図書館運営委員会 第3号
- 発言数
- 41 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1952/12/24
会議録
○委員長(宮城タマヨ君) それでは只今より図書館運営委員会を開会いたします。 先ず理事の補欠選挙についてお諮りいたします。先般理事の青山正一さんが委員を辞任されましたので理事が一名欠員になつております。それでこの補欠選挙を行いたいと存じます。互選の方法は成規の手続を省略いたしまして先例により委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(宮城タマヨ君) 御異議ないと認めます。それでは私から理事に平沼彌太郎さんを指名いたします。 —————————————
○委員長(宮城タマヨ君) 次に本日御審議願います予定案件の審議に入りたいと思います。 国立国会図書館職員苦情処理規程の一部を改正する規程案を先ず議題に供します。金森国会図書館長の御説明を願います。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 只今議題に上せて頂いておりますこの国会図書館職員苦情処理規程のことにつきましては、その第五条に規定してあります通り、公平委員会の委員の中に最高裁判所長官の任命する最高裁判所裁判官たる国立国会図書館連絡調整委員が入つておるのであります。平たく申しますと、この公平委員会というのは七人の委員によつて組立てられておりまして、二人は職員組合のほうの人、二人は図書館側の人、あと三人がいわば中立の委員とでもいうべきものでありまして、その三人を組立てまするためには両院の図書館運営委員長又はその指名されるかたがたがおのおの一人ずつでありまして、それからそのうちの一人は最高裁判所の裁判官、そうして今までも国会図書館の連絡調整委員をしておる人がなられるというような構想でありまして、これは一番公正を期し得る方法だと思つて両院の御承認を得て、さような規定を作つておりましたが、だんだん考えて行きますると、裁判所側に多少の異論が起りまして、それはこの委員会を通つて行く案件の中には最後には、裁判所にも出て行くものがあり得るのでありまして、さような意味で公平委員会の中に最高裁判所の裁判官がいるということは、ごく稀有なことではありましようけれども、あとで面白くない場合が起つて来るのでありまするから、なるべく早い時期にさようなことのないようにしてもらいたいというふうな希望が裁判所側から示されたのであります。聞いて見ますると理由のあるようなことと思いますので、そこでこの規定を改正をいたしまして、今の裁判官の制度をやめまして、その代りにこの規定の中にありまするような国会職員以外の者で学識経験を有する者一人をこれに加えて、そこの中から委員を作るという方向に案を改めたのであります。これができますると今までよりも一層なだらかにものが動くと思いまするので、何分御審議の上に然るべく御処置を願いたいものと考えております。
○委員長(宮城タマヨ君) 只今の館長の御説明について御質疑のございますかたはどうぞ御発言を願います。 別に御発言もございませんければ質疑は終了したものと認めて御異議ございませんでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(宮城タマヨ君) 御異議ないと認めます。それでは本案は承認を与えることに御異議ございませんでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(宮城タマヨ君) 御異議ないと認めます。よつて本規程案に承認を与えることに決定いたしました。 —————————————
