文部委員会 第18号
- 発言数
- 6 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1953/03/10
会議録
○委員長(若木勝藏君) それではこもより本日の委員会を開きます。 先ず第一に、教育職員免許法及び教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案について、提案理由をお聞きすることにいたします。文部大臣。
○国務大臣(岡野清豪君) 只今議題になりました教育職員免許法及び同法施行法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を申述べます。 教育職員の資質の保持と向上とを図るために制定されました教育職員免許法及び同法施行法は、制定以来三年有半を経過いたしました。この間において、各都道府県における教職員の旧免許状の新免許状への切替事務も無事終了し、又教職員の現職教育計画も各方十面の理解ある協力により、極めて順調に運び、免許法の所期の目的が清々実現されつつありますことは、誠に御同慶の至りであります。 元来、免許法及び同法施行法は、大学における教員養成制度及び現職教育制度を規定し、又教育職員の需給状況とも密接に関連するばかりでなく、教職員個人の利害にも影響するところが大でありますので、政府は、免許法のかかる性格と同法施行後の実情とに鑑み、これらの法律の規定を現場の事態に即せしめるように常に研究を続け、すでに二回に亘り、改正案を提出したのでありますが、その後、各方面の要望並びに教育職員養成審議会の審議の結論等を勘案し、慎重に研究いたしました結果、ここに第三次の改正案を提出することといたした次第であります。 次に、この法案の主要点について簡単に説明いたしたいと存じます。 第一は、養護教諭の職務とその需給状況とを考慮し、又保健婦、助産婦、看護婦法一部改正に伴い、養護教諭養成機関において看護婦を再教育する従来の養成方式に関する規定の一部を改正すると共に、新たに大学においても直接に養護教諭を養成することができる規定を設けたことであります。 第二は、現職の教職員が従来の現職教育のほか、教員検定試験によつても上級の免許状を受けるに必要な単位が得られるようにしたことであります。 第三は、大学における教員養成課程については、その適否が教員の質に関係するところが大でありますので、教育職員養成審議会に諮問して適当と認めた課程において教員養成を行うことにいたしたのであります。 第四は、現職教員の便宜を考慮し、中学校又は高等学校の教諭免許状所有者は、現職教育や教員検定試験によつて修得した単位によつても免許教科を殖やすことができるようにしたことであります。 第五は、僻陬地等における小規模の中学校、高等学校等の教員構成の実情を考慮し、教員の便宜を図るため、これらの学校においては授与権者の許可を受け、教諭が免許状を有しない教宙の教授をも担任できるようにしたことであります。 以上申述べましたのが、教育職員免許法及び同法施行法の一部を改正する法律案の提案理由並びにその要点であります。何とぞ槙重審議の上、速かに御可決あらんことをお願いいたします。
○政府委員(稻田清助君) 更に補足いたしまして御説明申上げます。 第一は、免許法の一部改正の部分であります。 第六条第三項、別表第四の二を新設いたしましたのは、この規定は、中学校又は高等学校の教諭が現職教育等によつて、新たに免許教科を殖やすことができるようにするために設けたものであります。 附則第十項を改正いたしましたのは、この改正は保健婦助産婦看護婦法の一部改正によつて看護婦の名称が変つたことに伴うものであります。 附則第二項を新設いたしましたのは、この規定は、僻陬地等における小規模な中学校、高等学校等の教員の便宜を図るため授与権者の許可を受けた場合には、これらの学校の教諭が免状を有しない教科の教授をも担任できるようにいたしたのであります。 附則第三項を新設いたしましたのは、この規定は、小学校における芸能、体育等の優秀教員の不足を補5ため、これらの教科の中学校の教諭免許状を有する者がそのまま小学校の教員となることができるようにしたものであります。 別表第一備考第一号本文の改正は、備考第一号は、単位の基準について規定したものでありますが、この法改正に伴ない条文を整備したものであります。 