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15回国会参議院1953/03/04

法務委員会 第15号

発言数
49
登壇者
9
会派数
2
開催日
1953/03/04

会議録

中山福藏緑風会

○委員長(中山福藏君) 只今より委員会を開きます。  先ず公聴会の開会についてお諮りいたします。昨日当委員会に売春等処罰法案が付託されましたが、本案の取扱につきまして先ほど委員長及び理事打合会を開きました。そうして協議いたしました結果、本月十七日及び十八日の両日に公聴会を開会いたすことと決定いたしましたが、打合会の決定通り公聴会を開会いたしますことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山福藏緑風会

○委員長(中山福藏君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。  なお、委員長より議長に提出する公聴会開会承認要求書の内容は、便宜委員長に御一任願うこととして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山福藏緑風会

○委員長(中山福藏君) 御異議ないと認めます。  又公述人の人選その他は便宜委員長より理事会に御一任願うことといたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山福藏緑風会

○委員長(中山福藏君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。

中山福藏緑風会

○委員長(中山福藏君) 次に刑事訴訟法の一部を改正する法律案の取扱についてお諮りいたします。本案の審査は、本日の委員長及び理事打合会の決定によりまして、刑事訴訟法の改正に関する小委員をして審査をいたさせることといたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山福藏緑風会

○委員長(中山福藏君) 御異議ないものと認めてさよう決定いたします。

中山福藏緑風会

○委員長(中山福藏君) 次に検察裁判及び行刑の運営等に関する調査を議題といたします。伊藤委員より質疑の通告がございますので、この際許可いたします。

伊藤修日本社会党(第二控室・右)

○伊藤修君 この際政府関係のかたがたに対しましてお伺いしたいことが二点あるわけであります。先ずその第一点について先にお伺いいたしたいと思います。  御承知の通り、最近株式相互金融というような形におきまして、自己株を一般大衆に日掛け若しくは月掛けを以てこれを譲渡いたしまして、その払込金を集めまして、これを会社の資金として金融業を営んでおる形態が最近著しく増加して参つて、これらの団体は即ち株式相互金融連合会というような全国的な会をも組織して、これに加入しておる者は正社員として約四十七社とか、その他これに準ずべきものが百社、こうした会に属せざるもの、いわゆる真のもぐりというようなものを合せますと優に千社を越えるといわれております。この形はいわゆる新商法の授権制度を悪用いたしまして、取締役会において自己の新株発行権を把握しておるこの地位を利用いたしまして、取締役会が自己の授権の範囲において発行するところの株式に対しまして、その引受権を定款によつて或る一定の資格の者に限つて、例えば会社の重役とか何がしとかいうような範囲に限つて、これを引受けしめることをあらかじめ定款において定め、一応その者をして新株権を掌握せしめる、爾後この者から譲受ける形をとつて、そうしてこの株主たらんとする人に、その組織は仲介というような形式を経て、その株主の移転を容易ならしめておるんです。而もその移転の形式は株代金を直ちに金額を払込むにあらずして、大衆の零細な資金を吸収する意味からいたしまして、これを月賦若しくは日掛け制度を以て譲渡せしめる。それが完納された暁において初めてその株主たる地位を取得せしめようとしておる。又この株主たる者の意思は株主たらんとするところの意思ではなくして、その株主の地位を取得することによつて金融を受けることが主たる狙いである。これに対しましてたまたま金融を受けんといたしますれば……月一割とか或いは一割五分というような高金利を以てこれを融資する。若し融資を受けない者に対しましては奨励金とか、報奨金とか、或いはその他の名目を以て毎月何がしかの配当金をする。これを一般的に打出す場合においては、月四分であるとか或いは五分であるとか乃至は一割の利殖ができるという餌を以て、こうした人々を勧誘するというあり方を以て今日の庶民金融の役割を果しておる。それから今一つの形は商法の不備を利用いたしまして、即ち匿名組合という商法中の規定、これは申すまでもなく曾ての貧弱な経済組織を対象として作られた当時の規定であつて、この匿名組合を立法されるときの考え方としては、主たる営業者とその出資者との特別な関係というものを尊重いたしまして、その基盤の上に立つて匿名組合を組織して、一つの小さな営業形体を遂行する、経営して行くということが想定されて規定されているのであります。この規定自体が一般的に大衆を対象として、この事業者に対するところの出資を求めるというような大規模なことを予想して規定されたものでないことは、恐らく当局においても御承知のことと存じます。たまたまこの規定の欠点を悪用いたしまして、この形において大衆の資金を吸収し、以てその集められたところの資金は自己資金として、自己の権限内にこれを掌握して、自由にほしいままに任意にその営業者の企図するところの事業にこれを投資する、組合員たる出資者は挙げて以てその営業者の独裁に委ねなくてはならんというような形において賄われておりますから、若し一朝誤まつた場合におきましては、これら組合員に対しまして何らの保証の裏付はない、醵出した金は営業者の資産であり権限内に属し、出資者はそれに対し何らの要求権を持たない。勿論解散されますれば、それに対する残余財産の分配権は持つておりますが、それのみによつては到底これらの大衆の出資者に対するところの権利を保持することはできないと思うのです。  かような二つの形で以て現在日本の庶民金融の逼迫……、これを企画いたしまして、大衆の金を吸収して、そうして金融という好餌によつて、大多数の国民の零細な金を捲き上げて行く。他面におきましては戦後におけるところの貨幣価値の相違からいたしまして、今日五万、十万、五十万というような零細な金は利用価値がない。例えば一つの喫茶店を設けるにいたしましても、数百万円を要するという時代であつて、そうしたはした金は今日においては何らの自己経済の維持の上においては役立たないというのが実情である。こうした二つの点からいたしまして、法の欠陥を悪用して大衆の金を吸牧し、以てこれらの人がほしいままに金融をし或いは株式投資をしているのが現状であります。このままに若し置いておくならば、私は現在こうした大衆の零細な金を吸収して、そうして有効な事業にこれを流すべく、銀行法であるとか或いは相互銀行法そういうような規定を厳格に設ける必要がなくなつて来るのではないかと思うであります。その種のものを許しておくならば、私は将来銀行というものが一体何の役目を果すかわからないことになる。  又昨年の場合におきましては株式の上騰期にありまして、それらの集められた資金の運用においても相当の利益を攻めたことと思います。だから辛うじて内容の欠点を暴露するに至らなかつたと思うのでありまするが、本年のごとき横這い状態で恐らく今後行くことと考えられる、こういうようなときに際しましては、こうした下に集められた金というものが有効に運用されないことは非常に明らかであります。従つて約束されたところの高利廻りを履行することも不可能であるのみならず、これらの営業によつて損失面を考えるならば厖大な穴が空いておるものと想像されるのです。全国的に網を張つて多くの費用を営業費に投じておる現在を考えてみれば、過去の穴は新加入者の金を以て補填しておる。盥廻しをしておるに過ぎないと思う。蓋を開ければ恐らく私はこれら数十万の醵出者に対するところの財産的損害というものは容易に想像されると思うのです。今にしてこの問題に対して政府が確固たる私は態度をとらなくてはならんと思うのです。虎の子のような金を捲上げられて、ついには倒産し自殺するというような結果も恐らく想像されると思うのです。これに対して私は政府の関係諸氏がどういうふうに考えられておるか、検察庁として、或いは法務省として、大蔵省として、又商法の欠点に対しては民事局長として、各関係方面においてどういうふうにこの問題についてお考えになつていらつしやるか、一つこの際お伺いいたしたいと思うのです。

