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15回国会参議院1952/11/26

本会議 第5号

発言数
47
登壇者
13
会派数
4
開催日
1952/11/26

会議録

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      —————・—————

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  先ずこの際お諮りいたします。加藤シヅエ君から海外旅行のため二十日間請暇の申出がござました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて許可することに決しました。      —————・—————

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) この際お諮りいたします。  岡部常君から弾劾裁判所裁判員を、中山福藏君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたい旨の申出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつていずれも許可することに決しました。      —————・—————

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) つきましては、この際、日程に追加して弾劾裁判所裁判員及び同予備員の選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 只今の弾劾裁判所裁判員及び同予備員の選挙は、成規の手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。

木村守江自由党

○木村守江君 私は只今の小林君の動議に賛成いたします。

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 小林君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議長は、弾劾裁判所裁判員に中山福藏君を、同予備員に岡部常君を指名いたします。      —————・—————

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) この際お諮りいたします。  岡部常君、竹下豐次君から、両院法規委員を辞任いたしたい旨の申出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつていずれも許可することに決しました。      —————・—————

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) つきましては、この際、日程に追加して、両院法規委員の選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 只今の両院法規委員の選挙は、成規の手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。

木村守江自由党

○木村守江君 私は只今の小林君の動議に賛成いたします。

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 小林君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議長は両院濃規委員に小野哲君、中山福藏君を指名いたします。      —————・—————

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 日程第一、国務大臣の演説に関する件。(第二日)  一昨日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。下條恭兵君。    〔下條恭兵君登壇、拍手〕

下條恭兵日本社会党(第二控室・右)

