厚生委員会 第28号
- 発言数
- 153 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1953/03/14
会議録
○委員長(藤森眞治君) 只今から厚生委員会を開きます。 本日の日程に追加しまして、清掃法案、それから覚せい剤取締法の一部を改正する法律案、この二つを議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤森眞治君) 御異議ないと認めます。それでは清掃法の提案理由を申上げます。 〔委員長退席、理事藤原道子君委員長席に着く〕
○藤森眞治君 只今より清掃法案の提案の理由を御説明申上げます。 生活環境を清潔に保つことが環境衛生対策の第一歩であることは今更申すまでもありませんが、現在清掃作業の根拠法規となつておりますものは明治三十三年の制定にかかる古い汚物掃除法であります。この法律は全文十二条からなる簡単なものでありまして、制定後五十四年間、僅かに一条を追加する改正が一度行われただけで今日に至つているのであります。その間において、都市の発展、人口の増加、産業の発達、交通量の増加等は著しいものがあり、今日の情勢に即応した清掃作業を行う上において、同法はもはや十分にその機能を果すことができなくなつて参りました。その事例を申上げますと、先ず作業面におきまして衛生的な処理基準を欠き、衛生的処理の根幹となるべき清掃施設に対する規制が不十分なため、公衆衛生上適切な汚物処理に欠くるものがあります。又その制度の面におきましては、季節的に多数人が集合する地域についての清掃義務がないため市町村の清掃作業を過重にし、又清掃が市町村のみの責任をされているため財政的な行き詰りを来たす等の難点がございます。又国民の協力についての根拠条規が法律にないため十分な清掃を行うことに多大の困難を来たしております。 これらの諸点を補充し、同時に明治の古い衣を新たな装いに直して清掃法案といたしまして、ここに提案いたした次第でございます。 次に本法案の内容の概略を御説明申上げます。最近における都市の発達とその人口の著しい膨脹に伴いまして、清掃の対象は増加する一方であり、他方この清掃事業に投ぜられる経費は五十億円を超え、今や市町村財政の上に大きな負担となりつつあるのが現状であります。そこで国民の協力を求めて経費の徒らなる増加を阻止すると共に、国及び都道府県の財政的及び技術的援助の措置を通じて清掃作業の能率化を図る必要があるのであります。第一章におきましては、この趣旨を包括的に規定しております。而して本法案におきましては、従来のごみ、灰、汚泥、汚水、糞尿のほかに鳥獣の死体をも汚物として清掃の対象とすると共に、更に衛生上有害の虞れがある雑草木、水たまり又は陶器、かわら若しくは土管のかけら等も必要に応じて清掃の対象とすることといたしました。清掃の実施に関する第一章におきましては、全国を特別清掃地域、簡易清掃地域及びその他の地域の三段階に分けますと共に、季節的清掃地域の制度を設けることといたしました。 先ず特別区、市及び市街的町村の区域の全部又は一部を特別清掃地域といたしまして、常時高度の清掃を実施す命ことといたしました。この地域におざましては、公共団体は汚物の集収及び処分の義務を負う半面、住民も又清掃義務を負い、又一定の場合を除いて汚物を捨てることを禁止されます。更にこの汚物の集収及び処分は市町村の責任でございますので、これを業とし行うには市町村長の承認を要するものとして、市町村の作業の計画的運営に支障のないように措置いたしました 次に特別清掃地域外において必要と認める地域については、特別清掃地域に関する規定の全部又は一部を準用して、町村の実情に応じた清掃を自主的に行わせる制度として簡易清掃地域を設けることといたしました。又山の家、バンガロー、キヤンプ場、海水浴場等の季節的に多数人の隻合する地域につきましては、その期間中だけ、特別清掃地域と同様の清掃を要求する地域として、季節的清掃地域の制度を設けました。なお、全国的に生活環境の清潔保全を図るため、公共の水域、地域、海域専守には、一定の場合を除いて、みだりに糞尿、こみ、鳥獣の死体を捨てることを禁止し、公衆衛生の保全のため必要があるときは人の糞尿を生のまま肥料として使用することを制限し、更に大掃除の施行について規定をいたしました。 又清掃施設に関しましては、清掃施設の設置の基準を定めますと共に、公共のみぞ、公衆便所、公衆用ごみ容器の設置及び維持管理を市町村に義務付けます一方、住民は公共のみぞに達する排水施設を設置すべきものとし、汚物処理施設の設置及び変更を市町村長の許可にかからしめて、その衛生的な処理及び運営を期し、又公衆の利用に供する清掃施設の利用を害する行為を禁止いたしました。 現在の清掃事業の行き詰りが多くは財政上の支障に起因いたしますことは先刻申上げた通りであります。現行法のこの欠陥を補うため本法案におきましては、市町村に対して汚物処理施設一の設置に要する費用と災害のために必要となつた特別の清掃を行うに要する費用の一部を国が補助することとして、清掃事業の一層の発展を期しております。 以上のほか、義務履行の督促及び代執行、清掃指導員の設置、都道府県知事の矯正的監督権限並びに立入検査等の清掃の指導監督にす関る規定と所要の罰則規定を設け、必要な経過措置と他の法律の改正を規定した附則とを設けております。 以上が本法案の提案の理由並びにその内容の概略でございます。何とぞ御審議の上速かに御可決あらんことをお願い申上げます。
○理事(藤原道子君) それでは次に覚せい剤取締法の一部を改正する法律案についての提案理由の説明を谷口先生にお願いいたします。
○谷口弥三郎君 只今議題となりました覚せい剤取締法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申上げます。 この法律案は、昭和二十六年に制定されました覚せい剤取締のその後約二カ年間に亙る運用上の経験から、その改正の必要性が痛感されました次の四点を内容としたものでございます。 先ず第一に、最近、現行法の適用を受ける覚せい剤と同様の覚せい作用を有する他の化学的合成品を製造することができることが明らかになつて来たのであります。従いまして、このようなものを覚せい剤の範囲に包含して、その取締の完全を期そうとする趣旨より覚せい剤の定義を改めたのであります。 次に、従来から覚せい剤の製造原価の安い我が国に、国外にある者からその譲渡の依頼があり、その件数は、日を重ねるに従い、漸次その数を増加してきておるのでありますが、現行法では、覚せい剤の譲渡を一定の医療機関と研究者にのみ限定しておりますので、これらの国外にある者からのたび重なる折角の依頼にも応えることができないのであります。国外への譲渡は、覚せい剤の国内使用を規制する本法の目的に反するものではありませんので、これらの依頼に応ずることができるように譲渡制限の規定を整備することといたしたのであります。 第三に、現行法は、覚せい剤の医療上の効用を失わしめないため、その研究を認め、覚せい剤研究者に覚せい剤の施用ができるようにしてきたのでありますが、更に深い研究を行うためには、その施用できる範囲を多少拡げることが必要でありますのでその改正を行いました。 〔理事藤原道子君退席、委員長着席〕 第四に、現在覚せい剤製造業者は、覚せい剤の製造と譲渡とを併せ行うことになつておりますので、その譲渡業務の便宜上、その製造した覚せい剤の保管を製造所の砥か、一定の営業所にも認めるように改めることといたしたのであります。その他に指定失効の場合における覚せい剤処分に関する規定の整備、遺失覚せい剤の帰属等についての規定を置いて、事務的処理の必要を満たすことといたしました。 以上が、この法律案の提案理由及び内容の骨子でありますが、何とぞ御審議の上、御賛成を賜わりますよう御願い申上げます。
○委員長(藤森眞治君) 以上二案を一括して審議したいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤森眞治君) それでは御質疑をお願いします。
○中山壽彦君 この両案につきましては、皆提案者として署名をしておるわけでありますし、質疑はないように存じますから、討論を打切つて直ちに採決される動議を提出いたします。
○委員長(藤森眞治君) 只今中山君の質疑、討論打切りの動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤森眞治君) 御異議ないと認めます。 それでは質疑、討論を省略しまして採決いたします。 清掃法案並びに覚せい剤取締法の一部を改正する法律案、原案通り可決することに御賛成のかたの挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(藤森眞治君) 挙手全員、よつて原案通り可決すべきものと決定いたしました。 それから委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を付することとしておりますから、両案を可とされたかたは順次御署名を願います。 多数意見者署名 山下 義信 谷口弥三郎 小杉 繁安 堂森 芳夫 藤原 道子 一松 定吉 中山 壽彦 井上なつゑ 河崎 ナツ 草葉 隆圏
○委員長(藤森眞治君) 御署名漏れございませんか……。御署名漏れないと認めます。 なお本会議における委員長の口頭報告については委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤森眞治君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○委員長(藤森眞治君) それでは日程を変更いたしまして、社会保障制度に関する調査の一環として保険医監査の問題についての質疑を願います。
○山下義信君 この際厚生大臣に保険医監査の問題につきまして当局の御方針について伺つておきたいと存じます。かねて当委員会に社会保障制度調査の一環といたしまして保険医の監査の問題が取上げられまして、殊に具体的には長崎県及び広島県におきまする保険診療担当医の監査につきまして、或いはその監査の方法の不当の問題、或いは監査の方法について不備の問題等が論議せられたのでございます。併し当局との間におきましては、十分質疑応答を重ねまして、当局のそれに対しまする見解並びに今後の当局が是正されようとしまする点等につきましては委員会で聴取しましたのでございますが、何分保険制度の上におきまする重大な問題でございまするので、更に政府当局とされまして責任ある御答弁を承わりまして、この問題に対しまする委員会の態度を決定いたしたい、かように考えておりますので、この際厚生大臣から次の諸点につきまして御所見を承わりたいと思うのであります。 第一点といたしましては、今般長崎県並びに広島県におきまして、発生いたしました保険医の監査の問題につきまして、当局はどういうふうに考えておられますかという点でございます。第二点といたしましては、現在の監査方法につきまして、当局は何らか将来これを改善せられるお考えがありますかどうかという点であります。若し改善せられるお考えがあるとしまするならば、どういう点につきまして改善されるというお考えでございましようか、その点でございます。第三点といたしましては、当面の対策につきましても、御所見を、右申上げまする二点につきまして伺いたいと存ずるのでございまするが、更に今後根本的にこれら保険医の問題と併せまして、現行保険制度の上に十分深く掘り下げて御検討に相成りまするお考えがありますかどうかという点につきまして、御所見を承わりたいと存ずるのであります。
