人事委員会 第8号
- 発言数
- 56 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1952/12/24
会議録
○委員長(門田定藏君) 只今より委員会を開会いたします。 先ず一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題に供します。政府から菅野内閣官房副長官、久田内閣総理大臣官房審議室長事務代理、瀧本人事院事務総局給与局長、岸本大蔵省給与課長が来ておりますから、昨日に引続きまして質疑を続行いたします。御質疑のあるかたは順次発言を願います。
○千葉信君 今日は官房長官はお見えになりませんか。
○政府委員(菅野義丸君) 只今予算委員会に出ております。
○千葉信君 それでは菅野副長官にお尋ねいたします。 前回のこの委員会で質疑の結果明らかになりましたことは、人事院の勧告は一万三千五百十五円、五月からの実施、それから政府案は一万二千八百二十円の十一月からの実施、表面上の金額では勧告と政府案とでは六百九十五円の開きということになるけれども、併し当然人事院案通りに五月から勧告通りに実施をされていれば更にこの開き以上に給与の自然増加があるはずである。勿論現行の給与水準の中でも五月から十一月一日までの間には百九十二円という給与の上昇がありましたから、従つて人事院の勧告案の金額と政府案との開きに五月から十一月までに上昇した給与額を加えてその金額が八百八十七円、政府案と人事院勧告の金額にはこれだけの開きがある。それから更に若しも人事院の勧告が五月から勧告通り実施されていれば、そのほかにプラスXというものが必ず生じたに違いない。その点も考慮に入れなければならない。政府のほうではこの分についてその後計算をされておられますか。
○政府委員(菅野義丸君) 只今の御質疑の点は、前回の当委員会におきまして私がお答え申上げました通り、千葉委員の仰せになることは誠に御尤もでございましてその通りでございます。それで百九十二円プラスXというそのXはこれはまだ正確な数字を計算してありませんが、しようと思えば簡単なことでありまして、仮に五月に一万三千五百十五円のベースが実施されておれば、その後の昇給が幾らかということを計算すればいいのでありますから簡単でありますが、別に計算はいたしておらなかつたのであります。
○千葉信君 それはそれとして次にお尋ねしたいことは、現行給与が国会で審議されました当時に、当時も又政府案と人事院案にはかなりの開きがございましたが、これに対して政府側の答弁としては、併し政府としては減税の措置を講ずる、従つて政府案で支給されても手取金額においては人事院案と余り変らないという御答弁でございましたが、はしなくも今度も又同様な条件が起つているわけでありますが、政府は再びこの答弁を今度も繰返されるおつもりであるかどうか。この点をお尋ねします。
○政府委員(菅野義丸君) 御承知の通り人事院の勧告は、前回も今回も民間の同じような種類の人たちの給与と合せよう、額において合せようとするのでございまして、この前の一万六十二円ベースのときも政府はそこまでのベース・アップをいたさなかつたわけでございますが、今回もその当時の民間給与との差額より少いのでございますけれども、やはりきつちりと額において一致するまでには至らなかつたのでございます。去年の十月のべース・アツプのときに民間給与との間にへだたりがございますので、今回若し仮に人事院の勧告と同じように、民間給与と同じ額にしますれば三割以上の恐らく値上になると思います。併しながら民間給与はその後一八%なにがししか上つておりません。そうしまするとその倍ぐらいの値上りを一般公務員にするということは如何かと考えまして、その他の事情も考慮しまして二〇%にいたしたのでございますが、税との関係におきましては、中堅職員が殆んど半分ぐらいの人数を占めておるんでございますが、中堅職員の税を今回大幅に減税いたしましたので、この点はなるほど民間給与とは離れておりまするが相当の負担を軽減できると考えております。併しながら税金の問題は民間の給与者にも及ぼすものでございまするから、これはその税金の減税をしたからといつて必ずしも民間給与に近付いたということにはならないと思う次第であります。
