決算委員会決算審査に関する小委員会 第4号
- 発言数
- 77 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1953/03/12
会議録
○委員長(谷口弥三郎君) 開会いたします。 それでは只今から第六管区海上保安本部訓練所の汚職事件につきまして、いろいろと説明をお伺いしたいと思います。先ず、只今出席されておりますかたは、海上保安庁山口長官、それに最高検察庁の熊沢検事、それに会計検査院の佐藤院長であります。どうぞ御質疑をお願いいたします。
○カニエ邦彦君 先ず検査院のほうにお伺いをしたいのですが、二十五年度の批難書も二十六年度の批難書も実は当委員会は頂いておりまするのですが、批難書の中に、批難としては出ていない事件として、広島の海上保安本部におけるところの国有財産の盗難であるとか、或いは又これの売払に対しての処置当を得ていないもの、又或いは工事等による空工事によつて国費を他に活用し、或いは又それが不当に処理されておる、或いは空人夫、或いは又簿外品等の無断処分というようなことが、現在警察の手によつて明らかにされておるものでも相当あり得るのでありまするが、これらについて検査院は先ず調査をしたことがあるのか、或いはこれらの事案について了承をしておるのかどうか、先ずその点を先に伺いたいと思います。
○会計検査院長(佐藤基君) 只今御指摘になりました事件は大分たくさんあるのでございますが、その或るものについては現在調査中であります。その調査中のものにつきましては、必要によりまして、局長からその調査の段階を申上げても結構だと思います。
○カニエ邦彦君 調査をしておるというものもあるし、又その内容についてまあ勿論これは説明をして頂きますが、併しその御説明を願うまでに、本委員会は毎年出て参りまするこういつた国費の濫費或いは国有財産の不当な処理等に関して、これが十二分な監視をして今日まで来ておるのですが、御承知のように国会におけるところの委員会の構成、或いは委員のそれぞれの担任の事柄が多いために、国政全般に亘る一般会計、特別会計等の収支に関してとても目が行届かないことは、検査院としても御了承のはずであろうと思うのであります。従つて、それに代つてやはり検査院が一つ十二分に国民の立場からやつて頂かなくてはならないにもかかわらず、こういつたものがたまたま警察の努力によつて、而も検査院とは違つた角度、即ち犯罪捜査の面から挙つて来ておる。私は検査院がもつと調査を十二分になさつておられればかようなものはもつと早く発見されたのではなかろうか。決してこれは目にとまらないような小さなものでない、相当大掛りなものである。而も、前にも海上保安庁の汚職というものが世間に出ましてから、非常に国会も国民も共にまあ重視をしておるのです。従つてそういうような大きな問題をかもしておるのですから、殊更に注意をなされれば、今申上げましたように事前に防ぐことができ得たと思うのですが、これに対して一体検査院はどのようにお考えになつておるのか、先ずその点について伺いたいと思います。
○会計検査院長(佐藤基君) 只今御指摘の点でありますが、燈台関係の汚職事件が大分ありまして、去年配付いたしました決算報告書を御覧になればおわかりと思いますが、相当燈台関係につきましては検査に力を入れたのでございます。併しながら、力は入れたのでございますが、御指摘の第六管区の事件につきましては、当時十分検査できなかつたか、或いは検査ができてもまだ結論に達せずに現在調査中のものもありますが、まあそういう事情で、検査院としては何もその特に検査をしなかつたわけではないし、検査はしたのでありますが、遺憾ながら能力が足らなかつたか、日限の関係から十分御期待に副い得なかつたことは遺憾に存じております、私どものほうとしては。検査の能力と申しますか、結果と申しますか、ここ数年来の検査報告を御覧になればおわかりになると思いますが、検査報告を通じて見た検査能力というものは、相当高まつておると実は思つておるのであります。昭和二十二年に私が就任した当時におきまして、急に人も殖やしましたし、而もこの検査ということは、相当エキスパート、熟練工でなければできないものでありますから、その能力を高めるということについて全力を注いで行きまして、その後皆もその気になつて一生懸命やつてくれまして、二、三年の間に相当能力は高まつて来たのであります。又その結果は検査報告を御覧になればおわかりになると思うのでありますが、併しながら、これもまだ必ずしも十分ではないので、御指摘の通りの見落しも全然ないわけではないのでありまして、今後におきましても、そういうことのないように、更に一層の能力の向上と、検査上の細心の注意をいたしたいと思つております。
○カニエ邦彦君 そこで、十二分な検査ができなかつたことをまあ遺憾に思うということでありますが、十二分なやはり検査が行われないところにかようなものが続発をして参るのでありまするから、この点については、前年度からもやかましく言つております通り、俄かに検査技術員の養成というようなこともできまいかとは思いますが、併しいずれにしても、検査員が検査能力の拡充強化を図る、従つてこれがためにはあらゆる意味において、やはり予算の点においても相当御要求にならねばならないと思つておるのですが、去年のときにもたしか言つておいたのですが、前年度からして今年度の、二十八年度の検査院の予算は一体どのくらい殖えておるのですか、ちよつとその点伺いたいと思います。
○会計検査院長(佐藤基君) カニエ委員からは、たびたび検査院費等の拡充について熱心な御発言がありまして、我々非常に感謝しておるのであります。この前参議院の決算委員会におきまして、大蔵省の主計局長も来ておりましたが、そのときもそのお話がありまして、主計局長も或る程度了承したかに思えたのであります。私もその際に、検査院は憲法改正に伴つて機構の改正が行われた際に非常に大きな増員をしたと、その増員した者が過去数年間に相当能力も高まつて来たので、検査能力を拡充するために若干増員すべき時期に来たということを申上げたのであります。そのことに基きまして、二十八年度予算としては若干の増員を要求したのであります。併しながら、こちらの熱心な主張にもかかわらず、結局増員が認められなかつたことを非常に遺憾に思つております。併しながら、増員は認めないけれども、予算のほうにおいて若干の考慮をするからというので、一応二十八年度は、その大蔵省の主張によりまして予算を編成して、国会に今出しておるわけであります。なお金額の点におきましては、ちよつと今数字を持つておりませんが、三億何千万円かで、前年度に比べて約二、三千万円増額したと思つております。
○カニエ邦彦君 国会において、大蔵省も検査院の検査の拡充強化に伴う予算の増についても、これは現下の国の濫費の状態に対しまして考慮せなければならんという意思も洩らしておつたのでありまするから、従つて検査院が内閣に隷従をしていない独立な官庁であり、独立な権限を持つ限りにおいては、やはりもう少し強力に交渉をされなければ私はならんと思うんです。ただ言葉だけ言つたんじやなかなか容易に大蔵省は予算を出すことを了承せないと思うんですが、いずれにしても前年度から二、三千万円程度多いということは、これはもう物価の値上りの差だけでもこれくらいのものは御検討になればあると思うんで、従つて本質的には前年度からは殖えていないというような結果になりはしないかと思われるんですね。この点は私は非常に遺憾に思います。併しなお大蔵省に対しても別の機会に話合いを、意見を聞いてみたい、かように思つております。これについては次の補正予算等に対しても一応検査院としては強力にやはり主張をされるように強く要望しておきます。 それからこういうことを申上げておるのは、実はこれは甚だ芳しくない話ですが、検査員が地方に検査に行くと、そうすると地方の出先機関においては検査員係というものを設けて、そうしてこれがもう検査官のこれ接待に狂奔しておるというようなことで、こういうことが行われておるというのに対しては我々も甚だ遺憾に思つておるんです。そこで検査に行かれる検査官が十二分にやはり活動ができ、そうしてそれらの地方に対して迷惑をかけなくともやり得るような何かの方法を考えて手当をせなければ私はいかんのじやないか。殊にほかの公務員と違つて、特にこういう検査関係の公務員……というわけでもないんですが、この点についてはやはりおのずから検察官やなんかも同じような立場にあると思うんです。みずからの権威を保つて国民に対する一つの信頼を持たして行く上においてはでき得る限り予算措置の面でも考慮を特にせなければならないのじやないか。まあいずれにしてもそういう意味で一つ検査院としてもお考えを願いたいと思います。 それからこの本件についてでありまするが、今現在検査院のほうでお調べになつておる、いわゆる六管区に対してお調べになつておる点、それからすでにお調べになつて明らかとなつたもの等について一つ御説明を願いたい。
