P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
15回国会参議院1953/03/09

中共地域からの帰還者援護に関する特別委員会 第3号

発言数
58
登壇者
5
会派数
3
開催日
1953/03/09

会議録

大谷瑩潤自由党

○委員長(大谷瑩潤君) では只今から委員会を開会いたします。  本日の議事に入ります前に御報告申上げまするが、委員会散会後、横浜埠頭に碇泊中の白山丸を視察することになつておりまするから、どうぞ御参加を願いたいと存じます。  なお、十日に中共へ行つておられまする代表団が帰国されましたその節には、その翌日当委員会に御出席を願つて、いろいろ先方の事情を承わることに予定いたしておりまするが只今日本赤十字社副社長葛西氏から代表団の帰国が多少遅れるかも知れないということをお含みおきを願いたいという通報が参つておりますので、或いは予定通りに参らんかも知れませんが、これもお含みおきを願いたいと存じます。  ではこれより本日の議事に入ります。中共地区在留同胞の帰還促進に関する現在までの経過に関する件を議題といたします。  外務省当局から御説明を願いたいと存じます。外務政務次官中村幸八君。

中村幸八自由党外務政務次官

○政府委員(中村幸八君) 中共に抑留せられておりましたる何万というお気の毒な日本人の引揚げの問題につきましてはかねて政府におきましても非常な関心を以ちまして、或いは国連を通じまして、或いは又国際赤十字を通じまして、更に第三国である友好国の斡旋等によりまして、いろいろの方法手段を尽して引揚げの促進を図つて参つたのでありまするが、その間中共側からは何らの意思表示もなく昨年末に至つた次第であります。ところが御承知の通り、昨年の十二月一日、突如として北京放送を以て、中共側が日本人居留民の本国帰還に関しまして、配船その他具体的手続問題については、日本の適当な機関乃至は団体が中国赤十字社と話合うことによつて解決することができる。こういう旨を報道して参りました。政府におきましては関係各省ともいろいろ協議いたしました結果、取りあえず十二月四日にはインド政府の斡旋を依頼いたすことにいたしましたのでありまするが、その後インド政府からは何らの回答もなかつたのであります。そこで政府といたしましては、いろいろ慎重協議いたしました結果、ともかく何万という日本人のお気の毒なるお身の上を思い、又留守家族のお心持をお察しいたしまして、とにかく北京放送を率直に受入れて、先方の言うがごとき代表団を派遣するがよろしいじやないか。こういう結論に達しまして、日本赤十字、又日中友好協会、日本平和連絡会。この三団体から各二名の代表、それに高良とみ氏を加えまして七名の代表、更に工作員として政府側から二名、又三団体から各一人、高良氏の秘書、四人の秘書を付けまして中共に派遣することに相成つたのでありまして、代表団派遣に当りましては、政府といたしましては経費の国庫負担、或いは工作員として配船関係及び通訳、取極関係の専門者というような人を選びましてでき得る限りの協力をいたした次第であります。  代表団は一月二十六日に東京を出発いたしまして、一月三十一日に北京に到着、それ以来中国赤十字社との間に数次に亙る会談をいたしたのでありまして、その会談の結果を十二項目からなるコミユニケ案に取りまとめまして、去る三月三日にこれに対する政府の承認を求めて参つたのであります。政府はこれに対しまして引揚者の便宜と引揚げの円滑迅速なる実現を期するために、乗船者名簿の作成、三団体代表の乗船の問題、帰還者の範囲の問題、又配船についての技術的の問題、この四点につきまして中国赤十字社と更に折衝するように連絡事務局を通じまして回答いたしたのであります。然るに代表団は五日に第四次会談をいたしまして、中国側提示のコミユニケ案をそのまま受諾いたしまして会談を了えて、六日北京出発帰国の途に着いたのであります。政府といたしましては、政府より発しました折衝案につきましては、何らの折衝を経ることなく、中共側提示のコミユニケ案をそのまま受諾して参つたということにつきましては、いろいろ今後の引揚事務を促進する上におきまして不利不便な点等も考慮いたしまして、遺憾な点があるように考えるのでありまするが、万事は代表団が明十日東京に帰つて参る予定のようでありますから、代表団が帰国の上は改めて代表団からよく中共との折衝の経緯又は中共側提案のコミユニケを受諾するに至つた事情等を聴取いたしました上で政府の態度をきめたい、かように考えておるような次第であります。  以上簡単でありまするが、本件に関する経緯につきまして御説明申上げました。なお御質問によりましてお答え申上げます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 この委員会は余り争う委員会にしたくないという点から、私も余りそういうふうな質問はできるだけ遠慮したいと思いますけれども、この際二三点ちよつと伺つておきたい点があるのでありますが、今一番代表団が向うで困つた点は、三団体の代表を船に乗せるか乗せぬかということで交渉がとまつたようなふうに聞いておりますので、政府のそれに対する見解をもう一度はつきりお伺いしておきたいと思います。

