人事委員会 第12号
- 発言数
- 46 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1953/03/13
会議録
○委員長(千葉信君) それではこれより委員会を開会いたします。 今日御審議を願う案件は国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案及び日本国との平和条約の効力発生及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律の一部を改正する法律案、及び調査案件二作でございます。只今御出席になられておりまする政府委員及び説明員は、管野内閣官房副長官、入江人事官、調達庁長官根道広吉君、同じく労務部長中村文彦君、財務課長志賀清二君及び大蔵省給与課長岸本君。 最初に駐留軍労務者に対する退職手当の支給に関する案件から御質疑のあるかたは順次御発言をお願いいたします。
○高田なほ子君 調達庁長官にお尋ねをいたします。昨日から駐留軍労務者に対する退職手当支給の問題について問題になつている点がしばしば論議されたのでありますが、この支給期限は昭和二十八年四月二十八日、こういうことになつておるわけであります。昨日の論議をここで又蒸返す必要はないと思うのでありますが、私がお伺いしたいことは、今日まで進駐軍労務者と調達庁間においては、この間退職手当清算に対して確約書を交付しておられたと思います。確約書の内容は、政府雇用の進駐軍関係の労働者の退職手当清算は現金支払が建前であるが、資金上から現金支払が困難なので、これに代る措置として法律による保障の措置をとるが、調達庁は速かに現金支払をなすため調達資金の回収又は補正予算措置等あらゆる方法を講じて現金支払の促進を図る、調達庁労務部長中村文彦、進駐軍労組に宛てた文であります。この確約書は明らかに労働協約の形をとつておりますので、これに基かれましてその間調達庁のかたがたの御努力があられたやに昨日も誠意を以て開陳せられたのであります。併しながら本日に至りましてもなお且つこの解決というものは四月二十八日までにこれの実施が財政上甚だ心細いような御答弁を私どもは伺つておるわけであります。そこでもうくどいことは今日は論議の必要もないので、長官からこの確約書に基く資金をこの法律実施と同時に支払える見通し並びにその見通しが若しつかないというのであれば、その原因、資金面の原因等、端的にここで御説明願いたいというのが私の質問の趣旨の大要であります。
○政府委員(根道広吉君) 私といたしましては、駐留軍の関係労務者に対しまする退職金は、すでに証書的に約束されておるのは、できるだけ払いたいという考え方を持つておるわけであります。絶えずそういう努力をして参つたのであります。従いまして労務部長こういうような確約書を出すということも私は当然了承しておるのであります。いろいろ計算を立ててみましたところ、或る程度現金化ということは可能であろうというふうに私も考えております。これを必ず或る一定の期間にやるとすると、どうかすれば資金が足らないという問題も起るということも十想されたわけであります。併し国の財政面といたしまして資金を何らかの方法を以て殖やす或いは借入金の枠を旭やすというようなことができれば、これはいつでも払えるわけでありますか、只今の状態におきましてはまだアメリカ軍からの回収状況がこちらが望むほどの状況にはまだ相成つておりません。以前より比べますと非常に回収状況はよくなつて来ておりまして、本日も引続き努力中であります。それでも全額を払うほどの資金はないわけであります。これを全額払うということにいたしますれば、改めて資金の枠を殖やして行かなければならん、この点につきましては大蔵当局ともいろいろ相談したのでありますが、遺憾ながら現在の立場上困難であるということに相成つておるのであります。大体私どもの見通しといたしましては、四月の終り頃になれば大体前にお約束をしてあるところの証書面の金額の半分は払えるであろう、まあこういうふうに思つておるわけであります。
○高田なほ子君 借入金の枠も外れ、ドル回収についてはほぼ見通しがあるけれども、約束した半分くらい切りこれは見通しがない、非常に心細い話でございます。これはあちらの回収が促進しなければ解決がつかないという、このことだけに終始しておつたのでは、いつでもこの見通し見通しということになつてしまつて、解決が更に遅れるというようなことも予想されない限りではないと思うのであります。この打開策というものは、消極的なドル回収の途のみ考えておつたのでは、いつまでたつてもこれは解決がつかないのではないかということを私は恐れるわけでありますが、この点について長官は何らの不安もお持ちにならないで、約半分くらいはこれは支払うことができるであろうというような御答弁をせられておるものか、それとももう少し明るい希望を持たれて、そういう御答弁をされておられるのか、そこらをお聞かせを願いたいと思うのです。
○政府委員(根道広吉君) 私が只今半分は四月の終り頃には払えるだろうと申したのは、係りのいろいろな研究の結果集めました数字その他で、私としてもこれは確実であるというふうに考えられるところを申上げたわけであります。勿論希望的の観測を以てしますれば或いはそれ以上にできるのかもわかりません。又少しく時日をかして頂ければ割合に早く支払ができるという可能性がないわけでもありませんが、何分にもいろいろの支払が時々刻々に変つて参りますので、支払に充てる退職金の蓄積がはつきりいつのいつまでという見通しが今のところ直ちにつきかねるわけであります。但し私どもといたしましていろいろ立替支払の分の回収には努力いたすわけでありまするが、軍側に対しましても、例えば今月支払つた給与はその月のうちに速かに返してもらうというような措置を実は話合いもしておるわけでありますが、まだこれが結果が出ておりません。又更に進んでは若し三カ月ごとの前払というようなことを軍側から支払うといたしますならば、これも全額支払をするのに非常な楽な立場になると、こういうふうに考えております。こういう問題についてもいろいろ係りのかたから軍のほうに対してこれらの支払が可能になるように、できるだけそういうような考慮も払つてもらいたいというふうなことも非公式には話しておるわけであります。まだそれに対しまして結論が出ておりませんので、現在の支払状況及びその回収状況等を考えまして、今一応の目標としております四月末には少くとも半額は払えると、こういうふうに数字上見通しをつけておる、これを申上げたわけであります。
