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15回国会衆議院1953/02/27

労働委員会 第15号

発言数
139
登壇者
12
会派数
4
開催日
1953/02/27

会議録

田中伊三次自由党

○田中委員長 これより会議を開きます。  去る二十三日に委員山口丈太郎君、また二十四日に委員赤日一幸君がいずれも一旦委員を辞任をしておられますので、ただいま港湾労働に関する小委員に欠員を生じております。この際補欠の選任を行いたいと存じます。これは先例によつて委員長に指名の御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり)

田中伊三次自由党

○田中委員長 異議なしと認めまして、指名をいたします。港湾労働に関する小委員に春日一幸君、及び山口丈太郎君をそれぞれ指名いたします。     —————————————

田中伊三次自由党

○田中委員長 さらにお諮りをいたします。理事吉武惠市君及び石田一松君より理事辞任の申出がございますが、これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり)

田中伊三次自由党

○田中委員長 御異議がなければ、さように決定をいたします。  よつて理事が二名欠員となるわけでございますので、理事の補欠選任を行いたいと存じます。これも先例によつて委員長に指名の御一任を願いたいと存じますが、御異議ございまんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中伊三次自由党

○田中委員長 御異議なしと認めまして、それでは理事に持永義夫君、千葉三郎君を指名いたします。     —————————————

田中伊三次自由党

○田中委員長 それでは電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案(内閣提出第八八号)を議題といたします。  まず政府より提案理由の説明を聴取することにいたします。戸塚労働大臣。

戸塚九一郎自由党労働大臣・建設大臣・北海道開発庁長官

○戸塚国務大臣 ただいま議題となりました電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関る法律案につきまして、その提案理由及び大体の構成を御説明申し上げます。  昨冬行われました電気事業及び石炭鉱業の両ストライキは、わが国未曽有の大規模のものでありまして、幸いにして最後の段階におきまして収拾されましたが、この両ストライキが国民経済と国民の日常生活に与えた脅威と損害とは、実に甚大なものがあつたのであります。  労使関係の事項につきましては、法をもつてこれを抑制規律することは、できる限り最小限とし、労使の良識と健全な慣行の成熟にゆだねることが望ましいことは言うまでもないことであります。しかしながら政府としては、かかる基本原則のみを固執し、いたずらに手をこまねいて当局の緊急の問題に対して必要な施策を怠ることは許されないと考えるのであります。  よつて政府としましては、電気事業及び石炭鉱業の特殊性及び重要性並びに労使関係の現状にかんがみまして、争議権と公益の調和をはかり、もつて公共の福祉を擁護するために、両産業における争議行為の方法について必要な規制をなす必要があると考え、本法案を立案するに至つたのであります。  公共的性質を有する産業は、ひとり電気事業及び石炭鉱業に限るものでないことは申すまでもないところでありますが、種々検討の結果、今回は、いわゆる基礎産業中最も基幹的な重要産業であり、しかも昨年現実に問題となつた電気事業及び石炭鉱業につきまして必要な限度の規定を設けることとした次第であります。  また労使関係の調整につきましては、昨年第十三国会において一応の改正を了しており、かつ本法案は労使関係の調整とは別個に、もつぱら公益擁護の見地から争議行為の正当性の範囲を必要な限度で明らかにするものでありますので、令回の措置は既存法律の改正をもつてせず、単独法の形をとつたものであります。  以上の見地より今回本法律案を提案いたしたのでありますが、本法律案の作成に先だつて、二月十四日、十六日の両日、東京、大阪及び福岡におきまして労働省主催の公聴会を開催し、労働者、使用者、学識経験者、及び電気事業及び石炭鉱業の公共性にかんがみまして、特に一般消費者を加えた公述人約六十人の意見を聞き、その公述を慎重に検討しました結果、成案を得まして今回提案の運びに至つた次第であります。  以下本法律案の大要について御説明申し上げます。  本法案は三箇条から成るものでありますが、まず第一条におきましては、以上申し上げたことく、電気事業及び石炭鉱業の自然的、経済的、社会的な特殊性、及びその国民経済及び国民の日常生活に対する重要性にかんがみまして、争議行為と公益との調和をはかり、もつて公共の福祉を擁護するため、争議行為の方法について当面必要とせられる措置を定めるという本法律案の趣旨を明らかにしたものであります。従いまして本法案は、争議権そのものを否定する趣旨のものではなく、もつぱら争議権に基く争議行為の一部方法のみを規制の対象とするものであります。  次に第二条につきましては、電気事業についていわゆる停電スト、電源ストその他電気の正常な供給の停止ないし直接の障害を生ぜしめる争議行為の方法は禁ぜられるものであることを明らかにいたしたのであります。スイッチ・オフ等ほしいままに装置を操作する積極的行為は、従来から政府として正当ならざる行為と考えていたのでありますが、さらにこれと同様に、電気を停止したり、電圧、サイクルを狂わせたりする行為であつて、昨年のストライキの経験にもかんがみ、社会世論の上で耐うべからざるものとされるものについても、この際その正当ならざることを明らかにしたものであります。  けだし、停電スト、電源スト等は、これに携わる人員は全電気産業労働者中の少数にすぎず、他の大多数の労働者の争議行為は、何ら制約せられるものでないと同時に、労働者の失う賃金及び使用者のこうむる損害は、これによつて無辜の需用者が不可避的にこうむる物質的、精神的損失に比較いたしますと、きわめてわずかなものであります。この点他の争議行為の方法とまつたくその類を異にし、電気事業の公共性に矛盾することはなはだしき争議方法といわなければならないのであります。しかも電気産業労働者には、このほかにも労使対等の立場を維持するに十分な争議手段があるのでありまして、本条の規制は当然やむを得ざるものと考えられるのであります。  なお、使用者が変電所、発電所等の停廃を来すロック・アウトを行い得ざることはもちろんであります。  次に第三条につきましては、石炭鉱業について、鉱山保安法に規定する保安業務の正常な業務の運営を停廃する争議行為のうち、溢水、落盤、自然発火、有害ガス充満等を防止する業務を怠り、その結果、人命に危害を及ぼしたり、石炭資源を滅失し、ないし炭鉱の破壊を招いたり、第三者に鉱害を与えるごとき保案放棄の行為は、争議行為として正当性を逸脱するものであることを規定いたしたのであります。  けだし、かかる争議行為は、法益の均衡を著しく失し、また労務者をして復帰すべき職場を失わしめるものでありまして、争議行為の目的を逸脱し、とうてい正当な行為と認め得ないのであります。このことは昨年の炭労ストに対する政府声明におきましても明らかにいたしたところであり、きわめて明白の事柄でありますが、昨年の経験及び現状にかんがみまして、この際特にこの旨を法律の明文をもつて定めたものであります。  以上本法律案の提案理由と大体の構成を御説明申し上げたのでありますが、これによつても明らかなごとく、本法律案は、決して不当に労働者の権利を抑圧いたすものではなく、電気事業及び石炭鉱業の特殊性並びに国民経済及び国民生活に対する重要性に基き、両産業における争議行為の方法について必要やむを得ざる制約を明らかにし、公共の福祉を擁護せんといたすものであります。  何とぞ御審議の上、すみやかに可決せられんことをお願いいたします。

田中伊三次自由党

○田中委員長 これにて提案理由の説明聴取を終りました。     —————————————

田中伊三次自由党

○田中委員長 これより本案の質疑に入るのでありますが、その前にお諮りをいたします。電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案(内閣提出第八八号)の審査のために公聴会を開会することとして、その開会承認の要求の件についてお諮りをいたしたいと存じます。右の法案については、国民的関心も非常に強く、きわめて重要な法案と考えられますので、各派の委員におかれても、1この法案の審査のために公聴会を開くことを強く希望しておられますが、公聴会を開こうとするときは、衆議院規則第七十七条によつてあらかじめ議長の承認を得なければならないことになつております。公聴会を開こうとする問題をまず定めた上で諸般の手続をとることになつております。ついては、公聴会開会承認要求書を提出いたさなければなりませんが、公聴会を開こうとする議案については、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案(内閣提出第八八号)といたしまして、意見を聞こうとする問題につきましては、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案についてといたして参りたいと存じますが、この点御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中伊三次自由党

○田中委員長 御異議なしと認めます。  つきましては、議長のもとまで提出いたします公聴会開会承認要求が承認になりました場合には、委員会において正式に公聴会を開くことを議決いたすことに相なつておりますが、公聴会開会の日時につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。また公聴会開会の日時を決定いたしましたる上は、衆議院規則第七十七条によりまして公聴会開会報告書を提出いたさねばなりませんが、これもまた諸般の手続とともに委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中伊三次自由党

○田中委員長 御異議がなければ、さようにとりはからいますから御了承願います。     —————————————

田中伊三次自由党

○田中委員長 次にお諮りをいたします。電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案の審査のために委員を派遣いたしたいと存じますが、これに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中伊三次自由党

○田中委員長 御異議がなければ、委員派遣承認申請の件を決定することにいたしたいと存じます。  一派遣の目的は、ただいま申しました電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案の審査のためといたしまして、派遣の期間は、三月四日より三月六日までとし、派遣地は、第一班は札幌、第二班大阪、第三班は福岡といたします。派遣の委員の選定は、委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中伊三次自由党

○田中委員長 御異議がなければさように決定をいたします。  それから、これから質疑に入るわけでございますが、ちよつとお諮りをいたしますが、午前の会議はこの程度にいたしましようか、あるいは質疑があるだけ続けましようか。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 議事進行について。ただいま労働大臣から、本法案の提案理由の説明が行われたのでありますが、少くとも政府が法律案の提案理由の説明を行う場合、それはその立法を必要とする理由について、政府の責任において行われたものであり、これはきわめて重要な責任と権威を有するものと考えます。しかるところ、ただいま大臣の説明によりますと、それはここに配付されておる提案理由の説明と内容において著しく違つておるのであります。従いまして私どもは、その提案理由の説明は、今大臣が口述されたものが骨子であるか、本物であるか、あるいはここに文書によつて配付されたものをわれわれは基準となすべきか。どちらがほんとうでどちらがにせものであるか、この機会に明確にお示しおきを願いたいと思います。

田中伊三次自由党

○田中委員長 それではその点は大事な点でございますから、委員長から大臣に尋ねておきましよう。  大臣、それはどちらでしようか。

戸塚九一郎自由党労働大臣・建設大臣・北海道開発庁長官

○戸塚国務大臣 印刷してお配りいたしましたのは、本会議で説明を申し上げましたものであります。ただいま委員会でありますから、なお少し詳しく申し述べる方がいいだろうという考えで、余分にと申してはおかしいですが、長く御説明を申し上げたわけであります。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 詳しく説明したということがありましたが、そうなればこれは速記録でも明らかでありますから、われわれの判断に供すためには、その詳しくされたものを印刷物にして至急配付していただくようにお願いしたいと思います。  それから会議の前に一応各派の申合せもあると存じますが、これで暫時休憩をして、午後一時から会議を開かれるよう動議を提出いたします。   (「賛成」と呼ぶ者あり〕

田中伊三次自由党

○田中委員長 それではこの際ちよつと御了解をいただいておきたいと思います。昨日理事会を開きました結果、本件議案の審査の日程について、大体の打合せをいたした次第でございますが、その結果三月十日までに質疑の打切りをし採決をする、こういう大体の方向で行こうということに各派一致の意見を見ております。あらかじめ御了承を願つておきたいと存じます。  それではこれで休憩をいたしまして、午後一時再開いたします。     午前十一時二十四分休憩      ————◇—————     午後二時九分開議