河野通一大蔵省銀行局長

○政府委員(河野通一君) 金融との関係がございますので、その方面から、この問題を私から御説明申上げます。今指摘になりましたいわゆる株式相互金融の方式、或いは匿名組合の方式による資金の調達のやり方が、これは一体金融法規との関係においてどういうふうに考えて行つたらいいかという問題につきましては、実はもう一年余り前からいろいろと研究を重ねて参つたのであります。なかなかむずかしい問題でありまして、今御指摘のように結論を出すに至りますまでの間にいろいろ法務省、その他関係のほうと議論をいたして参つたのでありまするが、漸くこの問題についての政府各方面の一致した結論が出ましたので、その結論の出ましたところを申上げておきたいと思います。  御指摘の第一の株式相互金融方式でありますが、これは今お話がありましたような方式でやつておるわけであります。商法の規定に従つて増資をしてその株式資本で以て貸金業を行なつて行くという形におきます限りにおきましては、商法の違反があるかないか、そういつた問題は別にございましようが、そのほうは実は私専門でございません。その限りにおきましてはこれを預金、或いは預金に準ずる資金の受入れ方式とは認めがたい、従つて銀行法第一条なり、或いは貸金業の取締に関する法律の第七条に言つておりますが、預金の受入れではない、こういう結論に到達いたしたのであります。併しながらこの株式相互金融というやり方には、実は千差万別多様な方式があるようでございます。その中にはやはり銀行業に違反するような行為もあると認められます。例えば借受金というような名目で以て資金を株式相互金融会社が受けておるような例もあるようであります。それらの問題につきましては、銀行法第一条、或いは貸金業法第七条に違反すると認められる疑いが非常に濃いのです。これらにつきましては、ここに金融業法違反であるかどうかを調査の上判定しなければならん問題であると考えております。  それから匿名組合方式によりまする資金の調達方法であります。これは御承知のように、必ずしもこれによつて調達された資金が貸金という金融に廻るものよりも、大体大部分がこれを証券に投資したり、或いは不動産に投資することを目的といたしておりますが、この形における資金の受入れの方式が預金に当るのではないかという問題であります。これも変形的な形におきます匿名組合方式による資金の受入れは、これは匿名組合方式でないということは言い切れないという結論であります。従いましてこれは匿名組合契約による出資でありますから、預金或いはそれに準ずる資金の受入れとして金融業法に違反するとは言いがたい、こういう結論に相成つたわけでございます。ただ、この点も株式相互金融方式と同じように、形はいろいろな形があるわけでありまして、これらの点につきましては、更に十分個々について調査をいたしました場合におきましては、或いは金融法規違反に該当するものがないとは言い切れないのでして、これらの点につきましては、今後十分に個々別々に調査をいたしまして、この点の判断をいたさなければならない、かように考えておる次第でございます。両者をひつくるめて、只今の結論といたしましては、それが変形的な形において行われております限りにおきましては、金融法規違反であるとは言いがたい、こういう結論に相成つたわけでございます。

村上朝一法務省民事局長

○政府委員(村上朝一君) 只今御質問がありました株式相互金融につきまして、商法の立場からこれを見ますと、先ず先ほど伊藤委員から話がありましたような形で、取締役その他役員等の名義で新株を発行いたしまして、それを株主に、一般大衆に売却いたしまして、それでその代金又は代金請求権を会社のほうへ渡す。そうしてその株式を株主のほうに月賦その他で売り渡されるということになるわけであります。この取締役その他の者の名儀で新株を発行いたしましても、実質的にはそれが会社の計算においてなされておる場合もあろうかと思います。かような事実がありますれば、商法の自己株式取得の禁止の規定に違反いたします。この点において罰則の適用を受けることもあろうかと考えております。  匿名組合方式による場合でありますが、匿名組合契約は、申すまでもなく営業者と匿名組合との間の契約によりまして、組合員が出資をし営業者が法律上出資を取得する。従いまして営業は法律的には営業者の営業でありますが、経済的に見ますと、組合員と営業者との間の共同事業であり、その共同事業から生ずる利益を組合員に分配するというのが匿名組合の本質でございまして、一般に行われております匿名組合方式によりまして、一般大衆から資金を集めております場合に匿名組合と称しておりますが、果して匿名組合に該当するかどうかという点につきまして、疑問のあるものもあろうかと存じます。只今銀行局長から述べました通り、個々の場合につきまして実態を調査されておるのでありまして、その一調査の結果に基きまして十分研究いたしたいと、かように考えておるわけであります。

津田実法務省刑事局総務課長

○説明員(津田実君) 刑事の面からお答え申上げます。只今銀行局長が申上げたような形におきまするものにつきましては、法律上銀行局長が申上げましたような見解であるわけでございますが、併しながら株主相互金融或いは匿名組合形式と申しましても千差万別でございまして、一概にこの形を株主相互金融或いは匿名組合形式という形だと言つて、違法だとか適法だとか言つてきめることは困難な次第であります。従いまして個々の事件につきましては或いは商法の違反、或いは場合によりましては刑法による取込み詐欺等の違反になるというような場合も、株主相互金融の場合には考えられるわけであります。又匿名組合形式の場合におきましても、匿名組合としての実質を備えないものにつきましては、或いは信託業法の違反である、銀行法の違反であるということも考えられる次第であります。従いましてそういう違反がありまして、悪質でありまする限りにおきましては、これは当然取締りの対象になるというふうに考えておりますし、現に全国におきましても十数件これらについて捜査中、或いは起訴をしたり、第一次判決があつたような事例もある次第でございます。