○高田なほ子君 一つ二つ……実は私出なければならないところがあるので、かたがたここで質問をするのも結論的にお伺いしなければなりませんが、補正予算のときからすでに御努力をせられて、なお且つ今日長官としては責任ある御答弁もでき得ないという、こういう状態で、若し、これが全然もう見通しがこの四月末にもつかないというようなことも、一応最悪のことも考えてみなければならないと思うのですが、この場合長官としてはどういうふうになさるおつもりですか。
○政府委員(根道広吉君) 只今この確約書が問題にされておりまするが、この確約書には、これは逃げ口上ではございませんが、時期は示してございません。できるだけ速かに払う、勿論二年も三年も後であろうとは考えませんので、でき得るならば本年度内にでもというふうなつもりがあつたわけであります。これに対して労組側といたしましても、我々はそれについてできるだけの努力をするということにおいて御了承を頂いたと考えておるわけであります。
○高田なほ子君 それはお気持はわかりますが、それじやお伺いいたしますが、日米労務基本契約というものは今日までずつと延長して適用せられておると思うのですが、これはもう申上げるまでもなく労働時間に対する給与の実費を日本政府に必らずこれは返還するというう、の契約が私はちやんとあると思うのですよ。そういうこととしたらそれはちよつとおかしいと思つております。今の御答弁は……。
○政府委員(根道広吉君) 元来退職金の支払は退職時に支払うことの建前でございます。特に昨年退職金を一応計算上清算するということにいたしましたのは、これは労組側の要求もございました結果でありまして、現実には退職ではない。併しながら或る種の状態が変つたのである。まあ諸般のことを考えて、現金はそのときには出さないけれども、前に働いた分に対する退職手当を金額的に確保するという措置をとるということになつたわけであります。その点につきましていろいろな論議が当時交わされたのでありまするが、いわゆる併せて一本というような形において実はこの法律案ができたような次第でございます。
○高田なほ子君 ちよつと、それは昨日の事務当局のお話では、その管理費の中の資本蓄積は当然これらの利子支払に充当する予定であると、又そういうつもりでもあるというようなまあ御答弁もあつたのですよ。どうなんですか。
○委員長(千葉信君) ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(千葉信君) 速記を始めて……。
○溝口三郎君 調達庁長官にお伺いいたします。昨年の十二月二十三日の衆議院の人事委員会におきまする調達庁長官の御答弁と、一昨日の本委員会における菅野副官房長官及び政府委員等の説明を総合いたしまして、私の御質問をいたす前に、私の大体了解いたした要点を一応確認して頂く必要があると思いますから、その点について御意見をお伺いいたします。 政府は二十七年の四月二十八日に支払うべき駐留軍労務者の退職金の未払、それが現在では約七十億あるが、これを今度の改正法律案によつてできるだけ一時払のできるように努力をしておるのだ、この改正法案の成立を、これは議員立法でありますが、希望しておられるような意向のように承わつております。私も払うべき退職金の未払があるならば、これはできるだけ速かに払うべきが当然だろうと考えておるのであります。その財源といたしましてはアメリカの未償還金、これは回収資金と思いますが、その督促に政府は努力をいたしておるが、その償還が促進されれば、七十五億は二回払ぐらいならばできるだろうから、一時払はむずかしいが、政令のようなもので、国会で修正でもしてもらえば都合がよいがというようなことを官房副長官は一昨日答弁をしておられたのでございます。労務調達資金につきましては、これは日米合同委員会か又は労務基本契約委員会と申しますか、そこで交渉中であつて、その大部分は償還してもらえる可能性があるということを駐留軍労務者側のかたに昨年の十月頃外務真の伊関局長が言明されておつた。根道長官は具体的には知らないが、大体かように聞いておるのだ、併し今以て先ほどの高田委員からの御質問でも、確実にこれが償還されるかどうかはまだはつきりしてない点があるようでございます。そこで労務基本契約委員会で七十五億の退職金は日米の双方で負担するものであつて、米国側の負担分も返してもらいたいというような交渉をしておられたかどうかはまだ私は伺つていませんが、その点についてもはつきり御答弁をお願いいたしたいと思います。 もう一つ、アメリカ側は、法律第百七十四号の附則三項につきましては、正式にその当時に日本側から交渉をして了解を得ていられたかどうか、この点もまだ明瞭になつていないのでございますが、以上申上げましたことについて大体は御確認なさるかどうか、あらかじめお伺いいたしておきます。
○政府委員(根道広吉君) 一番最後の点から御返事申上げます。法律改正の当時に米軍側のほうとの話合いがあつたかという点でございますが、その当時は総司令部に話をしておいたものであります。それから償還の点につきましては、我々としていろいろ書類上の複雑さがあるのでありまするが、これをできるだけ簡素化して、速かにしてもらいたいということは、向う側とも再々協議いたしまして、ずつと以前にはニカ月以上もかかつておりましたのが、現在では一カ月半ぐらいに大体縮つて来たというような状況にあるのでございます。 それから現在の状態でありまするが、この退職金は退職金としてだけ独立してもらう形にはなつておりませんので、今の償還の建前は、退職金を長い間もらつて行けば、それを累積して或る金額に達する、それを時々退職する者にその中から現実に総額を支払つて行く、そして或る程度に行きますると、やがて新陳代謝して漸次に払つて行くことができる時期に達する、こういうような見通しを以て大体運営して来たわけであります。併しながら昨年の四月二十八日を以ちまして一応清算をして、そこで現金の支払をしてくれという労務者側の要求に対しまして、現金を支払うということは当時は勿論できなかつたわけであります。今日におきましてやや蓄積がありまするので、相当部分は支払えることに相成つたという段階になつておるわけであります。 それからもう一つ申上げておきたいのは、当時もいろいろ論議になつたのでありまするが、占領が終つたときからこの労務者の身分がどう変つたのかということが非常に問題になつたわけでございます。併しながら当時の考え方といたしましては、日本政府が雇用者であることにおいては変らない。占領軍が駐留軍になつたので、労働条件その他においても実は変らないのだ。だからここは退職金を出すべきじやないのだ。本当の意味で退職したときでなければやれないのだというような論もありました。又片や労働組合の側といたしましては、占領下の特殊事態においてとにかくちやんと勤めて来たのだ、その事実を認識して、ここで退職金を出したらいいのではないか。こういうような要望があつたわけであります。それらのことをいろいろ合せまして、それでは過去の既得権的なものとして、将来やめるときに如何なることがあろうとも、その過去の部分については必ず支払う、こういうふうなことで、その代り現金としてはそのときに渡せない。何となれば、本当の意味においての退職ではないのだ。まあこういうようなことで現在の状態に至つたわけでございます。併しながらよく考えてみますると、退職金というものが一応金額的にきまつておりまして、やめるときならもらえるのだけれども、もう金を積んであつてもらえないのだと……、いろいろ変つて来てそのお金が欲しいときにもらえないというのは、なかなか労務者側としても満足することができないということも考えなければいかん。私どもといたしましては、やはりそういうものは、できるならば資金の蓄積ができ次第速かにその分だけは払つてしまおうというような考え方を持つたわけであります。そういうような考え方を以ちまして今日まで努力して来たわけなのであります。先刻合せて一本であるというようなことを申上げたのは、この法案のできた当時のことを実は申上げたのでございます。