○説明員(小峰保栄君) カニエさんの御質問にお答えいたします。 六管区の海上保安本部につきましては、従来も甚だ行届かなかつたのでありますが、一応検査をやつていたわけであります。ところが昨年夏頃いろいろな噂も聞きますし、それから新聞なんかにも要路の人が警察に引張られたというような記事も出まして、私ども検査が行届かなかつた面も実は多々あるのを承知いたしまして、その後極力いろいろな資料も集めまして現在に至つているわけであります。資料が大部分警察や検察庁に押収されまして、十分の調査は行届いていないのでありますが、これはもう皆様御承知の案件が多いと思うのでありますが、スクラツプの問題に端を発しまして、芋蔓式にいろいろな問題が出て来たわけであります。スクラツプの関係につきましては、これは財務局関係のスクラツプ、大蔵省のほうでございますが、それと海上保安庁のスクラツプ、両方の問題がございまして、昨年一応検査報告案として起案はしたのでありますが、資料が今申上げました通り私どもの手の届かないところにあるものも多々ございますので、一応未確認ということでスクラツプ関係の案件を処理しております。それから物としてのスクラツプの案件、それから海上保安庁としての売払代金、両面にあるわけでありますが、又問題が両面にかかつているわけでありますが、これは両方とも現在未確認事項ということで処理しております。これは二十六年度の検査報告に未確認として載せてございます。それからこれも最近になつてわかりましたのですが、ほかにいろいろございますが、例えば石炭の購入のときに、附掛けをして金を取つたというものもございますが、これは二十七年度なんでございまして、それから現在これは検査中であります。一番私どもとして申訳ないと考えておりますのは、いわゆる闇官舎の問題であります。これは二十三年度、二十四年度に架空経理、ほうぼうにたくさんございますが、経理の附掛けをいたしまして、経費とか旅費とか、こういうようなものに附掛けをいたしまして、二カ年度に亘りまして二百六十三万円でありまして、これで官舎を六戸買いまして、国有財産としての処理をしてない、まあ通称これを闇官舎々々々と言つておりますが、こういうようなものがございまして、私どもとしては当然この架空経理というようなものは早く見つけなければいかんものでありまして、ほかの役所関係では随分これを見つけて検査報告にも載せているのであります。海上保安庁にこういう甚だ意外なものがございまして、而も私どもが見つけられなかつたという点は甚だ申訳ない、こう考えております。大体現在の検査の進行状況はそういう程度でございまして、これは二十七年度の検査報告を作る時期には資料の押収を解除される、こういう見通しでありますので、詳細御報告ができるのではないだろうか、こう考えております。
○カニエ邦彦君 そこで本年とこれは殊更限りませんが、これは従来やかましく我々何回も言つているのですが、検査院のほうで検査を進めて行かれる過程において、どうもこれはおかしいと、例えばこの本件の関係のものやなんかには、どうしても架空経理をやり或いは仮工事をやれば、それから空のいろいろな書類を作成すれば、当然そこに公文書の偽造を行わなければならないし、勿論横領も詐欺も出て来ると思う。そういうふうな虞れがあり得ると思われておりながらも、それがたまたま会計検査院としては犯罪の刑事事件に関する、それまでやる必要がないのだからという気持かどうかわかりませんが、そういうことで、これが検察庁の協力を求められておるという事実が割に少い、よくよく明白な事実でなければ行つていないし、それから検査院から報告のうちで刑事事件となつたものは、主として検察庁が調べて参りまして、そうして検察庁が挙げて逆に検査院が知つたというような事柄のほうが多いのです。そういうようなことでは私はやはり検査の徹底ということも期しがたいし、延いては検査をするということよりは、検査して未然に防止するということになかなかなりにくい。年々検査院が努力をしているにもかかわらず、やはり次々と行われるのです。これはどういうところで行われるかと申しますと、検査院のほうで指摘されたものは、事犯として挙げられてもこれは大した処分を受けないですむということなんです。痛いことも痒いこともないということが殖えておる原因の一つなんです。そこで検査院がおかしいと感じられたら直ちに検察庁が協力して、そうして片端から徹頭徹尾調査をされなければならんということになつて来るとそんな危険なこととに入ること、又そういうようなことになり得ることを避けることになるだろうかと思う。私は従来も検査院が検察庁或いは警察に対して緊密な連絡をとつておやりになつておると思うが、それがよほどわかり切つた事犯でないとそういうことをやつておられない。検査院のほうに言わせれば、かりそめにも検査院たるものが検察庁に話をしたり、或いは又通告をする場合は、よほどこれが確定してでないと、それはやれませんというようなことを言われるのですが、何も犯罪の内容を調べたり、掘り下げて行かれる、これは何も検査院がおやりにならなくても検察庁なり或いは警察がやつてくれることなんで、少くともおかしいと思われたことについては私はおやりになつたらどうかと思うのですが、その点については検査院長はどういう工合に考えられておられるのですか。
○会計検査院長(佐藤基君) お話の点なかなかむずかしい点でございますが、現在の制度といたしましては、検査院が検査の過程におきまして公務員の犯罪を見付けたという場合には、検察庁に通告するという制度があるのでございます。この制度は勿論活用されております。今日件数は非常に少いのでございますけれども、更に進んで今カニエ君の言われるように、いやしくも臭いというようなものは連絡したらどうかというお話でございますが、これは研究を要する問題だと思うのであります。と申しますのは、一方におきまして通告制度があり、又怪しいから調べるというのだけれども、これは調べたその結果によりまして、これは検察庁の働きの問題になりますけれども、関係者に非常に迷惑をかけるようでも困るという何と申しますか、こちらの臆病と申しますか、そういう点もあり、今としてはよほどはつきりしたものでなければ通告しない。通告ということでなしに内々話をするということは、実は殆んど行われておらないの、であります。とにかく犯罪の関係のことでありますからして、検察庁或いは警察と連絡するということにつきましては、なかなかむずかしい問題もあるようでありますからして、関係当局とも十分協議をいたしまして、場合によりましてはお話のようにしようかとも思いますが、なおこの点は研究さして頂きたいと思います。
○カニエ邦彦君 非常に検査院が、どちらかというと日和見的な態度でおられるということが、私は却つてこういつたような批難事項を平気で行なつているというように、まあそれが全部ではありませんが、併しまあそう思うのですね。そこでやはり検査院としては、検査院法を或いは改正されるところまで行く行かないは別として、検察庁或いは警察関係等とも一つ打合せをされて、そうして国の損失に対しては十二分に私は留意をして頂きたいと思うのであります。 それからもう一つは処分の問題ですが、この年々行われておる不当経理の処分というものが検査院に恐らく行つていると思いますが、毎年々々その処分を見られて、検査院としてはどういうようにお考えになつているか。というのは、その処分で検査院としては止むを得ない、この程度のものだというお考えなのか、余りにも行政部内においてなされている処分がひど過ぎるというような御見解を持つておられるのか、その点についてお願いしたいと思います。
○会計検査院長(佐藤基君) 行政府における処分、殊に懲戒行為でありますから懲戒の問題だと思いますが、懲戒の問題については、我々のほうから制度上懲戒を要求する場合がありまして、その要求によつて懲戒したものもあります。ただ最近におきましては、御承知の平和条約の発効に基く恩赦がありましたので最近はありませんが、次の年度の決算報告には恐らく懲戒要求の案件が相当出て参り、御報告できると思いますが、いずれにしても今年出しました報告にはその点は余りありません。これは結局懲戒免除の問題でありますが、私どもといたましてもこの懲戒の度合というものが各省によつて必ずしも歩調が統一されておらないのじやないか、少し軽過ぎはしないか、と思う場合もあるのであります。ただ懲戒権というものが各省の長官の権限であり、各省の長としてはその事件のみならず、他の懲戒事件その他の関係におきまして、権衡その他を図られる結果かとも思いますが、もう少し経理の不当事項を惹起した責任者に対しては厳重に処分してもらいたいという希望は持つております。
