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15回国会参議院1953/03/05

大蔵委員会 第28号

発言数
67
登壇者
10
会派数
3
開催日
1953/03/05

会議録

中川以良自由党

○委員長(中川以良君) それでは委員会を開きます。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 昨日委員会が流会されたというのはどういう理由でおやりになつたのですか。

中川以良自由党

○委員長(中川以良君) 昨日は大体予定通りにやる考えでおりましたけれども、本会議の時間が非常に遅れましたのと、それから暫らくお待ちをいたしましたけれども、各会派とも一、二の委員しかお見えにならないし、定足数に達しませんし、昨日は法案も上げるつもりでおりました予定のものがございましたけれども、到底定足数が足りないので、これは上げる見込がないと考えましたので、おいでになつたお二人のかたと御相談をいたしました結果、昨日は遺憾ながら流会といたした次第であります。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 大体計画を立てて、上げる上げないは別として、一応審議日程を組んだ、昨日は議運でああいう問題があつて、各党とも大体において議運の問題が片付くまで委員会等も開けないであろうということは予測されたことであり、一応そういうふうな含みを持つておつたわけであります。緑風会としては、大蔵委員は二人議運におります。又他の委員の人も議運の結果を待つて当委員会に出席するべく待機の姿勢であつた。ところが何ら一時に来なかつたということは、こちらのほうに連絡をしなかつたということは、多少我々のほうにも手落ちがあるかも知れないが、併し本会議に引続いて、はつきり全体の運営の場合において各委員会とも開会が遅れるだろうということは当然のこととして我々はおつたわけなんです。而も、あの日程によつて確実に進められるものとして、相当我々も無理をして準備をしておるにかかわらず、突如として流会、而も議運の開かれておるさなかにおいて流会になつたという通知を受けたわけであります。相当案件が当委員会には山積しておつて、そのために特に審議日程まで組んだわけでありまして、よほどなことがなければその日程を変更するということは今後やつてもらいたくないし、予算委員会等も昨日はいろいろ問題はあつたが、四時から始めるということをやつておる。当委員会のごとく議案の山積しておる委員会が、何も一時が四時になつても、とにかくその日の日程として組んだことはやるように今後お願いしたいと思います。

中川以良自由党

○委員長(中川以良君) 只今のお申出御尤もであります。今後は十分に一つさような御趣旨に従いまして善処いたします。   ―――――――――――――

中川以良自由党

○委員長(中川以良君) 只今より公聴会を開きます。  先ず、本日御出席の中西先生に、委員会を代表いたしまして謹んで厚く御礼を申上げます。御多忙のところをわざわざ御出席を賜わりまして誠に有難うございました。お願いを申上げておりまするのは、かねて御通知を申上げておる案件のみならず、その他租税に関係をいたしまする法案は十三件出ておりまするので、これらも含めまして、広汎に亘つて一つお話をお願いをいたしたいと存ずる次第でございます。時間は三十分くらいを御予定を賜わりまして、お話のあと各委員から又御質問も申上げると存じますので、どうぞよろしくお願いを申上げます。

中西寅雄大阪大学教授(前東京都商工指導所長)

○公述人(中西寅雄君) 税法に関する改正案について意見を述べろということでございまして、特に私といたしましては、本日は中小企業に関係ある税制の問題についてのみお話をすることに限定いたしたいと存じます。と申しまする意味は、ほかの問題につきましては、他の公述人からもいろいろお話があることと存じます。中小企業につきましては、比較的ほかのかたがたも余り論ずるところが少いじやないかと、こういうふうに考えるからであります。勿論、私は中小企業の代弁者という立場ではなくして、一個の書斉の学徒としての立場から申上げるのでございます。この中小企業の立場から税の問題を申上げまする場合において、私自身としては、この中小企業というものが日本の経済にとつて、経済政策的に見ても非常に重要なる意義を持つておるところのものである、そういう確信の下にこの中小企業をば育成して行くということ、特にそのために技術を振興するとか、或いは又金融の途を講ずるとか、特に組織化ということを促進して行くことが根本的に重要である、こういうふうな観点から、従つて又税の方面においても、これらの政策というものを阻害するというふうなことがあつてはならない、こういつた立場から私は論旨を進めて行くのでございます。  そこで、先ず一般的に申しまして、今度の税制改革について、中小企業のほうにおきましては、中小企業に対していろいろの点が考慮されると考えられておつたのでありますが、この税法改正案というものをば拝見いたしました場合におきまして、大企業に関しては多少資本の蓄積というふうな点も考えられておりますけれども、併しながら、中小企業という立場から見ては、比較的恩恵に浴する点が少いということ、それから又税務行政の運営の方面におけるところの改正案においては、却つて中小企業の組織化というふうなことを阻害するような点もあるのではないか、こういうふうに考えられるのでございます。  先ず第一の点は、これはもう常に述べられておる点でございますが、中小企業の税負担というものが依然として過重であるということでございます。先ず所得税について見ましても、第一にこの控除額の引上げということは、多少各種の控除額というものが引上げられておりますけれども、併しその引上げの率は少いのではないかと考えられるのでございます。でこの法案によりますと、第一に個人企業基礎控除、或いは扶養控除というふうな点について多少の引上げが認められておる。又青色申告者の場合において専従者の控除というふうなものにおいて範囲が拡大されておるようでありますが、併しながら、これだけで以てしては中小企業の生活を保障し得ないというふうに感ぜられるのでございます。で今日この事業所得の課税最低限として大蔵省の発表されておるところによりますと、扶養親族四人として十五万円というものを以て課税の最低限といたしておるようであります。併し、実際においてはこれだけではこの生活というものが保障され得ないのでありまして、例えば総理府の消費実態調査を見ましても、東京都の一世帯当りの実生活の実生計費というものは、家族を四・六人といたしました場合において、昨年の八月において一カ月一万八千円、これを年に直しますと、二十一万六千円ということになります。又家族四・七人といたしまして昨年の七月には二万二千円、二十六万円というものが実生計費として出て参るのでございます。で勿論この税が、中小企業者の最低生活を保障するということを税法から要求するわけではありませんけれども、大して要求するということではありませんけれども、併しながらこの課税の最低限というものは余りにも低過ぎる、これをやはり上げる必要があるのではないか、つまり今日におきましては中小企業においては資本蓄積というふうなことはおろか生活を維持するという点においても非常に困難な実情にある。それに税金がかかつて来ておる。一般に税の負担が大きいことは認めますけれども、併し、中小企業におきまして税の負担というものがやはり非常に重いということが言われると思うのでございます。  そこで、この所得税に関しまして然らばどういうふうな改正を今日中小企業者が要望しておるかと申しますと、勿論全般的な税率の引下げというふうなことも問題になるのでございますが、この問題を一応差しおきましても、各種の面でなお中小企業者の税を軽減する方策が考え得るのではなかろうか。第一に中小企業者の非常に要望しておる点は、事業主の給料というものをば経費と認めて、そうしてこれを事業所得の計算から差引くようにする。そうして事業主の給料に対するところの部分に対しては源泉課税と同じような徴税の方法をしてもらつたらどうかということを言つておるのでございます。で、この点は私は理論的に見ましても非常に根拠のある要望であると考えるのでございます。中小企業の場合においても、税の計算等において一応事業におけるところの所得というものと家計というものを厳密に区別することを要求いたしております。中小企業におけるところの事業ではそれが法人である、或いは又個人であるということのために事業の所得が変るということはないのでありまして、事業としての経費と認むべきところのものはこれはいずれの場合においても同一なるべきは当然であると思うのでございます。そこで中小企業において事業というものを一応個人の生活というものと引離して考えました場合においては、事業主の給料に相当するところのものをこれを経費として計算し、これに対しては法人と同じように課税をするということはこれは根拠のあることであると思います。勿論そのよつて得たところの給与というものは個人の総合課税の場合においては課税の対象となることは当然のことといたしましても、これによつて中小企業者に対するところの勤労控除というふうな点において多くの恩恵が受けられるのではないかと思うのです。で、中小企業というものの実態というものは、特にその事業において勤労者的性質というものは非常に強いのであります。こういう意味において勤労控除を認めて行くということはこれは合理的な主張であると考えるのであります。  それから次に第二の点は、専従者控除を一般に拡大して配遇者をも専従者の中に認めて頂く、勿論今日のすべての建前から言えば配遇者というものと主人というものは別個の立場にあるというふうになつておるように思うのであります。そうしてこの場合に配遇者も専従者としてこれを認めて行く。それから更に専従者控除の最高限は今日六万円というふうに改正案ではなつておりますが、これでは非常に少いのであつて、少くともこの倍額であるところの十二万円くらいに引上げてもらいたいというのが中小企業者のほうの要望であると思うのでございます。  第三の点は、納税について法人と同様に徴収猶予の制度を設けてもらいたいということであります。法人の場合においては、二カ月間の猶予があり、更にその後において三カ月間の一定の条件の下に猶予されるということがございます。で、中小企業もこれは事業でありまして、仮に利益というものは計算上算出されましても、それらのものは決して現金として存在しておるわけではないのであります。そのためにそれは或いは商品として、或いは仕掛品の形において存在しておる。それを資金化するということのために相当の期間というものを必要とするわけであります。勿論納税のために金融の途が講ぜられるということでありますならば、この問題は簡単でありましようが、そういうふうな金融というものは今日得られない場合において、利益の決定に一定の猶予期間というものがなければ非常に納税のために金融上困らなくちやならん。この点は大企業、或いは法人と同じように個人事業の場合においても徴収猶予の制度を設けてもらいたい。こういう要望があり、これは又根拠のあることであると思うのでございます。こういうふうな点についていろいろ恩恵措置が講ぜられますと、これは単に所得税だけの問題ではなくして、今日地方税においても事業税というものが課せられておるとするならば、これについても又軽減されることになり、中小企業の負担というものが相当に軽減されることになるのではないか、こういうふうに考えるのでございます。  次に法人税について、中小企業の関連事項でございますが、法人税につきましては、今日この税法において各種の措置が講ぜられております。併しこれらの点は中小企業者にとつては余り関係のない点でございまして、若しあるとするならば、資産再評価に関するところの改正案というものが、これが多少関係がある点であつて、その他の問題については中小企業の法人につきましては余り関係がないように思うのでございます。ここで中小企業のほうで、今度の改正案に関連して非常に問題にしておる点が一つあるのでございますが、それは交際費についての限度を設けるという点でございます。勿論これの根本的な趣意というもの、これについて全面的に反対を唱えるというものはございません。併しこの限度を設ける、法律においてこういつたふうの限度を設けるというようなことは、これは非常に慎重に考えなければならない問題ではないかと考えるのであります。今日事業において交際費と言われておるものでありましても、これは大企業においても中小企業においても同じであると考えるのでありますが、決してこれは企業自体が交際費を出して無駄をするというふうなことだけで交際費というものが多くなつておるということではなくして、日本の古来からの各種の慣習というふうなことが、これが交際費というふうなものを比較、的多額に計上しなければならないというふうな必然性があるのではないか。交際費というものは中小商人というふうなものについては一つはこれは広告宣伝費というふうな、必要経費と認められるべきところの性費を非常に多く持つており、又建築業等におきましては、この交際費というものは、これは各種の必要なるところの経費を交際費という名目において計上されておる部分も多いと思うのでございます。中小企業の場合においては、交際費が大法人の場合よりも中小法人においては多いことは事実であります。それは大法人の場合においては、大体これは売上高の八%くらいであると言われておるのに対して、中小法人は二五%くらいになる、こういうふうな一つの調査もあるのであります。若しこれを売上高とか或いは又資本金というふうなものを基準にしてその限度をきめるということになりますれば、中小法人の場合においてはこの売上高又は資本金が非常に少い。従つて交際費として損金に認められるところの部分というものが非常に少くなるのではないか。交際費というものは大企業と中小企業において、資本の割合或いは売上高に比例して増減するというふうな性質のものではなくして、その最低限度というものはあり、それが比較的中小企業において交際費というものの割合というものが多くなつておるのが一つの点であると思うのでございます。で、交際費を制限するというところの立法の精神というものは、これは非常に尊ばなければならないことでありますが、併し交際費というふうなものが今日の商慣習上どうしても必要であるというこの基盤の下において、これをただ税法の点だけで制限しようといたしましても、決してそれは成加するものではないと思います。却つてこのために多くの経理というものにおいて不明瞭なる点をばもたらして、折角今日まで税務当局その他の努力によつて、会社の企業経理というものを明瞭ならしめるということをなされて来ておるところのその努力に対して、却つて不明瞭な結果をば来すのではないかと考えます。この交際費を一定の額にこれを制限するということは、結局税の面から経理を統制するというふうな感じを抱かされるのであります。こういうふうなことは、この経理統制ほどむずかしいところのものはない、これは所期の結果を法律で収めても、却つてこれが守られないというふうな結果を来しはしないかということを憂うるのでございます。  それから今度の改正案にはございませんが、中小企業の面からして法人税について要望しておる一、二の点を申上げますと、これは同族会社の積立金課税というものを廃してもらいたいというところの要望がございます。勿論今日の法律でけ積立金は一般に課税するということになつておりますけれども、特別の措置として同族会社以外のものは積立金の課税というものはなされていないように承わつておるのでございます。ところがこの同族会社というものについて積立金に課するということになりますと、中小企業の場合においては同族会社的性質を持つたところの小法人というものが非常に多いのでございます。これは中小企業の特質であると考えます。こういうふうな場合において、単に同族会社であるということからしてこれに積立金に課税するということは、むしろ負担の均衡という点からして不公平になるのではないか。勿論この同族会社というものに対して積立金に課税をするという考え方は、同族会社というものの脱法行為という形式によるところの脱税を防止するというふうな、こういつたふうのお考えもあるかと存ずるのでありますが、併しながら、そういうふうな観点よりもむしろ資本を中小企業においても蓄積するという観点からして、同族会社の積立金の課税をやめてもらいたい、こういう要望がございます。  もう一つ、これは小法人の税率は協同組合並に引下げてもらいたい、こういうふうな要望がございます。現行四二%から三五%ぐらい、つまり協同組合と同じようなところまで引下げてもらいたい。これは小法人というものは法人たる性格を持つているけれども、資本的な性質を持つているところのものとは違つて、非常に勤労者的な性格というものを帯びている、こういうふうな観点からして、大企業の場合におけると違う観点において引下げても、それは決して不合理な、又不均衡なことではないのではないか、性質が非常に違う、大法人と小法人というものの間には非常に違う性質のものがある、こういう考えからでございます。  第二の問題は、これは今日非常に問題になつておりますけれども、中小法人が一定の企業組合とか或いは又有限会社とか、そういうふうなものを作つた場合に、それが形式上脱税のために作つたような目的を持つて居る場合において、それの法人格を否定して、個人所得税を課するというふうな法律案でございます。これは六十七条の二が問題になるのでございます。で、六十七条の二におきましては「法人に五以上の営業所がある場合において、その営業所の三分の二以上に当る営業所につき、当該営業所の所長、主任等又はこれらの者の親族その他の当該所長、主任等を命令で定める特殊の関係のある個人が前に当該営業所において個人として事業を営んでいた事実があり、且つ、当該所長、主任等が現に当該営業所に係る事業を主宰していると認められる事実があるときは、当該法人は、当該営業所から生ずる収益の帰属については単なる名義人であり、当該所長、主任等が当該収益を享受する者であると推定する。」推定すると、こういうふうにあるのでございます。この税法、特にこの税の通達というふうなものにつきましては、法律上或いは通達の文句というものが非常にむずかしうございまして、私たちでもこれを理解することが非常に困難な場合がたくさんあるのでございます。非常に正確を期しておられるために、又非常に難解な点もあるのでございますが、或いはそういうふうなことからいたしまして、私この条文の解釈について誤つておるかも知れませんが、誤つておるとするならば、又改めたいと思うのでございますが、私がこれを読んで解釈いたしまする場合において、中小法人であつて五つ以上の営業所がある場合、この三分の二以上の営業所の所長等が以前当該営業所において個人として事業を営んでおつたような場合、そしてそれが現在もその営業所の事務を主宰していると、主宰というのはちよつとわかりにくい言葉ですが、主宰しておるという場合においては、これは法人格のないものと一応推定して個人所得税を課するということであるのだろうと思うのでございます。このことは従来企業組合等によつて、通達によつてこれとはちよつと趣意が違いますけれども、一定の条件を備えていないところの企業組合というものは、これは税法上はその法人格というものを否定して個人所得税を課すると、他の言葉を以て申しまするならば、それは単に脱税の目的のために作つたところの架空の法人に過ぎないので、従つてその法人性というものを税の立場からこれを否認すると、こういつたところの建前から通達ができておつたようでございます。で、この点につきましては、従来企業組合について非常に大きな問題があります。現在一万の企業組合というものがございますが、こういうふうな観点からして、大体四割というものが今日企業組合は壊滅状態にあるということが言えると思うのでございます。若しこれらの企業組合その他のものが単に脱税だけの目的を持つてこういつた組合組織を作つておるといたしましたならば、これについて取締らなければならないということは税務行政上当然のことであると思うのでございます。併しながらここにあります場合においては、従来個人として営業所を営なんでおつたところの者が今度法人を組織して、それらの個人が従来の営業所を主宰しておつた場合において、この外形的な条件というものがあつた場合において、一応すべてを法人格のないものと推定するということ、この考え方自体は果して穏当な考え方であるかどうかということが、これが問題になるのではないかと思うのでございます。この場合におきましては単に企業組合のみならず、中小法人一般にこれが適用されることになるのであります、ここに述べられましたような外形標準の法人というものは、これは中小企業というふうな特質を考えました場合において、こういつたふうの場合というものは脱税ということを考えない場合においても非常にこういつた場合が多くあるのではないかと思います。中小企業の組織化というものの特質は、できるだけ中小企業者の個人の独立性ということを認めながら、これを資本的に或いはその他の点において共同するというところに中小企業の組織というものの特質があると考えるのであります。こういう意味におきまして、企業組合といつたふうのものの、或いは有限会社といつたふうのものは中小企業の組織化の形体として非常に妥当なものとして考えられておることは、国の法律においてそういつたところが認められておるところのゆえんであると思うのです。そうしてそういうふうな場合において中小企業の組織化ということを本当にやつて行くということのためには、大法人の場合とは違いまして、ここに述べられておるような外形標準を持つたような組織形体をとるということは、これは決して中小企業においては稀な例ではないのです。これが原則的なものであると考えます。然るにこういうふうな場合において、この外形標準があつた場合において、一応これをすべて単なる架空の組合として推定するというこの考え方、推定するということでありますから、恐らくみなすということは違うのであろうと思うのです。推定ということでありますからして、一応そういうものを法人格を持つていないものとして推定するのである。若しそれがそうでないということが納税者の側から挙証されるならば、それは法人格を否定されないことになるとは思うのでございますが、ここに問題になるのは、挙証の責任がこの納税者側にあるということであります。従来企業組合等におきましても、法人格を否定するということが非常に問題になつたわけでございます。併しながらこの場合において挙証の責は徴税者側にあつたわけでありますが、そのことは又非常に税務行政運営から困難な場合もあるという点で、今度は挙証の責は納税者側にあるということになつたのだろうと思います。この場合若しも中小企業者が経理その他の諸規定の点において、非常に大法人と同じような整備されたところの制度というものを備えておつたならば、或いは中小企業の側からして挙証するということは簡単であるかも知れません。併し御存じのように中小企業というものは、そういつた点については非常に能力が少いのであります。そこで仮に善意のものでありましても、これを挙証するということを中小企業者にその責任を負わすということになれば、非常にこの点において中小企業者が煩雑な思いをする、このことのために却つて中小企業の組織化ということを阻害する結果を来しはしないか、こういう点が考えられるのであります。この中小法人が外形的な一定の標準を備えた場合において、これを一つの脱税のための法人と一応きめてかかるという考え方自体が私は問題であると思います。今日におけるところの税制の考え方というものは民主的な考え方であり、申告制度といつたふうなものも、できるだけ納税者の側の言い分というものを認め、又これを信頼して行くという建前から今日の税制というものができておると考える。これが税制の根本精神であるというように考えるのです。然るに中小企業の企業組合等の場合において、一応これを先ず脱税的なものとして考えて行くというこの考え方自体というものは、税制の根本的な精神に反するのではないかと考えます。こういうふうな結果は事実上中小企業の法人化、組織化ということの発達を非常に阻害するという結果になるのではないか。特にここで問題となることは、こういうふうな場合において中小企業の法人格を否定して、そうしてそれに個人の所得税を課するという点であると思うのでございます。中小企業が法人であるということは、中小企業に関するところの多くの法律によつて合法的に認められておる点でないかと考えるのであります。これが税務の場合において、それは実質的に法人でないからして、その法人性を否定して個人所得税を課するということは、これは二元的な立場に立つておるのではないか、こういうふうに考えるのであります。勿論中小企業の場合において企業組合等が脱税の目的を以て虚偽の計算をするとか、或いは不備なる計算をしておるというふうな場合においては、その計算を否認して更正をすればいいと思うのです。これをしないでそれの法人格を否定するというふうなことは、税務行政の運営の便宜からそういうふうにするとしても、そういう行政の運営ということは税制又は税法の根本精神に悖るようなことで、単に便宜的にやるべき性質のものではないのではないか、そこでやはり私は、そういう脱税の目的を以てこういつたものが設立された場合においては、その計算等を審査して、そうしてその計算を否認し、更正決定をするというふうな立場をとつて来るならば、何人もこれを承認するわけであります。然るにそうでない場合においては却つて中小企業のいいものが育つて行くのを、これを税のほうから阻害するという結果が来ることを惧れるのであります。或いはこれに対して一応推定するというのは、これは推定するということであり、いいものはこれは勿論育成して行くのだ、悪いものを抑えて行くための一つの手段にほかならないのだ、従つてその運営については十分にこれをよく考えて行く、そういうふうに立法の精神では或いは考えておられるかも知れません。併しながら一旦これが法律となつた場合において、その税の運営の末端において非常に画一的に、こういうふうな法律を楯にとつてぐんぐんと、中小企業のこの要件というものに少しでも満たされないところのものがありましたならば、これを否認するというふうな結果になることを危惧するわけであります。従つてこの法律は是非この点につきましては御考慮を願いたい、こういうふうに考えます。  それから最後に私は、青色申告についても「言申しておきたいと思います。青色申告制ということ、これは今日余りまだ十分に個人企業の場合においては発達をいたしておりませんけれども、併しこれによつて税の方面からも中小企業において帳面をつけるという気風を喚び起したというこの大きな功績は、これは認めなければならないと思います。このために中小企業の金融というふうなことについても非常に便宜が与えられるという点、又経営を合理化するというふうな点についても非常に効果のあつたということはこれを認めなくちやならんと思います。従つてこういつた制度というものは今後もどんどんとこれを普及するように努力して頂きたいと考えるのでございます。併し今日大体東京都におけるところの状態を考えましても、個人営業の場合においては七、八分ぐらいしか普及していない。法人のほうは大分普及しておる。特に大法人の場合においてはもうこれが原則となつておりますけれども、その普及というものに非常に困難がある。税務当局の熱意にもかかわらず、これが十分に普及しない。この点についてどういう点でこれの普及を妨げられておるかというと、これは記帳が非常に複雑であるということが一つの原因であると思います。現在の税法によりますと、税法通りに個人の所得税を計算するということになれば、非常に複雑なるところの計算をしなければならなくなつて来る。併し中小企業の場合においては記帳の能力というものには一定の限界があるのであつて、そこでこの点から青色申告というふうなことが阻害されておるということが一つであります。それから又これは私はそう感じないのでありますが、税務当局のかたがたがこの普及に対して、特に首脳部のかたがたは非常に努力しておられるということは、それは十分に承知いたしておるのですが、末端に至るとややもすればこの制度に対するところの意義、認識というものがまだ十分でないということを各方面から聞くのであります。こういうふうな点もなお考えるべき点があるかも知れません。然らば中小企業を育成して行くということのためにはどういうふうにするか。これは一つは記帳を簡素化するという点であります。これは私はこの前にも申上げた点でございますから、ここでは簡単にしか申上げませんが、現在の所得の計算というものは非常に厳格なるところの発生主義をとつておるわけでございます。又費用と収益というものを対応せしめるというところの原則をとつておるわけでございます。これは近代的な大企業においては当然のことでありますけれども、中小企業の場合においてはこれを厳密に隅々までもやつて、この条件に少しでも欠けたものがあれば、それは青色申告の条件に満たないということでその計算が否認されるというふうなことになつたならば、これは非常に不可能を強いるというふうなことになると思います。そこでこの発生主義ということを緩和して、現金主義によつて応能主義をば加味して行く、例えばそういうふうな点からいたしまして売掛金とか買掛金というふうなものはこれは記帳はするけれども、その他小さいものはすべて現金の収支ということを中心にして損益を計算するということになれば、これはもう非常にこの計算というものが簡単化され、中小企業のほうでもやつて行けるのではないか。又貸借対照表を作成するというふうなことは、これは所得税の計算というものと直接関係が……間接的に複式簿記の原理に従つて損益計算の正確性を立証するということだけにほかならないのでありますから、この貸借対照表を作成するというふうなことはこれを緩和して、そうして厳密なるところのこの複式簿記の方法によらなくてもいいようにしたらどうか、この点は私は各国がそういうふうな立場を認めておるのではないかと思います。米国の上院に中小企業委員会というものがございますが、この中小企業委員会において中小企業のためには記帳を促進することが非常に大事であると言つて、その上院の委員会みずからが中小企業に適用さるべきところの簿記の方式というものを作つて、それによつて普及し、税等についてもそれによつて計算されたところのものが基準になつておるように考えるのでございます。そういう場合において、この内容を見ますと、主として非常に現金主義というものを中心としておる帳簿は非常に簡単で、たつた一冊の帳簿ですべてのことが間に合うような方式を考えておるようでありますが、米国のように比較的こういつたほうの記帳知識の普及しておるところにおいてすら、中小企業のほうにおいては簡単化することの必要が十分あり、そのほうが合理的であるというふうに考えられておるわけです。そこで日本におきましても、こういう中小企業の特質ということを考えられて、大きなところにおいては発生主義によるけれども、併し末梢的な点に余りこだわつて、やかましく言わないというふうにいたされることが、これが青色申告というものを促進して行くゆえんであると思うのです。併しこの青色申告はこれは単に帳面をつけて、それによつて申告するということだけではこれは普及しないように思うのです 何といたしましてもこれに対しては一時的な経過の措置として、これに対して青色申告をした者に対して、その誠実というものに対して特別の恩恵を与えるという措置を講ぜられることが必要でないかと思うのです。これを誠実者控除というふうな言葉を以て呼んでおるものもあります。青色申告をしたため却つて正直者が馬鹿を見るというふうな結果になることは、これはもうすべての立法というものについて最もこれは考えなければならない点であると思います。そこで一時的な措置として特別控除の制度を認める、例えばその税の二割とか一割というものを軽減する、こういうふうにいたしましたところで、税収全体については殆んどこれは関係のないことであり、このために又青色申告をする者が非常に多くなつて来る、そうしてそれが一つの制度として確立するようになれば、こういつたほうの特典というものは与えなくてもいいだろうと思います。これは奨励のための一つの政策に過ぎないので、理論的に言うならば或いはいろいろの議論があるかも知れませんけれども、この青色申告を促進して行くということは税制を合理化するという観点のみならず、他の点においても非常に大きな意義を持つておるのであり、而も今日においてそういうふうなことを促進して行くのは、これは税というものが非常に大きな要素を占めておるのであります。税の方面が決定的な影響力を持つという観点からして、やはり税のほうで考慮して頂きたいと思うのでございます。それで先に、私は一般的な中小企業以外の場合におきましても、事業主給与を損金に入れてもらいたい、或いは専従者控除の引上げをしてもらいたいどいうことを申上げましたが、若しこのことが一般になされない場合におきましては、少くとも青色申告者についてはこういつた点を特に認めて頂きたい、こういうふうに考えるのでございます。  中小企業に関するところの税の問題は、大企業におけるところの税の問題のように非常に調査研究というふうなものは行き届いておらないのでございます。又中小企業者は税の重圧ということは感じておりますけれども、それがどういうふうに改革したらいいかというふうなことについての発言力というものは非常に少いのでございます。従つて中小企業者は税の改革があると申しましても、税の方面に関するところの世論を、これを浸透させるというふうな組織力というものを持つていないわけでございます。又それに対するところの研究というふうなことは、学界、実社界においても殆んどなされていないわけです。私の本日の公述もそういう点において非常に不備の点があることを認めるわけでございます。併し一般に世論の声が少い、又その記帳の資料が欠けておる、或いは合理的な基礎付というものが欠けておるということは、中小企業の場合においては中小企業の特殊の事情に基いておるということを十分御考慮されて、どうか中小企業の保護育成という観点からして中小企業者の税の問題を御検討下さらんことを特にお願いする次第であります。この機会を与えられたことを厚く感謝いたします。