○委員長(宮城タマヨ君) 次に国立国会図書館の経過に関する報告を議題に供します。先ず金森館長の御説明をお願いいたします。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 図書館の最近の半年分の経過の御報告を申上げたいと思います。それは昭和二十七年の四月から同年の九月に至りまする半年の図書館の状況を御説明申上るのであります。いろいろ細かい点に亘つておりまするので、言葉を以て申しまするのにも不便なところもございまするので、一応は報告の要綱を印刷に付して御覧に入れておきましたが、そのうちの重要な点と思うところのものを幾分抜いて申上げまするが、この期間におきましては非常に変つた新らしい仕事をしたというわけではごございませんで、従来の発達の筋道に沿いまして一歩々々と拡充をして行き、だんだん事務のやり方をよくして行つたという程度のものでございますが、その中で行政整理の結果によりまして、全体の五百九十三人の百分の五よりも少しく少ない数でございますが、二十七人だけ減員をいたしました。二十七人を減員をいたしますることは、図書館のような極く現業に近い仕事をやつております所では非常に困難でございましたが、大局の上から一応その方法をとつて行きまして、今日までのところいろいろ苦心をして維持して来ております。 それから仕事の中味について申上げますると、一番複雑な調査事項でございますところの国会に対しまするサービスである調査立法考査局の考査件数は半年の間に千九十二件ございまして、これを一年に延ばしますればその倍という計算になろうと思いますが、大体最近の趨勢では月二百件くらいの調査の依頼がございまして、それに対しましてもとより完全というわけではございませんけれども、十分な努力をしておるのであります。それからかねがね申上げて置きましたように、明治の維新資料、維新と言いますよりも、維新後の憲政の発達に副つておりまするところの資料をこの図書館に集めるという計画の面におきましては、印刷物の第四頁の初めに書いてありまするように、だんだんと購入の件数を増加させておりまして、今のところでは容易に比類を許さないような総合的な資料になりつつあるような気がいたします。この期におきましていたしましたるうちで、一つのはつきりした目途になりますのは日曜日に図書館を開館するようにしたということであります。この五頁にその点が記載してございまするが、私どもが図書館を開きましたときに、当初から図書館は公のための設備であつて、図書館人のための設備ではないのでありますから、あらゆることを差し繰つても一般のサービスをしなければならんということを考えておりましたけれども、なかなか思うように行きません。やつと本年の四月に至りまして多少は無理な人のやり繰りではございましたけれども、日曜開館をいたしました。日曜開館をいたしてみまするとかなりよく利用せられておりまして、平日と違わないようなふうになつております。なおこの上にもいろいろの図書館を開く日を工夫することによつてサービスをしたいと思つておりますけれども、現在のところ先ずこの辺のところまでしか行つておりません。 それからもう一つはこの期におきましての仕事は図書館資料を一般に貸付けるという考え方の実行であります。その国会図書館の一つの狙いとして、あらゆる書物を一番よく国民に利用してもらおう、こういう考えを含んでおりましたが、それがためには図書館に来て読んでもらう以外に、図書館の材料を広く流通させることが必要であろうと思つておりました。いろいろと考えておりましたが、なかなかこれも手不足その他の関係によりまして思うように進行いたしません。併し従来もその方向にいろいろ動いてはおりましたが、本年に至りましてはつきり図書館の資料はすべてこれを貸付けるという原則を樹立いたしまして、よその図書館であるとか、よその研究所であるとか、或いは又十分な資格を備えている人々に対しまして、かなり自由に図書館の資料を貸付けるという方向に進んだのであります。本筋を申しますると、こちらから貸すばかりではなくて、あらゆる日本中の図書館の書物もこちらが借りて来て、そうして利用に供したいのでありまするが、なかなかそういう強制をするわけにも行きません。自分だけの奉仕は現状でできますけれども、人に奉仕させるということになりますると、いろいろ条件を整えるのは面倒でありますのでそこまでは行つておりませんが、半面的ではありまするけれども一つの進歩をしたかと思つております。あと印刷カードの作成ということも順調に進んでおりまするし、写真の複製業務も漸次世の機運に乗じまして、マイクロ・フイルムその他の仕事が捗つておるわけであります。外国との交換はこれはまあ材料がきまつておりまするために自然限定せられまするが、第八頁の終りのほうに書いてありまするように、日本から国際交換のために外国に送付いたしました資料は書物だけにつきましても半年に四千三百二十二冊、そのほかに雑誌がございまして大掴みに言いますると一年に一万点くらい出しておるのであります。同じように外からもそのくらいなものが入つております。