伊藤修日本社会党(第二控室・右)

○伊藤修君 只今の御説明、銀行局長のお答えについては、形式論としては或いはそうかも存じませんけれども、併し実質的におきましては庶民の金を預る、若しくは信託というような関係になつておることは、これは疑い得ないと思うのです。今御指摘になりました、例えば株金代金を借入れるという場合においては問題があると仰せになりましたが、多くの場合はその引受けました人の株を他の申込者に譲渡した場合において、それから受入れた金は一時その会社に預つて、そうしてそれが株金額に満ちた場合においてはこれを借入れる形式をとつておることは御承知の通りだと思うのであります。実際においては最初において払込んでおるかと申しますれば、これは恐らく局長においても御承知の通りでしよう。見せ金で以て払込んで、すぐその金を引出してそうしてその株金というものは充実されていない、空な株券を譲渡しておるというのがこれは実際なあり方なんです。これを私はただ形式論だけで止むを得ないというふうにお考えになるということはどうかと思うのですが、御承知でしようが今から約三十年前頃には公債の日掛販売、いわゆる月賦販売というものが非常に盛んであつた。これも当時大衆は非常な迷惑をこうむつたことは御承知だと思う。昭和十二年から十五、六年に至るまで、いわゆる坂本市場で上場されておつたボロ株というのがあつた、ボロ株横行時代、これによつても大衆が非常な大きな損害をこうむつたことは御承知だと思うのです。当時こうしたこの種の会社が全国で千幾つあつたということも御承知でしよう。今度は戦後においてはそうした過去の二つの例によらずして、新らしい形においてこうした同じような目的のために、いわゆる大衆のお金をただ取つてしまおうという考え方の下にこうしたことが行われておることはこれはもう明らかだと思うのです。戦後物品の日掛販売というのが行われた、これは大蔵省の示竣によつて全国において整備されて四つかそこいら残つた。その当時におきましても九州第一、日本第一と言われたこの種の業態が蓋を開ければ一文もなかつた、現在福岡地方裁判所にかかつておる、恐らくこうした形態のものは形式の如何を問わずその意図するところは、企業者の意図するところのものは、大衆の金を労せずして収奪して自己の欲しいままに利用するというところにあるに過ぎない。今の株主相互金融の場合におきましても、その株式自体は何らの実価も持つていない、内容のない単なる一片の証券に過ぎない。つい五、六日前に何々金融金庫という医大な広告が出されて、そこに標示されておる株式のごときは、何々事業、何々産業という会社が五つか六つか羅列されておる、その株式を拠出者にお渡しする。結局は、最後においては金を出した人は反古紙にひとしい株券を握つて泣寝入りせざるを得ない。これを私は放任しておくということは、政府のあり方としては納得できない。これに対して一体今後どうするつもりか。法的措置を講ずるか、現行法では止むを得ないというならば、今後法的措置を講ずるつもりか、何らかの取締り方法をするというのか、その点を伺つておきたい。

河野通一大蔵省銀行局長

○政府委員(河野通一君) 株主相互金融の株式の発行と申しますか、増資のやり方が商法に違反する、今お話のように実際仮の引受けというようなことで商法に違反することがあるかないかにつきましては、これは私専門家でございませんので御答弁申上げる資格はございませんが、仮にそれが商法によつて適法なら増資という形で行われますならば、これは預金ではないということをはつきり申さなければならんと思います。然らば貸金業をやつておるというだけが特質であつて、普通の株式会社が公衆から株式を募集するという方法と何ら変りのないこの株主相互金融方式による資金の集め方が、果して貸金業に限つて何らかの処置をしなければならんのであるかどうかという点につきましては、私はこれは貸金業をやつておるから、その貸金業者が株式を公衆から募集するということは、取締るなり、いけないということを言わなきやならんとは考えませんで、これは普通の証券業者が公衆から自分の事業資金を調達する方法としては、株主を募集して公衆から資金を集めると何ら差違はないと、かように考えておるのであります。ただ御指摘のように、実際この株主相互金融の株主になられる方々は、或いは預金のつもりで株を持たれておるかたもあるかと思います。これは非常にそういう誤解をして、預金のつもりで株式をお持ちになつておるかたは、預金と同じような保護が与えられないのでありますから、場合によつたら非常に気の毒な目に会われることがないとは言えないと思います。これらの点につきましては、できる限り私どもとしては、それは決して預金ではないのだと、自己資本だ、株式の投資なのであるから、預金者を保護するいろいろな措置と同じような法律上の保護は与えられないということをはつきり認識して頂かなければならん。そういう意味から私どもといたしましては、貸金業をやつておるものについては、その株式の募集のやり方について、特別に他の事業会社の株式と違つた措置をとらなければならんということは、どうも制度としては出て来ない。かようにこの点についてもまあいろいろ内部で議論がありましたが、そういう結論に到達いたした次第でございます。

伊藤修日本社会党(第二控室・右)

○伊藤修君 私は根本的には新商法の授権制度の欠点を悪用しておるという点において、商法の授権制度について再考慮を要すると考えるのです。殊に今銀行局長の仰せのごとく、株式の募集、いわゆる事業会社の資金を集めるために、そうした形態も容認できるのじやないかというお考え方に対して、私はただ専門家でないのですから、深く議論しようとは思いませんが、およそその事業を経営し、それに資金を投じようという者は、みずから株主たらんとする最初の株主であるべきはずなんです。一応事業会社の一人の名前に書き換えておいて、それを販売するというあり方、而もそれが月賦によつて資本が充実されて行くということは、およそ商法の予想しないことと思うのです。又株金額を月賦で払込むという基本観念は、商法はとつていないのです。それを一時、便宜他から融資を受けて一応払込みの形式を完了して、そうしてその金は引き去つてしまつて、残るものは形骸たる一片の証券のみです。その証券を月賦によつて売ることによつて、再びその株式の株を金を充実するというあり方であることは申すまでもない。それを私は容認されるということは、ちよつと考えられない。  それで最後に私は先ほどお尋ねしておいた、政府としてこのままこういう事態を放任しておくのか、それに対して若しくは何らかの適当な処置を講じようとするのか、或いは監督の方法について考慮するというのか、その点を伺つておきたいのです。

