労働委員会 第19号
- 発言数
- 270 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/03/09
会議録
○田中委員長 これより労働委員会を開会いたします。 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案(内閣提出第八八号)を議題といたし、前会に引続いて質疑を継続いたします。山花秀雄君。
○山花委員 質問に先だちまして、一昨日わが労働委員会主催のもとに行われた本院における公聴会において、主婦連合会を代表いたしまして公述に出ましたその公述の内容につきまして、若干疑義を生じましたので、労働省当局に一言質問をいたしたいと思うのであります。その問題は、労働省が主催で各地で行われた公聴会の公述人の選定について、特定の人に公述させ、その団体から他の人を選んで申し入れたときに、それを拒否した、そういういきさつから——その団体はただいま申し上げた主婦連合会でございますが、出られなかつた、こういう公述がなされたのであります。その公述を、さらに私質問いたしましたところ、いろいろ詳しいいきさつを申し述べておりました。労働省当局もその席上に列席をされておりましたので、その詳しいいきさつについては、十分御存じだろうと思いますが、その点をひとつ明確にして行かないと、労働省当局の行つた各地における公聴会は、何か少しお手盛りのような感じを一般に与えたと思うのであります。その真偽を明らかにしてから、私の質問を続けて行きたいと思います。
○齋藤(邦)政府委員 ただいまお尋ねの点につきましては、主婦連合会の問題でございますが、私の方といたしましては、御承知のように、消費者側の代表を選ぶにあたりましては、主婦たる個人をお願いするということを本旨といたしておりまして、主婦連につきましては、当初、会長たる個人にお願いしたのでありますが、会長たる方が御都合が悪いということでありました。それではあなたの方の団体の方から適当な方をということをお願いいたしましたが、その際にお願いいたしました筋は、すなわちお願いしたいことは、主婦たる方の立場に立つての、この法案についての御意見をお聞かせ願うという意味でありますので、主婦である方、または主婦の経験をお持ちの方が一番望ましいということ、それから消費者側の立場でございますので、電気事業に関係のない方が適当でございましようというので、実はお願いをしたのでございます。すなわち、最初は会長たる個人にお願いいたしましたが、御都合が悪いということでございましたので、所属の方にお願いしよう。但し、その場合でも、こちらからお願いいたしますのは、主婦の立場に立つての御意見をお聞かせ願うということでありますので、主婦である方、電気事業に関係のない方にお願いしたい、こういうことを実は申し上げたのであります。ところが後になりまして、そういうやかましい御希望では困りますということで、出席はできない、こういうふうなことになつたわけでございます。 なお、全般的にお手盛り的な人選という御意見がございましたが、私どもは、さようなことを全然考えておりません。御承知のように、公述人の顔ぶれなり、公述人のなされました公述の内容等をお考えいただきますならば、私どもといたしましてお手盛り的な人選であつたというようなことは、全然考えていないわけでございます。
○山花委員 この問題に関しては、いろいろいきさつがあつただろうと思います。われわれといたしましては、労働省が行つた公聴会になお一点の疑点を残すのでございますが、この問題について質疑を重ねておりますと時間がかかりますので、この問題についての質問は一応打切ります。 そこで、せんだつて労働大臣がこの法律案の説明をいたしましたときに、特に公共の福祉を強調されまして、公共の福祉に関連性のある事業は、単に電産と炭労のみでない、ほかにもある。しかしながら、電産と炭労は去年長期にわたるストライキを行つた実績にかんがみて、電産と炭労のみにスト権を規制する法律案を提出したのだ、こういうふうに説明をなされました。その説明を伺つておりますと、今度の法律案提出の理由が、何か電産と炭労の両組合が去年行つたストに対する懲罰的措置というような感じを受けるのでございますが、この点につきまして、労働省といたしましては、どういう観点からこの法律案を提案されたかという点を、もう少し詳しく御説明を願いたいと思います。
○齋藤(邦)政府委員 私どもの考え方といたしましては、電産、炭労両組合に対する懲罰的な意図というものは、全然持つておりません。すなわち昨年の電産、炭労のストライキによつて、国民経済なり国民生活に与えた脅威と損害というものを何とか除きたい、そして公共の福祉のため、こういうストライキの方法だけは御遠慮願いたいということであり、しかもその方法は最小限度の方法のみにとどめたのでありまして、対組合の意識などは持つべきものでもございませんし、全然持つておりません。国民経済なり国民生活の上から、この点だけは争議方法としても、従来とも私どもは違法であると考えておつたし、適当でないのだから、ひとつ御遠慮願いたいということを、はつきり明文で書こうというだけでございます。すなわちこの法案によつて何らか新しい制限を加えるというのなら、また別でございますが、全然新しく制限を加えるというのではなくして、不当、違法なる争議行為、これだけはひとつ御遠慮願いたいということを明文に書いただけでございまして、そういうふうな対組合的な意識は全然持つていないということを申し上げたいと思います。
○山花委員 ただいまの説明を承つておりますと、従来から違法であつたのをあえておやりになつたから、この点だけをひとつ御遠慮願いたい、そういう意味で本案を提案なすつた、こういうふうに受取れたのでありますが、従来から違法であれば、違法に対する法律的な制裁というのは、いろいろたくさんの法律で制限されておると思うのであります。法律で制限されていなければ、従来の行為が違法でないということが立証されるのでありまして、法律的にいろいろ制限されておるならば、その法律の適用によつてこの問題を解決すればいいのではなかろうか。ここに新しく規制の法律案を出すというのは、少しわれわれは理解に苦しみますが、その点もう一度明らかにしていただきたいと思います。
○齋藤(邦)政府委員 私のお答えが、あるいは不十分であつたかと思いますが、例を引いて申しますと、石炭鉱業の保安要員の引揚げの問題につきましては、現行法の労調法第三十六条並びに組合法第一条第二項において違法であると考え、昨年の争議の際にも、政府声明をもつて、かかる行為は違法であると声明をいたしたのでありますけれども、組合側の方におきましては、これに対して正当なる争議行為であるとお考えになられたのでありましようか、保安要員引揚げの指令を出された。そこで、この際この点は間違いなく違法であるということを法文で明らかに書こうという必要が生じたわけでございます。なお第二条の電気事業の問題につきましても、従来政府におきましては、スイツチ・オフ等の行為によつて、すなわち労務不提供の限界を越える争議行為につきましては、違法なるものと考えておつたのでありますが、その間組合等の御見解におきましても、多少疑義があるように思われるという点もありましたので、この際それを明文化しよう。石炭の保安要員の引揚げにいたしましても、そういう違法であるという声明を出しても、なおかつ、幸いに準備指令だけでとどまりましたけれども、そういう指令が出た。そこでそういう疑義を解消してそれを明らかにしよう、そういう考え方からこの法案ができておる次第でございます。
○山花委員 ただいまの御説明は、どうも納得できないのでございます。従来の疑義を鮮明にするために新しく法律案を上程した、こういう説明でございますが、従来疑義があれば、それを政府の態度として鮮明にしてそして従来の法律によつて、法律を厳重に施行する、こういうふうにすることによつて問題が解決するのではないかと、私どもは了承するのであります。従来疑義があるゆえに、新しい法律によつてこの問題を鮮明にするというのは、屋上屋を重ねるような、不要な法律案だと私どもは理解する以外にないわけであります。このことにつきましては、質疑を繰返し繰返しやつておりますと時間がたちますが、一応ほかの委員から関連質問があるそうでございますから、関連質問をしていただいて、私の質問を継続いたします。
○前田(種)委員 今の山花委員に対する齋藤局長の答弁は、従来も、現行法には違法であると政府は声明したが、組合側が正当であるという言明をしたので、そこにいろいろ疑義がある、それだから新しく法律をつくつたという答弁ですが、もし行政府として現行法に自信があるならば、その自信通り解釈したらいいと思います。もし疑義がありますならば、新しい法律をつくるのでなくて、最高裁判所の判決例をとつて、現行法があくまで正しいという結論を出すべきだ。行政府の解釈が正しいかどうかという点につきましては、あくまでも裁判所の結論を得るという方法を講ずべきだと思います。そういう手続をふまずして、さらに新しい法律をこしらえて、現行法を強化するというやり方をたび重ねて行きますと、いろいろな弊害が生まれて来るということを考えなくてはなりませんし、すでに現行法においてその点が明確になつておりますならば、それ以上法律を強化する必要はない。疑義があるならば、判決例をとるという手続を政府は進んでやるべきだと考えます。ただ、従来の法規に不備があるから、新しい法規によつて縛るという行き方は、国としてあるいは政府として非常な拙策だと私は考えますので、今の答弁に対して、この点をもつと明確にしておいていただきたいと思います。
○齋藤(邦)政府委員 政策の問題といたしましては、前田委員がただいまお尋ねになりましたような御意見も、あるいはあろうかと私は間違いなく思います。しかし現実問題として、裁判によつてそういう解釈をどんどん確定して行くといたしましても、相当時日を要することでもあり、また昨年のあの苦い経験によつて、ああいう争議方法が二度と行われないという保証があるならいざ知らず、私どもとしては、二度とこういう争議行為を繰返していただきたくないという意味において、この際やはり法律の形態をとつてはつきりさせておくということの方が、現下の事態に対処して最も適当なことではないか、かように私どもといたしましては考えたわけであります。
○前田(種)委員 今の答弁を聞くと、さらに疑義がはさまれるのです。ああいう争議が再びないという保証があるならばいらない、しかしいつあれ以上の争議が起るかわからないから、それを防止する意味において新しい法規が必要だという答弁でございますが、そういう突発事件、あるいは判決例をとるまでに間に合わないという場合には、政府は行政府の責任において法を解釈いたしまして、違法であるならば違法であるという断固たる処置をとれるはずです。政府の立場において、現行法において違法だという結論に確信があるならば、違法な行為に対しましてはそれぞれの処分、行政権の発動ができるのです。しかしその決定がはたしてどうであつたかということは、あとの裁判所の問題であつて、政府にそれだけ自信がありますならば、現行法で違法であるとしている条項によりまして、いかなる人が犯しましようとも、それは違法だという行政処分ができなければならない。そこがあいまいだというならまた別でありますが、現に現行法において、少くとも保安要員の問題等につきましては禁止されておるということが明らかでありますならば、何も判決例をとるまでもないと私は考えます。今の答弁は、本案を提出したところの理由にならぬと私は考えるのです。
○齋藤(邦)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、保安要員引揚げにつきましては、昨年政府声明を出して、違法であると申し上げたのでありますけれども、保安要員引揚げの準備指令を出したという事態が、現実の事態としてあつたわけでございます。いい悪いは別として、現実にそういう姿があつた。そこでそういうことは違法であるということを政府声明で言つたのでありますが、それを法律の形態ではつきりさせておく方が、より適切ではないかという意味からこの法案ができておる、かように申し上げておるわけであります。
○前田(種)委員 政府が違法であると言明したにもかかわらず、組合の指導者が保安要員引揚げの準備指令を出した。しかし最終的な指令は出していないはずです。しかしそういうことが明らかに違法でありますならば、違法であるという処置を当然とるべきだ。またそれに対してあえて違法な行為をやる場合は、政府は万金の対策を講ずべきだと考えます。違法な行為をやるから、それができないようにしなければならぬというのは、現行法にない場合は別でございますが、すでに現行法に違法行為だということを明確にしてあるのであるから、それを承知の上であえてその法を犯そうという者に対しては、政府としてはまた政府の処置を講ずべきだと私は考えます。
○齋藤(邦)政府委員 保安要員の引揚げにつきましては、御承知のように準備指令を出しましたままストライキが解決いたしましたので、実際は行われなかつた。これは私が申し上げるまでもなく、その通りでございます。そういうふうな事態でありましたので、おそらく検察当局もその権限を発動するということがなかつたのだと私は思います。しかしながら、幸いに保安要員引揚げという事態が起らなかつたけれども、そういう準備指令を出したということ、この事実にかんがみまして、この際はつきりさせよう、それだけの考え方でございます。
○春日委員 関連いたしまして私は法律はそのもの自体が完全無欠でなければならぬと思います。それで、ただいま山花さんも指摘されておりましたが、現行関係法律に疑義があるから、その疑義を他の法律でこれを補填して行くという態度は、これはもう立法の本旨に反するものでありまして、法律そのものに疑義があるならば、その法律そのものをやはり完璧なものに改良して行くという措置が必要でなければならぬと思います。そこで問題となつて参ります電産争議の妥当性の問題につきましては、これは電産関係労組から、すでにはつきり立証されておりますが、しかしながら社会的にもこの問題はすでに私は解決されておると思う。もしこれが違法行為でありますならば、労働組合法第八条によつてその経営者が損害の賠償を請求する権利がある。ところが今まで累次にわたつてスイツチ・オフもあり、いろいろ争議行為があつたのですが、経営者はそれに対して何ら損害賠償の訴えをいたしていない。すなわち黙認は肯定とみなすという慣例もあるのだが、今まで長年にわたつて、労働組合法第八条の保障があるにもかかわらず、これに対して違法行為であるとか、あるいは損失を受けたから賠償してくれという行政訴訟とか民事訴訟が起きたことは、一ぺんもないのであります。従つて社会も経営者も、これに対して違法であるという考え方をだれも持つていない。電産がああいう争議を行うことは、争議行為として必要やむを得ざるものとしてこれを肯定しておるからこそ、そういう訴訟が起きていない。にもかかわらず、政府は一方的にこれを違法呼ばわりをしておるが、いかなる権威といかなる機関の権威の決定によつて、あなた方がそういう違法呼ばわりをするのであるか、それを私はまずお伺いをいたしたい。
○齋藤(邦)政府委員 電気の御質問でございますので、電気について申し上げますと、現在その効力を存続しております公共事業令——その場合は電気事業法でありますが、電気事業法が公共事業令にかわりますときの政府におきましても、公共事業令の条文の解釈といたしまして、スイツチ・オフ等の停電行為、すなわち労務不提供の限界を越えるものは正当なる争議行為ではない、争議行為に適法性があるものである、従つてこれについては公共事業令の違反になるという解釈を実はとつて来ておつたのであります。事業主の方々がどういう理由が損害賠償をしなかつたかということは、私よく承知いたしておりませんけれども、いずれにせよ政府におきましては、いわゆる労務不提供の限界を越える争議行為は争議行為の適当性を失つておるものであるという解釈をとつて来ております。それからそのほかのいわゆる給電指令所の職場放棄等の行為は、むしろ停電行為そのものよりも、電気の供給という観点から申しまして、違法、不適当なるものであると私どもは従来とも考えて来ておりました。前の内閣等におきましても、停電の行為はあまり適当な争議行為でないということを、以前労働大臣が出した例もございます。そういうふうなことで、従来とも私どもといたしましては、そういうスイツチ・オフ等の行為は違法である、それから電源、給電指令所における職場放棄は適当な争議行為ではない、こういう考えで来ておりましたがその適当でない争議行為も、昨年のこの大規模な電産争議によりまして、社会通念上これはやはり不当なものであるというふうな社会認識になつて来たと私は思う。そこでこの際、違法なる争議行為を明らかにし、不当なる争議行為というものをはつきり明文によつて書こう、これが今回の法案の趣旨でございます。
○春日委員 それでは、これは関連質問でありますから、いずれ私の質問のときに譲りますが、政府は法律を執行する権限は与えられておるけれども、法律を一方的に独断で解釈したり、あるいは自分の都合のよい方にかつてな解釈を下すことは許されておりません。もし被害者があるならば、被害者は損失を訴えれば国家の補償がありますし、あるいは違法行為であるならば、執行機関はそれを処分する権限が与えられておる。本日までいずれも違法に該当する取扱いを受けていないものを、あなた方が一方的に違法呼ばわりしていることは、これは政府の一方的な独断でありまして何ら権威のないものであります。この問題については、私はあとの私の質問のときに深くデイスカツシヨンしたいと思います。
○齋藤(邦)政府委員 先ほど来たびたび申し上げてありますように、石炭につきましては、保安要員の引揚げは違法であろと声明をし、電気事業につきましても、スイツチ・オフ等は違法であると考えて来ておりましたが、組合等におきまして一部に疑義があるやに承つておりますから、その疑義を解く手段としてこの立法措置でやつて行こうというのでありまして、政府が一方的な解釈をこの法律によつて確定しよう、こういう考え方でありませんから、その点ひとつ御了承願いたいと思います。
○田中委員長 この点は非常に大事な点ですが、関連質問は他にございませんか。——それでは山花君継続して……。
○山花委員 先ほど政府当局の説明によりますと、二度と行われないために明確にこの法律案で規制するのだ、こういうことでございました。そこで問題は、この法律案をつくるときに——争議というものは、大体原因があつて発生するのでありますが、その原因を労使ともに十分調査して、せんだつてのような争議の真相、原因を究明されたかどうか、この点をひとつお答えを願いたいと思います。
○齋藤(邦)政府委員 昨年の電産、炭労の争議につきましては、いろいろな事情があつたかと私思つておりますが、私どもがこの法案を提案いたしました理由は、電気産業、石炭鉱業におけるストライキを全面的に禁止しようというのでは全然ございません。すなわち、かりに極端なことで申しますれば、電産ストライキあるいは石炭ストライキというものがいくら長期になろうが、そういうことについて云々しているのではないのでございます。すなわち、ストライキとしてとられる方法が、こういうものだけは公共の福祉の観点から明文をもつて明らかにしておこう、こういうものだけはひとつ御遠慮願いたいということを申し上げておるのでございまして、電気産業についてのストライキ、石炭鉱業についてのストライキを全面的に禁止しようというような意味合いでないことをひとつ御了承願いたいと思います。
○山花委員 労働者に与えられたるストライキの権利というものを全面的に禁止しようというのではない、こういうような説明でございましたが、そうなりますと、ストライキの解釈ということが具体的に問題になると思います。ストライキというものは、われわれの解釈によりますと、資本家階級に徹底的な致命傷を与えて、そうして提起された問題を有利に解決する、これが労働者に与えられたる一つの権利として、ただいま日本の憲法においても保障されておるものと考えておるのであります。そこで今度の法案によりますと、たとえば保安の確保というようなことがうたわれておるのでありますが、かりに保安を確保するために、炭鉱関係におきまして保安出炭というようなことがもし行われるといたしますと、それによつて資本家は利益を得るでございましようが、労働者はおのれのストライキを不利益に導くという結果——言いかえれば、非常に資本家に有利に動き、労働者側に敗北に近寄らしめるような法律の内容がこの保安関係において認められると思いますが、この点につきまして、政府の見解をひとつお答え願いたいと思います。
○大島政府委員 ただいまの保安出炭の関係につきましては、たとえば採掘いたしました石炭を坑内に置いておきますと、それによつてガス発生を起したり、あるいは自然発火のおそれがある、そういう場合におきましては、やはり出炭しなければならない。そういう関係が、従来からもやはり労働組合法の一条二項によつて、正当ならざる争議行為ということになるわけであります。もちろんお話のように、争議行為というものは、労調法の七条におきまして定義されている通りであります。しかしこの争議行為が全部憲法によつて保障されるというものではなしに、組合法一条二項に申しておりますように、正当なる限りにおいて保障される、かような解釈に相なつているのであります。
○山花委員 今度の争議の根本的な原因は、追究して参りますと、特に石炭関係におきましては、一般的に物価の上昇に伴つて社会常識として賃金値上げが一つの妥当性を持つている。この環境の中にあつて、賃金値下げで対抗して来た、こういう資本家の横暴なる労働者圧迫に対して、政府は争議が長期に長引いたからというような理由で、労働者の一つの権利を規制するような法律をつくるのは、非常に一方的と考えますが、この問題について政府はどう考えますか。
○齋藤(邦)政府委員 昨年の両ストライキが長期に、大規模に行われましたことにつきましてのいろいろな事情は双方にあつたのじやないかと私は思いますが、私あまり当時のことは承知いたしておりません。そういうふうな争議の苦い経験からこの法律案が出ておりますことは、御指摘の通りでありますが、この法律が労働者側のみを押えようという意味のものではないと私は考えております。すなわち、御承知のように、電気産業の停電ストライキによりまして、山花委員も十分御承知かと思いますが、労使双方には実はあまり痛くないと承つております。すなわち、労働者側の失う賃金も相当多かつたでありましようけれども、第三者に与えた損害に比べれば軽微だつたと私は思います。また事業主が受けたいわゆる電気料金の損失も、第三者が受けた損害よりも少かつたと考えております。すなわち、この停電争議によりまして一番被害を受けたのは、いわゆる一般国民であつて、労使双方はあまり痛くない、こういうふうにいわれております。そういう争議方法が争議行為としてはたして正当なるものであるかないか、ここに問題があるのではないか。すなわち、争議行為ということであれば、労使双方が最も痛い点をつき合つてやるのが、争議行為としては筋の通つたものではないだろうか。すなわち、第三者のみに多くの被害を及ぼすような争議行為というものも争議行為の名において保障されているものであろうかどうか。そこが一つ問題じやなかつたかと考えております。
○山花委員 今の当局側の答弁は、問題の本質をすりかえて、変な方向へ答弁をなさつていると思います。私の今の質問は、労使のこの争議に対する一つの原因発生に伴う、特に炭鉱資本家のとつた態度について、政府はどう考えるかということであります。炭鉱資本家は、一般的に賃金の上昇が常識的になつているあの段階において、賃金値下げをもつて労働階級に挑戦して来た。これが争議発生の、また長期化する一つの原因になつて来ている。この問題に対して政府はどうお考えになるか、こういう質問です。
○齋藤(邦)政府委員 山花委員の御質問に対して、はなはだ失礼いたしましたが、炭労のストライキが長期化したことにつきましても、電産と同じように、労使双方にそれぞれの言い分があつたじやないかと私は考えております。言い分があつたからこそ相当長期化し、深刻になつたものと考えております。しかし政府といたしましては、こういうことだからこうなつたというようなことを言うべき筋合いのものでもなし、私案はその当時労政局長でございませんでしたので、あまり事情も承知いたしておりませんが、労使双方に理由があつたことであつて、政府としては、やはり労使の紛争には立ち入るべきものではなく、またそうしたことに対してとやかく意見を申し述べるということは遠慮すべきことじやないか、かように存じております。
○菊川委員 ちよつと議事進行について。どうも私どもさつきから伺つておると、問題の急所をはずれて政府委員は答弁をしておられるようです。これはやはり委員会ですから、問題の急所をはつきりと答弁される方がいいと思います。私、議事進行の範囲ですから問題の中に入りませんが、たとえば今の問題を伺つておつても、炭坑において保安要員の引揚げということを中心としてこういう制限をしなきやならない、あるいは電気の場合においては、電源ストを中心としてこの制限をしなきやならないということについて、政府委員に本法案提出についての根本的な必要性をお伺いしておるのです。従つて今までもう何日もかかつて、何回も繰返しておるところの外側のことは、何度も言い尽しておるのですから、そういう点でなくて、この点を明確にしてもらう必要があるのじやないか。私どもは決して議事を引延ばすことを考慮しておるのではありません。結局こういうことであれば、ある時期にわれわれもつと休んでも、政府に対して条項的に問題を提起して明確な回答を求めなければ、議事の進行ができないのではないか、責任上こう考えがいたしますので、もつと具体的に、問題の中心についてつつ込んでお伺いいたしたいと思います。
○齋藤(邦)政府委員 山花委員のお尋ねは、炭労の争議がああいうふうに長引いたのは、一般的な賃金上昇の傾向の際に、むしろ賃下げのような案を事業者が出したといつたふうなことが相当有力な原因じやなかつたか、こういうことを中心としてのお尋ねだつたと思うのです。そこで私どもといたしましては、石炭鉱業のストライキが長期になりましたのも、それはやはり労使双方の主張が食い違つておりまして、いろいろ事情があつたと思うのでありますけれども、政府といたしましては、どういうことが石炭争議の長引いた原因であるかということについて、詳細に意見などを申し上げるのは、適当でないのではないだろうかということを申し上げたにすぎないのであります。すなわち、政府としてこの争議をどうするというのではないというふうに私は考えておるのでございます。すなわち第三条の、保安要員の引揚げという問題につきましては、昨年のそういう争議の結果、最後の段階で行われた保安要員の引揚げという準備指令、これだけはひとつ御遠慮願いたいということを申し上げておるにすぎないのでありまして、争議の内容に触れてとやかく批判をしようという意図は全然ないことを、御了承願いたいと思います。