○カニエ邦彦君 それでは海上保安庁の責任者に伺いたいと思うのですが、海上保安庁は恐るべき汚職の家元のように言われ、且つ又その汚職の内容も泥沼の様相を呈しているというように一般からは言われているのですが、一般的なことは別といたしまして、本件の六管区におけるところのいろいろな汚職或いは又不当経理について調査をしたかどうか。調査をしたとすればどのような調査をしたか。それからもう一つは具体的な個々の問題について先ず知つておるかどうか、その点について伺いたい。
○政府委員(山口伝君) 海上保安庁といたしましては、只今お話のように先般の横浜を中心としたあの大きな汚職事件で非常に天下に威信を失遂したわけであります。その後いろいろの手を打ちまして、これが改善、刷新に努めて参つたのでありますが、遺憾ながら又第六管区、本件のような事件が出まして、大部分のものは横浜事件のときと相前後いたしておりますし。似たような事件が多いのでありますが、その後も新しい案件が第六管区には出たわけであります。重ね重ねこういうふうになつて参つておりまして、海上保安庁としては世間に対して誠に申訳ない次第であります。官紀の振粛につきましては、海上保安庁が海の治安或いは海難救助とかいうような尊い使命に邁進すべき役所でありますので、一役の公務員以上にこういつた官紀につきましては関心を払はなくちやならないと思つておるわけでございまして、六管区のこのたび事件が出ましたあと、直ちに全管区の本部長の会議を招集いたしまして、先般の汚職で非常な痛手を蒙つているところへ、なお且つかような案件が、一地方ではございましたが出ましたので、その点を指摘いたしまして、全職員の綱紀粛正について十分な示達をいたしたわけであります。更に昨年の暮に本部長会議をやりまして、このときは運輸大臣から直接この綱紀粛正という問題につきまして、更に十分な注意を頂いた次第であります。で職員一同は現在の情勢に応じまして自粛自戒、今後に対して大いに戒めているわけでございます。かような状況でありますので、単に訓示とか注意で喚起するだけでは無論不十分でございますので、一方具体的な対決といたしましては監察制度を、部内の自治監察でございますが、監察制度を徹底することにいたしまして、それから又特にこの会計関係の職員につきましては事務の厳正ということを特段に取上げまして、業務の能率の増進と共に不正事故の発生を未然に防ぐように努力をいたしたわけでごいます。それから又関係の職員の一部につきましては、それぞれ休職であるとか退職等の人事異動もいたしまして、責任の一端を明らかにいたしております。それから又機構的にも従来経理補給関係の仕事が総務部と一緒でございましたのを、特に経理補給部だけは独立させまして、専門の部長を置いて部下職員の監督並びに業務能率の増進を図るような手段をとつて、而もその部の下の課の編成等につきましても、不正な事故が未然に防ぎ得るようにという配慮の下にいろいろな工夫をいたしたようなわけでございます。かようにいたしまして、大いに従来の汚名を流すべく全員が戒め合つて進んでおるのが今日の状況でございます。 このたびのこの六管の事件につきまして、早速海上保安庁として調査をいたしたかという御質問でございますが、この点につきましては勿論事件が起りましたので、本庁からも随時行つて事件の様子も聞いております。けれども、何分にも職員の中の検挙された者が十八名ございまして、八名が只今起訴になつております。その八名のうち三名は事前に退職を申出ました関係で、これはその当時いろいろ考えまして辞職を承認した結果になつております。その他は事件が係属中でございますので、すべて休職処分ということにいたして、いずれは事案の内容がはつきりいたしました際に、更に責任関係を明らかにするという意味においての処置は考えて参りたいというふうに考えておるわけでございます。
○委員長(谷口弥三郎君) ちよつと委員のかたにお諮りいたしますが、会計検査院の佐藤院長は止むを得ん用事で早速ほかのほうに行かなければならんそうですから、何か御賛同があれば今のうちにして頂いて、そうでなければ佐藤院長だけはお帰りを願いたいと思いますが如何でしようか、別にございませんか。
○飯島連次郎君 私はこの前もこの問題のときに御質問したのですが、第六管区の問題だけを私あえて追及しようとは必ずしも思つていないので、ただその当時の出席者に私の質問に対する適当な答弁をしたものがなかつたので、ちよつと的を外した質問に終つてしまつたのですが、改めて院長がお見えですから一言お伺いいたしたい。 それは私どもが国会議員として目に触れ耳にするところでは、ひとり第六管区と言わず海上保安庁並びに旧警察予備隊、現在の保安隊等々についての問題がかなりあるように聞き及んでおりますので、私は今度の第六管区の問題を一つの契機として徹底的に洗う必要があると感じておるのです。そういう意味で他の管区にもこれに類する、或いは又これにも優るような問題が、これは必ずしも昭和二十五年度と言わずありはしないか、概況がおわかりだつたら一つ。
○会計検査院長(佐藤基君) お答えいたします。 只今の問題は、他の管区については相当検査しておるつもりでありまして、勿論第六管区までやつたのでありますが、別に今までのところ問題になるような点は、検査報告に掲げた以外には極く軽微な事件は別といたしましてないと考えております。第六管区につきましては、先ほど局長が説明いたしましたように調査中に属するものも相当あると思います。
○カニエ邦彦君 まあ院長がそういうことであればこれは止むを得ないと思う。それでお帰りになつて頂いて結構だと思います。併し他に検査官がおられるはずですから、検査官のどなたでも一名出席を要求いたします。
○会計検査院長(佐藤基君) 実はその検査官と会議をする予定になつておるのでありますからして、他の検査官が若し出なければならんというのなら私おります。
○カニエ邦彦君 それで、今の保安庁の長官がいろいろお述べになつたことは。これは大体に我々委員会がどの責任者を呼びましても、今おつしやつたようなことをおつしやるのですよ、実は、これは本当の月並みな仰せなんで、これは大体我々いつも聞かされている言葉で、それが実行できれば非常に結構だと思つております。併しもつとやはり実のある話を私は聞かして頂きたい。というのは自己監査にしても、本件のごとき場合はこれは下の隊員がやつたとか、或いは多くの隊員がやつたということでなく、保安庁で言えば幹部なんですね。一番監督する責任者が、それぞれ責任の地位にある人がやつておられるのですね、だからこれは困つたものじやないかと思う。あなたの言われるように、自己監査というけれども、監督するものがやつているのだから、一体どういうことになるのかということですね。先ずそれが一つ。それから先ほど私が質問したのにまだお答えになつていない点は、お調べになつたら、個々のお調べになつた結果どういう事情にあるのか、どういう事件なのかということを一つお聞かせを願いたいということなんです。こういうことなんですね。
○政府委員(山口伝君) 監督者が問題の中心にあるのは誠に困るじやないかというお話でございますが、実際の事案にどの程度に関係を持つているか、はつきり私も存じませんが、比較的本部長若しくは部長、課長等がかなり関係者として出て、現に一部起訴されたりしているわけでありまして、お示しの通り幹部級に不祥事件が出ているということは、この点何とも申訳ない次第でございますが、まあ海上保安庁が新しい役所で陣容等も揃わないところで、業務が逐次拡大して行つたので、不慣れなものがおつて、一部幹部級にもさような不結末が出る事態になつたことは誠に申訳ないのでありまして、その後逐次状態は改善しつつあると私ども見ておるのでありまして、今後ともそういうことのかいように努力いたして参りたいと思つております。 それから第二点は何でございましたか。
○カニエ邦彦君 個々にお調べになつたということであれば、どういうことをお調べになつたか、どの範囲のことをあなたが知つておられるのか、六管区についてですね、それを伺いたい、こう言つているのです。
