法務委員会 第17号
- 発言数
- 52 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1953/03/14
会議録
○委員長(中山福藏君) 只今より委員会を開きます。少年法の一部を改正する法律案、少年院法の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括して議題に供します。御質疑のおありのかたは御発言を願います。
○宮城タマヨ君 矯正局のほうに、この前の続きを質問さして頂きます。この前この少年鑑別所の分所が十七カ所のうちの二カ所だけが来年度の予算に組まれているとおつしやつて、あと十五カ所というものがそのままになつているように伺つたのでございますが、その十五カ所の場所は大体おわかりでございますか。今そこにございますならば、ちよつと伺わせて頂きたいと思います。
○政府委員(高橋孝君) 只今の御質問の点でございますが、法務省で二十八年度の予算要求として挙げました鑑別所の分所の予定所在地を申上げますと、小田原、八日市場、沼津、浜松、土浦、舞鶴本町、岡崎、豊橋、呉、福山、下関、津山、飯塚、久留米、岩見沢その十五カ所になつております。そのほかに小倉と平だけは大蔵省の関係では認められたのでございます。なお、この鑑別所分所の所在地につきましては、二十六年度、二十七年度の収容実績に鑑みまして、大体一月十名程度以上のもの、なお地理的に申しまして、本所に収容することが相当困難を伴うものというふうに、認めたものについて要求をした次第でございます。
○宮城タマヨ君 これは全く予算措置の問題でこういうことになつていると思つておりますが、法務省としましては、あと只今お答えを下さいました十五カ所、私どもから申しますというと、実はほうぼう支部の所在地へ全部に何らかの形で置いて頂きたいと思いますけれども、併し差当りこの十五カ所だけでも是非作るという強い御意図がございますでしようか。政府の意見を伺いたい。
○政府委員(高橋孝君) 法務省といたしましては、更に二十八年度における収容状況等も考えまして、少くとも前に申上げました場所につきましては、できるだけ努力いたしまして、将来設置いたして行くつもりでございます。
○宮城タマヨ君 是非この鑑別所の問題は少年法によります子供の保護においての道程において一番大事なところだと思つておりますので、子供の身柄をあまり動かさないようにして、早くいい結果が、いい処置が得られますためには、どうしてもこの点に政府の誠意を現わして頂きたいとお願い申上げておきます。それからこの前は時間がございませんでしたから少し雑駁な質問でございましたのですが、この虞犯少年についてのことでございますが、十七条の二の規定によりまして、これを拘置監に収容することができるわけになるのでございますね。そこでそれはこの少年院法の第二十一条に代ります措置としては、私は甚だ遺憾だと思つております。十分お考えになつたというお話でございましたのですけれども、この点からいたしましてもどうか二日間、七十二時間身柄の拘束をいたします場所につきまして、何とか一つ過当な処置が講じられないものかというように考えておりますのでございますが、どうせ向後、支部のようなところでございますというと、警察はこれは自治警だろうと思うのでございますか、自治警だとなりますと、筋が違うから少しむずかしいわけなんでございますが、このところ何か一つ工夫をなさるようなわけに参りませんでしようか。如何でしようか。
○政府委員(高橋孝君) 只今仰せの通り、虞犯少年まで仮に一時的にせよ拘置監の中に収容するということについては、相当問題もあろうかと考えるのでありますが、前回申上げました通りに、少年のためにその保護の必要上直ちに釈放するというようなことも如何なものかと、そういう直ちに釈放ができない場合も、保護の面から考えてあり得るのではないかということで、止むを得ない場合の措置として拘置監に収容することのできるように立案いたしたのでございますが、なお国警や自治警、特に国警のほうとは、法務省、最高裁判所のほうも関係当局といろいろ折衝もしたのでございますが、前回宇田川局長からお答えになりました通りに、予算その他の関係で急速に間に合わないというような事情もございましたので、拘置監だけに仮収容の場所を限定したような次第でございますが、なお将来も今の御趣旨に副いまして、更に関係当局ともこの点につきましては十分折衝して、より適当な収容場所があれば、その線で考えたいと、こういうふうに考えております。