○菊川委員 議事進行に関連して質問いたしますが、たとえば保安要員の引揚げの準備指令を出したということが、炭鉱に関しては、この法案をお出しになる一つの重要な理由である、こう御説明なさつたのですか、そういうふうに了承して質問を進めてよろしゆうございますか。
○齋藤(邦)政府委員 保安要員の引揚げという準備指令を出したということが直接の原因でございます。
○菊川委員 それではお尋ねしますが、ここに政府は労働省労政局の名において、炭労争議経過というものを配布しております。ところが、これをごらんになつてもわかりますように、あるいは当時齋藤さんは当事者でなかつたから御存じないとおつしやるけれども、この文書だけ見ましてもわかりますように、突如として保安要員引揚げの準備指令を出したものでないということは、この前にも回答なさつたと思つております。そういたしますれば、この指令を出すまでに、一体保安要員引揚げという問題について、炭鉱においては経営者と労働組合の間で、平素からどのような労働協約その他でとりきめをされておつたかということについての認識をお尋ねします。
○大島政府委員 従来の例によりますれば、各山元におきまして争議協定その他において争議中における保安の問題については、労使双方において、できるだけ適当な妥結の線を見出して、それによつて行つておつたという状況であります。ただ昨年の炭労争議におきましては、非常に事態も深刻になりまして、なかなかその協定もうまく行かなかつたようであります。その間、炭労の組合側としましては、逐次保安要員の引揚げにしぼつて参り、最後におきましては御承知の通りの総引揚げの準備指令を出した、こういう状況になつておつたと承知いたしております。
○菊川委員 そういうことがこの委員会に対する急所に触れない答弁だというのです。委員会にこういうものをお出しになつている。この指令を見れば、あなたの説明以上にここに出ている。私はあなたの認識を伺うのです。そこで問題は、保安要員の引揚げという重要な問題については平素から経営者も労働者も、ともに重大な関心を持つている農大の問題であります。でありますから、労働協約その他において万一保安要員の引揚げを行うという場合においては、どういう手続をとるかということが、これが炭鉱におけるところの労働協約の中心問題であろうということは、お説の通りであります。そこで、どの炭鉱においても、突然として保安要員の引揚げをやるというようなことは、やるはずもございませんし、また協約によつてやることを許されておりません。従つて、争議が起つて第一に起つて来るのは、いつの場合でも、保安要員の名におきましてスキヤツプなどが利用することを心配するから、組合はこの点について経営者側と、争議行為の一部として保安要員引揚げの問題を具体的に調印しているのであります。あるいは、いろいろ坑内保安に必要があると称して、必要以上の保安要員の入坑を要求して出炭をはかる場合がございます。これはそれぞれ山の事情によつて具体的に決定すべき労使間の問題であります。そういうことについての御認識が一体どの程度かということをお伺いするのであります。委員会をあまりしろうと扱いした答弁は無用であります。そこで、そういう場合において、このお出しになつたところの資料によりましても、備指令を出すまでには、数次にわたつ準てだんだんしぼつたとおつしやいますが、しぼらざるを得なかつたような事情がこの間明瞭であります。鉱山監督においても、その点からいろいろ注意されております。また労使間においても、この点については事ごとに折衝いたしております。ところが最後にどこに問題があつたかというと、その具体的な山々の実情を調査する場合におきましてどの限度まで保安要員が必要かということを調査する場合において、労使間の意見が一致を見ない場合には、炭労の中闘委員会から調査員を派遣する、その調査員の派遣を経営者側が拒否したことに、この大きな問題があるのであります。でありますから、そのように、本来ならば労使の協約にまかせて、それがだんだん良識と訓練によつて習熟されるということが、炭鉱労働問題を最も健全に解決する軌をつくるゆえんであります。しかるに、その途中において調査員の派遣を拒否したということ、これが重大な問題になつておるのであります。この一点について、これは一体どちらがよかつたと思いますか。経営者が調査員の派遣を拒否したことがいいというのか、それとも悪いというのか、このことを質問するのであります。
○齋藤(邦)政府委員 私が申し上げるまでもなく、保安要員の問題につきましては、やはり平常から労使双方が真剣に話合いをしてきめて行く、私はそうあるべきものだと考えております。争議中といえども、労使双方の良識によつて、保安要員のこういうものはいかぬのだということをきめて行くということが適当だ、かように考えております。将来とも、この第三条の問題につきましては、最終的には保安管理者がきめるにいたしましても、労使双方の話合いで良識的にこれが処理せられて行く、これが望ましいことであり、最もいいことだ、かように考えております。昨年の、その調査に行こうというのを拒否したという問題でございますが、先ほど来申し上げておりますように、あまり詳細な事情も知悉いたしておりませんし、また政府といたしましても、争議紛争中のことでありましたので、私は批判をすることは差控えるべきじやないか、かように存じております。
○田中委員長 その点大島政府委員、お答えできませんか。
○大島政府委員 その炭労の中闘本部の調査の拒否の問題につきましては、今局長から申し上げましたように、批判を差控えたいと存じますのは、もともと各山元におけるそういうふうな協約ないしは争議協定というものは、各山々の実情、またその山における技術の命ずるところ、そういうふうな線に沿つて定めらるべきものと考えられるわけでありますが、ただそういう点におきまして、中闘本部からそういうふうな調査が参りまして、その調査の目的なり、あるいは調査の内容なりということについては、いろいろ見方もあるでありましようし、そういう点からいたしまして、批判は避けたいと考えるわけであります。ただ私ども重要だと考えます点は、そういうような問題よりも、やはり保安要員の総引揚げの準備指令を出したという基本につきましては、そういうものを引揚げても、それは必ずしも違法ではない、妥当であるという根本的な考え方があるのではないかと思われる点であります。その点が一番重要な点じやないかと考えます。
○菊川委員 私これは重大な問題で、そういう点では、われわれ考慮しなければならぬ段階にあると思います。というのは、この法案をお出しになつている理由は、保安要員の引揚げがいいか悪いかという問題については、現在まですでに法律的にきまつている問題であります。それを労働組合があえて行おうという場合において問題になる。しかも労働協約においては、保安要員の引揚げについては、労使双方それぞれ具体的に協定をすべきところのとりきめ事項になつております。従つて保安要員の引揚げそのものが違法であるということは、現在の炭鉱の労使関係においてはないはずであります。ただ残る問題は、これを引揚げるというが、全部引揚げをするのじやなくて、具体的にどの程度に行うかという問題について、あとあとの損害を与えることをお互いに避けるという意味においての協約上のとりきめを行うのであります。でありますから、このことを組合では、労使間において現在行つておるにかかわらず、これを一体法的に何ゆえに今からこのこと全体が組合の争議行為として全般的に違法であるという決定をするかという理由は、要するに先般の争議において、準備指令を出し、そして四十八時間保安要員の引揚げをするというきつかけになつたものが、何であつたかということの事実の究明をせずしてこれを論ずるということは、これは抽象論であります。しかも、労働争議が保安要員引揚げという最悪の事態に、準備指令を出して突入せざるを得なかつたということは、これは当面の問題は、調査員を派遣するという点について拒否したからであります。しかも、現実に行つた者を拒否したという現場の問題ではありません。中闘から石炭連盟に対して申入れをした場合に、石炭連盟が拒否したという、争議の途中における両当事者の交渉上のいきさつの問題であります。従つて、この事態を避けようとするならば、何ゆえに政府は、保安要員の引揚げの準備指令を出した動機になつたところの調査員の派遣が、いいか悪いかということについての、そのときに、労働省は監督官庁として判断を下さなかつたか。鉱山保安局は坑内保全については通達されました。しかもその問題の焦点であるところの調査員の派遣という問題について、なぜ一体これがいいか悪いか言わなかつたか。これをそのまま置いたからこそ、この争議を、準備指令を出さざるを得なくなり、それを決行せざるを得なかつたというところに追い込んだのであります。その重大なるポイントにおいて責任を回避して、そうしてその結果から起つた保安要員引揚げの準備指令に対して、今これを制限しようというやり方をしております。この点について政府は、一体なすべきことをなしていないじやないか。そうしてその起つた結果のみを今追究しておるのであります。間接的なことについて言うのではありません。直接の問題の中心について、なぜやらなかつたか。労使双方の、立ち入るべき問題ではないというが、それは労働条件の問題についてはそうでありましよう。けれでも、事いやしくも労調法によつて禁止し、あるいはその他の法令でもつて禁止しておる問題について、これを労働協約においては今までやつておる。その労働協約で行われるところのポイントがそこにあつた場合に、なぜ手を出さなかつたか。鉱山保安局は何をしておるか。労働省は何をしておるか。なぜ今ごろそんな大きなことが行えるか。その点をはつきりしたい。
○福田政府委員 ただいま菊川さんからの御説明がございましたが、われわれはそういう争議の途中における労使双方の問題について、協約の問題がからみ、あるいはそういうような調査の問題がからんで、両者の間で交渉があつたというようなことは、若干承知いたしておりますが、その問題については、労使双方が対等の立場に立つてストライキをやつておられるのでありますから、その問題にまでは触れないという立場をとつて来たわけであります。しかし、そういうようなことがあつたからといつて、保安要員の引揚げをしていいという結論は私は出て来ないと思つております。
○菊川委員 遺憾ながら山の事情がわからない人間を相手にしてやつておる、これは困るのでありますが、私の言つておるのは、保安要員の引揚げについていい悪いを言うのではありません。悪いことはきまつておるのであります。ところが、炭鉱の実情からいつて、保安要員はどの程度がほんとうに必要かということは、その山々の実情によつて違います。従つてその具体的な実情については、お互に山を愛する経営者、労働者でありますから、また自分があとで仕事をする場合に困るのでありますから、当然その程度については、両方が立ち会つて話せば、的に解決するのであります。そのための、現場に立ち会うところの調査員の派遣であります。これを拒否するということがあつたから、それでは今後、保安要員の最小限度ということについて、組合側は責任が持てないから、われわれは今後については、経営者側の要求するところの数についてそのまま受取りかねるというのが、保安要員の引揚げの内容であります。この指令をごらんなさい。何もかも全部引揚げるとはいつておりません。準備指令を出した、保安要員引揚げだといつておりますが、全部何もかも引揚げるというようなことはいつておりません。一体そういうことをわかつていて答弁しているのか。わかつていないと思います。そこが問題であります。準備指令が出たというが、準備指令が出なければならなかつたのは、重大な山の具体的な争点であるところの問題について、中闘委員が立ち会うということについての問題を拒否したから、今後経営者側の言う通りの人数その他をまるまるは受けられませんということであるのであります。このことをおわかりになつていて答弁されるのか。おそらく山の実情はわからないで、この重大な法律を扱うということは、私は無責任もはなはだしいと思います。もつと明確な答弁をしてください。
○齋藤(邦)政府委員 先般の菊川先生の御質問にもこの前お答えいたしましたように保安要員の準備指令が出たということは、私は最後の段階でぎりぎりに出たものであるということをお答え申し上げたのでありますが、私どもといたしましては、先ほど来申し上げておりますように、労使紛争の過程中の問題でありましたので、これを拒否したことについていいか悪いか、私の方で批判することは差控えたいということを申し上げておるのでございまして、その点をひとつ御了承をお願いしたいと思います。
○山花委員 同僚委員の方から、いろいろ関連質問をしていただいておりますので、問題の所在がだんだん明確になつて参りましたが、先ほど政府委員の答弁によりますと、去年の争議の原因は、労使ともにあると思われる、こういう答弁と理解いたしましたが、そのように理解してよろしゆうございますか。
○齋藤(邦)政府委員 私が申し上げましたのは、争議が相当長期にわたりましたことにつきましては、労使双方それぞれの事情があつたことと存じております、ということを申し上げております。
○山花委員 それぞれの事情があつたということは、換言すれば、やはりともに責任があつたというふうにわれわれは受取れるのでございます。そこで、今度出された法律案は、去年の争議の実態にかんがみてこの規制法律案を出した、こういう説明がございますが、労使ともにもし責任があるとするならば、当然労使ともに規制をやらなくてはならぬとわれわれは考えます。この法律案の条文を見ておりますと、労働者に対する責任は非常に追究をしておりますが、資本家に対する責任と申しましようか、それははなはだ緩慢にして、一方的に責任を追究する法律案であるというふうにわれわれは理解いたします。資本家に対する責任、あるいは資本家に対する一つの規制を、政府当局としてはどうお考えになつておるか、この際ひとつ明確にしていただきたい。
○福田政府委員 山花さんのお話ですと、両方に責任があるのだ、こういうふうにお考えのようですが、われわれは両方に権利があるのだ、こういうふうに考えております。
○山花委員 私の言つておるのは、この法律案の内容が、労働者に対する責任追究が非常に急であつて、資本家に対しては責任を問うておるような内容がない。言いかえれば、労働者の基本的権限のみを圧迫する法律である。もつと露骨に申し上げますと、資本家の御用を承つておるような法律案である。どこにこの資本家の責任を追究しておるか。もしこれがあれば、明確にしてもらいたい。
○福田政府委員 先ほど御答弁いたしたのは、争議が起きるのは、資本家の方にもそれに、応ずることはできないと思つた場合にはそれに応じない権利がある。また組合側としては、賃金が安過ぎるからもつと高くしてもらわなければならないということを、要求する権利がある。その権利が、ぶつかり合つてストライキが発生しておるわけであります。従つて保安、要員の引揚げということは、要するに山を守るという意味でありますから、もちろん会社側は保安要員を引揚げるということもできないわけである、組合側も保安要員を引揚げるということもできないわけである、この点は平等だと思つております。
○菊川委員 どうもその点がはつきりしないのですが、「炭労争議経過」という資料の中の、百九十一ページの、指令十二号に基く対連盟申入、十一月十一日申入書というのを見ますと、その中に明瞭にありますように「来る十一月十五日以降の保安要員は、主要排水施設、主要通気施設の運行維持およびこれに必要な坑内巡回、測定、人車等の要員に限定して就業致させますので通知致します。」なお最後のところに「尚貴方において当方の調査を拒否される場合は、保安要員の就業に就て拒否することがありますので予め右申入れます。」この意味は、この前にありますように、「向後保安確保の実情を知るため、各山の現地を調査致したいので、貴方において当方調査について、各山において入坑所拒否等による支障なきよう計られたい」というのでありますが、一体こういう申入れをしたのに対して、そのあとで、百九十二ページから三一ページに載せておりますように、連盟の通告、十一月十二日に出ておりますが、これによれば「今回の切羽の崩壊まで敢えて招来せんとする保安要員の削減は争議中に於ける労使間のルールに違反し、従来築き上げて来た信頼関係をじゆうりんする破壊行動であります。」こういうことを言つておる。従つて「保安責任者がこれを所管するもので、貴方派遣の調査員の入所入坑はその必要なきものとみとめます。」——これが問題の点であります。従つて、この結果生れましたのが百九十四ページにありますように——これは連盟に対する炭労側の回答、十四日付でありますが、「当方は正当な罷業を行つているものであり、保安要員の制限は切羽の崩壊を目的とした行為ではありません。」ということを言い、最後に、百九十六ページにありますように、「貴方は保安維持については、積極的な当方の協力も必要でないということでありますので当方は向後保安のための就業を拒否することがありますので予め申入れます。」こういうふうに事態はだんだん進行して行つたのであります。でありますから、この文書についてごらん願つて、この経過を御検討願つておると思いますが、一体保安要員引揚げということが何を意味するかというと、このように坑内を荒廃に帰するということを避けてやるところの争議行為であるのであります。おのずから自由にやらせても、限界がございます。しかも経営者も認めておりますように、従来の炭鉱における労使間の信頼関係を中心としてこれが行われておるものであるのであります。一体そういうものであるにかかわらず、問題の最後の破局を来した点は、調査員の派遣を拒否したという点に出て参つておると思うのであります。あるいはこれが争議戦術であつたかもしれない。あるいはそういうことについて、経営者側は何らかの他の心配をされたかもしれない。けれども、事実やはり保安要員引揚げに問題の中心点を置くのが、ある一つの契機であることは間違いがございません。こういう文書の経過を見ますと、一体これはどちらが間違つておるというのか、このことであります。どちら側が悪いか。これを、労使の関係だからこれは言うべきでないとおつしやるのか。一体労使の関係で自主的解決にまかせるというのは、こういうことまでまかせるというのであるか。それならば、あえてこういう法律を出す必要はない。
○齋藤(邦)政府委員 先ほどたびたびのお尋ねでございますが、私どもといたしましては昨年、その当時は、御承知のように、お互いに争議中で、いろいろの事情があつて行われたことでありまして、どつちがいいか悪いか、政府として批判するということは差控えたいというふうに存じております。(前田(樋)委員「行政省庁としての権限をはつきりしておかなければならぬじやないか」と呼ぶ)先ほど来申し上げておりますように、労使の紛争の内容の問題でありますので、批判、意見を述べることは差控えさせていただきたい、かように存じます。
○菊川委員 もう一ぺん関連質問をいたしますが、一体組合側は調査員の派遣を要求する、連盟側はこれを拒否する。そこで二つは労資のそれぞれの言い分だから、それに直接いい悪いのタツチをすることは、争議中は差控えるということは、われわれはそうあるべきでないと思いますけれども、あるいは場合によつては認め得るかもしれぬ。百歩譲つてそういたしましよう。そうした場合において、しからば両方の言い分は食い違つておるが、このことは、争議行為の問題であります。決して要求条項の問題ではありません。従つて、この食い違いから将来起るべきところのいろいろの問題を考えた場合において、この争議行為の見解の食い違いについては、政府は第一の保護法をもつてこれに対して善処する方法があるではありませんか。たとえば労使双方のおのおのの言い分がある場合において、鉱山保安局があるではありませんか。あるいは鉱山保安局でいけないというならば、労使双方が認めるところの第三者を、その場合に炭坑の保安の問題について現地に立ち会せるという方法もあるではありませんか。知恵がない。何のために労働省があるのか、鉱山保安局は何のためにあるのか、そこに問題がある。労使双方のどつちかに軍配をあげるということが悪いならば、両方預かつて、それならばこの問題については公正な判定をする人を選ぶからまかせてくれということは、当然言えるではありませんか。これは労使双方の要求事項ではありません。当然労調法その他に関連するから、争議行為の問題であります。従つてそういう措置さえとれば、この法律案はいらないのであります。措置をとらないから、そのあとのごまかしのために、政府が自分の無能を暴露してこの法律案をつくつた、そこに問題がある。その点はつきりしてください。そのときそういうことは気がつかなかつたのか、気がつかなかつたからやらなかつたのか。気がつかなかつたのは、なるほどわれわれが無能だつたということになるのですか、はつきりしてください。
○齋藤(邦)政府委員 先ほども政務次官からお答えがありましたように、ある程度承知はいたしておりましたが、労使紛争中のことであるということで、具体的な問題については関与しなかつたということでございます。これは私先般も申しあげましたように、一般的な問題でありますならば、労使双方の話合いで、いわゆる保安の範囲というものは、一般的な問題としてなるべく労使双方の話合いできめるべきものである。きまらないときは、やはり鉱山保安法の定めるところによつて、保安管理者というものが責任者に相なつておりますので、それがきめるべきものであると私は考えております。しかし、具体的な問題については、菊川先生がたびたびのお尋ねでありますが、これがよかつたか悪かつたかということになりますと、今私といたしましては、意見を申し述べることを差控えさしていただきたいと思います。
○菊川委員 それではお尋ねします。齋藤さんはその当時おられなかつたのですが、労働省としては、争議行為上の問題であつて労使要求上の意見の相違ではありません、こういう問題まで含めて、これは労使双方の見解の違うところの行為だから、それについては自主的な立場でまかせて、争議中といえども介入しないという方針をそのときにおとりになつたというのならば、今後もこれで間違いないという御見解なのか、あるいは当時においてはそうであつたかもしれぬが、言われてみればなるほどそういうこともあつたのか、気がつきませんでしたという気持であるのか、その点をはつきりしておいていただきたい。
○齋藤(邦)政府委員 具体的の問題については意見を述べることを差控えるということだけを申し上げた次第であります。将来の問題といたしましては、私どもといたしましは、違法なことがあれば注意等はいたしますが、紛争のないように、関与するというようなことは全然考えていないわけであります。
○山花委員 先ほど政務次官に答弁を願つたのですが、何か的はずれのような、禅問答のような形になりました。幸い労働大臣がいらつしやつたので、労働大臣から当面の責任者として明確な御答弁を願いたい。 今度の争議が長期に行われ国民大衆にたいへん迷惑をかけたからこの法律案が上程された、こうたびたび説明を承つておるのでございますが、この法律案の内容をよく検討いたしますと、労働者に対する責任の追究は非常に急であるが、資本家に対する責任の追究は、この内容では見られない。この点について、労働大臣は、過般の争議は、労働者の責任だけを追究して問題が円満に解決されるとお考えになつておるかどうか、伺いたい。
○戸塚国務大臣 昨年の争議によつて被害が多かつたから、その責任を追究するという意味に考えておるのではないのでありまして、ただ昨年の実績にかんがみて、今後もああいうようなことがあることがいけないという意味で法案を提出いたしておるのであります。なお、内容はたびたび申し上げまするように、従来違法とされたもの、ないしは不当であつて争議行為として好ましくないものであるという内容を含んだ法案なのであります。経営者に対する関係におきましては、おのずから監督をする立場があつて、経営者に不都合なやり方があれば、十分に監督して参らなければならぬと存ずる次第であります。
○山花委員 先ほどから事務次官、政務次官、あるいは政府委員の答弁を承つておるのに、どうも満足できない点が多々ございますので、再度繰返すような形になりますがお尋ねいたします。ただいまの御答弁によりますと、去年の長期の争議の過程において、たびたび違法行為と見られる点があつたので、この法律案でその点を明確にしたのだ、こういう御説明でありますが、もし違法行為であると断定するのならば、その法律が所在したと思う。その法律によつててきぱきと問題を処置すれば、新しいこんな法律案を出す必要はなくなるのではないかと思うのですが、去年の争議期間中に、労働大臣としてはどういうような点が違法行為であり、もし違法行為というならば、それはどの法律に抵触する問題であつたのかということを、あらためてお答え願いたい。
○戸塚国務大臣 私は法律の条文をはつきりいたしませんので、事務当局からお答えさせます。
○齋藤(邦)政府委員 炭労ストにおきまして、保安要員の引揚げ等は違法であるという政府声明を実は出し、それから電気のスイツチ・オフにおきましては、従来ともそういう解釈をとつて来ておつたということは、先ほど来申し上げておりまして、私どもといたしましては、そういうスイツチ・オフ等の行為は違法であるというようにずつと述べて来ておつたわけであります。
○山花委員 ただいまの事務次官の答弁は、先ほど私は聞いたのであります。そこで労働大臣の責任ある立場から御答弁を願つたところが労働大臣は法規問題に詳しくないというので、再び事務次官の方から御答弁をなさつたが、そういう形で行きますと、いつまでたつてもらちがあかないと思うのであります。これから私の聞きますのは、労働大臣が法案説明のときにお述べになつた問題に関連して聞きますから、ひとつ労働大臣の方から御答弁を願いたいと思うのであります。 せんだつての労働大臣の法案説明によりますと、ストを全面的に禁止しておるのではない、ある一部を規制しておるのだ。従つて、他の方法によつて、与えられたる労働者の権利を行使すればいいのではないか、こういうような説明でございました。ところが、電産関係の争議は、今まであらゆる方面から圧迫されまして、最後に残された争議手段というのは、具体的に申し上げますと、電源を切るという形しかないと思うのであります。一体どういう方法でストをやることを他の方法とお考えになるのか、この点労働大臣よりお答え願いたい。