○政府委員(山口伝君) 数件の問題があつたわけでありますが、その点につきましては、海上保安庁の本庁といたしましてもその後の調査によつて大体の事件の内容がわかつております。起訴中にあるものは無論係争中でございますのではつきり断定は下せませんが、被疑を受けまして取調べを受けた内容につきましては、或る程度の調査をいたして資料として只今手許に持つているわけでございます。経理課長が参つておりますので、細かい内容につきましては、そのほうでよろしければ説明いたします。
○カニエ邦彦君 経理課長から具体的に説明をして頂いて結構ですよ、それは。併しながらこういうような重要ないわば問題を、経理課長等が説明をすべき事柄では私はないと思うのです。というのは今も言うように相当幹部がやはり介在して行われた事案であつて、その上の責任にあるやはり長官として、これはこういうことでやつた、これはこういうことでこういうような事件であるという、こういう報告を聞いているということでないと、どうも筋が通りにくいのではないか。又悪く言えば、こういうような重要なことが世間に問題化されているにかかわらず、具体的にその事件の真相を責任者が知つていないということはけしからんじやないかということにも、悪く言えばなるわけなんですね。まあ別に私はこだわりません。ことの真相が明らかになればいいのですから、別に課長でも結構ですよ。ただ意見として一応申上げておきます。
○政府委員(山口伝君) お話の通りでありまして、ただ私が御説明申上げるよりも詳しく細かい点がはつきりするかと思いまして申上げたわけで、事実の内容につきましては無論私も目を通しておりますし、大体の要点は掴んでおるつもりでございます。そういう意味で申上げたことで……。
○説明員(坂本恭一郎君) 坂本経理課長が説明いたします。 第一に、被服厚生物資代金費消事件について御説明申上げます。本件は、検察庁の処分は一応起訴ということになつております。この問題は海上保安庁におきましては、開設当時海上保安官の服制を定めまして、これを着用せしむることとなつたのでありますが、予算の関係で貸与できない職員に対しまして制服、外套等の購入斡旋をいたしたのであります。地方におきましては、管区本部の経費が不足しておりましたので、この斡旋代金の一部金四十八万九千円を昭和二十三年五月から昭和二十五年六月頃の間におきまして、一時接待費等に立替費消したということが種々容疑を招いたという問題でございます。只今申上げました通り本件は不起訴処分になつております。 次に伊予灘北航路浮標設置工事代金不当流用事件がございますが、本件も処分といたしましては不起訴ということになつております。本件は昭和二十五年度の第三・四半期におきまして、伊予灘北帰海水路の設備工事を深田サルベージ株式会社に行わしめることに契約はしたのであります。ところが当庁の燈台補給船「そうや」がたまたま同水域に廻航されておりましたので、右設標工事の一部を深田サルベージ会社に代つて行なつたというわけであります。そこでその代替工事として別に深田サルベージ会社と交渉をいたしまして、同社をして同方面の水域における移動浮標の修正、或いは流出浮標の設置工事などを行わしめたということになつております。 第三は、職員宿舎購入のための不当経理事件でございますが、本件の処分も不起訴ということになつております。事件の内容は、昭和二十三、四年頃におきましては海上保安庁の創設当時でございましたので、幹部職員の異動が非常に頻繁にあり、且つ繁忙を極めておつた際でありまして、広島における住宅事情の解決ということが非常に急がれたわけでございますが、宿舎予算が認められないというために他の予算をいろいろな手段で流用いたしまして、職員の宿舎六棟、金額にいたしまして二百六十三万円で購入したという事件でございます。 次に油絵購入代金詐取事件でございますが、本件は処分としては不起訴処分になつております。この事件は、当時の本部長であります吉田日出男が友人より寄贈された油絵を転任後処分するように依頼したという事件であります。たまたま依頼された職員が本人でない他の人から管区本部が購入したような手続をいたしましたので、この点誤解を受ける因になつたという事件でございます。 次に白石燈台備船の空修理代金を他に不正流用したという事件でございます。本件も不起訴ということになつております。この事件の内容は、昭和二十六年一月頃白石燈台に配置の見廻船を修理しないにかかわらず、したがごとくにして代金十万円を不正支出したものでありましたが、これは接待費が不足しておつたので、これに流用したという模様でございます。 次に物品の空購入代金の不正使用事件でございますが、本件の内容は、昭和二十七年三月リスト外のペイント及びコールタールを購入したこととしてその代金八万四千六百円を以ちまして一部自動車購入諸雑費に充当したほか、現品と物品帳簿との不足分を充当するために食料油であるとか或いは缶詰、医薬品等を購入して現品と物品帳簿との調整を図つたという事件でございますが、本件は不起訴処分になつております。 次がスクラツプ払下げに絡む横領事件でございますが、終戦後不用となりましたスクラツプが徳山警備救難署構内或いは第六管区本部鯛尾分室に相当量あつたのでありますが、これらを業者に払下げ、その代金を成規の手続を経て国庫に納めることなく、土地の購入代金、被服厚生物資代不足金充当、接待費その他の経費に使用した、そういう事件でございまして、本件の処分は起訴処分になつております。 次に石炭水増納入に絡みまする代金の詐取事件でございます。昭和二十七年五月頃芸南石炭会社から石炭二百トンを購入することとし、その代金を支払つたが、事実は百八十七トンを納入し、その差額十三トン、十万三千七百四十円を当時の補給課長が詐取したという事件でございまして、本件は起訴処分になつております。 第六管区関係の事件として私のほうで調査いたしましたのは以上の問題でございますが、なお呉にございます海上保安訓練所構内スクラツプ窃盗教唆幇助事件というのが起訴処分になつております。これは昭和二十六年九月、海上保安訓練所総務課長及び用度係長がその訓練所構内にあつた中国財務局所管の地下ケーブル線スクラツプ、価格約百二十万円を業者が持出すのを黙認し、或いは使嗾したということによつて訴追を受けておる実情であります。事件の概要は以上の通りであります。
○カニエ邦彦君 只今の説明に、徳山の警備救難署並びに鯛尾倉庫のスクラツプの事件は御説明になりましたですか。
○説明員(坂本恭一郎君) 申上げたつもりでございましたが、もう一度申上げます。スクラツプ払下げに絡む横領事件として一括申上げたつもりでございました。 終戦後不用となりましたスクラツプが徳山警備救難署構内或いは第六管区本部鯛尾分室に相当量あつたのでありますが、これらを業者に払下げ、その代金を成規の手続を経て国の歳入とせず、直接この現金をもつて土地購入代金或いは被服厚生物資代の不足金或いは接待費その他の諸経費にそのまま使用したということでございまして、本件は横領罪として起訴されておるのでございます。
○カニエ邦彦君 会計検査院のほうでは今言われたような事件については全部調査をされたのか、今のお話の事案についてはまだ調査をしていない部分があるのか、それからそれ以外に会計検査院として調査をされて発見された分があるのか、その点具体的に一つ。
○説明員(小峰保栄君) 只今海上保安庁のほうから説明がありました十件の案件でありますが、これは現在までに集まりました資料でわかる範囲は全部会計検査院で承知しております。今御説明になりました程度のものは検査院で全部実は知つておるわけであります。それ以外にという仰せでございますが、これはまだ私どものほうで先ほど御説明になりました十件以外のものは承知しておりません。
○カニエ邦彦君 そこで保安庁長官はこのような事件について一体どのように考えられておるかということと、それからこの責任は誰がとるということになるのかということですね、その点について。
○政府委員(山口伝君) かような数々の不祥事件が出ましたわけは、結局先ほどちよつと触れましたけれども、海上保安庁が発足早々で、而も占領軍からいろいろ指図を受け、業務が急激に増加した、それに対して十分な職員を得られず、或いは得られても未経験の人で適当な人でなかつたというような事情もあり、又役所ができた早々でもございますので、内部のいろいろな取扱内規とか或いは法令の手続き等も当時としては十分に間に合いません。従つて対外的な面におきましても対内的な面におきましても非常に無理が伴つておつたことと思います。而もそういつた無理を十分当時の幹部以下ができるだけ心掛けて反省し整理すればよかつたのでありますが、そういう暇もなくて過しておつたことと、一方又一部の職員の綱紀の弛緩があり、これらと相待つてこういうような不祥事件の温床になつたのじやないかと、かように考えます。 次に責任者の問題でございますが、今日までの段階で或る程度一部につきましては解職をしたり或いは左遷をいたしたりしてもございますが、現に起訴されているような案件の関係者につきましては、無論休職処分をいたしておりますが、確定判決を待つて考えなくちやならんと思つておりますし、それの係争中の事件がはつきりいたしますれば、更に又それらの事件に対する責任者というものは事態が明確になつた際に十分検討して、それぞれ適当な責任をとつてもらうというふうに処して行かなくちやならんと、只今のところ考えております。
