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15回国会参議院1952/12/09

外務委員会 第5号

発言数
119
登壇者
8
会派数
4
開催日
1952/12/09

会議録

徳川頼貞自由党

○委員長(徳川頼貞君) それでは只今より外務委員会を開会いたします。  一般外交方針について岡崎外務大臣から説明を聞くことにいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 一般の外交方針と申しますと、大筋はこの前演説で、外交演説で述べました通りであります。そこでその大筋に副いまして今どういう形勢に実情がなつておるかという点について申上げてみようと思うのであります。  先ず第一に、国際情勢、殊に朝鮮事変等の成行きにつきましてはインドの調停案が成立しない傾向にありますので、この先どうなるか、アイゼンハワー元帥は視察をされましたが、余りはつきりしたことは出て来ないのはこれはまあ視察でありますから当然だと思いますが、従つて朝鮮の問題がどう片付くかということはちよつと只今のところ見通しがつかないわけであります。  そういう状況の下にいろいろの問題を処理して行くわけでありますが、演説の中にも言いましたのですが、この民主主義国家との協調ということを我我は外交方針の基調といたしまして、そこで特に東南アジア諸国との関係の改善ということを先ず当面の問題として一つには取上げて行く。まあほかのものもありまするけれども、そこで東南アジアの各国との関係改善というとすぐ賠償の問題等が取上げられますが、これは賠償関係は国がきまつておりまして、その他にもたくさん、東南アジアはたくさんあるわけであります。殊に我が国としてまあ非常に必要な米の輸入をする相手方も多くはこの東南アジアにあるわけでありますし、しまするから、一般に東南アジアの諸国の関係の改善ということに非常に努力しなけりやならんわけであります。この方面からは最近各地から相当の有力者が日本を訪問して来ておりまして、ビルマからも或いにインド、パキスタン、或いは濠洲、ニユージーランド、仏印など各所から人が見えておりまして、そのたびにいろいろ問題を検討して、お互いに話合いをいたして来ております。で、非常に目立つた結果は現われませんにしましても、徐々にいろいろの点で改善、関係の改善ということは期待できると考えております。  それから賠償に関係しましては、すでに新聞に出しましたように、沈船引揚の調査を取りあえずやるために、フイリピンにその調査団を派遣するということにつきましては、フイリピン政府との間に話合いが円滑に行きまして、只今その用意をしているのは御承知の通りであります。これは早ければ月末までに船が出ると予想しております。これはただ調査だけでありまして、引揚についてはこれは又更に相当の費用もかかりまするし、又ちやんとした協定も結ばなければなりませんので、この点については今後の問題になるわけでありますが、これによりましてフイリピンの例えば新聞の論調であるとか、或いはフイリピンの国会の空気であるとかいう点につきましては、日本側のまじめなる処理方針について了解をされたようでありまして、反響は決して悪くないと考えております。でこれは賠償の問題はフイリピンのみならずインドネシア、ビルマ、仏印等にも関係がありまするので、このほうにも適当の時期、適当の方法で更に話合いを進めて行くつもりで今準備をいたしております。  それから朝鮮の問題に関連しましては、例の国連協定がありまするが、これは新聞にも発表いたしましたようにまだ意見が一致しないままになつて今日に来ております。ただ我々としては、国連協定を結ぶ趣旨は、日本の国連に対する協力を十分にするという意味であり、又意見の合わないということは、何も国連側と衝突をするというのでもありません。先方もそんな気持は毫もないのでありますから、話合い自身は非常に友好裡に行われておることは前に御報告した通りでありまして、ただ意見が幾ら話してもなかなか一致しない。その趣旨は御承知の通りでありまして、先方ではアメリカの日本におる駐留軍と同等の待遇をしてもらいたい。これは必ずしもアメリカの行政協定そのままの待遇でなくてもよくて、或いは行政協定が変れば変つた通りの待遇でもよいのだ、要するに差別的な待遇でなければよいのだ、こういう趣旨でありまするが、我々のほうはもういわゆるNATOの協定もそのうちに効力を発生するのじやないかとも考えられるし、いずれにしても四月二十八日以後になれば、今の行政協定についても改訂に関して協議を始めることになつておるのだから、その短期間の国連軍との間の協定についてもうすぐに又変えるようなものを作らないで、できるだけNATOの協定に副つた案で行きたいという主張をしておりますが、先方ではNATOの協定ができればそれはそれでよいが、それまでにアメリカ軍と同等の待遇でなければ困るという主張であります。で未だ話合いのつかないままに来ております。  それからいろいろ問題になりまする戦争裁判受刑者の点につきましては、御承知のようにアメリカ側の仮出所等の措置はもうすでに機関ができまして、機械的にというくらいに、だんだん動いて来ておりますので、だんだん人が出て来ております。まだ十分というところまでは行つておりませんが、たしか最近までで十九名仮出所できたと思います。今後もこれが進められると考えております。又フランス側でも最近のうちに相当の考慮を加えられるのじやないかと思われる節もあるのであります。  それからこれは新聞にも出しましたが、A級戦犯の釈放ということにつきましては、インド政府と台湾の国民政府とは賛成であるという意思表示をしてくれましたので、これには謝意を表したのでありますが、他の国々の意向はまだ判明いたしておりません。がこれもだんだんにA級の問題は別としまして、少くともB、C級につきましてはだんだんに改善されて来る見込みが付きつつあるようであります。  それから今度は各国との間の通商関係につきましては、今アメリカとやつております通商航海条約、これが殆んど多くの問題について意見が一致しまして、間もなく全体についての合意が見られるのではないかと予想しております。でその他の国につきましても例えば中立国であれば、戦争前にありました通商航海条約をそのまま活かすとか、或いはその他の二、三の個所を直して使うとかいうお話もありまするし、又そうでない戦争に入つた国でもそういう意見を……、又通商航海条約を訂正の上復活させようという意見もありまするし、又新たに通商航海条約を作ろうという下話を進めているところもあります。又ただ通商航海条約は時間がかかるからというので、例えば支払協定とか貿易協定とか、こういう種類のものを取りあえず作つて行くとか、或いは期限が切れたらこれを更改しようとかいうようなことをやつておりまして、とにかく通商の差当りの仕事には差支えないように努めております。でこれはいろいろの形の協定がありまするが、アメリカは南北アメリカ、ヨーロツパ、アジア各地の各国と話をしております。  それから航空協定につきましては、アメリカとの間のにつきましては、もう国会に出しておるわけですが、イギリスのほうとの間はまだそこまでは行つておりませんが、大部分については、これは話合いが付いておりまして、あと細部の点が残つておるだけであります。でイギリスができますと、更にスカンジナビア三国とか、その他オランダとか或いはフランスとか各国と漸次やつて行く予定になつております。  それから朝鮮の問題に関連しましては、防衛水域という例の問題がありまして、非常に漁業の問題等でいろいろ議論があるわけであります。これは前に発表されましたいわゆる李承晩ラインというものがありまして、その中に更に国連軍で防衛水域というのを作つたわけであります。これは主として北鮮側からのいろいろの策動を封ずる意味とか、或いは密輸出をとめるとか、或いはスパイ行動を防ぐとか、いろいろまあ軍事上の理由で設定されたものであります。でこれにつきましては、我我のほうはこの防衛水域の国際法上の地位というようなことにつきましてもいろいろ議論があると思いますけれども、差当りの問題としては日本の漁業ができるということが主眼でありますので、これにまあ今重点を置いていろいろ考慮を払つております。で国連側も関係国に迷惑をできるだけかけたくないということと、それからこういう防衛水域というようなものの設定は、できるだけ一時的なものにする。こういう方針でいることははつきりいたしました。併しそれにしても、軍事上の必要があつて、日本の船が出かけた場合にこれに退去を命ぜられる場合があるということになつております。例えば拿捕したり或いは攻撃したりということは、これはしないけれども、退去を命ぜられる場合があるということはあるのであります。そこでこれにつきましても、我々は国連に対する協力という意味から、軍事上の必要ということがあるにもかかわらずこれを邪魔するという意向はないのでありますが、併しながら同時に日本の多数の漁夫と多数の船がその地域に出ておりまして、一方にはそれらの人々の生活の資になつておるのであるし、且つ取つた魚は日本の食糧に非常に大きな寄与をいたしておるのでありまするから、できるだけその漁業に妨げのないようにいたしたいというのでいろいろ話合いをいたしておるのであります。我々はこれができるだけ一時的であることを希望し、何らか調整をいたしたいと思いますが、その間に韓国との間の根本問題が若し解決できれば、こういう問題も更に円滑に行くわけでありますので、韓国との国交調整ということもいろいろ考えておりまするが、なかなか韓国側の空気もむずかしいようでありまして、このほうは賠償のように円滑に話がまだ進む段階に来ておらないわけであります。併し日本側としてはまじめに努力をして、早くそのほうにもつて行きたいと、こう考えておるわけであります。大体以上の点が演説以後の状況であります。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 岡崎外務大臣にお伺いいたします。  一昨日から新聞紙上を賑わしております鹿地亘君の事件であります。これは極めて奇々怪々なる事件でございますが、とにかく日本とアメリカとの関係の上にいろいろな問題があることを非常に大きく示したものと言わなければならんのであります。私どもは鹿地君が現われまして、そして猪俣浩三君と、これは我が党の代議士でありますが、連絡をとりまして、猪俣君がこの事件についていろいろと世話をし、又これを糾明することにしております。  私どもといたしましても猪俣君から大体の概要は承知しておるわけであります。併しながらこういうふうな事件が起りましたことは、これは日本の独立にとりまして由々しき事態であると思うのであります。恐らくこの事件が明るみに出ましてから、政府としても何らかの調査をしておつたことと思います。鹿地君が帰る直前に山田という人が現われまして、そしてこの問題をやや具体的に明らかにしたのでありますが、それ以前におきましても英文の怪文書も出ておりますし、又新聞にもその事件について又鹿地君の奥さんから警察のほうにもこれの捜査方が依頼されまして、かなり大きくセンセーシヨンを起しておつたのであります。政府としても早くからこれについて何らかの調査をしておつたと思うし、特にここ数日来の状況からいたしまして、政府もみずから何らかの調査をするなり、或いはそれに相当する処置をとつておられたと思いますが、これは単に法務府だけの問題ではなくて、事アメリカと日本との関係にも及ぶ問題でございますので、外務大臣のほうにおいても十分に政府の調査いたしました内容は御承知のことと思いますが、先ず政府がどういうふうにこの事件を見ておられるか、同時に政府はどういうふうないきさつでこういう事件が起つたかを御調査になつたと思いますので、それをあなたが今日知つておられる限りのことを先ずここでお知らせを願いたいのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは私もずつと前に新聞に出たことは承知しておりますが、その当時は単なる失踪というか、そういうような事件と了解しておりまして、私のほうでは何もやらず、国警のほうでやつていたと思います。