○溝口三郎君 只今の御答弁で、私の申上げたことについては大体御了承になつていると思うのでございますが、そのうちの疑点のあることは又別に改めてお伺いいたしたいわけでございますが、一点だけ先にお伺いしておきたいのは、その当時にGHQに話をしたのであるが、私のお伺いいたしたのは、GHQの責任者へか、又は文書を以つてでもお打合せになつたのか、その点を明確にして頂きたいと思います。
○政府委員(根道広吉君) その当時の案は、外務省を通じて正式にGHQ側に提出されてあるものと思います。
○溝口三郎君 その回答書は調達庁は写しでもお持ちになつておられますか。
○政府委員(根道広吉君) 調達庁には参つておりません。
○溝口三郎君 この次の委員会までに、その点私重要だと思いますから、外務省をお調べになつて、調達庁のほうから提出して頂くようにお計らいをお願いいたしたいと思います。
○政府委員(根道広吉君) その点調べまして御回答申上げます。
○溝口三郎君 二十七年の法律第百七十四号につきまして、私は国家公務員法の九十八条と、財政法の十五条との関係につきましていささか疑義がありますので、これを先ず明らかにしておきたいと考えるものであります。昨年の十二月二十三日の衆議院の労働委員会におきまして根道長官は次のような趣旨のことをお述べになつておられます。退職金については労働者側との間に労働協約を以て定められた規定があつて、それによつて支給することになつておつた。現在でもそのように規定されておりますという趣旨のことの説明があつたのでございますが、労働協約は、一昨日の委員会で政府委員の御説明では、労働協約ではなくて確約書とか確認書であつたのだ、一種の覚書であるのだというように御説明になつたので、労働協約とは違うんだというような趣旨の御答弁があつたのでございますが、果して労働協約が二十七年の四月二十八日以前と二十七年四月二十八日以後とにそれは存在しているのかいないのか、明確にして頂きたいと思います。
○政府委員(根道広吉君) 退職金に関しまする規定は調達庁としては作つてあるわけであります。その退職金の規定は前も今も変つておらんはずであります。ただその内容につきましては労働組合とも協議して、その了承を得て、お互いにこうするということになつておる内容のものであります。まあ言葉の上でこれが協約の内容であるとうことには直接には相成りませんけれども、実質的には組合との間の約束事でありまして、例えばこの退職手当の規定を変える、或いはその金額を変えるというようなことがありますれば、これはいろいろな関係上労働組合と協議した上でなければ実質上は直し得ないというような建前になつておつたわけであります。
○溝口三郎君 進駐軍労働組合同盟が、これは特別職である国家公務員でございますが、これは団体交渉をやる労働協約を締結することは国家公務員法の九十八条で認められていると思いますが、その相手方が特別会計や政府機関の代表者でないところの一般会計の調達庁の代表者が予算や資金を拘束するような労働協約にひとしい確約書というようなものを締結する権限があるのかどうか。又中村政府委員の名義になつております確認書と、確約書と労働協約との効力に相違があるのかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(根道広吉君) 今問題とせられましたこの確約書そのものは、できるだけそうしたいという努力をお約束したというのでありまして、資金その他予算を直ちに拘束するというような趣意のものではないと私考えております。 それから公務員法云々、これは余分になるかもわかりませんが、元来占領軍労務者は初めは公務員ではなかつたのてあります。ところがその後公務員法ができまして、政府より支払を受ける者は公務員であるのだというような条項がありますために、自然的に占領軍労務者が公務員という範疇に入つて来てしまつたのであります。それでその後すぐに政府が支払うものであるから公務員は公務員であるが、それを普通の公務員と同じに扱つてはこれはまるきり当を得ないということでありまして、これが改正されまして特別職ということにいたしたわけであります。で、それが再変いたしまして、先般の改正に当りまして、やはり一番初めの状態の、公務員ではないということに戻して、本来の姿に返した、こういうことになつております。
○溝口三郎君 根道長官の御説明では、その当時の確約書は、労働協約と同じような効力のあるものではなくて、政府があらゆる努力をするという趣旨のものであるというように承わつたのでございます。確約書におきましては、退職手当の清算は現金支払が建前であるが、現在資金上から現金支払が困難なので調達庁は速かに現金支払をなすため、調達資金の回収又は補正予算措置等のあらゆる方法を講じて現金支払の促進を図るというふうになつておりますから、これは長官の御答弁の通りでございますが、確認書がもう一通出ております。そのうちの要点は、退職手当の清算を法律によつて保障する措置を講ずる際は次の条件を完全に法文の中に明記するとありまして、四つ条項がありますが、その三番目には、利子相当額年おおむね五分を附することを、確認書として提出しているのでございます。この確認書によりますると、労働協約と同じ性質であつて、それは全進同盟に対して債務を政府が負つたことになるのではないかと私は考えるのでございます。その点についてお伺いいたします。
