうに、我々日本民族、我々の経済、我々の生活に重大な関係があると思われますので、むしろそういう演説から除外されている問題に重点を置いて私は質問いたしたいと思うのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)  平和条約第五条の(a)(iii)項に「国際連合が憲章に従つてとるいかなる行動についても国際連合にあらゆる援助を与え、且つ、国際連合が防止行動又は強制行動をとるいかなる国に対しても援助の供与を慎しむこと」と、こういうふうに書いてありますが、これは対日平和条約の中で一番重要な条項であると、トルーマン大統領があの平和会議の演説において述べております。いわゆる国連協力の条項、これが今度の対日平和条約では一番重要であると述べておる。それに従つて、吉田内閣はこれまで朝鮮戦争における国連軍に対して基地を提供し、或いは軍需品を供給して協力して参つたと思うのです。トルーマン大統領の下での対ソ政策が封じ込め政策の程度であつた場合には、まだ我々はそう深刻に国連協力の問題について考える必要はなかつたと思うのですが、アイゼンハワー元帥がいわゆるロール、バツク政策、これをスローガンにして今度選挙に立たれ、そして大統領に当選されましたが、今後このロール、バツク政策、それからアジア人はアジア人に戦わせろ、こういうように、アメリカの対ソ政策、或いは朝鮮に対する政策が変つて来る場合に、私たちはここで改めて国連協力の限界というものを、我々は一体どこにあるかを考えなければならぬ段階に来たのではないかと思うのであります。で、特に吉田首相及び岡崎外相が述べられました演説を私は伺いまして、国連協力に対して、特に朝鮮戦争を中心とする国連協力に対して、この際、改めて日本国民に注意を喚起し、その協力の強化を非常に強調されている点に私は重大な関心を持つたのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)吉田首相はこう述べておられます。「朝鮮における国際連合の集団的措置が、平和維持の努力であるのみならず、これが我が国に直接且つ重大なる関係を持つことに鑑み、国際連合の要望に対しては、今後とも能う限りの協力をいたす考えであります。」と述べている。岡崎外相は「我が国と一衣帯水の朝鮮におきましては、今なお苛烈なる戦闘が行われているのでありまして、我々としても、かかる現実の事態は十分認識し、今後とも強い決意と勇気とを以てこれに対処する必要があると考える。」「更に私は、朝鮮における国連軍の行動につき、我が国民諸君が一層の認識を深められんことを望んでやみません。この国連軍による平和維持の成否は、我が国の安危に直接且つ重大な影響を及ぼすものでありまして、若しもこの暴力と侵略が朝鮮を支配した場合は、我が国は全く累卵の危きに立つものと言うべきであります。我々は、如何にしても国連に十分なる協力を与え、その韓国における努力をして成功を収めしめるよう努めなければならない。」と、こういうふうに述べられて、改めてここで国連協力について非常に強調されている。私はその意味をお伺いしたいのであります。いわゆる保安隊の朝鮮出兵というようなことが巷間で取り沙汰されているときに、国連協力に対して、この際、改めてこのように強調されるその具体的な内容はどういうところにあるか。私は平和条約五条(a)の第三項によるところの国連協力の限界は一体どこにあるかを、この際、改めてはつきり具体的にして頂きたい。  そこで、次の点について私は御答弁を煩わしたいのです。  第一に岡崎外相が強い決意と勇気を以てこの朝鮮戦争……、国連による朝鮮戦争に対処しなきやならんという、この具体的意味は一体何でございますか。強い決意……、これまで基地を貸し、軍需品を供給して来た、それ以上に我々は国連に対して協力するということは何でありますか。この具体的内容を承わりたい。(「朝鮮出兵」と呼ぶ者あり)  それから第二に、これは毎日新聞が報道しておりましたが、アメリカ極東軍参謀長のヒツキー氏から吉田総理に対して、いわゆるヒツキー書簡というものが参つておるということが報道されました。これは、北海道の保安隊を強化して、強化された後に北海道からアメリカ軍は撤退する。そのためには、二十七年度の安全保障諸費五百六十億のうち約三百八十億を保安隊の強化に使つてもよろしいというような内容の、ヒツキー書簡が来ているということが報道されています。これが事実であるかどうか。そういうものが参つておるかどうか。更に、最近北海道の保安隊が現地視察の名目で朝鮮へ派遣されるやの説が伝えられておりますが、こういうことは事実であるか事実でないか。この点、国民は非常に心配しておるから、はつきりして頂きたいと思います。  それから第三に、国連協力の仕方如何では、朝鮮戦争に巻き込まれる危険が出て参るのではないかと思われますので、特に、特にです、国連協力、あの平和条約第五条(a)(iii)項の中には、朝鮮に対する保安隊の派兵というものが含まれるのかどうか。議論ではなく、条約上そういうものを要求されたとき、条約上拒否することができるかどうか。