文部委員会 第5号
- 発言数
- 114 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1952/12/02
会議録
○委員長(若木勝藏君) それでは本日の委員会をこれから開会いたします。 先ず文化財保護行政の調査、この問題を議題といたします。ここに委員長もお見えになつておりますから、質問のあるかたは御質問を願います。
○山本勇造君 前回質問をいたしましたところが、時間が遅くなつたために中途で切れた形になつておりますので、前の質問を続けていたしたいと存じます。前の質問のときに、今度のような月光菩薩の件について、文化財保護委員会としては、緊急止むを得ないものだ。併しながら行つてやつた当事者のやり方は慎重を欠いておるから、これには戒告するという御報告であつたのですが、その戒告のほうは暫らく切離しまして、ああいう措置は緊急止むを得ないのだという御説明が我々に前のとき納得が行かなかつたので、その点をお尋ねしておくのですが、それを一つ改めて今日緊急止むを得なかつた事情を御説明願いたいと存じます。
○説明員(高橋誠一郎君) 前回も申上げたと存じまするが、両技官があちらに参りまして月光菩薩の状態を見まするというと、すでにうしろに傾きかけている。そして肩のところには白い粉が一ぱいにかかつておる。つまり中に入れられた土がはみ出して来ておるのである。それで一技官が片手を以てお首を押しますというと、すでにぐらぐら動く、こういう状態になつておりましたので、どうしても応急の措置を講じなければならない。そこでチェーン・ブロックをかけてお首を下ろそうとしたのでありますが、これが二台では到底下りない。三台かけるということが不可能である。又吊したままで暫らく置くということにも相当困難な問題がありまするので、むしろ外部とは関係のないと考えられましたところの鉄心を切つた。これを切らなければ却つて全体に恐ろしい損害を加える虞れがある。こういうふうに考えまして切りましたことは、止むを得ない措置であるとして、全員がこれを認めたのであります。この点は、両技官の申しておりますることを委員会多数の意見によりまして、承認いたしたのであります。
○山本勇造君 それについて重ねてお尋ねいたしますが、両技官がその際に見たときには首がぐらぐらしておる。それだから切らなければいかんということでありますけれども、勿論そのときに調査されて、お首はその以前からすでに亀裂を生じておつた。それから地震があつたから更に緩んで来ていたということは確かだと思うのですが、両技官が認めるほど、その場で、行つたその翌日にすぐに鉄心を切らなければならんほどひどい事情にあつたかどうかという点は、私たち現場にいた人から聞いたところによりますと、必ずしもそうでないように私たちは聞いておるのであります。そこで問題が起つて来るのだと思いますが、その点が一つの問題であるのみならず、そのときに鉄心を切らないでも、あれを横にお寝かしするというようなことも考えられなければならないのだし、又そういうふうな場合であると、彫刻の専門家というだけでなく、建築のほうの人の世話になるというようなことも起るのじやないかと思うのですが、その際に、あのとき丁度幸いにも薬師寺の五重の塔の建設のことをやつておるので、この建築のほうの人もおつたのですが、そういうほうの人との相談なんかあつたのでございましようか。
○説明員(松原正業君) 現場のほうには皆さんおいでになりましたものですから、チエーン・ブロツクをかけて操作を開始する前に御意見を伺つて万事安全を期したつもりでおります。今山本委員からの御質問に対して私はただ、あの首が動いたという現状を非常に重大視いたしましたので、こういう状態で首が動いたのだという結果のことを御説明いたします。 すでに古くから亀裂は全体にまわつておるのでございます。それを倉田君が丁度右側から軽く右の手で抑えた、ちよつと軽く押しただけなんです。それでぐらぐらと動くような状態であるということは、亀裂が全部まわりきつておつたのですが、その亀裂が激しい吉野地震の上下動によつて接合面が左のほうへ若干移動したのでございます。つまりあの大きく噛み合つておりますこういう接合面が(図を指す)上下動によりまして左のほうへ若干移動したのでございます。そういたしますと亀裂面の一番高い部分の数カ所に全重量の六十貫が垂下するというふうな状態になつたことを考えることができるのであります。つまりあの二、三カ所に全重量が局部的にかかつておりまして、そうして中の心棒は若干遊んでいるというような状態にあつたのだと思惟することができると思うのでございます。こういうことは、平らな床の上に六十貫の首を置きまして、両手で押そうとしても微動だもしないと思います。こういう事実によつて御了承を願いたい。 次に申上げたいのは頸部の状態であります。鉄心と焼土の頸部のいわゆる遺存状態でございますが、中のほうの粘土が中世鋳掛修理によりまして、中の粘土をかき出すために両方の肩に一寸八分の方形の穴をあけまして、そこから、曲つた「たがね」のようなもので中の粘土をかき出しておるのであります。この操作は限られた方形の穴から行うわけですから、思うように行きません。それでどうしても中の粘土を大きくとるという結果になる。これは切断いたしましてから、よくわかつたのでございますが、殆んど頸部には粘土が残つていない、粘土のない中部の中に鉄心が遊離状態で遊んでおるのでございます。そのことは、東京を出て行きますときに、時計の古いゼンマイを一本用意して行きまして、それを亀裂口に挿入いたしまして、中の状態を探つた。そうするとゼンマイが鉄心の側に当る。このことによつて中に粘土がないということを僕は確認したのでございます。三十年ほど修理の道に殆んど自分の汗を流しているような経験を持つておりますので、そういうことは全然あり得べからざることだと思うのです。中にゼンマイを挿入しまして鉄心にゼンマイが当るということは、これは頸部に修理が入つていなかつたらあり得ない事実なのでございます。それでここに大きく鋳掛の修理が入つておるということを見てとつたのでございますけれども、そういうふうに頸部の状態は殆んど粘土が落ちているのでございます。 次に申上げられるのは胴の部分でございますけれども、胴のほうは下から大きく五尺くらい粘土を掻き出しておるのです。すでにここから下は鉄心は遊離状態になつておりまして、ここの所は粘土が鉄心についておりますと相当保安力かあるとは見ることができるのでございますが、肝腎の鉄心と中の粘土がこういう状態に、中部のあたりは殆んど土が下へ落ちまして、こういう空洞のような形をなしていることがわかつたのでございます。こういうふうに胴の部分の鉄心も遊離し、頸部の鉄心が遊離しておりまして、そうして約千百五十貫と思われる胴の上に、あの六十貫の首が乗つておつて、人が片手で押しただけで動くという状態を確認いたしました。これで顛落寸前の姿にあるということを判断したことは僕は今でも間違つていないという気がするのです。で、寸刻も置けない、何とかして下ろさなければならないという考えを持つたのでございます。その点、御了解を願いたいと存じます。
○山本勇造君 今の当事者としてのお考えはそうだろうと思うのですが、ただ世間での問題になつていることは、当事者のお考え以外の考え方があるのですね。その点では私は、いわばそういう考え方を代表して質問しているのでありますけれども、従つてこの文化財保護委員会としては、当事者としてそうやつた。併しながらこれだけ問題になつた。そうすると文化財保護委員会としては、正式に当事者がやつたことが是認されているのだけれども、併しあなたのほうには建築のほうの権威者である内田さんのようなかたもあるのだし、委員会にはそれぞれ技術のかなり専門のかたがおいでになるのだが、委員会としてあの方法よりほか仕方がなかつたというふうに、現実にそれは委員会として正式に調査されてやつておりますか。
○説明員(高橋誠一郎君) これも先回申上げたと存じまするが、委員会といたしましては単に内部の報告だけでは不満足である、こう考えましたので、本間課長に申入れまして、外部と申しますか、専門審議会に列しておられまするかたの中の金工の大家の意見を徴することにいたしたのでありまするが、この専門審議会の委員の御意見によりまするというと、あの鉄心はこういう役割を演じておつたものであつて、やはりこれを切断したということは応急止むを得ないものと考える。こういう御意見であつたと伺いましたので、なお、そのほかの方々の御意見を徴するようにということを申しまして、その報告を求め、やがて委員会におきまして検討いたしました結果これを認めるということに相成りましたのでありまして、この専門の金工の大家は、最後の専門審議ののちにおきましても同様の意見を最も強くこの態度に対して表明しておりました方々に向いまして、十分に説いておられたということを伺いまして、これによりまするというと、やはり委員会のとつた態度は誤りでないというようなことが考えられたのであります。
○山本勇造君 重ねて伺います。私は余り細かい問題に触れるつもりはない。こつちは専門家じやないですから……。ただ、今の専門家と言われるのは香取さんのことだろうと存じますが、併し又香取さんは、上野さんが専門審議会の絵画彫刻部長としてこれについて疑問を提出されたのに対して、そのときにあなたもこの前のときに承認されたように、香取さんはそういう疑問は尤もだということをその際は言つておるのですね。そうしてそのあとで又あの処置は仕方がないというようなことも言つているのです。或る意味から言うと、同一の人がちよつと違つた立場で言つているように見えて、非常に奇怪にも思うのですが、併し香取さんが二枚舌を使つているのではなくて、そして修理の調査に行つたものとすれば、ああいうやり方はよくなかつたのだと、併しながら結果においては修理をするとすれば或いは切らざるを得ないではないか、そういうのであつて、上野さんの質問も肯定し、同時に又或いは横にお倒ししたあとで切らざるを得ない状態になるかも知れんというので、修理の問題とそれから調査のときの応急の処置の問題と、別々に僕は考えておつた。別々に考えて行くと香取さんに一つの御意見があると思います。これは専門のことであり、改めて香取さんに伺うことにして、その点には触れません。そこでもう一つ伺いたいのは、申すまでもなくあれは薬師の像の両脇に日光菩薩と月光菩薩と両方対になつてお立ちになつておるのです。そうして月光菩薩が鉄心があるだけでなくて日光菩薩のほうにも、鉄心があるのだ。このことは技官もお認めになりますか。日光菩薩のほうにも鉄心が入つておるということは……。