○下條恭兵君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、第四次吉田内閣に対し、現下国民の最も知らんと欲する諸問題につきまして、順次お尋ねいたしたいと思います。  朝鮮事変勃発以来、政府は、特需を中心といたしまするドル収入が国際収支を好転せしめましたことに安易な態度をとりまして、日本産業再建に真撃なる努力を忘れ来たつたと思うのであります。このことは、外には日英貿易協定の失敗となり、支払協定の敗北となり、なお又、輸入制限に対する無策と相待ちまして、貿易不振の原因ともなり、今日の国内的不況と失業の増加を招来いたしたいと断ぜざるを得ないのであります。而も政府は、今日なお十億余ドルの在外為替を擁しつつ、これが積極的な活用を図ることなく、産業の高度化、近代化等の施策を怠り、遂に国際競争場裡に備うべき基礎条件の改善を遅延せしめたのであります。かくして日本経済はいよいよアメリカ依存の程度を深あ、独立後も何ら真に独立国家としての独自性を発揮せしめ得なかつたのであります。このことは昨年度日米貿易を見るならば極めて明瞭であります。即ち、対米輸出三億ドル、輸入九億ドルという大入超は、(「通産大臣出てないぞ」と呼ぶ者あり)政府の今日までの向米一辺倒、従属国的態度を余儀なくせしめました原因の一つであると言わざるを得ないのであります。而もこの中にありまして、吉田総理は、地理的、民族的関係から無視することのできない中共地区を含みますところの東南アジア貿易に対し、極めて無関心でありますのみならず、しばしばアジアを率いる日本的態度を示し、いよいよ経済自立の途を塞ぎつつあるのは、極めて遺憾であります。これら吉田総理の態度方針は、フイリピン、インドネシア等との関係を困難ならしめ、中共、ソ連との関係の正常化を絶望ならしめるものと存ずるのであります。吉田首相は、一昨日その施政方針演説におきまして、「我が国の対外国際経済関係につきましては、互恵平等の原則に基く通商航海条約を締結し、特にアジア諸国とは、貿易の増大並びに可能なる範囲の技術協力、資本提携を通じ、緊密なる経済関係の樹立に努力を傾注する所存である」と述べておりますが、私は、資本の蓄積が極めて乏しい日本、自国の経済自立の方途がまだ決定いたさない日本であり、なおその上、外資導入に懸命な努力を続けつつある日本が、後進国であるアジア諸国との資本提携を唱えることは、三角投資的誤解を招くことを恐れるものであります。又これらの諸策は先ず賠償問題の解決が先行すべきであり、これなくしてはあらゆる経済政策の実現は困難であると思うのであります。  先ず第一に、大蔵大臣に対しまして、補正予算についてお尋ねいたしたいと存じます。今回の補正予算は、歳入千二十八億、歳出七百九十八億となつているのでありますが、この歳入の内容を見ると、租税収入の増加が七百一億、そのうち源泉課税分が六百六十億、酒税七十一億、砂糖消費税五十八億その他であります。これを見れば、税収入増加の最大のものは勤労者の納税であります。又歳出においては、一般給与ベースの引上げでは人事院勧告に従わず、地方財政平衡交付金におきましては府県側の要望を無視いたしておるのであります。なお国民健康保険の国庫負担、その他社会保障的な支出が全然皆無であります。かくして歳入超過二百三十億を減税に充当すると言われるのでありますが、租税の増収の大半が勤労者の納税でありまする限り、勤労者の生活向上のためには、六百億全額減税でない限り負担の軽減にはならないと考えるのであります。  我々は、他方に財源を求めまするならば、安全保障諸費のうち約三百億、前年度剰余金四百五十六億の半額二百二十八億、連合国助産補償費のうち五十億、平和回復善後処理費のうち約六十億、防衛支出金六百五十億のうち四十億、インベントリー・フアイナンスのうち二百五十億等があると考えるのであります。以上の合計九百十八億を政府は如何に考えておられるのでありまするか。我が党は先に、月収二万円までの免税、公務員給与の引上げ、国鉄専売裁定の全面実施、社会保障費の大幅増額、農村振興資金の増加、中小企業年末金融の資金の増加、地方財政平衡交付金、地方起債の増額、科学研究費の増加等を内容といたしまするところの予算の組替要求の申入れを行なつたのであります。然るに政府は我が党の申入れを容れることなく、本補正予算を編成いたしたのでありまするが、前述の九百十八億の財源は如何ようにする考えであるかを、具体的に大蔵大臣から御答弁願いたいのであります。更に、手持外国為替はドル換算で十一億以上に及んでおりまするし、財政余裕金は二千五百億に達しておるのであります。これが活用の具体策につきまして承わりたいのであります。  我々は、先の補正予算組替案においても推察できまするがごとく、これらの多くの財源を我が党申入れのごとく、或いは地方起債に振り当て、或いは特殊産業の育成に充当すべきであると信ずるものであります。例えばこれらの財源を特殊産業に充当する場合、ライカを凌ぎますところの高級レンズ及び写真機等の保護育成を図り、シンガー・ミシンを凌駕する優秀なミシンの製作を保護奨励する等のことは、日本産業の高度化を図り、貿易の不振打開の一大要素ともなることがるのであります。重ねて私は、政府がこれらを考慮せられ、この財源を活用せられんことを願うものであります。この財源をそのまま温存することは、一部の論者の言うごとく、政府の再軍備とも関係するのではないかとの疑問を抱かざるを得ないのであります。  私は次に総理大臣に対しまして、憲法改正と再軍備の問題についてお伺いしたいのであります。  総理は施政演説におきまして、「再軍備については世上種々の論議はあるが、政府の所信は一貫して変ることなく、国力の回復に伴つて自衛力の漸増を図ることは勿論でありますが、現段階は専ら物心両面の国力の充実に努力を傾ける時期なるを信ずる」云々と述べておるのであります。これを見ると、総理は、条件が整えば速かに再軍備したいと考えていることは明らかであります。総理は去る九月二十八日、仙台市の演説会に臨むに先立ちまして、記者団との会見におきまして「今後四年ぐらいは再軍備の時期は来ないだろう」と語つておられる由であります。このように総理はこれまで再軍備という言葉を盛んに使われておりまするが、総理の言う再軍備とは一体如何なるものでありまするか。保安隊とか警備隊とかいう名称であれば、フリゲート艦を持ちましても、ヘリコプターを持ちましても、再軍備でないと強弁する総理の再軍備の実体はどんなものでありまするか。明確に総理の再軍備に対する定義を承わりたいと思うのであります。  続いて総理の言われる再軍備の時期についてお伺いいたしたいのでありまするが、すべての国民は、好むと好まざるとにかかわらず、すでに再軍備は吉田内閣の手によつて進められつつあると信じ、保安庁長官は即ち陸海軍大臣であるかのごとくに思つておるのでありまするが、仮に総理の言われる通り、現在の保安隊が再軍備でないとした場合、然らば吉田式再軍備はいつ行われるのであるか。即ち、経理が演説で言われた「国力が充実し、国民が再軍備を望むようになる」のは、いつ頃になると思われるのか。昭和二十八年度、昭和二十九年度中にその時期が来ると思つているのかどうか。総理の明確な答弁をお願いしたいのであります。  次に、先日アリソン氏が来朝いたしました際、日米協会において日本の再軍備を要望する旨の演説を行なつたのであります。これによると、艦船貸与協定も新特需も、日本の再軍備を促進させるためのものと解せられるのであります。又伝えられるところによりますると、吉田総理は、アメリカにおいて再軍備を約束されたと耳にするのであります。今回のアイゼンハワーの大統領当選により、アメリカの我が国に対する再軍備の要請はますます強くなつて来ることが予想されるのでありまするが、このようにアメリカが強く再軍備を要請した場合、総理はこれを拒否し通せるかどうかをお尋ねしたいのであります。又、今回の艦船貸与強定に続き、更に航空機、戦車、対空銃火器等の重装備の貸与協定を締結するのではないかとも恐れられているのであります。政府は、今後このような協定を結ぶ計画を持つているかどうか、お尋ねいたしたいのであります。  政府は、保安隊は軍隊でないと言つておりますが、装備の点から見れば、現在の保安隊と大差のない、若しくはもつと劣弱な装備しか持たぬ軍隊が世界には幾らもあるのであります。例えばアフリカのリベリアは兵力僅か四千であります。中米のホンジユラスは二千五百であり、ハイチは三千五百であります。南米にもこの程度の軍隊は幾らもあるのであります。又総理と党所属を同じくいたしまするところの鳩山一郎氏は、去る十月四日、箱根における全快祝賀会におきまして、「保安隊がなぜ軍隊でないのか、吉田君に聞き質したい」と言つていると聞くのであります。保安隊が軍隊でないというのは、誠に強弁も甚だしいと言わねばならないのであります。憲法第九条との関係におきましては、これまでしばしば本議場におきまして論議されて参りましたので、繰返すまでもないところでありますが、木村保安庁長官は、先般の閣議におきまして再軍備を打ち出せと述べたと新聞は伝えているのであります。かくのごとく明白なる事実に対しまして、横車的憲法無視が民主主義発展の上に如何なる悪影響を及ぼすものであるか。政府の五大政策要綱には、民主主義を基礎とする国民道義の高揚を掲げているのでありまするが、総理みずから憲法を無視し、憲法破壊の範を示しつつあることは、我々国民の最も遺憾といたしまするところであります。よつて私は再度、国民の名におきまして、保安隊は軍隊にあらずとする理由をここに明確にお示し願いたいと思うのであります。  続いて重ねて総理と外務大臣にお伺いいたしたいと思いまするのは、最近アメリカにおきましては、日本義勇軍編成論、或いは日本保安隊を朝鮮に派遣すべしとする論議が行われております。又、我が国民の間にも、保安隊の朝鮮派遣を余儀なくされるのではないかという不安があるのであります。更に又、外相がこのたび外交演説におきまして、国連協力を強く唱え、且つ朝鮮における国連軍の平和維持の成否が、我が国の安危に直接且つ重大な影響を及ぼすといたしまして、重ねて国連協力を強調していることは、前述の国民不安を更にますます増大せしめることと思うのであります。我々は国連協力は飽くまで憲法の範囲で行うべきことを主張して参つたのでありまするが、政府は、万一、米国又は国連から保安隊派遣の要請があつた場合、はつきり断わられるか否か。総理並びに外務大臣に対して明確なる御答弁を伺いたいと思うのであります。これは仮定の問題といたして片付けまするには余りにも大きな国民的不安でありまするが故に、私は総理及び外務大臣の誠意ある所信の披瀝を、あえてここに要望いたしまするゆえんであります。  次に経済問題について、大蔵、通産両大臣にお伺いいたします。  政府は新経済政策で、経済基盤の拡充発展を図ると言明しましたが、その具体的方策が示されていないのであります。経済基盤の拡充発展とは、池田通産相の言によれば、能率経済の推進だというのでありますが、その方向はどうであるかと申しますならば、兵器生産の拡充強化を図ることによりまして、再軍備には頬かむりしながら再軍備の準備を行いつつあるものであると所ぜざるを得ないのであります。十一月十八日緒方官房長官は、旧軍施設の払下問題を白紙に返すと発表いたしましたが、これによつても国有民営で旧軍施設を活用しようとしていることが窺がえるのであります。而も通産大臣は基幹産業を強化すると言つておりまするが、防衛生産を通じまして重工業偏重政策になる慮れがあるのであります。こうなりますると、平和産業に繋がりまするところの中小企業の苦境は一段と深刻化して参るのであります。これに対する対策を通産大臣に承わりたいと存ずるのであります。  更に輸出増進につきましては、政府は如何に考えておるのでありまするか。政府は、コストを引下げれば輸出は自然に増加するように考えておるのでありまするけれども、これは安易なる考え方でありまして、企業設備の高度化によるコストの引下げは勿論必要でありますが、現在の国際貿易の障害は価格ではなく、輸入制限という一方的な政策であるのであります。これを打開する方策を考えているかどうかをお伺いいたします。このような問題を中心にいたしまして政府の経済外交の進め方に対しまする方針を岡崎外相にお伺いいたしたいのであります。経済外交の重点は東南アジアが中心となりまするが、これは賠償の未解決が障害をなしていると思うのであります。政府の考え方はどうでありまするか、お尋ねいたします。更に、政府は平和条約の役務賠償をどう考えておるかをお尋ねいたしたいのであります。役務賠償は、一見、日本にとりまして都合がよいようでありますけれども、これによつて日本の商品の海外進出を阻害される虞れがあるのであります。役務賠償について政府の見解をお伺いいたします。  次に国土総合開発並びに農業問題に関しまして、建設、農林両大臣にお伺いいたしたいと思います。  敗戦により、我が国の領土は四割を減じ、人的資源を除きまするところの天然資源は六割の減少になつておるのであります。この現実に立ちまして経済自立の方策は、ただ一つ国土の総合開発によるのみだと断ぜざるを得ないのであります。然るに、政府がこのような経済自立の基礎となるべき施策を確立することなく、当面の応急措置にのみ終始いたしまして、治山治水を閑却いたしましたるところの拙速主義的な電源開発は、総合開発計画を画餅に陥れる慮れがあると思うのであります。例えば、只見川に見られまするがごとく、総合開発計画がまだ決定いたさないうちに電源開発のみを拙速に進行することは、天与の大資源の活用を不能とする危険があると信ずるのでお尋ねいたしたいと思います。現在日本の国道は約一万キロ、府県道は四万キロ前後と思うのでありまするが、まだ改良工事は半ばにも達しておらないのであります。このときに当りまして、政府は一千二百億の巨費を投じまして、東京—神戸間に弾丸道路の建設を計画中と聞くのであります。このような計画が何故に必要であるのか。このように悪道を放置しながら、このような計画が如何にして必要であるか。この理由を建設大臣にお伺いしたいと思うのであります。(「総理大臣に聞け」と呼ぶ者あり)  農業問題も、この国土総合開発計画と切離しては考えられません。政府は食糧増産計画に基きまして、耕地の拡張改良並びに経営改善により、十カ年後において、ほぼ国内自給を達成せんとしておりますけれども、これは単なる机上計画でありまして、政府が真に食糧自給を達成せんとするならば、従来の少額補助金を以ていたしまするところの助成政策を一擲して、国家みずからその責任において総合的な国土開発計画を実施すべきであるのであります。これによつて、耕地の拡張、既存農地の改良を促進し、食糧を増産すると共に、大規模の電源開発を併せ行い、それによる産業発展を促しまして、農村における次三男問題、その他の失業者を大量的に動員することが可能になると存ずるのであります。若し政府が防衛関係費に投じておりまするところの一千八百億の予算の半ばを割きまして、これを国土開発に投じまするならば、五年乃至十年の間に、食糧の自給度を高めますることは勿論、常時三十万乃至四十万の労働者を動員することが可能となるのであります。政府はかかる雄大な構想の下に、総合的国土開発事業に着手する決意ありや否やを、建設大臣、農林大臣にお伺いいたします。  次に当面の供出問題につきましてお伺いいたします。政府は生産者価格と消費者価格との二重価格制を頑強に否認しながら、自由価格と供出価格との二重価格とも言うべき苦肉の策を案出いたしまして、農民に臨んでおるのであります。これは、小農からは七千五百円の低米価供出を強制しながら、富農に対しましては一万円以上の米価で買入れるという結果になり、純朴なる農民の供出意欲を妨げることになるのであります。加うるに、米の自由販売をめぐりまして商業資本の跳梁となり、ゆくゆくは投機資本の農村搾取を復活する道を開きまするのみならず、農民の自主的団体でありまする農業協同組合の機能を麻痺せしむるものであります。これは、政府が徒らに統制撤廃の公約に拘泥して、農村を混乱に導き、農村経済を破滅せしめるほかの何ものでもないのであります。これがため供米の円滑を欠き、配給停滞を来たすことも憂慮せらるるのでありますが、この点、政府は如何なる確信を持つておられまするか。政府は速かにかかる不合理、不自然なる価格制度を改めて、基本米価の引上げ、消費者価格との二重価格制度を制定実施する意向なきや否やを農林大臣にお伺いいたします。併せて、政府の伝統的な低農産物価格政策の犠牲に甘んじまする農民は、今回の減税には全く閑却されておるのであります。農村の不況は、折角解放された農地を手放してお農民が全国には数十万あるのであります。かかる現況に対処するため、青色申告をしなくても農業所得税におきましては専従者控除をする意思があるかどうか。又供米代金、早場米奨励金などの所得に対しまして免税措置を考慮されているかどうか。大蔵大臣に伺いたいのであります。  更に政府は、農業団体の再編成問題につきまして、農業協同組合中央会を設立せしめんとしておるのでありますが、これはあらかじめ農業団体側と十分協議することなく、農林当局の独断によつて構想せられたものであります。その内容におきまして農協の自主性を無視し、中央支配的傾向が濃厚でありまして、極めて非民主的な措置と言わなくてはならないのであります。又農業会議所を設置せしめんとするに至りましでは、その精神におきまして完全なる旧帝国農会の再現であり、その行う農政活動は、政府の農林政策に対する追従と翼賛会的推進を意図しておることが明らかであります。民主主義の下における農政活動は、民同農民団体の自主的な動きに待つ以外になく、政府が僅かの団体助成金を好餌としまして既存団体幹部を籠絡せんとするがごとき、以てのほかであります。政府はむしろ農民団体の自主的組織と活動を促すごとき農民団体法を、この際、制定する意思はないかどうか。なければその理由を明確にされたいのであります。  次に住宅問題につきまして建設大臣にお伺いいたします。政府の五大政策のうちで、勤労意欲の増進は民生の安定にあると述べているのでありますが、民生の安定には先ず何よりも衣食住の充足がなければなりません。現下の都市生活者の生活水準は、生産指数の上昇一四〇%にもかかわらず、生活水準は未だ七六%の低位にあるのであります。特に住宅の不足は深刻を極めております。然るに政府の自由放任経済は、一方におきましてビル・ラツシユを生じ、既に十五億ドル以上のビル建築を見たと言われるのでありますが、一方、住宅不足は、三百数十万戸はこの二、三年何ら改善を見ておらんのであります。政府は本年三月、公営住宅法第六条の規定に基きまして、第一期公営住宅建設三カ年計画として、二十七年度から二十九年度までに十八万戸を建設する計画を立て国会の承認を求めておるのであります。然るに二十七年度の公営住宅建設に対しまする国庫補助金は二万五千戸にとどまつているのであります。十八万戸計画によれば、平均一カ年六万戸を建設しなければならないのであります。前建設大臣は衆議院建設委員会におきまして、本年度補正予算の機会に増額して、計画の実現に努力すると答弁しておるのでありまするが、然るに補正予算にこれの計上を見ていないのであります。その実現に如何なる用意があるかを建設大臣に伺いたいのであります。次に産業労務者住宅につきまして、政府は最近民間資本による住宅建設の促進の一策といたしまして、産業労務者住宅を取上げんとしておるのであります。その企図するところは、産業会社の資本を活用し、これに建設費の六割を用家資金による融資を行い、給与住宅を増加して、百二十万戸に及ぶ産業労務者の住宅不足を緩和し、労働力の向上に資せんとしているのでありますけれども、会社による供給住宅が、会社の全員担におきましてなす場合は別といたしまして、住宅金融公庫によりまする融資条件よりも悪い条件において、会社が実質的に居住者に負担を転嫁することが起こらないような措置をすべきものであると考えるのであります。今日の国内的情勢から概観いたしますると、民間建築資本の利用といい、更に又産業労務者住宅の助成といい、国民低階層の全般に亘る住宅問題を離れまして、即ち平和的公共政策から次第に脱却しまして、軍事的産業に重点を置く住宅政策に移行せんとする懸念が多分に感ぜられるのであります。政府はすべからく、住宅組合、労働組合、生活協同組合などの建築事業を容易ならしむるよう措置すべきであると思うのでありまするが、その用意ありや否やを伺いたいのであります。  以上を以ちまして私は質問を打切りまするが、最後に私は治安の問題に関しまして、一言、政府に要望を申上げたいと存ずるのであります。首相は先日施政方針演説におきまして治安関係機関の活動の連繋統一を図るべきであると言われているのでありまするが、我々は、国民生活の安定なくして、ただ武器と法律を以てするがごとき治安機構を確立するといたしましても、それは砂上の楼閣に過ぎないと考えるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)首相のこの言明は、特高警察の復活を図り、警察国家の再現になると恐れるものでありまするが、のみならず却つて民主的労働組合を弾圧する危険と機会を与えることとなると思うのであります。我々は幾十、幾百の破防法を作ろうとも、警察官を幾万動員しようとも、断じて治安は維持されないと信ずるのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)補正予算におきまして社会保障費の計上を忘れ、五大政策の中に労働政策を加えない政府におきまして、治安の乱れることは火を見るよりも明らかであるのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)治安の根本的対策こそは、社会保障を中心といたしまする国民生活の安定にあることを忘れてはならないのであります。私は、政府が一日も早く国民生活の安定を図つて、平和にして暮しよい日本を建設されんことを望んでやまない次第であります。(拍手)、(「できませんよ、そんなことは」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。  日本は貿易によつて国を立つべきであることは勿論でありまするが、併し今日の貿易情勢から申せば、アメリカの軍備の進行が遅れたこと、或いはイギリスが外貨保持のために絵入を制限したというような事情から、世界的に貿易は不振の傾向を見つつあるのであります。従つて日本もこれの影響を受くるのは当然でありますが、さて支那、ソヴイエトに対して云々というお話でありましたが、これは両国とも貿易管理をいたしておるのであつて、たとえ日本が貿易を求めて行つても、これはできないものはできないのであります。(「日本帝国しつかり」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し、笑声)  次に、東南アジアのことについて協力云々ということがありましたが、(「黙つて聞けよ」と呼ぶ者あり)これは東南アジアその他の関係は、賠償問題等もありますので、飽くまでも互いに助け合つて、経済、貿易の振興を図る、そのためには、技術、資本等の協力も又いたすべきであると考えておるのでります。今後ますますこの方面の貿易については振興を図る考えであります。  次に、再軍備と憲法の関係でありますが、私は常に申す通り、再軍備をいたさない、従つて憲法改正の必要はないのであります。(「再軍備しないことがあるものか」と呼ぶ者あり)私は仙台において四年間云々ということは、これは新聞の記事であつて、私は責任を負わない。従つて、いつから再軍備を始めるかという時期等については考えておりません。アリソンの演説については、私は責任を負いません。(「再軍備の定義を言いなさいよ」と呼ぶ者あり)  又、再軍備について米国から強要された場合は云々というようなふうに伺いましたが、未だ曾つて米国から再軍備を強要されたこともなく、又要請されたこともございません。今日或いはフリゲート艦を持ち、或いはヘリコプターを云々ということでありましたが、フリゲートはこれはパトロール隊のものであつて戦艦ではないのであります。又ヘリコプターは、海難救助、浮遊機雷の発見用のために購入若しくは貸与を得たものであります。これを以て直ちに軍隊と申すことはできないと思います。(「国民をだまさないで下さい」と呼ぶ者あり)  又、義勇隊朝鮮派遣ということについては、未だ曾つて米国政府から要請されたこともなし、仮に要請せられたところが輿論はこれを許さないと考えますから、政府としてはこれに応ずる考えはございません。  その他の問題については主管大臣からお答えいたします。(拍手、「そんなことは新聞でわかつておる」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣向井忠晴君登壇、拍手〕    〔思いきつて正直に、嘘を言わないでやれ」「驚かすなよ」「原稿読むな」と呼ぶ者あり〕