○戸塚国務大臣 今回の法案で規制しようとしておるところは、先ほども申し上げましたように、従来も違法とせられておつたものないしは不当であつて、今の社会で考えて、これは当然妥当を欠くと思われるものを規制するのであります。他の方法は、私は十分には存じませんが、たとえば集金ストであるとか、その他、事務スト等、それぞれ正当に行い得る争議手段は多々あると存じます。
○山花委員 他の争議手段として、事務ストであるとか、あるいは集金ストというような争議手段がある。こういう大臣の御説明でございますが、たとえば集金ストに関しては、同僚委員の石川一松氏からもせんだつて質問がございました。その内容の一端を申し上げますと、長い間集金ストをやる、余裕のある人はいいけれども、余裕のない人が三月分、四月分と長期にわたるものを一時に集金に来られると、とても支払い切れないという事態が生ずる、これがある意味からいうと公共の福祉にも相当影響を与える関連性のある問題ではないか、こういう話でございました。確かにそういう事例があると私は思うのです。一般庶民階級は、一月分の電気代だつて、なかなか払うのには容易でないと思う。そこで、かりに電気産業労働組合が集金ストをやる場合に、毎月々々消費者に迷惑をかけないでみずから集金をして、それを会社に渡すということになりますと、これは相手方に影響を与えないことになりますから、争議手段としてこれくらいまずい手段はないのであります。従つて、それを労働組合なりその他で保管するということが可能であるかどうか、ひとつ労働大臣の御答弁をお願いいたします。
○戸塚国務大臣 集金する者が自分のところに保管しておる場合、会社とその使用人との間でどういうふうな話合いになつておりますか、ちよつとその辺は明確にいたしませんが、問題になる点があるのじやないかと考えます。
○山花委員 労働大臣の答弁は、使う方と使われる方が、どういう話合いになつておるかわからぬが、ちよつと問題がある、まことに理解のできないような御答弁でございましたが、話合いなんかは私はないと思うのです、争議手段ですから。露骨に申し上げますと、けんかをやつておる、戦争をやつておる段階でございますから、話合いなんかはないと思います。これは妥協すれば別問題でございます。相手方を倒すという戦術の一端として、組合名義なりあるいは組合の形で、どこかの銀行にこれを委託する、それより以外集金ストにより会社に影響を与える方法はないと思います。それが唯一の残された争議手段とするならば、それが合法的であるか非合法であるか、こういう点をお尋ねしておるのであります。
○戸塚国務大臣 政府委員から答弁いたさせます。
○大島政府委員 法規解釈の問題でありますから、私からお答え申し上げます。 集金いたしましてそれを会社側に渡さすに管理している、あるいは保管しているというような場合におきましては、正当なる争議行為の範囲を逸脱するものであると考えております。
○山花委員 そういたしますと、どういう争議手段が電産の場合に残されておるか。もしそれが違法行為とするならば、電産に関してはストの一部規制でなくして、ストの全面禁止というふうに理解する以外ないと思うのです。ほかに何か適当な争議手段、争議行為というものが、ただいまのような形もいけないということになりますと、電産労働組合の場合にあるかないかという点、ありましたら、ひとつ御明示を願いたい。
○大島政府委員 停電に関しますストライキの争議行為の方法が規制されましても、なおかつ電産労働組合と会社側の労使関係の均衡をくずさないで、団体交渉によつて円滑なる労使関係の安定を確保し得るという力関係の手段は、なお十分に残されておると考えるわけであります。すなわち集金ストにいたしましても、今お話のように、これは集めて来て、かつてに保管ないし処分しているというのは、正当な範囲を逸脱すると思います。たとえば、決算のときにおきます決算業務の拒否でありますとか、あるいは資材関係の購入拒否でありますとか、あるいは出納業務の拒否でありますとか、事務全般にわたりまして広汎にかつ有効に労使関係の均衡を確保し得る道は残されておる、私どもとしてはかように考えております。
○山花委員 ただいまの説明を聞いておりますと、電産がやり得るのは集金をしない集金スト、これ以外にないと思う。そういたしますと、四月も五月も争議が長期化した場合、庶民階級の生活にどのように大きな影響を与えるかということと、公共の福祉のためにこの一部規制法案を設けるというのと、少し食い違いはしないであろうかというふうに考えますが、その点政府はどうお考えになりますか。
○大島政府委員 今のお話とこの法律とは、ちよつと面の違う問題でありまして正当なる争議行為として許されておりますストその他によりまして、これが非常に深刻になる、ないしは長期にわたるというような場合におきましては、労働関係調整法によりましてあつせん、調停、仲裁もしくは緊急調整というような道が開けておりますのでこれによつて調整を講じて行く、こういうふうな関係になつておるわけであります。
○田中委員長 大島君にちよつと委員長から申し上げますが、今の質問にもつと簡単に答えができませんか。スイツチ・オフ以外に許された争議行為としてどんなものがあるか、具体的にはつきり言えるじやないかと思います。
○齋藤(邦)政府委員 先ほども大島政府委員から申し上げましたように、それでは、頭に考えつくことを若干申し上げてみたいと思います。まず金を集めないスト、それから利用家のメーターを調べる業務に従事する者の行ういわゆる検針ストと申しておりますもの、それから株主総会業務拒否、決算出納業務スト、資材スト、文書取扱い拒否、上部遮断、出張拒否等——まだありますが、私どもといたしましては、相当有効強力なるスト手段がある、かように考えております。
○山花委員 ただいまのは、あるいは数項目、もつと考えれば数十項目くらい争議手段が出て来ると思いますが、どれ一つとして資本家に打撃を与えるような争議手段はないと思うのであります。そういたしますと、結局はストを全面的に禁止しておるという形が現われて来ると思います。これはスト一部規制法案とうたつてありますが、特に電産の場合には全面的スト禁止ということになりますが、そうなります場合には、当然これは他の方法によつて労働者の生活を守る一つの救済規定がなくてはならぬと思うのであります。たとえば国家公務員にはストは禁止してございます。そのかわり、ちつとも政府は行つておりませんけれども、一応法律的建前は、人事院の賃金勧告という救済規定があるのであります。そういう救済規定についてお考えにならずに、この全面禁止的内容を持つたスト規制法案が妥当とお考えになるかどうか。
○齋藤(邦)政府委員 たびたびのお尋ねでございますが、私どもは、停電ストは労使双方にはあまり痛くなく、第三者に迷惑をかけることのみ多いストであるという解釈をとつております。現実またその通りだと承つております。なお、そのほかのストにつきましては、有力でないという御意見でございます。これは私意見の相違かと思いますが、特に私は集金スト、検針ストなどはやはり事業主にとつては相当痛いストだといわれておると実は承知いたしております。従つて、こうした労使双方に痛いストをやるのが、そもそもストライキというものの筋ではないか、第三者にのみ迷惑をかけるストというものは、公共の福祉の上からいかがであろうか、こういう考え方でございます。なお、それと同時に由来私どもはスイツチ・オフ等の行為は違法であると考えておつたものであり、なおそのほか、社会通念上不当であるというものを規制明文化するにすぎないのでありまして、新たに制限を加えようという内容のものではございません。従つて、労使の力関係において、対等性と申しますか、均衡性と申しますか、その対等性、均衡性が破れないときにおいては、私どもといたしましては、救済手段は必要はないのではなかろうかと、かように存じておる次第であります。
○田中委員長 大分腹がすいて来ましたが、昼からにしましようか。山花君、あなた間もなく終りますか。
○山花委員 いや、きよう一日中あります。政府の答弁さえよければ、すぐ済みます。
○田中委員長 それでは休憩をいたしまして、午後一時三十分より正確に開きます。 午後零時十三分休憩 ————◇————— 午後一時五十八分開議
○田中委員長 午前に引続き労働委員会を再開いたします。質疑を継続いたします。山花君
○山花委員 幸いに労働大臣もいらつしやいますから、お尋ねしたいと思いますのは、この法案提出の理由といたしまして繰返し繰返し公共の福祉ということを言われておるのであります。たびたび説明を伺いました。しかし、なお納得行きがたい点がございますので、いま一度公共の福祉とは何かという政府の御見解をお示し願いたい。
○齋藤(邦)政府委員 たびたび申し上げてありますように、部分と全部との関係における全部といつたふうなことでございます。すなわち停電ストの問題、保安要員引揚げ等の問題につきまして、国民経済及び国民の日常生活に対する脅威と損害を除いて、争議権と公共の福祉との調和をはかつている、こういう考え方であるわけでございます。
○山花委員 去年の争議の事例にかんがみて、ああいうような争議をやられると公共の福祉を阻害するという、こういう見地に立つてストの規制法案が出された、こういうふうに説明を承るのでございますが、もし去年のような争議のときでも、政府の労働対策に万全の措置をとられ、あやまちなければ、ああいう事態には入らなかつたのではなかろうかと、今日ではそういうようにわれわれは批判しておるのです。そのことは緊急調整という法律のあることは、政府も十分御承知の通りであります。国会の質疑等におきましても、緊急調整の発動はないかないかという各委員のたびたびの質疑に、この問題は労使間において処理すべき性格のものであつて、政府はいたずらに介入すべきでないと繰返し繰返し言われて、とどのつまり最後になつて、この緊急調整の発動を見たのでありますが、伝えられるところによりますと、政府があのような重大事態の起きるまで緊急調整の発動を遅延して来たことは、これは資本家の意思に対して政府が行動をした、こういうふうに伝えられておるのであります。何がゆえに政府は資本家の意思に対して行動したかという点につきましては、もし緊急調整の発動を見ると、資本家陣営の経理の実態が明らかになる。経理の実態が明らかにされますならば、労働者の要求の当然性ということが非常に裏づけされるのではないか。そういう意味で、ただいま申し上げましたようなことが一般に伝えられておるのでございます。これは政府の立場を鮮明にする意味におきましても、この点につきましては、一応明確な所信を御発表願いたいと思います。
○戸塚国務大臣 争議の途中において、もつと早く巧みに処理する時期があつたじやないかというような意味のお尋ねでございます。あるいは見方によりましては、そういう何か名案があつたかもしれませんが、私どもといたしましては、あまりに労使間のことに介入することは好まないという建前からいたしまして、なるべく自主的に解決せられることを望んで、事態の推移をながめておつたのでありまして、遺憾ながらそこに早く政府がなんらかの行動を起こすというようなことが、かえつて誤解を招くもとになるというふうに考えておつたのであります。なお、きわめて重大な事態になるまでというお話でありましたが、緊急調整そのものが発令するには、それだけの要件を備なければならぬのでありまして、あまりに性急に緊急調整の決定をするがごときは、おもしろくないというふうに考えておつたのであります。何か資本家の側の要求に応じてということでございましたが、私どもは決してさような考えは持つておりません。また当時、実際さようなことはございません。その間に労働者の要求が正当であることが裏づけられる事態があつたじやないかというようなことでございましたが、両者の間の主張の争いは、それは両者の間のことでありまして、政府がその間にとやこう言うべき筋合いのものではないと考えております。
○山花委員 この法案の三条を一読いたしますと、「人に対する危害」これはよくわかるのでございますが、それか後の点でございます。「鉱物資源の滅失若しくは重大な損壊、鉱山の重要な施設の荒廃又は鉱害を生ずるものをしてはならない。」——もしこの法案が適用するという場合には、すべての鉱山に適用する意思を持つておられるのかどうか。
○齋藤(邦)政府委員 この法律は、鉱山保安法に定めております石炭鉱業のみでございますが、石炭鉱業につきましては、全部でございます。
○山花委員 ちよつと私の質問がすべての鉱山と申しましたから、政府当局は石炭に関する——それはよくわかつたのであります。石炭に関する限りは、大山、小山を問わず、石炭鉱業全域にわたつてこの法案を適用する意思である、こういうように了承していいのでございますか。
○齋藤(邦)政府委員 その通りでございます。
○山花委員 そういたしますと、この法律の精神が先ほどたびたび論議されましたように、公共の福祉にかんがみ、公共の福祉を守るというところにあるとすれば、去年のストライキは、国民生活に重大なる影響を与えるがゆえに、この法案が提出されるに至つたと、しばしば説明を承つているのでございますが、もし特定の小山に争議が起きまして、その争議が長引きましたときに、はたして国民生活に影響を及ぼすような段階になるやいなやという点についての政府の所見を明らかにしていただきたいと思います。
○齋藤(邦)政府委員 小山というお尋ねでございますが、御承知のように、炭鉱における石炭は大きくても、小さくても、日本の経済のため不可欠な国家的な資源であると私どもは考えております。従つて、争議行為の方法として、大なり小なりの差はあるにいたしましても、国家的な資源を滅失荒廃するといつたような争議方法は適当ではない。すなわち労働争議の目的と手段のいわゆる相当性というものを破壊し、法益の権衡を著しく失しますとともに、復帰すべき職場をみずから失わしめるという行為でありますので、これはいわゆる争議権の対象となる目的というものを逸脱するものである。かような観点から公益と争議権の調和をはかつて公益と争議権の調和をはかつて公共の福祉を擁護しようという考え方であるわけでございます。
○山花委員 ただいまの石炭事業というものは、俗にいう国家管理でもなければ国営事業でもございません。御承知の通り個人の企業に属するものでございます。政府当局の説明を聞いておりますと、個人の事業に属する——また端的に申し上げますと、個人の財産擁護のためにこの法案が出されたというように了承する以外にないと思うのでございますが、その点はいかがですか。
○齋藤(邦)政府委員 御承知のように組合法第一条におきましては、正当なる争議行為ということが保障されているのでございます。すなわち目的を達成するための相当の手段、それが社会通念上そういうものでなければならぬ、こういうふうな考え方から、組合法第一条第二項というものができているわけでございます。従いまして、小さな山であろうが、大きな山であろうが、またかりにそれが私有財産であるといなとを問わず、こうした破壊的な争議方法というものが、いかに法益の権衡を失するかということからいたしまして、組合法第一条第二項の規定によりまして、そうしたことは正当なる争議権の範囲を逸脱するものである、かように私どもは考えている次第でございます。
○山花委員 労働争議に関係する、またその他全般の労働運動に関する問題は、労組法で明確に規定されていることは、私も十分了承しているのでございます。この法案を出した政府のたびたびの説明によりますと、公共の福祉ということを強くうたわれて、この法案が出されたと思うのであります。その点にこの法案提出の比重がかかつて来ていると了承いたします。ただいまの政府委員の説明によりますと、最近もつぱら各地において起きておりますところの、俗にいう職場防衛隊とでも申しましようか、それを何か合理づけるような見解の御発表のように承りますが、職場の防衛隊の組織は、これはとりもなおさず産報組織、かつての全体主義的なものの考え方をこの法律の中に、ただいまの説明を承りますと、含んでおるというふうにわれわれは理解せざるを得ぬのでございますが、そういう方向へ日本の労働運動を持つて行こうという意図を持つておられるのかどうか、この際はつきりしていただきたいと思います。
○齋藤(邦)政府委員 この法案は労働組合運動を産報化しようといつたふうな意図は全然持つておりません。純粋なる気持において法益権衡を失するような破壊的な争議方法だけを規制願いたいということを明文化そうというだけにとどまるものでありまして、労働組合運動を産報化しようといつたふうな意図は、さらさら持つていないことを申し上げたいと思います。
○山花委員 大臣がおいでになりますから、大臣から、これは非常に重要な問題でございますから、責任を持つて御答弁を願いたいと思うのでありますが、大臣の説明によりましても、去年の長期にわたるあのストライキ、これが国民生活に非常に影響を与えた、それらにかんがみてこの法案を出し、一部の争議権の規制だ、こういうふうに言われたのでございますが、公共福祉、公益事業ということになりますと、他にも相当関連した事業があると思うのであります。ところが、この二つだけを規制するということは、去年のあの争議の経験にかんがみ、こういう説明をされておるのでございます。そこで問題は、去年ああいう争議をやつたから、政府当局は懲罰的意味ではないないと、たびたび言つておるのでありますが、説明を聞いておりますと、どうやら懲罰的においが非常に強いのであります。争議をやらなかつたら、もちろんこの法案は私は出なかつただろうと思います。そういたしますと、これに関連する俗にいう公益事業、ガス、水道、日通あるいはまた私鉄、こういうところでは、御承知のように現行賃金では労働者の生活はできませんので、賃上げをただいま要求しておる。これが最悪の事態になりますと、争議に突入せんとするのが、今日の一般的な社会事情でございます。もしこの法律が、ストライキをやつたがゆえにこういう規制法案を出すんだということになりますと、それらの関連した公益事業に従事する、この二つ以外の労働組合の機先を制する役割を、この法律案は十分果しておると思うのでありまして、もつと端的に申し上げますと、公益事業に従事する、今までの法律によつて規制されていない労働組合のスト権を暗黙のうちに、この規制法律案を提案し、これをものにすることによつて、圧迫をしておる、こういうようにわれわれは伺うのですが、この点について、大臣のお考えを率直にお示しを願いたいと思います。
○戸塚国務大臣 今回の法案が電気と石炭のみに限つておいて、他のこれに類似する公益事業については暗黙のうちに圧迫するのではないか、こういうことでございますが、私は公益事業でありますれば、努めて自粛自制し、世間の批判を仰ぐようなことがないように、しかも労使の間で自主的に解決せられることが非常に望ましいと考えておるものであります。たまたまこの二つについては、昨年の実績を見、またその後の状況から判断をいたしまして、どうしても明確に方法の規制はしておかなければならぬというふうに考えたのでありまするが、これを類推して他の事業に一概に及ぼそうというふうには考えておりません。むしろただいま申し上げましたように、どうかして自主的に解決をせられることを期待いたしておるのでございます。
○山花委員 ただいまの大臣の説明によりますと、他の類似産業には及ぼさない、当面はこの二つの産業だけを規制する法律案を提案したのだ。ところが、その説明の中にも、去年の実績にかんがみ、こういうことを明確に言われておるのであります。去年の実績というのは、あの長期のストライキのことでございます。たとえば、私鉄なら私鉄が争議をやるというのは、これはやはり原因があつて争議を行うのであります。その原因は、われわれの解釈だと大体三つに分類されると思います。それは労働者が一つの原因を持つておる、資本家が一つの原因を持つておる、当時の社会的環境が一つの原因を持つておるのであります。この三つの原因が総合して、ストライキというような最悪の事態——われわれもストライキがいいとは考えておりません、社会的に見て、これは一つの不祥事件と考えております。その不祥事件に突入しなくちやならぬのは、ただいま申し上げました三つの原因が重なり合つて、突入というような最悪の事態に入ると思うのでございます。ところが、去年の炭鉱ストライキの実績を見ましても、午前中にも質問をいたしまして、私の理解を得る答弁を得なかつたのでございますが、資本家が賃金値下げで挑戦して来た。資本家も賃金値下げをする事由がありとすれば、それつきりでございますが、そこにあのストライキが長期に及んだ原因の一つをかもしているということは、否定できない事実でございます。かりに私鉄が最悪の事態に入つて争議をやる、もし強欲な資本家がいて、この一般的賃金上昇の時代に、賃金値下げというような挑戦的態度に出て来たがゆえによつて、私鉄の労働争議が一箇月ないし二箇月というように長引いたときに、再び去年の実績にかんがみ、またこの私鉄争議の実績にかんがみ、そのスト権を規制するというようなことに、大臣のただいまのお話だと、なると思うのでありますが、そういう点は、かりに私鉄の争議が長引いて、国民大衆の足がとまるというような事態が生じたときに、やはりストを規制するような法律案をお出しになるお考えを持つておるかどうか、この点を御答弁願いたいと思います。
○戸塚国務大臣 労使の間のことは、両者のそれぞれの話合いをもつて進めて行きたいということは、先ほどから申し上げておる通りでありますが、かりに今例にお引きになりました私鉄の場合、おそらくは労使双方の主張等については、又世論もいろいろの批判を下すことと思います。今山花さんのお話の、最悪の事態に突入するということでございますが、その方法がいわゆる正当の域を逸脱しないようにしてもらうことを、私どもは期待いたしておるのでございます。もしそういうふうな場合ができたときにどうするかということについては、その事態そのものについてあらためて考えてみなければならぬと思うのでありまして、ただいまからそういうことを類推して、この程度になればとめるとかいうようには、私は考えておりません。
○山花委員 仮定の問題で論議するということは、私もあまり好ましくございませんが、しかしこの問題に関連いたしますと、当然私鉄なりあるいは日通なり、そういう公益事業に相当深い関連性を持つておりますので、重ねて質問をしたいと思うのであります。正当なる争議行為によつてストが長引いた場合、たとえば私鉄の場合、破壊行動を起す、あるいは線路をひつくりかえすとか、電車に石ころを投げてとめるとか、そういうような破壊行為は正当なる争議行為とは私どもは考えておりませんが、私鉄の全従業全員が員団結して乗車をしない、そして電車がとまる、そういう労働争議が続いた場合、これは政府がたびたび言われる国民生活にやはり相当影響を与える現象が出て来ると思うのであります。先ほど聞いておりますと、これは公共福祉云々というよりも、正当なる争議行為でないから、これを押えるのだということをしばしば承つておりますが、正当なる争議行為のもとに生じたる国民生活に影響を与えた場合に、どういう処置をとられるか。これはこの問題を担当しておる労働大臣としては、やはりかどの識見があるだろうと思いますから、お答えを願いたいと思います。
○戸塚国務大臣 正当なる程度を逸脱することは好ましくない、かように私は申し上げましたが、どの程度かということにつきましては、実際の問題として考えなければなりませんが、今後私はおそらく社会的には、そういう場合にはすべて世論が判断を加えて、一般の常識として考えられるようになるのではないかというようなことを考えております。
○山花委員 そこで世論とは何かということになつて参ります。先ほども私質問いたしました。この法案の内容にはいわゆる救済規定が一つもない、これを繰返し繰返し質問しておるが、これに対して明確な御答弁が、私としては聞かれなかつたのであります。そこで、世論でこの問題を解決する、これは確かに私は名案だと思いますが、その世論をどこに求めるかという点であります。たとえば、今具体的にその世論を求めるという一つの救済的な方法は、労働委員会という制度もございましようし——今日の労働委員会は労・使・公益の三者構成でございますが、あまり強い権限は持つておりませんので、こういう法律をやめて、中労委のような世論の一つの表現になるようなところに強い権限を持たせて、問題の解決の処理に当らせようという考えをお持ちになつておるかどうか、お答えを願いたいと思います。
○戸塚国務大臣 今回の法案に救済規定がないということは、先ほどからもお話がございましたが、政府としてこの両事業について今回規制をいたしますところは、違法であり、または不当であるものを制限的に、明確に法文化するということでありまして、それによりまして救済をするという関係には立たないと思つております。 なお、中労委等を強化して、これを世論の代表としてすべてをきめさせるようにというお話でありましたが、中労委の役割は、それぞれその争議の状況に応じて、調停なりあつせんなりをいたすようになつておるのでありまして、最終的の権限が中労委に付せられることがいいか悪いかという問題については、さらに研究を要するものと考えております。
○山花委員 他の同僚委員もたくさん質問を持つておると思われますので、一応私の質問はこれでやめます。
○田中委員長 それでは法務大臣が参りますまで多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 齋藤事務次官は、先ほど現行法でも停電スト、スイツチ・オフは違法であると考えておる、こういう話でありましたが、その点確認してよろしゆうございましようか。
○齋藤(邦)政府委員 スイツチ・オフ等による労務不提供の域を越える停電ストは、現行法におきましても違法なる争議行為であると考えております。
○多賀谷委員 ところが、労調法第八条には、電気事業は公益事業になつております。しかも公衆の日常生活に欠くことのできないものと指定しております。それがゆえに、労調法三十七条では、この前は冷却期間がありましたが、今度は予告期間になつて、とにかく制限をされております。政府の見解でありますと、停電ストが違法であるということになれば、残された争議というものは、事務スト——さつきあげられましたいろいろなストがありますが、それは何ら日常生活に影響はないと思います。それはどういう関連性がありますか。