総理は、自分はやる意思がない、国民も反対であると言われました。併し条約上拒否できるかどうか、そのことを伺いたい。あとで条約上含まれておるということになつたら、これは重大問題です。従つて、安全保障条約、平和条約を結ぶときに、国連協力の内容について具体的にどういうふうな了解になつておるか、この点を伺いたい。更にこれと関連しまして、安全保障条約で日本の自衛力を漸増することになつておりますが、これも安全保障条約によつて条約上日本が再軍備する義務があろか。条約上日本に再軍備する義務が課せられておるのかどうか。この点お伺いしたい。  それから第四に、今度の安全保障条約、行政協定によつて、アメリカ軍に対して日本は刑事裁判権ほか十九の特別措置によつて非常な広汎な治外法権を与えて来ておるわけであります。刑事特別措置法、民事特別措置法、土地等の強制貸上げに関する措置、漁業制限禁止の措置、国有財産を無償で貸し与える措置、所得税、地方税、関税、こういうものの免税、専売法、道路運送法、電信電話法、郵便法、電波法、水先法、航空法、その他合せて十九の特権を駐留軍に与えておる。広汎な治外法権を与えております。今、国連軍との協定が進行中でありますが、平和条約五条(a)の(iii)項に基いて、若し国連軍のほうから、米軍に与えた今申上げたような刑事裁判権のほか十九の特別措置によるところの、ああいう治外法権を要求された場合、平和条約五条(a)(iii)項の条約上、これを拒否することができるのかどうか。こういう点についても、平和条約第五条(a)(iii)項の内容を具体的に私は伺いたい。条約上拒否できるかどうか。今それで、国連軍との協定はどういうふうな段階になつておりますか。この点、併せてお伺いいたしたいのであります。  それから第五に、行政協定実施の結果と影響についてお伺いいたしたい。先ず行政協定実施後において、行政協定を結んだ当時とかなり違つた状態が現われているように我々は伺つております。私は、行政協定実施の結果、広汎な農地或いは海面が接収されて来ていると思いますから、この際、数字によつて、行政協定実施後、どの程度の農地が接収され、どの程度の海面が漁業制限され、それによる損害はどの程度であつたか、その補償はどうなつておるかを、私は具体的に農林大臣からお伺いいたしたい。先ほど農林大臣は、農村における次三男問題の解決として、開拓地とか、そういう干拓、開拓による解決策、或いは移民と言われましたが、(「もう一つ、牧畜」と呼ぶ者あり)このような問題で最近の農村の過剰人口は解決されるはずはありません。(「その通り」と呼ぶ者あり)昭和十五年から昭和二十五年までで農村人口は三百四十万殖えておる。農村人口は殖え、都市人口は百六十万減つておるのです。従つて、農村のほうは、最近の次三男の問題、人身売買の問題は深刻であります。農村の過剰人口問題はどうしても都市におけるその産業を発展させ、都市にこれを吸収するよりほかない。農村自体においては解決できない段階に来た。総合的ないわゆる日本の産業政策によらなければならないのであります。農村の耕地面積はむしろ減つて来ております。昭和十八年八月一日から昭和二十五年の二月までの農林省統計でありますが、大体耕地面積は七十万町歩ぐらい減つて来ておる。これに対して農家戸数はやはり七十万、或いは八十万戸ぐらい殖えておる。戸数が殖えて耕地面積が減つている。その上に今度の行政協定によつて農地が接収される。これでどうして農村の過剰人口対策になりましようか。この点、行政協定によるところの農地接収及び漁区の制限による損害、そういうものを具体的に御発表を願いたい。更に保安隊が接収した分も併せて御報告を願いたいと思います。(「そうだ」と呼ぶ者あり)  それから次に、行政協定においては、その十二条において調達方式が重大な問題だつたのです。十二条の解釈において政府は誤解があつたと伝えられておる。十二条の一項において直接調達と規定されておるけれども、二項において間接調達になり得ると思います。日本経済に悪い影響を持つ場合は、日本の政府機関を通じて調達できるように書いてありますが、それができると思つたところが、結果においては直接調達になつた。アメリカの公契約法の軍需調達規則というアメリカの法律によつて調達されて、日本の商習慣が無視され、而してこの間、十一月十三日の合同委員会できまつた需品確定契約一般条項の中では再商議条項が入つておる。リネゴシエイシヨンの規定が入つておる。そうして超過利潤を取られる危険がある。この点、政府は、最初行政協定を結んだとき、あの十二条の解釈において重大な認識不足があつたのではないか。なぜ間接調達にならなかつたか。なぜ直接調達を押付けられたか。この間の事情を私は説明して頂きたい。行政協定を締結した当時と違うのです、現実は……、  次に合同委員会の性格についてお伺いしたい。合同委員会の性格についても問題があります。これは果してコンシリエーシヨン——調停なんであるか、或いはアービトレイシヨン——裁定であるのか。その合同委員会の決定如何がこれは重大な問題である。例えば農地を接収する場合に異議の申立がある、これは総理に異議の申立をした。