中川以良自由党

○委員長(中川以良君) 有難うございました。  それでは委員諸君より御質問をお願いいたします。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 お説には殆んど同感でありますが、先ほどの中小法人の、中小企業者全体の問題ですが、まあ脱税なんかを問題にすれば問題外で、そういうことでなしに、所得階層によつては法人組織に必ずしもしたほうが有利ではなく、個人企業のままでおつたほうが税法上から考えてもいい場合があるわけでございます。負担が少くて済む場合があるのです。そういう計算を先生なさつたことがございますか。

中西寅雄大阪大学教授(前東京都商工指導所長)

○公述人(中西寅雄君) 個人のほうがいいということですか。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 ええ。

中西寅雄大阪大学教授(前東京都商工指導所長)

○公述人(中西寅雄君) いや、私はそういう計算をしたことはないのですが、一般にやはり法人にしたほうが有利だというふうに伺つておるのです。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 それはやはり税率を四二%に置きますと、所得区分によつては必ずしも法人になつたほうが有利じやないのですね。私の計算でもそういう結果が出るのですが、一応そういう点を今政府のほうにも私は資料を出させるようにしております。  それから今の徴収猶予の問題ですが、これは私も今度主張しようと思つておつたのですが、ただ個人事業だから徴収猶予を法人並にするわけにはいかない、これはやはり青色申告をする個人に対しても法人並の徴収猶予をするということであるべきだと思うのですが、その点は如何ですか。

中西寅雄大阪大学教授(前東京都商工指導所長)

○公述人(中西寅雄君) 私は青色申告の場合には、いろいろの点で資料というものは確実な資料が得られるという点で青色申告者は特別の又恩典ということでよくすることは、これは勿論のことであると存じますが、併しこの問題は青色申告者でなくても、やはり事業を営んでおる場合において、その収益というものをすぐに現金化するということは困難であり、而もそれに対する金融の途が講ぜられないとすれば、他の企業と同じように、そういうものでないものにも猶予の制度を認めてもいいじやないかと、こういうふうに一般的に考えております。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 現在の制度では、青色申告に対する特典、先生の言われた税額控除というようなことまではちよつと行きかねておる。勿論そういうことも考えるべきですけれども、例えば繰越欠損にしても、当然事業をやつておる者に対しては認めるべきだが、やはり青色申告者に限つてというような点からいつて、きまつた税額なんだからそれを押えるだけのことで、その税額を査定する。繰越欠損とは今の延納、徴税猶予のほうとは、多少違いますが、きまつた税額についての納期ですから、繰越欠損と多少違うと言えばそうですが、一応こういうところに青色申告者とそうでない者との差を設けて行くべきじやないかと思います。

中西寅雄大阪大学教授(前東京都商工指導所長)

○公述人(中西寅雄君) その何のほうで特別の控除を青色申告者にするというふうなことが困難であるとすれば、それでまあこういうふうな点だけでも青色申告者に特典を認めて頂きたいということは、これはもう私も当然の点でございます。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 我々も昨日もらつたのですけれども、今の交際費の限度の政令案が出ておるのです。これを御覧になつて、一応業種別、まあ自己資本区分によつて、売上高に対する。パーセンテージを区分しておりますが、これは果して妥当かどうかというようなことについての御意見、あとでも結構ですが、承わりたいと存じます。

中西寅雄大阪大学教授(前東京都商工指導所長)

○公述人(中西寅雄君) 業種別にやるといつても、その均衡を保つというようなことをきめることが非常に困難であり、一律的にこれをやるといたしますれば非常な弊害が生じて来る。本来、併し私は事業でみずから進んで交際費を使いたいといつて使つておるということではなくして、いろいろな関係からして、商慣習からしてこういうふうなことがあるのではないか。これは事業を営んでおる場合において非常に必要な部分が多いのじやないか。それを無理に一定の法律によつてこれを抑えようとしても、これを抑えることはむずかしいのではないか、こういうふうに感ずるのです。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 今度のその規定は削除しろという意見ですね。

中西寅雄大阪大学教授(前東京都商工指導所長)

○公述人(中西寅雄君) そうなんです。そうしてそれが虚偽の場合であるか、或いは本当の事業の経費的性質を認めるかということを実際について審査してやつていいのじやないか。

中川以良自由党

○委員長(中川以良君) ほかに御質問ございませんか。……それでは誠に長時間に亘りまして貴重なる御意見を承わりまして厚く御礼を申上げます。   ―――――――――――――