向井忠晴大蔵大臣

○国務大臣(向井忠晴君) 一番初めに源泉徴収税のことを御質問でございます。(「簡単だから原稿読むな」と呼ぶ者あり)勤労者の収入がふえたと……(「ポケツトから手を出せ」「手を出すより金を出せ」「もつと臍に力を入れて」と呼ぶ者あり、笑声)勤労者の所得から取ることばかりでなく、負担の……全体の増収であつて、勤労者からだけ取つたのではない。それで(「源泉所得だとさつき言つたではないか」と呼ぶ者あり)今回の減税で以て勤労者の負担は相当に軽くなつております。(「嘘をつくな」と呼ぶ者あり)  それから第二に九百十億の財源の温存があるということでございまして、それを再軍備の備えにしてあるということをおつしやいましたが、(「その通り」と呼ぶ者あり)これは決してそういうことはございませんで、大体使える見込になつておりますが、この財源を温存するという事実だけはございませんから御了承願いたい。(「良心の呵責に堪えまい」「どうした、どうした」と呼ぶ者あり)  第三番目の蓄積資金、外貨資金の活用ということでございますが、外貨資金の活用も、各商社に外貨を貸しますとか、或いはそのほかの方法で活用することをいたしておりますから、温存ではございません。(「めい答弁」と呼ぶ者あり、笑声)社会保障費とか、老齢軍人に給与を与えるとかいうふうに補正予算に計上しましたし、又軍人恩給は来年から復活実施されますので、これらは十分来年度において検討いたします。(「そんなものは十分に考えなくていいんだ」と呼ぶ者あり)  それから農業者に対する課税につきましては、従来から相当考慮して来ておりまして、今回の減税でも負担の軽減を図りますつもりであります。(「もつと政治家的経論をやれ」「超過供出の免税はどうした」と呼ぶ者あり)超過供出の免税は(笑声)考えているところでありまして二十六年度の産米におきましては、早場米の奨励金に対しては普通通り課税を行い、超過供出奨励金についてのみ法律を以て特例を設けまして、二十七年度分の所得税の課税を行わないことにしたのでありますが、併し二十七年度産米につきましては、前年度と同様の措置をとるかどうかという問題につきましては、相当慎重に検討を要する問題があります。昨年は災害その他のために供出の割当が困難であつたし、又割当後も供出の完遂にかなり不安が持たれまして、そのために食糧需給計画に齟齬を及ぼす懸念がありましたので、一年限りの措置として非課税の措置をとつたのであります。本年は米の作柄が良好であつて、昨年とは状況が著しく違います。超過供出を行い得る農家は比較的富裕な農家であり、その余裕を持たない農家も相当多いのであるから、その間の権衡につきましても十分配意する必要があります。超過供出は農民の努力によつて行われますことは認めますが、他の同種の所得との均衡を考慮する必要があり、前年のごとく異例の特別措置を本年も繰返すことは相当疑問があると存じております。(「それでどうするんだ」「農林大臣それでいいのか」と呼ぶ者あり)  我が国経済の現段階におきましては、(「答えになつていない」と呼ぶ者あり)いろいろな資本の蓄積による産業の充実強化が必要であると考えております。而も民間の必要とする資金は、先ず民間で蓄積して、民間で賄うことが本則であり、又国民全体が貯蓄の増強に努力することが切に要求されるのであります。もとより政府としては、税制面の配慮、金利の調整等、金融運営の指導、外資並びに優秀技術の導入等の各般に亘つて、民間におけるこれらの資本蓄積を促進し助長するよう特段の配意をいたす所存であります。又差当り民間資金を以てしては困難と認められる部面への資金疏通については、経済の実情に即して、財政資金及び外貨資金の積極的な活用を図つているのでございます。これにより、電力、造船等の基幹産業の拡充を図ると共に、現下の急務である貿易の振興、国際収支の拡大発展を図る考えでございます。ただ総理大臣も仰せられたように、相手のある仕事であつて、この日本の物を買つてくれない所に無理に押し付けても話になりません。従つてこれは、将来外国との或る意味で経済外交、経済外交というふうな話で、(「売らない、買わないはこつちが言つたじやないか」と呼ぶ者あり)二カ国乃至三カ国の相互融通の方法を講ずるというふうなことで、(「そんな小さいところじやないんだよ、問題は」と呼ぶ者あり)輸出を振興するより仕方がありません。(拍手、「三井の番頭と違うんだよ」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕    〔「まじめにやれ」と呼ぶ者あり〕

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) お答えいたします。  大体今総理大臣から答弁があつた通りでありますが、例えば外国の例を引いて、どこの国はこの程度のものを軍隊と称しているからというお話でございましたが、軍備というようなものは申すまでもなく相対的のものでありますから、年代によりまして昔は非常に幼稚な武器でも軍隊と言われるものもありましたでしようし、今ではそうでない場合もあります。又よその国がどれだけの軍隊を持つているから、それだけのものを持てば日本でも軍隊かというと、やはりこれは相対的のものでありますから、(「相対的というのはどこを相手にして言うんだ」と呼ぶ者あり)必ずしも外国のものなり昔のものがそのまま今適用されるとは考えておりません。従いまして保安隊の現在の状況は、決してこれは軍備と言うには当らないという再三の総理の説明の通りであります。(「相手はどこですか」と呼ぶ者あり)  又、経済外交についていろいろお話がありまして、賠償の未解決、これは誠にその通りでありまして、できるだけこの解決には努力いたしまするが、賠償に関係のない東南アジアの諸国もたくさんあるのでありまして、従いまして、我々は、例えば通商航海条約とか、或いは貿易協定、支払協定、こういういろいろなものによりまして、又一般的には各国との間の国民間の意思の疏通を図りまして、それによつて通商障害の除却に努めるつもりであります。又役務賠償等につきましての御意見がありましたが、これは平和条約の規定するところでありますので、我々は平和条約の条項の趣旨によりまして誠実にこれを実施する、こういうつもりでおるわけであります。  又、朝鮮に保安隊が出るとかいうようなお話もありましたが、これは総理の申された通りでありまして、今そんなことは全然ないわけであります。(「今のところではか」と呼ぶ者あり、拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕

池田勇人自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(池田勇人君) お答え申上げます。  経済基盤の拡充につきましては、我々は従来とも努力して参つておるのであります。而して今、日本の置かれました現状から考えますると、この経済基盤の拡充は従来以上のテンポでやつて行くべきだと考え、具体的に検討しております。(「兵器生産か」と呼ぶ者あり)  兵器生産につきましては、得てして最近防衛生産という言葉がございまするが、これは我々の考えていないところででございます。米国軍が必要な兵器を日本に注文いたしますので、我々はドルを稼ぐ意味からこの注文に応じておるのであります。日本の防衛のためのあれではないということをはつきり申上げておきます。なお重工業生産中心になるから中小企業が衰えるということは、重工業が必要ならどんどんこれを増強いたしまするが、中小企業の育成発展につきましても、先ほど生産拡充につきまして申上げました通り、政府は今まで以上の努力を、金融或いは企業の育成指導の方面に力を注いで行きたいと考えておるのであります。  次に貿易の振興につこまして、コストの低下だけでは期待できない——その通りでございます。今の現状はコストの低下だけでは参りません。而して日本はまだまだめくら貿易であつて、貿易の中心となるべき貿易商社の弱体が貿易不振の一つの原因であります。而して又ポンド地域が輸入制限をやつておるのも一つの原因でございます。従いまして、我々は今後、両者共存共栄の立場から、日本も輸入を多くし、而して相手も日本からの輸入を多くし、お互いに輸入し合い、輸出し合うという恰好で行きたいと考えておるのであります。(拍手)    〔国務大臣小笠原三九郎君登壇、拍手〕

小笠原三九郎自由党農林大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) お答え申上げます。  食糧増産について実効を挙げるよう総合的な計画を立てるべきであるという御意見に対しましては、誠に御尤もに存じます。今回の増産は、土地の開墾改良のほか、耕種の改善、畜産との結び付き、その他、各省との連絡を緊密にし、総合的に増産の実効を挙げるよう措置する考えでございます。(「基地を貸したのはどうした」と呼ぶ者あり)  その次に、米価につきましては二重価格を採用する考えはないかとの御意見に対しましては、米価につきましては、差当り二重価格を採用する考えを持つておりません。(「差当り」と呼ぶ者あり)  第三、農業団体再編成の問題でございます。食糧増産は日本の絶対的な要請でもございまして、農林省といたしましては、この要請に応えるために、現在の改良普及員制度を拡充強化いたしまして、農業生産指導に万全を期しますると共に、生産流通を担当いたしておりまする農業協同組合の育成強化を図り、又農民の増産意欲の向上のために、農民及び農業団体の意思が十分農業政策に反映し得るような利益代表機関の整備を行うことが必要だと考えておりまするが、併し仰せのごとくに、本問題は重要且つ微妙な問題でもございまするので、先ず農業団体相互間で十分に論議を尽され、意見の調整を図ることが前提であり、仰せのように自主的な合理的な結論が得られまするよう期待いたしておる次第でございます。  又、農林団体法についてお話がございましたが、現在のところ制定の考えは持つておりませんが、農林団体の再編成が行われまして、その必要を生じましたときには、それらの立法をも考慮いたしたいと考えております。  なお超過供出奨励金の免税措置についてのお尋ねがございましたが、これは生産者の要請もありまするし、相当検討を要しまするけれども、十分国会の意見を尊重いたして参りたい所存でございます。(「所存」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

佐藤榮作自由党建設大臣・北海道開発庁長官

○国務大臣(佐藤榮作君) 国土の総合開発はお説の通り絶対に必要と考えております。そうしてこの総合開発を進めて参ります場合には、治山治、水道路計画というものが、これが根幹をなすものである、かように考えておるのであります。この観点に立ちまして、総合多目的計画の下に治水計画を進めておるのでございます。御指摘の電源開発の問題は、今日の電力不足の現状から、経済再建の必要上葉念に取上げてこれが実施を進めておるのでありまするが、勿論、只今申されました国土総合開発計画の推進を十分勘案して進めておる次第でありますので、この点についての矛盾或いは支障等はないのであります。  道路にいたしましても、幹線の整備を進めると共に、既設道路の保守改善になお一段の努力をいたすつもりであります。いわゆる弾丸道路、これも既設道路の整備計画と並行いたしまして計画を進めて行く要のあることは当然でありまするので、只今調査中であります。  次に住宅問題でありまするが、住宅問題は今日の国民生活の重要なる問題であることは御指摘の通りであります。政府におきましては、この住宅問題の解決のためにいろいろの方案を講じておるのであります。その一つに御指摘の公営住宅もあるわけであります。今回の予算におきましても公営住宅の公共事業費の予算を見積りたい、かような考えは持つておつたのでありまするが、財源並びに残されました法規の都合上、今回の補正予算には遺憾ながら計上を見合わすこととなつたのであります。併し今後におきましてこの住宅問題の解決につきましては一層努力する所存でございます。産業労務者住宅の問題も、今後の問題といたしまして更に研究を進めて低利融資等の方法によりまして、これが整備を図つて参りたい、かように考えております。(拍手)