閲覧その他も漸次順調でありまして、図書館の本館のほうは急に閲覧の座席を作るということもできませんが、上野のほうはいろいろの工夫をいたしまして座席を増加するという努力をいたしております。かような調子で先ず大体において不十分ながらも順当に進んでおるということは言えようと思います。なお将来の行く道といたしましてかねがね御心配を願つておりましたところのこのP・Bリポートが入手されること大体確実になりましたので、来年頃からはこのP・Bリポートを一般の人の利用に供することもできようと思いまするし、幾らか遅れるかも知れませんけれどもマイクロ・フイルムその他の写真を作る施設もそんなに遠くない時期にできるものであろうと今から展望いたしております。大体これが過去の経過、少しばかり将来に対する見通しについての御報告でございます。
○委員長(宮城タマヨ君) 只今の御説明に対しまして何か御質疑はございませんでしようか。
○徳川宗敬君 只今の館長の御報告によりまして、国立国会図書館もだんだん内容も充実して参りますし、事業も拡張して参つたことは館長初め館員皆さんがたの御協力の結果と存じまして非常に喜ばしく敬意を表しておりますが、今の御報告の中で行政整理の結果二十七名の減員があつたのでありまするが、そういうふうに事業がだんだん殖えて参りますのに人員が減つたということでは非常にお困りになるのじやないかと思いますけれども、そういう点につきましては来年度の予算に対してはどういうふうな処置をおとりになりますか、それをお伺いしたい。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 実際図書館のような切詰めた仕事と申しますか、現業並みの仕事をしておりまする所では、人が少くなりますればその埋め合せをする方法が殆んど困難でありまして、結局正確な意味におきましては、人を減らすということはできないわけであります。職員を減らせばその代りにアルバィトを殖やすというような、止むを得ざる措置を講ずるのほかございません。それにしても一般の方向でやつておりましたが、この次の年度におきましては大蔵省側に対して要求しておりまする数は二百九十七人の増員の要求であります。そのうちでも一番我々のほうで困つておりまするのは、折角貴き書物を手に入れましても、これを整理して利用に供するということが恐ろしく困難な状況になつておりまして、実際図書館人としては恥しいと思うような彌縫的な措置をしなければならんのでありますから、そういうような点に関しまして重点をおく、そのほかいろいろ各種各様の項目に別れて二百九十七名の増員を要求をいたしております。
○徳川宗敬君 来年の予算に関しましてこの前の委員会でありましたか、確か委員長のお話で他旦一十八年度の予算について検討しようじやないかというようなお話があつたようでございましたけれども、二十八年度の予算につきましては今日は別段御説明ございませんか。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 今日はそちらのほうの書類を持つて来ませんでしたが、まあ現在大蔵省のほうに話込んでおりますのはいわば第一の案と申しまするか、例年の例で言えば、多少圧縮せられ得るような案を出しておりまして、このほうは事務的にあらゆる方法を以て交渉する形になつております。他の一面につきまして図書館の建築の費用というものが、来年度の予算の主眼目をなしておりまして、その面におきましては図書館の建築委員会のほうの御決定の結果とか、或いは両院の図書館運営委員会の御意見、そのほかこの議会のほうに自然に湧き起つておりますいろいろな意見を根本におきまして、相当模様替えをしてというのは、事務的の見解というものを或る程度まで補正をいたしまして、模様替えして話を進めなければならん状況になつておると考えております。
○徳川宗敬君 今の来年度の予算のうちで、建築に関する問題が一番重点だと思うのでございますけれども、これについていろいろ館長もお骨頂いておると思いますけれども、これはあとで一つ委員長のお計らいで懇談にいたしまして、この問題を解決願つたらどうかと思いますが、如何でございますか。