○千葉信君 これは誰が考えても減税の措置というものは、国民所得に対する再分配をどうするかという問題が減税の中心課題であります。減税が公務員に対する措置だけではなくて、民間の諸君に対しても同率において適用されるということを考えますと、減税の措置を理由として給与枠を減額するという政府のやり方は、減税に関する限り公務員諸君はその恩典から除外されるという結論になるわけでありますから、私はこの方法は当を得たものでないという立場を主張するものでありますが、併し今ここで時間も非常に急迫しました段階で、意見の相違や対立をここで究明している時間はないようでありまするから、早速事実問題に入りたいと思いますが、只今副長官の御答弁では、減税による措置は中堅職員に対してより多くこれを厚くしているという意味の御答弁がございましたが、併し国家公務員等の場合を見ますると、御承知の通り国家公務員の中で一番数の多いのは五級職でこれが十八万、これは昭和二十四年の一月の調査でありまするが大体この基準は今日も変つておりません。その次に多いのが六級職、四級職、七級職、三級職と、こういう公務員の構成状態でございます。ところが今政府が言つていられる減税措置に伴う公務員の手取金額は、勧告との関係においてどうなつておるかということを調べてみますと、遺憾ながら只今菅野さんがおつしやつたように中堅若しくは下級職に対しては非常に酷薄な数字が出ております。これは現行税法を前提とした人事院の勧告案による手取金額、それから政府案による新らしい減税措置を計算しての手取金額、この両者を比較してみますると、これのクロスしているのは八級と九級との間でございます。残念ながら一番職員数の多い五級職なんかを見ますと、明らかに政府案が五級五号において三百円の手取金額の減少となつております。それからその次の六級職の場合でも勧告案によりますると、一万六百九十三円、政府案によると一万五百七十七円、その次の数の多い四級四号の比較を見ますると、人事院案では七千八百二十二円、政府案では七千六百七十七円、同様に七級も三級も政府案によると不利益に取扱われております。そうして政府案によつて実際手取金額が人事院の勧告案を上廻るというのは、やつと九級職以上、九級の五号の場合には、人事院案によりますると一万九千九百六十三円、それから政府案によると二万百一円、これは東京都に勤務する勤務地手当の支給を受けておる公務員の場合の計算でございますが、そういうことになると、これは只今の菅野さんの御答弁とは、実際はいささか食い違つていると思うのですが、どうして政府のほうではこういう下級職員に対する場合をもつと慎重に考慮しなかつたのか、その点を伺いたいと思います。
○政府委員(菅野義丸君) 只今お答え申上げましたことは、減税の措置によつて人事院の勧告と同じ、或いは民間給与と同じような結果になるというようなことを申上げたのではないのでございまして、公務員の給与体系の前後の釣合等から見まして、中堅職員には今回の減税の重点がおかれてありますので、表に現われました給与の額に比べて手取の金は多くなるという意味でございまして、只今千葉委員の仰せになつたことは、この人事院勧告を仮に実施した場合にはどういうことになるか、それとその減税との比較のように承わりますが、ということを申上げたつもりではないのでございます。税の負担はこれは五級とか六級とか、或いはそれ以上の人たちが単身で暮しておるというようなことを想定いたしますのは実情に副わないのでございまして、政府のほうでは大体級別の扶養家族の数を想定いたしまして、そうして税金の減る額を調べておるのでございますが、大体六級程度に至りますまでは一〇〇%減つてしまいます。全然もう税金がかからないというようなことになつておりまして、只今お示しの五級五号等におきましては今度の減税によりまして負担は零になります。そうして十二級以上のものが多少税金の負担が重くなるというような結果になるように数字も出ております。
○千葉信君 只今の御答弁によりますと、政府のほうでは公務員の家族構成等を十分調査をしてそれによつて考慮しているというお話でございましたが、遺憾ながら政府の今度の俸給表なんかを見ますと、そういう職員の家族構成まで十分に考慮しながら給与額を決定したとは思われない事実がはつきりあるのです。例えばこういう条件があるのですが、政府のほうでは、人事院の勧告に対して一号から八号までは成るほど百円程度増額しております、そうして基準になる二級三号の職員をとらえて今後の物価の値上り分を計算してみてもなお且つ標準生計費は確保することができたという御答弁でありましたが、若し只今の御答弁のように、公務員諸君のおのおのの級号における職員構成の内容、それから又その職員の家族構成等を十分に調査をされたというのならば、なぜそのおのおのの調査をされた家族構成に従つて政府は標準生計費を独身者以外の場合にも考慮されなかつたか、この点が私は疑問として残ると思います。政府ではそういう家族を有する、且つ公務員諸君の実態からいつてどの程度の級号に該当するものがどの程度の家族を持つているかということを本当に御調査になられてそれに対する対策を、只今の御答弁のように税の問題ばかりではなくして、給与額の決定の際にも考慮をされたのかされなかつたのか、私はされないという証拠を持つているのですが、一応政府の方針を承わりたい。