河野通一大蔵省銀行局長

○政府委員(河野通一君) 私どもはこの問題を放置いたしておるわけでございませんし、今後におきましても放置をして、放つておいていいという考えではおりません。先ほど来申上げましたように金融行政の立場から見ましてもいろいろ問題のあるものがないとは断じがたいのでありますから、今後といえども取締りは厳重にやつて参ります。ただ、私どもの基本的な考え方は、貸金業者、つまり政府が成規の免許を与えた、いわゆる金融機関と違つて、貸金業者というものに対しては、私どもといたしましては預金者保護といつたような観点の監督は必要でないという考えで立つておるわけでございます。貸金業者が自己の資本で以て貸金をやる限りにおいては預金者の利益を害するといつたようなことはない、これは制度としてであります。そういう観点に立ちます限りにおきましては、現在の貸金業者に対してぱ貸金業等の取締に関する法律、この法律に基く取締、監督を行うことで十分である。従つてそれ以外に新らしい法的措置を講ずることは必要もないし、又そういうことをすることは適当でない。かように考えておる次第であります。

伊藤修日本社会党(第二控室・右)

○伊藤修君 私は銀行局長の考え方に対しては非常に不満です。恐らくあなたが在任中にこの問題は必ず破綻を来たしますよ。もう数年と言わずして、近い日にこれは必ず破綻の時期が来るのです。その場合において国民に対してどういう申訳をしますか、その衝にあるあなたとして、ただ一般の形式論のみで以て実質的な国民の財産的損害というものに対して、そうした危険の虞あるというものに対しては、為政者として当然事前にこれを考慮するという必要があるのじやないか。ただ現行法規の上において何ら方法がない、だから放任しておくというような考え方でなく、恐らくそうした危険があるのです。殊に今の自己資金云々とおつしやるけれども、これは単に株主になら、しめるということによつて自己資金という形をとつておるに過ぎないのです。その本質は大衆の預金であるのです。真にその人が株主たらんとする意思は亳末も持つていないのです。殊に最私の契約の場合においては、この株式はいつ何時においても金に引換える、買い戻すのでありますから、金を醵出する者においては、一つの通帳であるとか、或いは担保というようなはかない考え方を持つて、安心して若しくは多少の危惧を持つてその金を証券と引換えに醵出しておるわけです。殊に全額払込みに至るまでは預金に過ぎないのです。全額払込んで株式になつてしまうというのは恐らく少数であるのです。そういうような事態を見ておつて、何らこれに対して処する途がない、放任しておくということは私は国民に対して親切でないと思うのです。将来この種の事件が起つて全国的に迷惑をこうむる国民が多数出た場合において、あなたはどうして申訳をいたしますか。少くともその衝に当られるあなたとしてはこれに対して何らかの処置を考えるのが当然じやないでしようか。検察庁のほうのお考え方と、一つあなたのお考え方とを重ねてお伺いします。

河野通一大蔵省銀行局長

○政府委員(河野通一君) 先ほど申上げましたように商法の関係で、株が一体適法に成立しているかいないかという点につきましては、法務省のほうの御答弁を頂きたいと思います。私のほうは今御指摘のありました通り素人でありますので、お答えはいたしかねます。  それからこの形態による資金の集め方が預金であるか、株であるかという問題につきましては、まあ非常にいろいろ研究をいたしたのでありますが、この点はお叱りを頂くかとも思いますけれども、私どもは預金でないという結論に到達いたしたのであります。これは私だけの個人の見解でなく、関係当局と十分打合せた結果そういう結論になつたのであります。然らば株式相互金融という形で貸金業をやることを何か特別に取締るということが必要かどうかということになりますが、そういたしますと、貸金業を株式会社でやる場合には、もうすべて免許を受けるとか或いは認可を受けるというようなことにするか、或いは株式会社で貸金業をやつちやいけないということにするか、そういうふうなことに相成るかと思うのであります。私どもは貸金業なるが故によつて株式会社の組織でやつてはいけないということは言えないと思います。又株式会社で自己資本で貸金業をやる以上は、私はそれだけについて特別に免許の制度をとる必要もない。これは個人が貸金業をやる場合と何ら異らない、こういう考え方に立つておるのであります。ただ、先ほど来御指摘のありました通り、この株主相互金融の株主になることが実は高い利子をくれる預金をしたというふうに誤つてお考えになつて加入をなさつたかたがたが或いは相当程度あるかと思いますが、これらのかたがたにはこれがやはり預金ではないので、株式に出資をせられたんだということをはつきり認識をして頂くことがどうしても必要であろうか、かように考えておる次第でございます。なお先ほども授権資本の制度の可否その他の問題もございましたが、これらは法務省のほうからお答えを願いたいと思います。  なお、いわゆる株式一般について非常な泡沫会社の株式が出たりして、そのために公衆が非常に迷惑することがあるかないかの問題につきましては、これは証券行政自体の問題として十分に考えられるべき問題であろうかとも思いまするが、私といたしましてはその問題につきましてはまだ深く研究はいたしておりませんが、現行の制度で証券政策というものは先ずいいのではないかというふうに、私の承知いたしておる範囲ではそういうふうに考えております。

中山福藏緑風会

○委員長(中山福藏君) どうですか、法律の問題をお尋ねがありましたが、民事局長は……。

村上朝一法務省民事局長

○政府委員(村上朝一君) 新株発行の際に、見せ金だけで、現実には払込がない、同時に発行される新株の全部又は大部分について払込が欠けているということになりますと、新株発行無効ということに商法上はなるわけでありますが、この新株発行を無効とすることによつて問題が解決するわけではないのであります。なお先ほど授権資本の制度について御批判があつたのでありますが、授権資本の制度ができましてからまだ日が浅いのでありますが、こういう制度を濫用する事例が現われて参りましたことは甚だ遺憾に存ずるのであります。ただ授権資本の制度全般といたしましては、経済界の事情に応じて有用な働きもしておるわけでありまして、この授権資本の制度につきまして、法制上改正その他を必要とするかどうかという点につきましては、実は昨年末以来先般の商法改正に関連いたしまして、各方面から再改正の要望等が出ておりまするので、その要望のありました点につきまして更に各方面に意見を求めております。これが集まりましたならば検討いたしまして、更に再改正をすべきかどうか十分研究いたしたいと考えておる次第であります。