それによつて協議ができることになりますが、それが最終決定になれば、そういう異議の申立ができないことになる。合同委員会の性格について私はお伺いいたしたい。以上は総理大臣、岡崎外務大臣及び農林大臣にお伺いいたしたい。  第二に、兵器生産と再軍備の問題について質問いたしたいと思います。(「総理はどうした」「議長、議場の定足数がないよ」「自由党の出席が著しく悪いじやないか」と呼ぶ者あり)昨日社会党の羽生氏の質問に対しまして、向井蔵相は、平和産業に重点を置くことは勿論であると、今後の日本の産業政策について御答弁がありました。併し現実の姿はどうでありますか。第一に、現在航空機の生産が行われておる。岡村製作所、立飛工業、東洋航空機、新昭和興業、日本航空整備、川崎岐阜製作所、萱場工業、東京機械化工業、富士車輌、川崎機械工業、日本ヘリコプター、東京合板化工、荻原木工、三保研究所、巴航空機、横井製作所、布施工業、東京軽飛行機研究所、前田航空工業、大野源治郎、筑波航空機製造所、稲岡工業所、東京瓦斯電気、立川飛行機、昭和飛行機、新三菱重工、富士工業、新明和興業、住友金属、宇都宮車輌、こういう会社は、小型陸上練習機、ヘリコプター、ヘリプレーン、グライダー、軽発動機製作、或いは航空機、発動機、プロぺラの修理を行なつております更に一般兵器については、七月に新特需の発注がありまして、小松製作所は八十一ミリ迫撃砲弾三十九万発を受注しています。大阪金属は三十万発の受注、第二回に小松製作所は四・二インチの迫撃砲弾二十五発受注、第三回に百五十五ミリ榴弾二十万発、住友金属が受注、第四回、百五ミリ榴弾二十万発、新大同製鋼が受注、第五回、三・五インチ・ロケツト砲弾二十万発、受注するのかしないのか交渉中、こういうふうに言われておる。更に又通産省が兵器特需の増大と将来の防衛生産体制の見通しを付けろ必要から、小銃、機関銃など十品目の兵器潜在生産能力を兵器メーカーについて調べてアメリカ側に提出して、特需発注の参考に供するこの中間報告が発表された。これを見ましても資金計画は厖大なるものであります。更に又、航空機の生産計画も、川崎岐阜製作所、川崎機械、東洋航空工業、日本航空整備、東京瓦斯電気、新三菱重工業、住友金属、昭和飛行機、富士工業、新明和興業、設備資金二十億円、運転資金十四億円、合計三十四億円というものが計画されていると言われておる。更に又、これは社会タイムスに出ておりましたが、財界では今後三億ドル乃至四億ドルの特需があると見て、更に特需なきあとは毎年三億五六千万ドルの軍事援助があるものと前提して、一九五三年から五八年に至る再軍備計画を予想して、その所要資金に、日本側一兆六千八百二十四億、アメリカ側援助を八千百二十五億円、これを想定して兵器産業の復活再開に大童を演じているとして、社会タイムス十一月九日付に書いてあります。こういう事実をどうお考えになるか。これで、どうして日本の経済が平和産業中心に向いているのでありますか。  そこで私はお伺いしたい。質問いたしたいのです。池田大臣は、九月メキシコのワールド・バンクの総会に行かれて、そうして帰つて来ての話で、シユナイダー財務長官とドツジさんと会つたときに、日本の兵器産業について話合つた。こういうことを日本の新聞記者に語つておる。どういう話合いをなさつたのか、そういう事実があつたのかどうか、又差支えなければ、その内容を伺いたい。  更に第二に、これは日本経済新聞十一月二十一日に出ておりましたが、自衛力増強の裏付けとなる新経済基盤の育成と外資導入について経済最高顧問会議が開かれたと書いてあります。こういうことがあつたかどうか。そうして又外資導入について特に吉田総理と池田通産大臣との見解は違うようであります。総理は飽くまでも外資導入を前提として日本経済再建を考えているようですが、池田通産大臣はそうでないようです。今、保有外貨を使つて外資導入を当面の政策と考えていない。食い違いがあるのです。この点は一体外資援助を当てにして再建するのか、この点はつきりされたい。  更に第三に、再軍備を予定し、これを織込んだ五カ年計画、五カ年及び十カ年後の日本経済の見通し作業を経済審議庁で行なつているという報道が出ております。日本経済十一月二十四日、社会タイムス十一月二十一日に出ております。果して再軍備を予定した作業を経済審議庁で行なつておつたならば、これをはつきりここで公表されたい。池田審議庁長官は演説されませんでしたから、この補正予算の裏付けとしての総合的日本経済の見通し及び五カ年及び十カ年作業、再軍備を織込んだその作業について御説明願えれば、具体的にはつきりして来るのであります。日本の経済がどういう方向に行くかはつきりするのです。計数的に明らかになる。明らかにしないから、この間の演説みたいな抽象論で何が何やらさつぱりわからない。この五カ年作業を計数的にお示し願いたい。兵器産業を中心として日本経済が軍事的に再編成されて行く姿がはつきり出て来る。資金計画も出て来ます。物動計画も出て来る。これを明らかにされないからわからない。(「そうだ」と呼ぶ者あり)どうしてもこの点を特に明らかにされない。更に報ぜられるところによれば、この計画によれば電力、兵器、航空機、チタン、マンガンというものに庫点を置いているのであります。