田中伊三次自由党

○田中委員長 休憩前に引続き、会議を再開いたします。  なおこの際お諮りいたしますが、去る二十一日委員伊能繁次郎君が委員を辞任されましたので、港湾労働に関する小委員会におきまして小委員に欠員を生じております。この際、小委員の補欠選任を行わねばなりませんが、これは先例によりまして、委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   (「異議なしと」呼ぶ者あり〕

田中伊三次自由党

○田中委員長 御異議なしと認めます。  それでは港湾労働に関する小委員には宇都宮徳馬君を指名いたします。     —————————————

田中伊三次自由党

○田中委員長 それでは電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案(内閣提出第八八号)を議題といたしまして質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。倉石忠雄君。

倉石忠雄自由党

○倉石委員 私はこのたび政府から提案されました法案を拝見いたしまして、国民の一人として、まことにはずかしさを覚えるものであります。今、特にこういうような法律を出さなければならないという客観的情勢を、私どもは十分に理解することができないのでありますが、ともかくも、昨年の暮れに行われましたようなああいう非合法的なストライキ、これが敢行されたばかりでなく、政府もまたそういう事態に対して決して適切なる処置をとられたとは私どもは思いません。しかもただいまのような情勢のもとに、このような法案を御提出になりました政府の真意は、追つて私ども国民の代表者として、十分に究明しなければならないと思うのであります。まず私は政府にお尋ねをいたしたいのでありますが、私どもが感じますのに、昨今、日本が独立を回復いたしましてから、にわかに占領政策の是正というような言葉が一部に流行せられておる風潮であります。私ども日本の国情に合わない法律その他がありましたならば、独立を回復いたした機会に改めるべきでありましようが、われわれが断じて守らなければなりませんのは民主主義であります。民主憲法の精神であります。自由党内閣の労働政策もまたこの建前から出発しておられるものであると私は思うのでありますが、まず政府にその御信念を承りたいのであります。     〔「大臣は来ないか」「官房長官はどうした」と呼ぶ者あり〕

福田一自由党労働政務次官

○福田政府委員 労働大臣は病気になりましたので私からかわつてお答えいたします。質問者の御趣旨としては、官房長官または大臣という方面からの答弁を要求されておるものとは解しますけれども、ただいま欠席をいたしておりますので、政府といたしまして、私からかわつて申し上げる次第であります。  ただいま占領後における占領政策の是正ということが一種の風潮になつておる、これは決して好ましいことでないというか、すべてを是正するというようなものの考え方ではいけない、民主主義を擁護しなければならないという御意見のように拝聴いたしたのでありますが、まことにごもつともな御意見でありまして、私たちといたしましても、敗戦後において日本が民主化されました、また民主主義の精神というものを一層強く推し進めて行くことについては、質問者と全然同様の気持を持つておるものでございます。

倉石忠雄自由党

○倉石委員 私は、政府がただいま御解明になりましたような精神であるということを承りまして、安心いたすのであります。その御精神に基いて、すべての労働政策をおやりになるのでありましようが、そこで今のお話に立脚して私はお尋ねをいたします。憲法二十八条によれば、労働基本権というものは、われわれが断じて守らなければならない、つまり基本的人権であります。それと、第十二条にいう公共の福祉云々という関係を、労働行政を担当しておいでになる方々はどのように考えておられるか。つまり基本的人権を抑制するという場合に、公共の福祉の名が使われるのであります。公共の福祉を守らなければならないということも、やはり憲法の命ずるところでありますが、この基本的人権と公共の福祉を守るということの関係について、労働省当局はどういうお考えをお持ちになつておるかを、まずもつてお伺いをいたしたいのであります。

福田一自由党労働政務次官

○福田政府委員 労働者の団結権を、二十八条において認めております。次にまた、十二条に公共の福祉ということがあるのでありますが、この憲法の精神は相互関連したものでありまして、この意味合いでこれの調和をとつて行くというのが、私は政治であろうと考えるのでございます。具体的な場合あるいは時勢の推移その他を見まして、そのときどきの問題によつて調和を保つということが、法律全般にわたる精神だと考えるのでありまして、そういう意味において、今回の法律案は、公共の福祉を擁護する、いわゆる争議に関係しておらない第三者の権利を擁護するという建前において、しかも最小限この程度はどうしてもやらなければならない、かように考えてこの法案を立案し、御審議を願つておるような次第であります。

倉石忠雄自由党

○倉石委員 大体政府のお考えを理解することができるのでありますが、違つた面からわれわれは考えてみたいと思います。かつて公共企業体等町労働関係法というものを制定いたしました。国家がすべての出資をして公益性を持つておる専売事業あるいは国有鉄道の労務者のストライキ権を抑制した、そのかわりに、公共企業体等労働関係法を設けて、仲裁制度というものを厳として存在せしめておるのであります。公共の福祉を守るという理由のもとに、憲法に定められたる国民の基本権を抑制されるならば、そういう場合には政府は常に何らかの措置を考えておられるはずでありますが、そういう点について労働省当局の御意見を承りたいのであります。

福田一自由党労働政務次官

○福田政府委員 われわれといたしましては、今回の法案の第二条において、電気における、停電、第三条においては、保安要員の引揚げを禁止することに規定をいたしておりますが、従来ございました電気、ガス等に関する法律あるいは鉱山保安法等におきまして、電気においては停電というものは違法の行為である、特に作為を加えますところのスイッチ・オフをするようなことは違法であるという解釈を貫いておるわけでありまして、いまなお政府はそういう考えを持つておるわけでございます。この場合において、たとえば、すべての者が発電所からいなくなる、あるいは変電所からいなくなるという不作為の場合もございますけれども、こういうこともやはり結果においては同じく停電というものを招来いたしますので、これを含めて今回の法案においては禁止する、こういうことにいたしたわけでございます。なお鉱山保安法におきましては、保安要員の引揚げということは認めておらないわけで、そういう意味合いにおいても、これが、違法であるということは、政府は常に態度を表明しておるところであります。こういうように、すでに一方において違法であるというものを、今回の法案よつて明らかにいたしたわけであります。  しからば違法であるということが、明らかであれば、あえてこの法案を出す必要がないではないかというお考えもあるとは思いますが、現実には組合運動をしておられる方々は、なおこういうことはできるものであるという見解をとつておられる。また一般におきましてもそういうような御意見のある向きがあるやに見られますので、この際公共の福祉を擁護するために、一応違法であると考えられておる面をここではつきりいたしたい、こういう観点からこの法案を提出しておるわけでございます。  こういうわけでありまして、今までの法律によりましてすでに違法であるものを、ここに明らかにもつ一ぺん宣言いたする形において規定をいたすのでございますからして、国鉄の場合、専売公社の場合等のごとく、スト全部を禁止いたすものではございません。電気におきましても、わずか少い人たちの争議行為によつて、第三者のみが非常な損害を受ける、こういうようなものであり、また保安要員の引揚げにおきましては、労働者自体のためにも山をくずすということはいけないことであり、それが及ぼす影響等も考えて、ここに明確にいたしたい、こういう意味合いで出しておりますので、そういう意味合いにおいて、前の公共企業体等労働関係法の場合とは、いささか趣きを異にいたしておると御了解願いたいのでございます。

倉石忠雄自由党

○倉石委員 本案を立案された御精神はよくわかるのでありますが、ただいま公共の福祉ということが問題になつております。公共の福祉を云々されるならば、石炭鉱業と電気事業にどうして限られたのか、その点を承りたいのであります。

福田一自由党労働政務次官

○福田政府委員 私たちは、今申し上げましたように、公共の福祉においてこういう禁止をいたすのでありますけれども、しかし公共の福祉は、お説の通り、あえて電気と石炭に関するもののみではございません。そのほかにも、いろいろとガスでありますとか、私鉄でありますとか、あるいはその他のものが考えられるのでありますが、われわれといたしましては、そういうことはなるべくしないという組合の良識に基いて、そうして組合がそういうようなことをされないだろうということを特に期待いたしておるのでありまして、相なるべくはそういうようなことはないものである、こう考えて、今回は昨年の争議の経過に顧みまして、どうしてもやむを得ないものだけをとにかくここで違法にしたい、こういうふうに規定をいたしたわけであります。

倉石忠雄自由党

○倉石委員 ただいまの御説を承つておりますと、私は法理論的にきわめて矛盾した御意見であると思うのであります。つまり何かストライキをやらない組合に対しては寛大な処置をとつて、同じ公共の福祉という建前からするならば、当然抑制せられるべきものであると政府が考えられるにもかかわらず、最小限度という名のもとに電気と石炭鉱業だけに限られる。しかも、ただいま政府の御説明によれば、たとえば鉱山の保安要員が引揚げをする、電気の労務者がスイッチ・オフをするということは、すでに違法であるから、これはやむを得ず単独立法しなければならないと言われておるのでありますが、違法であるということがわかりきつているのに、単独立法をする必要はないではないか。しからば金属鉱山の保安要員とか、あるいは製鉄所の溶鉱炉の労務者のごとき、これも公益に非常な重大なる関係を持つている。私設鉄道でもそうであります。あるいはまた、一般市民の経済生活ということから考えてみて、通運会社の労務者のごときも、われわれ一般国民経済に密接なる関係を持つている。しかもそういうようなものに対しましては手を触れないで、この二つにだけ単独立法をやられる。そしてその単独立法は、本来ならばなくてもいいのであつて、もともと違法である、こういうふうに政府が言われておるのでありますから、そこに私は非常に論理の矛盾を感ずるのであります。政府もすでに御承知のように、労調法三十六条によりましても、あるいは鉱山保安法、公共事業令、電気ガス臨時措置法などに照してみて、あの方々がこの間、昨年の暮れおやりになつたストライキは、少くともこれは公平に観察いたしましてならば非合法であります。ただそれを組合の諸君は非合法ではないと主張しておつた、そこに論点があつたようであります。人のものを盗むということは、盗む人本人がこれは刑法上の犯罪であるということを認識してやつておることであるし、また社会通念上は窃盗ということは、当然これは刑法に触れるものであるということはわかりきつておるのでありますが、そのような若干の疑問を持つておるからして単独立法しなければならないというふうなことは、私はこれは俗論におもねた間に合せ的立法であると思うのでありまして、もう少し根本的に考え直されたらどうか。しからば将来政府は他の公益に重大なる関係を持つておる公益事業全般に対してやはりこういうような措置をとられる考えであるかどうかということを、私は承りたいのであります。

福田一自由党労働政務次官

○福田政府委員 ただいまの御質問は二つの問題があると思うのであります。第一点の方は、そういうような今度のストを制限をする、制限をした以上は何か与えなければならない。そうするとスト制限がどの程度のことになるかという問題でありますけれども、実は電産の場合におきましても、ストはできない、またそれによつて労使双方の均衡が破れるほどのことではないとわれわれは考えておるわけであります。また鉱山保安法の場合におきましても同様でございまして、私たちはストはできる、ストは十分有効にできるものであるという解釈をとつておるわけであります。  次に、違法であると一応考えておるものを、ここで法律をもつてさらに規制しないでもいいじやないか。たとえば窃盗とかいうふうな行為と同じである。それはもう社会通念上明らかになつておるのだからというお話でございましたが、停電とかあるいは保安要員の引揚げというものは、窃盗とは大分趣を異にしておりまして、現に組合側でも、なおかつ停電ストはやつてよろしいのである、また保安要員の引揚げもやつてもよろしいのであるという見解をとつておられる。現に昨年の暮におきましてはそういうことが行われており、また保安要員の引揚げは、これは寸前に中止せられましたけれども、なおかつその後そういうようなことを考えておられるということが、公聴会その他の席上における組合側の方々のお話でもうかがえるのでありまして、この点は窃盗のようなものとは違いまして、社会通念上明らかになつておらない疑義がある、だから、この際この点についてはつきりいたしたい、こういうつもりで実はぎめたわけであります。  なお、さらにこれを拡張いたしまして、ほかのいわゆる公益に関係あるものにも及ぼす考えがあるかどうかということでございましたが、先ほども申し上げました通り、私たちはそのようなことは起り得ないものである、かように期待をいたしておるのであります。そういう意味合いにおきましてわれわれといたしましては、これはもう少し研究ざせていただきたい、かように考えておるわけであります。     〔「大臣、官房長官を呼べ」と呼び、その他発言する者あり〕