○齋藤(邦)政府委員 停電スト等が違法であるということであるならば、電気事業を第八条の、公益事業法の中に入れておくのはちよつと筋が違わないだろうか、こういつた趣旨と承りましたが、御承知のように、この法律案の第二条によつて規制を受けます行為は、電気の正常なる供給を停止する行為であり、その他正常なる供給に直接に障害を生ぜしめる行為のみを規制いたしているのでありまして、そのほかの争議手段を行使することによりまして、間接的にも十分電気の供給に障害を生ぜしめる行為はあり得ることであります。さようなことと、電気事業そのものが公衆の日常生活に欠くことのできないものであるという趣旨から申しまして、労調法第八条の公益事業の範囲に従前の通り規定しておくことが適当であると存じている次第でございます。
○多賀谷委員 政府は、停電ストは違法でない、正当であるという前提のもとに立つて、第八条が入れられたと思うのであります。それは先ほど間接的には影響があると言われましたが、実際上、集金ストにいたしましても、その他の事務ストにいたしましても、日常生活には影響ありません。その程度ならば何も公益事業にする必要はない。あらゆる産業が公益事業になるわけであります。でありますから、政府の考えておられるのは、最初からこれは正当であるということを前提に、いろいろ立法されたかと考えるのであります。 ざらに続いて質問いたしたいのですが、政府のそういう法解釈に対する権限であります。裁判所は、少くとも最近いろいろな事案において正当な争議行為であると判定している。すなわち、古い判例でも、電産福岡支部の停電ストにいたしましても、大牟田分会の停電ストにいたしましても、電産北見分会の停電ストにいたしましても、全部正当であるということを言つている。ただ違法であると言つているのは、猪苗代湖分会の電源ストですが、これは冷却期間中で争議権がないから違法であると言つているのであります。争議権がある場合は、停電ストも電源ストも正当だと言つている。また最近では横浜地方裁判所も、また東京高等裁判所でも、これは電気事業の機宜に適した争議行為である、比較的安全な争議行為であると言つている。各種の裁判所がそういう判決を下しているにもかかわらず、政府がこれは違法であるという見解に立たれるのは、司法権の侵害であると思いますが、その点に対する見解を伺います。
○齋藤(邦)政府委員 これを労調法第八条のいわゆる公益事業の中に入れております趣旨は、先ほど申し上げた通りであります。 後段の問題につきましては、なるほどそういう判決例のあることも承知いたしておりますが、この判決例は最高裁判所において確定されていないものであります。それと同時に、最高裁におきましては、実は電気事業についてではございませんけれども、争議行為というものにつきましては、労務不提供の限界を越える、すべからざるものであるという別の判決があるわけでございます。そういうふうな趣旨から、さらにまた電気事業法をやめまして公共事業令になりましたときにおいて、政府におきましては、労務不提供の域を越えるスイツチ・オフの行為は正当なる争議権の限界を越えているものである、こういう解釈をいたしている次第であります。
○田中委員長 それでは今通産大臣が参りましたから、通産大臣に対する質問を、ひとつ前田君を筆頭にして全部お願いいたします。
○前田(種)委員 通産大臣も急いでおられるそうでありますから、できるだけ簡単にお尋ねします。 現行の鉱山保安法によつて、信安要員の引揚げ等の問題は、完全に違法行為として処置できると思いますが、その点について明確なお答えを願いたいと思います。
○小笠原国務大臣 解釈の上でそういうふうにもとれますけれども、その解釈につきまして多少の疑義がありまするので、従つて今後の疑義を一掃するために、この法案立法となつた次第でございます。
○前田(種)委員 解釈に疑義があるとおつしやいますけれども、政府の解釈には疑義はないと思います。その政府の解釈が無理でありますならば疑義が生じます。政府の見解では、あくまで現行法によつて保安要員の引揚げ等の問題はできない、違法行為だという明確なお答えを求めることができますか。
○小笠原国務大臣 通産省といたしましては、この点については少しも疑いないと思いますけれども、当時その問題について、これは違法ではないということを言われた向きも相当ありますので、従つて私どもは、そういう疑いを一掃するためにこの立法を必要といたした次第でございます。
○田中委員長 前田君、ちよつと申し上げますが、石原官房長、石炭局長の佐久君、公益事業局長の中島君、鉱山保安局長の吉岡君が来ております。
○前田(種)委員 国内のあらゆる問題について、労使双方ばかりでなくて、それぞれの利害の立場によつて法の解釈がいろいろ言われることは当然だと思います。最終的には、これは裁判所で結論が出ますので、政府の考え方必ずしも正しいとはいえない点もありますが、少くとも行政を担当している政府として、現行法の解釈に対しては、自信を持つて臨まれることは当然だと思います。もしそこに疑義があるということで推し進めて参りますならば、今度の法ばかりではなくして、あらゆる立法に対して次から次へと法を強化して行かなければならぬという問題にぶち当ると思います。私たちはできるだけ常識的に判断して、違法行為であるかないかということは世人の認めるところでございますから、それに対して明確なる現行法の指示がありますならば、その上にさらに積み重ねるというような法規は必要ないじやないか。現行法の解釈上、政府が解釈いたしましても多くの疑義があると通産大臣がお認めになりますならば、あるいは新しい法規を出すとか、現行法を改正されることも、一つの方法であろうと思いますが、私が今まで聞いております範囲におきましては、現行法においても、保安要員の引揚げの問題については、明確な結論を政府は統一して出されておると思います。その上にこの法律が必要であるかどうかという点については、先ほど申し上げますように、そういう筆法で行きますれば、幾多の法律をつくらなければいかぬということになります。が、もう一度重ねて大臣のお答えをお願いしておきます。
○小笠原国務大臣 政府といたしましては、司法当局ともはかつた上で、疑義なしと思いますが、ただ世間の一部にいろいろ言われておるので、世間で誤解の余地があるならば、その誤解の余地を断つことがよかろう、最高裁の方できまつたわけでもございませんので、さように考えた次第でございます。
○前田(種)委員 もしさような見解から新しい法律を出されるという点について、この法規だけを見ますならば、一応そういうことを政府として考えたということも、私にもわからないわけではありませんが、こうした労働法規の基本的な問題に触れるような重要な法律案を出されるについては、一体国際的にどういう影響があるかということも、通産大臣として勘案されたと思います。特に日本の今日の現状においては、国際的な経済的援助、あるいは国際的な信用を高めるということ、あるいは国際的な資金その他の面においても、あるいは貿易の面においても、あらゆる方面で各国の援助が得られなければ、日本の再建はおぼつかないという点にぶち当つております。しかも、こうした法案を政府がしいて提案される、しかもこれを強行しようというこの方針は、おそらく国連の問題にもなりますし、あるいは国際労働会議の問題にもなります。国内では、議会勢力によつてこの法案を押し通すことも不可能ではないでしよう。しかし、国際的に見ますならば、及ぼすところの影響は相当大きいのです。その面から来るわが国の損害、わが国の不信という点等々を勘案して参りましたときに、すでに現行法によつて明確な線が出ておるにもかかわらず、重ねてこうした法律を出さなくてはならないという政府の見解を、私はどうしてもくみとることができないのです。もつと高い広い立場、しかも日本の今後の運命等を考えてみましたときに、今日の問題に処する方法は、もつとほかにあると私は考えます。この点について、労働大臣にはまたあとでお聞きしますが、少くとも今日の経済産業を担当しておられますところの通産大臣として、国際的視野から見たところのこの法律の影響等についてどういうように考慮されて善処される意図があるかという点を——これは大事な問題でございますから、ただ単にこの法律の問題ばかりではなくして、そういう全体的な観点に立つたところの通産大臣の見解をこの際明確にしていただきたいと思います。
○小笠原国務大臣 国際的な立場をいろいろ考慮しまして、すべての立法措置なり行政措置をとらなければならぬことは、当然のことと思います。但し、この立法は、私どもが承知しておる範囲では、国際的に何ら悪影響はございません、また悪影響を及ぼす懸念もないと私は確信いたしております。
○前田(種)委員 提案された政府としては、そうした自信があるということは当然であろうと思いますが、そうした吉田内閣の見解が、今後の日本の運命に大きな影響があるという点をここに明確にしておきたいと私は思います。この点については、お互い見解の相違でございますから、いろいろ議論をして行つても結論は得られないと思いますが、今日労働立法が厳としてあるにかかわらず、書き下しの三条の単行法によつて、労働組合の基本権を制限しようというような措置は、国際的ないろいろな機関からも、あるいは各国のいろいろな識者からも非難されるものだという結論を持つております。この見解の争いは後日に譲ることにいたします。 次に通産大臣にお尋ねしたいことは、電力の規正の問題あるいは昨冬の停電ストの問題等、いろいろ今日実例をあげてこの法律の制定になつておるということを当局は説明しておられます。私も、昨冬のストの結果、国民経済に及ぼした影響がどの程度であつたかということを知つております。それ以上に、独占事業であり公益事業であるところの電力会社の今日やつておりますところの経営の実情というものは、国民経済に影響を与えております。これを責めて行きますと、渇水だ、不可抗力だ、あるいは設備の能力がない、あるいは石炭がないというようにいたしまして、当局もその事実を認めまして規正し、あるいは停電をやることがもう年中行事のようになつております。この中で、ほんとうに不可抗力である部分がどの程度あつて、会社の責任に帰すべき程度がどの程度あるかという点について、通産当局は相当分析して判断しておられると思います。真にやむを得ない不可抗力の点を責めるということは、これは酷でございます。しかし、会社の責任によつてこの停電の問題が国民経済に及ぼすことを、もつと少くなし得るという点について、最善の努力をしておるかどうか。また電力局は、それに対して十分の監督行政をやつているかどうかという点が大事な問題だと思います。労働組合がストをやることはけしからぬと言われますが、ああした公益事業の資金は、おおむね国家資金です。しかも会社の重役の大部分は、どういう因果関係でああいう会社の重役になられたかわからないような人が天くだり的に重役のいすにすわつておられます。今日の民間企業というものは、営々として赤字を克服してやつて来たものが、今日りつぱな企業会社を経営しております。その企業に対する努力に対しましては、われわれ立場は違つておつても、頭の下るような苦心さんたんをしておられる業績を持つておられる人がたくさんございますが、残念ながら今日の電力会社に対しましては、われわれ国民として頭が下る経営のやり方をやつておられるという実情をいまだ知らないのです。国家の金で、しかも天くだり的に会社の経営を担当してやつておるという一方には、独占企業だというところに大きな欠陥があり、甘さがあるのではないか。公共の福祉の問題が重要に扱われますならば、私はもつと強くその面から責められなくてはならないと思います。私はその意味から、経営者に対してもつと監督を強化する、あるいは国民に対する迷惑を最小限にするというために、一体いかような行政的な措置をとつておられるかという点について、大臣の見解を承つておきたいと思います。
○小笠原国務大臣 お話のごとく、電気事業につきましては、通産省といたしましても十分に監督いたしておるのでございますが、御承知のごとく、発送電会社が九分割されて以来、まだそう長い日がたつていません。従いまして、その点に多少の遺憾の点があるかと思うのでございますが、私どもが見まして、私企業として出発しておるこれらの企業は、今日のところ、決して十分とは申しませんが、それぞれその職責に対しては、経営者も十分の努力を傾けておると考えておるのであります。なお主務省といたしましては、しばしば電源拡張その他の問題につきまして、あるいは火力の発電の金融措置等につきましても、できるだけの便宜をはかり、また督励をいたしておるのでございます。しかし、なおこれらの点について不十分な点等がございますれば、今ちようど電力、ガス等につきましては法令改正審議会ができまして、これを検討中でございますので、もし今よりももつと厳重なる規制をする必要があれば、規制をいたす考えでおります。なお、行政措置といたしまして、電源開発等に今年は千五百億を越える大きな資金を供給する等のことによりまして電源開発を促進し、今年だけでも百二十万キロワットの電力を供給するというような措置をとり、当局といたしましては、今最も重点的に電力の増加方について、努力をいたしておる次第でございます。
○前田(種)委員 今の大臣の答弁を聞いておりますと、経営者にそうした莫大な投資をすることは、はなはだ危険だと私は思います。今日の経営陣の内容を政府はもつと再検討して、ほんとうに国家的にやり得る能力者にまかすということでないと——政府資金を千数百億も出して、それがとんでもないところに使われるということになりますならば、いつの日に一体豊富低廉な電力の利益を受けることになるかという点について、私は寒心を持たざるを得ないのです。私はそういう点から見て、今日の不可抗力の限界、渇水の限界、設備の限界等でほんとうに停電を認めるという場合は、何か特別の審議する委員会等があつて、そこでパスしたものの限度において認める。パスしなかつたものは、会社の責任において損害賠償の責めを負うというくらいにしなければ、今のように雨が降らなかつた、渇水です、あるいは設備がありませんということで、のほほんとして節電、停電をやられるということになりますならば、いつまでたつても電力が豊富になるということはありつこないと私は考えます。私はこの点について、もつと強力な手を打たなければならぬと思うのでありますが、もう一度その点に対する大臣の考え方を承つておきたいと思います。
○小笠原国務大臣 ただいま財政資金千五百数十億というお話ですが、それは一切の資金でございまして、財政資金は電源開発会社に出資として百五十億、それから預金部からの分として五十億、さらに開発銀行を通して三百八十五億、それから一般の地方債等を通じて約九十億、これだけがいわば財政資金、財政投資とでも申すべきものでありまして、あとは市中金融機関その他でまかなつて行くのであります。千五百数十億は電源開発に向けられている合計の数字でありますから、御了承を願います。 なお、今経営者が適任でないじやないかということですが、もし経営者が不適任で成績が上らない人がありますれば、これはそのときに考慮いたしたい、かように考えているのであります。さらにもつと強化する意思はないかというお話でございますと、これはもう一つの委員会でございましたか、先般御審議を願つてあの一年間無条件に前の法律をそのまま延ばしておりますが、そのうちに電気、ガス等の法令改正審議会を設けることになつて、各方面の有力者を網羅して今審議しておりますから、その場合、必要であればこれを適当に改めることにいたします。そうして電力のいわゆる公共性にかんがみまして、政府といたしましても十分な配慮をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○前田(種)委員 労働組合に対する禁止規定は、あまりにも急な法律案を出します現政府が、経営者の経営の合理的な運営、それから能力その他の点に対する、行政官庁として当然やらなくてはならない政府の処置というものは、依然として調査研究中だ、これで一体片手落ちではありませんということが言えますか。麻生さんがおられても、何にも遠慮せぬでいいですから…(笑声)国家的に見て一体どうですか。今日毎日々々停電をやり節電をやつている現状から見て、もつと会社の経営者が責任を持たなければならぬ。あるいはほんとうに自分の資金で経営をやつておりますならば、もつと能率は上つていると思います。国家の資金で、国家の庇護のもとに経営をやつておりますから、ほんとうの民間企業と比べて、一体どういう経営をやつているかという点を見ましたときに、もつと政府は監督を強化して——監督を強化するということは、ただ単に法律を強化するだけでなくして、ほんとうに運営の妙を発揮して国民に迷惑をかけないという決意が、答えとして出て来なければならぬと思いますので、もう一度その点を承つておきたいと思います。
○小笠原国務大臣 電気事業の公共的事業なるにかんがみまして、私どもも十分監督をいたしまして、経営者に最善を尽すよう指導し、また監督するつもりであります。しかし、今申し上げた通り、私どもは何もこれは検討中というのではない。ただこの前のときに、根本的に電気、ガス等について一体どういう法令で今後を処理すべきかということについての委員会をつくつたのでありますから、その場合に、この次に法令を改める場合には十分なことをいたす、こういうことを申し上げているので、私どもが経営者に対する監督指導を怠慢にする、さような考えは毛頭持つておりません。できるだけ最善を尽すことは、これは私どもに与えられた職責上当然なことでございます。
○前田(種)委員 最後に九分割になつたために、九つの会社が電源その他の点についていろいろなトラブルがあるように私は聞いております。しかも御承知のように、水を使えば原料はただ、燃料を使えばそれだけ多額の経費がかかりますから、できるだけ水力によつてカバーしようということは当然だということになつて参ります。しかも関西電力と中部電力、あるいはその他の会社との関係においても、できるだけ火力をセーヴして、水力の割当を少しでも多くもらうというようなことが、九社間においていろいろ問題があるのです。そういう点がいろいろありますから、必要な火力の発電が十分行われていないという現実の問題もございます。それから現に大阪の福崎の発電所のごときは、四万キロの能力があるにもかかわらず、一万キロ以上たいたことがないという現状でございます。いろいろ調べてみますと、石炭の荷揚げの設備が十分でないというような言い訳をしておられますが、石炭荷揚げの設備くらいは、そう多額の費用はかからぬから、ほんとうに四万キロの能力があるならば、四万キロの能力が発揮できるようなことが、今日の電力事情においてはできるはずです。しかし、石炭ばかりたくと経費がかさむからできるだけ水力に依存しようという点から、いろいろな設備も遅れている。また開発の面につきましても、計画は立つておりますが、遅々として工事が進まないという今日の現状も、考えなくてはならぬ問題の一つだ。それからもう一つは、一体電力会社の労務管理の実績が、ほんとうにうまく行つているかどうかという点につきましても、はなはだ残念ながら、電力会社の学務管理のやり方というものは、他の会社に比較いたしまして、いいとはいえないのです。ここからも労働組合の争議の問題等にもぶち当つて来ております。もつといい労務管理をやりますならば、国家にこれだけの迷惑をかけずに済む。そういう点等も、一概に組合を責めるばかりでなくして、会社の経営者に対しても、十分の反省を促すというような処置が講ぜられねばならぬと思いますが、そういう点について通産大臣の見解を承つて、他の委員の質問もございますから、私はこれ以上質問しようとは思いません。
○小笠原国務大臣 ただいまお話の点は、よく伺つておきます。なお今の関西電力の問題でございますが、これは予定以上に非常にたくさんの、石炭をたいておる実情にございまして、決して能力あるにかかわらず、やつておらぬというようなことはないように今説明を聞いております。しかしなお監督に欠陥があれば、十分監督することにいたします。
○春日委員 それでは通産大臣にお伺いいたしますが、一昨日の公聴会でも電力労組の代表者が述べております。それは今度のスト禁を実施されるとすると、結局残された範囲内において争議を行わねばならぬが、その場合に想定される争議方法として、三つのコースが考えられる。一つは、争議というものは労使ともおのずから積極的になるのは当然のことであるので、最も積極的な方法としては、一部の者が、非合法的な、いわゆる破壊的な争議行為に移る場合があるかもしれないということが考えられる。それからもう一つは、残された範囲内におけるストを、無際限に、非常に長期にわたつて継続することによつて、経営者に影響を与えようとする方法、他の一つの方法は、これはもう完全に御用組合になつて、資本家のおつしやる通り唯々諾々としてこれを承つて、御出組合化する方法、この三つの方法しか考えられないというのであります。そうした場合、私がお伺いしたいのは、この第三の御用組合に化してしまつて、労使対等の原則も、労働者の基本権も、これを完全に放棄してしまうということは、当然憲法の規定に反することだが、他の二つの場合、すなわち一つは非合法に駆り立てられるということ、一つは残された法内闘争を長期にわたつて行うという場合に、日本の産業経済に与える影響についてどういうふうにお考えになつておるか。これもひとつ通産大臣にお伺いしたい。
○小笠原国務大臣 非合法にこれを行われるということは、私どもは良識ある組合のなさざるところであると確信しております。
○春日委員 この法律がもしも実施されますならば、野村教授も言つております通り、これは争議行為の抑制、制限ではなくして、争議権の剥奪だということを、法律学者も指摘いたしております。従いましてかくのごとく制限された範囲内においてスト行為を行おうとすれば、これはこの法律のもたらすところの直接の影響が、よつてもつて非合法に駆り立てざるを得ないこういう一つの想定と、他の一つは、法内闘争として、ただいま指摘された集金ストとか、事務ストとか、あるいは購買拒否ストとか、ああいうものを非常に長期にわたつて行うことによつてストの効果を現わそうということが、労働組合のスト戦術として考えられる。そうした場合に、日本の産業経済に与える影響、公共の福祉に与える影響は、相当甚大なものがあると考えられるが、そういう方面に対して通産大臣はどういうような見解と想定とを持つておられるか伺いたい。
○小笠原国務大臣 野村氏の意見は、これは野村氏の意見だけであると存じます。私どもは今のそういうような三つの合法的な行為でも、長らく続けて行つて、労使双方とも困るようなことは、良識ある労組のなさざるところなりと確信いたします。
○田中委員長 ちよつと皆さんに申し上げますが、参議院の予算委員会が開会を待つておる事情でございますから、これで通産大臣は帰すことにいたします。あとに通産省を代表して意見を述べる者には、石炭局長、公益事業局長、鉱山保安局長の三人を残しておきましたから……。 それでは石野君。
○石野委員 大臣が帰られてしまつたので、大臣の見解を聞けないのですが、問題は、通産行政と公共の福祉の問題を、どのような範囲で見ておるかということを、はつきりしておかなければならぬと思つております。この問題について、もし大臣にかわつて御答弁が願えるならば答弁していただきたい。
○田中委員長 石野君に申し上げますが、その問題は、政府にかわつて説明する者は法務大臣です。法務大臣は間もなくここへ参りますから、法務大臣からお答えをさせます。
○石野委員 委員長はそういうふうに言うのだが、私は通産行政上、公共の福祉というものをどの範囲で見ておるかということを聞きたい。もし大臣があとで来るならば、大臣に聞いてもよろしい。
○中島政府委員 公共の福祉という字句の内容を、抽象的に言うことは可能でありますけれども、これは具体的に、こういう場合には公共の福祉に反するという認定の問題になると思いますので、今ここで具体性を帯びた説明は、私たちはいたしかねると思います。
○田中委員長 今の点について、鉱山保安局長の吉岡君。
○吉岡政府委員 同様に考えております。
○石野委員 ただいまの御答弁によると、その認定の問題については、通産行政上は何もないのだ。ただ、とにかく経営者がそういうふうに認定したらそれでよろしいのだというふうに、通産行政上ではなりそうです。これはそういうことになると、実に困るのです。あとで法務大臣がおいでになるそうですけれども、法務大臣の見解とは別に、通産行政上の見解をいま一度責任者から聞きたいと思いますから、この点はあとでもう一度聞かしていただきます。
○多賀谷委員 齋藤次官は、停電ストはあくまでも違法であると政府は考えておつたというお話ですが、この前私が法務大臣に質問しましたときの答弁では、判例は妥当な判例であつたと言つておる。そうすると、今の答弁では、これはあくまでも違法であると考えておる。最高裁判所がきめてないので、政府としてはあくまでも違法であると考えておるこういうことをおつしやつております。この点法務大臣の答弁と政府委員の齋藤さんの答弁と違うのですが、一体どういうことでしようか。
○齋藤(邦)政府委員 法務大臣が委員会で言つておるということを、私実は承知しておりません。
○多賀谷委員 本会議です。
○齋藤(邦)政府委員 本会議で、私もおりましたが、スイツチ・オフの争議行為が適法なる争議行為であるということを申し上げたとは、私記憶いたしておりません。
○多賀谷委員 そういう表現ではなかつたのですが、裁判所のこの停電ストを合法と認めた裁判判例については、これは妥当なものである。こういう答弁であつた。そうしますと、齋藤さんの答弁では、あくまで違法だ、個々の裁判所が正当であると判定しても、政府としてはあくまでも違法である、かように考えておる。こういうことですから、単なる方法の、あるいは技術的のこまかい点ではなく、根本的な考え方が違う。この点に対する正式なる答弁をお願いしたい。
○齋藤(邦)政府委員 法務大臣がそういうことを言われたとは、私承つておりません。私どもといたしましては、先ほど来申し上げましたように、労働組合法の第一条第二項の規定並びに公共事業令ができたときの行政解釈として、私どもはスイツチ・オフ等による停電行為、すなわち労役不提供の域を越えるものは正当ならざるものである、かように考えておつたわけでございます。