併し最近に新聞に出ましたところによると、米軍との関係があるように報道されておりますので、早速米側にその点を照会しまして、如何なる事情であるかということを先ず確かめる措置をとりましたところ、これは昨日ですか、アメリカ側から発表した通りの返事がありまして、たしか十二月でしたか、ちよつと今その発表を持つておりませんが、昨年の十二月でしたか一時置いておいたが、その後釈放して、軍は全然その後関係がないということであります。併しながらあの新聞に出ていることは相当違いますので、例えば単に関係はないとしても何か知らないで、そんなことが、上のほうの人が知らないで行われていることはないか、その点は更にいろいろ調べてもらうように照会しております。なおこの占領終了後非常に人が変つたために記録だけしかないのじやないかと思われます。記録をいろいろ調べているようであります。併し今のところ軍側としては確かに軍自体に関係はないはずであるということを言つております。そこで昨日ですか、本人が帰つて来たので議会にも出て来るということでありましたから、それでもうはつきり本人からの話で事実がもつとはつきりするであろうと思いましたところ、国警のほうに聞きましたら、まだ誰も会つていないので、何か行方が又よくわからなくなつたというようなふうで甚だそれでは困ると思つて、是非例えば衆議院へ出て来るとか、参議院へ出て来る、国会等で以て本人の口からはつきりしたことがわかれば、更に我々の調査も進めるわけでありますから、早くそういうことが行われるように希望しております。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 只今の岡崎外務大臣の答弁を聞いておりますると、この事件については最初にあの英文の怪文書が出てから後は余り大した事件とも思つておらず別に大した調査もしておらなかつたと、で、ここ二、三日前から非常にまあ重要になつたのであるが、政府自体がこの事件についてどういう追及をしておつたかという点については何らお触れになつておらない。ただアメリカ軍に問い合せたところが、昨年のうち極く短期間抑留はしておつたけれども、それから後釈放した、軍の関知するところではないというふうなアメリカ軍側からの声明といいますか、何といいますか、それを受取つて、どうもそれを信じておられるように思われる。併しこの事件の極く最近に現われました外面的な事実だけを考えて見ましても、そんな声明、アメリカ軍側から出しました言訳で片付くような問題とは思えないのであります。アメリカのほうではなぜ釈放したか、これは新聞で騒ぎ出し、それから又国会においてこの問題を取り上げ、重大な問題になつた。而も証人山田君が現われまして明らかにCICが誘拐をしてそうして転々として各所にこれを抑留と申しますか、軟禁と申しますか、とにかく軟禁をしましてそうして騒ぎが大きくなつたので、又議会がこれを取上げたので、アメリカ側でも調査をすると言い、そうしてその調査をすると言つた翌くる日ひよつこりと釈放されたという事実から見まして、これは軍は関知しないというような問題ではなくて、やはり私はアメリカの軍機関としてこういうような事態を起し、そうして今日まで鹿地氏を軍として抑えておつたと考える以外にはないと思うのであります。六月までにわかつておりました抑留の個所を見ましてもことごとくアメリカ軍が接収しておりましてCICの機関が使つておつたところであります。私どもはアメリカ軍のほうから出しましたこういう説明だけで満足するどころではない、却つてますます疑惑が深まつた。それを外務大臣は事もなげにこれでどうやらわかつたような御返事をなさつておるのでありますが、私どもは政府として独立に、どういうような方法でこの事件を調査し、又これについて今日まで、或いはこれから鹿地君と国警のほうとで会われるかも知れませんが、それ以前においても政府としては調査を進めておつたはずであります。又これが恐らく議会で問題になるといたしますれば、閣議においても問題にならんはずはないのであります。政府としてはこの問題に対して確かに何らかの調査を進めておると私は信ずるのであります。若し進めてなければ、それは政府自体が非常に怠慢なはずでありますが、どういう程度まで進めておつたか、又閣議でこの問題が取上げられたかどうか、そういうようなことについて一つ誠意を以てお答えを願いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 本日犬養大臣から閣議において報告がありましたが、それはまだ調査中であるという報告であります。で政府としてはこういう問題につきましては、当然法務省及び国警において調査をされるべきものと考えております。その担当の大臣のほうで只今なお進めつつあります。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 それでお逃げになるつもりであろうと思うのでありますが、それは私どもとしてはどうも外務大臣の態度として甚だ怪しからんと思う。それは早く政府としてこういう問題についての真相を明らかにする努力をし、刻々その政府として発表して行かなければならん問題であると思いますし、又外務大臣といたしましては、この事件についてどう処置するかという一つの具体的な問題は、或いは政府のほうで調査をした結果ということになるかも知れませんけれども、何らかのこれに対する方針がなければならんと思う。私は先ず第一にお伺いしたいのは、占領中はいざ知らず、占領後において依然としてCICなるものが、諜報機関なるものが今日日本の中で活動しておるという事実は明らかであります。この事実を外務大臣はどうお考えになるか、これは日本の独立を傷つけるものであるとこうお考えになるかどうかこれを先ずお伺いしたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) CICというのは私は別に諜報機関ではないと思いますが、そのほかに軍なり或いはアメリカ政府なりが諜報機関を持つておる場合も無論あります。こういうものは恐らく各地にあるのだと思います。併しながらそれは諜報に関する限りは、これは活動してもよろしい部面もあるのであります。ただ日本の国民を監禁するとかいうような措置をとり得ないのはこれは当然であります。併しながらこれは事実の調査が進んでおりませんからして、これに対してどうということはここでは申上げられませんけれども、調査ができますれば、それに応じまして必要な措置は無論とるはずであります。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 CICは諜報機関でないと言われておる。又そうかと思うというと、諜報機関が設けられてそれが活動してもこれはいいことだ、こういうふうに言われておりますが、いやしくも日本の国家が独立国であつて、まあ各国とも諜報活動をすることでありましようけれども、公然と諜報機関が設けられて、そうしていろいろな諜報上の活動がなされるときに、これをその国が許して行くということは、これはあり得べからざることであると思う。恐らくどこの国でもよその国の諜報機関が活動して、而もたとえこれが講和条約が発効以前であろうとも、国内におきまして勝手に人を誘拐する、暴力を以て誘拐し、これを監禁し、或いは軟禁し講和条約の効力が発生する後までこういうことを行い続けておるというような事態、この事態を我々は黙視することはできないし。政府でも恐らく独立国の政府であれば、どこの国の政府だつてこんな事態を黙視するとは思わないのであります。どういう根拠で岡崎外務大臣はCICが諜報機関でないということを断定されるのか、それを先ずお伺いしたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) CICと申すのは、私の了解するところでは軍の中の犯罪行為等を取締る機関であると考えております。これはクリミナル・インベステイゲーシヨン・コー、こういつておると思います。従つてこれは諜報機関とは私は考えておりませんが、併し諜報機関なるものは、それは公然とやつておる諜報機関ということは、私はないと思いまして、恐らくそれはいろいろのことで各地から情報を集めるという機関であろうと思つておるのであります。そこで要するにそういう機関が仮にあつたとしても、それが日本の国民を抑留したり、誘拐したり、そんなことはできないということは私が先ほどから申した通りで、これは岡田委員と同じ意見であります。別にそんなことを許しておるとは決して申しておらない。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 今CICのことを聞いたら、クリミイナル・インベステイゲーシヨン・コー、こうおつしやつておる。これは外務大臣としてこういう事件が起つてから知らないのも甚だし過ぎると思う。これはシビル・カワンター・インテリゼンス・コー、明らかにインテリゼンスという言葉が入つておる。インテリゼンス・サービスということはこれもよく御存じだと思う、何を指すか……。そういたしますというと、あなたが言われておるような単なる犯罪調査機関ではない。これは明らかに諜報機関だということを、向うだつてインテリゼンスという言葉を入れておる。これをあなた犯罪調査機関だということでごまかそうとするならば、私は甚だけしからんことだと思うのだが、まさか外務大臣がこれがインテリゼンスの機関でないなぞというようなしらはきれないと思うのですが、その点どうですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 私が了解しておりましたのは、そういう諜報機関は普通にシビル・インテリゼンス・エイゼンシイと言つておると思います。でCICというものは、昔は、前にはそういうふうに使つたかと思いますが、今はそうではないと思います。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 今のは明らかにCICで、CIDとは違う。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) CIDです。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 DだろうがCだろうがとにかくCICという言葉で今日でも存在しておることは明らかです。これは各地にCICというちやんとした看板を掲げてやつておるのです。それを御承知ないのか。余りにも外務大臣としてそれでは怠慢過ぎると私は思うのですが、とにかくインテリゼンスというこの言葉がちやんと入つている機関が公然とこういうことをやつておるのです。外務大臣は殊更にこの事件の意義を過小評価して、何とかうやむやにしてしまおうという、こういうおつもりでそういうことを言つておられるのではないかと怪しまざるを得ない。私はこういうようなものが公然と活動するということ自体が、これはもう日本の独立をアメリカが無視をしておる。単にアメリカの水兵が、或いはよその国の水兵が日本で強盗を働いたというような問題ではなくて、とにかく外国の公然たる機関ですね、これがこういうようなことを起して、而も独立後においてもそういうような不可解なる或いは奇怪なる事態を続けておる。これを政府は意義を過小評価するなどということは私は以てのほかだ、それではまるで日本の独立を蹂躙されても、それでもいたし方がございませんという態度ではないかと思うのでありますが、この問題について、私は明日あなただけでなくて、首相や或いは法務大臣にも本会議で御質問申上げたいと思うのでありますが、とにかく外務大臣としてこういう事態が起つたときに、一体どう御処置されるのか、先ず一般的な方針をお伺いしたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 岡田委員は私の言うことを非常に誤解してとつておられるようですが、過小評価もしておらなければ、又そんな活動を許しておると私は決して言つておらない。ただ事態の真相を見てから適切な処置をとる。併しながらそういう機関が国内で日本の国民を抑留したり、監禁したりすることは許されないことである、こう私ははつきり申しておるのであります。