田中伊三次自由党

○田中委員長 ちよつと委員長から申し上げますが、労働大臣は実は昨夜以来はげしい腹痛を起しまして、非常な下痢をして昨夜以来食事をいたしておりません。今朝も、提案理由の説明は政府委員をしてやらせるから休ませくれということでありましたので、それは相ならぬ、ぜひとも出て来てやらなくちやいかぬということで、実は今朝も無理に呼びまして提案理由の説明をやらせまして、とりあえずただいま医師がつき添つて自宅に帰りまして、療養をしておりますか、大分発熱をしております。それから緒方官房長官を呼ぼうといたしまして、手続しましがが、これはあいにく参議院の本会議が進行中で、発言の事情がありまして、ただいまその方に出ております。それが終りますと、すみやかにこちらの方に出席をするようになつております。     〔「議事進行について」と呼び、その他発言する者あり〕

前田種男日本社会党(右)

○前田(種)委員 議事進行について。倉石委員の質問はこの議案の審議の基本をなすものだと私は見ているのです。これに対する答弁は、少くとも政府を代表して総理大臣もしくは副総理が来て政府の基本的な考え方を明らかにすべきだと考えます。今のようであると、二度も三度も同じことを繰返さねばなりません。参議院の本会議を中座せいということは、委員会として言いにくいことですから、暫時休憩して官房長官のあき次第に再開してこの委員会を進められた方が能率的だと私は考えます。(「ヒヤヒヤ」「賛成」と呼ぶ者あり)

石田一松改進党

○石田(一)委員 関連して。官房長官のみならず、主管大臣である労働大臣も、今日は腹痛でどうしても出席できないというならば、労働大臣の腹痛が全快してここで答弁できるようになるまで、御病気ならば十分に一箇月でも二箇月でも静養あそばして後にこの法案を審議すればいいと私は思いますから、その点をもう一つつけ加えておきます。

田中伊三次自由党

○田中委員長 質問者の倉石君にひとつ御了解をいただきたいと思いますが、今委員長から申し上げたような事情でございますから、このまま引続いて質疑を御続行願いたいと思います。     〔「休憩々々」「官房長官が来ないじやないかと呼び、その他発言する者あり〕

田中伊三次自由党

○田中委員長 もうしばらく、今来ますから……。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 ただいま両氏から述べられた議事進行についての御発言は、本議案を審議する上におきまして、きわめて必要欠くべからざる問題だと考えます。従いまして、私は新しく責任大臣がここに出席されるまで本委員会は休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり〕

田中伊三次自由党

○田中委員長 諸君に私から重ねて申し上げますが、今委員長が申し上げたような病気という事情—病気という特殊な事情はいたし方ない。腹痛でございますから……(発言する者あり)まあ私の言うことを聞いて—腹痛ということなんですからそんなに長期にわたるものではありませんから、きようのところはこれでおやりを願つて—会期は十分あるのですからおやりを願つて、そうして大臣が出席をすることができるのは—ただちに出席ができると思います。出席してから質問を継続していただく、こういうことにしてきようはやりましよう。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 腹痛の問題につきまして、石田氏から意見が述べられましたが、十分御静養願うべきであり、しかもその期間について本委員会は制限を付しておりません。責任ある大臣が政府の意のあるところを述べられなければ、われわれの質疑はすべるわけです。従つて、責任大臣が出席されるまでこの委員会が休憩される、従つて私の動議は採決されて、委員会の議事規則に従つての処理をせられたい。休憩の動議を提出いたします。

田中伊三次自由党

○田中委員長 そうむずかしく……。     〔「動議採決」と呼び、その他発言する者あり)

森山欽司改進党

○森山委員 きのうの理事会の打合せでもつて、来月の十日までにこの法案を上げるという点については、各党各派としては異論があつたのでありますが、大体そういうふうにおちついた。われわれはいたずらに審議を延引する細工は毛頭ないが、責任大臣がこの冒頭に出席することは、審議促進の意味から必要であると思う。従来の委員会のやり方で、委員長が何でもかんでも形だけの審議を進めるというようなことはおやめになつて、官房長官が来られるまで暫時休憩されることが今後の審議の上にもいいと思うのであります。但し、審議の過程にあつて責任者の御出席が不幸にして十分でなかつた場合には、十日というお約束についてのわれわれの自省ある態度と相反するものである。そういう点は、委員長も責任を持つていただきたい。また倉石委員のされている質問も責任ある政府からその答弁を求めるのが本旨であろうと思いますので、与党の諸君の多くもこれに同調されると思うのでありまして、単に形だけの審議をすることはこの際やめていただきたい。春日君の動議に私は賛成いたします。

田中伊三次自由党

○田中委員長 ちよつと速記やめて。     (速記中止〕

田中伊三次自由党

○田中委員長 速記を始めて。  それでは十分間休憩いたします。     午後二時三十七分休憩      ————◇—————     午後二時五十分開議

田中伊三次自由党

○田中委員長 休憩前に引続いて会議を再開いたします。  倉石君。

倉石忠雄自由党

○倉石委員 私の政府に対するお尋ねは、労働政務次官が政府を代表されまして御答弁なさつたのでありますから、私はそれで了承いたしておりますが、特に同僚諸君の一部から官房長官の出席を求められました。そこで従来私が政府にお尋ねいたしましたことをとりまとめて大体申し上げ、その後を継続いたしたいと存じます。  私は占領政策の是正というような風潮が一部にあるがもちろん国情に沿わない部分があるならば、これを改めることはけつこうであるが、そういうようなことを口実にして、いやしくも民主主義を破るようなことがあつてはならぬ。自由党の内閣もまた私どもと同じ精神であろうということをお尋ねしたのでありますが、その通りであるという御答弁であります。そこでその民主主義を守るという建前から申しますならば、民主憲法の精神である労使対等の精神もまたこれを尊重せらるべきものであるというお尋ねに対しても、政府は御同感のようであります。  そこで私は、労使対等の立場に立つてものを考えますのに、憲法の二十八条に、いわゆる労働基本権と憲法十二条の公共の福祉との関係についてお尋ねをいたしたのでありますが、政府当局を代表して労働政務次官は、二十八条の基本権はもちもん尊重せらるべきであるが、十二条の公共の福祉との調節をはかりつつやつて行くのが、政府の労働政策の建前であるという御答弁であります。これも私ども了承いたした次第でありますが、公共の福祉ということを理由にされるならば、何ゆえに電気と炭鉱労務者の保安要員引揚げだけを特に引出して、このたび単独立法をされたのであるかということかお尋ねいたしておる途中であります。私はまだ他の委員諸君も、政府の御答弁について十分に納得しておられないと存じますので、その点をお尋ねいたしたいと存じますが、公共の福祉を守らなければならないという建前であるならば、電気と炭砿の保安要員だけをここに引出して、特に単独立法をなさる必要を認めた理由を、もう少し詳細に承りたいのであります。

緒方竹虎自由党国務大臣

○緒方国務大臣 公共の福祉その他に関する前段の御質問に対する政務次官からの答弁は、今承りましたところ、私も全然同様に考えております。しからば、公共の福祉を守るために立法するならば、何ゆえに電産、炭労の争議のみに限つたかという御質問でありまするが、これは昨日来、本議場でもたびたび繰返して申し上げましたように、昨年冬の電産、炭労のストが、日本においてはもちろん、世界的に見ましても、あまり類例のないほど長期にわたり行われまして、その結果国民生活あるいは経済の上に及ぼした影響が非常に大きい。今後同様のストが繰返されることは避けたいのでありまするが、もしそういうストがかりに行われましても、その国民生活に及ぼす脅威と損害をできるだけ少くしたいということから考えついた立法でありまして、まつたく昨年の電産、炭労両ストの経験にかんがみまして、しかも憲法二十八条の争議権に関する基本人権を尊重いたします趣旨から、いわば応急立法的にこれに関するものを制定いたしたような次第でありまして、今後これに類似の大がかりのストが起らないことを希望いたしまするとともに、同様の制約をほかの争議に加えて行こうというようなことは、今のところ全然考えておりません。

倉石忠雄自由党

○倉石委員 私は今の御答弁を承りますとはなはだ不徹底であると存じます。このたびの立法措置を考えられた政府のお考えが正しいか正しくないかということは、これからわれわれが審議検討した上で決定することでありますが、ただいまのお答えによれば、電気と炭労の保安要員の問題に限つてのみ単独立法をお考えになつたと言われるのであります。けれども、今までしばしば本会議でも問題になつておりますように、労働関係調整法や鉱山保安法によれば、明らかに非合法なりといわれておる行為を特に抜き出して単独立法をする必要がどこにあつたかということであります。もしほかの、たとえば金属鉱山の保安要員、こういうものが引揚げた場合には、それもやはり労働関係調整法によれば、これは非合法行為なのである。しかるにこのたび特に炭労の保安要員だけをピック・アップして、これを非合法なりといつて確認いたして規定を設けられるというならば、他の鉱山の保安要員が炭労と同様なストライキを行いましたときにおいては、政府はこれにどういう処置をおとりになるお考えであるか承りたい。

緒方竹虎自由党国務大臣

○緒方国務大臣 他の業種におきまして、昨年の電産、炭労のストライキに比するほどの長期、大規模なストが行われまして、その及ぼす脅威あるいは損害が、これまた昨年同様の規模にわたりましたときには、その際において政府は考えなければならぬと存じております。

倉石忠雄自由党

○倉石委員 そういたしますとをかえて申しますと、交通事業に対しては、将来昨年のようなストライキがあつた場合には、何らかの措置を考えなければならないという政府のお考えであるというふうに了解してよろしいかどうか。ガス事業あるいは私設鉄道等は、国民の日常経済生活に非常な影響を及ぼすものであることは当然であります。そういう点について政府の明快なるお答えをお願いいたします。

緒方竹虎自由党国務大臣

○緒方国務大臣 あらかじめ争議を予想して、ただいまお述べになりましたような公益事業の業務全般にわたつてスト権を制約するような立法をする考えは、今のところございません。

倉石忠雄自由党

○倉石委員 およそ私ども国会議員が立法に携わる場合に、法理論的に考えてみますならば、既存の法律を改正することによつてその目的を達せられる事案でありましたならば、その既存の法律を改正するのが純理であります。しかも先ほど来ここでしばしば論議されております労働関係調整法あるいは鉱山保安法、公共事業令等の改正によつて、これらのことは十分に取扱い得るのである。しかるにこういうふうに単独立法をおやりになるということになると、今官房長官の申されました他の公益に関係のある事業が問題になつて参りましたときに、一々それに単独立法の処置をとらなければならなくなるではないか。私どもは、既存の法律を改正することによつて、十分目的を達せられるのでありますから、このような単独立法を考えられた政府の態度ははなはだ軽率であつたと思いますが、政府の御答弁を願います。