○説明員(松原正業君) 中型の中に鉄心が入つておりますということは、これは何と申しますか、逆に申しますと、中型の中に鉄心を入れないでは鋳造ができないということなんでございます。ですから如何なる小さなものでも大きいものでも必ず入つておるのでございます。一応月光さまの調査を完了、完了というわけではありませんけれども、やりましたあとで、日光菩薩像の中も精査いたしました。大きな笄を外しまして中から台座の中を精査いたしました。それから梯子を懸けまして月光菩薩の頭部を調査をいたしました。上のほうに大きな埋金、かねが埋けてあるのであります。それが罹災のときに落ちまして中の状態がすつかり見えるのであります。そういたしますと、下から鉄心が一寸ぐらい頭部から離れて、こういう状態に残つておるのがよく見えるのであります。このほうには全部土が詰つておるのであります。いろいろ非難を受けておるのでありますけれども、鉄心がずつと上つて中頭部分がくつ付いておるのじやないかというふうに素人の考えのようなことを申されるかたもありますけれども、一寸ぐらい離れて終つておるのであります。そういうふうに鉄心というものは必ず入つておるものでございますから、最初から月光菩薩にも鉄心があるということは心得ておりました。
○山本勇造君 そこで、あなたの前の説明によりますと、それは抜いてしまつてもいいものだ、場合によると抜くことがしばしばある、こういうわけです。ところがこの日光菩薩のほうにも、現在あることはあなたは御確認になつておる。而もそれは白鳳以来ずつと続いて鉄心はあるのであつて、あなた方現場に臨んで、二つ並んである日光菩薩にちやんとあるのだ、月光菩薩のほうにもあるのだとすると、この鉄心というものは見えないものだけれども、併しながら白鳳以来両方に備わつてある大事なものだから、行つた翌日に直ぐ鉄心を切るというようなことは相当に問題じやないかと、私どもの立場では疑問を持つのでありますが、そういうふうに並んであるものに対してどうしてもその場で緊急止むを得ないとして、切るべきものであるかどうかということに、私たちは疑問を持つのでございます。
○説明員(松原正業君) 御無理はないと思うのでございますけれども、先刻申しましたように、事態が非常に重且つ大であつたものでございますから、鉄心を犠牲にいたしましても本体の安全を図るほうがより正当であると考えたのであります。
○山本勇造君 あなたもやつた立場だからどこまでもそういうふうに言われるけれども、第三者の立場になると、そういうふうに対になつているようなものだから非常に大事なんだ。何らか切らないでほかの方法がなかつたかということを非常にこの問題について憂えておる人はその点を考えております。と同時に、あなたにも、それから又保護委員会にもお尋ねをいたしますが、文化財保護法の二十一條に、「文化財専門審議会は、委員会の諮問に応じて文化財の保存及び活用に関する専門的及び技術的事項を調査審議し、且つ、これらの事項に関し必要と認める事項を委員会に建議する。」こういうあれがあつて、そうして第二項に、以下さまざまの問題について、こういうものについては専門審議会に諮らなければならんということがあつて、その第三のところに、「国宝の修理及び滅失又はき損の防止の措置の施行」という問題があります。更に十四のところには、「前各号に掲げるものの外、文化財の保存及び活用に関する重要事項」、これは専門審議会に諮らなければならんことを明示してあるものでありますが、こういうふうなことをその際あなた方はお考えに……、こういう法律があることについてどうお考えになつておつたか。その点を取あえず現場で処置されたかたにお尋ねいたします。
○説明員(松原正業君) 先刻申しましたように、非常に重大でありますので、どうしても切らざるよりもほかに手はないというふうに考えたのでございます。
○山本勇造君 こういう諮問会に出さなければならんということがちやんとあるのですね。
○説明員(松原正業君) そういう考えは正直なことを申しますと持つておつたのですけれども、寸刻も置くわけに行かないという事態に直面いたしますと、このままでは東京に帰れないという感情のほうが私の感情の大部分を占めておつたということを申上げたいのであります。
○山本勇造君 そこが問題になつておる点で、この前、私がお尋ねしたように、この地震があつたのは七月の十七日であつて、そしてあなたの方が行つたのは八月の三日なんです。そして四日にはすぐにもうこれを切断して来たんだ。これほど法律の上で大事に考えておるもの、それから又世間でも問題にしているものを、行つた翌日すぐに或いは切らなかつたかも知れませんよ。私は切つたのは絶対にいかんというのではなしに、そこにほかの方法もあつたのではないか、或いは審議会にかけて、その上でやつてもいいんじやないか。さまざまな問題があるにもかかわらず、行つたらすぐ翌日切つてしまつた。而もそのとき余震があつたということではなく、成るほど首は多少動いておつたかも知れませんが、他のその場にいた人の話を聞くと、あなた方が考えていたほど大したことはなく、その翌日切らなくても十分に処置ができたはずなんだという話があるから聞いているのです。
○説明員(松原正業君) 併しそれほど重大に感じたのは専門家の考えであつて、そういうふうに感じなかつたのは、出過ぎた言い分かも知れませんが、やはり素人のお考えだと思うのです。
○説明員(本間順治君) 私は補足して申上げますが、私も松原さんに比べますと素人でありますので、この鉄心を切らないで、一遍釣上げたままでして置いたらどうかという考えも考えたことがあるのです。ところが香取先生も、その他の専門家にも聞いてみますと、一遍こう釣上げますと、それをもう一遍元に戻す、鉄心を切らないで元に戻してつぎ合わせるということは、これは不可能なことだということなんです。それから松原技官の言つたことは、多少日頃私に言つていることを申上げないようですから付け加えたいのですが、これは松原技官、倉田技官の考えました、心配しましたことは、この切断面がこれ以上傷んでは困ると、熔接或いは接着をしますときに、切口がこれ以上傷まれては、うまく付かないと、そこを傷めたくないということを非常に重く考えたようであります。これを付け加えて置きたいと思います。 それから前回と思いますが、山本委員のお話で、専門審議会のときに、京都大学の教授の村田さんがその鉄の棒についての質問をされたということを言われましたが、これは私も実は御存知の通り、鉄については全然の素人ではないのですが、村田さんは恐らく鉄の角材、今日あるような鉄の角材をお考えになつているのでないか。あれは御覧の通りで、厚さ五分と四分のいわば板を二つ合わせているものなんですが、而もあの鉄はいわゆる軟鉄で、非常に軟かい鉄なんであります。而も私の見ましたところでは、中に鬆が入つておりまして、余り質のいい鉄ではない。ああいう状態の上に六十貫というものがあつて、それが揺れますときに鉄が曲らないということは私は不思議に思うわけでありまして、これは私だけでなく、鉄学者の俵先生のお弟子ですが、岩崎君というやはり相当の権威者がおりますが、岩崎君にもどうだろうという話をしましたのですが、やはりそれは曲るという話を聞きました。それも付加えて申上げて置きたいと思ます。 それから只今御質問の中に現状変更、法律で言う現状変更ということに触れるお尋ねのように承つたのですが、この現状変更というものの限界が非常にむずかしいのでございまして、私どもも何かできれば、これまでは現状変更でない、これから先は現状変更であるという線を引いて、何か委員会規則といつたようなものでも作りたいということはかねがね考えておつたわけでございますが、どうしても実はうまくできないのですが、下手に作つてこれだけが現状変更であると、ほかは現状変更でないという資料を地方の教育委員会なんかに流しました場合に、それではこれに載つていないから現状変更でなかろうと言つて取去られても困るというような心配もありまして、今以て実はその成案を得ていないのでありますが、併し取扱としましては、前の国宝保存法以来の現状変更というものの取扱いがあるわけでございまして、その現状変更と申しますのは、主としてこれは修理の場合に使う言葉でありまして、修理の場合に維持修理というものに対する現状変更という言葉がございまして、維持のための修理はよろしいけれども、現状変更は許しを得なければならんと、こういうふうになつておりましてその場合の扱いと、今までの扱いとしましては、国宝に指定しました当時の外形を変えること、これはまあ現状変更、それから国宝に指定しましたときに、その国宝の価値のポイントになるような点を変えるということも、これも現状変更という扱いをいたしておりまして、同じ彫刻でありましても、よくあることで、殊に木彫の彫刻などの場合には解体修理と申しまして、ばらばらにいたしまして、虫食いがあつたり、朽ち込めがあつたりいたしますと、裏面のほうをさんざん削つたり、埋木をするということもありますが、そういうようなことは全然現状変更という扱いにはしていなかつたわけであります。そういう経緯から考えますと、この鉄の心の性質上、これを処理するということが現状変更であるかどうか。今までのしきたりから言いますと、現状変更でないと私は思うのでありますが、併しこの文化財保護法が新しく制定されましたときの、立法のときのお考えの現状変更というのがどういうことを意味されておりましたのか、竹内さんやら岸田さんの解説の本にもはつきりしておりませんのですが、私どもはそういうわけで、従来の国宝保存法以来の習慣をまあ踏襲したような考え方を持つておるわけであります。 それからもう一つこれはお話がありましたからお答え申上げたいのでありますが法二十一條の「国宝の修理及び滅失又はき損の防止の措置の施行」、この解釈なんですが、これは三十七條とも関連することであろうと思いますが、これは国が修理に関する命令又は勧告をいたした、そういうときに、これは「国宝の修理及び滅失又はき損の防止の措置の施行」に関しては専門審議会に諮問しなければならないと、そういうふうに私どもは読んでおりますし、国会のほうの、法制局のほうの御解釈もそのように承わつておるわけであります。