中村幸八自由党外務政務次官

○政府委員(中村幸八君) 中共側からは、三団体の代表を乗船さしてもらいたい、こういう要望があつたのでありまするが、当方といたしましては、すでに船長を通じまして、引揚者の引揚げの御便宜のためのあらゆる手配は至れり尽せりというほどにできておりますので、更にこの上三団体の代表の方に乗船して頂く必要もあるまいじやないかと、こういう趣旨で回答いたしたような次第であります。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 船長の話によりますと、二千人なら二千人の人が船に乗つてから名簿を作るとなると、名簿を作るだけでも相当日数を要する、そうすればそれだけ引揚げが時間的に延びる。ところが三団体の代表が乗ればその代表は上陸を許される。だから船に乗る前に大体三団体の代表の手によつて名簿が作られるのじやないか。そうすれば船に乗つたときはすでに名簿はできておるから、船の上から本国に向つてどこどこに誰が乗つたということを打電することができる。そうすれば出迎えに来る人も都合がいいし、家族が無駄な旅費を使つて乗つておるかおらんかわからない人の出迎えに来るようなことはない。そういう点からいつても代表者が行つて上陸をして、そこにおつて溜つておる人たちの名簿を作るということができればいいということを高砂丸の船長は述べておるようです。ですから、政府はそういうことにこだわらないで、とにかく代表を出すということのほうが引揚げがスムースに行くのじやないか。どういう点に政府はこだわつていらつしやるのかその点を私は伺いたい。

中村幸八自由党外務政務次官

○政府委員(中村幸八君) 政府といたしましては、代表団に乗船して頂く必要もないということを申入れすると共に乗船者名簿を是非中共側から提示してもらいたい、こういう要望を併せていたしたのでありまして、而うして乗船者名簿が若し提出ができないとすれば引揚者の乗船に当つて二通の銘々票を作つて、年齢、性別、氏名を記載した銘々票を各自二通作つて乗船してもらう、こういたしますれば、わざわざ中共側の手を煩さなくてもできる、こういう二段がまえの申入れもいたしておるのでありまして、これが最後の会談の議題にならなかつたように承知いたしておりまして、甚だ遺憾に存じております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 向うに行つておる代表団は六日に北京を立つた。島津団長は責任を以てあのコミユニケを承認して帰られたようでありますが、私たち冷静に考えても、三団体の代表が引揚げをスムースにするために乗船して行くということを政府が拒否する理由がどうにも我々には納得いかないのです。ただ必要がないというようなことで片付けていらつしやるのか。それとも乗船されちや困るという点から強くその乗船を拒否なさるのか。その点を私は伺いたいのです。それに附随しまして前に高良さんの旅券を政府が出さなかつた。ところが二十六日に旅券が出たのを見ると、もうすでに高良さんのは二十一日の日附で出ていた。そういうことを私は伺つているのですね。そうなると、政府は二十一日に高良さんの旅券を準備しながら、何かしらんいやがらせをすることによつて二十六日までそれをほおつておつたという結果になるのじやないかと思うのですね。そういう詰らない面子の問題とか何とかいうことにこだわつて政府は今回もそういうことをなさるのか。それともどうしても出さないのか。出す意思があるなら早く出したがいいし、私たちは一日も早く我々の同胞が日本に帰るということが、それが唯一の願いなんですから、その間に政府が多少面子に関するようなことがあつても、そういうことはもう大乗的に解決してさつさと私はやつたほうがいいのじやないかというふうに考えておるわけなんです。ですから特にどうしても出せないという理由があるなら、その出せないという理由を伺つておきたいと思うのです。