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 それでは若しあなたがこのCICなるものが、かくのごとき事態を起したとするならば、この日本においてCICが今後活動することをやめることをアメリカ側に要求されるおつもりがあるかどうか、その点を明らかにお伺いしたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは事態の真相をはつきりつかんでから、決して国民に心配をかけるようなことのないように十分なる措置を講じます。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 国民に心配をかけないということはどういうことか、その内容を明らかにして頂きたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 事態の真相がわかりましたならば、内容は明らかにいたします。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 事態の真相が明らかになつてからということをおつしやるけれども、これはこういうようなことがあるということが事実であるというふうに大体認定されておるが、細かいことは別として、かような事態が事実であるとすれば、それに対して政府としては、このCICの活動を禁止することを要求するなりなんなりすることは方針として当然じやないか。それに対して岡崎外務大臣は国民に対して心配をかけないような方針をとると言われるが、大体その内容ぐらいはもうすでに肚の中でできておるのじやないかと思うのですが、それについて国民に心配のないように、今日非常に不安を与えておるのですから、一つ国民に心配のないようにここで大体の方針を明らかにして頂きたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは私も十分考えておりますから、事態の真相がわかりましたならば必ずはつきりいたします。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 次に鹿地君が国内において、外国の機関によつてああいうふうに抑留され、而も非常に不可解な軟禁を続けられて、そうして又帰つて来たについても非常に不可解な経過で以て帰つて来るとか、この一年一カ月ほどになるこの軟禁というものは、本人にとつては非常に苦痛であつたばかりでなく、これは日本にとりましては、国民の一人がアメリカの機関によつて不法に監禁された、こういう事態を物語るものであります。これは当然アメリカに対して陳謝を要求し、又何らかの形でこれに対する賠償をさせなければならん問題であると思う。こういうふうな点について、外相はアメリカに対して抗議をし、陳謝を要求し、又それに対する対策として、又一つの方法として損害賠償を請求されるかどうかということをお伺いしたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは先ほど申しましたように、事態の真相がわかりましたならば、それに応じて十分なる措置を講じます。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 事態の真相がわかりましたら、わかりましたらということですが、一体政府の見込みではいつになつたら事態の真相がわかるのか。この数日中にこの問題の真相が明らかとなるかどうか。政府は又その努力をしておられるのかどうか、これをお伺いしたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 十分関係担当大臣に依頼しまして、速かに事態の真相がわかるように努力を願つております。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 まあ政府はそう言つてただ調査中である、事態の真相を明らかにするということでこの場をお逃げになろうとしておるのでありますが、私はこの問題についてまあこれ以上あなたから今聞いたところで、同じことを繰返されるだけだから、今日はこれで打切りますが、併し明日私は首相並びに外相、法相等の御見解を本会議で承わることにいたしますが、その後におきましても鹿地君も明日は衆議院に現われるようでありますが、若し政府においてもこの真相が明らかになりましたら、又政府がアメリカに対しましてこの問題について抗議をし或いは何らかの外交措置をとるような場合が起ると思いますが、そういうことの経過は詳しく一つ政府のほうから進んで国会に報告し、そうして国民の疑惑を解いてもらうようにしたい、こう私は考えます。私は今日はこれでこの問題につていは一応質問を終りたいと思います。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 どうもこの鹿地問題は私たちもだいろいろわからない点が多いのですか、併し一つはつきりしておると思うことは、日本の国民がまたいわゆる占領管理時代において、アメリカの軍事機関に逮捕監禁されたこの事実は、双方が認めておるところで明らかだと思う。そこでこれもまあ占領期間によりましては、アメリカの軍事機関が日本国民を逮捕監禁するようなことも、少くとも初期の場合においては非常に多かつたと思いまするが、昨年の十二月頃と言えば、講和条約が少くとも調印された後であり、効力発生の前ではあつたけれども、その頃において、一体外務大臣に伺いたいのは、アメリカの軍事機関が日本の国民を直接逮捕監禁し、而もそのことを日本政府の権力を依頼することなく直接やつて、而もそれらの事実を日本の警察機関、治安機関等に知らしておらない。こういうようなことがあつたとすれば、一体その関係は日本から見てどうなるのか。外務大臣はそれを当然のこととしてこれを甘受するという立場にあつたのか、それともさようなことは不法であり而も不都合であるとすれば、これに抗議をし、これを是正するという立場をとるべきであつたか、この点を第一に伺いたい。  第二に、若しそれが占領中であるから止むを得ないという見解であるならば、従つてそういう事件がほかにもあつたかも知れない。併しそれにしても講和条約が効力を発生した途端においてはもはやさようなことはあり得べからざることであるということは、すでに今岡崎君のお話の中に現われておつたと思います。そうすると、そういう不法監禁事件みたいなものが占領中であつたとすれば、講和条約効力発生後の途端において一体幾人くらいの日本人がそういうことになつておつたか、それが全部途端に解放されたのかされないのか、この点を十分に突きとめられたかどうか、これを第二点として伺つておきたい。  第三点はやはりそれに関連して、従つてその爾後においては、只今岡田君も言われたように、この点は岡崎外務大臣も反対はないと思うのですが、講和条約の効力発生後今日までアメリカの軍事機関が日本人を逮捕監禁し、或いはし続けているという事態はあり得べからざることなんでありまするが、たまたまこういう事件もあつたことなので、早速これに関連して、ただ単に鹿地君事件について調査されるだけでなく、当然にさような不当監禁がこのほかに一つもないということをアメリカ側にはつきりと確められたかどうか。少くともそれくらいの措置はこの事件に関連して当然にとつておられると思いますが、ただ鹿地問題についてアメリカに問合せるというのでなく、そのような事例はほかにないかどうかということについて十分なる調査をされておるかどうか。この三点について岡崎外務大臣の御意見を伺いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 第一の点は、私は法律的に申せば、これは止むを得ないことであると思います。併しながら講和条約の効力の発生も間近にもうわかつておる時代に、そういうことをするということは、政治的にはこれは非常に考慮を要することだ、こう考えます。そこでこれについてはどういう理由で、又如何なる原因でこういうことが占領中といえども行われたのか。これについては引続き先方に質しております。それから講和条約発効当時にそういうものがあつたかどうか、又引渡し等が行われたかどうかというお話でありますが、これは確めましたところ、正式の返事では、講和条約の発効当時はそういうものは一人もなかつた、従つて引渡したというようなこともない。こういう話でありますが、先ほども申したように、軍の上層部等はそう考えておつても、或いは何かの間違いでそういうことがないとも限らない。この事件も若し仮に新聞等にあることが事実であるということになれば、やはりこれは何らかの間違いか何かで以てそういうことが行われたと認めざるを得ないのでありますから、そこでこういう点について更に調査を進めるということはいたします。  それから第三の点も同じことでありまして、つまりこういうことはあり得べからざることでありまするけれども、仮に若しあつたとすれば、ほかにも類似なことがないとも限らないわけでありますから、この点も無論確めておりますが、こういう点は先方のみでもいけませんからして、日本側からも何かそういう疑わしいことがないかどうか、国警等々にも依頼しまして、こちら側でも調査を進めて行きたい、そういうふうに考えております。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 第二点についてのお話はあれですか、当時確められたのですか、今度効力発生の頃に、日本人を監禁し、引渡しの未了のようなものがないかと聞かれたのですか、いつ聞かれたら、そういうものはないという返事だつだのですか、それを……。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは当時も聞きました。これはいろいろ引継ぎの事項がありまして、占領政策違反とかその他の関係のことなどありまするから、その当時も聞きました。その当時そういうはつきりしたのはこれは皆それぞれの手続をとるわけであります。それ以外にはないということであります。併し今度又こういう問題が起りましたので、昨日念のためそういう点を確めておきました。それに対しては当座の正式の返事は今申した通りであります。更に何かの間違いがありはしないかという点で確める措置をとつております。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 そうすると岡崎外務大臣としては、まあこの件については更に勿論調査をして頂かなければならないが、他にかような事例はアメリカの今までの返事及び日本側に今まで挙つておる情報或いは訴え等によつて、ほかにはそういう例はない。つまり講和後日本人がアメリカ軍事機関によつて監禁されておるという事実は今のところはないと、こういうことを国民に告げる立場にあると思うのですが、もう一遍はつきり言つて頂きたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) おつしやつた通りで、今の調査の段階ではそういうことはない、これははつきり言えます。併しながら国警に、随分いろいろありましようから、行方不明とか、失踪とか、普通の事件も随分ありましようから、念のためそういうものは認めてくれという措置はとつております。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 これは岡田君も指摘されたように、非常に重大な問題でありますので、他の事例もかかるものがあつてはならない。この事件だけでも、いろいろ我々は新聞の伝えるところだけでも、多くの疑惑を持つ。一方的な陳述でなくて、飽くまでもこれの真相を究明しなければならないと思うので、政府においても速かに一切の能力を挙げて、アメリカの十分なる措置を要求しつつ、速かに真相を明かにして頂きたい。この点を要求しておきます。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 只今岡崎外務大臣と曾祢君との問答に関連してですが、岡崎外務大臣はアメリカ軍のほうに問い合せをした。