○委員長(宮城タマヨ君) さよう取計らつてよろしうございましようね、この問題につきましては他に御質疑はございませんでしようか。別に御質疑もなければ本件は異議ないものと決定してよろしうございましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(宮城タマヨ君) 御異議ないと認めます。よつて本件はさように決定いたしました。
○委員長(宮城タマヨ君) 次に国立国会図書館建築委員会の勧告について御協議を願いたいと存じます。昨二十三日建築委員会から本院議長を経て、国会に勧告が参つております。本件は別にこの委員会において御審議を煩わすように議長から付託されてはございませんけれども、この委員会におきましても、従来から非常な関心を持たれまして、図書館の建築につきましては衆議院の図書館運営委員会とも両三度に亘つて合同打合会を開かれまして、建築の促進について申合せをされましたようないきさつもございますので、この際は本委員会としてもその促進方について議長に対して何らかの意思表示をする必要があるのではないかと存じております。この際御協議を願いたいと存じております。御意見のございますかたはどうぞお聞かせを願います。ちよつと速記を止めて……。 〔速記中止〕
○委員長(宮城タマヨ君) 速記を始めて。
○團伊能君 私今日初めてこの委員会に出まして、従来のいろいろな御努力非常に大きかつたものがあると思いますが、よく承知しております。建築につきまして、先日図面を拝見いたしました。この国会図書館の新らしく建設せられることは、日本の新らしい政治の上に又国として慶賀すべき大なる事業と考えまして、館長その他の御努力に私敬意を表している次第でございます。実際問題といたしては、この図書館の設計は館長もよく御承知の通り一般の建築と非常に違うところがございますので、その特徴がどこまでも発揮されている形に実現されたいということを私も希望いたします。実は日本の官庁建築において、使うほうの目的が徹底しないために形は立派な建築ができても非常に使いにくい建築が従来多いのでありまして、又日本の非常な悪い習慣として建築家というものに任せればそれでいいという考えがありますが、建築家はただ材料を以て家のごときものを建てるという仕事でありまして、それを使用するということには考慮の非常に欠けた場合が多いのでありますし、図書館の場合には、特に日本が非常に気候が湿潤でありますために、図書の永久な保存ということのために書庫の設計のごときものの御考慮は、館長御自身やはり実験をして、図書館員自身の適切な実験から相当な科学的方法を御研究になることが必要だと思いますが、私自身の経験といたしましても、国立美術館の図書館の倉庫のごときものは全部電気装置の換気法を使いましたけれども、電気がとまつたときは何らの設備がなく、又常経費として電気を使つておることには堪えなくなりまして、倉庫には電気の換流器も停止している。そういうために、却つて窓のない盲部屋でありますために非常に温度が多くなる。従来窓が外気に空いているものならばそれほどの被害がなかつたのでありますが、外気に窓をあけておくということは火災その他のいろいろな天災等のために危ないということで、窓を全部密閉いたしまして狂気換気を行いました。そのために電気の管理が悪くて非常な失敗に帰するというようなことがありますので、一つ立入つた御実験を基礎とした設計を十分に監督して頂いて、建築家というものは要するに柱を立て屋根を葺くだけの仕事以外にはそう知つておる人はありませんから、これに館長初め専門のかたがたの細かいところまで入つた徹底的な一つ御監督、御企画を私は希望して止まないものでございます。 それからなお一つ、この地所を旧ドイツ大使館跡ということを拝見しまして、非常ないい場所であると思います。実はこの利用価値、利用をさせて頂くということに最も便宜な方法を考えて頂きたいと思います。私ども考えますのに、例えば参議院会館と参議院の間、私は非常に近き将来において相当貴重な人命も失われる大事件が起ると予期せられるのでありますが、あの往来を横切ることは非常に危険極まることでありまして、非常なスピードで走つて来るものでありまして、一々私ども耳としてもひやひやすることがあるのです。ものでも考えながら来ますと、うつかりすると自動車に轢かれそうになる。何かこの建築の一部に本館と接続関係の御設計を頂きたいと思うのです。建築家は先に述べたごとく立派な建築を建てさえすれば事足れりと思うのですが、そのフアンクシヨン、その働きを充たすために本館との接続関係を設計して頂いて、安全に歩行さして頂きたいということを、甚だ思い付き意見で恐縮ですが、館長にとくとお願いいたしておく次第でございます。