法務委員会 第12号
- 発言数
- 117 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/02/26
会議録
○委員長(中山福藏君) 只今より委員会を開きます。 本日は最高裁判所及び法務省所管の二十八年度予算につきまして、それぞれ当局から説明を聴取いたし、御質疑をお願いいたすのと、公安調査庁発足以来の同庁の活動概況につきまして、調査庁当局より説明を聴取いたし、御質疑をお願いいたします。以上二件を議題に供します。 先ず昭和二十八年度最高裁判所関係予算につきまして最高裁判所より御説明を願います。
○説明員(岸上康夫君) それでは只今から昭和二十八年度裁判所所管予定経費要求額について概略を御説明申上げます。 二十八年度の裁判所所管の予定経費要求額は全部で八十八億二千五百四十五万九千円でございまして、前年度の補正予算要求額をも含めました予算額合計七十五億八千三百十八万四千円と比較いたしますと、十二億四千二百二十七万五千円を増加いたしました。 右昭和二十八年度予算のうち、重要な事項について御説明申上げますと、次の通りであります。 最高裁判所及び下級裁判所の機構の維持及び経常的な行政事務を行うために必要な経費といたしましては、六十三億三千八十四万八千円でありますが、これを組織別に述べますと、最高裁判所に七億六千九十万円、高等裁判所に五億三千七十六万二千円、地方裁判所に三十七億五千七百二十四万円、家庭裁判所に十二億八千百九十四万六千円をそれぞれ計上いたしております。 それから次に裁判官、司法修習生、裁判所書記官、その他の職員の人格の向上を期すると共に、これら職員に司法に関する理論及び実務の研修をさせるための経費、並びに、裁判所書記官の調書作成の能率化を図る目的の下に、従来の要領筆記の方法に代えてステノタイプライターによる速記方法を裁判所職員に修得させるための経費として計三億六百六十八万一千円を最高裁判所に計上いたしました。 その次に近時激化の傾向を示しております労働事件、公安事件等の審理における法廷闘争に対処し、法廷の静穏を保持し、審判の適正迅速な処理を行うためのいわゆる法廷警備を強化する必要がありますので、これに要する経費として一千八万三千円を地方裁判所に計上いたしました。 その次に国選弁護人の報酬及び刑事補償法による補償金、その他裁判に直接必要な旅費、庁費等として十一億八千七十七万六千円を最高裁判所に計上いたしました。 その次は裁判所営繕工事費として、裁判所庁舎等の新営費で六億五千八百五十万九千円、裁判所各所増築及び修繕費並びに敷地建物買収費として一億四千百四十九万一千円を最高裁判所に計上いたしました。 最後に裁判所法の規定に基く予備金として八百万円を最高裁判所に計上いたしました。 以上昭和二十八年度の裁判所所管予定経費要求額についての大要を御説明申上げました。
○委員長(中山福藏君) 本件につきまして、御質疑のおありの方は御発言をお願い申上げます。
○岡部常君 刑事補償法による補償金でございますね。この制度が始まつて以来の成果はどういうことになつておりますか。若しお答えができなければ後刻書面ででも御答弁を願いたいと思います。
○説明員(岸上康夫君) 只今のお尋ねの点につきましては、正確な数字等記憶がございませんので、お話の通り後ほど提出さして頂きとうございます。
○岡部常君 もう一つお伺いしたいのは、先般伊藤委員から裁判に関する出張旅費の件について御質問がありまして、それははつきり御答弁が得られなかつたように思いますが、その後どういうふうになつておりますか、若し御調査になつた結果が現われておりますなら、お示しを願いたいと思います。
○説明員(岸上康夫君) 只今お尋ねの点につきまして申上げます。先般の二十七年度補正予算の審議の際における説明のときに伊藤委員からお尋ねのありました点につきましてその後調査いたしました結果、大体こういう数字になつております。 裁判官の裁判上の出張、いわゆる民事の臨検旅費、刑事の臨検旅費、調停事件の旅費というようなものを調査いたしました。それを一人当り大体平均何日ぐらい一年間に出張しておるかという点を経費の面から計算いたしました結果、平均いたしますと、昭和二十六年の実績によりますと、平均一年間に三十七日という数字になつております。
○長谷山行毅君 裁判所の営繕工事費ですが、これだけの予算でどの程度の新築或いは改築、増築をする予定であるか、内容についてもう少し詳細に御説明願いたい。
○説明員(岸上康夫君) 二十八年度の営繕費は、只今申上げましたように合計いたしますと全部事務費も含めまして八億ということになりますのですが、その内容につきまして現在大蔵省当局と事務的に折衝が進んでおりますところを大体大きなところについて申上げますと、先ず庁舎の新営費といたしましては、場所的に申上げますと高等裁判所の支部といたしまして宮崎の支部、それから地方裁判所の本庁といたしましては青森、福井と岡山、それから家庭裁判所の本庁といたしまして仙台と大阪、それから地方及び家庭の支部といたしまして小樽、一ノ宮、堺、呉、小倉の五カ所でございます。それから簡易裁判所の新設といたしまして全国で約十四カ所、このほかに全国の庁舎の比較的大きな修繕といたしまして五千万円という数字で一括して要求に入つております。この庁舎の新営につきしましては只今申上げましたうちには二十八年度から新らしく着工するところと、従来工事をやつておりましてその継続的な工事としてやるところと二種類ございます。その継続的な工事としてやりますところは、今申上げました中で六カ所でございまして、宮崎の支部、それから地方裁判所の本庁では福井、家庭裁判所の仙台と大阪、これは両方とも継続であります。それから地方及び家庭裁判所の支部では堺と小倉、これは継続、こういうことであります。その他は新らしく二十八年度から着工するというところでございますが、これも一年間で一応使えるようになるという場所と、二年計画、或いは三年計画で仕上げるという場所もございます。比較的規模の大きなところはどうしても工事の工費の点から言いましても、一年で困難なところは二年という工合になつております。大体以上であります。
○長谷山行毅君 簡易裁判所は全国で約十四カ所を予定されているということですが、一カ所の費用が大体予算としてどのくらいかかりますか。
○説明員(岸上康夫君) 簡易裁判所といたしましては、大体予算で認められておりまする規模は百十坪でございましてその工費は一庁当り地域によつて若干違いますですが、大体四百五十万から五百万程度と予定されております。総額では六千九百七十万、これを予定されております。
○長谷山行毅君 これらの簡易裁判所などの費用の足らない点は今まで地元負担と言いますか、地元の寄附などを仰いでいる場合もあるように承わつておりますが、そのような方法も考えられておられるのですか。
○説明員(岸上康夫君) 地元の寄附という点につきましては、裁判所法施行直後は結果的に見まして若干ありました。それは結局簡易裁判所の制度が行き届かなかつた、調査がなかなか簡単に行かないというところは、地元のほうからのいろいろの強い要望がありまして、庁舎を寄附するから是非設置してもらいたいというようなところもあります。そういう関係から若干の寄附のところもございます。ところが最近は逐次簡易裁判所の新庁舎が建つておりますので、そういう寄附を受けるということは、最近は非常に少くなつております。で、二十八年度におきまして、この予算以外に寄附を受けるという具体的な話があるところは今のところ別にございません。ただ土地を寄附するから建ててくれというような話のあつたところは現在もなお数カ所そういう話は進行しておるところはございます。建物を寄附しようというところは今のところは私承知いたしておりませんです。
○長谷山行毅君 裁判官の官舎の問題ですが、これは各裁判所とも、或いは検察庁とも、官舎等がないために人事の交流、その他で非常に悩んでいるようですが、そういうことに対しての予算措置は二十八年度ありますか。
○説明員(岸上康夫君) 官舎の点につきましては予算的の措置を申上げますと、これは現状は大蔵省にあります一般公務員の宿舎の施設費というものの中から、一部を裁判所の官舎施設費といたしまして、移し替えを受けて、それで裁判官の官舎を賄うというのが最近一、二年の実例でございまして、まあ法規的には若干の問題もあるようでございますけれども、事実問題といたしましてはそうなつておりますので、二十八年度もそういう形式で移し替えを受け得られるものと見通しをつけております。で、昨年度は約五千五百万ほどの金がそういう手続を経て移し替えになりました。それで全国の裁判官の宿舎を新営、或いは買収いたしております。大蔵省に入つておりまする一般公務員宿舎施設費というのは、大体二十七年度も二十八年度も同額ということを承わつておりますので、更に今後の大蔵省当局と折衝をやりますが、まあまあ大した異同はないのじやないかというふうに考えております。
○委員長(中山福藏君) もう岸上君にいいですか。
○伊藤修君 ちよつと、私いない間にこの間の質問のお答えがあつたようですが、一人当り三十七日というのは、判事及び判事補を基準にしての話ですか。判事だけの基準ですか。