○政府委員(菅野義丸君) 今回のベース・アツプは御承知の通り人事院の勧告に基いたものでございます。人事院の勧告を尊重し、できればそのまま法律の案にしろというのは従来からの参議院の当委員会の御意思のように承わつておるのでございまして、政府といたしましても貧弱な機構で或いは人手で以て人事院の勧告を動かそうなどという気持は全くございません。ただ金額の点につきましては財政その他の事情によつて遺憾ながらそのまま実施することができない場合が多いのでございますが、その他の点につきましては俸給表の作り方にいたしましても、或いはその他の給与制度の上の改訂につきましても、これを採用できるものは全部人事院の勧告を採用して法律案を作つておるような次第でございます。人事院の勧告は只今千葉委員の仰せになりましたような各級ごとの家族数も想定して生計費を計算してそうして給与をきめるというやり方をとつておりません。二級三号の理論生計費を元といたしまして、その他は実績調査による民間給与との振合を考えて勧告がなされておりますことは御承知の通りでありまして、政府もその方法を尊重いたしましてそれと全く同じ方法でやつた次第でございます。ただその制度が果してどういう結果になるかという検討をするために、只今申上げましたような想定家族数等をきめまして税との関係を検討したことを先ほどお答え申した次第でございます。
○千葉信君 おかしいですね。まあ一番問題になることは人事院の勧告の中心的な内容であり、一番重要なものは何かと言えばこれは幾ら給与水準を引上げるかということが中心なんです。どの程度給与を引上げなければ公務員の標準生計費を確保できるかできないかというところに重点があるのです。御承知の通り現在の給与は民間給与との水準の問題もあるにはありまするけれども、とにかくどの程度支給すれば食つて行けるかどうかというところに重点がある、生活給の水準なんです。ですからそういう生活給の水準の中で物価が上り、その物価のはね上りのためにどの程度生計費が要るか、どの程度支給すれば生計費が確保できるかどうかというのが非常に問題の中心だろうと思うのです。そういう意味では人事院の勧告の主たる内容というのは給与の金額なんです。それをけとばして、勿論政府としてはこれは財政上の理由に籍口されるでありましよう、併しその中心的なものをけとばしておいて、それで人事院の勧告を尊重したなどということをぬけぬけと言われることは私はおかしいと思うのです。それから又政府のほうの御答弁では、下級職員特に一号から八号までの諸君に対しては標準生計費を一応確保されたという態度で今度の俸給表を作られておりまするが、一号から八号までの諸君に対して標準生計費を確保するというやり方をとらなければならないという理念は、同時にその他の職員に対してもせめて標準生計費だけは確保してやらなければならんという考えに立たなければならんと思うのです。そうして又今人事院の勧告は、基準になつている二級三号の標準生計費はどういう金額であるかということを考慮して、それを人事院としては勧告している。それでは一体人事院の勧告は標準生計費などはそれ以外の分については全然考慮していないかというと、その金額については標準生計費が考慮されているのです。例えば東京における独身者の場合はどうか、それから家族構成が一人乃至二人、三人、四人という場合の標準生計費はどうでなければならないか、これは菅野さんも御承知だろうと思うのですが、人事院のほうで公務員の給与の実態を調査しました第一回の昭和二十四年の九月十五日現在における公務員の家族構成等がその基準になつているのです。そうして菅野さんは人事院の勧告はそういうものを考慮したのは単に二級三号だけだということを言つておられるかも知れませんけれども、一応基準としてはそれを基準にしておるけれども、これが偶然の符合だというならば別ですが、併し現われた数字では人事院の勧告は奇しくも家族構成に応ずる標準生計費が確保されているのです。公務員の実態調査に基いた家族構成に対する考慮が勧告の中にあるのです。数字としてはつきりあるのです。だから言葉で現わさなくても事実上俸給表の計算の中にその計算ができているとするならば、これはやはり標準生計費が基準に全部なつている。単に二級三号や一号から八号までだけではない、こういうことになると思うのです。政府が標準生計費等に対してどうして独身者以外にも考慮しなければならないという考えをおとりにならなかつたのか、先ずその点を承わりたい。
○政府委員(菅野義丸君) 人事院の勧告のやり方につきましては、或いはその計算の基礎等につきましては人事院のほうからお答え申上げたほうがいいと思いまするが、私が今まで承知しておりまするのは、二級三号のところに理論生計費をおいて、あとは実績調査による千近い工場、事業場等の調査による民間給与と合せたというふうに聞いておるのでございますが、若し標準生計費を各級ごとにやつてそれによりますならば、それからそれが千葉さんのおつしやるようなぎりぎり一ぱいの生計費だということになりますならば、上下の差というようなものはそう変るものではないと思います。併しながら現在の九・三、それから二・六に伸びております、これは民間給与と同じにした結果ではなかろうか。こういうふうに考える次第でありまして、人事院の勧告の計算のやり方につきましては人事院のほうからお聞き願いたいと思います。