中川以良自由党

○委員長(中川以良君) それでは次に高橋亀吉先生より御公述を願います。

高橋亀吉評論家

○公述人(高橋亀吉君) 私は極めて端的な意見になるのでありますが、税の今度の改正等を通じて現われております考え方等を通じても、少し考え直して見る必要があるのではないかと思う点を申述べまして責を塞ぎたいと思います。  というのは、大体金融でもそうでありましたが、税金も……従前においては金融には金融としての独自の原則がある、一般の政策に、国として政策に左右されるべきでない、こういう原則が長い間確立されていたのでありまするが、それが今日の資本主義経済の構造からいいますと、それは許されなくなつた。金融政策自身も他の国民経済の政策と離れては考えられない、これと密接な関連を持つて金融政策がとられる、そういう建前で金融運営の原則、新らしい原則が続々と生れておる。それと同じように私は税についても同じような変遷があるはずだと思う。私は税のほうの専門家ではないのでありますが、あるはずだと思う。と申しますのは、私どもも従来税制のいろいろの委員会にも出た時代におきましては、やはり税には税の原則がある。それをほかのほうの理由のために曲げるということは税の原則に反するというふうな答弁をよく政府当局から伺つたのでありますが、今日の場合におきまして、特に今日の程度まで税率が高くなつておりますというと、国民経済の全体の政策を立てる場合に税をどうするかということが大きなアイテムになる。税を通じて一つの国民経済政策の或る目的を達する。これは今日においてはもう離すことができない事態まで来ておると思う。然るに、では税の一般の税率或いは運営においてこの趣旨が十分にとられておるかというと、私はその点がまだ非常に欠けておるのではないか、今その過渡期にあるので、或る面においてはそういうものが考えられておる。又現に今度の税制の中にもそういう意味から、例えば資本蓄積の必要があるという面から見て従来の税の原則から言えば必ずしも妥当でない、それが資本蓄積という面から行われておるというふうに変りつつはありますけれども、併しその考え方がまだ非常に不足しておるのではないかと、こういうふうに思うのであります。而もそれが、その点について今度の税制、最近の税制の改革において現われておりますのは、大蔵当局がその利害をよく知つておる面においてはかなり思い切つた改正が行われておる。それは、第一はたばこ及び酒であります。今度の酒税を又下げる、これは脱税とか密造が非常に多い、その弊害を避けるためには税率を下げねばならない、つまり税の弊害の方面を非常によく見られて、それを是正するために税を軽減すると言われる。税の趣旨から言いますれば、たばこや酒やその他というものはこの際下げる時期ではないと思う。国民経済から言えば。併し余り高い税をとれば、密造の弊害が非常に大きくて、結局は大蔵省が損だ、そこで今度も酒税を第二次に二十五年に軽減された上に又今度も軽減される、そうして軽減しても税収入は減らない、こういうふうにおつしやつている。これは私は大変いい傾向だと思うのでありますが、この考え方を他の所得税、法人税が今日非常に高率である。その弊害が一体どのくらいあるか、その弊害の面をよく見て、これを改正する必要があるのじやないか。そこまで伸ばして見る必要があるのじやないか。私から言えば、今から申しますように、軽減をしても、酒造税を減らしたと同じように税収は大して減らないだろうと思うのであります。  そこで先ず私が問題にして、今酒造税をこの際引下げるという精神からいつて第一に問題になる点は給与所得だと思うのです。今度の所得税の改正によりますと、富裕税をなくするために三百万円超、五百万円超という新たな税率が加わつて六五%、こういう高い税率が加わる。これは社会政策から言いましても私は必ずしも反対ではない、とつて然るべしだと思うのであります。併し従来よりもごの意味においては所得税が非常に税率が上つたことになる。従来の税率においても、今日のこの高い所得税は……、これは私は今給与所得と申しましたが、財産所得に対してこれだけのことをかけるということは、これは問題ないと思うのです。財産所得に対しては弊害は割合に少い。併し給与所得、勤労所得というと私どもの原稿料も勤労所得になるのでありますから、そごまでとは言わない。税が少々多くても私どものほうには弊害がないのでありますが、給与所得については非常な弊害がある。というのは、こういう高い給与所得であるために、今日の会社その他の重役というものは一体どうしているのだというと、御承知のように重役は住宅も自動車も或いはその他の宴会費も、それを社用のものとはつきりしていない。重役をしておればそういうものが当然あるのです。それから各種のいろいろのクラブその他の会費も、甚だしいのは電話までも全部社で持つておる。それが一体どういう弊害を及ぼしているかというと、第一は非常な贅沢、浪費が行われておる。自分の所得で自動車を持つたのなら自動車は案外持たないだろうと思う自動車を持つておる。自分の所得でやつているのだつたらあんな豪壮な家には住まわないだろうと思う家に住んでいる。自分の金でやるのだつたらあんな交際費は使わないだろうと思う聲沢な交際費を使つておる。私自身もときどきプライベートな会でこんなに金を一体どうして使うんだろう思つてよく聞いて見ると、社の交際費で出る。自分の費用じやこんなことはやれないだろうと思うと、まさにその通りなんです。    〔委員長退席、理事大矢半次郎君委員長席に着く〕 ここに第一は非常な浪費が行われておる。第二には公私混淆が行われておる。この結果どういうことが起るかというと、社員全体の綱紀を取締ることができない。自分がやつているんです。又今の所得税の税率では、会社のほうから言わすと、とれだけの税率を払つて、而も重役として必要な場合の費用を出すのに、自分だけでやるとすれば非常に高いものを出さなければならん。それより今のように社のほうで出しておくほうが税金は一文もかからない。少々賛沢をやらしてもそのほうが会社としては有利である、重役もそのほうが有利である。そこで非常な賛沢が行われておる、浪費が行われておる。その上にさつき言いますように、これは自分が公私混淆の経費を使つておるのでありますから、社員全体の公私混淆の費用を取締ることができない、非常な綱紀の紊乱です。いわゆる社用族の跋扈を来しておる。これは一体日本の、特に今貧乏な日本でどれだけの大きな弊害を起しておるか。料理屋や温泉などの大部分のお客さんというものはそういうお客さんだと言われているんです。この弊害というものを適当に評価されておるかどうか。成るほど今度の法人税で交際費を或る点まで制限しよう、それも余り見かねての案だろうと思うのですが、これは枝葉末節でありまして、根本は以上申しましたようなところに非常な弊害がある。この弊害を適当に評価されれば、たばこや酒造の密造で困るという以上の国家の損であります。非常な損であります。損ばかりじやなしに、道徳的にリジエナレイトさせなければ、国民全体が堕落してしまう。これを放置しておいていいか。これが第一の問題であります。大分前でありましたが、前に日銀の平理事をしておつたかたと会つて話をしたことがあるのですが、その人の話には、我々日銀の平理事であつても、理事になると自分の自動車を持たされた。いやしくも理事たる者が銀行の自動車を使うというふうなことであつたら爪はじきされた。公用の場合に使つても自分のポケット・マネーで皆やつたんだ。御承知のように重役をやる、或いは重役ばかりではない、皆さんにしても、官庁の局長級以上になれば交際が公のものか自分のものか区別のできないものがこれは多々できて来る。当然なんです。はつきりした社用のものを社で使うということであつたらこれは弊害はない。けれどもそれでは今の給料じや食えない。それはやつて行けない。そのときに、丁度当時……今名前だけは何ですけれども、日銀の副総裁をやつた人と一緒だつたんですが、その人は、今私なんかは全部銀行に何も彼も依頼しなければ食つて行けない。私用であろうが何であろうが、自動車なんかでも全部依頼しなければ食つて行けない、こういうことを言われたのであります。  ここで問題は、私はあとで述べますが、法人税の交際費を取締るということは私は賛成なんですが、併しそれは手段方法が枝葉末節に捉われておるのであつて、根本はなぜそういうことが起つたかというと、今日の所得税にある。所得税の中でも給与所得税にある。これを適当な率にして、そうして重役やその他の当然自分の所得で支払うべきものは全部所得で支払われて、それで会社その他からは今言つたような公私混淆のことを一切させない、そういうことをやつたら涜職罪、汚職罪にするぐらいの規則を設けてやらせない、そういう措置を所得税について講ずる必要があるのじやないか。どのくらいにしたらいいかということは、これは専門家に研究してもらわねばわからない点でありますが、仮に一つの標準をおけば、利子所得に対しては源泉選択税率が今度は四〇%になつて来る。あそこまではやつていいじやないか、四〇%以上取らない、資本蓄積の必要上、当然もう少し税をかけていいはずの財産所得に対してすら源泉選択をやれば四〇%でいいということを認めるならば、それ以上遥かに弊害の多い給与所得に対して上から六五%取る、こういうことは当然変えるべきじやないか、まあ四〇%もまだ多いかも知れません。併しそうしても私は税はそう減らないと思うのです。何となれば今まで会社の経費で出されたものが、今度は重役の所得という形で税が入るのでありますから、そのために税所得は減らない。ただ、今までの高額の所得のある者に高い税をかけるのは当然だという考え方、これは決して私反対じやないのであります。従つて財産所得に対して、私なんかのように原稿印税で食つておる人間はこれは高くてもいいのです。隠しようがないのだからこれはいいのであります。或いは芸能人その他はうんと取つてもかまわないけれども、今申したような給与所得については高い税というものは非常な大きな弊害があるということは事実なのです。国としても非常な大きな損失を今している。であるならば、そこで考え方を変える必要があるのじやないか。そうして給与所得に対しては以上申上げましたような改正をすると共に、公私混淆の費用を会社に対しては絶対に認めさせない、乃至そんなことをやつたら重役に対しても汚職罪としての懲罰を加えるというような規則を作つて、この際相当の税率を下げるべきじやないか。一体私どもが非常な不思議に思つており、不均衡極まると思つておりますことは、我々の全体の所得に比べて宴会費だとか旅費とかが非常に高いことです。例えば皆さんの歳費に比べて一等車で自由に歩ける、随分不均衡だと思うのです。一等車で歩ける人があんな収入で均衡がとれておるのですか、皆さんの歳費が……。これは国民全体そうなのですが、多くのところそうなのですが、なぜそういう不均衡極まることができておるかというと、当然自分のポケットから出すべきやつを殆んど全部社その他の形で出るものですから、そういうものはぜいたくです。非常にぜいたくなんです。自動車一つにしても非常にぜいたくになつておる。私どもが講演に行きましても、自分が一等に乗つておるからというので、私なんかにも行く時はやはり一等でなければ失敬だと思つて一等にされるんだが、報酬に比べると話にならない、報酬に比べれば……。そういうような不均衡なことができておる一面は、一つはこれは戦後日本が植民地化した。アメリカの標準でいろいろなものができて、それに日本人がまねておる。丁度戦前の中国において私はそういう批判を某総督に話したことがあるんですが、これでは中国の回復は駄目だ、あなたがたは上海や香港をまねて都市を作つておいでになる、上海や香港は中国の国力から生れた都会じやないんだ、イギリスその他の植民地としての都市なんだ、それをまねて作るようではこれは駄目だ、我々は工場を見に行つて、工場の事務室だけは非常に立派なビルディングだが、工場そのものは非常に貧弱だ、そういう工場を見せつけられれば、この事業は駄目だと判断せざるを得ない、それと同じように都市やその他が立派でも、国民の大部分の生活がそれとかけ離れているというそういう状態でその国が発達するはずがない、こういうことを申したら非常に歓迎せられた。そういう状態に今日本はあると思うんです。いろいろの理由もありますが、その一番大きな根本は今申しましたような税制にある。税制がこれを可能ならしめておる。そういう意味において給与所得はこの際根本的に考え直す必要があるのではないか。酒造税を引下げたり煙草を引下げたりしたが、それ以上大きな弊害があるという考え方で、ここで所得税の考え方に革命を起す必要があるのではないか、それは今の考え方から言えば当然なのであるが、今までの考え方から言えば革命になる。その点が一つ、この際問題にせらるべき点ではないかと思うのであります。  第二は法人税であります。法人税についても、これは今の高い率というものが非常に弊害を来しておる。成るほど蓄積がすでに十分できておる国におきましては、或る点まで法人税を高めてもその弊害は割合少いでしよう。事実又日本の法人税が英米に比べて特に非常に高いというわけではない。そういう理由で日本の現在の法人税というものが是認されようとしておりますけれども、これは根本の事情が違うのでありまして、日本は敗戦後蓄積が非常に減つておる。特に企業の資本蓄積が非常に貧困なのです。そういう場合にすでに資本蓄積が十分である国の税制をそのまままねるというのは間違いである。現にドイツのごときは、私専門家でありませんから又聞きでありますけれども敗戦後暫らくは資本投資に向けたものに対しては非常に減税をしておる。殆んど無税に近い減税をして資本蓄積を十分にせしめておる。そこでドイツの企業の特色は殆んど借金がないということである。大部分のドイツの企業は現在殆んど借金がない。然るに日本は全く逆です。借入金が非常に大きい。戦前においては企業の資本構成の六割何分が自己資本で、三割何分が借入金だつた。現在は逆です。自己資本は三割何分で、借入金が六割何分です。こういう資本構成をしておりながら、すでに十分の蓄積を持つているアメリカ、イギリス等の率と比較して、高くないという見方は、通るか通らないかということが第一に問題になりますが、併し根本はさつき言いましたようなこの弊害が一体どういう弊害を来しているか、丁度酒造税、たばこ、あの税は必ずしも苛酷でないが、非常に弊害が多いというので下げるとすれば、この弊害は一体どのくらいあるのだということが十分考慮されているのかいないのか、理解されているのかいないのか、それが問題だと思うのです。さつきも法人の金の使い方が多いと、こういうことでありましたが、これは一つはさつき言いましたような重役等の所得税との関連もありますが、もう一つの大きな理由は、法人税が高率であるということにある、大体ほかのものを加えれば五割余りの税金がかかる、どうせ税金にそれだけとられるのだつたらということと、さつき言いました綱紀の紊乱が税の方面から全体に瀰漫しているために、非常に濫費が行われておる。これが法人税の四割二分と、ほかのもので五割を持つて行かれるということから起つて来る一般的の理由であります。その意味において、これをなくする必要があるのでありますが、そのほかにただ浪費というばかりでなしに、資本構成が今のように低いということは、どういう影響を及ぼしているかというと、第一は、企業の抵抗力が非常に鈍くなつておること、銀行から借入れられるだけは腹一ぱい平時において借りておりますから、万一ここに不況が来る、少し物価が下る、そうするともう企業金融はにつちもさつちもつかない。そこで僅かの景気の波動で半恐慌状態が繰返されておる。そのたびに国としては直接的にはやつていないけれども、間接に相当の救済費を出しておる。ほつておいたのでは全体の機構がとまつてしまう。だから相当の危険を冒して、日本銀行を通じ、市銀を通じて救済的貸出をやる、こういうことをやつておりますが、それでも十分の救済はできないので、僅かのことで国民経済の波動が非常に強い。その大きな上つたり下つたりで犠牲になる、一番大きく犠牲になるのは誰かと言えば、中小企業であり、労働階級であるというような大きな弊害を起しております。第二には、金利を非常に高くしておる。金利が高いということは、日本の国民経済全体に非常な重圧になつておるのでありまして、何かの金利が高いということは、資本家や事業をやつておる人だけのことのように考えるかたもないではありませんが、そうではなしに、金利が高いということは、結局は国民の労働賃金等が抑えられる、安くなるということであります。アメリカの金利と日本の金利の差だけで計算した場合には、一日五百何十円の日給に相当するほど、金利がアメリカなみであれば、日本は従業員一人当りに近代産業においては五百何十円日給を払つて競争ができるのです。それだけ金利が高いのでありますが、なぜ金利が高いかと言えば、一体金利というものは、それを借りまして新たに事業を起して引合う、そういう算盤がとれる率以上に金利が高くなるはずは原則上ないのです。そんな高い金利を払つては引合わないので、資金の需要はないはずです。今日大部分の事業において、今の金利で新規に事業を興したら、皆損です、引合わないです、金利が高過ぎるから……。なぜ然らばそんな高い金利があるかというと、資金の需給関係だと言われておりますけれども、もう一つ掘り下げて言いますと、借金を多くの事業がしておるからです。その借金も過去の借金が払えていない。過去の借金の切替えが今の資金需要の大部分を占めておる。そうするとどういうことになるかと言いますと、期限が来れば、金利の高い低いを問ういとまがなしに借りざるを得ないのです。一種の高利貸的金利が成立する基盤がそこにあるのであります。これが何といつても日本で今あれだけ金利が高い根本の理由であります。その因はどこにあるかというと、資本構成がなつていないということ、その一つの大きな理由は、法人税が高率で、自己蓄積が十分にできていない、浪費が行われている、こういうことにあるのでありますが、もう一つは、今の税制では借入金をすれば、その利子、例えば一割は経費にみなしている、配当をすれば、つまり自己資本で、株式で資金を調達して配当をすれば、同じく一割をやるについても、約五割の税金がかかつて来るわけです。五割の税金がかかつて来る。だから同じことをやるにしても、片一方は一割の配当をし、一割の利子を払うとしても、配当で一割払おうとすれば、片一方一億円に対して一千万円で済むやつが、一千五百万円要る、同じく一割で……。いわんや配当は不況の場合には無配にもする、こういう危険がありますから、金利と同じじやない。少くともこの際二割なり二割五分払わなくちやいけない。そうすると株式で資金を調達するよりは、借入金で借入をするほうが二分の一、三分の一安くて済むという形になつて、増資が行われていない。今日増資を行なつておる会社は、大部分は銀行等の借入金の関係上いやいやでも増資せねばならないものだけが増資しておる。優良な会社で十分なところは、そういう必要のないところは増資しない。これが又資本構成を悪くしておるのでありまして、この意味においては今の金利を、同じく資本に対する報酬でありながら、金利であれば経費になる。配当であれば利潤からとつたというので約五割内外かかる、税が課せられる。これはおかしいと思う。そういう面も今日の資本構成を悪くしておる理由であります。そうして又こういうことをやる結果どうなつておるかというと、例えば昨年の十月頃から今年の二月の初め頃までに起きたような株式等に対する非常な不健全な投機熱、投機思惑を助長する基盤を作つておる。このために国民の多くは、大衆はどのくらい損をしたか知れないのでありますが、とにかくそういうふうに増資を当然行なつていいものを行わない、こういうことのために株式が総体的に不足して、いわゆる品がすれ相場というものを出して、あんな熱狂相場まで来したのであります。そういうことを考えて見ますと、法人税についても弊害が大きい。国民経済全体に対する弊害がどんなに大きいものであるかということは、容易に想像して頂けるのではないかと思うのであります。  そこで、どういう対策をやるか、今度の税制改革では交際費、機密費等に一定の限度を置こう、こういうわけであります。これは今中西さんのおつしやつたように、中小企業においては恐らくそういう弊害はないと思うのでありますが、大きな法人においては、さつきも言つたような非常な濫費が行われておる。これは当然私は制限すべきであり、のみならずこればかりでなしに、更に制限すべきは厚生費だと思うのです。厚生でも必要な厚生費はいいですけれども、厚生費の名において国家から幾らかでも補助を要求しているような、大きな会社がノン・プロの野球団に年何千万円を払つている、そんなことが平気で行われて、そうしていろいろの救済を仰ぐ、こんなことが平気に行われていていいかと思うのです。行過ぎた厚生費も当然交際費の中に入れるべきだと思う。厚生費という名においてどのくらい大きな濫費が行われておるか、さつきも言いますように厚生費必要ですが、それは所得とおよそ見合つた厚生費であるべきです。ところが今日の厚生費として現われているのは、所得と無関係な賛沢な厚生費が使われておるのですが、私はやるのだつたらそこまで行くべきだと思うのでありますが、併しそういう面でこれを制御しようというのは枝葉末節であつて、根本はやはり法人税それ自体の税率を成る点まで下げる、こういう政策をとるということが根本対策だろうと思うのです。  そうすると、一体どのくらいまで下げたらいいかという問題でありますが、一つは私は税収入を余り減らさずして下げるという途があると思うのです。それは現在の法人税のうちで、配当所得に廻されている分につきましては、株主に代つて法人が約二割五分を支払つているという建前で、配当控除が約二五%付いております。これは株主のほうから言えば、今の税制のほうが有利でありますが、国民経済全体から言いますと、私はこれをなくしちやつて、それだけ法人税を下げるべきだと思うのです。そうすると国庫の収入は変化なしです。而もこの二割五分の控除というのは、大衆には殆んど均霑していない特権です。一定の所得額以上の者には非常に有利でありますが、全体には均籍していない。で、これを仮に税引所得の半分を配当に廻すとすれば、法人税の今の四割二分を三割に下げても、大体税の表面から言えば差引きない、国庫の収入は差引きないという計算になると思うのです。  実際は二割五分の特典を受けていないものがたくさんある、放棄している大衆が多い。ですから税の実収の上では若干減るかも知れませんが、併しそれは当然払うべき筋のものを国庫に払つていないのだから、不当所得なんですから、それを考えれば法人税を三〇%に下げるのは容易にできるのじやないか、この点も今日のような日本において資本蓄積が特に必要だ、こういう基盤、事情を考えてやれば、この点当然一つの問題にしていい問題じやないかと思うのであります。又それができないということ、或いはできましても、配当所得と利払との間に課税標準が違う。一方は経費であり一方は利益だからだ、こういう課税の仕方をするということは、さつきも言いましたように、企業の資本構成の健全化を阻害するところの弊害が非常に多いのでありますから、少くとも配当一割までは金利なみに経費とみなす措置をとるべきだと思う。ここにおられる中西さんが専門でありますけれども、実は戦時中利潤制限をしようというときに、中西さんらを中心にして多分できたと思うのですが、それは使用総資本に対して幾ら、こういう案であります。私はその当時日本の実情からいうと、それではちよつとピンと来ないから、やはり自己資本に対して何割なんぼと、こういうほうがいいのじやないかというのでありましたが、これは実際においては私が負けたのです。でありますが、考え方は中西さんや当時軍が取り、或いは物価統制において問題になりましたように、使用総資本に対して幾らと、こういう見方が理論的には正しい。そこで、そこから言いましても、その間に課税が違うということは、さつきも言いますように、ここまで課税負担が強くなりますと、企業の資本構成上の健全化に非常な不利な点を及ぼしますから、この点は当然今申しましたような改正をすべきではないか、こういうふうに思う次第であります。  私の申上げます点は極めて大雑把でありますが、評論家としては一つ所得税、法人税について頭をこの際切替えて考え直して見ることが必要ではないか、そういう趣旨の下に私見を申上げた次第であります。こういう機会を与えられて有難うございました。

