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第15回国会衆議院1953/03/07

労働委員会公聴会 第1号

発言数
49 件
登壇者
17 名
会派数
3
開催日
1953/03/07

会議録

田中伊三次自由党

○田中委員長 ただいまより労働委員会公聴会を開きます。  この際お諮り申し上げたいことがございます。それは本日の公聴会に御出席の予定でありました吉田一吉君及び箕浦多二君の両君が出席できませんので、それぞれ東京電力労働組合本部の副執行委員長前川一男君及び三井鉱山株式会社取締役労務部長山本浅吾君の両君を代理といたしたいとの申出がございます。これを許可することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中伊三次自由党

○田中委員長 御異議なしと認めて、さようにはかろうことに決定いたします。  なおお諮り申し上げますが、この法案に重大な関係をお持ちになる総評の議長藤田進君を公述人として追加することに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中伊三次自由党

○田中委員長 御異議なしと認めて、さように決定いたします。  それでは公述人の皆様に、委員長より委員会を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。  本日は公私御多忙の中を遠路わざわざ御出席をいただきまして、まことに感謝にたえません。設備不行届きでございますのみならず、せつかくお招き申し上げましても、審議の都合上十分の時間がございませんので、はなはだ恐縮でございますが、お一人十分より長くても十五分くらいまでの間においてお述べをいただきたいと存じます。  本日、御意見を聴取いたします電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案は、去る二月二十一日に政府より提出になりまして、この委員会において目下慎重審議中でございますが、何分にも憲法で規定されております労働者の基本権ともいうべき争議権を制限するという重要な法案でございますので、この法案の審議に際しましては、特に委員を派遣いたしまして、五日午後一時より九州と大阪において異例の院外公聴会を開きまして、国民の皆様の院外のお声を承つたわけでございます。本日はこの委員会において公聴会を開催いたしまして、皆様の隔意なき御意見を伺いたいと存じます。  それでは順序でございますが、お急ぎの方もございますので、委員長に御一任を願いまして、まず早稲田大学教授野村平爾君にお願いします。

野村平爾早稲田大学教授

○野村公述人 早稲田大学教授野村平爾であります。問題点を四つばかり指摘して意見を述べたいと思います。  第一に、本法案の第一条は、この法律は争議行為の方法に関する規制であるということをいつております。そしてその説明でもつて、公務員などにおけるごとく争議権その他のものを否定するものではなくて、単に争議行為の方法について規制をするだけであるということを述べられておるのでありますが、しかし事実は、この法案によりますと、ある特定範囲の労働者に対する争議権を剥奪ずるという結果が起つて来るのであります。すなわち電気産業に従事するところの電気技術関係者は、大体この法律ができますことによつて、争議権を行使することができなくなるということ、それから鉱山における保安技術職員及びその指示を受けるところの労働者も、この法律が通ることによりまして争議権の行使ができなくなるわけであります。もしこの法案の裏の意味が、争議行為の方法としての業務管理とか生産管理とかいう種類のものを、従来の検察庁や裁判所などの見解と異なつて、適法であるというふうに考える立場をとるというのであるならば格別、そうでないと、争議行為の方法の制限ではなくて、特定範囲の人の争議権の剥奪を意味することになるのではないだろうか、こういうふうに考えられる点が一つの点であります。  もしそのように考えるのだとしますと、これはやはり憲法の二十八条に反することになりはしないか。従つて憲法二十八条の規定に抵触をしても、なおかつこういう種類の規定を設けるのだとするならば、かりに一歩を譲つて何らかの方法を講ずるということがどうしても必要になるのではないだろうか。たとえば、すでに公務員については、争議権が剥奪されておりますが、その場合でも、たとえば人事院の勧告制度というようなものがある。あるいは公共企業体職員に対しては仲裁制度がある。こういう制度が運用上十分にその機能を発揮しているかどうかということは、もちろん問題があるにしましても、ともかくも法文の上ではこういつた配慮がなされているわけであります。ところが、そういう配慮なしに特定範囲の労働者の争議権を剥奪するということは、これはやはり考えなければならない問題だというふうに思うのであります。もちろん剥奪を受けろ人数がどのくらいのものになるかという点、あるいはその範囲が現実にどうであるかという点につきましては、私は必ずしも明らかにしませんが、いくら少数でありましても、基本権を剥奪する措置が法律上出て来る場合には、やはりこれに対して何らかこれを救済する道が他面において講ぜられなければ、やはり憲法の精神には反する、こういうふうに思うのであります。  第二の点として、本法案の第一条は、こういう電気産業並びに石炭産業の特殊性ということと、国民経済、国民生活における重要性ということを特に強調して、そのために公共の福祉上本法を制定するのだということがいわれているわけであります。特殊性、重要性が強大であるということであるならば、そういう特殊性あるいは重要性というものを配慮して、法律的にはほかの方法を講ずる。たとえば、こういう産業の社会有化とか国有化とかあるいはこういう産業における消費者や利益関係者、あるいは組合等の人々をも参加させる一つの運営協議会というようなものを構成して、それによつて運営をするというふうに考えるとか、何か争議権の剥奪ということだけで収めないで、別に労使双方に対して、企業運営上の問題の解決点を求めるというような考え方をする方がむしろ合理的だというふうに考えられるわけであります。公共の福祉という言葉は、ときに非常に漠然と使われるのでありまして、あるいは場合によりましては、ただ多くの人が都合が悪いというだけで、公共の福祉というような言葉で表現される場合もあるのであります。電気が消えたがいいか、消えない方がいいかというように問題を出しますと、消えない方がいいという答えは当然出て来るわけでありますけれども、当面問題をその面だけでとらえないで、別にこれによつて労働者が自分たちの生活要求に対する要求を実現して行く方途をどうするかという問題とあわせ考えた場合に、やはりどの程度のところにこの問題を解決して行くかということを、もう少し十分に考えてみる必要があるのではないだろうかということであります。  つまり、一口で言いますと、この法律は、よく懲罰法であるとか、あるいは報復のための法律であるとかいわれるのでありますが、はたしてその争議戦術の採用におきまして、それほど無鉄砲の配慮のもとに行われたのか、実際においてはどういうような準備をして行われたのか、そういう点についての検討が十分になされた上で問題の解決に向うべきものではないかというふうに思うものでありますが、その点について私たちもあまり多く聞いておらないという現状であります。この法律によりますと、公共の福祉のためというのでありますが、実際この法律を適用して行きますと、別に昨年の秋見られたような大きな争議でなくとも、一つのごく小さな炭鉱におけるストライキの場合でも、やはりこれによつて規制を受ける。それからまた昼間電灯などをほとんど使わない地域における停電というものがかりに起つたとしても、それでもやはりこの法律の規制を受けるということになりますと、事実上その公共福祉というものに関連しなくても、なおかつ争議行為が禁ぜられるという場合が反射として出て来るわけであります。それは問題を一つ一つの争議行為の個別的な問題として考えるよりは、一般的の法律によつてこのような規制をしたというところに、その反射として今のような公共福祉とも考えられない場合に、なおかつこの法律の適用があるという場面が出て来るのではないかというふうに思われる点であります。  第三番目の点といたしまして、石炭産業の場合でありますが、組合として一定範囲の人たちは争議に参加することが禁ぜられ、逆にこの法律の趣旨では必ずしも明確でありませんけれども、保安要員として指定された者は、争議中といえども作業をしなければいけない。そこで保安要員として指定された者が炭坑の中で働いておる場合に、争議労働者が逆にロツク・アウトされるということはこの法律では何も禁じておらないように見えるわけであります。ですから、この法律の適用の結果として、保安要員だけをとどめておいて、ほかのものをロツク・アウトする場合とか、あるいはほかから保安技術者を連れて来て保安に任ぜしめて、組合員全部をロック・アウトするということは、この法律では必ずしも禁じておらないように私は受取れるのであります。条文が簡単でありますので、私の解釈があるいは違うことになるのかもしれませんけれども、とにかく見たところ、どうもそういうふうに考えられるわけであります。もちろん実施上の問題としまして、保安技術者を他の山から連れて来て、そうして経営者が保安に任じさせながらロツク・アウトを実施するというようなことは、非常に困難なことには違いないのでありますけれども、困難であるかないかという実際上の問題は別としまして、法文の体裁としましては、労働者から争議権を奪うならば、このような方法のロツク・アウトをどう処置するかということが、同時にまた配慮されなければならなかつた問題ではないかというふうに考えるのであります。  第四点は、組合員たる労働者に対して、ともかくも自分の仲間の労働者が仕事をやめている場合に、仕事をやらせているところの労働者たちの労働条件はどういうふうになるのかというと、これはおそらく従来の労働条件そのままの形で仕事を続けさせるということになるだろうと思うのでありますが、そうしますとつまり結果としては、好まない労働条件で、争議が長引けば長引いた期間だけ、労働をやらせなければならない。そうすると、好まない労働をいやいやながらやらせるという結果が起りますので、これは一種の強制的に労働を続けさせるという結果になるのではないだろうか。憲法十八条の「その意に反する苦役に服させられない。」という考え方から行きましてもやはり従来の好まない労働条件でもつて労働を続けさせるというのではなくて、もしも、たつてこのような法律によつて労働を続けさせる必要があるというならば、暫定的に別途の労働条件を考えるということはできないものであろうか。そういう点の配慮がないということは、やはり全体として非常にこのことによりまして、組合に不利益な結果を来して来る。本来争議というものは、双方の責任において実施せられているものでありますから、従つて規制をするならば、やはりその両面を考えて規制をすべき問題ではないだろうかということが、私のこの法案につきまして感じました四つの点であります。  以上、私の公述をこれで終つておきます。

田中伊三次自由党

○田中委員長 次に、中央労働委員会委員の吾妻光俊君にお願いいたします。

吾妻光俊中央労働委員会委員

○吾妻公述人 吾妻でございます。今次のスト規制法案について、私は主として二つの点からこれに対して反対したいと考えております。  まず第一点は、いわば労働政策の面からであります。ただいま野村教授のお話の中にもありましたが、国家が重要産業について、そのストライキの重大な社会的影響というものを顧慮する方法として、私は三つの手段が考えられるというふうに見ております。その第一は、現在緊急調整制度が設けられておるということについてごらんになればわかると思いますが、特殊な争議調整の方法を考える。ことに緊急調整制度は、五十日間のストライキのストツプを含む調整制度でありまして、この制度の活用によつて重大事態を避けるという行き方、これが一つ考えられます。第二の考え方は、これは先ほど野村教授も言われましたが、ごく縮めて申しますと、産業を社会化する。そのように国家的に重要な産業であれば、それを社会化するという方法が第二の方法であります。第三の方法といたしましては、これは現在ドイツの経営協議会制度等に見られる方法でありまして、いわば労使のきわめて大規模な協議の組織をつくることによつて重大な争議を回避する、あるいはそれを早期に解決するという仕組みを考えるのであります。この三つの方法は、ことにわが憲法においては、争議権の保障という制度がある、その争議権の保障という制度と矛盾しないという形において争議を解決するただ三つの方法ではなかろうか。これ以外に、今次の法案のように直接争議行為自体を禁止するということは、これも先ほど野村教授からお話がありましたように、これはまさに方法の制限ではなくして、ストライキそのもののストツプであり禁止であるということは、これは常識的に考えても当然のことであります。そのような意味合いにおいて今次のスト規制法案の、ごとく、争議行為自体をつかまえまして、これを禁止するという行き方は、現荘世界各国の法制を見ましても、その中の特に異例なもので、ことにわが憲法が争議権を保障しておるという憲法上の体制とは、明らかに矛盾するものではなかろうかというふうに私は考えます。  第二点は、むしろ法律論の領域でございます。御承知のように、ストライキは現在憲法上にこれを権利として保障しておりますけれども、しかし労働、組合法その他の法規において、ストライキそのものがいかなる態様においても許されるという制度になつておるわけではございません。御承知のように正当なる争議行為というものだけが、憲法の保障のもとに保護されるのでありまして、不当なる争議行為というものは、憲法上の保障を与えられない。言いかえますと、争議権といえども、少くともその濫用は、現行法をもつてしても当然これは争議権の行使としては認められないという体制になつておるわけでございます。そのような体制のもとにおいては、裁判所が、はたして正当なる争議行為なりやいなやということについての終局的な判断を下し、ことに各個の具体的な実例に即して徐々に判例を積み重ねることによつて、そこに正しき争議権の軌道というものをつくり上げて行くことが、これが現在の近代国家の争議権に対する体制として、あらまほしきと申しますか、行き方ではなかろうかというふうに考えられます。  今次の法案は、特に一定の争議行為、たとえば炭労の場合について考えますと、保安要員引揚げというものを、この第三条の規定に示されておりますような形で禁止し、この禁止に触れますと、鉱山保安法なり刑法によつて処罰されるという建前になつております。このような頭の中で想定されたある一つの標準というものをつくつて、争議行為の正当性の限界を定めるということは、この中に非常な危険を含んでおります。この危険と申しますのは、これをごく形式的に申しますと、先ほど申しました憲法上における争議権の保障と矛盾するということであります。またこれを裏から言えば、実質的にながめますと、このような争議行為の規制の仕方というものは、この規定の概念の中に含まれない争議行為というものは、当然に許されたるものであるという考え方が、この背後には当然出て来るのではなかろうか。たとえば、これを炭労の場合について見ましても、保安要員引揚げというようなものが、どのような事態を生じたときに、この法規の適用を受けるかということは、第三条の規定からは必ずしも明確でありません。また他の産業に例をとりましても、たとえば溶鉱炉の火をとめるとか、その企業施設の破壊を伴うような争議行為というものが、特に石炭についてこのような保安要員の引揚げの禁止を行つたということであれば、そのような行為は、はたしてそれは現行法上許されておるのであるか。むしろ、それは許されておるものであるというような解釈を生み出す結果になる。かような意味合いにおいて、私はむしろ裁判所の現行法の運用によつて先ほど申しましたように、具体的な事件に即して正しい争議行為のあり方というものを判定して行く。一方では労働委員会等が中心になりまして、最後のどたんばには緊急調整という制度を発動することをもつて争議を解決する。この二本建で行くことが、最も現在の法律の改正にふさわしい行き方ではなかろうかというふうに考えるものでございます。  電産、炭労いずれの場合におきましても、私が最も遺憾と存じますのは、ことにこれは電産の場合について特に申上げたいことでありますが、先ほど私申しました三つの方途のうち、緊急調整という制度をもつて満足しないということであるならば、野村教授も言われましたように、争議権剥奪ということが憲法上許されるかどうかということは、私としては否定的な見解を持つておりますけれども、かりに一歩を譲つて許されるものと仮定しても、しからば電気事業の労働者の賃金をいかなる方式、いかなる体百糸のもとに定むべきかという確固たる方針なしにこの法律を実施することは、とうていこれは認められないのではなかろうか。さらにこれを広げて申しますと、たとえば公益事業全体に対する政府の基本的対策いかんということについても、そこにはたして基本的な対策が確立されておるか。ことに一々の事件に対して応急的にこういう措置をすることは、先ほど申しましたいろいろな欠陥があるだけに、労働階級に対してはきわめて大きな不安の念を与える。このことが労働問題解決、労使関係の安定を妨げる根本原因になることを私は心から憂慮するわけであります。  私の公述を終ります。