中村幸八自由党外務政務次官

○政府委員(中村幸八君) 政府として三団体の代表の乗船が必要でないという回答を出した理由につきましては、先ほど申上げた通りであります。併し政府としては別に面子にこだわるとかどうとかいうことは絶対にありません。お話の通りに、引揚げを一刻も早く円滑に進めたい、こういうことを専ら念願いたしておる次第でありまして、いずれは代表団が明日帰りましてよくその間の事情を聞きました上で、関係官庁と十分協議いたしまして政府の最後的態度をきめたいと思つております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 まだどうしても出さないとか出すということを今とにかく最後的なぎりぎりのことを決定しておるのでなしに、三団体の代表が帰つて来て、それと政府がよく協議した上で最後のことを決定するというふうに理解していいわけなんですか。

中村幸八自由党外務政務次官

○政府委員(中村幸八君) 回答をいたしますまでの政府の態度は先ほど申上げた通りであります。更に代表団と会見いたしまして、よく事情を聞いた上で更に政府として反省すべき点があれば、決して変更するのにやぶさかでないのでありまするが、今日のところ、代表団を乗せるか乗せぬかとかいうことは申上げる段階ではないと思います。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 今の御答弁で了解いたしますが、もう一点伺つておきたいことは、今援護庁の中に復員局というものがあるのですが、その復員局というものは今どういう仕事をしていらつしやるのですか。私は復員局というものは外地におつた兵隊が帰つて来る事務を扱つている局のように理解していたのですが、そうでなしに、今後中国から一般市民が帰つて来るのも復員局で扱うのですか。どうなんですか。

木村忠二郎引揚援護庁長官

○政府委員(木村忠二郎君) 復員局の仕事といたしましておりますのは、元の陸海軍に属しておりました者の復員に関する仕事、それから陸海軍の仕事の残務整理と、これだけをいたしております。従いまして先ほどお話がありましたような引揚げて来る人の援護に関しまする仕事につきまして、復員局では何らの処置をいたすことにはなつておりません。御承知の通りに、今度帰つて来まする者たちの中には、やはりまだ復員していない人も若干おるかと思われます。で、これらの人に対しまする復員の手続その他のことにつきましては、これは又復員局関係の者が処置をいたすことになつておりまするけれども、舞鶴援護局の仕事全体といたしましては、これは援護局のほうでいたすことに相成つております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 舞鶴の援護局の総務部長、それから業務部長はこういうことを言つているようです。今度帰つて来る人が、船が着いたら或る特定の人を呼んで、その帰つて来た中から、そうしていろいろなことを尋ねると、で、それは思想調査をするのかと言つたら思想調査ではありません。思想調査は絶対いたしません。併し聞くことがあつて聞くと。じや、その聞く内容は何かと言つたところが、それは復員局から特定の人をマークして来る。そうしてその特定の人に来てもらつて、そうしてまだ帰つていない人の動静を聞くとこういうことらしいのですね。どこどこにどういう人が残つているとか、そういうことを特定の人に聞くのだと、それじや特定の人というのはどこできめるのだと言つたところが、それは復員局から示して来る、特定の人を。じや、何を標準にその特定というものをきめるのかと言つたところが、それは私のほうではわからんが、復員局で扱つている。そうしてその名簿を船が着く前日か数日前に東京の復員局から送つて来る。その名簿によつて援護局で、向うの現地でその人を呼んで聞く、こういうことを言つておるようです。じや、復員局はどういうことを標準にしてその特定の人というのを作るのか何を材料にして作るのか、そこを私は伺いたい。それから若し名簿ができているならば、その特定の人の名簿をここに私は出してもらいたいのです。