大矢半次郎自由党

○理事(大矢半次郎君) 御質疑のあるかたは御発言を願います。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 法人税ですが、私がいろいろ計算したところによりますと、価格変動準備金だとか、或いは退職給与引当積立金、或いは租税特別措置法、企業合理化促進法による特別償却、今度できる輸出損失準備積立金とか或いはまあ輸出振興のための海外支店、出張所に対する特別償却、こういうようなものを入れますと、当然四二%の税率で坂らるべき法人税収入と、そういう特別軽減措置によつて軽減された法人税の減収率、これを差引きますと大体三五%しか取つてない。ところがそういう特別軽減措置にあずかる法人というのは、業種によつても限られておるし、おおむね中小法人はあずかつておりませんが、中小法人に限らず、大法人でもその業種によつては非常にアンバランスがある。そういう個々の軽減をするよりは、もうすでに実際問題として法人税収は三五%しか入つておらないということであれば、一応この際先生のおつしやつたような意味における税率の引下げということも考えられますので、もうそういう特別軽減措置をやめて、三五%としても国家の法人税収入は変りがないという状態になつておる場合において、法人税率は一律に下げたほうがベターじやないか、成る程度個々の軽減措置ということも意味がありますが、併し法人税の負担を一般的に軽減せしめるという意味においては、一律に法人税率を下げたらどうか、こういう見解に対してはどう思われますか。

高橋亀吉評論家

○公述人(高橋亀吉君) これは、私はやはり今度特殊の軽減措置が行われましたものの大部分というものは、丁度今度第三次固定資産の再評価が行われますが、その結果今までに比べれば税負担は減ります。が併しそれと同じ性格のものだと思います。当然今まで取るべからざるものを取つておる。つまり実際の所得でないものです。そういう面が半分じやないかと思います。それから一つは或る産業政策として使つておる。例えば貿易輸出の一種の補助政策、保護政策として使つておる。これは外国が使つておるから使わざるを得ない、こういう情勢で、その面において明らかに税というものが一種の経済政策として大きな役割をしておるという面が出ておると思いますが、この面は否定できないのじやないかと思う。ですから、まだ減価償却等が十分でない面があるわけですけれども、現に炭鉱業者等は陳情もありますが、私はあのうちには七、八割以上の理由があると思います。坑道を掘つて、ものがなくなればその坑道を捨てなければならないやつを、今まではそれを資本支出として見るなんということはどうかしていると思います。ただこれは戦前の物価統制時代に原価計算をやるときに、物価をきめるときそれは原価と見ないというやり方をやつただけなんです。それがそれなり税のほうに使われておる。そこにも非常に不合理がある。そういう面が相当あると思うのですから、ここにおいてやるべき点は大いにやるべきで、さつき中西さんもおつしやつたように、中小企業に対しては中小企業の特殊事情を考慮したものを考えると共に、一般の税率は一般の税率としてやる。これはやはり弊害が多い。そういうことをやつてもなお高いというと浪費します。いろいろなことを計算します。だから税率をもう少し下げる工夫をすべきじやないか、一般は一般でやる。個々のものは個々のものでやる。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 それは税の関係からどつちをとるかということになつたときには。

高橋亀吉評論家

○公述人(高橋亀吉君) 税収は今の一般のものは一般、個々のものは個々のもので下げるようという形をとれば、余り税収は減らないと思う。二割五分控除しておりますからね。それをなくして、それだけ下げるという形にして、私は理論的に一割二分は下ると思います。併し、まあ実際はもう少し減りますけれども、減つても実際上はそういうことをやればいろいろの収益が殖えて来ますから、率で減つても自然増収的にほかのほうも殖えるから、余り減らないと思う。そういう形で片方のほうはやれるのじやないかと思います。

大矢半次郎自由党

○理事(大矢半次郎君) 委員外から発言の要求がありますが、上原君の発言を許すことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大矢半次郎自由党

○理事(大矢半次郎君) それでは上原君。

上原正吉自由党

○委員外議員(上原正吉君) ちよつとお尋ねいたしたいのですが、先ほど交際費なんかにも当然制限を加えるべきであるというような御意見でしたが、従つて交際費なんかに制限を加えるのは当然の話だという御議論ですが、それは当然といたしましても、その制限を税務署独自の判断で加えるという立法のやり方は不都合ではないか、こう思うのですが、お考えはどうなんですか。

高橋亀吉評論家

○公述人(高橋亀吉君) これは今中西さんなんかのおつしやつたように、一律にここに現われているような形でやつていいかというようなことになると、相当一律にやるということは弊害があるでしよう。然らばどういうふうにしてやるかということになると、いろいろ問題がある思うのですが、併し私の考え方は、その故に必要なし、削除しろというのは飛躍だと思うのです。あのやり方がいけないとすれば、弊害のない取り方というものをどう考えるか、こういうふうに考えるべきだと思うのです。そこまではどういうふうにしたらいいかということは、業者その他みななくせるという意見だから、対案ができていないのですけれども、やるとすれば相当いろいろな案が出るだろう患います。いろいろ聞けば妥当な率が出るだろうと思います。

上原正吉自由党

○委員外議員(上原正吉君) 妥当な率とか救済方法とかいうものを考える必要があるとお考えですか。

高橋亀吉評論家

○公述人(高橋亀吉君) それはここに出ているように一律にするのは無理な点が相当出て来るでしよう。事業によつては相当そういうものの多いものもありましようし、割に要らないものもある。ですから、この趣旨では浪費の取締はできないという面が相当出て来るでしよう。これでは困るという面も相当出て来る、こういう面もあると思うのです。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 ちよつとお尋ねしたいのですが、今の社用族の問題については、全く先生のおつしやる通り同感ですが、併し例えば今のような住宅、或いは自動車とか交際費、電話そういうもの一切重役なり高級社員そのものの負担にしようとした場合には、それだけその給与を相当殖やさなければならん、こういうふうにせんと、とても戦前のようなところまで引上げようとする場合には、今の貨幣価値から考えまして、給与は先ず百万円くらいな給料、月給取りということにならんことには、ああいう生活はできんと思うのですが、先生のおつしやるのはそのくらいのものは拵えもいいからそこは所得税のほうのなにを減してやればいい、そういうものを拵えよ、こういう御意見でございますか。

高橋亀吉評論家

○公述人(高橋亀吉君) そうでございます。尤も戦前の重役というものは、半分は……。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 月給取りじやなかつたのですね。

高橋亀吉評論家

○公述人(高橋亀吉君) 資本家だつたのですね。資本家的な所得をとつておつたのです。その例は、例えば明治三十年代から四十年の初め頃は何ですね、重役というものは企業の全利益の一割から二割をとつているのですよ。これは多過ぎるというと、それはその時代には給与だと見なかつたのですね、多くの重役が自分の資本の当然の所得と思つているから、それは大きいと思わなかつた。ところがいわゆる使用人から重役になつた人がそこへ来ると、これは非常に高過ぎるというふうに感じたのですね。そこで富士紡績の社長をやつていました和田さんが、重役賞与を三分にしちやつて、三分の一がたしか労働者に、三分の一はほかの職員に分けてやり三分の一を自分たちの重役に、こういうことをやつたのですね。それから三井辺でも池田さんの若い時代には重役はやはり全体の利益の一割をとつていたのですよ。これは多過ぎるというので減らしたのです。だから戦前の重役の給与というのはそういう色彩があつて、丁度官吏の給与が明治初年には知事が何ですか、各大臣は一万石の大名扱いにするというふうな封建的な色彩が強かつたやつがだんだん変つたように、今日においては戦前の標準というのは必ずしも妥当ではないと思つていますが、併し今当然使つているのですから、それは相当減らし得るわけです。私はやつて行けるだけの給与は上げるべきだと思うのです。それがいかなければ交際費という形で与えるか、それから今のような四〇%という仮に率を出しましたが、そういう特別なことがいかないというのだつたら、僕らの原稿料収入に対して経費を見てくれるように、この重役に対しても重役業としての経費というものを相当見て、交際費というものを相当見てやつていいようにするか、まあとにかく実際の税のほうの技術の面は専門家のほうでいろいろどつちがいいかということは考えられるでしようが、そういうことを考えられて収入を殖やしてやる、重役の収入を殖やす。併し今の実際の収入を殖やすというわけじやない。今まで実際払つているのを給与の形で渡すべきだということですね。そういうことを標準にして、それで実際いろいろやつて行くにはいろいろな浪費があるから、その何割かを減らした分の経費を見て考えてやるという方向に持つて行くべきじやないか、こういう考え方なんです。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 それからもう一つ、今も上原君がちよつとお尋ねしたのですが、厚生費の問題ですが、これは量より質で以て制限すべきではないかと、こういうふうに私は考えるのだが、今もおつしやつたようなプロ野球に寄附したり、厚生費の名目でこれは政治献金ではないかというような厚生費を出しているところもあるそうです。そういうようなのは制限すべきであるが、例えば工員の住宅を建設するのであるとか、運動場を建設するのであるとかいうようなのは、これは税務署が見ればすぐわかるのでございますから、そこは質で相当制限すべきでないかと思うのですが、どうでしようか。

高橋亀吉評論家

○公述人(高橋亀吉君) それは確かにそうですね。私どもの言つたことを正確に分析すればそうなんです。質です。随分厚生費という名目や形の浪費が多い。当然の厚生費でないものを厚生費に使つている部分も随分あるという意味なんですから、あなたの趣旨に同感です。質で行くべきだと思います。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 それからもう一つお聞きしたいのは、株式に対する投機熱を助長したというので、先生のおつしやるのは、できる限りこの際増資をやるべきである、こういう御主張でございますか。

高橋亀吉評論家

○公述人(高橋亀吉君) そうです。そうすることが全体として金利を安くしますし、それから資本構成をよくして、今後の不況時に対して抵抗力が非常に強くなる、株式市場も思惑、悪質の思惑の余地がなくなるという影響、いい影響が来る。

大矢半次郎自由党

○理事(大矢半次郎君) ちよつとお諮りいたします。午後の公述の関係もありますので、この程度で午前は打切つて頂きたいと思います。如何がでございますか。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 ちよつともう一つ、もう一点だけお聞きしまして……。ところが、実際には増資のできるような会社がわざと増資をしないのは、今三割なら三割の配当を維持したいために、金利でやつたらまさか三割につかない。かなりもつと安く行くのじやないか、金利のほうが安く行くからというのは、高率配当を維持せんがために増資を渋つておるという面もあるのじやないか。それから株の値段を或る程度に、会社のといいますか、誇りというか維持して行きたい。それには増資をして株数を殖やしたのでは、株の値段も下るから増資を渋つて行こうという面もあるのじやないか。

高橋亀吉評論家

○公述人(高橋亀吉君) そういう面も若干あると思うのです。特に今増資を渋つておるというふうな点から言うと、重役が自分の腕ではそうは儲けていないのに高い配当をしておる場合には、自分に腕があるように考えられ、重役賞与もそれだけ取れるという、そういう不健全な考え方の面もあると思うのです。併し金利が下りますれば、配当の標準率というものはだんだん下るのです。恐らく今後は、例えば銀行だとか電力会社だとかいうものは一割二分がほぼ妥当で、それから二割との間、それ以上は高率配当という形になるのじやないですかね。今後は金利が下がれば配当の標準率が下つて来るのです。今その傾向にあると思うのです。そこでさつき言い落したことになるのですが、それに関連して起る問題は、社内保留は今のよりもう少し下げていいのですが、一定率以上の配当に廻すものについては、高い税率をかけたらいいじやないか、利潤に対してじやない、利潤に対しての累進ではなしに、例えば配当二割以上のものを高率配当と見て、これを超え金額に対してはもう少し税金をかける、税をとる。こういうことをやればもう少し今あなたがおつしやつたような、不健全な考え方から増資を渋る、高率を維持しようという面を是正して行けますね。それをやつたところが邪魔にはならないのです。だから法人税を減らして、そこから減収が起るやつを、そういう形において補うという途もあると思います。今のように、日本のように、配当に廻す金にも、社内保留にも同じ税率でかけておるのは、今のような日本の時代には必ずしも妥当でない面がある。現に社内保留は相当安いところもある。たしかイギリスもそうでしよう、あなたの専門のイギリスやなんか安いですよ。そういう例をとつたらいいと思うのです。

大矢半次郎自由党

○理事(大矢半次郎君) それでは高橋先生には長時間貴重な公述を頂きまして、誠にありがとうございました。午前はこの程度にいたしまして、午後は一時から続行いたします。    午後零時四十一分休憩    ―――――・―――――    午後一時三十五分開会