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 高田寛君。    〔高田覚君登壇、拍手〕

高田寛緑風会

○高田寛君 第二次世界大戦後、共産圏が形成されましたために、世界を一丸とした市場というものは崩壊した形であり、又アメリカがずば抜けた生産力の優位を持つために、世界的のドル不足を来たしております。又我が国貿易の重要市場である東南アジアにおきましては、逐次ナシヨナリズムの発達と産業自給度の向上を来たして参つておる情勢であります。又最近は、朝鮮動乱ブームの反動と、アメリカの軍備拡張の緩慢になつたのを原因として、世界的に好景気が後退したように思われます。そのため各国の輸入制限は漸く顕著となり、その影響を受けて、我が国最近の輸出の動向は、二十六年度十四億四百万ドル、二十七年度十一億四千二百万ドルを見込み、二十八年度予想は十億五千万ドル前後というふうに、この二十六年度を頂点に大幅の減少の傾向を辿つて参つておるのであります。このような輸出の減少に対して、特需は、二十六年度に三億二千万ドル、二十七年度に三億三千四百万ドル、二十八年度の見込は大体三億八千万ドルというふうに増加して参つておるのでありますが、二十八年度は、兵器産業の受入体制如何では、或いは四億ドル、五億ドルにも達するのではないかということが予想されるのであります。この特需の増大の傾向が国際収支の不均衡を是正して、表面的には手持外貨の増大とドル不足緩和をもたらしておるのでありますが、本来、国際収支面で正常収入が減少し、特需や駐留軍の消費に依存しておりますことは、将来に大きな禍根を残すものと言うべきでありませう。又、例えば最近我が輸出の大宗である綿布の輸出の状態を見ますると、本年上期の月平均が大体七千八百万ヤールであつたのが、九月は遂に三千九百万と、思いも及ばなかつた四千万台を割りまして、当初計画の年間十億乃至十一億ヤールはおろか、八億或いは七億五千万ヤールを割るのではないかとも言われております。かくして、若しこのような状態が続きますならば、本年の我が国の輸出は十一億ドルを割るようになるのではないかと思われる次第であります。  政府は最近、貿易の振興について、民間の要望も取入れ、諸般の措置を講ぜられている模様であり、これらはそれぞれ所期の計画通り実現せられることを期待している次第でありますが、特に私がここに希望する一つの問題は、今日の世界的に貿易が縮小する傾向にあるのを打開することに関してであります。これについては、先の施政方針演説においても何ら触れておられなかつたように思います。勿論、現在の貿易縮小は、主としてドル不足並びに軍備拡張の負担による国際収支の悪化を防ぐためにとられている各国の輸入制限に基因しているものである以上、我が国だけの努力によつてこれが解決を見る性質のものではないことは言うまでもございません。根本的には一にかかつてアメリカの態度如何にあるという関係もありまするが、併し我が国が貿易によつて国を立てねばならんのである以上、これをただ放任しておいてよい問題では決してなかろうと思うのであります。これらの解決策に対しましては、すでに民間からEPU即ち欧洲決済同盟の構想に倣つた多角決済機構の設置とか、或いは国際経済会議の開催の提唱であるとか、或いは中共貿易の促進とかいうような要望が出されているのでありますが、これらに関しまして政府は如何なる構想を持つておられるか。現下我が国の実情は、このまま推移すれば到底じり貧状態を免れないと思うのでありますので、これに対する政府の御所信を伺いたいのであります。  次に、我が国におきましては、今後如何に産業の開発を見るといたしましても、食糧及び衣料の原料を初め、多くの生活の必需品は少くともこれを輸入に仰がなければならない国情からいたしまして、輸出貿易の振興は極力これを図らなければならないこと勿論でありまするが、翻つて考えまするに、天然資源の乏しい我が国といたしましては、輸入額に見合う輸出をなすことは誠に困難な問題であります。是非とも貿易外に外貨を獲得しなければ成り立つて行かない国情であると考えるのであります。戦前においては、海運収入、或いは海外移民の送金、又は海外投資の収益及び観光収入によつて大きな外貨を獲得し、よつて輸入超過による支払勘定を補つて参つたのであります。第二次大戦後、経済的に疲弊しました欧洲各国は、経済再建のため挙げて国際観光事業に力を注いでいるのでありますが、又英国などに見ましても、戦勝国でありながら経済的に大いなる打撃をこうむつて、その回復策として大大的に、戦後、観光事業を取上げております。一九五一年中に英国は六十九万の観光客を外国から迎えて年間約二億ドルの観光収入を挙げております。又、他の国々の同年の観光収入を見ますると、フランスが約三億六千万ドル、スイス及びイタリーがおのおの二億ドル、西ドイツにおきましてもなお且つ六千万ドルというような観光収入を挙げておるのでありますが、その他オランダとかベルギー、或いはデンマーク、ノールウエー、スウエーデン等、各国競つて米人の規光客誘致に大童になつているような有様でございます。我が国におきましても、戦後この観光事業を振興して一面、国際間の友好感情を高めると共に、一面、又貿易外において外貨を獲得することを必要とする声が漸く高まつて参りまして、政府におきましても、その総合的方策を樹立するために、去る昭和二十三年、内閣に観光事業審議会を設置せられて、爾来引続いて今日に至り、その間、政府に対して引続き適切なる建議を行なつて来ていると思うのであります。然るに、甚だ遺憾なことには、折角提出せられました建議も、これが今日まで政府の手によつて実行に移されたものは誠に少いのであります。総理はこのたびの施政方針演説の中において観光外客誘致のため、幹線道路、産業観光開発道路の整備開発を図る、こう言われておりましたが、果してこの観光事業を重要な国策の一つとして取上げて、これを積極的に推進して行くお考えがおありになるかどうか。この点、総理の御所見を伺いたいのであります。  次に本事業の所管大臣である運輸大臣にお伺いいたしたい。  近来我が国に来訪する観光外客も年年その数を増加いたしまして昭和二十六年度の観光収入は、約一千五百万ドル、二十七年度は二千万ドルと、大体このように順次殖えているのでありますが、これでもなお昭和十年頃の観光収入三千万ドルにもまだ及ばないのであります。これには一つの大きな原因があると私は考えております。曾つては日本国内の旅行費用は非常に低廉であつてこれが一つの魅力になつておつたのであります。然るに今日におきましては、日本国内の旅行費用は欧州に比較しても非常に高いと言われております。現に私自身も、昨年十月、パリに開かれました全米旅行業者協会の総会に出席いたしました際、米国の旅行業者たちから、日本にもつと多くの観光客を送りたいのだが、日本国内の旅行費用は余りにも高過ぎる、(「観光委員会でやれ」と呼ぶ者あり)折角日本に旅行を希望する客も多いことだから、何とか日本国内の旅行費用をもつと低減することができたならばまだまだ多くの観光客を日本に送り込むこともできるというような話も聞かされたのであります。この旅行費用が高過ぎると申しましても、先ず第一はホテルしか旅館とかいうような宿泊費用の問題でありますが、戦後、短期の高利の金を借りて建設したこのホテルなどの料金が高いのは、これはまあ当然だろうと思います。まだまだこのホテルなどの増加も必要でありますが、又一面においてこのホテル事業のコストを引下げなければならないと思います。そのためには、曾つて昭和九年から十二年までの間に預金部資金を貸付けて、観光ホテルを十四軒も建てたことがありますが、今後一層この事業を振興するためには、ホテルを初め重要観光施設に対して、その必要資金調達に一層の助成方法を講ずる必要があると思うのであります。又併せて租税等の減免というようなことも大いに考慮する必要があると思うのでありますが、これらの点について政府の御所見を伺いたいと思います。  次に、外国の観光客に対して旅行費を低廉にして多くの客を誘致するためには、観光円とかツーリスト円というようなものの設定ということが最も有効な措置であろうと私は考えております。即ち外国から来る観光客に対しては、一定の制限の下に、例えば一ドルに対して五百円の割合で交換してその負担を軽減し、この魅力によつて多くの観光客を吸収して多くの観光収入を挙げる。これは曾つて欧洲ではイタリーとかフランスでとられた方法でありますが、今日のごとき物価高の日本で観光客を多く引き付けるには極めて有効な方策と思うのでありますが、政府においてはこのような方法を採用する御意思はないかどうか。この点も伺いたいのであります。  又いま一つ、観光宣伝の問題でありますが、欧洲各国は今や米国より競つて観光客を誘致し、大いに観光収入を挙げるために、今や一大観光宣伝戦を展開しております。多くの観光客を吸収して多額の収入を挙げるためには是非とも活溌な宣伝が必要と思います。只今イギリス、イタリー、フランス各国においては、それぞれ年額約二百万ドルの宣伝費用を使つておるのでありますが、我が国のこの方面に充てる費用は僅かに十万ドルに過ぎない。これなども誠に、多くの外貨を獲得するという面から申しまして、物足りないものと思うのであります。  次の建設大臣にお伺いいたしたいと思います。外国から多くの観光客を誘致するには是非とも主要幹線道路及び観光道路の整備が必要と思いますが、只今我が国におきましては、国道でさえ鋪装されておる部面は僅か一八%に過ぎないので、誠に心細い状態でありますが、政府としては今後観光道路の整備について如何なる御計画を持つておられるか。この点について建設大臣にお伺いしたいのであります。  次に、私は航空事業についてお伺いしたいと思います。最近数年間における航空機の飛躍的発達によりまして民間航空は、政治経済活動の能率化、国際交通の促進、貿易外収支の改善等に寄与するところ多大なものがあると思います。今や近代国家の進歩発展に必要欠くべからざる要素となつておると共に、将来ますますその重要性を加えることは明らかなところであります。而して、我が民間航空は戦後六年有余の空白時代を経て漸く再発足せんとしておる初期の段階にあるのであります。その間において飛躍的発展を遂げた諸外国に比して著しく立ち遅れておるのが、これは遺憾ながら現状であることは事実であります。翻つて世界の航空事情を見ますると、各国はいずれも民間航空の重要性に鑑みまして、積極的な助成方法を講じてその育成発達を図つておる。我が国といたしましては、この立ち遅れた民間航空事業を急速に再建し、世界水準に到達せしめるためには、民間航空関係者の特段の努力を要することは言うまでもないのでありまするが、これと共に、又政府におきましては、確固たる航空政策を確立して、積極的な各般の施策をいたすことが刻下の急務であると信ずるのであります。然るに、このたびの総理の施政方針演説を伺いましても、その中に、外航船舶の増強、鉄道の整備を唱えておられながら、一方、航空事業の再建について何ら論及されなかつたということは、誠に私は遺憾に存ずるのであります。総理は航空事業の発達につきましてどうお考えになつておられるか。この点、総理の御所見を承わりたいのであります。  次に運輸大臣に承わりますが、世界各国の例を見ましても、民間航空事業につきましては政府が特段の助成方法を講じておるのであります。英国とかフランス、オランダ等は、それぞれ航空会社に政府が全額の出資をいたしておるのであります。その他の国におきましても皆ひとしくこの事業については特段の助成方策を講じておるのであります。各国の航空会社おのおの自国政府の積極的保護の下に相互に激烈な競争を行なつており、今後国際航空を開始せんとする我が国の航空事業会社が、これら諸外国の会社との競争に堪えて、その事業経営を確実に維持して参りますことは、決して容易なことではないと考えるのであります。そもそも航空機の購入には莫大な金を必要といたします。今日ダグラスのDC4の中古品一機を購入しますのにも約二億五千万円ぐらいの費用を支払わければならないのであります。何らかの形の政府の補助金或いは開発銀行等の融資等、適切な助成方法を講ずるにあらずんば、到底堅実な航空事業は成立しないと、私はかように思うのであります。政府はこれについて如何なる方策を持つておられるか、この点、伺いたいのであります。最後に、航空要員の養成方策について一つ伺います。日本人の操縦者その他航空従事者は、戦後六年有余の空白時代こそありましたけれども、戦前並びに戦時中における優秀な航空の技術或いは航空の適性ということから見まして、世界の水準に到達し得る素質を十分に持つておると考えるのでありますが、平和条約発効後自主航空が許容されました今日でも、日本人の操縦による自主運航を全くすることができないで、なお多数の高給の外国人操縦者を雇用して多額の外貨を支払つておるということは、誠に遺憾に存ずるのであります。政府はできる限り速かに日本人による航空機の運航を可能ならしめるよう、航空要員の養成を国家が強力に実施する必要があると、かように私は考えるのでありますが、この点につきましても一つ政府の御所見を伺いたいのであります。  以上、私の質問を終ります。(拍手、「よく、かんこうしてお答えいたしましよう」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。  観光事業の振興の大切なること、及び他国において外貨獲得のためにこの事業を奨励いたしておるということと共に、日本においても同様な方針をとるべきではないかということは、誠に私ども御同感に考えるのであります。故に私の施政方針の中にも観光道路という一項を加えておるのでありますが、この観光事業はいろいろな方面のことを考えなければならないので、単に道路ばかりではなく、或いはホテルについても、或いは出入国の続を簡易にするとか、いろいろな方面を考えなきやなりませんので、政府としてはこの観光事業のために相当の努力を払う考えでおります。なお審議会云々のことがございましたが、審議会の建議も無論十分尊重いたして、政府としてはその施策の上にその審議答申については考慮いたします。  次に航空事業についての項でございますが、この航空事業は御承知の通り非常な補助を要するので、これを完全にいたしますためには国庫の負担も容易ならないのであります。現に日本航空会社でありますか、日本の航空会社が新らしく終戦後設立されましたが、その経営についてもかなり困難であり、又その助成についても政府としては相当の負担になつておるのであります。この費用の要る、補助を必要とする航空事業の完成については、日本のごとく独立間もない国家として、その負担については各般の状況を考えなければ、直ちに十分な補助を与えるということは財政上許さないと考えます。併しながらそのために航空事業について政府はこれを軽視するというようなごときことは考えておりませんが、できれば無論日本の航空事業の発達は希望いたします。いたしますが、何分、財政これを許さない段階にあるのであります。併し政府はその発達については十分考慮いたします。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 只今のお話の観光事業につきましては、我々も同感でありますが、私どもは更に各国との間の意思疏通或いは文化交流という面から見ましても、これは必要だと考えますので、できる限り十分なる努力をいたしたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕

池田勇人自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(池田勇人君) 日本のこの国際収支の問題につきまして御心配の点、誠に同感でございます。お話のように、只今は特需その他によりましてドル不足を緩和しておるのであります。何分にも、ドル圏からは九億五六千万ドル輸入をいたしまして、輸出は三億程度、最近ちよつと伸びましたが、まだ四億ドルにはならない。その差額の五、六億ドルというものは特需で賄つておることはお話の通りであります。従いまして我々は将来のことを考え、できるだけドル圏に対して輸出をいたすよう只今より努力を続けております。  又、綿の輸出につきましても、お話の通り最近暴落いたしましたのと、又東南アジア地区におきまして相当自国において生産できる恰好になつておりますので、目標の十一億ヤードはなかなか困難と思います。併し先々月の四千万ヤードを切つたというのは一カ月だけでございまして、将来もその程度のこととは考えておりません。我々は努力して、できるだけたくさんにいたしたいと考えておるのであります。  貿易の各国の縮小傾向は、これはドル不足によるものであります。ドル不足は何によるかと申しますると、各国が自分の所得以上の消費をしておることが原因であります。第二は、やはり軍備拡張でございましよう。これは各国の為政者の共通な持論でありますが、さあ、それだといつて、消費をうんと節約して所得の範囲内に限ろうということは、今の政治情勢ではなかなか困難であるということは、先般の国際通貨基金の会議におきまして各国の経済大臣、大蔵大臣が歎きながら申しておるのであります。我々といたしましては、縮小傾向をできるだけ改むべく、いわゆる未開発地を開発して、消費を殖やして、お互いに消費増によるいわゆる生活水準の増加を図るべきだというので、努力いたしております。従つて決済方法といたしましても、今お話のEPUの問題は、欧洲諸国ではできまするが、どちらかというと、ドル圏内に近い日本として、世界各国と支払同盟をやるということは、今のところなかなか困難ではないかと思いますが、今の世界のドル不足を如何にして解決するかということは、これは自由国家群の最も重大なる問題でございます。私はこの意味において、イギリスが非常な耐乏生活を続けておる気持を考えまして、誠に同情と同感に堪えないのであります。日本といたしましては、できるだけ東南アジア或いはスターリング地域におきましては、各国と協調して、日本の輸入を先ず殖やして、そうして向うが日本から輸入する力を先ず与えよう、かような考えで今後進みたいと考えておるのであります。従いまして、我々は幸いに今十一億ドルの外貨を持つておりますので、これを国内の生産増強、コスト低下に使いますと共に、ドル不足の国或いは外貨不足の地方に対しましては、できれば日本からクレジツト或いはローンを与えても日本の輸出を殖やすべきではないかと、こういう構想の下に検討を続けておるのであります。これにつきましては、国内生産の拡充、又貿易機構の整備、これには商社の問題も、為替銀行の問題もございますが、こういう状況から考えまして、私は極力日本の経済の発展、貿易の振興にあらゆる努力をいたしたいと考えておるのであります。(拍手)    〔国務大臣石井光次郎君登壇、拍手〕

石井光次郎自由党運輸大臣

○国務大臣(石井光次郎君) お答えいたします。  戦後、世界の各国特にヨーロツパの国々が観光事業に力を入れまして、貿易外収入の途を講じておることは、今高田君のおつしやつた通り、誠にその通りでございます。我が国といたしましても、是非これは努力をいたしまして観光客を迎えたいということを感ずるものでありまして、いろいろな方策を講じたいのでありますが、一番今困つておりまするものは、お尋ねのありましたホテルの料金というものが世界のどの国に比べても決して安くない。何とかしてこれを下げられぬかということをよく言われるのでありますが、この問題につきましては、今もお話のありましたように、戦前には、大蔵省の資金運用部の資金を、或いは県市その他の公共団体等に長期低利で貸付けまして、戦前十四、五のホテルもそれででき上つたようなこともあつたのでありますが、現在はこの途が絶えておるのであります。何とかいたしましてこの方法も講じて行く必要があると思うて、今折角交渉をしたいと思つておるのであります。又、今度近く発足する長期信用銀行等からの融資によりまして、これによつてホテル経営というものが少し楽になり、やがて料金を引下げるということになることを期待いたしておるのであります。手近かな、身近かな問題といたしましては、ホテルの料金引下げのために、そこに指定されております旅館に泊ります外客の宿泊飲食によります遊興飲食税を半減する措置がすでに講ぜられておるのでありますが、来年一月以降はこれも何とかしてもう少し漸減するような点に進めたいと思うております。  観光円のことについてお尋ねがありました。これは誠に趣旨としては結構でありまするが、三ーロツパの例を見ましても、戦前にはドイツ、イタリー等がやり、戦後にはフランス、スペイン等がこの特別な為替レートを制定したようでありまするが、現在は、これは一時的なものであつて、やられておりません。この必要はあると思いますが、なお研究を要する問題だと思います。  観光宣伝の問題にお答えいたします。これは、さつきもお話のありましたように、助成金が非常に僅かであつて、十分な宣伝ができないということでありまするが、これもでき得る限りの措置をいたしまして、私ども海外に宣伝をいたし、これによつて外客誘致の途を講じたいと思つております。  航空問題についてお答えいたします。航空の事業の助成はもつとやるべきではないか、国庫の支出も必要ではないかというお尋ねであります。これは、只今まで私どものやつておりまする問題は、資金の面におきましてできるだけ助成をいたします。それから税の軽減をする、或いは抵当権設定の確立というものを、これからやつて行くというようなこと等を図りまして、そうして民間航空事業の発達を期したいと思うておるのであります。国庫から今直接資金を出すということ、出資をするということは、只今のところはまだ考えていないのでございます。それから航空要員の養成のことでありますが、現在日本人の航空士並びに空の交通管制の要員というもの、こういうものの勉強を今始めさせるために、アメリカにもすでに人を出し、それから日本国内においても、この航空交通管制の要員の養成を始めておるのであります。将来政府においてこの操縦士の訓練というものには、もう少し組織的な方法を講じたいと思つております。お答えいたします。(拍手)    〔国務大臣向井忠晴君登壇、拍手〕

向井忠晴大蔵大臣

○国務大臣(向井忠晴君) 只今の御質問の中に観光円ということがございましたが、これは具体的にどういうものをお考えでございますか。仮りにそれが外貨への再交換を保証されたものというのでございましたならば、国内に特別な性質を持つ円貨の流通を認めるということになるので、好ましくないと存じます。又仮りにそれが観光客のために、その持ち込まれた外貨を、特別なレートで以て有利な円に交換してやろうというのでありますると、それは複数為替相場を認めることでございまして、又好ましくないと存じますので、なおよく考究を要すると存じます。    〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

佐藤榮作自由党建設大臣・北海道開発庁長官

○国務大臣(佐藤榮作君) 観光道路の整備の問題につきましては、すでに観光事業審議会の決定に基きまして観光幹線の整備に只今とり掛つている次第であります。二十六年度におきましては約十三億円、二十七年度におきまして十七億円余の事業をいたしております。なお二十七年度におきましては、これ以外にも、有料道路の関係から、三億五千余万円を投じておるような次第であります、これらの事業の中には、日光の馬返しであるとか、或いは小田原—熱海間等の道路の整備が入つておるわけであります。建設省におきましては、今後もこの方針の下に道路の整備をいたしまして、外客誘致並びに観光事業の発展に寄与したいと、かように考えております。(拍手)