○宮城タマヨ君 私はこの少年法の一件を改正する法律案につきましては誠にその点……。それから子供の身柄をいろいろ動かしますことの不利というような点から、この問題についてはあまり納得ができないのでございます。けれどももう日にちが三月三十一日に代用鑑別所の使われない日にちが迫つておりますものでございますから、今ここでいろいろ悩んで見ましても仕方がないので、私の質問も少年法についてはこのくらいにして打切りたいと思いますが、どうか一昨日、今日の質問点につきまして、本当に政府の誠意のある実行をして頂きたいということをお願い申上げる次第でございます。 それから少年院法の一部を改正する法律案、これにつきまして、この間の続きを又申上げたいのでございますが、第十七条の二の「同行」というのは、この少年法の第十一条、第十二条、第二十六条の三の「同行状」によるというあの同行という言葉が使つてあるのでございますが、今度のこの同行という十七条の二に使つてあります「同行」という言葉とは、これはその内容がちよつと違うように思つておりますが如何でございましようか。
○政府委員(高橋孝君) 改正案の十七条の二に規定されておりまする「同行」という文字は、少年が少年院、少年鑑別所に収容中の場合に、その少年を他の施設に移送した場合、又は家庭裁判所に出廷ぜしめた場合、そういうような場合に事実上ごの職員が少年と共にその施設に行き、家庭裁判所に出頭するという意味を現わしておるものでありまして、「同行状」による同行という場合とは、只今仰せの通り前の場合と異なるものと考えております。
○宮城タマヨ君 それでこの「同行状」による同行ということは、結局は逮捕による同行という意味も強いと思つておりますが、それで十七条の二の「同行」ということになるというと、今仰せの通りでございますから、一つ言葉を少し変えて見たらどんなものでございましようか。「同行」という言葉が私はあまり強過ぎるのじやないか。まあ仮にこれは適当かどうかわかりませんけれども、連行というような字、これは適当かどうか、適当でないかも知れませんけれども、何とかそこに字の区別をつけるほうが内容に副うのではございませんでしようかと思うのでございますが、如何でしようか。
○政府委員(高橋孝君) 今の十七条の二の場合、事実上職員が少年と一緒に施設或いは家庭裁判所に行くという場合に、どういうふうな言葉を使つたほうがいいかにつきましては、立案当時も多少考えたのでございますが、現在少年院法関係で使われておる表現といたしましては、少年院処遇規則に「連行」という文字が出ておりますが、ほかにこのような場合を表現する言葉としましては、同行か連行か、まあいずれかになるのではないかと考えましたが、その同行、連行の二つでは、同行のほうが却つて柔らかな響きを持つような考えで、一応同行といたしましたのでありますが、これより更に何かいい言葉がございましたら、これを改めるに決し七やぶさかなものではございません。まあ一応同行という文字が適当であろうという考えで、同行という文字を選んだのでございます。
○宮城タマヨ君 それでは、ここにお使いになつている同行という言葉に、特別に意味がおありになつたわけではないので、やはり私が考えますようなことは問題になつたのでございますね。
○政府委員(高橋孝君) 問題になつたことは只今申上げた通りでございます。問題になりました。
○宮城タマヨ君 それではそのことはそれで承知いたしましよう。最後に、第二十一条の削除によりまして代用特別少年院というものはなくなるわけでございますが、現在特別少年院の設置状態はどういうふうになつておりますんでございましようか。その点をちよつと伺いたい。
