運輸委員会 第26号
- 発言数
- 74 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/03/10
会議録
○委員長(小泉秀吉君) それではこれから運輸委員会を開会いたします。 先ず水先法の一部を改正する法律案を議題といたします。 〔委員長退席、理事高田寛君委員長席に着く〕
○理事(高田寛君) それでは本案につきましては、別段質疑はございませんか。 〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○理事(高田寛君) それでは質疑は終つたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(高田寛君) それでは御異議ないものと認めます。 それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正御意見がございましたら、修正案文及びその修正の理由は討論中にお述べを願いたいと思います。
○小泉秀吉君 私は本案に対してこのままでは賛成を表しがたいのでありまして、修正意見がありますので、先ず原案に対して修正の動議を提出して、更に論議を進めたいと思いますが、よろしうございますか。
○理事(高田寛君) どうぞ。
○小泉秀吉君 ではちよつと読みます。 水先法の一部を改正する法律案の 一部を次のように修正する。 第三十条の改正規定を次のように改める。 第三十条中「水先」を「水先の業 務」に改める。 以上でございます。なぜこういう修正を必要とするかと申しますると、政府委員の説明のうちにも、旧法の第三十条に「水先」とあるのを「水先の業務」と変えたということの説明に、水先とは水先区において般舶に乗込み当該般舶を導く行為を指すものであるから、かかる規定の仕方によつては運輸大臣が水先業務運営の全般について一般的監督を行うことができるかどうか明確を欠く嫌いがあるので、本法案においてはこれを「水先の業務」に関する事項と改めて、この点を明確にする、ということに同意をいたしまして、私は第三十条の「水先」を「水先の業務」に改めるということにしたいのでありますが、更に政府原案によりますると、その新らしい三十条に二項を一項加えまして、そうして適正な水先料の設定、水先サービスの向上、その他水先業務の適正な運営を確保する措置をとるためにこの二項一項を加えたということになつておりまするが、その条文は、私ども立案者の心情は十分わからないでもありませんけれども、これだけでは水先人の真実の経理現状が必ずしも明らかになるとは思われないのであります。更に立法の効果も疑わしいと存ずる次第でありまして、水先人の監督につきましては、例えば水先料金の立て方の改革であるとか、或いは水先人協会の強化をするとか、適切なサービス改善の命令をするとか、その他新しい構想による一連の有効適切なる監督方法を考えるべきであつて、その際に本条のような規定が必要であるかどうかということをも愼里に考えたらよいと思うので、本法案のごとく突如としてこの監督、いわゆ ○水先人或いは水先組合を監督するのにその帳簿を提出させるというようなことを法律で作る、ただこれだけでそり実効を挙げようというふうな意味には思えないばかりでなく、こういうことをするために水先人の私生活に立入るような悪いフィーリングを起させるりみならず、延いては水先業務の運営を害し、サービスがむしろ悪くなるというような逆効果があるかも知れないこ憂慮されますので、この際は一先ずこれを削除して、他の方法で適当なる納得の行くような監督をする工夫をこらすほうが遥かによいと思いますの言、只今申上げたような修正案を提出し、この修正と共にあと全部本法案に賛成をしたい、こういう動議を提出するものであります。
○理事(高田寛君) ほかに御発言ございませんか。他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(高田寛君) それでは御異議ないものと認めます。 それではこれより本案の採決に入ります。先ず討論中にありました小泉君の修正案を議題に供します。小泉君提出の修正案に賛成のかたの御挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○理事(高田寛君) 全会一致でございます。よつて小泉君提出の修正案は可決されました。次に、只今採決されました小泉君の修正にかかる部分を除いて内閣提出にかかる本案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成のかたの御挙手を願います。 (賛成者挙手)
○理事(高田寛君) 全会一致と認めます。よづて本案は全会一致を以て修正可決されました。なお本会議の委員長の口頭報告の内合等、事後の手続は慣例によりまして委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(高田寛君) 御異議ないものと認めます。次に、例によりまして多数意見者の脚署名を願います。多数意見者署名 小泉 秀吉 岡田 信次 小酒井義男 植竹 春彦前之園喜一郎 小野 哲入交仁田一松内村太藏竹一政二溝次 ————————————— 〔理事高田寛君退席、委員長着席〕
○委員長(小泉秀吉君) ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(小泉秀吉君) 速記を始めて。 それでは先ず、海上保安官に協力援助した者の災害給付に関する法律案を議題といたします。御質疑のおありのかたは御質疑を願います……、別に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小泉秀吉君) 御異議はないと認めます。 それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がございましたら、修正案文及び、その修正理由を討論中にお述べを願います。
○一松政二君 私は本案に大体賛成いたしますが、更に原案に対してもう少しその範囲を拡げて修正案を提出いたしたいと思います。その理由は海上保安官に、あれはその要請があつて協力した場合ということが原案にありまするけれども、広い海原で、そうして緊急を要する場合に必ずしも保安官が随所にいると限りませんので、同じく海難救助に赴くいわゆる犠牲的精神はこれは何人も持ち合せなければならんと思うのでありまして、一体それは国が災害を補償しようと補償しまいと、今まですでに多くのそういう類例はありますわけでありますけれども、海上保安官に協力援助して給付をこれに与えるならば、ひとしく保安官がいないでもみずからその救助に赴いた者に酬いる途があつて然るべしと考えるわけであります。従つて私はその保安官のいない場合に協力援助した者に対して給付をなし得るように本案の修正をいたしたいと考える次第であります。従つて私はその精神から本案の案文それ自身もそれに呼応して修正しなければならんかと存じますから、一応修正案を読上げます。 海上保安官に協力援助した者の災害給付に関する法律案に対する修正案 海上保安官に協力援助した者の災害給付に関する法律案の一部を次のように修正する。 題名及び第一条中「協力援助した者」を「協力援助した者等」に改める。 第三条中「前条」を「前二条」に改める。 第四条第一号中「協力援助者」の下に「、第三条に規定する場合において海難救助に従事した者を含む。以下同じ。)」を加える。 第三条を第四条とし、以下順次一条ずつ繰り下げ、第二条の次に次の一条を加える。 (国の給付の特例) 第三条海難の発生に際し、前条の場合を除き、海上保安官が当該海難の救助の職務を執行し、又はこれに協力援助を求めることが相・当と認められる場合に、職務によらないで自ら当該救助に従事した者が、そのため災害を受けた場合には、国は、この法律の定めるところにより、給付を行うものとする。 以上であります。右の修正案に対して御審議を願いたいと存じます。