木村忠二郎引揚援護庁長官

○政府委員(木村忠二郎君) 只今のお話私ちよつと細かいことがよくわからないのでありますけれども、従来やつておりまするやり方から申しますれば、帰つて来まする人々、大体まあその全体の人に一応お願いすることになるのでございますが、それらの人々が向うにおきましてどういうふうな所におつたかということを伺うのであります。どういうような部隊におりましても、元どういう部隊におつた人がその部隊と一緒にどういう所を歩いたとか、或いはその部隊からどういう……これは無論日本の曾つての部隊のことを言うのでありますが、或いは日本人同志の間でどういう人がどういう仲間と一緒におつたかというふうなことを一応簡単なメモのようなものに書いてもらいまして、そうしてそれによりましてこの人から聞けば大体一応これだけの範囲の人がわかるのじやないかというのを調べまして、あとでいろいろ調べまして残つておる者の事情、或いは亡くなつておる人の事情、或いは生死不明の人の状況というようなことを伺うというようなことになつておるのであります。今度は船の中でそういうふうなものをこしらえてもらうことが、御承知のような関係でできませんでございましたから、大体お上がりになつたあとで、そういうようなものを書いて頂ける人には書いて頂くようにしたらばどうかというようなことを考えておるのでありますが、それでこちらで以て大体消息のわかつておる人、そういうような特定の人だけにそういうようなものを書いて頂きまして、あとでいろいろ調べる場合のもとを作ろうというのじやないかと思います。従いまして、今お話になつた復員局でやりますことは元軍人であつた人だけに限られるのでありまして、元軍人でなかつた一般のかたは復員局では全然扱つておりません。又その人の名前も復員局ではわかつておりません。復員局でわかつておりますのは元軍人であつた人で、その部隊の中に入つていた人でどこに誰がおるかということはわかつておる限りでは一応わかつておるのであります。それらの人の中で大体目ぼしい人に聞けば、一応全体の様子がわかるのじやないか。つまり或る部隊の何の某という人がわかつておるかわからないか、この人はどうなつておるかということを聞く場合に、非常に聞きいい人を探し出してそうしていろいろなことをお願いするのじやないかと思いますが、実際には舞鶴にいる間は三泊四日でございまして、この三泊四日の間にそう大したことはそこで伺うことはできないのです。而もそれを聞きますにつきましては、やはりこちらの部隊の様子を知つている人が聞きませんと実際にはわかりませんので、そういうようなことを明らかにいたしますには元の部隊の様子を知つておる人人、その資料を以ちまして聞くことになるわけです。従いましてそこでは大したことを聞くようなことにはなつておらんのじやないかと思います。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 くどいことを聞くようですが、そうするとその復員局では絶対一般市民のことは扱わないということはもうはつきりしておりますね。軍人だけだということですね。そうすると、今度名簿は船に乗つてからできるのですから、あらかじめ復員局から船が着く前に特定の人を知らせるということは不可能でございますね、今度は。

木村忠二郎引揚援護庁長官

○政府委員(木村忠二郎君) 御説の通りに誰が乗つて帰るかわからないのでありますから、こちらで船に乗つて来る人の中でこの人をマークするということはできないと思います。ただ一般的にそれだけ知つておる、種を持つていそうな人で、向うから消息のあつた人は名前はわかつておるかと思います。併しそれを向うに照会するということは、私はまだ承知いたしておりません。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 私はなぜその点聞くかと申しますと、今度は要するにそういうことをすることが思想調査をやるごとく外に誤解されても非常に国際的にまずいのですし、そういうことはしないということで中国が返すことになつておりますから、若しそういうことをしたということが外部に漏れれば、これからの、その後の復員が又支障を来たすようなことがあつてもこれはいけないことだと思いますし、そういうことも絶対誤解を招くようなことも気を付けてやつて頂きたいと思うために、私は質問しておるわけなんです。で、どうぞそういうことを十分御注意下すつて、いわゆる下僚は聞かないでもいいようなことをついその場で聞いてしまうことが往々起る場合がありますので、そういうことが絶対にないように十分御注意願いたいと思う次第です。  それからこれは帰国者とは余り関係ないことなんですが、改装仕様書ですね、ドツク・オーダーということですね、あれなど若し明細がわかつておりましたら私は参考までに伺つておきたいと思うのですが、そういうことは聞けませんでしようか。