そうして三十二年に二十七年度に比し機械は三九%の増加、化学二八%、金属は二四%、窯業が二〇%、平和産業のほうは食品一五%、繊維一三%、鉱業一〇%の増加、これでどうして平和産業の方向に日本経済が向いて行くか。向井蔵相の言うことは、全く私は実情を無視している。全く私は見当違いだ。何もお知りにならないのじやないか。聾棧敷ではないか。(「その通り」と呼ぶ者あり)再軍備に賛成だとか反対だとか議論しているうちに、再軍備の基盤であるところの兵器生産のほうは着々進んでいるのであります。着々進んでいる。(「憲法違反じやないか」と呼ぶ者あり)そこで私は、この兵器生産は、今行われ、計画されている兵器生産は、憲法九条に抵触するのではなかどうか。この点をお伺いしたい。  更に兵器生産を取締る法規が、これはもう効力がなくなつていると思います。兵器、航空機等の生産制限に関する政令がありましたが、あれは早期解散のために、その手続をしないで解散してしまつたために十月二十四日で期限が切れております。従いまして何の法規によつて兵器の生産制限を取締つておるか、取締法規があるのか、今兵器生産は自由にやつてよろしいのか、その兵器生産を取締る法規、この根拠を私は伺いたい。兵器生産と憲法九条との関係、それから兵器、航空機等生産制限に関する政令、この関係を伺いたい。  更に兵器生産と関連しまして臨時工の問題が重大になつておりますが、これは私は労働基準法に抵触すると思います。同一賃金、同一労働、最近はこの労働基準法の盲点を突いて、同じ労働でありながら、本工よりも五割ぐらい、或いは四割ぐらい安い臨時工を雇つて、アメリカからの安い条件の軍需品を下請けして、そのしわが臨時工に寄つて来ている。この点、労働大臣は調査されたかどうか。最近の臨時工の実情について、それから労働基準法との関係、今後臨時工に対してどういう対策をとられるか。この点お伺いいたしたい。  最後に向井大蔵大臣にお伺いしたい。この補正予算編成の基本問題、詳細は予算委員会で質疑いたします。  補正予算編成の前提として、政府の説明によれば、当初予算を編成したのちにおける情勢の変化を織込んで編成したと言われた。情勢変化とは何でありますか。具体的に伺いたい。実際に起つている情勢変化は輸出貿易の激減を中心とする不景気であります。この不景気をどういうふうに判断されたか。これは単なる一時的な不景気であるか。世界的不景気と繋がるものであるか。又吉田総理は世界戦争は起る危険がないと言われた。私もそう思います。そうすれば今後世界経済恐慌の問題が起つて来るのです。(「然り」と呼ぶ者あり)その世界経済恐慌の問題と、日本経済の今の不景気との関連をどう考えておるか。日本経済の実情をどう判断し、これを今後どういうふうに持つて行くつもりであるか。今の不景気の打開策について伺いたい。  時間がありませんから、私は詳細に伺いたいのですが(「かまわない」「総理が来てからもう一遍やれ」と呼ぶ者あり)輸出貿易が減り、失業者が殖え、生産も減つて当初の計画より減つているのに、国民所得だけ殖えているのはどうなんですか。当初予算のときに国民所得は、貿易で十六億一千百万ドルを輸出して五兆五百二十億円、それで六千三百億の税金が取れていた。ところがこれを見ると、輸出も減り、生産も停滞し、失業者と殖えている。そうして国民所得が五兆三千二百六十億円に殖えている。どうしてそれで国民所得が殖えるのですか。その根拠を承わりたい。そうしなければ、相対的減としても増税になるのです。所得の捕捉は強くなります。この点を伺いたい、(「勉強しろ」と呼ぶ者あり)  更に次に、この不景気に対処して減税すると言われた。併しこの減税の財源をどこに求めましたか。大部分勤労所得税の自然増収ではありませんか(「そうだ」と呼ぶ者あり)六百六十億の自然増収を勤労所得税から得て、それからたつた二百二十九億だけ減税するのです。これは勤労所得税がなぜ自然増収になつたかと言えば、生活費が上つて名目的に賃金が上つた場合に、基礎控除、勤労控除、扶養控除を上げなかつたから自然増収になつたのじやありませんか。従つてこれは実質的には自然増税なんです。従つて六百六十億返すべきなんです。六百六十億自然増収として取つてしまつて、返したのは二百二十九億、残りの四百四十億全部ではございませんでしようが、大部分は自然増税なんです。「そうだ」と呼ぶ者あり)これでどうして減税と言われますか。この点はつきりして頂きたい。それから減税の恩典に浴さない人はどうするのです。税金を納められない低所得の人は、米価の値上り、運賃の値上り、この損失を何でカバーしますか。低額所得者に対してその生活困難を救済するめに減税すると言われるのですが、その半面、米価引上げと、鉄道運賃の値上り、それに基く一般物価の値上り、この損失を何でカバーしますか。税金を納められない人、又給与ペースの上らない人は。この点を伺いたい。(「国民の政府と言えるか」と呼ぶ者あり)  最後に金額は小さいのですけれども、旧老齢軍人の年末手当の問題、一億八千万円ですけれども、どうして卒然としてこんなものが出て来たか。私はこの扱いについて伺いたい。