○カニエ邦彦君 今の説明の中で、これらの事案は終戦後のいわゆる混乱とか或いは又業務の不慣れ等によつて、止むを得ずこうならざるを得ないのだということで起つたものではない。これはもう意識的にやはりなされておる事柄ばかりなのであつて、どうも止むを得なんだというような点は見受けられない。今十件の中で、あなたが言われるような、これは止むを得ない、どうしてもこうなつたのだという事柄があれば、一つ十件について説明して下さい。どの点がそういうような業務の不慣れとか、或いは戦後のそういつた保安庁の発足早々であつて止むを得なかつたというようなことに当てはまろのか、一応説明してもらいたい。
○政府委員(山口伝君) かような不詳事件が相次いで起りまして、いろいろのことを申上げたわけなのでありますが、直接、間接こういうふうになりました原因はいろいろあると思います。が、お話の通り突きつめたところは、結局当時の職員の綱紀が乱れておつたということはどうしても否めないところでありまして、この点誠に申訳ないわけであります。実はそういう点を反省して将来に処して参つたわけなのでありますが、それが更に禍いを生じて、例の大汚職のときにかような問題がまだぶつぶつと燃えておるということは誠に海上保安庁としては、善良な職員にとつては士気の沮喪になるのでありますから、誠に遺憾だと存じておるわけでありまして、これらの九つの事案についての一々の説明ということは私もちよつとできませんが、すべてそれは突きつめたところ、綱紀が弛んでおつたということは厳粛に認めざるを得ないのでありまして、十分その点につきましては反省をいたして参つておるわけでございます。
○カニエ邦彦君 それから前六管区本部長吉田日出男君、その前の本部長柳沢君、この二代に亘つて、而も長い間かかつて、そうしてこの闇官舎のごときものが造られて、而もその闇官舎の所有権がそれぞれ個人の所有権に移つておるというようなことですが、これに対して保安庁はどういうように考えておるか、どう処分しようと思つたのですか。
○政府委員(山口伝君) お示しの闇官舎につきまして、大体先ほどからのお話のように六棟あるわけであります。柳沢本部長時代、次の吉田本部長時代に関係を持つておるわけでございますが、それが長い間国有財産とすべきものが、そのことがなく経過しておつたことは誠に海上保安庁としては面目ないのであります。現在では早速これは成るべく早く国有財産に、国に帰るべきものであるという考えですでに手配をいたしておりまして、近々のうちにその手続は遅れながらも完了することだと思つております。そういうことに取り運んでおります。
○カニエ邦彦君 それで具体的にその国有財産にこれをするのは、個人の所得のものをどういうことにして国有財産にされるのですか、具体的には…。これを個人から国庫へ金を入れさすということになればおかしなことになるし、具体的にどうされるのですか。
○政府委員(山口伝君) 名義は個人名義になつておる、而も当時の職員の名前を使つておるものもございますが、事態がかようにはつきりして来れば、これは国費を流用して買求めたものでありますので、それらについて名義人から拒否されることはないと思つております。書類を作りまして、国有財産として国へ帰るというふうに指示をして取り運んでおるわけでございます。
○カニエ邦彦君 本人が拒否するというのは、勿論国有財産であれば拒否するいわれも何もないと思うのですが、実際には、法的にはどういうことになるのです、以後国有財産にするということについてはどういう手続をされるのですか。
○説明員(坂本恭一郎君) 只今までのところの経過を申上げますと、第六管区本部におきまして、広島中国財務局並びに法務局と相談をいたしました話では、六軒の家はいずれも寄附という形式にして国有財産に直すということに話がまとまつておるようでございます。その現実に国有財産になりますのは、本月一ぱいですべて片付くというところまで進んでおるようでございます。
○カニエ邦彦君 それでは検査院のほうに伺いますが、国費で買つたというのですね、長官の説明では国費で買つたが、名義を個人の名前に、所有権だけ個人にしておる、こういうのです。今度は又それを寄附をする、こういうことを又言い出しておるのですね。そうすると一体これは検査院としてはどうなんです。先にこれを買つたときの金の処分の問題は一体どういうことになるのかと考える。そんなことで国の経理をやらしておいたのでは一体収拾がつかん結果になつてしまう。てんで、こういうことをやつた跡始末にそういうことをやることがいいということになれば、これは大変なことになると思うのですが、その点は会計検査院どうなんですか。
○会計検査院長(佐藤基君) 非常に詳しい事情を存じませんので、或いは私の見方が違うかも知れませんが、とにかく架空経理その他によつて金を捻出しても、その金は国の金である。国の金で買つたのだから、国の財産であることは、僕は疑いないと思うのです。それをどういうつもりか知らんが、妙な名義にしておいた。そこで跡始末をするのに年度の問題であるとかいろいろな問題があるので、或いは寄附ということになるかも知れないが、寄附というのは、個人の財産を寄附するのであつて、国の財産を国に寄附するということはあり得ないので、その今の扱いというものはもう少し研究して見ないとわかりませんが、カニエ委員が言われておるように私も非常に妙に受取れたのであります。
○カニエ邦彦君 それからもう一つ、検査院のほうで、小峰局長にお伺いするのですが、お調べになつて、この六棟の金の出場所を追及いたして行きますと、必ずしも国の金であるというふうにも思えない点もあり得るのですが、その点は全部が全部国の金だというふうに確認されておるのですか。
○説明員(小峰保栄君) この捻出した金でありますが、いろいろ噂はございます。寄附が幾らあつたかという噂がございますが、私も実は確認できません、現在のところ……。現在二十三年度、二十四年度の古い証拠書類を全部出しまして一体どこから出たのかというような点も究明しておりますが、当時の関係者もわかりませんものもございます。それでどこから幾ら出たかということは実はわかつていないのであります。総額では二百六十三万円、これは相手に払いました金で、これはわかつておりますが、現在のところそういう状態で、私どものほうとしては、全額国費と一応考えざるを得ない現状でございます。
○カニエ邦彦君 それでは海上保安庁長官に伺いますが、今そういうような、今おつしやつたような方法で、国へ帰属するというようなことを言つておられるのですが、我々の調べた範囲では、この金の出場所は必ずしも国の金ばかりとは思えない。その点はどうなんですか。国のいわゆる国費だと言い切れますか。
○政府委員(山口伝君) 今までのところ一〇〇%確実につかんだわけじやございませんが、用船料であるとか、各種修繕費、或いは旅費、そういつたものを以てこの調達をしたように聞いておるものでありますから、そういうことであれば、それはどうしても国有財産という形に、本然の姿にすべきであると思いまして、地方のほうにはそういうふうに一応指示をしたわけなんであります。従いましてその細かい内応の一部には或いは間違いもあるかも知れませんが、大体そういうもので構成されていると私は聞いておるわけでございます。
○カニエ邦彦君 それはどうも責任者がそんなルーズなことでは僕はいかんと思うのですね、これは……。それは成るほど金の大部分は、その国費を空修理とか空工事とかいうふうなもので構成されたとは、それは私も認めます。これは、併しながら全額はそういうものではないのですからね。従つてそういうものを確認せずしてですよ、そうして徒らに事がうるさいから、これは寄附した形をとつて、そうして国有財産に直しておこうというようなことは、これはそういうことが仮に行われて、それで国の経理が済むということになると、これは私大変なことになつちやうと思うのですね。それは今あなたがやろうとされること自体が私は余り適切でないと思うのだがね、どういうお考えです。