伊藤修日本社会党(第二控室・右)

○伊藤修君 検察庁のほうは……。

熊沢孝平最高検察庁検事

○説明員(熊沢孝平君) 最高検察庁の立場からこの問題について申上げます。株主相互金融及び匿名組合方式による利殖機関の法律的な性質と申しますか、それにつきましては、先ほど皆さんが述べられた通りに考えております。併しながらこれは極めて理想的なものを考えた場合でありまして、現実のものが必ずしも理想通りに運営せられておるとは考えられない、又現にいりいろ弊害も出ておるのであります。従つて検察庁といたしましてはこの種機関に対しまして厳重な査察内偵をいたしまして、そしていやしくも金融法規に違反し、或いは又刑法、商法等に違反するというものに対しましては仮借なくこれを検挙して、そして一般警戒に当る、こういう方針をとつております。現に今各地におきましても二、三検挙いたしておる次第であります。これが大体検察庁の方針であります。

伊藤修日本社会党(第二控室・右)

○伊藤修君 私は銀行局長のお考え方に対しては、先ほどから申しますように、満足はしがたい。何のためにいわゆる金融関係に関する法規を厳格に作つておるか。例えば相互銀行を作る場合においても、これらに対しまして相当厳重な条件を具備しなければできないことになつておるし、殊にこれに対する監督官庁の監督もきびしく行われておることは、私が申すまでもないことであります。然るに一面においては大衆の金を手中におさめるという事業に対しまして、漫然として施すところのすべなしというような考え方に対しては、納得しがたいです。私は政府において殊にその衝に当られる大蔵省関係において十分この問題に対しましては更に検討されて国民に将来禍をもたらさないように善処されたいと希望してやまないです。  只今最高検察庁が現在の状態に対しまして厳しくこれに対して目を光らしておるということに対しては、意を強うするのです。恐らく私はこれを今日の段階において洗えば、ことごとくがそうだと思うのです。ただ今日の段階において尻尾を出していないというに過ぎないのです。これはどうしても為政者としてはこの問題に対して十分より以上検討しなくちやならんと思う。殊に今村上氏のおつしやつたように、授権制度に対して我々はもう一遍考慮上なくちやならんと思うのです。殊に定款の必要記載事項のうちにおいて授権制度による新株発行についての引受人の特定ということは、当時商法を審議する場合において問題になつたのです。これは特定することが基本定款にあらかじめ定め得るとすることが非常に弊害の根拠だと思うのです。若し授権制度をこのまま実施するということになりますれば、特定を許さない一般株主に対してやはり公平にその新株引受権を認めるというように扱わないと、こうした盲点を利用してこの種の事業を経営するということになつて来ると思うのです。当時問題になりまして、我々はこの点に対して相当議論をいたしたのです。たまたま現行法のようになつてしまつたのですが、これらも商法改正についての大きな一つの課題だと思うのです。私は重ねて大蔵当局のこの問題に対する善処を促しておきたいと思います。この問題は又他日より以上研究いたしまして、私のほうから再質問申上げるときもあると存じますので、この程度にいたしまして、次の問題についてお伺いしたいと思います。

中山福藏緑風会

○委員長(中山福藏君) ちよつと関連して聞いておきたい。熊沢検事にお聞きしておくのですが、大体この種の問題で事件の対象としてお取調べになつたものがどれくらい件数がございますか、又そのうち起訴されたものがどれくらいありますか。ちよつとお聞かせを願いたいと思います。

熊沢孝平最高検察庁検事

○説明員(熊沢孝平君) 全国で株主相互金融の方式の会社で検挙をいたしたものが十二社あります。そのうちで目下捜査中のものが六社、半分が捜査中でありますが、あとの半分は起訴済みでありまして、そのうちですでにもう判決のあつたものが三件ございます。ただこれは非常に捜査がむずかしい案件でありまして、なかなか迅速に運ばないのと、又判決の結果は必ずしも厳罰ではなく、多くは罰金刑で済んでおるようで、これらの点につきましても将来最高検といたしましてはできる限りその悪い情状を明らかにいたしまして体刑を以て臨みたいと、かように考えております。

中山福藏緑風会

○委員長(中山福藏君) 判決のあつた場所はどことどこですか。

熊沢孝平最高検察庁検事

○説明員(熊沢孝平君) 千葉と長野それから名古屋であります。

伊藤修日本社会党(第二控室・右)

○伊藤修君 次の問題は、御承知の通り商法によつて、いわゆる株式の民主化という基本的な考え方の下に、新商法は少数株主権を非常に拡大いたしておる。商法制定当時において、アメリカの株式形態においては或いはそうしたことが必要であつたかも存じませんが、日本の場合においては特殊の事情の下に少数株主権というものが非常に濫用されまして、これに悩むところの企業者というものが多くあることは、現実に見受けるところであるのです。それでこの少数株主権の行使によつていわゆる会社ゴロとかいうものがなお今日横行しておるのですが、最近におきましてはこの少数株主権というものは一つの違つた形において現われておると思うのです。というのは、或いは実態から申しますればそれは多数株主権の横暴ということになるかも存じませんが、資本の力、いわゆるお金の力を以てするならば何事をもなし得るというこの考え方ですね、いわば資本の暴力ですね、これが今日頻々として行われておる実情を見ますると、将来の日本の企業形態というものの一体根底が破壊されるのじやないかと思うのです。即ち株の買い占めということによりましてそうしてその会社を乗つ取つてその事業を経営する。この場合には、或いは事業意欲に燃えるところの資本家が、目指すところの事業を乗つ取つて自己が経営するというならば、これは或いは容認されるかもわかりません。併しそうじやなくして、表面の打出しはあたかも自己がその会社を乗つ取つて経営しようという打出しではあるが、真実の当事者の意思というものは、そうじやなくして、自己が例えば百円で買つた株を千円に売り付けるという意図を以てその買占めに当つて、会社の理事者を恐怖の淵に陥れ、泣く泣くそうした不当な支出をしてこれらの取得した株を買い占めなくちやならない、いわゆる更に買い取らなくちやならないというようなのが今日の実態なんです。最近それらの事例が著しく殖えて参つておることは御承知だと思います。先に私が一番初め耳にしたのは、大阪の十合百貨店、東京地方におきましても、高島屋であるとか、或いは野田醤油であるとか、日本皮革であるとか、大日本印刷であるとか、三菱系の陽和不動産であるとか、或いは渋沢倉庫であるとか、白木屋であるとか、大阪の南海であるとか、これらの会社はすべてこの被害にかかつておるわけです。これらのいわゆる資本の暴力というものが自己資金で賄えるならば又これも一つの考え方でしよう。多くの場合、殆んどでしようが、これが今の経済保全社の金を使うとか、或いは銀行から融資を受けてその買占めに当るとか、私は銀行にそうした枠があるはずはない思うのです。たまたまこれらの当事者は他に事業を持つておつて、その事業に名をかつて銀行から融資を受けて、その本来の融資を受けた事業に投資せずして、こうした思惑に投資をして不当な利益をせしめておる。一体このあり方を容認しておくならば、将来、たくさんの株を持つところの大会社は別として、二千万や三千万、一億程度の会社なら、恐らく次々とこのゆさぶりにかかつて、皆破滅の域に達しやしないか。市場価格として実質価格として例えば百円のものを千円で買取るということになれば、その九百円というものはどこかに無理がある、欠陥がある。延いては本来の事業というものはそうした面から破綻を来たし、破産の域に行くのじやないか。日本の企業は大企業形態でなくして中小企業を中心に打立てられておる現在におきまして、こうした日本のあらゆる企業が次々とこの手段にかかつて被害を受けて行くならば、恐らく近い日に日本中の中小企業は皆倒壊するのじないかと思うのです。この種の資本の暴力に対しまして一体検察及び法務省、それから大蔵省としては、これはまあ止むを得んものだというふうにお考えになるか。これに対して何らかそれを考慮するというお考えを持つていらつしやるか、一つお伺いしたいと思います。