○山本勇造君 それじや私から申上げます。 今あなたの言つたのは二十一條の第三項の問題ですが、その問題だけを私は言つておるのでなしに、それにもかかると思うし、殊に第十四のほうは「前各号に掲げるものの外、文化財の保存及び活用に関する重要事項」、こうなつております。むしろこの十四のほうを私は主にして考えておる。併しここで私も法律家でもないし且つ又美術の専門家でもないので、細かい議論を私はここでしようと思いませんから、それは私あとに譲りまして、あなたのほうの十四の問題をどう考えるか、よく考えてもらいたいと思う。それと同時に、あなたのほうの専門審議会の絵画彫刻部、これの今度の問題に関する最も大事な審議会の部会のその部長である人が、この問題をこういうふうにしておくなら私は辞めざるを得ない、辞表を提出しておるほど、この問題は大事な大きな問題になつて来ておる、あなたのほうは現状変更でないと言つておるが一方の人は現状変更だ、つまり十四にかかつて来るのだという建前をとつておるのだと私は思うのです。そういうことで、私はただここであなたとだけやつていたのでは、いつまで経つても水掛け論みたようになると思いますが、一方においてそういう重要なポストにおる人が非常にこの問題を言つておるのみならず、単にその部長だけでなしに、世間の大きい問題になつておるのですから、その意味において委員会としてはどういうふうにこの二十一條をお考えになるのか、委員長のお考えを承わりたいと思います。
○説明員(高橋誠一郎君) 上野氏の意見は、同氏の手紙によつて、又同氏が専門審議会において述べられましたところによつてよく承知いたしておるのでございますが、この問題につきましては、専門審議会におきましては、果してこれが応急の措置と認めるべきであるか、或いは現状変更と認めて専門審議会にかけなければならんのであるかという点につきましては、上野氏のほかには余り多くの発言がなかつたようでございまして、全体といたしまして第一部会におきましては、少数意見であつたと承知いたしております。そうしてやがて先ほども申しましたように、香坂氏の御意見なども発表をせられまして、私の申しました点、即ち応急、緊急の措置としてこれを認めるということに相成つたと私は考えております。
○山本勇造君 香取さんの発表というのは皆さんのいる前で発表したものですか、何とか……。審議会として発表したものですか。懇談会として発表したものですか。
○説明員(高橋誠一郎君) 香取さんの意見は第一部会で発表されました。そうして、そののちに又開かれました専門審議会におきましては絵画彫刻部会の済みましたあとで述べられたのだと存じますが、これは私は聞いておりませんので、私の聞いたのは初めに開かれました専門審議会の第一部会の席上において述べられたところであります。
○山本勇造君 これは保護委員会のほうでなしに、この間三人のかたが現地に御出張になつてお調べになつたときに出た話のように承わつておるのですが、お厨子を外してからあとの胴体のほうを処理されるときに、何か吊したままで一日か置いたような話を伺つたような気がするのですが、そこのところのお話はどういうふうになつておつたか、ちよつと堀越先生なり木村先生にちよつとそのときのお話を承りたいと思うのですが。
○相馬助治君 さようなる処置は技官はやつておりません。
○山本勇造君 そうですが。
○相馬助治君 吊したまま置くわけにいかないから……
○山本勇造君 いや、その胴体のほうですよ。
○相馬助治君 胴体のほうも吊したまま放置したというふうには我々の調査ではなつておりません。
○説明員(松原正業君) どうもそのままに置くというわけに行きませんので、やはり胴体も完全に横たえた。
○山本勇造君 その横たえるときにお首を外してから、今度は胴体のほうは相当大きいから大変なんですね。何かあれへかけてやり出して、途中になつて夕方か何かになつて、そうして中止されて、翌日やつたとか、そういうふうなことが……
○説明員(松原正業君) 翌日胴体の横たえ作業をやつたのですから、その日に完了しております。
○堀越儀郎君 ちよつと私から……、これは執事の松久保さんがあとで見えるので、私はまあ臨時に参加したのですが、三人のかたが調査にかかつたときにあの前でいろいろ向うの人も見えて話があつた。そのときに松久保という人があそこで言つては困るから、取り潰しになるようだからと言つて控えられて、翌日の話で、首を移したのは四日であつたけれども、五日に胴体のほうを横たえるのに吊し上げたと、これは勿論そうですが、ところが夕方五時頃になつて作業を中止された、その翌日もそのままで置いておかれたというふうな話を持つて来られたのですね。そうじやなくて……。
○説明員(松原正業君) 僕はそういうふうに記憶しておりません。
○相馬助治君 私さつき申したのは、さようなることはない、さようなることがあるということは調査してないと、こういうことですから、訂正しておきます。技官のかたがさようなことをしたのじやないというのじやなくて、さようなことをしたということは調査してないと、こういうことですから。
○堀越儀郎君 ちよつと言つておきたいのですが、倉田さんの御経歴をお聞きすると、どうも我々より素人のように思うのです。松原さんは相当経験を積んでおられるからよくわかりますが、鋳金のほうではどのくらいの御経験があるのですか。
○説明員(松原正業君) 私は専門家と申しましたのは鋳造の専門家という意味で申上げているのではないのです。金工の専門家という意味で申上げているのではないのであります。修理の専門家という意味で、自分も専門家と考えております。約三十年ぐらい帝室博物館、国立博物館を経て、約三十年ほど修理に従事しておりますから、この中には木彫あり、金工あり、あらゆる、いわゆる当時の修理は手にかけておりますので、修理もその見通しを持つて今度の夜間の工事をやつてのけたというような考え方を持つているのでございます。それから効能を申すようでございますが、こういう馬鹿なことをしてしまつて、あと修理ができないじやないかということは、もう三カ月にもなるのですが、どなたからも伺つていないという事実から言つても、お察しを願いたいと思うのであります。
○堀越儀郎君 非常に熱心にやられたことは、これはよくわかるのであります。けれども奈良には文化財研究所もあり又博物館もある。博物館のほうには彫刻の経験の深い人もあるのですが、そういう人には連絡をとられたのですか。
○説明員(松原正業君) 県のほうには事前に了解を得てやつたのでございますが、奈良博のほうには別にそういう連絡をとつたということはなかつたのでございます。
○堀越儀郎君 奈良の博物館もやはり文化財保護委員会の傘下にあるのですから、文化財研究所も同じことです。なぜそういう方々に連絡をとつて御相談なさらなかつたのか。余りこれは大変だというので熱心になり過ぎたためであると思うのですけれども、その点、私、非常に遺憾に思うのですけれども、どうですか。どうしてこれは御連絡にならなかつたのか。
○説明員(松原正業君) 東京を発ちますときに、事態が普通のあれではないというくらいの見通しは付けていたのでありますけれども、又私の考え方では奈良博の了解を得てやるというふうに考えていなかつたものでございますから、自分一個の考え方で事を進めたのでございます。
○堀越儀郎君 私は了解を得よというのでなしに、あなたは非常に地震があるとこれは大変だといつてやられた。あの鉄心の問題も天平時代からあつた問題でありますから、現状変更であるかどうかということは、これはまあ考えようにもよりますけれども、これは切つて下ろさなければならんという重要なときに、やはり博物館方面の専門のかたとも相談されたほうがよかつたのじやないかと、こう思うのですがね。
○説明員(松原正業君) お尋ねは御尤もだと思うのですけれども、自分の所属しております文化財のほうにも連絡をしなかつたというくらいでございますので、当時は寸刻も放つておけないという感じが全部を占めておりましたので、そういうあとになつて思い付くようなことは、全然当時は現場では考えなかつたものでございます。
○木村守江君 ちよつと先ほど山本委員から向うに行つて見て来た実際の人から話を聞きたいという質問があつたのですが、私どもが参りましたのは、結局あの首切り問題というのは、首から上のほうを大きく取上げて、首から下の問題は殆んど考えなかつたと言つてもいいのが実際の状態であります。而してこの問題は、先ほど来、文化財保護委員会の方々から申されましたように、やはり実際の問題として、この首が、こうちよつと押してもぐらぐらした首が全体を離れておつたというのは、これは事実として認めざるを得なかつた。それから、首を支えて、そうして支えたままにしておいて、次の日までいろいろの人に相談をして、そうして最善の処置をとつたほうがよかつたのだろうというようなお考え方のかたもあるかも知れませんが、やはり首をチエーン・ブロツクで引ずつて上へ上げたまま一日置くということが、果してこれが専門家として、而も文化財を保護するというような見地から、どういうような偶発的な事情が起るかわからないというところから、でき得なかつたのじやないかと、そうして実際止むを得ずに首を切つたんじやないか、その首を切るときには、すでに夜暗くなつて電気をつけてやつたという状態で、八時過ぎになつたというような話を聞いておりました。それで首を切つたということを聞きましたそのあと、胴体ということは、首をそのままにしておけば首が落つこつたりなんかして、非常に文化財に対して保護を与える、文化財保護の趣旨に反するということから、首をどうしても早急に切りとらなければならん。併し胴体そのものは、御承知のように何百年来曲つておつたが、而も倒れないというところから、その胴体を倒すことはそれほど早急を要しなかつたというように我々は考えたものですから、そこのところは追及せずして、只今山本先生からはじめて追及されて、それは本当にどうだつただろう。併し実際私どもは常識から考えると、あの大きな胴体を夜八時頃からあとかかつて夜通し倒したということは、それこそ又夜間ああいう大きなものを倒すことによつて文化財を毀損するということから、翌日やはり倒すのが一番いい方法じやなかつたかというように私は考えますが、それは実際松原君がどうやつたから悪いというのではない。私どもはそういうふうに考えて、その点は追及せずに、極く常識的に、次の日に倒すべきではなかつたじやないかというふうに考えるのですが、大体松原君もそうではなかつたでしようかな。
○説明員(松原正業君) その通りなんです。