○説明員(岸上康夫君) 只今の判事三十七日という数字は、裁判官、つまり判事も判事補も、簡易裁判所のほうも入れましての平均でございます。但し転補による出張調査、人員の転補による出張はこの中には含まれてはおりません。転補以外の純粋のいわゆる人件出張旅費を基礎にして弾き出した数字でございます。
○伊藤修君 そうするとこの平均三十七日間の、一年の間に法廷を空けるというこの現実は、戦前におけるところの裁判所のあり方と比較して、どういうふうな結果になつておるのですか。或いは多いのか少いのか。多いとすればそれは訴訟法の上から来るところのそうした事実、実態なのかどうか、その点を伺いたい。
○説明員(岸上康夫君) 只今のお尋ねでございますが、正確には調査いたしておりませんが、大体の感じを申上げて恐縮ですが、刑事の出張につきまして、戦前の予審判事の出張というそれの回数というふうなものと比較いたしますと、まあ大した差はないのじやないか。多少最近の出張のほうが殖えておるのかも知れませんが、そう大した差はないのじやないかという感じでございます。
○伊藤修君 それは感じではちよつと困るのですね。一体一カ年を通じて三十七日、多くは四十日も法廷を空けてしまう。それによつて国民が迷惑をするところのものはどれだけあるかということを考えると、私は軽々にこれは聞き流せる問題じやないと思うのです。勿論最高裁判所においても、それだけの空間を如何にして補つて行くかということも考えなければならんと思うのです。そうした点からも過去におけるところの実績がどうあるかということは一応お調べになつておくべきじやないでしようか。すでにこの点に対してお尋ね申上げたのは一カ月も前のことですから、ただあなたの感じだけでは今後こういう刑事訴訟法を改正する際においてもこれをどう取扱うかということが重要な問題になつて来ると思う。
○説明員(岸上康夫君) 只今のお話は御尤もなお話でございますが、実は戦前のことにつきましては、その経費の面から調べようといたしましても、ところによつては戦災等のためにそういう書類がなくなつておるというふうな関係もございましてまあ正確に一つ一つ現在やつたわけではございませんが、恐らくこつちで調べましても全部正確に数字が出るのは困難じやないかというふうに考えます。
○伊藤修君 それはものの一つの基本を知るためには、別に全国全部の統計をとらなければならんというのではないと思うんですよ。焼残りの裁判所において過去のそういう出張がどうであつたがということをお調べになつたら一つの基準というものは出て来るんです、そうしたものをたとえ五カ所なり、十カ所なり取上げて、それによつて当時の配置人員というものは、勿論最高裁判所でわかつておるはずですから、それに割当てればどれだけの日数が出て来るか、すぐわかることですよ。一体裁判所は裁判をやることにのみ漫然、超然としてやつておるというやり方はよくないんです。如何に国民の権利を保護するかということに努力すべきだと思うんです。今日日本の裁判事務の遅々として運ばざる点を考えて見ますと、憲法に保障するところの基本人権を保護する殿堂という誇りを、一体国民に強く示すことができるかどうか、裁判の訴えを出せば、忘れた頃でなければ裁判ができないというようなあり方で以て超然としておるということは、私はやがて国民から裁判所に対する信頼を失うということで、大きな問題だと思うんですよ。如何にして国民の権利を速かに保護するかということを常に念頭に置いて頂きたいと思うのです。そういう意味においては、こうした隘路をも、やはり皆さんが研究して、これを如何にして是正して行くかということに御努力賜わることが必要だと思う。私は金額の問題を言つているんではないんです。こうして多くの日にち、一年を通じて四十日も空けるという、これに日曜祭日を除きます、それから非開廷目を除きますと、一体幾日裁判するんです。裁判するほうはいいですが、国民のほうはその日の生活に困るんです。その毀損された財的人的のあらゆる面を何とかして裁判所に頼つて守つて頂こうと思つておればこそ裁判所というものに信頼を持つんです。又訴えもするんです。それがただ漫然として事務に携わり、裁判してやるというような考え方ではよろしくないと思うんです。如何ですか、お調べになるかどうか。
○説明員(岸上康夫君) 只今お話の点は、今まで調べておりませんでした点は申訳ないのですが、お話の趣旨に従いましてできるだけ調査いたしたいと存じております。
○伊藤修君 ついでに伺つておきますが、金額は幾らになるんです。
○説明員(岸上康夫君) 裁判官の臨検出張旅費の中で、今度の調査の便宜上、日当でございますね、日当を上げましてその日当額に基いて日数を弾き出したのでございますが、その日当額だけの合計はここに出ておりますので申上げますと、二十六年度一年間で民事、刑事、調停全部合せまして、三千二百一万八千五百円という数字になります。この数字は裁判官一人に書記官一人つくという計算でこの数字を弾き出しているわけでございます。
○伊藤修君 それは旅費も一切含めてですか。
○説明員(岸上康夫君) これは旅費は入つておりません。日当だけです。
○伊藤修君 旅費を聞いているのです。
○説明員(岸上康夫君) 旅費もその他一切含めました実額は調査いたしておりますのですが、ちよつと只今持つて来ておりませんので帰りまして至急にお伝えいたしたいと思います。
○委員長(中山福藏君) ちよつと私からお聞きしておきますが、この第三項ですね、「法廷闘争に対処し、法廷の静穏を保持し審判の適正迅速な処理を行うため法廷警備を強化する」ということが書いてありますが、どういうふうに強化されて、前年度とのこの費用の差は幾らぐらいになつておりますか、一つお聞きいたしたいと思います。
○説明員(岸上康夫君) 法廷警備に必要な経費は、二十七年度では合計で一千四百三十二万七千円で、二十八年度は先ほど申上げました通り一千八万三千円でございますので差引き四百二十四万四千円の減となつております。この減の主なる理由は二十七年度においては法廷警備に関連いたしまして、仮監置室と通例申上げておりますが、いわゆる拘束命令を受けた者を一時拘束して置く施設でございます。そこの仮監置室の設備費が認められておりまして、その中の器具費と言いますか、椅子とか寝台とか或いは寝具というようなものが入つております。それが二十七年度です。そういうものが地方裁判所の本庁につきましては全部二十七年度で整備いたしましたのでその部分が約四百万円二十八年度では要らないということになりまして、それが減になつております。ですからその他の費用については二十七年度と二十八年度は大体同額ということになると承知いたしております。
○委員長(中山福藏君) 一千八万三千円というこの金の使途は、大体どういうような規定の下にこれが起案されているのですか、ちよつとそれを御説明願いたいと思います。
○説明員(岸上康夫君) 予算的には今の一千八万三千円の内訳は、職員の旅費というものが五百四十万ばかり、これは警備のための出動旅費でございます。即ち警備員というものが各庁に全部必要数だけ十分に待機していない場所がございますので、機動的に少い庁に事件があつたときには他の庁から応援出動する、そういう場合の出動旅費というものは事件数を推定いたしまして計算いたしました。それからもう一つは会議費という名前で入つておりますが、これは、事件の際の警備についてもらつた警察官に対するまあ食糧費的なものでございます。
○委員長(中山福藏君) もう二点だけお伺いしておきますが、ここに国選弁護人の報酬及び刑事補償法による補償金というのがございますね、この十一億八千七十七万六千円というものは、これは、被告人の負担とするという判決に基いて、この国家が一応支出した金がどれくらい回収できますか。その率は毎年どういうふうになつておりますか。大体平均の率で結構ですが……。
○説明員(岸上康夫君) この点につきましては、その費用の取立てにつきましては、事務的に法務省の所管になつておりますので、裁判所といたしましては、正確な数字は実は資料がないのでございますが、まあ、聞きますところによりますと、いろいろの事情で取立ては大部分困難なように聞いております。負担を命ぜられました被告人からの国選弁護人の報酬の取立てということは事実上できていないのが相当数あるように聞いております。
○委員長(中山福藏君) これは併し、経理局長としてあなたの責任においてこれを一応御説明なすつたんだから、その点は説明して頂くのが当然だと思うのですがね、仮にそれが最高裁判所云々というようなことがあつても、一応は経理局長として御説明ができるのが当然じやないかと思うのですが、できなければ仕方がありません。 もう一つ尋ねておきます。この最高裁判所庁舎等の新営費というものが六億五千八百五十九万九千円というのがここにございますね。この庁舎の新営費というものですが、どういう方法でその請負というものの指定人を定めておられるのですかね。その請負人をどういうふうにして定めておられるのですか。どういう範囲の人がこの資格を有するのですか。どういうことになつていますかね、そこは。