別表第一備考第一号の二を新設いたしましたのは、この規定は、大学における教員養成課程についてはその適否が教員の質に関係するところが大でありますので、文部大臣が適当と認めた課程において単位を修得させるようにいたしました。そして文部大臣がこれを認めるに当つては教育職員養成審議会に諮問してその適正を期する所存であります。 別表第一備考第一号の三を新設いたしましたのは、この規定は、大学院、専攻科等の設置に伴い、教職員を養成する大学の課程についての定義を明らかにしたものであります。 別表第三の改正、この改正は、養護教諭の職務とその需給状況とを考慮し、又保健婦助産婦看護婦法の一部改正による看護婦の名称等の変更に伴い、養護教諭養成機関において看護婦を再教育する従来の養成方式に関する規定の一部を改正すると共に、新たに大学においても直接養護教諭を養成することができる規定を設け、養護教諭の供給を容易ならしめ院乙するものであります。 別表第四、別表第五、別表第七の一部改正につきましては、別表第一備考第一号の三を新設し、大学の定義を明らかにしたことに伴なう改正であります。 別表第四備考第一号を新設いたしましたのは、別表第四から別表第七までに規定する現職教育等による上級免許状授与の場合に単位を修得すべき大学の課程を定義したものであり、大学の正規の課程、大学院、専攻科のほか聴講生、研究生等の課程をも含め得るようにしたものであります。 別表第四備考第三号を改正いたしましたのは、僻地等に勤務する教職員の実情を考慮し、教職員の資格向上についての機会均等を図るため、従来の認定講習や通信教育等による現職教育のほかに、文部大臣が大学に委嘱して行う試験の合格による単位によつても上級免許状の取得ができるようにしたものであり、甘の検定試験に類するものであります。 別表第六を改正いたしたのは、この改正は、保健婦助産婦看護婦法の一部改正により看護婦の名称が変つたことに伴ない行うものであります。 第二の部分は施行法の一部改正であります。 第二条第一項の一部を改正いたしましたのは、船舶職員法の改正に伴つて条文を整理するものであります。 改正法の附則につきましては、この法律の施行期日を明らかにしたものであり、この改正法施行の際現に大学等に在学する者については、直接関係のある改正規定の適用を除外し、改正法の適用を無理のないものにいたしたものであります。
○委員長(若木勝藏君) 次に、勤労青年教育振興法案に対して、提案者の提案理由をお聞きすることにいたします。矢嶋三義君。
○矢嶋三義君 勤労青年教育振興法案の御審議を願いますに当り、発議者を代表いたしまして、私から本法案の立案の趣旨を御説明いたしますと共に、その内容の概略について申上げたいと存じます。 終戦後、我が国が極度の疲弊国憊の真只中におきまして、非常な苦心を払い義務教育の年限延長や、それに伴う多方面の教育制度の改革を断行いたしましたのも、ひとえに、新憲法及び教育基本法において明示された、教育の機会均等の保障という新教育制度の基本原則に従つたものでありまして、これによつて更に国民の教育水準を向上させ、我が国の民主化を促進いたしますと共に、文化的経済的発展の基礎を培おうといたしたものと申さねばなりません。 併しながら、このようにして発足いたしまして新教育制度も、その後の実施状況を見ておりますと、そのすべての面に亘つて、我々は甚だしい不満を禁じ得ないものがあります。それは徒らに基本原則だけが高く掲げられ、現実が余りにこれと懸隔しておることでありまして、義務教育無償の原則の場合はその最も甚だしいものでありますが、この教育の機会均等の原則につきましても、又同様の実情にあるものと認めねばなりません。 試みに昭和二十七年の義務教育終了者について申上げますと、総数百七十二万余名の者のうち、高等学校の通常課程へ進学いたした者は三八%にとどまり、その残余は高等学校の定時制課程に進みましたもの一一%、高等学校通信教育を受るもの、〇・二%を除きますと、全体の五一%、即ち過半数以上のものは、能力の如何を問わず主として経済的理由によりまして、それ以上の学校教育を断念いたしておるわけであります。