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 前に仰せになりました図書館の構造をどうするかという点につきまして、只今まだ予算も全然きまつておりませんので、その調査のために外国に人を出すというようなことは明言できませんが、今までもいろいろな人が向うへ行くたびにその点を見て来るということを希望して来ましたし、それから書物のほうでは、それに必要な材料は相当手広く今も集めつつあるのでありまするが、今仰せになりましたような空気の調節の問題などはこれは非常に重要なことでありまして、私も実はそれを気にして、例えばハーバート大学の地下室にある図書館などを見ましたときに、地下二階半くらいのところ、第一階が地面と地上とに亘つておりまして、その下が全くの地下室、その又下が完全なる地下室というところに豊富な貴重な書物がありまして、まあ我々の常識から申しますと妙なことをやつておると思いましたが、やはり先ほど仰せになりましたような空気を整備しておる、エア・コンデイシヨンしておるために埃一つ入らなくなつておりますし、自然泥棒なんかの心配もない、地震、雷、水害、みんな防げるというので羨ましいと思いました。電気がとまつたらどうかというようなことを伺いましたら怪訝な顔をしまして、そんなにストライキがあつたつて長くかかることはないし、二日、三日続いたつてちやんと空気が遮断してあるから大丈夫だということで、そうかと思つて漠然と聞いておりましたが、併しいろいろな事情を考えますとなかなか日本ではそんな真似をしたつてどんな困難が起るかも知れませんから、もつと複雑な計画が要るんじやないかと考えております。今のところ実行方法といたしまして図書館に関係しておる人々に忌憚なき意見を聞きまして、どういうような設備が望ましいかというようなことを集めて、それが一応集まつた上で今度は建築家のほうにこういうものを設備するにはどういう建築がよろしいかということを順序よくまとめて行こうと考えております。口ではそう言いますが、なかなか、専門家にはそれぞれ信ずるところがありまして、うまく行きますかどうか甚だ不安でありますが、そういうような線を辿つて行くならば、実用の面から見ても建築の面から見ても比較的安全な方法が得られるのではないかと思われます。従つてこの建築の予算の中にそういう設計の費用も潤沢とは言えませんけれども必要な程度の経費を見込んでいるし、なお今後努力して行きたいと思つております。 それから次の地下道の問題でありますが、これは実際私どもも初めからそういうふうにしたいということを考えました。地下道を作るということになりますと、ひとり図書館だけの問題ではなくて、これを受入れるところの国会それ自身の設備にも影響するので、従つて言わば後廻しと申しますか、第二次の関連にして計画を進めておりますが、大体今のところこれを考えてみまして、延長五百メートルくらいの地下道をこしらえて、これに工事費と設計費その他を加えますると、十六億余を使えば人間が通れ、書物の運べる地下道が作れると、こういう計画になつております。それを入れますと図書館の予算に響くものですから、第二の案として、決して怠るわけじやありませんけれども、別に考えを進めておるわけであります。
○團伊能君 只今の御説明でよくわかりました。なおこの国立国会図書館の設計で本建築ができ上りました際に、図書館以外の仕事で、図書館に連関ある仕事で日本の国としてまだ放棄してある仕事が相当あると思います。その一つは古文書の保存のごときものでありまして、多少はやつておいでになるようですが、御承知のように非常に歴史の古い国であり、そして又比較的古文書が保存されているのでございますから、過去を見ましてもそういうものが昔兵乱その他で随分失われ、又東京大震災、その他で大きな被害をこうむり、このたびの爆撃等で失われましたが、併し国民としてはなかなかよくそれを疎開したりして、なお今日も国民はよく保存していると思います。それらのものが一般資料と同様に、共に国民の手によつて保存されておりますけれども、なかなか維持して行くということも困難であり、どこかにまとめて古文書を保存しなければならないと存じます。現にそれはほぼ行われておりますけれども、この点についてのお考えを館長に伺いたいと思います。