○前之園喜一郎君 只今一松委員から修正動議が出ておりますが、私はこの修正に賛成をいたします。 この修正は極めて適切なものであつて、当然この法律の中に加えるべきものであろうと思うのであります。保安官に頼まれたときだけ国が災害に対して給付をするということでなく、むしろ自発的にやつた場合には、より多く国はこれに酬いなければならないものであろうと考えるわけであります。この法律がなかつたために、従来こういうような自発的に海難の救助におもむいて、思わざる災害を受けた者が相当にあるだろうと考えるわけでありますが、この法律は公布と同時に施行されることになるわけでありまするけれども、その以前の、こういうような災害を受けた者、即ち自発的に海難の救助におもむいて災害を受けた者、例えばこれは私のほうの国のことでありますが、一昨年のルース台風の際に鹿児島県川辺郡笠沙町の消防団員が二十名ほど、二十数名でありますか、海難救助におもむいて、丁度そのときは十メートルぐらいの高潮であり、風速四十メートルぐらいであるというので、その沖合で船が顛覆いたしまして全員死んだのであります。こういうようなものに対して、当時国は何らの手も打つていないということを我々は聞いて非常に遺憾に考えておつたわけでありますが、古いものは別として新らしいもので、最近のものでそういうような実例があるならば、この際そういうものも御調査になつて、国の予算の許す範囲において適当な手を打たれることが私は必要であろうと考えるわけであります。そういう意味におきましても、この修正は非常に適切妥当なるものと信じまするので、賛成をいたします。
○小酒井義男君 各員から理由は説明をせられておりますので省略いたしますが、私もこの修正案と修正の部分を除いた原案に対して賛成いたします。
○委員長(小泉秀吉君) ほかに御発言はございませんか……、他に意見もないようですから、討論は、終局したも のと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小泉秀吉君) 御異議ないと認めます。 それではこれより本案の採決に入ります。先ず、討論中にありました一松委員の修正案を議題といたします。一松委員提出の修正案に賛成のかたの御挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(小泉秀吉君) 全会一致と認めます。よつて一松君提出の修正案は可決されました。 次に只今採決されました一松君の修正にかかる部分を除いて、衆議院提出にかかる本案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成のかたの挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(小泉秀吉君) 全会一致と認めます。よつて本案は全会一致をもつて修正議決せられました。一 なお本会議の委員長の口頭報告の内容等事後の手続は、慣例によりまして一委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小泉秀吉君) 御異議ないものと認めます。 次に、例によりまして多数意見者の御署名を願います。 多数意見者署名 岡田 信次 高田 寛 小酒井義男 入交 太藏 植竹 春彦 仁田 竹一 一松 政二 前之園喜一郎 小野 哲 内村 清次 —————————————
○委員長(小泉秀吉君) 次に臨時船質等改善助成利子子補給法案に対して大臣の説明をこの間伺ひましたが、少し詳細な説明を政府委員から伺いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小泉秀吉君) それではそれを議題にして説明を一応伺いましよう。
○政府委員(岡田修一君) 臨時船質等改善助成利子補給法案につきまして御説明申上げます。 現在日本の海運といたしましては、外航に就航できないいわゆる内航船の船腹過剰に悩んでおる状況でありまして、昭和二十七年度一年間における内航輸送量を予定いたしますると、大体千九百六十万トン、月間百六十三万トンぐらいでございますが、これに対して所要の船腹は七十七万重量トンで足りるわけであります。ところが現在の内航船腹は約百万重量トンでございまして、二十三万重量トン余りが過剰になると思います。そのほかに外航船腹で外航から内地に帰つて参りまして、内航、河川に使用するものが相当あることを考えますと、その過剰船腹は只今申しました二十三万重量トンよりも遥かに多いということであります。而もこの内航船腹のうちいわゆるE型船と称しておりまするものは戦争中に作りました船の中でも最も劣悪のものでございます。そのうちでも石炭を焚くものにつきましては石炭代が非常に高くつくということと、まあ船の性能が悪いということにおきまして、船主経済的に行きますと、全く価値がないというふうなものでございます。内航船腹は先ほど申しましたように絶対過剰であつて、且つE型船並びにこれに準ずる老齢船が船主経済的に見て無価値であるという点から見まして、日本の海運の健全なる発達を期する上からこれらの低性能船を解撤するということが焦眉の急務であるわけでございます。併しこれを単に解撤するというだけでは、それだけでは業者の救済に堕するという点もございますので、これを戦前にも実施いたしましたごとく、船質改善という考え方に結びつけまして、これらの船舶の修理を実施いたしたい、かような方針をとつたわけであります。即ち戦前におきましては優秀船を一隻作りまするのに、それに相応するトン数の船を二隻つぶすという方針をとつたのであります。今度は外航に従事する新造船を一隻作りまする場合に、只今申しましたごときE型船或いはこれに準ずる老齢の小型船を二隻つぶすという方策をとるというのであります。併しそういたしますると、外航船を作る船主の負担がそれだけ殖えまするので、その船主の負担を一部軽減する意味におきまして、それら船主が外航船を建造する場合に市中銀行から借りまする分につきまして、前国会で成立いたしました船舶建造に対する利子補給法、これによりまして大体市中からの融資の金利が七分五厘になるようにその差額を政府が利子補給するという方法をとつたのでありますが、今度はそれに附加いたしまして、後ほど申しまするように更にその利子補給率を高めるということによつてその新造する船主の負担を軽減する、かような方法をとつたのであります。これによりまして大体本年度の外航船の新造予定が三十五隻余りを予定しておりまするので、一隻新造する人が二隻つぶすというふうにいたしますと、大体七十隻の船が解体される、かようなことに相成るわけでございます。重量トンにいたしまして約十万重量トンを解体いたしたい、かように考えておるのであります。 お手許に配つております法律案の要綱につきまして概要を申上げます。法律の目的でございますが、低性能船舶いわゆるE型船並びにE型船に準ずる小型の老齢船、これは申し落しましたが、E型船と申しますのは大体総トン数で八百トン余り、重量トンで千三百トンから千五百トン余りの小型の船でございます。そういう船の所有者でその船を解撤しようとするものが外航船を建造する場合においては、その外航船のために市中銀行から融資を受けたその金に対して政府が利子補給をする、一般の利子補給のほかに特別の利子補給をする、こういうことでこの低性能船舶の解撤と、そうして外航船の建造を奨励しようというのが本法の目的でございます。その低性能の船を解撤しようとする船主は、二十八年の一月一日から二十九年の三月三十一日までの間に着工される外航船の建造を注文する場合に市中金融機関から融資を受ける、その受けた融資に対して利子補給をするということを政府がその金融機関に対して契約を結ぶわけでございます。従つて金融機関は政府から利子補給を受けた金額だけ安くした利・子の金をその船主に融通する、こういうことになるわけでございます。この政府と金融機関との間の契約は大体昭和二十八年度から八カ年以内とする。大体この市中銀行の融資が五カ年に亘るものがございまするので、この融資の利子補給を受ける期間が大体七年若しくは長くて八年の年度に亘るわけでございますが、その最長期の八年をとりまして八カ年度以内というふうにいたしているわけでございます。 それから政府が利子補給契約を結ぶ場合には、利子補給の総額が国会の議決を経た金額を超えないようにしなければならないということでございます。この利子補給金の総額は今度の予算案に盛られてありまして、全年度を通じます予算が一億八千五百二十二万円、二十八年度内だけに計上いたしておりますのは、三千四百万円でございます。 それからその次が非常にややこしいのでございますが、この利子補給金は、その利子補給という契約をした融資が最初に行われた日からその対象になる船舶が引渡されたのち二カ月までに行われた融資についてだけやる。これは初めはわかりますが、終りの当該船舶の引渡後二カ月というふうに区切つておりますのは、中には船の建造につきまして、スライド制を使つておりまして、引渡後五、六カ月後にうんと船舶を高くして更に融資を受けるというふうなことも出て参りますので、そういうことを防ぐ意味におきまして、引渡後二カ月までに行われた融資についてこの利子補給をやる。