村上朝一法務省民事局長

○政府委員(村上朝一君) 或る会社の株式を買い占めまして株式の多数を制することによつて、会社の経営を支配するに至るということは、これはそれ自体といたしましては株式の譲渡の自由を認め、且つ株主に株式の数に応じた議決権を認めておる商法の下におきましては、違法或いは不当なことではないと考えるのでありますが、ただ株価を釣上げるために、株式を買占める等、株式の取引について不正の手段、計画又は技巧を用いるということがありますれば証券取引法に違反することになりますし、又競争関係にあります同種の営業を目的とする会社の場合におきましては、独占禁止法に触れる場合も出て来るわけであります。なお又真に、会社の経営権を得る目的でなく、ただ高く株式を売付けるために、取締役の更迭を以て迫るというようなことがありますれば、或いは刑法上恐喝罪その他の犯罪になることがあるかと考えます。この点につきましては更に刑事局長から……。

岡原昌男法務省刑事局長

○政府委員(岡原昌男君) 大体民事局長からお答え願つた通りでございまして、単に株式の譲渡、譲受け、譲渡の面だけを考えますると、すぐに犯罪ということにはならんわけであります。附随的にその方法、手段等について違法の点がありました場合には、只今民事局長から答えましたような犯罪が成立する場合もあるわけでございます。従来もいわゆる会社荒しというようなのがございまして、不当に株価を釣上げまして、株主の権利を取得して株主総会を荒らす、或いはその株式を高価に買取れと言つて恐喝するといつたような事案があつたのでございますが、本件につきましても似たような法律問題は出て来るわけでございます。ただ実際の問題といたしまして本人たちの意見がどういう点にあるのか、又その具体的な交渉の顛末等がどういうふうに運ばれておるのかというのは、恐らく事案々々で違うのではないかと思いますので、これは更に個々の事件を検討いたしまして御返事申上げるほかしようがないのではないか、かように存ずる次第でございます。

古内広雄公正取引委員会事務局長

○政府委員(古内広雄君) お答えいたします。只今御指摘の問題は、我々個人といたしましても非常に関心を持つておるところでございますが、ただ公けの立場といたしましての問題は、独占禁止法とこの問題がどういう関係が出て来るかという問題でございますが、我々の扱つている法律から申しますれば、いけない場合は、持株会社的なやり方になるという場合が一つ、若しそういう場合に当てはまるならばそれで独禁法違反になると思います。更に競争関係にある会社が、例えば或る百貨店的な営業をやつている会社が同種の株を買占めるというようなことになれば、現行法の第十条第二項に競争会社の株は絶対持てないことになつていますので、その辺で触れるわけであります。又会社以外の個人がやります場合は、二箇以上の会社の株及び社債を取得することによつてその会社間の競争を減殺する、一定取引分野における競争を制限するというような結果になつた場合に、やはりそういうことがいけないという結論に達するのであります。更に又その株の取得の方法如何が、まあ我々の法律から見れば一つの問題となるのでありますけれども、不公正な方法によつて株を取得した。例えば買占めようとする相手の会社の株を買占めるために、その会社をいじめる方法として、こちらが例えばダンピングをきつて相手をいじめるとか、或いは差別対価を以て相手をへこまして、相手が音を上げたとき、その株をこつちが容易に買取ることができるというような状態になつた場合は、不公正な競争方法によつて株を取得した場合というのに適合すれば、その問題はやはり独禁法の問題になるのであります。我々の法律からこの問題を取扱い得るとすれば、只今申上げた点からだけでございまして、只今御指摘になつたようないろいろの案件については、大部分その不公正な競争方法によつたかどうかというような点も、非常に立証がむずかしかつたり、それから又競争関係の有無ということも、大変立証がむずかしかつたりしまして、大体まだ事件になつたものはないのであります。現在は白木屋の問題で、公正取引委員会のほうに提訴されておりまして、この問題は横井産業という会社と白木屋との関係が或いは競争関係になるのじやないかというような疑いはあると思うのであります。併しその結論は目下委員会において調査中でありまして、何とも申上げられません。

中山福藏緑風会

○委員長(中山福藏君) 銀行局長、如何ですか。

河野通一大蔵省銀行局長

○政府委員(河野通一君) 証券のほうの担当課長が来ておりますから……。

飯田良一大蔵省理財局証券第一課長

○説明員(飯田良一君) お答えします。株の買占問題に関しまして、証券取引法関係の見解でございますが、商法と同じように株の取得自由という建前で、これも証券取引法に関しまして、株の取得自体に関しまして、目下今お挙げになりましたような案件に関しまして、特に違反というのは見受けられないのでございます。ただ一点こういうことがあつたのでありますが、今お挙げになつた例のうちの一、二のものにつきまして、株の買占取得そのものではありませんのですが、取得の過程におきまして、株価を不当に釣上げる操作を人為的にやつたという疑いがあるのがございまして、その場合におきましてその機関店といいますか、売買の委託を受けました機関店に対して、東京証券取引所を通じまして、処分をいたしたという事例はあるのでありますが、その取得自体に関しては、特に違法というようなことで取上げるということは、目下のところできにくい状態ございます。