○政府委員(中村文彦君) 一昨日もこの問題につきましているいとと御質疑があつたのでございますが、我々は確約書或いは確認書というような形式でいろいろ団体交渉の経過の間に文書によつて取交しをいたしている例が再々あります。我々はこれは団体協約書とは考えておりませんで、お互いに誠意のあるところを披瀝して、今後の交渉に再びさようなことで相互の間に疑義があつたり、或いは十分な理解が尽されなかつたりすることのないように、念のために文書を取交すというふうに我々は考えております。従いまして先ほどの御質問のような財政法上の予算措置もなくてかかることは法律的違反じやないかというお話、或いは逆にこれは必ず守らなければならんじやないとかいうふうなお話と相成るわけでありますが、我々は誠意を以てそれの実現には勿論努めて参るつもりでもおりまするし、又過去におきましても努力いたして参つたのでございまするが、協約違反というようなことには相成らないものだというふうに考えております。
○溝口三郎君 中村政府委員の御趣旨は私もよくわかりますし、できるだけ約束をしたものは守つて行きたいのだというお説については私は何ら異存がありませんが、法律的の解釈はこれは明確にして置きませんと私はいけないと思います。 私の先ほどお伺いいたしました確認書におきまして、法文を作る場合には左の点を明記するというところまで書類をお作りになつて、全進同盟に対して調達庁が債務を負つたのではないか。この点については今の御答弁を一応承わつておきますが、なおこれらについてはこの次までにこれは明瞭にいたしたいと思います。 そこで、政府は確認書に基きまして第二の方法の補正予算措置等あらゆる方法を講じて、それができなくて、第一の方法の調達資金の回収によつて現金支払の促進を図るというような手段をおとりになつて、その結果、二十七年の六月十日に法律百七十四号が公布されましたが、その附則の三項において、昭和二十七年四月の二十九日から退職の日まで五分利付で支払をすることと確認書通りになつているのでございます。この法律百七十四号は国の債務を負つていると考えられる点もあるのでございますが、若しそういうことならば、この法案を提出せられる前に、財政法の十五条によつて国庫債務の負担行為の承認を国会に得るはずであつたと考えるのでございますが、その手続をおやりになつていたかどうかをお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(根道広吉君) これは支出の約束ではございませんので、従いまして予算等の措置はとつてございません。
○溝口三郎君 その御説明につきましても一応お承わりしておきたいと思います。 法律百七十四号の公布の当時に退職金の見積額が九十七億あつたように承わつておるのでございます。そのうちの昭和二十六年の七月一日に労務費は終戦処理費でなくてアメリカ側で負担するのだというふうになつたというふうに思つておるのでございますが、そういたしますと、昭和二十六年七月一日の以前と以後と分れて、九十七億は日本側とアメリカ側とそれぞれ分担額がきまつていたと考えますが、その点はどういうふうになつておりますか。 なお現在は残額が七十五億になつておる、七十五億の日本側とアメリカ側の負担の区分は、一昨日の政府委員の御答弁では一と二くらいになつておるという御説明がありましたが、この点も調達庁長官から改めて御答弁をお願いいたしたいと思います。九十七億と七十五億との差額の二十二億は、昭和二十七年四月二十八日から今日までに支払われたものと考えられますが、そのうち日本側とアメリカ側の負担すべきおのおのの金額はどうなつておりますか。又二十二億を退職金として支払つたならば、それは支出の項目は調達資金で出したのか、労務調達の管理費で支出しているのか、その点をお伺いいたしたいのでございます。
○政府委員(根道広吉君) 昨年度九十数億あつたものが結局七十何億に減つておるということは、まさにその後退職者がありまして、その者に対して支払が充当されたので、減額された数字であります。この退職金の計算に当りましてはいろいろ数字的に面倒なことがございますが、大体の筋を申上げますと、占領当時におきまして最初は終戦処理費を以て実際に賄つておつたのでございますが、これが間接、いわゆるLSOという恰好になりました場合には終戦処理費の負担は離れたわけでございます。従いましてその当時の経理から申しますれば、LSOになりましたあとの退職金、その部分についてはアメリカ側の将来の負担と、それからその以前のものにつきましては日本政府が終戦処理費を以て賄うべきものである、こういうふうに分れたと承わつております。その部分が日本政府負担、占領が終つた時期であります。その時期までの前の時期をとりまして、その間の終戦処理費時代のものと、LSO時代のものと、こう分けまして、日本側三分の二、アメリカ側の負担が三分の一と、こういうふうな割合になつておるわけであります。その金はどうしたのかということになるわけでありまするが、現在資金七十五億というものがございまするが、この金額は大体日本側の退職手当負担分に将来充て得る額であつたというふうに考えております。その七十五億というものは元終戦処理費の部分を以て充てたものであります。
○溝口三郎君 資金の、調達資金の性質は、結局その決算尻は全部アメリカの負担になるものではないかと私は思つておるのでございます。駐留軍が日本に駐留するために必要な経費が千三百億要るのだ、そうしてその二分の一が日本で防衛支出金として六百五十億が計上されていたということでございますが、アメリカ側で負担する六百五十億につきましては、そのうちの四百四十億は労務費であつて、それは約二十万人の駐留軍の労務者を雇用するに必要な経費であるのだと、それを調達資金で一応調達庁が支払つて、その次の月初めにアメリカから償還してもらう。その償還が遅れているから督促をしていられるように承わつたのでございますが、結局調達資金の決算尻は全部アメリカが負担する性質のものならば、その調達資金で、終戦処理費で支払わなければいけない退職手当が九十七億の三分の二あつたという、それを調達資金で支払つているんだということになると、アメリカ側で駐留するに必要な経費の六百五十億を調達するには調達資金が現在の程度では当然不足して来ると思いますが、それは千三百億を折半して、防衛支出金として日本が負担するのには、その中には原則としてはアメリカの必要な労務費は入つていないと思います。提案理由におきましても、先般来の政府からの御答弁でも、国家公務員の身分が駐留軍の労務者に切換わつたんだ。そうして切替わつてからは調達庁が間接雇用で、雇用はするが、その労務費はアメリカが負担するんだ、そしてそれを調達資金であらかじめ賄つて、あとから返してもらうんだということになるのでございますが、その身分が昨年の四月の二十八日以後は国家公務員でなくなつたのだから、当然に退職金は支出する義務が政府にあるのだというふうに考えられるような提案理由が出ているのでございますが、国家公務員の身分がなくなつたんだというから、身分がなくなつたときには退職手当が出るんだということは、退職手当の臨時措置法の二条といささか食い違つているのじやないかと私は考えるのでございます。