こういうふうに言われたんですが、これはアメリカ大使館に対してこの点についての調査を交渉してはおらない。これは単に軍に対して問い合わされただけであつて、今後この問題をアメリカ大使館との交渉に移すつもりであるか。それともアメリカ大使館との交渉はやらないで、飽くまでも軍との交渉を続けられると、こういうおつもりであつたかどうか。この点を明かにして頂きたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) アメリカ大使館にも交渉をいたしております。併しながら事は急を要すると思いましたから、本来ならばアメリカ大使館を通じて軍側その他に連絡をしてもらうのが当然でありますけれども、これはアメリカ大使館に話をすると同時に、直接人を軍に派しまして軍のほうの調査を要求したわけであります。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 そうすると、今日軍に対して調査方を要求したということは、これは一時的なものであつて今後はアメリカ大使館を相手にして交渉をするというふうに解してよろしいのでしようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 正式の話合いは常にアメリカ大使館を経由いたします。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 先ほど御説明のあつた諜報機関の活動の範囲について御説明を承わりたいのであります。というのは、外務大臣がシビイル・インフオーメーシヨン・工ーゼンシーと言われますが、それは軍の所管するところではないと私は了解したいのであります。そうするならばそれは新聞機関等をも含むものでありますか、そういうふうに了解してよろしいかどうか。それから只今問題となつておりまする軍関係のシビル・インテリゼンス・コー、これの活動範囲もオーバー・ラツプしておるところがあると信ずるものでありますが、そういう二つの種類の諜報機関があると国民は了解して差支えはないのでありますかどうか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 私はそういうふうに非常に、何と申しますか、アメリカの諜報機関等は勿論組織その他においても機密を要するものと考えておりまして、そうはつきりしたのでは意味がない場合もありましようからして、そこでそういう組織についていろいろ申上げる意思はないのですが、一般にそういうふうに言われておりますから、そう申上げただけでありまして、軍のほうの関係の機関と申しますのは、これは軍の安全を守り、且ついろいろの各種の情報を集めるために、それはいろいろの機関を持つておりましようけれども、併しながら私の申したいのは、こういうものは、日本の国民に何ら関係のないものでありまして、日本の国民とちつとも直接の関係は持たないものであります。こういう点であります。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 只今国民と関係がないというお話でありましたが、日本国民のいたしまする行動を調査する機関そのものとしての諜報機関が十分に活動しておるということを我々は体験の上から知つておるものであります。又そういうところに本当の仕事も勿論あるのではないかと考えられるのであります。併し、あえてこれはアメリカの軍人、家族のみであると主張なさいますならば、そこのところを一ついつかはつきり聞かせて頂きたい。つまり日本国内の占領中にされたような種々の調査機関と講和条約発効後の調査機関とのそこの受渡しの際における習慣的な、或いは内容的なオーバー・ラツプがあるかないかということでありまして、例えば日本におきます多くの印刷物が全部翻訳されておる、こういうことは何ら軍には関係ないか、或いは選挙当時の講演の内容等についても事細かに新聞報道機関でないものが調査をしておるというふうな事実は御存じございませんでしようか、そういうことを一応伺いたいのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 私は聞いておりません。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 そうしますと、行政協定その他においても、こういうことに対して、これは岡崎大臣としては或いは国連活動にあらゆる協力をするという範囲に入れられておるのかも知れませんが、日本の種々なる国民の活動について完全な独立国としての立場を守つて行ける、又そういうおつもりであつて、国連協力ということは、こういうインフオメーシヨン、単にインフオ・メーシヨンと申しておきましようが、そういうものを提供するという義務は、行政協定の中に、これを作られた当時何らお考えはなかつたのであるかどうか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) そういうものは全然ございません。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 では少しく抽象的になつて恐縮でありますが、我が国の在外公館の諸君が海外におられても、随分いろいろな意見を吐かれると思うのでありまするが、それはやはりその国の法律と、その国の国民の自由独立、内政干渉をしないという建前においてなされると思うのです。併し多くの場合に、我々は通商や商業方面の人々に対しましても某々外国機関等が、君たちの貿易はかくあつてはならないとか、或いはその数人のものが外国に行つて締結する民間同士の貿易はいかんとか、或いはその他の大学の卒業生においては、特定の種類の学校の人は就職を好ましくないと我々は考えるというようなことを言つた人たちがあるといたしますならば、こういうことは占領習慣のついております国民にとつては非常に重きをなされて考えられるのでありますが、こういうことは国際友好を進める上に好ましくないとお考えになるか。或いはそれは当然日本の置かれた行政協定下において止むを得ないと考えられるか、そのどちらに考えられるか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) どうもお話が抽象的でよくわかりませんが、例えば例を引いてみますると、アメリカでまぐろの関税をかけるとか、かけないとかいう問題ができますれば、日本の大使館なり或いは領事館なりの者もこれに対して日本側の意見を述べて、できれはこういう関税がかからないようにしようという努力は当然いたすのであります。従いまして、或る一部の業者には反対の意見もあり得るわけであります。できるだけ日本の立場をはつきりし、日本の国内でこうやつておるのだ、こういう関税は必要がないし、又却つてそれは日米関係によい影響を与えないかも知れんというような意見は述べることがあります。ですから、これは実際の具体的の陳述を見てみないとわからんと思います。海外におる日本の領事館でも、それは内政干渉をする意味でも何でもありません。併しながら日本の立場をはつきりアメリカめ国民に知らせるという努力はいたすのであります。又大使などが各地において講演する、いろいろの意見を述べるわけでありますが、これはもうお互いにやつておることでありまして、決して内政干渉をしたり、或いは不当の圧迫を加えたり、そういうようなことはお互いにすべきでないのでありまするが、又その半面にそれをこわがつて言うべきことも言わないでおるというわけには行きません。これは実際の問題になつて来るのであります。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 よく御趣旨はわかりました。してみると、国民といたしましても、従来の占領習慣があるために、特定の国の大使、公使その他の機関が日本の貿易業者に対して、君のほうはこういう貿易はしてはならない、することは我々の好まないところである。或いは具体的に、大臣もうすでに御存じでありましようが、民間貿易について協定したものに対しても、そちらの立場から意見を述べるということは一応そちらの話であると言つて聞きおくという程度にとどめておいてよいものだという心がまえを国民が持つべきであると、更に国民個々の人については勿論でありまするが、その他大学卒業生等の就職についても、某々国の機関がこういう意見を持つておるということは、それはその通りであつて、何もそれを遵守する義務はないのだというふうに考えるべきであるという国民に独立の精神を与えることには御異存がないものと了承します。従つて、このインフオメーシヨンの機関に対しても、先日の選挙のときにこういう候補たちはどういうことを言つたかという材料の提供、インフオメーシヨンの提供を求められても、これは何ら義務を負うものでないと国民は了承してよろしいと理解して差支えありませんか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これはもうお説の通りであります。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 近くウインで平和会議なるものが開かれることになつているのですが、そういうところに日本の国民が行くという気持を持つておる人もあるようなんですが、若しそういう人が外務省に旅券を申請した場合には、外務大臣は先ずそういう会議に日本国民が行くのを好ましいと考えられるか、或いはいずれにしても旅券を下付する考えであるかどうか、それから若し過去において例があつたように旅券に記載しないでその国に行くような事態があつた場合には、その事態をどう考えるか、如何なる措置をおとりになるか、お考えを伺いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) ウインの会議というのは私も聞いておりますが、まだ非常に正確に、これがどういう種類のものでどういう国がどういうふうにして参加するかというようなことははつきり承知しておりません。併し御質問については、私の考えはこうであります。今このウインの会議そのものの真相が、私が漠然と考えているようなものでありとすれば、従来の例えば北京で行われた会議と同じような種類のもののように思われるのであります。これは仮定でありますが、この仮定の上にどうするかという議論を立てれば、我々はそれに参加することは日本の利益にかなわないと思つております。そこで旅券を出すか出さないかという問題、これは旅券を出すというのは、その旅券には、日本政府から各国の関係の機関に対して、この旅券の保持者に対して交通の安全とか、その他の便宜供与をしてやつてくれ、こういうことを頼むわけであります。従つて日本政府が、何といいますか、認めてこれを庇護してくれということを頼む公式の旅券でありまするから、我々は好ましくない、日本の利益にならないと思う所へ行こうという人に、そういう旅券を出すことは賛成できないのであります。併しながら片方において、旅券法にそういうことを余り考えずに、旅行者の便宜を図つて、例えばアフリカの一国へ行つた人が隣りの国へ行こうというのにも、一々正式の手続で日本の領事館から本国政府まで持つて来て許可を仰がなければできないというのでは非常に不便であるから、普通の戦争前の旅券の観念で以てああいう旅券の規則を作つたために、旅券面に記載してない所へ勝手に行つた場合は、それは旅券法には違返しまするけれども、処罰の規定がない、こういうことになるわけであります。従つてその点は更に旅券法を適当に改正することを我々は希望しておりますが、これは只今研究中です。そこでそれじや旅券をもらわなくても、仮に行くものがありとすれば、同じことなら旅券を出したらいいじやないか、こういう議論もあるかも知れませんが、今申した通り、片方は、これは政府が正式にこういうものに対してこれこれの庇護をしてくれという依頼を出すのであります。一方は政府の知らない間に行つてしまうということでありますから、そこは意味が違います。従つて我々は旅券を出すということについては、こういう問題についてまだ決定はいたしておりませんが、非常な慎重な考慮をしなければならん、こう考えております。