緒方竹虎自由党国務大臣

○緒方国務大臣 政府としましては根本的に労働権に関する個人人権、憲法二十八条に規定いたしまするところの人権をどこまでも尊重いたしまして、争議を制約する考え方におきましても、なるべく最小限の制約にとどめたいというのが趣旨であります。将来どういうストが起るかわかりせんが、労働者の良識と自制にまつて、昨年のような大規模かつ長期のストの起らぬことを希望すると申す以外にないのでございます。

倉石忠雄自由党

○倉石委員 私のお尋ねが、ちよつとわからなかつたかもしれませんが、既存の法律を改正することによつて十分その目的が達せられるのに、どうして単独立法の措置を選ばれたかという、その根拠を私は伺つておるのであります。

緒方竹虎自由党国務大臣

○緒方国務大臣 これはまつたく昨年の電産、炭労両ストが今までに例のないほど大規模でありまして、それの社会的に及ぼしました脅威と損害に対しまして、公共の福祉という観点から、これはほうつておけないと考えました結果、単独立法を行つたような次第であります。

倉石忠雄自由党

○倉石委員 どうもはつきり了解できないのでありますが、御承知のように労働関係調整法第三十六条によつても、それから鉱山保安法—たとえば鉱山保安法には、人に対する危害防止、鉱山施設の保全、鉱害の防止などについて必要な事項を守らなければならないと明確に規定しております。また公共事業会第八十五条によれば電気事業に従事する者が正当の理由なくして電気の取扱いを行わず、また不当の取扱いをなしたるときは云々、というので、厳重なる処罰規定を盛つているのであります。このような明確な法律が存在しておるのに、違法ときまつておる行為を何ゆえに単独立法で明確化しなければならないと考えたかという、その政府の理論的根拠を伺つておるのであります。

緒方竹虎自由党国務大臣

○緒方国務大臣 これはまつたく昨年のストが類例のないものでありましたにつきまして、特別の措置をいたしたのであります。

福田一自由党労働政務次官

○福田政府委員 官房長官の御答弁を補足いたしますと、昨年の暮れにああいう争議が行われまして、社会通念として、一般の者はこれは違法である、非常に迷惑するということを考え、政府としてはこれを法律的に違法である、そういうように解釈いたしたのでありますが、その当時においても、組合側はこれを適法であると主張せられ、またこれを行おうとされる寸前において、やまつたような事情であります。その後の状況を見ましても、なお組合側ではこれを違法ではない、適法であると考えられておるのであります。また社会の一部におきましてもそういうような考えを持つておられる人もありまして、ここに疑義を生じておりますので、これを明確にいたすという意味合いにおいて、この単独立法をいたしたのであります。

倉石忠雄自由党

○倉石委員 政府のお考えはよくわかりました。そこで、政府はそういうお考えで単独立法の処置をとられたのであるというただいまのお話でありましたが、それならば、昨年の炭労ストは、緊急調整の発動直前において停止せられたことは、皆様御承知の通りであります。緊急調整という労調法の制度というものは、われわれが前国会においてあらゆる各度から十分なる検討を加えて、そうして世論たまたま紛々たるものがあつたのでありますけれども、前労働大臣の吉武君は非常な努力をされまして、私どもと十分なる調査研究をいたした上で、ああいうりつぱな制度を設けた。しかもそういうものをただ一回発動しただけで、全然今度のような場合に考慮に入れることなくして単独立法をやられるということは、少くとも私は労働政策としてはあまり賢明なやり方ではないと思う。労働関係調整法で、十分にこの労働争議については処置をとられ得るはずであります。この労調法を考えられずに、独単立法の処置をとられましたことは、政府のお考えなさつておいでにたるところはわかりますけれども、私どもとしては、はなはだ拙劣なやり方であると、今度の単独立法のお考えについては考えざるを得ないのであります。そこで、この労調法三十六条及び鉱山保安法あるいは公共事業会等で十分に違法なりとわれわれが認定し得る事案について、単独立法の措置を講ぜられたが、他の公益事業についてはいかがかということを、今政府にお尋ねいたしましたところが、ただいまの場合そういうことを考えておらないという御答弁であります。しかしながら、そこで私が伺いたいと思いますのは、今この鉱山労働者及び電気産業労働者に対して、部分的にストライキ権の制限を加える—ストライキ権の制限を加えるといえば語弊があるかもしれませんが、違法なりとされているところを特に立法措置を講ぜられたのであります。けれども、この二つだけ特に抜き出して今やらなければならないと思われる差迫つた客観情勢を政府はどういうふうに見られたか。つまり、こういうものを今のうちにやつておかなければならない事態になつているということをお考えになつて、立法化を考え出されたかどうかということについて承りたいのであります。

福田一自由党労働政務次官

○福田政府委員 その点については先ほど申し上げたところでございますけれども、昨年の争議の後におきましても、これが違法でないというような見解のもとに組合側の方々は考えておられるように承知いたしておるのでございます。しかもこの二つは、特に電気の場合におきましては、これは日常生活に欠くべからざるものでありまして、そうして停電をされるということは、国民生活を大きく脅かすものでございます。こういうようなことがはつきりと違法であるということになりますれば、それで国民生活は一応その不安をなくして行くわけでありまして、そういう意味合いで、この不安を解消するということと、私は一日もすみやかにしておいた方がいいと考えるのであります。また鉱山保安要員の引揚げでございますが、この面においてもわれわれは違法であると考えておるのでございますが、この点についても見解の相違がございますので、これもまた争議が起つた場合に保安員の引揚げなどをいたしますと、鉱山が荒廃してしまうような重大な結果が起り、国民の精神上にも、打撃といいますか、不安といいますか、そういうものが非常に大きいものであり、また産業全体にとりましても大きな影響を与えて参りますので、こういう意味合いにおいて、これもなるべくすみやかに解消いたしておいた方がよろしい、こういう見地に立ちまして、実はこの法案を立案いたして御審議を願つておるわけでございます。

倉石忠雄自由党

○倉石委員 ただいまの御答弁を承りますと、私どもはもう一ぺん伺わなければならなくなるのであります。国民の経済生活に不安感を与えない、それを除去するためにあらかじめこのような立法をすると言われるのでありますが、それならば、国民生活に最も密接な関係のある、先はど申しましたガスや私鉄などのことを、どうして考慮に入れられないか。この炭労と電気が近く起るであろうと予想をされて、あらかじめその手を打たれるというふうな考え方であるのか。そうではなくて、公益ということだけを考えられるならば、ついでのことにもう少し入れたらどうかということを、私どもは考えざるを得なくなる。そのことのよしあしは別でありますが、そうでなければ筋が通らぬのであります。政府はそういうことについてお考えがないかどうかもう一度私は念のために伺つておきます。

福田一自由党労働政務次官

○福田政府委員 ただいまこの法案において規制しております以外のものについて、そう関連性を考えるかどうかということでありますけれども、私たちとしては、そういうような組合の権利といいますか、労働者の権利を侵害するというか、規制するような法律は、なるべくならばやりたくないという気持が一つ。もう一つは、実際に昨年のようなストライキが、ほかの産業において起きておる例がないのでございます。今後も組合並びに労働者の良識に基いて、そういうことが行われないことを期待いたしておるのであります。そういう意味合いで、あわせてここに全部を規制するという考え方をとらず、二つを抜き出してはつきりいたすということにいたしたわけでございます。しかしながら、将来そういう問題が起きました場合においては、これは当然問題になり得ることであります。また起きない場合においても、今申されましたようなお考えに基いて、研究をすることは考えられますけれども、さしあたりは、私たちとしてはなるべく組合の権利を擁護するという建前、並びに一方においては、国民生活を擁護するというか、公共の福祉を守るというこの二つの目的で、本案を出しておるわけでございます。

倉石忠雄自由党

○倉石委員 違法であるときわめて明確になつておることを、特に確認規定のようなものを設けられることが、今度の法律でありますが、特に第三条を設けられた精神を、私はちよつと伺つておきたいのです。第三条というものは、全然他の法律と重複したものであります。立案当局のお答えをお願いいたします。

齋藤邦吉労働事務官(労政局長)

○齋藤(邦)政府委員 この法律案の第三条でございますが、これは私が申し上げるまでもなく、現行法におきましては、労調法第三十六条によりまして、鉱山における人に対する危害を及ぼすようなものは違法である、こう解釈されておつたわけでございます。そのほかに、第三条に掲げてあります「鉱物資源の滅失若しくは重大な損壊、鉱山の重要な施設の荒廃又は鉱害を生ずるもの」というものは、御承知のように、組合法第一条第二項によりまして、正当ならざる行為であると解釈をいたしておつたのでありますが、これによつてその解釈の範囲を限り、明文化するということが必要であろうということで、かよう条文にいたした次第でございます。すなわち組合法第一条第二項は、正当ならざる争議行為は違法性を阻却されないということを言うておるだけでございますので、そのものが石炭鉱業における保安業務と具体的にどいうふうに関係を持つかという具体的な範囲を明記しこれを限定しよう、こういう考えから、この第三条ができておるわけでございます。

倉石忠雄自由党

○倉石委員 政府も御承知のように、ただいま日本の労働組合で一番大きな総評の中の四単産は、分裂しております。これらの諸君は、私どもから見ましたならば、きわめて健全なる労働運動を展開して行こうという、われわれがこれをお助けしなければならない、りつばな組合であると考えられるのであります。せつかくそういうような組合が存在をして、とかく左派的傾向に流れようとしておる今の総評の指導部と、思想的に分裂しかかつて、りつばな労働組合をつくろうとしておるようなやさきに、不必要な今回のような立法措置を講ぜられるということになると、必然的に彼らの立場から、本案に対する反対の機運を醸成して来る。そうして不健全なる人々と合体する傾向にあることは、労働省当局も御承知の通りであります。緊急やむを得ずして、こういう立法措置を講じなければならないというならば、やむを得ないかもしれませんけれども、今まで政府の御説明を承つても、さほどわれわれは適切でないと考えておる。本案のごとき立法をされることは、労働政策としては賢明なる方法でないと思います。私は現在のような段階において、かくのごとき法案を提出するということは、少くとも賢明な策ではないと思うのでありますが、政府のこれに対するお考えを承りたいのであります。

福田一自由党労働政務次官

○福田政府委員 ただいまのお説にございますところの、組合運動の健全な発達という意味が、違うかもしれません。自由党として考える場合と政府として考える場合は、若干そこに相違があると思うのであります。われわれとしては、組合運動の健全な発達ということは、こいねがつておるものでございます。しかし政府がこれに介入をする、こういう問題に積極的に介入をして行くというような考え方はとつておらないのでございます。もちろん話合いをいたしまして、いろいろ理解を深めて、これを健全に持つて行くというやり方については賛成でありますが、そういう意味から見まして、労働運動にこれがどういう直接的な影響があるかということを考慮に入れて、その建前からのみ判断いたしまして、法律をつくるとかつくらないとかいう考え方をすることよりは、国民全般の公共の福祉というものを考えて、これが必要であるという場合におきましては、私たちとしてはその建前で法案を立案することが必要である、かような意味において本法案を出したものであります。労働組合運動の問題とからませて立案をとるというような考え方は、持つておらないわけでございます。