○多賀谷委員 ではその点につきましては、あとから申し上げたいと思いますが、一応次に移りたいと思います。 それでは現行法で違法であるということになりますと、これは重大なる問題が発生すると思う。たとえば停電ストが現行法でも通法であるということになりますと、私鉄のストあるいはガスのスト、そういうものでも現行法ではすでに違法なんだ、それを今度電気について掲げたにすぎない。こういうことになりますと、類推解釈ができると思う。性格が同じであります。さらに炭鉱の場合でも、保安要員引揚げは現行法では違法だ、それを明記したにすぎない。こういうことになりますと、鉄鋼その他の産業で、保安要員引揚げと同じような、法的に均衡がある問題は、これは遺法ということになります。当然処罰の対象となると思います。しかるに、先ほど労働大臣は、類推解釈をして他産業に及ぼす考えはないとおつしやつておる。これは非常に矛盾する話でありますが、その点は一体どういうふうになつておるのでしよう。
○齋藤(邦)政府委員 すべて争議行為がどういうふうな形で具体的に行われるかによるわけでございまして、その具体的な行為が行われたときに、それが組合法第一条第二項の規定によつて正当なるものとなるかどうか、それはその具体的な行為々々について判断をせらるべきものである、かように考えております。大臣が申し上げましたのは、この法案ができましたのは、昨年の電産、炭労の苦い経験にかんがみまして、その全般的な争議の中で国民が学びとつた二つの争議方法についての規制をしよう、こういうことを申し上げておるのでありまして、矛盾するものとは私ども考えていないわけでございます。
○多賀谷委員 では具体的にお尋ねいたしたいと思います。たとえば交通事業をとめるというような問題、これは違法になりますかどうですか。
○齋藤(邦)政府委員 争議行為として輸送をとめるということは、私はあり得ることだ、かように考えております。
○多賀谷委員 それは正当という意味でしようか。
○齋藤(邦)政府委員 御承知のように、その輸送をとめるということが組合法第一条第二項の但書による正当なるものである限り、正当なる争議行為だ、かように承知しております。
○多賀谷委員 その第一条第二項によつて正当なものである限りという条件をつけられては、私の問いに対するお答えになつていない。
○齋藤(邦)政府委員 組合法第一条第二項は、輸送ばかりでなしに、すべての争議行為についての適用を鮮明にいたしておるものでございます。
○多賀谷委員 そのすべてのうちの、具体的な運輸についてお尋ねしたわけで、運輸についてストツプさすという行為は、これは違法でないかどうかということを聞いているのであります。それを明確にお答え願いたい。
○齋藤(邦)政府委員 輸送とただ抽象的に言われますと、輸送をとめるということもこれは為議行為で、正当なる争議行為である、かように考えておりますが、要するにこの第一条第二項の精神と申しますものは、具体的にその場に行われる争議行為が、社会通念上正当であるかどうかということの判定に基いて結論が出て来るものだ、かように考えておる次第でございます。
○多賀谷委員 では水かけ論になりますので次に移ります。鉄鋼の熔鉱炉の火をとめるとか、平炉の火をとめるとかという問題は、どういうようにお考えになりますか。
○齋藤(邦)政府委員 その場合も、具体的なその場合々々の行為によつて定まるものだ、かように考えております。
○多賀谷委員 では現在出ておりますこの法律案によつて、そういうふうに類推解釈をするようには考えていない、こういうことを確認していいのでしようか。
○齋藤(邦)政府委員 この法律は、電気、石炭のこうした争議行為の方法のみのものでありまして、一般的なその他の問題は、すべて具体的に組合法第一条第二項によつて解釈せらるべきものであろう、かように考えております。
○多賀谷委員 私が心配いたしますのは、そういう事例が今まで裁判所にあるからであります。なぜかと申しますと、レツド・パージのときに、マ書簡というものは新聞報道のみに発せられた書簡であつたのであります。しかるに、裁判所はその書簡をもつて、一般的な公共事業にも適用したのであります。そういう裁判所の判例がありますので、私は非常に危惧しておるわけであります。もちろんこの判例は、占領下における裁判事例でありましたので、そういうこともあつたかと思います。占領後においては、そういうことは絶対にないと確信しておるのでありますが、その点はいかが考えられておりますか。
○戸塚国務大臣 先ほどから同じところを繰返しておられるようでありますが、やはり齋藤君が申し上げましたように、その具体的な事実によつて認定をする以外に方法はないと思います。
○田中委員長 皆さんにちよつとお諮りしますが、通産当局にお尋ねになる質疑はございませんか、大臣を除いて。石炭局長、公益事業局長、鉱山保安局長がおりますが……。帰してよろしいですか、何か質疑がありますか。
○多賀谷委員 あります。
○田中委員長 それを先に……。
○多賀谷委員 保安要員の問題につきまして、先ほど議論がありました。そうして十一月十五日からの保安要員の削減の問題につきまして、炭労は指令を流しております。その指令に対する連盟の回答は、それを実施する場合は民事上及び刑事上の責任を問い、かつ処分をするということを言つております。なおつけ加えて、炭労の方からは実情調査のために調査員を入坑せしめる、こういうことに対しまして連盟の方は拒否しておるわけであります。この拒否が、後に保安要員総引揚げという戦術に行かざるを得なくなつたわけであります。これに対しまして、鉱山保安局長は十一月十二日の通産委員会において、十一月十五日の炭労の保安要員削減の指令は妥当なものである、こういうことを言われております。その妥当であるものに対して連盟の方では、これは違法なものであるから民事上及び刑事上の責任を問い、かつ解雇をする、こういう回答をしておるわけであります。そうして入坑拒否をやつております。先ほどの質問にもありましたように、入坑拒否をする、こういう態度に対しては行政官庁としては当然処置をとるべきではなかつたかと考えますが、これに対する通産省の見解をお尋ねいたしたいと思います。
○吉岡政府委員 多賀谷さんよく御承知のように、先般の炭労ストにおきましては、当初から保安要員については、炭労側はこれを確保するという態度で行つておつたのでありますが、ただいまお話のように十二月の十日でありましたか、十五日以降これを削減するという指令を出したわけでございます。それでこの指令は、その字句をそのまま読みますと、多少問題の点もあるかと思うのでございますが、私どもも心配していろいろな各鉱山の情勢等を地方の監督官を経由してとつて参りました。またその指令の解釈につきまして、炭労側の説明等も伺つたのでありますが、そう字句にとらわれてきゆうくつなことは考えていない。文字の上では主要通気、排水施設等を指令されておりますが、やはり重要な災害を起す危険のあるような保安業務は確保するという態度でありますので、大体この程度であれば、そう最悪の事態に行つているものとは考えていない、こういうお答えをしたわけであります。ただ十五日前後の状況につきましては、保安要員の出動の状況を毎日電報で報告させたのでございますが、結果的に申しますと、坑外の人員はやや減少いたしましたが、大部分の所におきましては、十五日前後を通じて実際上はかわらなかつたわけでございます。従つてそういう意味におきまして、これに対しては別段の措置をしなかつたわけであります。 なお、ただいまお話の炭労の調査員が入坑する場合に、これを入れるかどうかという点につきましては、私どもの関与すべき問題でない、かように考えまして、これにつきましては別段の措置をしなかつた次第でございます。
○多賀谷委員 関与すべき問題でないとおつしやいますけれども、すでに十月三十一日には保安局長名で通牒を出しておられるので、当然保安の責任は監督官庁にあると思います。そういうような拒否するというような事態に立ち至る場合は、当然それに対して十月三十一日に通牒を出されるくらいな親切さがあれば、経営者に対して出されるべきが至当であつたと考える。これに対する再度答弁を願いたい。
○吉岡政府委員 私どもの鉱山保安法の建前から申しますと、各鉱山の保安管理者並びに鉱山労働者が行政の対象でございまして、炭鉱労働組合というものは、直接行政上の対象でもございませんし、その炭労の調査員の入坑を認めるか認めないかということにつきましては、私どもの関与すべき問題でない、かように考えている次第でございます。
○多賀谷委員 では次に質問いたしますが、今度の法案を読んでみますと、きわめて漠然たる文句が使つてあります。たとえば「重大な損壊」とか、あるいは「重要な施設」こういう言葉が使つてありますが、この法律案は、もしも違反をいたしますと、刑事罰にかかるわけであります。およそ刑事罰というものは、こういう漠たる言葉を使うべき性質のものではないと思います。こういう判定が非常に困難な問題、いやしくも刑事罰を下す場合には、立法技術としてはむずかしいでありましようけれども、こういう字句を使つて刑事罰を科すべきでないと考えるのでありますが、その点に対する態度を、どちらでもいいんですが、お尋ねしたいと思います。
○吉岡政府委員 私ども保安の立場の仕事をしておる者から申しますと、御承知のように鉱山保安法には人に対する危害の防止、資源の保護、施設の保全、鉱害の防止、この四つの項目を掲げておるわけでございまして、しかもこれらの目的は、多くの場合相互に相関連するわけでございます。しかしながら、従来から争議の場合の保安要員の問題につきまして、法務省の解釈におきましては、今お話のように、軽微な資源とか施設の損壊を、一々これを処罰するというわけにも行かないので、軽微なものは、実際問題としては処罰の対象にならない、こういうのが従来からの解釈のように伺つておつた次第でございます。従いまして今回の法文化につきましても、従来のそういう法務当局の解釈のラインをできるだけ表現したのが、かような条文になつたのではないか、かように考えております。
○多賀谷委員 これは実際問題として労使が協議した場合に紛争を生ずる点であろうと思うのであります。従来重要なとかいうことで、実際に各山では紛争を生ずると思うのですが、これは一体どこで認定するのでしようか、これは労働省にお尋ねいたしたい。
○齋藤(邦)政府委員 御承知かと思いますが、鉱山保安のそういう認定の範囲につきましては、鉱山の保安管理者が、法律的には定めることになるわけでございます。しかしながらこうした問題は、御承知のように従来も労使間において協調しながら相談し合つてきめている慣例もありますので、実際の取扱い方といたしましては、労使双方の話合いによつて——山元で具体的に非常に違いがありますので、山元で労使双方の話合いによつて円満におきめいただくことが、最も望ましいことだと存じております。しかしながら、話合いがつかぬときには、当然鉱山保安法によります保安管理者がきめることになると存じている次第でございます。
○多賀谷委員 保安管理者ということになりますと、当然問題があるのであります。これが経営者であるとすれば、すなわち十二月十五日以降からとられたところの保安要員の削減問題ですから、保安局長は妥当であるとおつしやつているにもかかわらず、会社は違法な行為だから首を切る、あるいは民事上、刑事上の責任を追及するということになる。これは保安管理者にまかすということになると、これは経営者でありますので、この程度でも首を切られるということにもなるわけであります。いやしくもこういう問題につきましては、当然監督官庁が最終的にはやるべきであると考えますが、この点に対する見解をお尋ねいたしたい。
○齋藤(邦)政府委員 私よりも、通産省がお答えするのが筋かと思いますが、事業主であろうがなかろうが、鉱山保安法でその権限を与えているのであつて、その権限ある者の行動によつて行うのが筋ではないだろうかと考えます。もちろん必要があれば、保安管理者を監督する官庁もありますので、それは監督されるかと思いますが、法律が保安管理者にそうしたことをきめる権限を与えているならば、そうした者にやらせるのが、法の秩序の上からは正しいと思います。
○多賀谷委員 鉱山保安法は、平常時の規定であります。争議中政府がそれに介入して争議権を制限しようとする場合には、当然これは政府の責任において判定しなければならぬ問題であろうと思います。なるほど保安管理者が純然たる第三者であれば、こういう問題は起らない。ところが、これが経営者である、使用者側に立つ人である。こういう点に非常に問題が起りやすい。この点に対して再度答弁を願いたい。
○大島政府委員 鉱山保安法二十五条の規定によりますれば、鉱山保安法ないしは石炭鉱山保安規則に違反する場合におきましては、鉱山保安監督部長が必要な指令を出すことができることになつております。
○多賀谷委員 続いて、ここに「鉱害」という文句が書いてあります。一体「重要な施設の荒廃又は鉱害」とは、どういう意味でしようか。
○吉岡政府委員 鉱害につきましては、鉱業法に定義的な条文がございますので、それによつて判断をいたす考えでございますが、石炭鉱山において予想されますものといたしましては、鉱廃水の処理を怠つた場合にこれによつて起る影響、それから土地の地表沈下等の現象の起りました場合に、これの防止を怠つた場合によつて想像されます影響、それからいわゆるボタ山と申しておりますが、捨石の堆積場の管理を怠りましてそれによつて起る鉱害というようなものがおもなものではないかと考えます。なお、この点につきましては、実際問題として争議の結果鉱害を起すというような事例は、現在までのところ承知いたしておらないわけでありますが、保安法の対象としております保安業務のうちでこれだけを除外いたしますことは、この点について適法であるというふうな反対解釈の起り得ることも予想されるというような意見もございまして、鉱害という字句がここに出て来た、こういうふうに考えておる次第であります。
○多賀谷委員 これはまつたくナンセンスだと思います。麻生さんもおられますけれども、およそ鉱害で保安要員を出したところは今までもありませんし、全然鉱害というものは関係ないのであります。なるほど保安ということに鉱害が入つておりますけれども、これは人命の保安ではない。ですから、これを入れるということは、今申しましたようにまつたくナンセンスであり、官庁のペーパー・プランであると思う。こういう点から見ましても、いかにこれがずさんであるかわかると思うのであります。たとえば「鉱物資源の滅失」ということはわかりますが、鉱物資源の重大な損壊ということがあるのですが、どういう場合であるかお尋ねいたしたいと思います。施設の損壊ということはわかるのでありますが、鉱物資源が損壊するという場合は、具体的にどういう場合であるか、お尋ねいたしたい。
○齋藤(邦)政府委員 鉱物資源の損壊の例でございますが、一つの例を申し上げますれば、溢水によりまして石炭の鉱物資源が資源としての効用を害し、復旧が不可能になる、こういう溢水による復旧の不可能な場合等がやはり適例かと存じております。
○多賀谷委員 それは資源の損壊でなく、資源の滅失の部類に入るか、あるいは施設の荒廃の部類に入るか、いずれかであろうと思う。資源が損壊するという——たとえば火災、爆発によつて資源が少くなるという場合は滅失である。しかし損壊という場合は考えられないのであります。こういうように、この条文そのものがきわめてずさんである、かように私は考えます。今申しましたように、鉱害のような全然今まで保安要員を一人も出していない、こういうような問題でも、単に鉱山保安法にあるからというわけで書いておられる。これは立法そのものからして非常に重大である。いやしくもこれは制限立法であります。基本権、人権を制限するという問題でありますから、きわめて最小限度に書くべきであるにもかかわらず、かように拡張解釈をされている。公共の福祉なんかには全然関係ございません。こういう点非常にずさんであることを遺憾に思うわけであります。 続いて質問いたします。そういたしますと、鉱山保安法が争議中も全面的に発動される、こういうお考えでしようか、その点質問いたします。
○吉岡政府委員 鉱山保安法中の重要な規定は、全面的に発動されるわけでございますが、それでは逆に、これに該当しないものにどういうものが考えられるかということを考えてみたわけでございます。たとえて申しますと、いろいろの届出義務等を規定しておりますが、これが争議中のために若干遅れるというような場合——もちろんこれも重要な災害等に関する届出は、やはり必要があろうかと思うのでございますが、そういうものを除きまして、一般的な届出義務の遅延でありますとか、あるいは施設の補修、復旧工事等の中で急を要しないもの、争議の解決まで待つても特に支障を来さない程度のもの、それから坑内の保安施設につきましては定期的に検査をすることになつておりますが、その検査を受ける申請等の時期が若干遅れるという程度のもの、それから比較的一般的なものといたしましては、保安法以上に安全度をとりまして、各鉱山において保安規程というものを定めておることは御承知の通りでございますが、これにつきましても、鉱山労働者は各鉱山における保安規程に従わなければならぬという規定があるわけでございます。従つて、そういう場合におきましては、法令のきめておる許容限度以上に、安全度を保安規程において定めております場合に、法令の許容限度までの業務につきましては、保安規程違反によつてただちに法律違反にはならない。こういう場合は具体的には相当多いかと思います。そのほか軽微な資源の損壊でありますとかいう程度のものもそれに該当する、こう考えております。
○多賀谷委員 ではこういう考え方でいいでしようか、鉱山保安法というものは平時規定であるので、争議中は一応は停止されるけれども、この第三条によつて鉱山保安法が間接的に発動される、かような考え方でよろしいでしようか。
○齋藤(邦)政府委員 第三条の規定によつて鉱山保安法の規定が生き返るというのではなくて、従来におきましても鉱山保安法により、こういう第三条に規定するようなものはすでに違法であるという解釈をとつておつた、その解釈を限定的に明確に条文に書いた、かように御承知おきをいただきたいと思います。
○多賀谷委員 では先ほどにもどりまして、例の裁判所の判例に対する政府の考え方をお伺いしたいと思います。二月二十六日の法務大臣の答弁をここで読んでみたいと思うのであります。
○田中委員長 多賀谷君、今間もなく法務大臣が来ます。
○多賀谷委員 そちらの方に質問したいと思います。「これらの事案を一つ一つ今しさいに検討してみますると、必ずしも裁判所が行き過ぎの争議行為を認めたとは考えられませんので、ことさらに組合側にのみ有利な判決が多いというふうには私どもは考えておらないのであります。繰返して申し上げますが、これは個々の場合の争議行為の違法かいなかの法律解釈の問題であるように思つております。」こう答弁しておられる。でありますから、停電のストは違法であるということになりますと、いかに個々の問題でありましても、これは停電ストをやつておる事実は明らかでありますので、違法にならなくてはならない。それが一応合法に扱われており、無罪になつておるのであります。でありますから、そのことは当然、そういう停電ストの行為というものは正当である、こういう判断に立つものであろうと思うのであります。その点法務大臣と齋藤政府委員との見解が違うようでありますがどちらが政府の正式な見解でしようか。
○齋藤(邦)政府委員 この速記録、私も読んでおりますが、今お読みになりました前に、巽はもうちよつとあるのでございます。そこで先ほどの速記の前段の方をちよつと読みますと、「そこで、先ほど御指摘になりましたように、従来、下級裁判の判決におきまして、裁判所と検察官との法律上の見解が異なるような二、三の判決があつたことは、小川君の御指摘の通りでございますが」、こういう点もあるのでございまして、すなわち政府といたしましては、こう考えておりましたが、下級裁判所の判決におきましては、これと異なる見解の判決もあつたということを述べて行かれまして、「繰返して申し上げますが、これは個々の場合の争議行為の違法かいなかの法律解釈の問題であるように思つております。」こう申し上げておると存じます。従いまして、私どもといたしましては、スイツチ・オフによるいわゆる停電行為、すなわち労務不提供の域を越える争議行為というものは、従来とも違法である、こういうふうに実は考えておつたわけでございます。
○多賀谷委員 これは意見がありますが、法務大臣が来られました際に申し上げます。 次に、本法案に違反した場合には、個人罰になるわけでありますが、これは従来労働法が団体罰を規定しております。そうして団体の意思決定によつて行われ、その団体行動権によつて行われた行為は、労働法の観念から行きますと、団体罰になる、かように従来取扱われて来ておるので、現行法もそうであります。この前改正試案によつて一時反対の意見もありましたけれども、削除になりました。そしてもとの団体罰にかわつております。こういう点から見ますと、今度の法案は団体法理論に対する違反であると思いますが、それに対する見解を求めたいと思います。
○齋藤(邦)政府委員 この法律は、直接団体罰云々を規定いたしませんで、ただ単にこうした争議方法は違法であるということを確認、宣告することにとどまるのでありまして、その結果として電気事業法なり、鉱山保安法なりに触れるならばその方の罰則で行く、こういうことになるわけでございます。従いまして、その問題は公共事業令なりあるいは鉱山保安法なりの所定の法益保護の観点からきめられて行くべきものである、かように存じておる次第でございます。
○多賀谷委員 実はもう一点、公共の福祉と基本的な人権について質問いたしたいと思いますけれども、法務大臣が見えておりませんので、これを保留しておきます。
○田中委員長 それでは間もなく法務大臣が見えますが、青野さん、おやりくださいますか。
○青野委員 大臣が来てからやります。
○田中委員長 ほかに質問はありませんか。——それでは来るまで石野君。
○石野委員 それでは齋藤次官に、ただいまの多賀谷委員の質問に関連しまして、一つだけお尋ねしておきます。大体鉱山保安法というものは平時規定かと私たちは理解しておる。争議のような非常事態においては、一応これは労働者の側にとつて刑法上あるいは民法上の免責が行われるものと、こういうふうに考えておるし、またそのようにわれわれは取扱われて来たものと考えるのでありますが、今の多賀谷君に対するあなたの答弁からすると、どうもその考え方が不分明なように思うのであるが、次官はどういうふうにお考えであるか。
○齋藤(邦)政府委員 御承知のように現行労調法三十六条によりまして、いわゆる鉱山における人に対する危害を及ぼすような行為は、実は禁止せられておるわけでございます。そのほかの鉱物資源の滅失、損壊あるいは施設の荒廃、鉱害といつたようなものは、組合法第一条第二項によりまして、正当ならざるものであると、すでに実は解釈をし、数回にわたりまして、政府声明におきましても、しばしば明らかにしておつたところでございます。そういう点をこの際明文化そうというだけの気持でございます。
○石野委員 重ねて聞いておきますが、鉱山保安法あるいは公共事業令等の問題は、争議中においては一応やはりそういうような非常事態のもとにおいて、労働者の側にとつては免責されるという基本的な考え方は、あなたも持つておられるということですね。
○齋藤(邦)政府委員 第三条所定のような行為は、そういう法益の均衡を失し、争議が過ぎましても復帰すべきところの職場を失わしめるということでありまして、いわゆる正当なる争議行為としては考えられないというふうに私どもは考えております。正当ならざる争議行為であるということになりますれば、すなわち法律上の保護は受けない、かように存じております。
○石野委員 その正当なる云々の問題については、労組法を改正するときにも問題になつたことであるし、われわれにとつてもいろいろ問題があるわけです。これはあとでまた論議するといたしまして、なお関連の事項としてお尋ねしますが、前に山花委員からの質問がありましたときに、あなたはこの特例、今度の特別措置法の適用については、大きくても小さくても、とにかく全般的に適用するのだということを言われました。この大きくても小さくてもということが、たとえば鉱山などにいたしますと、いわゆる公共の福祉という範囲限界との関連性において、非常に重要な問題になつて来る。たとえば二十人か三十人も使つている小さな小山での争議が起きたときに、その保安管理者としての経営者が、これを公共の福祉という限界の中に含めて、一切の争議を押えるというようなことがあり得ることになるので、この大きい小さいというものと、公共の福祉の考え方との関連性についてあなたはどういうふうに考えておるか。
○齋藤(邦)政府委員 先ほどの山花委員の御質問にもお答え申し上げましたように、石炭資源というものが、単にそれが私有財産であるばかりでなく、国家的にも不可欠貴重なる国家資源であるという観点から、かりに小山でありましても、こうしたものを滅失荒廃してもいいのだといつたふうな破壊的な争議方法というものは、やはり許されないではないか。すなわち法益均衡を著しく失し、復帰すべき職場を失わしめる、こういう行為はその争議権の目的を逸脱するものである。すなわち争議権の濫用である。すなわち公共の福祉と争議権との調和をはかる、こういうふうな観点から、公共の福祉を擁護するために必要なるものであると、かように存じておる次第であります。
○田中委員長 ちよつと待つてください。——青野君。