○政府委員(高橋孝君) 今回の法務省設置法の一部を改正する法律案で、新たに設置した少年院のうち、その施設を特別少年院とする予定になつておりますものは、久里浜少年院、河内少年院、奈良少年院、愛知少年院、新光学院、大分少年院、盛岡少年院、千歳少年院になつております。なお新光学院と盛岡少年院につきましては、医療少年院も併設するという予定になつております。
○宮城タマヨ君 そうすると、新少年院は十一カ所ございますんでございますか。数はいくつでございましたか。
○政府委員(高橋孝君) 新たに設置するもの、それから刑務所、少年刑務所等を転用して少年院を設置するもの、それから更に現在の少年院の分院を昇格せしめて少年院の本院とするもの、そういうもの全部を含めて十一カ所の少年院の設置ということになつております。なお今申上げましたうち、奈良少年院、大分少年院、盛岡少年院、千歳少年院は新設でございます。久里浜少年院、河内少年院、愛知少年院、新光学院、これは刑務所、少年刑務所を転用して新たに少年院とするものでございます。次に神奈川少年院、和泉少年院、これは前に申しました分院を昇格せしめて少年院の本院とするものでございます。なお申遅れましたが、松山少年院、これも新たに新設する少年院になつております。
○宮城タマヨ君 その新少年院の十一カ所に配置されます職員の内容はどうなつておりますのでございましようか。
○政府委員(高橋孝君) 個別的に申上げますと……
○宮城タマヨ君 今の質問にちよつと補足いたします。私の職員の配置について伺いますことは、その職員が刑務所の職員をもつて当てられておりますようなことはございませんでしようかと伺いたいわけなんです。
○政府委員(高橋孝君) 新たに設置する少年院におきましては、これは従来少年院の教官であつた者、それから更に新採用の者等を当てて、その施設の職員とする予定でございますが、ただ刑務所又は少年刑務所を転用して少年院とする施設におきましては、多少従来の刑務所の職員であつた者の中から適当な者を、少年院に勤務するに適格を備えた者と認められる岩を教官に転換せしめまして、それを新しい少年院の職員乏して勤務せしめるという者が、多少の数字でございますが、そういう職員がおるようになつております。
○委員長(中山福藏君) ちよつとこの際関連して私からお伺いしておきますが、これは何ですか、採用の基準と申しますか、院長その他の職員の採用の資格条件というものは、どういうふうにして御鑑別になつて採用されるのですか、その点明かにしておいて頂きたい。
○政府委員(高橋孝君) 現在教官として採用します場合には、その基準といたしましては、新制高校又は旧制の中学を卒業しておる者以上の者、なおそのうち採用方針といたしましては、でき得る限り教員の資格免状を持つておる者というような方針で採用いたしております。
○委員長(中山福藏君) なおその徳育関係とか、その人の徳望関係なんかということについて一応の調査をなさるのですか、それを採用なさるときに。それも併せてお伺いしたい。
○政府委員(高橋孝君) 只今御指摘の点につきましても、採用の当時に本人の前歴、性行、徳育、こういうような点も十分に考慮いたしまして、少年院の教官として適当なものど認められるものを採用する方針で、実際採用いたしておる次第でございます。
○委員長(中山福藏君) どういうふうにして調査されますか、その点をもう一点明らかにして下さい。
○政府委員(高橋孝君) 只今御質問の点でございますが、本人に履歴書を提出せしめ、なお資格の点につきましては、相当官庁から証明書等を提出いたしまして、現実に採用する場合には、その候補者に対して面接をしました上で、本人の性格等も十分考慮いたしまして、なお本人を十分に知つておるような者について本人の性格その他の点について必要があれば調査の上、適当だと思われる者のうちから選考によつて採用いたしております。
○宮城タマヨ君 先ほど刑務官から教官に移るものが多少あるというお言葉でございましたが、実際は大部分ではないかと思うのですが、如何でございましようか。どのくらいのパーセンテージが移つておりますか。
○政府委員(高橋孝君) 只今御質問の点は、手許に的確な資料がございませんので、後刻調査いたしまして御報告いたしたいと思います。