○相馬助治君 今の木村さんの問題については私たちはその通りなんです。ただあのときには、私が報告いたしましたように、松原君自身も熱心であり、且つ自信を持つておるので、自分の立場を力強く主張した。それからお寺のほうでも、実に若いけれども雄弁な男を前面に押し立てて、この技官に食つてかからせたわけです。そこでそういう重大な点を成るほど我々も見落したのです。ただ私はお寺側に十分な文句といいますか、意見を持つておりますが、ここに文化財保護委員会の方方のみがいらつしやつておるので、そこで私は一点だけ、こういう技官の言葉、考え方というものが、お寺側をいよいよ怒らせたのだという一点だけは、私はあとあとのために御参考に申上げておきたいと思うのです。それで又そういう考え方であつたから、又博物館には勿論のこと、法隆寺の金堂の修復にいらつしやつておる竹島博士あたりにも聞いたのですけれども、何にもまあ相談がなかつた。言わば何のお断わりもなかつたということも事案だと思うのですが、それはどういうことかというと、寺側で余りちよつと言葉を汚なくして技官のほうを責めるものですから、私がそのときに、いや、これは国宝は外のものが問題で、中の鉄心というものはさほど考えによれば重要なものでないと、私がこう申した。ところが、そうしたら松原君が隙かざずに、そうなんだ、これはなくてもあつてもいいのだ、こういう意味のことをおつしやつた。これは結果から言うと、なくてもあつてもいいものじやなくて、あの鉄心があつたから今まで支えていたりで、非常に重要なものだと思う、それからその次に、その場であつたかどうかわかりませんが、木像の修復をするときには、釘は切るというのですね。そうすると、あの御仏体の中にある鉄の心も、大きな釘だという意味のことを言つたわけです。松原君が。だから切ることには何ら不思議はないのだという意味のことを言つた。それがお坊さんのほうでは、俺たちは信仰の対象にして見ておるのに怪しからんというような調子でそれに反駁した。こういうことなんです。だから私はあの鉄心を切るということが現状変更であるかどうかということは、課長さんからも説明がありまして、御尤もに思いますけれども、やはりあれだけのことをする場合には、これは現状変更であるかどうかということは、専門審議委員会においても将来問題になるほど私はやはり重要なものであろうと思つておる。併しながら、法に示したところによつてあれが現状変更であると断定しておりませんから、私共の報告ではこれは技官側の手落ちだということは申していないのであつて、これはどこまでも我々は専門家の見解に待つという態度をとつておるわけです。従つて言わばこの問題に関しては書側としては、飽くまで信仰の対象であると考える。それから技官側では熱心にこれを修復したい、そうして又意識過剰ですか、愛情過剰ですか、ともかくそういうものも手伝つて事ここに至つたという二つの喰い違いだけは、私共はいいとか悪いとかということを別にして認めざるを得なかつたわけです。従つて、望むらくは、あの種の問題については、もう少し慎重に、建築の専門の人、それから博物館だとか、それから奈良には特別にそういう研究所等があるのですから、それらの意見を徴すべきではなかつたかということも考えておるのです。 それからもう一つ、これは本問題と離れておりますが、文化財保護委員会と奈良の教育委員会のこの課に関する連絡というものは、私どもは十分でないのではないか、それは具体的に何からそういうことを言うかと申しますと、報告書にも謳つておきましたけれども一懇談会において土井課長はいろいろな実例を挙げて説明し、同時に奈良においては、国宝関係の文化財を持つている所有者が連盟を作つて文化財保護委員会に対抗しなくちやならない必要があるんだということを明らかに言つておる。それで私どもは、これは文化財保護委員会にも大いに反省を求めなくちやならん点であると三委員とも認識したのです。ところが同問題を京都で申しましたところが、京都では全く反対で、文化財保護委員会はよくやつている、そして県側の意図もよく聞く、そしてよく協力していると、こう言うのです。それで、それとこれとの食い違いが何によるかということは問題があると思いますが、奈良に関する限りは、どうも教育委員会と文化財保護課との感情というものがあなたたちに対して素直でない。これは松原君の今度の問題があつたので素直でなくなつたのでなくして、こういう問題でごたごたが起きる誘因を前から孕んでいたんではないかということを考え、あの人たちの意見は全部これらのことについて何ら連絡を受けていない、不十分である、不満である、こういうことに尽きるようであります。
○山本勇造君 大分長くなりますから、私、最後に木村さんが答えられたことはちよつと私の質問に外れちやつた話なんですね。それをちよつと訂正すると同時に、最後の質問をして、私のほうの質問を終ることにします。木村さんから今話があつたように、首が離れてしまつてその後の胴体を処理するのが悪かつたというのを僕は聞いておるんじやないのです。つまりそもそもああいう問題をやるのに、行つたその翌日に直ぐお首を切り離してしまうというようなことはいかんじやないかということと、その次に、今度は首を切り離してしまつたその後の胴体においては、今度は翌日の仕事だつたでしようが、吊し上げたまま、今度は疲れたとか何とか言つて作業を途中でやめた。それで今度は余震か何かあつて危いということで昨日はお首をとつたのに、その翌日の胴体をやるときには、今度は余震はないんだというので、ゆつくりやられたという話なので、そこのところを私は聞いたわけです。けれども余り細かい問題は、先ほどから或る委員から、堀越さんなんかの話に出ていたと思うので、それは改めて追及しません。私が一番言いたいことは今相馬君からも質問があつたように、地方との連絡がついていなかつたり、或いは行つた技官の人が、これはもう本当に熱心にやつたんです。その点については、いささかの疑いも持つておりません。あなた方が悪意を持つてやつたということは毛頭思つていません。余り熱心にやつたので、その熱心の余りが僕は文化財保護法の法の精神をよく考えないで、片一方のほうに行き過ぎてしまつたために、あらかじめ地方の人にも連絡をしなかつた。中央にも指揮を仰がなかつた。そういう非常に重要な問題であるにもかかわらず、これは審議会にかかるか、かからんかということを全然考えないで、ただまあ危いと言う、危いということがあなたの主観的なものになるか客観的なものになるか、問題があるところだが、とにかくあなたは主観的に危いということだけ考えられて処理されたのだが、併し保護法の上から言うと、もつと慎重にやらなくちやならない。それをやらないで、もう中央の保護委員会の者が行けば、これはもう中央なんだから、俺がやることが一番いいのだというような考え方で、廻りの人とも相談もされずにやられたということは非常に遺憾至極なんです。こういうところに、どうも中央の今の保護委員会のほうの人が行くと、俺は中央から行つたんだ、俺が一番権威があるのだというようなやり方でやることが、地方の人の反感を買い、又やり過ぎを行い、或いは又文化財委員会に対してさまそれな問題が起つて来るのですね。どうも保護委員会のやり方に対するさまざまの今までの面白くない点が、たまたまこの月光菩薩で表面へ出て来たというふうな工合に、私どもに考えられたのですが、そういう点どうなんでしようか。
○説明員(高橋誠一郎君) この問題に関しましては、先ほど山本さんのお話のございましたように、両技官はただ技術的な方面だけを多く考えておられまして、当然指揮を仰がなければならなかつたと思われるところのものも、その手続をとられなかつた、或いは又とる暇がないというふうにばかり考えられておられたという非難は、どうも遺憾ながら免れなかつたかと存じます。それから又我々保護委員会といたしましても、お首が別に下ろされた、こういう報告を寺側から受けまして、これで一安心してしまいまして、あとは予算措置を講じまして遺憾のないように修理いたしたい、こういう考えが強くありましたので、前回も申上げましたように、鉄心を切つたという点を余り重視しておらなかつた点は、これを認めなければならんのではないか。で、私が九月の十七日にあちらに参りましたときに、ここに問題があるということを実は初めて気付きましたような次第でありまして、この点、誠に迂闊であつたと申さなければならんのでありまするが、それまでは全くこの点に少しも重きを置いて報告はいたされておりません。 それから又奈良県との関係でございまするが、これは私、殊に名前の只今出ました土井君とはあちらに参りまして長い間一緒におりまして、いろいろ話を聞いたのでございまするが、土井氏は私に対しまして、保護委員会の態度が悪いというようなことは一言も申されませんでございました。ただ技官たちは、これは何もこのたびの特に二人の技官を指すのではないのでありますが、技官たちの態度は、やはり技術的なこととか或いは文化的な価値というようなことばかりを考えておつて、信仰の対象になつているということを忘れ勝ちであるので、寺側ではいろいろ後になつて非難をするようなものがある、こういうようなことを申しておられましたので、これはまあ帰れば是非そういう点は注意しなければならん、こう申して別れたのであります。それから又、寺側が両技官の態度に対しまして、非常に非難をしておるということを伺つたのでございまするが、これは私この問題につきまして、非側と私が話をいたしましたのは、初めは高田と申しましたか、この副貫主が出て参りまして、文化財保護委員室へ参りまして、私と話をいたしましたときに、ただ地震のために月光菩薩が如何にも惨めな状態に置かれている。この点は自分よりも、自分も苦いのであるが、自分より更に若い僧侶たちもいずれも、皆非常に感傷的になつて、夜も仏様のそばにおつて離れない、こういうようなことを申しておりましたので、これは僧侶として非常に遺憾の思いをしておるということは重々察しておりましたが、別段このときも技官の態度に対しまして、寺側が非常に非難をしておるというようなことは、私、迂闊でありまして、全く考えなかつたのであります。それから、あちらに参りまして、橋本凝胤師に会いまして、いろいろ話をいたしたのでありまするが、その際も、技官のとつた態度、或いは保護委員会の態度に対しましては、寸毫の非難も申しておられませんのでありました。それから新聞社が座談会を開く、NHKが座談会を開くというようなことでありまして、私も二回とも出席をいたしまして、この問題につきましていろいろ話なども出たのでありまするが、殊に最初の座談会、これはお寺で開かれたのでありまして、この月光菩薩の問題を中心にしての座談会でございましたが、その席におきましても、寺側は何の非難もしておりませんのであります。凝胤師は出席されなかつたと存じまするし、高田師は出席しておつたのでありまするが、しばしば座を外しまして、殆んど私の記憶に残るような発言はしておられないのであります。上野学長もおられたのでありまするが、上野氏も全く一言の発言もなかつたと存じます。ただ初めから殆んど終いまで眠つておられまして、会が終つて私が隣におつて、もう終つたということを申しまして、先生は私と一緒に退出されましたような次第でありまして、ずつと後に至りますまで、殊に最近におきまして、この参議院の方々が御視察になりまして、その御報告を聞きまして、特に寺側が両技官或いは保護委員会を非難しておるというようなことがあるように伺いまして、実に驚いたのでありまして、さようなことであるならば、私が二回も参つておりますその間に、なぜ自分は気付かなかつたのであろうか、甚だ迂闊に存ぜられておることでございまして、これからは一層、地方との連絡或いは又宗教の信仰の対象となつておりまするものを修理保存いたしまする際には、一瞬この点に注意を施さなければならんということを痛切に感じておりまする次第でございます。