而もその利子補給の率につきまして二段階に分けておりまして、この船舶引渡の日までの融資の残高、即ちこの船舶の融資は大体契約のときに四分の一、それから着工の折に四分の一、それから進水の折に四分の一、それから引渡のときに四分の一、こういうことになつております。従いましてこの法律では契約のときと着工のときとそれから進水のときまでの金については二分の利子補給をする。それから竣工してしまつた後、即ち融資のまあ全額、市中銀行から融資を受けた全額については五厘、こういうふうに区切つております。で、これは実はすべての最初から年五厘というふうにいたしますると、新造する船主が最初に受ける利子補給というものが非常に僅かな金額になる。ところが一方において船は新造に着手、新造が決定すると、まあ間もなくその船の解体の措置をしなければならん。そうすると船の解体する措置によつて、或いは担保物権がなくなるとか、その他その船主負担が殖えるわけであります。その船主負担が殖えるものと、それから年五厘の利子補給では国から受ける助成との差が余りにも大きいというので、当初の年度だけまあ二分というふうにその率を上げたような次第でございます。 それからこの利子補給は金融機関が政府から受けるわけでございまして、従いまして利子補給金の支給を受けた金融機関はその利子補給金に相当する金額だけ利子額をまあ差引いてやる、船会社から金融機関に払う利子額を引いてやるということに相成るわけでございます。 それからこの利子補給はこの低性能船を解撤するとか、或いは解撤のために売払うとかいうふうなことのために補給するのでございまして、若しそれの適用を受けた業者が、その解撤をしなかつたり、或いは解撤のために処分をしなかつたというふうな場合には、その利子補給金の返還を求めるということに相成つております。 それから金融機関が同様にこの法律に違反するような場合には、その金融機関に対する利子補給金の全部又は一部を停止若しくは返還を求めるという規定でございます。大変簡単でございまするが。
○委員長(小泉秀吉君) 御質疑のおありのかたはどうぞ。
○岡田信次君 この前の低性能船舶買入法のときに、あれを実施すればもう日本には低性能船舶はなくなるのだ、極端に言えば……、というような御説明だつたんですが、今回のこれの御説明によりますと、なおそういう低性能船舶がある、一体これはどういうわけですか。
○政府委員(岡田修一君) 前回におきましては総トン数で四十万総トン、重重トンで六千万重量トンの船をまあ政局予算では二十七億かけまして買上げる予定だつたのでございます。これに対しまして、丁度その申込みをとつておりまする途中に朝鮮事変が起りまして、丁度この解撤の対象にいたしておりまするような中型或いは小型の船か、米軍の朝鮮作戦のために、大量需要されるという情勢が急激に出て参つたわけでございます。従いまして、業者としても、今後海運界がどういうふうになるかわからんというので、政府に対する申込みを躊躇いたしますると共に、政府のほうにおきましても、今後木軍側からどれだけの協力要請があるかも知れない、そういう場合に、こういう船をすつかりつぶしてしまつた場合に、これが米軍の需要にも応ぜられなくなるかも知れないというふうな懸念も生じたりいたしまして、業者が中には、申込んで取下げを申出る者もあつたのでございますが、そういう者に対してこれを許容するというふうな態度をとつたり、結局政府の予定では六十万重量トンの解撤を考えておりましたが、実際解撤されましたのは二十万重量トンでございます。従いまして、当時におきまして、すでにその当然解撤されるべきものと期待しておりましたものが四十万重量トン余り残つておるわけでございます。二十七億の予算でありましたが、実際使いましたのは十億余りでございます。これに対しまして、政府はその買上げたものをスクラップにして売つた、そのスクラップの代金が約八億くらいございました。実際は二十七億の予算となつていましたが、その国の支出として出しましたのは約一億ぐらいでございました。
○岡田信次君 そうしますと、結局低性能船舶をとにかく解体しようということは同じなんですな、買入法によつてもそれから今度の利子補給法によつても。ですから、折角前に低性能船舶買入法というのを実施したのだから、これに適当なる修正を加えるとか、或いはこれを又起し直すとかいうような方法で進めるわけには行かないのですか。
○政府委員(岡田修一君) 単に低性能船をスクラップにするというだけでは政策に積極性がない。政府といたしましては新造船を極力まあ進めておるわけでございましてこの低性能船の解体もその新造と結び合わして積極的な政策の一環として打ち出したい、かような考えの下に船質改善助成という形で提案をいたしたような次第でございます。
○一松政二君 前には低性能船舶をスクラップにしよう、そうしてそのときは、スクラップにして、つまり優秀な船を建造しようというそれとは何も関連なくして、一応低性能の船舶は買入れてなくするという法律案を出しておいたはずだと思うのです。ここへ来て今度はそれを見返りに外航船の優秀な船を建造せしめる目的を以て、一般の利子補給の上に、更に又この船を解体するものについてはその分だけ利子補給を追加してやろう、こういうことだと思うのですが、私は極端にくだいて言えば、景気が好くなつて解体するよりも運航すれば、非常にあの時節には時局の関係と共に、もう一つは非常に運賃も上つたりいろいろなことで、解体するよりもそのほうが儲かるし、そのほうがいいからそうやつたのが私は事実だろうと思うわけです。又今度は形勢ががらつと変つてそうして船は余つてしまつた。外航船々々々とおつしやいますが、外航船の運賃も極端に下つているわけです。なんだかこの法案を見るというと、般会社……、船会社というか、船主と造船所に対して甘つたるい、非常に極端な言葉を用うれば、甘えた、俗語ですが、甘えたものを甘えたままに国がやつているような気がするのですが、その点はどういうふうにお考えなつておりますか。先ずそれを承わつておきます。
○政府委員(岡田修一君) このスクラップにしようとしておりまする船が日本の海運全体から見まして、相当価値のあるものならば疑問が起るわけでございまするが、只今解体しようとしておりまするのは船主経済的に見て殆んど無価値であるという点と、それから内航船の過剰ということが、先ほど申しましたように半永久的であるとい、うふうに考えられまする点からいたしまして、日本海運というものを健全に育て上げるという見地から是非ともこれは実施する必要がある。単に業者を甘えさせる、業者の声を鵜呑みにするという考え方ではなしに、日本海運というものが育て上げなければならない産業であるとすれば、これの健全化のためにこの癌と見るべきかような低性能船を切棄てるという措置がとられなければならない。不幸にして前回は朝鮮事変という突発的事故のためにその癌の手術が徹底できなかつた。従いまして、今日これを再び取上げて外航船の建造と結び付けて実施したいという考えでございます。
○一松政二君 そうすると、この低性能の船はこれをスクラップにして解体する、併しこれはただではないので、結局スクラップの値段はあるわけなんです。ただ朝鮮事変の前と現在とはどういう形であるか、不幸にして私はその数字は持ち合せがございませんが、これはやはり船主の持つておる私有財産です。私有財産は世の中が非常に好かつたときには、そいつを自分のために利用するのが最も適当であつたが故に、政府は一応そういう計画もし、そういう法律案まで作つて、而もその要請に基いてやつたはずなんです。そうして今度は、再び不況に見舞われて繋船の止むなきに至つたのです。私はこれは、こういう事例はほかの産業には殆んど枚挙に邊がないと思う。ほかの鉱山にも、工業にも、産業にも、中小企業にも、中小企業でなくても大企業でも、工場の内部にはそういう問題は幾らでもあると思う。私はこういうものとこれを考えると、如何にも船だけが日本の産業の支柱であるかのごとく言われることに多少の疑義を持つ。殊に戦争をやれば船は非常に需要がたくさんあり、運賃も上ります。戦争がなくなつたならば、これはもうみじめな目に会う。これを一々政府が取上げて行つたら切りがない。好いときに悪いときの準備をしなければならない。好いときには勝手次第に自分で使つて、場合によつては経費の濫費をして、有事に備えて蓄えることをせずに、不況になつたならば国がこれに対して利子補給その他の方法をやつて、国が特別に面倒を見る。国か面倒を見ることは、結局納税者の負担においてやることなのです。