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 前々から古文書をどうするかということは非常に深く考えてはおりませんけれども、図書館を経営して行く上にいろいろなほうから刺激されまして自然考えをそこに向けておりますが、或る時期には日本では文部省と国立国会図書館とはこの古文書について、所管について紛糾があるのではないかというふうにこれはむしろ外の側から言われておりました。別に具体的の事実があるわけではございませんけれども、自然新らしい仕事としてこの古文書を収集するということが文部省のほうで相当進められておりましたために、なぜ国立国会図書館でそういうことをやらないか、こういうような議論も起りました。まあ考えてみますると、同じ国の施設でありまするので、この複雑な、大きな仕事を一つのところで独占するという理窟もないと思います。それでだんだん話合いをして適当なところに収つて行くべきものであり、重要な仕事があるのに、片方で何か物を争うような姿を呈することは面白くないというので、実は完全に差控えておるのであります。けれども他の一方から申しますると、この日本の歴史の中に我々の図書館に非常に接近するような貴重な資料がたくさん出て来るのでありまして、その一番顕著なものは明治憲政資料でありまして、終戦後のいろいろの社会の変化に応じましてこういう貴重なものがどんどん散逸して行きましたり、或いは従来収蔵しておられたかたが収蔵しにくくなつたという事情もございまして、これは今までこの三年ばかりの間に相当集積に努力しておりまして、或る程度までは完備とは言えませんけれども進んでおります、と同時にいろいろ又ほかのほうからの御希望もありまして、例えば正岡子規の書いたところのいろいろな文学的な書物とかたくさんあるが、これをどうするかというようなときに、これは殆んど全部一括して図書館に寄贈を受けまして、今日他に類のないものとして尊重いたしておりますし、又二宮尊徳の書かれた物或いは命じて書かしめた約一万冊以上の文献があつて、これなどはドキユメントと言つてもいいものが多いと思います。そういうものはこれは所有したわけではございませんが、委託によつて保管をしておるという形をとつております。こんなふうにして機会あるごとにこれをこの方向を進めております。 最後の問題といたしまして、一体ドキユメントを図書館でどういうふうに保存して行くかということがやはり問題として残つているのです。これは甚だ私どもまだ割切れない問題でありまして、一般的な民間の古文書というものはこれは文部省がやるのがいいか、図書館がやるがいいか大きな問題として将来残ると思います。狭い問題としては官庁の記録、官庁の保管しておる公文書その他私文書のドキユメントがたくさんありまして、これらはどこに持つて行くべきかということを考えて見ますと、自然国の中心的な国立図書館のようなところでこれを保管するのがいいと思つております。従つて機会あるごとにそういう空気を流しております。まだ各官庁がこれに歩調を揃えて来るというところまで行つておりません。併しよその宝をこちらで自分の懐に入れると誤解を受けては困りますので、非常に婉曲的にやつております。実際官庁では本来自分のところに属さない昔の文書を持つておつて、それをパブリツクに使うのでなく、又自分で使うのでもなく、ただ保存しておるということもございますので、何とか将来計画をしなければならんと思つております。今まで私のほうでは建物の工合が悪いので折角明治憲政資料など集めましても万一故障が起ると大変であるということで、実は図書館のほうに持つて行かないで、この国会の建物の中の一室をその置場に充てておる次第であります。若し新らしい建物ができて、地震その他一切の障害に対して安心のできる部屋ができますれば大胆に進められると思います。建築のことはよくわかりませんが、そういうようなところはこしらえなければならんと考えております。