○国務大臣(山縣勝見君) 只今山下委員から、先般来当委員会において問題になつておりました保険医の監査の問題につきまして御質問がございましたので、その前に、これは第一点に対してのお答えでございまするが、保険医が監査に関していろいろその監査上当を得ない、或いは又殊に言辞等において当を得ないものがございました事実に対しましては、誠に遺憾に存ずる次第でありまして、例えば広島に起りました高塚技官は、その後自己の行き過ぎ等につきましては陳謝の意を表しまして、目下謹慎をいたしております次第でございます。なお厚生省といたしましては、今後社会保険の普及発展のためにもこういうようなことが今後起りませんように万全の措置をとりますることにつきまして、その後手続上或いは今後の指導上、省内におきましても審議をいたし、万全を期したいと考えておる次第であります。従つて第二点の御質問にお答えいたしますることになりまするが、今後これらの指導監査に当つてどういうふうに善処いたしますかという問題につきましては今後これらの保険医の指導監査を実施するに当りましては、文字通り指導に重点を置きまして、指導監査に当りまするものの態度、言辞等につきましては厳に誤解を生じませんように、従来往々にして起りましたようなことのないように、厳重に監督をいたし、又指導いたして参りたいと考えておるのであります。なおこれらの点につきましては、指導監査要綱に記載をいたしまして、十分にその趣旨が徹底いたすことにいたしたいと考えております。なお又、指導監査を受けました保険医から都道府県知事に文書を以て弁明をいたしまする機会を与えるように、これ又指導監査要綱の上で考慮をいたして参りたいと考えておるのであります。なお指導監査の権限を医師会、歯科医師会に附与いたしますることにつきましては諸般の事情から適当とは考えられませんが、併し実際に指導監査を行うに当りましては、従来もお考えになつておりまするように、都道府県医師会或いは都道府県の歯科医師会の幹部のかたがたにお立会を願つて、これらのかたがたから十分の意見を述べて頂くようにいたして参りましたが、これらの点につきましても、これを指導監査要綱に明記をいたして参りたいと思つております。なお又日本医師会、日本歯科医師会等の幹部のかたぞれにつきましても、同様あことができますように考慮をいたして参りたいと考えておるのでございます。なお保険医の指導につきましても、昭和二十八年度よりは部落別の指導講習会のほかに、都道府県において指導講習会を行う予算が認められることに相成りまするので、その予算が通りますれば、さように相成ると考えられまするので、その際には医師会、歯科医師会と密接な連絡をとりまして、その御協力によりまして、これらを実施いたす指導面の徹底を期すようにいたしたいと考えておるのでございます。なお第三点につきましては、今後、只今山下委員の御指摘の通り、重要な問題でございまするので、保険医の身分等の根本的な解決を図りまするために、臨時医療保険審議会においてたまたまこの問題が只今議題と相成つておりまするところの事情もございまするので、十分にこれら審議会において御審議を願つて、その審議の答申を待つて適正な改正をいたしたいと、かように考えておる次第であります。重ねてこれらの問題につきまして、当委員会においていろいろ各委員方の御考慮を煩わされましたことに対しまして遺憾の意を表し、なお又今後これらの点ににつきましては、十分監督いたしたいと考える次第でございます。御質問のお答え、又各委員に対して、指導の立場にありまするものといたしまして釈明をいたします次第であります。
○山下義信君 只今の大臣の御答弁で、而も率直に見解を表明せられまして、又当局の対策並びに、今後の対策につきまして誠意ある御答弁を得ましたので、本員といたしましてはこの上申上げることはないと思うのであります。ただこの際、この問題が委員会に論議せられましたその重大性並びに本日大臣の答弁によりまして私どもが了承いたしますにつきまして、私といたしましても、これは一言いたしておかなければならんと思うのであります。そのことは、今日の保険制度の上におきましては、どういたしましても開業医というもの、開業医と申しましては語弊がありますが、一般医師諸君の協力なくいたしましては保険の円滑な運営のできませんことは申すまでもないことでございます。その協力を得まする上におきまして、いろいろ協力の得方も種々方法はございましよう。併しながら言うは易く誠にそのことの実を挙げますことの困難でありますことは事実であります。併しながら私は思いまするのに、これは当局のほうが進んで医師会のほうに、医師諸君に協力を求められまする態度を積極的におとりになりますることは当然でありますが、同時に一般医師諸君のほうも、この保険制度に十分御協力の熱意を持つて頂かなければならんわけであります。それで私思いまするのに、今回の事件、今回のこの問題等に関連しまして、私は遠慮なく申しまするが、保険行政の当局のかたがたは、この保険医の指導監査の問題で萎縮する必要は私は寸毫もないと思うのです。ただ今回問題になりましたことは、そのとられました方法並びに態度或いはその処理等につきまして、遺憾の点があつたことを我我は指摘して当局に警告をいたしたのであります。正しい方法を以ちまして、只今大臣がお述べになりましたそういう方針で、自他共に何ら弊害の生じない、双方の協力の上に適正なる保険診療を行われるよう、いささかも不正や過誤のないように、この保険医諸君の御協力を願う上におきまして不正の発生を未然に防ぎ、発生いたしましたるそれらの事項を適切に処理して参りまするということは、これは最も必要でありまして、その点私どもはむしろ当局によい意味の指導監査は積極的にやつてもらわなければならんと思うのであります。繰返して申しまするが、今回の問題はいささか行き過ぎ、或いは不穏当、或いは不備なる点を我我は指摘いたしまして、今後の保険行政の是正を要望いたしたのであります。この点は私は当局に我々の意のあるところを申しておきたいと思います。なおこの機会に、中央におきましては、今の厚生大臣の御方針で、大局はそういうふうにお進めになるのに間違いなく、又さように我々も期待をいたすのでありますが、近来全国末端におきましては、地方におきましては、ややもいたしますというと、保健関係の行政官奥若しくは吏員と当該地方の一般医師諸君との間に非常に好ましからざるトラブルが種々発生いたしていることを耳にいたすのでございます。私どもは専門外のものでございまするから、果して真意がどこにありまするか、どういうことでそうなるのか、個中の消息に審かでないのでありますが、誠にこれは遺憾なことに思うのであります。どうか折角中央でそういう御方針で又御努力願うことが、全国の各地方末端までこれが浸透を見まして、現在の段階にある保険制度が過渡的な制度に立つておりまするために自然起るであろうあらゆる欠陥、これは何といたしましても関係者の協力でこの際は凌いで行くよりほかには途がない。後日根本的に制度が改革せられましたようなときには、これらの問題は先では一場の茶話に終るかもわかりませんけれども、今日の段階といたしましては、何といたしましても制度そのものがいろいろ過渡的な建前になつておりまするので、どうか当局におかれましては、そういう点につきまして末端に十分御配慮を願いたいと存ずるのでございます。その辺御配慮願われましようかどうかということを、私の所見を申述べますと共に、当局のお考えも承わつておきたいと存じます。
○国務大臣(山縣勝見君) 只今保険医の監査の問題に関連いたしまして今後当局といたして考えて参るべき点を御指永を願つて御質問がございましたのでありますが、私は只今山下委員が指摘せられました通り、この事件が起りましたために今後保険医の監査の問題がいわゆる適正を期し得ない、当該の指導監査に当りまするものがこれらの事件のために、或いは只今山下委員の仰せのごとく、多少臆病になつて適正な監査に遺憾の点があつてはならないという山下委員のお話でございましたが、これは私は全く同感でありまして、要するにこれは指導監査の適正を期するという意味において、当委員会においてもこの問題をお取上げになつたと思うのであります。確かに今回問題になりましたような事件につきましては、言辞その他挙動等において当を得ませんことがあつたのであります。これらにつきましては、今後当委員会において御指摘になりました線に沿つて厳重にこれは当局といたしましても指導いたして参りたいと思いまするが、一面において、これらの指導監査がそのために当を失するというのでも困るのであります。要は、今後只今申上げましたような要綱に従つてこの基本方針を、これ又山下委員の仰せの通り都道府県或いは市町村の現場に徹底をせしめまして本当に指導監査が当を得た適正な対策によつて社会保険が適正な運営ができまするように指導いたしたいと考えているのであります。重ねて申上げまするが、当委員会において今回お取上げになりましたこの問題につきましては、今後厚生省といたしては十分な関心を持つて、先ほど申上げましたような指導要綱に従つてその徹底が期せられますようなふうに指導いたして参りたい、かように考えているのであります。重ねて御質問にお答え申上げまして、当局の方針を明示いたします次第であります。
○谷口弥三郎君 私から一言お伺いしておきたいと思います。先刻大臣からいろいろと山下委員の質問に対して御説明がございましたので、大体その線に沿うて頂くならばよろしいと思いますが、なお念のために一言申上げておきたいと思いますのは、御承知のように、今回こういう事件が起つたのは、指導監査でなしに、殆んど厳重な、厳重なというよりか、かなり深刻な監査をやつたのに、指導という面に対して殆んど手が届いておらなかつたというのが第一でございます。又先刻のお話のように、医師会にこの指導監査を任せることは、現在の法律としてできんことであるということには同感でございますが、とにかくこういう事件が起るのにはどうしても先ず指導をさせんければ、指導が完全でなければならん、その指導にはやはり医師会が入つて、そうして先ず指導をよくして行くということが、こういう事件の起らんように、又保険行政が十分挙がる上において絶対必要であると思いますので、先刻お話の指導監査要綱をお作りになります場合に、指導の点に対しては特に医師会と協力するとか、或いは医師会にも指導を大体の面において依頼するとかいうような点をはつきりしておいて頂きたいということが一つでございます。 第二には、現在非常に問題になつておりますのは、只今の保険制度が非常に現在の保険制度では困る。言換えればいろいろと改正をせんければならん点があると思いますが、それは先刻のお話によるというと、臨時医療審議会のほうで只今懸案になつているから緊急にできるだろうというようなお話でございますが、この医療制度、殊に保険制度を十分改革して、実際に現実に副うようにして頂くように、大臣の特別なる御努力を願いたいと思いまして、希望を申して、同時にその点をお伺いしておく次第でございます。