どうも当局の説明を聞いて私は如何にも納得が行きかねる。なぜ船だけがそれだけの保護に値いするか。私は皆さんと多少意見を異にするかも知れん。日本の現在には船が一番足りない。だから船を殖やすことが日本の産業を将来において伸ばすゆえんであることは大局的には私はわかりますが、まあ、私の過去における経験においては、船の景気は、好いときが短くて……これはもう他の産業でも同じことでございますが、悪いときは非常に長い。過去においては随分ひどい時代もあつたのですが、特に政府がこれに対してこういうふうの補助をしたことはなかつたよう患う。たまたま日本が敗戦の結果船が全滅したために特別な方法を以て外航船の建造を奨励して日本の船腹を殖やす、この方向は私は間違つていないと1思う。いないと思うけれども、岡田委員が先ほど申されたように、前買上げをやる予定のやつをそれをやらずに、又今度はみじめな目に会つたからこれを何らかの形というか、利子補給をやつてそちらの外航船のほうに廻す。これは私はそれで政府関係の投資と市中の金融機関からこれに……これは或る程度強制、とは申しませんが、或る程度かなり慫慂して船のほうに金を廻しておると思う。若し不幸にして船会社が儲からずして、そうして或る程度焦げつきになつた場合には、これはこの問題を離れますか、今の船会社に対する国家投資及び金融機関の投資はこれは政府で肩替りするお考えでございますか。その点を私は承わつておきます。
○一政府委員(岡田修一君) この船会社への投資のうち、外航船の建造及び改造に対しましては、御承知の通り従来は見返資金、これからは開発銀行から一部貸出すわけです。従来の見返資金のときは四割乃至五割です。今度は開発銀行から七割出す。それからその残りを市中銀行のほうに仰いでおるわけです。従来貸出しました分につきましては、別段国家で肩替りするという方法を講じておりません。ただまあ開発銀行の資金に少しずつその市中融資を切替えて行くという方法を講じておりますが、全部が全部開発銀行へ切替えるということは困難であります6それから今後建造いたしまする分につきましては、本日の閣議で決定いたしまして、後日本院の御審議を願うと存じまするが、市中融資分に対しまして政府か損失補償しよう、融資総額の三〇%を限度として損失補償しよう、こういう法律案にいたしております。この利子補給、損失補償の制度は戦前にも御承知の通り実施しておりました制度でございます。造船奨励といたしまして、我国でも戦前から実施いたしておりまするし、又諸外国でもそういう方法をとつておるものであります。いろいろな点において船舶の建造並びに運航に不利な点を持つておりまする日本海運を育て上げて行きまする上におきまして、少くともそういう制度を作りたい、「かように考えております。
○一松政二君 私は大体この方向はそれでいいのですけれども、つまりそうすれば今の外航船の建造をやらせる場合に、つまり資力が確かである……これはまあ次の法律案が出る予定だそうでありますけれども、今答弁がありましたから伺つておきますが、つまり資力が充実しておる船会社のみに限定するのか、或いは俗に言う一ぱい、二はいの船主にやはり建造を許すのか、この辺が国がいやしくも将来において損失を見越して或る程度の肩替りをするということになれば、そういうことを成るべく避けることが私は一応納税者に対して忠実なゆえんであると思うのであります。ところが私が耳にいたしておる一、二の例を考えると、ともかく大部分の資金を借りて建造して、そうして好いときには自分が稼げるのです。そうして自分がその果実を十分にエンジヨイして、悪くなればそれは国が貸した金は取れないし、国は繋船しておけば却つて費用がかかるだけの話になつてしまう。そうすると、悪いときはもう会社は捨てちまつて、そうして船を国に、開発銀行に肩替りすれば、それで済むわけです。そういう或る程度みずから危険を背負うて、将来永く船と運命を共にするということじやなくして、ただ、なに、金を借りられるから、これだけ船を建造して儲けたときは自分で使え、悪くなつたときは最後は捨てればいいじやないかという考えで、若しそういうものがあつたら国としてはもう堪つたものじやないと思うのですが、そういう、何か外航船を建造する場合にそれほどの保護を必要とするならば、保護に値いするだけの建造を計画する船主に対して何か特別な考えを持つておられるかどうか、承わりたい。
○政府委員(岡田修一君) この新造船主を決定いたしまする場合に考えまする要素といたしましては、その船会社の経営能力、信用力、それからその造ります船がどういう航路に使われて、必要度がどのくらいあるか、こういう点を考慮してきめておるのでございます。更に今回は開発銀行から、只今申しましたように七割の財政資金を貸すということに相成りましたので、特に更にまあ最近の海運市況からいたしまして、船主を決定する最大の要素は船会社の信用力である、かように考えております。従いまして開発銀行のほうで特に船会社の信用力という面を厳重に調査して、その調査の上に航路計画或いは経営能力、こういう面をまあ附加えまして、いわゆる総合判断して船主をきめるということにいたしておるのでございます。目下開発銀行でその船主の信用力、まあどれだけの担当能力があるかという点、これは専門家でございますから、厳密なる審査をいたしておりまするので、只今お話のごとき御懸念のあるような結果にはならない、かように考えております。それから一ぱい船主とよく言われますが、まあ一ぱい船主と称せられまする船主の中には長年の間海運業をやつて来ておりまして、成るほど戦争では相当船を失いましたが、その資産状況が非常に確実だ、こういうものが相当あるわけであります。まあ戦争前は五万トンも六万トンも持つていたが、今は一ぱいか二はいしかない。併し家風として非常に堅実なる経営方式をとつておる、或る意味においては大手筋よりももつと堅実なやり方をしておる。そういうかたは若し会社がつぶれれば自分の全資産もすつかり投げ出さなければならんという会社で、そういうかたもあるわけであります。従いましてただ看板だけで一ぱい船主だからよいの悪いのということは言えないのじやないか、こういうことも開発銀行のほうで十分に慎重に審査をしております。
○一松政二君 それでは私はこの問題は又他日研究の上で更に改めて質問したいので留保しておきますが、資料を一つ要求しておきます。現在の、これはまあ数はそうたくさんないだろうと思うが、開発銀行その他、まあその前からでもいいですが、その前からのものも含みますが、現在の船のトン数、それから数と、それから融資先と融資金額、それからその会社の資本金、そんから更に何かそれに対して我々が判断の資料となるものがあつたら、それは当然わかつているでしようから、そういうものを一つ成るべく近い機会に御提出を願いたいと思います。
○小酒井義男君 実は私、もう相当前になるのですが、当委員会で低性能船のあの法案が通過してから、それがどういう結果になつておるかということを見究めたい、どこの船会社のどういう名称の船を何隻買上げて、そのうちでどれだけ途中で割戻したか、スクラップにせられたのはどういう船だということに対する資料を出して頂きたいということを言つたことがあるのです。なぜかというと、その前にちよつとそうした問題について資料を一旦調べて資料を頂いた、ところが一隻船が食違つたのです。そのために総数じやなしに、具体的な船名も調べたものを一つ頂きたいという要求がしてあるので、今日ここで答弁がして頂ければ結構ですが、それが不可能でしたら一つ資料にしてお出し願いたい。
○政府委員(岡田修一君) 只今小酒井委員からお話がありました点は、そのお話のありました直後に資料を作りまして、私としましてはお手許まで届いていたかと思うのですが、若し届いていませんでしたら、直ちにお届けするようにいたしたいと思います。
○小酒井義男君 それからもう一つ、これは海運関係ですからそちらも関連があると思うのですが、こうしたことを政府がやろうとする目的といいますか、これはもういい船を造るということに趣旨はあるのですが、造船業界の現状を、こうした法律を作らなければ行詰つておる造船工業というものを維持することができないというような考え方がこうした法律を出す中に含まれておるのかどうか、その点について一つ御説明を願いたい。