徳川頼貞自由党

○委員長(徳川頼貞君) ちよつと速記をとめて下さい。

徳川頼貞自由党

○委員長(徳川頼貞君) それでは速記を始めて下さい。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 いろいろ伺いたいのですけれども、私だけ時間をとるのも恐縮ですが、国連軍協定のことについてちよつと伺いたいのです。大体外務大臣の御方針はわかつたように思うのですが、何といつてもこの問題は私しばしばこの委員会においても又本会議においても申上げた点が、あるのでありまするが、今日に至るもなお暫定的な協定ができないのは甚だ遺憾千万だと思うのであります。たまたま私が先般イギリスにおりましたときに、例の水兵事件がどうやらこうやら目鼻がつきそうになつて来た。又国連軍水兵逮捕事件というようなものが起りまして、いわゆる協定のないために、このためにイギリスの新聞あたりが非常なセンセーシヨナルな取扱いをしまして、そのために日英国交上も甚だ困つた事態が起つたことは、お互い困つたことだということに尽きるのであります。そこで今のお話を伺つていると、外務大臣としてはただ単に輿論が強硬であるから、これに押されて止むを得ず、日本に裁判権があるのが本当ではないかというような意味から、いわゆる北大西洋型の協定を作ろうということに努力しておられると信じたいのですが、同時に一方において、あなたの今の御説明にもあるように、然らばアメリカ以外の国連関係国の側から言うならば、アメリカに行政協定で現に譲つているような地位以外の、アメリカといわゆる互恵平等的な待遇以外の協定を、仮に政府が締結しても、とてもその議会は通しはせんぞという強腰であるし、甚だ不幸であることも事実でありますが、そういたしますると、政府としては、協定の努力は私は方向としては間違つていないと思つておりますが、一体この空白期間をどういうふうにして処理して行くのか。そのたび毎にああいう事件が不幸にして起らないとは、これは断言できない。そのたび毎に日本とこれら諸国との間に、いろいろな面白からない感情が湧いて、ただ単にこの問題に限らず、一般に日本とそれらの国々との交渉なり友好条約というものとの関係にも、非常に大きな暗影を及ぼす、この事態を一体どうするのか。ただひたすらNATO式のやつを突張つている、できなければできないで仕方がないという態度で行くのか。それとも又事の起りは、やはり何と言つても行政協定において譲るべからざるものを譲つたと、私は敢えて言うのでありますが、あの行政協定においてアメリカに譲つたことに癌があるのであるから、それに関連しまして、これを本から直して行くというような努力をして行かれる所存はないのか。即ちこの空白期間における事態収拾については何ら無策であるのか。そうして来年の四月二十八日まで便々として時日のたつのを待つておるのか。それともそれに何らかの抜本塞源的な解決策を考えておられるのか。その一つとしてアメリカの問題からもう一ぺんお願いして行くというお考えはないのか、この点を伺いたいと存じます。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これはお話のように誠に困つた事態でありますが、今曾祢君の言われたように、先方でも仮に日本の主張に同意して調印をしても、アメリカはこれは入つておりませんから別ですが、ほかの国は到底議会が通らない、結局何も物にならないのだ、こういうこともしばしば言つております。同時に日本の議会も、仮に私が先方の意見に従つてアメリカ並みの協定を作つても、恐らく議会はなかなか通るまい。従つてこちらも向うの仮に主義主張……国際法の観念ということは別にして、向うの主張にこちらが同意しても、こちらの議会は通らない。向うがこちらの主張に同意しても、今度は向うの議会が通らないという状況で、非常に困つた問題であります。ただ過去のイギリスの水兵問題とか、又その後の濠洲兵の問題とか、あれによりましての経験では、私は吉田書簡と称せられる例の手紙の趣旨がきちんと行われて得るならば、その間はそれほどの今までのような困難は事態はなくて行くであろうと考えております。これにはいろいろまだ考うべき点がありまするけれども、従つてどうしてもやはりこれは協定ができないのですから、仕方なしに吉田書簡の筋で紛糾の起らないような措置を講じつつ行くほかはないだろうと、こう考えております。もとよりお話のような、アメリカのほうの協定をこの際改訂してはどうかという話は、すでに国連側からアメリカと同等待遇をという要求のときに、こちらからも申出ておるのであります。で、大分いろいろ議論をいたしまして、ワシントンでも考慮をしたのでありますけれども、あいにく政府が変る時期になつて、今の政府としては到底そういうことをこの際やるわけにはいかない。新らしい政府がどう考えるか、これは別であるということになるのでありますが、新らしい政府といえども、一月の下旬に就任するわけでありますが、恐らく直ぐにこの問題に対して頭を突つ込むというわけには行かないだろう。従つて事実問題としてはどうしても早くNATOの協定が発効するか。然らずんば、どうしても行政協定にありますように一カ年後ということに、事実上ならざるを得ないと私は考えております。  で、NATOの協定はどうかということになりますと、これはまだわかりませんけれども、最近のいろいろなニユース等によりますと、或いは四月二十八日以前に、これが承認を得ないとも限らないのじやないかとも思つておりますが、これは希望的観測ですからわかりません。いずれにしても、話がつかない場合にはどうもいたし方ないので、こちら側もできるだけ吉田書簡のラインで以て紛争のないような、いろいろな措置を講ずると同時に、先方にもよくその点を納得させて、仮に何らかの事件が起つても、不当に世論を刺戟しないような措置で行きたい、こう考えております。併し只今でもまだまだ話は続行中でありまして、決してこれを見離したわけではないのでありますから、これは仮定で、どうしても話がつかない場合、こうお考え願いたいと思います。話は始終やつております。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 いずれ改めて又旅券法についてはお話するときがあることと思うのでありますが、旅券法違反であるというようなお考えを外務省当局が持つておられることは、世界の実情から余りかけ離れておるのでありまして、旅券には御存じの通りに、それらの国々と書きますが、その他すべて必要な国々というふうに書いてありまして、なおそのほか最近の状況等は、大臣、そのほかのかたに話したのですが、必ずしも特定な国の好む人のみが入つておるわけではない。もう少し端的に申しますならば、共産党員であるとか或いはそのシンパでなくては、ロシアに入れることは考えられないとか、或いは中国に行くことは共産党の意思でなければならないというような状態ではなくて、それらの資本主義諸国の人が、そのほかの世界中の八百人、千人というような諸国の人たちが、アメリカからも旅券をちやんと取つて行つておるのでありまして、その点は旅券法違反であるのだというような考えでなく、やはりそれらのすべての必要な国国を通過して行くということが、今の日本の旅券法の憲法に保障された建前であると、私どもは了承しておるわけであります。併しこれは議論に及びますから、改めてそれをお話する機会があると思いますけれども、旅券法違反である、或いは密入国であるというようなことは、ときによつては出て来ることを私は遺憾の意を表しまして、旅券法違反で、一層の御研究をお願いしたいと思うのであります。大臣に申上げるわけではありませんが、大臣が国際一般外交問題の一部として、如何に多くの国々に旅行をし、又如何に自分のほうの好まない国であるとはいえ、そこに行つて研究しておることを考えまして、一つ御研究を願いますれば幸いと存じますので、希望を申上げておきます。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 賠償問題についてお伺いしたい。只今外務大臣の御説明ですと、フイリツピンに対して沈船引揚の調査団を出し、又新聞に伝えられるところによりますと、倭島アジア局長をフイリツピンにこの問題で派遣するように聞いております。フイリツピンとの間に、この賠償問題について何らかの途を開こうとする努力が始められたと思うわけでありますが、過日フイリツピンの野党でありますナシヨナリスタの議員がこちらに来た。特にナシヨナリスタは上院において相当な力を持つておりまして、まあ条約の調印の、批准の問題はナシヨナリスタの動向にかかることが多いのですが、このナシヨナリスタのほうの意見は、賠償問題について非常に大きな関心を払つております。過日ナシヨナリスタの議員がこちらに参りましたときに、外務省との間に何らかの接触があつて、外務省とナシヨナリスタの議員の諸君との間に、何らかの話を非公式ながらされたか。それから又これはそういうルートでなくて、そういうチヤネルでなくて、フイリツピンの代表部との間に話合いを進めて行かれて、そうしてこういう結果になつたのか。それを先ず伺いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 倭島アジア局長は一月の初旬にニユーデリーで東南アジアの公館長会議が開かれ、それに出席させるために出発されるのであります。管轄の地域内の在外公館すべてについて、その設備やら人的配置やら、その他一切のことを立寄つて調査をすることになつております。そのためにフイリツピンにも寄りますが、インドネシア、ビルマ、タイにも寄る。できるだけ広く管轄地帯の公館に寄つて来るのであります。その際に賠償の問題について意見の交換が行われることは、これは当然考えられますが、そのために派遣するわけではないのであります。  それから我々としてはこういう問題は政府と政府の間に話合いをいたしておるのであります。これが筋道であります。ただフイリツピンの関係者が来れば、それが野党の人であろうと、或いは一般の民間の人であろうと、できるだけ日本の立場を説明して理解を求めるように努力をいたしております。従つてその主たる人がどういう人か私もわかりませんが、そういう人が来たときに、日本の態度を説明して理解を求めるということはいたしたかも知れません。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 これはフイリツピンだけ具体的に一歩踏み出したわけでありますが、インドネシア、ビルマ、その他の国々も、これと国じような問題があるのですが、それらの国々との間に何らか具体的な話合いを進める準備がある、今すでに非公式でもその打合せをやつておるのか、それをお伺いする。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 先方の意見がまだはつきりいたしておりませんから、これについてはできるだけ早く先方の意見を知りたいということで、非公式に話合いを行なつておりますが、まだ具体的の意見は出ておりません。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 日本は多数の国に賠償を払わなければならん義務を負わされておるわけであります。個々の国々との間に一々そういうように話合いを進めて行くと、こちらの財政能力或いは国民の負担等々も考えますと、個々の国々との間で話を進めておるということは、えてして全部を合せると非常に過大なものになる。日本の経済にとつて、又国民生活にとつて大きな負担になりはしないかということを恐れる。この問題について政府は何か国際会議のようなものを開いて、日本の賠償問題をきめてもらうというおつもりはないのか。飽くまでも個々の国々との折衝で進めて行くというお考えなのかどうか。それを明らかにして頂きたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これはまあそういう考えも無論理窟としてはあり得るわけでありますが、私どもは個々に話合をしたほうが円満な解決に近付く可能性が多いと思つております。これはまあ意見の相違にもなりましようけれども、会議等になりますと、とかく強い議論がリードするというようなこともありますから、私どもは個々に話を進めて行きたい、又各国において事情が違う点もありますから、こういう点でやはり各国ごとにその特殊の事情に応じて話をしたほうがいいのじやないかと思います。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 フイリツピンは最初日本に対して八十億ドルの賠償を要求するというふうに伝えられており、それで特に沈船引揚等のサービス賠償でなく、金銭による、つまり金銭賠償を非常に主張しておつた。今度沈船引揚の調査団を出すことについて、フイリツピン側との了解もついたというお話でありますが、フイリツピンはこの八十億ドルの金額の要求を捨てたのか。或いは又金銭賠償ということを捨てて、大体まああの条約に示された範囲のことで大体いいというふうに了承をして、この沈船引揚の調査団のフイリツピンヘの派遣について了解を与えたのかどうか。そのところはどういうふうに外務省では見ておられるかお伺いしたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これはまだ交渉の始まつたばかりでありまして、その際に先方側の考えを捨てたんだとか、これで行くことになつたのだということを言うことは、私としては差控えたいのであります。併しながら日本の支払い能力その他からいいまして、非常に巨額なものは実行不可能であるということは、これは了解されなきやならんと思います。又我々としては条約ができておるのでありますから、条約の規定の範囲でこれを実行したい、こう考えておるわけであります。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 今まあ沈船引揚について先ず具体的に始められておるわけでありますが、恐らく沈船引揚だけではない。他のいろいろな役務賠償の形があると思うのでありますが、フイリツピン側が今了解しておるのは、沈船引揚の問題であるか。それとも他の役務賠償についても何らかの形で今後道を開くということを、フイリツピン側でも考えておるのかどうか。その点をお伺いしたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 今回調査を賛成したことは、沈船まで行くことは、無論考えてのことだと思いますが、その他の問題につきましても話を早く進める意向になつておると、我々は了解しております。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 沈船以外の問題というと、今政府の考えております役務賠償の具体的な形はどういうものかお伺いしたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは具体的と申しましても、こちらで具体的にいいましても、向うでそんなものは要らないとか、そんな資材はないということになれば、決して具体的にならないわけでありまして、従つてこれはまだ向うと話してみなければ、具体的の問題は何も出て来ないわけであります。ただ例えば、よく普通に例として言われますのは、例えば綿花を供給してくれれば、こちらへ持つて来てそれを綿糸布に直すとか、或いは鉄鋼石を供給されればこれをステイールにするとか、まあ普通の常識的な役務の話であります。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 沈船の引揚について、その範囲ですが、これはまあマニラを初め、ほうぼうの港、その他に引揚げられ得る船が大分沈んでおると思うのですが、まあそれがどの程度引揚げられるか。これは調査の結果ですが、日本側としてはこれを引揚げるというだけであるのか。それとも引揚げたものを、日本なりなんなりに持つて来て、そしてそれをちやんと直して使える形にして、フイリツピンに引渡すまでを沈船引揚というのか。それとも単に引揚げて向うに渡すだけが沈船引揚なのか。その点についてどういうふうにお考えになるか。    〔委員長退席、理事伊達源一郎君委員長席に着く〕

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは今言われたように調査をしてみなければわからないわけでして、もう大体七年ばかり沈んでおるわけでありますからして、果してそれが引揚げたときに、船として運航できるのか、スクラツプに止まらざるを得ないのか、これは調査してみなければわからないわけであります。仮りに船として直せば使えるものがあつた場合は、又更にそれが役務としてやるかやらないかという問題は、出て来得ると思いますけれども、そこはまだ具体的になつておりません。

荒木正三郎日本社会党(第四控室・左)