我々は旧軍人であつて老齡の人が困つておる場合には救うべきであります。併しながら飽くまでも社会保障の建前から救うべきです。旧軍人であるという特権によつて年末手当をもらえるということは、私は憲法十四条の違反であると思うのです。(「国を亡ぼした者だ」「大将を救う必要はない」と呼ぶ者あり)旧軍人であつたという特権によつて年末手当をやるなんということはよろしくない。旧軍人であろうがなかろうが、老人であつて困つておる人は全部救うべきであります。(「然り」と呼ぶ者あり)ですから、老齢軍人を救済するのなら、それもよろしいそのほかに困つておる老人を全部救いなさい。なぜ社会保障の建前からこれを考えなかつたか。(「再軍備のためだ」と呼ぶ者あり)これは軍人恩給復活の前ぶれではないか。これは再軍備に対する準備ではないか。心がまえを養うための政策じやないか。なぜこれを社会保障の建前から考えなかつたか。厚生大臣はなぜそういう点から抗議を申込まなかつたか。厚生大臣はそういう主張をされたかどうか。社会保障の建前と、この年末手当の問題、これについて私はお伺いしたいと思います。  もう一つ、時間がございませんから、簡単に、二十八年度予算の構想について。構想であります。向井大蔵大臣に聞きたい。昨日は、二十八年度の大綱はできていないから言えないと言われましたが、大綱じやない。構想です。構想がなかつたら、大蔵大臣として資格ございません(やめてもらおうじやないか」と呼ぶ者あり、笑声)二十八年度予算は、賠償の問題、外債の問題、新らしく出費の問題が出て来ます。防衛費の問題も出て来ます。二十七年度の予算とは非常に又違つた性格を持つて来るのであつて、二十八年度予算の編成の構想です。予算大綱じやなくていいのですから。構想です。考え方。(「駄目だよ」と呼ぶ者あり)経済情勢の変化と対応して向井蔵相に、失礼でございますが、あなたは財界人ですから、率直に御意見を伺いたい。専門的な知識をお持ちになつておるのですから、率直に私はむしろお話になつたほうが好感が持たれる。我々も好感を持つのです。率直な御答弁を頂きたい。(「政府顔色なし」「総理はどうした」と呼ぶ者あり、拍手)    〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 私の演説の中の「決意と勇気とを以て」という点についてどういう意味かというお話であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)これはいろいろの意味がありますが、例えば例をとつてみますると、共産主義者は、とかく、「そのうち共産党が天下を取るんだ。その場合はひどい目にするぞ」というようなことを言つておどかしている場合がしばしばあるのであります。こういうようなこととか、或いは貿易上の利益であるとか、(「あなたたちが言つておるのだ」と呼ぶ者あり)或いはもう平和だから何も心配することはないのだとか、いろいろの意味がありますので、こういう人心を惑わすようなことに対して、我々はおどかされずに、正義に立脚して民主主義擁護に努めなければならん。それには決意と勇気が要ると、こういうことを言つておるのであります。(「成るほどね」と呼ぶ者あり、笑声)  なお朝鮮派遣等は事実でない、如何なる場合にもそういうことはしないということは、日本の総理大臣の言を十分お信じなすつていいだろうと思います。(「見解じやなくて条約だ」と呼ぶ者あり)  それから国連協力の限界について、条約上の見解を示せというお話であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)これは「国際連合が憲章に従つてとる如何なる行動についても国際連合にあらゆる援助を与え」云々の所だろうと思います。そこで、これにつきましては、国際連合に加入している国々も、同じような憲章の文句によつてあらゆる援助を与えることになつております。併しながら、その援助の義務は、例えば朝鮮に対する国連の勧告に応じて加盟国が兵力を出すか否かということは、加盟国の判断でありまして、これは義務ではありません。従いまして未だ加盟していない日本としても、無論国連加盟国の負う義務以上に出る義務を負うわけはないのでありますからして、決して義務はないわけであります。(「忘れるな」と呼ぶ者あり)義務がないという点につきましては、先ほど更に安保条約に関して再軍備の義務はないかというお話でありますが、これも安保条約には何らそういうことは書いてありません。強いて探せば、「日本の自衛力の漸増を期待する」という文句があるだけであります。従いまして勿論義務等はありませんけれども、これらの問題については、むしろ国民一般の意見決定によるものであることは当然であります。  更に合同委員会とはどういうものであるかというお話でありますが、合同委員会は、その二十六条に規定してあります通り、協議機関であります。なお合同委員会の日本側の代表者は、合同委員会において協議をする場合には、事前に関係省等とよく協議をいたしまして、又必要の場合には閣議の決定を経て、これに臨んでいるような次第であります。(拍手)    〔国務大臣木村篤太郎君登壇、拍手〕