○政府委員(岡田修一君) この法律を実施することによりまして、中小造船所を潤わすかどうかということでございますが、この法律の結果によつては直ちにそういうことにはならない。まあ極く近い目でみますると、むしろこういう船が減ることによりまして、中小造船所の修繕が少くなるという点が見えております。併しこういう船がとにかく非常に海運界の癌であるということで、これによつて海員に相当の失業者が出るわけであります。にもかかわらず海員組合あたりは是非ともこれは整理すべきであるということを言つておるのでありまして、一面においてこういう般は冬場になると必ず難破がある。乗組員から言うと、こういう船が動いていると一面において相当生命の危険もあるわけですが、それよりもたとえ失業者が出るかも知れないが、日本海運の現実の発展という上からすれば。こういう船は整理さしたい、そういうことであります。 それから先ほど一松先生からのお話かございましたが、一つはこういう考え方があるのでございます。ほかの産業と違いまして、かような戦争中に造りました船は、船主の好むと好まざるにかかわらず戦争中政府がこういう船を値つて船会社に割当てた。船会社はこういう船は経済的にみて殆んど役に立たない船であるということは十分承知しておるのだが、国から割当てられた船である、而もこういう船が若し朝鮮とか或いはその他の近廻りの航海が自出であつて、それらの輸送が相当活濃に行われるならば、こういう船の使い述があるのですが、そういうところは政治的に日本の船が自由に行けない。こういう船会社自身の責任よりも他から押付けられた原因によるのだから、こういう船を買上げなければならん。そういう政府の責任を解除するために一先だつての買上げを実施したのですが、それに対して海運業者が乗つて来なかつたというのは、自分たちの責任であるということが言えるのですが、冒頭に申上げましたように、当時の情勢から言いますると、占領中の日本としてどれだけ米軍に協力を要請されるかわからない。こういう懸念もありまして、政府の側においても或る程度売り控えするのを懲悪とまでは行きませんが、大目に見るという態度、従つてその責任は政府のほうにおいても一部とるべきである。かような考え方もできるわけであります。
○岡田信次君 この前の、去年の国会で外航船舶の建造に関しての利子の補給法案が出たのですが、今度も一種のやはり外航船舶の建造に関する利子の補給がそういたしますと、この前の法案が利子の率が非常に低い、だから今度又別の法律でやるのだというふうにも見えるのですが、それならなぜ前にできたあれを五分なら五分というふうに上げ、それから低能舶船を処理するなら処理するというようなはつきりしたことにしないで、ここに又低性能と外航船舶改善利子補給と、これを三つ組合せたような極めて複雑な形に持つて行かれるのはどういうわけですか。
○政府委員(岡田修一君) 先般の国会で成立を願いました法律は、一般的な利子補給でございます。勿論あの補給率で満足しておるわけではございません。当分はあの率で行かざるを得ないのではないか、かように考えておるわけでございます。で高もいろいろその方法を考えたのでございまするが、ここに提案されておりますような方法が一番適当でないかというので、その低性能船をスクラップにすることに対して、その措置だけに対して利子を補給するという、これを別の法律で出すわけですが、いろいろ助成の方法がありますが、この助成の一つの形態としてこういう形をとらざるを得なかつたわけです。実はこういう形をとるに至りました経緯を申上げますと、この低性能船を解体し、新造するための助成の方策としては、低性能船一隻つぶしたものに対して七百万円なり或いは六百万円の助成金を出す。これは新造に結びつけますと、新造船主にその金をやるという考え方が一つ出て来るわけでございます。ところが政府の財政状態からして、一隻に対してそのような解体助成金と申しますか、或いは新造助成金と申しますか、そういう金を出す余地がない。然らばもつと引下つた方向で、それじや七百万円に相当するものを船主がどこかから借りて、そうしてその金が無利子になる、まあ五カ年間に返すとして、その五カ年に返す間を無利子にするという考え方で、その利子額だけ補給してはどうか、という考え方に引下つた、できるだけ国の財政負担を少くする、従いましてそういう考え方に立ちますと、それじやその一隻つぶすことによつて船主が自主的に負担をこうむる、七百万円利子を無利子にするという考え方をとつた場合に、それに対する利子補給額だけを新造船の利子補給のほうにつけてやる。新造船をやるために市中銀行から借りる金の利子がその分だけ減るようにして、一つ考えようと、非常に持つて廻つたやり方でございますが、そういうところからして今日りこの利子補給制度が生れて来たわけでございます。いろいろ政府部内の折衝の結果、でき得る限り国に負担をかけないでやるという観点で、いろいろ制度として非常に一見して廻りくどい方法でございますが、今日提案いたしたような制度をとりたいと思うのでございます。
○岡田信次君 まあ政府としてはこれによつて外航船舶の拡充もできるし、同時に低性能の船の処理もできると、まあ一石二鳥だというようなお考えだこ思うのですが、又見方によつてはこり前あれしました外航船舶の建造利子補給はもつとたくさん利子を補給したいのだと、ところが他の産業の関係もめつて、これを出すわけに行かんかつ、余り目立たない方法によつて、又曲りのいいような何といいます川、まあ甚だずるい方法だと私は思う孝が、なおあれをよくいろいろ見ふして又御質問しますが、私はここでつ資料をお願いしておきたいのは、外航船舶が造られてから相当の年月がたつている、その拡充の状況ですね。それから更に将来どの程度拡充しよう とする意向があるのか。それからこの拡充によつて日本の産業経済に具体的にどの程度のまあ利益と申しますか、貢献をしたのかどうかというような一つ資料をお出し願いたいと思います。
○前之園喜一郎君 閣議で通つたという損失補償法案といいますか、それは近く国会に御提案になるのですか。いつ頃になるのですか。
○政府委員(岡田修一君) 今週中には議院のほうに提案になると思ます。
○前之園喜一郎君 今岡田局長から御答弁になつたように、損失補償法案とうか何というか、そういうまあ法律案が近く出るとすると、やはり今審議しておりまするこの法律案と相当に関連性もある思うの手が、いろいろと私も研究をしたり、又質料などによつて検討をしたいと思うのですが、それでこの質問を保留いたしまして、後日十分質問する機会を与えて頂きたいと、こういうふうに思います。
○一松政二君 私はさつきの政府委員の戦時中に強制して戦標船を造らしたということもあるというお話で、私は一応考え方としては誠に結構なんですが、それに類似することは他の産業にも枚挙にいとまないのです。それを顧みないで、そうして随分ひどいことになつておるのもあるし、場合によつたら又それによつて不当の利得を得ていると思われる人もあるわけですよ、これはなかなかいわゆる戦争による負担を公平化するとか均分化するとかといういろいろな概念上の叫びはあるけれども、これは実除には到底そういうことは人間わざでできることではないのだ、従つて一つ一つのことは申しませんが、そういうお考えがやはり一応船に対して特別の、私はさつき俗語でいう甘える、或いは甘やかすというような方向にややすれば傾きはしないかと、他にも随分、それから朝鮮事変が起り、或いは日華事変が起つて、その辺に船が行かれない、そうすれば貿易業者はそれを当て込んで商売をするはずであつたのがその商売すらできなくなつた、その損失はどうするのだと、そうすればメーカーのほうもそういうものをこしらえる予定で考えておつたのが、やれなくなつたのだ、どうするがという問題もこれは当然起つて来ますから、かなり問題だと思うのですが、私はここでもう一つ資料を要求しておきましす、ということは朝鮮事変前は非常に船価があれは下つておつた。非常に不景気なときであつた、それから朝鮮事変によつて又めきめき盛り返した、だからその買上げを予定したときのスクラップにするときの船主と、今日の船主が同一であるか、同一でないか、その点が船がそうたくさん数はないと思いますから、買上げを予定したときのスクラップにするときの予定した船の数と船主と、今日の船主とを照し合せてみたいと思うのです。同一人間が持つているか、同一人間が持つていないで、高くなつたから転売してしまつたという人間も中にあると思うので、又売らずに掴んでいて、今日は困つているという人もあるかも知れません。それらを一応船の数は百か二日であるかも知れませんが、その買上船の対象になつた船の船主と、今日現状における船主と私は比較して見たいと思う。その資料を一つこしらえて下ごい。そうして今日はこの程度で私の質疑を保留しておきますから。