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 羽生三七君。    〔羽生三七君登壇、拍手〕

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○羽生三七君 私は日本社会党第四控室を代表して、一昨日の吉田首相の施政方針演説、並びに岡崎外務、向井大蔵両大臣の演説、その他関係閣僚に対して、我々の疑点を質したいと思います。  過ぐる講和条約の締結に端を発し、引き続く日米安全保障条約、日米行政協定等の取極によつて、我が国は政治的にも経済的にも、危険と困難に満ちた途を歩まざるを得なくなつたことは、ここで事新らしく指摘するまでもなく明瞭でございます。然るに、この重大な段階における政府の施政方針は、その内容、貧弱にして空疎、全く顧みて他を言うの類いであつたと言わなければなりません。(拍手、そうだそうだ」と呼ぶ者あり)  私は最初に先ず外交問題からお尋ねをいたします。講和条約締結の日から、政府はアメリカの対日政策に対して殆んど無原則的な追随を示し、アメリカ一辺倒の外交に終始し来たつたことは、今やまぎれもない事実でございます。今日アメリカの世界政策は、対立陣営に対するいわゆる封じ込み政策を生ぬるしとして、巻返し政策或いは開放政策の名による、より強力な対外政策にその重点が移行せんとし更に又、大統領選挙のあと、この傾向は一層濃化するものと見られ、我が国の置かれる地位、その前途は、一層の危険と困難が予想される段階に立ち至つたのであります。勿論アメリカの民主、共和両党は、いわゆる二党外交或いは両党外交の名を以て呼ばれる、一種の超党派外交という建前をとり来たつた関係上、その対外政策に根本的な変革が今直ちに起るとは一概に断定いたしかねますが、併しアメリカ自身が持つ内在的な諸矛盾は一層激化し、矛盾の拡大再生産を必至とする情勢にありますから、その影響がいろいろな形で我が国に重大な関連性を持つで来るであろうことは、これ又疑いもない事実でございます。すでにその傾向は近来あらゆる形で表面化しつつあるのであります。即ち、アメリカの一部指導者は、朝鮮からのアメリカ部隊の引揚を示唆しておりますが、これは勿論休戦と動乱の解決を意味するものではなく、アジア人をこれに置き換えることを意味するものであることは、余りにも周知の問題でございます。  アメリカの著名な軍事評論家であるニューヨーク・タイムス紙の記者ハンソン・ボールドウイン氏は、伝えられるアイゼンハワー元帥の朝鮮訪問について、去る十一日パリから次のような観測記事を送つております。即ち「アジア人がアジアのために闘わなければアジアを保有できないというア元帥の考え方は、単に韓国人のみを指すと見ることは出来ない。欧洲の防衛に西ドイツが不可欠であるように、アジアの防衛には、日本が真に重要なのである。ア元帥の朝鮮視察は、朝鮮の国境の外にまで必然的に拡げられざるを得ないのである。」と述べております。又、先日、来日されたアメリカの国務次官補アリソン氏は、去る十日、日米協会主催の観迎会での席上、我が日本に対して再軍備を懲悪し、更に「戦争は避けなければならぬが、必要とあれば戦争の準備をしなければならない。」と、極めて物騒千万な演説をされております。  これら一連の観測や構想は、今日アメリカの一部指導者の中に深く根をおろし、漸次支配的な傾向になろうとしているようでありますが、若しこの種の問題が現実の問題として我が国にのしかかつて来た場合、即ち、我が国が再軍備を強いられ、朝鮮派兵というような問題が現実に起る場合、我が国は一体どうなるでありましようか。それは言うまでもなく、我が国が底知れぬ泥沼の中に足を踏み込む端緒となり、我が祖国と民族を破壊と混乱の岨禍に投ずることとなることは、余りにも明瞭であると言わなければなりません。(拍手)これに対して、先ほど首相の下条議員に対する答弁では、さような要請があつても断じてやらないというお答えでありましたが、我々は深くこれに期待をいたします。将来、講和条約第五条の定定に基いて、いろいろな客観情勢の変化があつても、首相は断じて客観情勢の変化によつて、先ほどの下条議員に対する答弁を変えられない決意をお持ちになつておるかどうか。重ねてこの機会にお伺いいたします。(「だましますよ」「そんな答弁は何遍もやつたよ、何回聞くんだ」と呼ぶ者あり、拍手)首相は先日、値上再軍備につき種々議論があるが、政府の所信は一貫して変るところがないと述べられておりますので、この際それとの関連もお伺いいたしておきます。  曾つて太平洋戦争の前に、時の政府が軍部の前に、朝に一城を抜かれ、また夕に一城を失つて行つた当時を、我々がここで回想することも無意味なことではないと思うのであります。安全保障という名の下に行われるもろもろの政策が、実際にはその逆コースとなり、安全保障とは似ても似つかぬ不安全体制の推進となりつつあることは、最近生起しつつある諸情勢を検討すれば、これ又余りにも明瞭だと存じます。現にシカゴ・デイリー・二ユースによる情報によれば、中共政府は、日本の再軍備促進と朝鮮への圧力を予想して、動員力の強化を計画しているように伝えておりますが、我が国の再軍備は、結局のところアジアの紛争を一層激化せしめ、戦争への危機を深め、矛盾の拡大再生産を招来するに過ぎないことは、世界情勢に対していやしくも正当なる判断力を持つ者にとつては否定することのできない事実であります。このような時期に、保安隊の増強計画が報ぜられたり、或いは先ほど下條君も触れられました日米船舶貸借協定が調印され、各種の船艦が日本で借りられることになるようでありますが、これは明白に新らしい海軍創設への第一歩であると言わなければなりません。(拍手)これら一連の政府の施策は、自衛力の漸増というあいまいな表現でごまかしてはいるものの、明々白々、疑う余地のない再軍備政策であり、且つ平和憲法に対する重大な背反であることは言うまでもございません。(拍手)併しここでこのことを論ずる場合に、若干我々と他の人と違う点は、我々は然らばそのために憲法を改正したらばよいであろうという議論にくみしません。そういう結論を導き出すのでないのであります。要するに、政府もその辺の動きを窺つていると考えられますが、とにかく我々としては、現在事実を先行さして、そのあとで憲法を改正して行くのが適当だという考えは適当でない、こう申上げるので、問題は、事実そのものが即刻停止さるべきであると考えているのであります。(「共産党と同じだ」と呼ぶ者あり)この問題に関する吉田総理の所見を先ずお尋ねいたします。  政治を論ずる場合に、絶対的な立場で言い得る問題は先ず僅少でございましよう。結局において政治は比較とウエイトの問題でございます。今日私がここで申上げていることは、時間的制約を無視した一般論ではないのであります。朝鮮動乱を目の前にし、東西両陣営の対立の最中で行われる傭兵再軍備が、再び日本を救いがたい破滅の渕に投げ込むであろうことを考えれば、当面の政策としてどちらをとるべきか、どちらに安全のウエイトが重いのか、この点から論じているのであります。政府の慎重な考慮を求めてやまないものであります。(拍手)  而も今日、新らしい戦争を欲せず、相互の理解と話合いを通じて、国際間の紛争を平和的に処理せんとしている国々の数は、決して少いものではありません。いわゆる西欧陣営に属する英仏等においてすら、軍備拡充と国民生活との調和に苦悶し、又東西貿易の打開に焦慮していることは、周知の通りであります。又去る十八日、西独の連邦議会は、欧洲軍条約の即時批准を要求した政府の動議を否決し、同条約の批准は孤期されたのであります。更にアジア諸国の外交方針を見ますれば、特定の国に一辺倒するような政策は殆んど見られないのであります。中にはインドのように米ソ両陣営の危機を緩和するために執拗な努力を傾けている国もあるのでございます。我が国のために戦禍をこうむつたアジアの国々が、心から平和を欲し、又そのための努力を傾けているときに、戦禍を与えた日本自身が、早くも新らしい戦争に通ずる道を選ぶがごとき態度は、厳に慎まなければならぬことなのでございます。(拍手)賠償問題の機微もこの辺にあるのではないかと考えられます。アジア諸国の中に存するこうした共通の考え方を、不当に過大評価することも誤まりでありましようが、それを過小評価することは一層の誤まりであるのみならず、それは国際間の平和を心から欲する者に対して背を向ける態度と言わなければなりません。一方の陣営にくみして、相手方に対する圧力を加重することにより戦争の危機を防止できるなどという、一種の武装平和論が政府の立場かも知れませんが、曾つて太平洋戦争に際して「東洋平和のためならば」と、歌の文句にまでして戦争に投じた日本の過去を、我々はここでもう一度反省してみる必要がないかと思うのであります。(拍手)  次に岡崎外務大臣の演説を聞いて感じましたことは、これは一種のイデオロギー外交であるということであります。最初から或る一方の側に立つて問題を論じているようでありますが、今日、日本のような立場にある国が、初めからソ連とかアメリカというように、自分みずからを一方の国に片寄せて外交を考えることは、決して賢明な態度ではございません。更に外務大臣は、北大西洋同盟を礼讃されておつたようでありますが、これに倣つて、太平洋同盟条約のごときものを考えておられるのかどうか、この機会に所見を表明願いたいのであります。(「はつきりせよ、その点は」と呼ぶ者あり)なお、外相の説から判断すると、中共、ソ連等の講和条約未調印国との国交回復は全く念頭にないように考えられますが、その他の未調印国をも含めて今後の施策について御説明を願いたいのであります。  次に国連軍との協定問題についてお尋ねいたしますが、重ねて発生する犯罪事故に対する政府の態度は、政府みずからが誇るところの独立国家の権威を著しく損じ、完全に独立できたと考えている日本の多数の国民に深い失望と不満を与えていることは、指摘するまでもございません。(拍手)国連軍に対しても治外法権を認めようというのかどうか。政府の確固たる態度を表明願います。  ここで我々は、最近頗る奇怪に感じ、又心外に堪えない一つの問題について触れておきたいと存じます。それは最近のアメリカの対日政策、なかんづくその態度についてであります。即ちここ暫らくアメリカによつて提起されて来た諸問題は、ことごとく我が国の運命を左右するほどの重大な性質を有する問題のみでありました。その例証は一々ここで挙げるまでもなく、全国民周知の事柄でございます。この種の問題は、我が日本民族が自主的に且つ冷静に、その正当なる判断の下に決定すべき事柄でありまして、他国の容豫を欲せざる性質の問題でございます。これに対して、それは「日本の国会が今日までも決定し、又今後もみずから決定すべき事柄」として、一応民主主義のルールを云々されるかも知れませんが、併し実際にはいろいろな形で事前事後の運動が行われ、日本国民が冷静な判断を下す前に不断に国論が左右されつつある今日の現状は、独立国家日本に対する外交政策として、必要な限界を逸脱しているものと申しても決して過言ではないと信ずるものでございます。(拍手)併し問題は、単にアメリカ側にのみ存するわけではないのでありまして、それはこの種の提案にいつも無原則的に追随して行くという我が向米一辺倒外交そのものにあると考えるのであります。(拍手)これを現実主義と言う人もあります。併しそれは現実主義でも何でもない。現実に引きずり廻され、既成事実をあとから合理化して行くに過ぎないところの無原則的追随外交と言うべきでありましよう。このような外交方針をとる限り、日本は蒋介石と共に将来孤立の運命に陥ることは蓋し必然であります。これら生起する諸問題のよつて来たる原因は、サンフランシスコ講和会議に端を発するもろもろの不平等条約に存することを、我々はここで改めて考えなければならないと存じます。(拍手)政府が世界の現状に深い考慮を払い、且つ大きな視野の上に立つて、独立国家の名に値いする権威ある外交を展開することを、我々は心から願つてやまないものであります。(拍手)  次に私は、財政経済に関する諸問題について、主として向井大蔵大臣にお尋ねをいたします。先日の財政演説を聞いて我々の感じたことは、率直に申して、今日のような重大な段階の下における経済政策としては、その裏付けとなる方針をどこにも見出すことができなかつたということであります。蔵相の演説は、主として今回の補正予算の説明に終始したわけでありますが、補正予算の細目につきましては予算委員会の質疑に譲りまして、この傷合は主として日本経済の当面する基本的な問題についてお尋ねをしたいのでございます。  ここで改めて言うまでもないことではございますが、我が国は敗戦の結果、曾つての植民地並びに半植民地を失い、あり余るものはただ八千数百万の人口のみというのが今日の日本の実際の姿でございます。この基盤の上に立つ我が国経済の現状を見るとき、国の方針如何によつては、あたかも太平洋戦争前の日本経済と同一のコースを迫るのではないかと思われる節がございます。即ち、満洲事変以前の我が国経済を顧みますと、当時対外的競争力を持ち得た商品は僅かに綿系綿布その他の雑貨製品に過ぎず、その後、満洲事変を契機として経済は非常に活況を呈したのでありますが、これは言うまでもなく純粋商業ベースによる発展ではなく、軍隊、当時の軍であります、軍を枢軸とするいわゆる作為的な膨張政策の結果であつたわけでございます。その後、日華事変、太平洋戦争の時代を痛じて我が国の経済は異常な発展を示しましたが、これは只今も申上げましたような原因に基く現象形態に過ぎませんから、日本経済の実力は、そういう場合の政府需要を差引きますと、最初の出発点と少しも変つておらなかつたと言うことができるのであります。太平洋戦争の後、戦争による荒廃はあつたにいたしましても、我が国経済の実態がどのようなものであつたかは言うまでもございません。この二、三年来、資本の蓄積の問題や、設備能率の改善がやかましく言われ、国際競争に対応し得るよう若干の考慮が払われて来たことは周知の通りであります。尤もその場合の施策が合理的であつたかどうかという問題にはここでは触れません。施策の内容はとにかくといたしまして、そういう考慮が払われ、且つ勤労大衆の努力の結果、我が国の経済水準は相当に向上し、国民生活水準はなお戦前の段階には相当な距離がありますが、鉱工業生産指数は基準年度に対して年間一三六%程度まで上昇して参りました。従つて又貿易の規模も相当に拡大されましたが、その実態は朝鮮動乱に基く特需や或いは貿易外収入に依存する点が多大でありまして純粋な商業ベース或いは正常な輸出入等による我が国の実質的な経済力とは絶対に言い得ないものがあります。尤もこの場合、米国を初めとする世界各国の軍備拡張計画に基く世界貿易の活況もその計算の中に入れる必要はありましようが、而も又、それ故に、世界軍拡の中だるみによつて、我が国の貿易規模は著しい変動を生じて来たのであります。即ち本年一月、当時の周東経済安定本部長官は、本議場における施政方針演説の際、「二十七年度の見通しは、輸出は特需を含めて十九億ドル、輸入は二十一億ドル程度となり、貿易外収入を合せると、国際収支の受取は約二十四億ドル、支払は二十三億ドル、差引一億ドル程度の受取超過となる見込」と、その見通しを発表されたのであります。