木村篤太郎保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。  保安隊の朝鮮派遣問題については、保安庁法第四条に明確に規定してあるのであります。つまり、保安隊は日本国の平和と秩序を維持し、日本国民の財産と生命を保護するために行動する部隊であります。従いまして外国に派遣するがごときは断じてないのであります。御心配無用であります。(拍手)    〔国務大臣小笠原三九郎君登壇、拍手〕

小笠原三九郎自由党農林大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) お答えいたします。駐留軍、保安隊等の設置によつて、農林水産業がどういう影響を受けたかということについてのお尋ねでございますが、(「その通り」と呼ぶ者あり)この日米行政協定に基きまして、我が国の海面のほうで駐留軍が各種の訓練を行うための協定をすることになつておりまして、その海軍の訓練区域及び空軍のほうの訓練区域の協定が大部分成立いたしましたが、まだ交渉の継続されておるものもございます。これによりまして漁業者がこうむつた損失は、昭和二十六年末までで四億一千二百万円補償として支払いました。(「実際の損失がわかるか」と呼ぶ者あり)昭和二十七年度の補償額は前年度を若干上廻るかと思いまするが、極力漁業者のこうむる打撃をカバーいたしたい考えでおるわけであります。行政協定によつてアメリカ駐留軍の使用のために提供する区域中、陸上演習場について、すでに日米合同委員会において合意に達せるものが十七地域、山林原野を含め約二万町歩でございます。なお目下折衝中のものもございまするが、農耕地等は極力これを避ける方針で進めております。なお、駐留軍に提供する地区の関係農業者のこうむる損失補償につきましては、農業者の立場を十分に考慮し、適正な補償を支払うことにいたしております。保安隊用地の問題についても、駐留軍の場合と同様、能う限り農耕地を潰廃せしめる結果とならざるよう適切なる措置を講じて参りたい考えであります。  なお米の消費者価格引上げの問題につきましては、国民の家計費に及ぼす影響等に鑑みまして極力これを回避すべきことは勿論でありまするが、他方、国家財政の現状等もありまするので、又二重価格をとる考えを持ちませんので、一般消費者の家計負担を最小限度にとどめる方針の下に、今回の価格を決定した次第であります。(「二、三男の問題はどうした」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣犬養健君登壇、拍手〕