○宮城タマヨ君 大体でよろしうございます。
○政府委員(高橋孝君) 転用いたしました少年院につきましては、大体四、五割程度を占めるものではないかと考えます。
○宮城タマヨ君 私はそこが大変問題でございまして、まあいろいろな事情はございますと思いますけれども、今まで刑務所の刑務官として働きました人たちが、その服装を替え、或いは刑務官から教官になりましても、子供の取扱について大変そこに問題があるのじやないかと思つております。そこでたとえ三割にしても五割にいたしましても、このことは採用の上に非常に考えて頂きたいと思つておりますが、政府のほうではそういうことは問題になつておりましようか。
○政府委員(高橋孝君) 只今御質問の点でございますが、これは刑務所の職員から少年院の職員に転換ぜしめます場合におきましては、施設の長におきまして、それが果して少年院の職員として適格性を備えておるかどうかということにつきましても、勿論十分調査した上で転換せしめる措置をとつておるのでございますが、なお転換した者につきましては再研修をいたしまして、少年院における少年の適切な処遇をして行けるように措置したいと考えております。
○宮城タマヨ君 制度も大変大事でございましようし、又容れ物も非常に子供にとりましては重要な問題でございますが、一番私は子供の矯正保護に関しましては、その指導者が大事だと思つておりますのでございます。私が申上げるまでもないことでございますが、全国を廻つてみまして、少年院或いは鑑別所というような所に入りまして、私どもがもう入りましたら、すぐその中の空気が如何なるものかということは納得できるのでございますが、ここはとてもいいなと思います所でよく調べてみますというと、その院長が元教育者であつたとか、それから職員に非常にそういう考えを持つでおります教育畑にいた人とか或いは教育に非常に熱心な人或いは保護の精神に徹底しているというような人が数多くございます所は、もうその中の空気がすつかり違つておりますようなことから考えまして、私は刑務官を教官に置き換えるなんというようなことは、これはもう根本問題で、一つ十分に考えて頂きたいということを要望申上げておきます。それからいま一つ最後にお聞きしたいのは、少年刑務所が少年院に移行しておりますものは終戦後どのくらいございましようか。
○政府委員(高橋孝君) 只今御質問の点でございますが、刑務所から少年院に転換された施設といたしましては、今回の法律改正案以前においては一つもなかつたのでございます。今回の改正案によつて、先程申上げましたように四つの刑務所施設が少年院に転換されるのでございます。
○宮城タマヨ君 そういたしますと、少年刑務所はもうあといくつございますか。
○政府委員(高橋孝君) 現在は少年刑務所施設としては全国に十一ございますが、今回の少年院の設置によりまして新光学院と愛知少年刑務所の二カ所の刑務所施設が少年院に転換されますので、全国で九カ所ということになるのでございます。
○宮城タマヨ君 いつぞやも私は申上げたと思つておりますが、奈良の少年刑務所に特少が一緒に置かれております。その様子を見ますと、奈良と限らず、その他にもございますけれども、だんだん少年刑務所が取扱その他一般につきまして、少年院らしくなつて行くというような傾向が見えるという所長の説明でもございましたのでございますが、そういう意味のことをだんだん推し拡げて考えてみますと、結局十分施設を完全にすれば、少年刑務所よりも少年院に子供を容れますほうが、教化の上でも十分にその目的を達するのではございませんかというように考えられる節もございますが、政府としましては少年刑務所をもう全然、急には行きませんでしようけれども、少年院に替えようというような意図はございませんでしようか。その点ちよつと伺いたい。