倉石忠雄自由党

○倉石委員 私一人で独占してはいけませんから、御遠慮いたしまして、労働大臣がおからだがなおられたときに質問いたすことに保留いたしまして、最後に一点労政当局に伺いたいのであります。この電気ストライキを制限する場合に、先ほどスィッチ・オフのお話がおりましたが、スイッチ・オフは積極的にこれは電気の送電を停止する行為でありますが、ウォーク・アウト—消極的に退却して行くという場合は、これも本案の対象に入るのでありますか、どうか。

齋藤邦吉労働事務官(労政局長)

○齋藤(邦)政府委員 第二条におきましては、ただいま御指摘のありましたようなスイッチ・オフをすることにつきましては、従来も違法と考えておつたのであります。これと同様な効果を生じ、電気の供給が阻害されるような、いわゆる職場放棄、これも第二条によつて規制しよう、かように考えておる次第でございます。

石田一松改進党

○石田(一)委員 私はただいまの倉石委員の質問に関連しまして、官房長官にちよつとお伺いしたいと思います。  今回の法案は、争議行為の方法の一部を制限するものであつて、全部を制限するものではないというような御見解と承りましたが、しからば政府は、争議行為とはいかなるものであるという見解に立つて、本法案を立法されていらつしやるのか、この点を伺いたいのであります。

齋藤邦吉労働事務官(労政局長)

○齋藤(邦)政府委員 私どもの争議行為の定義でございますが、これにつきましては、労働関係調整法第七条の定義と同じでございます。すなわち「同盟罷業、怠業、作業所閉鎖その他労働関係の当事者が、その主張を貫徹することを目的として行ふ行為及びこれに対抗する行為であつて、業務の正常な運営を阻害するものをいふ。」こういう定義がございますが、その定義と同じ定義でございます。

石田一松改進党

○石田(一)委員 ただいま齋藤政府委員のおつしやいました答弁によりますと—これは官房長官の答弁と心得ていいのだと私は思いますが—そういたしますと、業務の正常な運営を阻害する行為が争議行為であるはずであります。にもかかわらず、今回提出されておりますところのこの法案によりますと、正常な業務を阻害する行為を制限する、こういうのであります。そういう争議行為をしてはいかぬというのであります。そうすると、同じような法律の中で一つのものに対して相反したことを規定するという結果が生れるのじやないのか、この点について官房長官の御所見を承りたい。

齋藤邦吉労働事務官(労政局長)

○齋藤(邦)政府委員 私が申し上げるまでもなく、御承知のように、労調法第七条の定義は争議行為の定義でありまして、その争議行為が適法であるか、違法であるかということは別問題でございます。すなわち、ただいま御審願つておりますこの法律は、電気事業等における争議行為のうちで、このものは正当性のない争議行為であるということを明言しようというのでありまして、先ほど私が申し述べましたものとは、何ら矛盾いたしていないと存じております。

石田一松改進党

○石田(一)委員 これは特に官房長官にぜひ直接答弁していただきたいのですが、前の議会で、いわゆる争議の緊急調整というものが立法されたのでありますが、これによりまして、はたして政府は争議行為というものが長期化しないで、短期間のうちに円満に解決し、公共の福祉を守るという目的を達したかどうか。私は、むしろこの緊急調整あるがために、先般の電産ストあるいは炭労ストというものは長期化した、こう考えておるのであります。今回提案されましたこの電気事業及び石炭閣業における争議行為の方法の規制に関する法律案がかりに施行されたあかつきに、この目的としているところの公共の福祉を守り得、実際的に争議の解決が短期間でなされ、しかもこれが円満になされ得るというお考えであるかどうか、この点をお伺いしたいのであります。

緒方竹虎自由党国務大臣

○緒方国務大臣 お答えをします。緊急調整によりまして、短期間で争議が歩み寄りして解決できたとは考えませんが、昨年の経験に徴しまして、緊急調整が確かに有効であつたということは申し得ると思う。  それから緊急調整があるために争議が長引いたとは考えません。やはりああいう緊急調整のごときものは容易に発動すべきものではない、ある時期に達したときにのみ発動すべきものでありまして、あの法律があるために争議が長引いたということは申し上げられないのであります。  それからもう一つは、私いこれは予防的意味において効果があると思います。

石田一松改進党

○石田(一)委員 予防的意味において効果があるとおつしやるのですが、私のお聞きしたいのは、この法律ができますと、炭鉱なら炭鉱で、保安要員の引揚げとか、その他あらゆる争議行為が第三条において制限されておりますので、争議の最後のきめ手というものは労働者側では出ないはずであります。そういたしますと、経営者側としては今までよりか、むしろいかなる団体交渉にも応じない、そんなものは受付けないという態度をとつて参りましたところで、それほど痛痒は感じないのであります。労働者側としては、最後のきめ手というものがない、ほかに打つ手がないのでありますから、荏苒争議期間を長引かすのみで、結局労働者の争議行為というものはその実効をあげ得ない、そのまま長期にわたつて、まことに不穏な形のままで争議行為が継続される可能性が、この法律によつて生れると思うのでありますが、官房長官はどうお考えでありますか。

緒方竹虎自由党国務大臣

○緒方国務大臣 政府といたしましては、昨年のような長期かつ大規模な争議が繰返されないことを、公共の福祉の立場から希望するのみでありまして、争議の最後のきめ手が労働者側になくなると言われますが、私あまり争議についたよく知りませんけれども、まだいろいろあるようであります。

齋藤邦吉労働事務官(労政局長)

○齋藤(邦)政府委員 私が申し上げるのもいかがかと思いますが、御承知のように石炭につきましては、採炭ストを全然禁止はいたしておりません。  それから電気事業につきましては、これによつて争議行為の方法について制限を受けますのは、全労働者の約二割程度でありまして、残りの八割の方方にとりましては、非常に有効な争議手段が残されておる。たとえば検針ストあるいは集金ストその他の有効な争議手段が残されておると考えております。

石田一松改進党

○石田(一)委員 今の御答弁は、よく世上ではそういうことが言われております。しかし、従事する従業員の数は、事務系統の従業員に比して全体の二割程度であり、その二〇%程度の者の職場の争議行為を禁止するのだから一部分を禁止するので、その地たくさんの者には残つておるとおつしやいますが、電気事業というのは、電気を発電して供給するということが主たる目的の事業でありまして、ほとんど機械的に進歩したために従業員の数が少いだけであります。ただ残念なるかな、集金などという制度は機械をもつてやることはできないのでありまして、人間が一人々々歩いて一軒々々まわらなければ金は集まらないのであります。であるから、要するに会社に占める人員数は多いのでありますが、これは電気をつくり、供給することに付随した補助的な事務でありまして、電気事業の主たる業務は、発電事業であり、供給事業であります。これの従業員が二〇%だから、わずか一部分を禁止するのだ、あとの残つた八〇%の者の争議行為はあるのだから、これは一部分であつて争議行為は幾らも残つておるとおつしやいますが、それではもう一ぺん伺います。ただいま言われたところの集金ストとか検針ストというものを長期にわたつてやつたら、これは公共の福祉には何の害もないとお考えになつておりますか。電源ストとか停電ストとかいうものは公共の福祉に悪い影響を及ぼすというが、検針ストとか集金ストというものをやつて、五箇月も六箇月もほつたらかしておいて、これがただになるのならばけつこうです。五箇月、六箇月ほつておいても、あとからまたまとめてそつくりとりに来るのですから、そういうことをやらずに毎月々々とりに来てもらつた方が、とられる方にとつては便利なんです。こういうことはやつてよいのですか、政府の考えを伺いたいのです。

齋藤邦吉労働事務官(労政局長)

○齋藤(邦)政府委員 私が先ほど申しましたのは、そうした争議手段が残されておるということを申し上げただけでありまして、奨励したものではないのでございます。五箇月も六箇月も続く云々というお尋ねでありますが、そうした仮定のことはわかりませんけれども、もしその事案が、いわゆる労働関係調整法による緊急調整といつたような事態になりますれば、そういうことになりましようけれども、私どもの方といたしましては、争議行為は当事者の主張を争議に反映するための手段でありますので、みだりに関与するものではないと存じております。この法律案のねらいとするところのものは、すなわち停電という争議行為が、労使双方にあまり痛くなくて、第三者の国民にだけ迷惑をかけるこの事態に対処して、いわゆる争議権と公共の福祉というものの調和をはかつて行こう、こういう考え方であるということを御了承願います。

田中伊三次自由党

○田中委員長 石田君、ちよつと申し上げます。予算委員会が副総理の出席を求めております。これは各党共通のものであります。そこでまだ二、三質問が残つておりますので、大急ぎでこの対憲法関係その他副総理のお答えになるのに適当な質問を先にお願いいたします。

石田一松改進党

○石田(一)委員 委員長のお言葉はまことにごもつともですが、予算のことも必要でしようが、予算はたしか総括的な審議は済んでいる。それは各省担当の事務官か何か来て答弁していればいいのです。本法は今提出されたばかりでありまして、これは重要な問題であるから、ほんとうは総理大臣にも来てもらいたいくらいで、何も予算委員会に遠慮することはありません。本委員会は本委員会として独自の権限と権威において堂々とやつているのですから、そんなことは予算委員会に遠慮することはありません。予算委員会の官房長官ではありませんから、そのおつもりで……。  では、ちよつと私は簡単にこの際最後にお尋ねしますが、今回のこの法案の、特に炭鉱の方の問題ですが、これは労調法の八条による公益事業というもの中には入つておらないのであります。要するに公益事業というものに指定されると、経理面とかあるいは炭価の問題とか、これは通産省あるいは政府あたりが相当に関与するところの権限が政府に与えられる。公益事業というものは、一応公益事業として認められる利益があるかわりに、政府の権力というものが経営に幾らか、参画する、こういうことで義務を負う。本案には、石炭事業なるものはまことに国民の日常生活に相当な影響を及ぼす重大なる基本的産業であるというふうに、さながら公益事業以上の公益事業のごとく取扱われておるが、労調法においてはこれが公益事業とはなつていない。しかも労調法の第八条の第二項はで、内閣総理大臣は、前項の事業の外、国会の承認を経て、いつでもこういう重要産業は公益事業とすることができるのです。にもかかわらず、石炭だけをほうつてある。そうすると結局石炭事業というものは、もうける方の経営方面では自由自在にやらせておいて、労働者の権利を制限するという都合のいいときには、これは公益事業、公共の福祉に影響するというので、水道とかあるいはガスというものに対しては、倉石君の質問に対して、まだそういう法律をつくる考えは持つていないとおつしやつているが、公益事業以上の公益事業規されている。結局都合のいいときは公益事業とみなされ、自分たちの経営面で都合の悪いときは公益事業からちやんとはずしてもらつて、かつてほうだいもうけている。こういうことは政府の根本的方針なのかどうか、私はまことに、不都合千万だと思つております。もしこの法案を出されるならば、それと同時に、この労調法の八条の中に石炭鉱業というものが公益事業としてつけ加えられなければならぬ。にもかかわらず、この方だけはほうつておいて、この法案ではさながら公益事業以上の保護を受けようとしている。先ほどの倉石君からの質問に対しての答弁が、どうもはつきりのみ込めなかつた。既存の労調法とか、公共事業令とか、また鉱山保安法とか、こういうものの一連の改正によつてこの目的は達せられるにもかかわらず、新たにこの立法をしなければならなかつた理由はどこにあるかと言つても、はつきりした答弁を聞かれなかつたのであります。私は、ここにあらためてこうした立法をしなければならなかつた大きな理由は、石炭鉱業を公益事業に指定しないで、公益事業以上の利益を法律によつて与えようとする陰謀があるから、新たな立法をしなければ間に合わなくなつたのだ、こう解釈する以外には解釈のしようがないと思いますが、この点について、政府はなぜ公益事業に石炭を指定しないのか。今度のようにこうした立法をするならば、他の公益事業と同じようにこれが取扱われなければならぬのに、石炭鉱業のみが特に保護されている。この点については、その関係のオーソリテイも委員の中にいらつしやるので、あまり出しやばつても馬の耳に念仏と思いますが、特にこの点について政府のお考えを聞いておきたいと思います。