中山福藏緑風会

○委員長(中山福藏君) 検察庁如何ですか。

熊沢孝平最高検察庁検事

○説明員(熊沢孝平君) この問題につきましては、検察庁といたしましては、株価を不当に釣上げて、これを買占めをしておいて、そうしてその後に会社に対していろいろな要求をする場合、この場合にいわゆる刑法の強要罪とか恐喝とか、その他の犯罪が成立する場合は、勿論これが取締りをいたすはずであります。なお、又その目的が経営権の奪取であるとか、或いは合併、或いは制圧のためというような、いわゆる独禁法に触れるような場合におきましては、これは公正取引委員会のほうと連絡をとりまして、若しその告発があれば、これに対して断固検察庁が取締る、かように考えております。現に今まで問題になりました実例といたしましては、大阪の十合百貨店の乗取りを策しました、坂上某の問題があつたのであります。この問題は大阪の検察庁で十分調査いたしまして、公正取引委員会のほうに知らせましたところが、公正取引委員会のほうでは、本人のほうに勧告をいたしました。ところが、示談が成立いたしまして、告発をしないで済んだのであります。検察庁の方針としては、今申しましたように、刑法に違反する場合その他これがあらゆる面から犯罪であるという場合におきましては、断固取締りをやる考えは持つております。

伊藤修日本社会党(第二控室・右)

○伊藤修君 私は今の検察当局の考え方は正しいと思いますが、事業経営を意図してやる場合においては、これは問題が非常に刑事的な素質は薄弱になつて参りますけれども、そうでなくして株を買占めておいて、それで明渡すか、然らずんば株を買え、それも通常時価で以て買えという、そういう場合、往々にして不当な市場価格以上で買えということがありますが、かような場合には刑法に触れないということは考えられないと思う。そうすると資本の力を以てすれば、どんなことをしても差支えないということになる。普通ならば百円の価値しがないものが、倍も十倍もわざわざ出して買わなければならんというようなことを余儀なくされるというものならば、これは脅迫が成立するものと考える。こういう点については、処分について、最高検察庁にも十分一つ眼を光らしておいて頂きたいと思います。殊に銀行局長にお伺いいたしたいことは、私はこうした株買占に必要な資金というものは、それは一、二の人はどうか知りません、或いは第三国人がたくさんの金を持つて、それでやるということも聞いておりますが、そうでなくして今公取の御説明になつた白木屋の例を以ていたしましても、これは千葉銀行から出ておるじやありませんか。千葉銀行はとかく噂がある、悪い噂がある高利で融資しているということを我々はときどき耳にする。殊にこの金は千葉銀行から出ておるということを聞いている。それで千葉銀行は一体何の名目を以て、どういうわけでこれを融資したか、恐らくこれは当事者の堀某という人がビルか何か経営しておる、そのビルの建設資金を流用した、或いは横井某という者が、その事業の資金として借入れて、これを融資しておる、どちらかあると思うのです。殊に横井産業というものは、特別調達庁に未払金が七百万円か八百万円かある、それを村上さんの手許で示談にして月賦にしているそうでありますが、月賦にしなければ国家に払えないような者が何億という金をどこから引き出したか、殊に横井産業というものの産業自体が持つのみならず、そこの社員が数千万の株主になり、何十万株というものを持ち相当の金額のものを出しておる、さようなことは常識的には考えられない。こういう点に対しまして銀行局長の資金面についてのお取締りがあるのかないのか、又そういうことを御調査になつておるかどうか。村上さんのほうで横井産業のそういう未払金に対してどうしておるか。それほどある会社なら、八百万円の未払金を月賦でなくて取つてしまつたらどうですか。

河野通一大蔵省銀行局長

○政府委員(河野通一君) お答え申上げます。今御指摘のいろいろな事実につきまして、その資金が銀行から出ておるのではないかどうかというお問いにつきましては、いろいろと噂を聞いております。一部につきましては具体的にちよつと申上げかねますが、一部につきましては実情を調べたこともございます。ただ、現在私どもは自主的な融資の規制と申しますか、そういうことを大蔵省の指導によつて各銀行にやらしておりますが、証券の売買と申しますか、そういつたものは銀行は絶対にやつてはいかんということにはなつておりません。ただこれは御承知と思いますが昔資金調整的なことをやりましたときに、甲種、乙種、丙種という資金の性質によつて区別をいたしたのであります。その乙種に該当するものでありますから、それに重点をおいて金融をやるということは、適当でないことは明らかでありますが、大体全体の貸出の高の、或る一定の丙種なら丙種のほうに出してもよろしいという方針をとつておりますので、必ずしも証券の売買のための金融をやること自体は、必ずしも私は悪いことではない。ただこれは度が過ぎたりしました場合、或いは今お話のような具体的な事例につきまして、私は何とも批判することはできませんが、経済全体の秩序を紊すような意味のことが仮にあるとすれば、そういつたものに銀行が融資をするはずはないと思うのであります。ただ今の事例が、一体そういう経済秩序を紊すようなことであるかどうかにつきましては、私まだ確たる意見を申上げる資料を持つておりませんが、大体証券に対する金融は、大体そういう方針で現在まで指導いたしております。ただ私が調べました一つの例は、今お話のありましたように、融資を受ける会社の一般の事業資金、運転資金ということでどうも出ているようであります。その運転資金として出したものが株のほうに、何といいますか濫用されたと申しますか、流用されたと申しますか、そういつたことが或いはあるかも知れませんが、出ている資金はその事業会社の運転資金と申しますか、事業資金として融資されているようであります。その後のなにが十分にできていないということも問題であると思いますが、その調査をいたしました結果につきましては、その銀行には十分注意をいたします。全般的な問題といたしましては今申上げましたように、非常に抽象的で恐縮でありますが、そういう考え方で指導いたしております。

村上朝一法務省民事局長

○政府委員(村上朝一君) 横井産業の問題につきまして実は私聞いておりませんので、調査いたしました上でお答えいたしたいと思います。

伊藤修日本社会党(第二控室・右)