木村忠二郎引揚援護庁長官

○政府委員(木村忠二郎君) 何でございますか、改装と申しますと、船の改装でございますか。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 改装の費用ですね、予算なんかですよ。

木村忠二郎引揚援護庁長官

○政府委員(木村忠二郎君) これは運輸省のほうでやつておりまして、こちらのほうでは関係いたしておりません。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 関係いたしておりませんか。それでは結構でございます。

大谷瑩潤自由党

○委員長(大谷瑩潤君) 木村長官はちよつと予算委員会のほうから出席を求められておりますので、御質問があつたら……。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 もう一点ちよつとお伺いさして下さいませんか。ちよつと頼まれていたことがあるのです。或る三団体が代表を舞鶴に送りたいというわけなんです。そうしてその事務所を援護局の中へ置きたい、こういうことを希望しているわけなんです。それを京都府知事の蜷川さんに私も代表と一緒に行つてお会いしたのです。そうして蜷川さんにその意見を述べたのですが、蜷川さんは、自分は援護局の局長になつている。併し舞鶴の機関そのものはやはり本省から来ているので、実は本省の意向も伺わないと自分だけでは決定しがたいが、併し代表が来るとすれば、援護局の舞鶴の建物の中にそういう代表団がおる部屋を作つたほうが好都合であると自分は思うが、自分では決定することができないから、本省のほうの意見を聞いてもらいたいということを言つておられましたが、そういうふうに取計らいして頂けないでしようか。これは私がお願いするわけです。

木村忠二郎引揚援護庁長官

○政府委員(木村忠二郎君) 舞鶴の援護局の中では、大体政府の側だけで以てあらゆる仕事をいたしたい、かように考えております。いろいろな事務所を設けますということにつきましては、いろいろ困難な事情あるのでございます。従来からあの中に事務所を設けたいという希望のものが何と申しますか、引揚者のこちらの留守家族の団体でありますとか、或いはそのほかの団体でもその希望をいたしておりますが、これはすべてお断りいたしておるのであります。私どもといたしましては、そういうような事情もございまして、あの中では大体引揚業務に直接関係のある、援護業務に直接関係しますものと、それからあとは入国の関係の手続をいたしまする関係及び検疫とか税関とかいうもの、それからいろいろな金の支払関係の銀行関係とかいうものだけに場所を提供するということにいたしております。それ以外につきましては、あの中に事務所を設けるということにつきましては、いろいろな問題を発生する場合もありますので、いたし方ないと考えております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 それも一つ代表団が帰つて来てからなお一応考慮を払つて頂きたいという含みを残しておいて私の質問を終ります。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 ちよつとお伺いしたいのですが、政府は場合によれば逆送還をするというようなことを前に言つておられましたが、その点はどうなつたのですか。

中村幸八自由党外務政務次官

○政府委員(中村幸八君) 先般の最後の折衝のための政府の回答、その際には帰還者の範囲の問題につきまして当局の希望を述べまして、それ以外の者については入国者と認めない、入国を認めない、こういうことを申入れたのでありまするが、この点は遂に折衝の議題とならずにしまつたわけであります。そういたしますると、実は私ども非常に心配いたす点なんでありまして、大体日本人又は日本人と極めて近親な関係にあるもののみの帰還を私どもは希望いたすのであります。その際に乗船者名簿も提示されたい。又逆送還というような問題も、尤も中共側では逆送還というような問題が起らないようにできるだけ努力はする、こういうことは申しておりまするが、万一日本人或いは日本人の近親者でない者、外国人がこの機会に入つて来るということを非常に恐れるのであります。逆送還の問題につきましても、やはり代表団が明日帰りましてよく先方の事情又代表団の団長としての御決心のほど等も聞きまして決定いたしたいと考えております。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 好ましからざるという者はどういうふうな人を指して言われるのか。政府が恐れておられるということと、又国民の考えていることとは違うかも知れないので、念のために伺つておきたいのでございますが、政府が逆送還等を考えておられる人たちはどういう人々であるかということをこの際ちよつとお伺いしておきたい。