齋藤邦吉労働事務官(労政局長)

○齋藤(邦)政府委員 御承知のように労調法の公益事業と申しますのは、国民の日常生活に関係ある事業を指定いたしておるのでございます。従いまして、この石炭鉱業につきましては、公共事業に指定しようなどという意思は毛頭持つておりません。従いまして、この法律案によつて規制されておりますものは石炭鉱業における採炭ストというものをとめるのではありませんで、ただ最後に残つております保安業務だけをひとつ御遠慮願いたいというのであります。すなわち石炭鉱業の国民経済の中において占める重要な国家資源であるという観点に立つて、鉱山まで破壊するような争議行為だけは御遠慮願いたいということだけを申し上げておるのでありまして、石炭鉱業における採炭ストを禁止するというのでは全然ございません。労調法にいわゆる公益事業以上のものを石炭鉱業に与えようという意図は、全然持つていないのであります。

田中伊三次自由党

○田中委員長 石田君、倉石君の質問がまだ継続しておりますから、関連の限度でやらないと困ります。

石田一松改進党

○石田(一)委員 それでは政府委員にお尋ねいたします。今提出されている法案の第三条は「石炭鉱業の事業主又は石炭鉱業に従事する者は、争議行為として、鉱山保安法に規定する保安の業務の正常な運営を停廃する行為であつて、鉱山における人に対する危害、鉱物資源の滅失若しくは重大な損壊、鉱山の重要な施設の荒廃又は鉱害を生ずるものをしてはならない。」、こういうのですが、齋藤政府委員は、保安要員を引揚げることだけを禁止しているのであつて、石炭を掘るの掘らないのといつてその日から従事しない、要するにストとして就業しないということを禁止しておるのではないとおつしやつたが、第三条のこれだけの条文があつたならば、今後山の労働者は争議行為としては必ず石炭を堀らなければこの目的は達せられないということになる。通風の問題だとか、あるいは水をあげなければならぬ問題だとか、石炭を掘ること自体によつて炭鉱の中の空気とか何かが清浄化されるということもあり得るし、経営者側が保安要員のいる場所々々を自分で責任をもつて保安設備をちやんと守るという気持でやるならば、保安要員が引揚げても山は荒廃しないし、つぶれてもしまわない。結局はただただ労働者の正常業務というものを規制するためにこの法案を立案されたのだ、この中には恐るべきものが含まれておる、こう思うのですが、いかがですか。

齋藤邦吉労働事務官(労政局長)

○齋藤(邦)政府委員 御承知のように第三条は、鉱山保安法に規定する保安の業務の正常な運営を停廃する行為であつて、鉱山における人に対する危害、鉱物資源の滅失もしくは重大な損壊、鉱山の重要な施設の荒廃または鉱害を生ずるような行為を争議行為としてしてはならないということを申し上げておるにすぎないのでありまして、掘ることをやめるといういわゆる採炭ストは、何らこの三条においては禁止されておりません。従つて第三条の運用によつて、広く禁止されるかのごとき御意見でございましたが、この点は全然心配がないと存じております。

石田一松改進党

○石田(一)委員 これは政府委員が、この法律を審議するときに、いくらいかなる答弁をしましても、—公労法の第十六条、第三十五条の関係であると政府当局ははつきりと決定したことが、さて実際に法律になつたら、全然それと正反対の解釈がなされて、何ら立法当時の政府の答弁が役に立つておらぬ。結局こういうあいまいな字句をたくさん並べることによつて、今後解釈を非常に広範囲にされる。あなたが今おつしやつたけれども、採炭ストというものが「鉱物資源の滅失若しくは重大な損壊」これになりませんか。採炭スト自体が鉱物資源の滅失を及ぼし、重大なる損壊を及ぼすことなのです。採炭をとめるということが、こういうことに解釈されるおそれがある。むしろ保安要員の引揚げはいけないというのだつたら、保安要員を引揚げてはならないと言つたら、それでいいじやないですか。こういうような文句をつけておるところに、解釈を広げて、今後この解釈のいかんでは、炭鉱の労働者は一切のストができないということになります。私はそのことをおそれるのであるから今聞いておるのですが、今後そうした字句によつてこういう解釈が広げられないとお考えですか。

齋藤邦吉労働事務官(労政局長)

○齋藤(邦)政府委員 御承知のように、資源の滅失と申しますのは、炭鉱爆発等によりまして、石炭を滅し失う、こういうことであります。また資源の損壊ということになりますれば、その資源が資源としての効用を害せられることでありまして、石炭を堀らすということを、これによつて禁止するとは私どもは解釈いたしておりません。私の方といたしましては、むしろ鉱山保安法によりまして、保安業務の範囲というものは明確に定められておりますので、私といたしましては、法律の用語といたしましても、はつきりしておると存じております。

石田一松改進党

○石田(一)委員 私のこの点については、まだ疑義があるのですが、それならば保安法の規定行為というならば、文章的には非常にあいまいな点があると考えておりますが、これは後日に譲りまして、一応官房長官に対する質疑は打切つて、留保しておきます。

田中伊三次自由党

○田中委員長 それでは倉石君の質疑に関連する限度において菊川君。

森山欽司改進党

○森山委員 議事進行について……。官房長官が御答弁になられるということについて、倉石君の関連質問はけつこうでございますけれども、今日の段階において、特に政府の責任ある者、すなわち労働大臣とか、官房長官の意見を聞きたい。みんな冒頭質問を持つておるわけであります。従つて関連質問関連質問といつてやつて行かれますと、本来のルールによる質疑はできません。ですから、むしろこの問題は、主として官房長官の回答を要する事項をそれぞれの質問順序によつて、おやりになることを私は求めたいと思う。それでなければ、今われわれがこうやつて待つている必要性がないと私は思うのです。一体関連質問が終つたら、あとの質問をどうされるのであるか伺いたい。すでに通告してある質疑がその他にあるのでありますから、各党すでにその順序によつて官房長官の答弁を要る事項について、各委員から質問をされるというやり方をとられんことを希望します。従つてきようは大体倉石君の官房長官に関係の質問は一応これで終つたという形でもつて、それぞれの委員が持つております事項を官房長官に聞くという形をとつていただきたい。決してこれは関連じやない、独自の立場においてそうやつていただきたいと思う。何ゆえ一体倉石君の関連質問だという形で、この順序をあなたがかつてにやられるのか、御答弁を願いたい。

田中伊三次自由党

○田中委員長 委員長からお答えいたします。倉石君が第一順位で質問をしておられます。その質問の事項に関連をして官房長官にお尋ねの事項があれば、便宜お尋ねを願いたい。こう考えますのは、予算委員会が非常に長官の出席を求めて待つておる、こういう事情にあるものだから、大急ぎで関連の限度において質問をしていただきたいという議事進行の方法をとつておるわけであります。委員長としては、これは名案でございます。先ほどから言つている通り、関連質問というのが、関連の限度において質問をせられないから、あなたのような御意見が出て来る。あなたの御意見もごもつともと思います。そこで関連の限度を私の方で制約するように努力いたします。関連の限度を越えると質問を許さないようにいたします。

森山欽司改進党

○森山委員 関連質問が終つたら官房長官は帰るのですか。

田中伊三次自由党

○田中委員長 お答えいたします。適当にいたします。  菊川君。

菊川忠雄日本社会党(右)

○菊川委員 私は倉石君の、質問に関連して、二、三点官房長官にお答えを願いたいのでございます。なお私の質問の順位が来ましたら、官房長官に、ほかの問題において質問することを保留しておきます。  第一は、公共の福祉と労働基本権、特にその中の団体行動の権利、ストライキの権利の関連でありますが、最近労働立法の面におきましては、ことごとに公共の福祉という名のもとに、労働者の基本権が制限される傾向が顕著となつておるのであります。その明瞭な例は、かつての国家公務員法が制定されるときの例であります。これがやはり公務員の福祉を増進するという名のもとにできた法律であつたけれども、しかしながらその場合において、公共の福祉という名のもとに公務員の労働基本権は奪われたのでございます。ところが実際においてはその後の国家公務員法の運用が明らかに示しているように、なるほど人事院の勧告はあるが、給与その他の面においては、ほとんど政府はこれを無視しておる。従つて、国家公務員法は、結果において公務員の諸君の労働基本権を奪う結果になつて今日運用されていることは、おそらく政府の立場においても否定いたされないと思うのであります。そういうふうな点からいたしまして、今回また本法案で、公共の福祉という抽象的なものを持ち出して、争議行為の規制をやろうということでありますが、おそらくその結果は、また単に争議行為を使うと使わぬとにかかわらず、労働組合に持たせておくことによつて、労働組合はきわめて有効なところの戦術の基本になるべきものを奪われてしまう。従つて、結果においては対等であるべきところの労使関係において、ちようど、かにのつめをとつたようなかつこうに追い込んで行くという一つの弾圧法の結果になるとわれわれは認めておるのでありますが、一体公共の福祉と労働基本権という関係はどういうふうにお考えになつておるか、この点をお尋ねしたいのであります。憲法の条文によつて、どちらが上とか下とかいう憲法の解決をお尋ねしようというのではございません。ややもすれば公共の福祉というものが、すべての基本的人権の中で、一方に不利な場合においてはそれを奪つて行くということの口実に使われておる今日の傾向では、公共の福祉即かつての全体主義の一つの別の名目になりつつあると思うのでありますが、一体そういう危険性はないものか。現実にそういう危険があるとわれわれは見ておりますが、それをないとお認めになるか、この点を最初にお尋ねいたしたい。

緒方竹虎自由党国務大臣

○緒方国務大臣 憲法第二十八条の勤労者の団結する権利、交渉その他の団体行動をする権利、これの尊重すべきことは申すまでもなく、また今回の立法にあたりましても、この二十八条の尊重ということには特に意を用いたつもりでありますが、それにいたしましてもすべての権利は、憲法第十二条にありますように、すべての憲法が、国民に保障する自由と権利は、公共の福祉のためにこれを利用する責任を負うということでありまして、労働権、労働争議権、団結権等もこの中に含まれざるを得ないのでありまして、その争議権と公共の福祉との調和をどうやつて行くかということが、今回の立法の要点でありまして、政府で慎重に検討いたしました結果、この法案に盛りました形の調和をすることが憲法の趣旨にも反せず、また公共の福祉を擁護するという意味にも沿う、そういう解決によつた次第であります。

菊川忠雄日本社会党(右)

○菊川委員 私、憲法の解釈を伺おうとは思わなかつたのですが、やはり憲法の解釈をなすつたようであります。それならば、なぜ公共の福祉を守るということが、単に一般国民のある部分である労働者のみに強制されるのか。争議というものには、相手があるのであります。従つて、公共の福祉を守るならば、同時に経営者自身も公共の福祉を守るような態度でもつて争議をやるべきである。また争議の解決については、そういう措置がとられなければならないのであります。憲法にもありますように、公共の福祉は一般国民がそれぞれ共同の責任をもつてやるべきものであつて、単に労働者のみが守るべきものではありません。しからば、政府のいわれる公共の福祉というものは一体何であるか。その中には労働者の大事な基本権というものは含まれていないのか。そのことについて、一体対立するものか。調和するというのであるが、調和する場合において、労働基本権というものはどういう形において尊重されるのか、その点を明確にお答え願いたい。