年々、大体このような割合で社会に送り出される青少年は、教養の面におきましても、又職業的技能の面におきましても、なお極めて未熟、不十分でありますことは当然でありまして、何らかの形式において彼らが少くとも高等学校程度の教育を更に受け得るよう、その対策が講ぜられない限りは、これらの青少年には教育の機会均等は殆んど実質的には保障されていないものと申さねばなりません。 更に又、高等学校課程を終了した者につきましても、その多数の者は現在直ちに職業に就きます関係上、大学進学の途を阻まれております。これら多くの青年が大学教育の機会均等を失つています重要な原因といたしましては、現在、我が国の大学夜間部や大学通信教育の普及充実が不十分であることを指摘いたさねばならぬと存じます。現在、我が国におきましては、勤労青年の学校教育施設といたしまして、定時制高校、高校通信教育、大学夜間学部、及び大学通信教育等を数えることができます。そのうち、先ず第一に、定時制高校と高校通信教育についてその現状を申上げますと、定時制高校と高校通信教育は、農山漁村等の僻地にまで、高校教育の普及を図る場合には最も適当な方法であります。殊に定時制高校は、その教育活動が夜間とか、特別の時間、時期において自由に行われるものでありまして、働きながら通常課程の学校と全く同等の教育を履修いたし得ると共に、各自の好む教科を好きなだけ学べるという科目別履修の方法もありますし、又、その学校施設と教職員を活用いたしますならば、社会教育講座や公民館の行う定期講座等を開設いたしまして、社会教育の振興にも多大の貢献をなし得るわけであります。従つて、義務教育を終えた勤労青年教育の振興には、この定時制高校の普及拡充を図ることが最も有効適切な方法であると申さねばなりません。 ところが、現在、この定時制高校の設置者は市町村の場合が相当多数に上つておりますが、市町村はすべて定時制高校に非常な熱意を持ちながら、義務教育の施設整備のために、その貧弱な財政の殆んどすべてを消耗いたしておる現状では、定時制高校には殆んど手の廻らないことは止むを得ないところであり、都道府県も又、全日制高校のためその教育費の大部分を費消いたしておるため、定時制高校に対する補助や、高校通信教育を充実する余裕は持つておりません。地方財政のこのような窮状を具さに考えますと、定時制高校や、高校通信教育の維持運営や整備充実には、もはや国の援助を求める以外には途のないことを痛感いたさないわけには参りません。 定時制高校の教職員給は、昭和二十三年度から施行されました市町村立学校職員給与負担法によりまして、義務教育諸学校の場合と同様に都道府県の負担となり、更に同じく昭和二十三年から、公立高校定時制課程職員費国庫補助法によりまして、との教職員給の四割を国庫で負担することになつたのであります。昭和二十五年、この教職員給の国庫負担が平衡交付金に移行いたします直前には、この負担額は年額六億円に達するに至りました。 その後、平衡交付金に移りましてからは、府県に対する国の財源保障は、おのずから極めて不明確となりましたため、現在その教職員定数は暫定基準(乙号表)にも達しない地方が多く、そのため生徒も向学の機会と意欲とを著しく減殺され、現場の教職員の苦労は名状しがたい現状であります。 第二に、大学夜間学部と大学通信教育との現状を見ますと、先ず、大学夜間部は、国立三校、公立三校、私立三十一校、計三十七校に過ぎないのでありまして、すでに数年前から各地に夜間部増設の運動が盛り上つております。国は、国立大学の夜間部につきまして、その設置に要する経費は地元負担の建前を主張していますため、遂に今日までその期待に応えるに至つていないことは甚だ遺憾であると申さねばなりません。 次に、大学通信教育は、農村を初め、僻遠地等において果しております役割は極めて重大でありますにもかかわらず、今日、大学卒業課程の通信教育部を置く大学は私立の六校だけでありまして、而も所要経費の関係でまだ完全に卒業資格を得るような通信教育となつてはいない実情であります。而も、これらの大学夜間部や大学通信教育は、いづれもその特殊性のため、教職員の負担過重の傾向が極めて著しく、教職員給や運営費等において、国の積極的な充実、助成の措置が是非とも必要なわけであります。 勤労青年教育の施設の現状は、およそ以上の通りでございますが、更に進んで、勤労青年の就学問題につきまして考えますと、現在、勤労青年の就学を阻んでおります一般的原因といたしましては、只今、述べましたような教育施設の不足不備が重大な原因をなしておりますが、更に個人的原因を見委すと、その最も主要なものは勿論経済的理由であります。