○説明員(岸上康夫君) その点を一般的に申上げますと、まあ比較的大きな工事、といいますと、まあ数千万円、千万円以上ということに大体なると思いますが、そういう工事と、それ以下の工事とを大体分けまして、大きな工事は、一流と言われております建築業者を指名いたしまして、指名競争の方法でやつております。それからまあそれ以下の比較的小さい工事につきましては、一流業者及びそれ以外の二流業者と認められるものを混ぜまして、そしてやはり五、六名を指名いたしまして指名入札にいたしております。その誰を選ぶかという点につきましては、新営いたします場所によりまして、その各業者の規模とか或いは人員、要するにそういう能力、その場所における能力という点を考え、更に地元のほうの当局からの推薦も場合によつてはあります。これはある場合もない場合もございますが、ある場合にはそれとも斟酌いたしまして、そのうちから適当と認められるものを大体五、六名指名いたしてやつております。
○委員長(中山福藏君) 競争入札ではありませんか。これはどうなつておりますか、指名入札ですか。
○説明員(岸上康夫君) 競争入札又は指名入札ということになつておりますが、指名入札で大体やつております。一般競争入札ではなしに、指名入札でやつております。
○委員長(中山福藏君) 指名入札ということになれば、談合取りということがその間に横行しておるということはないのですか。
○説明員(岸上康夫君) そういうこともある、ある場合もあるということを聞いておりますが、その点は業者を、信用のおける業者ということを第一におきまして指名をいたしておるわけでございます。
○委員長(中山福藏君) これは最も公正妥当を尊ぶ裁判所庁舎の建築ということでありますから、できるだけ公正な、何人が考えても成るほど妥当だと頷ける処置をとつて頂かないと困るのではないかと私ども憂いを持つわけですが、如何なものですか。それは。
○説明員(岸上康夫君) その点はもうお説の通り、私どもといたしましてもその点は非常に注意しなければならないと思います。又現に注意をしておるつもりでおりますが、ただ一般的に申しまして、一般の入札ということになりますと、比較的資力の少い、或いは信用のおけない人が価額を安いということで落札いたしますと途中で投出すとか、或いは工事の内容に信用のおけない点があるという弊害もあるというふうに承知をしておりますので、まあまあ中間的なことになるかと思いますが、指名入札のほうが、信用のおける業者を選ぶにはそのほうがいいのではないか、こういうことで従来指名入札、指名競争の方法でやつて来ております。
○伊藤修君 ちよつと委員長が述べられてこの間、私その点、それに関連してお尋ねしておきましたが、国選弁護人に対しての手当の相違はこれは認められますか。地域によつての相違があるのですか。これに対してお調べ願うことになつておりましたがどうなつておりますか。例えば三重県、岐阜県、愛知県、ことごとく違います。岐阜県でも山間部と市部とのあれは違うというような、地域によつて手当が違つておるようですが、どういう標準によつてそういうことをされておるのですか、どういうことをされておりますか、お調べ願つておくことになつておりましたが……。
○説明員(岸上康夫君) 今のお尋ねの点は、この前にも一応の答弁を申上げておきましたのですが、何分これは最高裁判所のほうで一応の基準を作りまして、これを各高等裁判所以下に流しておりますが、最終は各担当の裁判官が事件その他によつて、事件の内容、その他によつてきめます関係上、具体的に比較するということが非常に困難であります。そこで地域によつて違う、全然同じ事件で地域によつて違うということは只今までの調査ではそういうことはないというふうに承知しております。勿論事件の内容の見方はこれは見方によつて相違いたしますので、第三者から見れば、そういうふうに見えることも或いはあるかとも思いますが、結局各裁判官の見方の相違ということに相成るのではないかと、かように考えております、
○伊藤修君 地域による相違がないということはあなた断言されるのですか、ここで以て。事件によつての相違は考えられますが、又あり得べきことですが、併し地域によつてはないということが断言できますか。若し断言されるならば全国のやつをみんな頂きましてあとから出しますが、あなたはそこまで調べていらつしやるですか。
○説明員(岸上康夫君) 只今の点は全部一々の事件につきまして全国的に調査したわけではございませんが、最高といたしましてはこういうふうな一応の基準を出しておりますし、それから個々の事件について今申上げたように調べたわけではございませんが、二、三これは聞いたということでございますが、そういうことはないはずだというふうな回答を得ておりますので、今のところそういうことはないはずだと、こういうふうに承知しております。
○伊藤修君 あなたのような、ないはずだとか、中央にいらつしやる人は地方の実情というものにうといのですから、ですから私はそれを指摘しているのです。中央では公平に流れているというふうに考えておられるが、実際はそれが公平に流れていないからお尋ねしているのです。それを御存じなければ調べて、お前のほうはこういうふうになつているかどうかということを調べて行つてお答えにならなければ、想像だけでお答えになつたのでは困る。事件ごとに相違することは当然のことです。あなたのお答えの大部分は事件ごとに相違することを基本にしてお答えになつている。私の言うのは事件によつてでなく地域によつて異なる。例えば或る地方では七百円、或る地方では千円、或る地方では千二百円、又千三百五十円出す、こういうふうに違うというのはどういう点から来るのか。又そういうことを最高で知つておつてやつているのか。今のお答えでは大枠において流して、それを各地域に任しているようにも聞かれるのですが、一応の基準があるべきはずだと思うのです。それをどうしているか、おわかりにならなければお調べになつてお答えになつてもよろしいです。 それからいま一つ、これは日本弁護士連合会からそういうことは或いはときどき聞いていらつしやるでしようが、御承知の通り日本弁護士連合会は司法行政事務の、法務事務の一部を担当しているのですが、こうした団体に対しましてこの国選弁護に関する費用を交付してこれらに掌らせる方法はどうか。これはお聞きになつていらつしやるでしようが、これに対してあなた方のお考えはどうなんですか。この際お聞きしたい。
○説明員(岸上康夫君) 今の地域差の点は更にできるだけ詳細に調べたいと思つております。なお最高裁判所のほうできめております基準は、大体申上げますと、一件の開廷回数を大体平均二面、それを基準としまして、それにつきまして簡易裁判所では三千円、地方裁判所では四千円、それから控訴審においては四千五百円、上告審においては五千円というふうに一応の基準をきめてこれを流しているわけであります。 それから第二点の国選弁護料の支給に関してのお話は、実は私今初めてお伺いいたしますので、何も考えておりませんので、それは帰りまして更に研究させて頂きたいと存じます。
○伊藤修君 今の最高裁判所の基準を伺つてびつくりするのですが、恐らくそんな費用を弁護人がもらつているところはないと思うのです。先ず大体、私は国選弁護はやつていませんからよろしいが、聞くところによると大体七百円から千円、それから多いところで千二百円から千三百円です。今伺いますと最低が三千円のように伺つておりますが、そういうものをもらつている人は恐らくないでしよう。だからその点は、なぜこれをお尋ねするかというと、聞くところによると、いわゆる国選弁護費用として地方に流される金、その金からいろいろな会合費その他の飲食費、そういうものが賄われているということを聞くから、要するに国選弁護費として流された金を流用しているというのです。そういうことが巷間に伝わつているからお尋ねしているのです。それをはつきりする必要があると思う、いやしくも裁判所の仕事ですから。 それから今の第二のこれは連合会からしばしば申出ておると思います。よくお聞き下さつて最高裁判所の現在考えている御意見を伺いたいと思います。
○委員長(中山福藏君) ほかに御発言がなければ本件はこの程度にいたします。 ―――――――――――――
○委員長(中山福藏君) 次に法務省関係予算について御説明を願います。……それでは法務省がお見えになつていないそうでありますから、次に公安調査庁の活動状況について当局の御説明を煩わしたいと存じます。