○政府委員(高橋孝君) 少年刑務所と少年院が、その取扱について、だんだんいいところは少年院に近いよずな姿になつているようであるという御趣旨でございますか、少年院におきましても、少年刑務所におきましても、目的は少年を矯正教育によつて立派な人間にし、社会に復帰せしめるということでございますから、似ておるところがあるのも十分首肯できるのでございますが、少年刑務所をやめて少年院にする意図はないかとの点につきましては、現在の制度の下におきましては、少年刑務所に入るものは刑罰処分として刑の執行を受けさせるため、少年刑務所に収容する。少年院に入るものは、保護処分を実施するために、少年院に収容するという根本的な差異を持つておりますし、少年刑務所を少年院にしてしまうというようなことは、現在の制度の下においてはいたしかねることだと考えます。
○宮城タマヨ君 大分長い時間とつて恐れ入りますが、今の説明、勿論法的に言えば、その通りでございますけれども、少年の矯正、保護、教育という面かも申しますというと、終極は満二十歳以下、少年法で守られております子供たちは、本当にいい将来を、いい社会人として社会に送り出されるという目的から申しますというと、ここに一応、当局も一つ飛躍して考えて頂いたら如何でございましようかということをかねがね希望いたしております。殊に少年法、少年院法の一部改正に臨みまして強く私は考えるのでございますが、少年が前科者として烙印を捺されますということは、その次に参ります結婚ということについて、非常に不利な点ができて来ると思うのでございます。一旦青少年が結婚に破れますというと、いい結婚ができませんというと、一生涯私はうだつが上らない。その意味から申しますというと、どうかして烙印を捺さないで、矯正、保護の目的が達しられるならば、必ずしも今の少年院のやり方自体で満足はできないと思いますが、この取扱を何とか工夫すれば、少年刑務所というものはつぶされるのじやないかというような考えを持つております。これは今日私の希望をここで申上げて、御当局で十分に一つ研究して頂きたいということをお願い申上げまして、私のこの少年法、少年院法の一部改正に対しましての質問を終りたいと思います。
○委員長(中山福藏君) ほかにございませんか……。 それではこの両案に対する質疑はこの程度にいたします。 —————————————
○委員長(中山福藏君) 次に人権擁護委員法の一部を改正する法律案を議題に供します。御質問のおありのかたは御発言を願います……。 委員長として政府のかたに先ず第一にお伺いしたいのですが、この改正案の要旨は四点あるようにこの理由書のうちには現われておるのですが、一体日本の国でこの噴流行いたしております基本的人権というものは、これは憲法第十一条のあの規定の基本的人権だということは勿論でありましようが、その内容、いわゆる古事記哲学から表現された基本的人権であるか、或いはマグナカルタ憲章以来の英国から渡つた基本的人権を指されるのか、それを一つ私はお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(戸田正直君) もう一回ちよつと……。
○委員長(中山福藏君) それは憲法第十一条に基本的人権というのが明示されておるのですね。これがまあ近頃日本で流行しておる基本的人権だ、民主主義の基礎をなすものだと、こういうふうに一般は解しておるわけです。これは単に日本の古事記に表現せられた日本独特の基本的人権というものを汲みとつて、それがいわゆる憲法の第十一条に謳つた基本的人権である。これを擁立するために政府並びに民間の指導者が専念しておられるのか。或いは英国流の、十八世紀からジヨン・ロックが提唱した人民主権説から来た基本的人権というものを盛込んで、これを一つ盛立てようとしておられるのか。それを一応一つお伺いして確かめておかなければならん、かように考えております。
○政府委員(戸田正直君) 御承知のように憲法に規定されております基本的人権というものは、自然法学的な自由権から発生いたしたものでございまして、英国の権利宣言、それからフランスの人権宣言、或いはアメリカの独立宣言というようなものによる人権宣言というものと同じ性質のものだというふうに考えております。