然るに、本年度の実績はこの見通しを遥かに下廻り、輸出は十一億四千万ドル、特需は三億三千万ドル、貿易外収入を合せて二十一億三千万ドル程度となり、計画に対して二億六千万ドル程度のマイナス、輸出は十七億四千万ドル、貿易外支出三億二千万ドル程度、計二十億六千万ドル内外となり、計画に対して二億三、四千万ドルのマイナスとなるもののようであります。このように、計画と実績との間に相当な誤差を生じ、貿易規模が縮小している半面、商品生産指数が漸次上昇しているにもかかわらず、物価が大体横這いを続けて大した暴落もないのは、言うまでもなく国内需要の増加と滞貨の増大でございます。国際的な制約やコスト高によつて、発展するどころか、このように著しい行詰りを示した我が国の経済は、ここで何らかの打開策を講じない限り、近い将来に重大な暗礁へ乗り上げるであろうことは、余りにも明瞭な問題と存じます。最近我が国の物価がどれほど割高になつているかは、世界の物価指数を検討されればおのずから明瞭であろうと存じます。このような事情の下における我が日本経済の現状をどのように打開し、将来どのような構想を以て進むかについて、我々は真剣にその道を求めなければなりません。現に先般日本に対する融資問題調査のために来日した国際復興開発銀行関係のジヨン・ワイルド氏並びにウイリアム・ギル・マーチンの両氏が、一カ月に亘る日本経済調査の結果、好ましい結論に到達しなかつたのではないかと想像される点が十分にあります。あえて調査を待つまでもなく、手持ドルの大部分が朝鮮動乱による特需或いは駐留軍の国内消費などによつて得たものであることは指摘するまでもないことでございます。今日、朝鮮ブームの夢を忘れかね、いわゆる日米経済協力や特需に過大な望みを託し、更に防衛生産の拡大強化を以て昨今の経済不況や貿易不振の打開策と考え、政府の再軍備気がまえに拍車をかけんとしている向きもあるようでありますが、これは私が先ほど申述べました満洲事変以後の日本経済の様相と全く揆を一にしているのであります。(その通り」と呼ぶ者あり)このような形の産業経済の振興計画は決してノーマルなものではありません。これは戦争を前提としたアブ・ノーマルな現象に過ぎず、客観情勢の変化次第で泡沫のごとく消え去る性質のものでございます。日本経済がかかる条件をその存立の基盤とする限り、戦争への誘惑に避けがたいものとなると考えるのであります。防衛生産を日本経済のカンフル注射と考えて……、尤もこの場合、防衛生産を、更に進んで輸出を含めての兵器生産に発展する場合も言うのでありますが、これを日本経済のカンフル注射と考えておる人たちが、戦争への道を承知で言つておるとすれば、これ又何をか言わんやであります。併し、平和を欲しながら、国内的には、防衛生産、兵器生産で日本経済の発展をと考えておるとするならば、これは驚くべき二律背反であり、且つ又完全な精神分裂症であると言わなければなりません。このことは、外交と経済を切り離して考えておる人々にも一言つておくべき問題と存じます。大蔵大臣は今後の日本経済のあり方について、どのようにお考えになつておるのでありますか。平和産業の発展強化に重点を置くのか、それとも防衛生産、進んでは兵器生産に重点を置こうとするのか、そのいずれであるか。その場限りの答弁ではなく、日本の将来をまじめに考えるならば、具体的に真剣な答弁をこの際希望いたします。(「よく聞いておけ」と呼ぶ者あり、拍手)  更に又ここで我々の指摘しなければならないことは、日本経済の重点をそのような基盤に置く限り、平和産業は必ずその犠牲となり、政策面においても資金面においても強い圧迫をこうむることは、必ずこれは当然であります。その結果、中小企業の破綻や平和産業関係の労働者の失業等を招来し、政府の求める治安の確立は一層困難の度を増すであろうということであります。又、仮に防衛生産に甘い期待をかけましても、太平洋戦争後における兵器の質的な進歩を考慮に入れるならば、日本で近代兵器の量産が今直ちに行えるとは考えられません。これは非常に早計でありまして、結局はアメリカに従属する下請生産に終るであろうことは、今日示されておる各種の事例によつて明白であろうと存じます。防衛生産というような基盤に立つことなく、別の形で日本経済の将来を考え、平和的な外交政策と裏腹の関連において我が国産業経済の基礎を確立して行くことは、我が国の平和的な発展を念願する者の任務であろうと考えます。その意味において、我が国経済の自立体制を確立して行くためには、基礎産業の育成強化に一段の工夫と努力を注ぐべきであることは論を待ちません。併し、このようにして経済の発展を考えましても、貿易が振わなければ、国民生活水準の低下か、或いはダンピングかということになるのは当然でございます。然るに、政府は中共貿易について、今日なおその道を閉ざし、先日の外務大臣の演説におきましても、その異なる立場の故に、何ら積極的な打開の意思を表明しておりません。外務大臣はとにかくといたしまして、通産大臣はこれについでどのように対処されようと言うのか、所見をお尋ねいたします。今日我々が中共貿易を論ずるのは、中共の思想なり或いはその政体とは全く別個の問題でございます。思想は思想、商売は商売とおやりなさい。(「そうだ」「そうは行かない」と呼ぶ者あり)  又政府は今日まで口ぐせのように、日本経済の国際経済への鞘寄せを唱えて来たのでありますが、戦後特に加工貿易の様相を濃くして参りました日本経済にありましては、原料のコストが重要な課題となることは言うまでもないことであります。この意味におきましても、中共貿易は重要な意義を持つものと考えます。なお中共以外の東南アジア地域の貿易についても、先ほど下條議員が触れられたようでありますが、一般的に不振の状態にあるわけでありますが、具体的にどういうような振興政策をお考えになつておるのか。これを通産大臣からお伺いしたいと思います。  更に今度は大蔵大臣でありますが、いや通産大臣で結構であります。この際二十八年度の貿易の見通しについて、一応その想定を御発表願います。  続いて今回の補正予算を中心に次の諸点についてお尋ねいたします。今回の補正を合せまして二十七年度予算の総額は九千三百二十五億円となりますが、国民所得に対する割合は、前年度の二三・五%から、今年度当初予算で二五・二%となり、国民所得に対する国税、地方税を合算しての負担額は、二十六年度の二〇%から今年度は二〇・九%となつて若干上廻ることになつており、日本の国民の生活程度、又我が国の資本蓄積の現状から見て、決して小さい割合とは申せません。而も私が先ほど申しましたように、百二十七年度の国際収支のハテソスは、計画と実績との間に相当の誤差を生じ、特需と貿易外収入で辛うじてバランスを維持しているというのが実情でありますから、我々の判断に誤まりがなければ、二十八年度の貿易見通しも、大体本年度程度、或いはいま少し悪いことになるかも知れません。このように輸出の見通しや国際収支の、バランスについて格別好転も期待できないのに、予算規模は二十八年度においては恐らく一兆円近くになるのではないかと思います。貿易は不振で、予算規模は膨脹して行くのですが、これで国民生活の安定向上が期待されるのでありますが、私は先ほど自立経済確立のために基礎産業の育成強化の必要を述べましたが、政府も又施政方針で、この点に触れておることは確かであります。即ち、食糧の増産計画、電源開発等を初めといたしまして、盛りだくさんに政策を並べましたが、これらの計画は、皆相当の財政投資をすることなくしては達成不可能な計画であります。単にお題目に並政府が本気で本格的にこれと取り組もうというのであれば、その財政投資の額は著しいものとなるでありましよう。政府が若し自衛力漸増に名をかりる再軍備計画を進行し、大砲や軍艦も造りたい、又羅列した政策も計画通りやりたいという、この調和しがたい二つの問題を、国民生活の低下を招来することなくして実行できるとすれば、これは恐らく手品師だけができる芸当と言わなければなりません。(拍手)二十七年度の国際収支のバランスから見て、こういう二つの矛盾した要素を含みながら、政府の言うところの均衡財政の堅持が実際に可能であるとお考えになりますか。向井大蔵大臣は、国民生活水準の低下を招来することなしにそれが可能だとお考えになつておるのかどうか。これについて明確な御答弁を願います。(「均衡は破れておるぞ」と呼ぶ者あり)  更に、今回の補正予算の審議の参考のために、この際、二十八年度予算の骨格、つまりその大網について、ここで御発表を願います。我々はこの二つの矛盾した要素の調和は困難であると考えますが、そのしわ寄せは必ずどこかに起ります。現に生活の安定を求める労働階級の要求は、全産業部門に亘つて起りつつあります。農民も中小企業者も、或いは又戦争犠牲者の遺家族もというふうに、それぞれ深刻切実な要求を掲げて政府にその対策を迫つております。併し、政府は財源に籍口して、その対策はことごとく中途半端に終つております。例えば公務員のベース・アップについても、人事院勧告の線に至らず、或いは消費者米価の値上げを行う等はその一例であります。緊急切実な国民の要求がこのような形で処理されておるのに、一方、前年度の剰余金はそのまま温存して補正予算の財源に使用しないのはなぜでありましようか。これの理由をお聞かせ願いたい。先ほどの下條議員に対する答弁では不十分であります。これをお聞かせ願いたい。  更に又安全保障諸費において五百二十七億円程度、保安庁関係経費において五百三十六億円程度、それぞれ多額の未使用額を残しておるようでありますが、この際、年度末までの使用計画について御説明願います。二十七年度当初予算において、僅少な学童給食費すら無慈悲的に削減した政府が、大砲のためには多額な金を虎の子のように抱えておる。これが現内閣の性格なのではありませんか。(拍手)我々は、正しい経済計画のもと、これらの資金を確実に投入し、且つ生活安定の施策に充当し、戦前戦後を通じての日本の特徴である低米価、低賃金政策を打破し、働く者に生活の保障を与え、貿易の振興と国内購買力の培養を通じて中小企業や商業者の繁栄を図るべきであります。  結論をいたしますが、先ほどから述べ来たつたように、政府が向米一辺倒の外交に終始する限り、国際情勢の発展如何では、日本は底なしの泥沼に足を踏み込むこととなり、一方、国民生活の安定は期待されず、社会不安は一層激化する情勢となることは確実であります。これに対して政府は、労働諸法規の改悪や治安立法の強化、警察力の増強等を強行せざるを得ない情勢となることは、これ又一層確実であります。現に政府はその道を歩んでおるのでありますが、政府は政府自身の最も恐れる社会不安をみずから拡大再生産して行くという際限のない矛盾に陥ろうとしているのであります。(拍手)政府は祖国愛と道義の高揚を説かれているようでありますが、お説教で道義の高揚はできません。(「その通り」と呼ぶ者あり)自主独立の外交のもと、全国民が総力を結集して経済再建に邁進し、何ものにも屈せず、この戦争への道を排除することこそ、唯一の、且つ真実の祖国愛の道であり、又道義高揚の道であることを知るべきであります。(拍手)この道には与党も野党もございません。政府の深い考慮と誠意ある答弁を期待いたしまして私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えをします。  羽生君の御議論の前提たる客観情勢に対する判断が、結局我々の考えと違つているということに帰するのであります。(「まじめに答弁しろ」と呼ぶ者ありとまじめに答弁するから、まじめに聞くがいい。(「よしく」と呼ぶ者あり)お答えをいたしますが、今如何にも客観情勢が険悪であつて、今にも戦争が起るようなお話でありますが、不幸にして英米その他の当局者は、そうは言つておらないのであります。アイゼンハワー元帥にしても、或いは又アチソン国務長官にしても、近くはイーデン外務大臣にしても、シユーマン外務大臣にしても、戦争の危険は日に日に遠ざかりつつあると言つておるのであります。私はこの議論を信用するものであります。而して、逆に申しまするならば、即ち自由国家を守り、殊にアイゼンハワー元帥の、ごときは、世界の戦争を避けるために、自由国家の自由独立を守るために長年の間苦労せられた将軍であります。この人がアメリカの新大統領になれば、ますます戦争の危険は遠ざかるものと私は確信いたすのであります。(拍手)客観情勢を悪く判断し、或いは奇矯に判断せられることは国民を誤まる行為でありますから、これは野党といえども、国民のために矯激な議論はせられないほうがいいと考えております。(拍手)  又現在の状態が続く限りは、軍備はいたしません。又現在の客観情勢が続く限りは、今日我々がとつておる英米と共に或いは自由国家群と共に平和を維持するという方向に外交を向けることが、唯一の方法であり、これが万全な方法であり、然らざればいわゆる国が泥田の中に足を踏み込むことになるのであります。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 只今、アジアの諸国は平和を求めておると言われましたが、それはその通りでありままして、世界の大部分の国が平和のために大いに努力しておるわけでありますが、ただその方法がいろいろ御意見の分れるところだと思います。私どもは、日本の政策が戦争に通ずる道だなどとは全く考えておりませんし、かかる点は誠に誤解であろうと思います。我々は、私が申上げました通り、民主主義国家との緊密なる提携によりまして平和の維持を企てておるわけでありまして、又現在の状況におきまして、全然、自分の国を自分で保護する力の全くない、自衛力などというものは全然ないような真空状態を国民が賛成するとも考えておりません。又、先ほどのお話では、将来再軍備を強いられたらどうするか、朝鮮派兵ということになつたらどうするか、こういうようなことで、ボールドウインという人の考え方や、アリソン氏の言を引いての質問でありましたが、日本には日本の考えがありまして、又いわゆる羽生君のおつしやるような自主外交ということでありまして他国の言説、外国人の言説等のみを引用されて議論されるのは、誠に不可思議でありましてどうぞ日本の総理大臣の繰返しての言明を御信用願いたいと思います。  又北大西洋条約の問題と太平洋条約のお話がありましたが、私は北大西洋条約の精神を称揚したのでありまして、太平洋条約というものが今問題になつておるとかいう点は全然ないのであります。  又共産国家等の未調印国との間をどうするかという話でありますが、これはたびたび前の国会でも申した通りに、いろいろの懸案事項がありまして、これが解決せられざれば、未だ国交調整の段取りには到底行かないと考えております。  又しばしば米国との関係を向米一辺倒とか、或いは国連軍との協定を治外法権を認めるかというようなことでお話になりましたが、実際はそんな向米一辺倒とか治外法権とかいう簡単なものではないのでありまして、こういう標語を使われることは甚だ危険だろうと考えております。(「その通り「そんな簡単なものじやないそうだ」、呼ぶ者あり、拍手)    〔国務大臣向井忠晴君登壇、拍手〕