退職手当の臨時措置法の二条では、退職手当は、一般会計、特別会計、その他等の歳出予算等で、国会の議決を経た歳出予算によつて支給される職員が退職した場合に支給するという、適用の範囲が規定されているのでございます。調達庁が、国会の議決を経て歳出予算によつて支給した職員は、国家公務員でありますが、昭和二十六年の七月一日以前であつたのでございますから、国が進駐軍労務者側に支払うべき退職手当は九十七億の三分の二に相当する程度のものが日本側で支払うべきものであるんだと、それを身分が昭和二十七年の四月二十八日に変つたから、そのときの支給されていた給与に対してこの退職手当を決定した根拠は、これは退職手当の臨時措置法の二条によらずに、労働協約が私は平和条約発効後とその以前の両方あつたのかどうかということを前にお伺いいたしたのでございますが、その中に退職資金の項目があつたのかなかつたのかということがはつきりいたしませんが、退職手当の法律の第二条に基くものは終戦処理費だけの問題であります。そうしてその終戦処理費で退職手当を出さなければいけないのならば、二十七年の終戦処理の善後費が二百三十億くらい計上されておりますが、そのときにそれに計上すべきであつたのだと私は考えるのでございますが、それをせずに、回転資金で支出をすることについて経理上適当であるかどうかについていささか私は疑義があるのであります。その間の経過をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(根道広吉君) 只今の御質問にお答え申上げるのは非常にむずかしいのでございますが、この昭和二十七年六月十日、法律第百七十四号、附則第三項には退職手当の払い方を書いてあるわけであります。即ち「連合国軍労務者であつて、条約の効力発生の日において引続き駐留軍労務者となつたものが退職した場合においては、その者が連合国軍労務者として在職した期間に対しては、第九条第二項及び前項の規定にかかわらず、その者が条約の効力発生の日から三十日前に解雇の予告を受け、且つ、その日において解雇されたものとみなして、国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律云々」、それによつて退職手当を支給するというふうになつているわけであります。その当時は実際上の解雇はない。公務員でなくなつたけれども、実際には解雇はない。ないけれども、計算上解雇されたものとみなして、その後新たに支給する退職手当の計算と合せて払うということをまとめて規定したものなんであります。只今の御質問にありまするような疑義が当時も当委員会において何度か提起されまして、いろいろ御説明申上げました。正直に申上げますると、その当時何ともしつくりせんではないかというお叱りも頂戴したのであります。いろいろな関係を以ちまして労働組合等も丁度発足するという状況下におきましてこの第三項ができ上つたということを御了承願いたいのであります。
○溝口三郎君 長官の御説明なり、その当時の交渉の結果こういうふうになつたことについては経過は了承いたすのでございます。先ほど私申上げましたように私は百七十四号の法律の当時は、そういう御審議があつたかどうか記憶ないものでございますから、新しく出ました改正法律案によりまして新たに疑義が起つたものでございますから、くどいようでございますが、その点納得の行くように一つして、今後どうして行つたらいいかということを検討する必要があると思つて御質問をいたしておるのであります。その点におきまして私は先ほど申しましたように終戦処理費と調達資金と、この支出の区分がはつきりしない、経理上非常に疑義があるのじやないか、その当時は補正予算の措置等あらゆる方法を講ずるのだと言うたが、それは当然の政府は退職手当の法律に基いて出すべきものなんです。国家公務員が身分を失つて、そうして日本政府が支払つた俸給に対して退職したのならば、そのときまでの退職手当は法律に基いて出すべきものであつて、それを補正予算が、国の財政上からという理由だつたと思いますが、国民の権利を国の財政上からこれを取つてしまうということは、私はこれは正当なことではないのじやないかと考えるのでございます。それについて非常に御苦心になつておられることはよくわかりますが、その結果におきまして目的以外の金額……、回転資金のうちから支出して行くようなことは、これは駐留軍の初めに予定された事業も、私はその分だけはこれは阻害されて行くのじやないかという問題に繋つて来るのじやないかと考えるのでございますけれども、アメリカの駐留軍の負担する六百五十億のうちの四百四十億の労務費のうちには二十万人の労務者のうち自然退職をその後においてして行く方々のための退職手当金というものはおよそ年額六億程度が計上されているだけだと私は思つております。三十億のような金を一遍にアメリカが負担するというような財源は恐らく四百四十億のうちにはないと考えておるのでございますが、先ほどの調達庁長官の御説明で、法律百七十四号を提出する当時はGHQの責任者に話をして、そうして外務省にはその公文書があるだろうというようなお話でございましたが、若しその公文書によりまして、九十七億のうちの約三分の一の三十億がアメリカで退職資金として出すのだということを承認しているかどうかをはつきりいたしたいと思いますが、若しそれを承認しているのだつたら、但しその条件は附則の三項にあるような条件で、四百四十億のうちから一時払でその金額を出すことができるのかどうかというようなことはまだ明らかにされていないのでございまして、先ほど私が一番初めに指摘いたしましたように、日米合同委員会で百十六億の未償還金をできるだけ回収をするようにだんだん御交渉中だと思いますが、そのうちで退職資金のアメリカ側で負担すべき平和発効後の約一年間の分の三十億は、アメリカがその当時の交渉に基いて支払うのだというようなことは、合同委員会で御交渉になつたのかどうか。又アメリカが支払うべき三十億の金額を、これは日本側で最終まで負担するのかどうか。そうでなくて、回転資金が最終的には全部アメリカが負担すべきものだというと、アメリカは約七十億の日本側で負担するものをアメリカで負担するような結果になるのか、どうしても私は国家公務員であつて、日本の政府が支払つた給与に対しての退職金は、明らかに予算の項目を立つて、そうして一時に、退職手当の臨時措置法の二条によつて速かに私は政府はこういう措置をおとりになり、そうしてその当時にアメリカと交渉をしてアメリカが了承しているというならば、アメリカの負担する三十億の分に対しても、今度こういう改正法律案が出るのだから、日本側の負担する労務者の方々に対する負担金は一時払にするのだ。アメリカもそれと同じようなやり方で二十六年の七月一日から約一年間アメリカの労務者として雇用したその方々に対する退職資金も是非アメリカは出してもらいたいということに調達庁長官は御努力になつて頂いて、そうしてそれは出してもらえる可能性か確信があるのかどうか、そういう点についての御所見をお伺いいたしたいと思う次第でございます。