○山本勇造君 この委員会で、文化財保護委員会に対する月光菩薩の質問は、若しほかのかたに御質問がなければ、大分時間も経つているようですからこの程度にとどめまして、そうしてこの問題に対しては、すでに前の委員会できめてあるように、参考人を呼んで聞くというようなほうに進めて、今日のこの月光菩薩についての問題はこの辺で打切つて、次のアメリカにこちらの美術品をたくさん送る問題のほうに問題を変えたら如何でしようか。ちよつとそういう動議を提出いたします。
○堀越儀郎君 ちよつと二、三相馬さんがおつしやつたあの座談会のことでちよつと私、補足して置きたいと思います。奈良の教育委員会の技術者面のほうのことで、従前から仏像の修理などについてずい分永らくの経験もあり、又いろいろこの方面の研究もしている。そういう方面の修理などについて御意見を用いてもらえないというような不平がある。名前は挙げないが、行政官ですから必ずしも不平を持つておられたのじやなしに、いろいろ連絡して欲しい、将来はこういう仏像修理などについても、技術者側の意見も聞いてもらいたいというような意見をお持ちになつた。それから寺院側では不満な……、これは相馬さんのおつしやつたその通りでありまして、信仰の対象として考えておるものを、保護委員会のほうでは単なる文化財としてのみお考えになつておる。そういう点に非常に不満な考え方が座談会では出ていたのです。そういう点も今後十分、大事な文化財には違いないけれども、寺側にするとやはり自分達の信仰の対象なんですから、技術官の人は殊にその点を十分留意して頂かないと、我々の立場から言うても寺側の態度を是認せざるを得ないということがわかると思う。十分その点御考慮願いたいと思うのです。
○説明員(本間順治君) ちよつと私行政面ですから……。相馬委員から、京都に非常によく行つておつて、奈良にはあまりよく行つていないというお話がありましたので、ちよつとその点につきまして私の行政的な立場からの反省点と、それから今後の改善の方法など今考えておる点を申上げまして極く手短かに申上げまして、御参考に供したいと思つておりますが、実は奈良が、京都もそうでありますが、日本で一番、文化財の多いところでありますけれども、基本的には、京都の寺々或いは神社に比べると、奈良の寺なり神社は非常に経済的に恵まれておらないのが非常に多いわけでありまして、そういう点につきまして、とかく修理なり調査なりについて寺側と我々のほうの技官なり或いは補助金を取扱つておる者との間に、事を円滑に運ぶということが非常に困難な場合が大部分であるわけであります。これが一つありますのと、それに加えまして、これは名前を挙げるのは差控えたいと思いますが、事務局の重要な課長とかそういう役についておる人ではありませんが、専門の技官と奈良の技官との間に感情の齟齬があります。これはそういう面で衝突したこともあると聞いておりますけれども、これも相当響いて、相互に事務の円滑を阻害しておるような結果もあるように聞いております。只今堀越委員の御指摘になりました、県との連絡がよくない、この点は実は今まで博物館に仕事があつた間はどうか知らないけれども、中央官庁にこの修理の調査の仕事が移つた限りにおいては、飽くまで各地方においては、都道府県の教育委員会と先ず連絡して、その上で社寺と連絡をとるべきだということは、過去二年数カ月、文化財保護委員会ができましてから、しよつ中申しておることでありますけれども、何分にも過去何十年という間、直接社寺との交渉をしておつた習慣が抜けない関係上、なかなか私どもの意思が徹底いたしませんで、とかくこれは奈良県だけでなしに、各地方ともそれぞれそういうような非難を受けておりました。私ども今後ともこの点については各技官に対しまして……。行政的な方面にみんな慣れておりますので、割合少いのでありますが、技官の人々は直接そういうことをやる習慣がついておりまして、これから一生懸命我々もこれを改めるように努力して参りたいと思つております、なお信仰の対象に対しての尊敬の念が少いという点も確かにこれに対しての、我々信仰する必要はないけれども、信仰の対象としての何と言いますか、尊敬の念を持つてこれを取扱うべきだ、又周囲の人はこれをすべて信仰の対象として見ておるという点について、我々は常に関心を払うべきだということは、委員会の委員の方々が常に言われることでありまして、私ども又それに対して十分これを注意するようにはいたしておりますが、従来永い間の習慣で、これも早急に改善できなかつた点は、非常に遺憾だと存じておる次第であります。
○木村守江君 ちよつと今の局長の話で伺いたいんですが、奈良の文化財を持つておるいわゆる寺院が、京都に比べると非常に財政的に恵まれていないというところは、尤もだと私たちもよくわかるのですが、併し財政的に悪いために、文化財保護委員会と円滑を欠くというと、非常にそこに誤解を生ずると思うのですが、財政的に悪ければ悪いところほどよくやつて、そうして本当にまあ恩恵を感じて親密にならなければいけないのじやないかというように考えるのですが、財政的にいいところはいくらでもやるが、財政的に悪いところは、うつちやつて置くのだ、ややもすれば感じの……、感じのと言うと語弊がありますかもしれませんが、財政的にいいところには十分何でも世話してやるが、悪いところには、どうしても差支えがあるので遠ざけるというような恰好のものであれば、どうしても我々としてはこれを見逃し得ないと思います。そういう点に、これは局長の考え方はそういう考えではないと思いますが、非常に誤解されますから、はつきりしておきたいと思います。
○説明員(森山孝君) ちよつと今言葉が足りませんけれども、奈良の貧乏だという寺は、一万、二万の金が出せない寺が相当あるのですが、従つて全額国庫負担限りは、そこの修理が非常に重要なんだが殆んどできない。ところが県においては平均七割の補助率がありますので、九割五分の補助をうんと優先的に出しましても、一万、二万の金はどうしても地元で持つてもらわなければならい。県の財政も、そう言つちや失礼ですが、ちよつとした小さい市ぐらいの予算でありまして、従つて県費が出しにくい。寺も一万、二万の金が出せなくなりますと、どうしても全額負担ができないという立場で問題が起ります。 それから又もう一つは、ここは相当出せるという寺でも、やはり全体的に非常に国の負担率が高い場合には、自分の寺もできるだけ負担率が高いというように希望されるのはこれは当然でありますが、こちらのほうの技官が実際に調べたところの負担の能力というものと、寺側で言われる負担の能力というものの開きがあり過ぎるという寺がある。従つてそこに見解の相違が出てうまく行かない。こういうことを申し上げたのでありまして、奈良において貧乏な寺については、九割五分或いは九割六分、七分も出しておりまして、他の県の裕福な寺については五割しか出さぬというように、その差は十分付けて、奈良の社寺につきましては、十分面倒を見ておるつもりであります。その点は誤解のないように願います。
○委員長(若木勝藏君) ちよつと速記をとめて。 午前十一時五十六分速記中止 —————・————— 午後零時十二分速記開始
○委員長(若木勝藏君) 速記を始めて下さい。新潟大学の問題に移ります。
○岩間正男君 文部当局にこれは伺いたいのでありますが、この問題は当委員会としては非常に重大視して、この決定にもありまするように、わざわざ現地調査を行い、その結果、私の記憶するところでは前後七回に及ぶところの委員会が継続的に持たれたわけであります。そうして、その中で最後にこういうような結論が出されまして、ここにあるように、念のためにこれを読んで見ますというと、 「大学の総合整備に際しては一、社会的輿論に配慮し、その実施の時期については教育的見地に立つて慎重に検討し、財政的措置及び受入態勢等において遺憾のないよう万全の措置を講ずること。 二、更に教育の機会均等殊に教員養成の立場から、その施設の地域的配置について十分考慮すること。」 更に、この決定には明文化されておらないのでありますが、これは我々委員会としては、立法府が行政府の行動について余り行過ぎた干渉をするような形になるのはまずい、従つてこれを口頭を以て伝えようということで、新発田分校の統合問題について二年制を存置するということを特に口頭を以て伝えまして、ここにおられますけれども、当時の文部委員長の梅原委員長からしまして天野文部大臣に正式に申入れたはずであります。この結果、当時文相はこれを十分に考慮するというようなことで話が進んでおつたと思います。ところがこれに対して突如として今度このような措置が行われ、而も十一月末日を以て何でもかんでもこれは統合させるのだ、こういうようなことが起つておる。この前、問題が起りましたのは、六月十五日を以て統合する、これは果して教育的であるかどうかという点を先ず我々は問題として取げた一番大きな最初の原因であつたわけであります。つまり学業半ばに強制統合するというような意図は一体那辺にあるか、なぜその必要があるか、なぜそういう教育的考慮というものが払われないでやられるかという問題であつたのであります。同じようなことを又今度やられようとしている。それでこういうようなやり方というものは、非常にこれは、文部当局の意向を質して見なければわからないのでありますが、なぜ一体こういう必要があるのであるかという点が問題だと思うのであります。更にまあ、これについてどのようなその後調査をされたか、又どのような大学当局側の意見を聞かれてこのような結論に到達したか。更に文部省は十一月三十日を以てこれを統合すべきであるというような意向を大学側にこれは伝えられたのかどうか。聞くところによりますと、大学側が、文部省の意向であるから、従つてこれをやるんだということを大学当局側は言つて、そうして関係者は強圧的な態度で臨んでいるように聞いておりますが、これは若しそうだとすれば非常に重要な問題だと思うのでありまして以上のような点について先ずあらましの経過を、簡単でいいですから、これは近藤局長並びに稻田局長から伺いたい。