○国務大臣(山縣勝見君) 只今お尋ねの二点につきましては、第一点は先ほど来申上げておりまする通り、今後は指導に重点をおいて参りたい、指導要綱を作ります際には十分にその点を注意いたしまして参りたい。なお又第二の点につきましても、只今仰せの通りの趣旨に従つて善処を是非ともいたしたい、かように考えております。
○堂森芳夫君 只今の山下氏の御質問或いは谷口委員の御質問と関連しまして、大臣にいろいろ社会保険制度一般についての、今日は質問ではなしに、現在行われている単価或いは点数というような点について早急にこれをお変えになる御意思を厚生大臣はお持ちになるかどうかということについて、大臣の一つ率直な御意見を承わつておきたいと考えます。
○国務大臣(山縣勝見君) 単価の問題等につきましては、これは昨年の所得に対する免税の問題にも絡んで検討いたすということになつて参つておりまするが、殊に先般閣議において医療報酬に対する課税の問題に関して、大蔵省といろいろ折衝いたしまして、不在度は一応……本年度と言いまするか、昭和二十七年度の課税に対する措置につきましては、当初なかなか大蔵省が承知いたしませんので、昨年通りの措置を承知いたしませんのでありましたが、いろいろ大蔵大臣とも折衝いたしまして、閣議において大体昨年と同じような措置をとろうということになりました。併し単価等の問題については、やはり検討いたして参つて、これらの課税の問題も絡んでおりまするから、今後至急に検討いたして参るということに大体政府の方針もきめておりますので、今後適当の機会において検討いたしたい、かように考えております。
○堂森芳夫君 大臣の御答弁は問題を検討して行きたいという御答弁だけで、これを早急に合理的な点数単価にお変えになる意思があるかどうか、そういうことをお尋ねしたのでございまして、検討するだけじやなしに、どういうお考えかということを承わりたいと思います。
○国務大臣(山縣勝見君) この単価の問題につきましては、いろいろなでーターの基いて検討されるべき問題であり、従つてこの臨時医療審議会でありますが、審議会等においてもいろいろ御検討願つて、それらの答申等を待つて政府といたしましてはこれに対する決定をして参りたい、かように考えております。政府といたしては、できるだけ早くかような点が若しも是正すべき点がありますなれば是正いたして行きたいという考えでありますから、今後審議会の専門家の答申等に基いて、政府といたしましても善処いたしたい、かように考えておるのであります。
○堂森芳夫君 くどいようでございますが、どうもよくわからないのです。ですから早急に、早い時期に改正して行きたい、改正する、こういう御意思があるかどうかということだけは一つ是非とも承わりたい、いろいろやつて行きたいという御答弁ではなしに、必ずこれを近いうちに改正する御意思があるかどうかということだけ承わつておきたいと思います。
○国務大臣(山縣勝見君) 重ねて申上げまするが、やはり審議会の答申等を待つて、その答申をもよく検討いたし、政府といたしましても、政府の立場でその検討を加えた上で決定いたしたい、かように考えております。
○堂森芳夫君 どうも御答弁がはつきりしないのですが、私は一応打切つておきます。
○委員長(藤森眞治君) 他に御質問ございませんか、御質問もないようですから、この監査の問題につきましては一応これで質問が終了したものとみて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(藤森眞治君) 御異議ないと認めます。
○委員長(藤森眞治君) 次にこの際日程に追加しまして、社会保険審査官及び社会保険審査会法案を議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤森眞治君) 御異議ないと認めます。 では本案の提案理由をお願いします。
○国務大臣(山縣勝見君) 只今議題となりました社会保険審査官及び社会保険審査会法案につきまして、その提案理由を御説明申上げます。 我が国の社会保険は、昭和二年に健康保険法が施行されましたのを初めといたしまして逐時進歩改善を逐げて来たのでありますが、今日健康保険の被保険者は、被扶養者を含めますと約三千万人、船員保険の被保険者は同じく約四十万人、厚生年金の被保険者は約六百九十万人を算するに至つたのでありまして、国民生活の安定に寄与することは僅だ大でありますが、それに伴いまして、これら保険の被保険者及び事業主の権利保護の問題も、著しく重要性を帯びて来たのであります。 現行制度におきましては、健康保険法、船員保険法及び厚生年金保険法に基く保険給付の処分に不服のある被保険者は、各都道府県に置かれておりますところの、独位制の社会保険審査官に審査の請求ができ、その社会保険審査官の決定に不服のある者は、厚生省に置かれておりますところの、社会保険審査会に審査の請求ができることとなつているのであります。又保険料の賦課、徴収、滞納の処分に不服のある事業主は、社会保険審費会に審査の請求ができることとなつておるのでありますが、いずれの場合におきましても、社会保険審査会の決定にも承服できない場合におきましては、裁判所に出訴できるごととなつておるのであります。 この制度は、健康保険法の施行と共に創設せられたのでありますが、最近におきまする社会保険審査会に対する審査請求件数は逐年増加し、現行制度の下においては各委員の努力にもかかわらず、現在すでに百四十件の審査請求が未処理となつておるのみならず、別途提案申上げて居ります健康保険及び厚生年金保険の適用範囲の拡大並びに日雇労働者健康保険の創設、又この法案による審査事項の拡張によりまして、審査請求件数は、ますます増加するものと予想せられるのでありまして、本制度本来の自的である簡易迅速に被保険者及び事業主の権利を保護救済するという実を挙げることが困難となつたのであります。これが今回本法案を提出するに至つた理由でありまして、これによつて、審査の能率を挙げると共に、その公正を期したいと考えている次第であります。 次に、法案の要点について申上げますと、第一に、社会保険審査会の構成でありますが、現行の審査会は、公益、被保険者の利益及び事業主の利益を代表する非常勤の委員によつて構成されておりますが、これを内閣総理大臣が国会の承認を得て任命いたしますところの特別職たる常勤の委員長及び委員二名を以て組織することとしたのでありますが、他面現行制度におきまして、被保険者の利益及び事業主の利益を代表する委員が果して参りました弁護的機能は、利益代表者に引継ぐことといたしたのであります。第二に審査事項でありますが、これは従来保険給付及び保険料の賦課、徴収、滞納処分に限られておつたのでありますが、健康保険法、船員保険法及び厚生年金保険法の一部改正に伴いまして、標準報酬に関する処分につきましても、審査の請求を認めることといたしたのであります。第三に、審査手続でありますが、被保険者及び事業主の権利救済に万全を期するため、この機会に若干の整備を行なつたのであります。 以上をもちまして、挺案の理由を御説明申上げましたが、何とぞ御審議の上速かに御決定あらんことを切望いたす次第であります。
○委員長(藤森眞治君) 本案につきましては、この程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤森眞治君) 御異議ないと認めます。
○委員長(藤森眞治君) 次に、民生委員法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を続行願います。御質疑ございませんか。
○中山壽彦君 これは討論を省略して直ちに採決することの動議を提出いたします。
○委員長(藤森眞治君) 只今の中山委員の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤森眞治君) 御異議ないものと認めます。それでは討論を省略して採決いたします。本案を原案通り可とすることに賛成のかたの挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(藤森眞治君) 挙手全員でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたします。 それから委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされたかたは順次御署名を願います。 多数意見者署名 山下 義信 谷口弥三郎 小杉 繁安 堂森 芳夫 藤原 道子 一松 定吉 中山 壽彦 井上なつゑ 河崎 ナツ 草葉 隆圓
○委員長(藤森眞治君) 御署名漏れはございませんか……。御署名漏れはないと認めます。 —————————————
○委員長(藤森眞治君) それでは次に、国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案を議題にいたします。御質疑を願います。 ちよつとお諮りしますが、若干詳細に説明を政府委員からしてもらいたいと思いますが、よろしうございますか。 〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤森眞治君) それでは国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案の内容説明をお願いいたします。
○政府委員(久下勝次君) それでは内容の説明を申上げます。 昨年本法律につきまして、御審議御可決を頂きまして、四億五百万円の予算を執行して参つたのでございます。結論的に申上げますると、今日まで貸付申請を受取りまして貸付が決定をいたしました額は、四億五百万円の予算がありますにもかかわらず一億八千六百万円でございます。この申請をして参りました保険者の数が五百八十七ございます。結局これはいろいろ検討いたし、又本法律の御審議の際にも話がございましたように、貸付の条件が非常に厳格であるということに主たる原因があるものと考えざるを得なかつたのでございます。私どものほうでこの法律に基きます貸付を受け得る資格のあると認められる保険者の数は二千三百余になるのであります。それが厘かに四分の一足らずの五百八十七保険者に貸付が決定したに過ぎないというふうな程度にとどまつておるのでございます。この条件のうち特に問題となりまするのは、昭和二十六年度末に存在いたしまする各保険者の赤字につきまして、その半額を貸付対象額とするということになつておりまして、あとの半額の赤字につきましては貸付を受けました保険者から資金を調達して療養費の支払をしなければならないというような規定になつておりました関係が、一番さような貸付の成果を挙げ得ませんでした欠陥であると考えた次第でございます。そこで本法案の中心になりまする改正の点は、この貸付の率を上げて、保険者として調達しなければならない金額を減らして行くというような点でございます。即ち従来は貸付対象額の五割を貸付けることになつておりましたのを、当該の条文を改正いたしまして、貸付対象額を八割まで、つまり三割増額するということにいたしました次第でございます。この点につきましては、予算的な措置も政府部内で了承を得まして、目下予算の御審議を頂いておるような次第でございます。 