○政府委員(藤井五一郎君) 御承知のごとく公安調査庁は昨年の七月二十一日に破壊活動防止法の施行に伴いまして法務省の外局として設置されたのであります。私ども直ちに本庁、それから各公安調査局及び各地方公安調査局の幹部の人選に着手いたしまして、昨年の十月末においておおむね完了を見ました。そういたしましてこの幹部以外の要員も逐次充員を見つつあります。現在におきましては事務員においてこれは二月十六日の調査でありますが、事務員において八十一名、雇傭員において十六名、計九十七名が欠員になつております。なおこの幹部以外の要員の人選に当りましては一般競争によつて厳密な選考試験を実施いたしまして、いずれも優秀な成績を得た者のみであります。なおその幹部職員の採用に当りましては、広く人材を社会各界へ求めることといたしまして、公安調査庁の業務の特殊性と複雑性に鑑みまして、破壊活動防止法の十分な完全な運用には治安関係との連絡協調に待つことが多い点に鑑みまして、国家地方警察並びに自治体警察方面に練達有能な者を求めるほか、なお外地において警察職に当つた者、その他一般官庁並びに民間から人格識見の高い優秀な者を求めることといたしまして、この線に沿つて採用して来たのでございます。数字について申しますれば、幹部新採用五百五名中警察職にあつた者が総数二百二十名でありまして、幹部の採用前の階級は例えて申しますれば、警視長が四名、警視正が十三名、警視が五十五名、警部が四十六名、警部補が五十六名というふうになつております。一方人員の整備と共に、各公安調査局及び各地方公安調査局の庁舎も、地元関係機関の協力を得まして、十分とは申せませんが、一応その整備を完了することができました。かように一応人的並びに物的の整備を完了いたしますと共に、仕事の面、即ち他方におきましては破壊的団体の規制のための調査事務についても、従来の資料を検討整備いたしますと共に、鋭意調査の線を進めておる次第でございます。今日までのところその調査を完了いたしまして規制処分の請求をいたしたものはまだございません。それから我がほうといたしましては、一方職員の養成に非常に力をおいておるのでございます。破壊活動防止法の運用に当りまして常に心しなくてはならんことは、本法が憲法の保障する基本的人権に直接関係を有しまして、その運用の如何が即ち人権の消長に影響を及ぼし、延いてはわが国の民主主義の成否にかかるものと存じまして、いやしくも法の濫用に陥ることがあつてはならないということでありますので、即ち法の運用の如何は畢竟その人にあることと存じます、この意味におきまして、職員の人格を陶冶し、その識見を高め、事務を研鎖せしめることを当庁におきましては特に重要視しておるのでございまして、昨年七月二十一日当庁が発足いたしまして、この点に意を用いまして、すでに前後五回に亘りまして職員の研修を実施いたして参りました。この研修は私どもは急速に実施する必要があると思いまして、各本庁、公安調査局、地方公安調査局から中堅職員と新採用職員とを分類いたしまして中堅職員即ち前者におきましてはこれを東京に招集し、新採用職員につきましては二つの各公安調査局管内職員を適当の公安調査局に招集いたしまして研修を実施することとしたのであります。東京において行いました中央研修は、今日まで二回実施いたしました。その第一回は昨年の九月の二十一日から十月の十二日まで三週間、第二回は昨年の十一月の十七日から十二月の七日まで三週間でありまして、二回とも部外からの講師も御協力を願つたのであります。その講師を例えばお名前を申上げて見ますと、矢部貞治先生、田中最高裁判所長官、小泉信三先生、天野貞祐先生、そのほか知名の知識人に依頼いたしまして、人格と識見の涵養に努めると共に、部内におきましては私初め各幹部が講師となりまして、一般教養を初め、破壊活動防止法の立法の趣旨、国会における審議の経過並びにこれをめぐつて表明された推論の動向を説明いたしますし、実際面においても専門的知識を与えることに努めて参りました。その科目の振合いを御披露いたしますと、一般的教養の時間は六〇%、実務は四〇%となつております。 以上が幹部の研修でございまして、次に新採用職員に対する地方の研修も、今日まですでに三回実施いたして参りました。第一回は昨年の十一月四日から同月の十三日まで十日間、中国公安調査局において中国及び九州各公安調査局管内の新採用職員全員に対し研修いたしました。第二回は昨年の十二月の十日から十二月の十九日まで十日間、近畿公安調査局におきまして近畿及び四国各公安調査局管内の新採用の全員に対しまして研修を行い、第三回は本年の一月の十九日から一月の二十八日まで十日間、東京におきまして関東、中部各公安調査局管内の新規採用の事務官全員に対して、それぞれ実施いたしました。なお更に本年の一月の二十六日から二月の四日までの十日間、仙台におきまして東北、北海道各公安調査局管内の新規採用事務官全員に対して研修を行いまして、以上各地方の研修に当りましては、中央研修と同様に、一般的教養面に比重を置きまして、所在の大学教授或いは裁判官、検察官又は報道関係者に講師を依頼すると共に、本庁から各幹部を講師として派遣し、中央研修同様、人格の陶冶、識見の涵養に資するため慎重に研修をやつて参りました。 以上、本庁開設以来の公安調査庁としての行動の概要を申上げた次第であります。どうかよろしくこの際本庁の予算について、私どもも十分とは思つておりませんが、御検討と御理解を願いたいと思います。
○委員長(中山福藏君) 何かお尋ねございませんか。
○伊藤修君 私は今日右翼団体についての何か御説明があると思つたのですが、そうじやなかつたのですか。
○政府委員(福島幸夫君) 御質問に応じて用意しております。
○伊藤修君 それでは現在の日本の右翼団体の動きについて御説明を願いたいと思います。
○政府委員(福島幸夫君) では私から最初に概括的な御説明を申上げます。なお後刻御質問に応じてお答えしたいと思います。 終戦後におきます右翼団体は、その大半が御承知のように極端な国家主義団体として解散を命ぜられまして、これらの団体の主要構成員の多くは公職追放の指定を受けまして事実上政治活動等の自由を失い、積極的な活動をしておらなかつたのであります。その後講和発効前の大量の追放解除、平和条約の発効、これに引続きますところの左翼分子によるメーデー騒擾事件の発生、そのようなことがございまして、右翼陣営に相当の衝撃を与えました。爾来、その運動がだんだん活発になつて参つております。最近におきましては、国体の護持、主権奉還、憲法の改廃というような点を強調いたしまして、宣伝ビラを貼布いたしましたり、又演説会、新聞紙の発行等をいたしまして、以上のような点を活発に論議いたしますと共に、一方反共統一運動の提唱をいたし、又中には共産党に対する実力行動をも辞せないという態勢を示すものも出て参つておるのでございます。他方終戦後の日本共産党の活動に刺戟されまして多数結成されましたところの反共団体がございますが、これは数は非常に多うございますが、一人一党的なものでありまして、終戦後一時活溌な運動をいたしましたけれども、その後鎮静いたしておるのであります。ところが、昨年の四月講和条約の発効以来次第に下部組織の整備充実に努めますと共に、各種の選挙を通じまして、その勢力の拡張、国土防衛、憲法の改廃、悪質朝鮮人の強制送還というような問題を捉えまして活発な言論活動を展開いたしておりまするなど、次第にその運動にも真剣味を加えて来たように看取されるのでございます。特に最近に至りましては、アジアの提携というようなことを主張するものも多く見受けられますと共に、労働組合に対しても働きかけ、右翼的な勢力の浸透を図るというような傾向も現われて来ておるのでございます。 概括以上申上げました通りでございまして、現在のところは、私どもの立場からいたします破壊活動をする団体という見地からいたしましては、表面上は特に憂慮されるような事態は認められないのでございます。
○伊藤修君 戦後におけるところの各種の右翼団体に対しましては、お説の通り、追放その他の処置によつて一応終息をし、又抑え得たと考えられます。追放解除になつてから、たまたま新聞紙上その他によつて承知するところによると、著しくその勢力が増強し、又各種団体が日に日に設立されて、今日では相当数のものになつておると存じますが、その数はどのくらいあるのかもお示し願いたいと思います。 それから今お説によりますれば、現段階においては破壊活動をする虞れがあるとは認められないと、これは恐らくそうでしよう。併し、左翼に対しまして文書、図画その他の言論について取上げて、これに対して処置をとろうという破壊活動防止法の趣旨に鑑みますれば、等しく右翼に対するところの、現に暴力行為が行われなくとも、それを導き出すところの文書、図画若しくは思想的な宣伝というものも、やはり同様に危険視すべきものではないかと思いますが、この点に対して一体公安調査庁はどういうような考え方の下に処置をとつていらつしやるか、先ずその二点をお伺いしたい。
○政府委員(福島幸夫君) 初めに数字でございますが、私どものほうで一応これは注意しなければならないと考えております。何と申しますか、視察の対象と申しますか……に入れております団体の数は、総計七百五十二ほどになつております。 それから第二点の、右翼からの左翼に対する暴力的な行為、これも取締らなければならないではないかという点でございますが、御意見御尤もでございまして、すでに先ほど申上げた団体の中には、共産主義運動に対しては実力行動も辞せないという態度をとりまして、御承知の、昨年外務省におきまして愛国青年有志委員会の者が働きました暴力行為のような事象も起つて来ておるのでございます。このような暴力行為が若し破壊活動防止法の規定に触れるような段階に立ち至りますならば、当然我々としてこれに対して相当の措置をとらなければならないと、そういうふうに考えております。又そのつもりで調査活動も現在いたしておるのでございます。