犬養健自由党法務大臣

○国務大臣(犬養健君) お答えいたします。  憲法違反であるかどうかという問題でございまするが、これは法務府時代に属しておりました法制意見局が、御承知のように新らしく法制局として内閣に属しましたので、この際、私は意見を申上げることを差控えたいと存じまするから、さよう御了承願いたいと存じます。    〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手)

池田勇人自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(池田勇人君) お答え申上げます。  第一は、メキシコにおきまするアメリカの財政長官その他国務、陸軍等の当局者と特需の問題について話をしたかということでありますが、話をいたしました。御承知の通り、本年初め以来、兵器の注文がありますので、私は国内の産業再編、又金融措置等から、どの程度の特需があるのか、いわゆる兵器についての注文がある見込かということにつきまして、向うの意見を聞いたのであります。併しそれは発表はできません。  第二の、兵器の製造は憲法第九条の違反ではないか、憲法第九条には「陸海空軍その他の戦力」、こうなつておりまするが、外国の注文を受けまして弾薬等兵器を製造いたしましても、憲法の禁ずるところではないと私は考えておるのであります。(拍手)なお、火薬等兵器の取締につきましては、戦前、爆発物の取締の規則がございました。その後、終戦直後からポ政令によりまして制限を受けておつたのであります。今年四月頃から改正をいたしまして、一部許可制にしておつたのであります。御承知の通り十月二十四日からそれが廃効になりまして、効力がなくなりましたので、只今のところ取締規定はございません。従いまして今国会に兵器等の取締り法律を出す考えでおるのであります。  次に、外資の導入について総理大臣と私との間の意見が違つておる——これは違つておりません。外資導入は必要なのであります。で、私は外資導入を促進する方法としては、日本の産業の復興と同時に今ある外貨を使うのがいい、具体論を言つておるのであります。考え方に何ら変りはございません。  なお経済審議庁で再軍備を予定しての作業を始めておるか——再軍備を予定しての作業はやつておりません。併し私は職員の全部について机を調べるわけではございませんから。審議庁長官としては、再軍備を前提としての五カ年計画、十ヶ年計画はやつておりません。ただ問題は、日本の経済の将来につきまして、いろいろな前提の下に考慮はしなければなりません。研究はいたさなければなりません。殊に電力とか石炭等の基幹産業につきましては、私みずから調査を始めております。で、再軍備を前提としての調査はやつておりません。  なお、私のほうの所管でございまするので申上げまするが、国民所得の問題は、昭和二十六年度におきまして実績調査をいたしましたところ、四兆八千億円が出たのであります。而してこれに基きまして、今年の鉱工業生産は五%、農業生産は四%増加いたしました。而してこれを所得者別にいたしますると、勤労所得におきましては三千億、業種所得につきましては二千億、合せて五千億の増加が認められますので、昨年度の四兆八千億に対して五兆三千億と計算したのであります。国民所得は殖えております。外国貿易が沈滞をしておるのに国民所得が殖えたということは、生産が殖えたということと国内消費が殖えたということで説明が付くのであります。    〔国務大臣向井忠晴君登壇、拍手〕

向井忠晴大蔵大臣

○国務大臣(向井忠晴君) 当初予算編成後の経済の変化に対する景気対策を御質問でございました。日本経済の現状は、全体として見て不況とは考えられません。即ち最近の国際経済の影響を受けまして、貿易規模が縮小いたしましたとか、又一部に不景気の様相が現われておりますが、全体としての経済活動量は必ずしも減少しておりません。(「株だけだよ、いいのは」と呼ぶ者あり)鉱工業生産は本年九月は昨年同月の八分増、消費水準は一割六分増であり、又物価、雇用はおおむね横這い状態でございます。日本経済の現況を不況と考えることは適当でない。又従つて目先だけの安易な景気の対策を講ずる時期ではないと存じます。(「紡績恐慌はどうした」と呼ぶ者あり)むしろこの際としては、財政、金融を通じて経済施策の弾力ある運用により、経済の基礎を充実強化するのが現下の急務と存じます。今後も財政経済計画の運営に当つても、この基本的な線に沿つて経済の発展を図つて行きたいと存じます。(「二十八年度予算の構想」と呼ぶ者あり)  自然増収と減税との関係が、ございましたが、申告所得税以外の税について、合計約九百三十五億円自然増収が生じたのに対しまして、申告所得税において約二百三十数億円の減収が生ずることとなつたのでございますが、差引約七百億円の自然増収を計上しました。この自然増収は、国民の所得が増加し、又これに伴つて消費も増加したためでございます。このような自然増収が見込まれるに至りましたので、この際できるだけ税の負担を軽減しなければなりませんので、差当り今回は、税負担の最も多いと認められまする所得税について臨時特例を設け、その軽減合理化を図ることにしました。一般的税制改革は昭和二十八年度で行います。最近数次の減税のために、所得税のかかつていない世帯が最近では相当多くなつていることは事実でございますが、その大部分は食糧の自給できる農民階級でございまして、勤労者や営業者の世帯は、大部分が所得税を納めています。それで今回の減税と生活保護費の増加によつて、大部分の世帯は米価の引上げによる負担の増加をカバーできると思つております。詳細は委員会で御説明いたします。  明年度の予算編成の構想をお尋ねでございましたが、今後の財政経済政策としましては、健全財政及び通貨安定の方針は堅持しまして、財政及び金融を通じて総合的な調整を図り、経済の充実発展を期する所存でございます。昭和二十八年度予算については、この基本的な考えに従つて、これを編成する考えでございまして、財政の許す範囲内で、租税負担の軽減、財政による産業投資の充実、民生の安定等に特に意を用いて編成したいと考えております。  なお財政規模につきましては、軍人の恩給等新たな歳出を今後見込まれるのてございますが、国民経済全体の規模に適合する程度にとどめる方針でございます。  それからもう一つ、私の所管ではないかも知れませんが、昭和飛行機だとかいろいろ飛行機製造会社が林立しているようにおつしやいましたが、これは事実作業が始まるのもあるし、始まらないものもあるようですし、これを以て軍需生産を大いにやろうということにはお考えにならぬほうがいい。(「方向に向いている」と呼ぶ者あり)方向に向いていますが、私はその直れはないと思つております。(「御苦労様」と呼ぶ者あり、拍手)    〔国務大臣山縣勝見君登壇、拍手〕