それからもう一つは、昭和二十七年度におきまして、この制度か発足をいたしたのでございまするけれども、一応これによつて若干ながら過去の赤字が解消され、国民健康保険が再建されるということを狙りたのでありまするけれども、併しながら国民健康保険の行保険者等、大多数の保険者が非常に財政的に困難に陥つておりまして、過去の赤字は解消いたしましても、将来に亘つての健全なる財政措置を裏付けるものが今日までなかつたと申してもよいのであります。ところが昭和二十八年度におきましては、すでに御案内のように療養給付分に対する一割五分の給付費の国庫補助が出ることになりました関係上、その裏腹となる過去の赤字となるものにつきまして歩調を会せて行く必要が考えられたわけでございます。その意味におきまして現行法によりますると、昭和二十六年度末に存在する赤字を対象としておりました。その後昭和二十七年度中に免ずべき赤字につきましては貸付の対象にならないことになつておりましたのを、さような療養給付に対する補助が出ました関係の裏腹といたしまして、昭和二十七年度末に存在をする赤字を含めて貸付ができるようにいたしましたのでございます。さようなことに基きまして、昭和二十八年度予算には第一年度として四億六千万円の予算が計上されることに相成つております次第であります。なお昭和二十七年度末に存在をいたします赤字につきましては、二十八年度、九年度、三十年度の三カ年度に分けまして、従来の条件と同じように三カ年に分けて貸付をいたす計画でございます。 それからもう一つこの際に附加えて申上げておきたいと思いまするのは、今申上げましたように、昭和二十八年度の予算は四億六千八百万円に相成つておりまするが、二十九年度は二億七千三百万円、三十年度には一億三千万円、合計八億七千二百万円の予算を計上することによつて、この条件に該当いたしまする保険者の赤字を解消をいたしたいという考えでございます。 なお附加えて最後に申上げたいと思いまするのは、そういたしますると、昭和二十七年度にすでに貸付を受けました五百八十七の先ほどの保険者であります。この保険者につきましては、そうした特別措置がとれない虞れがありますので、この点は昭和二十七年度にも、以上申上げました貸付の条件の緩和をいたしまして、二十七年度すでに貸しましたものについても、更にあとの三割を追加して貸付をいたしたいという考えでございます。こうするごとによりまして昭和二十七年度にも以上申上げた新たなる方針を適用するように法案を改正して頂きまするならば、二億三千万円予算が不用になる見込になりますものが、先ず前段の三割余分に貸付をするということによりまして三億二千万円ぐらいはそれだけで貸付ができることになります。あとの残りの八千万円ほどの金につきましては、恐らくこうした条件緩和によりまして新らしい申請も出て来るだろうと思います。取急いで御審議を煩わしまして、本年度中に、三月末までに申請書をとり、貸付の決定をいたしたいと思います。そうすることによつて本年度予算、先に申上げました四億五百万円の予算を全額貸付ができるように処置をいたしたいという改正を含めておる次第でございます。なお貸付をいたしまする対象条件のうち、もう一つ問題になつておりました保険料の徴収成績が七割以上でないと、この制度による貸付を受けられないということになつております。この点は改正法律案を衆議院で御審議を頂きます際にも、衆議院厚生委員会におきまして、いろいろ御意見がございまして付帯決議として、この貸付条件のうちの徴収成績七割以上ということにつきましては、法律の第三条に特別な理由のありますものについてはこの条件に該当しなくても貸付が成し得るということになつております。この特別の事情の運用をできるだけ緩和をしてやることにいたしまして、そうしてこの昭和二十八年度に予定しております四億六千万円の予算が本年度と同様に不用額にならないように措置がしてもらいたいというような付帯決議がございました。私どもといたしましても、この点は財政当局とも話合いまして了承をいたしました次第でございます。従いまして法律の改正の表面には、その点は当然現われないのでございますけれども、第三条並びに第四条の関係にございます「災害その他特別の事由」というこの特別の事由をできるだけ広く解釈をいたしまして、予算総額が有効に使え、これによつて保険者の赤字ができるだけ広く解消するように処置する所存でございます。 以上法案の個々の条文に触れませんでございましたけれども、大体の筋道を申上げまして御説明に代えた次第でございます。
○委員長(藤森眞治君) 御質問ございませんか。
○井上なつゑ君 只今の御説明で第三条の緩和ということを承わつたのでございますけれども実はこの法律は非常に手続が面倒くさくて、なかなか貸付けてもらうことができなかつたというような声を聞いておつたのでございますけれども、現在国民健康保険の直営診療所を持つておりますところでも非常に赤字が出ております。私の知つておりますところでも、折角直営診療所を作りましたけれども、利用者が少くて人件費ばかりかかつて赤字になる。いつそこんなものは廃止して、村の公民館にしてしまつたほうがいい、そういうふうな声もある。そういうようなところにまで落ちたところでも、これは政府の資金で救い上げられるようにまで範囲が拡張されるものでございましようか、どうでございましようか、それだけ……。成績の悪いようなものは絶対直営診療所として認めないというようなところにあるのでございますか、ちよつとその点承わりたいと思います。
○政府委員(久下勝次君) 直営診療所を持つておりますと否とは、この貸付をいたすことには関係ないことでありまして第三条にございますように、保険料の徴収成績がどうでありまするとか、或いは一部負担の割合がどうでありまするとか、受診率が百分の五十以上でありますとかいうような個々の条件が該当いたしますれば、貸付ができるということになつておるのであります。ところがこの条件がそれぞれ……、いずれにいたしましても何かの条件を付ける必要があると考えておりますが、特別な事情がありますものを厳格に挙げますると、又本年度のように折角予算を取りましても貸付ができずに予算を余してしまうという虞れもあるかと考えられるのであります。そこでその辺の事情を考えまして、実際の申請とも睨み合いをいたしまして、できるだけこの特別の事情ということで拾い上げまして、この各号の条件に該当いたしませんでも貸付をいたすようにいたしたい、こういうことで申上げたのでございます。
○委員長(藤森眞治君) 他に御質問ございませんか……。ちよつと速記とめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(藤森眞治君) 速記を始めて下さい。
○山下義信君 この法案に関連しまして当局にお尋ねするのですが、いろいろ今回政府資金の貸付等について便利のいいように諸条件を緩和して改められるということは、非常に結構に思うのでありまするが、関連しまして、明年度予算に国保の国庫補助を二十九億御計上になりまして、それが医療給付の一割五分の補助と我々承わつておるのです。併しながら、予算案の説明書等を見ると、どうもその点が詳しくないのでありまして、必ずしも全国の国民健康保険の医療給付の一割五分を平等に、一律に補助するというふうにも見えない。即ち、国保の育成強化のために、この二十九億も若干の手加減はして当局は補助ができるように予算説明書では見える。予算委員会でその点がどう論議されるか知らんが、当委員会におきましても、その点を当局から聞いておきますことが、本案の審議の上にいいのじやないかと思うのです。従つて、今議題になつておりまする再建整備資金貸付法も、これも国保の育成強化の一つの法案です。関連しまして、昭和二十八年度の国庫補助費の使い方というものはどうなるのか、一律平等というものになるのかどうか、従つてこの再建整備等が進んだような国保に療養給付の補助の割当をしようとするのか、そういう点に若しも関連を持つておるとするならば、この際補助金の補助の仕方について併せて当局の説明を承わつておきたいと、こう思うのです。
○政府委員(久下勝次君) 只今お尋ねがありました昭和二十八年度予算に計上をして御審議を煩わしております二十九億六千万円の療養給付費に対する国庫補助の配分についてでございますが、これにつきましては、只今ところ四つの方式を加味いたしまして、それぞれに該当をする保険者に交付をいたしたいという考えでございます。 第一は、振興奨励交付方式ということを私ども申しておりますが、これは昭和三十七年度予算に計上されました振興奨励交付金の考え方と同様でございまして、保険料の徴収の成績がよいものに対しまして、その徴収成績に応じて配分をするということでございます。二十九億六千万円の総額のうち四億五千万円程度のものをごの方式によつて配分をいたしたいと考えております。 それから第一は、財政力によつて交付する方式でございます。当該市町村の財政カというものは、又取りも直さず国民健康保険事業の財政力に関連を持つものと考えまして、その財政力を見ます目安といたしまして、当該市町村における一般会計収入の中の普通平衡交付金の占める割合を見まして、その割合の高いもの、即ち平衡交付金をたくさんもらつておるところは財政的に弱いところであるという考え方に基きまして、全国平均、具体的には今の割合が一割以上に当りまする保険者に対して、その率に応じて配分をいたしたいと考えておるのであります。この金額が九億五千万円ぐらいと予定をいたしております。なおこれは、この問題につきましては、原則的には市町村の財政力と国民保険事業の財政力というものはマッチするものと見られますが、例外もあることでありまするので、それらの点も考慮いたしまして、平均以下の平衡交付金を受けておりますものにも特例として若干の配分ができるように考えておる次第でございます。これらの考え方を含めまして、九億五千万円を財政力に応じて配分をする考えでございます。 それから第三に、療養給付費そのものに対して配分をいたします考えでございます。これはこういう補助の性質上、将来の見込で配分をするわけに参りませんので、前年度の実績によつて、被保険者一人当りの療養給付費を六百円未満、六百円以上、七百円以上というふうに六段階に分けまして配分をいたしたいと思つておるのであります。従つて、これは全保険者にこの方式でやりますと交付をせられるわけでございます。この金額を大体十二億七千万円程度に見込んでおる次第でございます。 最後に、保険料の高いところにその高さに応じて配分をいたしたいという考えでございます。これは先ほど申上げました財政力によつて一応交付いたしますと、各保険者ごとに財政力が平均して来ると考えられるのでございますが、保険者は各町村の実情によりましては非常に受診率が高いというような事情から、財政力以上に保険料を坂らざるを得ないような保険者もあるわけでございます。そこで全国平均の一世帯当り保険料を見まして、それより高く取つておりますところにつきましては、その保険料を取つております高に応じまして累進的に若干の補助を配分をいたしたいと考えておりまして、この方法によつて配分をされる金額は二億九千万円を見込んでおる次第でございます。 以上の四方式によりまして二十九億六千万円の予算を配分いたす考えでございますが、ただ非常に自己負担の高いところでありますというようなところ、つまり国民健康保険をやつておるというのは名ばかりというようなところに対しましては、従来から事務費等の補助はやつておらない方針でありまするので、極く一部の保険者に対しましては、頭から補助の対象にならないということは、ほかの補助と同様に考えております次第でございます。 なお以上のような方法で配分をいたしました結果、特定の保険者に非常に高い多額の補助金が行きますことも如何かと思いまして、前年度の療養給付費の三割くらいを限度として配分をいたしたいと思つております。三割以上に上りますものは三割で切るような措置はとりたいと思つておる次第でございます。 大体そういうことでありまするが、それと同時に又、昭和二十八年度に入りまして新たに事業を開始するものに対する補助でありますが、これも考え方としては、以上申上げたような四方式を加味してやりたいと思いますが、実績を見る必要がございますので、七月までに事業を開始いたしましたものは、開始後半年の実績を見まして、二十八年度内にこの方式による補助金を出したいと思つておる次第でございます。極く大ざつぱな御説明でございましたけれども、そういうような方式でこの二十九億六千万円の予算を配分いたす次第でございますが、お尋ねの中にございました貸付金との関連は、直接的には関係がないわけでございます。ただ先ほど申上げたかと思いますが、私どもの考え方としては、給付費に対する補助によつて将来の経営について赤字のない財政運用ができるように、過去の赤字につきましては貸付制度によつて解消をし、相待つて国民健康保険の再建に資したいという考えでございます。