○政府委員(根道広吉君) この資金関係と義者の身分の変り方、いろいろ時期的にずれがございます。例えば先ほど申上げましたように、二十六年の七月一日からLSOということに相成つたわけでありますが、その当時は占領下中でございました。その後昨年講和条約の効力が発生しましたときに又一段の変り方があつたわけでありますが、その間を全体通じまして、労務者は占領軍労務者と連合国軍労務者としても、ただ駐留軍労務者としましても、いずれも日本政府の雇用者という立場であつたわけであります。ただ経理上占領下の途中におきましてアメリカが、その以後の部分の経理については一切を含めて日本側で償還するということになつたのであります。そしてそれが講和条約発効のときまで及んで来たわけであります。そのときにおきましてこの法律百七十四号の附則第三項の支払方を退職金についてするということをきめましたときに、それでは前の占領時代における二つの区分、即ち終戦処理費の部分、アメリカの償還すべき部分との区分はどうかという計算をそのときしたわけでありまして、これが二対一の割合になつているわけであります。丁度そのとき、最初のときでございましたが、大体七十五億という金額を、これは終戦処理費から資金へ繰入れたのでありますが、そのとき退職金を払うか払わないかということが、日本政府とアメリカ政府、又は日本政府部内におきましても大蔵当局と我々との間にいろいろ話合いがあつたわけであります。当時占領軍の意向としてもLSOに変つて、米軍が、日本政府が立替払いをした後償還するということは、正に変つたのであるけれども、労務者の身分は何ら変りない、労働条件も何ら変りない。ただ日本政府が償還の関係で財源が残るから、その退職金をそこで払うということをしないで、廻転資金という形においてこれを保留し、退職手当を将来そういう事態が出来したときに完全に払うという資金に充てればいいではないか、こういうふうに大蔵当局と軍当局とが話合いが付いたのだと了解じているわけであります。その七十五億のほかに三十億何がしというものが、LSOになりました七月一日から去年の四月二十八日までの分としてあるわけでありますが、それらのものを考えまして、アメリカの償還額のうちに、月額一人当り幾らといううちに計算上織込んで来たわけでありまして、大体において二年ぐらいたちますれば全体がカバーできる。ただ途端にやめてしまいますと、退職金はその後においてアメリカに全額清算してもらわなければならん、こう思つているわけでありまするが、現在の状態で続いて行きますれば、退職者がだんだんと出まして人員が変つて参りますれば、自然に三十一億の金も出て行き、やがて最後に残るときには七十五億の退職金も廻転資金として必要なきに至りますればそのときに払うということで結末が付くものというふうに我々は考えて来たわけであります。
○溝口三郎君 長官の御説明をお伺いいたしまして“なお疑義のある点については私も検討をしてみたいと考えているのでございます。いろいろの経過や事情があつたには違いないのでありますが、その根本におきまして国家公務員の身分を失つたから、だから失つた途端にその退職手当は支給するのだ、日本の政府から支給する。こういうように提案理由では読めるのでございますが、この点は先ほど私申しましたように、日本の政府から支払つた給与に対して退職手当を出すんだということが法律で決定になつているならば、国は法律通りに確認書であろうと労働協約であろうと、そういうのでなくて、国民の権利に対して当然支払う義務があるのだ、どうしてその義務を国が負わないのだということが私は根本の原因であろうと考えるのでございます。勿論その当時において身分は変つたのだから、退職資金を要求された労務者側に対して、政府のほうでも要望に副うて上げたいのだということで確認書をお出しになつたのでございますが、ここにすつきりしない点があるのは、その支払の金額を何の支出項目から出すんだということを明確にしなかつたことが原因にもなつているのでございます。私はその当時御交渉になつた退職金を出すということは、これは御交渉の結果でございますから、それを一日も早く実現されることに無論異議はないのでございますが、ただ国家公務員の身分が変つたという点については、これは占領の当初GHQの指令以後でございますが、労務充足の指令が出て、そうして日本政府は占領軍の要求に従つて、如何なる場所においても如何なる時においても必ず労務を充足するという義務が負わされたので、その責任を果すために国家公務員として調達庁が雇用して、そうして占領軍に労務提供をしたことから国家公務員ということになつたのでございまして、昨年の平和回復の日に、只今の御交渉があつた際において同じ労務者が継続して駐留軍の労務者となるんだということだから、アメリカ側に言わせれば、国家公務員であろうと何であろうと、アメリカ側では同じ労務者として考えているのは当然なんです。そのときに、同じ継続している労務者だけれども、退職資金をこれはそのときにおいて出そうということがはつきりしていたのかどうか、そうして若しそういうことなら今度の改正法律による一時払の点についてははつきりアメリカと御交渉になつて、アメリカも追加予算か何か出して、そうしてアメリカが負担する分は取つてもらいたい。日本政府も約五十億になつておりますが、以前の一年の分を合せれば七十億だと思います。それについては私はこの改正法律案によつて廻転資金から支出するほかに方法は現在ないのだということならば、それで一応はやられて、早く解決したほうがいいと思いますが、続いてそれを内訳にしてそうして今後将来の回転資金には支障のないようにし、そうしてすでに昭和二十六年の七月の一日現在において国が支払の義務を負つておるものについては別の措置をとつて頂くように調達庁長官が今後努力せられんことを是非私はお願いいたしたいと思いまして、希望を添えて私の質疑は一応終ります。
○政府委員(根道広吉君) できるだけ御説に副うようにしたいと思いますが、ただ先刻申しましたように駐留軍の労務者が公務員であるかどうか、先刻ちよつと触れたのでありますが、占領当初におきましてはこれは公務員ではなかつたのであります。それが公務員法ができましたので自然に公務員になつてしまつたという状態ができたのであります。これではおかしいので、国が払うのだから公務員だというだけじやおかしい、まあこの公務員法を直さなければどうにもならんわけでありますから、それでその条項を直さずに特例を設けまして、連合軍要員はこれは特別職であるということにいたしまして、従つて従前通り労働法の完全適用があるという建前に戻したわけであります。それがずつと続いて来まして、今もお話になりました法律によりまして今度はすつぱりと公務員ではない、特別職でもないということになりまして元の姿に、占領当時より二、三年続いておりましたその状態に帰つたわけでありまして、御了承を願いたいと思います。