○政府委員(山口伝君) 一応国の金で融通してやつたと見て、そういうようにいたしておるわけでありまして、それが違つていれば確かにおかしくなるわけでありますが、今までのところさように思つてやつておつたわけであります。それから又この国有にするということは、本来ならば早くすべきであつて、いろいろ六管の事件が起きたりしたので却つてそういう処置をすることはいろいろ疑惑を招くというようなことでじつとしておつた関係も若干あつたようであります。それで今日まあこうやつて闇官舎につきましては殆んど周知の事実になりましたので、一々、先ほど申上げましたように、経費は国のそれぞれの経費から流用をしたのであろうという前提の下に、かような取運び方を至急にやつたほうがよかろうと至急に決心してやつたような次第でございます。従いまして今の費用が違つておれば、或いはその措置は適切でないというお叱りを受けるかも知れませんが、その点は私ども存じませんでございます。
○カニエ邦彦君 それは今長官の言われたような事柄だと我々はこれを了承できません。例えばこういうことは知つておつた、私は、悪いことは知つておつて、直さねばならないことも知つておつた。ところがたまたま片一方でその保安庁の汚職事件がてんやわんやになつておるから、だから又ぞろ問題になるものと思つて、知つておつたけれどもまあ今日に至ろた。 而もこれはすべて行われたのは昭和二十三年から四年の頃にしたことですよ、これは、今昭和二十八年ですよ。それは如何に何であつても筋が通らないと思うのですね。筋の通らないことをやつておいて、その跡始末に又筋の通らないようなことをやろうというようなことになつて来たら、それはますます混乱に次ぐに混乱を来すことになると思うのですね。これは一つここであなたを吊し上げるわけじやないのですからね、話さえわかればいいので、これ以上は申しませんが、併しそれはやはり長官ともあろう者なら、一応やはり筋を通し、そしてああいう責任のあるものは責任のあるものとしてそれはやはりはつきりとして頂かんと困る、こう思いますね。
○政府委員(山口伝君) 只今の闇官舎の国有移管についてのやり方、或いは内容がどういう費目から出ているかという点のお話もございまして、その点は慎重になお詳しく当りまして、適切な処置になるように一つ……、若しか今までの考えが間違つておれば、そこは無論直さなければいけないと思うので、別に他意があつてやつたわけではございませんので、御了承願いたいと思います。
○カニエ邦彦君 それから今日は検察庁の検事総長にお見え頂くように要求しておいたのですが、一応検察庁を代表してというと何ですが、熊沢さんお答えを願いたいと思います。 そこで検察庁としては、これはこういつた事件以外に国費の濫費ということと、それから公務員が犯しておるところのその罪、それから一般人の犯しておるところの罪、こういうものに対しては非常に差がつけられておるのじやないかというふうに考えるのですね。同じ私文書偽造でも公文書偽造でも、民間でやつた場合には、非常なまあ何といいますか、処分にしても取調べにしても厳重なんですね。ところが公務員がやると同じやかじやと言つて、今この事件をお聞きになつてもわかる通り、どれもこれも不起訴になつてしまうのですね。よほど警察で取つつかまえられて、二進も三進もならんものは起訴するが、それ以外のものは大概すべつて行くような感じがするのですね。まあ我々が受けておる印象がそうなんです。それからこれらの事案をずつと眺めて行つて、処分の結果を見ましても、そういうことになつて行つているのです。そこで警察庁もなかなか非常に仕事が多いのと、定員法等に縛られて、事務量と処理する人間との間のバランスが何しましてお困りであろうとは思いますが、併しながらそれだからといつて、成るべくまあ公務員のやつたやつは疎漏にする、一般人のやつは強力にやるという方針で行かれると、これらの国の尊い血税がうやむやになり勝ちなんですね。そこで先ずそれに対する考え方がどうであるかということと、それからもう一つは同じ金を泥棒しても、国の金を泥棒した場合とそれから民間の個人の物を盗られた場合とは一体どのようにお考えになつておるか、その行為に対してどのような御見解を持つておられるか、又過去においても今後においても、どのような一体態度で臨まれようとしておられるのか、先ずその点についてお伺いしたい。
○説明員(熊沢孝平君) 本件の場合でなしに、一般論といたしまして、公務員犯罪に関しましては、常に検察庁といたしましては極めて厳格な態度を以て臨むということは長官合同にいつも総長が指示をいたしておるところでありまして、今カニエ委員からお話がありましたが、我々といたしましては、むしろ公務員に対しては厳罰を以て臨んでおる、厳格に検察を行つておる、かように私は考えておるのでございます。国費の濫用につきましても同様であります。ただ、その間いろいろの予算上のやり繰りであると、実事は結局発生していないというようなものが多く、不起訴になつておるのでありまして、いやしくも個人が利得しておるようなものは殆んど起訴いたしておると思います。
○カニエ邦彦君 私は遺憾ながら、態沢さんのお言葉ですが、これは一般民間人としてはそうまあひがんで考えているわけじやないと思うのですが、どうも国費の濫費について或いは公務員の不正についての追及が、今言われておるように必ずしも強いものがあるというようには考えられないのです。まあ併しこれは、いずれにいたしましても、今おつしやいました線に沿つてこれは強力におやりを願いたい、こう思う次第です。 それから次に、本件の第六管区の今お聞きになつておりましたような事件に、事柄について検察庁としては御承知であるかどうか、御承知であれば、現在の調査の概略並びに御承知になつておる範囲において一つお話を願いたい、こう思います。
○説明員(熊沢孝平君) 全部申上げましようか、相当長くなるかもわかりませんが……。
○カニエ邦彦君 大体簡単で結構です。
○説明員(熊沢孝平君) 先ほど海上保安庁の経理課長から言われました事件全部が全部じやございません。そのうちの闇官舎の問題、この問題は検察の対象に上つておりません。それ以外は全部検察の対象になつております。多くは処分済みでありまするが、まだ未処理のものが二、三件あります。今までに起訴いたしましたのが官吏九名、それから業者十四名が起訴処分になつております。官吏で不起訴処分になつておるのは十数名ございます。これは起訴猶予という者もありまするが、嫌疑なし或いは罪とならずとこういうような裁定になつておる者も相当あります。具体的に申上げましようか。
○カニエ邦彦君 ちよつと話して下さい。
○説明員(熊沢孝平君) 昭和二十七年五月七日頃に石炭を十三トン購入しないのにかかわらず購入したごとく装うて十万三千七百四十円を詐欺したという事件、これは補給課長の木戸武二三、これが起訴になつております。相手方の業者、通謀した業者はこれは役人に頼まれてそういう虚偽の納入書を書いたという点で、業者の弱い立場を考えて起訴猶予ということになつております。 それから二十七年三月二十九日、ペイントをやはり購入したごとく装うて八万四千六百円を詐欺したという事件。この事件は先ほど経理課長からも説明がありました通り、他の必要な物品購入費に充当いたしておりまするので、いわば予算の流用というような工合に認められますので、これは全員起訴猶予。 それから吉田日出男の油絵の事件でありますが、これは油絵を五枚リスト外の品物があつた。それを新たに購入したごとく装うて六万円を詐欺した。こういう案件でありまするが、これは吉田本人は転任後にその金を受取つており、而もそのうち二枚は自分の所有のものであつて、それを金に換えてくれということを頼んだのを、頼まれた西山がかような手続をとつたのでありまして、吉田は嫌疑なしということになつております。西山、木戸それから小井手というような三人の総務部関係の役人と、それから名前を貸した佐藤商会の社員、これらはいずれも起訴猶予、この油絵というのは吉田が二枚真実自分の友人からもらつておつたもので、吉田の所有であることは極めて明白でありまするし、且つ、又五枚のうちその二枚が価値のあるもので、鑑定の結果によりますと、二枚が五万円以上であるという、こういう鑑定の結果が出ておりますので、あとのものは殆んど価値のないもの、結局自分の油絵を役所に買つてもらつた、こういう形になるわけであります。 それから昭和二十六年十一月中旬頃の鯛尾倉庫内のスクラツプの窃盗事件、これは業務上横領になつております。