田中伊三次自由党

○田中委員長 次に、京都婦人団体の代表川合良子君。

川合良子京都婦人団体代表

○川合公述人 今回政府は電気事業及び石炭鉱業の争議行為の方法の規制に関する法律案を国会に提出されましたが、私ども消費者として、ことに一般家庭の主婦として、その立場よりこの法案に対して絶対賛成いたすものであります。  顧みますれば昨年九月以降、電産、炭労両組合は、賃上げ要求を目的として、延々三箇月にわたる争議行為を実施し、一般大衆にはもちろんのこと、産業活動の全般にわたり莫大なる損害を与え、迷惑をかけるに及んでは、遂に各方面、各分野の世論は、こぞつてこうした方法をもつてする争議行為は絶対的に反対と、その声は巷間に満ちあふれ、私どもの記憶もいまだ新たであります。  私どもは、この十月、十一月、十二月という一年中で一番目の短かい季節を通じて、さらに燃料も最も必要とする時期に当るだけに、断続的に行われる停電と石炭不足のもたらしたガス供給制限に、まつたくさんたんたるありさまで、まるであの戦争中のように真黒になつてかまどにたきぎをもやしつつ、押し迫つた年の暮れに、一体いつになつたらこのような情ない状態から解放されるのだらうか、何とかしてこの種の公共事業の争議行為を制限することができる法律がつくれないものかと、暗い台所で幾度かどんなに考え込んだことでしよう。今、この法案が生れるにあたつて、私どもは心から歓迎するとともに一日一刻も早く実施されることを切望してやみません。  私ども家庭の主婦としてまず頭に来ることは、常に台所の管理についてであります。この台所をいかに合理的に能率的に経済的に処理して行くかは、主婦に課せられた一つの任務であります。この目的を達成するためには、電気やガスが貢献するところはあまりにも大きく、その結果が、ひいては婦人の解放に資し、生活の向上を生み、文化的教養を高めてくれるのであります。しかしながらこうした家庭主婦の切実なる願いを踏みにじり、負担を加重せしめるのみならず、一方全産業の機能を麻痺させ、心臓を停止させるような重大なる段階に達するまでに及ぶ争議行為の方法手段をあえて行つたことは、たとい電気事業のごとく独占事業に甘んじ、当事者間の損害が軽微であるに便乗するにせよ、消費者にとつても、国家にとつても、その損害はあまりにも広汎かつ甚大であるを思えば、こうした長期間にわたる明らかに行き過ぎの行為は、絶対に行えるものではありません。その行動の裏には、政治的な動きがあるとしか思えず、占領下においては制限されていた争議権の実行を、独立後の無干渉の空白に乗じてすべてを忘れ、自由奔放、このような長期にわたつたことと思われますが、一たび一般大衆とその迷惑を考えれば、労使ともにさらに熱意をもつて、早期解決にあらゆる努力をささげるのが義務ではないでしようか。かかる無反省にして正当性を欠く行為は、明らかに規制されねばなりません。  また炭労の争議行為においても国中被害をこうむらざるところなく、鉄道の輸送制限によつて極度の滞貨を生じ、みすみす腐らせて行くような物資の損害を初めとして、正常なる輸送は断たれた結果、局部に物価の異常上昇を生んだ等、私ども家庭生活を脅かしたのであります。そればかりではなく大中工場は、石炭の不足と停電や制電に、生産は三、四割方減少し、小企業、零細企業に及んでは、倒産に至つたものまであります。この争議行為によつて一般企業は脆弱化し、また出炭減は五百五十九万トンにも及び、その回復は三月までかかるといわれます。この長期間に、坑内は荒れて、各地に坑道内の事故が起るに至つては、明らかに産業破壊の自滅行為であつて、断固と取締りの必要を認めるのであります。  さらに小企業、零細企業に雇われている労働者と、こうした無反省なる争議行為によつて自己の要求のみを満足した労働者と比較すると、明らかに逆に三、四割の操業不能に陥つたために、生産の減少を来して、収入は日に日に減り、遂には経営者自身倒産に瀕し、その下に働く労働者は極度の不安を生じ、賃金の値上げはおろか、月々の賃金すら不安定を来し、遅配を生じ、いわんやせめてもその遅配分の要求すら、この実情を知る限りにおいてはでき得ず、泣くにも泣けない哀れな状態に立ち至つたのであります。こうした小企業、零細企業の数は実に大きなものであり、この労働者の一人々々の主婦は、その家計をどうして切りまわすことができるのでしようか。明らかに電産、炭労両組合の争議行為は、一般を無視しているといわねばなりません。すなわち、電産労組はマーケツト・バスケツト・システムを採用して、当初二万二千円を要求いたしました。その要求の手段は何をもたらしたか。他のあわれむべき労働者を増加せしめ、マーケツト・バスケツト・システムはおろか、一箇月の最低生活費すら保障せられざるまでに追い込んでしまつたのであります。  こうした公共事業の公共性を無視して顧みざる行為の及ぼす害悪は、以上に述べました、ごとく、国家的、社会的には言うに及ばず、一般家庭に対しても大きな不安と危惧を抱かせずにはおきません。健全なる国家の財政と、健全なる社会と、また健全なる家庭経済を求めんがためには、この明らかに無反省の行為に対してみずから反省を求めるとともに、断固として規制する必要を痛感するものであります。このときにおきましてこの法案が提出されることは、有効にして真に適切であつて、一般大衆のことごとく求むるべきものであると、私どもは絶対賛成を表明し、即時実施を願い、強力に推進のために努力されるよう切望するものであります。  なお、電気、石炭の両部門のみにとどまらず、他の公共的事業、すなわち、私鉄、ガス等の争議行為の方法の規制についても同時に推進せられますとともに、一方経営者側に対しても、渇水、石炭不足の名において停電は当然とされるような行動は絶対にないよう、電気事業法案についても一考の上、御実行くださいますよう切に希望する次第であります。

田中伊三次自由党

○田中委員長 次に、全日本金属鉱山労働組合連合会中央執行委員長原口幸隆君。

原口幸隆全日本金属鉱山労働組合連合会

○原口公述人 全鉱の原口でございます。  この法律は、公共の福祉を守るための特定の争議手段を禁止したものであるといわれておりますが、公共の福祉とは生命、生活を守ることであつて政府のスト制限の目的が、石炭並びに電力資本家を擁護することにあることは明らかであり、所有権より生活権をという憲法第二十五条、第二十八条の精神を否定するものであります。このように私企業の労使関係を単独法によつて規制しようとすることは、まさしく憲法違反の行為と考えるのであります。  法第二条にいう電気事業に関する争議行為は、具体的には停電、電源ストをさすものと説明されておりますが、このようなあいまいな条文は、過去の拡張解釈されて来た歴史と現在の政府の性格から、大きな疑問が持たれるのであります。ここに重大なることは、電源、停電ストの禁止とは、電産労組の罷業権を全部奪うにひとしく、これは憲法上の保障された団結権、団体交渉権は重大な制肘を受け、現状においてさえ、労使間の力のバランスがくずれている状況からすれば、この単独法の及ぶ結果は、組合をまつたく無力なものとし、電気事業者に対抗して組合の目的を達成することは、まつたく不可能なものとなるでありましよう。この場合、私どもの経験では政府のいう事務スト、あるいは集金スト、あるいは検針スト等は、労働組合の争議行為としてはまつたく無力なものと考えるのであります。  さらに、この法律が昨年末の電産ストによるものであり、輿論を重視しての措置であるというふうに説明されておりますが、輿論は、ストだけを対象としているのではなくて、渇水時においても同様の不満がもたらされており、これはストのみに対する不満ではなくて、送電されないことに対する、サービスの悪さに対する不満であります。ことに労働組合は本来正しい輿論の背景なしには闘えるものではありません。つまり、社会性の上に立つものであり、その点からいえば、停電スト、電源ストによつて単純な輿論が硬化することを一番心配するのは、むしろ労働組合であります。争議は絶えず輿論の支持のもとに初めて行われるものである以上、むちやな破壊的なストが実際に行使されるということは考えられないのであります。憲法は、事業家がもうけることよりも、労働組合が生きるための欲求を満たそうとする権利を保障しておるはずであります。組合は弱くなつた、経営者は存分にもうけなさいというような結果を生ずるはなはだ片手落ちな制度には、私は反対であります。  次に、第三条にいう炭鉱の保安については、これは鉱山保安法に明記されてをるところであり、過去における運用は労調法第三十六条によつて運用されて来たものでありまして、あくまで人命保護が建前であることは、広く法学者の認めているところであります。しかるに現政府は、立法当時の精神を歪曲し、あたかも鉱山保安法がそのまま争議行為を規制する法律なるがごとき言辞を弄しておりますが、これは本末を転倒するものであります。もちろんわれわれは刑法第三十五条の精神を拡大解釈して、労働運動に伴う不当な行為まで救済されるものとは考えておりません。しかし労使間の紛議に対して、その内容、経緯、因果関係等を深く掘り下げて検討もしないで、ただ表面の現象のみをとらえて、労働組合の行為を否定し、法律上の救済を除外するということは、明らかに行き過ぎであると考えるのであります。  本来、労働組合が当該企業の消長により大きく支配される資本主義社会においては、労働組合が当該企業の維持に重大な影響を及ぼすような行動は、みずから制肘を受ける運命をになつておるのでありまして、これらの問題は、労働組合みずからが深刻な問題として取上げておりまして、労働組合の自主性に基く良識と責任ある行動に信頼すべきであると考えるのであります。  次に、保安放棄の点について、さらに説明をしたいと思いますが、保安放棄等の争議手段が、労使の立場を初めて対等にならしめているという現状を御理解願いたいと思います。一部の保安放棄の争議手段というものが、いかに争議解決を促進し、効果的であつたかを正しく評価する必要があると考えます。この点は、私の属する金属鉱山においてもいわれることであり、他産業にも共通の問題として保安放棄の問題は考えられることであつて、ひとり電産、炭労に限つた問題ではございません。現に金属鉱山の労働組合においては、過去において一部保安放棄の指令を下し、保安放棄をいたした事実がございます。その当時、政府は、この問題について正当なるものとして判断しておりますけれども、企業家も企業維持のため関心を有する限り、スト解決に積極的な行動を起すでありましようし、労働組合にとつてもみずからの職場維持に苦慮しながらも、自己の責任においてやむを得ずとつた争議手段であつてみれば、これを契機に争議解決のための急速な動きが見られるわけであります。従つて、早期の解決こそ労使を含めて、いわゆる公共の福祉に役立つものであり、政府の意図はまつたく逆の方向をたどつていることを指摘したいのであります。  さらにこの際附言したいことは、炭鉱鉱山における保安の状況を見るときに、経営者の怠慢によつて保安法が現在完全に実施されていないという事実であります。そのために多くの労働者が犠牲になつているというこの現実を、一体政府はどう見ているのか、指摘したいのであります。さらにまた電気、石炭は、国民経済や国民の生活にとつて重要な事業であるから、特定の争議手段を禁止して公共の利益を守るというふうに言つておりますが、先刻申し上げた理由から、かえつて争議を長期化させ、公共の利益に結果的には反するということになるのでありまして、労働組合の力が削減されることによつて、業者のみに都合のいい法律となり、政府の主張に一貫したところがないように見受けられるのであります。  また政府の提案の趣旨であります昨年末のストライキが立法の直接の理由であるとするならば、将来同じ理由で続々基礎産業を初めとして全産業の労働組合が、この法律の適用を受ける可能性を持つているということであります。なぜならば、つまり今日の労使関係においては、資本の力は非常に強い。従つて資本家の態度によつては、解決をしないで、ストが長期になり、しかも賃上げを拒否して、その上でスト制限法を獲得するというような二重の利得は資本家の思うつぼでありまして、資本家が悪意をもつて長期に労働組合のストライキを追い込むことができる、そうして公共の利益に反したという理由のもとに、制限の法律を次々につくつて行くという一つのきつかけをこの法案は示していると思うのであります。  反面労働組合にとつては、この法律の網にかからないためには、一体どういう道が残されているかということを申し上げれば、第一には、制限されたストのうち、残されたストを長期的に行うこと、第二には、資本家の考えに追随して行くこと、第三には、この法律を乗り越えて非合法なストライキを行うこと、ということになると思います。しかし、第一の制限されたストを長期的に行うということは、その効果がなかなか出て参りませんので、非常な長期にわたつての実力行使が考えられ、このことは公共の福祉に反する結果となるでありましよう。また資本家の考えに追随するというようなことは、政府あるいは会社の御用組合を助長させることでありまして、これは憲法に保障されました真の労働組合の姿を破壊することになります。また第三に、せつかく成長して来た日本の労働組合をして、法治国の権威に自信を失わしめ、目的完遂のためには法律を無視するような行動に追いやる危険性を持つものでありまして、これはまた共産党のよきえさであり、共産党への温床をつくるものと考えます。このことは政府みずからが民主主義を破壊しようとしているのではないかとさえわれわれには考えられるのであります。  かくして見れば、今次改正は、憲法にうたわれております生活保障の道について一言も触れることのないこの意図は、明らかに国家権力による労働組合の弾圧法でありまして、政府のいう公共の福祉を守るという看板が、いかに根拠のないものであるかを知るのであります。従つてこのような悪法に対しては私は強く反対するものであります。  私の属する金属鉱山労働組合においても、同じ地下産業としての立場から、さらにまた結成以来われわれが民主的労働組合を育てた立場からいつても、この法案に対しては、去る二月末日の全国大会において、この悪法の法律に対する反対のために、実力行使の指令の権限をすでに中央に委譲しているということをつけ加えまして、私の公述を終りたいと思います。