○千葉信君 これは今更改めて人事院のほうから聞かなくても私のほうではつきりわかつておるのです。例えば具体的に申上げてみますと、政府のほうでは今度の二級三号の四千七百円の標準生計費という考え方に立つた人事院の勧告、これに対して政府のほうでは四千八百円にして百円ふやしております。私はこのやり方については反対しないのです。政府が特にその後における物価の上昇、例えば運賃だとか、米価だとか、ガス料金の値上りということを考えると、これは二級三号の諸君に対して百円ぐらい政府がこれを加算するということは当然のやり方なんです。そうして物価の値上りを見込んだ場合における標準生計費の上昇というのは四千七百円から四千七百九十四円になつているのです。ですからこの政府のやり方はそれでいいと思う。併し政府のほうでは二級三号の独身青年を基準にした一応の人事院の勧告に逆手をとつてこの分だけは百円ふやしておいて、そうしてその他の家族構成の多い職員に対しては標準生計費すらもぶち割るような金額で政府案が作られておる、ここに問題があるのです。ですからそういう基準になるもの、特に下級職員に対してはおのおの百円ずつふやしたが、そのふやしたと言つても政府のほうでは温い親心でふやしたような顔をするかも知れないけれども、その政府が百円ずつふやした恩恵に浴する公務員というものはたつた全国で一万四千人しかいない。その他の大多数の公務員諸君はこの恩恵から除外されて、而も人事院の勧告より下廻つた給与が政府の原案なんです。そうしてそういうやり方をしておいて、やれ上級の倍率は人事院勧告よりも下廻つているというような答弁を用意されたのだろうと思うのですが、併しそれでは余りに模範的な雇用者であるべき政府の立場としてとるべきやり方ではないと思う。特に昭和二十四年の九月に行なつた公務員諸君の家族構成の実態調査に基いておのおのの家族構成の中でどういう標準生計費が必要か。これは今菅野さんの答弁によると、そういう標準生計費だけを基礎にしているのならば、民間給与との問題もそれから上級者の給与もそんなに倍率が開くはずがないじやないか、これは一応そういう理窟もあるかと思う。併し私の申上げているのはぎりぎりの低い給与をもらつていて、而も家族構成は実態調査に基くと三人乃至四人、五人であるという、そういう職員の標準生計費が確保されていないというところに私は問題があると思うのであります。例えば上級者の九号、十号、十一号、十二号なんという給与は勿論倍率の中でも相当高くなつております。高くなつていて而もこれらの諸君は標準生計費を確保されております。而もこれらの諸君はこの職種に応じて民間給与との水準の格差も消されるというやり方をとられております。この人たちには私は問題はないと思う。併し実態調査に基くと、八級の一号は六人家族三十七歳という水準がはつきり出ている。それから又七級の四号は四人家族で年齢は大体三十三歳、三十一号俸、こういう実態がはつきりしております。それから六級の七号は三人家族、実態調査では年齢は三十歳、五級の七号は二人家族で年齢は二十五歳、大体こういう水準が出ております。而も政府案によると明らかに一号から八号までの場合は標準生計費が確保されておりますけれども、それ以外の職員の場合は標準生計費さえも確保されておらないのです。例えば標準生計費が物価の値上り以前でも二人家族の場合は八千五百九十円かかるのですが、それが勧告では八千六百円になつているのに政府案では八千円になつている。それから三人家族の場合は標準生計費は一万一千四百六十五円、物価値上りを見込むと一万一千六百九十四円、人事院案ではこれに対して一万九百五十円、政府案ではこれが一万四百五十円に落ちている。四人家族の場合でも五人家族の場合でも同様に政府案においては標準生計費が確保されない。幾ら中級という低い水準であつても標準生計費すらも確保されないような、そんな給与で一体政府は能率的な公務の運営なんてできるかどうか。一体政府はこういう公務員の状態に対してそれでもいいとお考えになつているか。たとえ財政上の理由を認めるとしてもこういう事態に対しては政府はもつと真剣に是正の策を講じなければならん立場にあると思うのですが、政府は一体この点如何にお考えでしようか。