山縣勝見自由党厚生大臣

○国務大臣(山縣勝見君) お答えいたします。  只今老齡元軍人に対しまする特別の措置に対して、憲法違反ではないかというお話がございました。これは御承知の通り、今回六十歳以上の元の軍人軍属又はその未亡人、これらに対して大体二千円をこの際差上げたいということであります。これに対して社会保障制度一般とのお話がございましたが、これは御承知の通り、大体恩給法によつて普通恩給又は普通扶助料を受けておられた方々ばかりでございますが、それが昭和二十一年一月から御承知の通り停止されております。殊に六十歳以上と言えば、大体おわかりのように働けない方々でもありましようし、又金額から申しましても、この際、政府といたしましては、かような措置をとることが適当だと考えまして、今回の予算の補正に際しましても適当な金額を補正追加いたしまして審議を願つておる次第でございます。  なお憲法違反ではないかというお話でございまするが、憲法第十四条には、いわゆる平等の原則であると思いまするが、これは人種、或いは性別或いは信条、いろいろございまするが、恐らくお話の点は社会的な地位又は身分という点に関連してのお話でないかと思いますが、(「そうだよ」と呼ぶ者あり)私はこれはそうでないと思うのであります。法制的に見ましても私はさように考えませんし、政府もさように考えないで今回の措置をとりましたのであります。御承知の通り憲法第十四条の立法の精神は、理由なき差別をいたさないのだということが立法の精神でございますから、今回の措置は、法制的にも、立法の精神から申しましても、憲法違反ではないと考えております。(拍手)

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 岩間正男君。    〔「総理の答弁がないじやないか」と呼ぶ者あり〕

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 失礼しました。総理大臣は只今出席を促しておりますが、後刻出席の上、答弁されることと思います。岩間正男君。    〔「定足数がないよ」「六十だよ」「登壇々々」と呼ぶ者あり〕

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 総理の出席を求めます。総理に対して重要な質疑でありますので、これに対して総理大臣がこの席におられないということは非常に困る。従りて総理の出席を求めたいと思います。(「総理がいない、こういう状態でまじめな審議がどうしてできますか」「休憩々々」と呼ぶ者あり)

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 今申したことく、総理の出席を只今促しております。岩間君の登壇を許します。質疑を始めて頂きます。    〔兼岩傳一君発言の許可を求む〕

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 兼岩君、何ですか。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 議事進行について発言の許可を求めます。このような重大な会議の進行中において、総理は理由も不明のままにいなくなつてしもう。定足数はかくのごとく欠如した状態、こういう状態において、新らしい第四次吉田内閣に対する我が党の質疑をするということは、甚だ不まじめであり、且つ議長はかような議事の運営をなさるべきでないと思います。動議を私は提出いたします。休憩されるところの動議を提出いたします。(「定足数ないよ」と呼ぶ者あり)

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 暫時休憩いたします。    午後一時三十八分休憩      —————・—————    午後二時開議

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 本院規則第八十四条により延会いたします。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時一分散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、議員の請暇  一、日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)

国会会議録検索システムで原文を見る ↗