○荒木正三郎君 私は在外同胞引揚の問題についてお尋ねをしたいのですが、特に中共治下に今なお残つている同胞の帰還の問題でございますが、新聞を見ますと、インド政府を仲介にして中共との話合いを進めておる。こういうふうに伝えられておつたのでありますが、この問題はその後どういう経緯をとつておるか御説明を願いたいと思うのです。と同時に、なぜ日本政府はこの問題について直接中共政府と連絡をとらないのか、そういう理由について説明を求めたいと考えます。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 中共政府と直接連絡をとらないのは、外交関係も領事関係も設定してないからであります。併し更にこれは中共政府から直接日本政府に言つて来たものではなくして、中共の機関と新聞社の人との対談のようなものを、先ずラジオで放送して来て、又それに基いたと思われるような一つのラジオ放送のようなものがあつたということでありますので、先ず我々はその真相を確める必要がある、こう考えております。これについてはすでにインド政府に依頼しまして、確めると同時に、若しそれが正しいものであるならば、つまり中共当局の真意を反映しているものであると、そのラジオ放送がしますならば、それに基いて更にインド政府に斡旋を依頼しまして、具体的な措置に入りたいと、こう考えておるわけであります。

荒木正三郎日本社会党(第四控室・左)

○荒木正三郎君 そういたしますと、インド政府に斡旋を依頼した、その結果については、まだ今日のところわかつておらないようでありますが、直接連絡の問題でございますが、この外交関係が回復しておらないという理由だけで、直接連絡はとらないんだということは、この問題の、遺家族の或いは国民の痛切な要望に副うゆえんで私はないと思うのです。外交関係が十分でないという国は相当あるわけなんですが、併しそういう国々ともいろいろ連絡通信は政府みずからも私はしておるところだと思うのです。又政府がしなくつても、中共の問題にいたしましても、民間においては十分連絡し得るのでございます。従つて積極的な熱意があれば、私はやはり直接何らかの連絡をして、そうして打開の途を発見する、こういう努力をすべきではないかと、こういうふうに考えるのですが、ただ外交関係が回復してないから連絡しないのだということでは、少し了解しにくいように思うのですが……。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは従来の国際的な慣行によりましても、或る国に依頼して、そうしてその斡旋を求めるということは決していい加減なものではないのでありまして、又従来戦争中でもずつと日本もよその国も、お互いに第三国を通じて利益保護等を依頼しておりまして、これはもう十分にその任務を尽してもらつておるのでありまして、インド政府が今回好意をもつて斡旋の労をとるようにしてくれましたことは、この努力は決して軽視すべきものではないと思います。そうして私共はそれに十分、若し何らかの方法が幾つもありとしても、この現状におきましてはインド政府の仲介というものは最善の方法であると、こう私は考えております。

荒木正三郎日本社会党(第四控室・左)

○荒木正三郎君 それからこれは旅券の問題にも関係するのでありますが、私は聞いておるのですが、在外同胞引揚の促進連盟では、その代表を中共に派遣をしてもいいというふうに聞いておるわけなんですが、こういう方面から旅券の交付を申請された場合に、政府はこれに交付する考えをもつているのかどうか、伺つてみたいと思うのですが……。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは今申した通り真相把握に努めておりますから、それによりまして事実ということになれば、更に具体的措置が講じられるわけであります。その具体的措置の一つとして、そういう問題が起り得るわけであります。我々としてはこれはほかのことと違いますからして、あらゆる困難を排除しても引揚の実行ということはしたいと考えておりますから、原則的には旅券を出すことに政府は反対であるとしましても、この問題についてそういうことが、旅券を出して人をやることによつて引揚が実行できるということなら、その原則をまげても引揚実行のほうに努力をすべきが当然であろうと考えております。

荒木正三郎日本社会党(第四控室・左)

○荒木正三郎君 別の問題になるわけでありますが、朝鮮動乱の問題でございます。  先ほど外務大臣はこの見通しについては全くどうなるかわからないと、こういうふうな説明をされたわけであります。併し日本国民といたしましては、この朝鮮の動乱が平和的な解決への方向に向うものか、或いは逆に戦乱が拡大して行くのか、非常に重大な関心を示しておると思うのです。そこでお伺いいたしたい点は、この朝鮮動乱に関係のある重要な情報と言いますか、ニユースと言いますか、そういうものは日本政府は国連軍なり或いはアメリカ政府から正式に受けておるかどうかという点でございます。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) ちよつとお断わりしておきますが、私が先ほど申したのは、言葉が足りなかつたかも知れませんが、朝鮮動乱の見通しがわからないと、こう申したのではなくして、休戦交渉の見通しがわからないということであります。(「同じことじやないか」と呼ぶ者あり)それからアメリカ側から朝鮮問題等についてのいろいろのニユースと言いますか、情報と言いますか、こういうものは常に受けております。    〔理事伊達源一郎君退席、委員長着席〕

荒木正三郎日本社会党(第四控室・左)

○荒木正三郎君 私ども朝鮮動乱の見通しということと休戦の見通し、まあそれは若干違うかも知れませんが、休戦の見通しが一応立てば、朝鮮動乱の見通しというものも自然に立つて来る。非常に深い関係を持つている。或いは一体の関係にある性質の問題だと思うのですが、そこに区別すべき理由ですね。外務大臣は動乱の見通しについてどうなるかわからないと言つたのじやなしに、休戦協定の見通しについては全くわからないと、区別されておりますが、区別されている理由はどこにあるのでございましようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) つまり休戦が成立しない場合の考え方としては、現状で、今の線で維持して行くということもありましようし、或いは北鮮の鴨緑江境まで乗り込んで行く、いわゆる荒木さんの言われる戦線の拡大ということもあり得るわけだと思います。それについては、これは軍事問題でありますから、私はそこまでの、戦線が拡大するであろうか、現状で維持するであろうかということについては、只今ここでどつちだというようなことを言いたくないのであります。又言うべきほどの非常な的確な見通しを持つておりませんけれども、私の申しているのは、ただ休戦交渉の見通しはなかなかつかなくなつたと、こういうことだけを申したのだという説明であります。

荒木正三郎日本社会党(第四控室・左)

○荒木正三郎君 それで朝鮮動乱に関する情報は、正式なものとしては、それぞれ日本政府は受けている、こういう説明があつたわけでございますが、その情報に基いて日本政府の意見と申しますか、平和解決への意見とか、こういうものについて、何らかの形においてこの意見を述べる機会を日本政府は持つているのかどうか。そういう点を伺つておきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは日本側で、何かいい考えがあれば是非聞きたいということは、始終言われております。

荒木正三郎日本社会党(第四控室・左)

○荒木正三郎君 それはまあ非公式なものでないと思うのですが、日本政府は平和解決への意見を述べる機会がある、こういうことでございますが、今日までそういうことについて何らかの意見を述べたことがあるかどうか、又将来についてもどういう考えを持つているか、伺つておきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは実は我々もそのときどきにおいて、具体的な問題については意見を述べますけれども、これはまあ世界中が頭を悩ましている問題で、帰するところは結局同じことになるのであります。我々も国連の状況も見ておりまするし、又その前の板門店の休戦会談の状況もかなり承知しておりまするけれども、結局どうも妥結に至らない、というのは恐らく共産陣営側で休戦を欲しないのであろうと、私個人は考えております。従つてちよつとその考えが変らない限りは、なかなか見通しはつかないのじやないかと、私個人としては思つておりますが、併しそういうような事情もありますから、なかなかこれこれがいいんだというような、こうこうすりや平和ができるのだというような、一刀両断的な案は今のところ到底考えられないというのが私の見かたであります。

平林太一自由党

○平林太一君 例えばこの朝鮮問題は世界中の目がここに集中しているということ、併しそれ以上に我々としては近接せる影響力というものを、非常に重大な国民の気持もここに寄つているわけであります。そこでこの問題に対しましては、外務省としてはいわゆる和戦両用の構えというものがなくてはならない。和戦、いわゆる朝鮮の問題が、休戦会談が成立した、そういうことに対しての態度、それからそれが不幸にして更に拡大したというようなことに対するところの、外務大臣はどういう態度を持つているか。いずれにしても、その二つに対して、個々の用意なり、考えなり、態度というものを、今日私は十分に考えておかなければならんと思うのです。殊にアイゼンハワーがこの間朝鮮に参りましたが、その結果といたしては、アイゼンハワー自身といえども、その後の状況を見ると、相当ジレンマに陥つて、今洋上会談というものが行われているということも伝えられているのでありますが、非常にこれは困つた問題であるということは、何か一刀両断にこれを処理することのできない事態に立ち到つておるというのでありますが、これに対しまして岡崎外務大臣は、いわゆる我が国といたして、影響力を非常に持つところのこの問題に対して、会談の成立に対して、今荒木さんのお話のあつたように、何か一つ協力的な態勢を構えるということの用意なり、構え、それから若しそれが不幸に陥つたときに、我がほうはどうするか。李承晩のごときは大分日本の悪口を言つたらしい。相当悪い印象を注ぎ込んだということで、それで一方的にそれが聞き入れられて、先方は帰つた。我が日本は、これに発言する……、それに対して外務当局が是正するなり、又我がほうの正しい立場を明らかにする機会を失つたというようなことでありますから、私は日本の立場というものは、同じように……、何か我が国の持つておりまする実質、その正直な姿以外に、歪曲されたことにとられておるのではないかというようなことを思うのでありますが、外務大臣はこの際まあ一つ、畢生の抱負、経綸というものが、この際御用意あつて然るべきだと思いますが、それもお伺いいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) そういう場合についてもいろいろ考慮はいたしておりまするが、私はすべてまだ、こうなればああなる、ああなればこうなるということでございますと、ここで申上げるのはまだ早いと考えておりますが、併しこうい問題はいろいろ考慮しなければならんことは当然でありますから、御意見がありましたら、是非一つ私のほうにも開陳して頂いて、いろいろ我々の考える参考にいたしたいと存じます。

平林太一自由党

○平林太一君 例えば水豊ダムの爆撃が行われたのでありますが、ああいうことが、今後更に第二のああいう国連軍の爆撃が行われますという際に、その際も御注意を申上げておきましたが、事前に、いわゆるこれが我が方に対して、最も利害、影響を持つ我が日本として、何らかの事前の我がほうとの打合せなり、了解と言いますか、その打合せでありますが、そういうものがこれは人道上あり得べきことでありますが、そういうことに対する確約……、もう起きてしまつてからは駄目なのでありますから、実際は協定としてこれは作られることを考えたいのでありますが、協定とは私は申しませんが、いわゆる確約、そういうようなものを、あのときにも御注意申上げておきましたが、その後いたされておるかどうか。それから又若しいたされていないならば、今後はこれをいたすそのお考えがあるかどうか。これについて伺つておきたいと思うのです。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは前にも申上げました通り、朝鮮の領土内における行動につきましては、これは国連軍司令官に一任されておるように私は了解しております。その他の地域に対する行動については、無論相談があるわけであります。

平林太一自由党

○平林太一君 相談があるということですが、非常にこれは今までと、更に当時水質ダムの爆撃が行われたときの状態と少しも変つていないのでありますから、そういうことは我がほうからも進んで、いわゆる国連軍司令官に対してそういう申入れなり、要請をして、そうして伺うがいけないという場合に、いけないというようなことに対して、こちらの態度というものが、そこでおのずから検討されるわけでありますから、それをどういうふうになさるかということは、極めて必要だと思うのでありますが、それに対する確たる御答弁を伺つておきたいと思うのです。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 行政協定第二十四条を御覧になりますと、両国政府で協議するということにちやんとはつきり書いてございます。これが一番はつきりしておることであります。