○政府委員(菅野義丸君) 現在国家公務員法によりまして人事院という機関がありまして、そこから公務員の給与というものは財政の点を考えた上、かくあるべきものであるという数字を勧告して来る一のでありまして、これをそのまま法律案として実施するのが誠に喜ぶべき望ましい状態でありまして、政府もそういう日が一日も早く来ることを念願しております。今日の財政では遺憾ながらこれをこのまま実施するということは困難でございますので、不本意ながらそれから下廻つたものを実施するという案にいたしておりまするので、只今御指摘になつたような点が人事院の勧告に比べれば確かにそれは低いことは当然でございまして、そういうことになるのでございますが、勿論理想の形といたしましては少くとも人事院の勧告はそのままの形で呑みたい、こういう気持は政府といえどももつております。そうして一日も早く理想的な公務員の給与が実施されるように望んでおる次第でございまして、今回の給与ベースの改正はいろいろな情勢を考えて、先ずこの辺で以て公務員のかたに我慢をして頂かなければならんのじやなかろうかという点を出したのでございまして、その辺の御見解については同様な意見をもつております。
○千葉信君 私がお尋ねしているのは公務員の利益を擁護するために設置された人事院がどういうものか、人事院の勧告はどういう理念の下に取扱われなければならないかというようなことは従来もう何度も何度も繰返されており、そういう論議を私はここでしようと思つておるのじやないのであります。単刀直入に私がお尋ねしているのは、例えば財政上の理由があるにしても、その財政上の理由も、菅野さんたちもこの国会で御経験になられたように、その財政もやりくりしようと思えばできないわけではない。一方にはそういう条件があり、而も政府ではその財政上の理由に藉口されてはおるけれども、併し雇用者の立場、使用者の立場として標準生計費さえも確保しないで、それで財政上の理由に藉口してそれで相済むと思うか、その点を私は数字を挙げて菅野さんに御答弁願つているんです。ですから菅野さんのお立場として、単にそうありたいとか何とかいう希望的なお考えだけではなく、一体そういう事実に対して政府は責任を感ずるのか感じないのか、それをお尋ねしている。
○政府委員(菅野義丸君) 私が承知いたしておりますることは、何度も繰返すようでございまするが、人事院の勧告は各級ごとの標準生計費を基準にしたものではないということを承知しております。二級三号の基準になるところは標準生計費でございますが、その他は民間の給与に合せたというように聞いております。従いまして諸般の情勢から下廻る数字になつておりまするが、これがすぐさま各級ごとのぎりぎり一ぱいの理論生計費を割るものだというふうには考えておらないのでございます。
○千葉信君 あなたは今日官房長官の代理でここで答弁しておられるのですから、それから又あなたは従来この問題を主として担当してやつておられるかたなんですから、これが他の人ならば人事院の勧告案に対する考え方なんかを今の御答弁のように考えておられても、私はそれに対して追及する気持も恐らく起らないでしよう。併し今の内閣の中でも最もこういう問題に対して真摯に勉強もしておられ、而も熱心にこの問題を扱つておられる主任者のあなたが、人事院の勧告が単に二級三号の標準生計費だけを確保するために勧告されているものであるか、それともそれ以外の職員の家族構成の実情にそつて、級号表の作成の場合にその標準生活費の確保というこれだけは人事院としても譲れんという形で俸給表が作成されているものかどうか、そのくらいのことはあなたは知らないはずはないと思う。例えば具体的に申上げますと、人事院の勧告案によりますと、二級三号の独身者の場合には勿論標準生計費が四千七百円です。それから二人家族の場合には八千五百九十円という標準生計費の計算の上に立つて八千六百円の勧告をしているんですよ、十円多いのです。それから三人家族の場合には標準生計費は一万一千四百六十五円かかるのです。これに対して人事院の場合には一万九百五十円、それから五人家族の場合等は一万三千七百九十五円かかるという計算の上に立つて一万四千円の勧告をしているんです。それを菅野さんともあろうものが、標準生計費なんか全然二級三号だけであとは考慮していないというお考えを持つておられるのは誠におかしいと思う。この点はどうですか。
○政府委員(菅野義丸君) 人事院が実績調査に基く想定の年齢或いは家族構成等によりまして生計費を計算して、そして勧告の数字を検討しておりますることは承知しております。併しながら具体的のこの俸給表を作成した計算の仕方は、あくまでこれは民間給与に合したのでございまして、それが果して想定した公務員の給与として妥当であるかどうかという検討にはお説のようにいろんな数字で以てやつております。その点私も承知しております。それよりも下廻るということは非常に残念に思いますが、構成のやり方というものは先ほど私が申上げた通りのように承知しております。
○千葉信君 話にならないなあ。この問題は一応、この点関連ある質問をどなたか先に。