中村幸八自由党外務政務次官

○政府委員(中村幸八君) 大体外国人が日本に許可もなく入国するということが法理上認められないわけであります。そういう意味からいつて、特に中共引揚者であるならば、例外的に一括して日本人或いは日本人の近親者をお迎えする、こういうことになつておるのであります。それにまぎれ込んで外国人が入つて来ることは日本として政府は好ましくない、かように考えております。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 日本人と結婚した人であつた場合には差支えないのですね。

中村幸八自由党外務政務次官

○政府委員(中村幸八君) それははつきり当局でも認めております。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 一時帰還を認めないという政府の声明はその後どういうふうになつておりますか。

中村幸八自由党外務政務次官

○政府委員(中村幸八君) 墓参等のために一時帰国したい、こういう御希望の方もあるやに聞いております。その御心情は御尤もであり、我々としても十分お酌み取りしなければならないのでありますが、この問題はやはり再渡航の問題になりまして、現在の旅券法に基きまして、再渡航は認めることができない、こういうことをしなければならないと思つております。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 ちよつと、私はそれはどうも納得がいかないのでございますが、現在の旅券法に支障があるならば改正すればいいのであつて、今政府は花嫁の呼び寄せ等については協力すると言つておられる。ところが結婚して向うへ参りました場合に、親が危篤であるとか、或いは何か国内にどうしても肉親等の関係で帰りたいという場合に、それが帰れないということになると、島流しに会つているようなことになりますので、人情の上から参りましても納得のいかないことでございますが、どうして一時帰国が認められないかという点を。

中村幸八自由党外務政務次官

○政府委員(中村幸八君) 中共在留者に扶養されておる方々が日本におりますれば、そういう被扶養者の中共に参りますることは、これは生活の問題でありまして、扶養されることができないとすれば、その人の生命にも関係する極めて深刻な人道上の問題でありますので、便宜上特別な例外としてそういう方はお認めいたしたい、かように考えるのでありますが、墓参その他で一時帰国したい、こういうお気持はよくわかりますが、これと前の事例とはそこに非常な隔りがございまするので、そこまでは拡張して行くことはできない、かようなわけでありまして、現在の旅券法におきまして再渡航は、中共地区への渡航は認められておりません。更に実は旅券法の改正をいたしまして、この国会に是非とも御審議を願いたいというので目下提案をいたしております。これは現在の旅券法では多少解釈する人によつて違う解釈をいたしておる向きもありまするので、それを現在政府が解釈いたしておるようにはつきりとさせるように旅券法の改正法案を提案いたしたような次第であります。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 今度政府が予定しておる旅券法の改正は、全く逆な改正じやないですか。今までのような政府がどうしても旅券を発行しない場合に、便宜外国に入国する人があつて困るから、これを取締るための、厳にするための旅券法の改正であるというふうに私は理解しておるのでございますが、私が旅券法の改正を要求いたしますことは、そういう現在の旅券法で一時帰国等が許されないということであるならば、それを改正してでも私は温い人情を持つてやる、そういう目的のために帰える人たちが再び中国へ行けるようなふうにして欲しいということの考えで、そういうお考えがありやなしやを伺つております。