田中伊三次自由党

○田中委員長 次に三井鉱山株式会社取締役労務部長山本浅吾さん。

山本浅吾三井鉱山株式会社取締役労務部長

○山本公述人 私、山本でございます。  私は結論を申し上げますと、この法案には賛成でありますが、さらに画竜点睛の意味におきまして二、三の希望を申し上げたいと思います。  その前に、総括的にこの法案についての考えを申し上げますと、第一に、この法案が争議権と公益との調和に多大の努力を払つておられる点をあげたいと思うのであります。法案は、電気事業並びに石炭鉱業の国民経済及び国民生活における重要性とその生産物である電気、石炭の持つ諸種の特殊性、すなわち自然的経済的あるいは社会的の特殊性について、いわゆる基礎産業中においても特殊な地位にあるということに着眼して、争議権と公益との調和をはかつて、公共の福祉擁護のために争議の手段方法についてのみ必要最小限の規制をするにとどめた、この点であります。  第二は、法案が労使対等の原則に立脚しておるということであります。公共の福祉擁護のため、法案は争議権に若干の規制を加えることになつておりますけれども、法案の第二条において、電気事業の従業者に対して、電源スト或いは停電スト等を禁止すると同時に、事業主に対しても、発電所、変電所等の業務停廃をもたらすようなロツク・アウト、工場閉鎖はできないことになつておる点、同じく第三条におきまして、石炭鉱業の事業主並びに従業者に対しても、ひとしく保安業務の正常なる運営を停廃する行為を禁止した点は、いずれも労使に対しまして、等量の義務を負わせるものであると私は考えております。  第三に、法案が争議方法の一部を規制したにすぎない点であります。すなわち停電のスト、あるいは電源のスト、あるいは保安放棄等、公益を著しく侵害する争議方法を除いては、自由に労使のフエアプレーによりまして争議ができる、こういう点であります。争議は、特殊のものを除いてあとはやれるということであります。換言するならば、本法案はいたずらに労働者の権利を剥奪するものではないと思うのであります。労働者がおのれの職場を愛して、自己の職務の社会的の責任を認識する機会を与えるというのであります。私はいわばこの法案は、ある意味におきまして、血の通つた法案であると考えております。  次に、保安放棄等を禁止した法案第三条の制定は妥当であり、かつ必要であることを申し上げたいと思うのであります。  第一に、第三条制定の妥当性についてでありますが、鉱山その他の事業場におきましては、人命に対する危害防止あるいは衛生保持のために必要な安全施設につきましては、労働基準法あるいは鉱山保安法及びこれらの法規に基く労働安全衛生規則その他の命令で、特に施設を常時保全維持することを義務づけられております。人命保護の目的から、労調法第三十六条におきましては、争議行為としても、使用者、労働者は安全保持の施設の正常な運行を停廃してはならない、またこれを妨げるような行為をしてはならないと禁止してあります。また鉱山におきまして、右以外の事業施設の荒廃または鉱害を生ずる行為は、労調法第三十六条の適用外とする見地に立ちましても、たとえば排水施設の運行をもし停廃するならば、あるいはこれを阻害するならば、坑道あるいは切羽等の水浸し等の現象を惹起します。そして廃坑となることもありましよう。そこで働いている人は、働き場所を失うということにもなりましよう。そのために第三者に損害を与える場合も考えられるのであります。かかる場合は、法益権衡の理論からいいますと、争議権の限界を逸脱した行為であると思いますので、法の保護を受けられなくなるのも当然と私は考えます。再生産の不可能な鉱物資源は、国家の資源として、公共のために最も有効かつ合理的に利用されることが必要であると私は考えております。それを保護することは、とりもなおさず社会公共の福祉を擁護することにほかならないと私は考えております。  鉱山保安法は、その第三条におきまして、保安の定義を明確にしております。すなわち一つは、鉱山における人に対する危害の防止、二は、鉱物資源の保護、三は、鉱山の施設の保全、四は、鉱害の防止、これを規定しております。そのほかに、各条におきまして保安対策を定めておりますが、右の各項目は、石炭鉱業におきましては相互に有機的な関連を持つているものであります。その一つ一つを切り離しては考えられないのであります。たとえば、人命保護のためには、当然に鉱山の施設が保全されなければならないことは言うまでもないことであります。また鉱物資源の保護のためにも、鉱山の施設が保護されなければならない、こういつたような関連性が出て来るのであります。鉱害の防止につきましても、同様なことが言えるのであります。これらの四項目は、いわゆる唇歯輔車の関係にあるといえるのであります。以上、各種の論点を総合して考えますと、法案第三条は、本来当然であることを明確にしたというにすぎないと私は考えております。  第二に、第三条制定の必要性についてであります。顧みますと、昨年の秋から暮れまで六十有余日にわたりまして、炭労ストが行われたのであります。私は交渉委員の一員といたしまして、強く今でも考えられるのでありますが、その六十余日の争議の結果から見ますと、坑内の荒廃は著しいものであり、スト中止後、平常の出炭に復するまでには、大部分の炭鉱が非常に多数の日時を費しました。なお坑内外の完全整備に長時日を要したのであります。このような状況から見まして、もし保安放棄等が実施されたならば、国民経済にとつて致命的な打撃を与えることは必然であろうと考えるのであります。  保安放棄の結果としては、どういうことが起るかといいますと、第一には排水ポンプの停止、これは坑道も切羽も水浸しになります。第二に扇風機の運転停止が行われる。これは可燃性ガス、有毒ガスが充満しまして、ガス爆発のおそれが十分にあります。第三番目は坑道、切羽等の損壊、落盤等が著しく大きなことになると思います。第四は自然発火、第五は炭塵の爆発というような、想像しても戦慄するようなことの起ることが予想されるのであります。かりに、一例としまして排水ポンプの停止について申し上げますならば、わが国の炭鉱におきましては、非常に出水が多いのであります。平均して、出炭一トン当り十トン程度の排水を必要とするのであります。それは外国が出炭一トン当りについて約二トンの出水で済むというのに比べて、非常に自然条件も悪いのであります。だから、もしこれを停廃しまして、排水ポンプの運転機能がとまるということになりますと、その炭鉱はおそらくなかなかこれを復帰することができない状態になると思うのであります。これは昨年見えましたドイツのフリツチエ博士も現実に見られまして、いかにも日本の炭鉱は不利な条件にあるということを言つておられます。保安放棄等の保安業務の正常な運営を阻害する行為によつての惨害は、先ほど申し上げたように、想像に余りあるものがあるのであります。保安放棄につきましては、山元の一主婦が、炭鉱主婦協議会の座談会におきまして、保安放棄は自分たちの生活の源である職場を破壊することになりますので、絶対に反対であります、こういうことを言つております。これによりましても、組合員の家族の中から痛烈な批判が出ておることを証明するものであろうと思うのであります。  さらに私は、この法案は現在の段階においては当然やるべきであり、また適切であると考えるのであります。この法案の目的とするところは、かような惨害を起すようなことにならないように、一部の争議手段を規制しよう、こういうのであります。事は起つてしまつて、あとから裁判にかけてみてどうなるか、そういうことを考えるのではもうおそいと思うのであります。従いまして、第一に、保安要員の提供につきましては保安要員の提供について労使聞で交渉しまして、円満に話をつけて今まで来たのでありますが、昨年の争議のときには、それがうまく行かなかつた。そういうことから考えまして、保安要員を出してもらうということについて、労働間に話がまとまらなかつた場合においては、保安管理者の指定する員数を提供するという義務を組合が負つてもらう。もしこれがいけなければ、第三者である鉱山保安局長が指定する員数を提供するということを義務づける、こういうことでなければ、これは未然になかなか防止できないと思う。第二番目は、違法の争議行為をあえて行つた場合に、処罰するということもあるかもしれませんが、その前に、こういうような事態が起らないような法律上の措置を考慮してもらいたい、かように私は考えるのであります。  以上をもちまして、私の公述を終ります。

田中伊三次自由党

○田中委員長 東京電力労働組合本部副執行委員長前川一男君。

前川一男東京電力労働組合本部副執行委員長

○前川公述人 東京電力労働組合の前川でございます。  昨年の電産争議におきまして、最近の電源ストが国民経済、日常生活に与える影響の重大さということにつきましては、われわれとしても決して否定するものではございません。しかしながら、独立後初めての大斗争といわれました電産争議の一つの経験のみをとらえてただちにスト規制を行うことが緊急であるということについて、私たちは納得できないところでございます。  まず第一に、電気事業における争議権を実質的に、全面的に否定するような法案であるというふうに考えます。政府は今回のスト規制を、争議権を否定するものではないと言つております。その理由として、電源スト、停電スト及び電気の供給に直接の障害を生ぜしめる職場に携わつている人員が非常に少数であるという点をあげております。また需要者のこうむる損失に対し、労使の損失が非常に少い、このことは他産業の争議行為に比較して特殊性である、こういうように言つております。われわれは以上の政府の考えに対しまして、電気事業の争議の実態を、もつとよく知つてもらいたいと思う。同時に、以上の職場に携わつている人員は、決して少いものではありません。おそらくわれわれが今ここでこの問題について、完全にスト権を禁止されるということになりますれば、致命的な打撃を受けることは必然であります。また電気事業に関するストの特殊性についての理解を得たいと思います。  まず第一点における人員の構成でありますが東京電力におきましては、大体発電所、変電所並びに給電所に勤務している人員は六千百三十五名であります。さらに、従来のわれわれの斗争の経過から考えます場合に、電気の故障を修理したり、緊急突発事故に備える人員については、絶えずストライキから除外いたしております。これらの人員を合せるならば、おそらく全従業員の半数以上を占めることになるわけであります。従つて半数以上が、争議行為には参加しても、全然効果も上らないし、参加できないという結果になるのでありまして、実質的にわれわれが今人員を考える場合には、半数以上が争議に参加できなければ、われわれとしては絶対に致命的な打撃を与えることはできないのであります。  さらに、電気事業におけるわれわれの争議方法を、今ここで事務的に考えた場合に、終戦後のストライキ行為について、大きく二つにわけることができると思います。まず一つは、事務関係のストライキ、二番目として、現場関係のストライキであります。  事務スト関係につきましては、他産業のそれと大きく異なるところはないのでありますが、労働者の犠牲だけが非常に大きくて、短時日であれば、会社側に対して与える打撃は少いものでありまして、さらにこれが長期間にわたらなければ効果は上らないというように考えます。もし長期にわたるとれば、需用家にも非常に迷惑のかかるような事態が非常に多くなつて来ることは明確な事実であります。  第二項の現場関係のストライキであります。これはいわゆる電源スト、停電スト、野放し送電等を含むストライキでありますが、この方法は、正当なる要求とストを実施せざるを得ないという実情を一般に徹底しつつ、輿論の支持あるいは協力の中から、間接的に経営者の責任を追究するところに大きい意義を持つております。このことは、電気事業における労働者としてのストライキ行為に対する特殊性の現われであります。従つて、電力供給の責任を持つ労使の良識ある判断が特に必要とされるものであります。それは互いに誠意ある団体交渉による解決が特に望ましいところでもあります。  以上の二点を十分に考えた場合、電気労働者としては、いずれかの一方が完全に失われてしまうということは、致命的な打撃を受けるものであつて、争議権の否認に近いような現象となつて現われるのであります。今回の法案は、われわれのスト戦術の後者を否定しているのでありまして、労働者のみがかくのごとく基本的な権利を侵害されることに対しては、絶対に反対せざるを得ません。また本法案を実施して、争議権を実質的に失うことになれば、勢い特殊な戦術を考慮せざるを得ないという結果になります。このことは、需用家に対して直接迷惑のかかつて来るような特殊なストライキ形態になつたり、あるいは労働組合をして非合法的な色彩を持つ争議行為に走らせる危険を伴うものであります。このことは、労使間にとつてもまことに不幸であり、健全なる労働組合の発展が阻害されまして、いたずらに社会不安を招くのみであります。  しからば、現在の電気事業における労働組合の歩みはどう展開されているかということが重要な問題であります。まず最初に東電労組の実態を申し上げたいと思います。このことは、電産を批判して昭和二十四年に脱退、企業別労働組合として発足いたしました私たち東電労組が、昨年の闘争において歩んだ道であり、特に現在電気事業における労働組合の再編成の機運が非常に濃厚になつて来ているというような状態から、われわれとしても、この点は申し上げたいわけであります。私たちは昨年の斗争におきまして、電気事業に携わる従業員で組織する組合といたしまして、三つの基本的な考え方をとつたのであります。一つは、需用家に対する迷惑は極力避ける努力をするとともに、みずからがその情勢をつくらなければいけない。二番目として、スト戦術は経営者に対して実害を与えるものを主として取上げまして、いたずらに輿論を刺激し悪化させる手段はできるだけ避けるべきである。三番目に、斗争の解決は第三者、中労委あるいは政府にたよることなく、労使間の自主的なる団体交渉によつて誠意の中から早期解決をはかる努力をする。大体以上の三点を基礎にいたしまして、いろいろな争議手段についても検討が加えられました。もちろんわれわれとして昨年の斗争において停電スト等の準備は完了しておりましたが、実施する段階に至らず、また十二月上旬に予定いたしました野放し送電にいたしましても、電産の電源ストとの重複による大混乱を避けるために、中止指令を流さざるを得ない戦術転換の状態も現われたのであります。従つてわれわれとしましては斗争手段について、今いずこからも非難されるような余地のないものであることを確信しております。  以上の組合の実態を十分に認識し、あわせて電気事業における労働組合の動向が、真に民主的なる再編成へと進みつつある情勢を把握した中において、今スト規制というものは、まつたく必要のないものであります。もし、その情勢、実情を無視してまでもスト規制を実施する必要があるとするならば、われわれの労働基本権を侵害し、政治の貧困を顧みず公益事業ということをたてにとつて、電気労働者に一切の責任を転嫁し、戦争経済を遂行せんとする吉田悪政の一環であり、組合の弾圧であるといわざるを得ないのであります。公益事業に対しては、十日前の予告制度及び緊急調整という制度が設けられております。今ここでなぜ単独法によつてやらなければいけないか、これについてはいろいろ理由があると思いますが、現在の状態においては、少くともストライキに関する限りは、労働法の中で取扱つてもらいたいというように考えます。現在のわれわれの考え方に基くならば、十日前の予告制度並びに緊急調整の問題について十分考えるならば、今ここでスト規制をする必要は全然ないと考えます。  結論といたしまして、まず第一番に、労働法の精神を踏みにじり、単独法をもつて実施せんとすることは非民主的であり、非難さるべきであると思います。二番目、政治の貧困から来る責任を顧みず、労働者のスト権のみを規制して経営者のみを有利に導くことによつて、労使の均衡の原則を破壊し、組合を一方的に弾圧し、もつて戦争経済遂行の意図を貫くものである。三番目、スト規制を実施することにより、スト戦術に特殊なものが取上げられる結果として非合法的な色彩を伴うおそれがありまして、健全なる組合運動の発展を阻害するものである。四番目、電気事業における労働者の争議権を実質的に否定するものであります。五番目、われわれ東電労組は、過去の斗争経歴から考えまして、一般に非難される余地のないことを確信する。六番目、電気事業における労働組合の全国的な動向は、必然的に再編成の機運に進んでおり、情勢は大きく転換されつつある。七番目、政府も認めるごとく、労使の良識と健全な慣行の成熟にまつことは、現情勢より考えて当然である。  以上の理由をあげまして、当組合といたしましては、本法案については絶対に反対いたします。