○委員長(千葉信君) 私からちよつと只今の高田、溝口両委員からの質問に関連して御質問を申上げたいと思います。私が御質問申上げるのは菅野副長官に対して御質問申上げるのですが、調達庁の長官も是非御同席を願わなければならないことと思います。 今速記課のほうに速記を取寄せるように手配をいたしておきましたが、菅野副長官もお聞きのように先ほどの高田委員の質問及び溝口委員の質問に答えて調達庁の長官は、講和発効と同時に占領軍の要員は国家公務員でなくなつたけれども、併し事実上駐留軍の要員としても勤務が継続されておるのだから事実上の身分の変更、事実上退職という条件は起らなかつたのであるから、従つてこれは退職手当を必ずそのときに支給しなければならない筋合のものではなかつた、これは只今速記録が参りまするからこれ以上申上げなくても、菅野さんもお聞きの通りだと思います。そういうことになりますと私ども今いろいろこの議院提出の法律案をめぐつて論議されている根本の条件が変つて来やしないか。私どもの承知している限りでは、一昨日のこの委員会でも菅野副長官は政府としては当然駐留軍労務者に身分が切換えられたときにこれを退職と認めて退職手当を支給すべき筋合のものである、それが予算の関係その他の事情からとうとう本年度法律第百七十四号のように、附則第三項によつて将来今度は駐留軍の要員としての立場から退職する場合に併せて退職手当の支払いをするというふうにせざるを得なかつた、こういう菅野副長官の答弁でございましたし、それから又現行退職手当法によりましても、菅野副長官の御答弁になりましたように、第二条によつては、「国会の議決を経た歳出予算によつて俸給が支給される職員が退職した場合にはその者、死亡した場合にはその遺族に支給する。」、この中には「一般会計、各特別会計、日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社の歳出予算並びに公団等の予算及び決算の暫定措置に関する法律又は公庫の予算及び決算に関する法律」、こういうはつきりとこれらの法律によつて、いわゆる予算によつて、国会の議決を経た予算の適用を受けておるものと思つておりますから、従つてこの退職手当法からいつても当然これは退職手当は講和発効と同時に昭和二十七年四月二十九日以降は支払わなければならない。それから又御承知の通りこの法律の提案理由の説明でもこういう説明が行われております。占領軍労務者としての退職金はその者の勤務の如何にかかわらず現金支給すべき性質のものであるがと、私はこの提案理由の説明通りと了解しておりまするし、政府の一昨日の答弁も同様でございました。ところが今の調達庁長官の御答弁では明らかにこの点が食い違つております。菅野副長官は総理府を代表されて御答弁になつておられたはずですが、この点に対して菅野副長官はこの意見の食い違いをどう考えられるか、この点をお尋ねしたい。
○政府委員(菅野義丸君) 只今御質問の点でございますが、先ほどから私伺つておりましたところによりますと、一昨日私が御答弁申上げました趣旨と只今の調達庁長官のお答え申上げたところとは別に食い違つてはおらないように私は感ずるのでございます。調達庁長官のお話はあとで伺うといたしまして、私の一昨日答弁いたしました点につきましては、今ここでそれを直す必要は全然感じておりません。要するに身分が違うとか或いは負担の点とかいうことは別といたしまして、法律上におきましてもあのときに退職したものとみなしております。従いまして現実に退職、再就職という手続はしなかつたにいたしましても、一応退職手当というものはあのときに支払うべき性質のものであると信じております。併しながら当時の資金の関係その他によりまして、又続いて同じような勤務に服するという特殊の事情もありましてああいうふうな法律になつたのであると、かように信じております。先ほどの調達庁長官がお答えいたしましたのも、一部においては身分が御承知の通り、とにかく労働条件も全然同じであるし、而も職場も違わないし、無論勤務を一日も休まず続けて行くのであるから、これは退職ということにしなくてもいいのじやないかというお話があつたけれども、併し政府としてはやはり退職とみなして、ただ退職手当を実際その後に退職するまで支払を延期するという措置をとつたのである、こういうようにお答えしたように私は伺いまして、私の一昨日申上げましたところと食い違いはないように私は考えたのでありますが、いずれにいたしましても、私は一昨日申上げましたことは今ここで訂正する必要はないというふうに考えます。
○委員長(千葉信君) 速記録にはつきり残つておりまするから、この問題については……。
○溝口三郎君 委員長、関連して……。菅野官房副長官の只今の御説明は、国家公務員が身分が失つたのならば、これは当然に退職手当を支給するのだというふうに御説明になつていられるのでございますが、先ほどの委員長の御質問は、退職手当の臨時措置法の第二条を挙げられて御説明になつたのでございますが、その点は私も先ほど疑義があるので御質問をいたしたのに対して、調達庁の長官は私と同じような考え方の御答弁をなさつたのが、菅野さんは全然それとは違うように言われて、そして一昨日の御答弁も訂正する必要はないと言われましたが、只今委員長が御指摘になりましたのは、国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の第二条の適用範囲でありまして、その結論は、退職手当は、一般会計、各特別会計その他公社等の予算で、国会の議決を経た歳出予算によつて支給される職員が退職した場合に支給するというのでございまして、国家公務員が、昭和二十七年の四月二十八日以後駐留軍労務者は身分が失われたのでございますが、日本の政府から給与を受けたのは、昭和二十六年の七月一日以前でございますから、国家公務員が身分が失つたときには、昭和二十六年七月以前まで国の歳出予算から支給された職員が、国家公務員の身分を失つた場合に、この当時の給与に対して退職資金を政府は支給するし、職員はそれを請求する権利があるのだというふうに、私はそういうふうに解釈して、調達庁長官もそのように御解釈になつておるように先ほど伺つたつもりでございます。もう一応この点を明らかにして頂きたい。