○伊藤修君 私の質問の趣旨を履き違えておると思いますが、私は右翼団体が左翼団体に対する圧力をどうこうということをお尋ねしたわけじやないのです。そういうこともありましよう。私のお尋ねするのはそうじやない。左翼の思想傾向及びその活動傾向というものが現在の日本国家に対して危険極まるものであるという考え方の下に、この法律が制定されておる。それと同様に右翼、いわゆる極右ですね、極右の人々が持つているところの思想及びその動向というものも又国家に対しては好ましくないわけです。何となれば日本は民主主義国家として飽くまで再建しよう、これが一つの基本的な考え方であるからである。でありますれば、左翼であると右翼であると同様な我々は危険を感ずるのです。ですから、右翼に対して四条に言う、いわゆる文書、図画に対する制約であるとか、その他扇動的な制約とか、或いはそれの予備、幇助するとかいうようなものに対しても事前においてこれを取締るという法の目的があるわけです。それをやつてこそ初めて災厄を未然に阻止し得るのですから、その考え方は右翼にも等しくその考え方を適用すべきものじやないかと思うのです。そうするのでなければ、事が起つて来てからあなたたちが活動したつて役に立たない。そのときには国家が潰れてしまつて、もうこの法律は役に立たない。むしろその政治力の下に我々は屈服せざるを得ないという事態になつて来る。要は法律の目的は、その事前の態勢にあるうちに、これを取締つて将来の安泰を期しようというところにあると思うのです。だから、それは左翼に対して、そこにいらつしやる関さんが縷々述べられた危惧の念は、等しく右翼に対しても抱かれることと思うのです。公安調査庁はそれに対してどういう現在処置をとつていらつしやるか、又どういう考え方でいらつしやるか、それをお伺いしたいのです。
○政府委員(関之君) お答えいたします。お尋ねの点につきましては、この法案の立案の当初におきまして、左のほうと同時に又右のほうと、そうしてそれらが縄のごとくより合わされまして、一つの危険な状態がそこに醸し出されるものであろうというようなことも、一応事態の想定の前提といたしておるわけであります。それらのことの中から、現在の民主主義を擁護する建前から見て、どういう行為をこの法律案の規制の対象にして取上げるかというていろいろ考えた末におきまして、第四条の規定するがごとき暴力主義的な破壊活動という概念を刑法の規定によりまして規定いたしたわけであります。そこでこれは破防法を制定いたしますとき、伊藤先生からもこの席でいろいろ御注意頂き、又御教導を頂いた点でございまするが、私どもの今までの考えといたしましては、又右翼的な問題につきましては、やはり破防法の各号に該当した場合に今日では取締る。特に右翼的な問題におきましては、その破壊活動防止法の第四条の第一項の第二号のほうの各号に当るようなものが一応想定されるのでありまするが、そういう段階、そうしてこの事前運動に対しましては予備陰謀その他教唆、扇動、そういうような行為がありまするならば、それによつて取締る、又その一応程度に止めておきますのが憲法の精神とするところに合致するのではないかというふうに考えておるのであります。一応かような法律体制によつてその問題も只今のところは善処いたしたいというふうに考えておるのであります。
○伊藤修君 どうも関君の話はちよつとわからないです。制定当時の理論を聞いておるわけじやないのです。現在あなたたちがやつておることはどういうことをやつておるかということを聞いておるのです。右翼に対しては漫然と看過しておるのか、右翼に対しても左翼に対すると同様な危惧を抱いて善処しておるというのか、それを聞いておるのです。制定の理由を聞いておるのじやないのです。あなた方の現在の仕事を聞いておるのです。
○政府委員(高橋一郎君) 先ほどの伊藤委員のおつしやる左翼のほうに対して文書段階で注意しておるのじやないか、右翼のほうに対しても同様に注意する必要があるのじやないかという点誠に御尤もでありまして、私どももそのつもりで努力いたしておる次第でございます。
○伊藤修君 努力をしていらつしやるが、現実にそれは全国に対して只今長官のおつしやつたように七百五十二の一応対象団体に対するところの思想傾向並びに文書、そういう言論というものに対してどのように注意を払つて、それに対して対処していらつしやるのですか。
○政府委員(高橋一郎君) 注意してやつておりますのでございますが、ただ右翼一般と申しましても破防法の対象とし、従つて公安調査庁の仕事の対象となるものは政治上の目的が必要なものでございますから、そういう意味でいわゆる暴力団一般というふうには参らないように考えておるわけであります。それで政治上の右翼の暴力組織でありましてそうして一度いわゆる破防法に掲げてある破壊的行為をやつたことのあるもので、再びやる可能性のあるものが規制の対象になつて参るわけでありますから、そういう観点で仕事をやつて参らざるを得ないというふりに考えております。
○伊藤修君 私はあなたたちに釈迦に説法だと思うから言わないのですが、我々ここで論議する対象は政治上の目的を持つたところの破壊活動団体と、こういうことを前提にしてお話申上げている。だから私は長官の御説明の七百五十二もその意味においてお答えになつたと思いますが……。
○政府委員(高橋一郎君) 七百五十二という数字は恐らくそういうふうに、対象が破防法の団体規制の対象としてという意味ではなくつて、もつと広い意味でとにかく将来どうなるかわからないから動向をいつも見守つていなければならないという団体の、それも全国と及び地方的な団体の一応の数字であるように考えております。
○伊藤修君 すると七百五十二の中で政治的意図を持つたところの団体、少くとも政治的な事項を掲げておる団体はどのくらいあるのですか。
○政府委員(福島幸夫君) 殆んど大部分のものがその中に政治的な目標を掲げておるものと考えます。
○伊藤修君 私はそうであろうと思つたら高橋君のお言葉で……、(笑声)どうも研究が足らんと思うのですが、今までの御答弁を総合いたしますれば、少くとも所管事項として、これらに対しましては左翼と同様に眼を光らして頂くべきものと考えておる。又頂いておるものと考えておる。我々はその意味において安心して社会生活、国家生活が営まれると、かように考えておる。だから私は公安調査庁におかれては、やはり左翼と同じようにその危険な現実というものはよく認識して頂きたいと思うのです。右翼団体だからというふうにして一つ棚をおろして考えずにやはり同じように考えて行かないと日本国家というものを守つて行くことはできないと思うのです。その点に対して長官はどういうようなお考えを持つていらつしやるか、右翼はまあできれば結構なことで、復興するのだからいいのだというような極端なお考えを持つていらつしやるのか、或いはそういうふうに行くことを望んでいらつしやるのか、そういうことはまあいいだろうというふうにお考えになつておるか、どうですか、その点……。
○政府委員(藤井五一郎君) 御意見の通り決して公安調査庁としては右に偏し左に偏するとか、右に味方し、左を敵視するというようなことは絶対ありません。それは最も公平に法の運営に当るべく努力し、且つ各職員に常に注意を怠らないようにやつております。どうか御安心頂きたいと思います。
○伊藤修君 私は藤井さんの人格を信頼いたしましてその点に対しましては強く一つ今後とも御責任を果すようにお願いいたしたいと思います。往々にして右翼団体は看過されるというような考え方を持つているのですよ、右翼団体を構成する人々に対しては……。何となれば忠君愛国精神で以てやつているのだ、国に対する忠義を尽す、陛下に対して忠義を尽すというような囚われた考え方の下におやりになつていらつしやる。これは丁度共産党が阿片的な宗教的な考え方を以てそれに身を挺していると同じような行き方だと思う。この点は等しくやはり同様な立場においておよそ国家に危険だと思うものは、破防法の事前の処置がたくさんあるが、事前の処置に万全を尽して頂かないと、事が起つてからでは何にもならないと思う。先ほどの誰かの御答弁では破壊活動をしないのだから現実に暴力行為に訴えてしてからでなければ捕えないような考え方だけではちよつと困りますね。それでこういう団体があつてこんなことを言つているのですね。日本民族擁護挺身隊というものができている、その中に掲げられたことはどうも我々が見ると余り好ましくないと思うのです。誓詞として「我等は日本民族擁護会の趣旨を体して我が国土と民族を守る為に進んで挺身隊に参加し身命を惜まず国家の独立と民族の繁栄の基礎たらん事を期し総司令の下、日本人たるの誇を以て粉骨砕身常に大衆の味方として弱きを抉け強きを挫き平素行いを謹み率先して衆に範を示さん事を天地神明に誓う者である」。全体の趣旨から言うと非常に昔からあつた言葉でそう大した危険性を感じないのです。いわゆる「総司令官の下」とか、身命を賭して事に当ろう……、それでその内容を示すものとして「挺身隊旗の心髄に就て」という文書には「燦として耀くこの隊旗は、堀総司令以下各員が相一致して紊れ行く世相を慨し、国家の安寧と秩序の維持に寄与し、一朝事あれば身を挺して、国難に殉ぜんとする至誠に結集せる、各自の精神力を象徴せるもので、真に隊員全部の魂である。我が隊旗の赴くところは、大にしては外寇内乱悪思想は勿論、小にしては如何なる不退の徒に対しても、隊員が生命のある限り、完全にこれを駆逐殲滅せずんば止まざるものである。」こう言つているのです。あとはいろいろそういうようなことを言つておりますが、この考え方は一つの極右的な考え方の現われでしよう。併しそれを行うには暴力を以てする、こういうことを示唆しているのです。而も内乱外患に対してまで自分たちがその衝に立とう、こう言つていることははつきり示している。これは共産党の文書、図画による最近の左翼運動と同じような危険思想を鼓舞していると思う。これがやがて事が起つた場合においてはこれらが団結して刀、どすを引き抜いて乱れ込むというような事態を惹き起すのではないか、その意図するものが政治的なものであるならば、こうした文書に対して常にあなたたちは注意の目を以てしなくてはならないと思うのでありますが、如何でしようか。