田中伊三次自由党

○田中委員長 次に、日本化学工業協会労働委員長磯村乙己君。

磯村乙己日本化学工業協会労働委員長

○磯村公述人 私、磯村でございます。経営者の一人として、また化学工業の経営者代表の一人として申し上げます。  最初に、結論は、本法案には賛成でございます。その理由の第一点は、電気事業というものは、一般企業とまつたく違う幾つかの特殊性を持つておるということであります。  その特殊性の第一は、独占企業であるということであります。電気事業が独占企業であるために、年々歳々ストを繰返し、さらに年々歳々のストのあとには、必ず料金の値上げが参ります。こういうことを毎年々々繰返されたのでは、私ども消費者はたまらないのであります。もういいかげんによしてくれという感情になつております。このことが、おそらく今回のこの法案の出た最も大きな理由であろうと思います。   第二番目は、労使のあり方は、ストをやります場合には、いずれも自分の責任において、自分の損害において、ストあるいはロツク・アウトをやるのでありますけれども、電気の場合だけは、ストをやりましても、経営者側も組合側も、きわめて損害が少いということであります。昨年暮れあれだけのストをやりまして、組合側の賃金の減収は、三箇月にわずか三千円未満、一箇月に千円未満の減収を来しただけであります。また経営者の方は、あれだけの電力を売らなかつたにもかかわらず、料金の減収は、おそらく二、三億円程度にしかすぎない。しかも消費者のこうむりました損害は、何十億という損害であります。いわば経営者は左うちわでストをやつておる、労働組合側は鼻歌まじりでストをやつておる、それで迷惑するのは第三者のわれわれ消費者であり、一般国民である。こんなばかげたストは、何らかの法的措置によつて制限されることは当然だと思います。  第三の点は、一般企業と違いますととは、電気事業におきましては、組合がストをやつても、その対抗手段であるロツク・アウトができない、年がら年中経営者は組合に切られつぱなし、やられつぱなしで、どうにも対抗手段がない。これでは労使対等ではないのでありまして、私どもはあくまで労使は対等の立場に立つて、フエア・プレーで物事を解決し、また日本の産業の復興に協力したいと念願しておるのであります。第四の点は、われわれ国民並びに一般工業が多くの被害を受け、あるいは中小企業においては、賃金の不払いとか遅払いとかいろいろな被害を受けておりますけれども、そのおしりの持つて行き場がないのであります。現状におきましては、電気がとまつたために、あらゆる産業——ことに化学工業におきましては、電気が一時間とまれば一日の仕事がオシヤカになる、一週間の仕事がオシヤカになるというようなことが非常に多いのでありますけれども、そういう損害のおしりの持つて行き場がどこにもない。この点は何としても考えていただかないと困る点でございます。  次に、私は化学工業の代表でありますので、化学工業の立場から、特殊性を二、三申し上げさせていただきたいと思います。化学工業は大工業におきましても、小工業におきましても、自動的な装置で連続運転しておるような仕事が多いのであります。反応が終りますのに一日、二日かかる仕事は幾らもあります。途中で一時間、二時間とまりましても、仕込んだものはもうすべてオシヤカになつてしまうのであります。極度の自動的な装置であるために、電気を切られますと、あらゆる面で損害を受けておるということが、化学の大きな特色の一つであります。その例を電解ソーダにとりましても、電解ソーダの電槽に電気が切れますと、スムーズに進行しておりました電解がとまる、塩素ガス、水素ガスがチエンバーにたまる。空気が漏れて入れば爆発の危険も起つて来るのであります。またたとえばペニシリンやストレプトマイシンのような醗酵工業を例にとりましても、これは菌を生かしておきませんと——その菌は動物バクテリアで生きておりますから、電気が切れて死んでしまえば、大事な種がなくなつてしまい、再び操業することができないというような致命的な打撃を受ける。また染料、医薬、化学薬品のような工業におきましても、操業が一時とまれば、ローカル・ヒーティングと申しまして局部的に反応がどんどん進行し、あるいは熱を出して、原子爆弾の爆発時のような連鎖反応によつて爆発事故も起り得るのであります。ただ昨年の争議におきましては、大工業において、それぞれ苦労して自家発電や何かをもつて切り抜けたというだけでありまして、こういうことを始終やられては、中小工業はたまつたものではないということでございます。  以上、私は化学工業の立場からこの法案をぜひ通していただきたいということを申し上げたのでありますが、次に石炭の保安要員の問題であります。  申すまでもなく、炭鉱を破壊するということは、組合自身の自殺行為であります。炭鉱を破壊してしまつたら、どういうことになるでしようか。日本の全産業はストップなり、あるいは甚大なる被害を受けます。今、私どもが経済復興に日夜努力いたしております際に、日本の全産業を破壊するような、そういうむちやな争議行為を禁止するということは、これは当然でございますから、これにも私は賛成するものであります。  最後に、私は初めてこの委員会に出ましたが、希望がございます。本日は公述人に、経営者側何人、組合側何人、それに公益代表というふうにお呼び出しになりまして、しやべらせられておりますけれども、こういう構成では、経営者は賛成するにきまつているし、組合側は反対するにきまつている。もう聞かないでも皆さん方はおわかりだろうと思うのであります。その意味からいたしますと、この電気、石炭の問題は全国民的な問題であります。従つて経営者、組合というような、そういう対立的な問題ではなく、国家的な問題でありますから、一般の消費者大衆の代表を公述人にお選びになつて、どつちを言うかわからないという意見をよけいお聞きになつた方が意味があるのじやないかと考えます。  それともう一つ、私は実はけさ十時に来いということで、この委員会に参りました。ところが、十時半になりましても、このどつさり立つている名札のところに、皆様方はちつともお見えになりません。遂に十一時ちよつと前になつてやつと始まつた。私は幸いまん中辺でやらせていただきましたから、お昼にどうやら帰れますけれども、残つた方も、それぞれ用事のある、みな予定のある公述人ばかりであります。どうぞころいう公開的なものは、時間通りに御実行くださいますように希望を申し述べまして、私の公述を終ります。

田中伊三次自由党

○田中委員長 ただいま磯村公述人からお話が、ございましたので、一言おわびを申し上げます。たいへん開会の時間が遅れましたことは、委員長まことに不行届きでございまして、公述人各位におわびを申し上げます。  なお公述人の構成でございますが、これは賛否の結論を伺おうということが公聴会の目的でございません、賛否いずれでもけつこうであります。ただ、いかなる理由で賛成をするか、いかなる理由で反対をなさるか、その理由を伺おうということが公聴会の目的でございますのでこういう構成でお願いを申し上げたような次第でございます。御了承を願いたいと思います。  次に、もうお昼が参りましたが、実は藤田進君と諸富義高君の御都合がございますので、はなはだ恐れ入りますが、この両君の公述を済ますことにいたします。  日本炭鉱労働組合中央副執行委員長諸富義高君。

諸富義高日本炭鉱労働組合中央副執行委員長

○諸富公述人 炭労副委員長の諸富であります。私は日本電気産業労働組合の同志諸君とともに、本法案の規制の対象となつておる日本の炭鉱労働者二十七万の意思を代表いたしまして、この法案に対する私の意見を述べたいと考えております。  こういう見地に立ちまして、私は本公聴会に対して非常に遺憾の意を表したいと思います。労働委員会というものは、労働運動に対して最も理解を持たれ、またこれと最も緊密な連繋を持つて、すべてのことに処して行かれるものと、私は認識をしておりました。ところが、この公聴会において各界の代表者から公述をされ、それぞれ賛成、反対の意見を聞くべき労働委員の多くの方々が欠席されておることについて、私はまことに残念に考えたのであります。     〔「よけいなことを言うな」と呼び、その他発言する者あり〕

田中伊三次自由党

○田中委員長 お静かに願います。——お静かに願います。

諸富義高日本炭鉱労働組合中央副執行委員長

○諸富公述人 本法案はそのあらゆる欺瞞的な装いにもかかわらず、明らかに電気及び石炭の労働者の争議権を実質的に剥奪するにひとしいものである。のみならず、同時に金属鉱山、私鉄、ガス、鉄鋼、化学、肥料その他あらゆる重要産業のスト権を奪わんとする意図があるということにつきまして、われわれ重大な関心をおるのであります。さらに本法案に対するわれわれの見解は今日まで国会において政府側がいろいろ説明をいたしましたが、遺憾ながらわれわれのこの法案に対する反対の考え方を、いささかも変更する必要を認められないのであります。炭労としましては、去る三月四日の第七回全国大会におきまして、あらゆる方法をもつてこの法案撤回のために闘わねばならないということを、満場一致で決議いたしました。その理由につきまして次に申し上げたいと思います。  すでに多くの人々から、さまざまの観点から本法案に対する鋭い批判がなされましたし、さらにさきの政府主催の公聴会にも、炭労の見解は田中前委員長が述べましたので、これらの問題については、私はこの際重複を避けたいと考えておりますが、特に本法案の第三条を中心にいたしまして、炭鉱労働者の立場から、できるだけ具体的にこの問題について意見を申し上げたいと思います。  まず立法の理由につきまして、本法案が昨冬のストにかんがみて提案されておるということを、提案者は繰返して述べておるのでありますが、本法案賛成者のおもなる理由も、みなこのことに原因があるのであります。われわれはあの長期のストライキによりまして、国民の多くの方々に多大な迷惑をかけましたことにつきましては、一方の当事者として、われわれも深く責任を感じております。われわれはこれらの方々に対して申訳ないという自責の念に現在駆られておることは、聞違いない事実であります。しかし私どもは、そういう責任とともに、そのストライキがなぜこれほど長期になり、なぜこのストライキを闘わねばならなかつたかということについて、いま少し思いをいたすところがあるのであります。ストによる国民の直接的な被害感をして、ただちにスト反対へと巧みに誘導し、それに便乗してスト権を制限せんとする政府の態度は、何としてもはなはだしく不当であり、われわれは憤りを感ぜざるを得ないのであります。もともと争議行為の発生原因が労働争議そのものにある以上、労働争議そのものに対して、まずメスが入れらるべきは当然であります。もしも政府が、ストによる国民の被害を減少せんと真剣に考えているならば、当然労働争議の合理的解決の道の発見と、そのためのしかるべき措置をはかることこそが、責任ある政府としてなさるべきではないか。まず第一に、この点に本法案の立法理由に対する根本的な疑いを持たざるを得ないのであります。  さらにわれわれにとつてまつたく不可解なのは、政府のいわゆるストによる国民生活への甚大な影響と損害と本法案第三条に規定されるスト中の保安要員問題との間に、一体いかなる因果関係があるのかという点であります。われわれはストライキ中経営者に打撃を与えるために、スト戦術として保安要員の減員をはからざるを得なくなつたのでありますが、このことと公共の福祉との間に、一体いかなる関係があるのでありますか。しかもわれわれは指令十二号以前は平均在籍坑内夫の一一%、以後は八・六%の保安要員を出したのであります。このことは明らかに炭鉱労働者がみずからの職場を愛し、炭鉱そのものを第二の故郷と考えておる精神の発露であろろうとわれわれは考えるのであります。こういう中から、ストライキは相当長期になつて参ります。この長期のストライキが遂にわれわれをしてあの最悪の事態に突入する決意をせしめたのであります。もちろんこのことにつきましては先ほど炭鉱経営者の方々が公述されましたように、二十七万の炭鉱労働者は悩みました。またその主婦も非常に苦しみました。しかし、この苦しみを乗り越え、悩みを乗り越えて、みずからの生活を守るための最後の残された手段としてこの道を選ばざるを得なかつたのであります。そこで前述いたしましたように、保安要員の措置につきましても、こういうふうにわれわれはやつて参りました。  さらに六十三日という長期のストライキの直後、わずか一週間にして出炭が常態に回復しておる事実は、前述いたしましたように炭鉱労働者がいかに生産に対して真剣にものを考え、炭鉱を愛しておるかという実態の姿であると看破せざるを得ないのであります。  以上申し上げましたように、昨冬のストにかんがみて公共の福祉を擁護するためという本法案の立案の趣旨につきましても、どういう観点から見ましても、われ、はその理由が虚偽に満ちたものであり、スト制限の口実であると考えております。公共の福祉というものは、いかなる場合といえども、一方の利益を代表したり、あるいはそれが一つの政策のために使われることをわれわれは厳に警戒せねばならないと考えます。公共の福祉の中には、当然三十万の炭鉱労働者とその家族の生活という、この実態も考えられなければならないと考えてをります。特にこの法案の内容につきまして、その第三条については、きわめて漠然としたものがあります。  構成の要件がはなはだしくあいまいであります。その他不当な行為云々が、法案要綱から削られましたが、これらに対する不安は、決して解消されたものとは思われません。第三条は決して政府が言うごとく全員引揚げのみを禁止しておるものではなくして、労働者の保安義務については鉱山保安法第五条、第三十条に基いて同規則第五節に規定されておるが、ここではその四十七条第三項が問題になつて来るのであります。本法案の第三条の「重要な」というものはこの保安規則第四十七条第三項との関連においていかに解決されるのかが最も不明確なところであります。これは当局による拡大解釈と手心を許すもとでありまして、その濫用や悪用を起す大きな原因がこの中にひそめられておると私は考えるのであります。  スト中の保安要員の差出しについては、従来労働協約や慣行によつて、労使の紳士的な協議によつて、行つておりました。あるいは労働組合が自主的にこれを差出しておつたのであります。しかし本法案は、これを結局大幅に業務命令による会社の一方的指揮監督のもとに置かんとするおそれがあるのであります。この結果、スト中も採炭や出炭を余儀なくされることになりまして、さらに経営者は本法に便乗いたしまして、ますますこういう態度を強化することによつて、ストライキは非常に深刻な方向に発展して行くおそれが、われわれはこの法案から見出せるのであります。特に今次の長期のストライキ中に起りました目尾、下山田、大峯、雨龍の、ごとく、検察庁あるいは警察から受けました弾圧は、われわれは十分考えなければならないと考えます。また会社の業務命令に従わず、保安業務につかなかつた者またはこれを指令した者は、会社から懲戒処分に付せられるのでありましよう。かくて本法案は、実質的にはストの切りくずし、スト禁止にひとしい結果をもたらすおそれがあるのであります。こういうことは、すなわちかつて憲法違反として相当問題になりましたピンク・パージを違つた形で行わしめる準備を法的に裏づける結果になるおそれを十分持つておるということをわれわれは指摘したいのであります。  さらに、本法案が制定されたならば次のことが予想されます。まず使用者はこの法案を最後の拠点といたしまして、がんとして会社の提案を譲らない。こういうことが昨冬のような争議の長期化の原因になるということをわれわれはおそれるものであります。やはり労使の関係というものは、お互いがお互いの立場を理解し合うところに、正しい労使関係があるものとわれわれは判断いたします。しかもこういう牢固なる経営者の態度から、いろいろなストライキが起こりましよう。これは全国的な組織におきましても同じことでありますが、このことは単に全国組織の問題だけでなく、一炭鉱、一企業の労働組合のストライキについても、同じようなことが起つて来ることをわれわれはおそれております。  しかも、この法案の成立は、法原理の一大転換をもたらすものでありまして、労調法第三十六条の拡大解釈あるいは争議行為の正当性の判断の基準を拡張するという形で、ただちに他の重要諸産業に波及するおそれは必至であります。しかも使用者側のみならず、政府の答弁よりしても、かかる解釈の立法化は必至であり、かくてこれが全産業のスト禁止的制限へと発展することは、火を見るより明らかであるとわれわれは断ぜざるを得ないのであります。  以上明らかにしたように、本法案は単に炭労、電産のみならず、全産業に及ぶスト禁止的なピンク・パージ立法の素地をつくるものとしてわれわれはこれに反対せざるを得ないのであります。最後に結論といたしまして、本法案は前述したように事実上スト権を剥奪し、労使関係の、バランスを破り、使用者を絶対有利に導くものであります。昨冬のストにおいても、公益とは何らかかわりなかつたのであり、本法案によつて消費者大衆の利益が擁護されるものではないと考えます。すでに各方面から指摘されているように、労調法第三十六条の緊急調整等をもつてすれば十分であり、われわれの理解と労働権威者の理解によつて、皆様が憂慮され、政府や資本家が憂慮されておりますような最悪の事態を回避できると、われわれは信じて疑いません。かかる弾圧法の屋上屋を重ねる必要は、こうもなく、また許さるべきではないとわれわれは考えます。政府はよろしく公正な立場から、昨冬の争議の徹底的な分析を行われまして、スト長期化の原因を探究し労使関係の合理的な解決の道を発見する努力をすべきでありまして、こうした姑息な法案をもつてわれわれの正しい労働運動を弾圧することにつきましては、反対の立場を明確にいたしたいと思います。  以上をもちまして公述を終ります。