このような就学困難な者に対して育英資金貸与の大巾適用や、授業料の減免或いは教科用図書等の補助等によつて、奨学の措置を講ずる必要がありますことは言を待たないのであります。併し、勤労青年の就学問題について更に注目いたさねばならないことは最近、職場におきまして、職制強化や労働強化の影響を受け、定時制高校或は夜間大学に就学する勤労吉年に対する圧迫が次第に激しくなつておる事実であります。勤労青年に対しまして、真に教育の機会均等を保障いたしますためには、奨学制度の確立と共に、更に進んで就学を保護する措置も又必要となつて来ております。 およそ以上のような勤労青年教育の実情に鑑みまして、その振興のため、最も有効適切な法的措置を此の際早急に講ぜねばならぬと存じ、今回本法案を発議いたした次第であります。 次に、法案の骨子を申上げますと、本法案におきまして勤労青年と申しますものは、義務教育を終了したのち、働きながら学校教育法に規定された学校の教育を受ける者を指しております。 次に、勤労青年教育と申しますものは、定時制高校の教育、高校通信教育、大学夜間学部教育及び大学通信教育を指しております。 本法案は、先ずこのような勤労青年教育につきまして、国が地方公共団体と協力して、その振興を図る任務を性つことを明らかにいたしますと共に、充実した勤労青年教育を実施して行くためには、国及び地方公共団体において、何よりもそれに従事する教職員の員数及び待遇について、特別の考慮を払わねばならぬことを規定いたしました。 次に、本法案が措置を講じました具体的な、勤労青年教育の振興方法について申上げますと、 先ず第一に、現在勤労青年教育に荒いて最も重要な役割を演じております定時制高校及び高校通信教育を普及充実いたすために各種の法的措置を定めました。即ち先ず、都道府県は定時制課程の高等学校をでき得る限り広汎に設置して、高等学校の勤労青年教育の普及充実に努めねばならないことを規定いたしますと共に、公立の高等学校の勤労青年教育に従事する教職員の給与費等につきましては、地方公共団体等において要する経費の実支出額の二分の一を国が負担することにいたしました。 次に、国は公立の高等学校が勤労青年教育を行うために必要な施設設備で、文部大臣の定める基準に達していないものを、その基準まで引上げようとする場合等には、予算の範囲内において必要な経費の二分の一以内を負担することにいたしました。私立の高等学校が勤労青年に対して教育を行います場合にも、教職員の給与費や施設設備費につきまして、国は予算の範囲内においてその経費の二分の一以内を補助することができることになつておりまうS。 第二に、大学の勤労青年教育につきましては、国は国立大学の場合は、宏間学部の設置及び通信教育の実施並びに勤労青年教育に必要な施設設備の整備充実に努めねばならないことを明らかにいたしますと共に、公立又は私立の大学については、予算の範囲内に喰いて勤労青年教育の振興のため、特に必要と認められる経費の二分の一以内を補助することができるようにいたしました。 第三に、勤労青年の就学の奨励と保護につきましては、授業料の減免、学資の補助及び教科用図書に関する特別の考慮や措置につきましてそれぞれ規定をおきますと共に、就学の保護に関しましては、使用者に一定の義務を崇め、特に高等学校の定時制課程教育につきましては、罰則を設けて就学の保護を更に適確にいたすこととしました。 以上を以ちまして法案の内容の説明を終りますが、本法案は附則におきまして、従来殆んど国の助成対象から除かれておりました各種学校をとり上げ、一定の場合、国はその行います勤労青年教育に類する教育に対して必要な経費を補助し得ることにいたしました。 なお、施行期日について一言申上げますと、本法案は四月一日から施行されることを予定いたしておりますが、第六条、第八条第一項第一号、同条第二項及び附則第三項第一号の規定に限りまして、予算措置等の関係上、その施行を昭和二十九年四月一日からといたした。 以上が、この法律案の提案の趣旨及び内容の概略でございますが、勤労青年教育の誠に憂慮すべき現状に鑑みもして、慎重御審議の上、速かに議決下さるよう、切にお願い申上げます。
○委員長(若木勝藏君) それでは本日の委員会はこれで閉じます。 午後三時三分散会