○青野委員 私は法務大臣に二、三御質問したいと思います。大体御質問を申し上げようと思いますことは、電産の争議中にいろいろな問題が起つたそうでございますが、そのうち特に九州の佐賀県支部が、あまり検挙の内容のわからないことで、いまだに何人かの諸君が勾留せられておるということが一つ。それから法律的にどういう御解釈をもつておるかという点を二、三点この機会に御質問いたしておきたいと思います。 一番最初に、電産の佐賀県支部からいろいろの書類がまわつておりますが、争議が解決をいたしまして大体三箇月たつております三月二日の夜明けの六時半から七時ごろまでの間に、電産の佐賀県支部の執行委員長の八木昇、同じく執行委員横尾、同じく馬場、その他佐賀分会の書記等が逮捕、勾留せられたのであります。これは昨年の十二月の団体交渉のときに暴力行為を働いた、すなわち暴力行為等処罰二関スル法律違反の疑いであげられて、今日まで勾留されております。その責任者の検事が、本日の四時ごろその報告を兼ねて上京になるということも仄聞しておるのでありますが、どういうわけで逮捕、勾留したかということを、残つております執行部の諸君が執拗に尋ねてみましても、それは極秘に関することであるから言われない、こういうことで、三月二日の十時半ごろに、電産の佐賀県連合会の佐賀県支部の事務所に、水ノ江という検事が私服をまじえた十数名の諸君をつれてそれとは何も関係のないのに逮捕状を突きつけ、組合の指令、情報その他重要書類を全部押収して行つた。たびたび交渉を重ねておりますけれども、向うさんは組合の諸君に納得の行くような説明をほとんどしないで今日に至つておる。これはどういうことであるか。由来、福岡県あるいは佐賀県あたりは、今まではこういうことをあまり聞かなかつたのでありますが、ああやつて電産の争議が八十数日続いておりますので、多少感情的にもなつておつたかもしれません。けれども、私どもの聞くところによれば、昨年の十二月、支店と組合の諸君が団交したときには、いろいろ約束ができておるけれども、あるいは料理屋とかあるいは旅館とかを逃げまわつて、事実上団交を開いていない。そのために、本店の方からも——ここに麻生さんがいらつしやいますが、本店の方からも、大体この争議中に佐賀の支店はなつておらぬ、幹部の連中が組合を相手にして争議を円満に解決するために最善の努力をしておらない——あとで法務大臣にこれを差上げておきますが、そういうふうなことで非情に複雑な問題のあるところに、突如とし三箇月を経過した三月の二日にこういう事件が起つておる。そしてこれが納得のいかないままに勾留せられておる。一体どういう理由に基いてこうした幹部諸君がやられておるか。この点についての経過と、あなたの御所信を承つておきたいと思います。
○犬養国務大臣 お答えをいたします。この事件は、つい先日参議院の社会党の方々から直接お話がありました。この問題の事件の特異性は、ストライキの時期と、逮捕、家宅捜索の時期が離れているという問題でありまして、今お話のありましたように、当該責任検事の上京を促している次第でございます。しかし、本省でわかつている範囲のことを、今刑事局長から説明いたさせますから、それを御承知を願いまして、なお御納得の行かない点で私の補足すべきところがありましたら、補足を申し上げたいと思います。
○岡原政府委員 ただいま御質問の事実につきまして当方に報告が参つておりますところによりますと、事件は昨年十二月十三百から十五日にかけてのことでございまして、電産の佐賀支部の執行委員長である八木昇外数名が、九州電力株式会社の佐賀支店の幹部諸君と団体交渉をする際に、行き過ぎの事実があつたという点でございます。本件につきましては、十二月十三日から十五日の事実が、本年の二月五日に至つて初めて告訴の提起がございました。その間どういう事情があつたかは存じませんが、検察庁といたしましては、この告訴を受理いたしまして、ただちに諸般の捜査の準備をいたしたのでございますが、実際に被疑者を逮捕し、あるいは家宅捜索、押収等をいたしましたのは三月二日で、ただいま御指摘の通りであるようでございます。逮捕せられましたのは、八木昇外君名、押収の場所数箇所というふうになつております。 この事件につきまして、一応ただいま報告を検討いたしました結果によりますと、普通のいわゆる電産のにらみ合いというふうな事件の程度をちよつと越しまして、団体交渉の際に、会社側に対して暴力の行使があつた。いわゆる組合法一条二項但書によりまして、違法性を阻却する場合に該当しないのでありまして、法律問題としては割合に明白なようであります。その実際の着手の時期が遅れましたのは、ただいま申した通り、告訴が出ましたのが遅れたのと、それから、かような事件につきましては、遅れましても、私どもの方としては、事件がございます以上は調べるという態度をとつております。現に、たとえば四国の電産の一部の事件につきしましては、最近起訴したような事案もございまするし、特に佐賀あるいは九州地区であるから特別に扱うというふうなことは、全然ないと思つているのでございます。
○青野委員 これについて、私はその当事者から承つているのですが、大体検事側においては、会社側に対してほとんど箝口令をしいているので、この問題はまた非常に複雑化して来ている。それに加えて武雄、鹿島の両分会の書記局も、同じような形で暴力の疑いがあつたというようなことで——私どもはそう信じたくないのでありますが、かりに暴力行為があつたとしても、それに基いて本部あるいは地方本部からの指令とか情報とかを押収する必要もない、それを必要以上のところへ行つてこれを押収している。たとえば、そういうことがかりにあつたとすれば、係検事の情報が入つているかどうか知りません、本日おいでになるということを聞いております。が、どういうことをなさつたか。これはわれわれ若いときやつた争議中に、やはり当時の特高警察なり検事局が、一方的にいつもこういうことをやつておつた。それを今のような時代に特に、争議が長引き尖鋭化している——争議とは、御承知の通り力と力の対決でありまして、勝つためには、やはり感情的に行く場合もあろうし、組合として一定の線が戦術として決定すれば、自分たちの生活権を守るためには、やむを得ずそういう方法もとらなければならぬ場合がある。それを資本家側のみを利益するような一方的解釈をして、しかも相当時日がたつているときに、そういう問題をでつち上げて行くようにわれわれはとるのですが、どういうことをなさつたか、何の必要があつて情報あるいは指令等を押収なさつたのか。本人が参らぬでも、その点の情報は入つておると私は思いますが、もう少し詳しく御説明願いたいと思います。
○岡原政府委員 ただいまお話のような武雄外一箇所等につきまして、どのような書類の押収、捜索が行われましたかは、私の方に報告は参つておりません。察するに、この種事件の捜査の過程におきまして、さような場所を捜索する必要ありと認定したからであろうと思うのでありますが、いずれにいたしましても、検察庁といたしましては、かような事件を処理する際には、決して一方的に事を判断するというふうなことはございませんで、必ず両者の言い分を十分聴取します。さらに先ほどちよつと申し上げました通り、告訴から着手までに若干の日がございますのは、その間内偵その他に十分愼重な態度をとつたためではなかろうか、かように思つておる次第であります。
○青野委員 法務大臣にお尋ねしますが、これは明日労働委員会が継続して行われることになつておりますので、もつと確実な報告がお手元に参りましてから御答弁を願いたいと思いますが、とにかくいずれにいたしましても、この三月二日に検挙、逮捕してそのままということは、私は不当であると考えます。相当の資料もそろい、またそれについての調査も十分できておると思いますので、まず何をおいてもその身柄は釈放すべきである。その内容の点については、私も詳細なことはわかりませんが、そういうような争議中あるいは争議のときに起つた問題をとらえて、いたずらに法を濫用して、または濫用するがごとき疑いを受けるような、そういう人権を束縛するようなことは、やはり今提案せられておりますこのスト規制法に関連をいたしまして、私どもは賛成することはできない。この点について、明確になる前に、一応この身柄を釈放すべきであると私は考えておりますが、法務大臣の御見解を承りたいと思います。
○犬養国務大臣 今お話のように、当該責任検事の上京を促しておりますので、委細は明日の委員会にでも出席してお答え申し上げたいと思います。すでに最高検から、この事件の捜査をできるだけ早く終了して、身柄の処置に、ついても適当にするようにという指令を出しております。さよう御承知を願いたいと存じます。
○田中委員長 岡原刑事局長にちよつと申し上げておきますが、明日の発言の機会は、大体午前中とお考えください。
○青野委員 今の問題は、明日その係の検事あたりに御出席をしていただきまして、私があらためて具体的に質問したいと思います。 今問題になつておりますこのスト規制法について、法務大臣に対して各委員からいろいろの御質問もございました。私は炭鉱に相当関係の深い者の一人でありますが、この第三条の——先ほど労働省に対して同僚多賀谷君から質問しておりましたが、第三条の一番最後に「鉱山の重要な施設の荒廃」と書いてあります。もちろん鉱害問題も含んでおりますが、「鉱山の重要な施設の荒廃」というような拡張解釈のできる——私どもも有名な学者といろいろ懇談をいたしましたが、刑法の中には、どこを探しても「重要」という文字は見当らない。それがこの法律の中にある「重要」という二字で、経営者側がどうでも解釈をして、そして処罰を受けることになる。この「重要な施設の荒廃」とは、一体具体的にどういうものをさしておるか。この三箇条がもし議会を通過いたしますと、炭労と電産に関する限りは、事実上争議はできません。その点について私どもは、先ほども春日君が言つておりましたように、あるいはこれが決定して問題が複雑になつて来れば、勢い非合法的な運動に入つて行くおそれがあるんじやないか、こういうことも考えられますので、今申しました「鉱山の重要な施設の荒廃」という「重要」とは、刑法上一体どういうところを具体的にさしておるか、この点を明確にしておいてもらいたい。
○齋藤(邦)政府委員 私からお答え申し上げます。「鉱山の重要な施設」こういうことでございますが、例を引いて申しますれば、通気、排水施設すなわち当該鉱山において、その山としての価値効用を維持する上に不可欠な施設、かように私どもは考えております。従つてその重要な施設の例は、先ほど申し上げました通気、排水施設とか坑内支柱といつたようなものでありまして、具体的な山元で、そのときの客観的情勢によつて判定して定まるべきものである、かように私は存じておる次第でございます。
○岡原政府委員 ただいま労働省の方からお話のありました通りで、いわゆる重要とか重大とかいう文字につきましては、従来二、三の法律にその前例はあつたのでございますが、ただかような文字を使つたことによつて、すべて法律の濫用があるという御心配は、結局この重要ということを、具体的な事案に当てはめる際に、どの程度まで使うかということの問題に帰すると思います。そこで、ただいま私どもといたしましては、労働省の方で考えておられるような線をもちろん考えておりまするし、この趣旨は、運用の際に第一線の検察庁と私どもの取締りの関係の者すべてに十分通達するようにいたしまして、いやしくも濫用のおそれなきようにいたしたいと考えております。かような重大、重要ということは、必ずしもこの法案に始まつたことではないと思います。
○青野委員 重ねて関連して御質問をいたしますが、一条から三条まで、ここに書いてあります「重要性にかんがみ」あるいは「公共の福祉を擁護する」あるいは、「石炭鉱業の特殊性」あるいは「その他電気の正常な供給」「鉱山の重要な施設」こういう点をわれわれの意思に反して、電産、炭労の組合員の意思に反して一方的に解釈したならばこれは争議の解決方法がないんじやないかと考えられる。というのは、六十三日ですか炭労の諸君が血の出るような、一銭の収入もない中から争議を続けておる。最後になつて、一週間前になつて中労委から一つの案が出たが、日本石炭鉱業連盟においては、一週間も無視してその返事がなかつた。しかも五十五、六日間というものは、石炭鉱業に関する株は、じりじり上つておつた。鉱業連盟の方は、この争議に全然脅威を感じておらなかつた。六十三日のうちの五十五、六日間は、ほとんど痛痒を感じてないということは、通産省の外国炭の操作もありましようし、貯炭がたくさんあつたことも原因でありましようが、その程度の争議を四十日、五十日続けても、鉱業連盟は大して痛痒を感じないという一つの証拠には、株がぐんぐん上つて行つたという事案がある。保安要員は、規定によれば四%、事実全国平均一二%の保安要員を労働組合の責任において出しておつた。どうしても解決がつかない、六十日を越した、これはおそらく年内に解決をしないのじやないか、そうすれば一銭の収入もない、子供の着物を買つてやることも、もちをつくこともできない、年がかわつても三月にならなければ、一箇月働いた給料をもらえないという窮地に立つた炭労の諸君は、争議のためと自分の生活を守るためとそのために、やむを得ず追い込まれて最後に保安要員の総引揚げを声明すると、いきなり炭鉱の株はがた落ちになつて行つたという事実は——これは明大の有名な教授がその資料を持つております。私はそれを見せてもらつたのでありますが、それによつて初めて脅威を感じた。それまでは脅威を感じないから、一作品の公聴会で公述人の一人が言つておりました。炭労にしても、電産の争議にしても、経営者の諸君は左うちわで争議をやつておつたようなものである、こんな皮肉を言つた人がありますが、そういうような自分の食うか食われるかの段階に追い込まれて、最後に方法がなくなつて戦術としてそれを声明した、実行はしなかつたが、声明をした。そのために常磐炭鉱あたりが石炭販売網を端から蚕食して行つたために、そこに炭鉱業者の足並が多少くずれたことも、一つの原因に数えられましようが、とにかくそういう事態を通り越してこの炭労争議というものが解決し、電産が引続き解決したのでありますが、そういう声明をしただけで、こういうような事実上ストを禁止する三箇条の法律案をつくらなければならぬか。憲法で定められておる基本的人権を、公共の福祉という名が乗り越えて行こうとしておることは、明らかに民主主義の逆行であると私どもは考える。こういう点について法務大臣は「鉱山の重要な施設」あるいは「その他電気の正常な供給」「重要性にかんがみ」「公共の福祉を擁護する」「石炭鉱業の特殊性」、解釈をすればどうでも自己に有利に解釈のできるような文字が各所に羅列せられておりますが、こういう点についてどういう考え方を持つておられるか。齋藤次官の御答弁あるいはその他の御答弁にも、多少食い違いがある。通産大臣の御意見を聞いても、多少こまかい点では食い違いがある点を私は知つておるのでございますが、その点についてのお考え方をひとつ承つておきたい。
○犬養国務大臣 お答えを申し上げます。御承知のように、憲法には労働者の団体行動が保障されております。しかし、憲法の他の部分、すなわち本会議でも申し上げましたが、第十二条、第十五条においては、但しその団体行動に保障されたその権利にはわくがある。そのわくは、公共の福祉の目的に沿うということなんだということで、わくがはまつておるわけでありますが、その公共の福祉ということを濫用すれば、勤労者圧迫の武器になつておもしろくありません。しかしただいまお話になりましたような鉱山の重要な施設、すなわち通風とか通気とか排水とかそれをほつたらかしておけば、日本の基礎産業がこわれるのみならず、今度は争議が解決して勤勉な勤労者が坑内に入れば、たちまちガスでやられたり、水で身体がそこなわれたりする、そこまで行つてもなお公共の福祉に合するものと見てよいかどうか。法務省としては見ておらないのであります。この点はあるいは御意見の相違になるかもしれませんが、法務省は決してこの点について拡張解釈をするという態度をとつておりません。従つて、先ほどのお話のような重要な施設という、その重要なということについても、各検察庁に対して、厳格な制限を規定した通達は用意をしている次第でございます。それにしても、保安要員の引揚げということは、ぎりぎり結着の最後のどたんばであつてこれはやはり御意見は違うと思いますが、公共の福祉に反するこういう態度をとつている次第でございます。
○青野委員 私どもは、今の御答弁でよく承知いたしましたが、今までの争議というものは、憲法でも保障せられておりまするし、労働組合法でもそうでございますが、大体争議の取締りの対象というものは、人命の尊重と、それから国民生活にどういう影響を及ぼすかという点で大体取締りの方針がきまる。ところがこの第三条というものは、学者の説を聞いてみても、こういうものはいらない、屋上屋を重ねるようなものじやないか。刑法でよろしい、鉱山保安法でよろしい、その他ほかの法律で適用されるものを、蛇足を加えておるという意見を公聴会等で私は聞いて参つております。この法律が通過いたしますと、今まで人命尊重あるいは国民生活に悪影響を及ぼすことが争議取締りの対象であつたものが、国家資源であるという名のもとに公共性という名が使われ、公共の福祉を擁護するというために、結局電力会社にしても、炭鉱にしても、その事業主の財産を守るための法律である、こういうように大体労働学の大家であるとか憲法学者などは言つておるし、私どももそう信じております。法務大臣として、労働省として、炭労と電産のストライキが将来あつたときには、こういう規定でもつて縛り上げるか。すなわち問題が複雑になつて争議が長期化して来る場合には、一体こういう法律をつくつておいてどんな解決方法があるのか。結局労働組合法という一つの法律をつくり、あるいは正当な争議行為であれば許すということになつておつても、福岡の公聴会である人も言つておりましたが、よく切れる刀は、なるほど法律であるようだが、こういう法律で刃をとめてしまつた。労働組合法で刀は与えた。労働組合の団体権、交渉権、争議権を憲法で認めているが、その憲法を一法律でもつて刃をつぶしてしまつたという行き方がこの法律案じやないか、こういうことも言つておられて、私は非常に大きな感銘を受けて福岡からもどつて来たのでございます。電産、炭労の組合側に立つても、また私ども社会党の立場から考えても、結局これは明らかに事業主の財産を公共の福祉の名によつて保護して行く法律案ではないか、こういうふうに私どもは考えざるを得ない。電気産業は、御承知の通り国家の認可事業である。認可事業というものは、電力会社に至つてはこれは明らかに独占事業である。炭鉱にしても国家の認可を受ける。認可を受けた以上は、国民に対しても国家に対しても、その事業を中止することはできないはずである。それを電産がストライキをやつた場合に、電産の組合員ほど私どもは急に人間を集めて来て運転をさせることはできません、こういうことで、この認可事業であり、独占事業であるところの電力会社あたりは、それをやりつぱなし、そうして団交に誠意を示さず、遂に長期化して行つて、何らの処罰も受けない。この法律の中には、事業主という言葉は入つておりますが、私どもも長らく運動をした者の一人でありますが、こういう事業主、資本家が処罰された例を知りません。ただ労働組合だけを法律によつて縛るということは、結局危険な方向に、政府の好まないところに追い込んで行くのではないか。そこに行くよりほかに方法がない。先ほど春日委員が労働大臣に質問しておりましたように、会社の言うなりになるか、あるいは力があつてもなくても、効果のある、なしにかかわらず、無制限は長期化して行くストライキ態勢をとるか、あるいは非合法の段階に入つて行くかという、三つ以外に行き道がない。そういうことをすることは、日本産業発展のために、日本再建のために労働力を無視している行き方になるのではないか。少くとも政府や事業家は、日本の再建に重要なる役割をした労働組合、労働者、特に炭労、電産なんというような公共性を持つている組合に対しては、こういう苛酷な、資本家と労働組合を明らかに二つに切つて開いたような差別的な法律をつくるよりも、もつと国民生活に真に密着せしめるには、憲法で定めた争議権等を認めて、そうして組合員あるいは組合の良識にまつて、労使双方の話合い、あるいは国民の世論によつて解決して行くという万が私どもは好ましいし、またそうでなければならぬと思つておりますが、これらの諸点についてどうお考えになりますか、最後にこの一点だけをお尋ねしておきたいと思います。これは労働省の御見解も承つておきたい。
○齋藤(邦)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、石炭鉱業におきましての保安要員の引揚げの問題は、それがかりに業者の私有財産でありましても、一面またきわめて貴重なる国家の資源であるという観点、さらにまた保安要員の引揚げによつていわゆる復帰すべき職場を失わしめるような行為、こういうことを考えまして、そうした行為がはたして正当なる争議行為であろうか、争議の範囲を逸脱しているものではないだろうか、これが根本的な考え方ではないだろうか、かように私は考えております。すなわち法益の均衡を著しく失し、それが公共の福祉を害するものである、こういう観点からのみ規定いたしているものでありまして、事業主の財産保護といつたふうなことなどは、全然考えていないわけであります。
○犬養国務大臣 お答え申し上げます。法務省といたしましては、この問題、それからスイッチ・オフの問題などは、相当公平な厳密な態度で臨んでいただくつもりでございます。お話のように、日本の基礎産業に大事な石炭がどんどん出て来ても、それは別に重役が掘つているわけでないのでありまして、勤労者の勤労意欲にまたなければなりません。従つて争議の解決も、私たちは労使双方の反省と協議ということが今もなお一番大事な要素だと思つております。しかるに、なぜ保安要員の引揚げに対して厳格な態度をとつたか、これは私はこまかい法律はよく知りませんけれども、私どもの良知と良識から言いますならば、引揚げられたあとは、水がたまりガスもたまり、くずれてしまい、今度争議が解決したときに、勤労意欲に燃えた愛すべき勤労者諸君が、坑内に再び入つて行つて、気絶せぬともおぼれぬとも限らない。そういうところまで認めるということは、私はどうも賛成いたしかねるのであります。ごく常識的に言いまして、私はそういう考えからこれに賛成したのです。また輿論も、それはよんどころないところだと思つていると私は信じております。先般のストの解決の一番大きい力をなしたのは、私は輿論だと思います。盲千人といいますが、目明き千人もございまして、輿論というものはなかなか言ところを見ております。保安要員の引揚げという話を聞くやいなや、それは行過ぎだというのも、大体日本国民の多数の気持だつたのじやないか。そしてぎりぎり結着の範囲において、保安要員の引揚げというものは、合法的な労働争議でないという解釈をしたのでありまして、別に資本家だけ擁護する法律を骨を折つてつくろうという考えは、毛頭持つておらないことを御了解願いたいと思います。
○青野委員 それについての法務大臣の御意見はわかりましたが、私は労働大臣にお伺いしたい。こういう三箇条のスト規制法が国会を通過すれば、体電産、炭労の諸君が、かりに自分たちの生活権の防衛のため賃上げ闘争をする、その他待遇の改善等で争議を起したといたしますと、これで縛つてしまうと、資本家と対等の立場に立つてそういう問題を処理して行かなければならぬ炭労と電産の諸君が、ぐつと差別せられる。不均衡になつて、将来争議をやろうとする場合に、政府としては労使がお互いに良識の上に立つて話し合つてもらいたいと言うが、古来日本の石炭業者とか電力会社の重役の中には、話し合つてまとまるような人はおらないのです。だから八十六日も六十三日も続いたのです。そうしてやむにやまれず、死ぬか生きるかの段階に追い込められて、ああいう声明を出さざるを得ないところに追い込まれた。だから各委員の御質問に対して、労働大臣が口先だけで、それは労働者と資本家が話し合つてというが、その話合いのつかないときには、一体どういうところに争議の解決があるのか。争議はできない。やつてみても負ける、何もできない。それはストライキをやれというだけであつて、事実上はやれないのです。監督官庁であり、労働者のサービス省である労働省の責任者として、こういうものができたときに、この二つの労働組合が争議を解決するときには、具体的にどういう方法があると労働大臣として考えられておるか。私どもにはそういう見通しはつきません。こういうように抑制して行かれては、何もできない。第二組合をつくつて、向うの言う通り争議をやつてみても、今度は労働組合は四%に規定されておる最低線を、自分たちが自発的に一二%の保安要員を争議戦術の中で決定して要員を送つておる。それが今度は事業主の方からどれだけの保安要員を出せという指揮命令を受けるようになつては争議も何もあつたものじやないのです。この点について、こういうものが通過し、実行されるようになつたときに、労働大臣は争議を解決するためにはどういう具体的な方法が残つておると考えるか。労使の話合いでということだけでは納得できないので、これを伺つて、私の質問を打切りたいと思います。
○戸塚国務大臣 たびたび御質問にお答えをいたしておるのでございますが、今回規制しようといたしますのは、従来からも違法であり、あるいは妥当を欠くと考えられておつたものを内容としたものでありまして、ただいまお尋ねの、争議の方法がないということでございましたが、私午前中もお答え申し上げましたように、両事業とも、組合としては他に争議の方法はたくさん持つておるというふうにお答え申し上げておつたのであります。なお私がしばしば申し上げます労使双方の話合いで争議が解決することが望ましい。ただいま青野さんは、それで解決がつかないというお話でございましたが、それがためには、中労委等公平な立場で調停あつせんをする機関もあるのでございます。そういう機関を通じて、労使の互譲妥協の精神で解決せられることを望んでおる次第であります。
○春日委員 犬養法務大臣にお伺いしますが、公共の福祉を守るためには、個人の基本的人権ないしは労働基本権が、どの程度犠牲にされてもいいとお考えになつておるか、お伺いをいたします。
○犬養国務大臣 これは具体的に言えば、個々の場合になると思いますが、結局公共の福祉、すなわち常識的にいつて、一般社会の最大多数の人の幸福利益を、個々の場合に当てはめて申し上げるよりしようがないと思います。
○春日委員 そうしますと、大勢の人の都合の悪いことを避けることのためには、個人が非人道的な苦役に処せられるような事態に立ち至つても、これはやむを得ないものとお考えになるかどうか。
○犬養国務大臣 御質問に対して、裏の方からお答えすることになると思いますが、われわれは平等な人間でありましてこの意味から、いかなる勤労者も、団体行動を持つという一種の威力でもつて争議権を保障されております。しかし、それには条件がある。公共の福祉に反しないように、公共の福祉の目的に沿うように、積極的に憲法において義務づけられておる。この二つの融合点を個々の場合に当てはめてわれわれは解釈をいたしておるわけでございます。