田中伊三次自由党

○田中委員長 総評議長藤田進君。

藤田進日本労働組合総評議会議長

○藤田公述人 総評議長並びに電産の委員長であります藤田でございます。  私は最後で時間も迫つておりますから、先ほど来触れられました公述人の主張に重複しないように、新しい点を申し上げてみたいと思います。  私は、御案内の通り過般の電産の紛争議につきまして、さらに炭労の紛争議につきまして、直接間接にその責任者として関係をして参りました。従いまして、本国会におかれましてかような政府提案を御審議に相なります場合、単にあの現象である労働組合の争議行為そのものだけを切り離して御検討願うことなく、よつて来るあの根源をせんさくしていただきたいと思うのであります。  時間がありませんので、詳しくは申し上げませんが、炭労の場合を考えてみましても、また電産の場合から考えてみましても、今日法律をもつてあのストライキをできないように規制する、禁止する、こういうことであります。その理由は、公共の福祉が重大なる脅威、阻害をされているから、さらに、あの行法は当該産業、国家資源を破壊するものである、こういうことがいわれていると思います。そして現在の炭労あるいは電産の組合の性格そのものが、すでに極左的な破壊的な方針を持つている団体である、こういうことが指摘されていると思います。これは明らかにためにせんとする不歪曲したところの何ら根拠のないものであると思うのであります。なぜならば、炭労の場合、もし保安要員引揚げによつて、炭坑を破壊する目的があの紛争議に介在していたとするならば、あのような長い間のスト中、賃金を差引かれながら、家族を含めた、また日本の全労働者の規模において支援をした、ああいう長期にわたることなく、いきなり保安要員の引揚げすら行い得たでありましようし、そういう方針がとられたでしよう。電産の場合におきましても、電源停電のストを回避いたしまして、九月の上旬以来、直接一般需用家の皆さんに御迷惑のかからない形で、いわゆる事務スト、事務系のストライキを続けて、経営者の反省を求めたのでありまして、さらにそれでは問題の進展が見られないのみならず、かえつて経営者の態度を硬化させるのみであつて、これではということで、さらに、こく軽度な電源ストになつたと思います。発電所における労働者が、一時的に自分の労働力を提供しない、こういうかつこうに出たと思います。それも、量的にもごくわずかな小範囲のものであります。しかし、そういうことではなかなか効果がない、事態の進展がはかられないということから、逐次強化されたのが実態だと思います。こういうことからお考え願つてみても、あえて破壊的な行動をとる目的でなかつた。問題は当時の労使間の固有の問題である労働賃金あるいはその他の労働条件の維持改善に主眼があつたと思うのであります。  さらに積極的なこの法案提出について、私は次のようにこれを見ております。すなわち公共の福祉が阻害されるというこの根拠が全然科学的に示されていない。それはただ感情的に、あのストライキに対する国民の感情、これが確かに迷惑を受けておりますために、その迷惑を誇大に宣伝し、かつ一般大衆に普遍的に被害がこうむるように、ストライキの過程を通じて、経営者その他相手方が策動したと思います。一般需用家の電気を切つて行く、こういう方法をとつていると思います。こういうふうにいやが上にも輿論の悪化を政策として相手方が実施して、その現われが労働組合自身の行為である。だからしてこれをとめなければならぬというところの論法で来ていると思います。論より証拠、今度の法案提出に先だつて、この法案提出ということがまだ何ら日程に上つていない十二月の十三日に、政府が労政当局をして発表さしている被害状況の報告資料を御検討願えば明白であると思います。現行法によつて緊急調整の制度があつても、電産に関しましての緊急調整はなされなかつた。それはどういう理由に基いているか。それは当時発表によりますと、まず鉄鋼関係については、鋼材全般の需給には支障がない。あるいは金属工業関係、これは操業計画の変更等により生産に及ぼした影響は僅少である。自家発電のあるところはこれによつてカバーしている。機械関係はどうか、いまだ大きな支障を与えていないと認められる。化学肥料、硫安の工場在庫は現在約四十万トン、生産量で二箇月分あり、製品の需給には支障ないものと認められる。会社側または組合側と協議して保安電力は確保している。ソーダはどうか、ソーダは全般の需給にはほとんど影響はない。あるいは製氷関係、これについても、製品の需給は閑散期のため影響はない。国鉄関係、一般線に接続されている駅は停電したが、昼間のために影響がない。私鉄関係、ほとんど影響がない、こういうふうに発表されているのであります。突如として吉田総理大臣が施政方針演説の中で、この規制についての一項を入れられたということを聞いておりますが、急遽この裏づけのためにその後この法律が画策されて、非常に唐突の間に公聴会が開かれる、このようになつて来たということが言えると思います。要するに、いろいろな相手方のたくらみ、挑戦によつてこの立法化を意図していたということも半面うかがえると思います。  今日、労働基準法が、各産業経営者によつて違反を非常に多くいたされております。この基準法の違反に対して、違反させないように労働基準監督官をふやすとか、いろいろ予算上の措置をするとか、こういう方向ではなくて、かように多数の違反が今日ある以上、違反がないように労働基準法を改悪しなければならない、守れるように改悪しなければならないという結論が過般出て、審議会などが持たれたはずで、一部改正といいますか改悪になりました。今度の場合は逆なんです。ああいうストライキがいやが上にも深刻になるように、譲らないで、資本の立場を守り続けさせて、そしてさらには労働者の既得権を剥奪して、これに抵抗するストライキをとめる、これは現行法律の不備であるからさらに強化しなければならぬという、反動への方向をたどつて来ていると思うのであります。結論を申し上げますと、現在の民主主義社会における労使関係、この労使関係は、憲法におきまして、さらに労働組合法、労働基準法あるいは労働関係調整法と一貫してこの労働法の中に流れているものは、その基本的な理念は、労使対等の立場における契約の関係を規定していると思います。過去におけるあの戦前のごとき工場法がようやくにして通過して、ただそれのみしかなかつたあの当時においては確かに労使関係は身分関係、労使は即主従の関係に置かれていたと思います。その実態もそこにあつたと思います。これが憲法が労働権を保障し、さらに労働組合法によつて具体化されて、労働組合法第一条には、御案内の通り労使対等の立場を助長する、こういうことだと思います。これが労働組合法の第一条に掲げている目的だと思います。さらに労調法第四条以下七条におきましても、労働争議行為の定義が明確に条文化されていると思います。こういうことは憲法二十八条以来、労使が対等の立場において、その力関係において、合理的な安定点を求めようとするその精神だと思います。これが基本になつていると思うのであります。その基本がまつたくくずれ去つて、そうして先ほど本案に賛成の磯村公述人も言われていたように、経営者は左うちわ、労働者は鼻歌でストライキをやつている、このようなことでは困るという、いわば感情的な根拠以外にはないと思うのです。そういう感情によつて労働法がここに一部拘束、不当な制限をされたりなどすべきものではない。あくまでも憲法二十八条、さらに現行各労働法の精神を守つて、労使対等の立場を堅持する範囲においての立法の論議でなくてはならぬと思います。  それが実体論として、電産の場合も、炭労の場合もそうでありますが、賃金そのものをベース改訂する。これはやはりおのおのの正当な主張と、そしてこれに対しては相当時間的な要素が加わるわけであります。要求をし団体交渉をし、そして解決するまでには、非常に長期な時間を要しておることは過去の数字が示しております。先般の場合も約半年をけみしております。これがさらに今回のごとくこの法律が立法化されますと、経営者においてはいつまでも引延ばしをする、おのれの主張を全然譲らないで、主張を続けるだけで、経営者の立場は貫かれると思います。半年も一年も、ストライキという相手方の対等の力関係がここにくずれるのでありますから、労使関係の問題解決というものは、明らかに長期を要し、かつその結果一方的に労働者の敗北に終る、このことが明確に予想されると思います。  さようなことを予想して、現在の吉田内閣は本案を提案していると思うのでありますが、しかし、どつこいそうはうまく行くものではないと私は断言いたしておきたいと思います。過去の世界の労働法、世界の労使関係の歴史が証明いたしておりますように、イギリス、ドイツあるいはフランス、さらにはアメリカの場合でも、御案内の通り、長い間の労使関係の闘いの中から、今日の、ごとく労働者の基本的な権利が保障され、労使対等の原理で発展して来ている。こういう状態をまつたく無視して、またその法制史をまつたくくつがえして、ここに労使対等の原則をくつがえす本法案が通つたならば、決して一方的な資本家の優位態勢ということではなく、百八十年も前の歴史が、ここに再び日本において現出されるということを申し上げる以外にはないと思います。  過去の流血の惨、暴動化への現象は、やはり高度な不当な弾圧の政策によつて、これが全然ないとは保障できないのであります。ことに、それまで行かないといたしましても、法律を守るところの、いわゆる遵法の精神が国民に、労働者に欠けて参りましたならば、すでに法治国家としての秩序は維持されないような方向になると思います。それを維持するには、これはやはり警察力あるいは保安隊、こういう武力に訴えて弾圧する以外には方法がないと思うのであります。そこに初めて過去以上の反動的なフアツシヨ的な社会が現出して来る。このことは好ましい方向ではなく、いやが上にも極左暴力主義的な傾向が、その政策のもたらす結果として現われて来ることを憂慮するものであります。  私はその他多数の反対の論拠を持つておりますが、以上のごとく、要約すれば、まず憲法に反するもの、違憲の立法であること、同時に一国の政府が一方的に大資本家の利益を擁護するその固有の目的で、ここにこのような法律を提案しているというふうに断ぜざるを得ません。  以上の主要な反対論のもとに、私は本法案に場対して反対をいたすものであります。同時に、そのためには、あらゆる力を発揮して反対の行動をとることをここにつけ加えておきます。どうか本国会におかれましては、慎重にこれらの事情を御勘案願いまして、本案通過に対しては積極的に御反対、阻止をいたしていただきたいということをつけ加えておきたいと思います。

田中伊三次自由党

○田中委員長 正確に午後二時まで休憩いたしたいと存じます。     午後零時四十七分休憩      ————◇—————     午後二時十二分開議

田中伊三次自由党

○田中委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。  それでは、東京商工会議所中小企業委員会副委員長石田謙一郎君。

石田謙一郎中小企業委員会副委員長

○石田公述人 私、ただいま御紹介を受けました石田でございます。私の方の東京商工会議所といたしましては、この争議の発生後におきまして、あまりにその被害がわれわれ中小企業者にとりまして甚大でありますので、進んでこれらの争議行為の禁止を議会その他に陳情をいたした立場からいたしまして、本案に対しては賛成をいたすものであります。  われわれ中小企業者は、実はご承知のように、現状においては非常に弱体でありまして、わずかの問題が起きましても、倒産を免れないような状態であるのでありますから、この電産ストライキ及び炭労のストライキによりまして起きた結果の、ごときは、この両方の当事者の損害というものは、それらの事業のスケールから申しましても、あるいはまた炭労はそうでもありますまいが、電産のごときに至りましては、この被害の状況はそう大きくはないと判断されるのでありまするが、これらの行為によつて受けたところの中小企業者の損害と申しますのは実に大きいのであります。本日私が持つて参りましたこれらには、それらの結果によつて発生するところの行為に対して、各地の中小企業者から商工会議所に対して、ぜひ禁止してもらいたいというところの電文陳情書その他を集めて来たものでありまするが、ことに各僻地におきまする中小企業者にとりましては、昨年の暮れの、ちようど時期も非常に悪いのでありまするが、当時のごとき年末を控えて、中小企業者は何とか越年をしたい、何とかぎりぎりの線で年を越したいと思つておりまするときに起きました電気の送電中止というような問題におきましては、非常に甚大な結果が起きた。また石炭の問題も同様でありまして、この結果といたしまして、昨年暮れ押し詰まつてから鉄道の非常な貨物輸送の逼迫というようなことも起きたのでありまするが、これらがありましたために、電気で送電中止のために生産が非常に杜絶をした、そしてそれらのために納期が遅れた、輸出産業に至りましては、キヤンセルその他の非常につらい目を見たのでありますが、やれやれもうこれで生産できたと思いますると、あたかも追い討ちをかけるように鉄道の問題が起きて来た、これまたそのために納期の遅延その他で非常な痛い目にあつたということがあるのであります。これらの点は、両方の当事者からお考えになりますると、その被害の量は、個々のものは大したことではありませんが、全体を集めますと、非常に尨大なものでありまするし、ことにこの中小企業者及びそれに関連するところの勤労者諸君の受けた被害と申しますものは、実に甚大きわまりない、かように私どもは考えておるのであります。しかもこの結果といたしまして、今後においても、あるいはこういうことがあり得るのではないかというふうな予想を、私どもはいたさざるを得ないのであります。  万が一、今後においてかようなことが再発するようなことがありましたならば、たださえ抵抗力のないこの中小企業、ことに相当の勤労者諸君を包含しておるところのわが国の中小企業の実態から見ますると、当然これは非常に重大な結果を招来する、このような点から、私どもといたしましては、この電産及び炭労における、今度の法案に盛られましたような行為だけは、ぜひ禁止していただきたい、かように考えて陳情を申し上げたわけなのであります。  本日私が参りましてこの公述人となりました場合にも、これらの点については、特にひとつ中小企業者の実態及びそれによつてこうむるところの損害の相当に重大であるという点を皆さんに認識をしていただきたいというようなことを、各地からも申されて来ておるのであります。しかしながら、午前中に大体そういうふうな論議はされ尽しているように伺いますので、私はここにあらためてこまかいことを申し上げる必要もないと思いますが、ただこの法案によりましては、われわれ全国の中小企業者の集まりであるところの商工会議所及びそれらを代表するところの中小企業委員会といたしましては、賛成を申し上げるということを申し上げて降壇したいと、かように考える次第であります。