○委員長(中山福藏君) そうすると、この日本のいわゆる旧憲法時代の人権の思想というものとは、根本的に出発点が違つて来ると思われますが、これはフランスのカルビンだとか或いはマルチン・ルーテルの思想から流れ出ているところの英国からアメリカに渡つた、いわゆる一七七六年の七月四日ですか、人権宣言の第一の劈頭に掲げておるところの造物主が人類に与えた基本的人権と生命の権利、或いは自由の権利、幸福を追求する権利、このいわゆるヨーロツパ式の、これを日本の憲法にとり入れたということを政府は肯定されるわけですか。そこを一つお伺いしたい。
○政府委員(戸田正直君) 同じように考えております。
○委員長(中山福藏君) 同じように……。そこで私思うのですが、現在政府のとりつつある諸施策のうちを見まするというと、法律と道徳と宗教の裏付をなすところのすべての法律制度というものが、旧憲法時代のもので新憲法の基本的人権の裏付としようとしておられるように私は見ておる。そこに非常なギヤツプを生じて、社会混乱のいわゆる根源というものはそこにあると私は見ておる。そこで政府が新憲法の基本的人権というものをはつきりと頭に入れておらんから、こういうふりな行動は出てくるんじやないかと思うのですが、考え方は旧憲法時代の考え方で、叫ぶところはいわゆる新憲法の基本的人権と、こうなつておる。それで叫ぶところと行うところとは、全然ちぐはぐになつて歩調がとれておらんのです。それで社会が混乱してくると考えておる。今言われた基本的人権というものはヨーロッパ式の、或いはアメリカ式の基本的人権だと言われるが、この点について政府の只今御答弁になりましたことから考えると、あらゆる法律制度を裏付けて、政府が現在予算委員会、或いは本会議において説明せられる事柄は、ことごとく旧憲法時代の考え方で答弁しておられる。それからこの基本的人権の人権擁護改正法というものがここに出たついでに、私はそれを確めておきたいと思うのですが、こういう点を根本から頭の入れ替えをしなければ、いくら基本的人権というものを呼号して見たところが、余りいい結果は現われなくて、却つてそこに国民がジレンマに陥つて、殆んど国民はなすところを知らないというような結果になつてきておるのではないかと思うのですが、新憲法の基本的人権が今政府委員の御答弁のような意味であるとするならば、もう少し裏付になるところのすべての諸施設というものを、根本的に私は出直される必要があるのではないか、これはあなたに尋ねるのはちよつと無理なんです。だからこれは大臣の出席を求めたのですけれども、今お忙がしいのですが、これは最高国策というような事柄になつて来ておるわけでありますから、一つあなたに御要求するということは無理かも知れませんから、一応大臣或いは総理大臣にお伝え願いまして、次回にこの点に関して明確な一つ御答弁を本委員会においてされるようにお願いして置きます。 政務次官がここにいらつしやいますから、一つ大体の輪郭でもいいですから、あなたが政府委員として一応そういう点についての御意見を伺つて置きたい。
○政府委員(押谷富三君) 只今委員長からお尋ねに相成りました諸点は誠に重大な問題、重要な問題でありますから、特に政府におきましてよく諸般の事情も調査をし、責任あるお答えを次回に申上げたいと存じております。
○委員長(中山福藏君) なお私から申上げて置きますが、この吉田内閣は、こういう点について、文部大臣なんかの予算委員会における或いは本会議における質疑応答は、これは茶番劇をやつておる、殊に週刊読売のあの記事から御覧になつても、これは教育漫談だと笑つておる、文部大臣というものが、ああいう低級な頭を持つておつて、今日の日本の文教政策というものは決して私はやれんと考えておる。これは柔剣道の質疑応答をしておる、まるで滑稽です。ですからこの際一応一つ政府は十分そういうことをお考えになつて、剣道が大事か、柔道が大事かというような茶番劇をこの大事な国会でおやりにならんように、私は十分御注意になつて御準備をして、一当委員会においてその点についての御答弁を煩わしたいということを、重ねて一つ要望いたして置きます。
○政府委員(押谷富三君) 了承いたしました。
○委員長(中山福藏君) ほかに御質問ありませんか。 それでは本日はこの程度で散会いたします。 午前十一時四十六分散会