それからその相手方、買つた者は臓物故買、これは責任者の一番巨頭である西山が起訴になつております。それから木戸武二三も起訴になつております。あとの役人は嫌疑なし、臓物故買の商人はこれもいずれも二人とも不起訴であります。 次が二十六年の六月中旬、徳山警備救難所の倉庫内のスクラツプ、やはり六十トンで四十万円の業務上横領でありますが、これも同じく西山と木戸が起訴になつておりまして、天野とかいう前経理課長でありますが、これらはいずれも関係のないことがわかりまして嫌疑なし、品物を買つた商人の武本というのが起訴になつております。 次が昭和二十三年五月から二十五年六月までの間の業務上保管中の被服厚生物資調製代金四十八万九千円の横領、これは庶務課長の鉾丸というのと庶務課員の立花というのが被疑者でありますが、この金の使途は、調べましたところ、いずれも海上保安庁のいろいろな費用に使われており、本人らが私していないということが明白になりましたので起訴猶予になつております。 次が昭和二十六年一月、川原造船所において真実に船舶の修理をしておらんのに船舶の修理代金として十万円を詐欺したという事件、これは灯台部の管理課長の海蔵寺繁雄というのが被疑者でありますが、これは退職いたしまして、そして而もその金の使途がやはり役所の会議費に使われておるということが明らかになつたので、本人も退職して謹慎、改悛の情を示しておるというので、海蔵寺は起訴猶予。 次は深田サルベージの浮標の問題で二百万円の詐欺ということでありますが、これは海蔵寺は関係のないということがわかつたので嫌疑なし。深田サルベージの深田呉支店の重役でありますが、深田鉄次、これはその後二百万円相当の他の工事も実際行なつたので、結局国に損害をかけなかつたというので起訴猶予になつております。 なお、このほかに贈収賄はたくさん出ておりますが、これらはいずれも起訴になつております。大体それでおわかりかと思います。
○カニエ邦彦君 本件の事件を検察庁のほうでお知りになつたのはいつ頃であつてそして検察庁のほうとしては本件について広島のほうに対して人を派遣されたというのですが、どなたをいつ頃派遣されたのですか。それからもう一つは、派遣された理由等について伺いたいと思います。
○説明員(熊沢孝平君) 本件は広島地方検察庁呉支部が捜査を行なつた事件でありますが、事件が始まつたのが二十七年の七月頃であります。最高検は現地からの事件の受理報告その他によつて事件を知つておるのでありまして、最高検がわざわざ人を現地にこの問題について派遣したということはありません。
○カニエ邦彦君 そうすると杉本検事さんが向うに行かれたということは、これはどういうことなんですか。
○説明員(熊沢孝平君) 杉本検事は本件の主任検事として途中から事件を担当した広島高検の検事なんです。それが現地の河合という主任検事が非常に疲労いたしましたのと、御承知だと思いますが、警察との間に或るトラブルが起りました、そのために老練な杉本検事を本件の主任検事に、検事長が派遣したものでありまして、これも最高検から何ら指示しない、現地の検事長が考えてやつたことであります。
○カニエ邦彦君 そのトラブルの起きたことについては、最高検としてはよく事実を御了承になつておるのですが。
○説明員(熊沢孝平君) これは現地からの報告によりまして、現地のとつた態度が当然である、かように考えておりまして、わざわざこの問題について特に調査をしたということはありません。尤も当時の最高検刑事部長である岡本検事が、現在広島高検の検事長でありますが、この岡本検事が選挙の事件の視察のために、丁度昨年の九月十八日頃に現地に参りまして、丁度その頃にトラブルが極点に達したので、岡本検事が現地において検事長から事情を聴取したということはありますがそのためにわざわざ調べに行つたわけではないのであります。
○カニエ邦彦君 その内容については、警察側のとつた態度に検察庁のほうとしては不当な点があるというようなことを認められておるのですか。
○説明員(熊沢孝平君) 警察のやり方は不当ではないので、若しも警察の言う通りにすれば、或いは不当という非難を招くかもわからないということを察知いたしましたので、検察庁が忠告いたしましてそしてやめさした、こういう形になつております。
○カニエ邦彦君 我々の了承している範囲では、検察庁がやはり十二分な協力をしてくれないために、本件の重要な捜査がこれが一頓挫の形になつてしまつている。従つて現在では捜査についても殆んど困難な事態にまで至つたというように、我々の調査の範囲ではさよう了承しているわけです。これは検察庁のほうと警察との間において何かいざこざがあつたのではなかろうかと思われるのですが、いずれにしても事態の経緯を我々が知つた範囲では、どうもそのような判断にならざるを得ないと思うので、私はこういうような事柄がもう少しはつきりと国民の前に追及されて明白にされなければならないにかかわらず、何か取調べを次から次とやつて行くやつを抑えるような形が検察庁のほうにあつたかのように思えるのですが、その点についてはどのようにお考えになつておるか。
○説明員(熊沢孝平君) カニエ委員のおつしやるのは、吉田日出男の逮捕、拘留、この問題に関する点だと思われるのでありますが、そうでございますか。
○カニエ邦彦君 いや、それに……。
○説明員(熊沢孝平君) それ以外に若しも検察庁が本件において捜査の妨害をしたとか、或いはひた隠しのようなことをしたという実例があればおつしやつて頂きたい。断じてさようなことはないと私は確信しております。吉田の問題について……。
○カニエ邦彦君 勿論吉田の問題についてでもあるのですが、各被疑者を留置しておる。そうするとそういう被疑者を一堂に会して話合いをさしておるというような、まあこれはせいと言つてさしたわけではないのですが、検察庁がそれを見て見ぬ振りをされておるのじやないか、或いは又もう少し僅かなところで調べがつくから、一つなおほかの吉田以外の被疑者についても警察としては置きたいというような点についても、いろいろ検察庁から抑えられたというような点が見受けられるのではないか、まあこう思うのです。これは呉の一般地方民でもそういうような専ら非常に声が高いわけなんであつて、それは単なる呉市民の噂だということにしてしまえばまあそれでも済むわけですが、併しながら事がやはり検察庁対警察のことであり、そうして事件の内容もこういつた国の重要な問題でありまするから、なお一層熊沢検事のほうで御了承になつている範囲で一つ明確にしておいて頂きたいと、こう思うのです。
○説明員(熊沢孝平君) 被疑者を一堂に会して通謀せしめたということは専ら呉の市警側がそういうことを言つておるらいしのであります。私どものほうも国警からさような情報を聞いておるのであります。具体的事実を知りませんので、それに対しては私はかれこれ論ずるわけに行きませんが、いやしくも検事が殊更に通謀を図る、被疑者のために通謀を許すというようなことは断じてない、恐らくそれは何らか体質の必要があつて、或いは数人を集めたというようなことがあるかもわかりませんが、これは捜査の一つの方法でありまして、検察官は検察官の独自の捜査をやるでしようが、警察官は警察官としての捜査の技術もあり、又自分の経験によつて最も最善と考える方法を行うわけでありまするから、若しもそれ以外に殊更に便宜を図つて通謀さしたということがあれば、これは具体的にそういうことがいつ幾日どういうことがあつたかということがあれば、最高検といたしましてもなお厳重に調査をいたしまして、そうして若しもそういう事実があれば責任者を或る程度の処分をいたします。吉田の逮捕の問題は、これは具体的に申上げないとわかりませんので、暫らく時間を拜借いたしたいのでありますが、先ほど申しました油絵の件で、吉田は詐欺罪として逮捕した、逮捕いたしましたが、元来こういうような事件は、先ず油絵だけの五万円の詐欺というようなことならばこれは不拘束でもいいのであります。併しながら警察は是非逮捕したい、又逮捕して他の余罪を発見するということも考えられるので、まあ逮捕は検事も賛成いたしました。逮捕して、而も法の許す十日間は勾留をしたわけであります。勾留をしておる間に、先ほど申しましたように吉田のその油絵は、最も価格の高い二枚が吉田の所有であるということがわかつて来たので、警察の初めの見込とは大分違つて参つたわけであります。従つてこれをすでに取調済みでありますから、嫌疑がなかつたというわけでありますから、これは釈放するのが当然である。そういたしますと、警察のほうはスクラツプの問題、この問題に吉田が関係があるというので、その問題で吉田を再び再逮捕しよう、こういうまあ主張をしたわけであります。