○堂森芳夫君 そういうような方針を地方へお流しになつたのでございますか。
○政府委員(久下勝次君) 一応流してございます。
○堂森芳夫君 はあ、いつ頃でございますか。
○政府委員(久下勝次君) こういう趣旨で、こういうような案で配分をする方針であるということを、二月の十六日附で流しております。
○山下義信君 これは私は関連があるということで質問をしましたが、併しこのことだけでも非常にこれは質疑をしておりますというと複雑多岐になりますから、いたしませんが、ただ一つ聞いておきたいと思いますことは、どういうわけで平等の補助にしなかつたのか、一律に補助するとどういう弊害があるのか、どうしてそれがいけないのかということだけ聞いておきたい。
○政府委員(久下勝次君) 私から申上げるまでもなく、各国民健康保険の保険者ごとに、財政的な事情なり、或いは実際この事業に努力しておる程度等に差異がございますが、それらの点を以上申上げた方法によつて、調整をして参りたいということでございます。一律的にやりますと、実際は努力をしてないところにも同じような補助金が入つて行くということになりまして、却つて国民健康保険を質的に、本質的に強化するゆえんでないと考えた次第でございます。又逆に申しますと、努力の点もございますが、同時に又財政的に、非常に当該市町村が弱いところでございまして、如何に努力を重ねましても、国民健康保険事業がうまく参らないというところもございます。さようなところにつきましては先ほど申上げた財政力調整方式によつて、これを助け上げるという考えを入れたわけでございます。又医療の実態、給付の実態に応じまして、金がかかつて仕方がないというところにつきましては、保険料調整方式。最後に申上げた方式をやるというようなことで、これらの方式が全部当てはまるところもございましようし、或いは二つ三つにだけ当てはまるところもございましよう。いずれにいたしましても、これらの方式を加味するほうがむしろ公平な配分ではないかと考えた次第でございます。
○山下義信君 しばしば繰返して言うように、私は今この問題を取上げて論議する気持がありませんが、ただ一口私は申しておきますが、全国の国保を同一の状態にしようとする方針かどうかということになつて来る。それでその方針ならば又その方針でいい。ところがですね、全国の国保を同一の経営状態にあらしめようとするならば、そういう方針になればなるほど補助というものを一律にするということによつて、大きな同一の方針というものが立つ。それで全国の国保を同一にするという大きな目的に進むのには、こういう補助金を、療養給付の一律補助というので大筋が通つてこそなるのでそういうつもりでおりながらおりながら、その手段方法にいつも差別をつけて行くことは、そのバランスをとると言いながら言いながら、そのこと自体が私はやはり矛盾して来るところがあるような気持がするので、これは非常な重大な問題なんです。殊に一側五分というような程度では私どもは満足ができないのです。一割とか、一例五分の程度ならば、このほうがとれるが、若し次第に国庫負担率を増加して行くということになる、こういうような数段に分げてその差別的な育成強化的なやり方では、恐らく国庫負担といとことの本質に副わんのであります。それは国庫負担じやない。一つの指導、奨励費なんです。我々が言う国庫負担というのは、もつともつと療養給付費に対する国の負担なり、国の責任なり、国民医療の問題を本質的に大筋で通つて行こうというのでありますから、根本的な考え方としては、私どもは一律平等の補助のいたし方が筋が通るように思う のです。これはまあ意見の相違ですが、関連した質問として出して行きましたから、私の所見を申しておきますにとどめておきます。
○井上なつゑ君 ちよつとそれに関連して伺いたいのですが、国庫補助が二十九億でございますと、ほかの国庫補助ですと大低県費がつくのですが、都道府県の費用はどうなるのでございましようか。それを伺いたい。実は県の補助をもらいたいと思うけれども、これがないというようなことも出ておりますのですが、ちよつとお伺いいたします。
○政府委員(久下勝次君) 只今のところとしては、別に法律によつて、法律上国が金を出しました場合に、県が出さなければならないというような意味の制度はございませんので、私どもとしてはその点については、行政的にも、県も出せというような指導はいたしておりません。と申しまするのは、私ども一番心配をいたしておりまするのは、この約三十億の予算が本当に有効に使われまして、今困つております保険者がこれによつて立上れるかどうかというようなところが、折角国民の税金からきめた予算を流す本来の狙いであろうと考えておる次第でございます。そういう意味合いにおきましては、結局は現地の実情に即した指導なり、或いは必要によつては監督が行われて行かなければならないものだと思うのでありまして、むしろそういう金だけ出すということでなしに、現地において各府県の国民健康保険の保険者の指導監督について、大いにこの際、この機会に力を注いで、若し予算の必要があれば、そちらのほうにも大いに流して行くということをば要望しているわけでございます。そういう地方と中央とが……。中央におきましては直接保険者の指導ができません関係で、国庫からこういう金が出ました機会に、地方におきましてはそういう方面に特に力を入れてもらいたいということは申しております。なお併しながら実際にはもうすでに一、二、話も聞いておりまするけれども、府県によつては、国が出したので県も出そうということで予算を計上いたしつつあるところもあるようでございます。そういう関係でこの制度を考えております。
○委員長(藤森眞治君) ほかに御質疑はございませんか……。
○中山壽彦君 国民健康保険再建整備の法案は質疑もないようでありますから、討論を省略して採決に入られんことの動議を提出いたします。
○委員長(藤森眞治君) 只今の中山委員の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤森眞治君) 異議ないものと認めます。 それでは質疑を打切り、討論を省略して採決いたします。 本案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(藤森眞治君) 挙手全員。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。 それから本日只今までに採決いたしました各法案の本会議における委員長の口頭報告については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤森眞治君) 異議ないものと認めます。 それから委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされたかたは順次御署名を願います。 多数意見者署名 谷口弥三郎 堂森 芳夫 藤原 道子 中山 壽彦 山下 義信 草葉 隆圓 小杉 繁安
○委員長(藤森眞治君) 御署名漏れはございませんか。……御署名漏れないと認めます。 なお本会議における委員長の口頭報告については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤森眞治君) 異議ないと認めます。 ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(藤森眞治君) 速記を始めて下さい。 それではこれを以て休憩いたします。 午後零時二十三分休憩 —————・————— 午後二時十六分開会
○委員長(藤森眞治君) それでは午前に引続きまして開会いたします。 ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(藤森眞治君) 速記を始めて下さい。 それでは日程を変更いたしまして、本日の日程に食品衛生法の一部を改正する法律案を追加いたしますことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤森眞治君) 異議ないものと認めます。前回に引続きまして御質疑があれば御質疑を願います。
○中山壽彦君 質疑もないようですから討論を省略して直ちに採決に入ることの動議を提出いたします。
○委員長(藤森眞治君) 只今の中山委員の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤森眞治君) 御異議ないものと認めます。 それでは質疑を打切り討論を省略して採決いたします。 本案を原案通り可決することに御賛成のかたの挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(藤森眞治君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。 それから委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされたかたは順次御署名をお願いいたします。 多数意見者署名 谷口弥三郎 堂森 芳夫 藤原 道子 中山 壽彦 山下 義信 草葉 隆圓 小杉 繁安