○小野哲君 或いは私遅れて来たので、説明なり質問があつたかと思いますが、この法律案を実施するための予算措置ですね、これは昭和二十八年度以降八カ年を通じて総額一億八千五百二十二万円、これが予算として支出される筈である。内二十八年度予算としては三千四百万円が計上される見込だ、こうなつておりますが、この法律案の内容から見ますとに利子の補給の程度が年二分乃至五厘というふうになつているので、そういたしますと、この昭和二十八年度予算三千四百万円の算定の基礎を、どういうふうな右表でお定めになつたか、或いは低能船一隻について幾らという計算で、この予算が出ているのか、この点を一つ伺つておきたいと思います。
○政府委員(岡田修一君) この計算は非常にややこしいわけでございまして、二十八年度と申しますか、二十八年の一月一日から二十九年の三月三十一日までに着工されまする船の契約起工、それから進水までのいわゆる四分の三でございます。四分の三の金で、この支払利子の支払期日が来るまでのものに二分を掛けた、大体本年度内は二分に相当する額でございますが、今申しました金額でその支払利子の支払期日の来るものに対して二分を掛けたものが三千四百万円、これはどういう船価のものが新造されるかということによつて、多少の狂いはあるかと思いますが、大体三千四百万円以内に収まる、こういうように考えております。あとで詳しく計算の方法をお報らせいたします。 それから少し、こういう利子補給をいたしました算出の根拠を、ちよつと詳細になりますが説明さして頂きますと、大体E型一隻の平均簿価が千四百万円なんです。これをスクラップにいたしまして得ました金が七百万円というように踏んでおります。大体この当時のスクラツプ価格からいたしまして、まあ八百二、三十万円になるのじやないか。ところがスクラップにいたしまするのに百二、三十万円かかる。従つて本当にこの船主の手許に入るのが七百万円、ところが現実は最近鉄鋼業者がスラップの買入価格をうんと安くしようという協定をいたしまして、手取り七百万円というのが、今の見積じや六百万円くらいになつて、船主の負担というものが当初七百万円と予定しておりましたものが八百万円、或いは八百万円以上になつているかと思いますが、当時この予算を折衝しましたときは、大体七百万円くらいの船主の債務が残る、まあその薄価相当額は大体銀行から金を借りているわけであります。ところがこれをつぶしてしまいますと、担保がなくなるわけでございまして、七百万円といとものは担保なしの金になる、従つてその七百万円に対しましてこの七百万円をどう言いますか、五ケ年間に毎年均等償還して返して行くというふうにいたしまして、その七百万円というのは、ちよつと今言いましてたように、少し少く見積つているという点からいたしまして、大体これに対して一割二分の、先ほど言いましたように、この七百万円を返すまで無利子としてその利子だけを補給するという考えでございます。その利子を年一割二分と見たわけです。五ケ年間の半年賦均等償還といたしますと、それがまあ大体三・一五年間ということになるわけであります。従つて七百万円に一割二分を掛けて、三二五を掛けますと、E型一隻をつぶすことによつて受ける利子補給額は二百六十四万円です。これを三ヶ年余りの間に受けるとこういう考えでございます。二隻をつぶしますと五百二十九万円で、これだけの利子補給額を受け得るように新造船の利子補給のほうに按配してまあ減らすようにしたというのが今度の制度でございます。従いまして新造船一隻を造つて、最初は二分、あとは五厘の利子補給をいたしますが、その補給の総額、新造船一隻当りの補給の総額は五百二十九万円で抑えられてしまう。こういうことになるのであります。それで先ほど言いましたように、このE型一隻つぶしますと七百万円の担保も何にもない借金が残るので、最初が一番辛いわけですね。ところが新造船のほうは最初契約、それから起工、それから進水と、最初の年度は少ししか船主が金を借りないのです。これに五厘を掛けますと、最初の年に受ける利子補給額というものは非常に少いものになつて来る。そこで最初の年に受ける利子補給の率を高くしまして、次年度以降の利子補給額と余り大差のないように、最初だけ高くしたというわけなのでございます。
○小野哲君 計算の基礎は大分ややこしいので、これは何か又資料でお出し願つたほうがいいじやないかと思いますが、只今のお話を伺つておりますと、例えば同一船主が一方において、新船を建造する。同時に又この解撤をして行くというふうな場合の利子補給の程度は、これは非常にぴつたりと来るわけですね。ところが異つた船主が一方において新造船の利子補給を受ける。それから又違つた船主がこれによつて解撤のための、解船のための利子補給を受けるということになつて、この辺の調節が按配がうまく行くものだろうか、どうだろうか、非常に芸が細かくて外航船の新造船の利子補給と、それからこの解船のための利子補給と、先ほどの御説明によりますと、そういう点を睨み合せながらお考えになつておる法律案じやないかと思うのですが、その点ちよつと私理解いたしにくい点があるのですが、御説明願いたいと思います。
○政府委員(岡田修一君) 新造船の船主がこのE型船を二隻なり三隻持つておりますと、これはまあ問題はないわけです。そういう船を持つていない船主は、そういう船を買入れなければならないことになるわけであります。併しそういう買入れるにいたしましても、只今申しましたように大体平均薄価が千四百万円、まあ担保に借りております金も大体そういうふうなものといたしますと、大体千四百万円くらいで買わなければ、ちよつと手に入らないのじやないか、そうすると、先ほど言いましたようなスクラップにして手取り七百万円、今日では六百万円とすると、そこに八百万円というものが、その新造船主の負担になつて来ます。併しその新造船主の負担は、その金は利子補給ということによつて軽減されるわけです。ところが一方新造船主はこういう船がつぶれることによつて、自分たちの持つている外航船が内航に……一応外航から帰つて来て、そうして今ですと内航船が一ぱいですから、次の航海まで一週間くらいあつてもちよつと稼ぐ余地がない。併しこれが整理できますと、これが稼ぐ余地が出て来るということと、もう一つ今度は先ほどの、従来と逢いまして、その財政資金七割と、それから利子補給というものが今年からの新造に加わるわけです。従来の新造船主と此べて格段の応護を受けるわけです。ですからそういう多少の、成るほど新造船主に負担がかかるかと思いますが、この二十七年度の新造船主に比べますと、二十七年度の新造船主は四割四、五分程度の財政資金を受けて、利子補給もない。今度は七割で利子補給もあり、損失補償も付く、こういう非常に従来に比べますと進んだ新造船主に対する助成措置が加えられるわけですから、幾分かのなにはございまするが、新造に結び付けてやろうというのがこ」の趣旨でございます。
○小野哲君 それで大体二十八年度以降八ヶ年度ということを目安として予算措置をとられようとしているわけでありますが、これを現実の船舶の数に直しますと、約七十隻、十万重量トンこういうことになるわけですね。そこで現在の現実のこの戦時標準型、E型船舶、その他これに準ずる低性能船舶というものをこの程度の予算で一体無くなすことができるかどうかですね。言い換えれば、予算の措置としては、目標が七十隻であるというが、現実としてはもつとこれをやつて行かなければならない。こういう点についてはどうなんでしようか。
○政府委員(岡田修一君) これの対象となつて出て参りまする船は、石災焚きのE型船でございます。その船が大体まあ百二十八隻、それから三十年以上のE型船に準ずる船が約三十隻、従いまして、その解撤の対象になりまする船は約半分くらいが出て来るわけです。これは全部が全部売るわけでありません。中には先ほどお話のありましたように、非常に高い金で手に入れる。例えば千七、八百万円も出して手に入れておるという船主がある。こういうのは非常にロスになるわけでございますから、出して来ない。で、大体その半分の七十隻というのがいいところじやないかと思います。
○小野哲君 次もこれと関達して、この法律案の第二条ですが、低性能船舶については省令でおきめになることになると思うのですが、これは大体どの程度の内容で以ておきめになるのですか。或いは省令案があれば資料として御提出願つてもいいかと思いますが、如何ですか。
○政府委員(岡田修一君) これは戦時標準型の、いわゆるE型船と称しておりまする船舶と、それから総トン数五百トン以上千五百トン末満の船で大体船齢三十年以上の船、こういうのを対象にいたしております。