平林太一自由党

○平林太一君 この行政協定二十四条というものによつて抗議するということですが、これは駄目でありますから……事が行われて、爆撃が行われてしまつて、いわゆるその報復爆撃というものが我がほうへ来てしまつてからでは、何ら役をなさないものでありますから、ですからその事前に行政協定によつて抗議ができるというのでありますから、そういういわゆる本旨に準拠して、即刻そういうような事態を御用意なさるというようなことは、極めて妥当と思いますが、これは外務大臣として別にそういうことの御発言をなさる、そういう手配、手続を先方に要請して来るということは、一向差支えないことと思いますが、そういうことがいわゆる我が国民に対する外務大臣としての一つの忠実なる行為である。そういうものが依然として内閣の……、言葉の上で濁しておくということは、非常に何か、さらでだに国連に対する我がほうの態度というもの、或いはこの朝鮮問題に対する政府の表現というものが、全然口を緘して、何らの態度、意思表示というものが公表されていない。そういうことは非常に独立国になつたのに、依然としてアメリカの占領下にあるのかというような疑惑を非常に抱かれるのでありますから、たとえ一つづつでもそういう問題はいわゆる自主的な一つ何を、態度を一つづつとつて行かなきや問題にならんと、こう思うので、私これを申上げるのでありますが、重ねて一つ先方とのいわゆる確約をする意思があるかどうか、事前に我がほうとの打合せというものを今後確立して、尨大な爆撃戦略が行われるようになつて……これは行われなければ幸いであります。そうしてこれが平和裡に解決することをひたすら願つてやまないのであります。我々は併し事が逆な結果になつたときには取返しのつかないことになるのでありますから、その点を一つ改めて御答弁を煩わしたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 今行政協定による抗議というふうに聞えましたが、協議であります。

平林太一自由党

○平林太一君 ああ、協議であります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 協議をするということになつておるのであります。

平林太一自由党

○平林太一君 それでは水豊爆撃のときにはそういうことをなされたのでありますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 朝鮮の中は別であります。こう言つておるのです。

平林太一自由党

○平林太一君 それならそれはあなたがおつしやるその行政協定の問題を言い出す必要はない。朝鮮の問題が別なら、こちらは朝鮮の問題を聞いておるのだから、朝鮮問題に対してのそういう態度、これの事前に先方との確約、約束というようなものを改めてなさるということが必要だということを言つておりますから、それならそういうことで一つ御答弁が願いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 朝鮮の内部における軍事行動につきましては、これは国連軍司令官に一任されておつて、各国ともにこれを承認しておると私は了解しております。

平林太一自由党

○平林太一君 それは我がほう、日本としては極めてそういうことを言つていられないのでありますから、それがいわゆる独立国の外交であるのでありますから、聞き容れられる、聞き容れられないということは、これは別個の問題である。そういう折衝、交渉をすべしということを、今私のほうから外務大臣のほうに要請をしておるのでありますから、それに対してイエスか、ノーか、できるのだとか、できないのだとかいうように、非常に廻りくどいことをいろいろ御説明なさる必要はないと思うが、それを切にしなきやならんので、それを私は要求しているのでありますから、御返事を願いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 御意見は承わりましたから、考慮いたします。

平林太一自由党

○平林太一君 外務大臣は考慮をいたすというようなことでは、それなら一つ何かこの場所を一時逃れに逃れて、そうしてあとはそのままに流れてしまうというようなことになることは、国会の最高の審議機関としてのこの議場において、私どもの要求に対してそういうようなことでは、甚だこれは私は外務大臣としてその職責に対して、いわゆる法理的に考えましても、又道義的に考えましても、相成らんものと思います。でありますから、かようなことは常識上考えて一向差支えないものだと思うのですから、事前に一つ、非常に日本は影響を持つのだ、爆撃が行われるということによつて……、だからそれに対してのこちらの要求もあり、又その事情を考えて、そういう場合には爆撃をするということが非常に我がほうとして、日本の立場だけではなく、世界の平和上にそれが阻害になるというような場合には、インドのような国は今日ああいうふうな態度さえ表明しておるのでありますから、もう少し何か外務大臣としていわゆる自主的な、或いは敢然としてこの問題に対して平和のために経論を立てようというような態度は、これは当然のことでなければならないのでありますから、又そういうことを冀うから、外務大臣というものの存在があるのでありますから、そういうものが必要ないのでありますれば、日本の閣僚の組織の中に外務大臣は必要ないのでありますから、それだから、その点を私は切に、殊に一つの事例を挙げまして、かような問題は今日出た問題ではない。すでにあのときのなにで非常な苦い経験を嘗めておるのでありますから、この次には取返しのつかないことができてしまう。そうすると、決してこれはアメリカに対しての何か反アメリカ的なものの表われではない。ことによると、そういうときに良薬は口に苦し、信言耳に逆うかも知れない。ことによると、米国を助けるゆえんになるかも知れない。そういうことがその場合に、我がほうに対して事前の何か打合せなり交渉があつて、敢えてそのときに、ただ形式的にそういう影響があるから、日本を恐れるためにそういうことを言うのではない、まあここは一つ我慢なさいとか、いろいろとそこに私は独立国の日本外務大臣として米国に対して、いわゆる相共に交わりを結んで行く上においても非常な大きい頼りになる、米国に対しても非常に親しみを持たせ、いわゆる頼りになる、信頼ができる日本になるということの態度も、そういう場合に発揮することができるということも、これは考慮せられるのでありますから、この問題は事前に、いわゆる今後の拡大せる朝鮮事変の進展した大きな、いわゆる水豊ダムに比較するような、又はそれ以上の大きな爆撃に対しては、事前に一つ打合すべきだ、しなければ困るのだという交渉を……、ですから向うに聞き入れられる、聞き入れられないという問題ではありません。そういう事前に確約をする交渉をいたす御意思をここではつきり申して頂きたいと思います。それを聞いておるのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 私は朝鮮の領土内においての軍事行動については、過去の経験から見ましても、又各国の考え方によりましても、それによつて戦線の拡大ということにはならないと信じておるのであります。従いましてその範囲内のことについての軍事行動に制肘を加えるような、いやしくも行動のあることはすべきでないと考えておるのでありますが、今折角の御意見もありまするから、私の考えはそのようでありますが、更に御意見を伺つて十分考慮いたしたいと、こういうわけであります。

荒木正三郎日本社会党(第四控室・左)

○荒木正三郎君 今の問題について、一、二質問が残つておりましたので、それだけをお尋ねいたしたいと思います。日本政府の見解なり意見というものを述べる機会がある、こういうことでありましたが、この戦線拡大の問題でございますが、この問題につきましては、ヨーロツパ各国においても戦線拡大については反対であるというような意向のように私は聞いております。こういう問題について日本政府の見解をアメリカなり国連に対して十分述べてあるかどうか。これと関係いたしまして、最近台湾にあるところの国民政府軍、これを起用するとかしないとかいう問題が起つております。この問題も我が国には非常に影響の大きい問題であると私は考えておりますが、こういう問題についても日本政府の意思を表明しておるかどうか、こういう点についてお伺いしておきたいのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 戦線拡大と言われるのはどのことでありますか。それはいろいろ範囲があろうと思います。私どもの申しておるのは、朝鮮の領土の範囲外に拡大された場合の問題を今まで言つておるのであります。

荒木正三郎日本社会党(第四控室・左)

○荒木正三郎君 その意味を明らかにしておきますが、或いは朝鮮領土内においても原子爆弾を使うとか、新たなるそういうことを考える場合に、或いは更に満洲を爆撃する、そういう意味において新らしい戦線拡大の問題について反対であるのかどうか。こういうことについて日本政府はあらかじめ意思表示をしておるか、これは各国は私はやつておると考えております。そういう意味でございます。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 先ほど申した通り、朝鮮以外に戦線の拡大するような場合には、これは協議することに当然なると思います。これに対してはまだそんな具体的の意向が出ておりませんし、又その実際の事態がどういうことになるかによりますので、意見をまだ述べる時期に達していないと考えております。  なお第二の御質問の点は、国府と国連の間の問題でありまするから、直接には我々は関係がありませんけれども、併しこれは無論噂にとどまつて具体的になつておりませんから、今までのところは注意して事態を見ておるという程度であります。

荒木正三郎日本社会党(第四控室・左)