○説明員(近藤直人君) お答えいたします。新発田の分校の問題につきましては前回当委員会の決議がありまして、只今岩間委員のおつしやつた通りであります。文部当局といたしましてはこの決議を考慮いたしまして、その趣旨を十分現地の学校のほうにも伝えまして、十分配慮することは伝えてございます。その後現地といたしましては大体受入態勢ができたもので、去る十一月の八日の評議会におきまして十一月末を以て統合するという決定をこれは全会一致でやつたわけでございます。さような通知を文部省としてはもらつております。問題は、前回の六月十五日に、統合の問題は、これは予備隊が来るために至急追い出されたというような誤解がございまして、この点につきましてはすでに誤解も解かれまして解消されたものと考えます。従いましてこの委員会の決議の線に沿つて受入態勢を整備して、そうして統合するということで、学校としては準備して参つたものと考えられるのでございます。只今のお話の中で、文部省が強圧的に促進を図つたというようなお言葉でございますが、さようなことは毛頭ございませんので、これは飽くまでも現地の大学としまして地元とのお話合いの上でこの線を出されたものと信ずるのであります。問題は、然らば受入態勢ができておるか、できておらないかということにあろうかと思いますが、この点につきましては我々は学校当局の話を伺つたわけでございます。それによりますと、十一月末を以て約一千万円をかけまして教育学部の校舎の増築が完成いたしました。これが約三百坪でございます。そのほか農学部の校舎の余裕が約三百五十坪ございます。これによつて教室としてはほぼ受入態勢が完了したと考えられます。又寄宿舎につきましては只今学生が三百七十一名ございます。そのうち新潟のほうへ移つて寄宿舎へ入ることを必要とする学生は、学校の調査によりますと約百五十四名ございます。この百五十四名を受け入れるべく寄宿舎の整備をいたしました。これには約二百五十万円の経費を投じまして、教育学部の寄宿舎を整備いたしました。 それから女子のほうでございますが、女子は新潟へ入りまして寄宿舎に入ることを必要とするものが、約三十二名ございます。この女子の寄宿舎につきまして、これは只今買収或いは建築につきまして考慮中でございます。 それから職員の宿舎の問題でございますが、これは新潟におきまして宿舎を手配いたしております。又職員の赴任旅費等につきましてはこれは予算を計上いたしております。又移転の費用につきまして、これはトラツクの借上げ賃に約百万円の経費を予定いたしております。
○岩間正男君 細かいところはいいです。後で又詳しく聞きますから。
○説明員(近藤直人君) かように受入態勢につきましては着々整備いたしておりますので、かような受入態勢の整備によりまして、十一月末という決定がなされたものと考えるのでございます。一応お答えいたします。
○岩間正男君 お聞きしたいのですが、大体我々はこの前、ここに書いてあるように五つの要点があつたと思う。あなたは今受入態勢だけの問題を言われておるが、受入態勢についても問題がある。 先ず第一に受入態制について問題があるから陳情のかたが見えておられるんだ。我々が陳情団のかたの言うことを聞いたところが、今の文部省側の報告だけでは不十分だということにこれはなつている。 併し一応これはおくとしまして、第二に、我々の結論は、ここにも書いてあるように、実施の時期について、教育的見地に立つて慎重に検討する、これがきまつておる。更に財政的措置の問題が出ておるわけです。更に第二項の教育の機会均等、殊に教員養成の立場から考えて、その施設の地域的配分について十分考慮する、こういう点についてどのような調査をされたか。これは非常に重要な問題になる。ところ五こういう問題については、何もこれは今のところお話がない。更に一番肝腎な問題は、三年制は存置するということにあつたわけです。結論から申しますと新発出にそのまま存置する、こういうような点で少くとも全会一致を以て、当時我々はこういう決議に対しては案は不十分だと思つたのでありますけれども、ほかの皆さんが超党派的な立場で以て、これは重大な問題である、従つてこの線で結論を出そうじやないかということで、我々も了承して決定されたのです。ところが今のお話では、これは受入態勢について主に話しておられますけれども、例えば時期については十一月三十日に断行するのだ、それも、これは文部省側の意向ではない、こういうお話でありまするけれども、そうするとこれは大学側の意向なんですね。その点は、はつきりするわけです。ところが向うでは、学長は文部省がそうやれといつておるのだという言葉を使つておる。使つておるのか、或いは事実なのか、その点明らかにされたい。そのほか財政的措置の問題、それから殊にあそこでこの前から問題になつておる岩船その他二郡の教員配置の問題、更に教育の機会均等の問題から、どうしても教員が僻陬手当くらいではなかなか行く人がない。こういう問題についても、地元の人たちはもつと質の高い教員を配置してもらいたい、こういう要望が大きな問題になつていたはずです。従つてこういうような問題について文部省は相当検討することなしにやつたとすると、非常におかしい。参議院の我々の苦心惨澹して一応ここまで参りました結論というものは、完全にこれは文部省側によつて無視されておる。こういう事態を我々は認めざるを得ない。そうしてこういうことは一体文部省から当文部委員会に未だ諮られた事実があるのかどうか。今日初めて我々は寝耳に水のように聞くのだけれども、こういうことを諮られたことがあるのか。こういう参議院側の文部委員会の意向というものを無視して遂行されるのであるか。この点を併せて以上の点について伺いたい。
○相馬助治君 関連して……岩間君からこれに対しては抗議的な質問ですが、私は抗議する前にはつきりしておきたいと思うことは、局長によくこの点を了解して答えてもらいたいと思うことは、申入れたものはこういうふうな簡単な文章ですけれども、これに至るまでには非常に議論を尽したということ、そうしてその議論を尽す場合に、我々が問題にしたのは、文部省に聞くと大学が勝手にやるのだというようなことを言うし、大学側に言わせれば、文部省並びに文部省以上の或る権力によつて強圧されているのだというのです。で、具体的な問題としては、調査の結果としては、事の真相は現地側で言つていることが正しい、いい悪いは別として正しいという観点に立つて、我々、岩間君や私の当時の意見としては、もつと強力に具体的なことを文部省に言うべき段階が来ているのじやないかということだつたのですけれども、先ほど言うように余り行政府に対して具体的なことを挙げて、こうせい、ああせいということは、まずいので、我々は文部大臣に申入れたのです。ところが局長は参議院側の文部委員会の趣旨はよく現地へ伝えたと言う。我々は現地へ伝えてくれなんということはいささかも考えていない。問題はこういう点に対して現地側を指導して欲しいという我々の意図の現われだつたのです。従つてこのところをはつきりして、こういう我々の意図に従つて現地側を指導しておいてくれたならば、私たちは文部省に抗議いたしません。これは大学側に抗議するほかに手がないのですから。一つ岩間君の質問に答える場合にその点一点を明らかにして、このことは現地側に言つたとか言わないというのじやなくてこのことを現地側にするように指導したのか、しないのか。この点一点明らかにされて、具体的なことを一つ言つて下さい。その結果によつて私は抗議します。まだあなたに抗議しようと思つていないのです。
○梅津錦一君 その問題と関連して簡単に。新発田分校の統合問題について、たまたま今近藤局長から話を聞くと、この空いた校舎を何かに使うというようなことが、すでに決定されておるように考える。これはおかしい。そんな馬鹿な話はない。若しこのことが行われれば学問の独立というものはなくなつてしまう。私はそう考える。新発田に置くことがまずいというなら、これは理由は成り立ちます。併し置いてもよいというのなら、これは文部省は当然置かなければならない。その他の省からこの問題を取上げられて、新発田の校舎を空けて統合しろ、こういうことであつて、文部省がこれを拒否できないとすれば、文部省はあつてもなくてもいい、そういう問題に発展して来るわけです。これは十分調査しなければならない。これは、はつきりしなければならん。私は忌憚のないところを御説明願いたいと思います。
○委員長(若木勝藏君) 近藤局長の答えたのはこうでなかつたですか。六月十五日に統合しようと一応思つていたけれども、予備隊が入るというので、これは関連して来たからうまくないので延ばしたのだというような、そういう答弁でなかつたですか。
○相馬助治君 速記をやめて下さい。
○委員長(若木勝藏君) 速記をやめて。 (速記中止〕
○委員長(若木勝藏君) 速記を開始して下さい。
○説明員(近藤直人君) 委員会の決定の第二の点に対するお答えでありますが、教育の機会均等という点につきましては、十分そういう点は配慮いたしております。すでに一県一大学主義という只今の国立大学の設置の方針が教育の機会均等ということを十分考えましてやつたものでございます。併しながら大学は小学校、中学校と違いまして、大学の水準なり規模なりというものはおのずからあるわけでございますので、各地に大学を設けるということは事実上不可能でございます。併しながらおつしやることは十分配慮いたしまして検討の結果、そういう趣旨を大学側に十分伝えております。
○岩間正男君 どうも私の質問しておることに御答弁がないと思うのです。私は受入態勢についてさつき聞いた。第二は時期の問題について又同じことを繰返そうとしておる。このようなことが教育的配慮と言えるかどうかという問題ですね。第三には財政的問題が起きて来ておる。そういう問題についていろいろ答弁されたのです。これは十分でない。こういう点について文部省はどういうふうに考慮されたか。第四には、今お話がありましたけれども、これは現状から離れておる。殊に岩船、それからその他一郡のこれは話を聞くというと、何ら顧慮されていない。それから殊に大切なのは、二年制の存置の問題は一体どうされたのか。そうして、以上ひつくるめまして当委員会に諮られたかどうか。これは当委員会は少くとも重要な国政審議のさ中におきまして相当な精力を使つて我々はやつたのであります。単なる結論としてこれを出しただけの問題ではないのです。これは何でもかんでもちよつと目を通して処理しましたとか何とか、善処するくらいのごまかしでは、我々は終るものとは考えていなかつたのである。ところが今度決行されるについては、文部省はいろいろな観念を持つたわけです。然るに当委員会のこの決議に対しては諮られた事実があるかどうか。そうしてどのように諮られようと考えたか。或いは諮られようとしたか。つまりその結果によつてはこの決議は無視されたということにもなるのであります。この点は細かに、細かにと言つても一つ一つ簡単に御答弁願いたいのです。何だか今の御答弁はぼけておると思うのです。はつきりして下さい。
○説明員(近藤直人君) そういたしますと、その前に新発田分校をなぜ新潟へ統合するかという点からお話申上げたほうがよろしいかと思います。
○岩間正男君 それは聞いていますよ。