○小野哲君 そうしますと、この省令は結局低性能船舶の、この法律案の対象となるべきものの条件をきめると、その程度であつて、具体的にどういう船主がどういう資格でなければならんかというようなことは、先ほどちよつと一松さんからお話がありましたが、例えば一ぱい船主であるとか、そういうふうな船主自体の問題はこの省令の内容にはならないわけですか。
○政府委員(岡田修一君) これはつぶすほうの船のことを言つておりまするので、その船主のほうは如何なる船主であつても、つぶそうという船主はこれの対象になるわけです。従つて船主の問題につきましては何ら規定しないでございます。
○一松政二君 ちよつと関連質問があるのですが、こういう法律案が通過すると……通過する、しないは別問題ですが、通過を予定して政府からこれだけの船舶に対してこれこれの利子補給があるということになると、新造船の奨励というよりもむしろこの老朽船舶なり、それからE型船を持つておる者の船価が、それを見越して高くなつちまうということをお考えになつたことはございませんですか。
○政府委員(岡田修一君) これがために特に船価が高くなるということは考えておりません。
○一松政二君 私は経済の常識から言つて、必ず私はこういうこれを、新造船舶を建造しようとすればこれを買わなけれけばならんのですから、買手が殖える。従つて売り惜しみをする者があつて、その結果今持つておる船主を利して、政府が予期しておるほどの外航船建造者にこの法律の恩典が行くかどうかについては、私は相当疑問があると思います。これは意見になりますが、あなたがそういうことを予定してないというのならば、それはあなたの御意見ですが、私はこういう問題があると、必ず放つておけば捨値にしかならない、いわゆるスクラップの値段でしかないのですが、これに買手がつけば、これは必ず上るにきまつておるの一ですよ。そうするとそれだけ高いものを買わなければこの恩典には浴しない。この恩典に浴するために高い船を買えば、それだけ政府の目的は、これだけ予算を仮に使いながら、その何割か、何部分か、或いは大部分かは、今の解体をする船主の持つておる者にしか私はこの恩典が行かない危険が多分にあり得ると思うのです。これは私の意見でありますから、まあ意見の相違になりましようが、これは見込みのことでございますから、私らが経済の常識から考えたならば、そういう危険が多分にあり得る。従つて法律の目的は、意外なところに行つてしまつて、これを建造しようと思う者は果してその政府の企図する恩典に浴し得るかどうかは私は疑いなきを得ない。
○政府委員(岡田修一君) 大体新造しようとする船主が持つておりまするE型船、この解体の対象になるであろうと思われるE型船が約五十ぱいでございます。まあこういう船の解体は成るほどこれに対する簿価が千四百万円である。或いは平均簿価が千四百万円として、銀行からの借入金千四百円ですが、そういう船を動かすことによりまして相当の赤字か出ておるわけです、毎月。併し然らばといつてそれを何らの手当なしにつぶすということができないので、上げも下げもならないで弱つておるというような状況でございます。従つてそういう船を、成るほど担保のない借金が残るかも知れませんが、これに対して一部政府の助成がありますれば、それらの新造しようとする船主は、相当助かるわけでございます。
○一松政二君 同一船主である場合には私は今の議論でいいと思うのです。動かせば金がかかるし、繋船しても損するのです。船ほど惨めなものはないんだ。不景気なときと、景気のときと又これほど差のひどい事業もないのですから、繋船すればいわゆる俗にいう泥棒に追い銭みたいになつて、損の上塗りをしなければならんために、繋船がなかなかしにくい、だから繋船して費用がかかるより赤字で運航しておるほうがいいという問題も、常に船会社の当面する不況の時代のこれはもう常道なんです。けれどもそれにも堪え得ずして繋船している。繋船しておれば、これは担保流れになつてこれは貸金している人が、まあ船会社の経営が健全であれば他の船によつてそれを支えるわけですが、需要があれば必ずそれは値段が上つて来るだろうと思う、今は需要がないからその船の値段が非常に安いわけですが、担保価格があるとか、担保価格をきめるとかいうことではなくして、買手がつけば私は船の値段は上るにきまつておると思うのです。そうしてそれを買つて新造船をすれば、これこれこれだけの利益が得られるとなれば、その半分なり…その分け方はどうか知りませんが、必ず現在船を売る人がそれを要求することは、これはもう経済の常道だと思います。従つて今持つておる船主がその人が建造すれば別ですが、その人が建造しない、他の建造者がこれを買うということになつたら、必ずその値段は、上つて、私は必ず又政府の意図したところと違つた結果が生ずるであろうということだけを申上、げておきます。これは私の意見になりますが、だからこういう問題は非常にこの経済界の波動は複雑微妙なものでございますから、私はこういう法律案を審議し、或いは通すか通さないかというようなことは、すぐそれが船価に響いて来る問題でありますから、よほど愼重に考えないと、企図したことは逆なことが……逆とまでは行かなくても、かなり方向の曲つたことが、現実にはあり得ると、そういうことを私は考えられますから、これは私の意見として他日の御参考になれば幸いと思いますから、申上げておきます。
○小野哲君 ちよつと関連して伺いたいのですが、今一松さんから船価の問題にお触れになつたのですが、この点は又適当な機会に政府委員から御答弁があると思いますが、これと同時に鋼材の価格の問題なんですね、今造船用の特殊鋼材の価格が高いとき、これを何とか引下げなくちやいかんじやないか、こういう意見が非常に強いのです。それについては或いは補給金制度をとつてはどうかという意見もあるのでありますが、まだ今日のところは実施されておりませんが、こういうふうな、言い換えれば一石二鳥と申しますか、一面船質の改善のための助成方策をとると同時に、この方策が他面船価の問題との関連もありますが、鋼材自身の価格の適正化ということに役立たせるような方向に持つて行けるかどうか、とにかくE型船、それに準ずるようなものを成るべく早く整備をするということは海運事業の健全化から言つて勿論必要なことだと思いますが、それのみでなしに、それによつて更にもう一つその副産物が出て来るならば一層いいんじやないか、鋼材の価格等との関係からこの法律案はこういうふうな措置が何らかの役割を持ち得るかどうか、こういう点を一つ伺つておきたい。
○政府委員(岡田修一君) 先ほど申しましたように、船主側がこれを売払うことによつて得る金、まあ換言しますれば、船主側が予定しておつた屑鉄の価格よりももつと低い価格で、鉄鋼業者の団体といいますか鉄鋼業者のほうの申合せで買い叩こう、こういう折りでございますから、これを直ちに鉄鋼価格の引下に役立たせるということは困難ではないかと思います。殊に前回ですと相当な量がまとまつておりましたが、七十隻くらいですとその量も大した大きな量でございませんので、これを以て鉄鋼価格の引下の交渉の何に使うということは現在の段階ではちよつと困難かと思います。併しこの屑鉄の価格が非常に暴騰するというような場合には、これをこちらの予定しておつたような価格で売ることによつて却て業者のほうで安くするというふうなことはできるわけでありますが、現在の段階はちよつと反対のような現象であります。
○委員長(小泉秀吉君) ほかに只今のところ御質疑はありませんか……。 ちよつと伺いますが、この法案で言う解体の時期は、解体の期限はどういうふうになつておりますか。
○政府委員(岡田修一君) 大体九月までに解撤するというふうに考えております。九月までといいますのは、はつきりと省令にはその日にちを書くのでございますが、この法律によつて第一回の利子補給金を請求する日の一カ月前までに請求しなければならない、大体その利子補給金の請求が十月の末になる予定でございます。従いまして九月末までに解撤する、こう考えております。で解撤の程度でございますが、エンジンを外しますと同時に船体を一部破壊するというような程度でございます。かように考えております。
○委員長(小泉秀吉君) 大部資料の提出の要請がありますし、その他まだ質問を保留しておるかたもありますのですが、今日は質疑はこの辺で残しておいて、本案の御審議は次回に譲るようなことにいたしましようか、如何いた しましようか。
○一松政二君 資料の提出があつたあとにして頂ければ結構だと思います。
○委員長(小泉秀吉君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(小泉秀吉君) 速記を始めて。 次は木船再保険法案を議題に供します。先ず政府委員から提案理由の説明がありましたので、そのあとの詳細の御説明を願います。