中村幸八自由党外務政務次官

○政府委員(中村幸八君) 勿論一般の諸外国、日本と友好関係にある国へ参りまする方面につきましては別でございます。未だ日本と国交が回復しておらない、而も中ソ同盟条約によりまして日本を仮想敵国としておるというような中共の現状におきましては、中共地区への渡航は認めることができない、かようなわけでございます。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 私どもは、最近とみに国民の間から、殊に財界あたりでも中国との貿易の再開がなければどうしても日本の再建はむずかしいという声で、非常にその貿易を望む声が強いということは政府でもまさか知らないとは言われないと思うのです。こういうときに事をかまえてわざと敵国視するような向きがあることを私どもは非常に遺憾に思うのでございますが、こういうことを通じて少しでも友好的な気持を盛上げるということが今日必要ではないか、こう私は考えておる。向うが仮想敵国としていると言われるけれども、日本のほうでは講和条約を結ぶとか何とか友好的な努力は何らなされていなくて、あべこべに向うの感情を刺戟するような言辞が多過ぎると私は考えるのでございますが、それではいつまでたつても今のような状態でございますから、中国に残留された人は全然国内へ帰えることの見通しはつかないということになるのですか。それをどうして緩和されるお考えを進めておいでになるかという点も私はこの際併せてお伺いいたしたい。

中村幸八自由党外務政務次官

○政府委員(中村幸八君) 日本として好んで中国を敵国視するわけでは決してありません。朝鮮動乱もおさめ、又日本との間に平和条約締結というような機運が相互の間に盛上つて来ることは勿論希望するのでありますが今日の情勢におきましては、まだまだそこまでは行つておらない、こういう状態であります。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 それでは重ねてくどくもお伺いいたしますが、今の政府のお考えでは、例えば国内にある両親が危篤であるとか何とかいうような場合に、危急の場合でも現地にとどまられた以上は、この際帰国しない以上は、今後絶対に国交回復ができない限り帰えることはできない、一時帰国はできないというふうに理解してよろしゆうございましようか。

中村幸八自由党外務政務次官

○政府委員(中村幸八君) 帰国するのは差支えございません。今度の引揚げは集団引揚げでありまして、今後必要に応じて日本人或いは日本人の近親者が帰国したいというものにつきましては、個別的に引揚げることは一向差支えないわけであります。併し一遍帰つて又渡航するということになりますると、そこに現在の旅券法との抵触の問題になつて参るのであります。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 私言葉尻であれでしたけれども、私が申上げるのはそうじやなくて、一旦帰つたらもう絶対に向うへ行けないわけですね。で、一時帰国というのは、一時帰つて又向うへ行く。生活の根拠を向うへおいている人が内地の肉親等の危篤、或いは墓参等の用事があつても、日本へ引揚げて来ない限りは、祖国日本の土は踏めない、踏んだ以上はもう再び向うへ行けない、絶対のものだと理解してよろしいかということをお伺いします。

中村幸八自由党外務政務次官

○政府委員(中村幸八君) 遺憾ながら、外務省は先ほど申上げたような解釈をいたしております。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 外務省のその考え方が果して国民感情に合致しているとお考えでございましようか。私はいま少し大きな気持になつてやつて行かなければ友好関係を結ぶことは不可能だと思います。結局、私は今度の戦争で一番心から済まないという気持を表明する相手国はどこだと言えば、私は中国だと思う。どれだけ、私たち日本人が反省しなければならないことの数々を思い起すときに、私たちはもつと謙虚な気持になりたいと思うのです。イデオロギーの問題じやない。国と国との問題だと思うのです。従つて私は国内が産業は振わない、人口は過剰で困つておる、失業者は巷に満ちておるというときに、向うに生活ができている人を遮二無二日本へ呼び返さなければならないという法はないでしよう。併し肉親に会いたいのは人情だ、従いまして私は一時帰国を許すのが当然政府としてとるべき態度だと私は理解するのでございますが、重ねてお伺いしますが、やはり外務省当局におきましては、絶対にそれは不可能だというもう結論に達しておるのでございましようか。

中村幸八自由党外務政務次官

○政府委員(中村幸八君) あちらで立派に生活をなさつている日本人で帰りたくないというかたを遮二無二今度は帰そうというわけではございません。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 それはわかつていますよ。