○團伊能君 只今館長の御説明よくわかりました。殊に大変文部省等の関係を御考慮になつておられるようであります。将来古文書館でもできたらそれに越したことはございませんが、その間の仕事として図書館でそのほうに努力して頂いて、やがて古文書館ができたらそこに集結するようなことになるべきだと存じますが、非常に古文書について館長の御関心の深いのを知りまして安心したのであります。只今お話の正岡子規その他の明治憲政の資料は非常に貴重と思いますので、そのことも非常に結構であると思います。なおもう一つ今日にしてできるならば国会図書館が一番適切と思いますので、機会があれば御収集頂きたいと思うのは、戦争から敗戦、占領下におけるいろいろ往復文書、これはまだ皆様のお手許にあるのだと思います。これは将来は維新史にも等しい大きな資料になるかと存じますので、そういう点まで延ばして、できれば今のうちに御収集になつておくことを希望いたしまして、私の質問はこれで終ります。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 今のやつは来年度少しばかり予算を要求しております。
○徳川宗敬君 今配付されました国立図書館建築委員会の委員長としての金森館長から衆議院議長に宛てた本建築の実施についての勧告を拝見しましたが、本建築につきましては最近では一般的な世論も非常に盛り上つて参りましたけれども、又図書館で働いておられる館員のかたも、もう現在の状態ではとてもやつていけないというような、非常な切迫した感じを持つておられるだろうということは、これは私どもよりは館長もよく御存じの通りであります。又衆参両院におきましても、本建築について最近では従来にない熱意が見られるのであります。こういう点につきまして、この成立前に建築委員会をお開きになられたようであります。その委員会において設計等について具体的なお話合いが進められたでありましようか。又そのほか本建築を推進する上にどんなお話合いがありましたか。お差支えない程度にお話を願いたいと思います。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 委員会では大体皆様の御意向は、従来の線に沿つて合理的な図書館の建築をしなければならんと、こういうふうな線でいろいろお話合いになりまして、殊に技術を担任しておられまする委員が、当初図書館側で考えておつた八千坪の設計をするということは、それはそれだけの設計であつて、将来一万五千坪になつたときには、そのままでは役に立たんのでいろいろな故障が起る。設計するときに根本的なものがきまつていない限りは設計だつて出来ないと、こういうふうな議論が相当強く示されました。結局どこに収まつていいのかというときにいろいろの事情を考えれば、先ず一万五千坪というものを本体とすべきものであつて、工事の順序等はこれは一年でやるか六年でやるか、こういう差は出て来ましようけれども、計画の狙いどころは、少くとも一万五千坪でなくちやいかんと、こういうふうな御意見が強かつたのであります。それでこの結論に現われておりますのは、その趣旨によつてできておるのであります。将来の計画として四万五千坪になるということを念頭に置きながらも、当面の問題としては一万五千坪で以て設計をして行く、但しその建築の順序等については、これは別に年次計画を設けて行くものであると、こういうふうにおきめ願いまして、従つて予算のほうもそういうような考慮が加えられておるのであります。これは図書館側の本当の気持から申しますると、やはり一万五千坪では決して十分ではございません。図書館というものを極く狭い意味で見てやつて行けば、一万五千坪で当分の間、というのは二十年くらいはこれでやつて行けるだろうと思います。図書館というものにもう少し高い意味を持たせまして、大きな会議室を設けるとか講堂を設けるとか、或いは研究室を裕かに置こうと、こういう段階になりますると、なかなかこれでは希望するものを盛込むことができません。併しここに社会的な常識もあろうという点において一万五千坪というものを現在の理想案としてこの計画を立てたのであります。こういうふうに計画して行きますと、建築する土地の問題でありますが、今のドイツ大使館の敷地六千坪ではいささか狭きに失するのでありまして、あの囲りに官有地がございますけれども、あの官有地のほかに民有地も交つておつて、なかなかあれは複雑な組合せ方をしておりますので、相当早く敷地を買つて置かなければあとで困るのではないか、敷地を買入れるという経費は十分組込むべきものである、こんな結論も出ておりました。あとこの予算の実現を実行する面に向つての考慮は、今そこの建築委員会では余り表面には現わされなかつたようでありますけれども一含みの中にはきつと皆様がたがおのおのの力の下に最大の努力をして下さるものと予想しておりまして、私ども自分でできる部面を解決しておるわけであります。