○北村一男君 千葉君の御質疑も相当長時間になつたようでありまするし、只今の御意見をいずれ又尊重して検討を加えなければならん日も来ると存じまするので、本日は本法案に対しましてはこの程度で質疑を打切りまして討論に入らんことの動議を提出いたします。(「反対々々」「異議なし」「反対だ」と呼ぶ者あり)
○委員長(門田定藏君) カニエ委員の質疑が残つているようでございまして、申込があるのですからもう暫く。
○北村一男君 時間が迫つているんだから。
○千葉信君 北村委員にちよつとお尋ねしますが、あなたは昨日私のところへ午前中に来られて、今日はおれのほうの委員が少いから採決するようなことはやらないでくれと、あなたはそう言つているのですよ。私はそれを了承して昨日は採決をやらずに今日まで審議を延ばしてるんですよ。それに対して而も質疑が全部終つてからあなたがそういう動議を出されるのはわかるんですが、それは話が少しおかしいと思う。そういう強引な態度をおとりなさる、殊に今カニエ君も来るしそれから他の委員からも質疑があるし、僕にも質疑があるのですから何もそう急がずにやろうじやありませんか。
○高田なほ子君 折角の御発言でございますが、私も予算委員会のほうに行つておりましてやつと採決が済んで今ここに来たところなんです。千葉さんはどういうところを御質疑になつているか、同じ党でも打合せがされていない、私もたくさん疑問が残つている点があるのでありますからもう少し、カニエさんも大分質問が残つておられるようですから。
○北村一男君 時間を守つて頂かないと衆議院も待つているんだから、そう参議院だけで時間を延ばすということはできない、ただ時間を限つてやられるなら私は同意いたします。
○委員長(門田定藏君) ちよつと速記をとめて下さい。 午後五時十分速記中止 —————・————— 午後五時五十五分速記開始
○委員長(門田定藏君) 北村君から質疑打切りの動議が提出され賛成のかたがありますので只今動議につき採決いたします。北村君の提出の動議に賛成の諸君の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(門田定藏君) 多数であります。よつて質疑を打切りこれより討論に移ります。御意見のおありのお方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。 なお修正意見等がございましたら討論中にお述べを願います。
○千葉信君 私は本法律案に反対し次の修正案を提出いたします。お手許に差上げてありまするが、それは一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案、これは時間の点等も考慮いたしまして修正案の内容について概略を申上げます。あとは差し上げてある印刷物で御了解を願いたいと思います。 修正の第一は、俸給表のうち下級職員の俸給額は政府案通りとし、その他は人事院勧告の通りとする。勿論この場合には下級職員というのは一号から八号まででございます。これに伴い昇給期間差額を修正する。 修正の第二点は、俸給を一回払とする場合の支給日をその月の十五日前にも遡り得るように修正する。 第三は、勤勉手当の制度は廃し、その代り期末手当の額は六月支給分を 〇・五ヵ月分、十二月支給分を一ヵ月分にする。但し本年十二月に企業特別会計の現業職員に支給する額は一・二ヵ月分とする。 第四は休職者のうち結核による場合、それ以外の私傷病の場合及び人事院勧告で定める場合にも期末手当を支給できるよう明文化する。未帰還職員にも期末手当を支給するよう明文化する。 第六は僻地手当及び研修手当の制度を明文化する。 第七、顧問、参与等の非常勤職員の手当日額を人事院勧告の通り三千六百円以内に修正する。 反対討論の内容についてはこれをこの際特に省略して本会議で討論することにいたします。 以上でございます。
○カニエ邦彦君 私は只今の千葉君が申上げました修正案に対して修正をいたします。修正案に賛成をし、そうして政府原案に対しましては反対をするものであります。なお時間の関係上いろいろな点に触れたいのでありますがその点を省略いたしまして、いずれ本会議で反対の理由を明らかにしたいと、かように思つております。
○紅露みつ君 私も只今の修正案に賛成いたします。原案には反対でございます。