田中伊三次自由党

○田中委員長 それから電気事業連合会事務局長平井寛一郎君。

平井寛一郎電気事業連合会事務局長

○平井公述人 私は電気事業の経営者側の一員の立場から、本法律案について公述をいたしたいと存じます。  電産争議につきましては、終戦後七年間にわたりまして、年中行事のように繰返されております。その間電源スト、停電スト、事務ストなどと、はげしい争議行為が相次いで行われております。その都度第三者であるところの一般の社会の皆様に多大の御迷惑をおかけしておりますることを、電気事業経営者といたしまして、たいへん申訳なく、また遺憾なことと存じておる次第でございます。  まずこの法律案につきまして結論から申し上げますると、この法律案の内容につきましてはまさに妥当であり、またこのような法律を設けることが、現状においてはきわめて必要であると考えておる次第であります。以下電気事業に関連しまして、簡単にその二、三の理由を申し述べてみたいと思います。  電気事業におきまする争議行為につきましては、電気事業の特性からいたしまして、その規模において、その様態において、さらにはその影響において、他の一般産業と比べて著しい特色があるのであります。昨年秋の電産争議は、九月以降ちようど八十数日にわたつて全国的規模におけるいろいろな様態の争議行為が、しかも未曽有のはげしさをもつて行われたのでございましたが、その間電源、停電ストだけを拾つて見ましても、三十余日を数えるのであります。またこのストのために失われました電力量は電源ストによりまして約言億六千万キロワット時、また停電ストによりまする抑制が千五百万キロワット時に達しておりまして、社会全般にこの部分が特に著しい影響を与えたのでございます。今日電力の不足が痛感されておりまする際に、一般産業にとりましても、また社会、国民の生活全般から見ましても、いかにそのストによる損失が大きいかということは、言うをまたないところでございましてこういう甚大な国家的損失を伴う争議行為が、ただ電気事業に従事する労働者だけの自己の主張貫徹のための方法として無制限に放任されていいものかどうか、はなはだ私どもも疑問に感じておるところでございます。  また昨年のストに際しまして、争議に参加いたしました組合員の数について見ますると、いろいろの争議行為をしておりますが、その各種争議行為の全参加人員の割合は、全従業員の約七七%という記録になつております。これに比べましてこのうちで一般の皆さんに最も迷惑のかかつたこの種の停電スト、電源ストに参加した人員の数は、全員のわずかに一〇%にすぎないのでございます。さらにこれを、今回のストのために失いました組合員の賃金額、いわゆるスト中賃金の不払い額の面から見ますために、調査未了の一社を除きまして、八社のスト中賃金不払い額の概算をいたしてみますると、昨年の秋の争議中に合計三億円余りの金額に達しておるのでありまするが、この中で、問題の電源スト、停電ストの参加人員に対する不払い額は、わずかに二千二百万円にすぎないという内容を持つておるのであります。電気事業の特性によるものとはいえ、この電源スト、停電ストというものが、第三者ともいうべき社会一般に著しい影響を与えるものである反面に、組合側にとつては、その参加人員の割合から見ましても、またその損失する賃金の額の程度から見ましても、いかに容易で済むものであるかということが、ただいまの数字からも容易にうかがい知ることができるのでありまして、この点を御参考に一言申し添える次第でございます。  組合の争議行為に対しましては、もとより会社は、争議が早期円満に解決するように、誠意をもつて極力努力をいたすものでございますが、一方また一般公衆に対しましても、当事者の争議による御迷惑をおかけしないように、できるだけの手段を尽して努力はいたしておる次第であります。しかしながら、解決が遅れました場合に、一般国民の皆様に対しまして、争議による迷惑をかけまいとする会社の防衛措置というものには、おのずから限度があるのでありまして、そのことはすでに実際したびたびやむを得ない御迷惑をおかけして参りました事実の示す通りなのでございますが、その理由は主としまして電気の特性と事業場の実態によつておるのでございます。すなわち電気の生産、配給、消費は、瞬間的につながれて一貫しているものでございまして、その過程は、高度な機械的技術的操作を必要とする多数の重要施設が、長距離、広範囲にわたつて点在いたしておりまする結果、その一箇所数人の争議行為だけでも、電気供給の全過程を麻痺混乱させ、広地域にわたつてただちに甚大な争議行為の影響を与えることができるという性質があるからであります。従いまして会社がこれに対処しようといたしますれば、多数有能な技術者を全国的に漏れなく配置しましてこれを待機させなければならないのでありまするが、現在労働組合法第二条但書第一号によりますところの非組合員の数は、事務系、技術系全部合せまして約三千名、全従業員のわずか二・二%にすぎないのであります。すなわち現在一人の非組合員も認められておらないような事業場は、たとえば水力発電所千二百六十四箇所のうち七七%、火力発電所八十五箇所のうちの四一%、変電所千九百三十二箇所のうちの九九%、さらには神経中枢ともいうべき給電指令所百十六箇所のうち九〇%までを占めておるのでありまして、こういうふうに大多数の事業場には、現在それぞれまつたく一人の非組合員も認められておらないという有様なのであります。従いまして、たとい外部の方から停年で退職した技術者その他社外人をいろいろの面から極力臨時に動員いたしまして、これらの臨時補充に努力するといたしましても、会社が組合の行いまする電源、停電ストに対処して電気の正常な供給を確保するにはおのずから限度があるのであります。  今次の争議におきましても、組合は十二月十八日以降におきましては、全変電所及び開閉所の四〇%、さらに十九日以降には八〇%までの職場放棄をする。また二十日以降はこれに加うるに全給電所、給電指令所の職場放棄をも指令しておるのでありまして、目的を貫徹するためには、こういう公共の福祉をまつたく無視した破壊的な争議行為の指令をもあえて辞さなかつたのでありますが、幸いにしてちようどその事態に突入する直前の十八日において争議が終結をいたしましたためにこの憂慮されました事態の出現は一応回避されたのであります。しかしこのような組合の争議行為が、将来再び行われないという何らの保証も今日においてはないのであります。従いまして電源スト、停電ストというような特殊の一部の争議行為だけがあらかじめ規制されるということは、現在においては必要にして当然のことと私どもは考えておる次第であります。  電気事業の経営者は、常に国家の監督を受けておるのでありまするが、また公益事業の担当者の立場から、組合の争議行為が正当であるとかないとかにかかわらず、常に電気を円満に供給するの責務を社会全般に対して負うておるのであります。従来からも、争議のあります場合に、労使均衡の立場から、組合の争議行為に対抗するところの防衛手段として、経営者にもロツク・アウトなる争議行為があるのではありまするけれども、しかし経営者として組合に対抗してロツク・アウトをやつたということは、一回もございませんし、また公益事業経営の責任上、良識として今後ともそういうことをやるようなことはないと考えるのであります。  経営者が電気の円満な供給に関して、このように良識を持ち、社会的拘束のもとにあるのに対しまして、相手方の組合には、事実上その経営者の供給を阻害する過大な実力行使が、一方的特権のように許されて今日に至つているのでありまして、この法律案がその一方的特権のような形をなしておるともいうべき電源スト、停電ストというような、著しく公共の福祉や日常の国民生活を阻害する争議行為だけを禁止しようとするものであることは、なお争議行為として経営者側に対する幾多有効な方法が組合に残されております以上は、何ら不当に抑圧するものではないと信ずるものであります。  以上におきまして、大体電産争議というものの実態を明らかにいたしまして、その甚大な迷惑や損害を第三者に及ぼさないように経営者が対処するには、事実上おのずから限界があるということも申し述べましたし、それからこのような事実の上に立つて、社会一般に著しく大きな損害や迷惑を、防ぎようもなく及ぼすこの電源スト、停電ストというような争議行為が禁止されることは当然であるということを申したものでありますが、このことは、電産争議の直接の当事者として当面して参りました体験を通じまして、痛切、率直な考えであるということを申し添える次第でございまして、各位の御賢察を賜われば幸甚と存ずる次第でございます。

田中伊三次自由党

○田中委員長 最後に主婦連合会の春野鶴さん。

春野鶴中央執行委員長主婦連合会

○春野公述人 公述に入ります前に、いかがかと思いますが、同じくこの問題について関連がございますし、今後もまたこうした公聴会も行われることだと存じますので、一言申し上げたいと思います。それは、同じく本日のような公聴会を二月の十四日に労働省の主催で開かれたのでございます。そのときの公聴会に主婦連も御案内をいただきましたが、出席を拒否いたしました。なぜかと申しますと、主婦連の中の特定の人に公述人として出席されたいということでありまして、不幸にして御家庭の事情でその方が出られませんでしたので、会の意見を代表する他の代表を労働省に御相談したのですが、快諾を得られませんでしたから、官庁の公聴会というものをよく私ども考え直しまして、そうした労働省の態度はいかがかと存じまして、主婦連合会といたしましては、労働省の公聴会には出席を拒否いたしましたことがございます。  公述に入ります。今度の問題で主婦連合会といたしまして、総対的に、あるいは結論になるかもしれませんが、そのことを先に申し上げますと、昨年の未曽有の停電ストあるいは炭労スト、そういつたことで一般家庭の消費者が非常に迷惑と損害を受けたということは事実でございます。非常に残念な事実だと存じております。  その後今日に至つて、ただいま立法化されているわけでございますが、概括的に申し上げますならば、一つのこうした社会の大きな現象に対して、政府がただちに法律なり権力なりによつてこれを規制するという行き方は、悪い政治の最も大きなものではないか、これが感想の一つであります。  なおもう一つ、法治国家でありますから、法が組み立てられ、法を守るのは当然でございますが、その法も、願わくば使わずに済む、使われないでお互いの安寧と秩序が保たれるという状態が最上であるということを古来言われておりますが、この二つのことは、一般の消費者たちは、あれ以来から時に触れ、折に触れてつくづくと考えて参つたことでごいます。  昨年の停電ストの最中に、主婦連合会は、こちらに御出席くだすつております戸塚労働大臣にもお目にかかり、それから電産の藤田委員長にもお目にかかり、会社にももちろん参りまして、純粋な虚心坦懐な立場から、何とぞこういう状態が早く解消されることをこいねがつて、懇願もし、哀願もして参りました。そのときに、戸塚労働大臣は、いろいろとお考えのようでございましたが、何分にも労使の紛糾問題であるので、いたずらに政府がいろいろと介入しないで、労使間で円満に妥結されるようにまず希望しているというような、短かい言葉でございましたが、きわめて内部にいろいろ苦心なされたことを承つたことがございました。ところが、今日に至つてみますと、私どもの勉強も足らないかもしれませんが、ただ一方的に、組合員でいえば、争議行為としては一番力を入れるところと申しましようか、そういう面にのみわくをおはめになることは、少し片手落ちではないかしらという感じを受けております。  組合は組合でまた、正当な争議権が許されておりますので、争議権を行使されたというだけのことかもしれません。けれども、電気産業は他産業とはずいぶん違うのでございまして、その当然の争議権を行使されたために、罪もとがもない第三者がたいへんな迷惑と大損害を受けたことについては、当然許されております労働争議ではございましようが、すべてその争議権を行使することによつてのみ組合の利益の達成をはかられようとした、ここに大きな反省をしていただきたい。これには主婦たちは全然異存がないのであります。  一方また会社のお立場は、私どもは電気というものが、生活と生産といいますか、そういつたことの原動力でございますので、なくてはならない大切なものだと思いますが、公益事業あるいは独占事業と申しますか、国家的にも相当いろいろ保護を受けられ、あるいは監督も受けていると思うのでございます。けれども、あの状態のときに、あるいはまたあのストの終りましたあとで、消費者として会社といろいろ話し合つてみますと、会社は公益事業体としてのほんとうの使命を良心的にお考えになつているのかしら。ただ会社は、今のままですと、公益事業体としての有利な面、一方にまた営利事業体ではないかというような有利な面、それらの面のみを巧みに利用されて、ほんとうに大切に、大事にしていただきたい消費者大衆の利益と福祉に、真に奉仕される態度があつたかどうか。そういつたことをはなはだ残念に思つた次第であります。  初めのうちは、何分にも供給規程がありますから、もし不払いなどという運動をなされば、ただちに電気も切ります、あるいは一割という遅収料金もつけますということを、当初は新聞紙に堂々と発表されていたのでございますが、幸いにしてその後種々話し合つた結果、最初は金城鉄壁でありました供給規程を少しずつ少しずつ門戸を開いて、幾分でも消費者の利益をはかられた。そういう道があるのに、会社の態度は、正当な争議行為で生じたあれだけの消費者の損害に対して、何ら補償する義務も責任もないというような立場で今後も居すわられるとすれば、消費者としてはまことに遺憾だといわざるを得ません。  ただいま通産省で設けられました電気、ガス法令改正審議会でございますか、そちらへ主婦連も委員に選ばれまして、逐次電気、ガス関係の法令を勉強さしていただいておりますが、その都度々々、電気なりガスなりの会社の根本的なあり方、それに対する法令というものが、いかに消費者の声がくまれずして組み立てられておるかということを、次第に深く考えているわけであります。  同じ敗戦の国でも、西ドイツではかつて争議も起らず、それに消費される労使の精力は、すべてあげて国の復興と生産の上昇ということに、労使の非常に良識ある状態で運営されているということを聞きますが、これにはそれぞれの労使の歴史もあり、国民の良識の程度から、そういう状態が今日生れているのだと思います。消費者としては一つの法律ができれば、またそれをくぐろうとする行き方も生れるかもしれません。ただこのことによつてのみ労使間の不安な根本問題が解決された、電気、炭労の問題は、これさえあれば、かつてのようなことはないのだというふうにお互いが考えて安心してしまうということは、たいへん危険ではないかしらというような疑問を持つております。そういつた祈り、要するにお互いが良識の向上といいますか、さらに願わくは愛情のあふるる政治が国内に広く行きわたつてほしい、こういうことが、意見と申しましようか、大体まとめられました感想でございます。  最後に、この法案に対して、賛成とも反対とも、なかなかむずかし過ぎますので、たいへん苦しんで、また何回も会合を開いて研究いたしましたのですが、それはそれといたしまして、電気、炭労というものは、前にどなたもお述べになりましたように、公益事業といいますか、非常に公益独占事業でございますので、願わくはこういつた場合の労使の問題については、中央労働委員会のあつせん、仲裁、調停といつた権限を、むしろいま少し強化されて、全国民がそういう場合に信頼してまかせ得る公平なあつせん、仲裁、調停の機関である中労委であること。こちらから出ました結論を一応労使がよく咀嚼されて、争議行為をとめられて、第三者の迷惑を十分考えられた上、さらに御自分々々々の立場の利益を主張なさり追求なさる、そういつたおとなの労使関係といいますか、そういう態度をこいねがいたい。  もう一つは、こういう場合、やや唐突な意見になるかも存じませんが、消費者の率直な意見を申し上げますと、むしろこういう場合、損害補償とでもいうような道を開いていただいて、会社も権利を主張なさる、組合も許された権利を主張なさる、あるいは権限を行使される、それはけつこうです。しかし、その権利を行使されることによつて、罪もとがもない第三者に大いなる損害や迷惑を与えた場合には、そこに国家でも会社でも、また権利を行使された者の責任として組合の方でも、当然何らかの補償の責任を負う、それだけの責任ある立場で行動していただきたい。組合に当然争議権が許されておりますように、あるいは会社は公益独占の事業の立場から、それぞれの保護、恩恵を受けておられる立場もございます。しかしこういつた場合に、許される権利と許される権利とがぶつかります。従いまして、そこに生ずる第三者の損害というものは、これはただいまの場合裁判所に持つて行きましても、支払われる義務はないのであります。まつたくこの間のときなどは、どこへ訴えるすべもなく、どこへ泣きついて行くすべもなく、うやむやに一応泣寝入りになつてしまつた。それでは私どもは、損害補償という道がかりについた場合に、これさえあれば組合も会社も、あくまでも双方が権利を主張されて、またこの間のような異常な状態が発生しても、幾らでも補償してもらえるのだからかまわない、そういう気持かというと、決してそうではございませんで、これがあれば、むしろ突入すればこのことになるのであるから、その最悪の状態までお互いを追い込まないで、良識をもつて労使の間に問題を解決して行こう、さらに一層の努力を労使の間においてなされたい、万々一この間のようなことになりましたならば、今度は消費者に対するこれだけの義務があるんだということであれば、労使の間に今後良識的に平常の会社の経営に、あるいは組合の成長によほど努力が払われるようになるのではないか、こういうふうに考えているわけであります。なお当初に述べましたように、こういつた法ができれば、それを乗り越えくぐろうとする恐ろしい動きも出て来ましようが、そういうことでなしに、願わくはつくられたこの法が一度も適用されることなしに終る平穏な社会状態であることを、消費者はひとえに願つているわけでございます。  以上であります。