○政府委員(菅野義丸君) 只今溝口先生がおつしやつたことは、通常の場合におきましては全くその通りでございまして、国家公務員として政府から予算によつて給与の支給を受けております者がやめました場合におきましては、当然これは退職手当の法律二条によりまして、退職手当を受けるべく、又現金支払いをすべきものでございます。併しこれは必ずしもほかの法律で以てそれをきめれば、勤務が続いておりますと、出さなければならんということはないのでございます。例えば国家公務員が地方公務員になる場合において、こういう場合におきましては法律で以て別段の定めをすれば、やはり勤務が続いたものといたしまして、今後実際地方公務員をやめるときに通算してやるということも考えられる、その問題は法律の問題でございますので、私は必ずしも身分が変つたから直ぐさまということにはならないのであるがと、こういうことをちよつと附加えたのであります。同時に又これを、国家公務員の退職手当の法律というのは附則の規定によりまして、附則の四項によりまして、いわゆる連合国軍のために労務を提供した労務者に対しては適用になつておらないのであります。二条では如何にも適用になるようになつておりますが、附則の四項によりましてこれは全然適用が排除いたしております。ですから私が申上げましたのは、そういう点は別といたしまして、一昨日申上げた点については、その根拠は別といたしましても、とにかく退職とみなしておるのだから、その退職手当は当然当時一時にやるべきものであるけれども、ああいう特別の規定を作つて、退職するときに払うようになつておるのだ、こういう原則はお答え申上げた通りでありまして、それを変更する必要はない、こういうふうにお答え申上げた次第であります。
○溝口三郎君 もう一点くどいようでございますがお伺いしておきたいと思うのであります。只今の御説明で第二条の四項でございますが、駐留軍労務者にはこれは適用がないのだという御説明でございますが、そこで私の一番初めに調達庁長官に御質問いたしたのでございますが、一般会計の調達庁の長官が労働協約を結ぶことはこれはできると、私は普通の場合にはできると考えるのでございますが、その労働協約によつて国の予算や資金を拘束するような労働協約を結べるかどうか、そうして若し結べるんならば公労法においても十六条でそういう協約が資金上予算上に不可能な場合には、政府は国会に不承認の承認を求めるという規定があるくらいでございますから、調達庁の長官が労働協約で国の予算を拘束するような協約をできるかできないか、そうしてそれをやれば当然私は国に対しての措置をとらなければいけないのだというふうに考えたので、初めに平和条約発効の前後に退職金を含めた労働協約があつたのかどうかという点をお伺いいたしたのでございます。
○政府委員(根道広吉君) 国の支出を伴いまする約束を組合などでいたしまするときには、必らず事前の措置がなければそれはできないことでございます。先刻来お話にありましたのは、組合側といろいろ話合いをいたしまして、そういうようなことをするということに関して努力をすると、調達庁長官として努力をするということを約束したのであります。御了承願います。
○溝口三郎君 もう質問はやめようと思つておりますが、先ほど私が申上げたときに確認書と確約書と両方あるので、その点をはつきりして頂かんと、確認書は努力をすると、確約書は国の負担を明記するという二通り出しておられるから、私はその効力に対してお伺いいたしておるのでございます。この点を明確にして頂かんと、何遍質問をいたしましても同じことだと思う。よく両方とも御覧になつて頂いて、御答弁お願いいたしたいと思います。
○政府委員(根道広吉君) 只今確認書とありますものと確約書というものの差別と申しますか、私といたしまして、確認という言葉を使いましても確約という言葉を使いましても、この場合それは中味によつてきまるものでありまして、差はないように感ぜられるのであります。先刻御指摘になりました、昭和二十七年四月十八日の労務部長と全進労との間の確約書をとつて申しますと、これは「退職手当清算を法律によつて保障する措置を講ずる際は、次の条件を完全に法文の中に明記する。」、こういうことが書いてあります。実はその当時のことを思い出しますると、現実に政府部内においてこういうような措置をとるということに意見が一致しました。これはまだこの点について労働組合とも話合いを進めるかたわら政府部内においてこういう法案も作るということが確定した後にこれは書かれたものだつた。こういうふうに記憶しております。
○委員長(千葉信君) 再度先ほどの質問に関連して御質問申上げたいと思います。これはこの法律案審議の結論を左右する程度に重要な問題だとは思いませんけれども、併しながら一面から言いますと、根本の考え方において食い違いが若し政府側にあるとすれば、これはやはり或る程度はつきりとさせなければなりませんし、御質問申上げることはやはり御質問申上げておかなければならんと思います。そこで余り執拗に追及申上げることはいささか大人げない感じもいたしますけれども、先ほど菅野副長官は、調達庁長官の答弁と自分の一昨日の答弁とは食い違つておらないという御答弁、そういうふうに自分としてはさつきの調達庁長官の御答弁を聞いていたというお話でございましたが、申上げるまでもなく、菅野副長官の答弁は、現行退職手当の臨時措置法に基いても、私は一応これが正しい答弁であると了解しておつたのですが、調達庁長官の場合にはその点が私としてははつきり食い違いがあると思つて、その不審を究明しなければならない。先ほどもお話申上げたように、今その速記録が手許に届きましたから、食い違いがはつきりあるということはこの速記録を読み上げて、私のほうで証明するつもりですから、政府のほうで一つこの次委員会に出席されるまでに、政府側にそういう意見の食い違い、観念の不統一があつては問題の解決に非常に支障が起る場合も考慮されますから、よくお聞き取りを願いたいと思います。高田委員の質問に対する答弁で、調達庁長官は次のように答えております。「元来退職金の支払いは退職時に支払うことの建前でございます。特に昨年退職金を一応計算上清算するということにいたしましたのは、これは労組側の要求もございました結果でありまして、現実には退職ではない。併しながら或る種の状態が変つたのである。まあ諸般のことを考えて現金はそのときには出さないけれども、前に働いた分に対する退職手当を金額的に確保するという措置をとるということになつたわけであります。」、こうはつきり答弁しております。これはいろいろな論議があつたとかなかつたとかいうことは、私どもの参議院の人事委員会における論議の内容等を指されてこのあとに附加されただけでありまして、明らかにこの答弁でいいますと、退職と認めない、これは退職ではないという考え方に立つて、併し労組側の要求があつたからああいうふうな措置をとるようになつた、こういう御答弁ですから、この点では明らかに食い違つております。どうか次の人事委員会までに十分政府として善処願いたいと思います。 今日は委員会はこれで終ります。 午後四時五分散会