向井忠晴大蔵大臣

○国務大臣(向井忠晴君) 産業を平和産業に中心を置くか、ほかのことに中心を置くかというふうなお尋ねでございました。(「何だ、ほかのこととは」と呼ぶ者あり)ほかのこととは、防衛産業というふうに聞えましたが、よくわかりませんでした。平和産業に重点を置くのは勿論でありまして、その点については少しの疑いも持ちません。それで、経済の基礎を充実強化するということをおつしやいましたが、それも勿論やるべきことで、財政投資につきましては、本年度の当初予算におきましてできるだけの充実を図りましたが、今次の補正予算におきましても、百十億円の増額をして、その充実に努めております。又資金運用部資金、見返資金を以て数百億の金を基幹産業に融資することとして、この際、財政資金の積極的活用に配意いたしております。ただ基礎産業の育成強化は、基本的には企業の自主的努力で行きませんといけませんから、政府はいろいろの面で側面からこれが助長に努めたい所存であります。いわゆる軍事的性格を持つ経費というものは計上しておりませんつもりです。ただ独立国家として当然必要とする自衛について、財政の現状等と十分睨み合せて必要止むを得ない経費を計上しておるのであります。国民大衆の生活に対しては、深甚な配慮をいたし、減税、及び歳出面においても、社会保障、公衆衛生、保健、その他福祉増進のための経費について能う限りの計上をしておる次第でございます、予算においては収支の均衡を保持しつつ、政府が重要と考える諸政策について繋念の程度を慮つて経費を計上いたしまして、均衡財政は堅持しております。(「破れておると昨日説明したじやないか」と呼ぶ者あり)  剰余金はこれを翌々年度の歳入に繰入れて処理して来たところでございまして、二十六年度の剰余金は従来通り明二十八年度の財政需要に充てることとし、又防衛関係の経費につきましては、当初計上した目的通り使用される見込でございます。  最近における世界的な貿易縮小化の傾向を受けて、今年度の軌出及び輸入が縮小を余儀なくされておりますことは遺憾でございますが、我が国としては極力外貨資金を積極的に活用して、又各種の通商貿易上の障害を除去しまして、貿易の増進を図つております。特需等の臨時収入は今後長く期待できないのはお説の通りでございまして、今後は産業の活動及びその他の貿易外の収入で安定的な収支の改善を図つて行きたい方針でございます。国際収支のバランスが逼迫しておる際に予算規模が増大しては均衡財政は維持できないというふうなことがございますが、国際収支の支払超過或いは受取超過というものは時々その場合に起るのであつて、必ずしもこれが永続的に行くものではございません。従つて国際経済及び国内経済の動向等から見て、総合的に且つ長い眼で見るべきものと思います。補正予算で当初予算に比し予算規模は或る程度増加しましたが、この予算は、財政が国民経済の安定と発展とに適合する方針のもとに組まれたものでありますから、予算規模の増大が国民経済に不健全な影響を与えるとは思いません。この意味で、今後国際収支に悪い影響は及ぼしませんと思います。(「簡単々々」と呼ぶ者あり)  昭和二十八年度の予算の大綱を示せということでありますが、これは今検討中でございまして、御返事はできません。(拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇〕

池田勇人自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(池田勇人君) お答えを申上げます。中共貿易に対しまする基本方針は、先般外務大臣が申述べた通りでございます。思想は思想、商売は商売だと言いますが、私もそのつもりでおるのでおりますが、国連軍に協力する建前からいたしまして、私は外務大臣の演説の通りにやつて行きたいと思います。而して中共貿易を全部とめておるわけではございません。最近におきましても、染料とか紙、紡織製品等は認めておるのであります。ただ、あなた方がおつしやつても、実際相手のあることであつて支払関係その他についていろいろな支障がありますので、そういう非戦略物資について商売しようと言つても、商売にならないのが実情であるのであります。  次に、東南アジア方面への貿易の振興策についてでありますが、これは別の委員会でゆつくりお話を申上げたいと思います。東南アジアと申しましても、フイリピン、インドネシア、ビルマ或いはパキスタン、インド、各個々に貿易の方法が違うのであります。例えば日本が輸入すべき雑綿を輸出し得るパキスタン、又インドネシアのように日本に輸入するによい物を持つていない所、そうして又フイリピンのように、資源はありまするけれども、本当にまだ経済提携の十分できていない所、いろいろな点がございますが、こういう個生の国に対しまして、あらゆる手を打ちたいと思います。ただ総括的に申しますると、只今は先般申しましたように、殆んどめくら貿易で、商社があるとは言うものの弱体であります。これを援護すべき為替金融機関も整備しておりません。こういうものを整備すると同時に、プラント輸出を主といたしまして、輸出銀行の活躍を期待し、金利或いは期限その他につきまして適当な是正を加える。又輸出の場合におきまする損失補償、こういう点につきましても十分考慮いたしまして、各相手国に副うような貿易振興対策を練つて行きたいと考えておるのであります。  で、二十八年度の貿易の見通しということでございまするが、お話にもありましたように、なかなか貿易の見通しを今ここで言つても、その通りに行かんことは、昭和二十七年度の実例にもあるのであります。従いまして、我々極力、長期に貿易の発展する方策を立てて、今ここで何ぼ何ぼの輸出入があると言つても、なかなか見込が立たない。ただ問題は、幸い特需その他が多いので、本年度の国際収支というものは、当初の九千七百万ドルの受取超過が一億一千九百万ドルに殖えておるということは、貿易が不振の不幸中でも幸いであるのであります。従いまして貿易自体は減少いたしましたが、受取超過の状態は予想以上に行つておるのであります。而して内需関係も、いわゆる国内消費は相当殖えて参りまして、輸出の減少を補つております。併しこれは永久にいいことじやない。やはり国内消費をできるだけ切り詰めて、貿易の拡大を図らなければなりませんが、先ほども申しましたように、今の世界情勢では、急激に日本だけ転出増加を望むわけには参りません。従つて日本も輸入を殖やし、そうして輸出を殖やす前提に輸入を殖やす方針で行きたいと考えております。(拍手)    〔羽生三七君発言の許可を求む〕

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 羽生三七君。

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○羽生三七君 自席からちよつと発言を求めます。(「登壇々々」と呼ぶ者あり)  只今の吉田総理その他各閣僚の御答弁を伺いまして、ここでいま一言私の所見を附け加えておきたいと思います。私どもは抽象的な議論をしておるのじやなしに、現に眼の前に起つておる朝鮮動乱と、世界の国際的な危機という時間的な制約の中で議論をしておるのでありまして、そういう現実を無視した抽象議論じやないのであります。そういう点から日本の将来を心配しておる。そこで、私どもの見通しが、我々の見通しが杞憂に終れば、誤まりであれば幸いなんです。我々が将来笑われ者になつて、我々の見通しが誤まつておつたということを希望する。我々の見通しが間違つておつてそんなことにならなかつた、幸いにしてこういうことは御心配は要らないということになる日を我々は希望しておる。(「そうだ」と呼ぶ者あり)曾つて昔の帝国議会において、当時の政治家が努力をしなくて、曾つての日本をああいう事態に陥れた過去を振り返つたならば、本当に今日国を憂える者はどういう立場をとらなければならないかということは、おのずから明らかなことだろうと思います。  なお向井大蔵大臣の御答弁は、これは非常に不満なのであります。(発言する者多し)

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 静粛に願います。

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○羽生三七君(続) 向井大蔵大臣の御答弁は答弁になつておりませんから、再質問するような気持も全然ありません。もうこれでよろしうございます。

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 国務大臣の演説に対する質疑はまだございますが、これを次会に譲り、本日はこれにて延会したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十九分散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、議員の請暇  一、弾劾裁判所裁判員及び同予備員辞任の件  一、弾劾裁判所裁判員及び同予備員の選挙  一、両院法規委員辞任の件  一、両院法規委員の選挙  一、日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)

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