ところがその再逮捕ということは、これは捜査とすれば邪道であります。一つの事件で或る人間を逮捕しておる、そしてその十日間の勾留期間が済んだからといつて他の犯罪で又再びそれを逮捕するということを続けるならば、若しも百の容疑事実があるならば百回逮捕を続けるということに極端に言えばなるわけでありまして、よほどの必要がある場合又その事実が最初の勾留中に初めて発覚した、だから止むを得ずその事実を調べなければならんというような場合ならばともかくでありますが、初めからその事実はわかつておる、そうしてただはつきりしている油絵で逮捕した、そうしてスクラツプの問題は、西山という者が吉田が共犯であるごとく供述をした、その四万円という金を吉田に渡した、こういう供述をしたのであります。ところが西山自身もその後その供述は取消しておる。かたがたそのスクラツプの事件で吉田を再逮捕するということは極めて不穏当である、警察がそれを逮捕するということになれば、必ずやこれは後に非難を受けて問題になる。それこそ法務委員会あたりから又問題にせられるような事件でありまするから、検察庁といたしましては、それは逮捕しないほうがいいじやないかと言うてチエツクしたわけであります。そうして不拘束のままで調べたらどうかという提案をしたわけであります。而もこれは飽くまで警察がやるというのを検察庁が横から忠告をしただけでありまして、とめる権限も何もない。従つて桐原という本部長に検察庁で懇談をいたしまして、そうして吉田を釈放いたしました。十七日の晩に桐原本部長の宅に岡辺上席検事と河合主任検事とそれから桐原本部長と、市警側もなお二、三人集まりまして、十分検討いたし議論をいたしました。そうして全員一致でこれはもう再逮捕はやめようということになつたのであります。ただ一人、呉の署長である久城署長だけがその場では賛成、結局しぶしぶ再逮捕は見合せたのでありますが、内心は不満であつたらしい、そういう案件でありまして、検察庁といたしましては、人権保護の上から申しましても当然のことであります。 現にこの油絵の事件というものは、その後呉の検察審査会で問題に取上げられました。検察審査会が審査をいたしました結果、やはり吉田は嫌疑なし、検察官の不起訴の裁定が正当であるという裁定をいたしております。 それから又スクラツプの問題は、警察といたしましては非常に強引で、非常に強気でありまして粟沢本部長、それから太田副部長、いずれも吉田がこのスクラツプに関係ありという事件を立てて送つて来たが、検事の審査の結果は、いずれも嫌疑なしということになつておるわけで、恐らくその場合吉田を続けて逮捕いたしましても、結局その事件は立てることはできなかつたであろうということを想像いたすわけであります。従つて検察庁が抑制をして、そして警察の捜査活動を妨害したというようなことは全然ないわけでありまして、これは一般に呉の警察本部でも、桐原本部長なんかは初めからこのことは賛成いたしておる。強引に検察庁が妨害したということは私は到底考えられない、こういうように思つております。
○カニエ邦彦君 何ですか、スクラツプの内容は、鯛尾倉庫のスクラツプの事件でも、一万円というのは吉田が西山からこれを領得しておる。それから徳山のスクラップに関してもこれ又四万円不正な金から吉田が領得しておるということは、吉田自身が証人として話をここでいたしまして、その後まあこの金は実はそういうスクラツプの不正な金だと思わずにもらつておつたというのですね。それでもらつたときはそういう考えでもらつておつて、もらうときにも、この金がどういう金をわしがもらうんだということも確めていないというのですね。どういうわけでわしはこの金をもらうんだかということも確めていない、何がなしにくれるものだからもらつておつたということ、それでその後事件がこれが検察庁等で問題になつて、そして明らかになつて来たら、いよいよこれはスクラツプの不正な金だからということがわかつた。そこでまあこれは困つたことだということで、その後その金は返したとまあ言うのです、本人の証言では……。併しながらこれは恐らく我々の考えでは、役人が金をもらう場合、一体その金が何の金か、一万円或いは四万円というてしばしばもらうのですから、どんな性質の金であるかということは、これは到底、子供じやないのですから確められるべきが当然であり、ただこの場合言いにくいからそう言つておられるように思われるのです、実は。この事件の、今熊沢さんがおつしやることも我々素直に聞いて、又吉田君の言われることも素直に聞いたとしても、なおそこに何か納得のできないものが出て来るのですね。これはまあ併しそういうことは別といたしまして、検察庁として、いずれにしても地方の末端の警察が不正なことをやつていない、ただ仕事に対して多少熱心の余り行過ぎができて来たとしても、私は恐らくこういうような国の重要な経理に関する捜査等に関してはもつとしつかりやつてもらいたい。実は今後最高検においても又地方の検察庁に対しても、十二分な一つ警察の捜査について協力とそして理解をしてやつてもらいたい、こういうように思うのです。その点については熊沢さんどうでしよう。
○説明員(熊沢孝平君) 吉田日出男の捜査を打切れと言つたことは検察庁としてはございません。ただ逮捕してまで調べるのは面白くないと言つただけのことでありまして、吉田を飽くまで追及して調べをやらなければならんのを、呉の市警におきましては、何だか非常に捨鉢的な、もう捜査を打切るというようなことを新聞に発表いたしたりしまして、非常にその態度は我々から見ても面白くなかつた。今のお話でありまするが、勿論吉田は四万円という金をもらつておる。併しそれは交渉費の残りくらいに思つてもらつていたという弁解を検察庁ではしておるわけであります。その点を追及いたしましたならば、或いはカニエさんのおつしやる通り事件は成立つたかも知れない。殊に別に拘束しなくても、結局相手方、共謀者があるのでありますから、共謀者は検挙になつておるのでありますから、共謀者を十分調べて、共謀者の供述がなければ、単に吉田が犯罪を認めましても、これは単なる自白だけでありまして、公判廷として証拠の維持は到底困難でありますから、我々としては嫌疑なし、かように言わざるを得なかつたのであります。 捜査がまずかつたのではないかという点でありますが、これは或いはそういうことがあつたかも知れない。けれども今おつしやつたこの警察は極めて熱心でありまして、むしろこういう例は甚だ珍らしいのであります。検察庁も非常に捜査の熱心な警察は非常に可愛がるわけでありまして、両者共々協力して事件の核心を衝くというのは各地でやつておるのでありますから、こういう両者でトラブルが起つたということは極めて異例に属するのであります。今では非常にうまく行つているということを、先だつて検事長会議等に来られましたときに岡本検事長から聞きました。当時の検事正もやめまして、極めて捜査に堪能な新進気鋭の検事が検事正として赴任いたしましたし、検事長も岡本検事が今検事長として赴任しておられますので、今後も警察との関係も極めてうまく行くだろう、かように考えております。 それから一般的に見まして、勿論検事は警察に対しては刑事訴訟法上協力関係が要請せられておるのでありまするし、又我々といたしましては、協力関係というよりも、更に進んで警察を指導したいというようなつもりでいるわけでありまして、かような呉のような場合は稀有の事例でありまして、まあ呉の支部長がやや手腕が足らなかつたということは我々も認めておるわけでありまして、一般的に申しましては、警察に協力するということは、これは従来検察庁の方針であります。かような事例は他には起らないということを深く確信しております。 それからなお、もう一先ず本件につきましては当院の法務委員会が現地に出張せられまして、十分取調べをせられたわけでありまして、大野議員と加藤議員がおいでになりまして、法務委員会におきましてはその結論といたしまして、やはり私が本日申しましたように、検察庁の措置は当然である、警察はむしろ熱心の余り人権保護に欠くるところがあつたのではないか、併し両者が今後はうまくやると言うておるから安心した、かような結論が出ていることを申し上げておきます。
○委員長(谷口弥三郎君) 他にございませんか。 それでは会計検査院、海上保安庁並びに最高検察庁に対しまするいろいろの質疑はこれでいち応終了いたしました。どうも有難うございました。ちよつと速記をやめて。 〔速記中止〕
○委員長(谷口弥三郎君) 速記を始めて。それでは本日はこれを以て散会いたします。 午後三時三十九分散会