中村幸八自由党外務政務次官

○政府委員(中村幸八君) 今あなたはそうおつしやつた。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 一時的にです。

中村幸八自由党外務政務次官

○政府委員(中村幸八君) 一時的の問題としては、政府としては今日は先ほどお答えを申上げた通りの解釈をとつております。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 私はこの点質問を保留しておきます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 むかつくのをやめようと思つたが、そういう答弁を聞いているとついむかついて来るのですが、今日は腹を立てないことにいたしておきます。  ただ一点だけ申上げておきたいことは、この前の最初の委員会のときに船が入る直前にこの委員会が向うへ行つて受入態勢を調査して、そうして船をお迎えするという提案をいたしまして、皆さん御賛成を願つたのですが、今度十一日から三日間参つて事前に受入態勢を調査する、これは結構だと思うのですが、もう一つ、これの次に船の入るのを迎えるということを一つこの委員会で御決定願つて行けるような処置をお取計らい願いたいと存じます。明後日丁度議運がありますから、その議運に事務的な折衝をして頂いておいたほうがいいのじやないかと思います。それとなお私お願い申上げたいのは、この委員会の性格上、そのとき出張するメンバーは、九つの政党政派で構成されていると思うのですが、少くとも一党派一人以上は行く、併しながら普通の委員会の出張ですというと三人から五人くらいですが、特別のお取計らいで九会派あれば最低九人は船を迎えに行くというふうにお取計らいをお願いいたしたいと思うのですが、委員各位の御了承が得られましたらそういうふうに委員長においてお取計らい願いたいと思いますが、如何なものでございましようか。

大谷瑩潤自由党

○委員長(大谷瑩潤君) 只今の須藤委員の御動議のように、もう一回船の着くときに出迎えに行くということと、それから各会派から一名という構成で行きたい、こういう御動議に対しまして皆さんの御意見をお伺いいたしたいと思います。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 私は結構だと思いますが、それに附随いたしましてお願いがございます。この委員会は非常に熱意を持つて構成されたと思うのですが、ところが出席しておりますのはこのような状態であります。殊に自由党、改進党等が出席されていないということは非常に遺憾でございます。この中共地区からの引揚げに対しては、とかく政府、与党は我々の公平な意見をも曲げて考えようとするやに思われまするときに、自由党、改進党が出席しないということは非常に遺憾でございます。どうぞ、そうした引揚援護に協力しないというならば別でございますが、今後出席を督促して頂きたいということを強くお願い申上げておきます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 もう一つ申上げるのを忘れましたが、今度いつ船が入るということが、天候で一日や二日予定よりずれたりいたしますので、きちんといつからいつまでということを、三日間取られるとその点で困つて来ることが起ると思いますが、その出張の日附、期間などは委員長に一任いたしますから、よろしくお取計らいを願いたいと思います。

大谷瑩潤自由党

○委員長(大谷瑩潤君) 今の御動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大谷瑩潤自由党

○委員長(大谷瑩潤君) それではさように委員長において取計らいます。  それからちよつと私から質問申上げたいのですが、今度引揚げの船の中でこういうことは万々あつてはいけないのですが、何か引揚げる方の中に不平不満等が起つたような場合に、この三団体の代表者を乗船さすという安全弁が許可されないということになると、この処置は船長がするということになるのでしようか。これは政府のほうではどういうふうにお考えになつておりますか。

中村幸八自由党外務政務次官

○政府委員(中村幸八君) 船舶法によりまして船長において船内の秩序を維持する責任がありますので、船長に責任がある、こういうわけであります。万々そういう騒動等のことはあるまいということを確信いたしているのであります。なお、そのことにつきましては先ほど申上げましたように代表団が帰りました上でよく御懇談いたしたいと、さように考えております。

大谷瑩潤自由党

○委員長(大谷瑩潤君) まだ御質疑があるようでありまするが、視察の時間が参りましたので、今日はこれにて散会いたします。    午後二時三十三分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