大矢半次郎自由党

○理事(大矢半次郎君) 午前に引続きまして会議を開きます。  慶応義塾大学教授高木先生にお願いいたします。

高木壽一慶応義塾大学教授

○公述人(高木壽一君) 御指示に従いまして、税法の改正を中心といたしまして私の考えておりますことを若干申述べさして頂きたいと思います。  日本の財政は、昭和二十四年度にドツジ公使の指示に従つた予算の超均衡予算への転換後、又再び本年度に大きな転換をいたしておるように思います。なおその中で税制改正の問題も一つの大きな役割をしておると存じます。昭和二十八年度予算の説明書その他におきまして、日本の国民所得に対する租税の負担の割合を、よく、国税一五%地方税五%、併せて二〇%内外であるということが示されておりますが、私はこの点につきまして非常な疑義を持つております。概数、私の考えることを申しますと、租税及び印紙収入に煙草税即ち煙草専売益金、これは租税、専売でありまするから租税に準ずる租税であります。それを合せますと、八千四百八十億になります。租税印紙収入が七千八十億であります。これに煙草の専売益金千四百億を加えまして八千四百八十億になります。そこへ社会保障料、これは実質的に社会保障税でありまするから、社会保障料即ち社会保障税、これは昭和二十七年度の当初予算の数字をとつてみましても七百六十億に達します。合せて国税において、国税に準ずる収入九千二百四十億になります。それに地方税を加えますと、地方税はこれ又、昭和二十八年度予算の説明に上つております数字をとりますと、百五十億増収と相成るということでありますから、合せて地方税三千六十億となります。概数国税、地方税の総額は一兆二千三百億であります。この数字が従来言われておる数字よりも大きくなつておりますから、私は現在の、本年度における国税地方税の総額は一兆二千三百億を超えると思います。一方に、国民分配所得の計算は五兆六千七百四十億と推計されておりますが、この五兆六千七百四十億という推計は私はやや過大評価されておるように思います。併しその推計の内容について只今いろいろ分析を申上げる場合でございませんが、その分配所得五兆六千七百四十億のうちには租税負担能力の全くない部分があるはずであります。これは当然所得税において基礎控除を認め扶養控除を認めるという趣旨から申しましても、全く租税を負担する力のない者即ち最最低の生活費に充てる収入しかない者もあるわけであります。一体どれくらいの収入が最最低の生活必要費であるかということについてはいろいろ推計をなされるわけでありますが、仮に一と月に二千五百円の収入、月に、現在の貨幣価値で、二千五百円で生活しろ、これは、できるはずはないと思いますが、仮にそういたしまして年額三万円と仮にいたしましても、日本の人口八千五百万を超えるものといたしますと、これで最低生活費だけ、租税を負担する力などは全くない部分がどれくらいあるかと勘定いたしますと、これで約三兆円近くになります。これは租税を負担し得る力の全くない部分を示すものと思います。差引いたもの二兆五千億ばかりのものに対しまして、只今申上げました国税及び地方税の総額一兆二千三百億を超えるといたしますと、現在の日本の国民の租税の実質的の負担は五〇%内外であります。然るに従来の一般に言われておる国民所得に対する租税の負担の割合は二〇%であるということは、これが実態を示さないことになろうかと思います。かようなことも考えて日本の経済の安定、生活の安定及び経済再建の問題の出発点としなければならんかと思います。更に昨年度に比べて二十八年度の分配所得はどれだけ増加するものと推計されているかということを考えてみますと、二千八百九十億増加するという推計であります。その二千八百九十億国民分配所得が増加したものの中で、それに対して租税の負担はどれだけ増すか、国民分配所得の増加に対する租税の増加の割合、これを考えてみますと、これを学問上限界租税函数と申します。改正前の現行法に従つてどれだけの国税における収入増加の見込があるか。それが国民所得の増加分に対してどういう割合になるかという計算をして見ますと、大体三八%になる、国民所得の増加部分の三八%は祖税に吸収される。あとの六二%しか国民の手には残らないはずだ、こういうことになります。この内容は昭和二十八年度予算の説明及びいろいろ租税及び印紙収入に関する説明等の資料による数字でございます。    〔理事大矢半次郎君退席、委員長着席〕 そこで日本の改正前の現行法における限界租税函数が三八%であるという計算が出ます。そこでその中で所得税がどれだけ殖えるかというと約二二%殖えます。所得税の限界消費函数は二二%、消費税においては国税に限り約一二%であります。この所得税が多いことは累進所得税であるからという結果を表わしております。極く概数を申しまして直接税においては三分の二、消費税、間接税において三分の一という増加の比率を示しております。そこで問題は、改正前の現行法によつて国税においてどれだけ殖えるかということは、千百二億殖えるということであります。ですから二千八百九十億の中で千百二億が占める割合が三八%である、これが限界租税函数であるということを申したわけであります。そこでこのたびの税法改正による減税額が千九億円であります。ところがたばこの益金においては九十五億円の増税を示しております。そこでどういう結果が現われて来るかというと、国民所得が二千八百九十億円殖える、現行法によれば千百二億円増収になるはずだ、それからたばこは九十五億殖える、一方に地方税においては百五十億の増収の見込になる。これらのことを考えて見ますると、七百五十二億の減税になる結果になります。そこで再三数字を並べますが、二千八百九十億の国民所得の増加推計額から約七百五十億を引きまして国民の手に残る、即ち可処分所得になるものは二千四十億であります。二千四十億だけ国民の手に残る、増加したものの中で国民の手に残る可処分所得であります。この可処分所得の二千四十億というものが大体どういうふうに処分されることになるだろうか、そこで次に限界消費函数という問題が出て参ります。増加した所得の中でどれだけが消費の中に振り向けられるか、どれだけが即ち貯蓄として残るか、即ちこの限界消費函数につきましては、先ほど大蔵省で発表されております財政金融統計月報の第二十号の中に限界貯蓄函数は約二五%であるという推計が出ている、これは試算でありますが、従つて限界消費函数は四分の三、七五%というところであります。国民所得水準の高いアメリカにおきましては、限界消費函数は三分の二と言われておりますが、日本のように国民所得水準の低い場合においてはこれは七五%即ち四分の三という、そういう数値そういう値いは決してそう外れてはおらないと思います。そこで今度のこういう国民分配所得の増加の推計額、それから減税額、それから地方税の増収、それから煙草が九十五億増収という計算の結果として二千四十億だけ国民の手に残る、可処分所得が増加するといたしますと、その中で四分の三即ち千五百三十億だけが国民の消費支出の増加となります。貯蓄として残るものは五百十億ということになります。そこで私の申したいのは、国民所得がこれだけ増加いたしまして二千八百九十億増加しても、国民の貯蓄として残る部分は五百十億の程度であるということを申したいのであります。そうして千五百三十億は私的消費支出の増加となるという傾向を示すということが測定できると思います。いろいろ数字を並べまして何を言おうとしているのかとお考えになつたろうかと存じますが、私の考えますことは、今申しましたように国民所得の増加の推計、その減税の結果、増収の結果、地方税増収の結果によつて国民の手に残るものは二千四十億である。それがどういうふうに流れる傾向を示すかということでございます。併し私的消費支出が千五百三十億増加いたしますれば、その消費支出の増加分に対しては国税の消費税、これは先ほど申しましたように、国税の消費税の限界租税函数は一二%でありますから、殖えたものに対して一二%でありますから、その七五%の消費支出に対する割合は約一六%でございます。そこで消費支出が千五百二十億増加いたしますれば、その約一六%というものだけの租税収入の増加、消費税収入の増加は入つて来るわけでございます。これに地方税におきましても消費税がございますから、大体私的消費支出の増加千五百三十億に対して約二五%に近いものが国税及び地方税の消費税収入として返つて来るはずであります。何故そういうことになるのかということを念のために申上げますと、いろいろなこれから述べる私の考えに対して財源がないとおつしやるおかたが必らずあると思いますが、私はそこに一つの当然生じて来る財源があり得る、こう考えることを申上げる前提といたしておきます。そこで私的消費支出は実質的には幾ら殖えるかというと千百億円程度殖えます。そこへ消費されずに残る私的貯蓄が五百十億、併せて千六百億程度の増加、国民の消費実数及び貯蓄、それが消費支出になり得るものは千六百億円を超えると思います。ところが二十八年度の財政計画におきましては、国庫金の対民間収支バランスは二十八年度においては約千三百二十億円だけ政府資金の撒布超過になるということであります。で、二十七年度におきましては最初は五百五十億円の撒布超過になるということでありましたが、二月十日頃に発表された大蔵省の推計では、これが二百億円程度の撒布超過にとどめるということでありまするから、そこで二十七年度と二十八年度との撒布超過の割合を比較いたしてみますると、約千百二十億円だけ増加いたします。併し昭和二十七年度内に引揚げなかつた指定預金を二十八年度になつて引揚げるということもございましようから、これらを考えますると、二十八年度の政府国庫対民間収支バランスにおいては千億円に近い政府資金の撒布超過になると従来の資料では推計することができるのではないかと私は考えます。これは資金部保有の国債の日銀売却、それからインベントリー方式を取りやめて、そうして日銀借入によつて支出をするということが主たる原因だろうと思います。  そこで先ほど申しましたように国民所得の増加推計、それから減税、たばこ税は九十五億円、地方税は百五十億増加する。これらを合せました結果として国民の手によつて消費支出されるものは、それについて又租税収入が先ほど申しました国税、地方税の両方の消費税によつて二五%近いものが入つて来る。それを差引いて来まして、先ほど言いました千六百億円程度国民の手に実質的の純増加が残る。政府資金は一千億円撒布超過となる。そういたしますと、昭和二十八年度における純増加は二千六百億円を超えるということになつて参ります。なぜ私がこのようなことを申すかと申しますと、先ほど申しました昭和二十四年度においてドツジ公使の指示に従つて超均衡財政に転換いたしましたときに、予算編成の当時においてはこの超均衡予算を行えばどれだけの収支バランスになるか、当時はディス・インフレだとしきりに言つておられたのですが、実質的にはどれだけの引揚げ超過になるかということの推計は予算編成当時においてはわからなかつたのであります。現にその後昭和二十四年度の予算の説明という書類及びその後に出ました大蔵省で出しておりまする財政金融統計の資料、それから十月に出ました国の予算に現われている資料、更に翌年四月頃に現われた財政金融統計における資料、皆数字が違つておるもので、結果は昭和二十三年度の撒布超過昭和二十四年度における引揚げ超過の差額は約三千億になるということがわかつて、その超均衡予算のデフレ的効果の強さに驚いたということがあります。昭和二十八年度の今回における日本の財政計画の転換におきましても、先ほど申しましたように、少くとも二千六百億の純増加になる。国民の手に残つておるものの純増加が少くとも千六百億、政府資金の撒布超過が少くとも千億、これを合せて二千六百億円の純増加になるということが、あらかじめこの税制改革を含む二十八年度計画において十分これを覚悟の上で出発されておるか、私はいささか疑問といたしております。勿論この政府資金の撒布超過の状況におきましては、毎年の例に従いまして各会計年度の第一四半期、第二四半期においては若干引揚げ超過、第三四半期において撒布超過、これが恐らく本年度におきましては二千三百億円程度の第三四半期における撒布超過になろうと思います。そうすると、それによる日本経済に対する動きは、支配力は非常に大きな変動を生ずる可能性もあると思います。それだけの超過が、勿論波及効果はございまするから、その波及効果を考えますると、日本経済の今年の下半期においての資金面から与えるところの効果は、只今想像されているよりは遥かに大きなものだと考えます。それらの前提におきまして考えますると、財政計画全体として、勿論ドツジ公使の指示したドツジ方式をこれは全く離れるということでなくて、逆の方向を示しております。このたびの予算の編成方針といたしまして、財政収支の総合均衡を図るという従来の方針を踏襲せず、弾力性ある運用を図る、財政金融を通じて弾力性ある運用を図るということでありまするが、この税制改正を含みますこの結果として、前年度に比して二千六百億も或いは三千億に近いところの民間資金の増加になるということがあらかじめ想定されておるとすれば、これは総合収支均衡を離れて弾力性のある運用という程度からは遥かに超えていると思います。ドツジ方式プランを離れておる。逆の方向を示しておると同時に、税制改革においてもシヤウプ方式を離れようとしております。その一つとして、これは全くその一つの例を申すのでありまするが、一つは富裕税の廃止という問題があります。このシヤウプ使節団が日本に富裕税を創設したということにつきましては、これは手数がかかり、その割合に収入が多くないということは、これはもう始めからわかりきつておることなのであります。それで富裕税を設置するについての根本の指導理念は、経済をコントロールする力は所得よりも財産の所有によることが多いということ、これが指導理念であります。少数者の手に経済のコントロールの集中、支配力の集中を防ごうとするそういう政策的目的に基いておる。決して収入の多いということを始めから考えておることではないのであります。でありますから、これは富裕税に対する根本的な考え方は、これは経済力集中排除という考え方なのであります。併しその考え方は、やはり相続税についてもこの考えが貫いております。相続税がシヤウプ勧告よりもずつと修正されて参つておりますが、富裕税はここでぴつたりと廃止してしまう、併し廃止してしまおうというならば、収入目的は本来考えていない政策上の目的だけを考えておるのですから、それを廃止して政策目的を全く捨てるのでありますから、そこでそれを捨てるならば私は富裕税は思い切つて廃止したままにして置くべきだ、こういうふうに考えます。それを今回の改正におきましては、これは富裕税を廃止する代りに所得税の最高税率を五五%から六五%までに引上げることが提案されております。ところが私は率直に申しますと、大蔵省の税務当局者としては富裕税は廃止するが、併し所得税は上げない、最高税率を変えないといつたのでは必ず非難が起るだろうからという、これはそういう考えに基いておるのではないか、こう思います。それでは富複税を廃止して所得税の最高税率を変えたら一体どういうことになるのか、これは率直に申しますと財産を働かせないでいる人はこれを変えることによつて所得税の負担のほうが富裕税の負担よりも軽くなります。財産を働かさない人のほうが負担が軽くなります。財産を働かしている人は負担が大きくなります。一体私は日本経済の再建のために財産を持つておるかたが、それを働かしている人のほうが一体尊重すべきであるか、日本経済の再建のために財産を持つていて寝かしておくような人のほうが大事にされるべきものなのか、これは私は非常に疑問を持つておる、そうして如何にどういうことになるんだろうか、最高税率は六五%になつたら一体どうなるのだろう、併し財産を働かしておる人のほうが租税負担が重くなつたら、そこに所得税と御承知の市町村民税がかかる。それが来たら一体幾らになるかというと八〇%になります。所得税は六五%でありまするが、それに市町村民税がつくのでありますから、八〇%になります。そういうふうに考えてみますと、これは私的任意貯蓄を妨げることにもなり、結果においては、これは脱税の方法を考えさせるという効果を持つに過ぎないのではないかと思います。率直に申しますと、自分の所得の八〇%をとられてしまつたのでは、何とか方法はないかと考えるのはこれは当り前、当り前というと大変でございますが、人情の自然の流れだろうと私は考えます。これは私は今後の日本の経済再建のために個人の任意貯蓄を期待するだろう、日本経済再建のために私的任意貯蓄は少しでも期待しないというならば、これは別問題であります。併し何らかの程度において私的任意貯蓄の増加を望むならば、私はこの富裕税は、これは廃止するならばぴつたり廃止してしまつて、これを所得税に移すというような考えは、そんな踏み切りの悪いことはやめたほうがよいと私は考えます。税制改正による減税の中心は所得税でございますが、これはすでに臨時特例法によつて実施されておりますものを所得税法に形式的に移したものでありまするが、基礎控除、扶養控除、勤労控除の改訂、これは勿論もつと引上げることができれば、それが望ましいということはわかります。勿論不足を感じますが、これは或いは急激な引上げは避けるということから言つてこの特例法及び今度の所得税法に移した、この内容は私は大体了承できると思う。勿論それよりか引上げられますことに越したことはないのは勿論でありますが、大体了承できると私は思います。  それから社会保険料を控除するということは、これは当り前のことでありまして、先ほど申しました社会保険料はこれは社会保障税なんであります。それを控除しなければ税に税をかけるということになりますので、これは控除するのが当り前であります。  それから税率の刻み方でありますが、これは私はいろいろな控除をさして課税所得の二万円以下のものに対する金額に百分の十五となつておりますが、これは百分の十から出発すべきものであろうと思います。従来が百分の二十であつたから、いきなり百分の十にするのは少し行き過ぎではないかという、そういう躊躇なんでございましようが、出発点は百分の十から出発する。それに従つてそれぞれ刻み方が少し変つて来るということは勿論のことであります。出発点を百分の十とすべきであるというふうに私は考えます。  それから私はこの控除規定の中で特に生命保険料の控除ということに対して強い関心を平生持つております。生命保険料の控除ということは小所得者、それから中所得者の低層、殊に勤労生活者にとつてはこれは任意貯蓄を促進し、そのことは同時にそれらの人たちの消費支出を任意的に、誰にも強制されずに進んで抑制する。そうして任意貯蓄がそれだけ殖える。そうしてそれは納税者にとつては租税の負担の軽減にもなり、生命保険に入つておることは、殊に勤労生活者にとつては財産所得者よりも勤労所得者のほうが将来の不幸による準備の必要は緊切なんでありますから、痛切なんでありますから、それらの勤労所得者に対して租税の負担の軽減をされる。だから納税者にとつては、小所得者、中所得者の低いところの人たちにとつては、将来の生活の安心に対しても、将来に対して若干の安心も得られるし、それから現に客観的に言つて、現在の消費支出の減少が若干抑制され、そうして任意貯蓄が促進されるその結果、当然経済的にはどういういい効果が挙がるか、長期資金の増加という効果を生む私はこれは一石二鳥と申しますが、一石数鳥の効果があることで、私はこの問題に関して深い関心を持つております。ところが従来の生命保険料控除の限度額が年額四千円でありましたのを、今回の改正で八千円に引上げる、これはおおむね保険料に対して三十倍を考えまして、生命保険金の三十倍の、即ち二十四万円以下、二十四万の場合の一年間の保険料に相当するわけでありますが、ところが相続税を見ますと、生命保険料の控除は三十万円に引上げられております。要するに所得税においては八千円で、三十倍以上で二十四万円ということ考え、相続税においては三十万円ということを考え、ここに若干の食い違いがありますが、これは先ほど申しました中小所得者、殊に勤労生活者の家族にとつて死亡保険、相続税の三十万円ということは、今日の貨幣価値から申しますれば、三十万円というものは、仮に我々の親父が死んで三十万円の保険料を得たということは、皆さんからお考えになれば僅かなものとお考えになるかも知れませんが、小所得者にとつてはこれは大問題です。ですからこれはやはり、若し相続税における生命保険料の控除を三十万円とするならば、それに相当して、所得税からの生命保険料を一万円に引上げるというのが理窟に合つていると思います。併しこれを更に逆に考えまして、所得税における控除、相続税における保険金の控除、いずれにウエイトを置くべきかと考えますれば、相続によつて得るのは不労所得であります。仮に親交の保険であつても、息子にとつては不労所得である、併し現在の保険料を払うというのは、現在働いておる者の所得から払うのであります。いずれを多く軽減すべきか、いずれを多く軽減せざるべきかということは、これは所得税における軽減を多くすべきである、相続税においては三十万円が控除の限界である、所得税においては八千円の三十倍で基礎控除を計算すると、ここに二十四万円、六万円の距りがあるのですが、その六万円の距りというものを改正案の場合と逆にして、所得控除を年額一万二千円、月額一千円、そうして相続税における控除を三十万円とすると、そうすると一万二千円ですから三十六万円に当るわけです。今は八千円であつて二十四万円ですから六万円の距りがある、その距りを逆に持つて行つて、そうして月額一千円で年額一万二千円、そうして三十六万円に該当する所得の控除を行う、こういうことのほうが私は勤労生活者の立場を擁護する、勤労生活者ほど将来の妻子の生計費、将来の妻子のことを考えての危険を感ずることが多い、そのために現在の支出を削つても、将来の用意をして、生活の安定を得ようということなんですから、そこをよく尊重しなければいかんと考えまして、できますれば生命保険控除を一万二千円とすれば三十六万円の契約金に相当するというところへ改訂をして頂かなければいかん、そうすると月額の千円の保険料、そうすると月額千円の保険料は皆さんから見ると、大きな問題でないように言うかも知たませんが、これは大多数の勤労者にとつては重要な問題であると、こう考えて私は申上げるわけであります。なお法人税について一言申上げるのでありますが、シヤウプ勧告に従いまして三五%の比率だけということになつたのでありますが、その後四二%に引き上げられて、御承知のようにこれに市町村民税を加えますると四八%三になります。更にこれに事業税が加わり、それよりも殖える、勿論前年度に支払われた事業税は次の年度において損金に算入されますが、四二%に対してそれに市町村民税がかかりますから四八%三になります、それに事業税が加わります。ところで三五%を四二%に引上げたということは、これは決して日本政府が自発的に引上げたのではないと私は考えます。これは占領軍の指示に従つてアメリカでは高い税率だから、日本の法人税のほうが安い、こういうことを、これはドツジ公使や何かの指示があつたように考えます。併しこれはおかしなことなんでありまして、ドツジ公使もシヤウプ使節団も、日本の税制改正等の計画をしたときに、いろいろ比較して、日本の祖税負担は、各国の祖税負担よりも高いということを申しますと、ただ一度だつてこれが相手にされたことはないのであります。日本の租税の負担が各国の租税の負担より高いか低いか、それを我々は問題にしておるのではありません。日本の経済の安定と、経済の再建のためのことを考えておるのであります。決してドツジ公使もシヤウプ使節団も、日本の国民の租税が高いか安いかというような、租税負担の比較を考慮されたことはないのであります。而もドツジ公使が来たときには、外国では増税の傾向に向つておるのに、日本だけが減税しようというのはけしからん、その言訳らしく一つだけ法人税を引上げた、こういうような事情であつたと私は記憶しております。当時は成るほどまだ景気は悪くなかつたときであります。又特別償却の規定があり、法人税の延納措置も認められることになつたので、当時としては実質的にそう大した負担の増加にはならない、法人税においても、まあ、これは然るべくやればやれるくらいのことで了承したであろうと思うのであります。ところが現在の景気の状況はよくありませんし、ここで大事なことはこの特別償却の制度を、今度の税制改革で正式に拡大されまするが、例えば特定の近代化機械設備の不足した場合には、最初の年度においてその半額を償却を認めるとか、そんなことがございますが、これは特別償却の利益を受ける法人企業は、これは専ら大企業であります。そうして中小企業はこの特別償却の利益を受けるものは遥かに少いと思います。ところが日本の経済構成において、中小企業の本質においても中小企業のもののほうが遙かに多いのであります。大部分の法人企業はこの特別償却の利益が受けられない。三五%を四二%に引上げて、これに関連して起つた特別償却の規定及びその後の特別償却の範囲拡張等による利益は、これは中小企業はその利益を受けることが少い、大企業のほうでは又資本が強固であるから、金融機関が健全経営の方針をとる限りにおいては、いろいろ融資の途も受けられるチャンスがありますが、中小企業のほうの銀行融資は、銀行が当然健全経営の方針をとる限りにおきましては、融資の金繰りがつかない、而も彼らの企業、苦しい企業のほうは特別償却の利益を受けることが少い。これは殊にこういう景気状況におきましては、今度の税制改正案に関連して、何らか考慮して頂かなければならんことだと思います。私はむしろ三五%の法人税を四二%に引上げたというその点に、過去のことでありますが、そこに無理があつたと思います。私は思い切つてやはりシヤウプ勧告の始まりの通りに、思い切つて三五%に引下げたらどうか、元へ戻したらどうか、これは法人企業の任意貯蓄による私的資本の蓄積をやはり求めるならば、殊に中小企業の基礎を少しでも強固にしてやろうということのお考えがあるならば、法人税を元のように思い切つて三五%にお戻しになつたらどうか、こういうふうに私は思います。又法人企業において交際費、接待費の濫費がある、従つて今後はいろいろ調節するという規定を設けるといつて、一定の限度を越えた場合は半額に対して課税するということであります。これはいろいろ対案考え薫られるが、併し事業の経営者の卒直な心理を申上げますれば、交際費とか接待費とか、そういうふうな費用は、必ず大なり小なりその事業の利益に撥ね返りがある、その事業の利益になつて返つて来る、大なり小なり返つて来るが、税金は払つたつて何も返つて来はしない、だからこれは何らの利益もないというのが、卒直に申上げまして会社経営者の心理であると思うのであります。又多くの会社或いは殆んどすべての会社でありましようが、納税引当金のほうが株主の配当金よりも多く計上されているのが通例ではないかと思います。そうすると投資家は税金を払うために投資している、現に株主酒当金よりも税金引当金のほうが多いというのが通例であろうと思います。そういうふうな状態では税金を払うために投資しているということでは、先ほど申しました個人の貯蓄となつた資金は、実質的の投資には向かわないで金融投資に向かう、証券投資に向かう、株式の投機目当に利用されて、実質的に経済再建には役に立たないことになるのではないかということを懸念いたします。現に最近の証券投資、大衆の証券売買の状況がこれを示しているのではないかと思います。現に卒直に申しまして、最近儲かつたという人で、実質的の生産によつて儲かつた人よりも証券の思惑投資によつて儲かつた人、人に働かしてそれを乗つ取つちやうというほうが多い、多いと言つちやあれですけれども、そういう傾向が大分見えるのでございます。そうするとまじめに生産に努力している人よりも、人に働かしておいてそれで証券投資の思惑で以て株の買占めをやつちやつて、それを乗つ取つちやうというほうが手つ取り早いと思います。それでは日本の経済の実質的の再建はできないのじやないかと思う、それらのことを考えましても、先ほど申しましたように法人企業の実質的な任意貯蓄、法人資本の任意蓄積ということを促進しようと、株に中小企業の基礎を少しでも強固にしようと思うならば、先ほど申上げましたように法人税を、さつき言つた通りに元へ戻して三五%に思い切つて戻すということが、日本経済の再建のために役に立つことである、効果あることだと私は考えております。なお個人の譲渡所得税の廃止に伴いまして、法人の生産所得の課税を行う、或いは個人の譲渡所得税が廃止されるので、有価証券取引税を新たに設ける、これはそのことの順序として当然の処置であろうかと思います。又有価証券取引税、或いは証券業者のかたは大変な障害になるとおつしやるかも知れませんが、確かに何分の二十ですか、仮に二百円の株が取引されればその取引税は四十銭、今の証券取引において三百円の一株に対して四十銭の取引税、それが証券取引の妨げになるとは客観的には言えないと思います。証券業者のかたがたは何とおつしやるか、私は客観的にはその言い分はどうも無理だろうと思いまして、私はこの法人の生産所得の課税及び有価証券取引税を新たに設けるということは、これは是認すべきものだと考えます。  又酒の税、砂糖税及び物品税、物品税については日用品についての引下げを行うというような意味もありまして、私はこれらの酒の税、砂糖の税、それから物品税の改正案に対しては特に異議を申上げることは、これはないのであります。なおさまそれの租税が今度改正になりますが、いろいろなことを申述べてもう時間も経過いたしますから、今度の国税の改正におきましてはこの範囲にいたしておきますが、私一つ平生疑問にいたしております根本的な問題でありまするが、シヤウプ第三次報告には明らかに現在の国税と地方税とを比べて見ると、国税のほうが優れていて地方税のほうが構成上よくないということを明らかに認めております。現に私ども考えましても日本の国税と地方税とを比べれば国税のほうがよくできておると思います。そこで最近までの、近年の傾向を見ますると、できのよいほうの国税を減らして、できのよくない地方税のほうは減らさない。むしろ先ほど申しますように二十八年度においては百五十億の増収になるというのです。ところが租税を納める国民のふところを見ますれば、国税の負担も地方税の負担もいずれも租税の負担においては変りはない、先ほど申しました最低生活費を除いた分について見れば約五〇%、半分ぐらいまでは税金に持つて行かれてしまうのであります。その場合にいいほうの国税のほうが少くなつて、できの悪い地方税のほうは少しも改正されない、これは日本の国税、地方税全体を通じて考えで頂かなければならないことであります。現に中小企業のかた、或いは農家のかただつて国税と地方税といずれが迷惑が多いかというと地方税のほうが迷惑が多いのはわかりきつておると私は思う。その地方税のほうを改正しないで、国税のほうが改正になつているということに私は相当疑問を持つております。これらの点は国税、地方税、両者を通ずる根本問題でありまして、或いは本日御指定を受けた問題と離れておるかと存じまするので、この点はとれ以上深く申述べることは差控えます。大体私の考えておることは以上でありますが、只今申しましたように税制の改正を通して任意、個人及び法人が私的任意貯蓄の増加に対する考慮がまだ十分でない、そして減税、国債その他この予算の説明書によつて見ますると、国民から吸収した租税、それが蓄積財産になつておるのでありますが、それを処分その他をして大体私的貯蓄のほうは十分に促進されないで、財政投資のほうへ資金の流れ方が多くなつている、この傾向が年々強くなつておりますが、日本経済の今後の再建を進めまする場合に、私的資本の蓄積を抑えている、或いは促進することが少い、財政投資のほうへ資金が多く流れて行く傾向をそのまま続けて行つて、それが日本経済の行く途である、日本経済再建の本当の行く途であるのかということについて深く疑問を持つております。