○三浦辰雄君 私は政府原案に反対、そして一部修正を試みたいのであります。その修正の点はお手許に配付してあるのであります。一体この政府の改正法律案の提案理由を見ると、本案の作成に当つては右人事院勧告に示されました給与改訂案につきまして慎重な検討、考慮を重ねたのであるが、目下の財政経済等の諸事情を総合的に勘案いたしました結果、遺憾ながらこれをそのまま実施できないとの結論に達したと言い、そうして政府はこの改正案を出すのに当つて、最近における民間給与、家計費その他諸般の事情を総合的に勘案した上で、財政の許す限度におきまして努めて人事院の勧告を尊重する建前の下に職員の給与改善を図ることを以て基本方針にしたと言つておる。そして一般政府職員に対しましては、昭和二十七年十一月以降における職員総平均の給与額月額約二割程度引上げておおむねこれを一万二千八百円程度とするということにしている。けれどもどうも先般来この審議を通じていろいろと問題になつておりまするように、このベースに対する議論は随分ある。又この各号俸の内容についても例えば働き盛りである五、六級前後の人たちの今回の改正によつて与えられるところのものは恵まれていない、一般に問題があるけれども、その中でも更に恵まれていない。こういう体系になつているようなところに問題がある。だから私は政府原案には反対なんだ。併しながら本案において基本給が幾分でも上ることでもありますし、又年末に当つての手当も幾分改善されていることでもある。又一方地方公務員をも含めると二百万に及ぶところの公務員のかたがたの生活、特にこの歳末を控えてどうすれば一体この年の瀬を暮して行けるのだ、誠に同情すべきまじめな公務員、これに対して思うのであります。これを思うと、この法案がいろいろの修正の出ますようなことで結論的に不成立に終るということは、又私は断じてどうも情において許せない、忍びない。そこで私は政府はこれらの問題、いわゆるベースそのもの、或いは各号俸間の問題、先ほど一部で提案された一号から八号まではそのままでよかろう、それ以上についてはもつと考えなければならないといつたようないろいろの問題について引続き研究をするというようなことが是非望ましい。勿論これをいじるとなれば公企労法によるところの国鉄、専売、こういう問題との関係もありましよう、又特別職との関連もあることは勿論でございましようが、是非これは引続きすぐに誠意をもつてこの研究を続けて行つて改善に努力する、あの困つている公務員の姿に目をおおうとすることなく、又口実を他に求めてそうして何とかごまかすといつたような方法でなく、謙虚な態度でこの問題をすぐ研究を続けて行つて、できれば年度内においてもいいものができ得るならばこれを出す、こういうようないわゆる一層の誠心誠意を以てこの問題を研究して頂きたい。 こういう意味で私のは朗読申上げますると、 一般職の職員の給与に関する法 律の一部を改正する法律案に対 する修正案 一般職の職員の給与に関する法律 の一部を改正する法律案の一部を次 のように修正する。 別表第一から別表第六までの改正 規定中別表第一から別表第五までの 各表の末尾にそれぞれ次の備考を加 える。 備考 本表は、暫定的のものであ つて、なるべく速かに合理的改 訂を加えるものとする。 これを是非加えたいということでございます。どうか皆さんがたの一つ御賛同を得たいとお願いする次第でございます。
○北村一男君 簡単に申上げます。自由党はこの政府原案並びに三浦委員御提出の修正案に賛成いたします。 なおこの際一音申上げておきたいことは、公務員の勤務地手当のことでございまするが、この勤務地手当の支給地域区分は、今回の衆参両院の修正議決によりまして相当の改善をみることになりますが、なお各地域間の均衡上検討の余地が相当あると考えます。よつて人事院は至急調査の上必要な措置をとられんことを要望いたしまして、討論態度を明らかにいたします。
○委員長(門田定藏君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(門田定藏君) それでは採油に入ります。 先ず討論中にありました千葉君提出の修正案を議題に供します。修正案に賛成のおかたの起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○委員長(門田定藏君) 少数であります。よつて千葉君提出の修正案は否決されました。 次に三浦君の提出の修正案を議題に供します。三浦君の修正案に賛成のかたの起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○委員長(門田定藏君) 多数であります。よつて三浦君の修正案は多数を以て可決されました。 次に修正案にかかる部分を除く衆議院送付の法律案全部を議題に供します。修正部分を除く原案に賛成のかたの起立を願います。 〔賛成者起立〕
○委員長(門田定藏君) 多数でございます。よつて本法案は多数を以て修正可決されました。 なお本会議における委員長の口頭報告の内容につきましては、先例により委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(門田定藏君) 御異議ないと認めます。 それから本院規則第七十二条により、委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名を附することになつておりまするから、本案を可とせられるかたは順次御署名を願います。 多数意見者署名 北村 一男 松平 勇雄 平井 太郎 高瀬荘太郎 三浦辰雄