○委員長(藤森眞治君) 御署名漏れはございませんか。……御署名漏れないと認めます。 なお本会議における委員長の口頭報告については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤森眞治君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○委員長(藤森眞治君) お諮りいたします。政務次官も今まだ出て来られないらしいのですが、保険局長に提案理由の説明をしてもらうことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤森眞治君) 御異議ないと認めます。 厚生年金保険法の一部を改正する法律案、それから健康保険法の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案、三案の提案理由の御説明をお願いいたします。
○政府委員(久下勝次君) 只今上程されました健康保険法の一部を改正する法律案につきまして提案の理由を説明申上げます。 健康保険事業は、創設以来今日まで二十五年の間種々の悪条件を克服して、よく発展の途を辿つて参りましたが、特に終戦後は著しい普及率を示し社会保険の中核として労働者の生活安定に、ますます大きな役割を果しつつあるのであります。併しながら未だ本制度の適用を受けない者もまた相当の数に上つておりまして、本制度の拡充に対する要望は極めて強く、又他面においては、最近の社会的経済的情勢の推移に応ずる必要がありますので、ここに次のような諸点について、法律改正をいたしたいと存ずるのであります。 先ず改正の第一点は、現行の適用範囲を拡大し、新たに、土木、建築、教育、研究、調査、医療、通信、報道、社会福祉及び更生緊急保護の事業を適用事業とすること。 第二点は、標準報酬を現行最低二千円から最高二万四千円までの十九等級を改め、三千円から三万六千円の二十等級とすると共に、標準報酬の決定を定時に行うこと。 第三点は、療養の給付期間を現行二年から三年に延長することであります。 以上、改正法案の内容のあらましを説明申上げた次第でありますが、御審議の上何とぞ速かに御決定されんことを切望するものであります。 次に厚生年金保険法の一部を改正する法律案につき、提案理由を御説明申上げます。 厚生年金保険法におきましては、最近の社会的経済的情勢の推移に鑑みまして、健康保険法と同様に強制適用の範囲を土木、建築、教育、研究、調査、医療、助産、社会福祉等の事業にまで拡張いたしますると共に、事務の簡素化を図る等のために標準報酬は毎年一回定時に決定することに改正いたしたいと存じます。又、健康保険の療養の給付期間を三年に延長する措置をとりたいと存じますので、これに関連して本法の廃疾の認定時期についても「二年以内」を「三年以内」に改正いたしたいと存じます。 何とぞよろしく御審議の上、速かに可決下さるようお願いする次第であります。 次に船員保険法の一部を改正する法律案を審議せられるに当りまして、本法案の提案理由を説明申上げます。 今回の改正は、船員保険制度の拡充を図るため、療養の給付、傷病手当金及び家族療養費につきまして、その支給期間を一年延長して、療養の給付又は家族療養費の支給の開始の日以後三年を限度とすることと共に、これに関連して廃疾の認定の時期等について所要の調整を行い、以て、被保険者の福祉を増進することといたしたのであります。 以上が、船員保険法の一部を改正する法律案を今国会に提出した理由でありますが、何とぞ、速かに、御審議の上可決されますようお願い申上げる次第であります。
○委員長(藤森眞治君) 只今提案理由の説明のありました中で、厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び船員保険法の一部を改正する法律案、二案を一括して審議してて頂きたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤森眞治君) 御異議ないと認めます。御質問を願います。
○藤原道子君 この厚生年金のほうでございますか、これは当局には近く根本的に改正を行う意思をお持ちでございましようが、その点についてちよつとお伺いいたします。
○政府委員(久下勝次君) 厚生年金制度につきましては、実は本国会に根本的改正の案を御提案申上げたいと思いまして、厚生省におきましては一応昨年案を作りまして、私のほうにございます社会保険審議会に懇談の形式で各方面の御意向を伺つたのでございます。ところがこれにつきましては、労資双方に非常に意見の対立がございまして、又非常に内容についても論議がございまして、昨年の暮二十三日まで審議会をたびたび開催をいたしましたけれども、一致した結論を得ないまま予算折衝等の仕事が始まつてしまつた次第でございます。そこで取りあえず今回御提案を申上げたのは、現行法の改正に伴いますその裏腹となる改正だけをやつたのでございまして、根本的な改正につきましては幸いに以上申上げたようないきさつで各方面の御意向も大体のことが私どもにわかりましたので、この各方面の御意向を根本といたしまして、只今私どもの部内で正式な成案について今検討をいたしておるところでございます。検討が済みましたならば、更に政府部内なり、或いは社会保険審議会に付議いたしまして、私どもの考えといたしましては本年の末には坑内夫の養老年金給付が始まることになつておりますので、その時期に間に合いますように改正案を御審議頂く機会を持ちたいと思つて、鋭意努力をいたしておるような次第でございます。
○藤原道子君 たしか坑内夫等においては今年の十一月頃から適用される人が相当数あるんですね、三千ぐらいですか。
○政府委員(久下勝次君) おつしやる通り大体十一月に三千人ほど受給資格者が出ると思います。
○藤原道子君 これについては私ども相当な意見を持つておるんでございますが、政府が取りあえず暫定的にこれを出した、そうしてその給付までに間に合わせるような改正をする準備が進められておるということでございますならば、いろいろな状況もございますので、或いはこの際御質問を続けることを省略いたしますが、果して十一月までにこれが間に合うというお見通しがはつきりついておるんでございましようか。
○政府委員(久下勝次君) 私どもといたしましては、坑内夫の養老年金の給付が始まりますまでに間に合わせる責任があると考えて、そのつもりで進んでおります。ただ何分にも国会の会期等の関係もございまするので、多少の、或いは国会の都合によつては御審議の関係等ズレができるかも知れませんが、それにいたしましてもこれはできれば何とか一つ遡つて給付の始まりますときから新らしい制度に基く給付ができるようにいたすべきであると考えておるのであります。
○藤原道子君 この点につきましては、労働者の中でも非常に不安を持つておりますので、こうしたことも十分御考慮の上、万一これが、法の改正等が国会の都合で遅れるというような場合には、これは政令等では如何ともいたし方がないものでございましようか、そういう最悪の場合にはそういうことも考慮されるでしようか。
○政府委員(久下勝次君) この点は現在の法律に明記してございまして、現行法によりますると養老年金は一年間千二百円を超えることができないわけであります、三百円の四カ月分。従いましてこれは政令ではちよつと措置いたしかねるのでございます。私どもの見込ではこの暮まで国会のないこともあるまいと考えておりまして、何とかそれに間に合わせるようにいたす所存でございます。
○藤原道子君 何しろ掛金よりも遥かに下廻るものの給付を受けるということは、これはどうしたつて法の改正を行わなければこのままでは無視するわけには行かないものであるから、万一政府のほうで手遅れになるようなことがあつたらこれは当院として考慮すべきだと思います。根本的な改正の用意をしているということを私は信じまして、私の質問はこれで終ります。
○委員長(藤森眞治君) 他に御発言はありませんか。
○堂森芳夫君 さつきの局長の必ず改正するという言明ですからこれを信じて、そうした藤原議員の質問された矛盾というものは解決されて行くという見通しがついているのでありますから、もうそれで議論もないわけじやないのでしようか。
○中山壽彦君 厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び船員保険法の一部を改正する法律案、両案とも質疑が尽きたようでありますから討論省略、直ちに採決の動議を提出いたします。
○委員長(藤森眞治君) 只今の中山さんの動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤森眞治君) 異議ないと認めます。 それでは質疑を打切り討論を省略しまして採決いたします。 厚生年金保険法の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案、二案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(藤森眞治君) 全員挙手、よつて両案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。 それから委員長の議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、両案を可とせられたかたは順次御署名を願います。 多数意見者署名 谷口弥三郎 堂森 芳夫 藤原 道子 中山 壽彦 山下 義信 草葉 隆圓 小杉 繁安
○委員長(藤森眞治君) 御署名漏れはございませんか。……御署名漏れはないと認めます。 なお本会議における委員長の口頭報告については委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤森眞治君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○委員長(藤森眞治君) なおこの際日程に追加いたしましてらい予防法案を議題といたしますことに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤森眞治君) 異議ないと認めます。それでは本案の提案理由の説明を願います。
○政府委員(山口正義君) 只今上程されました、らい予防法案の提案理由について説明いたします。 らいは慢性の伝染性疾患であり、一度かかりますと根治することは極めて困難な疾病でありまして、患者は勿論、患者の一家族がこうむります社会的不幸は測り知れないものがあります。 このらいの予防を図るために、明治四十年に癩予防法が制定され、爾来この法律によつて、らいの予防対策が実施されて来たのであります。 併しながら、現行法は約五十年前の制定にかかるものであり、その後数次の改正を加えてはおりますが、今日の段階においては、その表現が簡潔に過ぎる嫌いがあり、患者乃至その家族の福祉に関する規定は十分とは申しませんので、時代に即応した、らい予防法を制定しようとするものであります。 この法案の骨子といたしますところは、次の通りであります。 第一に、都道府県知事は、らいを伝染させる虞れがある患者については、次の措置により療養所に入所させる旨の規定を置いております。即ち、先ず患者に対し国立療養所への入所を勧奨し、この勧奨に応じない患者については、入所を命じ、更に命令に従わないとき、又は公衆衛生上入所させる必要がある患者について、右の勧奨又は命令の措置をとるいとまがないときは、都道府県知事が当該患者を面接国立療養所に入所させ得ることとしているのであります。 更に、国立療養所に入所した患者であつて、当該国立療養所の長がらいを伝染させる虞れがあると認める患者は、法令により出頭を要する場合及び所長が許可した場合を除いては、療養所の区域外に出ることを禁ずる規定を設けております。 第二に、国立療養所に入所しました患者につきましては、すべて国が必要な療養を行うこととし、更に入所患者の福祉のために、患者が義務教育乃至高等普通教育或いは、更生指導を受けるために必要な措置を講じることといたしております。 なお、国立療養所内の秩序の維持のため、秩序を乱す者に対しては、所長は戒告又は謹愼の処分を行い得ることとしております。 第三に、患者及び家族の福祉に関しまして、先に述べました国立療養所の入所患者の福祉措置のほか、入所時における一時救護を規定すると共に療養所長は、患家の福祉のため所要の援助を行うことができることとし、入所患者の親族でらいにかかつていない児童を療養所に附置した施設で養育する等その福祉の措置をとることができる旨の規定を設けております。 第四に、費用に関しては、この法律の施行について都道府県が要する費用については、その二分の一を国が負担することとし、罰則に関しては、祕密漏洩の罰則を強化し、又療養所の区域外に出ることを禁じられた患者が敢なく療養所の外に出た場合は、所定の罰を加えることといたしております。 以上が、この法律案の骨子でありますが何とぞ愼重御審議の上、速かに可決せられますようお願いいたします。