○春日委員 公共の福祉の名のもとに、個人の基本的人権や、あるいは労働基本権が蹂躙されてはいけない。公共の福祉と個人の人権との調節をはかることのために憲法の十八条が定められて、何人といえども、自分の意思に反して、犯罪の処罰以外の苦役に服させられることはない、こういうことが強くここに保障せられております。奴隷的拘束を受けることを避けるために、あらゆる法律が考慮されなければならないことが、特に憲法の十八条に規定されておるわけです。このことは、公共の福祉の名のもとに、個人の人権が蚕食されることに最大の注意を払うべき必要のために、十八条ができておると思います。そこで今回問題となつておりますのは、公共の福祉の名のもとに電産炭労の争議権が事実上ここに剥奪されようとしておる。一昨日の公聴会においても明確にされたように、ごく少数の発電要員とかなんとか言われておるが、電産労組の諸君の資料によりますと、それはごく少数ではなくして、現実的には、保守要員等を含めると、大体において労働組合の従業員の半数以上がこの法の適用を受ける結果になるということを、彼らは明確に示しております。従いまして、産に関しましては、その半数以上の諸君は争議権が剥奪される結果になるわけであります。そこで、残された他の方法でいろいろ争議がやれるじやないかという批判もあるようでありますが、他の残された争議の方法は、経営者にとつてはちつとも痛くない。残されておるところの争議権というものは、あたかも武器を与えられた場合、全然たまがないピストルを与えられたようなもので、ただ相手に誇示するだけ、何ら実力がないという争議権、団体権でしかないわけである。そういうようなことは、結局経営者にとつては、どのようなことをやつて来たところで、ちつとも痛くないということになつてすなわち労働組合法による労使の対等の立場というものがそこで均衡を破る。従つて賃上げ要求があつたところで、経営者の立場でいやだと思えば、一方的に拒否すればよろしい。あるいは労働条件がどんなに加重されているといつても、これは経営者という立場でいやならば、それを一方的に却下、拒否すればよろしい。そうして従業員はその奴隷的屈従に、奴隷的苦役に服させられる、こういうようなことで、結局異議をさしはさむことができない形になつて来るわけであります。これは憲法十八条に明らかに明示しておるところの、何人といえどもそういうような奴隷的屈従に服させられることはないという、この憲法の保障にもとる結果になると私は思うのだが、法務大臣はこれに対してどういうようにお考えになつておるか。
○犬養国務大臣 春日さんのお話を承つておりますと、結局中労委の誠意あるあつせんというものを低く評価しておられるのじやないかと思いますが、私はそうは見ていないのです。というのは、この間のストのときに、ここにおられる労働大臣からも種々様子を、閣議の席上でも、個人的にも承つたのでございますが、中労委の諸君は、資本家のむしのいいことに対しても、非常に厳格に指摘しております。私、中労委健在なりと思つた場くらいなんです。今のように痛くないというが、勤労者を不当に圧迫しているような産業の経営ぶりなら、必ずこれはほかの方法でもストライキが起ります。中労委が取上げる。中労委も相当の人がそろつているのであつて、資本家の走狗ばかりいるわけじやありませんから、十分に公平な判断をして勧告もし裁定もする。結局こういう問題は、双方の協議と反省によつてその判定は中労委の重みに集中するという以外に方法がないのじやないか、こういうふうに考えています。
○春日委員 ところがあなたの所属されております政府は、人事院の勧告もしよつちゆう無視してしまう。仲裁裁定も、あるいは中労委の勧告も、一ぺんもそれを実行したことがない。私どもは、それらの機関が国の機関であるので、従つてその権威が政府によつて尊重せられ、それが執行されることをもとより期待して、そういう立法がなされておると思う。ところがあなたの政府は、昨年末におきましての国鉄、専売の裁定にしても、全然それを無視してしまつている。人事院の勧告べースも、全然蹂躪してしまつておる。そこでわれわれはそういうよう機関によるところのいろいろな決定、裁きというものに対して期待することができない。あなた方がそれを尊重しないからであります。しかしながら、それはそれといたしまして、労働者に与えられておるところの基本的人権は、他の機関によつてそれが援助されるとか保護されるとかいうものではなくして、与えられた権限そのものが、やはり実力的に行使されるものであつて、それが他の団体には許されておる。そのことが基、本的人権の特質であろうと思う。基土木的労働権の特質である。人のお世話にならなくても、その行使権がそのもの自体に与えられておるところに、私は特質があると思うわけであります。反復することになりますけれども、現実には争議ができなくなつてしまう。そうすると、その従業員たちは、その意に反して苛酷な労働条件になおかつ甘んじなければならないという結果になつて来る。これは明らかにやがてはこういうような制度をつくるような、こういうような立法をするような時が来るであろうから、そういうような場合をあらかじめ防ぐことのために、そういう憲法十八条ができておる。今やわれわれは憲法十八条を侵そうとしておるのであるが、これに対して、あなたも今憲法に対して触れられましたが、私どもはこれに対して大いに努力をしなければならぬ。憲法の冒頭宣言にこういうことが書いてあります。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除しなければならぬということがうたわれておるし、さらにまた、国民は、国家の名誉にかけて、全力をあげてこの崇高な理想の到達実現のために努力をしなければならぬ。あるいはその他、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において名誉ある地位を占めることのために、そういうようなあらゆる立法がされることを、われわれはともども排除しなければならぬということで、これは国民の誓いとして中外に宣明しておるのであります。その十八条をわれわれはここに誓うとしておるのである。法務大臣として、これに対して、閣内において何らかの良心的努力をされなければならぬと思うが、これに対して何ら呵責を感じられたことはないかどうか、この点をひとつお伺いいたします。
○犬養国務大臣 公共の福祉でもないのに公共の福祉だという広義なる解釈をやつて、労働というまことにたつとぶべき仕事をしておる勤労者諸君を奴隷的状態に落せば、これは明らかに憲法違反であります。しかし、私どもの解釈からいえば、鉱山における保安要員の引揚げ、あるいは電気事業におけるスイツチ・オフというものは、やはりぎりぎりの最後の守るべきところであつてこれをほつたらかすということは、第一輿論が私は許さないと思います。政府が今度こういう法律を出したのも、輿論の、この点はやむを得ないだろうという空気があればこそ出せるのであつて、どんな暴戻な政府でも、全輿論に反抗するというわけにはわれわれ行かないと思います。結局スイツチ・オフと保安要員の引揚げを、公共の福祉と憲法を守るということの、この融和点においてどう解釈を与えるかということになつて来て、どうも残念ながら春日君と意見が少し違うのじやないか、こういうふうに思つておる次第であります。
○春日委員 昔、犬養健という作家があられまして、非常にヒユーマンのかおりの高い文学をものされて、私どもは非常に敬意を表しておつたのですが、私は今の答弁を聞いてまことに幻滅の悲哀というものを感じた。(笑声)と申し上げますことは、あなたは、ただいま多賀谷君の質問の中にもありましたが、先般の本会議において改進党の小川君の質問に対して、裁判所が判決を下したが、これはおおむね、妥当なものである、こういう御回答をなすつていらつしやる。ここにその判例がありますが、これは東京の高等裁判所がここに判決を下して、検事控訴に対してこれを棄却しておる。そこには判示事項として「電産のいわゆる停電ストにおける……配電線スイツチ遮断行為の正当性の有無」、これに対する判決要旨はこういうぐあいに書いてある。すなわち「組合が適式に取得した争議権に基く争議行為において……配電線のスイッチを遮断し停電させた行為は……その正当性を阻却するものではない。」これはきわめて妥当なものだということを高等裁判所が判決を下しておる。しかして最後の方には、こういうことは職場放棄をして野放し送電をするよりも危険がなくなることであるから、これは非常に適切なものであるということで、むしろその行動を賞揚しておる。そうです。すなわち判決は合法性を——地方裁判所も最高裁判所も、そのスイツチ・オフということは、野放し送電、職場放棄、こういう破壊的な危険な争議行為をやめ、合法的な法内闘争としてきわめて適切妥当なものであるということを、ここで明らかにしております。このことはすなわち世論に反するところの判決を下したものであるかどうか。あなたはあなたの所管であるところのこの機関が、国の機関が下した判決を違法なものであると考えられるならば、何らかの措置を談じらるべきであろうと思う。のみならず小川君の質問に対してこの判決は妥当なものとして——スイツチ・オフをするということは、野放し送電よりも、職場放棄よりも、これはきわめて穏健適切なる争議行為であると、こういうようにきめられた判決がおおむね、妥当な判決であると答弁していらつしやる。ところが今は、それは世論の支持を受けない悪逆非道な行為であると豹変しておる。君子豹変、心境の変化ということをお父さんはおつしやつたようですけれども、しかしあなたまでがそれを世襲されるのは遺憾千万にたえないのであります。この点に対して、もう少し統一した、信念と責任の上に立つた御答弁を承りたい。
○犬養国務大臣 まことに御同情のあるおしかりで恐縮に存じます。今、春日君の言われたのは、あれはたしか電産の川崎支部の事件であると思いますが、あの問題は、御指摘のように一審で無罪になつて、二審で控訴棄却になつたのでありますが、法務省の立場から申し上げますと、検察庁側はあの二審の判決に服して、そのままになつたのであります。手続上の間違いでもつてああいうことになつた。あの事件に関する限りは裁判所の判決に服するものでないのだという通牒を、実は全国の検察庁に通達しているのであります。これは詳しくはその事件をもつと詳しく知つております政府委員から説明をさせたいと思います。私が小川半次君にお答えをした意味は、こういうことであります。大体ピケをやつたり、その他の争議行為で経営者側に威力を加えたら、すぐ違法だという考えは持つておりません。ストライキあるいは争議行為というものは、ある勤労者の団結の威力を見せればこそ、そこにストライキの目的が達しやすくなる、それを一々暴虐無道として——忘れましたが、そういうふうに私は感じておりません。しかし、たびたび申し上げますように従つて、一般産業の労働争議において単なる職場放棄というものは、原則的に、すなわち制限規定などのない限り、私は不法だとは見ておりません。しかし給電指令所などは別であります。単なる職場放棄というものは、原則として当然の争議行為の手段だと思つております。しかし、それにもかかわらず、保安要員の引揚げ——あとでもう一度勤労意欲を生じて働きたいと思つても、そこにガスがたまつていたり、あるいは水がたまつていたりして、資本家が困るばかりでなく、その保安要員の家庭のお母さんも妻君も心配するというようなそういう事態は、私はほうつておいては国民に対して義務が果せない、こういうふうに考えている次第でございます。スイツチ・オフも積極的な行為であります。できるだけ労働者の争議行為の手段に訴えるという範囲は、あたたかい気持で見たいのでありますが、スイツチ・オフという行為に対しては、社会通念上これはやめてもらわなければならない、こういう範囲を区切つて私は解釈している次第でございます。決して豹変も何もしていないつもりでおるのでございます。
○春日委員 この高等裁判所の棄却、これは高等裁判所の機関の決定であるわけであります、もしこの機関の決定に異議があるならばやはり検事控訴をして、最高裁判所の判決を待たなければならぬと思う。しかるに、政府が政治的行刑的立場から、国の機関の決定を一方的に解釈をして、この高等裁判所の判決は価値のないものだ、こういう布告を全国に発せられたというのでありますが、私はこれは重大な問題であるように考えます。いずれ私どもは、国会対策においてこれも調査の上、明日引続いて責任を糾弾したいと思います。 次は、この問題であります。これは先般通産大臣にもちよつとお伺いをいたしましたが、この電産ストによる被害状況という文書が、労働省の労政局資料として十二月十三日に出ております。その資料によりますと、当時は産業に与えたところの影響というものが概して僅少であるということが、ここにうたわれておる。これは特別の意義を有すると思うのであります。なぜかと申しますと、私どもは当時委員会あるいは本会議、あるいは野党連合の政調会代表者会議等におきまして政府に対して労使双方にまかせておくだけでは日にちがどんどん過ぎて行き、問題が深刻化、内攻して行くおそれがある。従つて、政府はこれに介入して、総理大臣あるいは官房長官が中へ入つて問題の収拾に当るべきであるということを強く主張いたしました。そのとき政府の回答は、すべて争議というものは労使双方の円満な話合いによるべきであつて、政府が介在すべきではない。円満な話合いによつて妥結するであろう。されば被害の状況はどうであるかというと、その資料として示されたのが、おおむね産業、国家経済、国民生活に与える影響はきわめて僅少の見込みであるということがここに書いてある。そこで一箇月たたずして、ここでこれが国民生活に対して重大な影響があり、しかも国家経済を破壊するものだというて、ここに再び豹変的態度が打ち出されて来ております。ここで私どもが考えなければならぬことは、争議の起きるときには、どんどんと争議行為をまずやらせる。そうして世論がこれに対して反撃することを待ち望んだ。しかしてようやく争議に対する世人の関心が高まつて来てこれを非難攻撃するときを政府みずからが醸成して、そうしてその勢いに乗じてこういう反動立法をここになさろうとしておるのでございます。 私どもは、数年前の炭管疑獄を思い出さなければならぬ。私どもは、電力、肥料、石炭というような基礎産業に対しては、計画経済的な立場からということで、ああいう国家管理に移した。それが一部の諸君の邪悪な策動によつて自由企業に移されました。その当時贈収賄という大きな問題が起きました。これは日本の政治を毒し、さらにまた今日までいろいろ経済に大きな禍根を残して影響を与えております。そこで考えなければならぬことは、これは私個人の感覚でございますが、かつて炭管疑獄が一部政治家と経営者の策動によつて起きたと同じような、醜類が、この反動立法の裏に介在するようなことがありはしなかつたか。どうか私どもが考えなければならぬことは、いわば政府の側近として電力事業者の中には——麻生さんは今見えませんが、麻生さんは九州電力の会長でいらつしやる、あるいは白洲さんは東北電力の会長でいらつしやる。また被害を受けるところの従業員の中に、やはり事業経営者と政府との間に、何らかの一脈も二脈もの関連があつて、争議を起さしめ、争議を長引かさせしめ、しかしてこういうような反動立法を起して来るというその裏には、あるいは炭管疑獄に匹敵する醜類が介在しはしないかということを疑うのは、常識上当然であろうと思います。あなたは全国に法網をしいておられるが、あなたの検察網のアンテナに何かそういう情報がかかつて来ないかどうか、この点に対して御答弁を願いたい。そうしてこの諸君の疑惑を一掃されたいと思う。
○犬養国務大臣 お話のようなことがあれば、これは捨てて置けません、厳格に監視の眼を光らせたいと存じております。お答えしておきますが、どうもこの問題は、ごく平たく申し上げるのですが、労働省と法務省は弱い、実に控え目な法律作成をやつているといつて、一方にしかられているくらいであつて、非常に意外なおしかりを受けて、反省もいたしますけれども、私はこの範囲はやむを得ない、こういうふうに考えているのであります。 それから先ほどの電産の川崎支部の控訴棄却の問題ですけれども、これは刑事局長からあとで詳しく申し上げたいと思いますが、あれは控訴棄却になりまして、検事の手落ちで上告する期間が遅れてしまつたのでありまして、あとで卑怯にも裁判所の態度を陰口めいて非難をしているのではないのでございます。詳しくはここに専門家がおりますから、御説明させたいと思います。
○岡原政府委員 大筋はただいま大臣から答弁がありました通りで、実は東京高検の公判立会いの検察官におきまして手違いがございまして、上告期間中に上訴がなされなかつた。従つて確定したというのが事の真相でございます。私どもといたしましては、従来私どもがとつておりました解釈を、一歩も変更してはおらないのでございまして、そのことは先ほど大臣から答弁がありました通り、全国の検察庁に当方の見解は通達してございます。先ほど裁判所の裁判を批判するのは、たいへんけしからぬというお話でございますが、これは議論のわかれるところでございまして従来第一審判決を第二審が批判してこれを変更し、あるいはそれを最高裁判所において変更するのは、これは裁判内部のことではございますが、最も当然のこととされておるのみならず、確定いたしました事件につきましても、これを学者あるいは他の人たちが、たとえば国会でもその点を取上げられたこともございますようですが、これは自由とされており、従来たびたびあつた事例でございます。従いまして、見解の相違はそれといたしまして、私どもは従来の見解を支持しておる、かような態度であることを御了承願いたいのでございます。
○齋藤(邦)政府委員 先ほど春日委員がお述べになりました資料の問題でございますが、その当時労政の事務当局におきまして、いろいろな情勢を検討された非公式の書類を一部お読みになられたのじやないかと思います。その資料は、御承知かと思いますが、十一月ごろの最初の情勢を書いたものと承つております。労働省といたしましては、実は正式に発表したこともございません。争議が起つた最初のころの影響を、一部非公式にまとめた。御承知のようにああいう争議になりますと、やはりいろいろな情勢をつかまえなければならぬということがありますので、そういう資料が出たのだと、かように考えております。それから、私どもが何かそういうふうにして、情勢を馴致して長引かすといつたような意図などは、全然持ち合せておりません。御承知のように、争議には介入しないで対処いたしておつたわけでございます。
○春日委員 それは困ります。そういうことをおつ上やつては困りますので、これは明らかに十二月十三日付の資料で、この中には十一月初旬の情勢であるということは一言半句も書いてない。そうしてこれの一部を読んだと言われるが、この中の鉄鋼、金属、機械、化学肥料あるいは薬品、製氷冷凍、国鉄、私鉄関係というふうに、みんなここに書いてあつて、概して影響は僅少なる見込みということがいずれも結びの文句になつておる。そこで、中小企業は甚大な影響を受けておる。ところがこの問題については矢尾君の本会議における質問に対して答弁もありましたように、大体会社が計画送電をしてそうして限られたところの電力の八割というものをこういう大企業に送つて、そうして残されたわずか二〇%しか中小企業に送らなかつた。すなわちこのことは、大企業と相結託するところの電力企業者たちの意図と、それからそこに通ずるところの地下水の脈絡がそういうふうな結託をしておることである。従いまして、国家の基幹産業に対して大した影響がない、大した影響がないのだから政府は介在する必要がないということで、われわれも、たとえばルーズヴエルトが炭鉱争議に乗り出したように、吉田さんとか緒方さんとか、みな飛び込んでひとつ解決しなさいということに対して、あなた方はこの資料に基いて何らそういう動作をしなかつた。 さらに私は質問申し上げたいことは、このことです。すなわち緊急調整があるじやありませんか。もしこれが公共の福祉に甚大な損害を与え、国家経済を損壊し、国民生活を云々ということであるならば、あなた方は緊急調整によつて、その争議に停止を命ずることができたわけです。しかしながら、あなた方はそれをしなかつた、する必要がなかつた。なぜしなかつたかというと、それはこの資料に基いて、それほどのことではないということで緊急調整が発動されてはいない。緊急調整を発動しないで、この武器を使わないでおいて、たとえばこれが小銃なら小銃として、この小銃の武器をも使う必要のないくらいの場合に、さらにここに大砲をつくろうとしておる。あなた方が、実際にこれが国民の生活と国家の経済に甚大な関係を持つということを、今言われると同じようなことを前に言われるならば、その当時世論がこんなふうに高まつて来たり、とかく混乱して来ない先に緊急調整を発動するとか——私は緊急調整を認めるものではありませんよ。しかしながら、すでに立法されておる範囲内においても幾多法的処置ができた。それをやらないでおいて、さらにこれを使わないでおいて、さらに他に大きなこのスト禁法をつくるということは、明らかにあなた方の真意がどこにあるかということを、私どもはそんたくすることができるわけです。そういう意味合いにおきまして、この資料というものは非常に悪質な文書である。あなたは十一月初旬だと言つておられる。どこに十一月初旬ということが書いてあるか。あるいはまた、単にこれは一部の発表したものであると言つておられるが、そんなら労働省は多額の金を使つて何のためにこういう資料をつくつて印刷しておられるか。このことなども、あなた方の先日の答弁の中では支離滅裂であつて、私どもを納得せしむることは何一つもない。そういうような意味におきまして、いずれにしてもこの法律は、関係労働者をして非人道的な苦役に服せしめるものである。さらにまた、お互いに労働価値のあるところの、公共の福祉に関連を持たないところの労働はない。従つて、これはこういう関係だから、ストをやつて甚大な損害を与えたからスト禁法をつくるということならば、これに続くところの私鉄、製鉄製錬、ずつと一切のものに対して、こういう法律の概念が適用されて、やがては労働者の基本権というものは根本的に蹂躪される日がそんなに遠くはない。憲法はその冒頭宣言においても、各条章においてそういうことをあらかじめ措置することのためにあらゆる努力をすることを誓つておる。それが今あなた方によつて、全面的に拒否されようとしておる。これはわれわれが納得できないことは当然である
○齋藤(邦)政府委員 私は、その当時実は労政局長でなかつたわけでございます。それで先日の春日委員がそういう資料をお読みになられましたので、実は私も早速調べたわけでございます。なるほど十二月十三日付でまとめておられるようでありますが、その資料は大体十一月ころの情勢なり、影響なりをまとめたものでありまして、それは労政局の意見としてその被害状況をまとめたものではない、非公式にそういうものをただ一部のところでまとめておつたにすぎないものであるという……(「逃げるな」と呼ぶ者あり)これは逃げてはおりません、その通りに私は聞いております。従いまして、その資料に基いていろいろな情勢をあおつてどうのこうのという御意見でありますが、そういう考え方は全然持つておりません。
○戸塚国務大臣 ただいまの問題でありますが、この資料については、私まことに申訳ないが、記憶がございませんので、そういう資料が出たことをふしぎに思うのであります。私は十一月ごろ議会の委員会で、この被害が非常に甚大であつてまことに遺憾であるという意味の御答弁をしばしば申し上げておつたのでございましてその資料がいつできて、どうなつたかということは、私にはわかりませんが、私としてはそういうふうには考えておりません。ことにそういうふうなたくらみをもつて被害がないように宣伝しておるというようなことは絶対にございません。
○前田(種)委員 私は、犬養法務大臣にお尋ねしたいのは、本委員会の劈頭から、倉石委員その他の委員から、たび重なる質問があつて、労働大臣なり、官房長官からの答弁があつたわけですが、今度の規制法は、昨冬の争議の実績にかんがみての懲罰的処置ではないかという質問に対して、政府側は、懲罰的処置ではないという答弁をしておられるのです。しかし、委員会審議がだんだん進んで参りますと、結論的に見まして懲罰的処置だという結果になつておるわけです。公共の福祉の問題、あるいは国民経済に及ぼす影響の問題等を努めて答弁をしておられますがもしそうでありますならば、一体電気事業とガスと、どちらが公共の福祉の問題で重要であるか、あるいは運輸はどうだ、あるいはここには石炭鉱業と書いてありますが、金属鉱山と石炭鉱山と一体どうか。それから国家資源の保持、設備、あるいは重要なる施設の問題等々から考えて、石炭鉱業と金属鉱山の場合どうだ、あるいは衛生上その他の点から申し上げますならば、石炭鉱業以上に金属鉱山の方は重要であるという点等々も考えられるわけです。しかしいろいろな点が考えられるにもかかわらず、結局この二つを抜き上げてここに単行法として労働法規の一部を規制しようというやり方は、結局昨冬のあの大きな争議の実績に徴して、懲罰の意味でここに書き上げたんだということに結論をつけざるを得ないと私は考えます。これに対して法務大臣としての見解を承つておきたいのが一点と、さらにこうした事業に対する実質上のスト権の大幅な制限ということになつて参りますと、これまた結論から申し上げますと、争議行為が非合法化するという危険性が多分に生れて参ります。私たちとしては、むしろ国家の産業あるいは国家の秩序全体から申し上げまして、非合法の行為が予測されるという、これほど危険なことはないと思うのです。できるだけそういうことがないように努力しなければならぬという点については、大臣も御同様だと思います。私がむしろここで心配することは、同じような企業がたくさんあるにもかかわらず、この産業だけに懲罰的な意味を加えて規制するというやり方は、むしろ拙策だ、賢明な策ではない。一回失敗したことは二回、三回失敗するという行為があるかもわかりませんが、私は日本の大局的な見地から見ますならば、数重なつてそういう行為が行われるということは、そう考えなくてもいい。ないとは言いませんが、そう考えなくても、もつといい方法があろうと思います。それよりむしろ追い詰めました結果が、かえつて国家的には悪い傾向になる危険性が多分にある。こういう点等は、特に法務大臣の所管から申し上げますならば、国家の秩序あるいは思想の今後の動向等からも、心配しなければならぬ点がございますので、この二点に対して、大臣の率直なるお答えを承つておきたいと思います。