○伊藤修君 銀行局長におかせられましては、そういう面に常に御関心を持つていらつしやることと存じます。最近においてはそういう事例が漸次拡大し、多くなりつつある。恐らくこうした金が個人の金とは考えられないことは、常識的にも考えられる。いろいろな名目を以て銀行から引出して、そうしてそれを流用している。又丙種の枠としてこれを初めから大きな融資を受けてやる場合もありましよう。併し多くの場合そうでないと思うのであります。それから他の枠において融資を受けて、それを不当にこうした部門に流用する、たまたまそれが成功して回収すればよろしいけれども、そうでない場合も考えなくちやならない。そうすると健全なる銀行経営というものが非常に危胎に瀕する、延いて以て日本経済界の根底を破壊することになると思うのです。こういう点について、こうした幾多の事例がたくさんありますから、これらについて、どこから資金が流れ出ているかというような点は、常に一つ御調査願つて、やはり監督を厳重にして頂くことが、私は日本産業の維持の上においても当然考えられるべきことである。殊に今日は金融第一主義、金融がすべての日本産業を支配しているというような現在のあり方なんですから、こうした点には十分一つ御留意を願つておきたいと思います。殊に今公取のおかたが御指摘のございました白木屋のごとき、その意図はどこにあるかは存じませんが、併しこれらの人は、今日のごときは映画会社が御主人公である、横井産業は、まあ産業ですからいろいろなことを、ブローカー的にやるでしよう。こうしたものが数百年という歴史を持つ一つのデパートですね、みずから担当して経営する力のない、これは実に疑わしいものだと思うのです。恐らくはこれもやはり先の例に漏れ十、相互とかその他の例に漏れずそうしたものを掌握するという態勢を整えて、株を不当に買取らしめるとか、或いはその間においてあの日本一の土地を自分で取上げるとかというような、何らかの考え方があつてのことだと思いますけれども、これらは本来の事業でなくして他の事業に対してこうした思惑をすることは、それに対する金融という言葉を思い合わせて考えますれば、非常に危険を持つものだと思うのです。延いてはいろいろな事業がこうした面から破綻を来たすということは我々としても好ましくないと思います。これは白木屋の場合に限らず、渋沢倉庫の場合においても苦がい経験を得ておることだと思うのです。こういう点について十分検察当局におきましても又公取におきましても、この点に対しましては今後とも一つ御注意願つて、正しい日本産業の育成ということに一つ御努力を賜らんことを願いたいと思います。今日においてこそ、我々はこうした面において意を用いなくちやならんと思う。殊に資本の力は何をなしても差支いないという基本的な考え方は、私たちはこの際除きたいと思うのです。新らしい民法が改正の重要な一つとして取入れた、いわゆる権利の濫用を許可しない、株主権の行使といえども、それは権利である、併しそれは限度があるのです。日本の産業、いわゆる公共の福祉を破壊するがごとき、我々の社会生活を乱すがごとき株主権の行使が是認されるはずがないのです。これは民法の一般原則からいたしましても当然その点は否定さるべき筋合いのものだと思うのです。無限のものではないと思うのです。だから資本の暴力というものに対しましては努めて今後我々としても関心を持つべき筋合いのものではないかと思うのです。この点に関しましては、各位におかせられましては十分この具体的例をポイントとして、先ずこれに一つ御注意を賜つて、そうして他の一般事例に対しましても十分皆さまの御監督なり、これに対する処置を私は求めてやまないのであります。特に一つ銀行局長におかせられましては、金融面から一つ十分御留意を賜りたいと思うのです。

中山福藏緑風会

○委員長(中山福藏君) ちよつと委員長から古内公正委員会事務局長にお尋ねしますが、外国人が取得した株式は大体現在どれくらいの程度になつておりますか。

古内広雄公正取引委員会事務局長

○政府委員(古内広雄君) 外人が取得した株数ですか。どうも只今資料を持つておりませんので、早速調べてお答えしたいと思います。

中山福藏緑風会

○委員長(中山福藏君) これは一つお調べを願いたいと思うのです。それから外資を利用して日本の株を買占め、外人の名前を以て直接に買取るほかに、日本の人の名前を以て自分が資本を、資金を融通して買占めさせるという危険が生ずる場合が相当あると私は思うのですが、そういう点についてはどういうふうな防止の処置を現在とつておるかお聞かせ願いたいと思うのです。

古内広雄公正取引委員会事務局長

○政府委員(古内広雄君) お答えいたします。公正取引委員会の立場からいたしますれば、その株式を買取る個人が外人であろうが、或いは外国人が邦人を通じて買おうが、それは一様に独禁法の適用を日本内地で行われる限り受けるものと解釈しております。

中山福藏緑風会

○委員長(中山福藏君) これはインドネシアなんかの株式取得の関係を見てみますと、向うの政府なんかでは一定限度という制限を置いておるように思われるのですが、これはインドネシアはインドネシアの考えがあるでしよう。が日本としても只今伊藤氏が御質問のように、相当こういう点につきましては考えておかなければ脱法行為というものが頻々として行われる憂いがあるのですが、その点については何かお考えがあるでしようか、そういう点を政府に申込まれるということで準備行為をなしておられるでしようか。

古内広雄公正取引委員会事務局長

○政府委員(古内広雄君) お答えいたします。只今の御質問の問題は、公正取引委員会とは直接に関係のない問題で、通商航海条約とか、或いは外資導入のほうの問題ではなかろうかと存じます。

中山福藏緑風会

○委員長(中山福藏君) 一応あなたの立場からも研究材料と申しますか、研究資料というものを御提出になるということが、これは当然考えらるべき問題だと思つて特に念を押しておるわけです。あなたの権限外であろうがなかろうが、それは一応参考資料というものは、あなたの立場からお出しになるということが親切な行為じやないかと思つてお尋ねしておるわけなんですがね。

古内広雄公正取引委員会事務局長

○政府委員(古内広雄君) お答えいたします。只今御指摘の通り関係方面と連絡をいたしまして、私のほうで見た資料を他日差上げることといたします。

伊藤修日本社会党(第二控室・右)

○伊藤修君 この両問題については、なお今日は時間がないですから、他日に又詳細にお伺いすることがあるかも知れませんが、一応お答えの保留の分もありますから、質問を他日に留保しておきます。

中山福藏緑風会

○委員長(中山福藏君) それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後三時四十七分散会

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