○委員長(藤森眞治君) 只今の提案理由の説明につきまして御質疑を願います。
○谷口弥三郎君 二、三お伺いしたいと思いますが、この獺の予防法につきまして癩患者から、入園者から、いろいろと申出がありましたうちに、先ず一番に癩病という名前がどうもみんなに知れ過ぎて困る、できるならばやはりハンゼン氏病という名前に代えてもらいたいということを頻りと言つて参つておりますが、今度のこの改正にハンゼン氏病という名前を出すことのできなかつた理由を一つお伺いしたいと思います。
○政府委員(山口正義君) 癩という名前の代りにハンゼン氏病という名称を使えないかどうかという御質問でございますが、ハンゼン氏病と申しますのは我が国でまだ十分一般の人によく理解されておりません。従いましてこれを、十分我が国にまだ消化されていない、同化されていない言葉を法律の中に取入れるのは妥当でないというふうに考えましたことが一つでございます。それからハンゼン氏病と申しますのは癩菌の発見者がハンゼン氏であるというところからこういう名称をつけていると考えられるのでございますが、これがまだ学界においてもなお二、三疑義があるというふうなことから考えまして現在ハンゼン氏病というのを癩の代りに使うということは行政上妥当でないというふうに考えましたので、従来通り癩という言葉を使うことにいたしました。
○谷口弥三郎君 只今のお話でよくわかりましたが、ただこのハンゼン氏病というのをまだ学界がよく認めておらんからというようなお話もあつたようでございますが、これは癩の学界に、日本癩学界などに一度御質問になつてみるというお心組みはありませんか。
○政府委員(山口正義君) 特に癩学界に意見を聞くというようなことは、今までなさらなかつたのでございますが、世界各国でまだ癩というこの疾患に対してハンゼン氏病というのは余りまだ広く使つていないという建前から、まだ取上げるのは妥当ではないというふうに考えたわけでございます。
○谷口弥三郎君 それでハンゼン氏病はその程度としまして、次にこの入園者の非常に希望しておりましたいわゆる検束とかいうのがなくなつたことは、そういう名前が出ておらんようでございますから、これは全体の者が非常に喜ぶだろうと思います。なおこれは一般の患者によく説明すると、これまででもよくわかつておつたのでございますが、かなり園長が、いわゆる療養所の所長がいろいろと拘束するということは、自分たちは自治会をこしらえてやつておるのだからその必要はない、やはり是非それを自治会に認めさせてくれというようなことを言つておりましたが、その点に対しましては如何説明したらよろしうございますか、その点……。
○政府委員(山口正義君) 従来の法文が非常に簡潔でありましたために、いろいろ誤解を招く点があつたかと存じますが、今回におきましてはそういう誤解の起らないように、この所内の秩序維持の点につきましても詳細に規定を設けたわけでございます。ただ御承知のように癩療養所と申しますのは特殊なと申しますか、非常に長期療養を要する患者が多数一定の区域内に生活いたしております。特殊な生活集団を構成しておりますので、その多人数の生活集団の秩序維持を図つて参ります上におきましてはその集団の長が、或る一定度の秩序維持のための処分を行い得るというふうにしなければ到底正しい秩序維持ということは考えられない、患者の自治だけに任しておいては最後の締めくくりができないというふうに考えて、最低限度の秩序維持の規定をこの中に設けているわでございます。併しその人間を所長が処分をいたします場合に、決して一方的にならないようにというような意味で謹慎の処分をいたします場合には、先ず本人に弁明の機会を与え、而もその謹慎の処分をいたします場合に、その療養所の中に設けられました紀律審査会の意見を聞いて、然る後初めてその謹慎の処分を行うというふうに、非常に言葉で申しますと民主的にこれを運営して行きたい、そういうふうに考えているわけであります。
○谷口弥三郎君 次にお伺いしてみたいと思いますのは、患者などが申しておりますのに、どうも生活保護法適用の患者がいろいろと生活保護をやつて頂くというと地方でそれが知れてしもうにもかかわらず、やはり家の経済状態が非常に悪いので、生活保護法を適用してもらいたいが、よそに知れるのがこわいためにやる気がしない、或いは又現在におきましても生活保護法の適用を受けているものが非常に少い、これはやはり秘密が漏洩場される結果である、従つて園長から、療養所長からこれらのお金をもらうということをやつてもらうと外に漏れるきずかいがないから、非常にそのほうに是非お願いしたいということを頻りに言つておつたのですが、この改正らい予防法案を見ましても生活保護法の者に対して園長から費用を渡すというふうになつておらんようですが、この点はどうしてならなかつたのですか、その点について。
○政府委員(山口正義君) 只今御指摘の点、これはしばしば患者から訴えを聞き、又先生方からも御注意を受けた点でございます。患者家族の生活保障につきまして秘密保持の点からどうすれば一番うまく行くかということを、私どものほうでいろいろ検討いたしまして、関係各局或いは関係各省とも相談いたしまして最も妥当な線を出したいと思つていろいろ検討したのでございますが現段階におきましてはやはり生活保護法に基いて、この扶助を行うよりほかに途がないというような結論に到達したのでございます。但しその際に患者が一番心配いたしております、生活保護法の適用を受けようとすれば、社会福祉事務所その他のいろいろな関係の各機関の人たちにいろいろ世話にならなければならない、できるだけ自分たちの家族が癩患者の家族であるということを多くの人に知らせたくないという気持は尤もでございますので、そういう点を十分考慮しまして、生活保護法の適用をいたします場合に、県の職員が、而も県の衛生関係の担任職員が十分その患家と接触して、そうして社会福祉事務所、社会福祉主事というものをそこに関与させないというようなことを、措置をとるようにやつて行きたい、そういうふうに考えております。なお生活保護法は本人の申請ということによることになつておりますけれども、実際は県の職員が全部してやつて、ただ形式上申請の形をとるということだけで済ませるようにしたいと思つております。又必要があれば療養所長が本人に代つて申請するというような措置もとり得るようにしたい、そういうふうに考えております。この運用の点につきましては、社会局と十分話合いまして、この法律が可決して頂きました暁には必要な通牒を出すように準備をいたしております。
○藤原道子君 私は先ほど谷口委員の御質問になられましたハンゼン氏病は、まだ世間はよく知らないから、これを病名に付することはどうかという御答弁でございましたけれども、だからこそこれにしたつていいんじやないですか。私はあれほど強い要望であり、又いろいろな点からその名前の故に不当な圧迫を受けるということは、本人になつてみなければわからないことですけれども、一つ温かい気持を持つて当然これたハンゼン氏病にこの際改めるべきだという強い主張をいたしておるのでございますが、どうしても不可能なことでございましようか。
○政府委員(山口正義君) 今回私どもがハンゼン氏病という名称を取上げないでらい予防法というそのままで置いたという理由は、先ほど谷口先生の御質問に対してもお答え申上げた通りでございますが、ハンゼン氏病という名前にいたしますと、ハンゼン氏病というのは何だというふうなことになりまして、却つていろいろ穿鑿されて癩のことであるというふうになりまして、結局名前を変えてもそれが癩疾患であるということを知らせることになりますので、名前を変えても実際の益にはならないように考えるのであります。又癩という名前が、曾つて癩という疾患に対して唱えられておりましたように天刑病というように、字そのものから如何にも悪い感じを与えるという言葉でございますならば、字でございますならこれ又考え直さなければならないかと存じますけれども、癩という字そのものには別にそういう意味はないように考えられます。要は只今藤原先生からも御指摘ございました癩という、癩患者である、或いは癩患者の家族であるというためにいろいろな差別的な取扱をするということは、本人たちの不幸になるということになると思いますので、むしろ名前そのものよりもそういう点で我々がいろいろ努力して行かなければならないと、世の中の啓蒙宣伝をやつて行かなければならないというふうに考えております。私どもの考えといたしましては名前を変えただけで果してその目的が達せられるかどうかということを非常に疑わしいように感じておるわけであります。
○藤原道子君 私も名前を変えたばかりでいいとは考えておりません。それからハンゼン氏病ということになつても、それは、何だ、癩病だということになることも私ども承知しております。けれども、それでもなお且つ患者は変えて欲しいということを私たちに、しばしば言うのです。変えて欲しいと私が主張いたしますのは、癩病というのは結局不治の病というふうに規定付けられておる世間一般に。ところが、今日では、いろいろ初期においては当然これがもう治るのだと、伝染病だということが明らかになつておりますので、これを契機に名前を変えて行くことが私は好ましいのではなかろうか。それは患者たちにも光明を与えるということにもなるので、この名前を変えることによつてよほどの弊害があるならば別であるが、併しそうでない以上は私は変えてやることのほうが温かい親心ではないかということを強く主張するものでございますので、それも続いてお伺いいたしたいのでございます。 次に第六条の一、二項におきまして癩患者を発見した場合には勧奨して入所させる、それでもなお応じないときには都道府県知事は勧奨を受けた患者又は保護者に対し期限を定めて、療養所に入所し、又は入所させることを命ずることができるとあつて、それから第三項におきまして「前二項の手続をとるいとまがないときは、」とあるのですが、この「いとまがない」というのはどういう措置を指すのですか。又こういうことに藉口して同じように従前通りのことが行われるのではなかろうかという不安を持つものでございますが……。