緒方竹虎自由党国務大臣

○緒方国務大臣 労働基本権労働争議権というものは、公共の福祉の広義の意義の意味におきましてむろん入つていると思いますが、ここに私が公共の福祉と申しておりますのは、部分に対する全般、一般の公共の福祉という意味でありまして、そういう意味においてこの立法をいたしましたのでございます。

菊川忠雄日本社会党(右)

○菊川委員 この憲法審議の際にも、公共の福祉という一つの抽象的な概念について、たくさん議論のあつたことは御承知の通りであります。しかも具体的な内容がほとんど明確に決定されないままで今日に至つていることも御承知の通りであります。そこでここに問題がぶつかつたのは、やはり公共の福祉の名において大事な労働者の基本権を制約する場合、この労働基本権が公共の福祉の中に占める地位というものは一体何であるかということが、今日の日本の一つの問題であると思うのであります。でありますからお尋ねするのでありまして、そこで具体的にお尋ねしたいと思います。たとえば公共の福祉のために労働基本権の一部を奪うことによつて、その結果争議が起つた場合は、たしてその争議の進行によつては争議が悪化するとお考えになるか。あるいはこの法律によつて、公共の福祉の名のもとに基本権の一部を奪えば、争議はかえつて悪化しないで解決するとお考えになるか、この点を一般的にお尋ね申し上げます。あなたは、争議についてはしろうとであるということでありますけれども、しろうとがこういう問題をいじるのはあぶないのでありますから、明確に御答弁願いたい。

田中伊三次自由党

○田中委員長 齋藤政府委員。

菊川忠雄日本社会党(右)

○菊川委員 政府委員には質問しません。     〔「官房長官だ」「政府委員はくろうとじやないか」と呼ぶ者あり〕

緒方竹虎自由党国務大臣

○緒方国務大臣 私はこの法案にあります程度の争議権の制約によつて、争議が悪化することはないと信じております。

菊川忠雄日本社会党(右)

○菊川委員 たとえば炭労の争議によりましてもわかるように、炭鉱のストライキは、占領下において、占領軍のカで、ある時期に超国家的なものが背景になつて調停をするというような場合には、なるほど長期にわたつていないけれども、自主的な交渉によつてとり組まれた場合の争議に至つては、長期化するのが各国における例でありまして、また日本においてもそうなるものとわれわれは考えているのであります。というのは、なるほど公益事業についていえば、鉄道がとまれば困るから、国民は問題にするでしようけれども、炭鉱の場合においては、貯炭がまず消化されて、そうしてそれが鉄道に響き、ガスに響く。というのは、そのときの貯炭事情いかんによるのであります。従つて先般の争議の当初のように七百万トン近くの貯炭があるといういうような状態でありますれば、当然争議は長期化するのであります。それが貯炭がもはや一箇月ももたなくなる、従つてこれが長引けば鉄道に響きガスに響くというようなことになつて、初めて国民は不安を感ずることになる。でありますから、本来長期化すべき性質を持つている争議を、いよいよ最後の輿論に訴えて解決はかろうというけれども、そこまで行くためには、労働組合の諸君は生活上非常な苦労をして長期争議にがんばるのであります。ですから、こういう争議の性質から見るならば、この力をもつて団結して、そうして輿論に訴え、しかも貯炭事情その他のために国民に不安を感じさせるということと相まつて、国民の輿論の深刻な批判も受けなければならなぬ事態に立ち至つたときに、一方に緊急調整というものがある。しかもそれを政府は発動もしないでこういうような状態に置いて、最後に、しからば自分の力はこのままでは尽きるというおそれがある場合に打つ手は何かというと、やはり経営者の急所をつく争議行為に出るほかはございません。なるほど保安要員の引揚げということは、違法かもしれぬ。しかしながら、違法であることがわかつておつても、争議をやる決意をしなければならない。それが先般の争議の行き詰つた状態であります。事実そういう状態があるにかかわらず、しかもそれは違法であるということをもう一ぺんここに裏書きするような法律をつくつてみても、そこまで追い込まなければ、結局、それでも何人かが違法であることを覚悟し、非合法に訴えてもやろうとうことになりますれば—組合は統制ある手段によつて、みずから働くところの山でありますから、それをあとあとまた復旧するにさしつかえない程度において、責任をもつて保安要員の引揚げもやるでありましよう。山をつぶしてやることに賛成する労働者は一人もありません。そういう統制ある争議行為をやることを認めておくのがいいか、それともそういう争議行為は一切いけないということにしておいて、事実はそこまで追い込んでおいて、そうしてその場合に起るところの個人的な非合法な手段、無統制に突発的にやるという事態が起らないという保証ができるのか、どちらか。一体それによつて争議を悪化さすというのか、それともこの法律案によつて安心だというのですか、この点であります。従つて、公共の福祉ということでございますけれども、結局それによつて労働運動が悪化し、労働争議が悪化し、そうしてこの争議がこのままで行くならば何か起るかもしれないという不安な状態に労働運動を追い込むことは、結果においてはより大きな国民の不安をそこにつくるゆえんでありますから、公共の福祉というものが逆に害されることになりはしないか。言いかえますならば、労働者が当然持つべき労働基本権を、公共の福祉の名のもとに弾圧した結果が、かえつて公共の福祉そのものを侵すことになるのではないか。こういう点がわれわれの心配する点でりますが、こういうことはないという御認識のもとに、この法律について今後はそういう悪化がないという保証をなさるのかどうか、この点を明確にひとつお聞きしておきたいと思うのであります。

緒方竹虎自由党国務大臣

○緒方国務大臣 鉱山全部に非常に重大な損害を及ぼすほどのことを、保安要員の引揚げによつて今の石炭労働者諸君がやるまいということは考えます。でありますが、この保安要員の引揚げが、はたして違法であるか、不当であるかということについて疑義があり、また昨年の長期のストの場合に、一部そういう行為がとられかけたところもある。そこで政府といたしましては、公共の福祉という立場から、一応この法律によつて、その争議行為の不当性を明示せざるを得ないのであります。この法案に盛られた争議行為の制約によつて、争議が今後非常に悪化する、険悪な極端なものになるとは、私は絶対に考えておりません。

菊川忠雄日本社会党(右)

○菊川委員 それでは最後にもう一つ例をもつて念のためにお尋ねしておきたいと思います。それは、先ほど、電気産業の争議においては、電源ストは全従業員のほんの少数の者が職場放棄をして、そうしてストライキによる犠牲を受ける、だからよくないというふうな意味の認識をもつてお答えの政府委員もあるようでありますが、そういう政府委員は少しどうかしておると思うのであります。そういう政府委員がおる限りは、どうも日本の労働争議が順調に解決し、労使関係が合理化されるとはわれわれは信用できないのであります。そのことはしばらくおいて、労働組合側もまたなるべく僅少の犠牲において最大の効果をあげるというのが戦術であります。従つて電産の場合において、なるほど少数の人々が職場放棄をし、大多数の人々が働きながら、しかもストライキの効果をあげ得るとすれば、これは当然認めなければならぬ有利な点であるのであります。しかも、そうであるからして、これは不当であるという理由はなり立たないと思うのでありますが、この点について、一体官房長官は—本会議の大臣の説明の中にもそういうことがありましたが、これをやはり今回この法案を御提案になつている重要な理由の一つとしていまなお主張し、お認めになるお考えであるかどうか、この点を明確にしておいてもらいたいのであります。従つて、こういうふうな電源ストが、結果において、やり方のいかんによつては、先般の争議の結果に見るように、かえつて国民の批判、非難を受けて、組合の不利であつたことは明瞭なことであります。でありまするが、そういうふうなことが、それでは組合の争議行為として禁止された場合において、最後に追い込まれて、これを非合法であり、違法であることを知りつつも、組合の責任としてはやらないが、他の脱法的な戦術としてやろうとすることはあり得るのであります。これは法律外のことだから、やるものはいずれやるのだから、しかたないというお考えであるのか、それもこういうことは組合の正当な責任ある争議行為としてやる場合には組合は責任を持つべきであり、また社会の批判にも責任を持つべきであるという建前に立つことが、組合運動をして健全な発達をさす道であるとお考えであるか、そのどちらとお考えになるかということです。私はむしろ電源ストというようなものは軽々しくやるべきものでなし、やればかえつて組合の不利になるということを、先般大きな教訓として残していると考えるのであります。しかしながら、そうかといつて、これを奪つてしまつた場合には、おそらく何らかの形でもつてやる意思を持つている者はやるでありましよう。その場合においては、組合はこれについて何らの責任を感じないという立場をとるでありましよう。その結果は、おそらくやる者は、組合とは別個の非合法の個人的の行動という仕組みをもつてやることもあり得るのであります。そういう場合において、ほとんど突発的に、無計画に、あとのことを考えないでやるという結果になるのでありますが、少くとも争議行為の責任ある行為として認めております限りは、そこにおのずから—先般の争議においても、決して無責任、無方針のやり方はしていないのでありますが、一体いずれが組合の健全化と同時に、国民の不安を防ぐ道であるか。この点についてもお考えを伺つておきたいのであります。あとのことは、また私の順番のときにお尋ねしたいと思います。

緒方竹虎自由党国務大臣

○緒方国務大臣 今菊川君のお話の中にもありましたが、私は労働争議等におきましても、自由社会におきましては、輿論の批判というものが一番力を持つものであると考えるのであります。しかし、政府の立場としましては、昨年ほどの大きなストが行われて、中小企業初め非常な脅威また損害を受けにこの事態に対しましては、一応の応急措置をとらざるを得ない。私は去年の電源ストに対する輿論の批判とともに、組合側においても十分な自省があつたろうと思いますし、従いまして、同じようなストが再び繰返されることはないと思いますが、政府の立場としては、やはり政府の立場としての措置を講ずるのが当然であると考えます。

田中伊三次自由党

○田中委員長 山口君

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 私の質問せんとするところは、倉石委員の関連質問のほとんどが、私の質問の要旨でありまして、大蔵大臣、労働大臣、法務大臣、官房長官すべての質問にわたるわけであります。従来は、労働委員会が、各位も御承知のように、どうも担当の大臣がお見えにならない。昨年も大蔵大臣の出席を求めても、出て来ない。労働大臣もほとんど顔を見せない。官房長官を要求しましても、たまたま出て来られても、きようは時間が急ぐということで、われわれの質問に大きな制約を加えられておる。それではわれわれはほんとうに十分に、まじめにこの法案を審議して、よりよきものにしようといたしましても、それはできないことであります。単に政府が政府委員なる行政官にこれをまかせておくというようなことは、私は国民の前にも不誠意を暴露するものである、かように思うのであります。お互いにやはり選挙されて来ておる限りにおきましては、国民の前に良識をもつてこの重要問題を真剣にまじめに討議しなければならぬと思うのであります。ところが、どうも昨年来からのこの労働委員会の審議の状況を見ましても、今申し上げましたように、責任者が出て参らない。これは一つの労働委員会の軽視であり、国会審議の軽視であるということがたびたび問題になりますが、このことは労働委員会においてもきわめて遺憾と思うのであります。本日も私は質問したいと思いますけれども、官房長官がおいでにならなければ私の質問になりません。こういうようなことでは、私は非常に困りますので、この際官房長官にお尋ねいたしたいと思いますが今後なおこういうふうな状態をお続けになるつもりであるかどうか。この会期中われわれが審議をしようとする場合に官房長官は副総理として、あるいは大蔵大臣を要求した場合、あるいは労働大臣、法務大臣を要求した場合、それぞれわれわれが要求いたしたます大臣を、責任を持してあなたはここの会議に出席せしめるという言明がここできるかどうか、その点に対する所見をお伺いいたしたいと思います。