中川以良自由党

○委員長(中川以良君) 有難うございました。それでは委員諸君より御質問をお願いいたします。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 たくさんお尋ねしたい点があるのでありますが、一点だけ。これは私も気になつて非常に苦々しく思つておる点でありますが、例の俗に言われる社用族の跋扈という点なんですが、先生の御意見では交際費用、接待費というものは、それはその企業の繁栄に撥ね返つてくるのだから、或る程度一つ華やかにやつてというふうなことでもないが、認めたほうがいい、こういう御意見のように拝聴したのでありますが、ところが最近の社用族の跋扈という点については、実にこれはまあ官界も悪いし、或いは国会初め、各議員にも大きな責任があると私は思つておりますが、日本人はどちらかというと自分でやれないからお上のものだ、或いは会社のものだからこの際にやつておけという工合でして、まあ贅沢になり、且つはそれによつて堕落をして、中国の今国民政府が堕落したような傾向を辿つておる。又フイリッピンのアメリカ統治当時の状態にだんだん行つてしまうのじやないか、こういう意味から行きましても、これは税制としてこれを抑えて行くということはどうかと思いまして、実は事業家が自主的にそういうことを極力減らして行くということは最も好ましいことであるけれども、併しどうせ儲かつたということになつたら税金にとられるのだから、もう税金にとられるよりは飲んで食つたほうがましだというような考えでやつておる面が私は多いのではないかと、こういうふうに考えるのであります。この意味からするならば、今のところは税金とのいたちごつこになつておりますので、成る程度限度を設けて、これはそういうことはやつては行けない、どこかで断ち切らなければならんので、せめて税制の面において断ち切るということも、今の一つの過渡的な方法として止むを得ないのじやないかと、こういうふうに考えるのでありますが、この点は如何かとお尋ねしたいのですが、まあこの一点を一つお伺いします。

高木壽一慶応義塾大学教授

○公述人(高木壽一君) 只今のお尋ね、私の申述べました言葉が足りませんので、或いは誤解をお招きしたかと存じますが、私は今申しましたように、交際費、接待費の濫費は仕方がないと申しているのでは決してございません。どうぞその点御了承頂きたい。ただそこへ今度の税制改革で、一定の限度を設けて、それ以上については、その半額については法人税をかけるということにつきましては私は賛成なんであります。そういう方法を強くおとりになると同時に、社内保留にせよ、法人の資本の蓄積が実質的に可能になり、もつと多くなる。抑えることは当然処置をとり、片方に、税率によつてそういうことができないようにしておいて抑えるよりは、できるようにして、あとへ残る蓄積部分が多くなり得るようにして、交際費その他の濫費は抑えなければいかん。両方で行くべきじやないかと思う。蓄積ができないようにしていて抑えようとするのは実際の効果が上らないのじやないかと思う。それなら何かほかの抜け道を考えてしまうということになりはしないかと、こういうふうに私は考えるのです。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 もう一点。四二%を三五%に戻したほうがいいじやないか、こういう御意見でございますが、そうしますと、今度の所得税法の改正によりまして、三五%と申しますと、まあ所得税、これは税率だけで、余り素人論くさい点でございますが、国民一般に与える印象ということを考えて申上げるのですが、三五%というと、今度は二十万円を超える金額の税率と同じになるわけです。大企業の法人税の税率も……、ところがこの税金の捕捉率と言いますか、掴まえる率を、我々はちよつとこれも素人くさいかも知れませんが、特に給与所得のごときはどう考えても殆んどまあ大官庁或いは大企業等において得るところの給与所得というものは完全に掴えられておる。従つて税金の対象に一〇〇%なつておる。ところが大法人になりますれば、いろいろ税務代理士も置けば、或いは顧問弁護士も使い、あらゆるあの手この手で、いわゆる税法の盲点を衝いて、或る程度逃がれる余地があるんじやないかということが考えられる。その証拠には、なぜこういうことを申上げるかというと、これはまあ税法が複雑であつて、手続が面倒くさいので税務代理士を利用するんだと言つてしまえばそれまででございますが、最近税務代理士の門前が非常に繁昌しておる。而もこの税務代理士を利用した人の体験談を聞いて見ますると、やはり自分でやるよりも税務代理士に頼んだほうが大分儲かる。税務代理士も公然、いわばプライベートの立場に立ちましたならば、おれはあそこの企業をこれだけ税金を安くしてやつたんだからして、今度おれが選挙をやるときにはこのくらいの献金があるだろうということを公然と言つておる人がある。だからそんなことは理窟の上では成り立たないのでございますが、そこの経緯を考えて見ますならば、こうした、企業、個人所得に比べまして、法人等の所得におきましては相当ゆとりがあるんじやないか、捕捉される面においてゆとりがあるんじやないか。それを税率を更に二十万円程度まで一緒に率を合せるということになりますと、そこに不均衡があるんじやないか。従つてそれをやるのならば、所得税のほうの税率ももつと引下げて行つて、例えば先生も百分の十五は十くらいにしたらいいんじやないかと、こういうお話でございますが、やはりこれも百分の五くらいにして、それから十くらいずつ減らして行つて、これと並行して三十五にするというのならわかるのですが、二万円以下の金額を百分の十五を十にして、法人税の税率を四十二を三十五にするということは、ちよつと均衡を失するように思うのですが、この点一つ。

高木壽一慶応義塾大学教授

○公述人(高木壽一君) 私は只今のお尋ねに対しましては、個人所得税と法人税との関係でございますが、これは私は個人所得の中の営業所得の部分と法人税とを比較しなければならんと考えます。それで法人と個人の営業所得者、営業者の場合と比べます。そこで先ほど申しました地方税の問題が出て来る。私は地方税の事業税を、これの個人の事業税を、只今の事業税に対して半分以下に減らしたほうがいいと思うのであります。それで調節をつけなければならんと思う。私は勤労所得者と法人とを比べないで、個人の営業所得者と法人とを比較するということがよろしくはないか。それには個人営業に対する事業税、これを思い切つて半分以上に下げたらどうか、こういうふうに思つております。そこで調節ができるんじやないか、こういうふうに思います。

中川以良自由党

○委員長(中川以良君) 他に御質疑ございませんか。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 もう一点。最後に最近の株式の相場の動きから投資、いい意味の投資というところから、投機的な色彩を帯びて来て、更にそれが進んでは乗取りというか、こういうのによつて暴利を負ろうという者の跋扈を許しておる。これは結局株式が少いためにこういう結果になるので、多ければあつても手が出ない。今の会社にいたしましても、四十億の会社というのはそうたくさんないのですが、今の貨幣価値から言つたら、四十億ぐらいのものは戦前の水準と比べて見ましたら、微々たる会社であつたと思うのですが、その四十億の会社は大会社になつて五つか六つよりない、あとは皆小さい資本金、自己資本が極めて小さいために、こういう連中の跋扈を許すということになると思うのですが、ところが一方経営者のほうでは、株数を少くしておいて、そうして表面上の配当を多くしておいて、如何にもこれは優良会社だというふうに見せかけようとして、借入金で言えば、こういうような会社であつたならば銀行のほうも信用して貸すから、割合に金融量と申しますか、利子に含んだ若干の手数料はかかつても、まだちと増しだというところから、如何にも自分のところの会社は一流会社であるというふうに見せかけたり、又株式取引所の花形株として持てはやされようと、こういう意図から、わざと増資を渋つているというふうに見られぬこともない一、二の会社があるように思うのですが、これは税法の操作によつてできるというようなお話もあつたようであるが、これは税法よりも、そういう面が大分あるんじやないかと、こういう工合に思うのですが、この点どうですか。