○政府委員(福島幸夫君) お説の通りでございまして、この団体につきましては私のほうでも詳細な報告を得ております。相当注意すべき団体として常に注意を怠らないものでございます。
○伊藤修君 先ほど高橋君は過去においてという言葉をおつしやつておりますが、破壊活動を防止するためには過去であろうがなかろうが、やはり適用される場合があるのですから、この団体は殊に過去において数百人の人が市中においてどすを抜いて闘つた事例もあるのです。現にその結果白昼人を殺すに至つた事例もあるのです。そういう団体が再び復活して、そうして市民の上にあぐらをかくというようなことになると市民は非常な不安を抱かざるを得ない。現にこれが二百名ほどの隊員を持つている。これは一つの事例としてここに申上げるだけです。恐らく全国七百五十二の団体は大体これと大同小異だ、もつとこれ以上のことを掲げているのではないかと思う。この点は公安調査庁としても十分私は留意して頂きたいと思う。これらの組織についての政治的動向というものは、現に政治活動としての御注意でなく、これに対して措置をとるという考えはあるのですか、ないのですか。
○政府委員(藤井五一郎君) 若しこれに対しまして破防法を適用する証拠が十分なりと思いましたら、規制処分をとらざるを得ないと思います。とるのが当然だと思います。
○伊藤修君 現在お調べになつているのですか。
○政府委員(藤井五一郎君) 各団体についてできるだけの調査はしております。
○伊藤修君 今私の質問した団体につ いては……。
○政府委員(藤井五一郎君) 私の聞いた範囲においても今おつしやつた二百名の団員というようなことは知つております。
○委員長(中山福藏君) ちよつとお伺いしておきますが、七百五十二の団体というのは、右派、左派こめてそういうわけなんですか。
○伊藤修君 右派、右翼だけです。
○委員長(中山福藏君) 左派は幾らあるのですか、それも一つお聞きしておきたいのですが、いわゆる右翼団体……。
○伊藤修君 今のは右翼団体でしよう。
○委員長(中山福藏君) 今のはそうだけれども、一応左派も聞いておこうというのです。
○伊藤修君 あなたたちの対象とする左翼団体はどのくらいあるのですか。
○政府委員(柏村信雄君) 左翼団体につきましては、外国人によつて組織される団体のほかには大きく申せば数はそう多くないと思います。ただこれが中央から全国的な組織を持ちまして各地方、府県、地区、細胞群、細胞というような段階まで個々にこれを考えますれば単位として千数百に上ると考えます。
○委員長(中山福藏君) ついでに尋ねておきますが、只今千数百のいわゆる地下団体と言いますか、そういうものがあつて、日米の離間策とか日韓の離間策を講ずるために李承晩ラインなんかで策動しておるというようなことはお調べになつておりませんか。
○政府委員(柏村信雄君) 現在国際的な関係を以ちまして、いわゆる革命運動を行い、革命に対する準備工作をしておるという推定の下に調査を進めておるわけでございますが、特に李承晩ラインとして関連を以ちまして確認しておる動きはございません。
○委員長(中山福藏君) それからもう一つ尋ねますが、先だつて奈良県と大阪の境にあります生駒山の頂上で朝鮮人の団体が変装して山に集合して竹槍或いは火炎ビンというようなものを携えて、そうして革命を起したときの準備演習をやつたということが大きく新聞に出ておりましたが、そういう点についてお取調べになりましたか。
○政府委員(福島幸夫君) 御説明申上げます。これは報告によりますると大阪府の祖防委員会におきまして朝鮮人民軍創設第五周年記念行事と称して、祖防隊と民主愛国青年同盟との共同の軍事訓練計画を進めつつあるという情報があつたのでございまするが、民鮮のほうから警察との衝突による出血は避けたほうがよろしいという注意がされた結果、最初の計画の一部を変更いたしまして、二月八日に奈良県の生駒山を会場としまして、約二百名のものが数十名ずつ集団をなして登山いたしまして、集団的な訓練をいたしたということになつております。
○委員長(中山福藏君) それについての結論はどういうふうに出されたでしようか。
○政府委員(福島幸夫君) 軍事訓練と言われておりましたけれどもこの内容はその現場において発見されました文書その他から判断いたしまして一般の情勢報告、それから今後の闘争方針、進んで軍事方針等についての学習が行われた模様でありまして、一部新聞に報ぜられました竹槍を使用するとか、その他の行動的な訓練は行われなかつたというふうに考えております。
○委員長(中山福藏君) その公安調査庁としての取調べの結果に対する判断、採決、決定というようなことをなすつたでしようか。どうでしようか。どこまで取調べられたでしようか。ただその範囲でしようか。
○政府委員(福島幸夫君) その行動が如何なる内容のものであるか、ということを取調べました程度でございまして、私どもの調査は終局的な団体規制のための資料の収集ということでございますので、その都度これに対する処置等の判断はいたさないのでございます。これが将来団体規制の資料となり得るかどうかということの一応の判断はいたすのでございます。従いましてこの行動に対しましては祖防或いは民愛青等の団体の性格を知る一つの資料となるというふうに考えておるのでございます。
○委員長(中山福藏君) もう一つ聞いておきますが、各大学における左翼系統の学生の思想から出発した団体的な行動というものがいわゆる革命の線に沿つて動いておるかどうか、こういう点について今どうですか、各大学の学内における学生の思想的な傾向を一遍お聞かせ下さい。
○政府委員(柏村信雄君) 学生の動きにつきましては、丁度昨年の前半におきまして各種の暴力事犯が起りました当時におきましては、集団を組みまして或いは朝鮮人その他と合流いたしまして、随分と不法行動を起した事例はあつたのでございますが、全体的に昨年の後半からそうした現実の動きというものは影をひそめているような状況でございます。併しながら各大学におきまして組織の強化、お互いのそうした思想的な集まりによりまする研究討議というようなことは引続き行われていることを調査の結果承知いたしておりますし、全体的に暴力事案が台頭して来るような傾向が現実に出て参ります際に、又その中の一環として一つの勢力になる可能性は多分にあるというふうに考えて注意いたしております。
○伊藤修君 先ほど申しました、くどいようですけれども、右翼に対する文書言論については今後十分注意して頂きたい、かように存じます。 この際伺つておきたいのは、北海道におけるところの左翼団体の今日の動き、情勢というものを一つお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(柏村信雄君) 北海道において特に全国的なものと異なつた動きが特に顕著であるようには承知いたしておりません。情報によりますと、非常に国境地帯である関係から不穏な情勢が逐次醸成されているようなことも聞くのでございますが、我々といたしましてはまだ他の地方と特に異なつた動きをとつておるというふうには見ておらない状況であります。
○伊藤修君 聞くところによりますと、北海道の釧路あたりの新聞雑誌ですね、その日のものがソ連領のほうにおいて見受けられるというような事態から察しますと、非常に交通が頻繁に行われておると思われるのですが、これらに対してはどういうような処置をとつていらつしやるのか、従つてそういうところから考えられるソ連領からするところのいろいろな指揮命令というものが、日本のそうした国境地帯に及ぼすところのいろんな影響というものが考えられると思う。私らが想像する上において相当そうしたソ連の地上におけるところの活動と相待つて、ソ連の探照燈による威嚇だとか、或いは砲を発するところの威嚇とか、飛行機の領土侵入とかいうようなことと相待つて、一連な一つの動き方があるんじやないかと思われるのですが、そういう点はどうなつておりますか。
○政府委員(柏村信雄君) 確かにお話のようにソ連領に近いということからいたしまして、こちらの新聞等が向うに非常に早く流れておるということも聞いておりますし、又密輸なり密入国なりについても相当そういう動きがあるということは聞いておるわけでございますが、我々のほうとして現実にその事実を掴んでおらないような状況であります。併しながら今御指摘のような点は当然に考えなければならんことでありますので、そういうものとの関係をとるであろうと考えられます団体、個人等につきまして、動向の視察とうことについては特に注意をするように指導をいたしておる次第でございますが、現在までのところそうしたものについて明らかにこうした指令を受けておるというような確認をいたしておりません。目下そういうことについて調査を督励しておるような次第でございます。
○伊藤修君 公安調査庁において考えられるところの今日の北海道の実情というものは、この程度において十分賄えると思つていらつしやるのか、或いは相当の不安というふうに考えられますか。例えばここに須藤さんがいらつしやいますが、翫右衛門が北海道から楽々として内地のほうに渡り、内地かり中国へ渡つてしまつたんですから、こういうふうな状態で以て一体公安調査庁が仕事しておるのかいないのか、それはちよつと疑わざるを得ないんでがね。そういう点はどうですか。御確信があるんですか。