○荒木正三郎君 これは国連軍と国府軍との関係であるというふうにして片付けることのできない問題が私はあると思う。特に朝鮮に国府軍を使用するということになれば、私は中共との関係において新しい問題が起る可能性もあると考えておりますので、日本にとつても非常に重要な問題であると思います。それを一つも関係がないようにお考えになつておるのは、私はどうも了解しがたいのでありますが、又日本は国連軍に駐屯を許して非常に大きな協力をしておるわけなのであります。そういう立場から言つても、又国府軍が参加することによつて、国府軍の参加ということは私は戦線の拡大をも伴う重大な問題だと思う。そういうことについて、そういう事態が起つてからというのではなしに、あらかじめいろいろの問題を検討して意思表示をしておくことは必要であろうと思う。又戦線拡大の問題についても同様であろうと思う。そういう事態が起つてから協議をするというのでは十分な外交ではないと思う。現にこういう問題についてはフランスにしても、イギリスにしても、はつきりその態度を表明しておる。私は我が国のそばで行われておる、こういう戦乱について、これは十分あらかじめ意見を述べておくということは当然な外交的な問題だと思うのです。重ねて一つお伺いしたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) でありますから、私は事態を十分注意しておると言うのでありまして、何も手遅れになつてから話をするというのではありません。併しまだ具体的に何も起つておらないのであります。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 私は戦線拡大というようなことを予断して質問しておるのではございませんから、その点を先ず明らかにしておきますが、ただ先ほどの平林委員の御質問に対する外務大臣の御答弁は、私がこの前外務委員会で総理に御質問申上げた点に対する総理のお答えと、ちよつと食い違うように思うので、明らかにして頂きたいと思うのですが、私は勿論水豊ダムに関連して申上げたわけです。水豊ダムは勿論朝鮮領土内にあるわけですが、而も日本はイギリスの場合と違いまして、国連軍の軍事行動そのものには直接勿論関与しておるわけでもありません。併しやはり日本としては、そういつた意味の必らずしも朝鮮領土内であるとかないとか、或いは外だというのじやなくて、領土内であつてもかなり大規模な軍事的政治的な攻勢が仮にとられるとすれば、やはり日本がいろいろな関係で、安全に大きな影響を受けることは当然であるから、イギリスとは立場は違うけれども、そういうような水豊ダム的な、あなたのおつしやる行政協定第二十四条じやなく、朝鮮地域以外という意味じやなく、朝鮮地域以内でも仮にそういうような大規模な軍事行動がとられるような場合には、その政治的の影響を受ける日本としては、あらかじめそれについての事前の協議を受けるべきではないか、こういうことを申上げたわけです。それに対して私の承知する限りでは、協議を受けます、それは協議を要求すると、あらかじめ確約しておられるとまで、はつきり答弁されたとは私も公平に考えておりません。協議を受けるぞというような肯定的なことを言われた、私はさように考える。従つてただ二十四条の朝鮮地域以外に対する拡大の場合に、行政協定第二十四条に従つて、当然に協議を受ける権利があるという問題とは別に、いわゆる水豊ダム的な、いわゆる政治的にも軍事的にも大規模な拡大が起るような場合には、総理の意思としては、その答弁からみて、これは当然日本が協議を受けることを要求する。私はさように聞いてそのまま了承するということを申上げた。若しそうだとすれば、今の平林議員に対する外務大臣の御答弁はちよつとどうも総理の答弁と少し食い違つておる。必らずしも今直ちに伺うということではありませんが、これは非常に重要な点ですから、あなたからでも別な機会に総理と打合せの上にはつきりとした御答弁を願いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは私は総理の答弁は今記憶しておりませんが、恐らく総理と打合せしなくても、今まで私の申したことでも、これはばらばらに言いましたから意思がはつきりしなかつたかも知れません。初めにどなたかの御質問に対して、朝鮮問題については始終意見の交換をやつておる、交換といつても、こちらのもらう情報のほうが無論多いわけですが、且つそれについていろいろ日本側の意見も出しておる。つまり始終隔意なく意見の交換をやつておる、こういうことを御答弁したわけです。従つて重要なる意義を持つような報道がある場合、或いはそれでなくても、始終いろいろの情報も得、意見も求められておるのであります。その点は何ら……、実際上、事実今行なつておるわけであります。ただ何々の行動をするときは事前に協議をすべしというような確約を求めよというようなお話でありますから、それは軍の報道を請求するようなことになるから、それは我々としては面白くないと思つておる。こういうことを平林議員にお答えした。初めにも申した通り、現に始終意見の交換を行なつておりますから、さよう御承知願いたい。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 ちよつとおかしいのですがね。総理に対して私がそう要求したのは、あらかじめ水豊ダムの爆撃については事前に知らしてもらつたか、協議と言わなくても通報でもいいですが。それはなかつたと、こう言われた。してみると、あなたの言つておられるしよつちゆういろいろな話合いがあるという、つまらない話合いがあつても、重要な点については話合いがなかつたということになるので、それは困るから、かような大規模な攻勢等については、もとより軍事上のことであるし、我々が軍事行動について、掣肘であろうが……、一切私たちは関与したくない、国民として……。併しその影響が如何にも大きい問題であるから、さような平素の話合いの中に、こういう重要なものを漏らしてもらつちや困るから、必ず一つ協議を受けるようにして欲しい。これは日本の意思として当然そのくらいのことは要求すべきではないか。私は必ず確約を求めるとは申しませんでしたけれども、事前の協議を要求して欲しいということに対して、協議を受けますと、こう言つたのであるから、やはり今のあなたの平林議員に対する御答弁では、私の承知する総理の気持よりも非常に遠慮深すぎて食違いがあると思います。もう一遍御相談の上御答弁願いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) どうも今私は、総理の答弁も調べてみますけれども、私は総理と私が意見が食違つておるとはどうも思えない。併し水豊ダムのような場合、これはまあ国の立場立場によつて違いましようけれども、軍事行動として一定の機密を保つてやらなければならんということも、これも当然のことであります。ただその場合に政治的のいろいろの影響もあるでありましよう。併し水豊ダムでいろいろな反響もありましたから、又考えも先方も変つて来ておることも考えられます。私は今後、ずつと今まで話をしておりますが、事前に報告がいろいろな問題で無論ある。それは細かい問題に限るものではないと信じております。

岡田宗司日本社会党(第四控室・左)

○岡田宗司君 ちよつと議事進行について……、すでに一時十五分でございますが、午後外務大臣が御出席になられるようでしたら、休憩をしてお続けを願いたいと思いますが如何でございますか……。

徳川頼貞自由党

○委員長(徳川頼貞君) ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止〕

徳川頼貞自由党

○委員長(徳川頼貞君) 速記を始めて……。それでは継続いたします。

平林太一自由党

○平林太一君 外務大臣に締括りをつけて置きたいと思います。それで今外相の答弁を伺つておりますと、誠に何か事務的に、誠にすつきりしていないのでありますが、例えば軍事行動について容喙するということのお話であるが、軍事行動は、それは容喙すべき問題であるかどうかということは先方が判断すべき問題である。ですからこちらのほうが事前に、こういう問題に対しては大きな爆撃の行われることに対しては影響力を持つ日本として、これこれの処置を必要とするから、事前に我が方に協議なり打合せをいたすべきであるということを、この際正式に国連軍司令官に又当該者に向いまして、外務大臣がそういことをなされることは少しも私は差支えないことだと思います。そういうことが向うで差支えのあることであれば、いや、さようなことは我がほうでいたすべきものであるといつて突つぱねるべきものであるか。それともその点は十分考慮して、改めて一つ協議のことに対しては、若し正式に忠実にやるというならば、或る程度のいわゆる覚書でありますとか、こういう確約、こういうものは、これは出べきものでありますが、併しそれを先方が拒否するという場合は又別個の問題であります。でありますから、それを直ちになさるように、そのなさる御意思をここで表明せられるということは、別にこれは何かそれを非常な、彼を思いこれを遠慮するというような問題ではない。それこそ私は立派な外務大臣の御態度であると思います。それで私はむしろ外務大臣としての岡崎君の大をなさしめんことを非常に衷心から願つておるから、そういうことをひそかに願うのでありますから、一ついたしますとか、そういうことは併しできませんとか、これは一つ外務大臣の私は識見というものに対しまする、非常な力というものを、ここで正直に国民の前に表明せられることになるのでありますから、一つはつきりここで御答弁願いたいと思います。いたしますというように言つて一向差支ないのですから、これは、別に何か非常に御遠慮なさつておるようでありますが、ちつとも差支ない、第三者として影響力を持つ我が国として……。現に今じや国連軍の中に入つておるのでおりましようが、米国は曾つてのマツカーサー元帥の時代にも相当な朝鮮問題の最後的、いわゆる大きな爆撃を加えるという、すでに米英両巨頭会談が行われた。そうしてその結果がそれをいたさないということになつて、これはここに英国の影響力が米国に強く響いて、そうしてその一触即発の事態が当時免れた。そうしてとにかく今日まであの問題が大きな大戦争に波及しないというような、そういうように今日まで持越しておるということは、今日いわゆる米国を除く、英国の態度なんかとしては私は変りないと思います。それが、如何に人類の大きな世界平和というものに貢献したかということを思うにつけましても、今度行われまするところの、例えば大きな爆撃というものは、私は口にすることも忍びない、単なる爆撃ではないのでありまして、そういうようなことに対しては、私はこういうことを外務大臣が言われるということは、決してわが方の、わが日本が我を守るということだけではなく、独立国といたしまして進んで大きな、これが英国と同様に大きな米国に対する一つの非常な忠言と言いますか、そういう頂門の一針と申しますか、そういうことによつて誰をも助けなければならぬ。こういうことに私は関連をいたしますので、この問題を重大視しまして、外務大臣の今までの御答弁からいたしますれば、何かお言葉を濁しておられるのでありますが、そういうことになれば、重大なる一つ御決意を、この際御答弁願うように私は要請してやまないのであります。明らかに一つそういう何をいたして頂きたいと思います。併し今ここでそれに対する答弁ができないということでありますれば、次回にまでそれを保留いたしてもいいのでありますが、実はここで御態度を表明すれば、非常に御立派だと思う。そういうことで一つ重ねてお伺いいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) お話十分に考慮いたします。

杉原荒太自由党

○杉原荒太君 一つ重要なことで大臣にお尋ねしたいと思います。それは中共政府によつて代表されておる中国との関係に対する外交方針についてであります。私がなぜこれをお尋ねするかといいますと、十二月、今月の三日の本会議において外務大臣がこの点に触れられて、私はそれを非常に重大な発言だと思つて実は聞いておりました。念のために私この速記録を取寄せて見たのですが、私の耳で聞いた通りのことでありますが、ここにこういうことがある。それは三輪議員との質疑応答でありますが、外務大臣の答弁の中に途中から読みますが、「何故中国との間直接交渉をいたさないのか。こういうお話でありまするが、これはもう中国が、サンフランシスコ平和条約を認めて、調印さえしてくれれば、これで当然、直接の交渉はできるのであります。」というのが一つある。それからあとのほうに又「我々としては、中国も速かにサンフランシスコの平和条約に参加されんことを望んでおるのであります。」と、こうある。ここに大臣の言つておられる中国というのは、問答の前後の関係からいたしまして、これは中共政府によつて代表されておる中国であるということは明瞭であります。そこでこの外務大臣の答弁の、これは殊に後段のほうが非常にはつきりすると思うのですが、これによるというと、中共政府によつて代表されておる中国との間に講和条約締結の意思ありと、当然にその中には中共を承認するの意思ありと、方針そのものとしては、これが現実にいつ如何なる条件でできるかを別にしても、方針としてはさような方針をとつておるということが、この背景にあるように聞けるのです。又読めるのです。この点について、外務大臣、従来政府のとつておられる中国に対する外交方針とそれから少し……少しじやない、大いに違つた点があるように私は思われるのですが、その点一つ御説明願いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) その速記を読んで見ないとわかりませんが、我々のほうは原則としては多数講和でありまするけれども、全面講和であらゆる国との講和が望ましいということはしばしば申している通りであります。そこで併しそこにどういうふうに私述べましたか、我々、私の今でも、それから前から持つておる考え方としては、形はサンフランシスコ条約に調印すれば、これは中国を国と認めるか認めないかという議論は、これはありましようけれども、いずれの国でもそれで平常関係が成立すると思いまするけれども、その前提として、中国に関する限りは、引揚の問題もあり、中ソ同盟条約の関係もあり、日本の漁夫や漁船の抑留問題もあり、又北京等からの日本に対する暴力革命を扇動するような、こういう問題が解消されてから、平和条約に入る段階になるというふうに始終言つておりまするし、今でも私はそう考えております。若しその答弁の中にそういう趣旨が載つていないとすれば、或いは誤解を与えるかも知れませんからして、後ほど訂正の措置を講じます。

徳川頼貞自由党

○委員長(徳川頼貞君) 若し御異議がなければ、今日はこの程度にいたしまして明後日一般質疑の継続をいたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十八分散会

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