高木壽一慶応義塾大学教授

○公述人(高木壽一君) 只今のような事情は確に現実にあると存じます。私の申上げたいことは、今の税法では、実物投資、実質的な投資に向う傾向を阻害している、そうすれば自然証券投資に国民の資金が流れやすいように――流れるような経路を作つておるじやないかと、そういうふうなことを申上げたいのであります。実物投資をしたのでは、税金の負担から言つて多く取られちやう、そこで、それよりは証券投資のほうが利益が多いような結果になる。そこを是正しなければならないのだ、こういうふうに考えます。

中川以良自由党

○委員長(中川以良君) ほかに御質疑ございませんか……。高木先生には長時間に亘つて誠に御熱心に尊き御所見を御開陳賜わりまして有難うございました。厚く御礼申上げます。

中川以良自由党

○委員長(中川以良君) それでは次に国鉄労働組合中央執行委員給与対策部長横山利秋君にお願いを申上げます。どうぞ、横山公述人はお願いを申上げておりました税制の問題並びにこれに関連する事項につきまして、労働組合の立場より御公述をお願いしたいと思います。

横山利秋国鉄労働組合中央執行委員(給与対策部長)

○公述人(横山利秋君) 御紹介を受けました国鉄労働組合の横山でございます。勤労者の立場から今回国会に上提されております租税法の法案につきまして御意見を述べさして頂くことにいたします。  税金は国民の重要な義務と言いながら、税金についての国民の不満というものは常に測り知れざるものがあり、絶えることがございません。一般的に言いまして、市井の税金を納める私ども勤労者ばかりでなく、すべての人が言つておることは、常識的に考えまして、こういうようなことがあると考えておるわけであります。  先ず第一に、勤労者の立場から言いますと、私どもは一〇〇%きちんきちんととられる。ところがそのほかの税法に関しましては、きちんと一〇〇%とられないで、間々いろいろな紆余曲折もありますが、適当にとられる。こういうふうな問題が第一であります。第二番目は、むずかしくて税金のことは素人にわからん。結局泣寝入をする。心臓の強い人間が、それじやわからんけれども、とにかく一つ狐と狸の化かし合いをやつて税務署と一つ意地比べをしてみる。こういうことが第二番目にあると思うのであります。第三番目は、税金の収入の見込が百であると五十くらいしかとられない税金があるのに、一方では規定通りきちんととられる。例えば今廃止されようといたしております富裕税についても、今の状況では何か四割くらいしか集まつていないそうでありまして、これが源泉徴収に比べますると、誠に雲泥の差があるようなところがあります。その次は、代理士とか或いは弁護士、或いは国会の議員さん、市町村の議員さんに頼むと案外安くなるということでありまして、一般的に言つて税金というものが顔やテクニックで案外左右されやすいというふうなのが今日の現状ではないかと思われるのであります。その次はどういうことがあるかと申しますと、小口より大口の脱税のほうが多い。これが又実態論として相当社会の問題になつておると思われます。その次に今当面の問題として言われておりますのは千九億の減税をする。こういうふうな話がされておるとき、常識的に考えまして、減税ということは昨年の税金よりも負けてくれると言いますか、安くなることだと思つていましたら、そうではなくしてこれは名目上の減税だそうであつて、実際には二百二十七億が余計に税金が増徴されるのであるということを聞いて、これは何ともしたりというふうに考えているのが、これもやはり今日の税金の問題の話題になつておるわけであります。  こういうようなことはすべて市井の人々が最近税金についているく言うておることでありますが、その内容は極めて深刻であります。税金が高い。税金は何とかもう少しうまく一つ合理的にとるならとつてもらわなければいかん。こういう声は国民の絶対多数が今日言つておるところでありまして、その我々が出した税金が自分たちに直接間接に利益として案外戻つて来ていない。出した税金は一体どこへ行つた。我々が出したなら出したらしく、面接或いは間接に十分戻つて来るように一つ国政を運用してもらいたい、こういうようにまあ考えられているわけであります。今回の税制の改正によりまして収入の見込みが七千八十億四千九百万円、昨年よりも二百二十七億二千三百万円の増税であるそうでありますが、これが国民所得に対する租税の負担率を考えてみますると、主税当局の発表によりますと、昭和二十八年の所得は五兆六千七百四十億、租税の負担率は二〇・四%だそうであります。最近私どもは労働組合として戦前、昭和九年から十一年ごろ、このごろの生活状態或いは社会状態と比較する論議が労働組合の中で非常に十分になされ、又各方面でもそれが使われておりますので、それを比較してみますと、昭和九年から十一年ごろまでの国民所得が千四百五十億、租税の負担率が一二%ぐらいであると、主税局発表によりますると書いてあるわけであります。ところが経済審議庁が世界銀行に出しました日本経済五カ年見通報告によりますと、昭和二十八年に五兆三千七百八十億ということになつております。どうしてこう主税局と経済審議庁の数字が違うのか、私ども誠にどうもおかしな話であると思うわけでありまするが、これによりますれば、負担率は増加をいたしまして二〇・四%が二一・六%くらいになるわけであります。ですから戦前に比較して一人当りの国民所得は低いのに、一人当りの財政支出、国民の出す税金は戦前よりも著るしく大きく、且つ今言いまするように、政府発表の数字についても私どもの納得の行かない点があるわけであります。従いまして戦前程度に国民所得と一人当りの財政支出の開き、まあ大体一四%として見まして引直しても、戦前程度の生活水準が維持できる。二十八年度予算は実質的にまあ一兆億となつておりますから、三千億くらいの過大があると考えられます。ですから、これを相当圧縮して行くことによつて実際上の減税というものがなされるし、又それをすることによつて我々としては税制の改正というものがなされなければならん、それが大前提とならなければならんと思うわけであります。財政需要の必要性から減税ができない、こういうことが今日政府が言つております言い分でありますが、国民生活の安定と直接関連性のない、いろいろ今議論の対象になつております防衛支出金の六百二十億、保安庁費の八百三十億、以下平和回復善後処理費とか等の総計二千二百億という巨額の不生産的支出を抑えることによりまして、大幅な減税が可能であると私どもは考えているわけであります。で、まあ今回の税法の焦点がいわゆる名目上ではありますが、減税であるということが呼号されておるわけでありますが、国民の常識的の解釈によれば、減税とは昨年よりも低くなるということを私どもは考える。それが帳面ずらで千九億の減税であつて、実際上は二百二十七億二千三百万円の増税であるということは、これはどうも悪口を言つて失礼でありますが、政治的な看板減税である。国民をこれはごまかすものではないかというふうなことが言われ得ると思います。で、この案の前提となつているものは、昭和二十八年度に給与所得が一一%増す、営業、農業所得等が八%増す、法人の収益率はやや低下するという見込みに立つての政府案であります。それならば給与所得が二%増すというならば、国家公務員なり或いは公共企業体職員に対して、なぜ二十八年度の予算で一一%の給与改訂費を計上しないのか、こういうことを私どもは言いたいのであります。而も大蔵大臣は絶対補正予算は計上しない、今年は計上しないと呼号されておるわけでありますから、この分で行きますと、本年において一般的に給与所得が一一%増すのに、国家公務員並びに公共企業体職員はそれがされないとなりますと、一一%だけ不利益を受け、それだけ生活困難になるということが明確になつて来るわけであります。又法人の収益率がやや低下するということも、これも政府の別な数字を見ますると矛盾が感ぜられて、この辺に政府の減税政策の隠れみのが発見されるような気がいたすのであります。更に、米価引上の負担増加分が三百億、鉄道運賃の負担増加分が消費者を二分の一といたしましても百五十億、地方税の増加が百五十二億、これらは経済審議庁並びに大蔵省主税局の調査によるものでありますが、従つてこれらは所得税を納められない低収入のものにつきましては、一〇〇%これらが家計の負担となつて来るわけであります。昭和二十八年度の人口八千七百万のうち、所き税を納められない人は五千万強あるわけでありますから、その影響は極めて大きいと言わなければなりません。  もう一つは、今度勤労者の減税が取上げられておりますが、これは減税とは私どもは言えないのではないか、税率の改訂が実際上の減税とはならないのではないかと思われます。なぜなら、政府の言い分を聞きましても、生活費が二割上つたから二割のベースアツプをする、こう言うておられるわけであります。この上つた額に従来通り税率をかけると、これは増税になるわけであります。増税にならないように税法を改正したに過ぎません。従つてこれは減税ではない。而も米や運賃、地方税で税制改正による金額は大体相殺されるのでありますから、風呂代とか、散髪代の値上、そのほか最近逐次上つておりますいろいろな物価の値上りが家計費を却つて苦しくさしておるのが今日の実情であると考えます。又税制の改正というものが公平に行われなければいかん、各負担の階層に公平でなくてはいかんということは三歳の童児も知るところでありますが、今回のそれがどうも公平でない、勤労者の立場から見ると公平でないと考えます。なぜなら、源泉と申告とを比較いたして見ますると、国民所得が昭和二十六年度で勤労所得が二兆一千三百八十二億、個人業種所得は二兆一千四十四億、大体とんとんであります。二十七年度も二兆四千に二兆三千、これもとんとん。二十八年度の見込が二兆五千に二兆四千、これも大体数字としては見合つた数字が三年間続いておるわけであります。ところが所得税のほうを見ますると、二十七年度で源泉のほうが千七百六十一億四千五百万円、申告のほうが八百三十九億四千五百万円、申告のほうは半分であります。二十八年度は千七百四十九億の源泉、申告のほうは七百五十九億、四五%に申告のほうは減つておる。これを二十七年度と二十八年度の比較を見ますると、源泉所得税のほうは十一億五千八百万円の減になるのでありまして、申告のほうはこれに比較いたしまして七十九億六千二百万円という減になるわけであります。こういう点は、一〇〇%きちんととられる源泉課税に対しまして申告のほうが極めて有利になつておる。ここが不公平極まるものだと感ずるわけであります。所得上では何らの相違がない、殆んど相違がないのに、徴収目標は半分に過ぎず、而も源泉は一〇〇%とられ、申告はルーズな点がある。こういう点について大蔵大臣のお話を聞きますと、いや、事業税が三百二十四億ある、それから申告関係のほうは家族数が多いというお話があります。これは一応尤もでありますが、仮にこれを加えても、なお且つ六百六十億の開きがあるわけでありますし、又申告のほうは実際家族が一緒に働いておるわけであります。それだけ有利な状況があります。これらはそもそもシヤウプ勧告で勤労控除を二五%から一五%に引下げたことに原因があると思いますし、その上地方住民税が所得税を基礎にするから、なお更この点については問題が倍加をいたしておるのが今日の実情であるのであります。前年度との比較を見ましても、今言いましたように、源泉のほうは十一億五千万円の減、申告のほうが七十九億六千万円の減、これが該当者は源泉のほうが九百七十一万人、申告のほうは二百七十六万人と、こういうわけで、法人のほうは百十二億六千万円だけ減になりますから、該当の人員を比較いたしてみますときには、更にこれは不均衡な状況になつて来る税制の改正であると考えられるわけであります。  更に問題にいたしたいもう一つの点は、最近の傾向が、間接税が増加いたしておることであります。今年の例を引きましても、酒税が八十三億、揮発二十二億、通行税七億、煙草百二十九億、砂糖百五十一億、物品二十一億、関税六十九億、合せて四百六十二億、これを二十六、七、八年と三カ年を比べてみますると、二十六年は直接税が五八・八%、間接税が三九、五%、二十七年には直接税が五六、六%、間接税が四一・五%、二十八年には更にそれが増加いたしまして、直接税は五二・八%、間接税は四五・三%、毎年々々間接税が多くなつて行つておるのが最近の実情であります。これは税金の本来のあり方から言いましても民主的であるとは思いません。成るほど間接税のほうが取りやすいということで、技術的に取りやすいことになつておつても、勤労者にとつては極めて不利であります。ひどいやり方だと私は考えるわけであります。シヤウプ勧告で、間接税に対する直接税の比率は国民の納税義務に対する自覚の程度を概略示すというふうに勧告の中にあつたと記憶をいたしておりますが、当時日本ではこの比率は五十対五十であります。一九四七年頃、米国では直接税が七〇%、連邦政府の税金だけ考えますと、八〇%の多きに達しております。四八年では八二%になつております。英国の例を引きましても、四六年の古い資料でありますが、直接税は五六%であります。これらに比較いたしまするならば、日本における間接税の比率が直接税に比べて多過ぎるということは疑いを容れない事実でありまして、それだけ取りやすいことは取りやすいけれども、民主的な税制ではないと私どもは考えておるし、且つこれが勤労者にとつては極めて大衆課税となつて不利益な状況になつておることを御判断を願いたいと思うわけであります。  さて、税の基本になつておりまする所得税についてでありまするが、以上の結論から申しまして、源泉所得税を大幅に一つこの際更に減税をして頂きたいことを強く要請をいたしたのであります。で、少くとも最低生活費、これだけはという点については税金がかからないようにして頂かなければなりません。憲法の二十五条で、健康で文化的な最低限度の生活が行われるように、その分については、これは免税がされる、税金がかからないというふうにいたしてもらいたいと思われるのであります。昭和十一年頃では大体六十七円ぐらいは税金がかからないところであつたと資料から想像をいたしておるのでありますが、当時の物価と今日の物価の比較をいたしまして、少くとも三百倍強になつておるのでありますから、これを今日に焼直しまして、二万四百円ぐらい、少くともこれくらいは税金がかからんということが、戦前と戦後の比較から申しましても、税金のかからない範囲は、ここまでは一つ保障して頂きたいと思うわけであります。その意味におきまして、今回の基礎控除、現行五万を六万といたしてありますのを、少くとも十万円に、勤労控除につきましても、まあ十万円ぐらいまで、扶養控除については一人につき、まあこれは概数でありまして恐縮でありますが、七万円ぐらいの扶養控除を一ついたして丁度いい加減ではないか、又税率にきつましても、先ほどの高木先生でありますか、お話がございましたが、我々としては五万以下は五%、五万以上は七・五%、八万から一〇%、十二万一五%、以下五%の累増というふうにすることが、今日の状態としては妥当ではなかろうかと思うのであります。  法人税につきましては、今回の改正は余りにもこれは手厚い措置だと私どもは考えます。資本蓄積の必要性を考慮に入れても、今日かかる措置はなお時期尚早でありまして、新聞等におきましても、批判的な記事が掲載されております。この点については、シヤウプ勧告も、当時法人税増徴の方針でありましたし、今日これらを低下させるというふうな必要は考えられないと思います。相続税、富裕税におきましても、以上のことから考えまして、引下乃至は廃止の必要がございません。これらは遊んでいる金であり、遊んでいる者が持つている金でありまして、こういうものを引下げる、或いは廃止をするのだつたら、ほかに幾らでも減税をすべき、もつと重要な対象があるというふうに私どもは確信をいたしておるわけであります。物品税につきましては、奢侈品についてはともかくとして、更に一般用品の減税をすべきであると考えておるわけであります。有価証券の取引税につきましては、法人税法の改正によつて、個人の有価証券に対する譲渡所得税の廃止をする、その代りにこの法律を作成したことにはならないとは思いますが、そういうふうな見方が強いと思われます。有価証券の譲渡所得が莫大であり、シヤウプ博士が証券登録の勧告をいたしたのでありますが、業者の反対でうやむやになつたと聞いております。今回の改正で、はつきり有価証券の売買による所得税の脱税が、悪く言えば合法化されるのではないかというふうな危惧がいたしまして、この点については極めて問題な点が多いと思われるわけであります。  以上総合いたしますと、今回の税制は、基本的にその千九億の減税というものが我々が期待しておつた減税という意味と違う、これはどうも見せかけの減税であるというふうな気持が私ども国民の中にあります。同時に又あまりにも大きな資本家にどうも中心を置いた大資本擁護の税制改正になつておるし、勤労者の税金の減税というものは、これに比較して公平な点を失する、公平ならざる税制という感じもいたします。我々としては是非今回の改正を機会にいたしまして、勤労者の生活擁護のための本当の意味の税制改正をされるように特に私は要望いたしまして公述を終る次第でございます。

中川以良自由党

○委員長(中川以良君) 有難うございました。御質問をお願いいたします。御質問ございませんか……。横山君には長時間に亘つて有益なる御所見を承わりまして誠に有難うございました。厚くお礼を申上げます。   ―――――――――――――

中川以良自由党

○委員長(中川以良君) それでは最後に日本租税研究協会理事西野嘉一郎君にお願いをいたします。  西野さん、お忙しいところ誠に有難うございました。お願いを申上げておりまする事項並びにこれに関連いたしまする等につきまして、御所見の御公述をお願いいたします。