○政府委員(岡田修一君) 木船の保険につきまして、やや詳細に亘ると存じますが、御説明さして頂きます。 御承知の通り木船はいわゆる機帆船と称しておりますが、これは普通の鋼船に比べまして大変危険率が高いのであります。従つて保険料も一非常に高い、それからその木船の船主の中には保険をつけるという考えが余りないわけです。従いまして民間保険会社でこれをその保険の対象とすることが非常にむずかしい、いわゆる弱体保険でございます。ところで木船のほうは大部分が船主船長、いわゆるこれこそ一ぱい船主貧大体家族も一緒に乗組んでおりまして、その船は木船船主の全財産でありますと共に、唯一の生活手段でございます。従いまして木船が滅失いたしますと、木船船主の生活が、全財産を失つて非常に困難になるという生活不安の問題でございます。これについて合理的な保険制度を確立するということが木船行政の上で一番大きい問題でございます。ところで木船保険でございますが、昭和十八年に木船保険法というものができまして、この法律で全国一本の木船保険組合が設立さまれして、組合の事務費は国が補助する。それからその組合の保険は国が九〇%再保険する、こういう手厚い助成があつたのであります。更に戦争中、国で強制徴用されておりました五十トン以上の木船については、その組合に強制加入するということになつておつたのでございます。ところが戦争が終りまして、そういうふうな民間事業に対する助成は一切いかんという方針がとられましたがために、その国の補助もなくなり、それから国家徴用という制度がなくなりましたので強制加入というものがなくなり、それから国の再保険制度も昭和二十二年の三月末に損害保険中央会、これはまあ、再保険する国の機関でございましたが、これが閉鎖されましたために再保険もなくなつたわけでございます。ところが木船といたしましては、どうしてもその保険というものを続けて行きたいというので、先ほど申しましたその組合は、国の再保もない、或いは事務費の補助もないという態勢でその組合保険事業を続けて参つたのでございます。ところが不幸にいたしまして、昭和二十二年の末から昭和二十三年の初めに非常に海上が荒れまして、機帆船の損害が非常な大きな額に上つて、その年の経過保険料の約三倍になる損失を蒙つて、その結果木船保険組合というものを解散せざるを得なくなつたのであります。そこで木船保険というものがなくなつたのでございますが、その後民間の保険会社にかけようといたしますと、非常に保険料率が高い、而も保険の填補率が附保額即ち保険金額の半分というふうなものでございましたがために、どうしても木船船主自体の相互保険組合を設けたいという、こういう要望が結集いたしまして、私どもは大蔵省と話しまして、昭和二十五年に船主相互保険組合法というものを、これは大蔵省の提案でございましたが出したわけであります。そうして木船業者の自身の相互保険組合というものを設けさしたのでございます。その当時も再保険制度を是非ともとりたいというので司令部とも交渉いたしましたが、どうしても司令部から了解を得ることができずに今日まで来たわけであります。この本船相互保険組合法によりまして、現在二つの組合ができておりますが、まだ二年を経過したばかりで、その基礎も薄弱であり、信用度も非常に微弱で、その保険に入つている隻数も機帆船の一割に満たないという状況でございます。そういうものでございますから、その木船保険組合に対する対外的な信用というものが弱い。従つて組合に入つている保険証券を持つて機帆船業者が金融を得ようとしてもなかなか得られないので、高利の金に依存するという状況ですので、どうしても国家のバツクによつて強いものにしたい。それにはその組合が受けておりまする保険を国が再保するというこの制度を確立する以外に途がない、かように考えまして、今回・政府内部で打合せの結果御提案申上げましたような木船相互保険組合に対する国家再保険の法律を提案しようとした次第でございます。 この法案の概要を申上げますと、只今申しましたように、木船保険のような弱体保険では到底民間の保険会社が再保をしてくれないというものでございますので、政府が木船再保険の再保険者になるということにいたしたのでございます。それから木船相互保険組合の基礎は非常に弱小でありまするので、木船相互保険組合がその負う保険責任を完全に果すことができますように、即ち事故が起りましたならば、組官員であります木船の船主は必ずその保険金が手に入るようにいたしますがために、木船相互保険組合とその組合員との間に保険関係が成立したときは、自動的にその保険責任を政府が再保険するというふうにいたしたのでございます。次はその再保険の割合でございますが、戦争中のものは百分の九十まで再保したのでございますが、今回はこれを百分の七十にいたしました。これは木船相互保険組合が弱小でありますためにその保険責任の相当部分を政府が危険分担いたしますと同時に、一面においてその木船保険組合の自主性を尊重して、木船相互保険組合か自分の事業として責任を持つてやるというふうにいたしますために百分の九十という余り高い率を下げまして、一応百分の七十というところで発足してはと、かように考えた次第でございます。それからこの再保険の料率は一般的に元請けの木船保険組合の適用をしております保険料率の中に占めておりまり純保険料率、御承知のように保険料の中には附加保険料と純保険料がございますが、その純保険料に相当する分だけを国にあげる。附加保険料に相当吊る分はこれは国が負担する、かようにいたしておるのでございます。若し再保険をすることによりまして、それの事務費に相当するものを木船保険料に加えるといたしますと、それだけ保険料が高くなりますので、その木船再保険のほうの附加保険料に相当するもりは国が持つて、その純保険料率に相当する分だけを国にあげる、かようにいたしております。それからなお政府は木船相互保険組合の保険責任を再保険することとなりましたがために、弱小な木船相互保険組合が濫立することを防止し、木船相互保険組合及び政府の木船再保険事業が健全な経営ができますように、附則で、従来は木船相互保険組合の結成は百隻以上というふうになつておりましたものを、三百隻以上にするというふうに、船主相互保険組合法のほうをこちらの新法律の附則で改正するという形をとつたのでございます。即ち隻数が余り少いと、非常に木船相互保険組合の力が弱くなります。従つて国の再保も思いもよらん損害を受けるということになりますので、元請けの組合をできるだけ大きなものにいたしますために三百隻以上ということにいたしたのでございます。 最後に木船再保険事業の事業見込みについて御説明申上げますが、木船再保険特別会計につきましては、別にこれは大蔵委員会のほうで御審議を願つていると思いますが、木船再保険特別会計法によつて運用されることになつておりますが、その二十八年度における事業見込は、機帆船については現在の組合の附保隻数の二割増を見込んでおります。又艀については六大港を対象として約二千五百隻を対象として考えております。 次に保険料率につきましては、現在の保険料がそのまま踏襲せられるものと考えておるのでございます。現在の保険料率は、過去十五年間について木船の平均全損保険率を、いわゆる百隻について三隻という実績を基準としまして、これに救助率、或いは安全度加算率、或いは異常災害率、こういうものを加算しまして、更に組合の事務費に相当する附加保険料を加えて構成せられておるのでございます。 以上のような加入予定数、保険料率を前提といたしまして事業收支を予定いたしますと、收入予定は再保険料收入が五千百三十六万円、それから再保険事務費で一般会計から受入れますものが百八十四万三千円、雑収入が十二万九千円、合計で五千三百三十三万余りでございます。支出は再保険金が五千三十六万円、再保険事務費百八十二万二千円、それから他会計への繰入が四万三千円、予備費が百十万七千円、合計五千三百三十三万円、再保険事業費の繰入れを前提として收支相償う考えでございます。 なお、本特別会計の収支の長期の見通しといたしましては、異常災害により損失の生ずる年度も予想されますが、平均すると収支相償うものとかように考えております。支払上現金に不足が生じましたときは借入金をする制度が設けられてございます。 以上でございます。
○委員長(小泉秀吉君) 本法案に対して御質疑はありませんか。たくさん御質疑がおありだろうと思いますが、今日はこの辺で……。 それじやこれを以つて本委員会を終了いたします。 午後四時四分散会