○木村守江君 岩間君に対する答弁は明瞭じやないか。相馬君の質問に対して答えてくれたらいいのじやないですか。
○説明員(近藤直人君) 先ほど梅津委員の……。
○木村守江君 その点は……。
○委員長(若木勝藏君) 質問と答弁だけにして下さい。他から入ると、こんがらかるから……。
○岩間正男君 教育的時期だと考えますか、十一月三十日……。
○説明員(近藤直人君) 受入態勢が整備すれば速かに統合するということは考えられると思うのであります。現地といたしまして、受入態勢がほぼ完了いたしましたので、十一月末という結論を出されたのだと思います。 それから第二の財政的措置でございますが、大学並びに文部省とは、一貫いたしまして所要の経費を計上すべく極力努力いたしております。ほぼ話の付きましたのは、先ほど申上げましたような寄宿舎の費用とか、或いは校舎の建築費用とか、或いは職員の赴任旅費とか、そういつた点につきましてほぼ了解が付いております。なお先ほどの点につきまして目下打合せをいたしております。 それから第三の現地から離れていることはどうかということになりますと、この点につきましては、統合の方針といたしまして、新発田分校を新潟に統合するという第九特別委員会の決定の線を守つて行くということでございます。 それから第四点の二年制存置の問題でございますが、この点につきましては十分御趣旨を尊重いたしまして検討いたしました結果、やはり第九特別委員会の決定の線で行くことがいいという結論で、さような趣旨を現地のほうへ通達いたした次第でございます。決してこちらの決定を無視したということは毛頭ございません。
○岩間正男君 最後の点を答えて下さい。相馬君と僕が聞いた点です。この決議に対して、途中であなたたちは当委員会に了解を求めるとか諮られるという考えを持つておられたのかどうか、それをされたかどうか、されないということはどういう結果になるか、こういうことです。
○説明員(近藤直人君) 決議は考慮するということでございますので、十分決議につきましては文部省といたしまして考慮いたしまして、それを現地に通達いたした次第でございます。
○相馬助治君 私、ざつくばらんにお聞きしますが、この前の話では特別委員会で統合がきまつた、従つてこれを動かすことはなかなか困難だ、最初文部省側はこう言つたのです。ところがいろいろ議論した結果、その問題についても時期の問題その他があるからこれは十分考えなくちやならない。こういうふうなのが話の大体の終りの頃の了解事項であつたと思います。そこで私は端的にお聞きします。第一、管理局長は法的に見て、大学に対して、この種の問題について指導監督する権限があるのだと私は思います。これはあるかないかお尋ねしておきます。あるとするならば、あるという前提に立つてどういうふうに指導されたか。三つの方法があつたと思います。一つは、この問題について国会側でも非常に問題を重視しておる。そこで現地においてはこの統合の問題から考えて行かなくちやならないから、大学では適当に考えろと言つて指導したか。それから統合はきまつてしまつたのだから、これは仕方がないけれども、時期その他については十分考えて現地側の納得するように努力しろと、こういうふうに指導したか。第三点は、大体話合いが付いたから、受入態勢さえ整えればよろしいから、受入態勢を急げというふうにして指導したか。第四点は、この書付を見せて、参議院においてはこういうことになつたから、一つこの趣旨で以てやれ、こういつたか。非常にくどいことを聞いておるようですが、これは非常に大切なところですから、この四つの中のどういう指導をされたか、一つお尋ねします。
○説明員(近藤直人君) 文部省は大学に対して指導監督できるであろうということでございますが、その点につきましては文部省の設置法によりまして、専門的技術的の面以外につきましてはできないのでございます。
○相馬助治君 ちよつと待つて下さい。何に監督できるのですか。
○説明員(近藤直人君) 専門的、技術的には大学を監督できますけれども、一般行政運営上、行政管理上につきましては、法律に規定した以外につきましては大学の指導監督ができない。
○相馬助治君 ちよつと……、私この種の問題について監督の権限があるかと、こう言つたのです。統合の問題、時期その他について、受入態勢とかそういう問題について、この種の問題についてあなたのところには権限があるのかないのかと、こう聞いておるのであつて、一般的なことを聞いておるのじやない。
○説明員(近藤直人君) お答えいたします。それはやはり大学に任せるべき問題だと考えます。
○相馬助治君 そうすると、巽にこれは我々をたぶらかすのも甚しいと思うのです。というのは、この問題は極めて重要である、それから又十分考えなくつちやならない、そして善処したいというから、我々は梅原委員長の下においてこういう案文を作つて出したのであつて、これらについて一切の指導も監督権もないのだ、挙げて大学の問題だというならば、あのときも問題であつたように、これは大学の責任者を引張つて来て話を聞かなければ駄目だと私は言つたのですが、いや、そういう性質のものでないというので、こういうことになつたので、これは稻田局長から私はもう一回聞きたい。というのは、統合することに関して、その問題に対して直接でなくとも、そういうことの教育的見地に立つてこれを指導、誘掖する権限というか何というか、そういう立場にはあると私は思うのです。それがあるかないか、それを明白にしたいと思のです。そうしておかないと、こういうことになるならば、どうもあなたたちを、何ら監督権限のないものを我々があれこれ言つてみても駄目ですから、もうこの委員会で、あなたたちにものを申しますことはやめます。そうして権限を持つている者に来てもらつて解決を付けなければならない。(「その通り」と呼ぶ者あり)
○政府委員(稻田清助君) お尋ねでございますが、只今近藤管理局長からお答えいたしましたように、文部省は大学に対しまして技術的、専門的見地に立つての助言はできるのであります。併し行政及び運営についての監督はできないのであります。従いまして、これらの教員養成問題についての大学設置審議会の答申その他に対しての勧告は常にいたしております。ただ実際において、いつ統合するとか、どの教室を使うとかいうような点につきましては大学管理機関の権限に任しておりましてそれらについては指示いたさないことにいたしております。
○相馬助治君 私はこういうデリケートな問題が起きるから早く中央教育審議会というものを持つて、そして最高に、この日本の教育を統合的に眺め、これを指導するところの機関が必要だということを我々は主張しておる。それを文部省は未だに委員の発令もみない。これはまあ席を改めてその責任は追及いたしますが、技術的専門的に指導するというならば、一体この大学の統合その他に関して、こういう具体的な問題に対して、然らば何人がこれは指導し、監督し、同時にこの統合の問題に関してこの種の……、勿論問題がないときにはいいですよ。問題がないときは特別委員会で決定してその通り行くでしよう。併し問題が起きたときにはそのトラブルを最終的に解決してやるものは誰なんです。稻田局長にお尋ねします。
○政府委員(稻田清助君) 先ほど申上げましたように、この点につきましては一部からは現行法の欠陥だと、只今御指摘のようにも論ぜられる問題でございます。私どもといたしまては、大学管理法案を只今検討いたしております。それらについて皆様方の御意見がそういう点についてもつと監督権を強化するというような点であれば、又そういう点についてそれは十分考究すべき問題だと思つております。併し現行法制から申しますとそういうような大学の運営の問題は、大学の管理機関それ自身に任されておると私どもは解釈いたしておる次第でございます。
○岩間正男君 あなたはそういう専門的、技術的以外の助言をする権能はないと、こう言つておるのですが、それじや随分それからはずれたなにをやつておるのです。そのことは明らかじやないか、今の近藤局長の説明の中で、参議院では二年存置すべきであるという行政的な意見を出したわけです。これに対してあなたたちは途中で、今の説明は何と言いました。そういうものは飽くまで第九特別委員会の決定通りやるべきものだというので、そういう考えで進んでおる。これは非常に政治的な一つの意見になるじやないですか。技術的な助言は、技術的な専門的な立場と言つておるが、現実に問題が起つておる、行政的に……、それに対して非常に今の問題は行政的な干渉になつておる。こういうことはどうなんです。これはまるで今の話は食い違いだ。監督の権利はないというが、ところが或るところでは実際これは監督をしている。こういうような実情です。今の点について御答弁願います。行政的な意見じやないか。
○説明員(近藤直人君) 第九特別委員会の決定につきましては、六月二日に次官通牒を以ちまして学長宛に発しております。それはどこまでも命令的なものではございません。第九特別委員会の決定がかような決定である、本省としてはこの報告通り方針を決定して、これを推進したいと考える、あなたの大学においてもこれに御協力願いますと、かような通知でございます。決して命令的な、権力的な通知ではございません。
○岩間正男君 事実併し呼んでおるのでしよう。学長を呼んだり学部長を呼んで、そうしてやつておるのじやないか。而も現実に問題が起つておる。行政的な問題が起つておる。これに対しては、あなたたちは一切言を慎まなければならないと思うのですが……。
○政府委員(稻田清助君) 文部大臣はその権限といたしまして、所轄の各機関から状況を聴取し報告を集めることができるのであります。
○岩間正男君 あなたたちのやつておることはその範囲内ですか。全然ないのですね。これを早くやれとかそういうような、こういういろいろな下から起つて来た問題について、それはないいというのですが、全然ないというのですか。
○政府委員(稻田清助君) 先般管理局長からお答えいたしましたように、一貫してこの問題につきましては当該大学の決定を我々としては注視して参つております。