○政府委員(柏村信雄君) 非常に大きい問題でございまして、どうも私どもとして国家的な見地から結論的に申上げることは困難と思いますが、今まで私どもの入手いたしておりまする範囲におきましては急速に非常な不安が募つて参るという状況には見ておらないわけでございます。 なお公安調査庁の機能の問題でございますが、御承知のように職員数も非常に少数でございまして、勿論十分な活動ということはいたしかねるわけでございますが、併しながら先ほど長官からの概況説明にも申上げましたように、検察当局或いは警察機関等治安関係機関が緊密な連絡をとることによつて、相補つてできるだけの調査活動、操作活動というものに資して参りたいと考えておる次第であります。
○伊藤修君 係官は、地方駐在の係官その他千七百二名あると承知しておるのですが、一体北海道にそれはどれだけ配置してあるのですか。
○政府委員(柏村信雄君) 約百名ほど配置してございます。
○伊藤修君 どうも百名では心細いですね。あれだけの大きな地域において百名で一体事足りるのですかね。或いはその百名の人が丁度アメリカの国家警察のように地方の各それぞれの機関を動かして活動し得るような態勢を整えられておるのかどうか、もつと内地地ほうの必要のないようなところの人そちらに向けるという必要があるのじやないか。一体基本的に千七百二名という人が全部今充員しておるのですか、或いは欠員しておるんですか。
○政府委員(高橋一郎君) 千七百二名の中で、先ほど長官から申上げましたように、約九十名ばかり全体で欠員になつております。あとは充員されております。それで公安調査庁としましては、にわかに定員の増加ということを考えないで、この定員でいろいろ演習なり訓練ということを強化して素質を高めてやつて参りたい。それから公安調査庁だけですべての問題を対象とするということはこれは勿論できもいたしませんし、先ほど第一部長からも申上げましたように、ほかの捜査機関と緊密に連絡をとりまして全体として成績を挙げるようにいたしたい。で、北海道の問題につきましても、特に差当つて北海道の状況がこうであるから配置を転換してそちらを重くするというふうには差当つて考えておりません。今の態勢でやつて参りたいというふうに考えております。
○伊藤修君 それは今の態勢でやつて行かれることは結構です。ただ事は、公安調査庁を作つた趣旨は、申すまでもなく未然に政治的なこの種の行動があることを防ごうということにあるわけなんです。だから与えられた人員で以て何でもかんでもやつて行く、糊塗して行くという考え方ではいけないのです。やるならばやるでもつて所期の目的を達成するようにそうした手薄い点を賄うという考え方で行かなければならに又機に応じて他の地方の余裕ある人をそちらへ配置を移動するということも考えられるでしよう。とかく日本の官庁は一遍きめるというともうそれを金科玉条のように考えて、世の中の事態がどんなに変化をして来ても、動いて参つても、それだけを守つてそれだけで事足れりというような安易な考え方ではいかん。やはり事に処してそれを賄うだけのことはしなければならんと思う。私は北海道が最近いろいろ国民不安の焦点になつておるんだから、その国民不安の焦点を解消する意味においても、このことの必要があるかないか、ないと断定して国民に安心を与えて頂けるならばそれでもよろしいし、あるけれどもどうも人員が不足だからこの程度でというのじや、これはあなたたちは曠職のそしりを免がれないと思うのです。それはいずれですか。
○政府委員(高橋一郎君) どうも私どもは与えられた条件で最善を尽くすつもりでおります。それで決して与えられた条件で不服を言わずにやつて参るつもりでありまして、ただ人員配置の問題なんかから申しますと、多少伊藤さんのお考えと私どもと考えが違つて参るかも知れませんけれども、私どもは団体規制をやるについての必要な情報が得られるようにという配置で一番考えておりますわけでございまして、どちらかというと現象を追うていろいろ警備であるとかいうような種類の仕事のほうは、どちらかといえば捜査機関のほうに任す、而もそれと緊密に連絡をとりながら先ほど申したような観点でまあ考えておりますわけであります。決して単に人が少くてどうにもしようがないからこれでやるんだというような安易な考え方でやつておるわけではございません。御了解願います。
○伊藤修君 私はあなたたちに警備もやり、つかまえて来いという意味じやないのです。おのずからあなたたちに課せられておる職務の範囲はきまつておるのですから、いわゆるアメリカの国家警察のようにその限られた事項別によつて事が行われておるわけです。あなたたちの与えられた仕事は、その範囲において事をやる。私のお尋ねしておることは、百害を以てして今日の事態に処することができるか、即ち北海道全道におけるところのそうした情報を事前に把握することができるかどうかということをお尋ねしておるわけです。若し把握できないとすれば、そこに大きな穴があいておるわけですから、従つて他の機関を活動せしめるとかいうこともできないことになつて来る。それをあらかじめ心配するからお聞きしするわけです。
○政府委員(高橋一郎君) 決して今お尋ねのように情報、或いは調査活動のために十分であるとは考えておりません。即ち我々が知らなければならないと思うことでまだわからないことは非常にたくさん残されておるわけであります。併し千七百人の大体今定員を各地に配置します場合において、北海道に当面特に重点を入れるというために、他のほうで折角伸びておる仕事が犠牲になるといつたようなことも考えなければなりませんので、やはり今の陣容でやつて参りたい。併し伊藤さんのおつしやられたような意味合いから、いろいろ必要に応じて又弾力性のある配置転換を考えなきやならん場合もあるかと思います。十分その点は決して固定した考え方でなくて一つ対処して参りたいと思つております。
○委員長(中山福藏君) もうございませんか。それでは公安調査庁に関する御質疑はこれで終つたと認めます。
○須藤五郎君 私は本日一通の手紙を受取りまして、そのことに関しまして委員長にお願いしたい点があるわけであります。それは別府市の警察内において一朝鮮人が虐殺されたという件について調査をして欲しいという希望が現地から参つておるのであります。事件の起つたのは二月の二十一日午前九時頃から別府市警、警察署から市内北野口居住の輪タク業をしておる金在魯という三十二歳の身柄釈放の通知を受けて、北野口居住の友人二名が受取りに行つたところ、もうすでに留置場の中で冷たい死体となつておつた。その死体を受取つたわけです。それで二十二日に九州大学の北条博士の執刀の下で解剖に付したところが、左の事実がわかつた。一は尿が約一千二百立方センチメートル体内に溜まつており、排尿されていなかつた。この事実は長時間に亘り仮死状態が続いていたことを九大の北条博士がみずから執刀して証明している。第二の条項は、死体の背中一体に亘り無数の打撲傷があり、全身にあるけれども特に背中が甚だしい、頭脳内には外傷なくして多量の内出血があり、これが致命傷と見られた。ところがこれを警察に報告しましたところが、警察は暴力化した証拠を一言の弁明もしないのみならず、そうして過失死だと警察は言つておるようでありますが、こういうような博士の解剖の結果なども証拠立つておりますので、こういうことが各地方で行われては甚だ遺憾と存じますので、この際この委員会としても調査をして頂きたい。なおここに参考の解剖の写真も同封して来ておりますから、注意を喚起して委員長に善処されたいことを希望して私のお願いを終ります。 ―――――――――――――
○委員長(中山福藏君) 次に法務省関係予算について御説明をお願いいたしたいと存じます。
○政府委員(天野武一君) 昭和二十八年度法務省所管の一般会計予定経費について御説明申上げたいと思います。どういう資料をお作りしたらいいか、実はいろいろ工夫いたしましたが、細かい予算書、参考書などは、国会のかたがたはすでにそれをお持ちでございますと思いますので、一応只今お配りしたような組織別のものを前年度と比較いたしまして、更に事項別のものを同様に比較いたしまして表を作つてみた次第でございます。そこで表は表といたしまして概要を申上げさして頂きます。 昭和二十八年度の法務省所管の予定経費要求額は百八十八億六千百十八万三千円でございまして、前年度の予算額百七十七億六千九百六十七万五千円に比較いたしますると、十億九千百五十万八千円の増加となつております。この増加の主な部分は、昨年の補正予算に計上されました給与ベースの改訂に伴いまする人件費によつて占められていると言つてよろしいのであります。従いまして人件費は合計九十六億八千百八十五万八千円でございますから、総予算額の五割強に当るものがここにあるわけでございます。このほか使途別に分類いたしますと、旅費が十億九千百六十九万八千円、物件費が六十三億四千二百六十六万円、施設費、これは事務費とそれから無電施設整備費、公安調査庁の関係でございますが、これを除きまして九億八千三百三十二万円、補助費、委託費三億六千四百一万一千円、その他三億九千七百六十三万六千円ということになつております。先ほど人件費のことを申しましたので定員のことを申しますと、予算定員は前年度末の四万四千八百五十七人に比べまして四万五千三百七十四名、即ち五百十七名の増員となつております。