西野嘉一郎日本租税研究協会理事

○公述人(西野嘉一郎君) 私は只今紹介されました西野でございますが、今朝ほどから幾人かのかたから、今回の税法改正に対する所見が述べられておりますが、私は会社の法人企業に関係しておるものといたしまして、又財界に籍を置いておるものといたしまして、今回の税法の改正における資本蓄積の問題についての諸般の施策に対して、二、三の所見を述べさして頂きたいと存ずるのでございます。  今日我々は現在の我が国の経済の再建に最も緊急を要する問題としましては、企業の資本の蓄積を促進しなければならない、今朝ほど高橋亀吉さんの公述もあつたでありましようが、今次の戦争において、高橋亀吉さんの推算によりますと、日本の富というものは七割かた喪失されたという推算をされておるのであります。そういたしますと、株式会社の資本にこれを推算いたしますと、丁度大正の六、七年、第一次大戦直後にまで日本の経済が後退したということになるのでありますが、無論これは在外資産などを含めてでありますが、それほど後退した我が国の経済が、ちよつとした朝鮮の動乱のブーム、その他アメリカの擁護において、そう根から回復したとは言われないのであります。それは我々の属しておりますところの企業において、その実態がはつきりと読めるのであります。そこで我々は今日最も緊急を要する問題といたしましては、企業の資本蓄積を促進する、そうしてそれによつて企業の健全を図るという以外にないと考えまして、諸般の要望をいたしました結果、今回政府におかれましても、今議会において資本蓄積に関する諸般の施策が税法に生まれましたことは、私といたしましても、又それに関連する財界といたしましても非常に喜びとするものでありますけれども、これらの内容を見てみますと、非常に遺憾な点が多々あると思うのであります。今回これらの諸般の手続によりまして、法人税関係が百二十九億の減税になると示されておりますけれども、そのうち特別減税国債の購入による減税が四十三億を加算されております。更に再評価税の十五億を引きますと、僅かに七十二億であります。これは極めて僅少なものと言わなければならんと思うのであります。その中に盛られましたことに対しましては、特別償却の適用範囲の拡張、価格変動準備金制度の改善、貸倒準備金の限度引上、貿易商社の強化に伴う一連の施策並びに第三次の資産再評価の問題が取上げられております。併しながら、これらの問題は我々の要望したところでありますけれども、それらの範囲その他については極めて微少なものでありまして、特に今回私は本日公述をいたします重点を二つの点におきたいと思います。一つは今回の措置によりましてとられた法人の支出した交際費、いわゆる接待費などの一定の限度を超えるときは、その超える額の二分の一を損金に算入しないというこの処置であります。もう一つは、特別償却制度並びに第三次の資産再評価に伴うところの減価償却による資本蓄積が我が国の経済においてどういう状態になつておるか、今回の処置によつてどうなるかという二つの点について申上げたいと存ずるのであります。  前者の問題でありますが、先ほど私が申上げましたように、今回政府におかれましては、企業における資本蓄積という名目から諸種の施策を税法において盛られたのでありますけれども、これらの問題に対して更にもう一歩進めて、その企業が非常に交際費など無駄な金を使つておるから、その面において資本蓄積を促進すべきであるという考え方からなされたと思うのでありますけれども、これは裏を返して見ますと、そうした資本蓄積或いは社用族の退治というような名目において増税を敢行する結果になるのではないかと思うのであります。なぜならば、この費用はこの予算説明書によりますと、大体三十五億と計算が推算されておりますが、これらは悪意的な推定によりまして、税務官吏の恣意的な点におきまして、恐らく遥かにこの数字を上廻るのではなかろうかと私は考えるのであります。そういたしますと、仮に三十五億といたしましても、現在の法人税の二%なり三%に相当するのでありまして、これら今申しました諸般の資本蓄積の諸施策は誠に結構ではありますが、これらは或る種の企業、貿易商社の或る種のもの、或いは価格変動準備金などにおきまして、又あとで意見を申述べますが、或る種の法人においてのみこれが適用されるのでありまして、今申しました交際費の問題につきましては、各法人全般、殊に中小企業に対しても、みなこれが適用を受けまして、それらは恐らく相当のパーセンテージ、三%から五%の実際において増税が行われる結果になると私は考えるのであります。一昨年でありましたが、法人税が三五%から四二%に引上げられましたときに、私はこの席に参りまして公述をいたしたのでありますが、二割の増税は政府当局の説明によりますと、いわゆる価格変動準備金或いは退職手当積立金その他諸般の特別償却制度などによつて、この二割の増税はそれらのものによつて実際的には増税にはならないのだというような御説明があつたのではありますが、その結果はどうなつておるか。皆さんも御承知のように、我々企業に属しているものには明らかに二割の増税が行われまして、各企業に対して非常に今日資本蓄積を妨害しております。妨げておりますところの法人税四二%は、実質上事業量などを換算しますと、執行税率の約五七、八%になると思うのでありますが、そうした非常な重税になつておるのであります。これが如何に今日企業の資本蓄積の妨げになつておるかということは如実であるのでありまして、それに加えまして、今回諸般の資本蓄積に対する手を打たれましたが、それらは名目的には立派でありますが、内容的には非常に貧弱だと私は思うのであります。その上に、それと引換え条件と申しましようか、そういう親切と言いましようか、そういう目途から今回こういう交際費の否認、損金にみないという手を打たれたことに対しましては、我々業界人としては誠に遺憾とするところであります。社用族を退治して資本蓄積の面倒をみてやろう、そういう親切があるならば、我々に対しましては、この法人税を四二%を三五%に引下げることによつて十分にそういう効果が狙われ、又ここに大きな意味もあると思うのであります。なおこの交際費というようなものは、これは企業が自主的にすべきでありまして、法律の力を以てこうするものではないのであります。又先ほど高橋先生、高木先生からもお話がありましたように、企業は皆さま見ておると、一つの社用族によつて非常な濫費が行われておると思われているようでありますけれども、企業の安定化がなされ、企業が真剣に取組んで今後国際情勢に立ち向うというようなときにおいて、そうした簡はいろいろな形においてもう払拭され、今日においては健全な企業の上に立つて行こうとしておるのであります。そういうときにおきまして、交際費或いは社交費というようなものは、これは企業の必要経費でありまして、その限度を税法においてきめるということは、これは非常にむずかしいことである。若しこれをあえて行うとするならば、税吏の悪意的判断になるのではなかろうか。交際費、機密費と申しましても、広告宣伝費のようなものはどうするか。業種によりましては、百貨店や一般消費物資を売つているものに対しましては広告宣伝費は交際費ではない、ところが或る一部の人に向つてなされるところの広告宣伝的な費用は交際費だ、そこら辺の区別は非常に困難であると存じます。又これを敢行いたしますことによつて、今申しましたように税の徴収上最も忌むべき悪意的認定が復活いたしまして、不明朗な紛争を起しやすい、又徴収上の費用が増すのではなかろうか、こう考えるのであります。のみならず、この交際費の必要限度というものは、企業の種類、規模の大小、景気のよしあし、又市場がセーラース・マーケットであるか、バイヤーズ・マーケットであるかというような事情によつて非常に違うのでありまして、これらを一概に一つの基準に嵌めて、この交際費が多いとか少いということを定めることは非常にむずかしいことであり、不可能なことではないかと思うのであります。而も売上金額に対して或る程度のパーセンテージを出して、それを超過するものということになりますと、大企業においての問題はともかくといたしまして、それは中小企業に対する圧迫が非常に大きくなるのじやないか。先ほど申しましたように、実質的の増税になるのではなかろうか、私はその点を非常に心配いたしておるのであります。で、こうしたようなことを強行するならば、いわゆる戦時中の経理統制令的な一つの統制が行われるようなことになり、非常に芳しくないいろいろなことが行われて来る。これらは我々企業家といたしましては、自主的に是正すべきものでありまして、法律の力を以てこういうようなことをされるということは非常に遺憾だと思うのであります。今申しましたような、こうしたことが結局においては資本蓄積や或いは社用族の退治にならないで、むしろ逆の方向に、却つていろいろないかがわしい無理なことが国民の中に行われ、企業の中に行われるということは、国民の道徳的な面においても非常に嘆かわしい方向に向いて行くのじやないかということを心配すると同時に、それが却つて弊害を起すということの意味において、私は今回のこの交際費などの否認に対する取扱いに対して強く反対いたすものであります。  もう一つの点といたしまして、今度資本蓄積の諸方策の一つといたしまして、特別償却制度の範囲の拡大並びに第三次の資産再評価を通しまして、企業の資本蓄積を図ろうとする意図は、これは非常に我々も要望したところでありまして、好ましいことであると思うのでありますが、現在その結論から申しますと、特別償却制度の範囲拡大によつて二十一億、第三次の再評価によつて初年度十六億と計算しておりますが、これらは三十七億ばかりのものが、今回のいろいろな措置によつて減価償却を通じまして企業の資本蓄積ができることになつておるのであります。併しながら、現在の減価償却の実情はどうなつておるかということを申しますと、昭和十二年度に比較いたしまして、法人企業の、大蔵省のこれは調査によるのでありますが、法人企業二十七年度におきましては、利益金は少いといつておりますが、二百倍になつております。物価の上昇は二百七十六倍と、これは少いのですが、大体二百七十六倍と計算しておりますが、減価償却は百六十三倍にしかなつておらないのであります。利益にも及んでおらないのであります。これに反しまして、法人税は昭和十二年に比較いたしまして六百八十一倍になつております。減価償却は百六十三倍にしかなつておらない。それは売上高に対して戦前は大体六%くらいのものが減価償却の割合を構成しておつたのでありますが、現在では一%乃至二%程度であります。これらの数字を換算してみますと、誠に減価償却は不足したのでありまして、仮に昭和二十七年度の減価償却費を戦前の物価の上昇率、つまり二百六十七倍に換算をいたしてみますと、現在昭和二十七年度の減価償却は千三百二十七億と報告されておりますが、それを物価の上昇まで減価償却をしたとしますと、二千二百三十五億ということになる。戦前の状態に近いもの、戦前の状態にはなりませんが、近いものにしても約一千億の減価償却による不足をしておるのであります。十二年度に比較しまして一千億の減価償却の不足をしておる。今回の措置において殖えたものは三十七億であります。これらの数字を勘案いたしますと、如何に今回とられたものは、ただ一歩を踏み出したということは言われると思いますけれども、企業は誠に弱体であります。で、西独の実情をしばしば引かれるのでありますが、西独におきましては、この減価償却を通じての企業の自己金融というものは非常に著るしいものでありまして、製紙企業十三社について調査をいたしましたところによりますと、新投資に対する八一%が減価償却による自己金融によつておるし、僅かにあと残つた一九%がその他の金融によつておるということが報告されておるのであります。私は昭和二十六年度の上、下期の日銀の調査をとつて調査いたしてみますと、丁度これが逆でありまして、我が国におきましては、減価償却による自己金融によるものが二七%その他の金融によつたものが七三%という数字を示しておるのであります。このように減価償却による不足というものは、企業の資本蓄積の食潰しを如何に増進しておるかということはよく皆さんもおわかり下さつたと思うのでありまして、これらのことについて、今回特別償却の制度の範囲を拡大されると申されるのでありますけれども、これらもやはり相当絞つた考え方であるようであります。我々はそういう意味から特別償却制度は、設備の近代化、合理化を目的として更新した新規の機械設備全体に対しまして、すべて特別償却を認めること、なお不急不要の投資並びに資本の濫用に対しましては、別途これを制限する措置を講ずるという要望を当局に強く要望して参つておるのでありますが、これらの要望に対しましては、なおまだ相当、数歩どころでなく、相当隔りがあるのであります。誠にこの点私は遺憾の意を表するものであります。  次に第三次資産再評価でありますが、今の問題に関連いたしまして、これも再評価を通じまして減価償却の増加ということが行われるのでありますけれども、再評価の問題に対しまして、私は今回の提案に対しましては、どうして再評価税、これをやめなかつたかということであります。僅か十五億ばかりの金に捉われて、再評価税をどうして廃止しなかつたか。企業の資本構成の是正ということが今日最も叫ばれておるときにおいて、僅か十五億ぐらいの再評価税にこだわつてこれをやめなかつたか。今回この再評価税を廃して、企業に対して第三次の再評価を強行さす。第三次の再評価を勧告するということによつて、企業の資本の蓄積を増進さすと同時に、残されている問題は、企業が現在問題になつておるのは配当率が高い、先ほどもどなたかの公述にありましたけれども、配当率が三割とか、四割とかいうことは、それは決して配当金そのものは高くないのであります。向井大蔵大臣は高率配当を抑制するというようなことを談話で申しておられますけれども、私はよくこれはおわかりになつておると思うのでありますが、配当金そのものは高くない。十二年度の基準配当率が八分であつたときに、同期の税引利益金の六割というものは、皆さん御承知の通り配当金に向けられておつたのであります。現在はどうであるかというと配当金に向けられているものは二十六年度の上期において二割であります。下期においては二七%であります。これらは又戦前の半分以下であります。配当金に向けられている金額は決して多くない。三分の一以下であるというにもかかわらず配当金が高いということはおかしなことになつて来るのであります。ここで問題は第三次資産再評価について、六%の再評価税というものを廃して、企業に再評価を勧告して、産業政策の立場から再評価をすることによつて資本構成の是正というものを強く図るべきであつたのではなかろうかと私は思うのであります。これは私個人の意見でありますが、そうすることによつて資本組入を促進せしめ、企業はどこの企業がやつたからということを言わない。産業政策の立場から一斉に資本組入を行うような措置をとるならば、そうして一割なら一割、一割五分なら一割五分の配当に持つて行くように、現在皆さんも御承知の通りに、払込資本金は昭和二十七年度大蔵省の調査によりますと、四千四百億であります。再評価積立金は七千七百億であります。これを今度は第三次の資産再評価に、仮に大蔵省の大体の数字が二千億くらいのことをやるのじやないかとみておるのでありますが、そうすると一兆になる。一兆になると、まあ大体現在の資本金は再評価積立金の資本組入によつて三倍になるのであります。従つて平均二割五分乃至三割の配当は一割に下げることができるのであります。計算によつて……。これを何とかこの際産業政策の立場から、政府が或る種の措置をとつて、この十五億ばかりの再評価税に目を眩まされないで、無税にして再評価を企業家にせしめるように誘導ができなかつたか、私は非常に遺憾と存ずるのであります。  皆さん御承知の通り、利益金は戦前に対して二百倍、法人税は六百八十一倍になつている。ここに資本蓄積を妨げる大きな原因がある。配当金は戦前に対して四十六倍、驚く勿れ払込資本金は二十七倍にしかなつていない。これらの数字を挙げてみましたときに、私は今回の第三次資産再評価は如何に不徹底であるか。これは政府は最後であると言つておりますが、誠に不徹底である。特にこの問題と絡みまして、再評価を強行せしめるために、もう一つ妨害になつておるのは固定資産税の問題であります。これは地方税の問題になりますけれども、再評価の限度までは固定資産税をとるというあの法律の条文を今日便乗しないで廃止せしめるべきであります。これらのことと関連いたしまして、そうして配当率を引下げて、配当金はもつと殖やす、そうして配当率を引下げて、それに関連して金利の引下げを考えるべきである。今後産業界において国際情勢上深刻なる競争をいたします上において、金利の引下は何といつても配当金との振合いであります。少くとも配当金の半分が、配当を一割しておるならば金利は五分というのが、これが昔からの一つの基本原則になつておりますから、金利引下をなす前に配当率を下げなければならない、これを下げるならば、資本構成の是正ということをもつと強行し、もつと真剣に政府の施策として、産業政策の立場から考えるべきじやないか。そのために今回の再評価税六%を継続したということに対して、私は非常に遺憾とするものであります。なお又いろいろの業界の意見を取入れられまして、再評価を二回にしたということは大変に進んだお考えだと思うのであります。我々としましては、もつと期間を二年ということでなくて、三年なり五年なり、私どもは五年と考えておるのでありますが、五年ぐらいに再評価期間を延ばしまして、そうしてそのうちに何回でも自由に業界の状況、財界の景気変動の状況によつてこれを行うようにして欲しかつた、これを思うのであります。そういうようにして欲しい、五カ年ぐらいの間何回でもできる。そうしてそれが今申しましたように、再評価積立金の行方ということについて、金利との関係、配当率の引下の問題に関連さして欲しい。今回はそういうような考慮は第三次の再評価には十分払われておるようでありますけれども、もつと思い切つた処置がどうして講じられなかつたか。例えば再評価税を納めれば資本組入がいつでもできる、こういうようなことが今度の再評価法においては出ておるようでありますけれども、これらの問題はもつと促進して、資本構成の是正という点に重点を置いてもらえなかつたか、こういう点について私は特に要望するものであります。  以上、私の考え方を述べましたが、その他ここに価格変動準備金、貸倒準備金の限度引上、これらにつきましても、なお相当の意見があるのであります。価格変動準備金制度の改善につきましても、これは価格が下落したときだけじやなくて、価格が上昇したときに価格変動準備金が操作できるというのが、これが当然の価格変動準備金の性質であるにもかかわらず、今回の改正においてもこれが行われないようでありますし、貸倒準備金の限度の引上について、もつと大幅にこれを行うべきじやないか、特に所得の計算に対してパーセンテージを認めるということは、これは望ましいことでなくて、やはり貸倒準備金は売掛金の大小によつてきまるべきものでありますから、売掛金の金額に対して何パーセントというようにすべきものであると考えておるのであります。  与えられた時間も参りましたので、私の公述はこんなことにしておきますけれども、要点といたしまして、減価償却費の不足というものは、これを十分に今後の施策について、企業資本の蓄積を増すために皆様方の御尽力を我我は願い、なお特に先ほど申しました交際費否認の問題につきましては、特に十分なる御考慮をお願いしたいと思うのであります。

中川以良自由党

○委員長(中川以良君) 有難うございました。御質疑がございましたらどうぞお願いします。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 ちよつと遅れて参りましたので、もうお話があつたかとも思いますが、特別減税国債についてどういうふうにお考えになりますか。税制の面から……。

西野嘉一郎日本租税研究協会理事

○参考人(西野嘉一郎君) 私はこの特別減税国債に対しては、業界としては余り喜んでいない、その結論はどうなるかと申しますと、結局は金融機関がこれを多く持つのじやないか、そうすると、そのために金融機関のために相当の減税がここに行われる。それは実際に資金の面においては、その資金は結局金詰りの、何ら政府が目的としておる方向にその資金が動かないのではないかという感じがいたしておるのであります。

中川以良自由党

○委員長(中川以良君) 西野さんには御多用のところ長時間に亘つて誠に有難い御教訓を賜わりまして厚く御礼申上げます。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕

中川以良自由党

○委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十五分散会

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