○梅津錦一君 私、お尋ねしたいのは、今学生のほうからこの新発田統合に対して反対すると教授連中は首になると、だからお前たちは反対運動はよしてくれと、こういうことなんです。これは、いわれなくしてそういうことはできないと思う。反対運動をやめてくれと、やめないと我々の身分が危いと、こういうおかしな話です。これはなぜそういうことが言われるか。或いは聞いたらそういうことは言わないと言うでしよう、きつと……。そういうことは言いませんというでしよう。併し学生は事実自分の耳で聞いておるわけです。自分の品で伝えておるわけです。簡単にその言葉が出るとは考えられないと思う。これが第一点です。そういう圧力はどこから来たか。これは文部省から言つたのじやないというならば、これは誰が任免権を持つておるか、学長が持つておるならば、その学長にその権限がある、その責任がある、その所在を私ははつきりしたいと思う。それが一点。 それから予算の問題ですけれども、一千万を超える予算を組んで、すでに二百坪か三百坪くらいだろうと思うのですが、家を造つた。大分安い、簡単なものでしよう。これは今三万円くらいの建物じや学校建築とは言えない。バラックでしよう。それが一点。 それで、そのほか農学部の建物を利用すると、併し農学部の建物全部利用できるかどうか。三百五十坪乃至それに近いのが使われるかどうか。これで当局はその教育、教授が実際に行い得ると考えるかどうか。それは野天でもやれと言えばやるでしよう。併しこの中で問題になつてるのは、二年生はすぐに教育実習に出すという、なぜ出さなきやならんのか。これは理由があると思う。教育、教授が不完全であるから、収容しきれないから、結局そうだと思う。 もう一点です。教授その他事務職員が新潟へ移動した場合、家を作つてあるかどうか。校長以下の職員です。こういうことが受入態勢だと思う。一軒の家を建てるのに、簡単に考えても五十万の金がかかるのです。どこへ行つても今うちがあるはずがない。東京だつて新潟だつて同じことです。こういうことのすべての條件がかなつたと考えられるかどうか。予算上の措置です。仮りにです、今の新発田の建物、あれを作るとすれば、どれだけの予算が要るか、その点の概算がつくと思う。あの建物と同じものが作られてはじめて受入態勢ができたと我々は考えられる。それ以下のものであつてはいけない。学の場が崩壊する。これは文部省に我々が心接しているわけです。そういう点も明らかにしてもらいたいと思う。以上三点です。
○説明員(近藤直人君) お答えいたします。第一点の教官、学生が反対したならば首になるという事実があつたということでございますが、さようなことは私、聞いておりません。どこからさような話が出ておりますか、承知いたしておりません。 第二点の予算の問題ですが、又それに関連いたしました受入態勢でございますが、これは先ほど申上げましたように、教室といたしまして、現在農学部の教室が四学科を目標にしてあります分が、只今のところは二学科でございますので、その間三百五十坪余裕がございます。そこを使用できるわけです。そのほか一棟千万円を以ちましてほぼ完成をいたしまして、約三百坪の建物が教育学部としてできるはずであります。それから寄宿舎の点でございますが、これは先ほど申上げましたように、約二百五十万円の修繕費をかけまして教育学部の宿舎を整備いたしております。大体目標は百五十四名を収容する目標で整備いたしております。経費の不足分につきましては、大学のほうで負担するというような話になつております。それから教官の宿舎でございますが、これは只今新潟で配慮いたしておりますが、又この点につきましては多少不足する現状でございます。それから職員の赴任旅費、これはほぼ予算上決定いたしております。その他移転の費用といたしまして、約百万円程度考慮いたしておりますが、大体建築費を入れまして、全部で千五百万円程度只今のところ準備いたしております。以上が受入れ態勢でございます。
○梅津錦一君 もう一点残つておる。今の新発田の建築物と今受入れられるところの建築物との比例を聞きたいと思う。どつちがいいか。
○説明員(近藤直人君) 新発田の建物は、御承知のように、もとの旧十六連隊の建物でございまして大変古い建物であり、又建坪は相当広い坪数でございますが、只今その一部には新発田市の本丸中学が入つております関係上、実際に使つておる教室はそれほど広くはないと思います。従いまして、新発田の坪数をそのまま新潟に持つて来なければならないということはないと考えます。
○岩間正男君 さつきの問題で、反対すると教員諸君が首になる、これについては文部省は聞いていない。どこから出たかわからないのだが、文部省の判断をこの際お聞きしておきたい。それは当然教育に現実に携わつておる人は、教育の実情を一番よく知つておるわけです。そうして、最も努力を発揮する、そうして教育能力を、本当に教育を推進できるような立場で、これは教員といえども、これに対して意思を表示し、又そのように運動をするということは、これは何ら差支えないものと私は考える。これをやらない者こそこれは非常におかしいと考えるのです。ところが現案的にはこれに反対運動を起すと首になる。こういうことが起つておる。それは教育上由々しい問題だと思う。この点は局長としてどう考えられますか。この点はつきりされておく必要があると思う。
○政府委員(稻田清助君) 人事の問題ですから、私のほうからお答えいたします。現在の教育公務員特例法の規定に明らかでありますように、教員がその意に反する転任、退職或いは懲戒というような場合につきましては、挙げてこれは大学管理機関自体の審査に任せておるわけでございまして、外部の者がこれをとかく批判し、或いは示唆すべき性質のものでないことは、私共として心から信じておる次第でございます。
○岩間正男君 それに対して、併しこれは文部省としては全部大学側に任せるというのだね。全然文部省の関知したことではない、こういうことですか。
○政府委員(稻田清助君) 只今の法制はその点を確保した趣旨であると私共は考えております。
○岩間正男君 そうすると、それは文部省側から出たのでなくて、大学側から出たと我々は考えざるを得ないので、大学側がそういうような圧力を加えてそうして来ておる態度については、文部省の見解は……、文部省自身が直接口を出すかどうかは別として、見解は。
○政府委員(稻田清助君) 教育公務員特例法の趣旨は、任命者に繋がる文部省関係者等が、そうした大学管理機関自体が審査します問題につきまして、事前に意見を発表すること自体をやはり慎しむべき性質のものと心得ますので、その点につきましては私共としての見解は控えたいと思います。
○岩間正男君 それはおかしい。そういうことはあなたたち言つておりますけれども、実際教育の現実に、この問題は具体的には予備隊とか保安隊に取られる。そういう中で教育を守るという意見、それは許されないのですか。そういうことは。教育公務員特例法のあれで規制はどうしたつてこれはできない、こういう意見なんですか。文部省側の見解。これはあなた方は解明する義務がありますよ。できないというのですか。そういうことは。教育的な内容の問題について意見を出して、そうしてこれに対して意思を表明して、そうして最もよき教育の体制を作るということの努力、そういうことは教員にはないというのですか。そういう権能はこれはないというのですか。ただ小使か、小使でも全く言われた通り、命ずるままに、でくのぼうに、東條時代のようにやらなくちやならんのか。
○政府委員(稻田清助君) 只今の御質問は分限に関します処分、懲戒の問題というふうな点からお話になりましたので、その点の見解を申上げたのであつて、教員が自分本来の教育について理想を懐き、同時にそれについて発言し、或いは学校教育運営について活動するということはもとより教員自身の本分であると考えております。
○岩間正男君 何ら拘束しませんね。
○相馬助治君 時間も時間でありまするし、私は最終的にはこの問題の重要性に鑑みて、文部省と我々とが見解を異にして戦うという面もあるけれども、もつと思いを一つにして、真に教育的見地に立つて、これは解決しなくちやならない問題を含んでいると思う。先ほど陳情されたかたの言葉の中に重要なことがあつたわけです。それは、文部省側においても国会側と連繋をとつて現地を調査する用意があるという意味のことを申したそうです。これは勿論文部省側がそういうことを言つたか言わないかは、我々はここでこれを問題にいたしません。ただ、仮にそういうようなことを言つたとするならば、文部省もこの問題に対して積極的な善意を持つているのであろうという推察をするだけでして、私どもとしては、文部省側の意図如何にかかわらず、参議院としてはこの問題は後に委員長において現地調査を皆さんに諮られて、その必要ありということになつたならば、その現地調査に行くべきだと思うのです。その現地調査も、参議院だけがするというのではなくて、それを文部省側の出席も煩わして合同調査の形に持つて行くべきであろうと思います。 それから隊員のことについて、我々はこれは当然とやかく言うべき筋のものでないのですけれども、必要ありとすれば、やはりこれは衆議院側の意向も委員長において一応お聞きになつて、それらのことも参照されてこの問題の解決のために調査団の組織を私は動議として提出いたします。 ただ附け加えて文部省側に要望しておきたいことは、我々が調査団を作つて行つた、ところが統合されてしまつた、もう誠に御趣旨御尤もだけれども、こういうことになつてしまつたものですからということでは、これは一種の茶番狂言になりますから、文部省としては、現地側のいろいろな事情があるでしようけれども、それまでは統合を見合せておくということの考慮を一つやつておいて頂く。我々としては調査団を至急に派遣する。御承知のように私は議運をやつておりますが、国会中の派遣はこれはかなり問題でありますが、これは議運において同僚矢嶋君もおりますので、是非ともこれはこういう機会をとつて頂くように取計らわれたいと思うので、委員長においてこの問題は打切り、今日の議論は打切り、私の動議を取上げて頂きたいと思います。
○委員長(若木勝藏君) 今相馬君からこういう動議が出ましたが、如何でしよう。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○矢嶋三義君 ちよつと速記とめてくれ。
○委員長(若木勝藏君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(若木勝藏君) 速記をつけて。それでは調査派遣することに決定いたします。
○梅津錦一君 この問題は単に文部委員会だけの問題でないと思う。かかつて予算の問題から言えば大蔵関係で、私が大蔵大臣の出席を要求いたします。なおこれが警察予備隊に関係しておりますので、木村保安庁長官の出席を要求します。更に岡野文部大臣の出席を要求します。調査団の前に要求いたします。
○委員長(若木勝藏君) ちよつとお諮りいたしますが、今の梅津君の要求は次の何かこの問題を取扱う場合にそういうふうなものを要求するということになりますか。或いはこの調査前に必ずそれをやつて調査に向うということになりますか。ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(若木勝藏君) 速記を始めて。それでは別に発言がなければ本日の委員会はこれで閉会いたします。 午後一時九分散会