○政府委員(山口正義君) 第六条の第三項のあとのほうはこれは浮浪しております癩患者を発見しましたような場合に、この措置をとりたいと、そういうふうに考えておりまして、普通家庭におりますような者はこの勧奨、命令、そういう順序でやつて行きたい、そういうふうに考えております。
○藤原道子君 それではそういうことは政令か何かで定めるのですか。定めておかれるのですか。こういうことがあると、時にやはり従前の慣習が行われる虞れがあると私は思うのですが……。
○政府委員(山口正義君) 現在特にそういうことを政令で定めるというふうなことは現在のところでは考えておりませんけれども、この法律の建前からいたしまして一般普通の患者には先ず第一に勧奨、それから命令と、それからどうしてもそれができないという場合に直接強制ということをはつきり打ち立てておりますので、私ども若しこの新らしい法律を可決して頂きまして、これを運用して行きます場合には特にこの第六条の点には重点を置いて府県当局を指導して参りたい、かように考えております。
○藤原道子君 第十四条の小学校又は中学の問題でございますが、療養所へ参りますと、療養所の中に学校があるですね。そういうことになると、これから回復して社会に出た場合に療養所附属の学校を出たということになると、就職等において非常に支障を来たすと、社会復帰の場合に思わざる悲劇を生む慮れがある。又そういうことを非常に不安がつておる。従つて、これを仮に駿河療養所といたしますならば富士岡村小学校の分教場というのですか、そういうふうにその学校の分校というようなふうにしてやつて行くというようなお考えはないのでしようか。私はそういうようにして欲しいと考えますが……。
○政府委員(山口正義君) 藤原先生の御指摘の点御尤もでございますので、そういうふうな分教場或いは分校というような建前をとりたいというために、このようにこの法律の十四条に書きましたような書き方をしておるのでございまして、小学校、中学校が主体になりまして、それの分教場が療養所の中にできる。それの施設をするのに必要な措置を講じなければならないというふうにしておるわけでございます。
○藤原道子君 それに続きまして、小学校と中学はそれでできるのでございますが、高等学校或いは大学というような教育をも必要と思いますが、そういう学校を全療養所に置くことは不可能でございましようけれども、全国の二カ所ぐらいの療養所にこうした高等教育を受けるような施設をお作りになるというような御意思はないのでしようか。
○政府委員(山口正義君) 現在のところ大学までは考えておりませんが、この第十四条の第二項にもございますように、高等普通教育は受けられるように、これは只今御指摘のように、全療養所に作る必要はないと思いますが、全国に数カ所そういう施設を作り得るようにして行きたいと、そういうふうに考えております。
○藤原道子君 私はこの際直ちに不可能といたしましても、成るべく近い機会に大学まで作つて頂けるような親心を欲しいということを要望いたしておきます。 それから癩療養所に癩未感染児童ですね、その癩の未感染児童の保育所がございますね。それを療養所と別個にある普通の子供たちと一緒に収容するような施設にはできないものでしようか。癩の、たださえ癩というものは、非常にその全人生に大きな影響を与えるものでございますので、あれは癩病の子供だというような観念を社会に与えないために、一般の保育所と同じに扱う、一般の児童と同じにこれを保育するというような建前にはできないのですか。
○政府委員(山口正義君) 御尤もな御意見でございますが、併し未感染児童と申しましても、或いは感染しておつて、潜伏期にあるものかも知れないという虞れもございますので、やはり特別に発病しやしないかどうかということを観察して行く必要がございまして、それで癩療養所の近くにおきまして、特にその容態を観察して行きたいというふうに考えているわけでございます。
○藤原道子君 それは誠に御尤もな御答弁だと思うのでございますけれども、一般の子供と一緒に置いたつてもこの観察ができないということもないと思うのでございますけれども、その癩未感染児童ですね、その保育所から本当にもうすでに感染していたものというものが出る率ですね、それは今までどういうふうになつておるのでしようか。
○政府委員(山口正義君) 現在までの数字でございますと、約六%出ております。
○藤原道子君 それは私はああいうところに行つてみて、まあいじらしくて仕方ないのでございますけれども、併しまあ多数出るのならば仕方ないのですけれども、どうしてもそうして欲しいと思うのでございますけれどもね。 それからちよつとお伺いいたしますけれども、養老院ですね。養老院ですか、家族のための。それもやはり癩の家族として別個のものがあるのですか。
○政府委員(山口正義君) 現在熊本県の菊池恵楓園の近くに、財団法人藤楓協会が、以前の癩予防協会ですが、それが経営しております。特殊の養老施設がございます。
○藤原道子君 全国で一カ所でございますか。
○政府委員(山口正義君) 現在のところ一カ所でございます。
○藤原道子君 何人くらい入つておるのでしようか。それでそこだけで足りておるんでしようか。それからそこと合わせまして、その養老院から患者が出ておる例がありましようか。若し例があるとすれば、どのくらい感染する人が現われておりましようか。
○政府委員(山口正義君) 現在熊本にございます養老施設の定員は五十名でございますが、現在癩患者の家族として入つておりますのは、そのうちで非常に僅かな率で、大体……。
○藤原道子君 定員五十人ですか。
○政府委員(山口正義君) 定員五十名です。そのうち癩患者の家族の老人が入つておりますのは数名程度でございます。
○藤原道子君 数名。
○政府委員(山口正義君) はあ、あとは普通の……。
○藤原道子君 普通の………。
○政府委員(山口正義君) はあ、かたがたでございます。
○藤原道子君 もう一つ、癩患者の家族の中で発病したものがございますか。
○政府委員(山口正義君) 老人から発病したものは殆んどございません。
○委員長(藤森眞治君) 私から一、二点ちよつとお伺いしたいのですが、指定医を都道府県に置かれる。指定医を都道府県に置くというのは、大体人数はどのくらいな予定でしようか。それでそういうふうな適当な指定医が各都道府県に置けるかということです。
○政府委員(山口正義君) 第五条の第一項の規定によりますと、指定医の数は、現在考えておりますのは、全国で約八十名くらいということに考えております。果してそれだけの数が得られるかどうかというお尋ねでございますが、その第二項に書いてございますように、癩の診療に関して三年以上の経験を有する者ということになりますので、実際問題といたしましては、国立癩療養所の医師を指定するということになると存じております。
○委員長(藤森眞治君) 届出と関係があるのですが、癩患者のかたからら聞きますと、医者のところであちらこちら追い廻わされる、こういうことを言つております。これは併し医者もなかなか一診では癩ときまらないので、だんだん専門家のところを尋ねて行くようにするせいだとは思いますが、そういう医者に、成るべく早く適当な医者のところに診断を受けるというようなふうに、何か知らしめるというとおかしいのですが、よく周知徹底させるようにする必要があるのじやないかと思うのですね。そういう点について何かお考えがございましようか。
○政府委員(山口正義君) 指定医の制度は、できますれば、只今御指摘のような点は、一般に対して、余計にあちらこちらを廻るということのないように、これこれの人がその道の専門家であるというふうなことを知らせる方法をとりたいと考えております。
○委員長(藤森眞治君) それからこの法律ができまして、朝鮮からよく入つて来る密入国者との関係はどういうふうになつておりますか、扱いが……。
○政府委員(山口正義君) 明らかに密入国者とわかりましたものにつきましては、そういうものを取締ります入国管理法がございますので、一応長崎県の針尾島にございます収容所に収容いたしまして、強制送還するようにいたしております。
○委員長(藤森眞治君) それではらい予防法につきましては、一応この程度にいたして御異議ございませんか。
○堂森芳夫君 もう一つ……。
○委員長(藤森眞治君) ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(藤森眞治君) 速記を始めて下さい。日程に追加しましてと畜場法案を御審議願いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤森眞治君) 御異議ないと認めます。 それではと畜場法案の提案理由の説明を願いたいと思います。
○政府委員(山口正義君) 只今議題となりましたと畜場法案につきまして、提案理由を御説明いたします。 と畜場は、食用に供するための獣畜の処理が行われる施設でありますので、食肉の衛生を確保いたしますためには、と畜場に対しまして十分な衛生面の監督が必要でありますと共に、一方環慌衛生の見地からもと畜場の経営が衛生的に行われることが必要と考えられるものであります。このような恵味におきまして、と畜場及び食用の目的で行う獣畜の処理に関しましては、明治三十九年に制定されました屠場法によりまして今日まで必要な規整をして参つたのでありますが、この間屠場法の部分的な改正はありましたが、本質的な改正を見ておりませんので、今日の社会情勢に適合しない点が存するのであります。例えば最近の農村の家畜の増産に伴いましてと畜場の適正な普及を図ることが必要と考えられるのであります。従いまして今回、現行の屠場法を廃止いたしまして新たにと畜場法を制定しようとするものであります。 現行の屠場法におきましては、と畜場は公営の大と畜場を原則的なものと考えておつたのでありますが、新たに簡易と畜場の制度を設けますと共に従来の公営主義の考え方を廃止しまして、衛生上支障のない限りと畜場の設置の途をできるだけ広くしますことが先ず第一に必要であると考えられるのであります。 次にと留場以外の場所で食用の目的で獣畜を処理することができます場合を法律で明定いたしますと共に、この場合におきましても都道府県知事が公衆衛生上必要な指示を与えることができるようにしまして、獣畜の処理が衛生上適正に行われるようにしたいと考えるものであります。更に、と畜場において行われますと畜検査員の検査を受けていない食肉等を販売の目的で譲受けることを禁止しまして、食肉の安全を図りたい所存であります。その他と畜場の監督に関する規定の整備を図る等所要の改正を行う必要があると考える次第であります。 以上、この法律案を提案いたします。理由を御説明いたしましたが、何とぞ愼重に御審議の上、速かに御可決あらんことを御願いする次第であります。
○委員長(藤森眞治君) 本案につきましては、この程度にいたしたいと思います。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤森眞治君) 御異議ないと認めます。 では、本日はこれを以て散会いたします。 午後三時十三分散会