これは一方におきまして大臣官房で十名、矯正職員の関係で九十三名を減少しますと共に、他方におきまして保護観察所の保護観察官で九十三人、それから入国管理の関係で入国警備官などを五百二十七名増員が認められたので、その差引をするとそれらの結果になるのであります。このほか一般的な問題といたしましては、既定経費に対しまして極力節減の方針がとられたことは申すまでもございません。例えば先の補正予算におきまして旅費の一割、庁費の五分を節約したのでございますが、それはそのまま大体二十八年度予算の要求においても踏襲されておりますが、そうでないものも財政規模の圧縮から全面的に調整が施されました。従いまして実質的にこれを見ますと、交通費の値上りでありますとか、或いは今後通信料の改訂などがありますと、予算の運用は依然として窮屈なものになるということを覚悟しておるわけでございます。そこで法務省予算はその所管事務の性質上産業行政をやつたり、或いはその他の事業をやるということがございませんので、旧年度に引続いた恒常的な経費がその殆んどでありますが、もとより前年度行われました衆議院議員選挙関係の検察というものは二十八年度予算では予定されておりませんし、又昨年七月一齊に実施されましたところの例の住民登録の初度的な事務は本年度はあり得ないわけでありますから、こういうものは予算上も落ちておることになります。ここで特に前年度の予算とそれから二十八年予算と比べまして違つておつて特色のあるというものを少し拾つてここで御説明を試みたいと思います。 その一つは、参議院議員選挙に関するものであります。この選挙につきましては本年行われますので、これに対する検察を厳正適切に行おうということで、本省及び検察庁を通じまして四千百三万四千円の予算が計上されております。これは国警の予算の場合も同様でございますが、同じ基準によりまして、参議院議員選挙の違反件数を一応二十五年度の参議院議員選挙の際の一万八千五百六十八件の八割ということに押えまして、一万五千件と見込みまして、これについて前回同様の単価をかけて検察費といたしました。これに当然伴う行政費や超過勤務手当というようなものを加えたものでございます。 次に成人である刑の執行猶予者に対しまして保護観察制度を実施するということにつきましては、短期自由刑の弊害を除いて、更に再犯を防止するための施策として、数年来研究を重ねて参つておりますし、法制審議会におきましても御承知の通り採用を決議されたのでありますが、これをいよいよ本年七月からその実施に着手したいということで、その関係の予算が盛つてございます。勿論このためには所要の関係法律の改正ということも必要でありまするし、それと同時に保護観察所におきましては被観察者の補導援護等に必要な観察旅費、補導諸費、更生保護委託費等一千三十五万三千円を計上したわけでございます。 それから世上注目を受けておりまする巣鴨刑務所関係でございますが、これは平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律の規定に基きまして巣鴨刑務所の在所者の仮出所、赦免、減刑等の審査、それから関係各国への勧告を行いますために、在所者の環境の調査その他勧告用に使いまする各種調査資料の作製等が必要でございますから、その経費として百九万一千円を見てございます。 次に法務局関係で申しますと、従来出張所、いわゆる登記所でございますが、出張所の職員に対しまして予算上超過勤務手当が認められておりませんでした。漸く二十七年度におきまして六大都市の出張所の職員に限つて一カ月五時間分だけを認められたのでございますが、二十八年度におきましては、出張所職員全員に対しまして一カ月四・六時間平均の超過勤務手当が認められました。金額でこれを申しますと、僅か九百三十七万三千円でございますので実情に副わないものがあるのでございますが、まあ多年の宿望の一端が達成されたわけでございまして、その意味で私ども経理をいじくつておるものは非常に特徴的なものがあると考えるのであります。 それから刑務所の関係でございますが、勿論拘置所それから少年刑務所を含みます。少年院及び少年鑑別所における経費は、これは収容者の収容に必要な経費、それから刑務作業に必要な経費に分れまして、それを合せまして五十億二千七百四十一万円から四十八億七千八百四十万六千円に減少いたしました。これを前年度と更に細別して対比いたしますると、この刑務所の収容費と、それから刑務作業費の点において落ちました。その代り少年院と少年鑑別所の収容費が増加いたしておるのであります。これは刑務所の収容費につきまして、収容人員を前年度は十万人と予定して予算を組んだのでございますが、二十八年度は九万二千人と見込みまして、食糧費等の単価の値上りで計算したにもかかわらず、総額におきまして減少することになつたのであります、なお少年院及び少年鑑別所の収容人員は、これは前年度と同じくそれぞれ一万二千人、三千人と見込みまして、そのために必要な食糧費、被服費、炊事用燃料費、医療費及び教化費又は鑑別費が計上されておるのでございます。作業費につきましては、前年度における作業用器具の整備、それから二十八年度における収容人員の減少のために総額は減少いたしましたが、作業収入の面は、作業費の減少にもかかわらず、収入歩合の増加を図る等の工夫によりまして前年度より若干の収入増を見込みました結果、前年度の十八億三百十七万円に対しまして十八億九千九百五十六万四千円、即ち九千六百二十九万四千円の増となつております。 それから前年度の当初の予算では外務省の所管に載つておりました入国管理事務関係のものは、二十八年度におきまして法務省の所管に計上されております。先ほど冒頭に入国警備官の増員五百二十七名について申述べたことによりましてもおわかりと存じますが、この入国管理関係の事務は本年度におきまして大いに補強をするということが考えられておるのでございます。少し細かくなりますが、例えば昨年五月一日から本年一月末までの間の大村収容所の収容者総数は朝鮮人を主としまして二千二百六十七名、同期間の朝鮮人送還者数は千九百八十七名、逆送還された者がその中に又あるわけでございますが、結局大村の収容所の収容能力はせいぜい七百名どまりでありますために、今後強制送還を頻繁に行いますことや、それから収容措置の強化促進に伴いまして甚だしい不足を来たしますので、先の補正予算におきまして第二の大村収容所を建設中であります。他面これらの施設の収容者のために必要な食糧費、それから炊事用燃料費、医療費等及び被退去強制者の送還のための傭船料等について前年度に対して七千百三十一万八千円増の二十億一千四百万円を計上してございます。 それから公安調査庁、これは昨年度途中から発足いたしたのでございまして、先ほどもお話のございましたように職員の増加はいたしておりませんか、旅費、研修費、それから物的施設の整備費の面において強化することとなり、前年度よりは一億九千五百十三万円増の六億八千三百五十六万五千円がその経費となつておるのであります。 それから全般的な施設費関係でございますが、これは前年度に引続きまして所管諸施設の新営、移転、整備、買収等を行うために十億四百一万七千円と計上してございます。併しこれは前年度より七千百四十四万円の減額でございまして、特に裁判所の施設予算に比較いたしますると僅少でございます。裁判所のほうはむしろ逆に殖えて参つております。従いまして例によつていろいろ相互間の均衡について運用上工夫しなければならん、かように考えております。尤も建設省所管の施設費中に法務本省、法務局関係、公安調査庁及び入国管理局関係を合せまして二億二千二百八十一万八千円というものが計上されておりまするから、これを加えますと十二億二千六百八十三万五千円となりまするが、それでもなお前年度に比較いたしますると差引き二千七百四十万九千円の減ということに相成つております。 そのほか本国会には司法試験法の一部を改正する法律案が提案になつておりますが、これは受験料の値上げに並行いたしまして、受験者の増加を予定して若干の経費の増加を要求しております。かように細かい点になりまするといろいろ申し残している点があると思いますが、計数的にはすべて参照書のほうで明らかでございますから省略さして頂きます。 以上は法務省所管の歳出予定について申上げたのでありますが、終りに歳入の関係について申述べます。 昭和二十八年度法務省主管歳入予算額は三十二億三千二百二十九万七千円でありまして、前年度予算額の三十億五千三百三十万五千円に比較いたしますると一億七千八百九十九万二千円の増加となつております。この中には刑務作業収入及び製品等売払収入を合せました官業収入が十九億二千二十九万五千円、それから罰金等の懲罰及び没収金七億九百七十三万九千円を含みまする雑収入及び政府資産整理収入が含まれておるわけでございます。いずれも過去の実収実績などを基礎として算出いたしました。 なお従来法務省は解散団体財産処理の関係につきまして特別会計を持つておりましたが、これは二十八年度から一般会計に組入れられることになりました。本国会において解散団体財産収入金特別会計法が廃止せられることになるであろうと存じます。 以上法務省所管の二十八年度予算の概要について申上げました。
○委員長(中山福藏君) 本件に関する御質疑は次回に譲りたいと存じます。 本日はこれを以て散会いたします。 午後四時三十一分散会