○犬養国務大臣 この点については、ごく飾りけなく率直に申し上げたいと思います。法務省は、今度の法律作成について罰則その他の関係もありまして、当初から相談をお受けしておつたわけであります。私は労働大臣の御態度に対して、終始実は敬意を表して来たのでありますが、できるだけ小範囲の法律にしたいという努力を絶えずしておられました。法務省はその御態度に対して、全面的に賛意を表しておつたわけであります。先ほども申し上げましたように、労働省、法務省はちつと弱いというような批判さえ受けて参つて来たのでありますが、私どもはこれは見解の相違であると思います。保安要員の引揚げとスイツチ・オフなどは、これはどうも輿論にかんがみても、今後やつてもらわないことが正しいというふうに考えております。前田さんも、あの時分の、あなた方と違つた極左的な団体の書類もいろいろごらんになつたでありましよう。そういう人たちでも、今度の争議に対して批判の色のあつたことが大いに現われております。私どもは、これは最小限度の処置だと考えております。どうもほかの争議の方法は痛くなくてだめだというお話でありますが、これが資本家対勤労者だけであるならば痛くない。さつきの春日さんのお言葉を借りれば、痛くない争議というものは——水かけ論になりますけれども、たびたび申し上げましたように、私どもは中労委のあの努力に対しては、満腔の敬意を表しておりますし、中労委は、わが国の将来とも、労働問題における一つのキー・ポイントを握るだけの力を持ち、社会から尊敬されるような建前にしたい、こういう考えでおるのでありましてスイツチ・オフと保安要員の引揚げをやめてもらつても、勤労者が争議行為によつて、労働権の確保、主張の声を社会に向つて呼びかけるチヤンスは、たくさんあるというふうに私は見ておるのであります。先ほど申し上げましたように、中労委も決して経営者の方に力を入れておるわけではなく——これはこういうところで申し上げていいかどうかわかりませんけれども、経営者側の行過ぎ、また多少申し分のむしのいいところも、忌憚なく中労委は今まで指摘しておる。そういう点は、私どもは、ある部分はもつともだ、こう思つておるくらいでありまして、スイツチ・オフと保安要員の引揚げをとめたら労働者の権利は台なしだという御懸念は、どうも私どもは飛躍的だというふうにとつておるのでありまして、あるいは御意見の相違かもしれません。そういう政府の態度を輿論に十分に呼びかけましたならば、これによつて労働争議が非合法化して行くという心配は、すぐには私は持つておりません。これは今後ともこの法律を扱う政府の態度によると思うのであります。政府の態度が経営者だけにひいきしているというふうな……(「警察法を改正しているじやないか」と呼ぶ者あり)警察法はそういうことと関係ありません——そういうわけで、政府でさえ勤労の価値というものを認めて、やむを得ざる行為としての禁止規定をこの法律につくつても、私は労働争議がただちに非合法的なものになるとは思つていないのであります。さよう御了承願いたいと思います。
○前田(種)委員 今法務大臣は、労働大臣の態度、閣内においても一番弱いという最小限度の線を押えた、むしろいろいろな方面でももつと強い線があつたが、一番最小限度を押えた、そうしてこういう法律にしたということをお答えになりましたが、私はそういう筋書きなり、その経過、その事情等も、ある程度審議の過程において聞いております。しかし、これを逆に申し上げますと、労働三法を改めようとする場合は、少くとも法制審議会の議を経て政府提案するということになつておりますのに、労働三法を選ばずに、単行法でこういうふうに出して来たということは、こういう単行法によつて労働三法の一角がくずれて行くという点に、今度の法案の提案の仕方は重要な問題が含まれているのです。 もう一つは、二つの産業だけに押えておくという点は、非常に好意ある処置のようでありますが、裏から見ますと、もし私鉄がストをやれば、海員がストをやれば、ガスがストをやれば、この第一条に運輸事業を入れるぞ、あるいはガス事業も入れるぞ、金属鉱山も入れるぞというようなことになるのです。こういつた基礎的な労働三法の重要な部分を制限することになる危険性のある単行法の出し方というものは、十分考慮しなければならない。今日の憲法下において、こういう状態の法律の提案の仕方をして参りますことは、今後非常に危険性が伴うと私は考えます。そういう点を勘案してみますると、今出しているものは、抵抗ができるだけ多くならない範囲内で、しかも国会がうまく通過するようにという十分の心組みで出されたと思いますが、結果から見ますと、これがだんだん一つ一つ追加されるという危険性が多分にあるし、また無限に労働組合を制圧するという結果になつて参りますから、私はそういう点等を勘案いたしまして、こういう法律というものはあくまでも労働三法の基本的な法律の中において操作されるべきものだという考え方を持つておりますので、この点についてもう一言お答え願つておいて私の質問を終ります。
○犬養法務大臣 この単行法を出す方がよかつたか悪かつたかという問題は、御議論確かに承つたのでありますが、これは労働大臣においてこの方が適当だと思われたのでありまして、私は法務大臣として、これを批判する立場にございません。これはひとつ御了承願いたいと思います。 それから、無制限に広げて行くということは、私は反対です。公共の福祉に名をかりて、だんだん労働者の福祉的手段としての争議行為を否定して行くということになれば、国が暗くなる、こういう考えを、私は国務大臣として持つております。
○青野委員 ちよつとこれは委員長まで強い希望を申し上げておきます。七日の公聴会のときに、私どもの同僚山口委員から要求があつた、九州福岡県戸畑の発電所で、十二月十七日午後二時、組合は争議中でありましたが、夕方のピーク時の混乳を避けるために、一時ストライキを中止し、職場復帰を組合の上層部から指令した。ところが、会社は自衛発電を主張して職場復帰を拒否したため、その以後五時間の停電を事実上見まして、停止発電機能が六罐三基、電力が大体十一万余キロワツトに及んでおる。これは非常に重大問題であるからというので、電力会社の事務局長に向つて要求がなされましたが、これは先ほど法務大臣に御質問いたしました佐賀の問題と関連しておりますので、田中委員長の手元において、通産省、労働省、あるいは九州電力会社に対して、この真相に対する資料を至急に提出せしめるようにおとりはからいを願うことを、私は強く希望を申し上げておきます。
○田中委員長 通産省の方に申し上げますが、今の資料を明日午前中に各委員に配れるように出してください。それから労働省に何か資料があれば、明日午前中に提出してください。 それから諸君にお諮りいたしますが、法務大臣に対する質疑は、あまりこまかくなりますと、労働大臣が言うことがなくなつてしまいますから、法務大臣に対する質問は、憲法関係に限つてください。 それでは憲法関係に限つて、法務大臣にお聞きになることがございますか。——石野君、憲法関係ですか。——石野君以外にございませんか。——それではないものと認めまして、石野君に憲法関係だけの質問を許します。
○石野委員 今、委員長から、憲法関係だけという話でございますが、憲法関係といいましても、憲法は各般に全部わたりますし、本法律案についての問題は、いろいろ多岐にわたつておりますので、憲法関係になるべく指向点を持ちつつ質疑をいたしたいと思います。 まず最初に、この法律が憲法とどういう関係があるかということについて伺います。本法と労働法なりあるいは労調法と憲法との関係がどういうふうにこれから組み上げられて行くかということについて、私どもは非常に注意をし、関心を持たなければならないと思う。私どもの考え方では、この規制法というものが成立をいたしますならば、労働者に与えられております労働権というものが、この電気及び石炭の産業労働者にとつては、おそらく実質的には効果がないようになつて来る、有名無実になつて来るだろう、こういうように考えるのであります。結局どん詰まりに行くと、労働者の争議権の決定的な効果をあげることができないように思われるのであります。従つて、私はここで法務大臣にお尋ねしたいのは、労働法や労調法及び憲法の第二十八条の問題等との関係において、この法案はどういう関連性を持つておるかということに対する見解を承つておきたいと思います。
○犬養国務大臣 まず石野さんにお断り申し上げておきます。純粋の法制解釈は、法務府が法務省になりまして、法制意見局が内閣の法制局へ移りましたので、厳密には私の範囲じやないのです。そういう言い方は、いかにもあいきようがない言い方でありますから、お相伴してお答えをしておるのでありますが、純然たる法の解釈になりますと、私の範囲でないことを一応御了承願つておきたいと思います。 御質問の御趣旨はよくわかります。お気持もわかります。私どもは、何と申しても公共の福祉ということは、ほんとうに助け合いの社会生活の中では大事なことであつて、それに対しては基本的人権、勤労者の団体行動の自由と権利は、ある制限を受けるのはやむを得ない、こういうふうに考えているのであります。但し、公共の福祉ということを水増し解釈することに対しては、反対でありまして、これは厳密に、私どもとして社会生活を守る意味で干渉して行かなければならないと思つております。
○石野委員 憲法第十二条の「公共の福祉のため」ということについては、われわれの与えられておるいろいろな自由及び権利に対して、それが公共の福祉のために利用する責任を負うということがうたわれておるわけでございまして、公共福祉のためにそれを禁ずるとかなんとかいうことは書かれていないと思うのでございます。従つて、この公共の福祉に利用されるという観点についての認識の問題が、非常に重要になつて来ると思います。私どもの考え方では、労働者に与えられております憲法第二十八条の権利というものは、これは労働者が争議行為において経営者に与える一つの権利として持たれておるものと思うのであります。その間、電気事業あるいは石炭事業等において、それがどのように現われるかということについての問題は、もちろんありますが、この「利用する責任を負う。」ということと、禁止するということとの考え方の点は、非常に重要だと思いますので、あなたの見解を承つておきたい。
○犬養国務大臣 ますますこれは佐藤法制局長官の範囲に入つて来たのですが、政治家の礼儀としてお答えをいたします。但し、私はしろうとの判断ですから、間違つておるかもしれません。私は石野さんと逆に読んでおります。これは絶対かえることのできない一個人の自由と権利を尊重する建前から、禁止規定でなく、責任を持つてくださいよ、こういう尊重的な字句だと思う。それゆえに、禁止された個人よりは、責任を持つてくれと言われた個人は、より一層公共の福祉ということに対して厳正な判断を持つ責任がある、こういうふうに私は読んでおるのであります。これはしろうとの読み方で、違つておるかもしれません。もし今の点でなお御質疑があれば、法制局長官を呼んで来ましよう。
○田中委員長 石野君に申し上げますが、大事なことでございますから、明日午前中に副総理と法制局長官も呼びましてよく究明をいたします。法務省関係はお帰りください。
○石野委員 私はただいまの問題については、なお明日法制局長官が参りましたときに引続きお尋ねします。 なお犬養大臣にひとつお尋ねしますが……。
○田中委員長 犬養大臣は席におりません。法制局長官と副総理を呼んで明日午前中にしつかりお聞きください。労働省当局に御質疑を継続願います。
○石野委員 今の公共福祉の問題については、いろいろと論議を残しておりますが、労働省の見解を特に大臣にお尋ねいたします。 公共の福祉という問題がこの法律案の中には具体的には第二条において「電気の正常な供給に直接に障害を生ぜしめる」云々ということになつておりますが、第三条では「人に対する危害、鉱物資源の滅失若しくは重大な損壊、鉱山の重要な施設の荒廃」云々となつているわけです。これがいわゆる公共の福祉を擁護するための対象となる事案として出ておるわけです。ここで、私は特に電気などについてお尋ねいたしたいのですが、「正常な供給」ということは、われわれにとつては非常に不分明なことでございます。そこでこの「正常な供給」という問題を、争議中及び争議以外の平常時におけるときにも私は常に考えなければならぬように思います。まず争議中における正常な供給というのはどういうことなのかということについて、ひとつ見解を承つておきたいと思います。
○戸塚国務大臣 政府委員に答弁いたさせます。
○齋藤(邦)政府委員 御承知かと思いますが、公共事業令の定めるところに従いまして、電力の需給調整の規則がございますので、それに基きまして行われる正常なる供給という意味であります。
○石野委員 今の齋藤次官の答弁によりますと、供給規定によつてということを言われております。この供給規定というものは、確かに電気事業にはあるわけであります。しかし今度の法律が特に設定されなければならない大きな理由として、当局の説明にも、昨冬におけるところの争議が直接の原因になつておる、こう言われておるわけです。それに対する先ほどの法務大臣の話でもわかるように、世論もこれを要望しておるのだ、こういうふうに言つております。世論も要望しておるということは、電気事業そのものについていえば、おそらく、たとえば一般家庭の停電とかなんとかいうような問題が、非常に影響しているのだろうと思います。法務大臣は、保安要員の引揚げ云々という問題を言いましたけれども、昨冬の争議においては、保安要員は実際には引揚げられていない、事実上引揚げておりません。それにもかかわらず世論云々ということが特に言われますが、ただ電気の場合に私たちが見ますると、普通平常時における、争議中じやないときにおける供給は、大口、小口にわけまして、非常に偏在的な供給が行われておるとわれは認識しておるわけであります。今度の供給におきまして、電力のいわゆる争議行為による滅失の度合いは、総供給量の大体どのくらいになつておつたのであるか、この点をひとつお知らせ願いたいと思います。
○齋藤(邦)政府委員 この間の争議の際に、どの程度の電力量が損失されたかということは、たしか先般通産大臣がお答え申されたと存じております。私は手元に持ち合せておりませんが、先般通産大臣がお答え申し上げた通りであります。
○石野委員 これが、どのくらいのパーセンテージになつておるか、私の大体知つておる範囲では、損失された電力量というものは、全供給量の二〇%ないし二五%程度のものだと記憶しております。しかも平常時におけるところの供給は、七〇%は大口へやつておりまして、三〇%というものが小口並びに一般の家庭への供給だ、こういうように私たち理解しております。二〇%程度の供給がなぜ世論の問題にまでなつて来たかというところに、実際は問題の所在点があるわけであります。事実上、この問題を今日このような禁止法規をつくるところまで持つて来たということは、私たちから言いますると、一つの経営者側の巧みな策謀の上に乗せられておるのだ、こういうように私は思います。その一つの例を今度の争議で考えてみますると、電産争議のごときはストが、行われるまでの間は、労働者のいわゆる交渉に対しては、経営者が全然当つていない。これはもう齋藤さん自身もよくおわかりだと思います。ストが行われるまでは、電産の交渉に対して経営者が全然タツチしようとしなかつた。こういう問題をあなた方は、この法規ではどういうふうにそれでは規定しようとするのか。労働者に対するサービス省としてのあなた方は、この法律案だけでは、労働者だけにいろいろの責任を負わせておりますけれども、そういう問題にはちつとも考慮を払つていない。この点についての労働省の御見解を、これはひとつ大臣から聞かせていただきたい。
○齋藤(邦)政府委員 私からお答え申し上げますが、昨年の争議によりまして、どの程度の電力量が、空費されたかという問題につきましては、通産省からいずれお答えがあるかと思いますが、私どもはそういう数字がどうでありましても、先ほど来申し上げておりますように、スイツチ・オフによる停電争議、こういうものはすでに正当な争議権の域を脱しているのだ、こういう実は考え方をいたしているわけでありまして、私どもはそれを違法と考えておりましたが、それを今回明文化そうとするにすぎないものであると御了承願いたいと思います。それから、何もこの法律によりまして経営者側の方ばかり大事にするというような考え方は全然持つておりません。すなわち先ほど来数回申し上げておりますようにこうした停電ストによりまして、事業主もあまりいたまず、労働者も大していたまない、こういう争議行為の形態でありまして、第三者にのみ迷惑をかけるような行為は適当でないということを申し上げているにすぎないのであります。 なお、団体交渉その他の問題のお尋ねがありましたが、それはこの法案とは全然別個の問題でございまして、組合と事業主との種々なる交渉は、労働組合法なり、あるいは労働関係調整法の定めるところに従つて行われるものであると存じております。
○石野委員 私どもの考え方では、この法案をこういうようにして持ち込んで来たその原因をもう少し究明しなければならないと思います。特に労働省が労働者に対するサービス省としての建前から、この問題を重要であるとして、本法それ自体としては、文字の上からいえば、確かに齋藤さんが言われるように、経営者がどういう態度をとつたかということは、本法それ自体の字句の中には出て来ないかもしれないが、法をつくろうとする流れの中には、重要な問題としてそれが存在すると思うのであります。従つて私たちはしばしば公述人の諸君からも言われておつたように、特に労働者側の諸君が言つておつたように、なぜストをやらなければならなかつたか、なぜそういう保安要員の引揚げとか、スイツチ・オフをしなければならなかつたかという原因の究明を重要視しなければならぬと思います。こういう点について齋藤さんが、それはこれとは関係がないと言われるようでは、実に労働省に対する私たちの信頼が持てないような、残念な気がします。しかし、ただ残念ではいけないので、そういう原因の除去について、あなたはここで何ら考慮する必要はないとお考えになつているかどうか、その点だけ明確にしておきたい。
○齋藤(邦)政府委員 昨年の、電産、炭労のストが、ああいうふうに長期にわたりましたことにつきましては、労使双方に種々なる事情があつたと存じますが、これにつきましては私ここ意見を申し上げることは差控えたいと、かように考えております。御承知のように労使間の紛争の問題は、賃金等が中心になると思いますが、それは労使双方の問題でありまして、労働省として考えておりますのは、そうした紛争が起つたときにどういう組織で解決されて行くかという仕組みを整理するのが労働省の仕事でありまして、紛争の内容に立ち入つてあれこれ申し上げるというのは、労働省の仕事ではない、かように私は存じております。
○石野委員 あまり一つのところにとまつておりますと、問題の進展がありませんから、ほかに問題を展開させますが、この法律案によりますと、私たちの見るところでは、労使対等の原則というものが究極においてはほとんどなくなつてしまつているように思います。特に争議が苛烈な状態になつて、労働者が保安要員の引揚げをしたり、スイツチ・オフをしなければならないような状態になつたとき、この特別措置をされますと、労働者の闘う、いわゆる経営者との対等の立場における場というものがなくなつてしまう、こういうように私は見ております。あなた方はそういう場合に対する、憲法が保障している労働者の権利、及び労働法の第一条が労働者に与えている労使対等の立場を、どのようにしてここで労働者に保障しようと考えているか、この点を一つ承りたい。
○齋藤(邦)政府委員 この問題につきましても、たびたびお答え申し上げましたように、この停電ストというものは、労使関係にあまりさしたる損害を与えず、むしろ比較にならぬ程度莫大なる損害を第三者に与えるものでありまして、労使双方に対して痛くない争議行為であり、しかもまたこれがかりにできないといたしましても、たびたび申し上げておりますように、その他有効適切なる争議手段というものが行われることを期待できまするので、私どもといたしましては、力関係の対等性というものは、この法律によつて失われるということは全然ない、かように考えております。
○石野委員 先ほど青野委員からも言われておりますように、おそらくこの法律案が成立いたしますならば、労働者にとつての最終的といいますか、最も決定的な打撃を経営者に与え得る争議方法というものはほとんどなくなる、こういうふうに私は思う。しばしば政府当局は、他に適切な方法があると言われておるのでありますが、しかしわれわれにとつては不幸にしてそういう方法が見つからないのである。あなた方の考えておる適切な方法というのはどういうことをいうのか、聞かせていただきたい。
○齋藤(邦)政府委員 先ほど来申し上げたのでありますが、見解の相違かもしれませんが、私どもは力の対等性というものは失われない、かように考えております。残された争議行為の方法といたしましては、集金ストとか検針スト、決算スト、その他有力なる事務的ストがあるといわれておることを、私は承知いたしております。
○石野委員 そういうことで、今日の電気産業あるいは石炭産業の経営者に対する労働者の対等の立場が守れるのなら、労働者としてそんなに苦しみはしないと思うのです。実に甘い見方だと思います。経営者はむしろもつともつとひどい考え方を持つているように思う。先ほど犬養法務大臣が、この法案については労働省も法務省も弱いといつて非常にしかられたと言われた。労働大臣がおられますが、弱いとしかつておる人はだれなのか、どういう人がしかつておるのか、これを一応聞いておきたいと思います。
○戸塚国務大臣 別に弱いといつてしかられたこともございません。法務大臣は、何かたいへん私の考え方に共鳴せられたのかと思いますが、しかられた覚えはございません。
○石野委員 今の労働大臣の話と、先ほど犬養法務大臣が巧妙な言いまわしで言つておつたことと大分違う。とにかく弱小と言つておる人は、おそらく経営者に違いない。経営者は、そういうふうに政府権力に対して、特にあなた方に対して要請をし、圧力をかけておると思うのですが、そういう圧力を受けておる労働者の側からすると、憲法に保障された何ものもみな失つてしまうことになると思います。 私はここで労働行政を担当しておる大臣にお尋ねしますが、この単行法、いわゆる規制法規というものができました場合に、憲法で保障された第二十八条の労働権というもの、あるいはまた労働組合法、労調法、こういうものはどういうような関係になつて来るとあなたはお考えになつておりますか。
○戸塚国務大臣 経営者からだろうというようなお話でございましたが、私の承知する限りでは、経営者も公聴会などで、この最小限度が最もいいと思うというふうな発言があつたように承知いたしております。私は経営者と何かこういう問題について打合せをしたこともありませんし、もちろん経営者から要請を受けたこともございません。なお法律の関係のことは齋藤君からお答えいたします。
○齋藤(邦)政府委員 御承知のように、この法律は組合法、労調法の精神に従いまして、争議行為の正当性の範囲を逸脱したもののみを規定しているものでございまして、この法律ができたからと申しまして、ただちに労調法なり組合法の方に影響を及ぼすという性質のものとは私ども考えておりません。
○石野委員 労働省の、特に齋藤さんの非常に言いまわしのうまい御答弁になつて、ちつとも私の聞こうとすることにピントが合つていないように思うのですが、ただあなた方が労働行政の担当者として、この法律ができても、なおかつ労働者にとつて争議行為ができるし、保障された権利を押えつけるものでなく、他に方法があるのだということを言つておられます。先ほどは集金ストとか、その他のものがあると言われたけれども、そういうことをやることによつて、実際問題として会社側はちつとも損をしない。この前の主婦連合会の諸君のいろいろな公述を聞いておりましても、そうでありますが、集金が遅れれば遅れるほど、一般の消費者の方ではよけいに金を払わなければならぬような状態が出て来ているわけです。だから、そういうことは経営者にとつてちつとも痛いことにも、かゆいことにもならない。こういう状態になつて来るので、そんなような方法はおそらくナンセンスになつて来る。それが全然ストの形式でないとは言いませんけれども、少くとも一方は保安要員の引揚げをやつたり、あるいはスイツチ・オフをやるというような、重大な、決定的な武器を失つた労働者にとつては、ほんとうにナンセンスな言い分だと思います。私は少くともこの法律案をつくられたら、労働者は電気、石炭の関係に関する限りでは、憲法で保障された労働の権利というものは有名無実になつてしまうものだと思います。あなた方の見解として、この法律と労調法とのかみ合せはどういうふうに適用されるのか、その見解を聞かせていただきたい。
○齋藤(邦)政府委員 労調法の緊急調整との関係のお尋ねかと存じますが、緊急調整の制度は、労使紛争調整の一つの仕組みの制度でございまして、これはもともと違法なる争議行為というものを全然別個の問題といたしまして、正常なる争議行為によつて長期、大規模にわたり国民経済並びに国民生活に回復すべからざる重大な影響を及ぼす、こういう場合の問題だと私は思つております。すなわち、もともと違法なる争議行為というものを前提としないで、正当なる争議行為というものが大規模に行われて、各種の産業に影響を及ぼすという事態になつたときに対する紛争調整の一つの仕組みだ、かように考えております。この法律は、その緊急調整とは別個の問題でありまして、すなわち正当なる争議行為の範囲を逸脱しているものを明文化するというのにすぎない、かように私は存じている次第であります。
○石野委員 緊急調整の問題は、この法律との関係は別途なものだ、こういうふうに話されたのですが、しかし緊急調整の適用されるケースと、この法律が予定しているところのケースとは、ちつともかわつていはしない。ただそれの順序、方法、むしろそのときの問題が非常に重要になつているのだと思う。緊急調整は、少くともそういう形へ移行する前に、何らかやはり政府なりその他のところが予定する行為を規定しているものだ、こういうふうに私は解釈するわけです。緊急調整そのものについては、私どもは賛成しているものではございません。しかし、少くとも緊急調整というような法律をつくつて労働者に大きな一つのわくをはめ、それで圧力をかけて来ている上に、なおこの特別措置、規制法規をつくつて来ることになれば、労働者はほんとうにがんじがらめになつて、見ることも、聞くことも、歩くこともできない状態になつて来る、こういうふうにわれわれは考えるのであるが、そういう点についてあなた方はどういうふうに考えているか。
○齋藤(邦)政府委員 たびたび申し上げておりますように、この法律は労働者をがんじがらめに縛るなんということはないのでありまして国民的な立場に立つていえば、不当なものを明文化しようというのにすぎないのでありますことを御了承願いたいと思います。
○田中委員長 それでは本日はこの程度にいたしまして、明日は午前十時三十分から開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十一分散会