○委員長(門田定藏君) 御署名洩れはございませんか……。ないものと認めます。
○北村一男君 本日はこの特別職の給与並びに保安庁職員給与法の一部を改正する法律案、これを議決して頂かんと、甚だ困るのじやないかと思います。これは一つこの際……。
○委員長(門田定藏君) ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(門田定藏君) 速記を始めて下さい。
○カニエ邦彦君 只今自由党の北村委員から保安庁職員並びに特別職の給与法についてもこの際質疑を打切ると、こういう御意見でありますが、私は遺憾ながらこれに対しては反対をするものであります。というのはこの法案については実はまだこの委員会では質疑はどなたも一回もやつておらんわけでございます。そこで質疑をやらずに一体その討論、採決をすると言つても討論のしようもなければ意見の述べようも実はないかとも思います。そこでかようなことは国会始まつて以来全然前例が私はないことだと思いますが、併しながらこれはまあ自由党さんのほうでいよいよ数で一つ押切つておやりになるということであるならば、これはもう如何ともしようがないのでありますから、その点は一つ成るべくさような無謀なことをおやりにならないことをお願いいたしまして、私は遺憾ながらやはりこれは質疑をやるべきものであるという考えで反対をいたします。
○北村一男君 動議を提出いたしましたから御採決を願います。(「委員長懇談懇談」と呼ぶ者あり)
○紅露みつ君 又両論が対立いたしましたが、これは懇談に入つてもう少しなごやかに話合つて、(「時間が足りない」と呼ぶ者あり)こんな理窟を言うよりそのほうが早いでしよう。歩み寄つてこんなにせつぱつまつているのですからもう少し上手にお運びになるように懇談にお入りになつたほうがいいと思います。
○三浦辰雄君 私は今カニエさんの言われたことは実に同感なんです。同感なんですが、あの一般公務員の際に私は修正の説明の中で述べたように、保安庁職員という問題は例示しませんが、これらの問題も含めて一応政府としてはもう少し考えなければいかんということを私は主張しなければならなかつた。だけれどもあれを通してこの二つの関係を通さないというのも私のあのときの趣旨から言つて私はどうもこれも困る。で私は今北村議員が動議を出されましたが私は賛成する。同時に私はいつも毎回繰返すようにこの人事委員会の運営について一つお互いに反省をしたいものだということをここに強調申上げます。
○北村一男君 御採決をお願いいたします。
○委員長(門田定藏君) 今のはまだ懇談中ですから正規に……。
○北村一男君 それじや先の動議は懇談中だつたそうでございますから改めて動議を提出いたします。直ちに保安庁職員給与法の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の質疑及び討論も省略いたしまして御採決あらんことの動議を提出いたします。(「賛成」「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり)
○委員長(門田定藏君) それでは北村君からの特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、及び保安庁職員給与法の一部を改正する法律案につき、質疑及び討論を省略することの動議が提出されております。北村君の動議に賛成の諸君の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(門田定藏君) 多数でございます。よつて質疑及び討論を省略します。 これより両案の採決をいたします。両案に対して賛成のお方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(門田定藏君) 多数でございます。よつて両案は多数を以て可決されました。 なお本会議における委員長の口頭報告の内容につきましては、先例により委員長に一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(門田定藏君) 御異議ないと認めます。 それから本院規則第七十二条により委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を附することになつておりますから、両案を可とされたかたは順次御署名を願います。 多数意見者署名 北村 一男 松平 勇雄 平井太郎 高瀬荘太郎 三浦辰雄
○委員長(門田定藏君) 御署名洩れはございませんか、御署名洩れはないと認めます。 本日はこれを以て散会いたします。 午後六時二十三分散会 —————・—————