田中伊三次自由党

○田中委員長 これで公述人十二名の方々の公述を全部終りました。  ただいまここにいらつしやる公述人は石田さん、平井さん、春野さんの御三方であります。何か御質疑がございますか。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 平井さんに御質問をいたしたいと思うのですが、今聞きますと、経営者側の方では、電産のストイラキに対しては、実際上は何らロツク・アウトの手段を行使したこともなし、また良心的に電気の正常なる送電のために、スト中といえどもこれだけ努力して来たということをおつしやつたのですが、私の聞くところによりますと、九州電力——これは会長が麻生太賀吉という人で、社長は佐藤篤二郎という人だそうですが、その戸畑火力発電所に起きた問題です。これは私は正確に見ておりませんで、組合の報告によつておるのでありますから、真偽をお尋ねいたすわけでありますが、日は十二月十七日午前二時ごろ、妥結の寸前であつたようであります。組合の方は夕方のピーク時のストを実質的に中止をして、そうして一般消費者に迷惑をかけないようにしたいという意図から、この中止の指令を出して職場復帰を命じたというのであります。それに対しまして、会社は混乱を起すから——、起させてやろうという目的であつたのかどうかはわからないが、自衛運転をやる、やめた技術者などを集めて、自力発電で自分で運転をしてやるから、組合のそういう職場復帰は拒絶する、こういうことで、その火力発電を運転されようとなさつたそうであります。ところが実際にはその火力発電所は、その技術者では発電できませんで、遂に五時間余にわたる大停電を余儀なくされた、そして大混乱を起した。その停止されました汽缶は大缶三基に及ぶそうで、十一万キロの発電が停止されたそうであります。こういうことが実際にあつたのかどうか。これは本案に対する重要なる資料として、私はあとで政府側にも出したいと思いますので、そういうことを事務局で調査されておるかどうか、事実であるかどうかお尋ねいたしたいと思います。

平井寛一郎電気事業連合会事務局長

○平井公述人 ただいまの御質問でございますが、私そういうこまかい詳細な情報を手元に持つておりませんので何ともちよつと申し上げかねますが、組合が運転をしようとするのに会社側がそれを阻止するというようなことは、私はあり得ないことだと思います。

田中伊三次自由党

○田中委員長 平井君に申し上げますが、お考えは言わないように、そういう事実があるかないかだけでけつこうです。

平井寛一郎電気事業連合会事務局長

○平井公述人 それは私の手元に詳報がございません。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 手元に資料がないとおつしやるのですから、本日はやむを得ないと思いまするが、これは私の方に資料は参つておるのでございますから、ひとつあなたの方でも至急調査をされて、私どもの方にその事実の有無を資料として提出していただくようにお願いいたします。

平井寛一郎電気事業連合会事務局長

○平井公述人 問い合せて見ることにいたします。

田中伊三次自由党

○田中委員長 それでは、はなはだ恐縮でございますが、できたらお送りをいただきます。

石野久男労働者農民党

○石野委員 平井さんにお尋ねいたします。これは考え方の問題でございますが、平井さんは今度の電産のストに関しまして、その当時の争議参加人員のことや、そこでのいろいろと起きたことをお話になりまして、そうして停電あるいは電源ストによるところの被害がこのように大きいにもかかわらず、それに参加した人はきわめて少い人員である、だから非常に少い人員で非常に大きな公共の福祉を阻害したというようなことをおつしやられたわけでございます。これは経営者の立場からいたしまして、一応私は皆さんの意図するところもわかりますが、もとより争議というものは、労働者も、あるいは資本家の側も、お互いにその相手方に対して最も大きな打撃を与えようとすることが、争議の本質だと思うのであります。従つて私たちの理解するところは、たとえば電源ストというものは、その従業員の数が少いことはもとよりはつきりしておることでございます。しかしそれの被害が非常に大きいということは、あなたのおつしやる通りである。そこで、たまたまその電源ストあるいは停電ストに参加した人が少いからといつて、争議に参加しておる電産労組の他の部門の、たとえば一〇%としますと、その他の九〇%は全然そのストと関係なく、おれは知らぬという形でやつたものでないと私は理解する。その電源ストあるいは停電ストというものは、電産のいわゆる争議対策としての戦術として持たれたものだと思いますので、当然そのストに参加しておつた一〇%というものは、他のパーセンテージの人々の意思を含めたストだというふうに理解しなければいかぬのじやないかと思います。従つて、ストは決して電源ストや停電ストに参加した人というだけに理解するのでなくして全体としての電産労組の意図が全部それに含まれておるというふうに理解するのが、立法上の立場からし、また第三者の見方からしても正しいのじやないか、こう思うのです。それをことさらに一〇%の人々がそれに参加したというように言われる理解の仕方は、これは非常に誤つておるように私は思うのです。経営者のあなたにそういうことを聞くのは、ちよつと的はずれかもしれませんが、あなた方のいわゆる争議に対する見解の一端としてちよつと聞いておきたい、こういうように思います。  それからもう一つお聞きしておきたいことは、電気の公共の福祉に与える影響についてであります。労働組合の諸君の立場や何かを聞きますと、現在発電されておる電力量の多くの部分が、公共の福祉の方向とは非常に違つた方向へ、言いかえれば多くの国民がそういうことを好まないといわれるような一部の大企業や、あるいは非常に軍需産業的な方向へのみ流されて行くというようなことが言われるわけであります。また事実そういうふうに配分されておると思います。そうして労働組合の諸君の意図するものは、決して公共の福祉を阻害するような停電やなんかではなくて、むしろ、ふだん多くの部分の電力を使つておるところの軍需産業だとか、あるいはまた駐留軍関係に使つておるところの電力、そういうものに対してもう少し制限したらいいじやないかというようなことを聞くのでありますが、なぜ皆さんの方で、そういう労働組合の言われるようなことを否定されて、あえて公共の福祉とあなた方が誇張されるような民間配電にその争議の方向、いわゆる停電の方向を持つて行つたのであるか、そういうところの争議の当時におけるあなた方の心境をひとつ聞かせていただきたい、この二つの点をお尋ねしたいと思います。

平井寛一郎電気事業連合会事務局長

○平井公述人 第一の御質問でありますが、これは確かにおつしやる通りに、電産の中央本部からの指令に基く組合全体の総意においてなされた行為でありますから、そういう意味において全組合に責任があるというふうにいえる問題だと思いますが、私が申し上げましたのは、ほかの組合員は責任を持つていないという意味ではないのであります。ただ、現実にそういう争議行為をいたしました場合に、今日の法規上の扱いでは、争議行為として労務の提供を拒否しております場合に、そのそれぞれの個人が賃金の不払いの対象となりますので、現実に賃金の不払いの対象として取扱います者は、発電所でそういう停電をさせる行為をした者、その関係者だけに事実上限らざるを得なかつた。他の職場におります者は、その他の残つた電気の生産、配給に従事しておりましたので、その限りの分において賃金を差引いた、その意味において計数を申し上げておるわけであります。ただいま御発言のような趣旨をもつと強く徹底するならば、あるいはその争議行為に手を出した直接の当事者以外であつても、全組合員について、たとえば生産を阻害した比例において賃金を減らすべしというような議論もあるわけであります。現にそういうことが他の場所で行われておるということも聞いておりますが、ただいまのところは、私はまだその点に触れておりまん。  第二の御質問でございますが、これは御質問の御趣旨をもし取違えておりますれば恐縮でありますが、電気が足りない場合に、特にこういう電源スト等の場合に、会社側は作為的に大口工場をかわいがつて、一般の、特に中小企業とか家庭の方に御迷惑をかけるような、作為的な行為をしてはおらぬかどうかという点の御質問ではないかと思うのでありますが、決してそういうことはございません。この点は皆様のよく御存じの通りに、現在これはストライキ以外にも、たとえば漏水というふうな特殊の事情の場合には、現在の日本の状態としましては、電気はどうしても季節的に不足ということが起らざるを得ない実情にあるわけであります。それに対処するためには、電力需給調整規則という規則が事業法の上に立つてできております。それでもつて、電気が足りない場合の公平均等なる需給調節の方途が明示されております。ストライキの場合にも、やはりそれに準じた扱いを自然せざるを得ないのでありまして、これを事業者が恣意的に特殊の需用面だけについて、集中的に御迷惑をかけるようなことをいたしますならば、当然こうした規則の面からもおしかりを受けるわけでございます。この取扱い方につきましては、十分慎重な行動をとつておるわけであります。これは特別の、たとえば、ごくわずかの程度でありまする場合には、また大口の工場をたくさん持つておりまする地方、たとえば北陸というふうな地方におきまする場合には、ほとんど大部分、あるいは全部をば、そういう大口の工場の需給の調節で切り抜けておる場合もあるのであります。これは需給調整規則の扱い方でも、停電の程度が少い初期の段階においては、たとえばネオン・サインをある程度とめるとか、あるいはそういう特別の需用のうちで、季節的に需給調整を優先的に行う範囲のものを扱うというような扱いをしておるのであります。ストライキの場合、一割五分から二割あるいは二割五分というような生産減が行われます場合には、とうていそれだけでは済みませんので、その次の段階としまして、大品工場にも中小工場にも、あるいは一般家庭にも、それぞれ規正をせざるを得ないという形になつておるのでありまして、その比例等は、そういう需給調整規則の趣旨を十分尊重して、公正に扱つておる次第でございます。

青野武一日本社会党(左)

○青野委員 私は一つ二つ、この機会にお尋ねしておきたいと思います。今、春野さんの公述を聞いておりまして、大体了解しておると思いますが、私は一昨日福岡で地方の公聴会に出席して、けさ帰つて参つたのであります。消費者あるいは主婦会等を代表する人の御意見も向うで聞いて参りましたので、私は今の平井さんにあわせて、一緒にお尋ねを申し上げておきたいと思います。  電産の争議が熾烈になつておりますときに、その都度、それは指令によつて異なりますが、大体二割程度の電源ストの行われているときは、たとえば東京電力であれば東京電力会社、すなわち経営者が送電権を握つておつたと私は了解している。十二月五日に、特に自由党、改進党、社会党右左の代表質問が、この予算委員会で行われたときも申し上げたのです。それは政府関係に対しての質問であつたのですが、重ねてここでお尋ねしておきたいのであります。どこからの指令か知りませんが、とにかく朝鮮で行われている戦争に必要な近代兵器の部分品をつくる軍需工場には、今まで通り七割の送電を必ずやれ。そこで十割の電力のうち、二割の電源ストが行われると、あとに残るものは八割、その八割のうち軍需工場、たとえば私鉄あるいは国鉄あるいは製鉄業、炭鉱等、その他軍需産業に七割の従前通りの送電をいたしますと、勢い一般の消費者に残されたものはわずかである。全体から行く、と、従前通り七割をとられると、あと一割しかない。一般の消費者が今まで十割を送電されておる場合には、六割六分というものが制限をされておる。そうして電産の争議が行われておるときにはラジオも聞かれない、お産のときに非常に困つた、病院で手術をするときに電気がとまつた。それは全部電産の労働組合がやつているのだ、そういう宣伝が盛んに、意識的か無意識的か知りませんが、全国的に飛んだ。そのときに日本の軍需産業の諸君は、平気な顔をして七割の送電を受けておつた、その影響がそちらに来る。そのときにスイツチを操作したのはだれか。それはおそらく電気産業の労働組合ではないはずでありますが、この点ひとつ平井さんからお聞きしておきたいと思うのであります。そういう点が明確になつて参りますると、主婦連合会を代表しておいでになりました春野さんの考え方もまた多少かわつて来るのではないか。これは一昨日も福岡で私はやりましたのですが、電気関係の会社側の諸君は御答弁ができなかつた。これをひとつお尋ねしておきたいと思います。

平井寛一郎電気事業連合会事務局長

○平井公述人 私ども電気業者は、これが軍需産業であるからどう扱うとか、軍需産業というふうな区別をして需用家と取引いたしたことはございません。これはやはり電気の持つ性格において、先ほど申し上げました需給調整規則の運用の精神にのつとつて、公平に取扱つておるということを申し上げます。

田中伊三次自由党

○田中委員長 春野さん、何かお言葉がございますか、ございませんか——ないそうでございます。

青野武一日本社会党(左)

○青野委員 私は石田さんの公述を、ちよつと面会人がありまして聞き漏らしましたが、平井さんでもどちらでもかまいません。私どもは自分の親しい学者から懇談会その他いろいろ聞いておりますし、いろいろな方面から資料を集めておりますが政府から認可を受けた事業は、これは一種の特権であります。認可事業は特権を持つておる。そうすると、国民と国家に対してその事業を中止することはできない。ストライキは労働者がやるけれども、電力を供給する者は、労働者じやない、労働組合じやない。国家から認可を受けた者は——たとえば東京電力会社の経営者は、いかなる場合といえども、それが物価が二割上つたから二割の賃上げをしてくれろ、それができないと押えて争議で対立しておるときに、国民あるいは消費者に迷惑をかけて、それは争議のためだからしかたがない……。これは法理論からいつてもそうは行かない。経営者は特権を国家から与えられておる限りは、争議があろうが何しようが、いかなる場合といえども、消費者に対しても、国家に対しても責任を果さなければならぬ。これは法律的に見れば、そういうことは大体日本の学者が一致しておるように私は考えます。そうすると、ストライキが継続しておるときには、これはどうしても食えないのだから、二割あるいは三割給料を上げてくれと言つておる限りは、一時給料をある程度上げて争議解決の後に、その決定して額を支給するという方法をとれば、こんなに長期に炭労、電産のストライキというものは続くものじやない。これはやはり日本の強い労働組合をいかに弱体化するか、どうしてこの組合を分解させるか、日本の資本家と日本の労働組合との関ケ原の一大決戦である、いかなることになつても最後までつつ込んで行く、こういうような強い力がうしろから作用したために、たびたび解決点がありながら、こんなに長引いた、それが国民全体に非常な影響を与えたということを、私どもは考えておるのでございます。そういう点について、たとえば電力行政にいたしましても、そういうような一つの便法がとられれば、これは新しい一つの方法であつて、こういうばかげた三箇条のスト規制法を出す必要はないと思う。この点についてお尋ねいたします。

石田謙一郎中小企業委員会副委員長

○石田公述人 ただいまの青野さんのお話は、私どもは中小企業者でありまして、大企業においては、あるいはお話のように、要望されたものを一時差上げることが、あるいはできるかもわからぬのであります。しかし、はつきり申し上げ事と、これはわれわれには一応問題のほかであります。私ども中小企業者といたしましては、今回の電産炭労の争議の結果といたしまして、争議しつつある場合に差上げるような余裕は、もちろん経営者としては持つておりません。むしろその場合において、その被害のために倒産にただちに入つて行かなければならぬような現状でありますし、また賃金体系その他から申しましても、中小企業の勤労者というものは非常に低いのでありますので、高ねの花と申しますか、羨望は持つておりましても、はつきり申し上げると、あつてほしいと思うだけで、ちよつと実現ができないのじやないか。かような点から、そういう問題よりも、中小企業者は、とにかく倒産を招来するような方法を禁止してもらいたい。その後の問題については、労使双方ともいろいろ御意見があると思いますので、いろいろな方法によつて調整をいたしたらどうか、かように考えるだけであります。