○徳川宗敬君 この勧告は衆議院議長だけでありますけれども、参議院議長に対しては勧告されなかつたのですか。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) これは衆議院と参議院との両方の議長にこの勧告は提出するのでありまして、それを連名で出すか、個別的に出すかというような問題も起りましたが、それでその書面を一通だけ出して、これを両院議長のほうに任せますと、それでは書面の処置が非常に悪いものですから、そこで二通こしらえまして、衆議院に一通、参議院に一通おのおのの議長に出したわけでありまして、今日この印刷の都合で衆議院のほうだけ印刷ができましたけれども、参議院のはできなかつたものですから、臨時借用の形でお手許に廻つておるわけであります。
○委員長(宮城タマヨ君) ほかに御意見や御質疑がございませんでしたら、今の勧告を参議院議長宛にいたすものをこれから御相談申上げたいと存じておりますが、よろしうございますか。じや次のように議長に対しまして懇請することにいたしたいと思います。読み上げて見ます。 国立国会図書館本建築に関する 件 今日国立国会図書館建築委員長より両院議長を経由して、国会に勧告せられた国立国会図書館の本建築に関する計画は、国会図書館本来の使命とその現状に鑑み、適切妥当なるものと認められる。よつて本委員会は議長におかれましても、本建築計画の実現方につき格段の配慮をいた されんことを切に要望する。こういうことでは如何でございましようか。
○徳川宗敬君 只今お示しになりました文案で結構でございますから、一つ博期的に御推進を願いたいと思います。
○委員長(宮城タマヨ君) 実は今日衆議院のほうに、この建築委員長としての金森館長から勧告が出ましたあとで、建築委員といたしまして加わりました衆議院図書館運営委員長と私とが御一緒に議長にお目にかかりまして、衆議院のほうはよくお願いして参りましたのでございます。それで参議院のほうも、この書類を出しましたら、又そういう方法によつて特に面会いたしましても、お願いいたしたいと思つております。
○徳川宗敬君 この建築の問題につきまして、この前たしか二回に亘つて衆参両院議員の合同委員会をお開きになつているのですが、なお今後そういうことを委員長においてお考えになつておるのですか、どうですか。委員長に伺いたいのであります。
○委員長(宮城タマヨ君) まだ具体的なことは別に考えておりませんのでございますけれども、考えられます程度で如何なる方法でも労をいとわずやつて見たいと思つております。何かそれについて御意見ございましたら伺わせて頂きたいと思います。
○徳川宗敬君 委員長のお考えにお任せしてよろしいと存じますけれども、もう来年度の予算の問題は非常に切迫しておりますから、どうぞその時期を逸しないようにお取計らい願いたいと思います。
○委員長(宮城タマヨ君) その予算面につきましては殊に早急の措置をとらなければならないだろうということは、両院の委員長が申合せておるところでございます。 —————————————
○委員長(宮城タマヨ君) 次に議員派遣の件につきまして御協議を願います。 ちよつと速記を止めて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(宮城タマヨ君) 速記をとつて頂きます。 それでは議員派遣は、御希望を伺いまして要求することといたしまして、要求書の作製につきましては委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(宮城タマヨ君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○委員長(宮城タマヨ君) 次に先ほど徳川委員から御提案になりました昭和二十八年度予算につきまして懇談を行いたいと思います。速記を止めて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(宮城タマヨ君) 速記を始めて下さい。 これで予定案件を終了いたしましたのでございますが、実は衆議院のほうから法律案を発議されましてこちらへ送つて来る模様でございますから、暫時休憩にいたしたいと思います。御了承を願います。 それではこれで休憩にいたします。 午後三時四分休憩 〔休憩後開会に至らなかつた〕