緒方竹虎自由党国務大臣

○緒方国務大臣 私は官房長官としてできるだけのごあつせんはいたします。きようも労働大臣は病気で、これは私もやむを得ないと思います。私を呼び出してもなかなか来ないという話がありましたが、きよう私は初めて呼び出されたので、呼び出されて即刻参つたような次第であります。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 昨年来からこういうことなんです。たまたま来られると、われわれの審議に対しては時間的制約を加えて、従来からの訓番に審議をされるルールを守らないで、いわば異例な関連質問として、次から次へとわれわれの質問の訓序を中断して、きわめて質問のしにくい形を現出して行く、こういうことなんです。そういうことでは、われわれはこれは審議ができないことになります。でありますから、質問も木に竹をつないだような質問になつたりいたしまして、尋常な審議をすることができないのであります。私はやはり今倉石委員が質問されておりますが、倉石委員から質問をされておる限りにおいては、順序を追つて、そのルールを守つていただけるような責任を、責任者がとつてもらわなければならぬと思います。それを無視して行くということについては、大いに憤慨せざるを得ないので、申し上げておる。ですから、官房長官は今後においても、ただ官房長官だけでなしに、われわれ労働委員会及び各種委員会から要求いたします大臣は、努めてこれに出席するという誠意を持つべきだと思う。なぜそういうことができないかについても、政府当路者としては当然これを検討して、あやまちがあればそれを反省して、よく委員会の要求にこたえられるように措置をしてもらいたいと思います。

田中伊三次自由党

○田中委員長 ただいまの山口君の発発言は、たいへんごもつともであります。委員長が責任を持つて、議事の進行ができるように、今後政府委員は事前に十分連絡をとつて呼びます。但し、御了解をいただかなければならぬのは、予算案がございますことと、両院の建前上、参議院に本会議があるということと、この二つでどうしてもやむを得ないような場面もあろうと思います。そういう場合には、毎日々々官房長官、総理大臣をここに呼び出すわけに参りませんから、ひよつこり出て来たときには、官房長官に対する質疑を集中するというような努力も、実はせんければならぬと思います。しかし、御説はまことにごもつともでありますから、委員長において十分に注意をいたします。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 委員長から今申されましたが、委員長はそういう事情を御承知になるということでありますれば、関係大臣がお越しにならないときには質疑ができないのは事実であるからして、それでは出席されるように委員長の方でも措置されるでありましようし、そのために多少の時日を要することも委員長はこの際承知されて、そういうふうに善処されることを言明されたのか、この際承つておきたい。

田中伊三次自由党

○田中委員長 お答えをいたします。あとのお尋ねの、大臣が来られない場合に申し合せた質疑の期限を延ばすというようなことは、これは了解いたしません。あらためて理事会で相談をいたします。その点については、今申し上げたように出席のできるようにあたう限りの努力をする、こういうことを誠意を持つてやりますから、御了承願いたいと思います。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 それで行けば、審議があつてもなくても、政府委員が来ても来なくても、時日が来たら打切りだということになります。

田中伊三次自由党

○田中委員長 それは理事会でよく相談いたしまして、御意志に沿うように苦心と努力を払うことにいたします。  それから森山君、まことに恐縮ですが、簡単に官房長官に。

森山欽司改進党

○森山委員 官房長官にお伺いいたします。簡単にというのですが、非常に質問事項が多いのであります。あなたが先ほど御発言になつた事項について伺いたい。先ほど官房長官は、本法は予防的意味を持つておるということを言われました。予防的意味というのは、昨年の電産、炭労のストに対する懲罰的な意味ということをその裏に持つておるのであるかどうか伺いたい。

緒方竹虎自由党国務大臣

○緒方国務大臣 懲罰的意味は全然持つておりません。

森山欽司改進党

○森山委員 予防的意味といいますと、刑法で犯罪を犯した者が、もう一度やらないようにというふうに受取られますので、お伺いしたのでありますが、それでは官房長官は、そういう予防的意味ということは、懲罰的意味じやないといたしましても、再びこういうことが起らないようにということでありますが。昨年末の電産、炭労ストというものが起きた背景を、どういうようにお考えになつておられるのか、あなたの御所見の一端を伺いたいと思います。

緒方竹虎自由党国務大臣

○緒方国務大臣 これは労働当局からお答えいたさせます。

福田一自由党労働政務次官

○福田政府委員 森山さんは、そういう方面では、特に労働関係はお詳しいのでありまして、私が御説明申し上げるまでもないところでありますが、御承知のように組合と経営者の間におきまして、待遇の問題について意見の相違を来し、どうしても要求をいれられない、いれろということで起きて来たように私は考えております。

森山欽司改進党

○森山委員 官房長官は労働政務次官に答弁を譲られましたが、労働政務次官が言われたように、そうすると昨年末のストは純経済ストという御認識の上に立つておられるというふうに考えてよろしゆうございますか、官房長官御自身の御答弁をいたださたいと思います。

緒方竹虎自由党国務大臣

○緒方国務大臣 政務次官から申し上げた通りに認識をいたしております。

森山欽司改進党

○森山委員 官房長官房長官は、昨年の電産、炭労ストは、経済ストであるというふうにお考えになつたということでありますが、そういたしますと、両ストに対する従来の政府の考え方と食い違いが出ないかどうか承りたい。

福田一自由党労働政務次官

○福田政府委員 官房長官は私の申した通り言われておるのであります。このストが始まりましたのは、大体経済闘争であつたけれども、後段の場合においては、そういう思想の、また事実上の動きもこれに加味されておるということは明瞭であります。

森山欽司改進党

○森山委員 官房長官の御答弁は純経済闘争であるという……。

田中伊三次自由党

○田中委員長 森山君、倉石君の質問に関連をしないと、また独立の質問になりますから……。

森山欽司改進党

○森山委員 それでは、関連するかもしないか別として、この問題で簡単にけりをつけます。官房長官の御発言に食い違いがあるのではないか、これはいずれ独自の立場においてお聞きいたします。  やはり予防的意味ということに関連して伺いたいのでありますが、もし電産、炭労の両組合が、われわれはあの種類のストはもうやらないというような一種の平和宣言を発した場合、官房長官はこういう法案を撤回する意思があるかどうか承りたい。

緒方竹虎自由党国務大臣

○緒方国務大臣 そういう宣言を発した場合、もしそういうことがありといたしますれば、そのときの情勢を十分に検討いたしまして、そうして判断をいたします。

森山欽司改進党

○森山委員 そのときの情勢を判断して、とおつしやいますけれども、もし言葉通りの平和宣言が出た場合においては、このような好ましからざる法案—倉石君の言葉をかりますならば、政府の態度はきわめて軽率であつた、この法案の立案方式はきわめて拙劣なやり方であるというように、与党自体がきめつけているこの種の法案を、そういう平和宣言が出たときには撤回する意思があるかどうか。与党でさえそういう批判をしているのでありますから、その場合になれば考えるというのではなくて、この際お答えができると思います。

緒方竹虎自由党国務大臣

○緒方国務大臣 仮定の宣言だけでお答えするわけに参りません。

森山欽司改進党

○森山委員 関連でありますから、関連事項だけお伺いいたします。公共の福祉ということを言つておられますが、公共の福祉という言葉の定義を官房長官から承りたい。

緒方竹虎自由党国務大臣

○緒方国務大臣 公共の福祉という言葉の定義は非常にむずかしゆうございまして、憲法制定のときにもはつきりきまらなかつたのではなかつたかと私は思うのでございますが、ごく雑な言葉で申しますれば、部分に対する一般の福祉という意味ではないかと考えます。

森山欽司改進党

○森山委員 それではお伺いいたしたいのでありますが、本案の第二条によつて、電気事業に関する電源ストとか、あるいは送電ストが停止されておる。ところが一地方の小さな電気会社があつたとする、その電気会社でもつてそういうようなストが起きた場合、これは一体公共の福祉に関係あるのかどうか。もし関係があるとすると、従来の政府の公共の福祉ということに対する解釈をお改めにならなければならないのではないかと思うので、念のために承りたい。

緒方竹虎自由党国務大臣

○緒方国務大臣 一地方のごく小さな電気会社というものは、私はないと用います。

倉石忠雄自由党

○倉石委員 私の質疑の途中で関連が始まりまして、大分時間をとられたのでありますが、私はなるべく野党の方方にお譲りをいたすといたしまして、官房長官のおられる間に一点確かめておきたいと存じます。  先ほど承つておりますと、論議の焦点が大分狂つて来ているようであります。今回の立法は、先ほど来政府委員の御説明によれば、もちろん電気産業及び石炭鉱業の保安要員の引揚げのごときは、労調法三十六条あるいは鉱業法その他の法律によつて違法ではあるが、とかく疑義を生じやすいので、立法技術としては下手かもしれないが、この際単独法を制定して明確化するめにやつておるんだという御説明でありました。私どもそのように理解いたしたのであります。従つて、これは、こういう法律がなくても当然違法なのであるが、それを明確化するための明確規定であると言われるのでありますか、もう一ぺんその点について、政府委員のしつかりした御答弁を願います。

福田一自由党労働政務次官

○福田政府委員 御質問の通りでございます。

倉石忠雄自由党

○倉石委員 そこで、そういうことを確認いたします以上は、先ほど官房長官は、菊川君のお尋ねに対して言葉が足りなかつたのではないかと思うのであります。本案程度の制限では労働争議が激化するとは思わない、こういう意味のお言葉がありましたが、本案によつて新たに制限するのじやないのであります。すでに違法なる事実を単独立法によつて確認するのだというのでありますから、新たにここに制限をするというならば、さつきお尋ねいたしましたように、共企業体の労働者はストを禁止されるかわりに、他の方法によつて救済の措置を講ぜられておる。だから、その前にさかのぼつて私は憲法二十八条の労働基本権と十一条の公共の福祉についてお尋ねいたしたのでありますから、政府の思想を統一して答えていただきたい。これは重大なキー・ポイントであります。官房長官は、先ほどこの程度の制限とおつしやつたが、それは言葉が足りなかつたのであつて、新たなる制限をここに加えようとしたのではない。そういうことにもし確認されるならば、菊川君の言われましたように、職場放棄がいかにこの組合幹部が統制ある責任ある態度をとられようとも、その事柄がすでに過去において制定せられ、国会において承認せられたる法律によつて違法であるというならば、これはどういうような統制ある行動をとられても違法はあくまでも違法なんであります。その点を明確にされれば本案立法に対して論議の焦点というものはただ一点に帰する、この点を政府の統一ある御答弁を願います。

緒方竹虎自由党国務大臣

○緒方国務大臣 ただいま倉石君のおつしやつた通りでありまして、私ほどのは、少し言葉が足りなかつたようであります。

倉石忠雄自由党

○倉石委員 了解いたしました。私は労働大臣に対する質問を保留いたしまして本日はこの程度に打切つておきたいと思います。

田中伊三次自由党

○田中委員長 本日はこれにて散会をいたします。     午後四時三十七分散会

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