青野武一日本社会党(左)

○青野委員 私は、あなたが中小企業者の立場で、非常に今回の電産の争議で迷惑を受けられたことを、衷心からお気の毒に存じております。だから、こういう際あなた方はどうなさいますかという御質問ではなかつたのでございます。電産の今回のストライキがこんなに長引いたということを考えたときに、電産の争議に対しても、あるいは炭労の争議に対しても、今申し上げましたような方法をとつたら、消費者や、特に中小企業者の方に御迷惑をかけないで済んだのではいないか。その点についてはどうお考えになりますかということを、実はお尋ねしたわけであります。あなたの今の御答弁は、直接そういうぐあいにあなたにお尋ねしたわけじやなかつたのでございます。

石田謙一郎中小企業委員会副委員長

○石田公述人 もしその場合においてというお話でありますが、これはあくまでも仮定でありまして労使双方、たとえば経営者の側にそれだけの余裕の金繰りその他ができ得るならば、そういうこともあるでありましよう。しかしあくまでも私どもは当事者じや、ございませんので、この点の御返答は差控えたいと考えます。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 主婦連合会の春野さんにお伺いしたい。それに関連して平井さんにもお伺いしたいのですが、労働省主催の公聴会が、せんだつて各地において開催されましたが、われわれはこの委員会の審議の過程において、労働省主催の公聴会は全幅的に信頼し得るに足らないという観点から、労働委員会みずからが各地で公聴会をやつて参りました。その一つがきようここで行われておるのであります。春野さんの公述によりますと、主婦連合会の特定の人を労働省が公述人に選んで来た。その特定の人に故障があつて、主婦連合会として代表し得るに足る人を推薦申し上げたが、労働省からは何ら回答がなく、従つてその公聴会には出席しなかつたという陳述でございましたが、ただこういう人を出したいという意見を申し述べて、それが見送りのような形で、何ら返事がなくて出席を拒絶されたのか、あるいはその人ではいけない、お断りするというような形で来たのかどうか。この一点を、今後の審議の過程にも参考になりますので明らかにしていただきたいと思います。  もう一点は、供給規程によつて消費者はずいぶんおどかされた。しかし争議が長引く過程において、そんなおどかしがだんだんなくなつて、まあまあというような、そういう意味の陳述がございましたが、主婦連合会関係のどこかで、そういうおどかしにあつたような具体的な事実があつたかどうか。もし、ありましたならば、明らかにしていただきたいと思います。  これに関連して平井さんにお尋ねしたいのでございますが、労使の関係がなかなか円満行かないというのが、ある意味における今日の日本の経済事情でございます。まことに好ましくないことでございますが、今後も労使の関係が争議に入るというようなことがあり得ると思うのでございますが、もし争議に入りまして停電その他第三者に迷惑をかけるような事態が生じましたときに、せんだつてのように、供給規程というようなものをかさに着て、会社としては消費者の迷惑を顧みないような態度を持続されるかどうか。そういう点のお考えを明らかにしていただけば、今後のこの法案の審議に非常に参考になると思いますのでただいま申し上げました春野さんには二点、平井さんには一点、お答えを願えれば幸いであります。

春野鶴中央執行委員長主婦連合会

○春野公述人 お答えいたします。最初の御質問でございますが、二月十四日に労働省でこの問題に対する最初の公聴会が開かれますから、主婦連合会の——A女史といたしましよう、私はその場に居合せませんでしたが、その方に御出席を願うと、主婦連合会の本部に労働省の、名前はちよつと忘れましたが、たしか法規課長でございます。その方がおいでになりまして、ちようどその御指名の本人もそこに居合せたのでございますが、ぜひ御出席ください。——私は居合せませんでしたが、あとでその頼まれた御本人からそのまま聞きましたので、大体間違いはないと思います。ちようど不幸にしてその人のお子さんが肋骨を七、八本もとらなければならないという御病気にかかつておられて、お母さんとしてもいわば気もそぞろ、非常に御心配の最中で、ございました。それでそのときに法規課長に家庭の事情でございますので、こまかく申し上げずに、その場で、一身上の事情がございますから、電気に関してのことでしたら、多分会でも、この方なら、あるいはあの方ならというふうに、御本人もその場で推薦したわけでございます。そうしましたら、法規課長さんは、一応帰りましてから相談いたします。日にちが迫つておりましたので、あすにでもなお御連絡申し上げますといつてお帰りになつた。翌日一日やはりその一番目の方も——本部の方でも、何分にも重大な公聴会でございますので、前に血婦連は御承知の通り電気に関する運動をして参りましたので初めて公開の席で、しかも重大な法案に対する意見を開陳するわけでございますから、それと並行しまして、委員会も開きつつ、どなたが出るにしても、会としての意見なのであるから、十分慎重にきつちり原稿を書いて、こうもしましようという協議を何回も重ねていたわけであります。翌日一日、お約束ではございましたが、法規課長から何らの連絡もございません。その翌日もやはり出るつもりではおりまして、会からだれかを出さなければならぬということをみな考えて、さらに第二日目も役員会を開いております。夕方になりました。そうしましたら、あまり御連絡がないものでありますから——こちらは一応会を代表してだれかが出なければならぬ、そう思つておりますので、そのための委員会も開いております。夕方になつても労働省から御返事がございませんので、何だか御催促するのも悪いような気もいたしましたけれども、あすにももう日が迫つておりますので、こちらからたしか電話で御連絡してあります。そうしましたら、石黒さんとおつしやる事務官の方でいらつしやつたと思いますが、その方が法規課長の代理で夕方おそくお見えになりました。それでお話を承りますと、いろいろと相談した結果やはりもう一度あの人がよろしい、こういうことでおいでになつた。そこで私どもは、公聴会というものはこうこういうわけではございませんでしようか、会が責任を持つて最初に労働省から御指名なすつた方が御家庭の都合さえなければ、また会の意見を発表されるにしても適当な方ですから、異存はないのですけれども、実はこういう重病人をかかえてのお母さまなので、こういうわけですということをるる申し上げ、さらにそれとして、労働省では個人にあくまでも固執なさるのでしようか。私どもは何回もこういう経験はございますが、会の意見、その層の意見をお聞き取りになるのだと思うので、公聴会についてただいま会としての意見をまとめようとしております。そう申し上げましたら、いよいよお帰りになるころに、それではしかたがありませんから、どなたでも会から責任を持つて推薦される方でけつこうです。こういうことで帰られた。そういうことでございますので、前に主婦連では米価審議会だとか、あるいはその他いろいろそういうところに出ておりまして、どうも何だか私どもが考える審議会、つまり発言を尊重される審議会、国民のために多くの皆様に知らせるための、またその席で堂々と発表する会としての意見、まとめられた意見を発表する個人は、あるいは自由党的な方もおるかもしれぬし、あるいは極端に共産党的な方、いろいろな万々があるとしましても、こういう場合には慎重を期して、役員会を開いて意見をまとめて出ておりますので、会で推薦した方ならそのまますなおにお受けくだささつてもけつこうだ、こういう見解を持つておりましたが、ただいまのような成行きでございましたので、拒否しましようということになつたのでございます。  それから二番目の供給規程でございますが、御承知のように、主婦連合会が、停電の途中からでございましたが、料金不払いという消費者の弱々しい抵抗といいましようか、そういう運動を初めて表面に出しました。これは決してその前に何らすることなしに、いきなりああいうとつぴようしもないことをやり出したというのではございませんで、その前から、原因は何であれ、とにもかくにも多くの人が困る停電ストというものは早く収めてほしい、ただもう単純率直にその祈りに集中していたのでございます。それで戸塚労働大臣にも、それから組合の代表の方にも、会社の社長さんにも、それぞれに懇切丁寧に陳情もいたしましたし、話合いもいたしましたし、どうぞ消費者のこのどうにもならない暗い気持をおくみとりください、どうぞ何らかの方法でゆつくりお話なされば、労使双方ともにおわかりになると思うので、停電だけは何とかひとつ終つてほしいということを、三者それぞれに頻繁にお願いをしてまわりました。でも一向に収まる様子がございませんで、成行きは次第々々に暗くなつて参りました。それから中央労働委員会にも参りまして、どういう見通しでございましようかと申しますと、中労委の中山会長としても手をつかねてどうにも閉口しております、見通しも暗いというふうなことを承りました。そういうさ中に葛飾区でございましたかあの地方のある婦人団体の会長さんがおられます。この方のまわりに、失礼ですが非常に貧乏な町工場に通つておられる世帯がございまして、そこの奥さんたちが婦人会員でいらしたところが、その奥さんたち五人が、葛飾の主婦連に参加しておられる大きな婦人団体の会長さんのところへ参りまして、主人の勤めているところが小さな町工場であるために、停電が続いてすぐに仕事がストツプし、税金が納められない、お金が入らないというふうなことから、給料を支払つてもらえない、お父ちやんが給料を持つて帰らない。そのために、子供をかかえて私も困るので、お金はいらないからお米を二、三日分貸してくださいませんかといつてお見えになつた。その婦人会長の方は、やや裕福な方でありますので、それぞれにお米を貸された、こういうことが、たしか十月の半ばだつたと思いますが、生じましたので、その御報告を全体会で——毎月一回三、四百名の全体会を開きます。その席で御報告がありましたので、そういつたことが世の中全般に広がらないうちに——すべてのしわは結局家庭の主婦たちに寄せられて、家庭の主婦たちが苦しむ、ということは、社会全体が暗くなるのだから、何とかしなければというので、もう陳情も要請もする過程ではない、やるだけやつたけれども、見通しは暗い、それで不払いという抵抗線を打出したわけであります。あのときも、そういう不穏当のことをやるのは共産党である。あるいはいつ主婦連は会社側に買収されたのか、あるいは組合と陰で取引しておるのかと、いろいろなデマが飛んだようでございますが、私どもはあくまでもいずれにも片寄らない、ただ消費者としての、主婦としての率直な祈りを中心とした、願いを中心とした、しかしながら、もう陳情してもお願いしてもだめならば、何とかしてという窮余の策があの運動でございます。ところが、いろいろ運動の過程はございましたが、料金不払いということになりますと、会社の方でそれから間もなく新聞紙上に発表されましたのは、二十七年五月十一日から実施されております電気の供給規程というものがございます。これを綿密にあれいたしてみますと、電気料金というものはそれぞれに検針がありまして、検針されましたら間もなく集金が参ります。そのときにすぐにお払いすれば、たとえば千円なら千円で済むわけでございます。ところが、ちよつとふところ都合が悪かつたり、事業上の都合が悪かつたりいたしまして、二週間ないし二十日間支払いが遅れますと、一割の遅収料がとられるのです。これを一般の人たちは罰金だというふうに考えておられますが、検針があつてからすぐにまわつて来た領収書に対してお金を払えば、これは早取扱いということになつておる。これも私どもそのときになつてから一生懸命に勉強いたしまして知り得たのでございますが、それで不払い運動で対抗するのはいいけれども、早く払えば千円で済むものが、二十日間遅れれば一割つきますから千百円になります。それをなお払わないでがんばりますと、業者では——たしか工場では五十日間、それから一般の家庭では六十日、つまり二箇月間その料金を払わないでおきますと、この供給規程には電気を切つてもよいとあります。こういうこともそのときどきに勉強したのでございますが、そのことを、一般の主婦たちが料金の不払いをしても会社はびくともしない、供給規程があるのだから二週間たてばこうである、それから六十日目には電気を切つてしまうということが当時の新聞たしか朝日新聞でございます、出されました。それにおびえまして、ああやつぱり不払いというような不穏当なことはしない方がいい、かえつて最後には損をするというふうな主婦たちも大分出て来たのは事実です。しかしながら、あくまでこれは払わないということが本心ではございませんで、こういう抵抗線を見せることによつて、会社も労組も早く話合いをおきめになつて停電が終つてほしい、これが第一の願いであります。ところが、会社の方では堂々とこの供給規程を打出されたこと、それから隻金の人たちが、その運動に入りました主婦たちを街頭へ引出して、——まあ街頭に出まして、門の外へ出て、まわり近所に、けしからぬことをすると言つて、警察に来いというような罵詈雑言でございますね、こういつたことはもう相当各所でございました。けれどもそれにも、まあ主婦たちも負けた場合もありますし、負けないでがんばつたのもございます。それからいよいよストが終りまして、願わくばあれだけ迷惑をかけたんだから幾分でも割引というようなこと——これも初めての運動でございましたから、成功、不成功は別としましてとにかく今後のためにも、消費者のその憤り、消費者のその願いというものを会社、労組によくわかつてもらおうということで、完全に供給してくれなければならぬ義務のある電気が、不完全な供給しかされないで、基本料金もその他の料金も普通にとられるのは、何としてばかばかしいことだから、幾分の補償をされたいということで、何十回となく話し合つたのでございますが、事ごとすべてにこの供給規程を持ち出されまして、初めのうちはがんとして門戸が開かなかつたのでございます。ところが、だんだんしますうちに会社の方でも、消費者の皆さんに心から相済みませんというような、相当金のかかつたビラもお配りになる。同時に、よほど消費者の結集が強かつた点もありますし、私どもも法律の裏づけも何もございませんでしたけれども、その気持が相当会社にこたえたのか、半ば以後になりましたら、先ほど申し上げた一割の遅収料金をとりません。それから六十日で切られるところを九十日、さらに九十日から三十日間日にちを延ばしまして、昨年の十一月の料金は今年の三月一ぱいにお払いください、十二月の料金を払つていない方は四月の末までにお払いくださいというようなふうに譲歩したのであります。これは一般的には何の割引もさせられなかつたんじやないか。同時にもう一つ、割引の率でございます。この率がこれに規定されておりますのは、わずか基本料金の百分の二でございます。この間の例から言いますならば、一般の世帯では、私ども約八十日ばかり電気がぴかちかして迷惑したと思つておりましたら、この規程に当てはめればたつた三日間と三時間しか迷惑をかけていないということで、十二円十銭がこの規程からはじき出された割引料金でございます。この割引の率の百分の二というのはあまりひどい、何とかして百分の五くらいまでに会社がお考え願つて、消費者のこの損害に幾分の補償の誠意を見せていただきたいということを願つたのですが、そういうわけで供給規程がいかに厳然と消費者と会社の間に立ちはだかつておるかということを痛感した次第でございます。

田中伊三次自由党

○田中委員長 平井さん何かありますか、ございませんか。——ないようでございます。  公述人の皆さんにごあいさつを申し上げます。  本日は御多忙の中を長時間にわたつて公述をいただきまして、私たちはこれを貴重な資料として、慎重審議の重要資料として見て参りたいと存じます。まことにありがとうございました。  それでは本日の公聴会はこれで散会いたします。明後日午前十時より労働委員会を開きます。     午後三時三十七分散会

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